【実施例】
【0076】
実施例1:網膜変性マウスモデルの光受容体におけるH3K27me3の蓄積
先行研究において、本発明者らは、Rd1光受容体における細胞死は、BMI1ポリコーム群タンパク質(B細胞特異的MMLV組込み部位1)と密接に依存していたが、その分子作用は、下流の従来のInk4a/Arf経路と非依存的であったことを示した(Zencak et al., 2013)。BMI1がRd1光受容体における自律的な効果を有するかどうかを明らかにするため、本発明者らは、光受容体においてBmi1欠失を特異的および独特に明確に誘導するために、条件的なRd1;Bmi1
flox/floxマウスをオプシン::Cre系統と交配し、Rd1;オプシン::Cre;Bmi1
flox/floxマウスを作製した(
図2A)。Creリコンビナーゼ活性を有するマウスにおいて、生後16日目(PN16)でのBMI1の免疫組織化学によって、Bmi1の細胞型特異的な欠失を光受容体において確認した(
図2A)。しかしながら、光受容体から構成される外顆粒層(ONL)の広い領域においてBMI1の発現は存在しなかったにもかかわらず、Rd1;Bmi1
−/−と比較して、ONLの厚さのレスキューはPN16に認められなかった(
図2AおよびZencak et al., 2013)。このことは、細胞死を引き起こす分子センサーが、光受容体の分化の直後、およびオプシンプロモーター活性の開始中に光受容体が自身の完全な成熟を獲得する時点の前に、切り替わり得ることを示唆する。
【0077】
ポリコーム抑制複合体2(PRC2)は、BMI1の前に遺伝子を調節するように作用するため、本発明者らは、PCR2はすでにこの死滅過程に関与している可能性があると仮定し、ヒストン翻訳後修飾(HPTM)を検討した。Zestホモログ2エンハンサー(EZH2)は、PRC2に属し、ヒストン3のリシン27上のトリメチル化(H3K72me3)を媒介して、クロマチンの凝集、およびBMI1を介したPRC1と関連した遺伝子抑制を支持する。選択されたヒストン翻訳後修飾(HPTM)に関するPN16のRd1;オプシン::Cre;Bmi1
flox/floxマウスからの変性中の網膜切片のスクリーニングによって、ONL中のいくつかの細胞における部位特異的H3K27過剰トリメチル化が明らかにされている(
図2D)。変性網膜内の光受容体におけるH3K27me3のこの独特の濃縮を考慮し、本発明者らは、その生物学的意義および疾患過程に対する潜在的な寄与をより注目することを検討した。
【0078】
PN12のRd1マウスにおいて、H3K27me3に対する免疫組織化学によって、外顆粒層(ONL)を構成するいくつかの核における強い核標識が示されている(
図2C)。EZH2およびH3K27me3のレベルは、出生後の幼若WTマウスにおいてすでに定量的に減少していることから(Rao et al., 2010)、および抗体の非特異的相互作用に起因するいずれかの交差反応性を除外するために、本発明者らは、異なる商業的供給源からさらなる抗体(mAb6002)を得た。強い共局在が両方の標識で得られ、このため、H3K27me3染色の特異性が確証された。対照的に、WT網膜のONLにおいては、H3K27me3の濃いマークは認められず(
図2C)、この観察所見は、成熟WT網膜に関して以前に説明されたものと一致している(Rao et al., 2010)。H3K27me3は、光受容体特異タンパク質であるロドプシン(Rho、
図2D)を発現する細胞に共局在しており、亢進したH3K27me3マークが、これらの網膜ニューロンに存在することが証明された。
【0079】
H3K27me3の蓄積が、網膜変性の異なる齧歯類モデルにおいても生じるかどうかを検証するため、本発明者らは、Rd10、ロドプシンP23H、ロドプシンS334ter、ロドプシン
−/−、およびFam161a
−/−網膜におけるH3K27me3マークを検討した。Rd10マウスは、Rd1とほぼ類似する別の網膜変性モデルである(PDE6欠損)(Chang et al., 2007, Barhoum et al., 2008)。しかしながら、網膜細胞喪失の発症は遅延しているが、変性過程はさらに速い(本発明者らのコロニーにおいて)。このモデルにおいて、中心網膜における核濃縮細胞の数は、PN25にピークに達し、視細胞死の半数がPN13〜14にONLにおいて生じるRd1とは異なっている(Portera-Cailliau et al., 1994.)。興味深いことに、抗H3K27me3ポリクローナル抗体によるRd10網膜切片の染色は、H3K27me3マークの顕著な増大も示した(
図3、下段のパネル)。さらに、本発明者らはまた、2つの他の常染色体優性RPのモデル、すなわち、それぞれP23HマウスおよびS334terラット(
図3、それぞれ上段および中段のパネル)のONL、ならびに遅い変性速度を有するFam161
−/−およびロドプシン
−/−マウス(資料未記載)における、H3K27me3マークの強い存在を観察した。
【0080】
したがって、これらのデータは、H3K27me3の蓄積は、異なる種類の網膜変性に影響を及ぼす一般的な現象であることを明らかにしている。
【0081】
さらに、Rd1におけるH3K27me3マークの分布およびその基礎レベルの変化は、特別なものであるかどうか、またはHPTMホメオスタシスの一般的な調節緩和を明らかにするかどうかを決定するため、本発明者らは、それぞれサイレント遺伝子および活性遺伝子のTSSにおいて濃縮されていることでも知られるH3K9me2およびH3K4me3マークのパターンおよび分布を調べた。染色時、本発明者らは、WTとRd1のONLとの間のH3K9me2およびH3K4me3のいずれの発現差異も検出しなかった(
図4AおよびB)。
【0082】
まとめると、これらの結果は、齧歯類の光受容体は、変性過程中に特異的なクロマチンリモデリングを受け、H3K27me3マークの調節緩和は、変性光受容体に特別なものであると思われることを強く明らかにしている。
【0083】
実施例2:網膜色素変性症に罹患しているヒト患者網膜におけるH3K27me3の蓄積
網膜障害におけるH3K27me3の過剰メチル化の関連性をよりよく与えるために、本発明者らは、この表現型は、ヒト網膜においても生じる可能性があるのではないかと考えた。網膜色素変性症に罹患している1例のヒトおよび1例の健常ドナーからの眼球を採取および処理し、それらの網膜におけるH3K27me3の存在を検討した。ヒトドナーサンプル(
図5A)とは対照的に、H3K27me3過剰トリメチル化マークの存在は、最初に変性過程が開始した領域、および周辺付近の領域においても、両方のRD網膜の周辺部において著しく濃縮していた(
図5B、資料未記載)。対照的に、中心網膜においては、H3K27me3マークはほとんど認められなかった。周辺部においてH3K7me3マークの数が多く、中心網膜に向かって希薄化していくというパターンは、網膜色素変性症に罹患している患者において一般に認められる細胞死のパターンと一致する。
【0084】
まとめると、これらのデータは、H3K27me3メチル化をRDにおける変性過程の特徴として見出すものであり、細胞死の機序と関連している可能性がある。
【0085】
実施例3:網膜変性マウスモデルにおけるH3K27me3の蓄積は、視細胞死の過程の遅い事象に先行する
Rd1網膜におけるH3K27me3の時間的な発現をよく理解するために、本発明者らは、疾患発症前のPN5から、30%未満の細胞のみがRd1網膜に残存するPN15までの、このマークの時間的経過を評価した。H3K27me3は、PN8においてすでに検出可能であり(
図2E)、その時間的な発現パターンは、すでに説明した変性経過と密接に関連しており(Zencak et al., 2013)、増殖マーカーKi−67の発現に先行する(
図2C、下段のパネルおよび2F)。H3K27me3を有する細胞の数は、50%超の細胞がRd1マウスにおいて変性を示した時点と一致するPN13まで、経時的に増加する。さらに、本発明者らは、H3K27me3シグナルは、視神経に隣接する領域における網膜の中心部で主に濃縮されており(PN8〜12)、疾患が進行するにつれ、周辺に向かって進むことに気づいた(
図2G、データはPN12においてのみ示す)。重要なことに、また、Bmi1の欠失は網膜変性を遅延させることを明らかにした本発明者らの先行研究と一致して、H3K27me3陽性細胞の数は、Rd1;Bmi1
−/−マウスにおいて有意に減少した(
図2H)。それにもかかわらず、H3K27me3マークの存在は消失されておらず、このため、
図2Bにおいて示唆されるように、残存するメチルトランスフェラーゼ活性は、BMI1の存在と非依存的であることが明らかにされている。興味深いことに、精製されたCrx−GFP陽性光受容体のウエスタンブロット解析によって、光受容体サンプルにおけるRd1中のポリコーム抑制コア成分EZH2タンパク質含量の増加が明らかにされている(
図2I)。
【0086】
まとめると、これらのデータは、H3K27me3の蓄積は、EZH2のアップレギュレーションおよび活性の結果であり、そのパターンは、Rd1マウスにおける疾患重症度の進行と強く相関することを示唆している。
【0087】
光受容体における細胞死の経過は、別々の分子事象の複雑化によって組織化されている(Paquet-Durand et al., 2014)。Rd1桿体光受容体において、cGMPの蓄積は、視細胞死カスケードの非常に初期に一般に生じるが、末端dUTP鎖切断標識(TUNEL)は、細胞がそれらのDNA断片化段階を受けることを明らかにしている。H3K27me3が出現する初期の時間枠は、Pde6βヌルマウス網膜におけるcGMP細胞内増加の時間枠と一致するため(Farber & Lolley, 1974)、本発明者らは、H3K27me3が下流または上流で出現するかどうかを決定するために、cGMPおよびH3K27me3が同じ細胞内で共存かどうかを検討した。本発明者らは、cGMP染色が、PN12でのRd1網膜におけるH3K27me3と共局在している細胞はないことを観察し(
図6A上段のパネル)、H3K27me3は、cGMPの蓄積後に出現し得ることが示唆された。H3K27me3陽性光受容体のうち、60%がTUNEL陽性でもあり、一方、TUNEL陽性集団の40%がH3K27me3と局在しており、このマウスモデルにおけるH3K27me3と細胞死との関係性が示唆された(
図6A下段のパネル、
図6b)。さらに、H3K27me3の65%が、PN12においてCDK4に対しても陽性であり(
図6A中段のパネル、
図6C)、このキナーゼの発現との強い関係性が示唆された。H3K27me3およびCDK4の経時的発現は、分析の時間的経過総てにわたり、CDK4陽性細胞の出現前に、H3K27me3の数が増加したことを実証した(
図6C)。先行研究において、本発明者らは、ONLにおけるTUNEL陽性細胞の75%が、CDK4に対しても陽性であったことを観察した。
【0088】
まとめると、これらの結果は、細胞死の前のH3K27me3およびCDK4の連続的な出現を明らかにしており、光受容体の死の中間誘導因子としてのEZH2が関与する変性の段階的機序が示唆された。
【0089】
実施例4:EZH2の薬理学的阻害は、光受容体をin vivoでの変性から保護する
WTと比較したRd1マウスにおけるEZH2の基礎レベルの増加(
図2I)および細胞同一性を制御する生物学的過程におけるその顕著な位置付けは、この特別なメチルトランスフェラーゼ酵素の活性は、変性過程の初期における新たな組の遺伝子を標的とするために増大し得ることを示している。in vivoにおけるH3K27me3のレベルを薬理学的に制御するために、本発明者らは、EZH1/EZH2阻害剤であるUNC1999を使用して、その触媒SETドメインを標的とした(Konze et al., 2013, Xu et al., 2015)。増殖性マウス胚線維芽細胞において、2.5μMのUNC1999は、DMSO対照と比較して、H3K27me3の内因性レベルを遮断するのに有効であり(
図7A、
図7B)、これにより、in vivoでの検討のための有効量が示唆された。この結果に基づき、次いで、Rd1(PN8)網膜を2.5μMのUNC1999(注射後の眼において外挿された濃度)に曝露させ、注射後4日目におけるTUNEL染色時のH3K27me3マークおよび細胞死の程度をモニタリングすることによって、処置の有効性を評価した。過剰なH3K27me3シグナルが、DMSO処置眼において保たれたが、このようなシグナルは、UNC1999注射網膜のONLにおいては強く減少した(75%)(
図7C、
図7E)。興味深いことに、TUNEL陽性細胞の数は、DMSO処置眼と比較して、対応する領域において実質的に70%減少している(
図7D、
図7F)。
【0090】
Fam161a KOマウスは、6ヵ月時の光受容体のおよそ80%の喪失の結果生じた、遅い網膜変性を有するRPの別の疾患モデルである。Rd1と比較して、Fam161a
−/−は、遅い変性過程を模倣する。同様に、Rd1マウスに対して、本発明者らは、単一用量のUNC1999を、2ヵ月齢のFam161a
−/−マウスに投与した。しかしながら、実験は4回目の注射まで毎週繰り返し、動物を4日齢後に屠殺した。動物を1週後に屠殺し、網膜切片を、視細胞の生存および背腹の軸に沿ったH3K27me3の存在に関して分析した(
図7G、
図7H)。本発明者らのデータは、本発明者らが定量した腹側ONLにおける列の数の有意な保存を示した。背側区画において有意差は認められなかった。本発明者らは、注射側と非注射側との間で、H3K27me3過剰トリメチル化のレベルに関して統計学的差を認めなかったが、これはおそらく、注射の最終日および屠殺時間を含めた時間に起因する、化合物の有効性の喪失が原因である。
【0091】
試験したUNC1999用量(10 M)が、網膜機能に対する毒性作用を有するかどうかを試験するため、対照(ビヒクル、DMSOを注射)およびUNC1999処置C57/Bl6健常マウスの網膜活性を、硝子体内注射の前および1週後にERGによって記録した(
図12)。暗順応条件下において、DMSO処置群のb波最大振幅ベースラインは、注射の前に、UNC1999群よりわずかに高かった。両群とも、注射の1週後に同様の応答を示し、ベースラインに関する有意差は認められなかった(
図12A)。同様の観察を明順応観察において行ったが、3cda/s.m
2刺激は例外であり、それに対しては、DMSOおよびUNC1999処置動物の両方とも、減少した応答を示した(
図12B)。フリッカー条件下において、応答の減少が、5Hzにおいて両処置群に生じ、10Hzではより少ない程度で生じ、15Hzでは全群間に差は認められなかった。全体的な結果は、注射手技は、一部の桿体をごく部分的に変化させるが、錐体に対しては実質的な効果を示さなかったことを示唆している。
【0092】
まとめると、これらのデータは、in vivoにおけるEZH2活性の阻害は、網膜変性のマウスモデルにおいて、TUNEL陽性細胞の数を減少させ、視細胞変性を遅延させることに寄与することを強く示唆している。
【0093】
実施例5:ヒト光受容体の死の過程における細胞死経路の活性化および網膜変性におけるEZH2活性の証拠
本発明者らは、どの死経路が活性化されるかを検討するため、ヒト網膜剥離(RD)のin vitroモデルを開発した。このモデルは、RPE細胞を有する網膜と比較して、網膜色素上皮(RPE)を有さないヒト網膜剥離片の培養物からなる。
【0094】
光受容体層の数:
全4個の剥離片において、光受容体層の数は、対照群において極めて安定していたが、RD群において経時的にわずかな減少が認められた。この群では、5DIVおよび7DIVにおいて、光受容体の列の数が、1DIVと比較しておよそ25%減少した(P<0.04)。全時点において分析した群間差は、統計学的に有意ではなかったが、1DIV後(
図8A〜B、表3)は例外であり、RD群は、実験の最初において多数の光受容体を示した。このことは、同じドナーからの網膜片が、2群間で分布していたが、ある程度の不均一性が、同じ組織サンプル中に存在することを明らかにしている。それにもかかわらず、各群は、同程度の数の光受容体の列を有する網膜を含んでいた(
図8中のSEMバー参照)。このため、同じ群における光受容体数の進化が、網膜の健康をよりよく明らかにする。RD網膜は、光受容体の列の有意な減少を示したが、対照群はそうではなかったことに留意されたい(表4)。
【0095】
TUNEL染色;細胞死マーカー:
様々な死後の遅延(12h、14h、23hおよび24h)ならびに組織の解剖手技にもかかわらず、TUNEL陽性細胞が、対照群において低レベルで実験の最初から存在した。TUNEL陽性細胞の数は、3DIVにおいて有意に増加し、3および7DIVにおいてピークに達した。TUNEL陽性細胞の10倍超の増加が、RD群と対照群との間に3DIVにおいて認められた(P=0.0014)(
図9ならびに表3および5)。興味深いことに、細胞死のこのピークは、in vivoにおける裂孔原性網膜剥離に関して記載されたものと一致する(Hisatomi et al., 2001, Arroyo et al., 2005)。TUNEL陽性細胞の有意な30%の増加は、3DIV〜7DIVの間で生じ続け、5日目に高い変動を示し、二相性の細胞死過程が示唆された(
図8〜9、表5)。次いで、本発明者らは、細胞死過程の潜在的な行為者を検討した。
【0096】
正準アポトーシス経路は、ヒトRD群において活性化されない:
カスパーゼ3は、アポトーシスの最終的なエフェクターであり、RPEを有するおよび有さない網膜におけるアポトーシス事象の程度を明らかにするために選択された。意外にも、ONLにおける非常にまれな細胞が、両群に存在しており、アポトーシスのピークは同定されなかった(資料未記載)。
【0097】
アポトーシス誘導因子(AIF)染色:
AIFは、カスパーゼ非依存的アポトーシス誘導因子を表す。AIFは、通常、ミトコンドリア膜に局在する。細胞死の間、AIFが放出され、次いで、核に移動する(レビューおよび網膜に関しては、Hisatomi et al., 2001, Hisatomi et al., 2008参照)。本発明者らは、AIFが1DIVにおいてONLに存在し、RD群において3DIVに顕著なピークを示したことを観察した。AIF陽性細胞のピークは、3DIVに認められたTUNEL陽性細胞のピークと類似していた(
図8、表3)。増加は、対照群と比較して約14倍であった(p=0.02)。5DIVおよび7DIVにおいて、目に見えるAIF陽性細胞はほとんど存在しなかった。
【0098】
細胞周期マーカーCDK4は、RPEの非存在下で、変性過程中に中程度に発現する:
1DIV後に、対照群の光受容体の核においてCDK4は認められず、3〜7DIVの間には、ごく少数の細胞のみが、このタンパク質を発現した。RD群において、1DIVからCDK4陽性細胞が存在し(
図8、表3および表6)、それらの数は、その後中程度に増加し、3〜7DIVの間に安定を維持した。RDを模倣する剥離片の群におけるCDK4陽性細胞の数の平均は、全時点において3.07±2.31であったが、対照群においては、この数は1.25±1.38であった。CDK4陽性細胞の数は、TUNEL陽性細胞と比較してかなり少ないことに留意されたい(
図8)。2群間の比較は、5DIVを除き、各時点で統計学的差を示した(
図8、表3)。
【0099】
H3K27me3マークのエピジェネティック修飾は、変性過程の後期で生じる:
最近の研究では、網膜抽出物におけるH3K27me3マークレベルの小さな増大を伴った、網膜変性の経過中のエピジェネティック修飾を説明した(Zheng et al., 2018)。本発明者らはまた、エピジェネティック修飾が、網膜色素変性症の一部の齧歯類モデルにおいてヒストンレベルで生じることを観察し(未発表データ)、本発明者らは、遺伝子抑制を調節することで知られるH3K27me3マークを検討した(Wahlin et al., 2013)。対照群において、ONLにおけるH3K27me3陽性細胞の数は、5DIVまで低値を維持し、7DIVにおいてわずかな上昇を示したが、このマークの顕著な増大が、RD群において5DIVに認められ、7DIVに上昇した状態を維持したが、部分的に減少した(
図8、
図9、
図10、表3および表7)。H3K27me3陽性細胞の上昇した数は、3DIVにおけるTUNEL陽性細胞のピーク後に出現しているが、その後の瀕死の光受容体の数と匹敵していたことに留意されたい。本発明者らの施設のアイバンクの機会を捉え、本発明者らは、網膜周辺部の局所網膜剥離を引き起こすぶどう膜黒色腫に罹患している患者からの眼球を分析した。ONLのより薄い部分において、本発明者らは、H3K27me3マークに対して陽性のいくつかの光受容体を観察したが、腫瘍位置から遠い中心部の網膜は、このマークの均一な別々の標識を示した(
図11)。
【0100】
これらのデータは、EZH2は、長期網膜剥離中の光受容体の死に関与していることを示唆している。
【0101】
結論として、AIF発現は、細胞死の第1のピークと一致しているが、H3K27me3マークは、細胞死の第2の上昇前に増加し、このことにより、光受容体の死は、網膜剥離後の異なる連続的な経路により誘導されることが示唆された。
【0102】
このin vitroモデルは、臨床的関連を有し得る神経保護薬の同定を可能にするはずであり、H3K27me3は、網膜変性の後期において重要な役割を果たし得ることを示している。
【0103】
実施例の結論:
まとめると、これらのデータは、マウスおよびヒト網膜におけるいくつかの網膜病態において、H3K27me3マークは、光受容体の死の事象と相関しており、UNC1999によるEZH1/2活性の阻害は、Rd1マウスにおける網膜変性を顕著に遅延させ、このため、異なるファミリーの網膜ジストロフィーの新たな治療法を提供することを実証している。
【0104】
他の実施形態
本開示は、その説明とともに記載されているが、前述の説明は、例示することを意図したものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。他の側面、利点、および改変は、以下の特許請求の範囲内にある。
【0105】
例えば、当業者に明らかであるように、本開示は、多数のEZH1またはEZH2阻害剤が潜在的な解決策として説明されているが、他の病態に対して現在研究中の他のEZH2阻害剤(大部分が癌の治療用−レビューに関しては、Tanaka et al., 2015およびStazi et al. 2017参照;いくつかのEZH2阻害剤が、前臨床および臨床の状況下で最近評価されている)も、眼障害の治療に適用され得る。
【0106】
例えば、Epizyme, Inc.、米国は、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発しており、例えば、置換6,5−縮合二環式ヘテロアリール化合物、置換ベンゼン化合物、N−((4,6−ジメチル−2−オキソ−l,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル)−5−(エチル(テトラヒドロ−2h−ピラン−4−イル)アミノ)−4−メチル−4’−(モルホリノメチル)−[l,1’−ビフェニル]−3−カルボキサミド臭化水素酸塩、1,4−ピリドン二環式ヘテロアリール化合物、塩酸塩の形態が挙げられる(例えば、国際出願WO2012/034132、WO2012/118812、WO2012/142513、WO2012/142504、WO2013155464、WO2013/155317、WO2014/062732、WO2014/062733、WO2014/100665、WO2014/100646、WO2014/172044、WO2015/010078、WO2015/010049、WO2015/057859、WO2015/200650、米国特許第8,691,507号、第9,376,422号、第8,410,088号、第8,765,732号、第9,090,562号、第9,549,931号、第9,855,275号、第9,006,242号、第9,701,666号、第9,624,205号)。
GlaxoSmithKline plc、英国も、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発しており、例えば、アザインダゾール、インダゾール、インドール誘導体、置換ベンズアミド化合物が挙げられる(例えば、国際出願WO2012/005805、WO2011/140325、WO2011/140324、WO2012/075080、WO2013/039988、WO2013/067296、WO2013/173441、WO2014/107277、WO2014/177982、WO2014/195919、WO2015/004618、WO2015/132765、WO2016/066697、WO2017/191545、米国特許第8,637,509号、第8,846,935号、第9,018,382号、第8,536,179号、第8,975,291号、第9,114,141号、第9,402,836号、第9,649,307号、第8,765,792号、第9,073,924号、第9,24,2962号、第9,446,041号、第9,562,041号、第9,956,210号、第9,382,234号、第9,505,745号、第9,790,212号、第9,556,157号)。
【0107】
Constellation Pharmaceuticals,Inc.、米国も、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発しており、例えば、インドール誘導体、例えば、インドールまたはピロール−ピリジン系6−メチルピリドン含有化合物、6−メチルピリドン含有化合物およびピリジン含有誘導体が挙げられる(例えば、国際出願WO2012068589、WO2013/120104、WO2014/124418、WO2014/151142、WO2015/023915、WO2016/130396、WO2018/075598、米国特許第9,085,583号、第9,371,331号、第9,469,646号、第9,980,952号、第9,745,305号、第9,969,716号)。
【0108】
Pfizer Inc.、米国も、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発しており、例えば、ベンズアミドおよびヘテロベンズアミド化合物、アリールおよびヘテロアリール縮合ラクタム、置換ジヒドロイソキノリン化合物が挙げられる(例えば、国際出願WO2014/049488、WO2014/097041、WO2015/193768、WO2015/193765、米国特許第9,040,515号、第9,481,666号)。
【0109】
Piramal Group,Ltd.、インドも、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発しており、例えば、置換二環式化合物、複素環式化合物が挙げられる(例えば、国際出願WO2014/155301、WO2015/104677、WO2015/110999)。
【0110】
Everfront Biotech,Co.,Ltd.、台湾も、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発しており、例えば、ブチリデンフタリドが挙げられる(例えば、国際出願WO2017/028602、米国特許出願第2017/049746号)。
【0111】
Bristol Myers Squibb Inc.、米国も、過剰増殖性、炎症性、感染性、および免疫調節性の障害および疾患を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発している(例えば、国際出願WO2015/077193、WO2015/077194、米国特許第9,738,630号、第9,822,103号)。
【0112】
Eli Lilly and Company Inc.、米国も、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発している(例えば、国際出願WO2016/089804、WO2017/035060、米国特許第9,527,837号、第9,718,838号)。
【0113】
さらに、学術研究者も、大部分がこれもまた癌を治療するための、EZH2阻害剤を開示している。
【0114】
例えば、Yantai University、中国は、癌などの疾患を予防および治療するための合成化合物を開発している。このような化合物は、このような疾患に関与する酵素、例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2を阻害するために使用することができる(例えば、国際出願WO2014/048313、米国特許第9,518,038号、中国出願第103690531号、第103690529号、第103690528号、第103690530号、第103845324号、第103845325号、第103110621号)。
【0115】
Dana Farber Cancer Institute、米国も、癌を治療するためのヒトEZH2の阻害剤を開発しており、例えば、ピラゾロ−ピリジン系およびインドール系化合物が挙げられる(例えば、国際出願WO2014/190035、WO2016/073956、WO2017/184999およびUniversity of Minnesota、米国と共同出願されたWO2016/073903)。
【0116】
Agency for Science, Technology and Research、シンガポールも、癌を治療するためのタンパク質リシンメチルトランスフェラーゼなどのメチルトランスフェラーゼの阻害剤、およびエピジェネティック薬、例えば、キノリンおよび5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン誘導体を開発している(例えば、国際出願WO2017/061957)。
【0117】
本明細書に記載の総ての刊行物、特許、および特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的および個々に、引用することにより本明細書の一部とされると示される場合と同じ程度まで、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0118】
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