特表2021-531437(P2021-531437A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-531437再封可能なメンブレンバルブを備えた流体コネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-531437(P2021-531437A)
(43)【公表日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】再封可能なメンブレンバルブを備えた流体コネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 29/02 20060101AFI20211022BHJP
   F16K 15/18 20060101ALI20211022BHJP
   F16K 15/14 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
   F16L29/02
   F16K15/18 D
   F16K15/14 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-571390(P2020-571390)
(86)(22)【出願日】2018年6月25日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月21日
(86)【国際出願番号】US2018039333
(87)【国際公開番号】WO2020005198
(87)【国際公開日】20200102
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519147290
【氏名又は名称】オエティカ エヌワイ インク
【氏名又は名称原語表記】Oetiker NY, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】フレモント・ブラッドリィ・シー.
【テーマコード(参考)】
3H017
3H058
【Fターム(参考)】
3H017AA07
3H017AA09
3H058AA16
3H058BB03
3H058CA02
3H058CA22
3H058CA23
3H058CC08
3H058CD26
3H058EE12
(57)【要約】
Oリングメンブレンバルブ(20)は、Oリング(22)と、Oリングに接続された再封可能なメンブレン(24)と、を含み、再封可能なメンブレンは、第1の面と、第2の面と、第1の面から第2の面へと延びるスリットと、を含む。Oリングメンブレンバルブは、流体コネクタとともにアッセンブリ可能であり、流体コネクタは、本体(40)を含むとともに、第一の貫通孔と、第一の貫通孔内に円周方向に配置された第一の溝(50)と、を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Oリングメンブレンバルブであって、
Oリングと、
Oリングに接続された再封可能なメンブレンと、を有し、
前記再封可能なメンブレンは、
第1の面と、
第2の面と、
前記第1の面から前記第2の面へと延びるスリットと、を有する
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のOリングメンブレンバルブであって、
前記再封可能なメンブレンは、円錐形であり、頂点を有する
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項3】
請求項2に記載のOリングメンブレンバルブであって、
前記スリットは、少なくとも部分的に前記頂点に配置されている
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項4】
請求項1に記載のOリングメンブレンバルブであって、
前記Oリングおよび前記再封可能なメンブレンは、エラストマーで構成されている
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項5】
請求項4に記載のOリングメンブレンバルブであって、
前記Oリングは、円形の断面形状を有する
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項6】
請求項5に記載のOリングメンブレンバルブであって、
前記Oリングは、トーラス形状である
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項7】
請求項1に記載のOリングメンブレンバルブであって、
前記Oリングは、流体コネクタの本体に組み込まれるように構成されている
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項8】
請求項7に記載のOリングメンブレンバルブであって、
前記第1の面が流体圧によって生み出される力に曝されると、前記スリットは、密封された状態になる
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項9】
請求項8に記載のOリングメンブレンバルブであって、
チューブが前記流体コネクタの前記本体に挿入されて前記第2の面に係合すると、前記メンブレンが弾性変形して前記スリットが密封されていない状態になる
ことを特徴とするOリングメンブレンバルブ。
【請求項10】
流体コネクタであって、
第1の貫通孔および前記第1の貫通孔内に円周方向に配置された第1の溝を有する本体と、
前記第1の溝に配置されたOリングメンブレンバルブと、を有し、
前記Oリングメンブレンバルブは、
Oリングと、
前記Oリングに接続された再封可能なメンブレンと、を有し、
前記再封可能なメンブレンは、
スリットを有する
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項11】
請求項10に記載の流体コネクタであって、
前記再封可能なメンブレンは、
円錐形であり、
頂点と、
前記頂点に少なくとも部分的に配置されたスリットと、を有する
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項12】
請求項10に記載の流体コネクタであって、
前記Oリングは、円形の断面形状を有する
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項13】
請求項10に記載の流体コネクタであって、
前記Oリングは、トーラス形状である
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項14】
請求項10に記載の流体コネクタであって、
前記本体は、
第2の溝を有する半径方向外向き面と、
前記第2の溝に配置されたスナップリングと、をさらに有する
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項15】
請求項10に記載の流体コネクタであって、
前記本体は、
流体が満たされるコンポーネントに接続されるように構成され、
前記Oリングメンブレンバルブは、
前記流体を前記コンポーネント内に密封するように構成されている
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項16】
請求項15に記載の流体コネクタであって、
密封された状態において、前記流体は、前記スリットが閉じて密封するように前記メンブレンに力を及ぼし、
密封されていない状態において、チューブが前記本体に挿入されて、前記スリットが開いて前記流体が前記コンポーネントへと流入し、あるいは前記コンポーネントから流出できるように前記メンブレンを変形させる
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項17】
請求項16に記載の流体コネクタであって、
前記チューブは、チューブエンドフォームであり、
前記チューブエンドフォームは、
第2の貫通孔と、
前記メンブレンを変位させて前記スリットを開くように構成された半径方向外向き面と、
前記本体に係止するように構成された肩部と、を有する
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項18】
請求項17に記載の流体コネクタであって、
前記チューブエンドフォームは、前記本体に完全に係合し、
前記半径方向外向き面は、前記第1の溝において前記Oリングを圧縮し、
前記スリットは、完全に開いて、前記半径方向外向き面の周りに同心に配置され、
前記肩部は、前記本体に係止され、
前記流体コネクタは、密封されていない状態にある
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項19】
請求項16に記載の流体コネクタであって、
前記チューブは、プローブであり、
前記プローブは、
第2の貫通孔と、
前記メンブレンを変位させて前記スリットを開くように構成された半径方向外向き面と、を有する
ことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項20】
シールメンブレンバルブであって、
シールと、
前記シールに接続された再封可能なメンブレンと、を有し、
前記再封可能なメンブレンは、
第1の面と、
第2の面と、
前記第1の面から前記第2の面へと延びるスリットと、を有する
ことを特徴とするシールメンブレンバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体コネクタに関し、特に、再封可能なメンブレンバルブを有する流体コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
流体コネクタは、多くの用途、特に自動車用途に不可欠なコンポーネント(構成部品)である。自動車のシステムは、ラジエータやトランスミッションやエンジンなど様々なコンポーネントで構成されているため、流体は各コンポーネントの内部だけでなくコンポーネント間を移動可能でなければならない。コンポーネント間を移動する流体の例として、トランスミッションフルードは、トランスミッションフルードの温度を下げるためにトランスミッションからトランスミッションオイルクーラーへ移動する。流体は主に、流体コネクタにより各コンポーネントに接続されたフレキシブルホースあるいはリジッドホースを通ってコンポーネント間を移動する。そのような流体コネクタは、典型的には、チューブエンドフォームが流体コネクタに完全に挿入されたときに、チューブエンドフォームの立ち上がった肩部の後ろでスナップするように適合された流体コネクタに搭載された保持クリップまたはスナップリングを含む。さらに、流体コネクタは、典型的には、コンポーネント内に流体を保持するメンブレン(膜)を含む(例えば、トランスミッションフルードがトランスミッションから漏れるのを防ぐ)。チューブエンドフォームが流体コネクタに挿入されると、メンブレンに穴が開き、流体がチューブエンドフォームに流れ込む。しかし、チューブエンドフォームが取り外されても、メンブレンは再封されない。同様に、グリースプラグは、グリースプラグが取り付けられている穴を迅速かつ容易に再封することはできない。むしろ、グリースプラグが取り付けられているコンポーネントからグリースプラグを完全に取り外して、グリースがコンポーネントに流出入できるようにする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、チューブエンドフォームが流体コネクタから取り外されると再封する再封可能なメンブレンを有する流体コネクタが長い間必要とされてきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に示される態様によれば、Oリングと、Oリングに接続された再封可能なメンブレンと、を含むOリングメンブレンバルブが提供され、再封可能なメンブレンは、第1の面と、第2の面と、第1の面から第2の面へ延びるスリットと、を含む。
【0005】
本明細書に示される態様によれば、第1の貫通孔と、第1の貫通孔内に円周方向に配置された第1の溝と、を含む本体と、第1の溝に配置されたOリングメンブレンバルブと、を備えた流体コネクタが提供され、Oリングメンブレンバルブは、Oリングと、Oリングに接続された再封可能なメンブレンと、を含み、再封可能なメンブレンはスリットを有する。
【0006】
本明細書に示される態様によれば、シールと、シールに接続された再封可能なメンブレンと、を備えたシールメンブレンバルブが提供され、再封可能なメンブレンは、第1の面と、第2の面と、第1の面から第2の面に延びるスリットと、を含む。
【0007】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴、および有利な点は、図面および添付の特許請求の範囲を考慮して、以下の本開示の詳細な説明を検討することにより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
様々な実施形態が、例示としてのみ、添付の概略図を参照して開示されており、添付の概略図において、対応する参照記号は対応する部分を示している。
図1図1は、流体コネクタの斜視図である。
図2図2は、図1に示す流体コネクタの分解図である。
図3図3は、図1において、概ねライン3−3に沿って得られた流体コネクタの断面図である。
図4図4は、チューブエンドフォームが係合した流体コネクタの斜視図である。
図5図5は、図4に示すチューブエンドフォームを備えた流体コネクタの、本体を取り除いた部分斜視図である。
図6図6は、図4において、概ねライン6−6に沿って得られた、チューブエンドフォームを備えた流体コネクタの断面図である。
図7A図7Aは、図1に示すOリングメンブレンバルブの斜視図である。
図7B図7Bは、図7Aに示すOリングメンブレンバルブの側面図である。
図7C図7Cは、図7Aに示すOリングメンブレンバルブの正面図である。
図7D図7Dは、図7Aにおいて、概ねライン7D−7Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブの断面図である。
図8A図8Aは、Oリングメンブレンバルブの斜視図である。
図8B図8Bは、図8Aに示すOリングメンブレンバルブの側面図である。
図8C図8Cは、図8Aに示すOリングメンブレンバルブの正面図である。
図8D図8Dは、図8Aにおいて、概ねライン8D−8Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブの断面図である。
図9A図9Aは、Oリングメンブレンバルブの斜視図である。
図9B図9Bは、図9Aに示すOリングメンブレンバルブの側面図である。
図9C図9Cは、図9Aに示すOリングメンブレンバルブの正面図である。
図9D図9Dは、図9において、概ねライン9D−9Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブの断面図である。
図10A図10Aは、Oリングメンブレンバルブの斜視図である。
図10B図10Bは、図10Aに示すOリングメンブレンバルブの側面図である。
図10C図10Cは、図10Aに示すOリングメンブレンバルブの正面図である。
図10D図10Dは、図10Aにおいて、概ねライン10D−10Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブの断面図である。
図11A図11Aは、uカップメンブレンバルブの斜視図である。
図11B図11Bは、図11Aに示すuカップメンブレンバルブの側面図である。
図11C図11Cは、図11Aに示すuカップメンブレンバルブの正面図である。
図11D図11Dは、図11Aにおいて、概ねライン11D−11Dに沿って得られたuカップメンブレンバルブの断面図である。
図12図12は、プローブの斜視図である。
図13A図13Aは、図12に示さすプローブの、流体コネクタに係合していない状態の断面図である。
図13B図13Bは、図13Aに示すプローブおよび流体コネクタの部分的に係合した状態の断面図である。
図13C図13Cは、図13Aに示すプローブおよび流体コネクタの完全に係合した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に述べるが、異なる図面における同じ参照番号は同じあるいは機能的に類似した構造的要素を示している。また、特許請求の範囲は、開示された態様に限定されないことを理解されたい。
【0010】
さらに、本開示は、記載された特定の方法、材料、修正に限定されないこと、そして、そのような記載事項はもちろん変更可能であることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0011】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示に関係する当業者に一般に理解されているのと同じ意味で用いられる。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法、装置、または材料は、どのようなものでも、例示される実施形態の実施または検証に使用できることを理解されたい。
【0012】
「実質的に(substantially)」という語は、「ほとんど(nearly)」、「全くほとんど(very nearly)」、「およそ(about)」、「近似的に(approximately)」、「付近の(around)」、「近似して(bordering on)」、「に近く(close to)」、「本質的に(essentially)」、「の近傍で(in the neighborhood of)」、「の近くで(in the vicinity of)」等の用語と同義であり、これらの用語を明細書や特許請求の範囲で代替的に用いることができることを理解されたい。「近接した(proximate)」という語は、「近くの(nearby)」、「近い(close)」、「近隣の(adjacent)」、「隣接した(neighboring)」、「すぐそばの(immediate)」、「接している(adjoining)」等の用語と同義で、明細書や特許請求の範囲で代替的に用いることができることを理解されたい。「近似的に(approximately)」という語は、明記した値から10パーセント以内の値という意味を意図している。
【0013】
さて、図面に注意を向けると、図1は、流体コネクタ10の斜視図である。図2は、流体コネクタ10の分解図である。図3は、図1において、概ねライン3−3に沿って得られた流体コネクタ10の断面図である。流体コネクタ10は、概略、Oリングメンブレンバルブ20と、本体40と、スナップリング70と、を有している。以下、図1図3を参照して説明する。
【0014】
Oリングメンブレンバルブ20は、Oリング22と、メンブレン(膜)24と、を有している。Oリング22はトーラス(輪環体)形状の機械的なガスケットであり、円形断面を有するエラストマー製ループであって、溝50に収容されるように、そして組立の際に本体40とチューブエンドフォーム80との間で圧縮されるように設計されているが、後で詳細に説明する。しかしながら、0リング22は、本体40との流体密封シールを提供するのに適した、卵形、正方形、長方形、三角形、楕円体などの任意の形状を有するシールを想定できることを理解されたい。したがって、0リング22は、文字通りの「0リング」である必要はなく、メンブレン24が接続される境界シールであればよい。メンブレン24は、0リング22から半径方向内側に延びている。メンブレン24は、概略、円錐形であり、頂点26を有している。さらに、メンブレン24は、頂点26に配置されたスリット28を有している。ある実施形態では、スリット28は線形であり、密封することができる。ある実施形態では、スリット28は非線形である。ある実施形態では、メンブレン24は複数のスリットを有している。
【0015】
本体40は、端部42から端部44へと延びる貫通孔41と、半径方向内向き面46と、半径方向内向き面48と、溝50と、半径方向外向き面52と、六角頭部58と、半径方向外向き面60と、を有している。本体40は、流体が満たされたコンポーネントに接続するように構成されている。例えば、本体40は、半径方向外向き面60を介してトランスミッションに接続することができ、半径方向外向き面60は外側にねじ切りされていてもよい。本体40は、六角頭部58を用いて(例えば、レンチを使って)トランスミッションのネジ付き孔にねじ込んでもよく、次いで、トランスミッションフルードが満たされる。流体コネクタ10、特に本体40を取り付けることができる他のコンポーネントはエンジンブロックである。この実施形態では、流体コネクタ10、特にOリングメンブレンバルブ20が、エンジンオイルをエンジンブロック内に保持する。流体コネクタ10は、流体が収容される他の様々なコンポーネント、アッセンブリ、サブアッセンブリに用いることができることを理解されたい。Oリングメンブレンバルブ20は本体40に配置される。特に、Oリング22は溝50に配置される。メンブレン24は軸方向AD1において端部42に向かって延びる。本体50が、流体を満たしたコンポーネント、例えばトランスミッションフルードを満たしたトランスミッションに取り付けられると、図3に示すように、コンポーネント内の流体圧力が面24Bに力Fを及ぼす。力Fはスリット28を密封させ、流体がメンブレン24を通過して軸方向AD2に流れるのを防ぐ。
【0016】
スナップリング70は本体40の溝54に配置されている。スナップリング70は、一般に、半径方向内側に伸びる1つあるいはそれ以上の突出部を有するリテーニングリングである。図示された実施形態では、スナップリング70は、突出部72A〜Cを有している。突出部72A〜Cは溝54においてそれぞれ孔56A−Cを通って半径方向内側に延びている。突出部72A〜Cは、肩部87、特に、肩面88に係合するように構成されている。
【0017】
図4は、チューブエンドフォーム80が係合した流体コネクタ10の斜視図である。図5は、図4に示す流体コネクタ10およびチューブエンドフォーム80の、本体40を取り除いた部分斜視図である。図6は、図4において、概ねライン6−6に沿って得られた、流体コネクタ10およびチューブエンドフォーム80の断面図である。以下、図4図6を参照して説明する。
【0018】
チューブエンドフォーム80は、端部82と、セクション83と、肩部87と、セクション89と、端部94と、貫通孔96と、を有している。貫通孔96は、チューブエンドフォーム80を貫いて端部82から端部94へと延びている。セクション83は、端部82と肩部87との間に配置され、半径方向外向き面84を有している。半径方向外向き面84は、実質的に一定の直径を有している。肩部87は、セクション83とセクション89の間に配置され、半径方向外向き面86を有している。半径方向外向き面86は、線形の円錐形状で、軸方向AD2において直径が増加している。半径方向外向き面86は、図示するように、非円錐部に近接した溝92を有していてもよい。セクション89は、肩部87と端部94との間に配置されており、半径方向外向き面90を有している。半径方向外向き面90は、実質的に一定の直径を有している。溝92は、軸方向では肩部87と半径方向外向き面90の間に配置されている。肩部87は、肩面88を介して溝92に接続している。チューブエンドフォーム80は、特に端部82を先頭にして、流体コネクタ10に挿入されるように構成されている。チューブエンドフォーム80、特に肩部87には、ストレートな傾斜面(例えば、一定の線形な傾斜面)、あるいは、直径が変化する傾斜面のプロファイルを用いてもよく、スナップリング70が肩部87をスナップするまで、流体コネクタ10に挿入される。チューブエンドフォーム80は、傾斜面のプロファイルがチューブエンドフォームの外面において半径方向外側と軸方向とに延びていることにより、流体コネクタ内でスナップリングあるいはワイヤクリップを変位させてチューブエンドフォームを流体コネクタ内に固定させるような傾斜面のプロファイルを有するどのような従来のチューブエンドフォームでもよいことを理解されたい。
【0019】
図示するように、チューブエンドフォーム80は、流体コネクタ10に挿入される。チューブエンドフォーム80が軸方向AD1に変位し、端部82がメンブレン24、特に面24Aに接触すると、端部82はメンブレン24を半径方向RD1に変位させる(図5および図6を参照)。メンブレン24の半径方向RD1の変位により、コンポーネント内の流体、例えばトランスミッションのトランスミッションフルードがコンポーネントからチューブエンドフォーム80へと軸方向AD1に流れることを可能とする。具体的には、流体コネクタ10内にチューブエンドフォーム80を挿入すると、スリット28が開く。加えて、セクション83がOリングメンブレンバルブ20に係合すると、半径方向外向き面84がOリング22を半径方向RD1に弾性的に変形させる。特に、Oリング22は、溝50と半径方向外向き面84との間で圧縮され、本体40とチューブエンドフォーム80との間に流体防止シールを作成する。本発明のおそらく最も重要な特徴は、ガスケットとして機能する丸あるいは円形断面のOリングと、チューブエンドフォームおよび他の充填/排出プローブ(これについては図8図9Cを参照してより詳細に説明する)の挿入と取外しとを可能にする再封可能なメンブレンと、の組み合わせである。
【0020】
ある実施形態では、チューブエンドフォーム80の挿入はメンブレン24を塑性変形させる。これは、チューブエンドフォーム80が完全に挿入されて流体コネクタ10に接続された後は、メンブレン24が塑性変形するので、チューブエンドフォーム80を取り除いたときに再密封できないことを意味する。ある実施形態では、チューブエンドフォーム80の挿入はメンブレン24を塑性変形させない。チューブエンドフォーム80は、チューブエンドフォーム80が取り除かれた後にメンブレン24が再密封するように、メンブレン24を最小限に弾性変形するように設計されている。当業者は、そのようなチューブエンドフォームが、図8図9Cに示されているプローブ110と設計上類似していることを想像することができる。
【0021】
図6に示すように、チューブエンドフォーム80はコネクタ10内に完全に係合する。突出部72A〜Cは溝92内に係合し、半径方向外向き面86は半径方向内向き面48に近接して配置され、Oリング22は本体40とチューブエンドフォーム80との間に流体シールを提供し、メンブレン40は半径方向外向き面40の周りに変位している。
【0022】
図7Aは、Oリングメンブレンバルブ20の斜視図である。図7Bは、Oリングメンブレンバルブ20の側面図である。図7Cは、Oリングメンブレンバルブ20の正面図である。図7Dは、図7Aにおいて、概ねライン7D−7Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブ20の断面図である。以下、図7A図7Dを参照して説明する。
【0023】
上述したように、Oリングメンブレンバルブ20は、Oリング22と、メンブレン24と、を有している。Oリング22は、丸あるいは円形の断面形状を有しており、機械的なガスケットとして機能する。Oリング22は、溝50に収容され、組立の際に本体40とチューブエンドフォーム80との間で圧縮されるように構成されており、境界面にシール(密封)を形成する。メンブレン24は、コンポーネントの流体に曝される面24Aと、チューブエンドフォーム80あるいはプローブ110(図8図9Cを参照して詳細に説明する)と接触するように構成された面24Bと、を有している。メンブレン24は、概略、円錐形であり、更に、頂点26と、スリット28と、を有している。スリット28は、概略、頂点26におけるメンブレン24の孔であり、面24Aに働く流体圧力の力Fにより密封するように設計されている。ある実施形態では、Oリングメンブレンバルブ20はエラストマーで構成される。しかし、Oリングメンブレンバルブ20は、本体40とチューブエンドフォーム80との間にシール(密封)を形成するのに適した、また、上述したように、コンポーネント内に流体を保つのに適した、どのような材料からなるものでもよいことを理解されたい。例えば、Oリングメンブレンバルブ20は、フッ化炭素(フルオロカーボン)、エチレンアクリレートゴム(AEM)、シリコン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、あるいは他の任意の適切な弾性変形可能な材料からなるものでもよい。
【0024】
図8Aは、Oリングメンブレンバルブ220の斜視図である。図8Bは、Oリングメンブレンバルブ220の側面図である。図8Cは、Oリングメンブレンバルブ220の正面図である。図8Dは、図8Aにおいて、概ねライン8D−8Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブ220の断面図である。Oリングメンブレンバルブ220は、Oリング222と、メンブレン(膜)224と、を有している。Oリング222は、トーラス(輪環体)形状の機械的なガスケットであり、断面円形のエラストマー製ループであって、溝50に収容されるように、そして、組立の際に本体40とチューブエンドフォーム80との間で圧縮されるように、設計されている。メンブレン224は、Oリング222から半径方向内側に延びている。メンブレン224は、概略、ベローズとして、すなわち、1つあるいはそれ以上の円錐領域を含む、拡大縮小可能なプリーツ状構造に形成されており、頂点226を有している。メンブレン224は、例えば、円錐セクション225A〜Cを有することができ、それにより、Oリングメンブレンバルブ220が本体40に組み付けられてOリング222の外径が締め付けられたときにスリット328を閉じたままとすることを可能とする。メンブレン224は、頂点226に配置されたスリット228をさらに有している。ある実施形態では、スリット228は線形で、密封することができる。ある実施形態では、スリット228は非線形である。ある実施形態では、メンブレン224が複数のスリットを有している。
【0025】
図9Aは、Oリングメンブレンバルブ320の斜視図である。図9Bは、Oリングメンブレンバルブ320の側面図である。図9Cは、Oリングメンブレンバルブ320の正面図である。図9Dは、図9において、概ねライン9D−9Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブ320の断面図である。Oリングメンブレンバルブ320は、Oリング322と、メンブレン(膜)324と、を有している。Oリング322は、トーラス(輪環体)形状の機械的なガスケットであり、断面円形のエラストマー製ループであって、溝50に収容されるように、そして組立の際に本体40とチューブエンドフォーム80との間で圧縮されるように、設計されている。メンブレン324は、Oリング322から半径方向内側に延びている。メンブレン324は、概略、円錐ティアドロップ形状、即ち、指数関数的(非線形)曲率を有する円錐形状に形成されていて、頂点326を有している。メンブレン324は、頂点326に配置されたスリット328をさらに有している。ある実施形態では、スリット328は線形で、密封することができる。ある実施形態では、スリット328は非線形である。ある実施形態では、メンブレン324は複数のスリットを有している。
【0026】
図10Aは、Oリングメンブレンバルブ420の斜視図である。図10Bは、Oリングメンブレンバルブ420の側面図である。図10Cは、Oリングメンブレンバルブ420の正面図である。図10Dは、図10Aにおいて、概ねライン10D−10Dに沿って得られたOリングメンブレンバルブ420の断面図である。Oリングメンブレンバルブ420は、Oリング422と、メンブレン(膜)424と、を有している。Oリング422は、トーラス(輪環体)形状の機械的なガスケットであり、断面円形のエラストマー製ループであって、溝50に収容されるように、そして組立の際に本体40とチューブエンドフォーム80との間で圧縮されるように、設計されている。メンブレン424はOリング422から半径方向内側に延びている。メンブレン424は、概略、ドーム形状で、頂点426を有している。メンブレン424は、頂点426に配置されたスリット428をさらに有している。ある実施形態では、スリット428は線形で、密封することができる。ある実施形態では、スリット428は非線形である。ある実施形態では、メンブレン424は複数のスリットを有している。
【0027】
図11Aは、uカップメンブレンバルブ520の斜視図である。図11Bは、uカップメンブレンバルブ520の側面図である。図11Cは、uカップメンブレンバルブ520の正面図である。図11Dは、図11Aにおいて、概ねライン11D−11Dに沿って得られたuカップメンブレンバルブ520の断面図である。Uカップメンブレンバルブ520は、uカップ522と、メンブレン(膜)524と、を有している。Uカップ522は、溝形状の機械的なガスケットであり、断面がトラフ(樋)形状のエラストマー製ループであって、溝50に収容されるように、そして組立の際に本体40とチューブエンドフォーム80との間で圧縮されるように、設計されている。メンブレン524は、uカップ522から半径方向内側に延びている。メンブレン524は、概略、円錐ティアドロップ形状、即ち、指数関数的(非線形)曲率を有する円錐形状に形成されていて、頂点526を有している。メンブレン524は、頂点526に配置されたスリット528をさらに有している。ある実施形態では、スリット528は線形で、密封することができる。ある実施形態では、スリットは非線形である。ある実施形態では、メンブレン524は複数のスリットを有している。ある実施形態では、シーリング部材が、uカップ断面の代わりに「X字形」の断面を有していてもよい。ある実施形態では、シーリング部材が、uカップ断面の代わりに「K字形」の断面を有していてもよい。
【0028】
図12は、プローブ110の斜視図である。図13Aは、流体コネクタ10に係合していないプローブ110の断面図である。図13Bは、図13Aに示すプローブ110および流体コネクタ10が部分的に係合した状態の断面図である。図13Cは、図13Aに示すプローブ110および流体コネクタ110が完全に係合した状態の断面図である。以下、図12図13Cを参照して説明する。
【0029】
プローブ110は、流体コネクタ10が取り付けられたコンポーネントを充填および/または排出するために用いられる。プローブ110は、概略、端部112と、半径方向外向き面114と、半径方向外向き面116と、面118と、半径方向外向き面120と、端部122と、貫通孔124と、を有している。貫通孔124は、端部122から端部112へと延びている。半径方向外向き面114は、概略、円錐台形状である。端部112および半径方向外向き面114は、メンブレン24、特に面24Bに接触するように構成されている。半径方向外向き面114は、メンブレン24を弾性的に変位させるように構成されており、それによってスリット28を開いて、流体をコンポーネント内へ軸方向AD1に注入でき(即ち、コンポーネントを充填でき)、あるいは流体をコンポーネントから軸方向AD2に放出できる(即ち、コンポーネントから排出できる)。
【0030】
図13Aに示されているように、プローブ110がメンブレン24と係合する前には、スリット28が完全に閉じていて、シール(密封)が形成されている。図13Bにおいて、プローブ110はメンブレン24と部分的に係合している。図示するように、端部112および/または半径方向外向き面114は、面24Bに当接してスリット28を広げ、それによって最大流量より小さな流量で、流体をコンポーネント内へと軸方向AD1に注入でき(即ち、コンポーネントを充填でき)、または流体をコンポーネントから軸方向AD2に放出できる(即ち、コンポーネントから排出できる)。図13Cにおいて、プローブ110は流体コネクタ10に完全に係合している。面118は端部44に当接し、端部112および/または半径方向外向き面114は面24Bに当接してスリット28を完全に広げ、それによって最大流量で、流体をコンポーネント内へと軸方向AD1に注入でき(即ち、コンポーネントを充填でき)、または流体をコンポーネントから軸方向AD2に放出できる(即ち、コンポーネントから排出できる)。
【0031】
Oリングメンブレンバルブ20の主要な目的は、流体コネクタ10が取り付けられているアッセンブリあるいはコンポーネント(例えば、トランスミッション)内に流体を保持することである。これによって、製造業者は、アッセンブリあるいはコンポーネントを前もって流体(例えば、トランスミッションフルード)で充填してアセンブリ工場へと出荷することができ、あるいは、アッセンブリ工場は、サブアッセンブリを車両に取り付ける前にサブアッセンブリを事前に充填することができる。Oリングメンブレンバルブ20のスリット−バルブ構造によって、アッセンブリ工場は、プローブ110を用いて、コネクタ10とメンブレン24、特にスリット28とを介して、サブアッセンブリを充填することが可能となり、一方で、それでもなお、充填後にメンブレン24が再密封して流体を保持することが可能となる。多くの場合、サブアッセンブリの製造業者あるいはアッセンブリ工場は、車両への最終組み込みの前に、サブアッセンブリのリークテストを行うことを望む。本発明のスリット−バルブ構造によれば、そうした人たちがシステムのリークテストのために充填/排出プローブを用いてシステムに圧力をかけ、その一方で、充填は、テスト後に流体を保持するためにメンブレンの再密封を可能とする。
【0032】
上記開示の様々な態様および他の特徴や機能、あるいはそれらの代替は、多くの他の様々なシステムや用途に好適に組み合わせることができる。現在予見できない、あるいは予期できない様々な代替、修正、変形、またはそれらの改良が当業者によって行われるかもしれないが、それらも特許請求の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0033】
10 流体コネクタ
20 Oリングメンブレンバルブ
22 Oリング
24 メンブレン
24A 面
24B 面
26 頂点
28 スリット
40 本体
41 貫通孔
42 端部
44 端部
46 半径方向内向き面
48 半径方向内向き面
50 溝
52 半径方向外向き面
54 溝
56A 孔
56B 孔
56C 孔
58 六角頭部
60 半径方向外向き面
70 スナップリング
72A 突出部
72B 突出部
72C 突出部
80 チューブエンドフォーム
82 端部
83 セクション
84 半径方向外向き面
86 半径方向外向き面
87 肩部
88 肩面
89 セクション
90 半径方向外向き面
92 溝
94 端部
96 貫通孔
110 プローブ
112 端部
114 半径方向外向き面
116 半径方向外向き面
118 面
120 半径方向外向き面
122 端部
124 貫通孔
210 流体コネクタ
220 Oリングメンブレンバルブ
222 Oリング
224 メンブレン
224A 面
224B 面
225A 円錐セクション
225B 円錐セクション
225C 円錐セクション
226 頂点
228 スリット
310 流体コネクタ
320 Oリングメンブレンバルブ
322 Oリング
324 メンブレン
324A 面
324B 面
326 頂点
328 スリット
410 流体コネクタ
420 Oリングメンブレンバルブ
422 Oリング
424 メンブレン
424A 面
424B 面
426 頂点
428 スリット
510 流体コネクタ
520 Uカップメンブレンバルブ
522 Uカップ
524 メンブレン
524A 面
524B 面
526 頂点
528 スリット
F 力
AD1 軸方向
AD2 軸方向
RD1 半径方向
RD2 半径方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13A
図13B
図13C
【国際調査報告】