特表2021-531478(P2021-531478A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-531478甲状腺機能障害の診断のためのバイオセンサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-531478(P2021-531478A)
(43)【公表日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】甲状腺機能障害の診断のためのバイオセンサー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20211022BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20211022BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20211022BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20211022BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20211022BHJP
   C07K 16/26 20060101ALI20211022BHJP
   C12N 9/02 20060101ALI20211022BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20211022BHJP
   C12Q 1/26 20060101ALI20211022BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20211022BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20211022BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 5/16 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61K 38/24 20060101ALI20211022BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20211022BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20211022BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20211022BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20211022BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20211022BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20211022BHJP
【FI】
   G01N33/53 E
   G01N33/543 545A
   G01N33/543 595
   G01N27/327 353U
   G01N27/30 B
   G01N27/30 F
   G01N27/327 353B
   G01N27/416 336G
   C07K16/26
   C12N9/02
   C12Q1/02
   C12Q1/26
   C12M1/00 A
   C12M1/34 Z
   A61K45/00
   A61P5/14
   A61P5/16
   A61P25/24
   A61P35/00
   A61K38/24
   A61K38/22
   A61K39/395 N
   A61K39/395 D
   C12N15/09 Z
   C12N15/13
   C12N15/53
   C12P21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2021-524115(P2021-524115)
(86)(22)【出願日】2019年7月12日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月18日
(86)【国際出願番号】EP2019068869
(87)【国際公開番号】WO2020012001
(87)【国際公開日】20200116
(31)【優先権主張番号】18183439.1
(32)【優先日】2018年7月13日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521017608
【氏名又は名称】エーギルバイオ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スリヴァスタヴァ,スダ
(72)【発明者】
【氏名】プンヤニ,クシャガー
(72)【発明者】
【氏名】タクワ,モハマド
【テーマコード(参考)】
4B029
4B050
4B063
4B064
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB11
4B029BB15
4B029CC01
4B029FA12
4B050CC04
4B050DD11
4B050EE10
4B050LL03
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR02
4B063QR48
4B063QS10
4B063QS32
4B063QS39
4B063QX04
4B064AG01
4B064AG27
4B064CA01
4B064CA19
4B064CA50
4B064CC24
4B064DA13
4C084AA02
4C084AA17
4C084DB24
4C084DB30
4C084NA05
4C084ZA12
4C084ZB26
4C084ZC06
4C085AA13
4C085AA14
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、甲状腺機能の評価のための遊離甲状腺ホルモン定量用のバイオセンサーおよびその応用に関する。甲状腺関連疾患の診断のための方法およびツールも本明細書で開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲状腺ホルモンの定量化のためのセンサーであって、
a.基材、
b.EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼ、および
c.任意選択で、抗rT3抗体、を含み、
少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼおよび抗rT3抗体は、基材表面上に固定されるセンサー。
【請求項2】
前記基材が、前記少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼの固定化用の、前記基材の第1の表面および前記基材の第2の表面などの複数の表面を含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼが、前記基材の第1表面上に固定されたEC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される第1のヨードチロイジンデヨーデナーゼ、および前記基材の第2の表面上に固定されたEC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される第2のヨードチロイジンデヨーデナーゼを含む、請求項1または2に記載のセンサー。
【請求項4】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼが、EC1.21.99.4から選択され、前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、EC1.21.99.3から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項5】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼが両方とも、EC1.21.99.4から独立に選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項6】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼが、EC1.21.99.4から選択される異なる酵素である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項7】
前記抗rT3抗体が基材の第3の表面上に固定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項8】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼが1型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または2型ヨードサイロニンデヨージナーゼである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項9】
前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼが1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または3型ヨードサイロニンデヨージナーゼである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼが1型ヨードサイロニンデヨージナーゼであり、前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼが2型ヨードサイロニンデヨージナーゼである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項11】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼが1型ヨードサイロニンデヨージナーゼであり、前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼが3型ヨードサイロニンデヨージナーゼである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項12】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼが2型ヨードサイロニンデヨージナーゼであり、前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼが3型ヨードサイロニンデヨージナーゼである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項13】
前記甲状腺ホルモンが、遊離T4、遊離T3および逆位T3(rT3)、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項14】
前記基材が1個または複数の電極および/またはチップである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項15】
前記基材が、少なくとも2個の電極など、少なくとも3個の電極などの、少なくとも1個の電極を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項16】
前記基材が、少なくとも2個のチップなど、少なくとも3個のチップなどの、少なくとも1個のチップを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項17】
前記基材が、3個の電極を含むかまたはこれからなり、前記第1の表面が第1の電極の表面であり、前記第2の表面が第2の電極の表面であり、および第3の表面が第3の電極の表面である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項18】
前記基材が、3個のチップを含むかまたはこれからなり、前記第1の表面が第1のチップの表面であり、前記第2の表面が第2のチップの表面であり、および前記第3の表面が第3の電極の表面である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項19】
前記電極が、炭素、金または白金から作製される、請求項1〜18のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項20】
前記電極が、スクリーン印刷電極である、請求項1〜19のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項21】
前記チップがガラスチップである、請求項1〜20のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項22】
前記基材の第1、第2および/または第3の表面が、改質表面である、請求項1〜21のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項23】
前記改質表面が、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴を含む表面である、請求項1〜22のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項24】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、微粒子、ナノ粒子、マイクロワイヤー、ナノワイヤー、マイクロチューブ、ナノチューブ、マイクロロッド、ナノロッド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜23のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項25】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、前記表面を焼結により組み合わせることにより、基材の表面上に生成された、請求項1〜24のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項26】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、表面エッチングにより前記基材の表面上に生成された、請求項1〜25のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項27】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、粒子沈着により前記基材の表面上に生成された、請求項1〜26のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項28】
前記改質表面が、金の層でコートされた表面である、請求項1〜27のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項29】
前記改質表面が、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子で改質された表面である、請求項1〜28のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項30】
前記改質表面が金の層で表面コートされ、前記表面が、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子でさらに改質される、請求項1〜29のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項31】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼが、ナノ粒子を含むリンカーを介して表面上に固定されている、請求項1〜30のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項32】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、ニッケル−ヒスチジン(Ni−His)共有配位結合を含むリンカーを介して前記基材上に固定されている、請求項1〜31のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項33】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、次記を含むリンカーを介して前記基材上に固定されている、請求項1〜32のいずれか1項に記載のセンサー:
a.前記基材に結合したシステアミン、および
b.前記システアミンおよび前記ヨードサイロニンデヨージナーゼに、任意選択で、1個または複数の追加のシステアミンを介して、結合したナノ粒子。
【請求項34】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、哺乳動物由来である、請求項1〜33のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項35】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、ヒト由来である、請求項1〜34のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項36】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、無細胞発現によるなどの組換えにより生成される、請求項1〜35のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項37】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、それぞれ個別に追加の部分に結合されている、請求項1〜36のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項38】
前記追加の部分が、ヒスチジンタグなどのペプチドタグなどのペプチドである、請求項1〜37のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項39】
前記追加の部分が標識である、請求項1〜38のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項40】
前記センサーが、それぞれ10〜100IUの少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜39のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項41】
前記センサーが、10〜100IUの1型および2型のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜40のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項42】
前記センサーが、10〜100IUの2型および3型のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜41のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項43】
前記センサーが、10〜100IUの1型および3型のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜42のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項44】
前記基材が、卓上型手持ち式の電気化学ワークステーション、表面プラズモン共鳴検出器または測定回路に接続できるように構成されている、請求項1〜43のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項45】
前記基材が、少なくとも3個の電極を含み、前記電極が、電気化学ワークステーションに接続できるように構成されている、請求項1〜44のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項46】
前記基材が、少なくとも3個のチップを含み、前記チップが、表面プラズモン共鳴検出器に接続できるように構成されている、請求項1〜45のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項47】
前記センサーが、甲状腺ホルモンの定量用として構成されている、請求項1〜46のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項48】
次のステップを含む、試料中の甲状腺ホルモンの検出方法:
a.甲状腺ホルモンを含むまたは含むと疑われる試料を用意するステップ、
b.項目1〜47のいずれか1項に記載のセンサーを前記試料と接触させるステップ、
c.前記センサーからのシグナルを測定するステップ、および
d.前記シグナルを用いて、試料中の前記1種または複数の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、前記甲状腺ホルモンを検出するステップ。
【請求項49】
次のステップを含む対象の甲状腺関連障害の診断方法:
a.前記対象から得られる試料を用意するステップ、
b.請求項48に記載の方法を用いて、前記試料中の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、1種または複数の甲状腺関連障害を診断するステップ。
【請求項50】
次のステップを含む対象の甲状腺関連障害の監視方法:
a.甲状腺刺激化合物を前記対象に投与するステップ、
b.ステップa.の実施後に前記対象から試料を収集するステップ、
c.請求項48に記載の方法を用いて、前記試料中の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、前記甲状腺関連障害を監視するステップ。
【請求項51】
前記ステップa.〜c.が2回以上実施される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
甲状腺ホルモンの定量化のために、請求項1〜47のいずれか1項に記載のセンサーの使用。
【請求項53】
甲状腺ホルモンの定量化が、請求項48に記載の方法により実施される、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
前記試料中の甲状腺ホルモンの濃度を用いて前記甲状腺ホルモンのインビボ濃度を計算するステップをさらに含む、請求項48〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記試料中の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度が、前記甲状腺ホルモンと前記ヨードサイロニンデヨージナーゼとの間の反応動力学から決定される、請求項48〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記甲状腺ホルモンの濃度が、前記対象が甲状腺刺激化合物を含む薬物を受けた後で決定される、請求項48〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が薬物を受けた後の時間が5分〜48時間である、請求項50〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記試料中の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度をカットオフ間隔と比較し、甲状腺関連障害の対象を診断するステップをさらに含み、前記カットオフ間隔は、前記甲状腺関連障害を罹患していないヒト個体などの健康なヒト個体の甲状腺ホルモンの濃度範囲から決定され、前記カットオフ間隔の外側のレベルおよび/または濃度が、前記甲状腺関連障害の存在を示す、請求項49〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
遊離T3の前記カットオフ間隔が、2.8〜4.4pg/mLである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
遊離T4の前記カットオフ間隔が、0.8〜2.0ng/mLである、請求項58および59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
rT3の前記カットオフ間隔が、10〜24ng/mLである、請求項58〜60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記カットオフ間隔未満の濃度は低いと見なされ、前記カットオフ間隔内の濃度は正常と見なされ、および前記カットオフ間隔を超える濃度は高いと見なされる、請求項58〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記甲状腺関連障害を治療するステップをさらに含む、請求項49〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記治療が、治療有効量での薬物の投与を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記薬物が甲状腺刺激化合物である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記甲状腺刺激化合物が、T3、T4、TSH、甲状腺自己抗体(TRAb、TPOAbおよびTgAb)およびチログロブリンからなる群から選択される、請求項50〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象がヒト対象である、請求項49〜66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記ヒト対象が子供または成人である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコまたはイヌである、請求項49〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記試料が、血液試料、血清試料または血漿試料であり、任意選択で、前記試料が分析の前に処理されている、請求項48〜69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
分析の前の前記処理が、濾過、rT3の除去、および/またはpHの調節を含む、請求項48〜70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記甲状腺ホルモンが、表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いて検出される、請求項48〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記SPR測定値を用いて1種または複数の前記甲状腺ホルモンの濃度が決定される、請求項48〜72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記甲状腺ホルモンが、電気化学的変換により定量または監視される、請求項48〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
甲状腺関連障害が、リスト:甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、臨床的うつ病、甲状腺腫、グレーブス・バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能正常性症および極性T3症候群から選択される、請求項49〜74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記甲状腺機能亢進症が、高遊離T4、高遊離T3および低TSHを特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記甲状腺機能正常性症が、低遊離T3および高rT3を特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記甲状腺機能低下症が、一次性または二次性である、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記一次性甲状腺機能低下症が、低遊離T4、正常または低遊離T3および高TSHを特徴とする、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記二次性甲状腺機能低下症が、低遊離T4、正常または低遊離T3および正常または低TSHを特徴とする、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
次記を含む、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーの製造方法:
a.基材を用意するステップ、
b.EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体を用意するステップ、
c.前記ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび前記抗rT3抗体を前記基材表面上に固定し、それにより、EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーを製造するステップ。
【請求項82】
前記基材が、請求項1〜81のいずれか1項で定義の通りである、請求項81に記載の方法
【請求項83】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼが、請求項1〜82のいずれか1項で定義の通りである、請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
次記を含む、甲状腺ホルモンの定量および/または監視のための手持ち型装置:
a.試料の入口;
b.センサーであって、
i.基材、
ii.EC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、
iii.EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および
iv.任意選択で、抗rT3抗体、を含むセンサー、
c.前記センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器;
d.任意選択で、前記試料から細胞成分を分離する手段。
【請求項85】
前記センサーが、請求項1〜84のいずれか1項で定義の通りである、請求項84に記載の手持ち型装置。
【請求項86】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび前記抗rT3抗体が、請求項84〜85のいずれか1項で定義の通りである、請求項84および85のいずれか1項に記載の手持ち型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甲状腺機能の評価のための遊離甲状腺ホルモン定量用のバイオセンサーおよびその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
甲状腺は、首の前面の喉仏の後ろに位置する二葉の内分泌腺である。これは、ヨウ素含有甲状腺ホルモン−トリヨードサイロニン(T3)およびチロキシン(T4)の合成および分泌に関与し、これらは、全体代謝率およびタンパク質合成に影響を与える。甲状腺ホルモンの分泌は、視床下部−下垂体−甲状腺系(HPT axis)により制御され、視床下部および脳下垂体は、チロトロピン放出ホルモン(TRH)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)を放出することにより甲状腺を刺激する。
【0003】
トリヨードサイロニンまたは[o−(4−ヒドロキシ−3,5−ヨードフェニル)3,5−ジヨードフェニルチロシン]としても知られるT3は、基礎代謝率、タンパク質代謝回転、脂肪分解、心拍出量、および胎児発生および乳幼児発達に対し影響を与え、チロキシンまたは[o−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)3,5−ジヨードフェニルチロシン]としても知られるT4は、肝臓および腎臓に移動し、T3の部位特異的合成のための基質としての役割をするプロホルモンである。
【0004】
甲状腺ホルモンは、身体中のほぼすべての細胞に対し作用する。それらは、基礎代謝率を高めるように作用し、タンパク質合成に影響を与え、長骨成長の調節を支援し(成長ホルモンと相乗作用)、寛容性により身体のカテコールアミン(アドレナリンなど)に対する感度を高める。甲状腺ホルモンは、人体の全ての細胞の適切な発生と分化に不可欠である。これらのホルモンはまた、タンパク質、脂肪、および糖代謝を調節し、人の細胞のエネルギー過剰化合物の使い方に影響を及ぼす。それらは、ビタミン代謝を刺激する。多数の生理学的および病理学的刺激物質が甲状腺ホルモン合成に影響を与える。
【0005】
チロキシンの過剰および欠損の両方が障害を引き起こし得る。
・ グレーブス病が原因であることが多い甲状腺機能亢進症は、過剰の循環遊離チロキシン(fT4)、遊離トリヨードサイロニン(fT3)、または両方および減少したTSHを特徴とする臨床症候群である。これは、約2%の女性および0.2%の男性で発生する共通の障害である。甲状腺中毒症は、甲状腺機能亢進症と同義に使用されることが多いが、わずかな差異が存在する。甲状腺中毒症は、循環甲状腺ホルモンの増大も意味するが、これは、チロキシン錠剤の摂取または過活動性甲状腺により引き起こされ、一方、甲状腺機能亢進症は、過活動性甲状腺のみを意味する。
・ 橋本甲状腺炎が原因である場合が多い甲状腺機能低下症は、チロキシン、トリヨードサイロニン、または両方の欠損がある場合の症例である。
・ 臨床的うつ病は、甲状腺機能低下症が原因の場合もある。T3は、シナプス接合部で認められ、脳中のセロトニン、ノルエピネフィリン、およびγ−アミノ酪酸(GABA)の量と活性を調節する(Dratman M,Gordon J(1996).”Thyroid hormones as neurotransmitters”.Thyroid.6(6):639−47)。
・ 脱毛症は、T3およびT4の機能不全が原因の場合もある。正常な育毛サイクルが影響を受け、毛髪の成長が破壊され得る。
・ 早産は、自身の甲状腺が生後の必要性を満たすことができないときには、母体甲状腺ホルモンの不足に起因する神経発達障害になる場合がある。また、正常の妊娠では、胎児およびその発生中の脳が甲状腺ホルモン利用能を保証するために、適切なレベルの母体甲状腺ホルモンは重要である。先天性甲状腺機能低下症は、1600〜3400人の新生児の内の1人で発症し、大抵は、無症候性で生まれ、関連症状を誕生の数週間後に発生する。
【0006】
従って、ヒトのT3およびT4の量を定量できることは、甲状腺疾患の診断に重要である。甲状腺機能障害の従来の診断は、甲状腺ホルモンおよびTSHに対するイムノアッセイにより実施される。現在のfT3およびfT4試験は、遊離ホルモンを競合的に測定する、または結合ホルモンの物理的分離後に測定する、または不正確なことも多い間接的推定により求めることを試みている。従って、遊離甲状腺ホルモンを定量するための新規および代替方法の発見に向けた契機が存在する。
【0007】
バイオセンサーは、生体物質、例えば、微生物、酵素、抗体、DNA、およびRNAなどの分子特定機能を利用し、このような生体物質を分子特定素子として適用する。換言すれば、バイオセンサーは、固定化生体物質が標的基質、微生物の呼吸により消費される酸素、酵素反応、発光、などを特定する場合に起こる反応を利用する。バイオセンサーの中で、酵素センサーの実用化に関する開発が行われている。例えば、グルコース、乳酸、尿酸、およびアミノ酸のための酵素センサーは、医療機器および食品加工産業に応用されている。
【0008】
酵素センサーでは、例えば、試料液体、すなわち分析物中に含まれる基質と酵素などとの反応により生成される電子が、電子受容体を還元し、測定装置が還元された電子受容体の量を電気化学的に測定する。従って、分析物の定量的分析が実施される。このようなバイオセンサーの例は、国際出願第PCT/JP00/08012号で提案されている。
【0009】
異なる技術を使って、例えば、電極に結合した酵素と標的基質との間の反応を追跡し得る。このような技術の1つは、表面プラズモン共鳴法(SPR)に依存する。SPRでは、タンパク質などの分子のパートナーの片方は、金属(チップ)上に固定される。光が金属中で表面プラズモンを励起し、結合パートナーが固定化分子に結合する場合、これは、表面プラズモンシグナルの検出可能な変化を生じさせる。別のこのような技術は、生体試料の含量は生物学的イベントの電子シグナルへの直接的変換により分析し得る、電気化学的変換に依存する。電気化学的バイオセンシングで最もよくある技術は、ナノワイヤーまたは磁気ナノ粒子ベースバイオセンシングに加えて、サイクリックボルタメトリー、クロノアンペロメトリー、クロノポテンシオメトリー、インピーダンス分光法、および電界効果トランジスタベース方法を含む。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、甲状腺ホルモンの変換に関与する酵素を電極上に固定することにより、遊離T3および遊離T4の直接定量化方法に採用し得るということを見出した。以前の方法は、複数のステップ、間接的測定または推定による遊離T3および遊離T4を定量するので、前述の知見は、甲状腺ホルモンのより正確で特異的な定量化を可能とする。従って、本開示は、甲状腺関連疾患のための高められた診断システムを提供する。
【0011】
本発明者らは、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼ(iodothyroidine deiodenase)の、別の基材表面上などのセンサー上の存在がfT3および/またはfT4の定量には必要であることを見出した。実際に、1方のホルモンを定量するときには、必ず他方のホルモンも定量される。理由は、図2で分かるように、定量に使用される酵素反応は、いくつかのオーバーラップがあるためである。さらに、第3の甲状腺ホルモン、逆位トリヨードサイロニン(rT3)は、定量化で重要な役割を果たす。理由は、rT3の脱ヨウ素は、EC1.21.99.4のヨードサイロニンデヨージナーゼ(iodothyronine deiodinase)により同様に触媒されるためである。従って、rT3は好都合にも、本発明のセンサーによるfT3およびfT4の定量の前に除去されるか、または別々に定量され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、本発明のセンサーは、抗rT3抗体も含み、これは、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼと共に、1つの単一のステップでrT3、fT3およびfT4の特異的定量化を可能にする。
【0012】
甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーを提供することは本開示の一態様であり、該センサーは、
a.基材、
b.EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼ、を含み、
少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼは、基材表面上に固定される。
【0013】
甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーを提供することは本開示の一態様であり、該センサーは、
a.基材、
b.EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼ、および
c.抗rT3抗体、を含み、
少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼおよび抗rT3抗体は、基材表面上に固定される。
【0014】
甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーを提供することは本開示の一態様であり、該センサーは、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼはセンサー上に固定される。
【0015】
甲状腺ホルモンの検出のためのセンサーを提供することは本開示の別の態様であり、該センサーは、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼはセンサー上に固定される。
【0016】
本開示のさらなる態様は、試料中の甲状腺ホルモンの定量化方法を提供することであり、該方法は、下記のステップを含む:
a.甲状腺ホルモンを含むまたは含むと疑われる試料を用意するステップ、
b.本開示のセンサーと接触させるステップ、
c.センサーからのシグナルを測定するステップ、および
d.シグナルを用いて、試料中の1種または複数の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、甲状腺ホルモンを検出するステップ。
【0017】
本開示のさらなる態様は、対象の甲状腺関連障害の診断方法を提供することであり、該方法は、下記のステップを含む:
a.対象から得られる試料を用意するステップ、
b.本開示の方法を用いて、試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、1種または複数の甲状腺関連障害を診断するステップ。
【0018】
本開示のさらなる態様は、対象の甲状腺関連障害の診断方法を提供することであり、該方法は、下記のステップを含む:
a.対象から得られる試料を用意するステップ、
b.前記試料と本開示によるセンサーとを接触させるステップ、
c.試料中の1種または複数の甲状腺ホルモンを検出するステップ、
d.試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、1種または複数の甲状腺関連障害を診断するステップ。
【0019】
本開示のさらなる態様は、対象の甲状腺関連障害の監視方法を提供することであり、該方法は、下記のステップを含む:
a.甲状腺刺激化合物を対象に投与するステップ、
b.ステップa.の実施後に対象から試料を収集するステップ、
c.本明細書で開示の方法を用いて、試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、甲状腺関連障害を監視するステップ。
【0020】
本開示のさらなる態様は、対象の甲状腺関連障害の監視方法を提供することであり、該方法は、下記のステップを含む:
a.甲状腺刺激化合物を対象に投与するステップ、
b.ステップa.の実施後に対象から試料を収集するステップ、
c.前記試料と本開示によるセンサーとを接触させるステップ、
d.シグナルを測定するステップ、および
e.シグナルを用いて、試料中の甲状腺ホルモンの濃度を決定し、それにより、甲状腺関連障害を監視するステップ。
【0021】
本開示のまたさらなる態様は、甲状腺ホルモンの定量のために、本開示のセンサーの使用を提供することである。
【0022】
本開示の態様は、試料中の甲状腺ホルモンの検出方法を提供することも、本開示の一態様であり、該方法は、下記のステップを含む:
a.甲状腺ホルモンを含むまたは含むと疑われる試料を用意するステップ、
b.前記試料と本開示によるセンサーとを接触させるステップ、
c.センサーからのシグナルを測定し、それにより、甲状腺ホルモンを検出するステップ。
【0023】
EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーの製造方法を提供することは、本開示のさらなる態様であり、該方法は、下記を含む:
a.基材を用意するステップ、
b.EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体を用意するステップ、
c.ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび抗rT3抗体を基材表面上に固定し、それにより、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.3から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーを製造するステップ。
【0024】
ヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーの製造方法を提供することは、本開示のさらなる態様であり、該方法は、下記を含む:
a.電極を用意するステップ、
b.少なくとも1種のヨードサイロニンデヨージナーゼを用意するステップ、
c.電極上にヨードサイロニンデヨージナーゼを固定し、それにより、ヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーを製造するステップ。
【0025】
本開示の別の態様は、甲状腺ホルモンの定量および/または監視のための手持ち型装置を提供することであり、該装置は下記を含む:
a.試料の入口;
b.センサーであって、
i.基材、
ii.EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、
iii.EC1.21.99.4から選択された第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および
iv.任意選択で、抗rT3抗体、を含むセンサー、
c.センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器、
d.任意選択で、試料から細胞成分を分離する手段。
【0026】
本開示の別の態様は、甲状腺ホルモンの検出、定量および/または監視のための手持ち型装置を提供することであり、該装置は下記を含む:
a.試料の入口;
b.ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含むセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼがセンサー上に固定され、入口が試料とセンサーとを接触させて配置するように構成された、センサー、
c.センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器;
d.任意選択で、試料から細胞成分を分離する手段。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】視床下部−下垂体−甲状腺系。
図2】ヨードサイロニンデヨージナーゼの3種のアイソフォームによる甲状腺ホルモンの触媒。
図3】T4の漸増濃度によるIDII電流測定バイオセンサーの電流応答。
図4】T4の漸増濃度によるIDIIボルタメトリーバイオセンサーの電流応答。
図5】T4の検出に及ぼすチロキシン結合グロブリン(TBG)濃度の影響。T4の濃度は一定である。
図6】漸増T4濃度によるウシ胎仔血清のサイクリックボルタメトリー測定。
【発明を実施するための形態】
【0028】
甲状腺機能の評価のための遊離甲状腺ホルモンfT3およびfT4の定量用のバイオセンサーおよびその応用が本明細書で開示される。さらに、本開示は、対象の甲状腺関連障害の診断または監視方法に関し、該方法は、前記対象から得た試料中の甲状腺ホルモンの濃度を決定することを含む。
【0029】
甲状腺ホルモン
本開示は、遊離甲状腺ホルモンfT3およびfT4の検出および/または定量のための、および従って、甲状腺機能の評価のための、装置および方法に関する。
【0030】
甲状腺ホルモンは、甲状腺により産生および放出されるホルモンである。それらは、主として、代謝の調節に関与するチロシン系ホルモンである。
【0031】
甲状腺ホルモンチロキシン(T4)およびトリヨードサイロニン(T3)は、遊離チロキシン(fT4)および遊離トリヨードサイロニン(fT3)として測定でき、これらは、身体中のチロキシンおよびトリヨードサイロニン活性の指標である。それらはまた、総チロキシンおよび総トリヨードサイロニンとしても測定でき、チロキシン結合グロブリンに結合しているチロキシンおよびトリヨードサイロニンの量に依存する。関連パラメーターは、遊離チロキシン指数であり、これは、総チロキシンに甲状腺ホルモン取り込みを乗じたものであり、これは、さらには、非結合チロキシン結合グロブリンの尺度である。さらに、甲状腺疾患は、先進画像処理技術を用い、胎生期のホルモンレベルを検査して、出生前に検出できる。
【0032】
逆位トリヨードサイロニン(3,3’,5’−トリヨードサイロニン、逆位T3、またはrT3)は、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3)の異性体である。
【0033】
逆位T3は、甲状腺が血流中へ放出する第3のヨードサイロニンの内で最も多いものであり、血流中に放出されるヨードサイロニンの内で、0.9%がrT3であり、テトラヨードサイロニン(レボチロキシン、T4)が90%を構成し、T3が9%である。しかし、ヒト血液中のrT3の95%は、身体中の他の場所で産生される。甲状腺によるホルモンの産生は、視床下部および脳下垂体により制御される。甲状腺ホルモンの生理学的活性は、プロホルモンT4を活性化する、不活化する、または単純に廃棄する、およびさらにはT3およびrT3を機能的に調節する、酵素系により調節される。これらの酵素は、神経伝達物質、ホルモン、代謝マーカーおよび免疫学的シグナルを含むシステムの複雑な指示により機能する。rT3レベルは、甲状腺機能正常症候群などの状態下で増大する。理由は、その排出が減少し、一方で、その産生が同じにとどまるためである。
【0034】
健康な対象とも呼ばれる、成人健常者では、甲状腺ホルモンの基準範囲は:
・fT3:2.8〜4.4pg/mL(≧1歳、Mayo Clinicから取得)、
・fT4:0.8〜2.0ng/dL(全年代、Mayo Clinicから取得)、
・rT3:10〜24ng/dL(Mayo Clinicから取得)、
これらの値は次の文献による:Demers LM,Spencer Cl:The thyroid:pathophysiology and thyroid function testing.In Tietz Textbook of Clinical Chemistry and Molecular Diagnostics.Fourth edition.Edited by CA Burtis,ER Ashwood,DE Bruns.St.Louis,Elsevier Saunders Company.2006,pp 2053−2087;Stockigt JR:Free thyroid hormone measurement.A critical appraisal.Clin Endocrinol Metab 2001 Jun;30:265−289;and Moore WT,Eastman RC:Diagnostic Endocrinology.St.Louis,Mosby,1990,pp 182−183.
【0035】
異なる基準範囲を乳幼児および子ども対し使用し得る。さらに、異なる検査室では、±0.4単位で基準範囲を調節し得る。
【0036】
従って、上記範囲内の甲状腺ホルモン濃度および/またはレベルは、正常と認識され、一方、その範囲未満の濃度および/またはレベルは低いと見なされ、その範囲を超える濃度および/またはレベルは、高いと見なされる。
【0037】
ヨードサイロニンデヨージナーゼ
本開示は、甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーに関し、該センサーは、基材、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体を含み、少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼおよび抗rT3抗体は、基材の表面上に固定される。
【0038】
本開示は、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含むセンサーに関し、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために、ヨードサイロニンデヨージナーゼはセンサー上に固定される。
【0039】
ヨードサイロニンデヨージナーゼ(EC1.21.99.4およびEC1.21.99.3)は、甲状腺ホルモンの活性化および非活性化に重要なデヨージナーゼ酵素のサブファミリーである。チロキシン(T4)、3,5,3’−トリヨードサイロニン(T3)の前駆体は、デヨージナーゼ活性によりT3に変換される。T3は、核甲状腺ホルモン受容体への結合を介して、実質的に全ての脊椎動物細胞中の遺伝子の発現に影響を与える。ヨードサイロニンデヨージナーゼは、これらの酵素は、他の場合には希なアミノ酸セレノシステインの形でセレンを含むという点で珍しい。
【0040】
本明細書で言及されるEC1.21.99.4ヨードサイロニンデヨージナーゼは、下記の反応を触媒できる:
3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン+ヨウ化物+A+H(+) <=> L−チロキシン+AH(2)
EC1.21.99.4ヨードサイロニンデヨージナーゼは、甲状腺ホルモンをより活性にする5’−脱ヨウ素化の方向にのみ酵素活性を示した。
【0041】
EC1.21.99.4ヨードサイロニンデヨージナーゼは、I型およびII型からなり、両方がセレノシステインを含むが、異なる動力学を有する。I型酵素では、最初の反応は還元的脱ヨウ素であり、酵素の−Se−H基を−Se−I基に変換し、還元剤はその後、これを−Se−Hに再変換し、ヨウ化物を放出する。次の酵素がEC1.21.99.4グループに包含される:
ジヨードサイロニン5’−デヨージナーゼ;
ジヨードサイロニン5’−デヨージナーゼ;
ヨードサイロニン外輪モノデヨージナーゼ;
L−チロキシンヨードヒドロラーゼ(還元性);
チロキシン5−デヨージナーゼ;
I型ヨードサイロニンデヨージナーゼ;
II型ヨードサイロニンデヨージナーゼ;
【0042】
本明細書で言及されるEC1.21.99.3ヨードサイロニンデヨージナーゼは、下記の反応を触媒できる:
3,3‘,3’−トリヨード−L−サイロニン+ヨウ化物+受容体+H(+) <=> L−チロキシン+還元受容体
【0043】
EC1.21.99.3ヨードサイロニンデヨージナーゼは、5’−脱ヨウ素化の方向に酵素活性を示した。この5−ヨウ素の除去、すなわち、内輪からの除去は、ホルモンチロキシンを大きく不活性化する。次の酵素がEC1.21.99.4グループに包含される:
ジヨードサイロニン5’−デヨージナーゼ;
ヨードサイロニン5−デヨージナーゼ;
ヨードサイロニン内輪モノデヨージナーゼ;
III型ヨードサイロニンデヨージナーゼ;
【0044】
デヨージナーゼI型とも呼ばれるI型デヨージナーゼ(DIまたはD1)は、肝臓および腎臓中でよく検出され、甲状腺ホルモンの内輪および外輪の両方を脱ヨウ素化できる。用語の「内輪」および「外輪」は、図2に可視化され、甲状腺ホルモン中に存在する異なるベンゼン環を指す。
【0045】
デヨージナーゼII型とも呼ばれるII型デヨージナーゼ(DIIまたはD2)は、心臓、骨格筋、中枢神経系、脂肪、甲状腺、および下垂体でよく検出される。プロホルモンチロキシンの外輪を脱ヨウ素化することのみが知られており、主要な活性化酵素である(既に不活性の逆位トリヨードサイロニンはまた、DIIによりさらに分解される)。
【0046】
デヨージナーゼIII型とも呼ばれるIII型デヨージナーゼ(DIIIまたはD3)は、胎生期組織および胎盤でよく検出され、下垂体中を除いて、脳全体にも存在する。これは、チロキシンまたはトリヨードサイロニンの内輪を脱ヨウ素化することのみが知られている。
【0047】
組織中では、デヨージナーゼは、甲状腺ホルモンを活性化または不活性化できる。活性化は、外輪上のヨウ素原子の除去を介したプロホルモンチロキシン(T4)の活性ホルモントリヨードサイロニン(T3)への変換により起こる。
【0048】
甲状腺ホルモンの不活性化は、内輪上のヨウ素原子の除去により起こり、これは、チロキシンを不活性逆位トリヨードサイロニン(rT3)、または活性トリヨードサイロニンをジヨードサイロニン(T2)に変換する。
【0049】
チロキシン脱ヨウ素の主要な部分は、細胞内で行われる。
【0050】
DII活性は、ユビキチン化により調節できる:ユビキチンの共有結合は、ダイマー化を破壊し、それをプロテオソームの分解を標的にすることにより、DIIを不活性化する。DIIからのユビキチンを除去する脱ユビキチン化は、その活性を回復し、プロテアソーム分解を防止する。
【0051】
DIは、T4を活性化してT3の産生およびT4の不活化の両方を行う。甲状腺機能亢進症の患者の余分の甲状腺T3の産生におけるその増大した機能を除いて、その機能は、DIIまたはDIIIに比べて十分には理解されていない。DIIは、T4をT3に変換し、細胞質のT3プールの主要な発生源である。DIIIは、T4の活性化を防止し、T3を不活化する。https://en.wikipedia.org/wiki/Iodothyronine_deiodinase−cite_note−url_Bianco_Lab−9DIIおよびD3は、血漿および細胞のレベルでのT3レベルの維持の恒常的調節に重要である。甲状腺機能亢進症では、D2は、下方制御され、D3は、上方制御されて余分のT3を除去し、同時に、甲状腺機能低下症D2は、上方制御され、細胞質T3を増大させるために、D3は下方制御されている。血清T3レベルは、健常者では全く一定であるが、T3およびT4レベルは臓器によって変動し得るので、D2およびD3は、組織特異的細胞内T3レベルを調節して、恒常性を維持できる。デヨージナーゼはまた、甲状腺ホルモンレベルの空間的および時間的発生制御を提供する。D3レベルは、発生の早期に最高であり、時間と共に低下するが、一方、D2レベルは、組織の顕著な変形の瞬間で高い。従って、D2は、必要な時点で十分なT3の産生を可能とするが、一方、D3は、T3への過剰暴露から組織を遮蔽する。
【0052】
DIIはまた、褐色脂肪組織(BAT)中の熱産生において重要な役割を果たす。交感神経刺激、温度低下、またはBATの過剰供給に応答して、DIIは、脂肪酸の酸化を高め、タンパク質の脱共役により酸化的リン酸化を脱共益させ、ミトコンドリア熱発生を生じさせる。DIIは、BATの寒冷ストレス中に減少し、細胞内のT3レベルを増大させる。DII欠損モデルでは、悪寒戦慄は、低温に対する行動適応である。しかし、熱発生は、脂質酸化の脱共益よりも遙かに効率が低い。
【0053】
甲状腺ホルモンの検出のためのセンサーを提供することは本開示の一態様であり、該センサーは、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼはセンサー上に固定される。
【0054】
一実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.4]、またはそのフラグメントである。
【0055】
一実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.4]、またはそのフラグメントである。
【0056】
一実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3]、またはそのフラグメントである。
【0057】
一実施形態では、EC1.21.99.4ヨードサイロニンデヨージナーゼは、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、または1型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0058】
一実施形態では、EC1.21.99.4ヨードサイロニンデヨージナーゼは、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0059】
一実施形態では、EC1.21.99.3ヨードサイロニンデヨージナーゼは、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、哺乳動物由来である。本開示のいくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、ヒト由来である。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態では、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および/または抗rT3抗体は、哺乳動物由来である。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態では、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および/または抗rT3抗体は、ヒト由来である。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態では、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および/または抗rT3抗体は、追加の部分に結合される。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態では、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および/または抗rT3抗体は、追加の部分にそれぞれ個別に結合される。例えば、追加の部分は、ヨードサイロニンデヨージナーゼのセンサー上への固定化、または甲状腺ホルモンの検出を容易にし得る。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態では、基材は、少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼの固定化用の、基材の第1の表面および基材の第2の表面などの複数の表面を含む。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態では、第1の表面、第2の表面および任意選択で、第3の表面は、同じ基材上に存在する。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態では、第1の表面、第2の表面および任意選択で、第3の表面は、異なる基材上に存在する。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態では、少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼは、基材の第1表面上に固定されたEC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される第1のヨードチロイジンデヨーデナーゼ、および基材の第2の表面上に固定されたEC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される第2のヨードチロイジンデヨーデナーゼを含む。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼは、EC1.21.99.4から選択され、第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、EC1.21.99.3から選択される。
【0070】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、両方ともEC1.21.99.4から独立に選択される。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、EC1.21.99.4から選択される異なる酵素である。
【0072】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼは、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または2型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態では、第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または3型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼは、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼであり、第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼは、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼであり、第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼは、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼであり、第2のヨードサイロニンデヨージナーゼは、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼである。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態では、t
本開示のいくつかの実施形態では、t
本開示のいくつかの実施形態では、t
本開示のいくつかの実施形態では、t
【0078】
いくつかの実施形態では、追加の部分はペプチド、例えば、ポリヒスチジンタグ(Hisタグ)である。
【0079】
いくつかの実施形態では、追加の部分は、蛍光タグまたはプローブとも呼ばれる標識である。
【0080】
ポリヒスチジンタグは、タンパク質の、金属表面、例えば、ニッケルまたはコバルトコートマイクロタイタープレートまたはタンパク質アレイ上の表面などの表面上への固定のためにうまく使用できる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび3型ヨードサイロニンデヨージナーゼの両方、またはそれらのフラグメントを含む。DIIおよびDIIIの両方の存在は、甲状腺疾患のより正確な診断をもたらし得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび2型ヨードサイロニンデヨージナーゼの両方、またはそれらのフラグメントを含む。DIおよびDIIの両方の存在は、甲状腺疾患のより正確な診断をもたらし得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび3型ヨードサイロニンデヨージナーゼの両方、またはそれらのフラグメントを含む。DIおよびDIIIの両方の存在は、甲状腺疾患のより正確な診断をもたらし得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび第2のヨードサイロニンデヨージナーゼを含み、両方はEC1.21.99.4から独立に選択される。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび第2のヨードサイロニンデヨージナーゼを含み、両方はEC1.21.99.3から独立に選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、第1および第2のヨードサイロニンデヨージナーゼを含み、両方はEC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から独立に選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、EC1.21.99.4から独立に選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよびEC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から独立に選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、基材の第1の表面上に固定された第1のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび基材の第2の表面上に固定された第2のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼは、配列番号1に対し、少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも96%配列同一性、例えば、少なくとも97%配列同一性、例えば、少なくとも98%配列同一性、例えば、少なくとも99%配列同一性、例えば、約100%配列同一性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを含むまたはそれからなる。
【0090】
いくつかの実施形態では、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼは、配列番号2に対し、少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも96%配列同一性、例えば、少なくとも97%配列同一性、例えば、少なくとも98%配列同一性、例えば、少なくとも99%配列同一性、例えば、約100%配列同一性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを含むまたはそれからなる。
【0091】
いくつかの実施形態では、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼは、配列番号3に対し、少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも96%配列同一性、例えば、少なくとも97%配列同一性、例えば、少なくとも98%配列同一性、例えば、少なくとも99%配列同一性、例えば、約100%配列同一性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを含むまたはそれからなる。
【0092】
いくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、無細胞発現によるなどの組換えによりで作製される。
【0093】
いくつかの実施形態では、EC1.21.99.3ヨードサイロニンデヨージナーゼ、EC1.21.99.4ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または抗rT3抗体は、無細胞発現によるなどの組換えにより作製される。
【0094】
無細胞発現は、無細胞タンパク質合成またはCFPSとも呼ばれる、無細胞系で、すなわち、生細胞を使用することなく、生物学的機械を用いたタンパク質の作製である。インビトロタンパク質合成環境は、細胞生存率を維持するために必要な細胞壁または恒常性条件により束縛されない。従って、CFPSは、翻訳環境の直接アクセスおよび制御を可能とし、これは、膜タンパク質の同時翻訳可溶化、タンパク質作製の最適化、非天然アミノ酸の組み込み、選択的および部位特異的標識化を含む多くの用途にとって好都合である。
【0095】
配列同一性に関して:高レベルの配列同一性は、第1の配列が第2の配列から誘導されているという可能性を示す。アミノ酸配列同一性は、2つの整列配列の間の同一のアミノ酸配列を必要とする。従って、参照配列と少なくとも95%アミノ酸同一性を共有する候補配列は、整列後に、候補配列中の少なくとも95%のアミノ酸が参照配列中の対応するアミノ酸に同一であることが必要である。同一性は、限定されないが、Clustal Wコンピューター整列プログラム(Higgins D.,Thompson J.,Gibson T.,Thompson J.D.,Higgins D.G.,Gibson T.J.,1994.CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position−specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Res.22:4673−4680)などのコンピューター解析、およびその中で提案されているデフォルトパラメーターを使用して決定し得る。
【0096】
バイオセンサー概念
本開示は、基材、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および抗rT3抗体を含むセンサーであるバイオセンサーに関し、少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび抗rT3抗体は、基材の表面上に固定されている。
【0097】
本開示はバイオセンサーに関し、該バイオセンサーは、その1つの表面上に固定されたヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]を含む。
【0098】
リガンド/受容体相互作用を検出するための種々の装置が知られている。これらの内で最も基本的なものは、分析物の存在または量が検出可能な反応生成物を測定または定量することにより検出される、純粋に化学的/酵素的なアッセイである。リガンド/受容体相互作用はまた、放射標識アッセイによっても検出および定量できる。
【0099】
このタイプの定量的結合アッセイは、2種の別々の要素:反応基材、例えば、固相検査片、チップまたは電極、および別の読み取りまたは検出装置、例えば、シンチレーションカウンターまたは分光光度計、を必要とする。基材は通常、少量の体液試料由来の複数の分析物アッセイを取り扱うための多重アッセイ、または小型化に適合しない。
【0100】
バイオセンサーでは、対照的に、アッセイ基材および検出器表面は、単一装置に統合されている。ある種の汎用型バイオセンサーは、リガンド−受容体結合イベントの存在に応答した電流またはインピーダンスの変化を検出するための電流またはインピーダンス測定素子と組み合わせた電極表面を採用する。別のタイプのバイオセンサーは、光学的検出器と組み合わせて、例えば、表面プラズモン共鳴法と組み合わせて、チップ、例えば、ガラスチップを採用し得る。
【0101】
本明細書では「センサー」と呼ばれることもある「バイオセンサー」は、センサーおよび生物学的素子を含むシステムを意味する。バイオセンサーは、長時間を要し、高価、複雑で、インサイツ管理に好適しない従来の分析技術の実用的代用品である。バイオセンサーは、生物学的素子と変換器とを大まかに統合する化学的分析装置である。それは、生物学的素子を、単一分析物に比例した、検出器に対しさらに変換される電子シグナルを生じる変換器内に、またはそれと密接に接触して固定する。
【0102】
バイオセンサーは、3つの基本的な要素:バイオレセプター(生物学的素子)、変換器および電子回路、を包含する。バイオレセプターまたは生物学的素子は、変換器に埋め込まれた、酵素、DNA、タンパク質、ホールセル、抗体、などの生体分子である。本出願では、バイオレセプターは、ヨードサイロニンデヨージナーゼである。変換器は、1つの形のエネルギーを別のエネルギーに、例えば、化学エネルギーを電気エネルギーに、再活性化する装置である。例えば、変換器は、検出器である。本開示の方法により包含される検出器は、表面プラズモン共鳴検出器などの光学的検出器、電気化学検出器、および測定回路である。電子回路は、電気シグナルを処理可能シグナルに変換するシグナル処理システムを含む。
【0103】
表面プラズモン共鳴法(SPR)に基づくバイオセンサーは、SPR境界での変動、例えば、結合イベントにより発生するSPR表面反射角度のシフトを利用する。最終的に、バイオセンサーはまた、バイオセンサー表面での光学特性の変化を利用し得る。
【0104】
電気化学のバイオセンサーは通常、電子を生成または消費する反応の酵素触媒作用(レドックス酵素)に基づく。センサー基材は通常、3個の電極:参照電極、作用電極および対極、を含む。標的分析物は、活性電極表面上に起こる反応に関与し、反応は、二重層を横切る電子移動を引き起こし得る(電流を生成)、または二重層電位に寄与できる(電圧を生成)。電流が測定でき、一定の電位で電子の流れの速度が分析物濃度に比例する、またはゼロ電流で電位が測定でき、これは対数応答を与える。さらに、小さいペプチドおよびタンパク質の無標識、直接電気的検出が、バイオ機能化イオン感応性電界効果トランジスタを用いて、それらの固有電荷により可能である。
【0105】
電位差測定バイオセンサーは、ゼロ電流で電位が生成され、高いダイナミックレンジを備えた対数応答を与える。このようなバイオセンサーは多くの場合、プラスチック基材上で電極パターンをスクリーン印刷し、導電性ポリマーでコートした後、いくつかのタンパク質(酵素または抗体)が付着される。それらは2つのみの電極を有し、極めて高感度で頑丈である。それらは、従来はHPLCおよびLC/MSでのみ達成可能なレベルで、さらに厳密な試料調製の必要なしに、分析物の検出を可能とする。生物学的検知要素は当該分析物に対し高度に選択的であるので、全てのバイオセンサーは通常、最小限の試料調製しか必要としない。シグナルは、センサー表面で起こる変化に起因する導電性ポリマー中の電気化学的および物理的変化により生成される。このような変化は、イオン強度、pH、水和およびレドックス反応に起因し得る。FETのゲート領域への分析物の結合がドレイン発信源電流の変化を生ずるので、ゲート領域が酵素または抗体により改質されている電界効果トランジスタ(FET)は、同様に非常に少ない濃度の種々の分析物を検出できる。
【0106】
バイオセンサーは、分離した反応基材および読み取り装置を有する結合アッセイシステムと比べて、多くの潜在的利点を有する。1つの重要な利点は、マイクロチップ製造方法を用いて、小規模であるが高度に再現可能なバイオセンサー装置を製造する能力である。
【0107】
種々のタイプのバイオセンサーの多くの潜在的用途が存在する。研究および商業的用途の観点で有用なバイオセンサーによる手法に対する主要件は、いくつかの状況下での高感度検査室ベース技術にとって好ましい、標的分子の特定、好適な生物学的認識素子の利用能、および使い捨て型の持ち運び可能検出システムに対する潜在能力である。
【0108】
いくつかの実施形態では、本開示は、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のためのバイオセンサーに関し、甲状腺ホルモンは、遊離T4、遊離T3および逆位T3(rT3)から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示は、甲状腺ホルモンの定量のためのバイオセンサーに関し、甲状腺ホルモンは、遊離T4、遊離T3および逆位T3(rT3)から選択される。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示はバイオセンサーに関し、前記バイオセンサーは、センサーを含み、前記センサーは、基材、EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4から選択される少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、またはそのフラグメント、および抗rT3抗体、またはそのフラグメントを含み、少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび抗rT3抗体は、基材の表面上に固定される。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示はバイオセンサーに関し、前記バイオセンサーは、センサーを含み、前記センサーは、電極および電極に固定されたヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、10〜15IUなどの、15〜20IUなどの、20〜25IUなどの、25〜30IUなどの、30〜35IUなどの,35〜40IUなどの、40〜45IUなどの、45〜50IUなどの、50〜55IUなどの、55〜60IUなどの、60〜65IUなどの、65〜70IUなどの、70〜75IUなどの、75〜80IUなどの、80〜85IUなどの、85〜90IUなどの、90〜95IUなどの、95〜100IUなどの、10〜100IUのヨードサイロニンデヨージナーゼを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、10〜15IUなどの、15〜20IUなどの、20〜25IUなどの、25〜30IUなどの、30〜35IUなどの,35〜40IUなどの、40〜45IUなどの、45〜50IUなどの、50〜55IUなどの、55〜60IUなどの、60〜65IUなどの、65〜70IUなどの、70〜75IUなどの、75〜80IUなどの、80〜85IUなどの、85〜90IUなどの、90〜95IUなどの、95〜100IUなどの、10〜100IUのEC1.21.99.3ヨードサイロニンデヨージナーゼおよびEC1.21.99.4ヨードサイロニンデヨージナーゼを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、10〜15IUなどの、15〜20IUなどの、20〜25IUなどの、25〜30IUなどの、30〜35IUなどの,35〜40IUなどの、40〜45IUなどの、45〜50IUなどの、50〜55IUなどの、55〜60IUなどの、60〜65IUなどの、65〜70IUなどの、70〜75IUなどの、75〜80IUなどの、80〜85IUなどの、85〜90IUなどの、90〜95IUなどの、95〜100IUなどの、10〜100IUの2型および3型ヨードサイロニンデヨージナーゼを含む。
【0115】
IUは、国際単位を意味し、物質の量の測定値の単位であり、物質間でより容易に比較するために、1つの国際単位を構成する質量または体積は、測定される物質を基準にして変化し、変動は、生物活性または効果を基準にする。
【0116】
本開示のいくつかの実施形態では、下記を含む甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーが開示される:
・第1表面を含む第1の電極;
・第2の表面を含む第2の電極;
・第1の電極の第1の表面上に固定されたEC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ;
・第2の電極の第2の表面上に固定されたEC1.21.99.3およびEC1.21.99.3から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ。
【0117】
本開示のいくつかの実施形態では、下記を含む甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーが開示される:
・第1表面を含む第1の電極;
・第2の表面を含む第2の電極;
・第3の表面を含む第3の電極;
・第1の電極の第1の表面上に固定されたEC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ;
・第2の電極の第2の表面上に固定されたEC1.21.99.3およびEC1.21.99.3から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ;および
・第3の電極の第3の表面上に固定された抗rT3抗体。
【0118】
ヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーの製造方法を提供することは、本開示の一態様であり、該方法は、下記を含む:
a)電極を用意するステップ、
b)少なくとも1種のヨードサイロニンデヨージナーゼを用意するステップ、
c)電極上にヨードサイロニンデヨージナーゼを固定し、それにより、ヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーを製造するステップ。
【0119】
本発明の特定の実施形態では、電極は、本開示の実施形態により定義された通りである。本発明の特定の実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、本開示の実施形態により定義された通りである。
【0120】
上記ステップc)は、ヨードサイロニンデヨージナーゼの、センサー上などの電極上への固定を含む。このステップは、電極を機能化し、続けて、ヨードサイロニンデヨージナーゼを機能化電極上に固定するステップを含むと見られ得る。ヨードサイロニンデヨージナーゼを電極上に固定するために使用し得る手順の例は、本開示の本明細書で詳細に記述される。
【0121】
酵素固定化
目的の酵素などの生物学的素子のセンサー(金属、高分子またはガラスであっても)上への固定化は必要であり、バイオセンサーの設計で重要なステップである。用いられる基材に応じて、異なる固定化技術が存在し、これらの技術は当業者に既知である。
【0122】
甲状腺ホルモンの検出のためのセンサーを提供することは本開示の一態様であり、該センサーは、基材、
a.EC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、
b.EC1.21.99.3またはEC1.21.99.4から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および
c.任意選択で、抗rT3抗体、を含み、
第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、第2のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび抗rT3抗体は、基材表面上に固定される。
【0123】
第1の態様では、甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーが提供され、該センサーは、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼはセンサー上に固定される。
【0124】
甲状腺ホルモンの検出のためのセンサーを提供することは本開示の一態様であり、該センサーは、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼはセンサー上に固定される。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、1個または複数の電極および/またはチップを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、少なくとも2個の電極など、少なくとも3個の電極などの、少なくとも1個の電極を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、少なくとも2個のチップなど、少なくとも3個のチップなどの、少なくとも1個のチップを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、3個の電極を含むかまたはこれからなり、第1の表面は第1の電極の表面であり、第2の表面は第2の電極の表面であり、および第3の表面は第3の電極の表面である。
【0129】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、3個のチップを含むかまたはこれからなり、第1の表面は第1のチップの表面であり、第2の表面は第2のチップの表面であり、および第3の表面は第3のチップの表面である。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、改質表面を有する基材を含む。前記基材は、ヨードサイロニンデヨージナーゼがその表面に固定され得るように改質される。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、電極またはチップである。さらなる実施形態では、前記チップはガラスチップである。本明細書で使用される場合、用語の「ガラス」は、石英またはシリカと同等であり、連続的なフレームワーク中にケイ素および酸素原子を含み、全体としてSiOの化学式を有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、2個の電極などの、3個の電極などの、1個の電極を含み、第1の電極の第1の表面は改質表面であり、第2の電極の第2の表面は改質表面であり、および/または第3の電極の第3の表面は改質表面である。
【0133】
本開示の本明細書で「電極」に言及する場合、それは、センサーの生物学的要素、すなわち、EC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体がその上に固定されている、第1の電極、第2の電極、第3の電極および/またはさらなる電極と呼ばれる。
【0134】
本開示の本明細書で「表面」に言及する場合、それは、センサーの生物学的要素、すなわち、EC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体がその上に固定されている、基材の(すなわち、電極および/またはチップの)第1の表面、第2の表面、第3の表面および/またはさらなる表面と呼ばれる。
【0135】
いくつかの実施形態では、電極は、炭素、金または白金で作製される。
【0136】
さらなる実施形態では、電極は、スクリーン印刷電極である。
【0137】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、チップまたは金層または金単層でコートしたチップまたは電極の少なくとも表面を含む。さらなる実施形態では、チップまたは電極の表面は、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料でコートされる。
【0138】
本開示によるいくつかの実施形態では、センサーの基材の第1、第2および/または第3の表面は、改質表面である。
【0139】
センサー表面は、例えば、電極の表面および/またはチップの表面は、使用前に、任意のタイプの処理に供され得る。処理としては、コーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、ラングミュア−ブロジェット自己集合、溶媒蒸発、ドクターブレードコーティング、化学蒸着法、転写印刷、直接沈着、沈着沈殿法、電極表面と高分子電解質含有ナノ粒子との間の接着層の使用、アミド結合アミド結合によるなどの共有結合固定化、静電気的固定化、高分子ブラシ固定化、ゾルゲル/高分子ネットワーク固定化、ファンデルワールス固定化、疎水性/親水性固定化、蒸発および/またはディウェッティングによる沈着、光学的誘導電着などの電着、Turkevich−Frens法、Brust−Schiffrin法、交互吸着法、連続的イオン性層沈着、化学的手法、光化学的方法、音波照射法またはこれらの組み合わせなどの方法により実施され得るナノ粒子の沈着が挙げられる。
【0140】
センサーの表面は、少なくともナノ粒子の一部が特定のパターンでセンサーの表面上に固定化されるように、ナノ粒子の沈着の前に、微細加工技術などにより、さらにパターニングされ得る。
【0141】
センサーの表面は、例えば、アミン機能化、チオール機能化、ヒドロキシル化、シリル化、酸化および/またはプラズマ活性化またはこれらの組み合わせにより、機能化または活性化などの化学変化を誘導するようにさらに処理され得る、表面改質は、ナノ粒子の沈着の前などの表面処理の任意の時点で実施し得る。
【0142】
センサーは、焼結、3Dプリンティングなどの印刷、スクリーン印刷および/またはインクジェット印刷、キャスティング、電着、薄膜技術、ネットワーク形成、脱合金、光学的リソグラフィーおよび/またはインプリントリソグラフィーなどのリソグラフィー、スパッタリング、スタンピング、熱アニーリング、電解、陽極酸化、電気化学エッチングなどのエッチング、ウェットエッチングおよびドライエッチングまたはこれらの組み合わせなどのセンサーの組み立てに利用できる任意の方法によりさらに組み立てまたは処理され得る。
【0143】
本開示によるいくつかの実施形態では、改質表面は、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴を含む。ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴を含むこのような改質表面は、粗面(roughened surface)、または粗面(rough surface)とも呼ばれる。粗面は、酵素の固定化に有益である。理由は、それにより、他の方法では固定化酵素を崩壊させる可能性があるファンデルワールス力が最小化されるためである。
【0144】
本開示によるいくつかの実施形態では、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴は、微粒子、ナノ粒子、マイクロワイヤー、ナノワイヤー、マイクロチューブ、ナノチューブ、マイクロロッド、ナノロッド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0145】
本開示によるいくつかの実施形態では、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴は、前記表面を焼結により組み合わせることにより、基材の表面上に生成された。
【0146】
本開示によるいくつかの実施形態では、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴は、表面エッチングにより、基材の表面上に生成された。例えば、表面エッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングであり得る。
【0147】
本開示によるいくつかの実施形態では、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴は、粒子沈着により、基材の表面上に生成された。例えば、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴は、電気泳動析出により、基材の表面上に生成された。
【0148】
本開示によるいくつかの実施形態では、改質表面は、金の層でコートされた表面である。
【0149】
本開示によるいくつかの実施形態では、改質表面は、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子でコートされた表面である。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、少なくとも金の層または単層でコートされた基材(チップまたは電極)表面を含み、前記表面は、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子でさらに改質される。
【0151】
換言すれば、基材(電極またはチップ)は、金の層または単層でコートされ、前記金の層または単層上には、ナノ粒子、例えば、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子が存在し、ヨードサイロニンデヨージナーゼ分子は、前記ナノ粒子上に固定される。
【0152】
一実施形態では、チップまたは電極の少なくとも1つの表面は、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子で改質される。
【0153】
本開示によるいくつかの実施形態では、改質表面は、金の層でコートされた表面であり、前記表面は、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子でさらに改質される。
【0154】
本明細書で開示のナノ粒子は、キャッピング剤でキャッピングされ得る。キャッピング剤は、シトレートなどの有機分子であり得、ナノ粒子の成長を停止させてそのサイズを制御するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子はクエン酸キャップ、アミノ酸キャップ、またはクエン酸キャップおよびアミノキャップの両方のキャップが実施されている。
【0155】
一実施形態では、センサーは、改質表面を有するチップを含み、前記チップは、化学的に改質されたガラス基材であり、前記チップは、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために表面プラズモン共鳴と組み合わせて使用される。
【0156】
一実施形態では、センサーは、改質表面を有するチップを含み、前記チップは、ナノ粒子で改質されたガラス基材であり、前記ナノ粒子は、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択され得、前記チップは、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために表面プラズモン共鳴と組み合わせて使用される。
【0157】
一実施形態では、センサーは、改質表面を有するチップを含み、前記チップは、層または単層で改質されたガラス基材であり、前記層または単層は、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料から作製され、前記チップは、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために表面プラズモン共鳴と組み合わせて使用される。
【0158】
一実施形態では、センサーは、改質表面を有するチップを含み、前記チップは、金ナノ粒子で改質されたガラス基材であり、前記チップは、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために表面プラズモン共鳴と組み合わせて使用される。
【0159】
一実施形態では、センサーは、改質表面を有するチップを含み、前記チップは、金の層または単相で改質されたガラス基材であり、前記チップは、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために表面プラズモン共鳴と組み合わせて使用される。
【0160】
一実施形態では、センサーは、改質表面を有する電極を含み、前記電極は、金から作製された層または単相表面を含み、前記電極は、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために電気化学的変換と組み合わせて使用される。
【0161】
別の実施形態では、電極は、銀から作製された層または単相表面を含み、前記電極は、本開示による甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために電気化学的変換と組み合わせて使用される。
【0162】
別の実施形態では、電極は、酸化銅から作製された層または単相表面を含み、前記電極は、本開示による甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために電気化学的変換と組み合わせて使用される。
【0163】
別の実施形態では、電極は、グラフェンから作製された層または単相表面を含み、前記電極は、本開示による甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために電気化学的変換と組み合わせて使用される。
【0164】
別の実施形態では、電極は、酸化鉄から作製された層または単相表面を含み、前記電極は、本開示による甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために電気化学的変換と組み合わせて使用される。
【0165】
別の実施形態では、電極は、金および銀などの金属の組み合わせから作製された層または単相表面を含み、前記電極は、本開示による甲状腺ホルモンの検出および/または定量のために電気化学的変換と組み合わせて使用される。
【0166】
いくつかの実施形態では、本開示によるヨードサイロニンデヨージナーゼは、基材上に固定される。
【0167】
いくつかの実施形態では、本開示によるヨードサイロニンデヨージナーゼは、ナノ粒子を含むリンカーを介してセンサーの表面上に固定される。
【0168】
いくつかの実施形態では、本開示によるヨードサイロニンデヨージナーゼは、ニッケルヒスチジン(Ni−His)共有配位結合を含むリンカーを介してセンサーの表面上に固定される。これは、ヨードサイロニンデヨージナーゼがヒスチジンタグを含む場合に特に好適し得る。
【0169】
本開示によるいくつかの実施形態では、ナノ粒子は、1nm〜50nmのサイズ、好ましくは5nm〜45nmのサイズ、好ましくは10nm〜40nmのサイズ、好ましくは10nm〜35nmのサイズ、好ましくは10nm〜30nmのサイズを有する。ナノ粒子のサイズは、TEM顕微鏡で測定し得る。このサイズ範囲のナノ粒子の、基材表面とヨードサイロニンデヨージナーゼとの間のリンカーとしての使用は、基材表面にヨードサイロニンデヨージナーゼの固定に好ましい湾曲を与え得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、本開示によるヨードサイロニンデヨージナーゼは、イオン相互作用を介して基材上に固定される。
【0171】
いくつかの実施形態では、本開示によるヨードサイロニンデヨージナーゼは、非共有結合相互作用を介して、基材上に固定される。
【0172】
いくつかの実施形態では、本開示によるヨードサイロニンデヨージナーゼは、基材上に共有結合固定される。
【0173】
いくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、1個または複数のナノ粒子を含むリンカーを介して、基材上に固定される。基材とヨードサイロニンデヨージナーゼとの間の少なくとも1個のナノ粒子の存在は、タンパク質のアンフォールドを防止する。
【0174】
いくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、
電極に結合したシステアミン、および
システアミンおよびヨードサイロニンデヨージナーゼに、任意選択で、1個または複数の追加のシステアミンを介して、結合したナノ粒子、を含むリンカーを介して基材上に固定される。
【0175】
いくつかの実施形態では、少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および/または抗rT3抗体は、
電極に結合したシステアミン、および
システアミンおよびヨードサイロニンデヨージナーゼに、任意選択で、1個または複数の追加のシステアミンを介して、結合したナノ粒子、を含むリンカーを介して基材上に固定される。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示のセンサーは、センサーの表面上に固定された、特に電極の表面上に(例えば、第3の電極の第3の表面上に)またはチップの表面上に(例えば、第3のチップの第3の表面上に)固定された、抗rT3抗体をさらに含む。
【0177】
電極の表面上、またはチップの表面上の抗体の固定化に有用な各種技術は、当業者に既知である。
【0178】
本開示のいくつかの実施形態では、抗rT3抗体は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)−N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)化学を介して、基材の表面上に固定される。
【0179】
本開示のいくつかの実施形態では、抗rT3抗体は、アジド修飾抗体であり得、これは、アルキンまたは重鎖結合グリカンに対するクリックケミストリーを介して基材の表面上に固定され得る。
【0180】
本開示のいくつかの実施形態では、抗rT3抗体は、基材の表面上に直接固定され、基材の表面は、正に帯電しているアミン改質表面である。
【0181】
本開示のいくつかの実施形態では、抗rT3抗体がビオチン化されている場合には、抗rT3抗体は、ビオチン−アビジン結合を介して基材の表面上に固定される。
【0182】
いくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、C末端またはN末端経由でリンカーに結合される。いくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、N末端経由でシステアミンによるアミド結合によりリンカーに結合される。
【0183】
例えば、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、次記のいずれかの手順を採用することにより基材の表面上に固定され得る:
・炭素電極:電極を、HSO/HNO(水溶液)を用いて酸化し、ヒドロキシル基を導入;洗浄;暗所でシステアミン塩酸塩(水溶液)との反応を介して遊離チオール基を導入;洗浄;チオール/金結合を用いてクエン酸キャップナノ粒子の共有結合固定化;洗浄;システアミンジ塩酸塩(水溶液)を用いてアミン基の導入;洗浄;カルボキシレート残基を介してアミド結合形成経由ヨードサイロニンデヨージナーゼまたはそのフラグメントの固定化;ウシ血清アルブミンでブロッキング。Sharma S,Zapatero−Rodriguez J,Saxena R,O’Kennedy R,Srivastava S 2018.Ultrasensitive direct impedimetric immunosensor for detection of serum HER2.Biosensors & Bioelectronics 106:78−85も参照されたい。
・金電極:Au/SH結合を利用するシステアミン塩酸塩(水溶液)との反応によりアミノ基の導入;洗浄;アミド結合の形成によるクエン酸キャップナノ粒子の共有結合;洗浄;ヨードサイロニンデヨージナーゼまたはそのフラグメントの、それらの一級アミンと遊離カルボキシレートとの間の共有結合によるナノ粒子での固定化。Raghav R,Srivastava S,2016.Immobilization Strategy for Enhancing Sensitivity of Immunosensors:L−Asparagine−AuNPs as a promising alternative of EDC−NHS activated citrate−AuNPs for Antibody immobilization.Biosensors & Bioelectronics 15;78:396−403も参照されたい。
・金電極:Au/SH結合を利用するシステアミン塩酸塩(水溶液)との反応によりアミノ基の導入;洗浄;アミド結合の形成によるクエン酸キャップナノ粒子の共有結合;洗浄;EDC架橋剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)およびスルホ−NHS(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)の水溶液の添加;ヨードサイロニンデヨージナーゼまたはそのフラグメントの、それらの一級アミンとNHSエステル中間体との間の共有結合による固定化。Raghav R,Srivastava S,2016.Immobilization Strategy for Enhancing Sensitivity of Immunosensors:L−Asparagine−AuNPs as a promising alternative of EDC−NHS activated citrate−AuNPs for Antibody immobilization.Biosensors & Bioelectronics 15;78:396−403も参照されたい。
・金電極:Au/SH結合を利用するシステアミン塩酸塩(水溶液)との反応によりアミノ基の導入;洗浄;アミド結合の形成によるアミノおよびクエン酸キャップナノ粒子の共有結合;洗浄;アミド結合形成による共有結合によるヨードサイロニンデヨージナーゼまたはそのフラグメントの固定化。Raghav R,Srivastava S,2016.Immobilization Strategy for Enhancing Sensitivity of Immunosensors:L−Asparagine−AuNPs as a promising alternative of EDC−NHS activated citrate−AuNPs for Antibody immobilization.Biosensors & Bioelectronics 15;78:396−403も参照されたい。
・金電極:Au/SH結合を利用するシステアミン塩酸塩(水溶液)との反応によりアミノ基の導入;洗浄;アミド結合の形成によるクエン酸キャップナノ粒子の共有結合;洗浄;アミド結合形成による共有結合によるタンパク質または抗体の固定化。Raghav R,Srivastava S,2015.Core−shell gold−silver nanoparticles based impedimetric immunosensor for cancer antigen CA125.Sensors and Actuators B:Chemical 220:557−564も参照されたい。
【0184】
上記手順は、炭素および金電極を対象としているが、他のタイプの電極も類似の手順で使用し得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは、電極が卓上型手持ち式の電気化学ワークステーション、表面プラズモン共鳴検出器または測定回路に接続できるように構成される。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは基材を含み、該基材は、少なくとも3個の電極を含み、前記電極は、電気化学ワークステーションに接続できるように構成される。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示によるセンサーは基材を含み、該基材は、少なくとも3個のチップを含み、前記チップは、表面プラズモン共鳴検出器に接続できるように構成される。
【0188】
一実施形態では、センサーは、甲状腺ホルモンの検出および/または定量用として構成される。
【0189】
方法
本開示は、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のためのセンサーに関し、該センサーは、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、センサー上に固定され、前記センサーの使用は、甲状腺関連障害の診断および/または監視のためである。
【0190】
本開示は、甲状腺ホルモンの検出および/または定量のためのセンサーに関し、該センサーは、基材、EC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび任意選択で、抗rT3抗体を含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび抗rT3抗体は、基材の表面上に固定され、前記センサーの使用は、甲状腺関連障害の診断および/または監視のためである。
【0191】
対象の甲状腺関連障害の診断方法を提供することは、本開示の一態様であり、該方法は、次のステップを含む:
a)対象から得られる試料を用意するステップ、
b)本明細書で開示のものを前記試料と接触させるステップ、
c)試料中の1種または複数の甲状腺ホルモンを検出するステップ、
d)試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、1種または複数の甲状腺関連障害を診断するステップ。
【0192】
対象の甲状腺関連障害の監視方法を提供することは、本開示のさらなる態様であり、該方法は、次記のステップを含む:
a)甲状腺刺激化合物を対象に投与するステップ、
b)ステップa)の実施後に対象から試料を収集するステップ、
c)前記試料と本開示によるセンサーとを接触させるステップ、
d)シグナルを測定するステップ、
e)シグナルを用いて、試料中の甲状腺ホルモンの濃度を決定し、それにより、甲状腺関連障害を監視するステップ。
本開示による方法の特定の実施形態では、ステップb)〜e)は、2回以上実施される。
【0193】
試料中の甲状腺ホルモンの検出方法を提供することも、本開示の一態様であり、該方法は、次記のステップを含む:
a)甲状腺ホルモンを含むまたは含むと疑われる試料を用意するステップ、
b)本明細書で開示のセンサーを前記試料と接触させるステップ、
c)センサーからのシグナルを測定し、それにより、甲状腺ホルモンを検出するステップ。
【0194】
試料中の甲状腺ホルモンの定量方法を提供することも、本開示の一態様であり、該方法は、次記のステップを含む:
a.甲状腺ホルモンを含むまたは含むと疑われる試料を用意するステップ、
b.本明細書で開示のセンサーを前記試料と接触させるステップ、
c.センサーからのシグナルを測定するステップ、および
d.シグナルを用いて、試料中の1種または複数の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、甲状腺ホルモンを検出するステップ。
【0195】
特定の実施形態では、本開示による試料中の甲状腺ホルモンの検出方法は、ステップd)シグナルを用いて、試料中の1種または複数の甲状腺ホルモンの濃度を決定するステップ、をさらに含む。
【0196】
特定の実施形態では、本開示による方法は、試料中の甲状腺ホルモンの濃度を用いて甲状腺ホルモンのインビボ濃度を計算するステップをさらに含む。
【0197】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、試料中の甲状腺ホルモンの濃度は、前記甲状腺ホルモンとヨードサイロニンデヨージナーゼとの間の反応動力学から決定される。
【0198】
特定の実施形態では、甲状腺ホルモンの濃度は、対象が、甲状腺刺激化合物を含む薬物を受けた後で決定される。
【0199】
特定の実施形態では、対象が薬物を受けた後の時間は、5分〜45時間などの、5分〜40時間などの、5分〜36時間などの、5分〜32時間などの、5分〜30時間などの、5分〜28時間などの、5分〜24時間などの、5分〜20時間などの、5分〜18時間などの、5分〜16時間などの、5分〜14時間などの、5分〜12時間などの、5分〜11時間などの、5分〜10時間などの、5分〜9時間などの、5分〜8時間などの、5分〜7時間などの、5分〜6時間などの、5分〜5時間などの、5分〜4時間などの、5分〜3時間などの、5分〜2時間などの、5分〜1時間などの、5分〜45分などの、5分〜30分などの、5分〜48時間である。
【0200】
特定の実施形態では、対象が薬物を受けた後の時間は、15分〜48時間などの、30分〜48時間などの、45分〜48時間などの、60分〜48時間などの、1〜48時間などの、2〜48時間などの、3〜48時間などの、4〜48時間などの、5〜48時間などの、6〜48時間などの、6〜48時間などの、7〜48時間などの、8〜48時間などの、9〜48時間などの、10〜48時間などの、11〜48時間などの、12〜48時間などの、14〜48時間などの、16〜48時間などの、18〜48時間などの、20〜48時間などの、24〜48時間などの、28〜48時間などの、32〜48時間などの、36〜48時間などの、40〜48時間などの、44〜48時間などの、5分〜48時間である。
【0201】
本開示によるに方法の一実施形態では、対象は、甲状腺ホルモンの濃度の測定前に、甲状腺刺激化合物を含む薬物を受けなかった。
【0202】
特定の実施形態では、本開示による方法は、試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度をカットオフ間隔と比較し、甲状腺関連障害の対象を診断するステップをさらに含み、前記カットオフ間隔は、甲状腺関連障害を罹患していないヒト個体などの健康なヒト個体の甲状腺ホルモンの濃度範囲から決定され、カットオフ間隔の外側のレベルおよび/または濃度は、前記甲状腺関連障害の存在を示す。
【0203】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、遊離T3のカットオフ間隔は2.8〜4.4pg/mL、遊離T4のカットオフ間隔は0.8〜2.0ng/mL、およびrT3のカットオフ間隔は10〜24ng/mLである。いくつかの実施形態では、カットオフ間隔未満の濃度は低いと見なされ、カットオフ間隔内の濃度は正常と見なされ、およびカットオフ間隔を超える濃度は高いと見なされる。
【0204】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、遊離T3のカットオフ間隔は2.4〜4.2pg/mL、遊離T4のカットオフ間隔は0.8〜1.8ng/mL、およびrT3のカットオフ間隔は10〜24ng/mLである。いくつかの実施形態では、カットオフ間隔未満の濃度は低いと見なされ、カットオフ間隔内の濃度は正常と見なされ、およびカットオフ間隔を超える濃度は高いと見なされる。
【0205】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、遊離T3のカットオフ間隔は2.8〜4.0pg/mL、遊離T4のカットオフ間隔は0.8〜2.2ng/mL、およびrT3のカットオフ間隔は10〜24ng/mLである。いくつかの実施形態では、カットオフ間隔未満の濃度は低いと見なされ、カットオフ間隔内の濃度は正常と見なされ、およびカットオフ間隔を超える濃度は高いと見なされる。
【0206】
一実施形態では、本開示による方法は、前記甲状腺関連障害を治療するステップをさらに含む。特定の実施形態では、治療は、治療有効量での薬物の投与を含む。さらなる実施形態では、前記薬物は、甲状腺刺激化合物である。
【0207】
いくつかの実施形態では、甲状腺刺激化合物は、T3、T4、TSH、甲状腺自己抗体(TRAb、TPOAbおよびTgAb)およびチログロブリンからなる群から選択される。
【0208】
対象
本開示による方法を提供することは、本開示の一態様であり、対象はヒト対象である。特定の実施形態では、ヒト対象は、子どもまたは成人である。
【0209】
本開示による方法のさらなる実施形態では、対象は、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコまたはイヌである。
【0210】
試料
本開示による方法の特定の実施形態では、試料は、血液試料、血清試料または血漿試料であり、任意選択で、試料は分析の前に処理されている。
【0211】
特定の実施形態では、分析の前の処理は、濾過、rT3の除去、および/またはpHの調節を含む。血液試料などの試料の濾過は、血液細胞を除去する手段を提供し得ることは当業者には理解されよう。pHの調節は、試料への好適な酸または塩基の所望pHが得られるまでの添加により実施し得る。pHの調節に好適な酸および塩基は、当業者に既知である。
【0212】
検出技術
本開示による方法のいくつかの実施形態では、前記甲状腺ホルモンは、表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いて検出される。特定の実施形態では、表面プラズモン共鳴法の測定値を用いて1種または複数の甲状腺ホルモンの濃度が決定される。
【0213】
表面プラズモン共鳴法は、入射光により刺激された負および正誘電率材料間の界面での伝導電子の共振振動である。SPRは、平板金属(金または銀などの)表面上へのまたは金属ナノ粒子上への物質の吸収を測定する多くの標準的ツールの共通基盤である。これは、多くの色ベースのバイオセンサー適用、種々のセンサーおよび珪藻光合成の背後にある基本的原理である。SPRを用いて、生体分子結合相互作用を検出し得る。SPRでは、タンパク質などの分子パートナーの片方は、金属フィルム上に固定される。光が金属中で表面プラズモンを励起し、結合パートナーが固定化分子に結合する場合、これは、表面プラズモンシグナルの検出可能な変化を生じさせる。
【0214】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、ヨードサイロニンデヨージナーゼは、基材上の金属表面またはナノ粒子層上に固定される。いくつかの実施形態では、前記基材はガラスチップである。
【0215】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、甲状腺ホルモンは、電気化学的変換により検出または監視される。
【0216】
電気化学的変換を利用するバイオセンサーとも呼ばれる電気化学的バイオセンサーは、生物学的イベントの電子シグナルへの直接変換により生体試料の含量を分析する魅力的手段を提供する。電気化学的バイオセンシングで最もよくある技術は、ナノワイヤーまたは磁気ナノ粒子ベースバイオセンシングに加えて、サイクリックボルタメトリー、クロノアンペロメトリー、クロノポテンシオメトリー、インピーダンス分光法、および電界効果トランジスタベース方法を含む。電気化学検出と組み合わせて有用な追加の測定方法は、電気化学的バージョンの表面プラズモン共鳴法、光導波路光モード分光法、偏光解析法、水晶振動子マイクロバランス、および走査型プローブ顕微鏡をさらに含み得る。
【0217】
電気化学的変換および電気化学センサーの一般的能力は、多くの場合、ナノメートルスケールで電極を生体試料に接続する表面構造により決定される。電極表面改質、種々の電気化学的変換機序、および電極に結合する生物学的素子の選択は全て、最終的なセンサー感度に影響を与える。
【0218】
甲状腺関連障害
いくつかの実施形態では、甲状腺関連障害は、リスト:甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、臨床的うつ病、甲状腺腫、グレーブス・バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能正常性症および極性T3症候群から選択される。
【0219】
特定の実施形態では、甲状腺機能亢進症は、高遊離T4、高遊離T3および低TSHを特徴とする。一実施形態では、甲状腺機能正常性症は、低遊離T3および高rT3を特徴とする。さらなる実施形態では、甲状腺機能低下症は一次性または二次性である。一実施形態では、一次性甲状腺機能低下症は、低遊離T4、正常または低遊離T3および高TSHを特徴とする。一実施形態では、二次性甲状腺機能低下症は、低遊離T4、正常または低遊離T3および正常または低TSHを特徴とする。
【0220】
家庭用装置
甲状腺ホルモンの検出、定量および/または監視のための手持ち型装置を提供することは、本開示のさらなる態様であり、該甲状腺ホルモンは、fT3、fT4およびrT3からなる群より選択され、該装置は、次記を含む:
a.試料の入口;
b.センサーであって、
i.基材、
ii.EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および
iii.EC1.21.99.4から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ、を含むセンサー、
c.センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器;
d.任意選択で、試料から細胞成分を分離する手段。
【0221】
甲状腺ホルモンの検出、定量および/または監視のための手持ち型装置を提供することは、本開示のさらなる態様であり、該甲状腺ホルモンは、fT3、fT4およびrT3からなる群より選択され、該装置は、次記を含む:
e.試料の入口;
f.センサーであって、
i.基材、
ii.EC1.21.99.3およびEC1.21.99.4から選択される第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、
iii.EC1.21.99.4から選択される第2のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および
iv.抗rT3抗体、を含むセンサー、
g.センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器;
h.任意選択で、試料から細胞成分を分離する手段。
【0222】
甲状腺ホルモンの検出、定量および/または監視のための手持ち型装置を提供することは、本開示のさらなる態様であり、該甲状腺ホルモンは、fT3、fT4およびrT3からなる群より選択され、該装置は、次記を含む:
a)試料の入口;
b)ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含むセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼがセンサー上に固定され、入口が試料とセンサーとを接触させて配置するように構成された、センサー、
c)センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器;
d)任意選択で、試料から細胞成分を分離する手段。
【0223】
特定の実施形態では、本開示による手持ち型装置は、本開示の実施形態のいずれか1つで定義されたセンサーを含む。
【0224】
項目
1.甲状腺ホルモンの定量のためのセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼがセンサー上に固定される、センサー。
2.甲状腺ホルモンの検出のためのセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含み、ヨードサイロニンデヨージナーゼがセンサー上に固定される、センサー。
3.項目1または2に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが哺乳動物由来である、センサー。
4.項目1〜3のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼがヒト由来である、センサー。
5.項目1〜4のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが追加の部分に結合されている、センサー。
6.項目1〜5のいずれか1項に記載のセンサーであって、追加の部分がペプチドである、センサー。
7.項目1〜6のいずれか1項に記載のセンサーであって、追加の部分が標識である、センサー。
8.項目1〜7のいずれか1項に記載のセンサーであって、10〜100IUのヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、センサー。
9.項目1〜8のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3]である、センサー。
10.項目1〜9のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.4]である、センサー。
11.項目1〜10のいずれか1項に記載のセンサーであって、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび3型ヨードサイロニンデヨージナーゼの両方を含む、センサー。
12.項目1〜11のいずれか1項に記載のセンサーであって、1型ヨードサイロニンデヨージナーゼが、配列番号1に対し、少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも96%配列同一性、例えば、少なくとも97%配列同一性、例えば、少なくとも98%配列同一性、例えば、少なくとも99%配列同一性、例えば、約100%配列同一性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを含むまたはそれからなる、センサー。
13.項目1〜12のいずれか1項に記載のセンサーであって、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼが、配列番号2に対し、少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも96%配列同一性、例えば、少なくとも97%配列同一性、例えば、少なくとも98%配列同一性、例えば、少なくとも99%配列同一性、例えば、約100%配列同一性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを含むまたはそれからなる、センサー。
14.項目1〜13のいずれか1項に記載のセンサーであって、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼが、配列番号3に対し、少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも96%配列同一性、例えば、少なくとも97%配列同一性、例えば、少なくとも98%配列同一性、例えば、少なくとも99%配列同一性、例えば、約100%配列同一性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを含むまたはそれからなる、センサー。
15.項目1〜14のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが、無細胞発現によるなどの組換えにより作製される、センサー。
16.項目1〜15のいずれか1項に記載のセンサーであって、甲状腺ホルモンが遊離T4、遊離T3および逆位T3(rT3)から選択される、センサー。
17.項目1〜16のいずれか1項に記載のセンサーであって、基材を含み、基材が電極またはチップである、センサー。
18.項目1〜17のいずれか1項に記載のセンサーであって、チップがガラスチップである、センサー。
19.項目1〜18のいずれか1項に記載のセンサーであって、基材が改質表面を有する、センサー。
20.項目1〜19のいずれか1項に記載のセンサーであって、電極が炭素、金または白金から作製される、センサー。
21.項目1〜20のいずれか1項に記載のセンサーであって、電極がスクリーン印刷電極である、センサー。
22.項目1〜21のいずれか1項に記載のセンサーであって、少なくとも基材の表面が金の層でコートされている、センサー。
23.項目1〜22のいずれか1項に記載のセンサーであって、基材の少なくとも1つの表面が、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子で改質されている、センサー。
24.項目1〜23のいずれか1項に記載のセンサーであって、基材の少なくとも表面が金の層でコートされ、前記表面が、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子でさらに改質されている、センサー。
25.項目1〜24のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが基材上に固定されている、センサー。
26.項目1〜25のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが、ナノ粒子を含むリンカーを介して基材上に固定されている、センサー。
27.項目1〜26のいずれか1項に記載のセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが、次記を含むリンカーを介して基材上に固定されている、センサー:
a.基材に結合したシステアミン、および
b.システアミンおよびヨードサイロニンデヨージナーゼに、任意選択で、1個または複数の追加のシステアミンを介して、結合したナノ粒子。
28.項目1〜27のいずれか1項に記載のセンサーであって、基材が卓上型手持ち式の電気化学ワークステーション、表面プラズモン共鳴検出器または測定回路に接続できるように構成されている、センサー。
29.項目1〜28のいずれか1項に記載のセンサーであって、基材が電極であり、前記電極が電気化学ワークステーションに接続できるように構成されている、センサー。
30.項目1〜29のいずれか1項に記載のセンサーであって、基材がチップであり、前記チップが表面プラズモン共鳴検出器に接続できるように構成されている、センサー。
31.項目1〜30のいずれか1項に記載のセンサーであって、甲状腺ホルモンの検出および/または定量用として構成される、センサー。
32.次のステップを含む対象の甲状腺関連障害の診断方法:
a.対象から得られる試料を用意するステップ、
b.項目1〜31のいずれか1項に記載のセンサーを前記試料と接触させるステップ、
c.試料中の1種または複数の甲状腺ホルモンを検出するステップ、
d.試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、1種または複数の甲状腺関連障害を診断するステップ。
33.次のステップを含む対象の甲状腺関連障害の監視方法:
a.甲状腺刺激化合物を対象に投与するステップ、
b.ステップa.の実施後に対象から試料を収集するステップ、
c.項目1〜32のいずれか1項に記載のセンサーを前記試料と接触させるステップ、
d.シグナルを測定するステップ、
e.シグナルを用いて、試料中の甲状腺ホルモンの濃度を決定し、それにより、甲状腺関連障害を監視するステップ。
34.項目32に記載の方法であって、ステップb.〜e.が2回以上実施される方法。
35.次のステップを含む、試料中の甲状腺ホルモンの検出方法:
a.甲状腺ホルモンを含むまたは含むと疑われる試料を用意するステップ、
b.項目1〜34のいずれか1項に記載のセンサーを前記試料と接触させるステップ、
c.センサーからのシグナルを測定し、それにより、甲状腺ホルモンを検出するステップ。
36.項目34に記載の方法であって、ステップd.シグナルを用いて、試料中の1種または複数の甲状腺ホルモンの濃度を決定するステップ、をさらに含む、方法。
37.項目35に記載の方法であって、試料中の甲状腺ホルモンの濃度を用いて甲状腺ホルモンのインビボ濃度を計算するステップをさらに含む、方法。
38.項目31〜36のいずれか1項に記載の方法であって、試料中の甲状腺ホルモンの濃度が、前記甲状腺ホルモンとヨードサイロニンデヨージナーゼとの間の反応動力学から決定される、方法。
39.項目31〜37のいずれか1項に記載の方法であって、甲状腺ホルモンの濃度が、対象が甲状腺刺激化合物を含む薬物を受けた後で決定される、方法。
40.項目31〜38のいずれか1項に記載の方法であって、対象が薬物を受けた後の時間が5分〜48時間である、方法。
41.項目31〜39のいずれか1項に記載の方法であって、試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度をカットオフ間隔と比較し、甲状腺関連障害の対象を診断するステップをさらに含み、前記カットオフ間隔は、甲状腺関連障害を罹患していないヒト個体などの健康なヒト個体の甲状腺ホルモンの濃度範囲から決定され、カットオフ間隔の外側のレベルおよび/または濃度は、前記甲状腺関連障害の存在を示す。
42.項目31〜40のいずれか1項に記載の方法であって、遊離T3のカットオフ間隔が2.8〜4.4pg/mLである、方法。
43.項目31〜40のいずれか1項に記載の方法であって、遊離T4のカットオフ間隔が0.8〜2.0ng/mLである、方法。
44.項目31〜40のいずれか1項に記載の方法であって、rT3のカットオフ間隔が10〜24ng/mLである、方法。
45.項目31〜43のいずれか1項に記載の方法であって、カットオフ間隔未満の濃度は低いと見なされ、カットオフ間隔内の濃度は正常と見なされ、およびカットオフ間隔を超える濃度は高いと見なされる、方法。
46.項目31〜44のいずれか1項に記載の方法であって、前記甲状腺関連障害を治療するステップをさらに含む、方法。
47.項目45に記載方法であって、治療が、治療有効量での薬物の投与を含む、方法。
48.項目46に記載の方法であって、薬物が甲状腺刺激化合物である、方法。
49.項目31〜47のいずれか1項に記載の方法であって、甲状腺刺激化合物が、T3、T4、TSH、甲状腺自己抗体(TRAb、TPOAbおよびTgAb)およびチログロブリンからなる群から選択される、方法。
50.項目31〜48のいずれか1項に記載の方法であって、対象がヒト対象である、方法。
51.項目31〜49のいずれか1項に記載の方法であって、ヒト対象が子どもまたは成人である、方法。
52.項目31〜50のいずれか1項に記載の方法であって、対象が、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコまたはイヌである、方法。
53.項目31〜51のいずれか1項に記載の方法であって、試料が、血液試料、血清試料または血漿試料であり、任意選択で、試料は分析の前に処理されている、方法。
54.項目31〜52のいずれか1項に記載の方法であって、分析の前の処理が、濾過、rT3の除去、および/またはpHの調節を含む、方法。
55.項目31〜53のいずれか1項に記載の方法であって、甲状腺ホルモンが表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いて検出される、方法。
56.項目31〜54のいずれか1項に記載の方法であって、SPR測定値を用いて1種または複数の甲状腺ホルモンの濃度が決定される、方法。
57.項目31〜55のいずれか1項に記載の方法であって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが、チップ上または電極上に固定される、方法。
58.項目31〜56のいずれか1項に記載の方法であって、甲状腺ホルモンが、電気化学的変換により検出または監視される、方法。
59.項目31〜57のいずれか1項に記載の方法であって、甲状腺関連障害が、リスト:甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、臨床的うつ病、甲状腺腫、グレーブス・バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能正常性症および極性T3症候群から選択される、方法。
60.項目58に記載の方法であって、甲状腺機能亢進症が、高遊離T4、高遊離T3および低TSHを特徴とする、方法。
61.項目58に記載の方法であって、甲状腺機能正常性症が、低遊離T3および高rT3を特徴とする、方法。
62.項目58に記載の方法であって、甲状腺機能低下症が一次性または二次性である、方法。
63.項目61に記載の方法であって、一次性甲状腺機能低下症が、低遊離T4、正常または低遊離T3および高TSHを特徴とする、方法。
64.項目61に記載の方法であって、二次性甲状腺機能低下症が、低遊離T4、正常または低遊離T3および正常または低TSHを特徴とする、方法。
65.ヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーの製造方法であって、次記を含む方法:
a.基材を用意するステップ、
b.少なくとも1種のヨードサイロニンデヨージナーゼを用意するステップ、
c.基材上にヨードサイロニンデヨージナーゼを固定し、それにより、ヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーを製造するステップ。
66.項目64に記載の方法であって、基材が、項目1〜65のいずれか1項で定義の通りである、方法。
67.項目64または65に記載の方法であって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが、項目1〜66のいずれか1項で定義の通りである、方法。
68.甲状腺ホルモンの検出、定量および/または監視のための手持ち型装置であって、次記を含む装置:
a.試料の入口;
b.ヨードサイロニンデヨージナーゼ[EC1.21.99.3および/またはEC1.21.99.4]またはそのフラグメントを含むセンサーであって、ヨードサイロニンデヨージナーゼがセンサー上に固定され、入口が試料とセンサーとを接触させて配置するように構成された、センサー、
c.センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器;
d.任意選択で、試料から細胞成分を分離する手段。
69.項目67に記載の手持ち型装置であって、センサーが、項目1〜68のいずれか1項で定義の通りである、装置。
70.項目67および68のいずれか1項に記載の手持ち型装置であって、ヨードサイロニンデヨージナーゼが、項目1〜69のいずれか1項で定義の通りである、装置。
【0225】
実施例
実施例1.IDII電流測定バイオセンサーを用いたT4の推定
IDIIをラット脳を粗マイクロソーム画分として抽出し、電流測定バイオセンサーの作製に用いた。
CH604E Electrochemical Analyzer/Workstation(CH instruments)を用いて電気化学バイオセンサーを作製した。10μLの(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン(5mM、APTES)で炭素電極をアミノ機能化し、暗所で2時間インキュベートした。電極を再蒸留水ですすいで非結合3−APTESを除去し、続けて、0.5μgのクエン酸キャップAuNPを加えた。2mg/mLのシステアミン塩酸塩20μgを用いてNP表面をアミノキャップし、2時間のインキュベーションおよび洗浄に続けて、10μLの架橋剤(グルタルアルデヒドの10%(v/v)水溶液)を加えた後、空気乾燥した。最終的に、ラット脳粗抽出物(マイクロソーム画分)を電極上に加え、周囲温度で2時間乾燥させた。図3は、電流応答に与えるT4濃度の影響を示す。
結果:T4の漸増濃度に伴う電流の直線状変化が観察された。
【0226】
実施例2.IDIIボルタメトリーバイオセンサーを用いたT4の推定
T4の定量化のためのサイクリックボルタメトリー測定を図4に示した。
結果:T4濃度が増大するに伴い、酸化のピーク電流は減少する。
【0227】
実施例3.遊離対結合T4
さらに、T4の検出に対するチロキシン結合グロブリン(TBG)の干渉を調査した。図5は、TBG濃度の増大に伴い、電流応答が低下することを示す。
結果:このデータは、酵素がfT4のみの脱ヨウ素を触媒し、結合型(tT4)を触媒しないことを示す。従って、この戦略は、fT4の直接推定を可能にする。
【0228】
実施例4.血清タンパク質の干渉
ウシ胎仔血清の存在下でサイクリックボルタメトリー測定を実施し、定量化における血清タンパク質の干渉を調査した。図6は、T4濃度の増大に伴うウシ胎仔血清のこれらの測定値を示す。
結果:このデータは、酸化ピーク電流がこの場合でも一貫した傾向に従い、それにより、測定値に対する血清タンパク質の影響を克服することを示す。
【0229】
実施例5.IDII−IDIII−抗rT3ボルタメトリーバイオセンサーを用いたfT3およびfT4の推定
IDIIおよびIDIIIをラット脳を粗マイクロソーム画分として抽出し、電流測定バイオセンサーの作製に用いる。
IDIIは、電極1の表面に直接接続され、電極1の前記表面は、ナノ粒子で改質される、または電極の前記表面は、金の層で改質される、または電極の前記表面は、当業者に既知の他の手段により粗面化される。
IDIIIは、電極2の表面に直接接続され、電極2の前記表面は、ナノ粒子で改質される、または電極の前記表面は、金の層で改質される、または電極の前記表面は、当業者に既知の他の手段により粗面化される。
【0230】
抗rT3抗体は、電極3の表面に直接接続され、電極3の前記表面は、ナノ粒子で改質される、または電極の前記表面は、金の層で改質される、または電極の前記表面は、当業者に既知の他の手段により粗面化される。商業的に入手できる抗rT3抗体が使用される(例えば:モノクローナル抗rT3抗体,LifeSpan BioScience,Inc.(US);rT3/逆位トリヨードサイロニンポリクローナル抗体,LifeSpan BioScience,Inc.(US);抗逆位トリヨードサイロニン抗体,MyBioSource.com(US);逆位トリヨードサイロニン(rT3)モノクローナル抗体,Biomatik(US);逆位トリヨードサイロニン(rT3)ポリクローナル抗体、Biomatik(US))。
【0231】
CH604E Electrochemical Analyzer/Workstation(CH instruments)を用いて電気化学バイオセンサーを作製する。
【0232】
DIO2は、試料中のT4およびrT3を電極1上で脱ヨード化し、従って、[T4+rT3]の合計を測定する。
DIO3は、試料中のT4およびT3を電極2上で脱ヨード化し、従って、[T4+T3]の合計を測定する。
抗rT3はrT3に結合し、従って、[rT3]を測定する。
得られた[T4+rT3]、[T4+T3]および[rT3]に基づいて、[T4]および[T3]を計算により決定できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020年6月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲状腺ホルモンの定量化のためのセンサーであって、
a.基材、および
b.前記基材の表面上に固定される、少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体の組み合わせを含み、前記組み合わせが、
・1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および抗rT3抗体、
・2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および抗rT3抗体、または
・1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、
を含む、センサー。
【請求項2】
前記基材が、前記少なくとも2種のヨードチロイジンデヨーデナーゼの固定化用の、前記基材の第1の表面および前記基材の第2の表面などの複数の表面を含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼが前記基剤の第1の表面上に固定され、前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼが前記基材の第2の表面上に固定される、請求項1または2に記載のセンサー。
【請求項4】
前記抗rT3抗体が前記基材の第3の表面上に固定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項5】
前記甲状腺ホルモンが、遊離T4、遊離T3および逆位T3(rT3)、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項6】
前記基材が1個または複数の電極および/またはチップである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項7】
前記基材が、少なくとも2個の電極など、少なくとも3個の電極などの、少なくとも1個の電極を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項8】
前記基材が、少なくとも2個のチップなど、少なくとも3個のチップなどの、少なくとも1個のチップを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項9】
前記基材が、3個の電極を含むかまたはこれらからなり、前記第1の表面が第1の電極の表面であり、前記第2の表面が第2の電極の表面であり、および前記第3の表面が第3の電極の表面である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記基材が、3個のチップを含むかまたはこれらからなり、前記第1の表面が第1のチップの表面であり、前記第2の表面が第2のチップの表面であり、および前記第3の表面が第3のチップの表面である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項11】
前記電極が、炭素、金または白金から作製される、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項12】
前記電極が、スクリーン印刷電極である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項13】
前記チップがガラスチップである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項14】
前記基材の第1、第2および/または第3の表面が、改質表面である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項15】
前記改質表面が、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴を含む表面である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項16】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、微粒子、ナノ粒子、マイクロワイヤー、ナノワイヤー、マイクロチューブ、ナノチューブ、マイクロロッド、ナノロッド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項17】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、前記表面を焼結により組み合わせることにより、前記基材の表面上に生成される、請求項1〜16のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項18】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、表面エッチングにより前記基材の表面上に生成される、請求項1〜17のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項19】
前記ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの複数の局所的特徴が、粒子沈着により前記基材の表面上に生成される、請求項1〜18のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項20】
前記改質表面が、金の層でコートされた表面である、請求項1〜19のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項21】
前記改質表面が、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子で改質された表面である、請求項1〜20のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項22】
前記改質表面が金の層で表面コートされ、前記表面が、金、銀、酸化銅、グラフェン、酸化鉄およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるナノ粒子でさらに改質されている、請求項1〜21のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項23】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼが、ナノ粒子を含むリンカーを介して前記表面上に固定されている、請求項1〜22のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項24】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、ニッケル−ヒスチジン(Ni−His)共有配位結合を含むリンカーを介して前記基材上に固定されている、請求項1〜23のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項25】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、次記を含むリンカーを介して前記基材上に固定されている、請求項1〜24のいずれか1項に記載のセンサー:
a.前記基材に結合したシステアミン、および
b.前記システアミンおよび前記ヨードサイロニンデヨージナーゼに、任意選択で、1個または複数の追加のシステアミンを介して、結合したナノ粒子。
【請求項26】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、哺乳動物由来である、請求項1〜25のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項27】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、ヒト由来である、請求項1〜26のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項28】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、無細胞発現によるなどの組換えにより生成される、請求項1〜27のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項29】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび/または前記抗rT3抗体が、それぞれ個別に追加の部分に結合されている、請求項1〜28のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項30】
前記追加の部分が、ヒスチジンタグなどのペプチドタグなどのペプチドである、請求項1〜29のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項31】
前記追加の部分が標識である、請求項1〜30のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項32】
前記センサーが、それぞれ10〜100IUの少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜31のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項33】
前記センサーが、10〜100IUの1型および2型のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜32のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項34】
前記センサーが、10〜100IUの2型および3型のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜33のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項35】
前記センサーが、10〜100IUの1型および3型のヨードサイロニンデヨージナーゼを含む、請求項1〜34のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項36】
前記基材が、卓上型手持ち式の電気化学ワークステーション、表面プラズモン共鳴検出器または測定回路に接続できるように構成されている、請求項1〜35のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項37】
前記基材が、少なくとも3個の電極を含み、前記電極が、電気化学ワークステーションに接続できるように構成されている、請求項1〜36のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項38】
前記基材が、少なくとも3個のチップを含み、前記チップが、表面プラズモン共鳴検出器に接続できるように構成されている、請求項1〜37のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項39】
前記センサーが、甲状腺ホルモンの定量用として構成されている、請求項1〜38のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項40】
次のステップを含む、試料中の甲状腺ホルモンの定量化方法:
a.甲状腺ホルモンを含むまたは含むと思われる試料を用意するステップ、
b.項目1〜39のいずれか1項に記載のセンサーを前記試料と接触させるステップ、
c.前記センサーからのシグナルを測定するステップ、および
d.前記シグナルを用いて、前記試料中の前記1種または複数の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、前記甲状腺ホルモンを検出するステップ。
【請求項41】
次のステップを含む、対象の甲状腺関連障害の診断方法:
a.前記対象から得られる試料を用意するステップ、
b.請求項40に記載の方法を用いて、前記試料中の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、1種または複数の甲状腺関連障害を診断するステップ。
【請求項42】
次のステップを含む、対象の甲状腺関連障害の監視方法:
a.甲状腺刺激化合物を前記対象に投与するステップ、
b.ステップa.の実施後に前記対象から試料を収集するステップ、
c.請求項40に記載の方法を用いて、前記試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度を決定し、それにより、前記甲状腺関連障害を監視するステップ。
【請求項43】
前記ステップa.〜c.が2回以上実施される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
甲状腺ホルモンの定量化のために、請求項1〜39のいずれか1項に記載のセンサーの使用。
【請求項45】
甲状腺ホルモンの定量化が、請求項40に記載の方法により実施される、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記試料中の甲状腺ホルモンの前記濃度を用いて前記甲状腺ホルモンのインビボ濃度を計算するステップをさらに含む、請求項40〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記試料中の甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度が、前記甲状腺ホルモンと前記ヨードサイロニンデヨージナーゼとの間の反応動力学から決定される、請求項40〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記甲状腺ホルモンの濃度が、前記対象が甲状腺刺激化合物を含む薬物を受けた後で決定される、請求項40〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が前記薬物を受けた後の時間が5分〜48時間である、請求項42〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記試料中の前記甲状腺ホルモンのレベルおよび/または濃度をカットオフ間隔と比較し、甲状腺関連障害の対象を診断するステップをさらに含み、前記カットオフ間隔が、前記甲状腺関連障害を罹患していないヒト個体などの健康なヒト個体の甲状腺ホルモンの濃度範囲から決定され、
前記カットオフ間隔の外側のレベルおよび/または濃度が、前記甲状腺関連障害の存在を示す、請求項41〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
遊離T3の前記カットオフ間隔が、2.8〜4.4pg/mLである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
遊離T4の前記カットオフ間隔が、0.8〜2.0ng/mLである、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
rT3の前記カットオフ間隔が、10〜24ng/mLである、請求項50〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記カットオフ間隔未満の濃度は低いと見なされ、前記カットオフ間隔内の濃度は正常と見なされ、および前記カットオフ間隔を超える濃度は高いと見なされる、請求項50〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記甲状腺関連障害を治療するステップをさらに含む、請求項41〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記治療が、治療有効量での薬物の投与を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記薬物が甲状腺刺激化合物である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記甲状腺刺激化合物が、T3、T4、TSH、甲状腺自己抗体(TRAb、TPOAbおよびTgAb)およびチログロブリンからなる群から選択される、請求項42〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象がヒト対象である、請求項41〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記ヒト対象が子どもまたは成人である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコまたはイヌである、請求項41〜60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記試料が、血液試料、血清試料または血漿試料であり、任意選択で、前記試料が分析の前に処理されている、請求項40〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
分析の前の前記処理が、濾過、rT3の除去、および/またはpHの調節を含む、請求項40〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記甲状腺ホルモンが、表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いて検出される、請求項40〜63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記SPR測定値を用いて1種または複数の前記甲状腺ホルモンの濃度が決定される、請求項40〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記甲状腺ホルモンが、電気化学的変換により定量または監視される、請求項40〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
甲状腺関連障害が、リスト:甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、臨床的うつ病、甲状腺腫、グレーブス・バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能正常性症および極性T3症候群から選択される、請求項41〜66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記甲状腺機能亢進症が、高遊離T4、高遊離T3および低TSHを特徴とする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記甲状腺機能正常性症が、低遊離T3および高rT3を特徴とする、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記甲状腺機能低下症が、一次性または二次性である、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記一次性甲状腺機能低下症が、低遊離T4、正常または低遊離T3および高TSHを特徴とする、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記二次性甲状腺機能低下症が、低遊離T4、正常または低遊離T3および正常または低TSHを特徴とする、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
次記を含む、少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーの製造方法:
a.基材を用意するステップ、
b.少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体の組み合わせを用意するステップ、
c.前記ヨードサイロニンデヨージナーゼおよび前記抗rT3抗体を前記基材表面上に固定し、それにより、少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼを含むセンサーを製造するステップであって、前記組み合わせが、
・1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および抗rT3抗体、
・2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および抗rT3抗体、または
・1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、
を含むステップ。
【請求項74】
前記基材が、請求項1〜73のいずれか1項で定義の通りである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼが、請求項1〜74のいずれか1項で定義の通りである、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
次記を含む、甲状腺ホルモンの定量および/または監視のための手持ち型装置:
a.試料の入口;
b.センサーであって、
i.基材、および
ii.少なくとも2種のヨードサイロニンデヨージナーゼ、および任意選択で、抗rT3抗体の組み合わせを含み、前記組み合わせが、
・1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および抗rT3抗体、
・2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および抗rT3抗体、または
・1型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、2型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、および3型ヨードサイロニンデヨージナーゼ、
を含む、センサー、
c.前記センサーからシグナルを受け、それを使用者により読み取り可能なフォーマットに変換するように構成された検出器、
d.任意選択で、前記試料から細胞成分を分離する手段。
【請求項77】
前記センサーが、請求項1〜76のいずれか1項で定義の通りである、請求項76に記載の手持ち型装置。
【請求項78】
前記第1のヨードサイロニンデヨージナーゼ、前記第2のヨードサイロニンデヨージナーゼおよび前記抗rT3抗体が、請求項1〜77のいずれか1項で定義の通りである、請求項76または77に記載の手持ち型装置。
【手続補正書】
【提出日】2021年4月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【国際調査報告】