(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本明細書では、異種タンパク質を発現する樹状細胞を投与して免疫応答を誘発することによってがんを治療するための方法及び組成物が開示される。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、CD40L及びCXCL13をコードする1つ以上の異種核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、CD93をコードする異種核酸分子をさらに含む。なおさらなる実施形態では、異種タンパク質を発現する樹状細胞を活性化させる。
前記同種メラノーマ細胞ライセートは、DDM−1.7細胞ライセート、DDM−1.13細胞ライセート、またはそれらの組み合わせである、請求項12に記載の抗原活性化樹状細胞。
対象における固形腫瘍、がん、または悪性疾患を治療する方法であって、請求項1〜4または16〜17に記載の樹状細胞もしくは組成物のうちのいずれかを前記対象に投与することを含む、前記方法。
対象における固形腫瘍、がん、または悪性疾患を治療する方法であって、請求項5〜14または15〜17に記載の樹状細胞もしくは組成物のうちのいずれかを前記対象に投与することを含む、前記方法。
投与前に、前記対象から切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルのスクリーニングを行い、同種腫瘍ライセートのタンパク質発現プロファイルとの交差適合検査を行うこと、及び
前記切除した腫瘍または前記生検標本の前記タンパク質発現プロファイルのうち少なくとも3つの断片が前記同種腫瘍ライセートの前記タンパク質発現プロファイルと交差適合する場合に、同種腫瘍ライセート活性化樹状細胞または活性化樹状細胞組成物を投与すること、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
前記同種腫瘍ライセートは、DDM−1.7、DDM−1.13、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される同種メラノーマ細胞株に由来する、請求項20に記載の方法。
前記がんは、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌/大腸癌、リンパ性悪性疾患、膵癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、メラノーマ、ならびにCNS腫瘍(神経膠腫(脳幹部神経膠腫及び混合膠腫等)、膠芽腫(多形膠芽腫としても知られる)星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚腫、髄芽腫、シュワン細胞腫 頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫及び脳転移等)からなる群から選択される固形腫瘍である、請求項18〜22のいずれかに記載の方法。
前記樹状細胞または前記組成物は容器内に凍結もしくは凍結保存されており、かつ、任意選択で、別個の容器に凍結保存された同種腫瘍ライセートを含む、請求項1〜17に記載の樹状細胞または組成物のうちのいずれかを含むキット。
前記樹状細胞または前記組成物は容器内に凍結もしくは凍結保存されており、任意選択で、別個の容器に凍結もしくは凍結保存された自己腫瘍ライセートを含む、請求項1〜17に記載の樹状細胞または組成物のうちのいずれかを含むキット。
請求項1〜4または16に記載の樹状細胞または組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、前記対象におけるがんを治療する方法であって、前記樹状細胞または前記組成物は腫瘍抗原をパルスされていない、前記方法。
請求項1〜17に記載の樹状細胞または組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、前記対象におけるがんを治療する方法であって、前記樹状細胞は腫瘍抗原またはライセートをパルスされている、前記方法。
免疫系を活性化する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の請求項1〜17に記載の樹状細胞または組成物のうちのいずれかを投与することを含む、前記方法。
前記未熟樹状細胞と、TNF−α、IL−1β、IFN−α、IFN−γ、及びpICのうち1つ以上を含む組成物とを接触させることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
前記作製することは、CD14+単球と、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93をコードする1つ以上のベクターとを接触させることを含む、請求項39に記載の方法。
前記ベクターは、組換えアデノウイルスベクター、組換えレトロウイルスベクター、もしくは組換えレンチウイルスベクター、またはそれらの組み合わせである、請求項40に記載の方法。
CD40Lと、CXCL13と、任意選択でCD93とを異種発現する前記CD14+単球を前記作製することは、前記単球と、CD40Lと、CXCL13と、任意選択でCD93とを異種発現するCD14+単球を産生する1つ以上のCRISPRコンストラクトとを接触させることを含む、請求項40に記載の方法。
前記同種腫瘍ライセートは、DDM−1.7、DDM−1.13、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される同種メラノーマ細胞株に由来する、請求項46に記載の方法。
前記樹状細胞または前記組成物の投与後4〜14日の時間枠で、前記患者はさらに、抗PD−1抗体(ニボルマブ(Bristol−Myers Squibbによるニボルマブ)、MK−3475(Merckによるキイトルーダ)としても知られるペンブロリズマブ/ランブロリズマブ、ピジリズマブ(Curetech)、AMP−224(Amplimmune)を含む)、または抗PD−L1抗体(MPDL3280A(Roche)、MDX−1105(Bristol Myer Squibb)、MEDI−4736(AstraZeneca)及びMSB−0010718C(Merck)を含む)等の、PD−1またはPD−L1(B7−H1)の阻害剤、CTLA−4の拮抗薬(抗CTLA4抗体ヤーボイ(商標)(イピリムマブ、Bristol−Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、チシリムマブ(AstraZeneca)またはAMGP−224(Glaxo Smith Kline)を含む抗CTLA−4抗体等)が含まれる、2種のチェックポイント阻害剤のうちのいずれか1つもしくは組み合わせが含まれる、免疫チェックポイント阻害剤;あるいは腫瘍特異的抗体である、乳癌に対するトラスツズマブ(ハーセプチン)、リンパ腫に対するリツキシマブ(リツキサン)、もしくはセツキシマブ(アービタックス)を投与される、請求項18〜27または33〜36のいずれかに記載の方法。
前記化学療法は、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、ビンブラスチン、イリノテカン、エトポシド、もしくはペメトレキセド、またはそれらの組み合わせ、もしくはそれらの薬学的に許容される塩によるものである、請求項54に記載の方法。
前記免疫調節抗体は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗CD40抗体、抗CTLA−4抗体、もしくは抗OX40抗体、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項54に記載の方法。
前記治療または前記免疫応答増大は、前記患者が疾患改善または疾患の安定/非進行を示す限り、維持療法として、5日に1回、10日、14日に1回、21日に1回、月1回から、2か月に1回まで、3か月に1回まで、4か月に1回まで、5か月に1回まで、6か月に1回まで、または7か月に1回、または8か月に1回、または9か月に1回、または10か月に1回、または11か月に1回、または年1回という時間枠で定期的に繰り返される、請求項18〜27、33〜36、51、または52〜54のいずれかに記載の方法。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、CD40L及び/またはCXCL13をコードする1つ以上の異種核酸分子を含む樹状細胞が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つ以上の異種核酸分子は、CD93をコードする。
【0008】
本明細書ではさらに、異種CD40Lタンパク質と異種CXCL13タンパク質とを含む樹状細胞が提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、細胞は、異種CD93タンパク質をさらに含む。
【0010】
本明細書ではさらに、抗原活性化樹状細胞が提供され、かかる樹状細胞は、CD40L及び/またはCXCL13をコードする1つ以上の異種核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の異種核酸分子は、CD93をコードする。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗原活性化樹状細胞は、1つ以上の抗原への曝露によって活性化される。
【0012】
いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗原は、ウイルス抗原である。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗原は、細胞ライセートである。
【0015】
いくつかの実施形態では、細胞ライセートは、抗原活性化樹状細胞にとって同種または自己である。
【0016】
いくつかの実施形態では、細胞ライセートは、同種メラノーマ細胞ライセートの1つまたは組み合わせを含むライセートである。
【0017】
いくつかの実施形態では、同種メラノーマ細胞ライセートは、DDM−1.7細胞ライセート、DDM−1.13細胞ライセート、またはそれらの組み合わせである。
【0018】
いくつかの実施形態では、細胞ライセートは、全細胞ライセートである。
【0019】
いくつかの実施形態では、細胞ライセートは、腫瘍細胞ライセートである。
【0020】
本明細書ではさらに、本明細書に記載される細胞を含む組成物(組換え樹状細胞もしくは活性化細胞、または関連組成物)が提供され、かかる組成物は異種抗原を含まない。
【0021】
本明細書ではさらに、本明細書で提供される細胞を含む医薬組成物が提供される。
【0022】
本明細書ではさらに、本明細書で提供される細胞または組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、対象における固形腫瘍、がん、または悪性疾患を治療する方法が提供される。
【0023】
本明細書ではさらに、本明細書で提供される細胞または組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、対象における固形腫瘍、がん、または悪性疾患を治療する方法が提供される。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、
投与前に、対象から切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルのスクリーニングを行い、同種腫瘍ライセートのタンパク質発現プロファイルとの交差適合検査を行うこと、及び
切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルのうち少なくとも3つの断片が同種腫瘍ライセートのタンパク質発現プロファイルと交差適合する場合に、同種腫瘍ライセート活性化樹状細胞または活性化樹状細胞組成物を投与すること、をさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、同種腫瘍ライセートは、DDM−1.7、DDM−1.13、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される同種メラノーマ細胞株に由来する。
【0026】
いくつかの実施形態では、樹状細胞は対象と同じHLA型を有していない。
【0027】
いくつかの実施形態では、がんは、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌/大腸癌、リンパ性悪性疾患、膵癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、メラノーマ、ならびにCNS腫瘍(神経膠腫(脳幹部神経膠腫及び混合膠腫等)、膠芽腫(多形膠芽腫としても知られる)星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚腫、髄芽腫、シュワン細胞腫 頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫及び脳転移等からなる群から選択される固形腫瘍である。
【0028】
いくつかの実施形態では、投与経路は、腫瘍内、腫瘍周囲、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内への注射を介する。
【0029】
いくつかの実施形態では、投与することは、皮下注射、腫瘍内注射または皮内注射を介する。
【0030】
いくつかの実施形態では、樹状細胞または組成物を、凍結または凍結保存し、投与前に解凍する。
【0031】
いくつかの実施形態では、樹状細胞には、投与前に抗原をパルスしない。
【0032】
本明細書ではさらに、本明細書で提供される樹状細胞または組成物のうちのいずれかを含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、樹状細胞または組成物は、容器内に凍結または凍結保存されており、任意選択で、別個の容器に凍結もしくは凍結保存された同種腫瘍ライセートを含む。
【0033】
本明細書ではさらに、本明細書に記載される樹状細胞または組成物のうちのいずれかを含むキットが提供され、かかる樹状細胞または組成物は容器内に凍結もしくは凍結保存されており、任意選択で、別個の容器に凍結もしくは凍結保存された自己腫瘍ライセートを含む。
【0034】
本明細書ではさらに、本明細書に記載される樹状細胞または組成物のうちのいずれかを含むキットが提供され、かかる活性化された樹状細胞または組成物は容器内に凍結もしくは凍結保存されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の緩衝液を含み、任意選択で1つ以上の活性化剤を含む、別個の容器をさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、キットは、樹状細胞もしくは組成物をインキュベート及び/または処理するための説明書をさらに含む。
【0037】
本明細書ではさらに、対象におけるがんを治療する方法であって、
投与前に、対象から切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルのスクリーニングを行い、同種腫瘍ライセートのタンパク質発現プロファイルとの交差適合検査を行うこと、
切除した腫瘍もしくは生検標本のタンパク質発現プロファイルの少なくとも3つの断片が同種腫瘍ライセートのタンパク質発現プロファイルに適合する場合に、本明細書で提供される樹状細胞もしくは組成物のうちのいずれかを対象に投与すること、あるいは
切除した腫瘍もしくは生検標本のタンパク質発現プロファイルの少なくとも3つの断片が同種腫瘍ライセートタンパク質発現プロファイルに適合しない場合に、
(a)本明細書に記載される樹状細胞もしくは組成物のうちのいずれかをパルスした自己腫瘍ライセートを含む組成物を対象に投与するか、または
(b)抗原をパルスしていない、本明細書に記載される細胞もしくは組成物のうちのいずれかを対象に投与すること、を含む方法が提供される。
【0038】
本明細書ではさらに、本明細書で提供されるような樹状細胞または組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法が提供され、かかる樹状細胞または組成物は、腫瘍抗原をパルスされていない。
【0039】
本明細書ではさらに、本明細書で提供されるような樹状細胞または組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法が提供され、かかる樹状細胞は、腫瘍抗原またはライセートをパルスされている。
【0040】
本明細書ではさらに、免疫系を活性化させる方法であって、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に記載される樹状細胞または組成物のうちのいずれかを投与することを含む方法が提供される。
【0041】
本明細書ではさらに、未熟樹状細胞を作製する方法であって、
CD40Lと、CXCL13と、任意選択でCD93とを異種発現するCD14+及び/またはCD1a+の単球を、未熟樹状細胞へとインビトロで培養することを含む方法が提供される。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、未熟樹状細胞と、TNF−α、IL−1β、IFN−α、IFN−γ、及びpICのうち1つ以上を含む組成物とを接触させることを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、CD40Lと、CXCL13と、任意選択でCD93とを異種発現するCD14+単球を作製することをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、作製することは、CD14+単球と、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93をコードする1つ以上のベクターとを接触させることを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、ベクターは、組換えアデノウイルスベクター、組換えレトロウイルスベクター、もしくは組換えレンチウイルスベクター、またはそれらの組み合わせである。
【0046】
いくつかの実施形態では、CD40Lと、CXCL13と、任意選択でCD93とを異種発現するCD14+単球を作製することは、単球と、CD40Lと、CXCL13と、任意選択でCD93とを異種発現するCD14+単球を産生する1つ以上のCRISPRコンストラクトとを接触させることを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、CRISPRコンストラクトはCAS9である。
【0048】
いくつかの実施形態では、接触させることは、トランスフェクション、形質導入、電気穿孔、感染、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法は、未熟樹状細胞を凍結することをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、未熟樹状細胞を、成熟前に自己腫瘍ライセートまたは同種腫瘍ライセートと接触させることをさらに含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、方法は、樹状細胞を成熟後に凍結することをさらに含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、CD14+単球は、CD93を異種発現するようにさらに改変される。
【0053】
いくつかの実施形態では、同種腫瘍ライセートは、DDM−1.7、DDM−1.13、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される同種メラノーマ細胞株に由来する。
【0054】
いくつかの実施形態では、ライセートは全細胞ライセートである。
【0055】
いくつかの実施形態では、患者において移植片対腫瘍(GVT)応答が増大する。
【0056】
いくつかの実施形態では、患者は、樹状細胞または組成物の投与後4〜14日の時間枠で、抗PD−1抗体(ニボルマブ(Bristol−Myers Squibbによるニボルマブ)、MK−3475(Merckによるキイトルーダ)としても知られるペンブロリズマブ/ランブロリズマブ、ピジリズマブ(Curetech)、AMP−224(Amplimmune)を含む)、または抗PD−L1抗体(MPDL3280A(Roche)、MDX−1105(Bristol Myer Squibb)、MEDI−4736(AstraZeneca)及びMSB−0010718C(Merck)を含む)等の、PD−1またはPD−L1(B7−H1)の阻害剤、CTLA−4の拮抗薬(抗CTLA4抗体ヤーボイ(商標)(イピリムマブ、Bristol−Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、チシリムマブ(AstraZeneca)またはAMGP−224(Glaxo Smith Kline)を含む抗CTLA−4抗体等)が含まれる、2種のチェックポイント阻害剤のうちのいずれか1つもしくは組み合わせが含まれる、免疫チェックポイント阻害剤;あるいは腫瘍特異的抗体である、乳癌に対するトラスツズマブ(ハーセプチン)、リンパ腫に対するリツキシマブ(リツキサン)、もしくはセツキシマブ(アービタックス)をさらに投与される。
【0057】
いくつかの実施形態では、方法は、がんを治療するために一般に使用される1つ以上の追加薬剤を投与することをさらに含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、追加薬剤は、放射線、化学療法、抗体薬物複合体、及び免疫調節抗体から選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、化学療法は、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、ビンブラスチン、イリノテカン、エトポシド、もしくはペメトレキセド、またはそれらの組み合わせ、もしくはそれらの薬学的に許容される塩によるものである。
【0060】
いくつかの実施形態では、免疫調節抗体は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗CD40抗体、抗CTLA−4抗体、もしくは抗OX40抗体、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0061】
いくつかの実施形態では、抗体薬物複合体は、c−Metキナーゼ、LRRC15、EGFR、もしくはCS1、またはそれらの任意の組み合わせを標的とする。
【0062】
いくつかの実施形態では、治療または免疫応答の増大は、患者が疾患改善または疾患の安定/非進行を示す限り、維持療法として、5日に1回、週1回、10日に1回、14日に1回、21日に1回、月1回から、2か月に1回まで、3か月に1回まで、4か月に1回まで、5か月に1回まで、6か月に1回まで、または7か月に1回、または8か月に1回、または9か月に1回、または10か月に1回、または11か月に1回、または年1回という時間枠で定期的に繰り返される。
【0063】
本明細書では、異種タンパク質を発現する樹状細胞を投与して免疫応答を誘発することによってがんを治療するための方法及び組成物が開示される。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、CD40L及びCXCL13をコードする1つ以上の異種核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、CD93をコードする異種核酸分子をさらに含む。さらなる実施形態では、樹状細胞は、CD40L及びCD93をコードする1つ以上の異種核酸分子を含む。さらなる実施形態では、樹状細胞は、CXCL13及びCD93をコードする1つ以上の異種核酸分子を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、CD40LとCXCL13と、任意選択でCD93とを過剰発現する樹状細胞は、抗原活性化樹状細胞であり得る。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原またはウイルス抗原であり得る。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、対象にとって同種または自己である。
【0065】
さらなる実施形態では、対象におけるがんを治療する方法は、樹状細胞を含む組成物を対象に投与することを含み、ここで、樹状細胞は、CD40L、CXCL13、及びCD93から選択される1つ以上のタンパク質を過剰発現する。いくつかの実施形態では、方法は、
(a)対象から切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルを取得すること、
(b)切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルと、メラノーマ細胞ライセートのタンパク質発現プロファイルとを比較すること、及び
(c)切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルの少なくとも3つのマーカーがメラノーマ細胞ライセートのタンパク質発現プロファイルに適合する場合には、樹状細胞とメラノーマ細胞ライセートとを共培養して樹状細胞を活性化させ、活性化された樹状細胞を含む組成物を対象に投与すること、
または
(d)切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルの少なくとも3つのマーカーがメラノーマ細胞ライセートのタンパク質発現プロファイルに適合しない場合には、樹状細胞と自己腫瘍または生検ライセートとを共培養して樹状細胞を活性化させ、自己で活性化された樹状細胞を含む組成物を対象に投与すること、をさらに含む。
【0066】
さらなる実施形態では、未熟樹状細胞を作製する方法は、
(a)対象からCD14+単球を単離すること、
(b)単離されたCD14+単球でCD40L、CXCL13、及びCD93を過剰発現させること、及び
(c)インビトロでCD14+単球を未熟樹状細胞に分化させること、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本実施形態は、部分的には、CD40L、CXCL13、及び/またはCD93で形質導入された樹状細胞に関連する方法及び組成物を対象とする。CD40L、CXCL13、及び/またはCD93は、ヒトであり得る。いくつかの実施形態では、CD40L、CXCL13、及び/またはCD93は、げっ歯類(マウスまたはラット)またはブタである。異種発現させたタンパク質を含む細胞は、組換え細胞と呼ばれ得る。組成物は、固形腫瘍を有する対象及び悪性疾患を有する対象に対するワクチン接種及び/または免疫アジュバントとしての、組換えDC(樹状細胞)単独の組成物であり得るか、あるいは代替的実施形態では、組換えDC細胞は、細胞と腫瘍ライセートとを接触させること(「搭載すること」とも呼ばれ得る)、または代替として、同種(「既製」)腫瘍ライセートを搭載することによって、抗原活性化され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍ライセートは、樹状細胞の供給源に関して同種である。いくつかの実施形態では、腫瘍ライセートは、樹状細胞の供給源に関して自己である。
【0069】
樹状細胞(DC)は、プロフェッショナルな抗原処理細胞である。それらの細胞は、抗原の取り込みを高めるいくつかの受容体を有しており、またそれらは、これらの抗原を、リンパ球が認識することのできるMHC−ペプチド複合体に変換することに特化している。
【0070】
理論に束縛されることは望まないが、本組成物及び本方法は、少なくとも部分的に、組換え(または遺伝子導入)樹状細胞が、注射部位で混合白血球反応(MLR)を生じさせる能力に基づいている。周知の臨床アッセイであるMLRで試験した際、本明細書に記載される組換えalloDCは、主要な刺激因子であり、また異常に強力であった。いくつかの実施形態では、DCは、対象にとって同種であり得る。そのような実施形態では、DCは、alloDCと呼ばれ得る。alloDCは、それらが投与される対象と比較した場合に同種である細胞である。
【0071】
いくつかの実施形態では、患者のT細胞及びB細胞の誘引を最大限にして、抗腫瘍の細胞性及び液性免疫応答のカスケードを引き起こすために、DCは、CD40L及び/またはCXCL13で形質導入される。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCXCL13で形質導入される。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L、CXCL13、及びCD93で形質導入される。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCD93で形質導入される。いくつかの実施形態では、DCは、CXCL13及びCD93で形質導入される。いくつかの実施形態では、細胞は、CD93で形質導入されない。いくつかの実施形態では、DCは、CD93を異種発現しない。
【0072】
任意選択のさらなる実施形態では、CD40L+及びCXCL13+のalloDCへのCD93形質導入により、同種DCと宿主DC間のクロストークが促進され、安定かつ持続性の宿主抗腫瘍免疫原性が作り出される。
【0073】
いくつかの実施形態では、CD40L及びCXCL13(及び任意選択でCD93)または本明細書に記載のようなそれらの任意の組み合わせをコードする組換えベクターをヒトCD14+単球にトランスフェクトし、ヒト単球で安定して発現されるようにする。陽性に形質導入された単球は選択することができ、その後、かかる単球は、インビトロで未熟DC及び/または成熟DCに分化させることができる。切除及び生検を行った悪性患者の場合、自己腫瘍ライセートを生成することができ、腫瘍ライセートは、未熟組換えalloDC(組換えim alloDc)に提示されて、自己腫瘍ライセートが組換えim alloDcによるプロセスを受けるようにすることができる。いくつかの実施形態では、切除した腫瘍標本及び生検標本のタンパク質発現プロファイルのスクリーニングを行う。発現プロファイリングで、少なくとも3つの断片がGMP−MCVと共有されることが示される場合には、組換えimDCは、DCが成熟する前にインビトロでGMP−MCVを搭載される。切除不能及び生検不能である患者の場合はいずれも、組換えCD40L+CXCL13+alloDC(または任意選択でさらにCD93+が含まれる)を免疫アジュバントとして、抗原は搭載せずに患者に投与することができる。このCD40L+CXCL13+(任意選択の)CD93 AlloDCのアプローチを使用することにより、末期段階のがん患者は、腫瘍抗原に対して新たな抗腫瘍の細胞性及び液性免疫応答を開始して、いかなる特定の機序にも拘束されずに、免疫応答を高めることができる。
【0074】
組換えDCを活性化させるために使用され得る別の腫瘍ライセートには、DDM−1.7及び/またはDDM−1.13が含まれる。DDM−1.7及びDDM−1.13の記載は、米国特許第7,771,998号及び同第7,723,107号(公的に入手可能なそれぞれの寄託情報:ECACC01112339及びECACC01112338を含む)に見ることができ、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
本明細書で使用される場合、未熟である樹状細胞は、CD1a陽性、CD14陰性、及びCD83陰性/低というマーカー特性を有するものである。
【0076】
いくつかの実施形態では、樹状細胞の供給源は、ドナーの末梢血由来であり得、CD14+単球またはCD34+細胞に由来する樹状細胞が含まれる。いくつかの実施形態では、ドナーは、本明細書に記載される樹状細胞及び組成物で治療される対象と同じではない。
【0077】
近年、T細胞、特にナイーブT細胞への抗原送達の効率的な方法は、樹状細胞を手段とするものであることが認識されている。樹状細胞(DC)は、最も効率的な抗原提示細胞であり、DCを用いた免疫療法はすでにがん治療の様々な状況で使用されており((Kugler et al.,2000,Nat.Med.,v.6,pp.332−336、Nestle et al.,1998,Nature(Med.),v.4,pp.328−332、Thurner et al.,1999,J.Exp.Med.,v.190,pp.1669−1678))、この方法による免疫の効力の高さを示している。
【0078】
DC特有の特性の1つは、それらがエンドサイトーシスにより外因性タンパク質を取り込む能力であり、取り込まれた外因性タンパク質は次に、プロセスを受け、MHCクラスI抗原と共にペプチドエピトープとしてDC表面に提示される。抗原を提示している樹状細胞は、細胞傷害性T細胞によって認識され得る。この特性は、腫瘍細胞抗原を、外因的に加えられる腫瘍ライセートまたはアポトーシス小体の形態で利用する場合に重要なことである。高い細胞内活性は、未熟DCと成熟DCの比較を基にすると、DCの分化の未熟段階に関連すると考えられている、(Sallusto et al.,1995,J.Exp.Med.,v.182,pp.389−400)。
【0079】
いくつかの実施形態では、組換え樹状細胞は、組換え樹状細胞に腫瘍細胞ライセート及び/または抗原を搭載する前もしくは搭載中、インターフェロン−アルファ(IFN−α)及び/または5’−アザ−2’デオキシシチジン(Aza)で処理される。https://doi.org/10.1101/531616を参照のこと。
【0080】
いくつかの実施形態では、精製ヒトCD14+単球は、ヒトのCD40L及びCXCL13のコンストラクト、及び任意選択でCD93のコンストラクトも含む、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクター等の組換えベクターで形質導入され、これにより、精製されたヒト単球上に組換え分子を発現させることができる。その後、陽性に形質導入された単球を選択し、次いで、これらをインビトロで未熟DC(imDC)に分化させ、これらを組換え同種DC(組換えalloDC)とする。いくつかの実施形態では、発現は、安定発現である。いくつかの実施形態では、発現は、過剰発現である。「過剰発現」とは、天然発現レベルに対して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、または500%超えているレベルを指す。天然発現レベルとは、CD40L、CXCL13、及び/またはCD93等、目的の異種タンパク質またはタンパク質を発現するようなベクターでの形質導入が行われていない細胞の発現レベルを指す。
【0081】
樹状細胞の様々な段階及び成熟/活性化因子についての記載は
図1Dに示されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるFront Immunol.2013;4:438を参照のこと)。
【0082】
いくつかの実施形態では、組換えDCと成熟因子とを、腫瘍細胞ライセート及び/または抗原を搭載した後で接触させることによって細胞を成熟させる。そのような成熟因子には、少なくとも、IL−1β、IL−6、TNF−α、及びPGE2、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、組換えDCと成熟因子とを接触させてから、腫瘍細胞ライセート及び/または抗原と接触させることによって細胞を成熟させる。いくつかの実施形態では、DCを成熟因子で成熟させ、腫瘍細胞ライセート及び/または抗原と接触させない。いくつかの実施形態では、組換え樹状細胞を、IL−4、GM−CSF、IL−13、IFN−γ、Flt−31、SCF、及びTNF−αからなる群から選択されるサイトカインと共に培養またはインキュベートする。
【0083】
略語
WBC:白血球
IPA:70%イソプロピルアルコール
QA:品質保証
QC:品質管理
Vol.:体積
RT:室温
DC:樹状細胞
imDC:未熟樹状細胞
mDC:成熟樹状細胞
AlloDC:同種樹状細胞
MCV:MalCancerVac
GM−CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子
IL−4:インターロイキン4
IL−1β:インターロイキン1β
IL−15:インターロイキン15
TNFα:腫瘍壊死因子α
pIC:ポリイノシン:ポリシチジン酸
IFN−α:インターフェロンα
IFN−γ:インターフェロンγ
CXCL13:C−X−Cモチーフケモカインリガンド13
CD40L:CD40リガンド
MAGE:メラノーマ関連抗原
MOI:感染多重度
【0084】
本出願及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈で特に明確に指示されない限り、複数形が含まれる。さらに、用語「含まれる(includes)は「含む(comprises」を意味する。
【0085】
用語「患者」と「対象」は置き換え可能であり、本発明の化合物で治療され得るあらゆる生物を意味すると解釈されてよい。したがって、用語「患者」及び「対象」には、任意の非ヒト哺乳類、霊長類またはヒトが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒト等の哺乳類である。いくつかの実施形態では、患者または対象は、成人、小児または乳児である。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。
【0086】
用語「約」とは、数値の直前に置かれる場合、その値のプラスマイナス10%の範囲を意味し、例えば、「約50」は45〜55を意味し、「約25,000」は22,500〜27,500を意味する等であるが、開示の文脈で他に指示されるか、またはそのような解釈と矛盾する場合はその限りではない。例えば、「約49、約50、約55」等の数値の列挙では、「約50」は、直前及び後続の値との間隔(複数可)の半分未満まで拡大した範囲、例えば、49.5超から52.5未満までを意味する。さらに、「約(値)未満」または「約(値)超」という語句は、本明細書で提供される用語「約」の定義を考慮して理解されるべきである。さらに、ある範囲が、「約X〜Y」のように書かれている場合、文脈で他に指示されない限り、「約」はXとYの両方の値を修飾する。
【0087】
本明細書で使用される場合、「投与する」、「投与すること」または「投与」という用語は、目的薬剤とも呼ばれ得る、化合物、細胞、組成物、または医薬組成物のいずれかを直接投与することを指す。いくつかの実施形態では、組成物は、ウイルスまたは細菌の粒子を除去するために滅菌または濾過されている。
【0088】
「同時投与」等の用語は、単一患者に対する選択治療剤の投与を包含することを意味し、同一もしくは異なる投与経路、または同時もしくは異なる時間により薬剤が投与される治療レジメンが含まれることが意図される。
【0089】
ある組成物の「治療的有効量」とは、所望の効果を達成するため、すなわち、患者の望ましくない状態、疾患もしくは症状を改善する(ameliorate)、予防する、または改善する(improve)ために十分な量である。本方法により意図される活動には、必要に応じて、治療的処置及び/または予防的処置のいずれも含まれ得る。具体的な用量は、例えば、投与される治療薬、投与経路、及び治療される状態を含め、その症例を取り巻く特定の状況によって決定することができる。投与される有効量は、治療される状態、投与されるべき治療薬の選択、及び選択投与経路を含め、関連する状況に鑑みて医師により決定され得る。
【0090】
用語「阻害する」には、症状の発症を予防する、症状を軽減する、または疾患、状態もしくは障害を消失させるための、本明細書の実施形態の治療薬の投与が含まれる。
【0091】
「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤または添加物は、治療薬の他の成分との適合性があり、そのレシピエントにとって有害であってはならないこと意味する。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療される」、または「治療すること」とは、治療的処置及び予防的(prophylactic)または予防的(preventative)措置の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的な状態、障害もしくは疾患を、阻害するか、予防するか、もしくは減速させる(減少させる)こと、あるいは臨床結果を改善するか、阻害するか、または他の方法で有益もしくは所望の臨床結果を得ることである。有益または所望の臨床結果には、症状の改善または軽減;状態、障害または疾患の程度の減弱;状態、障害または疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させない);状態、障害もしくは疾患の、発症の遅延または進行の減速;状態、障害または疾患の状態の改善;及び状態、障害もしくは疾患の、検出可能か検出不能かを問わない寛解(部分寛解、完全寛解を問わない)、または増強もしくは改善が含まれるが、これらに限定されない。治療には、過剰なレベルの副作用を伴わずに、臨床上重要な応答を誘発することが含まれる。治療にはまた、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較した生存期間延長も含まれる。
【0093】
「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「特徴とする(characterized by)」と同義である移行用語「含む(comprising)」は、包括的または非限定的であり、追加の記述されていない要素または方法ステップを除外しない。対照的に、移行句「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲で特定されていない、いかなる要素、ステップ、または成分も除外する。「本質的に〜からなる」という移行句は、特許請求の範囲を、特定された材料またはステップ及び請求項に係わる発明の「基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップ」に限定する。含む(comprising)という用語が移行句として使用されている実施形態または請求項では、そのような実施形態は、「含む(comprising)」という用語を、「からなる(consisting of)」または「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」という用語で置き換えることを想定することもできる。
【0094】
本明細書では、異種タンパク質を発現する樹状細胞を投与して免疫応答を誘発することによってがんを治療するための方法及び組成物が開示される。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCXCL13を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L、CXCL13、及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CXCL13及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD93を異種発現しない。
【0095】
いくつかの実施形態では、樹状細胞は、それらが投与される対象に関して同種であり、そのため、HLA発現により制限されることがない。対象と比較して同種であるという細胞の性質は、改善された抗腫瘍効果を開始させるための追加利点である。
【0096】
いくつかの実施形態では、樹状細胞は、それらが投与される対象にとって自己であり得る。
【0097】
したがって、理論に束縛されることは望まないが、本発明の態様は、患者において、がん(腫瘍)に対する改善された免疫応答を誘発するために、異種タンパク質を発現する樹状細胞(例えば、組換えalloDC)を患者に提供することに関する。本明細書に記載される方法及び組成物には、以前の組成物及び方法に対して多くの利点があり、これには、フィーダー細胞との共培養がないこと、ならびに組換えalloDCのため、及び任意選択で自己抗原または「既製」抗原を搭載するためのインビトロでの培養/インキュベーション時間が短いことにより、細胞組成物の汚染リスクが最小限に抑えられること、及び細胞組成物の調製と患者への送達が容易かつ迅速であることが挙げられ、これらに、細胞組成物による副作用が極最小限であり、典型的にはわずかグレード1(またはそれより少ない副作用)であることが伴う。これらの組換えallo−DC細胞及び組成物により、細胞性と液性の両方の免疫応答が患者に誘発されるという追加利点が提供される。さらに、HLA不適合のDCに対する宿主のアロ反応性により、腫瘍特異的な免疫応答が増幅される。これらの方法はまた、ワクチン同様にがん標的を認識して死滅させるよう、宿主の患者免疫細胞をトレーニングして、宿主の細胞性及び液性の応答を高める「ワクチン効果」を提供するのに役立つ。いくつかの実施形態では、細胞を受け取る対象は、細胞を異物と見なして、その細胞に対する免疫応答を開始し、これは、細胞を拒絶すると言われ得る。この「拒絶」は、対象の腫瘍特異的免疫応答を増幅させることができる。
【0098】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」とは、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然供給源または組換え供給源に由来する無傷の免疫グロブリンであり得、また無傷の免疫グロブリンの免疫反応性部分であり得る。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab及びF(ab)2、ならびに一本鎖抗体及びヒト化抗体を含む、様々な形態で存在してよい。
【0099】
用語「抗体断片」とは、無傷抗体の一部を指し、無傷抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvの各断片、線状抗体、scFv抗体、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書で使用される場合、用語「抗原」は、免疫応答を誘発する分子と定義される。この免疫応答は、抗体産生、もしくは特定の免疫学的コンピテントセルの活性化、またはその両方、のいずれを伴ってもよい。抗原はまた、DCを活性化させるためにインビトロで使用することもでき、これは、免疫応答に匹敵する。当業者は、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを含め、いかなる巨大分子も抗原として使用できることを理解できよう。さらに、抗原は、組換えまたはゲノムDNAに由来し得る。当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含むいかなるDNAも、本明細書で「抗原」という用語が使用されるところの「抗原」をコードすることを理解できよう。さらに、当業者は、抗原が、ある遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことを理解できよう。実施形態には、2つ以上の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用が含まれるが、これらに限定されないこと、及びこれらのヌクレオチド配列は、所望の免疫応答を誘発するよう様々な組み合わせで配置されることは、すぐに明らかとなる。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要はまったくないことを理解できよう。抗原は、合成で作製することも、また生体試料に由来することも可能なことは、すぐに明らかとなる。そのような生体試料には、組織試料、腫瘍標本、細胞または生体液が含まれ得るが、これらに限定されない。本明細書に記載されるように、抗原は、腫瘍細胞ライセートであり得る。腫瘍細胞ライセートの例には、本明細書に記載されるもの、腫瘍生検または腫瘍切除から調製されたライセートが含まれるが、これらに限定されない。ライセートを調製する方法は知られており、いずれの方法も使用することができる。
【0101】
本明細書で使用される場合、用語「がん」は、異常細胞の急速かつ制御されない増殖を特徴とする疾患と定義される。がん細胞は、局所的に、または血流及びリンパ系を介して体の他の部分へと広がり得る。様々ながんの例には、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵癌、大腸癌、腎癌、肝癌、脳腫瘍、リンパ腫、白血病、肺癌等が含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
治療され得るがんには、血管が新生していないか、または血管がまだ実質的に新生していない腫瘍、及び血管が新生している腫瘍が含まれる。本明細書に記載される組換え樹状細胞で治療されるがん種には、癌腫、芽細胞腫、及び肉腫、ならびに特定の白血病またはリンパ性悪性疾患、良性及び悪性の腫瘍、ならびに悪性疾患、例えば、肉腫、癌腫、及びメラノーマ等が含まれるが、これらに限定されない。成人の腫瘍/がん及び小児の腫瘍/がんもまた含まれる。
【0103】
固形腫瘍は、組織の異常な塊であり、通常は嚢胞または液体領域を含有しない。固形腫瘍は、良性または悪性であり得る。腫瘍を形成する細胞の種類にちなんで、様々な種類の固形腫瘍が命名されている(肉腫、癌腫、及びリンパ腫等)。肉腫及び癌腫等の固形腫瘍の例には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性疾患、膵癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、メラノーマ、ならびにCNS腫瘍(神経膠腫(脳幹部神経膠腫及び混合膠腫等)、膠芽腫(多形膠芽腫としても知られる)星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚腫、髄芽腫、シュワン細胞腫 頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫及び脳転移等)が含まれる。
【0104】
本明細書で使用される場合、用語「抗腫瘍効果」とは、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、転移の数の減少、余命の延長、またはがん状態に関連した様々な生理的症状の改善によって示され得る、生物学的効果を指す。「抗腫瘍効果」は、組換え細胞及び治療用組成物が、まず最初に腫瘍の発現を予防する能力によっても示され得る。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「自己」とは、任意の材料であって、後でそれが再導入されるべき個体と同一の個体に由来するものを指すことが意図される。
【0106】
「同種」とは、試料(移植片、細胞、または細胞の集団)であって、後で試料が導入される動物と同じ種の異なる動物に由来するものを指す。いくつかの実施形態では、組換え樹状細胞は、組換え樹状細胞を受け取る対象と比べて完全にHLA不適合であり、HLA−A、−B、及び−DRを適合させることが移植片生着にとって有益である腎移植及び骨髄移植での状況とは異なる。がんを治療する、及び/または免疫応答を高める、及び/または免疫応答を改善するための本方法では、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93を発現する組換え樹状細胞は、T細胞を誘引して、例えば、液性免疫応答を生じさせることができ、これが、がん細胞を標的としてそれらに結合し、それらを死滅させる役割を果たし、腫瘍細胞抗原を放出する。このサイクルは、同種組換え樹状細胞では、これらの細胞が宿主細胞の免疫応答によって死滅させられるまで何度も繰り返される。これは、例えば、約4〜約7日以内(場合によっては、より長い範囲の約4〜約15日の間)に起こり得る。したがって、同種組換えDCのそのように短い寿命では、GVHD(移植片対宿主病)のリスクは低下しているかまたはまったくない。しかしながら、その約4〜約7日という期間、腫瘍細胞を認識して死滅させ、抗原を放出する過程において、いくつかの実施形態では、同種細胞は、腫瘍細胞を認識して死滅させるよう宿主の樹状細胞及び他の免疫細胞にワクチン接種する役割を果たすことができる。参照により全体が本明細書に組み込まれる総説Cancer Sci.2019 Jan;110(1):16−22をさらに参照のこと。抗腫瘍免疫の誘導は、自己増殖的であり得る循環過程である。これは、がん細胞に対するT細胞応答を増幅して拡張することができる。この循環過程はまた、それ自体、標的細胞(がん細胞)が根絶された場合にサイクルを停止させるためのいくつかの抑制因子を含んでいる。サイクルは、
図1Cに示されるように、7つのステップに分けることができ、がん細胞からのがん抗原の放出に始まり、がん細胞の殺滅で終わる。APCは抗原提示細胞、DCは樹状細胞である。
【0107】
「疾患」は、対象が恒常性を維持できず、また疾患を改善させなければその動物の健康が悪化し続ける、対象の健康状態である。対照的に、対象の「障害」は、対象が恒常性を維持することはできるが、対象の健康状態は、障害がない場合に考えられるものよりも好ましくない健康状態である。未治療で放置した場合、障害により、必ずしも対象の健康状態のさらなる悪化が引き起こされるわけではない。
【0108】
「コードすること」とは、遺伝子、cDNA、またはmRNA等のポリヌクレオチド中の、特定の配列のヌクレオチドの固有特性を指し、これは、定義された配列のヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)または定義された配列のアミノ酸のいずれか及びそれらから生じる生物学的特性を有する、生物学的プロセスでの他のポリマー及び巨大分子の合成用鋳型として機能する。したがって、ある遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳により細胞内または他の生物系でタンパク質が生成される場合、その遺伝子はそのタンパク質をコードする。mRNA配列と同一であり、通常、配列表に提供されるヌクレオチド配列であるコード鎖、及び遺伝子またはcDNAの転写の鋳型として使用される非コード鎖のいずれも、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると言うことができる。本明細書で使用される場合、目的タンパク質をコードするベクターとは、そのタンパク質またはタンパク質(複数)をコードするヌクレオチド配列を含有するベクターを指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、用語「外因性」とは、生物、細胞、組織もしくは系から導入されるかまたはその外部で産生される任意の材料を指す。異種タンパク質と呼ばれるタンパク質は、生物、細胞、組織または系内に導入されている外因性材料(ベクター、ヌクレオチド配列等)によって発現される。疑念を回避するため、異種タンパク質、異種ベクター、または異種ヌクレオチド分子は、生物、細胞、組織または系の天然の未修飾ゲノムに存在し得るものとは同じではない。生物、細胞、組織、もしくは系にすでに存在する配列と同じであるかまたは同様の配列を有し得る、異種タンパク質、ベクター、もしくはヌクレオチド配列は、その生物、細胞、組織、もしくは系のゲノムに見出される天然配列以外の位置もしくは配列から発現される。
【0110】
本明細書で使用される場合、用語「発現」は、自身のプロモーターにより誘導される特定のヌクレオチド配列の転写及び/または翻訳と定義される。
【0111】
「発現ベクター」とは、発現されるべきヌクレオチド配列に機能的に連結されている発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現に十分なシス作用エレメントを含み、他の発現エレメントは、宿主細胞によって、またはインビトロでの発現系において供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込む、コスミド、プラスミド(例えば、裸で、またはリポソーム中に含有)及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)等、当該技術分野で公知のものすべてが含まれる。
【0112】
「相同」または「相同性」とは、2つのポリペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性もしくは配列同一性を指す。2つの比較配列の双方におけるある位置が、同じ塩基またはアミノ酸の単量体サブユニットにより占有されている場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれにおけるある位置がアデニンにより占有されている場合は、その分子は、その位置において相同である。2配列間の相同性のパーセントは、2つの配列により共有されている一致または相同な位置の数を、比較される位置の数で割り、100をかける関数である。例えば、2つの配列において10箇所の位置のうち6箇所が一致または相同であれば、その2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列のATTGCCとTATGGCは50%の相同性を共有している。一般に、最大の相同性を得られるように2つの配列が整列されている場合に比較が行われる。
【0113】
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、抗体として機能する、タンパク質のクラスと定義される。B細胞により発現される抗体は、BCR(B cell receptor:B細胞受容体)または抗原レセプターと呼ばれることがある。このクラスのタンパク質に含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgD、及びIgEである。
【0114】
「単離されている」とは、天然の状態から変化または除去されていることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、同じ核酸またはペプチドが、その天然状態の共存物質から部分的または完全に分離されている場合、それは「単離されている」。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができるか、または、例えば、宿主細胞等、非天然環境で存在することができる。「単離された」生物学的成分(核酸、タンパク質または細胞等)は、他の生物学的成分(細胞残屑、他のタンパク質、核酸または細胞型等)からは実質的に分離または精製されている。「単離され」ている生物学的成分には、標準の精製方法により精製された成分が含まれる。
【0115】
疾患を予防すること、治療することまたは改善させること:疾患を「予防すること」とは、疾患の完全な発症を阻害することを指す。「治療すること」とは、疾患または病的状態の徴候または症状が発症した後でそれを改善させる治療的介入を指す。「改善させること」とは、疾患の徴候または症状についての数または重症度の低下を指す。
【0116】
化学療法には、腫瘍、新生物、がん及び乾癬等、異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療するための治療的有用性を有する、化学薬品(細胞傷害性薬物等)による治療が含まれる。化学療法の例には、本明細書に記載されるものが含まれるが、それらに限定されない。
【0117】
本明細書で使用される場合、組換えとは一般に、組換え核酸またはタンパク質が、天然に存在しない配列を有するか、または配列の、本来は別々である2つのセグメントの人工的組み合わせによって作製されている配列を有するものであることを指す。この人工的な組み合わせは、化学合成によるか、または核酸の単離されたセグメントの人工的操作によって、例えば、遺伝子工学技術によって達成されることが多い。
【0118】
本明細書で使用される場合、一般に出現する核酸塩基の以下の略語が使用される。「A」はアデノシンを指し、「C」はシトシンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、「U」とはウリジンを指す。
【0119】
本明細書で使用する用語「白血球(leukocytes)」または「白血球(white blood cell)」とは、単球、好中球、好酸球、好塩基性細胞、及びリンパ球を含めた任意の免疫細胞を指す。本明細書で使用される場合、用語「リンパ球」とは、リンパに一般に見られる細胞を指し、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、T細胞、及びB細胞が含まれる。上掲の免疫細胞型は、さらなるサブセットに分類可能であることは当業者により認識されよう。
【0120】
本明細書で使用する用語「腫瘍浸潤白血球」とは、固形腫瘍内に存在する白血球を指す。
【0121】
本明細書で使用する用語「血液試料」とは、血液等から単離された、血漿、血液細胞等、血液から調製された任意の試料を指す。
【0122】
本明細書で使用する用語「精製試料」とは、1つ以上の細胞サブセットが濃縮されている任意の試料を指す。試料は、サイズ、タンパク質発現等の特徴等に基づいた細胞の除去または単離によって精製され得る。
【0123】
薬学的に許容されるビヒクル:本開示で有用な薬学的に許容される担体(ビヒクル)は従来のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,15th Edition(1975)には、1つ以上の治療用組成物、及び追加の医薬品の医薬送達に好適な組成物及び製剤が記載されている。
【0124】
一般に、送達に適切な担体またはビヒクルの性質は、採用される特定の投与方法に応じて異なってくる。例えば、非経口製剤は通常水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロール等、ビヒクルとして薬学的及び生理学的に許容される液体が含まれる注射用液を含む。固体組成物(例えば、粉末、ピル、錠剤、またはカプセルの形態)の場合、従来の非毒性固体担体には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、乳糖、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが含まれ得る。生物学的に中性の担体に加え、投与されるべき医薬組成物は、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤、及びpH緩衝剤等のような少量の非毒性補助物質、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウラートを含有することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、組成物は、それらが溶液、懸濁液、または他の同様の形態であるかを問わず、以下の、DMSO、注射用水等の滅菌希釈剤、生理食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒として使用され得る合成モノグリセリドもしくはジグリセリド等の不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗菌性物質;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩等の緩衝剤、及び塩化ナトリウムまたはデキストロース等の等張性調節用物質、のうち1つ以上が含まれてよい。
【0126】
本明細書で使用される場合、免疫不全とは、免疫系の少なくとも1つの重要な機能が欠如していることを意味する。本明細書で使用される場合、「免疫不全」対象(ヒト等)は、免疫系の特定の構成要素が欠如しているか、または免疫系の特定の構成要素(例えば、B細胞、T細胞、NK細胞またはマクロファージ等)の機能が欠如している対象である。場合によっては、免疫不全の対象は、機能的免疫細胞(B細胞、T細胞またはNK細胞等)の発生を阻止または阻害する、1つ以上の遺伝子変化を含む。いくつかの例では、遺伝子変化は、IL17またはIL17受容体にある。
【0127】
本明細書で使用される場合、免疫抑制とは、免疫系の活性または機能の低下を指す。対象は、例えば、免疫抑制化合物による治療のため、または疾患もしくは障害の結果として、免疫抑制であり得る(例えば、HIV感染に起因するかまたは遺伝的欠陥による免疫抑制)。場合によっては、免疫抑制は、T細胞等の機能的免疫細胞の発生を阻止または阻害する遺伝子変異の結果として生じる。
【0128】
本明細書に記載される、有効量の組換え樹状細胞組成物及び関連方法により治療することができるがん及び増殖性障害の種類の例には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、ユーイング腫瘍、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、腎細胞癌、肝癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、異形成及び過形成が含まれるが、これらに限定されない。がんの治療及び/または予防には、がんに関連した1つ以上の症状を軽減すること、がんの進行の阻害もしくは抑制、がんの退縮の促進、及び/または免疫応答の促進が含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
他の特定の実施形態では、「治療的有効量」は、本発明の組成物または細胞を投与されていない患者(または動物)もしくは患者(または動物)群における腫瘍増殖もしくはがんの拡散と比べ、本明細書に記載される組成物または細胞を投与された患者もしくは動物において、少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の腫瘍、がんの増殖もしくは拡散の低下がもたらされる、組換え樹状細胞組成物の量である。
【0130】
いくつかの実施形態では、組換え樹状細胞組成物は、抗菌剤、抗ウイルス剤及び他の治療剤と同時に投与することができる。別法として、組換え樹状細胞組成物は、抗菌剤、抗ウイルス剤及び他の治療剤が投与される時間より前の、選択した時間に投与することができる。
【0131】
抗体との組み合わせ
いくつかの実施形態では、組換え樹状細胞組成物は、選択されたがん種に特異的な抗体と同時に投与することができる。別法として、組換え樹状細胞組成物は、選択されたがん種に特異的な抗体が投与される時間より前の、選択した時間に投与することができる。選択されたがん種に特異的な抗体には、がんの治療用に承認された任意の抗体が含まれる。例としては、乳癌に対するトラスツズマブ(ハーセプチン)、リンパ腫に対するリツキシマブ(リツキサン)、及び頭頸部扁平上皮癌に対するセツキシマブ(アービタックス)が含まれる。
【0132】
そのような抗体薬剤の追加の例には、ニボルマブ(Bristol−Myers Squibbによるニボルマブ)及びMK−3475(Merckによるキイトルーダ)としても知られるペンブロリズマブ/ランブロリズマブ、ピジリズマブ(Curetech)、AMP−224(Amplimmune)が含まれる抗PD−1抗体、ならびにMPDL3280A(Roche)、MDX−1105(Bristol Myer Squibb)、MEDI−4736(AstraZeneca)及びMSB−0010718C(Merck)が含まれる抗PD−L1抗体等、PD−1またはPD−L1(B7−H1)の阻害剤が含まれる。他のチェックポイント阻害剤には、抗CTLA−4抗体等のCTLA−4拮抗薬が含まれる。例示的な抗CTLA4抗体は、Bristol−Myers Squibbにより市販されているヤーボイ(商標)(イピリムマブ)である。他の例示的CTLA−4抗体には、トレメリムマブ(Pfizer)、チシリムマブ(AstraZeneca)及びAMGP−224(Glaxo Smith Kline)が含まれる。場合によっては、これらの抗体のうちの任意の2剤の組み合わせもまた適応となり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、樹状細胞は、末梢血単核細胞を含め、様々な供給源から単離される。
【0134】
「末梢血単核細胞」、「PBMC」または「単核球」とは、典型的には抗がん免疫療法に使用される、末梢血から分離された単核球を指す。末梢血単核細胞は、Ficoll−Hypaque密度勾配法等の公知の方法を使用して採取されたヒトの血液から取得することができる。
【0135】
例示的な一実施形態によれば、「末梢血単核細胞」は、任意の適切な人から得てよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるがん治療及び免疫刺激方法での使用のための樹状細胞の単離の場合、末梢血単核細胞等の供給源を含め、本明細書で使用されるドナー細胞の供給源は、レシピエント患者にとって同種であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、ドナーの抑制性リガンドは、患者(例えば、宿主)のHLAとは不適合である。
【0136】
代替的実施形態では、本明細書に記載されるがん治療及び免疫刺激方法での使用のための樹状細胞の単離の場合、末梢血単核細胞等の供給源を含め、本明細書で使用されるドナー細胞供給源は、レシピエント患者にとって自己である。
【0137】
細胞供給源
PBMCは、廃棄され、匿名化された白血球除去フィルター(American Red Cross)、またはインフォームドコンセントを得た健常志願者からの供血から得た試料のFicoll−Hypaque密度勾配遠心によって単離することができる。所望の細胞型を選択または濃縮するための、細胞集団、供給源及び方法の記載は、例えば、米国特許第9,347,044号に見出すことができる。哺乳類を治療するための本明細書に記載される方法で使用するための細胞集団は、ヒト細胞等、種が一致していなければならない。細胞は、動物、例えば、ヒト患者から得てよい。細胞が動物から得られる場合、最初に培養で、例えば、形質転換によって樹立させておいてよく、またはそれらが予備精製方法に供されていることがより好ましい。例えば、細胞集団には、細胞表面マーカーの発現に基づいて、陽性または陰性の選択によって操作すること;インビトロまたはインビボで1つ以上の抗原で刺激すること;インビトロまたはインビボで1つ以上の生物学的調節剤により処置すること;またはこれらのうちのいずれかもしくはすべての組み合わせが行われ得る。例示的な実施形態では、細胞集団は、非T細胞及び/または特定のT細胞サブセットの除去のための陰性選択に供される。陰性選択は、B細胞マーカーのCD19、及びCD20等、単球マーカーのCD14、NK細胞マーカーのCD56を含め、多種多様な分子の細胞表面発現に基づいて実施することができる。別法として、細胞集団は、非CD34.sup.+造血細胞及び/または特定の造血細胞サブセットの除去のための陰性選択に供され得る。陰性選択は、例えば、MACSまたはカラム分離を介した、他の細胞型の分離に使用され得る抗体カクテル(例えば、CD2、CD3、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD19、CD56、CD123、及びCD235a)等、多種多様な分子の細胞表面発現に基づいて実施することができる。
【0138】
細胞の集団には、末梢血単核細胞、全血または混合集団を含有するその画分、脾臓細胞、骨髄細胞、腫瘍浸潤リンパ球、白血球アフェレーシスで得られる細胞、生検組織、リンパ節、例えば、腫瘍からの流入領域リンパ節が含まれる。適切なドナーとしては、免疫されたドナー、免疫されていない(ナイーブ)ドナー、処理されたドナーまたは未処理ドナーが含まれる。「処理された」ドナーは、1つ以上の生物学的調節剤に曝露されたことのあるドナーである。「未処理」ドナーは、1つ以上の生物学的調節剤に曝露されたことのないドナーである。
【0139】
単球(成熟してDCになるもの)または樹状細胞を含む細胞の集団を取得する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、末梢血単核細胞(PBMC)は、当該技術分野で公知の方法に従って記載されているように取得することができる。そのような方法の例は、例えば、Nair,Smita et al.Current protocols in immunology vol.Chapter 7(2012):Unit7.32.doi:10.1002/0471142735.im0732s99に記載されている。
【0140】
対象から細胞試料を取得し、その後、それを所望の細胞型について濃縮することも可能である。例えば、PBMCは、本明細書に記載されるように血液から単離することができる。向流遠心分離(エルトリエーション)を使用してPBMCからの単球または樹状細胞について濃縮することができる。細胞はまた、所望の細胞型の細胞表面のエピトープに結合する抗体を用いた単離及び/または活性化等、様々な技術を使用して他の細胞から単離することもでき、例えば、一部のT細胞単離キットでは、抗体を結合させたビーズを、細胞を活性化させるために使用しており、その後のカラム分離にも同ビーズを用いている。使用できる別の方法には、受容体会合によって細胞を活性化させることなく特定の細胞型について選択的に濃縮するための、細胞表面マーカーに対する抗体を使用する陰性選択が含まれる。
【0141】
骨髄細胞(BM細胞)は、腸骨稜、大腿骨、脛骨、脊椎、肋骨または他の髄腔から取得され得る。骨髄は、患者から採取され、様々な分離及び洗浄の手順を介して単離され得る。骨髄細胞の単離のための既知の手順では、以下のステップ、a)骨髄懸濁液を3つの分画に遠心分離し、中間分画、すなわちバフィーコートを採取するステップ、b)ステップ(a)で得たバフィーコート分画を分離液、一般的にはFicoll(Pharmacia Fine Chemicals ABの商標)に入れてもう一度遠心分離にかけ、骨髄細胞を含有する中間分画を採取するステップ、及びc)再輸注可能な骨髄細胞を回収するために、ステップ(b)で採取した分画を洗浄するステップを含む。さらに、BM細胞は、動員、及びそれに続く白血球アフェレーシスによって採取することができる。
【0142】
樹状細胞(DC)は、免疫系の見張りの抗原提示細胞である。これらの細胞には、自身の環境から抗原物質を捕捉し、続いて、活発な免疫応答を開始する能力があり、がん免疫療法のワクチンを送達するための理想的候補である。樹状細胞は、形態が特徴的で組織分布が広範囲に及ぶ不均一な細胞集団を含む。DCは、CD1c
+、CD14
+、CD141
+、CD16
+、またはHLA−DR
+等の細胞表面マーカーを示す。
【0143】
特に、樹状細胞は、外来性タンパク質のエンドサイトーシスの後、それらのタンパク質を処理して、MHCクラスI及びクラスII抗原と併せてエピトープとして細胞表面に提示することによって、抗原提示細胞として機能する。抗原を提示している樹状細胞は、細胞傷害性T細胞及びヘルパーT細胞によって認識され得る。樹状細胞の成熟状態は、それらの貪食活性/細胞内活性にとって重要である。未熟樹状細胞は典型的には、抗原搭載に最も効率的な細胞である。
【0144】
未熟樹状細胞とは、特定の細胞マーカーであるCD1a、CD14及びCD83の発現が、CD1a高発現(その集団内DCの50%超がCD1a陽性である)、CD14無または低発現(その集団内DCの15%未満がCD14陽性である)、及びCD83低発現(その集団内DCの25%未満がCD83陽性である)を特徴とする樹状細胞を指す。
【0145】
いくつかの実施形態では、DCは、皮膚表皮(ランゲルハンス細胞)等の非リンパ組織、ならびに脾臓、骨髄、リンパ節及び胸腺等のリンパ組織、ならびに血液及び末梢血を含む循環系を含め、DCが存在する任意の組織から取得される。DCは、それらが存在しているどの組織でも少数しか発生しないため、DCは、濃縮または単離して使用され得る。濃縮されたDC集団を得るために、反復密度勾配分離、陽性選択、陰性選択、またはそれらの組み合わせを必要とするいくつかの手順のうちいずれを使用してもよい。DCが得られたら、それらを適切な培地で培養して細胞集団を増殖させ、及び/またはDCを、抗原の取り込み、処理及び提示に最適な状態に維持してよい。
【0146】
いくつかの実施形態では、DCは、がんを患う対象にとって自己であり得る、すなわち、対象に投与されるDCは、同一対象から単離され得る。他の実施形態では、DCは、がんを患う対象にとって同種であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるDCは、骨髄系DC、形質細胞様DC、間質DC、リンパ組織常在DC、濾胞性DC、CD14
+DC等のような任意のサブタイプであり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、がん治療に使用され得る、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93を発現する、遺伝子操作された/組換え樹状細胞を作製する方法を提供する。
【0148】
CD40Lは、35kDaのII型膜タンパク質であり、腫瘍壊死因子(TNF)遺伝子ファミリーメンバーであり、抗原認識と同時にT細胞表面に発現する。CD40Lは、腫瘍自己抗原に対する効果的な防御免疫を誘導するために必要なT細胞活性化に決定的に関与している。(参照により全体が本明細書に組み込まれるFront Immunol.2011;2:31を参照のこと)。ヒトCD40Lの完全な配列の情報は、NCBI、Gene ID:959に見出すことができる。
【0149】
CXCL13は、リンパ器官の濾胞性間質細胞、腹膜腔及び胸腔のマクロファージ、及び骨髄樹状細胞に発現するケモカインである。主にGタンパク質共役型受容体CXCR5に結合することが示されている。CXCR5は、B細胞、及びT細胞の特定のサブセット(濾胞性ヘルパーT細胞、循環メモリーCD4 T細胞のサブセット、及びヘルパーT−1(Th1)またはヘルパーT−2(Th2)として完全には分化していない他のT細胞集団を含む)で発現する。CXCL13は、自己反応性B1細胞のパイエル板へのホーミングと他の炎症部位に影響を与えることによって、及びT細胞依存性抗体産生のために二次リンパ器官へのTh細胞動員における役割を果たすことによって、B細胞とT細胞の共局在における生理学的役割が実証されている。(参照により全体が本明細書に組み込まれるFront Immunol.2016;7:225を参照のこと)。ヒトCXCL13の完全な配列の情報はNCBI、Gene ID:10563に見出すことができる。
【0150】
ヒトCD93(hCD93)は、20番染色体、p11.21に位置する1型膜貫通型糖タンパク質である。このタンパク質は、B細胞発生時及び食作用時の細胞間相互作用に関与している。CD93は、骨髄系細胞、造血幹細胞、NK細胞、血小板、ミクログリア、及び内皮細胞に発現する。ヒトCD93の完全な配列の情報はNCBI、Gene ID:22918に見出すことができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、樹状細胞は、CD40L及び/またはCXCL13をコードする1つ以上の異種核酸分子を含む。CD40Lをコードする異種核酸分子は、ヒト、マウス、ラット、もしくはブタ、または他の任意の哺乳類等、どの供給源からのものでもよい。ヒトCD40Lの核酸配列は、配列番号1として開示される。同様に、CXCL13をコードする異種核酸分子は、ヒト、マウス、ラット、もしくはブタ、または他の任意の哺乳類等、どの供給源からのものでもよい。ヒトCXCL13の核酸配列は、配列番号2として開示される。
【0152】
いくつかの実施形態では、樹状細胞はさらに、CD93をコードする異種核酸分子を含んでよい。CD93をコードする異種核酸分子は、ヒト、マウス、ラット、もしくはブタ、または他の任意の哺乳類等、どの供給源からのものでもよい。ヒトCD93の核酸配列は、配列番号3として開示される。
【0153】
ただし、タンパク質をコードする核酸配列は、遺伝暗号の縮重性質のため他の配列であり得る。これらの核酸配列は非限定的な例であり、他の配列を使用することができる。
【0154】
対応するヒトアミノ酸配列は、以下のとおりである:ヒトCD40L:配列番号4;ヒトCXCL13:配列番号5;及びヒトCD93:配列番号6。いくつかの実施形態では、タンパク質は保存的置換を含む。
【0155】
以下の配列は、必要に応じて、本出願全体を通して参照として使用することができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、ヒトCD40Lは、以下によってコードされる。
ATGATCGAAACATACAACCAAACTTCTCCCCGATCTGCGGCCACTGGACTGCCCATCAGCATGAAAATTTTTATGTATTTACTTACTGTTTTTCTTATCACCCAGATGATTGGGTCAGCACTTTTTGCTGTGTATCTTCATAGAAGGTTGGACAAGATAGAAGATGAAAGGAATCTTCATGAAGATTTTGTATTCATGAAAACGATACAGAGATGCAACACAGGAGAAAGATCCTTATCCTTACTGAACTGTGAGGAGATTAAAAGCCAGTTTGAAGGCTTTGTGAAGGATATAATGTTAAACAAAGAGGAGACGAAGAAAGAAAACAGCTTTGAAATGCAAAAAGGTGATCAGAATCCTCAAATTGCGGCACATGTCATAAGTGAGGCCAGCAGTAAAACAACATCTGTGTTACAGTGGGCTGAAAAAGGATACTACACCATGAGCAACAACTTGGTAACCCTGGAAAATGGGAAACAGCTGACCGTTAAAAGACAAGGACTCTATTATATCTATGCCCAAGTCACCTTCTGTTCCAATCGGGAAGCTTCGAGTCAAGCTCCATTTATAGCCAGCCTCTGCCTAAAGTCCCCCGGTAGATTCGAGAGAATCTTACTCAGAGCTGCAAATACCCACAGTTCCGCCAAACCTTGCGGGCAACAATCCATTCACTTGGGAGGAGTATTTGAATTGCAACCAGGTGCTTCGGTGTTTGTCAATGTGACTGATCCAAGCCAAGTGAGCCATGGCACTGGCTTCACGTCCTTTGGCTTACTCAAACTC(配列番号1)
【0157】
いくつかの実施形態では、ヒトCXCL13は、以下によってコードされる。
ATGAAGTTCATCTCGACATCTCTGCTTCTCATGCTGCTGGTCAGCAGCCTCTCTCCAGTCCAAGGTGTTCTGGAGGTCTATTACACAAGCTTGAGGTGTAGATGTGTCCAAGAGAGCTCAGTCTTTATCCCTAGACGCTTCATTGATCGAATTCAAATCTTGCCCCGTGGGAATGGTTGTCCAAGAAAAGAAATCATAGTCTGGAAGAAGAACAAGTCAATTGTGTGTGTGGACCCTCAAGCTGAATGGATACAAAGAATGATGGAAGTATTGAGAAAAAGAAGTTCTTCAACTCTACCAGTTCCAGTGTTTAAGAGAAAGATTCCC(配列番号2)
【0158】
いくつかの実施形態では、ヒトCD93は、以下によってコードされる。
ATGGCCACCTCCATGGGCCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTCCTGACCCAGCCCGGGGCGGGGACGGGAGCTGACACGGAGGCGGTGGTCTGCGTGGGGACCGCCTGCTACACGGCCCACTCGGGCAAGCTGAGCGCTGCCGAGGCCCAGAACCACTGCAACCAGAACGGGGGCAACCTGGCCACTGTGAAGAGCAAGGAGGAGGCCCAGCACGTCCAGCGAGTACTGGCCCAGCTCCTGAGGCGGGAGGCAGCCCTGACGGCGAGGATGAGCAAGTTCTGGATTGGGCTCCAGCGAGAGAAGGGCAAGTGCCTGGACCCTAGTCTGCCGCTGAAGGGCTTCAGCTGGGTGGGCGGGGGGGAGGACACGCCTTACTCTAACTGGCACAAGGAGCTCCGGAACTCGTGCATCTCCAAGCGCTGTGTGTCTCTGCTGCTGGACCTGTCCCAGCCGCTCCTTCCCAGCCGCCTCCCCAAGTGGTCTGAGGGCCCCTGTGGGAGCCCAGGCTCCCCCGGAAGTAACATTGAGGGCTTCGTGTGCAAGTTCAGCTTCAAAGGCATGTGCCGGCCTCTGGCCCTGGGGGGCCCAGGTCAGGTGACCTACACCACCCCCTTCCAGACCACCAGTTCCTCCTTGGAGGCTGTGCCCTTTGCCTCTGCGGCCAATGTAGCCTGTGGGGAAGGTGACAAGGACGAGACTCAGAGTCATTATTTCCTGTGCAAGGAGAAGGCCCCCGATGTGTTCGACTGGGGCAGCTCGGGCCCCCTCTGTGTCAGCCCCAAGTATGGCTGCAACTTCAACAATGGGGGCTGCCACCAGGACTGCTTTGAAGGGGGGGATGGCTCCTTCCTCTGCGGCTGCCGACCAGGATTCCGGCTGCTGGATGACCTGGTGACCTGTGCCTCTCGAAACCCTTGCAGCTCCAGCCCATGTCGTGGGGGGGCCACGTGCGTCCTGGGACCCCATGGGAAAAACTACACGTGCCGCTGCCCCCAAGGGTACCAGCTGGACTCGAGTCAGCTGGACTGTGTGGACGTGGATGAATGCCAGGACTCCCCCTGTGCCCAGGAGTGTGTCAACACCCCTGGGGGCTTCCGCTGCGAATGCTGGGTTGGCTATGAGCCGGGCGGTCCTGGAGAGGGGGCCTGTCAGGATGTGGATGAGTGTGCTCTGGGTCGCTCGCCTTGCGCCCAGGGCTGCACCAACACAGATGGCTCATTTCACTGCTCCTGTGAGGAGGGCTACGTCCTGGCCGGGGAGGACGGGACTCAGTGCCAGGACGTGGATGAGTGTGTGGGCCCGGGGGGCCCCCTCTGCGACAGCTTGTGCTTCAACACACAAGGGTCCTTCCACTGTGGCTGCCTGCCAGGCTGGGTGCTGGCCCCAAATGGGGTCTCTTGCACCATGGGGCCTGTGTCTCTGGGACCACCATCTGGGCCCCCCGATGAGGAGGACAAAGGAGAGAAAGAAGGGAGCACCGTGCCCCGTGCTGCAACAGCCAGTCCCACAAGGGGCCCCGAGGGCACCCCCAAGGCTACACCCACCACAAGTAGACCTTCGCTGTCATCTGACGCCCCCATCACATCTGCCCCACTCAAGATGCTGGCCCCCAGTGGGTCCCCAGGCGTCTGGAGGGAGCCCAGCATCCATCACGCCACAGCTGCCTCTGGCCCCCAGGAGCCTGCAGGTGGGGACTCCTCCGTGGCCACACAAAACAACGATGGCACTGACGGGCAAAAGCTGCTTTTATTCTACATCCTAGGCACCGTGGTGGCCATCCTACTCCTGCTGGCCCTGGCTCTGGGGCTACTGGTCTATCGCAAGCGGAGAGCGAAGAGGGAGGAGAAGAAGGAGAAGAAGCCCCAGAATGCGGCAGACAGTTACTCCTGGGTTCCAGAGCGAGCTGAGAGCAGGGCCATGGAGAACCAGTACAGTCCGACACCTGGGACAGACTGC(配列番号3)
【0159】
いくつかの実施形態では、ヒトCD40Lは、以下のアミノ酸配列を含む。
MIETYNQTSPRSAATGLPISMKIFMYLLTVFLITQMIGSALFAVYLHRRLDKIEDERNLHEDFVFMKTIQRCNTGERSLSLLNCEEIKSQFEGFVKDIMLNKEETKKENSFEMQKGDQNPQIAAHVISEASSKTTSVLQWAEKGYYTMSNNLVTLENGKQLTVKRQGLYYIYAQVTFCSNREASSQAPFIASLCLKSPGRFERILLRAANTHSSAKPCGQQSIHLGGVFELQPGASVFVNVTDPSQVSHGTGFTSFGLLKL(配列番号4)
【0160】
いくつかの実施形態では、ヒトCXCL13は、以下のアミノ酸配列を含む。
MKFISTSLLLMLLVSSLSPVQGVLEVYYTSLRCRCVQESSVFIPRRFIDRIQILPR GNGCPRKEIIVWKKNKSIVCVDPQAEWIQRMMEVLRKRSSSTLPVPVFKRKIP(配列番号5)
【0161】
いくつかの実施形態では、ヒトCD93は、以下のアミノ酸配列を含む。
MATSMGLLLLLLLLLTQPGAGTGADTEAVVCVGTACYTAHSGKLSAAEAQNHCNQNGGNLATVKSKEEAQHVQRVLAQLLRREAALTARMSKFWIGLQREKGKCLDPSLPLKGFSWVGGGEDTPYSNWHKELRNSCISKRCVSLLLDLSQPLLPSRLPKWSEGPCGSPGSPGSNIEGFVCKFSFKGMCRPLALGGPGQVTYTTPFQTTSSSLEAVPFASAANVACGEGDKDETQSHYFLCKEKAPDVFDWGSSGPLCVSPKYGCNFNNGGCHQDCFEGGDGSFLCGCRPGFRLLDDLVTCASRNPCSSSPCRGGATCVLGPHGKNYTCRCPQGYQLDSSQLDCVDVDECQDSPCAQECVNTPGGFRCECWVGYEPGGPGEGACQDVDECALGRSPCAQGCTNTDGSFHCSCEEGYVLAGEDGTQCQDVDECVGPGGPLCDSLCFNTQGSFHCGCLPGWVLAPNGVSCTMGPVSLGPPSGPPDEEDKGEKEGSTVPRAATASPTRGPEGTPKATPTTSRPSLSSDAPITSAPLKMLAPSGSPGVWREPSIHHATAASGPQEPAGGDSSVATQNNDGTDGQKLLLFYILGTVVAILLLLALALGLLVYRKRRAKREEKKEKKPQNAADSYSWVPERAESRAMENQYSPTPGTDC(配列番号6)。
【0162】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、本明細書で提供される配列と、少なくとも、または約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%相同である。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、類似側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換である。類似側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を持つアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷を持たない極性側鎖を持つアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分岐側鎖を持つアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を持つアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。
【0163】
異種核酸分子は、リポソームトランスフェクション、化学的トランスフェクション、遺伝子導入DNA組換え、ウイルス感染、トランスポゾン挿入、ジャンピング遺伝子挿入、マイクロインジェクション、電気穿孔、遺伝子銃による貫通、及びそれらの組み合わせ等、当該技術分野で知られているいずれの既知の組換え技術によっても樹状細胞に導入することができる。いくつかの実施形態では、異種核酸分子を導入するために組換えアデノウイルスベクター、組換えアデノ随伴ベクター、組換えレトロウイルスベクター、組換えレンチウイルスベクター、またはそれらの組み合わせが使用され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、所望の遺伝子−CD40L、CXCL13、及びCD93を発現させる方法が使用され得る。そのような方法には、CRISPR/Cas系、TALEN、及びジンクフィンガーヌクレアーゼを送達することが含まれる。例えば、TALEN及びCRISPR/Cas系を使用して、天然遺伝子の上流及び下流に特定の転写調節エレメントを挿入してよい。TALEN及びCRISPR/Cas9は、特定の遺伝子座において一本鎖または二本鎖のDNA切断を発生させることができる。これにより、外因性鋳型からの相同組換え修復(HDR)が刺激されて、転写調節エレメントの正確な挿入を可能にし、天然遺伝子を活性化させる。CRISPR/Casヌクレアーゼは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはそれらの組み合わせ等、どの遺伝子送達ベクターを使用して送達してもよい。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される遺伝子操作されたDCは、温度、pH等、周囲条件下で従来の栄養培地で培養してよく、それらは当業者に明らかである。
【0166】
いくつかの実施形態では、CD40L、CXCL13、及びCD93を過剰発現しているDCは、抗原によって活性化またはパルスされ得る。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原またはウイルス抗原であり得る。非限定的な腫瘍抗原の例には、大腸癌細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、膵癌細胞、頭頸部癌細胞、膀胱癌細胞、肝癌細胞、腎癌細胞、メラノーマ細胞、消化管癌細胞、前立腺癌細胞、小細胞肺癌細胞、非小細胞肺癌細胞、肉腫細胞、膠芽腫細胞、T細胞及びB細胞のリンパ腫細胞、子宮内膜癌細胞、または子宮頸癌細胞によって発現される抗原が含まれる。
【0167】
いくつかの実施形態では、抗原は、がん(腫瘍)細胞ライセートであり得、がん細胞ライセートは、樹状細胞にとって同種または自己であり得る。いくつかの実施形態では、がん細胞ライセートは、DDM−1.7細胞ライセート、DDM−1.13細胞ライセート、またはそれらの組み合わせ等、メラノーマのがん細胞ライセートであり得る。
【0168】
抗原を用いて樹状細胞をパルスまたは活性化する多数の方法が当該技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、細胞の生存能を促進する条件下で培養された樹状細胞に抗原を加えてよく、その後で、細胞に十分な時間、約24時間(約18〜約30時間、好ましくは24時間)という期間を与えて、抗原を取り込んで処理し、抗原ペプチドをクラスIまたはクラスIIのいずれかのMHCと会合した状態で細胞表面に発現させる。樹状細胞はまた、それらに抗原をコードするDNAをトランスフェクトすることによって抗原に曝露され得る。DNAが発現し、抗原は恐らく細胞質性/クラスI経路を介して処理される。
【0169】
いくつかの実施形態では、単離されたペプチドはDCをパルスまたは活性化するために使用され得る。ペプチドは、樹状細胞とのペプチドのインキュベーション、ペプチドを含むタンパク質のDCとのインキュベーション、DC(または前駆細胞を増殖させた単球集団)へのペプチド(またはペプチドを含むタンパク質)をコードする遺伝子の形質導入等を含めた多種多様な方法のいずれかによりパルスされる。ペプチドとしての使用のための典型的な抗原は、形質転換細胞、がん細胞、細菌細胞、寄生虫による感染細胞またはウイルス感染細胞等のような標的細胞に発現するものに由来する。例としては、ムチン;腫瘍抗原;HIV Gag、HIV Env、HER−2、MART−1、gp−100、PSA、HBVc、HBVs、HPV E6、HPV E7、チロシナーゼ、MAGE−1、trp−1、マイコバクテリア抗原、及びCEAからなる群から選択されるタンパク質に由来するペプチド等の炭水化物;ならびにその他多数が含まれるが、これらに限定されない。提示に好適な腫瘍抗原には、c−erb−β−2/HER2/neu、PEM/MUC−1、Int−2、Hst、BRCA−1、BRCA−2、切断型EGFRvIII、CEA、p53、ras、RK、Myc、Myb、OB−1、OB−2、BCR/ABL、GIP、GSP、RET、ROS、FIS、SRC、TRC、WTI、DCC、NF1、FAP、MEN−1、ERB−B1、MAGEの各抗原、及びイディオタイプ免疫グロブリン(例えば、非ホジキンリンパ腫患者のB細胞由来)が含まれるが、これらに限定されない。樹状細胞の抗原提示活性は、TNF−αまたはIL−1αもしくはIL−1β等の特定のサイトカインとの共培養により増強され得る。
【0170】
本明細書に開示される活性化樹状細胞は、生理学的に許容される担体、添加物、アジュバント、または希釈剤を含む組成物中に存在し得る。中性の緩衝生理食塩水または血清アルブミン混合生理食塩水は、適切な例示的希釈剤である。適切な担体には、水性等張無菌注射液(抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を意図されるレシピエント血液と等張にする溶質を含有することができる)、ならびに水性及び非水性の無菌懸濁剤(懸濁剤、可溶化剤、濃稠化剤|増粘剤、安定化剤、及び保存剤が含まれ得る)が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、腫瘍抗原またはウイルス抗原を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、いかなる異種抗原も含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約10
5樹状細胞/mL、少なくとも約10
6細胞/mL、少なくとも約10
7細胞/mL、またはそれ以上の集団を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、活性化DCは、対象への投与前に凍結(凍結保存)され得る。いくつかの実施形態では、活性化DCは、少なくとも30%のヒト由来の血清及び/または血漿を含有する培地に細胞を懸濁し、懸濁液の温度を少なくとも−80℃まで下げ、それによりDCを凍結することによって凍結され得る。いくつかの実施形態では、凍結培地は、約30%のヒト由来の血清及び/または血漿ならびに約10%の、凍結時の氷結晶形成を防止する薬剤、例えばDMSOである。さらなる実施形態では、DC懸濁液を少なくとも24時間−80℃で維持し、その後、保存期間中は液体窒素に移す。さらなる実施形態では、DC懸濁液を、34℃〜41℃の範囲の温度で解凍する。
【0172】
本明細書にはまた、単球から未熟DCを発達させ、未熟DCを、同種または自己の腫瘍細胞ライセートで活性化させる方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法には、(a)対象から単球を単離すること、(b)単離された単球に、CD40L、CXCL13、及びCD93から選択される1つ以上の遺伝子を過剰発現させること、ならびに(c)インビトロで、CD40L、CXCL13、及びCD93から選択される1つ以上の遺伝子を発現している単球を未熟樹状細胞に分化させること、が含まれる。いくつかの実施形態では、単球は、CD14
+単球である。いくつかの実施形態では、方法は、インビトロで、CD40L、CXCL13、及び/またはCD93を異種発現している単球を未熟樹状細胞に分化させることを含む。いくつかの実施形態では、単球は、CD14
+単球である。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書で提供されるように形質導入して、単球に分化または増殖させてから成熟させたCD34+細胞である。異なる組み合わせの異種発現タンパク質も本明細書に記載される。
【0173】
いくつかの実施形態では、単球は、様々な供給源から得られ、例えば、患者からの末梢血単核細胞の白血球アフェレーシス、それに続く単離された末梢血のエルトリエーションにより単離された単球が得られる。単離された単球を、リポソームトランスフェクション、化学的トランスフェクション、遺伝子導入DNA組換え、ウイルス感染、トランスポゾン挿入、ジャンピング遺伝子挿入、マイクロインジェクション、電気穿孔、遺伝子銃による貫通、及びそれらの組み合わせ等、本明細書に開示される技術によって遺伝子操作して、異種のCD40L、CXCL13、及びCD93タンパク質のうちのいずれか1つまたは組み合わせを発現させてよい。いくつかの実施形態では、組換えアデノウイルスベクター、組換えアデノ随伴ベクター、組換えレトロウイルスベクター、組換えレンチウイルスベクター、またはそれらの組み合わせを使用してよい。異種タンパク質CD40L、CXCL13、及びCD93のうちのいずれか1つまたは組み合わせを過剰発現させるために、CRISPR/Cas系、TALEN、及びジンクフィンガーヌクレアーゼを送達する等の方法を使用してもよい。
【0174】
いくつかの実施形態では、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93を発現している組換え単球をIL−3の存在下で増殖させ、単球を増殖させて、単球の増殖した集団を得る。単球の増殖した集団を未熟樹状細胞に分化させ、これは、例えば、細胞の増殖した集団を、GM−CSF及びIL−4(ベースラインまたはI型のDCを産生させるため)、ならびに任意選択で、TNF−α、IL−1β、IL−6、IFN−α、IFN−γ、及びPGE
2と共に培養することによる。
【0175】
いくつかの実施形態では、組換え同種未熟樹状細胞は、抗原で活性化またはパルスされ得る。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原またはウイルス抗原であり得る。いくつかの実施形態では、抗原は、がん細胞ライセートであり得、がん細胞ライセートは、未熟樹状細胞にとって同種または自己であり得る。いくつかの実施形態では、がん細胞ライセートは、DDM−1.7細胞ライセート、DDM−1.13細胞ライセート、またはそれらの組み合わせ等、メラノーマのがん細胞ライセートであり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、抗原で活性化またはパルスされない。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される活性化未熟DCは、生理学的に許容される担体、添加物、アジュバント、または希釈剤を含む組成物中に存在し得る。中性の緩衝生理食塩水または血清アルブミン混合生理食塩水は、適切な例示的希釈剤である。いくつかの実施形態では、活性化未熟DCは、対象への投与前に凍結され得る。細胞は、対象に投与される前に解凍することができる。
【0177】
本明細書にはまた、対象におけるがんを治療する方法も開示される。いくつかの実施形態では、対象におけるがんを治療する方法は、組換え樹状細胞を含む組成物を対象に投与することを含み、かかる樹状細胞は、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93から選択される1つ以上のタンパク質を異種発現する。本明細書に記載されるように、細胞は、対象にとって同種であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、対象にとって自己であり得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、がんを患う対象において免疫応答を誘発する方法は、樹状細胞を含む組成物を対象に投与することを含み、かかる樹状細胞は、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93から選択される1つ以上のタンパク質を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCXCL13を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L、CXCL13、及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CXCL13及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD93を異種発現しない。
【0179】
いくつかの実施形態では、がんを患う対象にがんワクチンを提供する方法は、樹状細胞を含む組成物を対象に投与することを含み、かかる樹状細胞は、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93から選択される1つ以上のタンパク質を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCXCL13を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L、CXCL13、及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CXCL13及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD93を異種発現しない。
【0180】
いくつかの実施形態では、投与される樹状細胞(CD40L、CXCL13、及び/またはCD93を異種発現している)は、対象にとって同種である。いくつかの実施形態では、投与される樹状細胞(異種のCD40L、CXCL13、及び/またはCD93)は、対象にとって自己である。いくつかの実施形態では、投与される樹状細胞は、CD40L、CXCL13、及び/またはCD93を異種発現している未熟樹状細胞である。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCXCL13を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L、CXCL13、及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CXCL13及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD93を異種発現しない。
【0181】
いくつかの実施形態では、対象は、結腸癌、乳癌、膵癌、卵巣癌、前立腺癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、メルケル細胞癌、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性白血病、真性多血症、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖疾患、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるがんを患っている。
【0182】
さらなる実施形態では、がんは、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性疾患、膵癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、メラノーマ、ならびにCNS腫瘍(神経膠腫(脳幹部神経膠腫及び混合膠腫等)、膠芽腫(多形膠芽腫としても知られる)星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚腫、髄芽腫、シュワン細胞腫 頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫及び脳転移等からなる群から選択される固形腫瘍である。
【0183】
さらなる実施形態では、方法は、組換え樹状細胞の投与後、4〜14日の時間枠で、抗PD−1抗体(ニボルマブ(Bristol−Myers Squibbによるニボルマブ)、MK−3475(Merckによるキイトルーダ)としても知られるペンブロリズマブ/ランブロリズマブ、ピジリズマブ(Curetech)、AMP−224(Amplimmune)を含む)、または抗PD−L1抗体(MPDL3280A(Roche)、MDX−1105(Bristol Myer Squibb)、MEDI−4736(AstraZeneca)及びMSB−0010718C(Merck)を含む)等の、PD−1またはPD−L1(B7−H1)の阻害剤、CTLA−4の拮抗薬(抗CTLA4抗体ヤーボイ(商標)(イピリムマブ、Bristol−Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、チシリムマブ(AstraZeneca)またはAMGP−224(Glaxo Smith Kline)を含む抗CTLA−4抗体等)が含まれる、2種のチェックポイント阻害剤のうちのいずれか1つもしくは組み合わせが含まれる、免疫チェックポイント阻害剤;あるいは腫瘍特異的抗体である、乳癌に対するトラスツズマブ(ハーセプチン)、リンパ腫に対するリツキシマブ(リツキサン)、もしくはセツキシマブ(アービタックス)を、患者に投与することをさらに含む。
【0184】
さらなる実施形態では、治療、投与、または免疫応答増大は、患者が疾患改善または疾患の安定/非進行を示す限り、実施例1〜3の場合のような時間枠で定期的に繰り返される。
【0185】
さらなる実施形態では、治療、投与、または免疫応答増大は、患者が疾患改善または疾患の安定/非進行を示す限り、維持療法として、5日に1回、週1回、14日に1回、21日に1回から、月1回まで、2か月に1回まで、3か月に1回まで、4か月に1回まで、5か月に1回まで、6か月に1回まで、または7か月に1回、または8か月に1回、または9か月に1回、または10か月に1回、または11か月に1回、または年1回という時間枠で定期的に繰り返される。
【0186】
いくつかの実施形態では、対象に投与される組換え樹状細胞(異種のCD40L、CXCL13、及び/またはCD93)は、投与前に抗原で活性化またはパルスされない。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、免疫応答を誘発することを助け得るアジュバント、サイトカイン、及びインターロイキンを含む組成物にして投与され得る。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCXCL13を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L、CXCL13、及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CXCL13及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD93を異種発現しない。
【0187】
いくつかの実施形態では、方法は、以下をさらに含む:(a)対象から切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルを取得すること、
(b)切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルと、メラノーマ細胞ライセートのタンパク質発現プロファイルとを比較すること、ならびに
(c)切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルの少なくとも3つのマーカーがメラノーマ細胞ライセートのタンパク質発現プロファイルに適合する場合には、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93を過剰発現する樹状細胞とメラノーマ細胞ライセートとを共培養して樹状細胞を活性化させ、活性化された樹状細胞を含む組成物を対象に投与すること、及び
(d)切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルの少なくとも3つのマーカーがメラノーマ細胞ライセートのタンパク質発現プロファイルに適合しない場合には、CD40L、CXCL13、及び任意選択でCD93を過剰発現する樹状細胞と腫瘍もしくは生検標本とを共培養して樹状細胞を活性化させ、活性化された樹状細胞を含む組成物を対象に投与すること。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、投与前に、対象から切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルのスクリーニングを行い、同種腫瘍ライセートのタンパク質発現プロファイルとの交差適合検査を行うこと;及び切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルのうち少なくとも3つの断片が同種腫瘍ライセートのタンパク質発現プロファイルと交差適合する場合に、同種腫瘍ライセート活性化樹状細胞または活性化樹状細胞組成物を投与すること、をさらに含む。本明細書で使用される場合、用語「交差適合」とは、腫瘍ライセートと、生検標本または切除した腫瘍標本との比較等、ある試料のタンパク質発現プロファイルを別の試料のそれに照らして比較することを指す。あるタンパク質の断片がライセート及び試料の両方に見られる場合は、適合すると言われる。
【0188】
上記方法のいくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCXCL13を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L、CXCL13、及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD40L及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CXCL13及びCD93を異種発現する。いくつかの実施形態では、DCは、CD93を異種発現しない。
【0189】
いくつかの実施形態では、タンパク質発現プロファイルは、タンパク質アレイ、プロテオミクス、質量分析(MALDI−MS)等のような当該技術分野で周知の技術によって測定または比較される。いくつかの実施形態では、比較のために、タンパク質発現プロファイルに代えて遺伝子発現プロファイルを使用してよい。遺伝子発現プロファイルは、遺伝子アレイ、マイクロアレイ、RT−PCR等のような当該技術分野で周知の技術を使用して取得することができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、切除した腫瘍または生検標本のタンパク質発現プロファイルと、メラノーマ細胞ライセートのタンパク質発現プロファイルとの間で比較されるマーカーは、MAGEの各抗原である。例えば、各々が参照によりその全体が組み込まれる、Scanlan,Matthew J.et al.,Immunological Revs.2002,188:22−32及びWeon JL,Potts PR.The MAGE protein family and cancer.Curr Opin Cell Biol.2015;37:1−8.doi:10.1016/j.ceb.2015.08.002を参照のこと。
【0191】
いくつかの実施形態では、メラノーマ細胞ライセートは、DDM−1.7、DDM−1.13、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞株に由来する。いくつかの実施形態では、メラノーマ細胞ライセートは、MCV腫瘍ライセートであるか、またはMCV腫瘍ライセート発現プロファイルの一部に適合するものである。
【0192】
いくつかの実施形態では、投与経路は、腫瘍内、腫瘍周囲、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内への注射を介する。組成物は、免疫応答を刺激するために投与され、これは、ボーラス注射、持続注入、インプラントからの持続放出、または他の適切な技術により投与することができる。
【0193】
あくまでも例示のためであるが、注入前、その後の分析及び比較用に、対象から血液試料を取得して保存することによって方法を実施することができる。一般に、少なくとも約10
4〜10
6、典型的には1×10
8〜1×10
10の細胞が、約60〜120分かけて70kgの患者に静脈内または腹腔内注入される。
【0194】
いくつかの態様では、本明細書に記載される治療方法のいずれもさらに、1つ以上の追加の抗がん治療を個体に投与することを含むことができる。様々なクラスの抗がん剤を使用することができる。非限定的な例には、放射線療法、アルキル化薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、またはオキサリプラチン)、代謝拮抗剤(例えば、アザチオプリンまたはメルカプトプリン)、アントラサイクリン、植物アルカロイド(例えば、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、またはビンデシン等)及びタキサン(パクリタキセル、タキソール、またはドセタキセル等)を含む)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、またはテニポシド)、ポドフィロトキシン(及びその誘導体のエトポシド及びテニポシド等)、抗体(例えば、モノクローナルまたはポリクローナル)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標)またはGlivec(登録商標)))、ホルモン治療、可溶性受容体、及び他の抗悪性腫瘍薬(例えば、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、またはイホスファミド)が含まれる。
【0195】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞及び組成物は、抗がん特性を有する他の薬剤もしくは治療剤に補助的またはそれらと共に使用することができる(参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,914,783号を参照のこと)。補助的に使用される場合、組換えDC及び関連組成物ならびに他の薬剤(複数可)は、併せて単一の組み合わせ医薬製剤に製剤化されても、または別々に製剤化及び投与されてもよく、調整された単一投与レジメンでも異なる投与レジメンでもよい。組換えDC及び関連組成物に補助的またはそれらと共に投与される薬剤は典型的に、細胞と他の薬剤とが互いに悪影響を及ぼさないよう、組換えDC及び関連組成物に相補的な活性を有する。
【0196】
抗PD−1抗体に補助的に使用され得る薬剤には、アルキル化薬、血管新生阻害剤、抗体、代謝拮抗剤、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗ウイルス薬、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター(例えば、Bcl−2ファミリー阻害剤)、デスレセプター経路の活性化薬、Bcr−Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞誘導)抗体、抗体薬物複合体、生物学的応答調節剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、DVD、白血病ウイルスがん遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、増殖因子阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP)−90阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、ホルモン療法薬、免疫剤、アポトーシスタンパク質の阻害剤の阻害剤(IAP)、挿入抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質阻害剤、マイクロRNA、分裂促進因子活性化細胞外シグナル調節キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシン二リン酸)−リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、プラチナ化学療法薬、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリン類似体、ピリミジン類似体、受容体型チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド/デルトイド植物アルカロイド、低分子阻害リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤等、ならびにこれらの薬剤のうち1つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0197】
BiTE抗体は、T細胞とがん細胞の2つの細胞を同時に結合することによって、がん細胞を攻撃するようT細胞を導く二重特異性抗体である。T細胞はその後標的がん細胞を攻撃する。BiTE抗体の例には、アデカツムマブ(Adecatumumab)(Micromet MT201)、ブリナツモマブ(Micromet MT103)等が含まれる。理論により制限されることなく、T細胞が標的がん細胞のアポトーシスを誘発する機序の1つはパーフォリン及びグランザイムBが含まれる細胞溶解性顆粒成分のエキソサイトーシスによるものである。
【0198】
siRNAは、内在性RNA塩基または化学的に修飾されたヌクレオチドを有する分子である。修飾により細胞活性が消失することはなく、むしろ増大した安定性及び/または増大した細胞能力を付与する。化学修飾の例には、ホスホロチオアート基、2’−デオキシヌクレオチド、2’−OCH.sub.3含有リボヌクレオチド、2’−F−リボヌクレオチド、2’−メトキシエチルリボヌクレオチド、その組み合わせ等が含まれる。siRNAは、異なる長さ(例えば、10〜200bp)及び構造(例えば、ヘアピン、一本鎖/二本鎖、バルジ、ニック/ギャップ、ミスマッチ)を持つことができ、細胞内で処理されて能動的遺伝子サイレンシングを提供する。二本鎖siRNA(dsRNA)は、各鎖で同数のヌクレオチドを有する(平滑末端)か、または非対称末端(突出末端)を有し得る。1〜2ヌクレオチドの突出が、センス鎖及び/またはアンチセンス鎖に存在し得、また所与の鎖の5’末端及び/または3’末端に存在し得る。
【0199】
多価結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質である。多価結合タンパク質は、3つ以上の抗原結合部位を有するように操作され、一般には、天然に存在しない抗体である。用語「多重特異性結合タンパク質」とは、2つ以上の関連するかまたは無関係の標的を結合することができる結合タンパク質を意味する。二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含むタンパク質と結合する、4価または多価の結合タンパク質である。そのようなDVDは、単一特異性(すなわち、1つの抗原と結合することができる)または多重特異性(すなわち、2つ以上の抗原と結合することができる)のいずれでもあり得る。2つの重鎖DVDポリペプチドと2つの軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質は、DVD Igと呼ばれる。DVD Igの各半分は、重鎖DVDポリペプチド、軽鎖DVDポリペプチド、及び2つの抗原結合部位を含む。各結合部位は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、抗原結合部位あたり、抗原結合に関与する合計6つのCDRを有する。
【0200】
アルキル化薬には、アルトレタミン、AMD−473、AP−5280、アパジコン、ベンダムスチン、ブロスタリシン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン(BCNU)、クロラムブシル、CLORETAZINE(登録商標)(ラロムスチン、VNP40101M)、シクロホスファミド、ダカルバジン、エストラムスチン、ホテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、KW−2170、ロムスチン(CCNU)、マホスファミド、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ニムスチン、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、TREANDA(登録商標)(ベンダムスチン)、トレオスルファン、及びトロホスファミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0201】
血管新生阻害剤には、内皮特異的受容体チロシンキナーゼ(Tie−2)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGF)阻害剤、デルタ様リガンド4(DLL4)阻害剤、インスリン増殖因子−2受容体(IGFR−2)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ−2(MMP−2)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)阻害剤、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)阻害剤、トロンボスポンジン類似体、及び血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ(VEGFR)阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0202】
抗体薬物複合体には、c−Metキナーゼを標的とするもの(例えば、米国特許第7,615,529号に記載のADC)、LRRC15を標的とするもの、CD30を標的とするもの(例えば、ADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン))、CS1を標的とするもの(例えば、米国公開第20160122430号に記載のADC)、DLL3を標的とするもの(例えば、ロバルピツズマブテシリン(ROVA−T))、HER2を標的とするもの(例えば、KADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシン))、EGFRを標的とするもの(例えば、米国公開第20150337042号に記載のADC)、及びプロラクチン受容体を標的とするもの(例えば、米国公開第20140227294号に記載のADC)が含まれるが、これらに限定されない。
【0203】
代謝拮抗剤には、ALIMTA(登録商標)(ペメトレキセドナトリウム、LY231514、MTA)、5−アザシチジン、XELODA(登録商標)(カペシタビン)、カルモフール、LEUSTAT(登録商標)(クラドリビン)、クロファラビン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、シトシンアラビノシド、デシタビン、デフェロキサミン、ドキシフルリジン、エフロルニチン、EICAR(5−エチニル−1−β−D−リボフラノシルイミダゾール−4−カルボキサミド)、エノシタビン、エトニルシチジン(ethnylcytidine)、フルダラビン、5−フルオロウラシル単独またはロイコボリン併用、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、ヒドロキシ尿素、ALKERAN(登録商標)(メルファラン)、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、メトトレキサート、ミコフェノール酸、ネララビン、ノラトレキセド、オクホスファート、ペリトレキソール、ペントスタチン、ラルチトレキセド、リバビリン、トリアピン、トリメトレキサート、S−1、チアゾフリン、テガフール、TS−1、ビダラビン、及びUFTが含まれるが、これらに限定されない。
【0204】
抗ウイルス薬には、リトナビル、アシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、ジドブジン、リバビリン、及びヒドロキシクロロキンが含まれるが、これらに限定されない。
【0205】
オーロラキナーゼ阻害剤には、ABT−348、AZD−1152、MLN−8054、VX−680、Aurora A特異的キナーゼ阻害剤、Aurora B特異的キナーゼ阻害剤、及び汎オーロラキナーゼ阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0206】
Bcl−2タンパク質阻害剤には、ABT−263(ナビトクラックス)、AT−101((−)ゴシポール)、GENASENSE(登録商標)(G3139またはオブリメルセン(Bcl−2−指向性アンチセンスオリゴヌクレオチド))、IPI−194、IPI−565、N−(4−(4−((4’−クロロ(1,1’−ビフェニル)−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−− (((1R)−3−(ジメチルアミノ)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−ニトロベンゼンスルホンアミド)、N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル−)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド、ベネトクラクス及びGX−070(オバトクラックス)が含まれるが、これらに限定されない。
【0207】
Bcr−Ablキナーゼ阻害剤には、DASATINIB(登録商標)(BMS−354825)及びGLEEVEC(登録商標)(イマチニブ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0208】
BTK阻害剤には、イブルチニブ及びアカラブルチニブが含まれるが、これらに限定されない。
【0209】
CDK阻害剤には、AZD−5438、BMI−1040、BMS−032、BMS−387、CVT−2584、フラボピリドール、GPC−286199、MCS−5A、PD0332991、PHA−690509、セリシクリブ(CYC−202、R−ロスコビチン)、アベマシクリブ、パルボシクリブ、及びZK−304709が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
COX−2阻害剤には、ABT−963、ARCOXIA(登録商標)(エトリコキシブ)、BEXTRA(登録商標)(バルデコキシブ)、BMS347070、CELEBREX(登録商標)(セレコキシブ)、COX−189(ルミラコキシブ)、CT−3、DERAMAXX(登録商標)(デラコキシブ)、JTE−522、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル−1H−ピロール)−、MK−663(エトリコキシブ)、NS−398、パレコキシブ、RS−57067、SC−58125、SD−8381、SVT−2016、S−2474、T−614、及びVIOXX(登録商標)(ロフェコキシブ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0211】
EGFR阻害剤には、ABX−EGF、抗EGFRイムノリポソーム、EGFワクチン、EMD−7200、ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)、HR3、IgA抗体、IRESSA(登録商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(登録商標)(エルロチニブまたはOSI−774)、TAGRISSO(登録商標)(オシメルチニブ)、TP−38、EGFR融合タンパク質、及びTYKERB(登録商標)(ラパチニブ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
ErbB2受容体阻害剤には、CP−724−714、CI−1033(カネルチニブ)、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、TYKERB(登録商標)(ラパチニブ)、OMNITARG(登録商標)(2C4、ペルツズマブ)、TAK−165、GW−572016(ヨナファルニブ(ionafarnib))、GW−282974、EKB−569、PI−166、dHER2(HER2ワクチン)、APC−8024(HER−2ワクチン)、抗HER/2neu二重特異性抗体、B7.her2IgG3、AS HER2三官能性二重特異性抗体、mAB AR−209、及びmAB 2B−1が含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤には、デプシペプチド、LAQ−824、MS−275、トラポキシン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、TSA、及びバルプロ酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0214】
HSP−90阻害剤には、17−AAG−nab、17−AAG、CNF−101、CNF−1010、CNF−2024、17−DMAG、ゲルダナマイシン、IPI−504、KOS−953、MYCOGRAB(登録商標)(HSP−90に対するヒト組換え抗体)、NCS−683664、PU24FCl、PU−3、ラジシコール、SNX−2112、STA−9090、及びVER49009が含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
アポトーシスタンパク質の阻害剤には、HGS1029、GDC−0145、GDC−0152、LCL−161、及びLBW−242が含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
デスレセプター経路の活性化薬には、TRAIL、TRAILまたはデスレセプター(例えば、DR4及びDR5)を標的とする抗体または他の薬剤、例えば、アポマブ、コナツムマブ、ETR2−ST01、GDC0145(レクサツムマブ)、HGS−1029、LBY−135、PRO−1762及びトラスツズマブ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
キネシン阻害剤には、AZD4877、ARRY−520等のEg5阻害剤、及びGSK923295A等のCENPE阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0218】
JAK−2阻害剤には、CEP−701(レスタウルチニブ)、XL019及びINCB018424が含まれるが、これらに限定されない。
【0219】
MEK阻害剤には、ARRY−142886、ARRY−438162、PD−325901、及びPD−98059が含まれるが、これらに限定されない。
【0220】
mTOR阻害剤には、AP−23573、CCI−779、エベロリムス、RAD−001、ラパマイシン、テムシロリムス、ATP競合的TORC1/TORC2阻害剤(PI−103、PP242、PP30、及びTorin 1を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0221】
非ステロイド性抗炎症薬には、AMIGESIC(登録商標)(サルサラート)、DOLOBID(登録商標)(ジフルニサル)、MOTRIN(登録商標)(イブプロフェン)、ORUDIS(登録商標)(ケトプロフェン)、RELAFEN(登録商標)(ナブメトン)、FELDENE(登録商標)(ピロキシカム)、イブプロフェンクリーム、ALEVE(登録商標)(ナプロキセン)及びNAPROSYN(登録商標)(ナプロキセン)、VOLTAREN(登録商標)(ジクロフェナク)、INDOCIN(登録商標)(インドメタシン)、CLINORIL(登録商標)(スリンダク)、TOLECTIN(登録商標)(トルメチン)、LODINE(登録商標)(エトドラク)、TORADOL(登録商標)(ケトロラク)、及びDAYPRO(登録商標)(オキサプロジン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0222】
PDGFR阻害剤には、C−451、CP−673及びCP−868596が含まれるが、これらに限定されない。
【0223】
プラチナ化学療法薬には、シスプラチン、ELOXATIN(登録商標)(オキサリプラチン)エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、PARAPLATIN(登録商標)(カルボプラチン)、サトラプラチン、及びピコプラチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0224】
ポロ様キナーゼ阻害剤には、BI−2536が含まれるが、これに限定されない。
【0225】
ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)阻害剤には、ウォルトマンニン、LY294002、XL−147、CAL−120、ONC−21、AEZS−127、ETP−45658、PX−866、GDC−0941、BGT226、BEZ235、及びXL765が含まれるが、これらに限定されない。
【0226】
トロンボスポンジン類似体には、ABT−510、ABT−567、ABT−898、及びTSP−1が含まれるが、これらに限定されない。
【0227】
VEGFR阻害剤には、ABT−869、AEE−788、ANGIOZYME(商標)(血管新生を阻害するリボザイム(Ribozyme Pharmaceuticals(Boulder,Colo.)及びChiron(Emeryville,Calif.))、アキシチニブ(AG−13736)、AZD−2171、CP−547,632、CYRAMZA(登録商標)(ラムシルマブ)、IM−862、MACUGEN(登録商標)(ペガプタミブ)、NEXAVAR(登録商標)(ソラフェニブ、BAY43〜9006)、パゾパニブ(GW−786034)、バタラニブ(PTK−787、ZK−222584)、SUTENT(登録商標)(スニチニブ、SU−11248)、STIVARGA(登録商標)(レゴラフェニブ)、VEGFトラップ、及びZACTIMA(商標)(バンデタニブ、ZD−6474)が含まれるが、これらに限定されない。
【0228】
抗生物質には、挿入抗生物質アクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アンナマイシン、アドリアマイシン、BLENOXANE(登録商標)(ブレオマイシン)、ダウノルビシン、CAELYX(登録商標)またはMYOCET(登録商標)(リポソームドキソルビシン)、エルサミトルシン、エピルビシン、グラルビシン(glarbuicin)、ZAVEDOS(登録商標)(イダルビシン)、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルジノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、VALSTAR(登録商標)(バルルビシン)、及びジノスタチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0229】
トポイソメラーゼ阻害剤には、アクラルビシン、9−アミノカンプトテシン、アモナフィド、アムサクリン、ベカテカリン、ベロテカン、BN−80915、CAMPTOSAR(登録商標)(塩酸イリノテカン)、カンプトテシン、CARDIOXANE(登録商標)(デクスラゾキシン)、ジフロモテカン、エドテカリン、ELLENCE(登録商標)またはPHARMORUBICIN(登録商標)(エピルビシン)、エトポシド、エキサテカン、10−ヒドロキシカンプトテシン、ギマテカン、ルルトテカン、ミトキサントロン、Onivyde(商標)(リポソームイリノテカン)、オラテシン、ピラルブシン、ピキサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN−38、タフルポシド(Tafluposide)、及びトポテカンが含まれるが、これらに限定されない。
【0230】
抗体には、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)、CD40特異的抗体、chTNT−1/B、デノスマブ、ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)、HUMAX−CD4(登録商標)(ザノリムマブ)、IGF1R特異的抗体、リンツズマブ(lintuzumab)、OX−40特異的抗体、PANOREX(登録商標)(エドレコロマブ)、RENCAREX(登録商標)(WX G250)、RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)、チシリムマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、VECTIBIX(登録商標)(パニツムマブ)及びCD20抗体タイプIとIIが含まれるが、これらに限定されない。
【0231】
ホルモン療法薬には、ARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン)、アルゾキシフェン、CASODEX(登録商標)(ビカルタミド)、CETROTIDE(登録商標)(セトロレリクス)、デガレリクス、デスロレリン、DESOPAN(登録商標)(トリロスタン)、デキサメタゾン、DROGENIL(登録商標)(フルタミド)、EVISTA(登録商標)(ラロキシフェン)、AFEMA(商標)(ファドロゾール)、FARESTON(登録商標)(トレミフェン)、FASLODEX(登録商標)(フルベストラント)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール)、ホルメスタン、グルココルチコイド、HECTOROL(登録商標)(ドキセルカルシフェロール)、RENAGEL(登録商標)(炭酸セベラマー)、ラソホキシフェン、リュープロリド酢酸塩、MEGACE(登録商標)(メゲステロール)、MIFEPREX(登録商標)(ミフェプリストン)、NILANDRON(商標)(ニルタミド)、NOLVADEX(登録商標)(タモキシフェンクエン酸塩)、PLENAXIS(商標)(アバレリクス)、プレドニゾン、PROPECIA(登録商標)(フィナステリド)、リロスタン、SUPREFACT(登録商標)(ブセレリン)、TRELSTAR(登録商標)(黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH))、VANTAS(登録商標)(ヒストレリン植込錠)、VETORYL(登録商標)(トリロスタンまたはモドラスタン)、及びZOLADEX(フォスレリン、ゴセレリン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0232】
デルトイド及びレチノイドには、セオカルシトール(EB1089、CB1093)、レキサカルシトール(KH1060)、フェンレチニド、PANRETIN(登録商標)(アリレチノイン(aliretinoin))、ATRAGEN(登録商標)(リポソームトレチノイン)、TARGRETIN(登録商標)(ベキサロテン)、及びLGD−1550が含まれるが、これらに限定されない。
【0233】
PARP阻害薬には、ABT−888(ベリパリブ)、KU−59436、AZD−2281(オラパリブ)、AG−014699(ルカパリブ)、MK4827(ニラパリブ)、BMN−673(タラゾパリブ)、イニパリブ、BSI−201、BGP−15、INO−1001、及びONO−2231が含まれるが、これらに限定されない。
【0234】
植物アルカロイドには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビンが含まれるが、これらに限定されない。
【0235】
プロテアソーム阻害剤には、VELCADE(登録商標)(ボルテゾミブ)、KYPROLIS(登録商標)(カルフィルゾミブ)、MG132、NPI−0052、及びPR−171が含まれるが、これらに限定されない。
【0236】
免疫薬の例には、インターフェロン、免疫チェックポイント阻害剤、共刺激剤、及び他の免疫増強剤が含まれるが、これらに限定されない。インターフェロンには、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1a、ACTIMMUNE(登録商標)(インターフェロンガンマ−1b)またはインターフェロンガンマ−n1、その組み合わせ等が含まれる。免疫チェックポイント阻害剤には、PD−L1を標的とする抗体(例えば、デュルバルマブ(durvalumab)、アテゾリズマブ、アベルマブ、MEDI4736、MSB0010718C及びMPDL3280A)、及びCTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4;例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)が含まれる。共刺激剤には、CD3、CD40、CD40L、CD27、CD28、CSF1R、CD137(例えば、ウレルマブ)、B7H1、GITR、ICOS、CD80、CD86、OX40、OX40L、CD70、HLA−DR、LIGHT、LIGHT−R、TIM3、A2AR、NKG2A、KIR(例えば、リリルマブ)、TGF−β(例えば、フレゾリムマブ)及びそれらの組み合わせに対する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0237】
他の薬剤には、ALFAFERONE(登録商標)(IFN−α)、BAM−002(酸化型グルタチオン)、BEROMUN(登録商標)(タソネルミン)、BEXXAR(登録商標)(トシツモマブ)、CAMPATH((登録商標)アレムツズマブ)、ダカルバジン、デニロイキン、エプラツズマブ、GRANOCYTE(登録商標)(レノグラスチム)、レンチナン、白血球アルファインターフェロン、イミキモド、メラノーマワクチン、ミツモマブ、モルグラモスチム、MYLOTARG(商標)(ゲムツズマブ・オゾガマイシン)、NEUPOGEN(登録商標)(フィルグラスチム)、OncoVAC−CL、OVAREX(登録商標)(オレゴボマブ)、ペムツモマブ(pemtumomab)(Y−muHMFG1)、PROVENGE(登録商標)(シプロイセル−T)、サルガラモスチム(sargaramostim)、シゾフィラン、テセロイキン、THERACYS(登録商標)(Bacillus Calmette−Guerin)、ウベニメクス、VIRULIZIN(登録商標)(免疫療法薬、Lorus Pharmaceuticals)、Z−100(丸山ワクチン(SSM))、WF−10(テトラクロロデカオキシド(tetrachlorodecaoxide)(TCDO))、PROLEUKIN(登録商標)(アルデスロイキン)、ZADAXIN(登録商標)(サイマルファシン)、ZINBRYTA(登録商標)(高収率合成ダクリズマブ)、及びZEVALIN(登録商標)(
90Y−イブリツモマブ・チウキセタン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0238】
生物学的応答調節剤は、生物の防御機構または生物学的応答、例えば、組織細胞の生存、増殖または分化を調節して、抗腫瘍活性を有するように誘導する薬剤であり、これには、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニルPF−3512676(CpG−8954)、及びウベニメクスが含まれるが、これらに限定されない。
【0239】
ピリミジン類似体には、シタラビン(ara CまたはアラビノシドC)、シトシンアラビノシド、ドキシフルリジン、FLUDARA(登録商標)(フルダラビン)、5−FU(5−フルオロウラシル)、フロキシウリジン、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、TOMUDEX(登録商標)(ラチトレキセド(ratitrexed))、及びTROXATYL(商標)(トリアセチルウリジントロキサシタビン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0240】
プリン類似体には、LANVIS(登録商標)(チオグアニン)及びPURINETHOL(登録商標)(メルカプトプリン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0241】
抗有糸分裂剤には、バタブリン、エポチロンD(KOS−862)、N−(2−((4−ヒドロキシフェニル)アミノ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、イキサベピロン(BMS247550)、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル)、TAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)、PNU100940(109881)、パツピロン、XRP−9881(ラロタキセル)、ビンフルニン、及びZK−EPO(合成エポチロン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0242】
ユビキチンリガーゼ阻害剤には、ヌトリン等のMDM2阻害剤、及びMLN4924等のNEDD8阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0243】
組換えDC及び関連組成物はまた、放射線療法の有効性を高めるために使用され得る。放射線療法の例には、外部ビーム放射線療法、内部放射線療法(すなわち、近接照射療法)及び全身放射線療法が含まれる。
【0244】
組換えDC及び関連組成物は、ABRAXANE(商標)(ABI−007)、ABT−100(ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬)、ADVEXIN(登録商標)(Ad5CMV−p53 ワクチン)、ALTOCOR(登録商標)またはMEVACOR(登録商標)(ロバスタチン)、AMPLIGEN(登録商標)(ポリI:ポリC12U、合成RNA)、APTOSYN(登録商標)(エキシスリンド)、AREDIA(登録商標)(パミドロン酸)、アルグラビン、L−アスパラギナーゼ、アタメスタン(1−メチル−3,17−ジオン−アンドロスタ−1,4−ジエン)、AVAGE(登録商標)(タザロテン)、AVE−8062(コンブレアスタチン(combreastatin)誘導体)BEC2(ミツモマブ)、カケクチンまたはカケキシン(cachexin)(腫瘍壊死因子)、カンバキシン(canvaxin)(ワクチン)、CEAVAC(登録商標)(がんワクチン)、CELEUK(登録商標)(セルモロイキン)、CEPLENE(登録商標)(ヒスタミン二塩酸塩)、CERVARIX(登録商標)(ヒトパピローマウイルスワクチン)、CHOP(登録商標)(C:CYTOXAN(登録商標)(シクロホスファミド);H:ADRIAMYCIN(登録商標)(ヒドロキシドキソルビシン);O:Vincristine(ONCOVIN(登録商標));P:プレドニゾン)、CYPAT(商標)(酢酸シプロテロン)、コンブレスタチンA4P(combrestatin A4P)、DAB(389)EGF(ヒト上皮増殖因子受容体にHis−Alaリンカーを介して融合されたジフテリア毒素の触媒及び転座ドメイン)またはTransMID−107R(商標)(ジフテリア毒素)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、5,6−ジメチルキサンテノン−4−酢酸(DMXAA)、エニルウラシル、EVIZON(商標)(乳酸スクアラミン)、DIMERICINE(登録商標)(T4N5 リポソームローション)、ディスコデルモライド、DX−8951f(エキサテカンメシル酸塩)、エンザスタウリン、EPO906(エポチロンB)、GARDASIL(登録商標)(組換え4価ヒトパピローマウイルス(6型、11型、16型、18型)ワクチン)、GASTRIMMUNE(登録商標)、GENASENSE(登録商標)、GMK(ガングリオシド複合体ワクチン)、GVAX(登録商標)(前立腺癌ワクチン)、ハロフギノン、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、イバンドロン酸、IGN−101、IL−13−PE38、IL−13−PE38QQR(シントレデキンベスドトクス)、IL−13−pseudomonas外毒素、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、JUNOVAN(商標)またはMEPACT(商標)(ミファムルチド)、ロナファルニブ、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、ミルテホシン(ヘキサデシルホスホコリン)、NEOVASTAT(登録商標)(AE−941)、NEUTREXIN(登録商標)(グルクロン酸トリメトレキサート)、NIPENT(登録商標)(ペントスタチン)、ONCONASE(登録商標)(リボヌクレアーゼ酵素)、ONCOPHAGE(登録商標)(メラノーマワクチン治療)、ONCOVAX(登録商標)(IL−2ワクチン)、ORATHECIN(商標)(ルビテカン)、OSIDEM(登録商標)(抗体ベース細胞薬物)、OVAREX(登録商標)MAb(マウスモノクローナル抗体)、パクリタキセル、PANDIMEX(商標)(20(S)プロトパナキサジオール(aPPD)及び20(S)プロトパナキサトリオール(aPPT)を含むチョウセンニンジン由来アグリコンサポニン)、パニツムマブ、PANVAC(登録商標)−VF(治験がんワクチン)、ペガスパルガーゼ、PEGインターフェロンA、フェノキソジオール、プロカルバジン、レビマスタット、REMOVAB(登録商標)(カツマキソマブ)、REVLIMID(登録商標)(レナリドミド)、RSR13(エファプロキシラール)、SOMATULINE(登録商標)LA(ランレオチド)、SORIATANE(登録商標)(アシトレチン)、スタウロスポリン(Streptomyces staurospores)、タラボスタット(PT100)、TARGRETIN(登録商標)(ベキサロテン)、TAXOPREXIN(登録商標)(DHA−パクリタキセル)、TELCYTA(登録商標)(カンホスファミド、TLK286)、テミリフェン、TEMODAR(登録商標)(テモゾロミド)、テスミリフェン、サリドマイド、THERATOPE(登録商標)(STn−KLH)、チミタク(2−アミノ−3,4−ジヒドロ−6−メチル−4−オキソ−5−(4−ピリジルチオ)キナゾリンジヒドロクロリド)、TNFERADE(商標)(アデノベクター:腫瘍壊死因子−αの遺伝子を含有するDNA担体)、TRACLEER(登録商標)またはZAVESCA(登録商標)(ボセンタン)、トレチノイン(レチン−A)、テトランドリン、TRISENOX(登録商標)(三酸化ヒ素)、VIRULIZIN(登録商標)、ウクライン(ukrain)(クサノオウ(greater celandine)植物由来アルカロイドの誘導体)、ビタキシン(vitaxin)(抗アルファvベータ3抗体)、XCYTRIN(登録商標)(モテキサフィンガドリニウム)、XINLAY(商標)(アトラセンタン)、XYOTAX(商標)(ポリグルタミン酸付加パクリタキセル)、YONDELIS(登録商標)(トラベクテジン)、ZD−6126、ZINECARD(登録商標)(デキスラゾキサン)、ZOMETA(登録商標)(ゾレンドロン酸(zolendronic acid))、及びゾルビシン、ならびにこれらの薬剤のうちのいずれかの組み合わせ等、他の化学療法薬に補助的またはそれらと共に投与され得る。
【0245】
キット
さらに、これらの組換え樹状細胞組成物の特定の成分または実施形態は、キットにして提供することができる。例えば、組換え樹状細胞組成物のいずれか、ならびに自己または他の腫瘍細胞ライセート組成物は、単独、または、コンディショニング前もしくはコンディショニング後のステップからの他の薬剤のいずれかの別個の容器、及び任意選択の使用説明書と共にキットとして、凍結され、包装された状態で提供することができる。
【0246】
いくつかの実施形態はまた、キット内の前述の細胞組成物のいずれも対象とする。いくつかの実施形態では、キットは、アンプル、使い捨てシリンジ、カプセル、バイアル、チューブ等を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の実施形態の局所製剤を含む単回投与容器または頻回投与容器を含み得る。いくつかの実施形態では、各投与容器は1つ以上の単位用量を含有し得る。いくつかの実施形態では、キットには、アプリケーターが含まれ得る。いくつかの実施形態では、キットには、コンディショニング/治療の各段階に必要なすべての構成要素が含まれる。いくつかの実施形態では、細胞組成物は、保存剤を有する場合と保存剤を含まない場合(例えば、単回使用容器)がある。いくつかの実施形態では、CD40L、CXCL13、またはCD93のうちのいずれか1つ以上を発現する組換え樹状細胞組成物は、病院または治療機関への輸送に好適な未熟段階に調製して凍結され得る。いくつかの実施形態では、自己、または、例えば、DDM−1.7、DDM−1.13等の細胞株に由来するメラノーマ細胞ライセート、またはそれらの組み合わせ、のいずれかの搭載用抗原は、標準的方法を使用して、組換え樹状細胞組成物とは別に調製して凍結し、これらの組成物が病院または治療機関に輸送されてから以降の処理及び患者への投与が行われ得るようにすることができる。さらに他の実施形態では、CD40L、CXCL13、またはCD93のうちのいずれか1つ以上を発現する組換え樹状細胞組成物は、調製してから、所望の自己、または、例えば、DDM−1.7、DDM−1.13等の細胞株に由来するメラノーマ細胞ライセートと混合して、組換え樹状細胞への腫瘍抗原の搭載を促進してよく、その後、この混合物は凍結され、これらの組成物が病院または治療機関に輸送されてから以降の処理及び患者への投与が行われ得るようにする。
【0247】
さらに、特定の患者では、腫瘍または感染因子(複数可)に対する免疫系応答を高めるために、方法または治療レジメンのうちのいずれかが定期的に繰り返されることが予想される。そのような定期的治療は、患者が必要とする限りは維持療法として、週1回、月1回から、2か月に1回まで、3か月に1回まで、4か月に1回まで、5か月に1回まで、6か月に1回まで、または7か月に1回、または8か月に1回、または9か月に1回、または10か月に1回、または11か月に1回、または年1回までと異なり得る。
【0248】
治療の概要
いくつかの実施形態では、患者のT細胞及びB細胞の誘引を最大限にし、抗腫瘍の細胞性及び液性の免疫応答カスケードを発生させるために、alloDCに、CD40L及びCXCL13を形質導入する。
【0249】
任意選択のさらなる実施形態では、CD40L+及びCXCL13+のalloDCへのCD93形質導入により、同種DCと宿主DC間のクロストークがさらに促進され、安定かつ持続性の宿主抗腫瘍免疫原性が作り出される。
【0250】
腫瘍の生検または切除を行うことが可能な患者では、切除した腫瘍標本及び生検標本のタンパク質発現プロファイルのスクリーニングを行う。発現プロファイリングで、少なくとも3つの断片がGMP−MCVと共有されることが示される場合には、組換えimDCに、DCが成熟する前にインビトロでGMP−MCV(同種または「既製」の腫瘍ライセート)を搭載する。
【0251】
同種/既製のライセートと共有される腫瘍断片が試料にない患者の場合、自己腫瘍ライセートを生成し、その腫瘍ライセートが未熟組換えalloDCに提示され、自己腫瘍ライセートは組換え未熟alloDcによって処理され、提示される。
【0252】
切除不能及び生検不能である患者の場合はいずれも、組換えCD40L+CXCL13+alloDC(または任意選択でさらにCD93+を含む)細胞組成物を免疫アジュバントとして、抗原は搭載せずに患者に投与される。このCD40L+CXCL13+(任意選択の)CD93 AlloDCアプローチを使用することにより、末期段階のがん患者は、腫瘍の新規抗原に対して新たな抗腫瘍の細胞性及び液性免疫応答を開始して、迅速、効率的かつ低費用の治療法で既存の免疫応答を強化することができる。
【0253】
これらの選択肢の概要を以下に記載する。
【0254】
選択肢1:MelCancerVac(MCV)腫瘍ライセートの発現プロファイルとの交差適合について、切除した腫瘍標本及び生検標本のタンパク質発現プロファイルのスクリーニングを行う。発現プロファイリングがGMP−MCV腫瘍ライセートと同じ少なくとも3つの断片を示す場合、その患者には、既製の製品である、MCV腫瘍ライセートのパルス、増強/活性化済み組換え同種DCワクチン(alloDC/MCV腫瘍ライセート)を使用することができる。
【0255】
選択肢2:タンパク質発現プロファイルがMCVライセートのプロファイルに適合しない場合、自己腫瘍ライセートを未熟組換えalloDCに提示し、インビトロでパルスした後、成熟させる。
【0256】
選択肢3:切除不能及び非生検の患者の場合、CD40L+CXCL13(及び任意選択でCD93)組換えalloDCは、抗原のパルスまたは活性化を用いずに免疫アジュバントとして投与することができる。
【0257】
組換えDC細胞を作製するための選択肢は、精製ヒトCD14+単球にCD40L及びCXCL13を形質導入するために、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターではなく組換えアデノウイルスベクター/CRISPR Cas9を使用することである。組換え/遺伝子導入単球が、機能的かつ免疫原性のDCへと確実に分化することができるよう、形質導入効率ならびに形質導入された単球の機能性を、遊走、分化、及びサイトカイン分泌を含めて評価する。
【0258】
アデノウイルス(AdV)を使用することは、細胞の有糸分裂状態に関係なく、造血由来細胞を含めた多くの細胞型で形質導入効率が高いこと等、いくつかの理由から有益である。別の利点は、複製欠陥AdVで臨床上の安全性プロファイルが実証されていることである。さらに、AdVでは高レベルの導入遺伝子発現が得られるため、AdVで形質導入したDCは抗原タンパク質を効果的に提示することができる。組換えアデノウイルスベクターにより、未熟DCに95%の効率まで首尾よくトランスフェクトすることができる。(Lei Zhong,et al.Eur.J.Immunol.1999.29:964−972を参照のこと)。しかしながら、レンチウイルスベクターを含め、追加のウイルスベクター系を利用できることも予想される。(Vectalys(Toulouse France)等の商業的供給源及び米国特許第10,272,111号における関連方法を参照のこと)。
【0259】
ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド13(CXCL13)は、Bリンパ球化学誘引物質(BLC)またはB細胞誘引ケモカイン1(BCA−1)としても知られる、ヒトでCXCL13遺伝子によってコードされるタンパク質リガンドである。CXCR5は、CXCL13に対する受容体である。ケモカイン発現は、リンパ球の動員と刺激という正のループを開始させる。腸上皮細胞でCXCL13を過剰発現させると、粘膜固有層でのB細胞数の顕著な増加、及び小腸のリンパ濾胞のサイズと数の増加が促進された。(F.Marchesi et al.Mucosal Immunology.2009.2(6):486−494を参照のこと)。
【0260】
これらの結果は、炎症状態にある間、腸でのCXCL13の過剰発現は、B細胞、ならびに免疫調節及び修復機能を有するLTi及びNK細胞の動員に有利に働くことを示唆している。
【0261】
CD154とも呼ばれるCD40リガンド(CD40L)は、TNFスーパーファミリーの分子のメンバーであるタンパク質である。これは、抗原提示細胞(APC)上のCD40に結合し、これにより、標的細胞型に応じた多くの作用がもたらされる。CD40Lには、CD40、α5β1インテグリン及びαIIbβ3の全部で3つの結合パートナーがある。CD154は、共刺激分子として働き、濾胞ヘルパーT細胞(TFH細胞)と呼ばれるT細胞サブセットでは特に重要である。TFH細胞では、CD40Lは、B細胞表面のCD40と結合することによってB細胞の成熟と機能を促進し、そのため、細胞間コミュニケーションが促進される。CD40Lの安定発現により、DCは、IL−12を産生して免疫抑制を克服し、メモリーT細胞の分化を誘発することができる。
【0262】
CD93は、約120kDaのO−シアロ糖タンパク質であり、造血系内で骨髄系の細胞に選択的に発現する。その一次構造と機能は最近まで不明であった。CD93 cDNAを単離するためにレトロウイルス発現クローニングが利用された。シークエンス解析により、CD93は、C1q受容体(C1qRp)と呼ばれるヒト食細胞上のタンパク質と同一であることが明らかになった。C1qRpは、単球の食作用増強を媒介することが先に示されており、C1q及び他の2つの構造的に関連する分子の受容体であることが示唆された。CD93形質導入体と対照細胞を研究したところ、CD93を発現する細胞はC1qと結合する能力が増強されていることがわかった。さらに、未熟樹状細胞(DC)はCD93/C1qRpを発現し、また抗原取り込み能が低下していることと、食作用が失われていることが知られている成熟DCは、CD93/C1qRp発現が弱〜陰性を示すことが示された。本明細書で提供される異種タンパク質の形質導入用細胞の供給源として使用される細胞は、どのドナーのものでも可能である。いくつかの実施形態では、ドナーから単離された細胞が、それを投与される対象にとって同種であると見なされることが確立されるよう、ドナーのスクリーニングを行う。いくつかの実施形態では、ドナーのスクリーニング基準には、ドナーの年齢、ドナーの性別、ドナーの民族性、ドナーのABO/Rh;ドナーのBMI(体重と身長)、ドナーのHLA高解像度タイピングを含めた、ドナーの人口統計が含まれ得る。
【0263】
さらに、いくつかの実施形態では、ドナー試料は、白血球アフェレーシス材料(またはそのような供給源材料でも)で、輸血についての完全なパネル検査(FDA)を受けることができ、これには、CMV検査;梅毒の血清学的検査及び抗体スクリーニング;以下の検査のうち1つ以上を含む感染症パネル:B型肝炎コア抗体(抗HBs EIA);B型肝炎表面抗原(HBsAg EIA);C型肝炎ウイルス抗体(抗HCV EIA);ヒト免疫不全ウイルスAb(HIV1/2、及びグループO);ヒトTリンパ球向性ウイルス抗体(HTLV−I/II);HIV−1/HGV/HBV核酸検査;WNV核酸検査;Trypanasoma cruzi抗体;及びジカ、が含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、ドナー細胞または患者に投与される細胞は、CMV、梅毒、肝炎A、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV−I/II、ウエストナイルウイルス(WNV)、Trypanasoma cruzi、及び/またはジカを含まないドナーに由来する。
【0264】
試料は、単球のパーセンテージと数について血球分析装置及びフローサイトメトリーによって評価され得る。
【0265】
試料は、アフェレーシスによるか、または全血採取によって採取され、標準的検査の対象となり得る。特定の場合には、採取は、Optiaでの白血球アフェレーシス採取によるものである。試料は、生存率とCD14+の割合(%)について分析し、CD14+単球を計数する。
【0266】
CliniMACSを標準的手順に従って使用して、陰性単球の単離を実施することはもう一つの選択肢である。
【0267】
単離後の純度と細胞数
いくつかの実施形態では、精製された単球は、CD40L及びCXCL13(及び特定の実施形態では、CD40L、CXCL13、及びCD93)を含むアデノウイルスベクターでトランスフェクトされる。
【0268】
いくつかの実施形態では、精製された単球は、CD40L及びCXCL13(及び特定の実施形態では、CD40L、CXCL13、及びCD93)を含むレンチウイルスベクターでトランスフェクトされる。
【0269】
ウイルスベクターへの曝露後、陽性に形質導入された単球を選択することができる。例えば、細胞は、以下の陽性または陰性マーカーのうちの1つ以上で選択することができる:Linage negative(CD3−、CD56−、CD19−、CD66b−)、CD45+、CD14+、CD40L+、CXCL13+、CD1c+、CD11b+、CD11c+、HLA−DR+、CD86+、CD80low、CD83−、CD16Low、CD33+、CD163−、CD206+、またはCD209。
【0270】
特定の場合には、収率を計算できるよう、陽性選別の前に細胞の形質導入効率を評価する。形質導入効率はCD40L+CXCL13+またはCD40L+CXCL13+CD93+の単球細胞の予想される収率を決定するのに必要/有用である。
【0271】
本明細書で提供されるように、細胞は単球であり得、インビトロで未熟樹状細胞に分化させることができる。いくつかの実施形態では、細胞(形質導入されたもの、または形質導入されていないもの)を遠心分離にかけて細胞を単離する。細胞は、例えば、400×gで室温(RT)にて10分間、低ブレーキで遠心分離にかけることができる。遠心分離された細胞は、その上清から分離することができる。遠心分離された細胞は、X−VIVO 15、(1000単位/ml)等の組換えヒトGM−CSF、及びIL−4(1000単位/ml)と共に細胞培養フラスコに再懸濁させることができ、細胞を、少なくとも、または約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、または10日間、インキュベーターで単球に分化させることができる。いくつかの実施形態では、細胞を約4〜約8日間分化させる。
【0272】
いくつかの実施形態では、分化させた細胞をその後、細胞培地から採取して遠心分離にかけることができる。例えば、いくつかの実施形態では、細胞培地を、培養フラスコから遠沈管に採取する。PBSを細胞培養フラスコ内に入れ、フラスコ表面を覆うことができる。細胞培養フラスコは、PBSと共に37℃、5%CO
2のインキュベーターで約30分間インキュベートすることができる。いくつかの実施形態では、インキュベーション後、フラスコを軽く叩いてフラスコの内容物を遠沈管に採取する。フラスコをすすぎ、遠沈管に採取することができる。いくつかの実施形態では、採取した細胞は、例えば、400×gで室温にて10分間、低ブレーキで遠心分離にかけることができる。遠心分離後、細胞をその上清から分離し、細胞を単離する。細胞を再懸濁させ、生存率について分析する。
【0273】
いくつかの実施形態では、試料を細胞数について分析し、関連バイオマーカーをフローサイトメトリーで同定する。それらは、以下の陽性または陰性マーカーのうちの1つ以上によって分析することも、またはそれらで選択することもできる:Linage negative(CD3−、CD56−、CD19−、CD66b−)、CD45+、CD14+、CD40L+、CXCL13+、CD1c+、CD11b+、CD11c+、HLA−DR+、CD86+、CD80low、CD83−、CD16Low、CD33+、CD163−、CD206+、またはCD209。
【0274】
本明細書で提供されるように、単球は、レンチウイルスまたはアデノウイルス等のウイルスベクターを用いて形質導入することができる。ウイルスによる形質導入のいずれのプロトコルも使用することができる。例えば、細胞は、培地カクテルで培養することができる。いくつかの実施形態では、培地は、100ng/mLのmFlt3L/mTPO/mSCF、及び30ng/mLのmIL−3を含む。細胞を、例えば、この培地に入れて培養し、37℃、5%CO
2で24時間、または活性化されるまでインキュベートすることができる。活性化後、細胞は、PGE2で前処理することができる。次いで、細胞を適切なベクターで形質導入することができる。いくつかの実施形態では、ウイルスを、10、100、または100のMOI(感染多重度)で加える。形質導入後、細胞は、例えば、ベクターによってコードされる異種タンパク質のうち1つ以上に結合する、ビーズまたは精製用製品を使用して単離することができる。例えば、CD40Lマイクロビーズ(Miltenyi)を使用して、細胞を形質導入工程後に採取し、CD40Lを発現する細胞を精製することができる。
【0275】
いくつかの実施形態では、CD34+レンチウイルス+形質導入細胞等の形質導入された単球を、CD14+CD16+単球に分化させるためには、精製CD34+Lv+細胞は、3〜10日間、G−Rex 10Mに入れた増殖培地(X−VIVO 10培地;ヒトAB血清10%;rhSCF 50ng/ml(R&D Systems);TPO 15ng/ml(R&D Systems);IL−3 30ng/ml(R&D Systems);Flt−3L 30ng/ml(R&D Systems))で、1×10
5CD34
+細胞/mlを培養することにより増殖させることができる。細胞の増殖後(1〜10日)、細胞は、G−Rex 100Mに入れた分化培地に移して14日間おくことができる。分化培地の非限定的な例の1つとして、20%のヒトAB血清;SCF 25ng/ml(R&D Systems);M−CSF 30ng/ml(R&D Systems);IL−3 30ng/ml(R&D Systems);及びFlt−3L 30ng/ml(R&D Systems)を添加したIMDMが挙げられる。次いで、細胞は、分化カクテル内で約または少なくとも1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、もしくは10日間インキュベートすることができる。分化カクテルの非限定的な例は、RPMI−1640;3%ヒトAB血清;GM−CSF 900IU/ml;IL−4 1000IU/ml;TNFアルファ 400IU/ml;及びTGFベータ1 0.2ng/mlである。分化カクテルは、単球の未熟樹状細胞への分化を増進することができる。
【0276】
いくつかの実施形態では、未熟樹状細胞の成熟をさらに増進するために、細胞を成熟カクテルに入れてインキュベートすることができる。いくつかの実施形態では、成熟カクテルは、抗原、腫瘍ライセートまたは生きている腫瘍細胞を含む。これらの例を本明細書で提供する。成熟カクテルには、例えば、GM−CSF 500IU/ml;IL−15 400ng/nl;IFNガンマ 100ng/ml;TNFアルファ 2ng/ml;及びPgE2 2mcg/mlが含まれ得る。量は例示に過ぎず、そのような量に限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、成熟組成物(カクテル)は、GM−CSF、IL−15、IFNガンマ、TNFアルファ、及び/またはPgE2を含む。細胞は、この成熟組成物中で約12〜約48時間、約20〜約40時間、約30〜約38時間、約、または少なくとも、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、28時間、32時間、36時間、40時間、44時間、もしくは48時間、インキュベートすることができる。成熟カクテルはまた、TNF−α、IL−1β、IFN−α、IFN−γ、及び/またはpICも含むことができる。
【0277】
これらの実施形態のうち1つ以上を使用した実験の結果は、CliniMACSで単離されたCD14+単球を使用した代表的表現型及び純度評価を
図2A〜
図2Fに示す。
【0278】
未熟組換えDCは、
図4A及び
図4Bに示される貪食能を示すことが示された。
図4A及び
図4Bの結果では、蛍光標識したEscherichia coli(E.coli)粒子の未熟DC生成物による食作用がフローサイトメトリーで観察された。
図4Aは陰性対照であり、一方の
図4Bは、86.13%の生成物が蛍光標識E.coli粒子を貪食したことを示す。使用されるアッセイは、任意の食作用アッセイであり得る。
【0279】
さらに、
図5A〜
図5Dは、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)の希釈によって示されるように、組換えDCが同種T細胞増殖を刺激したことを示す。
図5A〜
図5Dに示されている結果では、同種T細胞はCFSEで標識され、組換えalloDCと共に共培養された。T細胞の増殖は、CFSEの希釈によって観察され得る。左の列(
図5A及び
図5C)は4日目の増殖を示し、右の列は7日目の増殖を示した(
図5B及び
図5D)。これらの結果は、組換えalloDCが同種T細胞増殖を刺激したことを示している。
【0280】
本組成物及び本方法の有用な態様には、患者の治療を容易にするため、現地の病院で使用するための既製ワクチンを提供するために組換えDCを保存しておけることが含まれる。そのような組換えDCは、その後、3つの異なる方法での処理が考えられる:1)それらに自己腫瘍ライセートを搭載することができる、または(2)他の場合には、それらにMCV腫瘍ライセート(Dandrit GMP:患者の腫瘍の3つ以上のエピトープがMCV抗原プールに存在する場合)、もしくは別の市販の同種腫瘍ライセートを搭載することができる;または(3)切除不能の腫瘍の場合は抗原搭載が行われない可能性がある。
【0281】
組換えDCワクチン調製の次のステップでは、組換えalloDCを組換えヒトサイトカインのカクテル、例えば、上記のもの等で成熟させる。
【0282】
その後、細胞は表現型であり、機能性を評価し(
図4及び
図5に示すとおり)、ならびに関連する導入遺伝子(例えば、CD40L、CXCL13、及びCD93)の発現について評価する。最後に、組換えDCを凍結する、より具体的には凍結保存する、典型的には、制御された速度で凍結保存し、その後、解凍した後、臨床の場で利用する。そのような細胞は、がん、腫瘍、及び悪性疾患を治療するための組換えDC生物学的ワクチン/免疫アジュバントの基礎となる。治療、細胞調製、及びワクチン接種工程の概略図を
図9に示す。
【0283】
いくつかの実施形態では、細胞を凍結し、これは、凍結保存と呼ばれ得る。細胞は、例えば、CryoStor CS5(凍結培地)を使用して凍結することができる。ただし、これは、培地を凍結することの非限定的な例であり、他の凍結培地を使用することができる。細胞は、最初、4℃に冷却することができる。その後、細胞を約−20℃にさらに冷却することができる。細胞を遠心分離にかけるかまたは追加の凍結培地に再懸濁した後、−90℃まで段階的に冷却することができる。その後、細胞は液体窒素に保存することができる。いくつかの実施形態では、細胞をクライオバッグに入れて凍結する。
【0284】
細胞は、37℃の水浴で解凍することによって解凍することができる。いくつかの実施形態では、水浴中で細胞を動かさずに、すなわち、8の字を描くように動かすこと、または軽く叩くことはせずに細胞を解凍する。その後、細胞を血漿及び温めた解凍培地と接触させることができる。その後、細胞を、対象に投与される前に、生存率について分析することができる。マーカーの例は、本明細書及び上記に提供される。
【0285】
いくつかの実施形態では、樹状細胞をサイトカインカクテルで成熟させる、及び/またはDCに自己腫瘍ライセート/MCVを搭載する。例えば、生存未熟DCを腫瘍ライセートと共に、またはMCVをDC細胞と共に培養することができる。これは、上記のような成熟カクテルか、または、例えば、TNF−α、IL−1β、IFN−α、IFN−γ、及びpICを含む組成物の存在下で行うことができる。細胞を、この組成物と共に、約12〜約36時間、例えば、または約、または少なくとも、20時間、22時間、24時間、26時間、28時間、もしくは30時間、インキュベートすることができる。その後、成熟細胞を採取して分析することができる。成熟細胞はまた、本明細書に記載されるような凍結培地及び段階的凍結工程を使用して凍結することもできる。
【0286】
本明細書に記載されるように、細胞は、腫瘍ライセートと共にインキュベートするか、またはそれを搭載することができる。腫瘍ライセートは、どのような様態でも調製することができる。例えば、いくつかの実施形態では、腫瘍材料を提供する(単離されたもの、取得されたもの、切除されたもの等)。試料は、液体窒素で瞬間凍結させることができる。いくつかの実施形態では、試料は、非悪性組織を含まない。これは、試料が非悪性組織を含まずに除去されたこと、または試料がそのような非悪性組織を除去するためにさらに処理されていること、を意味し得る。その後、試料を解凍し、1〜5回瞬間凍結して細胞の溶解を助けることができる。ライセートは、遠心分離し、濾過して腫瘍ライセートを調製することができる。ライセートは、例えば、−80℃のフリーザーで凍結することができる。
【0287】
ここで、以下の実施例を参照にしながら実施形態を説明する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、実施形態は、これらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるすべての変形を包含すると解釈されるべきである。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすために変更または修正が可能であると考えられる重要性の低い様々なパラメータを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0288】
実施例1
転移性大腸癌の切除不能な患者
患者の男性は29歳の時に大腸癌と診断され、6cmの原発性大腸腫瘍は診断時に除去された。患者は補助化学療法を受けなかった。患者は、初回手術から18か月後、原発腫瘍病変の再発を呈し、腸間膜及び肝臓に複数の転移を伴っていた。患者は、原発腫瘍再発(16cm)により直腸結腸の通路が閉塞していたため、緊急人工肛門造設手術を受けた。人工肛門造設手術中に患者の原発腫瘍からコア生検を採取した。手術の3週間後、本明細書で上述されるような、CD40Lを提示する自己腫瘍細胞でパルスし、成熟カクテルで成熟させた、同種DCの投与が患者に開始された。患者は他の治療は受けなかった。ワクチン投与スケジュールは、1x10
6のAllo−DC CD40L+搭載細胞を15日ごとに皮下注射するものであった。
図6A及び
図6Bは、Allo−DC CD40L+搭載細胞の治療から6か月(注射12回)後、腫瘍塊の大幅な縮小を示すCAT/PETスキャン(CT)画像である。自己腫瘍細胞を搭載したalloDC CD40L+ワクチンによる治療から6か月後、原発腫瘍は12cmから17.3mm×34.5mm(
図6B)まで縮小した。これらの細胞は、CD40Lを発現するよう形質導入されたものであったが、CXCL13及び任意選択でCD93をさらに形質導入されたalloDC細胞は、alloDC CD40L+細胞のように、抗腫瘍効果(自己腫瘍を搭載)をさらに増強することが予想される。
【0289】
実施例2:切除不能な転移性大腸癌の69歳の男性
患者の男性は68歳の時に大腸癌と診断された。診断時、5センチメートル(5cm)の原発性大腸腫瘍を除去した。患者は6か月のFOLFOXレジメンを受けた。FOLFOX治療後の追跡評価時、患者は原発腫瘍病変の再発を呈し、肝臓及び肺に複数の転移を伴っていた。追跡の後、患者にFOLFIRINOXレジメンが開始された。FOLFIRINOX治療に入って6か月目、患者は、原発腫瘍再発により直腸結腸の通路が閉塞していたため、緊急人工肛門造設手術を受けた。本明細書に上述されるような、成熟カクテルで成熟させた、自己腫瘍パルスCD40L提示alloDCワクチンの投与が患者に開始された。
【0290】
ワクチン治療中は、患者はカペシタビンのみを投与された。ワクチン投与スケジュールは、2×10
6細胞を15日ごとに皮下注射するものであった。
図7A〜
図7DのCT/PET画像は自己腫瘍細胞を搭載したalloDC CD40L+ワクチン治療から6か月(注射12回)後、肝臓及び肺の塊の大幅な縮小を示す。これらの細胞は、CD40Lを発現するよう形質導入されたものであったが、CXCL13及び任意選択でCD93をさらに形質導入されたalloDC細胞は、alloDC CD40L+細胞のように、抗腫瘍効果(自己腫瘍を搭載)をさらに増強することが予想される。
【0291】
実施例3:転移性浸潤性乳管癌の45歳の女性
患者の女性は、HER2陽性、ER陰性、及びPR陰性の乳癌と診断され、2008年に乳房切除術を受けた(T1cN2M0)。患者はTACを6か月間受け、寛解した。2010年にPETにより転移の証拠が明らかになった。患者は、ゲムシタビン、カルボプラチン、トラスツズマブの投与を受けたが、進行した。その後、患者は、ボルテゾミブ及びラパチニブの投与を受けたが、疾患はなおも進行した。トラスツズマブエムタンシンによる3次治療が2013年に開始され、2015年まで行われた。肺の進行が続いた。
【0292】
次に、患者は、トラスツズマブ及びビノレルビンによる5次治療を受け、2015年8月に開始され、進行のため2016年4月に中止された。トラスツズマブ、ボルテゾミブ及びエリブリンによる6次治療が2016年4月に開始され、進行のため2016年7月に中止された。トラスツズマブエムタンシン及びパブロシクリブ(pablociclib)による7次治療が2017年7月に開始され、進行のため、2018年1月に中止された。フルベストラント、トラスツズマブ、及びパブロシクリブ(pablociclib)による8次治療が2017年1月から8月まで行われたが、進行のため中止された。
【0293】
2017年10月、患者は脳転移と診断され、右開頭術が行われ、合計5箇所の脳病変は定位手術的照射により治療された。患者は、その時点では、それ以上の脳治療は受けていなかった。2018年2月、患者に、トラスツズマブ、イキサベピロン及びカペシタビンが開始されが、進行のため、2018年4月に治療は中止された。2018年8月、患者は、免疫療法の治療を受けるための移動に備えて身体的に健康になるために全脳照射を受けた。患者は、2018年9月の気管支鏡による腫瘍生検手技の前に、初回治療として養子細胞治療を受けた。
【0294】
2018年9月、本明細書に記載されるような、成熟カクテルで成熟させた、自己腫瘍細胞をパルスしたCD40LとCXCL13とを発現するalloDCの投与が患者に開始された。ワクチン接種用量は、皮下(sub−Q)注射による10
6細胞であった。ワクチンスケジュールは以下のとおりであった:注射の1回目〜4回目は7日ごと、5回目〜8回目は10日ごと、9回目〜12回目は15日ごと(130日で合計12回のsub−Q注射)。
図8A〜
図8DのCT及びPET/CT画像は、自己腫瘍細胞をパルスしたalloDC CD40L+CXCL13+細胞による治療の1か月後の肺病変の大幅な縮小を示している。
【0295】
これらの細胞は、CD40L及びCXCL13を発現するよう形質導入されたものであったが、以下の
図10〜
図12に示されるインビトロでの相乗的結果を考慮すると、CD93をさらに形質導入されたalloDC細胞は、alloDC CD40L+CXCL13+細胞のように、抗腫瘍効果(自己腫瘍を搭載)をさらに増強することが予想される。
【0296】
実施例4:インビトロ試験
T細胞増殖(
図10)
乳癌患者から得た腫瘍ライセートを使用して、CD40L+CXCL13+CD93、またはCD40L+CXCL13、またはCD40Lのみを発現する遺伝子改変成熟DCをレンチウイルスを使用して作製する。次いで、成熟allo−DC(2x10
4)と末梢血CD3+T細胞(1x10
6)とを、500IU/mlのIL−2(R&D Systems)を添加したTexMACS(Miltenyi)培地で3連で共培養する。allo−DCの持続性を、播種48時間後にフローサイトメトリーにより測定した(CD86及びCD1a)。いずれの条件においても、共培養の48時間後には生存allo−DCは検出されなかった。
【0297】
NK細胞増殖(
図11)
乳癌患者から得た腫瘍ライセートを使用して、CD40L+CXCL13+CD93、またはCD40L+CXCL13、またはCD40Lのみを発現する遺伝子改変成熟DCをレンチウイルスを使用して作製する。次いで、成熟allo−DC(1x10
4)と末梢血CD16+CD56+NK細胞(5x10
5)とを、NK細胞培地(Miltenyi)中で500IU/mlのIL2の存在下、3連で共培養する。allo−DCの持続性を、播種48時間後にフローサイトメトリーにより測定した(CD86及びCD1a)。いずれの条件においても、共培養の48時間後には生存allo−DCは検出されなかった。
【0298】
B細胞活性化(
図12)
乳癌患者から得た腫瘍ライセートを使用して、CD40L+CXCL13+CD93、またはCD40L+CXCL13、またはCD40Lのみを発現する遺伝子改変成熟DCをレンチウイルスを使用して作製する。次いで、成熟allo−DC(1x10
4)と末梢血CD19+B細胞(2.5x10
5)とを、5%のヒトAB血清及び1mMのglutamaxを添加したRPMI 1640培地で3連で共培養する。B細胞の活性化レベルは、4日目のCD19+細胞でのCD69発現レベルを決定することによるフローサイトメトリーによるものであった。
【0299】
図10〜
図12の結果は、組換えDCで3つの受容体すべてを共発現させることの相乗効果を示している。
図10では、組換えDCに対する細胞性免疫応答の増大を示すための代替としてT細胞増殖を使用した。T細胞増殖の最も大きな増大は、三重組換えDC(CD40L+CXCL13+、及びCD93)で示された。同様に、
図11では、インビボでの細胞性免疫応答増大についての別の代替として、組換えDCとの共培養におけるNK(ナチュラルキラー)細胞増殖を使用した。同様に、
図11では、NK細胞増殖の最も大きな増大は、三重コンストラクトとの共培養の場合に示された。最後に、
図12では、インビボでのB細胞活性化についての代替として、共培養におけるB細胞の活性化レベルを利用した。共培養した細胞を、4日目のCD19+細胞でのCD69発現について分析して、B細胞活性化を決定した。これらの共培養において、三重組換えDC(CD40L+CXCL13+、及びCD93)はまた、最も高いレベルのCD69+発現を示し、体液性免疫系の活性化を類似的に示している。
【0300】
標準的方法
分子生物学における標準的方法は、Sambrook,Fritsch and Maniatis(1982 & 1989 2
nd Edition,2001 3
rd Edition)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning,3
rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、Wu(1993)Recombinant DNA,Vol.217,Academic Press,San Diego,CA)で記載されている。標準的方法はまた、Ausbel,et al.(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vols.1−4,John Wiley and Sons,Inc.New York,NYにも現れ、これには、細菌細胞におけるクローニング及びDNA変異誘発(Vol.1)、哺乳類細胞及び酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質及びタンパク質発現(Vol.3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol.4)が記載されている。
【0301】
免疫沈降法、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、及び晶出を含む、タンパク質精製のための方法が記載されている(Coligan,et al.(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York)。化学的分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の作製、タンパク質のグリコシル化が記載されている(例えば、Coligan,et al.(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.2,John Wiley and Sons,Inc.,New York、Ausubel,et al.(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vol.3,John Wiley and Sons,Inc.,NY,NY,pp.16.0.5−16.22.17、Sigma−Aldrich,Co.(2001)Products for Life Science Research,St.Louis,MO;pp.45−89、Amersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirectory,Piscataway,N.J.,pp.384−391を参照のこと)。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の産生、精製、及び断片化が記載されている(Coligan,et al.(2001)Current Protcols in Immunology,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York、Harlow and Lane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、Harlow and Lane、上記参照)。リガンド/受容体の相互作用を特徴付けるための標準的技術が利用可能である(例えば、Coligan,et al.(2001)Current Protocols in Immunology,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参照のこと)。
【0302】
本明細書で引用されているすべての参考文献は、個々の刊行物、データベースエントリー(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願、または特許が各々参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかの如く同程度に、参照により組み込まれる。参照による組み込みに関するこの記述は、個々の刊行物、データベースエントリー(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願、または特許のすべてに関し、かつ、その各々は、そのような引用が、参照による組み込みについての専用記述に直接隣接していない場合であっても、37C.F.R.§1.57(b)(2)に従って明確に識別されることを、37C.F.R.§1.57(b)(1)に従って、出願人が意図するものである。参照による組み込みについての専用記述がある場合にそれを明細書内に含めることは、参照による組み込みについてのこの一般記述を何ら弱めるものではない。本明細書での参考文献の引用は、その参考文献が関連先行技術であることの承認を意図しておらず、またこれらの刊行物または文書の内容または日付に関するいかなる承認も構成するものでもない。
【0303】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態により範囲を限定されるものではない。実際に、上述の説明及び添付の図面から、本明細書に記載されている本発明の修正に加えて、本発明の様々な修正が当業者には明らかとなろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。