【実施例】
【0111】
(実施例)
(材料及び方法)
以下の材料及び方法は、別途示されない限り、以下の実施例において使用する。
オリゴヌクレオチド:別途示されている場合を除き、カスタムオリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies社によりホスホロアミダイト法を使用して製造された。
【0112】
核酸ラテラルフロー:カーボンナノ粒子を、様々なビオチン結合タンパク質、例えばストレプトアビジンと非共有結合性吸着を介してコンジュゲートさせた。典型的に、コロイド性カーボン懸濁液をホウ酸緩衝液中で調製し、続いてプローブ式超音波処理装置を使用して超音波処理を行った。その後、カーボンを室温でのインキュベーションによりビオチン結合タンパク質に吸着させた。カーボンは反応混合物中で直接使用するか、ガラス繊維コンジュゲートパッドに適用した。ラテラルフローストリップは、製造業者(Merck Millipore社)のガイドラインに従って、減圧凍結乾燥した糖を含むコンジュゲートパッド及び視覚的外観を改善するために使用する添加剤を含むコンジュゲートパッドを、試料パッド、ニトロセルロース膜、及び吸着パッドと組み合わせることにより構築した。ラテラルフローストリップでそれを使用する前に、この方法において検出することとなる配列の逆相補鎖を含む関連オリゴヌクレオチドを、ニトロセルロース膜上の定義された位置にプリントし、UV架橋を介して膜と結合させた。
【0113】
(実施例1)
(第2のオリゴヌクレオチドプローブを固体材料、ニトロセルロースラテラルフローストリップと結合させる、方法の実施)
この実施例では、第2のオリゴヌクレオチドプローブを固体材料、ニトロセルロースラテラルフローストリップと結合させ、第1のオリゴヌクレオチドプローブを増幅工程a)の実施と同時には試料と接触させない方法の実施を示す。
【0114】
5'から3'の方向に:7塩基の安定化領域;5塩基のニッキング酵素ではない制限酵素認識配列;及び標的核酸中の第1のハイブリダイゼーション配列の逆相補的配列を含む12塩基のハイブリダイゼーション領域を含む全長24塩基の第1のオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。同じ安定化領域及び制限酵素認識配列を含むが、標的核酸中の第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる12塩基のハイブリダイズ領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。この実施例において、第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、同じ制限酵素である。制限酵素は、5塩基認識配列の下流のトップ鎖切断部位を有する非対称の二本鎖切断制限酵素である。前記標的核酸中の前記第1及び第2のハイブリダイゼーション配列は1塩基により隔てられている。
【0115】
オリゴヌクレオチドプライマーは標的核酸を使用して設計し、それによりプライマーの逆相補鎖の切断部位の下流のヌクレオチド塩基がアデノシンとなり、その結果αチオールdATPがこの方法における修飾dNTPとして利用される。ホスホロチオエート修飾を鎖置換型ポリメラーゼによって挿入し、前記逆相補鎖の切断を阻止する。
【0116】
5'から3'の方向に:増幅産物中の少なくとも1つの種に相補的な12塩基領域;6塩基の中間スペーサー領域;及び合成中に付加される3'ビオチン修飾を含む全長20塩基の第1のオリゴヌクレオチドプローブを設計し、ここで前記ビオチン修飾により、第1のオリゴヌクレオチドプローブを比色定量色素、カーボンナノ粒子と結合させることが可能となる。ビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボンを調製し、第1のオリゴヌクレオチドプローブで飽和させた。5'から3'の方向に:10×チミジン塩基を含む中間スペーサー;増幅産物中の前記少なくとも1つの種における第1の一本鎖検出配列の下流の第2の一本鎖検出配列とハイブリダイズすることができる13塩基領域の3×反復配列を含む全長49塩基の第2のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。およそ30 pmolの前記第2のオリゴヌクレオチドプローブを核酸フローストリップ上にプリントした。
【0117】
1.6 pmolの第1のプライマー;0.1 pmolの第2のプライマー;Enzo Life Sciences社製の250 μM 2'-デオキシアデノシン-5'-O-(1-チオ三リン酸) SP-異性体 (Sp-dATP-α-S) ;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;2 Uの制限酵素;及び2 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼを含む、反応液を調製した。核酸標的(一本鎖DNA標的)は、適切な反応緩衝液中10 μlの総反応体積で、様々なレベル(++=1 amol 、+=10 zmol 、NTC=標的なし対照)で追加した。反応液を45℃で7分間又は10分間インキュベートした。続いて、6.5 μlの終結反応ミックスを0.056 mgml
-1のコンジュゲートカーボンを含む60 μlのラテラルフロー実行緩衝液に加えた後、核酸ラテラルフローストリップにプリントされた線で当該ストリップと結合させた第2のオリゴヌクレオチドプローブを負荷した。
【0118】
図5に、本実施例の実施で得られたラテラルフローストリップの写真を示す。矢印は、第2のオリゴヌクレオチドプローブをニトロセルロースストリップ上にプリントし、従って陽性シグナルが出現している位置を示す。カーボンシグナルの存在に対応する明確な黒い線は、両方の標的レベル、両方の時点で標的核酸の存在下でのみ観察され、本発明の方法による標的核酸配列の迅速かつ高感度な検出を実証する。
【0119】
(実施例2)
(前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)において試料と接触させる、方法の実施)
本実施例では、前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様の実施を実証する。そのような実施態様において、本発明者らは増幅速度の顕著な阻害は一切観察せず、最適な周期的増幅プロセスを中断することなく、プレディテクター種がリアルタイムで蓄積されたことが示された。本発明者らは前記実施態様における増幅プロセスへ阻害効果を一切観察しなかっただけでなく、本発明者らはディテクター種の量の少なくとも100倍の増加に相当する生成したシグナルの、予期せぬ増強を観察した。
【0120】
(実施例2.1)前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様を利用して、実施例1で使用したアッセイの変法を設計した。実施例1で利用したものと同じオリゴヌクレオチドプライマー、制限酵素、dNTP、修飾dNTP、及びポリメラーゼを使用したが、5'から3'の方向に:5'ビオチン修飾;8塩基の中間領域;増幅産物中の少なくとも1つの種にハイブリダイズすることができる13塩基領域;3'リン酸修飾(ビオチン修飾により、第1のオリゴヌクレオチドプローブを比色定量色素、カーボンナノ粒子との結合が可能となる。リン酸修飾は、鎖置換型DNAポリメラーゼによるその伸長を阻止する)を含む全長21塩基の代替の第1のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。ビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボンを調製し、第1のオリゴヌクレオチドプローブで飽和させた。
【0121】
5'から3'の方向に:増幅産物中の前記少なくとも1つの種において第1の一本鎖検出配列の上流に第2の一本鎖検出配列とハイブリダイズすることができる14塩基領域;6塩基中間スペーサー配列;14塩基ハイブリダイズ領域の反復;第2の6塩基中間スペーサー配列;及び10×チミジンベーススペーサーを含む全長51塩基の代替の第2のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。およそ30 pmolの前記第2のオリゴヌクレオチドプローブを核酸フローストリップ上にプリントした。
【0122】
0.8 pmolの第1のプライマー;0.8 pmolの第2のプライマー;0.6 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;300 μM Sp-dATP-α-S ;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;2 Uの制限酵素;及び2 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼを含む、反応液を調製した。核酸標的(一本鎖DNA標的)は、適切な反応緩衝液中10 μlの総反応体積で、様々なレベル(++=1 amol 、+=10 zmol 、NTC=標的なし対照)で追加した。反応液を45℃で6分間インキュベートした。続いて、5 μlの終結反応ミックスを0.03 mgml
-1のコンジュゲートカーボンを含む60 μlのラテラルフロー実行緩衝液に加えた後、核酸ラテラルフローストリップに負荷した。反応中に第1のオリゴヌクレオチドプローブが存在しなかった場合にディテクター種が生産されないことを実証するために、対照反応を実施した。ラテラルフローストリップの検出中にプローブが存在することによるあらゆる意図せぬ影響の対照をとるために、同等レベル(0.6 pmol)のプローブを工程a)の後に前記対照に追加した。
【0123】
図6Aは、その発色後の核酸ラテラルフローストリップの写真を提示する。反応中に第1のオリゴヌクレオチドプローブを提供した場合、カーボンナノ粒子の堆積に相当する明確なシグナルが両方の標的レベルで観察された。予想通り、反応中に第1のオリゴヌクレオチドが提供されなかった場合、いずれの標的レベルでもシグナルは検出されなかった。本実施例では、前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様におけるディテクター種の生産を大幅に増強する潜在性を明確に実証する。実施例1とは対照的に、等濃度の第1及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーを提供し、より迅速な増幅が可能となることは、注目に値する。
【0124】
(実施例2.2)次に、全く異なる標的核酸を用いた方法の前記実施形態の汎用性を実証する別個のアッセイを設計した。オリゴヌクレオチドプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブは、実施例1及び2.1に記載したのと同様に、関連標的核酸、一本鎖DNA標的用に設計した。
【0125】
0.8 pmolの第1のプライマー;0.4 pmolの第2のプライマー;0.6 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;300 μM Sp-dATP-α-S ;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;2 Uの制限酵素;及び2 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼを含む、反応液を調製した。核酸標的(一本鎖DNA標的)は、適切な反応緩衝液中10 μlの総反応体積で、様々なレベル(+=1 amol 、NTC=標的なし対照)で追加した。反応液を45℃で6分間インキュベートした。続いて、5 μlの終結反応ミックスを0.08 mgml
-1のコンジュゲートカーボンを含む60 μlのラテラルフロー実行緩衝液に加えた後、核酸ラテラルフローストリップに負荷した。工程a)の実施と同時に試料とも接触させた、第1のオリゴヌクレオチドプローブの短縮されたバリアントを含む対照反応を実施した。
【0126】
図6Bは、その発色後の核酸ラテラルフローストリップの写真を提示する。標的核酸の存在下、明確な陽性シグナルが視認され、標的なし対照ではシグナルは視認されなかった。これにより、アッセイの運用の適切な設計及び前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様の頑健な潜在性が実証された。第1のオリゴヌクレオチドプローブの短縮形態を利用した対照アッセイでは、予想通り、ごく最小限のシグナルのみが観察され、ディテクター種を効率的に生産するための工程a)における増幅の実施と同時に第1のオリゴヌクレオチドプローブの適切なハイブリダイゼーションが要求されることが実証された。
【0127】
(実施例3)
(定義された配列の2以上の異なる標的核酸の存在が同じ試料中で検出される、方法の実施)
本実施例では、試料中の定義された配列の2以上の異なる標的核酸を検出するための方法の潜在性を実証する。この方法におけるプライマーに加えて2つのオリゴヌクレオチドプローブを使用することは、同じ試料中の2以上の異なる標的核酸の検出に理想的に好適な方法で増幅産物を検出するための不可欠なアプローチを提供する。本実施例において、第2のオリゴヌクレオチドプローブの配列特異的ハイブリダイゼーションに基づいて、代替ディテクター種を差次的に検出できることが実証される。
【0128】
まず、この方法を2以上の異なる標的核酸の検出に利用することができることを実証するために、本発明者らは2つの異なる標的(A及びB)を検出するためのオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブの適合性を有するセットを開発した。各事例において、5'から3'の方向に以下の特徴:5'ビオチン修飾、7塩基の安定化領域、5塩基の制限エンドヌクレアーゼ認識部位、制限酵素の切断部位にホスホロチオエート結合を含む標的A又はBの3'末端と相補的な11〜13塩基領域、及び3'リン酸修飾を含む、第1のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。5'から3'の方向に:標的A又はBの5'末端に相補的な12〜14塩基領域、5×チミジン塩基の中間スペーサー、及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能にする部分である12塩基の一本鎖オリゴヌクレオチド部分を含む、第2のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。各標的の一本鎖オリゴヌクレオチド結合部分の配列は、各ディテクター種のラテラルフローストリップ上の異なる位置への結合を可能とするために、異なる配列を使用して設計した。分離した位置に各一本鎖オリゴヌクレオチド検出部分に対する逆相補的配列を含むオリゴヌクレオチドの30 pmolの不連続スポットを含む、核酸のラテラルフローストリップを準備した。
【0129】
0.032 mgml
-1のビオチン結合タンパク質に吸着されたカーボンを含む65 μlの適切な緩衝液中の0.5 pmol標的A及び標的B用第1のオリゴヌクレオチドプローブ;0.5 pmol標的A及びB用第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含む、反応液を構築した。異なるレベルの各標的(+=0.1 pmol、++=1 pmol)を加えて反応を別個に分離し、両方の標的を一緒に加えた。標的なし対照(NTC)も実施した。
【0130】
図7Aに、本実験で得られたラテラルフローストリップの写真を示す。ディテクター種を含むカーボンの堆積に対応する明確な黒いスポットが、両方の標的レベルで、両方のアッセイについて観察された。さらに、両方の反応が同時に実施された場合、標的A及びBの両方に対応するシグナルが観察された。バックグラウンドシグナル又は異なるアッセイ間でのクロストークは、観察されなかった。
【0131】
方法の頑健性を実証するため、さらなる実験を続けて試料中の定義された配列の3つの異なる標的核酸の検出のための方法の潜在性を実証するために、3つの別個のアッセイを開発した。上記と同様の方法論を利用した。
図7Bに、得られたラテラルフローストリップの写真を示す。標的P1、P2、及びP3は、示されているように個別に、及び様々な組み合わせで追加した。第2のオリゴヌクレオチドプローブの一本鎖オリゴヌクレオチド検出部分に対する逆相補鎖を核酸ラテラルフローストリップ上の分離した線にプリントした。黒いシグナルは、全ての事例で迅速高感度検出について予測された位置に局在するカーボンと結合したディテクター種の堆積を示し、意図せぬアッセイ間のクロストークも、一切のバックグラウンドシグナルもない。別個の4つのアッセイを含む同等の実験では、試料中の定義された配列の4つの異なる標的核酸(P1、P2、P3、及びP4)の検出方法の潜在性が実証される。結果を
図7Cに示す。この4標的実験において、P4は陽性対照として全ての反応液中に存在し、他の標的は分離した反応液に別個に加えた。示されているラテラルフローストリップの写真は、カーボンと結合した関連するディテクター種の存在に対応する予測された位置に明確な黒いバンドを示す。そのようなマルチプレックスアッセイは、いくつかの異なる病原体によって引き起こされる疾患の診断検査に使用されるべき方法の潜在性を実証する。ここで対照アッセイのディテクター種の存在を検出することが、この方法が実施に成功したことを示し、かつラテラルフローストリップ上の1以上の他のディテクター種の可視化が、適切な臨床検体中の関連する原因病原体の存在を示す。2以上の病原体が同じ検体中に存在する共感染を観察することは、そのような診断応用、例えば感染症の分野においては稀であるが、本発明の方法は、検出することとなるマルチプレックス反応の標的の任意の組合わせに対して高度の汎用性を有する。
図7Dでは、4つの標的(P1、P2、P3、及びP4)の異なる組合わせが加えられる実験の結果を示す。各標的を別個に検出し、非特異的バックグラウンドを生ずることなく各標的が省略された場合に他の3つの標的を検出する能力は、本発明の方法の検出の注目に値する特異性を実証する。
【0132】
上記及び様々な他の実験においてまた、本発明者らは非常に低い標的濃度で、例えば1 zmol(600コピー)又は17 ymol(10コピー)で3〜5個の標的を検出するためのマルチプレックスアッセイを実施している。この実施例では、本発明者らは試料中に定義された配列の2以上の異なる標的核酸の存在を検出する方法の潜在性、及び例えば核酸ラテラルフローによるその迅速、低コストなシグナル検出の潜在性を明確に実証した。定義された配列の2以上の異なる標的核酸が同じ試料中で容易に検出され得ることは、本発明の方法の並外れた有利な特徴である。検出することとなる追加の各標的について、追加のセットのオリゴヌクレオチドプライマーが要求される。追加のプライマーは非特異的増幅産物を形成する傾向を高めるために、このことは、温度周期的変化を伴わない従来技術の方法において2以上の異なる標的核酸の存在を検出することの顕著な困難を提示する。本発明の方法において、この課題は例えば修飾塩基の使用、改良酵素の選択、及び追加の配列特異的ハイブリダイゼーション事象を利用するオリゴヌクレオチドプローブを使用するディテクター種の形成に起因する特異性増強によって克服する。
【0133】
(実施例4)
(前記標的核酸中の前記第1及び第2のハイブリダイゼーション配列が5塩基により隔てられている、方法の実施)
この実施例では、前記標的核酸中の前記第1及び第2のハイブリダイゼーション配列が5塩基により隔てられている、方法の実施を実証する。オリゴヌクレオチドプライマーには存在せず、2つのオリゴヌクレオチドプライマーが第1及び第2のハイブリダイゼーション配列間にギャップをとるように設計されている場合、標的依存的方法で増幅産物中にのみ生産される標的由来配列を使用する能力は、1からの合成又はプライマー間結合から生じる一切のバックグラウンドシグナルを克服し得る方法の実施態様において特異性が増強される潜在性を提供する。前記実施態様において、増幅産物が適切な標的由来配列を含む場合にのみ、ディテクター種が生産されるようにするために、第1又は第2のオリゴヌクレオチドプローブの配列特異的ハイブリダイゼーションを、2つのハイブリダイゼーション領域間のギャップを利用して設計する。
【0134】
この実施例では、本発明者らは標的核酸中の第1及び第2のハイブリダイゼーション配列間のギャップの配列においてのみ異なる様々な異なる増幅産物に対する第2のオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを実証するために、様々なアッセイを設計した。第2のオリゴヌクレオチドプローブは、増幅産物中の少なくとも1つの種に対する11塩基ハイブリダイズ領域をその5'末端に含むように設計した。前記領域は、第1のオリゴヌクレオチドプライマーの逆相補的配列である7塩基配列及び2つのプライマー間のギャップから得た増幅産物中の追加の標的由来配列に対する逆相補的配列である5塩基配列から構成される。また、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、5'から3'の方向に5×チミジン塩基の中間スペーサー及びその固体材料との結合のための12塩基一本鎖オリゴヌクレオチド部分を含む。前記部分の逆相補的配列を含む30 pmolのオリゴヌクレオチドをプリントしたニトロセルロース核酸フローストリップを準備した。第1のオリゴヌクレオチドプローブは、第2のオリゴヌクレオチドプライマーと配列は同じであるが、5'ビオチン修飾、3'リン酸修飾、及び制限酵素切断部位の位置にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むように設計した。
【0135】
4つの異なる人工標的核酸配列(T1、T2、T3、及びT4)を設計し、その各々が第1及び第2のハイブリダイゼーション配列に対応する正確な配列を有していたが、第1及び第2のハイブリダイゼーション配列間では5つの塩基において相違があった:T1は、第2のオリゴヌクレオチドプローブの11塩基ハイブリダイズ領域に対する完全相補性を有する検出に適切な塩基を含み;T2は、ギャップの5つの塩基のうち4つのミスマッチを含み;T3は、ギャップの5つの塩基のうち4つの塩基が除去されるように設計され、従って増幅産物の種は4塩基短くなっている。T4は、ギャップの5つの塩基のうち2つのミスマッチを含む。
【0136】
3.6 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプライマー;1.8 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプライマー;2.4 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;300 μM Sp-dATP-α-S、60 μM dTTP、dCTP、dGTP;12Uの制限酵素;適切な反応緩衝液中60 μlの総反応体積中の12Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼを含む反応液を構築した。各反応に 1 amol標的(T1、T2、T3、又はT4)を加えた後、45℃で6.5分間インキュベートしてから、60 μl中53.5 μlの反応液をラテラルフローストリップ上で実行した。ラテラルフローストリップへの反応液の適用前に、1.5 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブ及び2 μgのビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボンをコンジュゲートパッドに堆積させて5分間乾燥させた。
【0137】
図8に、本実験で得られた核酸ラテラルフローストリップの写真を示す。標的T1を用いて得られたストリップは、ニトロセルロースの固体材料に結合したディテクター種に結合させたカーボンに対応する明確な黒い線を示し、これによりオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブを含むこの実施例において開発したアッセイが、適切に機能し、迅速かつ高感度な検出のための潜在性を有することが立証された。標的T2及びT3を用いて実施された反応は、陽性シグナルに相当する一切のカーボンも示さなかった。これにより4つのミスマッチ及び4塩基の除去は両方とも、第2のオリゴヌクレオチドの反応中に生産されたプレディテクター種と効率的にハイブリダイズする能力を失わせることが立証された。非常にかすかなシグナルがT4を使用して生産されたストリップ上に観察された。このことは、わずか2つのミスマッチ塩基の存在によりストリップ上の線に結合することができるディテクター種を生産するプレディテクター種とのハイブリダイゼーションに成功した第2のオリゴヌクレオチドプローブの能力の大幅な低下がもたらされることを示している。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を反復反応を用いて実施し、全ての標的についての全ての反応が適切に機能し、顕著な量の増幅産物が生産されたことを確認した。4塩基短縮された標的T3を用いて実施した反応においては、予測されるサイズシフトが視認された。
【0138】
この実施例では、本発明の不可欠な特徴である第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブが、増幅産物の迅速かつ高感度の検出を提供するだけでなく、どのようにプライマーハイブリダイゼーション単独に起因する増幅産物を乗り越えて増幅産物のさらなる標的配列ベースの特異性チェックを提供するために使用され得るかを実証する。この強力な技術は、1からの合成又はプライマー間結合に起因する特定のアッセイにおける非標的特異的バックグラウンド増幅から生じる従来技術の方法の公知の課題を克服する。本発明の方法は、従来技術の方法と比較しての特異性の増強を示すのに対し、高感度の検出及び迅速、低コストの結果の可視化は維持されることを実証する。
【0139】
(実施例5)
(第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能とする部分が抗原であり、対応する抗体を固体表面、ニトロセルロースラテラルフローストリップと結合させる、方法の実施)
本発明の方法において、いくつかの異なる部分を第2のオリゴヌクレオチドプローブを固体材料と結合させるための部分として利用することができる。この実施例では、第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能とする部分が抗原であり、対応する抗体を固体表面、ニトロセルロースラテラルフローストリップと結合させる、方法を実施することができることを実証する。
【0140】
第2のオリゴヌクレオチドプローブは、増幅産物中の少なくとも1つの種との相同性を有する領域を含む32塩基の配列及び合成時に付加された3' ジゴキシゲニンNHSエステル修飾を含むように設計した。ヒツジから精製されたFab断片抗ジゴキシゲニン抗体(Sigma-Aldrich社)を、スポット及び空気乾燥によって核酸ラテラルフローストリップ上に固定化した。
【0141】
第2のオリゴヌクレオチドプローブの性能を、様々なレベルの標的(+++=1 pmol;++=0.1 pmol;+=10 fmol; NTC=標的なし対照)を、0.016 mgml
-1ビオチン結合タンパク質に吸着されたカーボンを含む、カーボン核酸ラテラルフロー反応を用いた検出のために必要な試薬を含む60 μlの設計された反応緩衝液に加えた実験において実証した。ストリップは、2.5 mMホウ酸及び0.5 % Tween20を含む0.2 μlの緩衝液中の0.5 μgの抗ジゴキシゲニンFab断片をストリップ上にスポットして準備した。溶液をラテラルフローストリップのニトロセルロース膜中で2時間にわたり乾燥させた。反応液を45℃で2分間インキュベートし、設計されたディテクター種を形成させた後、各反応の全反応ミックスをラテラルフローストリップに適用した。
【0142】
図9に、本実験で生産されたラテラルフローストリップの写真を示す。ラテラルフローストリップ上のカーボンの堆積に相当する黒いスポットが各標的レベルで視認され、NTCでは視認されず、ディテクター種が特異的に検出されていることを示している。検出部分(カーボン)を結合させるためのビオチンベースのアフィニティー相互作用及び固体材料結合部分のための抗体ベースのアフィニティー相互作用の組合わせを示す。この実施例は、第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合に利用可能な異なるアプローチの観点で、この方法の汎用性を実証する目的に適う。
【0143】
(実施例6)
(第2のオリゴヌクレオチドプローブを固体材料と結合させることを可能とする部分が3塩基DNA配列モチーフの4つの反復コピーを含む一本鎖オリゴヌクレオチドであり、前記一本鎖オリゴヌクレオチド配列の逆相補鎖が固体材料に結合されている、方法の実施)
本実施例は、第2のオリゴヌクレオチドプローブを固体材料と結合させることを可能とする部分が3塩基DNA配列モチーフの4つの反復コピーを含む一本鎖オリゴヌクレオチドである、方法の実施を示す。前述のように、第2のオリゴヌクレオチドプローブの検出部分として一本鎖オリゴヌクレオチドを利用する方法の実施態様は、核酸ラテラルフローによる検出を容易にし、同じ試料中の複数の異なる標的核酸の検出を容易に実現する、この方法の単純で汎用性の高い態様を提示する。さらに、一本鎖オリゴヌクレオチド検出部分を事前に定義し、効率的なストリップ上ハイブリダイゼーションのために最適化して、検出感度を増強し、核酸ラテラルフローストリップの効率的なスケールアップ製造に備えることができる。
【0144】
本発明の一態様において、本発明者らはDNA配列モチーフの複数の反復コピーから構成される一本鎖オリゴヌクレオチド検出部分の使用による、ストリップ上ハイブリダイゼーションの予期せぬ改善を観察した。本実施例では、複数の横並び実験(side-by-side experiments)の結果を提示する。ここでラテラルフローストリップに直接結合された第2のオリゴヌクレオチドを用いたアッセイの成績は、3塩基DNA配列モチーフの4つの反復コピーを含む一本鎖検出部分の使用により大幅に高められ、かつ前記一本鎖オリゴヌクレオチド配列の逆相補鎖はラテラルフローストリップと結合されている。
【0145】
(実施例6.1)前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様を利用して、アッセイを設計した。5'から3'の方向に:5'ビオチン修飾;7塩基の中間領域;ニッキング酵素ではない5塩基の制限酵素認識部位;制限酵素の切断部位にホスホロチオエート結合を含む標的中の第1のハイブリダイゼーション領域とハイブリダイズすることができる13塩基領域;及び3'リン酸修飾(ビオチン修飾により、第1のオリゴヌクレオチドプローブの比色定量色素、カーボンナノ粒子との結合が可能となる。リン酸修飾は、鎖置換型DNAポリメラーゼによるその伸長を阻止する)を含む全長25塩基の第1のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。
【0146】
同じ標的種(I及びII)を検出するための2つの代替の第2のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。第2のオリゴヌクレオチドプローブ「I」は、5'から3'の方向に:標的中の第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる14塩基領域の3×反復配列;及び9×チミジン塩基スペーサーを含むように設計した。核酸ラテラルフローストリップを、30 pmolのプローブを含むスポットを用いて調製した。
【0147】
5'から3'の方向に:標的中の第2のハイブリダイゼーション領域の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる14塩基領域;5×チミジン塩基の中間スペーサー;及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能にする部分として働く3塩基配列モチーフの4×反復配列を含む12塩基の一本鎖オリゴヌクレオチド部分を含む、代替の第2のオリゴヌクレオチドプローブ「II」を設計した。5'から3'の方向に:11×チミジン塩基スペーサー;第2のオリゴヌクレオチドIIの固体材料との結合を可能とする部分を形成する3塩基の配列モチーフに対する逆相補鎖の12×反復配列を含む36塩基領域を含むように、追加の一本鎖オリゴヌクレオチドを設計した。第2のオリゴヌクレオチドプローブIIについて、30 pmolの前記追加の一本鎖オリゴヌクレオチドをスポットした、核酸ラテラルフローストリップを準備した。
【0148】
0.016 mgml
-1のビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボンを含む60 μlの適切な緩衝液中の、0.5 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドプローブI及びIIの成績を検査するための反応を実施した。IIの反応は同様に構築したが、0.5 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブIIを追加した。核酸標的(設計されたアッセイ試薬から得た増幅産物中の少なくとも1つの種を代表する一本鎖DNA標的)を、様々なレベルで(+++=1 pmol 、++=0.1 pmol、NTC=標的なし対照)追加した。構築した反応液を45℃で2分間インキュベートした後、全反応ミックスを適切な核酸ラテラルフローストリップに負荷した。
【0149】
図10Aは本実験で得たラテラルフローストリップの写真を示す。左のパネルには第2のオリゴヌクレオチドプローブIを用いた結果を表示し、右のパネルには第2のオリゴヌクレオチドプローブIIを用いた結果を示す。カーボンと結合したディテクター種の堆積に対応する黒いスポットを標的の存在下で可視化した。反復配列モチーフを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブIIについて、全ての標的レベルでより強いシグナルを観察した。
【0150】
(実施例6.2)次に、この方法の前記実施態様の汎用性及びその広い応用性を実証するために、別個のアッセイを完全に異なる標的核酸について設計した。オリゴヌクレオチドプローブは、実施例6.1に記載されているのと同様の方法で、関連する標的核酸、一本鎖DNAについて設計した;ここでも第2のオリゴヌクレオチドプローブの2つの形式を「I」及び「II」と呼び、様々な標的レベル(+++=1 pmol、++=0.1 pmol、+=0.001 pmol)を使用した。
図10Bに示された生産されたラテラルフローストリップの写真に示されているように、さらに著しい効果が観察された。試験したうち2つの低標的レベルにおいて、第2のオリゴヌクレオチドプローブIは一切のシグナルを生成せず、一方対応する反復配列オリゴヌクレオチドプローブIIは、堆積したカーボンの黒いスポットによって示される明確な陽性シグナルを生産した。
【0151】
本実施例では、DNA配列モチーフの反復コピーを含む第2のオリゴヌクレオチド検出部分を利用した、ラテラルフローハイブリダイゼーションベースの検出に対する著しい改善を示す。これは、ディテクター種の核酸ラテラルフローベースの検出の感度を100倍の改善が得られることを実証する。シグナル強度が増強され、シグナルがより迅速に発生し、これにより例えば核酸ラテラルフローによる迅速な検出を伴う応用への適用を容易にする本発明の前記実施態様の潜在性が実証される。さらに、第2のオリゴヌクレオチドプローブと結合された検出部分としての一本鎖オリゴヌクレオチドの使用の潜在性を例証する。
【0152】
(実施例7)
(臨床検体中のRNAウイルス検出法の使用)
本実施例では、第1のオリゴヌクレオチドプローブを増幅工程a)の実施と同時に試料と接触させ、第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能にする部分が3塩基DNA配列モチーフの4つの反復コピーを含む一本鎖オリゴヌクレオチドであり、かつ前記一本鎖オリゴヌクレオチド配列の逆相補鎖が固体材料と結合されている、方法の実施態様を用いる、臨床検体中のRNAウイルスを検出する方法の実施を実証する。様々な研究において、本発明者らはウイルスゲノム抽出物などの非常に低いコピー数のRNA標的を慣例的に検出している。例えば、定量化されたウイルスゲノム抽出物を用いて、本発明者らは本発明の方法を利用して、100未満のゲノム相当コピーのウイルスを結果まで合計10分未満で検出し、増幅工程a)を5分未満とする。この注目に値する速度及び感度から、診断の分野における応用方法の潜在性が実証される。従って、本実施例において、本発明者らは病原性一本鎖RNAウイルスを検出するアッセイを開発し、ウイルスに感染した臨床検体を使用したそのアッセイの成績を実証した。
【0153】
5'から3'の方向に:各塩基間のホスホロチオエート結合を含む8塩基の合成安定化領域;5塩基のニッキング酵素ではない制限酵素認識部位;及び一本鎖RNAウイルスゲノム中の領域を標的化するように設計された、標的核酸中の第1のハイブリダイゼーション配列の逆相補的配列を含む12塩基のハイブリダイゼーション領域を含む全長25ヌクレオチド塩基の第1のオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。同じ安定化領域を含むが、ホスホロチオエート結合を含まず、及び同じ制限酵素認識配列を含むが、第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる12塩基のハイブリダイズ領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。この実施例において、第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、同じ制限酵素である。前記標的核酸中の前記第1及び第2のハイブリダイゼーション配列は0塩基により隔てられている。
【0154】
オリゴヌクレオチドプライマーは標的核酸を使用して設計し、それによりプライマーの逆相補鎖の切断部位の下流のヌクレオチド塩基がアデノシンとなり、その結果αチオールdATPがこの方法における使用のための修飾dNTPとして利用される。ホスホロチオエート修飾を鎖置換型DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素によって挿入し、前記逆相補鎖の切断を阻止する。
【0155】
5'から3'の方向に:第1のオリゴヌクレオチドプローブの比色定量色素、カーボンナノ粒子との結合を可能とする、合成時に付加される5'ビオチン修飾;8塩基の安定化領域;第1のオリゴヌクレオチドプローブ中の前記制限酵素の切断部位が合成中に付加されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合によって保護される、ニッキング酵素ではない制限酵素のための5塩基の認識配列;増幅産物中の少なくとも1つの種とハイブリダイズすることができる11塩基領域;及び鎖置換型DNAポリメラーゼによる伸長を妨げる3'リン酸修飾を含む、全長24塩基の第1のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。
【0156】
5'から3'の方向に:増幅産物中の前記少なくとも1の種の第1の一本鎖検出配列の下流の第2の一本鎖検出配列とハイブリダイズすることができる、14塩基領域;5×チミジン塩基を含むスペーサー;ラテラルフローストリップ上でそれに対する逆相補鎖が固定化された3塩基DNA配列モチーフの4×反復配列を含む全長31塩基の第2のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。11×チミジン塩基を含む中間スペーサー;第2のオリゴヌクレオチドプローブの3塩基配列モチーフに相補的である3塩基配列モチーフの12×反復配列;を含む、全長47塩基の固定化されたラテラルフローにプリントされたオリゴヌクレオチドを設計した。5'から3'の方向に:第2のオリゴヌクレオチドプローブ上のものとは異なる5×トリプレット反復配列;5×チミジン塩基を含む中間スペーサー;合成中に付加された3'ビオチン分子を含む20塩基の長さのラテラルフロー対照オリゴヌクレオチドを設計した。対照オリゴヌクレオチドは、ラテラルフローストリップ上のその逆相補鎖と結合し、カーボンラテラルフロー手順が成功しているかどうかを検証する。
【0157】
1.8 pmolの第1のプライマー;9.6 pmolの第2のプライマー;3.6 pmolの第1のプローブ;1pmolの第2のプローブ;Enzo Life Sciences社製の300 μM Sp-dATP-α-S;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;28 Uの制限酵素;14 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼ;35 U のウイルス逆転写酵素;3.5U RNアーゼH、3 μgのビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボンを含む、反応液を調製した。臨床設定で患者から収集した5 μlの鼻咽頭スワブ試料(Discovery Life Sciences社から入手)には、7つのウイルス陽性試料及び6つのウイルス陰性臨床試料が含まれる(PCRアッセイにより検証済み)。反応は、適切な反応緩衝液中で70 μlの体積で実施した。反応液は45℃で4分30秒インキュベートした後、全反応液をおよそ50 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブの3塩基トリプレット反復配列部分の逆相補鎖(下)及び対照オリゴヌクレオチドの逆相補鎖(上の線)をプリントされた核酸ラテラルフローストリップに負荷した。
【0158】
図11に、本実施例の実施で得られたラテラルフローストリップの写真を示す。矢印は、第2のオリゴヌクレオチドプローブのトリプレット反復配列部分との逆相補鎖がプリントされている、従って陽性シグナルが出現する位置(+)、及びラテラルフローの実行に成功したか否かを検証する、従ってアッセイに陽性でも陰性でも出現する対照オリゴヌクレオチド(CTL)との逆相補鎖の位置を示す。上のパネル(+ve)には、ウイルス陽性の臨床試料を用いて、下のパネル(-ve)には、ウイルス陰性の試料を用いて、得られた結果を示す。標的核酸の存在を示す明確な黒い線が陽性試料の各々において存在し、これにより本発明の方法による臨床検体の迅速な検出が実証された。偽陽性は観察されず、例えば1からの合成又はプライマー間結合を通じたディテクター種の非特異的生産の完全な不存在が実証された。偽陰性は観察されず、この方法の頑健性及び異なる臨床検体中に存在する異なる標的核酸コピー数レベルにわたるその感度が立証された。
【0159】
(実施例8)
(異なる温度での方法の実施)
本発明の方法は広範囲の温度にわたって効率的に実施され、温度の周期的変化を要求も、任意のホットスタート若しくはウォームスタート、プレヒート、又は制御された温度低下も要求しない。本実施例では、異なる温度範囲にわたる典型的なアッセイの実施を示す。所望の至適温度を有する酵素を選択し、その取込み後にハイブリダイゼーションの融解温度を低下させるホスホロチオエート塩基を使用して、増幅が予期せぬ広範囲の温度にわたり実施され、通常は低い温度範囲をカバーするアッセイが、容易に開発された。さらに別個の実験では、本発明の方法を使用して開発されたアッセイが、工程a)の開始前に試料をプレヒートすることを要さずに開発され、ここで温度を工程a)における増幅の実施の間に増加させる場合に成績の低下は観察されないことが実証される。
【0160】
(実施例8.1)前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様を利用して、アッセイを設計した。5'から3'の方向に:7塩基の中間領域;制限酵素の認識部位;及び標的核酸、DNA標的中の第1のハイブリダイゼーション配列とハイブリダイズすることができる11塩基領域を含む、第1のプライマーを設計した。5'から3'の方向に:7塩基の中間領域;第1のプライマーと同じ制限酵素の認識部位;及び標的核酸中の第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる12塩基領域を含むように、第2のプライマーを設計した。
【0161】
5'から3'の方向に:5'ビオチン修飾;6塩基の中間領域;第2位にミスマッチを含む制限酵素の塩基の認識部位の塩基;第6位にG-clamp修飾を含む標的中の第1のハイブリダイゼーション領域とハイブリダイズすることができる10塩基領域;及び3'リン酸修飾(ビオチン修飾により、第1のオリゴヌクレオチドプローブを比色定量色素、カーボンナノ粒子との結合が可能となる。リン酸修飾は、鎖置換型DNAポリメラーゼによるその伸長を阻止する)を含むように、全長21塩基の第1のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。
【0162】
5'から3'の方向に:標的中の第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる11塩基領域;第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能とする部分として働く4×チミジン塩基スペーサー及び3塩基配列モチーフの4×反復配列を含む12塩基を含むように、第2のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。5'から3'の方向に:11×チミジン塩基スペーサー;第2のオリゴヌクレオチドの固体材料との結合を可能とする部分を形成する3塩基の配列モチーフに対する逆相補鎖の11×反復配列を含む33塩基領域を含むように、追加の一本鎖オリゴヌクレオチドを設計した。第2のオリゴヌクレオチドプローブについて、30 pmolの前記追加の一本鎖オリゴヌクレオチドをスポットした、核酸ラテラルフローストリップを準備した。
【0163】
1.5 pmolの第1のプライマー;1.0 pmolの第2のプライマー;1 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;Enzo Life Sciences社製の60 μM Sp-dATP-α-S ;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;並びに様々なレベルの標的DNA(++=1 amol, +=10 zmol, NTC=標的なし対照)を含む適切な緩衝液中で反応液を調製した。構築した反応液は、標的温度(I=37℃; II=45℃、III=50℃、及びIV=55℃)で2分間インキュベートした後、最終的な5 Uの制限酵素及び5 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼの25 μlの最終反応体積への追加によって反応を開始した。その後、反応液を5分間(T1)又は8分間(T2)、関連する標的温度でインキュベートした。インキュベーション後、各反応液を1.5 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブ及び8 μgのビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボンを含む、75 μlの緩衝液に移した。その後、核酸ラテラルフローストリップの試料パッドに適用した。
【0164】
図12Aは、各標的レベル、温度、及び時点での実験で得たラテラルフローストリップの写真を示す。観察された明確な黒い線は、標的存在下で生産されたディテクター種に結合されたカーボンの堆積に対応する。全ての温度において、8分以内に両方の標的レベルで標的の存在下、非常に強いシグナルが出現し、この方法による効率的増幅の広い温度範囲が実証された。NTC試料中での非特異的増幅は観察されなかった。また、45℃及び50℃でわずか5分後に強力な増幅が観察され、このアッセイの最適温度が40℃〜50℃である可能性が高いことが示された。
【0165】
(実施例8.2)前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様を利用して、第2のアッセイを設計した。5'から3'の方向に:6塩基の中間領域;制限酵素の認識部位;及び標的核酸標的のための12塩基ハイブリダイゼーション領域を含む、第1及び第2のプライマーの両方を設計した。前記標的中の前記第1及び第2のハイブリダイゼーション配列が10塩基により隔てられるように、プライマーを設計した。
【0166】
5'から3'の方向に:5'ビオチン修飾;6塩基の中間領域;第4位にミスマッチを含む制限酵素の塩基の認識部位;標的中の第1のハイブリダイゼーション領域とハイブリダイズすることができる12塩基領域;及び3'リン酸修飾(ビオチン修飾により、第1のオリゴヌクレオチドプローブを比色定量色素、カーボンナノ粒子との結合が可能となる。リン酸修飾は、鎖置換型DNAポリメラーゼによるその伸長を阻止する)を含む全長23塩基の第1のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。
【0167】
5'から3'の方向に:標的中の第2のハイブリダイゼーション配列の3塩基の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる13塩基領域並びに第1及び第2のハイブリダイゼーション配列間の10塩基のギャップ;第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能とする部分として働く3×チミジン塩基スペーサー及び3塩基配列モチーフの4×反復配列を含む12塩基を含むように、第2のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。5'から3'の方向に:11×チミジン塩基スペーサー;第2のオリゴヌクレオチドの固体材料との結合を可能とする部分を形成する3塩基の配列モチーフに対する逆相補鎖の12×反復配列を含む36塩基領域を含むように、追加の一本鎖オリゴヌクレオチドを設計した。第2のオリゴヌクレオチドプローブについて、30 pmolの前記追加の一本鎖オリゴヌクレオチドをスポットした、核酸ラテラルフローストリップを準備した。
【0168】
6 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプライマー;8 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプライマー;6 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;Enzo Life Sciences社製の60 μM Sp-dATP-α-S ;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;60 μgのビオチン結合タンパク質に吸着されたカーボン;並びに適用可能である場合、標的を含む適切な緩衝液中で反応液を調製した。構築した反応液は、開始温度(I=15℃; II=45℃)で2分間インキュベートした後、最終的な20 Uの制限酵素、20 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼ、及び40 Uの逆転写酵素を100 μlの最終反応体積への追加によって反応を開始した。酵素追加後、開始温度を15℃とした反応を、他の反応とともに直ちに45℃に移した。
【0169】
続いて、反応液を45℃で6分間インキュベートした。インキュベーション後、各反応液を3 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む核酸ラテラルフローストリップの試料パッドに移した。
図12Bは各温度のインキュベーション条件での実験で得たラテラルフローストリップの写真を示す。観察された明確な黒い線は、標的存在下で生産されたディテクター種に結合されたカーボンの堆積に対応する。増幅工程a)で温度を15℃から45℃に増加させた反応において、差は観察されなかった。プレヒートした反応と同程度の著しい増幅速度が得られ、NTC試料では非特異的増幅は観察されなかった。
【0170】
この実施例8は、本発明の方法を使用して、公知の方法と比較して低い最適温度プロファイルを有し、かつ並外れて広い温度範囲にわたる高感度の検出を利用することができるアッセイを容易に開発することができることを実証する。また、本発明の方法は、工程a)の実施において温度を増加させるプレヒートを用いることなく実施することができる。そのような特徴は、低コストの診断装置でのこの方法の使用に非常に魅力的である。ここで高温及び厳密な加熱制御は使い捨て装置又は機器を要さない装置が商業的に現実的でない点までそのような装置の商品原価を高める複雑な物理的制約を課す。さらに、増幅開始前に試料をプレヒートする公知の方法の要件を回避することにより、本発明の方法は、より少ないユーザ工程でより簡素化された一連の操作で実施することができ、従ってそのような診断装置の使いやすさが向上し、結果が出るまでの全体的な時間が短縮される。
【0171】
(実施例9)
(標的核酸が鎖侵入により二本鎖DNAから得られる方法の実施)
本実施例では、一本鎖標的核酸が、DNA鎖を分離するための任意の特定の行為、例えば温度変性、バンププライマー、又は追加の酵素(例えば、ヘリカーゼ又はリコンビナーゼ)の使用を一切要件とせずに検出される、二本鎖DNA中の一本鎖部位である、この方法の使用を実証する。本発明の方法を使用して、ユーザ工程、成分又はこの方法の実施に使用する装置に課される物理的要件を追加することなく、一本鎖RNA及び二本鎖DNA標的の両方を容易に検出できることは、この方法に診断応用における使用のための高度の汎用性を付与する。
【0172】
(実施例9.1)ウイルス標的の二本鎖DNAゲノム中のタンパク質コード領域のための、アッセイを開発した。臨床診断におけるウイルスの存在のバイオマーカーとして、二本鎖ゲノム又はmRNA転写物を使用することができる。前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様を利用して、アッセイを設計した。オリゴヌクレオチドプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブの設計は、他の実施例に記載したアプローチと同様のアプローチに従って、標的核酸中の第1及び第2のハイブリダイゼーション配列間にギャップを設けずに、実施した。
【0173】
4 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプライマー;2 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプライマー;2 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;Enzo Life Sciences社製の60 μM Sp-dATP-α-S ;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;60 μgのビオチン結合タンパク質に吸着されたカーボン;並びに二本鎖DNA標的(I)又は一本鎖RNA標的(II)又は標的なしを含む適切な緩衝液中で反応液を調製した。構築した反応液は、45℃で2分間インキュベートした後、最終的な20 Uの制限酵素、20 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼ、及び25 Uの逆転写酵素を100 μlの最終反応体積への追加によって反応を開始した。酵素の追加後、反応液を45℃で7分間インキュベートした。
【0174】
インキュベーション後、1.5 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブを各反応液に追加し、全反応体積を核酸ラテラルフローストリップの試料パッドに移した。核酸のラテラルフロー対照標的も全ての試料に追加した。
図13Aに、各標的について本実験で得られたラテラルフローストリップの写真を示す。観察された明確な黒い線は、標的の存在下で生産されたディテクター種と結合したカーボンの堆積に対応する。よりかすかなシグナルは、高い標的レベル(++)よりも低い標的レベル(+)に対応する。一本鎖RNA及び二本鎖DNA標的の間で増幅速度の差は観察されなかった。
【0175】
(実施例9.2)アッセイを、細菌病原体のc.2.5メガベースの二本鎖DNAゲノム中の一本鎖標的核酸用に設計した。前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様を利用して、アッセイを設計した。オリゴヌクレオチドプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブの設計は、他の実施例に記載したアプローチと同様のアプローチに従って、標的核酸中の第1及び第2のハイブリダイゼーション配列間に4塩基のギャップを設けて、実施した。
【0176】
2 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプライマー及び0.5 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含む適切な緩衝液中で、反応液を調製した。二本鎖DNA標的を使用するため、実際には2つの一本鎖標的核酸が同時に追加され、同時に第2の相互プロセスが発生すると推定される。ここで標的核酸の検出のための第2のオリゴヌクレオチドプライマーは、第2の標的核酸を検出するための第1のオリゴヌクレオチドプライマーであり、標的核酸の逆相補鎖となる。この事実は、この方法の成績にほとんど影響を与えない。2 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;Enzo Life Sciences社製の60 μM Sp-dATP-α-S;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;15 μgのビオチン結合タンパク質に吸着されたカーボン;並びに様々なレベル(++=1 amol; +=10 zmol; NTC=標的なし対照)で標的を含む細菌のゲノム抽出物。さらに、1 amolの大腸菌のゲノム抽出物を含む特異性対照反応も実施した。構築した反応液は、45℃で3分間インキュベートした後、最終的な4 Uの制限酵素、及び2 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼを25 μlの最終反応体積への追加によって反応を開始した。酵素の追加後、反応液を45℃で6分間インキュベートした。
【0177】
インキュベーション後、75 μlの3 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む緩衝液を各反応液に追加し、続いて全体積を核酸ラテラルフローストリップの試料パッドに移した。
図13Bに、各標的について本実験で得られたラテラルフローストリップの写真を示す。標的存在下で生産されたディテクター種に結合されたカーボンの堆積に対応する明確な黒い線は、試験された両方の標的レベルで観察された。標的なし対照において又は大腸菌ゲノムDNAの存在下において、非特異的なシグナルは観察されず、この方法がわずか6分以内に臨床に関連するコピー数の複雑な二本鎖DNAゲノムの特異的検出に利用可能であることが、実証された。
【0178】
本実施例では、本発明の方法が、二本鎖DNA中の一本鎖核酸標的の検出に、容易に使用できることを実証する。注目すべきことに、一本鎖RNA標的及び二本鎖DNA中の同じ標的配列の検出について、DNA二本鎖を分離させる特定の行為、例えば温度変性を一切要件とせずに同程度の増幅速度が観察された。その代わり、一本鎖部位が第1のオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーション及び伸長のために十分に露出され、「鎖侵入」によるこの方法が開始される。ここで二本鎖DNA中の1以上のDNA塩基対の一過性の開口が、第1のオリゴヌクレオチドプライマーの3'ヒドロキシルのハイブリダイゼーション及び伸長を可能にするのに十分に発生する。このことは、二本鎖核酸のアッセイにおいて熱変性及びバンププライマーを利用するSDAなどの公知の方法とは対照的である。一本鎖DNA及び一本鎖RNA中の標的だけでなく、二本鎖DNA中の標的を容易に検出するための、本発明の方法を使用する能力は、その診断的応用、例えば二本鎖DNAゲノムを有する細菌性、真菌性、及びウイルス性病原体の検出における使用のための高度の汎用性を付与する。この方法が二本鎖DNAゲノムを有する生物の検出に複雑な追加のユーザ工程、酵素、成分、又は物理的制約を要件としないという事実は、この方法が簡素化された低コストの診断装置での検査に特によく適することを意味する。例えば、公知の方法について報告されている増幅の実施前の熱変性の要件により、高価な追加構成要素が必要となり、そのような装置の商品原価及び結果を得るまでの総時間が増加する。このことは使い捨て又は自己充足型の、機器を要さない装置が現実的でないことを意味する。
【0179】
(実施例10)
(本発明の方法と公知の方法の比較実施)
本実施例では、ウイルス標的の検出についてWO2014/164479で開示された公知の方法に対する発明の方法の比較評価を提示する。公知の方法は、ニッキング酵素を要求し、1以上の修飾dNTPの使用を要求しないという点で、本発明の方法と根本的に異なる。本発明の方法は非常に優れた感度及び特異性を有することを実証する。
【0180】
この比較評価のために、本発明の方法を使用して一本鎖RNAゲノムを有するウイルス標的のためのアッセイをまず開発した。前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3'末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できず、当該プローブを工程a)の実施と同時に試料と接触させる、方法の実施態様を利用して、前記アッセイを設計した。オリゴヌクレオチドプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブの設計は、他の実施例に記載したアプローチと同様のアプローチに従って、標的核酸中の第1及び第2のハイブリダイゼーション配列間に6塩基のギャップを設けて、実施した。
【0181】
公知の方法を使用するアッセイのために、本発明の方法で使用する同等のプライマーと同じ6塩基中間領域を5'末端に、及び同じハイブリダイゼーション領域を3'末端に、含む類似したプライマーを設計した。このようにして、方法の厳密な比較を行うために、2つのアッセイ間の一貫性を可能な限り確保した。しかしながら、制限酵素認識部位の塩基は、WO2014/164479、Nt.BbvCIに報告された例示的ニッキング酵素の認識部位の塩基に置換した(p.20-21の実施例5を参照されたい)。
【0182】
(実施例10.1)第1の例では、各方法の反応は、等しいプライマー比を使用して実施した。本発明の方法のために:2 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプライマー;2 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプライマー;1.6 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブ;Enzo Life Sciences社製の60 μM Sp-dATP-α-S ;各々60 μMのdTTP、dCTP、及びdGTP;並びに様々なレベル(+++=10 zmol; ++=100コピー; +=10コピー; NTC=標的なし対照)のウイルスゲノムRNA抽出物を標的として含む適切な緩衝液中で反応液を調製した。構築した反応液は、周囲温度(c.20℃)で5分間プレインキュベートした後、5 Uの制限酵素、5 Uのバチルス鎖置換型DNAポリメラーゼ、及び10 Uの逆転写酵素を25 μlの最終反応体積への追加によって反応を開始した。酵素の追加後、反応液を45℃で8分間(T1)又は15分間(T2)インキュベートした。インキュベーション後、各反応液に75 μl緩衝液中の60 μgのビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボンを追加し、全100 μlの体積を試料パッド上に1.5 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む核酸ラテラルフローストリップに移した。
【0183】
公知の方法のために:6.25 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプライマー;6.25 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプライマー;各々200 μMのdATP、dTTP、dCTP、及びdGTP;並びに様々なレベル(+++=10 zmol; ++=100コピー; +=10コピー; NTC=標的なし対照)のウイルスゲノムRNA抽出物を標的として含む適切な緩衝液中で反応液を調製した。構築した反応液は、周囲温度(c.20℃)で5分間プレインキュベートした後、4 UのNt.BbvCI、20 UのBst大断片DNAポリメラーゼ、及び10 UのM-MuLV逆転写酵素を25 μlの最終反応体積への追加によって反応を開始した。酵素の追加後、反応液を45℃で8分間(T1)及び15分間(T2)インキュベートした。インキュベーション後、60 μgのビオチン結合タンパク質に吸着させたカーボン及び5 pmolの第1のオリゴヌクレオチドプローブを含む75 μl緩衝液を各反応液に追加し、全100 μlの体積を試料パッド上に5 pmolの第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む核酸ラテラルフローストリップに移した。
【0184】
図14Aでは、様々な標的レベル及び示された時点での、本発明の方法(I)を用いた実験及び公知の方法(II)を用いた実験において得られるラテラルフローストリップの写真を示す。観察された黒い線は、標的存在下で生産されたディテクター種に結合されたカーボンの堆積に対応する。公知の方法を使用して仮にも何らかのシグナルを観察することを可能にするまでに、何度かの試行が必要であり、酵素及び緩衝液、並びに顕著に高いレベルのプライマー、dNTP、及び酵素の特定の組合わせを使用する必要があった。本発明の方法(I)を用いると、プレヒートなしでわずか8分後の最も短い時点ですらわずか10コピーの標的という最低の標的レベルでさえも、生産されたディテクター種を明確に確認することができた。当業者にとって自明でない公知の方法を最適化する取り組みの後でさえも、最も高い標的レベル(+++=10zmol)かつ最も長い時点(15分)でかすかなシグナルしか観察されなかった。
【0185】
(実施例10.2)さらに、自明ではない広範な試みを行った後、この実施例10.2に記載の通り、非常に高濃度の第1のプライマーを用いた、2:1の比の第1及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することによってのみではあるが、公知の方法の成績を高めることが可能であった。本発明の方法は、ここでも実施例10.1に記載の通り、実施した。公知の方法については、反応は第1のオリゴヌクレオチドプライマーのレベルを12.5 pmolに増加させたことを除き、実施例10.1に記載の通り実施した。各事例において、以下の標的レベル:+++=1 zmol;++=100コピー;+=10コピー;NTC=標的なし対照を使用した。
【0186】
図14Bでは、様々な標的レベル及び示された時点での、本発明の方法(I)を用いた実験及び公知の方法(II)を用いた実験において得られるラテラルフローストリップの写真を示す。観察された黒い線は、標的存在下で生産されたディテクター種に結合されたカーボンの堆積に対応する。ここでも、本発明の方法(I)は、最も短い時点において、わずか10コピーの標的という非常に低い標的レベルにおいてさえ、視認されるシグナルを伴う、注目に値する速度を得ることが実証された。公知の方法を用いると、最も高い標的レベル(+++=1 zmol)でもかすかなシグナルしか観察されず、最も長い時点(15分)においても100コピー試料においてに非常にかすかなシグナルが視認された。しかしながらまた、NTCストリップでも方法を機能させるために要求される非常に高いオリゴヌクレオチドプライマーレベル及び酵素レベルの結果としての非特異的産物に対応し得るかすかなシグナルが観察された。これらのデータは、WO2014/164479における、30分のインキュベーション時間を報告したデータと一致する。この公知の方法を使用して実施される増幅を高速化するために並外れて高いプライマーレベルの追加を要求することは、同じ試料中での2以上の異なる標的の検出のためのその潜在的応用性を大幅に制限する。それは、非特異的産物に伴う問題を悪化させることなく総プライマーレベルをさらに増加させるための範囲が非常に限られているためである。
【0187】
本実施例14は、増幅がはるかに迅速に実施され、感度がより高く、かつより明確な結果のシグナルが生産されるという、WO2014/164479に開示された公知の方法を上回る本発明の方法の著しい優位性を実証する。プレインキュベーションをせずにわずか8分で、本発明の方法は、わずか100コピーの標的を用いて、60倍の標的レベルを用いる最高の標的レベルで15分間行い得る公知の方法において生産され得るよりも強いシグナルを生産した。この公知の方法に対する本発明の方法の利点は、それがニッキング酵素ではない制限酵素である、異なるクラスの酵素を要求すること、及びそれが増幅の感度及び特異性を増強する1以上の修飾dNTP、例えばホスホロチオエート塩基の使用を要求することから生じる。さらに、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つが、前記DNAポリメラーゼによる伸長を3’末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断されることができず、工程a)の実施と同時に該試料と接触し、増幅をシグナル検出と効率的に共役させることを可能とし、かつディテクター種の形成中に効率的な配列ベースのハイブリダイゼーションに由来する特異性の増強を促進する、方法の実施態様。これらの利点により、本発明の方法は、診断の分野での利用及び簡素化された、超高速の、ユーザ重視の、低コスト診断装置、例えば使い捨て又は機器を要さない分子診断検査装置の開発に理想的に適する。以下の明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、別途文脈が要求しない限り、用語「含む(comprise)」、及び「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」などの変形は、言及された整数、工程、整数群、又は工程群を含むことを含意するが、任意の他の整数、工程、整数群、又は工程群を除外するものではないことは、理解されよう。
【0188】
本発明のさらなる態様には、以下に列記するものが含まれる:
態様1.試料中の定義された配列の一本鎖標的核酸の存在を検出するための方法であって:
a) 該試料を:
i. 第1のオリゴヌクレオチドプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーであって、該第1のプライマーは、5'から3'の方向に制限酵素認識配列及び切断部位並びに該標的核酸中の第1のハイブリダイゼーション配列とハイブリダイズすることができる領域の1つの鎖を含み、かつ該第2のプライマーは5'から3'の方向に制限酵素認識配列及び切断部位並びに該標的核酸中の該第1のハイブリダイゼーション配列の上流の第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる領域の1つの鎖を含む、前記第1のオリゴヌクレオチドプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドプライマー;
ii. 鎖置換型DNAポリメラーゼ;
iii. dNTP;
iv. 1以上の修飾dNTP;
v. ニッキング酵素ではないが、該第1のプライマーの該認識配列を認識し、該認識配列及び該切断部位が二本鎖である場合に該切断部位の第1のプライマー鎖のみを切断することができる、第1の制限酵素であって、逆相補鎖の切断が該1以上の修飾dNTPを使用してDNAポリメラーゼによって該逆相補鎖に取り込まれた1以上の修飾の存在により阻止される、前記第1の制限酵素;並びに
vi. ニッキング酵素ではないが、該第2のプライマーの該認識配列を認識し、該認識配列及び該切断部位が二本鎖である場合に該切断部位の該第2のプライマー鎖のみを切断することができる、第2の制限酵素であって、逆相補鎖の切断が該1以上の修飾dNTPを使用してDNAポリメラーゼによって該逆相補鎖に取り込まれた1以上の修飾の存在により阻止される、前記第2の制限酵素;
と接触させて、温度周期変化を用いることなく、該標的核酸の存在下で増幅産物を生産すること;
b) 工程a )の増幅産物を:
i. 該増幅産物中の少なくとも1つの種の第1の一本鎖検出配列とハイブリダイズすることができ、その検出を可能とする部分と結合されている、第1のオリゴヌクレオチドプローブ;及び
ii. 増幅産物中の該少なくとも1つの種の該第1の一本鎖検出配列の上流又は下流の第2の一本鎖検出配列とハイブリダイズすることができ、固体材料又はその固体材料との結合を可能にする部分と結合される、第2のオリゴヌクレオチドプローブ、と接触させることであって、該増幅産物中の該少なくとも1つの種との該第1及び第2のプローブのハイブリダイゼーションにより、ディテクター種が生産される、前記接触させること;並びに
c) 工程b)で生産された該ディテクター種の存在を検出することであって、該ディテクター種の存在は、該試料における該標的核酸の存在を示す、前記検出すること、を含む、前記方法。
態様2.前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つが前記DNAポリメラーゼによる伸長を3’末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断できない、態様1記載の方法。
態様3.前記一方のオリゴヌクレオチドプローブが、1以上の配列ミスマッチ及び/又は1以上の修飾、例えばホスホロチオエート結合の存在のために前記第1又は第2の制限酵素によって切断されることができなくなる、態様2記載の方法。
態様4.前記一方のオリゴヌクレオチドプローブを工程a)の実施と同時に前記試料と接触させる、態様2.又は3記載の方法。
態様5.工程a)において前記試料をさらに:(A)5'から3'の方向に前記第1の制限酵素の認識配列及び切断部位並びに前記標的核酸中の該第1のハイブリダイゼーション配列とハイブリダイズすることができる領域の1つの鎖を含み、DNAポリメラーゼによる伸長が3'末端で阻止される、第3のオリゴヌクレオチドプライマー;及び/又は(B)5'から3'の方向に前記第2の制限酵素の認識配列及び切断部位並びに該標的配列中の該第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる領域の1つの鎖を含み、前記DNAポリメラーゼによる伸長が3'末端で阻止される、第4のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させる、態様1〜4のいずれか1つに記載の方法。
態様6.存在する場合、前記第3のオリゴヌクレオチドプライマーは前記第1のオリゴヌクレオチドプライマーより過剰に提供され、かつ存在する場合、前記第4のオリゴヌクレオチドプライマーは前記第2のオリゴヌクレオチドより過剰に提供される、態様5記載の方法。
態様7.前記1以上の修飾dNTPが、αチオール修飾dNTPである、態様1〜6のいずれか1つ記載の方法。
態様8.前記第1及び第2の制限酵素が同じ制限酵素である、態様1〜7のいずれか1つ記載の方法。
態様9.工程a)、b)、及びc)のうちの2以上を同時に実施する、態様1〜8のいずれか1つ記載の方法。
態様10. 工程(a)を50℃以下の温度で実施する、態様1〜9のいずれか1つ記載の方法。
態様11.前記第1のオリゴヌクレオチドプローブの検出を可能とする部分が、比色定量色素若しくは蛍光定量色素、又は比色定量若しくは蛍光定量色素との結合を可能とする部分、例えばビオチンである、態様1〜10のいずれか1つ記載の方法。
態様12.前記ディテクター種が電気シグナルの変化によって検出される、態様1〜11のいずれか1つ記載の方法。
態様13. 前記第1のオリゴヌクレオチドプローブの検出を可能とする部分が、基質との接触後に検出可能なシグナル、例えば比色定量若しくは蛍光定量シグナルを生じる酵素である、態様1〜12のいずれか1つ記載の方法。
態様14.前記第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能とする部分が、一本鎖オリゴヌクレオチドである、態様1〜13のいずれか1つ記載の方法。
態様15.一本鎖オリゴヌクレオチド部分の配列は、2〜4塩基のDNA配列モチーフの3以上の反復コピーを含む、態様14記載の方法。
態様16.工程c)において前記ディテクター種の存在が核酸ラテラルフローによって検出される、態様1〜15のいずれか1つ記載の方法。
態様17.前記核酸ラテラルフローが、前記第2のオリゴヌクレオチドプローブの固体材料との結合を可能にする部分との配列特異的ハイブリダイゼーションを可能とする1以上の核酸を利用する、態様16記載の方法。
態様18.工程c)によりカーボン又は金、好ましくはカーボンを使用して比色定量又は電気化学的シグナルが生成される、態様1〜17のいずれか1つ記載の方法。
態様19.第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドプライマーが、制限酵素認識配列及び切断部位の上流の5'末端に例えば5塩基長の安定化配列を含む、態様1〜18のいずれか1つ記載の方法。
態様20.前記第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイズ領域が、9〜16塩基長である、態様1〜19のいずれか1つ記載の方法。
態様21.前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーの一方を、他方のプライマーより過剰に提供する、態様1〜20のいずれか1つ記載の方法。
態様22.前記標的核酸中の前記第1及び第2のハイブリダイゼーション配列が0〜6塩基により隔てられている、態様1〜21のいずれか1つ記載の方法。
態様23.前記標的核酸中の前記第1及び第2のハイブリダイゼーション配列が3〜6塩基により隔てられている、態様1〜21のいずれか1つ記載の方法。
態様24.工程b)において前記増幅産物中の前記少なくとも1つの種の前記第1又は第2の一本鎖検出配列が、態様23で定義した3〜6塩基に対応する配列を含む、態様1〜23のいずれか1つ記載の方法。
態様25. 前記試料中の前記標的核酸のレベルを工程c)で定量化する、態様1〜24のいずれか1つ記載の方法。
態様26.前記標的核酸が二本鎖RNA由来一本鎖RNA及び二本鎖DNA由来一本鎖RNAを含む、一本鎖RNA、又は、一本鎖RNA由来一本鎖DNA及び二本鎖DNA由来一本鎖DNAを含む、一本鎖DNAである、態様1〜25のいずれか1つ記載の方法。
態様27.前記一本鎖DNAが、ヌクレアーゼ、例えば制限エンドヌクレアーゼ若しくはエキソヌクレアーゼIIIの使用により二本鎖DNAから得られるか、又は逆転写酵素の使用により一本鎖RNAから得られる、態様26記載の方法。
態様28.定義された配列の2以上の異なる標的核酸の存在が同じ試料中で検出される、態様1〜27のいずれか1つ記載の方法。
態様29.前記試料が生体試料、例えば鼻若しくは鼻咽頭スワブ若しくは吸引液、血液若しくは血液由来試料、又は尿である、態様1〜28のいずれか1つ記載の方法。
態様30.前記標的核酸がウイルス性である又はウイルス性核酸材料に由来し、細菌性又は細菌性核酸材料に由来し、癌細胞又は胎児細胞から放出される循環型無細胞DNAであり、マイクロRNAである又はマイクロRNA由来のものである、態様1〜29のいずれか1つ記載の方法。
態様31.前記標的核酸が、メチル化などの後成的修飾部位を含む、態様1〜30のいずれか1つ記載の方法。
態様32.前記標的核酸の検出を、疾患又は罹患状態の診断、予後判定又はモニタリングのために使用する、態様1〜31のいずれか1つ記載の方法。
態様33.前記疾患が、これらに限定はされないが、HIV、インフルエンザ、RSV、ライノウイルス、ノロウイルス、結核、HPV、髄膜炎、肝炎、MRSA、エボラ、クロストリジウム・ディフィシル、エプスタイン・バーウイルス、マラリア、ペスト、ポリオ、クラミジア、ヘルペス、淋病、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、コレラ、又は天然痘を含む感染症である、態様32記載の方法。
態様34.前記疾患が、これらに限定はされないが、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、肝癌、膀胱癌、白血病、食道癌、卵巣癌、腎癌、胃癌、又は黒色腫を含む癌である、態様32記載の方法。
態様35.前記標的核酸の検出を、ヒトの遺伝子検査、出生前検査、血液汚染スクリーニング、薬理ゲノミクス、又は薬物動態学のために使用する、態様1〜34のいずれか1つ記載の方法。
態様36.前記試料がヒト試料、法医学試料、農学試料、獣医学試料、環境試料、又は生体防御試料である、態様1〜35のいずれか1項記載の方法。
態様37.キットであって:
a) 第1のオリゴヌクレオチドプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーであって、該第1のプライマーは、5'から3'の方向に制限酵素認識配列及び切断部位並びに定義された配列の一本鎖標的核酸中の第1のハイブリダイゼーション配列とハイブリダイズすることができる領域を含み、かつ該第2のプライマーは5'から3'の方向に制限酵素認識配列及び切断部位並びに該標的核酸中の該第1のハイブリダイゼーション配列の上流の第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる領域を含む、前記第1のオリゴヌクレオチドプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドプライマー;
b) ニッキング酵素ではなく、該第1のプライマーの該認識配列を認識し、該切断部位を切断することができる第1の制限酵素及びニッキング酵素ではなく、該第2のプライマーの該認識配列を認識し、該切断部位を切断することができる、第2の制限酵素;
c) 鎖置換型DNA ポリメラーゼ;
d) dNTP 、
e) 1以上の修飾dNTP;
f) 該第1及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーの一方のハイブリダイズ領域とのある程度の相補性を有し、その検出を可能とする部分と結合された、第1のオリゴヌクレオチドプローブ;並びに
g) 該第1及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーの他方のハイブリダイズ領域の逆相補鎖とある程度の相補性を有し、固体材料又はその固体材料との結合を可能にする部分と結合されている、第2のオリゴヌクレオチドプローブ、を含む、前記キット。
態様38.ディテクター種の存在を検出するための手段をさらに含む、態様37記載のキット。
態様39.前記第1のオリゴヌクレオチドプライマー、及び/又は前記第2のオリゴヌクレオチドプライマー、及び/又は前記第1の制限酵素、及び/又は前記第2の制限酵素、及び/又は前記DNAポリメラーゼ、及び/又は前記dNTP、及び/又は前記1以上の修飾dNTP、及び/又は前記第1のオリゴヌクレオチドプローブ、及び/又は前記第2のオリゴヌクレオチドプローブが、態様2、3、7、8、11、13〜17、19、20、又は22〜24のいずれか1つで定義された通りである、態様37又は38記載のキット。
態様40.態様5又は6で定義された通りの第3及び/又は第4のオリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む、態様37〜39のいずれか1項記載のキット。
態様41.試料中の定義された配列の一本鎖標的核酸の存在を検出するための方法であって:
a) 該試料を:
i. 第1のオリゴヌクレオチドプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーであって、該第1のプライマーは、5'から3'の方向に制限酵素認識配列及び切断部位並びに該標的核酸中の第1のハイブリダイゼーション配列とハイブリダイズすることができる領域の1つの鎖を含み、かつ該第2のプライマーは5'から3'の方向に制限酵素認識配列及び切断部位並びに該標的核酸中の該第1のハイブリダイゼーション配列の上流の第2のハイブリダイゼーション配列の逆相補鎖とハイブリダイズすることができる領域の1つの鎖を含む、前記第1のオリゴヌクレオチドプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドプライマー;
ii. 鎖置換型DNAポリメラーゼ;
iii. dNTP;
iv.1以上の修飾dNTP;
v. ニッキング酵素ではないが、該第1のプライマーの該認識配列を認識し、該認識配列及び該切断部位が二本鎖である場合に該切断部位の第1のプライマー鎖のみを切断することができる、第1の制限酵素であって、逆相補鎖の切断が該1以上の修飾dNTPを使用して該DNAポリメラーゼによって該逆相補鎖に取り込まれた1以上の修飾の存在により阻止される、前記第1の制限酵素;並びに
vi. ニッキング酵素ではないが、該第2のプライマーの該認識配列を認識し、該認識配列及び該切断部位が二本鎖である場合に該切断部位の該第2のプライマー鎖のみを切断することができる、第2の制限酵素であって、逆相補鎖の切断が該1以上の修飾dNTPを使用して該DNAポリメラーゼによって該逆相補鎖に取り込まれた1以上の修飾の存在により阻止される、前記第2の制限酵素;
と接触させて、温度周期変化を用いることなく、該標的核酸の存在下で増幅産物を生産すること;
b) 工程a)の増幅産物を:
i. 該増幅産物中の少なくとも1つの種の第1の一本鎖検出配列とハイブリダイズすることができ、その検出を可能とする部分と結合されている、第1のオリゴヌクレオチドプローブ;及び
ii. 増幅産物中の該少なくとも1つの種の該第1の一本鎖検出配列の上流又は下流の第2の一本鎖検出配列とハイブリダイズすることができ、固体材料又はその固体材料との結合を可能にする部分と結合される、第2のオリゴヌクレオチドプローブ、と接触させることであって、前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つが、前記DNAポリメラーゼによる伸長を3’末端で阻止され、前記第1又は第2の制限酵素によって切断されることができず、該第1及び第2のプローブの増幅産物中の前記少なくとも1つの種とのハイブリダイゼーションにより、ディテクター種が生産される、前記接触させること;並びに
c) 工程b)で生産された該ディテクター種の存在を検出することであって、該ディテクター種の存在は、該試料における該標的核酸の存在を示す、前記検出すること、を含み;
ここで工程b)で定義した該第1又は第2のオリゴヌクレオチドプローブを、工程a)の実施と同時に該試料と接触させる、前記方法。
【0189】
本明細書中で言及されている全ての特許及び特許出願は、参照によりその全体が組み込まれている。