(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-531866(P2021-531866A)
(43)【公表日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】神経血管末梢アクセス支援カテーテル、吸引カテーテル、またはデバイスシャフト
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20211029BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20211029BHJP
A61B 17/128 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
A61M25/00 632
A61B17/22 528
A61B17/128
A61B17/22
A61M25/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2021-502946(P2021-502946)
(86)(22)【出願日】2019年7月9日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月18日
(86)【国際出願番号】US2019041030
(87)【国際公開番号】WO2020018319
(87)【国際公開日】20200123
(31)【優先権主張番号】62/701,254
(32)【優先日】2018年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/858,835
(32)【優先日】2019年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520466995
【氏名又は名称】イーラム テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】トラン,クアン
(72)【発明者】
【氏名】バグナル,ノエル
(72)【発明者】
【氏名】バラハス,ビクター
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD63
4C160DD65
4C160EE22
4C160MM36
4C267AA02
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4C267GG02
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4C267HH17
(57)【要約】
末梢アクセス支援カテーテルまたは吸引カテーテルなど、少なくとも一部分が患者の体内に進められるように構成されたカテーテルまたはシャフトが提供される。カテーテルまたはシャフトは、近位端および遠位端を含む柔軟な中空のシャフトを含むことができる。柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含むことができ、スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第1のセグメントに対して近位方向に延びる第2のセグメントとを含む。
【選択図】
図1K
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に少なくとも一部分が進められるように構成されたカテーテルまたはシャフトであって、
近位端と遠位端とを含んでいる柔軟な中空のシャフトを備えており、前記柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含み、前記スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、前記第1のセグメントに対して近位方向に延びており、前記第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含む、
カテーテルまたはシャフト。
【請求項2】
前記第1のパターンは、前記第1のセグメントの周りを周状に前記第1のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含み、前記第2のパターンは、前記第2のセグメントの周りを周状に前記第2のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含む、請求項1に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項3】
前記第1のセグメントの遠位部分における前記第1のパターンの前記スロット状開口部間の長手方向の間隔が、前記第2のセグメントの近位部分における前記第2のパターンの前記スロット状開口部間の長手方向の間隔と比べて小さいことで、前記遠位部分における前記スロット状開口部の密度が、前記近位部分における前記スロット状開口部の密度と比べて大きい、請求項2に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項4】
前記第1または第2のセグメントの周りを周状に前記第1または第2のセグメントの長さに沿って延びる前記第1または第2のパターンの切断部分および非切断部分の前記らせん状パターンは、非切断部分が2つの切断部分の間を延びるように、切断部分と非切断部分とが交互である、請求項2または3に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項5】
前記第1のパターンまたは第2のパターンの前記らせん状パターンの周方向において隣接する切断部分および非切断部分の合計弧長は、100度〜180度の間である、請求項2〜4のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項6】
前記柔軟な中空のシャフトの前記遠位端は、血管内装置に結合し、前記血管内装置は、
畳まれた構成と広がった構成との間を可動である展開可能なバスケットを備えており、前記展開可能なバスケットは、前記柔軟な中空のシャフトによる前記患者の血管系への送入時には前記畳まれた構成であり、閉塞物との係合および前記閉塞物の回収時には前記広がった構成であるように構成され、前記展開可能なバスケットは、近位端および遠位端を含み、前記近位端または前記遠位端の少なくとも一方が、前記展開可能なバスケットの近位部分を前記広がった構成において近位方向を向いたキャビティが形成されるように前記展開可能なバスケットの遠位部分に向かって反転させることができるように、お互いに対して可動である、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項7】
前記柔軟な中空のシャフトの前記遠位端は、患者の血管系へと送入されるように構成されたフローダイバータに結合する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項8】
前記柔軟な中空のシャフトの前記遠位端は、患者の血管系へと送入されるように構成されたコイル塞栓装置に結合する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項9】
前記柔軟な中空のシャフトは、前記柔軟な中空のシャフトを通って閉塞物を吸引できるようなサイズおよび構成とされている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項10】
前記柔軟な中空のシャフトは、血管内装置用の送入カテーテルを通過させることができるようなサイズおよび構成とされており、前記送入カテーテルは、前記血管内装置を前記柔軟な中空のシャフトの前記遠位端よりも遠位側に配置するように構成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項11】
前記スロット部分は、前記柔軟な中空のシャフトに、前記患者を通って前進する際に少なくとも90度または最大90度の角度を有する少なくとも2つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項12】
前記スロット部分は、前記柔軟な中空のシャフトに、前記患者を通って前進する際に少なくとも90度または最大90度の角度を有する少なくとも3つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成されている、請求項11に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項13】
前記柔軟な中空のシャフトの前記スロット部分のうちのスロット状開口部を有するエリアに対する前記スロット部分のうちのスロット状開口部を有さないエリアの比率が、50%までの値を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項14】
前記スロット状開口部は、レーザ切断による、請求項1〜13のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項15】
前記柔軟な中空のシャフトは、前記スロット部分に対して近位方向に延びる非スロット部分または前記スロット部分に対して遠位方向に延びる非スロット部分の少なくとも一方をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項16】
前記柔軟な中空のシャフトは、ハイポチューブを備える、請求項1〜15のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項17】
前記柔軟な中空のシャフトは、ステンレス鋼、ニチノール、クロム、コバルト、白金、またはポリマーのうちの1つ以上で作られる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項18】
前記柔軟な中空のシャフトは、カテーテル制御ハンドル、吸引源、膨張源、または流体供給源のうちの1つ以上に動作可能に接続され、あるいは連通する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項19】
前記柔軟な中空のシャフトは、コイルまたは編組された材料を含まない、請求項1〜18のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項20】
前記柔軟な中空のシャフトの周りを同軸に延びる外側ライナをさらに備える、請求項1〜19のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項21】
前記柔軟な中空のシャフトは、前記柔軟な中空のシャフトの内側を同軸に延びる内側ライナを含まない、請求項20に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項22】
前記外側ライナは、前記外側ライナの長さに沿って均一な硬度を有する、請求項20または21に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項23】
前記柔軟な中空のシャフトの内側を同軸に延びる内側ライナをさらに備えることで、前記柔軟な中空のシャフトが前記内側および外側ライナの間に挟まれる、請求項22に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項24】
前記内側ライナは、前記柔軟な中空のシャフトに直接結合している、請求項23に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項25】
閉塞物を吸引するために前記閉塞物の近くへと少なくとも一部分が患者の体内に進められるように構成された吸引カテーテルであって、
近位端と遠位端とを含んでいる柔軟な中空のシャフトを備えており、前記柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含み、前記スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、前記第1のセグメントに対して近位方向に延びており、前記第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含む、
吸引カテーテル。
【請求項26】
前記第1のパターンは、前記第1のセグメントの周りを周状に前記第1のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含み、前記第2のパターンは、前記第2のセグメントの周りを周状に前記第2のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含む、請求項25に記載の吸引カテーテル。
【請求項27】
前記第1のセグメントの遠位部分における前記第1のパターンの前記スロット状開口部間の長手方向の間隔が、前記第2のセグメントの近位部分における前記第2のパターンの前記スロット状開口部間の長手方向の間隔と比べて小さいことで、前記遠位部分における前記スロット状開口部の密度が、前記近位部分における前記スロット状開口部の密度と比べて大きい、請求項26に記載の吸引カテーテル。
【請求項28】
前記第1または第2のセグメントの周りを周状に前記第1または第2のセグメントの長さに沿って延びる前記第1または第2のパターンの切断部分および非切断部分の前記らせん状パターンは、非切断部分が2つの切断部分の間を延びるように、切断部分と非切断部分とが交互である、請求項26または27に記載の吸引カテーテル。
【請求項29】
前記第1のパターンまたは第2のパターンの前記らせん状パターンの周方向において隣接する切断部分および非切断部分の合計弧長は、100度〜180度の間である、請求項26〜28のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項30】
前記スロット部分は、前記柔軟な中空のシャフトに、前記患者を通って前進する際に少なくとも90度の角度を有する少なくとも2つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成されている、請求項25〜29のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項31】
前記スロット部分は、前記柔軟な中空のシャフトに、前記患者を通って前進する際に少なくとも90度の角度を有する少なくとも3つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成されている、請求項30に記載の吸引カテーテル。
【請求項32】
前記柔軟な中空のシャフトの前記スロット部分のうちのスロット状開口部を有するエリアに対する前記スロット部分のうちのスロット状開口部を有さないエリアの比率が、50%までの値を有する、請求項25〜31のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項33】
前記スロット状開口部は、レーザ切断による、請求項25〜32のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項34】
前記柔軟な中空のシャフトは、前記スロット部分に対して近位方向に延びる非スロット部分または前記スロット部分に対して遠位方向に延びる非スロット部分の少なくとも一方を備える、請求項25〜33のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項35】
前記柔軟な中空のシャフトは、ハイポチューブを備える、請求項25〜34のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項36】
前記柔軟な中空のシャフトは、ステンレス鋼、ニチノール、クロム、コバルト、白金、またはポリマーのうちの1つ以上で作られる、請求項25〜35のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項37】
前記柔軟な中空のシャフトは、カテーテル制御ハンドル、吸引源、膨張源、または流体供給源のうちの1つ以上に動作可能に接続され、あるいは連通する、請求項25〜36のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項38】
前記柔軟な中空のシャフトは、コイルまたは編組された材料を含まない、請求項25〜37のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項39】
前記柔軟な中空のシャフトの周りを同軸に延びる外側ライナをさらに備える、請求項25〜38のいずれか一項に記載の吸引カテーテル。
【請求項40】
前記外側ライナは、前記外側ライナの長さに沿って均一な硬度を有する、請求項39に記載の吸引カテーテル。
【請求項41】
前記柔軟な中空のシャフトは、前記柔軟な中空のシャフトの内側を同軸に延びる内側ライナを含まない、請求項39または40に記載の吸引カテーテル。
【請求項42】
患者の血管系内にカテーテルまたはシャフトを配置するための方法であって、
近位端と遠位端とを含んでいる柔軟な中空のシャフトを備えており、前記柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含んでおり、前記スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、前記第1のセグメントに対して近位方向に延びており、前記第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含んでいる、カテーテルまたはシャフトを、患者内へと前進させるステップと、
前記カテーテルまたはシャフトを前記患者の前記血管系を通って前進させつつ、離れて位置する少なくとも2つの位置において前記柔軟な中空のシャフトの前記スロット部分を曲げるステップと
を含む、カテーテルまたはシャフトを配置するための方法。
【請求項43】
送入カテーテル、吸引カテーテル、または血管内装置のうちの少なくとも1つを、前記柔軟な中空のシャフトを通って前記患者内へと前進させるステップをさらに含む、請求項42に記載のカテーテルまたはシャフトを配置するための方法。
【請求項44】
患者の血管系から閉塞物を吸引するための方法であって、
近位端と遠位端とを含んでいる柔軟な中空のシャフトを備えており、前記柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含んでおり、前記スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、前記第1のセグメントに対して近位方向に延びており、前記第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含んでいる、吸引カテーテルを、患者内へと閉塞物の遠位側まで前進させるステップと、
前記吸引カテーテルを前記患者の前記血管系を通って前進させつつ、離れて位置する少なくとも2つの位置において前記柔軟な中空のシャフトの前記スロット部分を曲げるステップと、
前記柔軟な中空のシャフトを通って前記患者から前記閉塞物を吸引するステップと
を含む、方法。
【請求項45】
カテーテルまたはシャフトを製造するための方法であって、
細長い中空シャフトの第1のセグメントにスロット状開口部の第1のパターンを切断するステップと、
前記第1のセグメントに対して近位方向に延びる前記細長い中空シャフトの第2のセグメントに、前記第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを切断するステップと
を含む、カテーテルまたはシャフトを製造するための方法。
【請求項46】
内側ライナを中間層を間に存在させることなく前記柔軟な中空のシャフトの内面に結合させるステップ
をさらに含む、請求項45に記載のカテーテルまたはシャフトを製造するための方法。
【請求項47】
外側ライナを、前記柔軟な中空のシャフトが前記内側および外側ライナの間に挟まれるように、前記柔軟な中空のシャフトの外面に結合させるステップをさらに含み、前記外側ライナは、前記外側ライナの長さに沿って均一な厚さを有している、請求項46に記載のカテーテルまたはシャフトを製造するための方法。
【請求項48】
前記カテーテルまたはシャフトは、末梢アクセス支援カテーテルまたは吸引カテーテルとなるように構成されている、請求項45〜47のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフトを製造するための方法。
【請求項49】
前記カテーテルまたはシャフトは、末梢アクセス支援カテーテルとなるように構成されている、請求項1〜24のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項50】
非切断部分の弧長に対する切断部分の弧長の比率が、前記第1または第2のセグメントの前記長さに沿って漸進的に変化する、請求項2〜24または49のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項51】
前記比率は、前記第1または第2のセグメントの前記長さに沿って漸進的に減少する、請求項50に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項52】
前記第1または第2のセグメントの前記長手方向の間隔は、前記第1または第2のセグメントの前記長さに沿って漸進的に変化する、請求項3〜24または49〜51のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項53】
前記第1または第2のセグメントの前記長手方向の間隔は、前記第1または第2のセグメントの前記長さに沿って漸進的に変化し、非切断部分の弧長に対する切断部分の弧長の比率が、前記第1または第2のセグメントの前記長さに沿って漸進的に変化する、請求項3〜24または49〜52のいずれか一項に記載のカテーテルまたはシャフト。
【請求項54】
前記第1または第2のセグメントの前記長手方向の間隔は、前記第1または第2のセグメントの前記長さに沿って漸進的に増加し、前記比率は、前記第1または第2のセグメントの前記長さに沿って漸進的に増加する、請求項53に記載のカテーテルまたはシャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データの相互参照
[0001]本出願は、2018年7月20日に出願された米国仮出願第62/701,254号および2019年6月7日に出願された米国仮出願第62/858,835号の米国特許法第119条(e)の下での利益を主張し、これらの米国仮出願の全開示は、その全体が、あらゆる目的に関して、ここでの言及によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]本出願は、広くには、医療の用途に使用するためのカテーテルに関し、より具体的には、神経血管末梢アクセス支援カテーテル、血管内デバイスシャフト、および/または吸引カテーテル、ならびに使用または製造の方法に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]典型的に、カテーテルを、さまざまな医療の用途に使用することができる。例えば、カテーテルを、直接的または間接的に(例えば、1つ以上の中間カテーテルを介して)患者の体内に医療機器を配置するように構成された送入カテーテルとして設計することができる。さらに、そのようなカテーテルを流体源に接続することで、患者の体内の指定された場所へと流体を届けることができ、あるいは医療機器(例えば、バルーン)を膨張させることが可能である。カテーテルを吸引源に接続して、患者の体内に閉じ込められた(例えば、閉塞物)を吸引することも可能である。カテーテルを、きわめて狭く、あるいは小径であり、蛇行または湾曲している血管系を通って、患者の体内の所望の位置へと前進させる必要があるかもしれない。追加の材料または剛性の異なる材料を用いて編組によるカテーテルまたはコイル状のカテーテルを製作することで、きわめて曲がりくねった血管系を移動するために必要とされる柔軟性をもたらすことができる。しかしながら、追加の材料は、そのようなカテーテルの全体的なサイズまたは肉厚を増加させることにもなりかねない。したがって、改善されたカテーテル、とりわけ向上した柔軟性または改善されたサイズ(充分な構造的完全性を維持しつつ、内径を大きくし、あるいは肉厚または外径を小さくする)を含む改善された特徴を備える末梢アクセス支援および/または吸引カテーテルを提供することが、望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の一態様によれば、患者の体内に少なくとも一部分が進められるように構成されたカテーテルまたはシャフト(例えば、末梢アクセス支援カテーテル、吸引カテーテル、血管内装置のシャフト)であって、近位端と遠位端とを含む柔軟な中空のシャフトを含んでおり、柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含んでいるカテーテルまたはシャフトが提供される。スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、第1のセグメントに対して近位方向に延びており、第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含む。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1のパターンは、第1のセグメントの周りを周状に第1のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含み、スロット状開口部の第2のパターンは、第2のセグメントの周りを周状に第2のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含む。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態においては、第1のセグメントの遠位部分における第1のパターンのスロット状開口部間の長手方向の間隔が、第2のセグメントの近位部分における第2のパターンのスロット状開口部間の長手方向の間隔と比べて小さいことで、遠位部分におけるスロット状開口部の密度が、近位部分におけるスロット状開口部の密度と比べて大きい。いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1または第2のパターンの切断部分および非切断部分のらせん状パターンは、第1または第2のセグメントの周りを周状に第1または第2のセグメントの長さに沿って延び、非切断部分が2つの切断部分の間を延びるように、切断部分と非切断部分とが交互である。いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1のパターンまたは第2のパターンのらせん状パターンの周方向において隣接する切断部分および非切断部分の合計弧長は、100度〜180度の間である。
【0007】
[0007]特定の実施形態において、柔軟な中空のシャフトの遠位端は、畳まれた構成と広がった構成との間を可動である展開可能なバスケットを含む血管内装置に結合し、展開可能なバスケットは、カテーテルまたはシャフトの柔軟な中空のシャフトによる患者の血管系への送入時には畳まれた構成であり、閉塞物との係合および閉塞物の回収時には広がった構成であるように構成される。展開可能なバスケットは、近位端および遠位端を含み、近位端または遠位端の少なくとも一方が、展開可能なバスケットの近位部分を広がった構成において近位方向を向いたキャビティが形成されるように展開可能なバスケットの遠位部分に向かって反転させることができるように、お互いに対して可動である。特定の実施形態において、柔軟な中空のシャフトの遠位端は、患者の血管系へと送入されるように構成されたフローダイバータに結合する。他の実施形態において、柔軟な中空のシャフトの遠位端は、患者の血管系へと送入されるように構成されたコイル塞栓装置に結合する。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、柔軟な中空のシャフトを通って閉塞物を吸引できるようなサイズおよび構成とされる。他の実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、血管内装置用の送入カテーテルを通過させることができるようなサイズおよび構成とされ、送入カテーテルは、血管内装置を末梢アクセス支援カテーテルの遠位端よりも遠位側に位置させるように構成される。さらに他の実施形態において、スロット部分は、柔軟な中空のシャフトに、患者を通って前進する際に少なくとも90度または最大90度の角度を有する少なくとも2つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成される。さらなる実施形態において、スロット部分は、柔軟な中空のシャフトに、患者を通って前進する際に少なくとも90度または最大90度の角度を有する少なくとも3つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成される。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態においては、柔軟な中空のシャフトのスロット部分のうちのスロット状開口部を有するエリアに対するスロット部分のうちのスロット状開口部を有さないエリアの比率が、50%までの値を有する。いくつかの実施形態において、比率は50%を超えてもよい。スロット状開口部は、レーザ切断によることができる。柔軟な中空のシャフトを、ハイポチューブから形成することができる。柔軟な中空のシャフトは、スロット部分に対して近位方向に延びる非スロット部分またはスロット部分に対して遠位方向に延びる非スロット部分の少なくとも一方を含むことができる。柔軟な中空のシャフトを、ステンレス鋼、ニチノール、クロム、コバルト、白金、またはポリマーのうちの1つ以上で作ることができる。いくつかの実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、カテーテル制御ハンドル、吸引源、膨張源、または流体供給源のうちの1つ以上に動作可能に接続され、あるいは連通する。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、コイルまたは編組された材料を含まない。カテーテルは、柔軟な中空のシャフトの周りを同軸に延びる外側ライナを含むことができる。特定の実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、柔軟な中空のシャフトの内側を同軸に延びる内側ライナを含まない。外側ライナは、その長さに沿って均一な硬度を有することができる。いくつかの実施形態においては、内側ライナが柔軟な中空のシャフトの内側を同軸に延び、柔軟な中空のシャフトが内側および外側ライナの間に挟まれる。いくつかの実施形態において、内側ライナは、柔軟な中空のシャフトに直接結合する。
【0011】
[0011]本発明の別の態様によれば、閉塞物を吸引するために閉塞物の近くへと少なくとも一部分が患者の体内に進められるように構成された吸引カテーテルであって、近位端と遠位端とを含んでいる柔軟な中空のシャフトを備えており、柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含んでおり、スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、第1のセグメントに対して近位方向に延びており、第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含んでいる、吸引カテーテルが提供される。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1のパターンは、第1のセグメントの周りを周状に第1のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含み、スロット状開口部の第2のパターンは、第2のセグメントの周りを周状に第2のセグメントの長さに沿って延びる切断部分および非切断部分の繰り返しのらせん状パターンを含む。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態においては、第1のセグメントの遠位部分における第1のパターンのスロット状開口部間の長手方向の間隔が、第2のセグメントの近位部分における第2のパターンのスロット状開口部間の長手方向の間隔と比べて小さいことで、遠位部分におけるスロット状開口部の密度が、近位部分におけるスロット状開口部の密度と比べて大きい。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のセグメントの長手方向の間隔は、第1および/または第2のセグメントの長さに沿って(あるいは、カテーテルまたはシャフトの長さに沿って)漸進的に変化し得る。いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1または第2のパターンの切断部分および非切断部分のらせん状パターンは、第1または第2のセグメントの周りを周状に第1または第2のセグメントの長さに沿って延び、非切断部分が2つの切断部分の間を延びるように、切断部分と非切断部分とが交互である。いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1のパターンまたは第2のパターンのらせん状パターンの周方向において隣接する切断部分および非切断部分の合計弧長は、100度〜180度の間である。いくつかの実施形態においては、非切断部分の弧長に対する切断部分の弧長の比率が、第1および/または第2のセグメントの長さに沿って(あるいは、カテーテルまたはシャフトの長さに沿って)漸進的に変化し得る。一例として、比率は、第1および/または第2のセグメントの長さに沿って漸進的に減少してよい。いくつかの実施形態においては、第1および/または第2のセグメントの長手方向の間隔が、第1および/またはセグメントの長さに沿って漸進的に変化してよく、非切断部分の弧長に対する切断部分の弧長の比率が、第1および/または第2のセグメントの長さに沿って(あるいは、カテーテルまたはシャフトの長さに沿って)漸進的に変化してよい。一例として、第1または第2のセグメントの長手方向の間隔が、第1および/または第2のセグメントの長さに沿って漸進的に増加してよく、比率が、第1および/または第2のセグメントの長さに沿って漸進的に増加してよい。
【0014】
[0014]さらに他の実施形態において、スロット部分は、柔軟な中空のシャフトに、患者を通って前進する際に少なくとも90度または最大90度の角度を有する少なくとも2つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成される。さらなる実施形態において、スロット部分は、柔軟な中空のシャフトに、患者を通って前進する際に少なくとも90度または最大90度の角度を有する少なくとも3つの曲がりを越えるための柔軟性をもたらすように構成される。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態においては、柔軟な中空のシャフトのスロット部分のうちのスロット状開口部を有するエリアに対するスロット部分のうちのスロット状開口部を有さないエリアの比率が、50%までの値を有する。いくつかの実施形態において、比率は50%を超えてもよい。スロット状開口部は、レーザ切断によることができる。柔軟な中空のシャフトを、ハイポチューブから形成することができる。柔軟な中空のシャフトは、スロット部分に対して近位方向に延びる非スロット部分またはスロット部分に対して遠位方向に延びる非スロット部分の少なくとも一方を含むことができる。柔軟な中空のシャフトを、ステンレス鋼、ニチノール、クロム、コバルト、白金、またはポリマーのうちの1つ以上で作ることができる。いくつかの実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、カテーテル制御ハンドル、吸引源、膨張源、または流体供給源のうちの1つ以上に動作可能に接続され、あるいは連通する。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、コイルまたは編組された材料を含まない。カテーテルは、柔軟な中空のシャフトの周りを同軸に延びる外側ライナを含むことができる。特定の実施形態において、柔軟な中空のシャフトは、柔軟な中空のシャフトの内側を同軸に延びる内側ライナを含まない。外側ライナは、その長さに沿って均一な硬度を有することができる。
【0017】
[0017]本発明の別の態様によれば、患者の血管系内に末梢アクセス支援カテーテルを配置するための方法であって、近位端と遠位端とを含んでいる柔軟な中空のシャフトを備えており、柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含んでおり、スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、第1のセグメントに対して近位方向に延びており、第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含んでいる、末梢アクセス支援カテーテルを、患者内へと前進させるステップを含む方法が提供される。この方法は、患者の血管系を通ってカテーテルを前進させつつ、柔軟な中空のシャフトのスロット部分を間隔を空けて位置する少なくとも2つの位置において曲げるステップをさらに含む。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態において、この方法は、送入カテーテル、吸引カテーテル、または血管内装置のうちの少なくとも1つを、柔軟な中空のシャフトを通り、あるいは介して、患者内へと前進させるステップをさらに含む。
【0019】
[0019]本発明の別の態様によれば、患者の血管系から閉塞物を吸引するための方法であって、近位端と遠位端とを含んでいる柔軟な中空のシャフトを備えており、柔軟な中空のシャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含んでおり、スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、第1のセグメントに対して近位方向に延びており、第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第2のセグメントとを含んでいる、吸引カテーテルを、患者内へと閉塞物の遠位側に前進させるステップを含む方法が提供される。この方法は、患者の血管系を通ってカテーテルを前進させつつ、柔軟な中空のシャフトのスロット部分を間隔を空けて位置する少なくとも2つの位置において曲げるステップと、柔軟な中空のシャフトを通って患者から閉塞物を吸引するステップとをさらに含む。
【0020】
[0020]本発明の別の態様によれば、末梢アクセス支援カテーテルおよび/または吸引カテーテルを製造するための方法であって、細長い中空シャフトの第1のセグメントにスロット状開口部の第1のパターンを切断するステップと、第1のセグメントに対して近位方向に延びる細長い中空シャフトの第2のセグメントに、スロット状開口部の第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを切断するステップとを含む方法が提供される。この方法は、内側ライナを中間層を間に存在させることなく柔軟な中空のシャフトの内面に結合させるステップを含むことができる。この方法は、外側ライナを、柔軟な中空のシャフトが内側および外側ライナの間に挟まれるように、柔軟な中空のシャフトの外面に結合させるステップをさらに含み、外側ライナは、その長さに沿って均一な厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】患者の血管系内を延びる本発明の態様による末梢アクセス支援および/または吸引カテーテルまたはシャフトの図である。
【
図1B】患者の血管系内を延びる本発明の態様による末梢アクセス支援および/または吸引カテーテルまたはシャフトの図である。
【
図1C】本発明の一態様に従って構成された
図1Aまたは
図1Bのカテーテルまたはシャフトの側面断面図である。
【
図1D】本発明の一態様に従って構成された
図1Aまたは
図1Bのカテーテルまたはシャフトの詳細図である。
【
図1E】本発明のいくつかの態様による遠位端から近位端へと漸進的に増加するピッチを有するカテーテルまたはシャフトの長さにおける一位置において得た
図1Cのカテーテルまたはシャフトの詳細図である。
【
図1F】本発明のいくつかの態様による遠位端から近位端へと漸進的に増加するピッチを有するカテーテルまたはシャフトの長さにおける別の位置において得た
図1Cのカテーテルまたはシャフトの詳細図である。
【
図1G】本発明のいくつかの態様による遠位端から近位端へと漸進的に増加するピッチを有するカテーテルまたはシャフトの長さにおける別の位置において得た
図1Cのカテーテルまたはシャフトの詳細図である。
【
図1H】本発明の別の態様に従って構成された
図1Aまたは
図1Bのカテーテルまたはシャフトの側面断面図である。
【
図1I】本発明の別の態様に従って構成された
図1Aまたは
図1Bのカテーテルまたはシャフトの詳細図である
【
図1J】漸進的に変化するピッチおよび漸進的に変化する切断パターンを有するカテーテルまたはシャフトの1つ以上のセグメントの例を示している。
【
図1K】3つの別個のセグメントを有するカテーテルまたはシャフトの例示的な実施形態を示している。
【
図2】血管内装置の一部であり得るカテーテルまたはシャフトの例を示している。
【
図3A】閉塞物が存在する血管系内で展開可能なバスケット202を展開するプロセスを示している。
【
図3B】閉塞物が存在する血管系内で展開可能なバスケット202を展開するプロセスを示している。
【
図3C】閉塞物が存在する血管系内で展開可能なバスケット202を展開するプロセスを示している。
【
図4】シャフト内の内側ワイヤの拡大図を示している。
【
図5A】本発明の他の態様による末梢アクセス支援カテーテルの例示的な配置方法を示すフローチャートである。
【
図5B】本発明の他の態様による吸引カテーテルの例示的な配置方法を示すフローチャートである。
【
図5C】本発明の別の態様による末梢アクセス支援カテーテルおよび/または吸引カテーテルの例示的な製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0032]
図1A〜
図5Cを参照すると、医療のさまざまな機器および処置において使用するためのカテーテルまたはシャフト100の実施形態が示されている。いくつかの実施形態においては、カテーテルまたはシャフト100を、末梢アクセス支援および/または吸引カテーテルとして使用されるように構成することができる。例えば、本明細書に記載のカテーテルまたはシャフト100を、少なくとも部分的に患者の血管系102(例えば、神経血管系)の中へと、所望の位置(例えば、閉塞物104の近位側または遠位側)まで前進させることができる。いくつかの実施形態においては、カテーテルを、このカテーテルを通ってスライドできる1つ以上の他のカテーテル(例えば、送入カテーテル、吸引カテーテル、流体送入カテーテル、撮像デバイスカテーテル)を支持するように構成された中間支持カテーテルとして使用することができる。例えば、血管内装置(例えば、機械式血栓除去装置、フローダイバータ、フィルタ、撮像装置、塞栓コイル、ステント、閉塞装置)などの医療装置を運ぶように構成された送入カテーテルを、血管内装置を患者の体内に配置するために、カテーテルまたはシャフト100を通ってスライドさせ、あるいは他の方法で移動させることができる。他の実施形態においては、カテーテルまたはシャフト100を、医療装置または血管内装置に(例えば、直接)結合し、あるいは医療装置または血管内装置を運ぶように構成された実際の送入カテーテルまたは送入シャフトとして形成することができる。例えば、カテーテルまたはシャフト100を、(例えば、カテーテルまたはシャフト100を通って延びる1つ以上の内側または中間カテーテルを使用することなく)そのような血管内装置または撮像装置を直接送入するための送入カテーテルとして使用されるように構成することができる。別の例として、カテーテルまたはシャフト100は、カテーテルまたはシャフト100の遠位端に展開可能なバスケットを直接結合させたシャフト(または、ハイポチューブ)であってよい。この例においては、カテーテルまたはシャフト100を、送入カテーテルを通って血管系102内に前進させることができ、次いで送入カテーテルから所望の位置まで延ばすことができる。本発明に適用可能な血栓除去装置およびフィルタまたはフローダイバータ、ステント、閉塞装置、吸引カテーテル、送入カテーテルまたはシャフトを含む関連の血管内装置およびシステムは、以下でさらに詳しく説明され、本出願と同じ譲受人に譲渡済みの以前に出願された「Integrated Thrombectomy and Filter Device and Methods of Use」という名称の米国仮出願第62/677,870号(代理人整理番号:103135−000200US−1080564)および「Integrated Thrombectomy and Filter Device and Methods of Use」という名称の米国仮出願第62/697,644号(代理人整理番号:103135−000210US−1092283)ならびに「Electrospun Stents,Flow Diverters,and Occlusion Devices and Methods of Making the Same」という名称の米国特許出願第15/842,228号(代理人整理番号:103135−000120US−1068135)においてもさらに詳しく説明されており、これらの出願はいずれも、その全体が、あらゆる目的において、ここでの言及によって本明細書に援用される。
【0023】
[0033]吸引カテーテルまたは撮像装置用のカテーテルを含む他のタイプのカテーテルも、カテーテルまたはシャフト100を通ってスライドさせ、あるいは他のやり方で移動させることができる。さらに他の実施形態においては、カテーテルまたはシャフト100を、上述のように吸引、撮像、送入、または流体送入カテーテルとして直接使用することができる。例えば、カテーテルまたはシャフト100を、吸引源に接続し、患者の血管系から閉塞物104を吸い出すために使用することができる。本明細書において使用されるとき、「閉塞物」という用語は、血栓、塞栓、または他の微粒子を含むが、これらに限られない。いくつかの実施形態においては、カテーテルまたはシャフト100を、末梢アクセス支援カテーテル、送入カテーテル、または吸引カテーテルのうちの1つ以上として使用されるような構成またはサイズとすることができる。
【0024】
[0034]例えば患者の神経血管系(例えば、頭部、首、または脳の管腔または血管)において血栓除去装置と共に(例えば、位置決め、支持、または吸引のために)使用される末梢アクセス支援および/または吸引カテーテルにとくに言及するが、本発明は、いかなる特定の背景にも限定されない。例えば、本明細書に開示されるそのようなカテーテルおよび方法は、冠状動脈または肺血管系において(例えば、肺塞栓を回収するために)使用可能であり、末梢血管系において(例えば、深部静脈血栓を回収するために)使用可能であり、あるいは他の処置(例えば、血管けいれん、頸動脈ステント留置術、血管形成術、一時的な血管閉塞、動脈瘤ブリッジ)の状況において使用可能である。例えば、本明細書に開示されるカテーテルを、血栓除去処置または他の処置(例えば、弁置換術などの心臓手術あるいは血栓または他の閉塞物の破壊または溶解)の最中に、フィルタ装置(例えば、機械式の血栓除去装置に代え、あるいは機械式の血栓除去装置に加えて)と共に使用することができる。本明細書に開示されるカテーテルと共に使用することができ、あるいは本明細書に開示されるカテーテルを使用して配置することができる他の装置または処置として、撮像装置、閉塞装置、フローダイバータ、塞栓コイル、またはステントが挙げられる。
【0025】
[0035]
図2は、血管内装置の一部であり得るカテーテルまたはシャフトの例を示している。いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフトは、血管内装置のシャフトであってよい。例えば、カテーテルまたはシャフトは、閉塞物と係合し、あるいは閉塞物を回収し、捕捉し、ろ過し、もしくは除去するための血管内装置に直接結合でき、あるいはそのような血管内装置の一部であってよい。本明細書において使用されるとき、「閉塞物」という用語は、血栓、塞栓、凝血塊、または他の微粒子を含むが、これらに限られない。これらの実施形態において、カテーテルまたはシャフトは、その遠位端において展開可能なバスケット202に直接結合したシャフト(または、ハイポチューブ)208を備えることができる。これに加え、あるいはこれに代えて、血管内装置は、(例えば、ろ過装置として)遠位部塞栓または他の閉塞物からの保護を、閉塞物の除去または吸引あるいは(例えば、閉塞物を除去し、溶解させ、もしくは破壊するための)他の血管内処置の最中に提供するように構成されてよい。展開可能なバスケット202は、畳まれた構成と広がった構成(さらには、
図2に示されるとおりの途中まで広がった構成)との間を移動可能であってよい。展開可能なバスケット202は、患者の血管系(例えば、神経血管系)への送入または挿入時には畳まれた構成となり、閉塞物に係合して、閉塞物を回収またはろ過する際には広がった構成になるように構成される。
【0026】
[0036]展開可能なバスケット202は、近位端204および遠位端206を含むことができる。近位端204は、シャフト208に中心を一致させて枢動可能に接続されてよく、展開可能なバスケット202の枢動および血管壁との接触の維持を可能にする。遠位端206は、外側送入シャフト208を通って同軸に延びる内側ワイヤ210(例えば、作動ワイヤ、コアワイヤ、送入ワイヤ)に接続されてよい。近位端204または遠位端206の少なくとも一方は、展開可能なバスケット202の近位部分214を展開可能なバスケット202の遠位部分216の中へと反転させ、あるいは遠位部分216に向かって反転させることで、広がった構成において近位側を向いたキャビティを形成できるように、お互いに対して移動可能であってよい。近位側を向いたキャビティ212は、展開可能なバスケット202の反転した近位部分214によって形成された放物形のキャビティを有することができる。
【0027】
[0037]
図3A〜
図3Cが、閉塞物104を有する血管系102内で展開可能なバスケット202を広げるプロセスを示している。
図3Aは、展開可能なバスケット202(
図3Aにおいては拘束された状態で示されている)に接続されたシャフト208を備えている血管内装置について、送入カテーテル209による血管系102への導入を示している。展開可能なバスケット202を、閉塞物104の遠位側の位置まで前進させることができる。
図3Bに示されるように、送入カテーテル209を引き戻すことができ、展開可能なバスケット202を、(例えば、送入カテーテル209によってもたらされる締め付けがないため)途中まで広がった構成へと外側に広げることができる。
図3Cに示されるように、展開可能なバスケット202を、広がった構成へと反転させることにより、閉塞物に係合し、閉塞物を回収、捕捉、ろ過、または除去するために使用することができる近位側を向いたキャビティ212を形成することができる。
【0028】
[0038]
図4が、シャフト208内の内側ワイヤ210の拡大図を示している。
図4において、展開可能なバスケット202は省略されている。いくつかの実施形態においては、
図2および
図4に示されるように、内側ワイヤ210が、遠位端または遠位部分において、近位端または近位部分と比べて小さい直径を有することができる。例えば、内側ワイヤ210は、シャフト208と展開可能なバスケット202の近位端204との接続場所の付近または直近から展開可能なバスケット202の遠位端206へと先細りの直径を有することができる。内側ワイヤ210の直径を減少させ、あるいは先細りにすることで、内側ワイヤ210の近位部分に充分な剛性をもたらしつつ、内側ワイヤ210の遠位部分において内側ワイヤ210を曲げ、あるいは枢動させるための柔軟性が高められる。
図4は、この先細りの部分をセグメントD1として示している。セグメントD1は、任意の適切なサイズであってよい。一例として、セグメントD1は、約40cmであってよい。いくつかの実施形態において、内側ワイヤ210のより近位側のセグメントは、
図4にセグメントD2として示されているように、先細りを有さなくてよい(例えば、円筒形であってよい)。セグメントD2は、任意の適切なサイズであってよい。一例として、セグメントD2は、約140cm〜145cmであってよい。いくつかの実施形態においては、内側ワイヤ210の一セグメントが、
図4にセグメントD3として示されているように、シャフト208の近位端を過ぎて延びてよい。セグメントD3は、任意の適切なサイズであってよい。一例として、セグメントD3は、長さが約0.007インチか〜0.0118インチであってよい。内側ワイヤ210の近位部分は、バスケット202を広げ、あるいはバスケット202を回収するために、内側ワイヤ210に押し引きの力を加えることを可能にするための充分な剛性を必要とする。内側ワイヤ210の長さに沿ったより大きな直径からより小さな直径への先細りは、内側ワイヤ210が、内側ワイヤ210の近位端または近位部分において、遠位端または遠位部分と比べてより大きな直径を有することを可能にする。さらに、内側ワイヤ210の遠位端または遠位部分のより小さな直径は、内側ワイヤ210の外径と外側の送入シャフト208の内径との間のクリアランスを増加させて、展開可能なバスケット202の作動時のコンポーネント間の摩擦を低減できる。さらに、内側ワイヤ210は、外側の送入シャフト208に対するスライドまたは移動をより容易にする(例えば、摩擦を低減する)ためのコーティング(例えば、PTFEコーティング)を有することができる。いくつかの実施形態において、内側ワイヤ210は、内側ワイヤ210の遠位端または遠位端付近(例えば、内側ワイヤのうちの展開可能なバスケット202よりも遠位側の部分)において平たくされてよい。いくつかの実施形態において、内側ワイヤ210は、平たくされた部分までは円筒形であってよく、すなわち円筒形の部分と平たくされた部分とを有することができる。内側ワイヤ210を平たくすることにより、内側ワイヤの遠位端をより柔軟にし、偏向しやすくすることができ、結果として、より高い操縦性を必要とするきつい曲がりを有する可能性がある経路を、より容易に通過することが可能になる。閉塞物との係合、あるいは閉塞物の回収、捕捉、ろ過、または除去のための血管内装置に関するさらなる情報を、ここでの言及によってその全体があらゆる目的に関して本明細書に援用される「Integrated Thrombectomy and Filter Device and Methods of Use」という名称の米国特許出願第16/425,650号(代理人整理番号:103135−000230US−1134918)に見つけることができる。
【0029】
[0039]
図1A〜
図1Iを参照すると、本明細書に記載のカテーテルまたはシャフト100は、近位端112および遠位端114を含む細長い柔軟な中空のシャフト110(例えば、カニューレ、チューブ、シース)を含む。シャフト110は、複数のスロット状開口部118(例えば、切れ目、スリット、開口、溝)を有するスロット部分116を含む。スロット状開口部118は、スロット部分116に、スロット部分116の長さに沿って変化する柔軟性または剛性をもたらす。例えば、シャフト110は、カテーテルまたはシャフト100が患者の体内の所望の位置へと血管系102を通って進められるときに、少なくとも90度または最大90度(
図1Aを参照)の角度を有する2つ以上の曲がり、湾曲、または屈曲(例えば、T1およびT2)を越えるために曲がり、あるいは撓む可能性がある。他の実施形態において、シャフト110は、カテーテルまたはシャフト100が患者の体内の所望の遠位位置へと血管系102を通って進められるときに、少なくとも90度または最大90度(
図1Bを参照)の角度を有する3つ以上の曲がり、湾曲、または屈曲(例えば、T1〜T3)を越えるように曲がり、あるいは撓むための充分な長さの可撓性の遠位部分を有することができる。そのような実施形態において、所望の位置は、患者の体内でより遠位側にあってよく(例えば、進むべき経路がより長い)、あるいは、カテーテルまたはシャフト100の可撓性部分(例えば、遠位部分)の長さが
図1Aの可撓性部分と比べて大きくなるように、より多くの曲がりを含むことができる。シャフト110は、楕円形になったり、あるいはねじれたりすることなく、曲がりを越えるための充分な構造的完全性を有することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、シャフト110の任意の長さにおいて、(例えば、円周方向に測定される)スロット領域に対する非スロット領域の比率または割合が、構造的完全性または剛性をもたらすために、約50%以上であってよい。いくつかの実施形態においては、シャフト110のスロット領域に対する非スロット領域の比率または割合が、40%〜50%、50%〜70%、50%〜80%、またはこれらの間の任意の値を含み、あるいはこれらの間にある。
【0030】
[0040]いくつかの実施形態においては、スロット部分116の遠位部分は、以下でさらに詳しく説明されるように、近位部分と比べてより密集したスロット状開口部(例えば、より多くの開口部、より大きな開口部、または互いの間隔がより小さい開口部)を備えることができる。これにより、シャフト110を(例えば、より堅く、あるいはより曲がりにくい近位部分に押し引きの力を加えることによって)患者の体内の所定の位置へと前進させるために、近位部分における充分な構造的完全性または剛性を維持しつつ、遠位部分に近位部分と比べて高い柔軟性をもたらすことができる。例えば、いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100の遠位部分または遠位端を、(例えば、楕円形になったり、ねじれたりすることなく)任意の方向に90度を超えて曲げ、あるいは方向転換させることができる。さらに、いくつかの実施形態においては、以下でさらに詳しく説明されるように、従来からのカテーテル(例えば、編組によるカテーテルまたはコイル状のカテーテル)と比較して、シャフト110の肉厚または外径を小さくすることができ、あるいは内径を大きくすることができる。したがって、カテーテルまたはシャフト100の内径または壁と、その内側に配置または支持され、あるいは送入のためにそこを通って延びる血管内装置またはカテーテルとの間の空間が、増加する。そのような空間の増加は、装置またはカテーテルの配置において臨床医を助けるために、カテーテルまたはシャフト100の内壁と装置またはカテーテルとの間に造影剤を注入するための余地をもたらすことができる。さらに、肉厚または外径を小さくし、あるいは内径を大きくすることで、カテーテルまたはシャフト100の全体的なプロファイルを縮小して、(例えば、患者の血管系内の)狭い空間における配置、または狭い空間を通っての配置を改善することができる。
【0031】
[0041]スロット状開口部118を、レーザ切断プロセスまたはシャフト110から材料を除去するための他の適切なプロセス(例えば、エッチング)によって形成することができる。例えば、カテーテルまたはシャフト100は、レーザ切断されたハイポチューブであってよい。スロット状開口部118は、シャフト110の壁を途中まで、または完全に貫いて延びてよい。スロット状開口部118を、シャフト110の長手軸に対して或る角度(例えば、斜めまたは直交)に形成し、あるいは延ばすことができる。例えば、スロット状開口部118を、シャフト110の周囲のらせん状または渦巻きパターンで延ばすことができる。いくつかの実施形態において、らせん状または渦巻きパターン(例えば、長手軸に対して斜めに延びる)は、直交する角度で非らせん状の様相で延びるスロット状開口部と比べて、製造または切断がより容易であり得る。カテーテルまたはシャフト100を、ステンレス鋼、ニチノール、白金、クロム、コバルト、ニッケル、他の適切な金属材料、ポリマー、または他の適切な材料のうちの1つ以上で形成または製造することができる。例えば、シャフト110を、複数の層(例えば、内側の白金層および外側のコバルトニッケル層)で構成することができる。さらに、カテーテルまたはシャフト100は、患者の体内への配置の際に臨床医に位置を示し、あるいは患者の体内における配置を確認するための放射線不透過性材料またはマーカーバンド(例えば、内側遠位端に組み合わせられる)を含むことができる。いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100は金めっきされる。
【0032】
[0042]
図1C〜
図1Dは、それぞれ本開示の実施形態に従って構成されたカテーテルまたはシャフト100cの側面断面図および詳細図である。カテーテルまたはシャフト100cを、本明細書に記載のように、(例えば、送入カテーテルなどの他のカテーテル、血管内装置、またはその両方を支持するための)末梢アクセス支援カテーテルおよび/または吸引カテーテルとなるように構成することができる。スロット部分116は、第1のパターンのスロット状開口部126を有している第1のセグメントS1と、第1のセグメントS1に対して近位方向に延びて(例えば、近位側に配置されて)おり、第1のパターン126とは異なる第2のパターンのスロット状開口部132を有している第2のセグメントS2とを含む。スロット状開口部118は、不連続である(例えば、シャフト110の周りを円周方向に連続的な様相で延びているわけでも、あるいは360度にわたって延びているわけでもない)。換言すると、スロット状開口部118は、以下でさらに詳しく説明されるように、切断部分および非切断部分(例えば、スロットのある部分とスロットのない部分、除去された部分と中実な部分、あるいは溝のある部分と溝のない部分)を含む。
【0033】
[0043]2つのスロットセグメントS1およびS2を備えて示されているが、いくつかの実施形態において、スロット部分116は、3つ以上のスロットセグメントを含んでもよい。例えば、スロット部分116は、3つ、4つ、または5つ以上のスロットセグメントを含むことができる。各セグメントは、他のセグメントと比べて異なるパターンを有することができる。他の実施形態においては、2つ以上のセグメントが類似または同一のパターンを有してもよい。いくつかの実施形態においては、各セグメントが、スロット状開口部の1つ以上のパターン(例えば、異なるパターン)を有することができる。例えば、セグメントS1が、(例えば、遠位部分における)スロット状開口部の第1のパターンと、第1のパターンとは異なる(例えば、近位部分における)スロット状開口部の第2のパターンとを有することができる(
図1Iを参照)。次に、セグメントS2が、第1のセグメントS1のパターンとは異なるスロット状開口部の第3のパターンおよび/またはスロット状開口部の第4のパターンを有することができる。いくつかの実施形態において、セグメントS2のパターンのうちの少なくとも1つは、セグメントS1のパターンのうちの少なくとも1つと同じであってよい。
【0034】
[0044]スロット状開口部126の第1のパターンは、第1のセグメントS1の周りを第1のセグメントS1の或る長さにわたって周状に延びる切断部分および非切断部分126aおよび126bの繰り返しのらせん状パターンを含むことができる。同様に、スロット状開口部132の第2のパターンは、第2のセグメントS2の周りを第2のセグメントS2の或る長さにわたって周状に延びる切断部分および非切断部分132aおよび132bの繰り返しのらせん状パターンを含むことができる。各パターンの切断部分および非切断部分は、シャフト110の長手軸に対して同等の角度(例えば、斜めまたは直交)で延びてよい。上述のように、いくつかの実施形態において、スロット状開口部118間の長手方向の間隔は、開口部が遠位部分においてより高密度に配置され(例えば、この部分においてより多くの材料が除去され)、結果として遠位部分における柔軟性が近位部分と比べて高くなるように、シャフトの(例えば、セグメントS1に沿った)遠位部分において、(例えば、セグメントS2に沿った)近位部分と比較してより近くてよく、すなわちより小さくてよい。このようにして、遠位部分(例えば、S1)に、患者の血管系において方向転換または曲がりを過ぎて移動するための充分な柔軟性と、患者の体内の所望の位置に到達するための充分な長さとがもたらされる。例えば、そのような遠位部分の長さを、カテーテルを患者の体内のどれくらい遠い場所に配置しなければならないかに比例して増やすことができる。さらに、近位部分(例えば、S2)に、近位端に加えられる押し引きの力をカテーテルを前進させるべく伝達することができるような充分な剛性がもたらされる。
【0035】
[0045]いくつかの実施形態において、近位端112は、セグメントS2に対して近位方向に延びる中実部分または非切断部分122(例えば、スロットがない)を含み、遠位端114は、セグメントS1に対して遠位方向に延びる中実部分または非切断部分124(例えば、スロットがない)を含む。近位中実部分122は、0.01インチ〜0.02インチ、0.012インチ〜0.018インチ、0.014インチ〜0.016インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.014インチ)を有する長さを有することができる。遠位中実部分124は、0.001インチ〜0.006インチ、0.002インチ〜0.005インチ、0.003インチ〜0.004インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.0031インチ)を有する長さを有することができる。
【0036】
[0046]いくつかの実施形態において、切断部分間のピッチまたは間隔は、スロット部分の遠位端におけるピッチP1から近位端におけるピッチP2へと変化または増加してよい。さらに、いくつかの実施形態においては、第1のセグメントS1におけるスロット状開口部の密度または数が、第2のセグメントS2におけるスロット状開口部の密度または数よりも大きくなる(例えば、相対的により大きな柔軟性をもたらす)ように、第1のパターン126の切断部分126a間の長手方向の間隔またはピッチP1が、第2のパターン132の切断部分132a間の長手方向の間隔またはピッチP2と比べて小さくてよい(例えば、P1<P2)。同様に、第1のパターン126の非切断部分126b間の長手方向の間隔またはピッチは、第2のパターン132の非切断部分132b間の長手方向の間隔またはピッチと比べて小さくてよい。いくつかの実施形態において、ピッチまたは間隔は、1つまたは複数のセグメントにおいて一定であってよい。
【0037】
[0047]他の実施形態においては、シャフト110の長さに沿った長手方向の間隔またはピッチが、各セグメントを横切って変化するように遠位端114から近位端112へと(例えば、第1のパターン126の遠位端から第2のパターン132の近位端へと)徐々に、または漸進的に増加する。例えば、ピッチまたは長手方向の間隔がシャフトの長さに沿ってピッチP1からピッチP2へと遷移するように、ピッチは、セグメント全体で一定ではなく、むしろ1つまたは複数のセグメントの長さに沿って漸進的に増加してよい。このようにして、遠位端と近位端との間で、切断部分間のピッチまたは長手方向の間隔は、P1よりも大きいがP2よりも小さい値を有することができる。例えば、シャフト110の長手方向に離間した3つの位置の詳細図(
図1E〜
図1G)に示されるように、ピッチまたは長手方向の間隔は、シャフトのスロット部分の長さに沿って、遠位部分(
図1E)におけるピッチP1から、遠位部分と近位部分との間の中間部分(
図1F)におけるピッチPI、および近位部分(
図1G)におけるピッチP2へと、変化または漸進的に増加してよい。いくつかの実施形態において、遠位部分、中間部分、および近位部分は、約50インチの全長(例えば、約10インチのセグメントS1および約40インチのセグメントS2)を有するシャフトの遠位端からそれぞれ約1インチ、6インチ、および47インチの位置に相当し得る。いくつかの実施形態において、これらの位置は、それぞれセグメントS1の遠位端、セグメントS1の近位端、およびセグメントS2の近位端の近傍または付近の位置に相当し得る。例えば、
図1Hを参照すると、ピッチまたは長手方向の間隔は、セグメントS1の長さに沿って第1のピッチP1から第2のピッチP2へと遷移し、次いでセグメントS2(例えば、セグメントS2の近位端)におけるピッチP3に遷移し得る。これらの実施形態において、ピッチは、セグメントの全体にわたって一定ではなく、個々のセグメントの長さに沿って漸進的に増加し得る。いくつかの実施形態において、ピッチP1は、0.001インチ〜0.006インチ、0.002インチ〜0.005インチ、0.003インチ〜0.004インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.0031インチ)を有し得る。いくつかの実施形態において、ピッチP2は、0.01インチ〜0.02インチ、0.012インチ〜0.018インチ、0.014インチ〜0.016インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.015インチ)を有し得る。
【0038】
[0048]上述のように、第1のパターンまたは第2のパターンの繰り返しのらせん状パターンは、切断部分および非切断部分を含む。各切断部分は、周方向において別の切断部分から非切断部分によって隔てられ、したがって繰り返しのらせん状パターンは、各スロットセグメントのシャフトの周りを周状に延びる交互の切断部分および非切断部分を含む。いくつかの実施形態において、切断部分の弧長は、80度〜150度の値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、124、116度、104度)を有する。いくつかの実施形態において、非切断部分の弧長は、10度〜60度の値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、20度、28度、40度)を有する。いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1のパターンまたは第2のパターンのらせん状パターンの隣接する切断部分および非切断部分の合計弧長は、100度〜180度、120度〜160度、130度〜150度、135度〜145度の値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、144度)を有する。
【0039】
[0049]本明細書において使用されるとき、「1回転当たり切断数」または「CPR」という用語は、隣接する切断部分および非切断部分の組み合わせが、シャフト110の周りを完全に(例えば、1回転または360度)延びるためにいくつ必要であるかを指し、隣接する切断部分および非切断部分の合計弧長に基づいて決定される。例えば、スロット状開口部126または132の第1のパターンまたは第2のパターンの隣接する切断部分および非切断部分が144度の合計弧長を有する(例えば、切断部分の弧長が124度であって、非切断部分の弧長が20度であり、あるいは切断部分の弧長が116度であって、非切断部分の弧長が28度である)場合、CPRは2.5である。すなわち、2.5と合計弧長との積が、シャフトの周りの1回の完全な回転(例えば、360度)に相当する。いくつかの実施形態においては、セグメントS1およびS2(例えば、スロット状開口部126および132の第1のパターンおよび第2のパターン)が、同等のCPRを有することができる。しかしながら、他の実施形態においては違ってもよい。いくつかの実施形態において、セグメントのCPRは、1〜8、2〜7、3〜6、4〜5、2〜3、2〜4の値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値を有し得る。
【0040】
[0050]さらに、いくつかの実施形態において、切断部分および非切断部分のCPRまたは合計弧長は、各セグメントまたは複数のセグメントの全体にわたって一定であってよいが、ピッチ、幅、切断部分の弧長、または非切断部分の弧長のうちの1つ以上は、各セグメントまたは複数のセグメントにおいて違っても、あるいは変化してもよい。例えば、第1および第2のセグメントS1およびS2の各々が、2.5というCPR、または144度という切断部分および非切断部分の合計弧長を有することができる。しかしながら、第1のセグメントS1が、弧長が124度である切断部分および弧長が20度である非切断部分を有することができる一方で、セグメントS2は、弧長が116度である切断部分および弧長が28度である非切断部分を有することができる。ピッチまたは長手方向の間隔の縮小(例えば、スロット状開口部の密度を高める)に代え、あるいはこれに加えて、セグメントS1における切断部分の弧長をセグメントS2における切断部分の弧長と比べて長くすることで、セグメントの柔軟性を高める(例えば、長さに沿って柔軟性を変化させる)ことができる。このようにして、セグメントS1は、その切断部分の弧長がセグメントS2の切断部分の弧長と比べて長いため、より柔軟でもある。他の実施形態において、CPRまたは切断部分と非切断部分との合計弧長、ピッチ、幅、切断部分の弧長、または非切断部分の弧長のうちの1つ以上は、各セグメントまたは複数のセグメントにおいて変化しても、一定でもよい。さらに、本明細書に記載のとおりの弧長および間隔の変化は、以下でさらに詳しく説明されるように、従来からのカテーテルと比べてカテーテルまたはシャフト100cの寸法特性を改善(例えば、外径または肉厚を減らし、あるいは内径を大きくする)しつつ、カテーテルまたはシャフト100に充分な柔軟性または構造的完全性(例えば、楕円化またはねじれを防止または低減する)をもたらすこともできる。
【0041】
[0051]CPRの代替として、カテーテルまたはシャフト100のセグメントの特徴を、1つ以上のそれぞれの切断パターンによって表現することができる。本明細書において使用されるとき、用語「切断パターン」は、非切断部分の弧長に対する切断部分の弧長の比率を指す。例えば、124/20という切断パターンは、切断部分の弧長が124度であり、非切断部分の弧長が20度であることを表す。これを、上述のように、より具体的でないやり方で、CPRが2.5であると表現することができる。ピッチと同様に、切断パターンは、カテーテルまたはシャフト100の長さに沿って徐々に、または漸進的に変化してもよい。いくつかの実施形態において、切断パターンは、遠位端114から近位端112へと徐々に減少してよい。いくつかの実施形態においては、ピッチと同様に、切断パターンが、個々のセグメント内で徐々に減少してよい。切断パターンが大きくなると、柔軟性が増す。例えば、124/20という切断パターンが、カテーテルシャフト100の比較的柔軟なセグメントをもたらす一方で、79/65という切断パターンが、比較的堅固なセグメントをもたらす。
【0042】
[0052]いくつかの実施形態においては、切断パターンおよびピッチの両方を、カテーテルまたはシャフト100の長さにおいて徐々に、または漸進的に変化させることができる。上述のように、切断パターンおよび/またはピッチを変更して、カテーテルまたはシャフト100のセグメントの局所的な柔軟性(または、剛性)を操作することができる。柔軟性の急激な変化は、カテーテルまたはシャフト100の完全性を損ない、あるいは(例えば、柔軟性の異なる2つのセグメント間の接合部において)ねじれのリスクが大きくなるという望ましくない影響を有し得る。遷移を徐々に、または漸進的に変化させることが、これらの望ましくない影響を防止または軽減するのに役立つ。いくつかの実施形態においては、切断パターンおよびピッチの両方を変えることにより、セグメント間のより滑らかな遷移を可能にすることができる。例えば、所望の柔軟性を達成するために、切断パターンおよびピッチの各々を比較的少量だけ変化させればよい。切断パターンまたはピッチのいずれか一方だけを変更して同じ柔軟性を実現するには、比較的大きな変更が必要となり得る。基本的に、切断パターンおよびピッチの両方を変更できることで、局所的な柔軟性を変更する際の自由度を高めることができる。いくつかの実施形態においては、カテーテルまたはシャフト100の完全性を損なうことなく特定のレベルの柔軟性を達成するために、切断パターンおよびピッチの両方を変えることが必要となり得る。例えば、切断パターンをしきい値比率を超えて大きくすると、セグメントの完全性が大幅に低下する可能性がある(例えば、切断パターンを大きくすることは、本質的に、セグメントから材料を切断して除去することを必要とするため)。しきい値ピッチを下回ってピッチを減らす場合にも、同じことが当てはまる可能性がある。
図1Jが、漸進的に変化するピッチおよび漸進的に変化する切断パターンを有するカテーテルまたはシャフト100の1つ以上のセグメントの例を示している。一例として、
図1Jを参照すると、セグメントS1は、P1からP2(例えば、0.0025インチから0.010インチ)に漸進的に変化するピッチと、C1からC2(例えば、124/20から99/45)に漸進的に変化する切断パターンとを有することができる。この例において、セグメントS2は、一定のピッチP2(例えば、0.010インチ)および一定の切断パターンC2(例えば、99/45)を有することができる。やはりこの例において、セグメントS3は、一定のピッチP2(例えば、0.010インチ)と、C2からC3(例えば、99/45から79/65)へと漸進的に変化する切断パターンとを有することができる。
【0043】
[0053]
図1Kが、3つの別個のセグメントを有するカテーテルまたはシャフトの例示的な実施形態を示している。これらのセグメント、すなわちS1、S2、およびS3のそれぞれは、種々の実施形態(「アイテム」)を列挙する下記の表に概略的に示されるように、さまざまなピッチ、切断パターン、CPR、および長さを有することができる。例えば、アイテム1は、30cmの長さと、0.0027インチから0.010インチに(例えば、漸進的に)変化するピッチと、124/20から99/45に(例えば、漸進的に)変化する切断パターンと、2.5のCPRとを有するセグメントS1を有する実施形態である。この例において、アイテム1は、135cmの長さを有するセグメントS2、および0.025cm(または、0.010インチ)の長さを有するセグメントS3をさらに有する。この例において、セグメントS2およびS3はスロットを有していない。
【表1】
【0044】
[0054]いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100cは、約0.02インチ〜0.12インチ、0.04インチ〜0.09インチの値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.06インチ、0.065インチ、0.07インチ)を有する外径ODを有する。いくつかの実施形態において、ODは、全長にわたって一定または均一であってよい。カテーテルまたはシャフト100cは、0.02インチ〜0.08インチの値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.06インチ、0.061インチ、0.062インチ、0.072インチ)を有する内径IDを有し得る。いくつかの実施形態において、IDは、全長にわたって一定または均一であってよい。カテーテルまたはシャフト100cの肉厚Tは、0.001インチ〜0.005インチの値またはこれらの間の値、0.003インチ未満の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.0015インチ、0.002インチ、0.003インチ、0.0035インチ、0.004インチ)を有し得る。カテーテルまたはシャフト100cは、30〜80インチ、またはこれらの間、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、45インチ、50インチ、55インチ)の全長Lを有し得る。セグメントS1は、5〜20インチ、またはこれらの間、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、5インチ、10インチ)の長さLを有し得る。セグメントS2は、25〜75インチ、またはこれらの間、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、40インチ、45インチ、50インチ)の長さLを有し得る。
【0045】
[0055]いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100cの近位端112を、カテーテル制御ハンドル120a、流体源120b、吸引源120c、またはエネルギ供給源に動作可能に結合させることができる。またさらなる実施形態において、シャフト110は、(例えば、患者の血管系あるいは内側に支持されるカテーテルまたは他の装置に対する摩擦を減らすために)シャフトを間に挟む外側または内側の層またはジャケット140、142(例えば、テフロン(登録商標)、ポリウレタン、ポリエーテル、エラストマー、PTFE、ポリマーまたは他の適切な材料によるライナ、層、コーティング)を含むことができる。いくつかの実施形態において、外側または内側の層またはジャケット140、142は、親水性または抗血栓性コーティングを含むことができる。さらに別の実施形態において、カテーテルまたはシャフト100cは、内側ジャケット142を含まない。例えば、カテーテルが機械式血栓除去装置の送入シャフトとして直接使用される場合、内径を大きくするために吸引カテーテルとして使用される場合、あるいは他のカテーテルまたは装置が通過するようには構成されていない場合、内側ライナまたはコーティングを設けなくてもよい。外側または内側の層またはジャケット140、142のうちの1つ以上を、(例えば、間に中間物、ストライク、または接着層を有さずに)シャフト110に直接適用し、接着し、コーティングし、あるいは他のやり方で結合させることができる。内側または外側の層またはジャケット(例えば、ライナ)は、0.00025インチ〜0.002インチまたはこれらの間、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.001インチ)の幅または厚さを有し得る。さらに、いくつかの実施形態においては、シャフトの変化する柔軟性または剛性が、(例えば、剛性または支持のためのコイルまたは編組を必要とせずに)スロット状開口部によってもたらされるため、シャフト110に、(例えば、全体的なプロファイルを小さくする)全長にわたって均一な硬度を有する外側ジャケット140を設けることができる。
【0046】
[0056]
図1H〜
図1Iを参照すると、本開示の別の実施形態に従って構成されたカテーテルまたはシャフト100hの側面断面図および詳細図がそれぞれ示されている。カテーテルまたはシャフト100hを、本明細書に記載のように血管内装置(上記で援用した米国仮出願第62/677,870号および第62/697,644号に記載の血栓除去またはフィルタ装置など)を直接支持または位置決めするための送入カテーテルまたはシャフト(例えば、血管内装置に結合する)となるように構成することができる。カテーテルまたはシャフト100hは、カテーテルまたはシャフト100cに関して上述したとおりの特徴の任意の1つ以上を全体的または部分的に含むことができる。例えば、カテーテルまたはシャフト100hは、スロット部分116を含む。スロット部分116は、(例えば、遠位部分S1Aにおける)スロット状開口部126の第1のパターンと、第1のパターンとは異なるスロット状開口部127の第2のパターン(例えば、近位部分S2Aにおいて切断部分の弧長が第1のパターンと比べて小さい)とを有する第1のセグメントS1を含む。スロット部分は、第1のセグメントS1に対して近位側に延び(例えば、近位側に位置し)、第1のパターン126とは異なるスロット状開口部132の第3のパターン(例えば、第2のパターン126bと同じであるか、あるいは第2のパターンと比べて切断部分の弧長が小さい)を有している第2のセグメントS2をさらに含む。しかしながら、いくつかの実施形態において、セグメントS2は中実であり、あるいは切断されておらず、スロット状開口部118のパターンを含まない。さらに他の実施形態において、セグメントS1または他のセグメントは、1つのパターン(例えば、スロット状開口部126の第1のパターン)のみを含む。スロット状開口部118は、不連続である(例えば、シャフト110の周りを円周方向に連続的な様相で延びているわけでも、あるいは360度にわたって延びているわけでもない)。いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100hの近位端112を、カテーテル制御ハンドル120a、流体源120b、吸引源120c、またはエネルギ供給源に動作可能に結合させることができる。
【0047】
[0057]いくつかの実施形態において、近位端112は、セグメントS2に対して近位方向に延びる中実部分または非切断部分122(例えば、スロットがない)を含み、遠位端114は、セグメントS1に対して遠位方向に延びる中実部分または非切断部分124(例えば、スロットがない)を含む。近位中実部分122は、0.005インチ〜0.03インチ、0.01インチ〜0.02インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.01インチ)を有する長さを有することができる。遠位中実部分124は、0.001インチ〜0.006インチ、0.002インチ〜0.005インチ、0.003インチ〜0.004インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.0027インチ)を有する長さを有することができる。
【0048】
[0058]上述のように、長手方向の間隔またはピッチを、スロット付きシャフトの遠位端から近位端に向かって大きくすることができる。例えば、第1のパターン126の切断部分126a間の長手方向の間隔またはピッチP1は、第1のセグメントS1の遠位部分のスロット状開口部の密度または数が(例えば、近位部分において押し引きの力の印加または伝達のための充分な剛性を維持しつつ、曲がりを越えて移動するための充分な柔軟性をもたらすために)第1のセグメントS1の近位部分または第2のセグメントS2のスロット状開口部の密度または数よりも大になるように、セグメントS1の第2のパターンの切断部分127a間の長手方向の間隔またはピッチP2よりも小さくてよく(例えば、P1<P2)、第3のパターン132の切断部分132a間の長手方向の間隔またはピッチP3よりも小さくてよい。いくつかの実施形態において、P2はP3よりも小さい。他の実施形態において、P2はP3と同等であり、あるいはP3と等しい。同様に、第1のパターン126の非切断部分126b間の長手方向の間隔またはピッチは、非切断部分127bまたは132b間の長手方向の間隔またはピッチと比べて小さくてよい。いくつかの実施形態において、ピッチP1は、0.001インチ〜0.006インチ、0.002インチ〜0.005インチ、0.003インチ〜0.004インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.0027インチ)を有する。いくつかの実施形態において、ピッチP2およびP3は、0.005インチ〜0.03インチ、0.01インチ〜0.02インチの値、またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.01インチ)を有する。
【0049】
[0059]同様に、カテーテルまたはシャフト100cに関して上述したように、いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100hのシャフト110の長さに沿った長手方向の間隔またはピッチを、遠位端114から近位端112へと徐々に、または漸進的に増加させる(例えば、第1のパターン126の遠位端から第2のパターン127へと増加させ、次いで第3のパターン132の近位端へと増加させる)、ことができる。例えば、ピッチまたは間隔を、ピッチまたは長手方向の間隔がシャフトの長さに沿ってピッチP1からピッチP2およびピッチP3へと変化するように、セグメント全体にわたって一定ではなく、1つ以上のセグメントの長さに沿って漸進的に増加させることができる。しかしながら、他の実施形態においては、1つ以上のセグメントが、一定のピッチまたは長手方向の間隔を有してもよい。
【0050】
[0060]カテーテルまたはシャフト100cに関して上述したように、第1のパターン、第2のパターン、または第3のパターンの繰り返しのらせん状パターンは、切断部分および非切断部分を含む。いくつかの実施形態において、切断部分の弧長は、80度〜150度の値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、124、116度、104度)を有する。いくつかの実施形態において、非切断部分の弧長は、10度〜60度の値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、20度、28度、40度)を有する。いくつかの実施形態において、スロット状開口部の第1のパターンまたは第2のパターンのらせん状パターンの隣接する切断部分および非切断部分の合計弧長は、100度〜180度、120度〜160度、130度〜150度、135度〜145度の値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、144度)を有する。いくつかの実施形態においては、セグメントS1およびS2(例えば、スロット状開口部126、127、および132の第1のパターン、第2のパターン、および第3のパターン)が、同等のCPRを有することができる。しかしながら、他の実施形態においては、1つ以上のパターンが異なるCPRを有してもよい。
【0051】
[0061]さらに、いくつかの実施形態において、切断部分および非切断部分のCPRまたは合計弧長は、各セグメントまたは複数のセグメントの全体にわたって一定であってよいが、ピッチ、長さ、切断部分の弧長、または非切断部分の弧長は、各セグメントまたは複数のセグメントにおいて違っても、あるいは変化してもよい。例えば、第1および第2のセグメントの各々が、2.5というCPR、または144度という切断部分および非切断部分の合計弧長を有することができる。しかしながら、第1のセグメントS1が、弧長が124度である切断部分および弧長が20度である非切断部分を有することができる一方で、セグメントS2は、弧長が104度である切断部分および弧長が40度である非切断部分を有することができる。さらに、上述のように、或るセグメント(例えば、第1のセグメントS1)が、遠位部分において弧長が124度である切断部分および弧長が20度である非切断部分を有することができ、近位部分において弧長が104度である切断部分および弧長が40度である非切断部分を有することができる。他の実施形態において、CPRまたは切断部分と非切断部分との合計弧長、ピッチ、幅、切断部分の弧長、または非切断部分の弧長のうちの1つ以上は、各セグメントまたは複数のセグメントにおいて変化しても、一定でもよい。
【0052】
[0062]いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100hは、約0.02インチ〜0.12インチ、0.01インチ〜0.03インチの値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.016インチ、0.018インチ、0.02インチ)を有する外径ODを有する。カテーテルまたはシャフト100hは、0.01インチ〜0.03インチの値またはこれらの間の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.012インチ、0.014インチ、0.016インチ)を有する内径IDを有し得る。カテーテルまたはシャフト100hの肉厚Tは、0.001インチ〜0.005インチの値またはこれらの間の値、0.003インチ未満の値、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、0.0015インチ、0.002インチ、0.003インチ、0.0035インチ、0.004インチ)を有し得る。カテーテルまたはシャフト100hは、40〜80インチ、またはこれらの間、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、60インチ、65インチ、70インチ)の全長Lを有し得る。セグメントS1は、5〜20インチ、またはこれらの間、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、9インチ、11インチ、13インチ)の長さLを有し得る。セグメントS2は、35〜75インチ、またはこれらの間、あるいはこれらの間の任意の値(例えば、50インチ、55インチ、60インチ)の長さLを有し得る。いくつかの実施形態において、OD、ID、またはTのうちの1つ以上は、長さ全体にわたって均一であってよい。さらに、いくつかの実施形態において、カテーテルまたはシャフト100hは、上述のような(例えば、均一な硬度を持ち、あるいは直接結合する)内側および外側の層またはジャケット140、142を有することができ、内側の層またはジャケット142を持たずに形成されてよく、さらには/あるいはコイルまたは編組を有さずに形成されてよい。
【0053】
[0063]
図5A〜
図5Bが、それぞれ患者の血管系における末梢アクセス支援カテーテルの配置および患者の血管系からの閉塞物の吸引のための例示的な方法500aおよび500bを示している。本明細書に記載の方法の任意のステップのうちの1つ以上を削除し、並べ替え、置き換え、追加し、あるいは変更することができる。方法500aは、末梢アクセス支援カテーテルを(例えば、ガイドワイヤを介し、あるいは外側のカテーテルまたは鞘の内側で)患者内に前進させるステップ502aを含む。末梢アクセス支援カテーテルは、本明細書に記載のとおりの近位端および遠位端を含む柔軟な中空のシャフトを含む。シャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含み、スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第1のセグメントに対して近位方向に延びる第2のセグメントとを含む。方法500aは、患者の血管系を通ってカテーテルを前進させつつ、シャフトのスロット部分を間隔を空けて位置する少なくとも2つの位置において曲げるステップ504aをさらに含む。方法500bは、吸引カテーテルを(例えば、ガイドワイヤを介し、あるいは外側のカテーテルまたは鞘の内側で)患者内へと閉塞物の遠位側まで前進させるステップ502bを含む。吸引カテーテルは、近位端および遠位端を含む柔軟な中空のシャフトを含む。シャフトは、複数のスロット状開口部を有するスロット部分を含み、スロット部分は、スロット状開口部の第1のパターンを有する第1のセグメントと、第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを有する第1のセグメントに対して近位方向に延びる第2のセグメントとを含む。この方法は、患者の血管系を通ってカテーテルを前進させつつ、シャフトのスロット部分を間隔を空けて位置する少なくとも2つの位置において曲げるステップ504bをさらに含む。この方法は、シャフトを通って患者から閉塞物を吸い出すステップ506bをさらに含む。
【0054】
[0064]
図5Cが、本明細書に記載のとおりの末梢アクセス支援および/または吸引カテーテルを製造するための例示的な方法500cを示している。方法500cは、細長い中空シャフトの第1のセグメントにスロット状開口部の第1のパターンを切断するステップ502cを含む。この方法は、第1のセグメントに対して近位方向に延びる細長い中空シャフトの第2のセグメントに、スロット状開口部の第1のパターンとは異なるスロット状開口部の第2のパターンを切断するステップ504cをさらに含む。
【0055】
[0065]上記の説明において、本発明のさまざまな実施形態が説明されている。説明の目的で、実施形態の完全な理解をもたらすために、特定の構成および詳細が示されている。しかしながら、本発明をこれらの特定の詳細を備えずに実施できることも、当業者にとって明らかであろう。さらに、周知の特徴は、説明されている実施形態を不明瞭にしてしまうことがないように、省略または簡略化され得る。本発明の主題が、本明細書において具体的に説明されるが、特許請求される主題は、他のやり方でも具現化可能であり、異なる要素またはステップ、より少ない要素またはステップ、あるいは追加の要素またはステップを含むことができ、他の既存の技術または将来の技術と組み合わせて使用され得る。
【0056】
[0066]本明細書を、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に記載されている場合を除き、種々のステップまたは要素の何らかの特定の順序または配置を意味しているものとして解釈してはならない。図面に示され、あるいは上述された構成要素の別の配置、ならびに図示または説明されていない構成要素およびステップが、可能である。同様に、いくつかの機能および部分的な組み合わせが、他の機能および部分的な組み合わせに関係なく有用であり、使用可能である。本発明の実施形態は、限定の目的ではなく、例示の目的で説明されており、代替の実施形態が、本特許の読者に明らかになるであろう。したがって、本発明は、上述の実施形態または図面に描写された実施形態に限定されず、さまざまな実施形態および変更が、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく可能である。
【0057】
[0067]他の変形が本開示の精神の範囲内である。したがって、本発明は、さまざまな修正および代替の構成を受け入れる余地があるが、それらのうちの特定の例示の実施形態が図面に示され、上記で詳細に説明されている。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定する意図はなく、むしろ反対に、添付の特許請求の範囲に定められる本開示の精神および範囲に包含されるすべての修正、代替の構成、および同等物が包含されるように意図されていることを、理解すべきである。
【0058】
[0068]本発明の説明の文脈(とくには、以下の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」および「an」および「the」および類似の指示の使用は、本明細書に別段の指示がなく、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。2つ以上のアイテムのリストに関する用語「または」の使用は、この単語についての以下の解釈、すなわちリスト内のいずれかのアイテム、リスト内のすべてのアイテム、およびリスト内のアイテムの任意の組み合わせのすべてを包含する。用語「・・・を備える」、「・・・を有する」、「・・・を含む」、および「・・・を含有する」は、とくに断りのない限り、非限定の用語として解釈されるべきである(すなわち、「・・・を含むが、・・・に限定されない」を意味する)。「接続(connected)」または「取り付け(attached)」という用語は、たとえ介在する何かが存在したとしても、互いに部分的または完全に含まれ、連結され、あるいは結合すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書中に別段の指示がない限り、その範囲内に含まれる別々の値のすべてに個別に言及する簡潔な方法として機能するように意図されているに過ぎず、別々の値のすべてが、あたかも本明細書において個別に言及されたかのように本明細書に取り入れられる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がなく、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書に提示されるありとあらゆる例、または例示の表現(例えば、「・・・など」)の使用は、単に本発明の実施形態の理解をより容易にすることを意図しており、別記されない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中のいかなる表現も、特許請求の範囲に記載されていない要素を本発明の実施に不可欠であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0059】
[0069]本発明の好ましい実施形態が、本発明を実施するための本発明の発明者らが承知する最良の態様を含めて、本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形が、以上の説明を検討することで、当業者にとって明らかになるであろう。本発明の発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形を使用することを予想しており、本発明の発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されたやり方以外のやり方で実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用される法律によって許容されるとおり、添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正物および等価物を含む。さらに、考えられるすべての変種における上述の要素のあらゆる組み合わせが、本明細書において別段の指示がなく、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0060】
[0070]本明細書において言及された刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、あたかも各々の参考文献が援用されると個別かつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されたのと同じ程度まで、ここでの言及によって援用される。
【国際調査報告】