特表2021-531943(P2021-531943A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-531943(P2021-531943A)
(43)【公表日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20211029BHJP
【FI】
   A61B18/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2021-527269(P2021-527269)
(86)(22)【出願日】2019年7月17日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月22日
(86)【国際出願番号】CN2019096380
(87)【国際公開番号】WO2020020035
(87)【国際公開日】20200130
(31)【優先権主張番号】201810812246.7
(32)【優先日】2018年7月23日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201811216757.9
(32)【優先日】2018年10月18日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521033583
【氏名又は名称】山前(珠海)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】肖 家華
(72)【発明者】
【氏名】蘇 東波
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ01
4C160JJ50
(57)【要約】
媒体貯蔵タンク(1)、媒体供給配管(2)、媒体回収配管(3)、冷気発生手段(4)、第1の冷気交換手段(5)、及び第1の冷気交換手段(6)を備える。この冷凍装置は、冷気の利用効率を高めるとともに、復温過程の制御精度が高いという利点がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷気使用素子に冷気を供給することに用いられ、
保冷媒体を貯蔵するための媒体貯蔵タンク(1)と、
一端が媒体貯蔵タンク(1)に連通し、他端が冷気使用素子の給液端に連通するのに適する媒体供給配管(2)と、
一端が媒体貯蔵タンク(1)に連通し、他端が冷気使用素子の排液端に連通するのに適する媒体回収配管(3)と、
冷気を供給するための冷気発生装置(4)と、
媒体供給配管(2)に取り付けられ、前記冷気発生装置(4)によって冷気を供給され、その内部を流れる保冷媒体を冷凍して熱交換するための第1の冷気交換手段(5)と、を備える冷凍装置であって、
前記媒体供給配管(2)に取り付けられた熱流体通路と前記媒体回収配管(3)に取り付けられた冷流体通路とを有し、前記冷流体通路と前記熱流体通路との間で冷気交換が発生し、前記熱流体通路内を流れる保冷媒体を予冷する第2の冷気交換手段(6)とをさらに備え、
前記熱流体通路は前記媒体貯蔵タンク(1)と前記第1の冷気交換手段(5)との間に接続される、ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
媒体供給配管(2)と媒体回収配管(3)に連通し、媒体供給配管(2)と媒体回収配管(3)を、媒体貯蔵タンク(1)と第1の冷気交換手段(5)を直列する予冷回路とするバイパス配管(9)をさらに備え、
且つ、前記バイパス配管(9)と媒体供給配管(2)は、第1の三方弁(10)を介して連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
媒体回収配管(3)に取り付けられ、バイパス配管(9)を介して第1の冷気交換手段(5)に連通し、第1の冷気交換手段(5)から流出した冷気を貯蔵するのに適する蓄冷手段(11)をさらに備える、ことを特徴とする請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
外部との熱量の伝導を低減又は遮断するのに適する断熱室(13)を有し、前記第1の冷気交換手段(5)、第2の冷気交換手段(6)、蓄冷手段(11)、及び冷気発生装置(4)の冷気出力端が断熱室(13)内に配置される断熱手段(12)をさらに備える、ことを特徴とする請求項3に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記断熱手段(12)はボックス体であり、断熱室(13)に連通している真空吸引手段(14)が装着されている、ことを特徴とする請求項4に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記断熱手段(12)はボックス体であり、内部に断熱材が充填されている、ことを特徴とする請求項4に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記媒体貯蔵タンク(1)中の保冷媒体を冷気使用素子の給液端に送るための復温回路をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記復温回路は、媒体供給端が第2の三方弁(17)を介して、媒体供給配管(2)に取り付けられ前記第1の冷気交換手段(5)に入られていない一側に連結されている復温管(15)を備える、ことを特徴とする請求項7に記載の冷凍装置。
【請求項9】
前記媒体貯蔵タンク中の保冷媒体を加熱して冷気使用素子の給液端に送るための復温回路をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項10】
前記復温回路は、昇温手段(16)が直列されている復温管(15)を備え、
前記復温管(15)の給液端が、第2の三方弁(17)を介して、前記熱流体通路の給液口に入った上流部に連結されている、ことを特徴とする請求項9に記載の冷凍装置。
【請求項11】
前記復温回路は、冷気使用素子の排液端と媒体貯蔵タンク(1)の液戻り口とを連通させるための復温還流配管をさらに備える、ことを特徴とする請求項10に記載の冷凍装置。
【請求項12】
前記復温還流配管は、両端が媒体回収配管(3)に連通するとともに、第2の冷気交換手段(6)に並列された復温還流管(18)を備え、
前記復温還流管(18)の給液端が、第3の三方弁(19)を介して、媒体供給配管(2)に連結されている、ことを特徴とする請求項11に記載の冷凍装置。
【請求項13】
外部との熱量の伝導を低減又は遮断するのに適する断熱室(13)を有し、前記第1の冷気交換手段(5)、第2の冷気交換手段(6)、蓄冷手段(11)、及び冷気発生装置(4)的冷気出力端が断熱室(13)内に配置される断熱手段(12)をさらに備え、
前記復温還流管(18)は断熱手段(12)の外部に配置される、ことを特徴とする請求項12に記載の冷凍装置。
【請求項14】
前記媒体供給配管(2)又は前記媒体回収配管(3)には、保冷媒体の流動のための動力を供給するのに適するポンピング装置(20)が直列されている、ことを特徴とする請求項1から13の内のいずれか1項に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2018年7月23日に提出された、出願番号が201810812246.7の中国出願特許について出願した優先権、2018年10月18日に提出された、出願番号が201811216757.9の中国出願特許について出願した優先権を主張し、その全部の内容は援用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、冷凍技術分野に関し、具体的には、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0003】
冷凍装置は、さまざまな分野に幅広く使用されており、たとえばエアコン、冷蔵庫、コールドチェーンロジスティクス、医療機器などは、一般には、圧縮機のような冷気発生装置を含み、1セットの保冷媒体循環システムと組み合わせて冷気を冷凍対象に伝導する。技術の発展に伴い、多数の分野では、冷凍装置の冷気利用率、静音、体積などの参数についてより高い要件が求められる。
【0004】
たとえば、医療機器分野では、冷凍アブレーション装置があり、冷凍アブレーションデバイスは、一般には、本体と冷凍バルーンとの2つの部分を含み、本体と冷凍バルーンから保冷媒体が供給され、使用する際に冷凍バルーンをカテーテルの先端に装着して人体の内部に挿入し、本体により保冷媒体を、カテーテル内から冷凍バルーン内に導入して冷凍バルーンを降温し、ターゲット組織に対して冷凍アブレーションを行う。
【0005】
冷凍アブレーション術は、冷凍ヘッドの温度については一般に−60℃程度が要求されるが、プロセス中の冷気の損失を考慮すると、冷凍アブレーション術をスムーズに行うために、少なくとも−100℃の保冷温度が必要であり、従来技術の冷凍装置は、保冷媒体をこのような温度にするのが困難である。冷凍機の電力を高める方式を用いると、手術室の限られた空間により制限されるとともに、且つ手術室の静かな環境の要件を満たしにくい。したがって、従来技術の冷凍装置は、冷気の利用率が低いことにより、冷凍バルーンなどの冷気使用素子の要件を満たしにくく、このような冷気使用素子に必要な低温を実現することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本願が解決しようとする技術的課題は、冷気の利用率が低いことにより冷気使用素子に必要な低温を実現することができないという従来技術における冷凍装置の欠陥を克服し、冷気の利用率がより高い冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本願は以下のような技術案を提供する。
【0008】
保冷媒体を貯蔵した媒体貯蔵タンクと、
一端が媒体貯蔵タンクに連通し、他端が冷気使用素子の給液端に連通する媒体供給配管と、
一端が媒体貯蔵タンクに連通し、他端が冷気使用素子の排液端に連通する媒体回収配管と、
冷気を供給するための冷気発生装置と、
媒体供給配管に取り付けられ、前記冷気発生装置によって冷気を供給され、その内部を流れる保冷媒体を冷凍して熱交換するための第1の冷気交換手段と、を備える冷凍装置であって、
前記媒体供給配管に取り付けられた熱流体通路と前記媒体回収配管に取り付けられた冷流体通路とを有し、前記冷流体通路と前記熱流体通路との間で冷気交換が発生し、前記熱流体通路内を流れる保冷媒体を予冷する第2の冷気交換手段とをさらに備え、
前記熱流体通路は前記媒体貯蔵タンクと前記第1の冷気交換手段との間に接続される。
【0009】
任意選択に、前記冷凍装置は、
媒体供給配管と媒体回収配管に連通し、媒体供給配管と媒体回収配管を、媒体貯蔵タンクと第1の冷気交換手段を直列する予冷回路とするバイパス配管をさらに備え、
且つ、前記バイパス配管と媒体供給配管は、第1の三方弁を介して連通する。
【0010】
任意選択に、前記冷凍装置は、
媒体回収配管に取り付けられ、バイパス配管を介して第1の冷気交換手段に連通し、第1の冷気交換手段から流出した冷気を貯蔵するのに適する蓄冷手段をさらに備える。
【0011】
任意選択に、前記冷凍装置は、
外部との熱量の伝導を低減又は遮断するのに適する断熱室を有し、前記第1の冷気交換手段、第2の冷気交換手段、蓄冷手段、及び冷気発生装置の冷気出力端が断熱室内に配置される断熱手段をさらに備える。
【0012】
任意選択に、前記断熱手段はボックス体であり、断熱室に連通している真空吸引手段が装着されている。
【0013】
任意選択に、前記断熱手段はボックス体であり、内部に断熱材が充填されている。
【0014】
任意選択に、前記冷凍装置は、前記媒体貯蔵タンク中の保冷媒体を冷気使用素子の給液端に送るための復温回路をさらに備える。
【0015】
任意選択に、前記復温回路は、媒体供給端が第2の三方弁を介して、媒体供給配管に取り付けられ前記第1の冷気交換手段に入られていない一側に連結されている復温管を備える。
【0016】
任意選択に、前記冷凍装置は、前記媒体貯蔵タンク中の保冷媒体を加熱して冷気使用素子の給液端に送るための復温回路をさらに備える。
【0017】
任意選択に、前記復温回路は、
昇温手段が直列されている復温管を備え、
前記復温管の給液端が、第2の三方弁を介して、前記熱流体通路の給液口に入った上流部に連結されている。
【0018】
任意選択に、前記復温回路は、
冷気使用素子の排液端と媒体貯蔵タンクの液戻り口とを連通させるための復温還流配管をさらに備える。
【0019】
任意選択に、前記復温還流配管は、
両端が媒体回収配管に連通するとともに、第2の冷気交換手段に並列された復温還流管を備え、
前記復温還流管の給液端が、第3の三方弁を介して、媒体供給配管に連結されている。
【0020】
任意選択に、前記冷凍装置は、
外部との熱量の伝導を低減又は遮断するのに適する断熱室を有し、前記第1の冷気交換手段、第2の冷気交換手段、蓄冷手段、及び冷気発生装置の冷気出力端が断熱室内に配置される断熱手段をさらに備え、
前記復温還流管は断熱手段の外部に配置される。
【0021】
任意選択に、前記媒体供給配管又は前記媒体回収配管には、保冷媒体の流動のための動力を供給するのに適するポンピング装置が直列されている。
【発明の効果】
【0022】
本願の技術案は、下記の利点を有する。
【0023】
1、本願に係る冷凍装置では、媒体貯蔵タンク、媒体供給配管、媒体回収配管、冷気発生装置、第1の冷気交換手段、及び第2の冷気交換手段を備える。媒体貯蔵タンクには保冷媒体が貯蔵されており、媒体供給配管は、一端が媒体貯蔵タンクに連通し、他端が冷気使用素子の給液端に連通し、媒体回収配管は、一端が媒体貯蔵タンクに連通し、他端が冷気使用素子の排液端に連通するのに適し、冷気発生装置は冷気を供給することに用いられ、第1の冷気交換手段は、媒体供給配管に取り付けられ、前記冷気発生装置によって冷気を供給され、その内部を流れる保冷媒体を冷凍して熱交換することに用いられ、第2の冷気交換手段は、前記媒体供給配管に取り付けられた熱流体通路と前記媒体回収配管に取り付けられた冷流体通路とを有し、前記冷流体通路と前記熱流体通路との間で冷気交換が発生し、前記熱流体通路内を流れる保冷媒体を予冷し、前記熱流体通路は前記媒体貯蔵タンクと前記第1の冷気交換手段との間に接続される。
【0024】
この冷凍装置を使用して冷凍する際に、媒体供給配管、媒体回収配管、及び冷気使用素子の給液口を介して保冷媒体を循環的に流動させ、流動過程において、冷気発生装置で生じた冷気が、第1の冷気交換手段によって媒体供給配管に送られ、さらに冷気使用素子に送られ、冷気が、放出された後、媒体回収配管に戻り、このとき、保冷媒体に冷気の一部が残存しており、保冷媒体が媒体回収配管を流れるときに、第2の冷気交換手段の存在により、保冷媒体に残存している冷気が、第2の冷気交換手段によって媒体供給配管内の保冷媒体に伝導され、ここでの保冷媒体を予め降温しておく。
【0025】
上記過程において、第2の冷気交換手段が、媒体供給配管において第1の冷気交換手段よりも上流部にあるので、ここでの媒体供給配管内の保冷媒体の温度が、媒体回収配管内の温度よりも高く、このため、冷気が媒体回収配管から媒体供給配管に伝導できる。上記過程により、媒体回収配管内の保冷媒体に残存している冷気で保冷媒体が予め降温することができ、第1の冷気交換手段に供給される時の保冷媒体の初期温度が下がり、さらに、冷気交換量が同じ場合、このように予め降温していた保冷媒体の方はより低温になり、冷気の利用効率を高め、冷気使用素子の低温のニーズを満たす。
【0026】
2、本願に係る冷凍装置では、媒体供給配管と媒体回収配管相に連通し、媒体供給配管と媒体回収配管を、媒体貯蔵タンクと第1の冷気交換手段を直列する予冷回路とするバイパス配管をさらに備え、且つ、前記バイパス配管と媒体供給配管は、第1の三方弁を介して連通する。バイパス配管を利用して、保冷剤を、冷気使用素子に導入する前に予冷することができ、予冷段階では、保冷媒体が、媒体貯蔵タンクから流出した後、媒体供給配管、第1の冷気交換手段、バイパス配管、及び媒体回収配管を順次流れ、最後に媒体貯蔵タンクに戻る。予冷された保冷媒体は、温度が下がり、冷気使用素子における初期温度がさらに低下し、次に、第1の冷気交換手段により降温されると、より容易に冷気使用装置に必要な低温になりやすくなる。したがって、このようにすると、この冷凍装置の冷気利用効率をさらに高める。
【0027】
3、本願に係る冷凍装置では、媒体回収配管に取り付けられ、バイパス配管を介して第1の冷気交換手段に連通し、第1の冷気交換手段から流出した冷気を貯蔵するのに適する蓄冷手段をさらに備える。予冷段階では、蓄冷手段は保冷媒体からの冷気の一部を貯蔵することができ、これらの貯蔵された冷気が、冷気使用素子から流出した保冷媒体を予め降温することで、第2の冷気交換手段において冷流体通路と熱流体通路での温度の差を増大し、第2の冷気交換手段での冷気交換速度を高め、媒体供給配管内の保冷媒体の温度をさらに低下させ、これらの予め降温された保冷媒体が、第1の冷気交換手段により最終的に降温すると、より低い温度になる。したがって、このようにすると、本冷凍装置が達成できる最低温度をさらに低下させ、また、冷気の利用効率をさらに向上させ、冷気の無駄を減少させることができる。
【0028】
4、本願に係る冷凍装置では、外部との熱量の伝導を低減又は遮断するのに適する断熱室を有し、前記第1の冷気交換手段、第2の冷気交換手段、蓄冷手段、及び冷気発生装置の冷気出力端が断熱室内に配置される断熱手段をさらに備える。断熱手段を利用して、冷気交換中の冷気の損失を回避するとともに、蓄冷手段の保温効果がより良好であり、蓄冷手段の冷気貯蔵過程における冷気の損失を回避する。
【0029】
5、本願に係る冷凍装置では、前記断熱手段はボックス体であり、断熱室に連通している真空吸引手段が装着されている。真空状態に近い断熱室は、冷気の損失速度をさらに低下させ、冷凍装置の冷気利用効率をさらに向上させる。
【0030】
6、本願に係る冷凍装置では、前記貯蔵タンク内の保冷媒体を加熱して冷気使用素子の給液端に送るための復温回路をさらに備える。いくつかの場合では、冷気使用素子を昇温する必要があり、たとえば冷凍アブレーション術では、冷凍させたターゲット組織を復温する必要がある。本願に係る復温回路は、保冷媒体を加熱し、カテーテルを介してターゲット組織に送ることができ、このように個別に設けられた復温回路は、冷気使用素子の復温のニーズを満たすだけでなく、復温の温度、進度及び時間をより正確に制御することに非常に役立ち、それにより、手術の治癒率を向上させ、術後の合併症を減らす。
【0031】
本願に係る冷凍装置では、前記復温回路は、昇温手段が直列されており、給液端が第2の三方弁を介して前記熱流体通路の給液口に入った上流部に連結されている復温管を備える。復温管と媒体供給配管における第2の冷気交換手段の上流部を連結すると、復温管、第1の冷気交換手段及び第2の冷気交換手段が並列され、このとき、保冷剤の加熱用配管と降温用配管がそれぞれ独立する。したがって、第1の冷気交換手段と第2の冷気交換手段に残留している冷気が、復温段階で保冷剤の昇温過程への干渉を回避し、復温過程に対する干渉の要素を減らし、復温過程をより容易に制御することができる。
【0032】
8、本願に係る冷凍装置では、前記復温回路は、冷気使用素子の排液端と媒体貯蔵タンクに連通している液戻り口とを連通させるための復温還流配管をさらに備える。個別に設けられた復温還流配管は、復温過程を、媒体貯蔵タンク、復温管、冷気使用素子、復温還流配管からなる独立した復温回路とすることができ、それにより、復温過程における干渉の要素をさらに減らし、復温進度をより正確に制御できるようにする。
【0033】
9、本願に係る冷凍装置では、外部との熱量の伝導を低減又は遮断するのに適する断熱室を有し、前記第1の冷気交換手段、第2の冷気交換手段、蓄冷手段、及び冷気発生装置の冷気出力端が断熱室内に配置される断熱手段をさらに備え、前記復温還流管は断熱手段の外部に配置される。復温還流管を断熱手段の外部に設けることにより、復温還流管が、復温済みの保冷媒体を送るときに蓄冷手段若しくは第2の冷気交換手段内の冷気を持ち去ることを回避し、冷気の利用率を高めることができる。
【0034】
以上のように、本願による冷凍装置は、冷気の利用効率を高めるとともに、復温過程の制御精度が高いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、勿論、以下の説明における図面は本発明の実施形態の一部に過ぎず、当業者にとって、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本願の実施例1における冷凍装置の構造模式図である。
図2図1に示す冷凍装置の予冷段階での保冷媒体の流動方向の模式図である。
図3図1に示す冷凍装置の冷凍段階での保冷媒体の流動方向の模式図である。
図4図1に示す冷凍装置の復温段階での保冷媒体の流動方向の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本願の技術案を明確かつ完全に説明するが、勿論、説明する実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が本願の実施例に基づいて創造的な努力をせずに得るすべてのほかの実施例は、本願の特許範囲に属する。
【0037】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などにより示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明し易さ、及び説明の簡素化のために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構造又は操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、したがって、本願を制限するものとして理解できない。さらに、用語「第1」、「第2」、「第3」は説明の目的のみで使用されており、相対重要性を指示又は示唆するものとして理解できない。
【0038】
なお、本発明の説明において、特に明確な規定や限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、たとえば、固定して接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、一体に接続してもよい。機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよい。直接連結してもよく、中間部材を介して間接的に連結してもよく、2つの構成要素の内部が連通してもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願での上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0039】
さらに、以下で説明する本願のさまざまな実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることができる。
【0040】
<実施例1>
図1図4は、本願の実施例1を示しており、本実施例は、冷凍装置を提供し、冷凍アブレーション装置における冷凍ヘッド8の冷凍に用いられ得るが、冷凍アブレーション術のみへの使用に限定されず、本願に係る冷凍装置は、たとえば冷蔵庫、エアコン、コールドチェーン物流車両などの冷気使用素子付きの他のデバイスへの予冷、冷凍、及び復温にも利用可能である。しかし、説明の明確さのため、本実施例では、冷気使用素子が冷凍アブレーション装置の冷凍ヘッド8である場合のみについて説明する。
【0041】
本実施例は、媒体貯蔵タンク1、媒体供給配管2、媒体回収配管3、冷気発生装置4、第1の冷気交換手段5、及び第2の冷気交換手段6を備える。媒体貯蔵タンク1には保冷媒体が貯蔵されており、媒体供給配管2は、一端が媒体貯蔵タンク1に連通し、他端が冷気使用素子の給液端に連通するのに適し、媒体回収配管3は、一端が媒体貯蔵タンク1に連通し、他端が冷気使用素子の排液端に連通するのに適し、冷気発生装置4は冷気を供給することに用いられ、第1の冷気交換手段5は、媒体供給配管2に取り付けられ、前記冷気発生装置4によって冷気を供給され、その内部を流れる保冷媒体を冷凍して熱交換することに用いられ、第2の冷気交換手段6は、前記媒体供給配管2に取り付けられた熱流体通路と前記媒体回収配管3に取り付けられた冷流体通路とを有し、前記冷流体通路と前記熱流体通路との間で冷気交換が発生し、前記熱流体通路内を流れる保冷媒体を予冷し、前記熱流体通路は前記媒体貯蔵タンク1と前記第1の冷気交換手段5との間に接続される。
【0042】
この冷凍装置を使用して冷凍アブレーションを行う際に、媒体供給配管2、媒体回収配管3、冷凍アブレーションシステムのカテーテル7、及び冷凍ヘッド8を利用して保冷媒体を循環的に流動させ、流動中、冷気発生装置4で生じた冷気が第1の冷気交換手段5によって媒体供給配管2に送られ、カテーテル7を介して人体に送られてターゲット組織を冷凍アブレーションし、ターゲット組織と冷気交換を行った保冷媒体が、次に、カテーテル7から媒体回収配管3に流れ、このとき、保冷媒体には冷気の一部が残存しており、次いで、保冷媒体が媒体回収配管3を流れるときに、第2の冷気交換手段6の存在により、保冷媒体に残存している冷気が、第2の冷気交換手段6によって媒体供給配管2内の保冷媒体に伝導され、ここでの保冷媒体を予め降温しておく。
【0043】
上記過程において、第2の冷気交換手段6が、媒体供給配管2において第1の冷気交換手段5よりも上流部にあるので、ここでの媒体供給配管2内の保冷媒体の温度が媒体回収配管3内の温度よりも高く、このため、冷気が媒体回収配管3から媒体供給配管2に伝導できる。上記過程により、媒体回収配管3内の保冷媒体に残存している冷気で保冷媒体が予め降温することができ、冷気交換手段5に供給されるときの保冷媒体の初期温度が下がり、このように、冷気交換量が同じ場合、このように予め降温された保冷媒体の方はより低温になり、このように常圧媒体を直接冷凍する冷凍アブレーション方式は、冷凍アブレーションに必要な温度を満たす可能性が高く、また、冷気の利用効率が高まる。
【0044】
具体的には、本実施例における冷気発生装置4は、−120℃以下の冷源を供給し得るミニ超低温冷凍機であり、パルス管、スターリング、混合作動媒体絞り、熱音響などの形態としてもよく、その数量が1台以上であり、複数台を組み合わせて作動する場合、組み合わせ方式として、直列又は並列としてもよい。本実施例における保冷媒体は、凝固点が−90℃未満の液体、たとえば医療用エタノールである。
【0045】
保冷媒体が達成できる最低温度をさらに低下させるために、媒体供給配管2と媒体回収配管3に連通し、媒体供給配管2と媒体回収配管3を、媒体貯蔵タンク1と第1の冷気交換手段5を直列する予冷回路とするバイパス配管9をさらに備え、且つ、前記バイパス配管9と媒体供給配管2は第1の三方弁10を介して連通する。
【0046】
バイパス配管9を利用して、保冷剤を、人体に導入して冷凍アブレーションに用いる前に予冷することができ、予冷段階では、保冷媒体が、媒体貯蔵タンク1から流出した後、媒体供給配管2、第1の冷気交換手段5、バイパス配管9、及び媒体回収配管3を順次流れ、最後に媒体貯蔵タンク1に戻る。予冷した保冷媒体は、温度が下がり、冷凍アブレーション段階に入るときの初期温度がさらに低下し、次に、第1の冷気交換手段5により降温されると、より容易に冷凍アブレーションに必要な低温になる。したがって、このようにすると、この冷凍装置の保冷媒体が冷凍アブレーションに必要な温度になる可能性をさらに高める。
【0047】
冷凍装置の1つの改良実施形態として、媒体回収配管3に取り付けられ、バイパス配管9を介して第1の冷気交換手段5に連通し、第1の冷気交換手段5から流出した冷気を貯蔵するのに適する蓄冷手段11をさらに備える。本実施例では、蓄冷手段11は、具体的には、高比熱容量の蓄冷媒体が充填されているボックス体であり、媒体回収配管3は蓄冷手段11を貫通しており、配管の側壁を介して蓄冷手段11内の蓄冷媒体と冷気交換を行う。
【0048】
予冷段階では、蓄冷手段11は保冷媒体からの冷気の一部を貯蔵し、このように貯蔵した冷気が、冷凍アブレーション段階の開始後に、人体から流出した保冷媒体を予め降温することで、第2の冷気交換手段6において冷流体通路と熱流体通路とのでの温度の差を増大し、第2の冷気交換手段6での冷気交換速度を高め、媒体供給配管2内の保冷媒体の温度をさらに低下させ、このように予め降温された保冷媒体が、第1の冷気交換手段5により最終的に降温すると、より低い温度になる。したがって、このようにすると、本冷凍装置が冷凍アブレーションに必要な低温になることをさらに確保し、また、冷気の利用効率をさらに向上させ、冷気の無駄を減少させる。
【0049】
冷気損失を低減させるために、外部との熱量の伝導を低減又は遮断するのに適する断熱室13を有し、前記第1の冷気交換手段5、第2の冷気交換手段6、蓄冷手段11、及び冷気発生装置4の冷気出力端が断熱室13内に配置される断熱手段12をさらに備える。断熱手段12を利用して、冷気交換中の冷気の損失を回避できるとともに、蓄冷手段11の保温効果がより良好であり、蓄冷手段11の冷気貯蔵過程における冷気の損失を回避する。
【0050】
具体的には、前記断熱手段12はボックス体であり、断熱室13に連通している真空吸引手段14が装着されている。真空状態に近い断熱室13は、冷気の損失速度をさらに低下させ、冷凍装置の冷気利用効率をさらに向上させる。真空吸引手段14は、具体的には、小型真空ポンプである。
【0051】
断熱手段の代替実施形態として、前記断熱手段12はボックス体であり、前記断熱室13内には断熱材が充填されており、ここで、断熱材はポリウレタン発泡材やエアロゲルなどの断熱材を用いることができる。
【0052】
冷凍させたターゲット組織を復温する必要があるという冷凍アブレーション術のニーズを満たすために、本実施例では、前記貯蔵タンク中の保冷媒体を加熱して冷凍アブレーション装置のカテーテル7の給液端に送るための復温回路をさらに備える。冷凍アブレーション術では、冷凍させたターゲット組織を復温する必要があり、理想的な復温プロセスは冷凍アブレーション術の手術効果を高めることができ、そして、術後の合併症の発生の確率を下げる。本願に係る復温回路は、保冷媒体を加熱して、カテーテル7を介してターゲット組織に送ることができ、このように個別に設けられた復温回路は、冷凍アブレーション術における復温に対応できるだけでなく、復温の温度、進度及び時間をより正確に制御することに非常に役に立ち、それにより、手術の治癒率を向上させ、術後の合併症を減らす。
【0053】
具体的には、前記復温回路は、昇温手段16が直列されており、給液端が第2の三方弁17を介して前記熱流体通路の入り口に入った上流部に連結されている復温管15を備える。復温管15と媒体供給配管2の第2の冷気交換手段6の上流部を連結させると、復温管15、第1の冷気交換手段5及び第2の冷気交換手段6が並列され、このとき、保冷剤の加熱用配管と降温用配管がそれぞれ独立する。したがって、第1の冷気交換手段5と第2の冷気交換手段6に残留している冷気が、復温段階で保冷剤の昇温への干渉を回避し、復温過程に対する干渉の要素を減らし、復温過程をより容易に制御することができる。
【0054】
上記復温回路の1つの代替実施形態として、前記復温回路は、媒体供給端が第2の三方弁17を介して、媒体供給配管2に取り付けられ前記第1の冷気交換手段5に入っていない一側に連結されている復温管15を備える。この代替実施形態では、復温回路には昇温手段が直列されておらず、冷却されない保冷媒体のみをカテーテルに導入して復温過程に用い、人体自体の熱を利用して復温する。このようにすると、ターゲット組織の昇温をより穏やかにさせ、冷凍アブレーション術による健康な組織への損傷を低減させる。
【0055】
復温回路のさらなる改良として、前記復温回路は、前記冷凍アブレーション装置のカテーテル7の排液端と媒体貯蔵タンク1に連通している液戻り口とを連通させるための復温還流配管をさらに備える。個別に設けられた復温還流配管は、復温過程を、媒体貯蔵タンク1、復温管15、冷凍アブレーション装置、復温還流配管からなる単独した独復温回路とすることができ、それにより、復温過程における干渉の要素をさらに減らし、復温プロセスをより正確に制御できるようにする。
【0056】
具体的には、復温還流配管は、両端が媒体回収配管3に連通し、第2の冷気交換手段6に並列され、給液端が第3の三方弁19を介して媒体供給配管2に連結されている復温還流管18を備える。さらに、前記復温還流管18は断熱手段12の外部に配置される。復温還流管18を断熱手段12の外部に設けることにより、復温還流管18が、復温済みの保冷媒体を送るときに蓄冷手段11若しくは第2の冷気交換手段6内の冷気を持ち去ることを回避し、冷気の利用率を高めることができる。
【0057】
保冷媒体を順調に循環できるように、前記媒体供給配管2又は前記媒体回収配管3には、保冷媒体の流動のための動力を供給するのに適するポンピング装置20が直列されている。
【0058】
勿論、上記実施例は、明確に説明するための例示に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者にとって、上記の説明に基づいてさまざまな形態の変化や変更を行うことができる。ここで、すべての実施形態を挙げることは必要ではなく、また、不可能である。これに由来する明らかな変化や変更も本発明の特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0059】
1−媒体貯蔵タンク、2−媒体供給配管、3−媒体回収配管、4−冷気発生装置、5−第1の冷気交換手段、6−第2の冷気交換手段、7−カテーテル、8−冷凍ヘッド、9−バイパス配管、10−第1の三方弁、11−蓄冷手段、12−断熱手段、13−断熱室、14−真空吸引手段、15−復温管、16−昇温手段、17−第2の三方弁、18−復温還流管、19−第3の三方弁、20−ポンピング装置、21−流量計、22−温度計、23−逆止め弁、24−ラジエータ
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】