(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-532068(P2021-532068A)
(43)【公表日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】水素化方法
(51)【国際特許分類】
C07D 211/10 20060101AFI20211029BHJP
【FI】
C07D211/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2020-569934(P2020-569934)
(86)(22)【出願日】2019年6月26日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月15日
(86)【国際出願番号】GB2019051797
(87)【国際公開番号】WO2020002908
(87)【国際公開日】20200102
(31)【優先権主張番号】1810449.7
(32)【優先日】2018年6月26日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ポリントン、スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】スウィニー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハミリン、マイケル デイビット
(72)【発明者】
【氏名】コリア、スティーブン ジェイムズ
(57)【要約】
複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物の製造方法が開示される。本方法は、不飽和複素環式アミンが水素と反応して、飽和複素環式アミンを形成する連続水素化工程と;飽和複素環式アミンがアルキル化して、飽和複素環式アミンと比較して置換度が増加した中間体飽和複素環式アミンを生成する第1の連続N−アルキル化工程と;中間体飽和複素環式アミンが複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物にN−アルキル化される1つ以上の更なるN−アルキル化工程と;を含む。飽和複素環式アミンを製造する方法も開示される。本方法は、不飽和複素環式アミンを、気相反応において70バール以下の圧力及び150℃〜350℃の範囲の温度で水素と反応させることを含む。飽和複素環式アミンをN−アルキル化する方法も開示される。本方法は、飽和複素環式アミンを、少なくとも2℃の温度で気相反応にてN−アルキル化することを含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和複素環式アミンを製造する方法であって、不飽和複素環式アミンを、気相反応において70バール以下の圧力及び150℃〜350℃の範囲の温度で水素と反応させることを含む、方法。
【請求項2】
ガス毎時空間速度が、50h−1〜350h−1の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不飽和複素環式アミン及び前記水素が、不飽和複素環式アミン1モル当たり水素200モルから不飽和複素環式アミン1モル当たり水素1000モルまでのモル比で反応する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記温度が、190℃〜220℃の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ガス状不飽和複素環式アミン及び水素ガスを反応器に供給することと、前記不飽和複素環式アミンを、前記反応器内の気相反応において前記水素と反応させることであって、前記反応器圧力が70バール以下であり、前記反応器入口温度が150℃〜350℃の範囲である、反応させることと、飽和複素環式アミンを含む生成物流を前記反応器から回収することと、を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記供給及び回収が連続的である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
液体不飽和複素環式アミンが気化器に供給され、そこで、水素ガス流に気化され、水素ガスとガス状不飽和複素環式アミンとの混合流を生成し、次いで前記混合流が前記反応器に供給される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記気相反応が、ニッケルを含む触媒上で起こる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記不飽和複素環式アミンが、ピリジン環又はピロール環を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記不飽和複素環式アミンが、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6ルチジン、3,5ルチジン、ピロール、2−メチルピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、及び2,5−ジメチルピロールからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記飽和複素環式アミンが、完全に飽和している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記不飽和複素環式アミンが、3,5ルチジンであり、前記飽和複素環式アミンが、3,5ジメチルピペリジンである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
飽和複素環式アミンをN−アルキル化する方法であって、前記飽和複素環式アミンを、少なくとも220℃の温度で気相反応にてN−アルキル化することを含む、方法。
【請求項14】
前記飽和複素環式アミンをジメチルエーテルと反応させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ジメチルエーテルが、メタノールのエーテル化によってin situで生成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記飽和複素環式アミン及び前記メタノールが、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1モルから、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール20モル以下のモル比で前記方法に供給される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記圧力が、1バール〜100バールの範囲である、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ガス毎時空間速度が、20h−1〜200h−1の範囲である、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン環又はピロリジン環を含む、請求項13〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6ジメチルピペリジン、3,5ジメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、及び2,5−ジメチルピロリジンからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記飽和複素環式アミンが、完全飽和複素環式アミンである、請求項13〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記飽和複素環式アミンが、3,5ジメチルピペリジンであり、前記方法が、1,3,5トリメチルピペリジンを含むN−アルキル化生成物を生成する、請求項13〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ガス状飽和複素環式アミンを反応器に供給することと、前記反応器内の気相反応において前記飽和複素環式アミンをN−アルキル化して、N−アルキル化生成物を生成することであって、前記反応器入口温度が少なくとも220℃である、生成することと、前記N−アルキル化生成物を含む生成物流を前記反応器から回収することを含み、前記供給及び回収が連続的である、請求項13〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
液体飽和複素環式アミンが気化器に供給され、そこで、アルキル化試薬と共に気化され、アルキル化試薬と飽和複素環式アミンとの混合ガス流を生成し、次いで前記混合ガス流を前記反応器に供給する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アルキル化試薬が、メタノールである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記気相反応が、アルミナを含む触媒上で起こる、請求項13〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記触媒が、γ−アルミナを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記触媒が、シリカも含む、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物を生成するための方法であって、不飽和複素環式アミンが水素と反応して、飽和複素環式アミンを形成する連続水素化工程と;前記飽和複素環式アミンがN−アルキル化され、前記飽和複素環式アミンと比較して置換度が増加した中間体飽和複素環式アミンを生成する第1の連続N−アルキル化工程と;前記中間体飽和複素環式アミンが前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物にN−アルキル化される1つ以上の更なるN−アルキル化工程と;を含む、方法。
【請求項30】
前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物上の第1の対イオンが第2の対イオンと交換される、対イオン交換工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記対イオン交換工程が、連続的である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記水素化工程が、前記気相にある、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の連続N−アルキル化工程が、前記気相にある、請求項29〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の更なるN−アルキル化工程が、連続的である、請求項29〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記不飽和複素環式アミンが、ピリジン環又はピロール環を含み、前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン環又はピロリジン環を含み、前記中間体飽和複素環式アミンが、ピペリジン環又はピロリジン環を含み、前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物が、ピペリジニウム環又はピロリジニウム環を含む、請求項29〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記不飽和複素環式アミンが、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6ルチジン、3,5ルチジン、ピロール、2−メチルピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、及び2,5−ジメチルピロールからなる群から選択され;前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6ジメチルピペリジン、3,5ジメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、及び2,5−ジメチルピロリジンからなる群から選択され;前記中間体飽和複素環式アミンが、1−メチルピペリジン、1,2−ジメチルピペリジン、1,3−ジメチルピペリジン、1,4−ジメチルピペリジン、1,2,6トリメチルピペリジン、1,3,5トリメチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1,2−ジメチルピロリジン、1,3−ジメチルピロリジン、1,2,4−トリメチルピロリジン、及び1,2,5−トリメチルピロリジンからなる群から選択され;前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物が、1,1−ジメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,4−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2,6テトラメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1−ジメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2−トリメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3−トリメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2,4−テトラメチルピロリジン塩又は水酸化物、及び1,1,2,5−テトラメチルピロリジン塩又は水酸化物からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記不飽和複素環式アミンが、3,5ルチジンであり、前記飽和複素環式アミンが、3,5ジメチルピペリジンであり、前記中間体飽和複素環式アミンが、1,3,5トリメチルピペリジンであり、前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物が、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記水素化工程が請求項1〜12のいずれか一項に記載されている、請求項29〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のN−アルキル化工程が請求項13〜28のいずれか一項に記載されている、請求項29〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記飽和複素環式アミンが、凝縮液体として前記水素化工程から収集され、気化されて、前記第1のN−アルキル化工程に供給される、請求項29〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記収集が連続的に実行される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記収集が、前記水素化工程からの生成物流を、前記飽和複素環式アミンが凝縮されて、前記生成物流中の水素から分離されるノックアウトポットに送ることによって実行される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記飽和複素環式アミン及び水素を含む、前記水素化工程からの生成物流が、前記第1のN−アルキル化工程に直接供給される、請求項29〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記生成物流がガス流であり、前記生成物流が前記ガス相に維持され、前記第1のN−アルキル化工程に供給される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記水素化工程及び前記第1のN−アルキル化工程が、同じ前記反応器内で実施される、請求項29〜39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和複素環式アミンの水素化により、飽和複素環式アミンを製造することに関する。特に、限定するものではないが、本発明は、3,5ルチジンの水素化により、3,5ジメチルピペリジンを製造することに関する。本発明は更に、飽和複素環式アミンのN−アルキル化に関する。特に、限定するものではないが、本発明は、3,5ジメチルピペリジンをN−アルキル化して、1,3,5トリメチルピペリジンを製造することに関する。本発明は更に、複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物の製造に関する。特に、本発明は更に、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム塩又は水酸化物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和複素環式アミンを水素化して飽和複素環式アミンを製造することは、それらの飽和複素環式アミンのその後のN−アルキル化と同様に、重要な化学的方法である。例えば、水素化及びN−アルキル化は、ゼオライトの製造においてテンプレート剤を使用する複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物などの化合物の製造における工程であり得る。明らかなことに、ゼオライトの製造は重要な商業的方法であり、テンプレート剤の製造コストを低減することにより、ゼオライトを製造する全体的なコストを低減することができる。ピペリジン又はピロリジン及びそれらの誘導体などの飽和複素環式アミンはまた、医薬品、農薬、工業用及び個人用/消費者用ケア製品などの他の分野でも有用である可能性がある。したがって、このような化合物を費用効果的に製造するための方法は有利であろう。
【0003】
一例は、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物をテンプレート剤として使用するAEIゼオライトの製造である。1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物の生成のための経路の1つは、3,5ルチジンの水素化によって生成され得る3,5ジメチルピペリジンの二重アルキル化を伴う。
【0004】
水素化は、典型的には、液相中で行われ、例えば、Catalysis:Science and Technology by John R.Anderson and Michel Boudart p112−3で説明されているように、触媒の失活を伴う問題をきたす可能性がある。その失活を管理することで、水素化のコストが増加し、ひいては、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物を生成する全体的なコストが増加する。3,5ルチジンの3,5ジメチルピペリジンへの水素化は、中国特許第106916097(A)号、同第100424075(C)号、同第101104146(B)号、同第102091638(B)号、及び国際公開第2016149234(A1)号に記載されている。
【0005】
N−アルキル化は、2つの工程で進行し、第1のN−アルキル化では、3,5ジメチルピペリジンを1,3,5トリメチルピペリジンに変換し、第2のN−アルキル化では、1,3,5トリメチルピペリジンを1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム塩に変換する。N−アルキル化工程の両方は、典型的にはバッチ方法として、液相中で実施される。第1のN−アルキル化は、例えば、3,5ルチジンの3,5ジメチルピペリジンへの液相水素化と同時に、in−situでの液相反応として行われてもよい。このような方法でこれらの工程を組み合わせることは魅力的に見えるかもしれないが、実際には、液相水素化は、上で説明したように、触媒の失活を伴う問題をきたす可能性がある。N−アルキル化はまた、例えば、硫酸ジメチル又は炭酸ジメチルなどのアルキル化試薬を使用して、別個の液相バッチ反応で行うこともできる。促進剤、典型的にはヨウ素などのハロゲンを有するヨウ化メチル及びメタノールも使用することができる。しかしながら、このような系の反応時間は、典型的には数時間であり、試薬によりかなりの不利益をきたす場合がある。例えば、硫酸ジメチルは毒性及び発癌性があり、炭酸ジメチルは、より良性であるが、かなりの副生成物を生成する可能性がある。3,5ジメチルピペリジンのN−アルキル化は、中国特許第106883165(A)号に記載されている。
【0006】
従来技術の水素化及びN−アルキル化方法に関する問題に対処することで、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物を生成する全体的なコストが増加し、ひいてはAEIゼオライトのコストが増大する。同様のコストの考慮事項は、他の同様のテンプレート剤の製造にも適用される。したがって、3,5ルチジンなどの不飽和複素環式アミンを3,5ジメチルピペリジンなどの飽和複素環式アミンに水素化する方法、及び飽和複素環式アミンをアルキル化する方法、例えば、3,5ジメチルピペリジンを1,3,5トリメチルピペリジンに、1,3,5トリメチルピペリジンを1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム塩にアルキル化する費用効果の高い方法が依然として必要とされている。
【0007】
米国特許第6086848(A)号、同第5965104(A)号、同第6444191(B1)号、同第5968474(A)号、同第9206052(B2)号、国際公開第2016166245(A1)号、及び同第2015028971(A1)号では、ゼオライトの製造におけるテンプレート剤として使用するための複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物を生成することについて記載している。
【0008】
本発明の好ましい実施形態は、従来技術における上記の欠点のうちの1つ以上を克服することを目的とする。特に、本発明の好ましい実施形態は、不飽和複素環式アミンを水素化して飽和複素環式アミンを製造する改善された方法、飽和複素環式アミンをN−アルキル化するための改善された方法、及び複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物を製造するための改善された方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、飽和複素環式アミンを製造する方法であって、不飽和複素環式アミンを、気相反応において70バール以下の圧力及び150℃〜350℃の範囲の温度で水素と反応させることを含む、方法が提供される。
【0010】
気相中で水素化を行うことにより、本出願人は、従来技術の液相水素化をきたす触媒の失活を回避できることを見出した。理論に束縛されるものではないが、本出願人によると、触媒失活のメカニズムは、水素化で生成された飽和複素環式アミンにより、触媒の作用が損なわれると考えられている。これは、水素化工程の触媒中に生じるより弱いπ結合とは対照的に、関連する触媒金属と強いσ結合を形成する高塩基性の窒素原子に起因すると考えられる。このように形成された窒素−金属結合は非常に強いため、飽和複素環式アミン生成物が触媒上に吸収されたままになり、活性部位を化学的に遮断する。従来技術の液相水素化では、触媒は、典型的には、反応に酸性媒体を使用することによって、又は酸洗浄で触媒を再生することによって維持する必要があり、これらの両方により本方法のコスト及び複雑さが増す。対照的に、本発明の気相方法は、失活の問題を解決する。これは、本発明の気相反応が、触媒上の反応物質及び生成物の滞留時間を短縮し、触媒に移動する水素の物質移動制限を低減し、したがって水素の平衡表面濃度を改善し、かつ/又は飽和複素環式アミンがブレンステッド塩基として作用する傾向を低減させるためであると考えられる。更に、出願人は、気相反応が、費用効果の高い方法で、かつ非常に専門的ゆえに高価な機器を必要とせずに容易に達成できる圧力及び温度で実施できることを見出した。その結果、本発明は、不飽和複素環式アミンを飽和複素環式アミンに水素化するコストの大幅な削減を可能にする。
【0011】
好ましくは、圧力は80バール以下、より好ましくは70バール以下である。圧力が低下すると、維持コストが低くなり、関連機器のコストを削減することができる。圧力は、好ましくは少なくとも1バール、より好ましくは少なくとも10バール、更により好ましくは少なくとも20バールである。このような圧力により、反応速度が改善され、反応に送られるガスの量が減少し、ひいてはコストも抑えることができる。
【0012】
好ましくは、温度は、300℃以下、より好ましくは270℃以下、更により好ましくは250℃以下、なお一層より好ましくは220℃以下である。温度が低下すると、加熱ガス及び設備コストの両方でコストを削減することができる。好ましくは、温度は、少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも190℃である。このような温度により、適切な活性及び変換率を確実なものにすることができる。
【0013】
滞留時間の短縮は、気相水素化が、液相水素化に影響を与える触媒失活の問題を回避するのを助けるために特に有利である可能性がある。滞留時間は、当業者によく知られているガス毎時空間速度(GHSV)を使用して説明することができ、これは、反応器内へのガス状不飽和複素環式アミンの体積流量を反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される。好ましくは、GHSVは、少なくとも50h
−1、より好ましくは少なくとも80h
−1、なお一層より好ましくは少なくとも90h
−1、更により好ましくは少なくとも95h
−1である。好ましくは、GHSVは、350h
−1以下、より好ましくは320h
−1以下、なお一層より好ましくは300h
−1以下である。不飽和複素環式アミンが液体として気化器に供給される場合、気化器への液体不飽和複素環式アミンの体積流量を、反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される、液体毎時空間速度(LHSV)の観点から不飽和複素環式アミンのスループットを説明することも都合のよい場合がある。好ましくは、LHSVは、少なくとも0.3h
−1であり、より好ましくは少なくとも0.5h
−1である。好ましくは、LHSVは、3h
−1以下、より好ましくは2h
−1以下、更により好ましくは1.5h
−1以下である。
【0014】
気相反応における水素が過剰に存在することはまた、気相水素化が液相水素化に影響を与える触媒失活の問題を回避するのを助けるのに有利であり得る。したがって、不飽和複素環式アミン及び水素は、好ましくは、不飽和複素環式アミン1モル当たり水素少なくとも200モル、好ましくは不飽和複素環式アミン1モル当たり水素少なくとも400モルのモル比で反応する。不飽和複素環式アミン及び水素は、好ましくは、不飽和複素環式アミン1モル当たり水素1000モル以下、好ましくは不飽和複素環式アミン1モル当たり水素800モル以下のモル比で反応する。
【0015】
好ましくは、不飽和複素環式アミンは、アミン基の窒素原子が複素環の一部である不飽和複素環式アミンである。不飽和複素環式アミンは、芳香族又は脂肪族であってもよい。例えば、不飽和複素環式アミンは、好ましくはピリジン環又はピロール環を含む。好ましくは、不飽和複素環式アミンは、単一のピリジン環又は単一のピロール環を含む。例えば、不飽和複素環式アミンは、好ましくは、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6ルチジン、3,5ルチジン、2,4ルチジン、ピロール、2−メチルピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、及び2,5−ジメチルピロールからなる群から選択される。
【0016】
当業者は、飽和複素環式アミンは、不飽和複素環式アミンの飽和から生じる化合物であることを理解するであろう。したがって、例えば、飽和複素環式アミンは、好ましくはピペリジン環又はピロリジン環を含む。好ましくは、飽和複素環式アミンは、単一のピペリジン環又は単一のピロリジン環を含む。例えば、飽和複素環式アミンは、好ましくは、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6ジメチルピペリジン、3,5ジメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、及び2,5−ジメチルピロリジンからなる群から選択される。好ましくは、飽和複素環式アミンは、完全飽和複素環式アミンである。
【0017】
好ましくは、不飽和複素環式アミンは3,5ルチジンであり、飽和複素環式アミンは3,5ジメチルピペリジンである。3,5ルチジンの3,5ジメチルピペリジンへの水素化は、AEIゼオライトの製造におけるテンプレート剤として使用することができる、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物の生成における重要な工程であり得る。水素化のコストを削減することにより、テンプレート剤の製造コストを削減することができ、したがって、最終的にはゼオライトの製造コストを削減することができる。
【0018】
反応は、反応器内で行われる。好ましくは、反応器は連続反応器であり、この連続反応器において、水素及び不飽和複素環式アミンが、反応器に連続的に供給され、飽和複素環式アミンを含む生成物は、反応器から連続的に回収される。反応器の種類に応じて、反応器全体にわたって温度変動が生じる場合がある。このような実施形態では、反応器の入口における温度は、反応温度として定義される。反応器全体にわたる温度上昇は、好ましくは200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。したがって、本方法は、ガス状不飽和複素環式アミン及び水素ガスを反応器に供給することと、不飽和複素環式アミンを、反応器内の気相反応において水素と反応させることであって、反応器圧力が70バール以下であり、反応器入口温度が150℃〜350℃の範囲である、反応させることと、飽和複素環式アミンを含む生成物流を反応器から回収することと、を含み得る。好ましくは、供給及び回収は連続的であり、それにより、当業者は、本方法がバッチ方法ではなく連続的方法であることを理解するであろう。ガス状不飽和複素環式アミン及び水素ガスは、反応器に一緒に又は別個に供給されてもよい。特に好ましい実施形態では、液体不飽和複素環式アミンが気化器に供給され、そこで、水素ガス流に気化され、水素ガスとガス状不飽和複素環式アミンとの混合流を生成し、次いで混合流が反応器に供給される。
【0019】
触媒は、例えば、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、又は銅のうちの1つ以上を、例えば、アルミナ又はシリカのうちの1つ以上を含む担体上に含んでもよい。ニッケル触媒が効果的な触媒であり、本発明の方法に手頃な価格であることが出願人によって見出されたので、好ましくは、触媒はニッケルを含む。例えば、触媒は、Johnson Matthey Plcから入手可能なHTC500RPであり得る。このような触媒は、長い寿命にわたって、高いレベルの活性及び変換率を生み出す可能性がある。いくつかの実施形態では、形状選択性触媒を使用して、別の生成物異性体よりも1つの生成物異性体を選ぶことが好ましい場合がある。例えば、不飽和複素環式アミンが3,5ルチジンである場合、形状選択性触媒を使用して、3,5−シスジメチルピペリジン異性体を選ぶことができる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、飽和複素環式アミンをN−アルキル化する方法であって、飽和複素環式アミンを、少なくとも220℃の温度で気相反応にてN−アルキル化することを含む、方法が提供される。
【0021】
気相中でN−アルキル化を行うことにより、出願人は、反応が数時間ではなくほんの数秒で進行し、N−アルキル化のコストを大幅に削減できることを見出した。これにより、例えば、ゼオライト製造用のテンプレート剤を製造する全体的なコストを削減することが可能となる。本出願人はまた、このような気相N−アルキル化は、良好な変換率及び選択性で、そして低い触媒失活で進行することを見出した。液相バッチ反応と比較して、不要な副生成物の形成が少なくなる。このような結果は、従来技術と比較して、本発明の方法におけるコストの削減に寄与する。
【0022】
好ましくは、本方法は、飽和複素環式アミンをジアルキルエーテルと、好ましくはジエチルエーテル又はジメチルエーテルと、最も好ましくはジメチルエーテルと反応させることを含む。ジアルキルエーテルは、反応器に直接供給されてもよく、又はアルカノールのエーテル化によってin situで生成されてもよい。例えば、ジエチルエーテルは、反応器に直接供給されてもよく、又はエタノールのエーテル化によってin situで生成されてもよい。最も好ましい例では、ジメチルエーテルは、反応器に直接供給されてもよく、又はメタノールのエーテル化によってin situで生成されてもよい。ジメチルエーテルは、有利には、硫酸ジメチルなどのアルキル化剤よりも安全であり得、炭酸ジメチルなどのアルキル化剤よりも副生成物が少なくなる可能性がある。
【0023】
好ましくは、圧力は、100バール以下、好ましくは50バール以下、より好ましくは35バール以下、最も好ましくは20バール以下である。圧力が低下すると、維持コストが低くなり、関連機器のコストを削減することができる。圧力は、好ましくは少なくとも1バール、より好ましくは少なくとも2バール、更により好ましくは少なくとも5バールである。このような圧力により、反応速度が改善され、反応に送られるガスの量が減少し、ひいてはコストも抑えることができる。
【0024】
好ましくは、温度は、少なくとも250℃、より好ましくは少なくとも280℃である。このような温度により、適切な活性及び変換率を確実なものにすることができる。好ましくは、温度は500℃以下、より好ましくは400℃以下、更により好ましくは350℃以下、なお一層より好ましくは320℃以下である。温度が低下すると、加熱ガス及び設備コストの両方でコストを削減することができる。
【0025】
本発明の特定の利点は、滞留時間が短縮されることであり得る。滞留時間は、当業者によく知られているガス毎時空間速度(GHSV)を使用して説明することができ、これは、反応器内のガス状飽和複素環式アミンの体積流量を反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される。好ましくは、GHSVは、少なくとも20h
−1であり、より好ましくは少なくとも30h
−1である。好ましくは、GHSVは、300h
−1以下、より好ましくは250h
−1以下、更により好ましくは200h
−1以下である。飽和複素環式アミンが液体として気化器に供給される場合、気化器への液体飽和複素環式アミンの体積流量を、反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される、液体毎時空間速度(LHSV)の観点から飽和複素環式アミンのスループットを説明することも都合のよい場合がある。好ましくは、LHSVは、2.0h
−1以下、好ましくは1.5h
−1以下であり、より好ましくはLHSVは1.2h
−1以下であり、最も好ましくはLHSVは1.1h
−1以下である。好ましくは、LHSVは、少なくとも0.1h
−1であり、より好ましくは少なくとも0.2h
−1である。
【0026】
ジエチルエーテル又は最も好ましくはジメチルエーテルなどのジアルキルエーテルが、アルカノールのエーテル化、例えば、ジエチルエーテルを生成するためのエタノールのエーテル化、又は最も好ましくは、ジメチルエーテルを生成するためのメタノールのエーテル化によりin situで生成される場合、飽和複素環式アミン及びアルカノールは、好ましくは、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1モル、より好ましくは飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1.2モル、更により好ましくは飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1.4モルのモル比で本方法に供給される。飽和複素環式アミン及びアルカノールは、好ましくは、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール20モル以下のモル比で本方法に供給される。飽和複素環式アミン及びアルカノールは、より好ましくは、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール10モル以下のモル比で本方法に供給される。このような比は、アルカノールがメタノールであり、ジアルキルエーテルがジメチルエーテルである場合に特に好まし場合があり、迅速な反応を促進するのに十分な過剰のジアルキルエーテルを提供することができ、反応器を流れるガスの量を不必要に増加させず、したがってサイズ及びコストを増加させない。
【0027】
好ましくは、飽和複素環式アミンは、アミン基の窒素原子が複素環の一部である飽和複素環式アミンである。飽和複素環式アミンは、芳香族又は脂肪族であってもよい。したがって、例えば、飽和複素環式アミンは、好ましくはピペリジン環又はピロリジン環を含む。好ましくは、飽和複素環式アミンは、単一のピペリジン環又は単一のピロリジン環を含む。例えば、飽和複素環式アミンは、好ましくは、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6ジメチルピペリジン、3,5ジメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、及び2,5−ジメチルピロリジンからなる群から選択される。好ましくは、飽和複素環式アミンは、完全飽和複素環式アミンである。当業者は、N−アルキル化により飽和複素環式アミンの飽和度が増加すること、例えば、第一級アミンを第二級アミン、第二級アミンを第三級アミン、又は第三級アミンを四級アンモニウム塩若しくは水酸化物に変換されることを理解するであろう。好ましくは、N−アルキル化は、メチル基の付加によって置換度が増加するという点でメチル化、又はエチル基の付加によって置換度が増加するという点でエチル化である。最も好ましくは、N−アルキル化はメチル化である。好ましくは、飽和複素環式アミンは3,5ジメチルピペリジンであり、N−アルキル化生成物は1,3,5トリメチルピペリジンである。3,5ジメチルピペリジンの1,3,5トリメチルピペリジンへのN−アルキル化は、AEIゼオライトの製造におけるテンプレート剤として使用することができる、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物の生成における重要な工程であり得る。N−アルキル化のコストを削減することにより、テンプレート剤の製造コストを削減することができ、したがって、最終的にはゼオライトの製造コストを削減することができる。
【0028】
反応は、反応器内で行われる。好ましくは、反応器は連続反応器であり、この連続反応器において、飽和複素環式アミンが、反応器に連続的に供給され、N−アルキル化生成物を含む生成物は、反応器から連続的に回収される。反応器の種類に応じて、反応器全体にわたって温度変動が生じる場合がある。このような実施形態では、反応器の入口における温度は、反応温度として定義される。反応器全体にわたる温度上昇は、好ましくは200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。したがって、本方法は、ガス状飽和複素環式アミンを反応器に供給することと、反応器内の気相反応において飽和複素環式アミンをN−アルキル化して、N−アルキル化生成物を生成することであって、反応器入口温度が少なくとも220℃である、生成することと、N−アルキル化生成物を含む生成物流を反応器から回収することと、を含む。N−アルキル化生成物は、飽和複素環式アミンよりも高い置換度を有する。好ましくは、供給及び回収は連続的であり、それにより、当業者は、本方法がバッチ方法ではなく連続的方法であることを理解するであろう。一実施形態では、ガス状飽和複素環式アミン及びアルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールは、反応器に一緒に供給されてもよい。特に好ましい実施形態では、液体飽和複素環式アミンが気化器に供給され、そこで、アルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールと共に気化され、アルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールと、飽和複素環式アミンとの混合ガス流を生成し、次に反応器に供給される。
【0029】
好ましくは、本方法は、不飽和複素環式アミンの水素化の下流で実施され、飽和複素環式アミンを製造する。したがって、不飽和複素環式アミンを飽和複素環式アミンに水素化し、飽和複素環式アミンをN−アルキル化するための方法を提供することができる。好ましくは、水素化は、気相水素化である。好ましくは、水素化は、本発明の第1の態様による水素化である。飽和複素環式アミンは、水素化から、例えば、凝縮液体として冷却及び収集することによって収集することができ、任意選択で、過剰の水素を除去し、例えば、リサイクルすることができる。次いで、収集された飽和複素環式アミンは、上記のようにN−アルキル化に供給され得る。このような方法では、水素化が高レベルの過剰水素で実施でき、次いで水素がN−アルキル化の前に除去されて、その結果、N−アルキル化反応器は、過剰な水素を処理するためのサイズにする必要がないという点で有利であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、飽和複素環式アミン及び水素を含む、水素化によるガス状生成物は、ガス相中に保持され、N−アルキル化反応器に供給される。このような方法は、冷却及び分離を必要とせずに、飽和複素環式アミンを効率的に移動させることができる。好ましくは、ガス状生成物は、N−アルキル化反応器に供給される前に加熱される。好ましくは、アルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールもまた、例えば、N−アルキル化反応器に供給される前、好ましくは加熱される前にガス状生成物に添加することにより、N−アルキル化反応器に添加される。好ましくは、水素化及びN−アルキル化方法は連続的であり、組み合わされて、水素化及びN−アルキル化のための連続方法を生み出す。
【0030】
触媒は、例えば、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、又は銅のうちの1つ以上を、例えば、アルミナ又はシリカのうちの1つ以上を含む担体上に含んでもよい。いくつかの実施形態では、触媒はニッケルを含む。例えば、触媒は、Johnson Mattheyから入手可能なHTCニッケル系触媒であってもよい。しかしながら、最も好ましくは、触媒は、アルミナ、最も好ましくはγ−アルミナを含む。任意選択で、アルミナ触媒はまた、シリカ、例えば、少なくとも1重量%のシリカ、好ましくは少なくとも2重量%のシリカ、より好ましくは少なくとも2.5重量%のシリカを含む。好ましくは、アルミナ触媒は、5重量%以下のシリカ、より好ましくは4重量%以下のシリカ、より好ましくは3.5重量%以下のシリカを含む。触媒の例としては、Johnson Mattheyから入手可能なExtral 12、Extral 25、又はHTC AQが挙げられる。このような触媒は、長い寿命にわたって、高いレベルの活性及び変換率を生み出す可能性がある。
【0031】
本発明の第3の態様によると、複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物を生成するための方法であって、好ましくは気相において、不飽和複素環式アミンが水素と反応して、飽和複素環式アミンを形成する連続水素化工程と;好ましくは気相において、飽和複素環式アミンがN−アルキル化して、飽和複素環式アミンと比較して置換度が増加した中間体飽和複素環式アミンを生成する第1の連続N−アルキル化工程と;好ましくは連続的に、中間体飽和複素環式アミンが複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物にN−アルキル化される1つ以上の更なるN−アルキル化工程と;を含む、方法が提供される。任意選択で、本方法は、好ましくは連続的に、複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物上の第1の対イオンが第2の対イオンと交換される、対イオン交換工程を更に含む。
【0032】
従来技術の方法は、典型的には、液相中のバッチ方法として水素化及びN−アルキル化工程を実施してきた。水素化及び第1のN−アルキル化を連続方法として、好ましくは気相で行うことにより、本方法の全体的なコストを有利に削減することができる。コストの削減は、例えば、触媒寿命の改善、反応速度の改善、手動介入の減少、及び本方法の段階間における材料のより効率的な移動などの要因の組み合わせから実現できる。
【0033】
水素化工程は、本発明の第1の態様によるものであり得る。第1のN−アルキル化工程は、本発明の第2の態様によるものであり得る。本発明のこれらの態様に関連して説明される特徴は、本発明の態様において等しく有利かつ好ましい可能性があることが理解されるであろう。
【0034】
好ましくは、不飽和複素環式アミンは、アミン基の窒素原子が複素環の一部である不飽和複素環式アミンである。不飽和複素環式アミンは、芳香族又は脂肪族であってもよい。例えば、不飽和複素環式アミンは、好ましくはピリジン環又はピロール環を含む。好ましくは、不飽和複素環式アミンは、単一のピリジン環又は単一のピロール環を含む。例えば、不飽和複素環式アミンは、好ましくは、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6ルチジン、3,5ルチジン、ピロール、2−メチルピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、及び2,5−ジメチルピロールからなる群から選択される。
【0035】
当業者は、飽和複素環式アミンが、不飽和複素環式アミンの飽和から生じる化合物であることを理解するであろう。したがって、例えば、飽和複素環式アミンは、好ましくはピペリジン環又はピロリジン環を含む。好ましくは、飽和複素環式アミンは、単一のピペリジン環又は単一のピロリジン環を含む。例えば、飽和複素環式アミンは、好ましくは、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6ジメチルピペリジン、3,5ジメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、及び2,5−ジメチルピロリジンからなる群から選択される。好ましくは、飽和複素環式アミンは、完全飽和複素環式アミンである。
【0036】
当業者は、中間体飽和複素環式アミン及び複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物が、使用されるN−アルキル化剤に対応するアルキル基で置換された飽和複素環式アミンに対応することを理解するであろう。例えば、アルキル基は、メチル基又はエチル基であり得る。アルキル基は、アミンの窒素原子上で置換される。
【0037】
したがって、例えば、中間体飽和複素環式アミンは、好ましくは飽和複素環式アルキルアミンである。中間体飽和複素環式アミンは、アミンの窒素原子が結合したアルキル基を有するという点でアルキルアミンであるが、更なるアルキル基は、他の場所、例えば、環上の他の位置で結合され得ることが理解されるであろう。したがって、中間体飽和複素環式アミンは、任意選択でアルキル化された、飽和複素環式アルキルアミンである。より好ましくは、中間体飽和複素環式アミンは、任意選択でアルキル化された、飽和複素環式メチルアミン又はエチルアミンである。より好ましくは、中間体飽和複素環式アミンは、任意選択でメチル化又はエチル化された、飽和複素環式メチルアミン又はエチルアミンである。最も好ましくは、中間体飽和複素環式アミンは、任意選択でメチル化された、飽和複素環式メチルアミンである。中間体飽和複素環式アミンは、好ましくはピペリジン環又はピロリジン環を含む。好ましくは、中間体飽和複素環式アミンは、単一のピペリジン環又は単一のピロリジン環を含む。例えば、中間体飽和複素環式アミンは、好ましくは、1−メチルピペリジン、1,2−ジメチルピペリジン、1,3−ジメチルピペリジン、1,4−ジメチルピペリジン、1,2,6トリメチルピペリジン、1,3,5トリメチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1,2−ジメチルピロリジン、1,3−ジメチルピロリジン、1,2,4−トリメチルピロリジン、及び1,2,5−トリメチルピロリジンからなる群から選択される。
【0038】
複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物は、好ましくは、複素環式四級ジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物である。複素環式四級ジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物は、アンモニウムの窒素原子が結合した2つのアルキル基を有するという点でジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物であるが、更なるアルキル基は、他の場所、例えば、環上の他の位置で結合し得ることが理解されるであろう。したがって、四級ジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物は、任意選択でアルキル化された、四級ジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物である。より好ましくは、四級ジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物は、任意選択でアルキル化された、複素環式四級ジメチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム又はジエチルアンモニウム塩又は水酸化物である。より好ましくは、四級ジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物は、任意選択でメチル化又はエチル化された、複素環式四級ジメチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム又はジエチルアンモニウム塩又は水酸化物である。より好ましくは、四級ジアルキルアンモニウム塩又は水酸化物は、任意選択でメチル化された、複素環式四級ジメチルアンモニウム塩又は水酸化物である。複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物は、好ましくはピペリジニウム環又はピロリジニウム環を含む。好ましくは、複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物は、単一のピペリジニウム環又は単一のピロリジニウム環を含む。例えば、複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物は、好ましくは、1,1−ジメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,4−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2,6テトラメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1−ジメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2−トリメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3−トリメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2,4−テトラメチルピロリジン塩又は水酸化物、及び1,1,2,5−テトラメチルピロリジン塩又は水酸化物からなる群から選択される。
【0039】
好ましくは、不飽和複素環式アミンは、3,5ルチジンであり、飽和複素環式アミンは、3,5ジメチルピペリジンであり、中間体飽和複素環式アミンは、1,3,5トリメチルピペリジンであり、複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物は、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物である。1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物は、AEIゼオライトの製造において、テンプレート剤として使用することができる。1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物の製造コストを削減することにより、ゼオライトの製造コストが削減される。
【0040】
水素化工程は、不飽和複素環式アミン及び水素を、好ましくはガス相中で反応器に連続的に供給することを含み得る。反応器は連続反応器であり、この連続反応器において、水素及び不飽和複素環式アミンが、反応器に連続的に供給され、飽和複素環式アミンを含む生成物は、反応器から連続的に回収される。反応器の種類に応じて、反応器全体にわたって温度変動が生じる場合がある。このような実施形態では、反応器の入口における温度は、反応温度として定義される。反応器全体にわたる温度上昇は、好ましくは200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。供給及び回収は連続的であり、それにより、当業者は、本方法がバッチ方法ではなく連続的方法であることを理解するであろう。ガス状不飽和複素環式アミン及び水素ガスは、反応器に一緒に又は別個に供給されてもよい。特に好ましい実施形態では、液体不飽和複素環式アミンが気化器に供給され、そこで、水素ガス流に気化され、水素ガスとガス状不飽和複素環式アミンとの混合流を生成し、次いで混合流が反応器に供給される。
【0041】
好ましくは、水素化工程の圧力は、70バール以下、好ましくは60バール以下、より好ましくは50バール以下である。圧力が低下すると、維持コストが低くなり、関連機器のコストを削減することができる。圧力は、好ましくは少なくとも1バール、より好ましくは少なくとも10バール、更により好ましくは少なくとも20バールである。このような圧力により、反応速度が改善され、反応に送られるガスの量が減少し、ひいてはコストも抑えることができる。
【0042】
好ましくは、水素化工程の温度は、350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは270℃以下、更により好ましくは250℃以下、なお一層より好ましくは220℃以下である。温度が低下すると、加熱ガス及び設備コストの両方でコストを削減することができる。好ましくは、温度は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも190℃である。このような温度により、適切な活性及び変換率を確実なものにすることができる。
【0043】
水素化工程が気相水素化工程である場合、滞留時間の短縮は、気相水素化工程が液相水素化に影響を与える触媒失活の問題を回避するのを助けるために特に有利である可能性がある。滞留時間は、当業者によく知られているガス毎時空間速度(GHSV)を使用して説明することができ、これは、反応器内のガス状不飽和複素環式アミンの体積流量を反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される。好ましくは、GHSVは、少なくとも50h
−1、より好ましくは少なくとも80h
−1、なお一層より好ましくは少なくとも90h
−1、更により好ましくは少なくとも95h
−1である。好ましくは、GHSVは、350h
−1以下、より好ましくは320h
−1以下、なお一層より好ましくは300h
−1以下である。不飽和複素環式アミンが液体として気化器に供給される場合、気化器への液体不飽和複素環式アミンの体積流量を、反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される、液体毎時空間速度(LHSV)の観点から不飽和複素環式アミンのスループットを説明することも都合のよい場合がある。好ましくは、LHSVは、少なくとも0.3h
−1であり、より好ましくは少なくとも0.5h
−1である。好ましくは、LHSVは、3h
−1以下、より好ましくは2h
−1以下、更により好ましくは1.5h
−1以下、なお一層より好ましくは1h
−1以下である。
【0044】
水素化工程が気相水素化工程である場合、気相反応における水素が過剰に存在することはまた、気相水素化が液相水素化に影響を与える触媒失活の問題を回避するのを助けるのに有利であり得る。したがって、不飽和複素環式アミン及び水素は、好ましくは、不飽和複素環式アミン1モル当たり少なくとも水素200モル、好ましくは不飽和複素環式アミン1モル当たり水素少なくとも400モルのモル比で反応する。不飽和複素環式アミン及び水素は、好ましくは、不飽和複素環式アミン1モル当たり水素1000モル以下、好ましくは不飽和複素環式アミン1モル当たり水素800モル以下のモル比で反応する。
【0045】
第1のN−アルキル化工程は、飽和複素環式アミンが好ましくは連続的に反応器に供給され、中間体飽和複素環式アミンを含む生成物が反応器から連続的に回収されるという点で、連続反応器で実施される。反応器の種類に応じて、反応器全体にわたって温度変動が生じる場合がある。このような実施形態では、反応器の入口における温度は、反応温度として定義される。反応器全体にわたる温度上昇は、好ましくは200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。供給及び回収は連続的であり、それにより、当業者は、本方法がバッチ方法ではなく連続的方法であることを理解するであろう。一実施形態では、ガス状飽和複素環式アミン及びアルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールは、反応器に一緒に供給されてもよい。特に好ましい実施形態では、液体飽和複素環式アミンが気化器に供給され、そこで、アルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールと共に気化され、アルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールと、飽和複素環式アミンとの混合ガス流を生成し、次に反応器に供給される。
【0046】
好ましくは、飽和複素環式アミンは、水素化工程から、例えば、凝縮液体として飽和複素環式アミンを冷却及び収集することによって収集することができ、任意選択で、過剰の水素を除去し、例えば、リサイクルすることができる。収集は、好ましくは、例えば、水素化工程からの生成物流を、飽和複素環式アミンが凝縮されて、生成物流中の水素から分離されるノックアウトポットに送ることによって、連続的に実行される。次いで、収集された飽和複素環式アミンは、上記のように第1のN−アルキル化工程に供給され得る。水素は、水素化工程にリサイクルされ得る。このような方法では、水素化が高レベルの過剰水素で実施でき、次いで水素が第1のN−アルキル化工程の前に除去されて、その結果、第1のN−アルキル化工程における反応器は、過剰な水素を処理するためのサイズにする必要がないという点で有利であり得る。
【0047】
しかしながら、いくつかの実施形態では、飽和複素環式アミン及び水素を含む水素化工程からの生成物は、分離が起こらずに、任意選択で中間体加熱又は冷却を伴って供給されるという点で、第1のN−アルキル化工程に直接供給される。水素化及び第1のN−アルキル化工程が両方とも気相にあるいくつかの実施形態において、飽和複素環式アミン及び水素を含む水素化工程からのガス状生成物は、ガス相に保持され、N−アルキル化工程に供給される。このような方法は、冷却及び分離を必要とせずに、飽和複素環式アミンを効率的に移動させることができる。好ましくは、ガス状生成物は、第1のN−アルキル化工程に供給される前に加熱される。好ましくは、アルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールもまた、例えば、第1のN−アルキル化工程に供給される前、好ましくは加熱される前のガス状生成物に添加することにより、第1のN−アルキル化工程に添加される。
【0048】
いくつかの実施形態では、水素化工程及び第1のN−アルキル化工程が、同じ反応器内で実施される。このような実施形態では、不飽和複素環式アミンは水素と反応して、飽和複素環式アミンを形成し、次いで、アルキル化剤との反応によって同じ反応器中でアルキル化される。好ましくは、アルキル化剤は、ジアルキルエーテル、例えば、ジエチルエーテル又は最も好ましくはジメチルエーテルであり、アルカノールからin situで生成することができ、例えば、エタノールからジエチルエーテルのin situ生成、又は最も好ましくは、メタノールからジメチルエーテルのin situ生成である。したがって、いくつかの実施形態では、ガス状不飽和複素環式アミン、水素及びアルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールは、水素化工程及びN−アルキル化工程が行われる反応器に供給される。好ましくは、不飽和複素環式アミン及びアルキル化試薬、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル又はジメチルエーテル、好ましくはメタノール又はエタノール、より好ましくはメタノール又はジメチルエーテル、なお一層より好ましくはメタノールは、液体として気化器に供給され、ガス状水素を含む流れに気化する。次いで、得られたガス流を反応器に供給する。
【0049】
好ましくは、第1のN−アルキル化工程は、飽和複素環式アミンをジアルキルエーテル、好ましくはジエチルエーテル又はジメチルエーテル、最も好ましくはジメチルエーテルと反応させることを含む。ジアルキルエーテルは、反応器に直接供給されてもよく、又はアルカノールのエーテル化によってin situで生成されてもよい。例えば、ジエチルエーテルは、反応器に直接供給されてもよく、又はエタノールのエーテル化によってin situで生成されてもよい。最も好ましい例では、ジメチルエーテルは、反応器に直接供給されてもよく、又はメタノールのエーテル化によってin situで生成されてもよい。ジメチルエーテルは、有利には、硫酸ジメチルなどのアルキル化剤よりも安全であり得、炭酸ジメチルなどのアルキル化剤よりも副生成物が少なくなる可能性がある。
【0050】
好ましくは、圧力は、100バール以下、好ましくは50バール以下、より好ましくは35バール以下、最も好ましくは20バール以下である。圧力が低下すると、維持コストが低くなり、関連機器のコストを削減することができる。圧力は、好ましくは少なくとも1バール、より好ましくは少なくとも2バール、更により好ましくは少なくとも5バールである。このような圧力により、反応速度が改善され、反応に送られるガスの量が減少し、ひいてはコストも抑えることができる。
【0051】
好ましくは、温度は、少なくとも220℃、好ましくは少なくとも250℃、より好ましくは少なくとも280℃である。このような温度により、適切な活性及び変換率を確実なものにすることができる。好ましくは、温度は500℃以下、より好ましくは400℃以下、更により好ましくは350℃以下、なお一層より好ましくは320℃以下である。温度が低下すると、加熱ガス及び設備コストの両方でコストを削減することができる。
【0052】
本発明の特定の利点は、滞留時間が短縮されることであり得る。滞留時間は、当業者によく知られているガス毎時空間速度(GHSV)を使用して説明することができ、これは、反応器内のガス状飽和複素環式アミンの体積流量を反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される。好ましくは、GHSVは、少なくとも20h
−1、より好ましくは少なくとも30h
−1である。好ましくは、GHSVは、200h
−1以下、より好ましくは150h
−1以下、更により好ましくは100h
−1以下、なお一層より好ましくは80h
−1以下である。飽和複素環式アミンが液体として気化器に供給される場合、気化器への液体飽和複素環式アミンの体積流量を、反応器内の触媒の体積で割ったものとして定義される、液体毎時空間速度(LHSV)の観点から飽和複素環式アミンのスループットを説明することも都合のよい場合がある。好ましくは、LHSVは、2.0h
−1以下、好ましくは1.5h
−1以下であり、より好ましくはLHSVは1.2h
−1以下であり、最も好ましくはLHSVは1.1h
−1以下である。好ましくは、LHSVは、少なくとも0.1h
−1であり、より好ましくは少なくとも0.2h
−1である。
【0053】
ジエチルエーテル又は最も好ましくはジメチルエーテルなどのジアルキルエーテルが、アルカノールのエーテル化、例えば、ジエチルエーテルを生成するためのエタノールのエーテル化、又は最も好ましくは、ジメチルエーテルを生成するためのメタノールのエーテル化によりin situで生成される場合、飽和複素環式アミン及びアルカノールは、好ましくは、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1モル、より好ましくは飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1.2モル、更により好ましくは飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1.5モル、なお一層より好ましくは飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも2モルのモル比で本方法に供給される。飽和複素環式アミン及びアルカノールは、好ましくは、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール20モル以下のモル比で本方法に供給される。飽和複素環式アミン及びアルカノールは、より好ましくは、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール10モル以下のモル比で本方法に供給される。このような比は、アルカノールがメタノールであり、ジアルキルエーテルがジメチルエーテルである場合に特に好まし場合があり、迅速な反応を促進するのに十分な過剰のジアルキルエーテルを提供することができ、反応器を流れるガスの量を不必要に増加させず、したがってサイズ及びコストを増加させない。
【0054】
1つ以上の更なるN−アルキル化工程は、液相中で実施されてもよい。そのことは有利であり得、これは、1つ以上の更なるN−アルキル化工程で生成される複素環式四級アンモニウム塩が、低い蒸気圧を有し得るからである。1つ以上の更なるN−アルキル化工程は、バッチ方法として実施されてもよいが、好ましくは連続的である。例えば、1つ以上の更なるN−アルキル化工程は、1つ以上の連続撹拌槽型反応器において連続的に実施することができる。
【0055】
1つ以上の更なるN−アルキル化工程は、中間体飽和複素環式アミンを炭酸ジメチル又は硫酸ジメチルと反応させることによって実施することができる。特に、第1のN−アルキル化工程が飽和複素環式アミンとジメチルエーテルとを反応させることによって行われる場合、炭酸ジメチルと反応させることが好ましい場合がある。ジメチルエーテルがメタノールからin situで生成される場合、水が生成され、これは、炭酸ジメチルとのN−アルキル化によって生成される複素環式四級アンモニウムメチル炭酸塩と反応して、複素環式四級アンモニウム炭酸塩、複素環式四級アンモニウム炭酸水素塩及び複素環式四級アンモニウム水酸化物のうちの1つ以上を生成することができる。水酸化物は、例えば所望の生成物であり得、したがって、任意の対イオン交換工程が使用される前に、1つ以上の更なるN−アルキル化工程において、いくらかの水酸化物を直接生成することが有利である。
【0056】
複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物上の第1の対イオンが第2の対イオンと交換される、対イオン交換工程を実行することが望ましい場合がある。例えば、水酸化物が所望の生成物である場合、対イオン交換工程は、複素環式四級アンモニウム塩を、ナトリウム又はカルシウム水酸化物などの好適な水酸化物種と反応させて、複素環式四級アンモニウム水酸化物及び有機金属塩、例えば、最終的な複素環式四級アンモニウム水酸化物生成物を残すために除去することができるナトリウムメチル炭酸塩又はカルシウムメチル炭酸塩又はメチル硫酸塩などを形成することを含み得る。対イオン交換工程は、好ましくは液相中で行われる。対イオン交換工程は、バッチ方法として実行されてもよいが、効率を高め、コストを削減するために、例えば、連続撹拌槽型反応器又は好適な水酸化物イオン交換樹脂を使用して、連続方法として実施することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
ここで、添付の図を参照して、限定的な意味ではなく例として、本発明の実施形態を説明する。
【
図1】本発明の第1の態様による方法のフローシートである。
【
図3】ルチジン1モル当たり水素800モルの比での変換率及び活性のグラフである。
【
図4】ルチジン1モル当たり水素600モルの比での変換率及び活性のグラフである。
【
図5】ルチジン1モル当たり水素400モルの比での変換率及び活性のグラフである。
【
図6】温度に対してプロットされた変換率及び活性のグラフである。
【
図7】本発明の第2の態様による方法のフローシートである。
【
図8】本発明の第1及び第2の態様による方法のフローシートである。
【
図9】本発明の第1及び第2の態様による方法のフローシートである。
【
図10】本発明の第3の態様による方法のフローシートである。
【
図11】本発明の第1、第2及び第3の態様による方法のフローシートである。
【
図14】4つの異なる触媒の変換率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1では、水素ガス102が圧縮され104、気化器105に供給される。不飽和複素環式アミン、この実施形態では3,5ルチジン101は、気化器105内にポンプ圧送され103、そこで、気化されて水素ガスになる。気化器105を出る流れは、ガス状の3,5ルチジン及び水素ガスを含み、加熱され106、反応器107に供給される。反応器107では、3,5ルチジンと水素との間の気相反応が起こり、3,5ジメチルピペリジンが形成される。好ましくは、反応器107内の圧力は70バール以下であり、反応器107の入口温度は、好ましくは150℃〜350℃の範囲である。3,5ジメチルピペリジンを含む反応器107からの生成物は、最初に水素リサイクル流114との熱交換108によって、次に冷却111によって冷却されてから、水素ノックアウトポット112に供給される。水素ノックアウトポット112において、生成物3,5ジメチルピペリジンは凝縮され、液体3,5ジメチルピペリジン113として生成され、水素はガスとして残り、頭上で生成される。水素は圧縮され109、水素リサイクル流114でリサイクルされるか、又はパージされる110。
【0059】
図7では、3,5ジメチルピペリジン201及びメタノール202を含む供給物を気化器203に供給し、3,5ジメチルピペリジン201及びメタノール202を気化して、3,5ジメチルピペリジン及びメタノールを含む混合ガス流204を形成する。混合ガス流204は、N−アルキル化反応器205に供給され、そこで、メタノールはジメチルエーテルに変換され、例えば、アルミナ触媒上で3,5ジメチルピペリジンと反応して、1,3,5トリメチルピペリジンを生成し、1,3,5トリメチルピペリジンを生成物流206中に回収する。N−アルキル化反応器205は、好ましくは、少なくとも220℃の入口温度を有する。
【0060】
図8では、3,5ルチジン1101を含む流れは、気化器1105に供給され、そこで、水素の流れ1102に気化される。得られたガス流は、水素化反応器1107に供給され、そこで、3,5ルチジンは、例えばニッケル触媒上で3,5ジメチルピペリジンに水素化される。反応器1107内の圧力は、好ましくは70バール以下であり、反応器1107の入口温度は、好ましくは150℃〜350℃の範囲である。水素化反応器1107からの生成物流1201をメタノール1202と混合し、加熱器1207で加熱した後、N−アルキル化反応器1205に送られる。N−アルキル化反応器1205では、メタノールはジメチルエーテルを形成し、該ジメチルエーテルは、例えば、アルミナ触媒上で3,5ジメチルピペリジンと反応して、1,3,5トリメチルピペリジンを生成し、該1,3,5トリメチルピペリジンは、生成物流1206中に回収される。N−アルキル化反応器1205は、好ましくは、少なくとも220℃の入口温度を有する。水素は、生成物流1206から分離され、水素リサイクル流1114を介してリサイクルされる。
【0061】
図9では、3,5ルチジン2101の流れは、気化器2105に供給され、そこで、水素2102の流れに気化される。得られたガス流は、水素化反応器2107に供給され、そこで、3,5ルチジンは、例えばニッケル触媒上で3,5ジメチルピペリジンに水素化される。水素化反応器2107からの生成物流は、ノックアウトポット2112に供給され、そこで、水素ガスが頭上から出て、水素リサイクルライン2114を介してリサイクルされ、3,5ジメチルピペリジン流2201が液体として出てくる。3,5ジメチルピペリジン流2201は、メタノール2202と混合され、気化器2203に供給された後、N−アルキル化反応器2205に送られる。N−アルキル化反応器2205では、メタノールはジメチルエーテルを形成し、該ジメチルエーテルは、例えば、アルミナ触媒上で3,5ジメチルピペリジンと反応して、1,3,5トリメチルピペリジンを生成し、該1,3,5トリメチルピペリジンは、生成物流2206中に回収される。N−アルキル化反応器2205は、少なくとも220℃の入口温度を有する。
【0062】
図10では、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物を生成するための方法は、3,5ルチジンが3,5ジメチルピペリジンに水素化される水素化工程301、3,5ジメチルピペリジンが1,3,5トリメチルピペリジンにアルキル化される第1のN−アルキル化工程302と、1,3,5トリメチルピペリジンが1,1,3,5テトラメチルピペリジニウムメチル炭酸塩、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸水素塩、及び1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物のうちの1つ以上にアルキル化される第2のN−アルキル化工程303と、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウムメチル炭酸塩及び1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸水素塩が1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物に変換される対イオン交換工程304と、を含む。特定の実施形態では、水素化工程301及びN−アルキル化工程302は、連続気相反応である。水素化工程301及び第1のN−アルキル化工程302は、例えば、
図1〜
図9又は
図11〜
図14のいずれかに関連して記載されるとおりであってもよい。
【0063】
図11では、水素ガス3102が圧縮され3104、気化器3105に供給される。不飽和複素環式アミン、この実施形態では3,5ルチジン3101は、気化器3105内にポンプ圧送され3103、そこで、気化されて水素ガスになる。気化器を出る流れは、ガス状の3,5ルチジン及び水素ガスを含み、加熱され3106、反応器3107に供給される。反応器3107では、3,5ルチジンと水素との間の気相反応が起こり、3,5ジメチルピペリジンが形成される。反応器3107内の圧力は、好ましくは70バール以下であり、反応器3107の入口温度は、好ましくは150℃〜350℃の範囲である。反応器3107からの生成物3201は、ポンプ3209を介して供給されるメタノール3202と混合され、熱交換器3208及び加熱器3207で加熱された後、N−アルキル化反応器3205に供給される。N−アルキル化反応器3205では、メタノールはジメチルエーテルを形成し、該ジメチルエーテルは、例えば、アルミナ触媒上で3,5ジメチルピペリジンと反応して、1,3,5トリメチルピペリジンを生成する。N−アルキル化反応器3205は、少なくとも220℃の入口温度を有する。1,3,5トリメチルピペリジンを含むN−アルキル化反応器3205からの生成物は、熱交換器3208、熱交換器3106、熱交換器3108及び冷却器3111で冷却された後、水素ノックアウトポット3112に供給される。水素ノックアウトポット3112において、生成物1,3,5トリメチルピペリジンは凝縮され、液体1,3,5トリメチルピペリジンとして生成され、水素はガスとして残り、頭上で生成される。水素は圧縮され3109、水素リサイクル流3114でリサイクルされるか、又はパージされる3110。液体の1,3,5トリメチルピペリジンは加熱され3212、第2のN−アルキル化反応器3214に送られ、そこにポンプ3211及び加熱器3213を介して炭酸ジメチル3210も供給される。第2のN−アルキル化反応器3214では、1,3,5トリメチルピペリジンは、炭酸ジメチルと反応して、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸塩、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸水素塩、及び1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物の混合物を形成し得る。第2のN−アルキル化反応器3214からの生成物は、冷却され3215、炭酸ジメチルデカンタ3217に供給され、そこに水3218も供給される。炭酸ジメチルデカンタ3217では、炭酸ジメチルが、分離及びポンプ3216を介してリサイクルされ、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸塩、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸水素塩、及び1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物の混合物が、対イオン交換3222に送られる。そこで、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸塩、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸水素塩、及び1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物の混合物を水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウムと接触させて3219、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸塩及び1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム炭酸水素塩を、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物に変換する。炭酸ナトリウム又は炭酸カルシウム3220の溶液、及び1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物3221の溶液を、対イオン交換工程3222から回収する。
【0064】
水素化実施例
図1の方法を、以下の実施例で試験した。最初に、反応器に、115.8g(150mLに相当)のHTC 500RP(Johnson Matthey Plcから入手可能)を0.772gmL
−1の濃度で充填した。
【0065】
50ノルマルl/hの水素流下で、50psigにて12時間にわたって室温から230℃まで温度を上昇させることによって、触媒を活性化した。還元中はリサイクル圧縮機が作動しており、約300g/hのリサイクル流を生成した。
【0066】
次いで、反応器入口温度185℃、反応器圧力60barg、触媒の体積で割った気化器への3,5ルチジンの液体供給に基づく液体毎時空間速度(LHSV)0.4h
−1、3,5ルチジン1モル当たり水素800モルの水素:3,5ルチジン比で、3,5ルチジンの供給物を導入した。約40時間稼働後、3,5ルチジンの変換率は、約99.91重量%で安定化した。70時間稼働後、変換率が99.88重量%に低下したため、反応器入口温度を190℃まで上昇させた。これにより、変換率が99.97重量%に増加した。143時間稼働後、LHSVを0.5h
−1まで増加させた。変換率は、約99.78重量%で安定化した。これらの条件は、256時間稼働まで維持された。これらの256時間稼働のルチジン変換率及び触媒選択性を
図2に示す。
【0067】
長時間の停止後、反応器入口温度190℃、反応器入口温度195℃、反応器圧力60barg、LHSV0.5h
−1、3,5ルチジン1モル当たり水素800モルの水素:3,5ルチジン比で、ユニットを再開した。
【0068】
この次の実施期間における変換率及び活性を
図3に示す。再起動時に活性が大幅に失われたことを明確に示すものは存在しなかったことが分かる。これは、触媒が、強制的なプラント停止に耐えるのに十分な安定性を有することを示唆している。触媒は、非常に遅い失活速度で、実施全体を通して活性を保持した。
【0069】
次いで、リサイクル水素ガスを還元して、3,5ルチジン1モル当たり水素600モルの水素:3,5ルチジン比が得られたが、他の全てのパラメータは前と同じままであった。この期間の変換率及び活性は、
図4に示されており、これは、この実施中に全体的な失活を明確に示すものはなかったことを示している。
【0070】
高いガス流量を維持しながら、3,5ルチジン1モル当たり水素400モルの水素:3,5ルチジン比を達成するために、他の全てのパラメータを前と同じに維持しながら、LHSVを0.72h
−1まで増加させた。この期間の変換率及び活性を
図5に示す。触媒の失活速度の大幅な増加を明確に示すものはなかった。
【0071】
エージング後のより活性の低い触媒による操作をシミュレートするために、3,5ルチジン1モル当たり水素400モルの水素:3,5ルチジン比を維持しながら、LHSVを1.0に増加させた。
【0072】
660時間稼働後、これにより、92.76重量%の3,5ルチジン変換率が得られた。選択性の大幅な変化はなかった。簡略化のために、暫定的な変換率が線形のままであり、99.5重量%の変換率で始まると仮定すると、これは11000時間超の稼働とほぼ同等であり、商業プロセスに必要な期待される触媒寿命よりも長くなる。
【0073】
触媒温度を増加させ、時間の経過と共に活性の喪失を相殺する、触媒管理手順をシミュレートするために、経時的に温度を上昇させ、全体を通して識別可能な生成物の選択性の変化はなかった。これを表1と
図6に示す。
【0074】
【表1】
表1−変換率及び活性に対する温度の影響
【0075】
許容範囲内の変換率及び活性が温度範囲全体にわたって得られていることが分かる。
【0076】
反応器入口温度190℃、反応器入口温度195℃、反応器圧力60barg、LHSV0.5h
−1、3,5ルチジン1モル当たり水素800モルの水素:3,5ルチジン比で、ユニットを戻した。832時間稼働後、これにより、99.58重量%のルチジン変換率が得られ、これは2.80の活性に相当し、触媒が少なくとも600時間にわたって活性の約8%を失ったことを示唆する。
【0077】
第1のN−アルキル化実施例
気相N−アルキル化実施例1
3,5ジメチルピペリジンの1,3,5トリメチルピペリジンへの気相N−アルキル化の実施例は、γ−アルミナ押出物を超える連続気相方法を用いて実施した。
【0078】
190℃にて、圧力50バール、触媒の体積で割った気化前の3,5ジメチルピペリジンの液体供給速度に基づく液体毎時空間速度0.3h
−1で、反応器を作動させた。反応器を通る水素ガス量は、240ノルマルl/hであった。反応器への供給物は、10.14重量%のメタノール、7.3重量%のシス3,5ジメチルピペリジン、2.65重量%のトランス3,5ジメチルピペリジン、及び79.8重量%のシクロヘキサンを含有していた。シクロヘキサンは、ポンプ制御を補助する不活性希釈剤として存在し、反応には関与しない。連続操作の49時間稼働後、これにより、3.4重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性が得られた。
【0079】
他の全てのパラメータを同じように維持しながら、温度を195℃まで上昇させた。連続操作の90.2時間稼働後、これにより、4.1重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対してわずかに高い選択性が得られた。
【0080】
1,3,5トリメチルピペリジンへの変換率が低いため、温度を225℃まで上げた。連続操作の115時間稼働後、これにより、14.8重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性が得られ、これは195℃で4.1重量%の選択性から大幅に増加している。
【0081】
温度を235℃まで更に上げ、ガス量を50%(240から120ノルマルl/hまで)下げて、増加した床体積をシミュレートした。液体毎時空間速度は、前の実施と同じであったことに留意されたい。連続操作の137時間稼働後、これにより、32.9重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性が得られた。
【0082】
温度を250℃まで上げ、ガス量を80ノルマルl/hまで下げた。連続操作の161時間稼働後、これにより、57.1重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性が増加した。
【0083】
ガス量を40ノルマルl/hまで更に下げた。連続操作の178.9時間稼働後、これにより、67.7重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性が得られた。
【0084】
次いで、温度250℃、圧力50barg、水素流量40ノルマルl/h、LHSV0.23h
−1、3,5ジメチルピペリジン1モル当たりメタノール8モルのメタノール対3,5ジメチルピペリジンのモル比で、同じ反応器を操作した。195時間稼働後、これにより、高い選択性で生成された1,3,5トリメチルピペリジン異性体で約80重量%の変換率が得られた。
【0085】
他の全てのパラメータを同じように維持しながら、温度を275℃まで上昇させた。223時間稼働後、これにより、99重量%を超える変換率及び1,3,5トリメチルピペリジン異性体に対する良好な選択性が得られた。
【0086】
気相N−アルキル化実施例2
再度、γ−アルミナ押出物上で連続気相方法を使用して、更なる実施を行った。29.78重量%のメタノール及び68.66重量%の3,5ジメチルピペリジンの供給物を、入口温度262℃、反応器圧力10barg、気化器に供給される液体3,5ジメチルピペリジンの体積流量に基づく液体毎時空間速度0.79h
−1を有する反応器に供給した。したがって、メタノール:3,5ジメチルピペリジンのモル比は1.5:1であった。連続操作の176時間稼働後、これにより、99.16重量%の3,5ジメチルピペリジン変換率を、94.67重量%の生成物選択性で得た。
【0087】
他の全てのパラメータを同じように維持しながら、メタノール:3,5ジメチルピペリジンのモル比を1:1まで減少させた。連続操作の212時間稼働後、これにより、96.28重量%の3,5ジメチルピペリジン変換率を、92.82重量%の所望の生成物に対する選択性で得た。変換率の低下は、ジメチルエーテルを生成するためのモル過剰のメタノールが存在しない結果であると考えられる。しかしながら、変換率は、依然として許容範囲内であり、この理由としては、ジメチルエーテルを生成するために2モルのメタノールが必要であるにもかかわらず、1モルのメタノールがN−アルキル化方法で再生され、1:1のメタノール:3,5ジメチルピペリジンのモル比であるゆえに、依然として適切な結果をもたらすからであると考えられる。
【0088】
連続操作の220時間稼働で、供給物をメタノール:3,5−ジメチルピペリジンのモル比1.5:1に戻し、LHSVを1.0h
−1まで増加させた。反応器入口温度を233℃まで低下させた。連続操作の260時間稼働後、これにより、99.33重量%の3,5ジメチルピペリジン変換率及び97.39重量%の選択性が得られた。
【0089】
連続操作の265時間稼働で、LHSVを1.1h
−1まで増加させ、他のパラメータは変更なしで継続した。連続操作の308時間稼働後、これにより、99.09重量%の3,5−ジメチルピペリジン変換率、及び94.26重量%の1,3,5−トリメチルピペリジンに対する選択性が得られた。
【0090】
連続操作の310時間稼働で、反応器入口温度261℃にて、メタノール:3,5−ジメチルピペリジンのモル比1.5:1で、LHSVを0.8h
−1まで戻した。これらの条件を約350時間維持して、触媒の失活データを生成した。連続操作の683時間稼働後、これにより、99.15重量%の3,5−ジメチルピペリジン変換率、及び92.50重量%の1,3,5−トリメチルピペリジンに対する選択性を得た。
【0091】
図12に示すように、触媒の性能は非常に安定しており、活性のわずかな低下が見られた。
【0092】
気相N−アルキル化実施例3
メタノール:3,5ジメチルピペリジンのモル比2:1、入口温度260℃、LHSV2.2h
−1、並びに、それぞれ5barg、10barg、及び20bargの圧力で、連続気相反応器において3回実施した。これら3回の実施は、方法に対する圧力の影響を示す。各実施では、3%シリカを有する2つの異なるシリカ/アルミナ触媒を使用した。両方の触媒は、適切な変換率を示した。
図13に示される重量%での変換率の結果は、圧力を増加させることによって、3,5ジメチルピペリジンの変換率が増加するが、全ての圧力で十分な変換率が観察されることを示す。
【0093】
気相N−アルキル化実施例4
4つの異なる触媒を比較するために、更なる実験を実施した。触媒A及びBは、3%シリカを有するシリカ/アルミナ触媒であり、触媒C及びDはアルミナ触媒である。メタノール:3,5ジメチルピペリジンのモル比5:1、入口温度260℃、LHSV0.7h
−1、圧力10bargで、連続気相N−アルキル化方法において触媒を使用した。
図14の結果は、両方の種類における触媒の平均変換率が許容範囲内であるが、シリカ/アルミナ触媒A及びBは、より高い平均変換率を有したことを示す。
【0094】
気相水素化及びN−アルキル化
気相水素化及び第1のN−アルキル化の組み合わせは、水素化反応器への供給物にメタノールを添加して、ジメチルエーテル中間体を介して水素化反応と並流のガス相N−アルキル化反応を促進することによって達成され得る。これは、必要とされる反応器の数を低減するのに有利であり得る。しかしながら、メタン及び水の形成には、適切なリサイクルガスの分子量を維持するために、水素ガスのリサイクルからの大量のパージが必要になる可能性がある。
【0095】
9.6重量%の3,5ルチジン、10.1重量%のメタノール、及び残りのシクロヘキサンの供給組成物を気化させ、温度190℃、圧力50barg、反応器内の触媒の体積で割った気化器への3,5ルチジンの体積液体流量に基づくLHSV0.3h
−1、反応器を通るガス量240ノルマルl/h、及び3,5ルチジン1モル当たり水素800モルの水素:3,5ルチジン比で、作動させた反応器に供給した。シクロヘキサンは、ポンプ制御を可能にする不活性希釈剤であり、反応には関与しない。
【0096】
連続操作の360時間稼働後、これにより、98.77重量%の3,5ルチジン変換率が得られ、31.7重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性、50.0重量%のシス3,5ジメチルピペリジンに対する選択性、及び18.3重量%のトランス3,5ジメチルピペリジンに対する選択性が得られた。
【0097】
他の全てのパラメータを同じように維持しながら、供給物を10.1重量%の3,5ルチジン及び89.8重量%のメタノールに変更した。連続操作の396時間稼働後、これにより、99.23重量%の3,5ルチジン変換率が得られ、93.5重量%の1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性、4.65重量%のシス3,5ジメチルピペリジンに対する選択性、及び1.85重量%のトランス3,5ジメチルピペリジンに対する選択性が得られた。ユニットは、連続操作の538時間稼働までこれらの条件で操作された。この時点で、3,5ルチジン変換率は99.80重量%であり、この操作期間にわたる活性の喪失は示唆されなかった。
【0098】
バッチN−アルキル化の比較例
20mLの3,5ジメチルピペリジンを、ポンプを介して300mLオートクレーブ中で200℃にて200gの高温の炭酸ジメチルに移した。3,5ジメチルピペリジンを既に高温の炭酸ジメチルに移すことにより、オートクレーブを加熱する際に不要なカルバメートの形成が回避される。浸漬したディップレッグから試料を採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。結果を以下の表2に示す。
【0100】
試料の採取に使用したものと同じディップレッグを介してオートクレーブ内に3,5ジメチルピペリジンを供給したため、10分間の試料まで、試料はオートクレーブの内容を表していない。3,5ジメチルピペリジンの変換率は、120分後に99.3重量%に達した。しかしながら、標的1,3,5トリメチルピペリジンに対する選択性は、わずか56.2重量%であり、カルバメート種に大幅な低下があった。また、試験中に大量の固体沈殿物が生成された。これは、第2のメチル化工程によって形成される1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムメチル炭酸塩である可能性が高い。この沈殿物は、採取した試料の10重量%に相当する。
【0101】
3,5ジメチルピペリジンの高い変換率及び1,3,5トリメチルピペリジンに対する高い選択性をもたらす上記の気相N−アルキル化の実施例と比較して、バッチオートクレーブのN−アルキル化は、標的1,3,5トリメチルピペリジンに対して非常に選択的ではなく、かなりの量の不必要なカルバメートを形成した。
【0102】
上記の実施形態は、任意の限定的な意味ではなく、あくまで例として記載されており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正が可能であることが当業者には理解されるであろう。例えば、上記の実施例は、水素化への供給物として3,5ルチジンを使用するが、他の不飽和複素環式アミンは本発明の一部として想到される。上で説明したように、液相中の3,5ルチジン水素化により生じる同じ失活の問題は、他の不飽和複素環式アミンで発生することが予想され、本発明の方法によって同じ方法で解決されると予想される。同様に、3,5ジメチルピペリジンの気相N−アルキル化に関して上述した利点は、他の飽和複素環式アミンのN−アルキル化にも当てはまることが予想されるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2020年12月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和複素環式アミンをN−アルキル化する方法であって、前記飽和複素環式アミンを、少なくとも220℃の温度で気相反応にてN−アルキル化することを含む、方法。
【請求項2】
前記飽和複素環式アミンをジメチルエーテルと反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジメチルエーテルが、メタノールのエーテル化によってin situで生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記飽和複素環式アミン及び前記メタノールが、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール少なくとも1モルから、飽和複素環式アミン1モル当たりアルカノール20モル以下のモル比で前記方法に供給される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力が、1バール〜100バールの範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ガス毎時空間速度が、20h−1〜200h−1の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン環又はピロリジン環を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6ジメチルピペリジン、3,5ジメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、及び2,5−ジメチルピロリジンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記飽和複素環式アミンが、完全飽和複素環式アミンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記飽和複素環式アミンが、3,5ジメチルピペリジンであり、前記方法が、1,3,5トリメチルピペリジンを含むN−アルキル化生成物を生成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ガス状飽和複素環式アミンを反応器に供給することと、前記反応器内の気相反応において前記飽和複素環式アミンをN−アルキル化して、N−アルキル化生成物を生成することであって、前記反応器入口温度が少なくとも220℃である、生成することと、前記N−アルキル化生成物を含む生成物流を前記反応器から回収することを含み、前記供給及び回収が連続的である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
液体飽和複素環式アミンが気化器に供給され、そこで、アルキル化試薬と共に気化され、アルキル化試薬と飽和複素環式アミンとの混合ガス流を生成し、次いで前記混合ガス流を前記反応器に供給する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルキル化試薬が、メタノールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記気相反応が、アルミナを含む触媒上で起こる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が、γ−アルミナを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒が、シリカも含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物を生成するための方法であって、不飽和複素環式アミンが水素と反応して、飽和複素環式アミンを形成する連続水素化工程と;前記飽和複素環式アミンがN−アルキル化され、前記飽和複素環式アミンと比較して置換度が増加した中間体飽和複素環式アミンを生成する第1の連続N−アルキル化工程と;前記中間体飽和複素環式アミンが前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物にN−アルキル化される1つ以上の更なるN−アルキル化工程と;を含む、方法。
【請求項18】
前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物上の第1の対イオンが第2の対イオンと交換される、対イオン交換工程を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対イオン交換工程が、連続的である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水素化工程が、前記気相にある、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の連続N−アルキル化工程が、前記気相にある、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の更なるN−アルキル化工程が、連続的である、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記不飽和複素環式アミンが、ピリジン環又はピロール環を含み、前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン環又はピロリジン環を含み、前記中間体飽和複素環式アミンが、ピペリジン環又はピロリジン環を含み、前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物が、ピペリジニウム環又はピロリジニウム環を含む、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記不飽和複素環式アミンが、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6ルチジン、3,5ルチジン、ピロール、2−メチルピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、及び2,5−ジメチルピロールからなる群から選択され;前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6ジメチルピペリジン、3,5ジメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、及び2,5−ジメチルピロリジンからなる群から選択され;前記中間体飽和複素環式アミンが、1−メチルピペリジン、1,2−ジメチルピペリジン、1,3−ジメチルピペリジン、1,4−ジメチルピペリジン、1,2,6トリメチルピペリジン、1,3,5トリメチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1,2−ジメチルピロリジン、1,3−ジメチルピロリジン、1,2,4−トリメチルピロリジン、及び1,2,5−トリメチルピロリジンからなる群から選択され;前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物が、1,1−ジメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,4−トリメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2,6テトラメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム塩又は水酸化物、1,1−ジメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2−トリメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,3−トリメチルピロリジニウム塩又は水酸化物、1,1,2,4−テトラメチルピロリジン塩又は水酸化物、及び1,1,2,5−テトラメチルピロリジン塩又は水酸化物からなる群から選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記不飽和複素環式アミンが、3,5ルチジンであり、前記飽和複素環式アミンが、3,5ジメチルピペリジンであり、前記中間体飽和複素環式アミンが、1,3,5トリメチルピペリジンであり、前記複素環式四級アンモニウム塩又は水酸化物が、1,1,3,5テトラメチルピペリジニウム水酸化物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記水素化工程が、不飽和複素環式アミンを、気相反応において、70バール以下の圧力及び150℃〜350℃の範囲の温度で水素と反応させることを含む、請求項17〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のN−アルキル化工程が請求項1〜16のいずれか一項に記載されている、請求項17〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記飽和複素環式アミンが、凝縮液体として前記水素化工程から収集され、気化されて、前記第1のN−アルキル化工程に供給される、請求項17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記収集が連続的に実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記収集が、前記水素化工程からの生成物流を、前記飽和複素環式アミンが凝縮されて、前記生成物流中の水素から分離されるノックアウトポットに送ることによって実行される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記飽和複素環式アミン及び水素を含む、前記水素化工程からの生成物流が、前記第1のN−アルキル化工程に直接供給される、請求項17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記生成物流がガス流であり、前記生成物流が前記ガス相に維持され、前記第1のN−アルキル化工程に供給される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記水素化工程及び前記第1のN−アルキル化工程が、同じ前記反応器内で実施される、請求項17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】