特表2021-532132(P2021-532132A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-532132新規なオートタックキメラ化合物、これを含む標的タンパク質分解による疾患の予防、改善または治療用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-532132(P2021-532132A)
(43)【公表日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】新規なオートタックキメラ化合物、これを含む標的タンパク質分解による疾患の予防、改善または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/55 20170101AFI20211029BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20211029BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20211029BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20211029BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20211029BHJP
   A61K 45/08 20060101ALI20211029BHJP
   C07C 233/21 20060101ALI20211029BHJP
   C07C 217/54 20060101ALI20211029BHJP
   C07C 217/28 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
   A61K47/55
   A61P35/00
   A61P39/02
   A61P27/02
   A61P25/28
   A61P43/00 105
   A61P3/10
   A61P25/20
   A61P25/00
   A61P25/08
   A61P25/16
   A61P9/10
   A61P25/14
   A61P21/02
   A61P9/00
   A61P31/12
   A61P31/04
   A61K47/68
   A61K47/54
   A61K45/08
   C07C233/21
   C07C217/54
   C07C217/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】79
(21)【出願番号】特願2021-503892(P2021-503892)
(86)(22)【出願日】2019年7月24日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月22日
(86)【国際出願番号】KR2019009205
(87)【国際公開番号】WO2020022785
(87)【国際公開日】20200130
(31)【優先権主張番号】62/702,473
(32)【優先日】2018年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】520373796
【氏名又は名称】プロテック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PROTECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヨン・テ
(72)【発明者】
【氏名】ジ,チャン・フン
(72)【発明者】
【氏名】ガニピセッティ,スリニヴァスラオ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒ・イオン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ス・ラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チャン・フン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウィ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ギ・ウン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC10
4C076CC14
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF67
4C076FF68
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA06
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA051
4C084ZA052
4C084ZA061
4C084ZA062
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC371
4C084ZC372
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BJ50
4H006BN10
4H006BN30
4H006BP10
4H006BP30
4H006BU32
(57)【要約】
本発明は新規なp62リガンドとターゲット結合リガンドがリンカーで連結されたオートタックキメラ化合物、その立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ、これを有効性分として含む標的タンパク質を分解することによって疾患の予防または治療用薬学的または食品組成物に関するものであって、特定タンパク質を標的として濃度を調節することができるだけでなく、薬物およびその他低分子化合物をリソソームに伝達することができる。本発明によるオートタックキメラ化合物は特定タンパク質を選択的に除去することによって多様な疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物として有用に使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p62リガンド、ターゲット結合リガンド(Target binding ligand、TBL)およびリンカーを含むキメラ化合物。
【請求項2】
前記キメラ化合物は、下記化学式1の構造を有するものである、請求項1に記載の化合物。
【化1】
上記式中、
Aはターゲット結合リガンド(Target binding ligand)、Bはp62リガンドを示し、AとBはリンカー(Linker)で連結されているキメラ化合物。
【請求項3】
前記ターゲット結合リガンドは、次の表に示した化合物からなる群より選択される1種以上またはこれら構造に由来した誘導体構造を有するものである、請求項1に記載のキメラ化合物。
【請求項4】
前記p62リガンドは、下記化学式2の構造またはその誘導体構造を有するものである、請求項1に記載のキメラ化合物。
【化2】
Wは、C6−C10アリールであり;
Lは、−(CHn1−または−O−(CHn2−CH(OH)−であり、但し、前記−O−(CHn2−CH(OH)−中のOがベンゼン環に結合され、この時、n1は0〜1の整数であり;
n2は、1〜4の整数であり;
mは、0〜2の整数であり;
はRまたは−ORであり、
この時、Rは水素、または−(CHn3−R’であり、
R’は非置換されるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C1−4アルキル)アミノ、またはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n3は、1〜6の整数であり;
は、−ORであり、
この時、Rは水素、または−(CHn4−R’であり、
R’は非置換されるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C1−4アルキル)アミノ、またはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n4は、1〜6の整数であり;
は、−(CHn5−OH、−(CHn5−NH−C(=NH)NH、−C(=NH)NH、−CH(R)−COOH、または−CH(COO−R)−CHCHCH−NH−C(=NH)NH、−(CHn5−O−(CHn5−OH、−CONH(CHn5−OH、−CO(CHn6−OH、−(CHn6−CH(NH)−COOH、−(CHn6−CONHであり、
n5は、2〜4の整数であり、
n6は、1〜4の整数であり、
は、水素、またはC1−4アルキルであり、
は、C1−4アルキルであり、
は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシまたはC1−4アルキルである。
【請求項5】
前記リンカーは、−Q−(CHCHO)−(CH−P−、または−Q−(CHCHCHO)−(CH−P−、または−Q−(CHCHNH)−(CH−P−、または−Q−(CHCHCONH)−(CH−P−の構造を有し、
この時、Qは、ターゲット結合リガンドとの結合によって変更された部分である−NH−、−0−、=N−−N(CH)−を含み;
Pは、p62リガンドとの結合によって変更された部分である−NH−、−0−、−CH−、−C(=O)−を含み;
xは、0〜4の整数であり;
yは、0〜3の整数である、請求項1に記載のキメラ化合物。
【請求項6】
Wは、フェニルであり;
Lは、−(CHn1−または−O−(CHn2−CH(OH)−であり、但し、前記−O−(CHn2−CH(OH)−中のOがベンゼン環に結合され、この時、n1は0〜1の整数であり;
n2は、1〜2の整数であり;
mは、0〜2の整数であり;
は、水素または−O−(CHn3−R’であり、
R’は、非置換されるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、
n3は、1〜4の整数であり;
は、ヒドロキシまたは−O−(CHn4−R’であり、
R’は、非置換されるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、
n4は、1〜4の整数であり;
は、−(CHn5−OH、−(CHn5−NH−C(=NH)NH、−C(=NH)NH、−(CHn5−O−(CHn5−OH、−CONH(CHn5−OH、−CO(CHn6−OH、−(CHn6−CH(NH)−COOH、−(CHn6−CONHであり、
n5は、2〜3の整数であり、
n6は、1〜2の整数であり、
は、水素、ハロゲン、C1−2アルコキシまたはC1−2アルキルである、請求項4に記載のキメラ化合物。
【請求項7】
前記Pとp62リガンドとの結合は、−CONH−、−O−、−NH−、−NHCO−、または−COO−である、請求項5に記載のキメラ化合物。
【請求項8】
下記化合物1〜13からなる群より選択される化合物で表される、請求項1に記載のキメラ化合物。
1)(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−(((R)−3−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド;
2)(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド;
3)(R)−N−(15−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−14−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサ−12−アザペンタデシル)−4−フェニルブタンアミド;
4)N−(1−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル)−5,8,11−トリオキサ−2−アザトリデカン−13−イル)−4−フェニルブタンアミド;
5)3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(2−(2−(2−((3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アニリン;
6)(3R,4S,5S,6R)−5−メトキシ−4−((2R,3R)−2−メチル−3−(3−メチルブタ−2−エン−1−イル)オキシラン−2−イル)−1−オキサスピロ[2.5]オクタン−6−イル(13E,15E,17E,19E)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−12−オキソ−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザヘニコサ−13,15,17,19−テトラエン−21−オエート;
7)3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−((R)−15−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−14−ヒドロキシ−6,9−ジオキサ−3,12−ジアザペンタデシル)−5−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン;
8)(R)−1−(4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノキシ)−3−((2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール;
9)(R,Z)−4−((2−(2−(2−((3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール;
10)(E)−5−(4−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)スチリル)ベンゼン−1,3−ジオール;
11)(R)−2−(4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)−14−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザテトラデカン−13−オール;
12)(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−(((R)−3−(3−(ベンジルオキシ)−4−フェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;および、
13)(R)−1−(3−フェネトキシフェノキシ)−3−((2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか一項による化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物。
【請求項10】
前記疾患は、癌、タンパク質異常疾患(proteinophagy)、希少難治性疾患または遺伝的疾病である、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記疾患を誘発する原因タンパク質を直接除去することを特徴とする、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記タンパク質異常疾患は、神経変性疾患、α1−アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜炎、2型糖尿病または嚢胞性線維症である、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト−ヤコブ病(Creutzfeldt−Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)、脊髄小脳変性症、その他、ポリ−Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身性アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、注射−局所化アミロイド症、ベータ−2ミクログロブリンアミロイド症、遺伝性非−神経病アミロイド症、アレキサンダー病およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群より選択される1種以上である、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
請求項1〜8のうちのいずれか一項による化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、疾病を誘発する病因タンパク質および変性タンパク質のオートファジー伝達または分解用薬学的組成物。
【請求項15】
請求項1〜8のうちのいずれか一項のキメラ化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、標的タンパク質の分解を増大させる方法。
【請求項16】
請求項1〜8のうちのいずれか一項のキメラ化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、小器官および構造物の分解を増大させる方法。
【請求項17】
請求項1〜8のうちのいずれか一項のキメラ化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、細胞内に侵入したウイルスおよびバクテリアの分解を増大させる方法。
【請求項18】
請求項1〜8のうちのいずれか一項のキメラ化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、薬物や低分子化合物をオートファジーおよびリソソームに伝達する方法。
【請求項19】
請求項1〜8のうちのいずれか一項のキメラ化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、p62の自己オリゴマー化およびオートファジー活性化方法。
【請求項20】
請求項1〜8のうちのいずれか一項のキメラ化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、細胞内特定タンパク質をp62に連結させてオートファジーに伝達することによってリソソームによる分解を増大させる方法。
【請求項21】
請求項1〜8のうちのいずれか一項のキメラ化合物を細胞膜に露出されたタンパク質に特異的に結合する治療用抗体に連結した薬物を用いて、薬物をエンドソーム(endosome)を通じてリソソームに伝達する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なキメラ化合物に関するものであって、より詳しくは、p62リガンドとターゲット結合リガンドがリンカーで連結されたキメラ化合物、これを含む標的タンパク質分解による疾病の予防または治療用薬学的または食品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
N−末端則(N−end rule)経路は、特定タンパク質N−末端を分解信号として使用するタンパク質分解システムである。N−末端則分解信号としては、タイプ1であるN−末端アルギニン(Nt−Arg)、リシン(Nt−Lys)およびヒスチジン(Nt−His)を有する塩基残基と、タイプ2であるフェニルアラニン(Nt−Phe)、ロイシン(Nt−Leu)、トリプトファン(Nt−Trp)、タイロシン(Nt−Tyr)およびイソロイシン(Nt−Ile)の疎水性残基がある。これらN−末端残基は特定認識要素(N−recognins;N−レコグニン)のリガンド(N−リガンドという)で結合される。本発明者らは、既存に知られたN−レコグニン、即ち、UBR1、UBR2、UBR4、およびUBR5を最初に発見するかクローニングし、これらが基質認識ドメインとしてUBR boxを有しているのを明らかにしたことがある(Tasaki、T.et al.、Mol Cell Biol 25、7120−36(2005):非特許文献1)。また、UBR boxがN−末端Arg残基などtype−1 N−末端則リガンド(Nt−Arg、Nt−Lys、Nt−His)を結合して基質を認識し、基質にユビキチン鎖を付けるのを明らかにしたことがある。UBR1とUBR2がまたN−ドメインを有しており、N−ドメインはtype−2 N−末端則リガンド(Nt−Trp、Nt−Phe、Nt−Tyr、Nt−Leu、Nt−Ile)と結合するのに重要な役割を果たすという事実も明らかにした(Sriram、S.M.、Kim、B.Y.& Kwon、Y.T.、Nat Rev Mol Cell Biol 12、735−47(2011):非特許文献2)。N−レコグニンがN−末端則リガンドと結合することによって作られたユビキチン化された基質は、プロテアソームに伝達されて短いペプチドに分解される。このような過程で、特定N−末端残基(Nt−Arg、Nt−His、Nt−Lys、Nt−Trp、Nt−Phe、Nt−Tyr、Nt−Leu、Nt−Leu)は、N−レコグニンがN−末端則基質をターゲッティングする時に必要な水素結合(hydrogen bond)を大部分提供するため、結合に必ず必要な決定因子である(Sriram、S.M.& Kwon、Y.T.、Nat Struct Mol Biol 17、1164−5(2010):非特許文献3)。
【0003】
細胞内のタンパク質分解は、主にユビキチン−プロテアソームシステム(ubiquitin−proteasome system、UPS)とオートファジー−リソソームシステム(autophagy−lysosome system)によって行われる。一般に、UPSは正常的なフォールディングを有する調節因子の細胞内濃度を調節するか変性されて機能を失ったタンパク質を分解させる。この時、基質は約500−1,000余種と推算されるE3リガーゼ(E3ligase)によって直間接的に認識されてユビキチン化(ubiquitination)され、その後、ポリペプチド螺旋にほどけてプロテアソーム(proteasome)によって分解される(Ji and Kwon、Mol Cells 40、441−449(2017):非特許文献4)。正常的な細胞ではユビキチン−プロテアソームシステム過程が円滑であるが、疾病関連タンパク質は正しくフォールディングしない変性(misfolded)タンパク質になるか、変性タンパク質の蓄積によってできた凝集体(aggregates)がプロテアソームを防ぐか、プロテアソーム機能が老化(aging)によって低下するか、タンパク質転写と翻訳のリプログラミングなどによって疾病関連タンパク質の分解が円滑に行われない(Ciechanover、A.& Kwon、Y.T.、Exp Mol Med 47、e147(2015):非特許文献5)。代表的な例として、タンパク質異常疾患(アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、人間狂牛病、ルーゲーリック病/筋萎縮性側索硬化症、α1−アンチトリプシン欠乏症、角膜症、2型糖尿病、など)のそれぞれ主要病因タンパク質は変性化、ユビキチン化および累積され、これら余剰タンパク質ゴミは再び凝固体に転換される(Aguzzi and O’Connor、Nat Rev Drug Discov 9、237−48(2010):非特許文献6)。このような特定突然変異タンパク質は凝固体に変形される性質が強くて前記説明したプロテアソームに分解されない。なぜなら、プロテアソームは内径が13オングストローム(angstrom)程度に狭いため変性タンパク質がほどけ(unfolding)なければならず、タンパク質が凝固すればほどけないためである。他の代表的な例として、癌細胞は細胞内転写と翻訳のリプログラミングによって発癌タンパク質(oncoprotein)の転写と翻訳を増加させると同時に分解を抑制させると知られている(Xiong et al.、J Cell Physiol 234、14031−14039(2019):非特許文献7)。追加的に、コンプレックス(complex)を成しているサブユニット(subunit)タンパク質や膜透過(transmembrane)タンパク質もユビキチン−プロテアソームシステムによる分解が制約的である。
【0004】
オートファジー(autophagy)は、UPSと共に細胞内主要タンパク質分解システムである。オートファジーは老化するか本来の機能を果たすことができなくなった細胞小器官および損傷されるか正しくフォールディング(folding)されなかったタンパク質およびこれらの凝集体を分解することによって細胞の恒常性と遺伝的な安定性を維持するために必須のタンパク質分解過程である(Ji and Kwon、Mol Cells 40、441−449(2017):非特許文献4)。特に細胞質に病因タンパク質およびこれらの凝固体が累積される場合、細胞毒性物質になるため、これらをオートファジーが受けて分解しなければならない。オートファジーの機構は大きく、マクロオートファジー(macroautophagy)、マイクロオートファジー(microautophagy)とシャペロン介在性オートファジー(chaperone−mediated autophagy)に分けられ、何の目的のために細胞内基質を分解するかによって非選択的オートファジー(bulk autophagy)と選択的オートファジー(selective autophagy)に分けられる(Dikic、I.& Elazar、Z.、Nat Rev Mol Cell Biol 19、349−364(2018):非特許文献8)。このうち、選択的オートファジーとシャペロン介在性オートファジーは、細胞内機能異常小器官や不必要なタンパク質の選択的分解を起こす。選択的オートファジーを誘導することによって悪性病因タンパク質蓄積および機能不能小器官を基盤とする疾患に対する新規治療法開発が現在新たなパラダイムを構築している状況である。p62/SQSTM1/Sequestosome−1タンパク質は、選択的オートファジー機構において媒介物であるオートファゴソーム形成開始と内容物伝達に重要である。この時、p62タンパク質が病因タンパク質およびその凝固体と結合してこれらをオートファゴソーム(autophagosome)に伝達する。病因タンパク質をオートファゴソームに伝達する時、核心的な過程としてp62が自己オリゴマー化(self−oligomerization)を経る(Dikic、I.& Elazar、Z.、Nat Rev Mol Cell Biol 19、349−364(2018):非特許文献8)。この時、病因タンパク質は共に濃縮されて体積が減り、オートファジーによる分解が容易になる。p62が自己オリゴマー化を媒介するものはPB1ドメインであるが、その調節機構はよく知られていない。オートファゴソームに伝達された変性タンパク質−p62結合体は、オートファゴソームがリソソーム過結合することによってリソソームの酵素によって分解される。
前述の機構によってオートファジーは損傷されたタンパク質および細胞小器官の細胞内変動による細胞恒常性の維持のために重要であり、オートファジーが低下する場合、変性タンパク質(misfolded protein)の蓄積と凝固がもたらされて、これによってタンパク質異常疾患や癌が発生することもある。このような疾病を治療するために非選択的オートファジーを活性化する研究が活発に行われている(Ciechanover、A.& Kwon、Y.T.、Exp Mol Med 47、e147(2015):非特許文献5)。非選択的オートファジーを通常抑制する調節因子がmTORであり、mTOR阻害剤を使用してオートファジーを活性化する方法が最も広範囲に使用される(Jung、C.H.、Ro、S.H.、Cao、J.、Otto、N.M.& Kim、D.H.、FEBS Lett 584、1287−95(2010):非特許文献9)。具体的に、ラパマイシンを用いてAPPを過発現するAD動物モデルでアミロイドベータ(Ab)およびタウ(tau)を除去すると同時に認知力を増進させ(Caccamo、A.、Majumder、S.、Richardson、A.、Strong、R.& Oddo、S.、J Biol Chem 285、13107−20(2010):非特許文献10)、tauを過発現するAD動物モデルでtauを除去し(Rodriguez−Navarro、J.A.et al.、Neurobiol Dis 39、423−38(2010):非特許文献11)、PDマウスモデルで過発現された突然変異アルファシヌクレイン(α−synuclein)タンパク質凝固体を除去した(Webb、J.L.、Ravikumar、B.、Atkins、J.、Skepper、J.N.& Rubinsztein、D.C.、J Biol Chem 278、25009−13:非特許文献12)。ラパマイシン類似物質であるCCI−779を用いて前記HDマウスでハンチンチン凝固体を効果的に除去し動物行動や認知力も改善させるのを確認した(Ravikumar、B.、Duden、R.& Rubinsztein、D.C.、Hum Mol Genet 11、1107−17(2002):非特許文献13)。しかし、mTORがNF−kBなど非常に多様な細胞内経路において非常に重要な役割を果たし、したがってタンパク質異常疾患の変性タンパク質凝固体を除去する優れた活性を示すにもかかわらずmTORを薬物ターゲットにすると知られたこれら非選択的オートファジー活性剤を治療剤として使用するのに限界がある。また、疾病誘発タンパク質を標的としてオートファゴソームでターゲッティングする技術および治療剤は皆無である。
【0005】
セントラルドグマ(central dogma)で、DNAに保存されている遺伝的情報はRNAに転写(transcription)され、タンパク質に翻訳(translation)されて細胞機能を調節する。DNAの場合、CRISPRなど遺伝子編集(DNA editing)技術を用いて標的切断が可能であり、RNAの場合、siRNAを用いて標的分解が可能である。しかし、タンパク質の場合、標的分解(targeted degradation)技術が相対的に制限されている。もし、疾病誘発タンパク質を標的として分解させることができれば、製薬産業で新薬開発プラットフォーム技術(platform technology)として用いることができるはずである。プロタック(PROTAC−PROteolysis Targeting Chimera)は細胞内タンパク質を標的として分解するために開発された技術である。プロタックは標的タンパク質を認識するリガンドとE3ユビキチン酵素を認識するリガンドのキメラ化合物を用いる。(An and Fu、EBioMedicine 36、553−562(2018):非特許文献14)。ターゲットバインダーが疾病誘発タンパク質と結合してE3の近接距離に連れてくれば、E3は基質と認識してユビキチン化を実行してプロテアソームによる分解を誘導する。現存する疾患治療剤パラダイムはタンパク質酵素抑制であるので、治療剤のターゲットが不可能なタンパク質に対する新規治療剤開発が非常に重要な状況である。そのような観点から、プロタックは、既存酵素抑制方式でターゲッティングが不可能なタンパク質のユビキチン−プロテアソームシステム下の選択的な分解を可能にすることにより魅力的な新規治療剤開発方法である。しかし、プロタックがE3ユビキチン酵素を認識するリガンドのみを活用してプロテアソームによる分解を誘導するため標的タンパク質が変成されて凝固体を形成するか、複合体を形成するか、膜構造に結合する場合、分解するのが難しい(Bondeson et al.、Cell Chem Biol 25、78−87.e5(2019):非特許文献15)。また、プロタックは、小胞体、ミトコンドリアなど細胞内小器官やウイルス、バクテリアなど病原菌を分解することは不可能である。したがって、病因タンパク質、小器官および凝集体を標的として選択的オートファジーに伝達して除去する方法の開発が必要である。
【0006】
細胞機能を調節するためにDNAを編集するかRNAを分解してタンパク質の活性および濃度を間接的に調節する方法が広く使用される。特に、RNAはsiRNAを用いて標的分解が可能であるが、siRNAの細胞透過性が低くてtransfection reagentsなどを用いて細胞内に伝達し、したがって過程が複雑で費用が多くかかる。また、ターゲットタンパク質が安定する場合、RNAを分解してもタンパク質の濃度を低めるのが難しい。したがって、特定タンパク質を標的として直接分解させる方法や物質、即ち、タンパク質分解子(protein degrader)の開発が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Tasaki、T.et al.、Mol Cell Biol 25、7120−36(2005)
【非特許文献2】Sriram、S.M.、Kim、B.Y.& Kwon、Y.T.、Nat Rev Mol Cell Biol 12、735−47(2011)
【非特許文献3】Sriram、S.M.& Kwon、Y.T.、Nat Struct Mol Biol 17、1164−5(2010)
【非特許文献4】Ji and Kwon、Mol Cells 40、441−449(2017)
【非特許文献5】Ciechanover、A.& Kwon、Y.T.、Exp Mol Med 47、e147(2015)
【非特許文献6】Aguzzi and O’Connor、Nat Rev Drug Discov 9、237−48(2010)
【非特許文献7】Xiong et al.、J Cell Physiol 234、14031−14039(2019)
【非特許文献8】Dikic、I.& Elazar、Z.、Nat Rev Mol Cell Biol 19、349−364(2018)
【非特許文献9】Jung、C.H.、Ro、S.H.、Cao、J.、Otto、N.M.& Kim、D.H.、FEBS Lett 584、1287−95(2010)
【非特許文献10】Caccamo、A.、Majumder、S.、Richardson、A.、Strong、R.& Oddo、S.、J Biol Chem 285、13107−20(2010)
【非特許文献11】Rodriguez−Navarro、J.A.et al.、Neurobiol Dis 39、423−38(2010)
【非特許文献12】Webb、J.L.、Ravikumar、B.、Atkins、J.、Skepper、J.N.& Rubinsztein、D.C.、J Biol Chem 278、25009−13
【非特許文献13】Ravikumar、B.、Duden、R.& Rubinsztein、D.C.、Hum Mol Genet 11、1107−17(2002)
【非特許文献14】An and Fu、EBioMedicine 36、553−562(2018)
【非特許文献15】Bondeson et al.、Cell Chem Biol 25、78−87.e5(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
伝統的な薬物(tranditional drug)は小分子合成化合物、抗体、タンパク質、ペプチドなど多様であるが、基本的な原理は特定タンパク質の活性部位(active site)に結合することによって疾病を起こすタンパク質の活性を抑制することによって薬効を示すことである。このような伝統的な薬物開発方法はいくつかの限界を持っている。第一に、高濃度の薬物が必要であり、これによる薬物副作用が生じることがある。薬物とタンパク質の結合は安定した共有結合ではないため分離されることがある。即ち、薬物がターゲットタンパク質に結合した時に薬効を示すが、ターゲットタンパク質から脱離するようになれば薬効を示さない。したがって、薬効を維持するためには体全体に高い薬物濃度を維持しなければならない。しかし、薬物効能のために薬物濃度を高めるようになれば、薬物が予期せぬ他のタンパク質と結合することがあり、このような状況は薬物副作用として示されることがある。第二に、薬物標的タンパク質が制限的である。今まで米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けた薬物標的タンパク質は約400種余りに達する。このうちの90%超えるものが酵素、伝達物質タンパク質、チャネル/膜タンパク質などであって、このような薬物標的タンパク質は活性部位および結合部位を有しているため比較的に伝統的な薬物開発方法で比較的に容易に見つけることができた。しかし、疾病に関連するタンパク質は約3,000個と推定され、現在承認された薬物はこのうちの約13%程度のみを標的として用いている。したがって、新たな新薬開発のパラダイム変化が必要であり、標的タンパク質分解技術を用いる時、既存治療剤と比較して次のような長所を持っている。第一に、転写因子、タンパク質結合による信号伝達に関与するタンパク質、タウのように凝集されて蓄積されるタンパク質を分解することができるため、既存薬物でターゲッティングし難いundruggableタンパク質の調節が可能である。第二に、薬物によって標的タンパク質が過発現、過活性化されるか耐性が起こるか他の信号伝達体系の活性化によって薬物効能が低下される現象を克服することができる。第三に、標的タンパク質分解物質は標的タンパク質を分解した後に再使用されるため低容量投与が可能であり、これによる副作用も減少する。第四に、標的タンパク質が分解され再生産されるのに一定時間が要求されるため投与周期が増えて経済性が高い。
【0009】
前記のような既存治療剤の問題点を解決するために、本発明の目的は、p62タンパク質の活性化およびオリゴマー化を誘発する新規なp62リガンド化合物とターゲット結合リガンドがリンカーで連結された新規なオートタック(AUTOTAC、Autophagy−targeting chimera)化合物を提供することである(図1)。
【0010】
また、本発明の目的は、前記オートタック化合物を有効性分として含む疾病誘発タンパク質を除去する薬学的または食品組成物を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、細胞内タンパク質を標的にして分解する生化学的なスクリーニング方法および技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を解決するために、本発明は、p62のZZドメインと結合するリガンドとターゲット結合リガンドがリンカーで連結した新規なオートタックキメラ化合物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記オートタックキメラ化合物を用いて(1)p62自己オリゴマー化および構造的活性化を誘導する方法、(2)p62のLC3との結合を増大させる方法、(3)p62およびターゲットタンパク質をオートファゴソーム(autophagosome)に伝達する方法、(4)オートファゴソーム生合成(autophagosome biogenesis)を活性化する方法、(5)ターゲットタンパク質を標的としてオートファジーに伝達する方法、(6)ターゲットタンパク質を標的として非活性化する方法、および(7)ターゲットタンパク質をリソソームによって分解する方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記オートタックキメラ化合物を有効性分として含有する、疾患の予防または治療用薬学的組成物または健康機能食品を提供する。好ましくは、前記疾患は癌または退行性脳疾患だけでなく、希少難治性疾患など特定タンパク質を標的分解した時に治療効果を期待することができる他の疾病も含む。
【0015】
本発明で核心的な技術は、(1)オートタック物質を用いてターゲットタンパク質をp62と連結させて、(2)p62の自己オリゴマー化(self−oligomerization)を誘導し、(3)ターゲットタンパク質がp62と共に複合体を形成することによってターゲットタンパク質を生物学的に非活性化し、(4)その後、ターゲットタンパク質−p62複合体をファゴフォアー(phagophore)などオートファジー膜(autophagy membrane)に伝達して、(5)ターゲットタンパク質−p62複合体をリソソームで分解させることである。
【0016】
本発明の薬物作用機構および核心的な技術は、[図1]に要約されている。
【0017】
具体的に、図1に示されているように、オートタックキメラ化合物はターゲット結合リガンド(Target−Binding Ligand;TBL)とp62ZZドメインリガンド、即ち、オートファジーターゲッティングリガンド(Autophagy−Targeting Ligand;ATL)がリンカーによって連結されている。ターゲットリガンドによって標的タンパク質に結合し、オートファジーターゲッティングリガンドはオートファジーレセプターであるp62ZZドメインに結合した後にオリゴマー化される。その後、p62がオートファゴソーム膜に突出しているLC3と結合によってオートファジーターゲッティングされてリソソームで標的タンパク質が分解される。本発明ではp62ZZドメインに結合する低分子リガンドを用いてp62を活性化して標的タンパク質を効果的に除去しようとした。今まで標的タンパク質分解のためにユビキチン−プロテアソームシステム(Ubiquitin proteasome system、UPS)を用いたプロタック(Protac)化合物は存在するが、オートファジーを用いて標的タンパク質を分解する低分子化合物が報告された例は皆無である。プロタックとは異なり、オートファジーを用いる場合、変性タンパク質凝固体、膜と結合したタンパク質、複合体のサブユニット(subunit)などプロタックが分解させることができないタンパク質を分解できるだけでなく、細胞内構造物(inflammasome、stress granuleなど)、小器官(小胞体、ミトコンドリア、ペルオキシソームなど)および細胞内に侵入した病原菌(ウイルス、バクテリアなど)も分解することができる。このような標的分解によって各種疾患で予防および治療効果を期待することができる。
【0018】
p62タンパク質は、選択的オートファジー機構で媒介物であるオートファゴソーム形成開始と内容物即ち、ターゲットタンパク質の伝達に重要である。本発明による新規オートタックキメラ化合物は、p62活性化によってp62の自己オリゴマー化を誘発することが観察された。また、このような自己オリゴマー化によって標的タンパク質をオートファゴソームに伝達してリソソームで標的タンパク質の分解を確認した。
【0019】
本発明によるオートタックキメラ化合物は、細胞内オートファジーを誘発することができるだけでなく、ターゲットタンパク質のオートファゴソーム標的化を誘導して、既存酵素抑制方式で標的化が不可能なタンパク質のオートファジー機構下の選択的な分解を可能にするため新規治療剤を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるオートタックキメラ化合物は、ターゲット結合リガンド(Target−Binding Ligand;TBL)とp62タンパク質のZZドメインと結合するリガンド、即ち、オートファジーターゲッティングリガンド(Autophagy−Targeting Ligand;ATL)がリンカーによって連結されている。オートファジーターゲッティングリガンドによってオートファジーを活性化させて標的タンパク質をオートファゴソームに連れて行ってリソソームで分解させる。
【0021】
本発明は、オートファジーターゲッティングリガンド−リンカーに分解させようとするタンパク質のリガンドを連結する場合、所望の標的タンパク質を分解させることができるプラットホーム技術であるため多様な疾患の予防、改善および治療剤として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による新規オートタックキメラ化合物の構成およびp62タンパク質と結合すると同時に標的タンパク質、小器官および凝集体に結合し、p62タンパク質を通じてこれらがマクロオートファジーの媒介物であるオートファゴソームに伝達され最終的にリソソームによって分解されることを示す模式図である。
図2a】免疫ブロッティング法を用いてオートタック化合物が該当するp62タンパク質のオリゴマー化および高分子量凝集効能を示す結果である。化合物を処理することによってp62タンパク質のオリゴマー化および高分子量凝集が増加するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図2b】免疫ブロッティング法を用いてオートタック化合物が該当するp62タンパク質のオリゴマー化および高分子量凝集効能を示す結果である。化合物を処理することによってp62タンパク質のオリゴマー化および高分子量凝集が増加するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図2c】免疫ブロッティング法を用いてオートタック化合物が該当するp62タンパク質のオリゴマー化および高分子量凝集効能を示す結果である。化合物を処理することによってp62タンパク質のオリゴマー化および高分子量凝集が増加するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図3】免疫ブロッティング法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物が該当する標的タンパク質の分解効能を示す結果である。化合物の処理することによって標的タンパク質量が減少するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図4a】免疫ブロッティング法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物が該当する標的タンパク質の分解効能機構がオートファジー−リソソーム経路に媒介されるのを示す結果である。化合物を処理することによって標的タンパク質量が減少するのを示し、オートファジー−リソソーム経路抑制剤であるヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine、HCQ)を処理した時、標的タンパク質量が再び増加するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図4b】免疫ブロッティング法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物が該当する標的タンパク質の分解効能機構がオートファジー−リソソーム経路に媒介されるのを示す結果である。化合物を処理することによって標的タンパク質量が減少するのを示し、オートファジー−リソソーム経路抑制剤であるヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine、HCQ)を処理した時、標的タンパク質量が再び増加するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図5a】免疫ブロッティング法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物のターゲットタンパク質分解効能がそれぞれp62リガンド単独やターゲット結合リガンドのターゲットタンパク質分解効能に比べて優れるのを示す結果である。オートタックキメラ化合物処理後、p62リガンドや標的タンパク質リガンド処理後より標的タンパク質量がさらに減少するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図5b】免疫ブロッティング法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物のターゲットタンパク質分解効能がそれぞれp62リガンド単独やターゲット結合リガンドのターゲットタンパク質分解効能に比べて優れるのを示す結果である。オートタックキメラ化合物処理後、p62リガンドや標的タンパク質リガンド処理後より標的タンパク質量がさらに減少するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図5c】免疫ブロッティング法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物のターゲットタンパク質分解効能がそれぞれp62リガンド単独やターゲット結合リガンドのターゲットタンパク質分解効能に比べて優れるのを示す結果である。オートタックキメラ化合物処理後、p62リガンドや標的タンパク質リガンド処理後より標的タンパク質量がさらに減少するのを示している。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
図6a】免疫蛍光染色法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物の標的タンパク質とp62タンパク質を共にオートファジーに伝達する効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にオートタック化合物のターゲットタンパク質とp62タンパク質の細胞内斑点と共存性が増加するのを確認することができる。
図6b】免疫蛍光染色法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物の標的タンパク質とp62タンパク質を共にオートファジーに伝達する効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にオートタック化合物のターゲットタンパク質とp62タンパク質の細胞内斑点と共存性が増加するのを確認することができる。
図6c】免疫蛍光染色法を用いて本発明によるオートタックキメラ化合物の標的タンパク質とp62タンパク質を共にオートファジーに伝達する効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にオートタック化合物のターゲットタンパク質とp62タンパク質の細胞内斑点と共存性が増加するのを確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明は、p62リガンド(Autophagy Targeting Ligand、ATL)、ターゲット結合リガンド(Target binding ligand、TBL)およびリンカーを含むキメラ化合物およびこれを用いて標的タンパク質、小器官および凝集体をp62と共にマクロオートファジー(macroautophagy)媒介物であるオートファゴソーム(autophagosome)伝達およびリソソーム(lysosome)で分解させる方法である。このような方法によって疾病発因タンパク質、小器官および凝集体をオートファジーに伝達および分解させる方法による予防、改善または治療する方法および前記複合体(以下、“キメラ化合物”という)を含む疾患に関連する病因タンパク質、小器官および凝集体のオートファジー活性化用または前記疾患の予防、改善または治療用組成物に関するものである。
【0025】
本発明者らは、p62リガンドを用いることによって、このようなp62リガンドがオートファジーを活性化させて効果的に標的タンパク質、小器官および凝集体をオートファゴソームに伝達して除去することができるのを確認し、これを前記病因タンパク質と結合が可能なリガンドを組み合わせる場合、優れた病因タンパク質および凝集体除去能があり、従来のプロタック化合物とは異なり、病因タンパク質のフォールディング、E3リガーゼ選択性および効果的な分解のための三重複合体(標的タンパク質−リンカー−E3リガーゼリガンド)形成のためのリンカー長さ最適化の必要性がないのを確認した。本発明者によって開発されたp62のリガンドと標的タンパク質に結合するターゲット結合リガンドがリンカーによって連結された新規なキメラ化合物をオートタック(AUTOTAC−AUTOphagy TArgeting Chimera)と命名した。
【0026】
本発明の特徴は、分解させようとするタンパク質のリガンドをp62リガンドと連結されたリンカーに連結させれば所望のタンパク質を分解させることができる技術である。即ち、このようなp62リガンドとターゲット結合リガンドがリンカーで連結されたキメラ化合物は二重機能有機低分子(bifunctional small molecule)であって、タンパク質のオートファジーに関連するp62近いところに分解対象とした標的タンパク質がこれらをターゲットとするリガンドに結合させるようにすることによって標的タンパク質が容易に分解できる構造を形成させるようになる。これは、予防または治療を所望する多様な疾病関連タンパク質をp62と連結させることによって問題の標的タンパク質を分解させて所望の治療効能を期待することを発明の要旨とするものである。
【0027】
好ましい様態として、前記本発明によるp62リガンド、ターゲット結合リガンドおよびリンカーを含むキメラ化合物は、p62リガンドとターゲット結合リガンドがリンカーによって連結されたキメラ化合物形態であり、さらに好ましくは下記化学式1の構造を有することができる。
【化1】
【0028】
上記式中、Aはターゲット結合リガンド(Target binding ligand)、Bはp62リガンドを示す。前記化学式1中、AおよびBはリンカーにそれぞれ1種以上連結できる。
【0029】
本発明において、ターゲット結合リガンドは体内特定標的タンパク質、より詳しくは標的にしようとする疾病を誘発する病因タンパク質や、小器官または凝集体と結合するリガンドであって、このような標的タンパク質には制限がないが、好ましくは、癌に関連するタンパク質および多様なタンパク質異常疾患に関連するタンパク質を含む。このようなターゲット結合リガンドは、予防、改善および治療しようとする疾患に関連するタンパク質、好ましくは病因タンパク質による疾患、癌、タンパク質異常疾患、希少難治性疾患または遺伝的疾病に関連する標的タンパク質、小器官、または変異タンパク質凝集体と結合するものであれば制限なく使用することができる。具体的な様態として、これに限定されるのではないが、下記表1に示す化合物からなる群より選択される1種以上またはこれら構造に由来した誘導体構造であってもよい。
【0030】
前記“誘導体”構造とは、ターゲット結合リガンドの一部構造がリンカーとの結合によって変更されたこと(例えば、置換基中のカルボキシル基がアミン基を有するリンカーとの結合によってターゲット結合リガンドとリンカーの連結部分がアミド基に変更された構造)を意味する。
【0031】
【表1】
【0032】
前記化学式1でAおよびBを連結するリンカーは、構造的にA、Bと全て連結されている構造を有するものであれば制限なく使用することができる。例えば、このようなリンカーは、−Q−(CHCHO)−(CH−P−、または−Q−(CHCHCHO)−(CH−P−、または−Q−(CHCHNH)−(CH−P−、または−Q−(CHCHCONH)−(CH−P−(この時、Qは、ターゲット結合リガンドとの結合によって変更された部分である−NH−、−0−、=N−−N(CH)−を含み;Pは、p62リガンドとの結合によって変更された部分である−NH−、−0−、−CH−、−C(=O)−を含み;xは、0〜4の整数であり;yは、0〜3の整数である)であってもよいが、これに制限されるのではない。好ましく、前記Pとp62リガンドとの結合は−CONH−、−O−、−NH−、−NHCO−、または−COO−であってもよく、このような結合を形成するためにp62リガンドの一部分、例えばRc部分とターゲット結合リガンドの一部分の構造が変更されてもよく、このような変更方法は当業界によく知られている。
【0033】
本発明において、前記p62リガンドはp62、より詳しくはp62のZZドメインに結合する物質を意味するものであって、このようなp62リガンドはp62ZZドメインに結合することによってp62のオリゴマー化を増加させ、オートファジー、具体的にはマクロオートファジーを活性化させるようにする。好ましい様態で、前記p62リガンドは下記化学式2の構造を有することができる。
【化2】
Wは、C6−C10アリールであり;
Lは、−(CHn1−または−O−(CHn2−CH(OH)−であり、但し、前記−O−(CHn2−CH(OH)−中のOがベンゼン環に結合され、この時、n1は0〜1の整数であり;
n2は、1〜4の整数であり;
mは、0〜2の整数であり;
はRまたは−ORであり、
この時、Rは水素、または−(CHn3−R’であり、
R’は非置換されるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C1−4アルキル)アミノ、またはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n3は、1〜6の整数であり;
は、−ORであり、
この時、Rは水素、または−(CHn4−R’であり、
R’は非置換されるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C1−4アルキル)アミノ、またはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n4は、1〜6の整数であり;
は、−(CHn5−OH、−(CHn5−NH−C(=NH)NH、−C(=NH)NH、−CH(R)−COOH、または−CH(COO−R)−CHCHCH−NH−C(=NH)NH、−(CHn5−O−(CHn5−OH、−CONH(CHn5−OH、−CO(CHn6−OH、−(CHn6−CH(NH)−COOH、−(CHn6−CONHであり、
n5は、2〜4の整数であり、
n6は、1〜4の整数であり、
は、水素、またはC1−4アルキルであり、
は、C1−4アルキルであり、
は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシまたはC1−4アルキルである。
好ましく、前記Wは、フェニルであってもよい。
好ましく、前記Lは、−(CHn1−または−O−(CHn2−CH(OH)−であり、但し、前記−O−(CHn2−CH(OH)−中のOがベンゼン環に結合される。
【0034】
好ましく、n1は、0〜1の整数であってもよい。
【0035】
好ましく、n2は、1〜2の整数であってもよい。
【0036】
好ましく、Rは、水素または−O−(CHn3−R’であってもよい。
【0037】
好ましく、R’は、非置換されるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであってもよい。
【0038】
好ましく、n3は、1〜4の整数であってもよい。
【0039】
好ましく、Rは、ヒドロキシまたは−O−(CHn4−R’であってもよい。
【0040】
好ましく、R’は、非置換されるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであってもよい。
【0041】
好ましく、n4は、1〜4の整数であってもよい。
【0042】
好ましく、Rは、−(CHn5−OH、−(CHn5−NH−C(=NH)NH、−C(=NH)NH、−(CHn5−O−(CHn5−OH、−CONH(CHn5−OH、−CO(CHn6−OH、−(CHn6−CH(NH)−COOH、または−(CHn6−CONHであってもよい。
【0043】
好ましく、n5は、2〜3の整数であってもよい。
【0044】
好ましく、n6は、1〜2の整数であってもよい。
【0045】
好ましく、Rは、水素、ハロゲン、C1−2アルコキシまたはC1−2アルキルであってもよい。
【0046】
このようなp62リガンドは、前記リンカーとの結合のために、一部基がリンカーとの結合が容易な形態に変更された誘導体形態でリンカーと結合できる。これはp62リガンドの種類、リンカーの種類、これらの結合形態によって当業者が適切に公知の技術によって変更可能であり、このような変更された誘導体形態も本発明のp62リガンドに含まれる。
【0047】
具体的な様態で、本発明によるオートタックキメラ化合物は、下記表2に示す化合物であり得るが、これに制限されるわけではない。
【0048】
【表2】
【0049】
一方、本発明の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で存在し得る。前記塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。本発明の用語“薬学的に許容可能な塩”とは、患者に比較的に非毒性であり無害な有効作用を有する濃度であってこの塩に起因した副作用が化学式1〜3で表される化合物の利する効能を低下させない前記化合物の任意の全ての有機または無機付加塩を意味する。
【0050】
酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過量の酸水溶液に溶解させ、この塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルを使用して沈殿させて製造する。同モル量の化合物および水中の酸またはアルコール(例えば、グリコールモノメチルエーテル)を加熱し、次いで、前記混合物を蒸発させて乾燥させるか、または析出された塩を吸引ろ過させることができる。
【0051】
この時、遊離酸としては有機酸と無機酸を使用することができ、無機酸としては塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、酒石酸などを使用することができ、有機酸としてはメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸(maleic acid)、琥珀酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸(fumaric acid)、マンデル酸、プロピオン酸(propionic acid)、クエン酸(citric acid)、乳酸(lactic acid)、グリコール酸(glycollic acid)、グルコン酸(gluconic acid)、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸(glutaric acid)、グルクロン酸(glucuronic acid)、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸(hydroiodic acid)などを使用することができ、これらに制限されない。
【0052】
また、塩基を使用して薬学的に許容可能な金属塩を製造することができる。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過量のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解させ、非溶解化合物塩をろ過した後、濾液を蒸発、乾燥させて得る。この時、金属塩としては、特に、ナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩を製造することが製薬上適するが、これらに制限されるわけではない。また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を適当な銀塩(例、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0053】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、ほかに指示されない限り、前記化学式1の化合物に存在し得る酸性または塩基性基の塩を含む。例えば、薬学的に許容可能な塩としてはヒドロキシ基のナトリウム、カルシウムおよびカリウム塩などが含まれてもよく、アミノ基のその他薬学的に許容可能な塩としてはヒドロブロム化物、硫酸塩、水素硫酸塩、リン酸塩、水素リン酸塩、二水素リン酸塩、アセテート、スクシネート、シトレート、タルトレート、ラクテート、マンデレート、メタンスルホネート(メシレート)およびp−トルエンスルホネート(トシレート)塩などがあり、当業界に知られた塩の製造方法によって製造できる。
【0054】
本発明の化学式1の化合物の塩としては、薬学的に許容可能な塩であって、化学式1の化合物と同等な薬理活性を示す塩であれば制限なく全て使用可能である。
【0055】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物は、その薬学的に許容可能な塩だけでなく、これから製造できる可能な水和物などの溶媒和物および可能な全ての立体異性体を制限なく含む。鏡像異性体形態および部分立体異性体形態を含む、本発明の全ての立体異性体(例えば、多様な置換体で非対称炭素に起因して存在し得るもの)が本発明の範囲に含まれる。本発明の化合物の個別的な立体異性体は、例えば、実質的に異なる異性体がないか(例えば、特定の活性を有する純粋なまたは実質的に純粋な光学異性体として)、または例えば、ラセミ体としてまたは全ての異なる、または異なる選択された立体異性体と混合できる。本発明の化合物のキラル中心はIUPAC1974勧告によって定義されたSまたはR構造を有することができる。ラセミ形態は、キラルカラムクロマトグラフィーによる分離または部分立体異性体誘導体の分離または結晶化、分別形状結晶化のような物理的方法によって分析できる。個別的な光学異性体は、これに限定されるのではないが、光学的に活性である酸との塩形成に続き、結晶化を含む任意の適した方法によってラセミ体から得ることができる。
【0056】
前記化学式1で表される化合物の溶媒和物および立体異性体は、当業界に公知された方法を使用して化学式1で表される化合物から製造することができる。
【0057】
さらに、本発明による前記化学式1で表される化合物は結晶形態または非結晶形態に製造でき、結晶形態に製造される場合、任意に水和されるか溶媒和され得る。本発明では、前記化学式1で表される化合物の化学量論的水和物だけでなく多様な量の水を含有する化合物が含まれ得る。本発明による前記化学式1で表される化合物の溶媒和物は化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物皆を含む。
【0058】
本発明による化学式1の化合物は下記例示的な方法で製造でき、具体的な一例は以下の実施例に記載された反応式のとおりである。
【0059】
本発明の製造方法は、前記反応式に使用される反応物として、市販される化合物を購入してそのまま使用するか、当業界に公知された一つ以上の反応をそのまま、または、適切に変更して行うことによって合成して使用することができる。例えば、骨格構造に含まれている反応性官能基および/またはヘテロ元素の存在、種類および/または位置を考慮して一つ以上の反応を一連の順序で行って合成することができるが、これに制限されない。
【0060】
本発明による化学式1の化合物は、p62のZZドメインと結合すると同時に標的タンパク質、小器官および凝集体に結合するキメラリガンドとして作用して、p62の機能を活性化させ、標的タンパク質、小器官(小胞体、ミトコンドリア、ペルオキシソームなど)、細胞内構造物(inflammasome、stress granuleなど)、細胞内に侵入した病原菌(ウイルスおよびバクテリアなど)および凝集体をp62と共にオートファジーに伝達し、分解することを特徴とする。
【0061】
したがって、また他の様態として、本発明は、化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含むオートファジー活性用薬学的組成物を提供する。
【0062】
本発明による化学式1の化合物は、標的タンパク質、小器官および凝集体をオートファジーに伝達し分解する作用によって病因タンパク質関連疾患の病因タンパク質、小器官および凝集体を除去することができる。同時に、前記化学式1の化合物はp62リガンドとしてp62ZZドメインに結合して、p62タンパク質のPB1ドメインおよびLIRドメインを活性化させてp62のオリゴ化および凝集体を誘導すると同時に、標的タンパク質、小器官および凝集体をp62タンパク質と共にオートファゴソーム(autophagosome)に伝達するのを増大させることを特徴とする。前記過程を通じて標的タンパク質、小器官および凝集体が円滑に除去される(図1参照)。このような標的タンパク質は病因タンパク質関連疾患の主要タンパク質であってもよく、より好ましくは、プリオンタンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α−シヌクレイン(alpha−synuclein)、スーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase 1)、タウ(tau)、免疫グロブリン、アミロイド−A、トランスサイレチン、β2−マイクログロブリン、シスタチンC、アポリポタンパク質(Apolipoproteine)A1、TDP−43、膵島アミロイドポリペプチド(islet amyloid polypeptide)、ANF、ゲルゾリン(gelsolin)、インスリン、リゾチーム、フィブリノゲン、ハンチンチン(huntingtin)、α−1−アンチトリプシンZ、クリスタリン(crystallin)、c9オープンリーディングフレーム72(c9orf72)、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein)、嚢胞性繊維症膜透管コンダクタンス調節タンパク質(cysticfibrosistransmembraneconductanceregulatorprotein)、ロドプシン(rhodopsin)およびアタキシンと、Poly−Q延伸を有するその他タンパク質からなる群より選択される1種以上のものであってもよい。
【0063】
したがって、また他の様態として、本発明は、下記化学式1のオートタックキメラ化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含む薬学的組成物を提供する。前記薬学的組成物はターゲット結合リガンドが標的とする疾患を予防または治療するものであり、このような疾患はターゲット結合リガンドと結合できる疾患であれば制限なく対象になり得、好ましくは癌またはタンパク質異常疾患であり、さらに好ましくは希少難治性疾患、または遺伝的疾病のように特定タンパク質を標的として分解する場合に治療効果を期待することができる多様な疾患を含む。本発明による薬学的組成物は、前記疾患を誘発する原因タンパク質を直接除去することを特徴とする。
【0064】
また他の様態として本発明は、前記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、疾病を誘発する病因タンパク質および変性タンパク質のオートファジー伝達または分解用薬学的組成物を提供する。
【0065】
ここで使用された用語“タンパク質異常疾患”は、変性タンパク質凝固体を特徴とする疾患を含み、例えば神経変性疾患、α1−アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜塩、2型糖尿病、嚢胞性繊維症などを意味するが、これに制限されるわけではない。
【0066】
本発明によって、用語“凝集(aggregation)”は、複合体内に炭水化物、核酸および脂質のような追加的な生体分子の統合と伴われる、典型的に一つ以上のタンパク質のオリゴマーまたは多量体複合体の形成を示す。そのような凝集されたタンパク質は特定組織、より好ましくは神経組織または脳組織に沈着物を形成することができる。凝集の程度は該当疾患に依存する。
【0067】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト−ヤコブ病(Creutzfeldt−Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)、脊髄小脳変性症、その他ポリ−Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身性アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、注射−局所化アミロイド症、β−2ミクログロブリンアミロイド症、遺伝性非−神経病アミロイド症、アレキサンダー病およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群より選択されるのが好ましい。本発明の薬学的組成物の投与量は患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率および疾患の重症度などによってその範囲が多様であり得るが、有効投与量は通常、成人(60kg)の場合、約1ng〜10mg/日、特に約1g〜1mg/日である。投与量は様々な条件によって変動可能であるため、前記投与量に加減があり得るという事実は当業者に自明であり、したがって、前記投与量はいかなる面でも本発明の範囲を限定するのではない。投与回数は所望の範囲内で一日に1回、または数回に分けて投与することができ、投与期間も特に限定されない。
【0068】
本発明の用語“治療”とは、本発明の薬学的組成物の投与でタンパク質凝固に関連する多様な疾患および標的タンパク質分解によって疾患が好転するか有利に変更される全ての行為を意味する。
【0069】
前述のように、本発明の化合物は、(1)p62オリゴマー化および構造的活性化を誘導して、(2)p62のLC3との結合を増大させ、(3)p62のオートファゴソーム(autophagosome)への伝達を増大させて、(4)オートファジーを活性化して最終的に(5)標的タンパク質を除去する効果を示すので、これを有効性分として含む薬学的組成物は多様な目的とする疾患、好ましくは癌またはタンパク質異常疾患の予防、改善または治療に使用できる。
【0070】
例えば、本発明の組成物は薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を追加的に含むことができ、それぞれの使用目的に合うように通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口剤形、滅菌注射溶液の注射剤など多様な形態に剤形化して使用することができ、経口投与するか静脈内、腹腔内、皮下、直腸、局所投与などを含む多様な経路を通じて投与できる。このような組成物に含まれ得る、適した担体、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油などが挙げられる。また、本発明の組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などを追加的に含むことができる。
【0071】
経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は前記組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えばデンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混合して剤形化する。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤が使用できる。
経口用液状製剤としては懸濁剤、内用液剤、油剤、シロップ剤などが例示でき、よく使用される単純希釈剤である水、液体パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。
【0072】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液剤、非水性溶剤、懸濁剤、油剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基剤としてはウィテップゾール、マクロゴール、ツイン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。一方、注射剤には溶解剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、防腐剤などのような従来の添加剤が含まれてもよい。
【0073】
前記剤形は通常の混合、顆粒化またはコーティング方法によって製造でき、活性成分を医学的治療、具体的にタンパク質凝集に関連する疾患の予防、改善または治療に有効な量で含む。
【0074】
この時、本発明の組成物は薬学的に有効な量で投与する。本発明の用語“薬学的に有効な量”は医学的治療に適用可能な合理的な利益/危険比率で疾患を治療するのに十分であり副作用を起こさない程度の量を意味し、有効容量水準は患者の健康状態、疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与方法、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、配合または同時使用される薬物を含む要素およびその他の医学分野によく知られた要素によって決定できる。本発明の組成物は個別治療剤として投与するか他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤と順次にまたは同時に投与することができ、単一または多重投与することができる。前記要素を全て考慮して副作用なく最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定できる。
【0075】
例えば、投与経路、疾病の重症度、性別、体重、年齢などによって増減できるので、前記投与量がいかなる方法でも本発明の範囲を限定するのではない。
【0076】
本発明の化合物の好ましい投与量は、患者の状態および体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路および期間によって異なるが、当業者によって適切に選択できる。
【0077】
また他の様態として、本発明は、前記本発明の薬学的組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、目的とする疾患、好ましくは癌、病因タンパク質関連疾患、タンパク質凝集に関連する疾患を予防、改善または治療する方法を提供する。
【0078】
また他の様態として、本発明は、前記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、(i)標的タンパク質の分解を増大させる方法、(ii)小器官および構造物の分解を増大させる方法、(iii)細胞内に侵入したウイルスおよびバクテリアの分解を増大させる方法、(iv)薬物や低分子化合物をオートファジーおよびリソソームに伝達する方法、(v)p62の自己オリゴマー化およびオートファジー活性化方法、(vi)細胞内特定タンパク質をp62に連結させてオートファジーに伝達することによってリソソームによる分解を増大させる方法を提供する。
【0079】
また他の様態として、本発明は、発明によるキメラ化合物を細胞膜に露出されたタンパク質に特異的に結合する治療用抗体に連結した薬物を用いて、このような薬物をエンドソーム(endosome)を通じてリソソームに伝達する方法を提供する。前記治療用抗体は治療を要する疾患に対する薬理活性を示すものであれば制限なく使用できる。
【0080】
本発明の用語“個体”とは、予防、改善または治療するために標的とする疾患が発病した人間を含む猿、牛、馬、羊、豚、鶏、七面鳥、ウズラ、猫、犬、マウス、ネズミ、ウサギまたはギニアピッグを含む全ての動物を意味し、本発明の薬学的組成物を個体に投与することによって標的とする疾患、好ましくは癌、病因タンパク質関連疾患、または変性タンパク質の凝集に関連する疾患を効果的に予防、改善または治療することができる。また、本発明の薬学的組成物はp62リガンドに作用してオートファジーを活性化させ、このようなオートファジー活性化によって変性タンパク質の凝集体を除去してこのような凝集タンパク質に関連する疾患の予防または治療効果を示すものであるので、既存の治療剤と並行して投与することによってシナジー的な効果を示すことができる。
【0081】
本発明の用語“投与”とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を提供することを意味し、本発明の組成物の投与経路は目的組織に到達できる限りいずれの一般的な経路を通じても投与できる。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与できるが、これに制限されない。また、本発明の薬学的組成物は、活性物質が標的細胞に移動し得る任意の装置によって投与できる。好ましい投与方式および製剤は、静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などである。注射剤は、生理食塩液、リンゲル液などの水性溶剤、植物油、高級脂肪酸エステル(例、オレイン酸エチルなど)、アルコール類(例、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)などの非水性溶剤などを用いて製造することができ、変質防止のための安定化剤(例、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、BHA、トコフェロール、EDTAなど)、乳化剤、pH調節のための緩衝剤、微生物発育を阻止するための保存剤(例、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、ベンジルアルコールなど)などの薬学的担体を含むことができる。
【0082】
また他の様態として、本発明は、化学式1のオートタックキメラ化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含むタンパク質異常疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。前記食品用組成物は、健康機能食品としてそれ自体で剤形化を経て使用されるか、健康機能食品の添加物として他の健康機能食品に含まれてもよい。健康機能食品とは、疾病の予防または改善、生体防御、免疫、病後の回復、老化抑制など生体調節機能を有する食品をいうものであって、長期的に服用した時、人体に無害でなければならない。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)によって適するように決定できる。
【0083】
前記食品の種類には特別な制限はない。前記物質を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料およびビタミン複合剤などがあり、通常の意味での健康機能食品を全て含む。
【0084】
本発明の食品用組成物は、食品または食品添加物の製造に使用される通常の成分、具体的に、香味剤;天然炭水化物としてブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、およびデキストリン、シクロデキストリンのような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルタムのような合成甘味剤;栄養剤;ビタミン;電解質;着色剤;有機酸;保護性コロイド増粘剤;pH調節剤;安定化剤;防腐剤;グリセリン;アルコール;炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含むことができる。
【0085】
本発明の具体的な実施例では、化学式1で表される新規なオートタックキメラ化合物1〜13を新しく合成した。また、本発明による新規なオートタックキメラ化合物が培養された細胞で自食現象を増加させることができるかを評価するために免疫ブロッティング法によってターゲットタンパク質が本来発現される細胞株(MCF7、NTERA−2、ACHN、U87−MG、LNCaP、HEK293T)や遺伝子組換え細胞株(SH−SY5Y−tau、HeLa−HttQ97、PC12−a−synA30P)に本発明によるオートタックキメラ化合物を処理して培養した後、培養細胞内でのターゲットタンパク質分解活性を確認した。その結果、本発明によるオートタック化合物を処理した濃度によって漸増的にそれぞれのターゲットタンパク質のオートファジーで媒介される分解効果を確認しただけでなく、キメラ化合物構成のp62リガンドや標的タンパク質リガンドより優れた分解効能を確認したところ、本発明によるオートタック化合物はp62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させてオートファゴソームに伝達させると同時に標的化する多様な疾患、例えば癌関連タンパク質またはタンパク質異常疾患に関連するタンパク質とこれらの凝集体を選択的で効果的に除去することを確認した。
【実施例】
【0086】
以下の実施例を通じて本発明をより詳しく説明しようとする。これら実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるのではない。
【0087】
本発明による化学式1〜13の化合物を以下の実施例1〜実施例13にて製造した。
【0088】
【表3】
【0089】
本発明の化合物を合成するための出発物質の場合、多様な合成法が知られており、前記出発物質が市販されている場合は供給先から購入して使用することができる。試薬供給先としてはAldrich、Sigma、TCI、Wako、Kanto、Fluorchem、Acros、Alfa、Flukaなどの会社があるが、これに限定されるのではない。
【0090】
本発明の化合物は、下記の一般的な方法および過程を使用して容易に利用可能な出発物質から製造できる。典型的なまたは好ましい工程条件(即ち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力)などとしては、ほかに言及しない限り、他の工程条件も使用できる。最適の反応状態は使用された特定反応物または溶媒によって変わり得るが、そのような状態は通常の最適化過程により本技術分野の熟練者によって決定できる。
【0091】
以下、前記実施例1〜実施例13の製造方法について記述する。
【0092】
実施例1.(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−(((R)−3−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド(RTEG−1104)の製造
【0093】
【化3】
【0094】
(段階1)3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の製造
3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(0.50g、3.62mmol)を無水DMF(5ml)に溶解後、ポタシウムカーボネート(KCO、1.50g、10.86mmol)を入れ、次いで、ベンジルブロミド(0.92mL、7.96mmol)を反応物に徐々に添加し、60℃で4時間攪拌する。反応が終了すれば、反応物を室温に冷却した後、精製水に希釈してジエチルエーテル(50ml)で2回抽出する。有機層を精製水(50ml)で2回洗浄した後、飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)でもう一度洗浄する。次いで、有機層に無水硫酸ナトリウムを入れて攪拌した後、減圧ろ過する。ろ過した溶液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製して3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、1.04g、収率90%)を得た。H NMR(CDCl、300MHz)δ9.81(s、1H)、7.49−7.31(m、12H)、7.04(d、J=8.3Hz、1H)、5.27(s、2H)、5.22(s、2H);ESIMS m/z:319.33[M+H]
【0095】
(段階2)段階1)3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノール(1102)の製造
ジクロロメタン(15ml)を3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、1.00g、3.0mmol、1当量)に入れて溶解した後、mCPBA(0.78g、4.5mmol、1.5当量)を反応物に入れて室温で4時間攪拌する。反応物にエチルアセテートを入れて希釈した後、炭酸ナトリウム飽和水溶液を入れて洗浄した後、有機層を分液する。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水して減圧ろ過する。ろ過された溶液を濃縮した後、再びメタノール(10ml)に溶解した後、6N NaOHを入れて30分間室温で攪拌する。反応物に4N HCl溶液を入れた後、30分間さらに攪拌する。反応物にエチルアセテート(50ml)を入れて希釈した後、塩水で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムを入れて脱水および減圧ろ過する。ろ過された溶液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エチルアセテート比率=7/3)で精製して3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノール(1102、0.87g、収率90%)を得た。
【0096】
H−NMR(CDCl、300MHz):δ7.25−7.42(m、10H)、6.80(d、1H、J=9.0Hz)、6.48(d、1H、J=3.0Hz)、6.29(dd、1H、J=3.0 and 9.0Hz)、5.08(d、4H、J=15Hz)、4.55(s、1H);ESIMS m/z:307.25[M+H]
【0097】
(段階3)R−2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103)の製造
3,4−ジベンジルオキシフェノール(1102、306mg、1.0mmol)をエタノール(10ml)に希釈した後、KOH水溶液(KOH 66mg、1.2mmol、1ml)と(R)−2−(クロロメチル)オキシラン(410ul、5.0mmol)を順次に添加する。反応物を室温で5時間攪拌した後、有機溶媒を減圧して除去する。濃縮された反応物を再びエチルアセテートで希釈した後、水で洗浄し、次いで塩水で洗浄した後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過する。ろ過された有機層を濃縮しカラムクロマトグラフィーで精製して純粋なR−2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、297mg、収率82%)を得た。ESIMS m/z:363.5[M+H]
【0098】
(段階4)(R)−1−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ−3−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)プロパン−2−オール(AL−1)の製造
R−2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、270mg、0.75mmol)を無水エタノール(5ml)に溶解した後、2,2’−(エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ビス(エタン−1−アミン)(880mg、5.9mmol)を添加して8時間室温で攪拌する。TLCで反応確認した後、反応溶媒を減圧濃縮し、濃縮された反応物に水を入れジクロロメタン(3×5mL)で抽出する。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過する。ろ過された有機層を濃縮してカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=19:1)で精製して(R)−1−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ−3−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)プロパン−2−オール(AL−1、267mg、収率70%)を得た。ESIMS m/z:511.5[M+H]
【0099】
(段階5)(R)−1−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ−3−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)プロパン−2−オール(AL−1、100mg、0.19mmol)をDMF(4ml)に溶解した後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI、44mg、0.285mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、38.5mg、0.285mmol)とレチノイン酸(60mg、0.2mol)を順次に添加した後、次いで、N−N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、0.6ml)を添加して室温で12時間攪拌する。反応物に水を入れエチルアセテートで2回抽出した後、有機層を塩水で1回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧ろ過した後、ろ過液を減圧濃縮して高分解能液体クロマトグラフィーで精製して白色固体の(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−(((R)−3−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド(RTEG−1104、60mg、収率41%)を製造した。
【0100】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.01(s、6H)、1.53(m、2H)、1.74−1.79(m、5H)、1.96(m、2H)、2.12(s、3H)、2.42(s、3H)、2.56−2.81(m、4H)、3.04(m、2H)、3.52−3.54(m、6H)、3.67(m、2H)、3.95−4.05(m、3H)、5.16(s、4H)、5.37(br s、1H)、5.91(br s、1H)、6.22(s、2H)、6.51(s、4H)、6.57−6.61(m、2H)、6.98(d、1H)、7.32−7.48(m、10H)、8.51(br s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C4964[M+H]794.35 Found 793.06。
【0101】
実施例2.(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド(RTEG−1105)の製造
【0102】
【化4】
【0103】
(段階1)2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)−N−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)エタン−1−アミン(AL−2)の製造
3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、0.5g、1.57mmol)をアセトニトリル(CAN、10ml)に溶解した後、tert−ブチル(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(468mg、1.88mmol)を入れて60〜70℃で5時間攪拌する。室温に冷却した後、反応物に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、106mg、2.82mmol)を徐々に添加した後、室温で5時間ほど攪拌する。水を添加して反応を終了させ、エチルアセテート(50mL×3)で化合物を抽出する。抽出された有機溶媒層を塩水で洗浄し硫酸ナトリウムを用いて脱水する。ろ過した溶媒を濃縮させた後、再びジクロロメタン(6ml)に溶解した後、トリフルオロ酢酸(TFA、2ml)を入れて室温で2時間攪拌した後、溶媒を減圧濃縮する。カラムクロマトグラフィー(メチレンクロライド/メタノール=15:1)で精製して薄い黄色液体の2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)−N−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)エタン−1−アミン(AL−2、590mg、収率84%)を得た。
【0104】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)2.59(t、2H)、3.32−3.61(m、12H)、4.62(br s、1H)、5.10(s、4H)、6.82(d、1H)、6.97(d、1H)、7.06(s、1H)、7.30−7.46(m、10H)。
【0105】
(段階2)実施例1の段階5と類似の方法で合成して(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド(RTEG−1105)を製造した。
【0106】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.01(s、6H)、1.54(m、2H)、1.75−1.80(m、5H)、1.98(m、2H)、2.12(s、3H)、2.42(s、3H)、2.72(t、2H)、3.04(t、2H)、3.51−3.54(m、6H)、3.67(t、2H)、3.76(s、2H)、5.14(s、4H)、6.22(m、2H)、6.37(br s、1H)、6.51(s、4H)、6.80(d、1H)、6.87(d、1H)、6.99(s、1H)、7.31−7.46(m、10H)、8.41(br s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C4760[M+H] 734.3 Found 733.01。
【0107】
実施例3.(R)−N−(15−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−14−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサ−12−アザペンタデシル)−4−フェニルブタンアミド(PBA−1104)の製造
【0108】
【化5】
【0109】
(段階1)2,2’−(2,2’−オキシビス(エタン−2,1−ジイル)ビス(オキシ))ジエタンアミン(21g、73.1mmol)をジクロロメタン(400ml)に溶解した後、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、12.3g、91.5mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI、17.6g、91.5mmol)を順次に添加した後、トリエチルアミン(EtN、18.5g、180mmol)を入れて0℃に冷却する。4−フェニル酪酸(15g、91.5mmol)をジクロロメタン(200ml)に溶解した後、反応物に添加した後、室温で12時間攪拌する。反応物に水を入れて希釈した後、ジクロロメタン(50ml*3回)で抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水およびろ過する。ろ過された液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して黄色液体のN−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)−4−フェニルブタンアミド(TL−1、12g)を製造した。ESIMS m/z:339.1[M+H]
【0110】
(段階2)N−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)−4−フェニルブタンアミド(TL−1、100mg、0.295mmol)をメタノール(6ml)に溶解した後、R−2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、128mg、0.354mmol)を入れて50℃で10時間攪拌する。反応物を減圧濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して白色固体の(R)−N−(15−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−14−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサ−12−アザペンタデシル)−4−フェニルブタンアミド(PBA−1104、103mg、収率50%)を製造した。
【0111】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.25(s、1H)、1.92(m、2H)、2.31(t、2H)、2.56−2.81(m、4H)、3.28(m、2H)、3.51−3.53(m、10H)、3.67(t、2H)、3.95−4.20(m、3H)、5.14(s、4H)、5.37(br s、1H)、5.90(br s、1H)、6.57(s、1H)、6.67(d、1H)、6.96(d、1H)、7.16(m、3H)、7.30(mk 8H)、7.45(m、4H);ESI−MS Calcd m/z for C4152[M+H] 701.5 Found 700.87。
【0112】
実施例4.N−(1−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル)−5,8,11−トリオキサ−2−アザトリデカン−13−イル)−4−フェニルブタンアミド(PBA−1105)の製造
【0113】
【化6】
【0114】
(段階1)N−(1−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル)−5,8,11−トリオキサ−2−アザトリデカン−13−イル)−4−フェニルブタンアミド(PBA−1105)の製造
N−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)−4−フェニルブタンアミド(TL−1)(10g、29.6mmol)をメタノール(MeOH、150mL)に溶かした後、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(10.3g、32.3mmol)を添加した。その後、65℃で5時間ほど攪拌した。室温に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、2.2g、57.9mmol)を添加して室温で5時間ほど攪拌した。水を添加して反応を終了させ、エチルアセテート(50mL×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて水を除去した。ろ過した溶媒を濃縮させた後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(メチレンクロライド/メタノール=15:1)で精製した。その後、黄色液体のN−(1−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル)−5,8,11−トリオキサ−2−アザトリデカン−13−イル)−4−フェニルブタンアミド(PBA−1105)(10.3g)を得た。
【0115】
H NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.45−7.42(m、4H)、7.36−7.29(m、7H)、7.27−7.26(m、1H)、7.18−7.15(m、3H)、6.99(d、1H)、6.83(d、1H)、6.41(brs、1H)、5.15(d、4H)、3.71(s、2H)、3.60−3.55(m、10H)、3.55−3.49(m、2H)、3.42−3.39(m、2H)、2.75−2.73(m、2H)、2.65−2.61(m、2H)、2.18−2.15(m、2H)、1.97−1.93(m、2H)、1.25(brs、1H);ESI−MS Calcd m/z for C3948[M+H] 641.00 Found 640.82。
【0116】
実施例5.3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(2−(2−(2−((3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アニリン(Anle138b−F105)の製造
【0117】
【化7】
【0118】
(段階1)3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(YT−102)の製造
アセトニトリル(ACN、500mL)に溶かした3−ヒドロキシベンズアルデヒド(50g、0.41mol)にポタシウムカーボネート(KCO、112.5g、0.81mol)と1−(ブロモメチル)−4−フルオロベンゼン(95g、0.50mol)を添加した。60℃で10時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過した後、溶液を濃縮した。ここに石油エーテル/エチルアセテート(PE/EA、20:1、20mL)を添加して1時間ほどさらに攪拌した後、ろ過を経て濃縮した。その後、灰色を帯びた白色固体の3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(YT−102、25g)を得た。
【0119】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.98(s、1H)、7.54−7.50(m、5H)、7.36(m、1H)、7.23(m、2H)、5.18(s、2H)。
【0120】
(段階2)tert−ブチル3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(3−ブロモフェニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート(T−1)の製造
3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(3−ブロモフェニル)−1H−ピラゾール(200mg、0.58mmol)をメチレンクロライド(DCM、4mL)に溶かした後、トリエチルアミン(TEA、88mg、0.87mmol)とジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO、153mg、0.70mmol)を添加した。室温で4時間ほど攪拌した。反応が終了した後、ろ過した溶液を濃縮させた後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:5)で精製した。その後、白色固体のtert−ブチル3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(3−ブロモフェニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート(T−1、200mg)を得た。
【0121】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)8.09−7.43(m、5H)、7.11−6.94(m、3H)、6.08(s、2H)、1.34(d、J=20Hz、9H)。
【0122】
(段階3)tert−ブチル3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(3−(2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11−トリオキサ−5−アザトリデカン−13−イル)アミノ)フェニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート(TL−2)の製造
tert−ブチル3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(3−ブロモフェニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート(T−1、200mg、0.45mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO、4mL)に溶かした後、tert−ブチル(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−1、168mg、0.68mmol)とポタシウム−tert−ブトキシド(t−BuOK、101mg、0.90mmol)を添加した。120℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了した化合物は、ろ過して濃縮させた後、分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、薄い黄色固体のtert−ブチル3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(3−((2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11−トリオキサ−5−アザトリデカン−13−イル)アミノ)フェニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート(TL−2、180mg)を得た。
【0123】
(段階4)N−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)アニリン(TL−3)の製造
tert−ブチル3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(3−((2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11−トリオキサ−5−アザトリデカン−13−イル)アミノ)フェニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート(TL−2、180mg、0.29mmol)をエチルアセテート(EA、4mL)に溶かした後、塩酸/エチルアセテート(1mL、3N)溶液を添加した。室温で2時間ほど攪拌した。反応が終了した化合物はろ過して濃縮した。その後、白色固体のN−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)アニリン(TL−3、100mg)を得た。
【0124】
(段階5)3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(2−(2−(2−((3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アニリン(Anle138b−F105)の製造
N−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)アニリン(TL−3、90mg、0.22mmol)をメタノール(MeOH、2mL)に溶かした後、3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(YT−102、50mg、0.22mmol)を添加して65℃で攪拌した。その後、5℃で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、16mg、0.44mmol)を添加して1時間ほど追加的に攪拌した。反応が終了した化合物は濃縮させて分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、無色液体の3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(2−(2−(2−((3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アニリン(Anle138b−F105、15mg)を得た。
【0125】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)13.08(brs、1H)、7.47(q、J=6Hz、2H)、7.37−7.31(m、2H)、7.21−7.17(m、3H)、7.11(t、J=8Hz、1H)、7.00−6.96(m、5H)、6.88−6.82(m、2H)、6.56(d、J=8Hz、1H)、6.04(s、2H)、5.59(brs、1H)、5.04(s、2H)、3.66(s、2H)、3.60−3.52(m、6H)、3.47(t、J=6Hz、2H)、3.26−3.22(m、2H)、2.61(t、J=5.6Hz、2H);ESI−MS Calcd m/z for C3637FN[M+H]625.10 Found 624.71。
【0126】
実施例6.(3R,4S,5S,6R)−5−メトキシ−4−((2R,3R)−2−メチル−3−(3−メチルブタ−2−エン−1−イル)オキシラン−2−イル)−1−オキサスピロ[2.5]オクタン−6−イル(13E,15E,17E,19E)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−12−オキソ−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザヘニコサ−13,15,17,19−テトラエン−21−オエート(Fumagillin−105)の製造
【0127】
【化8】
【0128】
(段階1)3−(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(201)の製造
アセトニトリル(ACN、500mL)に溶かした3−ヒドロキシベンズアルデヒド(50g、0.41mol)にポタシウムカーボネート(KCO、112.5g、0.81mol)とブロモメチルベンゼン(85g、0.50mol)を添加した。60℃で10時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過した後、溶液を濃縮した。その後、石油エーテル/エチルアセテート(PE/EA、20:1、20mL)を添加して追加的に1時間ほどさらに攪拌した後、ろ過を経て濃縮した。その後、灰色を帯びた白色固体の3−(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(201、25g)を得た。
【0129】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.97(s、1H)、7.54−7.51(m、3H)、7.47(d、J=7.2Hz、2H)、7.42−7.34(m、4H)、5.19(s、2H)。
【0130】
(段階2)2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)−N−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)エタン−1−アミン(AL−3)の製造
3−(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(201、50g、235.8mmol)をメタノール(MeOH、500mL)に溶かした後、2,2’−(エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ジエタンアミン(L−2、34.9g、235.8mmol)を添加した。65℃で6時間ほど攪拌した。室温に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、8.95g、235.8mmol)を添加して50℃で一晩中攪拌した。水を添加して反応を終了し、エチルアセテート(EtOAc、50mL×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒層は塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)を添加して水を除去した。溶液を濃縮した後、シリカゲルを使用したカラムクロマトグラフィー(メチレンクロライド/メタノール=12:1)で精製した。その後、黄色液体の2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)−N−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)エタン−1−アミン(AL−3、20g)を得た。
【0131】
H NMR(DMSO+DO、400MHz)δ(ppm)7.41−7.29(m、5H)、7.18(t、J=8Hz、1H)、6.94(s、1H)、6.86−6.81(m、2H)、5.03(s、2H)、3.60(s、2H)、3.45−3.42(m、6H)、3.33(t、J=5.6Hz、2H)、2.57−2.52(m、4H);ESI−MS Calcd m/z for C2028[M+H] 345.10 Found 344.46。
【0132】
(段階3)(3R,4S,5S,6R)−5−メトキシ−4−((2R,3R)−2−メチル−3−(3−メチルブタ−2−エン−1−イル)オキシラン−2−イル)−1−オキサスピロ[2.5]オクタン−6−イル(13E,15E,17E,19E)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−12−オキソ−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザヘニコサ−13,15,17,19−テトラエン−21−オエート(Fumagillin−105)の製造
メチレンクロライド(DCM、2mL)に2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)−N−(3(ベンジルオキシ)ベンジル)エタン−1−アミン(AL−3、70mg、0.22mmol)を溶かし、フマギリン(100mg、0.22mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、34mg、0.25mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI、48mg、0.25mmol)とトリエチルアミン(EtN、44mg、0.44mmol)を添加した。30℃で10時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、メチレンクロライド(DCM、50mL×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒層は塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて水を除去した。ろ過した溶媒を濃縮した後、分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製する。その後、黄色固体の(3R,4S,5S,6R)−5−メトキシ−4−((2R,3R)−2−メチル−3−(3−メチルブタ−2−エン−1−イル)オキシラン−2−イル)−1−オキサスピロ[2.5]オクタン−6−イル(13E,15E,17E,19E)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−12−オキソ−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザヘニコサ−13,15,17,19−テトラエン−21−オエート(Fumagillin−105、3mg)を得た。ESI−MS Calcd m/z for C4660[M] 784.90 Found 784.99。
【0133】
実施例7.3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−((R)−15−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−14−ヒドロキシ−6,9−ジオキサ−3,12−ジアザペンタデシル)−5−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン(Vinclozolin−2204)の製造
【0134】
【化9】
【0135】
(段階1)3−ヒドロキシ−4−フェネトキシベンズアルデヒド(A−1)の製造
3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(200g、1.4mol)をアセトニトリル(ACN、2L)に溶かした後、ポタシウムカーボネート(KCO、260g、1.9mol)と1−(2−ブロモエチル)ベンゼン(267g、1.4mol)を添加した。80℃で16時間ほど攪拌した。塩酸(1.5L、1N)で反応を終了した後、エチルアセテート(EA、1L×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒層は塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで水を除去してろ過した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=20:1〜10:1)で精製した。その後、白色固体の3−ヒドロキシ−4−フェネトキシベンズアルデヒド(A−1、320g)を得た。ESI−MS Calcd m/z for C1514[M+H] 243.0 Found 242.27。
【0136】
(段階2)3,4−ジフェネトキシベンズアルデヒド(2201)の製造
3−ヒドロキシ−4−フェネトキシベンズアルデヒド(A−1、320g、1.32mol)をテトラヒドロフラン(THF、5L)に溶かした後、2−フェニルエタノール(193.5g、1.59mol)、トリフェニルホスフィン(PPh、520g、1.98mol)とジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、400g、1.98mol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応溶液に水(100mL)を入れて反応を終了し、エチルアセテート(100mL×2)で抽出した。抽出された有機溶媒層に硫酸ナトリウムを添加して水を除去しろ過した後、濃縮した。濃縮された化合物は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:10)を経て精製した。その後、白色固体の3,4−ジフェネトキシベンズアルデヒド(2201、160g)を得た。
【0137】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.81(s、1H)、7.51(dd、J=8Hz and 1.6Hz、1H)、7.40−7.17(m、12H)、4.27(t、J=6.8Hz、2H)、4.22(t、J=6.8Hz、2H)、3.06(q、J=6.4Hz、4H);ESI−MS Calcd m/z for C2322[M+H] 346.90 Found 346.43。
【0138】
(段階3)3,4−ジフェネトキシフェノール(2202)の製造
3,4−ジフェネトキシベンズアルデヒド(2201、160g、0.46mmol)をメチレンクロライド(DCM、2L)に溶かした後、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA、119g、0.69mmol)を添加した。室温で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、溶液をろ過した後、濃縮した。濃縮された溶液は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:5)で精製した。その後、灰色を帯びる白色固体の3,4−ジフェネトキシフェノール(2202、100g)を得た。ESI−MS Calcd m/z for C2222[M+H] 335.00 Found 334.42。
【0139】
(段階4)(R)−2−((3,4−ジフェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(A−2)の製造
3,4−ジフェネトキシフェノール(2202)(5g、15mmol)をエタノール(EtOH、50mL)に溶かした後、水(2.5mL)とポタシウムヒドロキシド(KOH、1.93g、34.5mmol)を添加した。そして、(R)−2−(クロロメチル)オキシラン(8g、87mmol)を添加して室温で16時間ほど攪拌した。水(50mL)を入れて反応を終了させ、エチルアセテート(EA、20mL×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒は、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで水を除去してろ過し、濃縮した。濃縮された化合物は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:10)で精製した。その後、白色固体の(R)−2−((3,4−ジフェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(A−2、2.5g)を得た。ESI−MS Calcd m/z for C2526[M+H] 391.00 Found 390.48。
【0140】
(段階5)(R)−1−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)−3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)プロパン−2−オール(AL−4)の製造
(R)−2−((3,4−ジフェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(A−2、20g、51.2mmol)をアセトニトリル(ACN、200mL)に溶かした後、2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エタンアミン(L−2、15.2g、102.5mmol)を添加した。70℃で40時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過した後、濃縮した。濃縮された溶液は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(メチレンクロライド/メタノール=100:1〜30:1)で精製した。その後、黄色液体の(R)−1−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)−3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)プロパン−2−オール(AL−4、12g)を得た。
【0141】
H NMR(CDOD、400MHz)δ(ppm)8.52(s、3H)、7.30−7.20(m、10H)、6.85(d、J=8Hz、1H)、6.60(d、J=2.8Hz、1H)、6.47(dd、J=8Hz and 2Hz、1H)、4.16(t、J=6.8Hz、3H)、4.08(t、J=6.8Hz、2H)、3.96(q、J=4Hz、2H)、3.79(t、J=5.2Hz、2H)、3.70(m、7H)、3.32−3.25(m、3H)、3.17−2.98(m、8H);ESI−MS Calcd m/z for C3142[M+H] 539.20 Found 538.69。
【0142】
(段階6)液体の3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−((R)−15−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−14−ヒドロキシ−6,9−ジオキサ−3,12−ジアザペンタデシル)−5−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン(Vinclozolin−2204)の製造
(R)−1−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)−3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)プロパン−2−オール(AL−4、120mg、0.22mmol)をメタノール(MeOH、2mL)に溶かした後、ビンクロゾリン(vinclozolin、117mg、0.33mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、溶液をろ過した後、濃縮した。濃縮された溶液は、分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、無色液体の3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−((R)−15−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−14−ヒドロキシ−6,9−ジオキサ−3,12−ジアザペンタデシル)−5−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン(Vinclozolin−2204、15mg)を得た。
【0143】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)1.65(m、3H)、2.65(m、4H)、2.97(m、4H)、3.17(m、2H)、3.42(m、8H)、3.57(d、J=8Hz、1H)、3.80(m、3H)、4.02(t、J=8Hz、2H)、4.13(t、J=8Hz、2H)、4.90(b、1H)、5.33(m、2H)、6.20(m、1H)、6.38(d、J=8Hz、1H)、6.54(m、1H)、6.82(d、J=8Hz、1H)、7.25(m、11H)、7.49(d、J=1Hz、1H)、7.76(s、1H)、9.70(s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C4351Cl[M+H] 825.00 Found 824.79。
【0144】
実施例8.(R)−1−(4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノキシ)−3−((2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール(PHTPP−1304)の製造
【0145】
【化10】
【0146】
(段階1)4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(A−3)の製造
3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(500g、3.62mol)をアセトニトリル(ACN、7L)に溶かした後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO、395g、4.71mol)とベンジルブロミド(BnBr、619g、3.62mol)を添加した。80℃で16時間ほど攪拌した。塩酸(3L、1N)で反応を終了し、エチルアセテート(3L×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒層を塩水で洗浄し、残っている水は硫酸ナトリウムで除去した。ろ過して不純物を除去し、濃縮した。濃縮された溶液は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(EA/PE=20:1〜10:1)で精製した。その後、白色固体の4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(A−3、250g)を得た。
【0147】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.76(s、1H)、9.65(s、1H)、7.49(d、J=6.8Hz、2H)、7.42−7.34(m、4H)、7.29(d、J=2Hz、1H)、7.19(d、J=8Hz、1H)、5.23(s、2H)。
【0148】
(段階2)4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)ベンズアルデヒド(1301)の製造
4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(A−3、120g、526mmol)をテトラヒドロフラン(THF、2L)に溶かした後、3−フェニルプロパン−1−オール(85.9g、631mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh、206.9g、789mmol)、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、159.5g、789mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、フィルターして濃縮した。濃縮された溶液は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:10)で精製した。その後、白色固体の4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)ベンズアルデヒド(1301、100g)を得た。
【0149】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.82(s、1H)、7.55−7.50(m、3H)、7.38(t、J=7.2Hz、3H)、7.36−7.34(m、1H)、7.29−7.25(m、3H)、7.21−7.16(m、3H)、5.26(s、2H)、4.04(t、J=6.4Hz、2H)、2.76(t、J=8Hz、2H)、2.04(t、J=7.2Hz、2H)。
【0150】
(段階3)4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノール(1302)の製造
4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)ベンズアルデヒド(1301、100g、289mmol)をメチレンクロライド(DCM、900mL)に溶かした後、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA、74.7g、433mmol)を添加した。室温で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過した後、濃縮した。濃縮された溶液は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:5)で精製した。その後、灰色を帯びた白色固体の4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノール(1302、66g)を得た。
【0151】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.00(s、1H)、7.44−7.18(m、10H)、6.81(d、J=8Hz、1H)、6.39(d、J=2.8Hz、1H)、6.22(dd、J=8.8Hz and 2.8Hz、1H)、4.96(s、2H)、3.90(t、J=6Hz、2H)、2.74(t、J=8Hz、2H)、2.01(q、J=5.6Hz、2H)。
【0152】
(段階4)(R)−2−((4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(A−4)の製造
4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノール(1302、40g、60mmol)をエタノール(EtOH、800mL)に溶かした後、水(40mL)とポタシウムヒドロキシド(KOH、8.0g、143mmol)を添加した。その後、(R)−2−(クロロメチル)オキシラン(33.2g、359mmol)を添加した後、室温で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、水(1600mL)を添加して反応を終了し、エチルアセテート(1600mL×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒層は塩水で洗浄した後、残った水を硫酸ナトリウムで除去した。ろ過で不純物を除去した後、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:10)で精製した。その後、白色固体の(R)−2−((4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(A−4、30g)を得た。
【0153】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)7.46−7.17(m、10H)、6.93(d、J=8.8Hz、1H)、6.61(d、J=3.2Hz、1H)、6.43(dd、J=8.8Hz and 2.8Hz、1H)、5.02(s、2H)、4.23(dd、J=7.6Hz and 2.8Hz、1H)、3.97(t、J=6.4Hz、2H)、3.75(dd、J=7.2Hz and 1.6Hz、1H)、3.28(m、1H)、2.82(dd、J=5.2Hz and 4Hz、1H)、2.75(t、J=7.6Hz、2H)、2.73−2.67(m、1H)、2.01(m、2H)。
【0154】
(段階5)tert−ブチル(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−4)の製造
2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エタン−1−オール(L−3、5g、33mmol)をメチレンクロライド(DCM、100mL)に溶かした後、トリエチルアミン(TEA、4.1g、40mmol)とジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO、8.1g、37mmol)を添加した。室温で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(EA/PE=1:3〜1:1)で精製した。その後、無色液体のtert−ブチル(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−4、4.2g)を得た。
【0155】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)6.74(m、1H)、4.56(t、J=5.6Hz、1H)、3.51−3.46(m、6H)、3.42−3.37(m、4H)、3.07−3.03(m、2H)、1.37(s、9H)。
【0156】
段階6)tert−ブチル(2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−4)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−4、300mg、1.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF、5mL)に溶かした後、4−[2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]フェノール(PHTPP、509mg、1.2mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh3、377mg、1.44mmol)、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、291mg、1.44mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終わった後、反応を終了しろ過した後、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100:1〜50:1)で精製した。その後、黄色固体のtert−ブチル(2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−4、200mg)を得た。
【0157】
(段階7)2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(TL−5)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−4、200mg、0.31mmol)をエチルアセテート(EA、4mL)に溶かした後、塩酸(g)/エチルアセテート(1mL)を添加した。室温で2時間ほど攪拌した。反応が終わった後、反応を終了し溶液をろ過した後、濃縮した。濃縮された溶液は精製過程を経て、その後、黄色固体の2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(TL−5、120mg)を得た。
【0158】
(段階8)(R)−1−(4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノキシ)−3−((2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール(PHTPP−1304)の製造
2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(TL−5、120mg、0.22mmol)をメタノール(MeOH、2mL)に溶かした後、(R)−2−((4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(A−4、117mg、0.33mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終わった後、終了しろ過して濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、黄色固体の(R)−1−(4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノキシ)−3−((2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール(PHTPP−1304、15mg)を得た。
【0159】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)1.99(m、2H)、2.73(m、6H)、3.55(m、8H)、3.80(m、5H)、3.94(t、J=8Hz、2H)、4.13(t、J=4Hz、2H)、4.99(s、2H)、6.40(d、J=8Hz、1H)、6.55(d、J=4Hz、1H)、6.89(d、J=8Hz、1H)、7.04(d、J=8Hz、2H)、7.18(t、J=4Hz、3H)、7.27(dd、J=4Hz and 4Hz、3H)、7.35(m、4H)、7.44(m、5H)7.61(m、2H)、8.07(s、1H)、8.42(s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C5150[M+H]945.10 Found 944.97。
【0160】
実施例9.(R,Z)−4−((2−(2−(2−((3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール(Baicalein−2204)の製造
【0161】
【化11】
【0162】
(段階1)tert−ブチル(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−1)の製造
2,2’−(エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ジエタンアミン(L−2、5g、33.7mmol)をメチレンクロライド(DCM、100mL)に溶かした後、ジ−tert―ブチルジカーボネート(Boc2O、7.36g、33.7mmol)を添加した。室温で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:3〜1:1)で精製した。その後、無色液体のtert−ブチル(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−2、2.2g)を得た。
【0163】
(段階2)tert−ブチル(Z)−(2−(2−(2−(5,6,7−トリヒドロキシ−2−フェニル−4H−クロメン−4−イリデン)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−6)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−6、300mg、1.21mmol)をメタノール(MeOH、5mL)に溶かした後、5,6,7−トリヒドロキシフラボン(Baicalein、326mg、1.21mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、黄色固体のtert−ブチル(Z)−(2−(2−(2−((5,6,7−トリヒドロキシ−2−フェニル−4H−クロメン−4−イリデン)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−6、120mg)を得た。
【0164】
(段階3)(Z)−4−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール(TL−7)の製造
tert−ブチル(Z)−(2−(2−(2−((5,6,7−トリヒドロキシ−2−フェニル−4H−クロメン−4−イリデン)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−6、120mg、0.24mmol)をエチルアセテート(EA、2mL)に溶かした後、塩酸(g)/エチルアセテート(1mL)を添加した。室温で2時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、エチルアセテートで抽出した後、ろ過して濃縮した。その後、黄色固体の(Z)−4−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール(TL−7、90mg)を得た。
【0165】
(段階4)(R,Z)−4−(2−(2−(2−((3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール(Baicalein−2204)の製造
(Z)−4−((2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール(TL−7、90mg、0.22mmol)をメタノール(MeOH、2mL)に溶かした後、(R)−2−((3,4−ジフェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(A−2、87mg、0.22mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、黄色固体の(R,Z)−4−((2−(2−(2−((3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール(Baicalein−2204、12mg)を得た。
【0166】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)2.91(m、7H)、3.35(m、11H)、3.80(m、3H)、3.96(t、J=8Hz、2H)、4.08(t、J=8Hz、2H)、6.32(dd、J=4Hz and 4Hz、1H)、6.37(s、1H)、6.47(s、1H)、6.76(d、J=12Hz、2H)、7.25(m、10H)、7.58(t、J=4Hz、3H)、7.99(d、J=8Hz、2H)、8.42(s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C465010[M+H] 791.20 Found 790.91
【0167】
実施例10.(E)−5−(4−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)スチリル)ベンゼン−1,3−ジオール(Resveratrol−1105)の製造
【0168】
【化12】
【0169】
(段階1)2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−オール(AL−5)の製造
3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、25g、78.6mmol)をメタノール(MeOH、250mL)に溶かした後、2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エタノール(L−3、11.7g、78.6mmol)を添加した。65℃で6時間ほど攪拌した。室温に冷却した後、追加的に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、3g、78.6mmol)を添加した後、50℃で一晩中攪拌した。水を添加して反応を終了し、エチルアセテート(EtOAc、50mL×3)で化合物を抽出した。抽出された化合物は塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで残っている水を除去した。ろ過後、溶液を濃縮し、濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(メチレンクロライド/メタノール=20:1)で精製した。その後、黄色液体の2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−オール(AL−5、13g)を得た。
【0170】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)7.46−7.30(m、10H)、7.06(d、J=1.6Hz、1H)、6.97(d、J=8Hz、1H)、6.82(d、J=1.2Hz、1H)、5.10(d、J=4Hz、4H)、3.61(s、2H)、3.50−3.39(m、11H)、2.58(t、J=6Hz、2H)ESI−MS Calcd m/z for C2733[M+H] 452.10 Found 451.56
【0171】
(段階2)tert−ブチル(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(AL−6)の製造
2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−オール(AL−5、500mg、1.11mmol)をメチレンクロライド(DCM、6mL)に溶かした後、トリエチルアミン(TEA、168mg、1.66mmol)とジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO、290mg、1.33mmol)を添加した。室温で4時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:5〜1:1)で精製した。その後、無色のtert−ブチル(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(AL−6、520mg)を得た。
【0172】
(段階3)tert−ブチル(E)−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)(2−(2−(2−(4−(3,5−ジヒドロキシスチリル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(ATL−1)の製造
tert−ブチル(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(AL−6、300mg、0.54mmol)をテトラヒドロフラン(THF、5mL)に溶かした後、レスベラトロール(Resveratrol、149mg、0.65mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh、214mg、0.82mmol)、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシレートDIAD(165mg、0.82mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(メチレンクロライド/メタノール=100:1〜50:1)で精製した。その後、黄色固体のtert−ブチル(E)−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)(2−(2−(2−(4−(3,5−ジヒドロキシスチリル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(ATL−1、200mg)を得た。
【0173】
(段階4)(E)−5−(4−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)スチリル)ベンゼン−1,3−ジオール(Resveratrol−1105)の製造
tert−ブチル(E)−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)(2−(2−(2−(4−(3,5−ジヒドロキシスチリル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(ATL−1、200mg)をエチルアセテート(EA、4mL)に溶かした後、塩酸(g)/エチルアセテート(1mL)を添加した。室温で2時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液は高分解能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、白色固体の(E)−5−(4−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)スチリル)ベンゼン−1,3−ジオール(Resveratrol−1105、15mg)を得た。
【0174】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)2.58(t、J=4Hz、2H)、3.45(t、J=4Hz、2H)、3.51(m、2H)、3.57(m、4H)、3.73(m、2H)、4.06(m、2H)、5.07(m、4H)、6.12(m、1H)、6.40(m、2H)、6.90(m、7H)、7.39(m、12H)、9.20(s、2H);ESI−MS Calcd m/z for C4143NO[M+H] 662.10 Found 661.80。
【0175】
実施例11.(R)−2−(4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)−14−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザテトラデカン−13−オール(BTA−1−1104)の製造
【0176】
【化13】
【0177】
(段階1)2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11−トリオキサ−5−アザトリデカン−13−イル−メタンスルホネート(L−5)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−4、1g、4.0mmol)をメチレンクロライド(DCM、15mL)に溶かした後、トリエチルアミン(TEA、0.486g、4.8mmol)とメタンスルホニルクロライド(MsCl、0.504g、4.4mmol)を添加した。室温で4時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:5〜1:1)で精製した。その後、無色液体の2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11−トリオキサ−5−アザトリデカン−13−イル−メタンスルホネート(L−5、1g)を得た。
【0178】
(段階2)tert−ブチル(2−(2−(2−((4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)(メチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−8)の製造
2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11−トリオキサ−5−アザトリデカン−13−イル−メタンスルホネート(L−5、300mg、0.92mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO、5mL)に溶かした後、2−(4’−メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(BTA−1、220mg、0.92mmol)とポタシウムtert−ブトキシド(t−BuOK、154mg、1.37mmol)を添加した。120℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、ろ過後、濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、黄色液体のtert−ブチル(2−(2−(2−((4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)(メチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−8、180mg)を得た。
【0179】
(段階3)N−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−N−メチルアニリン(TL−9)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−((4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)(メチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−8、180mg、0.38mmol)をエチルアセテート(EA、4mL)に溶かした後、塩酸(g)/エチルアセテート(1mL)を添加した。室温で2時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、化合物を抽出してろ過後、濃縮した。その後、黄色固体のN−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−N−メチルアニリン(TL−9、120mg)を得た。
【0180】
(段階4)(R)−2−(4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)−14−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザテトラデカン−13−オール(BTA−1−1104)の製造
N−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−N−メチルアニリン(TL−9、120mg、0.33mmol)をメタノール(MeOH、2mL)に溶かした後、(R)−2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、117mg、0.33mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、化合物を抽出してろ過後、濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、黄色固体の(R)−2−(4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)−14−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザテトラデカン−13−オール(BTA−1−1104、8mg)を得た。
【0181】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)1.15(d、J=8Hz、3H)、1.23(s、1H)、2.67(m、4H)、3.50(m、11H)、3.81(m、4H)、5.01(s、2H)、5.10(s、2H)、6.27(d、J=8Hz、1H)、6.41(d、J=8Hz、1H)、6.69(m、3H)、6.91(d、J=12Hz、1H)、7.38(m、12H)、7.79(d、J=8Hz、2H)、7.89(d、J=8Hz、1H)、7.90(d、J=8Hz、1H)、8.40(s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C4347S[M+H] 734.10 Found 733.92。
【0182】
実施例12.(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−(((R)−3−(3−(ベンジルオキシ)−4−フェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン(Curcumin−1204)の製造
【0183】
【化14】
【0184】
(段階1)4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシベンズアルデヒド(1201)の製造
4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(A−3、50g、219mmol)をテトラヒドロフラン(THF、1L)に溶かした後、2−フェニルエタノール(32.1g、263mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh、86.2g、329mmol)、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、66.4g、329mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:10)で精製した。その後、白色固体の4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシベンズアルデヒド(1201、25g)を得た。
【0185】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.82(s、1H)、7.52(dd、J=8Hz and 2Hz、1H)、7.43−7.40(m、5H)、7.37−7.32(m、3H)、7.28−7.21(m、4H)、5.21(s、2H)、4.26(t、J=6.4Hz、2H)、3.05(t、J=6.4Hz、2H)
【0186】
(段階2)4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシフェノール(1202)の製造
4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシベンズアルデヒド(1201、50g、150mmol)をメチレンクロライド(DCM、500mL)に溶かした後、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA、39g、225mmol)を添加した。室温で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:5)で精製した。その後、灰色を帯びた白色固体の4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシフェノール(1202、32g)を得た。
【0187】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.00(s、1H)、7.36−7.20(m、10H)、6.78(d、J=8Hz、1H)、6.43(d、J=2.8Hz、1H)、6.22(dd、J=8Hz and 2.8Hz、1H)、4.86(s、2H)、4.13(t、J=6.8Hz、2H)、3.02(t、J=6.4Hz、2H)
【0188】
(段階3)(R)−2−((4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(1203)の製造
4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシフェノール(1203,40g、64mmol)をエタノール(EtOH、800mL)に溶かした後、水(40mL)とポタシウムヒドロキシド(KOH、8.2g、146mmol)を添加した。その後、(R)−2−(クロロメチル)オキシラン(34.6g、374mmol)を添加して室温で16時間ほど追加的に攪拌した。水(1600mL)を添加して反応を終了させ、エチルアセテート(1600mL×3)で抽出した。抽出された有機溶媒層は塩水で洗浄し、残った水は硫酸ナトリウムで除去した。ろ過して不純物を濾し、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:10)で精製した。その後、白色固体の(R)−2−((4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(1203、34g)を得た。
【0189】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)7.38−7.20(m、10H)、6.90(d、J=8.8Hz、1H)、6.64(d、J=2Hz、1H)、6.41(dd、J=8.8Hz and 2.8Hz、1H)、4.93(s、2H)、4.25−4.17(m、3H)、3.75(dd、J=11.2Hz and 6.4Hz、1H)、3.28(m、1H)、3.03(t、J=6.8Hz、2H)、2.81(t、J=4.4Hz、1H)、2.67(dd、J=5.2Hz and 2.8Hz、1H)
【0190】
(段階4)tert−ブチル(2−(2−(2−(4−((1E,6E)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3,5−ジオキソヘプタ−1,6−ジエン−1−イル)−2−メトキシフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−10)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(L−4、300mg、1.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF、5mL)に溶かした後、クルクミン(Curcumin、442mg、1.2mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh3、377mg、1.44mmol)、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、291mg、1.44mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終わった後、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(メチレンクロライド/メタノール=100:1〜50:1)で精製した。その後、黄色固体のtert−ブチル(2−(2−(2−(4−((1E,6E)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3,5−ジオキソヘプタ−1,6−ジエン−1−イル)−2−メトキシフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−10、200mg)を得た。
【0191】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)9.87(brs、1H)、7.57(dd、J=16Hz and 4Hz、2H)、3.34(dd、J=12Hz and 1.6Hz、2H)、7.24(dd、J=8Hz and 1.2Hz、1H)、7.16(dd、J=8Hz and 1.2Hz、1H)、7.02(d、J=8Hz、1H)、6.85−6.74(m、4H)、6.08(s、1H)、4.13(t、J=4Hz、2H)、3.83(m、6H)、3.75(t、J=4Hz、2H)、3.59(q、J=4Hz、2H)、3.52(q、J=4Hz、2H)、3.40−3.38(m、4H)、3.06(qJ=6Hz、2H)、1.36(s、9H)
【0192】
(段階5)(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン(TL−11)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−(4−((1E,6E)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3,5−ジオキソヘプタ−1,6−ジエン−1−イル)−2−メトキシフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−10、200mg、0.33mmol)をエチルアセテート(EA、4mL)に溶かした後、塩酸(g)/エチルアセテート1mL)を添加した。室温で2時間ほど攪拌した。反応が終わった後、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。その後、黄色固体の(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン(TL−11、120mg)を得た。
【0193】
(段階6)(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−(((R)−3−(3−(ベンジルオキシ)−4−フェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン(Curcumin−1204)の製造
(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン(TL−11、120mg、0.24mmol)をメタノール(MeOH、2mL)に溶かした後、(R)−2−((4−(ベンジルオキシ)−3−フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(1203、90mg、0.24mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、黄色固体の(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−(((R)−3−(3−(ベンジルオキシ)−4−フェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン(Curcumin−1204、12mg)を得た。
【0194】
H NMR(DMSO−d+DO、400MHz)δ(ppm)2.81(m、1H)、2.92(m、3H)、3.00(t、J=6.4Hz、2H)、3.56(m、9H)、3.80(m、9H)、3.97(b、2H)、4.09(m、2H)、4.14(t、J=6.4Hz、2H)、4.88(s、2H)、6.36(dd、J=8.8Hz and 2.8Hz、1H)、6.56(d、J=2.8Hz、1H)、6.79(m、4H)、6.97(d、J=8Hz、1H)、7.23(m、14H)、7.53(d、J=16Hz、2H)、8.33(s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C5157NO12[M]876.10 Found 876.01
【0195】
実施例13.(R)−1−(3−フェネトキシフェノキシ)−3−((2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール(Riluzole−204)の製造
【0196】
【化15】
【0197】
(段階1)3−フェネトキシフェノール(A−5)の製造
レゾルシノール(50g、0.45mol)をアセトニトリル(ACN、500mL)に溶かした後、ポタシウムカーボネート(KCO、112.5g、0.81mol)と(2−ブロモエチル)ベンゼン(83.2g、0.45mol)を添加した。60℃で10時間ほど攪拌した。反応が終わった後、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エチルアセテート=5:1)で精製した。その後、黄色液体の3−フェネトキシフェノール(A−5、25g)を得た。
【0198】
H NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.31−7.23(m、5H)、7.11(t、J=8Hz、1H)、6.50−6.39(m、3H)、4.74(s、1H)、4.14(m、2H)、3.08(t、J=7.2Hz、2H)
【0199】
(段階2)(R)−2−((3−フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(A−6)の製造
3−フェネトキシフェノール(A−5、25g、116.8mmol)をエタノール(EtOH、500mL)に溶かした後、水(25mL)とポタシウムヒドロキシド(KOH、11.1g、278.3mmol)を添加した。その後、(R)−2−(クロロメチル)オキシラン(64.6g、698.8mmol)を添加した後、室温で16時間ほど攪拌した。水(1000mL)を入れて反応を終了し、エチルアセテート(500mL×3)で化合物を抽出した。抽出された有機溶媒層は塩水で洗浄し、残った水は硫酸ナトリウムで除去した。ろ過して不純物を濾し、濃縮した。濃縮された溶液はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル=1:15〜1:10)で精製した。その後、黄色液体の(R)−2−((3−フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(A−6、18g)を得た。
【0200】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)7.32−7.28(m、4H)、7.24−7.14(m、2H)、6.52(m、3H)、4.29(dd、J=11.2Hz and 2Hz、1H)、4.16(t、J=6.8Hz、2H)、3.79(m、1H)、3.34(s、1H)、3.01(t、J=6Hz、2H)、2.82(t、J=4Hz、1H)、2.69−2.67(m、1H)
【0201】
(段階3)tert−ブチル(2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−12)の製造
2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11−トリオキサ−5−アザトリデカン−13−イル−メタンスルホネート(L−5、300mg、0.92mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO、5mL)に溶かした後、リルゾール(Riluzole、214mg、0.92mmol)とポタシウムtert−ブトキシド(t−BuOK、154mg、1.37mmol)を添加した。120℃で16時間ほど攪拌した。反応が終わった後、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、薄い黄色液体のtert−ブチル(2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−12、180mg)を得た。
【0202】
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm)8.27−8.25(m、1H)、7.78(d、J=1.6Hz、1H)、7.41(d、J=8Hz、1H)、7.18(dd、J=8Hz and 1.6Hz、1H)、6.74(m、1H)、3.63−3.51(m、12H)、3.05(q、J=6Hz、2H)、1.36(s、11H)。
【0203】
(段階4)N−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−アミン(TL−13)の製造
tert−ブチル(2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(TL−12、180mg、0.39mmol)をエチルアセテート(EA、4mL)に溶かした後、塩酸(g)/エチルアセテート1mL)を添加した。室温で2時間ほど攪拌した。反応が終了すれば、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。その後、黄色固体のN−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−アミン(TL−13、120mg)を得た。
【0204】
(段階5)(R)−1−(3−フェネトキシフェノキシ)−3−((2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール(Riluzole−204)の製造
N−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−アミン(TL−13、120mg、0.33mmol)をメタノール(MeOH、2mL)に溶かした後、(R)−2−((3−フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(A−6、89mg、0.33mmol)を添加した。65℃で16時間ほど攪拌した。反応が終わった後、化合物を抽出した後、ろ過して濃縮した。濃縮された溶液は分取高性能液体クロマトグラフィー(Prep−HPLC)で精製した。その後、無色液体の(R)−1−(3−フェネトキシフェノキシ)−3−((2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール(Riluzole−204、15mg)を得た。
【0205】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)2.60(m、4H)、3.00(t、J=8Hz、2H)、3.52(m、10H)、3.85(m、3H)、4.15(t、J=8Hz、2H)、6.48(dd、J=12Hz and 8Hz、3H)、7.18(m、3H)、7.31(d、J=4Hz、4H)、7.43(d、J=12Hz、1H)、7.75(s、1H);ESI−MS Calcd m/z for C3136S[M+H] 636.10 Found 635.70
【0206】
実験例1.免疫ブロッティングによる培養細胞内p62タンパク質オリゴマーと活性評価
前記化合物1−13(実施例1−13)のp62タンパク質オリゴマー化活性効能を評価するためにヒト胎児腎由来細胞のHEK293細胞株を取り合わせた。本化合物のうちの実施例の化合物とp62リガンド化合物であるYTK−1105化合物を処理し、対照群としてはDMSOを処理した。
【0207】
これら化合物の処理による細胞内p62タンパク質活性化およびオリゴマー化を測定するために、100パイディッシュにそれぞれの細胞を分注した。細胞がプレートの表面に完全に付着されるように24時間の追加的な培養後、細胞を取り合わせ、各サンプルに100ulの溶解バッファー(20mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、1% Triton X−100、2mM NaF、2mM EDTA、2mM beta−glycerophosphate、5mM sodium orthovanadate、1mM PMSF、leupeptin、aproteinin)を注入し、細胞を溶解させた。測定された総タンパク質の濃度を基盤にして各サンプルに常温で2時間試験化合物を処理した後、サンプルバッファーを追加して95℃で10分間反応させた。反応を終了したサンプルから25ulを取ってアクリルアミドゲルの各ウェルに分注した後、免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。結果は、図2a−2cに示した。
【0208】
図2a〜2cから確認できるように、本発明によるオートタックキメラ化合物を処理した場合、p62リガンド化合物YTK−1105と同様に、対照群のDMSO処理を行った場合とは異なり、p62タンパク質の単位体(monomer)の減少と同時にオリゴマー(oligomer)と高分子量凝集体(high−molecular aggregates)の増加を確認することができた。
【0209】
実験例2.免疫ブロッティングによる培養細胞内標的タンパク質分解評価
前記化合物(実施例1−13)の標的タンパク質分解効能を評価するためにターゲットタンパク質が本来発現される細胞株(MCF7、NTERA−2、ACHN、U87−MG、LNCaP、HEK293T)や遺伝子組換え細胞株(SH−SY5Y−tau、HeLa−HttQ97、PC12−a−synA30P)を12−ウェルプレートに培養し、該当するオートタックキメラ化合物を濃度別に処理した後、実験例1のように免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。結果は、図3a、3bおよび3cに示した。
【0210】
図3a、3bおよび3cから確認できるように、本発明によるオートタックキメラ化合物を処理した場合、化合物の濃度によって標的タンパク質量が漸増的に減少するのを確認することができた。
【0211】
実験例3.免疫ブロッティングによる培養細胞内標的タンパク質分解機構評価
前記化合物(実施例1−13)の標的タンパク質分解機構がオートファジーで媒介されるかを評価するためにターゲットタンパク質が本来発現される細胞株や遺伝子組換え細胞株を12−ウェルプレートに培養し、該当するオートタックキメラ化合物2.5uMを単独的に、でなければオートファジー−リソソーム経路の抑制剤であるhydrxhoychloroquine(HCQ)10uMと共に、処理した後、実験例1のように免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。結果は、図4aおよび4bに示した。
【0212】
図4aおよび4bから確認できるように、本発明によるオートタックキメラ化合物を単独的に処理した場合、標的タンパク質量が減少し、オートファジー−リソソーム経路抑制剤であるHCQと同時に処理した場合、減少した標的タンパク質量が再び増加するのを確認することができた。
【0213】
実験例4.免疫ブロッティングによる培養細胞内標的タンパク質分解効能比較評価
前記化合物(実施例1−13)の標的タンパク質分解効能がキメラ構成部分のp62リガンドや標的タンパク質リガンドの標的タンパク質分解効能より優れるかを評価するためにターゲットタンパク質が本来発現される細胞株や遺伝子組換え細胞株を12−ウェルプレートに培養し、該当するオートタックキメラ化合物、p62リガンド、または標的タンパク質リガンドを処理した後、実験例1のように免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。結果は、図5a〜cに示した。
【0214】
図5a〜cから確認できるように、本発明によるオートタックキメラ化合物処理した後、標的タンパク質量がp62リガンドや標的タンパク質リガンド処理した後より非常に減少するのを確認することができた。
【0215】
実験例5.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内標的タンパク質をp62で媒介されるオートファジー伝達評価
前記化合物(実施例1−13)の標的タンパク質がp62で媒介されるオートファジーに伝達される効能を評価するためにp62とそれぞれ標的タンパク質をマーカとして使用して免疫蛍光染色法を行った。免疫蛍光染色のために24−ウェルプレートにカバーグラスを位置させてターゲットタンパク質が本来発現される細胞株や遺伝子組換え細胞株を培養し、細胞を分注して24時間培養した後、2.5uMの本発明による新規オートタックキメラリガンドを処理した。化合物の作用のために、24時間追加的に培養した後、培地を除去し、常温でホルムアルデヒドを用いて細胞を固定した。非特異的染色を防止するために、細胞を遮断溶液に常温で1時間反応させた後、遮断溶液を用いて一定比率に希釈されたp62抗体と標的タンパク質抗体を処理した後、常温で1時間反応させた。抗体処理が完了された細胞はPBSで3回洗浄し、遮断溶液を用いて塩素由来二次抗体を一定比率で希釈した後、常温で30分反応させた。再びPBSで3回洗浄し、細胞内核染色のためにDAPI染色後、共焦点顕微鏡によってp62もLC3の発現程度、細胞内斑点形成および細胞内共存する程度を観察した。結果は、図6a〜cに示した。免疫蛍光染色法は3回以上の独立的な実験から代表的なものを図式化した。
【0216】
図6a〜cから確認できるように、本発明によるオートタックキメラ化合物処理した後、p62タンパク質の細胞内斑点形成、標的タンパク質の細胞内斑点形成およびこれらの位置共存性増加するのを確認することができた。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
【手続補正書】
【提出日】2021年8月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p62リガンドを含む化合物であって、
前記p62リガンドは、ターゲット結合リガンド(TBL)にリンカーを介して結合している、化合物
【請求項2】
前記p62リガンドは、下記化学式2の構造またはその誘導体構造を有するものである、請求項1に記載の化合物。
【化2】
Wは、C6−C10アリールであり;
Lは、−(CHn1−または−O−(CHn2−CH(OH)−であり、但し、前記−O−(CHn2−CH(OH)−中のOがベンゼン環に結合され、この時、n1は0〜1の整数であり;
n2は、1〜4の整数であり;
mは、0〜2の整数であり;
はRまたは−ORであり、
この時、Rは水素、または−(CHn3−R’であり、
R’は非置換されるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C1−4アルキル)アミノ、またはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n3は、1〜6の整数であり;
は、−ORであり、
この時、Rは水素、または−(CHn4−R’であり、
R’は非置換されるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C1−4アルキル)アミノ、またはジ(C1−4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n4は、1〜6の整数であり;
は、−(CHn5−OH、−(CHn5−NH−C(=NH)NH、−C(=NH)NH、−CH(R)−COOH、または−CH(COO−R)−CHCHCH−NH−C(=NH)NH、−(CHn5−O−(CHn5−OH、−CONH(CHn5−OH、−CO(CHn6−OH、−(CHn6−CH(NH)−COOH、−(CHn6−CONHであり、
n5は、2〜4の整数であり、
n6は、1〜4の整数であり、
は、水素、またはC1−4アルキルであり、
は、C1−4アルキルであり、
は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシまたはC1−4アルキルである。
【請求項3】
前記リンカーは、−Q−(CHCHO)−(CH−P−、または−Q−(CHCHCHO)−(CH−P−、または−Q−(CHCHNH)−(CH−P−、または−Q−(CHCHCONH)−(CH−P−の構造を有し、
この時、Qは、ターゲット結合リガンドとの結合によって変更された部分である−NH−、−O−、=N−−N(CH)−を含み;
Pは、p62リガンドとの結合によって変更された部分である−NH−、−O−、−CH−、−C(=O)−を含み;
xは、0〜4の整数であり;
yは、0〜3の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Wは、フェニルであり;
Lは、−(CHn1−または−O−(CHn2−CH(OH)−であり、但し、前記−O−(CHn2−CH(OH)−中のOがベンゼン環に結合され、この時、n1は0〜1の整数であり;
n2は、1〜2の整数であり;
mは、0〜2の整数であり;
は、水素または−O−(CHn3−R’であり、
R’は、非置換されるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、
n3は、1〜4の整数であり;
は、ヒドロキシまたは−O−(CHn4−R’であり、
R’は、非置換されるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、
n4は、1〜4の整数であり;
は、−(CHn5−OH、−(CHn5−NH−C(=NH)NH、−C(=NH)NH、−(CHn5−O−(CHn5−OH、−CONH(CHn5−OH、−CO(CHn6−OH、−(CHn6−CH(NH)−COOH、−(CHn6−CONHであり、
n5は、2〜3の整数であり、
n6は、1〜2の整数であり、
は、水素、ハロゲン、C1−2アルコキシまたはC1−2アルキルである、請求項に記載の化合物。
【請求項5】
前記Pとp62リガンドとの結合は、−CONH−、−O−、−NH−、−NHCO−、または−COO−である、請求項に記載の化合物。
【請求項6】
前記ターゲット結合リガンドは、ターゲット疾病誘発タンパク質、ミスフォールドしたタンパク質、小器官、または、それらの凝集体に選択的に結合する請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
下記化合物1〜13からなる群より選択される化合物で表される、請求項1に記載の化合物。
1)(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−(((R)−3−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド;
2)(2E,4E,6E,8E)−N−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−1−エン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエンアミド;
3)(R)−N−(15−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−14−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサ−12−アザペンタデシル)−4−フェニルブタンアミド;
4)N−(1−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル)−5,8,11−トリオキサ−2−アザトリデカン−13−イル)−4−フェニルブタンアミド;
5)3−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(2−(2−(2−((3−((4−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アニリン;
6)(3R,4S,5S,6R)−5−メトキシ−4−((2R,3R)−2−メチル−3−(3−メチルブタ−2−エン−1−イル)オキシラン−2−イル)−1−オキサスピロ[2.5]オクタン−6−イル(13E,15E,17E,19E)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−12−オキソ−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザヘニコサ−13,15,17,19−テトラエン−21−オエート;
7)3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−((R)−15−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−14−ヒドロキシ−6,9−ジオキサ−3,12−ジアザペンタデシル)−5−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン;
8)(R)−1−(4−(ベンジルオキシ)−3−(3−フェニルプロポキシ)フェノキシ)−3−((2−(2−(2−(4−(2−フェニル−5,7−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール;
9)(R,Z)−4−((2−(2−(2−((3−(3,4−ジフェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)イミノ)−2−フェニル−4H−クロメン−5,6,7−トリオール;
10)(E)−5−(4−(2−(2−(2−((3,4−ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)スチリル)ベンゼン−1,3−ジオール;
11)(R)−2−(4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)−14−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)−5,8−ジオキサ−2,11−ジアザテトラデカン−13−オール;
12)(1E,6E)−1−(4−(2−(2−(2−(((R)−3−(3−(ベンジルオキシ)−4−フェネトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;および、
13)(R)−1−(3−フェネトキシフェノキシ)−3−((2−(2−(2−((6−(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)プロパン−2−オール。
【請求項8】
請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物。
【請求項9】
前記疾患は、癌、タンパク質異常疾患(proteinophagy)、希少難治性疾患または遺伝的疾病である、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記疾患を誘発する原因タンパク質を直接除去することを特徴とする、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記タンパク質異常疾患は、神経変性疾患、α1−アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜炎、2型糖尿病または嚢胞性線維症である、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト−ヤコブ病(Creutzfeldt−Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)、脊髄小脳変性症、その他、ポリ−Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身性アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、注射−局所化アミロイド症、ベータ−2ミクログロブリンアミロイド症、遺伝性非−神経病アミロイド症、アレキサンダー病およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群より選択される1種以上である、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、疾病誘発病因タンパク質およびミスフォールドしたタンパク質のオートファジー伝達または分解用薬学的組成物。
【請求項14】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、標的タンパク質の分解を増大させるための薬学的組成物。
【請求項15】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、小器官および構造物の分解を増大させるための薬学的組成物
【請求項16】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、細胞内に侵入したウイルスおよびバクテリアの分解を増大させるための薬学的組成物
【請求項17】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、薬物や低分子化合物をオートファジーおよびリソソームに伝達するための薬学的組成物
【請求項18】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、p62の自己オリゴマー化およびオートファジー活性化のための薬学的組成物
【請求項19】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、細胞内特定タンパク質をp62に連結させてオートファジーに伝達することによってリソソームによる分解を増大させるための薬学的組成物
【請求項20】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、前記化合物が、細胞膜に露出されたタンパク質に特異的に結合する治療用抗体に連結した薬物を用いて、前記薬物をエンドソーム(endosome)を通じてリソソームに伝達するための薬学的組成物
【国際調査報告】