(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、核酸ナノ粒子、それを含む薬学的組成物、アドリアマイシン含有薬物及びその製造方法を提供する。該核酸ナノ粒子は、a配列、b配列及びc配列を含み核酸ドメインを有し、a配列はa1配列、又はa1配列に少なくとも1つの塩基の挿入、欠失又は置換が生じた配列を含み、b配列はb1配列、又はb1配列に少なくとも1つの塩基の挿入、欠失又は置換が生じた配列を含み、c配列はc1配列、又はc1配列に少なくとも1つの塩基の挿入、欠失又は置換が生じた配列を含む。該核酸ナノ粒子は、上記3本の配列又はそれらの変異配列を含むことで、自己組織化して核酸ドメインを形成できるとともに、担体とすることができる。担体とされる場合、核酸薬物を担持して送達できるとともに、化学薬物などのその他の生物活性物質の担持及び送達にも適用され、したがって、相対的な普遍性を有する。
前記a1配列がSEQ ID NO:1であり、前記b1配列がSEQ ID NO:3であり、前記c1配列がSEQ ID NO:5である場合、前記a配列、前記b配列、前記c配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの塩基が挿入、欠失又は置換された配列を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸ナノ粒子。
前記核酸ドメインは、前記a配列、前記b配列及び前記c配列のいずれかの配列の5’末端及び/又は3’末端に位置した、Watson−Crick対合の伸長セグメントである第1の伸長セグメントをさらに含み、
好ましくは、前記第1の伸長セグメントは、
(1)a鎖5’末端:5’−CCCA−3’、c鎖3’末端:5’−UGGG−3’
(2)a鎖3’末端:5’−GGG−3’、b鎖5’末端:5’−CCC−3’
(3)b鎖3’末端:5’−CCA−3’、c鎖5’末端:5’−UGG−3’
(4)a鎖5’末端:5’−CCCG−3’、c鎖3’末端:5’−CGGG−3’
(5)a鎖5’末端:5’−CCCC−3’、c鎖3’末端:5’−GGGG−3’
(6)b鎖3’末端:5’−CCC−3’、c鎖5’末端:5’−GGG−3’
(7)b鎖3’末端:5’−CCG−3’、c鎖5’末端:5’−CGG−3’
(8)a鎖5’末端:5’−CCCA−3’、c鎖3’末端:5’−TGGG−3’
(9)b鎖3’末端:5’−CCA−3’、c鎖5’末端:5’−TGG−3’
という組から選ばれる少なくとも任意の1組である、ことを特徴とする請求項4に記載の核酸ナノ粒子。
前記核酸ドメインは、前記a配列、前記b配列及び前記c配列のいずれかの配列の5’末端及び/又は3’末端に位置した、Watson−Crick対合の伸長セグメントである第2の伸長セグメントをさらに含み、
好ましくは、前記第2の伸長セグメントは、CG塩基対の伸長配列であり、
より好ましくは、第2の伸長セグメントは、1〜10個のCG塩基対の伸長配列である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸ナノ粒子。
前記第2伸長セグメントは、CG塩基対とAT/AU塩基対の両方を含む伸長配列であり、好ましくは、前記第2伸長セグメントは、2〜50個の塩基対の伸長配列である、ことを特徴とする請求項7に記載の核酸ナノ粒子。
前記a配列、b配列、及びc配列において、塩基、リボース、及びリン酸エステルが少なくとも1つの修飾可能な部位を有し、前記修飾可能な部位のいずれかが、−F、メチル基、アミノ基、ジスルフィド基、カルボニル基、カルボキシル基、メルカプト基、及びアルデヒド基のいずれかの修飾リンカーによって修飾されており、
好ましくは、前記a配列、b配列及びc配列におけるC又はU塩基に2’−F修飾を有する、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の核酸ナノ粒子。
前記薬物は、肝がん、胃がん、肺がん、乳がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、黒色腫、白血病、認知症、強直性脊椎炎、悪性リンパ腫、気管支がん、関節リウマチ、HBV B型肝炎、多発性骨髄腫、膵臓がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、鼻咽頭がん、食道がん、口腔がん、エリテマトーデスの治療薬であり、
好ましくは、前記頭頸部がんは、脳がん、神経芽細胞腫又はグリア芽細胞腫である、ことを特徴とする請求項13に記載の核酸ナノ粒子。
前記薬物は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ベンゼン環基、及びアセチルアミノ基のうちのいずれか1つ又は複数を含む薬物である、ことを特徴とする請求項13に記載の核酸ナノ粒子。
前記生物活性物質が物理的インターカレーションの方式で前記核酸ドメインに結合されている場合、前記生物活性物質と前記核酸ドメインは、1〜200:1のモル比で物理的にインターカレーションされている、ことを特徴とする請求項18に記載の核酸ナノ粒子。
前記生物活性物質が物理的インターカレーションの方式及び共有結合の方式で前記核酸ドメインに結合されている場合、前記物理的インターカレーションの方式で結合されている生物活性物質と前記共有結合の方式で結合されている薬物とのモル比が1〜200:1である、ことを特徴とする請求項19に記載の核酸ナノ粒子である。
前記生物活性物質がクリック結合の方式で前記核酸ドメインに結合されている場合、前記生物活性物質前駆体のアルキニル基又はアジド修飾部位は、2’ヒドロキシ基、カルボキシル基又はアミノ基から選ばれ、前記核酸ドメインのアルキニル基又はアジド修飾部位は、G環外アミノ基、2’−ヒドロキシ基、Aアミノ基又は2’−ヒドロキシ基から選ばれる、ことを特徴とする請求項21に記載の核酸ナノ粒子。
前記核酸ナノ粒子の粒子径が1〜100nm、好ましくは5〜50nm、より好ましくは10〜30nm、さらに好ましくは10〜15nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸ナノ粒子。
アドリアマイシンが物理的結合及び/又は共有結合の方式で前記核酸ナノ粒子に担持され、アドリアマイシンと前記核酸ナノ粒子とのモル比が2〜300:1、好ましくは10〜50:1、より好ましくは15〜25:1である、ことを特徴とする請求項25に記載のアドリアマイシン含有薬物。
前記核酸ナノ粒子は、生物活性物質をさらに含み、前記生物活性物質は、前記核酸ドメインに結合されており、前記生物活性物質は、標的ヘッド、フルオレセイン、干渉核酸siRNA、miRNA、リボザイム、リボーススイッチ、アプタマー、RNA抗体、タンパク質、ポリペプチド、フラボノイド、グルコース、天然サリチル酸、モノクローナル抗体、ビタミン、フェノール類、レシチン、及びアドリアマイシン以外の小分子薬物のうちの1つ又は複数である、ことを特徴とする請求項25に記載のアドリアマイシン含有薬物。
アドリアマイシン以外の小分子薬物は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ベンゼン環基、及びアセチルアミノ基のうちのいずれか1つ又は複数を含む薬物である、ことを特徴とする請求項27に記載のアドリアマイシン含有薬物。
請求項1〜12のいずれか1項に記載の核酸ナノ粒子における前記核酸ドメインに対応する一本鎖を自己組織化して、前記核酸ドメインを得るステップを含む、核酸ナノ粒子を製造するステップをさらに含み、
好ましくは、前記核酸ドメインを得た後、請求項13〜17のいずれか1項に記載の生物活性物質を物理的結合及び/又は共有結合の方式で前記核酸ドメインに担持して、前記核酸ナノ粒子を得るステップをさらに含み、前記生物活性物質中の薬物は、アドリアマイシン以外の小分子薬物である、請求項32〜35のいずれか1項に記載の製造方法。
前記生物活性物質がクリック結合の方式で前記核酸ドメインに結合されている場合、前記生物活性物質前駆体のアルキニル基又はアジド修飾部位は、2’ヒドロキシ基、カルボキシル基又はアミノ基から選ばれ、前記核酸ドメインのアルキニル基又はアジド修飾部位は、G環外アミノ基、2’−ヒドロキシ基、Aアミノ基又は2’−ヒドロキシ基から選ばれる、ことを特徴とする請求項35に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0049】
なお、衝突がない場合、本願の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。以下、実施例を組み合わせて本発明について詳細に説明する。
【0050】
背景技術に記載されるとおり、従来技術では、薬物送達効率を向上させる薬物担体が複数種あるが、薬物の臨床使用が制限されているという問題を解決しにくい。この状況を改善するために、本願の発明者は、薬物担体として使用可能な従来のすべての材料について研究し、担体の細胞/組織標的性、輸送過程での安定性、標的細胞に入る活性及び効率、標的細胞に到達した後の薬物リリース能力及び細胞に対する毒性などから、さまざまな担体について深く研究して分析し、DNA及び/又はRNA分子が自己組織化して形成される新しいナノ構造、例えば、DNAデンドリマーの自己組織化系においてDNAを用いると、ヌクレアーゼの分解に対して顕著な阻害作用を有し、遺伝子治療及び生物医学の分野において非常に重要な使用価値を有することが発見された。
【0051】
従来報告されたDNA及びRNAが自己組織化して形成されるナノ粒子を分析することで、剛性のDNAナノ粒子に比べて、RNAナノ粒子は、分子内又は分子間に大量のステムループ構造が存在し、より高い柔軟性及び強い張力を有するため、候補薬物担体としてより多くの利点を持っている。しかし、自然状態でのRNAナノ粒子の安定性が低いが、現在のRNAナノ担体の使用での改良のほとんどは、安定性及び信頼性の向上を中心に展開されている。従来の研究結果が薬物担持の可能性をある程度まで提供するが、核酸薬物、特にsiRNA薬物又はmiRNA薬物などの担持可能性及び有効性に重点をおいて研究されている。非核酸類の薬物が同様に有効であるか否かについては、従来からの報告が非常に少ない。また、従来の自己組織化ナノ粒子、特に、担体として使用される自己組織化ナノ粒子は、ほとんどRNA鎖が自己組織化して形成されるものであり、RNA鎖及びDNA鎖の組合せ形態で自己組織化されるのが非常に少なく、単なるDNA鎖を用いて自己組織化を実現するものがぜんぜんない。
【0052】
信頼性が高くかつ自己組織化可能な新しいRNAナノ粒子担体を提供するために、出願者は、従来のRNAナノ粒子を比較して改良し、一連の新しいRNAナノ粒子を開発し、使用適合性の向上及びコストの削減から配慮すると、さらに単なるDNA鎖を用いて自己組織化することを試し、これらのDNA一本鎖に変更すると、自己組織化してDNAナノ粒子を形成することを実現できるとともに、性能がRNAナノ粒子と同様に優れることを予想外に発見した。また、DNAナノ粒子の自己組織化は、さらに、価格が低くかつ操作しやすいという長所を有する。実験により、発明者が改良したRNAナノ粒子及びDNAナノ粒子がすべてさまざまな薬物を担持でき、血清において安定して存在できることが検証され、さらなる実験により、それらが薬物を担持して細胞に入ることができ、独立した担体が細胞に対して毒性を有さないことが検証される。薬物を担持する担体が対応する疾病に対して緩和及び治療作用を果たすことができる。
【0053】
上記研究結果に基づき、出願者は、本願の技術的解決手段を提供する。1つの典型的な実施形態では、a配列、b配列及びc配列を含む核酸ドメインを有し、a配列はa1配列、又はa1配列に少なくとも1つの塩基の挿入、欠失又は置換が生じた配列を含み、b配列はb1配列、又はb1配列に少なくとも1つの塩基の挿入、欠失又は置換が生じた配列を含み、c配列はc1配列、又はc1配列に少なくとも1つの塩基の挿入、欠失又は置換が生じた配列を含み、a1配列は、SEQ ID NO:1:5’−CCAGCGUUCC−3’又はSEQ ID NO:2:5’−CCAGCGTTCC−3’であり、b1配列は、SEQ ID NO:3:5’−GGUUCGCCG−3’又はSEQ ID NO:4:5’−GGTTCGCCG−3’であり、c1配列は、SEQ ID NO:5:5’−CGGCCAUAGCGG−3’又はSEQ ID NO:6:5’−CGGCCATAGCGG−3’である、核酸ナノ粒子が提供される。
【0054】
上記核酸ナノ粒子は、上記3本の配列又はそれらの変異配列を含むことで、自己組織化して核酸ドメインを形成できるとともに、担体として、3本の鎖の任意の5’末端及び/又は3’末端にsiRNA薬物又はmiRNA薬物を結合できる。上記ナノ粒子の形成過程で、核酸ドメインの存在により、担持される核酸薬物に対するヌクレアーゼの分解作用を減少させ、薬物送達の信頼性及び安定性を向上させる。
【0055】
上記自己組織化とは、基本構造単位が自発的に秩序を持った配列構造を形成する技術である。自己組織化過程で、基本構造単位は、非共有結合の相互作用で、安定しかつ所定の秩序を持った幾何学的な外観を有する構造に自発的に組織する又は凝集する。自己組織化過程は、大量の原子、イオン又は分子の間の弱い相互作用力(ここで「弱相互作用力」とは、水素結合、ファンデルワールス力、静電力、疎水作用力などである)の単純な重ね合わせではなく、複数の対象間が同時に自発的に並列して集合して、緊密で、秩序を持った一体を形成し、全体の複雑な相乗作用である。
【0056】
自己組織化の発生には、自己組織化の動力及びガイド作用という2つの条件を必要とする。自己組織化の動力とは、分子間の弱い相互作用力の相乗作用であり、分子自己組織化にエネルギーを提供する。自己組織化のガイド作用とは、分子の空間での相補性であり、つまり、自己組織化の発生には、空間のサイズ及び方向が分子再配列の要求を満たす必要がある。
【0057】
DNAナノ技術は、下から上への分子自己組織化モードであり、分子構造を起点として、核酸分子の物理的・化学的性質により自発的に安定構造を形成し、厳密な核酸塩基対合規則にしたがう。複数のDNA断片は、インビトロで正確な秩序で結合され、塩基相補対合規則により、サブ組織化構造を構築し、最終的に複雑な多段構造を形成する。DNAと異なって、RNAの構造は、二重螺旋の制限を超えることができる。RNAは、一連の異なる塩基対を形成でき、塩基対の間に少なくとも2つの水素結合が形成される。異なる塩基は、基準のWaston−Crick塩基対タイプ及び非Waston−Crick塩基対タイプを含む2つのタイプに分けることができ、RNAが大量及び複数種の循環構造モジュールを形成し、これらのモジュールは、折り畳みRNAの三級構造を構成する基本単位である。RNAナノ技術は、天然に存在するこれらの3Dモジュール及び予測できる相互作用を利用でき、ここで、リボソーム、さまざまなリボザイム及びリボスイッチに存在する天然RNAアプタマなど、生物学活性を有する多くのRNA構造は、原子レベルの解像度を有する。RNAナノ技術の優れた特性は、大きさ及び複雑性が天然RNA物質に匹敵する構造を設計できることである。さらに、天然RNA複合体内のRNAの独特組織化性質を利用することができる。
【0058】
本願の上記核酸ナノ粒子は、配列SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:5で示される3本の配列又はそれらの変異後の配列を含み、又は、配列SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:6で示される3本の配列又はそれらの変異後の配列を含み、すべて、自己組織化して核酸ナノ粒子を形成できることを基準とし、具体的には、変異後の配列は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6配列から変異部位及びその変異タイプを合理的に選択して得られてもよく、又は、適切な断片を伸長することで得られてもよい。
【0059】
SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:5が自己組織化して形成されるナノ粒子は、RNAナノ粒子であり、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:6が自己組織化して形成されるナノ粒子は、DNAナノ粒子である。1つの好適な実施例では、上記核酸ナノ粒子がRNAナノ粒子である場合、a配列、b配列、c配列のうちの少なくとも1つは少なくとも1つの塩基が挿入、欠失又は置換された配列を含む。該RNAナノ粒子における変異配列の具体的な位置及び塩基タイプは、自己組織化を実現できる前提で、需要に応じて、薬物担持量が向上する又は安定性が向上するナノ粒子に改良することができる。
【0060】
製造される核酸ナノ粒子がより高い安定性を有するために、上記SEQ
ID NO:1/2、SEQ ID NO:3/4及び/又はSEQ
ID NO:5/6で示される配列に対して塩基挿入、欠失又は置換を行うとき、上記配列のある特定の位置での塩基に行ってもよく、変異後の配列を元の配列と同じにし、自己組織化してナノ粒子を形成することができ、他方、変異が元の配列と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の相同性を維持することで、上記配列が自己組織化して形成されるナノ粒子と同一の薬担持特性及び類似した安定性を有し、核酸薬物を担持して送達できるとともに、化学薬物などの他の生物活性物質の担持及び送達にも適用され、したがって、相対的な普遍性を有する。
【0061】
1つの好適な実施例では、上記塩基挿入、欠失又は置換は、(1)SEQ
ID NO:1又は2で示されるa配列の5’末端から1位、2位、4位及び5位の塩基間、及び/又は(2)SEQ ID
NO:1又は2で示されるa配列の5’末端から8〜10位の塩基間、及び/又は(3)SEQ ID NO:3又は4で示されるb配列の5’末端から1〜3位の塩基間、及び/又は(4)SEQ ID NO:3又は4で示されるb配列の5’末端から6位〜9位の塩基間、及び/又は(5)SEQ ID NO:5又は6で示されるc配列の5’末端から1〜4位の塩基間、及び/又は(6)SEQ ID NO:5又は6で示されるc配列の5’末端から9〜12位の塩基間で発生する。
【0062】
上記好適な実施例では、限定された変異が発生する塩基位置は、SEQ
ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6で示される配列で形成されるナノ構造における非典型的なWatson−Crick対合塩基位置又は突出する未対合塩基位置であるため、これらの突出又はループ構造の形成に影響を与えることなく、それにより、上記配列で形成されるナノ構造の柔軟性及び張力を維持し、担体としての安定性の維持に寄与する。
【0063】
さらに上記核酸ナノ粒子の安定性を向上させるために、1つの好適な実施例では、a配列、b配列及びc配列は、自己組織化して下記式(1)で示される構造となり、
【化2】
但し、W−CはWatson−Crick対合を表し、N及びN’は非Watson−Crick対合を表し、いずれかの位置のW−Cはそれぞれ独立してC−G又はG−Cから選ばれ、a配列、b配列及びc配列のうちの少なくとも2本の配列のそれぞれの5’末端及び3’末端の2つの塩基が相補せず、a配列において、5’末端からの最初のNはAであり、2番目のNはGであり、3番目のNはU又はTであり、4番目のNはU、T、A、C又はGのいずれかであり、b配列において、5’末端からの最初のN’はU、T、A、C又はGのいずれかであり、2番目のN’はU又はTであり、3番目のN’はCであり、c配列において、5’末端から3’末端への方向でのNNNN配列はCAUA又はCATAである。
【0064】
上記好適な実施例では、a配列、b配列、c配列が自己組織化して式(1)で示される核酸ドメインを形成し、N及びN’で限定される非Watson−Crick対合塩基以外、他の位置での塩基がすべて典型的なWatson−Crick対合を形成し、上記Watson−Crick対合の塩基がすべてG−C又はC−G塩基対を選択する。G−C又はC−G塩基対間の水素結合の作用力がA−U/T又はU/T−A塩基対間の水素結合の作用力より大きいため、該核酸ナノ構造が安定する。非Watson−Crick対合塩基で形成される突出又はループ構造は、核酸ナノ担体により大きい張力を与え、微小環境の変化への適応性が強くなり、したがって、該核酸ナノ粒子の安定性がより高い。
【0065】
上記式(1)構造のナノ粒子では、a配列、b配列及びc配列の具体的な配列の構成は、上記構造を形成できる限り、特殊に限定されていない。核酸配列の自己組織化から配慮すると、上記3本の配列が自己組織化して上記式(1)構造のナノ粒子を形成する効率をさらに向上させるために、Watson−Crick対合の塩基を選択するとき、異なる位置での塩基の選択は、以下の規則にしたがうことが最適である。(1)a配列、b配列及びc配列のうち、独立した配列が相補対合して二級構造を形成することなく、(2)a配列、b配列及びc配列のうち、任意の2本の配列間の一端が相補対合して二本鎖を形成し、他端が相補対合せず、Y字型又はT字型構造を形成する。上記塩基選択規則は、任意の1本の鎖の両端をそれぞれその他の2本の鎖の両端に最大効率で相補対合することで、自己組織化の効率を向上させることである。当然ながら、任意の2本の配列間の一端が相補対合して二本鎖を形成し、他端が相補対合しないという規則を満たす限り、Y字型又はT字型構造のほか、三つ叉以外の四角形などの代替的な変形形態であってもよい。
【0066】
上記式(1)構造のナノ粒子では、非Watson−Crick対合塩基では、a配列の5’末端からの4番目のN、及びNと対合されたb配列の5’末端からの最初のN’は、非Watson−Crick対合のU−Uであってもよく、改良後のWatson−Crick対合規則にしたがうT、A、C又はGであってもよい。Watson−Crick対合は、鎖間の結合力を向上させ、安定性を向上させるが、非Watson−Crick対合は、ナノ粒子に大きな湾曲性及び柔軟性を与え、微小環境の変化に対応するとき、ナノ粒子の安定性を向上させることに寄与する。
【0067】
1つの好適な実施例では、a配列、b配列及びc配列は、以下の任意の1組である。(1)a配列(SEQ ID NO:7):5’−GGAGCGUUGG−3’、b配列(SEQ ID NO:8):5’−CCUUCGCCG−3’、c配列(SEQ ID NO:9):5’−CGGCCAUAGCCC−3’;(2)a配列(SEQ ID NO:10):5’−GCAGCGUUCG−3’、b配列(SEQ ID NO:11):5’−CGUUCGCCG−3’、c配列(SEQ ID NO:12):5’−CGGCCAUAGCGC−3’;(3)a配列(SEQ ID NO:13):5’−CGAGCGUUGC−3’、b配列(SEQ ID NO:14)5’−GCUUCGCCG−3’、c配列(SEQ ID NO:15):5’−CGGCCAUAGCCG−3’;(4)a配列(SEQ ID NO:16):5’−GGAGCGUUGG−3’、b配列(SEQ ID NO:17):5’−CCUUCGGGG−3’、c配列(SEQ ID NO:18):5’−CCCCCAUAGCCC−3’;(5)a配列(SEQ ID NO:19):5’−GCAGCGUUCG−3’、b配列(SEQ ID NO:20):5’−CGUUCGGCG−3’、c配列(SEQ ID NO:21):5’−CGCCCAUAGCGC−3’;(6)a配列(SEQ ID NO:22):5’−GCAGCGUUCG−3’、b配列(SEQ ID NO:23):5’−CGUUCGGCC−3’、c配列(SEQ ID NO:24):5’−GGCCCAUAGCGC−3’;(7)a配列(SEQ ID NO:25):5’−CGAGCGUUGC−3’、b配列(SEQ ID NO:26):5’−GCUUCGGCG−3’、c配列(SEQ ID NO:27):5’−CGCCCAUAGCCG−3’;(8)a配列(SEQ ID NO:28):5’−GGAGCGTTGG−3’、b配列(SEQ ID NO:29):5’−CCTTCGCCG−3’、c配列(SEQ ID NO:30):5’−CGGCCATAGCCC−3’;(9)a配列(SEQ ID NO:31):5’−GCAGCGTTCG−3’、b配列(SEQ ID NO:32):5’−CGTTCGCCG−3’、c配列(SEQ ID NO:33):5’−CGGCCATAGCGC−3’;(10)a配列(SEQ ID NO:34):5’−CGAGCGTTGC−3’、b配列(SEQ ID NO:35):5’−GCTTCGCCG−3’、c配列(SEQ ID NO:36):5’−CGGCCATAGCCG−3’;(11)a配列(SEQ ID NO:37):5’−GGAGCGTTGG−3’、b配列(SEQ ID NO:38):5’−CCTTCGGGG−3’、c配列(SEQ ID NO:39):5’−CCCCCATAGCCC−3’;(12)a配列(SEQ ID NO:40):5’−GCAGCGTTCG−3’、b配列(SEQ ID NO:41):5’−CGTTCGGCG−3’、c配列(SEQ ID NO:42):5’−CGCCCATAGCGC−3’;(13)a配列(SEQ ID NO:43):5’−GCAGCGTTCG−3’、b配列(SEQ ID NO:44):5’−CGTTCGGCC−3’、c配列(SEQ ID NO:45):5’−GGCCCATAGCGC−3’;(14)a配列(SEQ ID NO:46):5’−CGAGCGTTGC−3’、b配列(SEQ ID NO:47):5’−GCTTCGGCG−3’、c配列(SEQ ID NO:48):5’−CGCCCATAGCCG−3’。
【0068】
上記14組の配列が自己組織化して形成される核酸ナノ粒子は、より高い安定性を有するとともに、自己組織化効率がより高い。
【0069】
以上に記載の核酸ナノ粒子は、自己組織化して成形することができるとともに、薬物を輸送又は担持する能力も備える。上記核酸ナノ粒子におけるG−C又はC−G塩基対の位置及び担持対象の薬物の種類又は性質によって、担持される薬物の量が異なる。同様に、核酸類薬物は、a配列、b配列及びc配列のうちのいずれかの5’末端及び/又は3’末端に伸長することで担持することができる。
【0070】
担持される薬物の分子量の大きさ、又は担持時の構造障害の違いに基づいて、上記核酸薬物が大きい分子量の生物活性物質を担持できるために、1つの好適な実施例では、上記核酸ドメインには、a配列、b配列及びc配列のいずれかの配列の5’末端及び/又は3’末端に位置した、Watson−Crick対合の伸長セグメントである第1の伸長セグメントがさらに含まれる。担体と担持される物質とは、所定のマッチング関係を必要とし、担体の分子量が小さすぎるが、担持される物質分子量が大きすぎると、力学から配慮すると、担持物質に対する担体の担持又は輸送能力が低下する。したがって、前述した核酸ナノ構造を基に、a配列、b配列及びc配列のいずれかの配列の5’末端及び/又は3’末端に第1の伸長セグメントを増加させることで、担持物質の大きさとマッチングする担体を取得することができる。
【0071】
上記第1の伸長セグメントの具体的な長さは、担持しようとする物質の大きさに基づいて決定することができる。1つの好適な実施例では、第1の伸長セグメントは、以下から選ばれる任意の1組である。(1):a鎖5’末端:5’−CCCA−3’、c鎖3’末端:5’−UGGG−3’;(2):a鎖3’末端:5’−GGG−3’、b鎖5’末端:5’−CCC−3’;(3):b鎖3’末端:5’−CCA−3’、c鎖5’末端:5’−UGG−3’;(4):a鎖5’末端:5’−CCCG−3’、c鎖3’末端:5’−CGGG−3’;(5):a鎖5’末端:5’−CCCC−3’、c鎖3’末端:5’−GGGG−3’;(6):b鎖3’末端:5’−CCC−3’、c鎖5’末端:5’−GGG−3’。(7):b鎖3’末端:5’−CCG−3’、c鎖5’末端:5’−CGG−3’;(8):a鎖5’末端:5’−CCCA−3’、c鎖3’末端:5’−TGGG−3’;(9):b鎖3’末端:5’−CCA−3’、c鎖5’末端:5’−TGG−3’;(10):a鎖5’末端:5’−GCGGCGAGCGGCGA−3’(SEQ ID NO:162)、c鎖3’末端:5’−UCGCCGCUCGCCGC−3’(SEQ ID NO:163);(11):a鎖3’末端:5’−GGCCGGAGGCCGG−3’(SEQ ID NO:164)、b鎖5’末端:5’−CCGGCCUCCGGCC−3’(SEQ ID NO:165);(12)b鎖3’末端:5’−CCAGCCGCC−3’(SEQ ID NO:166)、c鎖5’末端:5’−GGCGGCAGG−3’(SEQ ID NO:167);(13):a鎖5’末端:5’−GCGGCGAGCGGCGA−3’(SEQ ID NO:168)、c鎖3’末端:5’−TCGCCGCTCGCCGC−3’(SEQ ID NO:169);(14):a鎖3’末端:5’−GGCCGGAGGCCGG−3’(SEQ ID NO:170)、b鎖5’末端:5’−CCGGCCTCCGGCC−3’(SEQ ID NO:171)。
【0072】
上記第1の伸長セグメントにより、核酸ナノ構造を形成する3本の配列のいずれかの1本又は複数本の長さを増加させ、また、GC塩基で構成される第1の伸長セグメントにより、形成されるナノ粒子の安定性をさらに向上させる。また、上記配列で構成される第1の伸長セグメントにより、a配列、b配列及びc配列が高い自己組織化活性及び効率を維持する。
【0073】
形成される核酸ナノ粒子の大きさ及び薬物送達担体としてインビボ輸送するときの安定性から配慮すれば、薬物を輸送するとともに、標的細胞に到達する前に、できる限り腎臓によって濾過されない必要がある。1つの好適な実施例では、核酸ドメインは、a配列、b配列及びc配列のいずれかの配列の5’末端及び/又は3’末端に位置した、Watson−Crick対合の伸長セグメントである第2の伸長セグメントをさらに含み、さらに好ましくは、第2の伸長セグメントは、CG塩基対の伸長配列であり、さらに好ましくは、第2の伸長セグメントは、1〜10個のCG塩基対の伸長配列である。第2の伸長セグメントは、第1の伸長セグメントのほか、さらに加える伸長セグメントである。
【0074】
1つの好適な実施例では、上記核酸ドメインは、以下の少なくともの1組の第2の伸長セグメントをさらに含む。第1組:a鎖5’末端:5’−CGCGCG−3’、c鎖3’末端:5’−CGCGCG−3’;第2組:a鎖3’末端:5’−CGCCGC−3’、b鎖5’末端:5’−GCGGCG−3’;第3組:b鎖3’末端:5’−GGCGGC−3’、c鎖5’末端:5’−GCCGCC−3’。この第2の伸長セグメントにより、ナノ粒子が免疫原性を有さず、各鎖自体が折り畳んで結合される二級構造の場合が存在しない。
【0075】
なお、上記第1の伸長セグメント及び/又は第2の伸長セグメントには、非対合の塩基対で間隔されてもよい。
【0076】
上記核酸ナノ粒子がより高い分子量の生物活性物質を担持し、薬剤担持量を増加させ、必要な安定性を維持するために、1つの好適な実施例では、第2の伸長セグメントは、CG塩基対及びAT/AU塩基対の両方を含む伸長配列であり、好ましくは、第2の伸長セグメントは、2〜50個の塩基対の伸長配列である。ここで、「AT/AU塩基」の「/」は、又はの関係であり、具体的には、第2の伸長セグメントは、CG塩基対及びAT塩基対の両方を含む伸長配列であり、又は第2の伸長セグメントは、CG塩基対及びAU塩基対の両方を含む伸長配列である。
【0077】
より具体的には、上記第2の伸長セグメントを加えた後のa、b及びc配列は、それぞれ以下の配列であってもよい。
a配列:(SEQ ID NO:49):
【化3】
b配列:(SEQ ID NO:50):
【化4】
c配列:(SEQ ID NO:51):
【化5】
【0078】
上記a配列、b配列及びc配列におけるMがU又はTであり、MがTである場合、上記配列の合成コストが大幅に低下する。
【0079】
実際の使用では、実際の需要に応じて、上記CG塩基対及びAT/AU塩基対の伸長配列の具体的な設置位置を合理的に調整することができる。1つのさらに好適な実施例では、第2の伸長セグメントは、連続する2〜8個のCG塩基対の配列と連続する2〜8個のAT/AU塩基対配列とが交互に配置された伸長配列であり、又は第2の伸長セグメントは、1つのCG塩基対の配列と1つのAT/AU塩基対配列とが交互に配置された伸長配列である。
【0080】
具体的には、上記SEQ ID NO:49で示されるa配列におけるCGCGCG伸長セグメント及びCGCCGC伸長セグメントをAAAAAA伸長セグメントの位置とお互いに交換し、上記SEQ ID NO:50で示されるb配列におけるGCGGCG伸長セグメント及びGGCGGC伸長セグメントをTTTTTT伸長セグメントの位置とお互いに交換し、上記SEQ ID NO:51で示されるc配列におけるGCCGCC伸長セグメントをAAAAAA伸長セグメントとお互いに交換し、またCGCCGC伸長セグメントをTTTTTT伸長セグメントとお互いに交換する。上記配列が自己組織化して形成される核酸ナノ粒子は、インドール類分子構造の化学薬物の担持に適用される(インドール類薬物分子が好ましくはAに結合される)。
【0081】
過去数年間で、広く使用されている構築材料とされるRNAに存在する3つの主な課題は、以下を含む。1)リボヌクレアーゼ分解に対する敏感性、2)全身注射後の解離に対する敏感性、3)毒性及び悪い免疫反応。現在、この3つの課題が大幅に克服されている。1)リボース−OH基の2’−フルオロ(2’−F)又は2’−O−メチル(2’−OMe)修飾により、RNAが血清において化学的に安定でき、2)天然に存在するある結合配列モチーフが熱力学的に安定し、RNAナノ粒子全体が超低濃度で完全していることを保持し、3)RNAナノ粒子の免疫原性が配列及び形状に依存するものであり、調整可能であり、それにより、RNAナノ粒子が起炎性サイトカインの発生を刺激し、又は、30mg/kgの重複静脈注射によって投与されるとき、RNAナノ粒子が非免疫原性及び非毒性を有する。
【0082】
従って、上記核酸ナノ粒子のリボヌクレアーゼ分解に対する敏感性をさらに低下させるとともに、輸送過程での安定性を向上させるために、1つの好適な実施例では、a配列、b配列及びc配列における塩基、リボース及びリン酸エステルは、少なくともの1つ修飾可能な部位を有し、いずれかの修飾可能な部位は、−F、メチル、アミノ基、ジスルフィド基、カルボニル基、カルボキシル基、メルカプト基及びアルデヒド基のいずれかの修飾ジョイントにより修飾され、好ましくは、a配列、b配列及びc配列におけるC又はU塩基には2’−F修飾を有する。修飾ジョイントがメルカプト基である場合、チオ修飾に属し、修飾強度が弱く、コストが低い。
【0083】
本願に係る上記核酸ナノ粒子が担体とされて担持可能な物質は、生物活性作用を有する任意の物質であってもよい。したがって、1つの好適な実施例では、上記核酸ナノ粒子は、核酸ドメインに結合されている生物活性物質をさらに含む。
【0084】
担持される生物活性物質に対する核酸ナノ粒子の担持効率及び輸送効率を向上させるために、核酸ドメインの相対分子量と生物活性物質の総相対分子量には所定のマッチング関係が存在することが最適である。1つの好適な実施例では、核酸ドメインの相対分子量と生物活性物質の総相対分子量との比が1:1以上であり、好ましくは、生物活性物質は、標的ヘッド、フルオレセイン、干渉核酸siRNA、miRNA、リボザイム、リボスイッチ、アプタマー、RNA抗体、薬物(一般的に、小分子薬物、すなわち、化学合成薬物として解釈される)、タンパク質、ポリペプチド、フラボノイド、グルコース、天然サリチル酸、モノクローナル抗体、ビタミン、フェノール類、及びレシチンのうちの1つ又は複数である。
【0085】
具体的には担持される生物活性物質の種類によって、本願の核酸ナノ粒子に対する性能最適化役割が同じではない。例えば、生物活性物質がビオチン又は葉酸である場合、果たす役割は、核酸ナノ粒子に標的性を与え、例えば、がん細胞を特異的に標的することである。生物活性物質がフルオレセインである場合、果たす役割は、核酸ナノ粒子に発光トレーサ効果を与えることである。生物活性物質があるsiRNA、miRNA、薬物(一般的に、小分子薬物として解釈される)、タンパク質、ポリペプチド又はRNA抗体である場合、異なる生物学的機能によって、該核酸ナノ粒子が特定の治療効果を有する新製品、例えば、性能がより優れた薬物になることができる。また、具体的には担持される生物活性物質の種類によって、具体的には好適に使用されるのはDNAナノ粒子及びRNAナノ粒子であり、実際の需要に応じて合理的に選択することができる。例えば、生物活性物質が薬物である場合、好ましくは、DNAナノ粒子又はRNAナノ粒子で担持し、組織化して形成されるナノ粒子の一本鎖の長さについては特別な要求がない。 1つの好適な実施例では、生物活性物質は、標的ヘッド、フルオレセイン及びmiRNAであり、標的ヘッドは、a配列、b配列、c配列のいずれかの配列、好ましくはa配列、b配列、c配列のいずれかの5’末端又は3’末端に位置するか、又は核酸ドメインのGC結合の間にインターカレーションされ、miRNAは、抗miRNAであり、フルオレセインは抗miRNAの5’末端又は3’末端に修飾され、miRNAはa配列の3’末端、c配列の5’末端及び3’末端のいずれか1つ又は複数の位置にあり、好ましくは、標的ヘッドは、葉酸又はビオチンであり、フルオレセインは、FAM、CY5及びCY3のうちのいずれか1つ又は複数であり、前述抗miRNAは、抗miR−21である。
【0086】
上記標的ヘッドは、リンカー共有結合の方式でa配列、b配列、c配列のいずれかの配列に結合されてもよく、使用可能なリンカーは、ジスルフィド結合、p−フェニルアジド基、ブロモプロピイン又はPEGから選ばれる。ここで、いわゆる「いずれかの配列」とは、a配列、b配列、c配列のいずれかの配列の任意の位置での塩基であり、5’末端又は3’末端に結合するのは、より容易であり、広く使用されている。葉酸修飾は、物理的インターカレーションモード結合又は物理的インターカレーション+共有結合であってもよい。
【0087】
上記フルオレセインは、従来の常用のフルオレセイン、好ましくはFAM、CY5及びCY3のうちのいずれか1つ又は複数であってもよい。
【0088】
上記miRNAは、がん抑制効果を有するmiRNAであってもよく、対応する病症を抑制できる抗miRNAであってもよく、実際の使用では、医療需要に応じて合理的に選択する必要がある。上記抗miRNAは、上記a配列の3’末端、c配列の5’末端及び3’末端のいずれか1つ又は複数の位置に合成することができる。上記3つの位置にすべて抗miRNAが合成されると、抗miRNAによる、対応するmiRNAに対する抑制作用がより強い。
【0089】
好ましくは、抗miR−21であり、miR−21は、複数種のがんの発生及び発展に参加し、浸潤及び転移の主な発癌性遺伝子である。抗miR−21は、広い標的遺伝子を効果的に同時に調整でき、がん症の異質性問題の解決に寄与する。したがって、上記好適な核酸ナノ粒子では、葉酸又はビオチンなどの標的ヘッドは、がん細胞を特異的に標的とすることができ、がん細胞と結合して内在化した後、抗miR−21は非常に高い親和力及び特異性でmiR−21塩基と相補し、それにより、発癌性miR−21の発現を効果的に減少させる。従って、実際の需要に応じて、上記抗miR−21が上記a配列の3’末端、c配列の5’末端及び3’末端のいずれか1つ又は複数の位置に合成することができる。上記3つの位置にすべて抗miR−21が合成されると、抗miR−21によるmiR−21に対する抑制作用がより強い。
【0090】
上記担持可能な生物活性物質が薬物である場合、異なる薬物が治療可能な疾病タイプによって、薬物は、肝がん、胃がん、肺がん、乳がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、黒色腫、白血病、認知症、強直性脊椎炎、悪性リンパ腫、気管支がん、関節リウマチ、HBV B型肝炎、多発性骨髄腫、膵臓がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、鼻咽頭がん、食道がん、口腔がん、エリテマトーデスの治療薬を含むがこれらに限られず、好ましくは、頭頸部がんは、脳がん、神経芽細胞腫又はグリア芽細胞腫である。
【0091】
上記担持可能な生物活性物質が薬物である場合、薬物の分子構造又は持っている特徴性基によって、薬物は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ベンゼン環基及びアセチルアミノ基のうちのいずれか1つ又は複数を含む薬物を含むがこれらに限られない。
【0092】
1つの好適な実施例では、上記タンパク質は、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、サバイビン(Survivin)、hTERT(ヒトテロメア逆転写酵素)及びEGFR(epidermal growth factor receptor)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)の抗体又はアプタマのうちの1つ又は複数であり、上記ビタミンは、L−アスコルビン酸及び/又はエステル化アスコルビン酸であり、上記フェノール類は、茶ポリフェノール及び/又はブドウポリフェノールである。
【0093】
担持される生物活性物質によって、適切な結合方式を選択して上記核酸ナノ担体と結合することができる。1つの好適な実施例では、上記生物活性物質は、方式1:物理的インターカレーション;方式2:共有結合のうちのいずれかの方式で核酸ドメインに結合されている。
【0094】
なお、上記分類は、ある生物活性物質の核酸ナノ担体との結合方式が1種だけあるというわけではない。ある生物活性物質は、物理的インターカレーションの方式で核酸ナノ担体に結合されてもよいし、物理的インターカレーションと共有結合の方式でと核酸ナノ担体に結合されてもよく、また、クリック結合方式で結合されてもよい。しかし、ある特定の生物活性物質の場合、結合方式が1種だけある可能性があり、結合方式が複数種ある可能性もあるが、そのうち、ある方式が結合効率のため有利な実用的価値を持っている可能性がある。
【0095】
上記結合方式では、異なる薬物が物理的インターカレーションの方式で核酸ドメインに結合されている場合、インターカレーションの結合部位及び数がやや異なる。例えば、アントラサイクリン類、アクリジン類薬物は、インターカレーションされるとき、通常、GC塩基対の間にインターカレーションされ、好ましくは、インターカレーション部位の数が核酸ドメインにおけるGC塩基対の数に応じて異なり、1〜100:1の比でインターカレーションされる。ナフタリンアミド薬物は、インターカレーションされるとき、通常、AA塩基対の間にインターカレーションされ、好ましくは、インターカレーション部位の数が核酸ドメインにおけるAA塩基対の数に応じて異なり、ピリドカルバゾール類は、AA塩基対の数に応じて1〜200:1の比でインターカレーションされる。
【0096】
薬物が物理的インターカレーションと共有結合の2つの方式で核酸ドメインに結合されている場合、アントラサイクリン類、アクリジン類薬物は、インターカレーションされるとき、通常、GC塩基対の間にインターカレーションされ、好ましくは、インターカレーション部位の数が核酸ドメインにおけるGC塩基対の数に応じて異なり、1〜100:1の比でインターカレーションされる。ナフタリンアミド薬物は、インターカレーションされるとき、通常、AA塩基対の間にインターカレーションされ、好ましくは、インターカレーション部位の数が核酸ドメインにおけるAA塩基対の数に応じて異なり、ピリドカルバゾール類は、AA塩基対の数に応じて1〜200:1の比でインターカレーションされる。
【0097】
具体的には、生物活性物質の種類、核酸ナノ粒子において形成される核酸ドメインのa、b及びc配列の長さ、及びGC相補塩基対の数に応じて、生物活性物質と核酸ドメインとのモル比を合理的に選択して物理的インターカレーションを行うことができる
【0098】
1つの好適な実施例では、生物活性物質が物理的インターカレーションの方式で核酸ドメインに結合されている場合、生物活性物質が核酸ドメインに1〜200:1のモル比で物理的にインターカレーションされている。該結合方式は、アントラサイクリン類、アクリジン類薬物に適用される。該比範囲において物理的インターカレーションすると、担持需要を満たすことができるし、薬効需要を満たすこともできる。
【0099】
1つの好適な実施例では、生物活性物質が物理的インターカレーションの方式と共有結合の方式で核酸ドメインに結合されている場合、物理的インターカレーションの方式で結合されている生物活性物質と共有結合の方式で結合されている薬物とのモル比が1〜200:1である。該結合方式は、アントラサイクリン類、アクリジン類の薬物に適用される。上記異なる結合方式で結合されている薬物の比は、効率的な担持を満たすことができ、細胞に対して毒性作用がなく、標的位置に到達した後に薬物の効果的なリリースを実現する限り、上記範囲に限られない。
【0100】
1つの好適な実施例では、共有結合の方式で結合されている生物活性物質は、溶媒共有結合、リンカー共有結合又はクリック結合により結合されており、好ましくは、溶媒は、パラホルムアルデヒド、DCM、DCC、DMAP、Py、DMSO、PBS又は氷酢酸から選ばれ、好ましくは、リンカーは、ジスルフィド結合、p−フェニルアジド基、ブロモプロピイン又はPEGから選ばれる。好ましくは、クリック結合は、生物活性物質前駆体と核酸ドメインを同時にアルキニル基又はアジドで修飾した後、クリックを介して結合することである。
【0101】
生物活性物質前駆体及び核酸ドメインの両方をアルキニル基又はアジドで修飾し、クリック結合の方式で結合されている場合、薬物の異なる構造の変化とともに、異なるクリック結合を選択する。活物質構造によって、結合位置が対応して変わる可能性があることは、当業者にとって理解できるものである。
【0102】
1つの好適な実施例では、生物活性物質がクリック結合の方式で核酸ドメインに結合されている場合、生物活性物質前駆体のアルキニル基又はアジド修飾部位は、ヒドロキシ、カルボキシル基、メルカプト基又はアミノ基から選ばれ、核酸ドメインのアルキニル基又はアジド修飾部位は、アミノ基、イミノ基又はヒドロキシから選ばれる。
【0103】
なお、上記核酸ドメインと薬物が結合されている場合、核酸ドメインが水溶性であり、ほとんどの薬物は、水溶性が低く、核酸ドメインに結合された後、水溶性が向上する。上記薬物がアントラサイクリン類である場合、これらの薬物がヌクレオチドグアノシンにおける−NH結合(適切なpH値の条件下で、該−NH基の活性が薬物と共有結合可能なその他の基の活性より数百倍高い)を介して核酸ドメインと共有結合し、それにより、薬物を担持する核酸ドメインを形成する。したがって、具体的な薬物分子の大きさ及び具体的に設計される核酸ドメインのa配列、b配列及びc配列におけるGC塩基対の数量に基づいて、結合際、1.1〜1.3倍の理論的な過飽和結合量で結合反応し、1つの核酸ドメインに多くとも35〜45個の薬物を結合できる。上記薬物がその他の構造である場合、担持量が具体的な薬物の占有部位状況(分子構造、形態、形状及び分子量を含むがこれらに限られない)に関連しているため、薬物の活性部位と核酸ドメインのヌクレオチドグアノシンにおける−NH結合との結合条件が厳しく、担持できるが、過剰結合の状況が生じにくい。
【0104】
1つの好適な実施例では、核酸ナノ粒子の粒子径が1〜100nm、好ましくは5〜50nm、より好ましくは10〜30nm、さらに好ましくは10〜15nmである。該範囲において、大きさが適切であり、細胞表面のレセプター仲介の細胞食現象により細胞膜に入ることができるし、非特異性の細胞を透過して腎臓により濾過して除去されることを回避でき、したがって、好ましい粒子径サイズが薬物動態学、薬効学、生物学的分布及び毒理学の分布の改良に寄与する。
【0105】
第2の典型的な実施形態では、以上のいずれかの核酸ナノ粒子を含む薬学的組成物がさらに提供される。本願に係る上記核酸ナノ粒子を含む薬物において、核酸ドメインが目標の細胞を標的とする標的ヘッドの修飾により、良好な標的性を有し、さらに対応する治療薬物及び/又はトレーサー分子を担持でき、それにより、治療薬物及び/又はトレーサー分子を安定して送達でき、信頼性が非常に高い。
【0106】
第3の典型的な実施形態では、アドリアマイシン含有薬物が提供され、該アドリアマイシン含有薬物は、アドリアマイシン及び前述したいずれかの(生物活性物質を担持しない)核酸ナノ粒子を含むか、又は、該アドリアマイシン含有薬物は、前述したいずれかの(生物活性物質を担持する)核酸ナノ粒子であり、生物活性物質は、少なくとも薬物であり、該薬物がアドリアマイシンを含む。
【0107】
上記に係るアドリアマイシン含有薬物が核酸ナノ粒子及びアドリアマイシンを含み、アドリアマイシンが核酸ナノ粒子に担持される。該核酸ナノ粒子は、上記3本の配列又はそれらの変異配列を含むことで、自己組織化して核酸ドメインを形成でき、担体として、3本の鎖の任意の5’末端及び/又は3’末端にアドリアマイシンを結合でき、又は、アドリアマイシンを核酸ドメインの鎖間に安定してインターカレーションできる。本発明に係るアドリアマイシン含有薬物は、核酸ドメインの標的ヘッドが修飾された後、高い標的性を有し、アドリアマイシンを安定して送達でき、信頼性が非常に高い。
【0108】
前述したとおり、生物活性物質が薬物であり、薬物がアドリアマイシンである場合、アドリアマイシンは、物理的結合及び/又は共有結合の方式で担持することができる。アドリアマイシンが物理的インターカレーションと共有結合の2種の方式で核酸ドメインに結合されている場合、通常、GC塩基対の間に物理的にインターカレーションされ、好ましくは、インターカレーション部位の数が核酸ドメインにおけるGC塩基対の数に応じて異なり、1〜100:1の比でインターカレーションされる。共有結合の方式で結合されている場合、アドリアマイシンは、通常、G環外アミノ基と化学反応して共有結合を形成する。さらに好ましくは、アドリアマイシンと核酸ナノ粒子とのモル比が2〜300:1、好ましくは10〜50:1、さらに好ましくは15〜25:1である。
【0109】
本願に係るアドリアマイシン含有薬物では、核酸ナノ粒子は、アドリアマイシンの送達担体とされ、また、異なる薬物の目的に基づいて、1つの好適な実施例では、上記核酸ナノ粒子は、核酸ドメインに結合されている生物活性物質をさらに含む。生物活性物質は、標的ヘッド、フルオレセイン、干渉核酸siRNA、miRNA、リボザイム、リボスイッチ、アプタマー、RNA抗体、タンパク質、ポリペプチド、フラボノイド、グルコース、天然サリチル酸、モノクローナル抗体、ビタミン、フェノール類、レシチン及びアドリアマイシン以外の小分子薬物のうちの1つ又は複数である。
【0110】
核酸ナノ粒子による、担持される生物活性物質に対する担持効率及び輸送効率を向上させるために、核酸ドメインの相対分子量とアドリアマイシン及び生物活性物質の相対分子量とには、所定のマッチング関係が存在することが最適である。1つの好適な実施例では、核酸ドメインの相対分子量をN
1とし、アドリアマイシンと生物活性物質との総相対分子量をN
2とし、N
1/N
2≧1:1である。
【0111】
具体的に担持される生物活性物質の種類によって、本発明では、アドリアマイシン含有薬物は、異なる性能が最適化される。例えば、生物活性物質がビオチン又は葉酸である場合、果される役割は、該アドリアマイシン含有薬物に標的性を与え、例えば、がん細胞を特異的に標的にすることである。生物活性物質がフルオレセインである場合、果される役割は、核酸ナノ粒子に発光トレーサ効果を与えることである。生物活性物質があるsiRNA、miRNA、タンパク質、ポリペプチド、RNA抗体、アドリアマイシン以外の小分子薬物である場合、異なる生物学的機能によって、該アドリアマイシン含有薬物が特定の治療効果を有する新製品、例えば性能がより優れた薬物になる可能性がある。
【0112】
1つの好適な実施例では、生物活性物質は、標的ヘッド、フルオレセイン及びmiRNAであり、標的ヘッドは、a配列、b配列、c配列のいずれか、好ましくはa配列、b配列、c配列のいずれかの5’末端又は3’末端に位置するか、又は核酸ドメインのGC結合の間にインターカレーションされ、miRNAは、抗miRNAであり、フルオレセインは抗miRNAの5’末端又は3’末端に修飾され、miRNAはa配列の3’末端、c配列の5’末端及び3’末端のいずれか1つ又は複数の位置にあり、好ましくは、標的ヘッドは、葉酸又はビオチンであり、フルオレセインは、FAM、CY5及びCY3のうちのいずれか1つ又は複数であり、前記抗miRNAは、抗miR−21である。
【0113】
上記標的ヘッドがリンカー共有結合の方式でa配列、b配列、c配列のいずれかに結合することができ、使用可能なリンカーは、ジスルフィド結合、p−フェニルアジド基、ブロモプロピイン又はPEGから選ばれる。ここで、いわゆる「いずれかの配列」とは、a配列、b配列、c配列のいずれかの配列の任意の位置での塩基であり、5’末端又は3’末端に結合するのは、より容易であり、広く使用されている。葉酸修飾は、物理的インターカレーション結合又は物理的インターカレーション+共有結合であってもよい。
【0114】
上記フルオレセインは、従来の常用のフルオレセインであってもよく、好ましくはFAM、CY5及びCY3のうちのいずれか1つ又は複数である。
【0115】
上記miRNAは、がん抑制効果を有するmiRNAであってもよく、対応する病症を抑制できる抗miRNAであってもよく、実際の使用では、医療需要に応じて合理的に選択する必要がある。上記抗miRNAは、上記a配列の3’末端、c配列の5’末端及び3’末端のいずれか1つ又は複数の位置に合成することができる。上記3つの位置にすべて抗miRNAが合成されると、抗miRNAによる、対応するmiRNAに対する抑制作用がより強い。
【0116】
好ましくは、抗miR−21であり、miR−21は、複数種のがんの発生及び発展に参加し、浸潤及び転移の主な発癌性遺伝子である。抗miR−21は、広い標的遺伝子を効果的に同時に調整でき、がん症の異質性問題の解決に寄与する。したがって、上記好適な核酸ナノ粒子では、葉酸又はビオチンなどの標的ヘッドは、がん細胞を特異的に標的とすることができ、がん細胞と結合して内在化した後、抗miR−21は非常に高い親和力及び特異性でmiR−21塩基と相補し、それにより、発癌性miR−21の発現を効果的に減少させる。従って、実際の需要に応じて、上記抗miR−21が上記a配列の3’末端、c配列の5’末端及び3’末端のいずれか1つ又は複数の位置に合成することができる。上記3つの位置にすべて抗miR−21が合成されると、抗miR−21によるmiR−21に対する抑制作用がより強い。
【0117】
上記担持可能な生物活性物質がアドリアマイシン以外の他の小分子薬物である場合、異なる薬物が治療できる疾病のタイプによって、薬物は、肝がん、胃がん、肺がん、乳がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、黒色腫、白血病、認知症、強直性脊椎炎、悪性リンパ腫、気管支がん、関節リウマチ、HBV B型肝炎、多発性骨髄腫、膵臓がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、鼻咽頭がん、食道がん、口腔がん、エリテマトーデスの治療薬を含むがこれらに限られず、好ましくは、頭頸部がんは、脳がん、神経芽細胞腫又はグリア芽細胞腫である。
【0118】
上記担持可能な生物活性物質がアドリアマイシン以外の小分子薬物である場合、薬物の分子構造又は持っている特徴性基によって、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ベンゼン環基及びアセチルアミノ基のうちのいずれか1つ又は複数を含む薬物を含むがこれらに限られない。
【0119】
1つの好適な実施例では、上記タンパク質は、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、サバイビン(Survivin)、hTERT(ヒトテロメア逆転写酵素)及びEGFR(epidermal growth factor receptor)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)の抗体又はアプタマのうちの1つ又は複数であり、上記ビタミンは、L−アスコルビン酸及び/又はエステル化アスコルビン酸であり、上記フェノール類は、茶ポリフェノール及び/又はブドウポリフェノールである。
【0120】
1つの好適な実施例では、核酸ナノ粒子の粒子径が1〜100nm、好ましくは5〜50nm、より好ましくは10〜30nm、さらに好ましくは10〜15nmである。該範囲において、大きさが適切であり、細胞表面のレセプター仲介の細胞食現象により細胞膜に入ることができるし、非特異性の細胞を透過して腎臓により濾過して除去されることを回避でき、したがって、好ましい粒子径サイズが薬物動態学、薬効学、生物学的分布及び毒理学の分布の改良に寄与する。
【0121】
本発明の第3の典型的な実施形態では、上記(生物活性物質を担持しない)核酸ナノ粒子を提供するステップと、物理的結合及び/又は共有結合の方式でアドリアマイシンを核酸ナノ粒子に担持して、アドリアマイシン含有薬物を得るステップとを含む、上記アドリアマイシン含有薬物の製造方法がさらに提供される。
【0122】
物理的結合の方式を用いる場合、アドリアマイシンは、通常、GC塩基対の間に物理的にインターカレーションされている。共有結合の方式で結合されている場合、アドリアマイシンが一般的にG環外アミノ基と化学反応して共有結合を形成する。上記方法で製造されるアドリアマイシン含有薬物は、標的ヘッドを修飾した後、高い標的性を有し、アドリアマイシンを安定して送達でき、信頼性が非常に高い。
【0123】
1つの好適な実施例では、物理的結合の方式でアドリアマイシンを担持するステップは、アドリアマイシンと、核酸ナノ粒子と、第1の溶媒とを混合して撹拌して、プレミックス系を得るステップと、プレミックス系中の遊離物質を除去して、アドリアマイシン含有薬物を得るステップとを含む。具体的なアドリアマイシン、核酸ナノ粒子の使用量は、担持量の変化に応じて調整することができ、これは当業者にとって理解できることであり、ここで繰り返し説明しない。
【0124】
物理的結合の効率及び安定性を向上させるために、好ましくは、1リットルあたりの第1の溶媒に加えたアドリアマイシンの量が0.1〜1gである。好ましくは、第1の溶媒は、DCM、DCC、DMAP、Py、DMSO、PBS及び氷酢酸から選ばれる1つ又は複数である。好ましくは、プレミックス系中の遊離物質を除去するステップは、プレミックス系を無水エタノールと混合し、10℃未満の温度条件下でアドリアマイシン含有薬物を析出させ、より好ましくは、0〜5℃の温度条件下でアドリアマイシン含有薬物を析出させるステップを含む。
【0125】
1つの好適な実施例では、共有結合の方式でアドリアマイシンを担持するステップは、アドリアマイシン溶液を調製するステップと、アドリアマイシン溶液をホルムアルデヒドによる仲介作用により核酸ナノ粒子のG環外アミノ基と反応させて反応系を得るステップと、反応系を精製して、アドリアマイシン含有薬物を得るステップとを含む。
【0126】
ホルムアルデヒドによる仲介により、以下の反応が生じることができる。
【化6】
【0127】
好ましくは、反応のステップは、アドリアマイシン溶液と、パラホルムアルデヒド溶液と、核酸ナノ粒子とを混合し、遮光条件下で反応させて、反応系を得るステップを含む。パラホルムアルデヒド溶液は、ホルムアルデヒド小分子をリリースできるため、上記化学反応に参加する。反応効率を向上させるために、パラホルムアルデヒド溶液の濃度が3.7〜4wt%であることが好ましくは、パラホルムアルデヒド溶液がパラホルムアルデヒド及び第2の溶媒を混合して形成される溶液であり、第2の溶媒がDCM、DCC、DMAP、Py、DMSO、PBS及び氷酢酸のうちの1つ又は複数であることが好ましい。
【0128】
上記製造方法では、核酸ナノ粒子は、自己組織化で製造することができ、例えば、(1)RNA又はDNA一本鎖a、b、cを同時に混合してDEPC水又はTMS緩衝液に溶かし、(2)混合溶液を80℃/95℃に加熱し(RNA組織化温度が80℃、DNA組織化温度が95℃である)、5min維持してから、2℃/minのレートで室温にゆっくり降温し、(3)生成物を8%(m/v)の非変性PAGEゲルにロードしてTBM緩衝液において4℃条件下で、100Vで複合体を電気泳動により精製し、(4)目的とするバンドを切り出してRNA/DNA溶離緩衝液に37℃で溶離し、この後に一晩エタノールで沈殿させ、減圧して低温で蒸発させ、自己組織化生成物を獲得して、核酸ドメインを獲得し、さらに核酸ナノ粒子を獲得することができる。
【0129】
上記アドリアマイシン含有薬物がその他の機能を有するために、1つの好適な実施例では、核酸ドメインを得た後に、製造方法は、以上に記載の生物活性物質を物理的結合及び/又は共有結合の方式で前記核酸ドメインに担持して、さらに前記核酸ナノ粒子を得るステップをさらに含む。生物活性物質の担持方式は、同様に物理的結合及び/又は共有結合であってもよい。共有結合の方式は、溶媒共有結合、リンカー共有結合又はクリック結合により担持することを含むが、これらに限られず、好ましくは、溶媒共有結合で用いられる第3の溶媒を結合媒体とし、第3の溶媒は、パラホルムアルデヒド、DCM、DCC、DMAP、Py、DMSO、PBS及び氷酢酸から選ばれる1つ又は複数であり、好ましくは、リンカーは、ジスルフィド結合、p−フェニルアジド基、ブロモプロピイン又はPEGから選ばれ、好ましくは、クリック結合は、生物活性物質前駆体と核酸ドメインを同時にアルキニル基又はアジドで修飾した後、クリックを介して結合することである。
【0130】
なお、上記分類は、ある生物活性物質の核酸ドメインとの結合方式が1種だけあるというわけではない。ある生物活性物質は、物理的インターカレーションの方式で核酸ドメインに結合されてもよいし、物理的インターカレーションと共有結合の方式で核酸ドメインに結合されてもよく、また、クリック結合の方式で結合されてもよい。しかし、ある特定の生物活性物質の場合、結合方式が1種だけある可能性があり、結合方式が複数種ある可能性もあるが、そのうち、ある方式が結合効率のため有利な実用的価値を持っている可能性がある。
【0131】
上記結合方式では、異なる薬物が物理的インターカレーションの方式で核酸ドメインに結合されている場合、インターカレーションの結合部位及び数がやや異なる。例えば、アントラサイクリン類、アクリジン類薬物は、インターカレーションされるとき、通常、GC塩基対の間にインターカレーションされ、好ましくは、インターカレーション部位の数が核酸ドメインにおけるGC塩基対の数に応じて異なり、1〜100:1の比でインターカレーションされる。ナフタリンアミド薬物は、インターカレーションされるとき、通常、AA塩基対の間にインターカレーションされ、好ましくは、インターカレーション部位の数が核酸ドメインにおけるAA塩基対の数に応じて異なり、ピリドカルバゾール類は、AA塩基対の数に応じて1〜200:1の比でインターカレーションされる。
【0132】
具体的には、生物活性物質の種類、核酸ナノ粒子において形成される核酸ドメインのa、b及びc配列の長さ、及びGC相補塩基対の数に応じて、生物活性物質と核酸ドメインとのモル比を合理的に選択して物理的インターカレーションを行うことができる。
【0133】
1つの好適な実施例では、生物活性物質が物理的インターカレーションの方式及び共有結合の方式で核酸ドメインに結合されている場合、物理的インターカレーションの方式で結合されている生物活性物質と共有結合の方式で結合されている薬物とのモル比が1〜200:1である。該結合方式は、アントラサイクリン類、アクリジン類の薬物に適用される。上記異なる結合方式で結合されている薬物の比は、効率的な担持を満たすことができ、細胞に対して毒性作用がなく、標的位置に到達した後に薬物の効果的なリリースを実現する限り、上記範囲に限られない。
【0134】
生物活性物質前駆体及び核酸ドメインの両方をアルキニル基又はアジドで修飾し、クリック結合の方式で結合されている場合、薬物の異なる構造の変化とともに、異なるクリック結合を選択する。活物質構造によって、結合位置が対応して変わる可能性があることは、当業者にとって理解できるものである。
【0135】
1つの好適な実施例では、生物活性物質がクリック結合の方式で核酸ドメインに結合されている場合、生物活性物質前駆体のアルキニル基又はアジド修飾部位は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基又はアミノ基から選ばれ、核酸ドメインのアルキニル基又はアジド修飾部位は、アミノ基、イミノ基又はヒドロキシ基から選ばれる。
【0136】
なお、本願に係る配列又は配列の変形が自己組織化して形成される核酸ナノ粒子は、基本構造単位としてもよく、実際の使用需要に応じて、さらに重合して、二量化体、三量化体、四量体、五量体、六量体又は七量体などのポリマーを形成してもよい。
【0137】
以下、具体的な実施例を参照しながら、本願の有益な効果についてさらに説明する。
【0139】
実施例1
一、RNA及びDNAナノ粒子担体
(1)RNAナノ粒子を構成する3本のポリヌクレオチド塩基配列は、具体的には表1に示された。
【表1】
【0140】
(2)DNAナノ粒子の3本のポリヌクレオチド塩基配列
DNAは、Uの代わりにTを用いる以外、上記RNAと同一の配列を用いた。ここで、a鎖の分子量が8802.66、b鎖の分子量が8280.33、c鎖の分子量が9605.2であった。
【0141】
上記RNAナノ粒子及びDNAナノ粒子のa、b及びc鎖は、すべて生工生物工程(上海)股ふん有限公司に委託して合成されるものであった。
【0142】
二、自己組織化実験ステップ。
(1)1:1:1のモル比でRNA又はDNA一本鎖a、b、cを同時に混合してDEPC水又はTMS緩衝液に溶かし、
(2)混合溶液を80℃/95℃(RNAの組織化温度が80℃、DNAの組織化温度が95℃である)に加熱し、5min維持してから、2℃/minのレートで室温にゆっくり降温し、
(3)生成物を8%(m/v)の非変性PAGEゲルにロードしてTBM緩衝液において4℃条件下で、100Vで複合体を電気泳動により精製し、
(4)目的とするバンドを切り出してRNA/DNA溶離緩衝液に37℃で溶離し、この後に一晩エタノールで沈殿させ、減圧して低温で蒸発させ、自己組織化生成物を得、
(5)電気泳動分析検出及びレーザ走査観察を行った。
【0143】
三、自己組織化実験結果
電気泳動の検出結果
RNA自己組織化生成物の電気泳動の検出結果は、
図1に示された。
図1において、レーン1〜3は、左から右へ順にa鎖、b鎖、RNA自己組織化生成物であった。図から分かるように、RNA自己組織化生成物は、少し分散するが、単一のバンドを明瞭に見えた。分子量が組織化後の分子量であり、一本鎖の分子量より大きいため、バンド位置がa鎖及びb鎖より後であり、実際の状況が理論と一致し、上記RNA一本鎖の間が自己組織化して、安定した複合構造を形成し、RNAナノ粒子を形成したことが証明された。
【0144】
DNA自己組織化生成物の電気泳動の検出結果は、
図2に示された。
図2において、レーン1〜3は、左から右へ順にa鎖、b鎖、DNA自己組織化生成物であった。図から分かるように、DNA自己組織化生成物のバンドが明るくかつ明瞭であり、単一のバンドであり、上記DNA一本鎖の間が自己組織化して、安定した複合構造を形成し、DNAナノ粒子を形成したことが証明された。
【0145】
該実施例では、ゲル電気泳動によれば、RNAコア配列SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:5を含むa配列、b配列、c配列は、自己組織化してRNAナノ粒子になることができ、DNAコア配列SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:6を含むa配列、b配列、c配列は、自己組織化してDNAナノ粒子になることにできたことが検証された。
【0146】
上記RNAナノ粒子及びDNAナノ粒子のa配列、b配列、c配列は、核酸ドメインを形成するコア配列を有する以外、核酸ドメイン担持機能を促進する様々な伸長配列(薬物担持結合配列を含む)、及び核酸ドメインに結合されている標的ヘッド又はフルオレセインを有した。これから分かるように、これらのコア配列以外の物質の存在により、核酸ドメインの形成及び核酸ナノ粒子の自己組織化の成功に影響を与えることなかった。自己組織化された核酸ナノ粒子は、標的ヘッドのガイドで、標的性を有することができ、フルオレセインは、該核酸ナノ粒子に可視性及び追跡可能性を与えることができた。
【0147】
実施例2
一、7組の短配列RNAのナノ粒子担体
(1)RNAナノ粒子を構成する7組の3本のポリヌクレオチド塩基配列
【0155】
上記7組の短配列RNAのナノ粒子担体の一本鎖は、すべて生工生物工程(上海)股ふん有限公司に委託して合成されるものであった。
【0156】
二、自己組織化実験ステップ
(1)1:1:1のモル比でRNA一本鎖a、b、cを同時に混合してDEPC水又はTMS緩衝液に溶かし、
(2)混合溶液を80℃に加熱し、5min維持してから、2℃/minのレートで室温にゆっくり降温し、
(3)生成物を8%(m/v)の非変性PAGEゲルにロードしてTBM緩衝液において4℃条件下で、100Vで複合体を電気泳動により精製し、
(4)目的とするバンドを切り出してRNA溶離緩衝液に37℃で溶離し、この後に一晩エタノールで沈殿させ、減圧して低温で蒸発させ、短配列RNAの自己組織化生成物を得、
(5)電気泳動分析検出及びレーザ走査観察を行い、
(6)電位検出を行った。
【0157】
三、自己組織化実験結果
(1)電気泳動の検出結果
7組の短配列RNAの自己組織化生成物の2%のアガロースゲル電気泳動図は、
図3に示された。
図3において、レーン1〜7は、左から右へ順に短配列R−1、R−2、R−3、R−4、R−5、R−6、R−7であった。
【0158】
7組の短配列RNAの自己組織化生成物の4%のアガロースゲル電気泳動図は、
図4に示された。
図4において、レーン1〜7は、左から右へ順に短配列R−1、R−2、R−3、R−4、R−5、R−6、R−7であった。
【0159】
図3及び
図4の結果から明瞭に見えるように、7組の短配列自己組織化生成物のうちのR−2、R−3、R−5、R−7のバンドが明るくかつ明瞭であり、R−1、R−4、R−6が少し分散するが、単一のバンドを見え、7組の短配列がすべて自己組織化してRNAナノ粒子構造になることができることが示された。
【0160】
(2)電位測定
測定方法:電位サンプル(自己組織化生成物を超純水に溶ける)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
ソフトウェアを開き、メニューMeasUre ManUalをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
ソフトウェア検出パラメータを設定し、
次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。
【0161】
測定結果:7組の短配列RNAのナノ粒子の電位検出結果は、以下のとおりであった。
【0169】
上記電位検出データから分かるように、7組の短配列RNAの自己組織化生成物がすべて良好な安定性を有し、各短配列RNAが自己組織化して形成されるナノ粒子が安定した自己組織化構造を有することがさらに示された。
【0170】
該実施例は、異なるa、b、cコア配列の組合せが、自己組織化して核酸ドメインを有するRNAナノ粒子を形成でき、構造が安定することを示した。実施例1に基づいて分かるように、これらの異なるコア配列の組合せにさまざまな機能の伸長断片を加え、又は標的ヘッド、フルオレセインなどを結合すると、同様に組織化してRNAナノ粒子を形成することができ、薬物担持、細胞標的性、可視性及び追跡可能性などの性能を有した。
【0171】
これらの性能をさらに検証するために、実施例2に伸長断片を加え、具体的には実施例3に示された。実施例2のRNAコア配列に対応するDNAコア配列に伸長断片を加え、また、標的ヘッドを結合するか、又は、標的ヘッドを結合せず、具体的には実施例4に示された。
【0172】
実施例3
一、7組の一般的な配列のRNAナノ粒子担体
(1)RNAナノ粒子を構成する7組の3本のポリヌクレオチド塩基配列
【0180】
上記7組の一般的な配列のRNAナノ粒子担体の一本鎖は、すべて、蘇州吉瑪公司に委託して合成されるものであり、R−8〜R−14のa配列、b配列、c配列は、それぞれR−1〜R−7のa配列、b配列、c配列に伸長セグメントを加えて形成される拡張されたRNAオリゴヌクレオチド配列であり、標的モジュール断片を拡張せず、C/U塩基に2’F修飾を行った(耐酵素消化性及び安定性を強化させた)。また、上記RNAナノ粒子R−14には、サバイビン(Survivin)のsiRNA核酸干渉の治療断片が修飾され、具体的には、a鎖3’末端にSurvivin siRNAのセンス鎖(a鎖の下線部分に示される)を拡張し、b鎖の5’末端にアンチセンス鎖(b鎖の下線部分に示される)を拡張して結合し、相補的な塩基対を形成した。
【0181】
二、自己組織化実験ステップ
(1)1:1:1のモル比でRNA一本鎖a、b、cを同時に混合してDEPC水又はTMS緩衝液に溶かし、
(2)混合溶液を80℃に加熱し、5min維持してから、2℃/minのレートで室温にゆっくり降温し、
(3)生成物を8%(m/v)の非変性PAGEゲルにロードしてTBM緩衝液において4℃条件下で、100Vで複合体を電気泳動により精製し、
(4)目的とするバンドを切り出してRNA溶離緩衝液に37℃で溶離し、この後に一晩エタノールで沈殿させ、減圧して低温で蒸発させ、
(5)電気泳動分析検出及びレーザ走査観察を行い、
(6)電位測定を行った。
【0182】
三、自己組織化実験結果
(1)電気泳動の検出結果
7組の一般的な配列のRNA自己組織化生成物の2%のアガロースゲル電気泳動図は、
図5に示された。
図5において、レーン1〜7は、左から右へ順に一般的な配列のRNA自己組織化生成物R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−14であった。
【0183】
7組の一般的な配列のRNA自己組織化生成物の4%のアガロースゲル電気泳動図は、
図6に示された。
図6において、レーン1〜7は、左から右へ順に一般的な配列のRNA自己組織化生成物R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−14であった。
【0184】
図5及び
図6の結果から明瞭に見えるように、7組の一般的な配列のRNA自己組織化生成物のバンドがすべて明るくかつ明瞭な単一のバンドであり、7組の一般的な配列がすべて自己組織化してナノ構造になることができることが示された。一般的な配列のRNA自己組織化生成物R−14は、Survivin
siRNA核酸干渉の治療断片が修飾された後でも、安定した自己組織化構造を有し、本発明では、核酸ナノ粒子が核酸薬を担持することができ、核酸薬の送達担体機能を有することが説明された。
【0185】
(2)電位測定
測定方法:電位サンプル(自己組織化生成物を超純水に溶ける)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
ソフトウェアを開き、メニューMeasUre ManUalをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
ソフトウェア検出パラメータを設定し、
次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。
【0186】
測定結果:7組の一般的な配列のRNAナノ粒子の電位検出結果は、以下のとおりであった。
【0194】
上記電位検出データから分かるように、7組の一般的な配列のRNA自己組織化生成物は、すべて良好な安定性を有し、さらに各一般的な配列RNAが自己組織化して形成されるナノ粒子が安定した自己組織化構造を有することが示された。
【0195】
該実施例により示されるように、異なる組合せのRNAコア配列に伸長断片を加えることによりも、自己組織化して構造が安定したRNAナノ粒子を形成できた。また、加えた伸長断片は、RNAナノ粒子に優れた薬物担持性能を与えた(具体的には実施例5及び実施例7に示された)。
【0196】
実施例4
一、7組の一般的な配列のDNAナノ粒子担体
(1)DNAナノ粒子を構成する7組の3本のポリヌクレオチド塩基配列
表における一部のa鎖にはEGFRapt標的ヘッド又はPSMAapt(A9L)標的ヘッドが拡張された。
EGFRapt(SEQ ID NO:97):GCCTTAGTAACGTGCTTTGATGTCGATTCGACAGGAGGC、
PSMAapt(A9L、SEQ ID NO:98):
GGGCCGAAAAAGACCTGACTTCTATACTAAGTCTACGTCCC。
【0204】
上記7組の一般的な配列のDNAナノ粒子の一本鎖は、すべて蘇州泓迅に委託して合成されるものであり、
D−1は、以上に記載のコア配列(8)(a配列5’−GGAGCGTTGG−3’、b配列5’−CCTTCGCCG−3’、c配列5’−CGGCCATAGCCC−3’)に、EGFRapt標的ヘッド(下線部分に示される)を含む拡張配列を加えて形成される一般的な配列のDNAナノ粒子であり、
D−2は、以上に記載のコア配列(9)(a配列5’−GCAGCGTTCG−3’、b配列5’−CGTTCGCCG−3’、c配列5’−CGGCCATAGCGC−3’)に、EGFRapt標的ヘッド(下線部分に示される)を含む拡張配列を加えて形成される一般的な配列のDNAナノ粒子であり、
D−3は、以上に記載のコア配列(10)(a配列5’−CGAGCGTTGC−3’、b配列5’−GCTTCGCCG−3’、c配列5’−CGGCCATAGCCG−3’)に、EGFRapt標的ヘッド(下線部分に示される)を含む拡張配列を加えて形成される一般的な配列のDNAナノ粒子であり、
D−4は、以上に記載のコア配列(11)(a配列5’−GGAGCGTTGG−3’、b配列5’−CCTTCGGGG−3’、c配列5’−CCCCCATAGCCC−3’)に、PSMAapt標的ヘッド(下線部分に示される)を含む拡張配列を加えて形成される一般的な配列のDNAナノ粒子であり、
D−5は、以上に記載のコア配列(12)(a配列5’−GCAGCGTTCG−3’、b配列5’−CGTTCGGCG−3’、c配列5’−CGCCCATAGCGC−3’)に、PSMAapt標的ヘッド(下線部分に示される)を含む拡張配列を加えて形成される一般的な配列のDNAナノ粒子であり、
D−6は、以上に記載のコア配列(13)(a配列5’−GCAGCGTTCG−3’、b配列5’−CGTTCGGCC−3’、c配列5’−GGCCCATAGCGC−3’)に、標的ヘッド構造を含まない拡張配列を加えて形成される一般的な配列のDNAナノ粒子であり、
D−7は、以上に記載のコア配列(14)(a配列5’−CGAGCGTTGC−3’、b配列5’−GCTTCGGCG−3’、c配列5’−CGCCCATAGCCG−3’)に、標的ヘッド構造を含まない拡張配列を加えて形成される一般的な配列のDNAナノ粒子であった。
【0205】
二、自己組織化実験ステップ
(1)1:1:1のモル比でDNA一本鎖a、b、cを同時に混合してDEPC水又はTMS緩衝液に溶かし、
(2)混合溶液を95℃に加熱し、5min維持してから、2℃/minのレートで室温にゆっくり降温し、
(3)生成物を8%(m/v)の非変性PAGEゲルにロードしてTBM緩衝液において4℃条件下で、100Vで複合体を電気泳動により精製し、
(4)目的とするバンドを切り出してDNA溶離緩衝液に37℃で溶離し、この後に一晩エタノールで沈殿させ、減圧して低温で蒸発させ、一般的な配列のDNA自己組織化生成物を獲得し、
(5)電気泳動分析検出及びレーザ走査観察を行い、
(6)電位検出を行い、
(7)粒子径測定を行い、
(8)電子顕微鏡を介して観察した。
【0206】
三、自己組織化実験結果
(1)電気泳動の検出結果
7組の一般的な配列のDNA自己組織化生成物の2%のアガロースゲル電気泳動図は、
図7に示された。
図7において、レーン1〜7は、左から右へ順に一般的な配列のDNA自己組織化生成物のD−1、D−2、D−3、D−4、D−5、D−6、D−7であった。
【0207】
7組の一般的な配列のDNA自己組織化生成物の4%のアガロースゲル電気泳動図は、
図8に示された。
図8において、レーン1〜7は、左から右へ順に一般的な配列のDNA自己組織化生成物のD−1、D−2、D−3、D−4、D−5、D−6、D−7であった。
【0208】
図7及び
図8の結果から明瞭に見えるように、7組の一般的な配列のDNA自己組織化生成物のバンドがすべて明るくかつ明瞭であり、7組の一般的な配列DNA鎖がすべて自己組織化を完了しており、安定したナノ粒子構造を形成したことが示された。D−6、D−7の2組の自己組織化構造は、EGFRapt又はPSMAapt標的ヘッドを保有するため、分子量がやや低く、バンド位置が他のバンドより明らかに前であり、実際が理論的状況に完全に一致し、さらに自己組織化構造の安定性を証明した。
【0209】
該実施例により示されるように、これらの異なるDNAコア配列の組合せにさまざまな機能の伸長断片を加えるか、又は、標的ヘッドを結合すると、同様に組織化してDNAナノ粒子を形成でき、同様に薬物担持性、細胞標的性、可視性及び追跡可能性などの性能を有した(具体的には実施例6及び実施例8に示された)。
【0210】
(2)電位測定
測定方法:電位サンプル(自己組織化生成物を超純水に溶ける)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
ソフトウェアを開き、メニューMeasUre ManUalをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
ソフトウェア検出パラメータを設定し、
次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。
【0211】
測定結果:3組の一般的な配列のDNAナノ粒子の電位検出結果は、以下のとおりであった。
【0215】
上記電位検出データから分かるように、3組の一般的な配列のRNA自己組織化生成物は、すべて良好な安定性を有し、各一般的な配列RNAが自己組織化して形成されるナノ粒子が安定した自己組織化構造を有することがさらに示された。
【0216】
(3)粒子径測定
1.電位サンプル(一般的な配列のDNA自己組織化生成物のD−7)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
2.ソフトウェアを開き、メニューをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
3.ソフトウェア検出パラメータを設定し、
4.次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。自己組織化生成物のD−7の流体力学サイズのDLS測定値結果は、以下のとおりであった。
【0218】
(4)電子顕微鏡による観察結果
上記一般的な配列のDNA自己組織化生成物のD−7に対して透過電子顕微鏡照射を行い、ステップは、以下のとおりであった。
1、1滴のサンプルを、カーボンでコーティングされた400メッシュの銅網に室温で1分間浮遊し、
2、ろ紙で液体を吸い取り、
3、2%の酢酸ウランで1分間染色し、
4、ろ紙で吸い取り、室温で乾燥させ、
5、JEM−1400透過電子顕微鏡を介して120kvで観察し、写真を撮った。
【0219】
結果は、
図9に示され、図から明瞭に見えるように、上記一般的な配列のDNA自己組織化生成物のD−7がT字型構造の一体構造であった。
【0221】
実施例5
化学的方法による担持
一、実験材料及び実験方法
1.実験材料及び試薬
(1)核酸ナノ粒子:実施例1のRNAナノ粒子から;
(2)DEPC水、Beyotime製;
(3)PBS緩衝液、cellgro製;
(4)4%のパラホルムアルデヒド;
(5)アドリアマイシン(Dox);
(6)クロロホルム、北京化工大学製;
(7)無水エタノール、北京化工大学製。
【0222】
2.実験方法
(1)アドリアマイシン(5.0mg、8.6μmol、40eq.)を精密に秤取してDEPC水(1.8mL)及びPBS緩衝液(2.1mL)に溶かし、氷水浴で冷却しながら、4%のパラホルムアルデヒド水溶液(0.4mL)を加えて混合し、この混合液を全部RNAナノ粒子(215nmol)と混合し、遮光条件下で4℃で72時間反応した。
【0223】
(2)10μLの反応液を10倍希釈し、50μMのアドリアマイシン水溶液及び310ng/μLのRNAナノ粒子を対照とし、等体積でサンプルを注入してHPLC分析を行った。各成分のピーク面積比に基づいて、反応転化がほとんど完了したと判断できた。
【0224】
(3)反応液をクロロホルム抽出(10mLx3)し、次に10倍の体積の無水エタノールを加え、混合後に4℃で遮光放置して生成物を(4時間)十分析出した。遠心し、上清を移し、固体生成物を再びエタノールで洗浄し、溶媒を低温で減圧して蒸発させて暗赤色の固体担持生成物を得た。
【0225】
(4)少量の生成物をDEPC水に溶かし、8%のPAGEゲルにロードし、TBM緩衝液において4℃条件下で100Vで1時間電気泳動し、電気泳動結果は、
図10に示された。
図10において、左から右へ、レーン1〜5は、それぞれ1)20bp
DNA ladder、2−4)RNAナノ粒子のブランク粒子及び5)アドリアマイシン担持生成物であった。
図10から見えるように、アドリアマイシン担持生成物のバンドがRNAナノ粒子ブランク粒子より少し後に位置した。
【0226】
(5)担持率計算
1.既知の濃度2μM、4μM、6μM、8μM、10μMのアドリアマイシン−PBS基準溶液をそれぞれ100μl調製し、
2.アドリアマイシン担持生成物を100μlのPBSに溶解し、
3.基準液とアドリアマイシン担持生成物をPCRプレートに入れ、85℃で5min加熱し、次に室温まで冷却させ、
4.マイクロプレートリーダーを利用して492nmでのアドリアマイシンの吸光度を測定し、検量線(
図11で示される)をレンダリングし、担持生成物中のアドリアマイシンのモル濃度を計算し、
5.分光光度計を利用して260nmでのRNAの吸光度を測定し、各サンプルに含まれるアドリアマイシン担持生成物の質量濃度を獲得し、
6.測定して得られたアドリアマイシンモル濃度及びアドリアマイシン担持生成物の質量濃度に基づいて、担持率を計算した。
【0227】
計算の具体的な過程は、以下のとおりであった。
C
RNAh−1=9.5ug/μl、M
RNAh≒30000、100μl、C
アドリアマイシン−1=8.033μM、100μl
C
RNAh−2=1.21ug/μl、M
RNAh≒30000、100μl;C
アドリアマイシン−1=9.200μM、100μl
【数1】
【0228】
N−1及びN−2の平均値から、RNAh−アドリアマイシンの担持率が約24であり、各核酸ナノ粒子担体に約24個のアドリアマイシン分子を担持できることが示された。
【0229】
物理的方法による担持
1)アドリアマイシンとRNAナノ粒子の質量比を1:1にし、
2)0.1mgのアドリアマイシン原薬を称取して50μlのDMSOに溶かし、次に300μlのPBSを加えて混合し、
3)RNA粒子を200μlのDEPC水に溶かし、アドリアマイシン−PBS混合液に加え、混合し、pHを約7.5に調整し、
4)全部の溶液を55℃のウォーターバスに入れ、3h反応し、
5)反応終了後、直接10倍の体積の無水エタノールを加え、4℃で4h析出し、
6)10倍の無水エタノールで4回洗浄し、1.5mLのEPチューブに移した。次に、以上と同一の方法で担持率の測定を行い、測定結果がアドリアマイシン担持率15.5であった。
【0230】
実施例5により示されるように、伸長断片、標的ヘッド及びフルオレセインを有するRNAナノ粒子(実施例1)は、薬物担持機能を有し、物理的インターカレーション及び共有結合(パラホルムアルデヒド−溶媒共有)の方式で薬物担持を実現することができた。
【0231】
実施例6
実施例5に係る化学的方法による担持方法(特別な制限がない限り、方法は実施例5と同じ)は、それぞれ前述した実施例1のDNAナノ粒子、実施例2のR−1、R−2、R−3、R−4、R−5、R−6、R−7が自己組織化して形成されるRNAナノ粒子、実施例4のD−2、D−6及びD−7が自己組織化して形成されるDNAナノ粒子をアドリアマイシン担持担体として用い、測定したアドリアマイシン担持率はそれぞれ以下のとおりであった。
【0232】
実施例1のDNAナノ粒子のアドリアマイシン担持率が300であった(該方法では、アドリアマイシンが1.2mg、DEPC水が0.5mg、PBS緩衝液が8.5ml、4%のパラホルムアルデヒド水溶液が1ml、DNAナノ粒子が2.5nmolであり、DNAナノ粒子を20μlの水に溶けた)。
【0233】
RNAナノ粒子R−1のアドリアマイシン担持率が3.5、
RNAナノ粒子R−2のアドリアマイシン担持率が2.4、
RNAナノ粒子R−3のアドリアマイシン担持率が4.8、
RNAナノ粒子R−4のアドリアマイシン担持率が3.5、
RNAナノ粒子R−5のアドリアマイシン担持率が12.5、
RNAナノ粒子R−6のアドリアマイシン担持率が2.8、
DNAナノ粒子D−2のアドリアマイシン担持率が14、
DNAナノ粒子D−6のアドリアマイシン担持率が11、
DNAナノ粒子D−7のアドリアマイシン担持率が10であった。
【0234】
フローサイトメトリ(FACS)実験によるRNAナノ粒子の細胞結合能力の検出
【0235】
実施例7
一、実験材料及び実験方法
1.被検サンプルは表40に示された。
【表40】
注:表においてRNAhとは、実施例1で自己組織化して形成されるRNAナノ粒子のうち、Biotin修飾が行われていない対照ナノ粒子であり、RNAh−Biotine−quasar670とは、実施例1で自己組織化して形成されるRNAナノ粒子の5’末端にquasar670フルオレセインを修飾して形成されるナノ粒子であり、RNAh−Biotine−quasar670−Doxとは、さらにアドリアマイシン薬物を担持して(実施例5の化学的方法による担持)形成されるナノ粒子であった。
【0236】
2.用いられた実験試薬及びそれらの由来は、以下のとおりであった。
RPMI−1640培地(Gibco、C11875500BT−500mL);ウシ胎仔血清(Fetal bovine serum、FBS)(ExCell Bio、FNA500−500 mL);ペニシリン/ストレプトマイシン(Penicillin/Streptomycin、PS)(Gibco、15140−122−100 mL);PBS緩衝液(Gibco、C20012500BT−500 mL);Trypsin−EDTA(Stemcell、07901−500 mL);DMSO(Sigma、D5879−1 L)。
【0237】
3.用いられた実験器具は、以下のとおりであった。
倒立顕微鏡(Inverted
Microscope)(Olympus IX71、TH4−200);フローサイトメトリ(Flow Cytometer)(Life Science、Attune NxT)。
【0238】
4.実験方法
(1)RPMI1640+10%のFBS+1%PS培地を用い、37℃で5%のCO
2においてHepG2細胞を培養した。
(2)HepG2細胞をトリプシン消化し、PBSで1回洗浄した。
(3)それぞれ2×10
5個の細胞とRNAh、RNAh−Biotin−quasar670、RNAh−Biotin−quasar670−Doxナノ粒子を37℃で5%のCO
2において1hインキュベートし、各サンプルがそれぞれ200nM及び400nMの2つの濃度を有し、各濃度でサンプルごとに3つの反復を有した。
(4)細胞をPBSで洗浄した後、PBS緩衝液で再懸濁し、FACS器具で検出した。
(5)データを収集して統計分析を行った。
【0239】
二、実験結果
実験結果は、表41、
図12及び
図13に示された。
【0241】
図12において、AがHepG2細胞対照群に対応し、Bが200nM濃度のRNAh対照ナノ粒子に対応し、Cが200nM濃度のRNAh−Biotin−quasar670ナノ粒子に対応し、Dが200nM濃度のRNAh−Biotin−quasar670−Doxナノ粒子に対応し、Eが400nM濃度のRNAh対照ナノ粒子に対応し、Fが400nM濃度のRNAh−Biotin−quasar670ナノ粒子に対応し、Gが400nM濃度のRNAh−Biotin−quasar670−Doxナノ粒子に対応した。
【0242】
表41及び
図12から見えるように、標的ヘッドが修飾されていない単なるRNAナノ粒子は、細胞標的性を有さず、HepG2細胞と結合できるように、ビオチンを担持する必要があった。また、
図12のFACS結果は、RNAh−Biotin−quasar670及びRNAh−Biotin−quasar670−Doxナノ粒子のHepG2細胞との結合能力が高い(P<0.0001)ことを示した。
【0243】
図13は、顕微鏡で検出された、ナノ粒子のHepG2細胞との結合及び内在化結果を示した。細胞結合及び内在化実験の結果は、RNAh−Biotin−quasar670及びRNAh−Biotin−quasar670−Doxナノ粒子がすべてHepG2細胞と結合して内在化できることを示した(アドリアマイシンを担持するナノ粒子RNAh−Biotin−quasar670−DoxとHepG2細胞とが共インキュベートされた後、細胞が明らかに赤く染色され、RNAh−Biotin−quasar670−Doxナノ粒子の濃度及び時間の増加に伴って色が濃くなり、薬を担持するRNAナノ粒子のHepG2細胞との結合及び内在化能力が強いことが示された。RNAh−Bio−quasar670もHepG2細胞との結合及び内在化の能力を有するが、Doxを含まないため、赤く染色することができなかった)。
【0244】
実施例8
一、実験材料及び試験方法
1.被検サンプルは表42に示された。
【表42】
注:DOX−D−1−EGFRとは、前述した実施例4で自己組織化して形成されるDNAナノ粒子D−1がアドリアマイシン(担持ステップは実施例5と同じであり、以下同じ)を担持して形成されるナノ粒子であり(D−1自身はEGFRを担持しており、ここで、DOX−D−1−EGFRとして表現する原因は、標的ヘッドのタイプ及びアドリアマイシンの担持を明瞭にするためであり、以下同じ)、DOX−D−2−EGFRとは、前述した実施例で自己組織化して形成されるDNAナノ粒子D−2がアドリアマイシンを担持して形成されるナノ粒子であり、DOX−D−5−PSMAとは、前述した実施例で自己組織化して形成されるDNAナノ粒子D−5がアドリアマイシンを担持して形成されるナノ粒子であった。
【0245】
2.細胞情報は、表43に示された。
【表43】
【0246】
3.用いられた実験試薬及びそれらの由来は、以下のとおりであった。
RPMI−1640培地(YY0167−500Ml);
MEM(YS4150−500mL);
MEM NEAA(100×)(GBICO、Cat#1872982);
FBSウシ胎仔血清(GBICO、Cat#10099141)。
【0247】
4.用いられた実験器具は、以下のとおりであった。
フローサイトメトリGuava
EasyCyte 8HT(Millipore);
SpectraMaxマルチラベルマイクロプレートリーダー、MD、2104−0010A。
【0248】
5.実験方法
5.1細胞培養
a)細胞を対応する培地に復活させ、37℃で、5%のCO
2細胞培養器において培養した。
b)細胞がT75細胞培養瓶で対数成長期になるとき(約80%の合流率)、元の培地を、葉酸及びビオチンを含まない培地に交換した。
【0249】
5.2結合実験
a)最初の日に細胞を収集して計数し、2×10
5cell/wellの密度で24ウェルプレートに播種した。
b)次の日に、PBSでサンプルを希釈した。PBSですべてのサンプルを100μMに希釈し、1μMの溶液を調製し、マイクロプレートリーダーにおいて蛍光基(アドリアマイシン:Ex=480nm、Em=580nm)が正常に発光するか否かを検出した。
c)PBSで細胞を2回洗浄した。
d)培地に溶けたナノ粒子を加え、37℃のCO
2培養器において細胞を16hインキュベートした。ナノ粒子濃度が2μMであり、サンプル順序は、以下の表44に示された。
【表44】
e)PBSで細胞を2回洗浄した。
f)トリプシン消化された細胞を収集してPBSで細胞を2回洗浄した。
g)PBSで洗浄された細胞を400uLのPBSに再懸濁し、5mLのフローサイトメトリーチューブに移した。
h)フローサイトメトリにロードする前に、サンプルを遮光する必要があった。
i)フローサイトメトリで検出した。アドリアマイシンのEx=480nm、Em=580nm(黄色通路)で細胞の蛍光強度を検出した。
j)FlowJoソフトウェアでFACSデータを分析した。
k)ブランク細胞組のバックグラウンド蛍光強度に基づいてゲートを設定し、各DNAナノ粒子の細胞との結合率を分析した。
【0250】
二、実験結果
実験結果は、表45、46及び47に示された。
【0254】
上記表46、47のデータ結果から分かるように、DOX−D−1−DNAh−EGFRのU87MG細胞との結合能力が非常に強く、投与濃度が2μMで、投与時間が16hである場合に、結合効率が100%であった。DOX−D−2−EGFRのMDA−MB−231細胞との結合能力が非常に強く、投与濃度が2μMで、投与時間が16hである場合に、結合効率が100%であった。DOX−D−3−EGFRのHCC−78細胞との結合能力が非常に強く、投与濃度が2μMで、投与時間が16hである場合に、結合効率が100%であった。
【0255】
その他の核酸ナノ粒子(RNAナノ粒子及び残りのDNAナノ粒子を含む)は、すべて、DOX−D−1−DNAh−EGFR、DOX−D−2−EGFR又はDOX−D−5−PSMAと同一の標的ヘッドEGFRapt又はPSMAaptを保有するか、又は、伸長セグメントを増加させるという方式でEGFRapt又はPSMAaptを保有できるため、対応する細胞と、相当する結合効率を有した。また、すべてDOX−D−1−DNAh−EGFR、DOX−D−2−EGFR又はDOX−D−5−PSMAと同一の薬物担持配列(GC担持部位配列)を保有するため、相当する薬物担持機能を有した。
【0257】
実施例9
一、実験材料及び実験方法
1.被検サンプル:PBS溶液に溶解した、実施例1で製造されたRNAナノ粒子。
【0258】
2.実験試薬
RPMI−1640培地(Gibco、C11875500BT−500 mL);ウシ胎仔血清(Fetal bovine serum、FBS)(ExCell Bio、FNA500−500 mL);ペニシリン/ストレプトマイシン(Penicillin/Streptomycin、PS)(Gibco、15140−122−100 mL);PBS緩衝液(Gibco、C20012500BT−500 mL);Novex
TMTris−Glycine Native Sample Buffer(2X)(Invitrogen、LC2673−20 mL);Novex
TM8% Tris−Glycine Mini Gels(Invitrogen、XP00080BOX−1.0 mm);Tris−Glycine Native Running buffer(10x)(Life science、LC2672−500 mL);G250染色液(Beyotime、P0017−250 mL)。
【0259】
3.実験器具
分光光度計(Spectrophotometer)(Thermo、ND2000C);Mini Gel Tank(Invitrogen、PS0301);結像システム(Imaging System)(Bio−Rad、ChemiDocMP)。
【0260】
4.実験方法
(1)350μlのPBSを吸い取ってRNAナノ粒子サンプルに加え、十分に混合した。
(2)2μMのRNAナノ粒子を10%の血清を含むRPMI1640培地に入れてインキュベートした。
(3)37℃で10min、1h、12h、36hインキュベートしてそれぞれロードした。
(4)NanoDropで定量化した後、200ngのRNAナノ粒子を、同じ体積のTris−Glycine SDSサンプル緩衝液(2X)に加え、十分に混合した。
(5)Novex
TM8%Tris−Glycine Mini gelに順にロードし、200V、30minであるようにプログラムを設定し、電気泳動を開始した。
(6)電気泳動終了後、G250で染色し、レベルシェーカーに30min〜1h放置し、写真を撮った。
【0262】
電気泳動の検出結果は、
図14及び
図15に示された。
図14は8%の非変性ゲルの電気泳動結果(Coomassie Blueプログラム)を示し、
図15は8%の非変性ゲルの電気泳動結果(Stain Free Gelプログラム)を示した。RNAナノ粒子の血清安定性試験の結果によれば、10min、1h、12h及び36hの非変性ゲルの結果(
図14及び
図15)は、異なる時間にRNAナノ粒子サンプルのバンドに明らかな違いがないことが示され、RNAナノ粒子が10%のFBSの1640培地において安定し、明らかに分解していないことが示された。
【0263】
RNAナノ粒子のHepG2細胞での細胞毒性の研究
【0264】
実施例10
一、実験材料及び実験方法
1.被検サンプルは、実施例7の3つのサンプルであった。
【0265】
2.実験試薬
RPMI−1640培地(Gibco、C11875500BT−500 mL);ウシ胎仔血清(Fetal bovine serum、FBS)(ExCell Bio、FNA500−500 mL);ペニシリン/ストレプトマイシン(Penicillin/Streptomycin、PS)(Gibco、15140−122−100 mL);PBS緩衝液(Gibco、C20012500BT−500 mL);Trypsin−EDTA(Stemcell、07901−500 mL);DMSO(Sigma、D5879−1 L);Dox(HISUN Pharm、H33021980−10 mg);CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay kit(CTG)(Promega、G7572−100 mL)。
【0266】
3.実験器具
倒立顕微鏡(Inverted Microscope)(OlympusIX71、TH4−200);96ウェルプレートリーダー(96−well Plate Reader)(Molecular Devices、Flexstation3)。
【0267】
4.実験方法
(1)RPMI1640+10%のFBS+1%PS培地を、37℃で5%のCO
2においてHepG2細胞を培養した。
(2)HepG2細胞をトリプシン消化し、5000個の細胞/100μLで96ウェルプレートの各ウェルに接種し、37℃で5%のCO
2において一晩培養した。
(3)次の日に細胞上清を除去し、培地で被検サンプルを希釈し、プレートに播種された細胞に200nMのRNAh、RNAh−Biotine、RNAh−Dox及びDoxをそれぞれ100μL加え、サンプルごとに4つの反復を有した。
(4)72h培養した後、各ウェルにCTG試薬を100μL加え、2min振とうし、10min室温で静置し、全過程で遮光した。
(5)最後にSoft Max
Pro5ソフトウェアで読み取った。
【0269】
実験結果は、表49及び
図16に示され、
図16において、aがPBSの細胞増殖結果に対応し、bがDMSOの細胞増殖結果に対応し、cがDox(アドリアマイシン)の細胞増殖結果に対応し、dがRNAhの細胞増殖結果に対応し、eがRNAh−Biotin−quasar670の細胞増殖結果に対応し、fがRNAh−Biotin−quasar670−Doxの細胞増殖結果に対応した。
【0270】
表49及び
図16から見えるように、CTG結果により、200nMの薬担持ナノ粒子RNAh−Biotine−DoxがHepG2細胞に対して明らかな細胞毒性を有するが(P<0.0001)、200nMのRNAh−BiotineがHepG2細胞に対して細胞毒性を有さないことが示された。
【0272】
実施例11
一、7組の伸長セグメントの変形+コア短配列RNAのナノ粒子担体
(1)伸長セグメント変形+コア短配列RNAのナノ粒子を構成する7組の3本のポリヌクレオチド塩基配列
【0280】
二、自己組織化試験のステップ
(1)1:1:1のモル比でRNA一本鎖a、b、cを同時に混合してDEPC水又はTMS緩衝液に溶かし、
(2)混合溶液を80℃に加熱し、5min維持してから、2℃/minのレートで室温にゆっくり降温し、
(3)生成物を8%(m/v)の非変性PAGEゲルにロードしてTBM緩衝液において4℃条件下で、100Vで複合体を電気泳動により精製し、
(4)目的とするバンドを切り出してRNA溶離緩衝液に37℃で溶離し、この後に一晩エタノールで沈殿させ、減圧して低温で蒸発させ、
(5)電気泳動分析検出及びレーザ走査観察を行い、
(6)電位測定を行い、
(7)粒子径測定を行い、
(8)Tm値測定を行った。
【0281】
三、自己組織化試験結果
(1)電気泳動検出
主な試薬及び器具は、以下のとおりであった。
【表57】
【表58】
【0282】
ステップ
<1>RNAナノ粒子を以下の表59の方法にしたがって超純水で希釈した。
【表59】
<2>10μLの処理済みのサンプル(500ng)と2μLの6×DNA Loading Bufferを混合し、氷において操作し、マーキングしておいた。
<3>8%の非変性PAGEゲルを用意し、異なるインキュベート時間でのサンプルを同一のゲルにロードし、12μLの処理済みのサンプルを全部ロードして、100Vで40min電気泳動するようにプログラムを設定した。
<4>電気泳動が終了し、染色し、レベルシェーカーに30min放置し、写真を撮った。
【0283】
検出結果
7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAの自己組織化生成物の非変性PAGEゲルの電気泳動結果は、
図17に示された。
図17において、レーン1〜7は、左から右へ順に7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAの自己組織化生成物R−15、R−16、R−17、R−18、R−19、R−20、R−21であった。
【0284】
図17の結果から明瞭に見えるように、7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAの自己組織化生成物のバンドがすべて明るくかつ明瞭であり、7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNA鎖がすべて自己組織化を完了しており、安定したナノ粒子構造を形成したことが示された。
【0285】
(2)電位測定
測定方法:電位サンプル(自己組織化生成物を超純水に溶ける)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
ソフトウェアを開き、メニューMeasUre ManUalをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
ソフトウェア検出パラメータを設定し、
次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。
【0286】
測定結果:7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAのナノ粒子の25℃での電位検出結果は、以下のとおりであった。
【0294】
上記電位検出データから分かるように、7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAのナノ粒子は、すべて良好な安定性を有し、各伸長セグメント変形+コア短配列RNAが自己組織化して形成されるナノ粒子が安定した自己組織化構造を有することがさらに示された。
【0295】
(3)粒子径測定
1.電位サンプル(7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNA)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
2.ソフトウェアを開き、メニューをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
3.ソフトウェア検出パラメータを設定し、
4.次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAの流体力学サイズのDLS測定値結果はそれぞれ、以下のとおりであった。
【0297】
(4)TM値検出
溶解度曲線法を用いて、7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAのナノ粒子のTM値を検出し、サンプルが電位サンプルと一致した。
【0298】
試薬及び器具は、以下のとおりであった。
【表68】
【表69】
【0299】
ステップ
<1>サンプルを超純水で希釈した後、希釈された5μgのサンプルを2μLのSYBR Green I染料(1:200で希釈)と混合し、最終体積が20μLであり、希釈濃度は、以下のとおりであった。
【表70】
<2>室温で30min遮光しながらインキュベートし、
<3>フローサイトメーターで検出し、20℃で開始し、1秒に0.1℃〜95℃加熱し、5sおきに1回読み取るようにプログラムを設定した。
【0300】
検出結果
7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAのナノ粒子のTM値は以下のとおりであった。R−15の溶解度曲線図は、
図18に示され、R−16の溶解度曲線図は、
図19に示され、R−17の溶解度曲線図は、
図20に示され、R−18の溶解度曲線図は、
図21に示され、R−19の溶解度曲線図は、
図22に示され、R−20の溶解度曲線図は、
図23に示され、R−21の溶解度曲線図は、
図24に示された。RNAサンプルの特殊性のため、今回の検出は20〜90℃範囲での1/2RFUmax値に対応する温度をサンプルのTm値とした。
【0302】
7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAのナノ粒子のTM値がすべて高く、自己組織化生成物が良好な構造安定性を有することが示された。
【0303】
実施例12
一、7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子担体
【0304】
(1)伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子を構成する7組の3本のポリヌクレオチド塩基配列
【0312】
二、自己組織化試験ステップ
(1)1:1:1のモル比でDNA一本鎖a、b、cを同時に混合してDEPC水又はTMS緩衝液に溶かし、
(2)混合溶液を95℃に加熱し、5min維持してから、2℃/minのレートで室温にゆっくり降温し、
(3)生成物を8%(m/v)の非変性PAGEゲルにロードしてTBM緩衝液において4℃条件下で、100Vで複合体を電気泳動により精製し、
(4)目的とするバンドを切り出してDNA溶離緩衝液に37℃で溶離し、この後に一晩エタノールで沈殿させ、減圧して低温で蒸発させ、DNA自己組織化生成物を獲得し、
(5)電気泳動分析検出及びレーザ走査観察を行い、
(6)電位検出を行い、
(7)粒子径検出を行い、
(8)TM値検出を行った。
【0313】
三、自己組織化試験結果
(1)電気泳動検出
主な試薬及び器具は、以下のとおりであった。
【表79】
【表80】
【0314】
ステップ
<1>DNAナノ粒子を以下の表81の方法にしたがって超純水で希釈した。
【表81】
<2>10μLの処理済みのサンプル(500ng)を2μLの6×DNA Loading Bufferと混合し、氷において操作し、マーキングしておいた。
<3>8%の非変性PAGEゲルを用意し、異なるインキュベート時間でのサンプルを同一のゲルにロードし、12μLの処理済みのサンプルを全部ロードして、100Vで40min電気泳動するようにプログラムを設定した。
<4>電気泳動が終了し、染色し、レベルシェーカーに30min放置し、写真を撮った。
【0315】
検出結果
7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAの自己組織化生成物の非変性PAGEゲルの電気泳動結果は、
図25に示された。
図25において、レーン1〜7は、左から右へ順に7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAの自己組織化生成物のD−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13、D−14であった。
【0316】
図37結果から明瞭に見えるように、7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAの自己組織化生成物のバンドはすべて、明るくかつ明瞭であり、7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNA鎖がすべて自己組織化を完了し、安定したナノ粒子構造を形成することが示された。
【0317】
(2)電位測定
測定方法:電位サンプル(自己組織化生成物を超純水に溶ける)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
ソフトウェアを開き、メニューMeasUre ManUalをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
ソフトウェア検出パラメータを設定し、
次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。
【0318】
測定結果:7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子の25℃電位検出結果は、以下のとおりであった。
【0326】
上記電位検出データから分かるように、7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子がすべて良好な安定性を有し、各伸長セグメント変形+コア短配列DNAが自己組織化して形成されるナノ粒子が安定した自己組織化構造を有することがさらに示された。
【0327】
(3)粒子径測定
<1>電位サンプル(7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNA)を用意してサンプルセルに入れ、器具のサンプルセルの蓋を開き、器具に入れ、
<2>ソフトウェアを開き、メニューをクリックし、手動測定パラメータの設定ダイアログボックスが出現し、
<3>ソフトウェア検出パラメータを設定し、
<4>次にOKをクリックして設定を終了させ、測定ダイアログボックスが出現し、Startをクリックして開始した。7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAの流体力学サイズのDLS測定値結果はそれぞれ、以下のとおりであった。
【0329】
(4)TM値検出
溶解度曲線法を用い、7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子のTM値を検出し、サンプルが電位サンプルに一致した。
【0330】
試薬及び器具は、以下のとおりであった。
【表90】
【表91】
【0331】
ステップ
<1>サンプルを超純水で希釈した後、5μgの希釈されたサンプルと2μLのSYBRGreen I染料(1:200で希釈)を混合し、最終体積が20μLであり、希釈濃度は、以下のとおりであった。
【表92】
<2>室温で30min遮光しならインキュベートし、
<3>フローサイトメーターで検出し、20℃で開始し、1秒に0.1℃〜95℃加熱し、5sおきに1回読み取るようにプログラムを設定した。
【0332】
検出結果
7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子のTM値は以下のとおりであった。D−8の溶解度曲線図は、
図26に示され、D−9の溶解度曲線図は、
図27に示され、D−10の溶解度曲線図は、
図28に示され、D−11の溶解度曲線図は、
図29に示され、D−12の溶解度曲線図は、
図30に示され、D−13の溶解度曲線図は、
図31に示され、D−14の溶解度曲線図は、
図32に示された。
【0334】
図26〜32から分かるように、7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子の溶解度曲線のTM値がすべて高く、サンプルの純度が高くかつ自己組織化構造が安定することが示された。
【0335】
核酸ナノ粒子の血清での安定性を検出
実施例13
非変性PAGE法を用いて7組の伸長セグメント変形+コア短配列RNAのナノ粒子の血清での安定性を特徴付けした。
【0336】
主な試薬及び器具は、以下のとおりであった。
【表94】
【表95】
【0337】
ステップ
<1>RNAナノ粒子を以下の表の濃度に調製し、次に調製後のサンプルを以下の表における方法で5チューブに希釈し、希釈後のサンプルを37℃で異なる時間(0、10min、1h、12h、36h)水浴し、
【表96】
<2>処理済みのサンプル10μLと2μL6×DNA Loading Bufferを混合し、氷において操作し、マーキングしておき、
<3>8%の非変性PAGEゲルを用意し、異なるインキュベート時間でのサンプルを同一のゲルにロードし、12μLの処理済みのサンプルを全部ロードして、100Vで40min電気泳動するようにプログラムを設定した、
<4>電気泳動が終了し、染色し、レベルシェーカーに入れて30minゆっくりと振とうし、写真を撮った。
【0338】
R−15の電気泳動の検出結果は、
図33に示され、R−16の電気泳動の検出結果は、
図34に示され、R−17の電気泳動の検出結果は、
図35に示され、R−18の電気泳動の検出結果は、
図36に示され、R−19の電気泳動の検出結果は、
図37に示され、R−20の電気泳動の検出結果は、
図38に示され、R−21の電気泳動の検出結果は、
図39に示された。
図33〜39において、左から右へのレーンはそれぞれ、M:marker;1:36h;2:12h;3:1h;4:10min;5:0minであった。血清安定性試験の結果から分かるように、10min、1h、12h及び36hの非変性ゲルの結果により、異なる時間でのRNAナノ粒子サンプルバンドに明らかな違いがないことが示され、RNAナノ粒子R−15〜R−21が50%のFBSの1640培地において安定し、明らかに分解していないことが示された。
【0339】
実施例14
非変性PAGE法を用いて7組の伸長セグメント変形+コア短配列DNAナノ粒子の血清での安定性を特徴付けした。
【0340】
主な試薬及び器具は、以下のとおりであった。
【表97】
【表98】
【0341】
ステップ
<1>DNAナノ粒子を以下の表の濃度に調製し、次に調製後のサンプルを以下の表における方法で5チューブに希釈し、希釈後にサンプルを37℃で異なる時間(0、10min、1h、12h、36h)水浴し、
【表99】
<2>5μLの処理済みのサンプルと1μLの6×DNA Loading Bufferを混合し、氷において操作し、マーキングしておき、
<3>8%の非変性PAGEゲルを用意し、異なるインキュベート時間でのサンプルを同一のゲルにロードし、6μLの処理済みのサンプルを全部ロードして、100Vで40min電気泳動するようにプログラムを設定した、
<4>電気泳動が終了し、染色し、レベルシェーカーに入れて30minゆっくりと振とうし、写真を撮った。
【0342】
D−8の電気泳動の検出結果は、
図40に示され、D−9の電気泳動の検出結果は、
図41に示され、D−10の電気泳動の検出結果は、
図42に示され、D−11の電気泳動の検出結果は、
図43に示され、D−12の電気泳動の検出結果は、
図44に示され、D−13の電気泳動の検出結果は、
図45に示され、D−14の電気泳動の検出結果は、
図46に示された。
図40〜46において、左から右へのレーンはそれぞれ、M:marker;1:36h;2:12h;3:1h;4:10min;5:0minであった。血清安定性試験結果から分かるように、10min、1h、12h及び36hの非変性ゲルの結果により、異なる時間DNAナノ粒子サンプルバンドに明らかな違いがないことが示され、DNAナノ粒子D−8〜D−14が50%のFBSの1640培地において安定し、明らかに分解していないことが示された。
【0344】
実施例15
アドリアマイシン担持実験
実施例5の化学的方法による担持方法(特別な制限がない限り、方法が実施例5と同じ)に基づいて、それぞれ前述した実施例11のR−15、R−16、R−17、R−18、R−19、R−20及びR−21が自己組織化して形成されるRNAナノ粒子、実施例12のD−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13及びD−14が自己組織化して形成されるDNAナノ粒子をアドリアマイシン担持担体として用い、測定されたアドリアマイシン担持率はそれぞれ、以下のとおりであった。
【0345】
RNAナノ粒子R−15のアドリアマイシン担持率が20.5、
RNAナノ粒子R−16のアドリアマイシン担持率が29.4、
RNAナノ粒子R−17のアドリアマイシン担持率が30.9、
RNAナノ粒子R−18のアドリアマイシン担持率が34.1、
RNAナノ粒子R−19のアドリアマイシン担持率が27.1、
RNAナノ粒子R−20のアドリアマイシン担持率が30.2、
RNAナノ粒子R−21のアドリアマイシン担持率が20.1、
DNAナノ粒子D−8のアドリアマイシン担持率が28.0、
DNAナノ粒子D−9のアドリアマイシン担持率が27.9、
DNAナノ粒子D−10のアドリアマイシン担持率が18.9、
DNAナノ粒子D−11のアドリアマイシン担持率が26.8、
DNAナノ粒子D−12のアドリアマイシン担持率が27.6、
DNAナノ粒子D−13のアドリアマイシン担持率が31.8、
DNAナノ粒子D−14のアドリアマイシン担持率が32であった。
【0346】
フローサイトメトリ(FACS)実験によるDNAナノ粒子及び担体薬の細胞結合能力の検出
【0347】
実施例16
一、細胞情報
HepG2(協和細胞庫から);培地は、DMEM+10%のFBS+1%二重抗体(gibco、15140−122)であり、培養条件は、37℃、5%のCO
2、飽和湿度であった。
【0348】
二、被検物
ブランク担体:前述した実施例12のD−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13及びD−14が自己組織化して形成されるDNAナノ粒子担体。
担体薬:実施例5の化学的方法による担持方法(特別な制限がない限り、方法が実施例5と同じ)に基づいて、前述した実施例12のD−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13及びD−14が自己組織化して形成されるDNAナノ粒子を用いてアドリアマイシンを担持し、それぞれ、D−8−アドリアマイシン、D−9−アドリアマイシン、D−10−アドリアマイシン、D−11−アドリアマイシン、D−12−アドリアマイシン、D−13−アドリアマイシン及びD−14−アドリアマイシンとした。
【0351】
五、実験方法
1.細胞状態が対数成長期になるように調整し、培地をビオチンなし無葉酸の培地に交換し、37℃の培養器に入れて一晩インキュベートし、
2.インキュベート終了後、トリプシン消化して細胞懸濁液を収集し、1000rmpで5min遠心し、濃度を調整した後、2×10
5−5×10
5細胞/EPチューブを、1mL/チューブの1%のBSA−PBSで2回洗浄し、吸い去られることを防止するように、チューブの底部の細胞を観察していた。
3.被検物を溶解し、被検物を使用濃度に希釈し、
4.細胞上清を全部吸い取り、各チューブに100μLの対応するサンプルを順に加え、遮光し、37℃で2hインキュベートし、
5.1%のBSA−PBSで2回洗浄し、1000rmpで5min遠心し、
6.最後に300μlのPBSで細胞沈殿を再懸濁し、フローサイトメトリーで検出し(本実施例で用いられるブランク担体がQuasar670で標識されており、担体薬中のアドリアマイシンが蛍光を持っており、従って、それぞれFL4−APC及びFL2−PEにより検出できる)、
7.データ分析を行った。
【0352】
六、実験結果
1.実験結果は、以下の表に示された。
【表102】
【0353】
2.結論
1.HepG2細胞とD−8−アドリアマイシン(担体薬)及びD−8(ブランク担体)がインキュベートされた後、すべて非常に高い(93.1%〜98.4%)の結合率を有した。
2.HepG2細胞とD−9−アドリアマイシン(担体薬)及びD−9(ブランク担体)がインキュベートされた後、すべて非常に高い(88.6%〜98.1%)の結合率を有した。
3.HepG2細胞とD−10−アドリアマイシン(担体薬)及びD−10(ブランク担体)がインキュベートされた後、すべて非常に高い(89.4%〜98.3%)の結合率を有した。
4.HepG2細胞とD−11−アドリアマイシン(担体薬)及びD−11(ブランク担体)がインキュベートされた後、すべて非常に高い(89.3%〜97.8%)の結合率を有した。
5.HepG2細胞とD−12−アドリアマイシン(担体薬)及びD−12(ブランク担体)がインキュベートされた後、すべて非常に高い(94.6%〜97.1%)の結合率を有した。
6.HepG2細胞とD−13−アドリアマイシン(担体薬)及びD−13(ブランク担体)がインキュベートされた後、すべて非常に高い(89.6%〜98.2%)の結合率を有した。
7.HepG2細胞とD−14−アドリアマイシン(担体薬)及びD−14(ブランク担体)がインキュベートされた後、すべて非常に高い(90.3%〜98.3%)の結合率を有した。
【0354】
DNAナノ粒子及び担体薬のHepG2細胞での細胞毒性の研究
【0355】
実施例17
CCK8法を用いてDNAナノ粒子及び担体薬によるHepG2に対する毒性を検出した。
【0357】
二、主要消耗品及び器具
【表104】
【0358】
三、細胞情報
HepG2(協和細胞庫から);培地は、DMEM+10%のFBS+1%二重抗体(gibco、15140−122)であり、培養条件は、37℃、5%のCO
2、飽和湿度であった。
【0359】
四、実験材料
1.被検サンプル
ブランク担体:前述した実施例12のD−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13及びD−14が自己組織化して形成されるDNAナノ粒子担体を、それぞれD−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13及びD−14とした。
担体薬:実施例5の化学的方法による担持方法(特別な制限がない限り、方法が実施例5と同じ)に基づいて、前述した実施例12のD−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13及びD−14が自己組織化して形成されるDNAナノ粒子を用いてアドリアマイシン担持し、それぞれD−8−アドリアマイシン、D−9−アドリアマイシン、D−10−アドリアマイシン、D−11−アドリアマイシン、D−12−アドリアマイシン、D−13−アドリアマイシン及びD−14−アドリアマイシンとした。
原薬アドリアマイシン。
DMSO。
【0360】
五、実験ステップ
1.対数成長期のHepG2細胞を、トリパンブルー染色により計数して、細胞生存率が98.3%で、体積100μL/ウェル、5000Cell/ウェルで8つの96ウェルプレートのそれぞれの57個のウェルに播種し、37℃で一晩インキュベートした。
2.以下の表で被検サンプルを希釈して加えた。元の培地を除去し、100μLの異なる濃度の被検サンプルの培地を加え、1群ことに3つの反復を有した。
【表105】
C8ウェル中のサンプルの調製方法は、324μLの完全な培地を使用し、そしてC9ウェルから吸い取ることであった。
本実施例では、担持薬及びブランク担体をそれぞれPBSで100μMの原液に調製し、次に完全な培地(ビオチンなしのDMEM)で希釈した。原薬アドリアマイシンをDMSOで100μMの原液に調製し、次に完全な培地(ビオチンなしのDMEM)で希釈した。DMSOをそのまま完全な培地(ビオチンなしのDMEM)で希釈した。
3.被検サンプルを加えて、96ウェルプレートを37℃で5%のCO
2培養器に入れて72hインキュベートした。
4.キットを取り出して室温で融け、各ウェルに10μLのCCK−8溶液を加え、CCK8溶液と培地を1:9で混合し、次に100μL/ウェルでウェルに加えてもよかった。
5.細胞培養器内に続いて4hインキュベートし、時間が細胞のタイプ及び細胞の密度などの実験状況に基づいて決定された。
6.マイクロプレートリーダーを用いて450nmで吸光度を測定した。
7.計算:細胞活性(%)=(OD実験群−ODブランク群)×100%/(OD対照群−ODブランク群)、GraphPad
Prism5.0で計算してIC
50を得た。
【0362】
結論
以上の表及び
図47a、
図47b、
図47c、
図47d、
図47e、
図47f、
図47g、
図47hから分かるように、原薬アドリアマイシン及び担持薬D−8−アドリアマイシン、D−9−アドリアマイシン、D−10−アドリアマイシン、D−11−アドリアマイシン、D−12−アドリアマイシン、D−13−アドリアマイシン及びD−14−アドリアマイシンがHepG2細胞に作用するIC
50はそれぞれ、0.2725μM、0.05087μM、0.0386、0.03955、0.04271、0.02294、0.03017及び0.03458であり、DMSOがHepG2細胞に作用するIC
50は0.1%より大きく、D−8(ブランク担体)、D−9(ブランク担体)、D−10(ブランク担体)、D−11(ブランク担体)、D−12(ブランク担体)、D−13(ブランク担体)及びD−14(ブランク担体)がHepG2細胞に作用するIC
50はすべて1μMより大きかった。HepG2細胞系の場合、単なるブランク担体D−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13及びD−14に比べて、小分子薬物の原薬アドリアマイシン及び担持薬D−8−アドリアマイシン、D−9−アドリアマイシン、D−10−アドリアマイシン、D−11−アドリアマイシン、D−12−アドリアマイシン、D−13−アドリアマイシン及びD−14−アドリアマイシンがすべてHepG2細胞に対して毒性を有し、担持薬D−8−アドリアマイシン、D−9−アドリアマイシン、D−10−アドリアマイシン、D−11−アドリアマイシン、D−12−アドリアマイシン、D−13−アドリアマイシン及びD−14−アドリアマイシンが原薬アドリアマイシンに比べて顕著な相乗効果を有することが示された。
【0364】
実施例18
実施例5の化学的方法による担持方法(特別な制限がない限り、方法が実施例5と同じ)に基づいて、前述した実施例12のD−10及びD−14が自己組織化して形成されるDNAナノ粒子を、ダウノルビシン担持担体として用いた。マイクロプレートリーダーを利用して492nmでのダウノルビシンの吸光度を測定し、検量線(
図48で示される)をレンダリングした。
【0365】
測定されたダウノルビシン担持率はそれぞれ、以下のとおりであった。
DNAナノ粒子D−10のダウノルビシン担持率 24.0、
DNAナノ粒子D−14のダウノルビシン担持率 25.1。
【0366】
以上の説明から分かるように、本発明の上記の実施例は、以下の技術的効果を実現する。本願は、熱力学的安定性、化学安定性、高い担持率及び多価組み合わせモジュールを有する一連の核酸ナノ粒子担体を提供する。当該担体に対して独特したモジュール化設計を行うことで、天然相容の親和力を維持するとともに、高い安定性及びさまざまな組合せ特徴を有するコアモジュール構造を得る。該構造は、標的モジュール、結像及びプローブモジュール、治療モジュール及び他の複合スマートモジュールを含むさまざまな機能性モジュールを柔軟かつ高効率に集成することができ、それにより、インビボ標的投与に使用でき、正確な診断治療を実現する。
【0367】
以上は、本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を制限するためのものではなく、当業者にとって、本発明に対するさまざまな変更及び変化ができる。本発明の要旨及び原則内に行われる任意の改定、等価置換や改良などは、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
前記a1配列がSEQ ID NO:1であり、前記b1配列がSEQ ID NO:3であり、前記c1配列がSEQ ID NO:5である場合、前記a配列、前記b配列、前記c配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの塩基が挿入、欠失又は置換された配列を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸ナノ粒子。
前記核酸ドメインは、前記a配列、前記b配列及び前記c配列のいずれかの配列の5'末端及び/又は3'末端に位置した、Watson−Crick対合の伸長セグメントである第1の伸長セグメントをさらに含み、
好ましくは、前記第1の伸長セグメントは、
(1)a鎖5'末端:5'−CCCA−3'、c鎖3'末端:5'−UGGG−3'
(2)a鎖3'末端:5'−GGG−3'、b鎖5'末端:5'−CCC−3'
(3)b鎖3'末端:5'−CCA−3'、c鎖5'末端:5'−UGG−3'
(4)a鎖5'末端:5'−CCCG−3'、c鎖3'末端:5'−CGGG−3'
(5)a鎖5'末端:5'−CCCC−3'、c鎖3'末端:5'−GGGG−3'
(6)b鎖3'末端:5'−CCC−3'、c鎖5'末端:5'−GGG−3'
(7)b鎖3'末端:5'−CCG−3'、c鎖5'末端:5'−CGG−3'
(8)a鎖5'末端:5'−CCCA−3'、c鎖3'末端:5'−TGGG−3'
(9)b鎖3'末端:5'−CCA−3'、c鎖5'末端:5'−TGG−3'
という組から選ばれる少なくとも任意の1組であり、
好ましくは、前記核酸ドメインは、前記a配列、前記b配列及び前記c配列のいずれかの配列の5'末端及び/又は3'末端に位置した、Watson−Crick対合の伸長セグメントである第2の伸長セグメントをさらに含み、好ましくは、前記第2の伸長セグメントは、CG塩基対の伸長配列であり、より好ましくは、第2の伸長セグメントは、1〜10個のCG塩基対の伸長配列であり、
好ましくは、前記核酸ドメインは、
第1組:a鎖5'末端:5'−CGCGCG−3'、c鎖3'末端:5'−CGCGCG−3'
第2組:a鎖3'末端:5'−CGCCGC−3'、b鎖5'末端:5'−GCGGCG−3'
第3組:b鎖3'末端:5'−GGCGGC−3'、c鎖5'末端:5'−GCCGCC−3'
という組の中の少なくとも1組の第2の伸長セグメントをさらに含み、
好ましくは、前記第2伸長セグメントは、CG塩基対とAT/AU塩基対の両方を含む伸長配列であり、好ましくは、前記第2伸長セグメントは、2〜50個の塩基対の伸長配列であり、
好ましくは、前記第2の伸長セグメントは、連続する2〜8個のCG塩基対の配列と連続する2〜8個のAT/AU塩基対の配列とが交互に配置された伸長配列であり、又は
前記第2の伸長セグメントは、1つのCG塩基対の配列と1つのAT/AU塩基対の配列とが交互に配置された伸長配列である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸ナノ粒子。
前記a配列、b配列、及びc配列において、塩基、リボース、及びリン酸エステルが少なくとも1つの修飾可能な部位を有し、前記修飾可能な部位のいずれかが、−F、メチル基、アミノ基、ジスルフィド基、カルボニル基、カルボキシル基、メルカプト基、及びアルデヒド基のいずれかの修飾リンカーによって修飾されており、
好ましくは、前記a配列、b配列及びc配列におけるC又はU塩基に2'−F修飾を有する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸ナノ粒子。
前記薬物は、肝がん、胃がん、肺がん、乳がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、黒色腫、白血病、認知症、強直性脊椎炎、悪性リンパ腫、気管支がん、関節リウマチ、HBV B型肝炎、多発性骨髄腫、膵臓がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、鼻咽頭がん、食道がん、口腔がん、エリテマトーデスの治療薬であり、
好ましくは、前記頭頸部がんは、脳がん、神経芽細胞腫又はグリア芽細胞腫であり、
好ましくは、前記薬物は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ベンゼン環基、及びアセチルアミノ基のうちのいずれか1つ又は複数を含む薬物である、ことを特徴とする請求項7に記載の核酸ナノ粒子。
前記核酸ナノ粒子の粒子径が1〜100nm、好ましくは5〜50nm、より好ましくは10〜30nm、さらに好ましくは10〜15nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸ナノ粒子。
アドリアマイシンが物理的結合及び/又は共有結合の方式で前記核酸ナノ粒子に担持され、アドリアマイシンと前記核酸ナノ粒子とのモル比が2〜300:1、好ましくは10〜50:1、より好ましくは15〜25:1である、ことを特徴とする請求項12に記載のアドリアマイシン含有薬物。
前記核酸ナノ粒子は、生物活性物質をさらに含み、前記生物活性物質は、前記核酸ドメインに結合されており、前記生物活性物質は、標的ヘッド、フルオレセイン、干渉核酸siRNA、miRNA、リボザイム、リボーススイッチ、アプタマー、RNA抗体、タンパク質、ポリペプチド、フラボノイド、グルコース、天然サリチル酸、モノクローナル抗体、ビタミン、フェノール類、レシチン、及びアドリアマイシン以外の小分子薬物のうちの1つ又は複数であり、
好ましくは、前記核酸ドメインの相対分子量をN1とし、アドリアマイシンと前記生物活性物質との総相対分子量をN2とすると、N1/N2≧1:1であり、
好ましくは、前記生物活性物質は、前記標的ヘッド、前記フルオレセイン及び前記miRNAのうちの1つ又は複数であり、
前記標的ヘッドは、前記a配列、b配列、c配列のいずれか、好ましくはa配列、b配列、c配列のいずれかの5'末端又は3'末端に位置するか、又は前記核酸ドメインのGC結合の間にインターカレーションされ、
前記miRNAは抗miRNAであり、前記フルオレセインは前記抗miRNAの5'末端又は3'末端に修飾され、前記miRNAは前記a配列の3'末端、c配列の5'末端及び3'末端のうちのいずれか1つ又は複数の位置にあり、
好ましくは、前記標的ヘッドは、葉酸又はビオチンであり、前記フルオレセインは、FAM、CY5及びCY3のうちのいずれか1つ又は複数であり、
前記抗miRNAは抗miR−21であり、
好ましくは、アドリアマイシン以外の小分子薬物は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ベンゼン環基、及びアセチルアミノ基のうちのいずれか1つ又は複数を含む薬物であり、
好ましくは、前記タンパク質は、SOD、サバイビン、hTERT及びEGFR、PSMAのうちの1つ又は複数であり、
前記ビタミン類は、L−アスコルビン酸及び/又はエステル化アスコルビン酸であり、
前記フェノール類は茶ポリフェノール及び/又はブドウポリフェノールである、ことを特徴とする請求項12又は13に記載のアドリアマイシン含有薬物。