(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本明細書には、一時的な受容器電位バニロイド1受容体(TRPV1)活性を調節するための化合物、該化合物を含む医薬組成物および薬剤、ならびに前記化合物の使用方法が記載されている。
請求項1から40のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物と、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、または結合剤とを含む、医薬組成物。
被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の請求項1から40のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
カプサイシンはチリペッパーの辛味の元となる主成分であり、トウガラシ属に見られるアルカロイドである。カプサイシンは8−メチル−N−バニリル−6−ノネンアミドであり、一時的な受容器電位バニロイド1受容体(TRPV1;かつてはバニロイド受容体1(VR1)として知られていた)であるリガンド依存型の非選択的カチオンチャネルに対して高度に選択的なアゴニストである。TRPV1は、直径が小さい感覚性ニューロン、特に痛みや有害な感覚の検出に特化したA線維とC線維上で優先的に発現される。TRPV1は、カプサイシン、熱、および細胞外酸性化を含む有害な刺激に応答し、こうした刺激への同時暴露を統合する。(Caterina M J,Julius D.The vanilloid receptor:a molecular gateway to the pain pathway.Annu Rev Neurosci.2001.24:487−517)。
【0020】
カプサイシンなどのTRPV1アゴニストは、様々な環境下で疼痛を減らすと示されているが、それらの使用に関連する問題が存在する。TRPV1発現(カプサイシン感受性)侵害受容器活性化の初期作用は、灼熱感、痛覚過敏、異痛症、および紅斑である。しかし、低濃度カプサイシンへの長期暴露、または高濃度カプサイシンあるいは他のTRPV1アゴニストへの単回の曝露後に、直径が小さい感覚軸索は、カプサイシンまたは温度的刺激を含む様々な刺激に対する感受性が低くなる。この長期暴露は疼痛反応の減少も特徴とする。このようなカプサイシンの後期段階効果は「減感作」と呼ばれることが多く、様々な疼痛症候群や他の疾病の処置のためのカプサイシン製剤を生み出す論理的根拠である。(Bley,K.R.Recent developments in transient receptor potential vanilloid receptor 1 agonist−based therapies.Expert Opin Investig Drugs.2004.13(11):1445−1456)。
【0021】
加えて、カプサイシンなどのTRPV1アゴニストの水溶解性は非常に限られたものであり、取り扱い時には特殊な装置を必要とする非常に強力な刺激薬である。水溶解性が限られていることから、水溶液として得られる普通薬とは容易に混ざらない。それゆえ、相当量のカプサイシンなどのTRPV1アゴニストを送達には非水性製剤の使用が必要となる。こうした製剤は、具体的に外科手術に使用される滅菌水溶液の観点から、現行の慣例/手順とは合わないことが多い。さらに、カプサイシンが刺激を引き起こす能力が強力なことから、プロドラッグが所望の活性部位に到達するまでカプサイシンの活性を最小限に抑えるカプサイシンの水溶性プロドラッグを利用することが望ましい。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書には、非経口投与に適したプロドラッグが記載され、該プロドラッグは、非経口投与に適したpH(例えばpH4.5±1.0)の水溶液状態安定性を有しており、これにより、カプサイシンを含むがこれに限定されない劇薬の実質的な転換を生じさせることなく投与前にプロドラッグの投与量製剤を保持/操作するための合理的な時間枠(例えば0〜4時間)を提供する。本明細書には、pH4.5を含むがこれに限定されない非経口投与に適したpHの水溶液中の安定性を実証するカプサイシンのプロドラッグが記載される。
【0023】
最後に、プロドラッグに様々な長さのPEG部分を導入することで、転換後のプロドラッグとその結果生じる環状尿素の生理化学的・薬物動態特性を調節する機会が得られる。いくつかの実施形態では、プロドラッグとその結果生じる環状尿素の薬物動態プロファイルの調整は、プロドラッグの硬膜外投与後に環状尿素のCSF浸透性が減少することに関与する。
【0024】
ゆえにいくつかの実施形態では、以下の特徴を持つTRPV1アゴニストプロドラッグを提供することが望ましい:1)(カプサイシンに対する)水溶性が増加していることから、意図した作用部位に注入可能な一般的に使用される水性/滅菌注射製剤において可溶性であるTRPV1アゴニストプロドラッグを提供することが望ましい;2)TRPV1アゴニストの投与に関連する刺激性が減少あるいは遅延する可能性がある;3)迅速に送達することができる(TRPV1アゴニスト送達の半減期が30分未満、より好ましくは15分未満);4)特に非経口投与に適したpH(例えばpH4.5±1.0)にある、プロドラッグに望ましい水溶液状態安定性、および最後に5)非PEG化プロドラッグとその結果生じる環状尿素に対して修飾された薬物動態プロファイル(例えば、プロドラッグと対応する環状尿素のCSF曝露の減少)を実証するプロドラッグとその結果生じる環状尿素。加えていくつかの実施形態では、別の薬理学的に活性化合物を、局所麻酔薬を含むがこれに限定されないカプサイシンプロドラッグなどのTRPV1アゴニストプロドラッグと共に送達することが望ましい。
【0025】
したがって、本明細書に記載の化合物は、TRPV1アゴニストの新規な水溶性プロドラッグ、およびその合成と使用の方法を対象としている。これらTRPV1アゴニストプロドラッグは、生理学的条件にさらされると活性な親化合物へと急速に変換される。本明細書に記載の化合物は、その親薬物(例えばカプサイシン)よりも親水性/水溶性が大幅に高く、したがって水性製剤へと十分に組み込むことができる。本明細書には、親水性部分(例えばPEG部分)を持つ親分子の化学構造を修飾することにより、カプサイシン、そのアナログ、および他のTRPV1アゴニストの水溶性を増加させる方法が記載される。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、酸性条件下でプロトン化され得る塩基性部分の導入により、TRPV1プロドラッグの溶解性が増加する。本明細書に記載のプロドラッグは、プロドラッグが身体に送達されおよび/または生理学的条件にかけられた後に、親薬物が環化放出反応を介して十分に規定された速度で放出されるように設計される。親薬物の化学放出動態は2つの重要な特性を与える場合がある:(a)TRPV1アゴニストの大量投与の急速送達の回避により起こり得る刺激の減少および/または遅延、および(b)特定の薬理活性/結果の調整のためにプロドラッグからの親TRPV1アゴニストの急速な放出または遅延放出。いくつかの実施形態では、こうした構造的修飾は、1)水溶性が非常に低い多くのTRPV1アゴニスト/カプサイシノイドを適応させ、かつ2)TRPV1アゴニストの投与に関連する急性刺激を減らすために、製剤または送達デバイスの特定要件への依存性を排除する。さらに、他の薬剤を共送達するとき、特に注射により複数の滅菌薬剤を投与するときに、水溶性プロドラッグが望ましい。
【0026】
加えていくつかの実施形態では、PEG部分は、プロドラッグとその結果生じる環化により放出される環状尿素の生理化学的・薬物動態特性の両方を調節するために導入されている。PEG部分の導入は、以下の能力により、プロドラッグとその結果生じる環状尿素両方の薬物動態を調節する可能性を考慮に入れる:1)全体的なサイズと極性の修飾、および2)「基礎」(例えば非PEG化)プロドラッグ/環状尿素からの分子量増加。PEG基のサイズまたは長さが増加するので、水性媒体におけるプロドラッグの溶解度に対応する影響が存在。水溶性に対する影響に加えて、取り付けられたPEG鎖長の増加により、プロドラッグと環状尿素がとある生物学的障壁(例えば、血液脳関門またはCSF)にアクセスし、これによりその薬物動態特性を修飾する能力を調節することができる。
【0027】
本明細書に記載のカプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストプロドラッグは、カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストが、PH調節した分子内環化放出反応を通じて生体に利用可能となる速度を調節するために化学修飾される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTRPV1アゴニストプロドラッグは、医薬製剤の製造に適切なpH値で長期間安定するが、十分に制御された様式においてインビボで(生理条件下で)急速に変換される。非経口投与後、式(I)または(II)の化合物は、温度とpHを調節した環化放出反応を介して親薬物(TRPV1アゴニスト)へと変換される。プロドラッグが変換される速度は環化放出反応によって決定され、この速度は緩衝剤の追加により改変することができる。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、生理学的条件に戻るまで親薬物へのターンオーバーが大きく遅延される時間窓をもたらすことができる。本明細書に記載の実施形態では、前記親薬物は、アミンを用いる分子内環化により放出される:
【0029】
いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での式(I)または(II)の化合物の環化速度(t
1/2)は、10秒〜10時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、10秒〜1時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、10秒〜30分である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、1分〜10時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、1分〜30分である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、2分〜30分である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、5分〜30分である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、2分〜15分である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、5分〜15分である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、15分〜2時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、15分〜1.5時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、15分〜1時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、30分〜2時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、30分〜1.5時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、30分〜1時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、1時間〜4時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、1時間〜3時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、1時間〜2時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、2時間〜10時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、2時間〜6時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、2時間〜4時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、2時間〜3時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、3時間〜5時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、4時間〜6時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、5時間〜7時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、6時間〜8時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t
1/2)は、7時間〜9時間である。いくつかの実施形態では、37℃、pH7.4での環化速度(t1/8)は、8時間〜10時間である。
【0030】
化合物
別の実施形態では、本明細書には、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物が記載され、
【0031】
【化9】
式中、
Yはフェノール性TRPV1アゴニストであり、ここでフェノール性水酸基の水素原子は、
【0032】
【化10】
との共有結合により置き換えられ、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、−(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)R
5、−C(O)OR
5、または−C(O)N(R
4)(R
5)であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
4は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
5はC
1−C
50アルキルであり、
mは1〜10であり、
nは1〜50であり、ならびに
pは1〜9である。
【0033】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3、または−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3である。
【0034】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。
【0035】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。
【0036】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。
【0037】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素であり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素であり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルであり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルであり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルであり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルであり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3であり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3であり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3であり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3であり、R
4はC
1−C
6アルキルである。
【0038】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5は−CH
3である。
【0039】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5は−CH
3である。
【0040】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5は−CH
3である。
【0041】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4は−CH
3であり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4は−CH
3であり、R
5は−CH
3である。
【0042】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは1〜5である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは2〜10である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは4〜10である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは2〜8である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは2〜6である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは2〜4である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは1である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは2である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは4である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは5である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは6である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは7である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは8である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは9である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、mは10である。
【0043】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは1〜45である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは1〜40である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは1〜35である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは1〜30である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは1〜25である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは1〜20である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは2〜20である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは2〜16である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは2〜12である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは2〜10である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは4〜10である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは3〜12である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは1である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは2である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは4である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは5である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは6である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは7である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは8である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは9である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは10である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは11である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは12である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは13である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは14である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは15である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、nは16である。
【0044】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1〜6である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1〜3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1または2である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは2である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは4である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは5である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは6である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは7である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは8である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは9である。
【0045】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
1は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
1はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
1はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
1は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、R
1は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1はC1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1は−CH
2CH
3である。
【0046】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1は−CH
2CH
3である。
【0047】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0048】
【化11】
であり、R
6は独立して、水素、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択され、Jは−NHC(O)R
7または−C(O)OR
7であり、ならびにR
7は、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択される1つ以上の基で随意に置換されるC
1−C
12アルキルである。
【0049】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0050】
【化12】
であり、R
6は独立して、水素、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択され、Jは−NHC(O)R
7であり、ならびにR
7は、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択される1つ以上の基で随意に置換されるC
1−C
12アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0051】
【化13】
であり、R
6は独立して、水素、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択され、Jは−C(O)OR
7であり、ならびにR
7は、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択される1つ以上の基で随意に置換されるC
1−C
12アルキルである。
【0052】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0053】
【化14】
であり、R
6はC
1−C
6アルコキシであり、Jは−NHC(O)R
7または−C(O)OR
7であり、ならびにR
7は、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択される1つ以上の基で随意に置換されるC
1−C
12アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0054】
【化15】
であり、R
6はC
1−C
6アルコキシであり、Jは−NHC(O)R
7であり、ならびにR
7は、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択される1つ以上の基で随意に置換されるC
1−C
12アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0055】
【化16】
であり、R
6はC
1−C
6アルコキシであり、Jは−C(O)OR
7であり、ならびにR
7は、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択される1つ以上の基で随意に置換されるC
1−C
12アルキルである。
【0056】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0057】
【化17】
であり、R
6は独立して、水素、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−C(O)OC
1−C
6アルキル、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1−C
6アルキル)、−C(O)N(C
1−C
6アルキル)
2、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−C
6アルキル)、−SO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、C
1−C
6アルキル、C
3−C
8シクロアルキル、C
1−C
6フルオロアルキル、C
1−C
6ヘテロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6フルオロアルコキシ、C
2−C
9ヘテロシクロアルキル、C
6−C
10アリール、C
1−C
9ヘテロアリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
6−C
10アリールチオ、C
1−C
6アルキルスルホキシド、C
6−C
10アリールスルホキシド、C
1−C
6アルキルスルホン、およびC
6−C
10アリールスルホンから選択され、Jは−NHC(O)R
7または−C(O)OR
7であり、ならびにR
7は非置換のC
1−C
12アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0058】
【化18】
であり、R
6はC
1−C
6アルコキシであり、Jは−NHC(O)R
7または−C(O)OR
7であり、ならびにR
7は非置換のC
1−C
12アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0059】
【化19】
であり、R
6はC
1−C
6アルコキシであり、Jは−NHC(O)R
7であり、ならびにR
7は非置換のC
1−C
12アルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0060】
【化20】
であり、R
6はC
1−C
6アルコキシであり、Jは−C(O)OR
7であり、ならびにR
7は非置換のC
1−C
12アルキルである。
【0061】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0062】
【化21】
である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0063】
【化22】
である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0064】
【化23】
である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0066】
【化25】
である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0067】
【化26】
である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物であって、式中、Yは
【0069】
別の実施形態では、本明細書には、式(II)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物が記載され、
【0070】
【化28】
式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は、−(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)R
5、−C(O)OR
5、または−C(O)N(R
4)(R
5)であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
4は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
5はC
1−C
50アルキルであり、
mは1〜10であり、
nは1〜50であり、ならびに
pは1〜9である。
【0071】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3、−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3、または−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3である。
【0072】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。
【0073】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。
【0074】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)O(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。
【0075】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素であり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は水素であり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルであり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
6アルキルであり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルであり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3はC
1−C
3アルキルであり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3であり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
3であり、R
4はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3であり、R
4は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(CH
2CH
2O)
nR
3であり、R
3は−CH
2CH
3であり、R
4はC
1−C
6アルキルである。
【0076】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)R
5であり、R
5は−CH
3である。
【0077】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)OR
5であり、R
5は−CH
3である。
【0078】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はHであり、R
5は−CH
3である。
【0079】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
45アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
40アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
35アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
25アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
20アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
15アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
10アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5はC
1−C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4はC
1−C
6アルキルであり、R
5は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4は−CH
3であり、R
5は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
2は−C(O)N(R
4)(R
5)であり、R
4は−CH
3であり、R
5は−CH
3である。
【0080】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは1〜5である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは2〜10である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは4〜10である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは2〜8である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは2〜6である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは2〜4である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは1である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは2である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは4である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは5である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは6である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは7である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは8である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは9である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、mは10である。
【0081】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは1〜45である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは1〜40である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは1〜35である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは1〜30である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは1〜25である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは1〜20である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは2〜20である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは2〜16である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは2〜12である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは3〜12である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは2〜10である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは4〜10である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは3〜12である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは1である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは2である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは4である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは5である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは6である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは7である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは8である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは9である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは10である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは11である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは12である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは13である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは14である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは15である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、nは16である。
【0082】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1〜6である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1〜3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1または2である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは2である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは4である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは5である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは6である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは7である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは8である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは9である。
【0083】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
1は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
1はC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
1はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
1は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、R
1は−CH
2CH
3である。
【0084】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1はC1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは1であり、R
1は−CH
2CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1は水素である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1はC1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1はC
1−C
3アルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1は−CH
3である。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物であって、式中、pは2であり、R
1は−CH
2CH
3である。
【0085】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは1〜10であり、
nは1〜30であり、ならびに
pは1〜9である。
【0086】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは1〜5であり、
nは2〜20であり、ならびに
pは1〜5である。
【0087】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは1〜5であり、
nは2〜12であり、ならびに
pは1〜5である。
【0088】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは1または2であり、
nは2〜12であり、ならびに
pは1または2である。
【0089】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは2であり、
nは2〜12であり、ならびに
pは1である。
【0090】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは2であり、
nは3〜12であり、ならびに
pは1である。
【0091】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1はC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3はC
1−C
6アルキルであり、
mは1〜5であり、
nは3〜12であり、ならびに
pは1〜5である。
【0092】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1はC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3はC
1−C
6アルキルであり、
mは2であり、
nは3〜12であり、ならびに
pは1である。
【0093】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは2であり、
nは3であり、ならびに
pは1である。
【0094】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは2であり、
nは6であり、ならびに
pは1である。
【0095】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは2であり、
nは9であり、ならびに
pは1である。
【0096】
本明細書には、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が提供され、式中、
R
1は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
R
2は−C(O)(CH
2)
mO(CH
2CH
2O)
nR
3であり、
R
3は水素またはC
1−C
6アルキルであり、
mは2であり、
nは12であり、ならびに
pは1である。
【0097】
別の実施形態では、以下から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0099】
別の実施形態では、以下から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0101】
化合物の合成
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の合成は、化学文献に記載される手段を用いて、本明細書に記載される方法を用いて、またはこれらの組み合わせによって達成される。さらに、本明細書に提供される溶媒、温度、および他の反応条件は変更されてもよい。
【0102】
他の実施形態では、本明細書に記載の化合物の合成に使用される出発物質と試薬は、合成されるか、または限定されないが、Sigma−Aldrich Corp.,Fisher Scientific(Fisher Chemicals)やAcros Organicsなどの商用の供給源から得られる。
【0103】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の化合物、および様々な置換基を有する他の関連する化合物は、本明細書に記載の技術や材料のほか、例えば、次の文献に記載されるものなどの当該技術分野で認識される技術や材料を用いて合成される:Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−17(John Wiley and Sons,1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1−5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989);Organic Reactions,Volumes 1−40(John Wiley and Sons,1991),Larock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989),March,Advanced Organic Chemistry 4th Ed.,(Wiley 1992);Carey and Sundberg,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed.,Vols.A and B(Plenum 2000,2001)、およびGreen and Wuts,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 3rd Ed.,(Wiley 1999)(これら文献はすべて、それらの開示を参照することにより引用される)。本明細書に開示されるような化合物の調製のための一般的な方法は反応に由来してもよく、この反応は、本明細書に提供されるような化学式に見られる様々な部分を導入するために適切な試薬と条件を用いて修飾されてもよい。
【0104】
化合物の更なる形態
本明細書に記載される化合物は、場合によっては、ジアステレオマー、エナンチオマー、または他の立体異性の形態として存在してもよい。本明細書に提示される化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマーの形態、同様にそれらの適切な混合物すべてを含む。立体異性体の分離は、クロマトグラフィーあるいはジアステレオマー形成、および再結晶化あるいはクロマトグラフィーによる分離、またはそれらの任意の組み合わせにより実行可能である(Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H.Wilen,“Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley And Sons,Inc.,1981;本文献は開示のために参照により引用される)。立体異性体は立体選択的な合成によって得られてもよい。
【0105】
いくつかの状況では、化合物は互変異性体として存在してもよい。互変異性体はすべて、本明細書に記載の式の内に含まれる。
【0106】
本明細書に記載される方法と組成物は、結晶形態(多形体としても知られている)と同様に非晶質の使用を含む。本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態を呈していてもよい。同様に、同じタイプの活性を持つこれら化合物の活性代謝産物は、本開示の範囲に含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形態のほか、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書で開示されるものとして考慮される。
【0107】
本明細書に記載の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物は、TRPV1アゴニストのプロドラッグである。「プロドラッグ」とはインビボで親薬物へと変換される薬剤を指す。本明細書に記載の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物は、TRPV1アゴニストの新規な水溶性プロドラッグ、およびその合成と使用の方法を対象とする。具体的に同定された化合物に加えて、こうした誘導体は、生理学的条件にさらされると活性な親化合物に戻る化学薬品になり得る。こうした誘導体はその親薬物よりも著しく高い親水性/水溶解性を有し、したがって一般に使用される水性製剤へと好適に組み込むことができる。本明細書にはさらに、親水性部分を備えたプロドラッグの化学構造を修飾することにより、カプサイシン、そのアナログ、および他のTRPV1アゴニストの水溶解性を増加させる方法が記載されている。本明細書に記載の実施形態では、酸性条件下でプロトン化可能な塩基性部分の導入により、TRPV1アゴニストプロドラッグの溶解性が増加する。本明細書に記載のプロドラッグは、その構造誘導体が身体に送達されたおよび/または特定の生理学的条件にさらされた後に十分に規定された速度下で親薬物が放出されるように設計される。
【0108】
本明細書に記載される化合物は同位体的に(例えば放射性同位元素により)標識されるか、または、発色団あるいは蛍光性部分、生物発光標識、光で活性化可能な標識あるいは化学発光標識の使用を含むがこれらに限定されない他の手段によって標識されてもよい。
【0109】
本明細書に記載の化合物は同位体標識された化合物を含み、この化合物は、通常は自然に見出される原子質量あるいは質量数とは異なる原子質量または質量数を持つ原子により1以上の原子が置換されるという事実を除き、本明細書に提示される様々な式と構造に列記したものと同じである。本化合物に組み込み可能な同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、および塩素の各同位体、例えばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clが挙げられる。本明細書に記載のある同位体標識された化合物、例えば3Hや14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイで有用である。さらに、重水素すなわち2Hなどの同位元素による置換は、例えばインビボの半減期の増加または投与条件の縮小などの、より大きな代謝性安定性に起因するある治療上の利点を与えることができる。
【0110】
本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成され、および/または、薬学的に許容可能な塩として使用される場合もある。薬学的に許容可能な塩の種類として、限定されないが、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタリン酸などの薬学的に許容可能な無機酸で、または、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ナフタリンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコペプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、ターシャリブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸などの有機酸で、化合物の遊離塩基形態を反応させることにより形成される、酸付加塩が挙げられる。他の場合、本明細書に記載の化合物は、限定されないがアルギニンやリジンなどのアミノ酸により塩を形成してもよい。
【0111】
薬学的に許容可能な塩に対する言及は、その溶媒付加形態または結晶体、具体的に溶媒化合物または多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は化学量論または非化学量論量いずれかの溶媒を含むとともに、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒による結晶化のプロセス中に形成される場合がある。溶媒が水であると水和物が形成され、または溶媒がアルコールであるとアルコラートが形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載のプロセス中に都合よく調製または形成することができる。加えて、本明細書に提供の化合物は、溶媒和形態と同様に非溶媒和形態で存在することができる。通常、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物および方法の目的のために非溶媒和形態と同等であると考慮される。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は式(I)または(II)の化合物などであり、無定形形状、粉砕形状、ナノ粒子形状を含むがこれらに限定されない様々な形状で存在する。加えて、本明細書に記載の化合物は、多形体としても知られる結晶形態を含んでいる。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、様々なX線回折パターン、融点、密度、硬度、水晶形状、光学的性質、安定性、および溶解性を持つ。再結晶溶媒、晶析速度、保管温度などの様々な因子が、支配的な単結晶形態を引き起こす場合がある。
【0113】
薬学的に許容可能な塩、多形体、および/または溶媒和物のスクリーニングと特徴化は、熱分析、X線回折、分光法、蒸気吸着、顕微鏡観察法を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して遂行されてもよい。熱分析方法は、多形性の遷移(polymorphic transitions)を含むがこれに限定されない熱化学分解または熱物理処理を対象としており、このような方法は、多形体間の関係を分析するために、重量損失を求めるために、ガラス転移温度を見出すために、または賦形剤適合性研究のために使用される。このような方法として、示差走査熱量測定(DSC)、変調示差走査熱量測定(MDCS)、熱重量分析(TGA)、熱重量分析・赤外分析法(TG/IR)が挙げられるがこれに限定されない。X線回折法として単結晶、粉末回折計、シンクロトロン源が挙げられるが、これらに限定されるものではない。使用される様々な分光技術として、Raman、FTIR、UV−VIS、NMR(液体と固体の状態)が挙げられるがこれらに限定されるものではない。様々な顕微鏡観察法技術として、偏光顕微鏡法、エネルギー分散X線分析(EDX)での走査型電子顕微鏡法(SEM)、(気体または水蒸気の雰囲気における)EDXでの環境走査型電子顕微鏡法、IR顕微鏡観察法、Raman顕微鏡観察法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0114】
本明細書全体にわたり、安定した部分と化合物をもたらすための基とその置換基を選択することができる。
【0115】
保護基の使用(PG)
記載された反応では、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ、カルボキシの各基が反応において望まれない形で参加することを回避するために、最終生成物に望まれる場合にはこれらを保護することが必要な場合もある。保護基は、一部または全ての反応部分を遮断して、保護基が除去されるまでこのような基が化学反応に関与するのを防ぐために使用される。各保護基は異なる手段により除去可能であることが好ましい。総体的に異なる反応条件下で切断される保護基は、差動的な除去の要件を満たす。
【0116】
保護基は、酸、塩基、還元条件(例えば水素化分解など)、および/または酸化条件により除去することができる。トリチル、ジメトキシトリチル、アセチル、t−ブチルジメチルシリルなどの基は酸分解性であるとともに、水素化分解により除去可能なCbz基、および塩基分解性であるFmoc基で保護されたアミノ基の存在下でカルボキシとヒドロキシの各反応部分を保護するために使用されてもよい。カルボン酸とヒドロキシの反応部分は、t−ブチルカルバメートなどの酸不安定性の基で、または酸安定性かつ塩基安定性であるが加水分解で除去可能なカルバメートで遮断されたアミンの存在下で、限定されないがメチル、エチル、アセチルなどの塩基不安定性の基で遮断されてもよい。
【0117】
カルボン酸とヒドロキシの反応部分はさらに、ベンジル基などの加水分解的に除去可能な保護基で遮断されてもよく、一方で酸と水素結合可能なアミン基はFmocなどの塩基分解性の基で遮断されてもよい。カルボン酸反応部分は、アルキルエステルへの変換を含む本明細書で例証されるような単純エステル化合物への変換により保護されるか、または2,4−ジメトキシベンジルなどの酸化的に除去可能な保護基で遮断されてもよいが、共存するアミノ基はフッ化物不安定性のシリルカルバメートで遮断されてもよい。
【0118】
アリル遮断基が酸保護器と塩基保護基の存在下で有用なのは、酸保護器が安定し、かつ金属またはpi−酸触媒により連続的に除去可能であるためである。例えば、アリルにより遮断されたカルボン酸は、酸不安定性t−ブチルカルバメートまたは塩基不安定性酢酸アミン保護基の存在下で、Pd0−触媒反応により脱保護することができる。保護基のまた別の形態は、化合物または中間体が結合する場合のある樹脂である。残基が樹脂に結合する限り、その官能基は遮断され、反応することができない。一旦、樹脂から放たれると、官能基は反応に利用可能となる。
【0119】
通常、遮断基/保護基は以下から選択されてもよい。
【0121】
他の保護基に加え、保護基の生成とその除去に適用可能な技術の詳細な記載は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999、およびKocienski,Protective Groups,Thieme Verlag,New York,NY,1994に記載されており、これらは開示のために参照により本明細書で引用される。
【0122】
疾患、障害、または疾病
別の態様では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は術後疼痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は慢性術後疼痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は神経障害性疼痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は帯状疱疹後神経痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は糖尿病性神経障害に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛はHIV関連神経障害に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は複合性局所疼痛症候群に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は癌に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は癌の化学治療に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は神経損傷に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は外陰部痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は外傷に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は手術に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は慢性筋骨格疼痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は腰痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は変形性関節症または関節リウマチに関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は変形性関節症に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は関節リウマチに関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は滑液包炎、腱炎、外上顆炎に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は手根間症候群に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛はモートン神経腫に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛はコンパートメント症候群に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は脊髄損傷に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は切断術後に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は幻想肢痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は末期癌疼痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は末梢神経障害に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は内臓痛に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は間質性膀胱炎に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は過活動膀胱に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は神経根障害に関連する。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記疼痛は肋骨・長骨破砕に関連する。
【0123】
いくつかの実施形態では、被験体の乾癬、そう痒、かゆみ、または癌を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、被験体の乾癬を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、被験体のそう痒を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、被験体のかゆみを処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、被験体の癌を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記化合物は局所投与される。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記化合物は皮膚投与される。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記化合物は経皮投与される。いくつかの実施形態では、被験体の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の式(I)あるいは(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を前記被験体に投与する工程を含み、前記化合物は全身投与される。
【0125】
特定の用語
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、発明特定事項が属するものと一般に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書の用語に複数の定義がある場合、この章の定義が優先される。本明細書で引用される特許、特許出願、公報、および公開されたヌクレオチド配列とアミノ酸配列(例えばGenBankなどのデータベースで入手可能な配列)はすべて、参照により引用される。URLなどの識別子またはアドレスに対して言及する場合、このような識別子は変更される場合があり、かつインターネット上の特定の情報は現れたり消えたりするが、同等の情報をインターネット検索で発見できることが理解される。これらに対する言及は、そのような情報の利用可能性と公共上の広まりを裏付けるものである。
【0126】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明は、典型的で例示的なものにすぎず、特許請求の範囲内の発明特定事項に限定されるものではないことを理解されたい。本出願では、単数形の使用は、特に明記されない限り複数形を含む。本明細書と添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、他にその内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むということに留意されたい。本出願では、「または」の使用は、特に明記しない限り「および/または」を意味する。さらに、用語「含むこと(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含まれる(included)」などの他の形態と同様、制限はない。
【0127】
本明細書に使用される章の見出しは、単に構成上の目的のためであり、記載される発明特定事項を制限するものと解釈されるべきではない。
【0128】
標準の化学用語の定義は、Carey and Sundberg“ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.”Vols.A(2000) and B(2001),Plenum Press,New Yorkを含むがこれに限定されない参考文献に見出すこともできる。別段の定めのない限り、従来の方法は、質量分光法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術、および薬理学である。
【0129】
特定の定義が与えられない限り、本明細書に記載の分析化学、有機合成化学、および医薬品化学と製薬化学に関連して採用された命名法、ならびにこれを検査する手順と技術は、当該技術分野で認識されているものである。標準技法は、化学合成、化学分析、薬剤の調整、製剤、および送達、ならびに患者の処置に使用することができる。標準技法は、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および組織の培養と形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用することができる。反応と精製の技術は、例えばメーカーの仕様書のキットを用いて、または当該技術分野で一般に遂行されるように、あるいは本明細書に記載されるように実施することができる。前述の技術と手順は全体的に、従来の方法で、ならびに、本明細書全体にわたり引用・考察される様々な一般的な文献とより具体的な文献に記載されるように実施することができる。
【0130】
本明細書に記載される方法と組成物は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、細胞株、構築物、および試薬には限定されず、必要に応じ変動し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記述することを目的としており、本明細書に記載される方法、化合物、組成物の範囲を制限することを意図していないことも理解されたい。
【0131】
本明細書で使用されるように、C1−Cxは、C1−C2、C1−C3...C1−Cxを含む。C1−Cxは、それが指定する(任意の置換基以外の)部分を構成する炭素原子数を指す。
【0132】
「アルキル」基は脂肪族炭化水素基を指し、ここでアルキル残留物のsp3でハイブリダイズされた炭素は、単結合により分子の残りに結合される。アルキル基は不飽和の単位を含んでも含まなくてもよい。アルキル部分は「飽和アルキル」基であってもよく、このことは、アルキル部分が不飽和(つまり炭素炭素二重結合または炭素炭素三重結合)の単位を含まないことを意味する。アルキル基はさらに「不飽和アルキル」部分であってもよく、このことは、アルキル基が少なくとも1つの不飽和の単位を含むことを意味する。アルキル部分は、飽和か不飽和かにかかわらず、分枝鎖、直鎖、または環状であってもよい。
【0133】
「アルキル」基は1〜6個の炭素原子を有してもよい(本明細書でアルキルが現われる場合は常に、「1〜6」などの数の範囲は所与の範囲内の各整数を指す。例えば「1〜6個の炭素原子」とは、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大で6個の炭素原子からなる場合があることを意味するが、数の範囲が指定されていない場合に本定義は用語「アルキル」の出現も包含する)。本明細書に記載の化合物のアルキル基は、「C
1−C
6アルキル」または同様の名称として指定されてもよい。ほんの一例として「C
1−C
6アルキル」は、アルキル鎖中に1〜6個の炭素原子があること、すなわちアルキル鎖が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、ヘキシル、プロペン−3−イル(アリル)、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルからなる群から選択されることを示している。アルキル基は置換型または非置換型であってもよい。アルキル基は構造次第でモノラジカルまたはジラジカル(つまりアルキレン基)であってもよい。
【0134】
「アルコキシ」は「−O−アルキル」基を指し、ここでアルキルは本明細書で定義されるとおりである。
【0135】
用語「アルケニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が芳香族基の一部でない二重結合を形成するアルキル基の一種を指す。すなわちアルケニル基は原子−C(R)=CR2から始まり、ここでRはアルケニル基の残りの部分を指し、この部分は同じまたは異なる場合がある。アルケニル基の非限定的な例として、−CH=CH2、−C(CH
3)=CH2、−CH=CHCH3、−CH=C(CH3)2、−C(CH3)=CHCH3が挙げられる。アルケニル部分は分枝鎖、直鎖、または環状であってもよい(どの場合も、「シクロアルケニル」基として把握される)。アルケニル基は2〜6個の炭素を有してもよい。アルケニル基は置換型または非置換型であってもよい。アルケニル基は構造次第でモノラジカルまたはジラジカル(つまりアルケニレン基)であってもよい。
【0136】
用語「アルキニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が三重結合を形成するアルキル基の一種を指す。すなわちアルキニル基は原子−C≡CRから始まり、ここでRはアルキニル基の残りの部分を指す。アルキニル基の非限定的な例として、−C≡CH、−C≡CCH
3、−C≡CCH
2CH
3、−C≡CCH
2CH
2CH
3が挙げられる。アルキニル部分の「R」部分は、分枝鎖、直鎖、または環状であってもよい。アルキニル基は2〜6個の炭素を有してもよい。アルキニル基は置換型または非置換型であってもよい。アルキニル基は構造次第でモノラジカルまたはジラジカル(つまりアルキニレン基)であってもよい。
【0138】
用語「アルキルアミン」または「アルキルアミノ」は−N(アルキル)xHy基を指し、ここでアルキルは本明細書に定義されるとおりであり、xとyは、基x=1、y=1、およびx=2、y=0から選択される。x=2の場合、アルキル基は、それらが結合する窒素と一体となって、随意に環状の環系を形成することができる。「ジアルキルアミノ」は−N(アルキル)2基を指し、ここでアルキルは本明細書に定義されるとおりである。
【0139】
用語「芳香族」は4n+2π電子を含有する非局在化π−電子系を持つ平面環を指し、nは整数である。芳香環は、5、6、7、8、9、または9以上の原子から形成することができる。芳香族は随意に置換することができる。用語「芳香族」はアリール基(例えば、フェニル、ナフタレニル)とヘテロアリール群(例えば、ピリジニル、キノリニル)の両方を含む。
【0140】
本明細書で使用されるように、用語「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香環を表す。アリール環は、5、6、7、8、9、または9以上の炭素原子により形成することができる。アリール基は随意に置換することができる。アリール基の例として、フェニルやナフタレニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は構造次第でモノラジカルまたはジラジカル(すなわちアリーレン基)であってもよい。
【0141】
本明細書で使用されるように、用語「アシル」はカルボニル部分を含有する基を指し、この基はカルボニル炭素原子を介して結合される。カルボニル炭素原子はさらに別の炭素原子に結合され、この炭素原子は、アルキル、アリール、アラルキルシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールの各基などの一部であってもよい。
【0142】
「カルボキシ」は−CO
2Hを指す。いくつかの実施形態では、カルボキシ部分は「カルボン酸バイオイソスター(bioisostere)」と置き換えられてもよく、これはカルボン酸部分として同様の物理的および/あるいは化学的な性質を呈する官能基または官能部分を指す。カルボン酸バイオイソスターは、カルボン酸基と同様の生物学的性質を持つ。カルボン酸部分を持つ化合物は、カルボン酸バイオイソスターと交換されたカルボン酸部分を持つことができるとともに、カルボン酸含有化合物と比較した場合に同様の物理的および/または生物学的性質を持つ。例えば一実施形態では、カルボン酸バイオイソスターは、生理学的pHにおいてカルボン酸基とほぼ同じ範囲にイオン化する。カルボン酸バイオイソスターの例として以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
用語「シクロアルキル」は単環式または多環式の非芳香族ラジカルを指し、ここで環を形成する原子(すなわち骨格原子)の各々は炭素原子である。シクロアルキルは飽和されている、または部分的に不飽和でもよい。シクロアルキルは芳香族環で縮合されてもよい(その場合、シクロアルキルは非芳香族環炭素原子を介して結合する)。シクロアルキル基は3〜10個の環原子を有する基を含む。シクロアルキル基の例として以下の部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
用語「ヘテロアリール」、または代替的に「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個以上の環へテロ原子を含むアリール基を表す。N含有「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。多環式ヘテロアリール基は縮合されても縮合されなくてもよい。ヘテロアリール基の例として以下の部分が挙げられる。
【0148】
「ヘテロシクロアルキル」基または「ヘテロ脂環式」基はシクロアルキル基を指し、ここで少なくとも1つの骨格環原子は窒素、酸素、および硫黄から選択されたヘテロ原子である。ラジカルは、アリールまたはヘテロアリールと縮合されてもよい。ヘテロシクロアルキル基は非芳香族ヘテロ環とも称され、その例として以下が挙げられる。
【0149】
【化35】
用語「ヘテロ脂環式」はまた、単糖類、二糖類、オリゴ糖類を含むがこれらに限定されない炭水化物の環形すべてを含む。他に明記されない限り、ヘテロシクロアルキルは環に2〜10個の炭素を有する。ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数を指すとき、ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキル(すなわちヘテロシクロアルキル環の骨格原子)を構築する原子(ヘテロ原子を含む)の総数と同じでないことが理解される。
【0150】
用語「ハロ」または代替的に「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0151】
用語「ハロアルキル」または「ハロアルコキシ」は、1つ以上のハロゲンで置換されるアルキル基またはアルコキシ基を指す。このハロゲンは同じでも異なっていてもよい。ハロアルキルの非限定的な例として、−CH
2Cl、−CF
3、−CHF
2、−CH
2CF
3、−CF
2CF
3、−CF(CH
3)
2などが挙げられる。ハロアルコキシの非限定的な例として、−OCH
2Cl、−OCF
3、−OCHF
2、−OCH
2CF
3、−OCF
2CF
3、−OCF(CH
3)
2などが挙げられる。
【0152】
用語「フルオロアルキル」と「フルオロアルコキシ」は、1個以上のフッ素原子で置換されるアルキル基とアルコキシ基をそれぞれ含む。フルオロアルキルの非限定的な例として、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−CH
2CF
3、−CF
2CF
3、−CF
2CF
2CF
3、−CF(CH
3)
3などが挙げられる。フルオロアルコキシ基の非限定的な例として、−OCF
3、−OCHF
2、−OCH
2F、−OCH
2CF
3、−OCF
2CF
3、−OCF
2CF
2CF
3、−OCF(CH
3)
2などが挙げられる。
【0153】
用語「ヘテロアルキル」は、1個以上の骨格鎖原子が炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、シリコン、またはこれらの組み合わせから選択されるアルキルラジカルを指す。ヘテロ原子はヘテロアルキル基の任意の内部位置に配されてもよい。例として、−CH
2−O−CH
3、−CH
2−CH
2−O−CH
3、−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−N(CH
3)−CH
3、−CH
2−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−CH
2−N(CH
3)−CH
3、−CH
2−S−CH
2−CH
3、−CH
2−CH
2、−S(O)−CH
3、−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
3、−CH
2−NH−OCH
3、−CH
2O−Si(CH
3)
3、−CH
2−CH=N−OCH
3、および−CH=CH−N(CH
3)−CH
3が挙げられる。加えて、最大で2個のヘテロ原子が連続してもよく、一例として−CH
2−NH−OCH
3や−CH
2−O−Si(CH
3)
3が挙げられる。ヘテロ原子の数以外に、「ヘテロアルキル」には1〜6個の炭素原子を有していてもよい。
【0154】
用語「単結合(bond)」または「単結合(single bond)」は、単結合で連結された原子がより大きな部分構造の一部であると考えられるとき、2つの原子または2つの部分間の化学結合を指す。
【0155】
用語「部分」は、分子の特定の区域または官能基を指す。化学部分は、分子に埋め込まれた、または分子に付加された化学物質と認識されることが多い。
【0156】
本明細書で使用されるように、単独で出現するとともに数の指示がない置換基「R」は、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、およびヘテロシクロアルキルの中から選択される置換基を指す。
【0157】
用語「随意に置換された」または「置換された」は、言及した基が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、−CN、アルキン、C
1−C
6アルキルアルキン、ハロ、アシル、アシルオキシ、−CO
2H、−CO
2−アルキル、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、フルオロアルコキシ、およびモノ置換とジ置換のアミノ基を含むアミノ(例えば、−NH
2、−NHR、−N(R)
2)、ならびにこれらの保護誘導体から個々に独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されてもよいことを意味する。いくつかの実施形態では、随意の置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−OH、−CO
2H、−CO
2アルキル、−C(=O)NH
2、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)
2、−S(=O)
2NH
2、−S(=O)
2NH(アルキル)、−S(=O)
2N(アルキル)
2、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、およびアリールスルホンから選択される。いくつかの実施形態では、随意の置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NH
2、−OH、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−CH
3、−CH
2CH
3、−CF
3、−OCH
3、および−OCF
3から選択される。いくつかの実施形態では、置換された基は、前述の基のうち1または2つで置換される。いくつかの実施形態では、脂肪族炭素原子(芳香族炭素原子を除く、非環式または環式の、飽和または不飽和の炭素原子)上の随意の置換基は、オキソ(=O)を含む。
【0158】
「対イオン」は、電気的中性を維持するためにイオンの種を伴うイオンを指す。対イオンの例として、Cl
−、Br
−、I
−、およびCF
3CO
2−が挙げられる。
【0159】
本明細書に記載の方法と製剤は、結晶性形状(多形体としても知られる)、または式(I)あるいは(II)の構造を持つ化合物の薬学的に許容可能な塩のほか、同じ種類の活性を持つこれら化合物の活性代謝産物の使用を含む。状況次第で、化合物は互変異性体として存在してもよい。互変異性体はすべて、本明細書に記載される化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書で開示されるものとして考慮される。
【0160】
用語「キット」と「製品」は、同義語として用いられる。
【0161】
用語「被験体」または「患者」は、哺乳動物および非哺乳動物を含む。哺乳動物の例として、以下の哺乳動物のクラスのメンバー:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、ならびに他の類人猿およびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、ネコなどの飼育動物;ラット、マウス、モルモットなどのげっ歯類を含む実験動物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。非哺乳動物の例として鳥類や魚類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書に提供される方法と組成物の一実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0162】
用語「処置する」、「処置すること」、または「処置」は、本明細書で使用されるように、疾患あるいは疾病を緩和するか、軽減するか、改善すること、追加の症状を防ぐこと、症状の根本的な原因を改善するか防ぐこと、疾患あるいは疾病を阻害すること、例えば疾患あるいは疾病の進行を抑えること、疾患あるいは疾病を和らげること、疾患あるいは疾病の退行を引き起こすこと、疾患あるいは疾病によって引き起こされた状態を和らげること、または、疾患あるいは疾病の症状を予防的および/あるいは治療的に止めることを含む。
【0163】
本明細書で使用されるように、特定の化合物あるいは医薬組成物の投与による特定の疾患、障害、または疾病の症状の寛解とは、化合物あるいは組成物の投与に起因するかそれらに関連する、重症度の任意の軽減、発症の遅延、進行の緩徐化、または、永久的か一時的そして永続的か一過的な持続時間の短縮を指す。
【0164】
用語「調節する」とは、本明細書で使用されるように、ほんの一例として標的の活性を阻害すること、または標的の活性を制限するか減少させることを含む、標的タンパク質の活性を変化させるために、直接的あるいは間接的に標的タンパク質と相互に作用することを意味する。
【0165】
本明細書で使用されるように、用語「モジュレーター」は標的の活性を改質する化合物を指す。例えばモジュレーターは、モジュレーターがない状態での活性の規模と比較して、標的の特定の活性の規模の増加と減少を引き起こすことができる。ある実施形態では、モジュレーターは阻害剤であり、これにより標的の1つ以上の活性の規模が減少する。ある実施形態では、阻害剤は標的の1つ以上の活性を完全に防ぐ。
【0166】
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、または成分に関して用語「許容可能な」は、処置を受ける被験体の全般的な健康に対して持続的な有害効果を及ぼさないことを意味する。
【0167】
「薬学的に許容可能」は、本明細書で使用されるように、化合物の生物学的活性または特性を抑制しないとともの比較的無毒である、担体や希釈剤などの材料を指し、つまりこの材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、または、それが含まれる組成物の成分のいずれかに対しても有害に相互作用することなく、個体に投与される。
【0168】
用語「医薬配合」は、本明細書で使用されるように、1より多くの有効成分の混合または配合により生じた生成物を意味し、活性部分の固定配合と非固定配合の両方を含む。用語「固定配合」は、1つの活性成分、例えば式(I)または(II)の化合物と助剤の両方が、単一の実態または用量の形態で患者に同時投与されることを表す。用語「非固定配合」は、1つの活性成分、例えば式(I)または(II)の化合物と助剤が、特定の時間制限の介入なく同時に、平行して、または連続して別々の実体として患者に投与されることを表し、このような投与は患者の体に2つの化合物の有効なレベルをもたらす。後者はさらにカクテル療法、例えば3つ以上の有効成分の投与にも適用される。
【0169】
用語「医薬組成物」は、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分との混合物を表す。医薬組成物は生物体への化合物の投与を容易にする。化合物を投与する複数の技法が当該技術分野に存在し、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、経眼、肺、局所の各投与が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0170】
用語「カプサイシノイドまたはカプサイシンアナログ」は、その部位から生じる疼痛を取り除きつつ、(E)−カプサイシン、レシニフェラトキシン、AM−404(N−(4−ヒドロキシフェニル)−5Z,8Z,11Z,14Z−エイコサテトラエンアミド)、アナンダミド、アルバニル(Arvanil)、6’−ヨードレシニフェラトキシン、NADA(N−アラキドニルドーパミン)、OLDA(N−オレイルドーパミン)、オルバニル(olvanil)、およびPPAHV(ホルボール12−フェニルアセテート 13−アセテート 20−ホモバニレート)などの疼痛部位の外部におけるC繊維および/またはAデルタ繊維の活性化および/または損傷の有害結果の可能性を最小限にするために、疼痛発生の原因となる別個の局在化領域において、選択的で高度に局在化されたC繊維および/またはAデルタ繊維の破壊または無能化をもたらす任意の化合物を指す。本明細書に記載の使用に適切な他のカプサイシノイドとして、N−バニリルノナンアミド、N−バニリルスルホンアミド、N−バニリルウレア、N−バニリルカルバメート、N−[(置換フェニル)メチル]アルキルアミド、メチレンで置換したN−[(置換フェニル)メチル]アルカンアミド、N−[(置換フェニル)メチル]−シス−単飽和アルケンアミド、N−[(置換フェニル)メチル]ジ−不飽和アミド、3−ヒドロキシアセトアニリド、ヒドロキシフェニルアセトアミド、シュードカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシンI、アナンダミド、ピペリン、ジンゲロン、ワルブルガナール、ポリゴジアール、アフラモジアール、シンナモジアール(cinnamodial)、シンナモスモリド(cinnamosmolide)、シンナモリド(cinnamolide)、シバインデ(civainde)、ノニバミド(nonivamide)、N−オレイル−ホモバニルアミジア(homovanillamidia)、イソベレラル(isovelleral)、スカララジアール(scalaradial)、アンシストロジアール(ancistrodial)、β−アカリジアール(acaridial)、メルリジアール(merulidial)、スクチゲラール(scutigeral)、およびこれらの任意の組み合わせや混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0171】
用語「TRPV1アゴニスト」は、本明細書で使用されるように、一時的な受容器電位バニロイド1受容体(TRPV1)を活性化する化合物または組成物を指す。TRPV1アゴニストとして、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノニバミド、レシニフェラトキシンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0172】
用語「有効な量」または「治療上有効な量」は、本明細書で使用されるように、処置される疾患または疾病の1以上の症状をある程度和らげる、投与される薬剤または化合物の十分な量を表す。その結果、疾患の兆候、症状、あるいは原因を減少および/あるいは軽減し、または生物系に他の望ましい変化をもたらすことができる。例えば、治療用の「有効量」は、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物を含む組成物の量である。この化合物は疾患の症状を臨床的に有意に減少させるのに必要なものである。適切で「有効」な量は、どの症例においても、用量増加試験などの技術を使用して決められてもよい。
【0173】
用語「増強する(enhannce)」または「増強すること(enhancing)」は、本明細書で使用されるように、効力または持続時間のいずれかにおける望ましい効果の増加または延長を意味する。ゆえに、治療薬の効果の増強に関して、用語「増強する」は、効能または持続時間の何れかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増大させるか、または延長する能力を指す。本明細書で使用されるように「増強に有効な量」は、望ましい系における別の治療薬の効果を増強するのに適切な量を指す。
【0174】
用語「共投与」などは、本明細書で使用されるように、一人の患者への選択された治療薬の投与を包含することを意味し、同じあるいは異なる投与経路、または同じあるいは異なる投与時間により薬剤が投与される処置レジメンを含むことが意図されている。
【0175】
用語「担体」は、本明細書で使用されるように、細胞あるいは組織への化合物の組み込みを容易にする比較的無毒な化学化合物または薬剤を指す。
【0176】
用語「希釈剤」は、送達前に対象の化合物を希釈するために用いられる化学化合物を指す。希釈剤はさらに、より安定した環境を提供可能であることから化合物を安定させるためにも使用することができる。緩衝液(pHを調節または維持することもできる)に溶かした塩は、当技術分野で希釈剤として利用され、例えばリン酸緩衝生理食塩溶液が挙げられるがこれに限定されない。
【0177】
本明細書に開示される化合物の「代謝産物」は、化合物の代謝時に形成される化合物の誘導体である。用語「活性代謝産物」は、化合物の代謝時に形成される化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。用語「代謝した(metabolized)」は、本明細書で使用されるように、生物体により特定の物質が変化するプロセス(加水分解反応や酵素触媒反応が挙げられるがこれらに限定されない)の全体を指す。ゆえに、酵素は化合物に対し特異的な構造的変化をもたらすことがある。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。代謝に関する詳細な情報は、「The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Edition,McGraw−Hill(1996)」から得てもよい。本明細書に開示の化合物の代謝産物は、宿主への化合物の投与と宿主から採取した組織サンプルの解析により、または、インビトロでの肝細胞による化合物のインキュベーションとその結果生じる化合物の解析のいずれかにより、同定することができる。
【0178】
「バイオアベイラビリティ」は、本明細書に開示の化合物(例えば式(I)または(II)の化合物)の重量パーセントを指し、この化合物は研究対象の動物またはヒトに送達されて全身に循環する。静脈内投与されたときの薬物の総曝露(AUC(0−∞))は通常、生物に100%利用可能(F%)として定義される。「経口バイオアベイラビリティ」は、静脈内注射と比較した場合に、医薬組成物が服用される時に本明細書に開示の化合物が吸収され全身に循環される程度を指す。
【0179】
「血漿中濃度」は、被験体の血漿成分内における、本明細書に開示の式(I)または(II)の化合物の濃度を指す。本明細書に記載の化合物の血漿中濃度は、代謝および/または他の治療薬との相互作用の可能性に関する可変性により、被験体間で著しく変動してもよいことを理解されたい。本明細書に開示の一実施形態に従い、本明細書に開示の化合物の血漿中濃度は被験体ごとに変動してもよい。同様に、最大血漿中濃度(Cmax)あるいは最大血漿中濃度に達する時間(Tmax)、または血漿中濃度時間曲線の下の合計面積(AUC(0−∞))などの値は、被験体ごとに変動してもよい。この可変性により、化合物の「治療上有効な量」を構成するのに必要な量は、被験体ごとに変動してもよい。
【0180】
本明細書で使用されるように、「寛解」は、疾患あるいは疾病の改善、または少なくとも疾患あるいは疾病に関連した症状の部分的な緩和を指す。
【0181】
医薬組成物と投与方法
医薬組成物は、薬学的に使用可能な調製物への活性化合物の処理を容易にする賦形剤と助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容可能な担体を使用して、従来の様式で製剤化されてもよい。適切な製剤は、選択される投与経路に左右される。本明細書に記載される医薬組成物に適切な賦形剤に関する更なる詳細は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins,1999)に見出すことができ、これらの文献は開示のために参照により本明細書に引用される。
【0182】
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分と、式(I)または(II)の化合物との混合物を指す。医薬組成物は、生物体への化合物の投与を容易にする。本明細書に提供される処置または使用の方法を実行する際に、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物は、処置される疾患、障害、または疾病を抱える被験体に対して医薬組成物に含まれた状態で投与される。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。治療上有効な量は、疾患の重症度、被験体の年齢と相対的な健康状態、使用される化合物の効力、および他の要因に依存して広く変更することができる。式(I)または(II)の化合物は、単独で使用されるか、または(併用療法などにおいて)1以上の治療剤と組み合わせて混合物の成分として使用することができる。
【0183】
本明細書に記載の医薬製剤は、経口、非経口(例えば、硬膜外、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、または経皮の各投与経路を含むがこれらに限定されない複数の投与経路により被験体に投与することができる。さらに、本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物を含むものであり、任意の適切な剤形に製剤化することができる。この剤形として、水溶性の経口分散剤、液体、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液、エアロゾル、放出制御製剤、速溶製剤、発泡製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、粉末、丸剤、糖衣錠、カプセル、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多微粒子製剤、混合された即時放出・制御放出製剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0184】
当業者は、全身ではなく局所的な方法で、例えば器官または組織への化合物の直接注入によって、多くの場合はデボー製剤に入れた状態で前記化合物および/または組成物を投与してもよい。こうした製剤は、埋め込み(例えば皮下や筋肉内)、または筋肉内注射により投与されてもよい。加えてこの薬物は、急速放出製剤の形態で、持続放出製剤の形態で、または中間放出製剤の形態で提供されてもよい。
【0185】
本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物は、ほんの一例として、従来の混合、溶解、粒状化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入、圧縮の各プロセスなどにより従来様式で製造されてもよい。
【0186】
医薬組成物は、遊離酸あるいは遊離塩基の形態、または薬学的に許容可能な塩の形態で活性成分として、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物のうち少なくとも1つを含む。加えて、本明細書に記載される方法と医薬組成物は、同じタイプの活性を持つこれら化合物の活性代謝産物と結晶形態(多形体としても知られる)の使用を含む。状況次第で、化合物は互変異性体として存在してもよい。互変異性体はすべて、本明細書に記載される化合物の範囲内に含まれる。加えて本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書に開示されるものとして考慮される。
【0187】
ある実施形態では、本明細書に提供される組成物は、微生物活性を阻害するために1つ以上の保存剤も含んでもよい。適切な保存剤として、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジウムなどの四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0188】
経口使用のための医薬調製物は、1以上の固形賦形剤を、本明細書に記載の化合物のうち1つ以上(例えば式(I)または(II)の化合物)と混合して、その結果生じる混合物を随意に粉砕し、顆粒の混合物を処理し、所望される場合には適切な助剤を添加した後に錠剤、丸剤、またはカプセルを生じさせることによって、得ることができる。適切な賦形剤として、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填材;例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;またはポリビニルピロリドン(PVPあるいはポビドン)あるいはリン酸カルシウムなどの他のものが挙げられる。必要に応じて、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸あるいはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩といった崩壊剤を添加してもよい。
【0189】
糖衣錠コアには適切なコーティングが施される。この目的のために濃縮糖液が使用される。この濃縮糖液は、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒あるいは溶媒混合物を随意に含んでもよい。活性化合物の投与量の様々な組み合わせを特定または特徴づけるための染料または色素を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
【0190】
経口で使用可能な医薬調製物は、ゼラチン製の押し込み型カプセル剤のほか、グリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤やゼラチン製のソフト密閉カプセルを含む。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクあるいはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに場合によっては安定化剤と混合した状態で有効成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁されてもよい。加えて安定剤を添加してもよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書の開示の固形剤形は、錠剤(懸濁液錠剤、速溶性錠剤、咬傷崩壊性錠剤、急速崩壊性錠剤、発泡錠、またはカプレットを含む)、丸剤、粉末(滅菌包装された粉末、分注可能な粉末、または発泡粉末を含む)、カプセル(ソフトカプセルまたはハードカプセルの両方を含む:例えば、動物由来のゼラチンあるいは植物由来のHPMCから作られたカプセル、または「スプリンクルカプセル」、固体分散液、固溶体、生体内分解性の剤形、制御放出製剤、パルス放出剤形、多粒子剤形、ペレット剤、顆粒、またはエアロゾルの形態であってもよい。他の実施形態では、前記医薬製剤は粉末剤の形態である。また他の実施形態では、前記医薬製剤は、限定されないが速溶錠剤を含む錠剤の形態である。さらに、本明細書に記載の化合物の医薬製剤は単一のカプセルとして、または複数のカプセル剤形で投与されてもよい。いくつかの実施形態では、前記医薬製剤は、2、3、あるいは4つのカプセルまたは錠剤で投与される。
【0192】
いくつかの実施形態では、固形剤形、例えば錠剤、発泡錠剤、およびカプセルは、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物の粒子を、1以上の医薬賦形剤と混合してバルク混合組成物を形成することにより調製される。これらバルク混合組成物を均質と称する場合、それは本明細書に記載される式(I)または(II)の化合物の粒子が組成物において均一に分散し、その結果、組成物は錠剤、丸剤、カプセルなど効果の等しい単位用量形態へと細かく分割されてもよいことを意味する。個々の単位用量はさらに、経口摂取後または希釈剤との接触後に崩壊するフィルムコーティングを含んでもよい。こうした製剤は従来の薬理学的技術によって製造することができる。
【0193】
本明細書に記載の薬学的な固形剤形は、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物と、1以上の薬学的に許容可能な添加剤、例えば適合性担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、香味料、甘味料、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色料、希釈剤、可溶化剤、保湿剤、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化物質、防腐剤、またはそれらの1つ以上の組み合わせを含むことができる。さらに別の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition(2000)に記載される手順などの標準コーティング手順を使用して、本明細書に記載の化合物の製剤のまわりにフィルムコーティングが施される。一実施形態では、本明細書に記載の化合物の粒子の一部またはすべてがコーティングされる。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物の粒子の一部またはすべてがマイクロカプセル化される。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の化合物の粒子はマイクロカプセル化もコーティングもされない。
【0194】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な担体として、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、ダイズレシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0195】
本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な充填剤として、限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストラート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0196】
式(I)または(II)の化合物を固形剤形マトリクスから可能な限り効率的に放出するために、特に剤形が結合剤により圧縮されるときに崩壊剤が使用されることが多い。崩壊剤は、水分が剤形に吸収されるときに膨張または毛細管作用により剤形マトリクスの破裂を助ける。本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な崩壊剤として、トウモロコシデンプンやジャガイモデンプンなどの天然デンプン、National1551やAmijel(登録商標)などのα化デンプン、あるいはPromogel(登録商標)やExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム、木材生成物などのセルロース、メチル結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka−Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロース、あるいは架橋セルロース、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、あるいは架橋クロスカルメロース、架橋デンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウムなど、架橋ポリマー、例えば、クロスポビドンなど、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸あるいはアルギン酸ナトリウムの塩など、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土、ガム、例えば寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、あるいはトラガント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然スポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類の果肉、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0197】
結合剤は固形経口剤形製剤に粘着性を付与する。粉末を充填したカプセル製剤では、この製剤は、ソフトシェルまたはハードシェルのカプセルに充填可能な栓の形成を補助するものであり、錠剤製剤では、圧縮後に錠剤が確実に無傷で残るようにし、圧縮または充填の工程前に均一な混合の確保を支援する。本明細書に記載される固形剤形における結合剤としての使用に適した材料として、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHypromellose USP Pharmacoat−603、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(Aqoate HS−LFとHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))、および微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖類酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガント、デキストリン、糖、例えばスクロース(例えばDipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))、ラクトース、天然あるいは合成ゴム、例えばアカシア、トラガント、ガティガム、イサポール皮(isapol husks)の粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL−10、およびPovidone(登録商標)K−12)、カラマツアラボカラクタン(arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ロウ、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0198】
一般に、20〜70%の結合剤レベルが、粉末を充填したゼラチンカプセル製剤に使用される。錠剤製剤における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒法、ローラー圧縮、または、それ自体が中程度の結合剤として作用し得る充填剤などの他の賦形剤のいずれかを使用することで変動する。いくつかの実施形態では、調合剤は製剤の結合剤レベルを決定し、錠剤製剤において最大70%の結合剤使用レベルが一般的である。
【0199】
本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な滑沢剤または流動促進剤として、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ロウ、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール、あるいはメトキシポリエチレングリコール、例えばCarbowax(登録商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン(glyceryl palmitostearate)、安息香酸グリセリル、マグネシウム、またはラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0200】
本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な希釈剤として、糖(ラクトース、スクロース、およびデキストロースを含む)、多糖類(デキストラートおよびバクガデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、およびソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0201】
本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な湿潤剤として、例えばオレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどが挙げられる。
【0202】
本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な界面活性剤として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリソルベート、ポロキサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などが挙げられる。
【0203】
本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な懸濁剤として、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30)、ポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコールは約300〜約6000、約3350〜約4000、または約5400〜約7000の分子量を有する)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガム(例えば、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタンなど)、糖類、セルロース系のもの(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポビドンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0204】
本明細書に記載される固形剤形での使用に適切な抗酸化剤として、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、およびトコフェロールが挙げられる。
【0205】
本明細書に記載される固形剤形に使用される添加剤間には相当な重複がある。ゆえに上で列記した添加剤は、本明細書に記載の医薬組成物の固形剤形に含めることができる添加剤の種類の単なる例示に過ぎず、限定的なものと解釈されるべきではない。
【0206】
他の実施形態では、医薬製剤の1つ以上の層が可塑化される。例示的に、可塑剤は通常、高沸点の固体または液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%〜約50重量%(w/w)添加することができる。可塑剤として、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、およびヒマシ油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0207】
圧縮錠剤は、上述の製剤の大量の混合物の圧縮により調製される固形剤形である。様々な実施形態では、口の中で溶解するように設計される圧縮錠剤は、1以上の香味料を含む。他の実施形態では、圧縮錠剤は、圧縮錠剤完成品を囲むフィルムを含む。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングにより、製剤から本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物の放出を遅延することができる。他の実施形態では、フィルムコーティングは患者のコンプライアンスを補助する(例えばOpadry(登録商標)コーティングまたは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは通常、錠剤の約1重量%〜約3重量%におよぶ。他の実施形態では、圧縮錠剤は1以上の賦形剤を含む。
【0208】
カプセルは、例えばカプセルの内部に上述の化合物の製剤の大量の混合物を配することにより調製されてもよい。いくつかの実施形態では、製剤(非水性の懸濁液および溶液)は、ソフトゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤は、HPMCを含むカプセルなどの、標準のゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤はスプリンクルカプセルに入れられ、ここで、カプセルはその全てが呑み込まれ、または、カプセルを開いてその内容物を食事前に食物にまき散らしてもよい。いくつかの実施形態では、治療用量は、複数の(例えば2、3、または4つの)カプセルに分けられる。いくつかの実施形態では、製剤の全用量がカプセル形態で送達される。
【0209】
様々な実施形態では、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物の粒子と1以上の賦形剤は、乾燥混合され、錠剤などの塊に圧縮される。この塊は、経口投与後、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、または約60分未満以内でほぼ分解され、それにより製剤を胃腸液へと放出する医薬組成物を提供するのに十分な硬さを持つ。
【0210】
別の態様では、剤形はマイクロカプセル化された製剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、その他1つ以上の適合性材料がマイクロカプセル化材料に存在する。典型的な材料として、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味料、ならびに結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤などの担体材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0211】
本明細書に記載のマイクロカプセル化に役立つ材料は、他の非適合性賦形剤から化合物を十分に分離する、本明細書に記載の化合物と互換性を持つ材料を含む。本明細書に記載の化合物と適合する材料は、インビボで式(I)または(II)の化合物の放出を遅らせる材料である。
【0212】
本明細書に記載の化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに役立つ典型的なマイクロカプセル化材料として、Klucel(登録商標)やNisso HPCなどのヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、Seppifilm−LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)−E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、Benecel MP843などのヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)−A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレートAqoat(HF−LS、HF−LG、HF−MS)、Metolose(登録商標)などのメチルセルロースポリマー、エチルセルロース(EC)とその混合物、例えばE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surelease(登録商標)、Opadry AMBなどのポリビニルアルコール(PVA)、Natrosol(登録商標)などのヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAqualon(登録商標)−CMCなど、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー、例えば、Kollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、修飾食物デンプン、アクリルポリマー、およびアクリルポリマーとEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40Dなどのセルロースエーテルとの混合物、酢酸フタル酸セルロース、HPMCとステアリン酸との混合物などのセピフィルム(sepifilms)、シクロデキストリン、ならびにこれら材料の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0213】
また他の実施形態では、ポリエチレングリコール、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、PEG800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリアセチンなどの可塑剤が、マイクロカプセル化材料に組み込まれる。他の実施形態では、医薬組成物の放出を遅らせるのに有用なマイクロカプセル化材料は、USPまたは国民医薬品集(NF)由来のものである。また他の実施形態では、マイクロカプセル化材料はKlucelである。また他の実施形態では、マイクロカプセル化材料はmethocelである。
【0214】
本明細書に記載されるマイクロカプセル化された化合物は、例えば噴霧乾燥プロセス、回転ディスク溶媒プロセス、熱融解プロセス、噴霧低温化方法、流動床、静電沈着、遠心押出し、回転懸濁液分離、液体−ガスまたは固体−ガスの界面での重合、圧力押し出し、または噴霧式溶媒抽出浴などを含む方法によって製剤化されてもよい。これらに加え、様々な化学技術、例えば複合コアセルベーション、溶解蒸発、ポリマー間の不適合性、液体培地中の界面重合、インサイツ重合、液中乾燥法、および液体培地中の脱溶媒和も使用することができる。さらにローラー圧縮、排出/球形化、コアセルベーション、またはナノ粒子コーティングなど他の方法も使用してもよい。
【0215】
また他の実施形態では、発泡粉末も本開示に従い調製される。発泡塩は、経口投与のために水中で薬を分散させるために使用されている。発泡塩は、通常は重炭酸ナトリウム、クエン酸、および/または酒石酸で構成される、乾燥混合物に薬剤を含む果粒剤または粗粉である。こうした塩が水に添加されると、酸と塩基が反応して炭酸ガスを遊離し、それにより「泡立ち」を引き起こす。発泡塩の例として、例えば以下の成分:重炭酸ナトリウム、または重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸および/または酒石酸が挙げられる。成分が医薬的用途に適しており、かつ結果として約6.0以上のpHをもたらす限り、二酸化炭素の遊離をもたらす任意の酸−塩基の組み合わせは、重炭酸ナトリウム、クエン酸、および酒石酸の組み合わせの代わりに使用することができる。
【0216】
他の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、本明細書に記載される化合物を含んでおり、固形分散剤である。こうした固形分散剤を生成する方法として、例えば、米国特許第4,343,789号、第5,340,591号、第5,456,923号、第5,700,485号、第5,723,269号、および米国特許公開第2004/0013734号が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また他の実施形態では、本明細書に記載される製剤は固溶体である。固溶体は、活性薬剤と他の賦形剤とを一体的に含む物質を組み込み、そうすることで混合物が加熱され、その結果薬物の溶解が生じ、結果として生じる組成物は後に冷却されることで、さらに製剤化され、カプセルに直接添加され、または錠剤へと圧縮可能な固形混合物をもたらす。こうした固溶体を生成する方法として、例えば米国特許第4,151,273号、第5,281,420号、および第6,083,518号が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0217】
本明細書に記載の製剤を含む固形医薬経口剤形は、本明細書に記載の化合物を含んでおり、式(I)または(II)の化合物の制御放出を供給するためにさらに製剤化することができる。制御放出は、本明細書に記載される化合物が長期間にわたって所望の特性に従い組み込まれる剤形からの前記化合物の放出を指す。制御放出特性として、例えば持続放出、長期放出、パルス放出、および遅延放出の特性が挙げられる。即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物により、所定の特性に従い長期間にわたる被験体への薬剤送達が可能となる。このような放出速度により長期間にわたり治療上有効なレベルの薬剤を提供することができ、したがってさらに長期間の薬理反応がもたらされる一方で、従来の急速放出剤形と比較して副作用が最小限に抑えられる。こうした長期間の反応により、対応する短時間作用性の即時放出調製物では達成されない多くの固有の利益がもたらされる。
【0218】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固形剤形は、腸溶性コーティングを施された遅延放出経口剤形として、つまり、胃腸管の小腸での放出に影響を及ぼすために腸溶コーティングを利用する、本明細書に記載されるような医薬組成物の経口剤形として製剤することができる。腸溶コーティングを施した剤形は、それ自体がコーティングを施されるかあるいは施されない有効成分および/あるいは他の組成成分の果粒剤、粉末、ペレット、ビーズ、または微粒子を含有する、圧縮した、成型した、または押し出し加工した錠剤/モールド(コーティングを施したかあるいは施していない)であってもよい。腸溶コーティングを施した経口剤形はまた、それ自体がコーティングを施されるかあるいは施されない固形担体あるいは組成物のペレット、ビーズ、または顆粒を含有するカプセル(コーティングを施したかあるいは施していない)であってもよい。
【0219】
本明細書で使用されるような用語「急速放出」または「遅延放出」は、一部の通常予測可能な速度で放出を達成できるような送達を指す。いくつかの実施形態では、放出を遅らせる方法は、分子内環化放出反応の調整、または分子内環化放出反応の開始を修正するための緩衝剤の添加によって行われる。
【0220】
着色料、デタッキファイヤー(detackifiers)、界面活性剤、消泡剤、滑沢剤(例えば、カルナウバロウまたはPEG)は、コーティング材料を可溶化または分散させるために、かつコーティングパフォーマンスとコーティングを施した生成物を改善するために、可塑剤の他コーティングに添加されてもよい。
【0221】
他の実施形態では、本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物を含み、パルス剤形を用いて送達される。パルス剤形は、遅延時間の調製後の所定の時点で、または特定の部位において1つ以上の即時放出パルスを提供することができる。パルス剤形剤形は、限定されないが次の米国特許:米国特許第5,011,692号、5,017,381号、5,229,135号、5,840,329号、4,871,549号、5,260,068号、5,260,069号、5,508,040号、5,567,441号、および5,837,284号に記載されるものを含む様々なパルス製剤を使用して投与されてもよい。
【0222】
他の多くのタイプの制御放出系は本明細書に記載される製剤との使用に適している。こうした送達システムの例として、例えば、ポリ乳酸とポリグリコール酸、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトンなどのポリマー由来の系;ステロール、例えばコレステロール、コレステロールエステル、および脂肪酸、または中性脂肪、例えばモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドなどの、脂質である多孔性マトリクス、非ポリマー由来の系;ヒドロゲル放出系;サイラスティック系;ペプチド由来の系;ワックスコーティング、生体内分解性剤形、従来の結合剤を使用する圧縮錠剤などが挙げられる。例えば、Liberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms,2 Ed.,Vol.1,pp.209−214(1990);Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.751−753(2002);米国特許第4,327,725号;第4,624,848号;第4,968,509号;第5,461,140号;第5,456,923号;第5,516,527号;第5,622,721号;第5,686,105号;第5,700,410号;第5,977,175号;第6,465,014号;および、第6,932,983号を参照。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物、例えば式(I)または(II)の化合物の粒子、および被験体への経口投与のための少なくとも1つの分散剤または懸濁剤を含む医薬製剤が提供される。この製剤は懸濁用の粉末および/または顆粒であってもよく、水との混合後に実質的に均一な懸濁液が得られる。
【0224】
経口投与用の液体製剤の剤形は、薬学的に許容可能な水性の経口分散液、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル剤、およびシロップ剤を含むがこれらに限定されない群から選択される水性懸濁液であってもよい。例えば、Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.754−757(2002)を参照。
【0225】
少なくとも4時間、USP薬剤師薬局方(2005年版、905章)で定義されるように、本明細書に記載される水性懸濁液と分散液は均質の状態のまま残ることができる。この均質性は、組成物全体の均質性の決定に関して一貫したサンプリング方法によって求める必要がある。一実施形態では、水性懸濁液は、1分未満持続する物理的撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁することができる。別の実施形態では、水性懸濁液は、45秒未満持続する物理的撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁することができる。また別の実施形態では、水性懸濁液は、30秒未満持続する物理的撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁することができる。また別の実施形態では、均質な分散水溶液を維持するために撹拌は必要とされない。
【0226】
本明細書に記載の医薬組成物は、限定されないがアカシアシロップ、アセスルファムK、アリターム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、カシス、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンフル、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルガム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラノキ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツパンチ、ショウガ、グリチルレチネート(glycyrrhetinate)、カンゾウ(リコリス)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト(isomalt)、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチン酸モノアンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、メープル、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、ピーチ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、アメリカザクラ、ウィンターグリーン、キシリトール、またはこれらの香味料成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、およびこれらの混合物などの甘味料を含んでもよい。
【0227】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、自己乳化式薬物送達系(SEDDS)であってもよい。エマルジョンは、別の形態、通常は液滴形態にある1つの不混和相の分散液である。通常、エマルジョンは活発な機械的分散によって作成される。SEDDSは、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンとは対照的に、任意の外部の機械的分散または撹拌を必要とすることなく過剰量の水に添加されたときにエマルジョンを自発的に形成する。SEDDSの利点は、溶液の全体に液滴を分布させるには軽い混合しか必要とならないという点である。さらに、水または水相は投与の直前に加えることができ、これにより不安定なまたは疎水性の活性成分の安定性が確保される。ゆえにSEDDSは、疎水性有効成分の経口および非経口の送達に効果的な送達系を提供する。SEDDSは、疎水性活性成分のバイオアベイラビリティの改善をもたらすことができる。自己乳化剤形を産生する方法として、米国特許第5,858,401号、6,667,048号、および6,960,563号が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0228】
本明細書に記載の水性分散液または懸濁液に使用される上記に列記した添加剤間には重複が存在する。その理由として、所与の添加剤が様々な当業者によって異なって分類され、または様々な機能のいずれかについて共通して使用されることが多いためである。ゆえに、上記に列記した添加剤は、本明細書に記載の製剤に含まれ得る添加剤の種類の単なる例示にすぎず、限定的なものではないと解釈する必要がある。
【0229】
鼻腔内製剤に使用可能な賦形剤として、例えば米国特許第4,476,116号、5,116,817号、および6,391,452号が挙げられる。ベンジルアルコールなどの適切な保存剤、フルオロカーボン、および/または他の可溶化剤あるいは分散剤を使用する食塩水中の製剤溶液。例えば、Ansel,H.C.et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Sixth Ed.(1995)を参照。好ましくは、これらの組成物と製剤は、適切な無毒の薬学的に許容可能な成分と共に調製される。適切な担体の選択は、望ましい鼻用剤形、例えば溶液、懸濁液、軟膏剤、ゲル剤の正確な性質に大きく依存する。鼻用剤形は全体として、有効成分に加えて大量の水を含んでいる。pH調整剤、乳化剤あるいは分散剤、保存剤、界面活性剤、ゲル化剤、またはバッファー、および他の安定化剤と可溶化剤などの少量の他の成分も、存在してもよい。好ましくは、鼻用剤形は鼻の分泌物と等張である必要がある。
【0230】
吸入による投与のために、本明細書に記載の化合物は、エアロゾル、ミスト、または粉末としての形態であってもよい。本明細書に記載の医薬組成物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体を用いて、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレー提供の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与ユニットは、バルブを設けて計量済の量を送達することにより決定されてもよい。吸入器または注入器に使用される、ほんの一例としてゼラチン製のカプセルとカートリッジは、本明細書に記載の化合物と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基材との粉末混合物を含んで製剤化されてもよい。
【0231】
本明細書に記載の化合物を含む頬側製剤は、米国特許第4,229,447号、4,596,795号、4,755,386号、および5,739,136号を含むがこれらに限定されない様々な製剤を使用して投与されてもよい。加えて、本明細書に記載される頬側剤形は、頬粘膜に剤形を付着させる役目も果たす生体内分解性(加水分解性)のポリマー担体をさらに含むことができる。頬側剤形は所定の期間にわたり徐々に腐食するように作られ、ここで化合物の送達はほぼ全体にもたらされる。頬側薬物送達は、経口薬物投与が直面する不利益、例えば、緩慢な吸収、胃腸管にある流体による活性薬剤の分解、および/または肝臓中での初回通過の不活性化を回避する。生体内分解性(加水分解性)ポリマー担体に関して、所望の薬物放出特性が損なわれない限り、かつ、担体が本明細書に記載の化合物と頬側投与量単位中に存在する他の成分と互換性を持つ限り、事実上このような担体を使用することができる。通常、ポリマー担体は親水性(水溶性、そして水膨潤性)ポリマーであり、頬粘膜の湿潤面に付着する。本明細書中の有用なポリマー担体の例として、アクリル酸ポリマーやコポリマー(co)、例えば「カルボマー」として知られているものが挙げられる(B.F.Goodrichから入手可能なCarbopol(登録商標)がこのようなポリマーの一種である)。他の成分は、崩壊剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤、香味料、着色剤、保存剤などを含むがこれらに限定されない本明細書に記載の頬側剤形に組み込まれてもよい。頬側または舌下投与のために、前記組成物は、従来の方法で製剤された錠剤、ロゼンジ、またはゲル剤の形態を呈してもよい。
【0232】
本明細書に記載の経皮製剤は、米国特許第3,598,122号、3,598,123号、3,710,795号、3,731,683号、3,742,951号、3,814,097号、3,921,636号、3,972,995号、3,993,072号、3,993,073号、3,996,934号、4,031,894号、4,060,084号、4,069,307号、4,077,407号、4,201,211号、4,230,105号、4,292,299号、4,292,303号、5,336,168号、5,665,378号、5,837,280号、5,869,090号、6,923,983号、6,929,801号、および6,946,144号を含むがこれらに限定されない様々なデバイスを使用して投与されてもよい。
【0233】
本明細書に記載の経皮剤形は、当該技術分野で従来技術とされる薬学的に許容可能な賦形剤を組み込んでもよい。一実施形態では、本明細書に記載の経皮製剤は少なくとも3つの成分:(1)式(I)または(II)の化合物の製剤と、(2)浸透促進剤と、(3)水性アジュバントとを含む。加えて、経皮製剤は、ゲル化剤、クリーム剤、軟膏基剤などを含むがこれらに限定されない追加の成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、経皮製剤は、吸収度を増強し、かつ皮膚からの経皮製剤の除去を防ぐために、織物材料または不織裏地材料をさらに含むことができる。他の実施形態では、本明細書に記載の経皮製剤は、皮膚への分散を容易にするために飽和または過飽和の状態を維持することができる。
【0234】
本明細書に記載の化合物の経皮投与に適した製剤は、経皮送達デバイスと経皮送達パッチを使用してもよく、ポリマーまたは接着剤に溶けたおよび/または分散された、脂肪親和性の強いエマルジョンまたは緩衝化水溶液であってもよい。このようなパッチは、医薬品の連続送達、パルス送達、またはオンデマンド送達のために構築されてもよい。また更に、本明細書に記載の化合物の経皮送達は、イオン泳動パッチなどにより実行可能である。さらに経皮パッチは、本明細書に記載の化合物の制御送達をもたらすことができる。吸収速度は、律速膜を使用することにより、またはポリマーマトリクスあるいはゲル内で化合物を捕捉することにより、遅くすることができる。反対に、吸収促進剤は吸収率を上昇させるために使用することができる。吸収促進剤または担体は、皮膚の通過を補助するための薬学的に許容可能な吸収性溶媒を含むことができる。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材と、随意に担体を含む化合物を含有するリザーバーと、随意に長時間にわたり制御速度および所定の速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリアと、皮膚にデバイスを固定する手段とを含む包帯の形態である。
【0235】
筋肉内、皮下、または静脈内の注射に適した製剤は、生理学的に許容可能な無菌の水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョン、および無菌注射剤溶液または分散液へと再構成される無菌の粉末を含むことがある。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機酸エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には所望の粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。皮下注射に適した製剤は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分配剤などの添加剤を含んでもよい。微生物成長の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤により確実にすることができる。糖や塩化ナトリウムなどの等張薬剤を含むことが望ましいこともある。注射可能な剤形の長期間吸収は、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の使用により引き起こすことができる。
【0236】
静脈内注射のために、本明細書に記載の化合物は、水溶液中で、好ましくはハンク溶液、リンガー溶液、または緩衝生理食塩水などの生理学的に互換性を持つ緩衝液中で製剤化されてもよい。口腔粘膜投与のために、浸透される障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。こうした浸透剤は当該技術分野で一般に認識される。他の非経口注入のために、適切な製剤は、好ましくは生理学的に互換性を持つ緩衝液または賦形剤と共に、水性または非水性の溶液を含んでもよい。このような賦形剤は当該技術分野で一般に認識される。
【0237】
非経口注入はボーラス注入または持続注入を必要とする場合がある。注入用の製剤は、追加の防腐剤とともに単位剤形で、例えばアンプルまたは複数回用量容器に入れて提供されてもよい。本明細書に記載の医薬組成物は、油性あるいは水性ビヒクル中の滅菌懸濁液、溶液、またはエマルジョンとして非経口注入に適した形態であってもよく、かつ懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含んでもよい。非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態にある活性化合物の水溶液を含んでいる。さらに、活性化合物の懸濁液は適切な油性の注射懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルあるいはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を上げる物質を含有してもよい。場合によっては、懸濁液は、高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を上げる適切な安定剤または薬剤も含んでもよい。代替的に、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌蒸留水と構成するために粉末形態であってもよい。
【0238】
ある実施形態では、例えばリポソームやエマルジョンなどの医薬品化合物のための送達システムが使用されてもよい。ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、およびデキストランの中から選択される粘膜付着性ポリマーをさらに含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は局所投与されてもよく、溶液、懸濁液、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬用スティック、鎮静薬、クリーム剤、または軟膏剤などの様々な局所投与可能な組成物へと製剤化される。こうした医薬品化合物は可溶化剤、安定化剤、張性促進剤、緩衝剤、および保存剤を含むことができる。
【0240】
本明細書に記載の化合物は、ココアバターなどのグリセリドや、ポリビニルピロリドン(PEG)などの合成ポリマーといった従来の坐剤基剤を含む、浣腸剤、直腸ゲル剤、直腸フォーム、直腸エアロゾル、坐剤、ゼリー坐剤、または停留浣腸剤などの直腸用組成物に含めて製剤化されてもよい。組成物の坐薬形態では、低融点ワックスは脂肪酸グリセリドの混合物などであるがこれに限定されず、場合によってはココアバターと組み合わされた状態で、最初に融解する。
【0241】
通常、式(I)または(II)の化合物などの薬剤は、疾患あるいは障害を改善するため、または疾患あるいは障害の症状の進行を妨げるための有効量(すなわち治療に有効な量)で投与される。ゆえに治療上有効な量は、疾患あるいは障害を少なくとも部分的に予防または逆転することができる量であってもよい。有効な量を得るのに必要な投与量は、薬剤、製剤、疾患または障害、および薬剤が投与される個体に応じて変動してもよい。
【0242】
有効量の決定はインビトロでの分析を必要とする場合があり、この分析では、様々な投与量の薬剤が培養物中の細胞に投与され、インビボで要求される濃度を計算するために一部またはすべての症状を寛解するのに有効な薬剤の濃度が求められる。有効量はインビボの動物研究に基づいてもよい。
【0243】
薬剤は、疾患または障害の症状が現れる前、現れると同時に、現れた後に投与可能である。いくつかの実施形態では、薬剤は、疾患あるいは障害の家族歴がある被験体、疾患あるいは障害に対する素因を示し得る表現型を持つ被験体、または疾患あるいは障害に罹りやすい遺伝子型を持つ被験体に投与される。
【0244】
使用される特定の送達システムは、例えば意図した標的と投与経路(例えば局所的または全身的)を含む多くの因子に依存する場合がある。送達の標的は、疾患あるいは障害を引き起こしているかまたはその原因となっている特定の細胞であってもよい。例えば標的細胞は、神経学的、神経変性学的、または脱髄性の疾患あるいは障害の原因となっている神経系中の常在細胞または浸潤細胞であってもよい。薬剤の投与は、当該技術分野で認識される方法により細胞型の1つ以上の種類または亜群を対象としてもよい。例えば薬剤は、抗体、細胞表面受容体あるいは毒素に対するリガンドに結合するか、細胞、例えばリポソーム、あるいはウイルス受容体が特定の細胞型に特異的に結合するウイルス、あるいはウイルス核酸を欠くウイルス粒子に選択的に内在化される粒子に含まれるか、または局所的に投与することができる。
【0245】
投与方法と処置レジメン
本明細書に記載される化合物は、TRPV1調節のための、またはTRPV1調節から少なくとも部分的に利益を得る疾患あるいは疾病の処置のための薬物の調製に使用可能である。加えて、本明細書に記載の疾患または疾病のいずれかを処置する方法は、そのような処置を必要としている被験体において、少なくとも1つの本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物を含む医薬組成物を治療上有効な量で被験体に投与することを含んでいる。
【0246】
本明細書に記載の化合物を含む組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与可能である。治療用途では、前記組成物は、疾患あるいは疾病の症状を治癒するかまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患あるいは疾病に既に悩む患者に投与される。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、ならびに主治医の判断に左右されることになる。
【0247】
予防用途では、本明細書に記載の化合物を含む組成物は、特定の疾患、障害、あるいは疾病の影響を受け易いか、またはその危険に曝されている患者に投与される。このような量は、「予防に有効な量または投与量」であると定義される。この用途では、正確な量も患者の健康状態や体重などに左右される。患者に使用されると、この用途に有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、および薬物への反応、ならびに処置を行う医師の判断に左右されることになる。
【0248】
医者の裁量に際して、化合物の投与は、慢性的に、すなわち患者の疾患または疾病の症状を寛解するため、さもなければ制御または制限するために、患者の寿命全体を含む長期間にわたって投与される。
【0249】
医者の裁量に際して、化合物は継続的に投与されてもよい。代替的に、投与される薬物の投与量は、一時的に減らされるか、またはある期間にわたって一時的に停止される(すなわち「休薬日」)。休薬日の期間は、ほんの一例として2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日〜1年の間で変動してもよい。休薬日中の投与量の減少は、ほんの一例として約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%を含む、約10%〜約100%で行われてもよい。
【0250】
一旦、患者の疾病の改善が生じると、必要ならば維持量が投与される。その後、用量、投与頻度、またはその両方は、症状に応じて疾患、障害、または疾病の改善が保持されるレベルにまで減らすことができる。しかし、患者は症状の再発時に長期間にわたり断続的な処置を必要とする場合もある。
【0251】
そうした量に相当する所与の薬剤の量は、特定の化合物、疾患あるいは疾病およびその重症度、処置を必要とする被験体あるいは宿主の同一性(例えば、体重)などの因子に依存して変動するが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている被験体あるいは宿主を含む、その状況を取り巻く特定の環境に従って当該技術分野で認識される方法で決定することができる。しかし、一般的に、ヒト成人の処置に使用される投与量は通常、1日当たり約0.001mg〜約5000mg、いくつかの実施形態では1日当たり約1mg〜約1500mgの範囲である。所望の投与量は、単回投与量で都合よく提供されるか、または分割投与量として、同時に(または短時間で)、あるいは適切な間隔、例えば1日当たり2、3、4回以上の下位投与量として投与されてもよい。
【0252】
本明細書に記載の医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形であってもよい。単位剤形では、製剤は、適量の1以上の化合物を含む単位投与量に分割される。単位投与量は、離散量の製剤を含有する包装の形態にあってもよい。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル、バイアルまたはアンプルの中にある粉末剤である。水性懸濁液組成物は再密閉できない単回量の容器で包装することができる。代替的に、複数回投与用の再密閉可能容器を使用することができ、この場合、組成物に防腐剤を含めることが一般的である。ほんの一例として、非経口注入用の製剤は単位剤形に入れて提供されてもよく、これは、追加の保存剤とともに、限定されないがアンプル、または複数回投与用容器を含む。
【0253】
本明細書に記載の化合物に適切な毎日の投与量は、約0.001mg/kg〜約30mg/kgである。一実施形態では、毎日の投与量は、約0.01mg/kg〜約10mg/kgである。ヒトを含むがこれに限定されない大型哺乳動物に対する毎日の指定投与量は、約0.1mg〜約1000mgの範囲であり、単回投与量で、限定されないが1日に最大4回を含む分割投与量で、または持続放出形態で都合よく投与される。経口投与に適切な単位剤形は約1〜約500mgの活性成分を含んでいる。一実施形態では、単位投与量は、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約250mg、約400mg、または約500mgである。個々の処置レジメンに関する変数の数が大きいため、前述の範囲は単なる示唆的なものに過ぎず、これらの推奨値からかなり逸脱することは珍しいことではない。こうした用量は、多くの変数、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患あるいは疾病、投与の様式、個々の被験体の要件、処置されている疾患あるいは疾病の重症度、および医師の判断に依存して変更されてもよい。
【0254】
こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、LD
50(母集団の50%に対する致死投与量)とED
50(母集団の50%で治療上有効な投与量)の測定を含むがこれに限定されない、細胞培養または実験動物に対する標準的な製薬手順によって求めることができる。毒性効果と治療効果との用量比は治療指数であり、LD
50とED
50との比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイと動物研究から得たデータは、ヒトに使用される一連の用量を製剤化するのに使用可能である。そのような化合物の用量は、毒性が最小限のED
50を含む血中濃度の範囲内にあるのが好ましい。この用量は、利用された剤形と利用された投与経路に依存して、この範囲内で変動してもよい。
【0255】
併用処置
式(I)または(V)の化合物、およびその組成物はまた、処置される疾病の治療値に対して選択された他の治療薬と組み合わせて使用されてもよい。一般に、本明細書に記載される組成物、および併用療法が用いられる実施形態では他の薬剤は、同じ医薬組成物に含めた状態で投与される必要はなく、様々な物理的および化学的な特性のため様々な経路によって投与する必要がある。投与の形態と投与の妥当性の判定は、可能な場合は同じ医薬組成物において、臨床医が考え得る範囲で十分に行われる。最初の投与は、当該技術分野で認識される確立されたプロトコルに従い行うことができ、次いで観察された効果、投与量、投与形態、および投与の回数に基づいて臨床医が修正することができる。
【0256】
ある例では、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を別の治療薬と組み合わせて投与することが適切な場合がある。ほんの一例として、式(I)または(II)などの本明細書に記載の化合物のうち1つを投与されたときに患者に生じる副作用の1つが嘔吐の場合、最初の治療薬と組み合わせて嘔吐抑制剤を投与することが好適な場合がある。またはほんの一例として、本明細書に記載の化合物の1つの治療効果は、アジュバントの投与により増強される場合がある(つまり、アジュバント単独での治療利益は最小限であるが、別の治療薬と組み合わせると患者への全体的な治療利益が増強される)。またはほんの一例として、患者が受ける利益は、本明細書に記載の化合物のうち1つを、治療的利点を有する別の治療薬(治療レジメンも含む)と共に投与することにより増大する場合もある。あらゆる場合に、処置される疾患、障害、または疾病に関わらず、患者が受ける全体的な利益は、単に2つの治療剤の相加作用であるか、または患者は相乗的効果を受ける場合もある。
【0257】
ある例では、別の治療薬との組み合わせは局所麻酔薬を用いる。本明細書で使用されるように、用語「局所麻酔薬」は、局所的な痺れまたは疼痛を軽減する薬物を意味する。本発明と組み合わせて使用可能な局所麻酔薬の典型的な例として、ブピカイン、レボブピバカイン(levobupivaine)、ロピバカイン、ジブカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、エチドカイン、テトラカイン、リドカインが挙げられる。
【0258】
ある例では、別の治療薬との組み合わせは血管収縮薬を用いる。血管収縮薬は有用であり、血流を制限し、かつそれにより投与される領域に注入薬物を保持するように局所的に作用するものである。これには全身毒性を実質的に減少させる効果がある。好ましい血管収縮薬は、エピネフリンやフェニルエピネフリンなどのアルファアドレナリン作動性受容体に作用するものである。
【0259】
ある例では、別の治療薬との組み合わせはグルココルチコイドを用いる。グルココルチコイドは、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルニソリド、メチルプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、アムシノニド、クロベタゾール、フルドロコルチゾン、ジフロラゾンジアセテート、フルオシノロンアセトニド、フルオロメトロン、フルドロキシコルチド、ハルシノニド、メドリゾン、モメタゾン、およびそれらの薬学的に許容可能な塩、ならびに混合物からなる群から選択される。
【0260】
いくつかの実施形態では、式(I)あるいは(II)の化合物、またはそれらの薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物は、局所麻酔薬と組み合わせて使用される。
【0261】
いくつかの実施形態では、式(I)あるいは(II)の化合物、またはそれらの薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、あるいは水和物は、非オピオイド鎮痛薬と組み合わせて使用される。
【0262】
使用される化合物の特定の選択は、主治医の診断、および患者の状態と適切な処置プロトコルの判断に依存する。化合物は、疾患、障害、あるいは疾病の性質、患者の状態、および使用される化合物の実際の選択に依存して、一斉に(例えば同時に、ほぼ同時に、あるいは同じ処置プロトコル内で)、または連続して投与されてもよい。処置プロトコル中の投与の順序、および各治療薬の投与の反復回数の決定は、処置されている疾患と患者の状態を評価した後に医師が十分に考え得る範囲内にある。
【0263】
薬物が併用処置に使用されるとき、治療上有効な量は変動する場合がある。併用処置レジメンに使用するための薬物および他の薬剤の治療上有効な用量を実験により決定する方法は、先行技術文献に記載される。例えば、メトロノミック投与の使用、すなわち毒性の副作用を最小限に抑えるために高頻度かつ低投与量を提供することは、先行技術文献に広く記載されている。併用処置はさらに、患者の臨床管理を補助するために様々な時点で開始および停止される周期的な処置を含む。
【0264】
本明細書に記載される併用療法について、同時投与された化合物の用量は、使用される共薬物の種類、使用される特定の薬物、処置されている疾患または疾病などに応じて変動することになる。加えて、1つ以上の生理的に活性な材料と共に投与されると、本明細書に提供される化合物は、生理的に活性な薬剤と同時に、または連続して投与されてもよい。連続的に投与される場合、主治医は生物学的に活性な薬剤と併用してタンパク質を投与する適切な順序を決定する。
【0265】
いかなる場合でも、複数の治療薬(うち1つは本明細書に記載の式(I)または(II)の化合物である)は、任意の順序で、または同時に投与されてもよい。同時の場合、複数の治療薬は単回用の統一形態で、または複数回形態(ほんの一例として、単回注射または2つ別個の注射として)で提供されてもよい。治療薬の1つは複数回投与量で投与され、または、共に複数回投与量として投与されてもよい。同時でない場合、複数回投与間のタイミングは0週超〜4週未満で変動してもよい。さらに、併用の方法、組成物、および製剤は、2つの薬剤のみの使用に限定されない。複数の治療的な組み合わせを用いることも想定される。
【0266】
緩和が求められる疾病を処置、予防、または改善するための投与レジメンは、様々な因子に従って修正することができることを理解されたい。これらの因子は、被験体の年齢、体重、性別、食事、および病状のほか、被験体の障害も含む。ゆえに、実際に利用される投薬レジメンは大きく変動する場合があり、したがって本明細書に述べられる投薬レジメンから逸脱することもある。
【0267】
本明細書に開示される併用療法を構築する医薬品は、剤形の組み合わせ、または、ほぼ同時の投与を意図した個別の剤形であってもよい。併用療法を構築する医薬品も連続的に投与されてもよく、いずれかの治療薬は2段階の投与を必要とするレジメンにより投与される。2段階投与レジメンは、活性薬剤の連続投与、または別個の活性薬剤の間隔を空けた投与を必要とする場合がある。複数の投与段階の間の期間は、医薬品の効力、可溶性、バイオアベイラビリティ、血漿半減期、動的特性などの、各医薬品の特性に依存して、数分〜数時間であってもよい。標的分子濃度の日周期の変化も、最適な投与間隔を決定する場合がある。
【0268】
加えて、本明細書に記載の化合物は、患者に相加的または相乗的な効果をもたらす処置と組み合わせて使用されてもよい。ほんの一例ではあるが、患者は、本明細書に記載の方法において治療利益および/または予防利益を得ると予測される。この場合、本明細書に開示の化合物の医薬組成物、および/または他の治療薬との併用は、個体が特定の疾患あるいは疾病と相互に関連すると知られている突然変異遺伝子の保因者であるかどうかを判定するための遺伝子検査と組み合わせられる。
【0269】
本明細書に記載の化合物と併用治療は、疾患あるいは疾病の発症前、その最中、またはその後に投与可能であり、化合物を含有する組成物の投与のタイミングは変動する場合がある。ゆえに、例えば化合物は予防薬として使用することができるとともに、疾患または疾病の発症を防ぐために疾病または疾患を進行させる傾向のある被験体に連続的に投与することができる。化合物と組成物は、症状発症の間、または発症後可能な限り早急に被験体に投与することができる。化合物の投与は、症状の発症の最初の48時間以内、好ましくは症状の発症の最初の48時間以内、より好ましくは症状の発症の最初の6時間以内、最も好ましくは症状の発症の3時間以内に開始することができる。最初の投与は、例えば静脈注射、ボーラス注射、約5分〜約5時間にわたる注射、丸剤、カプセル剤、経皮パッチ、頬側送達、またはこれらの組み合わせなどの任意の経路を介して行うことができる。化合物は、疾患あるいは疾病の発症が検出または疑われた後に実施可能な限り早急に、および例えば約1日〜約3か月間などの疾患処置が必要な期間にわたり投与されることが好ましい。処置の期間は各被験体に合わせて変更することができ、この期間は既知の分類基準を使用して決定することができる。例えば、化合物または該化合物を含む製剤は、少なくとも2週間、好ましくは約1か月〜約5年にわたり投与することができる。
【0270】
キット/製品
本明細書に記載の治療用途に使用するために、キットと製品も本明細書に記載される。このようなキットは、バイアルやチューブなどの1つ以上の容器を受けための区画を持つ運搬装置、パッケージ、または容器を含む場合があり、こうした容器の各々は、本明細書に記載の方法に使用される別個の要素のうち1つを含んでいる。適切な容器として、例えばボトル、バイアル、シリンジ、試験管が挙げられる。容器はガラスやプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。
【0271】
例えば容器は、場合によっては組成物に含まれた、または本明細書に開示されるような別の薬剤と組み合わせた、本明細書に記載の1つ以上の化合物を含むことができる。前記容器は、場合によっては無菌のアクセスポートを有している(例えば前記容器は、皮下注射針が貫通可能な栓を持つ静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。このようなキットは、場合によっては化合物とともに、本明細書に記載の方法における使用に関する識別(identifying)解説書、ラベル、または指示書を含んでいる。
【0272】
キットは通常、1つ以上の追加の容器を備えている。その各々は、本明細書に記載の化合物の使用に関して商業的な観点とユーザの観点から望ましい1つ以上の様々な材料(例えば、場合により濃縮された形態の試薬および/またはデバイス)を含む。こうした材料の非限定的な例として、緩衝液、賦形剤、フィルタ、針、シリンジ;運搬装置、パッケージ、容器、バイアル、ならびに/または、内容物および/あるいは使用説明を列記したチューブラベル、および使用説明を含むパッケージインサートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一組の説明書も通常は含まれる。
【0273】
ラベルは、容器の上にあるか、または容器に付随させてもよい。ラベルを形成する文字、数字、あるいは他の字が容器自体に結合され、成型され、または刻まれている場合、ラベルは容器の上にあってもよい。容器を保持する入れ物または運搬装置の中に存在する場合、ラベルは例えば添付文書として容器に付けられる。ラベルは、内容物が特定の治療用途に使用されるべきことを示すために使用することができる。このラベルはさらに、本明細書に記載の方法などによる内容物の使用のための指示を示すことができる。
【実施例】
【0274】
これら実施例は例示目的のためだけに提供され、本明細書に提供される請求の範囲を制限するものではない。本明細書に記載の化合物の合成に使用される出発物質と試薬は合成されてもよく、または、Sigma−Aldrich Corp.、Acros Organics、Fluka、Fisher Scientific、Arkpharm、Enamine Store、およびOakwood Chemicalsを含むがこれらに限定されない民間の供給源から入手可能である。
【0275】
合成の実施例
実施例1:(E)−2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル)2−((メチルアミノ)メチル)−4−(2,5,8,11−テトラオキサテトラデカン−14−オイル)ピペラジン−1−カルボキシレート(化合物1)の合成
【0276】
【化36】
【0277】
基本手順1(Boc保護)
撹拌バー、凝縮装置、およびArインレットを搭載したArパージ済500mL三つ首RBFを、出発物質とiPrOHを含有するアミンで満たした。0℃に冷却後、Boc
2OをiPrOHに溶かした溶液を1時間かけて添加した。反応物を室温に暖め、18時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(250mL)で希釈し、有機質相をNa
2CO
3の飽和溶液(3×250mL)で洗浄し、MgSO
4(10g)で乾燥させ、Whatman#4濾紙で濾過し、真空内で濃縮することで所望の生成物を得た。
【0278】
化合物Aの調製:
基本手順1に続いて、メチル(ピラジン−2−イルメチル)アミン(15.0g、121.8mmol)をiPrOH(125mL)に溶かしたものを、Boc
2O(31.9g、146.2mmol)をiPrOH(25mL)に溶かした溶液と反応させることで、茶色の油として化合物A(29.2g)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ8.69−8.35(m,3H),4.56(apparent d,J=29.3Hz,2H),2.96(apparent d,J=31.3Hz,3H),1.45(apparent d,J=35.9Hz,9H)。LC−MS:m/z calcd for C
11H
18N
3O
2[M+H]
+224.1,observed 224.1。
【0279】
基本手順2(水素添加):
2Lの水素添加フラスコを出発物質、1,1,2−トリクロロエタン、メタノールで満たして、Arで1時間散布した。Pd/C(10wt%)とPt/C(10wt%)をH
2Oの中で懸濁させ、Ar流の下、水素添加フラスコに慎重に添加した。パーシェーカー水素添加装置上で72時間、70psiのH
2で反応フラスコを振盪させた。触媒はセライトで濾過して取り除き、濾液を濃縮することで所望の粗製生成物をえた。粗製固形物をiPrOHの中で懸濁させ、再濃縮した。結果として生じる生成物を集めた後、高真空下で48時間乾燥させることで、所望の生成物を得た。
【0280】
化合物Bの調製:
基本手順2に続いて、化合物A(27.2g、121.9mmol)と1,1,2−トリクロロエタン(35.8g、24.8mL、268.1mmol)をメタノール(800mL)に溶かしたものを、70psiのH
2の下、30mLのH
2OにPd/C(10wt%、1.30g、1.22mmol)とPt/C(10wt%、2.38g、1.22mmol)を含めたパーシェーカー水素添加装置の上で振盪させることで、粘質の淡黄色固形物として化合物B(31.3g、2工程にわたり97%)を得た。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ3.92−3.83(m,1H),3.76−3.40(m,7H),3.32−3.18(m,1H),2.99(s,3H),1.52(s,9H);LC−MS:m/z calcd for C
11H
23N
3O
2[M+H]
+230.3,observed 230.2。
【0281】
化合物Cの調製:
撹拌バーと500mL添加漏斗とを備えたArパージ済5L RBFを、化合物B(23.4g、87.8mmol)、Na
2CO
3(8.1g、82.4mmol)、およびEtOH(2.0L)で満たした。結果として生じる溶液を室温で1時間撹拌した。Fmoc−クロリド(25.0g、4.76mmol)をEtOH(700mL)に溶かした溶液を液滴で3時間かけて添加した。結果として生じる溶液を室温で18時間撹拌した。反応物を飽和Na
2CO
3溶液(2.0L)とブライン(1.0L)でクエンチした。水層を酢酸エチル(3×2.0L)で抽出し、有機抽出物をブライン(3×1.0L)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空内で濃縮した。粗製の黄色油をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、次いで真空下で一晩乾燥させることで、白色固形物として化合物C(24.5g、62%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.77(d,J=7.6Hz,2H),7.57(d,J=7.5Hz,2H),7.40(t,J=7.5Hz,2H),7.32(t,J=7.5Hz,2H),4.48−4.39(m,2H),4.24(t,J=6.9Hz,1H),4.07−3.82(m,2H),3.43−2.79(m,9H),2.79−2.54(m,2H),1.46(s,9H);LC−MS:m/z calcd for C
26H
33N
3O
4[M+H]
+452.6,observed 452.2。
【0282】
化合物Dの調製:
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済250mL丸底フラスコを、カプサイシン(2.82g、9.2mmol)、4−ニトロフェニルクロロホルメート(1.95g、9.7mmol)、およびアセトニトリル(75mL)で満たした。この混合物を0℃に冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.8mL、27.6mmol)を添加し、この混合物を0℃で2時間撹拌した。化合物C(5.0g、11.1mmol)とヒドロキシベンゾトリアゾール・3H
2O(0.179g、0.92mmol)を反応物に添加し、結果として生じる溶液を室温で18時間撹拌した。次いで反応物を酢酸エチル100mLで希釈し、飽和NH
4Cl溶液(5×100mL)とブライン(3×100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空内で濃縮した。粗製の山吹色油をフラッシュクロマトグラフィーにより精製することで、純粋な白色固形物として化合物D(3.89g、54%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.77(d,J=7.5Hz,2H),7.58(d,J=7.5Hz,2H),7.41(t,J=7.4Hz,2H),7.33(t,J=7.5Hz,2H),7.09−6.94(m,1H),6.90−6.73(m,2H),5.81−5.63(m,1H),5.42−5.27(m,2H),4.71−4.18(m,6H),4.19−2.66(m,14H),2.29−2.15(m,3H),1.99(q,J=7.0Hz,2H),1.65(q,J=7.5Hz,2H),1.54−1.33(m,11H),0.95(d,J=6.8Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
40H
51N
4O
6[M−Boc+H]
+683.4,observed 683.3。
【0283】
基本手順3(FMOC脱保護):
撹拌バーを備えたRBFを、FMOCにより保護した中間体とCH
2Cl
2とで満たした。ジエチルアミンを添加し、反応物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、粗製の淡黄色油をフラッシュクロマトグラフィーにより精製することで、所望の生成物を得た。
【0284】
化合物Eの調製:
基本手順3に続いて、CH
2Cl
2(65mL)およびジエチルアミン(65mL)の中で化合物D(3.89g、4.97mmol)を反応させることで、泡状の白色固形物として化合物E(1.78g、64%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.08−6.97(m,1H),6.87(s,1H),6.82(d,J=8.1Hz,1H),5.73(s,1H),5.43−5.25(m,2H),4.45−4.17(m,3H),4.08−3.65(m,5H),3.49−3.12(m,2H),3.06−2.76(m,7H),2.27−2.15(m,3H),1.99(q,J=7.1Hz,2H),1.82(s,1H),1.65(p,J=7.7Hz,2H),1.52−1.35(m,11H),0.95(d,J=6.8,1.9Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
30H
49N
4O
6[M+H]
+560.4,observed 561.3。
【0285】
基本手順4(PEG−カルボン酸とのアミド結合カップリング):
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済火炎乾燥100mL RBFを、PEG−カルボン酸、HATU(1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシドヘキサフルオロホスフェート)、およびTHF(50mL)で満たした。この溶液を氷浴において0℃に冷却し、Arを10分かけて溶液全体において泡立たせた。次いでジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加し、反応混合物を0℃で撹拌した。2時間後、出発原料のアミンを添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をEtOAc75mLで希釈し、NaHCO
3の飽和溶液(3×100mL)、NH
4Clの飽和溶液(3×100mL)、ブライン(3×100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空内で濃縮した。結果として生じる粗製物質をフラッシュクロマトグラフィーまたは分取HPLCにより精製することで、所望の生成物を得た。
【0286】
化合物Fの調製:
粗製化合物Fを得るために、基本手順4に続いて、COOH−CM−PEG[3]−OMe(274mg、1.16mmol)、HATU(474mg、1.25mmol)、DIPEA(484mg、0.65mL、3.74mmol)を化合物E(500mg、0.89mmol)と反応させた。これをフラッシュクロマトグラフィーにより精製することで、透明な粘性油として化合物F(493mg、71%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.04(s,1H),6.87(s,1H),6.82(d,J=8.0Hz,1H),5.67(s,1H),5.42−5.28(m,2H),4.70−4.45(m,2H),4.40(d,J=5.5Hz,2H),4.24−3.85(m,2H),3.81(s,6H),3.72−3.58(m,10H),3.58−3.42(m,3H),3.37(s,3H),3.31−2.59(m,8H),2.30−2.11(m,3H),1.99(q,J=6.9Hz,2H),1.73−1.62(m,2H),1.52−1.30(m,11H),0.95(d,J=6.7Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
40H
67N
4O
11[M+H]
+779.5,observed 779.4。
【0287】
基本手順5(Boc脱保護):
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済火炎乾燥RBFを、Bocで保護したプロドラッグとEt
2O(20mL)で満たした。この溶液を氷浴において0℃に冷却し、Arを撹拌溶液全体において泡立たせた。溶液をArで20分間パージした後、HClをEt
2O(2.0M、20mL)に溶かしたものをシリンジにより撹拌溶液に移した。エーテリアル(ethereal)HClを添加した後、溶液はすぐに乳白色に変わり、物質がフラスコの側面に堆積するにつれ徐々に透明になっていった。反応混合物を真空内で濃縮し、高真空下で12時間配した。次いで粗製生成物を最小量のCH
2Cl
2に溶かし、ヘキサン/Et
2O(50mL、1:1)を含有する遠心分離管へとゆっくり添加した。結果として生じる高度の粘性のオフホワイト沈殿物を遠心分離してペレット状にし、上清をデカントした。この生成物を溶解し、さらに3回沈殿させることで、純粋なプロドラッグを得た。
【0288】
化合物1の調製:
基本手順5に続いて、化合物F(442mg、0.57mmol)を化合物1(流動性の良いオフホワイト粉末、388mg、96%)に変換させた。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ7.10(s,1H),7.05(s,1H),6.90(d,J=7.9Hz,1H),5.43−5.32(m,2H),4.86−4.02(m,6H),3.91−3.75(m,5H),3.73−3.48(m,13H),3.48−3.34(m,5H),3.29−2.89(m,3H),2.87−2.75(m,3H),2.61−2.45(m,1H),2.29−2.17(m,3H),2.01(q,J=6.8Hz,2H),1.65(p,J=7.5Hz,2H),1.39(p,J=7.5Hz,2H),0.97(d,J=6.7Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
35H
59N
4O
9[M+H]
+679.4,observed 679.4。
【0289】
実施例2:(E)−2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル)2−((メチルアミノ)メチル)−4−(2,5,8,11,14,17,20−ヘタオキサトリコサン−23−オイル)ピペラジン−1−カルボキシレート(化合物2)の合成
【0290】
【化37】
【0291】
化合物Gの調製:
粗製化合物Gを得るために、基本手順4に続いて、COOH−CM−PEG[6]−OMe(400mg、1.09mmol)、HATU(445mg、1.17mmol)、DIEA(466mg、0.63mL、3.60mmol)を化合物E(507mg、0.90mmol)と反応させた。これをフラッシュクロマトグラフィーにより精製することで、透明な粘性油として化合物G(716mg、87%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.09−6.95(m,1H),6.87(s,1H),6.82(d,J=7.9Hz,1H),5.70(s,1H),5.41−5.27(m,2H),4.70−4.43(m,2H),4.40(d,J=5.5Hz,2H),4.19−3.86(m,2H),3.86−3.71(m,6H),3.65(s,22H),3.57−3.44(m,3H),3.37(s,3H),3.31−2.62(m,8H),2.26−2.18(m,3H),1.99(q,J=7.0Hz,2H),1.65(t,J=7.8Hz,2H),1.52−1.32(m,11H),0.94(d,J=6.8Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
46H
79N
4O
14[M+H]
+911.6,observed 911.5。
【0292】
化合物2の調製:
基本手順5に続いて、化合物G(665mg、0.73mmol)を化合物2(粘性の淡黄色油、553mg、89%)に変換させた。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ7.15−7.01(m,2H),6.94−6.86(m,1H),5.44−5.32(m,2H),4.84−4.44(m,2H),4.38(s,2H),4.33−4.08(m,2H),3.90−3.36(m,35H),3.31−2.94(m,3H),2.91−2.77(m,3H),2.45−2.30(m,1H),2.30−2.15(m,3H),2.02(q,J=6.8Hz,2H),1.65(p,J=7.5Hz,2H),1.40(p,J=7.6Hz,2H),0.97(d,J=6.8Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
41H
71N
4O
12[M+H]
+811.5,observed 811.4。
【0293】
実施例3:(E)−2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル 4−(2,5,8,11,14,17,20,23,26,29−デカオキサドトリアコンタン−32−オイル)−2−((メチルアミノ)メチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(化合物3)の合成
【0294】
【化38】
【0295】
化合物Gの調製:
粗製化合物Hを得るために、基本手順4に続いて、COOH−CM−PEG[9]−OMe(400mg、0.80mmol)、HATU(331mg、0.87mmol)、DIPEA(347mg、0.47mL、2.68mmol)を化合物E(373mg、0.67mmol)と反応させた。これをHPLCにより精製することで、透明な粘性油として化合物H(519mg、74%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.08−6.91(m,1H),6.86(s,1H),6.81(d,J=7.6Hz,1H),5.83(s,1H),5.40−5.24(m,2H),4.71−4.42(m,2H),4.37(d,J=5.6Hz,2H),4.19−3.84(m,2H),3.79(s,6H),3.63(s,34H),3.55−3.40(m,3H),3.35(s,3H),3.32−2.53(m,8H),2.25−2.15(m,3H),1.97(q,J=7.0Hz,2H),1.63(p,J=7.7Hz,2H),1.48−1.33(m,11H),0.93(d,J=6.7Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
52H
91N
4O
17[M+H]
+1043.6,observed 1043.5。
【0296】
化合物3の調製:
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済火炎乾燥100mL RBFを、化合物H(463mg、0.44mmol)とメタノール性HCl(3M、50mL)で満たした。この溶液を油浴において40℃に温め、2時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、高真空下で12時間配した。次いで粗製生成物を最小量のCH
2Cl
2に溶かし、ヘキサン/Et
2O(50mL、1:1)を含有する遠心分離管へとゆっくり添加した。結果として生じる高度の粘性のオフホワイト沈殿物を遠心分離してペレット状にし、上清をデカントした。生成物を溶解し、さらに3回沈殿させることで、粘性の黄色油として化合物3(391mg、91%)を得た。
1H NMR(600MHz,CD
3OD)δ7.13−7.01(m,2H),6.94−6.86(m,1H),5.43−5.32(m,2H),4.80−4.53(m,2H),4.37(s,2H),4.31−4.07(m,2H),4.01−3.40(m,44H),3.36(s,3H),3.29−3.02(m,3H),2.92−2.79(m,3H),2.44−2.30(m,1H),2.30−2.18(m,3H),2.01(q,J=6.9Hz,2H),1.64(p,J=7.6Hz,2H),1.39(p,J=7.5Hz,2H),0.97(d,J=6.7Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
47H
83N
4O
15[M+H]
+943.6,observed 943.4。
【0297】
実施例4:(E)−2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル 4−(2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38−トリデカオキサヘンテトラコンタン−41−オイル)−2−((メチルアミノ)メチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(化合物4)の合成
【0298】
【化39】
【0299】
化合物Iの調製:
粗製化合物Iを得るために、基本手順4に続いて、COOH−CM−PEG[12]−OMe(400mg、0.63mmol)、HATU(262mg、0.69mmol)、DIEA(274mg、0.37mL、2.12mmol)を化合物E(295mg、0.53mmol)と反応させた。これをHPLCにより精製することで、透明な粘性油として化合物I(338mg、54%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.09−6.95(m,1H),6.87(s,1H),6.82(d,J=7.7Hz,1H),6.10(s,1H),5.41−5.25(m,2H),4.76−4.46(m,2H),4.41(s,2H),4.27−3.90(m,2H),3.81(s,6H),3.64(s,46H),3.58−3.47(m,3H),3.37(s,3H),3.36−2.60(m,8H),2.27(t,J=7.7Hz,2H),2.25−2.16(m,1H),1.98(q,J=7.1Hz,2H),1.64(p,J=7.7Hz,2H),1.52−1.33(m,11H),0.94(d,J=6.8Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
53H
95N
4O
18[M−Boc+2H]
+1075.7,observed 1075.6。
【0300】
化合物4の調製:
基本手順5に続いて、化合物I(303.5mg、0.26mmol)を化合物4(粘性の黄色油、214mg、75%)に変換させた。
1H NMR(600MHz,CD
3OD)δ7.14−7.02(m,2H),6.94−6.87(m,1H),5.43−5.33(m,2H),4.76−4.58(m,2H),4.38(s,2H),4.33−4.16(m,2H),4.16−3.40(m,56H),3.37(s,3H),3.29−3.08(m,3H),2.91−2.80(m,3H),2.45−2.32(m,1H),2.29−2.20(m,3H),2.01(q,J=6.8Hz,2H),1.65(p,J=7.5Hz,2H),1.40(p,J=7.5Hz,2H),0.97(d,J=6.7Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
53H
95N
4O
18[M+H]
+1075.7,observed 1075.4。
【0301】
実施例5:(E)−2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル)2−((メチルアミノ)メチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(化合物5)の合成
【0302】
【化40】
【0303】
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済火炎乾燥50mL RBFを、化合物E(150mg、0.27mmol)とメタノール性HCl(3M、20mL)で満たした。この溶液を油浴において40℃に温め、5時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、高真空下で12時間配した。次いで粗製生成物を最小量のCH
2Cl
2に溶かし、Et
2O(50mL)を含有する遠心分離管へとゆっくり添加した。結果として生じるオフホワイト沈殿物を遠心分離してペレット状にし、上清をデカントした。生成物を溶解し、さらに3回沈殿させることで、オフホワイト固形物として化合物5(103mg、77%)を得た。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ7.15(d,J=7.5Hz,1H),7.07(s,1H),6.92(d,J=8.1Hz,1H),5.44−5.33(m,2H),5.13−4.96(m,1H),4.63−4.21(m,4H),3.89(s,4H),3.66−3.42(m,4H),3.38−3.35(m,1H),3.31−3.20(m,1H),2.85(s,3H),2.30−2.19(m,3H),2.02(q,J=6.8Hz,2H),1.65(p,J=7.6Hz,2H),1.40(p,J=7.5Hz,2H),0.98(d,J=6.8Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
25H
41N
4O
4[M+H]
+461.3,observed 461.3。
【0304】
実施例6:(E)−2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル 4−メチル−2−((メチルアミノ)メチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(化合物6)の合成
【0305】
【化41】
【0306】
化合物Iの調製:
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済50mL丸底フラスコを、化合物E(200mg、0.36mmol)、トリエチルアミン(44mg、0.06mL、0.43mmol)、CH
2Cl
2(20mL)で満たし、氷浴において0℃に冷却した。10分間の撹拌後、ヨードメタン(511mg、0.22mL、3.60mmol)を添加し、結果として生じる溶液を室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、粗製物質をフラッシュクロマトグラフィーにより精製することで、オフホワイト固形物として化合物Jを得た。LC−MS:m/z calcd for C
31H
51N
4O
6[M+H]
+575.4,observed 575.4。
【0307】
化合物6の調製:
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済火炎乾燥50mL RBFを、中間体J(206.6mg、0.36mmol)とメタノール性HCl(3M、20mL)で満たした。この溶液を油浴において40℃に温め、18時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、高真空下で12時間配した。次いで粗製生成物を最小量のEtOHに溶かし、Et
2O/ヘキサン(50mL、1:1)を含有する遠心分離管へとゆっくり添加した。結果として生じるオフホワイト沈殿物を遠心分離してペレット状にし、上清をデカントした。生成物を溶解し、さらに3回沈殿させることで、オフホワイト固形物として化合物6(89.7mg、2工程にわたり52%)を得た。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ7.14(d,J=8.1Hz,1H),7.07(s,1H),6.92(d,J=8.0Hz,1H),5.44−5.33(m,2H),5.18−4.93(m,1H),4.62−4.40(m,2H),4.38(s,2H),4.00−3.81(m,4H),3.66(dd,J=50.3,13.1Hz,3H),3.52−3.44(m,1H),3.30−3.14(m,3H),2.99(s,3H),2.86(d,J=24.7Hz,3H),2.31−2.18(m,3H),2.02(q,J=6.8Hz,2H),1.65(p,J=7.7Hz,2H),1.40(p,J=7.5Hz,2H),0.98(dd,J=6.8,1.8Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
26H
43N
4O
4[M+H]
+475.3,observed 475.3。
【0308】
実施例7:(E)−2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル 4−アセチル−2−((メチルアミノ)メチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(化合物7)の合成
【0309】
【化42】
【0310】
化合物Lの調製:
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済100mL丸底フラスコを、化合物E(500mg、0.89mmol)、CH
2Cl
2(40mL)で満たし、氷浴において0℃に冷却した。トリエチルアミン(99.3mg、0.14mL、0.98mmol)を添加し、結果として生じる溶液を10分間撹拌した。次いで塩化アセチル(84.0mg、0.076mL、1.07mmol)を添加し、0℃で1時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、粗製のオフホワイト固形物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製することで、白色固形物として化合物L(464mg、87%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.08−6.94(m,1H),6.87(s,1H),6.81(d,J=7.7Hz,1H),5.82(s,1H),5.41−5.26(m,2H),4.72−4.42(m,2H),4.38(d,J=5.5Hz,2H),4.21−4.02(m,1H),3.88−3.57(m,5H),3.56−2.73(m,7H),2.25−2.09(m,6H),1.98(q,J=7.0Hz,2H),1.64(p,J=7.7Hz,2H),1.50−1.34(m,11H),0.94(d,J=6.8,1.6Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
32H
51N
4O
7[M+H]
+603.4,observed 603.4。
【0311】
化合物7の調製:
基本手順Eに続いて、化合物L(414mg、0.69mmol)を化合物7(流動性の良いオフホワイト粉末、362mg、98%)に変換させた。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ7.10(d,J=8.1Hz,1H),7.04(s,1H),6.89(d,J=8.0Hz,1H),5.42−5.31(m,2H),4.85−4.55(m,1H),4.53−4.40(m,1H),4.37(s,2H),4.32−4.11(m,1H),3.96(s,1H),3.91−3.77(m,3H),3.69−3.34(m,3H),3.15(td,J=13.2,12.7,4.3Hz,2H),2.86−2.69(m,3H),2.31−2.11(m,6H),2.00(q,J=6.8Hz,2H),1.64(p,J=7.7Hz,2H),1.38(p,J=7.5Hz,2H),0.96(d,J=6.8Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
27H
43N
4O
5[M+H]
+503.3,observed 503.3。
【0312】
実施例8:(E)−4−エチル 1−(2−メトキシ−4−((8−メチルノン−6−エンアミド)メチル)フェニル)2−((メチルアミノ)メチル)ピペラジン−1,4−ジカルボキシレート(化合物8)の合成
【0313】
【化43】
【0314】
化合物Kの調製:
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済25mL丸底フラスコを、化合物E(150mg、0.27mmol)、CH
2Cl
2(15mL)で満たし、氷浴において0℃に冷却した。トリエチルアミン(32mg、45μL、0.32mmol)を添加し、結果として生じる溶液を10分間撹拌した。次いでクロロギ酸エチル(32mg、28μL、0.30mmol)を添加し、0℃で1時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、化合物Kは軽く柔らかいオフホワイト固形物としてさらに精製することなく用いた。
【0315】
化合物8の調製:
撹拌バーとArインレットとを備えたArパージ済火炎乾燥25mL RBFを、化合物K(170.9mg、0.27mmol)とメタノール性HCl(3M、10mL)で満たした。この溶液を油浴において40℃に温め、1時間撹拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、高真空下で12時間配した。次いで粗製生成物を最小量のEtOHに溶かし、Et
2O/ヘキサン(50mL、1:1)を含有する遠心分離管へとゆっくり添加した。結果として生じる白色沈殿物を遠心分離してペレット状にし、上清をデカントした。生成物を溶解し、さらに3回沈殿させることで、白色固形物として化合物8(155mg、2工程にわたり<99%)を得た。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ7.11(d,J=8.0Hz,1H),7.06(s,1H),6.96−6.87(m,1H),5.46−5.33(m,2H),4.65(s,1H),4.38(s,2H),4.32−4.02(m,5H),3.92−3.83(m,3H),3.57(s,2H),3.29−3.17(m,3H),2.91−2.71(m,3H),2.31−2.19(m,3H),2.02(q,J=6.9Hz,2H),1.66(p,J=7.6Hz,2H),1.45−1.38(m,2H),1.33(dt,J=10.9, 7.1Hz,3H),0.98(d,J=6.6Hz,6H);LC−MS:m/z calcd for C
28H
45N
4O
6[M+H]
+533.3,observed 533.3。
【0316】
インビトロアッセイ
実施例9:溶解度アッセイ
本明細書に記載の化合物の水溶解度を求めるために、以下の化合物のHCl塩をDI水において50または100mg/mLでインキュベートし、溶解しなかった物質を目視検査した。
【0317】
【表1】
【0318】
実施例10:インビトロ(pH安定性)アッセイ
本明細書に記載の化合物からの親薬物(例えばカプサイシン)の放出を、複数の化合物の安定性試験により実証する。本明細書に記載の化合物は、プロドラッグのpHを活性化させることで、特定のpHへ暴露すると、分子内環化放出反応の半減期が求められる例である。この分子内環化放出反応は、親薬物の放出により環状尿素の同時形成をもたらす。
【0319】
示された緩衝液/生物培地において化合物をインキュベートした。反応を室温または37℃で行った。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の環化放出を試験するために緩衝液に使用可能な追加の一般的な成分/製剤として、限定されないが以下が挙げられる:N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)イミノ2酢酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、重炭酸塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、炭酸塩、クエン酸塩、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸、グリシン塩、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸、4−モルホリンエタンスルホン酸、4−モルホリンプロパンスルホン酸、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸、リン酸塩、酒石酸塩、2−[(2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸、およびEDTA塩。
【0320】
特定の時点でサンプルを集め、アセトニトリル溶液に1.0%TFAを溶かしたものでクエンチして環化放出反応を止め、HPLCにより、放出したカプサイシンの形成、環状尿素の副産物、および血漿と脳脊髄液(CSF)における出発化合物の消費について分析した。表1に示すように、アシル化プロドラッグ(化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物7、化合物8)と非アシル化プロドラッグ(化合物5、化合物6)の両方は、シミュレートされた生理学的条件下での急速な分子内環化放出を実証した(すなわち、すべてのプロドラッグはが、pH7.4と37℃で5分未満のカプサイシンへの変換半減期を実証した)。しかし表2に示すように、アシル化ピペラジンプロドラッグ(化合物1、化合物2、化合物3、化合物7、化合物8)は、pH4.5と室温(RT)では、非アシル化プロドラッグ(化合物6)と比べて安定性が有意かつ予期せず上昇したことを実証した。ゆえに、本明細書に記載のアシル化ピペラジンプロドラッグがpH4.5での溶液状態の安定性の上昇を実証したため、これらのプロドラッグは、劇薬(すなわちカプサイシン)への実質的な変換を生じさせることなく投与前のプロドラッグの投与量製剤の保持/操作に関する妥当な時間枠(例えば0〜4時間)をもたらす場合がある。
【0321】
【表2】
【0322】
薬物動態アッセイ
実施例11:ラットへの硬膜外投与後の試験化合物の血漿&CSF時間経過
硬膜外投与:化合物1から化合物4、そして化合物7を注入用の滅菌水に溶かし、pHを4.5に調製し、硬膜外注射によりオスのスプラーグドーリーラットに投与した。化合物1から化合物4、そして化合物7を体重1kgあたり1mgとして投与し、添加され、等モル濃度になるようモル補正した。特定の時点で、血液サンプル(0.25mL)を頚静脈カニューレから集めて、抗凝固剤としてK2EDTA、および安定化剤として2.5Mクエン酸塩緩衝液10μL(pH3.0)を含有するチューブに入れてエクスビボでのプロドラッグ変換を妨げ、血漿に対して処理した。投与前、そして投与後10分、30分、1時間、2時間、および4時間で、各ラットから血漿サンプルを採取した。特定の時点で、CSFサンプル(0.05mL)をCMタップにより集めて、抗凝固剤としてK
2EDTA、および安定化剤として2.5Mクエン酸塩緩衝液10μL(pH3.0)を含有するチューブに入れてエクスビボでのプロドラッグ変換を妨げた。投与前、そして投与後10分、30分、1時間で、各ラットからCSFサンプルを採取した。試験化合物ゆらいのカプサイシンおよび/または結果として生じる環状尿素の血漿・CSF濃度を求め、
図1、
図2、および
図3に示す。
図3に示すように、結果として生じる環状尿素は、観察された時間経過にわたり差動的CSF浸透を示した。化合物1の環状尿素は、その対応するプロドラッグがラットに等モル用量で硬膜外投与されたとき、結果として生じる環状尿素のCSF曝露の量がモル基準で最小であったことを示した。
【0323】
本明細書に記載の実施例と実施形態は、単に例証を目的とするものに過ぎず、いくつかの実施形態では、様々な修飾または変更は本開示と添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。