(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-532237(P2021-532237A)
(43)【公表日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】キャップ及びクロージャー用のターポリマー
(51)【国際特許分類】
C08L 23/12 20060101AFI20211029BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20211029BHJP
B65D 41/04 20060101ALI20211029BHJP
B65D 53/04 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
C08L23/12
C08L23/08
B65D41/04 200
B65D53/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-504279(P2021-504279)
(86)(22)【出願日】2019年7月24日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月24日
(86)【国際出願番号】IB2019020025
(87)【国際公開番号】WO2020021342
(87)【国際公開日】20200130
(31)【優先権主張番号】62/702,589
(32)【優先日】2018年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】514091253
【氏名又は名称】ブラスケム・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・カルロス・ルイス
【テーマコード(参考)】
3E084
4J002
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC05
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3E084GB01
3E084HA01
3E084HB01
4J002BB052
4J002BB121
4J002GG01
(57)【要約】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の80〜95質量%の範囲で存在するプロピレン、並びにエチレン及びC4〜C10アルファオレフィンを含む群から選択される2種のコモノマーを含み得、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総コモノマー含有量を有する。キャップライナーはポリマー組成物から形成され得る。キャップは、ポリプロピレンから形成されるクロージャー、及びクロージャーの少なくとも一部を裏打ちするポリプロピレンベースのキャップライナーを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物の80〜95質量%の範囲で存在するプロピレン、並びに
エチレン及びC4〜C10アルファオレフィンを含む群から選択される2種のコモノマー
を含む、ポリマー組成物であって、ポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総コモノマー含有量を有する、ポリマー組成物。
【請求項2】
コモノマーが、
ポリマー組成物の1〜7質量%の範囲で存在するエチレン、及び
ポリマー組成物の4〜13質量%の範囲で存在するC4〜C10アルファオレフィンモノマー
を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記C4〜C10アルファオレフィンモノマーがブチレンである、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成される、キャップライナー。
【請求項5】
プロピレン、並びに
エチレン及びC4〜C10アルファオレフィンを含む群から選択される2種のコモノマー
を含むポリマー組成物から形成される、キャップライナー。
【請求項6】
ポリマー組成物が、ポリマー組成物の80〜95質量%の範囲のプロピレン含有量を有する、請求項5に記載のキャップライナー。
【請求項7】
ポリマー組成物が、ポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総コモノマー含有量を有する、請求項5又は6に記載のキャップライナー。
【請求項8】
コモノマーがエチレン及びブチレンである、請求項5から7のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項9】
ポリマー組成物が、ポリマー組成物の1〜7質量%の範囲のエチレン含有量を有する、請求項8に記載のキャップライナー。
【請求項10】
ポリマー組成物が、ポリマー組成物の4〜13質量%の範囲のブチレン含有量を有する、請求項8又は9に記載のキャップライナー。
【請求項11】
ポリマー組成物が、2.0〜15.0g/10分の範囲のASTM D1238によるメルトフローレートを有する、請求項4〜10のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項12】
ポリマー組成物が、0.880〜0.908g/cm3の範囲のASTM D792による密度を有する、請求項4〜11のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項13】
ポリマー組成物が、500〜900MPaの範囲のASTM D790による-1%セカント曲げ弾性率を有する、請求項4から12のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項14】
ポリマー組成物が、18〜35MPaの範囲のASTM D638による降伏点引張強さを有する、請求項4から13のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項15】
ポリマー組成物が、9〜19%の範囲のASTM D638による降伏点引張伸びを有する、請求項4から14のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項16】
ポリマー組成物が、60〜90の範囲のASTM D785によるRスケールのロックウェル硬度を有する、請求項4から15のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項17】
ポリマー組成物が、40〜85J/mの範囲のASTM D256による23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを有する、請求項4から16のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項18】
ポリマー組成物が、10〜40J/mの範囲のASTM D256による-20℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを有する、請求項4から17のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項19】
ポリマー組成物が、65〜89℃の範囲のASTM D648による0.455MPaでの荷重たわみ温度を有する、請求項4から18のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項20】
ポリマー組成物が、40〜58℃の範囲のASTM D648による1.820MPaでの荷重たわみ温度を有する、請求項4から19のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項21】
ポリマー組成物が、110〜130℃の範囲のASTM D1525による10Nでのビカー軟化温度を有する、請求項4から20のいずれか一項に記載のキャップライナー。
【請求項22】
クロージャー、及び
前記クロージャーの少なくとも一部を裏打ちする請求項4から21のいずれか一項に記載のキャップライナー
を含む、キャップ。
【請求項23】
クロージャーがポリプロピレンから形成される、請求項22に記載のキャップ。
【請求項24】
ポリプロピレンから形成されるクロージャー、及び
前記クロージャーの少なくとも一部を裏打ちするポリプロピレンベースのキャップライナー
を含む、キャップ。
【請求項25】
クロージャーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー又は異相ポリプロピレンコポリマーのうちの1種から形成される、請求項22から24のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項26】
クロージャーがポリプロピレンホモポリマーから形成される、請求項22から25のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項27】
ポリプロピレンホモポリマーが、1.0〜8.0g/10分の範囲のASTM D1238によるメルトフローレートを有する、請求項26に記載のキャップ。
【請求項28】
ポリプロピレンホモポリマーが、1300〜1900MPaの範囲のASTM D790による-1%セカント曲げ弾性率を有する、請求項26又は27に記載のキャップ。
【請求項29】
クロージャーがポリプロピレンコポリマーから形成される、請求項22から25のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項30】
クロージャーが異相ポリプロピレンコポリマーから形成される、請求項22から25のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項31】
異相ポリプロピレンコポリマーが、4.0〜10.0g/10分の範囲のASTM D1238によるメルトフローレートを有する、請求項30に記載のキャップ。
【請求項32】
異相ポリプロピレンコポリマーが、1100〜1600MPaの範囲のASTM D790による-1%セカント曲げ弾性率を有する、請求項30又は31に記載のキャップ。
【請求項33】
キャップライナーが、2.0〜15.0g/10分の範囲のASTM D1238によるメルトフローレートを有するポリマー組成物を含む、請求項24から32のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項34】
キャップライナーが、0.880〜0.908g/cm3の範囲のASTM D792による密度を有するポリマー組成物を含む、請求項24から33のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項35】
キャップライナーが、500〜900MPaの範囲のASTM D790による-1%セカント曲げ弾性率を有するポリマー組成物を含む、請求項24から34のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項36】
キャップライナーが、18〜35MPaの範囲のASTM D638による降伏点引張強さを有するポリマー組成物を含む、請求項24から35のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項37】
キャップライナーが、9〜19%の範囲のASTM D638による降伏点引張伸びを有するポリマー組成物を含む、請求項24から36のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項38】
キャップライナーが、60〜90の範囲のASTM D785によるRスケールのロックウェル硬度を有するポリマー組成物を含む、請求項24から37のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項39】
キャップライナーが、40〜85J/mの範囲のASTM D256による23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを有するポリマー組成物を含む、請求項24から38のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項40】
キャップライナーが、10〜40J/mの範囲のASTM D256による-20℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを有するポリマー組成物を含む、請求項24から39のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項41】
キャップライナーが、65〜89℃の範囲のASTM D648による0.455MPaでの荷重たわみ温度を有するポリマー組成物を含む、請求項24から40のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項42】
キャップライナーが、40〜58℃の範囲のASTM D648による1.820MPaでの荷重たわみ温度を有するポリマー組成物を含む、請求項24から41のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項43】
キャップライナーが、110〜130℃の範囲のASTM D1525による10Nでのビカー軟化温度を有するポリマー組成物を含む、請求項24から42のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項44】
ポリマー組成物を圧縮成形して、請求項4から21のいずれか一項に記載のキャップライナーを形成する工程を含む、方法。
【請求項45】
第2のポリマー組成物を射出成形して、クロージャーを成形する工程と、
前記クロージャーをキャップライナーで裏打ちして、請求項22から43のいずれか一項に記載のキャップを形成する工程と
を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第2のポリマー組成物を圧縮成形して、クロージャーを形成する工程と、
前記クロージャーをキャップライナーで裏打ちして、請求項22から43のいずれか一項に記載のキャップを形成する工程と
を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
ポリマー組成物を圧縮成形してキャップライナーを形成する工程がクロージャー内で行われるように、ポリマー組成物を圧縮成形してキャップライナーを形成する工程と裏打ちする工程とが同時に行われる、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
ポリマー組成物を圧縮成形してキャップライナーを形成する工程が、クロージャーを裏打ちする工程の前に行われる、請求項45又は46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー組成物、ポリマー組成物から形成されるキャップライナー、及びキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途のためのキャップ及びクロージャー、特に、炭酸飲料を密封するために利用されるものは、一般にポリプロピレン又は高密度ポリエチレン(HDPE)のいずれかから製造され、各材料は、様々な利点を提供する。例えば、HDPEクロージャーは、典型的には、感覚刺激に敏感な用途に用いられ、高い衝撃強さを提供する一方で、ポリプロピレンクロージャーは、優れた耐応力亀裂性及び良好な透明性を提供する。
【0003】
ポリプロピレンは、歴史的に炭酸入り清涼飲料市場において優勢なクロージャー材料であったが、コストと持続可能性の両方の理由により、該材料は主としてHDPEキャップに置き換えられている。炭酸飲料で用いられるHDPEキャップは、小さな凸部が頸部と接触し、十分なトルクが与えられると密封を形成する、単一ピースとして製造される。ポリプロピレンは、このような方式で確実な密封を提供するのに必要な耐亀裂性を有さないため、ポリプロピレンキャップは一般に、クロージャーと、熱可塑性エラストマーから製造される別個のキャップライナーの両方を含む2ピースである。複数の材料の使用により、これらのキャップは、1ピースのHDPE代替物よりもリサイクルが困難であり、したがって、持続可能性が低い。更に、天然ガスのコストの昨今の低減により、ポリエチレンはポリプロピレンの安価な代替物となっており、結果的にHDPEの使用が経済的に有利である。これらの要因にもかかわらず、ポリプロピレンは一定の用途に対して優れた物性を有するため、依然としてキャップの製造に用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規なポリマー組成物、ポリマー組成物から形成されるキャップライナー、及びキャップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本概要は、詳細な説明で更に記載される概念の選択を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の主要又は本質的な特徴を特定することは意図されておらず、特許請求される主題の範囲を制限するために用いられることも意図されていない。
【0006】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリマー組成物の80〜95質量%の範囲のプロピレン、並びにエチレン及びC4〜C10アルファオレフィンを含む群から選択される2種のコモノマーを含み得るポリマー組成物であって、ポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総コモノマー含有量を有する、ポリマー組成物に関する。
【0007】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリマー組成物から形成され得るキャップライナーであって、ポリマー組成物が、ポリマー組成物の80〜95質量%の範囲のプロピレン、並びにエチレン及びC4〜C10アルファオレフィンを含む群から選択される2種のコモノマーを含み、ポリマー組成物がポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総コモノマー含有量を有する、キャップライナーに関する。
【0008】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、クロージャー、及びクロージャーの少なくとも一部を裏打ちするキャップライナーを含み得るキャップであって、キャップライナーがポリマー組成物の80〜95質量%の範囲のプロピレン、並びにエチレン及びC4〜C10アルファオレフィンを含む群から選択される2種のコモノマーを含むポリマー組成物から形成され得、ポリマー組成物が、ポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総コモノマー含有量を有する、キャップに関する。
【0009】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリプロピレンから形成されるクロージャー、及びクロージャーの少なくとも一部を裏打ちするポリプロピレンベースのキャップライナーを含み得るキャップに関する。
【0010】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリマー組成物を圧縮成形して、キャップライナーを形成する工程を含み得る方法であって、ポリマー組成物が、ポリマー組成物の80〜95質量%の範囲のプロピレン、並びにエチレン及びC4〜C10アルファオレフィンを含む群から選択される2種のコモノマーを含み得、ポリマー組成物がポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総コモノマー含有量を有する、方法に関する。
【0011】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示される1つ又は複数の実施形態は、プロピレン、並びにエチレン及びC4〜C10アルファオレフィンモノマーから選択されるような2種のアルファオレフィンコモノマーを含むポリマー組成物に関する。特に、本開示のポリマー組成物は、プロピレン及び2種の他のコモノマーを含むキャップライナーを形成するために用いられ得る。上で言及されるように、従来のポリプロピレンキャップは一般に、クロージャー、及び従来熱可塑性エラストマーから製造される別個のキャップライナーから形成される2ピースである。しかし、本開示の実施形態によれば、2ピースキャップは、ポリプロピレンクロージャーの少なくとも一部を裏打ちするプロピレンベースのキャップライナーを含み得る。
【0013】
2ピースキャップはクロージャー及びキャップライナーを含み、キャップライナーは一般にクロージャーの内部の少なくとも一部を裏打ちする。キャップライナーの目的は、クロージャーにトルクを与えた場合に、クロージャーと容器との間に確実な密封を提供することであり得る。上で言及されるように、従来の2ピースキャップにおいて、キャップライナーは、クロージャーと異なる材料から形成される。
【0014】
ポリプロピレンは、ポリプロピレンをクロージャーの形成に非常に適したものにする多くの物性を有する。例えば、ポリプロピレン樹脂は軽量であり、良好な寸法安定性を有し、耐応力亀裂性、耐油性、耐グリース性、耐酸性、耐アルカリ性、及びほとんどの溶媒に対する耐性を提供する。ポリプロピレンはまた、自然な半透明性、高い接触透明性、良好な化学的適合性及び高い耐熱性を有し、ポリプロピレン射出成形及び圧縮成形クロージャーは非常に滑らかな表面を有し、高精度の寸法公差を可能にする。
【0015】
キャップライナーは一般に、所望の用途に対して優れた密封性を提供する材料から製造される。しかし、キャップライナーは、消費者が利用しやすい機能性を可能にするために一定の短期、中期及び長期開栓トルクも提供し得る。キャップライナーとクロージャーで異なる材料の従来の使用は、リサイクルが困難で、したがって持続不可能な複数素材のキャップをもたらす。対照的に、本開示の実施形態は、密封性に優れたポリプロピレンベースのキャップライナーを提供でき、これはポリプロピレンクロージャーと共に用いられて、単一素材のキャップを生成する。
【0016】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、キャップライナーは、プロピレン及び他のモノマーを含むポリマー組成物から形成され、これは、他のモノマーを含むことによりポリマー組成物の特性を変化させることが可能であり得る。このようなキャップライナーは、プロピレンクロージャーと組み合わせて、持続可能な単一素材のポリプロピレンキャップを生成できる。このようなキャップは、とりわけ、優れた密封性、100%のリサイクル率、優れた感覚刺激特性、一定の開栓トルク、低い移行値を有し得、PVCを含まず、あらゆる種類の飲料処理方法に好適であり得る。
【0017】
ポリマー組成物
本開示の1つ又は複数の実施形態のポリマー組成物は、プロピレン及び2種のコモノマーを含む3種の別個のモノマーの共重合に由来するターポリマー組成物であり得る。1つ又は複数の実施形態において、コモノマーは、エチレン及びC4〜C10アルファオレフィンからなる群から選択される。1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物の80〜95質量%の範囲の量のプロピレン、及びポリマー組成物の5〜20質量%の範囲の総量のコモノマーを含むポリマー組成物が配合される。幾つかの実施形態において、ポリマー組成物は、一方のコモノマーを1〜7質量%の範囲の量で、及び他方のコモノマーを約4〜13質量%の範囲の量で含み得る。
【0018】
本開示の1つ又は複数の実施形態のポリマー組成物は、エチレン及びC4〜C10アルファオレフィンのコモノマーを含み得る。幾つかの実施形態において、ターポリマーは、80〜95質量%の範囲の量のプロピレン、1〜7質量%の範囲の量のエチレン、及び4〜13質量%の範囲の量のC4〜C10アルファオレフィンを含む。
【0019】
本開示の1つ又は複数の実施形態のポリマー組成物は、エチレン及びブチレンのコモノマーを含み得る。幾つかの実施形態において、ターポリマーは、80〜95質量%の範囲の量のプロピレン、1〜7質量%の範囲の量のエチレン、及び4〜13質量%の範囲の量のブチレンを含む、プロピレン-エチレン-ブチレンコポリマーである。
【0020】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約2.0〜15.0g/10分の範囲のASTM D1238によるメルトフローレートを示し得る。
【0021】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約0.880〜0.908g/cm
3の範囲のASTM D792による密度を示し得る。
【0022】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約500〜900MPaの範囲のASTM D790による-1%セカント曲げ弾性率を示し得る。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約18〜35MPaの範囲のASTM D638による降伏点引張強さを示し得る。
【0024】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約9〜19%の範囲のASTM D638による降伏点引張伸びを示し得る。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約60〜90の範囲のASTM D785によるRスケールのロックウェル硬度を示し得る。
【0026】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約40〜85J/mの範囲のASTM D256による23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを示し得る。
【0027】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約10〜40J/mの範囲のASTM D256による-20℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを示し得る。
【0028】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約65〜89℃の範囲のASTM D648による0.455MPaでの荷重たわみ温度を示し得る。
【0029】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約40〜58℃の範囲のASTM D648による1.820MPaでの荷重たわみ温度を示し得る。
【0030】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、約110〜130℃の範囲のASTM D1525による10Nでのビカー軟化温度を示し得る。
【0031】
上記のこのような組成物のいずれかが、本開示の実施形態によるキャップライナーを形成するために用いられ得る。
【0032】
キャップ
本開示の1つ又は複数の実施形態によるキャップは、クロージャーとキャップライナーの両方を含む2ピースのキャップである。幾つかの実施形態において、キャップライナーはクロージャーの少なくとも一部を裏打ちし得る。
【0033】
1つ又は複数の実施形態のキャップは、プロピレンから形成されるクロージャーを含み得、クロージャーは、プロピレン(例えば、上記ポリマー組成物のいずれか)から形成されるキャップライナーと組み合わせて用いられ得、それにより単一素材のキャップが形成される。幾つかの実施形態において、キャップは、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマー又は異相コポリマーから形成されるポリプロピレンクロージャーを含み得る。
【0034】
ポリプロピレンコポリマーは、1種又は複数のC2又はC4〜C20オレフィンコモノマーで調製され得る。1つ又は複数の実施形態において、本開示によるポリプロピレンコポリマーは、内部ポリマー相を異相コポリマーの質量パーセント(質量%)で1質量%、5質量%、10質量%及び20質量%のいずれかから選択される下限から、30質量%、40質量%及び50質量%のいずれかから選択される上限までの範囲で含むことができ、任意の下限は任意の上限と対にされ得る。幾つかの実施形態において、異相コポリマーの内相(ゴム相)はエチレンコポリマーを含み得る。一実施形態において、異相コポリマーのゴム相のエチレン含有量は、異相コポリマーのゴム相の10質量%、30質量%、40質量%及び45質量%から選択される下限から、50質量%、60質量%及び70質量%から選択される上限までの範囲であり得、任意の下限は任意の上限と対にされ得る。
【0035】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約1.0〜8.0g/10分の範囲のASTM D1238によるメルトフローレートを示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0036】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約0.900〜0.908g/cm
3の範囲のASTM D792による密度を示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0037】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約1300〜1900MPaの範囲のASTM D790による-1%セカント曲げ弾性率を示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0038】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約30〜45MPaの範囲のASTM D638による降伏点引張強さを示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0039】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約5〜15%の範囲のASTM D638による降伏点引張伸びを示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0040】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約80〜105の範囲のASTM D785によるRスケールのロックウェル硬度を示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0041】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約20〜50J/mの範囲のASTM D256による23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0042】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約95〜120℃の範囲のASTM D648による0.455MPaでの荷重たわみ温度を示すポリプロピレンホモポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0043】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約4.0〜10.0g/10分の範囲のASTM D1238によるメルトフローレートを示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0044】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約0.850〜0.905g/cm
3の範囲のASTM D792による密度を示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0045】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約1100〜1600MPaの範囲のASTM D790による-1%セカント曲げ弾性率を示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0046】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約25〜40MPaの範囲のASTM D638による降伏点引張強さを示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0047】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約5〜13%の範囲のASTM D638による降伏点引張伸びを示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0048】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約80〜105の範囲のASTM D785によるRスケールのロックウェル硬度を示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0049】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約55〜110J/mの範囲のASTM D256による23℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約15〜35J/mの範囲のASTM D256による-20℃でのノッチ付アイゾッド衝撃強さを示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0051】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップは、約95〜115℃の範囲のASTM D648による0.455MPaでの荷重たわみ温度を示す異相ポリプロピレンコポリマーから製造されるクロージャーを含み得る。
【0052】
1つ又は複数の実施形態のキャップは、プロピレン及び2種のモノマー(例えば、上記のこれらの組成物)から形成されるキャップライナーを含み得、キャップライナーは上記のクロージャーのいずれかと組み合わせて用いられる。即ち、当業者には明らかなように、本開示によるキャップは、本明細書に開示されるクロージャーとキャップライナーとの任意の組み合わせを含み得る。
【0053】
クロージャー及びキャップライナーを形成する方法
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるキャップライナーは、圧縮成形により形成される。1つ又は複数の実施形態において、クロージャーはキャビティとして機能し、圧縮成形によりキャップライナーがクロージャー内に形成される。幾つかの実施形態において、ポリマー組成物はクロージャー内に直接配置され、圧縮成形後、得られたキャップライナーはクロージャーと結合する。1つ又は複数の実施形態において、キャップライナーはクロージャーとは別に形成され、その後、挿入されてクロージャーを裏打ちする。
【0054】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるクロージャーは射出又は圧縮成形のいずれかにより形成される。1つ又は複数の実施形態において、キャップライナーを定位置に保持するために外縁部に凸部を含むクロージャーが形成され得る。
【0055】
先の記載は特定の意味、材料及び実施形態を参照しながら本明細書に記載されてきたが、本明細書に開示される特定事項に制限されることは意図されず、むしろこれは、添付の特許請求の範囲の範囲内で、全ての機能的に同等の構造、方法及び使用に及ぶ。特許請求の範囲において、手段及び機能に関する条項は、列挙された機能を実行するように本明細書に記載される構造、及び構造的同等物だけでなく、同等の構造も含むことが意図される。したがって、釘は円筒状の表面を使用して木製部品を互いに固定するが、ねじは螺旋状の表面を使用するという点で、釘とねじは構造的同等物ではない場合があるが、木製部品を締結する環境において、釘及びねじは同等な構造であり得る。特許請求の範囲で関連の機能と共に用語「のための手段」を明確に使用している場合は除き、本明細書の特許請求の範囲のいずれかのいかなる制限に対しても米国特許法第112条(f)を発動しないことは、本出願人の明確に意図するところである。
【国際調査報告】