(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-532301(P2021-532301A)
(43)【公表日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】排気管のフレキシブルジョイント構造
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20211029BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
F01N13/08 F
B60K13/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2021-504144(P2021-504144)
(86)(22)【出願日】2019年7月12日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月20日
(86)【国際出願番号】CN2019095705
(87)【国際公開番号】WO2020024781
(87)【国際公開日】20200206
(31)【優先権主張番号】201810849518.0
(32)【優先日】2018年7月28日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521030065
【氏名又は名称】寧波菲力克汽配有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO KINROM INDUSTRIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】董 菁栄
【テーマコード(参考)】
3D038
3G004
【Fターム(参考)】
3D038BA13
3D038BB01
3D038BC22
3G004AA01
3G004BA04
3G004DA11
3G004DA21
3G004EA03
(57)【要約】
主に車両の排気管構造に使用される排気管のフレキシブルジョイント構造であって、内側から外側に順に同軸套設されたコルゲートパイプ2と編上げホース3とを備え、編上げホース3は少なくとも2つのセクションを含み、各セクションの2つの端部は固定部材を介して内側のコルゲートパイプ2に固定接続され、各セクションの編上げホース3の長さは200mm以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側から外側に順に同軸套設されたコルゲートパイプ(2)と編上げホース(3)とを備え、前記編上げホース(3)は少なくとも2つのセクションを含み、各セクションの2つの端部は固定部材を介して内側の前記コルゲートパイプ(2)に固定接続され、各セクションの編上げホースの長さは200mm以下であることを特徴とする排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項2】
前記固定部材は、コルゲートパイプ(2)の端部に位置する第1固定部材と、コルゲートパイプ(2)の中間部に位置する第2固定部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項3】
前記編上げホース(3)は、分解体が順次接続された複数のセクションであり、各セクションの端部はいずれも固定部材を介して前記コルゲートパイプ(2)に固定接続されることを特徴とする請求項2に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項4】
前記編上げホース(3)は、一体構造であり、前記編上げホース(3)の端部は第1固定部材を介して固定接続され、前記編上げホース(3)の中央には第2固定部材が設けられて複数のセクションを形成し、当該第2固定部材が内側のコルゲートパイプ(2)と固定接続されることを特徴とする請求項2に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項5】
前記第1固定部材と第2固定部材の構造は同じ又は異なることを特徴とする請求項2に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項6】
前記第1固定部材は、パッケージスリーブ構造又は環状クランプ構造であり、前記第2固定部材は、環状クランプ構造であることを特徴とする請求項2に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項7】
前記第1固定部材がパッケージスリーブ構造である場合、その片側に折り返しを有し、前記第2固定部材の少なくとも片側に折り返しを有する、又は
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が環状クランプ構造であり、その端部が互いに重なり合って固定される、又は
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が環状クランプ構造であり、少なくとも2枚が互いにスプライスされた接続片を含み、各接続片の端部には外向きに回転した固定片が設けられ、隣接する接続片の端部の固定片が溶接又は締め具によって固定される、又は
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が一体の環状クランプ構造であり、その端部に外向きに回転した固定片を有し、端部の固定片が溶接又は締め具によって固定され、
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が内部膨張および外部圧力の方式及び/又は溶接の方式によって前記コルゲートパイプと編上げホースを固定することを特徴とする請求項6に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項8】
前記コルゲートパイプは、平坦セクションと波形セクションを含み、前記第2固定部材は平坦セクションに設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項9】
前記各セクションの編上げホース(3)の長さは60mm〜150mmであることを特徴とする請求項1に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項10】
前記各セクションの編上げホース(3)の長さは60mm〜120mmであることを特徴とする請求項9に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項11】
コルゲートパイプ(2)の内側に同軸配置された内管(1)をさらに備え、前記内管(1)の端部はコルゲートパイプ(2)の端部に固定接続され、前記内管(1)はバックルホース又は編上げホースであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【請求項12】
前記コルゲートパイプは、複数のセクションに分割され、各セクションのコルゲートパイプの両端には小波形セクションが設けられ、前記小波形セクションにおける波形の高さが中央の波形の高さよりも低いことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の排気管のフレキシブルジョイント構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の技術分野に関し、具体的には、自動車エンジンの排気システムに使用されるフレキシブルジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルジョイントは、自動車エンジンに配置された排気システムに用いられる。排気システムは、一端がエンジンに接続され、他端が車体の底板に接続される。エンジンが作動して振動や揺れが発生し、この振動や揺れは排気システムを介して車体に伝わり、乗り心地に悪影響を与えると同時に、車両が粗い路面を走行して発生した車体振動も排気システムを介して排気システムの前部、マニホールド、及びエンジンに伝わり、同様にNVHや耐久性に悪影響を与える。
【0003】
上記の問題を改善するために、一般的には、排気システムとエンジンのマニホールドとが接続される箇所にフレキシブルジョイントを配置して、双方向の衝撃を遮断する。このフレキシブルジョイント構造は、通常、内層の金属コルゲートパイプと外層のメッシュスリーブで構成され、2つの層は端部のエンドキャップによってクランプ固定されている。
【0004】
外層のメッシュスリーブは、一般的に2種類の構造を採用している。1つは、ニットネット構造である。ニットネット構造は、金属線をニット構造に編んで形成するのが一般的であり、各筋の線の局所的な周囲への移動がほとんど自由であるため、このニットネット構造は、通常、一定の弾性を有し、その弾性範囲内でコルゲートパイプに密着することができ、コルゲートパイプの振動を効果的に抑えることができる。しかし、明らかな弱点もある。その中のニット構造のあるところに破断点があると、ニット構造全体が徐々に分散して、ニットストッキングのよくある現象のように機能を失ってしまう。また、その弾性範囲は広いが支持能力が劣るため、複数の方向でコルゲートパイプの動きを規制することができず、各方向に大きな揺れが発生した場合には、コルゲートパイプの変形範囲を規制できず、コルゲートパイプが破損しやすい。
【0005】
もう1つは、織網構造である。織網は、通常、2方向に複数筋の金属線を交差させて織ったものであり、外観が比較的緻密であるため、内部のコルゲートパイプを効果的に保護することができるが、一般的に長いフレキシブルジョイントの内層と外層との間の隙間を制御することが容易ではないため、振動抑制能力が低く、応用が制限されている。
【0006】
また、通常、エンジンの揺れや振動が大きいため、一般的にフレキシブルジョイントには大きなストレスがかかり、ストレスを低減するために、フレキシブルジョイントの長さを長くしたり、フレキシブルジョイントの外径を大きくしたりするが、フレキシブルジョイントが配置される場所は通常スペースが狭く、またフレキシブルジョイントの揺れも周辺部品と干渉しやすいため、長さが長いフレキシブルジョイント又は外径が大きいフレキシブルジョイントを配置することが困難であり、これは、フレキシブルジョイントの応用のもう1つの難点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的問題は、コルゲートパイプのストレスを低減し、使用寿命を延ばすことができ、車両全体のNVH性能を改善できる排気管のフレキシブルジョイント構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的問題を解決するために本発明が採用する技術案は、内側から外側に順に同軸套設されたコルゲートパイプと編上げホースとを備える排気管のフレキシブルジョイント構造であって、前記編上げホースは少なくとも2つのセクションを含み、各セクションの2つの端部は固定部材を介して内側の前記コルゲートパイプに固定接続され、各セクションの編上げホースの長さは200mm以下であることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記固定部材は、コルゲートパイプの端部に位置する第1固定部材と、コルゲートパイプの中間部に位置する第2固定部材とを含む。
【0010】
本発明の好ましい一実施例として、前記編上げホースは、分解体が順次接続された複数のセクションであり、各セクションの端部はいずれも固定部材を介して前記コルゲートパイプに固定接続される。
【0011】
本発明の好ましい他の実施例として、前記編上げホースは、一体構造であり、前記固定部材は、第1固定部材と第2固定部材とを含み、前記編上げホースの端部は第1固定部材を介して固定接続され、前記編上げホースの中央には第2固定部材が設けられて複数のセクションを形成し、当該第2固定部材が内側のコルゲートパイプと固定接続される。
【0012】
好ましくは、前記第1固定部材と第2固定部材の構造は同じ又は異なる。
【0013】
好ましくは、前記第1固定部材は、パッケージスリーブ構造又は環状クランプ構造であり、前記第2固定部材は、環状クランプ構造である。
本発明の様々な実施形態として、前記第1固定部材がパッケージスリーブ構造である場合、その片側に折り返しを有し、前記第2固定部材の少なくとも片側に折り返しを有する、又は
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が環状クランプ構造であり、その端部が互いに重なり合って固定される、又は
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が環状クランプ構造であり、少なくとも2枚が互いにスプライスされた接続片を含み、各接続片の端部には外向きに回転した固定片が設けられ、隣接する接続片の端部の固定片が締め具又は溶接によって固定される、又は
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が一体の環状クランプ構造であり、その端部に外向きに回転した固定片を有し、端部の固定片が締め具又は溶接によって固定され、
前記第1固定部材及び/又は第2固定部材が内部膨張および外部圧力の方式及び/又は溶接の方式によって前記コルゲートパイプと編上げホースを固定する。
【0014】
好ましくは、前記コルゲートパイプは、平坦セクションと波形セクションを含み、前記第2固定部材は平坦セクションに設けられる。
【0015】
好ましくは、前記各セクションの編上げホースの長さは60mm〜150mmである。
【0016】
好ましくは、前記各セクションの編上げホースの長さは60mm〜120mmである。
【0017】
好ましくは、コルゲートパイプの内側に同軸配置された内管をさらに備え、前記内管の端部はコルゲートパイプの端部に固定接続され、前記内管はバックルホース又は編上げホースである。
【0018】
好ましくは、前記コルゲートパイプは、複数のセクションに分割され、各セクションのコルゲートパイプの両端には小波形セクションが設けられ、前記小波形セクションにおける波形の高さが中央の波形の高さよりも低い。
【発明の効果】
【0019】
従来技術と比較して、本発明の利点は、本発明の排気管のフレキシブルジョイント構造において、編上げホースが短い複数のセクションとなり、各セクションの編上げホースの端部がいずれもコルゲートパイプに固定的に押圧されるので、編上げホースは内側のコルゲートパイプによりよく密着することができ、衝撃吸収効果がより向上し、車両全体のNVH効果が改善される。さらに重要なのは、各セクションの編上げホースの端部がいずれもコルゲートパイプに固定的に押圧され、編上げホースのワイヤ線は伸縮性がないため、内部のコルゲートパイプの軸方向、半径方向、及びねじれ方向の動きを対応する端部で拘束することができる。このように、横型前輪駆動自動車では、排気システムの前列が大きく揺れると、密着した編上げホースは内部のコルゲートパイプの剪断変形を曲げ変形に変換することができ、縦型後輪駆動自動車では、排気システムの前列が回動すると、当該編上げホースはトルクの一部を良好に分担することができ、さらに内部のコルゲートパイプのストレスを大幅に低減し、使用寿命を延ばすことができる。
【0020】
また、ストレスが低減されるため、より短い、又は外径がより小さいフレキシブルジョイントを同じ条件下で配置できるため、配置スペースが狭く、周囲と干渉するというエンジニアリング上の難題を克服することができる。同時に、高温に耐える貴重な材料の使用量を減らすことで、コストを削減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図3】本発明の第2実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図4】本発明の第3実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図5】本発明の第4実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図7】本発明の第5実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図8】本発明の第6実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図9】本発明の第7実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図10】
図7におけるC−C線に沿う断面図である。
【
図11】本発明の第8実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【
図12】本発明の第9実施例による排気管のフレキシブルジョイントの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について、図面及び実施例を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0023】
図1及び
図2に示すのは、本発明の第1実施例による排気管のフレキシブルジョイント構造の模式図である。当該フレキシブルジョイント構造は、内側の内管1と、内管1に套着されたコルゲートパイプ2と、コルゲートパイプ2の外側に巻回された編上げホース3構造とを備える。前記内管1の端部はコルゲートパイプ2の端部に固定接続され、内部膨張および外部圧力の方式によって押圧されてもよく、及び/又は溶接の方式によって固定されてもよい。前記内管1はバックルホース又は編上げホースである。
【0024】
当該編上げホース3は、セクション化構造であり、各セクションの長さは200mm以下である。
【0025】
さらに、各セクションの編上げホース3の両端は固定部材を介してコルゲートパイプ2に固定接続される。好ましくは、前記コルゲートパイプも複数のセクションに分割され、各セクションの前記コルゲートパイプの両端には小波形セクションが設けられ、前記小波形セクションにおける波形の高さが中央の波形の高さよりも低く、編上げホース3の各セクションは上記コルゲートパイプの複数のセクションと対応して設けられる。即ち、前記固定部材は前記コルゲートパイプの小波形セクションに設けられる。
【0026】
図1に示すように、当該編上げホースは2つのセクションを含み、2つのセクションの長さはそれぞれ60mm〜150mmであり、当該固定部材は第1固定部材4と第2固定部材5を含み、当該編上げホース3は一体構造であり、編上げホース3の両端は第1固定部材4を介して内側のコルゲートパイプ2及び内管1に固定接続され、編上げホース3の中央は第2固定部材5を介してコルゲートパイプ2及び内管1に固定接続される。当該第1固定部材4の構造はパッケージスリーブの構造であり、当該パッケージスリーブは全体が連続的で切断なしの環状構造であり、内部膨張および外部圧力の方式によって押圧するか、又は溶接の方式によって編上げホースをコルゲートパイプに固定する。さらに第1固定部材4の片側にはフレキシブルジョイントの半径方向に沿って外側に延びる折り返し41が設けられている。当該第2固定部材5は編上げホース3及び内側のコルゲートパイプ2に密着したクランプ構造であり、クランプ構造は切れ目が設けられた環状構造であり、第2固定部材5の両端は互いに重なり合って固定される。この実施例では、編上げホース3は、両端が第1固定部材で固定され、中央が第2固定部材で固定され、さらに全体の編上げホース3を2つのセクションに分割する。即ち、第1固定部材4はコルゲートパイプ2の端部に位置し、第2固定部材5はコルゲートパイプ2の中央に位置する。
【0027】
ここで、コルゲートパイプ2の端部に位置する第1固定部材がパッケージスリーブ構造である場合、その片側に折り返しを有するか、又は折り返しを有しないことに留意されたい。第1固定部材4はクランプ構造であってもよい。第1固定部材4がクランプ構造である場合、その構造は第2固定部材5と同じでも異なってもよい。当該第1固定部材4は、片側に折り返しを有してもよく、折り返しを有しなくてもよい。ただし、コルゲートパイプ2の中央に位置する第2固定部材5は、取り付け可能にするため、パッケージスリーブ構造を設けることは不可能であり、クランプ構造を設けることしかできない。つまり、第2固定部材5は環状部品であり、編上げホース3の外側に取り付ける前に少なくとも1箇所が切断された構造であるか、又は半径方向の寸法を調整可能な構造であり、当該第2固定部材5は、少なくとも片側に折り返しを有してもよい。即ち、両側にいずれも折り返しを有することができる。折り返し構造は、固定部材の剛性を高めることができ、編上げホースのワイヤ線の受力を向上させることもできる。当該第1固定部材4と第2固定部材5は、内部膨張および外部圧力の方式によって直接押圧され、及び/又は溶接の方式によって編上げホース及びコルゲートパイプと直接固定接続されてもよい。
【0028】
さらに、ここで強調する必要があるのは、上記実施例では、当該編上げホース3が一体構造であり、中央に設けられた第2固定部材によってコルゲートパイプに固定され、複数のセクションを形成する。当該編上げホース自体が順に配置されたセクション化構造であり、各セクションの両端がいずれも固定部材を介して内側のコルゲートパイプ2に固定接続されてもよい。その時、固定部材は、コルゲートパイプ2の端部に位置する第1固定部材と、コルゲートパイプ2の中央に位置する第2固定部材とを含む。もちろん、他の固定構造を採用してもよい。また、当業者であれば、前記固定部材が内部膨張および外部圧力の方式及び/又は溶接の方式によって前記コルゲートパイプ2と編上げホース3を固定することも理解することができる。この実施例では、編上げホースがより短い長さの複数のセクションになり、各セクションの端部とコルゲートパイプがいずれも固定接続されているため、編上げホース3とコルゲートパイプ2との間の隙間が制御され、当該編上げホース3とコルゲートパイプ2とが軸方向に完全に密着する。
【0029】
図3に示すように、本発明の第2実施例による排気管のフレキシブルジョイント構造の模式図である。この実施例では、編上げホースはコルゲートパイプ2にマッチングし、当該コルゲートパイプ2は平坦セクションと波形セクションを有し、編上げホース3はコルゲートパイプ2の外側に設けられ、3つのセクションに分割され、波形セクションの外側の編上げホースの長さは60mm〜120mmであり、平坦セクションの外側の編上げホースの長さは10mm〜150mmである。さらに、当該編上げホース3も一体構造であり、編上げホース3の両端は第1固定部材4を介して内側のコルゲートパイプ2及び内管に固定され、第2固定部材5は編上げホース3の中間部に固定され、かつ、平坦セクションの波形セクションとの接続部近傍に固定されて、編上げホース3を3つのセクションに分割する。
【0030】
当該第1固定部材と第2固定部材の構造は、第1実施例のものと類似であり、同じであっても異なってもよく、クランプ構造又はパッケージスリーブ構造であってもよく、その他の構造であってもよい。
【0031】
図4に示すように、本発明の第3実施例による排気管のフレキシブルジョイントの構造模式図である。この実施例では、編上げホース3は3つのセクションに分割され、第1実施例と同様に、編上げホース3の両端は第1固定部材4を介して内側のコルゲートパイプ2及び内管1に固定され、編上げホース3の中間部は第2固定部材5を介して内側のコルゲートパイプ2及び内管1に固定接続される。
【0032】
当該第1固定部材と第2固定部材の構造は、第1実施例のものと類似であり、同じであっても異なってもよく、クランプ構造又はパッケージスリーブ構造であってもよく、その他の構造であってもよい。
【0033】
上記排気管のフレキシブルジョイント構造は、その編上げホース3がいずれも複数のセクションに分割され、各セクションの長さが200mm以下であり、各セクションの両端がいずれも固定部材を介して内側のコルゲートパイプ2及び内管1に固定され、編上げホース3のストレスを大幅に低減する。このように、当該フレキシブルジョイント全体の長さが比較的長い場合、半径方向の揺れや軸回りの回転の力に遭遇しても、編上げホースと内側のコルゲートパイプとの間の隙間はあまり変化せず、編上げホースとコルゲートパイプとの間を常に密着させることができ、さらにコルゲートパイプの受力を分担することができるので、コルゲートパイプも破損しにくくなり、使用寿命を延ばし、排気管のNVH特性も改善する。
【0034】
図5及び
図6に示すように、本発明の第4実施例による排気管のフレキシブルジョイントの構造模式図である。この実施例では、第2固定部材5’の構造以外の他の構造は第1実施例と同様である。当該第2固定部材5’は、環状クランプ構造であり、少なくとも2枚の弧状の接続片51をスプライスして形成され、各接続片51の両端には外向きに突出する固定片52が設けられ、隣接する接続片51間の固定片52は互いに近接しており、締め具によって固定接続されるか、又は溶接によって固定接続される。
【0035】
当業者であれば、当該第1固定部材4及び第2固定部材5’の構造は同じであっても異なってもよく、いずれも上記実施例における第1固定部材4の構造であってもよく、いずれも上記実施例における第2固定部材5’の構造であってもよい。
【0036】
図7に示すのは、本発明の第5実施例による排気管のフレキシブルジョイントの構造模式図である。この実施例では、第2固定部材5’の構造以外の他の構造は第2実施例と同様である。当該第2固定部材5’の構造は第4実施例におけるものと同様である。同様に、この実施例では、編上げホース3は、両端のコルゲートパイプ2の波形セクションの外側に位置する各セクションと、中央のコルゲートパイプ2の平坦セクションの外側に位置するセクションとの3つのセクションを含む。
【0037】
図8に示すのは、本発明の第6実施例による排気管のフレキシブルジョイントの構造模式図である。この実施例では、第2固定部材5’の構造以外の他の構造は第3実施例と同様である。当該第2固定部材5’の構造は第4及び第5実施例におけるものと同様である。
【0038】
図9及び
図10に示すのは、本発明の第7実施例による排気管のフレキシブルジョイントの構造模式図である。この実施例では、内管1、コルゲートパイプ2及び編上げホース3の構造は第1実施例におけるものと同様であり、異なるのは第2固定部材5”の構造である。当該第2固定部材5”は一体の環状クランプ構造であり、その両端には外向きに突出する固定片52”がそれぞれ設けられ、両端の固定片52”は締め具又は溶接によって互いに固定接続され、第2固定部材5”によって編上げホース3をコルゲートパイプ2の外側に固定させ、編上げホース3が2つのセクションに分けてコルゲートパイプ2の外側に固定するようにする。
【0039】
図11に示すように、本発明の第8実施例による排気管のフレキシブルジョイントの構造模式図である。この実施例では、内管1、コルゲートパイプ2及び編上げホース3の構造は第2実施例におけるものと同様であり、異なるのは第2固定部材5”の構造である。当該構造は第7実施例における第2固定部材5”の構造と同じである。
【0040】
図12に示すように、本発明の第9実施例による排気管のフレキシブルジョイントの構造模式図である。この実施例では、内管1、コルゲートパイプ2及び編上げホース3の構造は第3実施例におけるものと同様であり、異なるのは第2固定部材5”の構造である。当該構造は第7実施例における第2固定部材5”の構造と同じである。
【0041】
従って、ここで、排気管のフレキシブルジョイントの構造は、編上げホース3が少なくとも2つのセクションを含み、各セクションの長さは200mm以下であり、さらに各セクションの編上げホースの両端はいずれも固定部材によって内側のコルゲートパイプ2に固定接続される。固定部材は、同じであっても異なってもよく、上記実施例における複数の構造を採用することができ、他の固定構造を採用してもよい。
【0042】
なお、編上げホース3は上記実施例のように全体が一体構造で、両端が第1固定部材を介して内側のコルゲートパイプに固定され、そして、中央が第2固定部材の配置によって編上げホースの複数のセクションになってもよい。また、当該編上げホース3自体が分解体の複数のセクション構造であり、各セクションの端部がいずれも固定部材を介して内側のコルゲートパイプに固定接続されてもよい。当業者は、本出願の実施例に開示されたことに基づいて選択することができる。
【0043】
上記実施例に係る締め具は、ねじ、ボルト又はその他の互いに協働するねじナット等の構造であってもよく、他の固定ピン等の構造であってもよく、直接に溶接固定される構造であってもよい。両者を密着固定すればよい。
【0044】
編上げホースは、通常、複数筋の金属線を互いに交差して織り込んでなり、編上げホースのワイヤ線は伸縮性がないため、各筋の線の局所的な移動が制限され、特に長さの引張方向と左右方向の移動がいずれも制限されるため、コルゲートパイプの広範囲内の変形を制限して、コルゲートパイプの寿命を延ばすことができる。また、両端にいずれもエンドキャップが設けられているので、編上げホースをコルゲートパイプの平坦セクションに押し付け、このような径方向の押圧力は織組構造を介して編上げホースをコルゲートパイプの表面に押圧させ、コルゲートパイプの衝撃吸収効果を向上する。ただし、フレキシブルジョイント自体の長さが長い場合、このような制限効果が悪くなり、押圧力が小さくなる。
【0045】
フレキシブルジョイント自体の長さが比較的長い場合、フレキシブルジョイントが軸方向の圧縮力と半径方向の力を受けると、コルゲートパイプと編上げホースとの間の隙間が大きくなり、フレキシブルジョイントが長いほど、編上げホースとコルゲートパイプとの間の隙間が大きくなり、編上げホースの衝撃吸収能力が大幅に低下する。
【0046】
また、フレキシブルジョイントが軸方向のトルクを受けると、コルゲートパイプが受けるストレスが著しく増大し、疲労破損が非常に発生しやくなり、編上げホース構造を使用すると、同様に各筋の線の移動が制限されるため、トルクが編上げホースに伝達され、コルゲートパイプのストレスを低下し、コルゲートパイプの寿命を延ばす。ただし、コルゲートパイプの長さが長くなると、この効果は同様に明らかに弱くなる。
【0047】
従って、本発明の排気管のフレキシブルジョイント構造において、編上げホースが短い複数のセクションとなり、各セクションの編上げホースの端部がいずれもコルゲートパイプに固定的に押圧されるので、編上げホースは内側のコルゲートパイプによりよく密着することができ、衝撃吸収効果がより向上し、車両全体のNVH効果が改善される。さらに重要なのは、各セクションの編上げホースの端部がいずれもコルゲートパイプに剛性的に固定押圧され、編上げホースのワイヤ線は伸縮性がないため、内部のコルゲートパイプの軸方向、半径方向、ねじれ自由度上の動きを対応する端部で拘束することができる。このように、横型前輪駆動自動車では、排気システムの前列が大きく揺れると、密着した編上げホースは内部のコルゲートパイプの中央の平坦セクションを回動させると同時に、波形部の剪断変形を曲げ変形に変換することができ、縦型後輪駆動自動車では、排気システムの前列が回動すると、当該編上げホースはトルクの一部を良好に分担することができるため、いずれも内部のコルゲートパイプのストレスを大幅に低減し、使用寿命を延ばすことができる。また、ストレスが低減されるため、より短い、又は外径がより小さいフレキシブルジョイントを同じ条件下で配置できるため、配置スペースが狭く、周辺部品と干渉するというエンジニアリング上の難題を克服することができる。同時に、高温に耐える貴重な材料の使用量を減らすことで、コストを削減することもできる。
【0048】
以上は、本出願の実施例に過ぎず、本出願を制限するためのものではない。当業者にとって、本出願には様々な修正や変化を加えることができる。本出願の精神及び原理の範囲内で行われる全ての修正、同等置換、改良等は、いずれも本出願の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】