特表2021-532532(P2021-532532A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-532532(P2021-532532A)
(43)【公表日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】X線管診断システム
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/10 20060101AFI20211029BHJP
   H05G 1/66 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
   H01J35/10 Z
   H05G1/66
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-568430(P2020-568430)
(86)(22)【出願日】2019年6月28日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月3日
(86)【国際出願番号】US2019039891
(87)【国際公開番号】WO2020006456
(87)【国際公開日】20200102
(31)【優先権主張番号】16/024,841
(32)【優先日】2018年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リッチモンド、ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーシュプ、ゲイリー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、ダン
【テーマコード(参考)】
4C092
【Fターム(参考)】
4C092AA01
4C092AB20
4C092BD07
4C092CC15
4C092CF35
4C092DD26
4C092EE12
(57)【要約】
いくつかの実施形態は、真空を囲むように構成された外囲器と、外囲器内に配置された陰極と、陰極から電子ビームを受け取るように構成された外囲器内に配置された陽極と、外囲器内に配置され、駆動入力に応答して陽極を回転させるように構成されたモータと、駆動入力に電気的に接続され、駆動入力の電圧と駆動入力の電流とに基づいて位相信号を生成するように構成された回路であって、位相信号が、駆動入力の電圧と駆動入力の電流との位相差を示す、回路とを備えるシステムを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空を囲むように構成された外囲器と、
前記外囲器内に配置された陰極と、
前記陰極から電子ビームを受け取るように構成された前記外囲器内に配置された陽極と、
前記外囲器内に配置され、駆動入力に応答して前記陽極を回転させるように構成されたモータと、
前記駆動入力に電気的に接続され、前記駆動入力の電圧と前記駆動入力の電流とに基づいて位相信号を生成するように構成された回路であって、前記位相信号が、前記駆動入力の前記電圧と前記駆動入力の前記電流との位相差を示す、回路と
を備える、システム。
【請求項2】
前記駆動入力は、第1の電圧、第2の電圧、及び第3の電圧を含む三相入力であり、それぞれが他の電圧からの位相差を有し、
前記回路は、前記第1の電圧と前記第2の電圧との比較に基づいて第1のパルスを生成するように構成された第1の比較器をさらに備え、
前記回路は、前記第1のパルスに基づいて前記位相信号を生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回路は、さらに、
前記第1の電圧に関連する電流に基づいて第2のパルスを生成するように構成された第2の比較器と、
前記第1のパルス及び前記第2のパルスに応答して前記位相信号を生成するように構成された論理回路と
を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記駆動入力は単相入力であり、
前記駆動入力の前記電圧は前記単相入力の電圧であり、
前記駆動入力の前記電流は前記単相入力の電流である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記位相信号を受け取り、前記位相信号に応答して、前記モータの状態の表示を生成するように構成された診断回路をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記外囲器を含む回転可能ガントリと、
前記回転可能ガントリの加速度を測定するように構成された加速度計と
をさらに備え、
前記診断回路は、前記回転可能ガントリの前記加速度に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記診断回路は、
前記位相信号を、前記位相信号の前の状態に基づく範囲と比較することと、
前記比較に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成することと
を行うように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記範囲は、前記モータの回転周波数と、前記回転可能ガントリの遠心加速度との少なくとも一方に基づいている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記診断回路は、さらに、
始動から前記位相信号の定常状態までの時間を測定することと、
始動から前記位相信号の定常状態までの前記時間に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成することと
を行うように構成されている、請求項5から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記診断回路は、さらに、
始動から定常状態までの前記位相信号の変化率を測定することと、
始動から定常状態までの前記位相信号の前記変化率に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成することと
を行うように構成されている、請求項5から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
真空を囲むように構成された外囲器と、
前記外囲器内に配置された陰極と、
前記陰極から電子ビームを受け取るように構成された前記外囲器内に配置された陽極と、
前記外囲器内に配置され、回転して駆動入力を受け取るように構成されたモータと、
前記モータからの信号を受け取るように構成されているセンサと、
前記センサに電気的に接続され、前記モータから受け取られた前記信号に応答して、前記モータの状態の表示を生成するように構成された回路と
を備える、システム。
【請求項12】
前記回路は、
前記モータに供給される電力が非アクティブ化されてから、前記モータからの前記信号が閾値を超えるまでの時間を測定することと、
前記時間に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成することと
を行うように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記センサは音響センサであり、
前記モータから受け取られる前記信号は、前記音響センサによって感知される音響信号である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記センサは電圧センサであり、
前記モータから受け取られる前記信号は、前記電圧センサによって感知される電圧である、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記センサは、前記陰極に結合された電流センサであり、
前記モータから受け取られる前記信号は、前記電流センサによって感知される電流である、請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記回路は、
前記モータに電力が供給されてから、前記モータからの前記信号が定常状態に達するまでの時間を測定することと、
前記時間に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成することと
を行うように構成されている、請求項11から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記モータからの前記信号は、前記モータを駆動する電圧と前記電圧に関連する電流との間の位相シフトである、請求項11から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記回路は、
前記モータに電力が供給されてから、前記モータからの前記信号が定常状態に達するまでの、前記モータからの前記信号の変化率を測定することと、
前記変化率に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成することと
を行うように構成されている、請求項11から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
真空を囲むX線管の外囲器の中でモータを動作させるための手段と、
動作時に前記モータを駆動する電圧と電流との間の位相シフトを測定するための手段と、
前記位相シフトに応答して、前記モータの状態の表示を生成するための手段と
を備える、システム。
【請求項20】
前記X線管の動作条件を新たな動作条件に変更するための手段と、
前記新たな動作条件に応答して、前記モータの前記状態の前記表示を生成するための手段と
をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、X線管、X線管を含むシステム、ならびにそのような管及びシステムの診断技法に関する。
【0002】
X線管は様々な用途で使われている。X線管によっては、回転陽極などの回転構造を有するものがある。この陽極は、X線管の真空外囲器内に収容されたモータによって回転する。時間の経過とともに、モータは、故障する可能性があり、したがってX線管の故障を招く原因となり得る。X線管が故障した場合には、X線管を交換することができる。しかしながら、故障の警告が表示されない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1A】いくつかの実施形態によるシステムのブロック図である。
図1B】いくつかの実施形態によるシステムのブロック図である。
図2A】いくつかの実施形態による三相電力を備えたシステムのブロック図である。
図2B】いくつかの実施形態による図2Aのセンサ及び位相検出器の例のブロック図である。
図2C図2Bの回路における電圧、電流、及び論理信号の例を説明するチャートである。
図3A】いくつかの実施形態によるX線管の診断に用いられる信号の例を説明するチャートである。
図3B】いくつかの実施形態によるX線管の診断に用いられる信号の例を説明するチャートである。
図3C】いくつかの実施形態によるX線管の診断に用いられる信号の例を説明するチャートである。
図4】いくつかの実施形態による単相電力を備えたシステムのブロック図である。
図5A】いくつかの実施形態による様々なモータセンサを備えたシステムの例である。
図5B】いくつかの実施形態による様々なモータセンサを備えたシステムの例である。
図5C】いくつかの実施形態による様々なモータセンサを備えたシステムの例である。
図6】いくつかの実施形態によるX線管の診断に用いられる信号の例を説明するチャートである。
図7】いくつかの実施形態によるセンサの種類の組み合わせを備えたシステムのブロック図である。
図8】いくつかの実施形態による始動診断手順を説明するフローチャートである。
図9】いくつかの実施形態による停止診断手順を説明するフローチャートである。
図10】いくつかの実施形態による動作診断手順を説明するフローチャートである。
図11】いくつかの実施形態によるコンピュータ断層撮影(CT)ガントリのブロック図である。
図12】いくつかの実施形態による2次元X線画像化システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
X線管の故障は、X線管が交換されるのを待つ間、手順の中断及び/または望ましくない停止時間をもたらし得る。例えば、システムインテグレータが、電球に似たX線管を処理する場合があり、すなわち、X線管が故障した場合には、それは交換される。故障から交換までの時間は、特にX線管の予期せぬ故障が発生した場合、望ましくない中断及び/または停止時間につながり得る。だが、本明細書に記載されているように、X線管を監視してX線管の故障を予測することにより、中断及び/または望ましくない停止時間を削減し、または排除することができる。以下でさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、X線管内のモータの様々なパラメータを、直接的または間接的に監視して、X線管の故障を予測するのに用いることができる。この警告により、X線管を含むシステムが未使用である時間帯などで、X線管の交換を計画的に行うことが可能になり得る。その結果、X線システムの稼働時間は増加する可能性がある。
【0005】
図1A図1Bは、いくつかの実施形態によるシステムのブロック図である。図1Aを参照すると、いくつかの実施形態では、システム100aは、真空を囲むように構成された外囲器101を含む。この外囲器101は、X線管103の収納容器であり得る。外囲器101内には、陰極102、回転可能陽極106、及びモータ110が配置されている。
【0006】
陰極102は、電子のビーム104を生成するように構成されている。ビーム104を生成、形成、及び/または案内するために、他の構造、回路構成、またはこれらに類するものが存在してもよい。例えば、電子の所望のビーム104を生成するために、ビームの集束及び位置調整用の磁気機器が、陰極102に対して外囲器101内に配置され得る。簡単のために、そのような構成要素は図示しない。
【0007】
ビーム104は、陽極106に向けられている。陽極106は、モータ110によって回転するように構成された回転可能陽極106である。回転可能陽極106は、ビーム104を受け取り、それに応答してX線108を生成するように構成されている。
【0008】
モータ110は、外囲器101内に配置されている。モータ110は、モータ駆動装置118から駆動入力116を受け取るように構成されている。駆動入力116は、モータ110を駆動するために使用される電源入力である。いくつかの実施形態では、モータ110は誘導モータである。しかし、他の実施形態では、他種のモータが使用され得る。
【0009】
システム100aはまた、診断回路114を含む。診断回路114は、システム100aに関連する感知された電圧、電流、加速度、回転速度、またはこれらに類するものなど、1つ以上の感知信号112の入力を含む回路である。
【0010】
診断回路114は、少なくとも一部分または全体が外囲器101の外側に配置され得る。診断回路114は、モータ110の駆動入力116に電気的に接続されている。ここで、診断回路114は、駆動入力116から感知信号112を受け取るように構成されている。診断回路114は、モータ駆動装置118をモータ110に接続するケーブル、外囲器101の壁にあるモータ110の端子、モータ駆動装置118、またはこれらに類するものに電気的に接続され得る。
【0011】
診断回路114は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス、ディスクリート回路、そのようなデバイスの組み合わせ、またはこれらに類するものを含み得る。診断回路114は、独立した回路であってもよく、またはシステム100aの他の制御システムと部分的もしくは全体的に一体化されていてもよい。例えば、診断回路114は、X線管コントローラ、システムコントローラ、またはこれらに類するものの一部であってもよい。診断回路114は、状態情報を提供すること、交換が推奨されることをユーザに通知すること、またはこれらに類することのために、診断回路114の出力をユーザまたは他の機構に提供する通信モジュール(図示せず)に結合され得る。通信モジュールは、X線管コントローラ、システムコントローラ、またはこれらに類するものの一部であってもよい。診断回路114はまた、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、またはこれらに類するものなどのメモリを含む場合もある。診断回路114は、設定情報、履歴測定結果、診断情報、またはこれらに類するものをメモリに格納するように構成され得る。診断回路114はまた、タイマ、比較器、またはこれらに類するものを含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、診断回路114は、電圧、電流、音、振動、またはこれらに類するものを感知するように構成されたセンサを含む。他の実施形態では、診断回路114は、そのようなセンサに結合される。他の実施形態では、そのようなセンサは、診断回路114と他の回路との間に分散される。様々な実施形態が、センサを診断回路114とは別個にして、以下に説明される。しかしながら、他の実施形態では、センサが上記のように分散していてもよい。
【0013】
以下でさらに詳細に説明するように、診断回路114は、駆動入力116の電圧と駆動入力116の電流とに基づいて、位相信号を受け取るように、または位相信号を生成するように構成され得る。この位相信号は、駆動入力116の電圧と駆動入力116の電流との位相差を示す。誘導モータでは、位相信号は、モータ110の負荷または負荷の変化を示すものであり得る。
【0014】
図1Bを参照すると、システム100bは、システム100aと類似しており、同様の構成要素を含み得る。モータ110は、回転子110a、固定子110b、及び軸受け110cを含み得る。回転子110aは、回転子110aが回転すると回転可能陽極106が回転するように、回転可能陽極106に結合され得る。回転子110aは、軸受け110cを介して固定子110bに回転可能に結合されている。これらの軸受け110cは、摩耗し、最終的にシステム100bの故障を引き起こす可能性があるモータ110の一部分の一例である。
【0015】
いくつかのモータ110では、固定子110bと回転子110aとは、誘導モータなどにおいて、誘導的に結合されている。その結果、固定子110bの巻線に流れる駆動電流と、その電流を駆動する駆動電圧との間に位相差が生じる。特に、固定子110bの駆動電圧と電流との位相差は、軸受けの摩耗が原因で変化する可能性がある。固定子110bの抵抗は、実数成分及び虚数成分を有する。実数成分は、主に固定子110b巻線の抵抗である。虚数成分は、回転子110aへの誘導結合によるものである。誘導抵抗は、固定子110bに供給される電力の周波数と、回転子110aの回転周波数とに関係し得る。
【0016】
モータ110により、回転可能陽極106は、様々な異なる速度で回転することができる。例えば、モータ110により、回転可能陽極106は、1Hz〜200Hzの周波数で回転し得る。別の例では、この周波数は50Hz〜180Hzである場合がある。この回転は、回転可能陽極106によって受け取られるビーム104の瞬時のパワーを、より大きな有効面積に分散させることができる。ビーム104のパワーを分散させる効果を得るために、モータ110及び回転可能陽極106が連続的に回転しているので、モータ110、特に軸受け110cの故障により、モータ110を含むX線管103が故障する可能性がある。
【0017】
軸受け110cの動作の変化を測定して識別することを、軸受け110c、したがってモータ110及びX線管103の寿命末期を予測するために使用することができる。固定動作条件での、モータ110の駆動入力116の電流と電圧との相対位相の変化は、軸受け110cの状態の変化を示し得る。この変化には、摩擦を増加させる摩耗の増加が含まれ得る。相対位相の大きさは、増加した摩擦に打ち勝つように摩耗が増加するにつれて増加し得る。
【0018】
X線管103内の軸受けを他の環境と比較した場合、その軸受け故障を予測することは、より困難であり、または不可能であり得る。X線管103の動作環境内には、センサを組み込むことは困難であり、または不可能であり得る。例えば、X線管103内の電圧は、数十キロボルト(kV)から数百キロボルト(kV)以上のオーダであり得る。X線管103は、陰極102、ヒータ、またはこれらに類するものからの熱などの高熱にさらされ得る。さらに、モータ110の可動部分は、冷却目的のために非導電性または高抵抗性のオイルによって囲まれ得る。X線管103は、高磁場を受けることがあり得る。X線管103は、金属製であり、光学的または磁気的な技法による外部からの内部構造の感知を阻止し得る。さらに、X線管103内の高電場は、モータ110の特性を感知するために回転構造が使用された場合、アーク放電の問題を生じさせ得る。モータが高真空、高熱、高電圧、磁場、またはこれらに類するものを受けない状況では、モータ110に、回転子110aの上死点を判定することができるセンサまたはその他のセンサを取り付けてもよい。
【0019】
本明細書に記載されたシステムを使用することにより、過酷さを抑えた環境にセンサを配置することができる。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたシステムを従来のX線管に結合してもよく、情報を取得することができ、関連する予測を生成することができる。すなわち、本明細書に記載されたシステムの利点を現実化するために、X線管103への変更、特に、X線管103の内部構成要素及び内部構造への変更が不要となり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、診断回路114は、モータ110への負荷を増加させるあらゆる故障を感知するように構成される。駆動電流と電圧との間の位相シフトの変化は、何かがモータ110の負荷の増加を引き起こしたことを示し得る。以下でさらに詳細に説明するように、位相は、特定の動作条件のセットに対して較正された値または範囲と比較されてもよい。いくつかの実施形態では、通常動作時に異なる値または範囲をもたらす可能性がある動作条件の各セットに、値または範囲が設けられてもよい。特定の例では、陽極106の周波数とガントリの遠心加速度との各組み合わせに対して、位相の値または範囲が設定されてもよい。位相が特定の値から変化するか、または特定の範囲を超える場合に、その変化は、軸受け110cの過度の摩耗など、故障を示し得る。
【0021】
図2Aは、いくつかの実施形態による三相電力を備えたシステムのブロック図である。モータは、デルタ(Δ)またはワイ字形(Yまたはスター)の構成に構成され得る。図2Bは、いくつかの実施形態による図2Aのセンサ及び位相検出器の例のブロック図である。図2A図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、システム200は、図1Aまたは図1Bのシステム100aまたはシステム100bに類似するものであり得る。ただし、モータ駆動装置118は三相モータ駆動装置218である。三相モータ駆動装置218は、それぞれ約120度ずつ位相シフトされた3つの正弦波駆動電圧216−1〜216−3を有する駆動入力216を生成するように構成された回路である。モータ110は、そのような三相電圧を使用して動作するように構成された三相モータである。
【0022】
電圧及び電流(V/I)センサ220は、駆動入力216の1つ以上の電圧及び1つ以上の電流を感知するように構成される。図2Bの具体的な例は、1つの電流センサ220−1と、2つの電圧センサ220−2及び220−3とを含む。
【0023】
電流センサ220−1は、電流に基づいて信号を生成し得る任意の様々な回路であり得る。例えば、電流センサ220−1は、ホール効果センサ、抵抗器両端の電圧降下測定値を変換する直列抵抗器及び回路構成、またはこれらに類するものであってもよい。電流センサ220−1は、三相モータ駆動装置218と、駆動電圧216−3が印加されるモータ110との接続部を流れる電流を感知するように構成される。
【0024】
電圧センサ220−2及び220−3は、電圧に基づいて信号を生成し得る任意の様々な回路であり得る。例えば、電圧センサ220−2及び220−3は、タップ抵抗器、変圧器、またはこれらに類するものを含んでもよい。電圧センサ220−2は、駆動電圧216−2の電圧を感知して電圧信号222−2を生成するように構成される。同様に、電圧センサ220−3は、駆動電圧216−3の電圧を感知して電圧信号222−3を生成するように構成される。本明細書に記載されたセンサ220はまた、電流、電圧、またはこれらに類するものを下流の回路構成に適した形態に適切に変換するための他の回路を含んでもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、V/Iセンサ220は、三相モータ駆動装置218とモータ110との間の電力ケーブルの一部分であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、V/Iセンサ220の1つ以上は、他の場所に配置してもよく、及び/または電力ケーブルと他の回路構成との間に分散させてもよい。
【0026】
V/I位相検出器224は、電圧と電流との相対位相を表す位相信号226を生成するように構成された回路である。図2Bの特定の例は、2つの比較器224−1及び224−2を含む。比較器224−1及び224−2は、それぞれ、2つの信号の比較に基づいてデジタル出力を生成するように構成される。比較器224−1は、感知電圧信号222−2を感知電圧信号222−3と比較するように構成される。出力225−1は、どちらが大きいかを示すデジタル信号である。したがって、出力225−1は、正弦波駆動電圧216−2と216−3とが交差したときに切り替わるパルス列である。結果として、出力225−1は、駆動電圧216−3に対して特定の位相関係を有する。
【0027】
比較器224−2は、感知電流信号222−1を閾値224−4と比較するように構成される。いくつかの実施形態では、閾値224−4はグランドである。しかし、他の実施形態では、閾値224−4は異なっていてもよい。比較の結果、出力225−2は、駆動電圧216−3に関連する電流が閾値224−4を横切るときに切り替わるパルス列である。したがって、出力225−2は、駆動電圧216−3に関連する電流との特定の位相関係を有する。
【0028】
出力225−1及び225−2の両方が、ANDゲート224−3で結合される。出力226は、駆動電圧216−3とその関連電流との間の位相シフトを表す幅を有したパルスを伴う位相信号226である。
【0029】
図2Cは、図2Bの回路における電圧、電流、及び論理信号の例を説明するチャートである。駆動電圧216−3に関連する感知電流222−1の例と、2つの駆動電圧216−2及び216−3に対応する感知電圧222−2及び222−3の例とが図示されている。感知駆動電圧222−2と222−3とは、120度だけ位相が外れている。感知電流222−1は、関連する感知駆動電圧222−3から位相シフト227だけ位相が外れている。具体的には、感知電流222−1は、感知駆動電圧222−3に対し位相シフト227だけ遅れている。
【0030】
出力225−1は、感知駆動電圧222−2と感知駆動電圧222−3との交差に合わせて遷移するパルス列である。出力225−2は、感知電流222−1のゼロ交差に合わせて遷移するパルス列である。出力226は、出力225−1と出力225−2との論理積の結果である。結果として生じるパルスの幅は229である。この幅は、相対位相227によって決まる。感知電流222−1の位相遅れが増えるにつれて、すなわち、位相227が増えるにつれて、出力225−2の立ち上がりエッジは、それに対応して遅れが増えるようになる。結果として、出力226のパルスの前縁は、その分だけ遅れが増え、パルス幅229を増大させる。
【0031】
いくつかの実施形態では、出力226のパルスは、感知駆動電圧222−3と感知電流222−1との間にゼロの位相シフトがある場合でも、ゼロ以外の幅229を有するようになる。また一方、他の実施形態では、回路は異なるように構成されてもよい。さらに、信号の特定の極性と2つの特定の電圧216−2及び216−3とが例として使用されてきたが、他の実施形態では、異なる極性と異なる電圧とが使用されてもよい。パルス幅229の絶対値は異なっていてもよいが、相対的変化及び/または絶対値は引き続き検出されてもよい。
【0032】
上記のように、この位相シフト227は、モータ110への負荷を表し得る。位相シフト227は、位相信号226のパルス幅229に符号化されている。診断回路114は、パルス幅229を測定するように構成され得る。したがって、診断回路114は、診断目的で使用し得る駆動入力116の電流及び電圧の相対位相または絶対位相を表す利用可能な値を有する。例えば、診断回路114は、位相信号226のパルスをデジタル化した値に変換するために、マイクロコントローラ、特定の回路構成、ソフトウェア、またはこれらに類するものを含み得る。特定の例では、パルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのそれぞれが、クロック値の読み取りをトリガし得る。これらの2つの対応する値の差は、パルス幅229、したがって位相シフト227を示し得る。
【0033】
診断回路114は、位相信号226をさらに処理し、または蓄積するように構成され得る。例えば、診断回路114は、1秒間隔にわたって位相信号226のパルスの幅の移動平均を出力するように構成されてもよい。別の例では、位相信号226の全てのパルスよりも小さい幅をデジタル化することができる。他の実施形態では、他の処理技法が実行されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、2つの電圧216−2及び216−3が感知されて比較され、それによってノイズが低減される。例えば、電圧216−2と電圧216−3とを比較すると、2つの電圧の相対位相が固定されているので、位相情報が得られる。また一方、両方に存在するコモンモードノイズは低減され、または排除され得る。
【0035】
V/I位相検出器224の特定の例が説明されてきたが、他の実施形態では、他の回路が使用されてもよい。相対位相を示す幅のパルスを生成することができる任意の回路を、V/I位相検出器224として使用してもよい。さらに、出力はパルスの形をとっている必要はない。例えば、出力226は、相対位相を表すアナログ信号またはデジタル信号であってもよい。いくつかの実施形態では、位相信号226のパルスは、アナログ位相信号を生成するために、ローパスフィルタでフィルタリングされてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、V/I位相検出器224は、診断回路114に組み込まれてもよい。例えば、診断回路114は、感知電流222−1と感知電圧222−2及び222−3とのそれぞれをデジタル化するために、アナログデジタル変換器などの数値化回路構成を含んでもよい。診断回路114は、V/I位相検出器224によって実行される動作と同様の動作、またはその他の動作を実行するように構成され得る。さらに、診断回路114は、電圧216の周波数、電圧216の振幅、電圧216のうちの1つ以上の電圧の電流の振幅、またはこれらに類するものなど、利用可能な駆動入力216の他の属性を有してもよい。
【0037】
図3A図3Cは、いくつかの実施形態によるX線管の診断に用いられる信号の例を説明するチャートである。本明細書に記載されたものと同様の技法を使用して、診断回路114は、モータ110の状態の表示を生成するように構成され得る。図3Aは、一連の動作条件に対する位相300の例を示すチャートである。位相300は、上記のように取得され、処理された、デジタル化されたパルス幅229であり得る。例えば、位相300は、ミリ秒(ms)単位のパルス幅229であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、診断回路114は、駆動電圧216と対応電流との間の相対位相シフトを表す位相300を、1つ以上の範囲と比較する。いくつかの実施形態では、本システムは、1つ以上の範囲を判定するように較正され得る。他の実施形態では、位相300の初期定常状態を使用して、1つ以上の範囲を生成し得る。ここで、第1の範囲302は、特定の動作条件が与えられた場合の許容可能な動作範囲を表す。特定の例では、良好な状態のシステムが、ベースライン位相シフトを生成するように動作され得る。その位相シフトを使用して、許容範囲を表す範囲302を生成してもよい。いくつかの実施形態では、範囲302は、本システムが特定の動作条件に対してその範囲302で動作し続ける場合に、本システムが監視対象の構成要素に関して無期限に動作し得る範囲である。
【0039】
範囲304は、予測可能な時間内に故障が発生する可能性がある位相300の動作範囲を表す。測定された位相300が範囲304に入るように変化した場合、診断回路114は、本システムがまもなく故障することを予測することができる。診断回路114は、予測された残存寿命を生成してもよい。例えば、診断回路114は、システムの位相300が範囲304に入った後の残存寿命に関する統計データにアクセスできるようにしてもよい。特定の例では、本システムは、統計データからのゼロ以上の標準偏差によって低減された範囲304に入った時点からの平均故障までの時間を組み合わせてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、位相300は、範囲304を抜け出る場合がある。範囲302及び304の外側は、システムが故障しかかっているか、または既に故障しているという所与の動作条件に対する位相シフトを表し得る。
【0041】
図3Aでは、時間T1及びT2は、位相300がそれぞれ範囲302及び範囲304から外へシフトする時間の例として使用される。例えば、稼働の初めに、位相300は、範囲302内にあり得る。この時点では、システムの残存寿命は予測できない可能性がある。しかしながら、時間T1付近では、モータ軸受けの摩耗の増加など、位相300の変化が範囲302から外れる原因となる何かが変化する。この時点で、本システムの残りの寿命は、有限であり、予測可能であり得る。
【0042】
本システムは、この状態で動作することがある。ただし、ある時点で摩耗が増加して、システムを故障させる可能性がある。時間T2は、位相300が範囲304から外に出るその時点を表す。時間T1と時間T2との差は、所与のシステムに固有であり得る。つまり、その差は予測された残存寿命に関係している可能性があるが、実際の残存寿命は異なる場合がある。
【0043】
時間T1及びT2の相対的な大きさは、図示されているものとは異なる場合がある。例えば、時間T1は、時間T2と時間T1との間の時間と比較して、比較的大きい可能性がある。ここでの時間は、説明のためだけに使用される。
【0044】
いくつかの実施形態では、位相300は、誤検出を除去するために、診断回路によってフィルタリングされるか、または別の方法で処理され得る。例えば、位相300の予想される過渡変化が位相300を範囲302または範囲304の外に移動させる可能性がある場合、そのような過渡の影響を無視しまたは低減するために、位相300は診断回路114によってフィルタリングされてもよい。
【0045】
上記のように、位相シフト300は、特定の動作条件に左右され得る。動作条件の例として、陽極106の回転周波数とガントリの求心加速度とを使用する場合、診断回路114は、回転周波数とガントリ求心加速度との各組み合わせに特有の範囲302及び304を含み得る。他の実施形態では、所与の動作条件のセットに対して範囲302及び304を生成するために、方程式が使用されてもよい。他の実施形態では、範囲302及び304は、有限の動作条件のセットに対して範囲302と範囲304との間を補間することに基づいてもよい。範囲302及び304は、他の方法で生成されてもよい。さらに、2つの範囲302及び304が例として使用されているが、他の実施形態では、1つの範囲または3つ以上の範囲が使用されてもよい。
【0046】
陽極回転周波数及びガントリ求心加速度は、通常動作で位相シフト300に影響を及ぼし得る動作条件の例として使用されてきたが、他の実施形態では、これらの例の1つ以上に加えて、またはこれらの代わりに、他の条件を使用してもよい。例えば、ガントリ回転速度、モータ110の駆動周波数、モータ110の駆動電圧、またはその他の動作条件が、範囲302及び304、または類似した範囲に影響を与える動作条件として使用されてもよい。
【0047】
図3Bは、始動からの位相の変化を用いた診断技法を説明するチャートである。2つの例示的な位相300a及び300bが図示されている。位相300aは、正常に動作しているシステムから測定された位相の例である。位相300bは、有限の予測された寿命が残っているシステム、故障しかかっているシステム、または故障しているシステムから測定された位相の例である。
【0048】
特に、位相300aは、始動から時間T3までに定常状態に到達し、300a−1で位相300aの特定の最大変化率を有する。同様に、位相300bは、始動から、時間T3よりも長い時間T4までに、定常状態に到達する。さらに、位相300bは、変化率300a−1よりも小さい最大変化率300b−1を有する。
【0049】
定常状態は、様々な方法で定義され得る。例えば、定常状態とは、ある測定値から、閾値を下回る次の値への絶対的変化のことであり得る。別の例では、定常状態とは、始動からの変化の割合など、閾値未満の相対的変化のことであり得る。別の例では、閾値を下回る経時変化の量が、定常状態を示し得る。別の例では、経時的な測定信号の微分係数の大きさや、または測定信号と閾値を下回る予想信号との間の差の微分係数の大きさが、定常状態を示し得る。
【0050】
定常状態までの時間と位相の変化率との一方または両方を、上記の位相の定常状態値と同様に、またはそれに加えて使用してもよい。例えば、診断回路114は、閾値時間Tth1及びTth2を含み得る。閾値時間Tth1は、正常に動作しているシステムと、故障が発生する可能性がある、または故障が進行中であるシステムとの間の境界を定義する。閾値時間Tth2は、所与の残存寿命のうちに故障が発生する可能性のあるシステムと、故障が進行中である、または故障が発生したシステムとの間の境界を定義し得る。したがって、所与の動作条件のセットに関しては、位相の異なる態様が軸受けの状態の別の指標となり得る。
【0051】
図2Bを再び参照すると、いくつかの実施形態では、診断回路114は、感知電流値222−1を受け取るように構成され得る。破線は任意選択の接続を表す。上記のように、診断回路114は、感知電流222−1をデジタル化するように構成され得る。図3Cは、始動からの電流の変化を用いた診断技法を説明するチャートである。図3Bに関して上に述べた定常状態までの時間及び位相の変化率と同様に、定常状態になるまでの時間と電流の変化率は、モータ及び/またはシステムの状態の指標として使用することができる。例えば、電流315aは、最大変化率315a−1を有して、始動から定常状態までモータ110を駆動する電流を表す。定常状態になるまでの時間は時間T5である。同様に、電流315bは、最大変化率315b−1を有して、時間T6までに始動から定常状態までモータ110を駆動する電流を表す。電流315aは、正常に動作しているシステムを表す。電流315bは、故障する可能性が高い、または故障の過程にあるシステムの電流を表す。図3Bと同様に、閾値時間Tth3を使用して、正常に動作しているシステムと故障する可能性のあるシステムとを区別することができる。別の閾値時間Tth4を使用して、残りの寿命が限られ、予測可能であるシステムと、故障しかかっているか、または故障が発生したシステムとを区別することもできる。ここで、時間T5は、閾値時間Tth3よりも小さく、関連システムが正常に動作していることを示す。時間T6が閾値時間Tth3より大きく、閾値時間Tth4より小さいことは、システムの残りの寿命が限られ、予測可能である可能性があることを示す。
【0052】
図3A図3Cでは、位相または電流の変化は、時間とともに特定の方向に変化するものとして説明されているが、他の実施形態では、変化は反対の方向であってもよい。また、動作条件に基づいて、変化の方向が変わる場合もある。
【0053】
図4は、いくつかの実施形態による単相電力を備えたシステムのブロック図である。システム400は、図2Aのシステム200と類似しており、類似した対応する構成要素を有し得る。ただし、システム400は、単相モータ駆動装置418を含む。単相モータ駆動装置418は、単相駆動入力416を生成するように構成されている。V/Iセンサ420は、感知信号422としての感知電流及び感知電圧を生成するように構成されている。V/I位相検出器424は、感知された電流信号及び電圧信号422の位相を比較して、位相信号426を生成するように構成されている。図2Bの回路と同様の回路を、V/I位相検出器424として使用してもよい。ただし、感知電圧222−3は、感知電圧222−3のゼロ交差に合わせて遷移する信号を生成するために、グランドまたは別の固定電圧と比較され得る。その信号は、出力225−2と論理積されて、信号位相駆動入力416の電圧及び電流の相対位相によって決まる幅を有した位相信号426を生成し得る。他の実施形態では、位相信号426を生成するために異なる回路を使用してもよく、位相信号426は、位相情報を有するパルス幅を符号化する以外の形態をとってもよい。
【0054】
図5A図5Cは、いくつかの実施形態による様々なモータセンサを備えたシステムの例である。これらの例は、上記の相対位相に類似した方法で使用され得る様々なセンサを説明する。これらのシステムでは、センサは、管103の外囲器101の外側に配置され、モータ110から信号を受け取るように構成される。以下でさらに詳細に説明するように、モータ110からの信号は、様々な形態をとり得る。いずれにしても、信号は、回転速度などのモータ110の状態を示し得るので、モータ110の停止から、信号が閾値を超えるか、または定常状態に達するまでの時間を、診断情報として使用することができる。
【0055】
図5Aを参照すると、システム500aは、上記のシステム100a、100b、200、及び400に類似するものであり得る。V/Iセンサ(複数可)520aはまた、対応するV/Iセンサ220及び420と同様のものであってもよい。しかしながら、V/Iセンサ(複数可)520aは、電流または電圧センサのいずれかであってもよい1つ以上のセンサを含み得る。例えば、V/Iセンサ(複数可)520は、いくつかの実施形態では電流センサのみを含み、他の実施形態では電圧センサのみを含み、さらに他の実施形態では電流センサと電圧センサとの両方を含んでもよい。
【0056】
V/Iセンサ(複数可)520aからの感知信号(複数可)522aに応答して、診断回路514は、モータ110から受け取る信号に応答してモータ110の状態の表示を生成するように構成され得る。例えば、診断回路114は、残存寿命を予測するように、及び/またはX線管103が故障したかどうかを示すように構成され得る。
【0057】
図5Bを参照すると、システム500bは、図5Aのシステム500aと類似したものであり得る。ただし、システム500bは、モータ110に電気的に接続されていないセンサ520bを含む。例えば、センサ520bは、音響センサ、振動センサ、またはこれらに類するものであってもよい。その結果、センサ520bは、モータ110の回転に基づいて信号522bを生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、センサ520bは、モータ110または回転可能陽極106と無関係の他の構造またはノイズ及び/または振動の発生源から隔離され得る。
【0058】
図5Cを参照すると、いくつかの実施形態では、システム500cは、上記のシステム500bに類似するものであり得る。しかしながら、センサ520cは、モータ110または回転可能陽極106によって間接的に影響を受けるX線管103の別の態様を感知するように構成され得る。例えば、モータ110及び/または回転可能陽極106の回転は、陰極102のフィラメントに電流を誘導し得る。センサ520cは、陰極102からのこの誘導信号を感知するように構成されてもよい。陰極106から感知された誘導信号が例として用いられているが、センサ520cは、X線管103の別の構成要素からの誘導信号を感知するように構成されてもよい。
【0059】
図6は、いくつかの実施形態によるX線管の診断に用いられる信号の例を説明するチャートである。図5A図5Cに関して説明された様々なセンサ520は、診断回路114によって受け取られる対応する信号522を生成し得る。図3B及び図3Cの定常状態までの時間の測定と同様に、定常状態までの時間、ゼロ値、または適切な閾値を使用して、モータ110及び/またはX線管103の状態を示すことができる。いくつかの実施形態では、ガントリが回転を停止した後に、モータ110及び回転可能陽極106はまだ回転していてもよい。なお、モータ110が停止するまでの時間、速度が特定の閾値を下回るまでの時間、または方向が反転するまでの時間は、例えば、軸受けの摩耗の状態など、モータ110の状態を示すものであってもよい。
【0060】
信号626aは、正常に動作しているシステムからの信号522または派生信号を表す。同様に、信号626bは、予測可能で限られた寿命が残っているシステムからの信号522または派生信号を表す。モータ110が適切に動作している場合、モータ110が回転を停止するまでの時間、速度が閾値を超えるまでの時間、騒音または振動のレベルが閾値を超えるまでの時間、またはこれらに類する時間は、閾値時間Tth5よりも長くなり得る。ここで、信号626a及び正常に動作しているモータ110に関連する時間T7は、閾値時間Tth5よりも長い。また一方、信号626bに関連する時間T8は、閾値時間Tth5よりも短い。したがって、信号626bを生成したシステムは、予測可能で限られた寿命が残っている可能性がある。閾値時間Tth6はまた、いくらかの寿命が残っているシステムか、故障しかかった、または故障したシステムかを判別するための閾値の例として説明される。
【0061】
いくつかの実施形態では、測定は、回転するガントリが回転を停止した時点で開始してもよい。この時間は、図6の停止時間に対応する。いくつかの実施形態では、モータ110への電力は、ガントリが回転を停止するまで維持され得る。しかしながら、他の実施形態では、モータ110への電力は、実質的に同時に遮断され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、モータ110への電力は遮断される。しかし、他の実施形態では、モータ110の回転方向を逆にすることを意図した方法で、比較的少量の電力がモータ110に印加され得る。モータ110が停止するまでの時間、または方向を転換するまでの時間が測定され得る。いくつかの実施形態では、モータ110が方向を反転すると、図2Cにおいて上記に説明した電流及び電圧の関係が反転することになる。このことを利用して、モータが停止する時間、または方向を反転する時間を判定してもよい。
【0063】
図7は、いくつかの実施形態によるセンサの種類の組み合わせを備えたシステムのブロック図である。いくつかの実施形態では、システム700は、システム100、200、400、及び500a〜500cと類似したものであり得る。すなわち、システム700は、モータ110に電気的に接続され、様々なセンサ及びその他の回路構成を備えたシステム100、200、400、及び500a〜500cに関して説明したように構成された診断回路714を有し得る。さらに、診断回路714はまた、別のセンサ720に接続されている。このセンサ720は、動作条件センサ720である。例えば、センサ720は、管103またはガントリに取り付けられた加速度計であってもよい。いくつかの実施形態では、センサ720は、半径方向加速度を感知するように構成された単軸加速度計であってもよい。ただし、他の実施形態では、この加速度計は、複数の軸の加速度を感知するように構成されてもよい。他の実施形態では、センサ720は、モータ110に供給される駆動入力の周波数を検出するように構成された周波数検出器であってもよい。他の実施形態では、センサ720は、求心加速度を示す感知信号726を生成するように構成されてもよい。他の実施形態では、複数のそのようなセンサ720が存在し、複数の感知信号726を生成するように構成されてもよい。
【0064】
感知信号726は、モータ110に結合されたセンサからのデータと組み合わされ、モータ110の状態の表示を生成するために、上記のように使用されてもよい。例えば、求心加速度を示す感知信号726と、モータ110の回転周波数を示す感知信号726とは、上記のように位相、電流、またはこれらに類するものと比較するための特定の閾値、値、範囲、またはこれらに類するものを選択するために使用されてもよい。
【0065】
図8は、いくつかの実施形態による始動診断手順を説明するフローチャートである。図8図1Aのシステムとを例として参照すると、800において、モータ110が始動される。例えば、固定振幅の駆動入力116でモータ110を始動させてもよい。800でのモータ始動時に、802ではタイマが開始される。タイマは、診断回路114の回路、レジスタ、ソフトウェア、またはこれらに類するものを含み得る。ループが実行されて、804においてパラメータを測定し、806において、モータ110の電流、位相、回転速度、またはこれらに類するものなどの測定したパラメータが定常状態に達したかどうかを判定する。例えば、診断回路114は、新しい測定パラメータを定期的に取得し、その測定パラメータを過去の測定パラメータと併せて処理して、測定パラメータが定常状態に到達したかどうかを判定してもよい。上記のように、定常状態は様々な方法で定義され得る。
【0066】
測定されたパラメータが定常状態に達すると、808においてタイマが停止される。次に、810では、タイマの値を使用して、状態の表示を生成し得る。例えば、測定したパラメータは、上記のように位相または電流であり得る。定常状態までの時間は、適切な閾値と比較されて、810において状態の指標が生成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、測定されたパラメータは、806において定常状態を待つ間に、経時的に取得され得る。例えば、経時的に測定されたパラメータの値は、診断回路114のメモリに記憶され得る。経時的に測定されたパラメータを分析して、812では、状態の指標を生成するために使用される変化率を生成し得る。状態の表示は、上記の比較と同様に、変化率を閾値と比較することによって生成し得る。この動作は、810の動作とともに、または810の動作とは別の方法で実行してもよい。
【0068】
図9は、いくつかの実施形態による停止診断手順を説明するフローチャートである。図9図1Aのシステムとを例として参照すると、900において、モータ110が停止される。図9のいくつかの動作は、図8の動作と同様であり得る。例えば、902でタイマが開始される。ループが実行されて、904においてパラメータを測定し、906において、それが定常状態にあるかどうかを判定する。上記のように、測定したパラメータは、モータ110に関連する電流、位相、回転速度、振動、音、またはこれらに類するものを含み得る。代替として、または追加として、測定したパラメータは、906において、閾値と比較されてもよい。測定パラメータが定常状態に到達したか、または閾値を超えた場合、908でタイマは停止され、910において、そのタイマの値が使用されて、状態の表示が生成される。したがって、停止時間は、上記のように状態の表示を生成するために使用することができる。
【0069】
図10は、いくつかの実施形態による動作診断手順を説明するフローチャートである。図10図1Aのシステムとを例として参照すると、いくつかの実施形態では、診断手順は、動作中に実行される。1000では、パラメータが測定される。1002において、パラメータは、第1の範囲と比較される。1004では、そのパラメータがその範囲内であれば、本手順は、1000においてパラメータを再度測定することによって続行する。
【0070】
パラメータが1004で第1の範囲内にない場合、可能性のある故障か、または予想される故障が、1006において示される。1008では、パラメータが第2の範囲と比較される。第2の範囲は、システムの残りの寿命が予測可能で限られており、まだ故障していないことを示す範囲であり得る。測定されたパラメータが第2の範囲内であれば、1000において、再度パラメータを測定することによって続行する。測定されたパラメータが第2の範囲外である場合には、1012で故障が表示される。ここでは、動作は継続するが、他の実施形態では、動作が停止してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、範囲を変更することができる。具体的に、1014において動作条件が変更されると、1016において範囲が変更される。したがって、新しい動作条件に基づいて、新しい公称範囲及び予測範囲を反映するように、範囲が更新されることがある。上記のように、範囲は様々な方法で変更され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、上記のように生成された診断情報を使用して、X線管103が故障する前に、保守手順を開始してもよい。特定の例として上記の位相を使用して、始動時、停止時、またはこれらに類する時に、経時的に位相シフトを追跡することによって、X線管103が故障するかどうか、及び/またはいつ故障するかの予測を判定することができる。この情報は、通常動作への影響を減らすために、スケジュールされたダウンタイム中に、X線管103を交換する時間をスケジュールするために使用され得る。
【0073】
さらに、実際の故障の代わりに情報を利用できること、及びデジタル化された形式で利用できることにより、情報を様々な宛先に送信し、様々な目的に使用することができる。例えば、施設の運営者は、この情報を使用して、交換用X線管103を事前注文し、及び/または使用が一時停止している間に交換をスケジュールすることができる。別の例では、販売業者は、1つ以上のそのようなシステムを監視して、配達をスケジュールし、及び/または交換をスケジュールしてもよい。別の例では、統計情報は、現場での及び/またはテストセットアップでの実際の使用状況と、関連する複数のシステムの予測される故障とから収集されてもよい。
【0074】
図11は、いくつかの実施形態によるコンピュータ断層撮影(CT)ガントリのブロック図である。いくつかの実施形態では、CTガントリは、X線源1102、冷却システム1104、制御システム1106、モータ駆動装置1108、検出器1110、AC/DCコンバータ1112、高電圧源1114、及びグリッド電圧源1116を含む。X線源1102は、上記のようにX線管113を含み得る。制御システム1106、モータ駆動装置1108、またはこれらに類するものは、上記の様々なセンサ及び診断回路を含み得る。CTガントリに取り付けられ得る構成要素の例として特定の構成要素が使用されてきたが、他の実施形態では、他の構成要素は異なっていてもよい。本明細書に記載されたセンサ及び診断回路を含むシステムの例として、CTガントリが使用されているが、本明細書に記載されたセンサ及び診断回路は、真空外囲器または回転する内部構造を有する他の過酷な環境を備えた他のタイプのシステムで使用されてもよい。
【0075】
図12は、いくつかの実施形態による2次元X線画像化システムのブロック図である。画像化システム1200は、X線源1202及び検出器1210を含む。X線源1202は、上記のようにX線管103を含み得る。X線源1002に接続された制御システム1030は、上記の様々なセンサ及び診断回路を含み得る。X線源1202は、X線1220が発生して被検体1222を通過し、検出器1210によって検出され得るように、検出器1210に対して配置される。
【0076】
図1A図12を参照すると、いくつかの実施形態は、真空を囲むように構成された外囲器101と、外囲器101内に配置された陰極102と、陰極102から電子ビームを受け取るように構成された外囲器101内に配置された陽極106と、外囲器101内に配置され、駆動入力116、216、416、516に応答して陽極106を回転させるように構成されたモータ110と、駆動入力116、216、416、516に電気的に接続され、駆動入力116、216、416、516の電圧と駆動入力116、216、416、516の電流とに基づいて位相信号226を生成するように構成された回路であって、位相信号226が、駆動入力116、216、416、516の電圧と駆動入力116、216、416、516の電流との位相差を示す、回路とを備えるシステムを含む。いくつかの実施形態では、回路は、外囲器101の外側に配置されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、駆動入力116、216、416、516は、第1の電圧、第2の電圧、及び第3の電圧を含む三相入力であり、それぞれが他の電圧からの位相差を有し、回路は、第1の電圧と第2の電圧との比較に基づいて第1のパルスを生成するように構成された第1の比較器224−1をさらに備え、回路は、第1のパルスに基づいて位相信号226を生成するように構成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、回路は、さらに、第1の電圧に関連する電流に基づいて第2のパルスを生成するように構成された第2の比較器224−2と、第1のパルス及び第2のパルスに応答して位相信号226を生成するように構成された論理回路224−3とを備える。
【0079】
いくつかの実施形態では、駆動入力116、216、416、516は単相入力であり、駆動入力116、416、516の電圧は単相入力の電圧であり、駆動入力116、416、516の電流は単相入力の電流である。
【0080】
いくつかの実施形態では、本システムは、位相信号226を受け取り、位相信号226に応答して、モータ110の状態の表示を生成するように構成された診断回路114をさらに備える。
【0081】
いくつかの実施形態では、本システムは、外囲器101を含む回転可能ガントリ1000と、回転可能ガントリ1100の加速度を測定するように構成された加速度計とをさらに備え、診断回路114は、回転可能ガントリ1100の加速度に応答して、モータ110の状態の表示を生成するように構成されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、診断回路114は、位相信号226を、位相信号226の前の状態に基づく範囲と比較することと、比較に応答して、モータ110の状態の表示を生成することとを行うように構成されている。
【0083】
いくつかの実施形態では、範囲は、モータ110の回転周波数と、外囲器101を含む回転可能ガントリ1100の遠心加速度との少なくとも一方に基づいている。
【0084】
いくつかの実施形態では、診断回路114は、さらに、始動から位相信号226の定常状態までの時間を測定することと、始動から位相信号226の定常状態までの時間に応答して、モータ110の状態の表示を生成することとを行うように構成されている。
【0085】
いくつかの実施形態では、診断回路114は、さらに、始動から定常状態までの位相信号226の変化率を測定することと、始動から定常状態までの位相信号226の変化率に応答して、モータ110の状態の表示を生成することとを行うように構成されている。
【0086】
真空を囲むように構成された外囲器101と、外囲器101内に配置された陰極102と、陰極102から電子ビームを受け取るように構成された外囲器101内に配置された陽極106と、外囲器101内に配置され、回転して駆動入力116、216、416、516を受け取るように構成されたモータ110と、モータ110からの信号を受け取るように構成されているセンサと、センサに電気的に接続され、モータ110から受け取られた信号に応答して、モータ110の状態の表示を生成するように構成された回路とを備える、システム。いくつかの実施形態では、センサ及び回路は、外囲器101の外側に配置されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、回路は、モータ110に供給される電力が非アクティブ化されてから、モータ110からの信号が閾値を超えるまでの時間を測定することと、時間に応答して、モータ110の状態の表示を生成することとを行うように構成されている。
【0088】
いくつかの実施形態では、センサは音響センサであり、モータ110から受け取られる信号は、音響センサによって感知される音響信号である。
【0089】
いくつかの実施形態では、センサは電圧センサであり、モータ110から受け取られる信号は、電圧センサによって感知される電圧である。
【0090】
いくつかの実施形態では、センサは、陰極102に結合された電流センサであり、モータ110から受け取られる信号は、電流センサによって感知される電流である。
【0091】
いくつかの実施形態では、回路は、モータ110に電力が供給されてから、モータ110からの信号が定常状態に達するまでの時間を測定することと、時間に応答して、モータ110の状態の表示を生成することとを行うように構成されている。
【0092】
いくつかの実施形態では、モータ110からの信号は、モータ110を駆動する電圧と電圧に関連する電流との間の位相シフトである。
【0093】
いくつかの実施形態では、回路は、モータ110に電力が供給されてから、モータ110からの信号が定常状態に達するまでの、モータ110からの信号の変化率を測定することと、変化率に応答して、モータ110の状態の表示を生成することとを行うように構成されている。
【0094】
いくつかの実施形態は、真空を囲むX線管の外囲器101の中でモータ110を動作させることと、動作時にモータ110を駆動する電圧と電流との間の位相シフトを測定することと、位相シフトに応答して、モータ110の状態の表示を生成することとを備える方法を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本方法は、X線管の動作条件を新たな動作条件に変更することと、新たな動作条件に応答して、モータ110の状態の表示を生成することとをさらに備える。
【0096】
いくつかの実施形態は、真空を囲むX線管の外囲器の中でモータを動作させるための手段と、動作時にモータを駆動する電圧と電流との間の位相シフトを測定するための手段と、位相シフトに応答して、モータの状態の表示を生成するための手段とを備えるシステムを含む。
【0097】
真空を囲むX線管の外囲器の中でモータを動作させるための手段の例には、モータ駆動装置118、218、418、及び518が含まれる。
【0098】
動作時にモータを駆動する電圧と電流との間の位相シフトを測定するための手段の例には、診断回路114、V/Iセンサ220及び420、V/I位相検出器224及び424が含まれる。
【0099】
位相シフトに応答して、モータの状態の表示を生成するための手段の例には、診断回路114が含まれる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本方法は、X線管の動作条件を新たな動作条件に変更するための手段と、新たな動作条件に応答して、モータの状態の表示を生成するための手段とをさらに備える。
【0101】
X線管の動作条件を新たな動作条件に変更するための手段の例には、モータ駆動装置118、218、418、及び518が含まれる。
【0102】
新たな動作条件に応答して、モータの状態の表示を生成するための手段の例には、診断回路114が含まれる。
【0103】
構造、デバイス、方法、及びシステムを、特定の実施形態に従って説明してきたが、当業者であれば、特定の実施形態に対する多くの変形が可能であり、それゆえに、いかなる変形も本明細書に開示される趣旨及び範囲の内にあるものと考えられなければならないことを容易に認識するであろう。したがって、多くの修正は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得る。
【0104】
この書面による開示に続く請求項は、本明細書により、本書面による開示に明示的に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立している。本開示は、独立請求項とその従属請求項についての全ての変形例を含む。さらに、以下の独立請求項及び従属請求項から派生することが可能である追加の実施形態も、本書面での説明に明示的に組み込まれる。これらの追加の実施形態は、所与の従属請求項の依存関係を語句「請求項[x]で始まり、この請求項の直前の請求項で終わる請求項のいずれか」に置き換えることによって決定される。ここで、括弧付きの用語「[x]」は、直近に記載された独立請求項の番号に置き換えられる。例えば、独立請求項1で始まる第1の請求項の組について、請求項3が請求項1及び2のいずれかに従属し、これらの別々の従属関係によって2つの異なる実施形態を得ることができ、請求項4が請求項1、2または3のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって3つの異なる実施形態を得ることができ、請求項5が請求項1、2、3または4のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって4つの異なる実施形態を得ることができ、以下同様である。
【0105】
特徴または要素に関する「第1の」という用語の特許請求の範囲における記載は、必ずしも第2または追加のそのような特徴または要素の存在を意味するものではない。手段と機能の形式で具体的に記載されている要素は、もしあれば、米国特許法第112条第6パラグラフに従って、本書に記載されている対応する構造、材料、または行為、及びそれらの均等物をカバーするように解釈されることが意図されている。排他的財産または特権が主張される本発明の実施形態は、以下のように定義される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】