【実施例】
【0120】
以下に記載の実施例は、ある特定の実施形態を例証するが、本技術を制限するものではない。
【0121】
以下の材料を、以下に記載されるある特定の方法に(例えば、活性化条件、拡大条件、表現型解析)おいて使用した。
【0122】
以下のモノクローナル抗体(mAb)は、Ospedale Pediatrico Bambino Gesu(OPBG)、“Cell and Gene Therapy for Pediatric Tumor”研究所において生成された:
【0123】
c218(IgG1、抗CD56)、c127(IgG1、抗CD16)、AZ20およびF252(それぞれIgG1およびIgM、抗NKp30)、BAB281およびKL247(それぞれIgG1およびIgM、抗NKp46)、Z231(IgG1、抗NKp44)、ECM217およびBAT221(それぞれIgG2bおよびIgG1、抗NKG2D)、KRA236、GN18およびF5(それぞれIgG1、IgG3およびIgM、抗DNAM−1)、EA4(IgG2a、抗CD18)、MAR206、MA258およびQA196(それぞれIgG1、IgG2bおよびIgM、抗CD2)、MA127およびON56(それぞれIgG1およびIgG2b、抗NTB−A)、PP35、ST39およびCO54(それぞれIgG1、IgG1aおよびIgM、抗2B4)、z27(IgG1、抗KIR3DL1/S1)、AZ158(IgG2a、抗KIR3DL1/L2/S1)、z270、z199およびY9(それぞれIgG1、IgG2bおよびIgM、抗NKG2A)、6A4およびA6/136(それぞれIgG1およびIgM、抗HLA−クラスI)、D1/12(IgG2a、抗HLA−DR)、5A10(IgG1、抗PVR)、L14(IgG2a、抗ネクチン−2)、BAM195(IgG1、抗MICA)。
【0124】
F278(IgG1、抗CD85j)mAbは、Dr.Daniela Pende、Istituto Giannina Gaslini、Genoa、Italyによって寄贈された(同様に例えば、Costa et al., Aids, 15:965-974 (2001)も参照されたい)。抗NKG2C(IgG2b、134522クローン)、抗ULBP−1(IgG2a、170818クローン)、抗ULBP−2(IgG2a、165903クローン)、抗ULBP−3(IgG2a、166510クローン)、抗CD34−APC(IgG1、QBEnd10クローン)、IgG−APCアイソタイプ対照(IgG1クローン11711)および抗KIR2DL1−FITCまたは非コンジュゲート(IgG1、143211クローン)mAbは、R&D System Inc(Abingdon、United Kingdom)から購入した。抗KIR2DL1/S1−Vioblueまたは−PE(IgG1、11PB6クローン)、抗NKG2C−ViobrightFITC(REA205クローン)、抗KIR3DL1−ビオチンまたは−FITC(IgG1、DX9クローン)、抗CD3−Viogreen(IgG2a、BW264/56クローン)、抗CD57−Vioblue(IgM、TB03クローン)、抗SIGLEC−7−Vioblue(REA214クローン)、抗NKp30−PE(IgG1、AF29−4D12クローン)、抗NKp46−PE(IgG1、9E2クローン)、抗NKp44−PE(IgG1、2.29クローン)、抗ビオチン−PerCPVio700(REA746クローン)、REA対照VioBright FITC(クローンREA293)、抗PD−1(IgG2b、PD1.3.1.3クローン)mAbは、Miltenyi Biotec(Bergisch Gladbach、Germany)から購入した。抗CD34(IgG1、QBEnd10クローン)、抗NKG2A−PC7(z199クローン)、抗KIR3DL1/S1−PE(z27クローン)、抗KIR2DL2/L3/S2−PE(GL183クローン)、抗CD19−FITC(IgG1、J3−119クローン)、抗CD56−PC7(IgG1、N901クローン)、IgG1−PC7または−PEまたは−FITCアイソタイプ対照(679.1Mc7クローン)mAbは、Beckman Coulter、Immunotech(Marseille、France)から購入した。抗KIR2DL2/L3−S2−FITCまたは非コンジュゲート(IgG2b、CHL−クローン)、抗CD107−PE(IgG1、H4A3クローン)、抗CD85j(IgG2b、GHI/75クローン)、抗CD16−PerCpCy5.5(IgG1、3G8クローン)、抗CD56−BV510(IgG2b、NCAM16.2クローン)、IgG1−PEアイソタイプ対照(クローンMOPC−21)mAbおよびBrillant Stainバッファは、BD Bioscience Pharmingen(San Diego、CA)から得た。抗HLA−Bw6−FITCおよび抗HLA−Bw4−FITC mAbは、ONE LAMBDA INC(Canoga Park、CA)から購入した。抗ヒトHLA−E(IgG1、3D12クローン)および抗ヒトHLA−G(IgG1、MEM−G/9クローン)mAbはそれぞれ、BioLegend(San Diego、CA)およびAbnova(Taipei、Taiwan)から購入した。抗NKG2D(IgG2a、5C6クローン)および抗HLA−C(IgG1、C−8クローン)は、Santa Cruz Biotechnology(Dallas、Texas、USA)から購入した。
【0125】
拡大条件の場合、IL−2、IL−15、およびOKT3は、ビーズに架橋させたまたは結合させた抗CD2および抗NKp46抗体と同様にMiltenyi Biotec(San Diego、CA、USA)から得た。
【0126】
(実施例1)
αβTCRneg細胞集団由来の特定の自然細胞溶解性免疫細胞(INNATE−K)集団の富化および拡大
本実施例は、フィーダーフリー培養条件で、免疫グロブリンサブファミリー表面分子の1種または複数種に対する抗体によって活性化された、出発のαβTCRneg細胞集団から主にNKおよびγδTCR+T細胞からなる特定の自然細胞溶解性免疫細胞集団(本明細書においてINNATE−KまたはBINATE細胞集団と呼ぶ)を、富化および拡大させるプロセスを記載する(この拡大したT細胞集団の組成の解析に関しては
図2を参照されたい;用語INNATE−KおよびBINATEは本明細書において互換的に使用されてもよく、NCR抗体(例えば、抗NKp46)およびLFA抗体(例えば、抗CD2)の組合せによって活性化され、NK細胞およびγδT細胞の混合物を含有する本明細書において考察される細胞集団を指す)。
【0127】
1.大規模ロイコフェレーシスを、G−CSFによって動員されている正常で健常なドナーについて実施した;あるいは、大規模ロイコフェレーシスを、動員を行っていない正常で健常なドナーについて実施するかまたはバフィーコートを使用する。
【0128】
2.Ficoll(商標)による密度勾配細胞分離を、SEPAX(商標)デバイス(Sepax Technologies,Inc.、Newark DE)によって実施し、赤血球、血小板、および顆粒球を除去し、単核細胞浮遊液を得た;Ficoll(商標)勾配分離を実施する代替の方法は、MILTENYI PRODIGY(商標)(Miltenyi Biotec、San Diego、CA)または遠心分離器による手動での分離を含む。
【0129】
3.単核細胞を、臨床規模のMILTENYI CLINIMACS(商標)(Miltenyi Biotec、San Diego、CA)を使用して製造元の指示に従ってαβT細胞枯渇に供したか、または実験室規模のMiltenyi LSカラム分離に供した。
【0130】
4.得られたαβTCRneg細胞集団を、フィーダーフリーの培養条件に置き、抗CD2および抗NKp46ビーズ(NK Cell Activation/Expansion Kit(商標)(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA))ならびに500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)(Miltenyi Biotec)によって製造元の指示に従って活性化した。
【0131】
5.活性化αβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25×10
6個/mlの細胞播種濃度において、5%AB血清および500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)を補充したNK MACS(商標)培地(#130−107−879(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA))を用いるフィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた後、T75フラスコに移した;代替の培養容器は、バイオリアクター(G−Rex(商標)25ml、Wilson Wolf Manufacturing、St.Paul MN)を含み得る。
【0132】
6.培地交換をおよそ3日毎に新鮮な培地および新鮮なIL−2によって、#5に記載の濃度で行い、細胞を0.25から0.5×10
6個/mlの濃度で播種した。方法のある特定の変形形態では、培地交換はおよそ4日毎に行う。バイオリアクターに播種する場合、培地交換は、目標用量に達するまでおよそ6日または7日毎に行ってもよい。
【0133】
7.拡大の開始後任意の時間で、得られた富化された特異的自然免疫細胞溶解集団(NKおよびγδTCR+T細胞)を、望ましくない集団のCD3+枯渇またはCD56+枯渇をそれぞれ使用して純粋なNKまたはγδTCR+T細胞のいずれかに関してさらに富化して純粋な細胞集団を得ることができ、ステップ#5と同様にさらに培養した。
【0134】
8.拡大の終わりに、INNATE−K細胞を、10%DMSO溶液を含有する無血清凍結培地(CryoStor(商標)、BioLife Solutions、Bothell WA)中で凍結保存する。
【0135】
図1は、培養10日目で解析した場合の、細胞を抗体によって活性化してフィーダーフリー培養条件で拡大させた日数の関数としてのαβTCRneg細胞の拡大を例証する。グラフは、細胞がおよそ1週間で対数的拡大を達成し始め、拡大し続け、オフザシェルフ治療の成功にとって適した多数の細胞を生じたことを示している。
図1では、活性化αβTCRneg細胞を、フィーダーフリー培養条件で培養拡大させた。拡大の日毎の培養物の総細胞数を示し、拡大の有意な増加は培養6日後に認められる。
【0136】
図2は、70%のNK細胞および28%のγδTCR+T(GD)細胞を示し、この比率は治療産物にとって適している。細胞をさらに拡大させるとシフトが起こり得る;これらの2つの細胞タイプは、フィーダー細胞培養がなくとも他の細胞が混入することなく多数得られた。
図2は、製造プロセスの以下の実施例の様々なステップにおける特定の自然免疫細胞溶解性細胞(INNATE−K)、NK、およびγδTCR+T細胞、ならびにCD3+CD56+NKT細胞および適応免疫αβTCR+T細胞の富化および表現型を例証する。
【0137】
a)Ficoll密度勾配分離後の単核細胞画分における細胞の頻度は、8%+12%のNK細胞および0.1%+1%のγδTCR+T細胞、6%のCD3+CD56+NKT細胞および73%のαβTCR+T細胞であった。
【0138】
b)αβTCR+T細胞枯渇ステップ後の細胞の頻度は、25%+15%のNK細胞および3.2%+1.2%のγδTCR+T細胞(そのうち0.5%がCD56−CD3+および2.7%がCD56+CD3+)および1%またはそれ未満のαβTCR+T細胞であった。
【0139】
c)活性化およびフィーダーフリー培養拡大の10日後、NK細胞頻度は、68%+23%へと実質的に富化され、γδTCR+T細胞は、15.7%+5%へと実質的に富化された(そのうち12.2%がCD56−CD3+および3.5%がCD56+CD3+)。無視できるレベルのCD3+適応免疫細胞が検出された:αβTCR+T細胞は0.3%+0.5%、およびNKT細胞は、0.2%+0.3%で検出された。
【0140】
CD56(NK)表面抗原、CD16、およびCD57を共発現する細胞の10日目でのフローサイトメトリー解析(蛍光活性化セルソーター、またはFACS解析)を実施した。CD16は、FCγ受容体IIIであり、このようにIgG抗体のFC部分に結合することができ、抗体結合標的細胞の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介することができる。CD16は、NK細胞媒介自発的細胞傷害性において役割を有する。CD56+CD16+サブセットは、最も細胞傷害性のサブセットであると考えられ、NK細胞の大多数を構成する(例えば、生理的条件下で)。CD57は、不良な増殖能を有するNK細胞のマーカーであり得る。IL−2による刺激後または標的細胞との共培養後のNK細胞上のCD57の獲得は、CD56+NK細胞サブセットの成熟と相関する。この分化は機能的変化を伴い、CD57−細胞と比較すると、CD57+NK細胞は、IL−2およびIL−15に応答する増殖が不良であり、IL−12およびIL−18に応答してより少ないIFN−γを産生する。CD56+NK細胞の場合、37%がCD16+であり、63%がCD16−であった;CD56+CD16−細胞の場合、13%がCD57+であり、87%がCD57−であった;ならびにCD56+CD16+細胞の場合、15%がCD57+であり、85%がCD57−であった。フローサイトメトリー表現型の結果は、細胞組成物が、CD56(NK)およびCD16の共発現によって証明されるように、拡大したαβTCRneg細胞において高度に細胞傷害性のNK細胞である富化されたNK細胞を含有するが、なおもCD16+およびCD16−NK細胞の両方におけるCD57を発現しないNK細胞の数によって証明されるように、さらにより応答性で細胞傷害性の細胞へとin vivoで成熟する潜在性を有する未成熟表現型を有する細胞も含有することを示した。
【0141】
フローサイトメトリーによって解析した、フィーダーフリーの培養拡大活性化αβTCRneg細胞の10日目の試料の異なるγδT細胞サブセットの頻度の分布を測定した。γδT細胞は、MHC拘束αβT細胞とは対照的に、多様ながんをMHC非拘束性に認識および溶解することが可能であり、オフザシェルフの同種異系免疫療法に関するその潜在性を強調している。ヒトγδT細胞は、δ鎖の発現に基づいて3つの主な集団に分割することができる。健康なヒト成人における循環中のγδTリンパ球の大多数、最大50%〜90%が、γδ2鎖を発現する。γδ1鎖を発現するγδT細胞は、粘膜表面の上皮内層において最も顕著であり、それらはそこで損傷、感染症、または形質転換に直面した場合の上皮組織の完全性の維持に関係しているが、それらはまた末梢血にも出現し得る。γδ3T細胞は、CD4+、CD8+、およびCD4−CD8−サブセットを含む循環中のT細胞の約0.2%を構成する。末梢血ではまれであるが、γδ3T細胞は通常、肝臓においてより高度に発現される。10日目でのγδTCR+T細胞の分布のパーセンテージ(41%のγδ1、50%のγδ2、7%の他のγδ)は、繁殖したγδT細胞が、それがVδ1、Vδ2、およびVδ1
negVδ2
negサブセットを発現することから、ポリクローナルであったことを明らかに示している。このポリクローナル性は、腫瘍、変化した細胞、または感染症の自然殺滅における繁殖したγδT細胞の関与を確実にする。
【0142】
図3は、フローサイトメトリーによって解析した場合の、フィーダーフリーの培養拡大活性化αβTCRneg細胞の10日目の試料におけるγδTCR+細胞上のT細胞系列マーカー、CD4(ヘルパー)、およびCD8(細胞傷害性)の頻度および分布を例証する。γδ1T細胞のほとんどはCD4もCD8も発現しなかったが、小さいパーセンテージ(19%)が細胞傷害性CD8系列マーカーを発現し、これは最大の腫瘍および感染症の殺滅に関して記載され、望ましい自然細胞溶解性免疫集団と一致する。γδ2+細胞は、CD4またはCD8のいずれかを少量発現したが、主にγδ3T細胞で構成される「他のγδTCR+細胞」のほぼ半数が、細胞傷害性CD8系列マーカーを発現した。
【0143】
さらに8日目のフローサイトメトリー表現型解析データが得られ、実験室規模のMiltenyi Biotec,Inc.のαβT細胞枯渇試薬によって枯渇されているフィーダーフリーの培養拡大活性化αβTCRneg細胞からγδT細胞を得た。大規模の枯渇細胞に関して、8日目の培養CD3+T細胞は、主にγδT細胞受容体(αβTCR+細胞は<0.05%)を発現した。表現型解析を実施して、γδT細胞上のマーカーの共発現を解析した。細胞は全てCD3+であり、31.8%がCD16+であった。CD3+γδT細胞上のCD57およびCD16の共発現が観察された。10.7%がCD57およびCD16マーカーを共発現し、このように最も成熟した細胞であった。大多数は、CD57−およびCD16−(57%)であり、このように未成熟な細胞を表した。阻害性および活性化リガンド受容体の発現を解析した。NKG2Dは、NK細胞表面上の活性化受容体である。NKG2Aは、CD94と二量体を形成して阻害性受容体を作製する。細胞は、NKG2Cの発現を欠如し、細胞の55%がNKG2AおよびNKG2Dを共発現した。表現型解析を実施してγδT細胞上のマーカーの共発現を、CD56の共発現に関連して解析した。CD3+およびCD56+を発現した全てのγδ細胞のうち、29%がCD16を共発現した。CD57およびCD16の共発現は、CD3+CD56+γδT細胞において観察された。5%がCD57およびCD16マーカーを共発現し、このように最も成熟した細胞であった。大多数はCD57−およびCD16−(67%)であり、このように未成熟な細胞を表した。阻害性および活性化リガンド受容体の発現を解析した。細胞は、CD3+CD56+細胞上でNKG2Cの発現を欠如し、大多数の細胞(82%)がNKG2Aを発現し、CD3+CD56+細胞の80%がNKG2AおよびNKG2Dを共発現し、これらの細胞がNK細胞に最も一般的に関連する表現型マーカーを発現したこと、および活性な自然免疫細胞集団を示したことを示している。
【0144】
(実施例2)
αβTCRneg細胞集団由来の形質導入された特異的自然細胞溶解性免疫細胞(INNATE−CAR)の拡大
本実施例は、αβTCRneg細胞集団のフィーダーフリー培養条件での活性化培養から拡大された、NKおよびγδTCR+T細胞を含む形質導入された特異的自然細胞溶解性免疫細胞(INNATE−CAR)集団の拡大および産生について記載する。
【0145】
1.実施例1ステップ#5に記載された活性化され、培養により拡大されたαβTCRneg細胞集団からの細胞のアリコートを4日目に採取し(あるいは、アリコートは5〜15日の間に採取することができる)、ヒトフィブロネクチンコーティングプレート上に0.25×10
6個/mlの濃度で500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)または10ng/ml IL−15の存在下で播種し(あるいは、RetroNectin(商標)(Takara Bio USA、Mountain View CA)コーティングプレートもしくはVECTOFUSIN−1(Miltenyi Biotec)形質導入エンハンサーを使用することができた)、細胞形質導入のマーカーとして使用されるCD34表面抗原の非機能的断片を含有するCD+19キメラ抗原受容体の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清によって形質導入した。
【0146】
2.3日後、細胞を剥離させて、5%AB血清および500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)を補充したNK MACS(商標)培地(#130−107−879(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA))中で、24ウェルプレートまたはT75において0.25×10
6個/mlの細胞播種濃度でさらに拡大させた;代替の培養容器は、バイオリアクター(G−Rex(商標)25ml、Wilson Wolf Manufacturing、St.Paul MN)を含み得る。
【0147】
3.培地交換は3日毎に新鮮な培地および新鮮なIL−2によって、実施例1の#6に記載の濃度で行い、細胞を0.25〜0.5×10
6個/mLの濃度で播種した;バイオリアクターに播種する場合、培地交換は、目標の用量を達成するまで7日毎に行う。
【0148】
4.14日目以降のいつでも、INNATE−CAR集団を、NK−CARまたはγδ−CAR T細胞のいずれかに関してさらに富化し、それぞれ望ましくない集団のCD3+枯渇またはCD56+枯渇を使用して純粋な細胞集団を得ることができ、これをステップ#3と同様にさらに培養した。
【0149】
5.拡大の終わりに、細胞を、10%DMSO溶液を含有する血清フリーの凍結培地(CryoStor、BioLife Solutions、Bothell、WA)中で凍結保存する。
【0150】
図4は、10日間のCAR.19 INNATE−K細胞の拡大速度の解析を例証する。拡大した非遺伝子改変集団と同様に、培養物は、およそ1週間で始まる対数的拡大を証明し、オフザシェルフのINNATE−CAR産物のロバストな拡大の可能性を表す。
図4では、活性化されたINNATE−K細胞を、フィーダーフリー培養条件で培養により拡大し、4日目に、CD19 CARおよび非機能的CD34マーカーを含有するガンマレトロウイルスを形質導入した。
【0151】
INNATE−CAR集団、NK細胞、およびγδTCR+T細胞の形質導入を比較した(3つの異なる産物で)。具体的には、%CAR.CD19発現を、CAR分子に組み込まれたCD34マーカーを使用して、これらの細胞集団の各々において比較した。明言された細胞サブセットにおけるCD34マーカーの解析によって証明されるように、NKおよびγδTCR+T集団の両方が、CAR.CD19レトロウイルスベクターによる有意な形質導入を示した。形質導入効率は、NKおよびγδTCR+T細胞に関してそれぞれ、平均で33%および30%であった。フローサイトメトリー解析(蛍光活性化セルソーター、またはFACS解析)を、10日間拡大させてCAR.CD19を有するレトロウイルスベクターを形質導入していないフィーダーフリーのNK細胞について実施したところ、CD56+細胞上でのCD34+染色の特異性を示した。フローサイトメトリー(FACS)解析を、CAR.CD19を有するレトロウイルスベクターによって活性化プロセスから4日目に遺伝子改変し、10日間拡大させたフィーダーフリーのNK細胞について実施した。結果は、CD34+細胞のパーセンテージおよび発現の平均蛍光強度の両方に関して、形質導入後にCD56+細胞におけるCAR発現レベルが有意であることを示した。両方の特色は、非常に効率的な腫瘍の認識に関連する。同じ知見がまた、形質導入して拡大させたINNATE集団に存在するフィーダーフリーのγδTCR T細胞の状況についても有効であった。実際に、γδTCRT細胞構成要素は、γδTCR T細胞におけるCD34発現解析によって評価した場合、有意に形質導入された。
【0152】
INNATE−CARプラットフォームは、腫瘍の認識および除去において非常に効率的であり、自然活性とCAR媒介機能性との間に強い相乗性を有する。実際に、
図5は、INNATE細胞およびINNATE−CAR.CD19細胞をCD19+白血病(221)またはCD19+リンパ腫(Daudi)細胞株と共培養した共培養細胞傷害性アッセイからのデータをグラフで例証する。異なる細胞エフェクターに関して培養後の%残存腫瘍を上記のグラフに表す。非形質導入NK細胞(INNATE−NK)は、白血病およびリンパ腫腫瘍細胞をそれぞれ、40および29%殺滅したが、NKおよびγδTCR T細胞の組合せ集団によって特徴付けられるINNATE−K細胞は、腫瘍細胞をそれぞれ88.4%および96.1%殺滅した。INNATE−NK細胞にCAR.CD19を形質導入すると(INNATE−NK−CAR.CD19)、腫瘍細胞の93%および84%の除去を可能にしたが、INNATE−CAR.CD19の組合せ集団は、ほぼ全ての腫瘍細胞(97%および99%)を殺滅した。
【0153】
(実施例3)
INNATE−NK細胞の代替の富化
本実施例は、INNATE−NK細胞の富化プロセスを記載する:
【0154】
1.NK細胞を、NK DEPLETION KIT(商標)(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA)によってバフィーコートから単離した。
【0155】
2.NK細胞を、NK Cell ACTIVATION/EXPANSION KIT(商標)(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA)および組換えヒトIL−2(500U/ml)によって活性化した。
【0156】
3.0日目、活性化後、NK細胞を、5%AB血清富化培地(NK MACS(商標)培地(#130−107−879 Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA)において培養した。
【0157】
4.4から15日目、細胞のアリコートを、ヒトフィブロネクチンコーティングプレートにおいて0.25×10
6個/mlの濃度で500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)の存在下での形質導入に供した。
【0158】
5.3日後、細胞を剥離させて5%AB血清富化培地および500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)中、細胞播種濃度0.25×10
6個/mlでさらに拡大させた。
【0159】
6.形質導入後、NK細胞を24ウェルプレートに蒔いた後、Tフラスコまたはバイオリアクターに蒔いた。
【0160】
7.培地交換は、3日毎に新鮮な培地および新鮮なIL−2によって行い、目標細胞数に達するまで細胞を0.25〜0.5×10
6個/mL(それらがプレートにある場合)の濃度で播種した。バイオリアクター培養は7日毎に交換した。
【0161】
8.+14日目、5%より多くのT細胞混入がある場合、純粋なNK細胞を得るために、非形質導入およびCAR形質導入INNATE−NK細胞を、CD3+細胞に関して再度枯渇させ、ステップ#7と同様にさらに培養した。
【0162】
自然免疫細胞が90%より多い(>90%)例示的な高度富化NK集団を、
図6〜8にグラフで例証するようにプレートおよびバイオリアクターの両方においてロバストに拡大させた。
図6は、プレートにおいて数日間拡大させたINNATE−NK細胞集団の総数を示す。
図7は、プレートとバイオリアクターで拡大させたINNATE−NK集団の総細胞数を比較する。
図8は、in vitroでの拡大の異なる時点でのサブセット細胞組成を示し、95%より多くのNK細胞および無視できる存在量のCD3+T細胞およびNKT細胞によって表されるINNATE−NKの有意な純度レベルを示す。
【0163】
CAR形質導入効率のレベルを、CAR.CD19分子に含まれるCD34マーカーを評価するフローサイトメトリー(FACS)解析を使用して実証した。フィーダーフリーで拡大させた非形質導入INNATE−NK細胞は、CD34マーカーを発現しない。INNATE−NK細胞は、CAR.CD19を有するレトロウイルスベクターによって4日目に遺伝子改変した。INNATE−NK CAR細胞は、有意に形質導入され、NK集団(CD56+)におけるCAR+細胞のパーセンテージは高かった。INNATE−NK CAR細胞におけるCAR分子の発現は、
図9に示すように長期間のin vitro培養の間安定であった。
【0164】
INNATE−NKおよびINNATE−NK CAR集団の拡大後の活性化および細胞溶解性分子の発現の増加を
図10に例証し、ここではそれぞれ、INNATE−NKおよびINNATE−NK−CAR.19細胞のフローサイトメトリー解析からのデータをグラフで示す。解析は、自然細胞の活性化および成熟に関連するいくつかのNKマーカーの評価を含んだ。特に、CD16は、高い細胞溶解活性を有するが低い増殖能を有するより成熟したNKサブグループに関連していることから、成熟解析の基本的マーカーとして含めた;CD2、LFA−1、NKp44、NKp30、およびNKp46、およびDNAM−1を含む、NK集団の活性化および増殖のためのシグナル伝達分子および共刺激分子を含めた。これらのマーカーは全て、INNATE−NKおよびINNATE−NK.CAR.19細胞の両方の拡大した集団において有意に増加し、細胞が循環中の末梢血NK細胞と比較して活性化されることを示している。
【0165】
図11は、フィーダーフリーの拡大したINNATE−NK細胞およびINNATE−NK CAR細胞における疲弊の欠如をグラフで例証する。INNATE−NKおよびINNATE−NK−CAR.19細胞を、実施例3に記載されるように生成および拡大させ、20日目および60日目にフローサイトメトリー解析を実施して、細胞の成熟性および疲弊に関するマーカーを評価した。LIR−1は、自然細胞阻害活性のマーカーであり、20日目ではNK集団においてごくわずかな増加を示し、60日目では両方の集団の増加を示した;NKG2cは、シグナル特異的活性および成熟のマーカーであり、培養期間の間、変化しなかった;CD57は、成熟のマーカーであり、増殖能の減少に関連し、このように健康なドナーの末梢血に由来する循環中のNK集団上に発現される。in vitroでの拡大の20日目および60日目でのフィーダーフリーで拡大したINNATE−NK細胞は、有意に低いパーセンテージのCD57+NK細胞を示し、これらの細胞がin vivoでの注入の際になおも増殖能を有することを示唆している。プログラム細胞死1分子(PD−1)は、T細胞における細胞の潜在性の減少および「疲弊」のマーカーであるのみならず、最近ではNK細胞においてもチェックポイントインヒビターとして記載された。INNATE−NKおよびINNATE−NK CAR細胞のいずれの集団も、20日目または60日目のいずれかでの、PD−1+細胞サブセットの存在を示さず、細胞は長期間のin vitroでの培養後に疲弊しないことを示した。
【0166】
図12は、INNATE−NKまたはINNATE−NK−CAR.19、ならびに4つの腫瘍細胞株による細胞傷害性共培養アッセイをグラフで例証する:列A:221、CD19+白血病細胞株;列B:Daudi、CD19+リンパ腫細胞株;列C:BV173、CD19+(可変発現)プレB腫瘍細胞株;ならびに列D:KARPAS、CD19−腫瘍細胞株。
図12のパネル1は、INNATE−NK(左のサブパネル)またはINNATE−NK.CAR.19(右のサブパネル)細胞とのin vitroでの共培養後のCD19+細胞の低減を示す。INNATE−NKのパネルにおける左上の区画(枠で囲んだ区画)は、非改変INNATE−NK細胞との共培養後のCD19+腫瘍集団を強調する。INNATE−NK.CAR.19パネルにおける左上の区画(枠で囲んだ区画)はINNATE−NK.CAR.19細胞との共培養後の残存CD19+腫瘍集団を強調する。INNATE−NK.CAR.19細胞は、CD19+221およびDAUDI腫瘍標的に対して有意な腫瘍コントロールを発揮することが可能であり、in vitroでの共培養の5日後、残存する腫瘍は無視できる量であった。BV173は、認識および除去に対してより高い抵抗性を示したが、CAR.CD19によるINNATE−NK細胞の遺伝子改変は、非改変INNATE−NK細胞と比較して抗腫瘍活性を有意に増加させることができた。10の異なる実験で観察された残存腫瘍の平均値を、共培養実験の各々に関して
図12、パネル2に示す。脱顆粒(in vitroで3時間の短期共培養後のNK細胞によるCD107aの発現によって解析した)は、INNATE−NKおよびINNATE−NK CARエフェクター細胞の細胞溶解活性を表し、これを
図12、パネル3(列A〜D)に示す。全ての例において、INNATE−NK.CAR.19細胞は、INNATE−NK細胞より大きい細胞溶解活性を発現し;KARPAS共培養条件によって表される陰性対照では、いずれの集団もCD107a脱顆粒マーカーを発現しなかった。
図12、パネル4および5は、リンパ球細胞溶解活性の場合に一般的に産生される調節性サイトカインの産生を示す。これらのサイトカインはいずれも、CD19 CAR T細胞投与の間に非常に上昇しており、サイトカイン放出症候群においておそらく役割を果たすと考えられる。CD19+腫瘍細胞に対するINNATE−NKおよびINNATE−NK CAR活性の場合、IFNαおよびTNFαの両方のサイトカイン産生は、20〜150pg/ml/細胞10
6個の範囲であり、適応T細胞殺滅のそれより何倍も小さかった。たとえ高い標的殺滅を有する場合であってもサイトカイン分泌の程度は、CAR−Tについて認められたものほど大きくなく(典型的には、100から1,000倍またはそれより高い)、したがっておそらくより毒性が低い治療を表す。
【0167】
図13〜15は、INNATE−NKおよびINNATE−NK CAR−細胞が、原発性Bcp−ALL芽球に対して有意な抗腫瘍活性を発揮できることをグラフで例証する。
図13および14は、異なる実験試行におけるINNATE−NK細胞およびINNATE−NK−CAR.19細胞集団の両方に関するエフェクター(E)の標的(T)に対する比の関数としての原発性腫瘍細胞の%特異的溶解をグラフで例証する;INNATE−NK−CAR.19細胞集団は、E:T範囲の全てにわたってより有効であった。
図15は、原発性CD19+白血病芽球をエフェクター細胞の非存在下で蒔いた対照条件と比較して、エフェクター細胞(INNATE−NK細胞およびINNATE−NK−CAR.19細胞集団)との共培養後のパーセンテージ残存原発性CD19+腫瘍をグラフで例証する。INNATE−NK細胞との共培養は、およそ18%の残存腫瘍細胞をもたらし、INNATE−NK−CAR.19細胞集団との共培養は、およそ5%の残存腫瘍細胞をもたらした。
【0168】
一例のin vivo CD19+リンパ腫マウスモデルでは、各NGSマウスに、生体蛍光解析によって解析することができるように、ホタルルシフェラーゼによって遺伝子改変した腫瘍細胞0.25×10
6個のIV投与を行った。3日後、注射したマウスにおいて、白血病が確立していることが示され、マウスを5×10
6個のINNATE−NKまたはINNATE−NK−CAR.19のIV注入を受けるマウスの処置コホートに無作為化した。動物を、実験の過程においてルシフェラーゼ+腫瘍細胞の存在に関して解析した。データを、同じ設計の別の実験からのデータと比較したが、この実験では、動物に5×10
6個の非改変適応T細胞を投与した。
【0169】
(実施例4)
INNATE−NK試験
本実施例は、遺伝子改変を伴わないINNATE−NK細胞の1用量が、適応T細胞の同じ用量と比較して動物が死亡するまでの時間を延長させることができたことを示すデータを記載する。腫瘍細胞0.25×10
6個をIV投与し、3日間拡大させた。5×10
6個のINNATE−NKまたはINNATE−NK−CARをIV投与し、データを5M適応T細胞による実験からのデータと比較した。INNATE−NK CAR.19を投与したマウスでは、腫瘍コントロールは完全であり、11日目以降に腫瘍の生体蛍光は検出されず、INNATE−NK−CAR19が72日目(実験の終了日)まで再発することなく腫瘍を根絶したことを実証した。重要なことに、INNATE−NK細胞はまた、異種応答(CAR T細胞の場合、過去にこの時点で認められた)を実証しなかった。データはまた、遺伝子改変を伴わないINNATE−NK細胞の1用量が、適応T細胞の同じ用量と比較して動物の全生存を延長させることができたことを示した(それぞれ、50日目と28日目の比較)。
図16は、INNATE−NKおよびINNATE−NK−CAR.19細胞を投与した上記の実験からの動物の生存曲線をグラフによって例証する。INNATE−NK.CAR.19レシピエントのデータ曲線は、非改変INNATE−NK細胞を投与されたレシピエントと比較して生存の改善を実証した。
【0170】
(実施例5)
固形腫瘍に対するINNATE−NK細胞
本実施例は、INNATE−NK細胞が、固形腫瘍を処置するための適したプラットフォームであることを実証する。本実施例では、神経芽腫モデルを検討した。INNATE−NKおよびINNATE−NK CAR細胞を、実施例3、ステップ1〜8に記載されるように生成した。INNATE−NK細胞を、神経芽腫腫瘍細胞によって発現されるGD2抗原に対して特異的な第3世代CARを有するレトロウイルスベクターによって4日目に遺伝子改変した。結果は、INNATE−NK CAR.GD2世代が、抗イディオタイプ抗体(1A7)による染色によるフローサイトメトリー(FACS)解析によって評価した場合にCD56+細胞において有意なレベルのCAR発現を示すことを実証した。INNATE−NK CAR.GD2産生におけるNK集団の純度を、CD3+細胞の無視できるパーセンテージに関して評価し、一方CAR+細胞のレベルを1A7+細胞として評価した。INNATE−NK CARにおけるCAR.GD2の発現は、長期間のin vitro培養の間、安定であった(8日目、15日目、25日目、31日目、35日目に測定)。
【0171】
(実施例6)
固形腫瘍の侵入における自然免疫の役割の評価
本実施例は、自然免疫が固形腫瘍に侵入するその能力における自然免疫の役割を評価した。その効果に対して、3−Dの神経芽腫腫瘍細胞のスフェロイドを、MATRIGEL(商標)培養において成長させた後、適応T細胞、INNATE−NK、またはINNATE−NK−CAR.GD2細胞を導入し、それらのスフェロイドへの侵襲能に関して評価した。具体的には、固形3−D腫瘍モデルを、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するように遺伝子改変されたSH−SY5Y神経芽腫腫瘍細胞によって作製し、その後、in vitroで培養し、固形3−D腫瘍スフェアを形成した。適応末梢血T細胞、非改変INNATE−NK細胞、およびINNATE−NK.CAR.GD2を、赤色蛍光発光細胞マーカーによって標識し、腫瘍スフェアと共にインキュベートした。ニューロスフェアを3つの平面で3−D蛍光顕微鏡法によってアッセイし、腫瘍スフェアにおける細胞の位置および腫瘍に侵襲するその相対的能力を評価した。適応T細胞(赤色)の共焦点顕微鏡画像は、適応T細胞が、3つ全ての平面において観察されたが、腫瘍スフェア(緑色)の外部表面のみに局在したことから3−D腫瘍に能動的に侵入することができず、腫瘍の中心へと遊走しなかったことを示した。さらなる画像は、3つ全ての平面において観察されたように、INNATE−NK細胞(赤色)が、腫瘍スフェアの表面を突破し始めたことを示した;INNATE−NK−CAR.GD2細胞は、腫瘍スフェアの表面を突破し、これらの細胞が3つ全ての平面において観察された腫瘍の中まで何らかの距離遊走する能力を有することを示した。
【0172】
(実施例7)
架橋または可溶性の活性化
実施例1に記載するように、架橋した天然の細胞傷害性受容体(NCR)抗体(例えば抗NKp46)およびリンパ球機能関連抗原(LFA)抗体(例えば、抗CD2)の組合せ(「コーティングしたビーズ」;Miltenyi Biotec)による活性化後に、培養において細胞集団を生成した。NCR抗体(例えば、抗NKp46)およびLFA抗体(例えば、抗CD2)の組合せによって活性化され、NK細胞およびγδT細胞の混合物を含有する本明細書において考察される細胞集団を、本明細書において「BINATE」細胞集団と呼ぶ(および上記のある特定の実施例では、「INNATE−K」細胞と呼ぶ)。本実施例では、得られたBINATE集団を、1)架橋した抗NKp46(クローン9E2 500ng/ml;Miltenyi Biotec)および架橋した抗CD2(OKT11 500ng/ml)の組合せ、または2)可溶性抗NKp46(クローン9E2 500ng/ml)および可溶性抗CD2(クローンOKT11 500ng/ml)の組合せのいずれかによる活性化後に解析した。架橋は、実験の開始前に、PBS中の抗体の組合せによってフラスコを24時間コーティングした後、抗体溶液をデカントし、実験時にPBSによってすすぐことによって達成した(本明細書においてコーティングされたプレートと呼ぶ)。
【0173】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った(本実施例および本明細書における他の実施例に記載する方法のある特定の変形形態では、正常で健常なドナーに、アフェレーシス手順(アフェレーシス、一般的にはFicoll(商標)勾配細胞分離を伴わない)を行い、単核細胞産物を標準的な手順、典型的にはTerumo Optia機に従って収集する)。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した(本実施例および本明細書における他の実施例に記載されるある特定の変形形態では、アフェレーシス産物に、CLINIMACS分離デバイスを使用してαβT細胞枯渇を行ってもよく;さらなる枯渇は、CD19 B細胞枯渇を含み得る。αβT細胞を枯渇させた単核細胞のアリコートを凍結保存して、拡大のために後に使用してもよい)。得られたαβTCR−neg細胞集団を、5%AB血清を補充したBINATE培地(すなわち、NK MACS(商標)培地(#130−107−879(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA))(あるいは、他の培地、例えば、Life Technologies,R&D systemsの培地、CELLGENIX培地等を、ヒト血清を使用してまたは使用せずに使用してもよい))、および500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)(Miltenyi Biotec)と共に、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlで、24ウェルコーティングプレートでは追加の活性化試薬を伴わずに、または24ウェル非コーティングプレートでは500ng/ml可溶性抗NKp46(クローン9E2)および500ng/ml抗CD2(クローンOKT11)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)と共に、フィーダーフリー培養において活性化した。
【0174】
2.活性化αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地および500IU/mL IL−2を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では最大1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換は、新鮮なBINATE培地およびIL−2を用い、3日毎(バイオリアクターの場合はより少ない頻度(5〜7日毎))にに行った。本実施例および本明細書における他の実施例の方法のある特定の変形形態では、拡大の1週間、2週間、3週間、4週間、または5週間後に、培養したBINATE細胞を凍結保存してもよい。一例では、拡大したBINATE細胞を洗浄した後、濃縮し、血清フリーの凍結保存培地(BIOLIFE)を添加する。凍結保存したBINATE産物を融解し、さらに培養するために本明細書に記載されるように再度播種してもよく、または融解し、例えばがんもしくはウイルス感染症を有する患者に注入してもよい。
【0175】
3.15日間の拡大の終わりに、BINATE細胞を、NKおよびγδCD3+T細胞含有量、およびそのサブセット、例えばCD56に関して詳細に解析し、可能性がある混入細胞タイプ、例えばαβTCR+T細胞のさらなる解析を行った。
【0176】
BINATE細胞の表現型は、総細胞集団のパーセンテージとして報告され、コーティングプレート上でのまたは可溶性抗体による活性化の間で差を示さなかった。NK集団(CD56+CD3−)は、コーティングプレート上で活性化した場合には最終集団の89.1%であったが、これに対し可溶性抗体によって活性化した場合には92%であった。CD3+γδT細胞は、コーティングプレート条件および可溶性抗体条件においてそれぞれ、集団の6.2%および5.5%であった。CD3+CD56+γδT細胞およびCD3+CD56−γδT細胞は、コーティングプレートでの活性化培養ではそれぞれ、集団の2.8%および3.4%であり、可溶性抗体による活性化培養ではそれぞれ、集団の3.3%および2.2%であった。αβTCR+CD3+T細胞のパーセントは両方の条件で無視できる程度であり、コーティングプレートでの活性化では0.12%であり、可溶性抗体による活性化では0.41%であった。
【0177】
以前の報告では、架橋した抗体を使用するほうがより大きい活性を有し得ることが示されているが、可溶性抗体の使用はしばしば、例えば培養をより十分に制御できることから架橋した抗体(例えばプレートまたはビーズなどの表面上で使用する場合)より好ましい。可溶性の抗NKp46(クローン9E2、Miltenyi)および可溶性の抗CD2(クローンOKT11)の組合せを使用すると、架橋条件と比較して差がなく、全ての実験をその後、可溶性抗体活性化試薬によって実施した。
【0178】
(実施例8)
様々な量の抗NKp46を使用する活性化および拡大の評価
別々の実験において、異なる抗NKp46(Bab281)試薬を、2つの拡大条件:1)IL−2(500IU/mLヒトインターロイキン2(Miltenyi Biotec))、または2)IL−15(10ng/mlヒトインターロイキン15(Miltenyi Biotec))において3つの濃度(10ng/ml、50ng/ml、および500ng/ml)で評価した。
【0179】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、500ng/ml抗CD2(クローンOKT11)および抗NKp46(Bab281)の3つの濃度:10ng/ml、50ng/ml、または500ng/mlのうちの1つの組合せを有する、BINATE培地およびIL−2またはIL−15を用いるフィーダーフリーの培養条件に置いた。
【0180】
2.活性化αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2またはIL−15を用い、3日毎に(バイオリアクターではより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。
【0181】
3.15日目の拡大の終わりに、BINATE細胞を、NKおよびγδCD3+T細胞含有量ならびにそのサブセット、例えばCD56に関して解析し、可能性がある混入細胞タイプ、例えばαβTCR+T細胞のさらなる解析を行った。
【0182】
BINATE細胞の表現型は、総細胞集団のパーセンテージとして報告され、培養をIL−15による拡大によって拡大させた場合に、抗NKp46(Bab281)の3つの濃度の間で有意差を示さなかった。NK集団(CD56+CD3−)は、500ng/ml抗NKp46(Bab281)、50ng/ml抗NKp46(Bab281)、および10ng/ml抗NKp46(Bab281)に関してそれぞれ、84.5%、87%、および87.2%を構成した。γδTCR CD3+集団はそれぞれ、11.4%、8.7%、および8.1%を構成したが、CD3+56+集団はそれぞれ、7.40%、5.40%、および5.30%を構成した。αβTCR+細胞は、全ての濃度で実質的に検出不能であった。
【表1】
【0183】
(実施例9)
活性化および拡大させた細胞のマーカー評価
異なる実験では、医薬品等の製造管理及び品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice(GMP))品質の10ng/ml抗NKp46(Bab281)抗体およびGMP品質の500ng/ml抗CD2(OKT11)抗体の組合せによる活性化後の2つの拡大条件(すなわち、IL−2およびIL−15)におけるBINATE表現型を比較した。
【0184】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、500ng/ml抗CD2(OKT11)および10ng/ml抗NKp46(Bab281)(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2または10ng/ml IL−15のいずれかを用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0185】
2.活性化αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2またはIL−15を用い、3日毎に(バイオリアクターではより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。
【0186】
3.20日の培養拡大終わりに、BINATE細胞を、自然、細胞傷害性、および疲弊発現細胞の含有量およびそのサブセットのマーカー、例えばCD56、CD16、およびCD57に関して詳細に解析し、可能性がある混入細胞タイプ、例えばαβTCR+T細胞に関する追加の解析を行った。
【0187】
総BINATE細胞集団は、IL−15およびIL−2による拡大後にそれぞれ、92%および84.3%のCD56+自然細胞を含有した。集団は、IL−15およびIL−2による培養拡大後にそれぞれ、33%および12%のCD56+CD16+細胞傷害性自然細胞、76%および59.6%のCD8+細胞傷害性自然細胞、ならびに99%および96.5%のCD56+CD57−未成熟自然細胞を含有した。IL−15またはIL−2のいずれかによる培養拡大後に検出可能なabTCR+T細胞は認められなかった。NKおよびγδT細胞のCD4+、CD8+、およびCD4−CD8−集団を、以下の表2に提供する。
【表2-1】
【表2-2】
【0188】
(実施例10)
静止培養およびバイオリアクター培養条件下で拡大させた細胞の評価
別々の実験において、GMP品質の50ng/ml抗NKp46(Bab281)抗体およびGMP品質の50ng/ml抗CD2(OKT11)抗体の組合せによる活性化後の2つの拡大条件(IL−2およびIL−15)における静止およびバイオリアクター培養条件でのBINATE増殖を比較した。
【0189】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、50ng/ml抗CD2(OKT11)および50ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2または10ng/ml IL−15のいずれかを用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0190】
2.活性化αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコまたはG−Rexベンチトップバイオリアクター(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換は、プレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−15を用い、3日毎に(バイオリアクターではより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。
【0191】
3.活性化αβTCRneg細胞集団をまた、GRex培養デバイスにおいてBINATE培地および10ng/ml IL−15を用い、細胞播種濃度1×10
6個/mlで、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換は、新鮮なBINATE培地およびIL−15を用い、7日毎に行った。
【0192】
総BINATE拡大を、
図17に総細胞数として示す。フラスコにおいてIL−2またはIL−15のいずれかを補充したBINATE培地中の活性化αβTCRneg細胞の拡大は、41日の期間で等価であった。同様に、バイオリアクターにおける最初の21日間での活性化αβTCRneg細胞集団のIL−15による拡大は、フラスコにおけるIL−15による拡大と等価であった。
【0193】
(実施例11)
活性化および拡大した細胞のアロ反応性の評価
別々の実験において、IL−2またはIL−15のいずれかにおいて拡大させた活性化BINATE細胞集団のアロ反応性を評価した。
【0194】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、50ng/ml抗CD2(OKT11)および50ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地を用いるフィーダーフリー培養条件に置いた。
【0195】
2.活性化αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15のいずれかを用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコにおいて、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2またはIL−15を用い、3日毎に行った。
【0196】
3.BINATE細胞および3人の無作為な健康なドナー(HD)のPBMCに由来する刺激細胞を、一方向混合リンパ球反応(MLR)において試験した。3人のHDに由来する刺激細胞をプールし、放射線(30Gy)を照射した後に使用した。BINATE細胞を、100μl/ウェル(細胞1×10
5個)で同数の刺激細胞と共に96ウェル平底マイクロタイタープレートにおいてBINATE培地200μlに播種した。5日間インキュベーション後、培養物に18kBq
3H−チミジンを12時間パルスし、ガラス繊維フィルター上で回収した。乾燥させたフィルターを、Microbeta Trilux1450カウンター(Wallac、Perkin Elmer)で計数した。結果をSI(抗原によるcpm/バックグラウンドのcpm)として表記した。サイトカインを添加しなかったBINATE細胞を陰性対照として使用し、陽性対照は、サイトカイン(IL−2またはIL−15)と共に播種したBINATE細胞によって表された。
【0197】
混合リンパ球共培養を、増殖の指標である
3Hチミジン取り込み(CPM)に関して解析した。IL−15の実験では、陰性対照は、IL−15を補充していない非刺激BINATE細胞からなり、
3Hチミジン取り込みは1144であり、本質的に増殖していないことを示した。放射線照射したプールした健常ドナー細胞(HD)は、
3Hチミジン取り込みが1194であり、これも増殖していないことを示した。陽性対照は、IL−15による増殖刺激を含み、
3Hチミジン取り込みは15558であり、陰性対照と比較して14倍の増加であった。IL−15における拡大を受けた活性化BINATE細胞は、
3Hチミジン取り込みが942であり、本質的にバックグラウンドと差がなかった。
【0198】
IL−2の実験では、陰性対照は、IL−2を補充していない非刺激BINATE細胞を含み、
3Hチミジン取り込みは834であり、本質的に増殖していないことを示した。放射線照射したプールしたヒトドナー細胞(HD)は、
3Hチミジン取り込みが1194であり、これも増殖していないことを示した。陽性対照は、IL−2による増殖刺激を含み、
3Hチミジン取り込みは18834であり、陰性対照と比較して22倍の増加であった。IL−15における拡大を受けた活性化BINATE細胞は、
3Hチミジン取り込みが1245であり、本質的にバックグラウンド対照と差がなかった。
【0199】
MLR応答が存在しなかったことは、αβTCR+T細胞の非存在による可能性があり、自然BINATE細胞集団にアロ反応性が欠如していることを裏付ける。アロ反応性が存在しないことは、細胞が移植片対宿主応答をもたらす能力を欠如することを裏付けることから、臨床的に重要である。
【0200】
(実施例12)
異なる拡大条件下での細胞増殖および表現型の評価
別々の実験において、GMP品質の抗NKp46(Bab281)抗体(50ng/ml)(Caprico)およびGMP品質の抗CD2(OKT11)抗体(50ng/ml)(Caprico)による活性化後の増殖能およびBINATE表現型を5つの異なる拡大条件において比較した。
【0201】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、50ng/ml抗CD2(OKT11)および50ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)、ならびに以下の拡大補助剤:
a.500IU/mL IL−2(Miltenyi Biotec)
b.10ng/ml IL−15(Miltenyi Biotec)
c.500IU/mL IL−2およびIL−15 10ng/mLの組合せ(IL−2/IL−15)
d.500IU/mL IL−2および10ng/ml OKT3クローン抗CD3抗体(Miltenyi Biotec)の組合せ(IL−2/OKT3)
e.IL−15 10ng/mLおよび500IU/mL IL−2および10ng/ml OKT3の組合せ(IL−2/IL−15/OKT3)
のうちの1つを有するBINATE培地を用いるフィーダーフリー培養条件に置いた。
【0202】
2.活性化αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、上記に列挙した5つの拡大条件のうちの1つを用いてフィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、3日毎に(バイオリアクターではより少ない頻度で(5〜7日毎))新鮮なBINATE培地によって行い、最初の培養活性化および拡大相の間、同じ拡大条件を使用した。
【0203】
総BINATE拡大を、
図18に総細胞数として示す。フラスコにおけるIL−2、IL−15、またはIL−2/OKT3のいずれかを補充したBINATE培地中の活性化αβTCRneg細胞の拡大は、40日間にわたって等価であった。フラスコにおけるIL−2/IL−15またはIL−2/IL−15/OKT3のいずれかを補充したBINATE培地中の活性化αβTCRneg細胞の拡大は、26日間の期間にわたって等価であったが、その後増殖は遅くなり、全細胞数は、培養26日から41日までは他の3群と比較して少なかった。
【0204】
以下の表3に示すように、培養拡大の7、20、および30日目では、5つの条件の各々からのBINATE細胞は、フローサイトメトリーによってNKまたはγδT細胞であると決定された。表4に示すように、7、20、および30日での条件の各々からの細胞を同様に、フローサイトメトリーによって細胞上の自然、細胞傷害性、および疲弊の特異的マーカー、および未成熟発現、ならびにγδT細胞における特異的VdTCRの使用に関して解析した。
【表3-1】
【表3-2】
【表4】
【0205】
細胞疲弊の指標であるPD−1発現は、低いことが示された。30日目に、IL−15による拡大条件は総BINATE集団において2.7%の発現を示し、CD56+CD3−NK細胞では2%の発現、CD3+CD56−γδT細胞では10.6%の発現、およびCD3+CD56+γδT細胞では17.05%の発現を示し、疲弊の欠如を実証した。IL−2による拡大条件下では、PD−1発現は、フローサイトメトリーによって決定した場合にIL−2による拡大条件では総BINATE集団の14.2%の低さであることが示され、CD56+CD3−NK細胞は2%PD−1を発現し、CD3+CD56−γδT細胞およびCD3+CD56+γδT細胞はそれぞれ、62.9%および78.3%を発現した。
【0206】
(実施例13)
CD107a細胞傷害性
実施例12の5つの拡大条件の各々からの30日目の細胞を、IMR32、SH−SY5Y(神経芽腫細胞株)、およびK562(B細胞白血病細胞株)を含む腫瘍細胞株と共培養した。3日間培養後、細胞傷害性の顆粒放出の尺度(measurement)であるCD107aの発現を、基底BINATE細胞およびそれぞれの腫瘍細胞株と共培養したBINATE細胞においてフローサイトメトリー解析によって測定した。表5は、5つの拡大条件(IL−2、IL−2/OKT3、IL−15、IL−2/IL−15、およびIL−2/IL−15/OKT3)の各々において、各腫瘍細胞株および各BINATEサブセット(CD56+CD3−NK細胞、およびCD3+CD56+γδT細胞、およびCD3+CD56−γδT細胞)に関する基底値を差し引いた腫瘍刺激発現間の差を示す。統計学的有意性をT検定によるp値として報告する。
【表5-1】
【表5-2】
【0207】
(実施例14)
異なる拡大条件下での表現型マーカーの評価
実施例12における3つの拡大条件(条件IL−2、IL−15、およびIL−2/OKT3)からの20日目の細胞を、特異的活性化、細胞傷害性、および疲弊マーカーに関して解析した。
図19は、IL−15による拡大条件に関するマーカータイプ(活性化、細胞傷害性、および疲弊/未成熟)毎の表現型解析を示す。
図20は、IL−2による拡大条件に関するマーカータイプ(活性化、細胞傷害性、および疲弊/未成熟)毎の表現型解析を示す。
図21は、IL−2/OKT3拡大条件に関するマーカータイプ(活性化、細胞傷害性、および疲弊/未成熟)毎の表現型解析を示す。全ての条件下で、BINATE細胞は、一般的に高い活性化および細胞傷害性、ならびに低い疲弊を示した。
【0208】
(実施例15)
in vitro腫瘍殺滅の評価
異なる実験では、10ng/ml抗NKp46(Bab281)抗体および500ng/ml抗CD2(OKT11)抗体の組合せによる活性化後の2つの拡大条件(IL−2およびIL−15)におけるBINATE細胞のin vitro腫瘍殺滅を比較した。
【0209】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、500ng/ml抗CD2(OKT11)および10ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2または10ng/ml IL−15のいずれかを用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0210】
2.活性化αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15と共に、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2またはIL−15を用い、3日毎に(バイオリアクターではより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。
【0211】
3.20日間の培養拡大の終了後、BINATE細胞を、腫瘍共培養実験に5〜7日間置いた。以下の表6に示した実験は、白血病細胞株を、6ウェル培養皿において2ml培地/培養ウェル中で1:1のエフェクターの標的に対する比(すなわち、0.5MのBINATE細胞(エフェクター)と共に0.5Mの腫瘍細胞(標的))で培養することを伴った。
【0212】
以下の表7に示す実験は、固形腫瘍細胞株(神経芽腫、肉腫、および結腸腫瘍株)を、6ウェル培養皿において2ml培地/培養ウェル中で2:1のエフェクターの標的に対する比(すなわち、0.5MのBINATE細胞(エフェクター)と共に0.25Mの腫瘍細胞(標的))で培養することを伴った。腫瘍およびエフェクター細胞の共培養は、サイトカインの非存在下で実施した。共培養を顕微鏡法およびフローサイトメトリーによって3〜7日目に評価した。
【0213】
共培養実験において残存腫瘍を調べると、表6から、IL−2またはIL−15のいずれかの存在下で拡大させた活性化BINATE細胞が、全ての細胞株の50%またはそれより多くの腫瘍細胞、AML細胞株の4〜5つでは75%より多くの根絶に成功したことが示される。表6では、全ての細胞株の短期間の共培養は、全ての221白血病細胞、>80%のDaudi白血病細胞、およびしばしば自然殺滅に対して抵抗性であると考えられているKarpas細胞株の最大50%を殺滅するBINATE細胞をもたらした。
【表6】
【0214】
共培養実験において残存腫瘍を調べる場合、表7は、IL−2またはIL−15のいずれかによって拡大させた活性化BINATE細胞が、短期間の共培養実験において神経芽腫腫瘍の根絶に成功したことを示している。IL−2による拡大BINATE細胞は、結腸がんとの共培養において試験しなかったが、IL−15による拡大BINATE細胞は、肉腫および結腸がんに対して活性を示した。
【表7】
【0215】
(実施例16)
in vitro形質導入効率の評価
別々の実験において、形質導入の安定性を評価するために、第3世代GD2キメラ抗原受容体(CAR)をコードするレトロウイルス構築物によるBINATE細胞の初期および後期in vitro形質導入効率を、10ng/ml抗NKp46(Bab281)抗体および500ng/ml抗CD2(OKT11)抗体の組合せによる活性化後に比較した。
【0216】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、500ng/ml抗CD2(OKT11)および10ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2を用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0217】
2.本明細書に記載される任意のBINATE.CARの生成のために、活性化した培養拡大αβTCRneg細胞集団からの細胞のアリコートを、4〜15日目に採取し、特異的キメラ抗原受容体の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下、0.25×10
6個/mlの濃度でヒトフィブロネクチンコーティングプレートまたは代替的に培養バッグ(Gobain))に播種した。3から4日後、細胞を洗浄し、拡大または凍結保存のいずれかを含み得るプロセスを非形質導入細胞に関しても継続する。拡大条件は、500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)または10ng/ml IL−15を含有し得るが、本明細書において言及したいずれかの条件の組合せを含有し得る。本明細書で使用されるキメラ抗原受容体(CAR)構築物は、CAR.GD2、CAR.123、およびCAR.CD19を含み、これは非機能的マーカー、例えばCD34表面抗原の断片または変異体CD19断片を含有する(ある特定の構築物の説明に関しては実施例25を参照されたい)。本明細書における方法のある特定の変形形態では、レトロウイルストランスフェクションを補助するために、RETRONECTINの代わりにVECTOFUSION−1(Miltenyi Biotec)を使用してもよく、遺伝子改変は、選択される任意の抗原の他のCAR構築物の遺伝子改変または他の分子による改変を含み得る。この例に関して、5日目での活性化αβTCRneg細胞集団を、ヒトフィブロネクチンコーティングプレート(または代替的に培養バッグ(Gobain))に0.25×10
6個/mlの濃度で、GD2キメラ抗原受容体(CAR)の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下に置いた。GD2構築物は、選択および追跡マーカーとしてCD34受容体の変異体断片を含有した。
【0218】
3.3日後、形質導入細胞を洗浄し、BINATE培地および500IU/mL IL−2を用いて細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2を用い、3日毎(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))に行った。
【0219】
4.形質導入の3日後および15日後、BINATE細胞サブセットならびにγδT細胞のVdTCRサブセットを、変異体CD34受容体(形質導入効率の指標)の発現に関して解析した。3日目および15日目に、CD56+CD3−NK細胞の形質導入効率はそれぞれ、82.4%および82.4%であった。3日目および15日目に、CD3+56+細胞の形質導入効率はそれぞれ、43.2%および62.4%であった。3日目および15日目に、CD3+CD56−γδT細胞の形質導入効率はそれぞれ、37.3%および56.8%であった。遺伝子改変は培養期間の間安定であり、このことは高度の形質導入および永続的な組み込みを可能にする高度に活性化された集団であることを意味した。
【0220】
類似の実験において、BINATE亜集団の形質導入は、GD2 CAR構築物の高い形質導入、ならびにVd1およびVd2 TCR γδT細胞の両方のポリクローナル形質導入を示した。CD56+CD3−NK細胞は69%で形質導入されたが、CD3+γδT細胞は39%で形質導入された。Vd1 TCR集団は67%の形質導入効率を有し、Vd2 TCR集団は34%の形質導入効率を有した。
【0221】
(実施例17)
GD2 CARのin vitro形質導入後の増殖の評価
別々の実験において、50ng/ml抗NKp46(Bab281)抗体および50ng/ml抗CD2(OKT11)抗体の組合せによる活性化後の、第3世代GD2 CARをコードするレトロウイルス構築物によるBINATE細胞のin vitro形質導入後の増殖能を、IL−2およびIL−15による拡大条件において非改変BINATE細胞と比較した。
【0222】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、50ng/ml抗CD2(OKT11)および50ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2または10ng/ml IL−15を用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0223】
2.活性化非遺伝子改変αβTCRneg細胞集団を、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2またはIL−15を用い、3日毎に(バイオリアクターではより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。
【0224】
3.5日目に、活性化αβTCRneg細胞集団を、ヒトフィブロネクチンコーティングプレートまたは培養バッグ(Gobain)において0.25×10
6個/mlの濃度でGD2キメラ抗原受容体(CAR)の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下に置いた。GD2構築物は、選択および追跡マーカーとしてCD34受容体の変異体断片を含有した。
【0225】
4.5日後、形質導入細胞を洗浄し、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2またはIL−15を用い、3日毎に(バイオリアクターではより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。
【0226】
5.細胞数を7日毎にBINATEおよびBINATE.CARGD2集団に関して記録した。
【0227】
非改変BINATE細胞およびBINATE.CARGD2細胞を、形質導入の前に拡大させた(
図22における縦線によって表される)。形質導入後の拡大を、異なる条件に関して
図22における斜線によって表す。遺伝子改変細胞または非改変細胞の間に有意差はなく、全細胞数に関してもIL−2またはIL−15による拡大に差はなかった。
【0228】
(実施例18)
固形腫瘍のin vitro殺滅の評価
別々の実験において、第3世代のGD2 CARをコードするレトロウイルス構築物による活性化BINATEの形質導入後の2つの拡大条件(IL−2およびIL−15)における固形腫瘍のin vitro殺滅を比較した。
【0229】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、、500ng/ml抗CD2(OKT11)および10ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2または10ng/ml IL−15を用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0230】
2.5日目、活性化αβTCRneg細胞集団を、GD2キメラ抗原受容体の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下、0.25×10
6個/mlの濃度でヒトフィブロネクチンコーティングプレートまたは培養バッグ(Gobain)に置いた。GD2構築物は、選択および追跡マーカーとしてCD34受容体の変異体断片を含有した。
【0231】
3.3日後、形質導入細胞を洗浄し、BINATE培地および500IU/mL IL−2または10ng/ml IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2またはIL−15を用い、3日毎(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))に行った。
【0232】
4.20日の培養拡大の終わりに、BINATE細胞を、5〜7日間、腫瘍の共培養実験に置いた。実験は、6ウェル培養皿において2ml培地/培養ウェル中で1:1のエフェクターの標的に対する比で(すなわち、0.5M BINATE細胞またはBINATE.CAR.GD2細胞(エフェクター)を0.5M腫瘍細胞(標的)と共に)培養することを伴った。腫瘍およびエフェクター細胞の共培養は、サイトカインの非存在下で実施した。共培養は、3〜7日目に顕微鏡法およびフローサイトメトリーによって評価した。
【0233】
表8は、腫瘍の、非改変BINATE IL−2またはBINATE IL−15、またはCAR.GD2改変BINATE IL−2またはCAR.GD2改変BINATE IL−15のいずれかとの共培養後の残存腫瘍のパーセンテージに関する共培養からのデータを示す。対照における残存腫瘍を100%として測定した。BINATE IL−2およびBINATE IL−15はいずれも有意な腫瘍殺滅を示した。CAR.GD2改変BINATE IL−2およびBINATE IL−15も同様に、有意な殺滅を示した。
【表8】
【0234】
(実施例19)
骨髄白血病細胞株のin vitro殺滅の評価
別々の実験において、第3世代CD123CARをコードするレトロウイルス構築物による活性化BINATEの形質導入後の長期間の共培養における骨髄白血病細胞株のin vitro殺滅を評価した。
【0235】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、、50ng/ml抗CD2(OKT11)および50ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および10ng/ml IL−15を用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0236】
2.5日目、活性化αβTCRneg細胞集団を、CD123キメラ抗原受容体(CAR)の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下、0.25×10
6個/mlの濃度でヒトフィブロネクチンコーティングプレートに置いた。CD123構築物は、選択および追跡マーカーとしてCD19受容体の変異体断片を含有した。
【0237】
3.3日後、形質導入細胞を洗浄し、BINATE培地および10ng/mL IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換は、プレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−15を用い、3日毎(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))に行った。
【0238】
4.20日の培養拡大の終わりに、BINATE細胞およびBINATE.CAR123を、7日間またはそれより多くの日数の間、腫瘍の共培養実験に置いた。実験は、6ウェル培養皿において2ml培地/培養ウェル中で1:1のエフェクターの標的に対する比で(すなわち、0.5×10
6個のBINATEまたはBINATE.CAR123細胞(エフェクター)を0.5×10
6個の腫瘍細胞(標的)と共に)培養することを伴った。腫瘍およびエフェクター細胞の共培養は、サイトカインの非存在下で実施した。共培養は、3〜7日目に顕微鏡法およびフローサイトメトリーによって評価した。
【0239】
BINATE.CD123細胞は、65%の効率で形質導入された。共培養で評価した骨髄性白血病腫瘍株は、THP1、MOLM3、およびOCI AML細胞株を含んだ。データは、腫瘍と非改変BINATEまたはBINATE.CAR.CD123のいずれかとの共培養後の残存腫瘍のパーセンテージを含んだ。対照における残存腫瘍を100%として測定した。BINATE細胞は、最初の短期間の殺滅後の残存腫瘍の持続的な成長により、骨髄性白血病細胞の根絶に成功しなかった。BINATE.CAR.CD123細胞は、THP1およびMOLM3細胞株との共培養において殺滅に成功して腫瘍フリー培養を維持することができ、OCI AML細胞株では対照の>70%であった。
【0240】
(実施例20)
白血病細胞のin vivo殺滅の評価
別々の実験において、第2世代CD19 CARをコードするレトロウイルス構築物による活性化BINATE細胞の形質導入後の白血病細胞のin vivo殺滅を評価した。
【0241】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離およびMiltenyi NK選択キットを使用するNK富化に供した。NKおよびγδT細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、500ng/ml抗CD2抗体(クローンLT2、Miltenyi)および10ng/ml抗NKp46の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2を用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0242】
2.5日目、活性化集団を、CD19キメラ抗原受容体の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下、0.25×10
6個/mlの濃度でヒトフィブロネクチンコーティングプレートに置いた。CD19構築物は、選択および追跡マーカーとしてCD34受容体の変異体断片を含有した。
【0243】
3.3日後、形質導入細胞を洗浄し、BINATE培地および500IU/mL IL−2を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2を用い、3日毎(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))に行った。拡大の終わりに、BINATE細胞を洗浄し、マウスにIV投与するためにPBS溶液中で製剤化した。
【0244】
異種in vivo白血病モデル
NOD/SCID IL−2Rγnull(NSG)異種移植マウスに、DAUDI細胞を注入し、CAR形質導入細胞の抗腫瘍効果をin vivoで評価した。マウスの実験は、倫理上の国際要件、EUの要件、および国内要件に従って行い、イタリア保健省(N°88/2016−PR)の承認を受けた。NGSマウス(5週齢;The Jackson Laboratory、USA)に、ホタルルシフェラーゼ標識Daudi細胞(FF−Daudi)(0.25×10
6個)を−3日目に接種した。マウスに50×10
6個のBINATE細胞またはBINATE.CAR19細胞を、IV注射によって0日目に注射し、毎週の生体発光イメージング(IVIS System、Perkin Elmer、USA)に供した。
【0245】
BINATE細胞またはBINATE.CD19細胞の3つの用量を0日目に動物モデルに注入した。非遺伝子改変BINATE細胞は、部分的応答を生じることができ、マウスは42日目まで生存した。CAR.CD19によって遺伝子改変したBINATE細胞は、用量効果応答を実証し、最低用量の1×10
6個のBINATE細胞は、非形質導入細胞より1週間長く動物を維持することができたが、5×10
6個または10×10
6個のBINATE.CAR.CD19細胞を投与した動物ほど長く維持することはできなかった。このモデルは、毎週2回のIL−2皮下注射によって裏付けられた。CAR−T CD19遺伝子改変αβT細胞とは異なり、動物は、90日目に屠殺するまで生存し、IL−2投与にもかかわらず、サイトカイン放出症候群(CRS)や同種異系もしくは異種反応性の証拠はなく、自然細胞の安全性の改善を裏付けた。動物を90日目に屠殺し、組織を末梢血および肝臓におけるヒトCD45+細胞(BINATE)の存在に関して評価した後、%NKおよびγδTサブセットをそれぞれ、各組織において調べた。
図23に示すように、血液および組織の両方においてBINATE細胞が維持され、in vivoの環境でBINATE細胞集団の生存および拡大の可能性を実証した。
【0246】
(実施例21)
固形腫瘍(神経芽腫)のin vivo殺滅の評価
別々の実験において、第3世代のGD2 CARをコードするレトロウイルス構築物による活性化BINATE細胞の形質導入後の固形腫瘍、神経芽腫のin vivo殺滅を評価した。
【0247】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。得られたαβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、50ng/ml抗CD2(OKT11)および50ng/ml抗NKp46(Bab281)の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および10ng/ml IL−15を用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0248】
2.5日目、活性化αβTCRneg細胞集団を、GD2キメラ抗原受容体の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下、0.25×10
6個/mlの濃度でヒトフィブロネクチンコーティングプレートに入れた。GD2構築物は、選択および追跡マーカーとしてCD34受容体の変異体断片を含有した。
【0249】
3.3日後、形質導入細胞を洗浄し、BINATE培地および10ng/mL IL−15を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換は、3日毎に(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。20日目に細胞を洗浄し、投与のためにPBS中で製剤化した。
【0250】
異種in vivo神経芽腫モデル
NOD/SCID IL−2Rγnull(NSG)異種移植マウスに、SH−SY5Y細胞を注入し、CAR形質導入細胞の抗腫瘍効果をin vivoで評価した。マウスの実験は、倫理上の国際要件、EUの要件、および国内要件に従って行い、イタリア保健省(N°88/2016−PR)の承認を受けた。NGSマウス(5週齢;The Jackson Laboratory、USA)に、ホタルルシフェラーゼ標識SH−SY5Y細胞(0.75×10
6個)を−3日目に腹腔内に接種した。マウスに30×10
6個のBINATE細胞またはBINATE.CARGD2細胞を、腹腔内注射によって2週間毎に3用量を注射し、毎週の生体発光イメージング(IVIS System、Perkin Elmer、USA)に供した。
【0251】
非遺伝子改変BINATE細胞は、およそ18日目に末梢腫瘍塊の消失を伴う部分応答を示したが、マウスはその後局所進行を示した。CAR.CDGD2による遺伝子改変BINATE細胞は、末梢腫瘍塊の有意な除去を実証したが、局所病巣を殺滅することはできなかった。このモデルは、毎週2回のIL−2皮下注射によって裏付けられた。
【0252】
(実施例22)
固形腫瘍(神経芽腫)のin vitro殺滅およびNK細胞によるADCC抗体の評価
別々の実験において、固形腫瘍、神経芽腫の自然NK細胞または自然NK.CAR.GD2細胞によるin vitro殺滅を評価した。
【0253】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離およびMiltenyi NK選択キットを使用するNK富化に供した。得られた集団を、24ウェルプレート中0.25〜0.5×10
6個/mlの細胞播種濃度において、500ng/ml抗CD2抗体(クローンLT2、Miltenyi)および10ng/ml抗NKp46の組合せ(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)を有する、BINATE培地および500IU/ml IL−2を用いる、フィーダーフリー培養条件に置いた。
【0254】
2.5日目、活性化集団を、GD2キメラ抗原受容体(CAR)の構築物を含有するガンマレトロウイルス上清の存在下、0.25×10
6個/mlの濃度でヒトフィブロネクチンコーティングプレートに置いた。GD2構築物は、選択および追跡マーカーとしてCD34受容体の変異体断片を含有した。
【0255】
3.3日後、形質導入細胞を洗浄し、BINATE培地および500IU/mL IL−2を用いて、細胞播種濃度0.25〜0.5×10
6個/mlでT75フラスコ(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)において、フィーダーフリー培養条件でさらに培養拡大させた。培地交換はプレートまたはフラスコの場合、新鮮なBINATE培地およびIL−2を用い、3日毎(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))に行った。
【0256】
4.20日の培養拡大の終わりに、BINATE細胞およびBINATE.CARGD2細胞を、7日間またはそれより多くの日数の間、腫瘍の共培養実験に置いた。実験は、6ウェル培養皿において2ml培地/培養ウェル中で1:1のエフェクターの標的に対する比で(すなわち、0.5×10
6個の自然NKまたは自然NK.CAR.GD2(エフェクター)を0.5×10
6個のSH−SY5Y腫瘍細胞(標的)と共に)培養することを伴った。抗GD2抗体(10μg、14.G2aモノクローナル抗体)を共培養群の各々に添加し、活性化細胞のADCC能を評価した。腫瘍およびエフェクター細胞の共培養を、サイトカインの非存在下で実施した。共培養は、3〜7日目に顕微鏡法およびフローサイトメトリーによって評価した。
【0257】
データは、腫瘍を非改変の自然NKまたは自然NK.CAR.GD2と共に、14.G2a ADCC抗体の存在下または非存在下で共培養後の残存腫瘍のパーセンテージを含んだ。対照における残存SH−SY5Y腫瘍を、99.5%として測定した。14.G2a抗体をSH−SY5Y腫瘍細胞に添加しても、対照(98.5%)と比較して差はなかった。非改変活性化自然NK細胞を、SH−SY5Y腫瘍細胞に添加すると、残存腫瘍は22%であった。14G.2a抗体を、自然NK細胞およびSH−SY5Y腫瘍細胞の組合せに添加すると、より少ない残存腫瘍パーセンテージ(14.5%)をもたらした。自然NK.CAR.GD2細胞をSH−SY5Y腫瘍細胞に添加すると、40.9%の残存腫瘍パーセンテージをもたらし、自然NK.CAR.GD2細胞、SH−SY5Y腫瘍細胞、および14.G2a抗体を共培養した場合、残存腫瘍パーセンテージは8.7%に低下した。FcγIII受容体発現を有する細胞、例えば活性化自然細胞の存在下では、抗体によるADCC活性は腫瘍殺滅を増強した。
【0258】
(実施例23)
別々の実験において、拡大の間のサイトカインの切り替えが細胞含有量に及ぼす効果を評価した。
【0259】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行った。
【0260】
2.単核細胞を、実験室規模のMiltenyi LSカラム分離を使用するαβT細胞枯渇に供した。
【0261】
3.得られたαβTCRneg細胞集団を、5%AB血清を補充したNK MACS(商標)培地(#130−107−879(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA)(あるいは、他の培地、例えばR&D systemsの培地、CELLGENIX培地等を使用してもよい)を用いるフィーダーフリー培養条件に置いた。
【0262】
4.活性化は、CapricoによるGMP精製された10ng/ml抗NKp46(クローンBab281)および10ng/ml抗CD2(クローンOKT11)または50ng/ml抗NKp46(クローンBab281)および50ng/ml抗CD2(クローンOKT11)(あるいは、活性化剤の他の濃度を使用してもよく、他の剤を活性化のために添加してもよい)のいずれかの組合せによって達成された。活性化αβTCRneg細胞集団を、24ウェルプレート中0.25×10
6個/mlの細胞播種濃度において、5%AB血清を補充したNK MACS(商標)培地(#130−107−879(Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA)(あるいは、他の培地、例えばR&D systemsの培地、CELLGENIX培地等を使用してもよい)を用い、以下の条件:
a.500IU/mLヒトインターロイキン2(IL−2)(Miltenyi Biotec)
b.10ng/mlヒトインターロイキン15(IL−15)(Miltenyi Biotec)
c.500IU/mL IL−2および10ng/mL IL−15の組合せ
d.500IU/mL IL−2および10ng/ml OKT3(Miltenyi Biotec)の組合せ
e.10ng/mL IL−15および500IU/mL IL−2および10ng/ml OKT3の組合せ
の1つを用いる、フィーダーフリー培養条件で培養拡大した後、T75フラスコに移した。
【0263】
5.培地交換は、新鮮な培地および上記に列挙した条件の1つを用い、3日毎に(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))行った。
【0264】
6.細胞を、0.25〜0.5×10
6個/ml(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)の濃度で播種した。
【0265】
7.さらに、最初の25日間IL−2によって最初に拡大させた細胞を次に洗浄し、培養終了のとき(30日目)までIL−15を補充した。IL−15によって最初に拡大させた細胞を、25日目に洗浄した後、30日目の培養終了のときまでIL−2を補充した(サイトカイン切り替え条件と呼ぶ)。一部の例では、最初の20日間IL−2によって最初に拡大させた細胞を次に洗浄し、培養終了のとき(30日目)までIL−15を補充した。最初にIL−15によって拡大させた細胞を、20日目に洗浄した後、30日目の培養終了のときまでIL−2を補充した。代替の組合せまたは他のサイトカイン、例えばIL−7、IL−12、IL−18、IL−21、OKT3、OKT11、および抗NCRを切り替え条件に使用してもよい。
【0266】
8.拡大の終わりに、BINATE細胞を、NKおよびγδCD3+T細胞含有量に関して解析し、フローサイトメトリーを介して細胞上の受容体発現によって特徴付けた。
【0267】
本実施例では、単一のサイトカインを切り替え条件と比較し(IL−2と、IL−2のIL−15への切り替えと比較する)、IL−2とIL−2/IL−15との比較の場合、γδT細胞数は、IL−15を添加するとIL−2単独と比較して増加した(それぞれ、70%対50%)。IL−15とIL−15/IL−2との比較の場合、NK集団は、切り替え条件ではIL−15単独と比較して増加した(それぞれ、90%対80%)。IL−2およびIL−15はいずれも細胞上のIL−2受容体との相互作用を通して作用することから、データは、特定のサイトカインによる最初の拡大条件に都合がよい集団の拡大が、他のサイトカインへの切り替えによって増強されることを示している。
【0268】
(実施例24)
純粋なNK細胞または純粋なγδT細胞の単離
本実施例では、純粋なNK細胞集団を単離するプロセスおよび純粋なγδT細胞集団を単離するプロセスを記載する。本プロセスの例としての変形形態を例証するフローチャートを
図24に表す。
【0269】
1.正常で健常なドナー由来のバフィーコートに、手動での遠心分離器での分離によって実施するFicoll(商標)による勾配細胞分離を行う;Percoll勾配、SEPAX、Cobe2991、またはエルトリエーションシステムも同様に使用してもよい。あるいは、アフェレーシス、臍帯血単位、骨髄、または体液、例えば腹水、CSF、もしくは胸水を、勾配遠心分離を行ってまたは行うことなく細胞供給源として使用してもよい。
【0270】
2.単核細胞を、直接使用するか、もしくは勾配分離後に使用するか、またはさらなる細胞選択、例えばFicoll(商標)MNC、抗体枯渇、NKの正の選択、NKの負の選択、γδT細胞の負の選択、および/またはCD3+の正の選択などに供する。ある特定の例では、単核細胞を、Miltenyi磁気ビーズに基づく方法または他の細胞選択技術を使用してCD56+NK細胞の正の選択または負の選択に供する。あるいは、細胞を、Miltenyi磁気ビーズに基づく技術または他の細胞選択技術を使用してγδTCR+の正の選択に供してもよい。あるいは、細胞を、Miltenyi磁気ビーズに基づく技術または他の細胞選択技術を使用してCD3+細胞枯渇に供してもよい。
【0271】
3.次に、得られた細胞集団を、可溶性または架橋した抗LFAおよび抗NCR抗体の存在下、BINATE培地(5%AB血清を補充したNK MACS(商標)培地#130−107−879 Miltenyi Biotec,Inc.、San Diego、CA、USA(あるいは、他の培地、例えばR&D systems培地、CELLGENIX培地等を使用してもよい))、または、ヒト血清補充ありまたは無しの、他の動物成分フリーの培養培地、例えばIn VivoまたはR&D Systems、またはCellgenixを用いる、フィーダーフリー培養において活性化する。
【0272】
4.細胞拡大は、T75フラスコにおいて0.25〜5×10
6個/mlの細胞播種濃度(あるいは細胞播種濃度は、培養バッグ、フラスコ、または他の大きい培養容器、例えばバイオリアクター(G−Rex)では1×10
6個/mlまでの範囲であり得る)で、IL−2、IL−15、IL−12、IL−18およびその組合せなどのサイトカインを補充することによって行う。培地交換は、3日毎(バイオリアクターの場合はより少ない頻度で(5〜7日毎))に成長培地およびサイトカインによって行う。
【0273】
5.得られた7、20、30、45、および60日目の培養物は、NKおよびγδT細胞の混合物のBINATE集団を含み得て、次にこれを投与のために凍結保存する。あるいは、得られた細胞集団に、さらなる拡大後細胞選択ステップ、例えばNK CD56+枯渇を行ってもよく、それによって純粋なγδT細胞集団を得てもよい。あるいは、細胞に、γδT細胞の正の除去または負の選択を行って純粋なNK集団を得てもよく、またはCD16の正の選択を行って高度に富化されたADCC FcyIII受容体+集団を生じる。あるいは、細胞にNK枯渇を行った後にADCC γδT細胞集団についてのCD16選択を行ってもよい。
【0274】
(実施例25)
レトロウイルス構築物
本実施例では、上記のある特定の例において使用したレトロウイルスベクターCARGD2、CARCD123、およびCARCD19を記載する。
【0275】
ベクター骨格
以下に記載される構築物は、SFG骨格を含み、これはモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)に基づくレトロウイルスベクターを使用する。パッケージング配列(psi)を除く全てのenvおよびgag−polを除去した。その結果、ベクターは複製インコンピテントである。
【0276】
産生細胞株
以下のレトロウイルス構築物を産生するためのパッケージング細胞株を、OPBG、Cell and Gene Therapy for Pediatric Tumor研究所の実験室の環境において専用の層流フードおよびCO
2インキュベーター、ならびにガンマ線照射したPharmagradeのFBS(EuroClone、カタログECS0172L、ロットEUS0131906GI)を除き非動物由来材料を使用して生成した。パッケージング細胞株は、BioVec Pharmaから受領したcGMPに基づいて寄託されたヒトベースの293VEC RD114産生株から生成した。特に、293VEC RD114細胞は、それがヒト起源の細胞であり、大規模臨床等級の産生にとって適した高いベクター力価の産生を可能にすることから、パッケージング細胞株として選択した。
【0277】
CARGD2
iC9−CARGD2.CD28.41bb.CD3ゼータ(OPBG−91ベクター)レトロウイルスベクターを、Ospedale Pediatrico Bambino Gesu(OPBG)、“Cell and Gene Therapy for Pediatric Tumor”研究所において構築した。2つのトランスジーン、すなわち誘導型カスパーゼ9(iC9)およびCARGD2(iC9−CARGD2.CD28.41bb.CD3ゼータ)の同時発現を可能にするバイシストロニックベクターを使用した。単一細胞クローニングを実施し、最高力価を産生した(上清中のベクターの存在に関してPCR解析を使用して)293VEC RD114クローン(すなわち、OPBG−91−7)を拡大させ、Officina Farmaceutica OPBGに寄託し、無菌性およびマイコプラズマに関して試験した後、cGMP条件下でレトロウイルス産生のために使用した。
【0278】
iC9構成要素において、細胞内に発現されるCasp9タンパク質の触媒ドメインを、F36V変異を有するヒトFK506結合タンパク質(FKBP12)に由来する薬物結合ドメインに融合する。抗原結合後に活性化シグナルを形質導入するためにCD28膜貫通ドメインおよびそのエンドドメイン、4.1bb共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞質ドメインとインフレームの、ヒト抗原GD2に対して特異的なモノクローナル抗体14.G2Aの融合VH−VL領域の一本鎖に基づくCAR分子を、アプローチの安全性態様を改善するためにレトロウイルスベクターにおいてiC9の配列を含む遺伝子カセット後にクローニングした。
【0279】
iC9.CARGD2.CD28.41bb.CD3zの発現および活性に関するある特定の機能的および構造的構成要素を以下の表9に要約し、本明細書に列挙する:
【0280】
・ 5’LTR − ベクターの5’末端のレトロウイルス長末端反復配列(プロモーター配列として機能する)。
【0281】
・ ψ − レトロウイルスカプシド化シグナル(psi;RNAをビリオン粒子にパッケージングするために必要)。
【0282】
・ SA − スプライスアクセプター部位。
【0283】
・ iCasp9 − 誘導型カスパーゼ−9発現カセット。iCasp9は、6アミノ酸のGly−Serリンカーを介して改変CARDドメイン欠失ヒトカスパーゼ−9に接続された、F36V変異を有するヒトFK506結合タンパク質(FKBP12)で構成される。
【0284】
・ FKBP12−F36V − AP1903に対する結合親和性を最適にするためにF36V変異を含有する操作されたFK506結合タンパク質。FKBP12−F36Vタンパク質ドメインは、連結した治療タンパク質の薬物結合/オリゴマー化ドメインとして役立つ。FKBP12−F36Vは、カスパーゼ9の調節因子として機能する。AP1903の非存在下では、iCasp9は最少の活性を有し;AP1903がFKBP12−F36Vに結合すると、二量体化を促進し、2つのカスパーゼ−9分子を並置させてアポトーシスを開始する。このように、FKBP12−F36V部分は、Apaf−1関連オリゴマー化を媒介するカスパーゼ−9の内因性の二量体化/活性化モジュール(カスパーゼ活性化および動員ドメイン;CARD)を機能的に交換する。
【0285】
・ リンカー − 切り替え調節因子配列をカスパーゼ−9に融合するために使用される合成Ser−Gly−Gly−Gly−Ser−Glyペプチドリンカー。
【0286】
・ カスパーゼ−9 − ヒトカスパーゼ−9cDNA配列(重要なアポトーシス促進性の調節因子)および構築物の治療構成要素(調節された自殺遺伝子)。自然発生Apaf1結合を低減させ、したがってバックグラウンド殺滅を低減させるために、内因性の二量体化/活性化モジュール(カスパーゼ活性化および動員ドメイン;CARD)を欠失させた。
【0287】
・ 2A − Thosea Asigna昆虫ウイルス由来の合成の20アミノ酸のペプチドをコードし、これはカスパーゼ−9タンパク質とCARタンパク質との間の切断可能なリンカーとして機能する。
【0288】
・ シグナルペプチド − 小胞体から細胞膜への分泌タンパク質の正確な移動を可能にする短いアミノ酸配列。
【0289】
・ CAR − CD28TMおよび共刺激ドメイン、4.1bb共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞質ドメインとインフレームの、ヒト抗原GD2に対して特異的なモノクローナル抗体14.G2Aの融合VH−VL領域の一本鎖に基づくCAR分子。
【0290】
・ 3’LTR − ベクターの3’末端でのレトロウイルス長末端反復配列(ターミネーター配列/ポリアデニル化配列として機能する)。
【表9-1】
【表9-2】
【0291】
参照の電子ベクター配列を、ベクター構築物の各構成要素のDNA配列ファイルを組み合わせることによってアセンブルした。レトロウイルスゲノムはRNAに基づくことから、293VEC細胞株へのトランスフェクションのために使用したプラスミドDNAに関して配列解析を実施した(レトロウイルス産物調製における最初のステップ)。Ospedale Pediatrico Bambino GesuにおいてOPBG−91ベクター全体について双方向シークエンシングを実施した。シークエンシングランを、SnapGeneソフトウェアを使用してアセンブルした。理論的な参照電子配列と比較してミスマッチ塩基は同定されなかった。
【0292】
CARCD123
ΔCD19−2A−CAR−CD123−ΔCD34.CD8.41bb.CD3ゼータ(OPBG−242ベクター)レトロウイルスベクターを、Ospedale Pediatrico Bambino Gesu(OPBG)、“Cell and Gene Therapy for Pediatric Tumor”研究所において構築した。2つのトランスジーン、すなわちΔCD19およびCARCD123の同時発現を可能にするバイシストロニックベクター(ΔCD19−2A−CAR−CD123−ΔCD34.CD8.41bb.CD3ゼータ)を使用した。単一細胞クローニングを実施し、最高の力価を産生したクローン(上清中のベクターの存在に関するPCR解析を使用して)を、上記のように拡大させて寄託した。
【0293】
ΔCD19は、膜貫通部分に連結したヒトCD19の細胞外ドメインを表す。これは、遺伝子改変細胞の選択および表現型特徴付けを助けるために二重の機能を有する。抗原結合後の活性化シグナルの形質導入のためにCD8膜貫通ドメインおよびそのエンドドメイン、4.1bb共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞質ドメインとインフレームの、ヒト抗原CD123に対して特異的なモノクローナル抗体7G3の融合VH−VL領域の一本鎖に基づくCAR分子を、レトロウイルスベクターにおいて2A配列の使用を通してΔCD19の配列を含む遺伝子発現カセット後にクローニングした。
【0294】
ΔCD19−2A−CAR−CD123−ΔCD34.CD8.41bb.CD3z発現および活性のためのある特定の機能的および構造的構成要素を以下の表10に要約し、本明細書に列挙する:
【0295】
・ 5’LTR − ベクターの5’末端のレトロウイルス長末端反復配列(プロモーター配列として機能する)。
【0296】
・ ψ − レトロウイルスカプシド化シグナル(psi;RNAをビリオン粒子にパッケージングするために必要)。
【0297】
・ SA − スプライスアクセプター部位。
【0298】
・ △CD19 − 最適化ヒト細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。
【0299】
・ 2A − Thosea Asigna昆虫ウイルス由来の合成の20アミノ酸のペプチドをコードする。
【0300】
・ シグナルペプチド − 小胞体から細胞膜への分泌タンパク質の正確な移動を可能にする短いアミノ酸配列。
【0301】
・ △CD34 −形質導入後のCAR+ T細胞を検出する助けとなる、ヒトCD34に由来する短いペプチドを含む。
【0302】
・ CAR − CD8TMおよび共刺激ドメイン、4.1bb共刺激ドメインおよびCD3ζ細胞質ドメインとインフレームの、ヒト抗原CD123に対して特異的なモノクローナル抗体7G3の融合VH−VL領域の一本鎖に基づくCAR分子。
【0303】
・ 3’LTR − ベクターの3’末端でのレトロウイルス長末端反復配列(ターミネーター配列/ポリアデニル化配列として機能する)。
【表10】
【0304】
参照の電子ベクター配列をベクター構築物の各構成要素のDNA配列ファイルを組み合わせることによってアセンブルした。レトロウイルスゲノムはRNAに基づくことから、293VEC細胞株へのトランスフェクションのために使用したプラスミドDNAに関して配列解析を実施した(レトロウイルス産物調製における最初のステップ)。Ospedale Pediatrico Bambino GesuにおいてOPBG−242ベクター全体について双方向シークエンシングを実施した。シークエンシングランを、SnapGeneソフトウェアを使用してアセンブルした。理論的な参照電子配列と比較してミスマッチ塩基は同定されなかった。
【0305】
CARCD19
治療的レトロウイルス構築物SFG−iC9−Car.CD19.41bbは、マウス抗原CD19、4.1bb共刺激ドメインに対して特異的なモノクローナル抗体の融合VH−VL領域の一本鎖に連結された合成リガンド誘導型ヒトカスパーゼ−9cDNAをコードする。アセンブリは、それが第2世代であることを除き、上記のCARGD2と同じである。レトロウイルスベクターを、EU Cell and Gene Therapy Laboratoryにおいて構築した。単一細胞クローニングを実施し、最高の力価を産生したクローン(上清中のベクターの存在に関するPCR解析を使用して)を拡大させ、cGMP施設に寄託し、無菌性およびマイコプラズマに関する試験の後、cGMP条件下でのレトロウイルス産生のために使用した。
【0306】
SFG−iC9−Car.CD19.41bb発現および活性のためのある特定の機能的および構造的構成要素を以下に列挙する:
【0307】
・ 5’LTR − ベクターの5’末端のレトロウイルス長末端反復配列(プロモーター配列として機能する)。
【0308】
・ ψ − レトロウイルスカプシド化シグナル(psi;RNAをビリオン粒子にパッケージングするために必要)。
【0309】
・ SA − スプライスアクセプター部位。
【0310】
・ iCasp9 − 誘導型カスパーゼ−9発現カセット。iCasp9は、6アミノ酸Gly−Serリンカーを介して改変CARDドメイン欠失ヒトカスパーゼ−9に接続された、F36V変異を有するヒトFK506結合タンパク質(FKBP12)で構成される。
【0311】
・ FKBP12−F36V − AP1903に対する結合親和性を最適にするためにF36V変異を含有する操作されたFK506結合タンパク質。FKBP12−F36Vタンパク質ドメインは、連結した治療タンパク質の薬物結合/オリゴマー化ドメインとして役立つ。FKBP12−F36Vは、カスパーゼ9の調節因子として機能する。AP1903の非存在下では、iCasp9は最少の活性を有し;AP1903がFKBP12−F36Vに結合すると、二量体化を促進し、2つのカスパーゼ−9分子を並置させてアポトーシスを開始する。このように、FKBP12−F36V部分は、Apaf−1関連オリゴマー化を媒介するカスパーゼ−9の内因性の二量体化/活性化モジュール(カスパーゼ活性化および動員ドメイン;CARD)を機能的に交換する。
【0312】
・ リンカー − 切り替え調節因子配列をカスパーゼ−9に融合するために使用される合成Ser−Gly−Gly−Gly−Ser−Glyペプチドリンカー。
【0313】
・ カスパーゼ−9 − ヒトカスパーゼ−9 cDNA配列(重要なアポトーシス促進性の調節因子)および構築物の治療構成要素(調節された自殺遺伝子)。自然発生Apaf1結合を低減させ、したがってバックグラウンド殺滅を低減させるために、内因性の二量体化/活性化モジュール(カスパーゼ活性化および動員ドメイン;CARD)を欠失させた。
【0314】
・ 2A − Thosea Asigna昆虫ウイルス由来の合成20アミノ酸のペプチドをコードし、これはカスパーゼ−9タンパク質とCARタンパク質との間の切断可能なリンカーとして機能する。
【0315】
・ シグナルペプチド − 小胞体から細胞膜への分泌タンパク質の正確な移動を可能にする短いアミノ酸配列。
【0316】
・ CAR − マウス抗原CD19、4.1bb共刺激ドメインに対して特異的なモノクローナル抗体の融合VH−VL領域の一本鎖に基づくCAR分子。
【0317】
・ 3’LTR − ベクターの3’末端でのレトロウイルス長末端反復配列(ターミネーター配列/ポリアデニル化配列として機能する)。
【0318】
(実施例26)
ある特定の非制限的な実施形態の例
以下に本技術のある特定の実施形態の非制限的な例を列挙する。
【0319】
A1.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を含む組成物を製造する方法であって、
1または複数の対象から細胞を含有する試料を得ること;
NK細胞およびガンマ.デルタT細胞を含む枯渇細胞集団を生成する条件下で試料からアルファ.ベータT細胞を枯渇させること;ならびに
枯渇細胞集団を(a)細胞接着ポリペプチドに免疫特異的に結合する少なくとも1種の外因性ポリペプチド、および(b)細胞接着ポリペプチドとは異なるポリペプチドに免疫特異的に結合し、試料集団の1種または複数種の細胞の表面上に発現される少なくとも1種の外因性ポリペプチドに接触させることを含む活性化条件に枯渇細胞集団を曝露すること;ならびに
枯渇細胞集団を少なくとも1種の補助的ポリペプチドに接触させることを含む拡大条件に枯渇細胞集団を曝露し、それによってNK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を含む組成物を生成すること
を含む方法。
【0320】
A1.1.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を含む組成物を製造する方法であって、
1または複数の対象から細胞を含有する試料を得ること;
試料を(a)細胞接着ポリペプチドに免疫特異的に結合する少なくとも1種の外因性ポリペプチド、および(b)細胞接着ポリペプチドとは異なるポリペプチドに免疫特異的に結合し、試料集団の1種または複数種の細胞の表面上に発現される少なくとも1種の外因性ポリペプチドに接触させることを含む活性化条件であって、(a)もしくは(b)が可溶性であるか、または(a)および(b)が可溶性である活性化条件に試料を曝露すること;ならびに
試料を少なくとも1種の補助的ポリペプチドに接触させることを含む拡大条件に試料を曝露し、それによってNK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を含む組成物を生成すること
を含む方法。
【0321】
A2.少なくとも1種の補助的ポリペプチドが、集団におけるガンマ.デルタT細胞の量と比較したNK細胞の量が少なくとも1種の補助的ポリペプチドの量および/またはタイプに依存的であるように選択される、実施形態A1またはA1.1に記載の方法。
【0322】
A2.1.少なくとも1種の補助的ポリペプチドが、枯渇細胞集団を少なくとも1種の補助的ポリペプチドに接触させた後に、細胞の集団におけるガンマ.デルタT細胞と比較してNK細胞の量を増加または減少させる、実施形態A1、A1.1またはA2に記載の方法。
【0323】
A3.活性化条件が、非ヒト動物由来の血清を含まない、実施形態A1、A1.1、A2またはA2.1のいずれかに記載の方法。
【0324】
A4.拡大条件が、非ヒト動物由来の血清を含まない、実施形態A1〜A3のいずれかに記載の方法。
【0325】
A5.活性化条件がフィーダー細胞を含まない、実施形態A1〜A4のいずれかに記載の方法。
【0326】
A6.拡大条件がフィーダー細胞を含まない、実施形態A1〜A5のいずれかに記載の方法。
【0327】
A7.試料が、末梢血、肝組織、上皮組織、骨髄、および臍帯血から選択される、実施形態A1〜A6のいずれかに記載の方法。
【0328】
A8.試料が末梢血である、実施形態A7に記載の方法。
【0329】
A9.末梢血試料が処理された試料である、実施形態A8に記載の方法。
【0330】
A10.試料が臍帯血である、実施形態A7に記載の方法。
【0331】
A11.臍帯血試料が処理された試料である、実施形態A10に記載の方法。
【0332】
A12.(b)における外因性ポリペプチドが、NK細胞活性化受容体、ガンマ.デルタT細胞活性化受容体、または両方に免疫特異的に結合する、実施形態A1〜A11のいずれかに記載の方法。
【0333】
A13.受容体が、NKp30、NKp44、またはNKp46である、実施形態A12に記載の方法。
【0334】
A14.受容体がNKp46である、実施形態A13に記載の方法。
【0335】
A15.(a)における外因性ポリペプチドが、CD2に免疫特異的に結合する、実施形態A1〜A14のいずれかに記載の方法。
【0336】
A16.(a)もしくは(b)、または(a)および(b)における外因性ポリペプチドが、抗体またはその抗原結合性断片である、実施形態A1〜A15のいずれかに記載の方法。
【0337】
A17.(a)または(b)のうちの少なくとも1つが可溶性である、実施形態A1〜A16のいずれかに記載の方法。
【0338】
A17.1.(a)および(b)における外因性ポリペプチドの両方が可溶性である、実施形態A1〜A17のいずれかに記載の方法。
【0339】
A18.(a)における外因性ポリペプチドまたは(b)における外因性ポリペプチドが基質に結合する、実施形態A1〜A16のいずれかに記載の方法。
【0340】
A19.活性化条件が、試料または枯渇細胞集団を少なくとも2種の外因性ポリペプチドに接触させることを含む、実施形態A1〜A18のいずれかに記載の方法。
【0341】
A20.第1の外因性ポリペプチドがCD2に免疫特異的に結合し、第2の外因性ポリペプチドがNKp46に免疫特異的に結合する、実施形態A19に記載の方法。
【0342】
A21.第1の外因性ポリペプチドおよび/または第2の外因性ポリペプチドが抗体またはその抗原結合性断片である、実施形態A19またはA20に記載の方法。
【0343】
A22.活性化条件のポリペプチド構成要素が、
(a)細胞接着ポリペプチドCD2に免疫特異的に結合する外因性ポリペプチド;および
(b)(a)における外因性ポリペプチドとは異なり、NKp46に免疫特異的に結合する外因性ポリペプチド
から本質的になるかまたはそれからなる、実施形態A1〜A21のいずれかに記載の方法。
【0344】
A23.補助的ポリペプチドが、サイトカインおよび/またはガンマ.デルタT細胞上の受容体に免疫特異的に結合するポリペプチドである、実施形態A1〜A22のいずれかに記載の方法。
【0345】
A24.拡大条件が、試料または枯渇細胞集団をサイトカインである少なくとも1種の補助的ポリペプチド、および必要に応じてガンマ.デルタT細胞上の受容体に免疫特異的に結合する補助的ポリペプチドに接触させることを含む、実施形態A23に記載の方法。
【0346】
A25.サイトカインがインターロイキン(IL)である、実施形態A24に記載の方法。
【0347】
A26.少なくとも1種の補助的ポリペプチドが、IL−2、IL−4、IL−15、またはその任意の組合せを含む、実施形態A23〜A25のいずれかに記載の方法。
【0348】
A27.拡大条件が、試料または枯渇細胞集団を
(a)IL−2ポリペプチド、および必要に応じてガンマ.デルタT細胞上の受容体に免疫特異的に結合するポリペプチド;
(b)IL−15ポリペプチド;または
(c)IL−2ポリペプチドおよびIL−15ポリペプチド、ならびに必要に応じてガンマ.デルタT細胞上の受容体に免疫特異的に結合するポリペプチド
に接触させることを含む、実施形態A23〜A26のいずれかに記載の方法。
【0349】
A28.ガンマ.デルタT細胞上の受容体がCD3である、実施形態A23〜A27のいずれかに記載の方法。
【0350】
A29.ガンマ.デルタT細胞上の受容体に免疫特異的に結合するポリペプチドが、抗体またはその抗原結合性断片である、実施形態A23〜A28のいずれかに記載の方法。
【0351】
A30.拡大条件が、試料を
(a)IL−2ポリペプチド;
(b)IL−15ポリペプチド;
(c)IL−2ポリペプチドおよびIL−15ポリペプチド;
(d)IL−2ポリペプチドおよびCD3に免疫特異的に結合する抗体;または
(e)IL−2ポリペプチド、IL−15ポリペプチドおよびCD3に免疫特異的に結合する抗体
に接触させることを含む、実施形態A29に記載の方法。
【0352】
A31.CD3に免疫特異的に結合する抗体がOKT3である、実施形態A30に記載の方法。
【0353】
A32.活性化および拡大条件が同時にまたは任意の順序で逐次的に実施される、実施形態A1〜A31のいずれかに記載の方法。
【0354】
A33.少なくとも1種の外因性ポリペプチドが補助的ポリペプチドとしても機能することができる;または
少なくとも1種の補助的ポリペプチドが外因性ポリペプチドとしても機能することができる;または
少なくとも1種の外因性ポリペプチドが補助的ポリペプチドとしても機能することができ、かつ少なくとも1種の補助的ポリペプチドが外因性ポリペプチドとしても機能することができる、実施形態A1〜A32のいずれかに記載の方法。
【0355】
A34.(i)拡大条件が、試料または枯渇細胞集団をIL−2ポリペプチドに接触させることを含み;
(ii)得られた、NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団が、約25〜30%のNK細胞および約70〜75%のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態A30〜A33のいずれかに記載の方法。
【0356】
A35.(i)拡大条件が、試料または枯渇細胞集団をIL−15ポリペプチドに接触させることを含み;
(ii)得られた、NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団が、約80〜99%のNK細胞および約1〜20%のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態A30〜A33のいずれかに記載の方法。
【0357】
A36.(i)拡大条件が、試料または枯渇細胞集団をIL−2ポリペプチドおよびCD3に免疫特異的に結合する抗体に接触させることを含み;
(ii)得られた、NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団が、約40〜45%のNK細胞および約55〜60%のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態A30〜A33のいずれかに記載の方法。
【0358】
A37.拡大条件が、
試料または枯渇細胞集団を、1種または複数種の補助的ポリペプチドを含む第1の条件セットに接触させ、NK細胞のガンマ.デルタT細胞に対する第1の比を含む第1の細胞集団をもたらすこと;および
第1の細胞集団を、1種または複数種の補助的ポリペプチドを含む第2の条件セットに接触させ、NK細胞のガンマ.デルタT細胞に対する所望の最終的な比を含む第2の細胞集団をもたらすことを含み、第1の条件セットが第2の条件セットとは異なる、実施形態A1〜A36のいずれかに記載の方法。
【0359】
A38.第1の細胞集団が第2の条件セットとの接触前に洗浄される、実施形態A37に記載の方法。
【0360】
A39.第1の条件セットがIL−2を含み、第2の条件セットがIL−15を含む;
第1の条件セットがIL−15を含み、第2の条件セットがIL−2を含む;
第1の条件セットがIL−2およびCD3に免疫特異的に結合する抗体を含み、第2の条件セットがIL−15を含む;または
第1の条件セットがIL−15およびCD3に免疫特異的に結合する抗体を含み、第2の条件セットがIL−2およびCD3に免疫特異的に結合する抗体を含む、実施形態A37またはA38に記載の方法。
【0361】
A40.CD3に免疫特異的に結合する抗体がOKT3である、実施形態A39に記載の方法。
【0362】
A41.試料を活性化および拡大条件に曝露する前に、試料からアルファ.ベータT細胞を枯渇させ、それによって枯渇細胞集団を生成すること;ならびに
枯渇細胞集団を活性化および拡大条件に供すること
をさらに含み、
それによってNK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を含む組成物が得られる、実施形態A1.1およびA2〜A40のいずれかに記載の方法。
【0363】
A41.1.活性化および拡大の前に、試料または枯渇細胞集団が、NK細胞またはガンマ.デルタT細胞について選択する条件にも、アルファ−ベータT細胞以外の細胞を枯渇させる条件にも曝露されない、実施形態A1〜A41のいずれかに記載の方法。
【0364】
A41.2.活性化および拡大の前に、試料または枯渇細胞集団がCD3+細胞を枯渇させる条件に曝露されない、実施形態A41.1の方法。
【0365】
A42.試料または枯渇細胞集団の細胞が、活性化および拡大の前、間、または後に外因性核酸を含まない、実施形態A1〜A41.1のいずれかに記載の方法。
【0366】
A43.試料または枯渇細胞集団の細胞が、活性化および拡大の前、間、または後に腫瘍壊死因子受容体も、キメラ抗原受容体(CAR)も、骨髄分化一次応答タンパク質も、自然免疫シグナル伝達アダプターをコードする外因性核酸も含まない、実施形態A1〜A41.1のいずれかに記載の方法。
【0367】
A44.試料または枯渇細胞集団の細胞が、活性化および拡大の前、間、または後に遺伝子改変されない、実施形態A1〜A43のいずれかに記載の方法。
【0368】
A45.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を、それによってガンマ.デルタ細胞が枯渇される処置に供することをさらに含み、得られた集団がNK細胞から本質的になるかまたはそれからなる、実施形態A1〜A44のいずれかに記載の方法。
【0369】
A46.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を、それによってNK細胞が枯渇される処置に供することをさらに含み、得られた集団がガンマ.デルタT細胞から本質的になるかまたはそれからなる、実施形態A1〜A44のいずれかに記載の方法。
【0370】
A47.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を、NK細胞についての正の選択に供することをさらに含み、それによってNK細胞から本質的になるかまたはそれからなる細胞集団が得られる、実施形態A1〜A45のいずれかに記載の方法。
【0371】
A48.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団を、ガンマ.デルタ細胞についての正の選択に供することをさらに含み、それによってガンマ.デルタ細胞から本質的になるかまたはそれからなる細胞集団が得られる、実施形態A1〜A44およびA46のいずれかに記載の方法。
【0372】
A49.拡大条件が、試料または枯渇細胞集団のフィーダー細胞フリー培地中での約1週間から約10週間のインキュベーションを含み、それによってNK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された拡大した細胞の集団を含む組成物が得られる、実施形態A1〜A48のいずれかに記載の方法。
【0373】
A50.培養条件が、試料または枯渇細胞集団のフィーダー細胞フリー培地中での約7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、25日間、30日間、35日間、40日間、45日間、50日間、55日間、もしくは60日間もしくはそれより多くの日数、または約2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、もしくは10週間のインキュベーションを含む、実施形態A49に記載の方法。
【0374】
A51.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団が、拡大条件下の30日間で約2logより大きく拡大される、実施形態A1〜A50のいずれかに記載の方法。
【0375】
A52.細胞の集団が、拡大条件下の30日間で約3logより大きく拡大される、実施形態A51に記載の方法。
【0376】
A53.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された拡大した細胞の集団が、疲弊した細胞を含まない、実施形態A1〜A52のいずれかに記載の方法。
【0377】
A54.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された拡大した細胞の集団が、拡大条件の60日後に疲弊した細胞を含まない、実施形態A1〜A53のいずれかに記載の方法。
【0378】
A55.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された拡大した細胞の集団におけるNK細胞の5%未満、4%未満、3%未満、または2%未満がPD−1マーカーを含み、および/または拡大した集団における総細胞もしくは拡大した集団におけるガンマ.デルタT細胞の約20%、15%、10%、またはそれ未満がPD−1マーカーを含む、実施形態A1〜A54のいずれかに記載の方法。
【0379】
A56.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団が、集団における総細胞数のパーセンテージとして以下の活性化マーカー:
(a)90%またはそれより多くのKIR5;
(b)10%またはそれより多くのSIGLEC−7;
(c)60%またはそれより多くのKIR3D51;
(d)10%またはそれより多くのKIR2DL1;
(e)25%またはそれより多くのNKp30、NKp44、またはNKp46;
(f)35%またはそれより多くのNKG2D;
(g)90%またはそれより多くのDNAM1;
(h)85%またはそれより多くのNTBA;
(i)95%またはそれより多くのCD2;および
(j)55%またはそれより多くのKIR3DS1
のうちの1つまたは複数を含む、実施形態A1〜A55のいずれかに記載の方法。
【0380】
A57.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞に関して富化された細胞の集団が、80%またはそれより多くの自然免疫細胞を含む、実施形態A1〜A56のいずれかに記載の方法。
【0381】
A58.細胞の約70%から約100%の間、または少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%がCD56+である、実施形態A57に記載の方法。
【0382】
A59.細胞の約10%から約40%の間、または少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、もしくは40%がCD16+である、実施形態A57またはA58に記載の方法。
【0383】
A60.細胞の10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、または2%未満がCD57+である、実施形態A57〜A59のいずれかに記載の方法。
【0384】
A61.試料または枯渇細胞集団が、活性化および拡大の間または後にCD4+CD8+細胞を含まない、実施形態A1〜A60のいずれかに記載の方法。
【0385】
A62.活性化条件および拡大条件がビスホスホネートを含まない、実施形態A1〜A61のいずれかに記載の方法。
【0386】
A63.ビスホスホネートがパミドロネートまたはゾレドロネートである、実施形態A62に記載の方法。
【0387】
A64.ガンマ.デルタT細胞が、V.デルタ.1およびV.デルタ.2発現に関してポリクローナルである、実施形態A1〜A63のいずれかに記載の方法。
【0388】
A65.ポリクローナルガンマ.デルタT細胞が、V.デルタ.1+およびV.デルタ.1−から選択される少なくとも1つの亜集団、ならびにV.デルタ.2+およびV.デルタ.2−から選択される少なくとも1つの亜集団を含む、実施形態A64に記載の方法。
【0389】
A66.実施形態A1〜A65のいずれかに記載の方法によって得ることができるまたは得られた組成物。
【0390】
B1.改変された末梢血細胞の集団を含む組成物であって、その集団が
複数のNK細胞および複数のガンマ.デルタT細胞を含み;
アルファ.ベータT細胞が枯渇され;
フィーダー細胞を含まない、組成物。
【0391】
B2.細胞の約25%から約45%の間がNK細胞であり、細胞の約55%から約75%の間がガンマ.デルタT細胞である;
細胞の約25%から約30%の間がNK細胞であり、細胞の約70%から約75%の間がガンマ.デルタT細胞である;
細胞の約80%から約99%の間がNK細胞であり、細胞の約1%から約20%の間がガンマ.デルタT細胞である;または
細胞の約40%から約45%の間がNK細胞であり、細胞の約55%から約60%の間がガンマ.デルタT細胞である、実施形態B1に記載の組成物。
【0392】
B3.細胞の30%またはそれより多くが活性化される、実施形態B1またはB2に記載の組成物。
【0393】
B4.改変された細胞の集団が、集団における総細胞数のパーセンテージとして以下の活性化マーカー:
(a)90%またはそれより多くのKIR5;
(b)10%またはそれより多くのSIGLEC−7;
(c)60%またはそれより多くのKIR3D51;
(d)10%またはそれより多くのKIR2DL1;
(e)25%またはそれより多くのNKp30、NKp44、またはNKp46;
(f)35%またはそれより多くのNKG2D;
(g)90%またはそれより多くのDNAM1;
(h)85%またはそれより多くのNTBA;
(i)95%またはそれより多くのCD2;および
(j)55%またはそれより多くのKIR3DS1
のうちの1つまたは複数を含む、実施形態B1〜B3のいずれかに記載の組成物。
【0394】
B5.改変された集団が、80%またはそれより多くの自然免疫細胞を含む、実施形態B1〜B4のいずれかに記載の組成物。
【0395】
B6.改変された集団が、CD56+である活性化細胞傷害性細胞に関して富化されている、実施形態B1〜B5のいずれかに記載の組成物。
【0396】
B7.改変された集団が、CD57−である活性化細胞傷害性細胞に関して富化されている、実施形態B1〜B6のいずれかに記載の組成物。
【0397】
B8.集団が、CD56+CD57−である活性化細胞傷害性細胞に関して富化されている、実施形態B1〜B7のいずれかに記載の組成物。
【0398】
B9.細胞の約80%から約100%の間、または少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%がCD56+である、実施形態B6〜B8のいずれかに記載の組成物。
【0399】
B10.細胞の約10%から約40%の間、または少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、もしくは40%がCD16+である、実施形態B6〜B9のいずれかに記載の組成物。
【0400】
B11.細胞の5%未満、4%未満、3%未満、または2%未満がCD57+である、実施形態B6〜B10のいずれかに記載の組成物。
【0401】
B12.NK細胞およびガンマ.デルタT細胞以外の細胞を実質的に含まない、実施形態B1〜B11のいずれかに記載の組成物。
【0402】
B13.5パーセント未満のNKT細胞を含む、実施形態B1〜B12のいずれかに記載の組成物。
【0403】
B14.1パーセント未満のNKT細胞を含む、実施形態B1〜B13のいずれかに記載の組成物。
【0404】
B15.0.1パーセント未満のNKT細胞を含む、実施形態B1〜B14のいずれかに記載の組成物。
【0405】
B16.2パーセント未満のアルファ.ベータT細胞を含む、実施形態B1〜B15のいずれかに記載の組成物。
【0406】
B17.1パーセント未満のアルファ.ベータT細胞を含む、実施形態B1〜B16のいずれかに記載の組成物。
【0407】
B18.0.1パーセント未満のアルファ.ベータT細胞を含む、実施形態B1〜B17のいずれかに記載の組成物。
【0408】
B19.集団におけるNK細胞のサブセットがCD16+細胞である、実施形態B1〜B18のいずれかに記載の組成物。
【0409】
B20.大多数のガンマ.デルタT細胞がCD57−細胞である、実施形態B1〜B19のいずれかに記載の組成物。
【0410】
B21.大多数のNK細胞がCD57−細胞である、実施形態B1〜B20のいずれかに記載の組成物。
【0411】
B22.ガンマ.デルタT細胞が、V.デルタ.1およびV.デルタ.2発現に関してポリクローナルである、実施形態B1〜B21のいずれかに記載の組成物。
【0412】
B23.ポリクローナルガンマ.デルタT細胞が、V.デルタ.1+およびV.デルタ.1−から選択される少なくとも1つの亜集団、ならびにV.デルタ.2+およびV.デルタ.2−から選択される少なくとも1つの亜集団を含む、実施形態B22に記載の組成物。
【0413】
B24.大多数のガンマ.デルタT細胞がV.デルタ.1を発現し、少数のガンマ.デルタT細胞がV.デルタ.2を発現する;または
少数のガンマ.デルタT細胞がV.デルタ.1を発現し、大多数のガンマ.デルタT細胞がV.デルタ.2発現を発現する、実施形態B1〜B23のいずれかに記載の組成物。
【0414】
B25.集団における少数の細胞がCD3陽性細胞であり、集団における大多数の細胞がCD3陰性細胞である;または
集団における大多数の細胞がCD3陽性細胞であり、集団における少数の細胞がCD3陰性細胞である、実施形態B1〜B24のいずれかに記載の組成物。
【0415】
B26.NK細胞のガンマ.デルタT細胞に対する比が1より大きい、実施形態B1〜B25のいずれかに記載の組成物。
【0416】
B27.NK細胞のガンマ.デルタT細胞に対する比が1未満である、実施形態B1〜B25のいずれかに記載の組成物。
【0417】
B28.改変された細胞の集団が、約98〜99%のNK細胞および約1〜2%のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態B26に記載の組成物。
【0418】
B29.改変された細胞の集団が、約25%から約45%の間のNK細胞および約55%から約75%の間のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態B27に記載の組成物。
【0419】
B30.改変された細胞の集団が、約25〜30%のNK細胞および約70〜75%のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態B27に記載の組成物。
【0420】
B31.改変された細胞の集団が、約40〜45%のNK細胞および約55〜60%のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態B27に記載の組成物。
【0421】
B32.NK細胞および/またはガンマ.デルタT細胞の約50%から約99%もしくはそれより多くの間、または約50%より多くのもしくはそれに等しい、51%より多くのもしくはそれに等しい、52%より多くのもしくはそれに等しい、53%より多くのもしくはそれに等しい、54%より多くのもしくはそれに等しい、55%より多くのもしくはそれに等しい、56%より多くのもしくはそれに等しい、57%より多くのもしくはそれに等しい、58%より多くのもしくはそれに等しい、59%より多くのもしくはそれに等しい、60%より多くのもしくはそれに等しい、6%より多くのもしくはそれに等しい、62%より多くのもしくはそれに等しい、63%より多くのもしくはそれに等しい、64%より多くのもしくはそれに等しい、65%より多くのもしくはそれに等しい、66%より多くのもしくはそれに等しい、67%より多くのもしくはそれに等しい、68%より多くのもしくはそれに等しい、69%より多くのもしくはそれに等しい、70%より多くのもしくはそれに等しい、71%より多くのもしくはそれに等しい、72%より多くのもしくはそれに等しい、73%より多くのもしくはそれに等しい、74%より多くのもしくはそれに等しい、75%より多くのもしくはそれに等しい、76%より多くのもしくはそれに等しい、77%より多くのもしくはそれに等しい、78%より多くのもしくはそれに等しい、79%より多くのもしくはそれに等しい、80%より多くのもしくはそれに等しい、81%より多くのもしくはそれに等しい、82%より多くのもしくはそれに等しい、83%より多くのもしくはそれに等しい、84%より多くのもしくはそれに等しい、85%より多くのもしくはそれに等しい、86%より多くのもしくはそれに等しい、87%より多くのもしくはそれに等しい、88%より多くのもしくはそれに等しい、89%より多くのもしくはそれに等しい、90%より多くのもしくはそれに等しい、91%より多くのもしくはそれに等しい、92%より多くのもしくはそれに等しい、93%より多くのもしくはそれに等しい、94%より多くのもしくはそれに等しい、95%より多くのもしくはそれに等しい、96%より多くのもしくはそれに等しい、97%より多くのもしくはそれに等しい、98%より多くのもしくはそれに等しい、99%より多くのもしくはそれに等しい、80%より多くのもしくはそれに等しい、81%より多くのもしくはそれに等しい、82%より多くのもしくはそれに等しい、83%より多くのもしくはそれに等しい、84%より多くのもしくはそれに等しい、85%より多くのもしくはそれに等しい、86%より多くのもしくはそれに等しい、87%より多くのもしくはそれに等しい、88%より多くのもしくはそれに等しい、89%より多くのもしくはそれに等しい、90%より多くのもしくはそれに等しい、91%より多くのもしくはそれに等しい、92%より多くのもしくはそれに等しい、93%より多くのもしくはそれに等しい、94%より多くのもしくはそれに等しい、95%より多くのもしくはそれに等しい、96%より多くのもしくはそれに等しい、97%より多くのもしくはそれに等しい、98%より多くのもしくはそれに等しい、99%より多くのもしくはそれに等しい、またはその端数、最大100%がCD8+である、実施形態B1〜B31のいずれかに記載の組成物。
【0422】
B33.NK細胞および/またはガンマ.デルタT細胞の2%未満がCD4+である、実施形態B32に記載の組成物。
【0423】
B34.NK細胞および/またはガンマ.デルタT細胞の2%未満がCD8+CD4+である、実施形態B32またはB33に記載の組成物。
【0424】
B35.NK細胞の約15%から約30%の間および/またはガンマ.デルタT細胞の約55%から85%の間の端数がCD8−CD4−である、実施形態B32〜B34のいずれかに記載の組成物。
【0425】
B36.集団における細胞の約30%から約99%もしくはそれより多くの間、または少なくとも約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはその端数、最大100%が、外因性ポリヌクレオチド、変異ポリヌクレオチド、欠失ポリヌクレオチド、またはその組合せを含む遺伝子改変をさらに含む、実施形態B1〜B35のいずれかに記載の組成物。
【0426】
B36.1 複数のNK細胞および複数のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態B36に記載の組成物。
【0427】
B37.集団における細胞の少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%が遺伝子改変を含むか、または集団における細胞の約100%もしくは100%が遺伝子改変を含む、実施形態B36またはB36.1に記載の組成物。
【0428】
B38.遺伝子改変が外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態B36、B36.1またはB37のいずれかに記載の組成物。
【0429】
B39.外因性ポリヌクレオチドがレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクター中にある、実施形態B38に記載の組成物。
【0430】
B40.外因性ポリヌクレオチドが、改変された細胞集団の1種または複数種の細胞のゲノムに組み込まれる、実施形態B38に記載の組成物。
【0431】
B41.集団における細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含む、実施形態B36〜B40のいずれかに記載の組成物。
【0432】
B42.キメラ抗原受容体がCD19、GD2、HER3、B7H3、CD123、またはCD30のうちの1つまたは複数に免疫特異的に結合する結合分子部分を含む、実施形態B41に記載の組成物。
【0433】
B43.複数のNK細胞および複数のガンマ.デルタT細胞を含む集団が、1より多くの対象の末梢血細胞に由来する、実施形態B1〜B42のいずれかに記載の組成物。
【0434】
C1.実施形態B1〜B43のいずれか1つに記載の組成物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0435】
D1.(a)外因性ポリヌクレオチドを、実施形態A66およびB1〜B35のいずれかの組成物に添加すること
(b)実施形態A66およびB1〜B35のいずれかの組成物の1種または複数種の細胞においてポリヌクレオチドを変異させること;または
(c)実施形態A66およびB1〜B35のいずれかの組成物の1種または複数種の細胞においてポリヌクレオチドを欠失させること
のうちの1つまたは複数を含む、改変された免疫細胞を作製する方法。
【0436】
D2.遺伝子改変が、レトロウイルス形質導入、レンチウイルス形質導入、電気穿孔、トランスフェクション、CRISPR/cas9、またはTALENSによる、実施形態D1に記載の方法。
【0437】
D3.遺伝子改変が、(a)でのように外因性ポリヌクレオチドを添加することからなるか、またはそれから本質的になる、実施形態D1またはD2に記載の方法。
【0438】
D4.遺伝子改変が、(a)でのように外因性ポリヌクレオチドを添加すること、および/または(b)でのようにポリヌクレオチドを変異させることを含み、外因性ポリヌクレオチドおよび/または変異ポリヌクレオチドが免疫細胞のゲノムに組み込まれる、実施形態D1〜D3のいずれかに記載の方法。
【0439】
D5.組み込みが、電気穿孔、トランスフェクション、CRISPR/cas9、またはTALENSによる、実施形態D4に記載の方法。
【0440】
D6.外因性ポリヌクレオチドがキメラ抗原受容体(CAR)をコードする、実施形態D1〜D5のいずれかに記載の方法。
【0441】
D7.キメラ抗原受容体が、CD19、GD2、HER3、B7H3、CD123、またはCD30のうちの1つまたは複数に免疫特異的に結合する結合分子部分を含む、実施形態D6に記載の方法。
【0442】
D8.集団における細胞の約30%から約99%もしくはそれより多くの間、または少なくとも約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはその端数、最大100%が遺伝子改変を含む、実施形態D1〜D7のいずれかに記載の方法。
【0443】
D8.1 集団における細胞が、複数のNK細胞および複数のガンマ.デルタT細胞を含む、実施形態D8に記載の方法。
【0444】
D9.遺伝子改変が外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態D8またはD8.1に記載の方法。
【0445】
D10.集団における細胞の約100%または100%が外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態D9に記載の方法。
【0446】
E1.実施形態A66およびB1〜B43のいずれか1つに記載の組成物、または実施形態C1に記載の医薬組成物、必要に応じて使用のための指示、および必要に応じてサイトカインを含むキット。
【0447】
E2.組成物または医薬組成物が、セ氏マイナス4度またはそれ未満にある、実施形態E1に記載のキット。
【0448】
E3.組成物または医薬組成物が、セ氏約マイナス75度からセ氏約マイナス80度にある、実施形態E2に記載のキット。
【0449】
E4.細胞約1×10
5個から細胞約1×10
12個を含む、実施形態E1〜E3のいずれかに記載のキット。
【0450】
E5.サイトカインがインターロイキンポリペプチドである、実施形態E1〜E4のいずれかに記載のキット。
【0451】
E6.インターロイキンペプチドがIL−2、IL−4、またはIL−15である、実施形態E5に記載のキット。
【0452】
E7.非ヒト血清を含まないおよび/またはウシ血清を含まない、実施形態E1〜E6のいずれかに記載のキット。
【0453】
E8.異種のものを含まない、実施形態E1〜E7のいずれかに記載のキット。
【0454】
E9.外因性フィーダー細胞を含まない、実施形態E1〜E8のいずれか1つに記載のキット。
【0455】
E10.単位剤形の実施形態E1〜E9のいずれか1つに記載のキット。
【0456】
E11.単位剤形が、細胞約1×10
6個から細胞約1×10
12個である、実施形態E10に記載のキット。
【0457】
F1.各々が1または複数のドナー対象に由来する細胞を含む複数の容器を含む、異なるドナー対象に由来する細胞のコレクションであって、各容器が、実施形態A66およびB1〜B43のいずれか1つに記載の組成物、実施形態C1に記載の医薬組成物、または実施形態E1〜E11のいずれかに記載のキットを含む、細胞のコレクション。
【0458】
G1.がんまたは感染症を処置する方法であって、それを必要とする対象に、がんまたは感染症を処置するために有効な量の実施形態A66およびB1〜B43のいずれか1つに記載の組成物、実施形態C1に記載の医薬組成物、または実施形態E1〜E11のいずれかに記載のキットを投与することを含み、組成物、医薬組成物、またはキットにおける細胞が対象に対して同種異系である方法。
【0459】
G2.がんまたは感染症を処置する方法であって、それを必要とする対象に、がんまたは感染症を処置するために有効な量の実施形態A66およびB1〜B43のいずれか1つに記載の組成物、実施形態C1に記載の医薬組成物、または実施形態E1〜E11のいずれかに記載のキットを投与することを含み、組成物、医薬組成物、またはキットにおける細胞が対象に対して自己である方法。
【0460】
G3.組成物を対象に2日またはそれより多くの別々の日に投与することを含む、実施形態G1または実施形態G2に記載の方法。
【0461】
G4.細胞のドナーが処置のレシピエントである、実施形態G2または実施形態G3に記載の方法。
【0462】
G5.細胞のドナーが処置のレシピエントではない、実施形態G1または実施形態G3に記載の方法。
【0463】
G6.処置のレシピエントが、ドナー由来のアルファ.ベータT細胞によって処置した場合にGvHDに罹りやすい、実施形態G5に記載の方法。
【0464】
G7.処置が、約2週間から約4週間の間の間隔で約1単位投薬量から約36またはそれより多くの単位投薬量の間で投与される、実施形態G1〜G6のいずれかに記載の方法。
【0465】
G8.処置が、単一単位投薬量として毎日1回、2回、3回、4回、もしくは最大5回、または数日間、数週間もしくは数ヶ月間の間に1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、もしくは10回もしくはそれより多く、または2日毎、または週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回投与される、実施形態G1〜G6のいずれかに記載の方法。
【0466】
G9.処置が静脈内(IV)、髄腔内または筋肉内(IM)、腹腔内(IP)、胸膜内、関節腔内に投与されるか、またはがんもしくは感染症の部位もしくはその近傍に注射もしくは埋め込まれる、実施形態G1〜G8のいずれかに記載の方法。
【0467】
G10.単位投薬量が、対象の体重1キログラムあたり細胞約10
4個から細胞約10
10個の間、または対象あたり細胞約10
6個から細胞約10
12個の間を含む、実施形態G8またはG9に記載の方法。
【0468】
G11.単位投薬量が、対象あたり細胞約10
10個、または対象の体重1キログラムあたり細胞約10
8個である、実施形態G10に記載の方法。
【0469】
G12.処置ががんのためである、実施形態G1〜G11のいずれかに記載の方法。
【0470】
G13.がんが、肺がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸がん、腎細胞癌、卵巣がん、神経芽腫、横紋筋肉腫、白血病もしくはリンパ腫、ホジキンリンパ腫もしくは小児急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、肥満細胞腫もしくは肥満細胞腫瘍、卵巣がんもしくは癌、膵臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肝細胞癌、網膜芽腫、乳腺腫瘍、結腸直腸癌、白血病、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)もしくは急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、組織球肉腫、脳腫瘍、星状細胞腫、膠芽腫、神経腫、結腸癌、子宮頸癌、肉腫、膀胱腫瘍、細網内皮組織の腫瘍、ウィルムス腫瘍、骨がん、骨肉腫、腎臓がん、または頭頸部がん、口腔がん、喉頭がん、転移疾患、または口腔咽頭がんから選択される、実施形態G12に記載の方法。
【0471】
G14.第2の薬剤が、組成物、医薬組成物、またはキットと共投与される、実施形態G12またはG13に記載の方法。
【0472】
G15.第2の薬剤が、がん関連抗原に免疫特異的に結合する抗体である、実施形態G14に記載の方法。
【0473】
G16.がん関連抗原が、α−フェトプロテイン(AFP)、α−アクチニン−4、A3、A33抗体に特異的な抗原、ART−4、B7、B7−H3、Ba733、BAGE、BrE3抗原、CA125、CAMEL、CAP−1、炭酸脱水酵素IX、CASP−8/m、CCL19、CCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD11A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30、CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD46、CD52、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a−e、CD67、CD70、CD70L、CD74、CD79a、CD79b、CD80、CD83、CD95、CD123、CD126、CD132、CD133、CD138、CD147、CD154、CDC27、CDK−4/m、CDKN2A、CTLA4、CXCR4、CXCR7、CXCL12、HIF−1α、結腸特異抗原−p(CSAp)、CEA(CEACAM−5)、CEACAM−6、c−Met、DAM、EGFR、EGFRvIII、EGP−1(TROP−2)、EGP−2、ELF2−M、Ep−CAM、線維芽細胞成長因子(FGF)、Flt−1、Flt−3、葉酸受容体、G250抗原、GAGE、gp100、GRO−β、HLA−DR、HM1.24、ヒト絨毛ゴナドトロピン(HCG)およびそのサブユニット、HER2/neu、HMGB−1、低酸素症誘導因子(HIF−1)、HSP70−2M、HST−2、Ia、IGF−1R、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、IFN−λ、IL−4R、IL−6R、IL−13R、IL−15R、IL−17R、IL−18R、IL−2、IL−6、IL−8、IL−12、IL−15、IL−17、IL−18、IL−23、IL−25、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、KC4抗原、KS−1抗原、KS1−4、Le−Y、LDR/FUT、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、GD2、MAGE、MAGE−3、MART−1、MART−2、NY−ESO−1、TRAG−3、mCRP、MCP−1、MIP−1A、MIP−1B、MIF、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5ac、MUC13、MUC16、MUM−1/2、MUM−3、NCA66、NCA95、NCA90、膵臓がんムチン、PD1受容体、胎盤成長因子、p53、PLAGL2、前立腺酸性ホスファターゼ、PSA、PRAME、PSMA、PlGF、ILGF、ILGF−R、L−6、IL−25、RS5、RANTES、T101、SAGE、S100、サバイビン、サバイビン−2B、TAC、TAG−72、テネイシン、TRAIL受容体、TNF−α、Tn抗原、トムソン−フリードライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、VEGFR、ED−Bフィブロネクチン、WT−1、17−1A抗原、補体因子C3、C3a、C3b、C5a、C5、血管新生マーカー、bcl−2、bcl−6、およびKrasからなる群から選択される、実施形態G15に記載の方法。
【0474】
G17.抗体が、hR1(抗IGF−1R)、hPAM4(抗ムチン)、KC4(抗ムチン)、hA20(抗CD20)、hA19(抗CD19)、hIMMU31(抗AFP)、hLL1(抗CD74)、hLL2(抗CD22)、抗CD19/CD22二特異性抗体、RFB4(抗CD22)、hMu−9(抗CSAp)、hL243(抗HLA−DR)、hMN−14(抗CEACAM−5)、hMN−15(抗CEACAM−6)、hRS7(抗TROP−2)、hMN−3(抗CEACAM−6)、CC49(抗TAG−72)、J591(抗PSMA)、D2/B(抗PSMA)、G250(抗炭酸脱水酵素IX)、ジヌツキシマブ(抗GD2)、インフリキシマブ(抗TNF−α)、セルトリズマブペゴル(抗TNF−α)、アダリムマブ(抗TNF−α)、アレムツズマブ(抗CD52)、ベバシズマブ(抗VEGF)、セツキシマブ(抗EGFR)、ゲムツズマブ(抗CD33)、イブリツモマブチウキセタン(抗CD20)、パニツムマブ(抗EGFR)、リツキシマブ(抗CD20)、トシツモマブ(抗CD20)、GA101(抗CD20)、トラスツズマブ(抗HER2/neu)、トシリズマブ(抗IL−6受容体)、バシリキシマブ(抗CD25)、ダクリズマブ(抗CD25)、エファリズマブ(抗CD11a)、ムロモナブ−CD3(抗CD3受容体)、ナタリズマブ(抗α4インテグリン)、BWA−3(抗ヒストンH2A/H4)、LG2−1(抗ヒストンH3)、MRA12(抗ヒストンH1)、PR1−1(抗ヒストンH2B)、LG11−2(抗ヒストンH2B)、およびLG2−2(抗ヒストンH2B)から選択される、実施形態G15またはG16に記載の方法。
【0475】
G18.処置が感染症のためである、実施形態G1〜G11のいずれかに記載の方法。
【0476】
G19.感染症が、細菌病原体、真菌病原体、ウイルス病原体、または原虫病原体の存在によって特徴付けられる、実施形態G18に記載の方法。
【0477】
G20.感染症が、ヘルペス、エボラ、ウエストナイルウイルス、ワクシニアウイルス、エプスタインバーウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV);B型肝炎ウイルス(HBV);C型肝炎ウイルス(HCV);ヘルペスウイルス(例えば、HSV−1、HSV−2、HHV−6、CMV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、Bacilli、Citrobacter、Cholera、Diphtheria、Enterobacter、Gonococci、Helicobacter pylori、Klebsiella、Legionella、Meningococci、mycobacteria、Pseudomonas、Pneumonococci、リケッチア細菌、Salmonella、Serratia、Staphylococci、Streptococci、Tetanus、Aspergillus(A.fumigatus、A.niger等)、Blastomyces dermatitidis、Candida(C.albicans、C.krusei、C.glabrata、C.tropicalis等)、Cryptococcus neoformans、Genus Mucorales(mucor、absidia、rhizopus)、Sporothrix schenkii、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitis、Histoplasma capsulatum、Leptospirosis、Borrelia burgdorferi、蠕虫寄生生物(鉤虫、条虫、吸虫、扁形動物(例えば、Schistosomia)、Giardia lambia、trichinella、Dientamoeba Fragilis、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、またはLeishmania donovaniからなる群から選択される、実施形態G19に記載の方法。
【0478】
本明細書においてそれにより参照された各特許、特許出願、刊行物、および文書の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。上記の特許、特許出願、刊行物、および文書の引用は、前述のいずれかが関連する先行技術であることを認めたわけではなく、これらの刊行物または文書の内容または日時に対するいかなる承認とも見なされない。それらの引用は関連する開示について検索したことを示すものである。文書の日付または内容に関する全ての声明は、入手可能な情報に基づいており、その精度または正確性に関する承認ではない。
【0479】
本技術の基本的態様から逸脱することなく、前述に変更を行うことができる。本技術を、1つまたは複数の特定の実施形態を参照して実質的に詳細に記載してきたが、当業者は、本出願に特に開示した実施形態に変更を行ってもよく、それでもこれらの変更および改善が本技術の範囲および精神の範囲内であることを認識する。
【0480】
本明細書において例示的に記載される技術は、適切には本明細書に具体的に開示されない任意の要素の非存在下で実践され得る。このように、例えば本明細書における各々の例において、用語「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれかを、他の2つの用語のいずれかと交換してもよい。使用されている用語および表現は、説明の用語として使用されており、制限のためではなく、そのような用語および表現の使用は、示され、記載される特色またはその一部のいかなる均等物も除外せず、特許請求される技術の範囲内で様々な改変が可能である。用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、文脈から1つの要素または1つより多くの要素のいずれかが記載されていることが明らかである場合を除き、それが修飾する要素の1つまたは複数を指すことができる(例えば、「1つの試薬」は1つまたは複数の試薬を意味することができる)。用語「約」は、本明細書で使用される場合、基礎となるパラメーターの10%以内の値(すなわち、プラスマイナス10%)を指し、一連の値の最初にある用語「約」の使用は、値の各々を修飾する(すなわち、「約1、2、および3」は、約1、約2、および約3を指す)。例えば、「約100グラム」の重量は、90グラムから110グラムの間の重量を含むことができる。さらに、値の列挙が本明細書において記載されている場合(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%、または86%)、列挙は全ての中間値およびその端数の値(例えば、54%、85.4%)を含む。このように、本技術を代表的な実施形態によって具体的に開示してきたが、本明細書に開示した概念の必要に応じた特色、改変、および変形形態を、当業者が頼りにしてもよく、そのような改変および変形形態は本技術の範囲内であると見なされると理解すべきである。
【0481】
本技術のある特定の実施形態を以下の特許請求の範囲に記載する。