【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、少なくとも一部は、アデノウイルスペントンベースタンパク質の構成が遺伝子融合による進化過程で起こることがある本物の二つのドメイン構造を表すという発見を基にしている(
図1B)。前記二つのドメインは二つの異なるコンパクトな物質、すなわち、多量化体情報を有するβバレルおよび「クラウン」に似たαヘリックスドメイン、に簡単に分けることができる。
【0009】
したがって、本願発明によると、抗原または最も可変で柔軟な物体を運ぶ他のカーゴに結合することができる「最小の」多量体化ポリペプチドが提供される。つまり、本願発明の作成されたポリペプチドは、アデノウイルスペントンベース(ここではまた「ペントンベースプロトマー」と記載されることもある)のβバレルドメインを形成するアデノウイルスペントンベースのアミノ酸配列に由来する。前記アデノウイルスペントンベースのβバレルドメインは8つのβシート1から8(
図2参照)を含む、いわゆるゼリーロールフォールドドメインを形成する(Zubieta et al. (2005) Mo. Cell 17, 121−135参照)。本願発明によると、効果的多量体化のためには、結合カーゴの表示が、完全に、または他の実施形態では部分的に、所望の非アデノウイルス配列により置換されることができることが、驚いたことに発見された。ここで、表示される結合カーゴは、例えば、薬剤、ラベル、核酸、ゼリーフォールドドメインを形成するアミノ酸ストレッチの間の配列に点在する前記2つのループ(「クラウン」ドメインを形成する)であり、所望の非アデノウイルス配列は、オリゴペプチドリンカー(抗原または他のカーゴが代わりに結合する)やポリペプチド、タンパク質、タンパク質ドメイン、タンパク質複合体などの所望のアミノ酸配列などである。
【0010】
したがって、本願の好ましい形態では、核酸、薬剤、ラベル、および/又は、生物的結合対の結合パートナー、がL
1および/又はL
2に結合する。本願発明に係る「生物的結合」対は、それぞれ、生物的物質または化合物の対であり、典型的には自然界で見られるか、少なくとも自然界で検出された結合対由来、である。例としては、これに限定されないが、抗原、抗体、抗体断片、ジアボディ、抗体ミメティック、レセプターおよびそのリガンド、ビオチン、ストレプトアビジンのようなものが含まれる。
【0011】
このような物質は、当該技術分野で知られている手段を介してL
1および/又はL
2に結合してもよい。もし必要であれば、いずれのタイプのリンカーもL
1および/又はL
2の位置で適切な基に結合することができ、そしてリンカーは所望の物質に結合する。化学結合に用いられるL
1および/又はL
2に示される典型的な基は、L
1および/又はL
2に示されるアミノ酸残基のNH
2基およびSH基を含む。しかしながら、L
1および/又はL
2へのカーゴの結合は、化学結合に限定されず、イオン結合、水素結合およびファンデルワールス結合のようないずれかの他の結合を含む。
【0012】
本願発明にかかるゼリーロールフォールドドメインは、三つのアミノ酸のストレッチ(これは例えば「セグメント」または「領域」と記載されることもある):N末端ストレッチ、中間ストレッチおよびC末端ストレッチ、により形成される。本来のアデノウイルスペントンベースプロトマーにおいて、ループセグメントはN末端アミノ酸ストレッチと中間ストレッチ(ラージループ)の間、および、中間ストレッチとC末端アミノ酸ストレッチ(スモールループ)の間に見いだされる。上述の概略のように、本発明のポリペプチドの典型的非アデノウイルス配列、ここでは「リンカー」と示されることもある、は、本来のアデノウイルスペントンベースプロトマーのループセグメントに置き換えられる。本発明の他の態様では、本来のペントンベースのラージループとスモールループの一つは、本発明のポリペプチドに示され、L
1又はL
2を形成する。
【0013】
したがって、本発明に係るポリペプチドは一般に次の一般式(I)によってあらわされる構造を有する。
[式1]
ここで、
Aはアデノウイルスペントンベースタンパク質のN末端アミノ酸ストレッチ、
Bはアデノウイルスペントンベースタンパク質のアミノ酸ストレッチ、
CはアデノウイルスペントンベースのC末端アミノ酸ストレッチ;
ここで、Bは前記アデノウイルスペントンベースの配列にAおよびCの間に位置するアミノ酸ストレッチであり、
ここでA、BおよびCは、前記アデノウイルスペントンベースタンパク質のゼリーロールフォールドドメインを形成する。
【0014】
上記に概略したように、L
1およびL
2はリンカーである。したがって、L
1およびL
2は、(ポリペプチドの多量体化を邪魔しない限り)ほぼすべてのアミノ酸配列から選ぶことができる。したがって、L
1およびL
2は、同一または異なってよく、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質複合体で構成されるグループから選ばれる他の一つから独立している。L
1およびL
2の配列は典型的には、非アデノウイルスであり、たとえば、少なくとも5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸のアミノ酸配列を有し、この配列はいずれのアデノウイルス血清型の知られているペントンベースプロトマー配列、より好ましくはいずれのアデノウイルスタンパク質、にも存在せず、生じない。
【0015】
本発明の他の態様では、リンカーL
1およびL
2は、アデノウイルスペントンベースのループ配列、(例えば、第一および第2RGDループ、および/又は、WO2017/167988で定義されるさまざまなループ、を含む領域)から選ばれる。しかしながら、この態様では、ループセグメントの配列は、前記アミノ酸ストレッチA、BおよびCが由来するアデノウイルスの血清型に比較して、異なる血清型を有するアデノウイルスに由来する。これにより、本発明のこの態様では、ペントンベースプロトマーのキメラを提供し、このキメラは、βバレル、ゼリーロールフォールドドメインは一つのアデノウイルス血清型に由来し、一方、L
1およびL
2はRGDループセグメントおよび/または、VL可変ループセグメント(「クラウン」ドメインを形成する)を含むポリペプチドであり、ゼリーロールフォールドドメインが由来するアデノウイルスの血清型とは異なるアデノウイルスの血清型に由来する。
【0016】
好ましくは、アミノ酸ストレッチA、BおよびCはアデノウイルスペントンベースプロトマーのゼリーロールフォールドドメインのβシート1,2および3を含み、アミノ酸ストレッチBは前記アデノウイルスペントンベースプロトマーのゼリーロールフォールドドメインのβシート4および5を含み、アミノ酸ストレッチCは前記アデノウイルスペントンベースプロトマーのゼリーロールフォールドドメインのβシート6、7および8を含む。それぞれのセグメントA、BおよびCは独立に同一または異なるアデノウイルスに由来することができる。
【0017】
好ましくは、アミノ酸ストレッチA、BおよびCは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)を含むグループから選ばれるペントンベース配列にそれぞれ独立に由来するアミノ酸配列を有する。
【0018】
上記したアデノウイルスペントンベースの好ましいアミノ酸配列は、例えばUniProtやUniProtEのような一般的にアクセスできるデータベースに記載されており、ここに参照する上記したアデノウイルスペントンベースの特に好ましい配列は、UniProt Acc. No.Q2Y0H9(ヒトアデノウイルス血清型3;配列番号1)、UniProt Acc. No.P03276(ヒトアデノウイルス血清型2;配列番号2)、UniProt Acc. No.Q2KSF3(ヒトアデノウイルス血清型4;配列番号3)、UniProt Acc. No.P12538(ヒトアデノウイルス血清型5;配列番号4)、UniProt Acc. No.Q9JFT6(ヒトアデノウイルス血清型7;配列番号5)、UniProt Acc. No.D2DM93(ヒトアデノウイルス血清型11;配列番号6)、UniProt Acc. No.P36716(ヒトアデノウイルス血清型12;配列番号7)、UniProt Acc. No.F1DT65(ヒトアデノウイルス血清型17;配列番号8)、UniProt Acc. No.M0QUK0(ヒトアデノウイルス血清型25;配列番号9)、UniProt Acc. No.Q7T941(ヒトアデノウイルス血清型35;配列番号10)、UniProt Acc. No.Q912J1(ヒトアデノウイルス血清型37;配列番号11)、UniProt Acc. No.F8WQN4(ヒトアデノウイルス血清型41;配列番号12)、UniProt Acc. No.E5L3Q9(ゴリラアデノウイルス;配列番号13)、UniProt Acc. No.G9G849(チンパンジーアデノウイルス;配列番号14)、UniProt Acc. No.H8PFZ9(サルアデノウイルス血清型18;配列番号15)、UniProt Acc. No.F6KSU4(サルアデノウイルス血清型20;配列番号16)、UniProt Acc. No.F2WTK5(サルアデノウイルス血清型49;配列番号17)、UniProt Acc. No.A0A0A1EWW1(アカゲザルアデノウイルス血清型51;配列番号18)、UniProt Acc. No.A0A0A1EWX7(アカゲザルアデノウイルス血清型52;配列番号19)およびUniProt Acc. No.A0A0A1EWZ7(アカゲザルアデノウイルス血清型53;配列番号20)に記載される。
【0019】
上記ペントンベースのアミノ酸配列を以下に示す(各UniProt Acc. No.は括弧内に示す)。
【0020】
ヒトアデノウイルス血清型3ペントンベースhAd3(Q2Y0H9);配列番号1
[配1]
【0021】
hAd2(P03276);配列番号2:
[配2]
【0022】
hAd4(Q2KSF3);配列番号3:
[配3]
【0023】
hAd5(P12538);配列番号4:
[配4]
【0024】
hAd7(Q9JFT6);配列番号5:
[配5]
【0025】
hAd11 (D2DM93); 配列番号 6:
[配6]
【0026】
hAd12(P36716);配列番号7:
[配7]
【0027】
hAd17(F1DT65);配列番号8:
[配8]
【0028】
hAd25(M0QUK0);配列番号9:
[配9]
【0029】
hAd35(Q7T941);配列番号10:
[配10]
【0030】
hAd37(Q912J1);配列番号11:
[配11]
【0031】
hAd41(F8WQN4);配列番号12:
[配12]
【0032】
ゴリラアデノウイルスペントンベース gorAd(E5L3Q9);配列番号13
[配13]
【0033】
チンパンジーアデノウイルスペントンベース chimpAd(G9G849);配列番号14
[配14]
【0034】
サルアデノウイルスペントンベース血清型18、sAd18(H8PFZ9);配列番号15
[配15]
【0035】
sAd20(F6KSU4);配列番号16
[配16]
【0036】
sAd49(F2WTK5);配列番号17
[配17]
【0037】
アカゲザルアデノウイルス血清型51ペントンベース rhAd51(A0A0A1EWW1);配列番号18
[配18]
【0038】
rhAd52(A0A0A1EWX7);配列番号19
[配19]
【0039】
rhAd53(A0A0A1EWZ7);配列番号20
[配20]
【0040】
本発明のポリペプチドは、それぞれ、上記参照のアデノウイルスサブタイプおよび血清型の多量体化ゼリーロールフォールドドメインを形成するアミノ酸ストレッチA、BおよびCのための知られている特定の配列に限定されない。アミノ酸セグメントA、BおよびCは、A、BおよびCの配列が結果として生じるポリペプチドがゼリーロールフォールドを採用し、更に下記に概略する適切な環境下で順々に自己集合して十二量体超複合体(本発明のVLP)を形成する12の五量体複合体(「ペントンタンパク質」とも記載される)に会合する限り、既知のアデノウイルスペントンベースプロトマーの配列に類似したアミノ酸配列を有することができる。一般に、このようなセグメントA、BおよびCの類似配列は少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは95%、特に好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、既知のアデノウイルスペントンベースのそれぞれのアミノ酸配列、好ましくは配列番号1から20のアミノ酸配列、より好ましくは下記表1から3に示すアミノ酸ストレッチA、BおよびCと相同である。
【0041】
ここでは、他に特別に示さない限り、アミノ酸配列はN末端からC末端までIUPACの一文字表記を用いて記載される。
【0042】
本発明の好ましい形態によると、アミノ酸ストレッチAは次のコンセンサス配列(配列番号21)を有する。
[配21]
ここで、
アミノ酸ストレッチAは、C末端のZ
1の前のT残基またはZ
1からZ
15のアミノ酸で終わり、
U は、いずれのアミノ酸であるかアミノ酸が存在せず、
X
1 は、EまたはG であり、
X
2 は、EまたはS であり、
X
3 は、LまたはV であり、
X
4 は、AまたはS であり、
X
5 は、LまたはQ であり、
X
6 は、YまたはE であり、
X
7 は、RまたはK であり、
X
8 は、VまたはL であり、
X
9 は、VまたはI であり、
X
10 は、FまたはY であり、
X
11 は、TまたはS であり、
X
12 は、AまたはTまたはIまたはG であり、
X
13 は、SまたはG であり、
X
14 は、FまたはL であり、
X
15 は、EまたはD であり、
X
16 は、AまたはG であり、
X
17 は、DまたはQ であり、
X
18 は、LまたはM であり、
X
19 は、HまたはR であり、
Z
1 は、もし存在するのであれば、N であり、
Z
2 は、もし存在するのであれば、M であり、
Z
3 は、もし存在するのであれば、P であり、
Z
4 は、もし存在するのであれば、N であり、
Z
5 は、もし存在するのであれば、VまたはI であり、
Z
6 は、もし存在するのであれば、N であり、
Z
7 は、もし存在するのであれば、EまたはD であり、
Z
8 は、もし存在するのであれば、YまたはF であり、
Z
9 は、もし存在するのであれば、M であり、
Z
10 は、もし存在するのであれば、FまたはSまたはY であり、
Z
11 は、もし存在するのであれば、TまたはS であり、
Z
12 は、もし存在するのであれば、SまたはN であり、
Z
13 は、もし存在するのであれば、K であり、
Z
14 は、もし存在するのであれば、F であり、
Z
15 は、もし存在するのであれば、K である。
【0043】
本発明に係るポリペプチドのセグメントAのより好ましいアミノ酸配列は、次の表1に概略される。
【表1】
【0044】
本発明の好ましい形態によると、上記一般式(I)のアミノ酸ストレッチBは次の配列(配列番号22)を有する。
[配22]
ここで、
アミノ酸ストレッチBは、N末端のZ
17からZ
27またはZ
27の後のアミノ酸Qで始まり、
アミノ酸ストレッチBは、C末端のZ
28の前のアミノ酸LまたはZ
28からZ
30のアミノ酸で終わり、
Z
17 は、もし存在するのであれば、LまたはS であり
Z
18 は、もし存在するのであれば、TまたはPまたはC であり、
Z
19 は、もし存在するのであれば、TまたはP であり、
Z
20 は、もし存在するのであれば、PまたはSまたはAまたはR であり、
Z
21 は、もし存在するのであれば、NまたはD であり、
Z
22 は、もし存在するのであれば、GまたはV であり、
Z
23 は、もし存在するのであれば、HまたはT であり、
Z
24 は、もし存在するのであれば、C であり、
Z
25 は、もし存在するのであれば、G であり、
Z
26 は、もし存在するのであれば、AまたはVまたはS であり、
Z
27 は、もし存在するのであれば、EまたはQ であり、
X
20 は、LまたはM であり、
X
21 は、QまたはK であり、
X
22 は、QまたはRまたはS であり、
X
23 は、VまたはI であり、
X
24 は、SまたはN であり、
X
25 は、YまたはF であり、
X
26 は、AまたはV であり、
Z
28 は、もし存在するのであれば、MまたはL であり、
Z
29 は、もし存在するのであれば、P であり、
Z
30 は、もし存在するのであれば、VまたはF である。
【0045】
本発明に係るポリペプチドのセグメントBのより好ましいアミノ酸配列は、次の表2に概略される。
【表2】
【0046】
本発明の好ましい形態によると、上記一般式(I)のアミノ酸ストレッチCは次の配列(配列番号23)を有する。
[配23]
ここで、
アミノ酸ストレッチCは、N末端のZ
31からZ
33またはZ
33の後のアミノ酸Aで始まり、
Z
31 は、もし存在するのであれば、N であり、
Z
32 は、もし存在するのであれば、V であり、
Z
33 は、もし存在するのであれば、P であり、
X
27 は、RまたはSまたはG であり、
X
28 は、VまたはI であり、
X
29 は、YまたはH であり、
X
30 は、AまたはS であり、
X
31 は、RまたはK である。
【0047】
本発明に係るポリペプチドのセグメントCのより好ましいアミノ酸配列は、次の表3に概略される。
【表3】
【0048】
本発明の特に好ましいポリペプチドは、hAd3のペントンベースプロトマーのゼリーロールフォールドドメインに基づく。特に、アミノ酸ストレッチAが、アミノ酸1から48から選択される位置、より好ましいアミノ酸位置は1で始まり、129から144の位置から選択されるアミノ酸位置、最も好ましいアミノ酸位置は132、までであるアミノ酸配列を有し、アミノ酸ストレッチBが、398から409の位置から選択される位置、最も好ましいアミノ酸位置は407、で始まり、440から443の位置から選択されるアミノ酸位置、最も好ましいアミノ酸位置は442、までであるアミノ酸配列を有し、アミノ酸ストレッチCが、492から495の位置から選択される位置、最も好ましいアミノ酸位置は493から始まり、アミノ酸位置5444まで、であるアミノ酸配列を有し、UniProt Acc. No.Q2Y0H9(配列番号1)に記載される配列を参照するアミノ酸配列位置である、ポリペプチドが好ましい。
【0049】
本発明に係るポリペプチドのリンカーセグメントL
1およびL
2は、例えば、好ましくはアミノ酸GおよびSを有する、4から10アミノ酸を有するオリゴペプチドのようなオリゴペプチドリンカーから選択されてもよい。好ましい例としては、GGGS(配列番号24)である。他の例としては、リンカーは、GおよびSで構成され2、3、4、5またそれ以上のGGSリピートのような複数のGGSリピートを有するリンカーである。このタイプの特に好ましいリンカーはGGSGGS(配列番号25)である。
【0050】
他の好ましい態様では、L
1は前記アミノ酸ストレッチA,BおよびCに由来するアデノウイルスの血清型と比較して異なる血清型を有するアデノウイルスペントンベースのRGDループを含むポリペプチド配列であり、および/または、L
2は前記アミノ酸ストレッチA,BおよびCに由来するアデノウイルスの血清型と比較して異なる血清型を有するアデノウイルスペントンベースの可変ループを含むポリペプチド配列である。
【0051】
本発明のさらに好ましい態様では、L
1はRGDループであり、L
2は好ましくは4から20アミノ酸、より好ましくは4から10アミノ酸の、好ましくはアデノウイルスではないオリゴペプチド、特に好ましくは上記に定義したGおよびSで構成されるオリゴペプチドリンカーである。同様の態様では、L
2は可変ループであるか可変ループを含み、L
1は以前に定義したようなオリゴペプチドリンカーである。本発明によると、L
2はRGDループであるか、RGDループを含み、L
1はオリゴペプチドリンカーである、ことも想像でき、L
1は可変ループであり、L
2はオリゴペプチドリンカーであることも考えられる。
【0052】
他の好ましい態様では、以前述べたように、L
1およびL
2それぞれの配列は、多量体化ドメインが由来するアデノウイルス、ではないアデノウイルス由来のペントンベースタンパク質のクラウンドメイン配列から選択されてよい。一般に、クラウン―多量体化ドメインキメラの組み合わせは限定されない。好ましいキメラは、上記に概略したようにクラウンと多量体化ドメインの組み合わせから選択される。適宜、および好ましくは、それぞれのクラウンドメインのRGDループおよび/または可変ループに挿入された、アデノウイルスではない配列を含むクラウンドメインは、より好ましくは国際公開第2017/167988A1で開示されている。
【0053】
これによって、アデノウイルスペントンベースのクラウンドメインは、典型的には、大きなフラグメントおよび小さなフラグメントと呼ばれる2つのアミノ酸ストレッチによって構成されことが理解される。クラウンドメインの大きなフラグメントは、それぞれのアデノウイルスペントンベースのアミノ酸配列においてよりN末端側に位置し、一方、クラウンドメインの小さなフラグメントはよりC末端側に位置する。本発明によると、大きなフラグメント(上述したようにRGDループを含む)が一般式(I)のL
1に対応する時が好ましく、小さなフラグメント(可変ループを含む)が一般式(I)のL
2に対応することがさらに好ましい。本発明の特定の態様では、大小フラグメントは同じアデノウイルスペントンベースに由来する。本発明の他の態様では、大きなフラグメントおよび小さなフラグメントは異なるアデノウイルスペントンベースに由来し、または、大きなフラグメントおよび小さなフラグメントのうち一つだけ、例えばアミノ酸ストレッチA,BおよびCのような多量体化ドメインが由来するアデノウイルスとは異なるアデノウイルスのペントンベースプロテインに由来する。
【0054】
本発明のキメラ構築物(コンストラクト)に用いられる好ましいクラウンドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)のペントンベースのグループから選択されるクラウンドメインを含む。
【0055】
クラウンドメインに用いる上に示したアデノウイルスペントンベースの好ましいアミノ酸配列は、例えばUniProtやUniProtEのような一般的にアクセスできるデータベースに記載されており、上記したアデノウイルスサブタイプのためのここで参照される特に好ましい配列は、UniProt Acc. No.Q2Y0H9(ヒトアデノウイルス血清型3;配列番号1)、UniProt Acc. No.P03276(ヒトアデノウイルス血清型2;配列番号2)、UniProt Acc. No.Q2KSF3(ヒトアデノウイルス血清型4;配列番号3)、UniProt Acc. No.P12538(ヒトアデノウイルス血清型5;配列番号4)、UniProt Acc. No.Q9JFT6(ヒトアデノウイルス血清型7;配列番号5)、UniProt Acc. No.D2DM93(ヒトアデノウイルス血清型11;配列番号6)、UniProt Acc. No.P36716(ヒトアデノウイルス血清型12;配列番号7)、UniProt Acc. No.F1DT65(ヒトアデノウイルス血清型17;配列番号8)、UniProt Acc. No.M0QUK0(ヒトアデノウイルス血清型25;配列番号9)、UniProt Acc. No.Q7T941(ヒトアデノウイルス血清型35;配列番号10)、UniProt Acc. No.Q912J1(ヒトアデノウイルス血清型37;配列番号11)、UniProt Acc. No.F8WQN4(ヒトアデノウイルス血清型41;配列番号12)、UniProt Acc. No.E5L3Q9(ゴリラアデノウイルス;配列番号13)、UniProt Acc. No.G9G849(チンパンジーアデノウイルス;配列番号14)、UniProt Acc. No.H8PFZ9(サルアデノウイルス血清型18;配列番号15)、UniProt Acc. No.F6KSU4(サルアデノウイルス血清型20;配列番号16)、UniProt Acc. No.F2WTK5(サルアデノウイルス血清型49;配列番号17)、UniProt Acc. No.A0A0A1EWW1(アカゲザルアデノウイルス血清型51;配列番号18)、UniProt Acc. No.A0A0A1EWX7(アカゲザルアデノウイルス血清型52;配列番号19)およびUniProt Acc. No.A0A0A1EWZ7(アカゲザルアデノウイルス血清型53;配列番号20)に記載される。
【0056】
本発明のキメラ構築物に用いられるクラウンドメインの大きなフラグメントの最も好ましい配列は次の表4に概略される。
【表4】
【0057】
本発明のキメラ構築物に用いられるクラウンドメインの大きなフラグメントの最も好ましい配列は次の表5に概略される。
【表5】
【0058】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0059】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0060】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0061】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0062】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0063】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0064】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0065】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0066】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0067】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0068】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0069】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0070】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、ゴリラアデノウイルス(gorAd)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd),サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0071】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0072】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0073】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0074】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0075】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0076】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0077】
本発明の好ましい態様はキメラであり、当該キメラにおいて、アカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)の多量体化ドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)およびアカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)から選択されるアデノウイルスペントンベースのクラウンドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0078】
本発明のキメラを供給するための特に好ましいクラウンドメインは、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)のペントンベースタンパク質のクラウンドメインである。配列番号1のアミノ酸位置に関して好ましい配列は、表4(大きなフラグメント)と表5(小さなフラグメント)を参照する。
【0079】
本発明の更により好ましいキメラにおいて、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)のペントンベースタンパク質のクラウンドメインは、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスのペントンベースの多量体化ドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0080】
本発明のキメラを供給するための特に好ましいクラウンドメインは、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)のペントンベースのクラウンドメインである。配列番号:14のアミノ酸位置に関して好ましい配列は、表4(大きなフラグメント)と表5(小さなフラグメント)を参照する。
【0081】
本発明の更により好ましいキメラにおいて、チンパンジーアデノウイルス(ChimpAd)のペントンベースタンパク質のクラウンドメインは、ヒトアデノウイルス血清型3(hAd3)、ヒトアデノウイルス血清型2(hAd2)、ヒトアデノウイルス血清型4(hAd4)、ヒトアデノウイルス血清型5(hAd5)、ヒトアデノウイルス血清型7(hAd7)、ヒトアデノウイルス血清型11(hAd11)、ヒトアデノウイルス血清型12(hAd12)、ヒトアデノウイルス血清型17(hAd17)、ヒトアデノウイルス血清型25(hAd25)、ヒトアデノウイルス血清型35(hAd35)、ヒトアデノウイルス血清型37(hAd37)、ヒトアデノウイルス血清型41(hAd41)、ゴリラアデノウイルス(gorAd)、サルアデノウイルス血清型18(sAd18)、サルアデノウイルス血清型20(sAd20)、サルアデノウイルス血清型49(sAd49)、アカゲザルアデノウイルス血清型51(rhAd51)、アカゲザルアデノウイルス血清型52(rhAd52)およびアカゲザルアデノウイルス血清型53(rhAd53)から選択されるアデノウイルスのペントンベースの多量体化ドメインに結合する。このような組み合わせのために選択される多量体化ドメインとクラウンドメインの特定の配列に関しては、表1から5に係る特定の例を参照する。
【0082】
すでに上に概略したように、本発明の一つの主たる態様は、抗原、より特に、ウイルス、バクテリア又は他の病原体の抗原、又は、腫瘍又は癌抗原をL
1およびL
2の一つ又は両方に含むことである。アデノウイルスクラウンドメインのRGDループ、および/または、可変ループにおいて抗原を含む好ましい部分に関しては、国際公開第2017/167988に明記されている。ここで用いられたように、「抗原」という用語は、例えば抗体やT細胞受容体(T cell receptor, TCR)など免疫反応分子によって認識される構造を指す。
【0083】
感染因子の抗原には、これに限らないが、例えば、HIV、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C肝炎ウイルスのような肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、フラビウイルス(ジカウイルス)、インフルエンザウイルス、マールブルグ病ウイルス、エボラウイルスおよびチクングニアウイルスのようなアーボウイルス、のようなウイルス感染因子を含む。バクテリア感染因子の抗原には、これに限らないが、例えば、レジオネラ、ヘリコバクター、感染性大腸菌株、ブドウ球菌、サルモネラおよび連鎖球菌の抗原を含む。感染性原生動物病原体の抗原には、これに限らないが、プラスモジウム、トリパノソーマ、リーシュマニア、トキソプラズマの抗原を含む。病原体因子の抗原のさらなる例には、クリプトコッカス ネオフォルマンス、ヒトプラスマ カプスラーツム、コクシジオイデス イチミス、ブラストマイセス デルマチチジス、カンジダ アルビカンスのような真菌病原体の抗原を含む。
【0084】
本発明に係る使用できる腫瘍抗原の特定の例は、これに限らないが、707−AP、AFP、ART−4、BAGE、βカテニン/m、Bcr−abl、CAMEL、CAP−1、CASP−8、CDC27/m、CDK4/m、CEA、CT、Cyp−B、DAM、ELF2M、ETV6−AML1、G250、GAGE、GnT−V、Gp100、HAGE、HER−2/neu、HLA−A
*0201−R170l、HPV−E7、HSP70−2M、HAST−2、hTERT(またはhTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART−1/Melan−A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM−1、−2、−3、NA88−A、NY−ESO−1、p190マイナーbcr−abl、Pml/RAR.α.、PRAME、PSA、PSM、RAGE、RU1またはRU2、SAGE、SART−1またはSART−3、TEL/AML1、TPl/m、TRP−1、TRP−2、TRP−2/INT2およびWT1を含む。
【0085】
特にL
1および/またはL
2のような本発明のポリペプチドに含まれる抗原において、またレセプター−リガンド結合のようないずれかのタンパク質−タンパク質相互作用に関しても、免疫反応の改善に用いる最適化した抗原のような、標的への結合に最適化した配列を供給するための選別および/または進化工程を含むことができる。好ましい工程は、Schaffitel et al.(2001):Protein−Protein Interactions, A Molecular Cloning Manual: Invitro selection and evolution of protein−ligand interaction by ribosome display (Golemis E., ed.) pp535−567, Cold Apring Harbor Laboratory Press, New York、に詳細が概略されているようなリボソームディスプレイである。リボソームディスプレイプロトコルには、選別工程の全てのステップをin vitroで完全に行うという利点がある。さらに可能性のある選別工程は、当該技術分野で知られているものであり、ファージディスプレイ(Smith (1985)Science 228, 1315−1317; Winter etal. (1984)Annu. Rev. Immunol.12, 433−455)、イーストツーハイブリッド法(Fields and Song (1989) Nature 340, 245−246; Chien et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. 88, 9578−9582)および細胞表面ディスプレイ法(Georgiu et al. (1993) Trends Biotechnol. 11, 6−10; Boder and Wittrup (1997) Nat. Biotechnol. 15, 553−557)を含む。
【0086】
リボソームディスプレイ工程は、本発明のポリペプチドの使用によって特定の分子を標的とすることに用いられる抗原または他のアミノ酸配列の最適化のために、基本的には二つの方法で用いられる。抗原(または他の結合剤)配列は、10
14個の個別の配列、より典型的には10
9から10
10配列、のポリペプチド配列の最初のライブラリーから初めに選別されることができ、上記のSchaffitel et al.(2001)に詳細が記載されている進化工程を適宜用いる。最適化した抗原配列を選別した後、それをコードするヌクレオチド配列を、本発明の適切なベクターにクローニングする。ここで、適切なベクターとは、最適化した抗原が上記式(I)のL
1および/またはL
2に含まれる、またはL
1および/またはL
2を表す、ところでポリペプチドが発現されるようはベクターである。
【0087】
本発明のこの見地の他の態様によると、配列をコードする抗原候補のライブラリーは、各配列が上記式(I)で定義されるL
1およびL
2の一つまたは両方の一部または全部であるポリペプチドをそれぞれコードするように、本発明の核酸に直接クローニングされる。抗原配列(または他の態様では、他の結合剤配列)の最初のライブラリーを含む発明のポリペプチドは、in vitroで発現され、最適化された抗原(又は他の結合剤)配列の選別は、上記Schaffitel et al.(2001)に詳細が記載されているリボソームディスプレイ法によって行われる。
【0088】
本発明のポリペプチドのさらなる態様は、L
1および/またはL
2それぞれが、抗原配列または抗体断片のような抗体の一部である、または抗原配列または抗体の一部に結合するポリペプチドに結合する、ポリペプチドに関する。本発明において、用語「抗体」は、抗原に特異的に結合する免疫グロブリンである。
【0089】
用語「抗体断片」は、抗原へ特異的に結合する完全な抗体の能力を有する抗体の一部を意味する。抗体断片の例には、これに限定されないが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)
2フラグメント、重鎖抗体、シングルドメイン抗体(sdAb)、scFvフラグメント、可変フラグメント(fragment variables、Fv),VHドメイン、VLドメイン、ナノボディ、IgNARs(immunogloblin new antigen receptors,新規抗原受容体)di−scFv、二重特異性T細胞(bispecific T−cell engagers、BiTEs)、二重親和性再標的(dual affinity re−targeting、DART)分子、トリプルボディ、ジアボディ、単鎖ジアボディのようなものを含む。
【0090】
「ジアボディ」は融合タンパク質または異なる抗原に結合することができる二価の抗体である。ジアボディは、それぞれが抗体の可変フラグメントを含む二つの単一のタンパク質鎖(一般には二つのscFvフラグメント)によって構成される。ジアボディはしたがって、二つの抗原結合部位を含み、同じ抗原を標的とする(単一特異性ジアボディ)または異なる抗原を標的とする(二重特異性ジアボディ)ことができる。
【0091】
本発明の内容で用いられる用語「シングルドメイン抗体」は、一つの抗体の単量体可変ドメインで構成される抗体断片を指す。簡単には、このような抗体断片は、ラクダ類または軟骨魚類によって作られる重鎖抗体の単量体重鎖可変領域のみを含む。抗体断片の起源の違いにより、VHHまたはVNAR(variable new antigen receptor、可変新規抗原受容体)断片をさす。代替えとしては、シングルドメイン抗体を、遺伝子工学の使用による従来のマウスまたはヒト抗体の可変領域の単量体化によって得ることができる。それらの分子量はおよそ12kDaから15kDaであり、したがって、抗原認識のできる最小の抗体断片である。さらなる例は、ナノボディやナノ抗体を含む。
【0092】
本発明の内容で用いられる抗原結合物質は、ここでは、抗体のように抗原に特異的に結合する化合物を指す「抗体ミメティック」を含み、この化合物は構造的に抗体から離れないものである。一般に、抗体ミメティックは、モル質量がおよそ3から20kDaで、抗原に特異的に結合する一つ以上の露出ドメインを有する合成ペプチド又はタンパク質である。例には、特にLACI−D1(lipoprotein−associated coagulation inhibitor、リポプロテイン関連凝固阻害剤);ヒトγBクリスタリンまたはヒトユビキチンなどのアフィリン;シスタチン;スルフォロブス アシドカルダリウスからのSac7D;リポカリンおよびリポカリン由来アンチカリン;DARPins(Designed ankyrin repeat domains);FynのSH3ドメイン;プロテアーゼインヒビターのクニッツドメイン;フィブロネクチンの3型10番目;アドネクチン;ノッチン(システイン ノット ミニプロテイン);Atrimer;CTLA4ベース結合剤などのEvibodies;黄色ブドウ球菌のプロテインAのZドメインの3ヘリックスバンドルなどのアフィボディ(Affibody);ヒトトランスフェリンなどの細胞透過性抗体(Transbody);単量体または三量体ヒトC型レクチンドメインなどテトラネクチン;トリプシンインヒビターIIなどのミクロボディ;アフィリン;アルマジロリピートタンパク質、が含まれる。
【0093】
本来のペントンベースタンパク質がするように、本発明のポリペプチドは五量体複合体に会合し、12個のこれらがpH5.0から8.0のバッファー溶液中で会合してウイルス様粒子(VLPs)になる。好ましい例では、PBS pH7.4またはTBS pH7.2のようなバッファー状態または生理的に近い状態である。このような環境下で、本発明のポリペプチドは約20℃から42℃の気温でVLPを形成する。本発明はこのような五量体複合体とVLPにも向けられる。
【0094】
本発明のさらなる対象事項は、ここで定義されるようなポリペプチドをコードする核酸である。
【0095】
本発明によると、用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は交換可能に用いられ、DNA、RNAまたは一以上のヌクレオチド類似体を含む種を指す。本発明の好ましい核酸またはポリヌクレオチドは、DNAであり、最も好ましくは二本鎖(ds)DNAである。本発明のヌクレオチド配列は、他に示さない限り、5’から3’に表され、IUPAC塩基一文字コードが用いられる。
【0096】
他の態様は、一般式(I)に定義された多目的に利用できるセグメントL
1およびL
2の挿入に調製される核酸に関する。つまり、核酸のこの態様はセグメントA、BおよびCをコードするが、AおよびBをコードするセグメントの間、およびBおよびCをコードするセグメントの間に挿入部を有する。
【0097】
したがって、この態様は次の一般式(II)によって表される。
[式2]
ここで
a は一般式(I)のAをコードする核酸配列であり、
b は一般式(I)のBをコードする核酸配列であり、
c は一般式(I)のCをコードする核酸配列であり、
I
1、I
2 はそれぞれ核酸配列であり、
is
1からis
4 はそれぞれ独立に、少なくとも一つの挿入部を有する核酸配列である。
【0098】
本発明のこの態様の内容における挿入部は、好ましくは、制限酵素またはホーミングエンドヌクレアーゼの認識配列である。より好ましくは、is
1からis
4はそれぞれ異なる挿入部であり、より好ましくは各is
1からis
4は異なる制限酵素の認識配列である。L
1およびL
2をコードするヌクレオチド配列の挿入を調製する核酸の好ましい態様は、is
1がEcoRI部位を有し、is
2がRsrII部位を有し、is
3がSacI部位を有し、is
4がXbaI部位を有する。
【0099】
制限酵素部位は、当業者に一般によく知られているものである。好ましい例は上に示したようであるが、多種多様なものから選ぶことができ、New England Biolabs, Inc., Ipswich, MA, USAのような制限酵素を製造するさまざまな会社で手引きを見つけることができる。
【0100】
このようなホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)部位の例には、これに限らないが、PI−SceI、I−CeuI、I−PpoI、I−HmuI、I−CreI、I−DmoI、PI−PfuIおよびI−MsoI、PI−PspI、I−SceI、他のLAGLIDAGグループメンバーおよびそれらの変異、SegH、Hef、又は他のGIY−YIGホーミングエンドヌクレアーゼ、I−ApeII、IaniI、チトクロームb mRNAマチュラーゼ bl3、PI−TliIおよびPI−TfuII、PIThyIおよび他の認識部位を含む。Stoddard B.L.(2005)Q. Rev. Biophys. 38, 49−95.を参照のこと。対応する酵素は、New England Biolabs, Inc., Ipswich, MA, USAなどで購入できる。
【0101】
本発明の好ましい態様では、上記で定義した核酸はさらに、ベクターまたは宿主細胞に核酸を挿入するための少なくとも一つの部位を含む。その挿入部位では、一過性導入または遺伝子導入することができる。
【0102】
ベクターへの挿入、特にプラスミド又はウイルス、に関しては、挿入部位は、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、自律性パルボウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レトロウイルス、ラディノウイルス、エプスタイン−バールウイルス、レンチウイルス、セミリキフォレストウイルス、またはバキュロウイルス、への核酸の挿入を適合できることが好ましい。
【0103】
本発明の核酸に導入できる特に好ましい挿入部位は、Tn7トランスポゾンエレメント、λ-インテグラーゼ特異的アタッチメントサイト、部位特異的リコンビナーゼ(SSR)、特にLoxPサイトやFLPリコンビナーゼ特異的組み換え(FRT)サイト、から選ぶことができる。本発明に係る核酸の導入のためのさらに好ましい機構は、lef2−603/Orf1629のような特異的相同組み換え配列である。
【0104】
本発明のさらに好ましい態様では、ここで述べる核酸は、さらに、他の有毒物質に対して選別する一つ以上の耐性マーカーを含む。本発明の内容で用いられる耐性マーカーの好ましい例は、これに限らないが、アンピシリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、スペクチノマイシンおよびカナマイシン体制マーカーを含む。
【0105】
本発明の核酸は、一つ以上のリボソーム結合部位(RBS)を含んでよい。
【0106】
本発明のさらなる対象事項は、上記した核酸を含むベクターに関する。
【0107】
本発明の好ましいベクターは、プラスミド、発現ベクター、トランスファーベクター、より好ましくは真核生物遺伝子トランスファーベクター、トランジエントまたはウイルス介在遺伝子トランスファーベクター、である。本発明に係る他のベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、自律性パルボウイルスベクター、単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクター、レトロウイルスベクター、ラディノウイルスベクター、エプスタイン−バールウイルスベクター、レンチウイルスベクター、セミリキフォレストウイルスベクター、またはバキュロウイルスベクターのようなウイルスベクターである。
【0108】
本発明に係る核酸の挿入に適したバキュロウイルスベクター(例えば、トランスファーベクターのような適したプラスミドにある)もまた本発明の対象事項であり、好ましくは、Tn7アタッチメントサイト(有効な挿入の青白スクリーニングのためのlacZ遺伝子に埋め込まれてよい)および/またはLoxPサイトを含む。本発明に係るさらに好ましいバキュロウイルスは、(上記した挿入部位の代わり、または追加として)相同組み換えのための配列に隣接するホストに毒である薬剤を発現する遺伝子を含む。毒物を発現する遺伝子の例は、ジフテリアトキシンA遺伝子である。相同組み換えの配列の好ましい対は、例えば、lef2−603/Orf1629である。前記バキュロウイルスは上記したようにさらにマーカー遺伝子を有することもでき、GFP、YFPなどのような蛍光マーカーもまた含む。バキュロウイルスに関する特別な例は、例えば、国際公開第2010/100278に開示されているものである。
【0109】
本発明で使用するためにさらに採用可能なベクターは、国際公開第2005/085456に開示されている。
【0110】
原核生物宿主細胞において使用できるベクターは、好ましくは、上記に例を挙げたマーカー遺伝子(それらの一つ以上)に加えて、複製起点(ori)を含む。例えば、BR322、ColE1およびOriVやR6Kyのような条件複製起点であり、R6Kyは、原核生物宿主細胞においてpir遺伝子に依存する本願のベクターの増殖を行わせる好ましい条件複製起点である。OriVは、原核生物宿主細胞においてtrfA遺伝子に依存する本願のベクターの増殖を行うわせる。
【0111】
さらに、本発明は、本発明の核酸及び/または本発明のベクターを含む宿主細胞につながる。
【0112】
宿主細胞は原核生物または真核生物であってよい。真核生物宿主細胞は、例えば、哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞であってよい。ヒト宿主細胞の例には、これに限らないが、HeLa、Huh7、HEK293、HepG2、KATO−III、IMR32、MT−2、膵β細胞、ケラチノサイト、骨髄線維芽細胞、CHP212、初代神経系細胞、W12、SK−N−MC、Saos−2、WI38、初代肝細胞、FLC4、143TK、DLD−1、胚性肺線維芽細胞、初代包皮肺線維芽細胞、MRC5およびMG63が含まれる。本発明のさらに好ましい宿主細胞は、ブタ細胞、好ましくはCPK、FS−13、PK−15細胞、ウシ細胞、好ましくはMDB、BT細胞、ウシ細胞、FLL−YFTのようなヒツジ細胞、である。本発明の内容で用いられる真核生物の細胞はC.elegans細胞である。さらなる真核生物細胞は、S.cerevisiae、 S.pombe、C.albicans、P.pastorisのような酵母細胞を含む。さらに、本発明では宿主細胞として昆虫細胞を用いることができ、昆虫細胞は、より好ましくはSf9、Sf21、Express Sf+、High Five H5細胞であるS.frugiperdaからの細胞および、特にS2 SchneiderであるD.melanogasterからの細胞を含む。さらに宿主細胞は、Dictyostelium discoideum細胞およびLeishmania specのような寄生虫からの細胞を含む。
【0113】
本発明に係る原核生物宿主は、バクテリア、特にTOP10、DH5α、HB101、BL21(DE3)などのような購入可能な大腸菌E.Coliを含む。
【0114】
当業者は、容易に、適切なベクター構築物(コンストラクト)/宿主細胞の対を適切な増殖、および/又は、本発明に係る核酸エレメントを適切な宿主にトランスファーするために選択することができる。適切なベクターエレメントとベクターを適切な宿主細胞に導入する特定の方法は、同様に当該分野で知られており、方法はAusubel et al. (ed) Current Protocols In Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, USAの最新版で見つけることができる。
【0115】
本発明の好ましい態様では、上に定義したベクターはさらに部位特異的リコンビナーゼ(SSR)のための部位を有し、好ましくはCre−lox特異的組み換え用のLoxPサイトを一つ以上含む。さらに好ましい態様では、本発明のベクターはトランスポゾンエレメントを含み、好ましくはTn7アタッチメントサイトを含む。
【0116】
上に定義されたアタッチメントサイトはマーカー遺伝子内に位置することがさらに好ましい。このような配置によりトランスポジションによってアタッチメントサイトに挿入された配列を成功的に選別することが容易になる。好ましい態様によると、このようなマーカー遺伝子は、ルシフェラーゼ、β−GAL、CAT、好ましくはGFP、BFP、YFP、CFPである蛍光タンパク質をコードする遺伝子およびその変異物およびLacZα遺伝子から選ばれる。
【0117】
さらに、本発明は、本発明の核酸および/または本発明のベクターを含む宿主細胞につながる。
【0118】
宿主細胞は原核生物または真核生物であってよい。真核生物宿主細胞は、例えば、哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞であってよい。ヒト宿主細胞の例には、これに限らないが、HeLa、Huh7、HEK293、HepG2、KATO−III、IMR32、MT−2、膵β細胞、ケラチノサイト、骨髄線維芽細胞、CHP212、初代神経系細胞、W12、SK−N−MC、Saos−2、WI38、初代肝細胞、FLC4、143TK、DLD−1、胚性肺線維芽細胞、初代包皮肺線維芽細胞、MRC5およびMG63が含まれる。本発明のさらに好ましい宿主細胞は、ブタ細胞、好ましくはCPK、FS−13、PK−15細胞、ウシ細胞、好ましくはMDB、BT細胞、ウシ細胞、FLL−YFTのようなヒツジ細胞、である。本発明の内容で用いられる真核生物の細胞はC.elegans細胞である。さらなる真核生物細胞は、S.cerevisiae、 S.pombe、C.albicans、P.pastorisのような酵母細胞を含む。さらに、本発明では宿主細胞として昆虫細胞を用いることができ、昆虫細胞は、より好ましくはSf9、Sf21、Express Sf+、High Five H5細胞であるS.frugiperdaからの細胞および、特にS2 SchneiderであるD.melanogasterからの細胞を含む。さらに宿主細胞は、Dictyostelium discoideum細胞およびLeishmania specのような寄生虫からの細胞を含む。
【0119】
本発明に係る原核生物宿主細胞は、バクテリア、特にTOP10、DH5α、HB101、BL21(DE3)などのような購入可能な大腸菌E.Coliを含む。
【0120】
当業者は、容易に、適切なベクター構築物(コンストラクト)/宿主細胞の対を適切な増殖、および/又は、本発明に係る核酸エレメントを適切な宿主にトランスファーするために選択することができる。適切なベクターエレメントとベクターを適切な宿主細胞に導入する特定の方法は、同様に当該分野で知られており、方法はAusubel et al. (ed) Current Protocols In Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, USAの最新版で見つけることができる。
【0121】
本発明はまた、ポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター、そのようなベクターを含む宿主細胞と同様に、薬剤への使用のための上に定義したVLP、特に感染症、免疫疾患、腫瘍または癌の治療および/または予防に用いられる薬剤への使用を含む。
【0122】
したがって、本願発明は、ここで定義したポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター、そのようなベクターを含む宿主細胞または上記したVLPと同様に少なくとも一つの薬学的に許容される担体、賦形剤および/または希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0123】
一般に、本発明の内容に関して、医薬組成物の調製、それらの投与量、それらの投与方法は当業者に知られたものであり、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack publishing Co., Eastern, PA, USA)の最新版に手引きを見つけることができる。
【0124】
本発明の医薬組成物は、上記に概説した有効成分の治療に有効な量を含む。治療に有効な量は有効成分に依存し、特に投与方法に依存する。本発明にかかる医薬組成物は、好ましくは非経口投与によって、特に静脈内、動脈内または骨内注入のような注入、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮膚内、皮下またはクモ膜下注射のような注射によって、投与される。抗腫瘍治療において、本発明にかかるVLPを含む医薬組成物のような医薬組成物は、腫瘍内注射によって投与されることができる。
【0125】
注射や注入のための発明の溶液は、典型的には、水またはまたはバッファー溶液、好ましくは生理学的pHの等張バッファー、に発明のVLPを含む。本発明の液体医薬組成物は、薬学的に許容可能な安定剤、懸濁材、乳化剤のような材料をさらに含んでよい。本発明の医薬組成物のさらなる材料は、特にワクチン目的のための本発明の構築物(コンストラクト)の適用に関しては、アジュバントである。
【0126】
本発明のさらなる対象事項は、本発明のポリペプチド、核酸宿主細胞、ベクターおよび/またはVLPの有益な特徴を利用する治療法である。好ましい態様では、発明は、好ましくはヒトである対象に、上に定義したような医薬品組成物の治療に効果的な量投与する工程を含む感染症の予防予防法および/または治療法を提供することであり、ここで、医薬品組成物は感染症を引き起こす感染因子の抗原(特に上に定義した発明のポリペプチドのL
1および/またはL
2を含む)を含む発明のVLPを含む。別の態様は、腫瘍または癌を予防するおよび/または治療する方法であり、好ましくはヒトである対象に上で定義した医薬組成物の治療に有効な量を投与する工程を含み、医薬組成物は、(特に上に定義した発明のポリペプチドのL
1および/またはL
2を含む)一つ以上の腫瘍抗原を含む。
【0127】
本発明はさらに、適切な培地において組み換え宿主細胞を培養する工程を含むここで述べたポリペプチドを作成する方法に関してであり、ここで宿主細胞は、前記ポリペプチドが発現できる環境下で、ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターを有する。
【0128】
好ましくは、本発明のポリペプチドの作成のための方法は、宿主細胞および/または培地から発現したポリペプチドを回収する工程をさらに含む。さらにより好ましくは、その方法は、遠心分離、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーのような当該分野で知られている精製手段によって回収したポリペプチドを精製する工程も含む。
【0129】
本発明はまた、以前説明したように、VLPへのポリペプチドの会合を可能にする環境下でポリペプチドの溶液をインキュベートする工程を含む、ここで定義したVLPを作成する方法を提供する。