(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533016(P2021-533016A)
(43)【公表日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】吸収材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/12 20060101AFI20211105BHJP
A41D 31/102 20190101ALI20211105BHJP
A41D 31/12 20190101ALI20211105BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20211105BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20211105BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20211105BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20211105BHJP
【FI】
B32B27/12
A41D31/102
A41D31/12
A41D31/02 D
B01J20/28 Z
B01J20/30
B01J20/26 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2021-529223(P2021-529223)
(86)(22)【出願日】2019年7月29日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月26日
(86)【国際出願番号】SG2019050370
(87)【国際公開番号】WO2020027726
(87)【国際公開日】20200206
(31)【優先権主張番号】10201806497T
(32)【優先日】2018年7月30日
(33)【優先権主張国】SG
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521044936
【氏名又は名称】キソド ピーティーイー. リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KISODO PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チュウ, ティン−マン, ティモシー
【テーマコード(参考)】
4F100
4G066
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK07A
4F100AT00B
4F100BA02
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4F100JD05A
4F100JD14
4F100YY00A
4G066AC13B
4G066BA05
4G066BA20
4G066CA20
4G066CA43
4G066DA12
4G066DA13
4G066FA21
4G066FA34
4G066FA40
(57)【要約】
吸収材料は、親水性不織布を含む第1の層と、疎水性フィルムを含み第1の層に隣接して配置されている第2の層と、を含む。第1の層が、気体及び液体を通過させるように構成されており、一方で第2の層が、当該気体を通過させるように構成されており且つ当該液体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されている。第1の層が、30mm〜60mmの平均長さを有する短繊維を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性不織布を含む第1の層と、
疎水性フィルムを含み前記第1の層に隣接して配置されている第2の層と、を含む吸収材料であって、
前記第1の層が、気体及び液体を通過させるように構成されており、
前記第2の層が、前記気体を通過させるように構成されており且つ前記液体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されており、
前記第1の層が、30mm〜60mmの平均長さを有する短繊維を含む、吸収材料。
【請求項2】
前記親水性不織布が、ポリマーを含む、請求項1に記載の吸収材料。
【請求項3】
前記ポリマーが、ポリプロピレン又はポリエチレンである、請求項2に記載の吸収材料。
【請求項4】
前記疎水性フィルムが、ポリエチレンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収材料。
【請求項5】
前記吸収材料の厚さが、0.1mm〜5mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収材料。
【請求項6】
前記第2の層が、前記第1の層に隣接して積層されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収材料。
【請求項7】
前記第1の層が、サーマルボンディング法を用いて製造されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収材料。
【請求項8】
前記短繊維が、38mm〜51mmの平均長さを有する、請求項1に記載の吸収材料。
【請求項9】
前記第1の流体が、空気である、請求項1に記載の吸収材料。
【請求項10】
前記第1の層と前記第2の層とのみからなる、請求項1に記載の吸収材料。
【請求項11】
超吸収性ポリマーを更に含む、請求項1に記載の吸収材料。
【請求項12】
前記超吸収性ポリマーが、前記第1の層と一体化されている又は前記第2の層と一体化されている、請求項11に記載の吸収材料。
【請求項13】
前記第1の層又は前記第2の層に、生分解性添加剤が添加されている、請求項1に記載の吸収材料。
【請求項14】
親水性不織布を含む第1の層と、
疎水性フィルムを含み前記第1の層に隣接して配置されている第2の層と、の2つの層からなる吸収材料で製造されたベッドシーツであって、
前記第1の層が、気体及び液体を通過させるように構成されており、
前記第2の層が、前記気体を通過させるように構成されており且つ前記液体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されており、
前記第1の層が、30mm〜60mmの平均長さを有する短繊維を含む、ベッドシーツ。
【請求項15】
前記ベッドシーツの前記吸収材料が、使い捨てである、請求項14に記載のベッドシーツ。
【請求項16】
前記親水性不織布が、ポリプロピレン又はポリエチレンを含む、請求項14又は15に記載のベッドシーツ。
【請求項17】
吸収材料を製造する方法であって、
サーマルボンディングして親水性不織布を含む第1の層を形成するステップと、
前記サーマルボンディングするステップの前に、スピン仕上げするステップと、
前記第1の層に隣接して、疎水性フィルムを含む第2の層を積層するステップと、を含み、
前記第1の層が、気体及び液体を通過させるように構成されており、
前記第2の層が、前記気体を通過させるように構成されており且つ前記液体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されており、
前記第1の層が、30mm〜60mmの平均長さを有する短繊維を含み、
前記サーマルボンディングのステップが、カーディングするステップを含む、方法。
【請求項18】
前記第1の層に隣接して前記第2の層を積層する前記ステップが、熱的、機械的又は化学的手段を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸収材料が、前記第1の層と前記第2の層とのみからなる、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
サーマルボンディングして前記第1の層を形成する前記ステップが、150℃〜180℃の温度にて行われる、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記親水性不織布用の繊維を製造するステップを更に含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記親水性不織布用の繊維を製造する前記ステップが、クリンプするステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記クリンプするステップが、0.1バール〜5.0バールの圧力にて行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記クリンプのステップが、60℃〜120℃の温度にて行われる、請求項22又は23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、吸収材料及びその製造方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
本発明への背景の以下の解説は、本発明の理解を容易にすることが企図される。しかしながら、該解説は、言及されている材料のいずれも、本出願の優先日時点で任意の管轄において、公開されていた、公知であった又は通常の一般知識の一部であったという承認又は了解ではないことを、認識すべきである。
【0003】
体液等の液体を吸収できる使い捨て吸収材料は、多様な用途において/のために有用である。一例の用途として、乳児又は幼児よりも体の大きい人のためにデザインされた成人用おむつは、失禁、運動障害、重篤な下痢又は認知症等の多様な状態を有する成人によって使用され得る。結果として、成人用おむつは、ベッド及びソファ等の構造物が汚れることを防ぐ。成人用おむつは、従来の小児用おむつに似たもの、アンダーパンツ、及び生理用ナプキンに似たパッドを含む多様な形態において製造することができる。しかしながら、成人用おむつの使用は、成人用おむつに伴う恥の理由で、当惑及び憂うつ等の負の感情へと至らせ得る。
【0004】
現在の使い捨て吸収材料は、これらの吸収材料をふわふわした嵩高いものにする繊維状物質から製造され得る。これを踏まえると、そのような吸収材料を輸送する、保管する及び/又は廃棄するのが難しいことがある。結果として、そのような吸収材料を製造する、輸送する、保管する及び廃棄することに伴うコストの上昇があり得る。
【0005】
更に、既存の使い捨て吸収材料は、厚くて通気性がないことがある。結果として、ユーザは、床ずれに罹る見込みが増すことがある。
【0006】
上記に照らして、上記の短所を改善する又は克服する吸収材料を開発する必要性が存在する。
【0007】
[発明の概要]
本発明の一態様では、親水性不織布を含む第1の層と、疎水性フィルムを含み第1の層に隣接して配置されている第2の層と、を含む吸収材料であって、第1の層が、第1の流体及び第2の流体を通過させるように構成されており、第2の層が、第1の流体を通過させるように構成されており且つ第2の流体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されている、吸収材料が提供される。
【0008】
様々な実施形態では、親水性不織布は、ポリマーを含む。
【0009】
様々な実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレン又はポリエチレンである。
【0010】
様々な実施形態では、疎水性フィルムは、ポリエチレンを含む。
【0011】
様々な実施形態では、親水性不織布はポリプロピレンのみからなり、疎水性フィルムはポリエチレンのみからなる。
【0012】
様々な実施形態では、吸収材料の厚さは、0.1ミリメートル(mm)〜5mmである。
【0013】
様々な実施形態では、第2の層は、第1の層に隣接して積層される。
【0014】
様々な実施形態では、第1の層は、サーマルボンディング法を用いて製造される。
【0015】
様々な実施形態では、第1の層は、短繊維を含む。
【0016】
様々な実施形態では、短繊維は、38mm〜51mmの平均長さを有する。
【0017】
様々な実施形態では、第1の流体は空気であり、第2の流体は液体である。
【0018】
様々な実施形態では、吸収材料は、第1の層と第2の層とのみからなる。
【0019】
様々な実施形態では、第1の層は、ポリプロピレンのみからなる親水性不織布で製造され、第2の層は、ポリエチレンのみからなる疎水性フィルムで製造される。
【0020】
様々な実施形態では、吸収材料は、超吸収性ポリマーを更に含む。
【0021】
様々な実施形態では、超吸収性ポリマーは、第1の層と一体化されている又は第2の層と一体化されている。
【0022】
様々な実施形態では、第1の層又は第2の層に、生分解性添加剤が添加されている。
【0023】
本発明の別の態様では、上に記載した吸収材料から製造されたベッドシーツが提供される。
【0024】
様々な実施形態では、ベッドシーツの吸収材料は、使い捨てである。
【0025】
本発明の別の態様では、吸収材料を製造する方法であって、親水性不織布を含む第1の層を形成するサーマルボンディングのステップと、第1の層に隣接して、疎水性フィルムを含む第2の層を積層するステップとを含み、第1の層が、第1の流体及び第2の流体を通過させるように構成されており、第2の層が第1の流体を通過させるように構成されており且つ第2の流体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されている、方法が提供される。
【0026】
様々な実施形態では、第1の層に隣接して第2の層を積層するステップは、熱的、機械的又は化学的手段を含む。
【0027】
様々な実施形態では、サーマルボンディングのステップは、カーディングのステップを含む。
【0028】
様々な実施形態では、親水性不織布はポリプロピレンのみからなり、疎水性フィルムはポリエチレンのみからなる。
【0029】
様々な実施形態では、吸収材料は、第1の層と第2の層とのみからなる。
【0030】
様々な実施形態では、第1の層を形成するサーマルボンディングのステップは、150℃〜180℃の温度にて行われる。
【0031】
様々な実施形態では、該方法は、親水性不織布用の繊維を製造するステップを更に含む。
【0032】
様々な実施形態では、親水性不織布用の繊維を製造するステップは、クリンプのステップを含む。
【0033】
様々な実施形態では、クリンプのステップは、0.1バール〜5.0バールの圧力にて行われる。
【0034】
様々な実施形態では、クリンプのステップは、60℃〜120℃の温度にて行われる。
【0035】
本発明の他の態様は、本発明の特定の実施形態の以下の説明を、添付の図面と併せてレビューする際に、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、これから、添付の図面を参照しながら、例によってのみ説明されることになる。
【
図1】本発明の実施形態に従った吸収材料の平面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態に従った不織布用の繊維を製造する方法を示す図である。
【
図4】本発明の別の実施形態に従った
図3の方法から製造された繊維を使用して不織布を製造する方法を示す図である。 本発明の他の配置が可能であり、結果として、添付の図面が、本発明の先行する説明の一般性に取って代わるものであると理解されることはない。
【0037】
[詳細な説明]
本発明の特定の実施形態が、これから、添付の図面を参照して説明されることになる。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明の範囲を限定することは意図されていない。本明細書で使用される選択された用語のための他の定義は、本発明の「発明を実施するための形態」内で見出すことができ、「発明を実施するための形態」の全体にわたり当てはまる。更に、別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。可能なところで、同じ参照数値が、明確さ及び一貫性のために図の全体にわたって使用される。
【0038】
本明細書の全体にわたり、文脈が別段のことを求めない限り、言葉「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」等のバリエーションは、叙述された整数又は整数群の包含を示唆するが任意の他の整数又は整数群の除外を示唆しないと理解されることになる。
【0039】
本明細書の全体にわたり、脈絡が別段のことを求めない限り、言葉「含む(include)」、又は「含む(includes)」若しくは「含む(including)」等のバリエーションは、叙述された整数又は整数群の包含を示唆するが任意の他の整数又は整数群の除外を示唆しないと理解されることになる。
【0040】
本明細書の全体にわたり、脈絡が別段のことを求めない限り、用語「流体」は、水及び(1種及び複数の)体液等の液体を含むがこれらに限定されない。(1種又は複数の)体液は、血液、尿、及びこれらの組合せを挙げることができる。流体は、1種又は複数の気体を含んでもよく、気体の混合物である空気を含めることができる。
【0041】
本明細書の全体にわたり、脈絡が別段のことを求めない限り、用語「通気性」は、吸収材料又はその層の、空気及び/又は水蒸気を通過させる能力を指す。
【0042】
本明細書の全体にわたり、脈絡が別段のことを求めない限り、用語「可撓性」は、保管及び/又は輸送の目的のために折り曲げられることができ、吸収材料が使用中のときには断裂に抵抗するのに十分堅いという能力を指す。
【0043】
本明細書の全体にわたり、脈絡が別段のことを求めない限り、用語「耐久性」は、外力の適用下で、その元の形状及びサイズを保持する及び摩耗に抵抗する吸収材料の能力を指す。本発明の脈絡では、用語「耐久性」は、ベッドに横たわっているときの成人の姿勢、又は成人の体重等の、姿勢又は体重に供されたときに、断裂に抵抗する吸収材料の能力を指す。
【0044】
本開示又は本発明の一態様によれば、親水性不織布で製造された第1の層と、疎水性フィルムで製造され第1の層に隣接して配置されている第2の層と、を含む吸収材料であって、第1の層が、第1の流体及び第2の流体を通過させるように構成されており、第2の層が、第1の流体を通過させるように構成されており且つ第2の流体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されている、吸収材料がある。
【0045】
第1の層のために使用される材料の配置及び選択により、第1の層は、第1の流体に浸透性である。第1の流体は空気であってもよく、これは、第1の層を通過し、第2の層と接触し、且つ第2の層を通過することができる。このように、吸収材料の第1の層と第2の層とは、第1の流体に浸透性がある。加えて、第1の層は、第2の流体に浸透性がある。第2の流体は、水、尿、血液、又はこれらの組合せ等の液体であってもよく、これは、第1の層を通過し、第2の層と接触し、次いで第2の層を通過するのを最小限にされ得る又は妨げられ得る。このように、第2の層が、第1の流体を通過させるように構成されており且つ第2の流体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されていることにおいて、第2の層は第1の層とは異なる。様々な実施形態では、第2の流体は、毛管作用を介して第1の層を通過し、このことは、更に詳細に説明されることになる。
【0046】
いくつかの実施形態では、吸収材料は、2つの層のみ、即ち第1の層と第2の層とからなる。このように、第1の層と第2の層との間に、又は第1の層に隣接して、又は第2の層に隣接して配置される追加の(1つ又は複数の)層の必要性は一切ない。有利には、吸収材料は、比較的薄く、軽量であり、比較的輸送、保管及び/又は廃棄しやすいものであり得る。結果として、該吸収材料は、比較的安価であり、製造しやすく、且つ使い捨て吸収材料としての使用に望ましい。
【0047】
上記であるにもかかわらず、様々な実施形態はまた、吸収材料を比較的安価なものとし、製造しやすいものとし、使い捨て材料としての使用に望ましいものとするのに寄与することができる。これを踏まえると、本発明の発明者らによる重要な考察が、企図された(1つ又は複数の)用途のための吸収材料の入手可能性であることが、当業者には認められるであろう。
【0048】
対照的に、先行技術の吸収材料は、典型的には、2つを超える層からなり、したがって製造するのに比較的より高価である。
【0049】
様々な実施形態では、吸収材料は、超吸収性ポリマー又は生分解性添加剤等の、少なくとも1種の添加剤を更に含む。いくつかの実施形態では、添加剤は、第1の層と一体化され得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、第2の層と一体化され得る。いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマーは、第1の層及び/又は第2の層に噴霧によって塗布することができる。これを踏まえると、超吸収性ポリマーは、小型ビーズの形態にあってもよい。一実施形態では、吸収材料は、添加剤から一切なっていない又は添加剤を含有していない。結果として、該吸収材料は、比較的安価であり、製造しやすく、且つ使い捨て材料としての使用に望ましい。
【0050】
図1及び
図2を参照すると、吸収材料10は、親水性不織布で製造された/形成された第1の層20と、第1の層20に隣接して、疎水性フィルムで製造された/形成された第2の層30とを含む。認められ得る通り、不織布は親水性であり、したがって、尿、血液、水蒸気及び/又は水等の流体を通過させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、吸収材料10は、通気性である。これは、第1の層20と第2の層30とが両方とも通気性であることが少なくとも理由である。様々な実施形態では、第1の層20の少なくとも一部と第2の層30の少なくとも一部とが通気性であるが、第1の層20の全体と第2の層30の全体の部分とが両方とも通気性であると、より有利である。第1の層20は、十分に通気性である親水性不織布を含む。
【0052】
不織布の第1の層20は親水性であるので、第1の層20がユーザと接触しているときにユーザから流体を逃すことができることが理解される。換言すると、逃す効果が存在する。特に、逃す効果は、毛管作用を介してユーザから流体を離す動きによって引き起こされる。このように、流体の蓄積が全くない又は最小限なので、第1の層20は、ユーザの濡れを最小限にする又は除去することができる。流体の存在は、細菌及び/又はカビの増殖を促進し得る。結果として、吸収材料10の使用は、現在公知の吸収材料と比べて比較的より快適であり衛生的であることができ、これは、以下に説明されることになる。
【0053】
対照的に、先行技術の吸収材料は、疎水性不織布で製造された第1の層を有してもよく、これは、第1の層がユーザと接触しているときにユーザから流体を逃さない。更に、いくつかの先行技術の吸収材料は、空気を通過させるが、ユーザから、尿、血液及び/又は水等の液体である流体を逃すことができない。これを踏まえると、先行技術の吸収材料は、ユーザに不快である及び/又は不衛生であることがあり、その理由は、ユーザの一部が、流体に起因して濡れることがあり、おそらくは濡れたままのことがあるためである。結果として、流体の蓄積に起因して、細菌及び/又はカビの増殖が促進され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、吸収材料10は、第1の層20及び/又は第2の層30のために使用される材料の理由によって、製造するのが安価であり得、且つユーザにとって快適であり得る。更に、第1の層20及び第2の層30のために使用される材料の特定の組合せが重要であり得、且つ1つ又は複数の利点へと至らせ得る。
【0055】
様々な実施形態では、不織布はポリマーで製造される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態では、不織布は主にポリプロピレンであってもよい。いくつかの実施形態では、不織布はポリプロピレンのみからなる。換言すると、不織布は、ポリエチレン又はポリエステルを含有しない。これを踏まえると、不織布はバルク量において使用することができ、その理由は、ポリプロピレンが、ポリエチレン等の他の材料と比べて比較的安価なためである。ポリプロピレンの使用は、第1の層20にとって特に好適であり、その理由は、ポリプロピレンが、広範な化学物質に向けて実質的に不活性であるためである。加えて、ポリプロピレンは、ポリエチレンと比べて、化学物質及び有機溶媒に向けて、より不活性である。結果として、本発明の不織布は、ユーザにとって魅力的であることができ、その理由は、該不織布がユーザに快適であり得るためである。例としては、ユーザの一部が不織布と接触することになる場合、皮膚刺激は全くない又は無視できるほどであり得る。
【0056】
様々な実施形態では、不織布は、触感に、平滑性且つ柔軟性がある。同時に、成人が横たわっていることによる成人の体重等の重さに供されたときに断裂しないことが可能であるように、不織布がその一体性を保持できるのに十分、剛性がある。結果として、不織布の使用は、それをユーザに魅力的なものとすることができ、その理由は、不織布の使用がユーザに快適なためである。
【0057】
上に挙げたように、第2の層30は、第1の流体(例えば空気)を通過させるが第2の流体(例えば水、尿、血液)などに浸透性ではない疎水性フィルムで製造される/形成される。様々な実施形態では、疎水性フィルムはポリマーで製造される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態では、疎水性フィルムは主にポリエチレンであり得る。いくつかの実施形態では、疎水性フィルムはポリエチレンのみからなる。
【0058】
様々な実施形態では、疎水性フィルムは、耐久性を有し且つ可撓性であり得る。耐久性を有する疎水性フィルムが使用されるとき、吸収材料10は、それが液体と接触することになるときに裂けやすくないであろう。可撓性の疎水性フィルムが使用されるとき、吸収材料10は折り曲げやすくて表面積を低減することができ、それにより、吸収材料10を、輸送及び/又は保管に、より容易なものとする。疎水性フィルムが耐久性を有し且つ可撓性であり得るので、吸収材料10は折り目の形成なしに折り曲げることができ、即ち吸収材料10は、折り目の形成なしにコンパクトな状態にあることができる。結果として、吸収材料10は、使用中でないとき、保管目的のために折り曲げることができる。逆に、吸収材料10は、使用中、望ましくない折り目の形成なしに折り曲げを戻すことができる。
【0059】
様々な実施形態では、疎水性フィルムは、柔軟性であり得る。様々な実施形態では、ユーザが動くとき、無視できるほどの音が出ることになる。
【0060】
様々な実施形態では、第1の層20は、第2の層30とは異なる材料で製造される。第1の層20が親水性であり、第2の層30が疎水性であるので、第1の層20はユーザから流体を逃し、第2の層30は、流体が、第2の層30に隣接している表面を濡らすことを防ぐバリアとして機能する。その表面とは、ベッド等の構造物の一部であり得る。結果として、第1の層20と第2の層30とは、ユーザの濡れ、及び第2の層30に隣接している表面の濡れを最小限にする又は除去することにおいて相乗的に一緒に働く。いくつかの実施形態では、第1の層20は主としてポリプロピレンで製造され、第2の層30は主としてポリエチレンで製造される。いくつかの実施形態では、第1の層20はポリプロピレンのみからなり、第2の層30はポリエチレンのみからなる。
【0061】
様々な実施形態では、第2の層30は、第1の層20に隣接して積層される。有利には、第1の層20と第2の層30とは実質的に一体化される又は互いに接合されており、したがって、特に使用中に、2つの層を互いから分離することは、不可能でないとしても困難である。これを踏まえると、吸収材料10が液体と接触するようになる場合、液体は2つの層の分離を引き起こすことができず、これにより吸収材料10の一体性を維持することとなろう。積層するステップは、熱的、機械的又は化学的手段を利用することができる。
【0062】
様々な実施形態では、第1の層20は、短繊維を含む。短繊維は、毛管作用を介してユーザからの流体の移動を可能にする。換言すると、逃す効果が存在する。これを踏まえると、第1の層20は、ユーザの濡れを最小限にする又は除去することができる。様々な実施形態では、第1の層20の短繊維は、約30ミリメートル(mm)〜約60mm、約35mm〜約55mm、又は約38mm〜約51mmの平均長さを有してもよい。
【0063】
様々な実施形態では、第1の層20及び/又は第2の層30は、ユーザの興味を惹くように着色されて、魅力的な色を供与してもよい。第1の層20及び/又は第2の層30は、染料で着色されてもよく、ここで、染料の色は、赤色、青色、緑色、黄色、紫色、橙色、黒色、金色、銀色、灰色又は白色から選択される少なくとも1つの色である。
【0064】
様々な実施形態では、第1の層20及び/又は第2の層30は、その上に、言葉又は画像等のプリントを有してもよい。プリントは、有利には、吸収材料10の視覚的外観及び魅力を増強し、その理由は、プリントが、視覚的に訴求力がある言葉又は画像であり得るためである。プリントは、不透明であってもよく、部分的に不透明又は半透明であってもよい。プリントの存在は、標的ユーザが成人であるときに有用であることができ、その理由は、プリントが、成人用おむつを含むがこれに限定されない様々な用途において使用されるときに、当惑及び憂うつ等の負の感情の低減を助け得るためである。いくつかの実施形態では、プリントは、液体等の流体に曝露されたときに反応して吸収材料10又はその一部が濡れていることを示唆する、濡れの指標であり得る。
【0065】
吸収材料10の寸法に応じて、吸収材料10は、従来の子ども用おむつに似たもの、アンダーパンツ、及び生理用ナプキンに似たパッド、家庭用家具等ではあるがこれに限定されない構造物用の保護カバー、及び医療分野等であるがこれに限定されない保護衣類を含む、様々な形態で製造され得る生理用ナプキン、子ども用おむつ、成人用おむつを含むがこれらに限定されない様々な用途に適用されてもよい。例には、ベッドシーツ、テーブルクロス、ペットケージ用カバー、隔離ガウン、手術用ガウン、手術用ドレープ及びカバー、手術用マスク、手術着及びキャップ、並びに医療用包装品が挙げられる。好ましい実施形態では、吸収材料10は、ベッドメーキングするための保護カバー、例えばベッドシーツを製造するのに使用される。別の好ましい実施形態では、吸収材料10は、使い捨て使用のために企図され、これは1回の使用又は1種類の使用であり得る。
【0066】
様々な実施形態では、吸収材料10の厚さは、約0.1mm〜約5mm、約0.2mm〜約5mm、約0.5mm〜約5mm、約0.5mm〜約4mm、約1mm〜約5mm、約1mm〜約4mm、約0.1mm〜約0.5mm、又は約0.5mm〜約2mmの範囲であってもよい。好ましい実施形態では、吸収材料10の厚さは、約0.2mm〜約0.3mmであってもよい。これを踏まえると、吸収材料10は、比較的薄く、軽量であり、それにより、現在公知である、より厚く、より嵩高い吸収材料と比べて、吸収材料10を、輸送しやすく、保管しやすく且つ廃棄しやすくなる。
【0067】
吸収材料10の1つ又は複数の寸法、例えば吸収材料10の高さ、長さ又は幅は、用途に応じて調整することができる。有利には、吸収材料10が比較的安価な材料で製造されるため、吸収材料10の高さ及び幅の調整は製造コストを実質的に上昇させない。
【0068】
様々な実施形態では、吸収材料10の高さは、吸収材料10が、シングルサイズベッド、クイーンサイズベッド、キングサイズベッド又はスーパーキングサイズベッド等であるがこれらに限定されないものを覆うことができるように、約180センチメートル(cm)〜約210cmの範囲であってもよい。様々な実施形態では、吸収材料10の幅は、吸収材料10が、シングルサイズベッド、クイーンサイズベッド、キングサイズベッド又はスーパーキングサイズベッド等であるがこれらに限定されないものを覆うことができるように、約90cm〜約210cmの範囲であってもよい。
【0069】
吸収材料10の第1の層20と第2の層30とが直列で働いて以下の結果のうちの1つ又は複数を達成することが認められ得る:
(i.)皮膚の隣にある又は皮膚に直接隣接している第1の層20の、乾燥及び快適さのための逃す効果、並びに第2の層30の疎水性通気性フィルムの、液体の漏れを最小限にする/防止するが空気に浸透性であること
(ii.)第2の層30は、第1の層20が、例えば尿、血液、水などの液体と接触することになるときに、第1の層20の断裂を最小限にすることによって吸収材料10の構造的一体性を強化する
(iii.)任意の湿気は、疎水性の第2の層30に逃されることになり、これは、マットレス等の構造物への液体の漏れを防ぐ。
【0070】
本開示又は本発明の別の態様によれば、上に記載した吸収材料を含むベッドシーツがある。有利には、床ずれが、最小限にされ得又は防止され得、その理由は、吸収材料が通気性であるためである。更に、ベッドシーツは、比較的安価であり、製造しやすく、且つ使い捨て用として望ましいものであり得る。
【0071】
本開示又は本発明の別の態様によれば、吸収材料を製造する方法であって、親水性不織布を含む第1の層を形成するサーマルボンディングのステップと、第1の層に隣接して、疎水性フィルムを含む第2の層を配置するステップとを含み、第1の層が、第1の流体及び第2の流体を通過させるように構成されており、第2の層が、第1の流体を通過させるように構成されており且つ第2の流体が通過するのを最小限にする又は妨げるように構成されている、方法がある。
【0072】
様々な実施形態では、該方法は、疎水性フィルムを含む第2の層を提供するステップを更に含む。
【0073】
様々な実施形態では、吸収材料の性質、例えば強度、厚さ、ドレープ及び柔軟性は、所望の性質を達成するように用いられる製造方法に応じて変えることができる。所望の性質は、吸収材料の使用に関連する(1つ又は複数の)用途の種類に基づいて選択することができる。一実施形態では、吸収材料は、ベッドシーツ等の構造物の保護カバーを製造するのに使用される。
【0074】
様々な実施形態では、サーマルボンディングのステップは、第1の層を形成するために短繊維を利用する。対照的に、スパンボンディングは、第1の層を形成するために連続長繊維を利用する。有利には、第1の層における短繊維の存在は、毛管作用を介してユーザからの流体の動きを可能にする。換言すると、短繊維は、逃す効果をもたらす又は促進する。これを踏まえると、第1の層は、ユーザの濡れを最小限にする又は除去することができる。
【0075】
様々な実施形態では、サーマルボンディングのステップは、有利には、比較的低コストにおいて、吸収材料の適当な厚さ、十分な力、ドレープ及び柔軟性へと至らせることができる。有利なことに、大量生産のコストを比較的低くすることができ、それによって、使い捨て吸収材料としての使用のために比較的入手可能なものとする。対照的に、接着剤ボンディング等の他の方法は、十分な力を生むことができるが吸収材料の不撓性を引き起こすことがあり、その理由は、接着剤の存在が、吸収材料のドレープ及び柔軟性を低下させるためである。
【0076】
様々な実施形態では且つ
図3及び
図4に図示する通り、吸収材料を製造する方法は、不織布用のステープルファイバー又は繊維を製造するステップ(ステップ1000)を含む。したがって、第1のコントロールパネルが、PPチップ等のポリマーチップからの、繊維の生産のためのパラメータの設定のために提供される。いくつかの実施形態では、PPチップは、10分当たり約20〜約35グラム(g/10分)、好ましくは約16〜約17g/10分の単位メルトフローレート(230℃、2.16kg)を有する。様々な実施形態では且つ
図3に図示する通り、第1の層20のためのポリマーは、押出機100の中で溶融されて、溶融された材料を形成し、その溶融された材料は、スピンポンプ200等のポンプを介してダイブロック300に移され、それにより繊維320を形成する。コントロールパネルを、PPチップが押出機100の中で溶融する温度に設定し、それにより繊維320の薄い撚り糸を形成し、次いでこれは少なくとも1つの紡糸口金(図示せず)を通って出て行く。加えて、コントロールパネルは、押出機100に入るPPチップの融点及びメルトフローレートが正しいことを確実にする。ポリマー出発材料はペレット又は他の粒子形態となって液体へと溶融してもよい(圧送可能な状態にあることができる)が、ポリマー溶液等の他の繊維形成性液体もまた使用することができる。
【0077】
様々な実施形態では、半加工された繊維320は、ストレッチングチャンバー又は第1のストレッチローラー400に移され、ここで、冷却のための空気420又は別の気体の流れは、繊維320がストレッチングチャンバー400を通過するように繊維320を同時に引き下ろして冷却するように排出される。様々な実施形態では、空気又は別の気体の流れは、押出された繊維320の所望の温度を得るために及び/又は繊維320のドローイングを促進するために加熱することができる。好ましい実施形態では、繊維320は、繊維320がクリンプ前に蒸気に供され得るようにスチームボックスを通過してもよい。換言すると、繊維320は、クリンプ装置600を通過する前に、蒸気によって状態調節してもよい。
【0078】
様々な実施形態では、繊維320は、任意選択で、第2のストレッチローラー(図示せず)を通過させてもよい。
【0079】
様々な実施形態では、繊維320は、油440の流れに供されてもよく(即ちスピン仕上げした)、これは、凝集していても凝集していなくてもよく且つトウ340の形態をとる繊維320の塊を形成するために、繊維320をクリンプするのを助けることができる。
【0080】
様々な実施形態では、ストレッチングチャンバー400を通過した後であるが回収する前に、繊維320の塊をいくつかの付加的な加工ステップに供してもよい。回収の際に、繊維320の塊は、ボンディングオーブン、カレンダー、水流交絡機械的ボンダー、エンボスステーション、ラミネーター、カッター等であるがこれらに限定されない1種又は複数の器具に供してもよい。いくつかの実施形態では、エアースルーボンディングは、本発明では用いられない。
【0081】
様々な実施形態では、ストレッチングチャンバー400を通過した後、トウ340がクリンプ装置又はクリンパー600を通過できるように、トウ340をベルト500上に載せてもよい。
【0082】
様々な実施形態では、第2のコントロールパネルが、ストレッチングチャンバー400を制御するために提供され、第2のストレッチローラーが、存在する場合、繊維320をクリンプ装置600へとガイドする。第2のコントロールパネルはまた、クリンプ装置600も制御する。これを踏まえると、繊維320がクリンプ装置600を通過するとき、クリンプ装置600は、繊維320がクリンプして、クリンプされた繊維320を形成するように繊維320をプレスすることになる。クリンプのステップは、約0.1バール〜約5.0バールの圧力にて、且つ約60℃〜約120℃の温度にて行われる。有利には、クリンプは、サーマルボンディングのステップにおいて創製された接合点の間の、並びに繊維間接合の、繊維320の「直線性」を低減することによって、より柔軟な布帛を創製する。より有利には、クリンプは、より良好な力を有する繊維320へと至らせる。
【0083】
様々な実施形態では且つ
図3に図示する通り、クリンプされた繊維320は、乾燥機700を通過させて、クリンプされた繊維320を乾燥させる又はアニールする。同時に、繊維320は、少なくとも1台のローラーを通過することによって冷却されて、空気による等で、繊維320を乾燥させることになる。結果として、任意の油、水分及び/又は望ましくない物質が繊維320から除去され得、繊維320は更なる加工のために好適な温度に冷却される。繊維320が乾燥された後、繊維320を、顧客により要請された長さ等の所望の長さに繊維320を切断することになるカッターボックス(図示せず)を通過させる。様々な実施形態では、繊維320は短く、約30mm〜約60mm、約35mm〜約55mm、又は約38mm〜約51mmの平均長さを有してもよい。
【0084】
様々な実施形態では、切断された繊維320は、任意選択で梱包機に移送され、この移送は空気系を用いて実施することができる。梱包機は、繊維320が包装のためにより好適であるように、切断された繊維320をコンパクトな形態へと圧縮する。続いて、繊維320は、PPストラッピングバンドを用いて包装されて繊維320の梱包物を形成し、倉庫に送られて、一定期間、例えば少なくとも48時間、好ましくは1週間又は2週間、繊維320を留め置く又は弛める。
【0085】
様々な実施形態では且つ
図4に図示する通り、吸収材料を製造する方法は、不織布を製造するステップを含む。不織布は、サーマルボンディングを用いて製造され、これは、ステップ2000、3000、4000、5000、6000及び7000に記載されている。
【0086】
様々な実施形態では、繊維320の第1の梱包物は開けられ、少なくとも1台のファイバーオープナーの内側に置かれて、繊維320が少なくとも部分的に弛められるように繊維320を弛めてもよい。続いて、少なくとも部分的に弛められた繊維320は、第1のファイバーオープナーから第2のファイバーオープナーへと移され、これは繊維320を更に弛めることになる。必要であれば、弛められた繊維320は、どのくらいの量の繊維320を第2のファイバーオープナーから受けるかを決定するコントロールユニットを備えた第3のファイバーオープナーへと移されることになる。第1のファイバーオープナー及び第2のファイバーオープナーと同様に、第3のファイバーオープナーは、繊維320を更に弛めるように構成される。
【0087】
様々な実施形態では且つ
図4に図示する通り、該方法は、Trutzschler GmbH & Co.KGにより製造されているFBKユニット等のカーディングフィーダーに繊維320を通すステップ(ステップ2000)を更に含んでもよい。繊維320は、カッターボックス又はファイバーオープナー(例えば第1のファイバーオープナー、第2のファイバーオープナー又は第3のファイバーオープナー)からFBKユニットへと移してもよい。FBKユニットの主要な機能は、弛められた繊維320を、複数のカーディングローラーを備えたキスローラー機へと持ち込むことである。重要なことに、FBKユニットは、繊維320のカーディングローラーへの流量を統制する又は制御する。例えば、不織布16グラムの生産が望ましい場合、FBKユニットは、不織布16グラムに相当する繊維320の量をカーディングローラーへと放出することになる。FBKユニットにおいて、繊維320は、ステンレス鋼プレートへと、且つ複数のカーディングローラーを備えたキスローラー機中へと押し下げられる。FBKユニットは、弛められた繊維320を、キスローラー機のカーディングローラー中へと押し込む誘引送風機(ID)を備えてもよい。好ましい実施形態では、4台のカーディングローラーがある。FBKユニットは、複数のカーディングローラーにわたり、不織布1平方メートル当たり所望のグラム、例えば顧客に要請された1平方メートル当たりのグラム(gsm)等に基づいてどのくらいの量の繊維320を分配するかを決定することによりFBKユニットを制御するコントロールパネルを備えることができる。これを踏まえると、FBKユニットは、不織布のgsmの制御にとって重要である。
【0088】
様々な実施形態では且つ
図4に図示する通り、該方法は、カーディング機を用いて繊維320をカーディングするステップ(ステップ3000)を更に含んでもよい。カーディングは、繊維320の塊が、弛めること又はコーミングすることによって個々の繊維320へと分離されて、それにより凝集ウェブを形成する機械的プロセスである。弛めること又はコーミングすることは、凝集ウェブを形成するために繊維320を弛める又はコーミングする複数のローラーの速度を選択することによって制御される。
【0089】
様々な実施形態では且つ
図4に図示する通り、該方法は、コンベヤーベルトを通すステップ(ステップ4000)、続いてエンボスローラー及びスムースローラーを通すステップ(ステップ5000)を更に含んでもよい。有利には、コンベヤーベルトは、エンボスローラー及びスムースローラーを通して凝集ウェブをガイドするのに役立つ。エンボスローラー及びスムースローラーは熱媒油で充填されて、不織布、即ち第1の層20を形成するように、要請される温度まで加熱されて、凝集ウェブを溶融してもよい。いくつかの実施形態では、要請される温度は、約150℃〜約180℃である。いくつかの実施形態では、第1の層を形成するためのサーマルボンディングのステップが、150℃〜180℃の温度にて行われる。
【0090】
様々な実施形態では且つ
図4に図示する通り、該方法は、不織布が巻かれてロールを形成するように、ジャンボロール巻き戻しユニットを通すステップ(ステップ6000)を更に含んでもよい。
【0091】
様々な実施形態では且つ
図4に図示する通り、該方法は、不織布が、顧客に要請された寸法等の所望の寸法へと細長く切られ得るように、ステップ5000からのロールをスリッティング機へと移送するステップ(ステップ7000)を、更に含んでもよい。
【0092】
有利には、第1の層20は、ゼロ又は無視できる塵埃を有し得る。塵埃の生成は、繊維320が第1の層20の表面から引っ張られる又は放出されるために行われることがあり、繊維320がユーザの皮膚上に望ましくなく残留することに帰着し得る。これを踏まえると、吸収材料10の使用は、現在公知の吸収材料と比べて比較的より快適であることができ、その理由は、第1の層20の繊維320が互いにサーマルボンディングされ次いでカーディングされ、それにより塵埃を除去する又は最小限にするからである。
【0093】
様々な実施形態では、第1の層20に隣接して第2の層30を配置するステップは、第2の層30を第1の層20に積層するステップを含む。第2の層30と第1の層20との間の界面が見えないように、即ち、第1の層20と第2の層30とが実質的に一体化又は接合されて、特に使用中に、2つの層を互いから分離することが、不可能でないとしても困難であるように、積層のステップは熱的、機械的又は化学的手段を利用してもよい。
【0094】
先行する開示を読んだ後で、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の多様な他の変更形態及び適合形態が当業者には明らかとなることが明白となる。全てのそのような変更形態及び適合形態が、添付の「特許請求の範囲」の範囲内に入ることが意図される。
【0095】
更に、多様な(1つ又は複数の)実施形態からの特徴が結び付けられて1つ又は複数の付加的な実施形態を形成してもよいことが認められることになる。
【国際調査報告】