(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
フライアッシュ、およびアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物をセメント質反応性構成成分として利用するジオポリマー組成物。無機鉱物は、アルカリ土類金属酸化物、好ましくは、酸化カルシウム(石灰もしくは生石灰としても知られている)もしくは酸化マグネシウム、またはそれらの組み合わせを含む。セメント質反応性粉末はまた、任意選択で、1つ以上のアルミナ質セメントおよび1つ以上の硫酸カルシウム源を含み得る。セメント質反応性粉末は、アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩基からなる群の少なくとも1つから選択されるアルカリ金属化学的活性剤で活性化される。本発明において好ましいアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物は、好ましくは50重量%超、より好ましくは60重量%超、さらにより好ましくは70重量%超、および最も好ましくは80重量%超、例えば90重量%超のアルカリ土類金属酸化物含有量を有する。これらの組成物を作製するための方法も開示されている。
前記組成物が、水、前記セメント質反応性粉末、前記アルカリ金属化学的活性剤、および前記凍結融解耐久性構成成分を含むスラリーを凝結することから作製され、前記スラリーの水/セメント質反応性粉末の重量比が、0.14〜0.55:1であり、
前記組成物が、
−前記セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.01〜1重量%の量の空気連行剤、および
−前記セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜20重量%の量の表面活性有機ポリマー、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を含み、
凝結後の組成物が、ASTM C666/C666M−15に従った少なくとも100回の凍結融解サイクルに対して、80%超の相対動的弾性率を有し、
凝結後の組成物が、このASTM C672/C672M−12のソルトスケーリング試験に従った25回の凍結融解サイクル後、1%未満の重量損失を有し、
前記組成物が、100回の凍結融解サイクルに対して、85%超のASTM C666/C666M−15に従って測定された耐久性係数(DF)を有する、請求項1に記載の組成物。
前記アルミン酸塩セメントが、アルミン酸カルシウムセメントの非存在下およびポルトランドセメントの非存在下で提供されるスルホアルミン酸カルシウムセメントを含む、請求項2に記載の組成物。
前記アルミン酸塩セメントが、スルホアルミン酸カルシウムセメントの非存在下およびポルトランドセメントの非存在下で提供されるアルミン酸カルシウムセメントを含む、請求項2に記載の組成物。
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり5〜60重量部のアルミン酸塩セメントであって、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントを含み、前記アルミン酸カルシウムセメントの量が、総スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメント100重量部あたり約5〜約75重量部(pbw)であり、前記組成物には、ポルトランドセメントが存在しない、アルミン酸塩セメント、を含む、請求項2に記載の組成物。
舗装を修復するための方法であって、請求項1に記載の組成物の水性部分で前記舗装の亀裂または前記舗装の窪みを充填することであって、前記充填された前記部分が少なくとも1インチの厚さを有し、前記組成物が、細骨材および水を含む、充填することと、前記亀裂または窪み内の前記部分を凝結して、前記凝結組成物を形成することと、を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0043】
組成物
本発明は、ジオポリマー組成物を提供し、当該ジオポリマー組成物は、
セメント質反応性粉末であって、
−100重量部の量の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物であって、好ましくは、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、および
−アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物であって、上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり0.50〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20重量部の量である、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、
−任意選択で、少なくとも1つのアルミン酸塩セメント、および
−任意選択で、少なくとも1つの硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性粉末と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜6、好ましくは1.25〜4、より好ましくは1.5〜2.5重量%の量のアルカリ金属化学的活性剤であって、アルカリ金属化学的活性剤が、アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩基からなる群の少なくとも1つから選択され、クエン酸カリウムが、好ましいアルカリ金属塩化学的活性剤である、アルカリ金属化学的活性剤と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.05〜21.5、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.1〜5重量%の量の凍結融解耐久性構成成分であって、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜1、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.2重量%の量の空気連行剤、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜0.5、好ましくは0〜0.25、より好ましくは0.01〜0.1重量%の量の消泡剤、および
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5重量%の量の表面活性有機ポリマー、を含む、凍結融解耐久性構成成分と、の混合物を含み、
空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つが存在し、
組成物が、約3体積%〜20体積%、より好ましくは約4体積%〜12体積%、および最も好ましくは約4体積%〜8体積%の空気含有量を有し、
上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、上記任意選択のアルミン酸塩セメント、上記任意選択の硫酸カルシウム、および上記アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物が、セメント質反応性粉末の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%である。
【0044】
好ましくは、組成物は、少なくとも100回の凍結融解サイクル、典型的には少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルに対して80パーセント超の相対動的弾性率のASTM C666/C666M−15に従った凍結融解耐久性能を有する。
【0045】
本発明はまた、ジオポリマー組成物を提供し、当該ジオポリマー組成物は、
セメント質反応性粉末であって、
−100重量部の量の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物であって、好ましくは、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、
−熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の100重量部あたり1〜100、好ましくは2.5〜80、より好ましくは5〜60、最も好ましくは25〜40重量部(pbw)の量のアルミン酸塩セメントであって、好ましくはスルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントからなる群の少なくとも1つから選択される、アルミン酸塩セメント、ならびに
−アルミン酸塩セメント100重量部あたり2〜100、好ましくは5〜75、より好ましくは10〜50重量部の量の硫酸カルシウムであって、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウムからなる群の少なくとも1つから選択される、硫酸カルシウム、ならびに
−アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物であって、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の、0.50〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20重量部の量である、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、を含む、セメント質反応性粉末と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜6、好ましくは1.25〜4、より好ましくは1.5〜2.5重量%の量のアルカリ金属化学的活性剤であって、アルカリ金属化学的活性剤が、アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩基からなる群の少なくとも1つから選択され、クエン酸カリウムが、好ましいアルカリ金属塩化学的活性剤である、アルカリ金属化学的活性剤と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.05〜21.5、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.1〜5重量%の量の凍結融解耐久性構成成分であって、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜1、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.2重量%の量の空気連行剤、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜0.5、好ましくは0〜0.25、より好ましくは0.01〜0.1重量%の量の消泡剤、および
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5重量%の量の表面活性有機ポリマー、を含む、凍結融解耐久性構成成分と、の混合物を含み、
空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つが存在し、
組成物が、約3体積%〜20体積%、より好ましくは約4体積%〜12体積%、および最も好ましくは約4体積%〜8体積%の空気含有量を有し、
上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、上記アルミン酸塩セメント、上記硫酸カルシウム、および上記アルカリ土類金属土類酸化物を含む無機鉱物が、セメント質反応性粉末の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%である。
【0046】
好ましくは、組成物は、少なくとも100回の凍結融解サイクル、典型的には少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルに対して80パーセント超の相対動的弾性率のASTM C666/C666M−15に従った凍結融解耐久性能を有する。
【0047】
本発明の組成物は、水、セメント質反応性粉末、アルカリ金属化学的活性剤、および凍結融解耐久性構成成分を含むスラリーを凝結させることから作製され、スラリーの水/セメント質反応性粉末の重量比は、0.14〜0.55:1、例えば0.14〜0.45:1、好ましくは0.16〜0.50:1、例えば0.16〜0.35:1、およびより好ましくは0.18〜0.45:1、例えば0.18〜0.25:1である。凝結時に、水は、セメント質反応性粉末と結合する。
【0048】
好ましくは、組成物は、セメント質反応性粉末、空気連行剤の総重量に基づいて0.01〜1重量%の量、および表面活性有機ポリマーのセメント質反応性粉末の総重量に基づいて1〜20重量%の量からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有し、セメント質反応性粉末の80重量%は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸塩セメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物を含む。
【0049】
方法
本発明はまた、上述の凍結融解耐久性で寸法安定性のジオポリマー組成物を作製するための方法を提供し、当該方法は、
スラリーを、
水と、
セメント質反応性粉末であって、
−100重量部の量の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物であって、好ましくは、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、
−アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物であって、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり0.50〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20重量部の量である、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、
−任意選択で、少なくとも1つのアルミン酸塩セメント、および
−任意選択で、少なくとも1つの硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性粉末と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜6、好ましくは1.25〜4、より好ましくは1.5〜2.5重量%の量のアルカリ金属化学的活性剤であって、アルカリ金属化学的活性剤が、アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩基からなる群の少なくとも1つから選択され、クエン酸カリウムが、好ましいアルカリ金属塩化学的活性剤である、アルカリ金属化学的活性剤と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.05〜21.5、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.1〜5重量%の量の凍結融解耐久性構成成分であって、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜1、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.2重量%の量の空気連行剤、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜0.5、好ましくは0〜0.25、より好ましくは0.01〜0.1重量%の量の消泡剤、および
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5重量%の量の表面活性有機ポリマー、を含む、凍結融解耐久性構成成分と、混合することによって調製するステップであって、
空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つが存在し、
スラリーが、約3体積%〜20体積%、より好ましくは約4体積%〜12体積%、および最も好ましくは約4体積%〜8体積%の空気含有量を有し、
上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、上記任意選択のアルミン酸塩セメント、上記任意選択の硫酸カルシウム、および上記アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物が、セメント質反応性粉末の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%であり、
スラリーの水/セメント質反応性粉末の重量比は、0.14〜0.55:1、例えば0.14〜0.45:1、好ましくは0.16〜0.50:1、例えば0.16〜0.35:1、およびより好ましくは0.18〜0.45:1、例えば0.18〜0.25:1である、ステップと、
スラリーを凝結させて、凝結組成物を形成するステップと、を含む。
【0050】
好ましくは、凝結組成物は、少なくとも100回の凍結融解サイクル、典型的には少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルに対して80パーセント超の相対動的弾性率のASTM C666/C666M−15に従った凍結融解耐久性能を有する。
【0051】
本発明はまた、アルミン酸塩セメントを含むセメント質反応性粉末から作製された上述のジオポリマー組成物を作製するための方法を提供し、当該方法は、
スラリーを、
水と、
セメント質反応性粉末であって、
−100重量部の量の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物であって、好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物が、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、
−熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の100重量部あたり1〜100、好ましくは2.5〜80、より好ましくは5〜60、最も好ましくは25〜40重量部(pbw)の量のアルミン酸塩セメントであって、好ましくはスルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントからなる群の少なくとも1つから選択される、アルミン酸塩セメント、ならびに
−アルミン酸塩セメント100重量部あたり2〜100、好ましくは5〜75、より好ましくは10〜50重量部の量の硫酸カルシウムであって、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウムからなる群の少なくとも1つから選択される、硫酸カルシウム、ならびに
−アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物であって、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の、0.50〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20重量部の量である、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、を含む、セメント質反応性粉末と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜6、好ましくは1.25〜4、より好ましくは1.5〜2.5重量%の量のアルカリ金属化学的活性剤であって、アルカリ金属化学的活性剤が、アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩基からなる群の少なくとも1つから選択され、クエン酸カリウムが、好ましいアルカリ金属塩化学的活性剤である、アルカリ金属化学的活性剤と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.05〜21.5、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.1〜5重量%の量の凍結融解耐久性構成成分であって、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜1、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.2重量%の量の空気連行剤、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜0.5、好ましくは0〜0.25、より好ましくは0.01〜0.1重量%の量の消泡剤、および
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5重量%の量の表面活性有機ポリマー、を含む、凍結融解耐久性構成成分と、混合することによって調製するステップであって、
空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つが存在し、
スラリーが、約3体積%〜20体積%、より好ましくは約4体積%〜12体積%、および最も好ましくは約4体積%〜8体積%の空気含有量を有し、
上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、上記アルミン酸塩セメント、上記硫酸カルシウム、およびアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物が、セメント質反応性粉末の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%であり、
スラリーの水/セメント質反応性粉末の重量比は、0.14〜0.55:1、例えば0.14〜0.45:1、好ましくは0.16〜0.50:1、例えば0.16〜0.35:1、およびより好ましくは0.18〜0.45:1、例えば0.18〜0.25:1である、ステップと、
スラリーを凝結させて、凝結組成物を形成するステップと、を含む。
【0052】
好ましくは、凝結組成物は、少なくとも100回の凍結融解サイクル、典型的には少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルに対して80パーセント超の相対動的弾性率のASTM C666/C666M−15に従った凍結融解耐久性能を有する。
【0053】
好ましくは、本発明の組成物の水/セメント質反応性粉末の重量比は、0.14〜0.55:1、例えば0.14〜0.45:1、好ましくは0.16〜0.50:1、例えば0.16〜0.35:1、およびより好ましくは0.18〜0.45:1、例えば0.18〜0.25:1であり、混合物は、空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つを含有する。水であるこの水は、セメント質反応性粉末と結合する。
【0054】
凍結融解耐久性構成成分は、水を他の原材料と一緒に添加する前に添加することができる。セメント質反応性粉末、凍結融解耐久性構成成分、およびアルカリ金属化学的活性剤を組み合わせて、混合物を形成し、次いで水および空気を添加することが好ましい。混合物を水に添加することができるか、または水を混合物に添加することができる。
【0055】
乾燥または液体形態のアルカリ金属化学的活性剤は、セメント質反応性粉末の混合物に添加される。乾燥である場合、水を添加する前に混合物に添加することができる。次いで、液体の場合、水とともに添加される。
【0056】
これらの組成物および方法では、硫酸カルシウムは、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される(好ましくは、それは、約300ミクロン未満の粒子径を有する細粒形態で添加される)。
【0057】
これらの組成物および方法では、化学的活性剤は、好ましくは、有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、およびアルカリ金属ケイ酸塩からなる群から選択されるアルカリ金属塩または塩基を含む乾燥または液体形態のいずれかでセメント質反応性粉末混合物に添加される。後続のステップでは、水が追加され、任意選択で、高流動化剤、特にカルボキシル化された流動化剤材料が添加されて、ジオポリマーセメント質製品に好適な用途で使用することができる安定したスラリー混合物を形成する。
【0058】
本発明の組成物または本発明の方法で作製された組成物は、任意選択で、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび/またはアルミン酸カルシウムセメントを含み得る。例えば、本発明は、以下の3つの組成物:
●スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントの両方を含む組成物、
●スルホアルミン酸カルシウムセメントを含むが、アルミン酸カルシウムセメントを含まない組成物、
●アルミン酸カルシウムセメントのみを含み、スルホアルミン酸カルシウムセメントを含まない組成物、を許容する。
【0059】
本発明の組成物または本発明の方法で作製された組成物は、高流動化剤、減水剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、湿潤剤、繊維、レオロジー調節剤、有機ポリマー、収縮制御剤、粘度調節剤(増粘剤)、フィルム形成再分散性ポリマー粉末、フィルム形成ポリマー分散液、着色剤、腐食制御剤、アルカリ−シリカ反応減少混合剤、分離型補強繊維、および内部養生剤などのセメント質反応性粉末とは見なされない他の添加剤を組み込むことができる。
【0060】
本発明の組成物または本発明の方法で作製された組成物は、スラリーおよび最終製品の特性を提供または調節するための、セメント質反応性粉末とは見なされない他の添加剤を組み込むことができる。これらの添加剤は、ポゾラン鉱物、ならびに砂、軽量骨材、軽量充填剤、鉱物充填剤、および砂以外の骨材のうちの1つ以上からなる群から選択される充填剤である。
【0061】
本発明の組成物または本発明の方法で作製された組成物は、少なくとも100回の凍結融解サイクル、典型的には少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、および最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルに対して、測定されたパラメータ相対動的弾性率によって示されるように、機械的性能および耐久性における損失を有しない。凍結融解耐久性試験は、ASTM C666(手順A)に基づいて実施される。この規格のバージョンは、ASTM C666/C666M−15(2015年公開)である。公称の凍結および融解サイクルは、2時間以上または5時間以内で、試料の温度を、40〜0°F[4〜−18℃]に下げて0〜40°F[−18〜4℃]に上げることを交互に行うことからなるものとする。温度は、凍結融解キャビネット内の熱電対を使用して測定された。凍結融解耐久性試験に使用した角柱試料の寸法は、以下のような:3インチ(幅)×4インチ(厚さ)×16インチ(長さ)であった。
【0062】
ASTM C666に基づいて、試験試料の耐久性係数は、以下の:
【数1】
式中、
DF=試験試料の耐久性係数、
P=Nサイクルでの相対動的弾性係数(%)
N=Pが、試験を停止するための指定された最小値または曝露が終了されるべき指定されたサイクル数に達するサイクル数(どちらかが少なくても)、および
M=曝露が終了されるべき指定されたサイクル数、のように計算することができる。ASTM C666に基づくMの値は、300である。
【0063】
本発明の組成物または本発明の方法で作製された組成物は、ASTM C672/C672M−12の除氷化学物質に曝露されたコンクリート表面の耐スケーリング性についての規格試験方法(Standard Test Method for Scaling Resistance of Concrete Surfaces Exposed to Deicing Chemicals)(ASTM、2012年公開)による耐ソルトスケーリング性試験によって測定される場合に有益な特性を有する。ソルトスケーリング耐久性試験に使用された試料の寸法は、8.75インチ(長さ)×8.3125インチ(幅)×3インチ(厚さ)であった。
【0064】
初期スラリー温度およびスラリー温度上昇
本発明では、組成物を形成するために、セメント質反応性粉末構成成分(熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸塩セメント、および硫酸カルシウム)、活性剤構成成分(アルカリ金属化学的活性剤)、ならびに水を混合して、初期スラリー温度でセメント質スラリーを形成する。スラリーは、低下した初期混合スラリー温度および制御された温度を提供する条件下で形成される。これにより、アルミノケイ酸塩ジオポリマー反応種の形成、ならびに得られた材料の凝結および硬化が導かれる。同時に、ケイ酸カルシウムと、アルミン酸カルシウムおよび/またはスルホアルミン酸カルシウム相との水和反応も発生し、得られた材料の凝結および硬化が導かれる。
【0065】
初期温度は、セメント質反応性粉末、活性剤、および水が最初に全て混合物中に存在した後の最初の1分間の混合物全体の温度として定義される。当然、混合物全体の温度は、この最初の1分間に変化する場合があるが、好ましい熱安定性を達成するために、約0〜約122°F(0〜50℃)、好ましくは約41〜約104°F(5〜40℃)、より好ましくは約50〜約95°F(10〜35℃)、および最も好ましくは約77°F(25℃)の周囲温度(室温)の初期温度範囲内に留まることが好ましいであろう。
【0066】
スラリーの初期温度が上がると、反応が進行するにつれて温度上昇の速度が上がり、凝結時間が短くなる。したがって、組成物の配合は混合された組成物の初期スラリー温度からの昇温挙動を低下させるように設計されているため、急速なゲル化および凝結時間のための従来のフライアッシュ系ジオポリマー組成物を調製する際に使用される95°F(35°C)〜105°F(41.1°C)の初期スラリー温度は、回避されることが好ましい。
【0067】
改善された温度安定性、およびより重要なことに、より遅いゲル化、ならびに約10〜約240分、より好ましくは約60〜約120分、およびより好ましくは約30〜約90分の最終凝結時間のために、制御された温度上昇は、最終組成物の混合スラリー温度まで約50°F(28℃)未満、より好ましくは約40°F(22℃)未満の上昇、より好ましくは約30°F(17°C)未満の上昇である。これにより、本発明の組成物の商業的使用のためのより制御された作業時間が可能になる。スラリーの凝結時間は、最終使用要件に基づいて加減される。
【0068】
材料の発熱および温度上昇挙動
本発明の組成物は、養生段階中、材料内での適度な熱放出および低い温度上昇を有利に達成する。そのような組成物では、材料中で発生する最大温度上昇は、好ましくは約50°F(28℃)未満、より好ましくは約40°F(22℃)未満、および最も好ましくは約30°F(17℃)未満である。これにより、過度な熱膨張、ならびにその結果としての材料の亀裂および破壊が阻止される。
【0069】
曝気
本発明の水性混合物は、本発明に開示されるように、凍結融解耐久性構成成分を含むスラリーを機械的に混合することによって曝気することができる。意外なことに、高剪断ミキサー(RPM>100)は、低剪断ミキサー(RPM≦100)と比較したとき、スラリー中に約2〜3倍多い空気を連行する傾向があることが決定された。
【0070】
優良な凍結融解耐久性性能を得る目的で、本発明の急速凝結ジオポリマー組成物を混合するための好ましい方法は、低剪断ミキサーを利用することによるものである。好ましくは、本発明において有用な低剪断ミキサーは、100RPM以下の速度で混合することが可能である。より好ましくは、本発明において有用な低剪断ミキサーは、50RPM以下の速度で混合することが可能である。最も好ましくは、本発明において有用な低剪断ミキサーは、25RPM以下の速度で混合することが可能である。
【0071】
低剪断ミキサー(≦100RPM)を使用する好ましいスラリー混合時間は、2〜12分である。低剪断ミキサーを使用するより好ましい混合時間は、3〜10分である。低剪断ミキサーを使用する最も好ましい混合時間は、4〜8分である。
【0072】
高剪断ミキサー(>100RPM)を使用する好ましい混合時間は、1.5〜8分である。高剪断ミキサーを使用するより好ましい混合時間は、2〜6分である。一方で、高剪断ミキサーを使用する最も好ましい混合時間は、3〜4分である。
【0073】
好ましくは、組成物は、現地で曝気される。これは、道路を修復するとき、例えば、窪みが修復されている道路現場で有利である。
【0074】
本発明の組成物の成分、または本発明の組成物の作製方法で使用される成分
表AAおよび表ABは、本発明の組成物の構成成分および方法をまとめている。各「好ましい」範囲または「より好ましい」範囲は、個々に本発明のための好ましい範囲またはより好ましい範囲である。したがって、好ましくは、任意の「好ましい」範囲は、対応する「使用可能な範囲」に個別に置き換えることができる。より好ましくは、任意の「より好ましい」範囲は、対応する「使用可能な」範囲または対応する「好ましい範囲」に個別に置き換えることができる。
【表1】
【表2】
【0075】
セメント反応性粉末構成成分Aは、熱活性化アルミノケイ酸塩(好ましくはC級フライアッシュを含む)、アルミン酸塩セメント、および硫酸カルシウム、ならびに存在する場合、他のセメント(例えば、ポルトランドセメントまたはフルオロアルミン酸カルシウム)を合わせたものである。しかしながら、セメント質反応性粉末構成成分Aは、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸塩セメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物である。
【0076】
本仕様では、組成物の百分率および比率は、特に指定がない限り、重量パーセントおよび重量比である。
【0077】
本発明は、アルミン酸塩セメントが存在しない組成物および方法を包含する。本発明は、アルミン酸カルシウムセメントが存在しない組成物および方法を包含する。本発明は、スルホアルミン酸カルシウムセメントが存在しない組成物および方法を包含する。本発明は、硫酸カルシウムが存在しない組成物および方法を包含する。本発明は、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムが存在しない組成物および方法を包含する。
【0078】
本発明は、スルホアルミン酸カルシウムセメントがアルミン酸カルシウムセメントの非存在下で提供される組成物および方法であって、組成物が、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり、2〜100、好ましくは2.5〜50、より好ましくは5〜30、最も好ましくは25〜40重量部(pbw)の量のスルホアルミン酸カルシウムセメントを有する、組成物および方法を包含する。
【0079】
本発明は、アルミン酸カルシウムセメントがスルホアルミン酸カルシウムセメントの非存在下で提供される組成物および方法であって、組成物が、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり、2〜100、好ましくは2.5〜80、より好ましくは5〜60、最も好ましくは25〜40重量部(pbw)の量のアルミン酸カルシウムセメントを有する、組成物および方法を包含する。
【0080】
本発明は、アルミン酸カルシウムセメントがスルホアルミン酸カルシウムセメントとともに提供される組成物および方法であって、組成物が、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり、2〜100、好ましくは2.5〜80、より好ましくは5〜60、最も好ましくは25〜40重量部(pbw)の量の総アルミン酸塩セメントを有する、組成物および方法を包含する。
【0081】
本発明は、ポルトランドセメントが存在しない組成物および方法を包含する。
【0082】
本発明は、ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムが存在しない組成物および方法を包含する。
【0083】
本発明のジオポリマーセメント質組成物は、他のセメント質材料が使用される所、特に耐凍結融解性が重要である用途、凝結および作業時間の柔軟性、寸法安定性、圧縮強度、および/または他の強度特性が重要であるか、または必要である用途に使用することができる。
【0084】
本発明の組成物を作製するために使用されるスラリーは、表A−1に列挙された空気および水の量を有する。各「使用可能な」範囲、「好ましい」範囲、または「より好ましい」範囲は、個々に本発明のための使用可能な、好ましい範囲、またはより好ましい範囲である。したがって、表A−1の構成成分の使用可能な範囲は、表AAおよびABの構成成分の使用可能な範囲とともに使用されるであろう。しかしながら、好ましくは、任意の「好ましい」範囲は、対応する「使用可能な範囲」に個別に置き換えることができる。より好ましくは、任意の「より好ましい」範囲は、対応する「使用可能な」範囲または対応する「好ましい範囲」に個別に置き換えることができる。
【表3】
【0085】
結果として、本発明の製品は、これらの量の空気を間隙空間として有する。また、結果として、本発明の製品は、構成成分Bの存在下で構成成分Aのセメント質材料を反応および水和することによってセメントに結合した最大のこれらの量の水を有する。本発明では、水は、化学的水和およびアルミノケイ酸塩ジオポリマー化反応を本発明の組成物中で実現するために提供される。ケイ酸カルシウムと、アルミン酸カルシウムおよび/またはスルホアルミン酸カルシウム相との水和反応も発生し、得られた材料の凝結および硬化が導かれる。水和として知られているセメントと水との化学反応は、水和熱として知られている熱を生成する。また、通常の(周囲)温度で水と混合されるとき、焼き石膏は、物理的に「凝結」しながら、二水和物形態に化学的に戻る:CaSO
4・1/2H
2O+1 1/2H
2O→CaSO
42H
2O。石膏は、可溶性が高く、カルシウムおよび硫酸塩をスラリーの中に急速に放出する。硫酸イオンの存在がアルミン酸カルシウムとの反応を引き起し、それによりアルミン酸カルシウムおよびCaSO
4・2H
2Oが鉱物エトリンガイトを形成する。
【0086】
硫酸カルシウム(様々な形態)は、アルミン酸カルシウムと反応して、スルホアルミン酸カルシウム水和物を形成する。硫酸カルシウムの存在はまた、アルミノケイ酸ナトリウム水和物(NASH)ゲルおよびアルミノケイ酸カルシウム水和物(CASH)ゲルなどのジオポリマー化反応の生成物の形成に影響を及ぼすように見える。
【0087】
フライアッシュなどのアルミノケイ酸塩鉱物と、クエン酸アルカリ金属などのアルカリ金属活性剤とのジオポリマー反応は、極めて急速な反応速度を伴い、かなりの量の熱が、伴われた発熱反応により放出されることが知られている。この急速な発熱反応の速度により、アルミノケイ酸塩化合物の形成が導かれ、材料がゲル化し、極めて迅速に(数分程度で)硬化する。
【0088】
同様に、スルホアルミン酸カルシウムセメントと硫酸カルシウムとの相互作用も、かなりの量の熱が発熱反応によって放出される極めて急速な反応速度を伴うことが知られている。この急速な発熱反応の結果として、スルホアルミン酸カルシウム化合物の水和生成物が形成され、材料がゲル化し、極めて迅速に、再び数分程度で硬化する。極めて短い凝結時間は、実際の現地用途における急速凝結材料の処理および配置でかなりの困難を引き起こす短い作業寿命(可使寿命)を提供するため、いくつかの用途では問題がある。また、急速な発熱反応によって生み出される大量の熱は、望ましくない熱膨張、およびその結果として材料の亀裂および破壊を導く場合がある。
【0089】
組成物の凝結は、ASTM C191試験手順で指定されたVicat針を使用して測定される場合、初期および最終凝結時間によって特徴付けられる。最終凝結時間はまた、コンクリート製品、例えばコンクリートパネルが十分に硬化した時間に対応しているため、取り扱うことができる。
【0090】
本発明は、C級フライアッシュを含む熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物と、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物と、アルカリ金属化学的活性剤と、任意選択のアルミン酸塩セメント(アルミン酸カルシウムセメントおよび/またはスルホアルミン酸カルシウムセメント)と、任意選択の硫酸カルシウムとの反応を採用する。それらは、ジオポリマー化反応の一部として互いに相乗的に相互作用して、得られる材料のゲル化時間および最終凝結時間を増やす。アルカリ土類金属酸化物のタイプおよびその量、硫酸カルシウムのタイプおよびその量、アルミン酸塩セメントのタイプおよびその量、ならびにアルカリ金属化学的活性剤およびその量の適切な選択は、ゲル化速度および期間、ならびに得られる材料の最終凝結時間を延長する際に効果的である。これにより、ジオポリマーセメント質組成物ための開放時間および作業時間をより長くすることができる。
【0091】
セメント質反応性粉末とは見なされない他の添加剤は、本発明のスラリーおよびジオポリマーセメント質組成物全体に組み込まれ得る。そのような他の添加剤、例えば、高流動化剤などの減水剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、湿潤剤、収縮制御剤、粘度調節剤(増粘剤)、フィルム形成再分散性ポリマー粉末、フィルム形成ポリマー分散液、着色剤、腐食制御剤、アルカリ−シリカ反応減少混合剤、分離型補強繊維、および内部養生剤。他の添加剤は、砂、粗骨材、軽量充填剤、ポゾラン鉱物、および鉱物充填剤のうちの1つ以上などの充填剤を含み得る。
【0092】
本仕様における全ての百分率は、特に指示がない限り、重量パーセントである(例えば、空気のパーセントは、体積パーセントである)。本仕様における全ての比率は、特に指示がない限り、重量比である。
【0093】
表A−2は、本発明の組成物に採用される添加剤の量を列挙する。表A−2の各「使用可能な」範囲、「好ましい」範囲、または「より好ましい」範囲は、個々に本発明のための使用可能な、好ましい範囲、またはより好ましい範囲である。したがって、表A−2の構成成分の使用可能な範囲は、表AA、表AB、および表A−1の構成成分の使用可能な範囲とともに使用されるであろう。しかしながら、好ましくは、任意の「好ましい」範囲は、対応する「使用可能な範囲」に個別に置き換えることができる。より好ましくは、任意の「より好ましい」範囲は、対応する「使用可能な」範囲または対応する「好ましい範囲」に個別に置き換えることができる。
【0094】
表A−2のいくつかの添加剤は、表AAおよび表ABに列挙された成分の種である。例えば、表AAおよび表ABは、表面活性有機ポリマーを列挙している。表面活性有機ポリマーは、バイオポリマー、有機レオロジー制御剤、およびフィルム形成ポリマー添加剤を含む。フィルム形成ポリマー添加剤の2種は、フィルム形成再分散性ポリマー粉末およびフィルム形成ポリマー分散液である。表A−2の添加剤のいくつかは、表AAおよび表ABの添加剤、例えば顔料に加える成分である。
【表4】
【0095】
好ましくは、セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、少なくとも1重量部の総細骨材および粗骨材がある。より好ましくは、セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、1〜8重量部の総細骨材および粗骨材がある。
【0096】
表Bは、表AA、AB、A−1、およびA−2の組成物、ならびに列挙された成分の特定の量を組み込んだ完全密度(好ましくは100〜160ポンド/立方フィートの範囲の密度)の配合物を表す。これらの完全密度組成物は、表AA、表AB、表A−1、および表A−2の成分量を採用するが、細骨材(砂)の量を表Bの量に置き換えており、軽量充填剤および粗骨材が存在しない。
【表5】
【0097】
表Cは、表AAまたは表AB、表A−1、および表A−2の組成物を組み込んだ軽量密度(好ましくは10〜125ポンド/立方フィートの範囲の密度)組成物に対する砂および軽量充填剤の量を表す。これらの軽量組成物は、表AA、表AB、表A−1、および表A−2の成分量を採用するが、砂および軽量充填剤の量を表Cの量に置き換えており、粗骨材が存在しない。
【表6】
【0098】
表Dは、表AAまたは表ABの組成物、粗骨材、および他の成分を組み込んだ軽量密度または完全密度(好ましくは40〜160ポンド/立方フィートの範囲の密度)の配合物を表す。これらの組成物は、表AA、表AB、表A−1、および表A−2の成分量を採用するが、細骨材(砂)、軽量充填剤、および粗骨材の量を表Dの量に置き換えている。
【表7】
【0099】
以下に、成分の個々のカテゴリーについて記載する。
【0100】
セメント質反応性混合物
本発明のセメント質反応性混合物は、表AAおよび表ABに示すような範囲で、セメント質反応性粉末構成成分A(本明細書ではセメント質反応性材料またはセメント質材料としても知られている)、活性剤構成成分B、および凍結融解耐久性構成成分Cを含む。
【0101】
本発明の組成物および方法では、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物は、他の成分に加えて添加されるアルカリ土類金属酸化物である。したがって、例えば、それは、フライアッシュ中に天然にあり得る任意のアルカリ土類金属酸化物に加えられる。この添加されたアルカリ土類金属酸化物は、好ましくは、酸化カルシウム(石灰または生石灰としても知られている)もしくは酸化マグネシウム、またはそれらの組み合わせである。
【0102】
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、任意選択の硫酸カルシウム、および任意選択のアルミン酸塩セメント、例えば任意選択のアルミン酸カルシウムセメント、および任意選択のスルホアルミン酸カルシウムセメントに加えて、セメント質反応性粉末は、ポルトランドセメントなどの約0〜約15重量%の任意選択のセメント質添加剤を含み得る。しかしながら、ポルトランドセメントを組み込むことにより、材料収縮が増加し、材料の寸法安定性が低下するため、ポルトランドセメントの存在がないことが好ましい。熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物以外のポゾランは、セメント質反応性粉末の一部と見なされる。セメント質反応性粉末は、硫酸カルシウムおよびアルミン酸塩セメント、例えばアルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントのうちの任意の1つ以上が存在しない場合がある。
【0103】
セメント質反応性粉末構成成分A(本明細書ではセメント質反応性材料またはセメント質材料としても知られている)
セメント質反応性粉末構成成分Aは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物およびアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、好ましくは酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムを含む。任意選択で、セメント質反応性粉末構成成分Aは、少なくとも1つのアルミン酸塩セメントおよび少なくとも1つの硫酸カルシウムをさらに含む。任意選択で、セメント質反応性粉末構成成分Aは、他のセメントおよび/または非熱活性化ポゾランを含む。
【0104】
アルミン酸塩セメントは、好ましくは、アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントのうちの少なくとも1つから選択される。言い換えれば、少なくとも1つのアルミン酸カルシウムセメント、または少なくとも1つのスルホアルミン酸カルシウムセメント、またはそれらの混合物。
【0105】
硫酸カルシウムは、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、または硫酸カルシウム無水物のいずれかであり得る。
【0106】
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、フライアッシュ、高炉スラグ、熱活性化粘土、頁岩、メタカオリン、ゼオライト、泥灰土赤泥(marl red mud)、粉砕岩石、粉砕粘度レンガからなる群の少なくとも1つから選択される。好ましくは、それらは、約5重量%超のAl
2O
3含有量を有する。好ましくは、粘土または泥灰土は、約600℃〜約850℃の温度での熱処理による熱活性化後に使用される。本発明の組成物の好ましい熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、組成物中に高い石灰(CaO)含有量、好ましくは約10重量%超、より好ましくは約15%超、およびさらにより好ましくは約20%超を有する。最も好ましい熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、C級フライアッシュ、例えば、石炭火力発電所から調達されたフライアッシュである。熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はまた、ポゾラン特性を備えている。
【0107】
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、高温熱処理にかけられたアルミノケイ酸塩鉱物である。好ましくは、熱活性化は、750〜1500℃の範囲の温度で発生する。
【0108】
フライアッシュは、本発明のセメント質反応性粉末ブレンドにおいて好ましい熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。以下に説明するように、ASTM C618(2008)規格のC級フライアッシュなどの高酸化カルシウム含有量および高アルミン酸カルシウム含有量を含有するフライアッシュが好ましい。
【0109】
フライアッシュは、石炭の燃焼から形成される微粉末の副産物である。微粉化炭を燃焼する発電所事業用ボイラーは、ほとんどの市販のフライアッシュを生成する。これらのフライアッシュは、主にガラス質の球状粒子、ならびに赤鉄鉱および磁鉄鉱の残留物、チャー、および冷却中に形成されたいくつかの結晶相からなる。フライアッシュ粒子の構造、組成、および特性は、石炭の構造および組成、ならびにフライアッシュが形成される焼成過程に依存する。ASTM C618(2008)規格は、コンクリートに使用するためのフライアッシュの2つの主要な級(C級およびF級)を識別する。これらの2つの級のフライアッシュは、一般に、異なる種類の石炭から誘導されるものであり、石炭形成における違いは、地質時代期間にわたって発生する石炭形成過程における違いの結果である。F級フライアッシュは、通常、無煙炭または瀝青炭を燃焼することから生成されるが、C級フライアッシュは、通常、亜炭または亜瀝青炭から生成される。
【0110】
ASTM C618(2008)規格は、F級およびC級フライアッシュを、一次的にそれらのポゾラン特性に従って区分する。したがって、ASTM C618(2008)規格では、F級フライアッシュとC級フライアッシュとの主要な仕様の違いは、組成におけるSiO
2+Al
2O
3+Fe
2O
3の最小限度である。F級フライアッシュについてのSiO
2+Al
2O
3+Fe
2O
3の最小限度は70%であり、C級フライアッシュについては50%である。したがって、F級のフライアッシュは、C級のフライアッシュよりもポゾラン性が高い。ASTM C618(2008)規格では明確に識別されていないが、C級フライアッシュは、酸化カルシウム(石灰)含有量が高いことが好ましい。
【0111】
C級フライアッシュは普通、遊離石灰(酸化カルシウム)によって、ポゾラン特性に加えて、セメント質特性を有する。F級は、水単独と混合したとき、ほとんどセメント質ではない。高酸化カルシウム含有量の存在により、C級フライアッシュはセメント質特性を備え、水と混合するときにケイ酸カルシウムとアルミン酸カルシウムとの水和物の形成が導かれる。
【0112】
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、C級フライアッシュを、好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり約50〜約100部のC級フライアッシュを含み、より好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり約75部〜約100部のC級フライアッシュを含む。
【0113】
F級フライアッシュなどの他のタイプのフライアッシュも採用することができる。好ましくは、セメント質反応性粉末中の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の少なくとも約50重量%はC級フライアッシュであり、残りはF級フライアッシュまたは任意の他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。より好ましくは、セメント質反応性粉末中の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の約55〜約75重量%はC級フライアッシュであり、残りはF級フライアッシュまたは任意の他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、約90〜約100%のC級フライアッシュ、例えば、100%C級フライアッシュである。
【0114】
本発明の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の平均粒子径は、好ましくは約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、より好ましくは約25ミクロン未満、およびさらにより好ましくはその約15ミクロンよりも少ない。
【0115】
典型的には、本発明の混合組成物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり最大で約5部のメタカオリンを有する。好ましくは、本発明の組成物には、メタカオリンが存在しない。メタカオリンの存在により、混合物が必要とする水が増加することが見出されているため、メタカオリンの使用は、本発明のジオポリマー組成物中では望ましくない。
【0116】
フライアッシュ中によく見られる鉱物は、とりわけ、石英(SiO
2)、ムル石(Al
2Si
2O
13)、ゲーレン石(Ca
2Al
2SiO
7)、赤鉄鉱(Fe
2O
3)、磁鉄鉱(Fe
3O
4)である。さらに、珪線石、藍晶石、および紅柱石(3つ全てが分子式Al
2SiO
5で表される)などの岩石中で一般的に見られる多形のケイ酸アルミニウム鉱物もフライアッシュ中によく見られる。
【0117】
フライアッシュはまた、硫酸カルシウムまたは本発明の混合組成物にあり得る別の硫酸イオン源を含むことができる。
【0118】
フライアッシュの細度は、ASTM試験手順C−311(2011)(「ポルトランドセメントコンクリート用の鉱物混合剤としてのフライアッシュについてのサンプリングおよび試験手順」(Sampling and Testing Procedures for Fly Ash as Mineral Admixture for Portland Cement Concrete))で試験する場合、325メッシュのふるい(米国シリーズ)に残るものが約34%未満であることが好ましい。本発明のフライアッシュ材料の平均粒子径は、典型的には約50ミクロン未満、好ましくは約35ミクロン未満、より好ましくは約25ミクロン未満、およびさらにより好ましくは約15ミクロン未満である。このフライアッシュは、その自己凝結性質のために、乾燥状態で回収および使用されることが好ましい。
【0119】
亜瀝青炭から作製されたC級フライアッシュは、表Eに列挙される以下の代表的な組成を有する。このフライアッシュは、自己凝結性質のために、好ましくは、乾燥状態で回収および使用される。
【表8】
【0120】
好ましい好適なF級フライアッシュは、表Fに列挙された以下の組成を有する。
【表9】
【0121】
水硬性セメント
本発明の目的のための水硬性セメントは、水と接触すると(水和)化学硬化反応を起こし、水中で硬化(set)(硬化(cure))するだけでなく、耐水性製品を形成するセメントである。
【0122】
水硬性セメントとしては、ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミノフェライトカルシウムセメント、カルシウムスルホアルミノフェライトセメント、フルロアルミン酸カルシウムセメント(calcium fluroaluminate cement)、アルミン酸ストロンチウムセメント、アルミン酸バリウムセメント、Kタイプ膨張セメント、Sタイプ膨張セメント、およびスルホベライトセメントのようなケイ酸アルミニウムセメントが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物は、セメント質反応性粉末の一部として添加される1つ以上の水硬性セメントを含み得る。
【0123】
アルミン酸カルシウムセメント
アルミン酸カルシウムセメント(CAC)は、本発明のセメント質反応性粉末ブレンドの構成成分を形成し得る水硬性セメントである。
【0124】
アルミン酸カルシウムセメント(CAC)は、一般的にアルミナ質セメントまたは高アルミナセメントとも呼ばれる。アルミン酸カルシウムセメントは、高アルミナ含有量、好ましくは約30〜45重量%を有する。より高純度のアルミン酸カルシウムセメントも市販されており、これらはアルミナ含有量が約80重量%の範囲であり得る。これらのより高純度のアルミン酸カルシウムセメントは、比較的高価になる傾向がある。本発明に使用するためのアルミン酸カルシウムセメントは、細かく粉砕して、アルミン酸塩が水相に入りやすくなっており、そのためエトリンガイトおよび他のアルミン酸カルシウム水和物の急速な形成が生じ得る。ブレーン表面積法(ASTM C204)によって測定した場合、アルミン酸カルシウムセメントの表面積は、好ましくは約3,000cm
2/グラム超、より好ましくは3000〜8000cm
2/グラム、およびさらにより好ましくは約4,000〜6,000cm
2/グラムである。
【0125】
世界中でアルミン酸カルシウムセメントを生成するために、いくつかの製造方法が現れてきた。典型的には、アルミン酸カルシウムセメントの製造に使用される主な原材料は、ボーキサイトおよび石灰石である。アルミン酸カルシウムセメントを生成するために使用される1つの製造方法を以下に記載する。ボーキサイト鉱石は、最初に破砕および乾燥され、次いで石灰石とともに粉砕される。次いで、ボーキサイトおよび石灰石を含む乾燥粉末が回転窯に供給される。微粉化低灰石炭は、窯内の燃料として使用される。窯内でボーキサイトと石灰石との反応が生じ、溶融生成物が窯の下端部内に集まり、底部に設置されたトラフに流れ込む。溶融クリンカーは、水で急冷されて、クリンカーの顆粒を形成し、これは備蓄場所に搬送される。次いで、この顆粒は、望ましい細度まで粉砕されて、最終的なセメントを生成する。
【0126】
いくつかのアルミン酸カルシウム化合物は、アルミン酸カルシウムセメントの製造過程中に形成される。形成される主たる化合物は、アルミン酸カルシウムセメントの1つのタイプにあるアルミン酸モノカルシウム(CaO・Al
2O
3、CAとも呼ばれる)である。アルミン酸カルシウムセメントの別のタイプでは、C
12A
7またはヘプタアルミン酸ドデカカルシウムとも呼ばれる12CaO・7Al
2O
3は、一次的なアルミン酸カルシウム反応相として形成される。アルミン酸カルシウムセメントの生成において形成される他のアルミン酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム化合物としては、CA
2またはジアルミン酸カルシウムとしても知られているCaO・2Al
2O
3、ケイ酸ジカルシウム(2CaO・SiO
2、C
2Sとしても知られている)、アルミナケイ酸ジカルシウム(2CaO・Al
2O
3・SiO
2、C
2ASとしても知られている)が挙げられる。酸化鉄を比較的高い割合で含有する他のいくつかの化合物も形成される。これらの化合物としては、CaO・Fe
2O
3またはCF、および2CaO・Fe
2O
3またはC
2Fなどのカルシウムフェライト、ならびにテトラカルシウムアルミノフェライト(4CaO・Al
2O
3・Fe
2O
3またはC
4AF)、6CaO・Al
2O
3・2Fe
2O
3またはC
6AF
2)、および6CaO・2Al
2O
3・Fe
2O
3またはC
6A
2F)などのカルシウムアルミノフェライトが挙げられる。アルミン酸カルシウムセメント中に存在する他の微量構成物としては、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO
2)、硫酸塩、およびアルカリが挙げられる。好ましいアルミン酸カルシウムセメントは、前述の相のうちの1つ以上を有することができる。主たる相として、アルミン酸モノカルシウム(CaO・Al
2O
3またはCA)および/またはヘプタアルミン酸ドデカカルシウム(12CaO・7Al
2O
3またはC
12A
7)を有するアルミン酸カルシウムセメントが特に好ましい。さらに、アルミン酸カルシウム相は、結晶形態および/または非晶質形態であり得る。CIMENT FONDU(またはHAC FONFU)、SECAR51、およびSECAR71は、一次的なセメント相としてアルミン酸モノカルシウム(CA)を有する市販のアルミン酸カルシウムセメントのいくつかの例である。TERNAL EVは、主たるセメント相としてヘプタアルミン酸ドデカカルシウム(12CaO・7AL
2O
3またはC
12A
7)を有する市販のアルミン酸カルシウムセメントの例である。
【0127】
本発明の組成物は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントのうちの少なくとも1つの混合物100重量部あたり約2〜100重量部のアルミン酸カルシウムセメントを含む。
【0128】
アルミン酸カルシウムセメントが本発明で使用されるとき、それは、スルホアルミン酸カルシウムセメントとともに使用されるか、またはスルホアルミン酸カルシウムセメントの非存在下で使用され得る。
【0129】
スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメントの非存在下でアルミン酸カルシウムセメント(CAC)を使用する本発明の組成物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり約2〜約100重量部、より好ましくは約2.5〜約80重量部、さらにより好ましくは約5〜約60重量部(pbw)のCACを含む。
【0130】
亀裂、剥離、および他の破壊モードを阻止するためのかなりの程度の寸法安定性および/または収縮制御を提供するために、アルミン酸カルシウムセメントの量は、スルホアルミン酸カルシウムセメントとアルミン酸カルシウムセメントとの混合物100重量部あたり好ましくは約5〜約75、より好ましくは約10〜50重量部(pbw)である。
【0131】
スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメント
スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメントは、アルミン酸カルシウムセメント(CAC)またはケイ酸カルシウム系水硬性セメント、例えばポルトランドセメントとは異なる分類のセメントである。CSAセメントは、スルホアルミン酸カルシウムに基づく水硬性セメントである。対照的に、アルミン酸カルシウムはCACセメントのベースであり、ケイ酸カルシウムはポルトランドセメントのベースである。スルホアルミン酸カルシウムセメントは、一次的な相としてイーリマイト(Ye’elimite)(Ca
4(AlO
2)
6SO
4またはC
4A
3S)を含むクリンカーから作製される。CSA中に存在する他の主要な相としては、ケイ酸二カルシウム(C
2S)、テトラカルシウムアルミノフェライト(C
4AF)、および硫酸カルシウム(CS)のうちの1つ以上が挙げられ得る。ポルトランドセメントと比較して、スルホアルミン酸カルシウムセメントの石灰必要量が比較的少ないことにより、エネルギー消費およびセメント生産からの温室効果ガスの排出が削減される。実際に、スルホアルミン酸カルシウムセメントはポルトランドセメントよりもおよそ200℃低い温度で製造することができ、したがって、エネルギーおよび温室効果ガス排出がさらに削減される。本発明の組成物中に使用され得るスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、CSAセメント中に存在する活性イーリマイト相(Ca
4(AlO
2)
6SO
4またはC
4A
3S)の量に基づいて加減することができる。本発明で有用なスルホアルミン酸カルシウムセメント中に存在するイーリマイト相(Ca
4(AlO
2)
6SO
4またはC
4A
3S)の量は、好ましくは約20〜約90重量%およびより好ましくは30〜75重量%である。
【0132】
スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメントが本発明で使用されるとき、それはアルミン酸カルシウムセメントとともに使用されるか、またはアルミン酸カルシウムセメントの非存在下で使用され得る。
【0133】
好ましくは、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントを含む本発明の組成物は、総スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメント100重量部あたり約5〜約75、より好ましくは約10〜50、最も好ましくは約30〜45重量部(pbw)のアルミン酸カルシウムセメントの量を有する。
【0134】
ブレーン表面積法(ASTM C204)によって測定した場合、スルホアルミン酸カルシウムセメントの表面積は、好ましくは約3,000cm
2/グラム超、より好ましくは3000〜8000cm
2/グラム、およびさらにより好ましくは約4,000〜6,000cm
2/グラムである。
【0135】
アルミン酸カルシウムセメント(CAC)の非存在下でスルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメントを使用する本発明の組成物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり約2〜約100重量部、より好ましくは約2.5〜約80重量部、さらにより好ましくは約5〜約60重量部(pbw)のCSAを含む。
【0136】
フルオロアルミン酸カルシウムセメント
本発明のセメント質反応性粉末は、100重量部のフライアッシュに対して、約0〜約20重量部の総フルオロアルミン酸カルシウムを有し得る。
【0137】
フルオロアルミン酸カルシウムは、化学式3CaO・3Al
2O
3・CaF
2を有する。フルオロアルミン酸カルシウムは、多くの場合、石灰、ボーキサイト、蛍石を、得られる生成物の鉱物が3CaO・3Al
2O
3・CaF
2になるような量で混合し、得られる混合物を約1,200℃〜1,400℃の温度で燃焼することによって生成される。フルオロアルミン酸カルシウムは、任意選択で、本発明で使用され得る。
【0138】
好ましくは、本発明の組成物には、フルオロアルミン酸カルシウムセメントが存在しない。
【0139】
硫酸カルシウム
硫酸カルシウムは、本発明のジオポリマー組成物の成分であり得る。硫酸カルシウム、例えば硫酸カルシウム二水和物は水と反応するが、それは耐水性製品を形成せず、本発明の目的のための水硬性セメントとは見なされない。好適な硫酸カルシウムのタイプとしては、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウム(無水石膏)が挙げられる。これらの硫酸カルシウムは、天然で入手可能であるか、または工業的に生産されている場合がある。硫酸カルシウムは、本発明のセメント質組成物の他の基本的な構成成分と相乗的に相互作用し、それにより、最終材料に他の有用な特性を付与しながら、材料収縮を最小限に抑えるのに役立つことができる。
【0140】
硫酸カルシウムの異なる形態的な形態は、本発明で有用に採用することができる。本発明のジオポリマー組成物および複合体の特性は、その化学的組成、粒子径、結晶形態、ならびに化学的および熱的な処理に基づいて使用される硫酸カルシウムのタイプに依存し得る。他の特性の中でも、本発明のジオポリマー組成物の凝結挙動、強度発現速度、極限圧縮強度、収縮挙動、および耐亀裂性は、配合物において適した硫酸カルシウム源を選択することによって調整することができる。したがって、使用される硫酸カルシウムのタイプの選択は、最終用途に求められる特性のバランスに基づく。
【0141】
硫酸カルシウムの粒子径および形態は、本発明のジオポリマーセメント質組成物の早期および極限強度の発現に影響を及ぼし得る。一般に、硫酸カルシウムの粒子径が小さいほど、早期強度がより急速に発現することが見出されている。極めて急速な強度発現速度を有することが望ましいとき、硫酸カルシウムの好ましい平均粒子径の範囲は、約1〜約100ミクロン、より好ましくは約1〜約50ミクロン、およびさらにより好ましくは約1〜約25ミクロンである。その上、より細かい粒子径を有する硫酸カルシウムは、より低い材料収縮をもたらす。
【0142】
硫酸カルシウムの3つの形態全て(一次的に、半水和物、二水和物、および無水石膏)が有用である。硫酸カルシウムの最も可溶性が高い形態は半水和物であり、続いて比較的溶解度が低い形態は二水和物、およびさらに続いて比較的不溶性の形態は無水石膏である。3つの形態は全て、それら自体が適切な条件下で水性媒体中で凝結することが知られており(二水和物化学的形態の形態マトリックス)、凝結形態の凝結時間および圧縮強度は、それらの溶解度の順序に従うことが知られている。例えば、他の全ての条件が等しく、唯一の凝結材料として単独で採用されると、普通、半水和物は最も短い凝結時間を有し、無水石膏は最も長い凝結時間を有する(典型的には、非常に長い凝結時間)。
【0143】
硫酸カルシウムの粒子径および形態は、組成物の早期強度(約24時間未満)の発現にかなりのおよび驚くべき影響を及ぼす。比較的小さい粒子径の硫酸カルシウムを使用すると、早期圧縮強度がより急速に発現する。硫酸カルシウムの好ましい平均粒子径は、約1〜100ミクロン、より好ましくは約1〜50ミクロン、および最も好ましくは約1〜25ミクロンの範囲である。
【0144】
組成物中のスルホアルミン酸カルシウムセメントとアルミン酸カルシウムセメントとの混合物に比例して存在する硫酸カルシウムの量は、本発明のジオポリマー組成物の収縮などの潜在的な悪影響を緩和することができる。本発明のジオポリマー組成物中の硫酸カルシウムの量は、スルホアルミン酸カルシウムセメントとアルミン酸カルシウムセメントとの混合物の100重量部に対して、約2〜約100、好ましくは約5〜約75、および最も好ましくは約10〜約50重量部である。
【0145】
硫酸カルシウムは、別個の構成成分として添加され得るか、または硫酸カルシウムの全てまたは一部は、アルミン酸カルシウムセメントまたはスルホアルミン酸カルシウムセメントの一部として提供され得る。
【0146】
アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物
本発明の組成物および方法では、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物は、他の成分に加えて添加されるアルカリ土類金属酸化物である。したがって、例えば、それは、フライアッシュ中に天然にあり得る任意のアルカリ土類金属酸化物に加えられる。この添加されたアルカリ土類金属酸化物は、好ましくは、酸化カルシウム(石灰または生石灰としても知られている)、もしくは酸化マグネシウム、またはそれらの組み合わせである。
【0147】
本発明のセメント質反応性粉末は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の0.50〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20重量部の量のアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物を有し得る。本発明において好ましいアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物は、好ましくは50重量%超、より好ましくは60重量%超、さらにより好ましくは70重量%超、および最も好ましくは80重量%超、例えば90重量%超のアルカリ土類金属酸化物含有量を有する。
【0148】
本発明の好ましいアルカリ土類金属酸化物としては、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムが挙げられる。それらは、典型的には、石灰石、ドロマイト、およびマグネサイトなどの岩石のか焼によって得られる。金属酸化物は、軽焼、硬焼、または死焼であり得る。例えば、酸化マグネシウムが本発明のセメント質反応性粉末の一部として使用されるとき、それは、軽焼、適度な燃焼、または死焼であり得る。本発明において有用なアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物粉末は、主として酸化カルシウムまたは酸化マグネシウムのいずれかであり得る。本発明において有用なアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物粉末はまた、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの両方の混合物であり得る。
【0149】
高温で燃焼され、遊離石灰を主要な構成成分として含み、ケイ酸カルシウム、フェロ−アルミン酸塩、および硫酸塩を微量な構成成分として含むポルトランドセメントクリンカーなどの水硬性セメントクリンカーはまた、本発明におけるアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物として使用することができる。炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムなどの不純物はまた、アルカリ土類金属酸化物とともに材料中に存在し得る。アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物の粒子は、任意選択で、有機または無機コーティング材料で表面をコーティングして、粒子の反応性を調整することができる。追加の機能性コーティングを粒子の表面上に塗布して、凝結遅延、減水、収縮減少、粉末流動補助などのような特別な特性を付与することができる。
【0150】
さらに、アルカリ土類金属酸化物粒子を含む無機鉱物のサイズを調整して、粒子の反応性を制御することができる。アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物の中央粒子径は、好ましくは100ミクロン未満、より好ましくは75ミクロン未満、および最も好ましくは50ミクロン未満である。
【0151】
水を添加すると、アルカリ土類金属酸化物粒子を含む無機鉱物が化学反応を受けて、水酸化カルシウムまたは酸化マグネシウムのいずれかの結晶を形成する。その上、現時点では正確な化学反応メカニズムは完全には理解されていないが、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物も熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物およびアルカリ金属化学的活性剤を伴うジオポリマー反応に活発に関与していることは発明者の理解である。アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物粒子は、本発明の無機ジオポリマー組成物中で多機能の役割を果たす。例えば、それらは、本発明のジオポリマー組成物のレオロジー、凝結特質、圧縮強度、および寸法移動特質を調整する際の助けになる。
【0152】
ポルトランドセメント
本発明のセメント質反応性粉末は、100重量部の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物に対して、約0〜約15重量部の総ポルトランドセメントを有し得る。
【0153】
石灰石、頁岩、および他の天然発生材料が低コストで幅広く入手可能であることにより、ポルトランドセメントは、前世紀にわたり世界中で広く使用されている最も低コストの材料のうちの1つになっている。本明細書で使用される場合、「ポルトランドセメント」は、ケイ酸カルシウム系の水硬性セメントである。ASTM C150は、ポルトランドセメントを「本質的に水硬性ケイ酸カルシウムからなるクリンカーを微粉化することによって生成され、普通、地中の付加物として硫酸カルシウムの形態のうちの1つ以上を含有する水硬性セメント(水と反応することによって硬化するだけでなく、耐水性製品を形成する)」として定義している。本明細書で使用される場合、「クリンカー」は、所定の組成の原料混合物が高温まで加熱されたときに生成される焼結材料の小塊(直径、約0.2〜約1.0インチ[5〜25mm])である。
【0154】
好ましくは、本発明の組成物には、ポルトランドセメントが存在しない。本発明のジオポリマー組成物へのポルトランドセメントの添加は、得られる組成物の収縮を増加させることが見出された。観察された収縮の規模は、得られる組成物中のポルトランドセメントの量の増加とともに増加する。
【0155】
「天然発生および非熱活性化」ポゾラン
本発明のセメント質反応性粉末は、100重量部のフライアッシュに対して、約0〜約20重量部の天然発生および非熱活性化ポゾランを有し得る。
【0156】
好ましくは、本発明の組成物には、天然発生および非熱活性化ポゾランが存在しない。
【0157】
上記で論じられる熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物添加剤は、ポゾラン特性を有する。しかしながら、上記のフライアッシュに加えて、他のポゾランもまた、本発明の組成物中に任意選択のケイ酸塩およびアルミノケイ酸塩鉱物添加剤として含まれ得る。ASTM C618(2008)は、ポゾラン材料を「それ自体はセメント質の価値をほとんどまたは全く備えていないが、細かく分割された形態で、および水分の存在下で、常温で水酸化カルシウムと化学的に反応してセメント質特性を備える化合物を形成する、珪質または珪質およびアルミナ質材料」として定義している。
【0158】
様々な天然および人工の材料は、ポゾラン特性を備えるポゾラン材料と呼ばれてきた。ポゾラン材料のいくつかの例としては、シリカフューム、軽石、パーライト、珪藻土、細粉砕粘土、細粉砕頁岩、細粉砕粘板岩、細粉砕ガラス、凝灰岩、火山土、籾殻などが挙げられる。これらのポゾラン材料は全て、本発明のセメント質反応性粉末の一部として、1つだけでまたは組み合わせた形態で使用することができる。
【0159】
アルカリ金属化学的活性剤構成成分B
活性剤構成成分Bは、アルカリ金属化学的活性剤を含む。
【0160】
本発明の組成物では、アルカリ金属塩および塩基は、フライアッシュ、アルミン酸塩セメント、および硫酸カルシウムなどの熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を含む反応性粉末構成成分Aを活性化するためのアルカリ金属化学的活性剤として有用である。本発明のアルカリ金属活性剤は、液体または固体の形態で添加することができる。本発明の好ましいアルカリ金属化学的活性剤は、有機酸の金属塩である。本発明のより好ましいアルカリ金属化学的活性剤は、カルボン酸のアルカリ金属塩である。アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属ケイ酸塩は、本発明のアルカリ金属化学的活性剤のいくつかの他の例である。あるいは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属ケイ酸塩をクエン酸などのカルボン酸と組み合わせて使用して、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸塩セメント、および硫酸カルシウムを含むセメント質反応性粉末ブレンドの化学的活性化を提供することもできる。好ましいクエン酸アルカリ金属は、クエン酸カリウムおよびクエン酸ナトリウム、ならびに特にクエン酸三カリウム一水和物およびクエン酸三ナトリウム無水物(tri−sodium citrate anhydrous)、クエン酸三ナトリウム一水和物、クエン酸ナトリウム二塩基性セスキ水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、クエン酸二ナトリウム、およびクエン酸一ナトリウムである。クエン酸カリウムは、本発明において最も好ましいアルカリ金属塩活性剤である。
【0161】
C級フライアッシュ、アルミン酸塩セメント、および硫酸カルシウムを含む熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を含むセメント質反応性粉末ブレンドと組み合わせてクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムなどのクエン酸のアルカリ金属塩を採用することにより、原材料を約68〜77°F(20〜25℃)で混合した後、比較的良好な流動性を有し、迅速に固まりすぎない混合組成物が提供される。
【0162】
クエン酸のアルカリ金属塩、例えばクエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムの量は、100部のセメント質反応性構成成分(すなわち、セメント質反応性粉末構成成分A)に基づいて、約0.5〜約10重量%、好ましくは約1.0〜約6重量%、好ましくは約1.25〜約4重量%、より好ましくは約1.5〜約2.5重量%、およびさらにより好ましくは約2重量%である。したがって、例えば、100ポンドのセメント質反応性粉末については、約1.25〜約4ポンドの総クエン酸カリウムおよび/またはクエン酸ナトリウムがあり得る。
【0163】
所望であれば、活性剤は、アルカノールアミンを含有しない。また、所望であれば、活性剤は、リン酸塩を含有しない。
【0164】
空気および水
材料の凍結融解耐久性挙動に影響すると決定された重要な要因としては、材料の空気含有量および水/セメント質反応性粉末の比率が挙げられる。
【0165】
重要な発明の目的は、採用される混合時間に依存しない安定した空気空隙システムを得ることであった。安定したシステムは、採用される混合時間における変化とともに材料の空気含有量が大幅に変わらないシステムとして定義される。安定した空隙システムは、満足のいく凍結融解耐久性能を提供する。
【0166】
驚くべきことに、本発明のジオポリマー組成物中の所望のおよび安定した空気量は、空気連行剤、消泡剤、および有機ポリマーを含む様々な添加剤の組み合わせを利用することによって連行される。空気含有量に影響する他の重大な要因としては、水とセメント質材料との比率、砂利とセメント質材料との比率、混合時間、および混合方法が挙げられる。
【0167】
本発明による凍結融解耐久性挙動を得るために、空気含有量は、約3体積%〜20体積%、より好ましくは約4体積%〜12体積%、および最も好ましくは約4体積%〜8体積%である。
【0168】
意外なことに、ある種の空気連行剤を0.1重量%添加することにより、空気がほぼ1%以上だけ増加し、ある種の消泡剤を0.01重量%添加することにより、空気がほぼ1%以上だけ減少する。
【0169】
本発明の好ましい組成物中の水/セメント質反応性粉末の比率は、0.14〜0.55:1、例えば0.14〜0.45:1、好ましくは0.16〜0.50:1、例えば0.16〜0.35:1、およびより好ましくは0.18〜0.45:1、例えば0.18〜0.25:1である。
【0170】
凍結融解耐久性構成成分C
凍結融解耐久性構成成分Cは、空気連行剤および/または表面活性有機ポリマーを含む。凍結融解耐久性構成成分Cは、消泡剤をさらに含み得る。
【0171】
空気連行剤
所望であれば、空気連行剤(発泡剤としても知られている)を本発明のセメント質スラリーに添加して、その場で気泡(発泡体)を形成する。空気連行剤は、好ましくは、コンクリート内の微細な気泡を意図的に捕捉するために使用される界面活性剤である。あるいは、空気連行剤を採用して、発泡体を外部から生成し、これを混合操作中に本発明の組成物の混合物に導入して、生成物の密度を低下させる。好ましくは、外部から発泡体を生成するために、空気連行剤(液体発泡剤としても知られている)、空気、および水が混合されて、好適な発泡体生成装置内で発泡体を形成する。発泡体がセメント質スラリーに添加される前に、ポリビニルアルコールなどの発泡体安定剤を発泡体に添加することができる。
【0172】
空気連行剤/発泡剤の例としては、とりわけ、スルホン酸アルキル、アルキルベンゾールフルホネート(alkylbenzolfulfonates)、およびアルキルエーテル硫酸塩オリゴマーが挙げられる。これらの発泡剤についての一般式の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,643,510号に見出すことができる。
【0173】
ASTM C260「コンクリート用の空気連行混合剤についての規格仕様(Standard Specification for Air−Entraining Admixtures for Concrete)」(2006年8月1日)に記述されている規格に適合するような空気連行剤(発泡剤)を採用することができる。このような空気連行剤は、当業者に既知であり、Kosmatkaらの「Design and Control of Concrete Mixtures」、第14版、Portland Cement Association、具体的には「Air Entrained Concrete」と題される第8章(米国特許出願公開第2007/0079733 A1号に引用されている)に記載されている。
【0174】
好適な空気連行(発泡)剤としては、木質樹脂、ヴィンソル樹脂(vinsol resin)、ウッドロジン、トール油ロジン、またはガムロジンの水溶性塩(普通はナトリウム);非イオン性界面活性剤(例えば、商品名TRITON X−100の商品名でBASFから市販されているものなど);スルホン化炭化水素;タンパク性材料;または脂肪酸(例えば、トール油脂肪酸)およびそれらのエステルが挙げられる。
【0175】
市販の空気連行材料としては、ヴィンソル木質樹脂、スルホン化炭化水素、脂肪酸および樹脂酸、スルホン化リグニン塩などの脂肪族置換アリールスルホネート、および通常アニオン性または非イオン性表面活性剤(界面活性剤)の形態をとる多数の他の界面的な活性材料、アビエチン酸ナトリウム、飽和もしくは不飽和の脂肪酸およびそれらの塩、テンシド、アルキルアリールスルホネート、フェノールエトキシレート、リグノスルホネート、樹脂石けん、ナトリウムヒドロキシステアレート、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホネート)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホネート)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルサルフェートエステルまたはそれらの塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルホスフェートエステルまたはそれらの塩、タンパク質材料、アルケニルスルホサクシネート、α−オレフィンスルホネート、α−オレフィンスルホネートのナトリウム塩、またはナトリウムラウリルサルフェートもしくはスルホネート、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0176】
空気連行剤は、存在するとき、セメント質反応性粉末構成成分Aの総重量(すなわち、C級フライアッシュ、アルミン酸塩セメント、および硫酸カルシウムを含む総熱活性化アルミノケイ酸塩の重量%)に基づいて、0.01〜1、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.2重量%の量である。空気連行剤の投与量の最も好ましい投与量は、総セメント質反応性粉末構成成分Aの約0.01〜約0.20重量%に等しい。
【0177】
消泡剤
消泡剤を本発明のジオポリマーセメント質組成物に添加して、閉じ込められる空気の量を低減し、材料強度を上げ、他の基材との材料結合強度を上げること、および表面の審美性が重要な基準である用途において欠陥のない表面を生成することができる。本発明のジオポリマー組成物に有用な適切な消泡剤の例としては、ポリエチレンオキシド、プロポキシル化アミン、ポリエーテルアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルコキシレート、ポリアルコキシレート、脂肪アルコールアルコキシレート、疎水性エステル、トリブチルホスフェート、アルキルポリアクリレート、シラン、シリコーン、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、アセチレンジオール、テトラメチルデシンジオール、第二級アルコールエトキシレート、シリコーンオイル、疎水性シリカ、油類(鉱物油、植物油、白色油)、ワックス(パラフィンワックス、エステルワックス、脂肪アルコールワックス)、アミド、脂肪酸、脂肪酸のポリエーテル誘導体など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0178】
好ましくは、消泡剤の投与量は、総セメント質反応性粉末構成成分Aの0〜約0.5重量%、より好ましくは0〜約0.25重量%、および最も好ましくは0.01〜約0.1重量%(すなわち、C級フライアッシュ、アルミン酸塩セメント、および硫酸カルシウムを含む総熱活性化アルミノケイ酸塩の重量%)に等しい。
【0179】
表面活性有機ポリマー
表面活性有機ポリマーとしては、任意の1つ以上の有機レオロジー調節剤(有機レオロジー制御剤としても知られている)、フィルム形成ポリマー、またはバイオポリマーが挙げられる。有機レオロジー調節剤は、バイオポリマーであるか、合成源に由来し得る。フィルム形成ポリマーは、フィルム形成再分散性ポリマー粉末またはフィルム形成ポリマー分散液のフィルム形成ポリマーであり得る。表面活性有機ポリマーは、それらの二次的な機能として、混合物中に空気を連行するのにも役立つが、空気連行(発泡)剤として知られている化合物ほど効果的ではない場合がある。
【0180】
バイオポリマー
これらのバイオポリマーのいくつかは、増粘剤または粘度調節剤としても知られている。いくつかは、フィルム形成ポリマーとしても機能する。メチルセルロースなどのいくつかは、乳化剤としても機能する。天然発生バイオポリマーは、多糖類またはアミノ酸のビルディングブロックを含み、一般に水溶性である。一般的な例は、デンプン、セルロース、アルギン酸塩、卵黄、寒天、クズウコン、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、グアーガム、ペクチン、およびキサンタンガムである。好ましいバイオポリマーとしては、セルロースエーテルおよびガム系の有機ポリマーが挙げられる。
【0181】
サクシノグリカン、デュータンガム、グアーガム、ウェランガム、キサンタンガム、およびセルロースエーテル系の有機化合物は、親水コロイドおよびレオロジー制御剤として作用するバイオポリマーである。ガム系ポリマーは、ガラクトマンナンガム、グルコマンナンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラガム、ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアー、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0182】
本発明のジオポリマー組成物中のレオロジー制御に有用な好ましいセルロース系有機ポリマーの例としては、ヒドロキシエチル−セルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−セルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース(HPMC)、メチル−セルロース(MC)、エチル−セルロース(EC)、メチルエチル−セルロース(MEC)、カルボキシメチル−セルロース(CMC)、カルボキシメチルエチル−セルロース(CMEC)、およびカルボキシメチルヒドロキシエチル−セルロース(CMHEC)が挙げられる。
【0183】
上述のバイオポリマーは、典型的には、冷水および/または温水の両方に可溶性である。これらの添加剤は、保水剤としても作用し、それによって材料レオロジーを制御することに加えて、材料の分離および浮き水を最小限に抑える。
【0184】
有機レオロジー制御剤
レオロジーを制御または調節することが可能であり得るバイオポリマーとは対照的に、本仕様の目的のために、有機レオロジー調節剤(有機レオロジー制御剤)は、合成源に由来するものとして定義される。これらの有機レオロジー制御剤のいくつかは、増粘剤としても知られている。有機レオロジー制御剤用のアクリル系ポリマーは、3つの一般分類:アルカリ膨潤性(または可溶性)エマルジョン(ASE)疎水性修飾アルカリ膨潤性エマルジョン(HASE)、および疎水性修飾エトキシル化ウレタン樹脂(HEUR)にグループ分けされる。HASEは、疎水性官能基の追加に続くASEの修飾である。これらは、一般的に会合性増粘剤として知られている。その最も単純な形態では、会合性増粘剤は、いくつかの比較的疎水性基を含有する水溶性ポリマーである。HEURはまた、会合性増粘剤のカテゴリーに属する。しかし、HASEとは異なり、HEURは、非イオン性物質であり、増粘メカニズムの活性化についてアルカリに依存していない。
【0185】
本発明のジオポリマー組成物における有機レオロジー制御剤および増粘剤として使用するための好ましいポリマーは、ポリアクリルアミド、アルカリ膨潤性アクリルポリマー、会合性アクリルポリマー、アクリル/アクリルアミドコポリマー、疎水性修飾アルカリ膨潤性ポリマー、および水膨潤性が高い有機ポリマーからなる群から選択される。
【0186】
例えば、ACULYN22レオロジー調節剤は、Dow Chemicalから入手可能なアニオン性疎水性修飾アルカリ可溶性アクリルポリマーエマルジョン(HASE)である。HASEポリマーは、酸/アクリレートコポリマー骨格、および側鎖として疎水性基を接続するモノマーから合成される。ポリマーは、乳化重合によって作製される。ACULYN22は、アクリル酸、アクリル酸エステル、およびステアレス−20メタクリル酸エステルから合成される。
【0187】
会合性および非会合性の両方のタイプの有機レオロジー制御剤および増粘剤は、本発明のジオポリマー組成物に有用に採用することができる。
【0188】
上述の有機レオロジー制御剤および増粘剤は、冷水および/または温水の両方に可溶性である。これらの添加剤は、保水剤としても作用し、それによって材料のレオロジーを制御することに加えて、材料の分離および浮き水を最小限に抑える。
【0189】
フィルム形成ポリマー添加剤
フィルム形成ポリマーは、物理的に連続的で柔軟なフィルムを生成するポリマーである。それらは、ポリマー分散液として、または再分散性粉末として入手可能である。好ましいフィルム形成ポリマー分散液は、ラテックス分散液である。再分散性ポリマー粉末を形成する好ましいフィルムは、ラテックス粉末である。これらのポリマー粉末は、水−再分散性であり、水性ポリマー分散液(ラテックス)の噴霧乾燥によって生成される。ポリマー粉末は、典型的には、ラテックス分散液(エマルジョン)を噴霧乾燥することによって作製される。本分野では、フィルム形成再分散性ポリマー粉末が使いやすいために好ましい。
【0190】
ラテックスは、エマルジョンポリマーである。ラテックスは、水系のポリマー分散液であり、産業用途で広く使用されている。ラテックスは、水性媒体中のポリマーミクロ粒子の安定した分散液(コロイド状エマルジョン)である。したがって、それは水中のゴムまたはプラスチックポリマーミクロ粒子の懸濁液/分散液である。ラテックスは、天然または合成であり得る。
【0191】
ラテックスは、好ましくは、純粋なアクリル、スチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンアクリル、ビニルアクリル、またはアクリレート化エチレンビニルアセテートコポリマーから作製され、より好ましくは純粋なアクリルである。好ましくは、ラテックスポリマーは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つのアクリルモノマーから誘導される。例えば、乳化重合に採用されるのに好ましいモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、他のアクリル酸塩、メタクリル酸塩、およびそれらのブレンド、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、酢酸よりも高級のカルボン酸のビニルエステル、例えばバーサチック酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、エチレン、塩化ビニルなどのモノマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。例えば、ラテックスポリマーは、アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマーまたはアクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸メチルコポリマーであり得る。好ましくは、ラテックスポリマーは、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸ウレイド、酢酸ビニル、分岐した第三級モノカルボン酸のビニルエステル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、エチレン、およびC4〜C8共役ジエンからなる群より選択される1つ以上のモノマーからさらに誘導される。
【0192】
酢酸ビニルエチレン(VAE)エマルジョンは、酢酸ビニルとエチレンとの共重合に基づいており、酢酸ビニル含有量は60〜95パーセントの範囲であり、エチレン含有量は総配合物の5〜40パーセントの範囲であり得る。この生成物は、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーと混同されるべきではなく、酢酸ビニルは、一般に10〜40パーセントの組成における範囲であり、エチレンは配合物の60〜90パーセントで変動し得る。VAEは水系のエマルジョンであり、これらのエマルジョンは乾燥して再分散性粉末を形成することができるのに対して、EVAはホットメルトおよびプラスチック成形用途に使用される固体材料である。
【0193】
フィルム形成ポリマーは、(メタ)アクリル、ビニル、油変性ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、塩素化ポリオレフィン、およびそれらの混合物またはコポリマー、例えば酢酸ビニルエチレンを含み得るポリマー粒子の分散液から選ぶことができる。さらに、ポリマーは、典型的には、−40℃〜70℃のガラス転移温度(Tg)を有しなくてはならない。ポリマーのTgは、最も一般的には、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。Tgは、比熱(Cp)の「突発的」上昇がある温度である。これは、DSC曲線のベースラインの推移によって明らかにされる。International Confederation of Thermal Analysisは、Tgを決定するために使用されるべき評価手順を提案している。この手順に従って、2つの回帰直線R1およびR2がDSC曲線:事象前の回帰直線(R1)および変曲点の回帰直線(R2)に適用される。これらの2つの直線は、ガラス転移温度(Tg)をR1とR2との交点として定義する。DSCによって得られたTgについての値は、実験中に選ばれた加熱速度に依存することに留意されたい。一般に、DSC測定で使用される加熱速度は、5℃/分である。
【0194】
好ましいポリマーとしては、i)(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリロニトリルなどの複数のアクリルモノマーの重合生成物として得ることが可能な純粋なアクリレートコポリマーと、ii)総モノマーに基づいて最大100重量%、好ましくは30〜90重量%、およびより好ましくは40〜80重量%の量のスチレンおよび/または置換スチレンを含むモノマー混合物の、ならびに(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリロニトリルなど1つ以上のアクリルモノマーの、重合生成物として得ることが可能なスチレン−アクリレートコポリマーと、iii)酢酸ビニル、エチレン、および任意選択で他のコモノマーの重合生成物として得ることが可能なエチレン酢酸ビニルコポリマーと、を言及することができる。
【0195】
ポリマーは、バルク(粉末形態)を調製し、使用することができ、そのような粉末は、第2の構成成分の形成中、水中に再分散されるであろう。ACRONAL S430PおよびACRONAL S695P(BASF Aktiengesellschaft)は、好適な市販の再分散性スチレン−アクリレートコポリマー粉末の例である。
【0196】
代替形態では、ポリマーは、水系媒体中の分散液として直接提供され、この分散液は、次いで追加の水および他の添加剤と混合される。そのような分散液は、STYROPOR P555(BASF Aktiengesellschaftから入手可能なスチレンホモポリマー);スチレンブタジエンコポリマーについては、LIPATON SB3040、LIPATON SB2740(Polymer Latex GmBH)、STYROLUX 684D(BASF Aktiengesellschaft)、およびSYNTHOMER 20W20(Synthomer Chemie);SYNTHOMER VL10286およびSYNTHOMER 9024(スチレン/ブタジエン/アクリロニトリルターポリマー、Synthomer Chemie);スチレンアクリレートコポリマーについては、ALBERDINGK H595、ALBERDINGK AS6002(両方ともAlberdingk Boley)、RHODOPAS DS913(Rhodia、現在はSolvay)、ACRONAL 290D、ACRONAL S400、ACRONAL DS5011(BASF Aktiengesellschaft)、VINNAPAS SAF54(Wacker Polymer Systems)、MOWILITH LDM6159(Celanese)、およびLIPATON AE4620(Polymer Latex GmBH);ならびにB60A(Rohm&Haasから入手可能な純粋なアクリレート分散液)などの既知の市販製品を使用して提供され得る。他の例示的な市販のラテックスポリマーとしては、AIRFLEX EF811(Air Productsから入手可能);EPS 2505(EPS/CCAから入手可能);ならびにNEOCAR 2300、NEOCAR 820およびNEOCAR 2535(Dow Chemical Co.から入手可能)が挙げられる。
【0197】
あるいは、水性分散液は、本明細書で以下に記載されるように、適切なモノマー混合物を重合することによって提供され得る。P. A. Lovell, M. S. El−Aasser (Editors)、「Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers」、John Wiley and Sons、Chichester、UK、1997は、参照により本明細書に組み込まれる。モノマー混合物は、一般に、(メタ)アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、ビニルエステル、およびビニルモノマーからなる群から選択される少なくとも1つの不飽和モノマーを含むべきである。
【0198】
アクリル酸およびメタクリル酸の好適なアルキルエステルは、C1〜C14アルコールから誘導されるものであり、それにより、非限定的な例としては、メチル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート;イソプロピル(メタ)アクリレート;ブチル(メタ)アクリレート;イソブチル(メタ)アクリレート;n−ペンチル(メタ)アクリレート;ネオペンチル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート;2−ヘキシル(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、およびそれらのイプシロン−カプロラクトン付加物;ならびに1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどのアルカンジオールのジ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0199】
好適なビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、およびラウリン酸ビニルが挙げられる。好適なビニルコモノマーとしては、エチレン;プロペン;ブテン;イソブテン;1,3−ブタジエン;イソプレン;スチレン;α−メチルスチレン;t−ブチルスチレン;ビニルトルエン;ジビニルベンゼン;複素環式ビニル化合物;およびクロロプレンなどのハロゲン化ビニルが挙げられる。好ましくは、ビニルコモノマーには、エチレン、スチレン、ブタジエン、およびイソプレンが含まれる。
【0200】
モノマー混合物は、アルデヒド基またはケトン基を有するモノオレフィンの不飽和モノマーであるカルボニルモノマーを含み得る。本発明のカルボニルモノマーにおけるモノオレフィン不飽和は、典型的には、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、またはビニル官能基によって提供される。好ましくは、カルボニルモノマーは、アクロレイン;メタクロレイン;ビニルメチルケトン;ビニルエチルケトン;ビニルイソブチルケトン;ビニルアミルケトン;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアセトアセトキシエステル;ジアセトンアクリルアミド(DAAM);ジアセトン(メタ)アクリルアミド;ホルミルスチロール;ジアセトン(メタ)アクリレート;アセトニルアクリレート;2−ヒドロキシプロピルアクリレート−アセチルアセテート;1,4−ブタンジオールアクリレートアセチルアセテート;およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0201】
好適なフィルム形成ホモポリマーおよびコポリマーの例は、酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニルとエチレンとのコポリマー、酢酸ビニルとエチレンおよび1つ以上のさらなるビニルエステルとのコポリマー、酢酸ビニルとエチレンおよびアクリル酸エステルとのコポリマー、酢酸ビニルとエチレンおよび塩化ビニルとのコポリマー、スチレン−アクリル酸エステルコポリマー、スチレン−1,3−ブタジエンコポリマーである。酢酸ビニルホモポリマー;酢酸ビニルと1〜40重量%のエチレンとのコポリマー;酢酸ビニルと1〜40重量%のエチレンおよびカルボン酸ラジカル中に1〜15個の炭素原子を有するビニルエステル、例えばプロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、9〜13個の炭素原子を有するα−分岐カルボン酸のビニルエステルからなる群からの1〜50重量%の1つ以上のさらなるコモノマーとのコポリマー;酢酸ビニル、1〜40重量%のエチレン、および好ましくは1〜15個の炭素原子を有する非分岐または分岐アルコールの1〜60重量%のアクリル酸エステル(特にアクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシル)のコポリマー;ならびに30〜75重量%の酢酸ビニル、1〜30重量%のラウリン酸ビニルまたは9〜13個の炭素原子を有するα−分岐カルボン酸のビニルエステル、および1〜15個の炭素原子を有する非分岐または分岐アルコールの1〜30重量%のアクリル酸エステル(特に、アクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシル)を含み、1〜40重量%のエチレンをさらに含むコポリマー;酢酸ビニル、1〜40重量%のエチレン、および1〜60重量%の塩化ビニルを含むコポリマーが優先され、これらのポリマーは、指定された量で上述の補助モノマーをさらに含み得、それぞれの場合の重量パーセントは、合計で100重量%になる。
【0202】
他の添加剤
本発明では、セメント質反応性粉末とは見なされない他の添加剤は、スラリーおよびジオポリマーセメント質組成物全体に組み込まれ得る。そのような他の添加剤、例えば、高流動化剤(減水剤)、凝結促進剤、凝結遅延剤、空気連行剤、発泡剤、湿潤剤、収縮制御剤、粘度調節剤(増粘剤)、フィルム形成再分散性ポリマー粉末、フィルム形成ポリマー分散液、凝結制御剤、風解制御(抑制)剤、着色剤、腐食制御剤、アルカリ−シリカ反応減少混合剤、分離型補強繊維、および内部養生剤。他の添加剤としては、砂および/または他の骨材などの充填剤、軽量充填剤、鉱物充填剤などのうちの1つ以上などの充填剤が挙げられ得る。
【0203】
高流動化剤
高流動化剤(減水剤)は、好ましくは、本発明の組成物に使用される。それらは、乾燥形態または溶液の形態で添加され得る。高流動化剤は、混合物の水需要を低減するのに役立つ。高流動化剤の例としては、ポリナフタレンスルホン酸塩、ポリアクリレート、ポリカルボン酸塩、ポリエーテルポリカルボン酸塩、リグノスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、カゼインなどが挙げられる。
【0204】
好ましくは、高流動化剤は、カルボキシル化可塑剤材料である。したがって、ポリカルボン酸ポリエーテル化学に基づく高流動化剤は、本発明のジオポリマーセメント質組成物の最も好ましい減水化学混合剤である。ポリカルボキシレートポリエーテル高流動化剤は、先に述べたように本発明の様々な目的の実現を容易にするため、最も好ましい。
【0205】
使用する高流動化剤のタイプに依存して、高流動化剤(乾燥粉末ベースで)とセメント質反応性粉末との重量比は、好ましくは約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、好ましくは約0.1〜約1重量%であろう。
【0206】
充填剤−細骨材、粗骨材、無機鉱物充填剤、および軽量充填剤
細骨材、粗骨材、無機鉱物充填剤、および軽量充填剤などの1つ以上の充填剤は、本発明の組成物における構成成分として使用することができる。これらの充填剤は、ポゾランまたは熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物ではない。
【0207】
細骨材は、特性に影響することなく、本発明におけるジオポリマー組成物に添加して、材料の収量を増加することができる。細骨材の例は、砂である。砂は、約4.75mm(0.195インチ)未満の平均粒子径を有する無機岩石材料として定義される。本発明で使用される砂は、好ましくは、ASTM C33規格の規格仕様を満たす。好ましくは、砂は、0.1mm〜約3mmの平均粒子径を有する。より好ましくは、砂は、0.2mm〜約2mmの平均粒子径を有する。最も好ましくは、砂は、約0.3〜約1mmの平均粒子径を有する。本発明で使用するために好ましい細砂の例としては、米国ふるい番号70番〜30番(0.2〜0.6mm)の主たるサイズ範囲を有するQUIKRETE FINE No.1961およびUNIMIN 5030が挙げられる。本発明で使用される細骨材は、ASTM C33標準性能を満たしている。
【0208】
無機鉱物充填剤は、ドロマイト、石灰石、炭酸カルシウム、粉砕粘土、頁岩、粘板岩、雲母、およびタルクである。一般に、それらは、本発明の組成物中に、約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、およびより好ましくは約25ミクロン未満の好ましい平均粒子直径を有する細かい粒子径を有する。スメクタイト粘土およびパリゴルスカイト、ならびにそれらの混合物は、本発明において無機鉱物充填剤とは見なされない。
【0209】
特性のいずれかに影響することなく、粗骨材をジオポリマー組成物に添加して、材料の収量を増加することができる。粗骨材は、少なくとも4.75mm(0.195インチ)、例えば1/4インチ〜1−1/2インチ(0.64〜3.81cm)の平均粒子径を有する無機岩石材料として定義される。1−1/2インチ(3.81cm)よりも大きいサイズの骨材は、いくつかの用途、例えばコンクリート舗装でも使用することができる。使用される粗骨材の粒子形状および材質は、角張っている、材質がざらざらした、細長い、丸みを帯びた、もしくは滑らかな、またはこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、粗骨材は、花崗岩、玄武岩、石英、流紋岩、安山岩、凝灰岩、軽石、石灰石、ドロマイト、砂岩、大理石、チャート、フリント、硬砂岩、粘板岩、および/または片麻岩などの鉱物で作製される。表A−2およびDに列挙されるような本発明で有用な粗骨材は、ASTM C33(2011)およびAASHTO M6/M80(2008)規格に定められた仕様を満たしている。砂利は、典型的な粗骨材である。
【0210】
軽量充填剤は、約1.5未満、好ましくは約1未満、より好ましくは約0.75未満、およびさらにより好ましくは約0.5未満の比重を有する。所望であれば、軽量充填剤の比重は、約0.3未満、より好ましくは約0.2未満、および最も好ましくは約0.1未満である。対照的に、無機鉱物充填剤は、好ましくは、約2.0超の比重を有する。有用な軽量充填剤の例としては、軽石、バーミキュライト、膨張した形態の粘土、頁岩、粘板岩、およびパーライト、スコリア、膨張スラグ、炭殻、ガラス微小球、合成セラミック微小球、中空セラミック微小球、軽量ポリスチレンビーズ、プラスチック中空微小球、膨張プラスチックビーズなどが挙げられる。本発明の組成物に使用されるときの膨張プラスチックビーズおよび中空プラスチック球は、比重が過度に低いおかげで、重量ベースで極めて少量で採用される。
【0211】
軽量充填剤を利用して材料の重量を低減するとき、軽量充填剤は、約0〜約2、好ましくは約0.01〜約1、好ましくは約0.02〜約0.75の充填剤とセメント質材料(反応性粉末)の比率で採用することができる。1つ以上のタイプの軽量充填剤を、本発明のジオポリマー組成物に採用することができる。
【0212】
収量は、細骨材(存在するとき)、粗骨材(存在するとき)、軽量充填剤(存在するとき)、無機鉱物充填剤(存在するとき)、および水を混合するとき、セメント質材料および添加剤からなる50ポンドの乾燥材料(すなわち、セメント質材料と添加剤との50ポンドの混合物)から得られたスラリーの総体積(立方フィート)として定義される。
【0213】
本発明の完全密度組成物については、セメント質材料および添加剤からなる50ポンドの乾燥材料の収量は、細骨材、粗骨材、および水と混合したとき、好ましくは0.75立方フィート超、より好ましくは1.5立方フィート超、さらにより好ましくは2.0立方フィート超、および最も好ましくは2.5立方フィート超である。
【0214】
軽量充填剤を組成物の一部として採用するとき、セメント質材料および添加剤からなる50ポンドの乾燥材料の収量は、細骨材(存在するとき)、粗骨材(存在するとき)、軽量充填剤、および水と混合したとき、好ましくは3立方フィート超、より好ましくは4.5立方フィート超、さらにより好ましくは6立方フィート超、および最も好ましくは7.5立方フィート超である。
【0215】
本発明の組成物は、添加された充填剤を含まない場合がある。
【0216】
好ましくは、本発明の組成物は、生物源充填剤を含まない。生物源充填剤は、典型的には、動物または植物起源の充填剤である。それが植物起源のものであるとき、生物源充填剤は、本質的に、セルロース、ヘミセルロース、および/またはリグニンから構成される。生物源充填剤は、典型的には、少なくとも1つの構成成分(繊維、フィブリル、ダスト、粉末、チップ、少なくとも1つの植物原材料の少なくとも一部を起源とする構成成分)を、少なくとも微粒子形態で含む。この植物原材料は、典型的には、例えば、麻、亜麻、穀物わら、オート麦、米、トウモロコシ、キャノーラ種子、トウモロコシ、ソルガム、亜麻殻、ススキ(エレファントグラス)、米、サトウキビ、ヒマワリ、ケナフ、ココナッツ、オリーブストーン、竹、木材(例えば、木材ペレット、例えばトウヒの切り屑)、サイザル、コルク(ビーズ)、またはそれらの混合物のうちの任意の1つ以上である。
【0217】
好ましくは、本発明の組成物には、ホウ砂が存在しない。
【0218】
無機レオロジー制御剤
本発明のジオポリマーセメント質組成物はまた、フィロケイ酸塩ファミリーに属する無機レオロジー制御剤を含むことができる。本発明のジオポリマー組成物に特に有用な無機レオロジー制御剤の例としては、パリゴルスカイト、セピオライト、スメクタイト、カオリナイト、およびイライトが挙げられる。本発明で使用することができる特に有用なスメクタイト粘土としては、ヘクトライト、サポナイト、およびモンモリロナイトが挙げられる。天然および化学処理済みの両方の異なる別種のベントナイト粘土を使用して、本発明の組成物のレオロジーを制御することもできる。これらの添加剤はまた、保水剤として作用するため、材料の分離および浮き水を最小限に抑える。無機レオロジー制御剤は、有機レオロジー制御剤の非存在下で、またはそれらと組み合わせて添加することができる。
【0219】
風解抑制剤
本発明のセメント質組成物にシラン、シリコーン、シロキサン、ステアリン酸塩などの撥水剤を添加して、材料の風解潜在性を低減することができる。有用な風解抑制剤の選択された例としては、オクチルトリエトキシシラン、カリウムメチルシリコネート、カルシウムステアレート、ブチルステアレート、ポリマーステアレートが挙げられる。これらの風解制御剤は、硬化した材料内の水の移送を低減し、それにより、潜在的に風解を引き起こし得る塩および他の可溶性化学物質の移動を最小限に抑える。過度な風解は、塩の蓄積および塩の水和によって発生する審美性の欠乏、材料の崩壊、および膨張反応からの損傷、ならびに他の基材および表面コーティングとの結合強度の低下を導く場合がある。
【0220】
硬化遅延剤
ヒドロキシル化カルボン酸、炭水化物、糖、およびデンプンなどの有機化合物は、本発明の好ましい遅延剤である。クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、マロン酸、酪酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、グルタミン酸、ペンタン酸、グルタル酸、グルコン酸、タルトロン酸、ムチン酸、トリジドロキシ安息香酸(tridydroxy benzoic acid)などのような有機酸は、本発明の寸法安定性ジオポリマーセメント質組成物において、凝結遅延剤として有用である。グルコン酸ナトリウムも、本発明における有機凝結遅延剤として有用である。
【0221】
好ましくは、ホウ酸塩またはホウ酸タイプの無機酸系遅延剤は、混合レオロジーを妨げ、過度な風解を引き起こし、他の基材への材料結合強度を低下させることが見出されているため、本発明の組成物には採用されない。
【0222】
他の任意選択の凝結制御剤
他の任意選択の凝結制御化学添加剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルカノールアミン、ポリリン酸塩などが挙げられる。これらの添加剤は、配合物の一部として含まれるとき、凝結挙動に影響することに加えて、本発明のジオポリマー組成物のレオロジーにも影響を及ぼす場合がある。
【0223】
任意選択の材料、繊維、およびスクリム
他の任意選択の材料および添加剤が、本発明のジオポリマー組成物に含まれ得る。これらとしては、腐食制御剤、湿潤剤、着色剤および/もしくは顔料、個別の繊維、長く連続的な繊維および補強材、織物補強材、ポリビニルアルコール繊維、ガラス繊維、ならびに/または他の個別の補強用繊維からなる群より選択される少なくとも1つが挙げられる。
【0224】
異なるタイプの個別の強化繊維もまた、本発明のジオポリマー組成物に含まれ得る。ポリマーコーティングしたガラス繊維などの材料ならびにポリプロピレン、ポリエチレン、およびナイロンなどのポリマー材料で作製されたスクリムを使用して、セメント系プレキャスト製品を、それらの機能および用途に依存して補強することができる。
【0225】
好ましくは、本発明のジオポリマー組成物には、セメントキルンダストが存在しない。セメントキルンダスト(CKD)は、セメントクリンカーの製造中に窯内で作り出される。このダストは、部分的にか焼された未反応の原料供給物、クリンカーダスト、および灰の微粒子混合物であり、アルカリ硫酸塩、ハロゲン化物、および他の揮発物が豊富である。これらの微粒子は排気ガスによって捕捉され、サイクロン、バグハウス、電気集塵機などの微粒子物制御デバイス内に収集される。CKDは、一次的に炭酸カルシウムおよび二酸化ケイ素からなり、これはセメントキルンの原料供給物に類似しているが、ダスト中のアルカリ、塩化物、および硫酸塩の量は、普通、大幅に増えている。3つの異なるタイプの操作:湿式ロング、乾式ロング、および予か焼によるアルカリバイパスからのCKDは、様々な化学的および物理的特色を有する。湿式ロングキルンおよび乾式ロングキルンから生じるCKDは、アルカリ硫酸塩および塩化物が豊富な部分的にか焼されたキルン供給物微細物で構成される。予か焼されたキルンのアルカリバイパスから収集されたダストは、より粗く、よりか焼されており、またアルカリ揮発物で濃縮される傾向がある。しかしながら、アルカリバイパスプロセスは、最大の酸化カルシウム量(重量で)および最少の強熱減量(LOI)を含有する。2008 IEEE/PCA 50th Cement Industry Technical Conf.,Miami,FL May 19−22,2008で提示された、AdaskaらのBeneficial Uses of Cement Kiln Dustからの表AAは、3つの異なる種類の操作についての組成概要を提供し、比較のためにI型ポルトランドセメントに好ましい化学組成を含む。
【表10】
【0226】
本発明のジオポリマー反応を妨害する傾向があるCKD中の不純物がある。さらに、CKDの組成は非常に変動しやすい傾向がある。CKD中の遊離石灰は添加された石灰と見なすことができるが、CKD中の他の不純物の存在、およびCKD組成における変動性により、本発明ではCKDの使用は推奨されない。したがって、CKDは存在しないことが好ましい。
【0227】
好ましくは、本発明の組成物には、以下の有機粒子:コーヒー粉砕物粒子、葉粉末粒子、デンプン粒子、粉砕葉粒子、およびコルク粉末が存在しない。
【0228】
本発明の組成物の特性
好ましくは、本発明の組成物は、100回の凍結融解サイクル後、典型的には3000psi超の300回の凍結融解サイクル後の圧縮強度を有し、圧縮強度は、より好ましくは5000psi超、および最も好ましくは7000psi超である。
【0229】
本発明の組成物は、最大100回の凍結融解サイクル、典型的には最大300回の凍結融解サイクル、好ましくは最大600回の凍結融解サイクル、より好ましくは最大900回の凍結融解サイクル、および最も好ましくは最大1200回の凍結融解サイクルについて、測定されたパラメータ相対動的弾性率によるASTM C666/C66M−15に従って示されるように、機械的性能および耐久性における損失をほとんどまたは全く有しない。
【0230】
本発明の組成物は、多くの凍結融解サイクル後の相対動的弾性率によって示されるように、ASTM C666/C66M−15に従った凍結融解耐久性性能を有する。特に、少なくとも100回の凍結融解サイクル、典型的には少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルについて、
−上記凍結融解サイクルについて80%超の相対動的弾性率(例えば、少なくとも300回のサイクルについて80%超の相対動的弾性率)、好ましくは上記凍結融解サイクルについて85%超、より好ましくは上記凍結融解サイクルについて90%超、さらに好ましくは上記凍結融解サイクルについて95%超、および最も好ましくは上記凍結融解サイクルについて95%超。
【0231】
初期の動的弾性率(凍結融解サイクルの開始前)、および100回の凍結融解サイクル後、典型的には300回の凍結融解サイクル後の動的弾性率は、好ましくは20GPa超、より好ましくは25GPa超、および最も好ましくは30GPa超である。
【0232】
100回の凍結融解サイクル後、典型的には300回の凍結融解サイクル後の相対動的弾性率は、好ましくは100以上である。
【0233】
また、本発明の組成物は、上記で説明したような望ましい耐久性係数を達成し、組成物は、100回の凍結融解サイクル、典型的には300回の凍結融解サイクルに対して、85%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、および最も好ましくは100%以上のASTM C666/C666m−15に従って測定された耐久性係数(DF)を有する。
【0234】
本発明の組成物の長期自由乾燥収縮は、約0.3%未満、好ましくは約0.2%未満、およびより好ましくは約0.1%未満、および最も好ましくは約0.05%未満(初期凝結後に測定された)であり得る。本発明の組成物は、正味の膨張、好ましくは約0〜2.0%、より好ましくは約0〜1.0%、および最も好ましくは約0〜0.5%を示し得る。
【0235】
本発明はまた、習慣的なポルトランドセメントコンクリートよりも優良な圧縮強度を示す。例えば、24時間の圧縮強度は、約1000psiを超え、より好ましくは約2000psiを超え、最も好ましくは約3000psiを超えてもよい。7日間の圧縮強度は、約2000psiを超え、より好ましくは約3000psiを超え、最も好ましくは約4000psiを超えてもよい。28日間の圧縮強度は、約3000psiを超え、より好ましくは約5000psiを超え、最も好ましくは約7000psiを超えてもよい。
【0236】
好ましくは、本発明のジオポリマー組成物は、習慣的なポルトランドセメントコンクリート混合物よりも速く凝結する。本発明のジオポリマー組成物についての最終凝結時間は、好ましくは360分未満、より好ましくは240分未満、および最も好ましくは180分未満である。本発明のいくつかの組成物は、60分未満の最終凝結時間を有する極めて急速な凝結である。
【0237】
本発明の組成物は、ASTM C672/C672M−12の除氷化学物質に曝露されたコンクリート表面の耐スケーリング性についての規格試験方法(Standard Test Method for Scaling Resistance of Concrete Surfaces Exposed to Deicing Chemicals)、ASTM(2012年公開)による優良な耐ソルトスケーリング性を有する。このASTMC672/C672M−12ソルトスケーリング試験に従って試験するとき、組成物は、塩化ナトリウムの溶液および塩化カルシウムの溶液にさらされたときの25回の凍結融解サイクル後、より好ましくは50回の凍結融解サイクル後、および最も好ましくは75回の凍結融解サイクル後に1%未満の重量損失によって示される。
【0238】
上記で別々に議論されているが、本発明の好ましいジオポリマー組成物および混合物の各々は、少なくとも1つを有し、従来技術のジオポリマーセメント質組成物に対して、上述の特有の利点(ならびに本明細書におけるさらなる議論、実施例、およびデータから明らかなもの)のうちの2つ以上の組み合わせを有することができる。
【0239】
本発明の組成物は、フライアッシュ(一次的な原材料源としての産業廃棄物)を利用して、非常に環境的に持続可能である。これにより、製造された製品のライフサイクルのカーボンフットプリントおよびライフサイクルの具体化されたエネルギーを大幅に低減する。
【0240】
本発明の組成物の使用
本発明の組成物は、多くの使用を有する。それらは、他のセメント質材料が使用される場合、特に凍結融解安定性および圧縮強度が重要または必要な用途で使用することができる。例えば、様々なコンクリート製品用途には、床、スラブ、および壁用の構造用コンクリートパネル、セラミックタイル、天然石、ビニルタイル、ビニルコンポジションタイル(VCT)、およびカーペットなどの設置用の壁ならびに床の下張り、高速道路上敷きおよび橋の修復、歩道および他の路盤上スラブ、壁、床、天井の接着モルタル用の修復材料、しっくい、表面仕上げ材料、屋根材料、外装のスタッコおよび仕上げ用漆喰、自己平滑化上塗りおよび表土下張り、地盤、山腹、および採鉱場の土および岩石を安定化するための噴霧製品である吹付けコンクリートおよびショットクリート(乾燥混合ショットクリートおよび湿潤混合ショットクリートの両方)、亀裂、穴、および他のでこぼこな表面を埋めて平らにするための補修用の修復モルタル、内装および外装用途のための彫像および壁画、ならびに道路、船橋甲板、および他の交通および重量荷担面の舗装材料が挙げられる。本発明のジオポリマー組成物は、新しい建築物ならびに古いコンクリートの修復および復旧の両方において、習慣的なポルトランドセメントコンクリートの代わりに使用することができる。
【0241】
他の例としては、プレキャストコンクリート物品、ならびに優れた水分耐久性を有するセメント質ボード、組積用ブロック、レンガ、および敷石などの建物用製品のための使用が挙げられる。いくつかの用途では、セメントボードなどのそのようなプレキャストコンクリート製品は、静止したもしくは移動する形態に、または連続移動するベルトにわたって注入するのに適切な凝結時間を提供する条件下で作製することが好ましい。
【0242】
本発明のジオポリマー組成物を、特定の割合で空気を添加するための発泡剤および空気連行剤を含む種々の充填剤および添加剤とともに使用して、良好な膨張特性を有しつつも収縮しない、プレキャスト建築物要素、建築物修復製品、道路組成物などの交通支持構造を含む軽量セメント質製品を作製することができることを開示する。
【0243】
組成物の最も好ましい使用は、舗装または道路の欠陥を修復するための道路補修用である。典型的な欠陥は、窪み(pothole)、陥没穴(sinkhole)、または亀裂である。道路補修材として使用されるとき、スラリーは、舗装または道路欠陥に配置され、養生して、良好な凍結融解耐性を有する補修材を形成する。したがって、温度が32°F未満(凍結)および32°F超(融解)で循環する多数の凍結融解サイクルに曝露されたときの亀裂に耐性がある。
【実施例】
【0244】
以下の実施例では、セメント質組成物であるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含むジオポリマー配合物の性能を調査した。混合物は、クエン酸カリウムで活性化し、様々な量の砂または様々な量の砂および骨材を含有していた。全ての混合物は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび/またはアルミン酸カルシウムセメントを含有していた。全ての混合物は、3つの異なるタイプの硫酸カルシウム:硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウム(無水石膏)のうち少なくとも1つを含有していた。
【0245】
これらの実施例における圧縮強度は、特に指定がない限り、ASTM C109の水硬性セメントモルタルの圧縮強度のための規格試験法(Standard Test Method for Compressive Strength of Hydraulic Cement Mortars)(2インチまたは[50mm]の立方体試料を使用)に従って測定した。
【0246】
特に指示がない限り、本仕様における実施例の全てのジオポリマーセメント質組成物の凍結融解耐久性能は、ASTM C666/C666M−15(手順A)の急速な凍結および融解に対するコンクリートの耐性のための規格試験法(Standard Test Method for Resistance of Concrete to Rapid Freezing and Thawing)、2015年公開に基づいて試験した。
【0247】
特に指示がない限り、以下の実施例の混合については高剪断ミキサーを採用し、混合時間は4分であった。
【0248】
特に指示がない限り、実施例の混合物は、クエン酸カリウムで活性化した。
【0249】
この仕様の実施例に使用された高流動化剤は、ポリエチレングリコールに基づくBASF CASTAMENT FS20重合生成物であった。EP2598457では、それをアニオン性分散剤として記載している。EP2616407では、それをポリエーテルポリカルボキシレートとして記載している。
【0250】
この仕様の実施例に使用されたレオロジー調節剤は、サクシノグリカンであるMOMENTIVE AXILAT RH100XPであった。これは、エキソポリサッカライドバイオポリマーである。エキソポリサッカライドは、糖残留物で構成された高分子量ポリマーであり、微生物によって周囲の環境に分泌される。
【0251】
実施例で使用される別のレオロジー調節剤は、AN BERMCOLL E230Xである。それは、セルロースエーテル系のチキソトロープ剤である。
【0252】
本仕様の実施例に使用された有機ポリマー(フィルム形成表面活性ポリマーの一種である)は、BASF ACRONAL S695Pであった。BASF ACRONAL S695Pは、主に無機結合剤を修飾するために使用される再分散性ポリマー粉末である。それは、実施例についての組成物の表では「ポリマー」として列挙されている。それは、アクリル酸ブチルおよびスチレンの粉末形態のコポリマーである。米国公開特許出願第2004/0259022、パラグラフ
【0253】
ACRONAL S695Pは、BASFから入手可能なスチレン/アクリル酸ブチル(メタ)アクリルアミドエマルジョンコポリマーであることを開示している。
【0254】
特に指示がない限り、消泡剤は、Air ProductsからのSURFYNOL 500Sであった。特に指示がない限り、空気連行剤は、PinovaからのVINSOL NVX樹脂であった。
【0255】
全ての実施例では、特に指示がない限り、フライアッシュは、Campbell Power Plant,West Olive,MichからのC級フライアッシュであった。このフライアッシュは、約4ミクロンの平均粒子径を有していた。フライアッシュの測定されたブレーン細度は、約4300cm
2/gであった。これらの実施例で使用されるC級フライアッシュの酸化物組成を表Lに示す。
【0256】
特に指示がない限り、本発明の実施例で使用されるアルミン酸カルシウムセメントは、Kerneos Incから入手可能なTERNAL EVであった。このセメントは、約29ミクロンの平均粒子径を有していた。TERNAL EVの酸化物組成を表Lに示す。TERNAL EVにおける主なアルミン酸カルシウム相は、ヘプタアルミン酸ドデカカルシウム(12CaO.7Al
2O
3またはC
12A
7)である。
【0257】
特に指示がない限り、本発明の実施例で使用されるカルシウムスルホアルミネートセメントは、CTS Companyから入手可能なFASTROCK500であった。このセメントは、約11ミクロンの平均粒子径を有していた。FASTROCK500の酸化物組成を表Lに示す。
【0258】
実施例のいくつかで使用されるUSG HYDROCAL C−Baseは、United States GypsumCompanyから入手可能である。HYDROCAL C−Baseは、ブロック状の結晶微細構造および低い水需要を有する硫酸カルシウム半水和物のアルファ形態的な形態である。USG HYDROCAL C−Baseは、約17ミクロンの平均粒子径を有していた。
【0259】
実施例のいくつかに含まれる無水硫酸カルシウム(無水石膏)は、United States Gypsum Companyから入手可能なSNOW WHITE充填剤であった。USG SNOW WHITE充填剤は、硫酸カルシウム、好ましくは石膏の高温熱処理によって生成される不溶性形態である。この充填剤は、非常に低いレベルの化学的に組み合わされた水分、好ましくは、約0.35%を有する。USG SNOW WHITE充填剤の平均粒子径は、約7ミクロンである。
【0260】
USG TERRA ALBAは、United States Gypsum Companyから入手可能な細粒状の硫酸カルシウム二水和物である。USG TERRA ALBAの平均粒度は、約13ミクロンである。
【0261】
多くの実施例に含まれている硫酸カルシウム二水和物は、United States Gypsum Companyから入手可能なランドプラスターと本明細書で称される、細粒状の硫酸カルシウム二水和物である。ランドプラスターは、約15ミクロンの平均粒子径を有する。
【0262】
様々な実施例で使用された砂は、QUIKRETEの商用グレード細砂1961番であった。使用した砂の粒子径分析を表Hに示す。
【表11】
【0263】
表Iは、実施例で使用したC級フライアッシュ(Campbell Power Plant, West Olive, MI)、スルホアルミン酸カルシウムセメント(CTS FASTROCK500)、およびアルミン酸カルシウムセメント(Kerneos TERNAL EV)の化学分析を示す。
【表12】
【0264】
Graymontから入手可能なPULVERIZED HIGH CALCIUM QUICKLIMEは、高カルシウム生石灰である。それは、高純度石灰石のか焼によって得られた細かい白色粉末であり、本質的に酸化カルシウム(CaO)で構成されている。PULVERIZED HIGH CALCIUM QUICKLIMEの化学組成を表Jに示す。
【表13】
【0265】
PULVERIZED HIGH CALCIUM QUICKLIMEの粒子径を下記の表Kに示す。
【表14】
【0266】
Martin Marietta Magnesia Specialtiesから入手可能なMAGCHEM30は、軽焼酸化マグネシウムである。それは、マグネシウムが豊富なブラインおよびドロマイト質石灰から生成された、高純度の軽焼酸化マグネシウムである。この細かい白色粉末は、高い反応性指数および低嵩密度を有する。MAGCHEM30の中央粒子径は、3〜8ミクロンである。325メッシュを通過する%でのMAGCHEM30の粒子径は、99重量%である。
【0267】
MAGCHEM30の化学組成を下記の表Lに示す。
【表15】
【0268】
Carameuseから入手可能なDOLO QL PULVERIZED WITH FLO AID BULKは、ドロマイト質生石灰である。ドロマイト質石灰石のか焼によって得られ、酸化カルシウム(CaO)および酸化マグネシウム(MgO)で構成される細かい白色粉末である。DOLO QL PULVERIZED WITH FLO AID BULKの化学組成を表Mに示す。200メッシュを通過する%でのDOLO QL PULVERIZED WITH FLO AID BULKの粒子径は、97.7重量%である。
【表16】
【0269】
Premiere Magnesiaから入手可能なPREVENT Cは、アルキルグリコールコーティングでコーティングされた酸化マグネシウム系細粉末である。それは、約90〜95重量%の酸化マグネシウム、5〜10重量%のアルキルグリコールコーティング、および1.0重量%未満のシリカ(石英)を含有する。
【0270】
Euclid Chemical Companyから入手可能なCONEXは、酸化カルシウム系細粉末である。それは、約50〜80重量%の酸化カルシウム、20〜40重量%の溶融シリカ、1〜5重量%の酸化アルミニウム、1〜5重量%の結晶性シリカ、5〜10重量%のポルトランドセメント、および1.0重量%未満の酸化鉄を含有する。
【0271】
ShrinkageComp Plus Inc.から入手可能なCOMPCONは、酸化カルシウム系細粉末である。
【0272】
実施例1〜8の全てにおいて、調査した混合物の材料をHobartミキサー内で3分間混合して、新鮮で物理的な特性を試験するためのスラリーを調製した。2インチの立方体試料を、圧縮強度試験のために打設した。実施例1〜8の全てにおいて、使用した砂はQUIKRETEの商用グレード細砂1961番であった。
【0273】
実施例1
表1.1は、実施例1で調査した混合物の原材料組成を示す。ミックス1は、その中に任意のアルカリ土類金属酸化物を含まない比較組成物であった。ミックス2〜4は、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物として、微粉化高カルシウム生石灰を含有していた。
【表17】
【0274】
表1.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表18】
【0275】
表1.2に示す結果から、以下を観察することができる。
●表1.2のスランプデータが示すように、全ての混合物は、良好なレオロジーおよび流動特性を有していた。最高量の高カルシウム生石灰とのミックス4は、スランプにおけるわずかな減少のみをもたらした。
●高カルシウム生石灰を含まない比較ミックス(ミックス1)は、最短凝結時間を有していた。高カルシウム生石灰を含有する混合物は、最終凝結時間の増加を示した。組成物中の生石灰の添加率が低くても、最終凝結はほぼ2倍になった。この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物の凝結挙動を調整する際に有益に活用することができる。
●混合組成物の圧縮強度は、組成物中に高カルシウム生石灰を組み込むことで大幅に増加した。28日間の圧縮強度は、5重量部のフライアッシュの高カルシウム生石灰添加率で最も高かった(混合2)。混合物2の圧縮強度が6853psiであり、これは、4489psiだけの圧縮強度を有する比較ミックス(ミックス1)についての圧縮強度と比較して、圧縮強度においてほぼ42パーセントの増加を表すことは注目に値する。これは予想外の結果であり、様々な用途で本発明のジオポリマー組成物の圧縮強度を調整するために非常に有用に活用することができる。
【0276】
実施例2
表2.1は、実施例2で調査した混合物の原材料組成を示す。3つの混合物は全て、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物として、微粉化高カルシウム生石灰を含有していた。圧縮強度試験に加えて、打設した立方体試料を、75°Fおよび50%の相対湿度の制御された環境での乾燥に曝露されたときの寸法移動特質についても試験した。下記の結果では、材料収縮を負数で表し、材料膨張を正数で表す。
【表19】
【0277】
表2.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表20】
【0278】
表2.2に示す結果から、以下を観測することができる。
●表のスランプデータが示すように、全ての混合物は、満足のいくレオロジーおよび流動特性を示した。スラリー混合物の流動(スランプ)は、組成物中の高カルシウム生石灰の量の増加とともに減少した。したがって、この実施例で使用される高カルシウム生石灰は、本発明のジオポリマー組成物において増粘剤として作用したと結論付けることができる。この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物のレオロジーを調整するために有益に活用することができる。
●この実施例で調査した高カルシウム生石灰のより高い投与量では、組成物中の生石灰の量の増加に伴い、最終凝結時間が減少することを観測することができる。この結果は予想外であり、実施例1で観察されたものとは対照的である。本発明のジオポリマー組成物中の高カルシウム生石灰のより低い添加率は、実施例1で観察されるように、最終凝結時間を延長すると結論付けることができる。もう一方では、高カルシウム生石灰のより高い添加率は、この実施例で観察されるように、最終凝結時間を短縮するという反対の効果を有する。この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物の凝結挙動を調整するために有益に活用することができる。
●この実施例で調査した高カルシウム生石灰のより高い投与量では、28日間の圧縮強度は実質的に変化しないままであったことを観察することができる。しかしながら、5重量部の生石灰を含む実施例1の混合物2と比較して、この実施例の組成物は、実質的に低い圧縮強度を有していた。したがって、仕事の仕様がより高い圧縮強度性能を求めるとき、高カルシウム生石灰のより高い投与量は、本発明のジオポリマー組成物において推奨されないと結論付けることができる。
●組成物中の生石灰の量が増えると、材料の乾燥収縮は減少した。ミックス2については、材料収縮が−0.07%だけであったことに留意することができる。さらに、ミックス3については、材料が大幅な膨張を示し、結果的に+0.78%膨張したことは注目に値する。この特徴は、材料が外部または内部に閉じ込められた状態での仕上げ塗りおよび固着の用途に使用されて、材料中に残留圧縮応力が発現しやすいときに特に有用である。
【0279】
実施例3
表3.1は、実施例3で調査した組成物の原材料組成を示す。この実施例では、軽焼酸化マグネシウムを、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物として使用した。
【表21】
【0280】
表3.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表22】
【0281】
表3.2に示す結果から、以下を観察することができる。
●この実施例で調査した混合物は、表のスランプデータが示すように、満足のいくレオロジーおよび流動特性を有していた。
●この実施例で調査したミックスの最終凝結時間は、高カルシウム生石灰を含有する前述の実施例(実施例2のミックス3)で調査した同等の混合物よりも短かった。したがって、軽焼酸化マグネシウムは、同様の投与量で添加された高カルシウム生石灰で得られるよりも短い最終凝結時間をもたらすと結論付けることができる。
●調査した投与量での軽焼酸化マグネシウムを含む混合物の圧縮強度は、28日間で4500psi超である。これは、ほとんどの住宅、商業、および産業用途のための満足のいく強度を表す。
【0282】
実施例4
表4.1は、実施例4で調査した混合物の原材料組成を示す。全てのミックスは、組成物の一部として生石灰系鉱物混合剤を含有していた。この実施例で使用した砂は、QUIKRETEの商用グレード細砂1961番である。圧縮強度試験に加えて、打設した立方体試料を、75°Fおよび50%の相対湿度の制御された環境での乾燥に曝露されたときの寸法移動特質についても試験した。下記の結果では、材料収縮を負数で表し、材料膨張を正数で表す。
【表23】
【0283】
表4.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表24】
【0284】
表4.2に示す結果から、以下を観察することができる。
●組成物中の生石灰系鉱物混合剤の量が増えると、スラリー混合物の流れ(スランプ)がわずかに減少した。したがって、この実施例で使用される生石灰系鉱物混合剤は、本発明のジオポリマー組成物中において増粘剤として作用したと結論付けることができる。この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物のレオロジーを調整する際に有益に活用することができる。
●この実施例で調査した生石灰系鉱物混合剤の投与量では、全てのミックスの最終凝結時間は、2〜2時間半の範囲であった。
●組成物中の生石灰系鉱物混合剤の量が増加するにつれて、ミックスの圧縮強度は低下した。28日間の圧縮強度は、ミックス1が最も高く(4799psi)、フライアッシュの10重量部の生石灰系鉱物混合剤添加率を有していた。もう一方では、28日間の圧縮強度は、ミックス4が最も低く(3978psi)、フライアッシュの25重量部の生石灰系鉱物混合剤添加率を有していた。
●組成物中の生石灰の量が増加するにつれて、乾燥収縮が減少した。ミックス1についての乾燥収縮は58日間で−0.60%であったが、ミックス4についての乾燥収縮は−0.02%だけであった。これは、本発明の組成物中に生石灰系鉱物混合剤の増加量を組み込むことによる収縮の大幅な減少を表した。
【0285】
実施例5
表5.1は、実施例5で調査した混合物の原材料組成を示す。混合物は全て、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物として、微粉化高カルシウム生石灰を含有していた。全ての混合物は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびランドプラスター(石膏)も含有していた。圧縮強度試験に加えて、打設した立方体試料を、75°Fおよび50%の相対湿度の制御された環境での乾燥に曝露されたときの寸法移動特質についても試験した。下記の結果では、材料収縮を負数で表し、材料膨張を正数で表す。
【表25】
【0286】
表5.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表26】
【0287】
表5.2に示す結果から、以下を観察することができる。
●組成物中の高カルシウム生石灰の量が増加するにつれて、スラリー混合物の流動(スランプ)は減少した。したがって、高カルシウム生石灰は、本発明のジオポリマー組成物において増粘剤として作用したと結論付けることができる。これは予想外の結果である。この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物のレオロジーを調整する際に有益に活用することができる。
●組成物中の高カルシウム生石灰の量が増加するにつれて、この実施例で調査した混合組成物の圧縮強度は大幅に増加した。ミックス4の圧縮強度が6644psiであり、これは、3615psiだけの圧縮強度を有する比較混合物(ミックス1)についての圧縮強度と比較して、ほぼ84パーセントの圧縮強度の増加を表すことは注目に値する。これは予想外の結果であり、様々な用途で本発明のジオポリマー組成物の圧縮強度を調整するために非常に有用に活用することができる。
●組成物中の高カルシウム生石灰の量の増加とともに、混合組成物の乾燥収縮は減少した。生石灰を含まないミックス1は、55日齢で約−0.10%の極限収縮を有していた。もう一方では、より多くの高カルシウム生石灰を含む混合組成物が、結果的に膨張を示したことは注目に値する。ミックス3は結果的に+0.25%の膨張を有し、ミックス4は結果的に+0.57%の膨張を有していた。この特徴は、材料が外部または内部に閉じ込められた状態での仕上げ塗りおよび固着の用途に使用されて、材料中に残留圧縮応力が発現しやすいときに特に有用である。
【0288】
実施例6
表6.1は、実施例6で調査した混合物の原材料組成を示す。3つのミックス(ミックス1、2、および3)は、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物として、粉砕ドロマイト質生石灰を含有していた。第4のミックス(ミックス4)は、比較ミックスであった。全ての混合物は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびランドプラスター(石膏)も含有していた。
【表27】
【0289】
表6.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表28】
【0290】
表6.2に示す結果から、以下を観察することができる。
●組成物中のドロマイト質生石灰の量の増加とともに、スラリー混合物の流動が減少した。ドロマイト質生石灰を含まない比較ミックス(ミックス4)は10.5インチのスランプを有していたことに留意することができる。もう一方では、ドロマイト質生石灰を添加すると、本発明の組成物では、スランプが2〜3−1/4インチまで減少した。したがって、ドロマイト質生石灰は、本発明のジオポリマー組成物において増粘剤として作用したと結論付けることができる。これは予想外の結果である。この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物のレオロジーを調整する際に有益に活用することができる。
●組成物中のドロマイト質生石灰の量が増加するにつれて、この実施例で調査しミックスの最終凝結時間は増加した。ドロマイト質生石灰を含まない比較ミックス(ミックス4)は37分の最終凝結時間を有していたことに留意することができる。もう一方では、ミックス3にドロマイト質生石灰を添加すると、組成物の最終凝結時間が87分まで増加した。さらに、この実施例で調査したドロマイト質生石灰の量を最も多く含むミックス1は、154分に等しい最長の最終凝結時間を有していた。したがって、ドロマイト質生石灰は、本発明のジオポリマー組成物において凝結遅延剤として作用したと結論付けることができる。再度、この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物の凝結挙動を調整する際に有益に活用することができる。
●この実施例で調査した混合組成物の圧縮強度は、組成物中のドロマイト質生石灰の組み込みで増加した。アルカリ土類金属酸化物鉱物を含む無機鉱物を組み込んだ本発明のジオポリマー組成物について、8000psi超の圧縮強度が達成可能であることは注目に値する。この特徴は、様々な用途において本発明のジオポリマー組成物の圧縮強度を調整するために有用に活用することができる。
【0291】
実施例7
表7.1は、実施例7で調査した混合物の原材料組成を示す。第1のミックス(ミックス1)は、比較混合組成物であった。残りの4つのミックス(ミックス2〜5)は、酸化マグネシウム系の鉱物混合剤を含有していた。全ての混合物は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび石膏も含有していた。圧縮強度試験に加えて、打設した立方体試料を、75°Fおよび50%の相対湿度の制御された環境での乾燥に曝露されたときの寸法移動特質についても試験した。下記の結果では、材料収縮を負数で表し、材料膨張を正数で表す。
【表29】
【0292】
表7.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表30】
【0293】
表7.2に示す結果から、以下を観察することができる。
●調査した酸化マグネシウム系鉱物混合剤を組成物中に添加しても、スラリー混合物の流動は実質的に影響しないままであった。これは、その新鮮な状態でのスラリー混合物に良好な流動および作業特性を有することが重要である用途において望ましい特徴である。
●組成物中の酸化マグネシウム系鉱物混合剤の量が増加するにつれて、この実施例で調査しミックスの最終凝結時間は増加した。酸化マグネシウム系鉱物混合剤を含まない比較ミックス(ミックス1)は、72分の最終凝結時間を有していたことに留意されたい。もう一方では、酸化マグネシウム系鉱物混合剤をミックス5に添加すると、組成物の最終凝結時間が118分まで増加した。したがって、酸化マグネシウム系鉱物混合剤は、本発明のジオポリマー組成物において凝結遅延剤として作用したと結論付けることができる。この特性は、特定の用途のために本発明のジオポリマー混合組成物の凝結挙動を調整するために有益に活用することができる。
●組成物中のマグネシウム系の鉱物混合物の量が増加するにつれて、この実施例で調査した混合組成物の圧縮強度は低下した。
●組成物中のマグネシウム系鉱物混合剤が増加するにつれて、この実施例で調査した混合組成物の収縮は、わずかに減少した。例えば、マグネシウム系鉱物混合剤を含まない比較ミックス(ミックス1)は、−0.05%の収縮を有していた。もう一方では、酸化マグネシウム鉱物混合剤を含有するミックス5についての収縮は、−0.02%まで減少した。
【0294】
実施例8
表8.1は、実施例8で調査した混合物の原材料組成を示す。第1のミックス(ミックス1)は、比較混合組成物であった。第2のミックス(ミックス2)は、酸化カルシウム系鉱物混合剤を含有していた。両方の混合物は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび石膏も含有していた。
【表31】
【0295】
表8.2は、この実施例で調査した組成物の特性を示す。
【表32】
【0296】
表8.2に示す結果から、以下を観察することができる。
●調査した酸化カルシウム系鉱物混合剤を組成物中に添加すると、スラリー混合物の流動が減少した。これは予想外の結果である。この属性は有用であり、意図された用途のために本発明のジオポリマー組成物の材料レオロジーを調整するために実用的に活用することができる。
●この実施例で調査したミックスの最終凝結時間は、酸化カルシウム系鉱物混合剤を組成物中に添加することで大幅に増加した。酸化カルシウム系鉱物混合剤を含まない比較ミックス(ミックス1)は、72分の最終凝結時間を有していたことに留意されたい。もう一方では、酸化カルシウム系鉱物混合剤をミックス2に添加すると、組成物の最終凝結時間が270分超まで増加した。したがって、この実施例で調査した酸化カルシウム系鉱物混合剤は、本発明のジオポリマー組成物において凝結遅延剤として作用したと結論付けることができる。これは予想外の結果であり、様々な用途で本発明のジオポリマー組成物の凝結挙動を調整するために非常に有用に活用することができる。
●この実施例で調査したカルシウム系鉱物混合剤を含む混合組成物の圧縮強度は、酸化カルシウム系鉱物混合剤を含まない比較混合物と比較して大幅に増加した。ミックス2の圧縮強度が9243psiであり、これは、5154psiの圧縮強度を有する比較混合物についての圧縮強度と比較して、ほぼ80パーセントの圧縮強度の増加を表すことは注目に値する。これは予想外の結果であり、様々な用途で本発明のジオポリマー組成物の圧縮強度を調整するために非常に有用に活用することができる。
【0297】
発明の条項
以下の条項は、本発明の様々な態様について記載する。
【0298】
条項1.ジオポリマー組成物であって、
セメント質反応性粉末であって、
−100重量部の量の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物であって、好ましくは、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、および
−アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物であって、上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり0.50〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20重量部の量である、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、
−任意選択で、少なくとも1つのアルミン酸塩セメント、ならびに
−任意選択で、少なくとも1つの硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性粉末と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜6、好ましくは1.25〜4、より好ましくは1.5〜2.5重量%の量のアルカリ金属化学的活性剤であって、アルカリ金属化学的活性剤が、アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩基からなる群の少なくとも1つから選択され、クエン酸カリウムが、好ましいアルカリ金属塩化学的活性剤である、アルカリ金属化学的活性剤と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.05〜21.5、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.1〜5重量%の量の凍結融解耐久性構成成分であって、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜1、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.2重量%の量の空気連行剤、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜0.5、好ましくは0〜0.25、より好ましくは0.01〜0.1重量%の量の消泡剤、および
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5重量%の量の表面活性有機ポリマー、を含む、凍結融解耐久性構成成分と、の混合物を含み、
空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つが存在し、
組成物が、約3体積%〜20体積%、より好ましくは約4体積%〜12体積%、および最も好ましくは約4体積%〜8体積%の空気含有量を有し、
上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、上記任意選択のアルミン酸塩セメント、上記任意選択の硫酸カルシウム、および上記アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物が、セメント質反応性粉末の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%である、ジオポリマー組成物。
【0299】
条項2.セメント質反応性粉末が、
−熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の100重量部あたり1〜100、好ましくは2.5〜80、より好ましくは5〜60、最も好ましくは25〜40重量部(pbw)の量のアルミン酸塩セメントであって、好ましくはスルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントからなる群の少なくとも1つから選択される、アルミン酸塩セメント、ならびに
アルミン酸塩セメント100重量部あたり2〜100、好ましくは5〜75、より好ましくは10〜50重量部の量の硫酸カルシウムであって、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウムからなる群の少なくとも1つから選択される、硫酸カルシウムをさらに含む、条項1に記載の組成物。
【0300】
条項3.アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物が、酸化カルシウムもしくは酸化マグネシウム、または酸化カルシウムと酸化マグネシウムとの組み合わせを含み、
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物が、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、条項1または2に記載の組成物。
【0301】
条項4.
組成物が、水、セメント質反応性粉末、アルカリ金属化学的活性剤、および凍結融解耐久性構成成分を含むスラリーを凝結することから作製され、スラリーの水/セメント質反応性粉末の重量比が、0.14〜0.55:1であり、
組成物が、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.01〜1重量%の量の空気連行剤、および
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜20重量%の量の表面活性有機ポリマー、からなる群から選択される特徴のうちの少なくとも1つを含み、
凝結後の組成物が、ASTM C666/C666M−15に従った少なくとも100回の凍結融解サイクルに対して、80%超の相対動的弾性率を有し、
凝結後の組成物が、このASTM C672/C672M−12のソルトスケーリング試験に従った25回の凍結融解サイクル後、1%未満の重量損失を有し、
前記組成物が、100回の凍結融解サイクルに対して、85%超のASTM C666/C666M−15に従って測定された耐久性係数(DF)を有する、条項1、2、または3に記載の組成物。
【0302】
条項5.スルホアルミン酸カルシウムセメントが、アルミン酸カルシウムセメントの非存在下およびポルトランドセメントの非存在下で提供される、条項2に記載の組成物。
【0303】
条項6.アルミン酸カルシウムセメントが、スルホアルミン酸カルシウムセメントの非存在下およびポルトランドセメントの非存在下で提供される、条項2に記載の組成物。
【0304】
条項7.熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100pbwあたり5〜60重量部のアルミン酸塩セメントを含み、アルミン酸塩セメントが、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントを含み、アルミン酸カルシウムセメントの量が、総スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメント100pbwあたり約5〜約75重量部(pbw)であり、組成物には、ポルトランドセメントが存在しない、条項2に記載の組成物。
【0305】
条項8.空気連行剤および表面活性有機ポリマーを含み、
表面活性有機ポリマーが、バイオポリマー、有機レオロジー制御剤、フィルム形成再分散性ポリマー、およびフィルム形成ポリマー分散液のフィルム形成ポリマーからなる群の少なくとも1つを含み、
バイオポリマーが、サクシノグリカン、デュータンガム、グアーガム、ウェランガム、キサンタンガム ガラクトマンナンガム、グルコマンナンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラガム、ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアー、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースからなる群の少なくとも1つから選択され、
少なくとも1つの有機レオロジー制御剤が、アルカリ膨潤性(または可溶性)エマルジョン(ASE)、疎水性修飾したアルカリ膨潤性エマルジョン(HASE)、および疎水性修飾したエトキシル化ウレタン樹脂(HEUR)からなる群から選択される少なくとも1つのアクリル系ポリマーを含み、
フィルム形成再分散性ポリマーが、(メタ)アクリルポリマー、スチレンポリマー、スチレン−ブタジエンゴムポリマー、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、塩素化ポリオレフィン、およびそれらの混合物またはコポリマーからなる群から選択され、上記フィルム形成ポリマーは、−40℃〜70℃のガラス転移温度(Tg)を有し、
フィルム形成ポリマー分散液のフィルム形成ポリマーが、(メタ)アクリルポリマー、スチレンポリマー、スチレン−ブタジエンゴムポリマー、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、塩素化ポリオレフィン、およびそれらの混合物またはコポリマーからなる群から選択され、上記フィルム形成ポリマーは、−40℃〜70℃のガラス転移温度(Tg)を有する、条項1、2、または3に記載の組成物。
【0306】
条項9.組成物が、少なくとも100回の凍結融解サイクル、典型的には少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルに対して80パーセント超の相対動的弾性率のASTM C666/C666M−15に従った凍結融解耐久性能を有する、条項1、2、または3に記載の組成物。
【0307】
条項10.
アルミン酸塩セメントおよび硫酸カルシウムが存在せず、
セメント質反応性粉末が、
−100重量部の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および0.50〜40重量部のアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、
−好ましくは、100重量部の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および1〜30重量部のアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物を有し、
−より好ましくは、100重量部の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および2〜20重量部のアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物を有する、条項1または3に記載の組成物。
【0308】
条項11.
セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、0〜5重量部の細骨材、
セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、0〜5.5重量部の粗骨材、
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり25〜40重量部の上記アルミン酸塩セメントであって、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントを含み、アルミン酸カルシウムセメントの量が、総スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメント100重量部あたり約30〜約45重量部(pbw)であり、組成物には、ポルトランドセメントが存在しない、アルミン酸塩セメント、
空気連行剤、
消泡剤、
ポリカルボン酸ポリエーテルを含む高流動化剤、
再分散性フィルム形成ポリマーを含む表面活性ポリマー、
セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、0超〜最大5重量部の細骨材、
セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、0〜5.5重量部の粗骨材、
アルカリ金属塩化学的活性剤は、クエン酸カリウムを含み、
約4%〜12体積%の空気含有量、を含み、
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物が、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、条項1、2、または3に記載の組成物。
【0309】
条項12.
アルミン酸塩セメントおよび硫酸カルシウムが存在し、
セメント質反応性粉末が、
−100重量部の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、1〜100重量部のアルミン酸塩セメント、2〜100重量部の硫酸カルシウム、および0.50〜40重量部のアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物を有し、
−好ましくは、100重量部の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、2.5〜80重量部のアルミン酸塩セメント、5〜75重量部の硫酸カルシウム、および1〜30重量部のアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物を有し、
−100重量部の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、5〜60重量部のアルミン酸塩セメント、10〜50重量部の硫酸カルシウム、および2〜20重量部のアルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物を有する、条項1、2、または3に記載の組成物。
【0310】
条項13.条項1〜12のいずれか一項に記載のジオポリマー組成物を作製するための方法であって、
スラリーを、
水と、
セメント質反応性粉末であって、
−100重量部の量の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物であって、好ましくは、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、および
−アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物であって、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり0.50〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20重量部の量である、アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物、
−任意選択で、少なくとも1つのアルミン酸塩セメント、ならびに
−任意選択で、少なくとも1つの硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性粉末と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、1〜6、好ましくは1.25〜4、より好ましくは1.5〜2.5重量%の量のアルカリ金属化学的活性剤であって、アルカリ金属化学的活性剤が、アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩基からなる群の少なくとも1つから選択され、クエン酸カリウムが、好ましいアルカリ金属塩化学的活性剤である、アルカリ金属化学的活性剤と、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.05〜21.5、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.1〜5重量%の量の凍結融解耐久性構成成分であって、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜1、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.2重量%の量の空気連行剤、
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜0.5、好ましくは0〜0.25、より好ましくは0.01〜0.1重量%の量の消泡剤、および
−セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5重量%の量の表面活性有機ポリマー、を含む、凍結融解耐久性構成成分と、を混合することによって調整するステップであって、
空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つが存在し、
スラリーが、約3体積%〜20体積%、より好ましくは約4体積%〜12体積%、および最も好ましくは約4体積%〜8体積%の空気含有量を有し、
上記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、上記任意選択のアルミン酸塩セメント、上記任意選択の硫酸カルシウム、および上記アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物が、セメント質反応性粉末の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%であり、
スラリーの水/セメント質反応性粉末の重量比が、0.14〜0.55:1、例えば0.14〜0.45:1、好ましくは0.16〜0.50:1、例えば0.16〜0.35:1、およびより好ましくは0.18〜0.45:1、例えば0.18〜0.25:1である、ステップと、
スラリーを凝結させて、凝結組成物を形成するステップと、を含む、方法。
【0311】
条項14.セメント質反応性粉末が、
−熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の100重量部あたり1〜100、好ましくは2.5〜80、より好ましくは5〜60、最も好ましくは25〜40重量部(pbw)の量のアルミン酸塩セメントであって、好ましくは、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントからなる群の少なくとも1つから選択される、アルミン酸塩セメント、ならびに
アルミン酸塩セメント100重量部あたり2〜100、好ましくは5〜75、より好ましくは10〜50重量部の量の硫酸カルシウムであって、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウムからなる群の少なくとも1つから選択される、硫酸カルシウムをさらに含む、条項13に記載の方法。
【0312】
条項15.アルカリ土類金属酸化物を含む無機鉱物が、酸化カルシウムもしくは酸化マグネシウム、または酸化カルシウムと酸化マグネシウムとの組み合わせを含み、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物が、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、条項13または14に記載の方法。
【0313】
条項16.
混合物が、約0〜約122°F(0〜50℃)の初期温度で混合され、
混合物が、空気連行剤および表面活性有機ポリマーからなる群の少なくとも1つを含有する、条項13、14、または15に記載の方法。
【0314】
条項17.スラリーが、形成されたスラリーを混合することによって曝気されて、RPM>100の速度で1.5〜8分間高剪断ミキサー内で空気をスラリーの中に直接連行する、条項13、14、または15に記載の方法。
【0315】
条項18.スラリーが、形成されたスラリーを混合することによって曝気されて、RPM>100の速度で2〜12分間低剪断ミキサー内で空気をスラリーの中に直接連行する、条項13、14、または15に記載の方法。
【0316】
条項19.スラリーがレオロジー調節剤、脱泡剤、空気連行剤、および表面活性有機ポリマーを含み、スラリーには、ポルトランドセメントが存在しない、条項13〜18のいずれか一項に記載の方法。
【0317】
条項20.スラリーが、
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり25〜40重量部の上記アルミン酸塩セメントであって、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントを含み、アルミン酸カルシウムセメントの量が、総スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメント100重量部あたり約30〜約45重量部(pbw)であり、組成物には、ポルトランドセメントが存在しない、アルミン酸塩セメント、
空気連行剤、
消泡剤、
ポリカルボン酸ポリエーテルを含む高流動化剤、
再分散性フィルム形成ポリマーを含む表面活性ポリマー、
セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、0超〜最大5重量部の細骨材、
セメント質反応性粉末の総重量1部あたり、0〜5.5重量部の粗骨材、
アルカリ金属塩化学的活性剤は、クエン酸カリウムを含み、
約4〜12体積%の空気含有量、を含み、
熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物が、少なくとも75%のC級フライアッシュを含む、条項14または15に記載の方法。
【0318】
条項21.スラリーが、
クエン酸カリウムを含むアルカリ金属塩化学的活性剤、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.03〜0.1重量%に等しい量の空気連行剤であって、木質樹脂、ヴィンソル樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン、またはそれらの塩のうちの1つ以上を含む、空気連行剤、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、0.02〜0.1重量%に等しい量の消泡剤、
セメント質反応性粉末の総重量に基づいて、3〜10重量%に等しい量の再分散性フィルム形成ポリマーであって、アクリレートポリマーまたはアクリレートコポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー、スチレンブタジエンゴム、およびスチレン−アクリルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つを含む、上記再分散性フィルム形成ポリマー、
セメント質反応性粉末の総重量1部あたり1〜8重量部の総細骨材および粗骨材であって、セメント質反応性粉末の総重量1部あたり0超〜最大3.5重量部の細骨材、およびセメント質反応性粉末の総重量1部あたり0〜4.5重量部の粗骨材がある、総細骨材および粗骨材、を含み、
空気含有量が、約4体積%〜8体積%であり、
混合が、25RPM以下の混合速度で4〜8分の混合時間で発生し、
水/セメント質反応性粉末の重量比が、0.18〜0.45:1であり、
前記組成物が、300回の凍結融解サイクルに対して、85%超のASTM C666/C666M−15に従って測定された耐久性係数(DF)を有する、条項13、14、または15に記載の方法。
【0319】
条項22.凝結組成物が、少なくとも300回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも600回の凍結融解サイクル、より好ましくは少なくとも900回の凍結融解サイクル、最も好ましくは少なくとも1200回の凍結融解サイクルに対して80パーセント超の相対動的弾性率のASTM C666/C666M−15に従った凍結融解耐久性能を有する、条項13、14、または15に記載の方法。
【0320】
条項23.舗装を修復するための方法であって、条項1、2、または3に記載の組成物の水性部分で舗装の亀裂または舗装の窪みを充填することであって、充填された前記部分が少なくとも1インチの厚さを有し、組成物が、細骨材および水を含む、充填することと、亀裂または窪み内の部分を凝結して、凝結組成物を形成することと、を含む、方法。
【0321】
条項24.アルカリ土類金属を含む無機鉱物が、50重量%超、好ましくは60重量%超、より好ましくは70重量%超、および最も好ましくは80重量%超、例えば90重量%超のアルカリ土類金属酸化物含有量を有する、条項1〜12のいずれか一項に記載の組成物および条項13〜23のいずれか一項に記載の方法。
【0322】
本開示を目的とする当業者には、その範囲から逸脱することなく、本発明に修正および追加を行うことができることを理解されたい。