特表2021-533067(P2021-533067A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-533067植物および土壌に適用するための液体肥料組成物、ならびにその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533067(P2021-533067A)
(43)【公表日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】植物および土壌に適用するための液体肥料組成物、ならびにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C05F 3/00 20060101AFI20211105BHJP
【FI】
   C05F3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2021-505867(P2021-505867)
(86)(22)【出願日】2019年7月30日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月26日
(86)【国際出願番号】US2019044200
(87)【国際公開番号】WO2020028403
(87)【国際公開日】20200206
(31)【優先権主張番号】62/713,325
(32)【優先日】2018年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521042585
【氏名又は名称】エンバイロキュア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Envirokure, Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】スシル・ケイ・バラ
(72)【発明者】
【氏名】デボン・ケイ・フーパー
【テーマコード(参考)】
4H061
【Fターム(参考)】
4H061AA01
4H061AA02
4H061CC36
4H061GG13
4H061GG18
4H061GG19
4H061GG29
4H061GG41
4H061GG49
4H061GG54
4H061HH08
4H061LL02
4H061LL05
4H061LL22
(57)【要約】
動物の糞尿から、液体生物肥料および固体生物刺激剤のような、植物および土壌用の組成物を製造するための方法が開示されている。この方法には、純粋な酸素または酸素富化空気の動物糞尿の液体画分への送達が含まれ、さらに前記液体画分を自己熱性好熱性好気性生物反応に付すことも含まれる。従来の農業における合成肥料の有効性を高めるための、および/またはこれらの方法によって製造される有機農業で使用するための栄養組成物も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の排泄物から有機肥料製品を製造する方法であって、
(a)動物の排泄物のpHを約5から約8に調整して、安定した動物の排泄物組成物を生成することと、
(b)動物の排泄物組成物の水分含有量を少なくとも約75wt%に調整して水性スラリーを生成することと、
(c)水性スラリーの実質的に固体の成分と実質的に液体の成分とを分離することと、
(d)実質的に液体の成分を、以下
(i)純粋な酸素または酸素富化空気を実質的に液体の成分に送達して、好熱性細菌の第1期間の増殖に適した好気性条件下で実質的に液体の成分を維持すること、および
(ii)実質的に液体の成分を好熱性細菌の増殖に適した温度で第2期間維持すること
を含む自己熱性好熱性好気性生物反応に付すことと
を含んで成り、
前記安定化された動物の排泄物組成物、前記水性スラリー、および前記実質的に液体の成分は、プロセス全体を通して約5から約8のpHに維持される、方法。
【請求項2】
(e)実質的に固体の成分を乾燥させて、前記実質的に固体の成分の水分含有量を約15%未満に調整して、乾燥した固体生成物を生成すること
をさらに含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1期間および前記第2期間は実質的に同時に発生する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記安定化された動物の排泄物組成物、前記水性スラリー、または前記安定化された動物の排泄物組成物および前記水性スラリーの両方を混合または細断すること
をさらに含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
純粋な酸素または酸素富化空気を前記水性スラリーに第3期間送達して、前記水性スラリー中の嫌気性化合物の濃度を低減すること
をさらに含んで成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水性スラリーは、少なくとも約1ppmの残留溶存酸素濃度を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記残留溶存酸素濃度は少なくとも約2ppmである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記嫌気性化合物が硫化水素を含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
前記純粋な酸素または酸素富化空気は、約1ミクロンから約3ミクロンまでの範囲の細孔グレードを有する1または複数のスパージャーを介した注入によって送達される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記純粋な酸素または酸素富化空気は、1,000ガロン当たり約0.5CFMから約1.5CFMまでの速度で前記実質的に液体の成分に注入される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記純粋な酸素または酸素富化空気は、10,000ガロン当たり約0.25CFMから約1.5CFMまでの速度で前記水性スラリーに注入される、請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)は、前記動物の排泄物組成物の前記水分含有量を約80重量%から約92重量%までの間に調整して、水性スラリーを生成することを含んで成る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記動物の排泄物は家畜糞尿を含んで成る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記家畜糞尿は鶏糞である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記動物の排泄物のpHは、酸を加えることによって調整される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記分離することの前に、前記水性スラリーを約50℃から約80℃までの間に加熱する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記自己熱性好熱性好気性生物反応は、前記実質的に液体の成分を少なくとも約45℃の温度に第2期間加熱することを含んで成る、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記自己熱性好熱性好気性生物反応における前記好気性条件は、約2mg/lから約6mg/lまでの間の溶存酸素レベルを含んで成る、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
安定化された動物の排泄物組成物、前記水性スラリーおよび前記実質的に液体の成分は、前記方法全体を通して約5.5から約7までの間のpHに維持される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第3期間は少なくとも約15分である、請求項5〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第3期間は少なくとも約1時間である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1期間および前記第2期間は、少なくとも約1日である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1期間および前記第2期間は、少なくとも約3日である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(d)の前に、前記実質的に液体の成分を最初の自己熱性好気性中温性反応に付すことをさらに含んで成り、
前記自己熱性好気性中温性反応は、
(i)純粋な酸素または酸素富化空気を前記実質的に液体の成分へ送達して、中温性細菌の増殖に適した好気性条件下で前記実質的に液体の成分を維持すること、ならびに
(ii)中温性細菌の増殖に適した温度で前記実質的に液体の成分を維持すること
を含んで成り、
前記最初の自己熱性好気性中温性反応は、少なくとも約1時間維持される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記最初の自己熱性好気性中温性反応は約1〜3日間維持される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
植物および土壌に適用するための液体肥料組成物であって、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法によって製造される液体肥料組成物。
【請求項27】
少なくとも1種の添加物を含んで成る、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
前記添加物は、多量栄養素または微量栄養素である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
植物が成長している、または成長するであろう土壌または培地に適用するために処方された、請求項26〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
種子または植物の部分に適用するために処方された、請求項26〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
有機プログラムでの使用に適した、請求項26〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、従来の農業で使用するための合成肥料または化学肥料と混合される、請求項26〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、従来の農業で使用するための化学農薬および/または化学除草剤と混合される、請求項26〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
動物の排泄物から栄養組成物を製造するための方法であって、
(a)前記動物の排泄物のpHを約7.5未満に調整して、安定した動物の排泄物組成物を生成すること、
(b)前記安定化された動物の排泄物の水分含有量を少なくとも約80wt%に調整して、水性動物の排泄物組成物を生成すること、
(c)前記水性動物の排泄物組成物の固体成分と液体成分を分離すること、ならびに
(d)前記分離された液体成分を、第1の所定の期間、自己熱性好熱性好気性生物反応(ATAB)に付すこと
を含んで成り、
前記第1の所定の期間において、
(i)前記分離された液体成分の前記ATABは、純粋な酸素または酸素富化空気の送達システムを含んで成る1または複数の生物反応器で起こり、
(ii)前記送達システムは、前記純粋な酸素または酸素富化空気を前記分離された液体成分に注入して、前記分離された液体成分を好熱性細菌の増殖に適した好気性条件下で維持し、
(iii)前記生物反応器内の前記分離された液体成分の前記温度は、約45℃から約75℃までの間の温度に維持され、
前記安定化された動物の排泄物組成物、前記水性動物の排泄物組成物、および前記分離された液体成分は、前記方法全体を通して約7.5未満のpHに維持される、方法。
【請求項35】
前記送達システムが、約1ミクロンから約3ミクロンまでの範囲の細孔グレードを有する1または複数のスパージャーを含んで成る、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記純粋な酸素または酸素富化空気が、1000ガロン当たり約0.5CFMから約1.5CFMまでの速度で前記分離された液体成分に注入される、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の所定の期間は、少なくとも約1日である、請求項34〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の所定の期間は、少なくとも約3日である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
純粋な酸素または酸素富化空気を前記水性動物の排泄物組成物に第2の所定の期間送達することをさらに含んで成る、請求項34〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の所定の期間は少なくとも約15分であり、純粋な酸素または酸素富化空気の前記送達は、10,000ガロン当たり約0.25CFMから約1.5CFMまでの速度である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記生物反応器内の前記分離された液体成分の温度が、前記所定の期間、少なくとも約60℃の温度に維持される、請求項34〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記生物反応器が、前記第1の所定の期間約1フィート未満である泡のレベルを含む、請求項34〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(d)の前に、前記実質的に液体の成分を最初の自己熱性好気性中温性反応に付すことを、さらに含んで成り、
前記自己熱性好気性中温性反応は、
(i)前記実質的に液体の成分へ純粋な酸素または酸素富化空気を送達して、中温性細菌の増殖に適した好気性条件下で前記実質的に液体の成分を維持すること、ならびに
(ii)中温性細菌の前記増殖に適した温度で前記実質的に液体の成分を維持すること
を含んで成り、
前記最初の自己熱性好気性中温性反応は、少なくとも約1時間維持される、請求項34〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記最初の自己熱性好気性中温性反応が約1日から3日の間維持される、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、植物の成長および健康な土壌構造を促進するのに有用な肥料および組成物に関する。特に、そのような肥料および組成物を製造するための方法が開示されている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
作物投入製品の2つの主要なカテゴリーは、肥料と農薬である。肥料は通常、植物の成長に不可欠な1または複数の栄養素を供給するために添加される天然または合成由来の有機または無機材料として説明される。肥料は、様々な比率で、植物の成長に必要な、または有益な主要栄養素、二次栄養素、および微量栄養素を提供する。
【0003】
前世紀の間、農業では合成肥料と農薬が広く使用されてきた。現在、合成肥料の使用は土壌の物理的品質に悪影響を及ぼし、植物の生産性をサポートする能力を低下させることがよく認識されている。さらに、これらの化学物質が環境と人間に及ぼす悪影響が認識されている(参照:例えば、Weisenberger, D.D., 1993, "Human Health Effects of Agrichemical Use", Hum. Pathol. 24(6):571-576)。さらに、多くの研究は、土壌炭素が減少するにつれて、収量を維持するために化学肥料の大幅な増加が必要である一方で、種子の可能性の推定67%を未実現のままにすることを示している(参照:例えば、Mulvaney RL, et al., 2009, J. Environ. Qual. 38(6):2295-2314; Tollenaar, M., 1985, Proceedings of the Conference on Physiology, Biochemistry and Chemistry Associated with Maximum Yield Corn, Foundation for Agronomic Research and Potash and Phosphate Institute. St. Louis, MO, 11-12; NASS Crop Production 2017 Summary(USDA 2018))。したがって、土壌生態学に対する合成肥料および農薬のしばしば有害な影響の認識は、肥料、土壌刺激剤、および天然および/または生物学的起源の農薬の使用を含む、持続可能な再生作物生産への関心を拡大するための推進力を提供した。したがって、農業と作物保護の改善の必要性は、有機農業部門と従来の農業部門の両方で明らかであり、従来の合成肥料を置き換えるかもしくは補足するか、または従来の化学除草剤/農薬と組み合わせて使用して、土壌の完全性を維持しながら作物収量を最大化することができる、生物学的処理の必要性を明らかにしている。
【0004】
合成肥料の代替として農業産業での使用が検討されている材料の1つのクラスは、生物刺激剤、生物肥料、生物農薬などの農業生物製剤である。バイオ肥料と生物刺激剤は、窒素固定、リンの可溶化、成長促進物質の合成による植物の成長刺激の自然なプロセスを通じて、植物や土壌に栄養素を追加するために農業業界で使用されている。バイオ肥料は、化学肥料や農薬の使用を減らすことが期待でき、従来の農業では、農薬と組み合わせて使用して、例えば、植物自体への化学物質によるストレスを減らすことができる。バイオ肥料に含まれる微生物は、土壌の自然な栄養循環を回復し、土壌有機物を生成する。バイオ肥料を使用することで、土壌の持続可能性と健康を高めながら、健康な植物を育てることができる。さらに、植物成長促進根圏細菌(PGPR)と呼ばれる特定の微生物は、微生物とその副産物を介して有機栄養素を供給することにより、土壌肥沃度を高め、植物栄養素の要件を満たすのに非常に有利である。したがって、バイオ肥料には、生きている土壌に有害な化学物質は含まれていない。
【0005】
PGPRは、土壌と根圏に利益をもたらすことに加えて、直接的または間接的に植物に影響を与える可能性がある。例えば、それらは植物に栄養素とホルモンを供給することによって植物の成長を直接増加させることができる。植物の成長を促進することがわかっている細菌の例には、バチルス、ウレイバチルス、ジオバチルス、ブレビバチルス、パエニバチルスなどの属の好熱性メンバーを含む特定の中温菌および好熱菌が含まれる。植物の成長に有益であると報告されている中温菌には、バチルス属、セラチア属、アゾトバクター属、リシニバチルス属、およびシュードモナス属に属するものが含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Weisenberger, D.D., 1993, "Human Health Effects of Agrichemical Use", Hum. Pathol. 24(6):571-576
【非特許文献2】Mulvaney RL, et al., 2009, J.Environ.Qual. 38(6):2295-2314
【非特許文献3】Tollenaar,M.,1985,Proceedings of the Conference on Physiology, Biochemistry and Chemistry Associated with Maximum Yield Corn, Foundation for Agronomic Research and Potash and Phosphate Institute. St. Louis, MO, 11-12
【非特許文献4】NASS Crop Production 2017 Summary(USDA 2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PGPRは、微生物の拮抗作用によって病原菌の数を制御することもできる。これは、病原菌と栄養素を奪い合い、抗生物質を生成し、抗真菌性代謝物を生成することによって達成される。拮抗作用に加えて、特定の細菌と植物の相互作用は、植物が病原性細菌、真菌、ウイルスから身を守るメカニズムを誘発する可能性がある。1つのメカニズムは全身獲得抵抗性(ISR)として知られ、別のメカニズムは全身獲得抵抗性(SAR)として知られている(参照:例えば、Vallad, G. E. & R. M. Goodman, 2004, CropSci. 44 :1920-1934)。誘導細菌は根の反応を引き起こし、植物全体に広がるシグナルを生成し、植物の細胞壁の強化、抗菌性ファイトアレキシンの生成、病原体関連タンパク質の合成などの防御メカニズムの活性化をもたらす。ISRまたはSARを活性化できる細菌の成分または代謝物には、リポ多糖(LPS)、べん毛、サリチル酸、およびシデロホアが含まれる。したがって、栄養素とPGPRが豊富なバイオ肥料の必要性が残っている。
【0008】
バイオ肥料は、PGPRを含むことに加えて、他の種類の細菌、藻類、真菌、またはこれらの微生物の組み合わせ、窒素固定微生物(例えば、アゾトバクター、クロストリジウム、アナベナ、ノストック、リゾビウム、アナベナアゾラエ、およびアゾスピリラム)、リンを含み得る可溶化細菌および真菌(例えば、枯草菌、シュードモナス・ストリアタ(Psuedomonas striata)、ぺニシリウム(Penicillium)属、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori))、リン動員真菌(例えば、グロムス(Glomus)属、スクテロスポラ(Scutellospora)属、ラッカリア(Laccaria)属、ピソリトゥス(Pisolithus)属、ボウリータス(Boletus)属、アマナイタ(Amanita)属、およびペジゼラ・エリカエ(Pezizella ericae))、およびケイ酸塩および亜鉛可溶化剤(例えば、バチルス属)を含み得る。ただし、バイオ肥料は、従来の化学肥料と比較して、植物栄養素の利用可能性を高め、土壌の維持に貢献する可能性があるが、微生物汚染やその他の汚染物質がなく、有益な微生物の適切な集団で強化されたバイオ肥料を生産する費用対効果の高い方法を見つける。既存の適用方法で使用することができ、技術は業界で比較的満たされていないニーズのままである。
【0009】
バイオ肥料および生物刺激剤組成物の1つの特定の供給源は、動物の排泄物(または廃棄物;waste)である。確かに、動物の糞尿、特に栄養素と微生物が豊富な家禽の糞尿は、バイオ肥料としての適合性に関して広範な研究の対象となっている。家禽糞尿は、植物の成長に必要なすべてのマクロ栄養素とミクロ栄養素、および根圏細菌を促進する特定の植物成長を費用効果的に提供できることが、学術研究と農場での試験を通じて十分に確立されている。ただし、これらの利点は、鶏糞に関連する植物および人間の病原体の排除に左右される。さらに、生の肥料(または生肥;raw manure)の使用による重大な懸念には、栄養素の流出と高土壌リンの浸出の可能性の増加、および人間の病原体の食品への伝播が含まれる。重要なことに、米国の生産者と農家は同様に、肥料ベースのバイオ肥料が、FDAによって公布された肥料ベースの投入物の無制限の使用に関する厳しい安全規制を満たしていることを確認する必要がある。例えば、21C.F.R.§112.51(2016)を参照されたい。
【0010】
農業に悪影響を与えるもう1つの問題は、雑草の種子による畑の汚染である。さらに、肥料ベースの施用、特に生の糞尿施用は、未消化の雑草種子が動物の排泄物に存在する可能性があるため、実際には雑草種子の汚染に寄与する可能性がある(Katovich J. et al.,“Weed Seed Survival in Livestock Systems”,U. Minn. Extension Servs. & U. Wis. Extension, https://www.extension.umn.edu/agricultureで入手可能)。雑草の種子が汚染されると、作物の収穫量が減少することが多く、化学除草剤の使用を増やす必要がある。これは、植物と人間の両方の健康に悪影響を与える可能性がある。雑草の種子の汚染は、合成除草剤の適用が許可されていない有機農業業界では特に問題であり、農家は雑草の成長を制御するために機械式耕運機に頼らざるを得ない。堆肥化は、流出と土壌侵食の総量、および病原体と雑草の種子汚染の可能性を減らすことが示されているため、多くの州では、現場での施用前に家禽糞尿を堆肥化する必要があり、堆肥化プロセスが進歩している。
【0011】
堆肥化は、有機物の生物学的分解と安定化として説明することができる。このプロセスは、微生物の活動を介して熱を生成し、病原菌や雑草の種子を実質的に含まない、安定した最終製品を生成する。製品が安定すると、プロセスが完了すると想定して、臭いが減少し、病原菌が排除される。ほとんどの堆肥化は固相で行われる。
【0012】
堆肥化の利点は次の通りである;(1)PGPRで土壌を豊かにする、(2)微生物やその他の病原菌を減らし、雑草の種子を殺す、(3)土壌を調整し、それによって植物への栄養素の利用可能性を改善する、(4)流出と土壌侵食を潜在的に減らす、(5)揮発性窒素を安定化して大きなタンパク質粒子にし、損失を減らす、ならびに(6)土壌の保水力を高める。ただし、このプロセスには時間がかかり、労働集約的である。さらに、堆肥化には次のような重大な障害がないわけではない;(1)効率的な堆肥化のための大きな表面積の要件、(2)商業用の完全な堆肥化のために杭を「回転」させる重機の必要性、(3)一貫した適切な炭素対窒素比を維持することの難しさ、(4)均一な加熱の必要性、(5)かさばる最終製品の輸送、ならびに(6)製品とその用途の一貫性の欠如。さらに、養分は植える前に大量に適用されるため、養分が流出によって失われる可能性が非常に高くなる。一貫性のない分解と不完全な病原体破壊の大きな可能性もある。さらに、野外での施用における不均一な養分分布が懸念される。最後に、固形堆肥は水耕栽培や点滴灌漑には使用できない。
【0013】
この最後の欠点に関して、有機栽培者と従来の栽培者は同様に、液体肥料として堆肥浸出液(堆肥茶)を利用してきた。浸出液は、よく堆肥化された材料を水に浸し、液体浸出液から固体を分離することによって生成される。このような液体材料は点滴灌漑や葉面散布に利用できるが、その製造には時間と労力がかかり、液体製品には依然として病原菌が含まれている可能性があり、栄養素の含有量に一貫性がないという欠点がある。したがって、堆肥茶に存在する残留病原菌は、病原体の複製と汚染のリスクを示し、したがって、適用される厳格な連邦安全衛生規制の下で集会を通過しない可能性がある。
【0014】
一部の有機肥料には、魚ベースおよび植物タンパク質ベースの肥料が含まれる。魚の乳濁液製品は、通常、骨、うろこ、皮などの海水魚や死骸の全製品から製造される。魚はスラリーに粉砕され、次に加熱処理されて油と魚粉が除去される。処理後に残る液体は、フィッシュエマルジョンと呼ばれる。製品は、安定化と微生物の増殖を防ぐために酸性化されている。魚の加水分解物肥料は、通常、淡水魚から低温酵素消化プロセスによって製造される。魚の肥料は植物や土壌微生物に栄養を補給することができるが、農業機械を詰まらせる可能性のある高い酸性度と場合によっては油性組成のために、使用が困難である。植物タンパク質ベースの肥料は、通常、大豆などのタンパク質が豊富な植物材料の加水分解によって生産され、例えば、厳密にビーガン製品を生産する栽培者や庭師にとって魅力的な代替品である。ただし、調達のため、これらの製品は高価になる可能性がある。さらに、上記の肥料はどれも自然に生物学的ではない。有益な微生物をそれらに追加する必要がある。
【0015】
米国特許第9,688,584B2号および国際特許出願公開第2017/112605A1号に記載されているプロセスなど、望ましくない有機物質を分解する好気性微生物を利用することにより、栄養豊富な液体および固体バイオ肥料を家禽糞尿から製造することができる。しかしながら、家禽糞尿を処理してバイオ肥料を生産する既存の方法は、有機物の不完全な分解および生物反応器装置の過剰な発泡を含む多くの欠点に悩まされている。後者は、気流の重大な混乱とそれに続く有機物の不完全な分解を引き起こし、通常、液体肥料製品が噴霧器や他のフィールドアプリケーション機器を詰まらせ、それによって農業プログラムの運用を混乱させ、コストを増加させる。
【0016】
したがって、生物学的に誘導された製品を製造するためのより効率的なプロセスが依然として必要であり、それは、優れた植物栄養素および土壌調整を提供し、同時に安全で、使いやすく、費用効果が高い。このような製品は、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、硝酸尿素アンモニウムなど、現在使用されている合成製品の非常に有利な代替品を提供し、標準化と信頼性に対する生産者の要件を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の概要
本明細書に記載されているのは、植物および土壌に適用するための組成物を製造するためのプロセスである。特に、このプロセスでは、家畜糞尿などの動物の排泄物から作られた固体および液体の組成物が生成される。一態様では、本明細書で提供されるのは、動物の排泄物から有機肥料製品を製造するためのプロセスであり、安定した動物の排泄物組成物を生成するために動物の排泄物のpHを約5から約8に調整すること、動物の排泄物組成物の水分含有量を少なくとも約75重量%に調整して、水性スラリーを生成すること、水性スラリーの実質的に固体の成分と実質的に液体の成分を分離すること、ならびに実質的に液体の成分を、自己熱性好熱性好気性生物反応に付すことを含んで成る。さらに、自己熱性好熱性好気性生物反応は、純粋な酸素(または純酸素)または酸素富化空気(または酸素が豊富な空気;oxygen-enriched air)の実質的液体成分への送達(または供給;delivery)を含み、最初の期間の好熱性細菌の増殖に適した好気性条件下で実質的液体成分を維持する。そして、実質的に液体の成分を、好熱性細菌の増殖に適した温度で第2期間維持する。さらに、安定化された動物の排泄物組成物、水性スラリー、および実質的に液体の成分は、プロセス全体を通して約5から約8のpHに維持される。
【0018】
別の実施形態では、プロセスは、実質的に固体の成分を乾燥させて、実質的に固体の成分の水分含有量を約15%未満に調整して、乾燥した固体生成物を生成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1期間および第2期間は、実質的に同時に発生する。他の実施形態では、プロセスは、安定化された動物の排泄物組成物、水性スラリー、または安定化された動物の排泄物組成物と水性スラリーの両方を混合または細断することを含む。
【0019】
一実施形態では、プロセスは、水性スラリー中の嫌気性化合物の濃度を低減するために、純粋な酸素または酸素富化空気を水性スラリーに第3期間送達することを含む。別の実施形態では、水性スラリーは、少なくとも約1ppmの残留溶存酸素濃度を含む。特定の実施形態において、残留溶存酸素濃度は、少なくとも約2ppmである。さらに、嫌気性化合物は硫化水素を含み得る。いくつかの実施形態では、純粋な酸素または酸素富化空気は、約1ミクロンから約3ミクロンの範囲の細孔グレードを有する1つまたは複数のスパージャーを介した注入によって送達される。別の実施形態では、純粋な酸素または酸素富化空気が、1000ガロン当たり約0.5CFMから約1.5CFMの速度で実質的に液体の成分に注入される。さらに他の実施形態では、純粋な酸素または酸素富化空気が、10,000ガロン当たり約0.25CFMから約1.5CFMの速度で水性スラリーに注入される。
【0020】
様々な実施形態において、動物の排泄物は家畜糞尿を含む。例えば、家畜糞尿は鶏糞尿である可能性がある。さらに、いくつかの局面において、動物の排泄物のpHは、酸を加えることによって調整される。場合によっては、水性スラリーは、分離ステップの前に約50℃から約80℃との間で加熱される。他の実施形態では、自己熱性好熱性好気性生物反応は、実質的に液体の成分を少なくとも約45℃の温度に第2期間加熱することを含む。
【0021】
上記の実施形態のいずれかにおいて、自己熱性好熱性好気性生物反応における好気性条件は、約2mg/lから約6mg/lの間の溶存酸素レベルを有し得る。いくつかの実施形態では、安定化された動物の排泄物組成物、水性スラリー、および実質的に液体の成分は、プロセス全体を通して約5.5から約7までの間のpHに維持される。
【0022】
プロセスにおける1つの例示的な実施形態では、第3期間は少なくとも約15分である。他の実施形態では、第3期間は少なくとも約1時間である。上記のプロセスでは、場合によっては、第1期間と第2期間の両方が少なくとも約1日であり得る。さらに他の実施形態では、第1期間および第2期間の両方は、少なくとも約3日である。
【0023】
別の実施形態では、プロセスは、実質的に液体の成分を、(i)純粋な酸素または酸素富化空気の実質的に液体の成分への送達を含む最初の自己熱性好気性中温性反応に付すことを含む、自己熱性好気性好熱性反応の前の追加のステップを含む。中温性細菌の増殖に適した好気性条件下で実質的に液体の成分を維持すること。 (ii)実質的に液体の成分を中温性細菌の増殖に適した温度に維持する。この実施形態では、最初の自己熱性好気性中温性反応は、少なくとも約1時間維持される。他の実施形態では、最初の自己熱性好気性中温性反応は、約1から3日間維持される。
【0024】
本発明の別の態様では、本明細書で提供されるのは、植物および土壌に適用するための液体肥料組成物であり、液体肥料組成物は、上記のプロセスのいずれかによって生成される。いくつかの実施形態では、組成物は、多量栄養素または微量栄養素であり得る少なくとも1つの添加剤を含む。他の実施形態では、組成物は、植物が成長している、または成長するであろう土壌または培地に適用するために処方される。さらに他の実施形態では、組成物は、種子または植物の部分に適用するために処方される。さらに他では、それは有機的なプログラムでの使用に適している。いくつかの実施形態では、組成物は、従来の農業で使用するための合成または化学肥料と混合される。他の場合、組成物は、従来の農業で使用するために化学農薬および/または化学除草剤と混合される。
【0025】
本発明の別の態様は、動物の排泄物から栄養組成物を製造するためのプロセスを特徴とし、これは、(a)動物の排泄物のpHを約7.5未満に調整して安定な動物の排泄物組成物を生成するステップを含む。(b)安定化された動物の排泄物の水分含有量を少なくとも約80重量%に調整して、水性の動物の排泄物組成物を生成する。(c)水性動物の排泄物組成物の固体成分と液体成分を分離する。(d)分離された液体成分を、第1の所定の時間、自己熱性好熱性好気性生物反応(ATAB)に付す。この態様では、分離された液体成分のATABは、純粋な酸素または酸素が豊富な空気供給システムを含む1つまたは複数の生物反応器(またはバイオリアクタ)で発生する。さらに、送達システムは、純粋な酸素または酸素富化空気を分離された液体成分に注入して、分離された液体成分を好熱性細菌の増殖に適した好気性条件下に維持する。生物反応器内で分離された液体成分の温度は、約45℃から約75℃の間の温度に維持される。さらに、安定化された動物の排泄物組成物、水性動物の排泄物組成物、および分離された液体成分は、プロセス全体を通して約7.5未満のpHに維持される。
【0026】
一実施形態では、送達システムは、約1ミクロンから約3ミクロンの範囲の細孔グレードを有する1つまたは複数のスパージャーを含む。別の実施形態では、純粋な酸素または酸素富化空気が、1000ガロン当たり約0.5CFMから約1.5CFMの速度で分離された液体成分に注入される。さらに他の実施形態では、第1の所定の時間は少なくとも約1日である。さらに他では、最初の所定の時間は少なくとも約3日である。
【0027】
他の様々な実施形態では、プロセスは、第2の所定の期間、水性動物の排泄物組成物への純粋な酸素または酸素富化空気の送達を含む。これらの実施形態のいくつかのバージョンでは、第2の所定の時間は少なくとも約15分であり、純粋な酸素または酸素富化空気の送達は、10,000ガロン当たり約0.25CFMから約1.5CFMの速度である。
【0028】
他の実施形態では、生物反応器内の分離された液体成分の温度は、所定の期間、少なくとも約60℃の温度に維持される。さらに他では、生物反応器は、第1の所定の期間にわたって約1フィート未満であるレベルの泡を含む。
【0029】
別の実施形態では、プロセスは、実質的に液体の成分を最初の自己熱性好気性中温性反応に付すことを含む、自己熱性好気性好熱性反応の前に実行される追加のステップを含み、該反応は、(i)中温性細菌の増殖に適した好気性条件下で実質的に液体の成分を維持するための実質的に液体の成分への純粋な酸素または酸素富化空気の送達、ならびに(ii)実質的に液体の成分を中温性細菌の増殖に適した温度に維持することを含んで成る。この実施形態では、最初の自己熱性好気性中温性反応は、少なくとも約1時間維持される。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面、詳細な説明および例を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、栄養組成物製造方法の例示的な実施形態のブロック図である。
図2A図2Aは、大気(または周囲空気;ambient air)を送達する(または供給する;delivering)生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は、左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間(または期間)を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図2B図2Bは、大気を送達する生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は、左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図2C図2Cは、大気を送達する生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図2D図2Dは、大気を送達する生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角形は時間の経過に伴うORPを表す。
図2E図2Eは、大気を送達する生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図3A図3Aは、純粋な酸素送達システムを備えた生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図3B図3Bは、純粋な酸素送達システムを備えた生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図3C図3Cは、純粋な酸素送達システムを備えた生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度を示し、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図3D図3Dは、純粋な酸素送達システムを備えた生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度で、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図3E図3Eは、純粋な酸素供送達システムを備えた生物反応器内のATAB ORPを示すグラフである。y軸は左側に摂氏の温度で、右側にORPをミリボルトで示し、x軸は時間を時間で示す。円は時間の経過に伴う温度を表し、三角は時間の経過に伴うORPを表す。
図4図4は、濃縮酸素(または富化酸素;enriched oxygen)を補給(または供給;supplied)された生物反応器と大気のATAB動態(kinetics)とを比較したグラフである。y軸は華氏の温度を示し、x軸は時間を時間で示す。円は酸素富化のランを表し、「+」は大気のランを表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
本明細書に記載されているのは、植物および土壌用の組成物を製造するための改良された方法である。本開示の方法およびプロセスによって生成される組成物は、動物の糞尿(animal manure)および関連する排泄物(waste products)から生成される液体および固体の両方の生成物を出発物質として含む。さらに、本開示は、環境的に安全であり、かつ有機の、従来の、および再生の農業産業で使用するためのすべての精密農業応用システムにわたって完全に互換性がある、微生物および栄養素に富む生物刺激剤/バイオ肥料製品の製造方法を提供する。次に、本明細書に記載の方法によって生成される組成物は、化学肥料と比較して、栄養素の強化されたリサイクルおよび土壌炭素源の再生を可能にする生物肥料および生物刺激剤を含む。
【0033】
特定の実施形態では、出発物質は家畜糞尿を含む。本明細書に記載のプロセスは、動物の排泄物組成物(animal waste composition)から液体画分(liquid fraction)を分離し、その液体画分を、純粋な酸素または酸素富化空気を液体蒸気(または液体流;liquid stream)または成分に送達することで、自己熱性好熱性好気性生物反応(autothermal thermophilic aerobic bioreaction)(ATAB)に付する(または供する;subjecting)ことを含む。本発明者らは、大気酸素源を利用する従来の通気(または空気混和;aeration)または他の方法を純粋なまたは富化された酸素源で置き換えることにより、ATAB中の泡の生成が減少することを発見した。この追加の利点により、ATAB中の富化された酸素の利用が向上し、これにより蒸発が減少する。その結果、熱損失が減少し、動作温度範囲が拡大し、動作温度が高くなる。これにより、有機材料の分解が増加し、現場での使用中にスプレー装置を詰まらせたり塞いだりする可能性が低い安定性および貯蔵寿命が向上した液体肥料製品が得られる。さらに、分離前の最初の混合および安定化の間に純粋な酸素または酸素富化空気を動物の排泄物組成物に注入すると、微生物の嫌気性発酵から形成される非所望の化合物の形成が防止される。それは、通常、動物の排せつ物にみられる有毒で周期の原因となる硫化水を含む。本明細書での使用に適した例示的な動物の排泄物は、鳥の糞尿、特に家禽の糞尿である。
【0034】
鳥の糞尿は、植物が成長に必要とする、窒素、リン、および他の栄養素、ならびに強力な微生物群集を非常に多く含む傾向があり、したがって、本発明の実施形態での使用に適している。表1に、いくつかの異なる家禽種の糞尿に含まれる典型的な栄養素と微生物の含有量との比較を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
このように、家禽や家禽の糞尿は、農場などで保持される傾向があり、豊富で便利な調達が可能であるため、本製造方法での使用に特に適している可能性がある。特定の実施形態では、家禽糞尿は、ニワトリ(コーニッシュ鶏を含む)、七面鳥、アヒル、ガチョウ、およびホロホロチョウから選択される。
【0037】
好ましい実施形態では、本製造方法で使用される生糞尿は、鶏糞尿を含んで成る。養鶏場および他の養鶏場は、糞尿が動物の糞(animal feces)または糞(droppings)、寝床、羽などで構成される床飼育の鳥(例えば、七面鳥、ブロイラー、ブロイラー飼育者のめんどり)として家禽を飼育することができる。あるいは、養鶏場は、地面から持ち上げられ、糞尿がケージを通って落下した糞便(糞便と尿酸)から主として成るケージ卵層として家禽を飼育する場合がある。特定の態様では、鶏糞は、卵層鶏、ブロイラー鶏、およびブリーダー鶏からなる群より選択される。より特定の実施形態では、糞尿は卵層糞尿を含んで成る。
【0038】
鶏糞の典型的な組成を表2(総組成のパーセンテージまたはppmでの分析)に示す。水分含有量は、45%から70%までの水分で変化し得る。マクロ栄養素およびミクロ栄養素に加えて、肥料には、PGPRである可能性があり、病原性の特徴もある微生物の多様な集団が含まれている。製造方法は、病原性微生物を削減または排除し、PGPRを含む有益な微生物を培養するように設計されている。
【0039】
【表2】
【0040】
特定の実施形態では、選択された家畜糞尿は、総ケルダール窒素(TKN)を約17ポンド/トン(;lb/ton)から約71ポンド/トン(すなわち、約0.85重量%〜約3.55重量%)含んで成り、前記総ケルダール窒素は、有機窒素、アンモニア、およびアンモニウムの総量である。特定の態様では、肥料は、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、または71ポンド/トンTKNを含んで成る。
【0041】
本発明の組成物は、多様な微生物集団の増殖を促進し、それらの微生物の代謝産物を生成しながら、病原体を低減または排除する物理的(例えば、機械的、熱的)、化学的、および生物学的側面を組み合わせる方法によって動物の排泄物から生成され、以下に詳細に説明するように、微生物はすべて一緒に作用して植物と土壌の健康を促進する。これに関して、本発明者らは、方法の様々な段階で時間、温度、酸化還元電位値、および/またはpHを制御し、組成物の微生物的および生化学的なプロファイルを変更することができる。さらに、方法の様々な段階で純粋なまたは富化された酸素源を使用すると、過度の泡立ちの防止、有機材料のより完全な微生物媒介分解を可能にする酸素流の改善、臭気の原因となる汚染物質の排除、ならびに安定性および完成品の貯蔵寿命の向上などの追加の利点がある。
【0042】
理論に拘束されることを望まないが、組成物中の代謝産物は、植物代謝の前駆体ビルディングブロックとして作用し、調節機能および成長を増強することができると考えられている。一態様では、組成物中の細菌は、例えば、シデロホア(siderophores)、抗生物質、および酵素を含むことができるアレロケミカル(allelochemicals)を産生することができる。別の態様では、植物の二次代謝産物の合成のための前駆体分子は、フラボノイド、関連するフェノール化合物およびポリフェノール化合物、テルペノイド、窒素含有アルカロイド、および硫黄含有化合物を含み得る。
【0043】
本明細書で言及されるすべてのパーセンテージは、特に断りのない限り、重量パーセント(重量%)である。
【0044】
範囲を使用する場合は、範囲内のすべての値をリストして説明する必要がないように、省略形として使用される。範囲内の任意の値を、必要に応じて、上限値、下限値、または範囲の終点として選択できる。
【0045】
「約(about)」という用語は、その測定値を取得するために使用されるデバイスの典型的なエラー率に起因する、測定の数値の変動、例えば、温度、重量、パーセンテージ、長さ、濃度などを指す。一実施形態では、「約」という用語は、報告された数値の5%以内を意味する。
【0046】
本明細書で使用されるように、文脈が他のことを明確に指示しない限り、単語の単数形は複数形を含み、逆もまた同様である。したがって、参照(reference)「a」、「an」、および「the」は、一般に、それぞれの用語の複数形を含む。同様に、「含む(include)」、「含む(including)」、および「または(or)」という用語は、そのような構成が文脈から明確に禁止されていない限り、すべて包括的であると解釈されるべきである。同様に、「例(examples)」という用語は、特に用語のリストが後に続く場合、単に例示的(exemplary)かつ例示的(illustrative)なものであり、排他的または包括的であると見なされるべきではない。
【0047】
「含んで成る(comprising)」という用語は、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という用語に含まれる実施形態を含むことを意図している。同様に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語に含まれる実施形態を含むことを意図している。
【0048】
本明細書で使用される場合、「動物の排泄物(animal waste)」は、リター(litter)、寝床、または動物の糞尿が処分される他の環境を含む、動物の糞尿を含む任意の材料を指す。一態様では、「動物の排泄物」は、鳥または家禽の糞尿、より具体的には家禽の糞尿(例えば、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ)を含む。特に、「動物の排泄物」は、例えば、ブロイラーまたは層からの鶏糞を含む。他の態様では、「動物の排泄物」は、例えば、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、または本明細書に具体的に記載されていない他の動物などの他の動物からの排泄物を指すことができる。さらに別の態様では、「動物の排泄物」は、2つ以上のタイプの動物、例えば、2つ以上のタイプの家禽からの排泄物の混合物を指すことができる。
【0049】
「強化された有効性」、「改善された有効性」、または「増加した有効性」という用語は、本明細書では互換的に使用され、植物の健康、作物または種子の収量、栄養素の取り込みまたは効率、耐病性、土壌の完全性、ストレス(例えば、熱、干ばつ、毒素)に対する植物の応答、葉のカールに対する耐性などを改善する、生物刺激剤、合成肥料、化学農薬/除草剤、および他の化合物の強化された能力を指す。例えば、添加剤またはサプリメントを、その添加剤の非存在下での同等の生物刺激剤、合成肥料、またはその添加剤の非存在下での化学農薬/除草剤と比較して「改善された有効性」を与える、生物刺激剤、合成肥料、または化学農薬/除草剤に加えることができる。特に、本明細書に開示される方法によって生成される生物刺激剤は、合成肥料または除草剤/農薬と混合して、生物刺激剤の非存在下で合成肥料または除草剤/農薬で処理された同等の植物または根圏と比較して、植物の健康、作物または種子の収量、栄養素の取り込みまたは効率、耐病性、土壌の完全性、ストレス(例えば、熱、干ばつ、毒素)に対する植物の応答、葉のカールに対する耐性などの改善を与えることができる。前述の植物および土壌の形質は、そのような測定に適した任意の数の技術標準技術を使用して、当業者によって客観的に測定することができる。
【0050】
「家禽リター(poultry litter)」とは、家禽飼育施設で家禽が飼育される材料の床を指す。ごみは、おがくずや木の削りくずやチップ、家禽の糞尿、こぼれた食べ物、羽毛などのフィラー/寝具材料で構成できる。
【0051】
「肥料スラリー」とは、肥料と任意の液体、例えば尿および/または水との混合物を指す。したがって、一態様では、動物の糞尿と尿が接触したとき、または糞尿が外部源からの水と混合されたときに、糞尿スラリーを形成することができる。特定の水分および/または固形分は、スラリーという用語によって暗示されることを意図していない。
【0052】
「自己熱性好熱性好気性生物反応(autothermal thermophilic aerobic bioreaction)」または「ATAB」という用語は、本発明の液体栄養組成物を生成するために動物糞尿スラリーの実質的に液体成分がさらされる生物反応を説明するために本明細書で使用される。以下に説明するように、この用語は、動物の排泄物スラリーの分離された液体成分が、所定の期間、高温(少なくとも部分的に内因的に生成される)にさらされる発熱プロセスを指す。有機物は元の排泄物に存在する微生物によって消費され、微生物の活動中に放出される熱は好熱性の温度を維持する。
【0053】
この点に関して、「生物反応」は、生物学的反応、すなわち、生物またはそのような生物に由来する生化学的に活性な物質が関与する化学プロセスである。「自己熱性」とは、生体反応がそれ自体の熱を発生させることを意味する。本開示では、熱は外部源から加えられ得るが、プロセス自体は内部で熱を発生させる。「好熱性」は、好熱性微生物の生存、成長および/または活性に有利な反応を指す。本技術分野で知られているように、好熱性微生物は「熱を好む」ものであり、本明細書で詳細に説明するように、45℃〜80℃、より具体的には50℃〜70℃の増殖範囲を有する。「好気性」とは、好気性条件下、特に好気性微生物、すなわち、酸素を好む(通性)または必要とする(義務的な)微生物に有利な条件下で生物反応が行われることを意味する。
【0054】
「嫌気性」とは、条件が嫌気性微生物、すなわち通性嫌気性菌、好気性菌、または酸素の存在によって害を受ける微生物に有利であることを意味する。「嫌気性」化合物は、嫌気性呼吸(発酵)中に微生物によって生成される化合物である。
【0055】
本明細書で使用される「純粋な酸素」という用語は、少なくとも約96%の酸素であり、典型的には約96%から約98%までの範囲の酸素であるガスを指す。
【0056】
本明細書で使用される「酸素富化空気(または酸素が富化された空気;oxygen-enriched air)」という用語は、少なくとも約30%の酸素である空気またはガスを指す。
【0057】
「大気(または周囲空気;ambient air)」または「大気酸素(または大気中の酸素;atmospheric oxygen)」という用語は、本明細書では同じ意味で使用されることがあり、地球上に見られる自然な状態の空気を指す。「大気」または「大気酸素」は、約21%の酸素である空気を意味することを当業者によって容易に理解される。
【0058】
本明細書で使用される「内因性」という用語は、例えば、出発材料、すなわち動物の排泄物から、または製造プロセスの構成要素、すなわち分離された液体成分から、または製造プロセスの製品内、すなわち、本明細書に記載の栄養組成物内から生じる物質またはプロセスを指す。組成物は、内因性および外因性(すなわち、添加された)成分の両方を含み得る。その点に関して、「内因的に含む」という用語は、添加されたのではなく、組成物に対して内因性である成分を指す。
【0059】
「生物的防除剤」および「生物農薬」という用語は、本明細書では互換的に使用され、動物、植物、細菌、および特定の鉱物などの天然材料に由来する農薬を指す。例えば、カノーラオイルと重曹は殺虫剤として使用されており、生物農薬と見なされている。「生物農薬」には、生化学的農薬、微生物農薬、および植物に組み込まれた保護剤(PIP)が含まれる。「生化学的農薬」は、無毒なメカニズムで害虫を防除する天然に存在する物質である。「微生物農薬」とは、微生物(細菌、真菌、ウイルス、原生動物など)を有効成分として含む農薬のことである。例えば、いくつかの実施形態において、バチルス・チューリンゲンシス亜種および菌株は、「微生物農薬」として使用される。B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)は、使用される特定の亜種または株、および生成される特定のタンパク質に応じて、特定の種の昆虫の幼虫を標的とするタンパク質の混合物を生成する。「PIP」は、植物に添加された遺伝物質から植物が生成する農薬である。例えば、いくつかの実施形態において、B.チューリンゲンシス殺虫性タンパク質の遺伝子は、植物によってそのタンパク質に発現され得る植物ゲノムに導入される。
【0060】
本明細書で使用される場合、「生物刺激剤」は、少なくとも炭素ベースの植物食物源を含み、植物または根圏に適用されると、植物内の既存の自然の生物学的および化学的プロセスを刺激して増強する他の物質を含み得る。および/または養分吸収、養分効率、非生物的ストレス(例えば、干ばつ、熱、および塩分土壌)に対する耐性、および/または作物の品質に利益をもたらす。1または複数の一次栄養素(例えば、窒素、リン、および/またはカリウム)および少なくとも1つの生きている微生物を含む「生物刺激剤」もまた、生物肥料である。他の「生体刺激物質」には、植物成長調節剤、有機酸(例えば、フミン酸およびフルボ酸)、およびアミノ酸/酵素が含まれ得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、「バイオ肥料」という用語は、1または複数の一次栄養素(例えば、窒素、リン、および/またはカリウム)および生きている微生物を含み、種子、植物表面、または土壌に適用されると、コロニーを形成する物質を指す。根圏または植物構造であり、宿主植物への一次栄養素の利用可能性を高めることによって成長を促進する。「バイオ肥料」には、植物成長促進根圏細菌(PGPR)、堆肥/堆肥茶、および特定の真菌(菌根など)が含まれるが、これらに限定されない。植物の成長を促進することが見出されている細菌の例には、中温性細菌と好熱性細菌の両方が含まれる。植物の成長を促進することが示されている特定の好熱性細菌には、バチルス、ウレイバチルス、ジオバチルス、ブレビバチルス、パエニバチルスなどの属のメンバーが含まれ、これらはすべて家禽糞堆肥に蔓延していることが知られている。植物の成長に有益であると報告されている中温菌には、バチルス属、セラチア属、アゾトバクター属、リシニバチルス属、およびシュードモナス属に属するものが含まれている。
【0062】
「中温性」という用語は、本明細書では、典型的には約20℃から約45℃までの間の中程度の温度で最もよく成長する生物を指すために使用される。
【0063】
「有機肥料」という用語は、通常、少なくとも窒素、リン酸塩、およびカリ(または炭酸カリウム;potash)の最小パーセンテージを保証する、天然資源からの土壌改良剤を指す。例としては、植物や動物の副産物、岩石粉末、海藻、接種剤、コンディショナーなどがある。そのような肥料がNOPなどの有機プログラムで使用するための基準を満たしている場合、それらはそのようなプログラムで使用するために登録、承認、またはリストされていると見なすこともできる。
【0064】
「植物成長促進根圏細菌」および「PGPR」は、本明細書では互換的に使用され、植物の根にコロニーを形成し、植物の成長を促進する土壌細菌を指す。
【0065】
「植物成長調整剤」および「PGR」は、本明細書では互換的に使用され、植物における細胞間コミュニケーションのための化学伝達物質(すなわち、ホルモン)を指す。現在当技術分野で認識されている植物ホルモン(PGR)には、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸、およびエチレンの5つのグループがある。
【0066】
「有機農業」という用語は、本明細書では、最終製品(または最終生成物)、環境、または環境の両方に影響を与える可能性のある化学製品または合成製品を使用しない、環境または人間の健康への影響が少ない技術を適用することによって土壌および植物の健康を維持する生産システムを指すために使用される。
【0067】
「従来の農業」という用語は、本明細書では、合成肥料、農薬、除草剤、遺伝子組み換えなどの使用を含む生産システムを指すために使用される。
【0068】
「再生農業」という用語は、本明細書では、生物多様性を高め、土壌を豊かにし、流域を改善し、生態系サービスを強化する農業の原則と実践のシステムを指すために使用される。
【0069】
本明細書で使用される「根圏(rhizosphere)」という用語は、化学および微生物学がそれらの成長、呼吸、および栄養交換によって影響を受ける、植物の根の近くの土壌の領域を指す。
【0070】
本明細書で使用される「土壌改良剤」は、土壌の物理的、化学的または生物学的品質、特に植物に栄養を提供する能力を改善するために土壌に添加される物質である。土壌改良剤は、貧弱な土壌を改善したり、不適切な管理によって損傷した土壌を再建したりするために使用できる。このような改善には、土壌有機物の増加、土壌養分プロファイルの改善、および/または土壌微生物の多様性の増加が含まれる。
【0071】
特許、公開された出願、学術論文を含むさまざまな出版物が、明細書全体で引用されている。これらの刊行物のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
プロセス
製造プロセスは、以下のステップ(または工程)を含む:(1)出発材料(動物の排泄物、本明細書では「原料」とも呼ばれる)の調製、(2)調製された原料の実質的に固体の成分と実質的に液体の成分との分離、(3)実質的に固体の成分を乾燥させて、本発明の固体の栄養組成物の生成、(4)実質的に液体の成分を自己熱性好熱性好気性生物反応(ATAB)に付すこと、ならびに(5)生物反応液体製品を、ろ過、低温殺菌、および他の成分の添加による配合を含む1または複数のさらなる処理ステップに付すこと。層状鶏糞に適用される製造プロセスの例示的な実施形態を示す概略図を図1に示し、実施例1に記載する。糞尿が、例えばブロイラー鶏から家禽糞尿として供給されると、上記に要約されたプロセスの開始前に、寝床は除去される。
【0073】
上記のように、本明細書に開示される製造プロセスは、プロセスの様々なステップに、少なくとも約30%、例えば、少なくとも約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の酸素濃度を有する純粋な酸素または酸素富化空気を導入するための酸素補給(または供給)または送達システムを含み得る。適切な酸素補給システムは、混合タンク、生物反応器などに設置することができる。このような酸素補給システムは、大気酸素(または大気)を供給する典型的なノズルミキサーおよび通気システムの代わりに設置することができる。一般に、大気酸素は、約21%の酸素含有量を有する空気またはガスであり、これは、本プロセスで提供される酸素補給よりも著しく低い。純粋な酸素または酸素富化空気は、製造後のスラリー調製ステップ、ATABステップ、および/または液体肥料貯蔵タンクに導入することができる。さらに、必要に応じて、分離前の保管中に、純粋な酸素または酸素富化空気をスラリーに注入することができる。
【0074】
当業者が理解するように、ガスは、吸引器、ベンチュリポンプ、スパージャー、バブラー、炭酸化装置、パイプまたはチューブ、タンク/シリンダーなどの様々な送達装置を使用して液体に送達または注入することができる。特定の実施形態では、ガス送達装置はスパージャーである。本明細書に開示される酸素補給システムでの使用に適したスパージャーは、任意の当技術分野の標準的なプラスチック(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)または金属(ステンレス鋼、チタン、ニッケルなど)の多孔質構造からなり得る。加圧ガス(例えば、酸素)は、スパージャーの細孔のネットワークを通って、スラリーまたは液体画分などの水性混合物に押し込まれる可能性がある。本明細書での使用に適した細孔グレードは、約0.1ミクロンから約5ミクロンまでの範囲であり、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0ミクロン;好ましくは、約1から3ミクロンの間である。特定の実施形態では、スパージャーの細孔サイズは、約1.5ミクロンから約2.5ミクロンである。例えば、一実施形態では、酸素供給システムは、2ミクロンの焼結ステンレス鋼スパージャーを含む。
【0075】
準備段階では、最初に原料の水分含有量とpHを調整する。水分含有量は、液体を添加して、ある容器から別の容器に流れるのに十分な液体である水性スラリーを形成することによって、例えば、ホースまたはパイプを介してポンピングすることによって調整される。特定の実施形態において、水性スラリーは、少なくとも約80%の水分含有量を有する。より具体的には、スラリーは、少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、約99%の水分は上限の水分含有量を有する。特定の実施形態では、スラリーは、約80%から約95%までの間、さらにより具体的には約84%から約87%までの間、または約80%から約92%までの間の水分含有量を有する。
【0076】
調製中、原料材料および/またはスラリーのpHは、pH調整剤の添加によって中性または酸性に調整され、水分の調整の前または後にpHを調整できることが理解される。あるいは、pHと水分の調整を同時に行うこともできる。通常、スラリーは酸性化する必要がある。特定の実施形態では、原料/スラリーは、約4から約8の間、より具体的には約5から約8の間、さらにより具体的には約5.5から約7.5の間のpHに調整される。好ましい実施形態では、スラリーのpHは、約6.0、または約6.1、または約6.2、または約6.3、または約6.4、または約6.6、または約6.7、または約6.8、または約6.9の間である。または約7.0、または約7.1、または約7.2、または約7.3、または約7.4、または約7.5である。いくつかの実施形態では、スラリーは、約8未満、より好ましくは約7.5未満のpHに調整される。他の点では非酸性(すなわち、塩基性)の原料の酸性化は、糞尿中の天然アンモニアを非揮発性化合物、例えばクエン酸アンモニウムに安定化するために重要である。酸は通常、スラリーのpHを調整するために使用される。特定の実施形態において、酸は有機酸であるが、無機酸を使用するか、または有機酸と組み合わせることができる。適切な有機酸には、ホルミン酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)、酪酸(ブタン酸)、吉草酸(ペンタン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、シュウ酸(エタン二酸)、乳酸(2−ヒドロキシプロパン酸)、リンゴ酸(2−ヒドロキシブタン二酸)、クエン酸(2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸)、および安息香酸(ベンゼンカルボン酸)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、酸は、食品または飼料のpHを調整するために典型的に使用されるものである。好ましい酸はクエン酸である。
【0077】
酸素が枯渇した状態での微生物発酵中に生成される嫌気性化合物の生成を低減または防止することも望ましい場合がある。これらの望ましくない化合物の1つは硫化水素であり、これは肥料などの有機物の嫌気性微生物分解から生じる可能性がある。硫化水素は有毒で腐食性があり、腐った卵の特有の臭いで可燃性である。液体肥料製品の製造中に、有毒で臭気の原因となる硫化水素を大幅に削減または排除することが強く望まれている。臭気の原因となる硫化水素は、ガス状酸素によって酸化される可能性がある。この目的のために、スラリー調製はまた、嫌気性汚染物質の形成を防止し、嫌気性汚染物質を酸化するために、より好気性の環境を作り出すための酸素の送達を含み得る。
【0078】
スラリーまたは液体成分では、硫化水素は式1:
【化1】
で示されるイオン形態に解離する。硫化物イオンは、式2:
【化2】
に従って、酸素と自由に反応する。硫化水素酸化の反応率は約1.0である。例えば、硫化水素のppmごとに1mg/kg(ppm)の酸素が必要である。いくつかの実施形態では、スラリーまたは液体成分中の残留溶存酸素は、少なくとも約0.5ppm、例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、またはそれ以上のppmである。。好ましい実施形態では、スラリーまたは液体成分中の残留溶存酸素レベルは、少なくとも約1ppm、より好ましくは少なくとも約2ppmである。ただし、一般的なスラリー混合タンクは、微生物の嫌気性代謝によって形成される化合物の生成を減らすために、システムに大気酸素を供給する。大気酸素源は、硫化水素汚染物質を除去するのに不十分な酸素を提供する可能性がある。したがって、より効率的な酸素送達システムが望まれる。
【0079】
したがって、スラリー調製中に混合タンク内の硫化水素および他の汚染物質を酸化するために、調製ステップは、純粋または酸素富化空気をスラリーに注入するための酸素補給または送達システムを含み得、これは、大気酸素を供給する既存の曝気システムに、比較して酸素補給の実質的な増加を提供する。酸素供給または供給システムは、1または複数のスパージャー、ベンチュリポンプ、バブラー、カーボネーター、パイプなどの、スラリーに酸素を送達または注入するための任意の適切な手段を含み得る。特定の実施形態では、酸素補給または送達システムは、複数のスパージャーを含む。いくつかの実施形態では、酸素は、調製ステップの混合タンクに送達され、および/または10,000ガロンの材料、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0CFMの速度で約0.1CFMから約3CFMの速度でスラリーに直接注入される。好ましい実施形態では、送達速度は、材料10,000ガロン当たり約0.25CFMから約1.5CFMの間である。例えば、1つの特定の実施形態では、酸素は、調製ステップの混合タンクに送達され、および/または10,000ガロンの材料当たり約0.5CFMの速度でスラリーに直接注入される。したがって、本明細書に開示される酸素補給または送達システムは、残留溶存酸素含有量を増加させて、上記の所望の閾値を満たす。
【0080】
スラリー調製システムは、水性媒体中でpH4〜8、好ましくは5〜8で、高温で均質なスラリーを調製するように設計されている。この段階では、(1)スラリーの混合と流動性を促進するため、(2)病原菌および/または雑草の種子を殺すため、ならびに/または(3)原料に存在する好熱性および/もしくは中温性細菌の成長を促進するためなど、いくつかの目的で温度が上昇する。温度は、いくつか例を挙げると、混合タンクの伝導加熱、水分含有量を調整するための温水の使用、または蒸気の注入を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている任意の手段によって上昇させることができる。特定の実施形態では、スラリーは、少なくとも約60℃、または少なくとも約61℃、または少なくとも約62℃、または少なくとも約63℃、または少なくとも約64℃、または少なくとも約65℃、または少なくとも約66℃、または少なくとも約67℃、または少なくとも約68℃、または少なくとも約69℃、または少なくとも約70℃で加熱される。典型的には、温度は約80℃を超えない、またはより具体的には、それは約75℃未満、または約70℃未満である。特定の実施形態において、スラリーの温度は、約65℃と約75℃との間で維持される。
【0081】
pHされた水性スラリーは、肥料を微粒子に分解するのに十分な時間高温に維持され、さらなる処理のためにスラリーを完全に均質化し、病原菌と雑草の種子および/または天然の好熱性(および/または中温性)細菌を殺す。特定の実施形態では、スラリーは、高温で少なくとも約1時間から最大約4時間、例えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、または4時間保持される。典型的には、スラリーは、この段階の間にチョッピング、混合、および/または均質化にかけられる。特定の実施形態では、上で概説した準備ステップは、下流のプロセスステップが生の肥料で汚染される可能性を減らすために、プロセスの後続のステップから分離されている。
【0082】
例示的な実施形態では、スラリーシステムは、チョッパー/ホモジナイザー(例えば、マセレーターまたはチョッパーポンプ)を備えたタンク(例えば、鋼タンクまたはステンレス鋼タンク)、酸素供給システム、pHおよび温度制御、およびオフガス用のバイオフィルトレーションシステムからなる。
【0083】
例示的なプロセスは、タンクに水を充填し、それを65℃以上に加熱し、クエン酸でpHを8以下、好ましくは5〜8の範囲に下げることからなる。チョッパーポンプ、酸素供給システム(例えば、スパージャーを介して)、およびオフガス生物ろ過システムは、例えば、85〜90%の水分含有量を確保するために、原料を導入する前にオンにされる。これはバッチ操作であり、さまざまな面で、均一なスラリーを作成するのに1〜4時間かかる場合がある。この操作により、肥料の各粒子が65℃以上の温度に少なくとも1時間さらされ、実質的にすべての病原菌と雑草が殺される。さらに、純粋な酸素または酸素富化空気の注入は、嫌気性発酵によって生成される硫化水素などの有毒で臭気の原因となる汚染物質を低減または排除する。
【0084】
特定の実施形態では、上記のように調製された動物の排泄物スラリーは、例えば、プログレッシブキャビティポンプを使用して、ポンピングすることによってスラリータンクから移送される。プログレッシブキャビティポンプは、石、羽毛、木材チップなどの異物を含む可能性のあるスラリーを移動するのに特に適した装置である。トランスファラインは、スクリーンが垂直軸モードまたは水平クロスモードのいずれかで振動することができる振動スクリーンに向けることができる。選択した振動スクリーンには適切なサイズの穴があり、より大きな材料がスラリーの流れから確実に排除される。一実施形態では、スクリーンは、任意の寸法で約1/8インチより大きい材料を除外する。
【0085】
いくつかの実施形態において、スラリー流は、pHおよび温度制御および/または攪拌システムを備え得る貯蔵タンクに向けられる。特定の実施形態では、貯蔵タンクはまた、酸素補給システムを備えていてもよい。そのような実施形態では、スラリーは、スラリー10,000ガロン当たり約0.1CFMから約3CFMの速度で、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0スラリー10,000ガロン当たりのCFM、純粋な酸素または酸素富化空気を注入することによって好気性条件下に保たれる。好ましくは、純粋な酸素または酸素富化空気は、スラリー10,000ガロン当たり約0.25CFMから約1.5CFMで、より好ましくはスラリー10,000ガロン当たり約0.5CFMでスラリーに送達される。いくつかの実施形態では、酸素は、上記のものなどの複数のスパージャーを介して送達される。スラリーを好気性条件下に保つことにより、嫌気性化合物の形成が回避される。必要に応じて、オフガスはバイオろ過または他の処分手段にかけられる。貯蔵タンクを出るスラリー流は、プロセスの次のステップのために分離システム(例えば、遠心分離機またはベルトフィルタープレス)に送られる。
【0086】
分離ステップでは、貯蔵タンクからのスラリー流が固液分離システムにポンプで送られる。これには、機械的スクリーニングまたは浄化が含まれるが、これらに限定されない。このステップの目的は、後続のATABに適さないセルロース系およびヘミセルロース系材料などの固形物を減らすことである。原料に存在するリンとカルシウムのかなりの部分が、このステップで固形物と分離する傾向があることは注目に値する。適切な分離システムには、遠心分離、分別蒸留、ろ過(例えば、フィルタープレスを介して)、振動分離器、沈降(例えば、重力沈降)などが含まれる。いくつかの実施形態では、2段階の分離システム、例えば、遠心分離ステップとそれに続く振動スクリーン分離ステップを使用することができる。
【0087】
非限定的な例示的な実施形態では、この方法は、連続的な機械的分離を提供するデカンター遠心分離機を使用する。デカンター遠心分離機の動作原理は、重力分離に基づいている。デカンター遠心分離機は、連続回転を使用することで沈降速度を上げ、通常の重力の1000〜4000倍の重力を生成する。このような力を受けると、密度の高い固体粒子が回転するボウルの壁に向かって外側に押し付けられ、密度の低い液相が同心円状の内層を形成する。必要に応じて、さまざまなダムプレートを使用して液体の深さを変化させる。固形粒子によって形成された沈殿物は、ボウルとは異なる速度で回転するスクリューコンベヤーによって継続的に除去される。その結果、固形物は池から徐々に「耕され」、円錐形の「ビーチ」に上っていく。遠心力により固形物が圧縮され、余った液体が排出される。次に、圧縮された固形物がボウルから排出される。浄化された液相は、ボウルの反対側の端にあるダムプレートから溢れ出す。遠心分離ケーシング内のバッフルは、分離された相を正しい流路に導き、相互汚染のリスクを防ぐ。スクリューコンベアの速度は、固形物負荷の変動に合わせて調整するために、可変周波数ドライブ(VFD)を使用して自動的に調整できる。いくつかの実施形態では、ポリマーを分離ステップに加えて、分離効率を高め、より乾燥した固体生成物を生成することができる。適切なポリマーには、アニオン性、カチオン性、非イオン性、および双性イオンポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミドが含まれる。
【0088】
したがって、分離プロセスは、調製された動物の排泄物スラリーの実質的に固体の成分および実質的に液体の成分の形成をもたらす。「実質的に固体」という用語は、当業者には、ある量の液体を含む固体を意味すると理解されるであろう。特定の実施形態では、実質的に固体の成分は、例えば、約40%から約64%までの水分、しばしば約48%から約58%までの水分を含み得、本明細書では時々「固体」、「ケーキ」、または「ウェットケーキ」ともいう。同様に、「実質的に液体」という用語は、その中にある量または量の固体を有する液体を意味すると理解されるであろう。特定の実施形態では、実質的に液体の成分は、約2%から約15%までの固体(すなわち、約85%から約98%までの水分)、しばしば約4%から約7%までの固体を含み得、本明細書で時々「液体」、「液体成分」、または「濃縮物」(分離が遠心分離を利用する場合は後者)として言及される。原料の約30%は実質的に液体の成分に保持され、約70%はケーキに保持される。
【0089】
分離ステップからの固形物は、その後の材料の取り扱いおよび包装に適した水分含有量まで乾燥される。いくつかの実施形態において、分離ステップからの固体は、約220℃未満の温度で約5から15分までの間、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15分、1時間当たり約900kgから約2,700kgまで(ウェットベース)の固形物の割合で乾燥される。好ましくは、最高乾燥温度は、毎時約1500から約2000kgまでの固形分の速度で200℃から約220℃までである。他の実施形態では、固体は、約80℃から約230℃までの間の温度、例えば、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃、225℃、または230℃で乾燥される。適切な乾燥装置は当業者に知られており、例えば、流動床乾燥機、真空乾燥機、フラッシュ乾燥機、および回転式乾燥機が含まれる。例えば、1つの特定の実施形態では、流動床乾燥機を使用して、分離ステップから得られた固体成分を乾燥させることができる。特定の実施形態では、固体成分は、約20%未満の水分まで乾燥される。特定の実施形態では、固形物は、約19%未満、または約18%未満、または約17%未満、または約16%未満、または約15%未満、または約14%未満または約13%未満、または約12%未満、または約11%未満、または約10%未満の水分に乾燥される。好ましい実施形態では、固体成分は、12%未満の水分まで乾燥される。例えば、約30%〜約55%の水分含有量を有する固体成分は、水分含有量を約10%に低減するために、約3〜5分間の乾燥ステップに付すことができる。乾燥した固形物は、本明細書では「ドライケーキ」と呼ばれることもある。乾燥した固体は、植物の成長、ストレスへの耐性、栄養素の取り込みおよび効率などの向上に寄与するマイクロバイオームを強化するための生物刺激剤として使用することができる。
【0090】
特定の実施形態では、製造プロセスは、固形材料が農業または景観用途の散布機での使用に適した製品にされる造粒ステップを含む。そのような実施形態では、分離ステップからの固体成分は、ケージミル/フラッシュ乾燥機の組み合わせに供給され、約65℃から約220℃までの範囲の温度で乾燥される。好ましくは約200℃から約220℃までの間。固形物は、約0.5mm未満、例えば、約0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、0.15mm、0.1mm、0.05mm以下の一貫した細かさ、および以下の含水量に還元される。約25%の水分に相当する。好ましくは、固形物は、約20%以下の水分含有量で、約0.2mm未満の一貫した細かさに還元される。例えば、1つの特定の実施形態では、固形物は、ケージミル/フラッシュ乾燥機の組み合わせに供給されて、約0.177mm(約80メッシュ)未満の細かさを有する材料を生成する。次に、乾燥した固形物はピンミキサーに送られ、適切な結合剤(例えば、糖蜜)と混合される。いくつかの実施形態では、固体/結合剤混合物は、農業用途スプレッダーに適したペレットサイズにペレット化され、これは、約1mm〜約6mm、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、または6mmである。好ましくは、農業用途スプレッダーのペレットサイズは、約2mm〜約4mm(約5〜10メッシュ)である。他の実施形態では、固体/結合剤混合物は、ランドスケープ用途スプレッダー(すなわち、グリーングレード)に適したペレットサイズにペレット化され、これは、約0.1mmから約2mmまで、例えば、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、または2mmである。好ましくは、景観用途スプレッダーのグリーングレードのペレットサイズは、約0.6mmから約1.6mm(約12〜30メッシュ)である。ペレットは、最終乾燥のために別の乾燥機に送られ、そこでペレットは約15%未満の水分、例えば、15%、14%、13%、12%、11%、10%、またはそれ以下の水分まで乾燥される。好ましくは、ペレットは、この段階で約12%以下の水分含有量を有する。次に、乾燥したペレットを冷却し、サイズをスクリーニングする。
【0091】
特定の実施形態では、製造プロセスは、乾燥機を含むシステムの任意またはすべての段階からのオフガスおよび水蒸気が捕捉され、栄養豊富な液体形態に凝縮される閉ループシステムである。この液体は、以下に説明する液体製造プロセス、例えば、原料スラリー、生物反応器、または生物反応器を出るベース製品に再統合することができる。
【0092】
次のステップは、実質的に液体の成分を自己熱性好熱性好気性生物反応(ATAB)に付す(または供する;subjecting)ことを含む。ATABは、微細に懸濁された固体を含む分離された液体成分が、所定の時間、高温にさらされる発熱プロセスである。有機物は元の排泄物に存在する微生物によって消費され、微生物の活動中に放出される熱は中温性および/または好熱性の温度を維持し、それによってそれぞれ中温性および好熱性微生物の生産に有利に働く。自己熱性好熱性好気性生物反応は、マクロおよびミクロ栄養素とPGPRを含む生物学的に安定した製品を生成する。
【0093】
特定の実施形態では、高温条件は、約45℃から約80℃までの間である。より具体的には、高温条件は、少なくとも約46℃、または47℃、または48℃、または49℃、または50℃、または51℃、または52℃、または53℃である。または54℃、または55℃、または56℃、または57℃、または58℃、または59℃、または60℃、または61℃、または62℃、または63℃、または64℃、または65℃、または66℃、または67℃、または68℃、または69℃、または70℃、または71℃、または72℃、または73℃、または74℃、または75℃、または76℃、または77℃、または78℃、または79℃。特定の実施形態では、高温条件は、約45℃から約75℃までの間、より具体的には約45℃から約70℃までの間、より具体的には約50℃から約70℃までの間、より具体的には約50℃から約65℃までの間、特に約55℃から約60℃までの間である。
【0094】
一般に、ATABの温度は徐々に中温性相に上昇し、次に好熱性相に上昇する。当業者には、中温性相は中温性が最もよく成長する温度範囲(例えば、約20℃から約45℃まで)にあることが理解されている。温度が20℃を超えて約40℃に上昇すると、液体成分は中温性相に入り、それによって中温性物質が濃縮される。いくつかの実施形態では、中親和性相の温度は、約30℃から約40℃までの間であり、例えば、約30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、または40℃である。他の実施形態では、中温性相の温度は約35℃から約38℃までである。そのような実施形態では、液体成分は、1時間から数日までの間、例えば、少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、または5日の間、中温性相温度に維持される。好ましい実施形態では、液体成分は、約1から4日までの間、中温性相温度に維持され、より好ましくは、約1日から3日までの間維持される。例えば、1つの特定の実施形態では、液体成分は、中温性相温度で約3日間維持される。温度が上昇し続けると、液体成分は好熱性相に入り、それによって好熱菌が濃縮される。当業者には、好熱性相は、好熱菌が最もよく成長する温度範囲(例えば、約40℃から約80℃まで)にあることが理解されている。いくつかの実施形態において、好熱性相温度は、約45℃から約80℃の間であり、例えば、約45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、または80℃である。他の実施形態では、好熱性相の温度は約50℃から約70℃までである。
【0095】
特定の実施形態では、液体成分は、数時間から数日の期間、高温に維持される。多くの場合、1日から18日の範囲が使用される。特定の実施形態では、条件は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、またはそれ以上の間維持することができる。ガイダンスのみを目的として、生物反応は、例えば作物の食品部分での使用に関するガイドラインを満たすために、病原性生物の適切な減少を確実にするために、より長い期間、例えば3日以上、高温で維持される。しかしながら、生物反応の長さが生物反応生成物の生物学的および生化学的含有量に影響を与える限り、他の時間、例えば、数時間から1日または2日を選択することができる。特定の実施形態では、好熱性細菌に適した高温に維持された後、液体成分の温度は、液体成分が以下に記載されるようにフラッシュ低温殺菌されるか、または通過するまで、中温性相温度に維持される中温性温度範囲に徐々に低下する。温度を急速に下げる熱交換器。どちらの場合も、多くの場合、細菌は胞子を生成する。
【0096】
好気性好熱性条件下で操作する際の1つの課題は、高温条件で操作しながら酸素需要を満たすか超えることにより、プロセスを十分に好気性に保つことである。これが難しい理由の1つは、プロセス温度が上昇すると、残留溶存酸素の飽和値が低下することである。もう1つの課題は、好熱性微生物の活動が温度の上昇とともに増加し、微生物による酸素消費量が増加することである。これらの要因のために、さまざまな側面で、より多くの量の酸素がバイオマス含有溶液に与えられるべきである。
【0097】
国際出願公開第2017/112605号に記載されているように、その内容全体が本明細書に組み込まれ、既存の生物反応器は、ジェットエアレーターなどの曝気装置を使用して、高い酸素移動効率、独立した制御能力により、大気酸素を生物反応器に送達する。酸素移動、優れた混合、およびオフガス生成の低減を実現する。しかしながら、本発明者らは、大気酸素が生物反応器内の過剰な泡立ちを引き起こし、酸素補給の効率を妨げ、空気補給の頻繁な停止を引き起こすことを発見した。場合によっては、例えば、発泡のレベルが例えば、1、2、3、4、5、6、7、8フィート以上の数フィートを超えた。次に、不十分な空気補給と反応の中断は、望ましくない有機材料の不完全な分解をもたらした。さらに、実質的に液体の流れに浮遊する未分解の固形物の増加は、除去するのが困難であることが判明し、しばしば、フィールド適用中にスプレー装置を詰まらせ、それによってフィールド操作を停止させる液体肥料をもたらした。さらに、最終的な液体肥料製品に存在する未分解の固形物は、安定性および貯蔵寿命を低下させた。
【0098】
したがって、これらの障害を克服するために、特定の実施形態では、純粋な酸素または酸素富化空気が生物反応器に送達され、1,000ガロン当たり約0.1CFM〜約5CFMの速度、例えば、液体成分1,000ガロン当たり0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0CFMの速度で実質的に液体成分に注入またはその他の方法で送達される。好ましい実施形態では、純粋な酸素または酸素富化空気は、生物反応器に送達され、液体成分の1,000ガロン当たり約0.5CFMから約1.5CFMの速度で、より好ましくは液体成分1,000ガロン当たり約1.0CFMの速度で、実質的に液体成分に注入または他の方法で送達される。
【0099】
特定の実施形態では、純粋な酸素または酸素富化空気は、上記のように複数のスパージャーを使用することによって生物反応器に送達される。例えば、1または複数の2ミクロンの焼結ステンレス鋼スパージャーを使用して、ATAB中に実質的に液体の成分に純粋な酸素または酸素富化空気を注入することができる。実質的に液体の成分を好気性条件下に保つことにより、好気性、中温性、および好熱性細菌が培養され、濃縮される。特定の実施形態では、液体成分中の有機材料の最初の分解は、中温性生物によって行われ、中温性生物は、可溶性で容易に分解可能な化合物を急速に分解する。中温性生物が生成する熱により、ATAB中の温度が急速に上昇し、それによって、タンパク質、脂肪、および複雑な炭水化物(セルロースやヘミセルロースなど)の分解を加速する好熱性生物が濃縮される。これらの高エネルギー化合物の供給がなくなると、液体成分の温度が徐々に低下し、中温性生物が再び促進され、液体成分に残っている有機物の「硬化」または成熟の最終段階がもたらされる。したがって、大気酸素補給を純粋な酸素または酸素富化補給に置き換えると、ATAB中に生物反応器で生成される泡の量が大幅に減少した。泡の減少は、順番に、より効率的な空気補給、より一貫した生物反応器操作、およびより堅牢な好気性環境を可能にし、それによって未分解の有機材料の大幅な減少とより安定で費用効果の高い最終製品をもたらす。
【0100】
本明細書に記載のATAB条件は、PGPRとして使用するためのいくつかの好熱性および中温性微生物の増殖および濃縮を可能にする。実質的に液体の成分から単離することができる有益な好熱性および中温性微生物には、バチルス種(例えば、B.イスロネンシス(B.isronensis)B3W22株、B.コケシイフォルミス(B.kokeshiiformis)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)株DSM 13、B.パラリケニフォルミス(B.paralicheniformis)、B.パラリケニフォルミス(B.paralicheniformis)KJ-16株)、コリバクテリウム(Corynebacterium)属(例えば、C.エフィシエンス(C.efficiens)YS-314株)、インディオマリナ(Idiomarina)属(例えば、I.インディカ(I.Indica)株SW104)、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属(例えば、O.カエニ(O.caeni)株S-11)、ソリバチルス(Solibacillus)属(例:S.シルベストリス(S.silvestris)株HR3-23)、スポロサルシナ(Sporosarcina)属(例えば、S.コレンシス(S.koreensis)F73株、S.ルテオラ(S.luteola)株NBRC 105378、S.ニューヨーケンシス(S.newyorkensis)株6062、S.サーモトレランス(S.thermotolerans)株CCUG 53480)およびウレイバチルス(Ureibacillus)属(例えば、U.サーモスフェリカス(U.thermosphaericus))が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される純粋酸素または濃縮酸素供給は、ATAB中の大気酸素補給を利用する生物反応器と比較して、ATAB中の生物反応器における泡の生成を少なくとも約25%低減する。他の実施形態では、泡の生成は少なくとも約50%減少する。より好ましい実施形態では、泡の生成は、少なくとも約75%以上、例えば、約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、またはそれ以上に減少する。いくつかの実施形態において、生物反応器における発泡のレベルは、約2フィート未満である。より好ましい実施形態では、生物反応器内の発泡のレベルは、約1フィート未満、例えば、12インチ、11インチ、10インチ、9インチ、8インチ、7インチ、6インチ、5インチ、4インチ、3インチ、2インチ、1インチ、0.5インチ、またはそれ以下である。例えば、例示的な実施形態では、泡のレベルは約6インチである。
【0102】
一態様では、適切に構成された酸素供給システムは、約1mg/Lから約8mg/Lまでの間、例えば、約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9または8.0mg/Lの溶存酸素レベル、である。好ましい実施形態では、酸素補給システムは、約2mg/L〜約6mg/Lまでの間の溶存酸素レベルを維持する必要がある。より好ましくは、約3mg/L〜約4mg/Lまでの間である。特定の実施形態では、生体反応の酸素化(oxygenation)は、酸化還元電位(ORP)の観点から測定される。通常、生体反応のORPは約−580mVから約+10mVまでの間に維持される。より具体的には、それは−250mV〜−50mVの間の範囲内に維持される。
【0103】
ATABの温度、pH、および酸素化パラメーターを監視するために、生物反応器に自動コントローラーを装備して、そのようなパラメーターを制御することができる。いくつかの実施形態では、生物反応器は、生物反応器へのpH調整器の酸素空気補給および供給速度を調整することによって、pH、ORP、および他のパラメーターを効果的に制御するプログラマブルロジックコントローラー(PLC)を備えている。実際、本明細書に開示されるプロセスステップのいずれかへの酸素の送達は、この方法でPLCを使用して制御することができる。
【0104】
スラリー調製タンクとスラリー貯蔵タンクからのオフガスには、二酸化炭素、空気、アンモニア、および水蒸気が含まれている。一方、生物反応器からのオフガスには、酸素が枯渇した空気、二酸化炭素、水蒸気が含まれている。特定の実施形態では、これらのオフガスはバイオフィルターに向けられる。空気ろ過と精製に適用される場合、バイオフィルターは微生物を使用して不要な要素を除去する。オフガスは充填層を通って流れ、汚染物質は充填材料の表面にある薄いバイオフィルムに移動する。バクテリアや菌類を含む微生物はバイオフィルムに固定化され、汚染物質を分解する。
【0105】
生物反応器からの生成物の流れは、受け入れ容器に送られ、その段階で最終生成物として使用するか、さらに処理することができる。この組成物は、本明細書では「基本組成物」または「基本製品」と呼ばれることもある。特定の実施形態では、ベース組成物の受容容器は、均一な懸濁液中の液体流のコロイド成分を維持する攪拌システムを備えている。
【0106】
最初の加熱ステップとATABで適用される熱およびその他の条件は、人間の病原性生物、雑草および種子を実質的または完全に排除し、有益な好気性好熱菌および中温菌を残すのに効果的である。しかしながら、特定の実施形態では、基本組成物は、微生物負荷をさらに低減する目的で第2の熱処理に供され、その結果、組成物は、例えば、カスタマイズされた製品において、必要に応じて外因性微生物で補充され得る。本明細書で「低温殺菌」または「瞬間殺菌」と呼ばれるこのステップは、処理の時間および温度に応じて、液体組成物を約65℃〜約100℃に約5分〜約60分間加熱することを含む。特定の実施形態では、基本組成物は、少なくとも70℃、または少なくとも75℃、または少なくとも80℃、または少なくとも85℃、または少なくとも90℃、または少なくとも95℃に加熱される。特定の実施形態では、塩基組成物は、少なくとも10分、または少なくとも15分、または少なくとも20分または少なくとも25分、または少なくとも30分、または少なくとも35分、または少なくとも40分間加熱される。または、少なくとも45分、または少なくとも50分、または少なくとも55分、加熱時間は通常、加熱温度に反比例することに注意されたい。特定の実施形態において、組成物は、約30〜45分間、約95℃に加熱される。
【0107】
液体組成物はまた、懸濁物質を除去するために1または複数のろ過ステップに付すことができる。そのようなろ過プロセスによって保持された固形物は、製造プロセスシステム、例えば、好気性生物反応器に戻すことができる。
【0108】
ろ過にはさまざまなフィルターサイズが含まれる。特定の実施形態では、フィルターサイズは100メッシュ(149ミクロン)以下である。より具体的には、フィルターサイズは、120メッシュ(125ミクロン)以下、または140メッシュ(105ミクロン)以下、または170メッシュ(88ミクロン)以下、または200メッシュ(74ミクロン)以下、または230メッシュ(63ミクロン)以下、または270メッシュ(53ミクロン)以下、または325メッシュ(44ミクロン)以下、または400メッシュ(37ミクロン)以下である。特定の実施形態では、フィルターサイズは、170メッシュ(88ミクロン)、または200メッシュ(74ミクロン)、または230メッシュ(63ミクロン)、または270メッシュ(53ミクロン)である。特定の実施形態では、ろ過ステップの組み合わせ、例えば、170メッシュとそれに続く200メッシュ、または200メッシュとそれに続く270メッシュのろ過を使用することができる。
【0109】
ろ過は、典型的には、振動スクリーン、例えば、ステンレスメッシュスクリーン、ドラムスクリーン、ディスク遠心分離機、圧力フィルター容器、ベルトプレス、またはそれらの組み合わせを使用して実施される。ろ過は、通常、周囲温度、すなわち、約28℃〜30℃未満に冷却された製品に対して実施される。
【0110】
基本製品はまた、特定の用途のために、本明細書で「配合製品」、「配合組成物」などと呼ばれることもある製品を製造するためにさらに配合することができる。特定の実施形態では、添加剤には、窒素およびカリウムなどの主要栄養素が含まれる。当業者によって理解されるように、窒素およびカリウムなどの主要栄養素の添加によって配合された製品は、「グレードに配合された」と呼ばれることがある。鶏糞から調製された液体栄養組成物を含む例示的な実施形態では、基本組成物は、約1.5%から約3%までの窒素および約1%のカリウムを含むように処方され、有機農業または従来の農業のいずれかでの使用に適したバイオ肥料製品を生産する。業界。従来の農業用途のみの場合、例示的な実施形態は、植物の成長および発達を最適化するための出発肥料として使用するために、約7%の窒素、約22%のリン、および約5%の亜鉛を含むように処方された塩基組成物を含み得る。
【0111】
他の実施形態では、添加剤は、必要に応じて、または必要に応じて、1または複数の微量栄養素を含む。以下に詳細に説明するように、基本組成物はすでに広範囲の微量栄養素および他の有益な物質を含んでいるが、そのような添加物を用いて組成物を処方することが有益な場合がある。有機農業および従来の農業の両方に適した添加剤には、いくつか例を挙げると、血液ミール、種子ミール(例、大豆分離物)、骨ミール、フェザーミール、腐植物質(フミン酸、フルボ酸、フミン)、微生物接種剤、糖、微粉化されたリン鉱石および硫酸マグネシウムが含まれるが、これらに限定されない。従来の農業のみの場合、適切な添加剤には、尿素、硝酸アンモニウム、UAN−尿素および硝酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、および微生物接種剤も含まれ得るが、これらに限定されない。ベース製品に追加するのに適した他の材料は、当業者には明らかであろう。
【0112】
いくつかの実施形態では、基本組成物に添加される材料は、従来の農業での使用のみが承認されている。他の実施形態では、基本組成物に添加される材料は、それ自体、USDA NOPなどの有機農業プログラムでの使用が承認されており、したがって、従来の、有機、または再生農業プログラムで使用することができる。特定の実施形態では、窒素は、硝酸ナトリウム、特に有機農業プログラムでの使用が承認されているチリの硝酸ナトリウムの形で添加される。他の実施形態では、カリウムは硫酸カリウムとして添加される。さらに他の実施形態では、カリウムは、塩化カリウム、硫酸マグネシウムカリウム、および/または硝酸カリウムとして添加される。
【0113】
基本組成物は、生物反応器を出た後、包装が完了する前であればいつでも処方することができる。一実施形態では、製品は、後続の処理ステップの前に主要栄養素とともに処方される。この実施形態では、生成物の流れは、主要栄養素が添加される製剤生成物受容容器に向けられる。この時点で、必要に応じて他の材料を追加できる。配合された製品受容容器は、配合が適切な均質性を維持することを確実にするために攪拌システムを装備することができる。
【0114】
上記の後続の処理ステップ、すなわち、低温殺菌、ろ過、および配合は、単独でまたは組み合わせて、任意の順序で実行できることが当業者には明らかであろう。したがって、例えば、一実施形態は、等級分けするための配合、低温殺菌、2つのレベルのろ過、および二次配合ステップを含む。別の実施形態は、低温殺菌を行わず、1つまたは2つのレベルのろ過を含む。完成した組成物の所望の特性に応じて、他の組み合わせも適切である。
【0115】
包装および/または保管の前に、安定性を高めるために液体組成物の最終pHを調整することが有益である可能性がある。したがって、特定の実施形態では、最終生成物は、上記のような適切なpH調整剤を使用して、約4〜約8までの間、または約4.5〜約8の間、または約5〜約8の間、または約5.5〜約7.5の間、または約6〜約7.5の間、または約5.5から約7.0の間、または約6.5から約7.0の間のpHに調整することができる。特定の実施形態では、pH調整剤は、クエン酸などの有機酸である。
【0116】
特定の実施形態では、ATAB後処理は、以下のステップのうちの1または複数を含む。有機農業の場合、基本組成は、硝酸ナトリウムと硫酸カリウムを添加することにより、1.5−0−3または3−0−3(N−P−K)のいずれかに等級付けするように処方することができる。あるいは、従来の農業では、硫酸カリウムを添加することにより、基本組成物を0−0−6−2S(N−P−K)として等級付けするように配合することができる。次に、組成物のpHをクエン酸で5.5に調整し、次に振動スクリーナーを通して毎分約40ガロンでフラッシュする。振動スクリーナーには、200メッシュのステンレススチールスクリーンが取り付けられている。ろ過された製品は、カートリッジフィルターを通してポンプで送られる。カートリッジフィルターの一般的な動作パラメーターには、次の1つ以上が含まれる:(1)最大40PSIの差圧、(2)入口温度29.5°C(85°F)以下、(3)最大40PSIの容器ハウジング圧力。いくつかの実施形態において、組成物は、1つのろ過ステップに供される。他の実施形態では、2つ以上のろ過ステップがプロセスに含まれる。いくつかの実施形態では、液体組成物または配合された製品は、pHおよび温度制御および/または攪拌システムを備え得る貯蔵タンクに向けられる。特定の実施形態では、貯蔵タンクはまた、酸素供給システムを備えていてもよい。そのような実施形態では、ATAB後の液体製品は、液体10,000ガロン当たり約0.1CFMから約3CFM、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または液体10,000ガロン当たり3.0CFMの速度で純粋な酸素または酸素富化空気を注入することによって好気性条件下に保たれる。好ましくは、純粋な酸素または酸素富化空気は、10,000ガロンの液体当たり約0.25CFMから約1.5CFM、より好ましくは10,000ガロンの液体当たり約0.5CFMでポストATAB液体製品に供給される。いくつかの実施形態では、酸素は、上記のものなどの複数のスパージャーを介して送達される。ATAB後の液体製品(すなわち、液体組成物または配合製品)を好気性条件下に保つことにより、嫌気性化合物の形成が回避される。
【0117】
完成品の包装には、材料を注ぐことができる容器に製品を分配することが含まれ得る。特定の実施形態では、充填された容器は、容器のヘッドスペース内の空気循環を可能にするために、膜キャップ(「ベントキャップ」、例えば、W.L.ゴア、メリーランド州エルクトンから)で密封され得る。これらの膜は疎水性であり、容器が完全に反転した場合でも材料が漏れないように十分に小さい細孔を有することができる。さらに、容器の内容物の微生物汚染のリスクを排除するために、細孔を適切に小さくすることができる(例えば、0.2ミクロン)。
【実施例】
【0118】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するために提供されている。それらは、本発明を限定するのではなく説明することを意図している。
【0119】
実施例1.鶏糞から肥料/栄養成分を製造するプロセス
図1に示されているのは、鶏糞から液体および固体組成物を製造するための本明細書に記載の製造プロセスの実施形態である。図1に示されている製造プロセスでは、層状肥料に存在する一次栄養素と二次栄養素、および微量栄養素を保持する病原体を含まない製品が製造されました。さらに、本明細書に記載のプロセスは、潜在的に問題のあるリンおよび硫化水素を生成物から除去した。
【0120】
図1に示すように、プロセスは、生の鶏糞が農場から直接、屋根付きのライブボトムトレーラーでその場所に輸送されたときに始まった。トラックはその場所の混合タンクに降ろされ、クエン酸15と水と組み合わされて均一なスラリーを形成した。クエン酸は、生の糞尿中の天然有機アンモニアに結合した。プロセスの次のステップは、原料20の調製を含んだ。このステップでは、貯蔵されたスラリーは、スラリーの水分レベルを約84%〜約87%の水分範囲に上昇させるのに十分な水25と混合された。混合タンクには、純粋な酸素を供給するための2ミクロンの焼結ステンレス鋼スパージャーが取り付けられていた。混合中、純粋な酸素22(>96%)が、10,000ガロンのスラリー当たり0.5CFMの速度でスラリーに注入されました。次に、スラリーを蒸気で30〜65℃で最低1時間加熱して肥料を微粒子に分解し、さらに処理するために完全に均質化してスラリーにした。さらに、このステップには、生の糞尿で見つかった人間および植物に有害な可能性のある病原体の殺害と、天然の中温性および好熱性細菌の活性化の両方が含まれていた。特定の実施形態では、製造プロセスのこの部分は、処理された肥料材料が生の肥料によって汚染されるリスクを低減するために、システムの残りの部分から分離された。原料20を調製するための混合タンクプロセスパラメータを表3に示す。
【0121】
【表3】
【0122】
次に、スラリーを遠心分離機35に送ったが、ニワトリ飼料からの破片、カキ殻、および他のグリットは除去された40。好ましい実施形態では、遠心分離機35はデカンテーション遠心分離機である。固体画分と液体画分の分離に適した遠心分離機のパラメーターを表4に示す。遠心分離機35は、スラリーを2つの流れ(液体の流れと固体の流れ)に分離した。固体ストリーム43を約12%(またはそれ以下)の水分まで乾燥させ、乾燥肥料製品(「乾燥配合物」)を製造するために使用した。液体流45は、好気性生物反応器50に送られた。別の実施形態では、スラリーは、最初に遠心分離機35に送られ、次に2段階分離プロセスで振動分離器(SWECO、フローレンス、ケンタッキー、米国)に送られた。
【0123】
【表4】
【0124】
液体流45が好気性生物反応器50に供給されると、天然微生物が培養された。インキュベーション中、純粋な酸素51(>96%)が1,000ガロン当たり1.0CFMの速度で液体ストリームに注入された。微生物は、原料の有機成分を、植物成長因子、脂質および脂肪酸、フェノール、カルボン酸/有機酸、ヌクレオシド、アミン、糖、ポリオール、糖アルコールおよび他の化合物を含むがこれらに限定されない一次および二次代謝副産物に代謝した。その年齢に応じて、液体原料は、最小1日から最大約8日間、および55℃の均一な最低温度で、穏やかな攪拌(例えば、完全なターンオーバーが1時間に6回発生する)下で好気性生物反応器50に留まった。大気中または周囲の酸素の代わりに純粋な酸素を注入すると、泡のレベルが6インチ未満になった。好気性生物反応器のプロセスパラメーターを表5に示す。
【0125】
【表5】
【0126】
好気性生物反応器50からの液体生成物は、2つの方法のいずれかで管理された。1つ目は標準的な製品プロセスで、2つ目は特殊な製品プロセスでした。両方の製品は、補足窒素(例:硝酸ナトリウム、血液ミールまたは加水分解油糧種子)およびカリウム(例:カリの硫酸塩)とともに調合52(一次調合)され、保管または包装70に直接ろ過された。標準製品プロセス62の場合、配合された液体製品はろ過され63され、貯蔵タンク70に移された。配合された標準製品は、約45℃の範囲の温度(すなわち、製品が入る温度)で穏やかな好気性条件下で貯蔵された。中親和性状態)から約15〜20℃(すなわち、室温)。特殊製品の場合、配合された液体製品は瞬間殺菌55され、1つまたは2つのろ過ステップでろ過され60、その後、特別な使用のために、例えば、カスタム微生物でさらに配合された(二次配合)65。次に、特殊製品は貯蔵庫または包装された70に移される。貯蔵70の間、純粋な酸素72(>96%)が、10,000ガロン当たり0.5CFMの速度で処方された液体製品または二次処方物に注入された。
【0127】
液体製品は、振動ステンレスメッシュを使用してろ過され、続いて、27℃で差圧が0の84ポンド/平方インチ(PSI)で27ガロン/分(GPM)の入口流量を含む動作パラメーターを備えたカートリッジフィルター容器ユニットが使用されました。そのような実施形態では、カートリッジフィルターは、99.9%の絶対定格で100メッシュで定格されている。図1に示される特定の実施形態では、配合された液体製品(低温殺菌ステップ55に続く標準または特殊)は、必要な修正を加えて完全に均質化され、周囲温度(すなわち、約15〜20℃)に冷却された。例えば、修正には硝酸ナトリウムと硫酸カリウムが含まれていた。均質化された生成物のpHをクエン酸で5.50に滴定し、次に振動するステンレスメッシュスクリーナーを通して毎分約40ガロンでフラッシュした。振動スクリーナーには200メッシュのステンレススチールスクリーンが取り付けられていた。次に、ろ過された製品は、カートリッジフィルターを介して、約275ガロンのトートまたは6,500ガロンの貯蔵タンクを備えた受け入れ容器にポンプで送られた。カートリッジ容器の動作パラメータには、最大約40ポンド/平方インチ(PSI)の差圧、最大約85°F(約29.5℃)の入口温度、および最大約40PSIの容器ハウジング圧力が含まれていた。低温殺菌55およびろ過63、60のパラメーターを表6に要約する。
【0128】
【表6】
【0129】
貯蔵70については、貯蔵容器は、約6.5から約7.0のpHで穏やかな好気性条件下で維持された。貯蔵タンクのヘッドスペースを滅菌空気でパージし、攪拌して空気が完全に混合されるようにした。製品はこれらの条件下で無期限に安定していたが、貯蔵は中温性細菌がリガンドとセルロース系物質を植物に有用な化合物に変換する成熟段階としても機能した。バルク出荷またはパッケージング70の前に、3番目のろ過ステップが適用された。ボトルは、容器のヘッドスペース内の空気循環を可能にするために膜キャップで密封された。膜は疎水性であり、細孔が非常に小さいサイズ(約2ミクロン未満)であるため、容器を逆さにした場合でも材料が漏れることはなかった。細孔のサイズが小さいため、環境からの微生物汚染の可能性も大幅に減少した。貯蔵およびろ過の特定の側面の貯蔵パラメーターを表7に示す。
【0130】
【表7】
【0131】
特定の実施形態では、病原体の再出現のリスクを低減するために品質管理措置が含まれていた。例えば、上記の肥料製造プロセスは、生の肥料による偶発的な汚染から保護するための閉鎖系である。このような側面では、品質管理には3つの主要な品質保証ステップが含まれていた:1)生の肥料貯蔵庫は、残りの製造プロセスから離れた密閉タンクに分離され、2)製品は、配合/瞬間殺菌ステップから、暴露せずに直接保管場所に輸送され、ならびに3)バルクパッケージ(トート/タンカー)とボトルは、肥料貯蔵から離れた場所に積み込まれた。
【0132】
実施例2. ATAB中の生物反応器の動力学
ATAB中の有機物の分解速度は、生物反応器内の泡立ちの増加によって悪影響を受け、酸素供給が妨げられる。次に、ATAB中の液体ストリームへの不十分な酸素供給は、利用可能な酸素を少なくし、有機物分解の効率を低下させる。酸素還元電位(ORP)を使用して、酸素供給の効率を測定できる。これにより、液体ストリーム内の化合物の酸化が増加し、ORP値が低下する。そのため、ORPは、生物反応器での有機物の分解速度を測定するために使用できる。
【0133】
純粋な酸素と大気酸素のATAB動態を比較するために、純粋な酸素補給を利用する生物反応器を、大気を利用する生物反応器と比較した。1,000ガロン当たり1.0CFMの速度で液体流に純粋な酸素を注入する2ミクロンの焼結ステンレス鋼スパージャーを備えた生物反応器で、5つの別々のATABを80〜90時間実行した(図3A〜3Eを参照)。
【0134】
比較のために、液体流に大気を補給するためのジェット曝気装置を備えた生物反応器で、5つの別々のATABを80〜90時間実行した(図2A〜2Eを参照)。図1および図2に示されるように。図2A〜Eおよび3A〜Eでは、経時的な平均反応速度は、純粋な酸素を送達する生物反応器と比較して、大気を送達する生物反応器において有意に低かった。したがって、有機物の分解速度の増加は、大気と比較して、純粋な酸素の補給によって達成された。
【0135】
別のテストでは、純粋な酸素補給を利用する生物反応器での3回の別々の実行を、大気を補給する生物反応器での3回の実行と比較した。この研究では、すべての原料肥料は同じ場所から補給された。最初に、原料を水で均質化(すなわち、激しく混合および浸軟)して、水分を約87%〜88%のレベルに上昇させ、以下を使用して最低1時間、少なくとも65℃の温度にした。ダイレクト蒸気噴射。得られたスラリーにクエン酸を加えてpHを6.5に下げた。
【0136】
次のステップでは、デカンター遠心分離でスラリーを分離した。遠心分離条件は、各バッチで生成された同等の濃縮物と一致していた。デカンター遠心分離機は、20〜25GPMの入力速度で実行され、水分含有量が94%〜96%、pHが6.5〜6.7の濃縮物を生成した。
【0137】
次に、濃縮物を好気性生物反応器で処理し、ターンオーバー率は1時間当たり15〜17倍、pHは6.9〜7.0に制御した。大気の実行では、生物反応器には24〜36CFMの大気が供給された。酸素富化運転では、生物反応器に約3〜6CFMの純粋なガス状酸素が供給された。約12,500〜約13,000ガロンの液体の同様の量の液体が、6回の実行すべての生物反応器で使用された。生物反応器での最小滞留時間は55℃で72時間だった。
【0138】
結果は図4に要約されている。3つの酸素富化実験はすべて、大気が供給された実験よりも高い生物反応器温度に達した。
【0139】
実施例3. ATAB中の生物反応器の泡の生成
大気中の酸素供給を利用する生物反応器で実行されるATAB中に生成される泡のレベルを、本明細書に開示される純粋な酸素または酸素富化送達システムを備えた生物反応器で生成される泡のレベルと比較した。液体肥料の製造方法は、2つの異なる生物反応器の酸素補給システムに対して実行した。プロセスAでは、製造方法は、実施例1に記載されているように実施された。連続して使用された2つの生物反応器は、ATABを容易にした。プロセスAの各生物反応器には、1,000ガロン当たり1.0CFMの速度で液体流に純粋な酸素を注入する2ミクロンの焼結ステンレス鋼スパージャーが装備されていた。プロセスBでは、生物反応器にはそれぞれ、液体流に大気を補給するためのジェット曝気装置が装備されていた。表8に示すように、純粋な酸素の補給は、大気の補給と比較して、生物反応器の泡レベルを大幅に減少させた。
【0140】
【表8】
【0141】
実施例4. ATAB中の液体流中の好熱菌と中温菌の同定
ATAB中に液体流に存在する好熱菌と中温菌の同一性は、ピーク成長条件で生物反応器内の液体流材料をサンプリングすることによって決定された。サンプルをトリプチケースソイブロスで段階希釈し、各希釈サンプル750μLを滅菌ペトリ皿に分注し、その上に20mLの溶融トリプチケースソイ寒天を注いだ。ペトリ皿をそれぞれ周囲温度または55℃で18時間インキュベートした。ペトリ皿から直接コロニーを摘み取った。各コロニーについて、16S rRNAを抽出し、分野標準技術に従ってシーケンスした。微生物は、配列決定日のBLAST検索を実施することによって特定された。結果は表9([表9−1]の続きが[表9−2]であり、[表9−2]の続きが[表9−3]である)に要約されている。
【0142】
【表9-1】
【表9-2】
【0143】
【表9-3】
【0144】
本発明は、本明細書に記載および例示された実施形態に限定されない。添付の特許請求の範囲内で変更および修正することができる。
【0145】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月1日に出願された米国仮出願番号第62/713,325号の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
【国際調査報告】