【実施例】
【0072】
  本発明による化合物の獲得
  化合物IからXを生産する方法は、発明RU 2013/116822の出願に開示されている。金属イオンとの複合体化、又はキレート化する同様の化合物の能力は同出願に開示されている。
【0073】
  本発明による化合物の生物活性の特徴
  化合物IからXの生物活性を様々なin vivo及びin vitro実験で試験した。特に、様々なin vivo及びin vitroモデルの化合物I及びIIの活性の試験は、単球、マクロファージ、及び他の免疫系細胞の走化性において、化合物I及びIIの阻害効果を示した。化合物I及びIIの生物学的作用は、金属イオンのキレート化の化合物I及びIIの能力についての、前知識に基づいて、予測又は説明することができない。
【0074】
  化合物IIIからXのin vitroの生物活性の試験は、化合物IIIからXが酵素−グルタミニルシクラーゼの阻害剤であり、またそれ故、免疫系の細胞の走化性における化合物IIIからXの効果はグルタミニルシクラーゼの活性の阻害によって媒介される可能性があることを明らかにした。
【0075】
  ヒトのグルタミニルシクラーゼの酵素活性における、化合物IからXの効果のin vitro試験
  本発明の対象である化合物IからXの効果の試験の間、in vitroのグルタミニルシクラーゼの酵素活性において、組み換え型の細胞間ヒトグルタミニルシクラーゼでの、化合物IからXの直接阻害効果をはじめて発見した。
【0076】
  化合物IからXの様々な濃度での、グルタミニルシクラーゼ活性を、25℃で蛍光物質L−グルタミニル2−ナフチルアミド(Gln−bNA)を使用して、試験した(Anal Biochem. 2002 Apr 1;303(1):49-56)。100μLの体積を有する反応混合物には、50μMの蛍光物質;約0.2単位のヒトピログルタミニルアミノペプチダーゼ(1単位は1分当たり1μモルのpGlu−bNAを加水分解する量として定義される)、及びpHが8.0である、50mMのトリスアミノメタン−HCL及び5%のグリセロール中に一定分量の組み換え型細胞間ヒトグルタミニルシクラーゼ(gQC)を含んていた。反応を、反応混合物に化合物IからXで5分間培養された一定量のグルタミニルシクラーゼを添加することによって開始した。
【0077】
【表2】
【0078】
  反応の更なる進行を分光光度的(励起及び発光の波長は320nm及び410nmであった)に観察した。酵素の活性を、放出された2−ナフチルアミド(bNA)の量によって決定され、較正曲線から計算した。IC50値を「阻害剤濃度」−「酵素活性」曲線の非直線の回帰を用いて計算した。参照物質として、グルタミニルシクラーゼの既知の阻害剤−化合物PBD150−を使用した(J Med Chem. 2006 Jan 26;49(2):664-77)。
【0079】
  試験の結果として、化合物IからXは0.8から20μMの範囲のグルタミニルシクラーゼの活性を阻害することを立証した(表1参照)。
【0080】
  単球の遊走における化合物I及びIIの効果のin vitro試験
  In vitroの単球の遊走における化合物I及びIIの効果を、10%の温度非活性化牛胎児血清が添加された、RPMI1640培地に、(2〜3)×10
6細胞/mLの濃度で植えられた細胞株U937を使用して試験した(Biochem J. 2012 Mar 1;442(2):403-12)。約1×10
7のU937細胞を、化合物I及びIIの異なる濃度(それぞれの化合物で7種の濃度)、37℃で2時間培養し、その後リポ多糖E.Coli(O111:B4)で処理した。上澄み(調整済み培地)を単球の遊走の試験に使用した。
【0081】
  U937細胞の新鮮なバッチを、蛍光染料Calcein  AMによって7℃で1時間着色した。次に、一定量の着色細胞を、平板BD Falcon(商標) HTS FluoroBlok、光学的に不透明な半透膜によって分離されたセル、の穴の上部に置いた。阻害剤及びリポ多糖での細胞培養の後に得られた、調整された培地を、平板の穴の底部に置いた。平板を2時間37℃で培養し、穴の底部に遊走される細胞の量(阻害剤なしでの試験に対する%)を蛍光分析で決定した。参照物質として、グルタミニルシクラーゼの既知の阻害剤−化合物PBD150−を使用した(J Med Chem. 2006 Jan 26;49(2):664-77)。
【0082】
  マイクロモル濃度の範囲で、化合物I及び化合物IIがin vitroの単球の遊走における阻害効果を有するという実験結果を立証した。化合物Iは、1μMから300μMの広い範囲の濃度で、60%近くの効率で、単球の遊走を阻害する。同じ濃度範囲において化合物IIは、50から70%の効率で単球の遊走を阻害する。
【0083】
  モルモットの気管支喘息モデルにおけるin vivoの白血球の走化性に対する化合物Iの効果の試験
  モルモットにおける気管支ぜんそくの誘発を、標準の手順によって行った(Current Drug Targets. 2008 Jun; 9(6):452-65)。動物を100μg/mlの卵白アルブミン(Sigma)及び100mg/mlの水酸化アルミニウムを含む0.5ml溶液の一回の腹腔注射によって免疫化した。無処理の動物に体積0.5mlの生理食塩水溶液で腹腔注射した。
【0084】
  実験の29、30及び31日で、気道の反応性亢進の誘発を、0.1、0.3及び0.5mg/ml(それぞれ29、30及び31日)で濃度を増加させて、卵白アルブミンンの吸入投与によって、行った。吸入を、5分間、又は窒息の明らかな兆候の様子が現れるまで行った(横向きの発生)。32日目に、気管支攣縮の反応を推定して、動物に5分間1mg/mlの卵白アルブミンの挑戦投薬で投与した。
【0085】
  試験化合物を、動物に1日1回10日間、胃内に投与し、抗原の挑戦投薬の投与の24時間前に終了した。
【0086】
  卵白アルブミンの挑戦投薬の投与の24時間後、気管支肺胞洗浄液(BAL)を動物から採取した。BAL採取を、局所麻酔下で、あらかじめ37℃に温められた5mlの生理食塩水溶液で、シリンジディスペンサーを用い、気管経由で肺を洗浄することによって、行った。
【0087】
  気管支肺胞洗浄液において、1μlの洗浄液中の細胞要素の絶対数を、Goryaevカメラを用いて計算した。その後、気管支肺胞洗浄液を10分間200gで遠心分離した。スメアを細胞堆積物から準備し、スメアを更にメタノール中に固定し、肺内の細胞所見を数えるため、Romanowsky-Giemsaによって染色した。
【0088】
  気管支肺胞洗浄(BAL)の細胞学の分析により、感度を上げたモルモットのBAL中の細胞要素の多数の増加が明らかになった(
図1)。それ故、モデルは実験動物の気道の炎症反応によって特徴づけられる。それぞれの細胞のタイプの分析により、細胞のほとんどの顕著な流入は、好酸球であることが示された。得られた結果は、文献データを裏付け、模擬炎症がアレルギーであると結論付けることを可能にする。
【0089】
  化合物Iの10日間の日々の胃への投与により、気管支肺胞内の空隙に炎症細胞の流入を減少した。化合物Iは試験内(0.14から14mg/kg)の投薬の範囲で治療効果を有し、白血球の総量、及びそれぞれの細胞タイプ:好酸球、好中球、マクロファージの量の両方を減少させた(
図1)。
【0090】
  それ故、
図1では、シンボル※は無処理群と比較して、統計的に有意な差(p<0.05);及びシンボル&は対照群と比較して、統計的に有意な差(p<0.05)を指定する。
【0091】
  得られた結果は化合物Iが気管支喘息において治療効果を表すと示唆する。
【0092】
  非感染性の肺炎症のラットモデルにおける、マクロファージ、好中球、及び好酸球の走化性の化合物Iの効果のin vivo試験
  Sephadex−誘発肺気管支炎のラットモデルを標準の手順によって実現した(Int Arch Allergy Immunol. 2011; 154(4):286-94)。ウィスター雄ラットにSephadex G-200(Pharmacia, スウェーデン)の5mg/kgの投薬で、吸入により一回投与した。試験化合物を動物に4回胃内に投与した:Sephadexの投与の24時間前、及び1時間前、及び24時間後及び45時間後。参照薬剤のブデソニドを0.5mg/kgの投薬で吸入により同様の方法で投与した。Sephadexでの吸入の48時間後、気管支肺胞洗浄液の摂取を行った。洗浄液において、白血球の総数を評価し、白血球処方を決定した。
【0093】
  気管支肺胞内洗浄液の分析により、ラットへのsephadex G-200の一回の吸引投与が、肺内に白血球の著しい流入を引き起こすことを示した。すべての細胞タイプの量が無処理群と比較して対照群において増加した(表2)。
【0094】
【表3】
【0095】
  ラットへの化合物Iの胃内の投与により、BAL中の好中球及び好酸球の含有量が、無処理動物の濃度まで減少した。得られた結果は、化合物Iは低い気道の炎症、特に気管支炎において、治療効果を有することを示唆する。
【0096】
  たばこの煙抽出により誘発された非感染性の肺炎のモデルにおける化合物Iの活性試験
  マウスにおいて非感染性の肺炎の誘発を、標準の手順によって行った(Exp Lung Res. 2013 Feb;39(1):18-31)。雄のBalb/cマウスにたばこの煙抽出物(CSE,0.45ml/20mg)を0日目、11日目、15日目、17日目、19日目及び22日目に、腹腔内に投与した。CSEを下記により調製した:5本のたばこを燃焼し、真空ポンプを用い、煙を粒子を取り除くためにろ過し、ホスフェート生理食塩水緩衝液を含む容器に収集した。化合物Iを、7日目から27日目まで毎日、1日1回胃内に投与した。安楽死が28日目に行われた。右肺葉を10%の中性ホルマリン溶液中で固定し、キシレン濃度を高めたアルコールを通過させ、標準手順によってパラフィン中に組み込んだ。脱パラフィンの5μmのせん断層を、ヘマトキシリン−エオシンで染色し、組織分析を行った。
【0097】
  それぞれの病変を5点の尺度により評価した:1点−炎症浸潤が、試験での組織標本の面積の0から20%を占める、2点−炎症浸潤が、試験での組織標本の面積の21から40%を占める、3点−炎症浸潤が、試験での組織標本の面積の41から60%を占める、4点−炎症浸潤が、試験での組織標本の面積の61から80%を占める、5点−炎症浸潤が、試験での組織標本の面積の81から100%を占める。肺胞の総数に対する損傷した肺胞の割合として、肺胞破壊指数(DI)も計算した。
【0098】
  試験結果は、マウスへのたばこの煙抽出物の多数の腹腔内の投与が、血管周囲炎、気管支周囲炎、肺胞炎及び間質性肺炎の形成を誘発することを示した(表3)。
【0099】
  化合物Iの胃内への投与は、血管周囲炎、気管支周囲炎、肺胞炎及び間質性肺炎の進行を有意に減少させた(表3)。得られた結果は、化合物Iが血管周囲炎及び肺胞炎の場合、治療効果を有すると結論づけることを可能にする。
【0100】
【表4】
【0101】
  肺気腫のマウスのモデルにおける化合物Iの活性のin vivo試験
  炎症及び肺気腫をブタの膵エラスターゼの一回の気管内注射によって引き起こした。エラスターゼを、0.9%NaCl30μl中、0.6U/マウスの投薬で気管内に一度投与した。ペントバルビタールを30mg/kgの投薬で、手術中麻酔のために腹腔内に使用した。手術部位を70%のエタノール溶液で処理し、体毛の被覆から解放した。
【0102】
  首の正中線に従って、皮膚、皮下組織、及び首の特有の筋膜を切断した。筋肉を、気管の前面側に、平滑末端化した切断組織法によって動かした。
【0103】
  ブタの膵エラスターゼの注射を、吸入の間、風の流れに沿って、ハミルトン注射器を用い、行った。創傷縫合の後、手術部位を殺菌処理した。エラスターゼの投与を、実験の0日目として扱った。
【0104】
  化合物Iを、実験の8日目から21日目の、1日1回毎日0.3mg/kgの投薬で、投与した。21日目に、動物をCO
2容器内で安楽死させ、肺を分離した。左肺の肺組織中、肺気腫の動態及び重症度を評価するため、組織の標本を作った。これを行うため、肺を10%の中性ホルマリン溶液中に固定し、その後、標準手順により、パラフィン中に組み込んだ。5μmの厚みを有する肺突、中肺野、下肺野の標本が、脱パラフィンせん断から得られ、標準手順によって、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。次に肺突、中肺野及び下肺野の写真を作成した。コンピューターのグラフィックプロセスツールを用い、拡張気腫の肺組織(標準組織の%)の局在化及び面積を調査し、血管及び気管支を計算から排除した(Int J Biomed Imaging. 2012;2012:734734; Front Physiol. 2015 May 12;6:14)。
【0105】
  マウスの肺すべての領域にエラスターゼを投与した後、21日目での組織試験では、微小循環チャンネルの血管及び槽間中隔の毛細血管の適度に目立った充血が明らかになった。更に、エラスターゼは、リンパマクロファージの浸潤、及び間質組織の炎症浸潤により、肺胞壁の肥厚をもたらす。それぞれの肺胞の内腔はマクロファージとリンパ球で満たされてもいる。肺実質中の細気管支、肺胞管および肺胞の、弾性繊維状の損傷剤の効果の結果として、肺胞の膨満及び肺胞中核の破壊が観察され、拡散した肺気腫が進行した。標本の分析は、実験の21日目において、左肺組織のかなりの部分が、槽間中隔の破壊での拡張気腫性肺胞でふさがっていた。肺気腫はすべての肺野で局在化していた。多くの目立った病変は下肺野で観察された(表4)。
【0106】
【表5】
【0107】
  化合物Iの投与により、肺実質の炎症浸潤の強度、及び微小循環チャンネルの血管及び槽間中隔の毛細血管の適度に目立った充血が減少し、病態対照群と比較して、拡張気腫性肺胞の相対面積が減少した(表4)。得られたデータは、化合物IIが、肺気腫の場合において、治療効果を有すると結論付ける見地を提供する。
【0108】
  モルモットのCOPDモデルにおける化合物Iの治療活性の試験
  試験を雄のモルモットで行った。慢性閉塞性の肺疾患を、E. coli細胞壁リポ多糖(LPS)及びたばこの煙の抽出物(TSE)の気管内投与によって引き起こした(Biol Pharm Bull. 2009 Sep;32(9):1559-64)。TSEをHi−Liteたばこ(日本)(たばこ1本あたりの処方:タール17mg/本、ニコチン1.4mg/本)から調製した。抽出調製の前に、たばこのフィルターを取り除き、フィルター付きのたばこの長さが80mmであり、フィルターが除かれ−55mmである。抽出を、火のついたたばこの煙を通常の速度で、真空ポンプを用い、PBSを通じて吸引することにより行った(40ml/40本)。1本のたばこの燃焼時間は180秒であった。粒子を取り除くため、得られた抽出物を細孔サイズ45nmの細菌ろ過機でろ過した。TSEをモルモットに1日1回、1〜4、6〜9、11〜14、16〜19時間で毎日吸引させた(0.3ml/分、40分)。LPSをモルモットに1日1回、5日目、10日目及び15日目に吸引させた(25μg/ml、0.3ml/分、1時間)。TSEの最後の吸引の前、最後のTSE吸引の直後、及び最後のTSE吸引の1.5時間後、呼吸器の機能を評価した(15分間)。呼吸器の機能の評価の直後に、気管支肺胞洗浄液(BAL)を収集した。BAL捕集を、麻酔下で、シリンジディスペンサーを用い、37℃に温めた5mlの生理食塩水で、気管経由で、肺を洗浄することによって行った。
【0109】
  気管支肺胞洗浄液中において、1μlの洗浄液中の細胞要素の絶対数(サイトーシス)をGoryaevカメラを用いて計算した。その後、BALを10分間200gで遠心分離した。スメアを細胞堆積物から準備し、スメアを更にメタノール中に固定し、肺内の細胞所見を数えるため、Romanowsky-Giemsaによって染色した。
【0110】
  化合物Iを動物に1日1回、試験の10から19日目に毎日胃内に投与した(最後の投与−最後のTSE吸引の1時間前)。仮病態群はTSE及びLPSに替えて生理食塩水によって吸引させた。試験物質の代わりに対照動物に相当する体積の溶媒を投与した。
【0111】
  行った試験は、COPDモデルにおいて、化合物Iは、モルモットの気管支肺胞の空隙に炎症細胞の流入を減らすことを示した。化合物Iは、好中球、マクロファージ及び好酸球の流入を減少させることに最も顕著である(表5)。
【0112】
【表6】
【0113】
  得られた結果をまとめると、化合物IIは、COPDの場合において、著しい治療効果を有すると結論づけることが可能である。
【0114】
  アレルギー性鼻炎のモルモットモデルにおける化合物Iの活性のin vivo試験
  アレルギー性鼻炎のモデルを、標準方法によって実現した(Int Immunopharmacol. 2013 Sep;17(1):18-25)。モルモット(250から300グラム)を4回(0日目、7日目、14日目及び21日目)で生理食塩水に希釈及び懸濁された卵白アルブミン(100μg/匹)と水酸化アルミニウム(5mg/匹)の混合物の腹腔内注射によって免疫化した。試験の28日目に、卵白アルブミン溶液(60mg/ml)を、動物にそれぞれの鼻腔に20μlを鼻腔内投与した。35日目に、背中の皮膚部分を予備的に剃ってきれいにした後に、動物に卵白アルブミン溶液(200μg/ml、25μl)を皮下注射した。感作の存在の確認は、注射部位での浮腫及び赤味形成であった。試験の42日目に、卵白アルブミン溶液の鼻腔内投与(60mg/ml、20μl/鼻腔)を行った。特にアレルギー炎症の形成を照合するため、仮免疫化動物群を形成した:0日目、7日目及び21日目に、モルモットに水酸化アルミニウム溶液(5mg/匹);28日目と35日目−生理食塩水、42日目−卵白アルブミン(60mg/ml、20μl/鼻腔)を投与した。
【0115】
  化合物I、III、IV(0.14、1.4mg/kg)を動物に一度、卵白アルブミンの最後の鼻腔内の投与の3時間前に胃内に投与した。卵白アルブミンの最後の投与の後2時間、鼻炎の臨床症状を評価した:くしゃみと鼻のひっかきの数が数えられた。
【0116】
  調査結果を表6から8に記載した。
【0117】
  動物への卵白アルブミンの最後の鼻腔内投与の後の2時間、アレルギー性鼻炎の臨床症状の報告は実験動物において、くしゃみ及び鼻のひっかきの数において顕著な上昇がみられ、アレルギー性鼻炎の実行モデルの正確さを示唆した。
【0118】
【表7】
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
  モルモットへの化合物I、III、IVの胃内投与により、鼻炎の臨床症状の数が顕著に減少した。得られた結果は、化合物I、III、IVがアレルギー性鼻炎の場合において、顕著な治療効果を有すること結論づける見地を提供する。
【0122】
  ホルマリン−誘発の急性副鼻腔炎のラットモデルにおける化合物Iの活性のin vivo試験
  急性副鼻腔炎の誘発を、雄のウィスターラットにおいて、各々の鼻腔に7.5%のホルマリンの20μlの鼻腔投与によって行った。化合物Iを1日1回1.8mg/kg及び18mg/kgの投薬で毎日投与し、ホルマリンの投与24時後に開始し、最後の投与は7日目であった。デキサメタゾン(0.6mg/kg)を同じ方法で投与した。8日目に、鼻腔洗浄液を収集した。鼻腔洗浄液中、白血球の総量を評価し、白血球処方を決定した。
【0123】
  鼻腔洗浄液の分析は、急性副鼻腔炎が鼻腔内に白血球の顕著な流入によって付随して起こることを示した。最大増加はマクロファージの量に関して顕著であった(表9)。
【0124】
  ラットへの試験化合物の胃内投与により、鼻腔洗浄液のマクロファージ及び好中球の含有量が無処理動物の濃度まで減少した。効果の強度に関しては、化合物Iはデキサメタゾンと同等であった。(表9)
【0125】
【表10】
【0126】
  それ故、得られた結果は化合物Iが副鼻腔炎の場合において、顕著な治療効果を有すると示した。
【0127】
  非感染性の咽頭炎のラットモデルにおける化合物Iの活性のin vivo試験
  非感染性の咽頭炎モデルを雄のウィスターラットで実行した。ラットを、チオペントンナトリウムで麻酔し(50mg/kg、腹腔内)、RenaSil(商標)シリコーンゴムチューブ(SIL 037, Braintree Scientific, Inc., Braintree, MA)がついたカニューレを、ヘパリン処理された生理食塩水溶液(40U/ml)を用い、外頸静脈中に挿入した。
【0128】
  Evans Blue染料(Evans Blue, EB)(30mg/kg)を、カテーテルですべての動物の静脈内に投与した;EB染料を投与した10分後に、30%ホルマリン溶液を、下記の様に咽頭粘膜の表面に塗布した:舌をわずかに引っ張りだし、平滑化したピンセットで優しく口内の咽頭部位を深く広げ、無菌のコットンパッドを用い、生成溶液(50μl)を、塗布される各々の時間5秒ごとに塗布した。無処理群においては、病理生態学的溶液を使用した。
【0129】
  30%のホルマリン溶液の塗布の60分後に、動物を失血によって安楽死させた。それぞれのラットの頭部を、血管内のEB染料を取り除くため、ヘパリン処理された生理食塩水溶液(40U/ml)で灌流した。
【0130】
  炎症の程度を、Evans blue (EB)染料の滲出試験によって評価した。筋肉組織からのEB染料を、55℃で24時間ホルムアミドへ抽出し、吸光度を620nmで分光光度的に決定した。織物中の染料の量をEvans blue染料の検量線を用いて計算し、湿った織物の質量グラムに対する染料のマイクログラムで表した(μg/g)。
【0131】
  化合物Iを6及び18mg/kgの投薬でホルムアルデヒドを塗布する24時間及び1時間前に胃内に投与した。30%の濃度のホルムアルデヒド溶液を、対照群に投与した。デキサミタゾン及びジクロフェナクを比較薬剤として使用した。デキサメタゾン(0.6mg/kg)及びジクロフェナク(8mg/kg)をホルムアルデヒド塗布の24時間及び1時間前に胃内に投与した。試験結果を表10に記載した。
【0132】
  表9から、ホルムアルデヒドの投与(対照)は、組織内で染料濃度の著しい上昇をもたらすことが明らかであり、それはラット中の咽頭の炎症−咽頭炎を示唆することが明らかである。試験化合物は、ホルムアルデヒドにより引き起こされる咽頭炎に対して、著しい保護を示した。化合物Iは試験投薬(6及び18mg/kg)における効果を有し、−組織内の染料濃度が、対照試験と比較してそれぞれ2.8及び6.4倍減少した。デキサメタゾン(0.6mg/kg)の投与も、炎症における減少をもたらした:染料の濃度は2.1倍減少した。ジクロフェナクは効果がなかった。
【0133】
  それ故、得られた結果は、化合物Iが、咽頭炎の場合に、顕著な抗炎症作用を有することを示した。
【0134】
【表11】
【0135】
  ブレオマイシン誘発の肺損傷のモデルにおける化合物IIの活性試験
  ブレオマイシン誘発の肺損傷のモデルを標準方法で実行した(Am J Respir Cell Mol Biol. 2009 V. 41(1). P. 50-58)。ブレオマイシン溶液を雄のBalb/cに一回気管内に投与した(50μlの体積中4単位/kg)。化合物IIをC57BL/6マウスに胃内に2回投与した:ブレオマイシンの投与の1時間前及びブレオマイシン投与の12時間後。気管支肺胞洗浄液をブレオマイシンの投与の24時間後に収集した。洗浄液中に、白血球の総量を評価し、及び白血球処方を決定した。
【0136】
  試験の結果は、化合物IIの胃内投与が、気管支肺胞の空隙中に炎症細胞の流入を減少させることを示した(式11)。これは化合物IIが肺損傷における抗炎症効果を有することを結論付ける見地を提供する。
【0137】
【表12】
【0138】
  リポ多糖誘発の急性肺損傷のラットモデルにおける化合物IVの活性試験
  リポ多糖誘発の急性肺損傷のモデルを標準方法を用いて実行した(Lin Tong, Jing Bi, Xiaodan Zhu, Guifang Wang, Jie Liu, Linyi Rong, Qin Wang, Nuo Xu, Ming Zhong, Duming Zhu, Yuanlin Song, Chunxue Bai. Keratinocyte growth factor-2 is protective inlipopolysaccharide-induced acute lung injury in rats // Respiratory Physiology & Neurobiology. 2014. V. 201. P. 7−14)。生理食塩水溶液で調製しリポ多糖(LPS)を雌のウィスターラットに、気管内に投与した。仮病態群の動物に、同じ体積で生理食塩水溶液を注射した。気管支肺胞内洗浄液(BAL)をLPDの投与の48時間後に動物から収集した。BAL捕集を、麻酔下で、37℃に温めた5mlの生理食塩水溶液で、気管経由で、シリンジディスペンサーを用い、肺を洗浄することによって行った。
【0139】
  気管支肺胞内洗浄液中における、洗浄液の1μl中の細胞要素の絶対数を、Goryaevカメラを用いて計算した。その後、気管支肺胞内洗浄液を10分間200gで遠心分離した。スメアを細胞堆積物から準備し、スメアを更にメタノール中に固定し、肺内の細胞所見を数えるため、Romanowsky-Giemsaによって染色した。
【0140】
  化合物IVをラットに、LPS投与の1時間前、及びLPS投与の24時間後の2回、胃内に投与した。
【0141】
  試験結果は、化合物IVの胃内の投与は、肺胞内空隙への炎症細胞の流入を減少させることを示した(表12)。これは化合物IVが肺損傷の場合において抗炎症効果を有すると結論付ける見地を提供する。
【0142】
【表13】
【0143】
  発熱反応のラットモデルにおける化合物II,化合物IV、化合物VI、化合物Iの活性試験
  発熱反応のモデルを標準方法を用いて実行した(J Neurosci Methods. 2005. V. 147. P. 29−35)。ウィスターラットに、パン用イーストの20%懸濁液を皮下に注射した(12ml/kg)。化合物I、II、IV、VI、VIIIを、イーストの投与の14時間後に、一度胃内に投与した。直腸温度を発熱物質の投与の前、及び発熱反応進行した最も高い点、投与の19時間後に、電気体温計で測定した。2から7の実験で、化合物の抗発熱効果を試験した。
【0144】
  試験の結果は、調査化合物の胃内の投与が、ラットの体の直腸温度の増加を減少させるを示した(表13−17)。得られたデータは化合物I、II、IV、VI、VIIIが抗発熱効果を有すると結論付けることを可能にした。
【0145】
【表14】
【0146】
【表15】
【0147】
【表16】
【0148】
【表17】
【0149】
【表18】
【0150】
  腹膜の化学刺激の方法による特定の疼痛反応のモデルにおける化合物I及び化合物IVの活性試験(「腹部収縮」試験)
  腹膜の化学刺激の方法による、特定の疼痛反応モデル(「腹部収縮」試験)を標準方法により行った。「腹部収縮」試験を行うため、Balb/cマウスに動物の体重1キログラム当たりに1%の酢酸10mlで腹腔内に投与した。化合物I、IV、VII、IX、Xを、酢酸の投与の1時間前に、一度胃内に投与した。収縮量(後四半身を伸ばしてアーチ状になるのに伴って起こる、腹筋の痙攣性の単収縮)を酢酸投与の15分後に評価した。
【0151】
  試験結果は、化合物I、IV、VII、IX、Xの胃内の投与が、マウスにおいて、酢酸の腹腔内投与によって引き起こされる、収縮の量を著しく減少させることを示した(表18、19)得られた結果は、化合物I、IV、VII、IX、Xが、疼痛症候群の場合において、著しい治療効果を有すると結論付けることを可能にした。
【0152】
【表19】
【0153】
【表20】
【0154】
  温度疼痛刺激「ホットプレート」のモデルにおける化合物Iの活性試験
  温度疼痛刺激「ホットプレート」のモデルを標準手順により行った(Barrot M. Tests and models of nociception and pain in rodents. Neuroscience. 2012 Jun 1;211:39-50.)。化合物I及び化合物IIをBalb/cマウスに、一度胃内に投与した。調剤の投与の1時間後に、「ホットプレート」試験を行った。「ホットプレート」試験を行うため、マウスを、温度(+55±1℃)が保たれた、ホットプレートに置いた。
【0155】
  マウスにおいて、疼痛反応の初めの症状(足舐め、ジャンプ)の時間を記録し、各グループで、疼痛感度の閾値(TPS,秒)の平均潜時を計算した。
【0156】
  試験の結果は、試験中の化合物の胃内の投与は、「ホットプレート」テストにおいて、マウスの疼痛感度の閾値を1.5倍増加させることを示した。化合物Iの薬理効果は少なくとも24時間持続した(表12)。得られたデータは、化合物I及び化合物IIが、疼痛症候群の場合において、著しい鎮痛効果を有することを結論付けることを可能にする。
【0157】
【表21】
【0158】
  db/dbマウスの自然の肥満のモデルにおいて化合物IIの活性の試験
  自然の肥満モデルに、レプチンレセプター−Leprdb- (db)劣性遺伝子を保有する(第8連鎖群、第4染色体)db/dbマウスを使用した(Cardiovasc. Diabetol. 2012. V.11. P. 139-147; Biochem. Biophys. Res. Commun. 2016. V. 472. P. 603−609)。
【0159】
  化合物IIを、動物の生育7週目から開始して、胃内に投与した。毎週、生育6から12週に、動物の体重を測定した。
【0160】
  試験の結果は肥満モデルにおいて、マウスへの7.5mg/kgの投薬での、化合物IIの胃内投与は、db/dbマウスの体重増加を減少させる(表21)ことを示した。
【0161】
  得られた結果は、肥満の場合において、化合物IIの治療効果を示唆する。治療効果は、早ければ、化合物IIの使用4週間で始まる。
【0162】
  メタボリックシンドロームのモデルにおける化合物IIの活性の試験
  メタボリックシンドロームモデルを、標準方法に従って、雄のウィスターラットに16週間、高脂肪食(「カフェテリア食」)を続けることによって実行した(Rothwell N.J., Stock M.J., Warwick B.P. Energy balance and brown fat activity in rats fed cafeteria diets or high-fat, semisynthetic diets at several levels of intake // Metabolism. 1985. Vol. 34(5). P. 474-480)。
【0163】
  食事の10週目から16週目に、化合物IIを、実験群の動物に、1日1回胃内に投与した。試験化合物の活性の評価を、毎週の体重測定を用いて行った。
【0164】
  試験の結果は、化合物IIの胃内への投与は、動物の体重増加を減少させることを示した。薬理効果は治療の5週間後から現れ始める(表22)。
【0165】
  それ故、メタボリックシンドロームモデルにおいて、化合物IIは動物の肥満を減少させる。
【0166】
【表22】
【0167】
【表23】
【0168】
  乾癬のマウスモデルにおける化合物I及び化合物IIの活性の試験
  マウスにおいて乾癬の誘発を標準方法により行った(European Journal of Pharmacology. 2015. V. 756. P. 43-51)。アルダラクリーム(5%イミキモド)を雌のBalb/cマウスの右耳の内側に、1日1回7日間(0日目から6日目)、30mg/匹の量で、塗布した。ワセリンを無処理動物に塗布した。化合物I、化合物II及び比較薬(シクロスポリン)を動物に、1日1回6日間(0日目から5日目)胃内に投与した。安楽死をアルダラクリームの最後の塗布の24時間後(6日目)に行った。0、2、3、4、5日目の朝に毎日、次のアルダラクリームの塗布の前、及び安楽死の前に右耳の厚さを測定した。
【0169】
  乾癬の重症度の評価を、時間と共に、発症した耳の厚さの増加の測定によって、行った。
【0170】
  試験の結果を表23に記載した。
【0171】
【表24】
【0172】
  試験の結果は、乾癬のマウスモデルにおける、化合物I及び化合物IIの胃内投与により、動物の発症した耳の厚さの増加が減少することを示した。これは乾癬の場合において、化合物I及びIIの治療効果を示す。
【0173】
  それ故、乾癬のマウスモデルにおいて、化合物I及びIIは著しい治療効果を有する。
【0174】
  アトピー性皮膚炎のマウスモデルにおける化合物I及び化合物IIの活性の試験
  アトピー性皮膚炎のモデルを標準方法により実行した(J Ginseng Res. 2011. Vol.4. − P. 479-86)。アトピー性皮膚炎は、雄のbalb/cマウスでモデルを作った。1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNHB)を接触性皮膚炎の誘発剤として使用した。実験の0及び12日目に、DNHBの2%溶液100μlを、体を敏感にさせるため、動物の前剃毛した背中部分に塗布した。17日目に、DNHBの2%アルコール溶液の20μlを1時間の間隔をあけて2回、右の「実験」耳に塗布した。DNHB溶液に替えて、エタノールを、無処理動物に塗布した。仮免疫付与群における動物を、エタノールで感度を上げた。化合物I及び化合物IIを、1日1回8日目から17日目まで胃内に投与した。18日目に、動物を解体した。安楽死の後、浮腫の程度を評価するため、「実験」及び「対照」の耳の質量を決定した。「実験」及び「対照」の耳の間の質量の違いの割合を表す反応指数(RI)を計算した。
【0175】
  試験の結果を表24に記載した。
【0176】
【表25】
【0177】
  試験結果は、アトピー性皮膚炎のマウスモデルにおける、化合物I及び化合物IIの胃内投与は、病態プロセスの反応指数を減少させることを示した。これは、アトピー性皮膚炎において、化合物I及びIIの治療効果を示す。
【0178】
  それ故、アトピー性皮膚炎モデルのマウスモデルにおいて、化合物I及びIIは著しい治療効果を有する。
【0179】
  カラゲナン空気嚢でのマクロファージの走化性における化合物IIの効果のin vivo試験
  研究の前臨床の段階で、免疫系の細胞の活性において、薬の効能を評価するため、通例、急性炎症プロセスの様々なモデルが使用される。今日、多くの高い頻度で使用されたモデルは、病理プロセスが限られた空洞中で進行するものである。これらのモデルは、免疫系の細胞の異常活性が、特定の空洞で局在化する、病気(腹膜炎、胆管炎、関節炎)をかなり近くシミュレートすることを可能にする(J Pharmacol Toxicol Methods. 1994 Nov;32(3):139-47)。カラゲナン空気嚢のモデルは、単離された空洞に局在化した、免疫系の細胞の異常活性と関連する、病理プロセスを試験するため、しばしば研究の前臨床段階で使用される。このモデルにおいて、単離された嚢は、マウス又はラットの背中の嚢内の領域に、空気の皮下注射により形成される。背中部分への空気の皮下注射は、数日間で嚢の細胞株において、形態変化をもたらす。嚢は主にマクロファージ及び線維芽細胞からなり、十分に血管形成されている。空気嚢の形成の時点から6日目に、λ−カラゲナン溶液が空気嚢の空洞に投与される。カラゲナンは、嚢内領域のマクロファージ株の表面の、TLR4レセプターと相互作用し、それらの活性並びに、その後のケモカイン及び他のメディエーターの合成(IL−1;IL−6;TNFα,IL−8,プロスタラグンジン,及びロイコトリエン,NO)並びに嚢内に免疫系の細胞の遊走も引き起こす。
【0180】
  化合物IIの活性の試験を、標準方法により、雄のBalb/cマウスで行った(Curr Protoc Pharmacol. 2012 Mar;Chapter 5:Unit5.6)。化合物IIを、実験群に3mg/kgの投薬で、カラゲナンの投薬の直前及び、その後10から12時間ごとに、胃内に投与した。最後の投与は解体の12時間前であった。
【0181】
  CO
2の吸入による安楽死を、λ−カラゲナンの注射の48時間後に、動物のそれぞれの群に関して行った。安楽死の直後に、室温の5.4mMのEDTAを含む1mlの生理食塩水溶液を、滅菌シリンジ25Gを用いて、嚢内に導入した。空気嚢の領域の優しいマッサージの後、矢状切開を嚢を横切って行い、浸出液を15mlの滅菌バイアルにディスペンサーで収集した。浸出液中の、洗浄液1μl当たりの細胞要素(サイトーシス)の絶対数をGoryaev容器を用いて決定した。その後、浸出液を10分間200gで遠心分離した。スメアを細胞沈渣から準備し、スメアを、その後、メタノール中に固定し(5分)、Romanowsky-Giemsaによって染色した(40分20から22℃)。顕微鏡Olympus bx51(100倍)を使用して、規定通りにスメアの、マクロファージの数を数えた。細胞計算は100断片までであった。
【0182】
  行われた試験は、化合物IIの使用が、白血球及びマクロファージの流入を10倍(無処理対照の濃度まで)減少させることを示した(表25)。それ故、化合物IIは、クローン病、潰瘍性大腸炎、腹膜炎、及び関節炎などの、幅広い疾患の治療する潜在力を有する可能性がある。
【0183】
【表26】
【0184】
  チオグリコレート腹膜炎のモデルのマクロファージ走化性における化合物IIの効果のin vivo試験
  試験を、標準方法を用いて、雄のbalb/cマウスで行った(J Leukoc Biol. 2009 Aug;86(2):361-70)。対照群のマウスに、1か月間貯蔵された3%チオグリコリック媒体の2mlを腹腔内に投与した。無処理の動物に、2mlの生理食塩水溶液を腹腔内に注入した。化合物IIを、実験群の動物に1mg/kgの投薬で、チオグリコレートの投薬の1時間前、24及び48時間後に胃内に投与した。72時間後、動物を、CO
2容器で安楽死させ、腹膜部分を70%のアルコールで湿らせ、皮膚を慎重に腹腔上に切り、0.1%のEDTAを含む、冷たいホスフェート−生理食塩水緩衝液5mlをシリンジで腹腔内に注射した。腹腔を優しくマッサージした後、浸出液をテストチューブにシリンジで収集し、収集した浸出液の体積を決定した。
【0185】
  浸出液中、洗浄液の1μl当たりの細胞要素の絶対数(サイトーシス)をGoryaev容器を用いて決定した。浸出液を10分間200gで遠心分離した。スメアを細胞沈渣から準備し、スメアを、その後、メタノール中に固定し(5分)、Romanowsky-Giemsaによって染色した(40分20から22℃)。顕微鏡Olympus bx51(100倍)を使用して、規定通りにスメアの、単球/マクロファージの数を数えた。細胞計算は100断片までであった。
【0186】
  行われた試験は、化合物IIの使用が、3%のチオグリコリック媒体によって誘発された、ラットの腹腔へのマクロファージの流入を減少させ、及びチオグリコリック媒体の投与によって誘発された病態の重症度を減少させる(表26)。それ故、化合物IIは、腹膜炎、クローン病及び潰瘍性大腸炎を治療する潜在力を有する可能性がある。
【0187】
【表27】
【0188】
  完全フロイントアジュバントの投与により誘発されるアジュバント関節炎のモデルにおける化合物II及び化合物Iの活性の調査
  アジュバント関節炎のモデルを、標準方法により、非近交系の雄のラットで実行した(Chem Pharm Bull (Tokyo). 2018. V.66(4). P.410-415)。0日目から5日目に、完全フロイントアジュバント(Freund's Adjuvant, Complete (Pierce))を、動物に、動物1匹当たり100μlで、右後肢の足底下(subplantarly)に投与した。右後肢(発症)及び左後肢(反対側)の体積を、プレチスモメーター(Ugo Basel)を用いて、0日目、14日目、16日目、18日目、21日目、25日目、28日目及び30日目に測定した。我々は、発症肢の体積変化によって、初期(炎症)反応を推定し、反対肢の体積変化によって、二次的な(免疫)反応を推定した。化合物IIを、1日1回、試験の14番目から30番目に、毎日胃内に投与した。
【0189】
  試験の結果を表27及び28に記載する。
【0190】
  行われた試験は、投与された化合物IIの使用が、発症肢及び反対肢の両方の体積増加を減少させることを示した。これは化合物IIが、抗炎症効果及び免疫向性の効果、両方を有すると結論づけることを可能にする。それ故、化合物IIは、リウマチ関節炎、及び他の種類の関節炎、及び関節症を治療する、高い治療潜在力を有する。
【0191】
【表28】
【0192】
【表29】
【0193】
  カラゲナン浮腫のモデルにおける化合物IIの活性の試験
  免疫系の機能状態における化合物IIの効果を評価するため、カラゲナン誘発のラットの肢の浮腫のモデルを使用した。実験を、250から270gの重量の、雄の白い非線形のラットで行った。ラットでの肢の急性炎症を、右肢に、1.5%のカラゲナン溶液0.1mlの足底内の投与(皮下)によって引き起こした。試験の化合物を、カラゲナン投与の1時間前に、胃内に投与した。化合物IIの効果及び対照基質(ジクロフェナク)を、無処理の左肢と比較して、肢の浮腫の減少程度によって評価した。肢の体積を、化合物IIの投与前、及びカラゲナンの投与の2時間後に、評価した。
【0194】
  試験の結果を表29に記載する。
【0195】
【表30】
【0196】
  本結果から、化合物IIは肢の浮腫の成長を直接阻害し、免疫系の細胞の活性と関連する、幅広い疾患の治療に、使用され得ることが明らかである。
【0197】
  糖尿病性腎症のラットモデルにおける化合物IIの活性の試験
  糖尿病性腎症のラットモデルを、動物を高脂肪食事の摂取の状態を長く行うこと、及び30mg/kgの投薬で、ストレプトゾトシンの1倍量又は2倍量の腹腔内投与によって誘発した(Int J Clin Exp Med. 2015 Apr 15;8(4):6388-96)。
【0198】
  動物が、16週間高脂肪食に保たれ、9週目にストレプトゾトシンが30mg/の投薬で腹腔内に2回(2日連続)投与された。ストレプトゾトシンの投与の7日後に、化合物IIの投与が始まった。物質を1日1回、50mg/kgの投薬で胃内に毎日投与した。
【0199】
  試験の10週目から始めた、化合物IIの胃内投与は、実験動物の尿中の1日のタンパク質含有量を、無処理対照の水準まで減少させた(表30)。その結果は、化合物IIが、糖尿病性腎症の場合における、治療効果を有すると結論付けることを可能にする。
【0200】
【表31】
【0201】
  本発明は、開示された実施態様に関して記載したが、詳細に記載された特定の実験が、本発明を説明するのみのために開示され、任意の方法で本発明の範囲を、制限するとみなされないことが当業者に明らかである。本発明の本質から逸脱することなく、様々な変化を実行することが可能であることは明らかである。