(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533138(P2021-533138A)
(43)【公表日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】活性植物成分を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20211105BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20211105BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20211105BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20211105BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20211105BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20211105BHJP
A23G 9/00 20060101ALI20211105BHJP
A23G 9/36 20060101ALI20211105BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/99
A61Q17/04
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/38 C
A23L2/38 H
A23L2/52
A23G9/00 101
A23G9/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2021-505896(P2021-505896)
(86)(22)【出願日】2019年7月8日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月17日
(86)【国際出願番号】EP2019068237
(87)【国際公開番号】WO2020025257
(87)【国際公開日】20200206
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/097728
(32)【優先日】2018年7月30日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】18191914.3
(32)【優先日】2018年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グー,シュイラン
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ヤンリン
(72)【発明者】
【氏名】トゥー,フォンジュアン
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B117
4C083
【Fターム(参考)】
4B014GB18
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4C083AD391
4C083AD491
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(57)【要約】
生物性基質または無生物性基質に対する使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物が開示され、上記組成物は、(i)第1の植物に由来する材料の第1の水性抽出物であって、上記第1の抽出物が第1の活性植物成分の第1の量を含む第1の水性抽出物、(ii)第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料の第2の水性抽出物であって、上記第2の抽出物が第2の活性植物成分の第1の量を含む第2の水性抽出物、(iii)上記第1の活性植物成分の追加量、および(iv)上記第2の活性植物成分の追加量を含み、組成物中の上記第1の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比および上記第2の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、上記組成物または対応する水性抽出物に上記第1および上記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各上記追加量が含まれ、上記組成物は、上記第1または上記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、上記第1の植物はアトラクチロデス・マクロセファラであり、上記第1の活性植物成分はアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに上記第2の植物は、グリチルリーザ・ウラレンシス、グリチルリーザ・インフラータまたはグリチルリーザ・グラブラであり、上記第2の活性植物成分はリコカルコンAまたはグラブリジンである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物性基質または無生物性基質に対する使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物であって、前記組成物が、
(i)第1の植物に由来する材料の第1の水性抽出物であって、前記第1の抽出物が第1の活性植物成分の第1の量を含む第1の水性抽出物、
(ii)前記第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料の第2の水性抽出物であって、前記第2の抽出物が第2の活性植物成分の第1の量を含む第2の水性抽出物、
(iii)前記第1の活性植物成分の追加量、および
(iv)前記第2の活性植物成分の追加量を含み、
前記組成物中の前記第1の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比および前記第2の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第1および前記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各前記追加量が含まれ、前記組成物が、前記第1または前記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、
前記第1の植物がアトラクチロデス・マクロセファラであり、前記第1の活性植物成分がアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに前記第2の植物が、グリチルリーザ・ウラレンシス、グリチルリーザ・インフラータまたはグリチルリーザ・グラブラであり、前記第2の活性植物成分がリコカルコンAまたはグラブリジンである組成物。
【請求項2】
生物性基質または無生物性基質に対する使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物であって、前記組成物が、
(i)第1の植物に由来する材料と、前記第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料との水性共抽出物であって、前記水性抽出物が、前記第1の植物に由来する第1の活性植物成分と前記第2の植物に由来する第2の活性植物成分との第1の量を含む水性共抽出物、
(ii)前記第1の活性植物成分の追加量、および
(iii)前記第2の活性植物成分の追加量を含み、
前記組成物中の前記第1の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比および前記組成物中の前記第2の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または前記水性共抽出物に前記第1および前記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各前記追加の添加量が含まれ、前記組成物が、前記第1または前記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、
前記第1の植物がアトラクチロデス・マクロセファラであり、前記第1の活性植物成分がアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに前記第2の植物が、グリチルリーザ・ウラレンシス、グリチルリーザ・インフラータまたはグリチルリーザ・グラブラであり、前記第2の活性植物成分がリコカルコンAまたはグラブリジンである組成物。
【請求項3】
前記生物性基質または無生物性基質に対する各前記活性植物成分の前記使用上の有益な効果が、同じであるか類似している、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、洗剤組成物、柔軟剤または硬質表面洗浄組成物であり、前記使用上の有益な効果が、無生物性基質に対するものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、化粧品、食料品、飲料、アイスクリームまたは冷菓であり、前記使用上の有益な効果が、生物性基質に対するものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が化粧品組成物であり、前記使用上の有益な効果が化粧効果である、請求項6に記載の組成物。
【請求項7】
前記比が、1:1〜1:2500重量部である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の活性植物成分の前記第1の量および前記第2の活性植物成分の前記第1の量が、0.00001重量%〜5重量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
各前記追加量が、前記組成物の0.00001重量%〜10重量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物としての組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記第1または前記第2の植物と同じ属でない第3の植物に由来する材料の別の水性抽出物をさらに含み、前記第3の抽出物が、第3の活性植物成分の第1の量と、前記組成物中の前記第3の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第3の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる前記第3の活性植物成分の追加量とを含み、前記組成物が、前記第3の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、前記第3の第3の植物がパエオニア・ラクティフローラであり、前記第3の活性植物成分がパエオニフロリンである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記第1、第2または第3の植物と同じ属でない第4の植物に由来する材料の別の水性抽出物をさらに含み、前記第4の抽出物が、第4の活性植物成分の第1の量と、前記組成物中の前記第4の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第4の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる前記第4の活性植物成分の追加量とを含み、前記組成物が、前記第4の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、前記第4の植物がポリア・ココスであり、前記第4の活性植物成分がパキミン酸である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
美白に使用するための、前述の請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
皮膚のメラニン含有量を減少させるための、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性植物成分の組合せを含む組成物、特に化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医薬品系は何世紀にもわたって存在してきた。漢方薬およびアーユルヴェーダ製剤は、それらの使用上の利点が証明されているため、依然として人気がある。食品、軽食および化粧品組成物を含む様々な組成物は、基礎となる知識が従来の医薬品系から得られる植物系材料の抽出物または一部を含有する。
【0003】
化粧品組成物は、例えば、植物の根、茎、果実、葉または花から抽出される1つ以上の活性植物成分を含有することが多い。通常、抽出物は水性抽出物である。水性抽出物が広く使用されている理由には、効果、および消費者の安全性がある。通常、抽出物は、そのうちの一部のみが有効であり、1つ以上の使用上の利点に関連している複数の活性成分を含有する。そのような抽出物は、使用上の利点とは関連し得ない他の成分も含有すること多い。場合によっては、そのような他の成分は、有益な活性成分の作用に拮抗する作用を有し得る。さらに、他のいくつかの成分は、(1または複数の)活性成分がその役割を果たすのを助けるという脇役を演じ得る。抽出物中には複数の化学物質が存在し、現時点では、そのようなあらゆる化学成分の組成および作用機序は完全には理解されていない場合があるため、本発明者らは、水性抽出物中のあらゆる成分が何らかの役割を果たすが、使用上の利点に主に関連する少なくとも1つの成分が存在すると推定する。
【0004】
活性成分の一部のみが通常抽出され(植物材料から)、抽出物は非鹸化物、ガムおよび樹脂のような有益でない画分を通常かなりの量含有し得るため、水性抽出物には、それ自体に限界がある。製剤科学者が、消費者による使用を意図して、所与の組成物中にさらに多くの量の任意の活性成分を含めることを意図する場合、比較的容易な選択肢は、組成物中の抽出物の量を増加させることである。もう1つの選択肢は、例えば、根または樹皮を叩打また粉砕することによって植物材料を前処理することである。
【0005】
通常、水性抽出物は微量の有益な活性成分を含有し、場合によっては、その量は、抽出物1キログラムまたは1リットル当たり数ミリグラムという少なさであり得る。加工条件および設備の制約から、プロセスエンジニアが植物系材料からさらに多くの成分を抽出する余地は実質的にほとんどない。また、圧力または温度などの条件をその意味を理解せずに大幅に変更すると、活性成分が変性するリスクがある。水性抽出物では、通常、(1または複数の)活性成分、非活性成分、もしあれば(1または複数の)拮抗成分、および補助成分はいずれも、互いに明確な比率で存在する。
【0006】
当該組成物中の活性植物成分の量を増加または増強する必要がある場合、比較的容易なアプローチは、溶媒を水から非水溶媒、例えば、アルコール、特にエタノールに変更し、それによって、同じ植物系材料の非水性抽出物を得ることである。非水溶媒は、一般に、比較的強力な溶媒であると考えられている。ただし、そのような溶媒が使用される場合、対応する水性抽出物と比較して、抽出物中のあらゆる成分の量が増加することが通常観察される。言い換えれば、(1または複数の)活性成分の絶対量は増加し得るが、他の成分と比較したそのような(1または複数の)成分の相対量は同じままである。非水溶媒に関する追加の問題は、一部の非抽出性材料(水を使用して抽出することができない)もそのような溶媒によって抽出される可能性があり、それが消費者にリスクをもたらす可能性があるか、望ましくない色、または使用上の望ましくない副作用の形で現れる可能性があることである。
【0007】
一般に、そのような組成物は、異なる植物または薬草に由来するそのような活性植物成分が相乗的な使用上の利点を有するといくつかの例では考えられている(また、場合によっては証明されている)ため、2つ以上の活性植物成分の組合せを有する。
【0008】
米国特許第20140242013号(香港浸会大学)は、スキンケア用の白朮(Atractylodis Macrocephalae Rhizoma)、甘草(Glycyrrhizae Radix et Rhizoma)、当帰(Angelicae sinensis Radix)、芍薬(Paeoniae Radix Alba)および茯苓(Poria)を含む漢方薬用調合物を開示している。それはさらに、この調合物の生物活性画分を調製するための方法、ならびに皮膚美白および抗皮膚老化に対する生物活性画分の適用に関する。ブレンドされた薬草調合物を250mLの蒸留水に1時間浸漬し、還流下で4時間かけて抽出し、次いで濾過して第1の薬草抽出物を得る。第1の抽出物の薬草残渣を8倍量(v/w)の蒸留水を用いて2時間、続いて5倍量(v/w)の蒸留水を用いて1時間かけてさらに還流抽出して、それぞれ第2および第3の薬草抽出物を得る。第2および第3の抽出物を第1の薬草抽出物と組み合わせて、混合抽出物を形成する。混合抽出物を減圧下で好適な容量(約25ml)に濃縮して、濃縮抽出物を形成し、これを、さらにいくつかの工程を経た後、化粧品組成物に使用する。
【0009】
米国特許第2003/026823号(FRIED HOWARDら)は、製造が安価で、容易に適用および/または統合され、植物および動物の生命に無害であり、シトロネラ油、ゼラニウム油、ローズマリー油、ペパーミント油、D−リモネン、アルデヒドC−14およびアルデヒドC−18を含む、防虫に使用するための組成物を開示している。好ましい組成物は、ラベンダー油、ピペリトンおよびユーカリ油をさらに含有する。
【0010】
中国特許第106852795号(CHANGSHA XIEHAQJI BIOLOGY ENG CO LTD)は、そばかす除去エマルジョンの調製方法を開示している。そばかす除去エマルジョンは、フィトステロール、グラブリジン、リソスペルマム(lithospermum)抽出液、スベリヒユ(purslane)抽出液、ホウセンカ(garden balsam)茎抽出液、ペオノール、リコリス(licorice)フラボノイド液、グリシルリチン酸二カリウム、マグノリン抽出液、カモミール抽出液、アルブチン、サボテン抽出物、アロエ抽出液、カバノアナタケ(Inonotus obliquus)抽出物、スイカズラ(honeysuckle)抽出液、コノテガシワ(Platycladus orientalis)抽出液、アルニカ(arnica)抽出液、タンポポ(dandelion)抽出液、リコリス抽出液、タンジン(Salvia Miltiorrhiza)抽出液、ブドウ種子抽出液、艾葉(folium artemisiae argyi)抽出液、オケラ(bighead atractylodes rhizome)抽出液、アマチャズル(Gynostemma pentaphyllum)抽出液、リンドウ(Gentiana scabra Bunge)抽出液、地楡(garden burnet)抽出液、シラネアザミ(saussurea involucrata)抽出液、乳化ワックス、ポリグルタミン酸、精油およびイオン水を混合することによって調製される。
【0011】
中国特許第107595756号(JIANG BINGBING)は、以下の成分、すなわち、1〜10重量パーセントのニコチンアミド、1〜5重量パーセントのリコカルコンA、1〜10重量パーセントのアルブチン、0.5〜1.5重量パーセントのシラン(bletilla)根抽出物、0.5〜1.5重量パーセントのオケラ(atractylodes)根抽出物、0.05〜0.3重量パーセントの真珠抽出物、0.05〜0.3重量パーセントのチョウセンニンジン(ginseng)抽出物、0.01〜0.5重量パーセントのセイヨウスイレン(nymphaea alba)花、0.01〜0.5重量パーセントのマルバドウキ(ligusticum)根、20〜40重量パーセントのグリセロール、および残部の水を含有する美白黒色除去化合物を開示している。
【0012】
中国特許第106860325号(CHANGSHA XIEHAQJI BIOLOGY ENG CO LTD)は、発酵そばかす除去トナーを開示している。開示されているように、発酵そばかす除去トナーは、フィトステリン、グラブリジン、ムラサキ(gromwell)抽出溶液、ビタミンD3、リパーゼ、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、リコリス根フラボン溶液、グリチルレチン酸二カリウム(dipotassium glycyrrhetate)、マグノリン抽出溶液、カミツレ(camomile)抽出溶液、アルブチン、セレウス(cereus)抽出物、アロエ抽出溶液、カバノアナタケ抽出物、スイカズラ花抽出溶液、コノテガシワ抽出溶液、アルニカ(mountain tobacco)抽出溶液、タンポポ(taraxacum)抽出溶液、リコリス根抽出溶液、プロポリス抽出溶液、コゴメバナ(eyebright)抽出溶液、ローズヒドロゾル、土茯苓(glabrous greenbrier rhizome)抽出溶液、アメリカマンサク(witch hazel)抽出溶液、リンドウ(gentian)抽出溶液、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)抽出溶液、チョウジノキ(clove)抽出溶液、ミリスチン酸イソプロピル、ポリグルタミン酸、香料およびイオン水を混合することによって調製される。
【0013】
米国特許第20120136067号(Beiersdorf,2003)は、化粧品O/Wエマルジョン中のリコカルコンAまたはリコリス抽出物の貯蔵安定性を向上させるためのa)2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(INCI:オクトクリレン)、b)4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(INCI:ブチルメトキシジベンゾイルメタン)のUVフィルターの組合せの使用を開示している。
【0014】
米国特許第2005191266号(Beiersdorf,2003)は、リコカルコンA、およびリコカルコンAを含むラディクス・グリュキュルリザエ・インフラタエ(radix glycyrrhizae inflatae)の抽出物のうちの少なくとも1つの有効量を含む化粧品または皮膚科用製剤を開示している。
【0015】
米国特許第2011236509号(Unilever)は、皮膚上のにきびの発生を低減または予防するための局所組成物および方法を開示している。この発明の目的は、相乗的に相互作用して、にきびの予防、減少または治療のための化粧品組成物を提供する薬草抽出物の組合せを提供することである。組成物は、インドセンダン(Azhadirachta indica)である第1の活性物質の抽出物と、(ii)ニガウリ(Momordica charantia)またはゴマ(Sesamum indicum)から選択される第2の活性物質の抽出物とを含む。
【0016】
国際公開第14173635号(Unilever)は、植物源の抽出物の相乗的組合せを含む発毛のための局所組成物を開示している。この組成物は、成長期の状態に毛球を比較的長く保持するだけでなく、毛髪を確実に伸ばす。これは、毛髪または頭皮に塗布される没食子酸エステルとグリチルリーザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)またはゴマの抽出物との組合せによって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第20140242013号
【特許文献2】米国特許第2003/026823号
【特許文献3】中国特許第106852795号
【特許文献4】中国特許第107595756号
【特許文献5】中国特許第106860325号
【特許文献6】米国特許第20120136067号
【特許文献7】米国特許第2005191266号
【特許文献8】米国特許第2011236509号
【特許文献9】国際公開第14173635号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的の1つは、生物性基質または無生物性基質に対するその使用上の利点に関する限り、有効な組成物を提供することであり、組成物は、根または樹皮などの対応する植物材料から抽出された植物活性成分の組合せを含む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
問題は、本発明による組成物によって解決された。
【0020】
本発明の第1の態様によれば、生物性基質または無生物性基質に対する使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物が開示され、上記組成物は、
(i)第1の植物に由来する材料の第1の水性抽出物であって、上記第1の抽出物が第1の活性植物成分の第1の量を含む第1の水性抽出物、
(ii)第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料の第2の水性抽出物であって、上記第2の抽出物が第2の活性植物成分の第1の量を含む第2の水性抽出物、
(iii)上記第1の活性植物成分の追加量、および
(iv)上記第2の活性植物成分の追加量を含み、
組成物中の上記第1の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比および上記第2の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、上記組成物または対応する水性抽出物に上記第1および上記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各上記追加量が含まれ、上記組成物は、上記第1または上記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、上記第1の植物はアトラクチロデス・マクロセファラ(Atractylodes macrocephala)であり、上記第1の活性植物成分はアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに上記第2の植物は、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)、グリチルリーザ・インフラータ(Glycyrrhiza inflata)またはグリチルリーザ・グラブラであり、上記第2の活性植物成分は、リコカルコンAまたはグラブリジンである。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、生物性基質または無生物性基質に対する使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物が開示され、上記組成物は、
(i)第1の植物に由来する材料と、第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料との水性共抽出物であって、上記水性抽出物が、上記第1の植物に由来する第1の活性植物成分と上記第2の植物に由来する第2の活性植物成分との第1の量を含む水性共抽出物、
(ii)上記第1の活性植物成分の追加量、および
(iii)上記第2の活性植物成分の追加量を含み、
組成物中の上記第1の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比および組成物中の上記第2の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、上記組成物または水性共抽出物に上記第1および上記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各上記追加の添加量が含まれ、上記組成物は、上記第1または上記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、上記第1の植物はアトラクチロデス・マクロセファラであり、上記第1の活性植物成分はアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに上記第2の植物は、グリチルリーザ・ウラレンシス、グリチルリーザ・インフラータまたはグリチルリーザ・グラブラであり、上記第2の活性植物成分はリコカルコンAまたはグラブリジンである。
【0022】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
疑義を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴が、本発明の他の任意の態様において利用されてもよい。用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明に示される実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、すべてのパーセンテージは、他に指示がない限り重量/重量%である。操作および比較実施例、または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応条件、材料および/または使用の物理的特性を示す本明細書および特許請求の範囲中のすべての数字が、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。値または量のいかなる範囲の指定においても、あらゆる特定の上限の値または量はあらゆる特定の下限の値または量に関連付けられ得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」または「an」およびその対応する定冠詞「the」は、別段の指定がない限り、少なくとも1つ、または1つ以上を意味する。上記の個々の項で言及されている本発明の様々な特徴は、必要に応じて、他の項に準用される。したがって、ある項で指定された特徴は、必要に応じて、他の項で指定された特徴と組み合わせられ得る。項の任意の見出しは便宜のためにのみ追加されたものであり、本開示を限定することを決して意図するものではない。
【0025】
活性植物成分という用語は、水性抽出物中に存在し、少なくとも1つの使用上の有益な効果に主に関連する成分を意味する。例えば、リコカルコンAまたはグラブリジンは、グリチルリーザ・グラブラの水性抽出物中に存在する活性植物成分であり、これらの成分は、色素沈着した皮膚の美白またはメラニン含有量減少に主に関連する。
【0026】
「関連する」という表現は、成分が使用上の有益な効果を引き起こすことに大きく関与しているか、この効果を引き起こすことで知られていることを意味する。
【0027】
「使用上の有益な効果」という表現は、感覚によって知覚され得るか、任意の公知の装置または機械を使用する任意の公知の方法によって測定され得る任意の知覚可能な効果を意味する。例えば、グリチルリーザ・グラブラの水性抽出物中に存在する活性植物成分としてのリコカルコンAまたはグラブリジンの場合、色素沈着した皮膚の美白またはメラニン含有量減少は、使用上の有益な効果である。
【0028】
無生物性基質という用語には、家の中または周囲に見られる硬質表面、例えば、木製面、金属面、セラミック面、ガラス面および塗装面、セラミック面、ビトリファイドタイル面、紙面、ポリスチレン面もしくは大理石面、または軟質表面、例えば、衣類、カーペット、カーテンおよび他の織物が含まれる。生物性基質とは、無生物性基質以外であり、人体または動物体、さらに好ましくは人体、すなわち、ヒトの皮膚、毛髪、歯または脇の下であり得る基質を意味する。本発明の目的では、生物性基質は植物表面を含まない。
【0029】
水性抽出物という用語は、抽出物が抽出のための溶媒として水を使用することによってのみ得られることを意味する。一態様では、抽出物自体は、ある程度の水分を含む粉末または顆粒などの固体形態である。水性抽出物という用語は、抽出物が必ずしもかなりの量の水を含有することを意味するものではない。あるいは、抽出物自体は、非活性植物成分および活性植物成分を含む水性形態である。この場合、抽出物はかなりの量の水を含有する。
【0030】
非活性植物成分という用語は、水性抽出物中に存在し、使用上の有益な効果とは主に関連しない成分を意味する。あるいは、この用語は、水性抽出物中に存在し、活性植物成分が関連する効果以外の使用上の有益な効果に主に関連する成分を意味する。
【0031】
非活性植物成分のセットという表現は、少なくとも2つの非活性植物成分の存在を意味する。
【0032】
本発明の目的では、植物という用語には、被子植物、裸子植物、コケ植物、シダ植物および真菌が含まれる。
【0033】
植物由来材料という表現は、植物の一部、例えば、根、葉、茎、果実、花または樹皮を意味する。植物がキノコなどの真菌である場合、材料は好ましくは菌核に由来する。そのような材料は、植物から直接供給され得るか、洗浄、叩打または粉砕などの前処理工程を受け得る。さらに、そのような材料はまた、植物から得られる材料、例えば、ガム、浸出液またはラテックスであり得る。
【0034】
非水性抽出物という表現は、抽出物が水以外の溶媒を使用することによって得られることを意味する。非水性抽出物は、アルコール抽出物、特にエタノール抽出物を意味することが好ましい。
【0035】
本発明の組成物
本発明による組成物は、生物性基質または無生物性基質に対する少なくとも1つの使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む。
【0036】
一態様では、本発明による組成物は、洗剤組成物、柔軟剤または硬質表面洗浄組成物であり、有益な効果は、無生物性基質に対するものである。あるいは、本発明の組成物は、化粧品、食料品、飲料、アイスクリームまたは冷菓であり、有益な効果は生物性基質に対するものである
本発明による組成物は化粧品組成物であり、使用上の有益な効果は化粧効果であることが好ましい。化粧効果という用語は可変であり、組成物の性質および目的に応じて様々な意味を有し得る。例えば、化粧品組成物がシャンプーである場合、化粧効果は、光沢の高まった毛髪、フィズフリー(fizz−free)の毛髪、または比較的真っ直ぐなもしくは扱いやすさが高まった毛髪であり得る。化粧品組成物が消臭剤または制汗剤である場合、対応する化粧効果は発汗の減少である。
【0037】
好ましくは、化粧品組成物は、スキンケア組成物、皮膚クレンジング組成物、消臭剤、制汗剤、ヘアケア組成物または口腔ケア組成物である。ヘアケア組成物には、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアジェル、ヘアオイル、ヘアセラムおよびヘアカラーが含まれる。スキンケア組成物には、クリーム、ジェル、ローション、ワイプ、ファンデーション、化粧品マスク、マスカラ、口紅およびアフターシェーブ製剤が含まれる。口腔ケア組成物には、練り歯磨き剤および口内洗浄剤が含まれる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「食品」または「食料品」には、乳製品(ミルクおよびヨーグルトを含む)、デザート、インスタント食品/スナック、朝食用シリアルおよびシリアルバー、マヨネーズ、ドレッシング、サンドイッチの具、調理済みの食事、パン、スープ、ヌードル、ビスケットならびにケーキが含まれる。軽食には、飲料、アイスクリームおよび冷凍デザートが含まれる。軽食という用語には、アイスクリーム、氷菓およびシャーベットならびにヨーグルトアイスクリームなどの冷凍菓子が含まれる。好適な飲料には、茶、茶風味飲料、大豆ベースの製品、コーヒー、ソフトドリンク(例えば、炭酸スカッシュ)およびフルーツジュースが含まれる。
【0039】
好ましくは、食品組成物は、タンパク質、炭水化物または脂肪のうちの少なくとも1つをさらに含む。食品組成物が少なくともタンパク質および炭水化物を含むことが特に好ましい。あるいは、タンパク質、炭水化物および/または脂肪のうちの1つの供給源は、例えば、食品組成物がこれらの成分の実質的な量を含有しない場合、食品組成物と同時に与えられ得る。
【0040】
好適なタンパク質の供給源には、ミルク、ヨーグルト、ケフィア、チーズまたはクリームなどの乳製品供給源が含まれる。食品組成物の種類に応じて、他の動物供給源も使用され得る。あるいは、食品組成物は、大豆タンパク質、米タンパク質、エンドウ豆タンパク質または小麦タンパク質などの植物由来タンパク質を含み得る。
【0041】
食品組成物または軽食組成物中のタンパク質、脂肪、炭水化物および他の成分の量は、製品の形式、および適用される国または地域の法律によって異なる。
【0042】
本発明による組成物は、第1の水性抽出物および第2の水性抽出物を含む。水性抽出物の含有量は、植物、および当該植物に由来する材料に依存する。例えば、植物の根の水性抽出物中の成分の構成または組成は、同じ植物の樹皮の水性抽出物中の成分の組成と同じではない可能性がある。第1の量は、当該材料中に存在し、標準的な抽出条件下でそこから抽出可能であるとして抽出物中に本質的に存在する量である。
【0043】
第1の水性抽出物は、第1の植物に由来する材料である。第1の水性抽出物は、第1の活性植物成分の第1の量を含む。
【0044】
第1の植物はアトラクチロデス・マクロセファラであり、第1の活性植物成分はアトラクチレノリドI、IIまたはIIIである。
【0045】
本発明の組成物は、第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料の第2の水性抽出物を含み、上記第2の抽出物は、第2の活性植物成分の第1の量を含む。第1の量は、当該材料中に存在し、標準的な抽出条件下でそこから抽出可能であるとして抽出物中に本質的に存在する量である。
【0046】
第2の植物はグリチルリーザ・ウラレンシスもしくはグリチルリーザ・インフラータ、またはグリチルリーザ・グラブラであり、上記第2の活性植物成分はリコカルコンAまたはグラブリジンである。
【0047】
本発明の組成物は、第1の活性植物成分の追加量をさらに含む。本発明の組成物は、第2の活性植物成分の追加量をさらに含む。追加量は、抽出物中にすでに存在し、それぞれ第1の量および第2の量と呼ばれる量を超える。名称が示唆するように、追加量は、組成物または対応する水性抽出物に上記第1および上記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる。好ましくは、追加量は、対応する水性抽出物を添加することによって含まれる。
【0048】
組成物中の上記第1の活性植物成分の第1の量とその対応する追加量との比および上記第2の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比は、1:1〜1:3000重量部である。さらに好ましくは、この比は、1:1〜1:2500重量部である。比の広い範囲は、適用可能な第1の量に関する配合の柔軟性を示し、対応する追加量が関係している。場合によっては、第1の(または第2の)植物もしくはその両方に由来する材料中の活性植物成分の量が本質的に少ないという観点から、または抽出プロセスに含まれる制限/複雑性の観点から、当該水性抽出物中の当該第1の量が、抽出物に基づいて低くなる、場合によっては0.00001重量%にさえなるため、そのような広い配合の柔軟性が必要である。そのような場合、抽出物が組成物、例えば、美白クリームのような化粧品組成物に使用されると、組成物に投与されるか含まれ得る活性物質の可能な最大量もまた非常に低くなる。その理由は、活性物質の量を増加させるために、製剤科学者は当該抽出物の量を増加させる必要があり、それは技術的または商業的に実行可能ではない可能性があるためである。したがって、そのような場合、製剤科学者は、例えば、1:2000重量部の比で、さらに多量の当該追加量を含めるために、製剤の原理に関する知識に基づいて幅広い裁量を有するであろう。
【0049】
他方、当該活性植物成分の固有の、または第1の量が、当該第1または第2の抽出物中ですでに十分に高い場合、製剤科学者は、例えば、1:2000重量部の比で、さらに多量の当該追加量を含める理由を有しない可能性がある。そのような場合、科学者は1:1または1:2重量部の比を好む可能性がある。
【0050】
本発明の組成物は、上記第1または上記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まない。好ましくは、非水性抽出物という用語は、アルコール抽出物、特にエタノール抽出物を意味する。その理由は、前述のように、非水性抽出物は多くの場合、望ましくない成分を含有するか、当該組成物に望ましくない色または臭いのような、消費者に関連する問題を引き起こし得る他の干渉成分を有することが多いためである。
【0051】
第1の活性植物成分の第1の量および上記第2の活性植物成分の上記第1の量は、組成物の0.00001重量%〜5重量%であることが好ましい。さらに好ましくは、この量は、組成物の0.001重量%〜4重量%である。さらになお好ましくは、それは、組成物の0.001重量%〜2重量%である。これは本発明の組成物中の活性植物成分の実際の量であるため、製剤科学者は、組成物が必要な量の当該活性植物成分を最終的に有するように、対応する量の当該抽出物を(計算を行うことによって)加える必要がある。
【0052】
さらに好ましくは、本発明の組成物では、各上記追加の添加量は、上記組成物の0.00001重量%〜10重量%である。
【0053】
第1の植物がアトラクチロデス・マクロセファラであり、第1の活性植物成分がアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、第2の植物がグリチルリーザ・ウラレンシス(またはグリチルリーザ・インフラータもしくはグリチルリーザ・グラブラ)であり、第2の活性植物成分がリコカルコンAまたはグラブリジンである場合、本発明の組成物が化粧品組成物であり、有益な効果が、色素沈着モデルのヒトの生きている皮膚同等物内のメラニンの発現のダウンレギュレーションによって示されるように、美白であることが好ましい。
【0054】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、第1または第2の植物と同じ属でない第3の植物に由来する材料の別の(すなわち、第3の)水性抽出物を含み、上記別の抽出物は、第3の活性植物成分の第1の量と、上記組成物中の上記第3の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、さらに好ましくは、この比が1:1〜1:2500重量部であるように、上記組成物または対応する水性抽出物に上記第3の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる上記第3の活性植物成分の追加量とを含む。そのような場合にも、組成物は、上記第3の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まない。
【0055】
好ましくは、第3の植物はパエオニア・ラクティフローラ(Paeonia lactiflora)であり、上記第3の活性成分はパエオニフロリンである。
【0056】
さらに一層好ましくは、本発明の組成物は、第1、第2または第3の植物と同じ属でない第4の植物に由来する材料である別の(すなわち、第4の)水性抽出物を含み、上記第4の抽出物は、第4の活性植物成分の第1の量と、上記組成物中の上記第4の活性植物成分の第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、上記組成物または対応する水性抽出物に上記第4の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる上記第4の活性植物成分の追加量とを含み、上記組成物は、第4の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まない。
【0057】
好ましくは、第4の植物はポリア・ココス(Poria cocos)であり、第4の活性成分はパキミン酸である。この植物は真菌、キノコである。材料はその菌核に由来する。
【0058】
本発明の第2の態様によれば、生物性基質または無生物性基質に対する少なくとも1つの使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物が開示され、上記組成物は、
(i)第1の植物に由来する材料と、第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料との水性共抽出物であって、上記水性抽出物が、上記第1の植物に由来する第1の活性植物成分の第1の量と上記第2の植物に由来する第2の活性植物成分の第1の量とを含む水性共抽出物、
(ii)上記第1の活性植物成分の追加量、および
(iii)上記第2の活性植物成分の追加量を含み、
組成物中の上記第1の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比および組成物中の上記第2の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、上記組成物または水性共抽出物に上記第1および上記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各上記追加量が含まれ、上記組成物は、上記第1または上記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、上記第1の植物はアトラクチロデス・マクロセファラであり、上記第1の活性植物成分はアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに上記第2の植物は、グリチルリーザ・ウラレンシス、グリチルリーザ・インフラータまたはグリチルリーザ・グラブラであり、上記第2の活性植物成分はリコカルコンAまたはグラブリジンである。
【0059】
これと本発明の第1の態様との差は、この態様が、第1の植物に由来する材料と、第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料との水性共抽出物に関するのに対して、第1の態様では、第1の植物に由来する材料および第2の植物に由来する材料の個々の抽出物が参照されることである。用語「共抽出物」は、上記第1の植物および第2の植物が、水性媒体中で一緒に抽出されることを意味する。これは、原則として、第1の植物および第2の植物が別個に抽出され、続いてそれらの抽出物を組み合わせて本発明による組成物を得る第1の態様とは異なる。
【0060】
本発明の第2の態様による組成物では、組成物が、第1または第2の植物と同じ属でない第3の植物に由来する材料の別の水性抽出物を含むことが好ましく、上記別の抽出物は、第3の活性植物成分の第1の量と、上記組成物中の上記第3の活性植物成分の上記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、さらに好ましくは、この比が1:1〜1:2500重量部であるように、上記組成物または対応する水性抽出物に上記第3の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる上記第3の活性植物成分の追加量とを含む。そのような場合にも、組成物は、上記第3の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まない。共抽出プロセスでは、抽出物が上記で言及した別の抽出物を含むか包含するように、第3の植物に由来する材料を使用することが好ましい。
【0061】
好ましくは、第3の植物はパエオニア・ラクティフローラ(Paeonia lactiflora)であり、上記第3の活性成分はパエオニフロリンである。
【0062】
さらに一層好ましくは、本発明の第2の態様による組成物では、組成物が、第1、第2または第3の植物と同じ属でない第4の植物に由来する材料である別の(すなわち、第4の)水性抽出物を含むことが好ましく、上記第4の抽出物は、第4の活性植物成分の第1の量と、上記組成物中の上記第4の活性植物成分の第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、上記組成物または対応する水性抽出物に上記第4の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる上記第4の活性植物成分の追加量とを含み、上記組成物は、第4の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まない。共抽出プロセスでは、抽出物が上記で言及した別の抽出物を含むか包含するように、第4の植物に由来する材料を使用することが好ましい。
【0063】
好ましくは、第4の植物はポリア・ココス(Poria cocos)であり、第4の活性成分はパキミン酸である。この植物は真菌、キノコである。材料はその菌核に由来する。
【0064】
組成物
本発明による組成物は、洗剤組成物、柔軟剤または硬質表面洗浄組成物であり、上記使用上の有益な効果は、無生物性基質に対するものある。無生物性基質は、例えば、布地または硬質表面、例えば、セラミックおよびタイルであり得る。
【0065】
あるいは、本発明による組成物は、化粧品、食料品、飲料、アイスクリームまたは冷菓であり、上記使用上の有益な効果は、生物性基質に対するものである。
【0066】
本発明による組成物が化粧品組成物である場合、使用上の有益な効果は化粧効果である。化粧効果は、化粧品組成物の性質および目的に応じて変化し得る。その非限定的な例には、美白(skin lightening)、美白(skin whitening)、小皺およびシワの改善、表面欠陥のぼかし、縮毛矯正、ヘアコンディショニング、制汗効果、消臭効果、ならびに皮膚の保湿が挙げられる。
【0067】
本明細書で使用される場合、化粧品組成物とは、哺乳動物、特にヒトの皮膚への局所適用のための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は、一般に、リーブオンまたはリンスオフとして分類され得、外観、クレンジング、臭気制御または全体的な美観を改善するために人体に適用される任意の製品を含む。パーソナルケア組成物は、好ましくは、リーブオン組成物である。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲル、石鹸バーまたはトナーの形態であるか、器具を用いて、またはフェイスマスク、パッドもしくはパッチを介して適用され得る。パーソナルケア組成物の非限定的な例には、リーブオンスキンローションおよびクリーム、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル、トイレットバー(toilet bar)、制汗剤、消臭剤、脱毛剤、口紅、ファンデーション、マスカラ、サンレスタンナーおよび日焼け止めローションが挙げられる。したがって、好ましい化粧品的に許容可能な基剤は、エマルジョン、ローション、クリーム、フォーム、ゲル、石鹸バー、スティック、マスク、パッドまたはパッチである。リーブオン組成物では、好ましい化粧品的に許容可能な基剤は、エマルジョン、ローション、クリーム、フォーム、ゲルまたはスティックである。本明細書で使用される場合、「皮膚」は、顔および体(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、脚、臀部および頭皮)上の皮膚を含むことを意味する。
【0068】
本発明の組成物が化粧品組成物である場合、好ましくは、それは化粧品的に許容可能な基剤を含む。化粧品的に許容可能な基剤は、好ましくはクリーム、ローション、ゲルまたはエマルジョン基剤である。そのような組成物は、様々な化粧品的に許容可能な乳化または非乳化系およびビヒクルを使用して調製されてもよい。好ましい化粧品的に許容可能な基剤は、組成物の1〜25重量%の脂肪酸を含む。さらに好ましくは、基剤は、組成物の0.1〜10重量%の石鹸を含む。非常に適した基剤はクリームである。バニシングクリームが特に好ましい。バニシングクリーム基剤は、一般に、5〜25%w/wの脂肪酸と0.1〜10%w/wの石鹸とを含む。バニシングクリーム基剤は、非常に高く評価されるマット感を皮膚に与える。バニシングクリーム基剤では、C
12〜C
20脂肪酸が特に好ましく、C
14〜C
18脂肪酸がさらになお好ましい。最も好ましい脂肪酸はステアリン酸である。脂肪酸はまた、パルミチン酸とステアリン酸との混合物であり得る。石鹸には、脂肪酸のアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩が含まれ、ステアリン酸カリウムが最も好ましい。好ましくは、そのような組成物は、0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%の石鹸を含む。
【0069】
本発明の組成物は、別の美白剤、例えば、ナイアシン、ナイアシンアミド、ピコリンアミド、イソニコチンアミド、または任意の他の周知の美白剤、例えば、12−HSA、共役リノール酸、コウジ酸、アルブチンもしくはレゾルシノールを含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.2〜5重量%の美白剤を含む。
【0070】
好ましくは、化粧品組成物は、1つ以上の無機または有機UV日焼け止めをさらに含む。さらに好ましい有機日焼け止めは、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(UVB日焼け止め剤として)および/またはブチルメトキシジベンゾイルメタン(UVA日焼け止め剤として)である。好ましくは、組成物は、0.1重量%〜10重量%、さらに好ましくは0.1%〜5重量%含む。有用な無機日焼け止めには、酸化亜鉛、酸化鉄、ヒュームドシリカなどのシリカ、および二酸化チタンが含まれる。そのような粒子状材料は、疎水性剤によってさらにコーティングされ得る。
【0071】
本発明の化粧品組成物は、1つ以上の皮膚軟化剤をさらに含み得る。好適な皮膚軟化剤には、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノレート、グリセロールモノステアレート、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール(eicosanylalcohol)、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、シリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココアバター、トウモロコシ油、綿実油、獣脂、ラード、オリーブ油、パーム核油、ナタネ油、ベニバナ種子油、月見草油、大豆油、ヒマワリ油、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、ココナッツ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、ワセリン、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシルおよびミリスチン酸ミリスチルが含まれる。
【0072】
そのような組成物は、好ましくは、組成物が皮膚に適用される際にそれらの分布を容易にするために、液体または固体の皮膚軟化剤、溶媒、保湿剤、増粘剤および粉末などの他の希釈剤も含む。
【0073】
本発明の組成物が消臭剤または制汗剤である場合、それは好ましくは、担体として従来の消臭剤基剤を含む。消臭剤とは、ロールオンの形態の軟質固体、スティック、ゲル、クリームおよび液体の製品、または局所/腕の下に適用するための推進剤媒体中の製品を意味し、そのような組成物は、発汗抑制活性物質を含有しても含有しなくてもよい。液体担体、または担体の混合物は、組成物の30〜95重量%、多くの場合40〜80重量%を構成することが多い。
【0074】
本発明による化粧品組成物がヘアケア組成物である場合、それは、基剤、好ましくは皮膚科学的/化粧品的に許容可能な基剤を含む。ヘア組成物は、シャンプー、コンディショナー、スプレー、ムース、トニック、ジェル、オイル、クリーム、空気注入スタイリングフォーム、リンスまたはローションの形態を好適にとり得る。
【0075】
適切な基剤の選択は、ヘア組成物の形態、および製剤化された製品がそれが適用される表面に残されることを意図されるか(例えば、ヘアスプレー、ムース、トニックまたはジェル)、使用後に洗い流すことを意図されるかどうか(例えば、シャンプー、コンディショナー、リンス)に依存する。
【0076】
基剤は多種多様な形態であり得る。例えば、それは、水中油型、油中水型、水中油中水型またはシリコーン中水中油型エマルジョンであり得る。本明細書で使用される皮膚科学的/化粧品的に許容可能な基剤は、ヘア組成物で従来使用されている広範囲の成分を含むことができる。基剤は、ガラクツロン酸のポリマーを溶解または分散させるための溶媒であり得、好ましくは、C6アルコール、低級アルキルアセテートおよびそれらの混合物である。基剤は、多種多様な追加の材料、例えば、アセトン、炭化水素(イソブタン、ヘキサン、デセンなど)および揮発性ケイ素誘導体、例えば、シクロメチコンを含有することもできる。組成物の種類に応じて、1つ以上の追加の成分が、好ましくは、本発明の組成物に含まれ得る。そのような追加の成分には、スタイリング剤、例えば、樹脂およびヘアセットポリマー、芳香剤、染料、緩衝剤またはpH調整剤、粘度調整剤、乳白剤、真珠様光沢剤(pearlescer)、防腐剤、抗菌剤、ふけ防止剤、フォームブースター、タンパク質、保湿剤、薬草または他の植物抽出物ならびに他の天然成分が含まれる。
【0077】
本発明の化粧品組成物は、広範囲の他の任意の成分を含み得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第2版、1992は、スキンケア産業で一般に使用され、本発明の組成物に使用するのに好ましくは適した多種多様な非限定的な化粧品および医薬品成分を記載している。例には、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、増粘剤、ポリマー、収斂剤、香料、保湿剤、乳白剤、コンディショナー、剥落剤、pH調整剤、防腐剤、天然抽出物、エッセンシャルオイル、皮膚感覚剤、皮膚鎮静剤および皮膚治癒剤が挙げられる。
【0078】
本発明による局所組成物が口腔ケア組成物である場合、それは、基剤、好ましくは口腔的に許容可能な基剤を含む。口腔的に許容可能な基剤は、口腔ケア組成物が送達される形式に依存する。最も好適な形式は、口内洗浄剤、練り歯磨き剤または歯磨き粉である。組成物が口内洗浄剤として製剤化される場合、口腔的に許容可能な基剤は水である。口内洗浄剤は、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜8重量%、最も好ましくは0.5〜5重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤は、好ましくはカチオン性、アニオン性または双性イオン性であり、最も好ましくはカチオン性である。アニオン性界面活性剤が存在する場合、それは、好ましくは、アルキルスルホン酸、脂肪酸またはアルキルエーテル硫酸塩のアルカリまたはアルカリ土類金属塩から選択される。双性イオン性界面活性剤が存在する場合、それは、好ましくは、ベタイン、スルホベタイン(sulphobetain)、ヒドロキシルスルホベタインまたはアミノカルボキシレートから選択される。カチオン性界面活性剤が存在する場合、それは、好ましくは、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルピリジニウムまたは第四級アンモニウムジェミニ界面活性剤である。本発明の口内洗浄剤組成物は、希釈せずに組成物を使用することによって、または組成物を水で希釈した後に使用することによって、免疫を改善するために使用される。
【0079】
口腔ケア組成物は、練り歯磨き剤の形式で送達され得る。組成物が練り歯磨き剤である場合、口腔的に許容可能な基剤は、炭酸カルシウムまたは研磨性シリカであり得る研磨剤である。炭酸カルシウムが研磨剤である場合、練り歯磨き剤は不透明なペーストの形式である。不透明な練り歯磨き剤は、15〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%の炭酸カルシウムを含む。炭酸カルシウム(白亜としても知られている)は多くの形態で入手可能であり、これらの形態のいくつかが口腔ケア組成物に使用される。一般的に使用される2つの形態は、FGNC(微粉砕天然白亜)およびPCC(沈殿炭酸カルシウム)である。研磨性シリカが使用される場合、練り歯磨き剤は通常、透明なゲルの形式で送達される。練り歯磨き剤は、組成物の2〜15重量%、好ましくは2.2〜10重量%、さらに好ましくは2.5〜5重量%の界面活性剤を好ましくは含む。好ましい界面活性剤は、アニオン性または両性である。アニオン性界面活性剤は、好ましくはアルカリ金属アルキルサルフェート、さらに好ましくはラウリル硫酸ナトリウム(SLS)である。アニオン性界面活性剤の混合物も使用され得る。両性界面活性剤は、好ましくはベタイン、さらに好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン(アルキル基はC
10〜C
18の直鎖)であり、最も好ましくはココアミドプロピルベタイン(CAPB)である。両性界面活性剤の混合物も使用され得る。
【0080】
本発明による組成物が洗剤組成物である場合。洗濯洗剤組成物は、液体、粉末またはゲルであり得る。洗濯洗剤組成物は、好ましくは、非ホスフェート洗濯組成物であり、すなわち、1重量%未満のホスフェートを含有する。粉末洗濯洗剤製剤は、主にカーボネートから製造されており、すなわち、炭酸ナトリウムの重量パーセントは、存在する他のビルダー成分の重量パーセント合計よりも大きい。好ましくは、そのような組成物はまた、界面活性剤、ポリマー、酵素、ビルダー、遮光染料、漂白剤、着色料および芳香剤を含む。
【0081】
本発明の組成物が硬質表面洗浄組成物である場合、それは、好ましくは、食器洗い組成物または床クリーナーである。食器洗い組成物は、様々な形式で入手可能である。これらには、粉末、ペースト、液体およびバーが含まれる。これらのあらゆる形式のうち、粉末は界面活性剤の含有量が最も少なく、液体は最も多く含有する。総界面活性剤含有量は、一般に、総活性洗剤(AD)レベルとして表される。粉末は通常2〜4ADの製品であるが、食器洗い液または洗剤液は5〜30ADの製品であり得る。ADレベルを決定する界面活性剤に加えて、そのような組成物はまた、他の添加剤、例えば、気泡ブースター、気泡抑制剤(または消泡剤)、ハイドロトロープ、ポリマー、着色料および芳香剤を含有する。
【0082】
上記生物性基質または無生物性基質に対する各上記活性植物成分の使用上の有益な効果が同じであるか類似していることが特に好ましい。そのような場合、製剤科学者は、活性植物成分が相乗的に相互作用して、予測可能な数学的に相加的な効果よりも実質的に多い組合せ効果を提供する、さらに優れたかつさらに効果的な製品を製剤化することができる。
【0083】
本発明はまた、美白に使用するための本発明による組成物に関する。特に、皮膚のメラニン含有量を減少させるための組成物の使用が企図されている。
【0084】
本発明は、以下、非限定的な例の助けを借りて説明される。
【0085】
[実施例]
[実施例1]
各還流サイクルの持続時間が30分である通常の水還流プロセスによって、アトラクチロデス・マクロセファラ(根)と、パエオニア・ラクティフローラ(茎)と、ポリア・ココス(菌核)と、グリチルリーザ・グラブラ(茎、樹皮)との2:2:2:1重量部の組成比の水性共抽出物を調製した。そのようなサイクルは2回とした。真空蒸留には60℃に維持されたロータリーエバポレーターを使用した。水性抽出物を凍結乾燥して粉末にした。抽出収率は20:1重量部であった。
【0086】
表1には、凍結乾燥抽出物中の活性植物成分の量に関する情報が含まれている。
【表1】
【0087】
[実施例2]
生きている皮膚同等物(LSE)モデルにおけるメラニンの阻害
実施例1の水性共抽出物が、生物性表面(ヒトの皮膚)に対して何らかの有益な化粧効果を有するかどうかを決定するために、ヒトの生きている皮膚同等物に対して実施した試験にこの抽出物を使用した。試験の詳細は以下の通りである。
【0088】
材料
・MelaKuits(登録商標)、再構築されたヒト色素沈着LSEモデル、アジア人のドナーから得られた正常なヒト表皮ケラチノサイトおよびメラノサイトの3D培養に由来。Biocell(Xi’an,China)により入手可能である。
【0089】
・実施例1に従って水性共抽出物を調製した。
【0090】
・商業的供給業者からアトラクチレノリドI、グラブリジンおよびコウジ酸(Koji acid)を入手した。
【0091】
方法
色素沈着LSEモデルを24時間の定期的な間隔で7日間連続してUVB(50mJ/cm
2)に曝露して、メラニンの合成を刺激した。抽出物を4日目および6日目に各LSEモデルに局所適用し、48時間間隔で新たに適用した。比較のために、LSEをUV放射に曝露せず、抽出物も適用していないブランク実験を行った。LSEモデルをUV放射に曝露したが、他の処理は行わなかった対照実験も行った。
【0092】
8日目に、各LSEモデルの外観を写真撮影により評価した。その後、試験に供された全モデルをそれぞれのインサートから分離し、角質層側を上に向けて白色プラスチックプレート上に置いた。分光光度計CM700(Konica−Minolta)を使用して輝度(L*)値を読み取った。各モデルについて、輝度を3回測定し、比較のために平均値を計算した。
【0093】
観察/データを表2に要約する。
【表2】
【0094】
注記
(i)水性抽出物*は以下の共抽出物であった:
植物1:アトラクチロデス・マクロセファラ−第1の活性植物成分は、アトラクチレノリドI、IIおよびIII(AT−1、AT−2、AT−3)であった;および
植物2:グリチルリーザ・グラブラ−第2の活性植物成分は、リコカルコンAおよびグラブリジンであった
植物3:パエオニア・ラクティフローラ−第3の活性成分はパエオニフロリンであった
植物4:ポリア・ココス−第4の活性成分はパキミン酸であった。
【0095】
(ii)
#低いほど良好
表2のデータは、コウジ酸が最も効果的な成分であるが、陽性対照であることを示している。実施例1の抽出物の量が50から300μg/mlに増加すると、メラニン含有量の付随する漸進的な減少が認められる。実際、300μg/mlの水性抽出物は、コウジ酸よりもメラニン含有量の減少をもたらす。しかし、この多量の抽出物は、組成物を経済的に実現不可能にし、有害/望ましくない副作用の可能性を増大させる可能性が高い。
【0096】
参照番号7〜11に関するデータは、組合せの場合、組合せ効果が構成成分の相加効果であるため、成分の組合せが十分ではないことを示している。
【0097】
しかし、本発明による参照番号12に関連するデータは、組合せ効果が、実施例1の50μg/mlの抽出物*、5μMのAT−1および2.5μMのグラブリジンの効果の予測された合計または理論的合計を超えることを示している。したがって、組合せ効果は相乗的であり、これは、この効果が予期しない結果であることを示している。
【手続補正書】
【提出日】2020年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物性基質または無生物性基質に対する使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物であって、前記組成物が、
(i)第1の植物に由来する材料の第1の水性抽出物であって、前記第1の抽出物が第1の活性植物成分の第1の量を含む第1の水性抽出物、
(ii)前記第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料の第2の水性抽出物であって、前記第2の抽出物が第2の活性植物成分の第1の量を含む第2の水性抽出物、
(iii)前記第1の活性植物成分の追加量、および
(iv)前記第2の活性植物成分の追加量を含み、
前記組成物中の前記第1の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比および前記第2の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第1および前記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各前記追加量が含まれ、前記組成物が、前記第1または前記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、
前記第1の植物がアトラクチロデス・マクロセファラであり、前記第1の活性植物成分がアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに前記第2の植物が、グリチルリーザ・ウラレンシス、グリチルリーザ・インフラータまたはグリチルリーザ・グラブラであり、前記第2の活性植物成分がリコカルコンAまたはグラブリジンであり、
水性抽出物が、前記抽出物が抽出のための溶媒として水を使用することによってのみ得られることを意味し、
前記組成物が、前記第1または前記第2の植物と同じ属でない第3の植物に由来する材料の別の水性抽出物をさらに含み、前記第3の抽出物が、第3の活性植物成分の第1の量と、前記組成物中の前記第3の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第3の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる前記第3の活性植物成分の追加量とを含み、前記組成物が、前記第3の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、前記第3の第3の植物がパエオニア・ラクティフローラであり、前記第3の活性植物成分がパエオニフロリンであり、
さらに、前記組成物が、前記第1、第2または第3の植物と同じ属でない第4の植物に由来する材料の別の水性抽出物をさらに含み、前記第4の抽出物が、第4の活性植物成分の第1の量と、前記組成物中の前記第4の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第4の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる前記第4の活性植物成分の追加量とを含み、前記組成物が、前記第4の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、前記第4の植物がポリア・ココスであり、前記第4の活性植物成分がパキミン酸である組成物。
【請求項2】
生物性基質または無生物性基質に対する使用上の有益な効果に各々主に関連する複数の活性植物成分を含む組成物であって、前記組成物が、
(i)第1の植物に由来する材料と、前記第1の植物と同じ属でない第2の植物に由来する材料との水性共抽出物であって、前記水性抽出物が、前記第1の植物に由来する第1の活性植物成分と前記第2の植物に由来する第2の活性植物成分との第1の量を含む水性共抽出物、
(ii)前記第1の活性植物成分の追加量、および
(iii)前記第2の活性植物成分の追加量を含み、
前記組成物中の前記第1の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比および前記組成物中の前記第2の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または前記水性共抽出物に前記第1および前記第2の活性植物成分を選択的に添加することによって各前記追加の添加量が含まれ、前記組成物が、前記第1または前記第2の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、
前記第1の植物がアトラクチロデス・マクロセファラであり、前記第1の活性植物成分がアトラクチレノリドI、IIまたはIIIであり、さらに前記第2の植物が、グリチルリーザ・ウラレンシス、グリチルリーザ・インフラータまたはグリチルリーザ・グラブラであり、前記第2の活性植物成分がリコカルコンAまたはグラブリジンであり、
水性抽出物が、前記抽出物が抽出のための溶媒として水を使用することによってのみ得られることを意味し、
前記組成物が、前記第1または前記第2の植物と同じ属でない第3の植物に由来する材料の別の水性抽出物をさらに含み、前記第3の抽出物が、第3の活性植物成分の第1の量と、前記組成物中の前記第3の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第3の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる前記第3の活性植物成分の追加量とを含み、前記組成物が、前記第3の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、前記第3の第3の植物がパエオニア・ラクティフローラであり、前記第3の活性植物成分がパエオニフロリンであり、
さらに、前記組成物が、前記第1、第2または第3の植物と同じ属でない第4の植物に由来する材料の別の水性抽出物をさらに含み、前記第4の抽出物が、第4の活性植物成分の第1の量と、前記組成物中の前記第4の活性植物成分の前記第1の量とその対応する追加量との比が1:1〜1:3000重量部であるように、前記組成物または対応する水性抽出物に前記第4の活性植物成分を選択的に添加することによって含まれる前記第4の活性植物成分の追加量とを含み、前記組成物が、前記第4の植物に由来するいかなる材料の非水性抽出物も実質的に含まず、前記第4の植物がポリア・ココスであり、前記第4の活性植物成分がパキミン酸である組成物。
【請求項3】
前記組成物が、洗剤組成物、柔軟剤または硬質表面洗浄組成物であり、前記使用上の有益な効果が、無生物性基質に対するものである、請求項1から2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、化粧品、食料品、飲料、アイスクリームまたは冷菓であり、前記使用上の有益な効果が、生物性基質に対するものである、請求項1から2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が化粧品組成物であり、前記使用上の有益な効果が化粧効果である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記比が、1:1〜1:2500重量部である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の活性植物成分の前記第1の量および前記第2の活性植物成分の前記第1の量が、0.00001重量%〜5重量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
各前記追加量が、前記組成物の0.00001重量%〜10重量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物としての組成物。
【請求項9】
美白に使用するための、前述の請求項6から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
皮膚のメラニン含有量を減少させるための、請求項6から10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【国際調査報告】