(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533239(P2021-533239A)
(43)【公表日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】トナー添加剤のための複合粒子
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20211105BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20211105BHJP
C01B 33/18 20060101ALI20211105BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20211105BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20211105BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20211105BHJP
【FI】
C08L101/00
G03G9/097 372
G03G9/097 375
C01B33/18 C
C08K9/06
C08K3/22
C08F292/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2021-506508(P2021-506508)
(86)(22)【出願日】2019年8月6日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月5日
(86)【国際出願番号】US2019045225
(87)【国際公開番号】WO2020033357
(87)【国際公開日】20200213
(31)【優先権主張番号】62/715,556
(32)【優先日】2018年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/858,585
(32)【優先日】2019年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/868,172
(32)【優先日】2019年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.PYREX
(71)【出願人】
【識別番号】391010758
【氏名又は名称】キャボット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ハイルオ トゥ
(72)【発明者】
【氏名】チンチョン シオン
(72)【発明者】
【氏名】ポール エス.パランボ
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー フォミッチェフ
【テーマコード(参考)】
2H500
4G072
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
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2H500BA27
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(57)【要約】
金属酸化物−ポリマー複合粒子は40nm〜75nm又は100〜150nmのメジアン粒径、及び少なくとも0.06の平均RTAを有する。代わりに又は加えて、金属酸化物−ポリマー複合体は、粒径、粒径分布又は形状において異なる金属酸化物粒子の2以上の群を含む。代わりに又は加えて、金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造するための、アルキルシランを含む多成分の疎水化システムの使用は、複合粒子の摩擦帯電を増加させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含む、粉末形態の金属酸化物−ポリマー複合粒子であって、
前記金属酸化物粒子が、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて、それを介して前記金属酸化物粒子が前記ポリマーマトリックスに共有結合されていて;
前記ポリマーマトリックスのポリマーが、前記二官能性の成分のポリマー又はコポリマーであり;かつ
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、40〜75nmのメジアン粒径D50及び少なくとも0.06の平均相対トラフ面積(RTA)を有する、複合粒子。
【請求項2】
複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含む、粉末形態の金属酸化物−ポリマー複合粒子であって、
前記金属酸化物粒子が、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて、それを介して前記金属酸化物粒子が前記ポリマーマトリックスに共有結合されていて;
前記ポリマーマトリックスのポリマーが、前記二官能性の成分のポリマー又はコポリマーであり;かつ
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、100〜150nmのメジアン粒径D50及び少なくとも0.06の平均RTAを有する、複合粒子。
【請求項3】
前記金属酸化物粒子が単峰型の粒径分布を有する、請求項1又は2に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記複合粒子が1.22より大きい平均粒子粗さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記複合粒子が1.25より大きい平均粒子粗さを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項6】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面の少なくとも一部が第二の疎水化剤によって改質されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項7】
前記平均RTAが0.08〜0.13である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項8】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が少なくとも15%の金属酸化物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項9】
前記二官能性の成分が式[R33-x(OR1)x]SiR2Qを有し、xが1、2又は3であり、R1がメチル又はエチルであり、R2が一般式CnH2nを有するアルキルリンカーであり、nが1〜10であり、R3がメチル又はエチルであり、Qが置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnが2〜10である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項10】
前記第一の疎水化システムが、前記金属酸化物粒子と共有結合されている単官能性の成分をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項11】
前記単官能性の成分が式(OR1)4-zSiR4zを有し、R1がメチル又はエチルであり、zが1又は2であり、R4が分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR2Phであり、Phが置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である、請求項10に記載の複合粒子。
【請求項12】
トナー粒子の表面に対して配置された請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属酸化物−ポリマー複合粒子を含む、トナー組成物。
【請求項13】
複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含む金属酸化物−ポリマー複合粒子を含む粉末と混合されたトナー粒子を含むトナー組成物であって、
前記金属酸化物粒子が、それを介して前記金属酸化物粒子が前記ポリマーマトリックスに共有結合されている二官能性の成分と、前記金属酸化物粒子に共有結合されている単官能性の成分とを含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて;
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面の少なくとも一部が第二の疎水化剤によって改質されていて、前記ポリマーマトリックスのポリマーが前記二官能性の成分のポリマー又はコポリマーであり;かつ
高温/高湿度(HH)条件における前記トナーの摩擦帯電が、前記単官能性の成分が前記二官能性の成分で置換された対照金属酸化物−ポリマー複合体を含むトナーの摩擦帯電より少なくとも9%大きい、トナー組成物。
【請求項14】
低温/低湿度(LL)条件における前記トナーの摩擦帯電が、前記単官能性の成分が前記二官能性の成分で置換された対照金属-酸化物ポリマー複合体を含むトナーの摩擦帯電より少なくとも10%大きい、請求項13に記載のトナー組成物。
【請求項15】
前記単官能性の成分及び前記二官能性の成分が両方ともにシラン基を含む、請求項13又は14に記載のトナー組成物。
【請求項16】
前記単官能性の成分が式(OR1)4-zSiR4zを有し、R1がメチル又はエチルであり、zが1又は2であり、R4が分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル基である、請求項13〜15のいずれか1項に記載のトナー組成物。
【請求項17】
前記単官能性の成分の溶解度が、10〜0.06g/L、好ましくは9〜0.03g/L、より好ましくは8〜0.1g/L、最も好ましくは7〜0.5g/Lである、請求項13〜16のいずれか1項に記載のトナー組成物。
【請求項18】
複合粒子を製造する方法であって、
金属酸化物粒子と、二官能性の成分及び単官能性の成分を含む第一の疎水化システムとを含む水性分散体であって、前記二官能性の成分及び前記単官能性の成分が前記金属酸化物粒子に化学的に結合される水性分散体を調製する工程;
重合開始剤を前記水性分散体に添加して、表面に金属酸化物粒子を有する金属酸化物−ポリマー複合粒子であって、前記金属酸化物−ポリマー複合粒子のポリマーマトリックスが前記第一の疎水化システムのポリマー又はコポリマーである金属酸化物−ポリマー複合粒子を形成する工程;並びに
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子を乾燥して粉末を形成する乾燥工程
を含む方法。
【請求項19】
乾燥工程の前又は後に、前記金属酸化物−ポリマー複合粒子を第二の疎水化剤で処理して、疎水化された金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記単官能性の成分及び前記二官能性の成分が両方ともにシラン基を含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記単官能性の成分が式(OR1)4-zSiR4zを有し、R1がメチル又はエチルであり、zが1又は2であり、R4が分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル基である、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記二官能性の成分が式[R33-x(OR1)x]SiR2Qを有し、xが1、2又は3であり、R1がメチル又はエチルであり、R2が一般式CnH2nを有するアルキルリンカーであり、nが1〜10であり、R3がメチル又はエチルであり、Qが置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnが2〜10である、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記分散体が、スチレン、置換された若しくは置換されていないアクリレート又はメタクリレートモノマー、オレフィンモノマー、ビニルエステルあるいはアクリロニトリルのうち1つ又は複数をさらに含む、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記単官能性の成分の溶解度が、10〜0.06g/L、好ましくは9〜0.03g/L、より好ましくは8〜0.1g/L、最も好ましくは7〜0.5g/Lである、請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含む、粉末形態の金属酸化物−ポリマー複合粒子であって、
前記複数の金属酸化物粒子が、少なくとも金属酸化物粒子の第一の群と金属酸化物粒子の第二の群とを含み、前記金属酸化物粒子の第一の群が、前記第二の群に対して異なる粒径、形状又は粒径分布を有し;
前記金属酸化物粒子が、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて、それを介して前記金属酸化物粒子が前記ポリマーマトリックスに共有結合されていて;
前記複数の金属酸化物粒子の少なくとも一部が、前記ポリマーマトリックスから内に及び外に突き出ていて;
前記ポリマーマトリックスが、前記第一の疎水化システムのポリマー又はコポリマーを含み;
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面の少なくとも一部が、第二の疎水化剤によって改質されていて;かつ
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、110〜185の平均SF−1及び0.06〜0.19の平均RTAを有する、複合粒子。
【請求項26】
前記第一の疎水化システムが、前記金属酸化物粒子に共有結合されている単官能性の成分をさらに含む、請求項25に記載の複合粒子。
【請求項27】
前記二官能性の成分が式[R33-x(OR1)x]SiR2Qを有し、xが1、2又は3であり、R1がメチル又はエチルであり、R2が一般式CnH2nを有するアルキルリンカーであり、nが1〜10であり、R3がメチル又はエチルであり、Qが置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnが2〜10である、請求項25又は26に記載の複合粒子。
【請求項28】
前記単官能性の成分が式(OR1)4-zSiR4zを有し、R1がメチル又はエチルであり、zが1又は2であり、R4が分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR2Phであり、Phが置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である、請求項27に記載の複合粒子。
【請求項29】
前記第一の群及び前記第二の群のメジアン粒径D50が、約40:1〜約1.5:1の比を有する、請求項25〜28にいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項30】
前記第一の群及び前記第二の群についての比D75/D25が、約40:1〜約1.1:1の比を有する、請求項25〜29のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項31】
前記第一の群と前記第二の群との質量比が、約1:20〜約20:1、例えば約1:15〜約15:1、約1:10〜約10:1、約1:5〜約5:1又は約1:2〜約2:1である、請求項25〜30のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項32】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約20nm〜約1000nmの体積平均粒径を有する、請求項25〜31のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項33】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約1.22〜約1.9の平均粗さP2/4πSを有する、請求項25〜32のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項34】
前記ポリマーマトリックスが、スチレン、置換されていない若しくは置換されたアクリレート又はメタクリレート、オレフィン、ビニルエステル及びアクリロニトリルのポリマー、並びにそれらのコポリマー及び混合物を含む、請求項25〜33のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項35】
トナー粒子の表面に配置された請求項25〜34のいずれか1項に記載の複合粒子を含む、トナー組成物。
【請求項36】
金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造する方法であって、
水性媒体中の第一の疎水化システムと、少なくとも金属酸化物粒子の第一の群及び金属酸化物粒子の第二の群とを含む水性分散体であって、前記金属酸化物粒子の第一の群が、前記第二の群とは異なる粒径、形状又は粒径分布を有し、前記第一の疎水化システムが式[R33-x(OR1)x]SiR2Qを有する二官能性の成分を含み、xが1、2又は3であり、R1がメチル又はエチルであり、R2が一般式CnH2nを有するアルキルリンカーであり、nが1〜10であり、R3がメチル又はエチルであり、Qが置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnが2〜10である水性分散体を調製する調製工程;
所定の時間、前記分散体を保温する工程;
ラジカル開始剤を前記分散体に添加する工程:
前記第一の疎水化システムの化学基をポリマーの一部として、それによって金属酸化物−ポリマー複合粒子を形成する形成工程;並びに
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子を乾燥して粉末を得る工程
を含む方法。
【請求項37】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の調製工程の前か、又は形成工程の後に行うことができる、前記金属酸化物粒子の少なくとも一部を第二の疎水化剤で処理する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第一の疎水化システムが、式(OR1)4-zSiR4zを有する単官能性の成分であって、R1がメチル又はエチルであり、zが1又は2であり、R4が分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR2Phであり、Phが置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である単官能性の成分をさらに含む、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記第一の群及び前記第二の群のD50が、約40:1〜1.5:1の比を有する、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記第一の群及び前記第二の群についての比D75/D25が、約40:1〜約1.1:1の比を有する、請求項36〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記第一の群と前記第二の群との質量比が、約1:20〜約20:1である、請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記エマルションが、スチレン、置換された若しくは置換されていないアクリレート又はメタクリレートモノマー、オレフィンモノマー、ビニルエステルあるいはアクリロニトリルのうち1つ又は複数をさらに含む、請求項36〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記金属酸化物粒子の少なくとも一部が、前記ポリマーマトリックスから内に及び外に突き出ている、請求項36〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約20nm〜約1000nmの体積平均粒径を有する、請求項36〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の固有密度が、ヘリウムピクノメーター法によって測定されるとき、前記金属酸化物の固有密度の約30%〜約90%である、請求項36〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約110〜約185の平均SF−1及び約0.06〜約0.19の平均RTAを有する、請求項36〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約1.22〜約1.9の平均粗さP2/4πSを有する、請求項36〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
請求項18〜24又は36〜47のいずれか1項に記載の方法によって製造された、金属酸化物−ポリマー複合粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物−ポリマー複合粒子の粒径、形態及び摩擦帯電の操作に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真像の形成は、感光体ドラム又はベルトの表面を均一に帯電させること;感光体表面を光で露光して、感光体表面に帯電パターン、すなわち実際の像に転写される情報を映す潜像を形成すること;バインダー樹脂中に分散された着色剤を含む静電的に帯電されたトナー粒子で潜像を現像すること;基材上に、例えば紙上に、現像されたトナーを転写すること;基材上に像を定着させること;並びに残留静電帯電を除去すること及び感光体ドラムから残留したトナー粒子を洗浄することによって、次のサイクルのために感光体表面を準備することを含む。
【0003】
電子写真及び静電印刷における使用のためのトナーは、バインダー樹脂及び着色剤を含み、帯電制御剤、オフセット防止剤及び他の添加剤をさらに含む場合がある。流動性、転写性、付着性及び洗浄特性を含む、トナー粒子の選択される特性を改善するために、トナー外添剤、例えば金属酸化粒子が、トナー粒子としばしば組み合わせられる。トナーの様々な特性を向上するために、1つのトナー組成物において種々の外添剤が使用される場合がある。例えば、帯電性、すなわち摩擦帯電性を改善するために、幾つかの添加剤が選択される場合がある。洗浄性能又は耐湿性を改善するために、他のものが選択される場合がある。当然、1つの機能のために最適化されたトナー添加剤は、様々な添加剤によって付与される機能に弊害をもたらさないことが好ましい。
【0004】
トナー添加剤によって付与される1つの機能は、流動性の維持及びスペーシングである。トナー粒子が互いに付着する場合、トナー粒子は良好には流動せず;添加剤が、トナー粉末の凝集を低減するように作用する。添加剤粒子は硬質である傾向がある。一方で、トナーはより軟質のポリマーから形成される。得られたトナー粒子のアグロメレーションは、電子写真装置の操作及び印刷の質の両方に弊害をもたらす。実際には、製造者らが印刷されるページを作成するのに要求されるエネルギーを減少させようとしたとき、製造者らはより軟質のポリマー(例えばより低いTgのポリマー)に変えて、トナーを基材に定着させるのに要求される熱の量を減少させてきた。しかし、硬質の添加剤粒子は軟質のトナー粒子中に埋め込まれる場合があり、添加剤の有効性を減少させる。添加剤粒子の粒径を増加させることは、埋め込みを減少させるが;しかし、より大きい粒子はまた、より重いものであり、より高い割合のトナー粒子からのドロップオフ(drop−off)を示す。当然、トナーをドロップオフした添加剤粒子は、トナー組成物の一部としてその機能を提供することができない。米国特許第9568847号明細書において説明される金属酸化物−ポリマー複合粒子は、トナー粒子間のスペーサーとして作用し、一方でトナー粒子中への限定された埋め込み及び限定されたドロップオフの両方を示す。ここで、金属酸化物複合粒子の粗さ、形状及び粒径をさらに操作して金属酸化物複合粒子の自由流動性能を改善し、それらの摩擦帯電特性及び屈折率を操作することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様において、粉末形態の金属酸化物−ポリマー複合粒子は、複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含み;金属酸化物粒子は、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて、それを介して金属酸化物粒子がポリマーマトリックスに共有結合されていて;ポリマーマトリックスのポリマーは二官能性の成分のポリマー又はコポリマーであり;金属酸化物−ポリマー複合粒子は、40〜75mmの体積加重メジアン粒径D50及び少なくとも0.06、例えば0.06〜0.019、0.08〜0.015又は0.08〜0.13の平均RTAを有する。
【0006】
代わりに、粉末形態の金属酸化物−ポリマー複合粒子は、複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含み;金属酸化物粒子は、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて、それを介して金属酸化物粒子がポリマーマトリックスに共有結合されていて;ポリマーマトリックスのポリマーは二官能性の成分のポリマー又はコポリマーであり;金属酸化物−ポリマー複合粒子は、100〜150nmの体積加重メジアン粒径D50及び少なくとも0.06、例えば0.06〜0.019、0.08〜0.015又は0.08〜0.13の平均RTAを有する。
【0007】
これらの複合粒子のいずれかについて、金属酸化物粒子は単峰型の粒径分布を有していてよい。複合粒子は、1.22より大きい、例えば1.25より大きいか、又は最大で1.35、1.60、1.70若しくは1.90の平均粒子粗さを有していてよい。金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面の少なくとも一部は、第二の疎水化剤によって改質されている。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、少なくとも15%の金属酸化物を含んでいてよい。
【0008】
二官能性の成分は式[R
33-x(OR
1)
x]SiR
2Qを有していてよく、xは1、2又は3であり、R
1はメチル又はエチルであり、R
2は一般式C
nH
2nを有するアルキルリンカーであり、nは1〜10であり、R
3はメチル又はエチルであり、Qは置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnは2〜10である。第一の疎水化システムは金属酸化物粒子に共有結合されている単官能性の成分を、例えばシランをさらに含んでいてよい。単官能性の成分は式(OR
1)
4-zSiR
4zを有していてよく、R
1はメチル又はエチルであり、zは1又は2であり、R
4は分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR
2Phであり、Phは置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である。
【0009】
上で説明される複合粒子のうち任意のものは、トナー粒子の表面に対して配置されてトナー組成物を形成することができる。
【0010】
別の態様において、トナー組成物は、複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含む金属酸化物−ポリマー複合粒子を含む粉末と混合されたトナー粒子を含む。金属酸化物粒子は、それを介して金属酸化物粒子がポリマーマトリックスに共有結合されている二官能性の成分と、金属酸化物粒子に共有結合されている単官能性の成分とを含む第一の疎水化システムによって表面改質される。金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面の少なくとも一部は第二の疎水化剤によって改質されていて、ポリマーマトリックスのポリマーは二官能性の成分のポリマー又はコポリマーである。HH条件におけるトナーの摩擦帯電は、単官能性の成分が二官能性の成分で置換された対照金属酸化物−ポリマー複合体を含むトナーの摩擦帯電より少なくとも9%大きい。
【0011】
代わりに又は加えて、LL条件におけるトナーの摩擦帯電は、単官能性の成分が二官能性の成分で置換された対照金属酸化物−ポリマー複合体を含むトナーの摩擦帯電より、少なくとも10%大きい。単官能性の成分及び二官能性の成分は両方ともにシラン基を含んでいてよい。単官能性の成分は式(OR
1)
4-zSiR
4zを有していてよく、R
1はメチル又はエチルであり、zは1又は2であり、R
4は分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル基である。単官能性の成分の溶解度は、10〜0.06g/L、好ましくは9〜0.03g/L、より好ましくは8〜0.1g/L、最も好ましくは7〜0.5g/Lであってよい。
【0012】
別の態様において、複合粒子を製造する方法は、金属酸化物粒子と、二官能性の成分及び単官能性の成分を含む第一の疎水化システムとを含む水性分散体であって、二官能性の成分及び単官能性の成分が金属酸化物粒子に化学的に結合される水性分散体を調製する工程;重合開始剤を水性分散体に添加して、表面に金属酸化物粒子を有する金属酸化物−ポリマー複合粒子であって、金属酸化物−ポリマー複合粒子のポリマーマトリックスが第一の疎水化システムのポリマー又はコポリマーである金属酸化物−ポリマー複合粒子を形成する工程;並びに金属酸化物−ポリマー複合粒子を乾燥して粉末を形成する乾燥工程を含む。
【0013】
方法は、乾燥工程の前又は後に、金属酸化物−ポリマー複合粒子を第二の疎水化剤で処理して、疎水化された金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造する工程をさらに含む。単官能性の成分及び二官能性の成分は、両方ともにシラン基を含んでいてよい。単官能性の成分は式(OR
1)
4-zSiR
4zを有していてよく、R
1はメチル又はエチルであり、zは1又は2であり、R
4は分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル基である。二官能性の成分は式[R
33-x(OR
1)
x]SiR
2Qを有していてよく、xは1、2又は3であり、R
1はメチル又はエチルであり、R
2は一般式C
nH
2nを有するアルキルリンカーであり、nは1〜10であり、R
3はメチル又はエチルであり、Qは置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnは2〜10である。分散体は、スチレン、置換された若しくは置換されていないアクリレート又はメタクリレートモノマー、オレフィンモノマー、ビニルエステルあるいはアクリロニトリルのうち1つ又は複数をさらに含んでいてよい。単官能性の成分の溶解度は、10〜0.06g/L、好ましくは9〜0.03g/L、より好ましくは8〜0.1g/L、最も好ましくは7〜0.5g/Lであってよい。
【0014】
別の態様において、粉末形態の金属酸化物−ポリマー複合粒子は、複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含んでいてよい。複数の金属酸化物粒子は、少なくとも金属酸化物粒子の第一の群と金属酸化物粒子の第二の群とを含み、金属酸化物粒子の第一の群は、第二の群に対して異なる粒径、形状又は粒径分布を有する。金属酸化物粒子は、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて、それを介して金属酸化物粒子がポリマーマトリックスに共有結合されていて、複数の金属酸化物粒子の一部はポリマーマトリックス中に埋め込まれ、ポリマーマトリックスから突き出ていて(すなわち、金属酸化物粒子のそれぞれの群の少なくとも一部を含む場合がある、複数の金属酸化物粒子の少なくとも一部がポリマーマトリックスから内に及び外に突き出ていて)、ポリマーマトリックスは第一の疎水化システムのポリマー又はコポリマーを含み、金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面の少なくとも一部は第二の疎水化剤によって改質されていて、金属酸化物−ポリマー複合粒子は110〜185の平均SF−1及び0.06〜0.19の平均RTAを有する。
【0015】
第一の疎水化システムは、金属酸化物粒子に共有結合されている単官能性の成分を、例えばシランをさらに含んでいてよい。二官能性の成分は式[R
33-x(OR
1)
x]SiR
2Qを有していてよく、xは1、2又は3であり、R
1はメチル又はエチルであり、R
2は一般式C
nH
2nを有するアルキルリンカーであり、nは1〜10であり、R
3はメチル又はエチルであり、Qは置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnは2〜10である。単官能性の成分は式(OR
1)
4-zSiR
4zを有していてよく、R
1はメチル又はエチルであり、zは1又は2であり、R
4は分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR
2Phであり、Phは置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である。
【0016】
第一の群及び第二の群の体積加重メジアン粒径D50は、約40:1〜約1.5:1の比を有していてよい。第一の群及び第二の群についての、比D75/D25によって説明される体積加重粒径分布の幅は、約40:1〜約1.1:1の比を有していてよい。第一の群と第二の群との質量比は、約1:20〜約20:1、例えば約1:15〜約15:1、約1:10〜約10:1、約1:5〜約5:1又は約1:2〜約2:1であってよい。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、約20nm〜約1000nmの体積加重メジアン粒径D50を有していてよい。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、約1.22〜約1.9の平均粗さP
2/4πSを有していてよく、Pは金属酸化物−ポリマー複合粒子の像の周長であり、Sは粒子像の面積であり、P及びSの両方は透過型電子顕微鏡写真から決定される。ポリマーマトリックスは、スチレン、置換されていない若しくは置換されたアクリレート又はメタクリレート、オレフィン、ビニルエステル及びアクリロニトリルのポリマー、並びに上のもののコポリマー及び混合物を含んでいてよい。複合粒子は、トナー粒子の表面に配置されてトナー組成物を形成することができる。
【0017】
別の態様において、金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造する方法は、水性媒体中の第一の疎水化システムと、少なくとも金属酸化物粒子の第一の群及び金属酸化物粒子の第二の群とを含む水性分散体であって、金属酸化物粒子の第一の群が、第二の群とは異なる粒径、形状又は粒径分布を有し、第一の疎水化システムが式[R
33-x(OR
1)
x]SiR
2Qを有する二官能性の成分を含み、xが1、2又は3であり、R
1がメチル又はエチルであり、R
2が一般式C
nH
2nを有するアルキルリンカーであり、nが1〜10であり、R
3がメチル又はエチルであり、Qが置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnは2〜10である水性分散体を調製する調製工程;所定の時間、分散体を保温する工程;ラジカル開始剤を分散体に添加する工程;第一の疎水化システムの化学基をポリマーの一部にして、それによって金属酸化物−ポリマー複合粒子を形成する形成工程;並びに金属酸化物−ポリマー複合粒子を乾燥して粉末を得る工程を含む。
【0018】
方法は、金属酸化物粒子の少なくとも一部を第二の疎水化剤で処理する工程をさらに含んでいてよく、処理工程は金属酸化物−ポリマー複合粒子の調製工程の前か、又は形成工程の後に行うことができる。第一の疎水化システムは、式(OR
1)
4-zSiR
4zを有する単官能性の成分をさらに含んでいてよく、R
1はメチル又はエチルであり、zは1又は2であり、R
4は分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR
2Phであり、Phは置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である。第一の群及び第二の群のD50は、約40:1〜約1.5:1の比を有していてよい。第一の群及び第二の群についての比D75/D25は、約40:1〜約1.1:1の比を有していてよい。第一の群と第二の群との質量比は、約1:20〜約20:1であってよい。
【0019】
エマルションは、スチレン、置換された若しくは置換されていないアクリレート若しくはメタクリレートモノマー、オレフィンモノマー、ビニルエステル又はアクリロニトリルのうち1つ又は複数をさらに含んでいてよい。金属酸化物粒子のそれぞれの群の少なくとも一部は、ポリマーマトリックスから内に及び外に突き出ていてよい。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、約20nm〜約1000nmの体積加重メジアン粒径D50を有していてよい。金属酸化物−ポリマー複合粒子の固有密度は、ヘリウムピクノメーター法によって測定されるとき、金属酸化物の固有密度の約30%〜約90%である。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、約110〜約185の平均SF−1及び約0.06〜約0.19の平均RTAを有していてよい。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、約1.22〜約1.9の平均粗さP
2/4πSを有していてよい。
【0020】
先の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単に例示的かつ説明的なものであり、請求される本発明のさらなる説明を提供することが意図されると理解される。
【0021】
本発明は、図面の複数の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aは、本発明の実施態様による金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造するために異なる粒径の金属酸化物粒子が使用されるときの、粒径及び粗さへの効果を例示する模式図であり、
図1Bは透過型電子顕微鏡を使用する粒子の特性評価のために使用される複数の測定を例示する模式図である。
【
図2】本発明の複数の実施態様によって製造される金属酸化物−ポリマー複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図3】本発明の複数の実施態様によって製造される金属酸化物−ポリマー複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図4】本発明の複数の実施態様によって製造される金属酸化物−ポリマー複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図5】本発明の複数の実施態様によって製造される金属酸化物−ポリマー複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図6】本発明の複数の実施態様によって製造される金属酸化物−ポリマー複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図7】コロイダルシリカの透過型電子顕微鏡写真である。
【
図8】15%(A)、30%(B)及び45%(C)のモデルトナーへの添加剤被覆率における粒径と添加剤平均RTAとに関する、凝集率の統計モデリングから得られるグラフの組である。
【
図9】異なるRTAを有する複合粒子についての、表面被覆率に対する凝集の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1つの実施態様において、二官能性の成分及びアルキルベースの単官能性の成分を含む第一の疎水化システムを用いた金属酸化物−ポリマー複合粒子の製造は、それらが外添剤として使用されるトナーの摩擦帯電を増加させることができる粒子をもたらす。
【0024】
別の実施態様において、40〜75nm、例えば40〜70nm又は40〜65nmの体積加重メジアン粒径D50、及び少なくとも0.06、例えば0.06〜0.019、0.08〜0.015又は0.08〜0.13の平均RTAを有する金属酸化物−ポリマー複合粒子は、それらが外添剤として使用されるトナーの自由流動特性を良好にする。
【0025】
別の実施態様において、100〜150nm、例えば105〜150nm又は110〜150nmの体積加重メジアン粒径D50、及び少なくとも0.06、例えば0.06〜0.019、0.08〜0.015又は0.08〜0.13の平均RTAを有する金属酸化物−ポリマー複合粒子は、トナー組成物における対ブロッキング性をより良好に促進することができ、一方でより滑らかなスペーサー粒子に関して自由流動を改善する。
【0026】
別の実施態様において、トナー組成物は、少なくとも異なる粒径、形状又は粒径分布を有する金属酸化物粒子の少なくとも2つの群と、ポリマーマトリックスとを含む金属酸化物−ポリマー複合粒子を含む粉末と混合されたトナー粒子を含む。金属酸化物粒子の表面は、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって改質されていて、それを介して金属酸化物粒子がポリマーに共有結合されている。金属酸化物粒子の第一の群、金属酸化物粒子の第二の群、又はその両方のうち少なくとも一部は、第一の疎水化システムのポリマー又はコポリマーであるポリマーマトリックスから内に及び外に突き出している。金属酸化物粒子の2以上の群のこのような混合物は、
図1Aに示されるように、得られる複合粒子の粒径、粒子粗さ及び形状の操作を可能とする。
図1Aにおいて、金属酸化物粒子10の第一の群の、より大きい金属酸化物粒子12との又はより小さい金属酸化物粒子14との組み合わせは、異なる粒径を有する金属酸化物複合粒子100、120及び140の製造を可能とする。粒子140は粒子100より小さく、粒子100は複合粒子120より小さい。模式図は、金属酸化物(10、12及び14)とマトリックス材料16との等量比を示す。
【0027】
本発明に対する使用のために適した金属酸化物粒子は、シリカ、アルミナ、セリア、モリブデン酸化物、チタニア、ジルコニア、亜鉛酸化物、マグネタイト(Fe
3O
4)及び種々の形態のFe
2O
3を含むがそれらに限定されない鉄酸化物、ニオブ酸化物、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、スズ酸化物、クレイ又はこれらの任意の2以上のものの混合物若しくは混合酸化物を含む。トナー外添剤としての使用のために、典型的には、金属酸化物粒子は、シリカ、アルミナ及びチタニアのうち少なくとも1つ、例えばシリカ及び/又はチタニアを含む。金属酸化物粒子は、2以上の異なる粒径を有していてよい。例えば、異なる組成を有する金属酸化物粒子は、異なる粒径を有する場合がある。代わりに又は加えて、特定の金属酸化物の粒子、例えばシリカの粒子は、二峰型又は多峰型の粒径分布を有する場合がある。当然、同じ又は異なる組成と、2以上の異なる粒径、形状又は粒径分布とを有する2つの異なる金属酸化物の混合物もまた用いることができる。
【0028】
2つの異なる粒径の粒子が使用されるとき、それらの体積加重メジアン粒径D50は、約40:1〜約1.5:1、例えば約35:1〜約2:1、約25:1〜約2.5:1、約20:1〜約3:1、約15:1〜約4:1又は約10:1〜約5:1の比を有していてよい。D50は、ディスク遠心光沈降分析(disc centrifuge photosedimentometry)又は透過型電子顕微鏡によって測定することができる。代わりに又は加えて、金属酸化物粒子は、二峰型又は多峰型の粒径分布を有していてよい。粒径分布のピークに対応する粒径の比は、上に記載されるものと類似であってよい。代わりに又は加えて、2以上の金属酸化物粒子は、類似のD50を有する一方で異なる形状を有していてよい。代わりに又は加えて、異なる金属酸化物粒子は類似のD50を有していてよいが、それらの粒径分布は異なる幅を有していてよい。粒径分布の幅の1つの指標は比D75/D25であり、粒子のうち体積で25%がそれより小さい粒径に対する、粒子のうち体積で75%がそれより小さい粒径の比である。粒径分布の幅の比は、D75/D25で測定するとき、2つの異なる粒径について、40:1〜1.1:1であってよい。
【0029】
適した粒子は、沈降した、コロイド状の及び発熱性の金属酸化物粒子を含むがそれらに限定されない。金属酸化物粒子は、当分野における当業者にとって公知である技術を利用して製造することができる。例示的な商業的に入手可能なチタニア粒子は、CerionのTiO−W1215チタニア、NyacolのTiSolBチタニア及びCristal ACTiV S5−300Bチタニアを含む。例示的な商業的に入手可能なスズ酸化物粒子は、NyacolのSn15スズ酸化物を含む。
【0030】
沈降した金属酸化物粒子は、従来技術を利用して製造することができ、しばしば、所望の粒子の凝集によって、水性媒体から、高い塩濃度、酸又は他の凝集剤の影響の下で形成される。金属酸化物粒子は、当分野における当業者にとって公知である従来技術によって、他の反応生成物の残余物から、ろ過、洗浄、乾燥及び分離される。沈降した粒子は、多くの一次粒子が互いに凝集するという意味で、しばしばアグリゲートされて、幾らか球状のアグリゲートされたクラスターを形成する。商業的に入手可能な沈降した金属酸化物の非限定的な例は、PPG Industries,Inc.のHi−Sil(登録商標)製品及びEvonik Corporationから入手可能であるZeosil(登録商標)製品を含む。
【0031】
ヒュームド金属酸化物の製造は、水素及び酸素の火炎中での、適した供給ストック蒸気(例えばヒュームドアルミナについて塩化アルミニウム、又はヒュームドシリカについて四塩化ケイ素)の加水分解を含む、よく文献に記載されるプロセスである。略球状の溶融した粒子が燃焼プロセスにおいて形成され、粒径はプロセスパラメーターの制御を通して変えることができる。一次粒子ともいわれる、これらの溶融した球状物は、それらの接触点における衝突を受けることによって互いに融合して、分岐の三次元の鎖状のアグリゲートを形成する。アグリゲートの形成は、一次粒子の間の融合の結果として不可逆であると考えられる。冷却及び捕集の間、アグリゲートは、幾らかの機械的なもつれをもたらす場合があるさらなる衝突を受けてアグロメレートを形成する。これらのアグロメレートは、ファンデルワールス力によって緩く結合され、適した媒体中の適した分散によって戻す、すなわち非アグロメレート化することができると考えられる。混合された又はコヒュームドの金属酸化物粒子はまた、例えばEttlingerらの英国特許出願公開第2296915号明細書において説明される従来技術を含む、当分野における当業者にとって公知である従来技術を利用して製造することができ、その明細書は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
代わりの金属酸化物の形態は、米国特許第4755368、6551567及び6702994号明細書、米国特許出願公開第20110244387号明細書、Muellerらの「Nanoparticle synthesis at high production rates by flame spray pyrolysis」、Chemical Engineering Science、58、1969(2003)、並びにNaitoらの「New Submicron Silica Produced by the Fumed Process」、NIP28において発表、International Conference on Digital Printing Technologies and Digital Fabrication 2012、2012、p.179〜182において開示される方法を使用して得ることができ、それらの全ての内容は参照によって組み込まれる。典型的には、これらの方法は低いストラクチャー及び小さい表面積を有する金属酸化物粒子をもたらす。これらの粒子の多くは発熱性であり、すなわち、それらは火炎中で製造される。発熱性の粒子を製造する他の方法は、例えばKodas及びHampden−SmithのAerosol Processing of Materials、Wiley−VCH、1998において開示されている。本明細書において提供される複合粒子における使用のための適した発熱性の金属酸化物は小さく、例えば200nmより小さい体積平均径を有する。
【0033】
コロイド状の金属酸化物粒子は、しばしば非アグリゲート化された、個別に分離した(一次)粒子であり、典型的には球状又は略球状の形状であるが、(例えば略楕円、四角又は矩形断面を有する)他の形状を有していてもよい。コロイド状の金属酸化物は商業的に入手可能であるか、又は種々の出発材料(例えば湿式プロセス型の金属酸化物)から、公知の方法によって調製することができる。典型的には、コロイド状の金属酸化物粒子は、沈降した金属酸化物粒子と類似の仕方(例えばそれらは水性媒体から凝集される)で製造されるが、水性媒体(しばしば水単独、又は共溶媒及び/若しくは安定化剤を有する水)中で分散されたままである。金属酸化物粒子は、例えば、約9〜約11のpHを有するアルカリケイ酸溶液に由来するケイ酸から調製することができ、ケイ酸アニオンは重合を受けて、水性分散体の形態の、所望の粒径を有する分離したシリカ粒子をもたらす。典型的には、コロイド状の金属酸化物出発材料は、適した溶媒中のコロイド状の金属酸化物の分散体であるゾルとして利用することができ、多くの場合は、適した溶媒は水単独、又は共溶媒及び/若しくは安定化剤を有する水である。例えば、Stoeberらの「Controlled Growth of Monodisperse Silica Spheres in the Micron Size Range」、Journal of Colloid and Interface Science、26、1968、pp.62〜69、Akitoshi YoshidaのSilica Nucleation,Polymerization,and Growth Preparation of Monodispersed Sols、Colloidal Silica Fundamentals and Applications、pp47〜56(H.E.Bergna&W.O.Roberts編集、CRC Press:Boca Raton、Florida、2006)、及びIler,R.K.のThe Chemistry of Silica、p866(John Wiley&Sons:New York、1979)
を参照せよ。本発明における使用のために適した商業的に入手可能なコロイド状の金属酸化物の非限定的な例は、Nissan ChemicalのSNOWTEX(登録商標)製品、W.R.Grace&Co.から入手可能であるLUDOX(登録商標)製品、Nyacol Nanotechnologies,Inc.から入手可能であるNexSil(商標)及びNexSil A(商標)シリーズ製品、Fuso Chemicalから入手可能であるQuartron(商標)製品、並びにAkzoNobelから入手可能であるLevasil(登録商標)製品を含む。
【0034】
コロイド状の金属酸化物粒子は、約5〜約300nmの、例えば約5〜約10nm、約10〜約20nm、約20nm〜約30nm、約30〜約50nm、約50〜約70nm、約70〜約100nm、約100nm〜約125nm、約125nm〜約150nm、約150nm〜約175nm、約175nm〜約200nm、約200nm〜約225nm、約225nm〜約250nm、約250nm〜約275nm又は約275nm〜約300nmの(体積加重)メジアン粒径D50を有していてよい。当然、異なる体積加重メジアン粒径D50の粒子の混合物は、これらの範囲のうち2つ以上の粒径を有する粒子を含んでいてよい。金属酸化物粒子は球状であるか、又は非球状であってよい。例えば、金属酸化物粒子のアスペクト比は、約1.5〜約3、例えば約1.5〜約1.8、約1.8〜約2.1、約2.1〜約2.5、約2.5〜約2.8又は約2.8〜約3であってよい。粒径は、下の実施例において説明される粒子の分散に従って、ディスク遠心光沈降分析又は透過型電子顕微鏡によって測定される。
【0035】
複合粒子を製造する1つの実施態様において、金属酸化物粒子は第一の疎水化システムで処理される。第一の疎水化システムは1つ又は複数の疎水化成分を含んでいてよい。好ましくは、第一の疎水化システムは、金属酸化物粒子に共有結合又は非共有結合することができる第一の反応性基、例えばシランを含む少なくとも1つの二官能性の成分と、金属酸化物−ポリマー複合粒子のポリマー中に組み込むことができる第二の反応性基とを含む。特定の実施態様において、二官能性の成分は300より小さい分子量を有する。「疎水性の」金属酸化物粒子は、その用語が本明細書において使用されるとき、疎水性のレベル又は程度を変えることを含む。金属酸化物粒子に付与される疎水性の程度は、使用される処理剤の種類及び量に応じて変わる。本発明による使用のための疎水性の金属酸化物粒子は、例えば、約15%〜約85%の利用可能な金属酸化物表面の反応したヒドロキシル基、例えば、約25%〜約75%若しくは約40%〜約65%の利用可能な金属酸化物表面の反応したヒドロキシル基、又は上の端点のうち任意の2つによって結ばれる任意の範囲におけるパーセンテージを有していてよい。下で議論されるように第二の疎水化剤が使用される場合、それは反応して、金属酸化物の表面のヒドロキシル基の一部と、共有結合又は非共有結合を形成する。
【0036】
二官能性の成分は式[R
33-x(OR
1)
x]SiR
2Qを有していてよく、xは1、2又は3であり、R
1はメチル又はエチルであり、R
2は一般式C
nH
2nを有するアルキルリンカーであり、nは1〜10であり、R
3はメチル又はエチルであり、Qはメルカプト、グリシジル、又は置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnは2〜10である。第一の疎水化システムは式(OR
1)
4-zSiR
4zを有する単官能性の成分をさらに有していてよく、zは1又は2であり、R
4は分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR
2Phであり、Phは置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である。第一の疎水化システムにおける使用のために適した例示的な作用剤は、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリエトキシシラン、4−ペンテニルトリエトキシシラン、4−ペンテニルトリメトキシシラン、5−ヘキセントリメトキシシラン、5−ヘキセンメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン及びジイソプロピルジメトキシシランを含むがそれらに限定されない。金属酸化物粒子がシリカでない場合、ジ−又はトリ−官能性シランが使用されるべきである(すなわちxは2又は3であるべきである)。
【0037】
第一の疎水化システムの成分の溶解度は、10〜0.06g/L、好ましくは9〜0.03g/L、より好ましくは8〜0.1g/L、最も好ましくは7〜0.5g/Lであってよい。第一の疎水化システムの成分の溶解度が高すぎる又は低すぎる場合、成分は十分なエマルションを形成しないことが理論化されている。
【0038】
幾つかの実施態様において、好ましくは、R
4は分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル基である。R
4が分岐又は非分岐のC1〜C10アルキル基であるとき、金属酸化物−ポリマー複合粒子の摩擦帯電は、他のR
4基が使用されるとき、又は単官能性の成分が全く使用されないときと比較して、より高い。例えば、前記の金属酸化物−ポリマー粒子を外添剤として用いるトナーの、低い温度/低い湿度(LL)条件における摩擦帯電の大きさは、単官能性の成分を含まない金属酸化物−ポリマー複合粒子を有するトナーに対して、少なくとも10%、例えば最大で45%、例えば12%〜42%、15%〜40%、17%〜37%、20%〜35%、23%〜32%又は25%〜30%増加させることができる。代わりに又は加えて、高い温度、高い湿度(HH)の条件における、このようなトナーの摩擦帯電の大きさは、単官能性の成分を含まない金属酸化物−ポリマー複合粒子を有するトナーに対して、少なくとも9%、例えば最大で33%、例えば12%〜30%、15%〜28%又は17%〜25%増加させることができる。典型的には、HH及びLL条件における摩擦帯電はともに、アルキル含有の単官能性の成分の添加とともに変化し、摩擦帯電のHHにおける変化及びLLにおける変化は、上のリストから選択される範囲の任意の組み合わせであってよい。
【0039】
加えて、金属酸化物粒子の少なくとも一部は、第一の疎水化システムによる処理の前若しくは後、又は金属酸化物−ポリマー複合粒子の形成の後のいずれかにおいて、第二の疎水化剤で処理することができ、その場合、金属酸化物粒子の露出した表面のみが処理される。第二の疎水化剤としての使用のための好ましい作用剤は、シラザン化合物、シロキサン化合物及びシラン化合物、並びに共溶媒を伴うか、又は伴わない、水中で幾らかの溶解度を有するシリコーン流体である。2以上の作用剤の混合物を使用することができる。好ましくは、第二の疎水化剤としての使用のためのシリコーン流体は、最大で500の数平均分子量を有する。シラン化合物の例は、アルキルシラン及びアルコキシシランを含む。アルコキシシランは、一般式R’
xSi(OR’’)
4-xを有する化合物を含み、R’は、C
1〜C
30の分岐鎖及び直鎖のアルキル、アルケニル、C
3〜C
10シクロアルキル及びC
6〜C
10アリールからなる群から選択され、R’’は、C
1〜C
10の分岐鎖又は直鎖のアルキルであり、xは1〜3の整数である。金属酸化物粒子がシリカを含まない場合、二官能性若しくは三官能性のシラン若しくはシロキサン又はシリコーン流体の第二の疎水化剤としての使用は、単官能性のシランより良好な結合を提供する。
【0040】
本明細書において説明される第二の疎水化剤として用いることができるシラン化合物の非限定的な例は、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン及び類似のものを含む。同様に、アミン官能化されたアルキルアルコキシシランを用いることができる。有用なシロキサン化合物の非限定的な例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン及び類似のものを含む。有用なシラザン化合物の非限定的な例は、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ヘキサメチルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン及び類似のものを含む。例えば、HMDZは金属酸化物粒子の表面における未反応のヒドロキシル基を覆うのに使用することができる。例示的な疎水性付与剤はまた、ヘキサメチルジシラザン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン及び環状シラザン、例えば米国特許第5989768号明細書において開示されるものを含む。このような環状シラザンは式:
【化1】
によって表され、R
7及びR
8は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール及びアリールオキシからなる群から独立に選択され;R
9は、水素、(CH
2)
rCH
3(式中、rは0〜3の整数である)、C(O)(CH
2)
rCH
3(式中、rは0〜3の整数である)、C(O)NH
2、C(O)NH(CH
2)
rCH
3(式中、rは0〜3の整数である)並びにC(O)N[(CH
2)
rCH
3](CH
2)
sCH
3(式中、r及びsは0〜3の整数である)からなる群から選択され;R
10は式[(CH
2)
a(CHX)
b(CYZ)
c]によって表され、X、Y及びZは、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール及びアリールオキシからなる群から独立に選択され、a、b及びcは、(a+b+c)が2〜6の整数に等しいという条件を満たす0〜6の整数である。環状シラザンは式:
【化2】
を有する5員又は6員環であってよく、R
11は式[(CH
2)
a(CHX)
b(CYZ)
c]によって表され、X、Y及びZは、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール及びアリールオキシからなる群から独立に選択され、a、b及びcは、(a+b+c)が3又は4に等しいという条件を満たす0〜6の整数である。
【0041】
第二の処理剤としての使用のための適したシリコーン流体は、官能化されていないシリコーン流体と官能化されたシリコーン流体の両方を含む。金属酸化物粒子を表面処理するのに使用される条件及び用いられる個々のシリコーン流体に応じて、シリコーン流体は、非共有結合されているコーティングとして存在するか、又は金属酸化物粒子の表面に共有結合していてよい。有用な官能化されていないシリコーン流体の非限定的な例は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、フェニルメチルシロキサンコポリマー、フルオロアルキルシロキサンコポリマー、ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、フェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、フェニルメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ヒドロキシル官能化された又はヒドロキシル末端のシロキサン、ポリアルキレン改質されたシリコーン及び類似のものを含む。例えば、官能化されたシリコーン流体は、ビニル、水素化物、ヒドロキシル、シラノール、アミノ及びエポキシからなる群から選択される官能基を含んでいてよい。官能基は、シリコーンポリマー骨格に直接結合されるか、又は中間のアルキル、アルケニル若しくはアリール基を通して結合されていてよい。
【0042】
代わりに又は加えて、参照によってその内容が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2011/0244382号明細書において開示されるジメチルシロキサンコポリマーを使用して金属酸化物粒子を処理することができる。例示的なジメチルシロキサンコポリマーは式:
【化3】
のコポリマーを含み、R
1は−H、−CH
3であり、R
2=−H、−CH
3であり、R
3=−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
3、CH
2Ar、−CH
2CH
2Ar、−Ar、−CH
2CH
2CF
3又は−CH
2CH
2−R
fであり、R
fはC
1〜C
8ペルフルオロアルキル基であり、R
4は−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CF
3又は−CH
2CH
2−R
fであり、R
fはC
1〜C
8ペルフルオロアルキル基であり、R
5は−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2Ar、−CH
2CH
2Ar又は−Arであり、R
6は−H、−OH、−OCH
3又は−OCH
2CH
3であり、Arは置換されていないフェニル、又は1つ若しくは複数のメチル、ハロゲン、エチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル若しくは−CH
2CF
3基で置換されたフェニルであり、n、m及びkは整数であり、n≧1、m≧0かつk≧0であり、コポリマーは208〜約20000の分子量を有する。
【0043】
代わりに又は加えて、第二の疎水化剤は帯電改質剤であってよい。参照によってその内容が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2010/0009280号明細書において開示される帯電改質剤のうち任意のものをここで用いることができる。例示的な帯電改質剤は、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)及び2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)を含むがそれらに限定されない。水素化基がニトロ基を減少させる場合があるため、ニトロ基を含む帯電改質剤は、コポリマーの後に、金属酸化物粒子を後処理するために使用されるべきである。
【0044】
第二の疎水化剤に代わって又は加えて、金属酸化物粒子は、金属酸化物−ポリマー複合体の形成に続いて第三の疎水化剤で処理することができる。第三の処理剤は、500より大きい数平均分子量を有するシリコーン流体又はアルキルハロシランであってよい。アルキルハロシランは一般式R’
xSiR’’
yZ
4-x-yを有する化合物を含み、R’及びR’’は上で画定される通りであり、Zはハロゲン、好ましくは塩素であり、yは1、2又は3である。
【0045】
(金属酸化物−ポリマー粒子の形成の後に使用されるとき、)第二の疎水化剤及び/又は第三の疎水化剤と、金属酸化物−ポリマー複合粒子のポリマー成分との間の相互作用によって、これらの作用剤は、金属酸化物−ポリマー複合粒子の露出したポリマー表面をさらに処理することができる。
【0046】
金属酸化物−ポリマー複合粒子において用いられるポリマーは、第一の疎水化システムのポリマー又はコポリマーと同じであるか、又は異なっていてよい。すなわち、第一の疎水化システムが1つ又は複数の重合性基を含む場合、同じ材料を単純に使用してポリマーを形成することができる。特定の実施において、二官能性の成分のポリマーはポリエーテルではない。代わりに又は加えて、二官能性の成分のポリマーはアクリレート又はメタクリレートのポリマーである。代わりに又は加えて、二官能性の成分に末端基で共重合することができる架橋剤又は異なるモノマーを用いることができる。金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造するのに使用することができる適したモノマーは、置換された及び置換されていないビニル及びアクリレート(メタクリレートを含む)モノマー、並びにラジカル重合によって重合する他のモノマーを含む。例示的なモノマーは、スチレン、アクリレート及びメタクリレート、オレフィン、ビニルエステル並びにアクリロニトリルを含み、当分野における当業者は、例えばSigma−Aldrich(Milwaukee、WI)から容易に入手可能である。このようなコモノマーはまた、C1〜C3アルキル、ハロゲン及び/又はヒドロキシル基で置換されていてよい。置換されたコモノマーは、ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリフルオロプロピルメタクリレート及びα−メチルスチレンを含むがそれらに限定されない。これらのモノマーのうち任意のものは、コポリマーを形成する混合物においてそれら自体で、又は架橋剤と合わせて、使用することができる。例示的な架橋剤は、二官能性の成分のジビニル末端型のもの(例えば、ビニル基によって置換されたシラン)又は他の周知のビニル架橋剤、例えばジビニルベンゼン及びエチレングリコールジメタクリレート、を含む。代わりに又は加えて、コポリマー又は架橋剤はシランと反応することができる。例えば、シラノール末端シロキサンポリマー又は上の式(1)のコポリマーを、第一の疎水化システムと合わせて使用することができる。コモノマー又は架橋剤は、第一の疎水化システムと同時に、又は異なる時に添加することができる。架橋剤の量は、最終ポリマーにおける架橋の程度を制御するように調節することができる。
【0047】
金属酸化物−ポリマー複合粒子は、第一の疎水化システムと、任意選択のモノマーと、水性相とを含む流体中で、金属酸化物粒子の分散体を作ることによって、製造することができる。有機相の重合性種の重合は複合粒子をもたらす。1つの例示的な手順において、水性媒体中で、例えば任意選択の共溶媒、例えばアルコール、例えばイソプロピルアルコールを有する水中で、第一の疎水化システムと、任意選択のコモノマーと、架橋剤と、金属酸化物粒子とを、質量(重合性種/金属酸化物)において、約0.5:40、例えば約1:約1.5、約1.5:約2、約2:約3、約3:約10、約15:約30又は約10:約20の比で用いて、エマルション又は混合物が調製される。溶媒の合計の量に対する、金属酸化物粒子及び重合性種の合計の量は、約5wt%〜約45wt%、例えば約5wt%〜約15wt%、約15wt%〜約20wt%、約20wt%〜約30wt%、約30wt%〜約40wt%又は約40wt%〜約45wt%であってよい。
【0048】
任意選択で、pHは約8.0〜10にされ、分散体は、25〜60℃で温度が保持される間に(典型的には1〜3h)撹拌される。撹拌に次いで、モノマーに対して約0.1〜約4wt%のレベルで、例えば約0.1〜約0.5%、約0.5%〜約1%、約1%〜約1.5%、約1.5%〜約2%、約2%〜約2.5%、約2.5%〜約3%、約3%〜約3.5%又は約3.5%〜約4%のレベルで、開始剤が導入される。開始剤は、粉末として、又はエタノール、アセトン若しくは他の水混和溶媒中の溶液として導入することができる。適した開始剤は、油溶性のアゾ又はペルオキシド熱開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート及びシクロヘキサノンペルオキシドを含むがそれらに限定されない。種々の適した開始剤は、Wako Pure Chemical Industries,Ltd.(大阪、日本)から入手可能である。開始剤は、金属酸化物の導入の前にモノマー中に溶解することができ、モノマーと水性相との間に分配することができる。得られた溶液は、65〜95℃で、撹拌しながら4〜6hの間保温される。得られたスラリーは、100〜130℃で、一夜の間乾燥することができ、残った固体を粉砕して粉末を形成する。液体から粒子を分離する他の方法を使用して粒子を乾燥することもできる。金属酸化物−ポリマー複合体の形成の後に第二の疎水化剤が添加される場合、それは乾燥工程の前に導入される。例えば、第二の疎水化剤が添加されてよく、スラリーはさらに2〜4hの間、60〜75℃で保温しつつ撹拌される。
【0049】
当分野における当業者は、金属酸化物粒子の2以上の群の粒径及び形状、並びに反応混合物における、それらの互いに対する割合に加えて、混合物又はエマルション中のこのような固体装填量の変化、ポリマー及び金属酸化物の割合、水性相のpH及び保温温度が、複合粒子の形態に影響を与えることを認識する。実際には、金属酸化物−ポリマー複合粒子の所与の径のために、金属酸化物粒径、及び混合物又はエマルション中の固体装填量における著しい変化を使用して、複合粒子の形状及び粒子粗さを調節することができる。特定の実施態様において、複合粒子は、複合粒子中に配置された金属酸化物粒子、すなわち完全にポリマー相中にある、並びに表面から突き出している金属酸化物粒子を有する。これらの実施態様において、金属酸化物粒子は、複合粒子の機械的な強化に寄与し、複合粒子の圧縮強度を増加させる。
【0050】
第一の疎水化システムによる金属酸化物の表面処理の程度は、開始溶液のpH及び温度を調節することによって制御することができる。二官能性の成分及び任意の単官能性の成分の、金属酸化物粒子への吸着速度(表面とそれぞれの成分との間のシロキサン結合の形成に次いで吸着することができる)もまた、シランベースの二官能性又は単官能性の成分における脱離基の選択によって制御することができ、例えばエトキシはメトキシより遅く加水分解する傾向がある。
【0051】
金属酸化物−ポリマー複合粒子の粒径及び粒径分布は、金属酸化物粒子の割合及び相対的な粒径及び/又は粒径分布を調節することによって制御することができる。金属酸化物−ポリマー複合粒子の粒径が金属酸化物粒子の粒径によって影響を受ける範囲で、第一の金属酸化物粒子によって製造された所与の複合粒子のために、より大きい径を有する第二の金属酸化物粒子で、第一の金属酸化物粒子の少なくとも一部を置換することによって複合粒子の粒径を増加させることができる。同様に、より小さい径を有する第二の金属酸化物粒子で、第一の金属酸化物粒子の少なくとも一部を置換することは、得られる複合粒子の粒径を減少させる。
【0052】
金属酸化物粒子の粒径分布に関わらず、金属酸化物−ポリマー複合粒子の粗さは、反応条件を変更することによって調節することができる。一般に、例えば水酸化アンモニウムの添加又はベース安定化金属酸化物分散体の使用によって、反応混合物のpHを増加させることは、粒子粗さ又はRTAを増加させる。反応媒体中の固体装填量を減少させることはまた、粒子粗さ及びRTAを増加させる。
【0053】
金属酸化物粒子の2つの群の混合物が使用される場合、第一の金属酸化物粒子と第二の金属酸化物粒子との割合は、質量で約1:20〜約20:1、例えば約1:15〜約15:1、約1:10〜約10:1、約1:5〜約5:1又は約1:2〜約2:1であってよい。第一の金属酸化物粒子と第二の金属酸化物粒子との所望の割合は、所望の複合粒子の粒径並びに第一の及び第二の金属酸化物粒子の粒径に応じて、変えることができる。
【0054】
複合粒子中の金属酸化物粒子の少なくとも一部は、複合粒子のポリマー部分中に、その全体が埋め込まれてよい。代わりに又は加えて、金属酸化物粒子の少なくとも一部は、複合粒子のポリマー部分中に部分的に埋め込まれてよく、すなわち金属酸化物粒子の一部はポリマーマトリックスから内に及び外に突き出ている。特定の実施態様において、少なくとも200個の、好ましくは少なくとも500個の金属酸化物−ポリマー複合粒子の電子顕微鏡観察によって観察可能な金属酸化物粒子について測定するとき、複合体の表面において露出された金属酸化物粒子は、約0%〜約95%、例えば約5%〜約90%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約40%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、約70%〜約80%又は約80%〜約90%の、金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面から突き出した長さを有していてよい。金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面から突き出た金属酸化物粒子の量は、金属酸化物粒子の粒径及び/又は形状、並びに金属酸化物粒子の1つ若しくは複数の群の粒径分布(D75/D25として説明される)又はメジアン粒径D50の比に応じて、変化することができる。
【0055】
金属酸化物−ポリマー複合粒子は丸みがあって(round)よい。金属酸化物粒子が複合粒子の表面において露出されている程度に応じて、丸みがある粒子は球状である必要はなく、典型的には「でこぼこの(bumpy)」表面を有していると理解される。代わりに、大きい粒径差を有する金属酸化物粒子の2つの群の使用はまた、非等軸粒子の形成をもたらす。このような粒子は、不規則な形状を高い粒子粗さと結びつける。
【0056】
金属酸化物−ポリマー複合粒子の形状及び「でこぼこさ」又は粗さの程度は、TEM(透過型電子顕微鏡)評価によって分析することができる。従来の画像分析ソフトウェアが、粒子のTEM像の周長Pを画定するのに使用される。同じソフトウェアが、粒子像面積Sを計算するために、及び粒子にそれぞれ接する2つの並行な線22の間で測定される、粒子を横切る最大Feret径(Dmax)20を特定するために(
図1Bを参照せよ)使用される。これらの測定は、複数のTEM像における、複数の粒子、好ましくは少なくとも100個の粒子、より好ましくは少なくとも500個の粒子のために適している。
【0057】
SF−1は、どれだけ粒子形状が球状から逸脱しているかを指示するものであり、100(πDmax
2/4S)として計算される。理想的な球状の粒子のSF−1は100である。SF−1が大きいほど、粒子形状は球状から逸脱している。複合粒子についての平均SF−1は、約110〜185、例えば約110〜約125、約125〜約150又は約150〜約185であってよい。
【0058】
粒子粗さは、P
2/4πSとして計算することができる(John C.Russ、The Image Processing Handbook、CRC Press、4th edition、2002)。
図1Bは、粒子粗さは、粒子28の周長26と同じ長さの周長を有する仮想の円24の面積と、現実の粒子の面積との比として考えることができることを例示している。理想的な球状粒子の粗さは1.0である。しかし、粗い表面を有する球状粒子の粒子粗さは1を相当に上回る場合がある。粒子粗さは、非常に細かいスケールにおける粗さ及び表面テクスチャに対して特に感受性がある。粒子粗さの式は周長と像面積との両方を含むため、粒子粗さは、粒子形状の、特に球状からの粒子形状の逸脱をさらに指示するものである。例えば、軸1及び2を有する楕円についての粒子粗さは1.19であり、軸1及び3を有する楕円については1.51である。従って、粒子粗さは、表面粗さの増加並びに球状からの粒子形状の逸脱の増加に伴って増加する。金属酸化物−ポリマー複合粒子の平均粗さは、1.15〜1.9、例えば1.15〜1.2、1.2〜1.5、1.5〜1.7又は1.7〜1.9であってよい。自由流動を改善するために、金属酸化物−ポリマー複合粒子の平均粗さは、好ましくは1.22より大きく、例えば1.25より大きい。
【0059】
代わりに又は加えて、同じ画像分析ソフトウェアを使用して、粒子の画像について凸状の外殻30を描き、「外殻面積(hull area)」と呼ばれる、外殻の内側の面積Cを決定することができる。凸状の外殻は、全体の粒子を取り囲む表面の境界を示す曲がった凸である。それは、平行な線のペアを、それらが粒子像の外側にちょうど接するまで動かすことによって生じる。次いで、平行な線の角度が変えられ、前記のプロセスは、凸状の外殻の全体の経路が画定されるまで繰り返される。
図1Bに示されるように、凸状の外殻は、粒子の周りで伸ばされたゴムバンドに類似している。相対トラフ面積(relative trough area、RTA)は(C−S)/Sによって定義され、Sは粒子像面積である。RTAの値は、表面からの突出部の増加に伴って増加する。完全な球状、楕円又は任意の外殻物のRTAは0である。典型的なアグリゲートされていないコロイダルシリカのRTAは約0.01である。金属酸化物−ポリマー複合粒子の平均RTAは、0.01〜約0.19、例えば約0.03〜約0.15、約0.05〜約0.13又は約0.07〜約0.11であってよい。トナーの自由流動を促進するために、好ましくは、平均RTAは0.06又は0.08より大きく、例えば0.06〜0.13である。平均RTAは、少なくとも100個の粒子、好ましくは少なくとも500個の粒子の像を使用して測定される。当然、より多くの粒子像を使用することは、より高い感度を提供し、異なる粒子形態の区別を促進する。
【0060】
好ましくは、金属酸化物複合粒子は、上で説明される範囲又は任意の下位範囲の平均SF−1、及び上で説明される範囲又は任意の下位範囲の平均RTAを有する。加えて、それらはさらに、上で説明される範囲又は任意の下位範囲の平均粒子粗さを有していてよい。少なくとも上で説明される平均SF−1及び平均RTAを有する粒子は、より滑らかな又はより丸い粒子に対して、トナーにおける改善されたドロップオフ性能を示すことができる。
【0061】
代わりに又は加えて、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、約20nm〜約1000nmの(体積加重)メジアン粒度又は粒径D50を有していてよい。例えば、金属酸化物−ポリマー複合粒子のD50は、20nm〜100nm、100nm〜200nm、200nm〜300nm、300nm〜400nm、400nm〜500nm、500nm〜600nm、600nm〜700nm、700nm〜800nm、800nm〜約900nm又は900nm〜1000nmであってよい。金属酸化物複合粒子の粒径は、ディスク遠心光沈降分析によって測定することができる。
【0062】
実施例において示されるように、トナーの凝集は、粒径の増加に伴って増加し、RTAによって測定される粒子の「でこぼこさ」に伴って減少する。トナーの凝集は、自由流動に関して逆に相関する。トナーの自由流動を改善するために、好ましくは、製造された金属酸化物−ポリマー複合粒子は、40〜75nm、例えば40〜70nm又は40〜65nmのD50、少なくとも0.06又は少なくとも0.08、例えば0.06〜0.019、0.08〜0.015又は0.08〜0.13の平均RTA、及び任意選択で、少なくとも1.22、例えば1.25〜1.60若しくは1.70又は1.22〜1.35の平均粒子粗さを有する。40nmより小さいD50を有する粒子は、より強い、トナー表面に埋め込まれる傾向を有することが期待され、粒径は自由流動性能と逆に相関する。
【0063】
対ブロッキング性を改善し、トナー粒子が互いに付着することを妨げるために、好ましくは、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、100〜150nm、例えば105〜150nm又は110〜150nmのD50、少なくとも0.06又は少なくとも0.08、例えば0.06〜0.019、0.08〜0.015又は0.08〜0.13の平均RTA、及び代わりに又は加えて、少なくとも1.22、例えば少なくとも1.25又は少なくとも1.3、例えば1.25〜1.60若しくは1.70又は1.22〜1.35の平均粒子粗さを有する。トナーの自由流動性能は、外添剤のサイズが増加するに伴って減少する傾向がある。しかし、より大きい粒子は軟質のトナー表面に埋め込まれることをより良く回避することができる。複合粒子の粗さが増加するに従って、自由流動性能は改善され、増加したサイズの効果を弱めて、対ブロッキング性及び自由流動性能を維持するために複合粒子を最適化する。
【0064】
好ましくは、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、金属酸化物自体の固有密度(例えば、シリカは2.2g/cm
3の固有密度を有し、二酸化チタンは3.6g/cm
3の密度を有する)より小さい密度を有する。例えば、複合粒子の固有密度は、その中に含有される金属酸化物の固有密度の約30%〜約35%、約35%〜約40%、40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約63%、約63%〜約67%、約67%〜約70%、約70%〜約73%、約73%〜約76%、約76%〜約79%、約79%〜約82%、約82%〜約85%又は約85%〜約90%であってよい。密度はヘリウムピクノメーター法によって測定することができる。幾つかの実施態様において、異なる粒径の金属酸化物粒子を複合体中で使用することによって、所望の密度を保ちつつ、複合粒子の粒径及び形状を変えることができる。所望の密度を保つことは、定着の間に当業者がドロップオフ性能を減少若しくは維持すること、トナー性能の他の性質を維持すること、又はその屈折率を変えることなく、粒子形態を変化させることを可能とする。
【0065】
金属酸化物−ポリマー複合粒子は、従来のトナー及びケミカルトナーの両方のための外添剤として使用することができる。従来のトナーは、多くの公知の方法、例えば樹脂、顔料粒子、任意選択の帯電強化添加剤及び他の添加剤を、従来の溶融押出装置及び関連する設備中で混合及び加熱することによって調製することができる。粉末の乾燥ブレンドのための従来の設備を、カーボンブラック粒子を樹脂と混合又はブレンドするために使用することができる。他の方法は、スプレー乾燥及び類似のものを含む。一般に、顔料及び他の原料の、樹脂との配合に次いで、機械的摩擦及び分級がされて、所望の粒径及び粒径分布を有するトナー粒子を提供する。化学的に調製されたトナーとしても知られるケミカルトナーは、液相中で製造され;一般に、樹脂粒子は着色剤の存在の下で形成される。例えば、ポリマーラテックスが水性顔料分散体と結合され、凝集剤を使用してアグロメレートされてポリマー粒子を形成するプロセスが開発されてきた。別のプロセスは、少なくとも1つのモノマーにおける顔料の分散体の水性懸濁重合を含む。さらに、顔料/ポリエステル樹脂分散体が調製され、水と結合され、次いで溶媒が蒸発された。
【0066】
従来のトナー及び化学的に調製されたトナーの両方について、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、従来の添加剤、例えばヒュームド金属酸化物又はコロイド状の金属酸化物と同じ仕方で、トナー粒子と組み合わせることができる。例えば、トナー組成物は、適した量の金属酸化物−ポリマー複合粒子を適した粒径を有するトナー粒子と、ブレンダー中で混合することによって配合することができる。代わりに又は加えて、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、ヘンシェル又は他の適したミキサーを使用して、例えば米国特許第9470993号明細書、9500970号明細書、9575425号明細書、特開2019−095616号公報、2018−045006号公報又は2018−036596号公報において説明されるミキサーを使用して、トナー粒子をコアシェル複合粒子と乾燥ブレンドすることによって、外添剤としての使用のためのトナーと組み合わせることができる。代わりに、金属酸化物−ポリマー複合粒子の分散体は、湿式ブレンド法、例えば国際公開第2014/153355号において開示される方法によってトナー粒子と組み合わせることができる。例えば、トナーは、よく混合された分散体が得られるまで、複合粒子の分散体とともに超音波処理することができる。次いで、トナー粒子の表面に配置又は分布された金属酸化物−ポリマー粒子を有するトナー粒子は、例えばボルテックス及び乾燥することによってか、又は分散体から粒子を回収する他の方法によって、分散体から回収することができる。代わりに又は加えて、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、他の外添剤、例えばさらなる無機、複合又は有機粒子と同時に、又は別の混合工程において、トナーと組み合わせることができる。トナー外添剤としての使用のための多様な粒子が当分野における当業者にとって公知であり、本明細書において提供される金属酸化物−ポリマー複合粒子のうち1つ又は複数と組み合わせて使用することができる。当分野における当業者にとって公知である例示的な外添剤は、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、チタニア、ポリマー粒子、脂肪酸塩及びトナーとの使用のために適した他の外添剤を含むがそれらに限定されない。典型的には、ヒュームドシリカ及び他の本来親水性である材料は、トナー添加剤としての使用のために、疎水性を付与される。
【0067】
特定の実施態様において、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、トナー組成物の約0.5wt%〜約7wt%、例えばトナー組成物の約0.5wt%〜約1wt%、約1wt%〜約1.5wt%、約1.5wt%〜約2wt%、約2wt%〜約2.5wt%、約2.5wt%〜約3wt%、約3wt%〜約3.5wt%、約3.5wt%〜約4wt%、約4wt%〜約4.5wt%、約4.5wt%〜約5wt%、約5wt%〜約5.5wt%、約5.5wt%〜約6wt%、約6wt%〜約6.5wt%又は約6.5wt%〜約7wt%を構成する。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、トナー粒子の表面に分布することができる。好ましくは、金属酸化物−ポリマー複合粒子による表面被覆率は、トナー表面の約10%〜約90%、例えば10%〜20%、15%〜25%、20%〜30%、25%〜35%、30%〜40%、15%〜80%、25%〜75%、30%〜70%、35%〜65%、40%〜60%、45%〜55%又は10%〜45%である。金属酸化物−ポリマー粒子のトナーへの適した表面被覆率は、外添剤としてさらに使用される他の材料、例えば無機粒子又はポリマー粒子に、並びにトナー及びトナーとともに使用される任意のキャリア又は現像剤の性質及び組成に依存する。金属酸化物−ポリマー複合粒子のトナーへの分布は、比較的均一であることができる。例えば、複合粒子のトナーへの分布の変動の係数は、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0037719号明細書において説明される走査型電子顕微鏡観察によって測定されるとき、0.40より小さく、例えば0.30より小さく、例えば0.05〜0.15、0.10〜0.20又は0.15〜0.25であってよい。
【0068】
好ましくは、金属酸化物−ポリマー複合粒子は低いレベルのドロップオフを示し、このことはトナーの耐久性を向上し、長い印刷時間にわたって印刷品質を改善することができる。トナー粒子への複合粒子の保持は部分的にはトナーの組成に依存するが、金属酸化物−ポリマー複合粒子と、相当する粒径及び形状の金属酸化物粒子との性能を比較するために代理の試験を使用することができる。例えば、米国特許出願公開第2003/0064310号明細書、2010/0009282号明細書、2006/0240350号明細書、及び米国特許第9568847号明細書において説明される試験に類似する試験を使用することができる。
【0069】
金属酸化物−ポリマー複合粒子は、当分野における当業者によって典型的に使用される方法によって、例えばヘンシェルミキサー又は他の流動化ミキサー若しくはブレンダーの使用によって、トナー粒子と混合されるのに十分な機械的強度を有するべきである。好ましくは、金属酸化物−複合粒子は、電子写真プロセスの現像サイクルの間に、(表面に分布した金属酸化物−ポリマー複合粒子を有する)トナー粒子間の衝突を耐え抜くのに十分な強度を有する。粒子の機械的強度は、複合粒子を用いてケミカルトナーを配合することによって評価することができる。次いで、トナー/粒子配合物をキャリア、例えばシリコーンコーティングされたCu−Znフェライトキャリア(30〜90μmの粒径)と混合して、2%(w/w)のトナーを有する混合物を形成する。次いで、この混合物は、混合コンテナ中に約70%〜約90%の充填率で配置されて、律動的に、3次元の動きで混合コンテナを動かすことができる、3次元ミキサーと呼ばれる撹拌器中で回転される。混合コンテナは、コンテナの容積の約6〜約8倍の容積において、約50〜約70回転/minの回転数で動かされる。例示的な撹拌器は、Willy A.Bachoven AGから入手可能であるTurbulaミキサー、Bioengineering AGから入手可能であるInversinaミキサー及びGlen MillsのdynaMix 3次元ミキサーを含む。規定の時間の後、サンプルはSEMによって分析される。複合粒子が十分な機械的強度を有する場合、複合粒子は、混合中に、平坦化又は変形することがない。任意の平坦化又は変形は、SEMにおいて粒径の変化として現れる。好ましい実施態様において、10minの混合の後の、金属酸化物−ポリマー複合粒子の直径の変化は、25%より小さく、好ましくは20%より小さく、例えば10%より小さい。
【0070】
代わりに又は加えて、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、洗浄助剤(cleaning aid)として使用することができる。洗浄助剤の使用の機能及び方法は、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6311037号明細書において議論されている。簡潔に言えば、像が印刷された後に、弾力性のブレードが感光体から余剰のトナーを除去する。研磨粒子は余剰のトナーのより完全な除去を促進することができ、そうでなければ余剰のトナーは続くコピーに移り、前のコピーの弱い像が1つ又は複数の次のコピーに現れる「シャドー(shadow)」効果をもたらす。一般に、現在では、2つの異なる種類の粒子が洗浄助剤として使用される。粉砕された又は沈降した無機粒子(例えば金属酸化物、窒化物、炭化物)は、研磨洗浄用途のために適した硬度及び形状を有する。しかし、それらは広い粒径分布を有する。より大きい粒子は、感光体の表面をひっかく場合があり、より小さい粒子は洗浄ブレードと感光体との間のクリアランスより少なくなる場合がある。コロイダルシリカは均一な粒径を有するが、その滑らかな表面のために、限定された洗浄能力しか有さない。金属酸化物−ポリマー複合粒子はこれらの粒子の両方の利点を兼ね備え−金属酸化物−ポリマー複合粒子は、固い研磨性の金属酸化物粒子によって中断された不規則な表面を有するだけでなく、狭い粒径分布を有する。洗浄助剤としての使用のための金属酸化物−ポリマー複合粒子は、トナー配合物中に組み込むことができるか、又は分離した貯蔵容器中に含有されていてよく、金属酸化物−ポリマー複合粒子は貯蔵容器から、洗浄ブレードの近くの複写機のドラムに輸送される。
【0071】
好ましくは、金属酸化物−ポリマー複合粒子は粉末の形態である。好ましくは、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、約1atmの圧力で、相対湿度50%で、25℃で平衡させた後、少ない含水量、例えば約10wt%より少ない水分、例えば約0%〜約3%、約1%〜約4%、約3%〜約5%、約5%〜約7%又は約7%〜約10%の水分を示す。含水量は、30minの間、125℃で、オーブン中で、ガラスバイアル中の100mgのサンプルを乾燥させて、(例えば、簡潔に言えば、Haug One−Point−Ionizer(Haug North America、Williamsville、NY)の下でサンプルを保持することによって)サンプルを放電して、次いで、0〜95%の選択された相対湿度値で20minの間保温した後にサンプルの質量を測定する器具中にサンプルを装填することによって、測定することができる。
【0072】
金属酸化物−ポリマー複合粒子粉末は、粉砕若しくは製粉することができるか、又は特開2018−036596号公報において説明されるように、例えばふるい、ろ過、空気分級若しくは当分野における当業者にとって公知である他の方法によって、分級することができる。金属酸化物−ポリマー複合粒子粉末のアグリゲーションの程度は、70%より小さく、例えば60%より小さく、例えば10%〜70%、20%〜60%、30%〜50%又は25%〜40%であってよい。アグリゲーションの程度は、Digiviblo Model 1332Aデジタルディスプレー型振動計(Showa Sokki Co.,Ltd)を備えるHosokawa PT−X粉末試験器において測定することができる。38μm(400メッシュ)、75μm(200メッシュ)及び150μm(100メッシュ)の目の開きを有するふるいが、粉末試験器の振動テーブルの底部から順に積み重ねられる。測定は、23℃で、60%の相対湿度(RH)で行われる。振動テーブルの振動幅は、デジタルディスプレー型振動メーターの変位値が0.60mm(ピークからピークまで)となるように、あらかじめ調節される。金属酸化物−ポリマー複合粒子は、23℃で、60%RHで、24hの間平衡化され、それに次いで、5.0gが秤量されて粉末試験器の最も上の段階における150μmふるいに入れられる。ふるいは30sの間振動され、次いで、それぞれのふるい上に残った複合粒子の質量を測定して、以下の式に基づいてアグリゲーションの程度を計算する。アグリゲーションの程度(%)={(150μmの目の開きを有するふるい上のサンプル質量(g))/5(g)}×100+{(75μmの目の開きを有するふるい上のサンプル質量(g))/5(g)}×100×0.6+{(38μmメッシュのふるい上のサンプル質量(g))/5(g)}×100×0.2
【0073】
金属酸化物−ポリマー複合粒子は、トナー粒子と組み合わせてトナーを形成することができる。従来のトナーは、多くの公知の方法、例えば樹脂、顔料粒子、任意選択の帯電強化添加剤及び他の添加剤を、従来の溶融押出装置及び関連する設備中で混合及び加熱することによって調製することができる。粉末の乾燥ブレンドのための従来の設備を、カーボンブラック粒子を樹脂と混合又はブレンドするために使用することができる。他の方法は、スプレー乾燥及び類似のものを含む。一般に、顔料及び他の原料の、樹脂との配合に次いで、機械的摩擦及び分級がされて、所望の粒径及び粒径分布を有するトナー粒子を提供する。化学的に調製されたトナーとしても知られるケミカルトナーは、液相中で製造され;一般に、樹脂粒子は着色剤の存在の下で形成される。例えば、ポリマーラテックスが水性顔料分散体と組み合わせられ、凝集剤を使用してアグロメレートされてポリマー粒子を形成するプロセスが開発されてきた。別のプロセスは、少なくとも1つのモノマーにおける顔料の分散体の水性懸濁重合を含む。さらに、顔料/ポリエステル樹脂分散体が調製され、水と組み合わせられ、次いで溶媒が蒸発された。
【0074】
金属酸化物−ポリマー複合粒子は、それらが外添剤として用いられるトナーに種々の利点を提供することができる。例えば、金属酸化物−ポリマー複合粒子は、それらが組み合わせて使用される他の外添剤、例えば、ヒュームド又はゾル−ゲル(コロイダル)シリカ、チタニア、例えばチタン酸ストロンチウム及びジルコン酸ストロンチウムであるがこれらに限定されない混合金属酸化物、ワックス、脂肪酸塩、ポリマー粒子並びに最終トナー生成物の自由流動及び摩擦帯電性能を強化するために典型的に使用される他の材料の性能を補完することができる。
【0075】
本発明は、本質として単に例示的であることが意図される以下の実施例によって、さらに明確にされる。
【実施例】
【0076】
TEMのためのサンプルを調製するために、水性分散体中の粒子をエタノールで希釈して、プローブ超音波処理機で10minの間超音波処理した。それぞれの個別の粒子が隣接する粒子から良く分離することを確実にするために、十分な希釈及び分散が必要である。TEM分析のために、懸濁液を、200メッシュの炭素コーティングした銅グリッドに滴下した。JEOL JEM−1200 EX Microscopeにおいて、80kVの加速電圧で、TEM像を得た。典型的には、像の分解能を、2048ピクセル×2048ピクセルの像のサイズについて2nm/ピクセルに設定した。最初に、もし存在するならば像の任意の不均一なバックグラウンドを、National Institutes of Healthから入手可能であるImageJソフトウェアを使用して校正して、次いで像のノイズを減少させ、適したデジタルフィルターによってコントラストを高めた。次いで、像をそれぞれの個々の粒子の分離した像を有する2つの像に区分した。それぞれの粒子の粒径及び形状を、ImageJ粒子アナライザーを使用して決定し、次いで組み合わせて、複数の一次複合粒子を含むアグリゲートを除く、サンプル中の全ての粒子の形状及び粒径の分布を得た。下で複合粒子が有するSF−1、粒子粗さ及びRTAの値は、少なくとも500個の粒子の測定からの平均であり;コロイダルシリカについての値は、少なくとも100個の粒子の測定からの平均である。
【0077】
ディスク遠心光沈降分析のためのサンプルを調製するために、複合粒子の0.05wt%分散体を、15mLガラスバイアル中で、0.05wt%のTriton X−100界面活性剤を含有する逆浸透処理された水中で調製した。これを、90%の電力で50ワットのアウトプットを有するSMT UH−50ホモジナイザーを使用して、バイアルの底部から0.5mmに配置された136mmのチタンチップに沿った3mmを使用して、20minの間撹拌した。
【0078】
トナーを複合粒子と組み合わせるために、IKA M 20 Universalミルを使用して、シリカ−ポリマー複合粒子を、Sinonar Corp.の約8μmの粒径を有するブラックポリエステルケミカルトナーと混合し、合計で30%の表面被覆率を達成した。トナーが過熱及び溶融するのを防ぐために、3つの15sのパルスの後に15sの冷却期間をおいて実施した。
【0079】
トナーの表面被覆率Cを、以下の関係:C=[w/(100%−w)]×[(ρ
t×d
t)/(π×ρ
a×d
a)]×[(√3)/2]を使用して計算し、式中、wは添加剤のwt%であり、ρ
t、d
t、ρ
a、d
aは、それぞれトナー及び添加剤粒子の密度(ρ)及び直径(d)である。添加剤粒径を、ディスク遠心光沈降分析(CPS)によって測定し、添加剤の密度をヘリウムピクノメーター法によって測定した。トナーの密度を1.2g/cm
3、粒径を8μmと推定した。
【0080】
現像剤を、2重量部の配合されたトナーを、シリコーン樹脂でコーティングされた98部のCu−Znフェライトキャリア(キャリア粒径60〜90μm、Powdertech Co.Ltd.)と混合することによって調製した。現像剤を、数時間の間、30℃かつ相対湿度80%の条件でおく(HH(高温/高湿度)条件に対応する)か、又は18℃かつ20%RHの条件でおいた(LL(低温/低湿度)条件に対応する)。上の条件に置いたのち、ロールミル上で30minの間、185rpmで、現像剤を含有するジャーを回転させることによって、摩擦静電帯電を現像した。摩擦帯電を、Vertex Image Products,Inc.のVertex T−150試験器を使用して測定した。1gの帯電された現像剤をファラデーケージ中に配置した。キャリアからのトナーブローオフを、約20psi空気ジェットを使用して、1minの間行った。ファラデーケージキャリア中に残留したトナーについての静電帯電を、Vertex試験器中に組み込まれた電位計によって測定し、ブローオフされたトナーの質量を、ブローオフの前後のファラデーケージの重量の差として決定した。
【0081】
トナーの凝集率を、Hosokawa PT−X粉末試験器を使用して測定した。添加剤と混合された2gのトナーを、3つのふるい(75、45及び25μmの目の開き)の積み重ねの上部ふるいに配置し、20sの間、1.0mmの振幅で、50〜60Hzの振動数でふるいを振動させた。式:凝集率%=(M
t/M
init)+(M
m/M
init)×0.6+(M
b/M
init)×0.2×100%に従って凝集率を計算し、式中、M
t、M
m及びM
bは、振動を止めたときに、それぞれ上部、中間、下部ふるいに残ったトナーの重量であり、M
initは初期のサンプルの重量である。
【0082】
実施例1:Snowtex O40(ST−O40)及びSnowtex O(ST−O)の混合物を使用する複合粒子の合成
本実施例は、より大きいST−O40コロイダルシリカを、より小さいST−Oコロイダルシリカで置き換えることに従う、複合粒子の粒径のゆるやかな減少を例示する。実施例1Aについて、上にある撹拌モーター、凝縮器及び熱電対を備える3000mLの四つ口丸底フラスコを、909mLの脱イオン水、257gの、水中のST−O40シリカ分散体(Nissan Chemical製造;〜22nmの粒径、pH〜4.0、濃度〜41wt%)及び4.56gの5Mの水酸化アンモニウム水溶液で充填した。分散体を〜5minの間撹拌し、131gの3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPS、CAS#2530−85−0、Mw=248.3)を添加する。温度を50℃に上げて、混合物を200rpmで3hの間撹拌した。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBNとさらに略記される、CAS#78−67−1、Mw=164.2)を添加し、温度を30minの間に、80℃に上げる。90minの間80℃とした後、反応混合物を65℃に冷却し、200メッシュのスクリーンを通してろ過して凝塊の断片を取り除く。23gの1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)を混合物に添加し、反応をさらに5〜8h、65℃で続け、その後、反応混合物をPyrexトレイに移し、一晩、120℃で乾燥させる。
【0083】
実施例1B〜1Dを、実施例1Aについて説明されたのと同じ手順に従って調製した。唯一の違いは、ST−O40シリカとST−Oシリカ(12nm径、Nissan Chemical)との混合物が使用されることである(シリカを、反応フラスコに逐次添加する)。下の表1は、使用する化学物質の量についての情報を含有する。この方法を使用して、(ディスク遠心光沈降分析によって測定して)下の表に記載されるメジアン粒径を有する粒子を調製することができる。粒径の変化は、粒子粗さ又はRTAを必ずしも著しく変化させない。例えば、実施例1Aのプロセスを使用して、141〜146の平均SF−1、1.29〜1.32の平均粒子粗さ及び0.092〜0.097の平均RTAを有する粒子を調製することができる。実施例1Bのプロセスを使用して、147〜152の平均SF−1、1.27〜1.30の平均粒子粗さ及び0.090〜0.096の平均RTAを有する粒子を調製することができる。
図2A及び2Bは、下に記載される実施例1A及び1Bにおけるそれぞれの組成を使用して、どのような、両方の種類のシリカ粒子を組み込んだ粒子を製造することができるかを示す。
【表1】
【0084】
実施例2:Snowtex O40(ST−O40)とST−O40及びST−OLの混合物とを使用する複合粒子の合成
本実施例は、より小さいコロイダルシリカST−O40を、より大きいST−OLシリカで置き換えることに従う、複合粒子の粒径の増加を例示する。実施例1の方法を、下の表2の試薬の量で使用して、記載されるメジアン粒径を有する粒子を製造する。
図3A〜3Cは、下に記載される実施例2A〜2Cのそれぞれの組成物を使用して、どのような、両方の種類のシリカ粒子を組み込んだ粒子を製造することができるかを例示する。
図3Bにおける矢印はST−OL粒子を指す。実施例2Aのプロセスを使用して、128〜134の平均SF−1、1.24〜1.29の平均粒子粗さ及び0.068〜0.077の平均RTAを有する粒子を調製することができる。実施例2Bのプロセスを使用して、132〜139の平均SF−1、1.23〜1.28の平均粒子粗さ及び0.063〜0.073の平均RTAを有する粒子を調製することができる。実施例2Cのプロセスを使用して、140〜144の平均SF−1、1.27〜1.31の平均粒子粗さ及び0.057〜0.067の平均RTAを有する粒子を調製することができる。
【表2】
【0085】
実施例3:不規則な形状及び比較的滑らかな表面を有する複合粒子の合成
実施例1のプロセスを、実施例1に記載されるシリカの代わりにST−OLシリカ(45〜50nmの粒径)を用いて、及び1.4のモノマー−シリカ比で使用して、
図4A及び4Bに示す粒子などの、125〜150nmのメジアン粒径D50を有する粒子を製造することができる。実施例3のプロセスを使用して、131〜152の平均SF−1、1.21〜1.36の平均粒子粗さ及び0.045〜0.079の平均RTAを有する粒子を調製することができる。
【0086】
実施例4:不規則な形状及び大きい表面粗さを有する複合粒子の合成
水酸化アンモニウムの添加を伴わないことを除いては実施例1であるプロセスを、実施例1に記載されるシリカの代わりにLudox AS−40シリカ(WR Grace、22nmの粒径、分散体中で40%の固体)を用いて、2のモノマー−シリカ比で、及び反応混合物中の5.4%の固体濃度で使用して、粒子、例えば
図5A及び5Bに示す粒子を製造することができる。本実施例のプロセスを使用して、144〜162の平均SF−1、1.49〜1.65の平均粒子粗さ及び0.108〜0.142の平均RTAを有する粒子を調製することができる。
【0087】
実施例5:球状の形状及び種々の表面粗さを有する複合粒子の合成
A)実施例1のプロセスを、ST−O40シリカを用いて、及び3のモノマー−シリカ比で使用して、
図6A及び6Bに示す粒子などの、115〜140nmのメジアン粒径D50を有する粒子を製造することができる。本実施例のプロセスを使用して、116〜119の平均SF−1、1.19〜1.22の平均粒子粗さ及び0.038〜0.042の平均RTAを有する粒子を調製することができる。
【0088】
B)実施例1のプロセスを、ST−Oシリカを用いて、及び1.25のモノマー−シリカ比で使用して、
図6C及び6Dに示す粒子などの、45〜70nmのメジアン粒径D50を有するが、実施例5Aの粒子粗さよりかなり大きい粒子粗さを有する粒子を製造することができる。実施例5A及び5Bの両方の粒子を製造するのに使用することができる試薬の量を、下の表3に記載する。本実施例のプロセスを使用して、135〜140の平均SF−1、1.22〜1.25の平均粒子粗さ及び0.079〜0.086の平均RTAを有する粒子を調製することができる。
【表3】
【0089】
実施例6−比較例1
滑らかな粒子表面を有する球状コロイダルシリカ、すなわちMP−1040コロイダルシリカ(Nissan Chemical Inc.)のTEM像を収集し、粒子形状を説明するパラメーターを測定した(
図7)。平均SF−1は113、平均粒子粗さは1.15、平均RTAは0.030であった。
【0090】
実施例7
本実施例は、シリカ−ポリマー複合粒子の摩擦帯電を増加させるための、第一の疎水化システムの二官能性の成分とあわせた、単官能性の成分としてのアルキルシランの使用を例示する。実施例7A及びBについて、68gの脱イオン水中の19gのST−O40シリカの溶液を室温で撹拌して、それに次いで、0.19gの5N水酸化アンモニウムを添加してpHを約9.3とする。a)4.9gのn−プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)又はb)フェニルトリメトキシシラン(PTMS)のいずれかの、4.9gのMPSとの混合物を、全て一度に添加する。次いで、温度を1hの間に40℃に上げて、同じ温度で1.5hの間保持する。次いで、0.1gのAIBNを添加して、温度を80℃に上げて、1.5hの間保持する。反応混合物を65℃に冷却し、それに次いで、2.5gのヘキサメチルジシラザンを添加して、混合物を65℃で3hの間保温する。生じた沈殿物を吸引によってろ過して、脱イオン水で洗浄して、真空下で乾燥する。生じたケークを、オーブン中で、120℃で数hの間乾燥して、次いでIKAミル中で粉砕する。
【0091】
実施例7Cについて、160gの脱イオン水中の45gのST−O40シリカの溶液を室温で撹拌して、それに次いで、0.48gの5N水酸化アンモニウムを添加してpHを約9.3とする。11.5gのジイソプロピルジメトキシシラン(DIPDMS)の、11.5gのMPSとの混合物を、全て一度に添加する。次いで、温度を1.5hの間に40℃に上げて、同じ温度で2hの間保持する。次いで、温度を60℃に上げて、混合物を45minの間保温する。次いで、0.5gのAIBNを添加して、温度を75℃に上げて、2hの間保持する。反応混合物を65℃に冷却して、それに次いで、4.3gのヘキサメチルジシラザンを添加して、混合物を65℃で6hの間保温する。生じた沈殿物を吸引によってろ過して、脱イオン水で洗浄して、真空下で乾燥する。生じたケークを、オーブン中で、120℃で数hの間乾燥して、次いでIKAミル中で粉砕する。
【0092】
これらの方法を使用して、下の表4のサンプルなどの、30%の被覆率でトナーに配合したサンプルを製造することができる。欄「疎水性」は、メタノール−水の溶液中で、記載する割合より低いメタノール濃度でサンプルが濡れないこと、すなわち材料が表面上で浮かぶことを示す。対して、実施例1Aのプロセスを使用して、−52〜−50のLL条件における摩擦帯電、及び−22.5〜−21.5のHH条件における摩擦帯電を有するトナーを製造するのに使用することができる複合粒子を製造することができる。この結果は、MPSに加えてのアルキルシランの使用が摩擦帯電を増加させ、一方で芳香族フェニルシランの使用が著しくは摩擦帯電を増加させないことを示す。
【表4】
【0093】
実施例8−粒子粗さの増加
水酸化アンモニウムの添加を伴わないことを除いては実施例1である方法を、Ludox AS−30シリカ(WR Grace、12nm、分散体中で30%の固体装填量)及びLudox AS−40シリカを用いて、固体装填量及びモノマー−シリカ比を維持するように調節されたシリカ分散体と水との量で使用して、下(表5)の特徴を有する金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造することができる。Ludoxシリカを水酸化アンモニウムで安定化させて、反応混合物のpHを上げ、生じた複合粒子の粗さを増加させる。
【表5】
【0094】
実施例9−正に帯電した複合粒子
実施例1A及び5Bにおいて説明される特性を有する粒子を、環状シラザンでさらに処理した。300gの複合粒子粉末を1ガロンのNalgeneボトル中に入れ、式:
【化4】
を有し、R
11が−(CH
2CH(CH
3)CH
2−である、それぞれ4.3g又は5.5gの環状シラザンと、10mLの2−プロパノールとの混合物とともにスプレーした。ボトルをきつく締めて、回転ミルにおいて、1hの間、約90rpmで回転した。シールしたボトルを室温で一晩おき、それに次いで、粉末をPyrexトレイに移し、3〜4hの間、乾燥空気オーブンにおいて、120℃で脱アンモニアした。環状シラザン処理の使用は、粒子表面に結合したアミン基をそのままにして、粒子形態を変化させることなく、これらの複合粒子が正の帯電を帯びることを可能とする。
【0095】
実施例10−比較例
米国特許第7811540号明細書において説明されるように、HMDZを用いてST−XL及びST−YLシリカ(それぞれ表面積60m
2及び45m
2、Nissan Chemicals,Inc.)を処理して、1nm
2のシリカ表面当たりに約10分子のHMDZを有する疎水性に処理した粒子を製造する。米国特許第8455165号明細書において説明されるように、HMDZ及び実施例9において説明される環状シラザンで、同じシリカを処理して、1nm
2のシリカ表面当たりに5〜10分子のHMDZ及び約1.6分子の環状シラザンを有する疎水性に処理した粒子を製造する。実施例11における使用の前に、生じた粉末を、IKA A11実験室ミル(IKA Corporation)中で粉砕した。
【0096】
実施例11−凝集率測定
実施例1A、2A、2C、4、5B、8A、8B及び9において説明される組成及び形態を有する粒子、実施例10の粒子並びにCAB−O−SIL TG−C110コロイダルシリカ(115nmの粒径、111のSF−1、1.23の平均粒子粗さ及び0.0256の平均RTAを有するHMDZ処理したシリカ)を、15%、30〜32%及び45%から選択される被覆量を有する上で説明されるトナーとした。トナーの凝集率を、3通りで測定した。
【0097】
JMPソフトウェアパッケージ(version 12.0.1、SAS Institute,Inc.)を、収集したデータの統計分析のために使用した。線形回帰モデルを使用した。回帰モデルにおいて、トナーの凝集率は従属変数であり、トナーの表面被覆率、添加剤粒子の粒径及びRTAとして説明される添加剤の形態は独立変数であった。モデルは、切片と、トナーの被覆率及び粒子の粒径に関する線形項と、RTAにおける二次項とを含んでいた。統計的に有意な項のみを、0.05より小さいp値に含めた。モデルは、表面処理(すなわちHMDZ/環状vs.HMDZ単独)とトナーの凝集率との間の関係性を示さなかった。モデルにおいて使用する100の結果があった。R
2は81.4%であり、F検定における有意水準は<0.0001であった。
【0098】
直線回帰モデルを使用して、15、30及び45%のトナー表面の被覆率において、添加剤粒径及びRTAの関数として、トナーの凝集率の応答曲面を生成した(
図8;実線はモデルによって生成した関数であり;いずれかの側の点線は信頼限を示す)。応答曲面は、モデルトナーを0.060〜0.120のRTAを有する添加剤と混合するときに、最低の凝集率が期待されることを示す。結果は、粒径の増加及び表面被覆率の減少に伴って、凝集率が増加することを示す。
図9は、実施例2A(点線)及び8B(実線)において説明される特性を有する複合粒子を用いて製造したトナーについての表面被覆率に対する凝集率のプロットを示す。実施例8Bによって製造したサンプルの平均RTAは、実施例2Aについての平均RTAより高く、RTAの増加が凝集率を減少させ、かつ自由流動を増加させることを示す。
【0099】
本発明の好ましい実施態様の先の説明は、例示及び説明の目的のために提供された。網羅的であること、又は開示される明確な形態に本発明を限定することは意図されない。変更及び変化は、上の教示と照らして可能であるか、又は本発明の実施から得ることができる。実施態様は、本発明の原理及び本発明の実施の応用を説明して、当分野における当業者が、様々な実施態様で、及び期待される個々の使用に適した様々な変更とともに本発明を利用することができるように、選択され、説明された。本発明の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲と、その均等物とによって画定されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2021年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属酸化物粒子と、ポリマーマトリックスとを含む、粉末形態の金属酸化物−ポリマー複合粒子であって、
前記複数の金属酸化物粒子が、少なくとも金属酸化物粒子の第一の群と金属酸化物粒子の第二の群とを含み、前記金属酸化物粒子の第一の群が、前記第二の群に対して異なる粒径、形状又は粒径分布を有し;
前記金属酸化物粒子が、二官能性の成分を含む第一の疎水化システムによって表面改質されていて、それを介して前記金属酸化物粒子が前記ポリマーマトリックスに共有結合されていて;
前記複数の金属酸化物粒子の少なくとも一部が、前記ポリマーマトリックスから内に及び外に突き出ていて;
前記ポリマーマトリックスが、前記第一の疎水化システムのポリマー又はコポリマーを含み;かつ
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、110〜185の平均SF−1及び0.06〜0.19の平均RTAを有する、複合粒子。
【請求項2】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の表面の少なくとも一部が、第二の疎水化剤によって改質されている、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記第一の疎水化システムが、式(OR1)4-zSiR4zを有する単官能性の成分であって、R1がメチル又はエチルであり、zが1又は2であり、R4が分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR2Phであり、Phが置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である単官能性の成分をさらに含む、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記第一の群及び前記第二の群のメジアン粒径D50が、約40:1〜約1.5:1の比を有する、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記第一の群及び前記第二の群についての比D75/D25が、約40:1〜約1.1:1の比を有する、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項6】
前記第一の群と前記第二の群との質量比が、約1:20〜約20:1である、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項7】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約20nm〜約1000nmの体積平均粒径を有する、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項8】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約1.22〜約1.9の平均粗さP2/4πSを有する、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項9】
前記ポリマーマトリックスが、スチレン、置換されていない若しくは置換されたアクリレート又はメタクリレート、オレフィン、ビニルエステル及びアクリロニトリルのポリマー、並びにそれらのコポリマー及び混合物を含む、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項10】
トナー粒子の表面に配置された請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合粒子を含む、トナー組成物。
【請求項11】
金属酸化物−ポリマー複合粒子を製造する方法であって、
水性媒体中の第一の疎水化システムと、少なくとも金属酸化物粒子の第一の群及び金属酸化物粒子の第二の群とを含む水性分散体であって、前記金属酸化物粒子の第一の群が、前記第二の群とは異なる粒径、形状又は粒径分布を有し、前記第一の疎水化システムが式[R33-x(OR1)x]SiR2Qを有する二官能性の成分を含み、xが1、2又は3であり、R1がメチル又はエチルであり、R2が一般式CnH2nを有するアルキルリンカーであり、nが1〜10であり、R3がメチル又はエチルであり、Qが置換された若しくは置換されていないビニル、アクリレートエステル又はメタクリレートエステル基であり、ただし、Qが置換された又は置換されていないビニルである場合にはnが2〜10である水性分散体を調製する調製工程;
所定の時間、前記分散体を保温する工程;
ラジカル開始剤を前記分散体に添加する工程:
前記第一の疎水化システムの化学基をポリマーの一部にして、それによって約110〜約185の平均SF−1及び約0.06〜約0.19の平均RTAを有する金属酸化物−ポリマー複合粒子を形成する形成工程;並びに
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子を乾燥して粉末を得る工程
を含む方法。
【請求項12】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の調製工程の前か、又は形成工程の後に行うことができる、前記金属酸化物粒子の少なくとも一部を第二の疎水化剤で処理する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一の疎水化システムが、式(OR1)4-zSiR4zを有する単官能性の成分であって、R1がメチル又はエチルであり、zが1又は2であり、R4が分岐若しくは非分岐のC1〜C10アルキル基又はR2Phであり、Phが置換されていないフェニル基あるいはC1〜C10の分岐若しくは非分岐のアルキル、ハロゲン、C1〜C10アルキルエーテル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシで置換されたフェニル基である単官能性の成分をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の群及び前記第二の群のD50が、約40:1〜1.5:1の比を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の群及び前記第二の群についての比D75/D25が、約40:1〜約1.1:1の比を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第一の群と前記第二の群との質量比が、約1:20〜約20:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記エマルションが、スチレン、置換された若しくは置換されていないアクリレート又はメタクリレートモノマー、オレフィンモノマー、ビニルエステルあるいはアクリロニトリルのうち1つ又は複数をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約20nm〜約1000nmの体積平均粒径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子の固有密度が、ヘリウムピクノメーター法によって測定されるとき、前記金属酸化物の固有密度の約30%〜約90%である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記金属酸化物−ポリマー複合粒子が、約1.22〜約1.9の平均粗さP2/4πSを有する、請求項11に記載の方法。
【国際調査報告】