(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533580(P2021-533580A)
(43)【公表日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】電子輸送材料及びその使用
(51)【国際特許分類】
H01L 51/50 20060101AFI20211105BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20211105BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20211105BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20211105BHJP
H01L 51/46 20060101ALI20211105BHJP
【FI】
H05B33/22 B
H05B33/14 Z
H05B33/14 A
H01L27/32
G09F9/30 365
H01L31/04 154C
H01L31/04 166
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2021-529500(P2021-529500)
(86)(22)【出願日】2018年12月29日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月3日
(86)【国際出願番号】CN2018125620
(87)【国際公開番号】WO2020024557
(87)【国際公開日】20200206
(31)【優先権主張番号】201810878226.X
(32)【優先日】2018年8月3日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521051439
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼聚▲華▼印刷▲顯▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】庄 ▲錦▼勇
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲穎▼
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5F151
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC05
3K107DD02
3K107DD57
3K107DD58
3K107DD74
3K107DD78
5C094AA10
5C094AA22
5C094BA27
5C094FB01
5C094FB20
5F151AA11
5F151DA20
(57)【要約】
本発明は、電子輸送材料およびその使用に関する。この電子輸送材料は、分子構造設計で高いキャリア移動度を有する基を選択して構築されることによって、分子が高いキャリア移動度を有する。また、コアとする基はその構造がメシトリルトリアジンによるものである。該構造は分子剛性が高いので、分子間の堆積を効果的に抑制することによって、材料が低い屈折率を有し、有機電界発光素子の表面プラズモンポラリトン損失を効果的に抑制することができる。該電子輸送材料を有機電界発光素子に適用することにより、素子が正方向に光の取り出し効率を14%以上で向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物を含み、
【化1】
R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-1から式1-16で表される基から選択される一種であり、ただし、R
1-1及びR
1-2は同時に水素ではなく、R
2-1及びR
2-2は同時に水素ではなく、R
3-1及びR
3-2は同時に水素ではなく、
【化2】
*は、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2と前記式Iで表される化合物のベンゼン環との結合部位を表す
ことを特徴とする電子輸送材料。
【請求項2】
R1-1、R1-2、R2-1、R2-2、R3-1及びR3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-9から式1-11で表される基から選択される一種である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子輸送材料。
【請求項3】
R1-1またはR1-2は水素であり、R2-1またはR2-2は水素であり、R3-1またはR3-2は水素である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子輸送材料。
【請求項4】
前記式Iで表される化合物は、化合物1〜10から選択される一種である
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
ことを特徴とする請求項1に記載の電子輸送材料。
【請求項5】
前記式Iで表される化合物は、化合物1、化合物4、または化合物7から選択されるものであることを特徴とする請求項4に記載の電子輸送材料。
【請求項6】
半導体素子であって、
前記半導体素子は電子輸送材料を有し、前記電子輸送材料は式Iで表される化合物を含み、
【化4】
R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-1から式1-16で表される基から選択される一種であり、ただし、R
1-1及びR
1-2は同時に水素ではなく、R
2-1及びR
2-2は同時に水素ではなく、R
3-1及びR
3-2は同時に水素ではなく、
【化5】
*は、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2と前記式Iで表される化合物のベンゼン環との結合部位を表す
ことを特徴とする半導体素子。
【請求項7】
R1-1、R1-2、R2-1、R2-2、R3-1及びR3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-9から式1-11で表される基から選択される一種である
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項8】
R1-1またはR1-2は水素であり、R2-1またはR2-2は水素であり、R3-1またはR3-2は水素である
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記式Iで表される化合物は、化合物1〜10から選択される一種である
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項10】
前記式Iで表される化合物は、化合物1、化合物4、または化合物7から選択されるものである
ことを特徴とする請求項9に記載の半導体素子。
【請求項11】
有機発光ダイオード、量子ドット発光ダイオード、有機光電池または有機発光電界効果トランジスタである
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項12】
表示デバイスであって、
前記表示デバイスは、有機発光ダイオード及び/又は量子ドット発光ダイオードを有し、前記有機発光ダイオード及び/又は量子ドット発光ダイオードの電子輸送層材料は、式Iで表される化合物を含み、
【化7】
R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-1から式1-16で表される基から選択される一種であり、ただし、R
1-1及びR
1-2は同時に水素ではなく、R
2-1及びR
2-2は同時に水素ではなく、R
3-1及びR
3-2は同時に水素ではなく、
【化8】
*は、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2と前記式Iで表される化合物のベンゼン環との結合部位を表す
ことを特徴とする表示デバイス。
【請求項13】
前記式Iで表される化合物は、化合物1〜10から選択される一種である
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
【化9-4】
ことを特徴とする請求項12に記載の表示デバイス。
【請求項14】
前記式Iで表される化合物は、化合物1、化合物4、または化合物7から選択されるものである
ことを特徴とする請求項13に記載の表示デバイス。
【請求項15】
ボトムエミッション型表示パネルである
ことを特徴とする請求項12に記載の表示デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2018年8月3日に中国特許庁に提出されて出願番号が201810878226.Xで発明の名称が電子輸送材料及びその使用である中国特許出願を優先権として主張し、その全部の内容が援引によって本願に取り込まれている。
【0002】
本発明は、有機導電性材料の分野に関し、特に、電子輸送材料及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
OLED素子では、発光の機能を有する有機分子は、電流によって正孔と電子との再結合を実現し、ダイポールの形でランダムな方向に光を放出する。しかし、放出する光は全て照明や表示に利用するわけではなく、基板の外に達する光がその一部であり、多くの部分が複数の形で素子の内で損失してしまう。損失の形式は、主に、金属電極による表面プラズモンポラリトン損失(SPP)、有機層やITOなどの高屈折率による導波路(Wave Guide)損失、下地材料と空気界面での全反射などによる下地の損失がある。これらの損失は、全体として通常の平面構造のOLED素子の光の取り出し効率が100%より遥かに小さくなっている。光学の計算によれば、従来の平面の発光OLED素子は、光の取り出し効率がわずか22%である。これは、素子の他の特性で例えば材料の内部量子効率や電気的なバランス等が最適化されていても、外部量子効率(EQE)が高くなく、放出する光が大部分で素子の内で損失しているを意味する。
【0004】
論理的な計算によると、通常の平面のOLED素子において表面プラズモンポラリトン損失は、通常に全体的に発光の30%程度であり、OLED素子が発光可能な効率を超えている。そこで、表面のプラズモンポラリトン損失を低減する提案がある。例えば、素子に(例えば金属電極や有機層)に微細な構造を追加することにより、表面プラズモンポラリトン損失と導波路の損失を低減する。これは有効であると実験に検証され、外部量子効率を10から30%程度で向上することができる。しかし、この技術は、複雑で微細構造の生産プロセスを必要とするので、実際の産業に使用するに問題が多く、例えば複雑の技術で歩留まりが低下でコストも高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、有機電界発光素子の表面プラズモンポラリトン損失を効果的に抑制し、素子が正方向に光の取り出し効率を向上させることが可能な電子輸送材料およびその使用が提供されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電子輸送材料は、式Iで表される化合物を含み、
【化1】
R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-1から式1-16で表される基から選択される一種であり、R
1-1及びR
1-2は同時に水素ではなく、R
2-1及びR
2-2は同時に水素ではなく、R
3-1及びR
3-2は同時に水素ではなく、
【化2】
*は、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2と前記式Iで表される化合物のベンゼン環との結合部位を表す。
【0007】
本発明は、さらに、上記電子輸送材料が半導体素子の製造への使用を提供される。
【0008】
本発明は、さらに、上記電子輸送材料を有する半導体素子が提供される。
【0009】
本発明は、さらに、電界発光素子を有する表示デバイスが提供され、前記電界発光素子は前記電子輸送材料を有する。
【0010】
本発明は、従来技術と比較して以下の有利な効果を有する。
上記電子輸送材料は、分子構造設計で高いキャリア移動度を有する基を選択して構築されることによって、分子が高いキャリア移動度を有する。また、コアとする基はその構造がメシトリルトリアジンによるものである。該構造は分子剛性が高いので、分子間の堆積を効果的に抑制することによって、材料が低い屈折率を有し、有機電界発光素子の表面プラズモンポラリトン損失を効果的に抑制することができる。該電子輸送材料を有機電界発光素子に適用することにより、従来のTPBiよりも素子が正方向に光の取り出し効率を14%以上で向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による量子ドット発光ダイオードの構造概略図である。
【
図2】一実施形態による有機発光ダイオードの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の理解を容易にするために、実施例で本発明をさらに具体的に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実現することができるので、本明細書に記載された実施形態に限定されない。むしろ、これらの実施形態は、本発明をより明確に理解することを目的として提供されている。
【0013】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の技術分野に属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、実施形態の説明を目的とするだけのものであり、本発明を限定しない。
【0014】
本発明の一実施例による電子輸送材料は、式Iで表される化合物を含む。
【化3】
そのうち、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-1から式1-16で表される基から選択される一種である。そして、R
1-1及びR
1-2が同時に水素ではなく、R
2-1及びR
2-2は同時に水素ではなく、R
3-1及びR
3-2は同時に水素ではない。
【化4】
そのうち、*は、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2と前記式Iで表される化合物のベンゼン環との結合部位を表す。上記基は、いずれも高い電子輸送の能力を有する基である。
【0015】
一例において、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2は、互いに独立して水素及び式1-9から式1-11で表される基から選択される一種である。式1-9から1-11で表される基は、低い屈折率と優れる電子輸送の能力を有する。
【0016】
一例において、R
1-1またはR
1-2は水素であり、R
2-1またはR
2-2は水素であり、R
3-1またはR
3-2は水素である。
【0017】
一例において、前記式Iで表される化合物は、化合物1から化合物10から選択される一種である。
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【化5-4】
【0018】
上記化合物1から化合物10は、キャリア移動度が優れ、低い屈折率を有する。
【0019】
さらに、式Iで表される化合物は、化合物1、化合物4、または化合物7から選択されるものである。
【0020】
さらに、本実施例は、上記いずれかの電子輸送材料が半導体素子の製造への使用を提供される。
【0021】
さらに、本実施例は、さらに、上記いずれかの電子輸送材料を有する半導体素子が提供される。
【0022】
好ましくは、該半導体素子は、有機発光ダイオード(OLED)、量子ドット発光ダイオード(QLED)、有機光電池(OPV)、有機発光電界効果トランジスタ(OTFT)などであってもよいが、これらに限定されない。
【0023】
さらに、本実施例は、電界発光素子を有する表示デバイスが提供され、前記電界発光素子は上記いずれかの電子輸送材料を含む。前記電界発光素子は、有機発光ダイオード及び/又は量子ドット発光ダイオードである。一実施形態において、前記有機発光ダイオード及び/又は量子ドット発光ダイオードの電子輸送層材料は、上記のいずれかの式Iで表される化合物を含む。
【0024】
図1に示すように、一実施形態において、量子ドット発光ダイオードは、上から下への順に、PET基板11、ITO透明陽極12、poly-TPD正孔輸送層14、量子ドット発光層15、電子輸送層16、および反射AI反射陰極17を含む。電子輸送層16は上記いずれかの式Iで表される化合物を含む。
【0025】
図2に示すように、一実施形態において、有機発光ダイオードは、上から下への順に、PET基板1、ITO透明陽極2、NPD(N、N-ジナフチル-N、N'-ジフェニルベンジジン)正孔輸送層4、有機発光層5、電子輸送層6、及び反射Ag反射陰極7を含む。電子輸送層6は上記いずれかの式Iで表される化合物を含む。
【0026】
一例において、該表示デバイスは、ボトムエミッション型表示パネルであり、例えば、ボトムエミッション型OLED表示パネル又はボトムエミッション型QLED表示パネルなどである。
【0027】
上記電子輸送材料は、低屈折率、高移動度を有するので、電界発光素子に適用することにより、素子の正面方向の出光効率、すなわち外部量子効率を向上させることができる。具体的には、上記電子輸送材料は、分子構造設計で高いキャリア移動度を有する基を選択して構築されることによって、分子が高いキャリア移動度を有する。また、コアとする基はその構造がメシトリルトリアジンによるものである。該構造は分子剛性が高いので、分子間の堆積を効果的に抑制することによって、材料が低い屈折率を有し、電界発光素子、有機発光ダイオード(OLED)、量子ドット発光ダイオード(QLED)の表面プラズモンポラリトン損失を効果的に抑制することができる。
【0028】
以下、合成反応の実施例に基づいて本発明を説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲が本発明の範囲を概括していることが理解されている。本発明の思想に基づいて、当業者は、本発明の様々な実施形態に対するある程度の変更が本発明の特許請求の範囲の主旨及び範囲によって概括されることが理解されている。
【0029】
実施例1
化合物1の合成
【化6】
中間体a(ブロモメシトリルトリアジン)8.5g(12.6mmol)、中間体b(フェニルベンズイミダゾールボロン酸)13.96g(44.3mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒0.51g(0.44mmol)、2M炭酸カリウム水溶液6.3mL、トルエン100mLおよびエタノール25mLをそれぞれ秤量し、500mL三口フラスコに入れ、窒素保護で加熱、還流、撹拌して一晩に置いた。反応を停止して室温まで冷却した後、塩化メチレンで抽出して有機相を残し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をスピン乾燥した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離する。溶離液としては、ジクロロメタン/n-ヘキサンを採用した。化合物1の純粋な生成物6.30gを40%の収率で取得した。C87H72N9、ExactMas:1242.59、Found:1243.56;Elemental Analysis:C,84.03;H,5.84;N,10.14。
【0030】
実施例2
化合物4の合成
【化7】
中間体a(ブロモメシトリルトリアジン)7.6g(11.3mmol)、中間体c(アントラセンボロン酸)13.83g(39.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒0.48g(0.41mmol)、2M炭酸カリウム水溶液6.3mL、トルエン100mLおよびエタノール25mLをそれぞれ秤量し、500mL三口フラスコに入れ、窒素保護で加熱、還流、撹拌して一晩に置いた。反応を停止して室温まで冷却した後、塩化メチレンで抽出して有機相を残し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をスピン乾燥した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離する。溶離液としては、ジクロロメタン/n-ヘキサンを採用した。化合物4の純粋な生成物6.83gを45%の収率で取得した。C102H75N3、ExactMas:1342.71、Found:1343.83;Elemental Analysis:C,91.30;H,5.54;N,3.16。
【0031】
実施例3
化合物7の合成
【化8】
中間体a(ブロモメシトリルトリアジン)8.0g(11.9mmol)、中間体d(アントラセンボロン酸)14.5g(41.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒0.49g(0.42mmol)、2M炭酸カリウム水溶液6.3mL、トルエン100mLおよびエタノール25mLをそれぞれ秤量し、500mL三口フラスコに入れ、窒素保護で加熱、還流、撹拌して一晩に置いた。反応を停止して室温まで冷却した後、塩化メチレンで抽出して有機相を残し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をスピン乾燥した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離する。溶離液としては、ジクロロメタン/n-ヘキサンを採用した。化合物7の純粋な生成物6.50gを41%の収率で取得した。C102H75N3、ExactMas:1242.53、Found:1243.59;Elemental Analysis:C,84.02;H,5.83;N,10.15。
【0032】
実施例4
化合物8の合成
【化9】
中間体a(ブロモメシトリルトリアジン)8.0g(11.9mmol)、中間体d(アントラセンボロン酸)10.4g(29.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒0.39g(0.33mmol)、2M炭酸カリウム水溶液5.4mL、トルエン80mLおよびエタノール18mLをそれぞれ秤量し、500mL三口フラスコに入れ、窒素保護で加熱、還流、撹拌して一晩に置いた。反応を停止して室温まで冷却した後、塩化メチレンで抽出して有機相を残し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒をスピン乾燥した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離する。溶離液としては、ジクロロメタン/n-ヘキサンを採用した。中間体fの純粋な生成物6.0gを45%の収率で取得した。C78H60BrN3、Exact Mass:1119.24、Found:1120.15;Elemental Analysis:C,83.5;H,5.6;Br:7.14;N,3.16。
【化10】
【0033】
中間体f5.0g(4.4mmol)、中間体c(アントラセンボロン酸)4.8g(8.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒0.30g(0.26mmol)、2M炭酸カリウム水溶液4.3mL、トルエン50mLおよびエタノール13mLをそれぞれ秤量し、500mL三口フラスコに入れ、窒素保護で加熱、還流、撹拌して一晩に置いた。反応を停止して室温まで冷却した後、塩化メチレンで抽出して有機相を残し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をスピン乾燥した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離する。溶離液としては、ジクロロメタン/n-ヘキサンを採用した。化合物8の純粋な生成物4.4gを81%の収率で取得した。C102H75N3、Exact Mass:1242.53、Found:1243.59;Elemental Analysis:C,84.02;H,5.83;N,10.15。
【0034】
本発明に係る他の化合物としては、鈴木カップリング反応で合成して取得できる。すなわち、ハロゲン化メシトリルトリアジンとR
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2基のボロン酸又はボロン酸エステル化合物との反応により合成される。そのうち、ハロゲン化されたメシトリルトリアジン上の原子X
1-1、X
1-2はH、F、CI、BrまたはI原子であってもよい。X
1-1およびX
1-2は同時にH原子ではなく、下記である。
【化11】
【0035】
実施例5
化合物1(ETM-1)、化合物4(ETM-4)、化合物7(ETM-7)、化合物8(ETM-8)および慣用の電子輸送材料TPBiをそれぞれ選択してOLEDs素子の製造に適用する。各素子の構造は以下である。
ITO/NPB(40nm)/CBP:Ir(ppy)3(8wt.%,30nm)/ETM-1/LiF(1nm)/Al;
ITO/NPB(40nm)/CBP:Ir(ppy)3(8wt.%,30nm)/ETM-4/LiF(1nm)/Al;
ITO/NPB(40nm)/CBP:Ir(ppy)3(8wt.%,30nm)/ETM-7/LiF(1nm)/Al;
ITO/NPB(40nm)/CBP:Ir(ppy)3(8wt.%,30nm)/ETM-8/LiF(1nm)/Al;
ITO/NPB(40nm)/CBP:Ir(ppy)3(8wt.%、30nm)/TPBi(30nm)/LiF(1nm)/Al。
【0036】
素子のサンプルは、各機能層が真空蒸着により作製されたものである。素子のサンプルは性能データの概要が以下である。
【表1】
【0037】
表からわかるように、本発明による電子輸送材料ETM-1、ETM-4、ETM-7及びETM-8は、電界発光素子に使用することによって、従来の電子輸送材料TPBiの最大電流効率よりも14%以上で向上する。本発明のトリアジン基に基づく屈折率が低くてキャリア移動度が高い電子輸送材料は、OLEDs素子の効率にして顕著な改善効果を有する。
【0038】
上記実施例の各技術特徴は、任意に組み合わせることが可能である。説明の簡潔化で上記実施例の各技術特徴の全て組み合わせを記載していないが、これらの技術特徴の組み合わせに矛盾が生じない限り、本明細書の記載範囲であると考えるべきである。
【0039】
上記実施態様は、本発明のいくつかの実施態様を示したに過ぎず、その説明は、より具体的かつ詳細になされたが、特許請求の範囲を制限するものと理解するべきではない。なお、当業者であれば、本発明の思想を逸脱することなく、各種の変更、改良等が可能であり、それらも本発明の範囲内に属することは言うまでもない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【手続補正書】
【提出日】2021年2月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物を含み、
【化1】
R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-1から式1-16で表される基から選択される一種であり、ただし、R
1-1及びR
1-2は同時に水素ではなく、R
2-1及びR
2-2は同時に水素ではなく、R
3-1及びR
3-2は同時に水素ではなく、
【化2】
*は、R
1-1、R
1-2、R
2-1、R
2-2、R
3-1及びR
3-2と前記式Iで表される化合物のベンゼン環との結合部位を表す
ことを特徴とする電子輸送材料。
【請求項2】
R1-1、R1-2、R2-1、R2-2、R3-1及びR3-2は、それぞれ独立して水素及び式1-9から式1-11で表される基から選択される一種である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子輸送材料。
【請求項3】
R1-1またはR1-2は水素であり、R2-1またはR2-2は水素であり、R3-1またはR3-2は水素である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子輸送材料。
【請求項4】
前記式Iで表される化合物は、化合物1〜10から選択される一種である
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
ことを特徴とする請求項1に記載の電子輸送材料。
【請求項5】
前記式Iで表される化合物は、化合物1、化合物4、または化合物7から選択されるものであることを特徴とする請求項4に記載の電子輸送材料。
【請求項6】
半導体素子であって、
前記半導体素子は請求項1から5のいずれか一項に記載の電子輸送材料を有する、
ことを特徴とする半導体素子。
【請求項7】
有機発光ダイオード、量子ドット発光ダイオード、有機光電池または有機発光電界効果トランジスタである
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項8】
表示デバイスであって、
前記表示デバイスは、有機発光ダイオード及び/又は量子ドット発光ダイオードを有し、前記有機発光ダイオード及び/又は量子ドット発光ダイオードの電子輸送層材料は、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子輸送材料であることを特徴とする表示デバイス。
【請求項9】
ボトムエミッション型表示パネルである
ことを特徴とする請求項8に記載の表示デバイス。
【国際調査報告】