特表2021-533717(P2021-533717A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-533717インバータ駆動式電動ユニットを有する機械のための制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533717(P2021-533717A)
(43)【公表日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】インバータ駆動式電動ユニットを有する機械のための制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20211105BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20211105BHJP
【FI】
   H02P27/06
   F04B49/06 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-505730(P2021-505730)
(86)(22)【出願日】2019年7月18日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月8日
(86)【国際出願番号】EP2019069402
(87)【国際公開番号】WO2020025344
(87)【国際公開日】20200206
(31)【優先権主張番号】102018212876.6
(32)【優先日】2018年8月2日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】エクル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,ヨッヒェン
(72)【発明者】
【氏名】シュラーラー,ヨッヒェン
【テーマコード(参考)】
3H145
5H505
【Fターム(参考)】
3H145AA06
3H145AA22
3H145AA42
3H145BA31
5H505AA01
5H505DD05
5H505DD08
5H505DD11
5H505HB01
5H505JJ25
5H505JJ28
5H505LL43
5H505LL48
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、少なくとも1つのインバータ駆動式電動ユニットを有する機械を制御するための方法であって、機械がその機械への主電源の瞬間的な主電源周波数を決定し、主電源の標準周波数に対する決定された主電源周波数の偏差が検出され、機械の電動モータが作動される時の目標駆動周波数を調整するための周波数補正値が、偏差を因子kによって重み付けすることによって決定され、因子kは、駆動負荷及び/又は作動される駆動プロセスの少なくとも1つのプロセス変数の関数として動的に特定される、方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのインバータ駆動式電動ユニットを有する機械を制御するための方法であって、
前記機械が前記機械のネットワーク供給の瞬間的なネットワーク周波数を確認し、前記ネットワーク供給の標準周波数に対する前記確認されたネットワーク周波数の偏差が決定され、前記機械の前記電動モータが作動される時の所望の駆動周波数を調整するための周波数補正値が、前記偏差を因子kによって重み付けすることによって決定され、前記因子kは、駆動負荷及び/又は作動される駆動プロセスの少なくとも1つのプロセス変数に依存して動的に決定される、方法。
【請求項2】
前記機械は、遠心ポンプ、好ましくは、循環ポンプ、理想的には、加熱循環ポンプであり、前記因子kは、ポンププロセス変数、すなわち、モータ周波数、ポンプ容量、吐出量、吐出圧、媒体温度、又はエネルギー入力の少なくとも1つに少なくとも依存して決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記因子kは、0−50の範囲内、好ましくは、0−10の範囲内、特に好ましくは、0−3の範囲内、特に、0−2の範囲内又は0ー1の範囲内から決定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記因子kは、前記ポンプの流量が増大するにつれて減少することを特徴とする、請求項2又は3の1つに記載の方法。
【請求項5】
前記因子kは、吐出量が小さい場合、1を超え、吐出量が大きい場合、1又は0に近い値まで減少することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ネットワーク供給の前記瞬間的なネットワーク周波数は、特に前記電動ユニットの入力時の測定された電圧信号を活用する測定パラメータから推定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記所望の駆動周波数は、前記周波数補正値を加えることによって調整されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記調整された所望の駆動周波数に対して、上限値及び/又は下限値が設けられないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法を行うための制御装置を有する機械、好ましくは、遠心ポンプ、特に好ましくは、循環ポンプ、特に、加熱循環ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのインバータ駆動式電動ユニットを有する機械を制御するための方法、及び該方法を行うための制御装置を有する電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー供給ネットワークは、全てのエネルギー発電機の周波数を同期化することによって、安定している。回転エネルギーを回転質量に蓄える巨大な同期発電機の殆どは、今日でも依然としてエネルギー生成に用いられている。この蓄えられた回転エネルギーは、供給ネットワークの短期の負荷変動を補うための即時の予備として用いられる。ネットワーク供給における全ての回転質量の合計が、ネットワーク起動時間を決定する。この合計が大きいほど、より多くのエネルギーを回転質量に蓄えることができる。しかし、進展するエネルギー転換に起因して、エネルギーを蓄えるための電力インバータの数が増大している。これに関連して、回転質量の数が減少し、ネットワーク供給におけるネットワーク起動時間が足りなくなり、その結果として、供給ネットワークは、負荷変動の影響を受けやすくなっている。
【0003】
消費者側にも同等の影響が生じる。何故なら、全ての消費者の負荷は、周波数に全面的に依存するからである。消費者による自己規制効果は、典型的には、1Hz当たり1%である。従って、もしネットワーク周波数が過負荷の結果として低下すると、各消費者の電力消費も低下する。その結果として、ネットワークが安定する。しかし、この自己規制効果は、インバータ駆動式回転装置を用いる消費者によって低下する。何故なら、負荷の駆動周波数は、インバータによって、ネットワーク周波数に依存せずに決定されるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記問題を考慮した上で、供給ネットワークの安定化に積極的に貢献することができる消費者側の適切な対策を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の特徴による方法によって達成される。この方法の有利な構成は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明による方法は、概して、少なくとも1つのインバータ駆動式電動ユニットを備える任意の機械を用いることを可能にする。電動ユニットは、回転速度が上流のインバータによって調整可能な回転駆動ユニットである。
【0007】
本発明によれば、エネルギーを機械に供給するための供給ネットワークの瞬間的なネットワーク周波数を監視又は確認することが提案される。これは、例えば、機械の内部電子システムによって行うことができる。通常、外部ネットワーク供給によって、必要な駆動エネルギーが機械に供給される。その結果、電力入力時のネットワーク周波数は、機械の電子システムによって直接確認することができ、又は1つ又は複数の入力パラメータから間接的に計算、好ましくは、推定することができる。
【0008】
確認された瞬間的なネットワーク周波数が機械に記憶されているネットワーク供給の標準周波数と比較され、これによって、標準周波数に対する確認された瞬間的なネットワーク周波数の偏差が決定される。この偏差を用いて、機械の電動ユニットの所望の駆動周波数を調整するための補正値が決定される。所望の駆動周波数は、機械の内部電動モータがそれぞれの用途において作動又は励磁される時の周波数に対応する。所望の駆動周波数は、機械の内部において行われる回転速度制御手順によって決定され、それに応じて、機械の内部インバータによって生成される。この所望の駆動周波数は、前もって決定された周波数補正値によって調整される。
【0009】
その結果、電動ユニットの所望の駆動周波数又は所望の回転速度、及びその結果としての機械の電力消費は、不安定なネットワーク供給のおそれが生じるとすぐに、換言すれば、供給されているネットワーク周波数が標準周波数から変動するとすぐに、その影響を積極的に受けることになる。理想的には、もし供給されているネットワーク周波数が標準周波数を超えているなら、所望の駆動周波数を増大させるとよい。対照的に、もし供給されているネットワーク周波数が標準周波数よりも小さいなら、所望の駆動周波数を減少させるとよい。
【0010】
本発明の1つの重要な態様は、周波数補正値が、偏差に動的な重み付けをすることによって確定されことにある。この場合、重み付け因子kは、動的に決定される。換言すれば、重み付け因子kは、機械作動中に、機械の少なくとも1つの特定のプロセス変数に依存して決定される。これによって、所望の駆動周波数の修正、従って、ネットワークの意図された安定化が、実際の機械プロセスに可能な限り影響を及ぼさないことが確実になる。基本的には、因子kは、負荷機械及び/又は作動されるプロセスのプロセス変数に依存して設定される。負荷機械のプロセス変数は、電動モータに加えられる負荷を反映し、又は電動モータに加えられる負荷に依存する。機械によって行われる仕事を特徴付けるように作動される機械プロセスのプロセス変数、例えば、機械が1つの構成部分として組み入れられたシステム全体の可能なプロセス変数も考慮される。更なる可能なプロセス変数として、例えば、温度、駆動速度、可能な位置、距離、等が挙げられる。
【0011】
有利な一実施形態によれば、機械は、ポンプ、特に、遠心ポンプである。更に、この方法は、有利には、循環ポンプ、特に、加熱循環ポンプに対して実施される。しかし、以下の説明は、本質的に遠心ポンプに関連してなされるが、それらの説明は、少なくとも1つのインバータ駆動式電動ユニットによって特徴付けられるどのような機械に対しても制限なく適用される。
【0012】
もしこの方法が遠心ポンプの制御に用いられるなら、因子kは、好ましくは、関連するポンプのプロセス変数、すなわち、ポンプモータ周波数、ポンプ容量、吐出量、吐出圧、媒体温度、又はエネルギー入力の少なくとも1つに依存して、動的に決定される。プロセス変数であるエネルギー入力は、ポンプによって運ばれる熱流に対応し、運ばれる媒体の吐出量と温度変化との積から得られる。
【0013】
もし用いられる因子kが0−3の範囲内、好ましくは、0−2の範囲内において動的に決定されると、有利である。より広い範囲、例えば、0−10又は0−50の範囲も考えられる。因子kは、例えば、所定の値範囲内において連続的であると見なされる。しかし、少なくとも1つのプロセス変数に依存する離散値、例えば、2,3,又は4以上の値も可能である。有利には、上記範囲の上限(2,3,10,50)が、特定の許容範囲だけ、例えば、±10%だけ変化してもよく、これによって、最高値kに対する適切な範囲(例えば、1.8−2.2、2.7−3.3、9−11、又は45−55の範囲)を得ることもできる。特に、因子kは、プロセス変数の値が小さい場合、最高値(例えば、2,3,10,50)であってもよいし又は最小値(0)であってもよく、この場合、所望の周波数に対して可能な限り最大限の補正がなされるか又は所望の周波数に対して補正が全く行われないことになる。因子kが平均値、例えば、1の場合、所望の周波数は、計算された周波数補正値によって補正される。プロセス変数の値が高い場合、同様に、因子kは、最大値(例えば、2,3,10,又は50)であってもよいし、又は最低値(0)であってもよい。
【0014】
一般的に、因子kを少なくとも1つのプロセス変数に依存する数学関数によって定義することも考えられる。例えば、制限されるものではないが、線形関数、二次関数又は放物線関数、平方根関数、指数関数、等が考えられる。
【0015】
遠心ポンプ、好ましくは、循環ポンプ、特に加熱循環ポンプの場合、もし因子kがポンプの現時点の流量に依存して定められると、特に好都合である。この場合、もし因子kがポンプの流量が増大するにつれて減少すると理想的であることが分かっている。
【0016】
通常、遠心ポンプ、好ましくは、循環ポンプ、特に、加熱循環ポンプの設定された制御曲線と、システム曲線、特に、加熱システムの最小システム曲線との間の距離は、主に吐出量が小さい場合、比較的大きく、換言すれば、制御曲線は、最小システム曲線の上方に十分な距離がある。最小システム曲線は、作動中に加熱システムが受ける最小配管抵抗によって特徴付けられる。これは、例えば、加熱弁が完全に開いている場合である。このような場合、特に吐出量が小さい時、ポンプの回転速度の変化を許容することが可能である。何故なら、曲線間の十分な距離に起因して、加熱システムの供給不足が生じにくいからである。対照的に、吐出量が大きい場合、特定の回転速度変動の結果として生じる供給不足のおそれが大きくなる。何故なら、曲線間の距離が著しく小さいことに起因して、回転速度の対応する低下が生じた場合、制御曲線が最小システム曲線の下に落ち込む可能性があるからである。この背景後術に基づき、加熱循環プロセスの場合、吐出量が小さい時、k>1を満たす補正因子kが選択され、吐出量が増大するにつれて、因子が値1まで減少すると理想的であることが分かっている。
【0017】
更に、機械又はポンプがその電力制限に達したかどうかを機械又はポンプの制御装置が検出することも考えられる。電力制限に達したことが検出された場合、電力損失のおそれを防ぐために、特に因子kをゼロに設定することによって、機械又はポンプがネットワークの安定化に完全に従わないことが推奨される。
【0018】
この場合、因子kを決定する手順中、吐出量に加えて、遠心ポンプ、好ましくは、循環ポンプ、特に加熱循環ポンプによって行われる制御手法が考慮されてもよい。何故なら、システム曲線に対する距離は、制御曲線に依存して変化するからである。この場合、一定圧制御モードは、最大距離を示すが、その距離は、比例圧力制御モード又はエネルギー節約モードの場合、より短くなる。
【0019】
機械の制御装置は、例えば、ネットワーク入力時に機械が測定する特定の測定パラメータから瞬間的なネットワーク周波数を推定することができる。ここでは、例えば、瞬間的なネットワーク周波数は、機械の電動ユニットの入力時に測定された入力電圧から導かれることが考慮されている。
【0020】
所望の駆動周波数は、理想的には、所望の駆動周波数に内部制御手順によって決定された周波数補正値を加えることによって、修正又は調整されるとよい。
【0021】
更に、調整された所望の駆動周波数に対して上限及び/又は下限を設けないと特に有利である。従って、上限値及び/又は下限値が補正された所望の駆動周波数に対して設けられないので、瞬間的なネットワーク周波数の対応する偏差の上限値及び/又は下限値は、理論的に下向き及び/又は下向きに開くことになる。実際には、通常、標準周波数に対する供給されるネットワーク周波数の偏差が小さいと見なされので、この種の制限を省略することによって、この方法を著しく簡素化することが可能である。代替例として、ネットワーク安定化関数と機械関数との間の関係が、因子kを介してのみ影響されるようになっていてもよい。
【0022】
本発明による方法に加えて、本発明は、インバータ駆動式電動ユニット及び本発明による方法を実施するための制御装置を有する機械にも関する。この機械は、好ましくは、遠心ポンプ、特に好ましくは、循環ポンプ、特に、加熱循環ポンプである。従って、言うまでもないことだが、この機械は、少なくとも1つの電動ユニット、特に、非同期モータ、永久磁石励磁型同期モータ、又は同期リラクタンスモータを含み、その回転速度は、周波数インバータによって、特に内部の回転速度制御手順によって変更可能である。本発明による機械の利点及び特性は、本発明による方法の利点及び特性に明らかに対応しており、この理由から、この点に関する説明は、省略することにする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】加熱循環ポンプの運転範囲及びそのシステム曲線を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、例示的実施形態に基づき、本発明の更なる利点及び特性について更に詳細に説明する。
【0025】
具体的には、制限されるものではないが、正規のネットワーク交流電圧によって必要なエネルギーが供給される内部ポンプ電動ユニットを有する加熱循環ポンプの1つの例示的実施形態が提示される。通常、50Hz又は60Hzの標準周波数で作動するこの種のポンプの場合、供給ネットワークの交流電圧が供給される。
【0026】
循環ポンプは、内部電子制御システムによって瞬間的なネットワーク周波数の推定値を決定する。この目的のために、駆動ユニットの電気入力側の測定された電圧信号のみが用いられる。以下、fschatzとして記載されるこの推定値に基づき、周波数偏差δは、以下の式:
δ = fschatz −f
によって計算される。但し、fは、ここでは、供給ネットワークの標準周波数を表している。次いで、計算された偏差δを用いて、加熱循環ポンプの内部回転速度制御の所望の駆動周波数fsollに必要な補正値fkorrを生成する。ここでは、補正周波数fkorrは、周波数偏差δと因子kとの積によって決定される。以下の式は、この補正周波数値のための計算規則を定めている。
korr = k×δ
【0027】
次いで、この補正周波数値fkorrは、現在要求されている所望の駆動周波数fsollに加算される。次いで、循環ポンプの電動ユニットは、この新しい周波数fAntrieb又は対応する回転速度に基づき、作動される。
Antrieb = fsoll + fkorr
【0028】
この場合、用語fkorrは、意図的に制限されない。従って、この値は、理論的に任意の大きさとすることができる。しかし、実際には、この値は、予期されるように小さい。何故なら、ネットワーク周波数は、ネットワーク周波数fからわずかしか変動しないからである。
【0029】
更に、本発明は、ネットワークの所望の安定化がポンプ運転プロセスに殆ど影響を与えないような補正因子kの動的調整を提示する。この目的のために、補正因子kの数値は、少なくとも循環ポンプのプロセス変数に依存して0−2の範囲内(又は更に高い範囲内)において、変更される。
【0030】
この場合、以下の変数、すなわち、
−ポンプモータ周波数
−ポンプ容量
−ポンプ吐出量
−ポンプ吐出圧
−ポンプ媒体温度
−ポンプエネルギー入力又はポンプによって運ばれる熱流(Q×δT)
が、可能なプロセス変数として挙げられる。
【0031】
因子kへのこれらのプロセス変数の影響は、例えば、単一図面のグラフにおいて吐出量Qによって表されている。この図は、サーモスタット弁が完全に開いた状態にある加熱循環ポンプの運転範囲1及びそのシステム曲線2を示している。このようなシステム曲線は、最小のシステム曲線としても示されている。
【0032】
また、この図には、加熱循環ポンプを運転するための種々の制御曲線も示されている。換言すれば、循環ポンプの回転速度は、種々の制御アルゴリズムに依存して設定される。この場合、第1の制御曲線3は、一定圧制御モードを表し、制御曲線4は、比例圧力制御モードを表している。制御曲線5は、「エコーモード」ポンプ制御モードを表している。このエコモードでは、エネルギーを節約するために、要件に依存して回転速度の更なる低減が行われる。
【0033】
しかし、制御曲線3,4、5による3つの運転モードの全てにおいて、制御曲線3,4,5のそれぞれと最小システム曲線2との間の距離は、低流量の場合に最大となり、流量が増大すると減少する。従って、低流量の場合における供給不足の可能性(ポンプの運転点が最小システム曲線2よりも降下する可能性)は、高流量の場合における供給不足の可能性よりも小さい。その結果、加熱循環プロセスにおいて、吐出量が小さい場合、補正因子k>1を選択すると都合がよく、吐出量が大きい場合、因子kは、値1まで低減されるとよい。
【0034】
本発明による方法及び駆動ユニット、特に、ポンプ駆動ユニット内の関連するデジタル化された機能は、ネットワークを意図的に安定化させることを可能とし、このネットワーク安定化機能の範囲は、消費者の消費者プロセスに適合するように動的に調整される。
図1
【国際調査報告】