特表2021-533719(P2021-533719A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-533719計画に従った設置後にスイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533719(P2021-533719A)
(43)【公表日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】計画に従った設置後にスイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20211105BHJP
【FI】
   H02B3/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2021-505974(P2021-505974)
(86)(22)【出願日】2019年7月23日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月3日
(86)【国際出願番号】EP2019069830
(87)【国際公開番号】WO2020025399
(87)【国際公開日】20200206
(31)【優先権主張番号】18187192.2
(32)【優先日】2018年8月3日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520409556
【氏名又は名称】リタール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイクセル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミヘルス トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ザックライ ユーディット
(57)【要約】
本発明は、計画に従った機器構成要素(2a−2e)及び指定された電気ケーブル(5)による配線のために設けられた端子(6)による該構成要素の配線の設置後にスイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイスに関し、このデバイスは、
スイッチキャビネット(1)の設置ボード(4)に完全に設置されて配線された構成要素(2a−2e)の少なくとも2次元の画像を取り込むためのカメラユニット(7)と、
少なくとも、
a)設置された構成要素(2a−2e)の完全性及び位置、
b)電気端子(6)の割り当て、及び
c)電気ケーブル(5)の経路
に関して、画像取り込みに基づく画像レイアウト(100)と目標状態の提供された計画レイアウト(200)との間の比較を行うための評価ユニット(8)と、
納入譲渡又は障害修正に関する評価のためのスイッチキャビネット(1)の構造的整合性に関する試験結果を提供するための出力ユニット(11)と、
を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術的構成要素(2a−2e)、及び、配線のために設けられた端子接続部(6)を介した、マーク付けされた電線(5)による前記構成要素の配線の計画に基づいた組み付け後に、スイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイスであって、
前記スイッチキャビネット(1)の取付けプレート(4)に完全に取り付けられて配線された前記構成要素(2a−2e)の少なくとも2次元の画像を取得するためのカメラユニット(7)と、
少なくとも、
a)設置された前記構成要素(2a−2e)の完全性及び位置、
b)前記電気端子接続部(6)の割り当て、及び
c)前記電線(5)の配線、
に関して、前記画像取得に基づく実際状態の画像レイアウト(100)と目標状態の提供された計画レイアウト(200)との間の比較を行うための評価ユニット(8)と、
納入譲渡又は障害修正に関する評価のための前記スイッチキャビネット(1)の構造的整合性に関する試験結果を提供するための出力ユニット(11)と、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記スイッチキャビネット(1)の前記構造的整合性に加えて、前記評価ユニット(8)は、前記構成要素(2a−2e)及び該構成要素の前記電線(5)による接続によってもたらされる機能を、前記計画レイアウト(200)に関連する電気回路図(300)と比較することによって、機能的整合性をさらにチェックする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
肯定的な構造的及び機能的試験に基づいて、所定の期間にわたって前記スイッチキャビネット(1)の様々な動作状態のシミュレーションを実行するシミュレーションユニット(12)を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記評価ユニット(8)は、
(d)選択された前記スイッチキャビネット(1)のサイズ及びタイプ、及び/又は
(e)前記電線(5)の使用されたワイヤタイプの正当性、
に関して、前記実際状態と前記目標状態との比較をさらに実行する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記評価ユニット(8)は、比較のために前記計画レイアウト(200)の抽象化の程度に対応する画像レイアウト(100)を生成するための、前記カメラユニット(7)によって取り込まれた前記画像レイアウトをグラフィカルに抽象化する光学フィルタ手段を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カメラユニット(7)は、3次元計画レイアウトに照らしてチェックする場合に考慮するために、前記構成要素(2a−2e)及び前記端子接続部(6)の高さ位置を検出するための3次元画像を生成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイス関連構成要素は、電気及び/又は電子組み込みモジュールとして設計されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
技術的構成要素(2a−2e)、及び、配線のために設けられた端子接続部(6)を介した、マーク付けされた電線(5)による前記構成要素の配線の計画に基づいた組み付け後に、スイッチキャビネットの内容物を試験するためのコンピュータ支援方法であって、
カメラユニット(7)によって、スイッチキャビネット(1)の取付けプレート(4)に完全に取り付けられて配線された構成要素(2a−2e)の画像取得を行うステップと、
評価ユニット(8)によって、少なくとも、
a)設置された前記構成要素(2a−2e)の完全性、
b)前記電気端子接続部(6)の割り当て、及び
c)前記電線(5)の配線
に関して、前記画像取得に基づく実際状態の画像レイアウト(100)と目標状態の提供された計画レイアウト(200)との間の比較を行うステップと、
出力ユニット(11)によって、納入譲渡又は障害修正に関する評価のための前記スイッチキャビネット(1)の構造的整合性に関する試験結果を提供するステップと、
を含むコンピュータ支援方法。
【請求項9】
前記実際状態と前記目標状態との間の比較を行うステップはさらに、
(d)選択された前記スイッチキャビネット(1)のサイズ及びタイプ、及び/又は
(e)前記電線(5)の使用されたワイヤタイプの正当性、
に関して実行される、請求項8に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項10】
前記スイッチキャビネット(1)の構造的整合性に加えて、前記構成要素(2a−2e)及び該構成要素の前記電線(5)による接続によってもたらされる機能を、前記計画レイアウト(200)に関連する電気回路図(300)と突き合わせることによって、機能的整合性がさらにチェックされる、請求項8又は9に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項11】
肯定的な構造的及び機能的試験に基づいて、所定の期間にわたって前記スイッチキャビネット(1)の様々な動作状態のシミュレーションが実行される、請求項10に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項12】
前記計画レイアウト(200)は、ソフトウェア制御設計ツールによって、2次元又は3次元表現形式を用いたレイアウトファイルの形式で提供される、請求項8に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項13】
前記実際状態と前記目標状態との比較は、設置された前記技術的構成要素(2a−2e)、使用される前記電線(5)、及び/又はこれらの設置位置又は経路位置に関する許容公差範囲を考慮して実行される、請求項8に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項14】
前記試験結果は、前記スイッチキャビネット(1)の少なくとも構造的整合性によって、組み付け後に試験される前記スイッチキャビネット(1)に関する電子スイッチキャビネットフォルダを保持するためにアーカイブデータベースに転送される、請求項8に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項15】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が、請求項1から7のいずれかに記載のデバイスの評価ユニット(8)上で動作する場合に又はコンピュータ可読データメモリに格納される場合に、請求項8から14のいずれかに記載の方法を実行するためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術的構成要素、及び、配線のために設けられた端子点を介した、マーク付けされた電線による配線の計画に基づいた組み付け後に、スイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイス及び方法に関する。さらに、本発明は、この方法を具体化するコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、スイッチキャビネットに関する。スイッチキャビネットは、主として産業用途との関連で使用される。本明細書で関心対象のタイプのスイッチキャビネットは、通常、標準化された電気又は電子組み込みモジュールの形式で設計された技術的構成要素を収容する。これらの技術的構成要素は、主として、自動化生産システム、プロセスエンジニアリングシステム、工作機械等を制御するのに使用される。スイッチキャビネットに集中している組み込みモジュールは、通常、フィールドデバイスとして機械上に直接配置されていない技術的構成要素である。例えば、プログラマブルロジックコントローラ、ユニバーサルコンピューティングユニット、速度制御のため周波数変換器、様々なバスシステムとのバス接続のための通信モジュール、デジタル入力/出力モジュール、又はアナログ入力モジュールが、本出願の意味での機器構成要素として使用される。これらの電子部品に加えて、スイッチキャビネットは、通常、純粋な電気部品、例えば使用場所で電気ケーブルを接続するための電気端子ストリップも含んでおり、それによって、電源及び制御される機械への接続が確立される。用途特有のスイッチキャビネット内容物を有するスイッチキャビネットの製造は、電気回路図に基づいて行われ、この電気回路図から計画レイアウトが計画段階で得られ、この電気回路図には、個別のデバイス関連構成要素及びそれらの配線の位置決めに関する情報に加えて、関連する部品リスト情報が関連付けされている。
【0003】
現在、エンクロージャの内容物のこのような計画及び設計は、例えば、EPLAN Pro Panel(登録商標)などのソフトウェアを使用して作成されており、このソフトウェアは、とりわけ、3次元の計画レイアウトも提供する。機器構成要素に加えて、計画レイアウトは、配線のために構成要素上に設けられた端子点を介した構成要素の配線、並びに使用される電気ケーブルのタイプ及び経路に関する情報も含む。加えて、計画レイアウトは、構成要素に適合した柔軟性のある配電システムのための銅製バスバーなどの構成も含む。技術的構成要素が、電気又は電子組み込みモジュールの形式で設計される場合、これらの構成要素は、例えばトップハット型レールによってスイッチキャビネットの取付けプレートに取り付けることができる。スイッチキャビネットを完成させるために、ファン、換気装置、フィルタ、熱交換器、空調ユニット、屋内照明システム、ケーブル導入口等の他の随意的な構成要素を設計して計画レイアウトで表すことができる。
【0004】
特にその結果がエンクロージャ内容物の目標状態の計画レイアウトである計画の完成後、その製造が行われる。この製造は、本質的に、部品リストに従ってエンクロージャの取付けプレートに技術的構成要素を取り付けることと、計画レイアウトに従って電気ケーブルによってこれらの技術的構成要素を配線することを含む。これは、通常、適切に装備が整った電気作業場で行われる。組み付けが完了した後、スイッチキャビネットの内容物は、通常、資格のある担当者によって検査され、ケーブル通電などの少なくとも一部の機能に関して試験される。組み付け後のスイッチキャビネットの内容物のこのような手動検査は、検証可能な検査プロトコルの準備を必要としており、相互接続された技術的構成要素の複雑性によるが、誤りが生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、計画に基づいた組み付け後にスイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイス及び方法を作り出すことであり、それによって、複雑なスイッチキャビネット内容物であっても信頼性があり時間効率の良い品質試験が保証される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1によるデバイスに関して解決され、方法に関して、課題は対応する請求項8により解決される。本方法を具体化するコンピュータプログラム製品に関しては請求項15を参照されたい。それぞれの従属請求項は、本発明の好都合なさらなる実施形態を示している。
【0007】
本発明は、デバイスの技術的構成要素及びそれらの配線の計画に基づいた組み付け後にスイッチキャビネットの内容物を検査するためのデバイスが、スイッチキャビネットの取付けプレートに完全に組み付けられて配線された構成要素の少なくとも2次元の画像の取得のためのカメラユニットと、画像取得に基づく実際状態の画像レイアウトと目標状態の提供された計画レイアウトとの間の比較を行うための評価ユニットと、納入譲渡又は障害修正に関する評価のためのスイッチキャビネットの少なくとも構造的整合性に関する試験結果を提供する出力ユニットと、を備えるという技術的教示を含む。その際に、評価ユニットは、少なくとも以下の主要基準、すなわち、
a)設置された構成要素の完全性及び位置、
b)電気端子接続部の割り当て、及び
c)電線の配線経路
に関して、前述の比較を実行し、
それにより、評価ユニットは、随意的に、以下のさらなる試験基準、すなわち、
d)選択された電気キャビネットのサイズ及びタイプ、及び/又は
e)電線の使用されたワイヤタイプの正当性、
に関して、より詳細な試験を行うこともできる。
【0008】
本発明による解決策の利点は、特に、スイッチキャビネットの組み付け結果の手動チェックを大幅に省くことができ、それにより、本発明によるレイアウト比較によって実行される自動チェックが非常に短い時間しか必要としないという事実にある。本発明による解決策は、先行する構造上の計画の結果である目標の状態を表す計画レイアウトが、わずかな調整だけで、組み付けプロセスの下流の品質検査ステップのための比較基準としての役割を果たすのに適しているという知識に基づく。これは、何らかの誤り影響因子を最小にしながら、実際に実装された実際の状態に対する計画された目標の状態の信頼性のあるチェックを保証する。
【0009】
設置された構成要素の完全性及び位置に関するチェックは、電気的又は電子的設置モジュール等の存在がチェックされるだけでなく、これらのモジュールのタイプがチェックされるという意味で理解されるべきであり、モジュールのタイプは、図形情報を用いて識別することができ、部品リスト情報を用いた計画レイアウトに関連する。さらに、全ての構成要素が、意図された目標位置に取り付けられているか否か、及び距離寸法が順守されているか否かがチェックされる。加えて、電気端子接続部の割り当てに関する試験は、計画レイアウトに従って割り当てられた構成要素の端子接続部が本当に配線されているか否かに関する試験を含み、それにより、電気ケーブルの配線経路がさらに詳細な試験で追跡される。これらがケーブルダクトに起因して部分的に視覚追跡ではアクセスできない場合又は重なりに起因して束になっている場合には、評価ユニットは、例えば、電線の光学的に検出可能な、経路の開始部分及び終了部分に基づいて及び/又はそれらの識別によって、最も可能性の高い配線経路を認識し、これは他の配線経路と矛盾しない場合には所与の配線経路と見なされる。個別の電線を個別に識別するために、これらの電線には、画像技術評価に利用可能な文字コーディング(例えば、機械可読パターンで)を設けることも考えられる。加えて、カメラユニットによる画像取り込みを用いて、電線に使用されるワイヤのタイプが、導体材料、直径、及び絶縁体に関して計画された仕様に対応しているか否かをチェックすることもできる。さらに、選択されたスイッチキャビネットのサイズ及びタイプを計画仕様と比較して、この点においてスイッチキャビネットをチェックすることも考えられる。
【0010】
本発明による解決策を改善する方策によれば、画像処理のための評価ユニットが光学フィルタ手段を使用することが提案され、これによって、カメラユニットによって取り込まれた画像レイアウトをグラフィカルに抽象化することが可能になる。このようなグラフィカルな抽象化は、2つの比較物体の同じ又は同程度の抽象化による結果の高い確実性を達成するために、計画レイアウトの表現の方向に進むべきである。このようなグラフィカルな抽象化は、例えば、明瞭な線構造を有するコントラストの強い白黒画像に変換することによって実現することができ、この画像には、比較に適切な画像構成要素のみが含まれる。何らかの情報ギャップは、公知の画像強調アルゴリズムを用いて埋めることができる。
【0011】
好ましくは、カメラユニットは、レイアウトの2次元画像だけでなく、3次元画像を生成するように設定することができる。。このことは、構成要素及び固定点の高さ位置も記録され、通常、同様に3次元である計画レイアウトと対照してチェックされることができるという利点をもたらす。従って、本発明による解決策は、検査詳細のより高い情報密度を取得し検査品質がさらに高くなる。
【0012】
純粋な視覚的比較に加えて、本発明による解決策は、構成要素のラベル付けによって実際−目標の比較を行うことも可能にする。これは適切な規格に従って規定されたラベルが可視的に各構成要素に貼られているためである。
【0013】
本発明をさらに改善する方策によれば、評価ユニットが、スイッチキャビネットの構造的整合性をチェックすることに加えて、構成要素及びこれらの電線による接続によってもたらされる機能性を計画レイアウトに割り当てられた電気回路図と比較することによってスイッチキャビネットの機能的整合性をチェックすることも提案される。この機能チェックは、好ましくは構成要素及びそれらの配線の配置に関する情報を提供する計画レイアウトに加えて、通常レイアウト計画のための入力情報である電気回路図も既知であるという知識に基づいている。他方で、レイアウト比較による構造的整合性の評価により、どの具体的な構成要素が互いに接続され、どのように接続されているかが既知なので、実際状態に関して、これから電気回路図に対する結論を引き出すことができる。このように、スイッチキャビネットの内容物の機能的整合性をチェックすることも可能になる。
【0014】
これに基づいて、構造的及び機能的試験からの情報に基づいてスイッチキャビネットの内容物をシミュレーション可能な機能モデルに変換することも可能になる。この目的で、随意的なシミュレーションユニットが設けられ、このシミュレーションユニットは、肯定的な構造的及び機能的試験に基づいて、所定の期間にわたってスイッチキャビネットの様々な動作状態のシミュレーションを実行することができる。ここでは、機能モデルの接続構成、すなわち、接続されたセンサ、デバイス、機械等もシミュレートされる。シミュレーションは、例えば、様々な負荷シナリオのもとでのスイッチキャビネット内の温度の推移に関する試験結果を得るのに使用することができる。シミュレーション結果は、計画仕様に関する詳細な品質チェックを可能にする。
【0015】
シミュレーションは、エンクロージャ内容物の目視検査と同時に実行する必要はない。通常、プログラマブルロジックコントローラに、スイッチキャビネットの組み付け完了後にのみそれぞれのソフトウェアが装備され、このソフトウェアは、通常、後の時点でのみ利用可能になり知られる。従って、この制御ソフトウェアに格納されるアルゴリズムは、全体的な機能性に関して制御ソフトウェアを含むスイッチキャビネットの完全な試験を実行するシミュレーションモデルに対して、これに対応した後の時点で利用可能になる。これに対して、スイッチキャビネットの構造的及び機能的整合性に関する少なくとも一部の試験は、組み付けが完了した直後に行うことができる。
【0016】
加えて、本発明による解決策は、実際状態と目標状態との比較が、設置された構成要素、使用された電気ケーブル、及び/又はそれらの設置位置又は経路位置に関する許容公差範囲を考慮して実行されるという点でさらに発展させることもできる。その結果、許容可能偏差を考慮して正常/異常の比較が行われる。このように、2つの隣接する構成要素間の最小距離に関するチェックを行うこともでき、この最小距離は、例えば、2cmから3cmの範囲とすることができる。ここでは、構造境界条件に関する顧客特有の計画仕様をマッピングすることもできる。さらに、好ましくは、組み付け後に試験されるスイッチキャビネットに関する仮想スイッチキャビネットフォルダを保持するために、スイッチキャビネットの少なくとも構造的整合性に関する試験結果をアーカイブデータベースに格納することが提案される。このように、例えば認証目的での試験結果の従来のロギングを省くことができる。
【0017】
好ましくは、構成要素及びそれらの配線の事前の計画に基づいた組み付け後にスイッチキャビネットの内容物を試験するための本発明による方法は、コンピュータプログラム製品として実装され、そのプログラムコード手段は、前述の評価ユニット上で個々の方法ステップを実行する。このコンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読データメモリに格納でき、例えば、広く利用できる様々なローカルコンピュータにインストールすること又はサーバーソリューションとしてユーザに利用可能になることができる。
【0018】
本発明を改良するためのさらなる手段について、図面を参照して本発明の好ましい実施形態の説明と共に以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】スイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイスの概略的なブロック図である。
図2】このデバイスを用いて実行される試験手順の個々のステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1によれば、製造プロセスの間に組み付けが行われた後、スイッチキャビネット1が試験され、その内容物は、様々な技術的構成要素2a−2eを含み、これらの構成要素は、トップハット型レール3を介してスイッチキャビネット1の取付けプレート4に取り付けられ、様々な電線5(例示的)によって互いに配線されている。この目的で、各構成要素2a−2eは、ねじ留め又はプラグイン端子手段として設計された対応する端子接続部6(例示的)を有する。
【0021】
スイッチキャビネットの内容物を検査するために、スイッチキャビネット1から所定の距離に配置され、取付けプレート4と位置合わせされたカメラユニット7は、スイッチキャビネット1に対応付けされ、取付けプレート4に完全に取り付けられて配線されている構成要素2a−2eの3次元画像を生成する。カメラユニット7の下流に接続された評価ユニット8は、カメラユニット7によって記録されたエンクロージャ内容物の実際状態の画像レイアウト100と、コンピュータ支援計画ツールによって提供された目標状態の計画レイアウト200との間の画像処理比較を実行する。
【0022】
この比較は、画像評価アルゴリズムによって行われ、このアルゴリズムは、計画データベース9から計画レイアウト200を読み出すだけでなく、関連する部品リスト情報も読み出す。これに基づいて、画像技術評価に利用することができる、設置された構成要素2a−2eの完全性及び位置、電気端子接続部6の割り当て、電線5の配線経路、及び電線5に存在する特徴に基づく、これに用いられるワイヤのタイプの正当性に関するチェックが行われる。画像評価アルゴリズムは、いわゆるベストマッピング法に従って動作するニューラルシステムに基づいている。設置される全ての構成要素は、以前の計画から既知であるため、ニューラルシステムは、例えば、幾何学的基準に基づいて、適切な構成要素が実際に設置されているか否かを判定することができる。
【0023】
評価ユニット8によって生成された試験結果は、その下流に接続された出力ユニット11で利用可能であり、これはユーザに対する画面表示形式での情報インターフェースに相当する。これは、試験されたスイッチキャビネット1を納入のために譲渡することができるか、又はトラブルシューティングが必要か否かをユーザに通知する。
【0024】
スイッチキャビネット1の構造的整合性に加えて、評価ユニット8はまた、構成要素2a−2e及びそれらの配線によってもたらされる機能を、計画レイアウト200に割り当てられた電気回路図300と比較することによってスイッチキャビネットの機能的整合性をチェックする。肯定的な構造的及び機能的チェックの後、評価ユニット8に接続されたシミュレーションユニット12は、例えば、シミュレーション技術を利用して対応する計画仕様に対する温度挙動を試験するために、所定の期間にわたってスイッチキャビネット1の様々な動作状態のシミュレーションを実行することもできる。
【0025】
図2によれば、上記のデバイスを用いて実行されるスイッチキャビネット内容物の試験手順が実行され、この試験手順では、計画に基づいた組み付けが完了した後、最初に、第1のステップAにおいて、スイッチキャビネット内容物の画像取り込みを行う。第2のステップBにおいて、組み付けられたスイッチキャビネット内容物の実際の状態の画像レイアウト100を、目標の状態の提供された計画レイアウト200と比較する。次の第3のステップCでは、スイッチキャビネット内容物の構造的整合性に加えて、機能的整合性を、計画レイアウト200に関連する電気回路図300の助けを借りてさらにチェックする。スイッチキャビネットの構成要素及びそれらの配線によって特徴付けられるスイッチキャビネット内容物の実際の状態が、同様に回路図仕様に対応している場合、スイッチキャビネット1の機能的整合性があると見なすことができる。第4のステップDにおいて、このことに基づいて及びさらに、様々な動作状態を、シミュレーションのフレームワーク内で所定の期間、例えば24時間にわたって試験する。このように、例えば、スイッチキャビネットの内容物が、温度の推移又は電力消費に関して温度限界値又は電力消費量仕様に適合しているか否かを見出すことが可能となる。
【0026】
従って、本発明による解決策は、組み付けられたスイッチキャビネットの重層的な詳細自動品質検査を保証し、本解決策は、例示的に上述した態様のみに限定されず、以下の請求項の範囲内の他の変形例も可能にする。例えば、取付けプレート上で行われる構成要素の組み付けのためのハウジングとして選択されたエンクロージャタイプの正当性をチェックすることも可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 スイッチキャビネット
2 構成要素
3 トップハット型レール
4 取付けプレート
5 電気ケーブル
6 端子接続部
7 カメラユニット
8 評価ユニット
9 計画データベース
10 アーカイブデータベース
11 出力ユニット
12 シミュレーションユニット
100 画像レイアウト
200 計画レイアウト
300 電気回路図
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021年2月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術的構成要素(2a−2e)、及び、配線のために設けられた端子接続部(6)を介した、マーク付けされた電線(5)による前記構成要素の配線の計画に基づいた組み付け後に、スイッチキャビネットの内容物を試験するためのデバイスであって、
前記スイッチキャビネット(1)の取付けプレート(4)に完全に取り付けられて配線された前記構成要素(2a−2e)の少なくとも2次元の画像を取得するためのカメラユニット(7)と、
少なくとも、
a)設置された前記構成要素(2a−2e)の完全性及び位置、
b)前記電気端子接続部(6)の割り当て、及び
c)前記電線(5)の配線、
に関して、前記画像取得に基づく実際状態の画像レイアウト(100)と目標状態の提供された計画レイアウト(200)との間の比較を行うための評価ユニット(8)と、
納入譲渡又は障害修正に関する評価のための前記スイッチキャビネット(1)の構造的整合性に関する試験結果を提供するための出力ユニット(11)と、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記スイッチキャビネット(1)の前記構造的整合性に加えて、前記評価ユニット(8)は、前記構成要素(2a−2e)及び該構成要素の前記電線(5)による接続によってもたらされる機能を、前記計画レイアウト(200)に関連する電気回路図(300)と比較することによって、機能的整合性をさらにチェックする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
肯定的な構造的及び機能的試験に基づいて、所定の期間にわたって前記スイッチキャビネット(1)の様々な動作状態のシミュレーションを実行するシミュレーションユニット(12)を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記評価ユニット(8)は、
(d)選択された前記スイッチキャビネット(1)のサイズ及びタイプ、及び/又は
(e)前記電線(5)の使用されたワイヤタイプの正当性、
に関して、前記実際状態と前記目標状態との比較をさらに実行する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記評価ユニット(8)は、比較のために前記計画レイアウト(200)の抽象化の程度に対応する画像レイアウト(100)を生成するための、前記カメラユニット(7)によって取り込まれた前記画像レイアウトをグラフィカルに抽象化する光学フィルタ手段を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カメラユニット(7)は、3次元計画レイアウトに照らしてチェックする場合に考慮するために、前記構成要素(2a−2e)及び前記端子接続部(6)の高さ位置を検出するための3次元画像を生成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイス関連構成要素は、電気及び/又は電子組み込みモジュールとして設計されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
技術的構成要素(2a−2e)、及び、配線のために設けられた端子接続部(6)を介した、マーク付けされた電線(5)による前記構成要素の配線の計画に基づいた組み付け後に、スイッチキャビネットの内容物を試験するためのコンピュータにより実行される方法であって、
カメラユニット(7)によって、スイッチキャビネット(1)の取付けプレート(4)に完全に取り付けられて配線された構成要素(2a−2e)の画像取得を行うステップと、
評価ユニット(8)によって、少なくとも、
a)設置された前記構成要素(2a−2e)の完全性、
b)前記電気端子接続部(6)の割り当て、及び
c)前記電線(5)の配線
に関して、前記画像取得に基づく実際状態の画像レイアウト(100)と目標状態の提供された計画レイアウト(200)との間の比較を行うステップと、
出力ユニット(11)によって、納入譲渡又は障害修正に関する評価のための前記スイッチキャビネット(1)の構造的整合性に関する試験結果を提供するステップと、
を含むコンピュータにより実行される方法。
【請求項9】
前記実際状態と前記目標状態との間の比較を行うステップはさらに、
(d)選択された前記スイッチキャビネット(1)のサイズ及びタイプ、及び/又は
(e)前記電線(5)の使用されたワイヤタイプの正当性、
に関して実行される、請求項8に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項10】
前記スイッチキャビネット(1)の構造的整合性に加えて、前記構成要素(2a−2e)及び該構成要素の前記電線(5)による接続によってもたらされる機能を、前記計画レイアウト(200)に関連する電気回路図(300)と突き合わせることによって、機能的整合性がさらにチェックされる、請求項8又は9に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項11】
肯定的な構造的及び機能的試験に基づいて、所定の期間にわたって前記スイッチキャビネット(1)の様々な動作状態のシミュレーションが実行される、請求項10に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項12】
前記計画レイアウト(200)は、ソフトウェア制御設計ツールによって、2次元又は3次元表現形式を用いたレイアウトファイルの形式で提供される、請求項8に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項13】
前記実際状態と前記目標状態との比較は、設置された前記技術的構成要素(2a−2e)、使用される前記電線(5)、及び/又はこれらの設置位置又は経路位置に関する許容公差範囲を考慮して実行される、請求項8に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項14】
前記試験結果は、前記スイッチキャビネット(1)の少なくとも構造的整合性によって、組み付け後に試験される前記スイッチキャビネット(1)に関する電子スイッチキャビネットフォルダを保持するためにアーカイブデータベースに転送される、請求項8に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【国際調査報告】