特表2021-533803(P2021-533803A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-533803FASL免疫モジュレート遺伝子治療組成物および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533803(P2021-533803A)
(43)【公表日】2021年12月9日
(54)【発明の名称】FASL免疫モジュレート遺伝子治療組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20211112BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20211112BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20211112BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20211112BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20211112BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20211112BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20211112BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20211112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20211112BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20211112BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20211112BHJP
   A61K 38/16 20060101ALN20211112BHJP
   A61K 38/19 20060101ALN20211112BHJP
【FI】
   C12N15/62 Z
   C12N15/09 110
   C12N15/12ZNA
   C12N15/85 Z
   C12N15/864 100Z
   C07K14/725
   C07K19/00
   C12N5/10
   A61K48/00
   A61P43/00 105
   A61K35/76
   A61P37/02
   C12P21/02 C
   A61K38/16
   A61K38/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】152
(21)【出願番号】特願2021-509984(P2021-509984)
(86)(22)【出願日】2019年8月26日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月21日
(86)【国際出願番号】US2019048148
(87)【国際公開番号】WO2020041791
(87)【国際公開日】20200227
(31)【優先権主張番号】62/722,550
(32)【優先日】2018年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520481046
【氏名又は名称】ロックアネイビオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ネルズ, デイビッド エー.
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG20
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084DA01
4C084DC50
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB021
4C084ZB211
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA08
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB02
4C087ZB21
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA51
4H045EA20
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
非自己目的ポリペプチド(POI)をコードする配列、および非切断型FASLをコードする配列を含む組成物であって、IL−6またはTNF−アルファの存在下での非切断型FASLの発現により、POIの発現に特異的なMHC媒介性免疫原性ペプチドおよびヘルパーT細胞が排除される、組成物が開示される。本開示の組成物を作製する方法およびそれを使用する方法も提供される。例えば、本開示の組成物を対象における疾患または障害の組合せ処置、および処置に特異的な免疫遮蔽活性に対して使用することができる。本開示の例示的な疾患または障害は、遺伝性およびエピジェネティックな疾患または障害を含む。
[この文献は図面を表示できません]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)非自己目的ポリペプチド(POI)をコードする配列、および
(b)非切断型Fasリガンド(FASL)をコードする配列
を含む組成物であって、
前記非切断型FASLの発現により、前記POIの発現に特異的なMHC媒介性免疫原性ペプチドおよびヘルパーT細胞が排除される、組成物。
【請求項2】
前記非切断型FASLの発現により、MHC−ペプチド複合体を認識するT細胞が選択的に排除され、前記ペプチドが、前記非自己ポリペプチドに由来するものであり、FASLの発現が、IL−6またはTNF−アルファの存在下のものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非自己POIが、(i)RNA分子内の標的配列に特異的に結合するガイドRNA(gRNA)を含む配列および(ii)RNA結合性ポリペプチドをコードする配列によってコードされる核タンパク質複合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(a)の配列および(b)の配列がベクターに含まれる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ベクターが、発現ベクターである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記発現ベクターが、プラスミドである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
(a)の配列の発現がプロモーターにより駆動される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(b)の配列の発現がプロモーターにより駆動される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記プロモーターが、IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体の存在によって調節されるプロモーターである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
(a)の配列の発現が第1のプロモーターにより駆動され、(b)の配列の発現が第2のプロモーターにより駆動される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
第1のプロモーターにより前記核タンパク質複合体をコードする配列の発現が駆動され、第2のプロモーターにより(b)の配列の発現が駆動される、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1のプロモーターが、U6プロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1のプロモーターが、転移RNA(tRNA)の発現を駆動することができるプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記プロモーターが、アラニンtRNAプロモーター、アルギニンtRNAプロモーター、アスパラギンtRNAプロモーター、アスパラギン酸tRNAプロモーター、システインtRNAプロモーター、グルタミンtRNAプロモーター、グルタミン酸tRNAプロモーター、グリシンtRNAプロモーター、ヒスチジンtRNAプロモーター、イソロイシンtRNAプロモーター、ロイシンtRNAプロモーター、リシンtRNAプロモーター、メチオニンtRNAプロモーター、フェニルアラニンtRNAプロモーター、プロリンtRNAプロモーター、セリンtRNAプロモーター、トレオニンtRNAプロモーター、トリプトファンtRNAプロモーター、チロシンtRNAプロモーター、またはバリンtRNAプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記プロモーターをコードする配列が、バリンtRNAプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
送達ベクターに含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記送達ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記AAVが、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、またはAAV12であるAAVから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
(a)の配列または(b)の配列が、配列内リボソーム進入部位(IRES)、または自己切断ペプチドをコードする配列をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記IRESまたは前記自己切断ペプチドをコードする配列が、(a)の配列と(b)の配列の間に位置する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記自己切断ペプチドが、2A自己切断ペプチドを含む、請求項19または20に記載の組成物。
【請求項22】
前記非切断型FASLが、メタロプロテイナーゼ切断部位に変異を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記メタロプロテイナーゼ切断部位が、アミノ酸配列ELAELRを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記変異が、アミノ酸配列ELAELRの置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位のうちの1つまたは複数を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記非切断型FASLが、
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含み、配列中、Xはグルタミン酸(E)ではない、Xはロイシン(L)ではない、Xは、アラニン(A)ではない、Xはグルタミン酸(E)ではない、Xは、ロイシン(L)ではない、またはXはアルギニン(R)ではない、
請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記非切断型FASLが、
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含み、配列中、Xはグルタミン酸(E)ではなく、Xはロイシン(L)ではなく、Xは、アラニン(A)ではなく、Xはグルタミン酸(E)ではなく、Xは、ロイシン(L)ではなく、かつ、Xはアルギニン(R)ではない、
請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
前記非切断型FASLがイントロンを含み、前記イントロンが、IL−6またはTNF−アルファの非存在下でFASLスプライシングを遮断する、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
IL−6またはTNF−アルファの存在下で発現される合成mRNA標的部位をさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
1)合成ノッチ系、2)マイクロRNA標的部位、または3)スプリットインテインおよびIL−6もしくはTNF−アルファの存在下でのFASLの発現を調節するための操作されたIL−6もしくはTNF−アルファ受容体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記RNA結合性ポリペプチドが、Cas9、Cpfl、Cas13a、Cas13b、Cas13c、およびCas13dからなる群から選択されるCRISPR/Casポリペプチドである、請求項3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分子生物学、遺伝子治療、ならびに/またはRNA分子の発現および活性の改変を対象とし、より詳細には、RNA改変および/または遺伝子治療を受けた細胞に対する免疫応答を、免疫エフェクター細胞を排除することによって減弱するための組成物および方法を対象とする。
【0002】
関連出願
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月24日出願の米国特許出願第62/722,550号の優先権を主張するものである。
【0003】
配列表の組込み
2019年8月24日に作成された20.7MBサイズの「LOCN_004_001WO_SeqList_ST25」という名称のテキストファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
非自己遺伝子治療に対する有害な免疫応答を減弱することについて長年にわたるが満たされていない必要性が当技術分野において存在する。本開示は、遺伝子治療技法によって処置または改変された細胞に特異的な免疫エフェクター細胞の排除を促進するための組成物および方法を提供する。
【0005】
免疫調節に関する経路におけるFasL(Fasリガンド)の役割の重要性は十分に確立されている。活性化T細胞は、Fasを上方制御し、活性化誘導性細胞死および自己抗原に対する寛容のプロセスにおいてFasL媒介性アポトーシスに対して感受性になる。FasまたはFasLが欠損すると、多くの場合、自己免疫性病理または異常なリンパ球増殖が引き起こされ、これにより、経路の代償機構の明らかな欠如が実証される。変異型FasLの局所的な提示により、マウスにおける移植された細胞に対する拒絶反応が防止されることが示されているが、ある特定の移植の状況における異所性FASLの発現による移植片生存の達成に関しては結果が混在している。多くの場合、CRISPR/Cas複合体などの非自己治療用導入遺伝子を、そのような処置を必要とする患者に送達する遺伝子治療では、治療用導入遺伝子および/または導入遺伝子を送達するベクターに対する望ましくない免疫応答が誘発される恐れがある。したがって、免疫活性を遮蔽し、それにより、遺伝子治療技法によって処置および/または改変された細胞に特異的な免疫エフェクター細胞の排除を促進するための組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、非自己目的ポリペプチド(POI)をコードする配列、および非切断型FasLをコードする配列を含む組成物であって、非切断型FasLの発現により、POIの発現に特異的なMHC媒介性免疫原性ペプチドおよびヘルパーT細胞が排除される、組成物を提供する。一部の実施形態では、POIは、CRISPR−Casタンパク質である。一部の実施形態では、POIは、AAVウイルスカプシドなどのウイルスカプシドポリペプチドである。他の実施形態では、POIは、異種非自己(外来)タンパク質抗原、その断片またはバリアントである。別の実施形態では、非自己タンパク質またはPOIは、細菌タンパク質、古細菌タンパク質、ウイルスタンパク質、寄生生物タンパク質、腫瘍タンパク質、マイコプラズマタンパク質、酵母タンパク質またはアレルゲンタンパク質からなる群から選択される。一実施形態では、非自己POIは、細菌由来CRISPR/Casタンパク質または古細菌由来CRISPR/Casタンパク質である。
【0007】
本開示は、RNA分子内の標的配列に特異的に結合するガイドRNA(gRNA)、RNA結合性ポリペプチドをコードする配列、および非切断型FASLをコードする配列を含む配列を含む組成物であって、非切断型FASLの発現により、RNA結合性ポリペプチドの発現に特異的なMHC媒介性免疫原性ペプチドおよびヘルパーT細胞が排除される、組成物も提供する。
【0008】
本開示の組成物の一部の実施形態では、標的配列は、少なくとも1つのリピート配列を含む。
【0009】
本開示の組成物の一部の実施形態では、配列は、同じベクター内に存在する。
【0010】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、AAVベクター、アデノウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターなどのレトロウイルスベクターである。
【0011】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ベクターはAAVベクターであり、ベクターはAAVカプシドをコードする配列を含む。
【0012】
本開示の組成物の一部の実施形態では、配列は、IRES(配列内リボソーム進入部位)または2Aリボソーム部位を含む。
【0013】
本開示の組成物の一部の実施形態では、変異型非切断型FasLは、メタロプロテイナーゼ切断部位に少なくとも1つの変異または欠失を含む。一部の実施形態では、変異型非切断型FasLは、プロテアーゼ認識領域に少なくとも1つの変異または欠失を含む。別の実施形態では、プロテアーゼ認識領域は、野生型ヒトFasLの少なくともアミノ酸残基119〜154である。
【0014】
一部の実施形態では、メタロプロテイナーゼ切断部位は、アミノ酸配列ELAELRを含む。別の実施形態では、変異は、アミノ酸配列ELAELRの置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位のうちの1つまたは複数を含む。
【0015】
一部の実施形態では、非切断型FASLは、
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
(配列中、Xはグルタミン酸(E)ではない、Xはロイシン(L)ではない、Xは、アラニン(A)ではない、Xはグルタミン酸(E)ではない、Xは、ロイシン(L)ではない、またはXはアルギニン(R)ではない)
のアミノ酸配列を含む。
【0016】
一部の実施形態では、非切断型FASLは、
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
(配列中、Xはグルタミン酸(E)ではなく、Xはロイシン(L)ではなく、Xは、アラニン(A)ではなく、Xはグルタミン酸(E)ではなく、Xは、ロイシン(L)ではなく、かつ、Xはアルギニン(R)ではない)
のアミノ酸配列を含む。
【0017】
一部の実施形態では、非切断型FASLの発現により、MHC−ペプチド複合体を認識するT細胞が選択的に排除され、ペプチドは、非自己ポリペプチドに由来するものであり、FASLの発現は、IL−6またはTNF−アルファの存在下のものである。
【0018】
一部の実施形態では、非切断型FASLは、イントロンを含み、イントロンは、IL−6またはTNF−アルファの非存在下でFASLスプライシングを遮断する。一部の実施形態では、非切断型FASLは、イントロンを含み、イントロンは、IL−6またはTNF−アルファの非存在下でFASLスプライシングを遮断する。さらなる実施形態では、組成物は、IL−6またはTNF−アルファの存在下で発現される合成mRNA標的部位を含む。
【0019】
一部の実施形態では、組成物は、1)合成ノッチ系、2)マイクロRNA標的部位、または3)スプリットインテインおよびIL−6もしくはTNF−アルファの存在下でのFASLの発現を調節するための操作されたIL−6もしくはTNF−アルファ受容体を含む。
【0020】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分は、Cas9、Cas13d、PUF、PUMBY、およびPPRからなる群から選択される。
【0021】
本開示の組成物の一部の実施形態では、配列は、プロモーターまたは複数のプロモーターを含む。
【0022】
一部の実施形態では、FASLの発現を駆動するプロモーターは、IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体の存在によって調節される。一部の実施形態では、IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体の存在下でFASL発現を駆動することができるプロモーターは、表1または表2に列挙されているプロモーターである。
【0023】
一部の実施形態では、非自己POIは、(i)RNA分子内の標的配列に特異的に結合するガイドRNA(gRNA)を含む配列、および(ii)RNA結合性ポリペプチドをコードする配列によってコードされる核タンパク質複合体である。
【0024】
本開示の組成物の一部の実施形態では、gRNAを含む配列は、真核細胞においてgRNAを発現させることができるプロモーターをコードする配列をさらに含む。
【0025】
本開示の組成物の一部の実施形態では、真核細胞は、動物細胞である。一部の実施形態では、動物細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、動物細胞は、ヒト細胞である。
【0026】
本開示の組成物の一部の実施形態では、プロモーターは、構成的に活性なプロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、RNAポリメラーゼの発現を駆動することができるプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、プロモーター配列は、U6プロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、プロモーター配列は、転移RNA(tRNA)の発現を駆動することができるプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、プロモーター配列は、アラニンtRNAプロモーター、アルギニンtRNAプロモーター、アスパラギンtRNAプロモーター、アスパラギン酸tRNAプロモーター、システインtRNAプロモーター、グルタミンtRNAプロモーター、グルタミン酸tRNAプロモーター、グリシンtRNAプロモーター、ヒスチジンtRNAプロモーター、イソロイシンtRNAプロモーター、ロイシンtRNAプロモーター、リシンtRNAプロモーター、メチオニンtRNAプロモーター、フェニルアラニンtRNAプロモーター、プロリンtRNAプロモーター、セリンtRNAプロモーター、トレオニンtRNAプロモーター、トリプトファンtRNAプロモーター、チロシンtRNAプロモーター、またはバリンtRNAプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、プロモーターは、バリンtRNAプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。
【0027】
本特許または出願のファイルは、カラーで製作された少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面(複数可)を伴う本特許または特許出願公開のコピーは、要請し、必要な料金を支払えば、特許庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A図1A〜Bは、本開示の組成物に関連性のある概略図である。(A)Tヘルパー細胞を活性化し、処置される組織または細胞に対する細胞傷害効果を高めることができる非自己ポリペプチドの提示をもたらす、AAVを介した典型的な治療用非自己導入遺伝子の送達を示す。(B)変異型(メタロプロテイナーゼにより非切断型)バージョンのFasLをコードする配列を、CRISPR/Cas9複合体をコードする導入遺伝子成分などの治療用導入遺伝子(Tx遺伝子)を含むベクター構築物に含め、それにより、処置された組織または細胞を調べるT細胞のプログラム死の促進をもたらし、処置された組織または細胞に対する細胞傷害活性を防止する本開示の組成物の種々の複数の実施形態を示す。
図1B図1A〜Bは、本開示の組成物に関連性のある概略図である。(A)Tヘルパー細胞を活性化し、処置される組織または細胞に対する細胞傷害効果を高めることができる非自己ポリペプチドの提示をもたらす、AAVを介した典型的な治療用非自己導入遺伝子の送達を示す。(B)変異型(メタロプロテイナーゼにより非切断型)バージョンのFasLをコードする配列を、CRISPR/Cas9複合体をコードする導入遺伝子成分などの治療用導入遺伝子(Tx遺伝子)を含むベクター構築物に含め、それにより、処置された組織または細胞を調べるT細胞のプログラム死の促進をもたらし、処置された組織または細胞に対する細胞傷害活性を防止する本開示の組成物の種々の複数の実施形態を示す。
【0029】
図2A図2A〜Bは、本開示の組成物に関連性のある概略図である。(A)ヒトにおける、AAVカプシドに対する体液性応答および細胞性応答の両方の形態の適応免疫の形成をもたらすAAV反復投与を示す。(B)変異型非切断型FasLおよびAAVベクターカプシド由来のポリペプチドの両方をコードする配列を、治療用導入遺伝子(自己または非自己)をさらに含むベクター構築物に含めることによる本開示の組成物を示す。この結果、ウイルスカプシドに特異的なT細胞の排除およびウイルスカプシドに対する適応免疫の形成の防止がもたらされ、それにより、AAVベクターの効率的かつ安全な再投薬が可能になる。
図2B図2A〜Bは、本開示の組成物に関連性のある概略図である。(A)ヒトにおける、AAVカプシドに対する体液性応答および細胞性応答の両方の形態の適応免疫の形成をもたらすAAV反復投与を示す。(B)変異型非切断型FasLおよびAAVベクターカプシド由来のポリペプチドの両方をコードする配列を、治療用導入遺伝子(自己または非自己)をさらに含むベクター構築物に含めることによる本開示の組成物を示す。この結果、ウイルスカプシドに特異的なT細胞の排除およびウイルスカプシドに対する適応免疫の形成の防止がもたらされ、それにより、AAVベクターの効率的かつ安全な再投薬が可能になる。
【0030】
図3A図3A〜Fは、T細胞の活性を検出することができる、本明細書に開示される組成物の実施形態に関連性のある概略図である。(A)IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体によって調節されるプロモーターによって駆動されるFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。(B)Cas13d RNA標的化系およびFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。FASLは、スプライシングがCas13dによって負に調節されるイントロンを含む。IL−6またはTNF−アルファによって媒介される遺伝子発現の変化時に、Cas13dがFASL構築物から引き離され、その結果、FASLのスプライシングが可能になり、FASLタンパク質が産生される。(C)(B)における構築物の構成と類似しているが、Cas13dをFASLプレmRNAから引き離す連鎖状部位を含有するTNF−アルファ受容体またはIL−6受容体によって調節される操作されたmRNAという別の成分が追加された構築物の構成実施形態を示す。(D)IL−6またはTNF−アルファを検出し、その後、GAL4などの転写因子を放出し、それにより、GAL4により調節されるFASL遺伝子の発現を促進する、Syn−ノッチなどの操作された受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。(E)FASLをコードし、また、TNF−アルファまたはIL−6によって刺激されると下方制御されるマイクロRNA(miRNA)の3’UTRに連鎖状の標的部位を含有する操作されたmRNAを含む構築物の構成実施形態を示す。(F)細胞内ドメイン上のインテインを核内に存在するCas13d−インテイン融合物と共に有する操作されたバージョンのIL−6受容体またはTNF−アルファ受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。この構築物実施形態は、Cas13dによりFASLのスプライシングが調節されるが、IL−6またはTNF−アルファ検出時のインテインの細胞膜からの放出および核へのトランスロケーションの結果、Cas13dに対するインテイン活性がもたらされ、それにより、FASLに対するスプライシング遮断が解放されるという点で(B)の実施形態と類似している。
図3B図3A〜Fは、T細胞の活性を検出することができる、本明細書に開示される組成物の実施形態に関連性のある概略図である。(A)IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体によって調節されるプロモーターによって駆動されるFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。(B)Cas13d RNA標的化系およびFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。FASLは、スプライシングがCas13dによって負に調節されるイントロンを含む。IL−6またはTNF−アルファによって媒介される遺伝子発現の変化時に、Cas13dがFASL構築物から引き離され、その結果、FASLのスプライシングが可能になり、FASLタンパク質が産生される。(C)(B)における構築物の構成と類似しているが、Cas13dをFASLプレmRNAから引き離す連鎖状部位を含有するTNF−アルファ受容体またはIL−6受容体によって調節される操作されたmRNAという別の成分が追加された構築物の構成実施形態を示す。(D)IL−6またはTNF−アルファを検出し、その後、GAL4などの転写因子を放出し、それにより、GAL4により調節されるFASL遺伝子の発現を促進する、Syn−ノッチなどの操作された受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。(E)FASLをコードし、また、TNF−アルファまたはIL−6によって刺激されると下方制御されるマイクロRNA(miRNA)の3’UTRに連鎖状の標的部位を含有する操作されたmRNAを含む構築物の構成実施形態を示す。(F)細胞内ドメイン上のインテインを核内に存在するCas13d−インテイン融合物と共に有する操作されたバージョンのIL−6受容体またはTNF−アルファ受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。この構築物実施形態は、Cas13dによりFASLのスプライシングが調節されるが、IL−6またはTNF−アルファ検出時のインテインの細胞膜からの放出および核へのトランスロケーションの結果、Cas13dに対するインテイン活性がもたらされ、それにより、FASLに対するスプライシング遮断が解放されるという点で(B)の実施形態と類似している。
図3C図3A〜Fは、T細胞の活性を検出することができる、本明細書に開示される組成物の実施形態に関連性のある概略図である。(A)IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体によって調節されるプロモーターによって駆動されるFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。(B)Cas13d RNA標的化系およびFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。FASLは、スプライシングがCas13dによって負に調節されるイントロンを含む。IL−6またはTNF−アルファによって媒介される遺伝子発現の変化時に、Cas13dがFASL構築物から引き離され、その結果、FASLのスプライシングが可能になり、FASLタンパク質が産生される。(C)(B)における構築物の構成と類似しているが、Cas13dをFASLプレmRNAから引き離す連鎖状部位を含有するTNF−アルファ受容体またはIL−6受容体によって調節される操作されたmRNAという別の成分が追加された構築物の構成実施形態を示す。(D)IL−6またはTNF−アルファを検出し、その後、GAL4などの転写因子を放出し、それにより、GAL4により調節されるFASL遺伝子の発現を促進する、Syn−ノッチなどの操作された受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。(E)FASLをコードし、また、TNF−アルファまたはIL−6によって刺激されると下方制御されるマイクロRNA(miRNA)の3’UTRに連鎖状の標的部位を含有する操作されたmRNAを含む構築物の構成実施形態を示す。(F)細胞内ドメイン上のインテインを核内に存在するCas13d−インテイン融合物と共に有する操作されたバージョンのIL−6受容体またはTNF−アルファ受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。この構築物実施形態は、Cas13dによりFASLのスプライシングが調節されるが、IL−6またはTNF−アルファ検出時のインテインの細胞膜からの放出および核へのトランスロケーションの結果、Cas13dに対するインテイン活性がもたらされ、それにより、FASLに対するスプライシング遮断が解放されるという点で(B)の実施形態と類似している。
図3D図3A〜Fは、T細胞の活性を検出することができる、本明細書に開示される組成物の実施形態に関連性のある概略図である。(A)IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体によって調節されるプロモーターによって駆動されるFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。(B)Cas13d RNA標的化系およびFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。FASLは、スプライシングがCas13dによって負に調節されるイントロンを含む。IL−6またはTNF−アルファによって媒介される遺伝子発現の変化時に、Cas13dがFASL構築物から引き離され、その結果、FASLのスプライシングが可能になり、FASLタンパク質が産生される。(C)(B)における構築物の構成と類似しているが、Cas13dをFASLプレmRNAから引き離す連鎖状部位を含有するTNF−アルファ受容体またはIL−6受容体によって調節される操作されたmRNAという別の成分が追加された構築物の構成実施形態を示す。(D)IL−6またはTNF−アルファを検出し、その後、GAL4などの転写因子を放出し、それにより、GAL4により調節されるFASL遺伝子の発現を促進する、Syn−ノッチなどの操作された受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。(E)FASLをコードし、また、TNF−アルファまたはIL−6によって刺激されると下方制御されるマイクロRNA(miRNA)の3’UTRに連鎖状の標的部位を含有する操作されたmRNAを含む構築物の構成実施形態を示す。(F)細胞内ドメイン上のインテインを核内に存在するCas13d−インテイン融合物と共に有する操作されたバージョンのIL−6受容体またはTNF−アルファ受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。この構築物実施形態は、Cas13dによりFASLのスプライシングが調節されるが、IL−6またはTNF−アルファ検出時のインテインの細胞膜からの放出および核へのトランスロケーションの結果、Cas13dに対するインテイン活性がもたらされ、それにより、FASLに対するスプライシング遮断が解放されるという点で(B)の実施形態と類似している。
図3E図3A〜Fは、T細胞の活性を検出することができる、本明細書に開示される組成物の実施形態に関連性のある概略図である。(A)IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体によって調節されるプロモーターによって駆動されるFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。(B)Cas13d RNA標的化系およびFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。FASLは、スプライシングがCas13dによって負に調節されるイントロンを含む。IL−6またはTNF−アルファによって媒介される遺伝子発現の変化時に、Cas13dがFASL構築物から引き離され、その結果、FASLのスプライシングが可能になり、FASLタンパク質が産生される。(C)(B)における構築物の構成と類似しているが、Cas13dをFASLプレmRNAから引き離す連鎖状部位を含有するTNF−アルファ受容体またはIL−6受容体によって調節される操作されたmRNAという別の成分が追加された構築物の構成実施形態を示す。(D)IL−6またはTNF−アルファを検出し、その後、GAL4などの転写因子を放出し、それにより、GAL4により調節されるFASL遺伝子の発現を促進する、Syn−ノッチなどの操作された受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。(E)FASLをコードし、また、TNF−アルファまたはIL−6によって刺激されると下方制御されるマイクロRNA(miRNA)の3’UTRに連鎖状の標的部位を含有する操作されたmRNAを含む構築物の構成実施形態を示す。(F)細胞内ドメイン上のインテインを核内に存在するCas13d−インテイン融合物と共に有する操作されたバージョンのIL−6受容体またはTNF−アルファ受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。この構築物実施形態は、Cas13dによりFASLのスプライシングが調節されるが、IL−6またはTNF−アルファ検出時のインテインの細胞膜からの放出および核へのトランスロケーションの結果、Cas13dに対するインテイン活性がもたらされ、それにより、FASLに対するスプライシング遮断が解放されるという点で(B)の実施形態と類似している。
図3F図3A〜Fは、T細胞の活性を検出することができる、本明細書に開示される組成物の実施形態に関連性のある概略図である。(A)IL−6受容体またはTNF−アルファ受容体によって調節されるプロモーターによって駆動されるFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。(B)Cas13d RNA標的化系およびFASLを含む構築物の構成実施形態を示す。FASLは、スプライシングがCas13dによって負に調節されるイントロンを含む。IL−6またはTNF−アルファによって媒介される遺伝子発現の変化時に、Cas13dがFASL構築物から引き離され、その結果、FASLのスプライシングが可能になり、FASLタンパク質が産生される。(C)(B)における構築物の構成と類似しているが、Cas13dをFASLプレmRNAから引き離す連鎖状部位を含有するTNF−アルファ受容体またはIL−6受容体によって調節される操作されたmRNAという別の成分が追加された構築物の構成実施形態を示す。(D)IL−6またはTNF−アルファを検出し、その後、GAL4などの転写因子を放出し、それにより、GAL4により調節されるFASL遺伝子の発現を促進する、Syn−ノッチなどの操作された受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。(E)FASLをコードし、また、TNF−アルファまたはIL−6によって刺激されると下方制御されるマイクロRNA(miRNA)の3’UTRに連鎖状の標的部位を含有する操作されたmRNAを含む構築物の構成実施形態を示す。(F)細胞内ドメイン上のインテインを核内に存在するCas13d−インテイン融合物と共に有する操作されたバージョンのIL−6受容体またはTNF−アルファ受容体を含む構築物の構成実施形態を示す。この構築物実施形態は、Cas13dによりFASLのスプライシングが調節されるが、IL−6またはTNF−アルファ検出時のインテインの細胞膜からの放出および核へのトランスロケーションの結果、Cas13dに対するインテイン活性がもたらされ、それにより、FASLに対するスプライシング遮断が解放されるという点で(B)の実施形態と類似している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、治療活性および免疫遮蔽活性の組合せのための組成物および方法を提供する。免疫遮蔽活性により、非自己治療活性、すなわち、CRISPR/Casリボ核タンパク質複合体などの非自己治療用タンパク質の発現に特異的なMHC媒介性免疫原性ペプチドおよびヘルパーT細胞が排除される。組成物は、少なくとも二機能性成分−非自己目的タンパク質(POI)および非切断型変異型FasLをコードする核酸配列を含む。本開示の組成物の一実施形態では、組成物は、RNA分子内の標的配列に特異的に結合するgRNA、RNA結合性ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分をコードする配列、および非切断型FasLをコードする配列を含む核酸配列を含む。別の実施形態では、組成物は、ベクター構築物を含む。他の実施形態では、配列は、機能的成分を駆動するプロモーターまたは機能的成分のそれぞれもしくはある特定の機能的成分の発現を駆動する別々のプロモーターを含む。多数のコード配列の発現に使用されることも多い追加的なエレメント、例えば、2Aリボソームスキッピング部位、またはIRESなどを、ベクター構築物を含む組成物に組み入れることができる。
【0032】
本開示の組成物および方法の重要な特色は、FASL発現に関連するタイミングおよびレベルの制御である。FASLの構成的発現には毒性が伴うが、細胞が活性化T細胞によって攻撃されたときにFASLを発現させることにより、選択的なT細胞排除が達成されると同時に、これらの毒性問題が回避される。
【0033】
一実施形態では、FASL系の短期発現を促進する送達方式を利用することにより、FASL発現の時間的制御が達成される。具体的には、FASL系をコードするDNAまたはRNAを有する脂質ナノ粒子などの非ウイルス送達方式により、標的組織における系の一過性発現が促進される。
【0034】
別の実施形態では、AAVベクターまたは他のウイルス送達または非ウイルス送達方式は、組み込まれた時間的制御を含む。そのような手法の1つは、時計遺伝子などの、概日リズムで循環するプロモーターを伴う。別の手法では、これだけに限定することなく、テトラサイクリン、キュメート(cumate)、ガラクトース(GAL)、アルコールオキシダーゼ(AOX)、セロビオヒドロラーゼ、またはグルコアミラーゼなどの薬物誘導性プロモーターの使用が伴い得る。
【0035】
別の実施形態では、制御された条件下でのみ、組み込まれたセンサーによりFASL発現が促進される。具体的には、特定の遺伝子の発現を認識する遺伝的回路を使用して、細胞傷害性T細胞の活性を同定し、その後、これらの活性化T細胞の存在下でのみFASL発現が促進される。
【0036】
したがって、本開示は、変異体(mFASL)の発現を調節および/または制御するための組成物および方法を提供する。一実施形態では、活性化T細胞の存在下でのみ、サイトカインであるIL−6またはTNFアルファの検出を介して組成物によりmFASLが産生される。このmFASLタンパク質により、活性化T細胞の特異的死滅を介して、治療的処置を受けた細胞が保護される。サイトカインの非存在下では、細胞はFASLを下方制御し、それにより、広範なFASLの構成的発現に付随する安全性の問題が回避される。
【0037】
一実施形態では、mFASLの産生は、活性化T細胞の存在下でのみ、IL−6および/またはTNF−アルファの一方または両方によって特異的に活性化されるプロモーターを含む図3Aなどの構築物の構成の使用によってなされる。IL−6および/またはTNF−アルファの一方または両方によって特異的に活性化される例示的なプロモーターとしては、限定することなく、表1および/または表2に列挙されているプロモーターが挙げられる。
【0038】
【表1-1】
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【表1-2】
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【表1-3】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-4】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-5】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-6】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-7】
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【表1-8】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-9】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-10】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-11】
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【表1-12】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-13】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-14】
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【表1-15】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-16】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-17】
[この文献は図面を表示できません]
【0039】
【表2-1】
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【表2-2】
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【0040】
別の実施形態では、mFASL発現は、mFASLのスプライシングが妨げられるRNA標的化系(例えば、Cas13d)を含む図3Bなどの構築物の構成によって調節される。具体的には、FASLは、スプライシングがRNA結合性タンパク質(例えば、Cas13d)によって負に調節されるイントロンを含む。TNFアルファまたはIL−6シグナル伝達の際に、RNA標的化系は、TNFアルファまたはIL−6シグナル伝達の際に発現されるRNAの強力な結合性部位に引き付けられる、すなわち、Cas13dがFASL構築物から引き離される。これにより、mFASLに対するスプライシング遮断が解放され(およびFASLのスプライシングが可能になる)、タンパク質の産生が促進される。一実施形態では、Cas13dガイドRNA(gRNA)は、調節されるFASL構築物の構成(例えば、図3Aなど)のmRNAに対してアンチセンスである。IL6またはTNF−アルファにより調節されるmRNAを標的とするgRNAのスペーサー配列を表3に列挙する。
【0041】
【表3-1】
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【表3-2】
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【0042】
同様の実施形態では、図3Cなどの構築物の構成は、Cas13dをFASLプレmRNAから引き離す連鎖状部位を含み、また、適当なプロモーター(例えば、これだけに限定することなく、表1または表2のプロモーターなど)の使用を介してTNFアルファまたはIL−6によって調節される操作されたRNAを含む。この場合、操作されたRNAは、RNA標的化系の多数の標的部位を含有する。このように、操作されたRNAの発現により、mFASL mRNAに対するスプライシング遮断が解放される。
【0043】
別の実施形態では、図3Dなどの構築物の構成は、IL−6またはTNFアルファを検出し、mFASLを駆動するプロモーターの発現を調節する合成ノッチなどの操作された受容体を含む。このように、mFASLは、TNFアルファまたはIL−6シグナル伝達の存在下でのみ産生される。
【0044】
例えば、そのような操作されたSyn−ノッチ受容体によりIL−6またはTNF−アルファが検出され、その後、GAL4により調節されるFASL遺伝子の発現を促進するGAL4などの転写因子が放出される。一実施形態では、操作された受容体は、3つのモジュールを含む(N末端からC末端まで):
【0045】
1)これだけに限定することなく、以下のアミノ酸配列を有するIL−6 scFVなどのIL−6またはTNF−アルファ結合性セクション:
【0046】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0047】
2)これだけに限定することなく、以下のアミノ酸配列を有するものなどの合成ノッチ:
【0048】
【化4-1】
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【化4-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0049】
および、3)これだけに限定することなく、以下のアミノ酸配列を有するGAL4などの転写因子:
【0050】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【0051】
別の実施形態では、図3Eなどの構築物の構成において、mFASLは、目的のマイクロRNA(miRNA)結合性部位をmRNA 3’UTRに配置することによって調節される。操作されたmRNAは、連鎖状の標的部位(目的のmiRNA(単数または複数))を含み、これらのマイクロRNAがTNFアルファまたはIL−6に供されない細胞において発現されるように選択される。TNF−アルファまたはIL−6にさらされる細胞ではマイクロRNAの発現が低減し(すなわち、TNF−アルファまたはIL−6によって刺激されるとmiRNAが下方制御され)、その結果、サイトカインシグナル伝達の存在下でのみmFASL発現がもたらされる。一実施形態では、操作されたmRNAは、これだけに限定することなく、hsa−miR−934、hsa−miR−1269a、hsa−miR−671−5p、hsa−miR−663a、hsa−miR−1292、hsa−miR−615−5p、hsa−miR−2276、hsa−miR−1307−3p、hsa−miR−3654、hsa−miR−4741、hsa−miR−100−5p、hsa−miR−3189−3p、hsa−miR−548t−5p、hsa−miR−769−3p、hsa−miR−1307−5p、hsa−miR−3687、hsa−miR−324−5p、hsa−miR−449c−5p、hsa−miR−532−5p、hsa−miR−122−5p、hsa−miR−301b、hsa−miR−652−3p、hsa−miR−181a−5p、hsa−miR−140−3p、hsa−miR−331−3p、hsa−miR−10a−5p、hsa−miR−3656、hsa−miR−146a−5p、hsa−miR−1246、hsa−miR−143−3p、hsa−miR−23a−5p、hsa−miR−4508、hsa−miR−4488、hsa−miR−548o−3p、hsa−miR−29c−5p、hsa−miR−21−3p、hsa−miR−215、hsa−miR−139−3p、hsa−miR−720、hsa−miR−3141、hsa−miR−29b−1−5p、hsa−miR−141−5p、hsa−miR−25−5p、hsa−miR−197−5p、hsa−miR−1260b、hsa−miR−22−5p、およびhsa−miR−628−5pからなる群から選択される、miRNAの標的部位を含む。
【0052】
別の実施形態では、図3Fなどの構築物の構成は、IL−6またはTNFアルファを検出し、スプリットインテインを含む(例えば、細胞内ドメイン上のインテイン、核内に存在するCas13d−インテイン融合物と共に)操作された受容体を含む。RNA標的化系(例えば、Cas13dなど)により、mFASLをコードするmRNAのスプライシングが調節され、インテインが細胞膜から放出される。したがって、合成受容体が活性化されると、融合したスプリットインテインが核にトランスロケーションし、そこで、RNA標的化系と融合したスプリットインテインと相互作用する。その結果、機能的なRNA標的化系が破壊され、mFASL mRNAスプライシングが補正され、mFASLタンパク質が産生される。
【0053】
本開示は、治療用およびFasL免疫遮蔽性核酸配列を含むベクター、組成物および細胞を提供する。本開示は、本開示のベクター、組成物および細胞を使用して、疾患または障害を処置し、同時に、ベクターおよび/または組成物ならびに処置された細胞に特異的なMHC媒介性免疫原性応答を排除する方法を提供する。
【0054】
非自己治療用導入遺伝子に対する適応免疫応答の防止
治療用非自己導入遺伝子を有するAAVベクターと変異体FALS(mFASL)を共にパッケージングし、したがって、両方の遺伝子が発現される。AAVベクターの投与後、処置された細胞は、導入遺伝子およびmFASLの両方を発現し始める。導入遺伝子に由来するペプチドが、多くの細胞型によって行われる抗原提示の典型的なプロセスの一部としてMHCによってディスプレイされる。非自己ペプチドを標的とする調節性およびエフェクターT細胞の形成が起こる。これらの導入遺伝子特異的T細胞により、非自己ペプチドをディスプレイし、同時にmFASLに遭遇する感染(処置された)細胞が調べられる。この非自己ペプチドディスプレイおよびmFASLの存在により、導入遺伝子特異的T細胞のアポトーシスがもたらされる。これにより、この治療用導入遺伝子およびそれを有する細胞に対する適応免疫応答の局面が排除される。
【0055】
筋強直性ジストロフィーI型(DM1)の処置
本開示の組成物を、筋強直性ジストロフィーI型(DM1)を処置するために使用し、この場合、治療用導入遺伝子(Cas9)およびDM1を引き起こすCUGリピートを標的とする単一ガイドRNAで構成されるRNA標的化CRISPR系を患者の筋肉または中枢神経系に送達する。mFASLが存在することにより、Cas9に特異的であり、処置された細胞に対して潜在的に細胞傷害性であるT細胞の排除が引き起こされる。
【0056】
血友病の処置
本開示の組成物を、血友病を処置するために使用する。血友病を処置するためには、第IX因子などの分泌型導入遺伝子を使用する。第IX因子の発現カセットをmFASLと共に有するベクターにより、第IX因子を発現する細胞に対する適応免疫応答が低減、排除、または防止される。
【0057】
非自己治療用導入遺伝子に対する適応免疫応答の防止と同時のAAV反復投与に対する免疫応答の防止
本開示の組成物は、AAVウイルスカプシドタンパク質の全部または一部で構成される発現したポリペプチドを含有するAAVベクターを含み得る。AAVカプシドポリペプチドは、系を送達するために使用した血清型と同一である。このAAVカプシドポリペプチドの同時発現により、AAVカプシドに特異的なT細胞の排除が上記の様式で引き起こされる。これにより、AAVカプシドに対する細胞性免疫および体液性免疫の両方を調節することができるT細胞の枯渇が引き起こされる。これにより、同じAAV血清型の反復投薬が可能になる。本開示の組成物の非存在下で、および、本開示の組成物の開発前に標準治療を使用すると、ウイルスカプシドに対する適応免疫応答の形成に起因して、個々のAAV血清型を患者において1回よりも多く使用することができない可能性がある。
【0058】
本開示の組成物は、遺伝子治療の第1の投与の間に不完全な治療的移入が起こる状況または第2の用量が望ましい状況において有用であり得る。この場合、第2の用量を超えたその後の用量が望ましい場合を除き、遺伝子治療の第2の用量にはmFASLおよびAAVカプシドポリペプチドが存在する必要はない。1つの状況は、単回用量で筋肉に形質導入する必要があるウイルスの体積が極端に大きい、骨格筋などの大きな器官の処置中であり得る。別の状況は、最初の処置では標的とされる細胞の十分な感染がもたらされない、脳または脊椎への複雑な投与方法を伴う処置中であり得る。
【0059】
非切断型FasL
Fas/FasL相互作用は、免疫系に関して十分に確立されている。T細胞受容体(TCR)を通じたT細胞の活性化により、FasおよびFasLの両方が上方制御される。TCR刺激が低〜中等度の状況では、T細胞は増殖する。TCR刺激が反復されるまたは高レベルである条件下では、T細胞はアポトーシスに向かって駆動される。この現象は、抗原誘導性細胞死(Antigen Induced Cell Death)(AICD)と称されている。免疫系の調節におけるAICDの重要性はLPRマウスにおいて実証されている。Nagata et al., Immunol. Today 16: 39-43(1995)。
【0060】
Fas/FasL相互作用が免疫特権に寄与することも十分に確立されている。具体的には、多数の試験により、移植の状況におけるFasL発現の誘導によって操作された免疫特権が実証されている。Bellgrau et al., Nature 377: 630-632(1995); Griffith et al., Science 270: 1189-1192(1995)、Lau et al., Science 273: 109-112(1996)。
【0061】
FasLは、マトリックスメタロプロテアーゼによりタンパク質分解により切断され、また、細胞膜に結合している。可溶性FasLは循環系全体を通して広範に放出され、循環するので、非特異的かつ広範にわたる細胞死を引き起こすことが分かっている。Ogasawara et al., Nature 364: 806-809(1993), published erratum, Nature 365: 568 (1993)、Tanaka et al., Nature Med. 2: 317-322(1996)、Rodriguez et al., J. Exp. Med. 183: 1031-1036(1996)。そのように、Fas/FasLの選択的なモジュレーション、ならびにその後の特定の標的組織および細胞に対する選択的なアポトーシスの誘導は、FasLプロテアーゼ認識領域を変異させることによって達成されている。これは、野生型FasLプロテアーゼ認識領域に少なくとも1つの変異または欠失を生じさせることにより、FasLポリペプチドの細胞膜からのタンパク質分解による切断が阻害され、可溶性FasLの産生および可溶性FasLによる有害な非選択的影響が最小限になることが見いだされているからである。野生型、全長ヒトFasLの配列は当技術分野で公知である。野生型、全長ヒトFasLの細胞外ドメインは、アミノ酸残基103〜281によって定義され、野生型ヒトFasLのプロテアーゼ認識領域は少なくともアミノ酸残基119〜154を含む。残基には野生型ヒトFasLの既知のアミノ酸配列を参照して番号が付されている。Takahashi et al., Int'l Immunol. 6: 1567-1574(1994)を参照されたい。さらに、非切断型変異型FasLポリペプチドおよびそれを生成する方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO1999/036079に見いだすことができる。
【0062】
「FASL」および「mFasL」という用語法は、本明細書では、互換的に使用され、非切断型変異型FasLを指す。
【0063】
一実施形態では、例示的な変異型非切断型FasL(Mus musculus)(MMP切断部位が太字になっている)を、以下のアミノ酸配列内に1つまたは複数の変異または欠失を生じさせることによって生成することができる:
【0064】
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【0065】
別の実施形態では、例示的な変異型非切断型FasL(Homo sapiens)(MMP切断部位が太字になっている)を、以下のアミノ酸配列内に1つまたは複数の変異または欠失を生じさせることによって生成することができる:
【0066】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0067】
非自己POI
本開示の組成物の1つの成分に関するある実施形態に関しては、組成物の核酸配列は、非自己目的タンパク質(POI)をコードする。一実施形態では、非自己POIは、異種非自己(または外来)タンパク質抗原、その断片またはバリアントである。例示的な非自己タンパク質またはPOIとしては、限定することなく、細菌タンパク質、古細菌タンパク質、ウイルスタンパク質(例えば、ウイルスカプシド)、寄生生物タンパク質、腫瘍タンパク質、マイコプラズマタンパク質、酵母タンパク質またはアレルゲンタンパク質が挙げられる。一実施形態では、非自己POIは、細菌由来CRISPR/Casタンパク質または古細菌由来CRISPR/Casタンパク質である。別の実施形態では、非自己POIは、治療用導入遺伝子(自己または非自己導入遺伝子)を有するウイルスベクターに特異的なウイルスカプシドである。
【0068】
AAVカプシド−自己または非自己遺伝子治療の反復投与
ヒトおよび動物モデルにおけるAAV反復投与は、一般には、AAVカプシドに対する体液性応答および細胞性応答の両方の形態の適応免疫の形成をもたらす(図2A)。結果として、AAVの反復用量により、毒作用の潜在性を伴う初回用量後の遺伝子形質導入の減弱がもたらされる。最初の処置に使用されるAAVベクター内に含まれる導入遺伝子ペイロード(自己または非自己導入遺伝子)にFASLおよびAAVカプシド由来のポリペプチドの両方を含めることにより、ウイルスカプシドに特異的なT細胞を排除することができる(図2B)。これらのカプシド特異的T細胞の排除により、ウイルスカプシドに対する適応免疫の形成が防止され、効率的かつ安全な再投薬が可能になる。具体的には、ウイルスカプシドポリペプチドの発現により、ウイルスカプシドに特異的なペプチドの感染細胞によるMHCを介したディスプレイが引き起こされ、それにより、カプシド特異的T細胞(ウイルスカプシドペプチドに対するTCRを有する)と感染細胞の相互作用が促進される。感染細胞におけるFASLの同時発現により、これらのカプシド特異的T細胞の死滅が促進される。カプシドに対する細胞性免疫および体液性免疫のどちらの開始にもT細胞が必要とされるので、同じAAV血清型を用いたその後の処置は適応免疫系によって減弱されない。
【0069】
AAV生物学は、広範囲にわたって研究されており、当技術分野において周知である。本明細書に開示される組成物に使用するためのAAVカプシドは、限定することなく、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6(AAV1とAAV2のハイブリッド)、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、ならびに、これだけに限定することなく、Anc80 AAV(AAV1、2、6、8および9の祖先)などの合成AAV血清型を含めたAAV血清型に由来する。
【0070】
一実施形態では、AAVカプシドは、
【0071】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
であるAAV9 VP1アミノ酸配列に由来する。
【0072】
別の実施形態では、AAV9カプシド(VP1のサブセット)の予測される表面残基は、
【0073】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0074】
一実施形態では、AAVカプシドは、
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
であるAnc80 AAV VP1アミノ酸配列に由来する。
【0075】
一実施形態では、AAVカプシドは、
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
であるAAV12 VP1アミノ酸配列に由来する。
【0076】
一実施形態では、AAVカプシドは、
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
であるAAV1 VP1アミノ酸配列に由来する。
【0077】
一実施形態では、AAVカプシドは、
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
であるAAV2 VP1アミノ酸配列に由来する。
【0078】
一実施形態では、AAVカプシドは、
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
であるAAV6 VP1アミノ酸配列に由来する。
【0079】
一実施形態では、AAVカプシドは、
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
であるAAV8 VP1アミノ酸配列に由来する。
【0080】
RNA結合性タンパク質
本開示のRNA結合性タンパク質、ポリペプチド、またはドメインは、これだけに限定することなく、RNA結合性タンパク質またはポリペプチドまたはドメインのRNA結合性部分(複数可)を含む。
【0081】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質またはそのRNA結合性部分をコードする配列は、CRISPR Casタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、CRISPR Casタンパク質は、II型CRISPR Casタンパク質を含む。一部の実施形態では、II型CRISPR Casタンパク質は、Cas9タンパク質を含む。本開示の例示的なCas9タンパク質は、これだけに限定されないが、細菌または古細菌を含めた任意の種から単離され得るまたはそれに由来し得る。本開示の例示的なCas9タンパク質は、これだけに限定されないが、Streptococcus pyogenes、Haloferax mediteranii、Mycobacterium tuberculosis、Francisella tularensis subsp.novicida、Pasteurella multocida、Neisseria meningitidis、Campylobacter jejune、Streptococcus thermophilus、Campylobacter lari CF89−12、Mycoplasma gallisepticum str.F、Nitratifractor salsuginis str.DSM 16511、Parvibaculum lavamentivorans、Roseburia intestinalis、Neisseria cinerea、a Gluconacetobacter diazotrophicus、an Azospirillum B510、a Sphaerochaeta globus str.Buddy、Flavobacterium columnare、Fluviicola taffensis、Bacteroides coprophilus、Mycoplasma mobile、Lactobacillus farciminis、Streptococcus pasteurianus、Lactobacillus johnsonii、Staphylococcus pseudintermedius、Filifactor alocis、Treponema denticola、Legionella pneumophila str.Paris、Sutterella wadsworthensis、Corynebacter diphtherias、Streptococcus aureus、およびFrancisella novicidaを含めた任意の種から単離され得るまたはそれに由来し得る。
【0082】
本開示の例示的な野生型S.pyogenes Cas9タンパク質は、アミノ酸配列:
【化16-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化16-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0083】
ヌクレアーゼが不活化されたS.pyogenes Cas9タンパク質は、10位のアスパラギン酸(D)のアラニン(A)による置換および840位のヒスチジン(H)のアラニン(A)による置換を含み得る。本開示の例示的なヌクレアーゼが不活化されたS.pyogenes Cas9タンパク質は、アミノ酸配列(D10AおよびH840Aは太字で下線が引かれている):
【化17-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化17-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0084】
ヌクレアーゼが不活化されたS.pyogenes Cas9タンパク質は、RuvCヌクレアーゼドメインまたはその一部、HNHドメイン、DNAse活性部位、ββα−メタルフォールドまたはDNAse活性部位を含むその一部またはこれらの任意の組合せの欠失を含み得る。
【0085】
他の例示的なCas9タンパク質またはその一部は、以下のアミノ酸配列を含み得るまたはそれからなり得る。
【0086】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.pyogenes Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0087】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.aureus Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化19-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化19-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0088】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.thermophiles CRISPR1 Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0089】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、N.meningitidis Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化21-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化21-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0090】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、Parvibaculum.lavamentivorans Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0091】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、Corynebacter diphtheria Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化23-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化23-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0092】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、Streptococcus pasteurianus Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0093】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、Neisseria cinerea Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化25-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化25-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0094】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、Campylobacter lari
Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0095】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、T.denticola Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化27-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化27-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0096】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.mutans Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0097】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.thermophilus CRISPR 3 Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化29-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化29-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0098】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、C.jejuni Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0099】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、P.multocida Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0100】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、F.novicida Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化32-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化32-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0101】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、Lactobacillus buchneri Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0102】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、Listeria innocua Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化34-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化34-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0103】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、L.pneumophilia Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0104】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、N.lactamica Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化36-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化36-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0105】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、N.meningitides Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0106】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、B.longum Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化38-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化38-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0107】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、A.muciniphila Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0108】
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、O.laneus Cas9であり得、アミノ酸配列:
【化40-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化40-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0109】
本開示の組成物の一部の実施形態では、fRNA結合性タンパク質をコードする配列は、CRISPR Casタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、CRISPR Casタンパク質は、V型CRISPR Casタンパク質を含む。一部の実施形態では、V型CRISPR Casタンパク質は、Cpf1タンパク質を含む。本開示の例示的なCpf1タンパク質は、これだけに限定されないが、細菌または古細菌を含めた任意の種から単離され得るまたはそれに由来し得る。本開示の例示的なCpf1タンパク質は、これだけに限定されないが、Francisella tularensis subsp.novicida、Acidaminococcus sp.BV3L6およびLachnospiraceae bacterium sp.ND2006を含めた任意の種から単離され得るまたはそれに由来し得る。本開示の例示的なCpf1タンパク質は、ヌクレアーゼが不活化されたものであり得る。
【0110】
本開示の例示的な野生型Francisella tularensis subsp.Novicida Cpf1(FnCpf1)タンパク質は、アミノ酸配列:
【化41-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化41-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0111】
本開示の例示的な野生型Lachnospiraceae bacterium sp.ND2006 Cpf1(LbCpf1)タンパク質は、アミノ酸配列:
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0112】
本開示の例示的な野生型Acidaminococcus sp.BV3L6 Cpf1(AsCpf1)タンパク質は、アミノ酸配列:
【化43-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化43-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0113】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質をコードする配列は、CRISPR Casタンパク質またはそのRNA結合性部分から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、CRISPR Casタンパク質は、VI型CRISPR Casタンパク質を含む。一部の実施形態では、VI型CRISPR Casタンパク質は、Cas13タンパク質を含む。本開示の例示的なCas13タンパク質は、これだけに限定されないが、細菌または古細菌を含めた任意の種から単離され得るまたはそれに由来し得る。本開示の例示的なCas13タンパク質は、これだけに限定されないが、Leptotrichia wadei、Listeria seeligeri serovar 1/2b(strain ATCC 35967 / DSM 20751 / CIP 100100 / SLCC 3954)、Lachnospiraceae bacterium、Clostridium aminophilum DSM 10710、Carnobacterium gallinarum DSM 4847、Paludibacter propionicigenes WB4、Listeria weihenstephanensis FSL R9−0317、Listeria weihenstephanensis FSL R9−0317、bacterium FSL M6−0635(Listeria newyorkensis)、Leptotrichia wadei F0279、Rhodobacter capsulatus SB 1003、Rhodobacter capsulatus R121、Rhodobacter capsulatus DE442およびCorynebacterium ulceransを含めた任意の種から単離され得るまたはそれに由来し得る。本開示の例示的なCas13タンパク質は、DNAヌクレアーゼが不活化されたものであり得る。本開示の例示的なCas13タンパク質としては、これだけに限定されないが、Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas13dおよびこれらのオルソログが挙げられる。本開示の例示的なCas13bタンパク質としては、これだけに限定されないが本明細書ではそれぞれCsx27およびCsx28と称される亜型1および2が挙げられる。
【0114】
例示的なCas13aタンパク質としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:
【表4-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表4-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0115】
本開示の例示的な野生型Cas13aタンパク質は、アミノ酸配列:
【化44-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化44-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0116】
例示的なCas13bタンパク質としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:
【表5-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表5-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0117】
本開示の例示的な野生型Bergeyella zoohelcum ATCC 43767 Cas13b(BzCas13b)タンパク質は、アミノ酸配列:
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0118】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、CasRX/Cas13dタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。CasRX/Cas13dは、VI−D型CRISPR−Cas系のエフェクターである。一部の実施形態では、CasRX/Cas13dタンパク質は、RNAを切る(cut)またはそれに結合することができる、RNAによりガイドされるRNAエンドヌクレアーゼ酵素である。一部の実施形態では、CasRX/Cas13dタンパク質は、1つまたは複数の高等真核生物および原核生物ヌクレオチド結合性(HEPN)ドメインを含み得る。一部の実施形態では、CasRX/Cas13dタンパク質は、野生型HEPNドメインまたは変異型HEPNドメインのいずれかを含み得る。一部の実施形態では、CasRX/Cas13dタンパク質は、RNAを切ることはできないが、ガイドRNAをプロセシングすることができる変異型HEPNドメインを含む。一部の実施形態では、CasRX/Cas13dタンパク質は、プロトスペーサーフランキング配列を必要としない。CasRX/Cas13dタンパク質のさらなる例および配列について、限定することなく、具体的な参照がなされる、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO公開第WO2019/040664号およびUS2019/0062724も参照されたい。
【0119】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig6049000251:
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0120】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig546000275:
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0121】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig4114000374:
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0122】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig721000619:
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0123】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig2002000411:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0124】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig13552000311:
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0125】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig10037000527:
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0126】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig238000329:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0127】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig2643000492:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0128】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig874000057:
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0129】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig4781000489:
【化56-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化56-2】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0130】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig12144000352:
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0131】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig5590000448:
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0132】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig525000349:
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0133】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig7229000302:
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0134】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig3227000343:
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0135】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Gut_metagenome_contig7030000469:
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0136】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d gut_metagenome_P17E0k2120140920、c87000043:
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0137】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OBVH01003037.1、ヒト腸内メタゲノム配列(WGSコンティグemb|OBXZ01000094.1|およびemb|OBJF01000033.1|にも見いだされる):
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0138】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグtpg|DJXD01000002.1|(培養されていないRuminococcusアセンブリ、UBA7013、ヒツジ腸内メタゲノム由来):
【化65-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化65-2】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0139】
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし)の例示的なダイレクトリピート配列:コンティグtpg|DJXD01000002.1|(培養されていないRuminococcusアセンブリ、UBA7013、ヒツジ腸内メタゲノム由来)(配列番号95)は、核酸配列:
CasRX/Cas13d DR:
【化66】
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【0140】
(配列番号96)
を含むまたはそれからなる。
【0141】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグOGZC01000639.1(ヒト腸内メタゲノムアセンブリ):
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0142】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OHBM01000764.1(ヒト腸内メタゲノムアセンブリ):
【化68】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0143】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OHCP01000044.1(ヒト腸内メタゲノムアセンブリ):
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0144】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OGDF01008514.1|(ヒト腸内メタゲノムアセンブリ):
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0145】
(配列番号100)
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0146】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OGPN01002610.1(ヒト腸内メタゲノムアセンブリ):
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0147】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OBLI01020244およびemb|OBLI01038679(ブタ腸内メタゲノム由来)由来:
【化72】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0148】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグOIZX01000427.1:
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0149】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグOCTW011587266.1:
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0150】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OGNF01009141.1:
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0151】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグemb|OIEN01002196.1:
【化76-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化76-2】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0152】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし):コンティグe−k87_11092736:
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
CasRX/Cas13dメタゲノムヒット(タンパク質受託なし)の例示的なダイレクトリピート配列:コンティグe−k87_11092736(配列番号107)は、核酸配列:CasRX/Cas13dダイレクトリピート1:gtgagaagtc tccttatggg gagatgctac(配列番号108)を含むまたはそれからなる。
【0153】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Ga0129306_1000735:
【化78-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化78-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0154】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Ga0129317_1008067:
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0155】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d Ga0224415_10048792:
【化80-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化80-2】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0156】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列
CasRX/Cas13d 160582958_gene49834:
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0157】
CasRX/Cas13dタンパク質の例示的なダイレクトリピート配列は、配列CasRX/Cas13d 160582958_gene49834(配列番号112)を含み得るまたはそれからなり得、これは、核酸配列:CasRX/Cas13d DR:
【化82】
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を含むまたはそれからなる。
【0158】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d 250twins_35838_GL0110300:
【化83-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化83-2】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0159】
例示的なCasRX/Cas13dタンパク質は、配列:
CasRX/Cas13d 250twins_36050_GL0158985:
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得るまたはそれからなり得る。
【0160】
Yan et al.(2018) Mol Cell. 70 (2): 327-339(doi:10.1016/j.molcel.2018.02.2018)およびKonermann et al.(2018)Cell 173 (3): 665-676(doi:10.1016/j.cell/2018.02.033)には、CasRX/Cas13dタンパク質について記載されており、これらはどちらもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0161】
その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO公開第WO2018/183703号(CasM)および同第WO2019/006471号(Cas13d)も参照されたい。
【0162】
本開示の例示的な野生型Cas13dタンパク質は、アミノ酸配列:
【0163】
Cas13d(Ruminococcus flavefaciens XPD3002)配列:
【化85】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0164】
本開示の例示的な野生型Cas13dタンパク質は、アミノ酸配列:
【0165】
Cas13d(コンティグe−k87_11092736):
【化86】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0166】
Cas13dの例示的なダイレクトリピート配列(コンティグe−k87_11092736)(配列番号46)は、核酸配列:Cas13d(コンティグe−k87_11092736)ダイレクトリピート配列):GTGAGAAGTCTCCTTATGGGGAGATGCTAC(配列番号47)を含むまたはそれからなる。
【0167】
本開示の例示的な野生型Cas13dタンパク質は、アミノ酸配列:
【0168】
Cas13d(160582958_gene49834):
【化87】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0169】
Cas13dの例示的なダイレクトリピート配列(160582958_gene49834)(配列番号48)は、核酸配列:
【0170】
Cas13d(160582958_gene49834)ダイレクトリピート配列:
【化88】
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を含むまたはそれからなる。
【0171】
本開示の例示的な野生型Cas13dタンパク質は、アミノ酸配列:
【0172】
Cas13d(コンティグtpg|DJXD01000002.1|;培養されていないRuminococcusアセンブリ、UBA7013、ヒツジ腸内メタゲノム由来):
【化89-1】
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【化89-2】
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を含み得るまたはそれからなり得る。
【0173】
Cas13dの例示的なダイレクトリピート配列(コンティグtpg|DJXD01000002.1|;培養されていないRuminococcusアセンブリ、UBA7013、ヒツジ腸内メタゲノム由来)(配列番号50)は、核酸配列:Cas13d(コンティグtpg|DJXD01000002.1|;培養されていないRuminococcusアセンブリ、UBA7013、ヒツジ腸内メタゲノム由来)ダイレクトリピート配列:
【化90】
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を含むまたはそれからなる。
【0174】
本開示の組成物の一部の実施形態では、gRNAを含む配列は、標的RNA配列に特異的に結合するスペーサー配列をさらに含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、標的RNA配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、87%、90%、95%、97%、99%またはその間の任意のパーセンテージの相補性を有する。一部の実施形態では、スペーサー配列は、標的RNA配列に対して100%の相補性を有する。一部の実施形態では、スペーサー配列は、20ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、スペーサー配列は、21ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、スペーサー配列は、配列UGGAGCGAGCAUCCCCCAAA(配列番号1)、GUUUGGGGGAUGCUCGCUCCA(配列番号2)、CCCUCACUGCUGGGGAGUCC(配列番号3)、GGACUCCCCAGCAGUGAGGG(配列番号4)、GCAACUGGAUCAAUUUGCUG(配列番号5)、GCAGCAAAUUGAUCCAGUUGC(配列番号6)、GCAUUCUUAUCUGGUCAGUGC(配列番号7)、GCACUGACCAGAUAAGAAUG(配列番号8)、GAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号9)、GCAGGCAGGCAGGCAGGCAGG(配列番号10)、GCCCCGGCCCCGGCCCCGGC(配列番号11)、またはGCTGCTGCTGCTGCTGCTGC(配列番号12)、GGGGCCGGGGCCGGGGCCGG(配列番号74)、GGGCCGGGGCCGGGGCCGGG(配列番号75)、GGCCGGGGCCGGGGCCGGGG(配列番号76)、GCCGGGGCCGGGGCCGGGGC(配列番号77)、CCGGGGCCGGGGCCGGGGCC(配列番号78)、またはCGGGGCCGGGGCCGGGGCCG(配列番号79)を含むまたはそれからなる。
【0175】
本開示の組成物の一部の実施形態では、gRNAを含む配列は、標的RNA配列に特異的に結合するスペーサー配列をさらに含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、標的RNA配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、87%、90%、95%、97%、99%またはその間の任意のパーセンテージの相補性を有する。
【0176】
一部の実施形態では、スペーサー配列は、標的RNA配列に対して100%の相補性を有する。一部の実施形態では、スペーサー配列は、20ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、スペーサー配列は、21ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、スペーサー配列は、配列GUGAUAAGUGGAAUGCCAUG(配列番号14)、CUGGUGAACUUCCGAUAGUG(配列番号15)、またはGAGATATAGCCTGGTGGTTC(配列番号16)を含むまたはそれからなる。
【0177】
本開示の組成物の一部の実施形態では、gRNAを含む配列は、標的RNA配列に特異的に結合するスペーサー配列をさらに含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、標的RNA配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、87%、90%、95%、97%、99%またはその間の任意のパーセンテージの相補性を有する。一部の実施形態では、スペーサー配列は、標的RNA配列に対して100%の相補性を有する。一部の実施形態では、スペーサー配列は、20ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、スペーサー配列は、21ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、スペーサー配列は、配列CUG(配列番号18)、CCUG(配列番号19)、CAG(配列番号80)、GGGGCC(配列番号81)またはこれらの任意の組合せの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのリピートを含む配列を含むまたはそれからなる。
【0178】
本開示の組成物の一部の実施形態では、gRNAを含む配列は、第1のRNA結合性タンパク質に特異的に結合する足場配列をさらに含む。一部の実施形態では、足場配列は、ステムループ構造を含む。一部の実施形態では、足場配列は、90ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、足場配列は、93ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、足場配列は、配列GUUUAAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUUU(配列番号13)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、足場配列は、配列GGACAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUU(配列番号17)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、足場配列は、配列GUUUAAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUUU(配列番号82)またはGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUUU(配列番号83)を含むまたはそれからなる。
【0179】
本開示の組成物の一部の実施形態では、gRNAは、RNA分子内の第2の配列に結合しないまたは選択的には結合しない。
【0180】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNAゲノムまたはRNAトランスクリプトームは、RNA分子を含む。
【0181】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質をコードする配列は、CRISPR−Casタンパク質またはそのRNA結合性部分をコードする。一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質は、融合タンパク質である。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、II型CRISPR−Casタンパク質である。一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質は、Cas9ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性を含む。一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、低下しているまたは阻害されている。一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、増加しているまたは誘導されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性を含み、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性は阻害されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、変異を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質のヌクレアーゼドメインは、変異を含む。一部の実施形態では、変異は、CRISPR−Casタンパク質をコードする核酸に存在する。一部の実施形態では、変異は、CRISPR−Casタンパク質をコードするアミノ酸に存在する。一部の実施形態では、変異は、置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位を含む。一部の実施形態では、変異は、ヌクレアーゼドメイン、ヌクレアーゼドメイン内の結合性部位、ヌクレアーゼドメイン内の活性部位、またはヌクレアーゼドメイン内の少なくとも1つの必須アミノ酸残基の欠失を含む。
【0182】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質は、CRISPR−Casタンパク質またはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、V型CRISPR−Casタンパク質である。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、Cpf1ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性を含む。一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、低下しているまたは阻害されている。一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、増加しているまたは誘導されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性を含み、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性は阻害されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、変異を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質のヌクレアーゼドメインは、変異を含む。一部の実施形態では、変異は、CRISPR−Casタンパク質をコードする核酸に存在する。一部の実施形態では、変異は、CRISPR−Casタンパク質をコードするアミノ酸に存在する。一部の実施形態では、変異は、置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位を含む。一部の実施形態では、変異は、ヌクレアーゼドメイン、ヌクレアーゼドメイン内の結合性部位、ヌクレアーゼドメイン内の活性部位、またはヌクレアーゼドメイン内の少なくとも1つの必須アミノ酸残基の欠失を含む。
【0183】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質は、CRISPR−Casタンパク質またはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、VI型CRISPR−Casタンパク質である。一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質は、Cas13ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質は、Cas13dポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性を含む。一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、低下しているまたは阻害されている。一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、増加しているまたは誘導されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性を含み、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性は阻害されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、変異を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質のヌクレアーゼドメインは、変異を含む。一部の実施形態では、変異は、CRISPR−Casタンパク質をコードする核酸に存在する。一部の実施形態では、変異は、CRISPR−Casタンパク質をコードするアミノ酸に存在する。一部の実施形態では、変異は、置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位を含む。一部の実施形態では、変異は、ヌクレアーゼドメイン、ヌクレアーゼドメイン内の結合性部位、ヌクレアーゼドメイン内の活性部位、またはヌクレアーゼドメイン内の少なくとも1つの必須アミノ酸残基の欠失を含む。
【0184】
一部の実施形態では、標的RNA結合性融合タンパク質は、RNAによりガイドされる標的RNA結合性融合タンパク質ではなく、したがって、対応するgRNA配列を有さない標的RNAに結合することができる少なくとも1つのRNA結合性ポリペプチドを含む。そのようなガイドされないRNA結合性ポリペプチドとしては、限定することなく、PUF(PumilioおよびFBFホモロジーファミリー)である少なくとも1つのRNA結合性タンパク質またはそのRNA結合性部分が挙げられる。この型のRNA結合性ポリペプチドを、CRISPR/CasなどのgRNAによりガイドされるRNA結合性タンパク質の代わりに使用することができる。本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質またはそのRNA結合性部分は、PUF(PumilioおよびFBFホモロジーファミリー)である。mRNAの安定性および翻訳の媒介に関与するPUFタンパク質(Drosophila PumilioおよびC.elegans fem−3結合因子に由来する)の独特のRNA認識方式は当技術分野で周知である。同じく当技術分野で公知のヒトPumilio1のPUFドメインは同族RNA配列に密接に結合し、また、その特異性は改変することができる。ヒトPumilio1のPUFドメインは、8つの連続したRNA塩基を認識する8つのPUFリピートを含有し、各リピートが一塩基を認識する。各リピート内の2つのアミノ酸側鎖が対応する塩基のワトソン・クリック端を認識し、そのリピートの特異性を決定するので、PUFドメインを、大半の8ntのRNAに特異的に結合するように設計することができる。Wang et al., Nat Methods. 2009; 6(11): 825-830。その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2012/068627も参照されたい。
【0185】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質またはそのRNA結合性部分は、PUMBY(Pumilioに基づくアセンブリ)タンパク質である。RNAを標的とするためにネイティブな形態および改変された形態で広く使用されているRNA結合性タンパク質PumHD(PUFファミリーのメンバーであるPumilio相同性ドメイン)が操作されて、それぞれが1つのRNA塩基を標的とする4つの標準的なタンパク質モジュールのセットがもたらされた。これらのモジュール(すなわち、Pumilioに基づくアセンブリに関してはPumby)を、所望の標的RNAに結合するように様々な組成および長さの鎖に連結することができる。そのようなPumby−RNA相互作用の特異性は高く、Pumby鎖の、標的配列から3つまたはそれよりも多くのミスマッチを有するRNA配列への結合は検出不可能である。Katarzyna et al., PNAS, 2016; 113(19): E2579-E2588。
【0186】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、PumilioおよびFBF(PUF)タンパク質を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、Pumilioに基づくアセンブリ(PUMBY)タンパク質を含む。一部の実施形態では、本開示のPUF1タンパク質は、
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のPUF3タンパク質は、
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のPUF4タンパク質は、
【化93-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化93-2】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のPUF5タンパク質は、
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のPUF6タンパク質は、
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のPUF7タンパク質は、
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のPUF8タンパク質は、
【化97-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化97-2】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のPUF9タンパク質は、
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
【0187】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA結合性タンパク質またはそのRNA結合性部分は、PPRタンパク質である。PPRタンパク質(植物に由来するペンタトリコペプチドリピート(PPR)モチーフを有するタンパク質)は、核にコードされ、RNAレベルで、細胞小器官(葉緑体およびミトコンドリア)、切り取り、翻訳、スプライシング、RNAの編集、RNA安定性に特異的に作用する遺伝子を排他的に制御する。PPRタンパク質は、一般には、35アミノ酸のモチーフであり、PPRモチーフが約10個の連続したアミノ酸である構造を有する。PPRモチーフの組合せをRNAへの配列選択的結合に使用することができる。PPRタンパク質は、多くの場合、約10リピートドメインのPPRモチーフで構成される。PPRドメインまたはRNA結合性ドメインは、触媒として不活性になるように構成することができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2013/058404。
【0188】
本開示の組成物の一部の実施形態では、融合タンパク質は、RNA結合性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含み、第1のRNA結合性ポリペプチドも第2のRNA結合性ポリペプチドも有意なDNAヌクレアーゼ活性を含まず、第1のRNA結合性ポリペプチドと第2のRNA結合性ポリペプチドは同一ではなく、かつ、第2のRNA結合性ポリペプチドはRNAヌクレアーゼ活性を含む。
【0189】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、CRISPR−Casタンパク質を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、II型CRISPR−Casタンパク質である。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、Cas9ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、V型CRISPR−Casタンパク質である。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、Cpf1ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、VI型CRISPR−Casタンパク質である。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、Cas13ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性を含む。
【0190】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、低下しているまたは阻害されている。一部の実施形態では、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性は、増加しているまたは誘導されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性を含み、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性は阻害されている。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質は、変異を含む。一部の実施形態では、CRISPR−Casタンパク質のヌクレアーゼドメインは、変異を含む。一部の実施形態では、変異は、CRISPR−Casタンパク質をコードする核酸に存在する。一部の実施形態では、変異は、置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位を含む。一部の実施形態では、変異は、ヌクレアーゼドメイン、ヌクレアーゼドメイン内の結合性部位、ヌクレアーゼドメイン内の活性部位、またはヌクレアーゼドメイン内の少なくとも1つの必須アミノ酸残基の欠失を含む。
【0191】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分をコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分をコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、PumilioおよびFBF(PUF)タンパク質を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、Pumilioに基づくアセンブリ(PUMBY)タンパク質を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、PPR(ペンタトリコペプチドリピート)タンパク質を含む。
【0192】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、RNA結合活性のために多量体形成を必要としない。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、多量体複合体の単量体ではない。一部の実施形態では、多量体タンパク質複合体は、第1のRNA結合性タンパク質を含まない。
【0193】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、RNA分子内の標的配列に選択的に結合する。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、RNA分子内の第2の配列に対する親和性を含まない。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、RNA分子内の第2の配列に対して高い親和性を含まず、またそれに選択的に結合しない。
【0194】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、RNAゲノムまたはRNAトランスクリプトームは、RNA分子を含む。
【0195】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、端点を含めて、2アミノ酸から1300アミノ酸の間を含む。
【0196】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、核局在化シグナル(NLS)をコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、核局在化シグナル(NLS)をコードする配列は、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列に対して3’側に位置する。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、C末端にNLSを含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、第1のNLSをコードする第1の配列および第2のNLSをコードする第2の配列をさらに含む。一部の実施形態では、第1のNLSまたは第2のNLSをコードする配列は、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列に対して3’側に位置する。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質は、C末端に第1のNLSまたは第2のNLSを含む。
【0197】
RNA結合性エンドヌクレアーゼ
本開示の組成物の一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、ヌクレアーゼドメインを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAと会合する様式でRNAに結合する。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAを切断する様式でRNAと会合する。
【0198】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAseを含むまたはそれからなる。
【0199】
融合タンパク質が第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列と第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列とを含むものを含めた本開示の組成物の一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、ヌクレアーゼドメインを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、RNAseを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse1を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse1をコードする配列は、
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse4を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse4をコードする配列は、
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse6を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse6をコードする配列は、
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse7を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse7をコードする配列は、
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse8を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse8をコードする配列は、
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse2を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse2をコードする配列は、
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse6PLを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse6PLをコードする配列は、
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAseLを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAseLをコードする配列は、
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAseT2を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAseT2をコードする配列は、
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAse11を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAse11をコードする配列は、
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、RNAseT2様を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNAseT2様をコードする配列は、
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0200】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型RNAseを含むまたはそれからなる。
【0201】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1(Rnase1(K41R))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、Rnase1(K41R)ポリペプチドは、
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0202】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1(Rnase1(K41R、D121E))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、Rnase1(Rnase1(K41R、D121E))ポリペプチドは、
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0203】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1(Rnase1(K41R、D121E、H119N))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、Rnase1(Rnase1(K41R、D121E、H119N))ポリペプチドは、
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0204】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1(Rnase1(H119N))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、Rnase1(Rnase1(H119N))ポリペプチドは、
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0205】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1(Rnase1(R39D、N67D、N88A、G89D、R91D、H119N))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、Rnase1(Rnase1(R39D、N67D、N88A、G89D、R91D、H119N))ポリペプチドは、
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1(Rnase1(R39D、N67D、N88A、G89D、R91D、H119N))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。
【0206】
一部の実施形態では、Rnase1(Rnase1(R39D、N67D、N88A、G89D、R91D、H119N、K41R、D121E))ポリペプチドは、
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0207】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、変異型Rnase1(Rnase1(R39D、N67D、N88A、G89D、R91D、H119N))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、Rnase1(Rnase1(R39D、N67D、N88A、G89D、R91D))ポリペプチドは、
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0208】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、
【化117】
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を含むまたはそれからなる変異型Rnase1(Rnase1(R39D、N67D、N88A、G89D、R91D、H119N、K41R、D121E))ポリペプチドを含むまたはそれからなる。
【0209】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、NOB1ポリペプチドを含むまたはそれからなる。NOB1ポリペプチドをコードする配列が、
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる、請求項101に記載の組成物。
【0210】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、エンドヌクレアーゼを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、エンドヌクレアーゼV(ENDOV)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ENDOVをコードする配列は、
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0211】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、エンドヌクレアーゼG(ENDOG)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ENDOGをコードする配列は、
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0212】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、エンドヌクレアーゼD1(ENDOD1)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ENDOD1をコードする配列は、
【化121-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化121-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0213】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ヒトフラップエンドヌクレアーゼ−1(hFEN1)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、hFEN1をコードする配列は、
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0214】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ヒトSchlafen14(hSLFN14)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、hSLFN14をコードする配列は、
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0215】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ヒトベータ−ラクタマーゼ様タンパク質2(hLACTB2)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、hLACTB2をコードする配列は、
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0216】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、脱プリン/脱ピリミジン部位(AP)エンドデオキシリボヌクレアーゼ(APEX2)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、APEX2をコードする配列は、
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0217】
一部の実施形態では、APEX2をコードする配列は、
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0218】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、アンジオゲニン(ANG)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ANGをコードする配列は、
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0219】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、熱応答性タンパク質12(HRSP12)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、HRSP12をコードする配列は、
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0220】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ジンクフィンガーCCCH型含有12A(ZC3H12A)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ZC3H12Aをコードする配列は、
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ZC3H12Aをコードする配列は、
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0221】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、反応性中間体イミンデアミナーゼA(RIDA)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RIDAをコードする配列は、
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0222】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ホスホリパーゼDファミリーメンバー6(PDL6)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、PDL6をコードする配列は、
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0223】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、NTHLをコードする配列は、
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0224】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ミトコンドリアリボヌクレアーゼP触媒サブユニット(KIAA0391)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、KIAA0391をコードする配列は、
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0225】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、脱プリンまたは脱ピリミジン部位リアーゼ(APEX1)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、APEX1をコードする配列は、
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0226】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、アルゴノート2(AGO2)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、AGO2をコードする配列は、
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0227】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ミトコンドリアヌクレアーゼEXOG(EXOG)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、EXOGをコードする配列は、
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0228】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ジンクフィンガーCCCH型含有12D(ZC3H12D)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ZC3H12Dをコードする配列は、
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0229】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、小胞体から核へのシグナル伝達(endoplasmic reticulum to nucleus signaling)2(ERN2)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ERN2をコードする配列は、
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0230】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ペロタmRNAサーベイランスおよびリボソームレスキュー因子(pelota mRNA surveillance and ribosome rescue factor)(PELO)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、PELOをコードする配列は、
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0231】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、YBEYメタロペプチダーゼ(YBEY)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、YBEYをコードする配列は、
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0232】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、切断およびポリアデニル化特異的因子4様(CPSF4L)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、CPSF4Lをコードする配列は、
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0233】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、hCG_2002731ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、hCG_2002731をコードする配列は、
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0234】
一部の実施形態では、hCG_2002731をコードする配列は、
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0235】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、除去修復交差相補群(Excision Repair Cross−Complementation Group)1(ERCC1)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ERCC1をコードする配列は、
【化145-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化145-2】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0236】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、ras関連C3ボツリヌス毒素基質1アイソフォーム(RAC1)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RAC1をコードする配列は、
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0237】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、リボヌクレアーゼAA1(RAA1)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RAA1をコードする配列は、
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0238】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、Ras関連タンパク質(RAB1)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RAB1をコードする配列は、
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0239】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、DNA複製ヘリカーゼ/ヌクレアーゼ2(DNA2)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、DNA2をコードする配列は、
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0240】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、FLJ35220ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、FLJ35220をコードする配列は、
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0241】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、FLJ13173ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、FLJ13173をコードする配列は、
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0242】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、DNA修復エンドヌクレアーゼXPF(ERCC4)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ERCC4をコードする配列は、
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、テニューリン膜貫通タンパク質1(TENM1)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、TENM1をコードする配列は、
【0243】
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0244】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、テニューリン膜貫通タンパク質2(TENM2)ポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、TENM2をコードする配列は、
【0245】
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。
【0246】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)ポリペプチドまたはそのヌクレアーゼドメインを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、TALENポリペプチドをコードする配列は、
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、TALENポリペプチドをコードする配列は、
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第2のRNA結合性タンパク質は、ジンクフィンガーヌクレアーゼポリペプチドまたはそのヌクレアーゼドメインを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ジンクフィンガーヌクレアーゼポリペプチドをコードする配列は、
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
ガイドRNA
ガイドRNA(gRNA)という用語と単一ガイドRNA(sgRNA)という用語は、本開示全体を通して互換的に使用される。
【0248】
本開示のガイドRNA(gRNA)は、スペーサー配列および足場配列で構成され得る。一部の実施形態では、ガイドRNAは、連続したスペーサー配列および足場配列を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、スペーサー配列および足場配列は連続していない。一部の実施形態では、本開示のガイドRNAまたは単一ガイドRNAをコードする配列は、リンカー配列によって分離されたスペーサー配列と足場配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、リンカー配列は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個またはその間の任意の数のヌクレオチドを含み得るまたはそれからなり得る。一部の実施形態では、リンカー配列は、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個またはその間の任意の数のヌクレオチドを含み得る。
【0249】
本開示のガイドRNA(gRNA)は、天然に存在しないヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、本開示のガイドRNAまたはガイドRNAをコードする配列は、改変または合成されたRNAヌクレオチドを含むまたはそれからなる。例示的な改変されたRNAヌクレオチドとしては、これだけに限定されないが、プソイドウリジン(Ψ)、ジヒドロウリジン(D)、イノシン(I)、および7−メチルグアノシン(m7G)、ヒポキサンチン、キサンチン、キサントシン、7−メチルグアニン、5、6−ジヒドロウラシル、5−メチルシトシン、5−メチルシチジン、5−ヒドロキシメチルシトシン(hydropxymethylcytosine)、イソグアニン、およびイソシトシンが挙げられる。
【0250】
本開示のガイドRNA(gRNA)は、標的配列内の改変されたRNAに結合し得る。標的配列内で、本開示のガイドRNA(gRNA)は、改変されたRNAに結合し得る。例示的なエピジェネティック的にまたは転写後に改変されたRNAとしては、これだけに限定されないが、2’−O−メチル化(2’−OMe)(リボース部分の遊離の2’−OHの酸素に2’−O−メチル化が生じる)、N6−メチルアデノシン(m6A)、および5−メチルシトシン(m5C)が挙げられる。
【0251】
本開示の組成物の一部の実施形態では、本開示のガイドRNAは、非コードC/Dボックス核小体低分子RNA(snoRNA)配列をコードする少なくとも1つの配列を含む。一部の実施形態では、snoRNA配列は、標的RNAと相補的である少なくとも1つの配列を含み、ここで、RNA分子の標的配列は、少なくとも1つの2’−OMeを含む。一部の実施形態では、snoRNA配列は、標的RNAと相補的である少なくとも1つの配列を含み、ここで、標的RNAと相補的である少なくとも1つの配列は、ボックスCモチーフ(RUGAUGA)およびボックスDモチーフ(CUGA)を含む。
【0252】
本開示のスペーサー配列は、RNA分子の標的配列に結合する。本開示のスペーサー配列は、CRISPR RNA(crRNA)を含み得る。本開示のスペーサー配列は、RNA分子の標的配列に選択的に結合するのに十分な、その標的配列に対する相補性を有する配列を含むまたはそれからなる。RNA分子の標的配列に結合すると、スペーサー配列は、足場配列および融合タンパク質の1つまたは複数をRNA分子へガイドし得る。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列に選択的に結合するのに十分な、その標的配列に対する相補性を有する配列は、標的配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96、97%、98%、99%、またはその間の任意のパーセンテージ同一性を有する。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列に選択的に結合するのに十分な、その標的配列に対する相補性を有する配列は、標的配列に対して100%の同一性を有する。
【0253】
本開示の足場配列は、本開示の第1のRNA結合性ポリペプチドに結合する。本開示の足場配列は、トランス作用性RNA(tracrRNA)を含み得る。本開示の足場配列は、RNA分子の標的配列に選択的に結合するのに十分な、その標的配列に対する相補性を有する配列を含むまたはそれからなる。RNA分子の標的配列に結合すると、足場配列は、融合タンパク質をRNA分子へガイドし得る。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列に選択的に結合するのに十分な、その標的配列に対する相補性を有する配列は、標的配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96、97%、98%、99%、またはその間の任意のパーセンテージ同一性を有する。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列に選択的に結合するのに十分な、その標的配列に対する相補性を有する配列は、標的配列に対して100%の同一性を有する。その代わりに、またはそれに加えて、一部の実施形態では、本開示の足場配列は、本開示の融合タンパク質の第1のRNA結合性タンパク質または第2のRNA結合性タンパク質に結合する配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、二次構造または三次構造を含む。例示的な二次構造としては、これだけに限定されないが、へリックス、ステムループ、バルジ、テトラループおよびシュードノットが挙げられる。例示的な三次構造としては、これだけに限定されないが、A形態のへリックス、B形態のへリックス、およびZ形態のへリックスが挙げられる。例示的な三次構造としては、これだけに限定されないが、ねじれたまたはらせん状になったステムループが挙げられる。例示的な三次構造としては、これだけに限定されないが、ねじれたまたはらせん状になったシュードノットが挙げられる。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、少なくとも1つの二次構造または少なくとも1つの三次構造を含む。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、1つまたは複数の二次構造または1つまたは複数の三次構造を含む。
【0254】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部は、本開示のRNA分子内のテトラループモチーフに選択的に結合する。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、テトラループモチーフを含む。一部の実施形態では、テトラループモチーフは、GAAA、GUGA、GCAAまたはGAGAである配列の1つまたは複数を含むまたはそれからなる「GRNA」モチーフである。
【0255】
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列に結合するガイドRNAまたはその一部は、RNA分子の標的配列とハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質または第2のRNA結合性タンパク質に結合するガイドRNAまたはその一部は、第1のRNA結合性タンパク質または第2のRNA結合性タンパク質に共有結合により結合する。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質または第2のRNA結合性タンパク質に結合するガイドRNAまたはその一部は、第1のRNA結合性タンパク質または第2のRNA結合性タンパク質に非共有結合により結合する。
【0256】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部は、端点を含めて、10個から100個の間のヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のスペーサー配列は、端点を含めて、10個から30個の間のヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のスペーサー配列は、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個または30個のヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のスペーサー配列は、20ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のスペーサー配列は、21ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、端点を含めて、10個から100個の間のヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のスペーサー配列は、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、76個、80個、87個、90個、95個、100個またはその間の任意の数のヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、端点を含めて、85個から95個の間のヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、85ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、90ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示の足場配列は、93ヌクレオチドを含むまたはそれからなる。
【0257】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部は、核局在化配列(NLS)を含まない。
【0258】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と相補的な配列を含まない。
【0259】
本開示の治療用組成物または医薬組成物は、PAMmerオリゴヌクレオチドを含まない。他の実施形態では、必要に応じて、非治療用組成物または非医薬組成物は、PAMmerオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0260】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部は、プロトスペーサーフランキング配列(PFS)と相補的な配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部がPFSと相補的な配列を含むものを含め、第1のRNA結合性タンパク質は、Cas13タンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含み得る。一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部がPFSと相補的な配列を含むものを含め、第1のRNA結合性タンパク質は、Cas13タンパク質またはそのRNA結合性部分をコードする配列を含み得る。一部の実施形態では、ガイドRNAまたはその一部は、PFSと相補的な配列を含まない。
【0261】
本開示の組成物の一部の実施形態では、本開示のガイドRNAをコードする配列は、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、本開示のガイドRNAをコードする配列を含むベクターは、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、構成的プロモーターをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、誘導性プロモーターをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、ハイブリッドまたは組換えプロモーターをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、ガイドRNAを哺乳動物細胞において発現させることができるプロモーターをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、ガイドRNAをヒト細胞において発現させることができるプロモーターをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、ガイドRNAを発現させ、ガイドRNAを細胞の核に制限することができるプロモーターをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、ヒトRNAポリメラーゼプロモーターをコードする配列またはヒトRNAポリメラーゼプロモーターをコードする配列から単離されたもしくはそれに由来する配列をコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、U6プロモーターをコードする配列またはU6プロモーターをコードする配列から単離されたもしくはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、ヒトtRNAプロモーターをコードする配列またはヒトtRNAプロモーターをコードする配列から単離されたもしくはそれに由来する配列をコードする配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、ヒトバリンtRNAプロモーターをコードする配列またはヒトバリンtRNAプロモーターをコードする配列から単離されたもしくはそれに由来する配列をコードする配列を含む。
【0262】
本開示の組成物の一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列は、調節エレメントをさらに含む。一部の実施形態では、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列を含むベクターは、調節エレメントをさらに含む。一部の実施形態では、調節エレメントは、ガイドRNAの発現を増強するものである。例示的な調節エレメントとしては、これだけに限定されないが、エンハンサーエレメント、イントロン、エクソン、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0263】
本開示の組成物の一部の実施形態では、本開示のベクターは、ガイドRNAをコードする配列、ガイドRNAの発現を駆動するためのプロモーターをコードする配列および調節エレメントをコードする配列のうちの1つまたは複数を含む。本開示の組成物の一部の実施形態では、ベクターは、本開示の融合タンパク質をコードする配列をさらに含む。
【0264】
融合タンパク質
融合タンパク質は、本開示の組成物に関しては、第1のRNA結合性タンパク質および第2のRNA結合性タンパク質を含み得る。一部の実施形態では、融合タンパク質をコードする配列に沿って、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列に対して5’側に位置する。一部の実施形態では、融合タンパク質をコードする配列に沿って、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列に対して3’側に位置する。
【0265】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、RNA分子に結合することができるタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、RNA分子に選択的に結合することができ、DNA分子には結合しない、哺乳動物DNA分子には結合しないまたはいかなるDNA分子にも結合しないタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、RNA分子に結合し、RNA分子の切断を誘導することができるタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、RNA分子に結合し、RNA分子の切断を誘導することができ、DNA分子には結合しない、哺乳動物DNA分子には結合しない、または、いかなるDNA分子にも結合しないタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、RNA分子に結合し、RNA分子の切断を誘導することができ、DNA分子には結合せず、その切断も誘導しない、哺乳動物DNA分子には結合せず、その切断も誘導しない、または、いかなるDNA分子にも結合せず、その切断も誘導しないタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。
【0266】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、DNAヌクレアーゼ活性を有さないタンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。
【0267】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、DNAヌクレアーゼ活性を有するタンパク質であって、本開示の組成物をRNA分子と接触させるかまたは本開示の細胞もしくは対象に導入したときにDNAヌクレアーゼ活性によりDNA分子の切断が誘導されない、哺乳動物DNA分子の切断が誘導されない、またはいかなるDNA分子の切断も誘導されない、タンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。
【0268】
本開示の組成物の一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、DNAヌクレアーゼ活性を有するタンパク質であって、DNAヌクレアーゼ活性が不活化されており、本開示の組成物をRNA分子と接触させるかまたは本開示の細胞もしくは対象に導入したときにDNAヌクレアーゼ活性によりDNA分子の切断が誘導されない、哺乳動物DNA分子の切断が誘導されない、またはいかなるDNA分子の切断も誘導されない、タンパク質から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、DNAヌクレアーゼ活性を本開示の組成物をRNA分子と接触させるかまたは本開示の細胞もしくは対象に導入したときにDNAヌクレアーゼ活性によりDNA分子の切断が誘導されない、哺乳動物DNA分子の切断が誘導されない、またはいかなるDNA分子の切断も誘導されないレベルまで不活化するまたは低下させる変異を含む。一部の実施形態では、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列は、DNAヌクレアーゼ活性を不活化するまたは低下させる変異を含み、変異は、第1のRNA結合性タンパク質またはそのヌクレアーゼドメインをコードする核酸配列またはアミノ酸配列に対する置換、逆位、転位、挿入、欠失、またはこれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む。
【0269】
一部の実施形態では、本明細書に開示される融合タンパク質は、少なくとも2つのRNA結合性ポリペプチド間のリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、トリペプチドGGSの1つまたは複数のリピートを含む。他の実施形態では、リンカーは、非ペプチドリンカーである。一部の実施形態では、非ペプチドリンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、co−ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリオキシエチレン(POE)、ポリウレタン、ポリホスファゼン、多糖、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリシアノアクリレート、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、またはアルキルリンカーを含む。
【0270】
一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、RNA結合活性のために多量体形成を必要としない。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、多量体複合体の単量体ではない。一部の実施形態では、多量体タンパク質複合体は、RNA結合性タンパク質を含まない。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、RNA分子内の標的配列に選択的に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、RNA分子内の第2の配列に対する親和性を含まない。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、RNA分子内の第2の配列に対して高い親和性を含まずそれに選択的に結合しない。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、端点を含めて、2アミノ酸から1300アミノ酸の間を含む。
【0271】
一部の実施形態では、本明細書に開示される融合タンパク質の少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、核局在化シグナル(NLS)をコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、核局在化シグナル(NLS)は、RNA結合性タンパク質に対して3’側に位置する。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、NLSをC末端に含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、第1のNLSをコードする第1の配列および第2のNLSをコードする第2の配列をさらに含む。一部の実施形態では、第1のNLSまたは第2のNLSは、RNA結合性タンパク質に対して3’側に位置する。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、第1のNLSまたは第2のNLSをC末端に含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのRNA結合性タンパク質は、NES(核外輸送シグナル)または他のペプチドタグまたは分泌シグナルをさらに含む。
【0272】
一部の実施形態では、本明細書に開示される融合タンパク質は、第1のRNA結合性タンパク質として少なくとも1つのRNA結合性タンパク質を含み、それと共に、ヌクレアーゼドメインを含むまたはそれからなる第2のRNA結合性タンパク質を含む。
【0273】
一部の実施形態では、第2のRNA結合性ポリペプチドは、第1のRNA結合性ポリペプチドのC末端において第1のRNA結合性ポリペプチドに対して作動可能に構成されている。一部の実施形態では、第2のRNA結合性ポリペプチドは、第1のRNA結合性ポリペプチドのN末端において第1のRNA結合性ポリペプチドに対して作動可能に構成されている。例えば、そのような例示的な融合タンパク質の1つは、RNAse1(R39D、N67D、N88A、G89D、R19D、H119N、K41R)がSpyCas9のN末端に位置するように構成されたE99であり、別の例示的な融合タンパク質、E100は、RNAse1(R39D、N67D、N88A、G89D、R19D、H119N、K41R)がSpyCas9のC末端に位置するように構成されている。
【0274】
gRNA標的配列
本開示の組成物の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、RNA結合性タンパク質および/または複数のRNA結合性タンパク質および/またはその融合タンパク質に対応する配列モチーフを含む。
【0275】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、配列モチーフは、疾患または障害のシグネチャーである。
【0276】
本開示の配列モチーフは、ゲノム配列内に見いだされる外来または外因性配列の配列から単離し得るまたはそれに由来し得、したがって、本開示のmRNA分子または本開示のRNA配列内に見いだされる外来もしくは外因性配列の配列に翻訳される。
【0277】
本開示の配列モチーフは、疾患または障害を引き起こす、内因性配列内の変異を含み得るまたはそれからなり得る。変異は、配列の置換、逆位、欠失、挿入、転位、またはこれらの任意の組合せを含み得るまたはそれからなり得る。
【0278】
本開示の配列モチーフは、リピート配列を含み得るまたはそれからなり得る。一部の実施形態では、リピート配列は、マイクロサテライト不安定性(MSI)に関連し得る。1つまたは複数の遺伝子座におけるMSIは、本開示の細胞のDNAミスマッチ修復機構が損なわれたことに起因する。DNAの超可変配列は、超可変配列を含むまたはそれからなる標的配列を含む本開示のmRNAに転写され得る。
【0279】
本開示の配列モチーフは、バイオマーカーを含み得るまたはそれからなり得る。バイオマーカーは、疾患または障害が発生するリスクを示すものであり得る。バイオマーカーは、健康な遺伝子(疾患または障害が発生することの確定可能なリスクが低いまたはリスクがない)を示すものであり得る。バイオマーカーは、編集された遺伝子を示すものであり得る。例示的なバイオマーカーとしては、これだけに限定されないが、一塩基多型(SNP)、配列バリエーションまたは変異、エピジェネティックマーク、スプライスアクセプター部位、外因性配列、異種配列、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0280】
本開示の配列モチーフは、二次構造、三次構造または四次構造を含み得るまたはそれからなり得る。二次構造、三次構造または四次構造は、内因性または天然に存在するものであり得る。二次構造、三次構造または四次構造は、誘導されたまたは天然に存在しないものであり得る。二次構造、三次構造または四次構造は、内因性配列、外因性配列、または異種配列にコードされるものであり得る。
【0281】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、端点を含めて、2個から100個の間のヌクレオチドまたは核酸塩基を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、端点を含めて、2個から50個の間のヌクレオチドまたは核酸塩基を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、端点を含めて、2個から20個の間のヌクレオチドまたは核酸塩基を含むまたはそれからなる。
【0282】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は連続している。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は連続していない。例えば、RNA分子の標的配列は、標的配列のヌクレオチド間に1つまたは複数の断続的なヌクレオチドが位置することに起因して連続していない1つまたは複数のヌクレオチドまたは核酸塩基を含み得るまたはそれからなり得る。
【0283】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、天然に存在するものである。一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、天然に存在しないものである。例示的な天然に存在しない標的配列は、配列バリエーションまたは変異、キメラ配列、外因性配列、異種配列、キメラ配列、組換え配列、改変もしくは合成されたヌクレオチドを含む配列またはこれらの任意の組合せを含み得るまたはそれからなり得る。
【0284】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、本開示のガイドRNAに結合する。
【0285】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、本開示の第1のRNA結合性タンパク質に結合する。
【0286】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、RNA分子の標的配列は、本開示の第2のRNA結合性タンパク質に結合する。
【0287】
RNA分子
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、標的配列を含む。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、少なくとも1つの標的配列を含む。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、1つまたは複数の標的配列を含む。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、2つまたはそれよりも多くの標的配列を含む。
【0288】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、天然に存在するRNA分子である。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、天然に存在しない分子である。例示的な天然に存在しないRNA分子は、配列バリエーションまたは変異、キメラ配列、外因性配列、異種配列、キメラ配列、組換え配列、改変もしくは合成されたヌクレオチドを含む配列またはこれらの任意の組合せを含み得るまたはそれからなり得る。
【0289】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、ウイルスから単離されたまたはそれに由来する配列を含むまたはそれからなる。
【0290】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、原核生物から単離されたまたはそれに由来する配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、古細菌の種もしくは株または細菌の種もしくは株から単離されたまたはそれに由来する配列を含むまたはそれからなる。
【0291】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、真核生物から単離されたまたはそれに由来する配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、原生動物、寄生生物、原生生物、藻類、真菌、酵母、アメーバ、蠕虫、微生物、無脊椎動物、脊椎動物、昆虫、齧歯類、マウス、ラット、哺乳動物、または霊長類の種から単離されたまたはそれに由来する配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、ヒトから単離されたまたはそれに由来する配列を含むまたはそれからなる。
【0292】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、生物体またはウイルスのゲノム由来のコード配列に由来する配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、一次RNA転写物、メッセンジャーRNA前駆体(プレmRNA)またはメッセンジャーRNA(mRNA)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、プロセシングされていない遺伝子産物(例えば、転写物)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、転写後プロセシングを受けた遺伝子産物(例えば、5’キャップおよび3’ポリアデニル化シグナルを含む転写物)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、選択的スプライシングを受けた遺伝子産物(例えば、スプライスバリアント)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、非コード配列および/またはイントロン配列の除去を受けた遺伝子産物(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))を含むまたはそれからなる。
【0293】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、非コード配列(例えば、非コードRNA(ncRNA))に由来する配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、リボソームRNAを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、小さなncRNA分子を含むまたはそれからなる。本開示の例示的なスモールRNA分子としては、これだけに限定されないが、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉(siRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、細胞外またはエキソソームRNA(exRNA)、および低分子カハール体特異的RNA(scaRNA)が挙げられる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、長いncRNA分子を含むまたはそれからなる。本開示の例示的な長いRNA分子としては、これだけに限定されないが、X−不活性特異的転写物(Xist)およびHOX転写物アンチセンスRNA(HOTAIR)が挙げられる。
【0294】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物を細胞内空間内で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物を細胞質ゾル空間内で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物を核内で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物を小胞、細胞の膜に結合した区画、または細胞小器官において接触させる。
【0295】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物を細胞外空間内で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物をエキソソーム内で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物をリポソーム、ポリマーソーム、ミセルまたはナノ粒子内で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物を細胞外マトリックス内で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物を液滴中で接触させる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子と本開示の組成物をマイクロ流体液滴中で接触させる。
【0296】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、一本鎖配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本開示のRNA分子は、二本鎖配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、二本鎖配列は、2つのRNA分子を含む。一部の実施形態では、二本鎖配列は、RNA分子1つとDNA分子1つを含む。二本鎖配列がRNA分子1つとおよびDNA分子1つを含む場合を含めた一部の実施形態では、本開示の組成物は、RNA分子に選択的に結合し、必要に応じて、それを選択的に切断する。
【0297】
ベクター
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、ベクターは、本開示のガイドRNAを含む。一部の実施形態では、ベクターは、本開示のガイドRNAを少なくとも1つ含む。一部の実施形態では、ベクターは、本開示のガイドRNAを1つまたは複数含む。一部の実施形態では、ベクターは、本開示のガイドRNAを2つまたはそれよりも多く含む。一部の実施形態では、ベクターは、本開示の融合タンパク質をさらに含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、第1のRNA結合性タンパク質と第2のRNA結合性タンパク質とを含む。
【0298】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、第1のベクターが本開示のガイドRNAを含み、第2のベクターが本開示の融合タンパク質を含む。一部の実施形態では、第1のベクターは、本開示のガイドRNAを少なくとも1つ含む。一部の実施形態では、第1のベクターは、本開示のガイドRNAを1つまたは複数含む。一部の実施形態では、第1のベクターは、本開示のガイドRNAを2つまたはそれよりも多く含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、第1のRNA結合性タンパク質と第2のRNA結合性タンパク質とを含む。一部の実施形態では、第1のベクターと第2のベクターは同一である。一部の実施形態では、第1のベクターと第2のベクターは同一ではない。
【0299】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、ベクターは、(a)本開示のRNA標的化融合タンパク質をコードする核酸配列と、(b)標的RNA配列とハイブリダイズするまたはそれに結合するRNA配列(またはスペーサー配列)を5’末端に含み、融合タンパク質のCRISPR/Casタンパク質に結合することまたはそれと会合することができるRNA配列(または足場配列)を3’末端に含む単一ガイドRNA(sgRNA)配列とを含む「2成分RNA標的化系」の成分であるかまたはそれを含み、2成分RNA標的化系は、PAMmerの非存在下で細胞内の標的RNAを認識し、それを変更する。一部の実施形態では、2成分系の配列は、単一のベクター内に存在する。一部の実施形態では、2成分系のスペーサー配列は、CUG、CCUG、CAG、およびGGGGCCからなる群から選択されるリピート配列を標的とする。
【0300】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のベクターは、ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスから単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、複製能力がない。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、単離されたものまたは組み換えられたものである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、自己相補的である。
【0301】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)から単離されたまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、もしくはAAV12であるAAVから単離されたもしくはそれに由来する末端逆位反復配列もしくはカプシド配列を含む、または、ベクターおよび/もしくは成分は、これだけに限定することなく、Anc80 AAV(AAV1、2、6、8および9の祖先)などの合成AAV血清型に由来するものである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、複製能力がない。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、単離されたものまたは組み換えられたもの(rAAV)である。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、自己相補的(scAAV)である。
【0302】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のベクターは、非ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、ナノ粒子、ミセル、リポソームまたはリポプレックス、ポリマーソーム、ポリプレックスまたはデンドリマーを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、ベクターは、発現ベクターまたは組換え発現系である。本明細書で使用される場合、「組換え発現系」という用語は、組換えによって形成されたある特定の遺伝子材料を発現させるための遺伝子構築物を指す。
【0303】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書に提示される発現ベクター、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターは、これだけに限定することなく、発現制御エレメントを含む。「発現制御エレメント」は、本明細書で使用される場合、遺伝子などのコード配列の発現を調節する任意の配列を指す。例示的な発現制御エレメントとしては、これだけに限定されないが、プロモーター、エンハンサー、マイクロRNA、転写後調節エレメント、ポリアデニル化シグナル配列、およびイントロンが挙げられる。発現制御エレメントは、例えば、構成的、誘導性、抑制性、または組織特異的であり得る。「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御されるポリヌクレオチド配列の領域である制御配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子などの調節性タンパク質および分子が結合することができる遺伝子エレメントを含有し得る。一部の実施形態では、プロモーターによる発現制御は、組織特異的である。非限定的な例示的なプロモーターとしては、CMV、CBA、CAG、Cbh、EF−1a、PGK、UBC、GUSB、UCOE、hAAT、TBG、デスミン、MCK、C5−12、NSE、シナプシン、PDGF、MecP2、CaMKII、mGluR2、NFL、NFH、nβ2、PPE、ENK、EAAT2、GFAP、MBP、およびU6プロモーターが挙げられる。「エンハンサー」は、活性化タンパク質が結合して、転写の尤度または頻度を増加させることができるDNAの領域である。非限定的な例示的なエンハンサーおよび転写後調節エレメントとしては、CMVエンハンサーおよびWPREが挙げられる。
【0304】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本明細書に提示される発現ベクター、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターは、これだけに限定することなく、「マルチシストロン性」または「ポリシストロン性」または「バイシストロン性」または「トリシストロン性」構築物の構成(configuration)のためのIRESまたは2Aペプチド部位を含む、すなわち、二重もしくは三重もしくは多重のコード領域またはエクソンなどのベクターエレメントを有し、したがって、単一の構築物から、mRNAから2つまたはそれよりも多くのタンパク質を発現させる能力を有する。マルチシストロン性ベクターは、同じmRNAから2つまたはそれよりも多くの別々のタンパク質を同時に発現させる。マルチシストロン性配置を構築するために最も広く使用されている2つの戦略は、IRESまたは2A自己切断部位を使用することである。「IRES」は、ポリシストロニックベクター構築物に使用される、ウイルス、原核生物、または真核生物を起源とする配列内リボソーム進入部位またはその一部を指す。一部の実施形態では、IRESは、キャップ依存的に翻訳開始を可能にするRNAエレメントである。「自己切断ペプチド」または「自己切断ペプチドをコードする配列」または「2A自己切断部位」という用語は、リボソームスキッピングを促進するため、したがって、単一のプロモーターから2つのポリペプチドを生成するための部位を組み入れるためにベクター構築物内に使用される連結配列を指す。そのような自己切断ペプチドとしては、これだけに限定することなく、T2Aペプチド、およびP2Aペプチドまたは自己切断ペプチドをコードする配列が挙げられる。
【0305】
一部の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、またはレンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクター、アデノウイルス/レトロウイルスキメラベクター、単純ヘルペスウイルスIもしくはIIベクター、パルボウイルスベクター、細網内皮症ウイルスベクター、ポリオウイルスベクター、乳頭腫ウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、または2つまたはそれよりも多くのウイルスベクターの好都合な側面が組み入れられた任意のハイブリッドもしくはキメラベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結した1つまたは複数の発現制御エレメントをさらに含む。一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数の選択マーカーをさらに含む。一部の実施形態では、AAVベクターは低毒性を有する。一部の実施形態では、AAVベクターは宿主ゲノム内に組み入れられず、それにより、挿入変異誘発が引き起こされる確率が低くなる。一部の実施形態では、AAVベクターは、4.5kbから4.75kbまでの範囲の総ポリヌクレオチドをコードし得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、系、方法、およびキットのいずれかに使用することができる例示的なAAVベクターとしては、AAV1ベクター、改変AAV1ベクター、AAV2ベクター、改変AAV2ベクター、AAV3ベクター、改変AAV3ベクター、AAV4ベクター、改変AAV4ベクター、AAV5ベクター、改変AAV5ベクター、AAV6ベクター、改変AAV6ベクター、AAV7ベクター、改変AAV7ベクター、AAV8ベクター、AAV9ベクター、AAV.rh10ベクター、改変AAV.rh10ベクター、AAV.rh32/33ベクター、改変AAV.rh32/33ベクター、AAV.rh43ベクター、改変AAV.rh43ベクター、AAV.rh64R1ベクター、および改変AAV.rh64R1ベクターおよび任意の組合せまたはその等価物を挙げることができる。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、インテグラーゼコンピテントレンチウイルスベクター(ICLV)である。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子プラスミドベクターならびに関連するプラスミド(例えば、パッケージングプラスミド、rev発現プラスミド、エンベローププラスミド)と併せた導入遺伝子プラスミドベクターならびにウイルスまたはウイルス様侵入機構によって外因性核酸を細胞に導入することができるレンチウイルスに基づく粒子を指し得る。レンチウイルスベクターは、当技術分野で周知である(例えば、Trono D. (2002) Lentiviral vectors, New York: Spring-Verlag Berlin HeidelbergおよびDurand et al. (2011) Viruses 3 (2): 132-159 doi: 10.3390/v3020132を参照されたい)。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、系、方法、およびキットのいずれかに使用することができる例示的なレンチウイルスベクターとしては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1ベクター、改変ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1ベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)2ベクター、改変ヒト免疫不全ウイルス(HIV)2ベクター、スーティーマンガベイサル免疫不全ウイルス(SIVSM)ベクター、改変スーティーマンガベイサル免疫不全ウイルス(SIVSM)ベクター、アフリカミドリザルサル免疫不全ウイルス(SIVAGM)ベクター、改変アフリカミドリザルサル免疫不全ウイルス(SIVAGM)ベクター、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)ベクター、改変ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)ベクター、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)ベクター、改変ネコ免疫不全ウイルス(FIV)ベクター、ビスナ/マエディウイルス(VNV/VMV)ベクター、改変ビスナ/マエディウイルス(VNV/VMV)ベクター、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)ベクター、改変ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)ベクター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、または改変ウシ免疫不全ウイルス(BIV)を挙げることができる。
【0306】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示のベクターは、非ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、ナノ粒子、ミセル、リポソームまたはリポプレックス、ポリマーソーム(polymersome)、ポリプレックスまたはデンドリマーを含むまたはそれからなる。
核酸
【0307】
本明細書に記載の遺伝子移入および発現技法における使用のための、本明細書に開示される融合タンパク質をコードする核酸配列が本明細書に提示される。必ずしも明記されていないが、本明細書に提示される配列を使用して、同じ生物学的性質を有するタンパク質を生じさせる発現産物ならびに実質的に同一の配列をもたらすことができることが理解されるべきである。これらの「生物学的に等価の」または「生物活性ある」または「等価の」ポリペプチドは、本明細書に記載の等価のポリヌクレオチドによってコードされる。これらは、デフォルトの条件下で実行される配列同一性方法を使用して比較した場合に、参照ポリペプチドに対して少なくとも60%、あるいは少なくとも65%、あるいは少なくとも70%、あるいは少なくとも75%、あるいは少なくとも80%、あるいは少なくとも85%、あるいは少なくとも90%、あるいは少なくとも95%あるいは少なくとも98%同一の一次アミノ酸配列を有することができる。特定の実施形態の例として特定のポリペプチド配列が提示されている。同様の電荷を有する代替のアミノ酸を用いたアミノ酸への配列の改変。さらに、等価のポリヌクレオチドは、参照ポリヌクレオチドもしくはその相補物とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドである、またはポリペプチドに関しては、参照コードポリヌクレオチドまたはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドである。あるいは、等価のポリペプチドまたはタンパク質は、等価のポリヌクレオチドから発現されるものである。
【0308】
本明細書に開示される核酸配列(例えば、ポリヌクレオチド配列)は、当技術分野で周知の技法であるコドン最適化がなされたものであり得る。本明細書に開示される一部の実施形態では、例えば配列番号46(Cas13d)などの例示的なCas配列は、ヒト細胞における発現に関してコドン最適化されている。コドン最適化は、異なる細胞では特定のコドンの使用が異なるという事実を指す。このコドンの偏りは、細胞型における特定のtRNAの相対的な存在量の偏りに対応する。配列内のコドンを対応するtRNAの相対的な存在量と釣り合うように変更することにより、発現を増加させることが可能である。対応するtRNAが特定の細胞型において稀であることが分かっているコドンを故意に選択することによって発現を低減させることも可能である。哺乳動物細胞に関して、ならびに種々の他の生物体に関してコドン使用表が当技術分野で公知である。遺伝暗号に基づいて、例えばCasタンパク質をコードする核酸配列を生成することができる。一部の実施形態では、そのような配列を、例えば、Casタンパク質を発現する宿主細胞または開示されている方法が実施される細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞など)を使用するなど、宿主または標的細胞における発現に関して最適化する。特定の種についてのコドンの選好およびコドン使用表を使用して、その特定の種のコドン使用選好性(codon usage preference)を活用する、Casタンパク質をコードする単離された核酸分子(例えば、その対応する野生型タンパク質に対する少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%配列同一性を有するタンパク質をコードするものなど)を操作することができる。例えば、本明細書に開示されるCasタンパク質を、目的の特定の生物体によって優先的に使用されるコドンを有するように設計することができる。一実施例では、Cas核酸配列は、例えば、その対応する野生型または起源核酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%配列同一性を有するものなど、ヒト細胞における発現に関して最適化されたものである。一部の実施形態では、少なくとも1つのCasタンパク質(ベクターの一部であり得る)をコードする単離された核酸分子は、真核細胞における発現に関してコドン最適化された少なくとも1つのCasタンパク質コード配列、またはヒト細胞における発現に関してコドン最適化された少なくとも1つのCasタンパク質コード配列を含む。一実施形態では、そのようなコドン最適化されたCasコード配列は、その対応する野生型または起源配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%配列同一性を有する。別の実施形態では、真核細胞のコドン最適化された核酸配列は、その対応する野生型または起源タンパク質に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%配列同一性を有するCasタンパク質をコードする。別の実施形態では、配列は異なるが同じCasタンパク質配列をコードする核酸などの、機能的に等価の核酸を含有する種々のクローンを常套的に生成することができる。コード配列内のサイレント変異は、1つよりも多くのコドンが同じアミノ酸残基をコードし得る遺伝暗号の縮退(すなわち、重複性)に起因する。したがって、例えば、ロイシンはCTT、CTC、CTA、CTG、TTA、またはTTGによってコードされ得る;セリンはTCT、TCC、TCA、TCG、AGT、またはAGCによってコードされ得る;アスパラギンはAATまたはAACによってコードされ得る;アスパラギン酸はGATまたはGACによってコードされ得る;システインはTGTまたはTGCによってコードされ得る;アラニンはGCT、GCC、GCA、またはGCGによってコードされ得る;グルタミンはCAAまたはCAGによってコードされ得る;チロシンはTATまたはTACによってコードされ得る;およびイソロイシンはATT、ATC、またはATAによってコードされ得る。標準の遺伝暗号を示す表は、種々の供給源に見いだすことができる(例えば、Stryer, 1988, Biochemistry,3.sup.rd Edition, W.H. 5 Freeman and Co., NYを参照されたい)。
【0309】
「ハイブリダイゼーション」は、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合によって安定化される複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック塩基対合、フーグスティーン結合、または任意の他の配列特異的様式で存在する。複合体は、二重鎖構造を形成する2つの鎖、多重鎖複合体を形成する3つまたはそれよりも多くの鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組合せを含み得る。ハイブリダイゼーション反応は、PC反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断などのより広範囲にわたるプロセスのステップを構成し得る。
【0310】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、インキュベーション温度、約25℃〜約37℃;ハイブリダイゼーション緩衝液濃度、約6×SSC〜約10×SSC;ホルムアミド濃度、約0%〜約25%;および洗浄溶液、約4×SSC〜約8×SSCが挙げられる。中程度のハイブリダイゼーション条件の例としては、インキュベーション温度、約40℃〜約50℃;緩衝液濃度、約9×SSC〜約2×SSC;ホルムアミド濃度、約30%〜約50%;および洗浄溶液、約5×SSC〜約2×SSCが挙げられる。高ストリンジェンシー条件の例としては、インキュベーション温度、約55℃〜約68℃;緩衝液濃度、約1×SSC〜約0.1×SSC;ホルムアミド濃度、約55%〜約75%;および洗浄溶液、約1×SSC、0.1×SSC、または脱イオン水が挙げられる。一般に、ハイブリダイゼーションインキュベーション時間は5分間から24時間までであり、1回、2回、またはそれよりも多くの洗浄ステップを伴い、洗浄インキュベーション時間は、約1分間、2分間、または15分間である。SSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸緩衝液である。他の緩衝液系を使用したSSCの等価物を使用することができることが理解される。
【0311】
「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較のためにアラインメントすることができる各配列内の位置を比較することによって決定することができる。比較される配列内の位置を同じ塩基またはアミノ酸が占めている場合、その分子は、その位置において相同である。配列間の相同性程度は、それらの配列が共有するマッチするまたは相同な位置の数に応じる。「関連しない」または「非相同的」配列は、本発明の配列の1つと40%未満の同一性あるいは25%未満の同一性を共有する。
【0312】
細胞
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の細胞は、原核細胞である。
【0313】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の細胞は、真核細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、体細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、生殖細胞系列細胞である。一部の実施形態では、本開示の生殖細胞系列細胞は、ヒト細胞ではない。
【0314】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の細胞は、幹細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、胚性幹細胞である。一部の実施形態では、本開示の胚性幹細胞は、ヒト細胞ではない。一部の実施形態では、本開示の細胞は、複能性幹細胞または多能性幹細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、成体幹細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、造血幹細胞(HSC)である。
【0315】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、免疫細胞である。一部の実施形態では、本開示の免疫細胞は、リンパ球である。一部の実施形態では、本開示の免疫細胞は、Tリンパ球である(本明細書ではT細胞とも称される)。本開示の例示的なT細胞としては、これだけに限定されないが、ナイーブT細胞、エフェクターT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、調節性T細胞(Treg)およびガンマデルタT細胞が挙げられる。一部の実施形態では、本開示の免疫細胞は、Bリンパ球である。一部の実施形態では、本開示の免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞である。一部の実施形態では、本開示の免疫細胞は、抗原提示細胞である。
【0316】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、筋肉細胞である。一部の実施形態では、本開示の筋肉細胞は、筋芽細胞または筋細胞である。一部の実施形態では、本開示の筋肉細胞は、心筋細胞、骨格筋細胞または平滑筋細胞である。一部の実施形態では、本開示の筋肉細胞は、横紋筋細胞である。
【0317】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、上皮細胞である。一部の実施形態では、本開示の上皮細胞は、扁平上皮細胞、立方上皮細胞、円柱上皮細胞、重層上皮細胞、多列円柱上皮細胞または移行上皮細胞を形成する。一部の実施形態では、本開示の上皮細胞は、これだけに限定されないが、松果体、胸腺、下垂体、甲状腺、副腎、アポクリン腺、ホロクリン腺、部分分泌腺、漿液腺、粘液腺および脂腺を含めた腺を形成する。一部の実施形態では、本開示の上皮細胞は、これだけに限定されないが、肺、脾臓、胃、膵臓、膀胱、腸、腎臓、胆嚢、肝臓、喉頭または咽頭を含めた器官の外表面と接触している。一部の実施形態では、本開示の上皮細胞は、血管または静脈の外表面と接触している。
【0318】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、本開示の神経細胞は、中枢神経系のニューロンである。一部の実施形態では、本開示の神経細胞は、脳または脊髄のニューロンである。一部の実施形態では、本開示の神経細胞は、網膜のニューロンである。一部の実施形態では、本開示の神経細胞は、脳神経または視神経のニューロンである。一部の実施形態では、本開示の神経細胞は、末梢神経系のニューロンである。一部の実施形態では、本開示の神経細胞は、神経膠細胞またはグリア細胞である。一部の実施形態では、本開示のグリア細胞は、これだけに限定されないが、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、上衣細胞、およびミクログリアを含めた、中枢神経系のグリア細胞である。一部の実施形態では、本開示のグリア細胞は、これだけに限定されないが、シュワン細胞およびサテライト細胞を含めた、末梢神経系のグリア細胞である。
【0319】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、初代細胞である。
【0320】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、培養細胞である。
【0321】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、in vivo、in vitro、ex vivoまたはin situにある。
【0322】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の体細胞は、自家細胞または同種異系細胞である。
【0323】
使用方法
本開示は、本開示のRNA分子またはRNA分子によってコードされるタンパク質の発現のレベルを改変する方法であって、組成物とRNA分子を、ガイドRNAまたはRNA結合性タンパク質またはその融合タンパク質(またはその一部)の1つまたは複数がRNA分子に結合し、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性がもたらされるのに適した条件下で接触させることを含む方法を提供する。
【0324】
本開示は、RNA分子によってコードされるタンパク質の活性を改変する方法であって、組成物とRNA分子を、ガイドRNAまたは融合タンパク質(またはそのRNA結合性部分)の1つまたは複数がRNA分子に結合し、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性がもたらされるのに適した条件下で接触させることを含む方法を提供する。
【0325】
本開示は、本開示のRNA分子またはRNA分子によってコードされるタンパク質の発現のレベルを改変する方法であって、組成物と、RNA分子を含む細胞を、ガイドRNAまたはRNA結合性タンパク質またはその融合タンパク質(またはその一部)の1つまたは複数がRNA分子に結合し、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性がもたらされるのに適した条件下で接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、in vivo、in vitro、ex vivoまたはin situにある。一部の実施形態では、組成物は、本開示のガイドRNAおよび本開示の融合タンパク質を含む組成物を含むベクターを含む。一部の実施形態では、ベクターは、AAVである。
【0326】
本開示は、RNA分子によってコードされるタンパク質の活性を改変する方法であって、組成物と、RNA分子を含む細胞を、ガイドRNAまたはRNA結合性タンパク質またはその融合タンパク質(またはその一部)の1つまたは複数がRNA分子に結合し、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性がもたらされるのに適した条件下で接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、in vivo、in vitro、ex vivoまたはin situにある。一部の実施形態では、組成物は、本開示のガイドRNAまたは単一ガイドRNAおよび本開示の融合タンパク質を含む組成物を含むベクターを含む。一部の実施形態では、ベクターは、AAVである。
【0327】
本開示は、本開示のRNA分子またはRNA分子によってコードされるタンパク質の発現のレベルを改変する方法であって、組成物とRNA分子をRNAヌクレアーゼ活性に適した条件下で接触させることを含み、RNA結合性タンパク質またはその融合タンパク質またはその一部によりRNA分子の切断が誘導され、また、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性がもたらされる、方法を提供する。
【0328】
本開示は、RNA分子によってコードされるタンパク質の活性を改変する方法であって、組成物とRNA分子をRNAヌクレアーゼ活性に適した条件下で接触させることを含み、RNA結合性タンパク質またはその融合タンパク質(またはその一部)によりRNA分子の切断が誘導され、また、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性がもたらされる、方法を提供する。
【0329】
本開示は、本開示のRNA分子またはRNA分子によってコードされるタンパク質の発現のレベルを改変し、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性をもたらす方法であって、組成物と、RNA分子を含む細胞を、RNAヌクレアーゼ活性に適した条件下で接触させることを含み、RNA結合性タンパク質またはその融合タンパク質によりRNA分子の切断が誘導される、方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、in vivo、in vitro、ex vivoまたはin situにある。一部の実施形態では、組成物は、本開示のガイドRNAおよび本開示のRNA結合性タンパク質および本開示の変異型非切断型FasLを含む組成物を含むベクターを含む。一部の実施形態では、ベクターは、AAVである。
【0330】
本開示は、RNA分子によってコードされるタンパク質の活性を改変する方法であって、組成物と、RNA分子を含む細胞を、RNAヌクレアーゼ活性に適した条件下で接触させることを含み、RNA結合性タンパク質またはその融合タンパク質またはその一部によりRNA分子の切断が誘導される、方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、in vivo、in vitro、ex vivoまたはin situにある。一部の実施形態では、組成物は、本開示のガイドRNA配列または単一ガイドRNAおよび本開示のRNA結合性タンパク質をコードする配列および本開示の変異型非切断型FasLをコードする配列を含む組成物を含むベクターを含む。一部の実施形態では、ベクターは、AAVである。
【0331】
本開示は、疾患または障害を処置する方法であって、対象に本開示の組成物を治療有効量で投与することを含む方法を提供する。
【0332】
本開示は、疾患または障害を処置する方法であって、対象に本開示の組成物を治療有効量で投与することを含み、組成物が、本開示のガイドRNA配列、本開示のRNA結合性タンパク質をコードする配列、および本開示の変異型非切断型FasLをコードする配列を含むベクターを含み、組成物により本開示のRNA分子またはRNA分子によってコードされるタンパク質の発現のレベルが改変され、また、RNA結合性タンパク質に特異的な免疫遮蔽活性がもたらされる、方法を提供する。
【0333】
本開示は、疾患または障害を処置する方法であって、対象に本開示の組成物を治療有効量で投与することを含み、組成物が、本開示の組成物を含む組成物を含むベクターを含む、方法を提供する。
【0334】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、遺伝子疾患または障害が挙げられる。一部の実施形態では、遺伝子疾患または障害は、単一遺伝子疾患または障害である。一部の実施形態では、単一遺伝子疾患または障害は、常染色体優性疾患もしくは障害、常染色体劣性疾患もしくは障害、X染色体連鎖(X連鎖)疾患もしくは障害、X連鎖優性疾患もしくは障害、X連鎖劣性疾患もしくは障害、Y連鎖疾患もしくは障害、またはミトコンドリア病もしくは障害である。一部の実施形態では、遺伝子疾患または障害は、多遺伝子疾患または障害である。一部の実施形態では、遺伝子疾患または障害は、多遺伝子疾患または障害である。一部の実施形態では、単一遺伝子疾患または障害は、これだけに限定されないが、ハンチントン病、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、マルファン症候群、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がん、遺伝性多発性外骨腫症、フォン・ヴィルブランド病、および急性間欠性ポルフィリン症を含めた常染色体優性疾患または障害である。一部の実施形態では、単一遺伝子疾患または障害は、これだけに限定されないが、白皮症、中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球症、テイ・サックス病、ニーマン・ピック病、脊髄性筋萎縮症、およびロバーツ症候群を含めた常染色体劣性疾患または障害である。一部の実施形態では、単一遺伝子疾患または障害は、これだけに限定されないが、筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、血友病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、レット症候群、および血友病Aを含めたX連鎖疾患または障害である。一部の実施形態では、単一遺伝子疾患または障害は、これだけに限定されないが、レーベル遺伝性視神経症を含めたミトコンドリア障害である。
【0335】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、免疫疾患または障害が挙げられる。一部の実施形態では、免疫疾患または障害は、これだけに限定されないが、B細胞欠損症、T細胞欠損症、好中球減少症、無脾症、補体欠損症、後天性免疫不全症候群(AIDS)および医療介入に起因する免疫不全(医学的治療の故意の作用または有害作用としての免疫抑制)を含めた免疫不全症または障害である。一部の実施形態では、免疫疾患または障害は、これだけに限定されないが、アカラシア、アジソン病、成人スチル病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管性浮腫、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、軸索&ニューロンニューロパチー(AMAN)、バロー病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多巣性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)もしくは好酸性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合性クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性疱疹もしくは妊娠性類天疱瘡(PG)、化膿性汗腺炎(HS)(反対型ざ瘡)、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫血小板減少性紫斑病(ITP)、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)、ループス、ライム病 慢性、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)もしくはMMNCB、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、新生児ループス、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼部瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS、傍腫瘍性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリー・ロンベルク症候群、毛様体扁平部炎(周辺部ぶどう膜炎)、パーソネージ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢性ニューロパチー、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群、結節性多発性動脈炎、多腺性症候群I型、II型、III型、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球ろう(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、レストレスレッグス症候群(RLS)、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子精巣自己免疫、スティッフパーソン症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサ・ハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、フォークト・小柳・原田病、またはヴェグナー肉芽腫症を含めた自己免疫疾患または障害である。
【0336】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、炎症性疾患または障害が挙げられる。
【0337】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、代謝性疾患または障害が挙げられる。
【0338】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、変性または進行性疾患または障害が挙げられる。一部の実施形態では、変性または進行性疾患または障害として、これだけに限定されないが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、アルツハイマー病、および老化が挙げられる。
【0339】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、感染性疾患または障害が挙げられる。
【0340】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、小児もしくは発達疾患または障害が挙げられる。
【0341】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、循環器の疾患または障害が挙げられる。
【0342】
本開示の組成物および方法の一部の実施形態では、本開示の疾患または障害として、これだけに限定されないが、増殖性疾患または障害が挙げられる。一部の実施形態では、増殖性疾患または障害は、がんである。一部の実施形態では、がんとして、これだけに限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、AIDS関連がん、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、AIDS関連リンパ腫(リンパ腫)、CNS原発リンパ腫(リンパ腫)、肛門がん、虫垂がん、消化管カルチノイド腫瘍、星状細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系(脳がん)、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、ユーイング肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、脳腫瘍、乳がん、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、癌、心臓(Cardiac)(心臓(Heart))腫瘍、胚芽腫、胚細胞性腫瘍、CNS原発リンパ腫、子宮頸がん、胆管癌、脊索腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌、胚芽腫、子宮体がん(子宮がん)、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫(頭頸部がん))、ユーイング肉腫(骨がん)、頭蓋外胚細胞性腫瘍、性腺外胚細胞性腫瘍、眼がん、小児期眼内黒色腫、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、卵管がん、骨の悪性線維性組織球腫、および骨肉腫、胆嚢がん、胃(gastric)(胃(stomach))がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)(軟部組織肉腫)、小児期消化管間質腫瘍、胚細胞性腫瘍、小児期頭蓋外胚細胞性腫瘍、性腺外胚細胞性腫瘍、卵巣胚細胞性腫瘍、精巣がん、妊娠性絨毛疾患、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝細胞(肝臓)がん、組織球増殖症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん(頭頸部がん)、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、腎臓(腎細胞)がん、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、喉頭がん(頭頸部がん)、白血病、口唇・口腔がん(頭頸部がん)、肝がん、肺がん(非小細胞および小細胞)、小児期肺がん、リンパ腫、男性乳がん、骨の悪性線維性組織球腫および骨肉腫、黒色腫、メルケル細胞癌(皮膚がん)、中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部がん(頭頸部がん)、NUT遺伝子の変化を伴う正中線癌、口のがん(Mouth Cancer)(頭頸部がん)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫(リンパ腫)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、鼻腔・副鼻腔がん(頭頸部がん)、鼻咽頭がん(頭頸部がん)、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口のがん(Oral Cancer)、口唇・口腔がんおよび中咽頭がん、骨肉腫および骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、膵がん、膵臓神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、乳頭腫症、傍神経節腫、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん(頭頸部がん)、褐色細胞腫、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、妊娠期乳がん、中枢神経系(CNS)原発リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、再発性がん、腎細胞(腎臓)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、小児期(軟部組織肉腫)、唾液腺がん(頭頸部がん)、肉腫、小児期横紋筋肉腫(軟部組織肉腫)、小児期血管腫瘍(軟部組織肉腫)、ユーイング肉腫(骨がん)、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、骨肉腫(骨がん)、子宮肉腫、セザリー症候群、リンパ腫、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、皮膚の扁平上皮癌、扁平上皮性頸部がん、胃(stomach)(胃(gastric))がん、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽喉がん(頭頸部がん)、鼻咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行上皮がん、腎細胞がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、血管腫瘍(軟部組織肉腫)、外陰がん、ウィルムス腫瘍ならびに他の小児期腎腫瘍が挙げられる。
【0343】
本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、疾患または障害の診断を受けている。一部の実施形態では、本開示の対象は、疾患または障害の徴候または症状を少なくとも1つ示している。一部の実施形態では、対象は、疾患または障害が発生するリスクが予測されるバイオマーカーを有する。一部の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子変異である。
【0344】
本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、女性である。本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、男性である。一部の実施形態では、本開示の対象は、2つの染色体XXまたはXYを有する。一部の実施形態では、本開示の対象は、2つの染色体XXまたはXYおよび第3の染色体、XまたはYのいずれかを有する。
【0345】
本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、新生児、乳児、小児、成人、年配成人、または高齢成人である。本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、少なくとも1日齢、2日齢、3日齢、4日齢、5日齢、6日齢、7日齢、8日齢、9日齢、10日齢、11日齢、12日齢、13日齢、14日齢、15日齢、16日齢、17日齢、18日齢、19日齢、20日齢、21日齢、22日齢、23日齢、24日齢、25日齢、26日齢、27日齢、28日齢、29日齢、30日齢または31日齢である。本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、少なくとも1カ月齢、2カ月齢、3カ月齢、4カ月齢、5カ月齢、6カ月齢、7カ月齢、8カ月齢、9カ月齢、10カ月齢、11カ月齢または12カ月齢である。本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、少なくとも1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、15歳、20歳、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳またはその間の任意の年齢または部分年齢である。
【0346】
本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、哺乳動物である。一部の実施形態では、本開示の対象は、非ヒト哺乳動物である。
【0347】
本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の対象は、ヒトである。
【0348】
本開示の方法の一部の実施形態では、治療有効量は、単回用量の本開示の組成物を含む。一部の実施形態では、治療有効量は、少なくとも1用量の本開示の組成物を含む。一部の実施形態では、治療有効量は、1用量または複数用量の本開示の組成物を含む。
【0349】
本開示の方法の一部の実施形態では、治療有効量は、疾患または障害の徴候または症状を排除するものである。一部の実施形態では、治療有効量は、疾患または障害の徴候または症状の重症度を低下させるものである。
【0350】
本開示の方法の一部の実施形態では、治療有効量は、疾患または障害を排除するものである。
【0351】
本開示の方法の一部の実施形態では、治療有効量は、疾患または障害の発症を防止するものである。一部の実施形態では、治療有効量は、疾患または障害の発症を遅延させるものである。一部の実施形態では、治療有効量は、疾患または障害の徴候または症状の重症度を低下させるものである。一部の実施形態では、治療有効量は、対象の予後を改善するものである。
【0352】
本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の組成物は、対象に全身的に投与される。一部の実施形態では、本開示の組成物は、対象に静脈内経路によって投与される。一部の実施形態では、本開示の組成物は、対象に注射または注入によって投与される。
【0353】
本開示の方法の一部の実施形態では、本開示の組成物は、対象に局所的に投与される。一部の実施形態では、本開示の組成物は、対象に骨内、眼内、脳脊髄内または脊髄内経路によって投与される。一部の実施形態では、本開示の組成物は、中枢神経系の脳脊髄液に直接投与される。一部の実施形態では、本開示の組成物は、眼の組織または流体に直接投与され、眼構造の外側では生物学的利用能を有さない。一部の実施形態では、本開示の組成物は、対象に注射または注入によって投与される。
【0354】
番号を付した実施形態
1.
(a)非自己目的ポリペプチド(POI)をコードする配列、および
(b)非切断型Fasリガンド(FASL)をコードする配列
を含む組成物であって、
非切断型FASLの発現により、POIの発現に特異的なMHC媒介性免疫原性ペプチドおよびヘルパーT細胞が排除される、組成物。
【0355】
2.
(a)非自己ポリペプチドをコードする配列、および
(b)非切断型FASLをコードする配列
を含む組成物であって、
非切断型FASLの発現により、MHC−ペプチド複合体を認識するT細胞が選択的に排除され、ペプチドが、非自己ポリペプチドに由来するものである、組成物。
【0356】
3.
(a)治療用ポリペプチドをコードする配列、および
(b)非切断型FASLをコードする配列
を含む組成物であって、
非切断型FASLの発現により、MHC−ペプチド複合体を認識するT細胞が選択的に排除され、ペプチドが、治療用ポリペプチドに由来するものである、組成物。
【0357】
4.
AAVカプシドポリペプチドをコードする配列、ならびに
(a)ヒトポリペプチドをコードする配列、および
(b)非切断型FASLをコードする配列
を含む組成物
を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む組成物であって、
非切断型FASLの発現により、MHC−ペプチド複合体を認識するT細胞が選択的に排除され、ペプチドが、ヒトポリペプチドおよび/またはAAVカプシドポリペプチドに由来するものである、組成物。
【0358】
5.ヒトポリペプチドが自己ポリペプチドであり、ペプチドがAAVカプシドポリペプチドに由来するものである、実施形態4に記載の組成物。
【0359】
6.
(a)RNA分子内の標的配列に特異的に結合するガイドRNA(gRNA)を含む配列、
(b)RNA結合性ポリペプチドをコードする配列、および
(c)非切断型FASLをコードする配列
を含む組成物であって、
【0360】
非切断型FASLの発現により、MHC−ペプチド複合体を認識するT細胞が選択的に排除され、ペプチドが、RNA結合性ポリペプチドに由来するものである、組成物。
【0361】
7.(a)の配列および(b)の配列がベクターに含まれる、実施形態1から5までのいずれか1つに記載の組成物。
【0362】
8.(a)の配列、(b)の配列および(c)の配列がベクターに含まれる、実施形態6に記載の組成物。
【0363】
9.ベクターが発現ベクターである、実施形態7または8に記載の組成物。
【0364】
10.発現ベクターがプラスミドである、実施形態9に記載の組成物。
【0365】
11.(a)の配列の発現がプロモーターにより駆動される、実施形態1から10までのいずれか1つに記載の組成物。
【0366】
12.(b)の配列の発現がプロモーターにより駆動される、実施形態1から5までおよび7から11までのいずれか1つに記載の組成物。
【0367】
13.(a)の配列の発現が第1のプロモーターにより駆動され、(b)の配列の発現が第2のプロモーターにより駆動される、実施形態6に記載の組成物。
【0368】
14.(b)の配列および(c)の配列の発現が第2のプロモーターにより駆動される、実施形態13に記載の組成物。
【0369】
15.(a)の配列の発現が第1のプロモーターにより駆動され、(b)の配列の発現が第2のプロモーターにより駆動される、実施形態11に記載の組成物。
【0370】
16.プロモーターをコードする1つまたは複数の配列が、U6プロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、実施形態1から15までのいずれか1つに記載の組成物。
【0371】
17.プロモーターをコードする1つまたは複数の配列が、転移RNA(tRNA)の発現を駆動することができるプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、実施形態1から15までのいずれか1つに記載の組成物。
【0372】
18.プロモーターをコードする配列が、アラニンtRNAプロモーター、アルギニンtRNAプロモーター、アスパラギンtRNAプロモーター、アスパラギン酸tRNAプロモーター、システインtRNAプロモーター、グルタミンtRNAプロモーター、グルタミン酸tRNAプロモーター、グリシンtRNAプロモーター、ヒスチジンtRNAプロモーター、イソロイシンtRNAプロモーター、ロイシンtRNAプロモーター、リシンtRNAプロモーター、メチオニンtRNAプロモーター、フェニルアラニンtRNAプロモーター、プロリンtRNAプロモーター、セリンtRNAプロモーター、トレオニンtRNAプロモーター、トリプトファンtRNAプロモーター、チロシンtRNAプロモーター、またはバリンtRNAプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、実施形態17に記載の組成物。
【0373】
19.プロモーターをコードする配列が、バリンtRNAプロモーターから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、実施形態17に記載の組成物。
【0374】
20.送達ベクターに含まれる、実施形態1から3までまたは6から19までのいずれか1つに記載の組成物。
【0375】
21.送達ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、実施形態20に記載の組成物。
【0376】
22.AAVが、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、またはAAV12であるAAVから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、実施形態20に記載の組成物。
【0377】
23.AAVが、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、またはAAV12であるAAVから単離されたまたはそれに由来する配列を含む、実施形態4または5に記載の組成物。
【0378】
24.(a)の配列または(b)の配列が、配列内リボソーム進入部位(IRES)をコードする配列または自己切断ペプチドをコードする配列をさらに含む、実施形態1から5まで、7から14までまたは16から23までのいずれか1つに記載の組成物。
【0379】
25.(b)の配列または(c)の配列が、IRESをコードする配列または自己切断ペプチドをコードする配列をさらに含む、実施形態6に記載の組成物。
【0380】
26.IRESをコードする配列または自己切断ペプチドをコードする配列がベクターに含まれる、実施形態8から23までのいずれか1つに記載の組成物。
【0381】
27.IRESをコードする配列または自己切断ペプチドをコードする配列が、(a)の配列と(b)の配列の間に位置する、実施形態24または26に記載の組成物。
【0382】
28.IRESをコードする配列または自己切断ペプチドをコードする配列が、(b)の配列と(c)の配列の間に位置する、実施形態25または26に記載の組成物。
【0383】
29.自己切断ペプチドが、2A自己切断ペプチドを含む、実施形態24から28までのいずれか1つに記載の組成物。
【0384】
30.非切断型FASLが、メタロプロテイナーゼ切断部位に変異を含む、実施形態1から29までのいずれか1つに記載の組成物。
【0385】
31.メタロプロテイナーゼ切断部位が、アミノ酸配列ELAELRを含む、実施形態30に記載の組成物。
【0386】
32.変異が、アミノ酸配列ELAELRの置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位のうちの1つまたは複数を含む、実施形態31に記載の組成物。
【0387】
33.非切断型FASLが、
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
(配列中、X1はグルタミン酸(E)ではない、X2はロイシン(L)ではない、X3は、アラニン(A)ではない、X4はグルタミン酸(E)ではない、X5は、ロイシン(L)ではない、またはX6はアルギニン(R)ではない)
のアミノ酸配列を含む、実施形態30から32までのいずれか1つに記載の組成物。
【0388】
34.非切断型FASLが、
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
(配列中、X1はグルタミン酸(E)ではなく、X2はロイシン(L)ではなく、X3は、アラニン(A)ではなく、X4はグルタミン酸(E)ではなく、X5は、ロイシン(L)ではなく、かつ、X6はアルギニン(R)ではない)
のアミノ酸配列を含む、実施形態30から32までのいずれか1つに記載の組成物。
【0389】
35.gRNAを含む配列が、標的RNA配列に特異的に結合するスペーサー配列をさらに含む、実施形態6に記載の組成物。
【0390】
36.スペーサー配列が、標的RNA配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、87%、90%、95%、97%、99%またはその間の任意のパーセンテージの相補性を有する、実施形態35に記載の組成物。
【0391】
37.スペーサー配列が、標的RNA配列に対して100%の相補性を有する、実施形態35に記載の組成物。
【0392】
38.スペーサー配列が、20ヌクレオチドを含むまたはそれからなる、実施形態35から37までのいずれか1つに記載の組成物。
【0393】
39.スペーサー配列が、21ヌクレオチドを含むまたはそれからなる、実施形態35から37までのいずれか1つに記載の組成物。
【0394】
40.スペーサー配列が、配列UGGAGCGAGCAUCCCCCAAA(配列番号1)、GUUUGGGGGAUGCUCGCUCCA(配列番号2)、CCCUCACUGCUGGGGAGUCC(配列番号3)、GGACUCCCCAGCAGUGAGGG(配列番号4)、GCAACUGGAUCAAUUUGCUG(配列番号5)、GCAGCAAAUUGAUCCAGUUGC(配列番号6)、GCAUUCUUAUCUGGUCAGUGC(配列番号7)、GCACUGACCAGAUAAGAAUG(配列番号8)、GAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号9)、GCAGGCAGGCAGGCAGGCAGG(配列番号10)、GCCCCGGCCCCGGCCCCGGC(配列番号11)、またはGCTGCTGCTGCTGCTGCTGC(配列番号12)、GGGGCCGGGGCCGGGGCCGG(配列番号74)、GGGCCGGGGCCGGGGCCGGG(配列番号75)、GGCCGGGGCCGGGGCCGGGG(配列番号76)、GCCGGGGCCGGGGCCGGGGC(配列番号77)、CCGGGGCCGGGGCCGGGGCC(配列番号78)、CGGGGCCGGGGCCGGGGCCG(配列番号79)を含む、実施形態39に記載の組成物。
【0395】
41.gRNAを含む配列が、RNA結合性タンパク質に特異的に結合する足場配列をさらに含む、実施形態6、11、13から14まで、17から23まで、25、および28から40までのいずれか1つに記載の組成物。
【0396】
42.足場配列が、ステムループ構造を含む、実施形態41に記載の組成物。
【0397】
43.足場配列が、90ヌクレオチドを含むまたはそれからなる、実施形態41または42に記載の組成物。
【0398】
44.足場配列が、93ヌクレオチドを含むまたはそれからなる、実施形態41または42に記載の組成物。
【0399】
45.足場配列が、配列GUUUAAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUUU(配列番号13)を含む、実施形態44に記載の組成物。
【0400】
46.スペーサー配列が、配列GUGAUAAGUGGAAUGCCAUG(配列番号14)、CUGGUGAACUUCCGAUAGUG(配列番号15)、またはGAGATATAGCCTGGTGGTTC(配列番号16)を含む、実施形態45に記載の組成物。
【0401】
47.足場配列が、85ヌクレオチドを含むまたはそれからなる、実施形態41または42に記載の組成物。
【0402】
48.足場配列が、配列GGACAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUU(配列番号17)を含む、実施形態47に記載の組成物。
【0403】
49.スペーサー配列が、配列CUG(配列番号18)、CCUG(配列番号19)、CAG(配列番号80)、GGGGCC(配列番号81)またはこれらの任意の組合せの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのリピートの配列を含む、実施形態48に記載の組成物。
【0404】
50.足場配列が、配列GUUUAAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUUU(配列番号82)またはGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUUU(配列番号83)を含む、実施形態41または42に記載の組成物。
【0405】
51.gRNAが、RNA分子内の第2の配列に結合しないまたは選択的には結合しない、実施形態6、11、13から14まで、17から23まで、25、および28から50までのいずれか1つに記載の組成物。
【0406】
52.RNAゲノムまたはRNAトランスクリプトームが、RNA分子を含む、実施形態6、11、13から14まで、17から23まで、25、および28から51までのいずれか1つに記載の組成物。
【0407】
53.RNA結合性ポリペプチドが、CRISPR−Cas、PUF、Pumilio、およびPPRからなる群から選択される、実施形態6、11、13から14まで、17から23まで、25、および28から52までのいずれか1つに記載の組成物。
【0408】
54.融合タンパク質が、RNA結合性ポリペプチドを含む、実施形態53に記載の組成物。
【0409】
55.融合タンパク質が、第1のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列および第2のRNA結合性ポリペプチドをコードする配列を含み、第1のRNA結合性ポリペプチドも第2のRNA結合性ポリペプチドも有意なDNAヌクレアーゼ活性を含まず、第1のRNA結合性ポリペプチドと第2のRNA結合性ポリペプチドが同一ではなく、かつ、第2のRNA結合性ポリペプチドが、RNAヌクレアーゼ活性を含む、実施形態54に記載の組成物。
【0410】
56.第1のRNA結合性タンパク質が、CRISPR−Casタンパク質を含む、実施形態55に記載の組成物。
【0411】
57.CRISPR−Casタンパク質が、II型CRISPR−Casタンパク質である、実施形態56に記載の組成物。
【0412】
58.第1のRNA結合性タンパク質が、Cas9ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む、実施形態57に記載の組成物。
【0413】
59.CRISPR−Casタンパク質が、V型CRISPR−Casタンパク質である、実施形態56に記載の組成物。
【0414】
60.第1のRNA結合性タンパク質が、Cpf1ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む、実施形態59に記載の組成物。
【0415】
61.CRISPR−Casタンパク質が、VI型CRISPR−Casタンパク質である、実施形態56に記載の組成物。
【0416】
62.
【0417】
第1のRNA結合性タンパク質が、Cas13ポリペプチドまたはそのRNA結合性部分を含む、実施形態61に記載の組成物。
【0418】
63.CRISPR−Casタンパク質が、ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性を含む、実施形態56から62までのいずれか1つに記載の組成物。
【0419】
64.ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性が、低下しているまたは阻害されている、実施形態63に記載の組成物。
【0420】
65.ネイティブなRNAヌクレアーゼ活性が、増加しているまたは誘導されている、実施形態63に記載の組成物。
【0421】
66.CRISPR−Casタンパク質が、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性を含み、ネイティブなDNAヌクレアーゼ活性が阻害されている、実施形態56から63までのいずれか1つに記載の組成物。
【0422】
67.CRISPR−Casタンパク質が、変異を含む、実施形態56から66までのいずれか1つに記載の組成物。
【0423】
68.変異がCRISPR−Casタンパク質のヌクレアーゼドメインに含まれる、実施形態67に記載の組成物。
【0424】
69.変異が、CRISPR−Casタンパク質をコードする核酸に存在する、実施形態67または68に記載の組成物。
【0425】
70.変異が、置換、挿入、欠失、フレームシフト、逆位、または転位を含む、実施形態67から69までのいずれか1つに記載の組成物。
【0426】
71.変異が、ヌクレアーゼドメイン、ヌクレアーゼドメイン内の結合性部位、ヌクレアーゼドメイン内の活性部位、またはヌクレアーゼドメイン内の少なくとも1つの必須アミノ酸残基の欠失を含む、実施形態67から69までのいずれか1つに記載の組成物。
【0427】
72.第1のRNA結合性タンパク質が、PumilioおよびFBF(PUF)タンパク質を含む、実施形態55に記載の組成物。
【0428】
73.第1のRNA結合性タンパク質が、Pumilioに基づくアセンブリ(PUMBY)タンパク質を含む、実施形態72に記載の組成物。
【0429】
74.第1のRNA結合性タンパク質が、RNA結合活性のために多量体形成を必要としない、実施形態55から73までのいずれか1つに記載の組成物。
【0430】
75.第1のRNA結合性タンパク質が、多量体複合体の単量体ではない、実施形態55から74までのいずれか1つに記載の組成物。
【0431】
76.多量体タンパク質複合体が、第1のRNA結合性タンパク質を含まない、実施形態55から75までのいずれか1つに記載の組成物。
【0432】
77.第1のRNA結合性タンパク質が、RNA分子内の標的配列に選択的に結合する、実施形態55から76までのいずれか1つに記載の組成物。
【0433】
78.第1のRNA結合性タンパク質が、RNA分子内の第2の配列に対する親和性を含まない、実施形態55から77までのいずれか1つに記載の組成物。
【0434】
79.第1のRNA結合性タンパク質が、RNA分子内の第2の配列に対して高い親和性を含まず、またそれに選択的に結合しない、実施形態55から78までのいずれか1つに記載の組成物。
【0435】
80.RNAゲノムまたはRNAトランスクリプトームが、RNA分子を含む、実施形態55から79までのいずれか1つに記載の組成物。
【0436】
81.第1のRNA結合性タンパク質が、端点を含めて、2アミノ酸から1300アミノ酸の間を含む、実施形態55から80までのいずれか1つに記載の組成物。
【0437】
82.第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列が、核局在化シグナル(NLS)をコードする配列をさらに含む、実施形態55から81までのいずれか1つに記載の組成物。
【0438】
83.核局在化シグナル(NLS)をコードする配列が、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列に対して3’側に位置する、実施形態82に記載の組成物。
【0439】
84.第1のRNA結合性タンパク質が、C末端にNLSを含む、実施形態82に記載の組成物。
【0440】
85.第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列が、第1のNLSをコードする第1の配列および第2のNLSをコードする第2の配列をさらに含む、実施形態55から81までのいずれか1つに記載の組成物。
【0441】
86.第1のNLSまたは第2のNLSをコードする配列が、第1のRNA結合性タンパク質をコードする配列に対して3’側に位置する、実施形態85に記載の組成物。
【0442】
87.第1のRNA結合性タンパク質が、C末端に第1のNLSまたは第2のNLSを含む、実施形態85に記載の組成物。
【0443】
88.第2のRNA結合性タンパク質が、ヌクレアーゼドメインを含むまたはそれからなる、実施形態55から87までのいずれか1つに記載の組成物。
【0444】
89.第2のRNA結合性タンパク質をコードする配列が、RNAseを含むまたはそれからなる、実施形態88に記載の組成物。
【実施例】
【0445】
(実施例1:非自己治療用導入遺伝子に対する適応免疫応答の防止)
非自己治療用導入遺伝子を標的組織にウイルス手段または非ウイルス手段によって送達する。この治療薬に対する適応免疫応答を防止するために、変異体FASL(mFASL)をコードするDNAを伴うベクターをAAVによって共送達する。mFASL発現は、TNFαまたはIL−6シグナル伝達により活性化されるプロモーターによって駆動される(図3A)。このmFASLの調節された発現では、活性化T細胞の存在下でのみmFASLの発現が誘導される。次に、T細胞が、活性化された場合にのみmFASL媒介性死に対して感受性になる。2種のAAV−9導入ベクター、1)Cas13dおよびガイドRNAをコードするもの、および2)IL−6により調節されるプロモーターによって駆動されるmFASLをコードするものを作製した。以下のIL−6により調節されるプロモーターを比較した:
【0446】
i.CALCBプロモーター:
【化160-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化160-2】
[この文献は図面を表示できません]
ii.BCAR3プロモーター:
【化161-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化161-2】
[この文献は図面を表示できません]
iii.CCAR6プロモーター:
【化162-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化162-2】
[この文献は図面を表示できません]
iv.COL6A3プロモーター:
【化163-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化163-2】
[この文献は図面を表示できません]
v.CXCR5プロモーター:
【化164-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化164-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0447】
AAV−9調製物を標準の技法(三重トランスフェクション法)に従って生成し、IDX勾配超遠心分離によって精製した。AAVをPBSに対する透析後にqPCRによって滴定した。次に、上記の3つのAAVバージョンのうち1つを野生型FVB系統マウスの前脛骨筋に注射し(総体積30μL、2*1010vg、1*1011vgまたは4*1012vg)、その後、毎日の臨床的観察に供する(ベクター1とベクター2、3、またはPBSのいずれかの対側性注射。各組合せ、1/2、1/3、1/PBSについてマウス4匹)。注射の1週間後、4週間後、および6週間後にマウスを屠殺する。各動物について、RNA/タンパク質評価および遺伝子発現の変化のために前脛骨筋(注射部位)の近位半分、心臓、脾臓、肝臓(代表的な部分、すなわち、葉の一片)および腎臓を採取し、個別に(対の器官以外)クライオバイアルに入れ、液体窒素中で急速冷凍する。前脛骨筋の他方の半分はOCTに包埋し、凍結させる。前脛骨筋を横断的に切断する。
【0448】
凍結組織からのRNA単離を、RNAeasyカラム(Qiagen)を用い、製造者のプロトコールに従って行う。RNAの質および濃度をNanodrop分光光度計を使用して推定する。cDNA調製を、Superscript III(Thermo)を使用し、ランダムプライマーを用い、製造者のプロトコールに従って行う。qPCRを行って、3つのマウス群(ベクター1/2、1/3、1/PBS)の間で組織におけるCas9のレベルを評価する。
【0449】
切片作製した前脛骨筋を用いた免疫蛍光法を行って、免疫細胞の浸潤を測定する(CD3およびCD45染色)。
【0450】
(実施例2:非自己治療用導入遺伝子に対する適応免疫応答の防止)
非自己治療用導入遺伝子を標的組織にウイルス手段または非ウイルス手段によって送達する。この治療薬に対する適応免疫応答を防止するために、変異体FASL(mFASL)をコードするDNAを伴うベクターをウイルス手段または非ウイルス手段によって共送達する。mFASL mRNAは、FASLのコード配列を分割するイントロンを含有する(図3B)。このイントロンには、隣接するエクソンのスプライシングを妨げるイントロンと部分的に相補的な単一ガイドRNAを伴うRNA結合性タンパク質Cas13dが結合している。Cas13dガイドRNAは、発現がTNFαまたはIL−6シグナル伝達によって調節される遺伝子と完全に相補的であり、したがって、TNFαまたはIL−6シグナル伝達の際にmFASLスプライシングが遮断から解放される。ガイドRNAが以下の遺伝子にコードされるmRNAと完全に相補的である系を構築した:BCAR3、CALCB、CCR6、COL6A3、CXCR5、DHRS9、FLT1、FNBP1L、FNDC9、GBP4、GPR87、GZMB、HOPX、HSD11B1、IFIT2、IFNL1、IGFBP6、IL12RB2、IL1R1、IL1R2、IL23R、IL24、KCNK18、MAF、NAPSA、PALLD、PRG4、PSD3、RORA、TNFSF1、TNFSF13B、TSHZ2。2種のAAV−9導入ベクター、1)Cas13dおよびガイドRNAをコードするもの、ならびに2)イントロンが介在するmFASL構築物をコードするものを作製した。
【0451】
AAV−9調製物を標準の技法(三重トランスフェクション法)に従って生成し、IDX勾配超遠心分離によって精製した。AAVをPBSに対する透析後にqPCRによって滴定した。次に、操作されたmFASL構築物およびCas13dを含有するベクターと共に、非自己導入遺伝子をコードするAAVを、野生型FVB系統マウスの前脛骨筋に注射し(総体積30μL、2*1010vg、1*1011vgまたは4*1012vg)、その後、毎日の臨床的観察に供した。ベクター1とベクター2、3、またはPBSのいずれかの対側性注射。各組合せ、1/2、1/3、1/PBSについてマウス4匹)。注射の1週間後、4週間後、および6週間後にマウスを屠殺する。各動物について、RNA/タンパク質評価および遺伝子発現の変化のために前脛骨筋(注射部位)の近位半分、心臓、脾臓、肝臓(代表的な部分、すなわち、葉の一片)および腎臓を採取し、個別に(対の器官以外)クライオバイアルに入れ、液体窒素中で急速冷凍する。前脛骨筋の他方の半分はOCTに包埋し、凍結させる。前脛骨筋を横断的に切断する。
【0452】
凍結組織からのRNA単離を、RNAeasyカラム(Qiagen)を用い、製造者のプロトコールに従って行う。RNAの質および濃度をNanodrop分光光度計を使用して推定する。cDNA調製を、Superscript III(Thermo)を使用し、ランダムプライマーを用い、製造者のプロトコールに従って行う。qPCRを行って、3つのマウス群(ベクター1/2、1/3、1/PBS)の間で組織におけるCas9のレベルを評価する。
【0453】
切片作製した前脛骨筋を用いた免疫蛍光法を行って、免疫細胞の浸潤を測定する(CD3およびCD45染色)。
【0454】
(実施例3:筋強直性ジストロフィーI型(DM1)の処置)
本開示の組成物を、筋強直性ジストロフィーI型(DM1)を処置するために使用し、その場合、治療用導入遺伝子で構成されるRNA標的化CRISPR系(Cas9またはCas13d、およびDM1を引き起こすCUGリピートを標的とする対応する単一ガイドRNA)を患者の筋肉または中枢神経系に送達する。mFASLが存在することにより、Cas9またはCas13dに特異的であり、処置された細胞に対して潜在的に細胞傷害性であるT細胞の排除が引き起こされる。
【0455】
(実施例4:血友病の処置)
本開示の組成物を、血友病を処置するために使用する。血友病を処置するためには、第IX因子などの分泌型導入遺伝子を使用する。第IX因子の発現カセットをmFASLと共に有するベクターにより、第IX因子を発現する細胞に対する適応免疫応答が低減、排除、または防止される。
【0456】
(実施例5:非自己治療用導入遺伝子に対する適応免疫応答の防止と同時のAAV反復投与に対する免疫応答の防止)
本開示の組成物は、AAVウイルスカプシドタンパク質の全部または一部で構成される発現したポリペプチドを含有するAAVベクターを含み得る。AAVカプシドポリペプチドは、系を送達するために使用する血清型と同一である。このAAVカプシドポリペプチドの同時発現により、AAVカプシドに特異的なT細胞の排除が上記の様式で引き起こされる。これにより、AAVカプシドに対する細胞性免疫および体液性免疫の両方を調節し得るT細胞の枯渇が引き起こされる。これにより、同じAAV血清型の反復投薬が可能になる。本開示の組成物の非存在下で、および、本開示の組成物の開発前に標準治療を使用すると、ウイルスカプシドに対する適応免疫応答の形成に起因して、個々のAAV血清型を患者において1回よりも多く使用することができない可能性がある。
【0457】
本開示の組成物は、遺伝子治療の第1の投与の間に不完全な治療的移入が起こる状況または第2の用量が望ましい状況において有用であり得る。この場合、第2の用量を超えたその後の用量が望ましい場合を除き、遺伝子治療の第2の用量にはmFASLおよびAAVカプシドポリペプチドが存在する必要はない。1つの状況は、単回用量で筋肉に形質導入する必要があるウイルスの体積が極端に大きい骨格筋などの大きな器官の処置中であり得る。別の状況は、最初の処置では標的とされる細胞の十分な感染がもたらされない脳または脊椎への複雑な投与方法を伴う処置中であり得る。
【0458】
参照による組込み
あらゆる相互参照されるまたは関連する特許または出願を含めた、本明細書において引用されているあらゆる文書は、明白に排除されるまたは他のやり方で限定される場合を除き、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いずれの文書の引用も、それが本明細書に開示されるもしくは特許請求されるあらゆる発明に対して先行技術であること、または、単独で、もしくは任意の他の参考文献(複数可)との任意の組合せで、あらゆるそのような発明を教示、示唆もしくは開示するものであることを認めるものではない。さらに、本文書における用語のいずれかの意味または定義が参照により組み込まれる文書における同じ用語のいずれかの意味または定義と矛盾する範囲では、本文書におけるその用語に割り当てられた意味または定義が支配するものとする。
【0459】
他の実施形態
本開示の特定の実施形態を例示し、記載したが、種々の他の変化および改変を本開示の主旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲内に入るそのような変化および改変の全てを包含する。
図1A
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図1B
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図2A
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図2B
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図3A
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図3B
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図3C
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図3D
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図3E
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図3F
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【配列表】
2021533803000001.app
【国際調査報告】
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