特表2021-533823(P2021-533823A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-533823(P2021-533823A)
(43)【公表日】2021年12月9日
(54)【発明の名称】遺伝子改変細菌とその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/19 20060101AFI20211112BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20211112BHJP
   C12P 33/00 20060101ALI20211112BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20211112BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20211112BHJP
   C07J 9/00 20060101ALI20211112BHJP
【FI】
   C12N1/19ZNA
   C12N15/31
   C12P33/00
   C12M1/00 C
   C12N15/53
   C07J9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】102
(21)【出願番号】特願2021-531189(P2021-531189)
(86)(22)【出願日】2019年8月9日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月7日
(86)【国際出願番号】EP2019071468
(87)【国際公開番号】WO2020030799
(87)【国際公開日】20200213
(31)【優先権主張番号】1812997.3
(32)【優先日】2018年8月9日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521059549
【氏名又は名称】キャンブレックス カールスクーガ アーベー
(71)【出願人】
【識別番号】519446539
【氏名又は名称】ライクスユニバーシタイト フローニンゲン
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナイト,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ブラネビー,セシリア クヴァーンストレーム
(72)【発明者】
【氏名】ダイクハウゼン,リュベルト
(72)【発明者】
【氏名】ペトルスマ,ジャネット マリア
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス デ ラ ヘラ,ラウラ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
4B065
4C091
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB02
4B029GA08
4B029GB10
4B064AH07
4B064CA02
4B064CA19
4B064CC24
4B064CD19
4B064CD30
4B064DA01
4B065AA36X
4B065AA45X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA04
4B065CA46
4C091AA01
4C091BB01
4C091BB05
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE04
4C091EE07
4C091FF01
4C091GG01
4C091GG02
4C091GG13
4C091HH01
4C091HH04
4C091JJ03
4C091KK01
4C091KK12
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA05
4C091PB03
4C091PB04
4C091QQ01
4C091RR20
(57)【要約】
例えばActinobacteria綱の遺伝子改変細菌、およびステロイド基質の目的のステロイド生成物への生物変換におけるそのような細菌の使用。ステロイド基質を目的のステロイド生成物に変換する方法であって、その方法は、請求項1〜28のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌を培養培地に植菌することと、目標のOD600に到達するまでその細菌培養物を増殖させることと、目標のOD600に到達したその細菌培養物へステロイド基質を添加することと、そのステロイド基質がその目的のステロイド生成物に変換されるように細菌培養物を培養することと、その細菌培養物からその目的のステロイド生成物を抽出および/または精製することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多環式ステロイド環系の分解前のステロイド代謝経路が遮断された遺伝子改変細菌であって、前記細菌はステロイド側鎖分解経路が中断され、および前記細菌はステロイド基質を目的のステロイド生成物に変換する、遺伝子改変細菌。
【請求項2】
前記ステロイド側鎖分解経路の前記中断が第1のβ酸化のサイクルの後に起こる、請求項1に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項3】
前記ステロイド基質がステロール基質である、請求項1または2に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項4】
前記ステロール基質が、
【化1】

β−シトステロール、
【化2】

7−オキソ−β−シトステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−シトステロール、
【化3】

コレステロール、
【化4】

7−オキソ−コレステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−コレステロール、
【化5】

カンペステロール、
【化6】

スチグマステロール、
【化7】

フコステロール、
7−オキソ−フィトステロール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項5】
前記目的のステロイド生成物が完全なままの多環式環系を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項6】
前記目的のステロイド生成物が5個の炭素の骨格を有する側鎖を有するステロイド化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項7】
前記目的のステロイド生成物が、
【化8】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化9】

コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化10】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化11】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化12】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化13】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化14】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化15】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化16】

(式中、Rはヒドロキシルまたはオキソであり得る)、
【化17】

3−オキソ−23,24−ビスノル−4−コレン−22−酸(4−BNC)、
【化18】

3−オキソ−23,24−ビスノル−1,4−コラジエン−22−酸(1,4−BNC)、またはそれらの多様体である、請求項5に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項8】
前記目的のステロイド生成物が、
【化19】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化20】

コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化21】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化22】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化23】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化24】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化25】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化26】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化27】

(式中、Rはヒドロキシルまたはオキソであり得る)、またはそれらの多様体である、請求項5または6に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項9】
前記細菌がActinobacteria綱またはGammaproteobacteria綱の細菌である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項10】
前記Actinobacteria綱の前記細菌が、Rhodococcus種、Mycobacterium種、Nocardia種、Corynebacterium種、またはArthrobacter種である、請求項9に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項11】
前記Rhodococcus種がRhodococcus rhodochrous、Rhodococcus erythropolis、Rhodococcus jostii、Rhodococcus ruber、好ましくはRhodococcus rhodochrousである、請求項10に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項12】
前記Mycobacterium種が、Mycobacterium neoaurum、Mycobacterium smegmatis、Mycobacterium tuberculosis、またはMycobacterium fortuitum、好ましくはMycobacterium neoaurumである、請求項10に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項13】
前記Nocardia種が、Nocardia restrictus、Nocardia corallina、またはNocardia opacaである、請求項10に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項14】
前記Arthrobacter種が、Arthrobacter simplexである、請求項10に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項15】
前記遺伝子改変が、kshA1(配列番号1)、kshA2(配列番号2)、kshA3(配列番号3)、kshA4(配列番号4)、およびkshA5(配列番号5)の遺伝子、またはそれらの相同体の不活性化を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項16】
前記遺伝子改変が、配列番号5を含むkshA5遺伝子またはその相同体の野生型コピーの再導入をさらに含む、請求項15のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項17】
前記遺伝子改変が、kshA1(配列番号1)、kshA2(配列番号2)、kshA3(配列番号3)、およびkshA4(配列番号4)の遺伝子、またはそれらの相同体の不活性化を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項18】
前記遺伝子改変が、kstD1(配列番号6)、kstD2(配列番号7)、およびkstD3(配列番号8)の遺伝子、またはそれらの相同体の不活性化をさらに含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項19】
前記遺伝子改変が、fadE34(配列番号9、配列番号12)、fadE34#2(配列番号10)の遺伝子のうちの1つ以上、またはその相同体の不活性化を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項20】
前記遺伝子改変が、fadE26(配列番号11)の遺伝子、またはその相同体の不活性化をさらに含む、請求項19に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項21】
前記遺伝子の不活性化が遺伝子の欠失によるものである、請求項15〜20のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項22】
前記相同体が、請求項15〜21で定義された遺伝子のヌクレオチド配列と少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する、請求項15〜21のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項23】
前記相同体が、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する、請求項22に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項24】
前記相同体が、請求項15〜21で定義された遺伝子によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項15〜21のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項25】
前記相同体が、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項24に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項26】
LM9(寄託番号NCIMB43058)、LM19(寄託番号NCIMB43059)、またはLM33(寄託番号NCIMB43060)の菌株の遺伝子改変Rhodococcus rhodochrous細菌。
【請求項27】
NRRL B−3805 Mneo−ΔfadE34(寄託番号NCIMB43057)の菌株の遺伝子改変Mycobacterium neoaurum細菌。
【請求項28】
ステロイド基質の目的のステロイド化合物への前記変換において使用するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌。
【請求項29】
ステロイド基質を目的のステロイド生成物に変換する方法であって、
(a)請求項1〜27のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌を培養培地に植菌し、目標OD600に達するまで細菌培養物を増殖させるステップと、
(b)前記目標OD600に達したときに、ステロイド基質を前記細菌培養物に添加するステップと、
(c)前記ステロイド基質が前記目的のステロイド生成物に変換されるように細菌培養物を培養するステップと、
(d)前記細菌培養物から前記目的のステロイド生成物を抽出および/または精製するステップと、を含む方法。
【請求項30】
前記培養培地がLB培地または最小培地である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(a)において前記細菌培養物が、少なくとも1.0、好ましくは少なくとも4.0、より好ましくは少なくとも4.5、最も好ましくは少なくとも5.0の目標OD600まで増殖される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記ステロイド基質がステロール基質である、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ステロール基質が、
【化28】

β−シトステロール、
【化29】

7−オキソ−β−シトステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−シトステロール、
【化30】

コレステロール、
【化31】

7−オキソ−コレステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−コレステロール、
【化32】

カンペステロール、
【化33】

スチグマステロール、
【化34】

フコステロール、
7−オキソ−フィトステロール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記目的のステロイド生成物が完全なままの多環式環系を含む、請求項29〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記目的のステロイド生成物が5個の炭素の骨格を有する側鎖を有するステロイド化合物である、請求項29〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記目的のステロイド生成物が
【化35】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化36】

コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化37】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化38】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化39】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化40】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化41】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化42】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化43】

(式中、Rはヒドロキシルまたはオキソであり得る)、
【化44】

3−オキソ−23,24−ビスノル−4−コレン−22−酸(4−BNC)、
【化45】

3−オキソ−23,24−ビスノル−1,4−コラジエン−22−酸(1,4−BNC)、またはそれらの多様体である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記目的のステロイド生成物が、
【化46】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化47】

コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化48】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化49】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化50】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化51】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化52】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化53】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化54】

(式中、Rはヒドロキシルまたはオキソであり得る)、またはそれらの多様体である、請求項34または35に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(b)において、前記ステロイド基質が、少なくとも0.1mM、少なくとも0.2mM、少なくとも0.3mM、少なくとも0.4mM、少なくとも0.5mM、少なくとも0.6mM、少なくとも0.7mM、少なくとも0.8mM、少なくとも0.9mM、少なくとも1.0mM、少なくとも1.1mM、少なくとも1.2mM、少なくとも1.3mM、少なくとも1.4mM、少なくとも1.5mM、少なくとも1.6mM、少なくとも1.7mM、少なくとも1.8mM、少なくとも1.9mM、または少なくとも2.0mMの濃度で添加される、請求項29〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ステロイド基質が、少なくとも1mM、好ましくは少なくとも1.5mM、より好ましくは少なくとも2.0mMの濃度で添加される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(b)において、シクロデキストリン、好ましくはβ−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンが前記培養培地に添加される、請求項29〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記シクロデキストリンがβ−シクロデキストリン、好ましくはメチル−β−シクロデキストリンまたは2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記シクロデキストリンが1mM〜25mM、好ましくは5mM〜25mMの濃度で添加される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記シクロデキストリンが、少なくとも1mM、好ましくは少なくとも5mM、より好ましくは少なくとも12.5mM、最も好ましくは少なくとも25mMの濃度で添加される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(b)において、有機溶媒が前記培養培地に添加される、請求項29〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記有機溶媒がエタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはアセトン、好ましくはエタノールである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記有機溶媒が、1%〜20%、2%〜19%、3%〜18%、4%〜17%、5%〜16%、6%〜15%、7%〜14%、8%〜13%、9%〜12%、10%〜11%、好ましくは5%〜20%、より好ましくは5%〜15%の体積/体積(v/v)濃度で添加される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(b)において、シクロデキストリンおよび有機溶媒が前記培地に添加される、請求項29〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記シクロデキストリンが1mM〜25mMの濃度で添加され、前記有機溶媒が1%〜10%の体積/体積(v/v)濃度で添加され、より好ましくは前記シクロデキストリンが1mM〜10mMの濃度で添加され、前記有機溶媒が1%〜10%の体積/体積(v/v)濃度で添加され、さらにより好ましくは前記シクロデキストリンが1mM〜5mMの濃度で添加され、前記有機溶媒が1%〜5%の体積/体積(v/v)濃度で添加され、最も好ましくは前記シクロデキストリンが5mMの濃度で添加され、前記有機溶媒が5%の体積/体積(v/v)濃度で添加される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記シクロデキストリンが少なくとも1mMの濃度で添加され、前記有機溶媒が少なくとも1%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得、好ましくは前記シクロデキストリンが少なくとも5mMの濃度で添加され、前記有機溶媒が5%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
請求項29〜49のいずれか一項の方法によって生成された目的のステロイド生成物。
【請求項51】
ステロイド基質を目的のステロイド生成物に変換するためのキットであって、前記キットが、
(a)請求項1〜27のいずれか一項に記載の遺伝子改変細菌と、
(b)前記キットの使用説明書と、を含む、キット。
【請求項52】
前記キットがステロイド基質をさらに含む、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
前記ステロイド基質がステロール基質である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記ステロール基質が、
【化55】

β−シトステロール、
【化56】

7−オキソ−β−シトステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−シトステロール、
【化57】

コレステロール、
【化58】

7−オキソ−コレステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−コレステロール、
【化59】

カンペステロール、
【化60】

スチグマステロール、
【化61】

フコステロール、
7−オキソ−フィトステロール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
前記キットが、シクロデキストリン、好ましくはβ−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンをさらに含む、請求項51〜54のいずれか一項に記載のキット。
【請求項56】
前記シクロデキストリンがβ−シクロデキストリン、好ましくはメチル−β−シクロデキストリンまたは2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンである、請求項55に記載のキット。
【請求項57】
前記キットが有機溶媒をさらに含む、請求項51〜56のいずれか一項に記載のキット。
【請求項58】
前記有機溶媒がエタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはアセトン、好ましくはエタノールである、請求項57に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子改変細菌および目的のステロイド化合物へのステロイド基質の生物変換におけるそのような細菌の使用に関する。その遺伝子改変細菌は、Rhodococcus属またはMycobacterium属に由来し得る。
【0002】
ステロイドは広く多様な種類の有機化合物であり、真核生物において多くの重要な機能を有している。たとえば、天然に存在するステロイドは、細胞膜の流動性の維持、男性と女性の生殖器系の機能の制御、および炎症の調節に関与している。
【0003】
ステロイド制御経路を介したシグナル伝達は様々なプロセスで重要であるため、合成的に生成されたステロイド薬を使用してこれらの経路を調節する能力は、それらが医薬品の重要な分野であることを意味する。例えば、コルチコステロイドは喘息や関節リウマチなどの症状の治療のための抗炎症薬として使用され、合成ステロイドホルモンはホルモン避妊薬として広く使用され、ならびにアナボリックステロイドは筋肉量および運動能力を高めるために使用され得る。
【0004】
医薬品として使用するためのステロイドの合成には、天然ステロール前駆体からの半合成またはより単純な有機分子からの全合成のいずれかを伴う。コレステロールなどのステロール前駆体からの半合成は、しばしば細菌の使用を伴う。細菌を使用してこれらの生物変換を実行する利点は、合成に伴うステップが少なく、および酵素によって実行される反応が立体特異的であり、結果として従来の化学合成で使用される保護および脱保護を必要とせずに所望の異性体の生成がもたらされることである。次に、細菌の生物変換の生成物は、医薬品として、または目的の化合物を生成するためのさらなる化学修飾の前駆体として使用され得る。
【0005】
ステロイドは、植物、動物および真菌種の両方で自然に発生し、ならびに特定の細菌種によって生成される。それらはごく少数の細菌種でのみ自然に発生するにもかかわらず、いくつかの細菌種は成長基質としてステロール化合物を代謝し得る。ステロール化合物を分解し得る細菌の例には、Rhodococcus属およびMycobacterium属に由来する細菌を含む。
【0006】
細菌のステロール代謝経路には、ステロール側鎖の進行性酸化および多環式環系の分解を伴う。Rhodococcusにおけるステロール側鎖分解の経路は、変異体株を使用して以前に調査されており(Wilbrink et al,2011.Applied and Environmental Microbiology,77(13):4455−4464)、そしてコレステロール異化経路の概要を図1に示す。多環式環系の破壊の前に分解経路を遮断して、そして得られる収量を改善するため側鎖酸化の様々な時点で目的のステロイド化合物の蓄積を可能にする遺伝子改変によってステロイド化合物の生成に細菌種を使用し得ることが今や見出された。
【0007】
第1の態様において、本発明は、多環式ステロイド環系の分解の前にステロイド代謝経路において遮断された遺伝子改変細菌を提供し、その細菌は、ステロイド側鎖分解経路において中断され、および、その細菌は、目的のステロイド生成物にステロイド基質を変換する。
【0008】
「ステロイド」または「ステロイドの」化合物とは、以下に示すステロイドコア構造に由来する天然または合成有機化合物の種類の意味を含む(IUPAC承認の環標記および原子の番号付け)。
【化1】
【0009】
ステロイド化合物は一般に4つの縮合環(3つの6員シクロヘキサン環(上記の環A、B、C)と1つの5員シクロペンタン環(上記の環D))を含み、その4環コアに結合した官能基によっておよびその環の酸化状態によって異なる。たとえば、ステロールはステロイド化合物のサブグループであり、明確な特徴の1つは、3位または上記の構造にヒドロキシ基(OH)が存在することである。上記の図において20〜27でラベル化された原子(24位および24位を含む)によって形成された構造は、ステロイド側鎖と呼ばれる。ステロイドの非限定的な例は、ステロール、3−オキソ−4−コレン酸、3−オキソ−コラ−4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、3−オキソ−23,24−ビスノル−4−コレン−22−酸(4−BNC)、3−オキソ−23,24−ビスノル−1,4−コラジエン−22−酸(1,4−BNC)、4−アンドロステン−3,17−ジオン(AD)、1,4−アンドロスタジエン−3,17−ジオン(ADD)、性ステロイド(例えば、プロゲステロン、テストステロン、エストラジオール)、コルチコステロイド(例えば、コルチゾール)、ニューロステロイド(例えば、DHEAおよびアロプレグナノロン)、およびセコステロイド(例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、およびカルシトリオール)を含む。ステロイド化合物の非限定的な例も図4に示す。
【0010】
「ステロイド側鎖分解経路が中断されている」とは、ステロイド側鎖の正常な分解が損なわれている細菌の意味を含む。通常、ステロイド側鎖の分解は、側鎖活性化の最初のサイクルと、それに続く3つの連続するβ酸化サイクル(すなわち、β酸化の第1、第2、および第3のサイクル)を伴う。中断のない側鎖分解経路では、側鎖分解ステップの最終生成物は通常、4−アンドロステン−3,17−ジオン(AD)である。したがって、ステロイド側鎖分解経路において中断された細菌は、ADの生成の上流にあるステロイド生成物を蓄積する。ステロールコレステロールおよびβ−シトステロールの提案される側鎖分解経路をそれぞれ図2図3に示す(Wilbrink,2011.Microbial sterol side chain degradation in Actinobacteria.Thesis)。
【0011】
「多環式ステロイド環系」とは、ステロイドの定義における上記のステロイドコア構造に見られる環のABCD系の意味を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ステロイド側鎖分解経路の中断は、β酸化の第1のサイクルの後に起こる。
【0013】
「β酸化の第1のサイクル」には、ステロイド側鎖分解経路におけるβ酸化の第1のサイクルの意味を含む(Wipperman et al,2014.Crit.Rev.Biochem.Mol.Biol.,49(4):269−293)。具体的には、β酸化の第1のサイクルは、側鎖の活性化サイクルのステップの直後であり、結果として側鎖の短縮およびC24ステロイド化合物の生成をもたらす。
【0014】
いくつかの実施形態において、ステロイド基質は、ステロール基質であり得る。特定の実施形態において、ステロール基質は、
【化2】

β−シトステロール、
【化3】

7−オキソ−β−シトステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−シトステロール、
【化4】

コレステロール、
【化5】

7−オキソ−コレステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−コレステロール、
【化6】

カンペステロール、
【化7】

スチグマステロール、
【化8】

フコステロール、
7−オキソ−フィトステロール、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0015】
「ステロール」とは、A環の3位にヒドロキシル基を有するステロイドのサブグループである脂質の種類に属する分子の意味を含む。ステロールは以下の一般的な構造を有する
【化9】
【0016】
ステロールはステロイドアルコールとも呼ばれ、植物(植物ステロール)、動物(動物ステロール)および真菌に自然に発生し、ならびに一部の細菌によっても生成され得る。ステロールの非限定的な例は、β−シトステロール、7−オキソ−β−シトステロール、7−ヒドロキシ−β−シトステロール、コレステロール、7−オキソ−コレステロール、7−ヒドロキシ−β−コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、フコステロール、7−オキソ−フィトステロール、アドステロール、アテロナール、アベナステロール、アザコステロール、セレビステロール、コレストロン、シクロアルテノール、7−デヒドロコレステロール、5−デヒドロエピステロール、7−デヒドロシトステロール、20α、22R−ジヒドロキシコレステロール、ジノステロール、エピブラシカステロール、エピステロール、エルゴステロール、エルゴステロールペルオキシド、フェコステロール、フコステロール、フンジステロール、ガノデリオール、ガノデルマジオール、7α−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、27−ヒドロキシコレステロール、イノトジオール、ラノステロール、ラトステロール、リチェステロール、ルシダジオール、ルミステロール、オキシコレステロール、オキシステロール、パーケオール、スピナステロール、トラメテノール酸、およびザイモステロールを含む。ステロールの非限定的な例も図5に示す。
【0017】
いくつかの実施形態において、目的のステロイド生成物は、完全なままの多環式環系を含む。
【0018】
「完全なままの多環式環系」とは、コアステロイド構造のABCD環系がまだ存在する、つまり、ABCD環系が、環のいずれかが開環または削除されるような分解および/または酸化を受けていないステロイド分子の意味を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、目的のステロイド生成物は、5個の炭素の骨格を有する側鎖を有するステロイド化合物である。
【0020】
「骨格」とは、5個の炭素原子の長さであるステロイド側鎖中の炭素原子の最長連続鎖の意味を含む。一般に、骨格の5つの炭素は、上記の「ステロイド」という用語の定義のステロイドコア構造の図に示されているように、20位、21位、22位、23位、および24位にある炭素である。
【0021】
特定の実施形態において、目的のステロイド生成物は、
【化10】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化11】
【0022】
コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化12】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化13】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化14】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化15】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化16】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化17】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化18】

(式中、Rはヒドロキシルまたはオキソであり得る)、
【化19】

3−オキソ−23,24−ビスノル−4−コレン−22−酸(4−BNC)、
【化20】

3−オキソ−23,24−ビスノル−1,4−コラジエン−22−酸(1,4−BNC)、またはそれらの多様体であり得る。
【0023】
他の好ましい実施形態では、目的のステロイド生成物は、
【化21】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化22】
【0024】
コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化23】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化24】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化25】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化26】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化27】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化28】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化29】

(式中、Rはヒドロキシルまたはオキソであり得る)、またはそれらの多様体であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、遺伝子改変細菌は、Actinobacteria綱またはGammaproteobacteria綱の細菌であり得る。
【0026】
特定の実施形態において、Actinobacteria綱の遺伝子改変細菌は、Rhodococcus種、Mycobacterium種、Nocardia種、Corynebacterium種、またはArthrobacter種であり得る。
【0027】
細菌がRhodococcus種の細菌である場合、そのRhodococcus種は、Rhodococcus rhodochrous、Rhodococcus erythropolis、Rhodococcus jostii、Rhodococcus ruber、好ましくはRhodococcus rhodochrousであり得る。
【0028】
細菌がMycobacterium種の細菌である場合、そのMycobacterium種は、Mycobacterium neoaurum、Mycobacterium smegmatis、Mycobacterium tuberculosisまたは Mycobacterium fortuitum、好ましくはMycobacterium neoaurumであり得る。
【0029】
細菌がNocardia種の細菌である場合、そのNocardia種は、Nocardia restrictus、Nocardia corallinaまたはNocardia opacaであり得る。
【0030】
細菌がArthrobacter種の細菌である場合、そのArthrobacter種はArthrobacter simplexであり得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、遺伝子改変された細菌は、1つ以上の遺伝子改変を含む。特定の実施形態において、遺伝子改変細菌の遺伝子改変はkshA1(配列番号1)、kshA2(配列番号2)、kshA3(配列番号3)、kshA4(配列番号ID NO:4)、kshA5(SEQ ID NO:5)の遺伝子、またはそれらの相同体の不活性化を含み得る。
【0032】
「遺伝子改変」とは、生物に存在する遺伝物質への人工的な変更または追加の意味を含む。例えば、遺伝子改変は、遺伝子もしくはゲノム領域の対象とされた欠失、遺伝子もしくはゲノム領域の対象とされた変異誘発(例えば、ポイント変異)、生物のゲノムへの遺伝子もしくは遺伝物質の追加(例えば、融合)、または細菌の場合は、そのような細胞のプラスミドでの形質転換であり得る。
【0033】
「相同体」とは、第1の遺伝子またはポリペプチドと同様の生物学的機能を有し、および第1の遺伝子またはポリペプチドとある程度の配列類似性をも有し得る第2の遺伝子またはポリペプチドの意味を含む。相同遺伝子は、対応する第1の遺伝子によってコードされるポリペプチドに対してある程度の配列類似性を示すポリペプチドをコードし得る。例えば、相同体は、共通の祖先遺伝子(オルソログ)に由来する異なる種の類似遺伝子であり得、または、相同体は、遺伝子重複イベント(パラログ)に由来する単一種のゲノム内の第2の類似遺伝子であり得る。相同遺伝子またはポリペプチドは、第1の遺伝子またはポリペプチドのヌクレオチドまたはアミノ酸配列とは異なるヌクレオチドまたはアミノ酸配列を有し得るが、それでも第1の遺伝子またはポリペプチドに関連する機能的特徴を維持する(例えば、相同ポリペプチドが酵素である場合、相同ポリペプチドは第1のポリペプチドと同じ反応を触媒する)。相同体のヌクレオチドまたはアミノ酸配列において起こり得る変異は、配列全体におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の違いによって、または前記配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の欠失、置換、挿入、反転または付加によって示され得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、遺伝子改変は、配列番号5含むkshA5遺伝子またはその相同体の野生型コピーの再導入をさらに含む。
【0035】
他の実施形態では、遺伝子改変は、kshA1(配列番号1)、kshA2(配列番号2)、kshA3(配列番号3)、およびkshA4(配列番号4)の遺伝子、またはその相同体の不活性化を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、遺伝子改変細菌の遺伝子改変は、kstD1(配列番号6)、kstD2(配列番号7)、およびkstD3(配列番号8)の遺伝子、またはその相同体の不活性化をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、遺伝子改変は、fadE34(配列番号9;配列番号12)、fadE34#2(配列番号10)の遺伝子のうちの1つ以上、またはそれらの相同体の不活性化を含む。
【0038】
他の好ましい実施形態では、遺伝子改変細菌の遺伝子改変は、fadE26(配列番号11)の遺伝子、またはその相同体の不活性化をさらに含む。
【0039】
遺伝子改変が遺伝子不活性化を含むいくつかの実施形態において、遺伝子活性化は遺伝子欠失によるものである。
【0040】
「遺伝子欠失」とは、遺伝子またはゲノム領域によってコードされる機能的ポリペプチド生成物(複数可)がその生物によって生成されないように、生物のゲノムから遺伝子またはゲノム領域のすべて、または実質的にすべてを除去することの意味を含む。
【0041】
特定の実施形態において、相同体は、第1の遺伝子のヌクレオチド配列と少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する。他の実施形態では、相同体は、第1の遺伝子のヌクレオチド配列と少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する。
【0042】
いくつかの実施形態において、相同体は、第1のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。相同体は、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする。
【0043】
「配列同一性」とは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列が類似している度合いの意味を含み、同一性の割合で測定される。最適なアラインメントは、比較ウィンドウ上で2つの最適に整列された配列を比較することによって決定され、比較ウィンドウ内のヌクレオチドまたはアミノ酸配列のフラグメントは、2つの配列の最適なアラインメントのための参照配列(追加または欠失を含まない)と比較して追加または欠失(例えば、ギャップまたはオーバーハング)を含み得る。割合は、両方の配列で同一のヌクレオチド塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定し、一致する位置の数を得、一致する位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、結果に100を掛けて、配列同一性の割合を得ることによって算出される。比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman Add.APL.Math.2:482(1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって、Needleman and Wunsch J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)85:2444(1988)の類似性法の検索によってこれらのアルゴリズムのコンピューター化された実装(GAP,BESTFIT,BLAST,PASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WI)、または調査によって、実施され得る。比較のために2つの配列が特定されていることを考えると、好ましくはGAPおよびBESTFITが使用されて最適なアラインメントを決定する。通常、ギャップの重みについては5.00、ギャップの重みの長さについては0.30のデフォルト値が使用される。
【0044】
特定の実施形態において、遺伝的改変Rhodococcus rhodochrous細菌は、LM9(寄託番号NCIMB43058)、LM19(寄託番号NCIMB43059)、またはLM33(寄託番号NCIMB43060)の菌株であり得る。
【0045】
特定の実施形態において、遺伝的改変Mycobacterium neoaurum細菌は、NRRL B−3805 Mneo−ΔfadE34(寄託番号NCIMB 43057)の菌株であり得る。
【0046】
第2の態様では、本発明は、目的のステロイド化合物へのステロイド基質の変換においてに使用するための第1の態様による遺伝子改変細菌を提供する。
【0047】
第3の態様では、本発明は、ステロイド基質を目的のステロイド生成物に変換する方法を提供し、
(a)第1または第2の態様による遺伝子改変細菌を培養培地に植菌し目標OD600に到達するまで、その細菌培養物を増殖させるステップと
(b)目標のOD600に達したときに、ステロイド基質をその細菌培養物へ添加するステップと、
(c)ステロイド基質が目的のステロイド生成物に変換されるように細菌培養物を培養するステップと、
(d)細菌培養物から目的のステロイド生成物を抽出および/または精製するステップを含む。
【0048】
「培地」とは、微生物または細胞の増殖を支持するように設計された固体、液体、または半固体の培地の意味を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、培養培地は、Luria−Bertani(LB)培地(10g/L トリプトン、5g/L 酵母エキス、10g/L NaCl)または最小培地(4.65g/L KHPO、1.5g/L NaHPO.HO、3g/L NHCl、1g/L MgSO.7HO、1ml/L Vishniac微量元素溶液)であり得る。
【0050】
特定の実施形態では、その方法のステップ(a)におけるその細菌培養物は、少なくとも0.25、少なくとも0.5、少なくとも0.75、少なくとも1.0、少なくとも1.5、少なくとも2.0、少なくとも2.5、少なくとも3.0、少なくとも3.5、少なくとも4.0、少なくとも4.1、少なくとも4.2、少なくとも4.3、少なくとも4.4、少なくとも4.5、少なくとも4.6、少なくとも4.7、少なくとも4.8、少なくとも4.9、または少なくとも5.0の目標OD600まで増殖させ得る。目標のOD600は、好ましくは、少なくとも1.0、より好ましくは少なくとも4.0、さらにより好ましくは少なくとも4.5、最も好ましくは少なくとも5.0であり得る。
【0051】
この方法のいくつかの実施形態では、ステロイド基質はステロール基質であり得る。特定の実施形態において、ステロール基質は、
【化30】

β−シトステロール、
【化31】

7−オキソ−β−シトステロールまたは7−ヒドロキシ−β−シトステロール、
【化32】

コレステロール、
【化33】

7−オキソ−コレステロールまたは7−ヒドロキシ−β−コレステロール、
【化34】

カンペステロール、
【化35】

スチグマステロール、
【化36】

フコステロール、
7−オキソ−フィトステロール、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0052】
この方法のいくつかの実施形態では、目的のステロイド生成物は、完全なままの多環式環系を含み得る。特定の実施形態において、目的のステロイド生成物は、5個の炭素の骨格を有する側鎖を有するステロイド化合物であり得る。
【化37】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化38】
【0053】
コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化39】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化40】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化41】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化42】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化43】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化44】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化45】

(式中、Rはヒドロキシルまたはオキソであり得る)、
【化46】

3−オキソ−23,24−ビスノル−4−コレン−22−酸(4−BNC)、
【化47】

3−オキソ−23,24−ビスノル−1,4−コラジエン−22−酸(1,4−BNC)、またはそれらの多様体。
【0054】
いくつかの好ましい実施形態において、目的のステロイド生成物は、
【化48】

3−オキソ−4−コレン酸、
【化49】
【0055】
コラ4,22−ジエン−24−酸、3−オキソ(CAS59648−73−6、または純粋なE異性体についてはCAS82637−22−7)、
【化50】

3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化51】

3−オキソ−9−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化52】

3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸、
【化53】

3−オキソ−1,4−コラジエン酸、
【化54】

3−オキソ−11−ヒドロキシ−4−コレン酸、
【化55】

(式中、Rはヒドロキシル、オキソ、またはハロゲンであり得る)、
【化56】

またはそれらの多様体であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、方法のステップ(b)において、ステロイド基質は、少なくとも0.1mM、少なくとも0.2mM、少なくとも0.3mM、少なくとも0.4mM、少なくとも0.5mM、0.6mM、少なくとも0.7mM、少なくとも0.8mM、少なくとも0.9mM、少なくとも1.0mM、少なくとも1.1mM、少なくとも1.2mM、少なくとも1.3mM、少なくとも1.4mM、少なくとも1.5mM、少なくとも1.6mM、少なくとも1.7mM、少なくとも1.8mM、少なくとも1.9mM、または少なくとも2.0mMの濃度で添加され得る。好ましくは、ステロイド基質は、少なくとも1mM、より好ましくは少なくとも1.5mM、最も好ましくは少なくとも2.0mMの濃度で添加され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、方法のステップ(b)において、シクロデキストリンが培養培地に添加され得る。
【0058】
「シクロデキストリン」とは、環状に結合した糖分子で構成される化合物の意味を含み、その環は1→4に結合した5つ以上のα−D−グルコピラノシド単位で構成される。シクロデキストリンの非限定的な例は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、および2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンを含む。
【0059】
特定の実施形態において、シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンであり得る。シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである場合、それはメチル−β−シクロデキストリンまたは2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンであり得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、1mM〜50mM、2mM〜45mM、3mM〜40mM、4mM〜35mM、5mM〜30mM、6mM〜29mM、7mM〜28mM、8mM〜27mM、9mM〜26mM、10mM〜25mM、11mM〜24mM、12mM〜23mM、13mM〜22mM、14mM〜21mM、15mM〜21mM、16mM〜20mM、17mM〜19mM、1mM〜18mMの濃度で添加される。好ましくは、シクロデキストリンは、1mM〜25mM、より好ましくは5mM〜25mMの濃度で添加され得る。
【0061】
他の実施形態では、シクロデキストリンは、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも3mM、少なくとも4mM、少なくとも5mM、少なくとも6mM、少なくとも7mM、少なくとも8mM、少なくとも9mM、少なくとも10mM、少なくとも11mM、少なくとも12mM、少なくとも13mM、少なくとも14mM、少なくとも15mM、少なくとも16mM、少なくとも17mM、少なくとも18mM、少なくとも19mM、少なくとも20mM、少なくとも21mM、少なくとも22mM、少なくとも23mM、少なくとも24mM、少なくとも25mM、少なくとも30mM、少なくとも35mM、少なくとも40mM、少なくとも45mM、または少なくとも50mMの濃度で添加される。好ましくは、シクロデキストリンは、少なくとも1mM、好ましくは少なくとも5mM、より好ましくは少なくとも12.5mM、最も好ましくは少なくとも25mMの濃度で添加される。
【0062】
いくつかの実施形態では、方法のステップ(b)において、有機溶媒が培養培地に添加され得る。
【0063】
「有機溶媒」とは、他の物質を溶解できる炭素ベース溶媒の意味を含む。有機溶媒の非限定的な例は、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびトルエンを含む。
【0064】
特定の実施形態において、有機溶媒は、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはアセトンであり得る。好ましくは、有機溶媒はエタノールであり得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、有機溶媒は、1%〜20%、2%〜19%、3%〜18%、4%〜17%、5%〜16%、6%〜15%、7%〜14%、8%、〜13%、9%〜12%、10%〜11%の体積/体積(v/v)濃度で培地に添加される。好ましくは、有機溶媒は、5%〜20%、より好ましくは5%〜15%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、または少なくとも20%の体積/体積(v/v)濃度で培地に添加される。好ましくは、有機溶媒は、少なくとも1%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。より好ましくは、有機溶媒は、少なくとも5%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法のステップ(b)において、シクロデキストリンおよび有機溶媒が培養培地に添加される。
【0068】
シクロデキストリンおよび有機溶媒が培地に添加される特定の実施形態において、シクロデキストリンは、1mM〜25mM、2mM〜24mM、3mM〜23mM、4mM〜22mM、5mM〜21mM、6mM〜20mM、7mM〜19mM、8mM〜18mM、9mM〜17mM、10mM〜16mM、11mM〜15mM、12mM〜14mM、1mM〜13mMの濃度で添加され、有機溶媒は1%〜20%、2%〜19%、3%〜18%、4%〜17%、5%〜16%、6%〜15%、7%〜14%、8%〜13%、9%〜12%、10%〜11%の体積/体積(v/v)濃度で添加される。好ましくは、シクロデキストリンは、1mM〜25mMの濃度で添加され得、有機溶媒は、1%〜10%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。より好ましくは、シクロデキストリンは1mM〜10mMの濃度で添加され得、有機溶媒は1%〜10%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。さらにより好ましくは、シクロデキストリンは1mM〜5mMの濃度で添加され得、有機溶媒は1%〜5%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。最も好ましくは、シクロデキストリンは5mMの濃度で添加され得、有機溶媒は5%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。
【0069】
シクロデキストリンおよび有機溶媒が培養培地に添加される他の実施形態では、シクロデキストリンは、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも3mM、少なくとも4mM、少なくとも5mM、少なくとも6mM、少なくとも7mM、少なくとも8mM、少なくとも9mM、少なくとも10mM、少なくとも11mM、少なくとも12mM、少なくとも13mM、少なくとも14mM、少なくとも15mM、少なくとも16mM、少なくとも17mM、少なくとも18mM、少なくとも19mM、少なくとも20mM、少なくとも21mM、少なくとも22mM、少なくとも23mM、少なくとも24mM、少なくとも25mM、の濃度で添加され、
有機溶媒は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、または少なくとも20%の体積/体積(v/v)濃度で添加される。好ましくは、シクロデキストリンは、少なくとも1mMの濃度で添加され得、有機溶媒は、少なくとも1%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。より好ましくは、シクロデキストリンは少なくとも5mMの濃度で添加され得、有機溶媒は5%の体積/体積(v/v)濃度で添加され得る。
【0070】
第4の態様では、本発明は、第3の態様の方法によって生成される目的のステロイド生成物を提供する。
【0071】
第5の態様において、本発明は、ステロイド基質を目的のステロイド生成物に変換するためのキットを提供し、このキットは、
(a)第1の側面による遺伝子改変細菌と、
(b)キットの使用説明書とを含む。
【0072】
そのキットは、ステロイド基質をさらに含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、ステロイド基質は、ステロール基質であり得る。特定の実施形態において、ステロール基質は、
【化57】

β−シトステロール、
【化58】

7−オキソ−β−シトステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−シトステロール、
【化59】

コレステロール、
【化60】

7−オキソ−コレステロールもしくは7−ヒドロキシ−β−コレステロール、
【化61】

カンペステロール、
【化62】

スチグマステロール、
【化63】

フコステロール、
7−オキソ−フィトステロール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、キットは、β−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンなどのシクロデキストリンをさらに含み得る。好ましくは、シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンであり、より好ましくは、メチル−β−シクロデキストリンまたは2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンである。
【0075】
いくつかの実施形態では、キットは、有機溶媒をさらに含み得る。特定の実施形態では、その有機溶媒は、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはアセトン、好ましくはエタノールである。
【0076】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは議論は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0077】
この開示で言及されている寄託物(寄託番号NCIMB43057、NCIMB43058、NCIMB43059、およびNCIMB43060)は、National Collection of Industrial、Food and Marine Bacteria、Ferguson Building、Craibstone Estate、Bucksburn、Aberdeen、AB219YA、英国に2018年5月29日にCambrex Karlskoga ABによって寄託された。
【0078】
本発明は、以下の非限定的な図および例を参照して、より詳細に次に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】コレステロール異化経路の概要。
図2】コレステロール側鎖分解経路の概要。
図3】β−シトステロール側鎖分解経路の概要。
図4】ステロイド化合物の例。
図5】ステロイド基質の例。
図6】コレステロールが出発基質である場合に培養されたLM3についてのLC−MSで得られた総イオンクロマトグラム。7.67分と8.25分のピークは、それぞれ4−アンドロステン−3,17−ジオン(AD)および3−オキソ−23,24−ビスノル−4−コレン−22−酸(4−BNC)の蓄積を示している。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図7】コレステロールが出発基質である場合のLM9についてのLC−MSによって得られた生成物イオンマススペクトル。(A)m/z345.24のピークのピーク(ポジティブモード)は、コレステロールが出発基質である場合に蓄積される4−BNCに対応する。(B)m/z373.27のピーク(ポジティブモード)は、コレステロールが出発基質である場合に蓄積される3−オキソ−4−コレン酸に対応する。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図8】コレステロール、β−シトステロール、または7−オキソ−ステロールが出発基質である場合のLM9についてのLC−MSによって得られた生成物イオンマススペクトル。(A、上)m/z389.27のピーク(ポジティブモード)は、7−オキソ−ステロールが出発基質である場合の3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸の生成に対応する。(B、中央)m/z373.27のピーク(ポジティブモード)は、β−シトステロールが出発基質である場合の3−オキソ−4−コレン酸の生成に対応する。(C、下)m/z373.27のピーク(ポジティブモード)は、コレステロールが出発基質である場合の3−オキソ−4−コレン酸の生成に対応する。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図9】コレステロールまたはβ−シトステロールが出発基質である場合のLM19およびLM9についてのLC−MSによって得られた抽出されたイオンクロマトグラム。(A)菌株=LM9、基質=コレステロール。9.70分のピークは、LM9による3−オキソ−4−コレン酸の生成に対応する。(B)菌株=LM19、基質=コレステロール。8.07分のピークは、LM19による3−オキソ−9−OH−4−コレン酸の生成に対応する。(C)菌株=LM9、基質=β−シトステロール。9.68分のピークは、LM9による3−オキソ−4−コレン酸の生成に対応する。(D)菌株=LM19;基質=β−シトステロール。8.09分のピークは、LM19による3−オキソ−9−OH−4−コレン酸の生成に対応する。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図10】コレステロールまたはβ−シトステロールが出発基質である場合のLM9およびLM19によって生成されたピークの同一性を確認するLC−MSで得られた生成物イオンマススペクトル。(A)菌株=LM19、基質=コレステロールまたはβ−シトステロール。m/z約389.27のピーク(ポジティブモード)は、LM19による3−オキソ−9−OH−4−コレン酸の生成に対応する。(B)菌株=LM9、基質=コレステロールまたはβ−シトステロール。m/z373.27のピーク(ポジティブモード)は、LM9による3−オキソ−4−コレン酸の生成に対応する。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図11】7−オキソ−ステロールが出発基質である場合のLM19についてのLC−MSで得られた生成物イオンマススペクトル。m/z405.26のピーク(ポジティブモード)は、LM19による3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸の生成に対応する。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図12】β−シトステロールが出発基質であり、かつ培地にメチル−β−シクロデキストリンが補充された場合のLM9およびLM33によって生成されるステロイド生成物を比較するHPLC分析。グラフの上の線はLM9によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表し、下の線はLM33によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表す。
図13】出発基質としての3−オキソ−4−コレン酸に対するLM9およびLM33の活性を比較するHPLC分析および培地にメチル−β−シクロデキストリンが補充される。グラフの上の線は、LM9(T=72時間)によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表し、下の線は、LM33(T=72時間)によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表す。
図14】β−シトステロールが出発基質であり、かつ培地に2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンが補充された場合のLM9についてのLC−MSによる生成物イオンマススペクトル。m/z373.27のピーク(ポジティブモード)は、LM9による3−オキソ−4−コレン酸の生成に対応する。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図15】LM9β−シトステロールが生成するステロイド化合物のHPLC分析を出発基質とし、培地に2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンが補充される。(A)T=24時間でのLM9生成物、(B)T=48時間でのLM9生成物、(C)T=72時間でのLM9生成物、(D)3−オキソ−4−コレン酸標準(0.025mg/mL)。
図16】7−オキソステロールが出発基質であり、かつ培地に2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンが補充された場合のLM9についてのLC−MSによる抽出されたイオンクロマトグラム。(A)2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンの存在下でのLM9生成物(T=48時間)。7.74分のピークは、3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸の生成に対応する。(B)2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンの非存在下でのLM9生成物(T=48時間)。7.76分のピークは、3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸の生成に対応する。(C)基質が存在しない2−OH−プロピル−β−シクロデキストリン存在下でのLM9生成物(T=48時間)。NL:正規化レベル=ベースピーク強度。
図17】コレステロールが出発基質である場合の、Mycobacterium neoaurum NRRL B−3805(親株)およびMneoΔfadE34によって生成されるステロイド化合物のHPLC分析。グラフの上の線は、親株(T=72h)によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表し、下の線は、MneoΔfadE34によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表す。
図18】β−シトステロールが出発基質である場合の、Mycobacterium neoaurum NRRL B−3805(親株)およびMneoΔfadE34によって生成されるステロイド化合物のHPLC分析。グラフの上の線は、MneoΔfadE34(T=72h)によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表し、下の線は、親株によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表す。
図19】7−オキソステロールが出発基質である場合の、Mycobacterium neoaurum NRRL B−3805(親株)およびMneoΔfadE34によって生成されるステロイド化合物のHPLC分析。グラフの上の線は、MneoΔfadE34(T=72h)によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表し、下の線は、親株によって生成されたステロイド化合物についてのHPLCトレースを表す。
図20】フィトステロールミックス(Aturex 90)が出発基質であり、かつ培地にメチル−β−シクロデキストリンが補充された場合のMneoΔfadE34が生成するステロイド化合物のHPLC分析。トレースは、下から上にそれぞれT=0時間、24時間、48時間、72時間、96時間、および168時間でのMneoΔfadE34によって生成されたステロイド化合物に対応する。
図21】3−オキソ−4−コレン酸が出発基質であり、かつ培地にメチル−β−シクロデキストリンが補充された場合のMneoΔfadE34が生成するステロイド化合物のHPLC分析。トレースは、下から上にそれぞれT=0時間、24時間、48時間、72時間、96時間、および168時間でのMneoΔfadE34によって生成されたステロイド化合物に対応する。
図22A】ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの存在下でフィトステロール化合物で発酵させた後、LM33によって生成されたステロイド化合物のNMR分析。(A)発酵の生成物から得られたHスペクトル。
図22B】(B)0.65〜2.55ppmの領域のみのピークを示す図22Aのスペクトルの拡大図。
図22C】(C)発酵の生成物から得られた13Cスペクトル。
図22D】(D)11〜58ppmの領域のみのピークを示す図22Cのスペクトルの拡大図。Hスペクトルおよび13Cスペクトルの両方は、培養物中の3−オキソ−4−コレン酸の存在を示す。
図22E】(E)図22Aおよび22Bに示されるHスペクトルを得るために使用されたデータパラメータ。
図22F】(F)図22Cおよび22Dに示す13Cスペクトルを得るために使用されたデータパラメータ。
【実施例】
【0080】
例1−菌株の構築
材料および方法
RG41株の構築
RG41は元々、(Wilbrink et al,2011.Appl Environ Microbiol.,77(13):4455−4464)によって報告された3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ(kshA1−5)の5つの相同体の無印の遺伝子欠失によって作られた親株RG32から構築された。
【0081】
以下に詳述するとおり、3−ケトステロイド−Δ1−デヒドロゲナーゼ(kstDs)の3つの相同体の欠失によってR.rhodochrous株RG41を構築するための親株としてRG32が使用された。
【0082】
kstD3の無印の欠失のための変異原性プラスミドの構築は以下のとおりに実行された。R.rhodochrous DSM43269のゲノムライブラリーは、(Petrusma et al,2009.Appl Environ Microbiol.,75(16):5300−5307))で説明されているように取得され、それはkshA3およびkstD3を保有するクローン(pKSH800;Wilbrink et at.,2011)の単離のために使用された。pKSH800の4kbのEcoRIフラグメントは、EcoRIで消化されたpZErO−2.1にライゲーションされ、続いてBglII/EcoRIで消化された。次に、2.7kbのBglII/EcoRIフラグメントは、BamHI/EcoRIで消化されたpK18mobsacBにライゲーションされ、それがEcoRV/NruIで消化され、最後に自己ライゲーションして、R.rhodochrous RG32株におけるkstD3遺伝子欠失=>RG32ΔkstD3=RG35株のためプラスミドpKSH841を得た(付録C)。
【0083】
kstD1の無印の欠失のための変異原性プラスミドの構築は以下のとおりに実行された。特定のkstD1プライマー(kstD1−FおよびkstD1−R、付録D)が2.4 kbのPCR産物を増幅のために使用され、そのPCR産物はEcoRVで消化されたpBluescriptにライゲーションされ、次いでStuI/StyIで消化され、クレノウで平滑末端化され、自己ライゲーションした。次に、そのコンストラクトはBamHI/HindIIIで消化され、最後に1.3kbのBamHI/HindIIIフラグメントは、BamHI/HindIIIで消化されたpK18mobsacBにライゲーションされ、RG35におけるkstD1遺伝子欠失=>RG32ΔkstD1ΔkstD3=RG36株のためのプラスミドpKSH852を得た(表付録C)。
【0084】
kstD2の無印の欠失のための変異原性プラスミドの構築は以下のとおりに実行された。R.rhodochrous RG36の染色体DNAは、genomic DNA isolation kit(Sigma−Aldrich)を使用して単離し、XhoIによって消化され、そしてXhoIで消化されたpZErO−2.1にライゲーションされた。そのライゲーション混合物でのE.coli DH5αの形質転換により、約12,000の形質転換体のゲノムライブラリーが生成された。kstD2遺伝子(pKSD321)を保有するクローンは、特定のkstD2プライマー(kstD2−FおよびkstD2−R、付録D)を使用したPCRによって同定され、RG36株のゲノムライブラリーから単離された。次に、pKSD321はXmnIで消化され、自己ライゲーションし、続いてSmaI/XhoIで消化された。最後に、2.2kbのSmaI/XhoIはSmaI/Salで消化されたpK18mobsacBにライゲーションされ、RG36におけるkstD2遺伝子欠失=>RG32ΔkstD1ΔkstD2ΔkstD3=RG41株のためのプラスミドpKSD326を得た(付録C)。
【0085】
変異原性プラスミドは、形質転換によってEscherichia coli S17−1に移され、続いて、以前に記載されたように(van der Geize et al,2001.FEMSMicrobiol.Lett.,205(2):197−202))、共役によって対応するR.rhodochrous株に動員された。すべての変異体は、特定のプライマー(付録D)を使用したPCRによって検証され、標的遺伝子の欠失が確認された。
【0086】
したがって、RG41株はkshA null +ΔkstD1ΔkstD2ΔkstD3変異体(8倍変異体)であり、ステロイドの側鎖分解に関与する遺伝子における欠失変異体を構築するための親株として使用された。
【0087】
欠失変異体株の構築
単一変異体株LM3(ΔfadE34#1)、LM15(ΔfadE34#2)は、親株RG41(kshA null+ΔkstD1+ΔkstD2+ΔkstD3)からfadE34#1またはfadE34#2を欠失することによって構築された。
【0088】
無印のインフレーム遺伝子欠失変異体は、sacBカウンター選択マーカーを使用して構築された(van der Geize et al,2001)。標的遺伝子の上流および下流隣接領域のPCR増幅は、付録Dに列挙されているプライマーを使用して野生型R.rhodochrous DSM43269テンプレートから実行された。得られた1.5kb PCR産物(UPおよびDOWNと呼ばれる)をpK18mobsacBベクターに一緒にクローニングし、pk18_fadE34−UP+DOWNおよびpk18_fadE34#2−UP+DOWNコンストラクトを得た。以前にWilbrink et al.,2011によって構築されたpDEL−fadA6は、fadA6の欠失に使用された。変異原性プラスミドは、形質転換によってEscherichia coli S17−1に移され、続いて、以前に記載されたように(van der Geize et al,2001)、共役によって対応するR.rhodochrous株に動員された。すべての変異体は、特定のプライマー(付録D)を使用したPCRによって検証され、標的遺伝子の欠失が確認された。LM3およびLM15単一変異体株は、親株としてRG41を使用して、それぞれfadE34またはfadE34#2を欠失することによって構築された。
【0089】
例2−LM3株(ΔfadE34#1)およびLM15株(ΔfadE34#2)を使用した生物変換
材料および方法
変異体株は100mlのLuria−Bertani(LB)培地に植菌し、30℃、200rpmで48時間培養されたた。OD600nm=5の場合、LB前培養を10ml培養に分割し、出発ステロール基質は2mMで添加した(アセトンに溶解して最終濃度を4%とした)。
【0090】
出発ステロール基質を添加の時間がT=0時間として処理された。培養物は30℃および200rpmで数日間インキュベートされた。250μlのアリコートが0時間、24時間、48時間、および72時間で培養物から採取され、必要になるまで−20℃で凍結された。
【0091】
サンプルは、HPLCおよび/またはLC−MS分析用に、室温で解凍し、1mlのMeOHを加え、ボルテックスして、4℃および12,000rpmで10〜15分間短時間遠心分離することにより調製された。次に、上澄みが濾過され(フィルターサイズ0.2μm)、HPLCおよび/またはLC−MSによって分析された。
【0092】
Kinetex C18カラム(250x4.6mm、粒子サイズ5μm)を使用してHPLCが実行された。80%MeOHおよび0.1%ギ酸の移動相が1ml/minの流速および35℃のカラム温度で使用された。20μlのサンプルが注入された。検出時間は30分であり、そしてステロイド化合物は254nmで検出された。生成されたステロイド生成物の定量化は、既知の標準から測定されたピーク面積の検量線の構築によって達成された。これを使用して、生成された生成物の量をg/lで計算し、続いて収率を逆算した。
【0093】
LC−MS分析は、Accella1250(商標)HPLCシステムおよびベンチトップESI−MS Orbitrap Exactive(商標)(Thermo Fisher Scientific、サンノゼ、カリフォルニア州)を組み合わせて使用して実施された。5μlのサンプルが、40℃、流速0.6ml/minで動作する逆相C18カラム(Shim Pack Shimadzu XR−ODS 3×75 mm)に注入された。分析は、以下のような2%〜95%のアセトニトリル:水(0.1%ギ酸を添加)の勾配を使用して、実行された:2分2%アセトニトリル、8分2%から95%アセトニトリルの勾配、4分95%アセトニトリル。カラムフルーエントは、ポジティブ/ネガティブモードを切り替えるスキャン範囲(m/z80〜1600Da)で動作するESI−MS Orbitrapに向かう。ポジティブモードの電圧パラメーターは、4.2kVスプレー、57.5Vキャピラリーおよび95Vチューブレンズであった。ネガティブモードの電圧パラメーターは、3kVスプレー、−25Vキャピラリーおよび75Vチューブレンズであった。キャピラリー温度325℃、シースガスフロー70、補助ガスオフ。サーモXCalibur(商標)処理ソフトウェアが、データ分析に使用された。本研究で報告されたすべての生成物は、ポジティブモード(M+H)で検出された。
【0094】
結果
LM3株についてのLC−MSによって得られた総イオンクロマトグラムは、出発コレステロール基質からのADおよび4−BNCの蓄積を示し(図6)、それはLM3単一変異体株においては側鎖分解の遮断がないことを示している。LM15単一変異体株についても同じ結果が得られた(データ未掲載)。
【0095】
例3−LM9を使用した生物変換(ΔfadE34#1/ΔfadE34#2)
材料および方法
上記の例2に概説したのと同じ培養条件、サンプル調製技術、およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0096】
結果
出発基質としてコレステロールを使用してLM9株のLC−MSによって得られた総イオンクロマトグラム(図7、生成物イオンマススペクトルが示されている)は、4−BNC(m/z345.24のピーク、ポジティブモード)(図7A、上)および3−オキソ−4−コレン酸(m/z373.27のピーク、ポジティブモード)(図7B、下)両方の蓄積を示している。対象化合物の質量電荷比(m/z)のデータを抽出して生成された抽出されたイオンクロマトグラムは、コレステロールが出発物質である場合(図8C、下のトレース、m/z373.27のピーク)またはβ−シトステロールが出発物質である場合(図8B、中央のトレース、m/z373.27のピーク)、LM9によって3−オキソ−4−コレン酸が生成され、7−オキソ−ステロールが出発基質である場合に3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸が生成される(図8A、上のトレース、m/z389.27のピーク)ことを示している。これらの結果は、LM9株に側鎖分解の遮断があることを示している。
【0097】
例4−LM19株を使用した生物変換(kshA5で補完されたΔfadE34#1/ΔfadE34#2)
材料および方法
LM19株の構築
kshA5遺伝子の野生型コピーおよびその隣接領域は、プライマーkshA5−complem−FおよびkshA5−complem−Rを使用したPCRによって増幅された(付録D)。得られた2.2kbのPCR産物はクリーンアップされ、BamHI/HindIIIで制限され、続いてpk18mobsacBにライゲーションされ、コンストラクトpk18+kshA5−complementationを得た。このコンストラクトはE.coli S17−1に形質転換され、共役によってLM9株に移された。kshA5の欠失されたコピーが野生型のものに置き換えられた、結果として生じた補完変異体LM19は、van der Geize et al,2001に記載されているとおりに、変異体株の構築に使用されたのと同じ共役プロトコルに従って得られた。
【0098】
LM19による生物変換
上記のように、kshA5およびその隣接領域をLM9株に再導入してLM19株を生成し、そこでヒドロキシラーゼ活性を回復させて、9−ヒドロキシル基を持つ多様化合物を生成した。蓄積されると予想される化合物は、3−オキソ−9−OH−4−コレン酸(β−シトステロールおよびコレステロールから)および3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸(7−オキソ−ステロールから)であった。
【0099】
上記の例2に概説したのと同じ培養条件、サンプル調製技術、およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0100】
結果
LM9株とLM19株で生成された抽出されたイオンクロマトグラムを比較は、出発ステロールがコレステロールまたはβ−シトステロールの場合に、LM19のみによって3−オキソ−9−OH−4−コレン酸(ピークは8.07−8.09分)が生成され(それぞれ図9Aおよび9C)およびは、出発ステロールがコレステロールまたはβ−シトステロールの場合にLM9のみによって3−オキソ−4−コレン酸(ピークは9.68−9.70分)生成される(それぞれ図9Bおよび9D)を示している。これらのピークは、出発ステロールがコレステロールまたはβ−シトステロールである場合にLM19によって3−オキソ−9−OH−4−コレン酸(m/z約389.27のピーク、ポジティブモード)が生成されること(図10A)、出発ステロールがコレステロールまたはβ−シトステロールの場合にLM9によって3−オキソ−4−コレン酸(ピークは373.27、ポジティブモード)が生成されること(図10B)が確認された。
【0101】
出発ステロールが7−オキソ−ステロールの場合、予想される生成物は3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸である。図11のLM19についての抽出されたイオンクロマトグラムには、3−オキソ−7,9−ジヒドロキシ−4−コレン酸に対応するピークがある(m/z405.26のピークは、ポジティブモード)。ただし、このピークは、図10のLM19で生成されたピークよりも強度が低くなっている。概要として、これらの結果は、9−ヒドロキシ基を持つ多様ステロイド化合物の生成におけるLM19の使用の成功を示している。
【0102】
例5−LM33株を使用した生物変換(ΔfadE34#1/ΔfadE34#2/ΔfadE26)
材料および方法
追加の変異体株ΔfadE34#1/ΔfadE34#2/ΔfadE26(LM33)は、LM9株からfadE26を欠失させることによって生成された。fadE26はβ酸化の第1のサイクルに関与し(図2および3)、基質として3−オキソ−4−コレン酸を使用し得(Yang et al,2015.ACS Infect.Dis.,1(2):110−125)、それによってその蓄積を制限する。したがって、fadE26の欠損は、3−オキソ−4−コレン酸の不要な酸化の減少につながる可能性があると考えられていた。
【0103】
上記の例2に概説したのと同じ培養条件、サンプル調製技術、およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0104】
結果
25mMメチル−β−シクロデキストリン(MCD)の存在下でのLM9およびLM33株によるβ−シトステロールの生物変換の比較(以下の例7を参照)は、LM33サンプルについてのHPLCトレースの主要なピークが3−オキソ−4−コレン酸であり、かつADおよび4−BNCに対応するピークははるかに小さいのに対し、LM9についてのHPLCトレースではその逆が観察される(図12)ことを示している。これは、LM33のfadE26の追加の欠失は、3−オキソ−4−コレン酸のさらなる蓄積が可能になることを示しており、3−オキソ−4−コレン酸の不要な酸化が減少することを示唆している。
【0105】
さらに、25mMメチル−β−シクロデキストリン(MCD)の存在下での出発基質としての3−オキソ−4−コレン酸に対するLM9およびLM33株の活性の比較は、LM33サンプルについてのHPLCトレースの主要なピークは3−オキソ−4−コレン酸のままであり、かつADおよび4−BNCに対応するピークは非常に小さいことを示している。対照的に、LM9についてのHPLCトレース(図13)において、3−オキソ−4−コレン酸のピークが減少し、かつADおよび4−BNCのピークがはるかに顕著である。これは、LM9ではADと4−BNCが形成されるにつれて3−オキソ−4−コレン酸の濃度が時間とともに減少するが、fadE26も欠失されているLM33では3−オキソ−4−コレン酸のADおよび4−BNCへの変換が大幅に減少することを示している。したがって、これらの結果は、LM33では3−オキソ−4−コレン酸の不要な酸化が減少することを示唆している。
【0106】
例6−2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンが補充された培地におけるLM9を使用した生物変換
材料および方法
培養培地への2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンの添加は、疎水性ステロール出発化合物の溶解度を改善するために試みられた。
【0107】
LM9株は、約48時間後、OD600nm=5になるまで、例2に記載されるように培養された。その培養物は室温および4,500rpmで15〜20分間遠心分離された。細胞は同量の最小培地(KHPO(4.65g/l)、NaHPO・HO(1.5g/l)、NHCl(3g/l)、MgSO・7HO(1g/l)およびVishniac微量元素溶液(1ml/l))に再懸濁した。これは10mlの培養物に分割し、25mMの2−OHプロピルβシクロデキストリン、25mMのNaHCOおよび2mMのステロールは粉末形態で添加された。
【0108】
上記の例2に概説したのと同じサンプル調製技術およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0109】
結果
出発基質としてβ−シトステロールを使用したLM9株のLC−MSによって得られた抽出されたイオンクロマトグラムは、2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンの存在下で3−オキソ−4−コレン酸(m/z373.27のピーク、ポジティブモード)がLM9によって生成されることを示している。(図14)。生成された3−オキソ−4−コレン酸の量を定量化するために、HPLC分析が実行され(図15)、72時間の時点で採取されたサンプルにおいて11.64%の収率が観察された(以下の表1)。
【表1】
【0110】
出発基質として7−オキソ−ステロールを使用して同様の実験が実行され、抽出されたイオンクロマトグラムは、T=48時間での3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸の生成を示している(図16)。2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンの存在下と非存在下でのLC−MSスペクトルの比較(図16Aおよび16B)は、2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンの存在下でのより強い塩基ピーク(図16のトレースのNL値によって証明される)を明らかにし、これらの培養物中の3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸のより高い収率を示している。ただし、HPLC定量化に利用できる標準がないため、取得可能な収率に関するデータはない。
【0111】
培養物にNaHCOを補充しなかった同等の実験を実施した(データは示していない)。これらの実験において、図14図15および図16ならび表1に示す結果から有意な差はなく、それによって、NaHCOの存在は、2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンを補充した培養物における収量に正の効果を生じるのに必要とされないことを示している。
【0112】
例7−メチル−β−シクロデキストリンを補充した培地におけるLM9およびLM33を使用した生物変換
材料および方法
培養培地へのメチル−β−シクロデキストリンの添加は、疎水性ステロール出発化合物の溶解度をさらに改善するために試みられた。
【0113】
LM9株は、約48時間後、OD600nm=5になるまで、例2に記載されるように培養された。例6に記載されているように、培養物は遠心分離され、その細胞は同量の最小培地に再懸濁した。これは10mlの培養物に分けられ、25mMのメチル−β−シクロデキストリンおよび2mMのステロールは粉末の形状で添加された。
【0114】
3−オキソ−4−コレン酸の収量をさらに最大化するために、メチル−β−シクロデキストリンはLM33株に添加された(図12を参照)。LM33株は、約48時間後、OD600nm=5になるまで、例2に記載されるようにLB培地で培養された。次に、前培養物は10mlの培養物に分割され、25mMのメチル−β−シクロデキストリンおよび2mMのステロールは粉末の形状で添加された。あるいは、培養物は遠心分離され、その細胞は同量の最小培地に再懸濁した。これは10mlの培養物に分けられ、25mMのメチル−β−シクロデキストリンおよび2mMのステロールは粉末の形状で添加された。
【0115】
上記の例2に概説したのと同じサンプル調製技術およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0116】
結果
以下の表2は、出発基質としてβ−シトステロールを使用した、メチル−β−シクロデキストリンの存在下でのLM9についてのHPLC分析によって得られた3−オキソ−4−コレン酸の最大収率を要約し、それらの収量を2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンの存在で得られた収量と比較した(上記の例6を参照)。全体的な結果は、メチル−β−シクロデキストリンの存在下で収量が高いことを示している。
【表2】
【0117】
メチル−β−シクロデキストリン(25mM)の存在下でLM9によって生成された生成物の量の定量化は、HPLC分析を使用して実施された。β−シトステロールが出発基質であり、分析されたサンプルは72時間の時点で収集された。収率は、上記の例2に概説されているように計算され、以下の表3に示されている。
【表3】
【0118】
同様に、以下の表4は、出発基質として7−オキソ−ステロールを使用したメチル−β−シクロデキストリンの存在下でのLM9における生物変換を比較している。3−オキソ−7−ヒドロキシ−4−コレン酸の利用可能な標準がないため、収率として表すのではなくHPLCで得られたピーク面積を比較する。しかしながら、結果は、2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンと比較して、メチル−β−シクロデキストリンの存在下でより大きなピーク面積が達成されることを依然として示している。
【表4】
【0119】
以下の表5は、コレステロールおよびβ−シトステロールの両方を出発基質として使用し、メチル−β−シクロデキストリンの存在下でLB培地および最小培地の両方で培養したLM33のHPLC分析によって得られた3−オキソ−4−コレン酸の収率を要約した。上記の表3と以下の表5とのデータを比較は、メチル−β−シクロデキストリンの存在下でLM33の培養は、β−シトステロールが出発基質である場合に3−オキソ−4−コレン酸の最も高い収率をもたらすことを示している。
【表5】
【0120】
例8−有機溶媒およびシクロデキストリンを補充した培地におけるLM33を使用した生物変換
材料および方法
LM33株は、約48時間後、OD600nm=5になるまで、例1に記載されるように培養された。培養物は室温で15〜20分間4,500rpmで遠心分離された。その細胞は同量の最小培地に再懸濁され、培養物は10mlの培養物に分けた。エタノールに溶解した2mMのβ−シトステロールが添加され(5%または10%の最終容量/容量濃度)、さまざまな量のメチル−β−シクロデキストリン(5mM、12.5mM、または25mM)が粉末の形状で添加された。
【0121】
上記の例2に概説したのと同じサンプル調製技術およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0122】
結果
エタノールおよびメチル−β−シクロデキストリンのすべての濃度のHPLCデータは例2に記載のように処理され、以下の表6に示す3−オキソ−4−コレン酸の収率を得た。全体として、5%エタノールと5mMメチル−β−シクロデキストリンを組み合わせの使用によって、最高の収率がもたらされた。
【表6】
【0123】
例9−Mycobacterium neoaurum NRRL B−3805ΔfadE34(MneoΔfadE34)を使用した生物変換
材料および方法
Mycobacterium neoaurum NRRL B−3805 ΔfadE34株は、3−オキソ−4−コレン酸の酸化を防ぐことを目的として、fadE34の欠失を親株NRRL B−3805に導入することによって生成された(Marsheck et al,1972.Applied Microbiology,3(1):72−77)。これは、親株NRRL B−3805テンプレートおよび付録Dに記載されているプライマーを使用して、例1で説明したのと同じストラテジーに従い、pk18_fadE34_Mneo−UP+DOWNプラスミドが構築された。この変異原性プラスミドは、エレクトロポレーション(2.5kV、25μF、600Ω)によってNRRL B−3805株に移された。変異体株は、fadE34の欠失を確認するために特定のプライマー(付録D)を使用したPCRによって検証された。
【0124】
MneoΔfadE34前培養は、OD600nm=5(37℃で約72時間)まで増殖させた。培養物は遠心分離され、その細胞は同量の最小培地に懸濁した。2mMの出発ステロイド基質は粉末の形状で添加された。
【0125】
上記の例2に概説したのと同じサンプル調製技術およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0126】
結果
図17図18、および図19のHPLCトレースは、コレステロール、β−シトステロール、および7−オキソステロールがそれぞれの出発基質である場合に、Mneo−親株およびMneoΔfadE34株によって生成された化合物を比較している。コレステロール(図17)およびβ−シトステロール(図18)の場合、MneoΔfadE34株はMneo−parent株よりも高レベルの3−オキソ−4−コレン酸ならびに低レベルのADおよびADDを蓄積する。これらの結果は、MneoΔfadE34株が3−オキソ−4−コレン酸ステップで側鎖酸化が遮断されていることを示している。Mneo親株NRRL B−3805は、KSHおよびKstDを欠いていると説明されたが、3−オキソ−1,4−コラジエン酸の生成に対応するピークもあり、MneoΔfadE34(したがって、親株NRRL B−3805)はKstD活性が残っている可能性がある。
【0127】
7−オキソステロールが出発基質である場合(図19)、Mneo親株NRRL B−3805およびMneoΔfadE34について得られたトレースは非常に類似しており、7−OH化合物を蓄積できないことを示している。
【0128】
例10−メチル−β−シクロデキストリンを補充した培地におけるMycobacterium neoaurum NRRL B−3805ΔfadE34を使用した生物変換(MneoΔfadE34)
材料および方法
上記の例9に概説したのと同じ菌株および培養条件が使用され、25mMメチル−β−シクロデキストリンは粉末の形状で添加された。2mMフィトステロールミックス(Aturex 90)または3−オキソ−4−コレン酸が出発化合物として添加された。上記の例2に概説したのと同じサンプル調製技術およびHPLC/LC−MSプロトコルが使用された。
【0129】
結果
Mneo−ΔfadE34は、これらの細胞がメチル−β−シクロデキストリンの存在下で最小培地で培養され、かつフィトステロール混合物が出発基質である場合、3−オキソ−1,4−コラジエン酸の可能なピークを蓄積する(図20)。
【0130】
3−オキソ−4−コレン酸が出発基質である場合、3−オキソ−1,4−コレン酸の蓄積はなく(図21)、3−オキソ−4−コレン酸の存在によってその生成が活性化されない可能性が高いことを示している。
【0131】
例11−ヒドロキシ−プロピル−β−シクロデキストリンを補充した培地におけるLM33を使用した生物変換
材料および方法
生物変換は、増殖中の細胞、すなわち発酵の開始時に反応器に添加された生物変換試薬を用いて実施された。前培養は以下のように準備された:
1)50mLのLB培地が100mLの三角フラスコに添加された。
2)200μLのR.rhodochrous LM33がグリセロールストックから植菌された。
3)培養物はオービタルシェーカー上で400RPM、30℃で48時間インキュベートされた。
4)1%(5mL)のOD5培養物がバイオリアクターへ植菌された。
【0132】
バイオリアクターは(括弧内の最終濃度)トリプトン(10g/L)酵母エキス(10g/L)、NaCL(0.5g/L);消泡剤DR204(0.015g/L)、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(23.3g/L)、フィトステロールの既製混合物AS−7(70g/L)およびTween−80(17.5g/L)ならびに水が充填された。混合物は反応器内で121℃で3分間オートクレーブ処理された。生物変換は、30℃、pH7.0、200mL/分および40%dO設定値での表面からの曝気で実行された。
【0133】
酸素消費および若干CO生成から判断されるように初期の増殖は12時間未満続いた。実験開始から48時間後、CO生成はなく、生物変換は10%(50mL)の植菌率で新鮮な前培養から再植菌された。2回目の植菌後、最初の酸素消費段階もあり、これは6時間続き、その後再び酸素消費量が減少した。しかし、その減少後の培養は回復し、酸素を消費しはじめ、再びCOを生成し始めた。
【0134】
3−オキソ−4−コレン酸の形成は、112時間後に検出された。実験は160時間後に終了し、その時点で生成物濃度は6.09mMに達した。
【0135】
バイオマスおよび未反応のフィトステロールは、最初に2M NaOHの添加によってして培養液のpHをpH10に上げ、続いて4700gで10分間、4℃で遠心分離することにより分離され、生成物を含む透明な溶液(453g)が得られた。この溶液から、360g(pH=7.2)が4×100 ml MTBEで抽出され、次に希釈HClでpH=2.1に調整し、2x100mlトルエンで再度抽出された。3−オキソ−4−コレン酸の大部分はMTBE抽出物で検出され、トルエン抽出物中に少数が検出された。抽出物は蒸発乾固され、MTBEに溶解されてプールされた。溶液は希HClで洗浄され、ロタバップで濃縮された。得られた残留物から、一晩撹拌することにより3−オキソ−4−コレン酸が沈殿した。3−オキソ−4−コレン酸の同一性はNMRによって確認された(図22)。
【0136】
結果
図22のスペクトルは、単離された生成物が3−オキソ−4−コレン酸と同一であることを裏付けている。図22(A)および(B)は、生成物から得られたHスペクトルを示し、図22(C)および(D)は、生成物から得られた13Cスペクトルを示す。ピークのラベルは、図22(A)および(C)に示す3−オキソ−4−コレン酸の式に示されている官能基に対応している。
【表7-1】

【表7-2】

【表7-3】

【表7-4】

【表7-5】

【表7-6】

【表7-7】

【表7-8】

【表7-9】

【表7-10】

【表7-11】

【表7-12】

【表7-13】

【表7-14】

【表8-1】

【表8-2】

【表8-3】

【表8-4】

【表9-1】

【表9-2】

【表10-1】

【表10-2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
【配列表】
2021533823000001.app
【国際調査報告】