特表2021-534142(P2021-534142A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-534142ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の組み合わせ、及びその医薬用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-534142(P2021-534142A)
(43)【公表日】2021年12月9日
(54)【発明の名称】ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の組み合わせ、及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20211112BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20211112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211112BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20211112BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20211112BHJP
【FI】
   A61K45/06
   A61K31/4406
   A61K31/47
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61K9/16
   A61K9/10
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61K47/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2021-507488(P2021-507488)
(86)(22)【出願日】2019年8月12日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月10日
(86)【国際出願番号】CN2019100175
(87)【国際公開番号】WO2020034916
(87)【国際公開日】20200220
(31)【優先権主張番号】201810943005.6
(32)【優先日】2018年8月17日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519108051
【氏名又は名称】シンセン チップスクリーン バイオサイエンセズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー,シエンピン
(72)【発明者】
【氏名】ニン,チーチアン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ヨウ
(72)【発明者】
【氏名】シン,リーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤーナン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シーカン
(72)【発明者】
【氏名】パン,トースー
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ソン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC27
4C076CC29
4C076DD67
4C076EE07
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE25
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE50
4C076FF04
4C084AA20
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC28
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の組み合わせの、腫瘍を治療又は予防するための医薬品の調製における用途、並びに、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を有効成分として含む医薬組成物、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤を併用してがんを治療又は予防する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の組み合わせの、腫瘍を治療又は予防するための医薬品の調製における用途。
【請求項2】
前記プロテインキナーゼ阻害剤は、セリンキナーゼ阻害剤、スレオニンキナーゼ阻害剤及びチロシンキナーゼ阻害剤から選ばれる、請求項1に記載の用途。
【請求項3】
前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、チダミド又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の用途。
【請求項4】
前記プロテインキナーゼ阻害剤は、Chiauranib又はその薬学的に許容される塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の用途。
【請求項5】
前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、チダミドであり、前記キナーゼ阻害剤は、Chiauranibである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の用途。
【請求項6】
医薬有効成分としてヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤、並びに任意の薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬有効成分は、Chiauranibとチダミドからなる、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体は、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリエチレンカプロラクタム−ポリビニルアセテート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
単位用量として、チダミドの含有量は、5〜100mgであり、Chiauranibの含有量は、5〜100mgであり、好ましくは、チダミドの含有量は、5〜60mgであり、Chiauranibの含有量は、10〜100mgである、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
顆粒剤、固体分散体、カプセル又は錠剤の形態である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
微結晶セルロース、ポビドン、コポビドン、ラクトース、マンニトール、クロスポビドン、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体を含む請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
有効成分として同時に又は逐次に投与されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を含む、がんを治療又は予防するためのキット。
【請求項13】
有効成分として同時に又は逐次に投与されるチダミド又はその薬学的に許容される塩及びChiauranib又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
有効成分として最初に投与されるチダミド又はその薬学的に許容される塩、及び後に投与されるChiauranib又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項13に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2018年8月17日に中国特許庁へ提出された、発明の名称が「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の組み合わせ、及びその医薬用途」である中国特許出願201810943005.6に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、小分子標的抗腫瘍薬の技術分野に関し、具体的には、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とキナーゼ阻害剤の組み合わせの、腫瘍を治療又は予防するための医薬品の調製における用途に関し、医薬有効成分としてのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とキナーゼ阻害剤との医薬組成物を含む。本発明は、特に、Chiauranib又はその薬学的に許容される塩及びチダミド(Chidamide)又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む医薬組成物及びChiauranib又はその薬学的に許容される塩とチダミド又はその薬学的に許容される塩とを併用してがんを治療又は予防する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍は、人間の健康を脅かす主要な病気であり、腫瘍の治療は世界中で注意深く見守られている。伝統な化学療法薬は、非特異的に細胞分裂を阻止して細胞死を引き起こし、腫瘍細胞を殺すと同時に、正常なヒト細胞も破壊す。さらに、多くの細胞毒性薬は、治療範囲が限られており、副作用を起こしやすいため、長期投与では薬剤耐性の問題を引き起こす。
先行技術では、複数の抗腫瘍薬が開発されており、その中でヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤は、重要な抗腫瘍化合物である。
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、プロテアーゼであり、染色体の構造修飾及び遺伝子発現調節に重要な役割を果たす。一般的には、ヒストンのアセチル化は、DNAとヒストン八量体の解離に寄与し、ヌクレオソーム構造が解きほぐされ、様々な転写因子及び協調的転写因子能がDNA結合部位に特異的に結合し、遺伝子の転写を活性化する。細胞核内では、ヒストンアセチル化及びヒストン脱アセチル化の過程は、動的平衡状態にあり、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)及びHDACによって共同で制御されている。HATは、アセチルCoAのアセチル基をヒストンのアミノ末端での特定のリジン残基に転移し、HDACは、ヒストンを脱アセチル化し、負に帯電したDNAとしっかりと結合し、クロマチンは緻密でカールし、遺伝子の転写が抑制される。がん細胞では、HDACの過剰発現が脱アセチル化の増強につながり、ヒストンの正電荷を回復することにより、DNAとヒストンの間の引力を増加させ、解きほぐされたヌクレオソームが非常に緊密になり、幾つかのがん抑制遺伝子を含む特定の遺伝子の発現に不利である。HDAC阻害剤は、クロマチンの特定の領域でのヒストンアセチル化を増加させることにより、細胞アポトーシス及び分化関連タンパク質の発現及び安定性を調節し、細胞アポトーシス及び分化を誘導し、新たな抗腫瘍薬になる。HDAC阻害剤は、複数の血液腫瘍及び固形腫瘍に対して優れた治療効果を持つだけではなく、腫瘍細胞への選択性が高く、毒性が低いという利点もある。
【0004】
文献より、HDACの活性を阻害すると、腫瘍細胞の成長、転移及び浸潤を効果的に阻害できることを示す。HDAC阻害剤は、抗腫瘍効果の重要な標的になっている。研究によると、HDAC阻害剤は、腫瘍細胞の増殖を効果的に阻害し、腫瘍細胞の分化及びアポトーシスを誘導し、腫瘍細胞の遊走、浸潤及び転移を阻害する効果があることを示す。
HDAC阻害剤は、ヒストンN末端にあるリジン残基のアセチル化及び脱アセチル化を調節することにより、腫瘍抑制遺伝子を活性化するため、腫瘍細胞の成長を阻害し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する(Apoptosis on hepatoma cells but not on primary hepatocytes byhistone deacetylase inhibitors valproate and ITF2357.JHepatol、2005、42:210−217)。康印東などは、2009年に、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が樹状細胞を介して免疫調節効果を発揮する研究レビューを発表している(康印東など、樹状細胞によるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の免疫調節効果の研究、中華移植雑誌、第3巻、第2期、2009年)。このレビューは、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とDC及び免疫調節との関係を説明している。HDAC阻害剤は、高濃度で強力な抗腫瘍活性を示し、低濃度でさまざまな免疫調節効果を示す。HDAC阻害剤がDCに直接作用する場合には、DCが成熟中にケモカインCCL19に遊走する能力が低下し、DCが輸入リンパ器官に到達して抗原提示機能を実行するのを制限し、DCは、最も重要な抗原提示細胞として、抗原特異的Tリンパ球の活性化に不可欠であるが、HDAC阻害剤は、DCの分化、成熟及び遊走に影響を及ぼし、その抗原提示機能を妨害する。一般に、HDAC阻害剤は、DCに直接作用して免疫応答を抑制する。
近年、HDACの機能に関する研究は急速に進んでおり、選択的HDAC阻害剤の開発は徐々に当分野の研究のホットスポットになっている。現在、国内外で複数のHDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット、チダミドなど販売されている。しかしながら、既存のHDAC阻害剤は、有効性、薬物代謝特性、および副作用の点で改善される必要もある。従来の技術では、人々の高まる健康ニーズを満たすために、より強力で効果的な抗腫瘍薬が依然として緊急に必要とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明者は、研究中、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤を併用するのが相乗的な抗腫瘍効果を達成できることを予期せず発見した。
そのために、第1の側面では、本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の組み合わせの、腫瘍を治療又は予防するための医薬品の調製における用途を提供する。
他の側面では、本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、腫瘍を治療又は予防する方法を提供する。
プロテインキナーゼは、タンパク質の特定の残基のリン酸化を触媒する酵素のファミリーであり、チロシンキナーゼとセリン/スレオニンキナーゼとして大体に分類され、さまざまな細胞プロセスの調節と細胞機能の維持に重要な役割を果たすファミリーのタンパク質である。プロテインキナーゼは、シグナル伝達経路の酵素成分であり、タンパク質のチロシン、セリン及び/又はスレオニン残基のヒドロキシル基へのATPの末端リン酸エステルの転移を触媒する。哺乳動物における正常または変異タンパク質キナーゼの過剰発現または不適切な発現は、広範な研究の対象となり、がんを含む多くの疾患の発症に重要な役割を果たすことが示されている。これらのキナーゼの部分的な非限定的なリストには、Janusキナーゼファミリー(Jak1、Jak2、Jak3及びTyk2)のような非受容体チロシンキナーゼ、血小板由来成長因子受容体キナーゼ(PDGFR)のような受容体チロシンキナーゼ、例えばb−RAFのようなセリン/スレオニンキナーゼが含まれる。異常なキナーゼ活性は、良性および悪性の増殖性障害や免疫系及び神経系の不適切な活性化によって引き起こされる疾患を含む多くの病状で観察されている。
【0006】
プロテインキナーゼは、構造的に関連する酵素の大きなファミリーとして、細胞内のさまざまなシグナル伝達プロセスの制御を担っている(例えば、Hardie及びHanks、 The Protein Kinase Facts Book、 I and II、Academic Press、San Diego、 Calif.1995を参照)。プロテインキナーゼは、その構造及び触媒機能が保存的であるため、共通の祖先遺伝子から進化したと考えられている。ほとんどすべてのキナーゼには、いずれも250〜300個のアミノ酸を有する類似する触媒ドメインを含む。キナーゼは、そのリン酸化受容体(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質など)に応じて各々のファミリーに分類できる。これらのファミリーのそれぞれに通常対応する配列モチーフが特定されている(例えば、Hanks及びHunter、(1995)、FASEB J.9: 576−596;Knightonなど、 Science、(1991) 253: 407−414;Hilesなど、 Cell、 (1992)、 70:419− 429;Kunzなど、Cell (1993)、 73:585−596;Garcia−Bustosなど、EMBO J. 、 (1994)、 13:2352−2361を参照)。
突然変異、過剰発現または不適切な調節、異常または調節不全、および成長因子またはサイトカインの過剰産生または過少産生によって引き起こされる不適切なキナーゼ活性は、がんなどを含むがこれらに限定されない多くの疾患に関与する可能性がある。プロテインキナーゼは、治療的介入の標的として重要なクラスの酵素になっている。特に、チロシンキナーゼcKitの過剰な活性化は、血液悪性腫瘍に関連し、がん治療の標的になる(Heinrich、 Griffithなど、 Blood 2000、 96(3):925−32)。同様に、JAK3シグナル伝達は、白血病とリンパ腫に関与し、現在、潜在的な治療標的として使用されている(Heinrich、Griffithなど、2000))。プロテインキナーゼは、細胞周期の調節においても中心的な役割を果たす。シグナル伝達経路の各構成要素の欠陥は、さまざまな形態のがんを含む複数の疾患を引き起こす可能性があることが分かった(Gaestelなど、Current Medicinal Chemistry、(2007)14:2214−2234)。近年、発がん性シグナル伝達経路に関連するプロテインキナーゼは、複数種のがんを含む複数の疾患の治療における重要な薬物標的になっている。抗腫瘍薬として使用される複数のプロテインキナーゼ阻害剤もある。
本発明中、好ましくは、前記プロテインキナーゼ阻害剤は、セリンキナーゼ阻害剤、スレオニンキナーゼ阻害剤及びチロシンキナーゼ阻害剤から選ばれる。前記プロテインキナーゼ阻害剤は、Chiauranib又はその薬学的に許容される塩であることが好ましい。
本発明では、前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、チダミド又はその薬学的に許容される塩であることが好ましい。
【0007】
本発明の特に好ましい側面では、前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、チダミド又はその薬学的に許容される塩であり、前記キナーゼ阻害剤は、Chiauranib又はその薬学的に許容される塩である。特に好ましくは、前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、チダミドであり、前記キナーゼ阻害剤は、Chiauranibである。
本発明の他の側面では、医薬有効成分としてヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤、並びに任意の薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物において、好ましくは、前記プロテインキナーゼ阻害剤は、セリンキナーゼ阻害剤、スレオニンキナーゼ阻害剤及びチロシンキナーゼ阻害剤から選ばれる。特に好ましくは、前記プロテインキナーゼ阻害剤は、Chiauranib又はその薬学的に許容される塩である。特に好ましくは、前記医薬有効成分は、Chiauranib又はその薬学的に許容される塩とチダミド又はその薬学的に許容される塩からなる。ある具体的な実施形態において、前記医薬有効成分は、Chiauranibとチダミドからなる。
本発明の特に好ましい実施形態において、医薬組成物では、単位用量として、チダミドの含有量は、5〜100mgであり、Chiauranibの含有量は、5〜100mgであり、より好ましくは、チダミドの含有量は、5〜60mgであり、Chiauranibの含有量は、10〜100mgである。
本発明の幾つかの実施形態において、医薬組成物は、前記薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体は、包括ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリエチレンカプロラクタム−ポリビニルアセテート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(例えば、商品名:Soluplus)を含む。他の幾つかの実施形態では、前記薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体は、微結晶セルロース、ポビドン、コポビドン、ラクトース、マンニトール、クロスポビドン及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。
【0008】
本発明の医薬組成物は、顆粒剤、固体分散体、カプセル又は錠剤の形態であることが好ましい。
本発明の他の側面では、有効成分として同時に又は逐次に投与されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を含む、がん又は腫瘍の治療又は予防するためのキットを提供する。
本発明のキットでは、有効成分として同時に又は逐次に投与されるチダミド又はその薬学的に許容される塩及びChiauranib又はその薬学的に許容される塩を含むことが好ましい。特に好ましい側面では、本発明のキットは、有効成分として最初に投与されるチダミド又はその薬学的に許容される塩、及び後に投与されるChiauranib又はその薬学的に許容される塩を含む。
本発明の他の側面では、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤を、それを必要とする対象に同時に又は逐次に投与することを含む、腫瘍を予防又は治療する方法を提供する。
本発明者らは、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の組み合わせが有意な相乗的抗腫瘍効果を有することを予期せず発見し、両方の併用投与は、相乗的にがん細胞のアポトーシスを誘導し、相乗的に腫瘍細胞のクローン形成を阻害することができることで明らかになり、相乗的な抗腫瘍効果がヌードマウス実験で確認されている。本発明者らは、さらに、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤により前処理するのは、プロテインキナーゼ阻害剤に対する細胞の感受性を高め、プロテインキナーゼ阻害剤の抗腫瘍効果をより効果的に増強できることを予期せず発見した。
本発明は、MTS、クローン形成、フローサイトメトリー及びCaspase 3/7などの実験により、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の併用投与が肝がん細胞株Bel−7404及びBel−7402細胞周期の阻害とアポトーシスを相乗的に誘導することができることを発見した。同時に、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の併用の相乗的な抗腫瘍効果は、Bel−7404ヌードマウス異種移植腫瘍モデルで検証されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(チダミド)がプロテインキナーゼ阻害剤(Chiauranib)の抗腫瘍効果を相乗的に増強させることを示すことを示す。
図2】クリスタルバイオレット染色はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の併用が腫瘍細胞形成能を相乗的に阻害できることを示すことを示す。
図3】PI染色のフローサイトメトリーは、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の併用が腫瘍細胞周期の阻害を増強できることを示すことを示す。
図4】Caspase 3/7酵素活性試験はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤とプロテインキナーゼ阻害剤の併用が腫瘍アポトーシスの誘導を増強できることを示すことを示す。
図5】逐次投与実験は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(チダミド)による前処理がプロテインキナーゼ阻害剤(Chiauranib)の抗腫瘍効果を増強できることを示すことを示す。
図6】ヌードマウスの動物試験におけるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(チダミド)とプロテインキナーゼ阻害剤(Chiauranib)の併用投与による相乗的な抗腫瘍効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される単数形である「1つ」、「一つ」及び「該」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、さらに、複数形を含むことを意図する。なお、「含む」、「含み」、「有する」、「含有する」又はそれらの変形という用語は、本発明の詳しい説明及び/又は特許請求の範囲で使用される限り、「含む」という用語と類似する意味でカバーされることを意図する。
本明細書で使用される「治療」、「緩和」及び「改善」という用語は、交換可能に使用される。これらの用語とは、有益または期待される効果(治療効果及び/又は予防効果を含むが、これらに限定されない)を得るために使用される方法を指す。
本明細書で使用される用語「抗腫瘍」とは、「腫瘍状態」の治療、緩和又は改善を指す。「腫瘍状態」という用語とは、例えば、制御されない増殖、無限増殖、潜在的転移能、急速な成長及び増殖速度、無秩序な発がん性シグナル伝達及びある特定の形態学的特徴などの異常な成長特徴を有する細胞の存在を意味する。これは、(1)ヒストン脱アセチル化酵素、チロシン又はセリン/スレオニンキナーゼの過剰発現に関連する良性または悪性細胞(例えば、腫瘍細胞);(2)異常に高レベルのヒストン脱アセチル化酵素、チロシン又はセリン/スレオニンキナーゼ活性に関連する良性または悪性細胞(例えば、腫瘍細胞)という細胞の増殖を含むが、これらに限定されない。
【0011】
当業者は、本発明の薬物併用又は医薬組成物において、医薬品の有効成分が有効量または治療有効量で使用されることを理解することができる。「有效量」又は「治療有效量」という用語とは、以下に定義される予期される用途(疾患の治療が含まれるが、これらに限定されない)を達成するのに十分である、本明細書に記載の阻害剤の用量を意味する。治療有效量は、予期される用途(in vitro又はin vivo)、又は治療されている被験者及び病状、例えば、被験者の体重及び年齢、病状の重症度、投与方式などにより異なり、これらは当業者によって容易に決定される。該用語は、標的細胞に特定の応答(例えば、増殖の低下又は標的タンパク質活性のダウンレギュレーション)を誘導する用量にも適用される。具体的な用量は、選択される特定の化合物、従うべき投与スケジュール、他の化合物と組み合わせて投与するか否か、投与時点、投与される組織及びそれを運ぶ物理的送達システムにより異なる。
「相乗作用」又は「相乗効果」とは、有効量の別の有効成分または治療法と併用する場合には、2つの有効成分を単独で使用する場合よりも優れた効果を生み出すことを意味する。幾つかの実施形態において、相乗的に有効な治療量の医薬有効成分又は療法は、併用される場合には、2つの活性医薬成分または療法を単独で使用した場合の相加効果よりも優れた効果が得られる。
「阻害剤」という用語とは、標的タンパク質の活性または発現を阻害することにより、標的タンパク質の生物学的機能を阻害する能力を有する化合物を指す。阻害剤の生物学的活性は、腫瘍の進行、成長又は拡散、又は自己免疫疾患における望ましくない免疫応答に関連する。
「併用投与」、「同時投与」という用語及びそれらの文法的同等物は、2つ又はそれ以上の医薬有効成分を対象に投与し、これらの2つの医薬有効成分及び/又はそれらの代謝物が動物に同時に存在することを含む。併用投与には、別々の組成物での同時投与、別々の組成物での異なる時点での投与、または両方の薬剤が存在する組成物での投与が含まれる。同時投与される医薬有効成分は、同じ製剤、異なる製剤、または同じ製品、例えばキットであり得る。
【0012】
本明細書で使用される「治療効果」は、上記のような治療的利益及び/又は予防的利益が含まれる。予防効果は、疾患又は病状の出現の遅延や排除、疾患又は病状の発症の遅延や排除、疾患又は病状の進行の減速、停止や逆転、或いはそれらの任意の組み合わせを含む。
「薬学的に許容される塩」という用語とは、当技術分野で知られている様々な有機および無機の対イオンに由来する塩を指す。薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される酸付加塩及び塩基付加塩を含む。酸付加塩は、無機酸及び有機酸を使用して形成されることができる。塩の由来となる無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。塩の由来となる機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、P−トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基を使用して形成することができる。塩の由来となる無機塩基は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含む。塩の由来となる有機塩基は、例えば、一級、二級および三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、特に、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミンを含む。幾つかの実施形態において、薬学的に許容される塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩から選ばれる。
「薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体」は、任意の溶媒、分散媒体、塗料、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。これらの媒体及び試薬の薬学的活性物質への適用は、当分野でよく知られている。任意の通常の媒体又は試薬が有効成分との非相溶性を除いたのは、本発明の治療用組成物に使用されると考えられる。補助的な有効成分も組成物に組み込むことができる。
【0013】
本発明において、前記腫瘍は、乳がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、前立腺がん、膀胱がん、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ性細胞性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む白血病、多発性骨髄腫(MM)および骨髄異形成症候群(MDS)、骨がん、肺がん、基底細胞がん、黒色腫、扁平上皮がんを含む皮膚がん、眼網膜芽細胞腫、皮膚または眼内(眼)黒色腫、原発性肝がん、腎臓がん、甲状腺がん、例えばびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞性リンパ芽球性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫などのAIDS関連リンパ腫、カポジ肉腫、例えば神経膠腫を含む原発性脳腫瘍などの中枢神経系がん、神経線維腫および神経鞘腫を含む末梢神経系がん、悪性線維性細胞腫瘍、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫および悪性子宮ミューラー管混合腫瘍、口腔・咽頭がん、胃がん、精巣がん、胸腺がん、直腸がんおよび結腸がんという疾患又は状態を含む。
本発明による併用療法は、広い用量範囲で有効である。例えば、成人を治療する場合、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及びプロテインキナーゼ阻害剤の1日量は、それぞれ1〜100mgであり、好ましくは、5〜100mgである。ある具体的な実施形態において、チダミドとChiauranibの組み合わせを使用し、ここで、チダミドの1日量は、5〜60mgであり、Chiauranibの1日量は、10〜100mgである。正確な用量は、選択される医薬有効成分、投与経路、投与される化合物の形態、治療される被験者、治療される被験者の体重、主治医の好みおよび経験に依存し、当業者によって決定されることができる。
本発明の医薬組み合わせは、抗腫瘍活性を有する他の医薬有効成分と一緒に使用することができ、それに対応して、本発明の医薬組成物又はキットにおいて、さらに、抗腫瘍活性を有する他の医薬有効成分を含むことができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、経口投与に適した医薬組成物、例えば、顆粒剤、カプセル又は錠剤などの形態であってもよい。経口投与に適した本発明の医薬組成物は、離散的な状態の投与形態、例えば、カプセル剤又は錠剤であってもよく、或いは液体又はスプレー剤であってもよく、それぞれ所定量の有効成分を含み、粉末であるか、又は顆粒、溶液であるか、又は水性又は非水性液体中の懸濁液、水中油型エマルジョン又は油中水型液体エマルジョンであり、液体剤形(例えば、懸濁液又はスラリー)及び経口固体剤形(例えば、錠剤又はバルク粉剤)を含む。本明細書で使用される「錠剤」という用語は、通常、カプレット、スモールカプセル、カプセル(ソフトゼラチンカプセルを含む)及び錠剤である。経口投与剤形は、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、乳剤、親油性および親水性懸濁液、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などに調製されることができ、治療される個人または患者によって経口摂取される。このような剤形は、任意の薬学的方法により調製されることができる。適切な賦形剤は、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含む糖類、コーンスターチ、小麦スターチ、ライススターチ、ポテトスターチ、ゼラチン、トラガカンス、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース製剤であってもよい。一般的には、有効成分を液体担体又は細かく粉砕された固体担体又は両方と均一で緊密に混合し、次いで必要に応じて、製品を所望の形態に成形することにより、組成物を調製する。例えば、錠剤は、任意に1つ又は複数の添加剤と圧縮または成形されることにより作製されることができる。圧縮錠剤は、適切な機械にて粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を圧縮することによって調製することができ、該有効成分は、例えば、粘着剤、潤滑剤、不活性希釈剤及び/又は界面活性剤又は分散剤であるがこれらに限定されない賦形剤と任意に混合される。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で濡れた粉末状化合物の混合物を適切な機械で成形することにより調製されることができる。担体は、投与に必要とする製剤形態に応じて、様々な形態を採用されることができる。経口投与用組成物を調製する場合には、一般的に使用される任意の医薬媒体を担体として使用することができ、経口液体製剤(例えば、懸濁液、溶液及びエリキシル剤)又はエアロゾルである場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤、着色剤などを使用し、或いは、経口固形製剤である場合には、ラクトースを使用しない幾つかの実施形態では、例えばデンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、および崩壊剤などの担体を使用することができる。例えば、固形経口製剤に適した担体は、粉剤、カプセル及び錠剤を含む。錠剤は、必要に応じて、標準的な水性または非水性技術でコーティングされることができる。
組成物は、さらに、1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤及び賦形剤を含むことができる。このような添加剤及び賦形剤は、粘着防止剤、発泡防止剤、緩衝液、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、粘度調整剤、等張化剤(tonicifiers)、甘味剤、着色剤、風味剤、遮光剤、懸濁剤、粘着剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤及びその混合物を含むが、これらに限定されない。
【0015】
実験部分
実験材料:
ヒト肝癌細胞株Bel−7402、Bel−7404は、中国科学院上海生命科学研究院細胞資源センターから購入され、37℃、5%COの条件下で通常の培養を行い、培養液は、10%ウシ胎児血清(Fetal bovine serum、 FBS、 Gibco)及び1%ペニシリン−ストレプトマイシン(HyClone)を含むRPMI−1640(Gibco)であり、トリプシン(Trypsin)は、Gibcoから購入された。クリスタルバイオレット、RNase A(10mg/mL)溶液、よう化プロピジウム(Propidium Iodide、PI)、Triton X−100は、生工生物工程(上海)股▼分▲有限公司から購入され、MTS細胞生存率検出キット、Caspase−Glo 3/7検出キットは、Promegaから購入された。ヌードマウスは、広東省医学実験動物センターから購入された。
【0016】
実施例1. MTS実験
実験方法:
Bel−7402、Bel−7404細胞をトリプシンで消化して収集し、カウントした後、96ウェル細胞培養用プレートに各ウェルあたり3000cells/180μLを播種し、5%CO、37℃で培養した。細胞を播種して一晩静置した後、図1に示すような群分けし及び最終濃度の用量で投与し(投与後の1ウェルあたりの最終容量はいずれも200μL)、各群分けの用量はtriplicateで設定した。120時間の薬物処理後、96ウェルプレートの培養液を捨て、フェノールレッドフリーRPMI−1640 89.5μL、MTS 10μL及びPMS 0.5μLを含むMTS細胞生存率検出試薬100μLを各ウェルに加え、細胞を播種しないウェルに同じ体積のMTS細胞生存率検出試薬を加えてバックグラウンド(OD490−BLK)とした。37℃で約1時間インキュベートした後、マイクロプレートリーダーを使用して490 nmの波長における吸光度値を読み取った。各ウェルの読み取り値からOD490−BLKを差し引いた後、バックグラウンドを差し引いた各投与ウェルOD490−T及び陰性対照ウェルOD490−T0を取得した。
各投与ウェルの相対細胞生存率は、次の式に従って計算された。
生存率=OD490−T/OD490−T0×100%
実験結果:
図1に示すように、Bel−7402及びBel−7404では、Chiauranib及びチダミドの単剤は、腫瘍細胞増殖に対する一定の用量依存的な阻害効果を示した。Bel−7402では、Chiauranibの用量が3μMに達し、チダミドの用量が0.5、1又は2μMに達すると、両方の薬剤が有意な相乗効果を示し、即ち、同様の用量で、両薬剤併用による薬効は、2つの単剤のそれぞれの薬効の合計よりも大きくなり、Bel−7404では、Chiauranibの用量が3μMに達し、チダミドの用量が0.5又は1μMに達すると、両薬剤はBel−7402よりも有意な相乗効果を示した。
【0017】
実施例2. クローン形成実験
実験方法:
数増殖期のSMMC−7721、Bel−7404細胞をトリプシンで消化して収集し、カウントした後、6ウェル細胞培養用プレートに各ウェルあたり500cells/1.8mL播種し、5%CO2、37℃で培養した。細胞を播種して一晩静置した後、図2に示すような群分け及び最終濃度の用量で投与した(投与後の1ウェルあたりの最終容量は、いずれも2mLである)。各ウェルに培養系及び投与用量を安定させるために、新たな培養液及び薬物を3日ごとに交換した。
2〜3週間培養後、肉眼で見えるクローンが培養プレートで観察されると、培養を停止した。上清を捨て、PBSで2回注意深く洗浄した。各ウェルに75%エタノール溶液1mLを加えて細胞を固定し、15分間後に固定液を捨て、各ウェルにクリスタルバイオレット染色液1mLを加えて15分間染色し、次に染色液を流水でゆっくり洗い流し、風乾した。写真を撮り、培養プレートの各ウェルで染色された陽性クローンの密度を比較した。
実験結果:
図2に示すように、SMMC−7721では、0.5又は1μMの用量のチダミド単剤を細胞に作用する時に、細胞クローンの形成に有意な影響はなく、それらの2つのウェル中のクリスタルバイオレット染色陽性クローン密度は、同体積のDMSO溶媒の対照ウェルに相当し、5μMの用量のChiauranib単剤は、細胞クローンの形成に有意な影響を与え、該用量のChiauranibが作用すると同時に0.5又は1μMの用量のチダミドを加える場合には、細胞クローンの形成が有意に阻害され、阻害の程度はチダミドの用量と正の相関があり、Bel−7404では、0.5μM、1μMの用量のチダミド単剤又は3μMの用量のChiauranib単剤が細胞に作用する場合には、いずれも細胞クローンの形成に一定の影響を与え、両方の薬剤を併用して細胞に作用する場合には、クローン形成への阻害がより顕著であった。従って、チダミドとChiauranibの併用は、SMMC−7721及びBel−7404クローン形成の阻害に対し相乗的な増感効果を有した。
【0018】
実施例3. PI染色によるフローサイトメトリー実験
実験方法:
対数増殖期のBel−7404細胞をトリプシンで消化して収集し、カウントした。6ウェルプレートに各ウェルあたり10cells播種し、それぞれ18ウェルに播種した。通常に一晩培養した後、播種された細胞を6群に分け、それぞれ溶媒対照群、3μMChiauranib群、0.5μMチダミド群、1μMチダミド群、3μMChiauranib併用0.5μMチダミド群及び3μMChiauranib併用1μMチダミド群として設定し、各群あたりtriplicateで設定し、それぞれ上記最終濃度で対応する化合物を加えた。48時間培養し続けた後、トリプシンで消化し、800rpmで10min遠心して細胞サンプルを収集し、各サンプルをPBSバッファー300μLに十分に再懸濁し、予冷された無水エタノール700μLに徐々に滴下し、温和に反転させて複数回混合し、細胞を分散させて固定した。固定されたサンプルを4℃で12時間以上静置し、1週間以内にフローサイトメトリー分析を行った。
PBSを10mg/mL PIストック溶液、10mg/mL RNase A溶液及びTriton X−100と1000:5:2:1の比率で均一に混合して、染色液を調製した。固定された細胞サンプルを4℃、1000rpmで10min遠心し、上清を吸引してPBSで2回洗浄し、各サンプル300μLを上記染色液に再懸濁した。37℃、暗所で30分間インキュベートした後、200メッシュのステンレス鋼メッシュで細胞をろ過し、ろ液にフローサイトメトリー解析を実行した(各サンプルで20000cellsである)。
実験結果:
図3に示すように、Bel−7404では、溶媒対照群よりも、0.5μMチダミド群の細胞周期は、基本的に影響を受けず、1μM チダミド群及び3μM Chiauranib群ではG2/M期細胞及び多倍体細胞がわずかに増加し、3μM Chiauranibは、それぞれ0.5μM又は1μMチダミドとともに組み合わせると、細胞はより顕著なG2/M期停止及び多倍体細胞の割合の増加を発生し、チダミドとChiauranibの併用は、細胞周期の阻害を相乗的に増強し、細胞の多倍体化を相乗的に促進する抗腫瘍作用を持つことを示した。
【0019】
実施例4. Caspase 3/7 細胞アポトーシス検出実験
実験方法:
対数増殖期のBel−7404細胞をトリプシンで消化して収集し、カウントした。白色96ウェルプレートに各ウェルあたり2000cellsで播種し、合計18ウェル播種した。通常に一晩培養した後、播種された細胞を6群に分け、それぞれ空白群、溶媒対照群、3μM Chiauranib群、0.5μM チダミド群、3μM Chiauranib併用0.5μMチダミド群及び陽性対照群として設定し、各群あたりtriplicateで設定し、それぞれ上記最終濃度で対応する化合物を加え、48h培養し続けた。
Caspase−Glo3/7バッファー及びCaspase−Glo3/7凍結乾燥粉末基質を18〜22℃に平衡化した後、Caspase−Glo3/7バッファーをCaspase−Glo3/7基質を入れた茶色ボトルに注ぎ、基質が完全に溶解するまでボルテックスさせるか又は回転させて均一に混合し、Caspase−Glo試薬を形成した。
細胞を培養している96ウェルプレートをインキュベーターから取り出し、室温に平衡化した。空白対照、溶媒対照群、薬物処置群及び陽性対照群70μLを含む白色96ウェルプレートの各ウェルにそれぞれCaspase−Glo試薬70μL(培地:Caspase−Glo試薬=1:1)を加えた。プレートシェーカーで各ウェルの内容物を300〜500rpmの回転速度で温和に約30s混合した。室温(18〜22℃)で30min〜3hインキュベートし、発光光度計(Luminometer)で各サンプルの蛍光値を測定した。蛍光値は、各ウェルのアポトーシス細胞の比率を直接反映し、細胞の生存率を計算して比較することができる。
実験結果:
図4に示すように、Bel−7404では、0.5μM チダミド単剤で処置された後、アポトーシス細胞の比率は、同体積のDMSOを加えた溶媒対照群と比較して有意差はなく、3μM Chiauranib単剤の処置では、アポトーシス細胞の比率をある程度に増加させるが、上記用量の2つの薬物を併用して処置すると、アポトーシス細胞の比率は有意に増加し、2つの単剤のそれぞれによる増加された細胞アポトーシスの比率の合計よりも有意に高くなり、2つの薬物は、相乗的に腫瘍細胞のアポトーシスを促進し、それに対応して、腫瘍細胞活性に対する併用薬の阻害も、2つの単剤の効果の合計よりも有意に高い。
【0020】
実施例5. 逐次投与実験
実験方法:
対数増殖期のBel−7404細胞をトリプシンで消化して収集し、カウントし、96ウェル細胞培養用プレートに各ウェルあたり5000cells/180μLで播種し、5%CO、37℃で培養した。細胞を播種して一晩静置し、図5に示すように0〜48時間に対応する群分け及び最終濃度の薬物を加え、各ウェルの最終体積はいずれも200μLに達するようにした。48時間培養し続けた後、96ウェルプレートの培養液を注意深く吸引し、各ウェルに新鮮な培養液180μLを加え、図5に示すように48〜96時間に対応する群分け及び最終濃度の薬物を加えた(各ウェルの最終体積は200μLになる)。48時間を培養し続け、つまり、薬物処置の合計時間は、96時間に達した後、96ウェルプレートの培養液を捨て、MTS細胞生存率検出試薬を加え、各ウェル中の細胞生存率を検出して計算した。
実験結果:
図5に示すように、Bel−7404では、前の48時間でも後の48時間でも、2つの薬物の同時投与による細胞への阻害作用は、いずれも単剤のそれぞれ投与による効果よりも高い。細胞を前の48時間にチダミド単剤で前処理し、薬をやめた後にさらに後の48時間にChiauranib単剤で細胞を処置するのは、前の48時間にChiauranib単剤で細胞を前処理し、薬をやめた後にさらに後の48時間にチダミド単剤で細胞を処置するのと比べて、大きな違いがあり、チダミドの前処理はChiauranibに対する細胞の感受性がより強くなるが、Chiauranibの前処理はチダミド単剤の後続効果に対する細胞の感受性を強くすることができなく、2つの薬物を併用する場合の相乗的感作メカニズムは、チダミドによる細胞へのエピジェネティック修飾がChiauranibの効果に対する細胞の感受性を変化させることを示した。
【0021】
実施例6. ヌードマウス異種移植腫瘍モデル実験
実験方法:
Bel−7404細胞を大量増幅させて培養し、細胞を対数増殖状態に維持した。細胞数が必要な数量に達した後、トリプシンで処理して収集し、大量のPBSで2回よく洗浄し、トリプシン及び血清成分を除去し、室温、800rpmで10min遠心し、上清を捨てた。FBSを含まないRPIM−1640培養液で細胞を再懸濁し、細胞濃度を10/300μLに調製した。
無菌条件下で、細胞懸濁液を1回300μLでヌードマウスの背中に皮下注射し、各ヌードマウスあたり1回注射した。注射される時に1mLの単回使用注射器を使用し、各ヌードマウスの注射位置及び方向が基本的に一致することを確認した。
細胞播種の1日後、ヌードマウスをランダムに4つの群(即ち、溶媒対照群、Chiauranib 2.5mg/kg群、チダミド20mg/kg群及び併用薬群)に分け、マーキング後に別々のケージで飼育し、毎日群分けで投与し、腫瘍形成を観察した。投与前に各ヌードマウスの体重を測定し、1キログラムの体重あたりの用量を計算し、つまり、溶媒対照群では、CMC−Na溶液を1キログラムの体重あたり10μL、Chiauranib2.5mg/kg群では、0.25mg/mL Chiauranib−CMC−Na懸濁液を1キログラムの体重あたり10μL、チダミド20mg/kg群では、2mg/mL チダミド−CMC−Na懸濁液を1キログラムの体重あたり10μL、併用薬群では、1mlあたり0.25mg Chiauranib及び2mg チダミドを含むCMC−Na懸濁液を1キログラムの体重あたり10μL胃内投与した。腫瘍の最長径(長さ)及びそれに垂直な最大径(幅)を2日ごとにバーニアキャリパーで測定し、式TS=長さ×(幅)/2で腫瘍体積を計算して記録した。各ヌードマウスは、定時に1日1回胃内投与され、33日目の最後の投与後、実験を停止した。
実験結果:
図6に示すように、溶媒対照群よりも、Chiauranib 2.5mg/kg及びチダミド20mg/kgの両方の単剤投与群は、いずれも最終的にヌードマウスの腫瘍体積をある程度阻害するが、併用薬群の最終的な腫瘍阻害率は、2つの単剤投与群の腫瘍阻害率の合計よりも高くなり、両方の薬物が担癌ヌードマウスにおいて相乗的に感作させて腫瘍を阻害する活性を有した。
【0022】
実施例7. 複合医薬組成物1(顆粒剤又はカプセル剤)の調製(1000単位として)
チダミド固体分散体の処方:
【表1】

複合顆粒剤の処方:
【表2】

調製プロセス:
(1)チダミド固体分散体の処方に応じてチダミド、ポビドン及び薬用エタノールを秤量し、混合した後、80℃で撹拌して溶解させ、透明溶液を得た。溶液を取り出して回転蒸発又はスプレー乾燥を行い、類白色粉末であるチダミド固体分散体を調製した。
(2)複合顆粒剤の処方に応じてチダミド固体分散体、Chiauranib、ポビドン、微結晶セルロース及びラクトースを秤量し、添加剤を湿式造粒機に加えて均一に混合した後、薬用エタノールを加えて湿式造粒を行い、得られたペレットをオーブンまたは流動床で乾燥させ、20メッシュの篩にかけて、医薬品組成物顆粒を得た。
(3)ステップ(2)で得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムと一定の割合で最終的に2min混合し、総配合顆粒を得た。
(4)ステップ(3)で得られた総配合顆粒を袋に詰めて顆粒剤を得るか、又は中空カプセルに充填してカプセル剤を得た。
【0023】
実施例8. 複合医薬組成物2(顆粒剤、カプセル剤又は錠剤)の調製(1000単位として)
チダミド固体分散体の処方:
【表3】

複合顆粒剤の処方:
【表4】

調製プロセス:
(1)チダミド固体分散体の処方に応じてチダミド、コポビドン及び薬用エタノールを秤量し、混合した後、80℃で撹拌して溶解させ、透明溶液を得た。溶液を取り出して回転蒸発又はスプレー乾燥を行い、類白色粉末であるチダミド固体分散体を調製した。
(2)複合顆粒剤の処方に応じてチダミド固体分散体、Chiauranib、クロスポビドン、微結晶セルロース及びマンニトールを秤量し、三次元ミキサーに添加剤を加えて均一混合した後、乾式造粒を行い、得られたペレットを20メッシュの篩にかけて、医薬品組成物顆粒を得た。
(3)ステップ(2)で得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムと一定の割合で最終的に2min混合し、総配合顆粒を得た。
(4)ステップ(3)で得られた総配合顆粒を袋に詰めて即放性顆粒剤を得、中空カプセルに充填してカプセル剤を得、打錠して錠剤を得た。
【0024】
実施例9. 複合医薬組成物3(顆粒剤又は錠剤)の調製(1000単位として)
チダミド固体分散体の処方:
【表5】

複合顆粒剤の処方:
【表6】

調製プロセス:
(1)チダミド固体分散体の処方に応じてヒドロキシプロピルメチルセルロースを秤量して配合量の水を加え、溶解させた後にチダミドを加え、80℃で撹拌して溶解させ、透明溶液を得た。溶液を取り出して回転蒸発又はスプレー乾燥を行い、類白色粉末であるチダミド固体分散体を調製した。
(2)複合顆粒剤の処方に応じてチダミド固体分散体、Chiauranib、クロスポビドン、微結晶セルロース及びラクトースを秤量し、三次元ミキサーに添加剤を加えて均一混合した後、乾式造粒を行い、得られたペレットを20メッシュの篩にかけて、医薬品組成物顆粒を得た。
(3)ステップ(2)で得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムと一定の割合で最終的に2min混合し、総配合顆粒を得た。
(4)ステップ(3)で得られた総配合顆粒を袋に詰めて即放性顆粒剤を得、打錠して錠剤を得た。
【0025】
実施例10. 複合医薬組成物4(カプセル剤)の調製(1000単位として)
チダミド医薬用コーティング液の処方:
【表7】

Chiauranib医薬用コーティング液の処方:
【表8】

ペレットコアの処方:
【表9】

調製プロセス:
(1)チダミド医薬用コーティング液の処方に応じてチダミド、ポビドン及び薬用エタノールを秤量し、混合した後、80℃で撹拌して溶解させ、透明溶液であるチダミド医薬用コーティング液を得た。
(2)Chiauranib医薬用コーティング液の処方に応じてポビドン及び薬用エタノールを秤量し、ポビドンをエタノールに溶解させた後、Chiauranibをポビドン溶液に均一に分散させ、Chiauranib医薬用コーティング液を得た。
(3)コーティング:ブランクペレットコアを正確に秤量し、チダミド医薬用コーティング液及びChiauranib医薬用コーティング液をそれぞれ流動床で噴霧し、薬物のコーティングを行った後、取り出して秤量し、薬物のコーティング率を計算し、チダミドとChiauranibとの組み合わせ薬物を含まれるマイクロペレットを得た。
(4)ステップ(3)でコーティングされたマイクロペレットを中空カプセルに充填してカプセル剤を得た。
【0026】
実施例11. 複合医薬組成物5(カプセル剤)の調製(1000単位として)
チダミドとChiauranibとの組み合わせ薬物用コーティング液の処方:
【表10】

ペレットコアの処方:
【表11】

調製プロセス:
(1)チダミドとChiauranibとの組み合わせ薬物用コーティング液の処方に応じてチダミド、ポビドン及び薬用エタノールを秤量し、混合した後、80℃で撹拌して溶解させ、透明溶液を得、さらに、Chiauranibをチダミド透明溶液に均一分散させ、チダミドとChiauranibとの組み合わせ薬物用コーティング液を得た。
(2)コーティング:ブランクペレットコアを正確に秤量し、チダミドとChiauranibとの組み合わせ薬物用コーティング液を流動床で噴霧し、薬物のコーティングを行った後、取り出して秤量し、薬物のコーティング率を計算し、チダミドとChiauranibとの組み合わせ薬物を含むマイクロペレットを得た。
(3)ステップ(2)でコーティングされたマイクロペレットを中空カプセルに充填してカプセル剤を得た。
以上に調製された各製剤は、「中華人民共和国薬典」2015年版に従って、0.1mol/L塩酸媒体でin vitro溶出試験を行い、15minで85%以上放出され、いずれも放出要件を満たすことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】