(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-534489(P2021-534489A)
(43)【公表日】2021年12月9日
(54)【発明の名称】消費者の喫煙習慣の変化を促進するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20211112BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2021-507470(P2021-507470)
(86)(22)【出願日】2019年8月29日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月10日
(86)【国際出願番号】EP2019073154
(87)【国際公開番号】WO2020043857
(87)【国際公開日】20200305
(31)【優先権主張番号】18192105.7
(32)【優先日】2018年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロベール
(72)【発明者】
【氏名】タイヒェルト アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
小売店のネットワークが記載されている。小売店は、加熱式たばこ装置など、従来の紙巻たばこの代替物を提供する。小売店のネットワークは、二つ以上の個々の小売店であって、個々の小売店のそれぞれが異なる場所に位置している二つ以上の個々の小売店と、顧客データを保存する中央データベースをホストするように構成された中央サーバーであって、個々の小売店のそれぞれが中央サーバーに接続されている中央サーバーとを備え、小売店のネットワーク中の個々の小売店のそれぞれは毒物試験ステーションを備え、毒物試験ステーションは、顧客の毒物レベルを検出するための少なくとも一つの毒物試験装置と、顧客情報を受信するように構成されたデータ入力装置と、毒物試験装置に接続された、かつ中央サーバーとの間でデータを送受信するように構成された処理装置であって、そのデータが顧客情報データおよび毒物レベルデータを含む、処理装置と、処理装置に接続された表示装置であって、処理装置が、顧客の以前の試験結果と比較して、または集団内の毒物の平均レベルと比較して、毒物試験装置によって検出された毒物レベルのグラフ表示を表示装置に提供するように構成された、表示装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱式たばこ装置など、従来の紙巻たばこの代替物を提供する小売店のネットワークであって、前記小売店ネットワークが、個々の小売店のそれぞれが異なる場所に位置する二つ以上の個々の小売店と、
顧客データを保存する中央データベースをホストするように構成された中央サーバーであって、個々の小売店のそれぞれが前記中央サーバーに接続されている、中央サーバーと、を備え、
前記小売店ネットワーク中の個々の小売店のそれぞれが毒物試験ステーションを備え、前記毒物試験ステーションが、
顧客の毒物のレベルを検出するための少なくとも一つの毒物試験装置と、顧客情報を受信するように構成されたデータ入力装置と、
前記毒物試験装置に接続された、かつ前記中央サーバーとの間でデータを送受信するように構成された処理装置であって、そのデータが顧客情報データおよび毒物レベルデータを含む処理装置と、
前記処理装置に接続された表示装置と、を備え、前記処理装置が、前記顧客の以前の試験結果と比較して、または集団内の前記毒物の平均レベルと比較して、前記毒物試験装置によって検出された前記毒物レベルのグラフ表示を前記表示装置に提供するように構成されている、小売店のネットワーク。
【請求項2】
前記毒物試験装置が、顧客が中に息を吐き出す呼気試験装置であり、前記毒物試験ステーションが前記毒物試験装置用の複数の使い捨てマウスピースを備える、請求項1に記載の小売店ネットワーク。
【請求項3】
前記毒物試験装置が血液試験装置である、請求項1に記載の小売店ネットワーク。
【請求項4】
前記毒物が一酸化炭素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の小売店ネットワーク。
【請求項5】
前記中央サーバーが、前記顧客に対して後で実施される毒物試験で検出される毒物レベルと比較するために、検出済み毒物レベルを保存する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の小売店ネットワーク。
【請求項6】
前記比較が、前記小売店ネットワーク中の二つの異なる個々の小売店で検出された毒物レベル間の比較である、請求項5に記載の小売店ネットワーク。
【請求項7】
前記毒物試験ステーションが顧客の電子喫煙装置用のインターフェースを備え、前記表示装置が、前記顧客の電子喫煙装置からの使用データを、検出された前記毒物レベルとともに表示するように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の小売店ネットワーク。
【請求項8】
前記顧客情報が、前記顧客の喫煙履歴、職業、ライフスタイル、自宅所在地、勤務地、健康状態および食事のうちの一つ以上についての情報を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の小売店ネットワーク。
【請求項9】
前記処理装置が、前記顧客に対して匿名の顧客識別子を生成するように構成されていて、識別顧客情報が前記匿名の顧客識別子とともに第一のデータベースに保存され、非識別顧客情報および検出済み毒物レベルが前記匿名の顧客識別子とともに第二のデータベースに保存される、請求項7に記載の小売店舗ネットワーク。
【請求項10】
禁煙を補助する方法であって、
少なくとも二つの小売店のネットワークの一部を形成する小売店で、顧客の毒物のレベルを測定することと、
中央サーバーに保存されたデータベースとの間でデータを送受信することであって、 そのデータが前記測定された毒物レベルに関するデータを含むことと、
前記顧客に前記測定された毒物レベルを表示および説明することと、
前記顧客に加熱式たばこ製品または電子喫煙装置を提供することと、
前記加熱式たばこ製品または電子喫煙装置の一定期間の使用後に、前記顧客の前記毒物の新しいレベルを測定することと、
中央サーバーに保存されたデータベースとの間でデータを送受信することであって、 そのデータが前記測定された毒物レベルに関するデータを含むことと、毒物の前記新しいレベルを前記顧客に表示することと、を含む方法。
【請求項11】
前記毒物の新しいレベルを測定する工程が、少なくとも二つの小売店の前記ネットワーク中の、前記第一の小売店とは異なる小売店で実施される、請求項10に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項12】
前記顧客に毒物の前記新しいレベルを表示する工程が、毒物の前記新しいレベルと以前に測定された毒物のレベルとの比較を表示することを含む、請求項10または請求項11に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項13】
前記毒物レベルを表示する工程、または毒物の前記新しいレベルを表示する工程のいずれかが、毒物の前記それぞれのレベルと 集団内の前記毒物の平均レベルとの比較を表示することを含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の禁煙を補助する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の紙巻きたばこの代替品を提供する小売店のネットワーク、および従来の紙巻たばこの喫煙者が喫煙をやめるかまたは代替喫煙製品に変更するのを助けるための方法に関する。
【0002】
多くの人は従来の紙巻たばこを定期的に喫煙する。従来の紙巻たばこの習慣的喫煙は、非喫煙者または、加熱式たばこシステムの代替製品もしくは電子たばこなどのその他の代替物の喫煙者と比べて、特定の毒物のレベル上昇をもたらしうる。喫煙をやめたり、害の少ない代替物に移行したりすることによって、従来の紙巻たばこの喫煙者が習慣を変える手助けをすることが望ましいであろう。
【0003】
しかし、喫煙習慣を変えるように喫煙者を説得することは難しい場合がある。喫煙者が喫煙をやめたり、代替製品に変更したりするためのプログラムは典型的に、医師の診療所などの臨床環境でのみ利用できる。喫煙者は、こうした臨床環境を訪れることに消極的である可能性がある。臨床環境内でも、禁煙をする利点または、従来のたばこに代わるもの(加熱式たばこ製品など)を使用する利点を、説得力があり個人的な方法で伝えることは難しい場合がある。
【0004】
例えば、禁煙する利点を比較的に短時間で喫煙者に示せることが望ましいであろう。喫煙者が喫煙を完全にやめることに気が進まない場合、従来の紙巻たばこを喫煙する代わりに、加熱式たばこ製品、または電子たばこなどのその他の代替製品を喫煙することの利点を、比較的に短時間で示せることが望ましいであろう。こうした製品は、従来の紙巻たばこの代わりに使用されると、有害であることが知られている成分へのユーザーの暴露を低減する可能性がある。また、より良い実証済み情報を顧客および規制機関に提供できるように、加熱式たばこ製品または電子たばこを用いて、ユーザー行動のデータ、および従来の可燃性紙巻たばこと比較した加熱式たばこ製品または電子たばこの利点を捕捉できることが望ましいであろう。最後に、加熱式たばこ製品など、従来の紙巻たばこの代替物の使用に関する集団レベルの統計を提供できることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によると、従来の紙巻たばこの代替物(加熱式たばこ装置など)を提供する小売店のネットワークが提供されていて、小売店のネットワークは、それぞれ異なる場所にある二つ以上の小売店と、顧客データを保存する中央データベースをホストするように構成された中央サーバーとを備え、個々の小売店のそれぞれは中央サーバーに接続されている。
【0006】
小売店ネットワークの個々の小売店のそれぞれは毒物試験ステーションを備え、毒物試験ステーションは、顧客の毒物レベルを検出するための少なくとも一つの毒物試験装置と、顧客情報を受信するように構成されたデータ入力装置と、毒物試験装置およびデータ入力装置に接続された、かつ中央サーバーとの間でデータを送受信するように構成された処理装置であって、データが顧客情報データおよび検出された毒物レベルデータを含む、処理装置と、処理装置に接続された表示装置であって、処理装置が、毒物試験装置によって検出された毒物レベルと、顧客の以前に検出された毒物レベルまたは集団内の毒物の平均レベルとの比較のグラフ表示を表示装置に提供するように構成された、表示装置とを備える。
【0007】
毒物試験ステーションが小売店の一部であり、そのため臨床試験環境にあるのではなく、小売環境にあることは有利である。小売環境において、喫煙者は顧客である。臨床環境において、喫煙者は患者である。喫煙者が患者ではなく顧客であることは、喫煙者が典型的に、より快適に感じ、状況をより制御できると感じ、従来の喫煙をやめたり、変更したりする利点を考慮する可能性がより高いため、有利である。
【0008】
また、喫煙者は臨床現場よりも小売店に入る可能性が高い。例えば、顧客は喫煙習慣を変えることを決断する前に小売店に入店することがある。しかし、喫煙者が患者として臨床現場に入るためには、喫煙者は自分が持っている習慣を変えたいということを既に決断している必要がある。
【0009】
喫煙者にとって小売環境は臨床環境よりも魅力的だと感じられることができ、従って喫煙者は臨床環境よりも小売店に立ち寄る傾向がある。これは、小売店および/または試験ステーションが視覚的に魅力的である場合に特に当てはまる。例えば、試験ステーションは、視覚的に魅力的な方法で、小売店内のスタンドまたはブースに統合されてもよい。小売店および/または試験ステーションの魅力をさらに改善するために、顧客が信頼し忠誠心を感じる良く知られたブランドを使用してもよい。
【0010】
有利なことに、顧客が喫煙をやめるのを助ける、および/または代替物を使用するように変更するのを助ける上での専門的な知識を有する特別な教育を受けた指導員が各小売店にいてもよい。指導員は、毒物試験の実施を希望するかどうかを顧客に尋ねる前に、従来の紙巻たばこを吸うのをやめる、または変更することの利点を説明してもよい。指導員は、喫煙が毒物レベルの上昇を引き起こすことを説明してもよい。
【0011】
平均より高い毒物レベルは、心臓、肺および呼吸器系の損傷のリスクと関連しうる。毒物試験装置によって検出された毒物レベルのグラフ表示は有利なことに、従来の紙巻たばこの喫煙をやめること、および/または加熱式たばこ製品または電子たばこなどの代替物を使用することの利点を顧客に示すために使用されてもよい。
【0012】
一部の実施形態において、グラフ表示は、測定された毒物レベルと、集団内の毒物の平均レベルとを比較する。これは非喫煙者の集団でありうる。顧客の毒物レベルが平均より高いことを示す比較を使用して、顧客が心臓、肺および/または呼吸器系に損傷を負っているリスクが高いことを顧客に示すことができる。これは、顧客が従来の紙巻たばこの喫煙をやめること、または代わりに加熱式たばこ製品、もしくは電子たばこなどの別の代替製品に変えることを説得するために使用されうる。
【0013】
一部の場合において、グラフ表示は、現在の試験からの検出済み毒物レベルと、同じ顧客の以前の試験結果からの毒物の検出レベルとを比較する。有利なことに、以前の結果からの検出済み毒物レベルは、顧客が従来の紙巻たばこを吸っていた時の毒物レベルであり、現在の検出済み毒物レベルは、顧客が従来の紙巻たばこやめたか、または加熱式たばこ製品に変更した後の毒物レベルである。以前の試験で測定された毒物レベルと比較した、測定済み毒物レベルの減少を使用して、顧客が変更した喫煙行動または喫煙製品を継続するように顧客に説得することができる。比較はまた、非喫煙者の集団でありうる集団における平均毒物レベルを含んでもよい。以前の試験と比較して毒物レベルが低下しただけでなく、非喫煙集団の平均毒物レベルに実質的に類似していることも示すことで、顧客が変更した喫煙行動または喫煙製品を継続するように顧客をさらに説得しうる。
【0014】
毒物レベルのグラフ表示は有利なことに、毒物レベルの減少のゲーミフィケーション効果を有しうる。ゲーミフィケーションは、従来の紙巻たばこの喫煙をやめること、および/または加熱式たばこ製品、もしくは電子たばこなどのその他の代替物に変更することをためらい、議論のみによっては説得されない、従来の紙巻たばこの顧客が、加熱式たばこ製品に恒久的に変更するのを助長しうる。ゲーミフィケーションは、顧客が一定期間にわたって、また複数の試験セッションにわたって、低い毒物レベル測定値を維持することを目指している。これは、単に利点を強調して議論するよりも、従来の紙巻たばこの喫煙を控えることを顧客に、より効果的に動機付けうる。
【0015】
グラフ表示は、現在の試験の測定済み毒物レベルを定量的に図示するグラフであってもよい。「緑」、「黄色」または「赤」を示す、より単純なグラフ表示を使用してもよく、以前の試験の毒物レベルまたは平均的な一般集団の毒物レベルと比べて、緑は毒物レベルが改善されたかまたは低いことを示し、黄色は毒物レベルが変化していないか中程度であることを示し、赤は毒物レベルが悪化したまたは高いことを示す。顧客は、従来の紙巻たばこから加熱式たばこ製品への恒久的な変更を行うために、より単純で、色分けされたグラフィカルインターフェースにはより説得力があると感じる場合がある。
【0016】
毒物試験装置は、顧客が息を吐き出す呼気試験装置であってもよい。毒物試験ステーションは、毒物試験装置用の複数の使い捨てマウスピースを備えうる。毒物試験装置は血液試験装置であってもよい。呼気試験装置と血液試験装置の両方は有利なことに、実施が簡単で快適であり、測定のために短い時間しかかからない場合がある。毒物試験装置は非侵襲的であると考えられうる。
【0017】
毒物は一酸化炭素(CO)でありうる。顧客の呼気の一酸化炭素レベルを測定する試験装置の一例は、Bedfont Scientific Ltd(Station Road, Harrietsham, Maidstone, Kent, ME17 1JA, 英国)から入手可能なBedFont Micro+(登録商標)である。一酸化炭素を測定する血液試験装置の一例は、Masimo Corporation(Puits−Godet 10, 2000 Neuchatel, スイス)から入手可能なMasimo Rainbow(登録商標)COオキシメーターである。顧客の血液中のカルボキシヘモグロビン(COHb)濃度を測定して、COレベルを示すことができる。典型的に、従来の紙巻たばこの消費者において測定されたCOレベルは、非喫煙者の集団内の平均のおよそ5倍になるが、これは顧客が1日に吸う従来の紙巻たばこの頻度と量によって異なる。
【0018】
加熱式たばこ製品の一例は、https://uk.iqos.com/shopから入手可能なIQOSヒートスティックである。IQOSヒートスティックによって発生するCOレベルは、従来の紙巻たばこと比較して98%以上減少している。IQOSヒートスティックの習慣的ユーザーの一人では、非喫煙者集団内の平均COレベルと実質的に同じCOレベルが判定された。顧客が従来の紙巻たばこから、IQOSヒートスティックなどの加熱式たばこ製品に変更すると、血流中のCOHbレベルが急速に減少する。COHbレベルは、顧客が加熱式たばこ製品に変更してから1〜2日以内に、非喫煙者の一般集団の平均的なレベルに匹敵するレベルまで大幅に低下しうる。従来の紙巻たばこから、こうしたIQOSヒートスティックなどの加熱式たばこ装置に変更した後のCOレベルの低下を示す比較は、従来の紙巻たばこの喫煙をやめること、または従来の紙巻たばこではなく加熱式たばこ、もしくは電子たばこなどの他の代替物の喫煙を継続することを顧客に動機付けうる。
【0019】
毒物試験ステーションを備える、互いに異なる場所に位置する少なくとも二つの個々の小売店があることは有利である。顧客はその後、同じ店舗に再び戻って、さらなる試験を行い、毒物レベルの変化を観察する必要がない。測定された毒物レベルは、ユーザーが試験を実施する個々の店舗に関係なく、同じ中央サーバーに保存され、そこから取得される。
【0020】
中央サーバーは、後で顧客が実施する毒物試験で検出した毒物レベルと比較するために、検出した毒物レベルを保存しうる。比較は、小売店のネットワーク中の二つの異なる個々の小売店で検出された毒物レベルの間の比較であってもよい。
【0021】
中央サーバーにすべてのデータを保存することによって、複数の個々の店舗から受信した多数の顧客のデータを分析することができる。これは、切り替え効果(すなわち、従来の紙巻たばこから加熱式たばこ製品、もしくは電子たばこなどの他の代替物に切り替えた後、または喫煙を完全にやめた後の毒物への暴露の減少)に関する集団レベルの統計を可能にする。機械学習技術を使用して、中央データベースで収集されたデータを分析し、参照データベースを構築することができ、このデータベースは、様々な加熱式たばこ製品と、典型的に測定される毒物の減少についての関連する利益とを(加熱式たばこ製品同士の比較と、従来の紙巻たばことの比較との両方で)相互比較するために使用できる。
【0022】
毒物試験ステーションは、顧客の加熱式たばこ装置用のインターフェースを備えてもよい。加熱式たばこ装置の使用データは、インターフェースによってダウンロードしてもよい。表示装置は、顧客の電子喫煙装置からの使用データを、検出された毒物レベルとともに表示するように構成されうる。
【0023】
顧客情報は、顧客の喫煙履歴、職業、ライフスタイル、自宅所在地、勤務地、健康状態、食事のうちの一つ以上についての情報を含んでもよい。顧客についてのこうした環境情報と、測定される毒物レベルとの間には関連性がありうる。
【0024】
処理装置は、顧客に対する匿名顧客識別子を生成するように構成されてもよい。識別顧客情報は、匿名顧客識別子とともに第一のデータベースに保存されてもよく、非識別顧客情報および検出済み毒物レベルは、匿名顧客識別子とともに第二のデータベースに保存されてもよい。匿名顧客識別子は、顧客を一意に識別するのに役立つ。中央サーバーに保存された、毒物レベル測定値を含む顧客情報は、匿名顧客識別子とともに保存される。これは、現在の試験が実施されている店舗とは異なる店舗で実施された以前の試験からの顧客に関するデータを、中央サーバーから取得することを可能にする。個人顧客情報(氏名や住所など)を感知データおよび環境データとは別のデータベースに保存することによって、毒物データを匿名で使用することができ、結果として、データのプライバシーを損なうことなく、個々の顧客および顧客集団全体のデータを調査で分析することができる。こうした調査には、逐次の毒性物質測定と環境データの間の関連性の研究、または全体的な集団の喫煙行動の研究が伴いうる。
【0025】
本発明の第二の態様によると、禁煙を補助する方法が提供されていて、この方法は、
少なくとも二つの小売店のネットワークの一部を形成する第一の小売店で、顧客の毒物の初期レベルを測定することと、
測定された毒性の初期レベルのデータを顧客識別子とともに、中央サーバーに保存されたデータベースに送信することと、
測定された毒性の初期レベルを顧客に表示することと、
加熱式たばこ製品または電子喫煙装置を顧客に提供することと、
加熱式たばこ製品または電子喫煙装置の一定期間の使用後に、顧客の毒物の新しいレベルを測定することと、
データベースから毒物の初期レベルを受信することと、
毒物の新しいレベルと毒物の初期レベルの比較を顧客に表示することと、
を含む。
【0026】
毒物の新しいレベルを測定する工程は、第一の小売店とは異なる、少なくとも二つの小売店のネットワーク中の小売店で実施されてもよい。
【0027】
表示する工程は、毒物の初期レベルまたは新しいレベルと、集団内の毒物の平均レベルとの比較を表示することを含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【
図1】
図1は、二つの個々の店舗を含む、本発明による小売店のネットワークを示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明による禁煙を補助する方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、中央サーバー上のデータベースのうちの一つを分析して、集団サブグループを表す情報のクラスターを形成するための、大容量データ分析および人工知能(AI)の使用を示す概略図である。
【0029】
小売店のネットワークは、これらの店舗の顧客が従来の紙巻たばこの喫煙をやめるのを助けるために使用でき、または顧客が従来の紙巻たばこを完全にやめることに気が進まない場合、加熱式たばこ製品などの代替物に変更することの利点について顧客に説得するために使用できる。
図1は、小売店100のこうしたネットワークの概略図である。小売店100のネットワークは、二つの個々の小売店102および103と、単一の中央サーバー120とを含む。個々の小売店のそれぞれは、加熱式たばこ製品など、従来の紙巻たばこの代替物を提供する。メンターまたは店舗の指導員が店舗のそれぞれにいる。
【0030】
指導員は顧客を歓迎し、次に形式ばらない会話で従来の紙巻たばこをやめることの利点を説明するか、または顧客が従来の紙巻たばこをやめることに気が進まない場合は、従来の紙巻たばこの喫煙から、代替物である加熱式たばこ製品の喫煙に切り替えることの利点を説明する。形式ばらない会話は、店舗の心地よくリラックスできる小売環境と組み合わさって、指導員とかかわり合うことを顧客に促すのに役立ちうる。指導員はその後、顧客に毒物試験を実施するよう説得することができ、この試験は、この実施形態において、一酸化炭素(CO)試験である。毒物試験の結果を使用することによって、従来の紙巻たばこの喫煙の結果として、非喫煙者の集団の平均と比較してCOレベルが上昇していることを顧客に示すことができる。指導員は次に、COのこうしたレベルの悪影響を説明し、顧客が喫煙をやめるように、および/または小売店が提供する加熱式たばこ製品の喫煙に切り替えるように説得を試みる。
【0031】
顧客は、試験前4時間以内に従来の紙巻たばこを喫煙していた場合、例えば呼気中またはパルスオキシメトリ(COHb)で測定したCOレベルが上昇しているはずである。顧客が従来の紙巻たばこを吸ってから4時間以上経っている場合、指導員は試験を店舗で実施する前に、顧客に店舗から出てもらい、従来の紙巻たばこのような製品を喫煙するように求めてもよい。指導員はまず、顧客の年齢を尋ねて、喫煙の法定年齢以上であることを確認する。指導員は、顧客が従来の紙巻たばこを吸う直前と吸った直後に試験を行い、COレベルの対比、つまり従来の紙巻たばこの喫煙と血液中または呼吸中のCOレベルの上昇との間の関連性を示すことができる。
【0032】
顧客は、後日に小売店ネットワーク中の店舗の一つに戻って、CO試験を再び実施するよう誘われる。この後続試験では、喫煙を完全に中止することによって、または加熱式たばこ製品を使用することによって、ユーザーのCOレベルがより低くなることが明らかになる。このより低いCOレベルは、一般非喫煙者集団の平均に非常により近い。これは、従来の紙巻たばこを吸わないままでいること、または加熱式たばこ製品を使用し続けることを顧客に奨励する。COレベルを以前の試験および非喫煙者集団の平均と比較することによって、COレベルが効果的にゲーム要素となる。ゲーミフィケーションは、顧客が低いCOレベルを維持すること、つまり従来の紙巻たばこの喫煙に戻らないことを奨励する。
【0033】
小売店102は試験ステーション104を備える。試験ステーションは、顧客の血液中または呼吸中のCOレベルを検出または測定するために試験を実施するように構成されている。試験ステーション104は、COのレベルを測定する試験を実施するための一つ以上のCO試験装置106と、特定の顧客情報を入力するために使用できるデータ入力装置108と、処理装置110と、表示装置112とを備える。処理装置110は、CO試験装置106およびデータ入力装置108からデータを受信することができるように、これら両方に接続されている。処理装置110はまた、中央サーバー120に接続されている。処理装置は、中央サーバーとの間でデータを転送することができる。処理装置は、異なるデータセット間の比較を行うことができるようにデータを操作することができる。
【0034】
小売店103は、毒物試験装置107、データ入力装置109、処理装置111、表示装置113という類似の特徴を備える類似の試験ステーション105を備える。処理装置111は中央サーバー120に接続されている。
【0035】
図1は、単純化のために二つの店舗のみを示していることが理解されるべきである。しかしながら、小売店のネットワークは三つ以上の個々の小売店を含んでもよく、個々の小売店のそれぞれは、上述の通りの類似の試験ステーションおよび処理装置を備える。データは、中央サーバー120と、各小売店の試験ステーションのそれぞれの処理装置との間で送受信されうる。
【0036】
図2は、
図1の小売店102、103のいずれかの中に置かれうる試験ステーションの例である。試験ステーション200は、顧客がリラックスして指導員と個人的な話し合いをできることを確実にするために、静かでプライベートな小売店のエリアに置かれるべきである。試験ステーション200は試験装置202を備える。この実施形態において、試験装置は、血液中のCOレベルを測定する試験を実施するために使用されるBedFont Micro+(登録商標)装置(https://www.intermedicaldirect.co.ukから入手可能)である。試験を実施するために、顧客は単に装置の中に通常通り息を吹き込む。装置は顧客の呼吸中のCO分子数をppm単位で測定する。装置自体は、試験結果をパーセンテージとして、またはパーセンテージを赤、黄、緑の出力に変換することによって表示できる表示装置を備える。しかしながら、試験装置202は、試験装置202から結果を受信するようにソフトウェアでプログラムされた処理装置204に接続されている。処理装置204は、必要に応じて顧客のppm単位のCO分子数について、酸素の代わりにCOを運ぶ赤血球の割合を計算することができる。試験装置202と処理装置204の間の接続は、試験装置と処理装置の間の有線接続または無線接続でありうる。
【0037】
図2において、処理装置はタブレットコンピュータであり、表示装置205を備える。表示装置はタッチスクリーンを備え、データ入力装置としても機能する。データ入力装置108、処理装置110および表示装置112はすべて、
図2のタブレットコンピュータ204に組み込まれる。タブレットコンピュータは、
図1に示す通り、中央サーバーに接続されている。この接続は、有線接続または無線接続のいずれか、またはこれら両方によるインターネットを介する。試験ステーションは、試験装置および表示装置が置かれたテーブル206を備える。
【0038】
図2は、試験ステーション202の一実施形態のみを示す。しかしながら、多くの他の実施形態が可能である。データ処理装置は、平坦に、かつテーブル206に位置付けられてもよい。別の方法として、データ処理装置は、表示装置205が指導員の方に向けられ、第二の表示装置が顧客の方に向けられるように構成されてもよい。試験ステーションは、店舗ネットワーク中の個々の店舗すべてにわたって実質的に均一な外観を有することが好ましい。これは、店舗のいずれかに来店した顧客が試験ステーションを見覚えのあるものと感じることを確実にする。
【0039】
図3は、小売店のネットワークを使用する顧客のための禁煙を補助する方法のフローチャートを示す。工程302の前に、顧客は小売店に入り、店舗の指導員の一人に会う。店舗の指導員は、従来の紙巻たばこの代わりに加熱式たばこ製品を喫煙する利点を顧客に説明する。その後、店舗の指導員は、COレベルを測定する最初の試験に参加するよう顧客を説得する。
【0040】
工程302において、指導員は顧客情報を記録する。データ入力装置は、顧客に関する望ましい追加情報を入力するために使用される。これは顧客を特定するための情報である場合があり、また顧客の喫煙履歴、職業、ライフスタイル、自宅所在地、勤務地、健康状態および食事などのデータもデータ入力装置に入力される。処理装置は、匿名である一意の識別子番号または文字列を顧客に割り当てる。
【0041】
試験は工程304で実施される。試験装置202は、交換可能なマウスピースを備える。各試験セッションで、新しいマウスピースが試験装置に取り付けられる。工程304にて、新しいマウスピースが試験装置202に装着され、試験が実施される。この工程は、顧客が試験装置202の中に息を吹き込むことによって実施される。COのレベルが測定され、記録される。試験装置は、顧客の呼気中のCO分子数をppmで測定し、酸素の代わりにCOを運ぶ赤血球の割合を計算することができる。測定は、装置の中に息を一回吹きこむことで、素早く実施できる。試験は実施が簡単で、ストレスを感じない。試験装置からのデータは処理装置に転送される。
【0042】
工程306にて、処理装置は、COレベル測定に関するデータを中央サーバーとの間で送信および/または受信する。顧客情報および感知データは中央サーバーに転送され、中央サーバーに保存される。中央サーバーは、
図1に示す通り、二つのデータベース122、123を含むか、またはそれらに接続されている。両方のデータベースにおいて、情報は顧客の一意の識別番号とともに保存される。その後、この一意の識別子番号を使用して、その顧客に関するデータを後日取得できる。年齢や住所など、顧客を識別するために使用されうる任意の個人データは、第一のデータベース122に保存される。測定された毒物レベルデータは、第二のデータベース123に匿名で保存される。
【0043】
工程306にて、処理装置はまた、感知データベースのデータから計算された、非喫煙者集団の平均COレベルに関するデータを受信しうる。一部の実施形態において、中央サーバーからのこのデータの受信は、実施されているいずれの試験とも無関係に定期的に実施されてもよく、または工程302の一部として実施されてもよいことに留意されたい。
【0044】
工程308にて、試験結果が顧客に表示装置205上に表示される。試験結果は、カルボキシヘモグロビンを含む血液の割合に基づいていて、この割合はCOの測定されたppmから推定される。推定に関する計算は、処理装置によって行われる。別の方法として、計算は、データが処理装置に転送される前に、試験装置によって実行されてもよい。
【0045】
計算結果は、表示装置205上にグラフで表示される。一部の実施形態において、これは、顧客の血液中のカルボキシヘモグロビンの割合を示すグラフの形態である。グラフに示されているのは、現在の試験結果および非喫煙者集団の平均値である。店舗の指導員は顧客に試験結果を説明し、その意味を教える。典型的に喫煙者のCOレベルは、非喫煙者のCOレベルよりも高くなる(おそらくは5倍である)。店舗の指導員はこれを使用して、従来の紙巻たばこの喫煙をやめる、および/または工程310で顧客に提供される加熱式たばこ製品を試すよう顧客を説得することができる。
【0046】
別の実施形態において、グラフ表示は単に「緑」、「黄」または「赤」を示すインジケータであってもよい。最初の試験の場合、インジケータは、測定されたCOレベルと、平均的な非喫煙者一般集団のCOレベルとの比較を表す。緑色はCOレベルが低いこと、すなわち平均的な非喫煙者一般集団より良好または実質的に同等であることを示す。従って緑色は、COレベルが上昇していないことを示す。黄色は、平均的な非喫煙者一般集団のCOレベルとその4倍の値の間のCOレベルを示す。従って黄色は、COレベルが上昇しているものの、顧客がごく最近に従来の紙巻たばこを吸っていた場合ほど高くないことを示す。赤色は、平均的な非喫煙者一般集団の平均COレベルの5倍のCOレベル、またはこの平均COレベルと実質的に等しいCOレベルを示す。従って赤色は、COレベルの上昇、特に頻繁に喫煙する人を代表的に表すCOレベルの上昇を示す。喫煙者である大半の顧客は、最初の試験で赤色の結果を受け取ることが予想されるであろう。指導員はまた、グラフを説明するのではなく、こうした赤色のインジケータを顧客に示すことに、より説得力があることを見いだしうる。
【0047】
工程310の後、顧客は従来の紙巻たばこの喫煙をやめること、または加熱式タバコ製品を使用することが予想される。一定期間(典型的に数日または一週間)後、顧客は、CO試験を再び実施するために、小売店ネットワーク中の小売店を訪問する。これは、顧客が以前の試験を実施した店舗と同じ店舗であってもよく、または異なる店舗であってもよい。工程312において、顧客の情報が取得され、変更または追加がある場合に更新されうる。
【0048】
工程314にて、小売店内の店舗の指導員は、試験装置202に新鮮なマウスピースを装着することを含め、顧客がCOレベルを測定するために別のCO試験を実施するのを手助けする。店舗の指導員はまた、顧客と話し合いを行う。この話し合いは、顧客が来店前に従来の紙巻たばこの喫煙を控えたかどうかを確認するための話し合いである。
【0049】
工程316にて、処理装置は、COレベル測定に関するデータを中央サーバーに送信する。工程304で実施された初期試験の結果はまた、処理装置にダウンロードされる。アクセス可能な中央データベースにすべてのデータが保存され、各店舗にあるデータ処理装置によってすべてのデータにアクセスすることができるため、工程302および工程310にてユーザーが異なる小売店を訪問したかどうかは問題ではない。従って、同じ顧客が任意の店舗でシームレスに、かつ地理的な場所に関係なく、COレベルを試験することができる。工程310にて実施された試験結果は、データ処理装置によって中央データベースに転送される。この場合、中央データベースに保存された顧客について少なくとも一つの過去の試験が存在し、これは工程304の結果である。データ処理装置は、顧客の一意の識別子番号を使用してこの試験結果を受信することができる。
【0050】
工程318にて、試験結果が顧客に表示装置205上に表示される。店舗の指導員は顧客に試験結果を説明する。繰り返しになるが、試験結果はグラフまたは簡易インジケータのいずれかとして、グラフ表示で示される。グラフとして示される場合、過去の試験結果ならびに現在の試験結果がグラフ上に示される。これは、喫煙行動または製品使用の変更の結果として、経時的なCOレベルの比較を店舗の指導員が強調することを可能にする。工程304以降、顧客が従来の紙巻たばこを喫煙していない場合、COレベルは低下しているはずである。ここでも、平均的な非喫煙者一般集団のCOレベルがまた、比較のために示される。工程314にて実施した試験の結果は、この平均に非常により近いはずである。指導員はこれらの比較を使用して、毒物レベルの低下の点から見て、従来の紙巻たばこの喫煙をやめること、または加熱式たばこ製品の使用を継続することの利点を顧客に強調する。
【0051】
より単純なグラフ表示の場合、ここでも平均的な非喫煙者一般集団の平均と比較してCOレベルが「緑」、「黄」または「赤」であるかどうかを示すためにインジケータが使用される。過去の試験がある場合、さらなるインジケータも表示される。このインジケータは、顧客のCOレベルが以前の試験と比較して改善されたかどうかを示す。これは、上向き矢印もしくは下向き矢印、またはさらに色分けされたインジケータの形態でありうる。さらに色分けされたインジケータは、COレベルが以前の試験と比較して低い場合、すなわち改善された場合に緑色を示し、COレベルが以前の試験と実質的に等しい場合に黄色を示し、COレベルが以前の試験以降、より高い場合、すなわち悪化した場合に赤色を示す。色分けされたインジケータは、試験にゲームの要素を取り入れることに役立ちうる。顧客は、緑色のインジケータを維持することを奨励され、インジケータが赤であった場合に落胆するであろう。
【0052】
顧客はCO試験のために、小売店ネットワーク中の小売店に定期的に来店し続けてもよい。工程314〜318は、それぞれの後続試験セッションのために繰り返されてもよい。顧客は、試験プロセスによって禁煙にゲームの要素が取り入れられていると感じうる。この場合、顧客は、COレベルを低く維持すること、および非喫煙者集団の平均レベルと実質的に等しいレベルに維持することを望むことになる。これは、顧客が従来の紙巻たばこに戻らないことを動機付ける。
【0053】
試験装置は、呼気中のCOレベルを測定するための装置である必要はない。例えば、他の実施形態において、試験装置はMasimo Rainbow(登録商標)パルスCOオキシメーターであってもよい。これは、顧客のCOレベルを測定するための別の試験である。この装置は血液中のCOを測定する。臨床的に検証された任意のCO試験装置を使用しうる。
【0054】
さらに、COの代わりに、またはCOに加えて他の毒物を試験してもよい。特に、取り込まれた毒物のレベルを測定するために迅速な試験を使用できる場合、紙巻たばこの喫煙に起因して喫煙者体内でレベルが上昇するものの、紙巻たばこの喫煙をやめることによって減少する任意の毒物を使用しうる。こうした毒物には、例えば一酸化窒素、窒素酸化物、ベンゼンアセトアルデヒド、アクロレイン、アセトン、イソプレン、ホルムアルデヒド、トルエンまたはシアン化水素が含まれる。
【0055】
前述の通り、中央サーバーは二つのデータベース122、123を備える。第一のデータベース122は、データ保護法によって保護されうる、顧客についての任意の個人情報を含む。第二のデータベース123は、非識別顧客情報、および検出された毒物レベルを含む。データベースのいずれかの中の任意の情報は、匿名の顧客識別番号に対して保存される。従って、第二のデータベース123に保存されたデータは完全に匿名である。任意の顧客からデータを収集する前に、店舗の指導員はその顧客の許可を求める。データは広告目的には使用されず、科学的な研究に取り組むことを可能にするために使用される。
【0056】
データベースに保存された個人のデータとより大規模な集団のデータの両方は、データのプライバシーを損なうことなく、調査研究で分析および評価されることができる。
図4は、ビッグデータ分析方法および人工知能404を使用して、感知データベース402(
図1のデータベース123に相当)を分析できる方法の概略図を示す。これらの方法は、望む通りに、データを情報のクラスター406に分割することができる。情報のクラスターのそれぞれは、例えば集団の環境的影響、喫煙行動の変化、加熱式たばこ製品の喫煙行動、他の健康問題、またはライフスタイルが毒物レベルに影響しうる仕組みとの関連性に関する集団の行動を表しうる。非喫煙者集団との比較を行うこともできる。
【手続補正書】
【提出日】2021年3月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
禁煙を補助する方法であって、
ユーザーの毒物レベルを測定することと、
前記測定された毒物レベルを前記ユーザーに表示することと、
前記ユーザーに加熱式たばこ製品または電子喫煙装置を提供することと、
前記加熱式たばこ製品または電子喫煙装置の一定期間の使用後に、前記ユーザーの前記毒物の新しいレベルを測定することと、
前記毒物の新しいレベルを前記ユーザーに表示することと、を含む方法。
【請求項2】
前記毒物の新しいレベルを前記ユーザーに表示する工程が、前記毒物の新しいレベルと以前に測定された毒物レベルとの比較を表示することを含む、請求項1に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項3】
前記毒物のレベルを表示する工程または前記毒物の新しいレベルを表示する工程のいずれかが、集団内の前記毒物の平均レベルに対する前記毒物のそれぞれのレベルの比較を表示することを含む、請求項1または2に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項4】
中央サーバーに保存されたデータベースにデータを送信することまたは受信することのうち少なくとも一つをさらに含み、前記データが前記測定された毒物レベルおよび前記新しい測定された毒物レベルのうちの少なくとも一つに関連するデータを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項5】
前記データが、喫煙履歴、職業、ライフスタイル、自宅所在地、勤務地、健康状態および食事のうちの一つ以上を含むユーザー情報をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項6】
前記方法が、前記中央サーバーに保存された前記データベースにデータを送信することを含み、前記方法が、前記ユーザーに対して生成された匿名の顧客識別子と共に、識別ユーザー情報を前記中央サーバー上に保存された第一のデータベースに保存することと、非識別ユーザー客情報および検出された毒物レベルを、前記ユーザーに対して生成された匿名のユーザー識別子と共に前記中央サーバー上の第二のデータベースに保存することと、をさらに含む請求項5に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項7】
前記加熱式たばこ製品または電子喫煙装置から使用データをダウンロードし、その使用データを測定された毒物レベルと共に表示する工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項8】
前記測定された毒物レベルを表示する工程が、前記測定された毒物レベルのグラフ表示を表示することを含み、前記毒物の新しいレベルを表示する工程が、前記毒物の新しいレベルのグラフ表示を表示することを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の禁煙を補助する方法。
【請求項9】
ユーザーの毒物のレベルを検出するための毒物試験装置と、
前記毒物試験装置に接続された処理装置と、
前記処理装置に接続された表示装置と、を備え、
前記処理装置が、集団内の前記毒物の平均レベルと比較して、前記毒物試験装置によって検出された前記毒物レベルのグラフ表示を前記表示装置に提供するように構成されている、毒物試験ステーション。
【請求項10】
前記毒物試験装置が、ユーザーが中に息を吐き出す呼気試験装置であり、前記毒物試験ステーションが前記毒物試験装置用の複数の使い捨てマウスピースを備える、請求項9に記載の毒物試験ステーション。
【請求項11】
前記毒物試験装置が血液試験装置である、請求項9または10に記載の毒物試験ステーション。
【請求項12】
前記毒物が一酸化炭素である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の毒物試験ステーション。
【請求項13】
喫煙履歴、職業、ライフスタイル、自宅所在地、勤務地、健康状態および食事のうちの一つ以上を含むユーザー情報を受信するように構成されたデータ入力装置をさらに備え、前記処理装置が中央サーバーにデータを送信または受信するように構成され、前記中央サーバーが、ユーザーデータを保存している中央データベースをホストするように構成され、前記データが毒物レベルおよび前記ユーザー情報に関連する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の毒物試験ステーション。
【請求項14】
前記毒物試験ステーションがユーザーの電子喫煙装置用のインターフェースを備え、前記表示装置が、前記ユーザーの電子喫煙装置からの使用データを、検出された前記毒物レベルとともに表示するように構成されている、請求項9〜13のいずれか一項に記載の毒物試験ステーション。
【請求項15】
前記グラフ表示が色分け表示であり、異なる色が、前記平均集団内の前記毒物の前記平均レベルと比較して、前記毒物試験装置によって検出された前記毒物レベルがa)低い、b)中程度、またはc)高いことを示す、請求項9〜14のいずれか一項に記載の毒物試験ステーション。
【国際調査報告】