(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-534624(P2021-534624A)
(43)【公表日】2021年12月9日
(54)【発明の名称】カメラ監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20211112BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20211112BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2021-506531(P2021-506531)
(86)(22)【出願日】2019年7月18日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月31日
(86)【国際出願番号】EP2019069420
(87)【国際公開番号】WO2020030406
(87)【国際公開日】20200213
(31)【優先権主張番号】102018119024.7
(32)【優先日】2018年8月6日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル ティハニー
(72)【発明者】
【氏名】フーバ ネーメト
(72)【発明者】
【氏名】レヴェンテ バログ
(72)【発明者】
【氏名】アダム セルロシ
(72)【発明者】
【氏名】バラージュ ガル
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054CC05
5C054FC12
5C054FE09
5C054FE18
5C054HA30
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
車両の側方領域に対するカメラ監視システムは、車両の少なくとも一方の側で、第1の地表領域(210)および第2の地表領域(220)に対し画像データを同時にキャプチャするための画像キャプチャユニット(110)、および第1の地表領域(210)に対する画像データと第2の地表領域(220)に対する画像データとを分離して、独立した表示を可能にするように構成された画像評価ユニット(120)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側方領域に対するカメラ監視システムにおいて、
前記車両の少なくとも一方の側で、第1の地表領域(210)および第2の地表領域(220)に対し画像データを同時にキャプチャするための画像キャプチャユニット(110)と、
前記第1の地表領域(210)に対する画像データと、前記第2の地表領域(220)に対する画像データとを分離して、独立した表示を可能にするように構成された画像評価ユニット(120)と
が設けられている
ことを特徴とするカメラ監視システム。
【請求項2】
前記第1の地表領域(210)は以下のように定義されている、すなわち、
前記車両の運動方向に垂直に延在し、かつ車両運転者のポジション(15)から4mだけ後方にずらされた第1の線(211)から出発して、前記第1の地表領域(210)は、側方で車両周縁部(16、17)に平行に後方に向かって可変の幅を伴って拡がっており、該可変の幅は、前記第1の線(211)から26mの距離までは、直線的に1mから5mの幅へと増加し、次いで一定に維持され、
前記第2の地表領域(220)は以下のように定義されている、すなわち、
前記車両の運動方向に垂直に延在し、かつ車両運転者のポジション(15)から1.5mだけ後方にずらされた第2の線(221)から出発して、前記第2の地表領域(210)は、側方で車両周縁部(16、17)に平行に23.5mの長さまで後方に向かって可変の幅を伴って拡がっており、該可変の幅は、前記第2の線(221)から8.5mの距離までは、直線的に4.5mから15mの幅へと増加し、次いで一定に維持される、
請求項1記載のカメラ監視システム。
【請求項3】
前記画像キャプチャユニット(110)は、以下のカメラユニット(121、122、123、124)すなわち、
同乗者側(16)において前記車両の前方コーナー領域に取り付けられているときに、前記車両の前方の前方領域(240)、前記第1の地表領域(210)、前記第2の地表領域(220)および第3の地表領域(230)を同時にキャプチャするための、魚眼対物レンズを備えた第1のカメラユニット(121)と、
前記車両の同乗者側(16)において画像データをキャプチャするための第2のカメラユニット(122)と、
前記車両の運転者側(17)において画像データをキャプチャするための第3のカメラユニット(123)と、
前記運転者側において前記車両の前方コーナー領域に取り付けられているときに、前記前方領域(240)、前記第1の地表領域(210)、前記第2の地表領域(220)および第3の地表領域(230)を同時にキャプチャするための、魚眼対物レンズを備えた第4のカメラユニット(124)と、
のうちの少なくとも1つを有する、
請求項1または2記載のカメラ監視システム。
【請求項4】
前記画像評価ユニット(120)は、キャプチャされた前記画像データにおける歪みを、特に前記魚眼対物レンズを用いた撮影における歪みを、補償するように構成されている、
請求項3記載のカメラ監視システム。
【請求項5】
前記第3の地表領域(230)は以下のように定義されている、すなわち、
前記車両の運動方向に垂直に車両運転者のポジション(15)を通過して延在する第3の線(231)から出発して、前記第3の地表領域(230)は、車両周縁部(16、17)に平行に2mの幅で、1.75mだけ後方にかつ1mだけ前方に拡がっており、
前記前方領域(240)は以下のように定義されている、すなわち、
前方の車両境界(241)から出発して、前記前方領域(240)は、前記運転者キャビン(10)の全幅にわたり車両長手方向において少なくとも2mまで、かつ側方で2mにわたり前記同乗者側(17)を越えて拡がっている、
請求項3または4記載のカメラ監視システム。
【請求項6】
前記第1の地表領域(210)を表示するための第1のセクションおよび前記第2の地表領域(220)を表示するための第2のセクションを少なくとも備えた、少なくとも1つのディスプレイユニット(131)が設けられている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のカメラ監視システム。
【請求項7】
前記画像評価ユニット(120)は、キャプチャされた前記画像データにおいて以下の周囲情報すなわち、
車線マーク(20)、
物体、
他の車両
道路周縁
のうちの少なくとも1つを確認して供給するように構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のカメラ監視システム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載のカメラ監視システムが設けられていることを特徴とする実用車両。
【請求項9】
運転者アシストシステムまたは車両の自律走行を支援する方法において、
請求項1から7までのいずれか1項記載のカメラ監視システムによりキャプチャされた画像データを評価し、
該評価に基づき、前記車両の周囲情報を検出し、ただし該周囲情報は、以下のうちの少なくとも1つを含み、すなわち検出された車線マーク、検出された車線周縁、検出された他の車両、前記車両の周囲において検出された物体のうちの少なくとも1つを含み、
前記周囲情報を供給する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
ソフトウェアが格納されているコンピュータプログラム製品であって、
前記ソフトウェアは、該ソフトウェアがデータ処理ユニットにおいて実行されると、請求項9記載の方法を実施するように構成されている、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ監視システム、および運転者アシストシステムまたは自律走行を支援する方法、特に実用車両における通常のミラーを置き換えるためのカメラ装置に関する。
【0002】
ビデオセンサ技術および視覚表示の可能性の絶えざる向上によって、車両内で間接的な視覚表示を行う公知の機器の置き換えが次第に可能になってきている。つまり慣用のミラーの代わりに、カメラ監視システムまたはカメラ表示システムが次第に使われるようになってきており、これらのシステムによってミラーが置き換えられ、たとえばズームまたはディスプレイ上でのオーバラップ表示といった付加的な機能を含め、いっそう高い視覚的品質が実現される。カメラ監視システムのさらなる利点は、使用されるカメラが比較的小さく、したがって空気抵抗が小さくなる、という点にある。さもなくば使用されるバックミラーは、その大きさゆえに強く風が当たる平面となり、したがって燃料消費を著しく高める原因となる。
【0003】
公知のカメラ監視システムについては、たとえば米国特許出願公開第2017/274827号明細書および米国特許出願公開第2014/132770号明細書に記載されている。これらの文献に記載されているシステムによれば、たしかにカメラによるミラーの置き換えが可能になるけれども、後方周囲の信頼性のある把握を維持するために車両間通信が使用され、またはそれぞれ異なる領域(前方領域、後方領域)を同時にカバーできるようにするために機械的な継手が必要とされる。これらのシステムは、実用車両分野においてはまったく使用できず、または制限付きでしか使用できない。それというのも実用車両の場合には通例、運転者による視覚的チェックを行うことができないからである。
【0004】
したがって、周囲の把握において高度な柔軟性および安全性をもたらし、それにより特に実用車両においてバックミラーを置き換え可能にするカメラ監視システムに対する需要が存在する。
【0005】
これらの問題点のうちの少なくとも一部は、請求項1記載のカメラ監視システム、請求項8記載の実用車両、および請求項9記載の方法によって解決される。従属請求項には、独立請求項の保護対象のさらなる有利な実施形態が規定されている。
【0006】
本発明は、車両、特に実用車両、の側方領域に対するカメラ監視システムに関する。このカメラ監視システムは以下を含む。すなわち、
車両の少なくとも一方の側で、第1の地表領域および第2の地表領域に対し画像データを同時にキャプチャするための画像キャプチャユニットと、
第1の地表領域に対する画像データと第2の地表領域に対する画像データとを分離して、独立した表示を可能にするように構成された画像評価ユニット。
【0007】
このカメラ監視システムは特に、実用車両において既存のバックミラーを置き換えるのに適したカメラ表示システムである。したがってこのシステムは側方の画像キャプチャのために、側方および後方の車両周囲をグラフィックでキャプチャするように設計されている。自明のとおり、実施例は実用車両などの特別な車両における適用に限定されるものではない。このカメラ監視システムを、任意の車両のために使用することができる。
【0008】
第1の地表領域を以下のように定義することができる。すなわちこの領域は、実用車両の運動方向に垂直に延在し、かつ車両運転者のポジション(またはその目の位置)から4mだけ後方にずらされた第1の線から出発して、側方で車両周縁部(運転者側または同乗者側)に平行に後方に向かって可変の幅を伴って拡がっており、その際にこの可変の幅は、第1の線から後方に向かって26mの距離までは、直線的に1mから5mの幅へと増加し、次いで一定に維持される。
【0009】
第2の地表領域を以下のように定義することができる。すなわちこの領域は、実用車両の運動方向に垂直に延在し、かつ車両運転者のポジション(またはその目の位置)から1.5mだけ後方にずらされた第2の線から出発して、側方で車両周縁部(運転者側または同乗者側)に平行に23.5mの長さまで後方に向かって可変の幅を伴って拡がっており、その際にこの可変の幅は、第2の線から8.5mの距離までは、直線的に4.5mから15mの幅へと増加し、次いで一定に維持される。
【0010】
第1および第2の地表領域を、車両から両側に拡がるものとすることができ、その際にキャプチャユニットは通例、一方の側だけをキャプチャすることになる。用語「前」または「前方」および「後方」は、車両の通常の走行方向を指すものであり、すなわち「前」または「前方」は、車両の通常の前進走行の方向にある。
【0011】
オプションとして、画像キャプチャユニットは、以下のカメラユニットのうちの少なくとも1つを含む。すなわち、
同乗者側において実用車両の前方コーナー領域に取り付けられているときに、この実用車両の前方の前方領域、第1の地表領域、第2の地表領域および第3の地表領域を同時にキャプチャするための、広角対物レンズまたは魚眼対物レンズを備えた第1のカメラユニットと、
実用車両の同乗者側において画像データをキャプチャするための第2のカメラユニットと、
実用車両の運転者側において画像データをキャプチャするための第3のカメラユニットと、
運転者側において実用車両の前方コーナー領域に取り付けられているときに、前方領域、第1の地表領域、第2の地表領域および第3の地表領域を同時にキャプチャするための、広角対物レンズまたは魚眼対物レンズを備えた第4のカメラユニット。
【0012】
第2のカメラユニットおよび第3のカメラユニットはたとえば、車両の運転者側もしくは同乗者側において(後方)側方領域の画像データ(たとえば慣用のバックミラーの視野領域)をキャプチャするように、構成されている。
【0013】
第3の地表領域を以下のように定義することができる。すなわちこの領域は、実用車両の運動方向に垂直に車両運転者のポジション(またはその目の位置)を通過して推移する第3の線から出発して、車両周縁部(運転者側または同乗者側)に平行に2mの幅で、1.75mだけ後方にかつ1mだけ前方に拡がっている。したがって第3の地表領域は実質的に、例示的な実用車両の運転者キャビンの横に位置する。
【0014】
前方領域を以下のように定義することができる。すなわちこの領域は、前方の車両境界から出発して、車両長手方向において少なくとも2mまで車両境界の前方に拡がっている。しかも前方領域を、運転者キャビンの全幅にわたって拡がり、かつ側方で2mにわたり同乗者側を越えて拡がるものとすることができる。
【0015】
自明のとおり、キャプチャユニットは、定義された領域(地表領域および前方領域)を少なくともキャプチャするけれども、これに加えさらに別の領域も一緒にキャプチャすることができる。つまり定義された領域は、少なくともキャプチャされる最小領域を表すものとする。
【0016】
使用される対物レンズに起因する歪みを補償する目的で、第1のカメラユニットおよび/または第4のカメラユニットからの画像データの画像変換を実施するように、画像処理ユニットを構成することができる。これにより冗長性が達成され、その理由は、第1のカメラユニットは(さらに第4のカメラユニットも)、後方に配向された車両側方領域もキャプチャし、この領域は同様に第2のカメラユニットによって(さらに第3のカメラユニットによっても)キャプチャされることによる。画像変換により、キャプチャされた複数の画像を比較することができるようになる。
【0017】
オプションとして、カメラ監視システムは、第1の地表領域を表示するための第1のセクションおよび第2の地表領域を表示するための第2のセクションを少なくとも備えた、少なくとも1つのディスプレイユニットを含む。第3の地表領域および/または前方領域も、ディスプレイユニットの固有のセクションに表示させることができる。同様に、複数のディスプレイユニットを設けることも可能である。したがってたとえば、車両の各側を独立して監視する目的で、同乗者側と運転者側とのために別個のディスプレイを設けることができる。
【0018】
オプションとして画像評価ユニットは、キャプチャされた画像データにおいて以下の周囲情報すなわち
車線マーク、
物体(たとえば木、歩道、自転車専用道路、歩行者など)、
他の車両、
道路周縁
のうちの少なくとも1つを確認(または識別または同定)して、相応の結果を供給するように構成されている。
【0019】
このようにすることでたとえば、レーン追従または運転者アシストシステムまたは自律走行をサポートできるようになる。特にこのために、第1のカメラユニットおよび/または第4のカメラユニットを使用することができ、これらのカメラユニットの両方を、たとえば垂直方向に下方に向けて(車線を指すように)配向することができ、したがってこれらのカメラユニットは、たとえさらなる車両または他の物体が比較的近い周囲に存在し、水平方向の視線を遮っているとしても、上述の周囲情報を明確にキャプチャすることができる。
【0020】
本発明は、これまで述べてきたカメラ監視システムを有する車両、特に実用車両、にも関する。
【0021】
本発明は、運転者アシストシステムまたは車両の自律走行を支援する方法にも関する。この方法は、
これまで述べてきたカメラ監視システムによりキャプチャされた画像データを評価するステップ、
この評価に基づき、車両の周囲情報を検出するステップ、ただしこの周囲情報は、以下のうちの少なくとも1つを含み、すなわち検出された車線マーク、検出された車線周縁、検出された他の車両、車両の周囲において検出された物体のうちの少なくとも1つを含み、
これらの周囲情報を供給するステップ
を含む。
【0022】
供給された周囲情報を、特にレーン追従または方向決定のために使用することができる。
【0023】
この方法または少なくともその一部を、同様に命令の形態でソフトウェアとしてまたはコンピュータプログラム製品において、実装または格納することができ、この場合、格納された命令は、上述の方法がプロセッサにおいて実行されたときに、この方法によるステップを実施することができる。したがって本発明は、ソフトウェアコード(ソフトウェア命令)が格納されているコンピュータプログラム製品にも関し、このソフトウェアコードは、これが処理ユニットにより実行されると、上述の方法のうちの1つを実施するように構成されている。処理ユニットを、任意の形態のコンピュータまたは制御ユニットとすることができ、これはソフトウェアコードを実行可能なそれ相応のマイクロプロセッサを有する。
【0024】
種々の実施例に関する以下の詳細な説明および添付の図面から、本発明の実施例の理解が深められるが、それらの実施例は、それらにより本開示が特定の実施形態に限定されると解されるべきではなく、説明および理解のために用いられるにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の1つの実施例によるカメラ監視システムを示す図である。
【
図2】さらなる実施例によるカメラ監視システムのさらなる詳細について示す図である。
【
図3A】実施例に従いキャプチャユニットにより同時にキャプチャされる地表領域を具体的に示す図である。
【
図3B】実施例に従いキャプチャユニットにより同時にキャプチャされる地表領域を具体的に示す図である。
【
図4A】実施例に従いキャプチャユニットにより同時にキャプチャされるさらなる地表領域を具体的に示す図である。
【
図4B】実施例に従いキャプチャユニットにより同時にキャプチャされるさらなる地表領域を具体的に示す図である。
【0026】
図1には、本発明の1つの実施例によるカメラ監視システムが示されている。このシステムは、たとえば既存のミラー装置を置き換える目的で、特に実用車両において適用するのに適しているけれども、他の車両のためにも適している。カメラ監視システムは、例示的な実用車両10の少なくとも一方の側で(特に同乗者側で)、第1の地表領域210に対する画像データと第2の地表領域220に対する画像データとを同時にキャプチャするための、画像キャプチャユニット110を含む。画像キャプチャユニット110は、たとえば適切に取り付けられたカメラであって、このカメラは1つの撮影で両方の地表領域210、220を同時にキャプチャする。これに加えカメラ監視システムは、第1の地表領域210に対する画像データと、第2の地表領域220に対する画像データとを分離して、独立した表示を可能にするように構成された、画像評価ユニット120を含む。
【0027】
オプションとしてカメラ監視システムは、画像キャプチャユニット110によりキャプチャされた撮影像をグラフィック表示するために、少なくとも1つのディスプレイユニット131を含む。ただしディスプレイユニット131は、必ずしもカメラ監視システムの一部分でなくてよい。既存のディスプレイをこのために使用することも可能である。
【0028】
たとえば、第1の地表領域210をディスプレイユニット131の第1のセクションに表示し、第2の地表領域220を別のセクションに表示することができる。画像キャプチャユニット110は、最も簡単な実施例の場合、カメラを動かす必要なく複数の領域を同時にキャプチャ可能な相応の対物レンズ(たとえば広角対物レンズ)を備えたカメラである。ディスプレイユニット131において同時に別個の表示を行えるようにする目的で、複数の領域が画像処理ユニット120によって分離される。とはいえ地表領域210、220をディスプレイ上で、ただし切り替えにより相前後して表示させることもできる。
【0029】
図2には、カメラ監視システムに関するさらなる実施例が示されており、このシステムは、画像キャプチャユニット110がたとえば第1のカメラユニット121、第2のカメラユニット122、第3のカメラユニット123および第4のカメラユニット124を有する点で、
図1に示したシステムとは相違している。
【0030】
第1のカメラユニット121および第2のカメラユニット122はたとえば、(たとえば同乗者側16において)運転者キャビンの前方コーナー領域もしくは側方領域に取り付けられて、実用車両の側方領域もしくは後方領域を互いに独立してキャプチャするように、構成されている。特に第1のカメラユニット121は、実用車両のすぐ前および横の地表領域および運転者キャビン後方の側方領域もキャプチャする。このことを達成するために、第1のカメラユニット121は相応の広角対物レンズたとえば魚眼対物レンズを含むことができる。第2のカメラユニット122は、例示的な実用車両の側方および後方の領域(第1および第2の地表領域210、220)をキャプチャする。この目的で、相応の広角対物レンズを設けることができる。
【0031】
これに加え運転者側17には、第3のカメラユニット123および第4のカメラユニット124が設けられており、これらは運転者キャビン10の一方のコーナー領域に取り付け可能である。第3のカメラユニット123を、第2のカメラユニット122と同様にまたは同一に構成することができ、このユニットは運転者側17において運転者キャビン10の横または後方の側方領域をキャプチャすることができる。第4のカメラユニット124を、第1のカメラユニット121と同様にまたは同一に構成することができ、このユニットは実用車両にじかに隣接する地表領域をキャプチャすることができる。このことを達成するために、第4のカメラユニット124も相応の広角対物レンズたとえば魚眼対物レンズを含むことができる。
【0032】
このことによりもたらされる利点とは、これによりそれぞれ異なるセンサ領域および特に車両周囲の地表領域が並列にキャプチャされる、ということである。つまりたとえば第1のカメラユニット121および第2のカメラユニット122は、側方で実用車両の横もしくは後方において第1および第2の地表領域210、220を並列にキャプチャすることができる。このような冗長性ゆえに実施例は、同乗者側では運転者による視覚的点検が一般に不可能である実用車両に特に適している。
【0033】
よって、本発明の実施例は、たとえば実用車両のバックミラーといった慣用のミラー装置を置き換えるために特に適しており、その際に付加的な機能がもたらされる。
【0034】
図3A、
図3B、
図4Aおよび
図4Bには、実施例に従いたとえばカメラユニット121、122、123、124により側方領域として同時にキャプチャされる地表領域が具体的に示されている。ここでは、および以下では、すべての長さ表記は±10%または±5%までの許容差があると解される。しかも以下の地表領域は、少なくともキャプチャされる最小領域である。自明のとおり、カメラユニットはこれらに加えさらなる領域をキャプチャすることになる。
【0035】
図3Aおよび
図3Bには、第1の地表領域210および第2の地表領域220が具体的に示されており、これらの領域は実施例に従い、第2および第3のカメラユニット122、123によりそれらの個々の側で同時にキャプチャされる。
【0036】
図3Aには、車両の両側に拡がる第1の地表領域210が示されており、この領域を以下のように定義することができる。すなわち、この領域は、実用車両の運動方向に垂直に延在し、かつ車両運転者のポジション15(またはその目の位置)から4mだけ後方にずらされた第1の線211から出発し、可変の幅を伴って側方で両方の車両周縁部16、17に平行に後方に向かって拡がっている。可変の幅は、後方に向かって第1の線211から26mの距離までは、直線的に1mから5mの幅へと増加し、その後、一定に維持される。したがって第1の地表領域210は約5mの最大幅を含み、その際にこの最大幅は、運転者ポジションから出発して約30mの距離で達成される。
【0037】
図3Bには、車両の両側に拡がる第2の地表領域220が示されており、この領域を以下のように定義することができる。すなわち、第2の地表領域220は、実用車両の運動方向に垂直に延在し、かつ車両運転者のポジション15(またはその目の位置)から1.5mだけ後方にずらされた第2の線221から出発し、可変の幅を伴って側方で車両周縁部16、17に平行に、23.5mの長さまで後方に向かって拡がっている。可変の幅は、第2の線221から8.5mの距離までは、直線的に4.5mから15mの幅へと増加し、その後、後方に向かって一定に維持される。したがってこの領域は、約4.5mから15mの最大幅まで拡幅し、この最大幅は、運転者ポジションから約10mの距離において達成される。
【0038】
かくして
図3Aによる第1の地表領域210は、実質的に後方に向かう視野領域を表すのに対し、
図3Bによる第2の地表領域220は側方視野領域を表し、この領域はたとえばレーン変更のために、一例として車両の横の隣り合うレーンのうちの1つに車両が存在しているのか否かを識別する目的で、重要である。第2のカメラユニット122は(さらに運転者側17の第3のカメラユニット123も同様に)、まずは第1の地表領域210を、さらに同時に第2の地表領域220を、キャプチャするために用いられる。
【0039】
図4、
図4Bには、第3の地表領域230および前方領域240が具体的に示されており、これらの領域は実施例によれば、まずは同乗者側16において第1のカメラユニット121によって(さらに運転者側17において第4のカメラユニット124によっても同様に)同時にキャプチャされる。
【0040】
図4Aには第3の地表領域230が具体的に示されており、この領域は、実用車両の運動方向に対し垂直に運転者のポジション15を通過して推移する第3の線231から、1.75mだけ後方に、かつ約1mだけ前方に拡がっている。第3の地表領域230の幅は、右側車両周縁部16から測定して約2mである。これと同じようにまたは類似して、第3の地表領域230が運転者側17について定義される。
【0041】
図4Bには、例示的にやはり第1のカメラユニット121によりキャプチャされる第4の地表領域240(前方領域)が示されている。第4の地表領域240は、運転者キャビン10の前面241から出発して、車幅全体にわたり約2mの距離まで前方に向かって、かつ2mまで同乗者側の車両周縁部16を越えて拡がっている。オプションとして第4の地表領域240は、(運転者の視点から見て)前方右側コーナーにおいて約2mの曲率半径で丸みが付けられている。このように第3の地表領域230および第4の地表領域240は特に、(自家用自動車とは異なり)実用車両の車両運転者にとって見通しにくいまたはまったく見通せない領域を対象としている。
【0042】
カメラ監視システムの冗長性を達成する目的で、第1のカメラユニット121はたとえば、この第1のカメラユニット121が第3の地表領域230、第4の地表領域240、第1の地表領域210および第2の地表領域220をキャプチャできるように、たとえば同乗者側16において運転者キャビン10の上方コーナー領域に取り付けられる。すべての地表領域を可能なかぎり現実に近くグラフィック表示できるようにする目的でたとえば、第1の地表領域210および第2の地表領域220の(例示的な魚眼対物レンズを備えた)第1のカメラユニット121による撮影を、第1のカメラユニット121の魚眼対物レンズにより生じる可能性のある歪みを取り除くために、相応に処理もしくは変換することができる。
【0043】
運転者側においても、第4のカメラユニット124は有利には広角カメラまたは魚眼カメラであり、このカメラはやはり、相応の変換後、第1および第2の地表領域210、220をキャプチャして、運転者に可能なかぎり歪みなくグラフィック表示するのに適した画像データをキャプチャする。この目的で第4のカメラユニット124を、やはり実用車両の運転者キャビン10の上方コーナー領域に取り付けることができ、したがってこのカメラユニットは、第3の地表領域230および(運転者キャビン前方の)第4の地表領域240をキャプチャすることができるだけでなく、後方に向けられた第1の地表領域210および第2の地表領域220もキャプチャすることができる。
【0044】
車両にすでに設けられている特別なディスプレイのために画像を整合する目的で、参照テーブル(いわゆる「ルックアップテーブル」)を使用して歪み除去を行うこともできる。
【0045】
かくして実施例によれば運転者は、車両左側においても車両右側においても発生した出来事について常にチェックし続けることができる。カメラユニットによる良好なカバーを保証する目的で、たとえば高解像度および広角対物レンズを有するカメラユニットを使用することができる。慣用のミラー装置と比べてかかるカメラシステムは、複数のカメラ画像を別個に1つのディスプレイのそれぞれ異なるセクションに表示させることができることから、極めて高度な柔軟性をもたらす。それぞれ異なる地表領域を別個に表示する目的で、たとえば1つのディスプレイを分割することができる。
【0046】
図5Aおよび
図5Bには例示的に、運転者側でキャプチャされた画像(左側)を対応するディスプレイユニット131にどのようにして表示させることができるかが示されている。
図5Aの場合には例示的に第1の地表領域210が強調されており、この領域はたとえばディスプレイユニット131の上方領域に表示される。
図5Bには第2の地表領域220が示されており、この領域はたとえばディスプレイユニット131において下方領域に表示される。
【0047】
図6Aには例示的に、同乗者側16の第1のカメラユニット121によりキャプチャされるような、第3の地表領域230のキャプチャされた画像が示されている。
図6Bには、たとえば第1のカメラユニット121により同乗者側16からキャプチャされるような前方領域240が例示的に示されている。キャプチャされた両方の領域230、240を、第1の地表領域210および第2の地表領域220(
図5A、
図5B参照)と同じような手法でグラフィック表示させることができる。
【0048】
第1のカメラユニット121(および同様に第4のカメラユニット124)はたとえば魚眼対物レンズを含み、たとえば同乗者側16において、車両キャビンのコーナー領域に配置されている。このようにすれば、第3の地表領域230も前方領域240もキャプチャすることができる。第1および第3のカメラユニット121、124は、これらの領域に対し垂直に下方に向けて配向されており、魚眼対物レンズに基づき水平方向の領域(すなわち第1および第2の地表領域210、220)もキャプチャすることができる。キャプチャされた画像の歪み除去(画像変換)後も依然として多くの細部を識別できるようにする目的で、これらの魚眼カメラ121、124が可能なかぎり高い解像度を有すると有利である。したがって第1のカメラユニット121および/または第4のカメラユニット124は、たとえば第2のカメラユニット122および/または第3のカメラユニット123よりも高い解像度を有することができる。
【0049】
図示されている車線マーク(たとえば
図6B参照)を、既述のカメラユニット121、122、123、124のいずれによってもキャプチャまたは検出することができる。定義された地表領域に基づき、車線マーク20または他の物体をカメラ監視システムによってほぼ常に検出することができる。前方に向けてまたは真後ろに向けて配向された慣用のシステムとは異なり、本発明の実施例の場合には視野が(たとえば車両など)他の物体によって妨げられる可能性がない。特に魚眼カメラ(第1または第4のカメラユニット121、124)は、これらのカメラがすべての側に向けて地表領域をキャプチャすることから、車線マーク20および/または車両周囲の物体を検出するのに適している。ただし車線マーク20または車両付近の車線上の他の構造物を、後方に向けて配向された第2および/または第3のカメラユニット122、123を使用して識別し、継続的に追跡することができる。
【0050】
よって、付加的なアルゴリズムを介して、車線マーク20または車両周囲における物体の検出を担う目的で、運転者アシストシステムまたは自律走行においても、実施例を適用することができる。
【0051】
本発明の実施例は特に以下の保護対象にも関する。
【0052】
実用車両のためのカメラ監視システムであって、このシステムは後方に向けて配向された少なくとも1つの広角カメラ122、123を含み、このカメラは第1の地表領域210および第2の地表領域220をカバーする。
【0053】
さらなる有利な実施形態によれば、カメラ監視システムは後方に向けて配向された少なくとも2つの広角カメラ122、123を含み、これらを車両の右側および左側に取り付けることができる。
【0054】
さらなる有利な実施形態によれば、カメラ監視システムは下方に向けて配向された少なくとも1つの魚眼カメラ121を含み、前方領域240および第3の地表領域230をキャプチャするために、このカメラを同乗者側16に取り付けることができる。
【0055】
さらなる有利な実施形態によれば、カメラ監視システムは、同乗者側16と同様のさらなる機能を提供するために、運転者キャビン10の運転者側17において下方に向けて配向された付加的な魚眼カメラ124を含む。このようにすれば運転者側17においても、第1の地表領域210および第2の地表領域220をキャプチャすることができる。
【0056】
さらなる有利な実施形態によれば、カメラ監視システムにより、たとえば後方に向けて配向された広角カメラ122、123によって、キャプチャされる画像を、車線マーク20の検出のために、かつ/または物体検出のために、使用することができる。
【0057】
さらなる有利な実施形態によれば、車線マーク20を識別するために、かつ/または物体を検出するために、下方に向けて配向された魚眼カメラ121、124を使用することができる。
【0058】
したがって実施例は、カメラ監視システムを使用する方法も含む。この方法またはこの方法のステップをコンピュータ実装されたものとすることもでき、すなわちこれを命令によって実現することができ、それらの命令は記憶媒体に格納されており、プロセッサにおいて実行されたときに、この方法のステップを実施することができる。それらの命令は一般に、(プロセッサを備えた)制御ユニット内またはその周辺の様々な媒体に様々な手法で格納可能な1つまたは複数の命令を含み、それらの命令は、それらが読み込まれて制御ユニットにより実行されると、本発明による方法を実施するために必要とされる関数、機能および演算を制御ユニットに実行させるようにする。
【0059】
明細書、特許請求の範囲および図面に開示されている本発明の特徴は、単独でも任意の組み合わせでも、本発明を実現するために重要なものとなり得る。
【符号の説明】
【0060】
10 運転者キャビン
15 運転者ポジション(目のポジション)
16 同乗者側(同乗者側における車両周縁部)
17 運転者側
20 車線マーク
110 画像キャプチャユニット
120 画像処理ユニット
121、122、... カメラユニット
131 ディスプレイユニット
210、220、... 地表領域
211、221、... 前方基準線(第1の線、第2の線、...)
241 前方の車両周縁部/車両境界
【国際調査報告】