特表2021-535321(P2021-535321A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-535321(P2021-535321A)
(43)【公表日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】熱的に強化された排気ポートライナ
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/42 20060101AFI20211119BHJP
   F02F 1/24 20060101ALI20211119BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20211119BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20211119BHJP
【FI】
   F02F1/42 J
   F02F1/24 L
   F02F1/24 N
   F02F1/42 C
   B33Y10/00
   B33Y80/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2021-525288(P2021-525288)
(86)(22)【出願日】2019年10月29日
(85)【翻訳文提出日】2021年5月10日
(86)【国際出願番号】US2019058639
(87)【国際公開番号】WO2020092419
(87)【国際公開日】20200507
(31)【優先権主張番号】62/751,914
(32)【優先日】2018年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521179799
【氏名又は名称】カートリッジ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CARTRIDGE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】クロス,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュタインブロン,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3G024
【Fターム(参考)】
3G024AA12
3G024AA15
3G024AA17
3G024BA12
3G024FA04
3G024FA10
3G024GA02
3G024GA19
3G024GA23
3G024HA06
(57)【要約】
スーパーアロイを含むことができ且つ積層造形プロセスにより製造され得る排気ポートライナは、一体構造を含み、その一体構造は、入口に対して或る角度で配置された出口、及び側壁を含み、側壁は、往復内燃機関の強化された熱的性能を提供するためのキャビティを画定する。内燃機関のシリンダーヘッドは、シリンダーヘッドのフレームを含むことができ、排気ポートライナがフレームの内側取り付け面に隣接して配置されることができ、この場合、排気ポートライナの外面は、シリンダーヘッドのフレームの内側取り付け面に適合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダーヘッド用の排気ポートライナであって、
一体構造からなり、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間にはキャビティが画定されている、排気ポートライナ。
【請求項2】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項3】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項2に記載の排気ポートライナ。
【請求項4】
前記キャビティは、空気および不活性ガスの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項5】
前記キャビティは封止される、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項6】
封止されたキャビティは、部分真空を更に含む、請求項5に記載の排気ポートライナ。
【請求項7】
前記金属は、レーザ焼結される材料からなる、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項8】
前記側壁は、それを貫通して延びる少なくとも1つのアパーチャを画定する、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項9】
前記アパーチャは、前記排気ポートライナが前記シリンダーヘッドに取り付けられた際に、前記入口に近接して排気弁座と位置合わせされる、請求項8に記載の排気ポートライナ。
【請求項10】
前記アパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている、請求項8に記載の排気ポートライナ。
【請求項11】
前記一体構造は、前記キャビティの境界を形成する少なくとも1つの塞がれた開口を含む、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項12】
前記塞がれた開口は、金属で塞がれている、請求項11に記載の排気ポートライナ。
【請求項13】
前記角度は、30°〜135°の範囲内である、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項14】
前記キャビティ内に配置され、前記内壁から前記外壁まで架け渡されている柱状体を更に含む、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項15】
前記キャビティ内に複数の柱状体を更に含む、請求項14に記載の排気ポートライナ。
【請求項16】
前記入口に隣接した第2の入口を更に含み、前記入口および前記第2の入口が前記出口と連通している、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項17】
(i)前記側壁は、それを貫通して延びる第1のアパーチャを画定し、前記第1のアパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられ、(ii)前記側壁は、それを貫通して延びる第2のアパーチャを画定し、前記第2のアパーチャは、第2の弁ガイドを受容するような大きさになっており且つ第2の弁ガイドを受容するように向きを揃えられ、及び(iii)前記第1のアパーチャ及び前記第2のアパーチャは、前記排気ポートライナが前記シリンダーヘッドに取り付けられた際に前記入口および前記第2の入口に近接して個々の排気弁座と位置合わせされる、請求項16に記載の排気ポートライナ。
【請求項18】
排気ポートライナを製作するための方法であって、
一体構造からなる前記排気ポートライナを製作するための制御命令を、積層造形システムにより受け取るステップであって、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間にはキャビティが画定されている、ステップと、
前記排気ポートライナを製作するために前記積層造形システムにより前記制御命令を実行するステップとを含む、方法。
【請求項19】
前記積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および指向性エネルギー堆積法からなるグループから選択されたプロセスを少なくとも部分的に利用する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記キャビティを封止することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記キャビティを封止することは、前記キャビティの境界を形成する開口を塞ぐことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記開口は、金属で塞がれる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記キャビティを封止することは、電子ビームで溶接することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
内燃機関のシリンダーヘッドであって、
内側取り付け面を画定するシリンダーヘッドのフレームと、
前記内側取り付け面に隣接して配置される排気ポートライナとを含み、前記排気ポートライナは、一体構造からなり、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間には封止されたキャビティが画定されており、
前記排気ポートライナの外面が、前記内側取り付け面に適合する、シリンダーヘッド。
【請求項27】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項28】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項27に記載のシリンダーヘッド。
【請求項29】
前記封止されたキャビティは、空気および不活性ガスの少なくとも1つを含む、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項30】
前記封止されたキャビティは、部分真空を更に含む、請求項29に記載のシリンダーヘッド。
【請求項31】
前記金属は、レーザ焼結される材料からなる、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項32】
前記側壁は、それを貫通して延びる少なくとも1つのアパーチャを画定する、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項33】
前記アパーチャは、前記シリンダーヘッドのフレームの排気弁座と位置合わせされる、請求項32に記載のシリンダーヘッド。
【請求項34】
前記側壁のアパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている、請求項32に記載のシリンダーヘッド。
【請求項35】
前記シリンダーヘッドのフレームは、単一の取り付け面を画定し、この場合、単一の排気ポートライナがそれに隣接して配置され、前記側壁は、複数のアパーチャを画定し、複数のアパーチャのそれぞれが弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている、請求項34に記載のシリンダーヘッド。
【請求項36】
前記一体構造は、前記キャビティの境界を形成する少なくとも1つの塞がれた開口を含む、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項37】
前記塞がれた開口は、金属で塞がれている、請求項36に記載のシリンダーヘッド。
【請求項38】
前記角度は、30°〜135°の範囲内である、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項39】
前記封止されたキャビティ内に配置され、前記内壁から前記外壁まで架け渡されている柱状体を更に含む、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項40】
前記キャビティ内に複数の柱状体を更に含む、請求項39に記載のシリンダーヘッド。
【請求項41】
前記シリンダーヘッドのフレームは、第2の金属からなる、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項42】
前記第2の金属は、アルミニウム合金を含む、請求項41に記載のシリンダーヘッド。
【請求項43】
前記排気ポートライナは、積層造形により製作され、前記シリンダーヘッドのフレームは、前記排気ポートライナの周りに第2の金属を流し込むことにより製作される、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項44】
前記排気ポートライナ及び前記シリンダーヘッドのフレームはそれぞれ、積層造形により製作される、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項45】
前記シリンダーヘッドのフレームが、複数の内側取り付け面を画定する、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項46】
複数の排気ポートライナを更に含み、前記複数の排気ポートライナの1つが、前記内側取り付け面の1つに隣接して配置される、請求項45に記載のシリンダーヘッド。
【請求項47】
前記シリンダーヘッドのフレームが、8個の内側取り付け面を画定し、前記シリンダーヘッドが8個の排気ポートライナを含む、請求項45に記載のシリンダーヘッド。
【請求項48】
前記シリンダーヘッドのフレームが、前記シリンダーヘッドを空冷するように適合された外部クーリングフィンを更に含む、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項49】
内部冷却水通路を持っていないことを更に含む、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項50】
内燃機関のシリンダーヘッドを製作するための方法であって、
一体構造からなる排気ポートライナを製作するための制御命令を積層造形システムにより受け取ることにより、前記排気ポートライナを製作するステップであって、前記一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間にはキャビティが画定されている、ステップと、
前記排気ポートライナを製作するために前記積層造形システムにより前記制御命令を実行するステップと、
前記シリンダーヘッドを製作するために前記排気ポートライナの周りにシリンダーヘッドのフレームを製作するステップを含む、方法。
【請求項51】
前記積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および指向性エネルギー堆積法からなるグループから選択されたプロセスを少なくとも部分的に利用する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記シリンダーヘッドのフレームを製作することは、溶融金属を流し込むことを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記溶融金属は、アルミニウム合金を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記シリンダーヘッドのフレームを製作することは、前記シリンダーヘッドのフレームを製作するための制御命令を受け取って実行する第2の積層造形システムを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および指向性エネルギー堆積法からなるグループから選択されたプロセスを少なくとも部分的に利用する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記積層造形システム及び前記第2の積層造形システムが、単一の積層造形システムである、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記シリンダーヘッドのフレームを製作する前に、前記キャビティを封止することを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
前記キャビティを封止することは、前記キャビティの境界を形成する開口を塞ぐことを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記開口は、金属で塞がれる、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記キャビティを封止することは、電子ビームで溶接することを含む、請求項60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年10月29日に出願された米国特許仮出願第62/751914号(参照により、全体として本明細書に組み込まれる)の優先権および恩典を主張している。
【0002】
技術分野
本発明の実施形態は、燃焼機関技術に関し、より具体的には、往復(レシプロ)内燃機関(エンジン)における改善された熱管理(温度管理)に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の往復機関(レシプロエンジン)のシリンダーヘッドは、高い力の負荷(ガスの圧力によってもたらされる)及び高い熱負荷の双方の点で、極度の負荷を受けやすい。アルミニウム合金は、鋳造能力に加えて、強度と軽い重量の組み合わせに起因して、多くの係るエンジンの好ましい材料である。
【0004】
アルミニウム合金のシリンダーヘッド内の主要な問題は、材料温度の管理(制御)である。最も適切な合金は、約260℃の温度以上で、降伏に対する耐性が急激に減少する。係るエンジンの排ガスは、900℃以上に達する場合がある。これら排ガスは一般に、排気弁(単数または複数)からシリンダーヘッド内の通路(一般に排気ポートと呼ばれる)を通って排気マニホルド又はヘッダーパイプまで流れる。かくして、当該ポートを形成する材料が十分に冷却されるように、多くの努力がシリンダーヘッドの設計に費やされている。当該問題は特に、空冷シリンダーヘッドの設計において深刻である。
【0005】
これら問題に鑑みて、一般的な方法は、排ガスと排気ポートを形成するアルミニウム合金との間に何らかの形態の断熱または熱遮蔽を提供することである。所謂、係るポートライナは一般に、セラミック材料から形成され、当該セラミック材料は、非常に低い熱伝導率を有し、ひいては排ガスからアルミニウム合金への熱流量の大部分を阻止する。係るライナは一般に、シリンダーヘッドの鋳造の前に鋳型の中へ配置される。しかしながら、セラミックのライナは、2つの主要な問題を欠点として持つ。即ち、
・それらは一般に、非常に壊れやすく、ひいては鋳造の前およびサービス中に砕けやすい;及び
・それらは極めて低い熱膨張係数を有するが、アルミニウム合金は一般に、比較的高い熱膨張係数を有し、エンジンが熱くなる場合にセラミックのポートライナとシリンダーヘッドの母材との間の接合部分において、高い応力が生じるという結果になる。
【0006】
概要
本発明の実施形態は、高強度のスーパーアロイ(超合金)(一般に、ニッケルベース又はコバルトベース、例えば、インコネル(登録商標))から製造されたポートライナを提供することにより、上記の問題の双方を回避する。
【0007】
一態様において、本発明の実施形態は、内燃機関のシリンダーヘッドの排気ポートライナに関する。排気ポートライナは、入口、入口に対して或る角度で配置された出口、及び側壁を含む一体構造を含み、当該側壁は、当該一体構造の中を通る排ガス流路を画定する、入口と出口との間に配置された金属を含み、当該側壁は、内壁と外壁を含み、内壁と外壁との間にはキャビティが画定されている。
【0008】
以下の特徴の1つ又は複数は、任意の組みあわせで含まれ得る。金属はスーパーアロイを含むことができる。スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイであることができる、又はニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイを含むことができる。
【0009】
キャビティは、空気および/または不活性ガスを含むことができる。キャビティは封止され得る。封止されたキャビティは更に、部分真空を含むことができる。
【0010】
金属は、レーザ焼結される材料を含むことができる。
【0011】
側壁は、それを貫通して延びる少なくとも1つのアパーチャを画定することができる。アパーチャは、排気ポートライナがシリンダーヘッドに取り付けられた際に、入口に近接した排気弁座と位置合わせされ得る。アパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられ得る。
【0012】
一体構造は、キャビティの境界を形成する少なくとも1つの塞がれた開口を含むことができる。塞がれた開口は、金属で塞がれ得る。
【0013】
角度は、30°〜135°の範囲内であることができる。
【0014】
柱状体が前記キャビティ内に配置されることができ、内壁から外壁まで架け渡されている。複数の柱状体がキャビティ内に存在することができる。
【0015】
ポートライナは、入口に隣接した第2の入口を含むことができ、この場合、入口および第2の入口が出口と連通している。側壁は、それを貫通して延びる第1のアパーチャを画定することができ、第1のアパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている。側壁は、それを貫通して延びる第2のアパーチャを画定することができ、第2のアパーチャは、第2の弁ガイドを受容するような大きさになっており且つ第2の弁ガイドを受容するように向きを揃えられている。第1のアパーチャ及び第2のアパーチャは、排気ポートライナがシリンダーヘッドに取り付けられた際に入口および第2の入口に近接して個々の排気弁座と位置合わせされ得る。
【0016】
別の態様において、本発明の実施形態は、排気ポートライナを製作するための方法に関する。方法は、排気ポートライナを製作するための制御命令を、積層造形システムにより受け取ることを含む。排気ポートライナは、一体構造を含み、その一体構造は、入口と、入口に対して或る角度で配置された出口と、入口と出口との間に配置された金属を含み且つ一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含む。側壁は、内壁および外壁を含み、内壁と外壁との間にはキャビティが画定されている。積層造形システムは、排気ポートライナを製作するために制御命令を実行する。
【0017】
以下の特徴の1つ又は複数は、任意の組みあわせで含まれ得る。積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および/または指向性エネルギー堆積法を少なくとも部分的に利用することができる。
【0018】
金属は、スーパーアロイを含むことができる。スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイであることができる、又はニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイを含むことができる。
【0019】
キャビティは、例えば、キャビティの境界を形成する開口を塞ぐことにより、封止され得る。開口は金属で塞がれ得る。キャビティを封止することは、電子ビームで溶接することを含むことができる。
【0020】
更に別の態様において、本発明の実施形態は、内燃機関のシリンダーヘッドに関し、当該シリンダーヘッドは、内側取り付け面を画定するシリンダーヘッドのフレームと、フレームの内側取り付け面に隣接して配置される排気ポートライナとを含む。排気ポートライナは、一体構造を含み、その一体構造は、入口と、入口に対して或る角度で配置された出口と、入口と出口との間に配置された金属を含み且つ一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含む。側壁は、内壁および外壁を含み、内壁と外壁との間には封止されたキャビティが画定されている。排気ポートライナの外面は、排気ポートの内面に適合する。
【0021】
以下の特徴の1つ又は複数は、任意の組みあわせで含まれ得る。金属は、スーパーアロイを含むことができる。スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイであることができる、又はニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイを含むことができる。
【0022】
封止されたキャビティは、空気および/または不活性ガスの少なくとも1つを含むことができる。封止されたキャビティは、部分真空を含むことができる。
【0023】
金属は、レーザ焼結される材料を含むことができる。
【0024】
側壁は、それを貫通して延びる少なくとも1つのアパーチャを画定することができる。アパーチャは、シリンダーヘッドの排気弁座と位置合わせされ得る。側壁のアパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられ得る。
【0025】
シリンダーヘッドのフレームは、単一の取り付け面を画定することができ、この場合、単一の排気ポートライナがそれに隣接して配置され、側壁は、複数のアパーチャを画定することができ、複数のアパーチャのそれぞれが弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている。
【0026】
少なくとも1つの塞がれた開口が、キャビティの境界を形成することができる。塞がれた開口は、金属で塞がれ得る。
【0027】
角度は、30°〜135°の範囲内であることができる。
【0028】
柱状体が封止されたキャビティ内に配置されることができ、内壁から外壁まで架け渡されている。複数の柱状体がキャビティ内に存在することができる。
【0029】
前記シリンダーヘッドのフレームは、第2の金属を含むことができる。第2の金属は、アルミニウム合金を含むことができる、又はアルミニウム合金だけを含むことができる。
【0030】
前記排気ポートライナは、積層造形により製作されることができ、シリンダーヘッドのフレームは、排気ポートライナの周りに第2の金属を流し込むことにより製作され得る。代案として、排気ポートライナ及びシリンダーヘッドのフレームの双方が、積層造形により形成され得る。
【0031】
シリンダーヘッドのフレームが、複数の内側取り付け面を画定することができる。
【0032】
複数の排気ポートライナが含まれることができ、この場合、複数の排気ポートライナの1つが、内側取り付け面のそれぞれに隣接して配置されている。
【0033】
シリンダーヘッドのフレームは、8個の内側取り付け面を画定し、シリンダーヘッドは8個の排気ポートライナを含むことができる。
【0034】
シリンダーヘッドのフレームは、シリンダーヘッドを空冷するように適合された外部クーリングフィンを更に含むことができる。
【0035】
シリンダーヘッドは、内部冷却水通路を持たないことができる。
【0036】
更に別の態様において、本発明の実施形態は、内燃機関のシリンダーヘッドを製作するための方法に関する。方法は、一体構造を含む排気ポートライナを製作するための制御命令を積層造形システムによって受け取ることにより、排気ポートライナを製作することを含む。一体構造は、入口と、入口に対して或る角度で配置された出口と、入口と出口との間に配置された金属を含み且つ一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、側壁は、内壁および外壁を含み、内壁と外壁との間にはキャビティが画定されている。積層造形システムは、排気ポートライナを製作するために制御命令を実行する。シリンダーヘッドのフレームは、シリンダーヘッドを製作するために排気ポートライナの周りに製作される。
【0037】
以下の特徴の1つ又は複数は、任意の組みあわせで含まれ得る。積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および/または指向性エネルギー堆積法を少なくとも部分的に利用することができる。
【0038】
金属は、スーパーアロイを含むことができる。スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイであることができ、又はニッケルベースのスーパーアロイ及び/又はコバルトベースのスーパーアロイを含むことができる。
【0039】
シリンダーヘッドのフレームを製作することは、溶融金属を流し込むことを含むことができる。溶融金属は、アルミニウム合金を含むことができる、又はアルミニウム合金だけを含むことができる。
【0040】
シリンダーヘッドのフレームを製作することは、シリンダーヘッドのフレームを製作するための制御命令を受け取って実行する第2の積層造形システムを含むことができる。第2の積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および/または指向性エネルギー堆積法を少なくとも部分的に利用することができる。積層造形システム及び第2の積層造形システムは、単一の積層造形システムであることができる。
【0041】
シリンダーヘッドのフレームを製作する前に、キャビティが封止され得る。キャビティを封止することは、キャビティの境界を形成する開口を塞ぐことを含むことができる。開口は、金属で塞がれ得る。
【0042】
キャビティを封止することは、電子ビームで溶接することを含むことができる。
【0043】
本発明の実施形態の上記の特徴および利点は、添付図面に関連して以下の説明を読むことによって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態による、排気ポートライナの斜視外観側面図である。
図2】排気ポートライナの内部部分を示す、図1の排気ポートライナの出口端部の斜視図である。
図3図1の排気ポートライナの入口を示す略図である。
図4図1の排気ポートライナの出口を示す略図である。
図5図1の排気ポートライナの入口と出口との間の角度を示す略側面図である。
図6図1の排気ポートライナの断面図である。
図7図1の排気ポートライナに形成された、塞がれた開口の部分拡大図を含む略図である。
図8】側壁のキャビティ内に配置された柱状体を示す、図1の排気ポートライナの一部の拡大断面図である。
図9a】本発明の一実施形態による、2つの排気弁と共に使用するように適合された排気ポートライナの略断面図である。
図9b】本発明の一実施形態による、2つの排気弁と共に使用するように適合された排気ポートライナの斜視上面図である。
図9c】本発明の一実施形態による、2つの排気弁と共に使用するように適合された排気ポートライナの斜視底面図である。
図10】本発明の一実施形態による、シリンダーヘッドのフレームに配置された排気ポートライナの斜視部分断面図である。
図11】本発明の一実施形態による、シリンダーヘッドのフレームに配置された排気ポートライナの斜視部分断面図である。
図12】本発明の一実施形態によるシリンダーヘッドを含む高性能空冷ガソリンエンジンに適合されたサーモカップルの写真である。
図13】本発明の一実施形態による、排気ポートライナに隣接して配置されたサーモカップルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
本明細書で使用される限り、「シリンダーヘッドのフレーム」は、慣例的にシリンダーヘッド鋳物と呼ばれるシリンダーヘッド構成要素を意味し、本開示において、この構成要素は、鋳造により、又は積層造形により形成され得る。
【0046】
説明されるポートライナの重要な特徴は、封止され得る且つ低伝導率のガス(例えば、空気)を含むことができる又は部分真空であることができる、一体型の内部側壁キャビティである。このキャビティは、排ガスとシリンダーヘッドの母材との間に断熱を提供する。
【0047】
本明細書で説明されるスーパーアロイのライナは、排ガスの流路面に沿ってセラミックのライナより滑らかであることができ、より良好な排ガスの流れを提供する。スーパーアロイのライナは、例えば、選択的レーザ焼結(SLS)プロセスを用いて、3D印刷により製造され得る。ライナは、余分な固まっていない合金粉末が側壁キャビティから取り除かれ得るように、どちらかの端部における穴と共に印刷され得る。ひとたび粉末がキャビティから外へ出れば、当該穴は、例えば、部分真空下で電子ビーム(EB)溶接技術を用いて、封止(シール)され得る。
【0048】
(例えば)配置済み鋳造(cast-in-place)又は積層造形によってスーパーアロイのライナの周りにシリンダーヘッドのフレームを製作することにより、スーパーアロイのライナの外面は、シリンダーヘッドのアルミニウムと直接接触することが可能になる。セラミックのライナより優れた、3D印刷されたライナの別の利点は、異なる構成の構造的特徴要素が、例えば、シリンダーヘッドのフレームの製造中に、シリンダーヘッド内のライナの正確な場所および保持を改善するために、スーパーアロイの外壁へ容易に組み込まれ得ることである。
【0049】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態に従って、内燃機関のシリンダーヘッド用の排気ポートライナ100は、円筒形断面を有する概して管状であることができる一体構造を含む。ライナは、入口110及び出口120を有し、この場合、出口は、入口に対して角度αで配置されている。角度αは、良好なガスの流れ及び一般的なエンジンパッケージングの様々な要件に従って、選択され得る。例えば、幾つかの実施形態において、角度は、30°〜135°(例えば45°〜90°)の範囲から選択されることができ、例えば75°であることができる。入口110及び出口120はそれぞれ、図3及び図4にも示され、入口と出口との間の角度αは、図5に示される。
【0050】
再び、図1及び図2を参照すると、一体構造は、入口と出口との間に配置され且つ一体構造の中を通る排気流路を画定する側壁130も含む。幾つかの実施形態において、側壁は本質的に、スーパーアロイのような金属から形成される、又は当該金属からなる。適切なスーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ(例えば、インコネル(登録商標))及びコバルトベースのスーパーアロイを含む。スーパーアロイは、排気ポートライナを作成するために使用されるセラミックと比べて多数の利点を有する。例えば、スーパーアロイは、セラミックより強靱で、耐久力がある材料であり、ひいてはサービスにおいて故障する傾向があるセラミックの脆性を回避する。スーパーアロイは、標準的なセラミックのポートライナに比べて、鋳造プロセス中にエンジンのメインシリンダーヘッドのフレームに使用されるアルミニウム材料に一致した良好な熱膨張係数を有する。従って、アルミニウム/セラミックの接合部分を有する場合に比べて、アルミニウム/スーパーアロイの接合部分において生じる熱的な応力は少ない。幾つかの実施形態において、スーパーアロイの密度は、3g/cm〜13g/cm、例えば8.2g/cmであることができる。表面仕上げは、1μm〜7μm、例えば4μmの平均粗さRaを有することができる。
【0051】
更に、スーパーアロイは、排ガスにより劣化または化学攻撃を受けにくい。例えば、スーパーアロイは、幾つかのフォーミュラ・ワン(F1)カーの排気マニホルドのような、特定の高性能排気システム構成要素に使用される。
【0052】
スーパーアロイは、係る材料において内部キャビティを含めた状態で適切な部分を製造することの難しさに起因して、以前にはポートライナに使用されていなかった。しかしながら、係る複雑な構造的特徴は、積層造形技術を用いてスーパーアロイから製作され得る。例えば、当該金属は、レーザ焼結される材料であることができる。
【0053】
図6も参照すると、側壁130は、内壁600及び外壁610を含み、この場合、内壁と外壁との間にキャビティ(空洞)が画定されている。キャビティは、空気および/または不活性ガス(例えば、アルゴン)のような、低熱伝導率のガスを含むことができる。幾つかの実施形態において、キャビティは封止され得る。更に、封止されたキャビティは、部分真空、即ち14.7psi未満(例えば、2〜14.6psi)、例えば5psiを生じさせることができる。このキャビティは、排気ポートライナが配置されるシリンダーヘッドの母材と高温排ガスとの間に断熱を提供する。また、キャビティを含む係る一体構造の形成は、積層造形プロセスにより容易にされる。
【0054】
内壁600と外壁610のそれぞれの厚さt600、t610は、適切な強度が高い排ガス圧負荷が存在する状態で過度の撓みに耐えることを達成するように選択される。従って、スーパーアロイの材料の場合、内壁および外壁のそれぞれの好適な厚さは、0.5mm〜4mm、例えば0.5mm〜2.5mmの範囲から選択される。内壁の内面と外壁の内面との間の好適な距離、即ちキャビティ620の高さh620は、例えば、1mm〜10mm(例えば、1mm〜5mm)である。例えば、一実施形態において、キャビティの高さは、1.5mmであることができ、内壁と外壁のそれぞれの厚さは、1mmであることができる。キャビティの高さは、許容できるトレードオフがパッケージング、絶縁および製造の競合する要件の間で達成されるように選択される。
【0055】
側壁は、それを貫通して延びる少なくとも1つのアパーチャ630を含むことができる。アパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられることができ、排気弁座と位置合わせされる。例えば、アパーチャは、7mm〜15mm(例えば、8mm)の範囲から選択された直径d630を有することができる。
【0056】
図7を参照すると、一体構造は、キャビティ620の境界を形成する少なくとも1つの塞がれた開口700(例えば、内壁と外壁を形成するために使用されたものと同じ材料で塞がれた)も含むことができる。この開口は、一体構造の積層造形中に形成されることができ、キャビティから未処理の構築材料(例えば、一体構造の積層造形中に使用された非結合粉末)を取り除くために使用され得る。開口は、内壁または外壁に、或いは一体構造の端部に配置されることができ、その結果、開口はキャビティの境界に配置される。開口は、未処理構築材料が取り除かれた後に、塞がれ得る(例えば、部分真空に保持されたライナキャビティの場合については、電子ビーム溶接により塞がれる)。様々な形状とサイズの複数の開口が設けられることができ、その後に塞がれ得る。
【0057】
幾つかの実施形態において、開口700は開いたままであることができる。後続の鋳造プロセス又は積層造形プロセス中に、塞がれていない開口は、鋳造材料または積層造形材料がキャビティに入らないように、鋳型壁と同一平面に配置される。この工程により、キャビティは、最終製品において開いていることが可能になる。空気は、適度に良好な断熱材であり、そのため外気に開いているキャビティは依然として断熱の利益を有し、開口を塞ぐ必要がないので、作成するのも安価になる。また、開口は、キャビティ内の真空に起因して生じる可能性がある何らかの応力を軽減することにも役立つ。
【0058】
図8を参照すると、1つ又は複数の柱状体800又は架橋構造体が、キャビティ内に配置されることができ、内壁から外壁まで架け渡されている。柱状体は、一体構造を安定化(即ち、エンジン動作中および結果として生じる排ガス圧負荷の間に内壁と外壁との間の一定の距離を維持)するような大きさになっており、そのように配列されている。例えば、柱状体のそれぞれは、0.5mm〜4mm(例えば、0.5mm〜2.5mm)の範囲から選択された直径D800、及び1mm〜5mm(即ち、キャビティ620の高さh620と同じ高さ)の高さh800を有することができる。
【0059】
図9a〜図9cを参照すると、幾つかの実施形態において、単一の排気ポートライナ900は、2つ以上の排気弁を覆うことができる、即ち、単一のライナは、単一のシリンダの両方の排気弁を覆うことができる。従って、排気ポートライナは、第1の入口910及び第2の入口920を有することができ、双方の入口からの最初の流路が対称的に又は非対称的に配置されるようになっている。側壁は、それを貫通して延び且つ第1の排気弁座と位置合わせされる第1のアパーチャ930を画定することができ、第1のアパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられ、また、側壁は、それを貫通して延び且つ第2の排気弁座と位置合わせされる第2のアパーチャ940を画定することもでき、第2のアパーチャは、第2の弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ第2の弁ガイドを受容するように向きを揃えられる。
【0060】
上述した排気ポートライナの何れかは、金属の小片を製造するのに適した方法による積層造形により、例えば、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および/または指向性エネルギー堆積法により、製作され得る。適切な積層造形システムは、選択的レーザ焼結(SLS)システムである。インコネル(登録商標)の排気ポートライナを製造する場合、積層造形システムは、ニッケルベースのスーパーアロイ又はコバルトベースのスーパーアロイのような、スーパーアロイから小片を製造することができる必要がある。
【0061】
積層造形システムは、本発明の一実施形態に従って、排気ポートライナ(即ち、一体構造を有する小片を含み、当該一体構造は、入口、入口に対して或る角度で配置された出口、及び入口と出口との間に配置された金属(スーパーアロイ)を含み且つ一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁を有し、当該側壁は、内壁および外壁を有し、内壁と外壁との間にはキャビティが画定される)を製造するための制御命令を受け取ることができる。積層造形システムは、排気ポートライナを製作するために制御命令を実行することができる。
【0062】
積層造形プロセスにより形成されるような排気ポートライナは、最初に封止されていないキャビティを有することができ、即ち、アパーチャがキャビティから余分な材料を取り除くことを容易にするために、内壁、端部壁および/または外壁に画定され得る。例えば、排気ポートライナが粉末床溶融結合法により製作される場合、非結合粉末は、非結合粉末を吹き飛ばすためにポートライナを通して圧縮空気を強制的に送ることにより、非結合粉末を吸い出すことにより、及び/又は非結合粉末を揺り動かして出す又は振り出すことにより、1つ又は複数のアパーチャを介してキャビティから取り除かれ得る。その後、キャビティは、高温排ガスからの熱損失を防止するために使用中にライナを通り抜ける周囲排ガスから熱的に絶縁するために、空気または不活性ガス(例えば、アルゴン)を充填され得る。
【0063】
排気ポートライナの製作後、キャビティは、封止され得る。例えば、余分な材料が1つ又は複数のアパーチャを介してキャビティから取り除かれた後、キャビティは所望のガスで充填され又は部分真空にされ、キャビティは、アパーチャを塞ぐことにより封止され得る。例えば、アパーチャは、例えば電子ビーム溶接により、内壁および外壁を形成するために使用された金属と同じ金属で塞がれ得る。かくして、塞がれたアパーチャは、キャビティの境界の一部を形成する。
【0064】
幾つかの実施形態において、少なくとも部分真空は、封止される前に、例えば電子ビーム溶接中にキャビティ内に作り出され得る。
【0065】
図10図11を参照すると、本発明の一実施形態において、内燃機関のシリンダーヘッド1000は、内側取り付け面1020を画定するシリンダーヘッドのフレーム1010を含む。上述されたような排気ポートライナ100は、フレームの内側取り付け面に隣接して配置され、この場合、排気ポートライナの外面は、内側取り付け面に適合する。
【0066】
シリンダーヘッドのフレームは、複数の排気ポートを画定し、排気ポートのそれぞれは内部に配置された単一の排気ポートライナを有し、この場合、側壁は、弁ガイドを受容するような大きさになっており且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられたアパーチャを画定する。各アパーチャは、シリンダーヘッドの排気弁座1030と位置合わせされ得る。
【0067】
シリンダーヘッドのフレームは、アルミニウム合金のような第2の金属から作成され得る。
【0068】
排気ポートライナは、積層造形により形成されることができ、シリンダーヘッドのフレームは、排気ポートライナの周りに第2の金属を鋳造する(流し込む)ことにより形成され得る。代案として、シリンダーヘッドのフレームは、シリンダーヘッドのフレームを製作するための制御命令を受け取って実行する第2の積層造形システムにより製作され得る。第2の積層造形システムは、少なくとも部分的に液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および/または指向性エネルギー堆積法を利用することができる。幾つかの実施形態において、排気ポートライナを形成するために使用される積層造形システム及びシリンダーヘッドのフレームを形成するために使用される第2の積層造形システムは、単一の積層造形システムであることができる。
【0069】
幾つかの実施形態(図示せず)において、シリンダーヘッドのフレームは、複数の内側取り付け面を画定することができ、別個の排気ポートライナが、各排気ポート出口の内側取り付け面に隣接して配置され得る。例えば、シリンダーヘッドのフレームは、8個の内側取り付け面を画定することができ、シリンダーヘッドは、8個の排気ポートライナを含むことができる。
【0070】
シリンダーヘッドのフレームは、シリンダーヘッドを空冷するように適合された外部クーリングフィン1040を含むことができる。シリンダーヘッドは、内部冷却水通路を持っていない場合がある。
【0071】
内燃機関のシリンダーヘッドは以下のように製作され得る。複数の排気ポートライナが、上述されたように積層造形システムを用いてスーパーアロイのような金属から製作され得る。次いで、シリンダーヘッドのフレームが、シリンダーヘッドを製作するために排気ポートライナの周りに製作され得る。シリンダーヘッドのフレームは、排気ポートライナの周りに溶融金属を流し込むことにより、鋳造され得る。溶融金属は、例えばアルミニウム合金であることができる。代案として、シリンダーヘッドのフレームは、上述されたように、第2の積層造形システムにより、形成され得る。
【0072】
以下のパラメータ図表は、本発明の実施形態に関連した例示的なパラメータ値を提供し、この場合、低いパラメータは一般的なものより低い可能な値を示し、高いパラメータは一般的なものより高い可能な値を示す。最小値または最大値として解釈されるべきではなく、低い値よりも低い値、高い値よりも高い値は、本発明の範囲内に入る。
【0073】
【表1】
【0074】

図12を参照すると、高性能の空冷ガソリンエンジンに組み込まれた、本発明の一実施形態によるシリンダーヘッドが表される。ライナは積層造形により作成され、シリンダーヘッドのフレームは鋳造された。ライナのパラメータは、上述された一般的な値に従っている。また、図13に示されているように、測定サーモカップルが、インコネル(登録商標)から作成された排気ポートライナに隣接して配置される。テスト運転において、定格条件における排ガス温度は、約850℃であった。図13においてのように、排気ポートライナが複数のポートに断熱を提供し、その結果、測定された温度の最大は、184℃に過ぎなかった。この結果は、熱絶縁を提供する際のポートライナの有効性を実証する。更に、排気ポートライナの製作または耐久性、又はメインシリンダーヘッドの鋳物へそれを含めることに直面した問題は、存在しなかった。
【0075】
本発明は1つ又は複数の好適な実施形態に関連して、本明細書で詳細に説明されたが、理解されるべきは、本開示は、本発明の単なる例示および例であり、本発明の完全な開示を提供し当該開示を可能にするために成されているだけである。上記の開示は、本発明を制限する又は任意の係る他の実施形態、改作物、変形形態、変更形態、又は等価な構成を排除すると解釈されることが意図されておらず、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021年5月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダーヘッド用の排気ポートライナであって、
一体構造からなり、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間にはキャビティが画定されている、排気ポートライナ。
【請求項2】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項3】
前記キャビティは、空気または不活性ガスの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項4】
前記キャビティは封止される、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項5】
前記金属は、レーザ焼結される材料からなる、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項6】
前記側壁は、それを貫通して延びる少なくとも1つのアパーチャを画定する、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項7】
前記一体構造は、前記キャビティの境界を形成する少なくとも1つの塞がれた開口を含む、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項8】
前記角度は、30°〜135°の範囲内である、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項9】
内燃機関のシリンダーヘッド用の排気ポートライナであって、
一体構造からなり、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁であって、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間にはキャビティが画定されている、側壁と、
前記キャビティ内に配置され、前記内壁から前記外壁まで架け渡されている柱状体とを含む、排気ポートライナ。
【請求項10】
前記入口に隣接した第2の入口を更に含み、前記入口および前記第2の入口が前記出口と連通している、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項11】
排気ポートライナを製作するための方法であって、
一体構造からなる前記排気ポートライナを製作するための制御命令を、積層造形システムにより受け取るステップであって、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間にはキャビティが画定されている、ステップと、
前記排気ポートライナを製作するために前記積層造形システムにより前記制御命令を実行するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および指向性エネルギー堆積法からなるグループから選択されたプロセスを少なくとも部分的に利用する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記キャビティを封止することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
内燃機関のシリンダーヘッドであって、
内側取り付け面を画定するシリンダーヘッドのフレームと、
前記内側取り付け面に隣接して配置される排気ポートライナとを含み、前記排気ポートライナは、一体構造からなり、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間には封止されたキャビティが画定されており、
前記排気ポートライナの外面が、前記内側取り付け面に適合する、シリンダーヘッド。
【請求項17】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項18】
前記封止されたキャビティは、空気または不活性ガスの少なくとも一方を含む、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項19】
前記金属は、レーザ焼結される材料からなる、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項20】
前記側壁は、それを貫通して延びる少なくとも1つのアパーチャを画定する、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項21】
前記一体構造は、前記キャビティの境界を形成する少なくとも1つの塞がれた開口を含む、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項22】
内燃機関のシリンダーヘッドであって、
内側取り付け面を画定するシリンダーヘッドのフレームと、
前記内側取り付け面に隣接して配置される排気ポートライナとを含み、前記排気ポートライナは、一体構造からなり、その一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁であって、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間には封止されたキャビティが画定されている、側壁と、
前記封止されたキャビティ内に配置され、前記内壁から前記外壁まで架け渡されている柱状体とを含み、
前記排気ポートライナの外面が、前記内側取り付け面に適合している、シリンダーヘッド。
【請求項23】
前記シリンダーヘッドのフレームは、第2の金属からなる、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項24】
前記排気ポートライナは、積層造形により製作され、前記シリンダーヘッドのフレームは、前記排気ポートライナの周りに第2の金属を流し込むことにより製作される、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項25】
前記排気ポートライナ及び前記シリンダーヘッドのフレームはそれぞれ、積層造形により製作される、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項26】
前記シリンダーヘッドのフレームが、複数の内側取り付け面を画定する、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項27】
前記シリンダーヘッドのフレームが、前記シリンダーヘッドを空冷するように適合された外部クーリングフィンを更に含む、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項28】
内部冷却水通路を持っていないことを更に含む、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項29】
内燃機関のシリンダーヘッドを製作するための方法であって、
一体構造からなる排気ポートライナを製作するための制御命令を積層造形システムにより受け取ることにより、前記排気ポートライナを製作するステップであって、前記一体構造は、
入口と、
前記入口に対して或る角度で配置された出口と、
前記入口と前記出口との間に配置された金属を含み且つ前記一体構造の中を通る排ガス流路を画定する側壁とを含み、前記側壁は、内壁および外壁を含み、前記内壁と前記外壁との間にはキャビティが画定されている、ステップと、
前記排気ポートライナを製作するために前記積層造形システムにより前記制御命令を実行するステップと、
前記シリンダーヘッドを製作するために前記排気ポートライナの周りにシリンダーヘッドのフレームを製作するステップとを含む、方法。
【請求項30】
前記積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および指向性エネルギー堆積法からなるグループから選択されたプロセスを少なくとも部分的に利用する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記金属は、スーパーアロイからなる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記シリンダーヘッドのフレームを製作することは、溶融金属を流し込むことを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記シリンダーヘッドのフレームを製作することは、前記シリンダーヘッドのフレームを製作するための制御命令を受け取って実行する第2の積層造形システムを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記シリンダーヘッドのフレームを製作する前に、前記キャビティを封止することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項2に記載の排気ポートライナ。
【請求項36】
前記封止されたキャビティは、部分真空を更に含む、請求項4に記載の排気ポートライナ。
【請求項37】
前記アパーチャは、前記排気ポートライナが前記シリンダーヘッドに取り付けられた際に、前記入口に近接して排気弁座と位置合わせされる、請求項6に記載の排気ポートライナ。
【請求項38】
前記アパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている、請求項6に記載の排気ポートライナ。
【請求項39】
前記塞がれた開口は、金属で塞がれている、請求項7に記載の排気ポートライナ。
【請求項40】
前記キャビティ内に複数の柱状体を更に含む、請求項9に記載の排気ポートライナ。
【請求項41】
(i)前記側壁は、それを貫通して延びる第1のアパーチャを画定し、前記第1のアパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられ、(ii)前記側壁は、それを貫通して延びる第2のアパーチャを画定し、前記第2のアパーチャは、第2の弁ガイドを受容するような大きさになっており且つ第2の弁ガイドを受容するように向きを揃えられ、及び(iii)前記第1のアパーチャ及び前記第2のアパーチャは、前記排気ポートライナが前記シリンダーヘッドに取り付けられた際に前記入口および前記第2の入口に近接して個々の排気弁座と位置合わせされる、請求項10に記載の排気ポートライナ。
【請求項42】
前記キャビティを封止することは、前記キャビティの境界を形成する開口を塞ぐことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項43】
前記開口は、金属で塞がれる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記キャビティを封止することは、電子ビームで溶接することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項45】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項17に記載のシリンダーヘッド。
【請求項46】
前記アパーチャは、前記シリンダーヘッドのフレームの排気弁座と位置合わせされる、請求項20に記載のシリンダーヘッド。
【請求項47】
前記側壁のアパーチャは、弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている、請求項20に記載のシリンダーヘッド。
【請求項48】
前記シリンダーヘッドのフレームは、単一の取り付け面を画定し、この場合、単一の排気ポートライナがそれに隣接して配置され、前記側壁は、複数のアパーチャを画定し、複数のアパーチャのそれぞれが弁ガイドを受容するような大きさになっており、且つ弁ガイドを受容するように向きを揃えられている、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項49】
前記塞がれた開口は、金属で塞がれている、請求項21に記載のシリンダーヘッド。
【請求項50】
前記角度は、30°〜135°の範囲内である、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【請求項51】
前記キャビティ内に複数の柱状体を更に含む、請求項22に記載のシリンダーヘッド。
【請求項52】
前記第2の金属は、アルミニウム合金を含む、請求項23に記載のシリンダーヘッド。
【請求項53】
複数の排気ポートライナを更に含み、前記複数の排気ポートライナの1つが、前記内側取り付け面の1つに隣接して配置される、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項54】
前記シリンダーヘッドのフレームが、複数の内側取り付け面を画定し、前記シリンダーヘッドが対応する数の排気ポートライナを含む、請求項26に記載のシリンダーヘッド。
【請求項55】
前記スーパーアロイは、ニッケルベースのスーパーアロイ及びコバルトベースのスーパーアロイからなるグループから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項56】
前記溶融金属は、アルミニウム合金を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の積層造形システムは、液槽重合法、粉末床溶融結合法、材料押出法および指向性エネルギー堆積法からなるグループから選択されたプロセスを少なくとも部分的に利用する、請求項33に記載の方法。
【請求項58】
前記積層造形システム及び前記第2の積層造形システムが、単一の積層造形システムである、請求項33に記載の方法。
【請求項59】
前記キャビティを封止することは、前記キャビティの境界を形成する開口を塞ぐことを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項60】
前記開口は、金属で塞がれる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記キャビティを封止することは、電子ビームで溶接することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項62】
前記キャビティは部分真空を含む、請求項1に記載の排気ポートライナ。
【請求項63】
封止されたキャビティは、部分真空を含む、請求項16に記載のシリンダーヘッド。
【国際調査報告】