特表2021-535322(P2021-535322A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-535322コモンレール式インジェクション装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-535322(P2021-535322A)
(43)【公表日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】コモンレール式インジェクション装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 55/02 20060101AFI20211119BHJP
【FI】
   F02M55/02 360A
   F02M55/02 330B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2021-525382(P2021-525382)
(86)(22)【出願日】2019年7月15日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月3日
(86)【国際出願番号】FR2019051770
(87)【国際公開番号】WO2020016513
(87)【国際公開日】20200123
(31)【優先権主張番号】1856543
(32)【優先日】2018年7月16日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521022624
【氏名又は名称】デュンシャ フランス
【氏名又は名称原語表記】DUNCHA FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】グリヴォー ピエール−イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ドーボール ジル
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AC09
3G066AD05
3G066BA55
3G066CB05
3G066CB11
3G066CC01
(57)【要約】
本発明はコモンレール(2)を備えるインジェクション装置に関し、コモンレール(2)は、長手方向に延在するとともに、メインチャンバ(4)を画定し、コモンレール(2)は、メインチャンバ(4)内に開口し、燃料供給パイプに結合されるよう構成されたインレットオリフィスと、第1の軸に沿って延在する少なくとも1つのインジェクションウェル(5)と、第2の軸に沿って延在する少なくとも1つの横方向の管(6)と、スプレーノズル(8)と、を備え、インジェクションウェル(5)は、底部(5a)と、インジェクタ(9)が取り付けられるよう構成されたインジェクタインターフェース領域(5b)と、を備え、管(6)は、一方側においてメインチャンバ(4)内に開口し、他方側においてインジェクションウェル(5)の底部(5a)において開口し、これによりメインチャンバ(4)をインジェクションウェル(5)に連結しており、第1の軸及び第2の軸は互いに交差しており、スプレーノズル(8)は、インジェクションウェル(5)の底部(5a)の中に配置され、管(6)とインジェクションウェル(5)のインジェクタインターフェース領域(5b)との間の燃料の通過部分を減少させるよう構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモンレール(2)を備えるインジェクション装置(1)であって、
前記コモンレール(2)は、長手方向に延在するとともに、メインチャンバ(4)を画定し、
前記コモンレール(2)は、
前記メインチャンバ(4)内に開口し、燃料供給パイプに結合されるよう構成されたインレットオリフィス(3)と、
第1の軸に沿って延在する少なくとも1つのインジェクションウェル(5)と、
第2の軸に沿って延在する少なくとも1つの横方向の管(6)と、
スプレーノズル(8)と、を備え、
前記インジェクションウェル(5)は、底部(5a)と、インジェクタ(9)が取り付けられるよう構成されたインジェクタインターフェース領域(5b)と、を備え、
前記管(6)は、一方側において前記メインチャンバ(4)内に開口し、他方側において前記インジェクションウェル(5)の前記底部(5a)において開口し、これにより前記メインチャンバ(4)を前記インジェクションウェル(5)に連結しており、
前記第1の軸及び前記第2の軸は互いに交差しており、
前記スプレーノズル(8)は、前記インジェクションウェル(5)の前記底部(5a)の中に配置され、前記管(6)と前記インジェクションウェル(5)の前記インジェクタインターフェース領域(5b)との間の燃料の通過部分を減少させるよう構成されている、インジェクション装置(1)。
【請求項2】
前記スプレーノズル(8)は、前記インジェクションウェル(5)の前記底部(5a)の中に嵌合される円柱状要素であって、前記管(6)から前記インジェクタインターフェース領域(5b)に燃料を流すための空間(10,13,15,16,18,19)を形成する円柱状要素である、請求項1に記載のインジェクション装置(1)。
【請求項3】
前記インジェクションウェル(5)の前記底部(5a)は、前記インジェクタインターフェース領域(5b)の直径よりも小さい直径を有する、請求項2に記載のインジェクション装置(1)。
【請求項4】
前記スプレーノズル(8)は、少なくとも1つの第1のチャネル(10,16)及び第2のチャネル(13,15)を備え、
前記第1のチャネル(10,16)及び第2のチャネル(13,15)の一方が他方において開口しており、
前記第1のチャネル(10,16)及び第2のチャネル(13,15)は、前記インジェクタインターフェース領域(5b)に対向する側及び前記管(6)に対向する側においてそれぞれ開口し、
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルは、前記管(6)の直径よりも小さい直径を有する、請求項2又は3に記載のインジェクション装置(1)。
【請求項5】
前記スプレーノズル(8)は、前記インジェクションウェル(5)の端部(11)に当接している、請求項4に記載のインジェクション装置(1)。
【請求項6】
前記円柱状要素は、前記管(6)と、前記円柱状要素と前記インジェクションウェル(5)の端部(11)の間に形成される前記底部(5a)の領域と、の間に燃料が流れるための空間を形成し、
前記円柱状要素は、前記第1の軸に沿って配向された貫通チャネル(10)を備え、
前記貫通チャネル(10)は、一方側で前記底部(5a)の前記領域内に開口し、他方側で前記インジェクタインターフェース領域(5b)内に開口する、請求項2又は3に記載のインジェクション装置(1)。
【請求項7】
前記円柱状要素は、前記管(6)と、前記円柱状要素と前記インジェクションウェル(5)の端部(11)の間に形成される前記底部(5a)の領域と、の間において燃料が流れるための空間を形成し、
前記円柱状要素は平坦部(8c)を備え、
前記平坦部(8c)は、前記円柱状要素と前記インジェクションウェル(5)の前記底部(5a)の壁との間において、前記底部(5a)の前記領域から前記インジェクタインターフェース領域(5b)に燃料が流れるための空間(19)を形成する、請求項2又は3に記載のインジェクション装置(1)。
【請求項8】
前記第1の軸は前記管(6)を通過し、
前記インジェクションウェル(5)の前記底部(5a)は、前記管(6)の直径よりも小さい直径を有し、これにより前記スプレーノズル(8)を形成する、請求項1に記載のインジェクション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のためのコモンレールを有するインジェクション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のインジェクション装置は、メインチャンバを有するコモンレールと、メインチャンバに開口するとともに燃料供給パイプに結合されるよう構成されたインレットオリフィスと、コモンレールに沿って分配されるとともに各々がインジェクタを収容するよう構成された複数のインジェクションウェルと、各々がメインチャンバをインジェクションウェルの1つに連結することができる複数の管と、を備える。
【0003】
本出願人により公知のものとされたように、インジェクション装置のバルクを車両内の環境に適合させるために、インジェクションウェルがコモンレールのメインチャンバに対してオフセットされている。換言すると、インジェクションウェルの幾何学的な軸はコモンレールのメインチャンバを通らない。したがって、メインチャンバをインジェクションウェルに連結する管を機械加工できるようにするために、機械加工はコモンレールのメインチャンバを介してコモンレールを横切って行われる。
【0004】
インジェクション装置はスプレーノズルを備え、スプレーノズルは、圧力波を減衰させることを可能にする圧力降下を生成するように燃料の通過部を減少させることによって形成されている。現在、少なくとも2つのスプレーノズル技術が存在する。1つ目は、コモンレールのメインチャンバをインジェクションウェルに連結する管内に、軸方向に穿孔された円柱状要素を嵌合させるというものである。この嵌合を行うのは特に困難であり、何故ならインジェクションウェルがコモンレールのメインチャンバに対してオフセットされている上記の構造では管へのアクセスが制限されているからである。
【0005】
2つ目の技術では、メインチャンバをインジェクションウェルに連結する管が、この管とインジェクションウェルとの間の接合部において、より小さい断面を有する。インジェクションウェルがコモンレールのメインチャンバに対してオフセットされている上記の構造の場合、このより小さい断面の部分を機械加工する際に、直径は小さいが管の端まで到達するためにかなりの長さを有するビットを使用する必要がある。ここで、そのようなかなりの長さにわたって小さいビットを使用する場合、ビットはもろくなり、完成品に大量の製造スクラップや欠陥が発生するリスクがある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的の1つは、上記の欠点を克服可能なコモンレールを含むインジェクション装置を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、上記の装置を、容易かつ安価に製造できるものとして提供することである。
【0008】
これらの目的及び以下の記載から明らかになる他の目的は以下のインジェクション装置によって達成され、即ちこのインジェクション装置は、長手方向に延在するとともにメインチャンバを画定するコモンレールを備え、コモンレールは、メインチャンバ内に開口し、燃料供給パイプに結合されるよう構成されたインレットオリフィスと、第1の軸に沿って延在する少なくとも1つのインジェクションウェルと、第2の軸に沿って延在する少なくとも1つの横方向の管と、スプレーノズルと、を備え、インジェクションウェルは、底部と、インジェクタが取り付けられるよう構成されたインジェクタインターフェース領域と、を備え、管は、一方側においてメインチャンバ内に開口し、他方側においてインジェクションウェルの底部において開口し、これによりメインチャンバをインジェクションウェルに連結しており、第1の軸及び第2の軸は互いに交差しており、スプレーノズルは、インジェクションウェルの底部の中に配置され、管とインジェクションウェルのインジェクタインターフェース領域との間の燃料の通過部分を減少させるよう構成されている。
【0009】
したがって、より容易にアクセスできる領域、即ち管内ではなくインジェクションウェルの底部にスプレーノズル機能が実装されることで、この機能をより簡単にかつより確実に実装することができる。
【0010】
他の有利な実施形態によれば、上記のインジェクション装置は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0011】
一実施形態では、スプレーノズルは、インジェクションウェルの底部の中に嵌合される円柱状要素であって、管からインジェクタインターフェース領域に燃料を流すための空間を形成する円柱状要素である。これにより、このようなスプレーノズルを形成する円柱状要素は、メインチャンバとインジェクションウェルの底部とを連結する管の中に嵌合させなければならない場合よりも、インジェクションウェルの底部の中により容易に嵌合させることができる。
【0012】
一実施形態では、円柱状要素はインジェクションウェルの底部の中に圧入嵌合される。
【0013】
一実施形態では、インジェクションウェルの底部は、インジェクタインターフェース領域の直径よりも小さい直径を有する。これによって、インジェクションウェルの底部内へのスプレーノズルにより形成された円柱状要素の嵌合を簡単化することができる。
【0014】
一実施形態では、スプレーノズルは、少なくとも1つの第1のチャネル及び第2のチャネルを備え、第1のチャネル及び第2のチャネルの一方が他方において開口しており、第1のチャネル及び第2のチャネルは、インジェクタインターフェース領域に対向する側及び管に対向する側においてそれぞれ開口し、第1のチャネル及び第2のチャネルは、管の直径よりも小さい直径を有する。
【0015】
一実施形態では、スプレーノズルは、インジェクションウェルの端部に当接している。これによって、円柱状要素を、確実に、第1の軸に沿って正確に軸上に位置決めすることができる。
【0016】
一実施形態では、円柱状要素は、インジェクションウェルの底部に対して、スプレーノズルを、第2のチャネルが管に対向するように向けられる相対位置に位置決めすることを保証することができるキーイング手段を備える。
【0017】
別の実施形態では、円柱状要素は、管と、円柱状要素とインジェクションウェルの端部の間に形成される底部の領域と、の間に燃料が流れるための空間を形成し、円柱状要素は、第1の軸に沿って配向された貫通チャネルを備え、貫通チャネルは、一方側で底部の領域内に開口し、他方側でインジェクタインターフェース領域内に開口する。
【0018】
一実施形態では、第1の軸に沿って配向された貫通チャネルは管の直径よりも小さい直径を有する。
【0019】
別の実施形態では、円柱状要素は、管と、円柱状要素とインジェクションウェルの端部の間に形成される底部の領域と、の間において燃料が流れるための空間を形成し、円柱状要素は平坦部を備え、平坦部は、円柱状要素とインジェクションウェルの底部の壁との間において、底部の領域からインジェクタインターフェース領域に燃料が流れるための空間を形成する。
【0020】
別の実施形態では、第1の幾何学的な軸は管を通過し、インジェクションウェルの底部は、管の直径よりも小さい直径を有し、これによりスプレーノズルを形成する。上記のスプレーノズルを形成するインジェクションウェルの底部のドリル加工に必要なドリルは、メインチャンバとインジェクションウェルの底部とを連結する管の軸上に配されたスプレーノズルの加工に必要なものよりも短い。したがって上記のスプレーノズルの製造はより簡単でかつ生じるスクラップも少ない。
【0021】
限定を意図しない例として挙げた本発明の数々の具体的な実施形態に関する以下の記載を図面を参照して読むことによって、本発明はより良く理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】インジェクション装置の斜視図である。
図2図1のインジェクション装置のII−II面に沿った縦断面図である。
図3図2のIII−III面に沿った断面図であり、インジェクションウェルを示す。
図4】第2の実施形態によるインジェクション装置について、図2と同様の図である。
図5】第3の実施形態によるインジェクション装置について、図2と同様の図である。
図6】第4の実施形態によるインジェクション装置について、図2と同様の図である。
図7】第5の実施形態によるインジェクション装置について、図2と同様の図である。
図8図7のスプレーノズルの斜視図である。
図9】第6の実施形態によるインジェクション装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、全体に符号1が付されたインジェクション装置を示す。インジェクション装置1は、長手方向に沿って延在するコモンレール2を備える。コモンレール2は中空であり、したがって図2に示す筒状のメインチャンバ4を画定し、メインチャンバ4はコモンレール2の長手方向に沿って延在している。コモンレール2は有利には、例えば鍛造により単一片として製造される。
【0024】
コモンレール2は、コモンレール2のメインチャンバ4内に開口するインレットオリフィス3を備え、インレットオリフィス3は非図示の燃料供給パイプに結合されるよう構成されている。
【0025】
さらに、図2に示すように、コモンレール2は、各々が、図2に部分的に示すインジェクタ9を収容するよう構成されたインジェクションウェル5を備える。各インジェクションウェル5は幾何学的な軸Aに沿って延在する。インジェクションウェル5はメインチャンバ4に対してオフセットされている。換言すると、各インジェクションウェル5の幾何学的な軸Aはメインチャンバ4を通らない。
【0026】
各インジェクションウェル5は、底部5aと、インジェクタ9が取り付けられるインジェクタインターフェース領域5bと、を備える。有利には、底部5aは、各インジェクションウェル5のインジェクタインターフェース領域5bのように、概ね円柱状である。
【0027】
コモンレール2のメインチャンバ4は、管6によって各インジェクションウェル5に連結されている。各管6は、軸Aと交差する軸Bに沿って延在する円筒状の形態を有する。各管6は、一方側でメインチャンバ4内に開口し、他方側で1つのインジェクションウェル5の底部5aにおいて開口し、これにより燃料がメインチャンバ4からこのインジェクションウェル5に流れることができるように構成されている。図2の示す実施形態では、管6は側方において開口している、即ちインジェクションウェル5の底部5aの外周壁において開口している。
【0028】
メインチャンバ4に対してインジェクションウェル5がオフセットされているという性質を考えると、各管6は、コモンレール2の長手方向軸を横切って、コモンレール2におけるインジェクションウェル5と反対の側部から機械加工される。したがって、各管6を形成するためには、コモンレール2における当該管6と反対の側部に、貫通ドリル穴7が必然的に形成される。ドリル穴7は管6の幾何学的な軸Bに同軸に延在する。管6の直径は例えば3〜5mmである。図示の実施形態では、軸Bはメインチャンバ4の中心軸を通る。ドリル穴7は、非図示の閉鎖デバイスによってしっかりと閉鎖されるよう構成されている。
【0029】
さらに、インジェクション装置1は、各インジェクションウェル5の底部5aに形成されたスプレーノズル8を備える。スプレーノズル8は、管6とインジェクションウェル5のインジェクタインターフェース領域5bとの間の燃料の通過部分を減少させることを目的とする。これによりスプレーノズル8は圧力波を減衰させることを可能にする圧力降下を生成する。
【0030】
図2及び図3に示す第1の実施形態では、スプレーノズル8は、インジェクションウェル5の底部5aに圧入嵌合される円柱状要素である。スプレーノズル8は、例えばステンレス鋼でできている。このようにスプレーノズル8をインジェクションウェル5の底部5aに嵌合することを可能にするために、底部5aは、インジェクタインターフェース領域5bの直径よりも小さい直径を有する。
【0031】
さらに、スプレーノズル8は先細部分20を有し、先細部分20は、軸Aに沿って管6と反対の側に位置し、これにより燃料がインジェクションウェル5の底部5a内に、より具体的にはインジェクションウェル5の端部11とスプレーノズル8との間に位置する領域内に流入できるように構成されている。スプレーノズル8は貫通チャネル10も備えており、貫通チャネル10はインジェクションウェル5の軸Aに沿って配向され、これにより燃料が上記のインジェクションウェル5の底部5aの領域からインジェクタインターフェース領域5bに流れることができるように構成されている。図示の実施形態では、チャネル10は、スプレーノズル8をその中心で通過する。
【0032】
図4図7に示す実施形態は、スプレーノズル8の構造に関してのみ、図2及び図3に関連して上に記載した実施形態とは異なる。
【0033】
図4の実施形態では、スプレーノズル8は貫通チャネル10を備え、この貫通チャネル10は、インジェクションウェル5の軸Aに沿って配向されるとともに、前記スプレーノズル8を貫通する。スプレーノズル8は、スプレーノズル8を径方向に貫通する1つ又は複数の横方向チャネル13をさらに備える。チャネル13は、チャネル10を通り、有利にはこのチャネル10に対して直角に配される。スプレーノズル8は、チャネル13の1つが管6に対向する側において開口するよう、インジェクションウェル5の底部5a内で方向合わせされる。複数のチャネル13があることで、チャネル13の1つが管6に対向する側において開口するようにスプレーノズル8をインジェクションウェル5に対して相対的に位置決めすることを保証できる位置の数がより多くなる。さらに、有利な変形例では、スプレーノズル8はキーイング手段(moyens de detrompage)を備え、キーイング手段は、チャネル13の1つが管6に対向するように向けられる相対位置にスプレーノズル8を位置決めすることを保証することができる。一実施形態では、キーイング手段は、スプレーノズル8の底面に形成された視覚的表示によって形成される。別の実施形態では、そのようなキーイング手段を生成するために、インジェクションウェルの底部5a及びスプレーノズル8はそれぞれ、機械的なキーイングを保証可能な相補的幾何学的特異性を有する。
【0034】
図5の実施形態では、スプレーノズル8は貫通チャネル10を備え、貫通チャネル10は、インジェクションウェル5の軸Aに沿って配向されるとともに、スプレーノズル8を貫通する。スプレーノズル8は止まりチャネル15をさらに含み、止まりチャネル15は軸Aに対して径方向に沿って、貫通チャネル10に対して直角に配向されている。チャネル15は、一方側において管6に対向するよう開口し、他方側においてチャネル10に接続することで、燃料を管6からインジェクションウェル5のインジェクタインターフェース領域5bに流すことができるよう構成されている。有利な変形例では、スプレーノズル8は、上記のように、チャネル15が管6に対向するように向けられるような位置にスプレーノズルを位置付けることを保証可能にするキーイング手段を備える。
【0035】
図6の実施形態では、スプレーノズル8は軸Aに沿って配向されたチャネル16を備える。チャネル16は止まりチャネルであり、即ち、チャネル16は、インジェクションウェル5のインジェクタインターフェース領域5bに対向する側においてのみ開口する。スプレーノズル8は、軸Aに対して径方向に、前記チャネル16に対して直角に配向された、同じく止まりチャネルである別のチャネル15をさらに備える。チャネル15は、管6に対向する側において開口するとともに、チャネル16と接続し、これにより燃料が管6からインジェクションウェル5のインジェクタインターフェース領域5bに流れることができるように構成されている。
【0036】
このスプレーノズル8もまた、キーイング手段を含むことが多い。さらに、この実施形態では、スプレーノズル8はインジェクションウェル5の端部11に当接し、これにより、スプレーノズル8、より具体的にはチャネル15を、確実に、軸Aに沿って正確に位置決めすることができる。
【0037】
図2図6の実施形態では、チャネル10,13,15,16は、圧力降下を生成するために、管6の直径よりも小さい直径を有する。一例として、これらの直径は0.75〜1.5mmである。図7及び図8に示す実施形態では、スプレーノズル8はチャネルを有さないが、スプレーノズル8の全長にわたって延在する平坦部8cを含む。図7に示すように、スプレーノズル8は、管6と、インジェクションウェル5の端部11とスプレーノズル8の間に位置する領域と、の間に空間18を保つように、インジェクションウェル5の底部5aに嵌合される。これにより、平坦部8cは、スプレーノズル8とインジェクションウェル5の底部5aの円筒状の壁との間において空間19を形成することができ、この空間19によって燃料がインジェクタインターフェース領域5bに流れることができる。
【0038】
図9に示す第6の実施形態では、インジェクションウェル5の底部5aが管6に開口するように、インジェクションウェル5の軸Aが管6を通る。インジェクタインターフェース領域5bを管6に接続するインジェクションウェル5の底部5aの直径は、管6の直径よりも小さく、かつインジェクタインターフェース領域5bの直径よりも小さい。したがって、ここでは、インジェクションウェル5の底部5aが、圧力波を減衰させることを可能にする圧力降下を生成するスプレーノズル8を形成する。インジェクションウェル5の底部5aの直径は、例えば0.75〜1.5mmである。
【0039】
本発明について複数の具体的な実施形態に基づき記載したが、本発明はこれらに限定されず、本発明の範囲内であるならば記載したものと技術的に等価なもの全て及びこれらの組み合わせを備えることは明らかである。
【0040】
「含む」又は「備える」との動詞の使用及びその活用形は、特許請求の範囲に記載されたもの以外の構成要素又は工程の存在を排除するものではない。
【0041】
特許請求の範囲において、括弧内に記載された参照符号は何れも特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】