(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-535716(P2021-535716A)
(43)【公表日】2021年12月16日
(54)【発明の名称】スマートメータからのデータの分析のための技法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20211119BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J13/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2021-510462(P2021-510462)
(86)(22)【出願日】2019年8月1日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月25日
(86)【国際出願番号】US2019044733
(87)【国際公開番号】WO2020046536
(87)【国際公開日】20200305
(31)【優先権主張番号】16/114,096
(32)【優先日】2018年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521022200
【氏名又は名称】サクラメント ミュニシパル ユーティリティ ディストリクト
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, レミントン
(72)【発明者】
【氏名】バークハイマー, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン, シェイク
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AA09
5G064AC08
5G064CB16
5G064DA07
(57)【要約】
コンピュータシステムが、スマートメータからのデータを分析する。コンピュータシステムは、例えば、スマートメータからのデータを分析し、スマートメータが異なる配電変圧器に接続されているかどうか、スマートメータが電力窃盗が生じている顧客用地にあるかどうか、スマートメータが太陽光起電システムを有する顧客用地に位置するかどうか、スマートメータが電気自動車を有する顧客用地に位置するかどうか、またはスマートメータが育成ハウスに位置するかどうかを決定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサデバイスを備えているコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、
配電網内の第1の変圧器に接続されているとして示された第1のスマートメータから受信される時系列電圧データに基づいて、電圧波形を発生させることと、
前記第1のスマートメータのうちの第1のものの前記電圧波形の傾斜の極性が前記第1のスマートメータの大部分の前記電圧波形の傾斜の極性と反対である各時間間隔を第1の識別された間隔として識別することと、
前記第1の識別された間隔のうちの1つにおける前記第1のスマートメータのうちの前記第1のものの前記電圧波形の前記傾斜の規模が前記第1のスマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の規模と比較して異常値である度、前記第1のスマートメータのうちの前記第1のものに関するフラグを発生させることと
を行うように構成されている、コンピュータシステム。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、
前記第1のスマートメータのうちの第2のものの前記電圧波形の傾斜の極性が前記第1のスマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の極性と反対である各時間間隔を第2の識別された間隔として識別することと、
前記第2の識別された間隔のうちの1つにおける前記第1のスマートメータのうちの前記第2のものの前記電圧波形の前記傾斜の規模が前記第1のスマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の前記規模と比較して閾値率だけ異常値である度、前記第1のスマートメータのうちの前記第2のものに関するフラグを発生させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記コンピュータシステムは、
疑わしい誤配分スマートメータとして、最大数の前記フラグに関連付けられた前記第1のスマートメータのうちの1つを識別することと、
前記配電網内の前記第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器を識別することと、
前記第2の変圧器に接続された第2のスマートメータから受信される時系列電圧データに基づいて、電圧波形を発生させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記コンピュータシステムは、
前記疑わしい誤配分スマートメータの前記電圧波形の傾斜の極性が前記第2のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各時間間隔を第2の識別された間隔として識別することと、
前記第2の識別された間隔のうちの1つにおける前記疑わしい誤配分スマートメータの前記電圧波形の前記傾斜の規模が、前記第2のスマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の規模と比較して異常値である度、前記疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項3に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記コンピュータシステムは、
前記配電網内の前記第1の変圧器の近傍にある第3の変圧器を識別することと、
前記第3の変圧器に接続された第3のスマートメータから受信される時系列電圧データに基づいて、電圧波形を発生させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項4に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記コンピュータシステムは、
前記疑わしい誤配分スマートメータの前記電圧波形の傾斜の極性が前記第3のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各時間間隔を第3の識別された間隔として識別することと、
前記疑わしい誤配分スマートメータの前記電圧波形の前記傾斜の規模が、前記第3スマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の規模と比較して、前記第3の識別された間隔のうちの1つにおいて異常値である度、前記疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項5に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記コンピュータシステムは、
機械学習アルゴリズムを実施し、前記第1のスマートメータから受信される前記時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、グラフ内で第1の点を発生させることと、
前記第1の点の重心を計算することと、
前記重心までの前記第1の点の各々の距離を計算することと、
前記重心までの前記第1の点の前記距離に基づいて、前記第1のスマートメータのうちのいずれかが前記第1のスマートメータのうちの他のものに対して異常を有するかどうかを決定し、前記第1のスマートメータの中から疑わしい誤配分スマートメータを識別することと
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
前記コンピュータシステムは、前記機械学習アルゴリズムを実施し、前記配電網内の前記第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器に接続された第2のスマートメータから受信される時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、前記グラフ内で第2の点を発生させるようにさらに構成されている、請求項7に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記コンピュータシステムは、クラスタ分析を実施し、前記疑わしい誤配分スマートメータに対応する前記第1の点のうちの1つが、前記第1のスマートメータに関する前記第1の点より前記第2のスマートメータに関する前記第2の点に密接に合致するかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項8に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
コンピュータシステム内のプロセッサ上で実行可能な命令を記憶している非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記実行可能命令は、
機械学習アルゴリズムを実施し、配電システム内の第1の変圧器に接続された第1のスマートメータから受信される第1の時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、グラフ内で第1の点を発生させるように実行可能な命令であって、前記第1の点の各々は、前記第1のスマートメータのうちの1つに対応する、命令と、
前記第1の点の重心を計算するように実行可能な命令と、
前記重心までの前記第1の点の各々の距離を計算するように実行可能な命令と、
前記重心までの前記第1の点の前記距離に基づいて、前記第1のスマートメータのうちのいずれかが前記第1のスマートメータのうちの他のものに対して異常を有するかどうかを決定し、前記第1のスマートメータの中から疑わしい誤配分スマートメータを識別するように実行可能な命令と
を備えている、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
前記機械学習アルゴリズムを実施し、前記配電システム内の前記第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器に接続された第2のスマートメータから受信される第2の時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、前記グラフ内で第2の点を発生させるように実行可能な命令をさらに備え、前記第2の点の各々は、前記第2のスマートメータのうちの1つに対応している、請求項10に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記機械学習アルゴリズムは、t分布確率最近傍埋め込みアルゴリズムであり、前記第1および第2の点は、3次元点である、請求項11に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
クラスタ分析を実施し、前記疑わしい誤配分スマートメータに対応する前記第1の点のうちの1つが前記第1のスマートメータに関する前記第1の点のクラスタより前記第2のスマートメータに関する前記第2の点のクラスタに密接に合致するかどうかを決定するように実行可能な命令をさらに備えている、請求項11に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
前記クラスタ分析は、前記第1および第2の点によって示される次元特性の教師なしクラスタリングを実施するk最近傍アルゴリズムを備えている、請求項13に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
主成分分析を使用して、前記第1のスマートメータに関する前記第1の時系列電圧データに基づいて発生させられる時系列電圧波形を識別する前記最上主成分を抽出するように実行可能な命令をさらに備えている、請求項10に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項16】
コンピュータシステム内の少なくとも1つのプロセッサ回路を使用して、配電システム内のスマートメータから受信される時系列電圧データ内の異常値を識別する方法であって、前記方法は、
第1のスマートメータから受信される第1の時系列電圧データに基づいて、前記配電システム内の第1の変圧器に接続されているとして識別された前記第1のスマートメータの各々に関する電圧波形を発生させることと、
前記第1のスマートメータのうちの第1のものの前記電圧波形の傾斜の極性が前記第1のスマートメータの大部分の前記電圧波形の傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔を第1の識別された間隔として識別することと、
前記第1の識別された間隔のうちの1つにおける前記第1のスマートメータのうちの前記第1のものの前記電圧波形の前記傾斜の規模が前記第1のスマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の規模と比較して異常値である度、前記第1のスマートメータのうちの前記第1のものに関するフラグを発生させることと
を含む、方法。
【請求項17】
疑わしい誤配分スマートメータとして、最大数の前記フラグに関連付けられた前記第1のスマートメータのうちの1つを識別することと、
前記配電システム内の前記第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器を識別することと、
第2のスマートメータから受信される第2の時系列電圧データに基づいて、前記第2の変圧器に接続された前記第2のスマートメータの各々に関する電圧波形を発生させることと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の極性が前記第2のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔を第2の識別された間隔として識別することと、
前記第2の識別された間隔のうちの1つにおける前記疑わしい誤配分スマートメータの前記電圧波形の前記傾斜の規模が前記第2のスマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の規模と比較して異常値である度、前記疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させることと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記配電システム内の前記第1の変圧器の近傍にある第3の変圧器を識別することと、
第3のスマートメータから受信される第3の時系列電圧データに基づいて、前記第3の変圧器に接続された前記第3のスマートメータの各々に関する電圧波形を発生させることと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の極性が前記第3のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔を第3の識別された間隔として識別することと、
前記第3の識別された間隔のうちの1つにおける前記疑わしい誤配分スマートメータの前記電圧波形の前記傾斜の規模が前記第3スマートメータの前記大部分の前記電圧波形の前記傾斜の規模と比較して異常値である度、前記疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させることと
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのプロセッサデバイスを備えているコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、
配電システムに接続されたスマートメータから受信される電圧データが、電力を前記配電システムに送信している太陽光起電システムを有する顧客用地に前記スマートメータが位置していることを示しているかどうかを決定することと、
前記スマートメータから受信される電力使用量を示すデータが、前記配電システムから充電する電気自動車を有する顧客用地に前記スマートメータが位置していることを示しているかどうかを決定することと、
前記電圧データまたは前記スマートメータから受信される電力使用量を示す前記データが、局所地域内の他のスマートメータより実質的に多くの電力を使用する育成ハウスに前記スマートメータが位置していることを示しているかどうかを決定することと、
前記電圧データおよび前記スマートメータから受信される電力使用量を示す前記データが、前記スマートメータの電力使用量が前記スマートメータによって測定される電圧降下を説明し、電力窃盗を識別していることを示しているかどうかを決定することと
を行うように構成されている、コンピュータシステム。
【請求項22】
前記コンピュータシステムは、前記スマートメータからの前記電圧データを分析することによって、前記スマートメータから受信される前記電圧データが、太陽光起電システムを有する顧客用地に前記スマートメータが位置していることを示しているかどうかを決定することによって、前記スマートメータによって測定される電圧が、複数日間の複数の日の真昼の時間中に前記局所地域内の他のスマートメータのうちの少なくともいくつかからの電圧より大きく繰り返し増加するかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項21に記載のコンピュータシステム。
【請求項23】
前記コンピュータシステムは、前記電力使用量メータが、複数日間の複数の日中、急速に増加し、前記局所地域内の他のスマートメータの大部分より実質的に多くの電力を引き出し、次いで、急速に減少するかどうかを決定することによって、前記スマートメータから受信される電力使用量を示す前記データが、電気自動車を有する顧客用地に前記スマートメータが位置していることを示しているかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項21に記載のコンピュータシステム。
【請求項24】
前記コンピュータシステムは、前記電力使用量が、複数日間の複数の日の数時間にわたって前記局所地域内の他のスマートメータによって示される電力使用量より実質的かつ連続的に大きいかどうかを決定することによって、前記電圧データまたは前記スマートメータから受信される電力使用量を示す前記データが、育成ハウスに前記スマートメータが位置していることを示しているかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項21に記載のコンピュータシステム。
【請求項25】
前記コンピュータシステムは、前記電圧データまたは前記スマートメータからの電力使用量を示す前記データが、前記配電システムから充電している大型現地バッテリを有する顧客用地に前記スマートメータが位置していることを示しているかどうかを決定するようにさらに構成され、前記プロセッサデバイスは、前記電圧データまたは前記スマートメータからの電力使用量を示す前記データが、大型現地バッテリを有する顧客用地に前記スマートメータが位置していないことを示している場合、可能な電力品質問題に関連付けられているとして前記スマートメータにフラグを付ける、請求項21に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年8月27日に出願された米国特許出願16/114,096号の継続である。
【0002】
(開示の分野)
本開示は、配電システムから電力を受け取るスマートメータからのデータの分析のための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気メータは、顧客用地において配電システムから引き出される電力の量を監視するデバイスである。配電システムからの顧客の電力消費を監視するために使用される1つのタイプの電気メータは、電気スマートメータ(本明細書ではスマートメータとも称される)である。スマートメータは、配電システムに接続された顧客用地における電力使用量、電流、および/または電圧を監視する。スマートメータは、顧客用地から配電システムに提供される電力および/または電流の量を監視することもできる。スマートメータは、顧客用地から、電力を顧客用地に提供する電気事業者に電力使用量および電圧データを自動的に伝送する。スマートメータは、先進計量インフラストラクチャ(AMI)または自動検針(AMR)システムの一部であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電気事業者は、その配電システム内のコンポーネントの接続に関する正確な情報を識別および維持することにおいて困難に直面する。配電システムは、本明細書では配電網とも称される。電気事業者は、理想的に、公益事業から電力(すなわち、電気)を受け取る顧客用地が各配電変電所の下流に相互接続される方法を示す正確な接続情報を有する。接続情報は、公益事業配電線を介して、各配電変電所の下流に接続される各配電変圧器に接続された顧客用地を正確に示す。
【0005】
電気事業者によって直面される一般的な問題は、それらの配電システムについての正確な接続情報を維持することである。公益事業顧客用地と配電変圧器との間の接続は、配電システムの保守または修理中に変化し得る。例えば、停電後の電気サービスの復旧中に配電システムに行われる緊急修理が、顧客と配電変圧器との間の接続を変化させ得る。新しいメータ・変圧器間接続エラーが、嵐中の配電システムの緊急再構築後の公益事業の接続情報、設計された通りに仕事に合致しない不正確な構築、地理情報システム(GIS)マッピング中に導入されるデータエラー等と比較して、配電システムの中に非意図的に導入され得る。
【0006】
電気事業者が顧客用地と配電変圧器との間の接続について有する情報は、顧客用地と配電システム内に存在する配電変圧器との間の接続と比較すると、経時的にあまり正確ではなくなり得る。正確な接続情報を維持するために経時的に生じる配電網に対する変更の全てを追跡することは、困難であり得る。電気事業者は、各地下公益事業線を辿り、各顧客の電気メータが接続される配電変圧器を識別することができないこともある。各顧客の電気メータの目視検査は、典型的に、高価で、遅く、労働集約型である。
【0007】
電気事業者は、配電網内の各配電変圧器に関連付けられる電気メータ(例えば、スマートメータ)の組に関する公益事業データを収集し得る。公益事業データは、例えば、配電変圧器に接続された電気メータ毎に少なくとも時間単位で収集される情報を含み得る。公益事業データは、電気メータ毎の時間平均電圧と、電気メータ毎の時間電力消費データとを含み得る。
【0008】
電気を顧客に分配する配電網からの電力の窃盗は、多くの場合、電気事業者のための収入減の主な原因である。電気が大型配電網のいくつかの終点において盗まれ得るので、各電力窃盗源を識別することは困難であり得る。実施例として、一部の公益事業顧客は、配電網から電気を盗むために、その電気メータの周囲に違法バイパス線を接続することが把握されている。バイパス線は、電気メータが顧客の電気使用量の少なくとも一部を感知することを防止することを意図している。したがって、バイパス線は、電気メータが顧客用地における電気消費量を正確に監視することを防止し得る。
【0009】
顧客用地における電気メータによって感知される電圧は、配電網から顧客用地によって引き出される電力の変化に応答して、変化する。例えば、配電網からの顧客の電気消費量が増加する場合、その顧客用地における電気メータは、より低い電圧を感知する。顧客の電気消費量が減少する場合、電気メータは、より大きい電圧を感知する。バイパス線が、電気メータの周囲に違法に接続される場合、電気メータは、顧客用地における負荷によって引き出されている電力の全てを感知しないこともある。しかしながら、電気メータは、バイパス線が電気メータの周囲に接続される場合でさえ、顧客用地における負荷によって引き出されている電力の変化によって引き起こされる電圧の変化を感知するであろう。電力窃盗が顧客用地において生じている場合、その顧客用地における電気メータは、電気メータ間の配電線内のインピーダンスに起因して、同一の地理的地域内にある、および/または、同一の配電変圧器に接続された他の顧客用地における電気メータによって発生させられる電圧プロファイルと有意に異なる電圧プロファイルを発生させ得る。
【0010】
したがって、顧客用地における電気メータによって感知される電圧プロファイルは、配電網からの電力窃盗を示し得る。実施例として、顧客用地が、配電網内および/または同一の地理的地域内にある同一の変圧器に接続された他の顧客用地より多くの電力を毎日の数時間の間に配電網から引き出している場合、顧客用地における電気メータは、電圧が、他の顧客用地における電気メータによって感知される電圧より多く、これらの時間の間に減少していることを示すであろう。
【0011】
本明細書に開示される、いくつかの実施形態によると、スマートメータからの電圧データが、1つ以上の顧客用地における電力窃盗の可能な発生を決定するために監視される。同一の配電変圧器に接続される、または同一の地理的地域内にある他の顧客のスマートメータと比較して、顧客のスマートメータからの電圧データ内で異常が識別される場合、顧客のスマートメータは、さらなる調査に関してフラグを付けられ得る。電圧データ内の異常に関する1つの可能な原因は、公益事業の接続情報が、上記に議論される理由により不正確であり得、電圧データ内の異常を感知するスマートメータが、公益事業の接続情報が現在示しているものと異なる配電変圧器に接続されることである。別の可能性は、電圧データ内の異常が、顧客用地における配電網からの電力の窃盗によって引き起こされることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、ある実施形態による、スマートメータを使用し、公益事業顧客用地における電圧、電流、および電力使用量を測定するシステムを図示する略図である。
【0013】
【
図2A】
図2A−2Bは、ある実施形態による、配電システムに接続されたスマートメータから受信される電圧データ内の異常値を識別するために使用され得る動作の実施例を図示するフローチャートである。
【
図2B】
図2A−2Bは、ある実施形態による、配電システムに接続されたスマートメータから受信される電圧データ内の異常値を識別するために使用され得る動作の実施例を図示するフローチャートである。
【0014】
【
図3A】
図3Aは、例示的実施形態による、4日にわたる4つのスマートメータからの時間電圧データのグラフである。
【0015】
【
図3B】
図3Bは、別の例示的実施形態による、8時間にわたる5つのスマートメータからの時間電圧データのグラフである。
【0016】
【
図4】
図4は、ある実施形態による、公益事業配電変電所と配電システム内の6つの配電変圧器との間の接続の実施例を示す、略図である。
【0017】
【
図5A】
図5A−5Bは、ある実施形態による、配電システムに接続されたスマートメータから受信されるデータの内の異常を識別するために実施され得る動作の実施例を示すフローチャートを図示する。
【
図5B】
図5A−5Bは、ある実施形態による、配電システムに接続されたスマートメータから受信されるデータの内の異常を識別するために実施され得る動作の実施例を示すフローチャートを図示する。
【0018】
【
図6】
図6は、例示的実施形態による、5つの変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データの最上主成分を表す例示的3D点を図示する3次元(3D)グラフである。
【0019】
【
図7】
図7は、ある実施形態による、日中に電力を配電システムに送信している顧客用地における太陽電池パネルを示すスマートメータからの電圧プロファイルの実施例を図示する。
【0020】
【
図8A】
図8Aは、ある実施形態による、電気自動車を有する顧客用地において1日にわたってスマートメータによって測定される電力使用量を図示するグラフである。
【0021】
【
図8B】
図8Bは、ある実施形態による、数日にわたって電気自動車を有する顧客用地においてスマートメータによって測定される電力使用量を図示するグラフである。
【0022】
【
図9】
図9は、ある実施形態による、育成ハウスを有する顧客用地においてスマートメータによって測定される電力使用量の実施例を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、ある実施形態による、スマートメータを使用し、公益事業顧客用地における電圧、電流、および電力使用量を測定するシステムを図示する略図である。
図1の実施形態では、それぞれ、スマートメータ102A、102B、102C、および102D(本明細書では集合的にスマートメータ102と称される)に関連付けられる公益事業顧客用地101A、101B、101C、および101D(本明細書では集合的に公益事業顧客用地101と称される)は、ネットワーク103を通してコンピュータシステム104に接続される。スマートメータ102の各々は、配電網から電力を受け取るように接続され、電力を顧客用地101のうちの関連付けられるものに提供するように接続される。配電網は、
図1に示されていない。4つの公益事業顧客用地101および4つの関連付けられるスマートメータ102が、実施例として
図1に示される。但し、配電網は、典型的に、電力を数百、数千、または数百万もの顧客用地に提供するように接続され得ることを理解されたい。顧客用地101の各々は、電気使用量および電圧を監視する、スマートメータ等の電気メータを有する。
【0024】
スマートメータ102の各々は、処理のために、電圧(すなわち、電圧データ)、電流、および/または電気消費量の測定を、ネットワーク103を通してコンピュータシステム104に周期的に送信する。スマートメータ102の各々は、関連付けられる顧客用地101における配電網へのその接続において電圧を測定する。実施例として、スマートメータ102の各々は、毎日の毎時間に、電圧データをコンピュータシステム104に送信し得る。スマートメータ102からコンピュータシステム104へのデータの通信は、ネットワーク103内の無線接続、ワイヤ、電線、またはそれらの任意の組み合わせを通し得る。
【0025】
コンピュータシステム104は、1つ以上の入出力(I/O)インターフェース111と、1つ以上のプロセッサデバイス112と、1つ以上の記憶デバイス113と、分析ソフトウェア114と、1つ以上のデータベース115とを含む。コンピュータシステム104のコンポーネント111−115は、接続116を通して通信することができる。コンピュータシステム104は、例えば、電気事業者によって運営される設備に位置し得る。プロセッサ112は、例えば、CPU(中央処理ユニット)、マイクロプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および/または他の形態のプロセッサ回路等の任意の処理回路またはデバイスを含み得る。記憶装置113は、ソリッドステートメモリデバイス、ディスク記憶デバイス、磁気テープ等のメモリデバイスを含み得る。記憶デバイス113は、任意の好適な構成、例えば、ストレージエリアネットワークに編成され得る。入出力インターフェース111は、例えば、データをプロセッサ112に入力するためのデバイス(例えば、マウスおよびキーボード)と、プロセッサ112から結果を提供するための機構(例えば、プリンタおよびコンピュータモニタ)とを含み得る。
【0026】
ネットワーク103を通してスマートメータ102から提供される電圧、電流、および/または電力使用量データは、コンピュータシステム104内の記憶デバイス113内に記憶され得る。分析ソフトウェア114は、データベース115を使用して、記憶デバイス113内に記憶された電圧、電流、および/または電力使用量データにアクセスすることができる。分析ソフトウェア114は、電圧、電流、および/または電力使用量データを分析し、本明細書に開示される結果を発生させることができる。分析ソフトウェア114は、メモリ内に記憶されることができる。分析ソフトウェア114は、1つ以上のプロセッサ112上で起動されることができる。1人またはそれを上回るユーザが、1つ以上のI/Oインターフェース111を使用して、分析ソフトウェア114とインターフェースをとってもよい。
【0027】
図2A−2Bは、ある実施形態による、配電網に接続されるスマートメータから受信される電圧データ内の異常値を識別するために使用され得る、動作の実施例を図示するフローチャートである。
図2A−2Bの動作は、例えば、スマートメータから受信される電圧データ内の異常値を識別するように実施される、複数のチェックのうちの1つのチェックとして、実施され得る。代替として、
図2A−2Bの動作は、付加的チェックを伴わずに単独で実施され得る。
【0028】
図2A−2Bの実施形態では、スマートメータ102の各々は、側方および/またはフィーダ等の1つ以上の公益事業配電線を通して、配電網内の配電変圧器に接続される。
図2A−2Bの動作は、例えば、
図1に示されるI/Oインターフェース111、プロセッサ112、記憶デバイス113、およびデータベース115を使用して、コンピュータシステム104内の分析ソフトウェア114によって実施され得る。
【0029】
最初に、配電網に接続されるスマートメータによって発生させられる時系列電圧データ(本明細書では電圧データとも称される)が、データベース115を使用して、記憶装置113から収集され、分析ソフトウェア114に提供される。また、電気メータを配電網内の配電変圧器接続および配電線にマップする地理情報システム(GIS)データが、収集される。動作201では、配電網に接続される配電変圧器(本明細書では単に変圧器とも称される)が、選択される。動作201において選択される変圧器は、電圧データが収集されたスマートメータのセットに接続される、GISデータが示す変圧器のうちの1つである。変圧器は、分析ソフトウェア114によって、またはユーザ入力に応答して、自動的に選択され得る。
図2A−2Bの動作の付加的反復が、他の変圧器に接続されたスマートメータが、配電網内で評価されるために実施され得る。
【0030】
動作202では、動作201において選択される変圧器に接続されたスマートメータが、選択される。動作202は、メータ・変圧器間接続を示すGISデータを使用して、動作201において選択される変圧器に接続されたスマートメータを決定し得る。スマートメータが、変圧器に直接接続されていない場合でさえも、スマートメータが、変圧器を通して配電網から電力を受け取る場合に、スマートメータは、変圧器に接続される。変圧器を通して配電網からスマートメータに提供される電力は、公益事業顧客用地における負荷において受電される。配電網内の各配電変圧器は、典型的に、複数の顧客用地における複数のスマートメータに接続され、電力をそこに伝送する。限定的であることを意図していない実施例として、各配電変圧器は、6〜12個のスマートメータに接続され得る。
【0031】
上記に議論されるように、その配電網についての電気事業者のGISデータは、いずれのスマートメータがいずれの配電変圧器に接続されるかについてのある程度の不正確な情報を含有し得る。
図2A−2Bの動作は、GISデータ内のスマートメータと変圧器との間の不正確な接続情報の存在を識別することに役立ち得る。
【0032】
図2Aの動作203−204および
図2Bの動作214−215は、スマートメータから収集される電圧データを使用して実施される。スマートメータの各々からの時系列電圧データは、経時的に変動する電圧波形としてプロットされる。スマートメータからの時系列電圧データを使用して発生させられる各電圧波形の傾斜は、次いで、所定の時間間隔において(例えば、1時間毎に)決定される。スマートメータからの時系列電圧データを使用して発生させられる電圧波形の傾斜はまた、本明細書では電圧傾斜とも称される。
【0033】
動作203では、動作202において選択されるスマートメータに関する電圧傾斜の極性が動作201において選択される変圧器に接続された他のスマートメータの大部分の電圧傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔が、識別される。動作203は、所定の期間(例えば、数日、1週間、1ヶ月、または数ヶ月)にわたる電圧データを使用して、各時間間隔で、例えば、1時間毎、30分毎、15分毎等に、繰り返される。
【0034】
動作204では、動作203において識別される所定の時間間隔のうちの1つにおけるその電圧傾斜の規模が、変圧器に接続された他のスマートメータの大部分の電圧傾斜の規模と比較して異常値である度、フラグが、動作202において選択されるスマートメータに関して発生させられる。動作203において分析される条件がそれぞれの所定の時間間隔において満たされた場合に、フラグが、動作204においてスマートメータに関してのみ発生させられる。
【0035】
いくつかの状況では、電圧波形の電圧傾斜の極性が相互と比較される場合のみ、過剰に多くのフラグが、発生させられ得、動作204が、省略される。例えば、1つのスマートメータに関する電圧波形が、わずかに正になる一方で、他のスマートメータに関する電圧波形が、わずかに負になる場合、フラグは、電圧傾斜の極性が比較された場合のみ発生させられるであろう。また、動作204において電圧傾斜の規模(すなわち、絶対値)を比較することによって、フラグが、これらの状況では発生させられない。より具体的な実施例として、3つのスマートメータの電圧傾斜は、−0.3であってもよく、第4のスマートメータの電圧傾斜は、0.29であり得る。本実施例では、第4のスマートメータの電圧傾斜の規模が異常値ではないため、いずれのフラグも動作204において発生させられない。したがって、動作204は、動作202において選択されるスマートメータの電圧傾斜の極性が他のスマートメータの大部分の電圧傾斜の極性と反対であるが、動作202において選択されるスマートメータの電圧傾斜の規模が、他のスマートメータの大部分の電圧傾斜の規模と比較して異常値ではないときに、誤ったフラグが発生させられるという問題を回避することができる。
【0036】
スマートメータに関する電圧傾斜の規模は、所定の閾値だけ他のスマートメータの大部分の電圧傾斜の規模を上回る、またはそれ未満である場合に、動作204において異常値として定義され得る。DixonのQ検定は、動作204において異常値としてスマートメータに関する電圧傾斜の規模を識別するために使用され得る、方程式の実施例である。DixonのQ検定は、データとサンプル平均との間の二乗差のカイ二乗分布に基づいて、異常値に関する検定を実施する。DixonのQ検定を適用するために、データセットが、増加する値の順序で配列され、疑わしい点Qが、
【数1】
として計算される。DixonのQ検定では、Gapが、当該異常値と当該異常値に最も近いデータセット内の数との間の絶対数として定義され、Rangeは、データセットの値の範囲である。Q
Tableが、サンプルサイズおよび信頼レベルに対応する基準値である、Q>Q
Tableである場合には、疑わしい点Qは、動作204において異常値として識別される。1つのみの点が、DixonのQ検定を使用して、データセットから拒否されることができる。動作204において発生させられるフラグは、フラグの総数を発生させるように、所定の期間にわたって計数される。分析ソフトウェア114は、例えば、データベース115内に動作204においてスマートメータに関して発生させられるフラグを記憶し得る。
【0037】
図3Aは、例示的実施形態による、4日にわたる4つのスマートメータからの時間電圧データのグラフである。4つのスマートメータの各々からの電圧データは、電圧波形としてプロットされる。
図3Aに示される4つの電圧波形の各々は、全て配電網に接続され、そこから電力を受け取る4つのスマートメータのうちの異なるものからの電圧データをプロットする。
図3Aの実施形態では、GISデータが、これらの4つのスマートメータが全て同一の配電変圧器を通して配電網に接続されることを示すので、4つのスマートメータは、一緒に分析される。実線波形301は、スマートメータのうちの1つからの電圧データを表す。3つの点線波形は、他の3つのスマートメータからの電圧データを表す。
図3Aから分かり得るように、実線電圧波形301は、
図3Aに示される4日間の数時間にわたって3つの点線電圧波形から逸脱する。
【0038】
図3Aのグラフは、動作203−204が4つのスマートメータからの電圧データに適用され得る方法の実施例を図示する。例えば、
図2A−2Bの動作が、
図3Aでグラフに描かれる電圧データに適用される場合、フラグが、動作204において時間T1、T2、およびT3の各々で発生させられる。
図3Aの時間T1−T3の各々では、実線波形301の電圧傾斜の極性は、3つの点線波形の電圧傾斜の極性と反対である。また、時間T1−T3の各々では、実線波形301の電圧傾斜の規模は、3つの点線波形の電圧傾斜の規模と比較して異常値である。
【0039】
図3Bは、別の例示的実施形態による、8時間にわたる5つのスマートメータからの時間電圧データのグラフである。
図3Bでは、スマートメータの各々からの時間電圧データが、電圧波形としてプロットされる。
図3Bに示される5つの電圧波形の各々は、全て配電網に接続され、そこから電力を受け取る5つのスマートメータのうちの異なるものからの時間電圧データをプロットする。
図3Bの実施形態では、GISデータが、これらのスマートメータが全て同一の配電変圧器を通して配電網に接続されることを示すので、5つのスマートメータは、一緒に分析される。実線波形は、本明細書および
図3Bではメータ5と称される、スマートメータのうちの1つからの電圧データを表す。4つの点線波形は、本明細書および
図3Bではメータ1−4と称される、他の4つのスマートメータからの電圧データを表す。
【0040】
コンピュータシステムは、毎時間における5つのスマートに関して
図3Bに示される5つの電圧波形の電圧傾斜を決定する。スマートメータに関する電圧データの8時間が、単に実施例として
図3Bに示される。コンピュータシステムは、数日、数週間、数ヶ月、または数年等のより長い期間にわたって、より多くのスマートメータに関する電圧データを決定し得ることを理解されたい。下記の表1は、
図3Bに示される、時間5および6における5つのスマートメータからの例示的電圧データの電圧および電圧傾斜を含む。
【表1】
【0041】
表1に示されるように、メータ1−4は、時間5と6との間に正の電圧傾斜を有し、メータ5は、時間5と6との間に負の電圧傾斜を有する。加えて、メータ1−4の電圧傾斜の規模は、時間5と6との間で1.23〜1.95の範囲内であり、メータ5の電圧傾斜の規模は、時間5と6との間で3である。表1内の値に基づいて、メータ5は、時間5と時間6との間の1時間の時間間隔に関してメータ1−4と比較すると、動作204において異常値としてフラグを付けられ得る。
【0042】
決定動作205では、動作201において選択される同一の変圧器に接続され、動作203−204の前の反復において分析されていない、分析すべきスマートメータがそれ以上存在するかどうかに関して、決定が行われる。まだ分析されていない、変圧器に接続されたより多くのスマートメータが存在する場合、動作203−204の前の反復において分析されていないスマートメータのうちの1つが、GISデータを使用して動作206において選択される。
【0043】
次いで、動作203−204が、動作206において選択されるスマートメータからの電圧データを使用して繰り返される。動作203−206が、次いで、動作201において選択される変圧器に接続された他のスマートメータ毎に繰り返される。したがって、動作203−204の反復が、変圧器に接続されたスマートメータ毎に実施される。動作203−204の各反復は、スマートメータのうちの1つからの電圧データが、変圧器に接続された他のスマートメータの大部分からの電圧データと比較して異常値であることを示す、そのスマートメータに関するフラグのセットを発生させる。
【0044】
動作201において選択される変圧器に接続されたスマートメータの全てが、動作205の現在の反復において分析された場合には、
図2Aのプロセスは、
図2Bに詳細に示される動作211に進む。ここで
図2Bを参照すると、動作211では、動作204の反復からの最大数のフラグを有する、1つ以上のスマートメータのリストが、作成される。動作211において発生させられるリストは、動作204の前の反復において発生させられる最大数のフラグを有する、スマートメータを含む。動作211において発生させられるリストは、例えば、最高数から最低数のフラグにスマートメータをランク付けし得る。
【0045】
動作204の前の反復のうちの1つにおいて最も多くのフラグを発生させた電圧データを有するスマートメータが、例えば、動作211において疑わしい誤配分スマートメータとして識別され得る。動作212では、地理情報システム(GIS)データが、次いで、動作201において選択される配電変圧器に最近傍の配電変圧器を決定するために使用される。限定的であることを意図していない具体的実施例として、動作201において選択される変圧器に最近傍の5つの配電変圧器が、動作212において識別され得る。最も近い変圧器は、GISデータによって示される配電網内の物理的距離を使用して、動作212において決定され得る。
【0046】
図4は、ある実施形態による、公益事業配電変電所と配電網内の6つの配電変圧器との間の接続の実施例を示す、略図である。
図4の実施形態では、公益事業配電変電所401は、それぞれ、スマートメータ403−408を介して、配電線410および配電変圧器402A−402Fを通して電力を顧客用地に提供する。変圧器402A−402Fは、それぞれ、スマートメータ403A−403C、404A−404C、405A−405C、406A−406B、407A−407B、および408A−408Bに接続され、電力をそれに提供する。2つまたは3つのスマートメータが、変圧器402A−402Fのそれぞれに接続されるものとして
図4に示されるが、配電網内の各変圧器402は、付加的スマートメータに接続され得る。
【0047】
図4は、公益事業配電所、変圧器、およびスマートメータの間の正確な相対物理的距離を示さない場合がある。しかしながら、
図4の略図は、動作212において、疑わしい誤配分スマートメータに接続される変圧器に最も近い変圧器である、配電網内の配電変圧器のうちのいずれかを決定するために使用され得る。実施例として、スマートメータ404Bが、疑わしい誤配分スマートメータである場合、変圧器402Bに最近傍の5つの変圧器が、
図4の略図を使用して、動作212において変圧器402Aおよび402C−402Fとして識別される。
【0048】
動作213では、動作212において識別された最も近い変圧器のうちの1つが、選択される。続いて、動作214−215では、疑わしい誤配分スマートメータからの電圧データが、動作213において選択される変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データと比較される。実施例として、スマートメータ404Bからの電圧データは、動作214−215において変圧器402Aに接続されるスマートメータ403A−403Cからの電圧データと比較され得る。
【0049】
動作214では、動作211において識別される疑わしい誤配分スマートメータに関する電圧傾斜の極性が動作213において選択される変圧器に接続されたスマートメータの大部分の電圧傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔が、識別される。動作214は、所定の期間にわたる(例えば、1週間、1ヶ月等にわたる)電圧データを使用して、各時間間隔で、例えば、1時間毎、30分毎等に、繰り返される。
【0050】
動作215では、動作214において識別される所定の時間間隔のうちの1つにおけるその電圧傾斜の規模が、動作213において選択される変圧器に接続されたスマートメータの大部分の電圧傾斜の規模と比較して異常値である度、フラグが、疑わしい誤配分スマートメータに関して発生させられる。動作214において分析される条件がそれぞれの所定の時間間隔において満たされた場合に、フラグが、動作215において疑わしい誤配分スマートメータに関してのみ発生させられる。動作215において発生させられるフラグは、フラグの総数を発生させるように、所定の期間にわたって計数される。疑わしい誤配分スマートメータの電圧傾斜の規模は、閾値だけ動作213において選択される変圧器に接続されたスマートメータの大部分の電圧傾斜の規模を上回る、またはそれ未満である場合に、動作215において異常値として識別され得る。動作204に関して上記に説明されるDixonのQ検定はまた、動作215において異常値として疑わしい誤配分スマートメータの電圧傾斜の規模を識別するために使用され得る、方程式の実施例である。
図3A−3Bに開示される実施例もまた、フラグが動作215において発生させられ得る方法の実施例である。
【0051】
決定動作216では、動作212において識別された最も近い変圧器のうちのいずれかが動作213または動作217の前の反復において前もって選択されていないかどうかに関して、決定が行われる。動作212において識別される変圧器のうちのいずれかが、前もって選択されていない場合、動作212において識別される最も近い変圧器のうちの次のものが、動作217において選択される。
【0052】
次いで、動作214−215が、疑わしい誤配分スマートメータからの電圧データを、動作217において選択される変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データと比較することによって、繰り返される。動作214−217の付加的反復が、続いて、動作212において識別される最も近い変圧器のそれぞれに接続されるスマートメータからの電圧データが分析されるまで、実施される。動作214−215の反復の各々では、フラグのセットが、疑わしい誤配分スマートメータからの電圧データを、動作212において識別される最も近い変圧器のうちの1つに接続されるスマートメータからの電圧データと比較することによって、発生させられ得る。
【0053】
決定動作216では、動作212において識別される変圧器の全てが動作213または動作217の前の反復において選択されたことが決定される場合には、動作218が、実施される。動作214−215の1回の反復において発生させられるフラグが、動作203−204において疑わしい誤配分スマートメータに関して発生させられるフラグ未満である場合には、動作218では、動作214−215において最少数のフラグを発生させた変圧器が、可能なさらなる分析のために識別される。
【0054】
1つの可能性は、疑わしい誤配分スマートメータが、動作201において選択される変圧器の代わりに、動作214−215の反復において最少数のフラグを発生させた変圧器に接続されることである。動作201において選択される最初の変圧器は、公益事業のGISデータが、疑わしい誤配分スマートメータに接続されることを示す変圧器である。動作218では、またはその後に、疑わしい誤配分スマートメータは、例えば、動作214−215の反復において最少数のフラグを発生させた変圧器に割り当てられ得る。限定的であることを意図していない具体的実施例として、280個のフラグが、最初の変圧器に接続されたスマートメータを使用して、動作203−204の反復において発生させられ、3つだけのフラグが、最も近い変圧器のうちの1つに接続されるスマートメータを使用して、動作214−215の反復において発生させられる場合には、疑わしい誤配分スマートメータは、最も近い変圧器のうちのその1つに割り当てられる。
【0055】
別の可能性は、電力窃盗が、(例えば、そのスマートメータの周囲のバイパス線を使用して)疑わしい誤配分スマートメータを有する公益事業顧客用地において生じ得ることである。動作218後に、疑わしい誤配分スマートメータが動作201において選択される最初の変圧器と異なる変圧器に接続されるかどうか、または電力窃盗が生じているかどうかを決定するように、付加的チェックが、実施され得る。疑わしい誤配分スマートメータが異なる変圧器に接続されるかどうかを決定するように実施され得る、第2のチェックが、
図5A−5Bに関して本明細書に開示される。
【0056】
図5A−5Bは、ある実施形態による、配電網に接続されるスマートメータから受信される電圧データの内の異常を識別するように実施され得る、動作の実施例を示すフローチャートを図示する。
図5A−5Bの動作は、例えば、
図2A−2Bの動作を使用して識別されたスマートメータ電圧データ内の異常を確認するように、第2のチェックとして実施され得る。したがって、いくつかの例示的実施形態では、
図2A−2Bの動作が、スマートメータから受信される電圧データ内の異常を識別するように、第1のチェックとして実施され、
図5A−5Bの動作が、第1のチェックにおいて識別される任意の異常を確認するように、第2のチェックとして実施される。したがって、いくつかの実施形態では、コンピュータシステム104等のコンピュータシステムが、
図2A−2Bの動作および
図5A−5Bの動作を実施し得る。
【0057】
スマートメータの電圧データが、
図2A−2Bの第1のチェックにおいて識別される変圧器と異なる変圧器に接続されたスマートメータの電圧データにより密接に合致する、いくつかの状況が存在し得る。第2のチェックとして
図5A−5Bの動作を実施することは、異なる変圧器に接続される、または電力窃盗に関連付けられるスマートメータを識別するプロセスの正確度を改良し得る。
図5A−5Bの第2のチェックは、より多くの電圧データを分析する、および/または
図2A−2Bのプロセスより速い分析を可能にするために、使用され得る。
【0058】
代替として、
図5A−5Bの動作は、第1のチェックとして、または付加的チェックを伴わずに単独で実施され得る。これらの実施形態では、コンピュータシステムが、
図2A−2Bの動作を伴わずに、
図5A−5Bの動作のうちのいくつかまたは全てを実施し得る。
図5A−5Bの動作は、例えば、
図1に示されるI/Oインターフェース111、プロセッサ112、記憶デバイス113、およびデータベース115を使用して、コンピュータシステム104内の分析ソフトウェア114によって実施され得る。
【0059】
動作501では、機械学習アルゴリズムが、変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データの最上主成分の次元性を縮小するように実施される。動作501において分析のために選択される変圧器は、配電網内の任意の配電変圧器であり得る。実施例として、
図5Aの動作501−504が、動作201において選択される変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データを使用して、実施され得る。
【0060】
図5Aの例示的実施形態では、既存のスマートメータ・変圧器間接続が、GISデータから決定され、履歴時系列電圧データが、選択された期間(例えば、数日、数週間、または数ヶ月)に及ぶスマートメータに関して収集される。電圧プロファイルを多様化するために、フィーダあたり1つの変圧器が、試験シートを作成するために使用され得る。試験シートは、スマートメータの潜在的誤配分のさらなる誇張を可能にする。変圧器に接続されたスマートメータ毎の電圧データの傾斜および規模が、次いで、計算される。
【0061】
例示的実施形態では、スマートメータ毎の電圧データの傾斜および規模が、主成分分析(PCA)を通して正規化および起動される。PCAは、スマートメータ電圧データに基づいて発生させられる各時系列電圧波形を一意に識別する、最上主成分を抽出する。最上主成分は、典型的に、3つを上回る次元を有する。最上主成分が例示的実施形態において決定された後、それらは、最上主成分の次元を2または3次元まで縮小するために、動作501においてt分布確率最近傍埋め込み(t−SNE)アルゴリズムを通して起動される。T−SNEは、2または3次元の低次元空間内の可視化のための高次元データを埋め込むために適している、非線形次元性縮小技法を使用する機械学習アルゴリズムである。T−SNEは、高い確率で、類似オブジェクトがグラフ内の近傍の点によってモデル化され、異種オブジェクトがグラフ内の遠隔の点によってモデル化されるような方法で、グラフ内の2または3次元点によって高次元オブジェクトをモデル化することができる。t−SNEアルゴリズムは、PCAを使用して抽出されるそれぞれのスマートメータからの電圧データの最上主成分に基づいて、スマートメータ毎のグラフ内の低次元点を決定するために使用されることができる。低次元点は、例えば、2Dグラフ内の2次元(2D)点または3Dグラフ内の3次元点(3D)であり得る。t−SNEアルゴリズムによって発生させられる点の各々は、1つのスマートメータからのデータを表すデータ点である。t−SNEアルゴリズムは、電圧データにいくつかの反復を実施し得る。実施例として、t−SNEアルゴリズムは、約1,500回の反復後に、スマートメータからの時間電圧データの次元性を、3つの座標を有する3Dグラフ上の3次元(3D)点に縮小し得る。
【0062】
したがって、変圧器に接続されたスマートメータ毎に、低次元点が、そのスマートメータからの電圧データの最上主成分に関してグラフ内で発生させられる。点は、次いで、異常値を識別するために分析される。動作502では、スマートメータ電圧データの最上主成分に対応する点の重心が、計算される。重心が動作502において計算された後、重心と点のそれぞれとの間の距離が、動作503において計算される。実施例として、マハラノビス距離技法が、重心とこれらの点のそれぞれとの間の距離を計算するために使用され得る。動作503において計算される距離は、次いで、それらのそれぞれのスマートメータに関連付けられる。
【0063】
動作504では、重心までの点の距離に基づいて、スマートメータのうちのいずれかが、他のスマートメータに対して異常を有するかどうかを決定し、変圧器に接続されたスマートメータの中から疑わしい誤配分スマートメータを識別する。実施例として、スマートメータは、スマートメータのうちのいずれかが、変圧器に接続された他のスマートメータに対して異常値であるかどうかを決定するように、動作503において計算される重心までの点の距離に従って、ランク付けされ得る。重心からの最大距離を有する点に対応するスマートメータは、例えば、グラフ内のその対応する点の距離が閾値を上回る場合に、異常を表し得る。異常を表すものとして識別されるスマートメータは、例えば、動作501において選択される変圧器と異なる変圧器に接続され得る。別の実施例として、異常を表すものとして識別されるスマートメータは、公益事業顧客用地における電力窃盗に関連付けられ得る。動作504において異常を有することが決定されるスマートメータは、疑わしい誤配分スマートメータとして識別され得る。
【0064】
動作505では、機械学習アルゴリズムが、動作501において選択される変圧器の近傍にある1つ以上の変圧器に接続される、スマートメータからの電圧データの最上主成分の次元性を縮小するように実施される。実施例として、動作505は、動作218において識別される最少フラグを有する変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データの主成分を使用して、実施されることができる。別の実施例として、動作505は、(例えば、動作212において識別されるような)GISデータを使用して識別された最も近い変圧器のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを上回るものに接続されるスマートメータからの電圧データの主成分を使用して、実施されることができる。
【0065】
動作505は、例えば、主成分分析(PCA)を通してスマートメータ毎に電圧データの傾斜および規模を正規化し、次いで、起動するステップを含み得る。電圧データの最上主成分は、次いで、例えば、最上主成分の次元を2または3次元まで縮小するために、t−SNEアルゴリズムを通して起動され得る。2または3次元内の最上主成分は、次いで、スマートメータ毎にグラフ内で2Dまたは3D点を発生させるために使用される。
【0066】
動作506では、疑わしい誤配分スマートメータに関する点が、動作501において選択される変圧器に接続されたスマートメータに関する点のクラスタより、近傍の変圧器のうちの1つに接続されるスマートメータに関する点のクラスタに密接に合致するかどうかを決定するように、クラスタ分析が、実施される。実施例として、k最近傍(KNN)アルゴリズムが、動作501および505において発生させられるグラフ内の2Dまたは3D点によって示される次元特性の教師なしクラスタリングを実施するために、動作506で使用され得る。教師なしクラスタリングは、疑わしい誤配分スマートメータに関する点が、動作501において選択される変圧器に対応する点のクラスタより、動作505において評価される近傍の変圧器のうちの1つに対応する点のクラスタに密接に合致するかどうかを決定し得る。
【0067】
コンピュータシステムが、疑わしい誤配分スマートメータに関する点が、動作501において選択される変圧器に接続されたスマートメータに関する点のクラスタより、近傍の変圧器のうちの1つに接続されるスマートメータに関する点のクラスタに密接に合致することを、動作506において決定する場合、疑わしい誤配分スマートメータは、動作507において近傍の変圧器のうちのそれの1つに可能性として接続されるものとしてフラグを付けられる。疑わしい誤配分スマートメータの電圧プロファイルは、次いで、付加的チェックのために、可能な合致する近傍の変圧器に接続されたスマートメータの電圧プロファイルと比較され得る。次いで、GISデータに示される場所は、結果を確認するように検証されるフィールドであり得る。
図5Aの動作501−506の付加的反復が、配電網内で評価されるべき他の変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データを使用して、実施されることができる。
【0068】
図6は、ある実施形態による、5つの変圧器に接続されたスマートメータからの電圧データの最上主成分を表す、例示的3D点を図示する3次元(3D)グラフである。
図6のグラフは、TSNE1、TSNE2、およびTSNE3として識別された3つの次元を有する。5つの変圧器は、
図6ではTX1、TX2、TX3、TX4、およびTX5として識別される。
図6に示される3D点は、動作501において選択される変圧器TX1に接続されるスマートメータから、および動作505において識別される4つの近傍の変圧器TX2−TX5に接続されるスマートメータからの電圧データの最上主成分を使用して、発生させられる。
図6では、3D点601は、動作504において識別される疑わしい誤配分スマートメータからの電圧データの最上主成分を表す。5つの変圧器TX1、TX2、TX3、TX4、およびTX5に接続されるスマートメータからの電圧データの最上主成分の3D点は、
図6では、それぞれ、円、三角形、菱形、正方形、および星形として示される。
【0069】
動作506では、クラスタ分析が、相関する5つの変圧器TX1−TX5点601からの3D点のクラスタのうちのいずれか(存在する場合)を決定するように、
図6に示されるデータに実施され得る。
図6に示されるように、点601は、変圧器TX1−TX4に接続されるスマートメータからの点と比較して異常値である。点601の最近傍隣接は、変圧器TX5に接続されるスマートメータからの点である。
図6の実施例では、
図5Aの動作は、疑わしい誤配分スマートメータが、動作501において選択される変圧器TX1に接続されるスマートメータからのデータより、変圧器TX5に接続されるスマートメータからのデータと密接に相関することを示し得る。疑わしい誤配分スマートメータは、次いで、
図6の実施例では変圧器TX5に再び割り当てられ得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、目視検査および距離検査が、
図5Aの動作後の第3のチェックとしてスマートメータ電圧データに実施され得る。スマートメータが、両方のチェック1(
図2A−2B)およびチェック2(
図5A)において疑わしい誤配分スマートメータとして識別された場合、第3のチェックが、結果を確認するように実施され得る。本第3のチェックは、含まれる、または省略され得る、随意のチェックである。第3のチェックでは、ソフトウェアツールが、動作201および501において選択される最初の変圧器をセブセット化し、疑わしい誤配分スマートメータの電圧プロファイルの最近傍である電圧プロファイルを有する、最初の変圧器に接続されたスマートメータのうちの1つを見出し得る。ソフトウェアツールはまた、動作218および/または動作506において識別される予測変圧器をセブセット化し、疑わしい誤配分スマートメータの電圧プロファイルの最近傍である電圧プロファイルを有する、予測変圧器に接続されたスマートメータのうちの1つを見出し得る。
【0071】
疑わしい誤配分スマートメータの電圧プロファイルが、最初の変圧器に接続されたスマートメータのうちのいずれかより予測変圧器に接続されたスマートメータのうちの1つに合致する場合には、予測変圧器は、第3のチェックにおいて疑わしい誤配分スマートメータに接続されることが確認され得る。電圧プロファイルを検査し、合致させる本プロセスは、視覚的に、またはソフトウェアツールによって自動的に実施され得る。ソフトウェアツールは、目視および距離検査を視覚的に実施するために、スマートメータの間の物理的距離ならびに3つ全てのスマートメータの電圧波形を表示し得る。3つのスマートメータは、疑わしい誤配分スマートメータと、疑わしい誤配分スマートメータの最近傍である電圧プロファイルを有する、最初の変圧器に接続されたスマートメータと、疑わしい誤配分スマートメータの最近傍である電圧プロファイルを有する、予測変圧器に接続されたスマートメータとを含む。第3のチェックで使用されるソフトウェアツールは、例えば、
図1に示されるI/Oインターフェース111、プロセッサ112、記憶デバイス113、およびデータベース115を使用する、コンピュータシステム104内の分析ソフトウェア114であり得る。
【0072】
コンピュータシステムが、疑わしい誤配分スマートメータに関する点が、近傍の変圧器のうちの1つに接続されるスマートメータに関する点のクラスタより、動作501において選択される変圧器に接続されたスマートメータに関する点のクラスタに密接に合致することを動作506において決定する場合、コンピュータシステムは、
図5Bに示される動作508に進む。動作508では、コンピュータシステムは、スマートメータからの電圧データが、顧客用地が電力を配電システムに送信している太陽光起電(PV)システムを有することを示すかどうかを決定する。動作508−517において分析されるスマートメータは、動作501−507において分析される同一のスマートメータまたは異なるスマートメータであり得る。コンピュータシステムは、例えば、変圧器に接続される、または局所地域内にあるスマートメータ毎に、もしくは変圧器に接続される、または局所地域内にあるスマートメータのサブセット毎に、動作508−517の反復を実施し得る。
【0073】
太陽光PVシステムが、典型的に、太陽光発電の時間の間に顧客用地におけるスマートメータによって測定される電圧を増加させる。太陽光PVシステムは、典型的に、PV燃料電池から発生させられる直流(DC)電力を交流(AC)に変換するインバータを有する。太陽光PVシステムは、次いで、例えば、240ボルトの公称電圧において、電力を配電システムに返送することができる。典型的に、スマートメータが、太陽光PVシステムによって発生させられる電力を受け取ることに応答して、電圧異常を測定する。
【0074】
スマートメータからの電圧データは、電圧が、真昼の時間の間に同一の地域内の他のスマートメータからの電圧より大きく繰り返し増加するかどうかを決定するように、分析されることができる。実施例として、変圧器に接続された7つのスマートメータが存在し、7つのスマートメータのうちの6つが、正午に242〜243ボルトの電圧を測定し、第7のスマートメータが、正午に246〜247ボルトの電圧を測定する場合には、コンピュータシステムは、第7のスマートメータが太陽光PVシステムを有する顧客用地にあると結論付けることができる。
【0075】
顧客用地における太陽光PVシステムが、日中の時間の間に電力を配電システムに送信していることを示す、スマートメータからの電圧プロファイルの実施例が、
図7に示される。
図7に示されるように、(実線701によって示される)太陽光PVシステムを有する顧客用地におけるスマートメータによって測定される電圧は、同一の局所地域内の他のスマートメータからの電圧より正午の周辺の毎日の真昼の時間の間に実質的に多く増加する。点線702−703は、真昼の時間の間により小さい電圧を測定する、同一の局所地域内の他のスマートメータのうちの2つからの電圧データの実施例である。
【0076】
コンピュータシステムが、動作508において、スマートメータからの電圧データが、顧客用地が太陽光PVシステムを有することを示すことを決定する場合には、スマートメータは、太陽光PVシステムを有する顧客用地にあるものとして、動作509においてフラグを付けられる。コンピュータシステムが、動作508において、スマートメータからの電圧データが、顧客用地が太陽光PVシステムを有していないことを示すことを決定する場合には、コンピュータシステムは、動作510に進む。
【0077】
動作510では、コンピュータシステムは、スマートメータからの電力使用量データが、顧客用地が配電システムから充電する電気自動車を有することを示すかどうかを決定する。電気自動車(electric vehicle;例えば、electric automobile)は、典型的に、住居で使用される他のタイプのデバイスと比較して、そのバッテリを充電するための電力を引き出す一意のパターンを発生させる。電気自動車(EV)は、典型的に、EVがコンセントに差し込まれ、配電システムに接続された後に、非常に迅速にその電力の使用量を上昇させる。電気自動車(EV)用の高速充電器は、それらの電力引き出しをさらに迅速に上昇させる。また、EVは、概して、住居で使用される他のタイプのデバイスと比較して、それらが充電しているときに、実質的により多くの電力を引き出す。EV内のバッテリが、完全充電状態であることに近いため、EVによって引き出される電力は、迅速に降下する。
【0078】
電気自動車(EV)の殆どの運転者は、そのEVを運転することから帰宅した後すぐに、そのEVを充電する。例えば、多くのEV運転者は、勤務時間後にそのEVを充電する。別の実施例として、一部のEV運転者は、深夜に、または早朝の時間にそのEVを充電し、より低い電気料金を利用する。顧客用地においてEVを充電するパターンは、多くの場合、1週間、数週間、または1ヶ月にわたって数日繰り返されるが、充電パターンは、毎日生じなくてもよい。コンピュータシステムは、スマートメータからの電力使用量データを分析し、電力使用量が、複数日間(例えば、数週間または数ヶ月)にわたって1日のある時間の間に、同一の地域内の他のスマートメータによって測定される電力使用量より実質的に多く繰り返し増加するかどうかを決定することができる。スマートメータからの電力使用量データはまた、その充電パターンに基づいて、異なるタイプのEVが異なる電力使用量プロファイルを発生させるため、電力使用量の増加を引き起こしているEVのタイプを示すこともできる。スマートメータからの電力使用量データは、例えば、EVを再充電するための持続時間に基づいて、EVを再充電する前にEVの運転者が運転した距離を示すことさえもできる。
【0079】
図8Aは、電気自動車を有する顧客用地において1日にわたってスマートメータによって測定される電力使用量を図示するグラフである。
図8Aに示されるように、EVを有する顧客用地におけるスマートメータは、EVが差し込まれた後に20キロワット時間(kWh)の近傍でピークになり、EVが充電している間に数時間にわたって約18〜20kWhに留まり、次いで、約1時間にわたって10kWhまで、次いで、0kWhの近傍まで減少する、電力使用量(線801)の急速な増加を測定する。
図8Bは、数日にわたって電気自動車を有する顧客用地においてスマートメータからの電力使用量を図示するグラフである。
図8Bに示されるように、EVを有する顧客用地におけるスマートメータは、2日で20キロワット時間(kWh)の周囲でピークになる電力使用量の急速な増加(ピーク802−803)、およびEVが充電している間に生じる、他の2日で10〜12kWhの周囲でピークになる急速な増加(ピーク804−805)を示す。限定的であることを意図していない具体的実施例として、これらのピークの各々は、約2時間持続してもよく、EV充電器が、15〜80アンペアの電流を使用することができる。
図8Bは、約8日に及ぶ電力使用料を示す。対照的に、EVを有していない、顧客用地におけるスマートメータは、典型的に、例えば、数日で3〜4kWhの周囲でピークになる、電力使用量のはるかに小さい増加を測定する。
図8Bのピーク806は、非EV電力使用量に由来し得る、電力使用量ピークの実施例である。動作510におけるコンピュータシステムは、スマートメータが、地域内の他のスマートメータより実質的により多くのkWhまで急速に増加し、次いで、急速に減少する電力使用量に基づいて、EVを有する顧客用地にあるかどうかを決定することができる。動作510におけるコンピュータシステムは、電力使用量の高速急増の本パターンが、測定された期間(例えば、複数週間または複数月)の間に数日にわたって繰り返すかどうかを決定し、スマートメータが1つ以上のEVを有する顧客用地にあることを確認することができる。
【0080】
コンピュータシステムが、動作510において、スマートメータからの電力使用量データが、顧客用地がEVを有することを示すことを決定する場合には、スマートメータは、EVを有する顧客用地にあるものとして、動作511においてフラグを付けられる。コンピュータシステムが、動作510において、スマートメータからの電力使用量データが、顧客用地がEVを有していないことを示すことを決定する場合には、コンピュータシステムは、動作512に進む。
【0081】
動作512では、コンピュータシステムは、スマートメータからのデータが、顧客用地が育成ハウスを有することを示すかどうかを決定する。育成ハウスは、例えば、多数の植物(例えば、数十、数百、または数千)が電気照明の下で屋内において栽培されている、建物であり得る。植物は、例えば、マリフアナ植物または他のタイプの規制物質を生産するために使用される植物であり得る。
【0082】
育成ハウスを有する顧客用地におけるスマートメータからの電力使用量プロファイルは、例えば、方形波に類似して見え得る。多くの場合、屋内栽培のために使用される光は、通常、夜間または早朝の時間の間に、1日あたり数時間(例えば、6〜10時間)にわたって連続的に大量の電力負荷を引き出す。対照的に、典型的空調(AC)ユニットは、これほど長く電力の連続的な大量引き出しを有していない。屋内栽培に関連付けられる電力使用の量が、電力使用の量および持続時間の観点から極端である(例えば、40kWhを上回る)場合、ACまたは大型モータのものから容易に分離されることができる。本大量の電力の使用は、長い期間(例えば、1日あたり平均7時間)にわたって持続する顧客用地における電圧降下と相関する。
【0083】
動作512におけるコンピュータシステムは、(例えば、地域内の他のスマートメータによって測定される電力に対して)大きく、連続的であり、特に、夜間または早朝の時間の間に、毎日もしくは殆どの日に数時間にわたって生じる、スマートメータによって測定される電力使用量の増加に基づいて、スマートメータが育成ハウスにあるかどうかを決定することができる。育成ハウスによって引き出される電力の量はまた、育成ハウスが使用している光のタイプ、育成ハウスのオペレータが収穫に近い程度、および/または種々のタイプの光のワット数ならびにルーメンおよび植物の生活環にわたって1つの植物あたり必要とされる照明のワット数に関する公知のデータを使用して、育成ハウスにおいて育成されている植物の数等の他の情報も示し得る。
【0084】
図9は、ある実施形態による、育成ハウスを有する顧客用地においてスマートメータによって測定される電力使用量の実施例を図示するグラフである。
図9の実施例では、育成ハウスにおける電力使用量が、10日にわたって示される。
図9では、電力使用量は、植物を育成するための屋内光がオンにされるときに、毎日約7〜8時間にわたって約60kWhまで増加し、次いで、これらの屋内光がオフにされるときに、約1〜4kWhまで減少する。大量の電力使用が、例えば、深夜また早朝の時間の間に生じ得る。
図9は、育成ハウスの一実施例のみとして、毎日生じる約60kWhの最大使用量を示す。他の実施例として、他の育成ハウスにおける電力使用量は、30〜70kWh(またはそれを上回る)の範囲内のいずれかでピークになり、毎日の残りのためのより典型的な電力使用量(例えば、1〜5kWh)に戻るように降下した後に、1日あたり6〜12時間にわたって本範囲内に留まり得る。
【0085】
上記に議論されるように、顧客用地における電気メータによって感知される電圧プロファイルは、配電システムからの電力窃盗を示し得る。電力窃盗が、顧客用地において生じている場合、その顧客用地におけるスマートメータは、同一の地理的地域内にある、および/または同一の配電変圧器に接続される、他の顧客用地におけるスマートメータによって発生させられる電圧プロファイルと異なる電圧プロファイルを発生させ得る。例えば、育成ハウスにおけるスマートメータによって測定される電圧は、夜間および早朝の数時間の間に10〜20ボルト降下し得る。対照的に、同一の変圧器に接続される、または同一の地域内にある他のスマートメータによって測定される電圧は、数ボルトだけ降下し得る、または同一の夜間および早朝の時間の間に増加し得る。スマートメータによって測定される電圧が、毎日数時間にわたって、同一の地域内にある、または同一の変圧器に接続された他のスマートメータによって測定される電圧より有意に降下する場合には、動作512におけるコンピュータシステムは、スマートメータが育成ハウスにあることを決定することができる。
【0086】
コンピュータシステムが、動作512において、スマートメータからのデータが、顧客用地が育成ハウスを有することを示すことを決定する場合、スマートメータは、育成ハウスにあるものとしてフラグを付けられる。次いで、動作513では、コンピュータシステムは、スマートメータからのデータが、電力窃盗が顧客用地において生じていることを示すかどうかを決定する。コンピュータシステムが、電力窃盗が顧客用地において生じているかどうかを決定し得る方法の具体的実施例は、下記に説明される。
【0087】
電力窃盗が、顧客用地において生じている場合、顧客用地におけるスマートメータと最近傍の配電変圧器との間の電圧降下は、典型的に、その顧客用地におけるスマートメータによって測定される電流または電力使用量と相関しない。コンピュータシステムは、各配電変圧器に接続された各スマートメータによって測定される瞬時電流を示す値を受信することができる。スマートメータは、(アンペア単位の)電流の測定をコンピュータシステムに直接提供することができる、または電流が計算され得る電力使用量および電圧の測定を提供することができる。コンピュータシステムは、配電変圧器に接続されたスマートメータの全てから受信される電流値をともに加算し、その変圧器からスマートメータに引き出されている全電流を決定することができる。
【0088】
電気事業者は、典型的に、配電線の長さおよび長さの単位あたりの配電線の抵抗等のその配電線についての抵抗データを有する。電気事業者はまた、典型的に、ワイヤ巻線内の抵抗、磁気コア損失、および渦電流損失を含む、その配電システム内の配電変圧器についてのデータを有する。コンピュータシステムは、ワイヤ巻線内の抵抗、磁気コア損失、および渦電流損失から配電変圧器の寄生損失を計算することができる。コンピュータシステムは、変圧器に関する寄生損失および変圧器から引き出される全電流を使用し、変圧器における電圧を計算することができる。コンピュータシステムは、各スマートメータによって測定される電流および抵抗データを使用し、変圧器とスマートメータのそれぞれとの間の配電線の各区分を通した電圧降下を計算することができる。典型的に、スマートメータによって測定される電流を使用するコンピュータシステムによって計算されるような変圧器とスマートメータとの間の電圧降下は、変圧器とそのスマートメータによって測定される電圧との間の電圧降下に合致する。
【0089】
変圧器とスマートメータのうちのいずれかによって測定される電圧との間の電圧降下が、測定された電流を使用するコンピュータシステムによって計算されるそれぞれの電圧降下に合致しない場合、コンピュータシステムは、次いで、変圧器と抵抗データを使用するそのスマートメータによって測定される電圧との間の電圧降下を引き起こすであろう、電流の量を計算することができる。コンピュータシステムは、次いで、スマートメータによって測定される電流を、スマートメータによって測定される電圧を使用するコンピュータシステムによって計算される電流と比較する。スマートメータによって測定される電流が、実質的に、スマートメータによって測定される電圧を使用するコンピュータシステムによって計算される電流未満である場合には、コンピュータシステムは、動作514において、その顧客用地における電力窃盗に関連付けられているとしてスマートメータにフラグを付ける。限定的であることを意図していない実施例として、スマートメータによって測定される電流とコンピュータシステムによって計算される電流との間の差異は、電力窃盗が生じている顧客用地において100アンペア超であり得る。
【0090】
コンピュータシステムが、動作512において、スマートメータからのデータが、顧客用地が育成ハウスを有することを示さないことを決定する場合には、コンピュータシステムは、動作515に進む。動作515では、コンピュータシステムは、スマートメータからのデータが、配電システムから充電する大型現場バッテリが顧客用地に存在することを示すかどうかを決定する。大型現場バッテリは、(例えば、数時間にわたって)充電している間に有意量の電力を引き出してもよく、一意の充電パターンを有し得る。コンピュータシステムが、動作515において、スマートメータからのデータが、顧客用地に大型現場バッテリが存在することを示すことを決定する場合には、スマートメータは、動作516において、大型現場バッテリを有する顧客用地にあるものとしてフラグを付けられる。
【0091】
コンピュータシステムが、動作515において、スマートメータからのデータが顧客用地における大型現場バッテリと一致しないことを決定する場合には、コンピュータシステムは、動作517において、可能な電力品質問題に関してスマートメータにフラグを付ける。低電力品質が、過熱した変圧器または過負荷中性端子等の多数の問題によって引き起こされ得る。
図5A−5Bのプロセスは、公益事業者が、停電、火災、または物的損害を引き起こす前に電力品質を積極的に識別することを可能にすることができる。
【0092】
以下の実施例は、さらなる実施形態に関する。実施例1は、少なくとも1つのプロセッサデバイスを備えているコンピュータシステムであり、コンピュータシステムは、配電網内の第1の変圧器に接続された第1のスマートメータから受信される時系列電圧データに基づいて、電圧波形を発生させ、第1のスマートメータのうちの第1のものの電圧波形の傾斜の極性が第1のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各時間間隔を第1の識別された間隔として識別し、第1の識別された間隔のうちの1つにおける第1のスマートメータのうちの第1のものの電圧波形の傾斜の規模が、第1のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の規模と比較して異常値である度、第1のスマートメータのうちの第1のものに関するフラグを発生させるように構成されている。
【0093】
実施例2では、実施例1のコンピュータシステムは、随意に、第1のスマートメータのうちの第2のものの電圧波形の傾斜の極性が第1のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各時間間隔を第2の識別された間隔として識別し、第2の識別された間隔のうちの1つにおける第1のスマートメータのうちの第2のものの電圧波形の傾斜の規模が、第1のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の規模と比較して閾値率だけ異常値である度、第1のスマートメータのうちの第2のものに関するフラグを発生させるようにさらに構成されることができる。
【0094】
実施例3では、実施例1−2のうちのいずれか1つのコンピュータシステムは、随意に、疑わしい誤配分スマートメータとして、最大数のフラグに関連付けられた第1のスマートメータのうちの1つを識別し、配電網内の第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器を識別し、第2の変圧器に接続された第2のスマートメータから受信される時系列電圧データに基づいて、電圧波形を発生させるようにさらに構成されることができる。
【0095】
実施例4では、実施例3のコンピュータシステムは、随意に、疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の極性が第2のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各時間間隔を第2の識別された間隔として識別し、第2の識別された間隔のうちの1つにおける疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の規模が、第2のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の規模と比較して異常値である度、疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させるようにさらに構成されることができる。
【0096】
実施例5では、実施例4のコンピュータシステムは、随意に、配電網内の第1の変圧器の近傍にある第3の変圧器を識別し、第3の変圧器に接続された第3のスマートメータから受信される時系列電圧データに基づいて、電圧波形を発生させるようにさらに構成されることができる。
【0097】
実施例6では、実施例5のコンピュータシステムは、随意に、疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の極性が第3のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各時間間隔を第3の識別された間隔として識別し、疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の規模が、第3スマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の規模と比較して、第3の識別された間隔のうちの1つにおいて異常値である度、疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させるようにさらに構成されることができる。
【0098】
実施例7では、実施例1−6のうちのいずれか1つのコンピュータシステムは、随意に、機械学習アルゴリズムを実施し、第1のスマートメータからの時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、グラフ内で第1の点を発生させ、第1の点の重心を計算し、重心までの第1の点の各々の距離を計算し、重心までの第1の点の距離に基づいて、第1のスマートメータのうちのいずれかが第1のスマートメータのうちの他のものに対して異常を有するかどうかを決定し、第1のスマートメータの中から疑わしい誤配分スマートメータを識別するようにさらに構成されることができる。
【0099】
実施例8では、実施例7のコンピュータシステムは、随意に、機械学習アルゴリズムを実施し、配電網内の第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器に接続された第2のスマートメータからの付加的時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、グラフ内で第2の点を発生させるようにさらに構成されることができる。
【0100】
実施例9では、実施例8のコンピュータシステムは、随意に、クラスタ分析を実施し、疑わしい誤配分スマートメータに対応する第1の点のうちの1つが、第1のスマートメータに関する第1の点より第2のスマートメータに関する第2の点に密接に合致するかどうかを決定するようにさらに構成されることができる。
【0101】
実施例10は、コンピュータシステム内のプロセッサ上で実行可能な命令を記憶している非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、実行可能命令は、機械学習アルゴリズムを実施し、配電システム内の第1の変圧器に接続された第1のスマートメータから受信される第1の時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、グラフ内で第1の点を発生させるように実行可能な命令であって、第1の点の各々は、第1のスマートメータのうちの1つに対応する、命令と、第1の点の重心を計算するように実行可能な命令と、重心までの第1の点の各々の距離を計算するように実行可能な命令と、重心までの第1の点の距離に基づいて、第1のスマートメータのうちのいずれかが第1のスマートメータのうちの他のものに対して異常を有するかどうかを決定し、第1のスマートメータの中から疑わしい誤配分スマートメータを識別するように実行可能な命令とを備えている。
【0102】
実施例11では、実施例10の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、随意に、機械学習アルゴリズムを実施し、配電システム内の第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器に接続された第2のスマートメータから受信される第2の時系列電圧データの最上主成分の次元性を縮小し、グラフ内で第2の点を発生させるように実行可能な命令をさらに備えていることができ、第2の点の各々は、第2のスマートメータのうちの1つに対応する。
【0103】
実施例12では、実施例10−11のうちのいずれか1つの非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、随意に、機械学習アルゴリズムが、t分布確率最近傍埋め込みアルゴリズムであること、および/または第1および第2の点が、3次元点であることをさらに含むことができる。
【0104】
実施例13では、実施例11−12のうちのいずれか1つの非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、随意に、クラスタ分析を実施し、疑わしい誤配分スマートメータに対応する第1の点のうちの1つが、第1のスマートメータに関する第1の点のクラスタより第2のスマートメータに関する第2の点のクラスタに密接に合致するかどうかを決定するように実行可能な命令をさらに備えていることができる。
【0105】
実施例14では、実施例13の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、随意に、クラスタ分析が、第1および第2の点によって示される次元特性の教師なしクラスタリングを実施するk最近傍アルゴリズムを含むことをさらに含むことができる。
【0106】
実施例15では、実施例10−14のうちのいずれか1つの非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、随意に、主成分分析を使用して、第1のスマートメータに関する第1の時系列電圧データに基づいて発生させられる時系列電圧波形を識別する最上主成分を抽出するように実行可能な命令をさらに備えていることができる。
【0107】
実施例16は、コンピュータシステム内の少なくとも1つのプロセッサ回路を使用して、配電システム内のスマートメータから受信される時系列電圧データ内の異常値を識別する方法であって、第1のスマートメータから受信される第1の時系列電圧データに基づいて、配電システム内の第1の変圧器に接続された第1のスマートメータの各々に関する電圧波形を発生させるステップと、第1のスマートメータのうちの第1のものの電圧波形の傾斜の極性が第1のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔を第1の識別された間隔として識別するステップと、第1の識別された間隔のうちの1つにおける第1のスマートメータのうちの第1のものの電圧波形の傾斜の規模が、第1のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の規模と比較して異常値である度、第1のスマートメータのうちの第1のものに関するフラグを発生させるステップとを含む、方法である。
【0108】
実施例17では、実施例16の方法は、随意に、疑わしい誤配分スマートメータとして、最大数のフラグに関連付けられた第1のスマートメータのうちの1つを識別するステップと、配電システム内の第1の変圧器の近傍にある第2の変圧器を識別するステップと、第2のスマートメータから受信される第2の時系列電圧データに基づいて、第2の変圧器に接続された第2のスマートメータの各々に関する電圧波形を発生させるステップとをさらに含むことができる。
【0109】
実施例18では、実施例17の方法は、随意に、疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の極性が第2のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔を第2の識別された間隔として識別するステップと、第2の識別された間隔のうちの1つにおける疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の規模が、第2のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の規模と比較して異常値である度、疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させるステップとをさらに含むことができる。
【0110】
実施例19では、実施例18の方法は、随意に、配電システム内の第1の変圧器の近傍にある第3の変圧器を識別するステップと、第3のスマートメータから受信される第3の時系列電圧データに基づいて、第3の変圧器に接続された第3のスマートメータの各々に関する電圧波形を発生させるステップとをさらに含むことができる。
【0111】
実施例20では、実施例19の方法は、随意に、疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の極性が第3のスマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の極性と反対である各所定の時間間隔を第3の識別された間隔として識別するステップと、第3の識別された間隔のうちの1つにおける疑わしい誤配分スマートメータの電圧波形の傾斜の規模が、第3スマートメータの大部分の電圧波形の傾斜の規模と比較して異常値である度、疑わしい誤配分スマートメータに関するフラグを発生させるステップとをさらに含むことができる。
【0112】
実施例21は、プロセッサ回路によって実行されると、プロセッサ回路に実施例1−9または16−20のうちのいずれかを実装させる命令を含む、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0113】
実施例22は、実施例10−20のうちのいずれかを実装するためのコンピュータシステムである。
【0114】
実施例23は、実施例1−15のうちのいずれかを実装する方法である。
【0115】
実施例24は、少なくとも1つのプロセッサデバイスを備えているコンピュータシステムであって、コンピュータシステムは、配電システムに接続されたスマートメータから受信される電圧データが、スマートメータが電力を配電システムに送信している太陽光起電システムを有する顧客用地に位置していることを示しているかどうかを決定し、スマートメータから受信される電力使用量を示すデータが、スマートメータが配電システムから充電する電気自動車を有する顧客用地に位置していることを示しているかどうかを決定し、電圧データまたはスマートメータから受信される電力使用量を示すデータが、スマートメータが局所地域内の他のスマートメータより実質的に多くの電力を使用する育成ハウスに位置していることを示しているかどうかを決定し、電圧データおよびスマートメータから受信される電力使用量を示すデータが、スマートメータの電力使用量がスマートメータによって測定される電圧降下を説明し、電力窃盗を識別していることを示しているかどうかを決定するように構成されている。
【0116】
実施例25では、実施例24のコンピュータシステムは、随意に、コンピュータシステムがさらに、スマートメータからの電圧データを分析することによって、スマートメータから受信される電圧データが、スマートメータが太陽光起電システムを有する顧客用地に位置していることを示しているかどうかを決定し、スマートメータによって測定される電圧が、複数日間の複数の日の真昼の時間中に局所地域内の他のスマートメータのうちの少なくともいくつかからの電圧より大きく繰り返し増加するかどうかを決定するように構成されることを含むことができる。
【0117】
実施例26では、実施例24−25のうちのいずれか1つのコンピュータシステムは、随意に、コンピュータシステムがさらに、電力使用量が急速に増加し、局所地域内の他のスマートメータの大部分より実質的に多くの電力を引き出し、次いで、複数日間の複数の日中に急速に減少するかどうかを決定することによって、スマートメータから受信される電力使用量を示すデータが、スマートメータが電気自動車を有する顧客用地に位置していることを示しているかどうかを決定するように構成されることを含むことができる。
【0118】
実施例27では、実施例24−26のうちのいずれか1つのコンピュータシステムは、随意に、コンピュータシステムがさらに、電力使用量が、複数日間の複数の日の数時間にわたって局所地域内の他のスマートメータによって示される電力使用量より実質的かつ連続的に大きいかどうかを決定することによって、電圧データまたはスマートメータから受信される電力使用量を示すデータが、スマートメータが育成ハウスに位置していることを示しているかどうかを決定するように構成されることを含むことができる。
【0119】
実施例28では、実施例24−27のうちのいずれか1つのコンピュータシステムは、随意に、コンピュータシステムがさらに、電圧データまたはスマートメータからの電力使用量を示すデータが、スマートメータが配電システムから充電している大型現地バッテリを有する顧客用地に位置していることを示しているかどうかを決定するように構成され、プロセッサデバイスが、電圧データまたはスマートメータからの電力使用量を示すデータが、スマートメータが大型現地バッテリを有する顧客用地に位置していないことを示している場合、可能な電力品質問題に関連付けられているとしてスマートメータにフラグを付けることを含むことができる。
【0120】
実施例29は、1つ以上のプロセッサ回路によって実行されると、1つ以上のプロセッサ回路に実施例24−28のうちのいずれかを実装させる命令を含む、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0121】
実施例30は、実施例24−28のうちのいずれかを実装する方法である。
【0122】
本発明の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、プログラム命令を含む非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体、またはそれらの組み合わせを使用して、実装され得る。本発明の実施形態または本発明の結果によって実装されるソフトウェアは、プロセッサによって実行または処理されること、ユーザに表示されること等の後続の目的のために、半導体メモリデバイス、ハードドライブ、CD−ROM、DVD、または他の非一過性の媒体等のある形態の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体の内に記憶されることができる。また、本発明または本発明の結果に従って実装されるソフトウェアは、ネットワークを経由して信号内で伝送され得る。本発明の結果は、プロセッサによって実行または処理されること、ユーザに表示されること、ネットワークを経由して信号内で伝送されること等の種々の目的のために使用されることができる。本発明の範囲は、本発明を実施するための形態ではなく、本明細書に添付される請求項によって限定されることが意図される。
【0123】
本発明の例示的実施形態の前述の説明は、例証の目的のために提示された。前述の説明は、包括的であること、または本発明を本明細書に開示される実施例に限定することを意図していない。いくつかの事例では、本発明の特徴が、記載されるような他の特徴の対応する使用を伴わずに採用されることができる。多くの修正、代用、および変形例が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の教示を踏まえて可能である。
【国際調査報告】