(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-535885(P2021-535885A)
(43)【公表日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 21/064 20060101AFI20211126BHJP
【FI】
C01B21/064 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2021-509853(P2021-509853)
(86)(22)【出願日】2020年1月2日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月19日
(86)【国際出願番号】CN2020070013
(87)【国際公開番号】WO2020168838
(87)【国際公開日】20200827
(31)【優先権主張番号】201910132438.8
(32)【優先日】2019年2月22日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】516082763
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米▲ファン▼生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 学同
(72)【発明者】
【氏名】李 広勇
(57)【要約】
本発明は、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル及びその製造方法を開示する。前記可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、連通している3次元多孔質網目構造を有し、前記3次元多孔質網目構造は、窒化ホウ素ナノベルトが互いに絡み合ってオーバーラップしてなり、孔径が50nmよりも大きいマクロ孔、孔径が2〜50nmのメソ孔、及び孔径が2nm未満のマイクロ孔から構成されている。前記製造方法は、ホウ酸及び窒素含有前駆体を高温で溶解して透明前駆体溶液とし、次に前駆体ヒドロゲルにして、その後、乾燥及び高温熱分解を行い、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得るステップを含む。本発明の窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、優れた可撓性及び弾性回復性を有し、広範な温度範囲内で外界からのさまざまな形態の負荷に耐えられ、そして弾性回復可能であり、さらに製造プロセスがシンプルであり、反応条件が温和であり、操作されやすいく、低コストであり、環境にやさしく、連続的生産を可能とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連通している3次元多孔質網目構造を有し、前記3次元多孔質網目構造は窒化ホウ素ナノベルトが互いに絡み合ってオーバーラップしてなり、孔径が50nmよりも大きいマクロ孔、孔径が2〜50nmのメソ孔、及び孔径が2nm未満のマイクロ孔から構成されている、ことを特徴とする可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項2】
前記窒化ホウ素ナノベルト同士がオーバーラップして前記マクロ孔を形成し、前記窒化ホウ素ナノベルトは前記メソ孔とマイクロ孔を有し、及び/又は、
前記窒化ホウ素ナノベルトは、3次元多孔質網目構造において直線状、ねじれ又は曲がりの状態となる、ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項3】
前記窒化ホウ素ナノベルトは主にホウ素及び窒素元素から構成され、好ましくは、前記窒化ホウ素ナノベルトはホウ素、窒素、炭素及び酸素元素を含み、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの厚さが1nm〜10μm、好ましくは1nm〜100nmであり、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの幅が10nm〜50μm、好ましくは100nm〜10μmであり、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの長さが100nm〜10mm、好ましくは1μm〜800μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項4】
密度が1〜600mg/mL、好ましくは5〜100mg/mLであり、及び/又は、表面と水との接触角が60〜170°、好ましくは120〜150°であり、及び/又は、熱伝導率が0.025〜0.5W/mK、好ましくは0.025〜0.2W/mK、特に好ましくは0.03〜0.05W/mKであり、及び/又は、比表面積が10〜1800m2/g、好ましくは500〜1500m2/gであり、細孔容積が0.1〜2.0cm3/g、好ましくは0.5〜1.5cm3/gであり、空隙率が1〜99%、好ましくは75〜97%である、ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項5】
破断することなく所定の形態の負荷に耐えられ、且つ負荷が取り外されると元の形状に回復可能であり、好ましくは、前記所定の形態の負荷は外部圧縮、曲がり、ねじれ又はせん断を含み、好ましくは、所定の温度範囲で可撓性及び弾性回復性を有し、特に好ましくは、前記所定の温度は−196〜1000℃である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項6】
ホウ酸、窒素含有前駆体を溶剤に溶解して、透明前駆体溶液を得るステップ1)と、
前記前駆体溶液を冷却して、前駆体ヒドロゲルを得るステップ2)と、
前記前駆体ヒドロゲルを乾燥して、前駆体エアロゲルを得るステップ3)と、
保護雰囲気下、前記前駆体エアロゲルを高温で熱分解して、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得るステップ4)と、を含む、ことを特徴とする可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの製造方法。
【請求項7】
ステップ1)では、前記窒素含有前駆体は、尿素、メラミン、シアヌル酸、ビウレット、ジメチルグアニジンのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み、及び/又は、前記ホウ酸と窒素含有前駆体とのモル比が1:50〜50:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:5〜5:1であり、及び/又は、前記溶剤は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、Sec−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み、及び/又は、前記溶解温度は30〜100℃、好ましくは40〜70℃である、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップ2)では、冷却温度は−196℃〜65℃、好ましくは−50℃〜50℃、特に好ましくは−50℃〜40℃であり、冷却時間は5min〜12hであり、好ましくは、ステップ2)は超音波環境又は非超音波環境にて前記冷却を行うことを含み、特に好ましくは、前記超音波のパワーが0.01W〜10000Wであり、超音波処理時間が0.5min〜12hであり、
及び/又は、ステップ3)では、乾燥は凍結乾燥、常圧乾燥、真空乾燥、超臨界乾燥のうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップ4)では、前記高温熱分解温度は400〜1800℃、好ましくは800〜1400℃であり、高温熱分解時間は0.5〜24h、好ましくは0.5〜12h、特に好ましくは6〜12hであり、及び/又は、前記保護雰囲気は窒素ガス、不活性ガス、アンモニアガス、水素ガス、空気の雰囲気のうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法によって製造される可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル及びその製造方法に関し、ナノエネルギーの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
エアロゲルは、気体を分散媒として、連続した3次元多孔質網目構造を有する低密度固体材料である。1932年にアメリカの化学者Samuel Stephens Kistlerが初めて超臨界流体乾燥技術を用いて「固体の煙」である酸化ケイ素エアロゲルを製造して以来、エアロゲルは材料ファミリーの新しいメンバーとして注目され、研究されてきた。ここ1世紀の発展の結果、たとえば、各種のアルコキシシランから誘導された酸化ケイ素エアロゲル、金属酸化物エアロゲル(TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2など)、金属単体エアロゲル(たとえば金)、高分子エアロゲル(ポリアニリン、ポリピロール、ポリイミドなど)、カーボンエアロゲル及び新規ナノカーボンエアロゲル(グラフェン、カーボンナノチューブなど)、半導体硫化物エアロゲル、炭化物エアロゲル(炭化ケイ素、チタン炭化アルミニウムなど)、天然高分子エアロゲル(すなわちセルロースや多糖類、及び各種タンパク質)、及び窒化ホウ素エアロゲルなど、材質、構造、性能の異なるエアロゲルが次々と合成され、エアロゲルのファミリーを大幅に豊富にし、エアロゲルの研究分野や応用方向を拡大した。
【0003】
エアロゲルは、一般的に、ゾル−ゲル法により溶液中に無秩序で連続したゲル質網目を形成し、その後、ゲル網目を破壊しないように維持しながら、特殊な乾燥プロセス(たとえば超臨界流体乾燥)を用いてゲル網目中の溶液成分を除去することにより得られた、無秩序で連続したナノスケールの多孔質網目を有する軽量固体材料である。エアロゲルの研究が進むにつれて、エアロゲルについての知識も豊富になっており、さまざまな場合に適用することができる、異なる成分と構造を有するエアロゲル材料を製造するために、一連の成分、ゲル製造方法、乾燥方法がエアロゲルの製造に利用されるようになり、たとえば、成分の制御、すなわち、単一成分から多成分複合エアロゲルへの発展、単一網目から多網目エアロゲルへの発展;ゲルの製造方法、すなわち、従来の単一ゾル−ゲルから、複数の構造単位を3次元集合(自己集合、凍結結晶誘導集合など)したゲル網目への発展が挙げられる。乾燥方式は重要な工程の1つとして特に注目され、初期の超臨界から、凍結乾燥機、常圧乾燥などの方法へ発展しており、そして、超弾性を有する一連のエアロゲルが製造され、エアロゲルの種類、性能及び応用を大幅に拡大した。しかしながら、現在のエアロゲルの機械的特性には大きな欠点があり、脆性を有し、機械的強度が低く、可撓性には限界があり、特に広範な安定範囲では可撓性の維持性が悪いなどにより、エアロゲルの応用分野が限定されている。
【0004】
窒化ホウ素エアロゲルは、優れた熱安定性を有し、熱管理、環境、電子パッケージング、ガス貯蔵などの分野で重要な用途に使用されている。現在、窒化ホウ素エアロゲルを製造する主な方法は、化学蒸着テンプレート法、修飾窒化ホウ素ナノシートの自己集合法、及び小分子前駆体法である。しかしながら、化学蒸着テンプレート法は、複雑な気相、高温、高圧/低圧環境を伴うため、製造プロセスが厳しく、大量に製造することが困難であり、そして、可撓性、空隙率などの特性の制御が困難である。窒化ホウ素ナノシートの自己集合方法では、窒化ホウ素ナノシートの生産量が低く、それ自体にゾル−ゲル化学的特性がほとんどなく、窒化ホウ素エアロゲルを製造するには助剤として高分子架橋剤を添加する必要がある。しかしながら、高分子架橋剤の導入により、得られた窒化ホウ素エアロゲルの熱安定性は大幅に低下し、高温での優れた機械的特性を満足することができなかった。小分子前駆体法により製造された窒化ホウ素エアロゲルは、機械的強度が低く、脆性があるなどの一連の問題を有していた。したがって、可撓性窒化ホウ素エアロゲルの製造は難問の1つである。
【0005】
機械的特性に優れて、可撓性が良好であり、温度変化の影響を無視できるエアロゲルへの需要に応えて、プロセスを簡素化させ、周期を短縮させ、コストを削減させるという目的を達成し、エアロゲル材料の利点を十分に発揮し、エアロゲルの応用を広げて、さらに社会の発展による多機能一体型新材料に対する需要を満たすために、新規な構造と性能を有するエアロゲル材料及びその製造方法の提案が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の主な目的は、従来技術の欠点を解決するために、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述目的を達成するために、本出願が採用する技術案は、以下を含む。
【0008】
本発明の実施例は、連通している3次元多孔質網目構造を有し、前記3次元多孔質網目構造は窒化ホウ素ナノベルトが互いに絡み合ってオーバーラップしてなり、孔径が50nmよりも大きいマクロ孔、孔径が2〜50nmのメソ孔、及び孔径が2nm未満のマイクロ孔から構成されている可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを提供する。
【0009】
いくつかの好適実施例において、前記窒化ホウ素ナノベルト同士がオーバーラップして前記マクロ孔を形成し、前記窒化ホウ素ナノベルトは前記メソ孔とマイクロ孔を有する。
【0010】
本出願の実施例は、ホウ酸、窒素含有前駆体を溶剤に溶解して、透明前駆体溶液を得るステップ1)と、
前記前駆体溶液を冷却して、前駆体ヒドロゲルを得るステップ2)と、
前記前駆体ヒドロゲルを乾燥して、前駆体エアロゲルを得るステップ3)と、
保護雰囲気下、前記前駆体エアロゲルを高温で熱分解して、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得るステップ4)と、を含む可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの製造方法をさらに提供する。
【0011】
本出願の実施例は、前述方法により製造された可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルをさらに提供する。
【発明の効果】
【0012】
従来技術に比べて、本発明の利点は少なくとも以下のとおりである。
1)本出願による可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの基本構成単位が窒化ホウ素ナノベルトであり、且つ窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは窒化ホウ素ナノベルトが絡み合ってオーバーラップしてなり、連続した3次元多孔質網目構造が、可撓性である。
2)本発明による可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、−196℃〜1000℃の範囲で良好な可撓性を示し、圧縮、せん断、ねじれ、曲がりなどの負荷に耐えられ、良好な弾性回復性を有する。
3)本発明による可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、ホウ酸と窒素含有小分子を前駆体原料として、溶剤にてゾル−ゲルを生成し、乾燥及び高温熱分解を行ってなるものである。
4)本発明による可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、製造プロセスがシンプルであり、反応条件が温和であり、操作されやすいく、エネルギー消費量が低く、低コストであり、環境にやさしく、連続的量産を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施例又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、もちろん、以下の説明における図面は、本発明に記載の実施例のいくつかに過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0014】
【
図1】本発明の実施例1で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図2】本発明の実施例2で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図3】本発明の実施例3で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図4】本発明の実施例4で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図5】本発明の実施例5で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図6】本発明の実施例6で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図7】本発明の実施例7で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図8】本発明の実施例8で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図9】本発明の実施例9で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図10】本発明の実施例10で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図11】本発明の実施例1で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図12】本発明の実施例1で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの原子間力電子顕微鏡(AFM)写真である。
【
図13】本発明の実施例1で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの窒化ホウ素ナノベルトの幅統計図である。
【
図14】本発明の実施例1で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの窒素ガス吸脱着曲線及び孔径分布図である。
【
図15】本発明の実施例1で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの応力−ひずみ曲線図である。
【
図16】本発明の実施例1で得られた液体窒素処理後の窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図17】本発明の実施例1で得られた火炎処理後の窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
従来技術の欠点に鑑み、本案の発明者は、長期間にわたって研究及び大量の実践を行った結果、本発明の技術案を提案している。本発明は、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル及びその製造方法を初めて提供する。
【0016】
本発明の実施例の一態様は、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを提供し、前記窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの基本構成単位が連通している3次元多孔質網目構造を有する窒化ホウ素ナノベルトであり、前記3次元多孔質網目構造は窒化ホウ素ナノベルトが互いに絡み合ってオーバーラップしてなり、孔径が50nmよりも大きいマクロ孔、孔径が2〜50nmのメソ孔、及び孔径が2nm未満のマイクロ孔から構成されている。
【0017】
いくつかの好適実施例において、前記窒化ホウ素ナノベルト同士がオーバーラップして前記マクロ孔を形成し、前記窒化ホウ素ナノベルト自体は前記メソ孔とマイクロ孔を有する。
【0018】
いくつかの好適実施例において、前記窒化ホウ素ナノベルトは、3次元多孔質網目構造において直線状、ねじれ又は曲がりなどの状態となる。
【0019】
いくつかの好適実施例において、前記窒化ホウ素ナノベルトは主にホウ素と窒素元素から構成されているが、微量の炭素及び酸素元素を含有する。
【0020】
さらに、前記窒化ホウ素ナノベルトはホウ素、窒素、炭素、及び酸素元素を含む。
【0021】
さらに、前記窒化ホウ素ナノベルトの厚さが、1nm〜10μm、好ましくは1nm〜100nmである。
【0022】
さらに、前記窒化ホウ素ナノベルトの幅が、10nm〜50μm、好ましくは100nm〜10μmである。
【0023】
さらに、前記窒化ホウ素ナノベルトの長さが、100nm〜10mm、好ましくは1μm〜800μmである。
【0024】
いくつかの好適実施例において、前記可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの密度が、1〜600mg/mLの間で調整可能であり、好ましくは5〜100mg/mLである。
【0025】
さらに、前記可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは疎水性を示し、表面と水との接触角が60〜170°、好ましくは120〜150°である。
【0026】
さらに、前記可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの熱伝導率が、0.025〜0.5W/mK、好ましくは0.025〜0.2W/mK、特に好ましくは0.03〜0.05W/mKである。
【0027】
さらに、前記可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、比表面積が10〜1800m
2/g、好ましくは500〜1500m
2/gであり、細孔容積が0.1〜2.0cm
3/g、好ましくは0.5〜1.5cm
3/gであり、空隙率が1〜99%、好ましくは75〜97%である。
【0028】
さらに、前記可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、優れた可撓性及び弾性回復性を有する。前記窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、外部圧縮、曲がり、ねじれ及びせん断など、クラックすることなくさまざまな形態の負荷に耐えられ、優れた耐せん断性を有し、負荷が取り外されると、元の形状に回復でき、このため、優れた形状回復性を有する。
【0029】
さらに、前記可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、広範な温度範囲で良好な可撓性及び弾性回復性を保持することができ、広範な温度範囲とは、液体窒素環境(−196℃)から高温火炎(1000℃と高い)である。
【0030】
本発明の実施例の別の態様は、主に、ホウ酸及び窒素含有前駆体小分子を高温で溶解して透明前駆体溶液を得て、超音波処理、冷却をして、前駆体ヒドロゲルを得て、その後、特定の乾燥方式及び高温熱分解をして、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得るステップを含む可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの製造方法をさらに提供する。
【0031】
具体的には、本発明による可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの製造方法は、
ホウ酸、窒素含有前駆体を高温で溶剤に溶解して、透明前駆体溶液を得るステップ1)と、
前記前駆体溶液を冷却して、前駆体ヒドロゲルを得るステップ2)と、
前記前駆体ヒドロゲルを乾燥して、前駆体エアロゲルを得るステップ3)と、
保護雰囲気下、前記前駆体エアロゲルを高温で熱分解して、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得るステップ4)と、を含むことができる。
【0032】
いくつかの好適実施例において、ステップ1)では、前記窒素含有前駆体は、尿素、メラミン、シアヌル酸、ビウレット、ジメチルグアニジンなどのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含むが、これらに制限されない。
【0033】
いくつかの好適実施例において、前記ホウ酸と窒素含有前駆体とのモル比が、1:50〜50:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:5〜5:1である。
【0034】
さらに、前記溶剤は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、Sec−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドなどのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含むが、これらに制限されない。
【0035】
さらに、前記溶解温度は30〜100℃、好ましくは40〜70℃である。
【0036】
いくつかの好適実施例において、ステップ2)では、冷却温度は−196℃〜65℃、好ましくは−50℃〜50℃、特に好ましくは−50℃〜40℃であり、冷却時間は5min〜12hである。
【0037】
さらに、ステップ2)は、超音波環境又は非超音波環境にて前記冷却を行うことを含む。
【0038】
また、さらに、前記超音波処理のパワーは0.01W〜10000Wであり、超音波処理時間は0.5min〜12hである。
【0039】
さらに、ステップ3)では、乾燥は、凍結乾燥、常圧乾燥、真空乾燥、超臨界乾燥などのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含むが、これらに制限されない。
【0040】
さらに、ステップ4)では、前記高温熱分解温度は400〜1800℃、好ましくは800〜1400℃であり、高温熱分解時間は0.5〜24h、好ましくは0.5〜12h、特に好ましくは6〜12hである。
【0041】
さらに、前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス、アンモニアガス、水素ガス、空気などの雰囲気のうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含むが、これらに制限されない。
【0042】
前記のように、本発明による可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、窒化ホウ素ナノベルトが絡み合ってオーバーラップしてなる、連続した3次元多孔質網目構造を有し、広範な温度範囲で可撓性を有し、製造プロセスがシンプルであり、反応条件が温和であり、操作されやすく、エネルギー消費量が低く、低コストであり、環境にやさしく、連続的量産を可能とする。
【0043】
以下、いくつかの実施例にて図面を参照しながら本発明の技術案をさらに詳細に説明する。しかしながら、記載される実施例は、本発明を説明するために過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0044】
[実施例1]
(a)ホウ酸0.03mol、メラミン0.003molをメタノール溶液100mLに加え、溶液系が透明となるまで65℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を5℃の環境にて0.1Wパワーで30min超音波処理し、白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、24h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミンエアロゲルを600℃、アルゴンガス/アンモニアガス雰囲気下、高温で12h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0045】
本実施例で得られたエアロゲルの構造及び性能のキャラクタリゼーションデータを以下に示す。BET測定の結果、この窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、比表面積が980m
2/g、孔径分布が0.5〜50nmであり、そのSEM構造を
図1、そのTEM像を
図11、そのAFM像を
図12に示し、その窒化ホウ素ナノベルトの幅サイズ分布を
図13、その窒素ガス吸脱着曲線及び孔径分布を
図14、その収縮応力−ひずみ曲線を
図15、液体窒素で処理したエアロゲルのSEMを
図16、火炎燃焼をしたもののSEM像を
図17に示す。本実施例で得られたエアロゲルの関連物性パラメータを表1に示す。
【0046】
[実施例2]
(a)ホウ酸0.15mol、メラミン0.45molを水/エタノール混合溶液(水とエタノールの体積比10:1)175mLに加え、溶液系が透明となるまで90℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を55℃の環境にてパワー10000Wで10h超音波処理し、白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを65℃オープンに入れて、24h静置して乾燥させ、ホウ酸/メラミン塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミンエアロゲルを、1500℃、窒素ガス雰囲気下、高温で24h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0047】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図2、関連物性パラメータを表1に示す。
【0048】
[実施例3]
(a)ホウ酸0.01g、メラミン0.01g及び尿素0.5gをエタノール/t−ブタノール混合溶液(エタノールとt−ブタノール体積比5:3)120mLに加え、溶液系が透明となるまで40℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を、15℃の環境にて、パワー100Wで5min超音波処理し、白色ホウ酸/メラミン−尿素塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン−尿素塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、12h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン−尿素塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミン−尿素塩エアロゲルを1300℃、アルゴンガス雰囲気下、高温で6h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0049】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図3、関連物性パラメータを表1に示す。
【0050】
[実施例4]
(a)ホウ酸0.001mol、メラミン0.01molをエタノール/イソプロパノール混合溶液(エタノールとイソプロパノール体積比1:5)120mLに加え、溶液系が透明となるまで85℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を、−15℃の環境にて、パワー0.01Wで12h超音波処理し、白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、48h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミンエアロゲルを、1800℃、水素ガス雰囲気下、高温で3h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0051】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図4、関連物性パラメータを表1に示す。
【0052】
[実施例5]
(a)ホウ酸0.003mol、メラミン0.001mol、及びビウレット0.01molを、水溶液300mLに加え、溶液系が透明となるまで95℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を50℃の環境にて6h静置し、白色ホウ酸/メラミン/ビウレット塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン/ビウレット塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、48h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン/ビウレット塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミン/ビウレット塩エアロゲルを1400℃、窒素ガス雰囲気下、高温で12h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0053】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を如
図5、関連物性パラメータを表1に示す。
【0054】
[実施例6]
(a)ホウ酸0.05mol、メラミン0.25molを水/n−プロパノール混合溶液(水とn−プロパノール体積比10:1)200mLに加え、溶液系が透明となるまで85℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を液体窒素環境にて、パワー10Wで5min超音波処理し、白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを真空オープンに入れて、60℃で24h静置し、ホウ酸/メラミン塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミン塩エアロゲルを1600℃、空気雰囲気下、高温で12h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0055】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図6、関連物性パラメータを表1に示す。
【0056】
[実施例7]
(a)ホウ酸0.05mol、メラミン0.01molをエタノール/t−ブタノール混合溶液(エタノールとt−ブタノール体積比1:10)100mLに加え、溶液系が透明となるまで70℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を5℃の環境にて90min冷却し、白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、24h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミン塩エアロゲルを、800℃、アルゴンガス/窒素ガス雰囲気下、高温で1h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0057】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図7、関連物性パラメータを表1に示す。
【0058】
[実施例8]
(a)ホウ酸0.01mol、メラミン0.03molをメタノール混合溶液100mLに加え、溶液系が透明となるまで85℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を65℃の環境にて12h静置し、白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、24h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミン塩エアロゲルを400℃、窒素ガス/アンモニアガス雰囲気下、高温で12h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0059】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図8、関連物性パラメータを表1に示す。
【0060】
[実施例9]
(a)ホウ酸0.01mol、メラミン0.5molをメタノール溶液100mLに加え、溶液系が透明となるまで30℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を−50℃の環境にてパワー200Wで0.5min超音波処理し、白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、24h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミンエアロゲルを、800℃、アルゴンガス/アンモニアガス雰囲気下、高温で10h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0061】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図9、関連物性パラメータを表1に示す。
【0062】
[実施例10]
(a)ホウ酸0.5mol、メラミン0.01mol、及びビウレット0.01molを水溶液300mLに加え、溶液系が透明となるまで100℃の水浴下撹拌した。
(b)ステップ(a)の透明溶液を40℃の環境にて8h静置し、白色ホウ酸/メラミン/ビウレット塩ヒドロゲルを得た。
(c)ステップ(b)の白色ホウ酸/メラミン/ビウレット塩ヒドロゲルを凍結乾燥機に入れて、48h凍結乾燥させ、ホウ酸/メラミン/ビウレット塩エアロゲルを得た。
(d)ステップ(c)のホウ酸/メラミン/ビウレット塩エアロゲルを、1600℃、窒素ガス雰囲気下、高温で0.5h熱分解し、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得た。
【0063】
本実施例で得られた窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図10、関連物性パラメータを表1に示す。
【0065】
また、本案の発明者は、本明細書に記載の他の原料及びプロセス条件を利用して、実施例1〜10の方法を参照して一連の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを製造した。測定した結果、これらの可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルにも、本明細書に記載のさまざまな優れた性能を有することが分かった。
【0066】
前述実施例から分かるように、本発明の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルは、性能に優れており、優れた可撓性及び弾性回復性を有し、必要とされる製造装置が操作されやすく、連続的な自動生産を可能とし、製造周期及びコストを大幅に低減させ、応用の将来性が期待できる。
【0067】
なお、以上は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者であれば、本発明創造の構想を逸脱せずに他の変形や改良を行うことができ、これらの変形や改良はすべて本発明の特許範囲に属する。
【0068】
(付記)
(付記1)
連通している3次元多孔質網目構造を有し、前記3次元多孔質網目構造は窒化ホウ素ナノベルトが互いに絡み合ってオーバーラップしてなり、孔径が50nmよりも大きいマクロ孔、孔径が2〜50nmのメソ孔、及び孔径が2nm未満のマイクロ孔から構成されている、ことを特徴とする可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【0069】
(付記2)
前記窒化ホウ素ナノベルト同士がオーバーラップして前記マクロ孔を形成し、前記窒化ホウ素ナノベルトは前記メソ孔とマイクロ孔を有し、及び/又は、
前記窒化ホウ素ナノベルトは、3次元多孔質網目構造において直線状、ねじれ又は曲がりの状態となる、ことを特徴とする付記1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【0070】
(付記3)
前記窒化ホウ素ナノベルトは主にホウ素及び窒素元素から構成され、好ましくは、前記窒化ホウ素ナノベルトはホウ素、窒素、炭素及び酸素元素を含み、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの厚さが1nm〜10μm、好ましくは1nm〜100nmであり、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの幅が10nm〜50μm、好ましくは100nm〜10μmであり、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの長さが100nm〜10mm、好ましくは1μm〜800μmである、ことを特徴とする付記1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【0071】
(付記4)
密度が1〜600mg/mL、好ましくは5〜100mg/mLであり、及び/又は、表面と水との接触角が60〜170°、好ましくは120〜150°であり、及び/又は、熱伝導率が0.025〜0.5W/mK、好ましくは0.025〜0.2W/mK、特に好ましくは0.03〜0.05W/mKであり、及び/又は、比表面積が10〜1800m
2/g、好ましくは500〜1500m
2/gであり、細孔容積が0.1〜2.0cm
3/g、好ましくは0.5〜1.5cm
3/gであり、空隙率が1〜99%、好ましくは75〜97%である、ことを特徴とする付記1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【0072】
(付記5)
破断することなく所定の形態の負荷に耐えられ、且つ負荷が取り外されると元の形状に回復可能であり、好ましくは、前記所定の形態の負荷は外部圧縮、曲がり、ねじれ又はせん断を含み、好ましくは、所定の温度範囲で可撓性及び弾性回復性を有し、特に好ましくは、前記所定の温度は−196〜1000℃である、ことを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【0073】
(付記6)
ホウ酸、窒素含有前駆体を溶剤に溶解して、透明前駆体溶液を得るステップ1)と、
前記前駆体溶液を冷却して、前駆体ヒドロゲルを得るステップ2)と、
前記前駆体ヒドロゲルを乾燥して、前駆体エアロゲルを得るステップ3)と、
保護雰囲気下、前記前駆体エアロゲルを高温で熱分解して、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得るステップ4)と、を含む、ことを特徴とする可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの製造方法。
【0074】
(付記7)
ステップ1)では、前記窒素含有前駆体は、尿素、メラミン、シアヌル酸、ビウレット、ジメチルグアニジンのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み、及び/又は、前記ホウ酸と窒素含有前駆体とのモル比が1:50〜50:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:5〜5:1であり、及び/又は、前記溶剤は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、Sec−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み、及び/又は、前記溶解温度は30〜100℃、好ましくは40〜70℃である、ことを特徴とする付記6に記載の製造方法。
【0075】
(付記8)
ステップ2)では、冷却温度は−196℃〜65℃、好ましくは−50℃〜50℃、特に好ましくは−50℃〜40℃であり、冷却時間は5min〜12hであり、好ましくは、ステップ2)は超音波環境又は非超音波環境にて前記冷却を行うことを含み、特に好ましくは、前記超音波のパワーが0.01W〜10000Wであり、超音波処理時間が0.5min〜12hであり、
及び/又は、ステップ3)では、乾燥は凍結乾燥、常圧乾燥、真空乾燥、超臨界乾燥のうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする付記6に記載の製造方法。
【0076】
(付記9)
ステップ4)では、前記高温熱分解温度は400〜1800℃、好ましくは800〜1400℃であり、高温熱分解時間は0.5〜24h、好ましくは0.5〜12h、特に好ましくは6〜12hであり、及び/又は、前記保護雰囲気は窒素ガス、不活性ガス、アンモニアガス、水素ガス、空気の雰囲気のうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする付記6に記載の製造方法。
【0077】
(付記10)
付記6〜9のいずれか1つに記載の方法によって製造される可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【手続補正書】
【提出日】2021年2月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連通している3次元多孔質網目構造を有し、前記3次元多孔質網目構造は窒化ホウ素ナノベルトが互いに絡み合ってオーバーラップしてなり、孔径が50nmよりも大きいマクロ孔、孔径が2〜50nmのメソ孔、及び孔径が2nm未満のマイクロ孔から構成されている、ことを特徴とする可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項2】
前記窒化ホウ素ナノベルト同士がオーバーラップして前記マクロ孔を形成し、前記窒化ホウ素ナノベルトは前記メソ孔とマイクロ孔を有し、及び/又は、
前記窒化ホウ素ナノベルトは、3次元多孔質網目構造において直線状、ねじれ又は曲がりの状態となる、ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項3】
前記窒化ホウ素ナノベルトは主にホウ素及び窒素元素から構成され、又は、前記窒化ホウ素ナノベルトはホウ素、窒素、炭素及び酸素元素を含み、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの厚さが1nm〜10μm、又は1nm〜100nmであり、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの幅が10nm〜50μm、又は100nm〜10μmであり、及び/又は、前記窒化ホウ素ナノベルトの長さが100nm〜10mm、又は1μm〜800μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項4】
密度が1〜600mg/mL、又は5〜100mg/mLであり、及び/又は、表面と水との接触角が60〜170°、又は120〜150°であり、及び/又は、熱伝導率が0.025〜0.5W/mK、又は0.025〜0.2W/mK、又は0.03〜0.05W/mKであり、及び/又は、比表面積が10〜1800m2/g、又は500〜1500m2/gであり、細孔容積が0.1〜2.0cm3/g、又は0.5〜1.5cm3/gであり、空隙率が1〜99%、又は75〜97%である、ことを特徴とする請求項1に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項5】
破断することなく所定の形態の負荷に耐えられ、且つ負荷が取り外されると元の形状に回復可能であり、又は、前記所定の形態の負荷は外部圧縮、曲がり、ねじれ又はせん断を含み、又は、所定の温度範囲で可撓性及び弾性回復性を有し、又は、前記所定の温度は−196〜1000℃である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【請求項6】
ホウ酸、窒素含有前駆体を溶剤に溶解して、透明前駆体溶液を得るステップ1)と、
前記前駆体溶液を冷却して、前駆体ヒドロゲルを得るステップ2)と、
前記前駆体ヒドロゲルを乾燥して、前駆体エアロゲルを得るステップ3)と、
保護雰囲気下、前記前駆体エアロゲルを高温で熱分解して、可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルを得るステップ4)と、を含む、ことを特徴とする可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲルの製造方法。
【請求項7】
ステップ1)では、前記窒素含有前駆体は、尿素、メラミン、シアヌル酸、ビウレット、ジメチルグアニジンのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み、及び/又は、前記ホウ酸と窒素含有前駆体とのモル比が1:50〜50:1、又は1:10〜10:1、又は1:5〜5:1であり、及び/又は、前記溶剤は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、Sec−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含み、及び/又は、前記溶解温度は30〜100℃、又は40〜70℃である、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップ2)では、冷却温度は−196℃〜65℃、又は−50℃〜50℃、又は−50℃〜40℃であり、冷却時間は5min〜12hであり、又は、ステップ2)は超音波環境又は非超音波環境にて前記冷却を行うことを含み、又は、前記超音波のパワーが0.01W〜10000Wであり、超音波処理時間が0.5min〜12hであり、
及び/又は、ステップ3)では、乾燥は凍結乾燥、常圧乾燥、真空乾燥、超臨界乾燥のうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップ4)では、前記高温熱分解温度は400〜1800℃、又は800〜1400℃であり、高温熱分解時間は0.5〜24h、又は0.5〜12h、又は6〜12hであり、及び/又は、前記保護雰囲気は窒素ガス、不活性ガス、アンモニアガス、水素ガス、空気の雰囲気のうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法によって製造される可撓性窒化ホウ素ナノベルトエアロゲル。
【国際調査報告】