特表2021-535933(P2021-535933A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-535933(P2021-535933A)
(43)【公表日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】造影剤イオメプロールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/12 20060101AFI20211126BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20211126BHJP
   C07C 237/46 20060101ALI20211126BHJP
【FI】
   C07C231/12
   A61K51/04
   C07C237/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2021-539320(P2021-539320)
(86)(22)【出願日】2019年7月2日
(85)【翻訳文提出日】2021年5月11日
(86)【国際出願番号】KR2019008008
(87)【国際公開番号】WO2020060010
(87)【国際公開日】20200326
(31)【優先権主張番号】10-2018-0110628
(32)【優先日】2018年9月17日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】521109143
【氏名又は名称】ユーケイ ケミファーム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】UK CHEMIPHARM CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】オ,ヨン−ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン−ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨン−クン
(72)【発明者】
【氏名】チャ,ヨン−ナム
(72)【発明者】
【氏名】オ,ギ−ブン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H006
【Fターム(参考)】
4C085HH01
4C085HH05
4C085KB39
4H006AA02
4H006AC53
4H006AD15
4H006BA06
4H006BA29
4H006BB14
4H006BC10
4H006BJ50
4H006BM74
4H006BN10
4H006BV72
(57)【要約】
本発明は、X線造影剤イオメプロールの製造方法に関すし、より詳しくは、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))に無機塩基、無機塩化物、溶媒などを添加して、N−メチル化反応を行うことにより、従来の製造時間を短縮し、反応中に生成される無機塩をイオン交換樹脂で処理することなく、容易に分離・除去でき、反応不純物の量を最小化できるイオメプロールの製造方法に関するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドに、N−メチル化剤、無機塩基、無機塩化物及び溶媒を添加して、N−メチル化反応を行う工程を含むことを特徴とするイオメプロールの製造方法。
【請求項2】
N−メチル化剤が、硫酸ジメチル、ヨウ化メチル又はそれらの組合わせからなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項3】
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド1当量に基づいて、N−メチル化剤1〜10当量が用いられることを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項4】
無機塩基が、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム又はそれらの組合わせからなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項5】
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド1当量に基づいて、無機塩基1〜10当量が用いられることを特徴とするイ請求項1に記載のオメプロールの製造方法。
【請求項6】
無機塩化物が、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ベリリウム及び塩化マグネシウムから選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項7】
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド1当量に基づいて、無機塩化物2〜10当量が用いられることを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項8】
溶媒が、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール又はそれらの組合わせからなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項9】
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドに対する溶媒の重量比が、4〜10倍であることを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項10】
N−メチル化反応から得られた生成物に結晶化溶媒を添加することにより、前記生成物を結晶化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のイオメプロールの製造方法。
【請求項11】
結晶化溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール又はそれらの組合わせからなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項10に記載のイオメプロールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線造影剤イオメプロールの新規の製造方法に関する。より具体的には、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドに、無機塩基、無機塩化物、溶媒などを添加してN−メチル化反応を行うことにより、1ステップ合成工程で既存の製造時間を短縮し、反応中に生成される無機塩をイオン交換樹脂で処理することなく、容易に分離・除去できる製造方法に関するものである。
【0002】
本発明は、前記の1ステップ合成工程及び再結晶により、造影剤化合物であるイオメプロールを99%以上の高純度で経済的に得ることができる。
【背景技術】
【0003】
イオメプロールは、N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−5−(2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドであるノニオン性第3世代造影剤であり、下記式(1a)の構造を有し、下記式(1b)の化合物をメチル化することによって製造される。これは、イタリアのBracco.Imaging S.p.Aによって開発されたトリヨードイソフタルアミドX線及びCT造影剤であり、血管造影の様々な用途で使用され、特許文献1に初めて記載された。
【0004】
【化1】
【0005】
また、スマイル転位反応に基づいて5−(ヒドロキシアシル)アミノ誘導体を得る合成製造経路は、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0006】
特許文献3に記載されている合成方法の利点は、主に、塩化チオニル、酢酸無水物、ヨウ化メチル、塩化メチレン及びクロロホルムなどの一部の試薬及び溶媒が使用されないこと、又は触媒を使用する水素反応の回避などである。
前記内容の合成工程は、以下の通りである(スキーム1)。
【0007】
【化2】
【0008】
前記特許文献3の合成方法は、工業生産条件下で有害な物質を使用しない。しかし、合成工程は長く、式(III)の化合物から最後の工程の化合物までの末端基にアルコール基があり、水溶性を示している。従って、工程4及び工程7で使用された無機物を除去することには困難な問題がある。
【0009】
イオメプロールは、水溶性であるため、製造工程で無機塩が発生した場合、分離・除去が非常に困難である。
【0010】
この問題を解決し、高純度の目的物を得るために、イオメプロールだけでなく、他のヨード系の造影剤も、無機物質を除去する最終工程でイオン交換樹脂を使用して精製している。
【0011】
イオン交換樹脂装置は、工業生産条件として、設備コストが小さくなく、設置空間が必要であり、一定期間内に樹脂を交換する必要があるという経済的短所がある。
【0012】
特許文献2に記載された合成方法は、特許文献3よりも製造工程が短い。しかし、無機塩は、特許文献2の最終工程でも使用されるため、精製されたイオメプロールと無機物を分離するためにイオン交換樹脂装置を使用しなければならない。
【0013】
前記特許文献で問題となっている無機物の生成を抑制するために使用されたイオン交換樹脂処理なしの製造方法が、本出願人により特許文献4として登録された。
【0014】
前記特許文献4では、出発物質の各アルコール基をアセチル化して保護基を合成し、有機溶媒によく溶解するようにした。
【0015】
続いて、合成された新規物質N,N’−ビス(2,3−ジアセチレートプロピル)−5−(2−アセトキシ−N−メチルアセトアミド)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドのメチル化反応後の脱保護基反応により無機物が除去されたイオメプロールを合成する方法を提示している(スキーム2)。
【0016】
【化3】
【0017】
しかし、前記製造方法は、新しい脂溶性新規中間体を用いて抽出工程で無機物を除去できる利点があるが、4工程からなる製造工程のため製造時間が長く、実際の生産では製造コストが高くなるという短所がある。
【0018】
したがって、前記製造工程の短所を補完するために、イオン交換樹脂を使用せずに無機塩を除去する製造工程と、反応不純物を最小限に抑えながら製造時間を短縮することによって、経済性を確保することができる製造技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許 EP0026281号
【特許文献2】国際公開特許 WO88/09328号
【特許文献3】国際公開特許 WO00/32651号
【特許文献4】韓国登録特許 第10−1833334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、市販の5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドに、N−メチル化剤、無機塩基、無機塩化物及び無機塩化物を溶解する溶媒を添加して、N−メチル化反応を行うことにより、従来のものと比較して製造時間を大幅に短縮しながら反応中に生成される不純物を最小限に抑え、無機塩を容易に除去して、高純度のX線造影剤イオメプロールを得る製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記技術的目的を達成するために、第1の態様において、本発明は、前記式(1a)で示されるイオメプロールの新規製造方法は、前記式(1b)の5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド化合物に、N−メチル化剤、無機塩基及び無機塩化物、無機塩化物を溶解できる溶媒、すなわち、メタノール、DMSO、DMAc、DMFを添加することにより、N−メチル化反応を迅速、且つ安定して行う工程を含む造影剤イオメプロールの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるイオメプロールの製造方法によれば、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))に、N−メチル化剤、無機塩基、無機塩化物及び無機塩化物を溶解する溶媒を添加し、特定温度でN−メチル化反応を行うことによって、反応時間を短縮し、反応中に生成される不純物を最小限に抑えながら、無機塩化物を反応溶媒及び結晶化溶媒に溶解させることにより、別のイオン交換樹脂を使用せずに効果的に無機塩を分離・除去して、99%以上の高純度イオメプロールを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のイオメプロールの製造方法は、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))に、N−アルキル化剤、塩化カルシウム、メタノールを添加して、N−メチル化反応を行う工程を含む。
本発明の製造方法は、具体的に、下記スキーム3のような工程から構成される。
【0024】
【化4】
【0025】
本発明の製造方法において、市販中の5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))に、N−メチル化剤、無機塩基、無機塩化物、無機塩化物を溶解する溶媒を添加して、N−メチル化反応を行うことにより、造影剤であるイオメプロール(式(1a))を製造する。
【0026】
一般に、前記式(1b)で示される5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドは、5つのアルコール基を有しているが、水又はアルコールに十分に溶解されない。
【0027】
N−メチル化反応を行うためには、最初に、式(1b)の化合物を溶解する必要があり、これを進めるために、無機塩化物、すなわち、塩化カルシウムを加えて、アルコール基とイオン結合を作り、水又はメタノールに溶解するための条件を作る。
【0028】
無機塩基は、ブレンステッド塩基機能として機能し、N−メチル化反応のためにアミド基から水素を除去する。
【0029】
具体的に、前記スキーム4に示されるように、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はメタノールなどの溶媒に、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))化合物と無機塩化物を添加した後、撹拌して溶解し、ブレンステッド塩基性水酸化ナトリウムを添加し、N−メチル化剤である硫酸ジメチルを反応溶媒に溶解させる。
【0030】
本発明の製造方法で使用されるN−メチル化剤は、硫酸ジメチル、ヨウ化メチル及びそれらの組合わせからなる群から選ばれ、好ましくは硫酸ジメチルである。
【0031】
本発明の製造方法において、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド1当量に基づいて、1当量以上、好ましくは3〜4当量のN−メチル化剤が使用される。
【0032】
N−メチル化剤の含量が前記数値範囲より少ない場合、反応が不十分であり、反応時間が長くなる可能性がある。N−メチル化剤の含量が前記数値範囲よりの多い場合、不純物が増加する可能性がある。
【0033】
本発明の製造方法で使用される無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム及びそれらの組合わせからなる群から選ばれ、好ましくは水酸化カルシウムである。
【0034】
水酸化カルシウムなどの無機塩基は、反応完了後に塩化カルシウムと水などの無機塩を生成し、前記塩化カルシウムは反応溶媒及びその後の結晶化溶媒としてメタノールとによく溶解するので、イオン交換樹脂を使用することなく、効果的に無機塩を除去することができる。その結果、高純度のイオメプロール(式(1a))を得ることができる。
【0035】
本発明の製造方法において、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))1当量に基づいて、無機塩基を0.5〜2当量、好ましくは0.6〜1.2当量、より好ましくは0.6〜0.7当量で使用することができる。
【0036】
無機塩基の含量が前記数値範囲より少ない場合、反応速度に問題がある可能性があり、、含量が前記数値範囲よりも多い場合、不純物の増加の問題がある可能性がある。
【0037】
本発明の製造方法に使用される無機塩化物としては、反応溶媒としてメタノールに溶解できる塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ベリリウム、塩化マグネシウムなどを使用することができる
【0038】
無機塩化物を添加せずにイオメプロールを製造する場合、反応物である5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))が反応溶媒であるメタノールに溶解しないので、反応が容易に進まず、一部の反応が進んでも反応が終了せず、反応物が残る場合がある。
【0039】
残りの反応物である式(1b)の化合物は、イオメプロールと同様の構造式を有するため、反応が終了した後に反応物を除去することは非常に困難である。
【0040】
本発明の製造方法において、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))1当量に基づいて、無機塩化物を2当量〜10当量、好ましくは2〜4当量、より好ましくは3当量で使用することができる。
【0041】
無機塩化物の含量が多すぎる場合、反応溶液の濃度が高くなり、溶解や撹拌がこん何になることがあり、含量が少なすぎる場合、式(1b)が溶解しないため、反応が秤量しないことがある。
【0042】
本発明の製造方法で使用される溶媒は、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びそれらの組合わせからなる群から選ばれてもよく、好ましくはメタノールを使用することができる。
【0043】
本発明の製造方法において、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))に対する溶媒の重量比は、4〜10倍、好ましくは5〜7倍である。
【0044】
溶媒の含量が前記数値範囲より少ない場合、溶解が困難になる場合があり、含量が前記数値範囲よりも多い場合、結晶化工程で収率などの追加の効果を得ることができない。
【0045】
本発明の製造方法は、前記N−メチル化反応から得られた生成物に、結晶化溶媒を添加することにより、前記生成物を結晶化する工程をさらに含む。
【0046】
結晶化溶媒は、エタノール、イソプロパノール、Nブタノール、2−ブタノール及びそれらの組合わせからなる群から選ばれてもよく、好ましくは2−ブタノールである。
【0047】
前記結晶化溶媒は、無機塩を効果的に除去し、収率を上げるためのものである。
【0048】
前記結晶化工程において、N−メチル化反応終了後、酸(HClなど)を添加して酸性化し、結晶化溶媒を添加して室温〜80℃、好ましくは70〜80℃の温度で2時間〜24時間還流、撹拌し、好ましくは3時間還流、撹拌する。
【0049】
その後、結晶をろ過し、結晶化溶媒で十分に洗浄し、減圧下、50〜90℃で乾燥する。
【0050】
本発明は、以下の実施例及び比較例を通じてより詳細に説明する。しかし、本発明の範囲は、それらによっていかなる方法でも限定されない。
【0051】
実施例1.
イオメプロールの製造
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))5g(1当量)と塩化カルシウム3.6g(5当量)をメタノール25gに一緒に加えた後、60分間、室温又は70℃で還流することにより溶解させた。
溶液の温度を10℃〜15℃に冷却後、水酸化カルシウム0.3g(0.62当量)を加え、続いて1時間同じ温度で撹拌した。
硫酸ジメチル2.48g(3当量)を反応液に加え、反応が終了するまで同じ温度で3時間撹拌した。
反応終了後、酸性化のためにHCl(35%)1mLを加え、2−ブタノール25mgを加え、2時間、70〜80℃の温度で撹拌した。次に、混合物を冷却し、ろ過し、2−ブタノールで洗浄して、粗製イオメプロールを得た。
前記粗製イオメプロールをメタノール25mL、水10mLの混合液に加えた後、温度を50℃に上げてそれらを溶解し、次に2−ブタノール20mLを加え、90℃で3時間還流した。次に混合物を室温に冷却して、生成された結晶をろ過した。
2−ブタノールで洗浄後、減圧下、90℃で12時間乾燥して、イオメプロール4.17g(HPLC:99.3%)を得た。
【0052】
実施例2.
イオメプロールの製造
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))5g(1当量)と塩化カルシウム3.6g(5当量)をメタノール25gに一緒に加え、次に30分間、室温又は70℃で還流することにより溶解させた。
溶液の温度を0〜5℃に冷却後、水酸化カルシウム0.3g(0.62当量)を加えた後、1時間同じ温度で撹拌した。
硫酸ジメチル2.48g(3当量)を反応液に加え、反応が終了するまで同じ温度で7時間撹拌した。
反応終了後、酸性化のためにHCl(35%)1mLを加え、2−ブタノール30mLを加え、2時間、70〜80℃の温度で撹拌した。次に、混合物を濾過し、て2−ブタノールで洗浄して、粗製イオメプロールを得た。
前記粗製イオメプロールをメタノール25mL、水10mLの混合液に加えた青t、温度を50℃上げてそれらを溶解し、次に2−ブタノール20mLを加え、90℃で3時間還流した。次に混合物を室温に冷却して、生成された結晶をろ過した。
2−ブタノールで洗浄後、減圧下、90℃で12時間乾燥して、イオメプロール4.21g(HPLC:99.1%)を得た。
【0053】
比較例1(無機塩化物の非添加)
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))をメタノール25gに加え、30分間還流した。
前記混濁溶液の温度を10℃〜15℃に冷却後、水酸化カルシウム0.3g(0.62当量)を加え、続いて1時間同じ温度で撹拌した。
硫酸ジメチル2.48g(3当量)を反応液に加え、同じ温度で5時間撹拌した。
HPLCによる反応性検討の結果、イオメプロールの合成が5%進行し、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))が90%以上残り、反応性が非常に低いことが分かった。
【0054】
比較例2(無機塩基の非添加)
5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))と塩化カルシウム3.6gをメタノール25gに加え、30分間還流することにより溶解させた。
前記溶液の温度を10℃から15℃に冷却後、硫酸ジメチル2.48g(3当量)を反応液に加え、同じ温度で5時間撹拌した。
HPLCによる反応性検討結果、イオメプロールの合成が0.5%進行し、5−(2−ヒドロキシアセトアミド)−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(式(1b))が99%以上残り、反応性が非常に低いことが分かった。
【0055】
以上のように、本発明は、無機塩基、無機塩化物及び無機塩化物を溶解する溶媒を使用することにより、追加の中間工程ななしに式(1b)をメチル化することにより式(1a)を製造するので、既存の製造工程及び時間を短縮することができ、別のイオン交換樹脂装置による精製工程を必要とせずに、高純度のイオメプロールを製造することができる。
【0056】
前記発明の詳細な説明は、本発明の単なる例示であり、本発明を説明する目的でのみ使用され、特許請求の範囲に記載の本発明の意味を制限したり、範囲を限定したりするためではない。
【0057】
したがって、当業者は、そこから様々な修正及び他の同等の実施形態が可能であることを理解するであろう。
【0058】
したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【国際調査報告】