(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-535934(P2021-535934A)
(43)【公表日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】4−メトキシピロール誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/48 20060101AFI20211126BHJP
A61P 1/04 20060101ALN20211126BHJP
A61P 31/04 20060101ALN20211126BHJP
A61K 31/40 20060101ALN20211126BHJP
【FI】
C07D207/48
A61P1/04
A61P31/04
A61K31/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2021-539323(P2021-539323)
(86)(22)【出願日】2019年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月17日
(86)【国際出願番号】KR2019012122
(87)【国際公開番号】WO2020060213
(87)【国際公開日】20200326
(31)【優先権主張番号】10-2018-0112196
(32)【優先日】2018年9月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0110997
(32)【優先日】2019年9月6日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】508131716
【氏名又は名称】デウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEWOONG PHARMACEUTICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジョンテク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】オム,ドッキ
【テーマコード(参考)】
4C069
4C086
【Fターム(参考)】
4C069AC10
4C069BC18
4C069CC20
4C086AA04
4C086BC05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA68
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、4−メトキシピロール誘導体の製造方法に関し、本発明の一実施形態によれば、工程効率および収率が改善され、危険試薬および環境汚染試薬の使用が排除されるので、4−メトキシピロール誘導体の産業的な大量生産に有用な利点を取ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記の化学式2で表される化合物と、下記の化学式3で表される化合物とを反応させて、下記の化学式4で表される化合物を製造する段階;
2)下記の化学式4で表される化合物と水素化ホウ素ナトリウムとを反応させて、下記の化学式5で表される化合物を製造する段階;
3)下記の化学式5で表される化合物と酸化剤とを反応させて、下記の化学式6で表される化合物を製造する段階;および
4)下記の化学式6で表される化合物とメチルアミンとを反応させて中間体を生成し、還元剤を加えて前記中間体を下記の化学式1で表される化合物に転換させる段階;を含む、
4−メトキシピロール誘導体の製造方法:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項2】
前記段階1は、塩基および4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの存在下で行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記段階1の塩基は、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メチル酸ナトリウム、酪酸カリウム、炭酸セシウム、またはこれらの2以上の混合物である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記段階1で、前記化学式2で表される化合物および前記化学式3で表される化合物のモル比は、10:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記段階1の反応溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、タート−ブタノール、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記段階1の反応温度は、10〜35℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記段階2は、塩化亜鉛およびジメチルアニリンの存在下で行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記段階2で、前記化学式4で表される化合物および前記塩化亜鉛のモル比が10:1〜1:10を満足すると同時に、前記化学式4で表される化合物および前記ジメチルアニリンのモル比が10:1〜1:10を満足するように混合して、前記段階2の反応に使用するものである、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記段階2の反応溶媒は、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記段階2の反応温度は、−15〜80℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記段階3の酸化は、
1)(ジアセトキシヨード)ベンゼン、アイオダイン、ヨードベンゼンジクロライド、ヨードシルベンゼン、およびトリクロロイソシアヌル酸の中から選択される1種の酸化剤;
2)(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−イソチオシアナト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、および4−ホスホノオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシの中から選択される1種の触媒;または
前記1)の中から選択される1種の酸化剤、および2)の中から選択される1種の触媒の混合物;の存在下で行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記段階3の酸化は、(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルの混合物の存在下で行われ、
前記(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルの混合物は、前記化学式5で表される化合物および前記(ジアセトキシヨード)ベンゼンのモル比が10:1〜1:10を満足すると同時に、前記化学式5で表される化合物および前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルのモル比が10:1〜1:10を満足するように混合されたものである、請求項12に記載の製造方法。
【請求項13】
前記段階3の反応溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、エチルアセテート、メタノール、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記段階3の反応温度は、10〜40℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記段階4の反応溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ジメチルエーテル、アセトニトリル、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
前記段階4で、前記化学式6で表される化合物および前記メチルアミンの反応温度は、10〜30℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
前記段階4の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムシアノボロハイドライド、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
前記段階4で、前記還元剤および中間体の反応温度は、−5〜10℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項19】
前記段階4で、前記化学式6で表される化合物および前記メチルアミンのモル比は、10:1〜1:10であり、前記化学式6で表される化合物および前記還元剤のモル比は、10:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項20】
前記段階4の後に、
5)前記化学式1で表される化合物に酸を加えて、下記の化学式1−1で表される酸性塩を製造する段階;をさらに含む、請求項1に記載の製造方法:
【化1-1】
【請求項21】
前記段階5は、前記化学式1で表される化合物に有機溶媒;を供給した後、酸またはその有機溶媒との混合溶液;を供給して、前記化学式1−1で表される酸性塩を結晶化する段階を含むものである、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記結晶化温度は、−15〜20℃である、請求項21に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−メトキシピロール誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎は、攻撃因子(例えば、胃酸、ヘリコバクター菌ペプシン、ストレス、酒とタバコなど)と防御因子(例えば、胃粘膜、重炭酸塩、プロスタグランジン、血液供給程度など)の均衡が崩れて発生する。したがって、胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎などの胃腸管損傷に対する治療剤は、攻撃因子を抑制するか、防御因子を強化する薬物に分けられる。
【0003】
一方、胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎は、胃酸分泌が増加しなくても潰瘍が発生することが報告されていて、攻撃因子の増加に劣らず、胃腸粘膜の病的な変化による防御因子の減少が胃潰瘍の発生に重要な役割を果たすと受け止められている。したがって、攻撃因子を抑制する薬物以外にも、防御因子を強化する薬物が胃腸管潰瘍、胃炎の治療に使用されている。防御因子を強化する薬物としては、潰瘍部位に結合して物理化学的膜を形成する粘膜保護剤および粘液の合成と分泌を促進する薬物などが知られている。
【0004】
一方、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)は胃腸に存在する細菌であって、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などをもたらすことが知られており、多数の胃腸管損傷患者はヘリコバクターピロリ(H.pylori)に感染している。したがって、このような患者はプロトンポンプ阻害剤、胃酸ポンプ拮抗剤などの抗潰瘍剤と共に、クラリスロマイシン(clarithromycin)、アモキシシリン(amoxicillin)、メトロニダゾール(metronidazole)、テトラサイクリン(tetracycline)などの抗生剤を服用しなければならず、これによって多様な副作用が報告されている。
【0005】
したがって、胃酸分泌抑制(例えば、プロトンポンプ抑制活性)および防御因子強化(例えば、粘液分泌増加)、そしてヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌活性を同時に有する抗−潰瘍薬物の開発が当業界に要求されている。
【0006】
これに関連する韓国特許登録番号第10−1613245号には、4−メトキシピロール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩が優れた抗−潰瘍活性(つまり、プロトンポンプ抑制活性など)およびヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌活性を有することによって、胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、またはヘリコバクターピロリによる胃腸管損傷の予防および治療に有用であることが報告された。
【0007】
具体的には、前記特許では、4−メトキシピロール誘導体の一種で、下記の化合物が提示されている。
【0008】
前記特許の記載によれば、前記化合物の製造工程は、計4段階で構成されている(参照として、韓国特許登録番号第10−1613245号の実施例8において、前記化合物の原料用意工程(段階8−1)〜(段階8−3)を除けば、実質的に前記化合物の製造工程は、(段階8−4)〜(8−7)の4段階で構成される)。
【0009】
しかし、前記特許の製造工程によれば、前記計4段階の製造工程による収率が51.4%と低く、危険試薬(例えば、水素化ナトリウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなど)および環境汚染試薬(例えば、ピリジニウムクロロクロメート)を使用するので、産業的な大量生産に適合しない。
【0010】
本発明者らは、計4段階で製造工程を構成し、その製造工程中に危険試薬および環境汚染試薬の使用を排除した場合にも、前記特許に比べてより高い収率で前記化合物が得られることを確認して、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、4−メトキシピロール誘導体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記反応式1のような製造方法を提供する:
[反応式1]
【0013】
具体的には、本発明の一実施形態として、下記の段階1〜4を含み、前記化学式1で表される化合物を製造し、選択的に下記の段階5をさらに含み、前記化学式1−1で表される化合物も製造可能な方法を提供する:
1)前記化学式2で表される化合物と、前記化学式3で表される化合物とを反応させて、前記化学式4で表される化合物を製造する段階;
2)前記化学式4で表される化合物と水素化ホウ素ナトリウムとを反応させて、前記化学式5で表される化合物を製造する段階;
3)前記化学式5で表される化合物を酸化剤と反応させて、下記の化学式6で表される化合物を製造する段階;
4)下記の化学式6で表される化合物とメチルアミンとを反応させて中間体を生成した後、還元剤を加えて前記中間体を下記の化学式1で表される化合物に転換させる段階;および
5)下記の化学式1で表される化合物に酸を加えて、前記化学式1−1で表され、薬学的に許容可能な酸性塩を得る段階。
【0014】
先に指摘した韓国特許登録番号第10−1613245号では、前記化学式2で表される化合物から前記化学式6で表される化合物を製造するための各段階で危険試薬、環境汚染試薬などを使用し、最終物質の収率および工程効率が低い。
【0015】
例えば、前記特許では、前記一実施形態の段階2に対応する工程で米国防火協会(NFPA)コード上、第3類に分類された危険試薬であるジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)を還元剤として用いることによって、当該工程の終了後、危険試薬の除去工程を必要とし、これは、最終物質の収率および工程効率を低くする要因になる。
【0016】
それに対し、前記一実施形態の全般においては危険試薬と環境汚染試薬の使用を差し控え、特に前記段階2で還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用いることによって、前記段階2の濃縮残液をそのまま用いて前記段階3をインサイチュ(in−situ)で構成することができる。これによって、前記一実施形態は、前記特許に比べて、工程効率および最終物質の収率を改善し、4−メトキシピロール誘導体の産業的な大量生産に有用な利点を取ることができる。
【0017】
以下、前記各段階別に、本発明の一実施形態を詳しく説明する。以下の説明を参照して、前記各段階の工程温度、実行時間などを調節すれば、最終物質の品質を制御することも可能である。
【0018】
(段階1)
前記段階1は、前記化学式2で表される化合物を、前記化学式3で表される化合物と反応させて、下記の化学式4で表される化合物を製造する段階であって、前記化学式2で表される化合物のピロール基に置換されたフェニルスルホニル基を導入する段階である。
【0019】
前記段階1の反応は、塩基および4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの存在下で行われる。ここで、塩基としては、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メチル酸ナトリウム、酪酸カリウム、炭酸セシウム、またはこれらの2以上の混合物を使用することができ、具体的には、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを使用することができる。
【0020】
これは、前記段階1に対応する工程が水素化ナトリウムの存在下で行われる、韓国特許登録番号第10−1613245号とは区別される。具体的には、前記水素化ナトリウムの場合、0(危険でない)から4(極めて危険)までの計5段階に危険度を分類する米国防火協会(NFPA)コード上、第3類に該当する危険試薬である。よって、前記特許は産業的な大量生産に適合しないものである。
【0021】
それに対し、前記段階1で使用される試薬、例えば、前記N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基および4−(ジメチルアミノ)−ピリジンは、米国防火協会(NFPA)で危険物として指定していない、通常の反応試薬に該当する。したがって、本発明の一実施形態において、前記段階1の反応が前記N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基および4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの存在下で行われる場合、産業的な大量生産に適合する。
【0022】
前記段階1では、前記N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基および4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの分散に有利な溶媒が使用可能であり、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、タート−ブタノールまたはこれらの2以上の混合物が反応溶媒として使用可能である。具体的には、前記段階1の反応溶媒としてアセトニトリルが使用できる。
【0023】
前記段階1で、前記化学式2で表される化合物と前記化学式3で表される化合物とのモル比は、10:1〜1:10であってもよく、具体的には5:1〜1:5であってもよく、より具体的には3:1〜1:3であってもよい。
【0024】
前記段階1の反応は、10〜35℃で行われる。具体的には、前記段階1の反応中に熱が発生することがあり、前記反応温度を10℃未満に下げるためには、外部装置による冷却が必要になる。ここで、10℃未満の低い反応温度で出発物質の80%以上が残留して最終物質の収率が低くなりうる。
【0025】
ただし、外部装置による冷却なしに前記段階1の反応を持続すれば、10〜35℃、例えば、20〜35℃の温度範囲で反応が可能になる。この範囲は、前記段階1の転換率を高くし、最終物質中の柔軟物質の含有量を低減するのに寄与できる。
【0026】
前記段階1の反応は、30分〜5時間行われる。前記反応時間が30分未満の場合には、反応が十分に進行せずに製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が5時間を超える場合には、製造収率が実質的に増加しない。より具体的には、前記反応は、1時間〜3時間行われる。
【0027】
前記段階1の反応が終結した後には、必要に応じて、前記化学式4で表される化合物を精製する段階を含むことができる。より具体的には、前記精製は、前記段階1の反応生成物から前記化学式4で表される化合物を結晶化することで行われる。
【0028】
前記段階1の反応生成物から前記化学式4で表される化合物を結晶化する溶媒としては、エチルアセテートを使用することができる。例えば、前記段階1の反応生成物に対して、5〜30℃の温度範囲で、エチルアセテートを投入して10分〜2時間撹拌することで行うことができる。
【0029】
以後、選択的に、炭素数1〜4のアルコールを単独で用いて追加の精製を行うことができる。ここで、炭素数1〜4のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、タート−ブタノール、またはこれらの2以上の混合物であってもよく、より具体的には、メタノールを単独で使用することができる。例えば、一次的に前記例示した条件でエチルアセテートを用いて前記段階1の反応生成物を精製した後、メタノールを追加的に投入して、40〜70℃に昇温した後、20〜30℃に冷却してから、10分〜2時間撹拌することで行うことができる。
【0030】
前記化学式4で表される化合物を精製した後には、40〜60℃で10〜14時間乾燥して、前記化学式4で表される化合物に含まれている水分の含有量を低くすることができる。
【0031】
より具体的には、50〜60℃で乾燥することによって前記化学式4で表される化合物の水分の含有量を顕著に低くすると、次の段階(つまり、下記の2段階)の転換率を高めることができる。
【0032】
(段階2および3)
前記段階2は、前記化学式4で表される化合物を還元させて、前記化学式5で表される化合物を製造する段階である。また、前記段階3は、前記化学式5で表される化合物を酸化させて、前記化学式6で表される化合物を製造する段階である。
【0033】
先に言及したように、前記段階2で還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用いることによって、危険試薬および環境汚染試薬の使用が排除されるので、前記段階2の濃縮残液をそのまま用いて前記段階3をインサイチュ(in−situ)で構成することができる。
【0034】
前記段階2の反応は、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、またはこれらの2以上の混合物である有機溶媒中にて行われ、具体的には、テトラヒドロフランを溶媒として行われる。
【0035】
また、前記段階2の反応は、塩化亜鉛およびジメチルアニリンの存在下で行われる。前記塩化亜鉛および前記ジメチルアニリンはそれぞれ、前記段階2の還元反応の反応性を調節して副反応を低減させ、前記化学式5で表される化合物の生成に助力する役割を果たし、これらが存在すれば、前記段階2の反応効率が改善できる。
【0036】
ここで、前記化学式4で表される化合物と、前記塩化亜鉛およびジメチルアニリンとのモル比は、それぞれ10:1〜1:10とすれば良い。言い換えれば、前記化学式4で表される化合物および前記塩化亜鉛のモル比が10:1〜1:10を満足すると同時に、前記化学式4で表される化合物および前記ジメチルアニリンのモル比が10:1〜1:10を満足するように混合して、前記段階2の反応に使用することができる。具体的には、前記各モル比は、5:1〜1:5であってもよく、より具体的には3:1〜1:3であってもよい。
【0037】
これとは独立して、化学式4で表される化合物と水素化ホウ素ナトリウムとのモル比は、10:1〜1:10であってもよく、具体的には5:1〜1:5であってもよく、より具体的には3:1〜1:3であってもよい。
【0038】
具体的には、前記化学式4で表される化合物および前記溶媒を常温の反応器内で撹拌した後、前記反応器の内部温度を−10〜0℃に下げて、前記塩化亜鉛および前記ジメチルアニリンを順次に投入し撹拌した後、前記反応器の内部温度を維持し、還元剤の水素化ホウ素ナトリウムを投入することができる。
【0039】
前記水素化ホウ素ナトリウムの投入後には、反応器の内部温度を55〜80℃に上げて撹拌して、前記化学式4で表される化合物および前記水素化ホウ素ナトリウムの反応を進行させることができる。前記反応温度が−15℃未満の場合には、製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が80℃超過の場合には、亜鉛の還元で反応が完了しない問題がある。
【0040】
例えば、前記反応温度は、55〜65℃にすれば良く、この範囲で亜鉛の還元が抑制され、前記反応により前記化学式5で表される化合物への転換が完了できる。
【0041】
前記化学式4で表される化合物および前記水素化ホウ素ナトリウムの反応は、30分〜48時間行われる。前記反応時間が30分未満の場合には、反応が十分に進行せずに製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が48時間を超える場合には、製造収率が実質的に増加しない。より具体的には、前記反応は、1時間〜24時間行われる。
【0042】
前記化学式4で表される化合物および前記水素化ホウ素ナトリウムの反応により水素および熱が発生することがあり、前記段階2の反応終了後には、反応器の内部温度が−5〜5℃に到達するまで冷却させることができる。
【0043】
例えば、前記反応器の内部温度が−5〜0℃に到達するまで冷却させる時、生産スケールでの安全性が向上できる。
【0044】
前記反応器の内部温度を冷却した後には、必要に応じて、前記化学式5で表される化合物を精製する段階を含むことができる。より具体的には、前記精製は、前記段階2の反応生成物から前記化学式5で表される化合物を結晶化することで行われる。
【0045】
前記段階2の反応生成物から前記化学式5で表される化合物を結晶化する溶媒としては、メタノールおよび水を使用することができる。例えば、前記段階2の反応生成物に対して、0〜25℃の温度範囲でメタノールを投入した後、20〜25℃の温度範囲で水を投入し、10分〜2時間撹拌することで行うことができる。
【0046】
以後、選択的に、水および塩酸水溶液を用いて追加の精製を行うことができる。例えば、一次的に前記例示した条件で水およびエチルアセテートを用いて前記段階2の反応生成物を精製した後、水および塩酸水溶液を追加的に投入して、20〜30℃で10分〜2時間撹拌することで行うことができる。
【0047】
一方、前記段階3は、前記化学式5で表される化合物を酸化させて、前記化学式6で表される化合物を製造する段階である。ここで、前記段階2および3がインサイチュ(insitu)で進行するように、前記段階2による濃縮残渣に酸化剤触媒、および溶媒を投入することができる。
【0048】
具体的には、前記化学式5で表される化合物のアルコール基の酸化は、
1)(ジアセトキシヨード)ベンゼン、アイオダイン、ヨードベンゼンジクロライド、ヨードシルベンゼン、およびトリクロロイソシアヌル酸の中から選択される1種の酸化剤;
2)(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−イソチオシアナト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、および4−ホスホノオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシの中から選択される1種の触媒;または
前記1)の中から選択される1種の酸化剤、および2)の中から選択される1種の触媒の混合物;の存在下で行われる。
【0049】
より具体的には、前記段階2による濃縮残渣に(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルを投入することができ、この場合、前記化学式5で表される化合物と、前記(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルとのモル比は、それぞれ10:1〜1:10であってもよい。
【0050】
言い換えれば、前記化学式5で表される化合物および前記(ジアセトキシヨード)ベンゼンのモル比が10:1〜1:10を満足すると同時に、前記化学式5で表される化合物および前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルのモル比が10:1〜1:10を満足するように、前記(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルを混合して、前記段階3の酸化に使用することができる。
【0051】
前記段階3の反応溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、エチルアセテート、メタノール、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの2以上の混合物である有機溶媒を使用することができ、具体的には、ジクロロメタンを使用することができる。
【0052】
前記段階3の反応温度は、10〜40℃であってもよい。前記反応温度が10℃未満の場合には、製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が40℃超過の場合には、製造収率が実質的に増加しない。より具体的には、前記反応は、20〜30℃で行われる。
【0053】
前記段階3の反応は、5分〜5時間行われる。前記反応時間が5分未満の場合には、反応が十分に進行せずに製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が5時間を超える場合には、製造収率が実質的に増加しない。より具体的には、前記反応は、5分〜3時間行われる。
【0054】
前記段階3の反応が終結した後には、必要に応じて、前記化学式6で表される化合物を精製する段階をさらに含むことができる。より具体的には、前記精製は、前記段階3の反応生成物から前記化学式6で表される化合物を結晶化することで行われる。前記結晶化溶媒としては、炭素数1〜4のアルコールと水とを混合して使用することができる。ここで、前記炭素数1〜4のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、タート−ブタノール、またはこれらの2以上の混合物を使用することができる。より具体的には、前記段階3の反応生成物から前記化学式6で表される化合物を結晶化する溶媒として、エタノールおよび水の混合物を使用することができる。例えば、前記段階3の反応生成物に対して、20〜30℃の温度範囲でエタノール水溶液を投入して、10分〜2時間撹拌することで行うことができる。
【0055】
前記化学式6で表される化合物を精製した後には、乾燥して、前記化学式6で表される化合物に含まれている水分の含有量を低くすることができる。
【0056】
例えば、40〜50℃の温度範囲で12〜18時間乾燥する時、前記化学式6で表される化合物の水分の含有量を顕著に低くして、次の段階(つまり、下記の段階4)である還元性アミン化反応の反応性を高めることができる。
【0057】
(段階4)
前記段階4は、還元性アミン化(Reductive amination)反応を利用して、前記化学式6で表される化合物を前記化学式1で表される化合物に転換させる段階である。
【0058】
具体的には、前記段階4で、前記化学式6で表される化合物は、メチルアミンとのイミン生成反応によりイミン化合物を生成し、このようなイミン化合物は、不安定な構造の中間体(intermediate)に該当するので、還元反応して、前記化学式1で表される化合物に簡単に転換可能である。
【0059】
前記段階4の還元性イミン化反応は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ジメチルエーテル、アセトニトリル、またはこれらの2以上の混合物である反応溶媒内で行われる。
【0060】
より具体的には、前記段階3とは別の反応器に、前記化学式6で表される化合物および前記メチルアミンを前記反応溶媒と共に投入した後、10〜30℃で20分〜2時間撹拌することによって、前記化学式6で表される化合物および前記メチルアミンが前記溶媒に十分に溶解した状態で反応してイミン化合物を生成させることができる。
【0061】
この時、前記化学式6で表される化合物の溶解度が低くなるほど、最終物質に含まれている柔軟物質が増加しうることを考慮して、前記撹拌時間および温度を調節することができる。例えば、10〜15℃で、30分〜1時間撹拌すれば、前記化学式6で表される化合物が十分に溶解可能であり、この状態で反応を進行させると、最終物質中の柔軟物質の含有量が減少することができる。
【0062】
一方、前記化学式6で表される化合物とメチルアミンとの反応により生成された中間体(つまり、イミン化合物)の還元反応(Reduction)は、低い温度でより安定的に進行できる。
【0063】
この点を考慮して、前記化学式6で表される化合物とメチルアミンとの反応終了後、前記反応器の温度が−10〜0℃、例えば、−10℃〜−5℃の範囲内に到達するまで冷却させた後、冷却された温度範囲を守りながら前記還元剤を投入した後、−5〜10℃、例えば、−5〜0℃に反応器の温度を維持しながら撹拌することができる。このような低い温度範囲で、前記中間体(つまり、イミン化合物)が前記還元剤と安定的に反応して、前記化学式1で表される化合物に転換可能である。
【0064】
ここで、前記還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウムが使用可能であり、前記化学式6で表される化合物および前記メチルアミンのモル比は、10:1〜1:10であり、前記化学式6で表される化合物および前記水素化ホウ素ナトリウムのモル比は、10:1〜1:10であってもよい。具体的には、それぞれのモル比は、5:1〜1:5であってもよく、より具体的には3:1〜1:3であってもよい。
【0065】
前記中間体(つまり、イミン化合物)を前記還元剤と十分に反応させた後、反応を終了させるために(work−up)、塩酸、グルタミン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、リン酸、メタンスルホン酸、またはこれらの2以上の混合物を含む酸水溶液を供給してpHを調節することができ、例えば、5〜7Nの塩酸水溶液を供給してpH6.7〜7.3に調節することができる。
【0066】
以後、有機溶媒を用いて1〜3回抽出することによって有機層を得て、該有機層に乾燥剤を添加して撹拌した後、減圧ろ過し、そのろ過物を洗浄した後、ろ液を減圧濃縮することができる。
【0067】
前記抽出の際は、エチルアセテート、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル三級ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはこれらの2以上の混合物である有機溶媒が使用できる。
【0068】
また、前記抽出後に使用される乾燥剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムなどがある。
【0069】
(段階5)
前記化学式1で表される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態であってもよい。前記塩は、通常の酸付加塩、例えば、塩酸、臭素化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、または硝酸のような無機酸から誘導された塩、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、またはトリフルオロ酢酸のような有機酸から誘導された塩を含む。好ましくは、前記塩は、塩酸塩またはフマル酸塩であってもよい。
【0070】
前記化学式1で表される化合物を薬学的に許容可能な塩の形態で供給するために、前記段階4の後、前記化学式1で表される化合物に酸を加えて、前記化学式1−1で表され、薬学的に許容可能な酸性塩を得る段階5をさらに含むことができる:
【化1-1】
【0071】
具体的には、前記段階5は、前記化学式1で表される化合物に有機溶媒;を供給した後、酸またはその有機溶媒との混合溶液;を供給して、前記化学式1−1で表される酸性塩を結晶化する段階を含むことができる。
【0072】
より具体的には、前記化学式1で表される化合物を含む段階4の濃縮残渣に有機溶媒を供給することができる。この時供給される有機溶媒は、エチルアセテート、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル三級ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、ジクロロメタン、ノルマルヘキサン、またはこれらの2以上の混合物であってもよく、例えば、エチルアセテートであってもよい。
【0073】
前記化学式1で表される化合物を含む段階4の濃縮残渣に前記有機溶媒を供給し撹拌した後には、反応器の内部温度を−15℃〜20℃に調節し、前記酸またはその有機溶媒との混合溶液;を供給した後、前記調節された温度範囲を守りながら撹拌して、前記化学式1−1で表される酸性塩を結晶化することができる。
【0074】
前記化学式1−1で表される酸性塩を結晶化するのに使用される酸またはその有機溶媒との混合溶液;は、塩酸、グルタミン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、リン酸、メタンスルホン酸、またはこれらの2以上の混合物;またはその有機溶媒との混合溶液;であってもよく、前記混合溶液中の有機溶媒は、先に提示された有機溶媒の中から選択可能である。例えば、エチルアセテート、ジエチルエーテル、またはこれらの混合物を有機溶媒とし、これに塩酸が0.5〜2.0Mの濃度に溶解した混合溶液;が前記化学式1−1で表される酸性塩を結晶化するのに使用できる。
【0075】
前記化学式1−1で表される酸性塩の結晶化のための、−15℃〜20℃の温度範囲は、前記反応温度が−15℃未満の場合には、製造収率が実質的に増加せず、前記反応温度が20℃超過の場合には、製造収率が低くなりうることを考慮したものである。
【0076】
また、前記化学式1−1で表される酸性塩の結晶化のために、前記酸またはその有機溶媒との混合溶液;の供給後、少なくとも1時間以上撹拌し、撹拌時に柔軟物質が析出するのを防止するために12時間以下に撹拌時間を制御することができる。
【0077】
前記段階5で、前記化学式1−1で表される酸性塩の結晶化は、2回以上行われるものであってもよい。
【0078】
例えば、前記化学式1−1で表される酸性塩を結晶化した後、前記有機溶媒を用いて前記化学式1−1で表される酸性塩を抽出した後、前記酸またはその有機溶媒との混合溶液;を供給して、前記化学式1−1で表される酸性塩の再結晶化のために少なくとも4時間以上撹拌し、撹拌時に柔軟物質が析出するのを防止するために12時間以下に撹拌することができる。
【0079】
前記再結晶化は精製のためのもので、前記結晶化に使用されたものと同一の有機溶媒;および酸またはその有機溶媒との混合溶液;を使用することができる。
【0080】
また、前記再結晶化工程中には、酸性塩の解離のために塩基を追加的に使用することができる。ここで、前記酸性塩の解離のための塩基としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メチル酸ナトリウム、酪酸カリウムまたは炭酸セシウム、またはこれらの2以上の混合物を使用することができ、具体的には、炭酸水素ナトリウムを使用することができ、その使用方法は、当業界で知られたところに従えば良い。
【0081】
一方、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、またはヘリコバクターピロリ(H.pylori)による胃腸管損傷の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0082】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、5−HT受容体またはムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患の予防または治療用薬学組成物を提供する。この時、前記5−HT受容体またはムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患は、前記5−HT受容体またはムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患は、憂鬱症、躁鬱症、精神分裂症、自閉症、強迫神経症、不安障害、偏頭痛、高血圧、摂食障害、過敏性大腸症候群(Irritable bowel syndrome;IBS)、消化性潰瘍、糖尿病性神経病症、喘息、または過敏性膀胱(overactive bladder)であってもよい。
【0083】
前記薬学組成物は、通常使用される賦形剤、崩壊剤、甘味剤、滑沢剤または香味剤などの薬学的に許容可能な担体を含むことができ、通常の方法により、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤および懸濁剤、乳剤またはシロップ剤のような経口用製剤;または注射剤などの非経口投与用製剤に製剤化される。前記製剤は、多様な形態、例えば、単回投与型または数回投与型の投与形態(dosage form)に製剤化される。
【0084】
前記組成物は、経口投与するか、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸および局所投与を含む非経口で投与が可能である。前記組成物は、好ましくは、経口投与される。したがって、前記組成物は、錠剤、カプセル剤、水性液剤または懸濁剤などの多様な形態に製剤化される。経口用錠剤の場合、ラクトース、トウモロコシデンプンなどの担体およびマグネシウムステアレートのような滑沢剤が通常加えられる。経口投与用カプセル剤の場合、ラクトースおよび/または乾燥トウモロコシデンプンが希釈剤として使用できる。経口用水性懸濁剤が必要な場合、活性成分を乳化剤および/または懸濁化剤と結合させることができる。必要な場合、特定の甘味剤および/または香味剤を加えることができる。筋肉内、腹腔内、皮下および静脈内投与の場合、活性成分の滅菌溶液が通常製造され、溶液のpHを好適に調節し緩衝させなければならない。静脈内投与の場合、溶質の総濃度は、製剤に等張性が付与されるように調節されなければならない。本発明による組成物は、pHが7.4の塩水のような薬剤学的に許容される担体を含む水溶液剤の形態であってもよい。前記溶液は、局所注射(local bolus injection)で患者の筋肉内血流に導入される。
【0085】
この時、薬学組成物は、治療学的有効量で投与可能である。したがって、前記薬学組成物に含有される化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、患者に約0.01mg/kg〜約100mg/kg per dayの有効量で投与される。もちろん、前記容量は、患者の年齢、体重、感受性、症状または化合物の薬効に応じて変更可能である。
【発明の効果】
【0086】
上述のように、本発明の一実施形態によれば、工程効率および収率が改善され、危険試薬および環境汚染試薬の使用が排除されるので、4−メトキシピロール誘導体の産業的な大量生産に有用な利点を取ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0088】
下記の実施例で製造された化合物の分析は、次のように行った:核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析はブルカー(Bruker)400MHzの分光計上で行い、化学移動(chemical shift)はppmで分析し、カラムクロマトグラフィーはシリカゲル(Merck,70−230mesh)上で行った(W.C.Still,J.Org.Chem.,1978(43)、2923−2925)。
【0089】
実施例1
(段階1)
フラスコに、メチル5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1H−ピロール−3−カルボキシレート(化学式2)100.0g、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン9.2g、アセトニトリル393.0gを投入し、室温で10分間撹拌した。前記フラスコの内部温度を5〜10℃に冷却した後、3−フルオロベンゼンスルホニルクロライド(化学式3)80.1g、N,N−ジイソプロピルエチルアミン53.2gを投入し、20〜30℃の温度範囲で2時間撹拌して反応を完了した。
【0090】
次に、精製水500.0g、エチル酢酸451.0gを投入して10分撹拌、10分静置後、水層は廃棄した。
【0091】
以後、有機層に精製水500.0gを投入し、20〜30℃の温度範囲内で1N−塩酸水溶液を徐々に投入してpH3.5〜5.0に合わせた後、10分撹拌、10分静置して、ここで発生した水層を廃棄した。
【0092】
その後、50〜55℃で有機層を減圧濃縮し、内部温度20〜30℃でメタノール158.4gを投入した後、10分間撹拌した。次に、50〜55℃で有機層を減圧濃縮し、内部温度20〜30℃でメタノール396.0gを投入した後、1時間撹拌した。内部温度20〜30℃を維持し、20分間精製水300.0gを投入して1時間撹拌した。これによって生成された結晶を減圧ろ過し、そのろ過物を精製水200.0gで洗浄した。
【0093】
これによって洗浄されたろ過物を乾燥機に入れた後、40〜45℃の温度で12時間以上真空乾燥して、化学式4で表される化合物154.4gを得た(収率:97.0%)。
1H-NMR (500 MHz, MeOD): 7.98 (s, 1H), 7.43-7.39 (m, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.15 (q, 1H), 7.67 (q, 1H), 6.91 (t, 1H), 6.77 (t, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.61 (s, 3H)
【0094】
(段階2)
新しいフラスコに、前記段階1で得られた化学式4で表される化合物100.0gおよびテトラヒドロフラン444.5gを投入し、20〜30℃で10分間撹拌した後、内部温度を−10〜−5℃に冷却した。これによる反応液に塩化亜鉛32.1gを5分間投入して10分間撹拌した後、N,N−ジメチルアニリン28.5gを投入して撹拌した。
【0095】
以後、内部温度−10〜0℃の温度範囲を守りながら水素化ホウ素ナトリウム8.9gを3分割して5分間投入、10分間撹拌を3回繰り返した。
【0096】
その後、内部温度60〜65℃で20時間撹拌して反応を完了した後、内部温度を0〜5℃に冷却した。この反応で、前記化学式5で表される化合物が生成された。
【0097】
以後、内部温度0〜15℃の範囲で精製水200.0gを徐々に投入し、内部温度20〜30℃の範囲でエチルアセテート451.0gを投入した。次に、6N−塩酸水溶液87.2gを投入して30分間撹拌し、10分間静置した後(ただし、内部温度20〜30℃に維持)、層分離して水層を廃棄した。その後、精製水300.0gと6N−塩酸水溶液10.9gを用いて有機層を洗浄した後(ただし、内部温度20〜30℃に維持しながら2回繰り返す)、層分離して水層は廃棄し、有機層に硫酸マグネシウム50.0gを投入して10分間撹拌した後、減圧ろ過した後、ろ液を50〜55℃で減圧濃縮した。次に、塩化メチレン265.3gを投入して10分間撹拌した後、50〜55℃で減圧濃縮した。
【0098】
(段階3)
前記段階2による濃縮残渣に(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル6.9g、(ジアセトキシヨード)ベンゼン86.1g、およびジクロロメタン1,171.1gを投入し、内部温度20〜30℃で2時間撹拌して反応を完了した後、精製水882.8gを投入した。以後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液679.7g(炭酸水素ナトリウム61.8g、精製水617.9g)を徐々に投入した後、10分間撹拌し、10分間静置して層分離した後、水層は廃棄した。有機層に硫酸マグネシウム17.7gを投入して10分間撹拌した後、減圧ろ過した。
【0099】
以後、38〜42℃で減圧濃縮した後、エタノール水溶液513.6g(エタノール390.0g、精製水123.6g)を投入した後、内部温度20〜30℃で1時間撹拌して結晶化した。
【0100】
これによる結晶を減圧ろ過し、そのろ過物をエタノール水溶液174.3g(エタノール132.3g、精製水41.9g)で洗浄した。前記洗浄されたろ過物を乾燥機に入れた後、40〜45℃の温度で12時間以上真空乾燥して、化学式6で表される化合物83.9gを得た(収率:90.0%)。
1H-NMR (500 MHz, MeOD): 9.89 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.45-7.41 (m, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.18 (q, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.92 (t, 1H), 6.77 (t, 1H), 3.63 (s, 3H)
【0101】
(段階4)
新しいフラスコに、前記段階3で得られた化学式6で表される化合物100.0g、メタノール396.0g、メチルアミン48.5g(9.8M inメタノール)を投入し、内部温度を20〜30℃に調節して30分間撹拌した。
【0102】
以後、内部温度を−5〜0℃に冷却し、温度範囲−5〜10℃を守りながら水素化ホウ素ナトリウム4.8gを分割投入した後、−5〜10℃で30分撹拌して反応を完了した。
【0103】
反応完了後、内部温度10〜15℃を維持しながら精製水1,000gを徐々に投入した後、エチルアセテート902.0gを投入した。次に、内部温度10〜15℃を維持しながら6N−塩酸水溶液を用いてpH6.7〜7.3に調節した。
【0104】
以後、10分撹拌後、30分間静置して層分離した後、有機層は保管した。これによる水層にエチルアセテート451.0gを投入して10分間撹拌した後、10分間静置した。以後、層分離を進行させ、有機層は先に得られた有機層と合わせ、同一の再抽出過程をもう一度進行させた。
【0105】
その後、合わせた有機層に塩化ナトリウム水溶液600.0g(塩化ナトリウム100.0g、精製水500.0g)を投入した後、10分間撹拌し、10分間静置して層分離した後、水層は廃棄した。
【0106】
これによる有機層に硫酸マグネシウム100.0gを投入し、内部温度10〜15℃を維持しながら10分間撹拌した後、減圧ろ過した。そのろ過物をエチルアセテート270.6gで洗浄した後、ろ液を38〜42℃で減圧濃縮した。
【0107】
(段階5)
その濃縮残渣にエチルアセテート90.2gを投入し、比較的均一な状態まで撹拌した後、内部温度−5〜5℃の範囲で1.0M塩酸エチルアセテート溶液460.5gを徐々に投入した後、0〜5℃で12時間撹拌して、化学式1−1で表される化合物を結晶化した。
【0108】
これによる結晶を減圧ろ過し、そのろ過物をエチルアセテート90.2gで洗浄した。新しいフラスコに、前記ろ過物とエチルアセテート815.4gを投入し、内部温度0〜15℃に冷却した後、10分間撹拌した。以後、内部温度10〜15℃で炭酸水素ナトリウム水溶液976.3g(炭酸水素ナトリウム72.3g、精製水904.0g)を投入して10分間撹拌した後、30分間静置した後、層分離して有機層は保管した。
【0109】
これによる水層にエチルアセテート407.7gを投入して10分間撹拌した後、10分間静置した後、層分離して、有機層は先に得られた有機層と合わせ、水層は同一の過程で1回さらに再抽出して有機層と合わせた。
【0110】
その有機層に硫酸マグネシウム90.4gを投入し、内部温度10〜15℃で10分間撹拌した後、減圧ろ過した。そのろ過物をエチルアセテート244.6gで洗浄した後、ろ液を38〜42℃で減圧濃縮した。
【0111】
その濃縮残渣にエチルアセテート81.5gを投入して撹拌した後、内部温度−5〜5℃の範囲で1.0M塩酸エチルアセテート溶液368.4gを徐々に投入した後、0〜5℃で12時間撹拌して再結晶化した。
【0112】
その結晶を減圧ろ過し、ろ過物をエチルアセテート81.5gで洗浄した後、そのろ過物を乾燥機に入れて20〜30℃で12時間真空乾燥し、38〜42℃に昇温して6時間追加乾燥して、化学式1−1で表される化合物90.7gを最終的に得た(収率:80.2%)。
1H-NMR (500 MHz, MeOD): 7.69(s, 1H), 7.58-7.53(m, 1H), 7.45(t, 1H), 7.30(d, 1H), 7.20-7.15(m, 2H), 7.02-6.94(m, 2H), 4.07(d, 2H), 3.46(s, 3H), 2.71(s, 3H)
【0113】
実施例2
(段階1)
フラスコに、メチル5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1H−ピロール−3−カルボキシレート(化学式2)100.0g、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン9.2g、アセトニトリル393.0gを投入し、室温で10分間撹拌した。前記フラスコの内部温度を5〜10℃に冷却した後、3−フルオロベンゼンスルホニルクロライド(化学式3)80.1g、N,N−ジイソプロピルエチルアミン53.2gを投入し、20〜35℃の温度範囲で2時間撹拌して反応を完了した。
【0114】
次に、精製水500.0g、エチル酢酸451.0gを投入して10分撹拌、10分静置後、水層は廃棄した。
【0115】
以後、有機層に精製水500.0gを投入し、20〜30℃の温度範囲内で1N−塩酸水溶液を徐々に投入してpH3.5〜5.0に合わせた後、10分撹拌、10分静置して、ここで発生した水層を廃棄した。
【0116】
その後、50〜55℃で有機層を減圧濃縮し、内部温度20〜30℃でメタノール158.4gを投入した後、10分間撹拌した。次に、50〜55℃で有機層を減圧濃縮し、内部温度20〜30℃でメタノール396.0gを投入した後、1時間撹拌した。内部温度20〜30℃を維持しながら、20分間精製水300.0gを投入して1時間撹拌した。これによって生成された結晶を減圧ろ過し、そのろ過物を精製水200.0gで洗浄した。
【0117】
これによって洗浄されたろ過物を乾燥機に入れた後、50〜60℃の温度で12時間以上真空乾燥して、化学式4で表される化合物154.4gを得た(収率:97.0%)。
1H-NMR (500 MHz, MeOD): 7.98 (s, 1H), 7.43-7.39 (m, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.15 (q, 1H), 7.67 (q, 1H), 6.91 (t, 1H), 6.77 (t, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.61 (s, 3H)
【0118】
(段階2)
新しいフラスコに、前記段階1で得られた化学式4で表される化合物100.0gおよびテトラヒドロフラン444.5gを投入し、20〜30℃で10分間撹拌した後、内部温度を−10〜0℃に冷却した。これによる反応液に塩化亜鉛32.1gを5分間投入して10分間撹拌した後、N,N−ジメチルアニリン28.5gを投入して撹拌した。
【0119】
以後、内部温度−10〜0℃の温度範囲を守りながら水素化ホウ素ナトリウム8.9gを3分割して5分間投入、10分間撹拌を3回繰り返した。
【0120】
その後、内部温度55〜65℃で20時間撹拌して反応を完了した後、内部温度を−5〜0℃に冷却した。この反応で、前記化学式5で表される化合物が生成された。
【0121】
以後、内部温度0〜25℃の範囲で精製水200.0gを徐々に投入し、内部温度20〜25℃の範囲でエチルアセテート451.0gを投入した。次に、6N−塩酸水溶液87.2gを投入して10分間撹拌し、30分間静置した後(ただし、内部温度20〜30℃に維持)、層分離して水層を廃棄した。その後、精製水300.0gと6N−塩酸水溶液10.9gを用いて有機層を洗浄した後(ただし、内部温度20〜30℃に維持しながら2回繰り返す)、層分離して水層は廃棄し、有機層に硫酸マグネシウム50.0gを投入して10分間撹拌した後、減圧ろ過した後、ろ液を50〜55℃で減圧濃縮した。次に、塩化メチレン265.3gを投入して10分間撹拌した後、50〜55℃で減圧濃縮した。
【0122】
(段階3)
前記段階2による濃縮残渣に(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル6.9g、(ジアセトキシヨード)ベンゼン86.1g、およびジクロロメタン1,171.1gを投入し、内部温度20〜30℃で2時間撹拌して反応を完了した後、精製水882.8gを投入した。以後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液679.7g(炭酸水素ナトリウム61.8g、精製水617.9g)を徐々に投入した後、10分間撹拌し、10分間静置して層分離した後、水層は廃棄した。有機層に硫酸マグネシウム17.7gを投入して10分間撹拌した後、減圧ろ過した。
【0123】
以後、38〜42℃で減圧濃縮した後、エタノール水溶液513.6g(エタノール390.0g、精製水123.6g)を投入した後、内部温度20〜30℃で1時間撹拌して結晶化した。
【0124】
これによる結晶を減圧ろ過し、そのろ過物をエタノール水溶液174.3g(エタノール132.3g、精製水41.9g)で洗浄した。前記洗浄されたろ過物を乾燥機に入れた後、40〜50℃の温度で12時間以上真空乾燥して、化学式6で表される化合物83.9gを得た(収率:90.0%)。
1H-NMR (500 MHz, MeOD): 9.89 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.45-7.41 (m, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.18 (q, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.92 (t, 1H), 6.77 (t, 1H), 3.63 (s, 3H)
【0125】
(段階4)
新しいフラスコに、前記段階3で得られた化学式6で表される化合物100.0g、メタノール396.0g、メチルアミン48.5g(9.8M inメタノール)を投入し、内部温度を10〜15℃に調節して1時間撹拌した。
【0126】
以後、内部温度を−10〜−5℃に冷却し、温度範囲−10〜−5℃を守りながら水素化ホウ素ナトリウム4.8gを分割投入した後、−5〜0℃で30分撹拌した。
【0127】
その後、内部温度−5〜15℃を維持しながら精製水1,000gを徐々に投入した後、エチルアセテート902.0gを投入し、内部温度10〜20℃を維持しながら6N−塩酸水溶液を用いてpH6.7〜7.3に調節した。
【0128】
以後、10分撹拌後、30分間静置して層分離した後、有機層は保管した。これによる水層にエチルアセテート451.0gを投入して10分間撹拌した後、10分間静置した。以後、層分離を進行させ、有機層は先に得られた有機層と合わせ、同一の再抽出過程をもう一度進行させた。
【0129】
その後、合わせた有機層に塩化ナトリウム水溶液600.0g(塩化ナトリウム100.0g、精製水500.0g)を投入した後、10分間撹拌し、10分間静置して層分離した後、水層は廃棄した。
【0130】
これによる有機層に硫酸マグネシウム100.0gを投入し、内部温度20〜30℃を維持しながら10分間撹拌した後、減圧ろ過した。そのろ過物をエチルアセテート270.6gで洗浄した後、ろ液を38〜42℃で減圧濃縮した。
【0131】
(段階5)
その濃縮残渣にエチルアセテート90.2gを投入し、比較的均一な状態まで撹拌した後、内部温度0〜5℃の範囲で1.0M塩酸エチルアセテート溶液460.5gを一度に投入した後、0〜5℃で1時間以上撹拌して、化学式1−1で表される化合物を結晶化した。
【0132】
これによる結晶を減圧ろ過し、そのろ過物をエチルアセテート90.2gで洗浄した。新しいフラスコに、前記ろ過物とエチルアセテート815.4gを投入し、内部温度10〜20℃で10分間撹拌した。以後、内部温度10〜20℃で炭酸水素ナトリウム水溶液976.3g(炭酸水素ナトリウム72.3g、精製水904.0g)を投入して10分間撹拌した後、30分間静置した後、層分離して有機層は保管した。
【0133】
これによる水層にエチルアセテート407.7gを投入して10分間撹拌した後、10分間静置した後、層分離して有機層は先に得られた有機層と合わせ、水層は同一の過程で1回さらに再抽出して有機層と合わせた。
【0134】
その有機層に硫酸マグネシウム90.4gを投入し、内部温度20〜25℃で10分間撹拌した後、減圧ろ過した。そのろ過物をエチルアセテート244.6gで洗浄した後、ろ液を38〜42℃で減圧濃縮した。
【0135】
その濃縮残渣にエチルアセテート81.5gを投入して撹拌した後、内部温度0〜5℃の範囲で1.0M塩酸エチルアセテート溶液368.4gを一度に投入した後、0〜5℃で4時間以上撹拌して再結晶化した。
【0136】
その結晶を減圧ろ過し、ろ過物をエチルアセテート81.5gで洗浄した後、そのろ過物を乾燥機に入れて20〜30℃で12時間真空乾燥し、38〜42℃に昇温して6時間追加乾燥して、化学式1−1で表される化合物90.7gを最終的に得た(収率:80.2%)。
1H-NMR (500 MHz, MeOD): 7.69(s, 1H), 7.58-7.53(m, 1H), 7.45(t, 1H), 7.30(d, 1H), 7.20-7.15(m, 2H), 7.02-6.94(m, 2H), 4.07(d, 2H), 3.46(s, 3H), 2.71(s, 3H)
【0137】
比較例
(段階A)メチル5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1−((3−フルオロフェニル)スルホニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレートの製造
メチル5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1H−ピロール−3−カルボキシレート(18.0g、67.4mmol)をジメチルホルムアミド(335.0ml)に溶解させた。得られた溶液に室温で水素化ナトリウム(60%、流動パラフィン中の分散液)(4.0g、101.0mmol)を加えて、室温で10分間撹拌した。反応混合物に3−フルオロベンゼンスルホニルクロライド(13.37ml、101.0mmol)を加えて、室温で1時間撹拌した。反応混合物に水を添加し、エチルアセテートで抽出した。得られた抽出液を無水マグネシウムスルフェート上で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:n−ヘキサン=1:4(v/v))で精製して、表題化合物26.1gを製造した。(収率:91.1%)
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3): 7.98 (s, 1H), 7.43-7.39 (m, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.15 (q, 1H), 7.67 (q, 1H), 6.91 (t, 1H), 6.77 (t, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.61 (s, 3H)
【0138】
(段階B)5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1−((3−フルオロフェニル)スルホニル)−1H−ピロール−3−カルバアルデヒドの製造
前記段階Aで製造されたメチル5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1−((3−フルオロフェニル)スルホニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレート(26.0g、61.1mmol)をテトラヒドロフラン(300.0ml)に溶解させた。得られた溶液に0℃でジイソブチルアルミニウムハイドライド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)(183.4ml、183.4mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した後、1N塩酸溶液を用いて中和させ、エチルアセテートで抽出した。得られた抽出物を無水マグネシウムスルフェート上で乾燥した後、減圧濃縮した。
【0139】
得られた残渣をジクロロメタン(300.0ml)に溶解させた後、セライト(26.0g)およびピリジニウムクロロクロメート(39.5g、183.4mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、ろ過して固体を除去し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:n−ヘキサン=1:2(v/v))で精製して、表題化合物17.2gを製造した。(収率:70.9%)
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3): 9.89 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.45-7.41 (m, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.18 (q, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.92 (t, 1H), 6.77 (t, 1H), 3.63 (s, 3H)
【0140】
(段階C)1−(5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1−((3−フルオロフェニル)スルホニル)−1H−ピロール−3−イル)−N−メチルメタンアミンの製造
前記段階Bで製造された5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1−((3−フルオロフェニル)スルホニル)−1H−ピロール−3−カルバアルデヒド(17.0g、43.0mmol)をメタノール(430.0ml)に溶解させた。得られた溶液にメチルアミン(9.8Mメタノール溶液)(87.8ml、860.0mmol)を加えて、室温で30分間撹拌した。反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム(16.3g、430.0mmol)を加えて、室温で30分間撹拌した。反応混合物に水を加えた後、エチルアセテートで抽出した。得られた抽出液を無水マグネシウムスルフェート上で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:n−ヘキサン=1:2(v/v))で精製して、表題化合物15.2gを製造した。(収率:86.1%)
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3): 7.39-7.35 (m, 1H), 7.26-7.20 (m, 2H), 7.15 (q, 1H), 7.06 (d, 1H), 6.87 (t, 1H), 6.78 (t, 1H), 3.60 (d, 2H), 3.44 (s, 3H), 2.45 (s, 3H)
【0141】
(段階D)1−(5−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−((3−フルオロフェニル)スルホニル)−4−メトキシ−1H−ピロール−3−イル)−N−メチルメタンアミン塩酸塩の製造
前記段階Cで製造された1−(5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1−((3−フルオロフェニル)スルホニル)−1H−ピロール−3−イル)−N−メチルメタンアミン(15.0g、36.6mmol)をエチルアセテート(36.6ml)に溶かした後に、塩酸溶液(2.0Mジエチルエーテル溶液)(36.6ml、73.1mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、ろ過し、得られた固体を減圧乾燥して、表題化合物15.1gを製造した。(収率:92.5%)
分子量446.87
1H-NMR (500 MHz, MeOD): 7.69(s, 1H), 7.58-7.53(m, 1H), 7.45(t, 1H), 7.30(d, 1H), 7.20-7.15(m, 2H), 7.02-6.94(m, 2H),4.07(d, 2H), 3.46(s, 3H), 2.71(s, 3H)
【0142】
実施例および比較例の比較
前記実施例および前記比較例の各製造方法により得られる4−メトキシピロール誘導体の収率、品質などを次のように評価して、下記表1に示した。
【0143】
4−メトキシピロール誘導体の収率:反応終結後に回収された4−メトキシピロール誘導体(化学式1)の重量と、反応前のメチル5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1H−ピロール−3−カルボキシレート(化学式2)の重量をそれぞれ下記式1に代入して計算した:
[式1]
4−メトキシピロール誘導体の収率(%)=100%*{反応終結後に回収された4−メトキシピロール誘導体(化学式1)のモル数}/{反応前のメチル5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1H−ピロール−3−カルボキシレート(化学式2)のモル数}
4−メトキシピロール誘導体の純度および柔軟物質Bの含有量:HPLC(high performance liquid chromatography、高性能液体クロマトグラフィー、製造会社:Waters、e2695 system)機器を用いて、反応終結後に回収された4−メトキシピロール誘導体(化学式1)の純度および柔軟物質Bの含有量を測定した。
【0144】
ここで、柔軟物質Bは1−(5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−メトキシ−1H−ピロール−3−イル)−N−メチルメタンアミンである。
【表1】
【0145】
前記表1をみると、前記実施例は、前記比較例に比べて工程効率が改善されただけでなく、前記比較例に比べて収率が約1.4倍向上したことが確認される。
【0146】
これから、5トンの反応設備を用いて前記化学式1で表される4−メトキシピロール誘導体を生産する場合において、前記実施例1および2によれば、167kgの生産が可能で、56kgの生産が可能な比較例に比べて生産ボリュームが3倍程度増加すると推論される。
【0147】
さらに、前記実施例1および2によれば、段階別の結晶化工程を確保することによって産業的な大量生産が可能であり、比較例に比べてkgあたりの材料費が約7倍節減できると予想される。
【0148】
具体的には、前記実施例と前記比較例は、同一の出発物質(つまり、前記化学式4で表される化合物)を用い、大きく4段階の反応により同一の最終物質(つまり、前記化学式1で表される4−メトキシピロール誘導体)を製造する。
【0149】
ただし、前記比較例に対する前記実施例の最も大きな差異は、前記4段階の反応のうち、段階2で使用される還元剤の種類と、前記段階2および3のインサイチュ(in−situ)構成の有無にある。
【0150】
具体的には、前記実施例は、特に、前記段階2で還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用い、前記段階3で酸化剤として(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルを用いることによって、危険試薬および環境汚染試薬の使用を排除することができた。また、前記段階2の濃縮残液をそのまま用いて前記段階3をインサイチュ(in−situ)で構成することによって、工程の便宜性を高めることができた。
【0151】
それに対し、前記比較例では、前記実施例の段階2に対応する段階Bの還元剤として、危険試薬であるジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)と環境汚染試薬であるピリジニウムクロロクロメートを用いた。これら試薬の除去が容易でなくてシリカカラムを通して精製を進行させ、インサイチュ(in−situ)工程で構成することができなかった。
【0152】
また、前記比較例の場合、前記実施例の段階1に対応する段階Aにおいても危険試薬である水素化ナトリウムを使用する。それに対し、前記実施例はこのような物質を使用しないという利点もある。
【0153】
したがって、前記実施例は、前記比較例に対比して製造工程効率および最終物質の収率を改善しながら、危険試薬および環境汚染試薬の使用を排除して、4−メトキシピロール誘導体の産業的な大量生産に有用であるという利点を取ることができるのに意義がある。
【0154】
一方、前記実施例は前述した一実施形態の例示に過ぎず、最終物質の収率と工程効率を改善しながらも、品質を制御することも可能であろう。
【0155】
実際に、前記実施例2では、前記実施例1に比べて柔軟物質の含有量がより低い最終物質を得るが、これは、段階1の反応温度および乾燥温度を上げてより低い水分含有量を有する物質(つまり、化学式4で表される化合物)を得て;段階4のメチルアミンの投入後、撹拌温度は下げながら撹拌時間は増加させて完全に溶解させ;段階5の1.0M塩酸エチルアセテート溶液の投入および撹拌温度は上げながら迅速に完了した結果として推論される。
【0156】
このような実施例を参照して、前述した一実施形態の範囲内で各段階の工程温度、実行時間などを調節することによって、最終物質の収率と工程効率を改善すると同時に、品質を制御することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021年3月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記の化学式2で表される化合物と、下記の化学式3で表される化合物とを反応させて、下記の化学式4で表される化合物を製造する段階;
2)下記の化学式4で表される化合物と水素化ホウ素ナトリウムとを反応させて、下記の化学式5で表される化合物を製造する段階;
3)下記の化学式5で表される化合物と酸化剤とを反応させて、下記の化学式6で表される化合物を製造する段階;および
4)下記の化学式6で表される化合物とメチルアミンとを反応させて中間体を生成し、還元剤を加えて前記中間体を下記の化学式1で表される化合物に転換させる段階;を含む、
4−メトキシピロール誘導体の製造方法:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項2】
前記段階1は、塩基および4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの存在下で行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記段階1の塩基は、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メチル酸ナトリウム、酪酸カリウム、炭酸セシウム、またはこれらの2以上の混合物である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記段階1で、前記化学式2で表される化合物および前記化学式3で表される化合物のモル比は、10:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記段階1の反応溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、タート−ブタノール、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記段階1の反応温度は、10〜35℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記段階2は、塩化亜鉛およびジメチルアニリンの存在下で行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記段階2で、前記化学式4で表される化合物および前記塩化亜鉛のモル比が10:1〜1:10を満足すると同時に、前記化学式4で表される化合物および前記ジメチルアニリンのモル比が10:1〜1:10を満足するように混合して、前記段階2の反応に使用するものである、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記段階2の反応溶媒は、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記段階2の反応温度は、−15〜80℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記段階3の酸化は、
1)(ジアセトキシヨード)ベンゼン、アイオダイン、ヨードベンゼンジクロライド、ヨードシルベンゼン、およびトリクロロイソシアヌル酸の中から選択される1種の酸化剤;
2)(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−イソチオシアナト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、および4−ホスホノオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシの中から選択される1種の触媒;または
前記1)の中から選択される1種の酸化剤、および2)の中から選択される1種の触媒の混合物;の存在下で行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記段階3の酸化は、(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルの混合物の存在下で行われ、
前記(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルの混合物は、前記化学式5で表される化合物および前記(ジアセトキシヨード)ベンゼンのモル比が10:1〜1:10を満足すると同時に、前記化学式5で表される化合物および前記(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシルのモル比が10:1〜1:10を満足するように混合されたものである、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記段階3の反応溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、エチルアセテート、メタノール、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記段階3の反応温度は、10〜40℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記段階4の反応溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ジメチルエーテル、アセトニトリル、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
前記段階4で、前記化学式6で表される化合物および前記メチルアミンの反応温度は、10〜30℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
前記段階4の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムシアノボロハイドライド、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド、またはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
前記段階4で、前記還元剤および中間体の反応温度は、−5〜10℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項19】
前記段階4で、前記化学式6で表される化合物および前記メチルアミンのモル比は、10:1〜1:10であり、前記化学式6で表される化合物および前記還元剤のモル比は、10:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項20】
前記段階4の後に、
5)前記化学式1で表される化合物に酸を加えて、下記の化学式1−1で表される酸性塩を製造する段階;をさらに含む、請求項1に記載の製造方法:
【化1-1】
【請求項21】
前記段階5は、前記化学式1で表される化合物に有機溶媒;を供給した後、酸またはその有機溶媒との混合溶液;を供給して、前記化学式1−1で表される酸性塩を結晶化する段階を含むものである、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記結晶化温度は、−15〜20℃である、請求項21に記載の製造方法。
【国際調査報告】