(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-536215(P2021-536215A)
(43)【公表日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】非漏出流体チャネルが埋め込まれたモータハウジング
(51)【国際特許分類】
H02K 5/06 20060101AFI20211126BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20211126BHJP
【FI】
H02K5/06
H02K5/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2021-512805(P2021-512805)
(86)(22)【出願日】2019年7月3日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月5日
(86)【国際出願番号】KR2019008111
(87)【国際公開番号】WO2020050483
(87)【国際公開日】20200312
(31)【優先権主張番号】10-2018-0107107
(32)【優先日】2018年9月7日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520452688
【氏名又は名称】エムエイチ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジン−ホ
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB14
5H605CC01
5H605DD07
5H605DD13
5H605GG16
5H605GG20
(57)【要約】
本発明は流体チャネルを含むモータハウジングに関し、前記モータハウジングの長さ方向に対して非漏出(leak−free)流体チャネルが埋め込まれ、前記非漏出流体チャネルのうち少なくとも一つは冷却流路に提供されて前記冷却流体が流動するように構成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子を内部に収容するための円形構造の内部支持物と;
一つ以上の非漏出流体チャネルを含むものの、前記内部支持物の外面に螺旋状に巻かれて一体化された高圧ダイカスト用コア;を含むことを特徴とする、モータハウジング。
【請求項2】
少なくとも一つの非漏出流体チャネルを含むモータハウジングであって、
固定子を内部に収容するための円形の構造を有し、外面に螺旋状に非漏出流体チャネルを含む高圧ダイカスト用コアが一体化された内部支持物が埋め込まれているものの、前記非漏出流体チャネルのうち少なくとも一つは冷却流路に提供されて冷却流体が流動するように構成されることを特徴とする、モータハウジング。
【請求項3】
前記内部支持物の外面には、前記高圧ダイカスト用コアの巻きを案内するための螺旋状の装着溝;がさらに形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のモータハウジング。
【請求項4】
前記内部支持物の内部に固定子および回転子が挿入され、前記モータハウジングの上面にカバーが固定されたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のモータハウジング。
【請求項5】
前記内部支持物は鋳造あるいは押出成形あるいは押出成形後に加工によってあらかじめ製造されたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のモータハウジング。
【請求項6】
前記ダイカスト用コアが一体化されている前記内部支持物が高圧ダイカスト工程によって埋め込まれていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のモータハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体チャネルを含むモータハウジングに関し、前記モータハウジングの長さ方向に対して非漏出(leak−free)流体チャネルが埋め込まれ、前記非漏出流体チャネルのうち少なくとも一つは冷却流路に提供されて冷却流体が流動するように構成されるモータハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電気自動車(EV;electric vehicle)は主にバッテリーの電源を利用してACモータまたはDCモータを駆動して動力を得る自動車を指し示すが、これがバッテリー専用電気自動車とハイブリッド電気自動車に大別されるところは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者(以下「通常の技術者」という)に広く知られている通りである。ここでバッテリーはニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素バッテリー、リチウム−基盤バッテリー、燃料電池(fuel cell)等に限定されないところ、動力を生成するモータに電力を供給できるエネルギー貯蔵装置であれば広くこれに含まれるものと言える。
【0003】
これら車両の主要部品であるモータは電気エネルギーを回転エネルギーに変換するものであって、ハウジング、ハウジングに装着される固定子(stator)、固定子の内部に回転軸を中心に回転可能に挿入される回転子(rotor)を含む。
【0004】
一方、モータは作動過程で回転子および固定子で高温の熱が発生することになるが、このようにモータ内のコイル温度が高くなると、モータの駆動と発電効率が急激に低下するだけでなく、部品が損傷する恐れがあり、モータの駆動と発電効率が急激に低下することによる動力損失が発生して関連応用動力系の効率を低下させる要因として作用し得る。
【0005】
このような問題を防止するためにモータを冷却させてモータの高い駆動トルクと効率を維持できるようにしているが、従来は内部ハウジングと外部ハウジングをそれぞれ別途に鋳物製作し、内部ハウジングと外部ハウジングの間に冷却チャネルが形成されるように、内部ハウジングと外部ハウジングを圧入およびシーリング(sealing)するか溶接する技術が主に適用されていた。
【0006】
ところが、このようなモータの従来の冷却技術は、内部ハウジングと外部ハウジングとの間の型合わせギャップ(gap)が発生することにより冷却流体が漏れて冷却効率が低下し、流路の設計自由度が低いため、入力段と出力段の流路が互いに交差するように配置されることによりサーマルクロストーク(thermal crosstalk)が発生する問題点があった。
【0007】
[先行技術文献]
【0008】
[特許文献]
【0009】
(特許文献0001)日本登録特許公報第5613453号
【0010】
(特許文献0002)大韓民国公開特許公報第10−2016−0047809号
【0011】
(特許文献0003)アメリカ登録特許公報第7965002号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は冷却効果を上昇させることができ、流路の完全密閉を具現化し、サーマルクロストーク現象を防止できる、非漏出冷却流体チャネルが埋め込まれたモータハウジングを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明のさらに他の目的は、冷却流路が安定して成形され得ることはもちろん、固定子が結合される結合面に発生し得る気孔欠陥が最小化されたモータハウジングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための本発明の実施例に係るモータハウジングは、少なくとも一つの非漏出(leak−free)流体チャネルを含むモータハウジングであって、
【0015】
固定子を内部に収容するための円形の構造を有し、外面に螺旋状に非漏出(leak−free)流体チャネルを含む高圧ダイカスト用コアが一体化された内部支持物が埋め込まれているものの、前記非漏出流体チャネルのうち少なくとも一つは冷却流路に提供されて冷却流体が流動するように構成されることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記内部支持物の外面には前記高圧ダイカスト用コアの巻きを案内するための螺旋状の装着溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、前述した構成のモータハウジングにおいて、前記内部支持物の内部に固定子および回転子が挿入され、前記モータハウジングの上面にカバーが固定されていることをさらに他の特徴とする。
【0018】
変形可能な本発明のさらに他の実施例に係るモータハウジングは、
【0019】
固定子を内部に収容するための円形構造の内部支持物と;
【0020】
一つ以上の非漏出(leak−free)流体チャネルを含むものの、前記内部支持物の外面に螺旋状に巻かれて一体化された高圧ダイカスト用コア;を含むことをさらに他の特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る非漏出流体チャネルを含むモータハウジングは次のような効果を提供する。
【0022】
第1に、冷却流体、例えば、空気の漏れがなく、流路の完全密閉を実現できるため、冷却性能を維持および向上させることができる。
【0023】
第2に、従来にはダイカスト後に別途の後加工およびシーリングに関連した部品を含むシーリングのための作業などによって工程が複雑で製造単価が高かったのとは異なって、押出パイプを加工してこれをダイカスト用コアとして利用することによってモータハウジングの金型にインサート(insert)射出するため生産時間を節減することができ、製造原価を低くすることができるため生産的である。
【0024】
第3に、冷却流体の領域が狭くて冷却流体の入口と出口が同一線上にあるため冷却効果が低下していた従来とは異なり、冷却流体の入口と出口の位置を分離することによって冷却効果を向上させることができる。
【0025】
第4に、本発明の実施例に係るモータハウジング製造方法では、高い密度を有するように製造された内部支持物の外面に高圧ダイカスト用コアを巻いて一体化した後に高圧ダイカスト工程を遂行するため、螺旋状(ヘリックス)の冷却流路が安定して成形される長所があることはもちろん、固定子が結合される結合面、すなわち内部支持物の内側の表面に発生し得る気孔欠陥を最小化することによって、モータハウジングの素材不良率を画期的に下げ得る長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例に係るモータハウジングの斜視図である。
【0027】
【
図2a-2b】それぞれ
図1に図示されたモータハウジングの平面図および底面図である。
【0028】
【
図3a-3b】それぞれ
図1に図示されたモータハウジングの左側面図と右側面図である。
【0029】
【
図4a-4b】それぞれ
図1に図示されたモータハウジングの正面図と背面図である。
【0030】
【
図5】
図2aに図示されたモータハウジングのA−A線に沿って取った断面図である。
【0031】
【
図6】
図4aに図示されたモータハウジングのB−B線に沿って取った断面図である。
【0032】
【
図7】
図1に図示されたモータハウジングの製造に利用される構成要素を分解して示した斜視図である。
【0033】
【
図8】本発明のモータハウジングに利用される高圧ダイカスト用コアの他の実施例を示した斜視図である。
【0034】
【
図9】本発明のモータハウジングに利用される高圧ダイカスト用コアのさらに他の実施例を示した斜視図である。
【0035】
【
図10】本発明のさらに他の実施例に係るモータハウジングを製造するために使われる内部支持物150のさらに他の形状例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の好ましい実施例を添付された図面を参照して説明する。ただし、発明の要旨に関わっていない一部の構成は省略または圧縮するが、省略された構成と言えども必ずしも本発明で不要な構成ではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって結合されて使われ得る。
【0038】
図1は本発明の一実施例に係るモータハウジングの斜視図であり、
図2aおよび
図2bはそれぞれ
図1に図示されたモータハウジングの平面図および底面図であり、
図3aおよび
図3bはそれぞれ
図1に図示されたモータハウジングの左側面図と右側面図であり、
図4aおよび
図4bはそれぞれ
図1に図示されたモータハウジングの正面図と背面図である。
【0039】
図1〜
図4bに図示された通り、本発明の一実施例に係るモータハウジング100は、非漏出(leak−free)流体チャネル200を含む。
【0040】
図5は
図2aに図示されたモータハウジングのA−A線に沿って取った断面図であり、
図6は
図4aに図示されたモータハウジングのB−B線に沿って取った断面図である。
図5および
図6に例示的に図示されたものから分かるように、非漏出流体チャネル200はモータハウジング100の長さ方向に対して螺旋状に埋め込まれている。これはモータハウジングに対する冷却効果を高めるためのものであり、モータハウジング100の外周の側面の内部に円周方向に沿って右ねじまたは左ねじ方向に巻かれてモータハウジング100の長さ方向、すなわち高さ方向に沿って設定された間隔(ピッチ;pitch)で積層され得る。
【0041】
前記流体チャネル200は
図1〜
図6に図示された通り、二重で構成された流体チャネルであり得る。二重非漏出流体チャネル200は内部チャネル200aと外部チャネル200bを含むが、このうち内部チャネル200aは冷却流路として提供されてその冷却流体が流動するように構成される。このような冷却流体の流動によってモータハウジング100の収容空間101が冷却される。外部チャネル200bはその他の用途で活用され得る。
【0042】
図1に示された2個のチャネルポート(210および220)は非漏出流体チャネル200の端部であって、冷却流体の出入口として機能する。一方、図面に図示されてはいないが、ポンプが上部チャネルポート210および下部チャネルポート220を通じてモータハウジング100に連結されて冷却流体を強制流動させることができるところ、例えば制御部を通じてポンプが作動制御され、冷却流体の流体特性および冷却性能が冷却流体の流速の調節に考慮され得る。ここで前記制御部は、あらかじめ設定された設定値によってポンプを制御したり、冷却流体の温度を感知する温度センサを通じて冷却流体の温度等を通して前記ポンプを制御して、冷却流体の流量および流速などを制御できることは言うまでもない。
【0043】
ここで、冷却流体は上部チャネルポート210に入って下部チャネルポート220から出てもよいが、その反対に下部チャネルポート220に入って上部チャネルポート210から出てもよい。
【0044】
一方、冷却流体は冷却水、公知になっている冷媒、空気など、冷却目的のためのものであれば多様な流体を含むことができるところ、例えば取り扱いが容易であり冷却効率および流動性が優秀な冷却水が前記冷却流体として利用され得る。
【0045】
図7は、
図1に図示されたモータハウジングの製造に利用される構成要素を分解して示した斜視図である。
【0046】
図7に例示的に図示された通り、前述した実施例に係るモータハウジング100の内部には固定子300、回転子下側ベアリング410、回転子400、回転子上側ベアリング420が挿入され、モータハウジング100の上面にはカバー500が固定されることによって全体のモータハウジングが完成され得る。
【0047】
モータハウジング100の流体チャネル200は、この実施例によると、その断面積が四角形の形状となり得る。これは一実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲およびそれと均等な範囲内にある限り、モータハウジング100の構造と形状が多様に形成され得ることは言うまでもない。
【0048】
<モータハウジング製造のための高圧ダイカスト用コア>
【0049】
モータハウジング100に流体チャネル200を形成するために高圧ダイカスト工程が利用され得るが、ダイカスト鋳造時に鋳物の内部の形状を作るために金型内に挿入されるものをコアという。コアは鋳造中に溶融金属(溶湯)の熱と圧力に対してその形状を維持するのに十分な機械的強度を有さなければならない一方、鋳造後に鋳造品から容易に除去され得るように、比較的に容易に破損しなければならない。このようなコアの材料としては、砂(サンド;sand)、熱硬化性樹脂(例えば、フォーム(foam))およびソルト(salt)が一般的に利用される。
【0050】
従来のコアはそのコアの内部が空いている状態であり、高圧鋳造時に溶湯の圧力を受けてコアの変形が発生し得る問題点があったが、そのような問題点を解決するために、そのコア本体の内部に充填層を含む高圧ダイカスト用コアが一般的に利用される。
【0051】
再び
図7を参照すると、本発明によりモータハウジングを製造する高圧ダイカスト工程に利用される例示的なコア600aは、モータハウジング100の長さ方向に対して螺旋状に埋め込まれる非漏出流体チャネル200を含む金属パイプであり、非漏出流体チャネル200には充填材が満たされるが、この非漏出流体チャネル200が二重である場合、そのそれぞれのチャネル200a、200bに充填材が満たされ得る。
【0052】
充填材の一例にはソルト(salt)、マグネシア(magnesia)、スチールメッシュ(steel mesh)等があるが、これに限定されず、砂、セラミックビーズ(ceramic biz)、有機化合物も利用され得る。これらの物質は単独でまたは混用され得る。
【0053】
一方、高圧ダイカスト用コアはこれに限定されないところ、
図8は本発明のモータハウジングに利用される高圧ダイカスト用コアの前述した実施例と異なる実施例を示した斜視図であり、
図9は本発明のモータハウジングに利用される高圧ダイカスト用コアのさらに他の実施例を示した斜視図である。そして、
図10は本発明のさらに他の実施例に係るモータハウジングを製造するために使われる内部支持物150のさらに他の形状例示図である。
【0054】
まず、
図8に図示されたコア600cは、それによって形成される単一流体チャネルの断面が四角形である例示を示したものであり、上部チャネルポート210cと下部チャネルポート220cを含む。
【0055】
次に、
図9に図示されたコア600bは、それによって形成される単一流体チャネルの断面が円形である例示を示したものであり、上部チャネルポート210bと下部チャネルポート220bを含む。
【0056】
本発明で利用される高圧ダイカスト用コア600a、600b、600cは継ぎ目なしに(seamlessly)連続的に形成されることが好ましい。
【0057】
このような高圧ダイカスト用コアにおいての充填材は、常温以上の特定範囲に至るまで、その温度の変化にも物性の変化がほとんど現れない粉末または微粒子の形態の物質であることが好ましい。
【0058】
<高圧ダイカスト工程によるモータハウジングの製造方法>
【0059】
以下では、高圧ダイカスト用工程によって本発明に係るモータハウジングを製造する方法(以下「モータハウジング製造方法」という)に関して説明することにする。
【0060】
再び
図7を参照すると、本発明に係るモータハウジング製造方法は、まず、モータハウジング100の長さ方向に対して螺旋状に埋め込まれる非漏出流体チャネル200を含む高圧ダイカスト用コア600aと、内部支持物150を組み立てて一体化される第1段階を含む。あらかじめ鋳造されて形成されたり押出成形後に装着溝152などを後加工する方式で形成され得る内部支持物150は、固定子300を収容するように円形(モータ、固定子の形状に合うように変形可能)構造を有し、後述する高圧ダイカスト工程を通じてモータハウジング100内に埋め込まれる(一体化)。
【0061】
因みに、前記内部支持物150の外面には高圧ダイカスト用コア600aの巻きを案内するための螺旋状の装着溝152が形成されている。高圧ダイカスト用コア600aが高圧によって形状が変形することなく安定して成形され得るようにするために、堅固な剛性を有する内部支持物150を利用することが好ましい。また、内部支持物150を利用することによって、固定子300の接触面に発生し得る気孔欠陥を最小化することができる。気孔欠陥を最小化するために、密度が高い押出材を利用して内部支持物150を成形した後に後加工を通じて装着溝152を形成することができ、高い密度を有する鋳物を利用して内部支持物150を形成してもよい。もちろん、
図10に図示した通り、押出成形された押出材自体を内部支持物150として使うことができる。このような場合、装着溝152の後加工は不要であろう。
【0062】
一方、前記第1段階では非漏出流体チャネル200a、200bに充填材が満たされる。日本登録特許公報第5613453号(特許文献1)に開示された従来技術では、金属パイプに入れる砂とその砂を接合して望む温度で前記接合した状態から離した状態に戻す粘結剤を撹はんすることによって粘結剤含有砂を得る粘結剤含有砂形成工程が必要であったが、本発明によると、充填材(支持素材)と粘結剤を必ずしも撹はんしなくてもよいという工程上の利点がある。また、特許文献1によると、前記粘結剤含有砂を金属パイプに充填し、硬化させた後に前記金属パイプをキャップで封じて粘結砂充填コアを得たが、本発明によると、これも金属パイプの両端の充填材のみをバインダー硬化させてコアを形成することによって、金属管をキャップで封じなくても済む。
【0063】
すなわち、本発明で利用される高圧ダイカスト工程では粘結剤の撹はんが必ずしも必要ではなく、パイプの両端を封じることも必ずしもキャップによらなくてもよい。
【0064】
次に、本発明に係るモータハウジング製造方法は、鋳物をモータハウジング100の外側面、すなわちモータハウジングを形成するためのモータハウジング鋳造金型(図示されず)の内側に満たすことによって、高圧ダイカスト用コア600aの外周面を囲むようにして非漏出流体チャネル200が埋め込まれたモータハウジング100を形成する第2段階を含むところ、そのモータハウジング100は
図7に例示的に図示された通りである。
【0065】
これをより具体的に説明すると、内部鋳造部150に一体化された高圧ダイカスト用コア600aをモータハウジング鋳造金型に挿入配置した後、高圧の条件でモータハウジング鋳造金型の内面と内部鋳造部150に一体化された前記高圧ダイカスト用コア600aの間に鋳物を満たすことによって、非漏出流体チャネルが埋め込まれたモータハウジング100を形成できるのである。
【0066】
一方、前述した第2段階に先立ち、鋳物と高圧ダイカスト用コア600aの間の熱膨張によるクラック(crack)が発生しないように、高圧ダイカスト用コア600aを予熱する段階をさらに追加してもよい。
【0067】
第2段階を遂行した後には、流体チャネル200の完全な形成のために前記充填材が除去され得る。
【0068】
次に、本発明に係るモータハウジング製造方法は、固定子300および回転子400をモータハウジング100の内部に挿入する第3段階をさらに含むことができる。
【0069】
大韓民国公開特許公報第10−2016−0047809号(特許文献2)に開示された従来技術では、モータハウジング鋳造金型に固定子コアを挿入して配置する工程が必要であったが、本発明によると、固定子は本発明に係るモータハウジングのダイカスト後に簡便に組み立てられ得るという利点がある。したがって、特許文献2によると、モータハウジング鋳造金型の内面と固定子コアの外面の間にさらに他のコア(すなわち、中子)を配置する反面、本発明によると、モータハウジング鋳造金型の内面と内部支持物間に鋳物を注入することによって、モータハウジング鋳造金型の内面の内側の高圧ダイカスト用コアおよび内部支持物が一体になってモータハウジングに埋め込まれ得る。
【0070】
第3段階では回転子400の下側と上側にそれぞれ回転子下側ベアリング410と回転子上側ベアリング420が介在されて回転子の支持を補助できるところ、このようなベアリング構成は通常の技術者に広く知られている通りである。
【0071】
また、例えば、固定子300の挿入は焼き嵌め工程(shrinkage fitting process)によって行われ得るであろう。
【0072】
第3段階後に、本発明に係るモータハウジング製造方法は、カバー500をモータハウジング100の上面に固定することによって固定子300および回転子400がモータハウジング100の内部に収納されるようにする第4段階をさらに含むことができる。
【0073】
前述した本発明のすべての実施例に亘って、本発明の実施例に係るモータハウジングは、冷却性能を維持および向上させ得る長所がある。
【0074】
また、本発明の実施例に係るモータハウジングは、従来の技術から見いだせない本発明特有の構成、例えば押出パイプを加工してこれをダイカスト用コアとして利用することによってモータハウジングの金型にインサート射出するため、生産時間および製造単価を節減できるという点である。
【0075】
さらに、本発明の実施例に係るモータハウジングは、固定子を内部に収容可能な内部支持物150の外面に螺旋状の高圧ダイカスト用コアを巻いて一体化した後に高圧ダイカスト工程を遂行するため、螺旋状(ヘリックス)の流路が安定して成形される長所があり、さらに、密度が高い内部支持物150を利用するため内部支持物150の内側の表面に発生し得る気孔欠陥を最小化することができ、その結果、モータハウジングの素材不良率を画期的に下げ得る長所がある。
【0076】
前記した本発明の好ましい実施例は例示の目的のために開示されたものであり、通常の技術者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更および付加が可能であり、このような修正、変更および付加は本発明の特許請求の範囲に属するものと理解されるべきである。
【0084】
210、210b、210c:上部チャネルポート
【0085】
220、220b、220c:下部チャネルポート
【0091】
600a、600b、600c:高圧ダイカスト用コア
【国際調査報告】