(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-536464(P2021-536464A)
(43)【公表日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/20 20060101AFI20211129BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20211129BHJP
C08G 65/331 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
C07D307/20
A61K47/22
C08G65/331
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2021-512487(P2021-512487)
(86)(22)【出願日】2019年9月4日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月28日
(86)【国際出願番号】EP2019073509
(87)【国際公開番号】WO2020049010
(87)【国際公開日】20200312
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/104219
(32)【優先日】2018年9月5日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】62/745,676
(32)【優先日】2018年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】18200298.0
(32)【優先日】2018年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】19157032.4
(32)【優先日】2019年2月13日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】19157068.8
(32)【優先日】2019年2月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】19157297.3
(32)【優先日】2019年2月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】19194776.1
(32)【優先日】2019年8月30日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】19195046.8
(32)【優先日】2019年9月3日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521313854
【氏名又は名称】ロンザ・グワンジョウ・ファーマシューティカル・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502336151
【氏名又は名称】ロンザ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェラー,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ワイラー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ジエピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヤンリン
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,レタ
(72)【発明者】
【氏名】ハンゼルマン,パウル
(72)【発明者】
【氏名】リンド,タニア・ケアロップ
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,エメリ・ヨセフィーナ
(72)【発明者】
【氏名】コチェルビトフ,ビタリー
(72)【発明者】
【氏名】エングブロム,ヨーアン
【テーマコード(参考)】
4C037
4C076
4J005
【Fターム(参考)】
4C037DA07
4C076AA36
4C076DD59
4C076EE23
4C076FF36
4J005AA04
4J005BD02
(57)【要約】
本発明は、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンと脂肪酸塩化物との反応によって、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、Polysorbate 80を調製するための方法、およびこの方法によって得ることができるポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンと酸塩化物ACIDCHLORとの反応REAC−Aによる、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを調製するための方法であって、
ACIDCHLORが、式(I)の化合物であり、
【化1】
R1が、直鎖もしくは分枝鎖C
10−22アルキル、または直鎖もしくは分枝鎖C
10−22アルケニルである、方法。
【請求項2】
R1が、直鎖C10−22アルキルまたは直鎖C10−22アルケニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンのポリオキシエチレンは、平均で10〜30を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
REAC−Aは温度TEMP−Aで行われ、TEMP−Aは0〜70℃である、請求項1〜3のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項5】
REAC−Aのために溶媒が使用されない、請求項1〜4のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項6】
REAC−Aのために水が使用されない、請求項1〜5のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項7】
REAC−Aのために触媒が使用されない、請求項1〜6のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項8】
REAC−Aが無希釈で行われる、請求項1〜7のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項9】
1,4−ソルビタンをエチレンオキシドと反応させる、反応REAC−Bによって、前記ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンが調製される、
請求項1〜8のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項10】
前記1,4−ソルビタンが、4つの連続工程STEP1、STEP2、STEP3およびSTEP4を含む方法SORBIDによって調製され、
STEP1において、D−ソルビトールが、p−トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下で、脱水反応DEHYDREACで脱水され、STEP1が混合物MIX1を提供し、
STEP2において、エタノールをMIX1と混合し、STEP2が混合物MIX2を提供し、
STEP3において、イソプロパノールをMIX2と混合し、STEP3が混合物MIX3を提供し、
STEP4において、1,4−ソルビタンがMIX3から単離される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記p−トルエンスルホン酸が、p−トルエンスルホン酸一水和物の形態で使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
DEHYDREACのために溶媒が使用されない、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
DEHYDREACのために水が投入されない、請求項10〜12のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項14】
DEHYDREACが無希釈で行われる、請求項10〜13のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項15】
STEP2が、60〜90℃の温度TEMP2で行われる、請求項10〜14のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項16】
STEP3が、10〜30℃の温度TEMP3−1で行われる、請求項10〜15のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項17】
前記イソプロパノールの混合の後、STEP3が、MIX3を−5〜5℃の温度TEMP3−2まで冷却するCOOL3を含む、請求項10〜16のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項18】
STEP3が、MIX3を撹拌するSTIRR3を含み、STIRR3は、時間TIME3−2の間行われ、TIME3−2は1〜12時間である、請求項10〜17のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項19】
STIRR3が、COOL3の後に行われ、COOL3が請求項17に定義される通りである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
STIRR3が、TEMP3−2で行われ、TEMP3−2が請求項17に定義される通りである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
STEP1、STEP2およびSTEP3が、1つの同じ反応器内で連続して行われる、請求項10〜20のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項22】
前記1,4−ソルビタンが、3つの連続工程STEP1AQU、STEP2AQUおよびSTEP3AQUで1,4−ソルビタンを調製するための方法SORBIDAQUによって調製され、
STEP1AQUにおいて、D−ソルビトールが、p−トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下で、脱水反応DEHYDREACAQUで脱水され、STEP1AQUが混合物MIX1AQUを提供し、
STEP2AQUにおいて、エタノールをMIX1AQUと混合し、STEP2AQUが混合物MIX2AQUを提供し、
STEP3AQUにおいて、イソプロパノールをMIX2AQUと混合し、STEP3AQUが混合物MIX3AQUを提供し、
D−ソルビトールが、D−ソルビトールと水との混合物の形態でSTEP1AQUに使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
反応REAC−Aによってポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを調製するための方法によって得ることができ、前記方法およびREAC−Aが請求項1〜21に定義される通りである、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項24】
前記ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル中のPEO1,4−ソルビタンモノエステル種のEO単位の平均数が19〜23である、請求項23に記載のポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項25】
イソソルビド種を含まないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項26】
ソルビトール種を含まないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項27】
MALDIスペクトルにおいて、ただ1つの最大値を有するシグナル分布を示す、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項28】
ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであって、前記ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルのMALDIスペクトルが、MWが3500を超える物質のシグナルであって、シグナルの高さが前記MALDIスペクトル中の全分布の最大値に対して5%を超えるシグナルを示さない、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項29】
DSCにおいて−13℃以下の温度でシグナルの最大値を有する吸熱シグナルを示す、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項30】
DSCにおいてΔHが35J/g以下である吸熱シグナルを示す、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項31】
DSCにおいて−13℃を超える温度でシグナルの最大値を有する吸熱シグナルを示さない、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項32】
DSCにおいてΔHが35J/gを超える吸熱シグナルを示さない、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項33】
DSCにおいてΔHが30J/gを超える発熱シグナルを示さない、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項34】
DSCにおいて−50℃以上の温度でシグナルの最大値を有する発熱シグナルを示さない、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【請求項35】
薬物製剤の製剤中の賦形剤としての、請求項23〜34のうちの一項以上に記載のポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルの使用。
【請求項36】
10重量%以下のPEOイソソルビドモノオレエートを含有するポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであって、前記重量%が、PEOイソソルビドモノオレエートの含有量について分析される前記ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルの試料の重量に基づく、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンと脂肪酸塩化物との反応によって、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、Polysorbate 80を調製するための方法、およびこの方法によって得ることができるポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを開示する。
【背景技術】
【0002】
Polysorbate 80は、親水性非イオン性界面活性剤である。良好なハイドロトロープ効果に起因して、Polysorbate 80は、通常、注射などの非経口適用のためのAPIまたは薬物の製剤の調製中に、共溶媒として、乳化剤として、および安定剤として機能する。
【0003】
Chang Li et al.,International Journal of Nanomedicine,2014,9,2089−2100(以下で「Li et al.」とも略される)は、PNS(ポリオキシエチレン非イオン性界面活性剤)の一種としてのポリソルベート、例えば、Polysorbate 80、および特に、錠剤、エマルション、特定的には、注射液の調製における用途を有するナノ担体系としてのそれらの使用を記載している。これは、薬物、特定的には、疎水性薬物、例えば、疎水性抗がん薬物の標的組織への送達を改善するための促進剤として使用される。しかしながら、ポリソルベートを得るために異なる製造業者によって使用される異なる合成プロセスに起因して、ポリソルベートの構造および組成は、バッチごとに同一ではない。例えば、United States Pharmacopeia 35−National Formulary 30において、Polysorbate 80は、脂肪酸、主にオレイン酸の部分エステルと、ソルビトールおよび各モルのソルビトールについて約20モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたソルビトールの無水物、ならびにソルビトール無水物の混合物として定義された。Polysorbate 80を調製するための1つの方法は、まず、ソルビトールを脱水し、脱水誘導体とし、オレイン酸でエステル化して、ソルビタン脂肪酸エステルを提供し、次いで、エチレンオキシドとソルビタン脂肪酸エステルとの重合反応を伴う。
【0004】
別の方法は、まず、エチレンオキシドとソルビタンの脱水誘導体との重合反応、続いてエステル化を行うことである。
【0005】
Polysorbate 80の広く許容される構造は、w+x+y+z=20、すなわち、EO(エチレンオキシド)単位の平均含有量が20である式(PS80)の化合物である。
【0006】
【化1】
【0007】
様々な理由から、Polysorbate 80は、多くの化合物の混合物である。多様性の1つの由来は、Polysorbate 80の場合にはオレイン酸である、脂肪酸部分である。しかしながら、オレイン酸は、天然源由来の天然産物として使用され、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、またはリノレン酸等の他の脂肪酸を含む。したがって、上述の産物Polysorbate 80は、オレイン酸に由来するだけでなく、天然産物オレイン酸中に存在する他の脂肪酸に由来する脂肪酸エステルを含む。
【0008】
多様性のさらなる由来として、Li et al.は、ポリソルベートの合成における第1工程が通常、ソルビトールからソルビタンへの脱水であることを指摘し、このことは、最終生成物が、式(SORBITOL)の化合物の一般式を有するソルビトールと、異なる構造を有するソルビトール由来の環状エーテル、例えば、
式(1,4)の化合物の一般式を有する、1,4−ソルビタン、
式(1,5)の化合物の一般式を有する、1,5−ソルビタン、
式(2,5)の化合物の一般式を有する、2,5−ソルビタン、および
式(1,4:3,6)の化合物の一般式を有する、1,4:3,6イソソルビドとの混合物であることを示唆している。
【0009】
【化2】
【0010】
1,4−ソルビタン、1,5−ソルビタン、および2,5−ソルビタンは、別途明示されていない本発明の意味において、互いに異性体である。
【0011】
脱水反応のさらなる副生成物は、ソルビトールポリマーであり得る。
【0012】
したがって、ソルビトールの脱水によって提供される脱水生成物は、すでに異なる化合物の混合物であり、次いで、この混合物をオレイン酸およびエチレンオキシドを用いてPolysorbate 80に変換すると、明らかに、Polysorbate 80と呼ばれる生成物は、ソルビトールの脱水によって提供される混合物中に見出される化合物のいずれかに由来する化合物を含む。
【0013】
明らかに、エチレンオキシドの重合反応も、エチレンオキシドがソルビトールの脱水反応からの生成物の各ヒドロキシル残基と反応し、それによってヒドロキシル残基上にポリオキシエチレン鎖を構築することができるため、さらに多様性をもたらすであろう。また、様々な数のエチレンオキシド単位が、様々なヒドロキシル残基に基づいて構築される様々なポリオキシエチレン鎖に導入され得る。
【0014】
Li et al.はさらに、PNSが偽アレルギーを引き起こす可能性が周知であることを指摘している。偽アレルギー(Pseudo allergy)は、World Allergy Organizationが使用する公式用語である。偽アレルギーは、原因薬物の最初の投与後に観察される免疫アレルギー反応と同様の反応である。一般的なアレルギーとは異なり、偽アレルギー反応は、肥満細胞からのヒスタミンの放出を直接誘導し、既に存在する免疫グロブリンE抗体によって開始または媒介されない、エイコサノイドの異常な合成およびブラジキニン分解の阻害を伴い、補体系を活性化することができる。PNSに応答する偽アレルギーの正確な機構はまだ不明であるが、補体系の活性化および肥満細胞の脱顆粒は、偽アレルギーを引き起こす反応を開始し、すなわち、偽アレルギー反応の最初の工程が鍵となる工程であると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Chang Li et al.,International Journal of Nanomedicine,2014,9,2089−2100
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
既知の製品よりも高い品質およびより良い性能を有するポリソルベート、特定的には、Polysorbate 80が常に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の方法で調製することができるポリソルベート、すなわち、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、高純度を示し、
●ソルビトール、ソルビタン、1,4:3,6イソソルビド、ソルビトールポリマー、およびそれらの異性体のいずれかの含有量が低く、
●ポリエチレングリコールの含有量が低く、
●PEOイソソルビド、PEOソルビタン、およびそれらの異性体のいずれか、例えば、PEO1,4−ソルビタンの含有量が低く、
●オレイン酸等の脂肪酸の含有量が低く、
●イソソルビド脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそれらの異性体のいずれか、例えば、1,4−ソルビタン脂肪酸エステル、特に例えば1,4−ソルビタンオレエートおよびイソソルビドモノオレエート、ジオレエートまたはトリオレエートの含有量が低く、
●PEO脂肪酸エステル、例えば、PEOモノオレエート、ジオレエートまたはトリオレエートの含有量が低く、
●PEOイソソルビド脂肪酸エステル、例えば、PEOイソソルビドモノオレエート、ジオレエートまたはトリオレエートの含有量が低く、
PEO1,4−ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、PEO1,4−ソルビタンモノエステル、PEO1,4−ソルビタンモノオレエートの含有量が高く、
ポリソルベートは、低い着色を示し、エチレンオキシド単位の数の分布が狭く、良好な乳化特性および可溶化特性を示す。
【0018】
本発明の方法を用いて調製することができるポリソルベート、すなわち、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを、薬物製剤の製剤中の賦形剤、例えば、非経口で適用される薬物製剤中の賦形剤として使用することができる。ポリソルベートを使用して、生物製剤およびワクチンを安定化する。特定的には、非経口で適用される薬物製品における粒子形成は、減らすことができるか、またはさらにはなくすことができる。貯蔵寿命が延長され、例えば、粒子形成の低減に起因するバッチの損失。粒子形成は、DLS(動的光散乱)またはラマン分光法等のいくつかの方法で測定することができる。
【0019】
さらなる使用は、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤および可溶化剤としての使用である。乳化剤として、ポリソルベートは、エマルションを作製するために使用され、局所的使用および経口使用のためのクリームおよびエマルション、ならびに眼用、鼻用および耳用の製剤、または吸入される製剤であってもよい。可溶化剤として、ポリソルベートは、例えば、注射液、点眼薬等の非経口で適用される難溶性薬物と共に使用される。生物製剤の安定剤として、凝集を防止し、界面応力を低減するために、ポリソルベートを、製造中、ならびに静脈内、皮下および筋肉内注射に使用する。ポリソルベートは、例えば、既知のポリソルベートと比較して、より低いCMC(臨界ミセル濃度)を示し、このことは、例えば、エマルションを調製するために必要な量が、既知のポリソルベートの場合には、より少なく、または言い換えると、例えばZ電位の測定によって示すことができるように、同じ量でエマルションがより安定になることを意味する。CMCは、例えば、特に、液滴容積の引張計による測定によって測定することができる。ポリソルベートは、例えば、ゴニオメータ測定によって決定することができるように、より低い界面張力を示す。また、その表面(界面)特性に関して既知の製品と比較して、エトポリソルベート(eth polysorbate)のより良い性能の特性決定のために、エリプソメトリも使用することができる。ポリソルベートは、タンパク質の安定化において、より良好な性能を示す。これは、特に、SWAXD(小角および広角X線回折)、シンクロトン−SAXS(シンクロトロン小角X線散乱)、QCM−D(吸着、散逸監視付きの水晶振動子マイクロバランス)、中性子反射率測定またはZ電位によって決定することができる。また、lTC(等温滴定カロリメトリー)は、タンパク質との相互作用における既知のポリソルベートと比較して、ポリソルベートのより良い性能を示すための別の方法である。
【0020】
別の重要な態様は、免疫反応である。ポリソルベートが非経口で適用される場合、例えば、抗がん薬、生物製剤およびタンパク質製剤との異なる種類の免疫反応が顕著である。タキソールのような化合物は、難溶性であり、ポリソルベートのような可溶化剤を必要とする。その結果が致命的なものとなる場合があるため、ポリソルベートに起因して、免疫反応のために治療を中止することが必要になる場合がある。Li et al.から、副産物の純度および低い含有量が、免疫反応のリスクを低減することができることが知られている。
【0021】
本発明の方法の技術的特徴は、エステル化反応のための遊離脂肪酸の代わりに脂肪酸塩化物を使用することである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
略語およびその他のデータ。
以下の用語および略語は、特に明示的に示されていない場合、本明細書全体で使用される。
【0024】
本発明の対象は、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンと酸塩化物ACIDCHLORとの反応REAC−Aによる、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを調製するための方法であって、
ACIDCHLORが、式(I)の化合物であり、
【0026】
R1が、直鎖もしくは分枝鎖C
10−22アルキル、または直鎖もしくは分枝鎖C
10−22アルケニルである、方法である。
【0027】
好ましくは、R1は、直鎖C
10−22アルキルまたは直鎖C
10−22アルケニルである。
【0028】
好ましくは、ACIDCHLORは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸塩化物、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、ACIDCHLORは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸塩化物、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
さらにより好ましくは、ACIDCHLORは、オレイン酸塩化物である。
【0029】
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンのポリオキシエチレンは、平均で10〜30、より好ましくは12〜28、さらにより好ましくは14〜26、特に16〜26、より特定的には18〜24、さらにより特定的には18〜23、特に19〜23のEO単位、さらに特に、19〜22のEO単位、さらにより特に、20〜22のEO単位を有する。
【0030】
一実施形態において、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンは、平均で21〜22のEO単位を有する。
【0031】
別の実施形態において、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンは、平均で20または22のEO単位を有する。
【0032】
好ましくは、REAC−A中のACIDCHLORのモル当量は、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンのモル当量の0.2〜4倍、より好ましくは0.4〜2倍、さらにより好ましくは0.6〜2倍、特定的には0.8〜2倍、より特定的には0.9〜2倍、さらにより特定的には0.9〜1.8倍、特に1〜1.8倍である。
【0033】
好ましくは、REAC−Aは温度TEMP−Aで行われ、TEMP−Aは、0〜70℃、より好ましくは0〜60℃、さらにより好ましくは0〜50℃、特定的には10〜50℃、より特定的には10〜40℃、さらにより特定的には10〜30℃、特に15〜25℃、さらに特に17.5〜25℃である。
【0034】
好ましくは、REAC−Aの反応時間TIME−Aは、1分〜4時間、より好ましくは1分〜2時間、さらにより好ましくは1分〜1時間、特定的には2〜45分、より特定的には5〜30分、さらにより特定的には10分〜20分である。
【0035】
REAC−Aは、大気圧または大気圧を超える圧力で行うことができる。
【0036】
好ましくは、REAC−Aは大気圧で行われる。
【0037】
好ましくは、REAC−A中に溶媒が存在しないか、REAC−Aのために溶媒が投入されないか、またはREAC−Aのために溶媒が使用されない。
【0038】
好ましくは、REAC−Aのために水が投入されないか、またはREAC−Aのために水が使用されない。
【0039】
好ましくは、REAC−Aのために触媒が投入されないか、またはREAC−Aのために触媒が使用されない。
【0040】
好ましくは、REAC−Aが無希釈で行われ、すなわち、REAC−Aのために使用されるか、または投入される唯一の物質が、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンおよびACIDCHLORである。
【0041】
REAC−Aの後、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、当業者に知られている標準的な方法によって単離することができる。蒸気蒸留は、REAC−Aの後に行うことができる。
【0042】
好ましくは、1,4−ソルビタンがエチレンオキシドと反応する反応REAC−Bにより、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタンが、調製される。
【0043】
好ましくは、REAC−B酸中のエチレンオキシドのモル当量は、1,4−ソルビタンのモル当量の10〜30倍、より好ましくは12〜28倍、さらにより好ましくは14〜26倍、特定的には16〜26倍、より特定的には18〜24倍、さらにより特定的には18〜23倍、特に18〜22倍または19〜23倍、さらに特に19〜22倍、さらにより特に20〜22倍、特定的には特に20〜21倍である。
【0044】
好ましくは、REAC−Bは、塩基BASE−Bの存在下で行われる。
【0045】
好ましくは、BASE−Bは、アルカリ金属C
1−4アルコキシドおよびアルカリ金属水酸化物からなる群から選択される。
【0046】
好ましくは、アルカリ金属C
1−4アルコキシドのアルカリ金属はNaまたはKであり、
好ましくは、C
1−4アルコキシドは、メトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、n−ブトキシドまたはtert−ブトキシドである。
【0047】
好ましくは、アルキル金属水酸化物は、好ましくは、NaOHまたはKOHである。
より好ましくは、BASE−Bは、カリウムメトキシドのナトリウム、カリウムエトキシドのナトリウム、カリウム n−プロポキシドのナトリウム、カリウムイソプロポキシドのナトリウム、カリウム n−ブトキシドのナトリウム、カリウム tert−ブトキシドのナトリウム、NaOHおよびKOHからなる群から選択され、
さらにより好ましくは、BASE−Bは、カリウムメトキシドのナトリウム、カリウムエトキシドのナトリウム、カリウム n−ブトキシドのナトリウム、カリウム tert−ブトキシドのナトリウム、NaOHおよびKOHからなる群から選択され、
特定的には、BASE−Bは、ナトリウムメトキシド、ナトリウム tert−ブトキシド、NaOHおよびKOHからなる群から選択され、
より特定的には、BASE−Bは、ナトリウムメトキシド、NaOHおよびKOHからなる群から選択され、
さらにより特定的には、BASE−Bは、NaOHまたはKOHであり、
特に、BASE−Bは、KOHである。
【0048】
好ましくは、REAC−B中のBASE−Bのモル当量は、0.5〜3%、より好ましくは0.75〜2.5、さらにより好ましくは1〜2.25%、特定的には1.25〜2.25%、より特定的には1.5〜2%であり、%は、1,4−ソルビタンのモル量に基づく。
【0049】
好ましくは、REAC−Bは、溶媒SOLV−B中で行われ、SOLV−Bは、好ましくは、アルキル化石油、例えば、ナフサ(石油)、ヘビーアルキレートである。
【0050】
好ましくは、SOLV−Bの重量は、1,4−ソルビタンの重量の1〜10倍、より好ましくは1〜5倍、さらにより好ましくは1〜4倍、特定的には1〜3倍である。
【0051】
好ましくは、REAC−Bは温度TEMP−Bで行われ、TEMP−Bは、100〜200℃、より好ましくは110〜190℃、さらにより好ましくは特定的には120〜180℃、特定的には130〜170℃、より特定的には140〜165℃である。
【0052】
好ましくは、REAC−Bの反応時間TIME−Bは、1〜20時間、より好ましくは2〜15時間、さらにより好ましくは3〜10時間、特定的には4〜8時間である。
【0053】
REAC−Bは、大気圧または大気圧を超える圧力で行うことができる。
【0054】
好ましくは、REAC−Aは、大気圧を超える圧力で行われる。好ましくは、TEMP−Bが選択され、圧力は、特定的にはSOLV−Bが存在する場合、選択された温度から生じるREAC−Bの反応混合物の蒸気圧力から生じる。
【0055】
好ましくは、REAC−Bは、窒素またはアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気下で行われる。
【0056】
REAC−Bの後、PEOソルビタンは、当業者に知られている標準的な方法によって単離することができる。任意のSOLV−Bは、例えば、相分離、蒸気蒸留等によって除去することができ、好ましくは、蒸気蒸留は、REAC−Bの後に行われる。
【0057】
一実施形態において、1,4−ソルビタンは、4つの連続工程STEP1、STEP2、STEP3およびSTEP4を含む方法SORBIDによって調製され、
STEP1において、D−ソルビトールが、p−トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下で脱水反応DEHYDREACで脱水され、STEP1が混合物MIX1を提供し、
STEP2において、エタノールをMIX1と混合し、STEP2が混合物MIX2を提供し、
STEP3において、イソプロパノールをMIX2と混合し、STEP3が混合物MIX3を提供し、
STEP4において、1,4−ソルビタンがMIX3から単離される。
【0058】
方法SORBITは、高収率、高純度、低含有量のイソソルビド、低含有量のD−ソルビトールを含む1,4−ソルビタンを提供し、方法SORBIDは、経済的であり、濾過等の少ない数の工程を有し、少数の異なる化学物質を使用する。方法SORBIDは、1つの反応器で行うことができる。
【0059】
好ましくは、p−トルエンスルホン酸が、p−トルエンスルホン酸一水和物の形態で使用されるため、p−トルエンスルホン酸が言及される任意の実施形態において、好ましい実施形態は、p−トルエンスルホン酸一水和物である。
【0060】
好ましくは、DEHYDREAC中に溶媒が存在しないか、またはDEHYDREACのために溶媒が使用されない。
【0061】
好ましくは、DEHYDREACのために水が投入されない。
【0062】
好ましくは、DEHYDREACは無希釈で行われ、すなわち、D−ソルビトール、p−トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドといった3つの構成要素のみがDEHYDREACのために使用され、DEHYDREACのために投入される。
【0063】
好ましくは、DEHYDREAC酸中のp−トルエンスルホン酸のモル当量は、D−ソルビトールのモル当量の0.2〜1.6%、より好ましくは0.4〜1.4%、さらにより好ましくは0.6〜1.2%、特定的には0.6〜1.0%である。
【0064】
好ましくは、DEHYDREAC酸中のテトラブチルアンモニウムブロミドのモル当量は、D−ソルビトールのモル当量の1.0〜3.6%、より好ましくは1.2〜3.2%、さらにより好ましくは1.4〜2.8%、特定的には1.6〜2.4%、より特定的には1.6〜2.0%である。
【0065】
好ましくは、STEP2において混合されるエタノールの重量は、D−ソルビトールの重量の0.2〜5倍、より好ましくは0.2〜2倍、さらにより好ましくは0.2〜1倍、特定的には0.2〜0.8倍、より特定的には0.2〜0.6倍、さらにより特定的には0.3〜0.5倍である。
【0066】
好ましくは、STEP2において混合されるイソプロパノールの重量は、D−ソルビトールの重量の0.2〜5倍、より好ましくは0.2〜2倍、さらにより好ましくは0.2〜1倍、特定的には0.2〜0.8倍、より特定的には0.2〜0.6倍、さらにより特定的には0.3〜0.5倍である。
【0067】
好ましくは、DEHYDREACは、温度TEMP1で行われ、TEMP1は、95〜120℃、より好ましくは100〜115℃、さらにより好ましくは105〜115℃である。
【0068】
好ましくは、DEHYDREACの反応時間TIME1−1は、4〜12時間、より好ましくは6〜10時間、さらにより好ましくは7〜9時間である。
【0069】
好ましくは、DEHYDREACは、50mbar未満、より好ましくは25mbar未満、さらにより好ましくは15mbar未満の圧力PRESS1で行われる。
【0070】
別の実施形態において、DEHYDREACは、0.001〜50mbar、より好ましくは0.01〜25mbar、さらにより好ましくは0.1〜15mbar、特定的には1〜15mbar、より特定的には1〜12.5mbarのPRESS1で行われる。
【0071】
好ましくは、STEP2、STEP3およびSTEP4は、大気圧で行われる。
【0072】
反応が脱水であり、1当量の水を除去するため、DEHYDREACによって水が形成される。p−トルエンスルホン酸が、p−トルエンスルホン酸一水和物の形態で使用される場合、これがDEHYDREAC中の水供給源でもあり得る。
【0073】
好ましくは、水は、DEHYDREAC中に除去される。
【0074】
好ましくは、STEP2は、60〜90℃、より好ましくは60〜85℃、さらにより好ましくは65〜80℃の温度TEMP2で行われる。
【0075】
好ましくは、STEP1は、DEHYDREACの後に冷却することCOOL1を含み、MIX1は、TEMP1からTEMP2まで冷却される。
【0076】
好ましくは、COOL1は、時間TIME1−2で行われ、TIME1−2は、10分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間、さらにより好ましくは15分〜2時間、特定的には20分〜1時間である。
【0077】
好ましくは、DEHYDREACはPRESS1で行われた場合、DEHYDREACの後、圧力は、PRESS1から大気圧まで戻され得る。STEP1がCOOL1を含み、DEHYDREACがPRESS1で行われた場合、圧力は、COOL1の前、最中または後に、PRESS1から大気圧まで戻され得る。
【0078】
好ましくは、エタノールの混合後、STEP2は、時間TIME2−1の間、MIX2を撹拌することSTIRR2を含み、TIME2−1は、30分〜10時間、より好ましくは1〜8時間、さらにより好ましくは1〜6時間、特定的には1〜4時間、より特定的には1.5〜3時間である。
【0079】
好ましくは、STIRR2は、TEMP2で行われる。
【0080】
好ましくは、STEP3は、10〜30℃、より好ましくは15〜25℃、さらにより好ましくは17.5〜22.5℃の温度TEMP3−1で行われる。
【0081】
好ましくは、STEP2は、冷却することCOOL2を含み、MIX2は、TEMP1またはTEMP2からTEMP3まで冷却される。
【0082】
好ましくは、COOL2は、STIRR2の後に行われる。
【0083】
好ましくは、COOL2は、TEMP2〜TEMP3で行われる。
【0084】
好ましくは、STEP2は、STIRR2およびCOOL2を含み、COOL2は、STIRR2の後に行われる。
【0085】
好ましくは、COOL2は、時間TIME2−2で行われ、TIME2−2は、1〜10時間、より好ましくは1〜8時間、さらにより好ましくは1〜6時間、特定的には1〜4時間、より特定的には2〜4時間である。
【0086】
好ましくは、イソプロパノールの混合後、STEP3は、−5〜5℃、より好ましくは−2.5〜2.5℃、さらにより好ましくは−1〜2℃の温度TEMP3−2までMIX3を冷却することCOOL3を含む。
【0087】
好ましくは、COOL3は、時間TIME3−1で行われ、TIME3−1は、30分〜10時間、より好ましくは30分〜8時間、さらにより好ましくは30分〜6時間、特定的には30分〜4時間、より特定的には30分〜2時間である。
【0088】
好ましくは、STEP3は、MIX3を撹拌することSTIRR3を含み、STIRR3は、時間TIME3−2の間行われ、TIME3−2は、1〜12時間、より好ましくは1〜10時間、さらにより好ましくは2〜8時間、特定的には2〜6時間、より特定的には3〜5時間である。
【0089】
好ましくは、STIRR3は、COOL3の後に行われる。
【0090】
好ましくは、STIRR3は、TEMP3−2で行われる。
【0091】
より好ましくは、STIRR3は、COOL3の後に行われ、STIRR3は、TEMP3−2で行われる。
【0092】
好ましくは、MIX3からの1,4−ソルビタンの工程4中の単離は、当業者に既知の任意の手段、例えば、MIX3中の任意の液体の蒸発、濾過、遠心分離、乾燥、またはそれらの組み合わせによって行うことができ、好ましくは、単離は、濾過によって行われる。
【0093】
好ましくは、濾過によってプレスケーキを提供し、続いて、プレスケーキをイソプロパノールで洗浄し、続いて、洗浄されたプレスケーキを乾燥させることによって、1,4−ソルビタンが、STEP4においてMIX3から単離される。
【0094】
一実施形態において、
STEP1は、連続してDEHYDREACおよびCOOL1を含み、
STEP2は、エタノールを混合した後、連続してSTIRR2およびCOOL2を含み、
STEP3は、イソプロパノールを混合した後、連続してCOOL3およびSTIRR3を含み、
STEP4は、MIX3の濾過による1,4−ソルビタンの単離、好ましくは、その後の洗浄および乾燥を含む。
【0095】
好ましくは、STEP2において、エタノールがMIX1に投入され、MIX2を提供する。
【0096】
好ましくは、STEP3において、イソプロパノールがMIX2に投入され、MIX3を提供する。
【0097】
好ましくは、STEP1、STEP2およびSTEP3は、1つの同じ反応器内で連続して行われる。
【0098】
別の実施形態において、1,4−ソルビタンは、3つの連続工程STEP1AQU、STEP2AQUおよびSTEP3AQUで1,4−ソルビタンを調製するための方法SORBIDAQUによって調製され、
STEP1AQUにおいて、D−ソルビトールが、p−トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下で脱水反応DEHYDREACAQUで脱水され、STEP1AQUが混合物MIX1AQUを提供し、
STEP2AQUにおいて、エタノールをMIX1AQUと混合し、STEP2AQUが混合物MIX2AQUを提供し、
STEP3AQUにおいて、イソプロパノールをMIX2AQUと混合し、STEP3AQUが混合物MIX3AQUを提供し、
D−ソルビトールが、D−ソルビトールと水との混合物の形態でSTEP1AQUに使用される。
【0099】
好ましくは、D−ソルビトールが、D−ソルビトールと水との混合物の形態でSTEP1AQUに使用され、投入される。
【0100】
STEP1AQUに使用されるD−ソルビトールと水との混合物は、溶液またはD−ソルビトールの水中懸濁液であってもよい。
【0101】
好ましくは、D−ソルビトールは、D−ソルビトールと水との混合物としてSTEP1AQUに使用され、D−ソルビトールの含有量は、D−ソルビトールの20〜80重量%、より好ましくは40〜80重量%、さらにより好ましくは60〜80重量%、特定的には65〜75重量%、特に70重量%であり、重量%は、D−ソルビトールと水との混合物の合計重量に基づく。
【0102】
好ましくは、TBABは、TBABと水との混合物としてSTEP1AQUに使用され、
より好ましくは、TBABは、TBABと水との混合物としてSTEP1AQUに使用され、投入される。
【0103】
TBABと水との混合物は、溶液またはTBABの水中懸濁液であってもよい。
【0104】
より好ましくは、TBABは、TBABと水との混合物としてSTEP1AQUに使用され、TBABの含有量は、TBABの20〜80重量%、さらにより好ましくは40〜80重量%、特定的には60〜80重量%、より特定的には60〜75重量%、さらにより特定的には60〜70重量%、特に65重量%であり、重量%は、TBABと水との混合物の合計重量に基づく。
【0105】
好ましくは、STEP1AQUは、STEP1AQUA、STEP1AQUB、およびSTEP1AQUCの3つの工程を含む。
【0106】
STEP1AQUAにおいて、D−ソルビトールと水、TBABおよびp−トルエンスルホン酸の混合物が混合され、混合物MIX1AQUAを提供し、
STEP1AQUBにおいて、蒸留DIST1AにおいてMIX1AQUAから水が留去され、混合物MIX1AQUBを提供し、
STEP1AQUCにおいて、MIX1AQUBを撹拌し、MIX1AQUを提供する。
【0107】
MIX1AQUAは、D−ソルビトール、TBABおよび水を含む。
【0108】
好ましくは、DIST1Aは、40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、さらにより好ましくは55〜85℃、特に60〜80℃の温度TEMP1Aで行われる。
【0109】
好ましくは、DIST1Aは、減圧PRESS1Aで行われ、PRESS1Aは、DIST1AがTEMP1Aで行われるような様式で調整される。
【0110】
好ましくは、全ての水は、STEP1AQUAにおいて、MIX1AQUAから留去される。
【0111】
好ましくは、DIST1Aは、全ての水がMIX1AQUAから留去されるまで、そのような期間行われる。
【0112】
好ましくは、STEP1AQUCにおいて、MIX1AQUBの撹拌は、温度TEMP1Cで行われ、TEMP1Cは、80〜120℃である。
【0113】
好ましくは、TEMP1Cは、90〜110℃、より好ましくは100〜110℃、特に105℃である。
【0114】
好ましくは、STEP1AQUCにおいて、MIX1AQUBの撹拌は、時間TIME1Cで行われ、MIX1AQUを提供し、TIME1Cは2〜10時間である。
【0115】
好ましくは、TIME1Cは、4〜8時間、より好ましくは5〜7時間、特に6時間である。
【0116】
好ましくは、TIME1C中の撹拌は、減圧PRESS1C下で行われ、一実施形態において、PRESS1Cは、選択されたTEMP1Cで、撹拌することが還流条件下で撹拌が行われるように調整され、別の実施形態において、PRESS1Cは、40〜100mbar、より好ましくは40〜60mbar、特に50mbarである。
【0117】
好ましくは、TIME1Cの後、圧力は、窒素の挿入によってPRESS1Cから大気圧に戻される。
【0118】
好ましくは、STEP2AQUおよびSTEP3AQUは、大気圧で行われる。
【0119】
好ましくは、p−トルエンスルホン酸が、p−トルエンスルホン酸一水和物の形態で使用されるため、p−トルエンスルホン酸が言及される任意の実施形態において、好ましい実施形態は、p−トルエンスルホン酸一水和物である。
【0120】
DEHYDREACAQUは、STEP1AQUB、STEP1AQUC、または両方で行われる。
【0121】
好ましくは、DEHYDREACAQUは、STEP1AQUBにおいて行われ、STEP1AQUCに延長することもできる。
【0122】
好ましくは、有機溶媒、より好ましくは水以外の溶媒が、DEHYDREACAQU中に存在しないか、またはDEHYDREACAQUのために使用されない。
【0123】
好ましくは、有機溶媒、より好ましくは水以外の溶媒が、STEP1AQU中に存在しないか、またはSTEP1AQUのために使用されない。
【0124】
好ましくは、DEHYDREACAQUにおいて、D−ソルビトール、p−トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドといった3つの構成要素のみが、DEHYDREACQUのために使用され、DEHYDREACQUのために投入され、D−ソルビトールが、D−ソルビトールと水との混合物の形態で使用され、投入され、より好ましくは、TBABも、TBABと水との混合物の形態で使用され、投入される。
【0125】
好ましくは、DEHYDREACAQU酸中のp−トルエンスルホン酸のモル当量は、D−ソルビトールのモル当量の0.2〜1.6%、より好ましくは0.4〜1.4%、さらにより好ましくは0.6〜1.2%、特定的には0.6〜1.0%、より特定的には0.8〜1.0%、特に0.9%である。
【0126】
好ましくは、DEHYDREACAQU酸中のテトラブチルアンモニウムブロミドのモル当量は、D−ソルビトールのモル当量の1〜3%、より好ましくは1.2〜2.5%、さらにより好ましくは1.4〜2%、特定的には1.6〜1.8%、特に1.7%である。
【0127】
好ましくは、STEP2AQUにおいて混合されるエタノールの重量は、D−ソルビトールの重量の0.2〜5倍、より好ましくは0.2〜2倍、さらにより好ましくは0.2〜1倍、特定的には0.2〜0.8倍、より特定的には0.2〜0.6倍、さらにより特定的には0.3〜0.5倍、特に0.4倍である。
【0128】
好ましくは、STEP2AQUにおいて混合されるイソプロパノールの重量は、D−ソルビトールの重量の0.2〜5倍、より好ましくは0.2〜2倍、さらにより好ましくは0.2〜1倍、特定的には0.2〜0.8倍、より特定的には0.2〜0.6倍、さらにより特定的には0.3〜0.5倍、特に0.4倍である。
【0129】
好ましくは、STEP2AQUは、60〜90℃、より好ましくは60〜85℃、さらにより好ましくは65〜80℃、特に70〜75℃の温度TEMP2AQUで行われる。
【0130】
好ましくは、STEP1AQUは、DEHYDREACAQUの後、好ましくはSTEP1AQUCの後に冷却することCOOL1AQUを含み、MIX1AQUは、TEMP1CからTEMP2AQUまで冷却される。
【0131】
好ましくは、COOL1AQUは、時間TIME1−2AQUの間行われ、TIME1−2AQUは、10分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間、さらにより好ましくは15分〜2時間、特定的には20分〜1.5時間、より特定的には30分〜60分、特に45分である。
【0132】
STEP1AQUがCOOL1AQUを含み、SETP1CがPRESS1Cで行われた場合、圧力は、COOL1AQUの前、最中または後に、PRESS1Cから大気圧まで戻され得る。
【0133】
好ましくは、エタノールとMIX1AQUとを混合した後、STEP2AQUは、時間TIME2−1AQUの間、MIX2AQUを撹拌することSTIRR2AQUを含み、TIME2−1AQUは、30分〜10時間、より好ましくは1〜8時間、さらにより好ましくは1〜6時間、特定的には1〜4時間、より特定的には1.5〜3時間、特に2時間である。
【0134】
好ましくは、STIRR2AQUは、TEMP2AQUで行われる。
【0135】
好ましくは、1,4−ソルビタンの結晶種をMIX2AQUに添加し、
好ましくは、0.1〜2重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%、さらにより好ましくは0.3〜1重量%、特定的には0.4〜0.7重量%、特に0.5重量%の1,4−ソルビタンの結晶種を添加し、重量%は、D−ソルビトールの重量に基づき、
好ましくは、STIRR2AQUの後に1,4−ソルビタンの結晶種をMIX2AQUに添加する。
【0136】
好ましくは、MIX2AQUは、透明溶液であり、
より好ましくは、MIX2AQUは、1,4−ソルビタンの結晶種を添加する前に透明溶液であり、
より好ましくは、STIRR2AQUの後のMIX2AQUは、透明溶液であり、
さらにより好ましくは、STIRR2AQUの後、かつ1,4−ソルビタンの結晶種をMIX2AQUに添加する前に、MIX2AQUは、透明溶液である。
【0137】
好ましくは、STEP3AQUにおけるイソプロパノールとMIX2AQUとの混合は、20〜70℃、より好ましくは30〜60℃、さらにより好ましくは40〜55℃、特に45〜50℃の温度TEMP3−1AQUで行われる。
【0138】
好ましくは、エタノールとMIX1AQUとの混合後、STEP2AQUは、冷却することCOOL2AQUを含み、MIX2AQUは、TEMP1CまたはTEMP2AQUからTEMP3−1AQUまで冷却される。
好ましくは、COOL2AQUは、STIRR2AQUの後に行われる。
【0139】
より好ましくは、COOL2AQUは、1,4−ソルビタンの結晶種をMIX2AQUに添加した後に行われる。
好ましくは、COOL2AQUは、TEMP2AQU〜TEMP3−1AQUで行われる。
【0140】
好ましくは、STEP2AQUは、STIRR2AQUと、MIX2AQUへの1,4−ソルビタンの結晶種の添加と、COOL2AQUと、を含み、COOL2AQUは、1,4−ソルビタンの結晶種をMIX2AQUに添加した後に行われる。
【0141】
好ましくは、COOL2AQUは、時間TIME2−2AQUで行われ、TIME2−2AQUは、1〜10時間、より好ましくは1〜8時間、さらにより好ましくは1〜6時間、特定的には1〜4時間、より特定的には1〜3時間、特に2時間である。
【0142】
好ましくは、1,4−ソルビタンの結晶種を、STIRR2AQUの後、かつCOOL2AQUの前に、MIX2AQUに添加される。
【0143】
好ましくは、STEP2AQUで使用されるエタノールの量は、エタノールとMIX1AQUとを混合した後に、1,4−ソルビタンのエタノール透明溶液が、好ましくはTEMP2AQUで得られるような量である。
【0144】
好ましくは、エタノールの量は、上述の透明溶液が、TEMP2AQUでは1,4−ソルビタンのエタノール透明溶液であり、TEMP2AQUより下の温度で、好ましくは、例えば、TEMP3−2AQUでは1,4−ソルビタンのエタノール過飽和溶液であるような量であり、TEMP3−2AQUは、本明細書に定義される通りであり、より好ましくは、例えば、TEMP3−1AQUであり、
より好ましくは、エタノールの量は、上述の透明溶液が、TEMP2AQUで1,4−ソルビタンのエタノール過飽和溶液であるような量である。
【0145】
好ましくは、上述の透明溶液は、STIRR2AQUの後、より好ましくは、STIRR2AQUの後、かつ1,4−ソルビタンの結晶種をMIX2AQUに添加する前に得られる。
【0146】
好ましくは、エタノールの量は、COOL2AQU中に結晶化が開始するような量であり、
より好ましくは、エタノールの量は、
●エタノールとMIX1AQUとを混合した後、1,4−ソルビタンのエタノール透明溶液が、好ましくはTEMP2AQUで得られ、
●COOL2AQU中に結晶化が開始するような量であり、
さらにより好ましくは、エタノールの量は、
●エタノールとMIX1AQUとを混合した後、1,4−ソルビタンのエタノール透明溶液が、好ましくはTEMP2AQUで得られ、
●上述の透明溶液が、TEMP2AQUでは1,4−ソルビタンのエタノール透明溶液であり、TEMP2AQUより下の温度で、好ましくは、例えばTEMP3−2AQU、より好ましくは例えばTEMP3−1AQUでは1,4−ソルビタンのエタノール過飽和溶液であり、
●COOL2AQU中に結晶化が開始するような量である。
【0147】
好ましくは、COOL2AQUの後のMIX2AQUは懸濁液である。
【0148】
好ましくは、イソプロパノールとMIX2AQUとを混合した後、STEP3AQUは、−5〜10℃、より好ましくは−2.5〜7.5℃、さらにより好ましくは−1〜6℃、特に0〜5℃の温度TEMP3−2AQUまで、MIX3AQUを冷却することCOOL3AQUを含む。
【0149】
好ましくは、COOL3AQUは、時間TIME3−1AQUで行われ、TIME3−1AQUは、1〜10時間、より好ましくは1〜8時間、さらにより好ましくは1〜6時間、特定的には2〜6時間、より特定的には2〜4時間、特に3時間である。
【0150】
好ましくは、イソプロパノールとMIX2AQUとを混合した後、STEP3AQUは、MIX3AQUを撹拌することSTIRR3AQUを含む。
【0151】
好ましくは、STIRR3AQUは、TEMP3−2AQUで行われる。
【0152】
好ましくは、STIRR3AQUは、時間TIME3−2AQUで行われ、TIME3−2AQUは、1〜12時間、より好ましくは1〜10時間、さらにより好ましくは1〜8時間、特定的には2〜6時間、より特定的には3〜5時間、特に4時間である。
【0153】
好ましくは、STIRR3AQUは、COOL3AQUの後に行われる。
【0154】
より好ましくは、STIRR3AQUは、COOL3AQUの後に行われ、STIRR3AQUは、TEMP3−2AQUで行われる。
【0155】
好ましくは、MIX3AQUは懸濁液である。
【0156】
好ましくは、本方法は、STEP4AQUを含み、STEP4AQUは、STEP3AQUの後に行われ、STEP4AQUにおいて、1,4−ソルビタンは、MIX3AQUから単離される。
【0157】
MIX3AQUからの1,4−ソルビタンのSTEP4AQU中の単離は、当業者に既知の任意の手段、例えば、MIX3AQU中の任意の液体の蒸発、濾過、遠心分離、乾燥、またはそれらの組み合わせによって行うことができ、好ましくは、単離は、濾過によって行われる。
【0158】
好ましくは、1,4−ソルビタンは、STEP4AQUにおいて濾過によってMIX3AQUから単離され、プレスケーキを提供し、好ましくは、続いて、プレスケーキをイソプロパノールで洗浄し、好ましくは、続いて、洗浄されたプレスケーキを乾燥させ、好ましくは、乾燥は、30〜70℃、より好ましくは35〜65℃、さらにより好ましくは40〜60℃、特に45〜55℃の温度で行う。
【0159】
一実施形態において、
STEP1AQUは、連続してDEHYDREACAQUおよびCOOL1AQUを含み、
STEP2AQUは、エタノールを混合した後、連続してSTIRR2AQUおよびCOOL2AQUを含み、
STEP3AQUは、イソプロパノールを混合した後、連続してCOOL3AQUおよびSTIRR3AQUを含み、
好ましくは、
STEP1AQUは、連続してSTEP1AQUA、STEP1AQUB、STEP1AQUCおよびCOOL1AQUを含み、
STEP2AQUは、エタノールを混合した後、連続してSTIRR2AQUおよびCOOL2AQUを含み、
STEP3AQUは、イソプロパノールを混合した後、連続してCOOL3AQUおよびSTIRR3AQUを含む。
【0160】
より好ましくは、
STEP1AQUは、連続してSTEP1AQUA、STEP1AQUB、STEP1AQUCおよびCOOL1AQUを含み、
STEP2AQUは、エタノールを混合した後、連続して、STIRR2AQU、MIX2AQUへの1,4−ソルビタンの結晶種の添加、およびCOOL2AQUを含み、
STEP3AQUは、イソプロパノールを混合した後、連続してCOOL3AQUおよびSTIRR3AQUを含む。
【0161】
好ましくは、STEP1AQU、STEP2AQUおよびSTEP3AQUは、1つの同じ反応器内で連続して行われる。
【0162】
好ましくは、ACIDCHLORは、式(II)の化合物のREAC−Dと塩化チオニルとの反応REAC−Dによって調製され、
【0163】
【化4】
式中、ACIDCHLORおよびR1は、全てのそれらの実施形態と共に、本明細書で定義される。
【0164】
好ましくは、REAC−D中に溶媒が存在しないか、またはREAC−Dのために溶媒が使用されない。
【0165】
好ましくは、REAC−Dのために水が投入されないか、またはREAC−Dのために水が使用されない。
【0166】
好ましくは、REAC−Dのために触媒が投入されないか、またはREAC−Dのために触媒が使用されない。
【0167】
好ましくは、REAC−Dが無希釈で行われ、すなわち、REAC−Dのために使用されるか、または投入される唯一の物質が、式(II)の化合物および塩化チオニルである。
【0168】
好ましくは、REAC−D酸中の塩化チオニルのモル当量は、式(II)の化合物のモル当量の1〜10倍、より好ましくは2〜8倍、さらにより好ましくは3〜6倍である。
【0169】
好ましくは、REAC−Dは、温度TEMP−Dで行われ、TEMP−Dは、0〜100℃、より好ましくは10〜80℃、さらにより好ましくは20〜80℃、特定的には30〜80℃、より特定的には30〜75℃である。
【0170】
好ましくは、REAC−Dの反応時間TIME−Dは、30分〜10時間、より好ましくは30分〜5時間、さらにより好ましくは40〜2.5時間である。
【0171】
REAC−Dは、大気圧または大気圧を超える圧力で行うことができる。
【0172】
好ましくは、REAC−Dは大気圧で行われる。好ましくは、TEMP−Dが選択され、圧力は、選択された温度から生じるREAC−Dの反応混合物の蒸気圧力から生じる。
【0173】
好ましくは、REAC−Dは、窒素またはアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気下で行われる。
【0174】
REAC−Dの後、ACCDICHLORは、当業者に知られている標準的な方法によって単離することができる。任意の残留塩化チオニルは、例えば、蒸発等によって除去することができる。生成物は、真空下で乾燥する等の従来の方法で死滅させることができる。
【0175】
本発明の別の対象は、反応REAC−Aによってポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを調製するための方法によって得ることができ、この方法およびREAC−Aが、全てのその実施形態と共に、本明細書で定義される通りである、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルである。
【0176】
好ましくは、反応REAC−Aによってポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを調製するための方法によって得ることができる、上述のポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルにおけるPEO1,4−ソルビタンモノエステル種のEO単位の平均数は、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22であり、本方法およびREAC−Aは、全てのその実施形態と共に、本明細書で定義される通りである。
【0177】
上述のPEO1,4−ソルビタンモノエステル種のEO単位の平均数は、実施例9に記載されるように決定される。
【0178】
本発明の別の対象は、イソソルビド種(例えば、PEOイソソルビドおよび/または例えばPEOイソソルビド脂肪酸エステル)を含まないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであり、
好ましくは、分析は、MALDIおよび/または
13C NMRおよび/またはHPLCによって行われ、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0179】
本発明の別の対象は、ソルビトール種(例えば、ソルビトールエステルエトキシレート)を含まないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであり、
好ましくは、分析は、MALDIによって行われ、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0180】
本発明の別の対象は、MALDIスペクトルにおいて、ただ1つの最大値を有するシグナル分布を示す、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであり、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0181】
ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであって、上述のポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルのMALDIスペクトルが、
●MWが3500を超える物質のシグナルであって、シグナルの高さがMALDIスペクトル中の全分布の最大値に対して5%を超える、好ましくは4%を超える、より好ましくは3%を超える、さらにより好ましくは2%を超える、特定的には1%を超えるようなシグナルを示さず、
●好ましくは、MWが3400を超える物質のシグナルであって、シグナルの高さがMALDIスペクトル中の全分布の最大値に対して5%を超える、好ましくは4%を超える、より好ましくは3%を超える、さらにより好ましくは2%を超える、特定的には1%を超えるようなシグナルを示さず、
●より好ましくは、MWが3300を超える物質のシグナルであって、シグナルの高さがMALDIスペクトル中の全分布の最大値に対して5%を超える、好ましくは4%を超える、より好ましくは3%を超える、さらにより好ましくは2%を超える、特定的には1%を超えるようなシグナルを示さず、
●さらにより好ましくは、MWが3200を超える物質のシグナルであって、シグナルの高さがMALDIスペクトル中の全分布の最大値に対して5%を超える、好ましくは4%を超える、より好ましくは3%を超える、さらにより好ましくは2%を超える、特定的には1%を超えるようなシグナルを示さず、
●特定的には、MWが3100を超える物質のシグナルであって、シグナルの高さがMALDIスペクトル中の全分布の最大値に対して5%を超える、好ましくは4%を超える、より好ましくは3%を超える、さらにより好ましくは2%を超える、特定的には1%を超えるようなシグナルを示さず、
好ましくは、上述のポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0182】
本発明の別の対象は、MWが3500を超え、好ましくは3400を超え、より好ましくは3300を超え、さらにより好ましくは3200を超え、特定的には3100を超える物質を含まないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであり、
物質のMWは、好ましくは、MALDIによって決定され、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0183】
本発明の別の対象は、DSCにおいて−13℃以下、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−20℃以下、さらにより好ましくは−25℃以下、特定的には−27.5℃以下の温度でシグナルの最大値を有する吸熱シグナルを示す、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであり、
DSCにおける吸熱シグナルは、ΔHが、好ましくは35J/g以下、より好ましくは30J/g以下、さらにより好ましくは25J/g以下、特定的には20J/g以下、より特定的には15J/g以下、さらにより特定的には10J/g以下、特に5J/g以下、さらに特に1J/g以下であり、
吸熱シグナルは、好ましくは、DSCの加熱サイクル中にあり、より好ましくは、DSCの第1の加熱サイクル中の吸熱シグナルであり、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0184】
本発明の別の対象は、DSCにおいて、ΔHが、35J/g以下、好ましくは30J/g以下、より好ましくは25J/g以下、さらにより好ましくは20J/g以下、特定的には15J/g以下、より特定的には10J/g以下、さらにより特定的には5J/g以下、特に1J/g以下である吸熱シグナルを示すポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルである。
【0185】
DSCにおける吸熱シグナルは、好ましくは−13℃以下、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−20℃以下、さらにより好ましくは−25℃以下、特定的には−27.5℃以下の温度でシグナルの最大値を有し、
吸熱シグナルは、好ましくは、DSCの加熱サイクル中にあり、より好ましくは、DSCの第1の加熱サイクル中の吸熱シグナルであり、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0186】
本発明の別の対象は、DSCにおいて、−13℃を超える、好ましくは−15℃を超える、より好ましくは−20℃を超える、さらにより好ましくは−25℃を超える、特定的には−27.5℃を超える温度でシグナルの最大値を有する吸熱シグナルを示さないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルである。
【0187】
DSCにおける吸熱シグナルは、ΔHが、好ましくは35J/gを超え、より好ましくは30J/gを超え、さらにより好ましくは25J/gを超え、特定的には20J/gを超え、より特定的には15J/gを超え、さらにより特定的には10J/gを超え、特に5J/gを超え、さらに特に1J/gを超え、
吸熱シグナルは、好ましくは、DSCの加熱サイクル中にあり、より好ましくは、DSCの第1の加熱サイクル中にあり、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0188】
本発明の別の対象は、DSCにおいて、ΔHが、35J/gを超え、好ましくは30J/gを超え、より好ましくは25J/gを超え、さらにより好ましくは20J/gを超え、特定的には15J/gを超え、より特定的には10J/gを超え、さらにより特定的には5J/gを超え、特に1J/gを超える吸熱シグナルを示さないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルである。
【0189】
DSCにおける吸熱シグナルは、好ましくは−13℃より高い、より好ましくは−15℃より高い、さらにより好ましくは−20℃より高い、特定的には−25℃より高い、より特定的には−27.5℃より高い温度でのシグナルの最大値を有し、
吸熱シグナルは、好ましくは、DSCの加熱サイクル中にあり、より好ましくは、DSCの第1の加熱サイクル中にあり、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0190】
本発明の別の対象は、DSCにおいて、ΔHが、30J/gを超え、好ましくは25J/gを超え、より好ましくは20J/gを超え、さらにより好ましくは15J/gを超え、特定的には10J/gを超え、より特定的には5J/gを超え、さらにより特定的には1J/gを超える発熱シグナルを示さないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルである。
【0191】
DSCにおける発熱シグナルは、好ましくは−50℃以上、より好ましくは−55℃以上、さらにより好ましくは−60℃以上、特定的には−70℃以上、より特定的には−80℃以上の温度でシグナルの最大値を有し、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0192】
本発明の別の対象は、DSCにおいて−50℃以上、好ましくは−55℃以上、より好ましくは−60℃以上、さらにより好ましくは−70℃以上、特定的には−80℃以上の温度でシグナルの最大値を有する発熱シグナルを示さないポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであり、
DSCにおける吸熱シグナルは、ΔHが、好ましくは30J/gを超え、より好ましくは25J/gを超え、さらにより好ましくは20J/gを超え、特定的には15J/gを超え、より特定的には10J/gを超え、さらにより特定的には5J/gを超え、特に1J/gを超え、
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルは、19〜23、好ましくは20〜22、より好ましくは20または22のエチレンオキシド単位の平均含有量を有する。
【0193】
本発明の別の対象は、薬物製剤の製剤中の賦形剤としての、反応REAC−Aによってポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルを調製するための方法によって得ることができる、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルの使用であり、
この方法およびREAC−Aが、全てのその実施形態と共に、本明細書で定義される通りである。
【0194】
好ましくは、ポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルが賦形剤として使用される薬物製剤は、非経口で適用される薬物製剤である。
【0195】
本発明の別の対象は、10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下、さらにより好ましくは4重量%以下、特定的には3重量%以下、より特定的には2重量%以下、さらにより特定的には1.5重量%以下のPEOイソソルビドモノオレイン酸エステルを含有するポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルであり、重量%は、PEOイソソルビドモノオレエートの含有量について分析されるポリオキシエチレン1,4−ソルビタン脂肪酸エステルの試料の重量に基づく。
【0196】
図の説明は、特に明記されていない場合、以下を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【
図5】Croda HPのDSC測定、第1の加熱サイクル
【
図7】実施例5のDSC測定、第1の冷却サイクル(実線)および第2の冷却サイクル(破線)
【
図8】Croda HPのDSC測定、第1の冷却サイクル(実線)および第2の冷却サイクル(破線)
【
図9】NOFのDSC測定、第1の冷却サイクル(実線)および第2の冷却サイクル(破線)
【
図15】ガウス分布関数の曲線と重ね合わされた実施例10のMALDIスペクトル
【
図16】実施例5の分取HPLCのHPLCクロマトグラム、UV吸収(実線)および重量分布(破線)の重ね合わせ
【
図17】Croda HPの分取HPLCのHPLCクロマトグラム、UV吸収(実線)および重量分布(破線)の重ね合わせ
【
図18】分取HPLCのHPLC UVクロマトグラム、実施例5(実線)およびCroda HP(破線)の重ね合わせ
【
図19】分取HPLCのHPLC重量クロマトグラム、実施例5(実線)およびCroda HP(破線)の重ね合わせ
【
図20】実施例5のDSC測定、第1の加熱サイクル(実線)および第2の加熱サイクル(破線)における吸熱性の谷の面積の分析の図、y軸のスケーリングは、0W/gの位置を与えることなく、正規化された状態で寸法を示す。
【
図21】Croda HPの分取HPLCのHPCL UVクロマトグラム
【
図22a】MALDIスペクトル:(A)実施例5、(B)NOF、(C)Croda HP(
図22a)および(D)Croda SR(
図22b)の比較
【
図22b】MALDIスペクトル:(A)実施例5、(B)NOF、(C)Croda HP(
図22a)および(D)Croda SR(
図22b)の比較
【
図24】Crodaのポリソルベートの2つの生成物範囲の原料
【
図25】Croda HPおよびCroda SRのプロセス差
【
図26】Croda HPおよびCroda SRの色差
【
図28】Croda SRのDSC測定、第1の加熱サイクル
【
図29】Croda SRのDSC測定、第1の冷却サイクル(実線)および第2の冷却サイクル(破線)
【
図30a】ガウス分布関数は、(A)実施例5、(B)NOF(
図30a)、(C)Croda HPおよび(D)Croda SR(
図30b)の質量分布の左側にフィッティングする。
【
図30b】ガウス分布関数は、(A)実施例5、(B)NOF(
図30a)、(C)Croda HPおよび(D)Croda SR(
図30b)の質量分布の左側にフィッティングする。
【
図31a】(B)NOF(
図31a)、(C)Croda HPおよび(D)Croda SR(
図31b)のMALDIスペクトルの3つのピークにそれぞれフィッティングした3つのガウス曲線、ならびに実施例5(
図31a)のMALDIスペクトルにおける1つのピークにフィッティングした1つのガウス曲線。
【
図31b】(B)NOF(
図31a)、(C)Croda HPおよび(D)Croda SR(
図31b)のMALDIスペクトルの3つのピークにそれぞれフィッティングした3つのガウス曲線、ならびに実施例5(
図31a)のMALDIスペクトルにおける1つのピークにフィッティングした1つのガウス曲線。
【
図32a】(B)NOF(
図32a)、(C)Croda HPおよび(D)Croda SR(
図32b)のMALDIスペクトルの全てのシグナルにフィッティングした1つのガウス曲線、ならびに実施例5(
図32a)のMALDIスペクトルにおける全てのシグナルにフィッティングした1つのガウス曲線。
【
図32b】(B)NOF(
図32a)、(C)Croda HPおよび(D)Croda SR(
図32b)のMALDIスペクトルの全てのシグナルにフィッティングした1つのガウス曲線、ならびに実施例5(
図32a)のMALDIスペクトルにおける全てのシグナルにフィッティングした1つのガウス曲線。
【
図33】PEOイソソルビドオレエートの3つの溶液を用いて調製した較正曲線(濃度0.001、0.002、および0.006mg/ml)
【実施例】
【0199】
材料
以下の材料は、特に明記されていない場合、以下の通りであった。
【0200】
【表3】
【0201】
塩化チオニルの密度:1.683kg/L
【0202】
【表4】
【0203】
【表5】
【0204】
方法:
(A)HPLC−ELSD
HPLC−ELSDは、蒸発光散乱検出を使用した逆相HPLCである。
カラム:Agilent Zorbax Eclipse XDB−C18(150mm×3mm;3.5マイクロメートル)
ポンプ:
最小圧力:5bar
可能な圧力:400bar
最大流量勾配:100mL/分
2
溶出液A:超純H
2O
溶出液B:イソプロパノール
勾配:
【0205】
【表6】
注入:
注入容積10マイクロリットル
オートインジェクタ
シリンジ容積100マイクロリットル
注入モード 針洗浄を伴う注入/洗浄液:アセトニトリル
検出器
検出器ELSD型
温度60℃
圧力(気体)3.5bar
ゲイン10
フィルタ8s
カラムオーブン
温度20℃
SAT/IN
単位mV
ディスプリクションELSD
スケールファクター1000
サンプリング率10
典型的な積分パラメータ
ピーク幅250
しきい値20
積分停止42〜56分
試料調製:
50mg±5mgの試料を50mlのアセトニトリル中に溶解させた。
【0206】
HPLCクロマトグラムによって決定される百分率は、それぞれのシグナルの面積百分率である。
【0207】
信号対雑音比が3のLOD(検出限界)は、0.06面積%であった。
【0208】
信号対雑音比が10のLOQ(定量限界)は、0.20面積%であった。
●HPLCクロマトグラム中、面積%が0.06以上のシグナルがないことは、イソソルビドが検出可能ではないことを意味する。
●HPLCクロマトグラム中、面積%が0.06〜0.20のシグナルは、イソソルビドが検出可能であるが、定量可能ではないことを意味する。
●HPLCクロマトグラム中、面積%が0.20以上のシグナルは、イソソルビドが定量可能であることを意味する。
【0209】
(B)DSC
全ての測定値を同一の方法で測定し、特に明記されていない場合、試料をそのまま使用し、様々な生成物について試料重量は2〜12mgの範囲であった。特に明記されていない場合、試料を真空ピストル中、室温で一晩乾燥させ、次いで、大気からの湿度の取り込みを回避し、最小限に抑えるために、直ちにグローブバッグ内でピン付きの40マイクロリットルアルミニウム製パン(Mettler Toledo)中に密封し、次いで、このパンについて、Mettler Toledo製のDSC 1 STAReシステムを用いてDCS測定を行った。試料を25℃から−80℃まで試行し、−80℃で5分間かけて平衡化し、次いで−80℃から+80℃まで加熱し、+80℃で5分間かけて平衡化した(第1サイクルを示す)。次いで、この熱サイクルを繰り返し(+80℃から−80℃まで、−80℃で平衡化、−80℃から+80℃まで、+80℃で平衡化、次いで25℃まで戻す)、全ての加熱および冷却セグメントは、10℃/分で行った。特に明記されていない場合、この第1の熱サイクルからの加熱セグメントが示される。他に何も報告されない場合、第2の加熱サイクルの測定は、第1の加熱サイクルの測定と同じシグナルを生成し、それによって、この試料が、熱履歴を示さないことが確認された。
【0210】
(C)分取HPLCおよび非分画試料由来のMALDIおよびDSC
(C1)試料調製および分取HPLC
特に明記されていない場合、全ての試料をそのまま使用した。試料をACNに溶解して、濃度300mg/mlの溶液を得た。この溶液を300マイクロリットル注入し(Waters sample manager 2700)、C18カラム(Xterra Prep MS C18 OBD、5マイクロメートル、19×100mm、Waters)に充填した。ポリソルベート種を、45%ACNから開始して、30分間で100%まで増加するACN:H
2O勾配を使用して、流速10ml/分、カラム温度50℃で分離した(Thermostated column compartment TCC−100、Dionex)。分離は、120分に達するまで100%ACNで継続し、これ以上の種を検出することができなかった。この種を、UV検出器(Waters 2487二重吸光度検出器)を用い、195nm(オレイン酸中に存在するC=C結合について、エプシロン=11000を有するラムダ最大)で検出した。MassLynx V4.0ソフトウェアをデータ獲得に使用した。10mlの画分を、20mlのガラスチューブに手動で収集した。各チューブから、MALDI分析のために10マイクロリットルを取り出した後、真空下で乾燥するまで蒸発させた(GeneVac遠心エバポレータEZ−2、SP Scientific)。次いで、蒸発した画分をDSC分析に使用した。
【0211】
(C2)分取HPLC(C1)由来の試料および非分画試料のMALDI
2.5−ジヒドロキシ安息香酸(super−DHB>=99.0%、Sigma Aldrich)をマトリックスとして使用し、ナトリウム塩化付加物を排他的に検出するために、10mMのNaClを添加した5mg/mlのEtOH溶液として調製した。使用前に、溶液を得るために、マトリックスを浴中で10分間、超音波処理した。非分画試料をエタノールに溶解して、5mg/mlの濃度の溶液を得て、HPLC画分について、10マイクロリットルの試料をさらなる調製を行わずに使用した。全ての試料を、マトリックスと1:1(体積:体積)で混合し、ボルテックス混合した後、各試料1マイクロリットルを標的プレート(MPT384研磨鋼、Bruker)に、各3個スポッティングした。全ての試料スポットを乾燥させ、プレート上で結晶化させた後、MALDI測定を行った。陽イオンMALDI−TOF質量分析を、反射モードで、周波数5Hzで操作される337nm N
2レーザを取り付けたUltraflex TOF/TOF,Bruker Daltonics機器で行った。スペクトルを、加速電圧25kVで、450Daまでのマトリックス抑制で記録し、1回の測定につき、合計1000獲得した。レーザの出力は、最適なピーク分解能を得るために、検出しきい値(通常は約40%)をわずかに上回る状態に維持した。全ての質量スペクトルを、FlexControl 3.4を用いて取得し、FlexAnalysis 3.4ソフトウェアを用いて分析した。
【0212】
(C3)分取HPLC(C1)由来の試料のDSC
分取HPLC分離から蒸発させた試料を、アセトンに溶解することによって20mlチューブから抽出し、0.1mlのマイクロインサート(Sigma Aldrich)を取り付けた1.5mlのガラスバイアルに(3回の洗浄で)移した。次いで、試料を真空下で乾燥するまで蒸発させた(GeneVac遠心エバポレータEZ−2、SP Scientific)。その後、全ての試料を真空ピストル中で一晩乾燥させた後、DSCパン(40マイクロリットル、ピン付きのアルミニウム製パン、Mettler Toledo)を移し、湿度を制御した状態(約7%以下)で真空バッグに密封し、大気からの湿度の取り込みを避けた。
DSC測定は、方法の説明(B)のDCSに基づいて記載される通りに行われた。
【0213】
(D)GC(1,4−ソルビタン)
機器パラメータ
【0214】
【表7】
【0215】
試料調製
試料原液
スクリューキャップボトル(25mL)中の5mlのピリジンおよび10mlの無水酢酸に、2gの試料を加え、撹拌下で120℃まで2時間かけて加熱する。
試料溶液
0.5mlの試料原液を、1mlのジクロロメタンを含むオートサンプラバイアルに添加し、混合する。
1,4−ソルビタンは、約12.3分で検出される。
【0216】
(E)
1H NMR
1H NMRは、当業者にとって日常的な分析方法であるため、以下に使用され得るパラメータの例示的なセットのみが与えられる。
溶媒:DMSO−d6
5〜10mgの試料を0.6mlのDMSO−d6に溶解し、混合する。
【0217】
(F)
13C NMR
13C NMRは、当業者にとって日常的な分析方法であるため、以下に使用され得るパラメータの例示的なセットのみが与えられる。
溶媒:DMSO−d6
20〜50mgの試料を0.6mlのDMSO−d6に溶解し、十分に混合する。
【0218】
(G)光学回転法(1,4−ソルビタン)
機器パラメータ
【0219】
【表8】
試料調製
ブランク
純水
試料溶液
300±3mgの1,4−ソルビタンを100mlのメスフラスコに添加し、次いで水で溶解し、所定容積になるまで希釈した。
【0220】
(H)イソソルビド種が存在するかどうかを検証するための
13C NMR法
測定前に、試料を重水素化クロロホルム中に溶解した。約90〜120mgの材料を0.55mLのd1−クロロホルムと混合した。0.5mlの溶液を5mmのNMRチューブに充填した。
1Hデカップル
13C−NMR、
13C(1H)−NMRを、プロトンでカップリングおよび核オーバーハウザー効果(NOE)を用いて行った。測定は、25℃で、400MHz分光計、共振周波数100.61MHzで行われた。試料を、14.5マイクロ秒のパルス長(90°)、20Hzスピン、取得時間1.301秒、および待ち時間5秒を用い、8192スキャンで試行した。25188.9Hz(250ppm)のスペクトル幅を用い、32768の複雑なデータ点を集めた。全てのスペクトルを、1Hzのライン幅でフーリエ変換し、128kのデータ点までを0で埋めた。スペクトルを、位相およびベースライン補正し、
13C−NMRについて、TMSに対して77.23ppmであると決定したクロロホルムピークを参照ピークとして使用した。
【0221】
実施例1−塩化チオニルを用いた、塩化オレオイル
撹拌棒を備えた2口丸底フラスコにオレイン酸(12.62g、40.9mmol、1.0当量)を投入し、このフラスコをN
2でパージした。40℃まで加熱した後、塩化チオニル(12.5ml、172.0mmol、4.2当量)を撹拌しながら滴下漏斗によって10分間にわたって滴下し、気体の発生を観察した。次いで、温度を65℃まで上昇させ、反応混合物を1時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却した。過剰なSOCl
2をロータリーエバポレータによって除去し、続いて真空下で乾燥させ、塩化オレオイルを得た。塩化オレオイルの収率は、100%であると仮定した。
【0222】
実施例2−塩化チオニル由来の1.0当量の塩化オレオイルを用いた、Polysorbate 80
実施例10に従って調製したPEOソルビタン(47.1g、42.9mmol、1.0当量)を1口丸底フラスコ内に秤量し、フラスコ中の雰囲気をN
2と交換した。実施例1に従って調製した全量の塩化オレオイルを室温で添加し、反応混合物を室温で15分間撹拌した。
【0223】
この混合物を、約80mbarの減圧下で約10分間蒸気蒸留した。この蒸気蒸留によりpHが約1.5から約4.5に上がった。
【0224】
蒸気蒸留からの生成物を、分析のためにそのまま使用した。
【0225】
(H)
13C NMR法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0226】
(A)HPLC−ELSD法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0227】
実施例3−塩化チオニルを用いた、塩化オレオイル
撹拌棒を備えた2口丸底フラスコにオレイン酸(30.0g、97.3mmol、1.0当量)を投入し、このフラスコをN
2でパージした。40℃まで加熱した後、塩化チオニル(30ml、413.0mmol、4.2当量)を撹拌しながら滴下漏斗によって10分間にわたって滴下し、気体の発生を観察した。次いで、温度を65℃まで上昇させ、反応混合物を1時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却した。過剰なSOCl
2をロータリーエバポレータによって除去し、続いて真空下で乾燥させ、塩化オレオイルを得た。塩化オレオイルの収率は、100%であると仮定した。
【0228】
実施例4−塩化チオニル由来の1.2当量の塩化オレオイルを用いた、Polysorbate 80
実施例10に従って調製したPEOソルビタン(22.4g、21.4mmol、1.0当量)を1口丸底フラスコ内に秤量し、フラスコ中の雰囲気をN
2と交換した。塩化オレオイル(7.74g、25.7mmol、1.2当量、実施例3に従って調製)を室温で添加し、反応混合物を室温で15分間撹拌した。
【0229】
この混合物を、約80mbarの減圧下で約10分間蒸気蒸留した。この蒸気蒸留によりpHが約1.5から約4.5に上がった。
【0230】
蒸気蒸留からの生成物を、分析のためにそのまま使用した。
【0231】
(H)
13C NMR法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0232】
(A)HPLC−ELSD法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0233】
実施例5−塩化チオニル由来の1.4当量の塩化オレオイルを用いた、Polysorbate 80
実施例4を、1.2当量の代わりに1.4当量の塩化オレオイルを添加したという点だけ変えて繰り返した。
【0234】
(H)
13C NMR法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0235】
(A)HPLC−ELSD法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0236】
実施例6−塩化チオニル由来の1.6当量の塩化オレオイルを用いた、Polysorbate 80
実施例4を、1.2当量の代わりに1.6当量の塩化オレオイルを添加したという点だけ変えて繰り返した。
【0237】
(H)
13C NMR法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0238】
(A)HPLC−ELSD法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0239】
実施例7−塩化オキサリルを用いた、塩化オレオイル
撹拌棒を備えた2口丸底フラスコにオレイン酸(2.0g、7.1mmol、1.0当量)を投入し、このフラスコをN
2でパージした。DCM(6.5mL)を添加し、透明溶液が生成した。次いで、塩化オキサリル(1.21ml、14.2mmol、2.0当量)を撹拌しながら滴下漏斗によって10分間にわたって室温で滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。DCMおよび過剰な塩化オキサリルをロータリーエバポレータで除去し、続いて真空下で乾燥させた。塩化オレオイルの収率は、100%であると仮定した。
【0240】
実施例8−塩化オキサリル由来の1.0当量の塩化オレオイルを用いた、Polysorbate 80
実施例10に従って調製したPEOソルビタン(7.4g、7.1mmol、1.0当量)を1口丸底フラスコ内に秤量し、フラスコ中の雰囲気をN
2と交換した。実施例7に従って調製した全量の塩化オレオイルを室温で添加し、反応混合物を室温で15分間撹拌した。
【0241】
この生成物を、分析のためにそのまま使用した。
【0242】
(H)
13C NMR法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0243】
(A)HPLC−ELSD法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0244】
実施例9−1.0当量の市販の塩化オレオイルを用いた、Polysorbate 80
実施例10に従って調製したPEOソルビタン(5.96g、5.7mmol、1.0当量)を1口丸底フラスコ内に秤量し、フラスコ中の雰囲気をN
2と交換した。塩化オレオイル(1.885mL、5.7mmol、1.0当量、Sigma Aldrich)を室温で添加し、この温度で15分間撹拌した。
【0245】
この生成物を、分析のためにそのまま使用した。
【0246】
(H)
13C NMR法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0247】
(A)HPLC−ELSD法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0248】
(A)HPLC−ELSDの結果
表1は、実施例1、4、5、6、8、および9のHPLC−ELSD結果を示し、報告されているのは、それぞれのHPLCクロマトグラムにおけるモノエステル、ジエステルおよびトリエステルの溶出ピークの面積%であり(表1では「モノ」、「ジ」および「トリ」で示される)、第1の値は、クロマトグラムの総ピーク面積に基づく、それぞれのピークの面積の絶対的な百分率であり(「abs%」)、第2の値は、この3つのピークの面積の合計に基づく、それぞれのピークの面積の百分率である(「rel」)。
溶出ピークの最大値が観察される。
●モノエステルの場合、27.4分〜27.7分
●ジエステルの場合、40.3〜40.6分
●トリエステルの場合、47.2分〜47.3分
この3つのエステルの溶出ピークは、互いに良好に分離される。
【0249】
【表9】
【0250】
(B)DSCの結果
表2は、DSC結果を示し、T(ピーク)およびΔHの値は、Croda HPおよびNOFの場合の試料当たり3つのDCS分析の平均であり、一方、それらは、実施例2、4、5および6の場合の1つのDSC分析の値である。
【0251】
【表10】
【0252】
加熱サイクルの曲線の考察:
Croda HPは、加熱サイクルにおいて明らかな吸熱ピークを示し、このピークは、溶融ピークであると解釈され、ΔHは、約−12℃で約48J/gである(
図5)。
NOFは、加熱サイクルにおいて、以下の2つの明らかなピークを示す。
【0253】
吸熱ピーク、このピークは、溶融ピークであると解釈され、ΔHは、約−7℃で約42J/gであり、
発熱ピーク、このピークは、溶融ピークであると解釈され、ΔHは、約−46℃で約36J/gである(
図6)。
【0254】
Croda SRは、加熱サイクルにおいて明らかな吸熱ピークを示し、このピークは、溶融ピークであると解釈され、ΔHは、約−7.4℃で約46.3J/gである(
図28)。
【0255】
4つの実施例2、4、5および6のDSCは、約−30℃から−40℃の間に、小さく、明らかではなく、十分に定義されず、かなり広い吸熱谷を示し、ΔHは、0.1〜0.5J/gであり(
図1〜4)、これは、Croda HPおよびNOFの溶融ピークのΔHと比較して、約100分の1小さい。DSC機器のプログラムによる、このわずかな吸熱谷の面積の決定は、
図20に示されている。
【0256】
この曲線において、直前に(すなわち、わずかに低い温度で)発熱性の隆起部が現れ、上述のわずかな吸熱谷(
図1〜4)は、10℃/分のかなり速い加熱速度に起因して、また、その非常に小さいサイズに起因して、単なるベースラインの不規則性である可能性があるため、明確に解釈することができない。その面積は、既に示したわずかな吸熱谷の面積のわずか3分の1であり、これはさらに重要ではない。
【0257】
実施例8、9および13のDSCは、4つの実施例2、4、5および6のDSCに類似しているように見える。
【0258】
したがって、実施例2、4、5、6、8、9および13は、結晶化挙動の溶融が全く示されていないか、または少なくとも明確ではない。
【0259】
冷却サイクルの曲線の考察:
Croda HPは、第1冷却サイクルにおいて、約−35℃でΔHが約42J/gの明らかな発熱ピークを示し、第2冷却サイクルにおいて、約−35℃でΔHが約41の明らかな発熱ピークが存在し、約−30℃に明らかなショルダー部を示し、そのショルダー部に起因して、第1冷却サイクルにおけるピークとは明らかに異なる形状を有する(
図8)。
【0260】
Croda SRは、第1および第2冷却サイクルにおいて、約−41.5℃でΔHが約32.4J/gのほぼ同じ明らかな発熱ピークを示す(
図29)。
【0261】
NOFも、実施例2、4、5、6、8、9および13も、2つの冷却サイクルのいずれかにおいてピークを示さない(
図7(実施例2、4、5、6、8、9および13について例示的)、および
図9)。
【0262】
分取HPLCからの(C)MALDIおよびDSCの結果
試料をMALDIによって試験した。実施例5およびCroda HPを分取HPLCでの分離、100個の個々の画分に分画することによって詳細に試験し、これらを0〜100分間、連続して収集したため、各画分を1分間(10ml画分)収集し、これをMALDIによって分析した。全ての画分の実際の重量を決定し、重量分布を作成し、UVクロマトグラムと重ね合わせた。
図16および17:それぞれ、実施例5およびCroda HPのUV吸収(実線)および重量分布(破線)の重ね合わせを伴う、分取HPLCのHPLCクロマトグラム
図18および19:それぞれ、実施例5(実線)およびCroda HP(破線)のUV吸収および重量分布の重ね合わせの分取HPLCのHPLCクロマトグラム
【0263】
この分離から、PEOソルビタンモノオレエートの純粋画分をDSCによって試験した。
【0264】
実施例5の分画により、純粋なPEOソルビタンモノエステル画分が得られ、これはまた、DSC分析においていかなる溶融ピークも示さなかった。
【0265】
MALDI質量スペクトルにおいて、全てのエトキシル化分布は、1つのEO単位に等しい44Daによって分離される。質量分布の平均EO含有量を計算するために、質量ピークリストをエクスポートし、ガウス分布関数にフィッティングさせた。
【0266】
【数1】
【0267】
aが、ガウス分布関数の高さである場合、bは、ガウス分布関数の中心位置であり、cは、中心質量周辺のガウス分布関数のEO拡散または分散の推定値として使用することができる。したがって、ガウス分布関数の中心位置は、混合物中に存在する分子の質量を示し、最も高いMALDIピークを与える。
【0268】
実施例10のPEOソルビタンの場合、この値は、1146Daに対応していた。21EO単位を有するナトリウム塩化PEOソルビタンは、1112Daの分子質量を有し、22EO単位を有するナトリウム塩化PEOソルビタンは、1156Daの質量を有する。したがって、このガウス分布関数の平均整数EO数は22であると推定される(
図10および15:ガウス分布関数の曲線と重ね合わせていないもの、および重ね合わせた実施例10)。
【0269】
純粋なPEOソルビタンモノオレエート画分の分析には、同じ方法論を使用することができる。しかしながら、非分画生成物は、PEOソルビタンのモノエステル、ジエステルおよびトリエステルを含有し、264Daを有する1つのオレエートが6EO単位を有する等しい重量であるという事実に起因して、重なり合う分布を有する。20EO単位を有するナトリウム塩化PEOソルビタンモノオレエートの質量ピークは、1332Daを有し、したがって、14EO単位を有するPEOソルビタンジエステルと8EO単位を有するPEOソルビタントリエステルの上に重なる。したがって、HPLC画分の重量の知識があったとしても、非分画試料のMALDI質量スペクトルのみから平均EO含有量を計算することは不可能である。しかしながら、分画試料から得られた知識を用いて、非分画試料の平均EO含有量を推定することができる。
【0270】
イソソルビド系の種およびPEOエステル:
図18は、実施例5(実線)およびCroda HP(破線)のUV吸収の重ね合わせを示す。UV吸収は、約16〜27分の間に主要シグナルを示している。一般に、HPLCカラムは、使用された勾配(極性から非極性まで)に関連して、極性に従って分離し、極性が高い種ほど、極性が低い種よりも早く溶出するため、モノエステルが最初に溶出し、次いでジエステルが、それより後に、2つより多いエステル残基を有する種が溶出する。分取HPLC試料に基づくMALDIを使用して、モノエステル種を、その分子量の分布についてさらに分析した。同様に、約30〜46分の間の主要シグナルが同定され、ジエステル種に割り当てられた。
【0271】
モノエステル種の場合、約16〜27分の間で溶出し、
●実施例5の主要シグナルは、様々な数のEO単位を有するPEOソルビタンモノエステル種に割り当てられ、
●Croda HPの主要シグナルは、
・様々な数のEO単位を有するPEOソルビタンモノエステル種、
・様々な数のEO単位を有するPEOイソソルビドモノエステル種、および
・様々な数のEO単位を有するPEOモノエステル、すなわち、ポリオキシエチル化脂肪酸エステルに割り当てられた。
ジエステル種の場合、約30〜46分の間で溶出し、
●実施例5の主要シグナルは、様々な数のEO単位を有するPEOソルビタンジエステル種に割り当てられ、
●Croda HPの主要シグナルは、
・様々な数のEO単位を有するPEOソルビタンジエステル種、および
・様々な数のEO単位を有するPEOイソソルビドジエステル種、
・様々な数のEO単位を有するPEOジエステル、すなわち、両側に脂肪酸エステルを有するPEGに割り当てられた。
【0272】
イソソルビド系の種およびPEOエステル種は、ソルビタン種よりも顕著に遅く溶出し、これは、EO単位数の分布によって引き起こされる分子量の分布による重なり合いがあるにもかかわらず、モノエステル種およびジエステル種の場合両方にあてはまる。
【0273】
イソソルビド系の種とPEOエステル種は、実際には、多かれ少なかれ、共に溶出する。
図21は、Croda HPの場合に種々の種が溶出する時間範囲を示す。
A:PEOソルビタンモノエステル種のピーク
B:PEOイソソルビドモノエステルおよびPEOモノエステル種のピーク
C:PEOソルビタンジエステル種のピーク
D:PEOイソソルビドジエステルおよびPEOジエステル種のピーク
【0274】
また、実施例5の場合、PEOエステルも観察されたが、PEOソルビタンエステルの主要ピークと比較して微量または少量のみであった。
【0275】
実施例10の場合、PEOイソソルビドも観察されたが、PEOソルビタンの主要ピークと比較して、ノイズレベルをちょうど上回る微量のみであった。
【0276】
イソソルビド種は、実施例5において観察されていない。
【0277】
実施例5、NOF、Croda HPおよびCroda SRにおけるPEO1,4−ソルビタンモノエステル種のEO単位の平均数の推定:
概して、実施例5のエトキシル化種のいずれかは、Croda HPおよびCroda SRにおけるそれぞれの種と比較して、より少ない数のEO単位を示し、その差は、常におよそ5〜10のEO単位である。
図22aおよび
図22bは、EO単位の平均数のこのシフトが、MALDIスペクトルのm/z分布にどのように影響するかを示す。
A:実施例5
B:NOF
C:Croda HP
D:Croda SR
明らかに、実施例5の場合のMALDIピークは、NOF、Croda HPおよびCroda SRと比較して、低いm/z値にシフトしている。
【0278】
純粋な1,4−ソルビタンモノエステル画分のMALDI質量分布は、ガウス分布関数によくフィッティングする。非分画材料、すなわち実施例5、NOF、Croda HPおよびCroda SRの場合、主要質量分布は、全てが等しい重量の分子であるPEOソルビタンモノオレエート、ジオレエートおよびトリオレエートの存在に起因して、重なり合う質量分布を含有する。ポリエステル種は、モノエステルよりも少ない量で存在するが、質量スペクトル全体がわずかに高質量側にシフトする。したがって、非分画試料からのMALDI質量分布は、ガウス分布関数から逸脱するであろう。しかしながら、
図30aおよび
図30bに示すように質量分布の左側にガウス分布関数がフィッティングされる場合、中心質量ピーク(b、ガウス分布関数中心の位置)は、1,4−ソルビタンモノエステル種のEO単位の平均数の良好な推定である。この推定を試験し、3つの試料(実施例5、NOF、Croda HPおよびCroda SR)について検証し、そのうち2つの試料である実施例5およびCroda HPについて、分画および詳細な分析を行い、結果を表3に示す。
【0279】
【表11】
【0280】
実施例2、4、5、6、8、9、13のMALDIは、イソソルビド種またはソルビトール種の非存在を示す。
MALDIを用い、実施例2、4、5、6、8、9および13において、イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルが検出可能であった。
【0281】
MALDIを用い、実施例2、4、5、6、8、9および13において、ソルビトール種、例えば、ソルビトールエステルエトキシレートが検出可能であった。
【0282】
分布の幅および最大値の数の分析のための実施例5、NOF、Croda HPおよびCroda SRのMALDI:
実施例5のMALDIは、1つの最大値のみを有するシグナル分布を示し、一方、NOF、Croda HPおよびCrode SRのMALDIは、シグナル分布において、主要最大値に加えて2つのさらなる最大値を示し、さらなる最大値の1つは、主要最大値のb値に対して、より低いm/z値でb値を有し、もう一方のさらなる最大値は、主要最大値のb値に対して、より高いm/z値でb値を有する。両方のさらなる最大値は、主要最大値よりも低い強度を有する。
【0283】
表4は、それぞれの最大値に対してフィッティングした3つのガウス曲線のb値と、実施例5のMALDIスペクトル中の1つの最大値にフィッティングしたガウス曲線のb値を示す。これらのフィッティングした曲線を
図31aおよび
図31bに示す。
【0284】
【表12】
【0285】
実施例2、4、5、6、8、9および13のMALDIスペクトルは、1つの最大値のみを有するシグナル分布を示す。
【0286】
本発明の生成物と既知のポリソルベート製品とのこの差は、MALDIスペクトルの全てのシグナルに対して、すなわち、全分布に対して、1つのガウス曲線のみがフィッティングされる場合にも、示すことができる。ガウス分布関数のc値は、シグナルのm/z値の拡散の概算値として使用することができ、すなわち、b値によって表される、ガウス分布関数の中心m/z値の周囲のガウス分布関数の分散の概算値として使用することができる。表5は、実施例5、NOF、Croda HPおよびCRODA SRについてのこれらのc値を示す。
【0287】
MALDIスペクトル中の全てのシグナルに対する1つのガウス曲線のこのフィッティングを、
図32aおよび
図32bに示す。
【0288】
【表13】
【0289】
実施例10−20EOを使用した1,4−ソルビタンからのPEOソルビタン
200gのナフサ(石油)、ヘビーアルキレート、CAS 64741−65−7、100g(0.61mol、1当量)1,4−ソルビタン(実施例11にしたがって調製した)および0.6gのKOHを4Lオートクレーブに投入した。オートクレーブを、最初に排気し、その後、N
2で0.5barの圧力を印加することによって不活性化し、これを合計4回行った。
【0290】
混合物を150℃まで加熱し、553g(12.6mol、20.7当量)のエチレンオキシドを、温度が160℃を超えて上昇せず、圧力が3.8barを超えて上昇しないような速度で添加し、添加を4時間で行った。次いで、混合物を150℃で2時間撹拌した。
【0291】
60℃まで冷却した後、2.3gのAcOHを添加した。2つの相が形成され、一方は溶媒を含み、もう一方は生成物を含み、これらを分離した。残留溶媒をロータリーエバキュエータで蒸気蒸留することによって除去した。625gの生成物を得た。
【0292】
収率:平均20EOを有するPEOソルビタンが得られたという仮定に基づいて、95%。この仮定は、この生成物をさらなる反応で使用したときにも適用された。
【0293】
1H−NMRおよび
13C−NMRによって構造を確認した。
【0294】
DSC分析は、両方の加熱サイクルにおいても、両方の冷却サイクルにおいても、結晶化または融解の兆候を示さなかった。
【0295】
実施例11−1,4−ソルビタン
D−ソルビトール(300g、1.647mol、1当量)を1.5Lの反応器に投入した。p−トルエンスルホン酸一水和物(2.665g、0.014mol、0.0085(0.85%)当量)を投入し、その後、TBAB(9.6g、0.03mol、0.0182(1.81%)当量)を投入した。反応器に4〜6mbarの真空を適用した。次いで、混合物を110℃まで加熱し(混合物は約90℃で溶融した)、110℃で6時間撹拌した。混合物を30分間で70〜75℃まで冷却した。エタノール(150mL)を投入した。得られた混合物を70〜75℃で2時間撹拌し、透明な溶液を生成した。次いで、溶液を3時間で20℃まで冷却した。黄色の懸濁液を生成した。イソプロパノール(150mL)を投入した。混合物を1時間で0℃まで冷却した。混合物を0℃で4時間かけてスラリー化した。混合物を濾過し、ケーキをイソプロパノール(150mL)で洗浄した。ケーキを真空下、50℃で16時間乾燥させて、白色固体として142.2gの生成物を得た。
収率52.6%。
【0296】
1H−NMRおよび
13C−NMRによって構造を確認した。
GC面積%
【表14】
比旋光度−22.26°、c=3.1(水)
【0297】
比較例1
2018年11月4日から7日まで、Walter E Washington Convention Center(ワシントンDC)で、会議「aaps 2018 PharmSci 360」が2018年の11月2日金曜日にMove−Inで開催され、Pre−Conference Activitiesは2018年11月3日土曜日に開催された。
【0298】
これらのPre−Conference Activitiesの午前9時から午後5時まで、WorkshopおよびShort Courseが行われた。これらのWorkshopのうちの1つは、午前9時45分から午前10時15分まで行われ、タイトルは、「SC1−Synthesis and Control of Polysobates for Biouharmaceuticel Applications」であり、CRODA社(www.crodahealthcare.com、Croda,Inc.、Edison、New Jersey、USA)を代表するSreejit R.Menonによって開催された。
【0299】
このプレゼンテーションは、スライド12のPolysorbate Synthesis of Croda(
図23を参照)で示しており、
ソルビトール−(脱水)→ソルビタン−(脂肪酸でエステル化)→ソルビタン脂肪酸エステル−(エトキシル化)→ポリソルベート−(仕上げ)→高品質のポリソルベートのシーケンスを示している。
【0300】
このシーケンスに従って、Crodeは、2つの製品範囲を作成する。
●Croda HP、Tween 80 HPとも呼ばれ、略語「HP」は、「高純度(high purity)」を意味する
●Croda SR、略語「SR」は、「超精製(super refined)」を意味し、「SR PS 80」とも呼ばれる(超精製ポリソルベート80を意味する)、Super Refined Polysorbate」
【0301】
スライド11(
図24を参照)には、これら2つの製品群の原材料が列挙されている。
【0302】
スライド17(
図25を参照)には、Croda HPとCroda SRの違い:
1.SRグレードとHPグレードのプロセス差は、以下の通りである。
●高純度の出発物質(脂肪酸およびソルビトール)
●より穏やかな条件下で製造し、カラメル化を防ぐ
●工程毎にプロセスを制御した
2.色の違い:HPグレードは、黄色がかった色を有し、一方、SRグレードは、ほぼ無色であり、これはスライド16に示されている(
図26を参照)。元のプレゼンテーションは、白黒ではなくカラーであったが、グレースケールの再現は、依然として、Croda SRの試料と比較して、より濃い色合いの形態で、Croda HPの黄色がかった色を示している。
【0303】
スライド15(
図27を参照)において、SRグレードのMALDIスペクトルが示される。3つの優勢なピーク領域は、以下のこれらのピーク領域を生じる化学種によって特徴付けられる。
1.イソソルビドエステルエトキシレートおよびPEG
2.ソルビタンエステルエトキシレート
3.ソルビトールエステルエトキシレート
明らかに、MALDIスペクトルは、市販されている最も純度の高いグレードであるSRグレードについても、ソルビタンエステルエトキシレートの1つの所望のピーク領域だけでなく、SRグレードに存在するイソソルビドおよびソルビトール誘導体の存在によって生じる有意なピーク領域も示している。
【0304】
実施例12−塩化オレオイル
2口丸底フラスコにオレイン酸(469.3g、1.64mol、1.0当量)を投入し、このフラスコをN
2でパージした。ジクロロメタン(DCM)(1520mL)を添加し、透明な無色溶液が生成した。次いで、塩化オキサリル(288ml、3.3mol、2.0当量)を撹拌しながら50分間にわたって室温で滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。DCMおよび過剰な塩化オキサリルをロータリーエバポレータで約35℃および約450〜8mbarで除去し、その後、真空下で乾燥させた。塩化オレオイルの収率は、100%であると仮定した。
【0305】
実施例13−Polysorbate 80
PEOソルビタン(1001.9g、0.96mol、1.0当量、実施例10に従って調製した)を2L反応器内に秤量し、フラスコ中の雰囲気をN
2と交換した。塩化オレオイル(435.5g、1.34mol、1.4当量、実施例12に従って調製した)を、約40分間、室温で添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を60℃まで加熱し、1日間撹拌(200mbar)しながら真空を適用した。
生成したHClを除去し、pHを5.9まで上げた。pHを測定し、試料の含有量が5重量%である、生成物の試料水溶液を調製した。
【0306】
(H)
13C NMR法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0307】
(A)HPLC−ELSD法:イソソルビド種、例えばPEO−イソソルビドまたはPEO−イソソルビド−脂肪酸エステルは、検出可能ではなかった。
【0308】
実施例14−PEOイソソルビドモノオレエートの定量
較正材料の調製
(C1)試料調製および分取HPLCに記載される分取HPLC法(最後の文の「次いで、蒸発した画分をDSC分析に使用した」を除く)を使用して、実施例15に従って調製したPEOイソソルビドオレエートを分離した。この材料は、第2のピークと同様の時間で、PS80の分離プロセスにおいてピークB(例として
図21を参照)で溶出した。3つの綺麗な画分を抽出し、これを組み合わせて広いPEO分布および大量の材料を得た。この材料は、MALDI(HPLC画分の(C2)に記載される方法)を用い、PEOイソソルビドモノオレエートとして同定された。
【0309】
標準化目的に必要な、平均で12EO単位を有するPEOイソソルビドオレエートは、既知の手順に従って合成することができ、この実施例では、実施例15に従って調製されたPEOイソソルビドオレエートを使用した。
【0310】
LC−MS(ESI)
実施例15に従って調製したイソソルビド較正材料であるPEOイソソルビドオレエートを、0.001mg/ml、0.002mg/ml、0.006mg/mlの3つの別個の溶液に溶解した。この3つの溶液の各々10マイクロリットルをLC(Water 2795 Alliance HT、Waters AG、5405 Baden−Dattwil、スイス)に注入し、C18カラム(Luna C18(2)、3マイクロメートル、75×4.6mm、Phenomenex、63741 Aschaffenburg、ドイツ)に充填した。分析物である種を、缶(アセトニトリル)を用いて分離した。45体積%のACNで開始し、45分間で100体積%のACNまで増加するH
2O勾配、流速0.8ml/分、カラム温度50℃。分離は、60分に達するまで、100%のACNで継続した。この種を、エレクトロスプレーイオン化源(ESI)を取り付けた質量分析器(Waters Micromass Quattro microTM)で検出した。MassLynx V4.0ソフトウェアをデータ獲得に使用した。全走査質量スペクトルをm/z 200〜2000の間で、1秒当たり1回の走査速度で取得した。MS走査のパラメータは以下の通りであった:脱溶解ガス温度300℃、イオン源温度100℃、窒素ガス流量500L/時間、噴霧(N
2)ガス圧力は6bar、キャピラリー電圧は3000V、コーン電圧は30Vであった。
【0311】
PEOイソソルビドモノオレエートの較正曲線
質量スペクトルを収集し、MassLynx V4.0ソフトウェアを用い、目的のピークにわたって組み合わせた。質量スペクトルを、PEOイソソルビドモノオレエート種が検出された時間からの範囲で組み合わせた(試料に応じて、28〜34分の溶出時間)。各較正濃度は、較正曲線に使用される1つの質量スペクトルに対応する。4つの異なる分布が各スペクトルで検出され、これらは、4つの異なる付加物Na+、K+、H+およびH
2Oに対応している。各付加物の分布は、1つのEO単位に対応する44Daで区切られたピークの範囲を示した。各分布の全てのピークの強度を一緒に加え、各付加物に1つずつ、4つの強度(図を参照、丸:全付加物の合計、四角:H
2O付加物、三角:H+付加物、星形:Na+付加物、ひし形(
図33では三角の近傍に見える):K+付加物)および較正濃度が与えられた。0.001〜0.006mg/mlの範囲にわたって、各付加物について(標準の線形回帰を使用して)較正曲線を計算した(
図1を参照)。
図33は、この曲線を示す。
【0312】
これらのピークがポリソルベート試料中のPEOモノオレエートと重ならないため、2つの較正曲線、1つはH
2O付加物についてのもの(破線)および1つはK+付加物についてのもの(連続線)が使用され、PEOイソソルビド含有量を決定した。
【0313】
Polysorbate 80製品中のPEOイソソルビドモノオレエートの量の決定
Croda HPと実施例13に従って調製したポリソルベートの2つのポリソルベート試料をH
2Oに溶解し、0.05mg/mlの濃度の溶液を得た。28〜34分の間に溶出するピーク(試料に依存する)について、イソソルビド較正材料であるPEOイソソルビドオレエートと同じ方法を用い、各試料について1つの組み合わせた質量スペクトルを収集した。各付加物の分布についての強度を計算し、較正曲線を使用して、各試料についてのPEOイソソルビドモノオレエート種の量を計算した(試料の重量に基づく重量%で)。実施例17に従って調製したポリソルベートは、1重量%のPEOイソソルビドモノオレエートを含有していた。Croda HPは、12重量%を超えるPEOイソソルビドモノオレエートを含有しており、これが較正範囲外であったため、具体的な濃度は決定することができなかった。
【0314】
重量%は、それぞれのポリソルベート試料(Croda HPおよび実施例17に従って調製したポリソルベート)の重量に基づく。
【0315】
検出限界:
検出器の飽和は、0.006mg/mlを超える濃度を有するPEOイソソルビドオレエート溶液10マイクロリットルで生じ、より具体的には、0.006mg/ml〜0.01mg/mlが注入され、これは、0.06μg〜0.1μgのPEOイソソルビドオレエートの量に等しい。0.05mg/mlの濃度の試料溶液10マイクロリットルが注入されるので、この注入は、注入された試料材料0.5マイクログラムの量に等しい。したがって、検出限界は、12重量%〜20重量%である。
【0316】
実施例15−PEOイソソルビドモノオレエート
オレイン酸(204.1g)およびDCM(660ml)を混合し、塩化オキサリル(185g)を40分間、20℃で加え、20℃で2時間撹拌した後、反応混合物を33℃、450〜22mbarで濃縮し、黄色の透明な液体(216.6g)を得た。
PEOイソソルビド(254.5g、実施例16に従って調製した)を2Lの反応器内に秤量し、フラスコ中の雰囲気をN
2と交換した。塩化オレオイル(216.6gのうちの160.9g)を30分間、室温で添加し、反応混合物を室温で40分間撹拌した。次いで、反応混合物を60℃まで加熱し、1.5日間撹拌(200mbar)しながら真空を適用した。
【0317】
生成したHClを除去し、pHを3.8まで上げた。pHを測定し、試料の含有量が5重量%である、生成物の試料水溶液を調製した。
【0318】
実施例16−12EOを使用した1,4−ソルビタンからのPEOイソソルビド
200gのナフサ(石油)、ヘビーアルキレート、CAS64741−65−7、89.1g(0.61mol、1当量)イソソルビド(Sigma−Aldrich)および0.6gのKOHを4Lオートクレーブに投入した。オートクレーブを、最初に排気し、その後、N
2で0.5barの圧力を印加することによって不活性化し、これを合計4回行った。
【0319】
混合物を150℃まで加熱し、333g(7.6mol、12.4当量)のエチレンオキシドを、温度が160℃を超えて上昇せず、圧力が3.8barを超えて上昇しないような速度で添加し、添加を4時間で行った。次いで、混合物を150℃で2時間撹拌した。
【0320】
60℃まで冷却した後、1.4gのAcOHを添加した。2つの相が形成され、一方は溶媒を含み、もう一方は生成物を含み、これらを分離した。残留溶媒をロータリーエバキュエータで蒸気蒸留することによって除去し、約376gの生成物を得た。
【0321】
収率:平均120EOを有するPEOソルビタンが得られたという仮定に基づいて、95%。この仮定は、この生成物をさらなる反応で使用したときにも適用された。
【0322】
1H−NMRおよび
13C−NMRによって構造を確認した。
【0323】
DSC分析は、両方の加熱サイクルにおいても、両方の冷却サイクルにおいても、結晶化または融解の兆候を示さなかった。
【0324】
実施例17−22EOを有するPolysorbate 80
PEOソルビタン(502、0.44mol、1.0当量、実施例18に従って調製した)を2L反応器内に秤量し、フラスコ中の雰囲気をN
2と交換した。塩化オレオイル(215.8g、0.7mol、1.5当量、実施例12に従って調製した)を、約40分間、室温で添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を60℃まで加熱し、3日間撹拌(200mbar)しながら真空を適用した。
【0325】
生成したHClを除去し、pHを6.9まで上げた。pHを測定し、試料の含有量が5重量%である、生成物の試料水溶液を調製した。
【0326】
実施例18−22EOを使用した1,4−ソルビタンからのPEOソルビタン
200gのナフサ(石油)、ヘビーアルキレート、CAS64741−65−7、100g(0.61mol、1当量)1,4−ソルビタン(実施例11にしたがって調製した)および0.6gのKOHを4Lオートクレーブに投入した。オートクレーブを、最初に排気し、その後、N
2で0.5barの圧力を印加することによって不活性化し、これを合計4回行った。
【0327】
混合物を150℃まで加熱し、612g(13.92.6mol、22.8当量)のエチレンオキシドを、温度が160℃を超えて上昇せず、圧力が3.8barを超えて上昇しないような速度で添加し、添加を4時間で行った。次いで、混合物を150℃で2時間撹拌した。
【0328】
60℃まで冷却した後、2.5gのAcOHを添加した。2つの相が形成され、一方は溶媒を含み、もう一方は生成物を含み、これらを分離した。残留溶媒をロータリーエバキュエータで蒸気蒸留することによって除去した。688gの生成物を得た。
【0329】
収率:平均22EOを有するPEOソルビタンが得られたという仮定に基づいて、95%。この仮定は、この生成物をさらなる反応で使用したときにも適用された。
【0330】
1H−NMRおよび
13C−NMRによって構造を確認した。
【0331】
DSC分析は、両方の加熱サイクルにおいても、両方の冷却サイクルにおいても、結晶化または融解の兆候を示さなかった。
【国際調査報告】