特表2021-536584(P2021-536584A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-536584(P2021-536584A)
(43)【公表日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】固定手段
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20211129BHJP
   H01H 35/02 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   G01L5/00 103B
   H01H35/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2021-536154(P2021-536154)
(86)(22)【出願日】2019年8月14日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月31日
(86)【国際出願番号】EP2019071790
(87)【国際公開番号】WO2020043491
(87)【国際公開日】20200305
(31)【優先権主張番号】202018004013.4
(32)【優先日】2018年8月29日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】202018106864.4
(32)【優先日】2018年12月3日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521084987
【氏名又は名称】ブリン、ヨルク
【氏名又は名称原語表記】BLIN Joerg
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ブリン、ヨルク
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB01
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの機械的固定パラメータを監視する監視装置の少なくとも1つのセンサと少なくとも1つの送信器とを有する特にシャーシコンポーネントの固定手段に関する。固定手段は、送信器に少なくとも1つのエネルギー供給ユニットが割り当てられていることと、送信器及びエネルギー供給ユニットがスイッチングコンタクトを介して互いに接続されていることと、スイッチングコンタクトを介して電気的接続を閉じることができることと、スイッチングコンタクトは、固定手段が規定どおりに取付けられている場合に電気的接続が開かれ、かつ固定手段が外れた場合にのみ閉じられるように形成されていることと、スイッチングコンタクトの電気的接続が閉じた場合にのみ送信器に電流が供給され、送信器が信号を送信することと、を特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの機械的固定パラメータを監視する監視装置の少なくとも1つのセンサ(8、8’、8’’)と少なくとも1つの送信器(4、4’、4’’)とを有する特にシャーシコンポーネントの固定手段において、
前記送信器(4、4’、4’’)に少なくとも1つのエネルギー供給ユニット(5、5’、5’’)が割り当てられていることと、
前記送信器(4、4’、4’’)及び前記エネルギー供給ユニット(5、5’、5’’)がスイッチングコンタクト(3、3’、3’’)を介して互いに接続されていることと、
前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)を介して電気的接続を閉じることができることと、
前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)は、固定手段が規定どおりに取付けられている場合に前記電気的接続が開かれ、かつ固定手段が外れた場合にのみ閉じられるように形成されていることと、
前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)の電気的接続が閉じた場合にのみ前記送信器(4、4’、4’’)に電流が供給され、前記送信器が信号を送信することと、を特徴とする、固定手段。
【請求項2】
前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)に操作要素(2、2’、2’’)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1に記載の固定手段。
【請求項3】
前記操作要素(2、2’、2’’)が付勢力を有することを特徴とする、請求項2に記載の固定手段。
【請求項4】
前記操作要素(2、2’、2’’)は、前記付勢力に逆らう力を加えた場合に前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)の電気的接続が開かれるように形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の固定手段。
【請求項5】
前記操作要素(2、2’、2’’)は、前記固定手段のねじ山(1b、10b)の回転軸線に対して平行に変位可能な、ばね荷重がかけられたピンであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項6】
前記操作要素(2’’)はばね荷重がかけられたピンであり、前記ばね荷重がかけられたピンは、前記固定手段(1’)のねじ山(1b’)の回転軸線に対して前記ピンが前記固定手段(1’)の中心領域の方向に変位可能、特に回転軸線の方向に変位可能であるような角度に調整されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項7】
前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)は、金属ストリップの少なくとも2つの端部によって形成され、前記ストリップの少なくとも1つが曲げられ、前記ストリップの残留応力によって前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)を閉じることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項8】
前記送信器(4、4’、4’’)がワイヤレス信号伝送を可能にすることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項9】
前記監視装置は、前記固定手段において前記固定手段の外側の先端部において組み付けられていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項10】
前記監視装置の少なくとも前記送信器(4、4’、4’’)及び前記スイッチングコンタクト(3、3’、3’’)が、外に向けて密封されたチャンバ(6、6’、6’’)内に配置されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項11】
前記固定手段はホイールねじ(1、1’)であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項12】
前記ホイールねじ(1)は、前記ホイールねじのねじ山(1b)の回転軸線の方向に延在する切欠き(1d)を前記ねじ山(1b)に有し、前記切欠きに前記スイッチングコンタクト(3)の操作要素(2)が案内されていることを特徴とする、請求項11に記載の固定手段。
【請求項13】
前記スイッチングコンタクト(3’’)の前記操作要素(2’’)は、前記ホイールねじの頭部(1a’)とねじ山(1b’)との間に形成されている前記ホイールねじ(1’)の円錐形から球形のコンタクト面(1c’)において、前記ホイールねじ(1’)の内部から外部へ案内されていることを特徴とする、請求項11に記載の固定手段。
【請求項14】
前記固定手段がホイールナット(10)であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の固定手段。
【請求項15】
前記ホイールナット(10)は、前記ホイールナットのねじ山(10b)の頭部側の端部(10a)に、内側に位置する端面突出部を有し、前記端面突出部に前記スイッチングコンタクト(3’)の操作要素(2’)が保持されていることを特徴とする、請求項14に記載の固定手段。
【請求項16】
少なくとも1つのセンサ(8、8’、8’’)及び少なくとも1つの送信器(4、4’、4’’)を有する少なくとも1つの監視装置と、前記監視装置の前記送信器(4、4’、4’’)に割り当てられた受信器、データ処理ユニット、及び出力ユニットを有する通報装置と、を備える、特にシャーシコンポーネントの機械的固定を監視する装置において、
前記監視装置が請求項1〜15のいずれか1項に記載の固定手段に組み付けられていることを特徴とする、装置。
【請求項17】
前記出力ユニットは、警告を直接発出する、又は前記機械的接続パラメータの状態に関する相応の情報を転送することを可能にする手段を有することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記出力ユニットは車両に一体化されていることを特徴とする、請求項16又は請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの機械的固定パラメータを監視する監視装置の少なくとも1つのセンサと少なくとも1つの送信器とを有する、特にシャーシコンポーネントの固定手段に関する。さらに、本発明は機械的固定を監視する装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
この種の固定手段は独国特許出願公開第102014217076号明細書から知られている。この固定手段は、ホイールサスペンションへのホイールの固定を監視するのに適している。独国特許出願公開第102014217076号明細書によれば、信号処理ユニットを備えるベースユニットがセンサアセンブリと結合可能であり、センサアセンブリは相応の固定手段に割り当てられている。その際、センサアセンブリとして、異なったセンサ、例えば圧力センサ又は位置センサが挙げられ、他の実施形態において、パラメータとして瞬時押圧力、又は互いに固定されるべき部品間の接触の存在が検出されることがすべてのセンサアセンブリに共通する。その場合、独国特許出願公開第102014217076号明細書による瞬時状態監視は、信号処理ユニットとセンサアセンブリとの間の常時信号伝送を必要とし、それによりセンサアセンブリの継続的電流供給が保証されていなければならない。したがって、センサユニットは、継続的なエネルギー供給及び信号伝送を確保するための、好ましくはエネルギー取得ユニットである電気エネルギー源を有する。
【0003】
さらに、独国特許出願公開第102010001144号明細書から機械的接続部品が知られている。この機械的接続部品は、例えば締付けトルクを読み取るセンサ層を有する。その際、センサ層を介して検知された、接続部品の機械的負荷の情報がワイヤレスインターフェイスを介して検出され、かつ読み取られる。したがって機械的接続部品には、同様に相応の継続的エネルギー供給部が割り当てられていなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014217076号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102010001144号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、監視装置が可能な限り少ないエネルギーを消費し、それにより長期間にわたってその機能が確保されるようにこの種の固定手段を発展させることである。
【0006】
上記課題の解決は、請求項1の特徴による固定手段、及び請求項14の特徴による装置によって行われる。発展形態及び有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によれば、少なくとも1つの機械的固定パラメータを監視する監視装置の少なくとも1つのセンサと少なくとも1つの送信器とを有する、特にシャーシコンポーネントの固定手段は、送信器に少なくとも1つのエネルギー供給ユニットが割り当てられていることと、送信器及びエネルギー供給ユニットがスイッチングコンタクトを介して互いに接続されていることと、スイッチングコンタクトを介して電気的接続を閉じることができることと、スイッチングコンタクトは、固定手段が規定どおりに取付けられている場合に電気的接続が開かれ、かつ固定手段が外れた場合にのみ閉じられるように形成されていることと、スイッチングコンタクトの電気的接続が閉じた場合にのみ送信器に電流が供給され、送信器が信号を送信することと、を特徴とする。
【0008】
固定手段が規定どおりに取付けられている場合に送信器のスイッチングコンタクトが閉じられず、それに伴い送信器に電流が供給されないので、送信器は信号を送信できず、エネルギー供給ユニットの電流を消費しない。したがって送信器は動作を停止する。エネルギー供給ユニットとして設けられたエネルギー貯蔵器は、固定手段が外れた場合に長期間にわたって送信器のエネルギー供給を確保することができる。その場合、固定手段は、例えばホイールサスペンションへのホイールの固定のために用いることができる。ホイールがホイールサスペンションから外れた場合、スイッチングコンタクトが閉じられ、送信器が信号、特に警告信号を発する。
【0009】
スイッチングコンタクトを閉じる、及び開くために、スイッチングコンタクトに操作要素が割り当てられ得る。別の実施形態では、操作要素が付勢力(Vorspannung)を有し、それにより操作要素が、固定手段の取付けポジションに依存して予め定められた位置に保持されている。その際、有利にも操作要素は固定手段が規定どおりに取付けられている場合に緊張下(unter Spannung)にあり、固定手段が外れた場合に緊張解除される。
【0010】
別の実施形態では、操作要素は、付勢力に逆らう力が加えられた場合にスイッチングコンタクトの電気的接続が開かれるように形成され得る。その際、付勢力に逆らう力が、固定されるべき物体又は固定されるべき物体が固定される収容部若しくは取付け部材の圧力によって操作要素にもたらされ得る。その場合、この圧力が緩むと、操作要素が緊張解除され、電気的スイッチングコンタクトが閉じられる。
【0011】
好ましい一実施形態では、操作要素は、固定手段のねじ山の回転軸線に対して平行に変位可能な、ばね荷重がかけられたピンである。固定手段がねじ山の回転軸線の方向に規定どおりに取付けられて対応するねじ山と接続される場合、対応するねじ山を有する収容部又は取付け部材にコンタクト区分を特に簡単に形成することができる。その場合、収容部又は取付け部材のこのコンタクト区分は、ばね荷重がかけられたピンとして形成された固定要素を押す。別の実施形態では、収容部又は取付け部材は、例えばホイールボルト、又はホイールサスペンション若しくはホイール支持体の収容部であり得る。
【0012】
これに代えて、別の好ましい実施形態による操作要素は、ばね荷重がかけられたピンであり得、ばね荷重がかけられたピンは、固定手段のねじ山の回転軸線に対して、ピンが固定手段の中心領域の方向に変位可能、特に回転軸線の方向に変位可能であるような角度に調整されている。この種の配置によって、取付け部材の収容部のコンタクト区分を固定手段の側方にも形成することができ、固定手段をねじ込んだ場合に同じようにスイッチングコンタクトの操作を可能にすることが可能である。
【0013】
スイッチングコンタクトは、好ましくは金属ストリップの2つの端部によってなり、スイッチングコンタクトは、金属ストリップの端部を互いに接続した場合に閉じられる。別の実施形態では、これらの金属ストリップの少なくとも1つが曲げられて形成され、片側レバーを形成する。この片側レバーは、スイッチングコンタクトがその残留応力(Eigenspannung)にもとづいて当初位置において閉じられ、特にスイッチングコンタクトのレバーがその残留応力にもとづいて当初位置においてスイッチングコンタクトを閉じるように配置されている。この実施形態では、送信器にエネルギー供給ユニットを介して電流が供給される。
【0014】
別の実施形態では、スイッチングコンタクトのレバーと操作要素は、スイッチングコンタクトが開いた場合に操作要素がレバーを押し、このレバーをレバーの残留応力に逆らって偏向(auslenkt)、特に、スイッチングコンタクトが開かれるように偏向するよう互いに配置されている。したがって操作要素とスイッチングコンタクトのレバーとは、スイッチングコンタクトが開いた場合に緊張下にあり、特に可能な限り大きい緊張下にある。一発展形態では、送信器は、受信器へのワイヤレス信号伝送を可能にする。固定手段は受信器と直接接続される必要がなく、送信器は固定手段が完全に外れたか、又は引き離された場合にもなお送信することができる。ワイヤレス信号伝送のために適当な標準規格は、例えば無線信号又はブルートゥース(登録商標)である。
【0015】
監視装置が固定手段において固定手段の外側の先端部に組み付けられている場合に、固定手段における監視装置の特に有利な配置となる。送信器は、固定手段が取付けられたか、又は部分的に取付けられた場合にも可能な限り少ない材料で取り囲まれ、それにより送信器は、受信器によって受信可能な信号を低信号強度で送信することができる。特に、固定手段が部分的に外れただけであり、このことが光学的観測によって簡単に認識できないような場合でもある。
【0016】
さらに、一発展形態では、監視装置の少なくとも送信器及びスイッチングコンタクトが外に向けて密封されたチャンバ内に配置され得る。密封されたチャンバは、スイッチングコンタクトの正常な機能を妨げ得る、例えば塵埃、潤滑剤、及び汚泥などの汚れに対する可能な限り大きい保護を保証する。これに加えて、送信器及びスイッチングコンタクトをチャンバ内に配置することによって、外部から作用する力に対する保護が提供され、それによりこの力がチャンバ内に配置された部品を破損させることはない。送信器及びスイッチングコンタクトの他に、とりわけエネルギー供給ユニット、特にエネルギー貯蔵器が一緒にチャンバ内に配置されてもよい。エネルギー供給ユニット、特にエネルギー貯蔵器を場合によっては交換できるようにするために、エネルギー貯蔵器が別の、外部からアクセス可能なチャンバに配置されてもよい。
【0017】
チャンバを有する固定手段のすべての実施形態において、操作要素に圧力を加えることができるようにするために、操作要素が常にチャンバから外へ案内されることが有利である。したがってチャンバ内に塵埃、潤滑剤、又は汚泥が侵入できないことが保証されるようにするために操作要素のために予定された通路が密封されなければならない。
【0018】
固定手段は、特にシャーシコンポーネントを固定するように、及び特にホイールサスペンションにホイールを固定するように企図されるので、第1の好ましい実施形態では固定手段がホイールねじである。この実施形態は、大抵の場合、乗用車で使用される。
【0019】
その場合、ホイールねじの一実施形態では、有利にはホイールねじがねじ山の回転軸線の方向に延在する切欠きをねじ山に有し、この切欠きにスイッチングコンタクトの操作要素が案内されるようにして監視装置がホイールねじに一体化されている。操作要素の切欠きがねじ山の回転軸線の方向に延在することにより、操作要素が強制案内される。その場合、ホイールサスペンションの対応するねじ山にホイールねじをねじ込んだ場合に、ホイールサスペンションのコンタクト区分によって操作要素に圧力が加えられ、操作要素は、固定手段の先端部の方向に変位される。その場合、固定手段の先端部の方向に変位された操作要素は、エネルギー供給ユニットと送信器との間のスイッチングコンタクトを遮断する。
【0020】
その場合、別の実施形態では、特にホイールねじのわずかな位置変化も検出できるようにするために、切欠きがねじ山の頭部側の端部に配置される。その際、切欠きがねじ山の頭部側の端部からねじ山のねじ込まれる端部の方向に、ねじ山全体のうちの一部分領域にだけ延在することで十分である。
【0021】
さらに、本発明によるホイールねじでは、スイッチングコンタクトの操作要素を、頭部とねじ山との間に形成されたホイールねじの円錐形から球形のコンタクト面でホイールねじの内部から外へ案内することもできる。規定どおりに使用された場合、スイッチングコンタクトの操作要素がホイールねじから外へ案内される領域において円錐形から球形のコンタクト面がコンタクト区分に、特にねじ収容部又はリムに全面的に当接するので、操作要素があまり汚れないことが簡単に達成される。その場合、操作要素があまり汚れないことにより、汚れによって操作要素が貼り付き、したがって汚れが機能の妨げにつながる確率も低下する。
【0022】
本発明の第2実施形態では、固定手段はホイールナットである。この種の固定手段は、ホイールをスタッドボルトでホイールサスペンションに固定する、及び確実固定するのに特に適している。この種の接続は、とりわけ貨物自動車及び他の商用車において普及している。
【0023】
その場合、本発明の別の実施形態では、ホイールナットは、ホイールナットのねじ山の頭部側の端部に、内側に位置する端面突出部(Stirnvorsprung)を有することができ、端面突出部にスイッチングコンタクトの操作要素が保持されている。その場合、ホイールねじとしての第1実施形態と同様に、操作要素は、端面突出部に強制案内されている。したがって操作要素の強制案内は、ホイールナットのねじ山の回転軸線と平行の操作要素の動きを可能にする。
【0024】
その場合、端面突出部は、回転軸線に対して径方向の平面上に延在することが有利であり、かつ取り囲む端面リング(Stirnring)又は端面プレート(Stirnplatte)として形成され得ることが好ましい。端面突出部が端面プレートとして形成されている場合、端面プレートは、同時に、スイッチングコンタクトが配置されるチャンバをねじ山に向かって画定することができる。
【0025】
さらに、本発明は、少なくとも1つのセンサ及び少なくとも1つの送信器を有する少なくとも1つの監視装置と、監視装置の送信器に割り当てられた受信器、データ処理ユニット、及び出力ユニットを有する通報装置と、を備える、特にシャーシコンポーネントの機械的固定を監視する装置にも関する。本発明によれば、この機械的固定を監視する装置は、監視装置が上記の固定手段に組み付けられていることを特徴とする。
【0026】
通報装置を介して、外れた固定手段の送信器から信号が送信された場合に、信号の相応の処理及び評価が行われる。その場合、処理及び評価は、相応の信号を受信すること、及び検査することを含み、信号は好ましくはワイヤレスで送信器から受信器へ伝送される。データ処理ユニットにおける信号の検査の結果、固定手段がその規定どおりの取付けポジションから外れたという場合、データ処理ユニットから相応の情報が出力ユニットに伝送される。
【0027】
装置の一発展形態では、出力ユニットは、警告を直接出力する、又は機械的接続パラメータの状態に関する相応の情報を転送することを可能にする手段を有する。機械的接続パラメータ又は固定手段の状態に関する警告は、以下の選択肢、すなわちPush通知、Eメール、SMS、オンライン登録簿、音響的警告、又は光学的警告のうちの少なくとも1つにより行うことができ、この場合、列挙された選択肢は完結ではない。その場合、情報の転送は、好ましくはPush通知、Eメール、SMS、又はオンライン登録簿による警告で行われ、その場合、転送は、好ましくはモバイル無線ネットワーク、又はモバイルインターネットのための知られている標準規格で行われる。さらに、相応の警告が可能な限り迅速に知覚されることを確保するために、異なった選択肢の警告を組み合わせることができる。
【0028】
車両のシャーシコンポーネント、例えばホイールとホイールサスペンションの接続が監視される場合、通報装置は、有利には直接車両に組み込まれ、場合によっては1つ又は複数のすでに存在する車両のデータ処理ユニットを利用することができる。その場合、新車には相応に、例えば警告灯及び/又は音響的警告装置を有する出力ユニット、並びに相応の受信器を設けさえすればよい。その場合、出力ユニットが車両に完全に一体化されていることが有利である。
【0029】
装置の一発展形態では、既存の車両への追装備については、エンジンルームに、又は車室のトリムの下に通報装置を配置できるようにするために、すべて完備した通報装置の組込み、特に出力ユニットに関する情報を転送する、又は音響信号を発する通報装置が望ましい。
【0030】
これに加えて、一発展形態では、ワイヤレス伝送が外部信号によって妨害されないことを確保するために、ワイヤレス信号伝送を暗号化して行うことが企図され得る。このことは、固定手段の送信器の相応の信号を通報装置の受信器によって認識することを容易にする。
【0031】
これに加えて、ホイールナットとして形成された固定手段とホイールねじとして形成された固定手段はいずれも盗難防止として適し、その場合、通報が生成され、この通報は出力ユニットによって転送される。したがって、所有者が車両の近くにいなくても、この所有者に知らせることができる。その場合、所有者は、例えば警察に通報するなどの相応のステップを開始することができる。シャーシコンポーネント、例えばホイールサスペンションへのホイールの確実な固定が監視される、かつシャーシコンポーネントのすべての固定手段が相応の監視装置を有する必要がある機能とは逆に、盗難防止の機能にはホイール及びホイールサスペンションごとに1つの固定手段だけで十分である。
【0032】
本発明に不可欠な他の特徴を明らかにすることができる本発明の実施例を図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による固定手段の第1実施形態の第1斜視図を示す。
図2図1による固定手段の断面図を示す。
図3】すべての物体縁を含む図1及び図2による固定手段を理解するための概略斜視図を示す。
図4】本発明による固定手段の第1実施形態の第2斜視図を示す。
図5図4による固定手段の断面図を示す。
図6】すべての物体縁を含む図4及び図5による固定手段を理解するための概略斜視図を示す。
図7】本発明による固定手段の第2実施形態の斜視図を示す。
図8図7による固定手段の断面図を示す。
図9図7及び図8による固定手段の横断面図を示す。
図10】本発明による固定手段の第3実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1において、本発明による固定手段がホイールねじ1としての実施形態で示されている。このホイールねじ1は、六角形状に形成された頭部1aを有する。ホイールねじ1の頭部1aとねじ山1bとの間に、ねじ山1bに向かって延びるように形成されている円錐形から球形のコンタクト面1cが設けられている。円錐形から球形のコンタクト面1cとねじ山1bとの間の境界領域に、ねじ山1bがねじ山1bの回転軸線の方向に延在する切欠き1dを有し、この切欠きに操作要素2が案内されている。
【0035】
図2において、ホイールねじ1が切断して示され、その他の図面と同じ部材には同じ参照符号が付されている。
【0036】
その場合、ホイールねじ1の頭部1aの内部にスイッチングコンタクト3と送信器4とエネルギー供給ユニット5とが配置されていることは図1から見て取れない。その場合、送信器4は、ホイールねじ1の頭部1a内のチャンバ6を閉鎖する。チャンバ内にはスイッチングコンタクト3及びエネルギー供給ユニット5が配置されている。
【0037】
さらに、図2において、操作要素2が、ばね荷重がかけられてホイールねじ1に保持されていることが見て取れ、操作要素2に割り当てられたばね要素7が最大限偏向され、それにより操作要素2は緊張していない。その場合、操作要素2、ばね要素7、スイッチングコンタクト3、及びエネルギー供給ユニット5は一緒にセンサ8を形成し、センサは送信器4と一緒に本発明による監視装置をなす。
【0038】
図2において、スイッチングコンタクト3は閉じられ、それにより送信器4及びエネルギー供給ユニット5がスイッチングコンタクト3を介して電気的に互いに接続されている。したがって図1及び図2において、送信器4にエネルギー供給ユニット5から電流が供給され、送信器が信号を送信する。
【0039】
図3は、ホイールねじ1のすべての物体縁が図示される同じアセンブリを再び示す。
【0040】
図4図6による図示は、ホイールねじ1が規定どおりに取付けられたときの形でホイールねじ1が示されている点で図1図3の図示とは異なる。
【0041】
その場合、操作要素2がホイールねじ1に押し込まれ、それにより図4では操作要素2が案内されている切欠き1dのみが見える。
【0042】
ホイールねじ1を規定どおりに取付けた場合の操作要素2のポジションが、特に図5から見て取れ、ばね要素7が最大限に圧縮されている。この場合、操作要素2がチャンバ6内に突出してスイッチングコンタクト3を押し、スイッチングコンタクト3の片側金属レバー9が、エネルギー供給ユニット5と送信器4との間の電気的接続が遮断されるように操作要素2によって揺動される。それに伴い、無電流となった送信器4が信号を送信しなくなり、ホイールねじ1が規定どおりのポジションに取付けられている限り、殊にエネルギー貯蔵器として形成されたエネルギー供給ユニット5のエネルギーが送信器4によって必要とされない。
【0043】
図6は、スイッチングコンタクト3が遮断され、送信器4が無電流の図4及び図5と同じアセンブリを再び示し、ホイールねじ1のすべての物体縁が示されている。
【0044】
本発明の第2実施形態が図7図9に示されている。この場合、第1実施形態とは異なり、固定手段はホイールナット10として形成されている。ホイールナット10は、この場合もまた側方に六角面を有する頭部10aを有している。ホイールナット10は、その頭部側の端部が丸屋根形に(kuppelfoermig)形成されている。
【0045】
図8及び図9から、ホイールナット10の内部に形成されたチャンバ6’が見て取れ、このチャンバ内に、図1図6のように送信器4’及びセンサ8’からなる監視装置を一緒に形成する、送信器4’、スイッチングコンタクト3’、エネルギー供給ユニット5’、及びばね要素7’によりばね荷重がかけられた操作要素2’が配置されている。その場合、図8及び図9の図示は図4図6の図示に相当し、ねじ止めした状態のホイールナット10を示す。その場合、操作要素2’は、図4図6と同じようにスイッチングコンタクト3’を押し、それにより送信器4’が無電流であり、信号を送信しない。送信器4’が無電流である限り、この場合もまたエネルギー供給ユニット5’のエネルギーが消費されない。
【0046】
その際、主な相違は、操作要素2’がここでは端面プレート11として形成された端面突出部に配置されていることである。その際、端面プレート11は、ホイールナット10のねじ山10bの頭部側の端部でチャンバ6’を閉鎖する。2つの実施形態は、それらの機能方式に関して同じである。
【0047】
こここでホイールナット10が図示されないホイールボルトから外された場合、操作要素2’がばね要素7’によってホイールナット10の雌ねじの方向に、かつそれに伴いチャンバ6’から押し出される。操作要素2’がスイッチングコンタクト3’を、特にスイッチングコンタクト3’の片側金属レバー9’を押さなくなると直ちに、スイッチングコンタクトがその残留応力にもとづいて端面プレート11の方向に押され、スイッチングコンタクト3’はその両端で閉じられる。
【0048】
図10における固定手段は再びホイールねじ1’である。ホイールねじ1’は、図1図6からのホイールねじ1と大部分が同じである。同じ部材には相応に同じ番号の同じ参照符号が付された。図1図6によるホイールねじ1との主な違いは、配置が変更された操作要素2’’であり、この操作要素は、ホイールねじ1’の回転軸線に対して角度をなして変位可能であり、円錐形から球形のコンタクト面1c’においてホイールねじ1’の内部から外へ案内されている。したがってホイールねじ1の切欠き1b’は有利にも省略される。すべての他の特徴は、図1図6によるホイールねじ1と一致している。
【0049】
上記の記載及び請求項において挙げられたすべての特徴は任意に選択して独立請求項の特徴と組み合わせることができる。したがって、本発明の開示は、上記の、又は特許請求された特徴の組み合わせに限定されず、むしろ本発明の範囲内で有意義なあらゆる特徴の組み合わせが開示されているとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】