特表2022-500271(P2022-500271A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2022-500271熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-500271(P2022-500271A)
(43)【公表日】2022年1月4日
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/58 20060101AFI20211203BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20211203BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20211203BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20211203BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20211203BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20211203BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20211203BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20211203BHJP
【FI】
   B29C44/58
   B29C44/36
   B29C44/02
   B29C44/00 A
   B29C39/10
   B29C39/24
   B29K101:12
   B29K105:04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-558601(P2019-558601)
(86)(22)【出願日】2019年8月8日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月5日
(86)【国際出願番号】CN2019099734
(87)【国際公開番号】WO2020048284
(87)【国際公開日】20200312
(31)【優先権主張番号】201811046576.6
(32)【優先日】2018年9月8日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519378366
【氏名又は名称】広東奔迪新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】馮云平
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AB02A
4F204AC05
4F204AG20
4F204AJ08
4F204EA01
4F204EB01
4F204EF02
4F204EF27
4F204EK13
4F204EK15
4F204EK17
4F214AB02A
4F214AC05
4F214AG20
4F214AJ08
4F214UA01
4F214UB01
4F214UD01
4F214UD13
4F214UD15
4F214UD17
4F214UF04
4F214UF27
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法を開示する。当該装置は、超臨界流体搬送システム、モールド発泡システム、予熱定量材料供給システム及び移動レールを含む。超臨界流体搬送システムはモールド発泡システムと連通している。本発明の構造はシンプルである。ポリマー粒子を一度で発泡成形する方法では、ポリマー粒子を予め発泡させることなく、そのまま成形キャビティ内に注入する。また、水や粘着防止用の離型剤を投入する必要がない。且つ、圧縮・融着成形工程では、高圧スチームで加熱成形しなくとも、粘着力に優れ、プロセスがクリーンとなる。よって、加水分解されやすいポリマー材料に適している。且つ、加工プロセスで必要とされる熱量が比較的少なく、ポリマー粒子の加熱効率に優れ、ポリマー粒子の温度が均一となるため、気泡が細かく、サイズが正確であり、且つ軽量のポリマー粒子微細孔発泡モールド成形製品が得られる。また、生産効率が向上し、自動化生産が実現される。よって、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置であって、
超臨界流体搬送システム(1)、モールド発泡システム(2)、予熱定量材料供給システム(3)及び移動レール(4)を含み、前記超臨界流体搬送システム(1)は前記モールド発泡システム(2)と連通しており、前記移動レール(4)は前記モールド発泡システム(2)と前記予熱定量材料供給システム(3)の下方に装設されており、前記モールド発泡システム(2)は前記移動レール(4)上に装設されており、前記モールド発泡システム(2)と前記予熱定量材料供給システム(3)は前記移動レール(4)を通じて連結されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記超臨界流体搬送システム(1)は、窒素ガス増圧ステーション(5)、二酸化炭素増圧ステーション(6)、窒素ガス液状貯蔵タンク(7)及び二酸化炭素液状貯蔵タンク(8)を含み、前記窒素ガス液状貯蔵タンク(7)の送出端は前記窒素ガス増圧ステーション(5)の入口端と連通しており、前記二酸化炭素液状貯蔵タンク(8)の送出端は前記二酸化炭素増圧ステーション(6)の入口端と連通しており、前記窒素ガス増圧ステーション(5)の入口端は前記二酸化炭素増圧ステーション(6)の入口端に接続されるとともに、ダクト(9)を通じて前記モールド発泡システム(2)と連通しており、前記窒素ガス増圧ステーション(5)の入口端及び前記二酸化炭素増圧ステーション(6)の入口端と前記モールド発泡システム(2)の間には吸気弁(10)が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項3】
前記モールド発泡システム(2)は、発泡金型(11)、増圧金型クランプシリンダ(12)、温度制御装置(13)、圧力制御装置(14)、圧力解放装置(15)、排気弁(16)及び消音器(17)を含み、前記発泡金型(11)は、前記移動レール(4)上に設置されており、且つ前記移動レール(4)に対して左右に運動可能であり、前記増圧金型クランプシリンダ(12)は前記発泡金型(11)に装設されており、前記温度制御装置(13)と前記圧力制御装置(14)は前記発泡金型(11)に装設されており、前記圧力解放装置(15)は前記発泡金型(11)に装設されており、前記消音器(17)は前記圧力解放装置(15)に設置されており、前記発泡金型(11)には前記排気弁(16)が装設されており、前記発泡金型(11)は、前記移動レール(4)を通じて前記予熱定量材料供給システム(3)に連結されて、前記予熱定量材料供給システム(3)の下方に設置されており、前記超臨界流体搬送システム(1)は前記発泡金型(11)の内部と連通していることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項4】
前記発泡金型(11)は上型(111)と下型(112)を含み、前記上型(111)と前記下型(112)の間にはいくつかの成形キャビティ(113)が設けられており、前記下型(112)は、前記移動レール(4)上に設置されており、且つ前記移動レール(4)に対して左右に運動可能であり、前記増圧金型クランプシリンダ(12)は、前記上型(111)に装設されており、且つ前記上型(111)を上下動させるよう前記上型(111)に伝動可能に接続されており、前記下型(112)は、前記移動レール(4)を通じて前記予熱定量材料供給システム(3)に連結されており、且つ前記予熱定量材料供給システム(3)の下方に設置されていることを特徴とする、請求項3に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項5】
前記予熱定量材料供給システム(3)は、ポリマー粒子予熱装置(18)、定量材料注入装置(19)及び温度制御装置(20)を含み、前記ポリマー粒子予熱装置(18)は前記定量材料注入装置(19)と連通しており、前記温度制御装置(20)はポリマー粒子加熱装置(18)に設置されており、前記定量材料注入装置(19)は前記下型(112)の上方に設置されており、前記定量材料注入装置(19)には、前記下型(112)の前記成形キャビティ(113)と対応するいくつかの材料注入ヘッド(21)が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法であって、
1)ポリマー粒子を前記ポリマー粒子予熱装置(18)内に投入して予熱し、且つ、投入するポリマー粒子に基づいて、前記温度制御装置(20)により予熱温度を調節し、続いて、ポリマー粒子を前記定量材料注入装置(19)内に搬送し、
2)前記下型(112)を前記移動レール(4)に沿って前記定量材料注入装置(19)の下方まで動かし、前記定量材料注入装置(19)が、前記材料注入ヘッド(21)を用い、予熱済みのポリマー粒子を一定の重量比で前記下型(112)の前記成形キャビティ(113)内に注入し、
3)材料の注入が完了した前記下型(112)を前記移動レール(4)に沿って前記上型(111)の下方まで動かし、前記増圧金型クランプシリンダ(12)が、前記上型(111)を下方に動かして、クランプにより前記下型(112)と密封し、
4)前記吸気弁(10)を開放し、前記超臨界流体搬送システム(1)から前記発泡金型(11)内に超臨界流体を導入して、導入時の温度及び圧力を目標の温度及び圧力となるよう調節することで、前記超臨界流体をポリマーに膨潤させつつ拡散させ、前記圧力解放装置(15)を開放して減圧発泡させることで、製品形状、サイズ精度及び気泡が緻密であり、且つ製品密度を制御可能なポリマーのモールド成形微細孔発泡製品を取得する、とのステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記超臨界流体の圧力は5〜30MPaとし、前記超臨界流体を30〜120分間にわたってポリマーに膨潤させつつ拡散させることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【請求項8】
前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、又は超臨界窒素ガス、又はこれらの混合物とすることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【請求項9】
上記で得られるポリマーのモールド成形微細孔発泡製品の体積膨張率は10〜50倍であり、平均孔径は1〜100μmであることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【請求項10】
前記予熱温度について、半結晶性ポリマーの場合には、前記予熱温度を融点よりも5〜10℃低くし、無定形ポリマーの場合には、前記予熱温度をガラス化温度よりも5〜10℃高くすることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー粒子の発泡成形の技術分野に関し、より具体的には、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、工業では、大半が間歇式反応釜発泡法によりポリマー発泡ビーズを生産している。この場合の技術プロセスは次の通りである。まず、熱可塑性ポリマー樹脂組成物を押し出して、水中でペレット状に切断することで、平均粒径が0.5〜4mmのポリマー粒子とする。続いて、ポリマー粒子、水及び水分散媒を合わせて恒温の高圧反応釜に投入し、加熱装置により反応釜中のポリマー粒子をポリマーの軟化点よりも高い温度まで加熱する。そして、攪拌しつつ、超臨界流体を導入して浸透、膨潤させ、拡散を平衡させることでポリマー−超臨界流体の均質系を形成する。その後、系内の圧力を解放することでポリマー発泡ビーズを取得する。また、圧力を除去して発泡ビーズを取得し、水槽で水洗いすることで表面に付着した分散剤を取り除く。最後に、スチームモールド成形法によりポリマービーズを様々な使用製品となるよう融着させる。
【0003】
特許文献1は、超臨界モールド発泡によりポリマー微細孔発泡材を製造する方法を開示している。当該方法では、成形機の発泡金型を昇温させ、発泡温度に達してからポリマーを金型に注入する。次に、成形機を型閉じし、金型を密封してから金型内に超臨界流体を導入すると、超臨界流体がポリマーを膨潤させつつ拡散して行く。その後、成形機を型開し、減圧により発泡させればポリマー微細孔発泡材が得られる。しかし、上記の方法では、形状が粒子、棒、シート及びプレートの発泡製品しか製造できず、様々な異なる形状の発泡製品へのニーズに適応することはできない。
【0004】
特許文献2は、超臨界流体によりポリマーのモールド発泡を補助する装置を開示している。当該装置は、超臨界流体搬送システム、金型システム、温度測定装置、圧力測定装置、圧力解放装置、表示・制御システム等を含む。超臨界流体搬送システムは金型システムに接続されており、温度測定装置、圧力測定装置、圧力解放装置はそれぞれ金型システムに接続されている。金型システムは、成形機の上下の加熱プレートで加熱を行う。そして、一定の温度及び超臨界流体の圧力の作用下で一定時間が経過すると、超臨界流体の非常に強力な浸透力と拡散エネルギーによって、超臨界流体は徐々にポリマー基体に拡散して行く。その後、急速に金型内の圧力を解放することで、一定形状の発泡材が得られる。当該装置は、自由発泡にも制御可能発泡にも適用可能である。しかし、上記の発泡装置は、小ロットで形状が単純な発泡材の製造や、標準的なテスト用の発泡材サンプルの製造にしか適さず、大規模化された工業生産における製造には向かない。
【0005】
上述した発泡装置及び方法の生産方式では、任意の単純形状のプレ製品を予め製造しておき、金型に注入して超臨界流体の浸透力及び拡散能力を利用する。超臨界流体は、一定の温度及び超臨界流体の圧力の作用下で一定の時間が経過すると、徐々にポリマー基体へと拡散して行く。その後、金型内の圧力を急速に解放すれば、一定形状の発泡材が得られる。しかし、この場合には発泡プロセスの複雑さが増し、装置への投入資金が増加するため、生産コストが増大する。且つ、生産効率が低く、製品コストが嵩むことから、大規模化された工業生産には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第102167840号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第104097288号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術における上記の欠点を解消するために、気泡が細かく、サイズが正確であり、且つ軽量のポリマー粒子微細孔発泡モールド成形製品を取得可能であって、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現され、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適する熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を実現するために、本発明は、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置を提供する。当該装置は、超臨界流体搬送システム、モールド発泡システム、予熱定量材料供給システム及び移動レールを含む。前記超臨界流体搬送システムはモールド発泡システムと連通している。前記移動レールはモールド発泡システムと予熱定量材料供給システムの下方に装設されており、前記モールド発泡システムが移動レール上に装設されている。また、前記モールド発泡システムと予熱定量材料供給システムは移動レールを通じて連結されている。
【0009】
好ましくは、前記超臨界流体搬送システムは、窒素ガス増圧ステーション、二酸化炭素増圧ステーション、窒素ガス液状貯蔵タンク及び二酸化炭素液状貯蔵タンクを含む。前記窒素ガス液状貯蔵タンクの送出端は窒素ガス増圧ステーションの入口端と連通しており、前記二酸化炭素液状貯蔵タンクの送出端は二酸化炭素増圧ステーションの入口端と連通している。また、前記窒素ガス増圧ステーションの入口端は二酸化炭素増圧ステーションの入口端に接続されるとともに、ダクトを通じてモールド発泡システムと連通している。前記窒素ガス増圧ステーションの入口端及び二酸化炭素増圧ステーションの入口端とモールド発泡システムの間には吸気弁が設置されている。
【0010】
好ましくは、前記モールド発泡システムは、発泡金型、増圧金型クランプシリンダ、温度制御装置、圧力制御装置、圧力解放装置、排気弁及び消音器を含む。前記発泡金型は移動レール上に設置されており、移動レールに対して左右に運動可能である。前記増圧金型クランプシリンダは発泡金型に装設されている。また、前記温度制御装置と圧力制御装置が発泡金型に装設されている。且つ、前記圧力解放装置が発泡金型に装設されている。前記消音器は圧力解放装置に設置されている。前記発泡金型には排気弁が装設されている。前記発泡金型は、移動レールを通じて予熱定量材料供給システムに連結されており、且つ予熱定量材料供給システムの下方に設置されている。前記超臨界流体搬送システムは発泡金型の内部と連通している。
【0011】
好ましくは、前記発泡金型は上型と下型を含む。前記上型と下型の間にはいくつかの成形キャビティが設けられている。前記発泡金型は移動レール上に設置されており、移動レールに対して左右に運動可能である。前記増圧金型クランプシリンダは、上型に装設されており、且つ上型を上下動させるよう上型に伝動可能に接続されている。前記下型は、移動レールを通じて予熱定量材料供給システムに連結されており、且つ予熱定量材料供給システムの下方に設置されている。
【0012】
好ましくは、前記予熱定量材料供給システムは、ポリマー粒子予熱装置、定量材料注入装置及び温度制御装置を含む。前記ポリマー粒子予熱装置は定量材料注入装置と連通している。前記温度制御装置はポリマー粒子加熱装置に設置されている。また、前記定量材料注入装置は下型の上方に設置されている。前記定量材料注入装置には、下型の成形キャビティと対応するいくつかの材料注入ヘッドが設けられている。
【0013】
本発明は、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法を提供する。当該方法は以下のステップを含む。
【0014】
1)ポリマー粒子をポリマー粒子予熱装置内に投入して予熱する。また、投入するポリマー粒子に基づいて、温度制御装置により予熱温度を調節する。続いて、ポリマー粒子を定量材料注入装置内に搬送する。
【0015】
2)下型を移動レールに沿って定量材料注入装置の下方まで動かす。定量材料注入装置は、材料注入ヘッドを用い、予熱済みのポリマー粒子を一定の重量比で下型の成形キャビティ内に注入する。
【0016】
3)材料の注入が完了した下型を移動レールに沿って上型の下方まで動かす。そして、増圧金型クランプシリンダが上型を下方に動かして、クランプにより下型と密封する。
【0017】
4)吸気弁を開放し、超臨界流体搬送システムから発泡金型内に超臨界流体を導入して、導入時の温度及び圧力を目標の温度及び圧力となるよう調節する。これにより、超臨界流体をポリマーに膨潤させつつ拡散させる。そして、圧力解放装置を開放して減圧発泡させれば、製品形状、サイズ精度及び気泡が緻密であり、且つ製品密度を制御可能なポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。
【0018】
好ましくは、前記超臨界流体の圧力は5〜30MPaとし、前記超臨界流体を30〜120分間にわたってポリマーに膨潤させつつ拡散させる。
【0019】
好ましくは、前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、又は超臨界窒素ガス、又はこれらの混合物とする。
【0020】
好ましくは、上記で得られるポリマーのモールド成形微細孔発泡製品の体積膨張率は10〜50倍であり、平均孔径は1〜100μmである。
【0021】
好ましくは、前記予熱温度について、半結晶性ポリマーの場合には、予熱温度を融点よりも5〜10℃低くし、無定形ポリマーの場合には、予熱温度をガラス化温度よりも5〜10℃高くする。
【発明の効果】
【0022】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0023】
本発明の構造はシンプルであり、超臨界流体搬送システム、モールド発泡システム、予熱定量材料供給システム及び移動レールを含む。超臨界流体搬送システムはモールド発泡システムと連通している。移動レールはモールド発泡システムと予熱定量材料供給システムの下方に装設されており、モールド発泡システムが移動レール上に装設されている。また、モールド発泡システムと予熱定量材料供給システムは移動レールを通じて連結されている。ポリマー粒子は、予熱定量材料供給システム内に配置され、予熱されてから、モールド発泡システム内に注入される。超臨界流体搬送システムがモールド発泡システムに超臨界流体を導入すると、超臨界流体がポリマーを膨潤させつつ拡散して行く。そして、圧力解放装置を開放して減圧発泡させれば、ポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。ポリマー粒子を一度で発泡成形する方法では、ポリマー粒子を予め発泡させることなく、そのまま成形キャビティ内に注入する。また、水や粘着防止用の離型剤を投入する必要がない。且つ、圧縮・融着成形工程では、高圧スチームで加熱成形しなくとも、粘着力に優れ、プロセスがクリーンとなる。よって、加水分解されやすいポリマー材料に適している。且つ、加工プロセスで必要とされる熱量が比較的少なく、ポリマー粒子の加熱効率に優れ、ポリマー粒子の温度が均一となるため、気泡が細かく、サイズが正確であり、且つ軽量のポリマー粒子微細孔発泡モールド成形製品が得られる。また、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現される。よって、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適している。
【0024】
本発明の実施例又は従来技術の技術方案についてより明確に説明すべく、次に、実施例又は従来技術の記載に要する図面について簡単に説明する。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は本発明の実施例の一部であって、当業者であれば、創造的労働を要することなく、これらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明で提供する熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置の構造を示す図である。
図2図2は、本発明で提供する熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置の別の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下に、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、本発明の実施例における技術方案について明瞭簡潔に述べる。なお、記載する実施例は本発明の一部の実施例であって、全ての実施例でないことは言うまでもない。また、本発明の実施例に基づいて当業者が創造的労働を要することなく取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【実施例1】
【0027】
図1及び図2を参照して、本発明の実施例は、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置を提供する。当該装置は、超臨界流体搬送システム1、モールド発泡システム2、予熱定量材料供給システム3及び移動レール4を含む。超臨界流体搬送システム1はモールド発泡システム2と連通している。移動レール4はモールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3の下方に装設されており、モールド発泡システム2が移動レール4上に装設されている。また、モールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3は移動レール4を通じて連結されている。以下に、図面を組み合わせて本実施例につき詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、超臨界流体搬送システム1はモールド発泡システム2と連通している。移動レール4はモールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3の下方に装設されており、モールド発泡システム2が移動レール4上に装設されている。また、モールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3は移動レール4を通じて連結されている。
【0029】
具体的には、図2に示すように、超臨界流体搬送システムは、窒素ガス増圧ステーション5、二酸化炭素増圧ステーション6、窒素ガス液状貯蔵タンク7及び二酸化炭素液状貯蔵タンク8を含む。窒素ガス液状貯蔵タンク7の送出端は窒素ガス増圧ステーション5の入口端と連通しており、二酸化炭素液状貯蔵タンク8の送出端は二酸化炭素増圧ステーション6の入口端と連通している。また、窒素ガス増圧ステーション5の入口端は二酸化炭素増圧ステーション6の入口端に接続されるとともに、ダクト9を通じてモールド発泡システム2と連通している。窒素ガス増圧ステーション5の入口端及び二酸化炭素増圧ステーション6の入口端とモールド発泡システム2の間には、吸気弁10が設置されている。
【0030】
モールド発泡システム2は、発泡金型11、増圧金型クランプシリンダ12、温度制御装置13、圧力制御装置14、圧力解放装置15、排気弁16及び消音器17を含む。発泡金型11は移動レール4上に設置されており、移動レール4に対して左右に運動可能である。増圧金型クランプシリンダ12は発泡金型11に装設されている。また、温度制御装置13と圧力制御装置14が発泡金型11に装設されている。且つ、圧力解放装置15が発泡金型11に装設されている。消音器17は圧力解放装置15に設置されている。また、発泡金型11には排気弁16が装設されている。発泡金型11は、移動レール4を通じて予熱定量材料供給システム3に連結されており、且つ予熱定量材料供給システム3の下方に設置されている。超臨界流体搬送システム1は発泡金型11の内部と連通している。
【0031】
発泡金型11は上型111と下型112を含む。上型111と下型112の間には、いくつかの成形キャビティ113が設けられている。下型112は移動レール4上に設置されており、移動レール4に対して左右に運動可能である。増圧金型クランプシリンダ12は、上型111に装設されており、且つ上型111を上下動させるよう上型111に伝動可能に接続されている。下型112は、移動レール4を通じて予熱定量材料供給システム3に連結されており、且つ予熱定量材料供給システム3の下方に設置されている。
【0032】
予熱定量材料供給システム3は、ポリマー粒子予熱装置18、定量材料注入装置19及び温度制御装置20を含む。ポリマー粒子予熱装置18は定量材料注入装置19と連通している。温度制御装置20はポリマー粒子加熱装置18に設置されている。また、定量材料注入装置19は下型112の上方に設置されている。定量材料注入装置19には、下型112の成形キャビティ113と対応するいくつかの材料注入ヘッド21が設けられている。
【0033】
ポリマー粒子を一度で発泡成形する方法では、ポリマー粒子を予め発泡させることなく、そのまま成形キャビティ113内に注入する。また、水や粘着防止用の離型剤を投入する必要がない。且つ、圧縮・融着成形工程では、高圧スチームで加熱成形しなくとも、粘着力に優れ、プロセスがクリーンとなる。よって、加水分解されやすいポリマー材料に適している。且つ、加工プロセスで必要とされる熱量が比較的少なく、ポリマー粒子の加熱効率に優れ、ポリマー粒子の温度が均一となるため、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現される。よって、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適している。
【実施例2】
【0034】
本実施例2では、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法を提供する。当該方法は以下のステップを含む。
【0035】
1)ポリマー粒子をポリマー粒子予熱装置18内に投入して予熱する。また、投入するポリマー粒子に基づいて、温度制御装置20により予熱温度を調節する。続いて、ポリマー粒子を定量材料注入装置19内に搬送する。
【0036】
2)下型112を移動レール4に沿って定量材料注入装置19の下方まで動かす。定量材料注入装置19は、材料注入ヘッド21を用い、予熱済みのポリマー粒子を一定の重量比で下型112の成形キャビティ113内に注入する。
【0037】
3)材料の注入が完了した下型112を移動レール4に沿って上型111の下方まで動かす。そして、増圧金型クランプシリンダ12が上型111を下方に動かして、クランプにより下型112と密封する。
【0038】
4)吸気弁10を開放し、超臨界流体搬送システム1から発泡金型11内に超臨界流体を導入して、導入時の温度及び圧力を目標の温度及び圧力となるよう調節する。これにより、超臨界流体をポリマーに膨潤させつつ拡散させる。そして、圧力解放装置15を開放して減圧発泡させれば、製品形状、サイズ精度及び気泡が緻密であり、且つ製品密度を制御可能なポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。
【0039】
好ましくは、本実施例において、超臨界流体の圧力は5〜30MPaとし、超臨界流体を30〜120分間にわたってポリマーに膨潤させつつ拡散させる。
【0040】
超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、又は超臨界窒素ガス、又はこれらの混合物とする。
【0041】
発泡により得られるポリマーのモールド成形微細孔発泡製品の体積膨張率は10〜50倍であり、平均孔径は1〜100μmである。これにより、気泡が細かく、サイズが正確であり、且つ軽量のポリマー粒子微細孔発泡モールド成形製品が得られる。
【0042】
好ましくは、予熱温度について、半結晶性ポリマーの場合には、予熱温度を融点よりも5〜10℃低くする。また、無定形ポリマーの場合には、予熱温度をガラス化温度よりも5〜10℃高くする。予熱温度は実際の状況に応じて調節すればよい。
【0043】
ポリマー粒子は、PE、PP、TPE、TPU、TPEE、PEBAX、PA系、PET等から選択した1つ以上とし、実際の状況に応じて選択及び加工すればよい。
【0044】
以上述べたように、本発明の構造はシンプルであり、超臨界流体搬送システム1、モールド発泡システム2、予熱定量材料供給システム3及び移動レール4を含む。超臨界流体搬送システム1はモールド発泡システム2と連通している。移動レール4はモールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3の下方に装設されており、モールド発泡システム2が移動レール4上に装設されている。また、モールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3は移動レール4を通じて連結されている。ポリマー粒子は、予熱定量材料供給システム3内に配置され、予熱されてから、モールド発泡システム2内に注入される。超臨界流体搬送システム1がモールド発泡システム2に超臨界流体を導入すると、超臨界流体がポリマーを膨潤させつつ拡散して行く。そして、圧力解放装置15を開放して減圧発泡させれば、ポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。ポリマー粒子を一度で発泡成形する方法では、ポリマー粒子を予め発泡させることなく、そのまま成形キャビティ113内に注入する。また、水や粘着防止用の離型剤を投入する必要がない。且つ、圧縮・融着成形工程では、高圧スチームで加熱成形しなくとも、粘着力に優れ、プロセスがクリーンとなる。よって、加水分解されやすいポリマー材料に適している。且つ、加工プロセスで必要とされる熱量が比較的少なく、ポリマー粒子の加熱効率に優れ、ポリマー粒子の温度が均一となるため、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現される。よって、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適している。
【0045】
上記の実施例は本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は上記の実施例に制限されない。本発明の精神、本質及び原理を逸脱することなく実施されるその他あらゆる変形、補足、置換、組み合わせ、簡略化はいずれも等価の置き換えとみなされ、本発明の保護の範囲に含まれる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021年5月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置であって、
超臨界流体搬送システム(1)、モールド発泡システム(2)、予熱定量材料供給システム(3)及び移動レール(4)を含み、前記超臨界流体搬送システム(1)はモールド発泡システム(2)と連通しており、前記移動レール(4)はモールド発泡システム(2)と予熱定量材料供給システム(3)の下方に装設されており、前記モールド発泡システム(2)は移動レール(4)上に装設されており、前記モールド発泡システム(2)と予熱定量材料供給システム(3)は移動レール(4)を通じて連結されており、前記予熱定量材料供給システム(3)は、ポリマー粒子予熱装置(18)、定量材料注入装置(19)及び温度制御装置(20)を含み、ポリマー粒子をポリマー粒子予熱装置(18)内に投入して予熱し、且つ、投入するポリマー粒子に基づいて、温度制御装置(20)により予熱温度を調節し、続いて、ポリマー粒子を定量材料注入装置(19)内に搬送することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記超臨界流体搬送システム(1)は、窒素ガス増圧ステーション(5)、二酸化炭素増圧ステーション(6)、窒素ガス液状貯蔵タンク(7)及び二酸化炭素液状貯蔵タンク(8)を含み、前記窒素ガス液状貯蔵タンク(7)の送出端は窒素ガス増圧ステーション(5)の入口端と連通しており、前記二酸化炭素液状貯蔵タンク(8)の送出端は二酸化炭素増圧ステーション(6)の入口端と連通しており、前記窒素ガス増圧ステーション(5)の入口端は二酸化炭素増圧ステーション(6)の入口端に接続されるとともに、ダクト(9)を通じてモールド発泡システム(2)と連通しており、前記窒素ガス増圧ステーション(5)の入口端及び二酸化炭素増圧ステーション(6)の入口端とモールド発泡システム(2)の間には吸気弁(10)が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項3】
前記モールド発泡システム(2)は、発泡金型(11)、増圧金型クランプシリンダ(12)、温度制御装置(13)、圧力制御装置(14)、圧力解放装置(15)、排気弁(16)、消音器(17)及び冷却装置(22)を含み、前記発泡金型(11)は、移動レール(4)上に設置されており、且つ移動レール(4)に対して左右に運動可能であり、前記増圧金型クランプシリンダ(12)は発泡金型(11)に装設されており、前記温度制御装置(13)と圧力制御装置(14)は発泡金型(11)に装設されており、前記冷却装置(22)は発泡金型(11)に装設されており、前記圧力解放装置(15)は発泡金型(11)に装設されており、前記消音器(17)は圧力解放装置(15)に設置されており、前記発泡金型(11)には排気弁(16)が装設されており、前記発泡金型(11)は、移動レール(4)を通じて予熱定量材料供給システム(3)に連結されて、予熱定量材料供給システム(3)の下方に設置されており、前記超臨界流体搬送システム(1)は発泡金型(11)の内部と連通していることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項4】
前記発泡金型(11)は上型(111)と下型(112)を含み、前記上型(111)と下型(112)の間にはいくつかの成形キャビティ(113)が設けられており、前記下型(112)と成形キャビティ(113)の間、成形キャビティ(113)の上端と上型(111)の間には、超臨界流体搬送システム(1)と連通するガス流通経路(114)が開設されており、前記下型(112)は、移動レール(4)上に設置されており、且つ移動レール(4)に対して左右に運動可能であり、前記増圧金型クランプシリンダ(12)は、上型(111)に装設されており、且つ上型(111)を上下動させるよう上型(111)に伝動可能に接続されており、前記下型(112)は、移動レール(4)を通じて予熱定量材料供給システム(3)に連結されており、且つ予熱定量材料供給システム(3)の下方に設置されていることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項5】
前記予熱定量材料供給システム(3)は、ポリマー粒子予熱装置(18)、定量材料注入装置(19)及び温度制御装置(20)を含み、前記ポリマー粒子予熱装置(18)は定量材料注入装置(19)と連通しており、前記温度制御装置(20)はポリマー粒子加熱装置(18)に設置されており、前記定量材料注入装置(19)は下型(112)の上方に設置されており、前記定量材料注入装置(19)には、下型(112)の成形キャビティ(113)と対応するいくつかの材料注入ヘッド(21)が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法であって、
1)ポリマー粒子をポリマー粒子予熱装置(18)内に投入して予熱し、且つ、投入するポリマー粒子に基づいて、温度制御装置(20)により予熱温度を調節し、続いて、ポリマー粒子を定量材料注入装置(19)内に搬送し、
2)下型(112)を移動レール(4)に沿って定量材料注入装置(19)の下方まで動かし、定量材料注入装置(19)が、材料注入ヘッド(21)を用い、予熱済みのポリマー粒子を一定の重量比で下型(112)の成形キャビティ(113)内に注入し、
3)材料の注入が完了した下型(112)を移動レール(4)に沿って上型(111)の下方まで動かし、増圧金型クランプシリンダ(12)が、上型(111)を下方に動かして、クランプにより下型(112)と密封し、
4)吸気弁(10)を開放し、超臨界流体搬送システム(1)から発泡金型(11)内に超臨界流体を導入して、導入時の温度及び圧力を目標の温度及び圧力となるよう調節することで、超臨界流体をポリマーに一定時間膨潤させつつ拡散させ、圧力解放装置(15)を開放して減圧発泡させることで、製品形状、サイズ精度及び気泡が緻密であり、且つ製品密度を制御可能なポリマーのモールド成形微細孔発泡製品を取得する、とのステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記超臨界流体の圧力は5〜30MPaとし、前記超臨界流体を30〜120分間にわたってポリマーに膨潤させつつ拡散させることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【請求項8】
前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、又は超臨界窒素ガス、又はこれらの混合物とすることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【請求項9】
上記で得られるポリマーのモールド成形微細孔発泡製品の体積膨張率は10〜50倍であり、平均孔径は1〜100μmであることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【請求項10】
前記予熱温度について、半結晶性ポリマーの場合には、予熱温度を融点よりも5〜10℃低くし、無定形ポリマーの場合には、予熱温度をガラス化温度よりも5〜10℃高くすることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー粒子の発泡成形の技術分野に関し、より具体的には、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、工業では、大半が間歇式反応釜発泡法によりポリマー発泡ビーズを生産している。この場合の技術プロセスは次の通りである。まず、熱可塑性ポリマー樹脂組成物を押し出して、水中でペレット状に切断することで、平均粒径が0.5〜4mmのポリマー粒子とする。続いて、ポリマー粒子、水及び水分散媒を合わせて恒温の高圧反応釜に投入し、加熱装置により反応釜中のポリマー粒子をポリマーの軟化点よりも高い温度まで加熱する。そして、攪拌しつつ、超臨界流体を導入して浸透、膨潤させ、拡散を平衡させることでポリマー−超臨界流体の均質系を形成する。その後、系内の圧力を解放することでポリマー発泡ビーズを取得する。また、圧力を除去して発泡ビーズを取得し、水槽で水洗いすることで表面に付着した分散剤を取り除く。最後に、スチームモールド成形法によりポリマービーズを様々な使用製品となるよう融着させる。
【0003】
特許文献1は、超臨界モールド発泡によりポリマー微細孔発泡材を製造する方法を開示している。当該方法では、成形機の発泡金型を昇温させ、発泡温度に達してからポリマーを金型に注入する。次に、成形機を型閉じし、金型を密封してから金型内に超臨界流体を導入すると、超臨界流体がポリマーを膨潤させつつ拡散して行く。その後、成形機を型開し、減圧により発泡させればポリマー微細孔発泡材が得られる。しかし、上記の方法では、形状が粒子、棒、シート及びプレートの発泡製品しか製造できず、様々な異なる形状の発泡製品へのニーズに適応することはできない。
【0004】
特許文献2は、超臨界流体によりポリマーのモールド発泡を補助する装置を開示している。当該装置は、超臨界流体搬送システム、金型システム、温度測定装置、圧力測定装置、圧力解放装置、表示・制御システム等を含む。超臨界流体搬送システムは金型システムに接続されており、温度測定装置、圧力測定装置、圧力解放装置はそれぞれ金型システムに接続されている。金型システムは、成形機の上下の加熱プレートで加熱を行う。そして、一定の温度及び超臨界流体の圧力の作用下で一定時間が経過すると、超臨界流体の非常に強力な浸透力と拡散エネルギーによって、超臨界流体は徐々にポリマー基体に拡散して行く。その後、急速に金型内の圧力を解放することで、一定形状の発泡材が得られる。当該装置は、自由発泡にも制御可能発泡にも適用可能である。しかし、上記の発泡装置は、小ロットで形状が単純な発泡材の製造や、標準的なテスト用の発泡材サンプルの製造にしか適さず、大規模化された工業生産における製造には向かない。
【0005】
上述した発泡装置及び方法の生産方式では、任意の単純形状のプレ製品を予め製造しておき、金型に注入して超臨界流体の浸透力及び拡散能力を利用する。超臨界流体は、一定の温度及び超臨界流体の圧力の作用下で一定の時間が経過すると、徐々にポリマー基体へと拡散して行く。その後、金型内の圧力を急速に解放すれば、一定形状の発泡材が得られる。しかし、この場合には発泡プロセスの複雑さが増し、装置への投入資金が増加するため、生産コストが増大する。且つ、生産効率が低く、製品コストが嵩むことから、大規模化された工業生産には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第102167840A号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第104097288A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術における上記の欠点を解消するために、気泡が細かく、サイズが正確であり、且つ軽量のポリマー粒子微細孔発泡モールド成形製品を取得可能であって、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現され、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適する熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を実現するために、本発明は、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置を提供する。当該装置は、超臨界流体搬送システム、モールド発泡システム、予熱定量材料供給システム及び移動レールを含む。前記超臨界流体搬送システムはモールド発泡システムと連通している。前記移動レールはモールド発泡システムと予熱定量材料供給システムの下方に装設されており、前記モールド発泡システムが移動レール上に装設されている。また、前記モールド発泡システムと予熱定量材料供給システムは移動レールを通じて連結されている。
【0009】
好ましくは、前記超臨界流体搬送システムは、窒素ガス増圧ステーション、二酸化炭素増圧ステーション、窒素ガス液状貯蔵タンク及び二酸化炭素液状貯蔵タンクを含む。前記窒素ガス液状貯蔵タンクの送出端は窒素ガス増圧ステーションの入口端と連通しており、前記二酸化炭素液状貯蔵タンクの送出端は二酸化炭素増圧ステーションの入口端と連通している。また、前記窒素ガス増圧ステーションの入口端は二酸化炭素増圧ステーションの入口端に接続されるとともに、ダクトを通じてモールド発泡システムと連通している。前記窒素ガス増圧ステーションの入口端及び二酸化炭素増圧ステーションの入口端とモールド発泡システムの間には吸気弁が設置されている。
【0010】
好ましくは、前記モールド発泡システムは、発泡金型、増圧金型クランプシリンダ、温度制御装置、圧力制御装置、圧力解放装置、排気弁、消音器及び冷却装置を含む。前記発泡金型は移動レール上に設置されており、移動レールに対して左右に運動可能である。前記増圧金型クランプシリンダは発泡金型に装設されている。また、前記温度制御装置と圧力制御装置が発泡金型に装設されている。前記冷却装置は発泡金型に装設されている。また、前記圧力解放装置は発泡金型に装設されている。前記消音器は圧力解放装置に設置されている。前記発泡金型には排気弁が装設されている。前記発泡金型は、移動レールを通じて予熱定量材料供給システムに連結されており、且つ予熱定量材料供給システムの下方に設置されている。前記超臨界流体搬送システムは発泡金型の内部と連通している。
【0011】
好ましくは、前記発泡金型は上型と下型を含む。前記上型と下型の間にはいくつかの成形キャビティが設けられている。前記下型と成形キャビティの間、成形キャビティの上端と上型の間には、超臨界流体搬送システムと連通するガス流通経路が開設されている。前記下型は、移動レール上に設置されており、且つ移動レールに対して左右に運動可能である。前記増圧金型クランプシリンダは、上型に装設されており、且つ上型を上下動させるよう上型に伝動可能に接続されている。前記下型は、移動レールを通じて予熱定量材料供給システムに連結されており、且つ予熱定量材料供給システムの下方に設置されている。
【0012】
好ましくは、前記予熱定量材料供給システムは、ポリマー粒子予熱装置、定量材料注入装置及び温度制御装置を含む。前記ポリマー粒子予熱装置は定量材料注入装置と連通している。前記温度制御装置はポリマー粒子加熱装置に設置されている。また、前記定量材料注入装置は下型の上方に設置されている。前記定量材料注入装置には、下型の成形キャビティと対応するいくつかの材料注入ヘッドが設けられている。
【0013】
本発明は、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法を提供する。当該方法は以下のステップを含む。
【0014】
1)ポリマー粒子をポリマー粒子予熱装置内に投入して予熱する。また、投入するポリマー粒子に基づいて、温度制御装置により予熱温度を調節する。続いて、ポリマー粒子を定量材料注入装置内に搬送する。
【0015】
2)下型を移動レールに沿って定量材料注入装置の下方まで動かす。定量材料注入装置は、材料注入ヘッドを用い、予熱済みのポリマー粒子を一定の重量比で下型の成形キャビティ内に注入する。
【0016】
3)材料の注入が完了した下型を移動レールに沿って上型の下方まで動かす。そして、増圧金型クランプシリンダが上型を下方に動かして、クランプにより下型と密封する。
【0017】
4)吸気弁を開放し、超臨界流体搬送システムから発泡金型内に超臨界流体を導入して、導入時の温度及び圧力を目標の温度及び圧力となるよう調節する。これにより、超臨界流体をポリマーに膨潤させつつ拡散させる。そして、圧力解放装置を開放して減圧発泡させれば、製品形状、サイズ精度及び気泡が緻密であり、且つ製品密度を制御可能なポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。
【0018】
好ましくは、前記超臨界流体の圧力は5〜30MPaとし、前記超臨界流体を30〜120分間にわたってポリマーに膨潤させつつ拡散させる。
【0019】
好ましくは、前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、又は超臨界窒素ガス、又はこれらの混合物とする。
【0020】
好ましくは、上記で得られるポリマーのモールド成形微細孔発泡製品の体積膨張率は10〜50倍であり、平均孔径は1〜100μmである。
【0021】
好ましくは、前記予熱温度について、半結晶性ポリマーの場合には、予熱温度を融点よりも5〜10℃低くし、無定形ポリマーの場合には、予熱温度をガラス化温度よりも5〜10℃高くする。
【発明の効果】
【0022】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0023】
本発明の構造はシンプルであり、超臨界流体搬送システム、モールド発泡システム、予熱定量材料供給システム及び移動レールを含む。超臨界流体搬送システムはモールド発泡システムと連通している。移動レールはモールド発泡システムと予熱定量材料供給システムの下方に装設されており、モールド発泡システムが移動レール上に装設されている。また、モールド発泡システムと予熱定量材料供給システムは移動レールを通じて連結されている。ポリマー粒子は、予熱定量材料供給システム内に配置され、予熱されてから、モールド発泡システム内に注入される。超臨界流体搬送システムがモールド発泡システムに超臨界流体を導入すると、超臨界流体がポリマーを膨潤させつつ拡散して行く。そして、圧力解放装置を開放して減圧発泡させれば、ポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。ポリマー粒子を一度で発泡成形する方法では、ポリマー粒子を予め発泡させることなく、そのまま成形キャビティ内に注入する。また、水や粘着防止用の離型剤を投入する必要がない。且つ、圧縮・融着成形工程では、高圧スチームで加熱成形しなくとも、粘着力に優れ、プロセスがクリーンとなる。よって、加水分解されやすいポリマー材料に適している。且つ、加工プロセスで必要とされる熱量が比較的少なく、ポリマー粒子の加熱効率に優れ、ポリマー粒子の温度が均一となるため、気泡が細かく、サイズが正確であり、且つ軽量のポリマー粒子微細孔発泡モールド成形製品が得られる。また、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現される。よって、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適している。
【0024】
本発明の実施例又は従来技術の技術方案についてより明確に説明すべく、次に、実施例又は従来技術の記載に要する図面について簡単に説明する。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は本発明の実施例の一部であって、当業者であれば、創造的労働を要することなく、これらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明で提供する熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置の構造を示す図である。
図2図2は、本発明で提供する熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置の別の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下に、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、本発明の実施例における技術方案について明瞭簡潔に述べる。なお、記載する実施例は本発明の一部の実施例であって、全ての実施例でないことは言うまでもない。また、本発明の実施例に基づいて当業者が創造的労働を要することなく取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【実施例1】
【0027】
図1及び図2を参照して、本発明の実施例は、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置を提供する。当該装置は、超臨界流体搬送システム1、モールド発泡システム2、予熱定量材料供給システム3及び移動レール4を含む。超臨界流体搬送システム1はモールド発泡システム2と連通している。移動レール4はモールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3の下方に装設されており、モールド発泡システム2が移動レール4上に装設されている。また、モールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3は移動レール4を通じて連結されている。以下に、図面を組み合わせて本実施例につき詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、超臨界流体搬送システム1はモールド発泡システム2と連通している。移動レール4はモールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3の下方に装設されており、モールド発泡システム2が移動レール4上に装設されている。また、モールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3は移動レール4を通じて連結されている。
【0029】
具体的には、図2に示すように、超臨界流体搬送システムは、窒素ガス増圧ステーション5、二酸化炭素増圧ステーション6、窒素ガス液状貯蔵タンク7及び二酸化炭素液状貯蔵タンク8を含む。窒素ガス液状貯蔵タンク7の送出端は窒素ガス増圧ステーション5の入口端と連通しており、二酸化炭素液状貯蔵タンク8の送出端は二酸化炭素増圧ステーション6の入口端と連通している。また、窒素ガス増圧ステーション5の入口端は二酸化炭素増圧ステーション6の入口端に接続されるとともに、ダクト9を通じてモールド発泡システム2と連通している。窒素ガス増圧ステーション5の入口端及び二酸化炭素増圧ステーション6の入口端とモールド発泡システム2の間には、吸気弁10が設置されている。
【0030】
モールド発泡システム2は、発泡金型11、増圧金型クランプシリンダ12、温度制御装置13、圧力制御装置14、圧力解放装置15、排気弁16、消音器17及び冷却装置22を含む。発泡金型11は移動レール4上に設置されており、移動レール4に対して左右に運動可能である。増圧金型クランプシリンダ12は発泡金型11に装設されている。また、温度制御装置13と圧力制御装置14が発泡金型11に装設されている。冷却装置22は発泡金型11に装設されている。且つ、圧力解放装置15が発泡金型11に装設されている。消音器17は圧力解放装置15に設置されている。また、発泡金型11には排気弁16が装設されている。発泡金型11は、移動レール4を通じて予熱定量材料供給システム3に連結されており、且つ予熱定量材料供給システム3の下方に設置されている。超臨界流体搬送システム1は発泡金型11の内部と連通している。
【0031】
発泡金型11は上型111と下型112を含む。上型111と下型112の間には、いくつかの成形キャビティ113が設けられている。下型112と成形キャビティ113の間、成形キャビティ113の上端と上型111の間には、超臨界流体搬送システム1と連通するガス流通経路114が開設されている。下型112は移動レール4上に設置されており、移動レール4に対して左右に運動可能である。増圧金型クランプシリンダ12は、上型111に装設されており、且つ上型111を上下動させるよう上型111に伝動可能に接続されている。下型112は、移動レール4を通じて予熱定量材料供給システム3に連結されており、且つ予熱定量材料供給システム3の下方に設置されている。
【0032】
予熱定量材料供給システム3は、ポリマー粒子予熱装置18、定量材料注入装置19及び温度制御装置20を含む。ポリマー粒子予熱装置18は定量材料注入装置19と連通している。温度制御装置20はポリマー粒子加熱装置18に設置されている。また、定量材料注入装置19は下型112の上方に設置されている。定量材料注入装置19には、下型112の成形キャビティ113と対応するいくつかの材料注入ヘッド21が設けられている。
【0033】
ポリマー粒子を一度で発泡成形する方法では、ポリマー粒子を予め発泡させることなく、そのまま成形キャビティ113内に注入する。また、水や粘着防止用の離型剤を投入する必要がない。且つ、圧縮・融着成形工程では、高圧スチームで加熱成形しなくとも、粘着力に優れ、プロセスがクリーンとなる。よって、加水分解されやすいポリマー材料に適している。且つ、加工プロセスで必要とされる熱量が比較的少なく、ポリマー粒子の加熱効率に優れ、ポリマー粒子の温度が均一となるため、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現される。よって、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適している。
【実施例2】
【0034】
本実施例2では、熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置に用いられる成形方法を提供する。当該方法は以下のステップを含む。
【0035】
1)ポリマー粒子をポリマー粒子予熱装置18内に投入して予熱する。また、投入するポリマー粒子に基づいて、温度制御装置20により予熱温度を調節する。続いて、ポリマー粒子を定量材料注入装置19内に搬送する。
【0036】
2)下型112を移動レール4に沿って定量材料注入装置19の下方まで動かす。定量材料注入装置19は、材料注入ヘッド21を用い、予熱済みのポリマー粒子を一定の重量比で下型112の成形キャビティ113内に注入する。
【0037】
3)材料の注入が完了した下型112を移動レール4に沿って上型111の下方まで動かす。そして、増圧金型クランプシリンダ12が上型111を下方に動かして、クランプにより下型112と密封する。
【0038】
4)吸気弁10を開放し、超臨界流体搬送システム1から発泡金型11内に超臨界流体を導入して、導入時の温度及び圧力を目標の温度及び圧力となるよう調節する。これにより、超臨界流体をポリマーに膨潤させつつ拡散させる。そして、圧力解放装置15を開放して減圧発泡させれば、製品形状、サイズ精度及び気泡が緻密であり、且つ製品密度を制御可能なポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。
【0039】
好ましくは、本実施例において、超臨界流体の圧力は5〜30MPaとし、超臨界流体を30〜120分間にわたってポリマーに膨潤させつつ拡散させる。
【0040】
超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、又は超臨界窒素ガス、又はこれらの混合物とする。
【0041】
発泡により得られるポリマーのモールド成形微細孔発泡製品の体積膨張率は10〜50倍であり、平均孔径は1〜100μmである。これにより、気泡が細かく、サイズが正確であり、且つ軽量のポリマー粒子微細孔発泡モールド成形製品が得られる。
【0042】
好ましくは、予熱温度について、半結晶性ポリマーの場合には、予熱温度を融点よりも5〜10℃低くする。また、無定形ポリマーの場合には、予熱温度をガラス化温度よりも5〜10℃高くする。予熱温度は実際の状況に応じて調節すればよい。
【0043】
ポリマー粒子は、PE、PP、TPE、TPU、TPEE、PEBAX、PA系、PET等から選択した1つ以上とし、実際の状況に応じて選択及び加工すればよい。
【0044】
以上述べたように、本発明の構造はシンプルであり、超臨界流体搬送システム1、モールド発泡システム2、予熱定量材料供給システム3及び移動レール4を含む。超臨界流体搬送システム1はモールド発泡システム2と連通している。移動レール4はモールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3の下方に装設されており、モールド発泡システム2が移動レール4上に装設されている。また、モールド発泡システム2と予熱定量材料供給システム3は移動レール4を通じて連結されている。ポリマー粒子は、予熱定量材料供給システム3内に配置され、予熱されてから、モールド発泡システム2内に注入される。超臨界流体搬送システム1がモールド発泡システム2に超臨界流体を導入すると、超臨界流体がポリマーを膨潤させつつ拡散して行く。そして、圧力解放装置15を開放して減圧発泡させれば、ポリマーのモールド成形微細孔発泡製品が得られる。ポリマー粒子を一度で発泡成形する方法では、ポリマー粒子を予め発泡させることなく、そのまま成形キャビティ113内に注入する。また、水や粘着防止用の離型剤を投入する必要がない。且つ、圧縮・融着成形工程では、高圧スチームで加熱成形しなくとも、粘着力に優れ、プロセスがクリーンとなる。よって、加水分解されやすいポリマー材料に適している。且つ、加工プロセスで必要とされる熱量が比較的少なく、ポリマー粒子の加熱効率に優れ、ポリマー粒子の温度が均一となるため、発泡の均一性が効果的に保証され、生産効率が向上し、自動化生産が実現される。よって、大多数のポリマー粒子の発泡モールド成形に適している。
【0045】
上記の実施例は本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は上記の実施例に制限されない。本発明の精神、本質及び原理を逸脱することなく実施されるその他あらゆる変形、補足、置換、組み合わせ、簡略化はいずれも等価の置き換えとみなされ、本発明の保護の範囲に含まれる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【国際調査報告】