特表2022-500423(P2022-500423A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2022-500423エストロゲン受容体陽性乳癌の治療のための併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-500423(P2022-500423A)
(43)【公表日】2022年1月4日
(54)【発明の名称】エストロゲン受容体陽性乳癌の治療のための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20211203BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211203BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20211203BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20211203BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211203BHJP
   A61K 31/565 20060101ALI20211203BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20211203BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20211203BHJP
【FI】
   A61K31/437
   A61P35/00
   A61P15/14
   A61K45/00
   A61P43/00 121
   A61K31/565
   A61K31/519
   A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2021-513996(P2021-513996)
(86)(22)【出願日】2019年9月13日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月30日
(86)【国際出願番号】IB2019001035
(87)【国際公開番号】WO2020053664
(87)【国際公開日】20200319
(31)【優先権主張番号】62/730,837
(32)【優先日】2018年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517202663
【氏名又は名称】ゼニス・エピジェネティクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Zenith Epigenetics Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・カンポー
(72)【発明者】
【氏名】オレーシャ・カレンコ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ティ・エイチ・バン・ダー・ホースト
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZB26
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086CB05
4C086CB09
4C086DA09
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、BETブロモドメイン阻害剤を、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、および選択的CDK4/6阻害剤から選択される第2の薬剤と組み合わせて投与することを含む、方法。BETブロモドメイン阻害剤は、1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)、1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、およびそれらの薬学的に許容される塩/共結晶から選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、
a.1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)、1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、およびそれらの薬学的に許容される塩/共結晶から選択されるBETブロモドメイン阻害剤と、
b.第2の治療剤との組み合わせを投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記BETブロモドメイン阻害剤が化合物Iである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BETブロモドメイン阻害剤が化合物Iの形態Iのメシル酸塩/共結晶である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の治療剤が選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の治療剤が選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の治療剤が選択的CDK4/6阻害剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の治療剤がフルベストラントである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の治療剤がパルボシクリブである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の治療剤がアベマシクリブである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の治療剤がリボシクリブである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者が乳癌療法で以前に治療されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記患者がCDK4/6阻害剤で以前に治療されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が化学療法で以前に治療されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者が免疫療法で以前に治療されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者がヒトである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)ならびに1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミンから選択される化合物、およびその薬学的に許容される塩または共結晶が、用量制限毒性として血小板減少症を引き起こすことなく選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)および選択的CDK4/6阻害剤から選択される第2の治療剤とともに投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の治療剤が、フルベストラント、パルボシクリブ、またはアベマシクリブである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳癌の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
米国では毎年20万人を超える女性が乳癌と診断されている。これらの症例の約80%は、エストロゲン受容体陽性(ER+)であり、これはERシグナル伝達の上方制御を特徴とする。現在の一連の療法には、ER+乳癌における大きな治療改善をもたらしている内分泌療法が含まれる。残念ながら、これらの療法に対する耐性は経時的に生じ、追加の治療戦略の開発が必要とされている。最近、ブロモドメインおよび末端外(BET)タンパク質BRD3およびBRD4がERの転写に関与することが示された(Feng et al.,2014)。一部のBET阻害剤での治療は、ER媒介性シグナル伝達を抑制することができ、ESR1変異状態にかかわらず、さらなるERシグナル伝達抑制によって内分泌耐性を打開するための潜在的な戦略を提供する(Feng et al.,2014、Ladd et al.,2016、Nagarajan et al.,2014、Sengupta et al.,2015)。しかしながら、BRD3および/またはBRD4が患者における内分泌療法に対する耐性機序に関与しているか、かつBET阻害剤がCDK4/6阻害剤に耐性のER+乳癌細胞の増殖を強力に阻害することができるかは依然として不明である。CDK4/6阻害剤は、転移性ER+乳癌における第一選択および第二選択標準治療であり、CDK4/6阻害剤とBET阻害剤との組み合わせは、CDK4/6単剤療法に対する耐性を発症している対象に対する次の選択療法になる可能性がある。
【0003】
しかしながら、現時点では、ER+乳癌を有する対象に投与された場合、例えあったとしても、どのBET阻害剤が臨床的有益性をもたらすかは不明である。同様に、例えあったとしても、どのBET阻害剤が、乳癌の治療において、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、アロマターゼ阻害剤(AI)、または選択的CDK4/6阻害剤などの他の薬剤と相乗的に組み合わせられるか、どの程度のレベルの相乗効果が必要とされるか、かつどの第2の治療剤が各BET阻害剤にとって最良の組み合わせパートナーとなり、乳癌を有する患者に投与されたときに臨床的有益性をもたらすかも不明である。臨床的有益性に加えて、この組み合わせは、安全であり、かつ有効な用量で良好な耐容性を示されなければならない。現時点では、どの組み合わせが最良の全体的プロファイルを示すかを予測することはできない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌の治療を必要とする対象に、BETブロモドメイン阻害剤またはBETブロモドメイン阻害剤の薬学的に許容される塩もしくは共結晶と、第2の治療剤とを同時投与することによって、ER+乳癌を治療する方法を開示する。
【0005】
本発明のいくつかの実施形態では、ER+乳癌を治療する方法は、BETブロモドメイン阻害剤、第2の治療剤、およびエストロゲン受容体モジュレーターの投与を含む三重併用療法である。
【0006】
いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、第2の治療剤と、かつ任意選択的にエストロゲン受容体モジュレーターと同時に投与される。いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、第2の治療剤と、かつ任意選択的にエストロゲン受容体モジュレーターと順次投与される。いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、第2の治療剤とともに、かつ任意選択的にエストロゲン受容体モジュレーターとともに単一の医薬組成物で投与される。いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤および第2の治療剤、ならびに任意選択的にエストロゲン受容体モジュレーターは、別個の組成物として投与される。いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤および第2の治療剤は、単一の組成物中にあり、任意選択のエストロゲン受容体モジュレーターは、別個の組成物中にある。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、乳癌の治療に使用される薬剤である。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)または選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、選択的CDK4/6阻害剤である。
【0010】
いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、式Iaまたは式Ibの化合物、
【化1】
(式Ia)
【化2】
(式Ib)
またはそれらの立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは共結晶であり、
式中、
環Aおよび環Bは、水素、重水素、−NH、アミノ、複素環(C−C)、炭素環(C−C)、ハロゲン、−CN、−OH、−CF、アルキル(C−C)、チオアルキル(C−C)、アルケニル(C−C)、およびアルコキシ(C−C)から独立して選択される基で任意選択的に置換されてもよく、
Xは、−NH−、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHO−、−CHCHNH−、−CHCHS−、−C(O)−、−C(O)CH−、−C(O)CHCH−、−CHC(O)−、−CHCHC(O)−、−C(O)NH−、−C(O)O−、−C(O)S−、−C(O)NHCH−、−C(O)OCH−、−C(O)SCH−から選択され、1つ以上の水素は独立して、重水素、ヒドロキシル、メチル、ハロゲン、−CF、ケトンで置き換えられてもよく、Sは酸化されて、スルホキシドまたはスルホンになる可能性があり、
は、任意選択的に置換された3〜7員炭素環および複素環から選択され、
は、以下の5員単環式複素環から選択され、
【化3】
これらは、水素、重水素、アルキル(C−C)、アルコキシ(C−C)、アミノ、ハロゲン、アミド、−CF、−CN、−N、ケトン(C−C)、−S(O)アルキル(C−C)、−SOアルキル(C−C)、−チオアルキル(C−C)、−COOH、および/またはエステルで任意選択的に置換され、これらは各々、水素、F、Cl、Br、−OH、−NH、−NHMe、−OMe、−SMe、オキソ、および/またはチオオキソで任意選択的に置換されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、式Iaの化合物である。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物は、以下の式を有する、1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)である。
【化4】
(化合物I)
【0012】
いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、式Iaまたは式Ibの化合物の薬学的に許容される塩または共結晶である。いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、化合物Iの薬学的に許容される塩または共結晶である。いくつかの実施形態では、BETブロモドメイン阻害剤は、化合物Iの形態Iのメシル酸塩/共結晶である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】WT−MCF7細胞における化合物Iとアベマシクリブとの相乗的組み合わせ。CI=0.08
図2】Palbo−R−MCF7細胞における化合物Iとアベマシクリブとの相乗的組み合わせ。CI=0.20
図3】ZR−75−1細胞における化合物Iとアベマシクリブとの相乗的組み合わせ。CI=0.14
図4】Palbo−R ZR−75−1細胞における化合物Iとアベマシクリブとの相乗的組み合わせ。CI=0.35
図5】Abema−R MCF7細胞における化合物Iとアベマシクリブとの相乗的組み合わせ。CI=0.30
図6】WT−MCF7細胞における化合物Iとフルベストラントとの相乗的組み合わせ。CI=0.51
図7】化合物Iのメシル酸塩/共結晶のX線粉末回折図(XRPD)を示す。
図8】化合物Iのメシル酸塩/共結晶の示差走査熱量計(DSC)曲線を示す。
図9】化合物Iのメシル酸塩/共結晶の熱重量分析(TGA)を示す。
【0014】
定義
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」とは、疾患もしくは障害、またはその少なくとも1つの認識可能な症状の改善を指す。別の実施形態では、「治療」または「治療すること」とは、患者によって必ずしも認識可能ではない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。さらに別の実施形態では、「治療」または「治療すること」とは、物理的に、例えば、認識可能な症状の安定化、生理学的に、例えば、物理的パラメータの安定化、またはそれらの両方のいずれかで、疾患または障害の進行を阻害することを指す。さらに別の実施形態では、「治療」または「治療すること」とは、疾患または障害の発症を遅らせることを指す。
【0015】
「任意選択の」または「任意選択的に」とは、その後に記述される事象または状況が発生しても発生しなくてもよく、かつその記述が、事象または状況が発生する場合および発生しない場合を含むことを意味する。例えば、「任意選択的に置換されたアリール」は、以下に定義されるように「アリール」および「置換アリール」の両方を包含する。当業者であれば、1つ以上の置換基を含む任意の基に関して、かかる基が、立体的に非実用的である、合成的に実行不能である、および/または本質的に不安定であるいずれの置換または置換パターンも導入するようには意図されていないことを理解するであろう。
【0016】
本明細書で使用される場合、「水和物」という用語は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの水が結晶構造に組み込まれる結晶形態を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、本明細書で(C2−)アルケニルと称される、2〜8個の炭素原子の直鎖状または分岐状基などの少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和直鎖状または分岐状炭化水素を指す。例示的なアルケニル基には、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2−エチルヘキセニル、2−プロピル−2−ブテニル、および4−(2−メチル−3−ブテン)−ペンテニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、酸素に結合したアルキル基(−O−アルキル−)を指す。「アルコキシ」基には、酸素に結合したアルケニル基(「アルケニルオキシ」)または酸素に結合したアルキニル基(「アルキニルオキシ」)も含まれる。例示的なアルコキシ基には、本明細書で(C1−)アルコキシと称される、1〜8個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を有する基が含まれるが、これらに限定されない。例示的なアルコキシ基には、メトキシおよびエトキシが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、本明細書で(C−C)アルキルと称される、1〜8個の炭素原子の直鎖状または分岐状基などの飽和直鎖状または分岐状炭化水素を指す。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「アミド」という用語は、−NRC(O)(R)−または−C(O)NRを指し、式中、R、R、およびRは各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および水素から選択される。アミドは、炭素、窒素、R、またはRを介して別の基に結合することができる。アミドは環状である場合もあり、例えば、RとRが連結されて、5員環または6員環などの3〜8員環を形成してもよい。「アミド」という用語は、スルホンアミド、尿素、ウレイド、カルバメート、カルバミン酸、およびそれらの環状バージョンなどの基を包含する。「アミド」という用語は、カルボキシ基に結合したアミド基、例えば、−アミド−COOHまたは−アミド−COONaなどの塩、カルボキシ基に結合したアミノ基(例えば、−アミノ−COOHまたは−アミノ−COONaなどの塩)を包含する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「アミン」または「アミノ」という用語は、−NRまたは−N(R)R−の形態を指し、式中、RおよびRは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、カルバメート、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアリール、複素環、および水素から選択される。アミノは、窒素を介して親分子基に結合することができる。アミノは環状である場合もあり、例えば、RdおよびReのうちのいずれか2つが一緒に連結されてまたはNと連結されて、3〜12員環(例えば、モルホリノまたはピペリジニル)を形成してもよい。アミノという用語は、任意のアミノ基の対応する第四級アンモニウム塩も含む。例示的なアミノ基には、アルキルアミノ基が含まれ、RまたはRのうちの少なくとも1つがアルキル基である。いくつかの実施形態では、RdおよびReは各々、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシ、エステル、またはアミノで任意選択的に置換されてもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、単炭素環式、二炭素環式、または他の多炭素環式芳香族環系を指す。アリール基は、任意選択的に、アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルから選択される1つ以上の環に縮合され得る。本開示のアリール基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、ニトロ、リン酸、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンから選択される基で置換されてもよい。例示的なアリール基には、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびに5,6,7,8−テトラヒドロナフチルなどのベンゾ縮合炭素環部分が含まれるが、これらに限定されない。例示的なアリール基には、本明細書で「(C)アリール」と称される、6個の炭素原子を含む単環式芳香族環系も含まれるが、これに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アリールアルキル」という用語は、少なくとも1つのアリール置換基(例えば、−アリール−アルキル−)を有するアルキル基を指す。例示的なアリールアルキル基には、本明細書で「(C)アリールアルキル」と称される、6個の炭素原子を含む単環式芳香族環系を有するアリールアルキルが含まれるが、これに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「カルバメート」という用語は、−ROC(O)N(R)−、−ROC(O)N(R)R−、または−OC(O)NRの形態を指し、式中、R、R、およびRは各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および水素から選択される。例示的なカルバメートには、アリールカルバメートまたはヘテロアリールカルバメートが含まれるが、これらに限定されない(例えば、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、およびピラジンなどのアリールまたはヘテロアリールから独立して選択される)。
【0025】
本明細書で使用される場合、「炭素環」という用語は、アリール基またはシクロアルキル基を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「カルボキシ」という用語は、−COOHまたはその対応するカルボン酸塩(例えば、−COONa)を指す。カルボキシという用語は、例えば、カルボニル基に結合したカルボキシ基、例えば、−C(O)−COOHまたは−C(O)−COONaなどの塩である「カルボキシカルボニル」も含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「シクロアルコキシ」という用語は、酸素に結合したシクロアルキル基を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、シクロアルカンに由来する、本明細書で「(C−C)シクロアルキル」と称される3〜12個の炭素または3〜8個の炭素の飽和または不飽和環式、二環式、または架橋二環式炭化水素基を指す。例示的なシクロアルキル基には、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロペンタン、およびシクロペンテンが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキル基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、ニトロ、リン酸、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンで置換されてもよい。シクロアルキル基は、他のシクロアルキル飽和もしくは不飽和アリール基またはヘテロシクリル基に縮合され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ジカルボン酸」という用語は、飽和および不飽和炭化水素ジカルボン酸およびその塩などの少なくとも2つのカルボン酸基を含む基を指す。例示的なジカルボン酸には、アルキルジカルボン酸が含まれる。ジカルボン酸は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、水素、ヒドロキシル、ケトン、ニトロ、リン酸塩、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンで置換されてもよい。ジカルボン酸には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フタル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、マロン酸、フマル酸、(+)/(−)−リンゴ酸、(+)/(−)酒石酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸が含まれるが、これらに限定されない。ジカルボン酸には、そのカルボン酸誘導体、例えば、無水物、イミド、ヒドラジド(例えば、無水コハク酸およびスクシンイミド)をさらに含む。
【0030】
「エステル」という用語は、構造−C(O)O−、−C(O)O−R−、−RC(O)O−R−、または−RC(O)O−を指し、式中、Oは水素に結合しておらず、RおよびRは独立して、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、エーテル、ハロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択され得る。Rは水素とすることができるが、Rは水素とすることはできない。エステルは環状であってもよく、例えば、炭素原子とR、酸素原子とR、またはRとRが連結されて、3〜12員環を形成してもよい。例示的なエステルには、RjまたはRkのうちの少なくとも1つが、−O−C(O)−アルキル、−C(O)−O−アルキル−、および−アルキル−C(O)−O−アルキル−などのアルキルであるアルキルエステルが含まれるが、これに限定されない。例示的なエステルには、例えば、RjまたはRkのうちの少なくとも1つが、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、およびピラジンなどのヘテロアリール基、例えば、ニコチン酸エステルである、アリールエステルまたはヘテロアリールエステルも含まれる。例示的なエステルには、酸素が親分子に結合している構造−RC(O)O−を有するリバースエステルも含まれる。例示的なリバースエステルには、コハク酸塩、D−アルギニン酸塩、L−アルギニン酸塩、L−リシン酸塩、およびD−リシン酸塩が含まれる。エステルには、カルボン酸無水物および酸ハロゲン化物も含まれる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基を指す。「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルケニル基またはアルキニル基も包含する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、および硫黄などの1つ以上のヘテロ原子、例えば、1〜3個のヘテロ原子を含む単環式、二環式、または多環式芳香族環系を指す。ヘテロアリールは、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、ニトロ、リン酸塩、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンを含む1つ以上の置換基で置換されてもよい。ヘテロアリールは、非芳香族環に縮合されることもできる。ヘテロアリール基の説明的な例には、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、(1,2,3)−および(1,2,4)−トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、フェニル、イソオキサゾリル、およびオキサゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なヘテロアリール基には、本明細書で「(C−C)ヘテロアリール」と称される、2〜5個の炭素原子および1〜3個のヘテロ原子を含む単環式芳香族環が含まれるが、これに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環式」という用語は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1、2、または3個ヘテロ原子を含む、飽和または不飽和3員、4員、5員、6員、または7員環を指す。複素環は、芳香族(ヘテロアリール)または非芳香族であることができる。複素環は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、ニトロ、リン酸塩、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンを含む1つ以上の置換基で置換されてもよい。複素環には、二環式、三環式、および四環式基も含まれ、上記の複素環式環のうちのいずれかが、アリール、シクロアルキル、および複素環から独立して選択される1つまたは2つの環に縮合されている。例示的な複素環には、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ビオチニル、シンノリニル、ジヒドロフリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジチアゾリル、フリル、ホモピペリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリジニル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジン、ピラニル、ピラゾリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリジニル、ピロリジン−2−オニル、ピロリニル、ピロリル、キノリニル、キノキサロイル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、チオピラニル、およびトリアゾリルが含まれる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」および「ヒドロキシル」という用語は、−OHを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基に結合したヒドロキシを指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアリール」という用語は、アリール基に結合したヒドロキシを指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ケトン」という用語は、構造−C(O)−Rn(例えば、アセチル、−C(O)CH)または−R−C(O)−Ro−を指す。ケトンは、RまたはRを介して別の基に結合することができる。RまたはRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアリールであることができ、またはRもしくはRが連結されて、3〜12員環を形成することができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「フェニル」という用語は、6員炭素環式芳香族環を指す。フェニル基は、シクロヘキサン環またはシクロペンタン環に縮合されることもできる。フェニルは、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、リン酸塩、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンを含む1つ以上の置換基で置換され得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「チオアルキル」という用語は、硫黄に結合したアルキル基(−S−アルキル−)を指す。
【0041】
「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アルコキシ」、「アミノ」、および「アミド」基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、リン酸、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、チオケトン、ウレイド、およびNから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換され得るか、またはそれによって中断され得るか、またはそれで分岐され得る。これらの置換基が分岐して、置換または非置換複素環またはシクロアルキルを形成してもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、任意選択的に置換された置換基上での好適な置換体(substitution)とは、本開示の化合物またはそれらの調製に有用な中間体の合成的または薬学的有用性を無効にしない基を指す。好適な置換体の例には、C1−8アルキル、アルケニル、またはアルキニル;C1−6アリール、C2−5ヘテロアリール;C37シクロアルキル;C1−8アルコキシ;Cアリールオキシ;−CN;−OH;オキソ;ハロ、カルボキシ;アミノ、例えば、−NH(C1−8アルキル)、−N(C1−8アルキル)、−NH((C)アリール)、または−N((C)アリール);ホルミル;ケトン、例えば、−CO(C1−8アルキル)、−CO((Cアリール)エステル、例えば、−CO(C1−8アルキル)、および−CO(Cアリール)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、本開示の化合物の安定性ならびに薬理学的活性および合成活性に基づいて、好適な置換体を容易に選択することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された本明細書に開示される少なくとも1つの化合物を含む組成物を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与と適合性のある、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、等張剤、および吸収遅延剤などを指す。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。本組成物は、補足的、追加的、または強化された治療機能を提供する他の活性化合物も含んでもよい。
【0045】
例示的な実施形態
上で要約されるように、本発明は、ER+乳癌の治療を必要とする対象に、式Iaもしくは式IbのBETブロモドメイン阻害剤またはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に許容される塩/共結晶と、第2の治療剤とを投与することを含む、併用療法を用いてER+乳癌を治療する方法を提供し、
【化5】
(式Ia)
【化6】
(式Ib)
式中、
環Aおよび環Bは、水素、重水素、−NH、アミノ、複素環(C−C)、炭素環(C−C)、ハロゲン、−CN、−OH、−CF、アルキル(C−C)、チオアルキル(C−C)、アルケニル(C−C)、およびアルコキシ(C−C)から独立して選択される基で任意選択的に置換されてもよく、
Xは、−NH−、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHO−、−CHCHNH−、−CHCHS−、−C(O)−、−C(O)CH−、−C(O)CHCH−、−CHC(O)−、−CHCHC(O)−、−C(O)NH−、−C(O)O−、−C(O)S−、−C(O)NHCH−、−C(O)OCH−、−C(O)SCH−から選択され、1つ以上の水素は独立して、重水素、ヒドロキシル、メチル、ハロゲン、−CF、ケトンで置き換えられてもよく、Sは酸化されて、スルホキシドまたはスルホンになる可能性があり、
は、任意選択的に置換された3〜7員炭素環および複素環から選択され、
は、以下の5員単環式複素環から選択され、
【化7】
これらは、水素、重水素、アルキル(C−C)、アルコキシ(C−C)、アミノ、ハロゲン、アミド、−CF、−CN、−N、ケトン(C−C)、−S(O)アルキル(C−C)、−SOアルキル(C−C)、−チオアルキル(C−C)、−COOH、および/またはエステルで任意選択的に置換され、これらは各々、水素、F、Cl、Br、−OH、−NH、−NHMe、−OMe、−SMe、オキソ、および/またはチオオキソで任意選択的に置換されてもよい。
【0046】
化合物Iを含む式IaおよびIbの化合物は、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO2015/002754号に以前に記載されており、特に、化合物Iを含む式Iaおよび式Ibの化合物のその説明、それらの合成、およびそれらのBETブロモドメイン阻害剤活性の実証について記載されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、式Iaおよび式IbのBETブロモドメイン阻害剤は、
1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−エチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、
1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、
N,1−ジベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、
1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、
4−(1−ベンジル−2−(ピロリジン−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール、
4−(2−(アゼチジン−1−イル)−1−(シクロペンチルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール、
1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、
1−(シクロペンチルメチル)−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン、
4−アミノ−1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−2(3H)−オン、
4−アミノ−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−メトキシベンジル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−2(3H)−オン、
4−アミノ−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(1−フェニルエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−2(3H)−オン、
4−アミノ−1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−3−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−2(3H)−オン、
またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは共結晶から選択される。
【0048】
一実施形態では、本発明は、ER+乳癌を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)ならびに1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミンから選択される化合物、およびその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を、別の治療剤と同時に投与することを含む、方法を提供する。
【0049】
一実施形態では、本発明の方法で投与されるBETブロモドメイン阻害剤は、1−ベンジル−6(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)のメシル酸塩または共結晶である。
【0050】
一実施形態では、1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)ならびに1−ベンジル−6−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミンから選択される化合物、およびその薬学的に許容される塩または共結晶は、用量制限毒性として血小板減少症を引き起こすことなく第2の治療剤とともに投与される。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明の方法で投与される第2の治療剤は、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)である。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の方法で投与される第2の治療剤は、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、タモキシフェンである。
【0054】
いくつかの実施形態では、対象は、アロマターゼ阻害剤で以前に治療されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、フルベストラントである。
【0056】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、CDK4/6阻害剤である。
【0057】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、アベマシクリブ、リボシクリブ、およびパルボシクリブから選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、アベマシクリブである。
【0059】
いくつかの実施形態では、対象は、乳癌療法で以前に治療されている。いくつかの実施形態では、以前の乳癌療法は、化学療法である。いくつかの実施形態では、以前の乳癌療法は、CDK4/6阻害剤での治療である。いくつかの実施形態では、以前の乳癌療法は、免疫療法である。
【0060】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のBETブロモドメイン阻害剤は、第2の治療剤と同時に投与される。本明細書で使用される場合、「同時」とは、式Iaまたは式IbのBETブロモドメイン阻害剤および第2の治療剤が、数秒(例えば、15秒、30秒、45秒、60秒以下)、数分(例えば、1分、2分、5分以下、10分以下、15分以下)、または1〜12時間の時間差で投与されることを意味する。同時に投与される場合、BETブロモドメイン阻害剤および他の治療剤は、2回以上の投与で投与されてもよく、別個の組成物または剤形に含まれてもよく、それらは同じまたは異なるパッケージ(複数可)に含まれてもよい。
【0062】
参考文献一覧
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【実施例】
【0063】
組織培養培地および試薬を、ThermoFisher Scientificから入手した。フルベストラントをSigmaから入手し、アベマシクリブおよびパルボシクリブをSelleckchemから入手した。
実施例1:化合物1の合成
【0064】
ステップA:5−ブロモ−N−(フェニルメチレン)ピリジン−2,3−ジアミン(化合物B)の合成
【化8】
出発材料Aをメタノールおよび酢酸中に溶解した。溶液を0〜5℃に冷却し、ベンズアルデヒドを滴加した。反応が完了した時点で、プロセス水およびNaHCO溶液を滴加し、温度を低く(0〜5℃)保った。固体を濾去し、1:1のメタノール/水で洗浄し、その後、乾燥させて、HPLCにより化合物Bを収率94%および純度+99%で得た。H−NMR(DMSO−d):δ8.75(1H)、8.04(2H)、7.93(1H)、7.65(1H)、7.50−7.60(3H)。
【0065】
ステップB:N−ベンジル−5−ブロモピリジン−2,3−ジアミン(化合物C)の合成
【化9】
化合物Bをエタノール中に溶解し、15〜25℃の温度を保ちながらNaHBを少しずつに分けて添加した。反応混合物を、反応が完了する(HPLCによって監視される)まで8〜15時間撹拌した。HCl溶液を添加し、pHを6〜7に調整し、その後、プロセス水を添加し、温度を15〜25℃に保った。混合物を1〜5時間撹拌し、濾過し、エタノール/水混合物で洗浄した。約60℃で15〜20時間乾燥させた後、化合物Cを得た。H−NMR(DMSO−d):d7.2−7.4(6H)、6.55(1H)、5.70−5.83(3H)、4.30(2H).
【0066】
ステップC:N−ベンジル−5−(3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール−4−イル)ピリジン−2,3−ジアミン(化合物D)の合成
【化10】
化合物C、化合物G、およびリン酸カリウム三塩基性三水和物を混合し、その後、1,4−ジオキサンおよびプロセス水を添加した。結果として得られた混合物を窒素で完全にパージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加し、混合物を、化合物Cの化合物Dに対する比率が1%以下になるまで90℃以上に加熱した。冷却した後、反応混合物を濾過し、固体を1,4−ジオキサンで洗浄し、その後、濃縮した。プロセス水を添加し、混合物を、母液中に残留する化合物Dの量が0.5%以下になるまで撹拌した。化合物Dを濾過により単離し、1,4−ジオキサン/水およびt−ブチルメチルエーテルで順次洗浄した。湿潤ケーキを塩化メチレンおよびシリカゲル中で混合した。撹拌した後、混合物を濾過し、その後、濃縮した。混合物を冷却し、t−ブチルメチルエーテルを添加した。生成物を濾過により単離し、塩化メチレン、t−ブチルメチルエーテル、および水分レベルが0.5%以下になるまで乾燥させた。H−NMR(DMSO−d):δ7.30−7.45(4H)、7.20−7.25(2H)、6.35(1H)、5.65−5.80(3H)、4.30−4.40(2H)、2.15(3H)、1.95(3H)。
【0067】
ステップD:1−ベンジル−6−(3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール−4−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン(化合物E)の合成
【化11】
カルボニルジイミダゾール固体を、化合物Dおよびジメチルスルホキシドの撹拌混合物に添加した。混合物を、化合物Dの化合物Eに対する比率がNMT0.5%になるまで加熱した。混合物を冷却し、プロセス水を数時間にわたって添加した。結果として得られた混合物を、周囲温度で少なくとも2時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、プロセス水で洗浄した。ジメチルスルホキシドが熱および真空を使用して乾燥させる前にNMT0.5%であったことを確認した。水分レベルがNMT0.5%になった時点で乾燥が完了し、化合物Eを得た。H−NMR(DMSO−d):δ11.85(1H)、7.90(1H)、7.20−7.45(6H)、5.05(2H)、3.57(3H)、2.35(3H)、2.15(3H)。
【0068】
ステップE:4−[1−ベンジル−2−クロロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]−3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール(化合物F)の合成
【化12】
化合物Eとオキシ塩化リンとを混合し、その後、滴加することができるジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)で処理した。結果として得られた混合物を数時間加熱し、冷却し、反応完了確認のためにサンプリングした。化合物Eの化合物Fに対する比率が0.5%以下になった時点で、反応が完了した。さもなければ、反応物を追加の時間加熱し、前と同様にサンプリングした。反応が完了した後、混合物を濃縮し、その後、冷却した。酢酸エチルを添加し、混合物を真空下で数回濃縮した。酢酸エチル(EtOAc)を濃縮物に添加し、混合物を冷却し、その後、重炭酸ナトリウム水溶液に添加した。有機相を分離し、有機層を重炭酸ナトリウム水溶液で、その後、水で洗浄した。有機相を濃縮し、酢酸エチルを添加し、混合物を濃縮して、水分レベルが0.2%以下であることを確認した。酢酸エチル中の混合物を炭素で脱色した。混合物を濃縮し、n−ヘプタンを添加した。生成物を濾過により単離し、真空下で乾燥させた。残留水分、酢酸エチル、およびn−ヘプタンが0.5%以下になった時点で、乾燥が完了した。H−NMR(MeOH−d):δ8.40(1H)、7.90(1H)、7.25−7.45(5H)、5.65(2H)、2.37(3H)、2.22(3H)。
【0069】
ステップF:1−ベンジル−6−(3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール−4−イル)−N−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン(化合物I)の合成
【化13】
化合物Fを、テトラヒドロフラン(THF)中でメチルアミンと混合し、化合物Fの化合物Iに対する比率がHPLCによりNMT0.1%になるまで周囲温度で撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空下で濃縮し、プロセス水を添加し、生成物を濾過により単離した。濾過ケーキをプロセス水で洗浄した。湿潤ケーキを塩酸中に溶解し、結果として得られた溶液を塩化メチレンで洗浄して、不純物を除去した。水溶液を水酸化ナトリウム溶液で中和し、化合物Iを濾過により単離し、プロセス水で洗浄し、真空下で乾燥させた。必要に応じて、いかなる残留する塩酸も除去するために、乾燥物質をエタノール中に溶解し、エタノール中水酸化ナトリウム溶液で処理し、その後、プロセス水を添加して、生成物を沈殿させることができる。化合物Iを濾過により単離し、プロセス水で洗浄し、乾燥させた。H−NMR(DMSO−d):δ7.96(d、1H、J=2.0Hz)、7.42(d、1H、J=2.0Hz)、7.37(q、1H、J=4.2Hz)、7.32(m、2H)、7.26(m、1H)、7.24(m、2H)、5.30(s、2H)、3.00(d、3H、4.5Hz)、2.34(s、3H)、2.16(s、3H)。13C−NMR(DMSO−d):δ164.8、158.4、157.7、156.0、141.1、136.4、128.6(2C)、127.5、127.4、127.2(2C)、115.8、114.2(2C)、44.5、29.3、11.2、10.3。
【0070】
実施例2:化合物Iの結晶性メシル酸塩
約5gの化合物Iをエタノール(115mL)中に溶解し、エタノール中のメタンスルホン酸(10mL、158.7mg/mL)溶液を1:1のモル比に従って添加した。混合物を50℃で2時間振盪した後、半体積に濃縮し、一晩撹拌した。形成された固体(化合物Iの形態Iのメシル酸塩/共結晶)を単離し、乾燥させ、特徴付けした。
【0071】
化合物Iの形態Iのメシル酸塩/共結晶は、アセトンおよびアセトニトリルを含む他の溶媒および溶媒混合物からも得られた。
【0072】
化合物Iの形態Iのメシル酸塩/共結晶は、Cu−Kα放射線管を使用して回析計で測定される、2−シータの観点で、以下のピーク:8.4±0.2、10.6±0.2、11.7±0.2、14.5±0.2、15.3±0.2、16.9±0.2、18.2±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、20.5±0.2、22.6±0.2、23.8±0.2、24.5±0.2、および27.6±0.2度を含むXRPDを特徴とした(図7)。
【0073】
化合物Iの形態Iのメシル酸塩/共結晶は、約207℃の温度で吸熱ピークを有するDSCを特徴とした(図8)。
【0074】
化合物Iの形態Iのメシル酸塩/共結晶は、図9に示されるサーモグラムを有するTGAを特徴とし、化合物Iの形態Iが無水形態であることを確認した。
【0075】
実施例3:化合物Iとアベマシクリブとの組合せによるER+乳癌細胞株生存の相乗的阻害
MCF7、Palbo−R−MCF7、ZR−75−1、Abema−R MCF7、およびPalbo−R ZR−75−1細胞を、10%FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有する1640−RPMI培地中の96ウェル平底プレート中に7,500細胞/ウェルの密度でプレーティングし、37℃、5%COで24時間インキュベートした。培地を、一定比率の化合物Iまたはアベマシクリブのいずれかで単剤として、または4つの異なる濃度(2倍IC50、1倍IC50、0.5倍IC50、0.25倍IC50)のそれらの両方の薬剤の組み合わせで処理した10%FBSを含有する1640−RPMIと交換し、37℃、5%COで7日間インキュベートした。細胞を3日目または4日目に上述のように再処理した。三連ウェルを各濃度に使用し、0.1%DMSOを含む培地のみを含むウェルを対照として使用した。細胞生存率を測定するために、アッセイ緩衝液(CellTiter Fluor Cell Viability Assay(Promega))中1:100のGF−AFC基質希釈液100uLを各ウェルに添加し、37℃、5%COでさらに30〜90分間インキュベートした。蛍光を励起380〜400nm/発光505nmで蛍光光度計において読み取り、ブランクウェルのシグナルを差し引いてバックグランドを補正した後、DMSO処理細胞に対する細胞力価のパーセンテージを計算した。単一薬剤のIC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算した。相乗効果の定量化を、Chou−Talalayアルゴリズム(Chou and Talalay,1984)に基づいて、CalcuSynソフトウェア(Biosoft)を使用して組み合わせ指数(CI)を計算し、かつ実効線量(ED)50、75、および90のCI値を平均化することによって行った。図1図5に示されるように、化合物Iのアベマシクリブへの添加により、細胞株に応じて平均CI値が0.08〜0.35であったいずれの単剤と比較して、細胞生存の阻害の改善がもたらされた。
【0076】
実施例4:化合物Iとフルベストラントとの組み合わせによるMCF7細胞生存の相乗的阻害
MCF7細胞を、10%木炭除去FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するフェノールレッドフリー1640−RPMI培地中の96ウェル平底プレート中に7,500細胞/ウェルの密度でプレーティングし、37℃、5%COで24時間インキュベートした。培地を、一定比率の化合物Iまたはフルベストラントのいずれかで単剤として、または4つの異なる濃度(2倍IC50、1倍IC50、0.5倍IC50、0.25倍IC50)のそれらの両方の薬剤の組み合わせで処理した10%木炭除去FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するフェノールレッドフリー1640−RPMI培地と交換し、37℃、5%COで7日間インキュベートした。細胞を3日目または4日目に上述のように再処理した。三連ウェルを各濃度に使用し、0.1%DMSOを含む培地のみを含むウェルを対照として使用した。細胞生存率を測定するために、アッセイ緩衝液(CellTiter Fluor Cell Viability Assay(Promega))中1:100のGF−AFC基質希釈液100uLを各ウェルに添加し、37℃、5%COでさらに30〜90分間インキュベートした。蛍光を励起380〜400nm/発光505nmで蛍光光度計において読み取り、ブランクウェルのシグナルを差し引いてバックグランドを補正した後、DMSO処理細胞に対する細胞力価のパーセンテージを計算した。単一薬剤のIC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算した。相乗効果の定量化を、Chou−Talalayアルゴリズム(Chou and Talalay,1984)に基づいて、CalcuSynソフトウェア(Biosoft)を使用して組み合わせ指数(CI)を計算し、かつ実効線量(ED)50、75、および90のCI値を平均化することによって行った。図6に示されるように、化合物Iのフルベストラントへの添加により、平均CI値が0.51であったいずれの単剤と比較して、細胞生存の阻害の改善がもたらされた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】