(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本開示は、糖原病1a型、(GSD−Ia)、及び低血糖などの関連症状を処置するためのmRNA治療薬に関する。本発明で使用するmRNAは、in vivoで投与すると、ヒトグルコース−6−ホスファターゼ(G6PアーゼまたはG6PC)、ならびにその機能性断片及びバリアントをコードする。本発明のmRNAは好ましくは、投与されたときに対象の細胞及び/または組織への効率的な送達をもたらすように、脂質ナノ粒子(LNP)に封入される。本発明のmRNA治療薬は、対象におけるG6PC発現及び/または活性の欠乏レベルを上昇させる、及び/または回復させる。本発明のmRNA治療薬はさらに、グルコース産生を増加させ、かつGSD−Iaと関連するグリコーゲン及び/またはグルコース−6−リン酸の異常な蓄積を減少させる。
グルコース−6−ホスファターゼ(G6PC)ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むmRNAを含む医薬組成物であって、それを必要とするヒト対象に単回静脈内用量として投与した場合に、
(i)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、肝臓組織におけるG6PC活性のレベルを、正常なG6PC活性レベルの少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%以内に上昇させる;
(ii)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、糖原病1a型(GSD−Ia)を有するヒト対象において、肝臓組織におけるG6PC活性のレベルを、前記ヒト対象の基線G6PC活性レベルまたは参照G6PC活性レベルと比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍上昇させる;
(iii)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、グリコーゲンの肝臓中レベルを、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記ヒト対象の基線肝臓中グリコーゲンレベルまたはGSD−Iaを有する絶食ヒト対象における参照肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低下させる;
(iv)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、グルコース−6−リン酸(G6P)の肝臓中レベルを、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記ヒト対象の基線肝臓中グリコーゲンレベルまたはGSD−Iaを有する絶食ヒト対象における参照肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低下させる;
(v)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、グリコーゲンの肝臓中レベルを、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記ヒト対象の基線肝臓中グリコーゲンレベルまたはGSD−Iaを有する絶食患者における参照肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍低下させる;
(vi)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、G6Pの肝臓中レベルを、絶食中の前記ヒト対象の基線肝臓中G6PレベルまたはGSD−Iaを有する絶食患者における参照肝臓中G6Pレベルと比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍または少なくとも50倍低下させる;
(vii)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、トリグリセリドの血清中レベルを、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記ヒト対象の基線肝臓中グリコーゲンレベルまたはGSD−Iaを有する絶食ヒト対象における参照肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低下させる;
(viii)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、トリグリセリドの血清中レベルを、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記ヒト対象の基線肝臓中グリコーゲンレベルまたはGSD−Iaを有する絶食患者における参照肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍低下させる;
(ix)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、グルコースの血液、血漿、及び/または血清中レベルを、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記ヒト対象の基線血液、血漿、もしくは血清中グルコースレベル、またはGSD−Iaを有する絶食ヒト対象における参照血液、血漿、もしくは血清中グルコースレベルと比較して、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%上昇させる;
(x)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、グルコースの血液、血漿、及び/または血清中レベルを、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記ヒト対象の基線血液、血漿、及び/または血清中グルコースレベル、またはGSD−Iaを有する絶食患者における参照血液、血漿、及び/または血清中グルコースレベルと比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍上昇させる;及び/または
(xi)投与後少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、グルコースの血液、血漿、または血清中レベルを、GSD−Iaを有する絶食患者において、少なくとも70mg/dl、少なくとも75mg/dl、少なくとも80mg/dl、少なくとも85mg/dl、少なくとも90mg/dl、少なくとも95mg/dl、少なくとも100mg/dl、少なくとも105mg/dl、少なくとも110mg/dl、少なくとも115mg/dl、少なくとも120mg/dl、少なくとも125mg/dl、少なくとも130mg/dl、少なくとも135mg/dl、少なくとも140mg/dl、少なくとも145mg/dl、または少なくとも150mg/dlに上昇させるために十分である、前記医薬組成物。
前記G6PCポリペプチドが、配列番号83、配列番号84、配列番号194〜206、208、または209に記載のアミノ酸配列からなる、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記ORFが、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択される核酸配列と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記マイクロRNAが、造血系統の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現し、かつ炎症誘発性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する細胞で発現される、請求項6に記載の医薬組成物。
前記マイクロRNA結合部位が、miR−126、miR−142、miR−144、miR−146、miR−150、miR−155、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27、miR−26a、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマイクロRNAのためのものである、請求項6に記載の医薬組成物。
前記マイクロRNA結合部位が、miR126−3p、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−155、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマイクロRNAのためのものである、請求項6に記載の医薬組成物。
前記mRNAが、配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213の3’UTR配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一な核酸配列を含む3’UTRを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記mRNAが、配列番号3、配列番号39、配列番号210、または配列番号211の5’UTR配列と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一な核酸配列を含む5’UTRを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記5’末端キャップが、Cap0、Cap1、ARCA、イノシン、N1−メチル−グアノシン、2’−フルオロ−グアノシン、7−デアザ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、2−アミノ−グアノシン、LNA−グアノシン、2−アジドグアノシン、Cap2、Cap4、5’メチルGキャップ、またはそのアナログを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
前記ポリA領域が、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90ヌクレオチド長、または少なくとも約100ヌクレオチド長である、請求項16に記載の医薬組成物。
前記ポリA領域が、約10〜約200、約20〜約180、約50〜約160、約70〜約140、または約80〜約120ヌクレオチド長である、請求項16に記載の医薬組成物。
前記少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基が、シュードウラシル(Ψ)、N1−メチルシュードウラシル(m1Ψ)、1−エチルシュードウラシル、2−チオウラシル(s2U)、4’−チオウラシル、5−メチルシトシン、5−メチルウラシル、5−メトキシウラシル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
前記ウラシルの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%がN1−メチルシュードウラシルに化学修飾されている、請求項19または20に記載の医薬組成物。
前記ORFが、配列番号8と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号205のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号11と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号204のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号12と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号195のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号13と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号197のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号14と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号196のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号15と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号198のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号16と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号194のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号17と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号200のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号18と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号201のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号19と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号202のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号20と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号203のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号22と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号208のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号23と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号194のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号24と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号205のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号25と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号209のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号26と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号194のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号27と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号205のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号28と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号209のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号29と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号83のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号30と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号83のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号31と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号83のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号32と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号83のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号33と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号83のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号34と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号84のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号35と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号84のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号36と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号84のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号37と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号84のアミノ酸配列からなる;
前記ORFが、配列番号38と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号84のアミノ酸配列からなる;または
前記ORFが、配列番号207と少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、かつ前記G6PCポリペプチドが、配列番号206のアミノ酸配列からなる、請求項25に記載のポリヌクレオチド。
前記マイクロRNAが、造血系統の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現し、かつ炎症誘発性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する細胞で発現される、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
前記マイクロRNA結合部位が、miR−126、miR−142、miR−144、miR−146、miR−150、miR−155、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27、miR−26a、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマイクロRNAのためのものである、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
前記マイクロRNA結合部位が、miR126−3p、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−155、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマイクロRNAのためのものである、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
前記3’UTRが、配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213の3’UTRと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一な核酸配列を含む、請求項25〜32のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
前記5’UTRが、配列番号3、配列番号39、配列番号210、または配列番号211の5’UTR配列と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一な核酸配列を含む、請求項25〜33のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
前記5’末端キャップが、Cap0、Cap1、ARCA、イノシン、N1−メチル−グアノシン、2’−フルオロ−グアノシン、7−デアザ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、2−アミノ−グアノシン、LNA−グアノシン、2−アジドグアノシン、Cap2、Cap4、5’メチルGキャップ、またはそのアナログを含む、請求項35に記載のポリヌクレオチド。
前記ポリA領域が、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90ヌクレオチド長、または少なくとも約100ヌクレオチド長である、請求項37に記載のポリヌクレオチド。
前記ポリA領域が、約10〜約200、約20〜約180、約50〜約160、約70〜約140、または約80〜約120ヌクレオチド長である、請求項37に記載のポリヌクレオチド。
前記mRNAが、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基、糖、骨格、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項25〜39のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
前記少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基が、シュードウラシル(Ψ)、N1−メチルシュードウラシル(m1Ψ)、1−エチルシュードウラシル、2−チオウラシル(s2U)、4’−チオウラシル、5−メチルシトシン、5−メチルウラシル、5−メトキシウラシル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項40に記載のポリヌクレオチド。
前記ウラシルの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%が、N1−メチルシュードウラシルに化学修飾されている、請求項40または41に記載のポリヌクレオチド。
前記5’末端キャップが、Cap0、Cap1、ARCA、イノシン、N1−メチル−グアノシン、2’−フルオロ−グアノシン、7−デアザ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、2−アミノ−グアノシン、LNA−グアノシン、2−アジドグアノシン、Cap2、Cap4、5’メチルGキャップ、またはそのアナログを含む、請求項44に記載のポリヌクレオチド。
前記ポリA領域が、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90ヌクレオチド長、または少なくとも約100ヌクレオチド長である、請求項44または45に記載のポリヌクレオチド。
前記ポリA領域が、約10〜約200、約20〜約180、約50〜約160、約70〜約140、または約80〜約120ヌクレオチド長を有する、請求項44または45に記載のポリヌクレオチド。
前記mRNAが、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基、糖、骨格、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項44〜47のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
前記少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基が、シュードウラシル(Ψ)、N1−メチルシュードウラシル(m1Ψ)、1−エチルシュードウラシル、2−チオウラシル(s2U)、4’−チオウラシル、5−メチルシトシン、5−メチルウラシル、5−メトキシウラシル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項48に記載のポリヌクレオチド。
グルコース−6−ホスファターゼ(G6PC)ポリペプチドの発現を必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜24、53、もしくは54のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項25〜52のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む前記方法。
糖原病1a型(GSD−Ia)の処置、予防、またはその発症及び/または進行の遅延を必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜24、53、もしくは54のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項25〜52のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む前記方法。
グルコース血液、血漿または血清中レベルを上昇させることを必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜24、53、もしくは54のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項25〜52のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む前記方法。
肝臓中グリコーゲンレベルを低下させることを必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜24、53、もしくは54のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項25〜52のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む前記方法。
肝臓中グルコース−6−リン酸(G6P)レベルを低下させることを必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜24、53、もしくは54のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項25〜52のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む前記方法。
血清中トリグリセリドレベルを低下させることを必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜24、53、もしくは54のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項25〜52のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む前記方法。
(i)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、肝臓中グリコーゲンレベルが、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記対象の基線肝臓中グリコーゲンレベルまたはGSD−Iaを有する患者における参照肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低下する;
(ii)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、肝臓中G6Pレベルが、絶食中の前記対象の基線肝臓中G6PレベルまたはGSD−Iaを有する患者における参照肝臓中G6Pレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低下する;
(iii)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間以内、肝臓中グリコーゲンレベルが、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の正常な肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも10倍以内、少なくとも5倍以内、少なくとも2倍以内、または少なくとも1.5倍以内低下する;
(iv)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、肝臓中G6Pレベルが、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の正常な肝臓中G6Pレベルと比較して、少なくとも10倍以内、少なくとも5倍以内、少なくとも2倍以内、または少なくとも1.5倍以内低下する;
(v)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、血清中トリグリセリドレベルが、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の前記対象の基線血清中トリグリセリドレベルまたはGSD−Iaを有する患者における参照肝臓中グリコーゲンレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低下する;
(vi)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間以内、血清中トリグリセリドレベルが、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の正常な血清中トリグリセリドレベルと比較して、少なくとも10倍以内、少なくとも5倍以内、少なくとも2倍以内、または少なくとも1.5倍以内低下する;
(vii)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、血液、血漿または血清中グルコース肝臓が、絶食中の前記対象の基線グルコース血液、血漿もしくは血清中レベルまたはGSD−Iaを有する患者における参照グルコース血液、血漿もしくは血清中レベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%上昇する;
(viii)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間以内、グルコース血液、血漿または血清中レベルが、前記ヒト対象が絶食しているときに、絶食中の正常なグルコース血液、血漿または血清中レベルと比較して、少なくとも10倍以内、少なくとも5倍以内、少なくとも2倍以内、または少なくとも1.5倍以内に上昇する;及び/または
(ix)投与後少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、グルコース血液、血漿または血清中レベルが、前記対象において絶食しているときに少なくとも70mg/dl、少なくとも75mg/dl、少なくとも80mg/dl、少なくとも85mg/dl、少なくとも90mg/dl、少なくとも95mg/dl、少なくとも100mg/dl、少なくとも105mg/dl、少なくとも110mg/dl、少なくとも115mg/dl、少なくとも120mg/dl、少なくとも125mg/dl、少なくとも130mg/dl、少なくとも135mg/dl、少なくとも140mg/dl、少なくとも145mg/dl、または少なくとも150mg/dlに上昇する、請求項55〜60のいずれか1項に記載の方法。
G6PC活性を上昇させることを必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜24、53、もしくは54のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項25〜52のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む前記方法。
(i)単回投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、6日間、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または2週間にわたって、前記対象におけるG6PC活性のレベルが、GSD−Iaを有する対象における参照G6PC活性レベルと比較して少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍上昇する;及び/または
(ii)前記医薬組成物またはポリヌクレオチドの単回投与を前記対象に投与してから12時間後に、前記対象におけるG6PC活性が、前記対象の基線G6PC活性と比較して少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、または少なくとも600%上昇する、請求項55〜62のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本開示は、糖原病1a型(GSD−Ia)を処置するためのmRNA治療薬を提供する。GSD−Iaは、グルコースを産生する能力を損なう常染色体劣性代謝障害であり、GSD−Iaを有する個体は典型的には、低血糖症である。GSD−Iaは、酵素のグルコース−6−ホスファターゼ(G6PアーゼまたはG6PC)をコードするG6PC遺伝子の変異に起因する。G6PCは、グルコース新生及びグリコーゲン分解中の後期にグルコース−6−リン酸(ホスファート)(G6P)をグルコース及びリン酸に加水分解する。G6PCが存在しないと、G6P及びグリコーゲンが肝臓及び腎臓に異常に蓄積し、特に、GSD−Iaを有する個体が数時間にわたって絶食していた後に、グルコース産生が損なわれる。mRNA治療薬は、GSD−Iaの処置に特に適しており、それというのも、この技術は、G6PCをコードするmRNAの細胞内送達、続いて、標的細胞内での機能性G6PCタンパク質のde novo合成をもたらすためである。標的細胞へのmRNAの送達後に、所望のG6PCタンパク質が、細胞自体の翻訳機構により発現され、したがって、不良か、または失われたタンパク質が十分に機能性のG6PCタンパク質に置き換わる。
【0060】
in vivoで核酸ベースの治療薬(例えば、mRNA治療薬)を送達することに関連する困難の1つは、身体の免疫系が外来核酸に遭遇した場合に生じ得る先天免疫応答に由来する。外来mRNAは、一本鎖RNA(ssRNA)により活性化されるtoll様受容体(TLR)、特にTLR7/8を介しての認識により免疫系を活性化し得る。非免疫細胞では、外来mRNAの認識は、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG−I)を介して起こり得る。外来mRNAの免疫認識は、インターロイキン−1β(IL−1β)産生、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)分布、及び強力なI型インターフェロン(I型IFN)応答を含む望ましくないサイトカイン作用をもたらし得る。本開示は、免疫活性化を最小化し、かつタンパク質へのmRNAの翻訳効率を最適化するために、治療用mRNA内に種々の修飾ヌクレオチドを組み込むことを特徴とする。特定の態様は、先天免疫応答を減少させるためのヌクレオチド修飾と、タンパク質発現を増強するための、特にG6PCをコードする治療用mRNAのオープンリーディングフレーム(ORF)内での配列最適化との組合せを特徴とする。
【0061】
本開示のmRNA治療技術のある特定の実施形態はまた、脂質ナノ粒子(LNP)送達システムを介しての、G6PCをコードするmRNAの送達を特徴とする。脂質ナノ粒子(LNP)は、mRNAを標的細胞に安全かつ有効な送達するための理想的なプラットフォームである。LNPは、細胞取り込み、細胞内輸送及びエンドソーム放出またはエンドソームエスケープを伴う機構により核酸を送達する独自の能力を有する。本発明は、in vivoで投与された場合に改善された特性を有する、G6PCをコードするmRNAと組み合わせたイオン性脂質ベースのLNPを特徴とする。理論に束縛されることなく、本発明のイオン性脂質ベースのLNP製剤は、改善された特性、例えば、細胞取り込み、細胞内輸送及び/またはエンドソーム放出またはエンドソームエスケープを有すると考えられる。例えば、第1の投与で全身経路(例えば、静脈内(IV)投与)により投与されたLNPは、後で、例えば、さらなる投与において注射されたLNPのクリアランスを加速し得る。この現象は、加速血液クリアランス(ABC)として公知であり、治療状況において欠乏した酵素(例えば、G6PC)を補充する場合の重要な問題である。このことが、対象(例えば、GSD−Iaに罹患している対象)において標的組織中で必要なレベルの酵素を維持するためには、mRNA治療薬の反復投与が多くの場合に必須であることの理由である。反復投与の問題は、いくつかのレベルで対処され得る。mRNA操作及び/またはLNPによる効率的な送達が、第1の用量の投与後に曝露されるタンパク質(例えば、G6PC)のレベルの上昇及びまた持続期間の増強をもたらし得、次いでこのことが、第1の投与とその後の投与との間の時間を延長し得る。ABC現象は、少なくとも一部では本質的に一過性であり、全身投与されてから十分な時間が経過した後にABCの根底にある免疫応答が解消することが公知である。したがって、一態様では、本開示のmRNA治療薬が全身に送達された後のタンパク質発現及び/または活性の持続時間を延長することで、ABC現象に対抗する。さらに、LNPを、免疫感知及び/または認識を回避するために操作することができ、したがって、その後の、または反復投与でのABCをさらに回避することができる。本開示の例示的な態様は、ABCが低下するように操作されている新規のLNPを特徴とする。
【0062】
1. グルコース−6−ホスファターゼ(G6PC)
グルコース−6−ホスファターゼ(G6PアーゼまたはG6PC、EC3.1.3.9)は、グルコース新生及びグリコーゲン分解の最終ステップで、グルコース−6−リン酸(G6P)からグルコース及びリン酸(Pi)への加水分解を触媒する。G6PCは主に肝臓に、かつ比較的少ない程度で腎臓及び小腸に存在する。G6PC遺伝子によりコードされるG6PCは、小胞体(ER)膜に存在するマルチサブユニット内在性膜タンパク質であり、ER腔においてG6Pをグルコース及びPiに加水分解する。G6PCタンパク質は、357アミノ酸長で、約40.5kDaの分子質量を有する。これは、触媒サブユニット、ならびにG6P、無機リン酸(Pi)及びグルコースのためのトランスポーターからなる。ヒトG6PCのアミノ酸配列は、配列番号199で示されている。
【0063】
通常、血中グルコースレベルが食間(絶食中)に低下するにつれて、G6Pが、糖新生臓器(主に肝臓、そして腎臓及び小腸でも)におけるグルコース新生及びグリコーゲン分解の最終ステップ中に産生され、G6PCによりグルコースに加水分解され、次いで、血中に放出して戻される。G6PCにおける80超の変異が同定されており、GSD−Ia患者では複数の変異が、酵素のホスホヒドロラーゼ活性を損ない、それによりグルコース産生を損なうことが既知である。全体が参照により本明細書に組み込まれるChou et al.,Liver Research,2017,1:174−180を参照されたい。数時間の短期の絶食でも、GSD−Iaの個体は低血糖症になる。G6Pが細胞質中で増加すると、肝臓及び腎臓でのグリコーゲン及び脂肪の蓄積ならびに血中グルコースホメオスターシスの障害につながる。グリコーゲンの蓄積は、進行性肝腫及び腎肥大を促進する。GSD−Ia患者は、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高尿酸血症、高脂血症、及び乳酸血症を含む他の代謝合併症も発症し得る。GSD−Iaを有する個体は、成長遅滞、骨粗鬆症、通風、肺高血圧、及び腎疾患を含む、より長期にわたる問題も発症し得る。長期合併症の1つは、25歳超のGSD−Ia患者の75%での肝腫瘍の発症であり、そのうちのおよそ10%が悪性腫瘍に転換する。
【0064】
GSD−1aは、処置されずに放置されると致命的である。GSD−Iaの標準治療は、未調理のトウモロコシデンプンの頻繁な摂取を必要とする厳しい食事管理である。現在、肝臓移植のみが、GSD−Ia患者にとっての治癒である。
【0065】
ある特定の態様では、本開示は、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、オープンリーディングフレーム(ORF))を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を提供する。一部の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドは、野生型全長ヒトG6PCタンパク質である。一部の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドは、野生型G6PC配列に関して置換、及び挿入及び/または付加、欠失及び/または共有結合性修飾を含有するバリアント、ペプチドまたはポリペプチドである。一部の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドは、短縮化ヒトG6PCタンパク質である。一部の実施形態では、配列タグまたはアミノ酸を、例えば、位置限定のために、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる配列に(例えば、N末端またはC末端で)付加することができる。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドのカルボキシ、アミノ末端、または内部領域に位置するアミノ酸残基を任意選択で欠失させて、断片を得ることができる。
【0066】
一部の実施形態では、本発明のヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または10よりも多い置換を含み得るヒトG6PC配列の置換バリアントをコードする。一部の実施形態では、上記置換バリアントは、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含み得る。他の実施形態では、上記バリアントは、挿入バリアントである。他の実施形態では、上記バリアントは、欠失バリアントである。
【0067】
G6PCタンパク質断片、機能性タンパク質ドメイン、バリアント、及び相同タンパク質(オルソログ)も、本開示のG6PCポリペプチドの範囲内である。本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの非限定的例は、配列番号83、配列番号84、配列番号194〜206、208、及び209に示されている。
【0068】
2. ポリヌクレオチド及びオープンリーディングフレーム(ORF)
本発明は、糖原病I型(GSD−I)、例えば、糖原病Ia型(GSD−Ia)の処置または予防において使用するためのmRNAを特徴とする。本発明における使用を特徴とするmRNAは対象に投与されると、in vivoでヒトG6PCタンパク質をコードする。したがって、本発明は、ヒトG6PC(配列番号199)、その変異変形形態(例えば、配列番号194〜198、200〜206、208、及び209)、その短縮化断片、及びG6PCを含む融合タンパク質をコードする結合ヌクレオシドのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド、例えば、mRNAに関する。一部の実施形態では、上記オープンリーディングフレームは、配列最適化されている。特定の実施形態では、本発明は、ヒトG6PCのポリペプチド配列をコードするヌクレオチドを含む配列最適化ポリヌクレオチド、またはそれらの配列最適化ポリヌクレオチドと高い配列同一性を有する配列を提供する。
【0069】
ある特定の態様では、本発明は、1つまたは複数のG6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)を提供する。一部の実施形態では、本発明のコード化G6PCポリペプチドは、
(i)全長G6PCポリペプチド(例えば、野生型G6PC;例えば、野生型ヒトG6PCと同じか、または本質的に同じ長さを有する);
(ii)本明細書に記載のG6PCの機能性断片(例えば、G6PCよりも短いが;G6PC酵素活性をまだ維持する短縮化(例えば、カルボキシ、アミノ末端、または内部領域の欠失)配列);
(iii)そのバリアント(例えば、1つまたは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のアミノ酸)が置換されている全長または短縮化G6PCタンパク質、例えば、参照アイソフォームに対してポリペプチドのG6PC活性の全部または大部分を維持しているバリアント(当技術分野で公知の任意の天然または人工バリアントなど));あるいは
(iv)(i)全長G6PCタンパク質(例えば、配列番号199)、その機能性断片またはバリアント(例えば、配列番号194〜198、200〜206、208、及び209)と、(ii)異種タンパク質とを含む融合タンパク質から選択され得る。
【0070】
ある特定の実施形態では、上記コード化G6PCポリペプチドは、哺乳類G6PCポリペプチド、例えば、ヒトG6PCポリペプチド、その機能性断片またはバリアントである。
【0071】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、細胞に導入された場合に、その細胞におけるG6PCタンパク質発現レベル及び/または検出可能なG6PC酵素活性レベルを、本発明のポリヌクレオチの投与前の細胞におけるG6PCタンパク質発現レベル及び/または検出可能なG6PC酵素活性レベルと比較して、例えば、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%上昇させる。G6PCタンパク質発現レベル及び/またはG6PC酵素活性は、当技術分野で公知の方法に従って測定することができる。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドを、in vitroで細胞に導入する。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドを、in vivoで細胞に導入する。
【0072】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、野生型ヒトG6PC、例えば、(配列番号199)またはそのバリアント(例えば、配列番号194〜198、200〜206、208、及び209)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む。
【0073】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、コドン最適化核酸配列を含み、その際、上記コドン最適化核酸配列のオープンリーディングフレーム(ORF)は、野生型G6PC配列(例えば、野生型ヒトG6PC)に由来する。例えば、G6PCをコードする配列最適化ORFを含む本発明のポリヌクレオチドでは、対応する野生型配列は、天然ヒトG6PCである。同様に、ヒトG6PCの機能性バリアントまたは断片をコードする配列最適化mRNAでは、対応する野生型配列は、ヒトG6PCからの対応するバリアントまたは断片である。
【0074】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、ヒトG6PCの全長配列を有する(すなわち、イニシエーターのメチオニンを含む)G6PCをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0075】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、変異型G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、G6PCアミノ酸配列において少なくとも1つの点変異(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の点変異)を含み、かつG6PC酵素活性を維持しているG6PCポリペプチドをコードするORFを含む。一部の実施形態では、上記変異型G6PCポリペプチドは、対応する野生型G6PC(すなわち、変異(複数可)を伴わないことを除けば同じG6PCポリペプチド)から生じるG6PC活性の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%であるG6PC活性を有する。一部の実施形態では、変異型G6PCポリペプチドをコードするORFを含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は配列最適化されている。
【0076】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PC酵素活性を変更しない変異を含むG6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む。そのような変異型G6PCポリペプチドは、機能的中立と称され得る。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、1つまたは複数の機能的中立の点変異を含む変異型G6PCポリペプチドをコードするORFを含む。
【0077】
一部の実施形態では、上記変異型G6PCポリペプチドは、対応する野生型G6PCよりも高いG6PC酵素活性を有する。一部の実施形態では、上記変異型G6PCポリペプチドは、対応する野生型G6PC(すなわち、変異(複数可)を伴わないことを除けば同じG6PCタンパク質)の活性よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%高いG6PC活性を有する。
【0078】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、機能性G6PC断片をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、例えば、その際、1つまたは複数の断片は、野生型G6PCポリペプチドのポリペプチド部分配列に対応し、G6PC酵素活性を維持している。一部の実施形態では、上記G6PC断片は、対応する全長G6PCのG6PC活性の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%であるG6PC活性を有する。一部の実施形態では、機能性G6PC断片をコードするORFを含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は配列最適化されている。
【0079】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、対応する全長G6PCよりも高いG6PC酵素活性を有するG6PC断片をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む。したがって、一部の実施形態では、上記G6PC断片は、対応する全長G6PCのG6PC活性よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%高いG6PC活性を有する。
【0080】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、野生型G6PCよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または25%短いG6PC断片をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む。
【0081】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、その際、上記ヌクレオチド配列は、配列番号8、11〜20、22〜38、または207の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。
【0082】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、その際、上記ヌクレオチド配列は、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択される配列と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0083】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、その際、上記ヌクレオチド配列は、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択される配列と70%〜100%、75%〜100%、80%〜100%、85%〜100%、70%〜95%、80%〜95%、70%〜85%、75%〜90%、80%〜95%、70%〜75%、75%〜80%、80%〜85%、85%〜90%、90%〜95%、または95%〜100%の配列同一性を有する。
【0084】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするORFを含み、その際、上記ポリヌクレオチドは、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択される配列と70%〜100%、75%〜100%、80%〜100%、85%〜100%、70%〜95%、80%〜95%、70%〜85%、75%〜90%、80%〜95%、70%〜75%、75%〜80%、80%〜85%、85%〜90%、90%〜95%、または95%〜100%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0085】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、その際、上記ヌクレオチドは、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択される配列と70%〜90%同一;75%〜85%同一;76%〜84%同一;77%〜83%同一、77%〜82%同一、または78%〜81%同一である。
【0086】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、約900〜約100,000ヌクレオチド(例えば、900〜1,000、900〜1,100、900〜1,200、900〜1,300、900〜1,400、900〜1,500、1,000〜1,100、1,000〜1,100、1,000〜1,200、1,000〜1,300、1,000〜1,400、1,000〜1,500、1,187〜1,200、1,187〜1,400、1,187〜1,600、1,187〜1,800、1,187〜2,000、1,187〜3,000、1,187〜5,000、1,187〜7,000、1,187〜10,000、1,187〜25,000、1,187〜50,000、1,187〜70,000、または1,187〜100,000)を含む。
【0087】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、その際、上記ヌクレオチド配列(例えば、ORF)の長さは、少なくとも500ヌクレオチド長(例えば、少なくとも、約500、600、700、80、900、1,000、1,050、1,100、1,187、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000,5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000もしくはそれ以上、または最高100,000ヌクレオチド長(及びこの値を含む))である。
【0088】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、さらに、ノンコーディングである少なくとも1つの核酸配列、例えば、マイクロRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)はさらに、5’−UTR(例えば、配列番号3、88〜102、もしくは165〜167の配列から選択されるか、または配列番号3、配列番号39、配列番号210、もしくは配列番号211から選択される)及び3’UTR(例えば、配列番号4、104〜112、150、もしくは175の配列から選択されるか、または配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、もしくは配列番号213から選択される)を含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択される配列を含む。さらなる一実施形態では、上記ポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、5’末端キャップ(例えば、Cap0、Cap1、ARCA、イノシン、N1−メチル−グアノシン、2’−フルオロ−グアノシン、7−デアザ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、2−アミノ−グアノシン、LNA−グアノシン、2−アジドグアノシン、Cap2、Cap4、5’メチルGキャップ、またはそのアナログ)及びポリAテイル領域(例えば、約100ヌクレオチド長)を含む。さらなる一実施形態では、上記ポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、配列番号150もしくは175、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される核酸配列を含む3’UTRを含む。一部の実施形態では、上記mRNAは、配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213のいずれかの核酸配列を含む3’UTRを含む。一部の実施形態では、上記mRNAは、ポリAテイルを含む。一部の例では、上記ポリAテイルは、50〜150(配列番号235)、75〜150(配列番号218)、85〜150(配列番号219)、90〜150(配列番号220)、90〜120(配列番号221)、90〜130(配列番号222)、または90〜150(配列番号220)ヌクレオチド長である。一部の例では、上記ポリAテイルは、100ヌクレオチド長(配列番号223)である。
【0089】
一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、一本鎖または二本鎖である。
【0090】
一部の実施形態では、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む本発明のポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAである。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、RNAである。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、mRNAであるか、またはそれとして機能する。一部の実施形態では、上記mRNAは、少なくとも1つのG6PCポリペプチドをコードし、かつin vitro、in vivo、in situまたはex vivoで翻訳されて、コードされたG6PCポリペプチドを産生し得るヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む。
【0091】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント、例えば、配列番号8、11〜20、22〜38、または207を参照されたい)をコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含み、その際、上記ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基、例えば、N1−メチルシュードウラシルまたは5−メトキシウラシルを含む。ある特定の実施形態では、上記ポリヌクレオチド中のすべてのウラシルが、N1−メチルシュードウラシルである。他の実施形態では、上記ポリヌクレオチド中のすべてのウラシルが、5−メトキシウラシルである。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドはさらに、miRNA結合部位、例えば、miR−142に結合するmiRNA結合部位及び/またはmiR−126に結合するmiRNA結合部位を含む。
【0092】
一部の実施形態では、本明細書に開示のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を、例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1〜232のいずれか、例えば、化合物II;式(III)、(IV)、(V)、もしくは(VI)を有する化合物、例えば、化合物233〜342のいずれか、例えば、化合物VI;または式(VIII)を有する化合物、例えば、化合物419〜428のいずれか、例えば、化合物I、またはそれらの任意の組合せを含む送達剤と共に製剤化する。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物II、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物VI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、化合物IIまたはVI(または関連の適切なアミノ脂質)約30〜約60mol%(例えば、化合物IIまたはVI(または関連の適切なアミノ脂質)30〜40、40〜45、45〜50、50〜55または55〜60mol%)、リン脂質約5〜約20mol%(または関連の適切なリン脂質または「ヘルパー脂質」)(例えば、リン脂質(または関連の適切なリン脂質または「ヘルパー脂質」)5〜10、10〜15、または15〜20mol%)、コレステロール(または関連ステロールまたは「非陽イオン」脂質)約20〜約50mol%(例えば、コレステロール(または関連ステロールまたは「非陽イオン」脂質)約20〜30、30〜35、35〜40、40〜45、または45〜50mol%)及びPEG脂質(または他の適切なPEG脂質)約0.05〜約10mol%(例えば、PEG脂質(または他の適切なPEG脂質)0.05〜1、1〜2、2〜3、3〜4、4〜5、5〜7、または7〜10mol%)の範囲のモル比で含む。例示的な送達剤は、例えば、47.5:10.5:39.0:3.0または50:10:38.5:1.5のモル比を含み得る。ある特定の例では、例示的な送達剤は、例えば、47.5:10.5:39.0:3;47.5:10:39.5:3;47.5:11:39.5:2;47.5:10.5:39.5:2.5;47.5:11:39:2.5;48.5:10:38.5:3;48.5:10.5:39:2;48.5:10.5:38.5:2.5;48.5:10.5:39.5:1.5;48.5:10.5:38.0:3;47:10.5:39.5:3;47:10:40.5:2.5;47:11:40:2;47:10.5:39.5:3;48:10.5:38.5:3;48:10:39.5:2.5;48:11:39:2;または48:10.5:38.5:3のモル比を含み得る。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物IIまたはVI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約47.5:10.5:39.0:3.0のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物IIまたはVI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。
【0093】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、5’末端キャップ(例えば、Cap1)、5’UTR(例えば、配列番号3)、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択されるORF配列、3’UTR(例えば、配列番号4、150、175、177、または178)、及びポリAテイル(例えば、約100nt長)を含むmRNAであり、その際、上記ポリヌクレオチド中のすべてのウラシルがN1−メチルシュードウラシルである。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物IIまたは化合物VIをイオン性脂質として、かつPEG−DMGまたは化合物IをPEG脂質として含む。
【0094】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、5’末端キャップ(例えば、Cap1)、5’UTR(例えば、配列番号3、配列番号39、配列番号210、または配列番号211)、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択されるORF配列、3’UTR(例えば、配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213)、及びポリAテイル(例えば、約100nt長)を含むmRNAであり、その際、上記ポリヌクレオチド中のすべてのウラシルがN1−メチルシュードウラシルである。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物IIまたは化合物VIをイオン性脂質として、かつPEG−DMGまたは化合物IをPEG脂質として含む。
【0095】
3.シグナル配列
本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、コードされたポリペプチドの治療的に関連する部位への輸送を促進する追加の特徴をコードするヌクレオチド配列も含み得る。タンパク質輸送を援助するそのような特徴の1つは、シグナル配列、または標的配列である。これらのシグナル配列によりコードされるペプチドは、標的ペプチド、輸送ペプチド、及びシグナルペプチドを含む様々な名称で公知である。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、本明細書に記載のG6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に結合されたシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含む。
【0096】
一部の実施形態では、上記「シグナル配列」または「シグナルペプチド」は、任意選択で、それぞれコード領域またはポリペプチドの5’(またはN末端)で組み込まれた、それぞれ約30〜210、例えば、約45〜80または15〜60ヌクレオチド(例えば、約20、30、40、50、60、または70アミノ酸)長であるポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。これらの配列の付加は、1つまたは複数の標的化経路を介しての、コードされたポリペプチドの所望の部位、例えば、小胞体またはミトコンドリアへの輸送をもたらす。一部のシグナルペプチドは、タンパク質が所望の部位に輸送された後に、例えば、シグナルぺプチダーゼによりタンパク質から切断される。
【0097】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、その際、上記ヌクレオチド配列はさらに、異種シグナルペプチドをコードする5’核酸配列を含む。
【0098】
4.融合タンパク質
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、目的のポリペプチドをコードする1つよりも多い核酸配列(例えば、ORF)を含み得る。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、G6PCポリペプチド、その機能性断片、またはバリアントをコードする単一のORFを含む。しかしながら、一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、1つよりも多いORF、例えば、G6PCポリペプチド(第1の目的のポリペプチド)、その機能性断片、またはバリアントをコードする第1のORFと、第2の目的のポリペプチドを発現する第2のORFとを含み得る。一部の実施形態では、目的の2つ以上のポリペプチドは、遺伝子融合されていてよく、すなわち、2つ以上のポリペプチドは、同じORFによりコードされ得る。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、2つ以上の目的のポリペプチドの間にリンカー(例えば、G
4S(配列番号86)ペプチドリンカーまたは当技術分野で公知の別のリンカー)をコードする核酸配列を含み得る。
【0099】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、それぞれ目的のポリペプチドを発現する2、3、4つ、またはそれ以上のORFを含み得る。
【0100】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチドをコードする第1の核酸配列(例えば、第1のORF)及び第2の目的のポリペプチドをコードする第2の核酸配列(例えば、第2のORF)を含み得る。
【0101】
リンカー及び切断可能なペプチド
ある特定の実施形態では、本開示のmRNAは、1つよりも多いG6PCドメインまたは異種ドメインをコードし、本明細書では多量体コンストラクトと称される。上記多量体コンストラクトのある特定の実施形態では、上記mRNAはさらに、各ドメイン間に位置するリンカーをコードする。上記リンカーは、例えば、切断可能なリンカーまたはプロテアーゼ感受性リンカーであり得る。ある特定の実施形態では、上記リンカーは、F2Aリンカー、P2Aリンカー、T2Aリンカー、E2Aリンカー、及びその組合せからなる群から選択される。2Aペプチドと称される、このファミリーの自己切断ペプチドリンカーは当技術分野で記載されている(例えば、Kim,J.H.et al.(2011)PLoS ONE 6:el8556を参照されたい)。ある特定の実施形態では、上記リンカーはF2Aリンカーである。ある特定の実施形態では、上記リンカーはGGGS(配列番号216)リンカーである。ある特定の実施形態では、上記リンカーは(GGGS)n(配列番号190)リンカーであり、ここで、n=2、3、4、または5である。ある特定の実施形態では、上記多量体コンストラクトは、3つのドメインを介在リンカーと共に含有し、構造:ドメイン−リンカー−ドメイン−リンカー−ドメイン、例えば、G6PCドメイン−リンカー−G6PCドメイン−リンカー−G6PCドメインを有する。
【0102】
一実施形態では、上記切断可能なリンカーは、F2Aリンカー(例えば、アミノ酸配列GSGVKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP(配列番号186)を有する)である。他の実施形態では、上記切断可能なリンカーは、T2Aリンカー(例えば、アミノ酸配列GSGEGRGSLLTCGDVEENPGP(配列番号187)を有する)、P2Aリンカー(例えば、アミノ酸配列GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号188)を有する)またはE2Aリンカー(例えば、アミノ酸配列GSGQCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号189)を有する)である。当業者は、当技術分野において承認されている他のリンカーも、本発明のコンストラクトにおいて使用するために適し得ることは分かるであろう(例えば、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる)。同様に当業者は、他のマルチシストロニックコンストラクトも本発明において使用するために適し得ることは分かるであろう。例示的な実施形態では、上記コンストラクト設計は、本発明のコンストラクトによりコードされるほぼ等モル量の細胞内抗体及び/またはそのドメインをもたらす。
【0103】
一実施形態では、上記自己切断ペプチドは、限定されないが、2Aペプチドであり得る。様々な2Aペプチドが、当技術分野で公知で、利用可能であり、例えば、口蹄疫ウイルス(FMDV)2Aペプチド、馬鼻炎Aウイルス2Aペプチド、Thosea asignaウイルス2Aペプチド、及び豚テシオウイルス−1 2Aペプチドを含めて、使用することができる。2Aペプチドは、リボソームスキッピングにより1つの転写物から2種のタンパク質を産生するために、複数のウイルスにより使用されており、正常なペプチド結合が2Aペプチド配列では損なわれていて、2つの不連続のタンパク質が1回の翻訳イベントから産生されることとなっている。非限定的例として、2Aペプチドは、配列番号188のタンパク質配列、その断片またはバリアントを有し得る。一実施形態では、上記2Aペプチドは、最後のグリシンと最後のプロリンとの間で切断する。別の非限定的例として、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号188の断片またはバリアントのタンパク質配列を有する2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み得る。2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の1つの例は、GGAAGCGGAGCUACUAACUUCAGCCUGCUGAAGCAGGCUGGAGACGUGGAGGAGAACCCUGGACCU(配列番号191)である。一例示的実施形態では、2Aペプチドは、次の配列:5’−UCCGGACUCAGAUCCGGGGAUCUCAAAAUUGUCGCUCCUGUCAAACAAACUCUUAACUUUGAUUUACUCAAACUGGCTGGGGAUGUAGAAAGCAAUCCAGGTCCACUC−3’(配列番号192)によりコードされる。上記2Aペプチドのポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載されている、及び/または当技術分野で公知である方法により修飾またはコドン最適化されていてよい。
【0104】
一実施形態では、この配列を使用して、2つ以上の目的のポリペプチドのコード領域を分離することができる。非限定的実施例として、上記F2Aペプチドをコードする配列は、第1のコード領域Aと第2のコード領域Bとの間にあってよい(A−F2Apep−B)。F2Aペプチドの存在は、F2Aペプチド配列の末端でのグリシンとプロリンとの間での1つの長いタンパク質の切断をもたらして(NPGP(配列番号224)が切断されてNPG及びPが生じる)、分離したタンパク質A(F2Aペプチド結合から21アミノ酸、NPGで終止)及び分離したタンパク質B(F2Aペプチド結合から1アミノ酸、P)を生成する。同様に、他の2Aペプチド(P2A、T2A及びE2A)では、長いタンパク質中の上記ペプチドの存在が、2Aペプチド配列の末端でのグリシンとプロリンとの間での切断をもたらす(NPGP(配列番号224)は切断されて、NPG及びPをもたらす)。タンパク質A及びタンパク質Bは、目的の同じか、または異なるペプチドまたはポリペプチドであってよい(例えば、G6PCポリペプチド、例えば、全長ヒトG6PCまたはその短縮化バージョン)。
【0105】
5.G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の配列最適化
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は配列最適化されている。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)、任意選択で、目的の別のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)、5’−UTR、3’−UTR(上記5’UTRまたは3’UTRは任意選択で少なくとも1つのマイクロRNA結合部位を含む)、任意選択でリンカーをコードするヌクレオチド配列、ポリAテイル、またはそれらの任意の組合せ)を含み、ここで、上記ORF(複数可)は配列最適化されている。
【0106】
G6PCポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列、例えば、コドン最適化mRNA配列は、参照配列(例えば、G6PCポリペプチドをコードする野生型ヌクレオチド配列)に対して少なくとも1つの同義ヌクレオ塩基置換を含む配列である。
【0107】
配列最適化ヌクレオチド配列は、参照配列とは配列において部分的に、または完全に異なってよい。例えば、UCUコドンにより一様にコードされるポリセリンをコードする参照配列は、そのヌクレオ塩基の100%が置換されて(コドンごとに、1位のUをAにより置換し、2位のCをGにより置換し、かつ3位のUをC置換して)配列最適化されると、AGCコドンにより一様にコードされるであろうポリセリンをコードする配列を得ることができる。参照ポリセリン核酸配列と配列最適化ポリセリン核酸配列との間の全体的なペアワイズアライメントから得られる配列同一性のパーセンテージは0%である。しかしながら、両方の配列に由来するタンパク質産物の同一性は100%である。
【0108】
一部の配列最適化(時には、コドン最適化と称される)方法は、当技術分野で公知であり(かつ、下でより詳細に論述する)、1つまたは複数の所望の結果を達成するために有用であり得る。これらの結果には、例えば、ある特定の組織標的及び/または宿主生物におけるコドン頻度を一致させて、適切な折り畳みを確実にすること;G/C含有量をバイアスしてmRNA安定性を上昇させることまたは二次構造を減少させること;遺伝子コンストラクションもしくは発現を損ない得るタンデムリピートコドンまたはベースランを最小化すること;転写及び翻訳制御領域をカスタマイズすること;タンパク質輸送配列を挿入または除去すること;コードされたタンパク質(例えば、グリコシル化部位)中の翻訳後修飾部位を除去/付加すること;タンパク質ドメインを付加する、除去する、またはシャッフリングすること;制限部位を挿入する、または欠失させること;リボソーム結合部位及びmRNA分解部位を修飾すること;タンパク質の様々なドメインを適正に折り畳めるように翻訳速度を調整すること;及び/またはポリヌクレオチド内にある問題のある二次構造を軽減または排除することが含まれ得る。配列最適化ツール、アルゴリズム及びサービスは当技術分野において公知であり、非限定的例には、GeneArt(Life Technologies)によるサービス、DNA2.0(Menlo Park CA)及び/または特許下の方法が含まれる。
【0109】
表1に、各アミノ酸のコドン選択肢を示す。
表1.コドン選択肢
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【0110】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチド、その機能性断片、またはバリアントをコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えばORF)、機能性断片、またはそれらのバリアントを含み、その際、上記配列最適化ヌクレオチド配列によりコードされたG6PCポリペプチド、その機能性断片、またはバリアントは、(例えば、配列最適化されていない参照ヌクレオチド配列によりコードされるG6PCポリペプチド、その機能性断片、またはバリアントと比較して)改善された特性、例えば、in vivo投与後の発現効率に関する特性が改善されている。そのような特性には、限定されないが、核酸安定性(例えば、mRNA安定性)の改善、標的組織内での翻訳効率の上昇、発現した切断タンパク質数の減少、発現タンパク質の折り畳みの改善または折り畳み異常の防止、発現した産物の毒性の低下、発現した産物に起因する細胞死の減少、タンパク質凝集の増加及び/または減少が含まれる。
【0111】
一部の実施形態では、配列最適化されたヌクレオチド配列(例えば、ORF)を、ヒト対象における発現のためにコドン最適化して、当技術分野における1つ以上の問題を回避する構造的及び/または化学的特徴、例えば、構造的及び機能的完全性を保持しながら、核酸ベースの治療薬の製剤化及び送達を最適化するために有用な特徴を得;発現閾値を克服し;発現速度;半減期及び/またはタンパク質濃度を改善し;タンパク質局在を最適化し;かつ免疫応答及び/または分解経路などの有害な生体応答を回避する。
【0112】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列(例えば、G6PCポリペプチドコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)、目的の別のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、ORF)、5’−UTR、3’−UTR、マイクロRNA結合部位、リンカーをコードする核酸配列、またはそれらの任意の組合せ)を含み、これは、
(i)参照ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのコドン(例えば、G6PCポリペプチドをコードするORF)を代替コドンで置換し、ウリジン含有量を増加または減少させて、ウリジン修飾配列を生成すること;
(ii)参照ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのコドン(例えば、G6PCポリペプチドをコードするORF)を、同義コドンセット中のコドン頻度が高い代替コドンで置換すること;
(iii)参照ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのコドン(例えば、G6PCポリペプチドをコードするORF)を代替コドンで置換して、G/C含有量を増加させること;または
(iv)その組合せ
を含む方法により配列最適化される。
【0113】
一部の実施形態では、上記配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、G6PCポリペプチドをコードするORF)は、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも1つの改善特性を有する。
【0114】
一部の実施形態では、上記配列最適化方法は、多パラメータを用いたものであり、本明細書に開示の1、2、3、4もしくはそれより多くの方法、及び/または当技術分野で公知の他の最適化方法を含む。
【0115】
本発明の一部の実施形態で有益とみなされ得る特徴は、ポリヌクレオチドの領域のそばに、またはポリヌクレオチドの領域内にコードされ得、そのような領域は、G6PCポリペプチドをコードする領域に対して上流(5’)に、下流(3’)に、またはその領域内にあり得る。これらの領域は、タンパク質コード領域もしくはオープンリーディングフレーム(ORF)の配列最適化の前及び/または後に、ポリヌクレオチド内に組み込むことができる。そのような特徴の例には、限定されないが、非翻訳領域(UTR)、microRNA配列、コザック配列、オリゴ(dT)配列、ポリAテイル、及び検出可能なタグが含まれ、XbaI認識を有し得る複数のクローニング部位を含み得る。
【0116】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、5’UTR、3’UTR及び/またはマイクロRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、同じもしくは異なる配列であり得る2つ以上の5’UTR及び/または3’UTRを含む。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、同じまたは異なる配列であり得る2つ以上のマイクロRNA結合部位を含む。5’UTR、3’UTR、及び/またはマイクロRNA結合部位のいずれかの部分を配列最適化することができ(いずれも配列最適化しないことを含む)、配列最適化の前及び/または後に、1つ以上の異なる構造的もしくは化学修飾を独立に含んでもよい。
【0117】
一部の実施形態では、最適化後に、上記ポリヌクレオチドを、限定されないが、プラスミド、ウイルス、コスミド、及び人工染色体などのベクターに再構成して形質転換する。例えば、高コピープラスミド様または染色体構造が本明細書に記載の方法により生じる場合、上記最適化されたポリヌクレオチドを再構成して、化学的コンピテントE.coli、酵母、ニューロスポラ、トウモロコシ、ショウジョウバエなどに形質転換することができる。
【0118】
6.G6PCポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に開示のG6PCポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、G6PCポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、その際、上記ORFは配列最適化されている。
【0119】
ヒト全長G6PC(野生型及びそのバリアント)をコードする例示的な配列最適化ヌクレオチド配列は、配列番号8、11〜20、22〜38、または207のとおりに記載される。一部の実施形態では、上記配列最適化G6PC配列、その断片、及びバリアントを使用して、本明細書に開示の方法を実施する。
【0120】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチド、例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、5’から3’末端で:
(i)本明細書に示す5’キャップ、例えば、Capl;
(ii)5’UTR、例えば、本明細書に示す配列、例えば、配列番号3;
(iii)G6PCポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、例えば、配列番号8、11〜20、22〜38、または207に記載のG6PCをコードする配列最適化核酸配列;
(iv)少なくとも1つの停止コドン(3’UTRの5’末端に存在しない場合);
(v)3’UTR、例えば、本明細書に示す配列など、例えば、配列番号150、または175;ならびに
(vi)上に示したポリAテイル
を含む。
【0121】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチド、例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、5’から3’末端で:
(i)本明細書に示す5’キャップ、例えば、Capl;
(ii)5’UTR、例えば、本明細書に示す配列、例えば、配列番号3、配列番号39、配列番号210、または配列番号211;
(iii)G6PCポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、例えば、配列番号8、11〜20、22〜38、または207に記載のG6PCをコードする配列最適化核酸配列;
(iv)少なくとも1つの停止コドン(3’UTRの5’末端に存在しない場合);
(v)3’UTR、例えば、本明細書に示す配列など、例えば、配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213;ならびに
(vi)上に示したポリAテイル
を含む。
【0122】
ある特定の実施形態では、上記ポリヌクレオチド中のすべてのウラシルが、N1−メチルシュードウラシル(G5)である。ある特定の実施形態では、上記ポリヌクレオチド中のすべてのウラシルが、5−メトキシウラシル(G6)である。
【0123】
本明細書に開示の配列最適化ヌクレオチド配列は、対応する野生型ヌクレオチド酸配列、及び他の公知の配列最適化ヌクレオチド配列とは異なり、例えば、これらの配列最適化核酸は独自の組成物特性を有する。
【0124】
一部の実施形態では、参照野生型ヌクレオチド配列中のウラシルまたはチミンヌクレオ塩基のパーセンテージに対して、配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、G6PCポリペプチド、その機能性断片、またはバリアントをコードする)中のウラシルまたはチミンヌクレオ塩基のパーセンテージは、変化している(例えば低下している)。そのような配列は、ウラシル修飾配列、またはチミン修飾配列と称される。ヌクレオチド配列中のウラシルもしくはチミン含有量のパーセンテージは、配列中のウラシルまたはチミンの数をヌクレオチドの総数で除算してから、100で乗算すると決定することができる。一部の実施形態では、上記配列最適化ヌクレオチド配列は、参照野生型配列中のウラシルまたはチミン含有量よりも低いウラシルもしくはチミン含有量を有する。一部の実施形態では、本発明の配列最適化ヌクレオチド配列中のウラシルまたはチミン含有量は、参照野生型配列中のウラシルもしくはチミン含有量よりも多く、参照野生型配列と比較して有益効果、例えば、発現の増強、及び/またはToll様受容体(TLR)応答の減少を依然として維持する。
【0125】
コドン使用頻度を最適化するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、本明細書に示すいずれか1つまたは複数の配列のORFをコドン最適化することができる。一部の実施形態では、コドン最適化を使用して、標的及び宿主生体におけるコドン頻度を一致させて、適切な折り畳みを確実にすること;GC含有量をバイアスしてmRNA安定性を上昇させることまたは二次構造を減少させること;遺伝子コンストラクトもしくは発現を損ない得るタンデムリピートコドンまたはベースランを最小化すること;転写及び翻訳制御領域をカスタマイズすること;タンパク質輸送配列を挿入または除去すること;コードされたタンパク質(例えば、グリコシル化部位)中の翻訳後修飾部位を除去/付加すること;タンパク質ドメインを付加する、除去する、またはシャッフリングすること;制限部位を挿入する、または欠失させること;リボソーム結合部位及びmRNA分解部位を修飾すること;タンパク質の様々なドメインを適正に折り畳めるように翻訳速度を調整すること;またはポリヌクレオチド内にある問題のある二次構造を軽減または排除することが含まれ得る。コドン最適化ツール、アルゴリズム及びサービスは当技術分野において公知であり、非限定的例には、GeneArt(Life Technologies)によるサービス、DNA2.0(Menlo Park CA)及び/または特許下の方法が含まれる。一部の実施形態では、上記オープンリーディングフレーム(ORF)配列を、最適化アルゴリズムを使用して最適化する。
【0126】
7.配列最適化核酸の特徴付け
本発明の一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードする本明細書に開示の配列最適化核酸を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を、少なくとも1つの核酸配列特性(例えば、ヌクレアーゼに曝露された場合の安定性)または発現特性が非配列最適化核酸に対して改善されているかどうかを決定するために試験することができる。
【0127】
本明細書で使用する場合、「発現特性」は、in vivo(例えば、それを必要とする対象への投与後の合成mRNAの翻訳有効性)またはin vitro(例えば、in vitroモデルシステムで試験された合成mRNAの翻訳有効性)のいずれかでの核酸配列の特性を指す。発現特性には、限定されないが、投与後にG6PCポリペプチドをコードするmRNAにより産生されるタンパク質の量、及び産生される可溶性または別段に機能性タンパク質の量が含まれる。一部の実施形態では、本明細書に開示の配列最適化核酸を、本明細書に開示のG6PCポリペプチドをコードする配列最適化核酸配列(例えば、RNA、例えば、mRNA)によりコードされるタンパク質を発現する細胞の生存率に従って評価することができる。
【0128】
特定の一実施形態では、非最適化参照核酸配列に対してコドン置換を含む本明細書に開示の複数の配列最適化核酸(例えば、RNA、例えば、mRNA)を機能的に特徴付けて、in vitroモデルシステムにおいて、またはin vivoで標的組織もしくは細胞において目的の特性、例えば、発現特性を機能的に測定することができる。
【0129】
a.核酸配列の固有特性の最適化
本発明の一部の実施形態では、ポリヌクレオチドの所望の特性は、核酸配列の固有特性である。例えば、ヌクレオチド配列(例えば、RNA、例えば、mRNA)を、in vivoまたはin vitroでの安定性のために配列最適化することができる。一部の実施形態では、上記ヌクレオチド配列を、特定の標的組織または細胞での発現のために配列最適化することができる。一部の実施形態では、上記核酸配列を配列最適化して、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによるその分解を防止することにより、その血漿中半減期を延長する。
【0130】
他の実施形態では、上記核酸配列を、溶液中での加水分解に対する耐性を増強させるように配列最適化して、例えば、最小限の分解で水性条件下で配列最適化核酸または配列最適化核酸を含む医薬組成物を保存することができる時間を延長する。
【0131】
他の実施形態では、上記配列最適化核酸を乾燥貯蔵条件における加水分解に対する耐性を増強させるように最適化して、例えば、最小限の分解で凍結乾燥後に配列最適化核酸を保存することができる時間を延長することができる。
【0132】
b.タンパク質の発現のために最適化された核酸配列
本発明の一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドの所望の特性は、本明細書に開示の配列最適化配列によりコードされるG6PCポリペプチドの発現レベルである。タンパク質の発現レベルは、1つまたは複数の発現系を用いて測定することができる。一部の実施形態では、発現を、細胞培養系、例えばCHO細胞またはHEK293細胞で測定することができる。一部の実施形態では、例えばウサギ網状赤血球溶解産物のような生存細胞の抽出物から調製されたin vitro発現系を使用するか、あるいは精製された個々の成分の集合によって調製されたin vitro発現系を使用して、発現を測定することができる。他の実施形態では、タンパク質の発現を、in vivo系、例えば、マウス、ウサギ、サルなどにおいて測定する。
【0133】
一部の実施形態では、溶液形態のタンパク質の発現が所望され得る。したがって、一部の実施形態では、参照配列を配列最適化すると、可溶性形態で発現したタンパク質の最適化レベルを有する、配列最適化核酸配列を得ることができる。タンパク質発現のレベルならびに他の特性、例えば、溶解性、凝集レベル、及びトランケーション生成物の存在(すなわち、タンパク質分解、加水分解、または翻訳の欠損に起因する断片)は、例えば、電気泳動(例えば、天然またはSDS−PAGE)またはクロマトグラフィー法(例えば、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いて、当技術分野で公知の方法に従って測定することができる。
【0134】
c.標的組織または標的細胞の生存率の最適化
一部の実施形態では、核酸配列によってコードされる異種治療用タンパク質の発現は、標的組織もしくは細胞において有害作用を有し、タンパク質収量を減少させる、または(例えば、封入体内にタンパク質断片が存在する、または発現タンパク質が沈殿することにより)発現産物の質を低下させ得るか、あるいは毒性を惹起し得る。
【0135】
したがって、本発明の一部の実施形態では、本明細書に開示の核酸配列、例えば、G6PCポリペプチドをコードする核酸配列の配列最適化を用いると、配列最適化核酸によりコードされるタンパク質を発現する標的細胞の生存率を上昇させることができる。
【0136】
異種タンパク質の発現はまた、自己移植または異種移植のために核酸配列をトランスフェクトされた細胞に対して有害となり得る。したがって、本開示の一部の実施形態では、本明細書に開示の核酸配列の配列最適化を用いて、配列最適化核酸によりコードされるタンパク質を発現する標的細胞の生存率を上昇させることができる。細胞または組織の生存率、毒性及び他の生理学的反応における変化は、当技術分野で公知の方法に従って、測定することができる。
【0137】
d.免疫及び/または炎症応答の減少
場合によっては、G6PCポリペプチドをコードする配列最適化核酸またはその機能性断片の投与は、(i)治療薬(例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNA)、または(ii)そのような治療薬の発現産物(例えば、mRNAによりコードされるG6PCポリペプチド)、または(iv)その組合せに起因し得るであろう免疫応答を誘発し得る。したがって、本開示の一部の実施形態では、本明細書に開示の核酸配列(例えば、mRNA)の配列最適化を使用して、G6PCポリペプチドをコードする核酸の投与により、あるいはそのような核酸によりコードされるG6PCの発現産物により誘発される免疫応答または炎症応答を減少させることができる。
【0138】
一部の態様では、炎症応答は、当技術分野で公知の方法、例えばELISAを用いて1つまたは複数の炎症性サイトカインのレベルの上昇を検出することにより測定することができる。「炎症性サイトカイン」という用語は、炎症応答において上昇するサイトカインを指す。炎症性サイトカインの例には、インターロイキン−6(IL−6)、CXCL1(ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1;別称:GROα、インターフェロン−γ(IFNγ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロンγ誘発性タンパク質10(IP−10)、または顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が含まれる。「炎症性サイトカイン」という用語はまた、当技術分野で公知の、炎症応答に関連する他のサイトカイン、例えば、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−13(Il−13)、インターフェロンα(IFN−α)なども含む。
【0139】
8.G6PCポリペプチドをコードする修飾ヌクレオチド配列
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、化学修飾されたヌクレオ塩基、例えば、化学修飾されたウラシル、例えば、シュードウラシル、N1−メチルシュードウラシル、5−メトキシウラシルなどを含む。一部の実施形態では、上記mRNAは、G6PCポリペプチドをコードするORFを含むウラシル修飾配列であり、その際、上記mRNAは、化学修飾されたヌクレオ塩基、例えば、化学修飾されたウラシル、例えば、シュードウラシル、N1−メチルシュードウラシル、または5−メトキシウラシルを含む。
【0140】
本発明のある特定の態様では、修飾ウラシル塩基がリボース糖に結合している場合、ポリヌクレオチド中のように、得られた修飾ヌクレオシドまたは修飾ヌクレオチドは修飾ウリジンと称される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド中のウラシルは、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または約100%修飾されたウラシルである。一実施形態では、ポリヌクレオチド中のウラシルは、少なくとも95%修飾されたウラシルである。別の実施形態では、ポリヌクレオチド中のウラシルは、100%修飾されたウラシルである。
【0141】
ポリヌクレオチド中のウラシルが少なくとも95%修飾されたウラシルである実施形態では、mRNAが、免疫応答をほとんどまたは全く誘発せずに適切なタンパク質の発現レベルをもたらすように、全体のウラシル含有量を調節することができる。一部の実施形態では、ORFのウラシル含有量は、対応する野生型ORF中の理論的最小ウラシル含有量の約100%及び約150%、約100%〜約110%、約105%〜約115%、約110%〜約120%、約115%〜約125%、約120%〜約130%、約125%〜約135%、約130%〜約140%、約135%〜約145%、約140%〜約150%(U
TM%)である。他の実施形態では、ORFのウラシル含有量はU
TM%の約121%〜約136%、または123%〜134%である。一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするORFのウラシル含有量は、U
TM%の約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、または約150%である。これに関連して、「ウラシル」という用語は、修飾されたウラシル及び/または天然に生じるウラシルを指し得る。
【0142】
一部の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドをコードするmRNAのORF中のウラシル含有量は、ORF中の総ヌクレオ塩基含有量の約30%、約25%、約20%、約15%、または約10%未満である。一部の実施形態では、ORF中のウラシル含有量は、ORF中の総ヌクレオ塩基含有量の約10%〜約20%である。他の実施形態では、ORF中のウラシル含有量は、ORF中の総ヌクレオ塩基含有量の約10%〜約25%である。一実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするmRNAのORF中のウラシル含有量は、オープンリーディングフレーム中の総ヌクレオ塩基含有量の約20%未満である。これに関連して、「ウラシル」という用語は、修飾されたウラシル及び/または天然に生じるウラシルを指し得る。
【0143】
さらなる実施形態では、修飾ウラシルを有し、かつウラシル含有量が調節されている、G6PCポリペプチドをコードするmRNAのORFは、シトシン(C)、グアニン(G)、またはグアニン/シトシン(G/C)含有量(絶対または相対)を増加させている。一部の実施形態では、ORFのC、G、またはG/C含有量(絶対または相対)の全体的な増加は、野生型ORFのG/C含有量(絶対または相対)に対して少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。一部の実施形態では、ORF中のG、CまたはG/C含有量は、G6PCポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列の理論的最大G、CまたはG/C含有量(G
TMX%、C
TMX%、もしくはG/C
TMX%)の約100%未満、約90%未満、約85%未満もしくは約80%未満である。一部の実施形態では、本明細書に記載のG及び/またはC含有量(絶対または相対)の増加を、G、CまたはG/C含有量の低い同義コドンをより高いC、G、またはG/C含有量のコドンで置換することにより行うことができる。他の実施形態では、G及び/またはC含有量(絶対または相対)の増加を、Uで終わるコドンを、GもしくはCで終わる同義コドンで置換することにより行う。
【0144】
さらなる実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドをコードするmRNAのORFは、修飾ウラシルを含み、かつ調節されたウラシル含有量を有して、G6PCポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列よりも少ないウラシルペア(UU)及び/またはウラシルトリプレット(UUU)及び/またはウラシルクアドラプレット(UUUU)を含有する。一部の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドをコードするmRNAのORFは、ウラシルペア及び/またはウラシルトリプレット及び/またはウラシルクアドラプレットを含まない。一部の実施形態では、ウラシルペア及び/またはウラシルトリプレット及び/またはウラシルクアドラプレットは、ある特定の閾値未満、例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNAのORF中における出現数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20以下に減少される。特定の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドをコードするmRNAのORFは、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1未満の非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットを含む。別の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするmRNAのORFは、非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットを含まない。
【0145】
さらなる実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドをコードするmRNAのORFは、修飾ウラシルを含み、かつ調節されたウラシル含有量を有して、G6PCポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列よりも少ないウラシルリッチなクラスタを含有する。一部の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドをコードするmRNAのORFは、G6PCポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列中の対応するウラシルリッチなクラスタよりも長さが短いウラシルリッチなクラスタを含む。
【0146】
さらなる実施形態では、より低頻度の代替コドンを用いる。修飾ウラシル含有mRNAの、G6PCポリペプチドをコードするORF中のコドンの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%が、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりも低いコドン頻度を有する各代替コドンでそれぞれ置換される。ORFはまた、上記のとおり調節されたウラシル含有量を有する。一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするmRNAのORF中の少なくとも1つのコドンは、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりも低いコドン頻度を有する代替コドンで置換される。
【0147】
一部の実施形態では、ウラシル含有量が調節されると、G6PCポリペプチドをコードする修飾ウラシル含有mRNAのORFは、哺乳類細胞に投与された場合、対応する野生型mRNAからのG6PCの発現レベルよりも高いG6PCの発現レベルを示す。一部の実施形態では、哺乳類細胞は、マウス細胞、ラット細胞、またはウサギ細胞である。他の実施形態では、哺乳類の細胞は、サル細胞またはヒト細胞である。一部の実施形態では、ヒト細胞は、HeLa細胞、BJ線維芽細胞、または末梢血単核球細胞(PBMC)である。一部の実施形態では、G6PCは、上記mRNAが哺乳類細胞にin vivoで投与された場合、対応する野生型mRNAからのG6PCの発現レベルよりも高いレベルで発現される。一部の実施形態では、上記mRNAをマウス、ウサギ、ラット、サル、またはヒトに投与する。一実施形態では、マウスはヌルマウスである。一部の実施形態では、上記mRNAをマウスに約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、または0.2mg/kgまたは約0.5mg/kgの量で投与する。一部の実施形態では、上記mRNAを静脈内または筋肉内投与する。他の実施形態では、上記mRNAがin vitroで哺乳類細胞に投与された場合に、上記G6PCポリペプチドが発現する。一部の実施形態では、発現は、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1500倍、または少なくとも約3000倍増加する。他の実施形態では、発現は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、60%、約70%、約80%、約90%、または約100%増加する。
【0148】
一部の実施形態では、ウラシル含有量が調節されると、G6PCポリペプチドをコードする修飾ウラシル含有mRNAのORFは、安定性の上昇を示す。一部の実施形態では、上記mRNAは、同じ条件下にて対応する野生型mRNAの安定性と比べて、細胞内での安定性の増強を示す。一部の実施形態では、上記mRNAは、ヌクレアーゼに対する耐性、熱安定性、及び/または二次構造の安定化の向上を含む安定性の上昇を示す。一部の実施形態では、上記mRNAにより示される安定性の上昇は、mRNAの半減期(例えば、血漿、血清、細胞もしくは組織試料中)を決定し、及び/または経時的に(例えば、in vitroもしくはin vivoで)mRNAによるタンパク質発現の曲線下面積(AUC)を決定することにより測定される。同じ条件下で、半減期及び/またはAUCが対応する野生型mRNAの半減期及び/またはAUCを上回る場合に、mRNAは、安定性が上昇していると同定される。
【0149】
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、同じ条件下で、対応する野生型mRNAにより誘発された免疫応答と比べて検出可能に低い免疫応答(例えば、先天性もしくは後天性)を誘導する。他の実施形態では、本開示のmRNAは、G6PCポリペプチドをコードするが同じ条件下で修飾ウラシルを含まないmRNAにより誘導される免疫応答と比べて、あるいはG6PCポリペプチドをコードし、かつ修飾ウラシルを含むが同じ条件下でウラシル含有量が調節されていないmRNAにより誘導される免疫応答と比べて、検出可能に低い免疫応答(例えば、先天性もしくは後天性)を誘発する。先天免疫応答は、炎症誘発性サイトカインの発現の増加、細胞内PRR(RIG−I、MDA5など)の活性化、細胞死、及び/またはタンパク質翻訳の終結もしくは減少により顕在化し得る。一部の実施形態では、先天免疫応答の低下は、I型インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−κ、IFN−δ、IFN−ε、IFN−τ、IFN−ω、及びIFN−ζ)の発現もしくは活性レベル、またはtoll様受容体(例えば、TLR7及びTLR8)などのインターフェロン調節遺伝子の発現により、及び/または本発明のmRNAを細胞に1回または複数回投与した後の細胞死の減少により測定することができる。
【0150】
一部の実施形態では、本開示のmRNAに応答する哺乳類細胞による1型インターフェロンの発現は、対応する野生型mRNA、G6PCポリペプチドをコードするが修飾ウラシルを含まないmRNA、またはG6PCポリペプチドをコードし修飾ウラシルを含むがウラシル含有量が調節されていないmRNAに対して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または99%超低下する。一部の実施形態では、上記インターフェロンはIFN−βである。一部の実施形態では、哺乳類の細胞への本開示のmRNAの投与に起因する細胞死の頻度は、対応する野生型mRNA、G6PCポリペプチドをコードするが修飾ウラシルを含まないmRNA、またはG6PCポリペプチドをコードし修飾ウラシルを含むがウラシル含有量が調節されていないmRNAで観察される細胞死の頻度よりも、10%、25%、50%、75%、85%、90%、95%、または95%超低い。一部の実施形態では、上記哺乳類細胞は、BJ線維芽細胞である。他の実施形態では、哺乳類の細胞は、脾細胞である。一部の実施形態では、上記哺乳類細胞は、マウスまたはラットの細胞である。他の実施形態では、哺乳類の細胞は、ヒトの細胞である。一実施形態では、本開示のmRNAは、そのmRNAが導入された哺乳類細胞の先天免疫応答を実質的に誘発しない。
【0151】
9.ポリヌクレオチドを修飾するための方法
本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むmRNA)を含む修飾ポリヌクレオチドを含む。上記修飾ポリヌクレオチドは、化学修飾及び/または構造修飾されていてよい。本発明のポリヌクレオチドが化学修飾及び/または構造修飾されている場合、上記ポリヌクレオチドは、「修飾ポリヌクレオチド」と称され得る。
【0152】
本開示は、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)の修飾ヌクレオシド及び修飾ヌクレオチドを提供する。「ヌクレオシド」は、糖分子(例えばペントースもしくはリボース)またはその誘導体を、有機塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書では「ヌクレオ塩基」とも称される)との組合せで含有する化合物を指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。例えば、1つまたは複数の修飾または非天然ヌクレオシドを含めるための化学的、酵素的、または組換えによる方法などの任意の有用な方法により、修飾ヌクレオチドを合成することができる。ポリヌクレオチドは、結合したヌクレオシドの1つまたは複数の領域を含み得る。そのような領域は、可変の骨格結合を有し得る。その結合は、標準のホスホジエステル結合であり得、その場合、ポリヌクレオチドはヌクレオチドの領域を含むであろう。
【0153】
本明細書に開示の修飾ポリヌクレオチドは、様々な別個の修飾を含み得る。一部の実施形態では、上記修飾ポリヌクレオチドは、1つ、2つもしくはそれより多くの(任意選択で異なる)ヌクレオシド修飾またはヌクレオチド修飾を含む。一部の実施形態では、修飾ポリヌクレオチドは、細胞に導入されると、非修飾ポリヌクレオチドと比較して1つまたは複数の望ましい特性、例えば、細胞でのタンパク質発現の向上、免疫原性の低下、または分解の減少を示し得る。
【0154】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、構造修飾されている。本明細書で使用する場合、「構造」修飾とは、2つ以上の結合されたヌクレオシドを、ヌクレオチド自体に対して有意な化学修飾を施さずに、ポリヌクレオチド中に挿入、欠失、複製、逆位または無作為化することである。化学結合は必然的に破壊され、再編成されて構造修飾に影響をもたらすことから、構造修飾は化学的性質のものであり、したがって化学修飾である。しかしながら、構造修飾は、異なるヌクレオチド配列をもたらすこととなる。例えば、ポリヌクレオチド「ATCG」は「AT−5meC−G」に化学修飾することができる。その同じポリヌクレオチドを「ATCG」から「ATCCCG」に構造修飾することもできる。この場合、ジヌクレオチド「CC」が挿入されて、ポリヌクレオチドに対して構造修飾が生じる。
【0155】
本開示の治療用組成物は、一部の実施形態では、G6PC(例えば、配列番号8、11〜20、22〜38、または207)をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つの核酸(例えば、RNA)を含み、その際、上記核酸は、標準(非修飾)であってもよいし、または当技術分野で公知のとおりに修飾されていてもよいヌクレオチド及び/またはヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、本開示のヌクレオチド及びヌクレオシドは、修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む。そのような修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドは、天然に生じる修飾ヌクレオチド及びヌクレオシド、または天然に存在しない修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドであってよい。そのような修飾は、当技術分野で認識されているとおりのヌクレオチド及び/またはヌクレオシドの糖、骨格、またはヌクレオ塩基部分での修飾を含み得る。
【0156】
一部の実施形態では、本開示の天然に生じる修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドは、一般的に公知であるか、当技術分野で認識されているとおりのものである。そのような天然に生じる修飾ヌクレオチド及びヌクレオチドの非限定的例は、特に、広く認識されているMODOMICSデータベースにおいて見い出すことができる。
【0157】
一部の実施形態では、本開示の天然に存在しない修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドは、一般的に公知であるか、当技術分野で認識されているとおりのものである。そのような天然に存在しない修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドの非限定的例は、特に、公開米国出願PCT/US2012/058519;PCT/US2013/075177;PCT/US2014/058897;PCT/US2014/058891;PCT/US2014/070413;PCT/US2015/36773;PCT/US2015/36759;PCT/US2015/36771;またはPCT/IB2017/051367において見い出すことができ、これらはすべて、参照により本明細書に援用される。
【0158】
一部の実施形態では、本開示の少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)は、化学修飾されてなく、アデノシン、グアノシン、シトシン及びウリジンからなる標準リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヌクレオチド及びヌクレオシドは、転写されたRNA中に存在するもの(例えば、A、G、C、またはU)などの標準ヌクレオシド残基を含む。一部の実施形態では、本開示のヌクレオチド及びヌクレオシドは、DNA中に存在するもの(例えば、dA、dG、dC、またはdT)などの標準的なデオキシリボヌクレオシドを含む。
【0159】
したがって、本開示の核酸(例えば、DNA核酸及びmRNA核酸などのRNA核酸)は、標準ヌクレオチド及びヌクレオシド、天然に生じるヌクレオチド及びヌクレオシド、天然に存在しないヌクレオチド及びヌクレオシド、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0160】
本開示の核酸(例えば、DNA核酸及びmRNA核酸などのRNA核酸)は、一部の実施形態では、様々な(1つよりも多い)異なる種類の標準及び/または修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、核酸の特定の領域は、1、2またはそれを上回る(任意選択で異なる)種類の標準及び/または修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む。
【0161】
一部の実施形態では、修飾RNA核酸(例えば、修飾mRNA核酸)は、細胞または生体に導入されると、標準ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む非修飾の核酸と比べて、それぞれ細胞または生体における分解の減少を示す。
【0162】
一部の実施形態では、修飾RNA核酸(例えば、修飾mRNA核酸)は、細胞または生体に導入されると、標準ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む非修飾の核酸と比べて、それぞれ細胞または生体における免疫原性の減少(例えば、先天応答の減少)を示し得る。
【0163】
核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)は、一部の実施形態では、核酸の合成中または合成後に、所望の機能または特性を達成するために導入される非天然修飾ヌクレオチドを含む。上記修飾は、ヌクレオチド間結合、プリンまたはピリミジン塩基、または糖の上に存在してよい。上記修飾は、化学合成を用いて、またはポリメラーゼ酵素を用いて、鎖の末端に、または鎖中の他の任意の場所に導入することができる。核酸のいずれの領域も化学修飾することができる。
【0164】
本開示は、核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)の修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドを提供する。「ヌクレオシド」は、糖分子(例えば、ペントースまたはリボース)またはその誘導体を、有機塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)またはその誘導体との組合せで含有する化合物(本明細書では「ヌクレオ塩基」とも称される)を指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。修飾ヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾または非天然ヌクレオシドを含めるための任意の有用な方法、例えば、化学的、酵素的に、もしくは組換え的に合成することができる。核酸は、結合したヌクレオシドの1つの領域または複数の領域を含み得る。そのような領域は、可変的な骨格結合を有し得る。結合は、標準のホスホジエステル結合であってよく、その場合、核酸は、ヌクレオチドの領域を含むであろう。
【0165】
修飾ヌクレオチド塩基対合は、標準アデノシン−チミン、アデノシン−ウラシル、またはグアノシン−シトシン塩基対だけでなく、非標準もしくは修飾塩基を含むヌクレオチド及び/または修飾ヌクレオチド間で形成される塩基対も包含し、その際、水素結合供与体及び水素結合受容体の配置が、例えば、少なくとも1つの化学修飾を有する核酸においてなど、非標準塩基と標準塩基との間、または2つの相補的非標準塩基構造どうしの間の水素結合を可能にする。そのような非標準的な塩基対合の一例は、修飾ヌクレオチドイノシンと、アデニン、シトシンまたはウラシルとの間の塩基対合である。塩基/糖またはリンカーの任意の組合せを、本開示の核酸に組み込むことができる。
【0166】
一部の実施形態では、核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)中の修飾ヌクレオ塩基は、N1−メチル−シュードウリジン(mlΨ)、1−エチル−シュードウリジン(elΨ)、5−メトキシ−ウリジン(mo5U)、5−メチル−シチジン(m5C)、及び/またはシュードウリジン(Ψ)を含む。一部の実施形態では、核酸中の修飾ヌクレオ塩基(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)は、5−メトキシメチルウリジン、5−メチルチオウリジン、1−メトキシメチルシュードウリジン、5−メチルシチジン、及び/または5−メトキシシチジンを含む。一部の実施形態では、上記ポリリボヌクレオチドは、限定されないが、化学修飾を含む上述の修飾ヌクレオ塩基のいずれか少なくとも2つ(例えば、2、3、4つ以上)の組合せを含む。
【0167】
一部の実施形態では、本開示のRNA核酸は、核酸の1つまたは複数またはすべてのウリジン位にN1−メチル−シュードウリジン(mlΨ)置換を含む。
【0168】
一部の実施形態では、本開示のRNA核酸は、核酸の1つまたは複数またはすべてのウリジン位にN1−メチル−シュードウリジン(mlΨ)置換及び核酸の1つまたは複数またはすべてのシチジン位に5−メチルシチジン置換を含む。
【0169】
一部の実施形態では、本開示のRNA核酸は、核酸の1つまたは複数またはすべてのウリジン位にシュードウリジン(Ψ)置換を含む。
【0170】
一部の実施形態では、本開示のRNA核酸は、核酸の1つまたは複数またはすべてのウリジン位にシュードウリジン(Ψ)置換及び核酸の1つまたは複数またはすべてのシチジン位に5−メチルシチジン置換を含む。
【0171】
一部の実施形態では、本開示のRNA核酸は、核酸の1つまたは複数またはすべてのウリジン位にウリジンを含む。
【0172】
一部の実施形態では、核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)は、特定の修飾について一様に修飾されている(例えば、完全に修飾され、配列全体で修飾されている)。例えば、核酸は、Nl−メチル−シュードウリジンで一様に修飾されていてよく、mRNA配列中のすべてのウリジン残基がNl−メチル−シュードウリジンで置換されていることを意味する。同様に、核酸は、例えば、上記のものなどの修飾残基での置換により、配列中に存在する任意の種類のヌクレオシド残基について一様に修飾されていてよい。
【0173】
本開示の核酸は、分子の長さ全体で部分的に、または完全に修飾されていてよい。例えば、1つまたは複数または全部の所与の種類のヌクレオチド(例えば、プリンまたはピリミジン、またはA、G、U、Cのいずれか1つまたは複数または全部)が、本開示の核酸において、またはその所定の配列領域において一様に修飾されていてよい(例えば、ポリAテイルを含む、または除くmRNAにおいて)。一部の実施形態では、本開示の核酸中(またはその配列領域中)のすべてのヌクレオチドXが修飾ヌクレオチドであり、その際、Xは、ヌクレオチドA、G、U、Cのいずれか1つ、または組合せA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CまたはA+G+Cのいずれか1つであってよい。
【0174】
上記核酸は、(総ヌクレオチド含有量に対してか、またはヌクレオチドの1つまたは複数の種類、すなわち、A、G、UまたはCのいずれか1つまたは複数に対して)約1%〜約100%または任意の中間パーセンテージ(例えば、1%〜20%、1%〜25%、1%〜50%、1%〜60%、1%〜70%、1%〜80%、1%〜90%、1%〜95%、10%〜20%、10%〜25%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜80%、10%〜90%、10%〜95%、10%〜100%、20%〜25%、20%〜50%、20%〜60%、20%〜70%、20%〜80%、20%〜90%、20%〜95%、20%〜100%、50%〜60%、50%〜70%、50%〜80%、50%〜90%、50%〜95%、50%〜100%、70%〜80%、70%〜90%、70%〜95%、70%〜100%、80%〜90%、80%〜95%、80%〜100%、90%〜95%、90%〜100%、及び95%〜100%)の修飾ヌクレオチドを含んでよい。任意の残りのパーセンテージは非修飾A、G、U、またはCの存在が占めることは理解されるであろう。
【0175】
上記核酸は、最低1%及び最大100%の修飾ヌクレオチド、または任意の中間パーセンテージ、例えば、少なくとも5%の修飾ヌクレオチド、少なくとも10%の修飾ヌクレオチド、少なくとも25%の修飾ヌクレオチド、少なくとも50%の修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の修飾ヌクレオチド、または少なくとも90%の修飾ヌクレオチドを含有し得る。例えば、上記核酸は、修飾ピリミジン、例えば、修飾ウラシルまたはシトシンを含有し得る。一部の実施形態では、上記核酸中のウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が修飾ウラシル(例えば、5−置換ウラシル)で置換されている。修飾ウラシルは、単一の独自の構造を有する化合物により置換されていてよいか、または異なる構造(例えば、2、3、4またはそれ以上の独自の構造)を有する複数の化合物により置換されていてよい。一部の実施形態では、上記核酸中のシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が、修飾シトシン(例えば、5−置換シトシン)で置換されている。修飾シトシンは、単一の独自の構造を有する化合物により置換されていてよいか、または異なる構造(例えば、2、3、4またはそれ以上の独自の構造)を有する複数の化合物により置換されていてよい。
【0176】
10.非翻訳領域(UTR)
ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドの翻訳は、様々なシス作用性核酸構造により与えられる様々な機構により調節及び制御され得る。例えば、ヘアピンまたは他の高次(例えば、シュードノット)分子内mRNA二次構造を形成する天然に生じるシス作用性RNAエレメントは、翻訳制御活性をポリヌクレオチドに与えることができ、その際、特に、RNAエレメントが5’キャップ構造に近い5’UTRに位置している場合には、RNAエレメントは、ポリヌクレオチド翻訳の開始に影響を及ぼす、またはそれを調節する(Pelletier and Sonenberg(1985)Cell 40(3):515−526;Kozak(1986)Proc Natl Acad Sci 83:2850−2854)。
【0177】
非翻訳領域(UTR)は、翻訳されない開始コドン(5’UTR)の前、及び停止コドン(3’UTR)後のポリヌクレオチドの核酸部分である。一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))はさらに、UTR(例えば、5’UTRもしくはその機能性断片、3’UTRもしくはその機能性断片、またはその組合せ)を含む。
【0178】
シス作用性RNAエレメントはまた、翻訳伸長に影響を及ぼし得て、多数のフレームシフティングイベントに関係する(Namy et al.,(2004)Mol Cell 13(2):157−168)。内部リボソーム進入配列(IRES)は、別の種類のシス作用性RNAエレメントを表しており、これは典型的には、5’UTRに位置するが、天然に生じるmRNAのコード領域内においても見い出されることが報告されている(Holcik et al.(2000)Trends Genet 16(10):469−473)。細胞mRNAでは、IRESは多くの場合に、5’−キャップ構造と共存し、mRNAに、cap依存的翻訳が損なわれている条件下で翻訳される機能的能力を与える(Gebauer et al.,(2012)Cold Spring Harb Perspect Biol 4(7):a012245)。別の種類の天然に生じるシス作用性RNAエレメントは、上流オープンリーディングフレーム(uORF)を含む。天然に生じるuORFは、多数のmRNAの5’UTR内に単独で、または複数で生じ、下流の主なORFの翻訳に、通常はマイナスの影響を及ぼす(酵母におけるGCN4 mRNA及び哺乳類におけるATF4 mRNAの注目すべき例外を伴い、その際、uORFは、eIF2リン酸化増大の条件下で下流の主なORFの翻訳を促進するように作用する(Hinnebusch(2005)Annu Rev Microbiol 59:407−450))。ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を構成する成分、構造、エレメント、モチーフ、及び/または特異的配列により与えられる追加の例示的な翻訳制御活性には、限定されないが、mRNAの安定化または不安定化(Baker & Parker(2004)Curr Opin Cell Biol 16(3):293−299)、翻訳活性化(Villalba et al.,(2011)Curr Opin Genet Dev 21(4):452−457)、及び翻訳抑制(Blumer et al.,(2002)Mech Dev 110(1−2):97−112)が含まれる。研究は、天然に生じるシス作用性RNAエレメントが、導入により異種ポリヌクレオチドを修飾するために使用された場合、それらのそれぞれの機能を付与し得ることを示している(Goldberg−Cohen et al.,(2002)J Biol Chem 277(16):13635−13640)。
【0179】
機能性RNAエレメントを含む修飾ポリヌクレオチド
本開示は、所望の翻訳制御活性を与える修飾を含む合成ポリヌクレオチド(例えば、RNAエレメント)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、5’非翻訳領域(UTR)、開始コドン、ポリペプチドをコードする全長オープンリーディングフレーム、3’UTR、及び少なくとも1つの修飾を含むポリヌクレオチドを提供し、その際、上記少なくとも1つの修飾は、所望の翻訳制御活性、例えば、mRNA翻訳の翻訳忠実性を促進及び/または増強する修飾を与える。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、シス作用性制御活性である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、開始コドンでの、またはその近位での43S転写前複合体(PIC)またはリボソームの滞留時間の増大である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、開始コドンでの、またはそこからのポリペプチド合成の開始の増大である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、全長オープンリーディングフレームから翻訳されるポリペプチドの量の増加である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによる開始コドン解読の忠実性の上昇である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによる読み漏らしの阻害または減少である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによる開始コドンの解読速度の低下である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、開始コドン以外のmRNA内の任意のコドンでのポリペプチド合成の開始の阻害または減少である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、全長オープンリーディングフレーム以外のmRNA内の任意のオープンリーディングフレームから翻訳されるポリペプチドの量の阻害または減少である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、異常な翻訳産物の産生の阻害または減少である。一部の実施形態では、上記所望の翻訳制御活性は、上述の翻訳制御活性のうちの1つまたは複数の組合せである。
【0180】
したがって、本開示は、本明細書に記載のとおりの所望の翻訳制御活性を提供する配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含むポリヌクレオチド、例えば、mRNAを提供する。一部の態様では、上記mRNAは、mRNA翻訳の翻訳忠実性を促進及び/または増強する配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含む。一部の態様では、上記mRNAは、読み漏らしの阻害または減少などの所望の翻訳制御活性を与える配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含む。一部の態様では、本開示は、読み漏らしを阻害及び/または減少させて、それにより、mRNAの翻訳忠実性を促進する配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNAエレメントを含むmRNAを提供する。
【0181】
一部の実施形態では、上記RNAエレメントは、天然及び/または修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、上記RNAエレメントは、本明細書に記載のとおりの所望の翻訳制御活性を提供する結合ヌクレオチド、またはその誘導体もしくはアナログの配列からなる。一部の実施形態では、上記RNAエレメントは、安定なRNA二次構造を形成するか、それに折り畳まれる結合ヌクレオチド、またはその誘導体もしくアナログの配列を含み、その際、上記RNA二次構造は、本明細書に記載のとおりの所望の翻訳制御活性を提供する。RNAエレメントは、エレメントの一次配列(例えば、GCリッチなエレメント)に基づき、エレメントにより形成されるRNA二次構造(例えば、ステムループ)により、RNA分子内でのエレメントの位置(例えば、mRNAの5’UTR内に位置)により、エレメントの生物学的機能及び/または活性(例えば、「翻訳エンハンサーエレメント」)、及びそれらの任意の組合せにより同定及び/または特徴付けられ得る。
【0182】
一部の態様では、本開示は、読み漏らしを阻害する、及び/またはmRNA翻訳の翻訳忠実性を促進する1つまたは複数の構造修飾を有するmRNAを提供し、その際、上記構造修飾の少なくとも1つはGCリッチなRNAエレメントである。一部の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に結合ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログである。一実施形態では、上記GCリッチRNAエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置する。別の実施形態では、上記GCリッチRNAエレメントは、コザックコンセンサス配列から15〜30、15〜20、15〜25、10〜15、または5〜10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、上記GCリッチRNAエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列に直接隣接して位置する。
【0183】
上述の態様または関連の態様のいずれかでは、本開示は、任意の順序で結合した3〜30、5〜25、10〜20、15〜20、約20、約15、約12、約10、約7、約6または約3ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、その誘導体またはアナログを提供し、その際、上記配列組成は、シトシン70〜80%、シトシン60〜70%、シトシン50%〜60%、シトシン40〜50%、シトシン塩基30〜40%である。上述の態様または関連の態様のいずれかでは、本開示は、任意の順序で結合した3〜30、5〜25、10〜20、15〜20、約20、約15、約12、約10、約7、約6または約3ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、その誘導体またはアナログを提供し、その際、上記配列組成は、シトシン約80%、シトシン約70%、シトシン約60%、シトシン約50%、シトシン約40%、またはシトシン約30%である。
【0184】
上述の態様または関連の態様のいずれかでは、本開示は、任意の順序で結合した20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、または3ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、その誘導体またはアナログを提供し、その際、上記配列組成は、シトシン70〜80%、シトシン60〜70%、シトシン50%〜60%、シトシン40〜50%、またはシトシン30〜40%である。上述の態様または関連の態様のいずれかでは、本開示は、任意の順序で結合した20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、または3ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、その誘導体またはアナログを提供し、その際、上記配列組成は、シトシン約80%、シトシン約70%、シトシン約60%、シトシン約50%、シトシン約40%、またはシトシン約30%である。
【0185】
一部の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に結合ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログであり、上記GCリッチRNAエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置し、かつ上記GCリッチRNAエレメントは、任意の順序で結合した3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、その誘導体またはアナログを含み、その際、上記配列組成は、シトシン>50%である。一部の実施形態では、上記配列組成は、シトシン>55%、シトシン>60%、シトシン>65%、シトシン>70%、シトシン>75%、シトシン>80%、シトシン>85%、またはシトシン>90%である。
【0186】
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流の結合ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログであり、上記GCリッチRNAエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置し、かつ上記GCリッチRNAエレメントは、約3〜30、5〜25、10〜20、15〜20または約20、約15、約12、約10、約6または約3のヌクレオチド、または誘導体もしくはアナログの配列を含み、上記配列は、繰り返しGCモチーフを含み、上記繰り返しGCモチーフは、[CCG]nであり、ここで、n=1〜10(配列番号225)、n=2〜8(配列番号226)、n=3〜6(配列番号227)、またはn=4〜5(配列番号228)である。一部の実施形態では、上記配列は、繰り返しGCモチーフ[CCG]nを含み、ここで、n=1、2、3、4または5(配列番号229)である。一部の実施形態では、上記配列は、繰り返しGCモチーフ[CCG]nを含み、ここで、n=1、2、または3である。一部の実施形態では、上記配列は、繰り返しGCモチーフ[CCG]nを含み、ここで、n=1である。一部の実施形態では、上記配列は、繰り返しGCモチーフ[CCG]nを含み、ここで、n=2である。一部の実施形態では、上記配列は、繰り返しGCモチーフ[CCG]nを含み、ここで、n=3である。一部の実施形態では、上記配列は、繰り返しGCモチーフ[CCG]nを含み、ここで、n=4(配列番号230)である。一部の実施形態では、上記配列は、繰り返しGCモチーフ[CCG]nを含み、ここで、n=5(配列番号231)である。
【0187】
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流の結合ヌクレオチドの配列を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログであり、上記GCリッチRNAエレメントは、表2に記載の配列のいずれか1つを含む。一実施形態では、上記GCリッチRNAエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド(複数可)上流に位置する。別の実施形態では、上記GCリッチRNAエレメントは、コザックコンセンサス配列から15〜30、15〜20、15〜25、10〜15、または5〜10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、上記GCリッチRNAエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列に直接隣接して位置する。
【0188】
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に表2に記載のとおりの配列V1[CCCCGGCGCC(配列番号43)]を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログである。一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表2に記載のとおりの配列V1を含む。一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する表2に記載のとおりの配列V1を含む。他の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1〜3、3〜5、5〜7、7〜9、9〜12、または12〜15塩基上流に位置する表2に記載のとおりの配列V1を含む。
【0189】
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に表2に記載のとおりの配列V2[CCCCGGC(配列番号44)]を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログである。一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表2に記載のとおりの配列V2を含む。一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する表2に記載のとおりの配列V2を含む。他の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1〜3、3〜5、5〜7、7〜9、9〜12、または12〜15塩基上流に位置する表2に記載のとおりの配列V2を含む。
【0190】
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に表2に記載のとおりの配列EK[GCCGCC(配列番号42)]を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログである。一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表2に記載のとおりの配列EKを含む。一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する表2に記載のとおりの配列EKを含む。他の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1〜3、3〜5、5〜7、7〜9、9〜12、または12〜15塩基上流に位置する表2に記載のとおりの配列EKを含む。
【0191】
さらに他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列の上流に表2に記載のとおりの配列V1[CCCCGGCGCC(配列番号43)]を含むGCリッチRNAエレメント、またはその誘導体もしくはアナログであり、上記5’UTRは、表2に示されている次の配列:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGA(配列番号85)
を含む。当業者はもちろん、本明細書に記載のRNA配列中のすべてのUが、本開示のmRNAが例えばIVTを介して転写される対応するテンプレートDNA配列、例えば、DNAテンプレートまたはコンストラクトではTとなることは分かるであろう。
【0192】
一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、表2に示されている5’UTR配列中のコザックコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表2に記載のとおりの配列V1を含む。一部の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する表2に示されているとおりの配列V1を含み、その際、上記5’UTRは、表2に示されている次の配列:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGA(配列番号85)
を含む。
【0193】
他の実施形態では、上記GCリッチエレメントは、mRNAの5’UTR中のコザックコンセンサス配列から1〜3、3〜5、5〜7、7〜9、9〜12、または12〜15塩基上流に位置する表2に示されているとおりの配列V1を含み、その際、上記5’UTRは、表2に示されている次の配列:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGA(配列番号85)を含む。
【0194】
一部の実施形態では、上記5’UTRは、表2に示されている次の配列:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGACCCCGGCGCCGCCACC(配列番号39)
を含む。
表2
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【0195】
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、その際、少なくとも1つの修飾は、ヘアピンまたはステムループを形成する順序で結合したヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくはアナログを含む安定なRNA二次構造を含むGCリッチRNAエレメントである。一実施形態では、上記安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列の上流にある。別の実施形態では、上記安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列から約30、約25、約20、約15、約10、または約5ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、上記安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列から約20、約15、約10または約5ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、上記安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列から約5、約4、約3、約2、約1ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、上記安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列から約15〜30、約15〜20、約15〜25、約10〜15、または約5〜10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、上記安定なRNA二次構造は、コザックコンセンサス配列から12〜15ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、上記安定なRNA二次構造は、約−30kcal/mol、約−20〜−30kcal/mol、約−20kcal/mol、約−10〜−20kcal/mol、約−10kcal/mol、約−5〜−10kcal/molのデルタGを有する。
【0196】
別の実施形態では、上記修飾は、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームに作動可能に結合されており、その際、上記修飾及び上記オープンリーディングフレームは異種である。
【0197】
別の実施形態では、上記GCリッチRNAエレメントの配列は専ら、グアニン(G)及びシトシン(C)ヌクレオ塩基から構成される。
【0198】
本明細書に記載のとおりの所望の翻訳制御活性をもたらすRNAエレメントは、リボソームプロファイリングなどの公知の技術を使用して同定及び特徴付けられ得る。リボソームプロファイリングは、mRNAに結合したPIC及び/またはリボソームの位置の決定を可能にする技術である(例えば、参照により本明細書に援用されるIngolia et al.,(2009)Science 324(5924):218−23を参照されたい)。上記技術は、PIC及び/またはリボソームによる、ヌクレアーゼ消化からのmRNAの領域またはセグメントの保護に基づく。保護は、「フットプリント」と呼ばれるRNAの30bp断片の生成をもたらす。RNAフットプリントの配列及び頻度を、当技術分野で公知の方法(例えば、RNA−seq)により解析することができる。フットプリントは、リボソームのA部位にほぼ集中している。PICまたはリボソームがmRNAに沿った特定の位置または場所に存在するならば、これらの位置で生成したフットプリントは比較的共通するであろう。研究は、PIC及び/またはリボソームが加工性の低下を示す位置に、より多くのフットプリントが生成し、かつfPIC及び/またはリボソームが加工性の増大を示す位置に、より少ないフットプリントが生成することを示している(Gardin et al.,(2014)eLife 3:e03735)。一部の実施形態では、本明細書に記載のRNAエレメントのいずれか1つまたは複数を含むポリヌクレオチドに沿った別個の位置または場所でのPICまたはリボソームの滞留時間または占有時間は、リボソームプロファイリングにより決定される。
【0199】
UTRは、ポリヌクレオチド中のコード領域に対して相同または異種であり得る。一部の実施形態では、UTRは、G6PCポリペプチドをコードするORFに対して相同である。一部の実施形態では、UTRは、G6PCポリペプチドをコードするORFに対して異種である。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、2つ以上の5’UTRまたはそれらの機能性断片を含み、それらの各々は同じまたは異なるヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、2つ以上の3’UTRまたはそれらの機能性断片を含み、それらの各々は同じまたは異なるヌクレオチド配列を有する。
【0200】
一部の実施形態では、上記5’UTRもしくはそれらの機能性断片、3’UTRもしくはそれらの機能性断片、またはそれらの任意の組合せは、配列最適化されている。
【0201】
一部の実施形態では、上記5’UTRもしくはその機能性断片、3’UTRもしくはその機能性断片、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも1つの化学修飾されたヌクレオ塩基、例えば、N1−メチルシュードウラシルまたは5−メトキシウラシルを含む。
【0202】
UTRは、調節的役割、例えば、安定化、局在化及び/または翻訳効率の増大または減少を提供する特徴を有し得る。UTRを含むポリヌクレオチドを、細胞、組織、または生物に投与することができ、ルーチン的な方法を用いて、1つまたは複数の調節的特徴を測定することができる。一部の実施形態では、5’UTRまたは3’UTRの機能性断片は、それぞれ全長5’UTRまたは3’UTRの1つまたは複数の調節機能を含む。
【0203】
天然5’UTRは、翻訳開始において役割を果たす特徴を持っている。これらは、リボソームが多くの遺伝子の翻訳を開始するプロセスに関与することが一般に知られている、コザック配列などのシグネチャを保持している。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(配列番号87)を有し、ここで、Rは、開始コドンから3塩基上流にあるプリン(アデニンまたはグアニン)(AUG)であり、その後に別の「G」が続く。5’UTRはまた、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することが公知である。
【0204】
特定の標的器官内に豊富に発現する遺伝子において典型的に見出される特徴を操作することにより、ポリヌクレオチドの安定性及びタンパク質の産生を増大させることができる。例えば、肝臓で発現するmRNAの5’UTR、例えば、アルブミン、血清アミロイドA、アポリポタンパク質A/B/E、トランスフェリン、アルファフェトプロテイン、エリスロポイエチンまたは第VIII因子の導入で、肝細胞系または肝臓におけるポリヌクレオチドの発現を増強することができる。同様に、筋肉(例えば、MyoD、ミオシン、ミオグロビン、ミオゲニン、ヘルクリン)、内皮細胞(例えば、Tie−1、CD36)、骨髄系細胞(例えば、C/EBP、AML1、G−CSF、GM−CSF、CD11b、MSR、Fr−1、i−NOS)、白血球(例えば、CD45、CD18)、脂肪組織(例えば、CD36、GLUT4、ACRP30、アディポネクチン)、及び肺上皮細胞(例えば、SP−A/B/C/D)では、他の組織特異的mRNAからの5’UTRを用いて、その組織での発現を向上させることができる。
【0205】
一部の実施形態では、UTRは、タンパク質が共通の機能、構造、特徴または特性を共有する、転写物のファミリーから選択される。例えば、コードされたポリペプチドは、特定の細胞内、組織内または発達中のある時期に発現するタンパク質ファミリー(すなわち、少なくとも1つの機能、構造、特徴、局在、起点または発現パターンを共有する)ファミリーに属し得る。遺伝子またはmRNAのいずれかに由来するUTRを、同じか、または異なるファミリーのタンパク質の他の任意のUTRと交換して、新規のポリヌクレオチドを作成することができる。
【0206】
一部の実施形態では、上記5’UTR及び3’UTRは異種であり得る。一部の実施形態では、上記5’UTRは、3’UTRとは異なる種に由来し得る。一部の実施形態では、上記3’UTRは、5’UTRとは異なる種に由来し得る。
【0207】
共同所有の国際特許出願PCT/US2014/021522号(公開WO/2014/164253、その全体が参照により本明細書に援用される)は、ORFに対する隣接領域として本発明のポリヌクレオチドで利用することができる例示的なUTRのリストを提供している。
【0208】
本出願の例示的なUTRには、限定されないが、以下の核酸配列に由来する1つまたは複数上の5’UTR及び/または3’UTRが含まれる:グロビン、例えばαまたはβグロビン(例えば、ゼノパス、マウス、ウサギ、またはヒトグロビン);強力なコザック翻訳開始シグナル;CYBA(例えば、ヒトシトクロムb−245αポリペプチド);アルブミン(例えば、ヒトアルブミン7);HSD17B4(ヒドロキシステロイド(17−β)脱水素酵素);ウイルス(例えば、タバコエッチ病ウイルス(TEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、デング熱ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)(例えばCMV即初期1(IE1))、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、シンドビスウイルス、またはPAVオオムギ黄萎ウイルス);熱ショックタンパク質(例えば、hsp70);翻訳開始因子(例えば、elF4G);グルコース輸送体(例えば、hGLUT1(ヒトグルコース輸送体1));アクチン(例えば、ヒトαまたはβアクチン);GAPDH;チューブリン;ヒストン;クエン酸サイクル酵素;トポイソメラーゼ(例えば、5’TOPモチーフを欠くTOP遺伝子(オリゴピリミジン領域)の5’UTR));リボソーマルタンパク質Large 32(L32);リボソーマルタンパク質(例えば、rps9などのヒトまたはマウスリボソーマルタンパク質);ATP合成酵素(例えば、ATP5A1またはミトコンドリアH
+−ATP合成酵素のβサブユニット);成長ホルモン(例えば、ウシ(bGH)またはヒト(hGH));伸長因子(例えば、伸長因子1α1(EEF1A1));マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD);筋細胞エンハンサー因子2A(MEF2A);β−F1−ATPアーゼ、クレアチンキナーゼ、ミオグロビン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);コラーゲン(例えば、コラーゲンI型、α2(Col1A2);コラーゲンI型、アルファ1(Col1A1);コラーゲンVI型、アルファ2(Col6A2);コラーゲンVI型、アルファ1(Col6A1));リボフォリン(例えば、リボフォリンI(RPNI));低密度リポタンパク質受容体関連のタンパク質(例えば、LRP1);カルジオトロフィン様サイトカイン因子(例えば、Nnt1);カルレティキュリン(Calr);プロコラーゲン−リシン、2−オキソグルタレート5−ジオキシゲナーゼ1(Plod1);ならびにヌクレオビンジン(例えば、Nucb1)。
【0209】
一部の実施形態では、上記5’UTRは、βグロビン5’UTR;強力なコザック翻訳開始シグナルを含む5’UTR;シトクロムb−245αポリペプチド(CYBA)5’UTR;ヒドロキシステロイド(17−β)脱水素酵素(HSD17B4)5’UTR;タバコエッチ病ウイルス(TEV)5’UTR;ベネズエラウマ脳炎ウイルス(TEEV)5’UTR;非構造タンパク質をコードする風疹ウイルス(RV)RNAの5’近位オープンリーディングフレーム;デング熱ウイルス(DEN)5’UTR;ヒートショックタンパク質70(Hsp70)5’UTR;eIF4G5’UTR;GLUT15’UTR;それらの機能性断片、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0210】
一部の実施形態では、上記3’UTRは、βグロビン3’UTR;CYBA3’UTR;アルブミン3’UTR;成長ホルモン(GH)3’UTR;VEEV3’UTR;B型肝炎ウイルス(HBV)3’UTR;α−グロビン3’UTR;DEN3’UTR;PAVオオムギ黄萎ウイルス(BYDV−PAV)3’UTR;伸長因子1α1(EEF1A1)3’UTR;マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)3’UTR;ミトコンドリアH(+)−ATP合成酵素(β−mRNA)3’UTRのβサブユニット;GLUT1 3’UTR;MEF2A 3’UTR;β−F1−ATPアーゼ3’UTR;それらの機能性断片;及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0211】
任意の遺伝子またはmRNAに由来する野生型UTRを、本発明のポリヌクレオチドに組み込みことができる。一部の実施形態では、UTRを、野生型もしくは天然のUTRに対して変化させて、例えばORFに対するUTRの配向または位置の変更により;あるいは追加のヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドのスワッピングもしくは転位により、バリアントUTRを生成することができる。一部の実施形態では、5’もしくは3’UTRのバリアント、例えば、野生型UTRの変異体、あるいは1つまたは複数のヌクレオチドがUTRの末端に付加されているか、またはそのUTRの末端から除去されるバリアントを利用することができる。
【0212】
加えて、1つまたは複数の合成UTRを、1つまたは複数の非合成UTRと組み合わせて使用することができる。例えば、内容全体が参照により本明細書に援用されるMandal及びRossi,Nat.Protoc.2013 8(3):568−82を参照されたい。
【0213】
UTRまたはその一部を、その選択元となった転写物においてと同じ向きに配置してもよいし、または配向もしくは位置を変更してもよい。したがって、5’及び/または3’UTRを、反転、短縮、延長すること、または1つまたは複数の他の5’UTRもしくは3’UTRと併用することもできる。
【0214】
一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、複数のUTR、例えば、二重、三重もしくは四重5’UTRまたは3’UTRを含む。例えば、二重UTRは、直列であるかまたは実質的に直列であるかのいずれかの、同じUTRの2つのコピーを含む。例えば、二重ベータグロビン3’UTRを使用することができる(内容全体が参照により本明細書に援用されるUS2010/0129877を参照されたい)。
【0215】
ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に開示のUTRのいずれかから選択される5’UTR及び/または3’UTRを含む。一部の実施形態では、上記5’UTRは、
5’UTR−001(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号3);
5’UTR−002(上流UTR)
(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号89);
5’UTR−003(上流UTR)(WO2016/100812を参照されたい);
5’UTR−004(上流UTR)
(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号90);
5’UTR−005(上流UTR)
(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号91);
5’UTR−006(上流UTR)(WO2016/100812を参照されたい);
5’UTR−007(上流UTR)
(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号92);
5’UTR−008(上流UTR)
(GGGAAUUAACAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号93);
5’UTR−009(上流UTR)
(GGGAAAUUAGACAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号94);
5’UTR−010、上流
(GGGAAAUAAGAGAGUAAAGAACAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号95);
5’UTR−011(上流UTR)
(GGGAAAAAAGAGAGAAAAGAAGACUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号96);
5’UTR−012(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAUAUAUAAGAGCCACC)(配列番号97);
5’UTR−013(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGACAAAACAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号98);
5’UTR−014(上流UTR)
(GGGAAAUUAGAGAGUAAAGAACAGUAAGUAGAAUUAAAAGAGCCACC)(配列番号99);
5’UTR−015(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAUAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号100);
5’UTR−016(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAAUUAAGAGCCACC)(配列番号101);
5’UTR−017(上流UTR);または
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUUUAAGAGCCACC)(配列番号102);
5’UTR−018(上流UTR)5’UTR
(UCAAGCUUUUGGACCCUCGUACAGAAGCUAAUACGACUCACUAUAGGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号88)
を含む。
【0216】
一部の実施形態では、上記3’UTRは、
142−3p 3’UTR(miR142−3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号104);
142−3p 3’UTR(miR142−3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号105);または
142−3p 3’UTR(miR142−3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号106);
142−3p 3’UTR(miR142−3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号107);
142−3p 3’UTR(miR142−3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号108);
142−3p 3’UTR(miR142−3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号109)。
142−3p 3’UTR(miR142−3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGAGUGGGCGGC)(配列番号110);
3’UTR−018(配列番号150を参照されたい);
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号150)
3’UTR(miR142及びmiR126結合部位バリアント1)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号111)
3’UTR(miR142及びmiR126結合部位バリアント2)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号112);または
3’UTR(miR142−3p結合部位バリアント3)
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号4)。
3’UTR:
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号175)
を含む。
【0217】
ある特定の実施形態では、本発明の5’UTR及び/または3’UTR配列は、配列番号3、88〜102、または165〜167のいずれかを含む5’UTR配列及び/または配列番号4、104〜112、150、または175及びそれらの任意の組合せのいずれかを含む3’UTR配列からなる群から選択される配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なヌクレオチド配列を含む。
【0218】
ある特定の実施形態では、本発明の5’UTR及び/または3’UTR配列は、配列番号3、配列番号39、配列番号210、または配列番号211のいずれかを含む5’UTR配列及び/または配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213、及びそれらの任意の組合せのいずれかを含む3’UTR配列からなる群から選択される配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なヌクレオチド配列を含む。
【0219】
一部の実施形態では、上記5’UTRは、表4Bに記載のアミノ酸配列(配列番号3、配列番号39、配列番号210、または配列番号211)を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、表4Bに記載のアミノ酸配列(配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213)を含む。一部の実施形態では、上記5’UTRは、表4Bに記載のアミノ酸配列(配列番号3、配列番号39、配列番号210、または配列番号211)を含み、かつ上記3’UTRは、表4Bに記載のアミノ酸配列(配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213)を含む。
【0220】
本発明のポリヌクレオチドは、特徴の組合せを含み得る。例えば、上記ORFは、ポリAテイルの鋳型付加のために、強力なコザック翻訳開始シグナルを含む5’UTR及び/またはオリゴ(dT)配列を含む3’UTRに隣接し得る。5’UTRは、同じ及び/または異なるUTRに由来する、第1のポリヌクレオチド断片及び第2のポリヌクレオチド断片を含み得る(例えば、全体が参照により本明細書に援用されるUS2010/0293625を参照されたい)。
【0221】
他の非UTR配列は、本発明のポリヌクレオチド内部の領域またはサブ領域として使用することができる。例えば、イントロンまたはイントロン配列の一部を、本発明のポリヌクレオチドに組み込むことができる。イントロン配列の組み込みで、タンパク質の産生、さらにはポリヌクレオチドの発現レベルを上昇させることができる。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、UTRの代わりにまたはそれに加えて、配列内リボソーム進入部位(IRES)を含む(例えば、全容全体が参照により本明細書に援用されるYakubov et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2010 394(1):189−193を参照されたい)。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、5’UTR配列の代わりにIRESを含む。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、ORF及びウイルスカプシド配列を含む。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、合成5’UTRを非合成3’UTRとの組合せで含む。
【0222】
一部の実施形態では、上記UTRはまた、ポリヌクレオチドから産生されるポリペプチドまたはタンパク質の量を増加させる核酸配列を指す、少なくとも1つの翻訳エンハンサーポリヌクレオチド、翻訳エンハンサーエレメント(translation enhancer element)、または翻訳エンハンサーエレメント(translational enhancer element)(「TEE」と総称)を含み得る。非限定的例として、TEEは、転写プロモーターと開始コドンとの間に位置し得る。一部の実施形態では、上記5’UTRは、TEEを含む。
【0223】
一態様では、TEEは、限定されないが、キャップ依存性またはキャップ非依存性翻訳などの核酸の翻訳活性を促進することができる、UTR内の保存エレメントである。
【0224】
11.マイクロRNA(miRNA)結合部位
本発明のポリヌクレオチドは、調節エレメント、例えば、マイクロRNA(miRNA)結合部位、転写因子結合部位、構造化mRNA配列及び/またはモチーフ、内因性核酸結合分子のシュード受容体として作用するように操作された人工結合部位、ならびにそれらの組合せを含み得る。一部の実施形態では、そのような調節エレメントを含むポリヌクレオチドは、「センサー配列」を含むと称される。
【0225】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))は、目的のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、かつさらに、1つまたは複数のmiRNA結合部位(複数可)を含む。miRNA結合部位(複数可)の包含または組み込みにより、天然に生じるmiRNAの組織特異的な発現及び/または細胞型特異的な発現に基づき、本発明のポリヌクレオチドが制御され、次いで、それからコードされるポリペプチドが制御される。
【0226】
本発明はまた、上記のポリヌクレオチドのいずれかを含む医薬組成物及び製剤を提供する。一部の実施形態では、上記組成物または製剤はさらに、送達剤を含む。
【0227】
一部の実施形態では、上記組成物または製剤は、ポリペプチドをコードする本明細書に開示の配列最適化核酸配列を含むポリヌクレオチドを含有し得る。一部の実施形態では、上記組成物または製剤は、ポリペプチドをコードする本明細書に開示の配列最適化核酸配列に対して有意な配列同一性を有するポリヌクレオチド(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含有し得る。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドはさらに、miRNA結合部位、例えば、結合するmiRNA結合部位を含む。
【0228】
miRNA、例えば、天然に生じるmiRNAは、安定性を低下させるか、またはポリヌクレオチドの翻訳を阻害することにより、ポリヌクレオチドに結合して遺伝子発現を下方制御する、19〜25ヌクレオチド長の非コードのRNAである。miRNA配列は、「シード」領域、すなわち、成熟miRNAの2〜8位の領域の配列を含む。miRNAシードは、成熟miRNAの2〜8位または2〜7位を含み得る。
【0229】
マイクロRNAは、プレmiRNA(前駆体−miRNA)と呼ばれることが多い短いヘアピン構造を形成するように自身に折り畳まれたRNA転写物の領域から酵素的に誘発される。プレmiRNAは典型的に、その3’末端に2ヌクレオチドオーバーハングを有し、3’ヒドロキシル基と5’ホスファート基とを有する。この前駆体mRNAは、核内でプロセシングされ、続いて細胞質に輸送され、DICER(RNアーゼIII酵素)によりさらに処理されて、約22ヌクレオチドの成熟マイクロRNAを形成する。次いで、成熟マイクロRNAは、リボ核粒子中に組み込まれて、遺伝子サイレンシングを媒介するRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成する。成熟miRNAについて当技術分野において承認されている命名法は典型的に、成熟miRNAが由来するプレmiRNAのアームを指定しており;「5p」は、マイクロRNAがプレmiRNAヘアピンの5’アーム由来であることを意味し、「3p」は、マイクロRNAがプレmiRNAヘアピンの3’末端に由来することを意味する。本明細書において番号で言及されるmiRは、同じプレmiRNAの反対のアーム(例えば、3pまたは5pマイクロRNAのいずれか)に由来する2つの成熟マイクロRNAのいずれかを指し得る。本明細書において言及されるすべてのmiRは、特に3pまたは5pの指定により特定されていない限り、3p及び5pアーム/配列の両方を含むことを意図したものである。
【0230】
本明細書で使用する場合、「マイクロRNA(miRNAまたはmiR)結合部位」という用語は、miRNAと相互作用するか、会合するか、またはmiRNAに結合するために十分なmiRNAの全部もしくは一部の領域に対する相補性を有する、5’UTR及び/または3’UTRを含む、例えばDNA内もしくはRNA転写物内のポリヌクレオチド内の配列を指す。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは目的のポリペプチドをコードするORFを含み、かつさらに、1つまたは複数のmiRNA結合部位(複数可)を含む。例示的な実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))の5’UTR及び/または3’UTRは、1つまたは複数のmiRNA結合部位(複数可)を含む。
【0231】
miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位とは、ポリヌクレオチドのmiRNA媒介性調整、例えばポリヌクレオチドのmiRNA媒介性翻訳の抑制または分解を促すうえで相補性の度合いが十分であることを指す。本発明の例示的な態様では、miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位とは、ポリヌクレオチドのmiRNA媒介分解、例えば、miRNAガイド付きRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を媒介してmRNAの切断を促進するうえで、相補性の度合いが十分であることを指す。miRNA結合部位は、例えば19〜25ヌクレオチド長のmiRNA配列、19〜23ヌクレオチド長のmiRNA配列、または22ヌクレオチド長のmiRNA配列に対して相補性を有し得る。miRNA結合部位は、miRNAの一部のみに対して、例えば、天然に生じるmiRNA配列の全長より1、2、3または4ヌクレオチド少ない部分に対して、あるいは、天然に生じるmiRNA配列より1、2、3または4ヌクレオチド短い部分に対して相補的であり得る。所望の調節が、mRNAの分解である場合、相補性が十分であるかまたは完全である(例えば、天然に生じるmiRNAの長さの全部分または有意な部分にわたって相補性が十分であるかまたは完全である)ことが好ましい。
【0232】
一部の実施形態では、miRNA結合部位は、miRNAシード配列との相補性(例えば、部分的または完全な相補性)を有する配列を含む。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、miRNAシード配列との完全な相補性を有する配列を含む。一部の実施形態では、miRNA結合部位は、miRNA配列との相補性(例えば、部分的または完全な相補性)を有する配列を含む。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、miRNA配列との完全な相補性を有する配列を含む。一部の実施形態では、miRNA結合部位は、1、2もしくは3個のヌクレオチド置換、末端付加、及び/または末端切断は除くが、miRNA配列との完全な相補性を有する。
【0233】
一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、対応するmiRNAと長さが同じである。他の実施形態では、上記miRNA結合部位は、5’末端、3’末端またはその両方で対応するmiRNAよりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12短い。さらに他の実施形態では、上記マイクロRNA結合部位は、対応する5’末端、3’末端、またはその両方でマイクロRNAよりも2ヌクレオチド短い。対応するmiRNAよりも短いmiRNA結合部位は、依然としてmiRNA結合部位のうちの1つまたは複数を組み込んだmRNAを分解することができるか、またはmRNAの翻訳を妨げることができる。
【0234】
一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、ダイサーを含む活性RISCの一部である対応する成熟miRNAに結合する。別の実施形態では、miRNA結合部位をRISC中の対応するmiRNAに結合することにより、miRNA結合部位を含むmRNAを分解するか、あるいはmRNAが翻訳されるのを防ぐ。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体によりmiRNA結合部位を含むポリヌクレオチドが切断される程度に、miRNAに対する相補性が十分である。他の実施形態では、上記miRNA結合部位の相補性が不完全なことに起因して、miRNAを含むRISC複合体により、miRNA結合部位を含むポリヌクレオチドにおける不安定性が誘発される。別の実施形態では、上記miRNA結合部位の相補性が不完全なことに起因して、miRNAを含むRISC複合体により、miRNA結合部位を含むポリヌクレオチドの転写が抑制される。
【0235】
一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、対応するmiRNAに対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の不整合部を有する。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、対応するmiRNAの、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続ヌクレオチドに対して相補的な、それぞれ少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続ヌクレオチドを有する。
【0236】
1つまたは複数のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチドに操作することにより、該当するmiRNAが利用可能な場合、そのポリヌクレオチドを分解または翻訳低下の標的とすることが可能となる。こうすることで、ポリヌクレオチドが送達される際に、オフターゲット効果を減少させることができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドが、組織または細胞に送達されることは意図されないが、最終的に前述の組織または細胞に帰結するものである場合、組織または細胞内に多く存在するmiRNAは、miRNAの1つまたは複数の結合部位をポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRに操作することで、目的の遺伝子の発現を阻害し得る。したがって、一部の実施形態では、1つまたは複数のmiRNA結合部位を本開示のmRNA内に組み込むことにより、核酸分子送達の際のオフターゲット作用の危険を低下させ得る、及び/またはmRNAによりコードされるポリペプチドの発現の組織特異的制御が可能となり得る。また他の実施形態では、1つまたは複数のmiRNA結合部位を本開示のmRNA内に組み込むことにより、in vivoでの核酸送達の際の免疫応答を調節することができる。さらなる実施形態では、1つまたは複数のmiRNA結合部位を本開示のmRNA内に組み込むことにより、本明細書に記載の脂質含有化合物及び組成物の加速血クリアランス(ABC)を調節することができる。
【0237】
逆に、miRNA結合部位は、天然に生じるポリヌクレオチド配列から除去することで、特定の組織におけるタンパク質の発現を増加させることができる。例えば、特定のmiRNA用の結合部位をポリヌクレオチドから除去することで、miRNAを含む組織または細胞でのタンパク質の発現を改善することができる。
【0238】
複数の組織における発現の調節は、1つまたは複数のmiRNA結合部位、例えば、1つまたは複数の別個のmiRNA結合部位の導入または除去により達成することができる。発症及び/または疾患状態にある組織及び/または細胞でのmiRNA発現パターン及び/またはそのプロファイリングに基づいて、miRNA結合部位を除去するかそれとも挿入するかの決定を成すことができる。miRNA、miRNA結合部位及びそれらの発現パターンの同定、ならびに生物学における役割が報告されてきた(例えば、Bonauer et al.,Curr Drug Targets 2010 11:943−949;Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171−176;Contreras and Rao Leukemia 2012 26:404−413(2011 Dec 20.doi:10.1038/leu.2011.356);Bartel Cell 2009 136:215−233;Landgraf et al,Cell,2007 129:1401−1414;Gentner andNaldini,Tissue Antigens.2012 80:393−403ならびに本明細書のすべての参照文献;これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0239】
miRNAがmRNAを調節することによりタンパク質の発現を調節することが公知である組織の例には、限定されないが、肝臓(miR−122)、筋肉(miR−133、miR−206、miR−208)、内皮細胞(miR−17−92、miR−126)、骨髄系細胞(miR−142−3p、miR−142−5p、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27)、脂肪組織(let−7、miR−30c)、心臓(miR−1d、miR−149)、腎臓(miR−192、miR−194、miR−204)、及び肺上皮細胞(let−7、miR−133、miR−126)が含まれる。
【0240】
具体的には、miRNAは、抗原提示細胞(APC)などの免疫細胞(別称:造血細胞)(例えば、樹状細胞及びマクロファージ)、マクロファージ、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞などにおいて差次的に発現することが公知である。免疫細胞特異的miRNAは、免疫原性、自己免疫、感染に対する免疫応答、炎症、さらには遺伝子治療及び組織/器官移植後の望ましくない免疫応答に関与する。免疫細胞特異的miRNAは、造血細胞(免疫細胞)の発達、増殖、分化及びアポトーシスの局面の多くも調節する。例えば、miR−142及びmiR−146は免疫細胞においてのみ、特に骨髄性樹状細胞で豊富に発現する。ポリヌクレオチドに対する免疫応答は、miR−142結合部位をポリヌクレオチドの3’UTRに付加することにより遮断することができ、組織及び細胞内での遺伝子導入の安定性向上を可能にすることが実証されている。miR−142は、抗原提示細胞内で外因性ポリヌクレオチドを効率的に分解し、形質導入細胞の細胞傷害性排除を抑制する(例えば、Annoni A et al.,blood,2009,114,5152−5161;Brown BD,et al.,Nat med.2006,12(5),585−591;Brown BD,et al.,blood,2007,110(13):4144−4152、それぞれその全体が参照により本明細書に援用される)。
【0241】
抗原媒介性免疫応答は、生物に進入する際に抗原提示細胞により処理され、抗原提示細胞の表面上に提示される、外来抗原により誘発される免疫応答を指し得る。T細胞は、提示された抗原を認識して、抗原を発現する細胞の細胞傷害性排除を誘導し得る。本発明のポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRにmiR−142結合部位を導入し、miR−142媒介性分解を通じて抗原提示細胞での遺伝子発現を選択的に抑制することにより、抗原提示細胞(例えば樹状細胞)内での抗原提示を制限し、それによりポリヌクレオチドの送達後の抗原媒介性免疫応答を防ぐことができる。次いで、ポリヌクレオチドは、細胞傷害性排除を誘発することなく、標的組織または細胞で安定に発現する。
【0242】
一実施形態では、免疫細胞、特に抗原提示細胞で発現することが公知であるmiRNAのための結合部位を本発明のポリヌクレオチドに操作することで、miRNA介在性RNAの分解により抗原提示細胞でのポリヌクレオチドの発現を抑制し、抗原媒介性免疫応答を抑制することができる。免疫細胞特異的miRNAが発現しない非免疫細胞では、ポリヌクレオチドの発現が維持される。例えば、一部の実施形態では、肝臓特異的タンパク質に対する免疫原性反応を防ぐために、任意のmiR−122結合部位を除去し、miR−142(及び/またはmirR−146)結合部位を、本発明のポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRに操作することができる。
【0243】
APC及びマクロファージにおける選択的な分解及び抑制をさらに駆動するために、本発明のポリヌクレオチドは、5’UTR及び/または3’UTR内に、さらなる負の調節エレメントを単独で、またはmiR−142及び/またはmiR−146結合部位と組み合わせて含んでもよい。非限定的例として、さらなる負の調節エレメントは、構成的減衰エレメント(CDE)である。
【0244】
免疫細胞特異的miRNAには、限定されないが、hsa−let−7a−2−3p、hsa−let−7a−3p、hsa−7a−5p、hsa−let−7c、hsa−let−7e−3p、hsa−let−7e−5p、hsa−let−7g−3p、hsa−let−7g−5p、hsa−let−7i−3p、hsa−let−7i−5p、miR−10a−3p、miR−10a−5p、miR−1184、hsa−let−7f−l−−3p、hsa−let−7f−2−5p、hsa−let−7f−5p、miR−125b−1−3p、miR−125b−2−3p、miR−125b−5p、miR−1279、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−132−3p、miR−132−5p、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−143−3p、miR−143−5p、miR−146a−3p、miR−146a−5p、miR−146b−3p、miR−146b−5p、miR−147a、miR−147b、miR−148a−5p、miR−148a−3p、miR−150−3p、miR−150−5p、miR−151b、miR−155−3p、miR−155−5p、miR−15a−3p、miR−15a−5p、miR−15b−5p、miR−15b−3p、miR−16−1−3p、miR−16−2−3p、miR−16−5p、miR−17−5p、miR−181a−3p、miR−181a−5p、miR−181a−2−3p、miR−182−3p、miR−182−5p、miR−197−3p、miR−197−5p、miR−21−5p、miR−21−3p、miR−214−3p、miR−214−5p、miR−223−3p、miR−223−5p、miR−221−3p、miR−221−5p、miR−23b−3p、miR−23b−5p、miR−24−1−5p、miR−24−2−5p、miR−24−3p、miR−26a−1−3p、miR−26a−2−3p、miR−26a−5p、miR−26b−3p、miR−26b−5p、miR−27a−3p、miR−27a−5p、miR−27b−3p、miR−27b−5p、miR−28−3p、miR−28−5p、miR−2909、miR−29a−3p、miR−29a−5p、miR−29b−1−5p、miR−29b−2−5p、miR−29c−3p、miR−29c−5p、miR−30e−3p、miR−30e−5p、miR−331−5p、miR−339−3p、miR−339−5p、miR−345−3p、miR−345−5p、miR−346、miR−34a−3p、miR−34a−5p、miR−363−3p、miR−363−5p、miR−372、miR−377−3p、miR−377−5p、miR−493−3p、miR−493−5p、miR−542、miR−548b−5p、miR548c−5p、miR−548i、miR−548j、miR−548n、miR−574−3p、miR−598、miR−718、miR−935、miR−99a−3p、miR−99a−5p、miR−99b−3p、及びmiR−99b−5pが含まれる。さらに、マイクロアレイハイブリダイゼーション及びミクロトーム分析により免疫細胞において新規のmiRNAを同定することができる(例えば、Jima DD et al,Blood,2010,116:el18−el27;Vaz C et al.,BMC Genomics,2010,11,288、その内容全体が参照により本明細書に援用される)。
【0245】
肝臓で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、miR−107、miR−122−3p、miR−122−5p、miR−1228−3p、miR−1228−5p、miR−1249、miR−129−5p、miR−1303、miR−151a−3p、miR−151a−5p、miR−152、miR−194−3p、miR−194−5p、miR−199a−3p、miR−199a−5p、miR−199b−3p、miR−199b−5p、miR−296−5p、miR−557、miR−581、miR−939−3p、及びmiR−939−5pが含まれる。任意の肝臓特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチドに導入するか、またはそのポリヌクレオチドから除去すると、肝臓でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。肝臓特異的miRNA結合部位を単独で、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位とさらに組み合わせて、操作することもできる。
【0246】
肺で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、let−7a−2−3p、let−7a−3p、let−7a−5p、miR−126−3p、miR−126−5p、miR−127−3p、miR−127−5p、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−130b−3p、miR−130b−5p、miR−133a、miR−133b、miR−134、miR−18a−3p、miR−18a−5p、miR−18b−3p、miR−18b−5p、miR−24−1−5p、miR−24−2−5p、miR−24−3p、miR−296−3p、miR−296−5p、miR−32−3p、miR−337−3p、miR−337−5p、miR−381−3p、及びmiR−381−5pが含まれる。任意の肺特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入するか、または除去することにより、肺でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。肺特異的miRNA結合部位を単独で操作することも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位とさらに組み合わせて、組み込むこともできる。
【0247】
心臓で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、miR−1、miR−133a、miR−133b、miR−149−3p、miR−149−5p、miR−186−3p、miR−186−5p、miR−208a、miR−208b、miR−210、miR−296−3p、miR−320、miR−451a、miR−451b、miR−499a−3p、miR−499a−5p、miR−499b−3p、miR−499b−5p、miR−744−3p、miR−744−5p、miR−92b−3p、及びmiR−92b−5pが含まれる。任意の心臓特異的マイクロRNA由来のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチドに導入するかまたは除去することで、心臓でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。心臓特異的miRNA結合部位を単独で、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位とさらに組み合わせて、操作することもできる。
【0248】
神経系で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、miR−124−5p、miR−125a−3p、miR−125a−5p、miR−125b−1−3p、miR−125b−2−3p、miR−125b−5p、miR−1271−3p、miR−1271−5p、miR−128、miR−132−5p、miR−135a−3p、miR−135a−5p、miR−135b−3p、miR−135b−5p、miR−137、miR−139−5p、miR−139−3p、miR−149−3p、miR−149−5p、miR−153、miR−181c−3p、miR−181c−5p、miR−183−3p、miR−183−5p、miR−190a、miR−190b、miR−212−3p、miR−212−5p、miR−219−1−3p、miR−219−2−3p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−30a−5p、miR−30b−3p、miR−30b−5p、miR−30c−1−3p、miR−30c−2−3p、miR−30c−5p、miR−30d−3p、miR−30d−5p、miR−329、miR−342−3p、miR−3665、miR−3666、miR−380−3p、miR−380−5p、miR−383、miR−410、miR−425−3p、miR−425−5p、miR−454−3p、miR−454−5p、miR−483、miR−510、miR−516a−3p、miR−548b−5p、miR−548c−5p、miR−571、miR−7−1−3p、miR−7−2−3p、miR−7−5p、miR−802、miR−922、miR−9−3p、及びmiR−9−5pが含まれる。神経系内で富化されるmiRNAにはさらに、限定されないが、miR−132−3p、miR−132−3p、miR−148b−3p、miR−148b−5p、miR−151a−3p、miR−151a−5p、miR−212−3p、miR−212−5p、miR−320b、miR−320e、miR−323a−3p、miR−323a−5p、miR−324−5p、miR−325、miR−326、miR−328、miR−922を含む、ニューロンで特異的に発現されるもの、かつ限定されないが、miR−1250、miR−219−1−3p、miR−219−2−3p、miR−219−5p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−3065−3p、miR−3065−5p、miR−30e−3p、miR−30e−5p、miR−32−5p、miR−338−5p、及びmiR−657を含む、神経膠細胞で特異的に発現されるものが含まれる。任意のCNS特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入するか、またはそのポリヌクレオチドから除去することによって、神経系でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。神経系特異的miRNA結合部位を単独で、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位とさらに組み合わせて、操作することもできる。
【0249】
膵臓で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、miR−105−3p、miR−105−5p、miR−184、miR−195−3p、miR−195−5p、miR−196a−3p、miR−196a−5p、miR−214−3p、miR−214−5p、miR−216a−3p、miR−216a−5p、miR−30a−3p、miR−33a−3p、miR− 33a−5p、miR−375、miR−7−1−3p、miR−7−2−3p、miR−493−3p、miR−493−5p、及びmiR−944が含まれる。任意の膵臓特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチド内に導入するか、またはそのポリヌクレオチドから除去することで、膵臓におけるポリヌクレオチドの発現を調節することができる。膵臓特異的miRNA結合部位を単独で、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位とさらに組み合わせて、操作することもできる。
【0250】
腎臓で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、miR−122−3p、miR−145−5p、miR−17−5p、miR−192−3p、miR−192−5p、miR−194−3p、miR−194−5p、miR−20a−3p、miR−20a−5p、miR−204−3p、miR−204−5p、miR−210、miR−216a−3p、miR−216a−5p、miR−296−3p、miR−30a−3p、miR−30a−5p、miR−30b−3p、miR−30b−5p、miR−30c−1−3p、miR−30c−2−3p、miR30c−5p、miR−324−3p、miR−335−3p、miR−335−5p、miR−363−3p、miR−363−5p、及びmiR−562が含まれる。任意の腎臓特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチド内に導入するか、またはそのポリヌクレオチドから除去することで、腎臓でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。腎臓特異的miRNA結合部位を単独で、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位とさらに組み合わせて、操作することもできる。
【0251】
筋肉で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、let−7g−3p、let−7g−5p、miR−1、miR−1286、miR−133a、miR−133b、miR−140−3p、miR−143−3p、miR−143−5p、miR−145−3p、miR−145−5p、miR−188−3p、miR−188−5p、miR−206、miR−208a、miR−208b、miR−25−3p、及びmiR−25−5pが含まれる。任意の筋肉特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチド内に導入するか、またはそのポリヌクレオチドから除去することで、筋肉でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。筋肉特異的miRNA結合部位を単独で、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位とさらに組み合わせて、操作することもできる。
【0252】
miRNAはまた、様々な種類の細胞、例えば、限定されないが、内皮細胞、上皮細胞及び脂肪細胞で差次的に発現する。
【0253】
内皮細胞で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、let−7b−3p、let−7b−5p、miR−100−3p、miR−100−5p、miR−101−3p、miR−101−5p、miR−126−3p、miR−126−5p、miR−1236−3p、miR−1236−5p、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−17−5p、miR−17−3p、miR−18a−3p、miR−18a−5p、miR−19a−3p、miR−19a−5p、miR−19b−1−5p、miR−19b−2−5p、miR−19b−3p、miR−20a−3p、miR−20a−5p、miR−217、miR−210、miR−21−3p、miR−21−5p、miR−221−3p、miR−221−5p、miR−222−3p、miR−222−5p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−296−5p、miR−361−3p、miR−361−5p、miR−421、miR−424−3p、miR−424−5p、miR−513a−5p、miR−92a−1−5p、miR−92a−2−5p、miR−92a−3p、miR−92b−3p、及びmiR−92b−5pが含まれる。ディープシーケンシング分析により、新規miRNAの多くが内皮細胞において発見されている(例えば、全体が参照により本明細書に援用されるVoellenkle C et al.,RNA,2012,18,472−484)。任意の内皮細胞特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチド内に導入するか、またはそのポリヌクレオチドから除去することにより、内皮細胞でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。
【0254】
上皮細胞で発現することが公知であるmiRNAには、限定されないが、呼吸繊毛上皮細胞において特異的なlet−7b−3p、let−7b−5p、miR−1246、miR−200a−3p、miR−200a−5p、miR−200b−3p、miR−200b−5p、miR−200c−3p、miR−200c−5p、miR−338−3p、miR−429、miR−451a、miR−451b、miR−494、miR−802及びmiR−34a、miR−34b−5p、miR−34c−5p、miR−449a、miR−449b−3p、miR−449b−5p、肺上皮細胞において特異的なlet−7ファミリー、miR−133a、miR−133b、miR−126、腎上皮細胞において特異的なmiR−382−3p、miR−382−5p、ならびに角膜上皮細胞において特異的なmiR−762が含まれる。任意の上皮細胞に特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入するか、またはそのポリヌクレオチドから除去することにより、上皮細胞でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。
【0255】
加えて、巨大なmiRNA群が胚性幹細胞内に富化されていて、幹細胞の自己再生を制御すると共に、神経細胞、心臓、造血細胞、皮膚細胞、骨形成細胞及び筋肉細胞などの様々な細胞系統の発達及び/または分化を制御している(例えば、Kuppusamy KT et al.,Curr.Mol Med,2013,13(5),757−764;Vidigal JA and Ventura A,Semin Cancer Biol.2012,22(5−6),428−436;Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192;Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610−621;Yoo JK et al.,Stem Cells Dev.2012,21(11),2049−2057、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)。胚性幹細胞に豊富なmiRNAには、限定されないが、let−7a−2−3p、let−a−3p、let−7a−5p、let7d−3p、let−7d−5p、miR−103a−2−3p、miR−103a−5p、miR−106b−3p、miR−106b−5p、miR−1246、miR−1275、miR−138−1−3p、miR−138−2−3p、miR−138−5p、miR−154−3p、miR−154−5p、miR−200c−3p、miR−200c−5p、miR−290、miR−301a−3p、miR−301a−5p、miR−302a−3p、miR−302a−5p、miR−302b−3p、miR−302b−5p、miR−302c−3p、miR−302c−5p、miR−302d−3p、miR−302d−5p、miR−302e、miR−367−3p、miR−367−5p、miR−369−3p、miR−369−5p、miR−370、miR−371、miR−373、miR−380−5p、miR−423−3p、miR−423−5p、miR−486−5p、miR−520c−3p、miR−548e、miR−548f、miR−548g−3p、miR−548g−5p、miR−548i、miR−548k、miR−5481、miR−548m、miR−548n、miR−548o−3p、miR−548o−5p、miR−548p、miR−664a−3p、miR−664a−5p、miR−664b−3p、miR−664b−5p、miR−766−3p、miR−766−5p、miR−885−3p、miR−885−5p,miR−93−3p、miR−93−5p、miR−941,miR−96−3p、miR−96−5p、miR−99b−3p及びmiR−99b−5pが含まれる。予測された新規のmiRNAの多くは、ヒト胚性幹細胞におけるディープシークエンシングにより発見されている(例えば、Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610−621;Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192;Bar M et al.,Stem cells、2008,26,2496−2505、これらはそれぞれ、その内容全体が参照により本明細書に援用される)。
【0256】
一部の実施形態では、miRNAは、造血系統の免疫細胞、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞ならびにTLR7/TLR8を発現する、及び/または内皮細胞及び血小板などのサイトカインを分泌し得ることが公知である細胞における発現及び存在量に基づいて選択される。したがって一部の実施形態では、上記miRNAセットは、これらの細胞の免疫原性の一部を担い得るmiRを含み、そのため、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)内に対応するmiR部位の組み込みは、特異的細胞型におけるmRNAの不安定化、及び/またはこれらのmRNAからの翻訳の抑制につながり得る。非限定的な代表例には、造血細胞の多くで特異的であるmiR−142、miR−144、miR−150、miR−155及びmiR−223;B細胞で発現するmiR−142、miR150、miR−16及びmiR−223;前駆造血細胞で発現するmiR−223、miR−451、miR−26a、miR−16;ならびに形質細胞様樹状細胞、血小板及び内皮細胞で発現するmiR−126が含まれる。miRの組織発現に関するさらなる考察については、例えば、Teruel−Montoya、R.et al.(2014)PLoS One 9:el02259;Landgraf、P.et al.(2007)Cell 129:1401−1414;Bissels,U.et al.(2009)RNA 15:2375−2384を参照されたい。3’UTR及び/または5’UTR中のいずれか1つのmiR部位(例えば、B細胞及び樹状細胞の両方において多く存在するmiR−142)を組み込むことで、目的の複数の細胞型においてそのような効果を媒介できる。
【0257】
一部の実施形態では、複数のmiRを有する同じ細胞型を標的とすること、ならびに3pアーム及び5pアームの両方が多く存在する(例えば、miR−142−3p及びmiR142−5pの両方が造血幹細胞内に多く存在する)場合、それら両方の各々に対し結合部位を組み込むことが、有益とされ得る。したがって、ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、(i)miR−142、miR−144、miR−150、miR−155及びmiR−223(多くの造血細胞で発現するもの)からなる群;あるいは(ii)miR−142、miR150、miR−16及びmiR−223(B細胞で発現するもの)からなる群;あるいはmiR−223、miR−451、miR−26a、miR−16(前駆造血細胞で発現するもの)からなる群からの2つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多く)のmiR結合部位を含む。
【0258】
一部の実施形態では、様々なmiRを組み合わせることにより、目的の複数の細胞型を同時に標的とする(例えば、造血系統及び内皮細胞中の多くの細胞を標的とするためにはmiR−142及びmiR−126)ことも有益であり得る。したがって、例えば、ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、2つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多く)のmiRNA結合部位を含み、その際、(i)miRのうちの少なくとも1つは造血系統の細胞(例えば、miR−142、miR−144、miR−150、miR−155もしくはmiR−223)を標的とし、かつmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板または内皮細胞(例えば、miR−126)を標的とする;または(ii)miRのうちの少なくとも1つはB細胞(例えば、miR−142、miR150、miR−16もしくはmiR−223)を標的とし、かつmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞(例えば、miR−126)を標的とする;または(iii)miRのうちの少なくとも1つは前駆造血細胞(例えば、miR−223、miR−451、miR−26aもしくはmiR−16)を標的とし、かつmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞(例えば、miR−126)を標的とする;または(iv)miRのうちの少なくとも1つは造血系統の細胞(例えば、miR−142、miR−144、miR−150、miR−155もしくはmiR−223)を標的とし、miRのうちの少なくとも1つはB細胞(例えば、miR−142、miR150、miR−16もしくはmiR−223)を標的とし、かつmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板または内皮細胞(例えば、miR−126)を標的とする;あるいは上記4つのクラスのmiR結合部位の他の任意の可能な組合せ(すなわち、造血系統を標的とするもの、B細胞を標的とするもの、前駆造血細胞を標的とするもの及び/または形質細胞様樹状細胞/血小板/内皮細胞を標的とするもの)を含む。
【0259】
一実施形態では、免疫応答を調節するために、本発明のポリヌクレオチドは、従来の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現し、かつ炎症誘発性サイトカイン及びまたはケモカインを分泌する任意の細胞(例えば、末梢リンパ器官及び/または脾細胞及び/または内皮細胞の免疫細胞)で発現する1つまたは複数のmiRに結合する1つまたは複数のmiRNA結合配列を含み得る。従来の免疫細胞、またはTLR7及びTLR8を発現し、かつ炎症誘発性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞(例えば、末梢リンパ器官の免疫細胞及び/または脾細胞及び/または内皮細胞)で発現する1つまたは複数のmiRを、mRNAに組み込むことにより、免疫細胞活性化(例えば、活性化B細胞の頻度により測定されるようなB細胞活性化)及び/またはサイトカイン産生(例えば、IL−6、IFN−γ及び/またはTNFαの産生)が減少する、または阻害されることが、昨今になって発見されている。さらに昨今では、従来の免疫細胞、またはTLR7及びTLR8を発現し、かつ炎症誘発性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞(例えば、末梢リンパ器官の免疫細胞及び/または脾細胞及び/または内皮細胞)で発現する1つまたは複数のmiRを、mRNA中に組み込むことにより、mRNAによりコードされる目的のタンパク質に対する抗薬物抗体(ADA)応答を減少させる、または阻害することができることが発見されている。
【0260】
別の実施形態では、脂質含有化合物または組成物中に含まれて送達されるポリヌクレオチドに対する加速血液クリアランスを調節するために、本発明のポリヌクレオチドは、1つまたは複数のmiRNAに結合する1つまたは複数のmiR結合配列を含み得、そのmiR結合配列は、従来の免疫細胞、またはTLR7及び/またはTLR8を発現し、かつ炎症誘発性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞(例えば、末梢リンパ器官の免疫細胞及び/または脾細胞及び/または内皮細胞)で発現するものである。昨今では、1つまたは複数のmiR結合部位をmRNA内に組み込むことにより、mRNAを送達する際に使用される脂質含有化合物または組成物に対する加速血液クリアランス(ABC)が減少する、または阻害されることが発見されている。さらに昨今では、1つまたは複数のmiR結合部位をmRNA中に組み込むことにより、抗PEG抗IgMの血清レベルが低下し(例えば、B細胞によるポリエチレングリコール(PEG)を認識するIgMの急性産生が減少する、または阻害され)、及び/または脂質含有化合物またはmRNAを含む組成物を投与された後に形質細胞様樹状細胞の増殖及び/または活性化が減少する、または阻害されることが発見されている。
【0261】
一部の実施形態では、miR配列は、免疫細胞で発現する任意の公知のマイクロRNAに対応し得て、このmiR配列には、限定されないが、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第US2005/0261218号、及び米国特許出願公開US2005/0059005号において教示されているものが含まれる。免疫細胞で発現するmiRの非限定的例には、脾臓細胞、骨髄系細胞、樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、B細胞、T細胞及び/またはマクロファージで発現するmiRが含まれる。例えば、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24及びmiR−27は骨髄系細胞で発現し、miR−155は樹状細胞、B細胞及びT細胞で発現し、miR−146はTLRを刺激した際にマクロファージで上方制御され、miR−126は形質細胞様樹状細胞で発現する。ある特定の実施形態では、上記miR(複数可)は、免疫細胞において豊富に、または優先的に発現する。例えば、miR−142(miR−142−3p及び/またはmiR−142−5p)、miR−126(miR−126−3p及び/またはmiR−126−5p)、miR−146(miR−146−3p及び/またはmiR−146−5p)、ならびにmiR−155(miR−155−3p及び/またはmiR155−5p)は、免疫細胞において豊富に発現する。これらのマイクロRNA配列は、当技術分野で公知であり、したがって、当業者は、これらのマイクロRNAがワトソン−クリック相補性に基づいて結合する結合配列または標的配列を容易に設計することができる。
【0262】
したがって、様々な実施形態で、本発明のポリヌクレオチドは、miR−142、miR−146、miR−155、miR−126、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24及びmiR−27からなる群から選択されるmiRの少なくとも1つのマイクロRNA結合部位を含む。別の実施形態では、上記mRNAは、免疫細胞で発現するマイクロRNAに対して少なくとも2つのmiR結合部位を含む。様々な実施形態で、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現するマイクロRNA用の1〜4つ(1、2、3または4つ)のmiR結合部位を含む。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、3つのmiR結合部位を含む。これらのmiR結合部位は、miR−142、miR−146、miR−155、miR−126、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマイクロRNAに対応し得る。一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現する同じmiR結合部位の2つ以上(例えば、2、3、4つ)のコピー、例えば、miR−142、miR−146、miR−155、miR−126、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27からなるmiRの群から選択されるmiR結合部位の2つ以上のコピーを含む。
【0263】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、同じmiR結合部位の3つのコピーを含む。ある特定の実施形態では、同じmiR結合部位のコピーを3つ使用すれば、単一のmiR結合部位の使用と比較して有益な特性を示し得る。3つのmiR結合部位を含む3’UTRの配列の非限定的例は、配列番号155(3つのmiR−142−3p結合部位)、及び配列番号157(3つのmiR−142−5p結合部位)に示す。
【0264】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現する少なくとも2つの異なるmiR結合部位2つ以上(例えば、2、3、4つ)のコピーを含む。2つ以上の異なるmiR結合部位を含む3’UTR配列の非限定的例は、配列番号111(1つのmiR−142−3p結合部位及び1つのmiR−126−3p結合部位)、配列番号158(2つのmiR−142−5p結合部位及び1つのmiR−142−3p結合部位)及び配列番号161(2つのmiR−155−5p結合部位及び1つのmiR−142−3p結合部位)で示される。
【0265】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現するマイクロRNAのための少なくとも2つのmiR結合部位を含み、その際、miR結合部位のうちの1つはmiR−142−3p用である。様々な実施形態で、本発明のポリヌクレオチドは、miR−142−3p及びmiR−155(miR−155−3pまたはmiR−155−5p)、miR−142−3p及びmiR−146(miR−146−3またはmiR−146−5p)、またはmiR−142−3p及びmiR−126(miR−126−3pまたはmiR−126−5p)のための結合部位を含む。
【0266】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現するマイクロRNAのための少なくとも2つのmiR結合部位を含み、その際、miR結合部位のうちの1つはmiR−126−3p用である。様々な実施形態で、本発明のポリヌクレオチドは、miR−126−3p及びmiR−155(miR−155−3pまたはmiR−155−5p)、miR−126−3p及びmiR−146(miR−146−3pまたはmiR−146−5p)、またはmiR−126−3p及びmiR−142(miR−142−3pまたはmiR−142−5p)用の結合部位を含む。
【0267】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現するマイクロRNA用の少なくとも2つのmiR結合部位を含み、その際、miR結合部位のうちの1つはmiR−142−5p用である。様々な実施形態で、本発明のポリヌクレオチドは、miR−142−5p及びmiR−155(miR−155−3pまたはmiR−155−5p)、miR−142−5p及びmiR−146(miR−146−3またはmiR−146−5p)、またはmiR−142−5p及びmiR−126(miR−126−3pまたはmiR−126−5p)のための結合部位を含む。
【0268】
さらに別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現するマイクロRNA用の少なくとも2つのmiR結合部位を含み、その際、miR結合部位のうちの1つはmiR−155−5p用である。様々な実施形態で、本発明のポリヌクレオチドは、miR−155−5p及びmiR−142(miR−142−3pまたはmiR−142−5p)、miR−155−5p及びmiR−146(miR−146−3またはmiR−146−5p)、またはmiR−155−5p及びmiR−126(miR−126−3pまたはmiR−126−5p)用の結合部位を含む。
【0269】
miRNAはまた、血管新生(例えばmiR−132)のような複雑な生物学的過程を調節することができる(Anand and Cheresh,Curr Opin Hematol 2011 18:171−176)。本発明のポリヌクレオチドにおいて、ポリヌクレオチドの発現を生物学的に関連する細胞型または関連する生物学的プロセスに合わせてカスタマイズするために、そのようなプロセスに関与するmiRNA結合部位を除去または導入することができる。これに関連して、本発明のポリヌクレオチドは、栄養要求性ポリヌクレオチドと定義される。
【0270】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、miRNA結合部位を含み、その際、miRNA結合部位は、miRNA結合部位配列のいずれか1つまたは複数の1つまたは複数のコピーを含む表3から選択される1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドはさらに、表3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多くの同じか、または異なるmiRNA結合部位(それらの任意の組合せを含む)を含む。
【0271】
一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、miR−142に結合するか、またはmiR−142に対して相補的である。一部の実施形態では、上記miR−142は、配列番号114を含む。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、miR−142−3pまたはmiR−142−5pに結合する。一部の実施形態では、上記miR−142−3p結合部位は、配列番号116を含む。一部の実施形態では、上記miR−142−5p結合部位は、配列番号118を含む。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、配列番号116または配列番号118と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは100%同一なヌクレオチド配列を含む。
【0272】
一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、miR−126に結合するか、またはmiR−126に対して相補的である。一部の実施形態では、上記miR−126は、配列番号119を含む。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、miR−126−3pまたはmiR−126−5pに結合する。一部の実施形態では、上記miR−126−3p結合部位は、配列番号121を含む。一部の実施形態では、上記miR−126−5p結合部位は、配列番号123を含む。一部の実施形態では、上記miRNA結合部位は、配列番号121または配列番号123と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは100%同一なヌクレオチド配列を含む。
【0273】
一実施形態では、上記3’UTRは、2つのmiRNA結合部位を含み、その際、第1のmiRNA結合部位はmiR−142に結合し、第2のmiRNA結合部位はmiR−126に結合する。特定の実施形態では、miR−142及びmiR−126に結合する3’UTRは、配列番号163の配列を含むか、この配列からなるか、または本質的にこの配列からなる。
【0274】
表3.miR−142、miR−126、及びmiR−142及びmiR−126結合部位
[この文献は図面を表示できません]
【0275】
一部の実施形態では、miRNA結合部位は、ポリヌクレオチドの任意の位置(例えば、5’UTR及び/または3’UTR)で、本発明のポリヌクレオチド中に挿入される。一部の実施形態では、上記5’UTRは、miRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、miRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、上記5’UTR及び3’UTRは、miRNA結合部位を含む。上記ポリヌクレオチドへのmiRNA結合部位の挿入が、対応するmiRNAの非存在下で機能性ポリペプチドの翻訳を妨げない限り;及びmiRNAの存在下では、ポリヌクレオチドへのmiRNA結合部位の挿入と、miRNA結合部位の対応するmiRNAへの結合とがポリヌクレオチドを劣化させ得る、またはポリヌクレオチドの翻訳を妨げ得る限り、ポリヌクレオチド内の挿入部位はポリヌクレオチド内のどこにあってもよい。
【0276】
一部の実施形態では、miRNA結合部位は、ORFを含む本発明のポリヌクレオチド中のORFの停止コドンから少なくとも約30ヌクレオチド下流に挿入される。一部の実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチド中のORFの停止コドンから少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約55ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約65ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約85ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約95ヌクレオチド、または少なくとも約100ヌクレオチド下流に挿入される。一部の実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチド中のORFの停止コドンから約10ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、約20ヌクレオチド〜約90ヌクレオチド、約30ヌクレオチド〜約80ヌクレオチド、約40ヌクレオチド〜約70ヌクレオチド、約50ヌクレオチド〜約60ヌクレオチド、約45ヌクレオチド〜約65ヌクレオチド下流に挿入される。
【0277】
一部の実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチド、例えば、mRNA内のコード領域の停止コドンの直後にある3’UTR内に挿入される。一部の実施形態では、コンストラクト内に停止コドンのコピーが複数存在する場合、miRNA結合部位は、最後の停止コドンの直後に挿入される。一部の実施形態では、miRNA結合部位は、停止コドンのさらに下流に挿入され、その場合、停止コドンとmiR結合部位との間に3’UTR塩基が存在する。一部の実施形態では、3’UTR内のmiR用の可能な挿入部位の3つの非限定的例を、配列番号162、163、及び164に示すが、それらは、それぞれ3’UTR内の3つの異なる可能な挿入部位のうちの1つに、miR−142−3p部位が挿入された3’UTR配列を示す。
【0278】
一部の実施形態では、1つまたは複数のmiRNA結合部位は、5’UTR内の1つまたは複数の可能な挿入部位に位置し得る。例えば、5’UTR内のmiR用の可能な挿入部位の3つの非限定的例を、配列番号165、166、または167に示すが、それらは、それぞれ5’UTR内の3つの異なる可能な挿入部位のうちの1つに、miR−142−3p部位が挿入された5’UTR配列を示す。
【0279】
一実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは停止コドンを含み、かつ少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、停止コドンの後の3’UTR1〜100ヌクレオチド以内に位置する。一実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは停止コドンを含み、かつ免疫細胞で発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は停止コドンの後の、3’UTRの30〜50ヌクレオチド以内に位置する。別の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは停止コドンを含み、かつ免疫細胞で発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は停止コドンの後の3’UTRの少なくとも50ヌクレオチド以内に位置する。他の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは停止コドンを含み、かつ免疫細胞で発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、停止コドンの直後の3’UTR内、停止コドンの後の3’UTRの15〜20ヌクレオチド以内、または停止コドンの後の3’UTRの70〜80ヌクレオチド以内に位置する。他の実施形態では、3’UTRは、1つより多いmiRNA結合部位(例えば、2〜4個のmiRNA結合部位)を含み、各miRNA結合部位間にスペーサ領域(例えば、10〜100、20〜70または30〜50ヌクレオチド長)が存在し得る。別の実施形態では、上記3’UTRは、miRNA結合部位(複数可)の末端とポリAテイルヌクレオチドとの間にスペーサ領域を含む。例えば、miRNA結合部位(複数可)の末端とポリAテイルの開始部との間には、10〜100ヌクレオチド長、20〜70ヌクレオチド長、または30〜50ヌクレオチド長のスペーサ領域が存在し得る。
【0280】
一実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは開始コドンを含み、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンより1〜100ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。一実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは開始コドンを含み、免疫細胞で発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンより10〜50ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。別の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは開始コドンを含み、免疫細胞で発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンより少なくとも25ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。他の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは開始コドンを含み、免疫細胞で発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンの直前の5’UTR内、または開始コドンより15〜20ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内、または開始コドンより70〜80ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。他の実施形態では、5’UTRは、1つより多いmiRNA結合部位(例えば、2〜4個のmiRNA結合部位)を含み、その際、各miRNA結合部位間にスペーサ領域(例えば、10〜100、20〜70または30〜50ヌクレオチド長)が存在し得る。
【0281】
一実施形態では、上記3’UTRは、1つより多い停止コドンを含み、その際、停止コドンの下流には少なくとも1つのmiRNA結合部位が位置する。例えば、3’UTRは、1つ、2つまたは3つの停止コドンを含み得る。使用することができる三連停止コドンの非限定的例には、UGAUAAUAG(配列番号124)、UGAUAGUAA(配列番号125)、UAAUGAUAG(配列番号126)、UGAUAAUAA(配列番号127)、UGAUAGUAG(配列番号128)、UAAUGAUGA(配列番号129)、UAAUAGUAG(配列番号130)、UGAUGAUGA(配列番号131)、UAAUAAUAA(配列番号132)、及びUAGUAGUAG(配列番号133)が含まれる。3’UTR内部では、例えば、1、2、3もしくは4つのmiRNA結合部位、例えば、miR−142−3p結合部位は、停止コドン(複数可)に直接隣接して、または最後の停止コドンから任意の数のヌクレオチド下流に位置し得る。3’UTRは、複数のmiRNA結合部位を含み、これらの結合部位は、コンストラクト内で互いに隣接して(すなわち、順番に)配置され得る。あるいは別法では、スペーサヌクレオチドが各結合部位の間に配置され得る。
【0282】
一実施形態では、上記3’UTRは、第3の停止コドンより下流に位置する単一のmiR−142−3p結合部位を有する3つの停止コドンを含む。3つの停止コドン、及び最後の停止コドンより下流の異なる位置に位置する単一のmiR−142−3p結合部位を有する3’UTR列配列の非限定的例を、配列番号151、162、163、及び164に示す。
表4A.5’UTR、3’UTR、miR配列、及びmiR結合部位
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停止コドン=太字
miR 142−3p結合部位=下線
miR 126−3p結合部位=太字に下線
miR 155−5p結合部位=斜体
miR 142−5p結合部位=斜体の太字に下線
表4B.例示的な好ましいUTR
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【0283】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、5’UTR、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレーム、免疫細胞で発現したmiR用の少なくとも1つのmiRNA結合部位を含む3’UTR、及び結合ヌクレオシドの3’テイル領域を含む。様々な実施形態で、3’UTRは、免疫細胞で発現したmiR、好ましくは免疫細胞で豊富にまたは優先的に発現したmiR用のmiRNA結合部位を1〜4つ(少なくとも2つ、1つ、2つ、3つもしくは4つ)含む。
【0284】
一実施形態では、免疫細胞で発現する少なくとも1つのmiRNAは、miR−142−3pマイクロRNA結合部位である。一実施形態では、miR−142−3pマイクロRNA結合部位は、配列番号116に示す配列を含む。一実施形態では、miR−142−3pマイクロRNA結合部位を含むmRNAの3’UTRは、配列番号134に示す配列を含む。
【0285】
一実施形態では、免疫細胞で発現する少なくとも1つのmiRNAは、miR−126マイクロRNA結合部位である。一実施形態では、miR−126結合部位は、miR−126−3p結合部位である。一実施形態では、miR−126−3pマイクロRNA結合部位は、配列番号121に示す配列を含む。一実施形態では、miR−126−3pマイクロRNA結合部位を含む本発明のmRNAの3’UTRは、配列番号149に示す配列を含む。
【0286】
本開示のマイクロRNA結合部位(複数可)が結合し得るmiRの非限定的例示的配列には、miR−142−3p(配列番号115)、miR−142−5p(配列番号117)、miR−146−3p(配列番号135)、miR−146−5p(配列番号136)、miR−155−3p(配列番号137)、miR−155−5p(配列番号138)、miR−126−3p(配列番号120)、miR−126−5p(配列番号122)、miR−16−3p(配列番号139)、miR−16−5p(配列番号140)、miR−21−3p(配列番号141)、miR−21−5p(配列番号142)、miR−223−3p(配列番号143)、miR−223−5p(配列番号144)、miR−24−3p(配列番号145)、miR−24−5p(配列番号146)、miR−27−3p(配列番号147)及びmiR−27−5p(配列番号148)が含まれ得る。免疫細胞で発現する他の適切なmiR配列(例えば、免疫細胞内に豊富にまたは優先的に発現)は、当技術分野において、例えば、マンチェスター大学のマイクロRNAデータベース、miRBaseで公知であり利用可能である。前述のmiRのいずれかと結合する部位は、miRに対するワトソン−クリック相補性、典型的にはmiRに対する100%相補性に基づいて設計され、本明細書に記載のとおりの本開示のmRNAコンストラクトに挿入することができる。
【0287】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、及びmRNA、例えば、その3’UTR)は、少なくとも1つのmiRNA結合部位を含み、それにより、例えば、IgMの産生を減少させる、または阻害することにより、例えば、B細胞による、PEGに対する加速血液クリアランスを減少させる、または阻害する、及び/またはpDCの増殖及び/または活性化を減少させる、または阻害することができ、目的のコードされたタンパク質の組織発現を調節するための、少なくとも1つのmiRNA結合部位を含み得る。
【0288】
miRNA遺伝子調節は、限定されないが、周囲の配列の種、配列の型(異種、相同、外因性、内在性もしくは人工)、周囲の配列内の調節エレメント及び/または周囲の配列内の構造エレメントなどのmiRNAを囲繞する配列による影響を受け得る。miRNAは、5’UTR及び/または3’UTRによる影響を受け得る。非限定的例として、非ヒト3’UTRは、同じ配列型のヒト3’UTRと比較して、miRNA配列が目的のポリペプチドの発現に対して及ぼす調節効果を増大させ得る。
【0289】
一実施形態では、5’UTRの他の調節エレメント及び/または構造エレメントは、miRNA媒介性遺伝子調節に影響し得る。制御エレメント及び/または構造エレメントの一例は、5’UTR中の構造化IRES(内部リボソーム侵入部位)であり、これは、タンパク質翻訳を開始するに当たって、翻訳伸長因子の結合に必要とされる。5’UTR内のこの二次構造エレメントに対するEIF4A2の結合は、miRNA媒介性遺伝子の発現に必要である(全体が参照により本明細書に援用されるMeijer HA et al.,Science,2013,340,82−85)。マイクロRNA媒介性遺伝子調節を増強するために、本発明のポリヌクレオチドはさらに、この構造化5’UTRを含むことができる。
【0290】
少なくとも1つのmiRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRに操作することができる。これに関連して、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれより多くのmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRに操作することができる。例えば1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、2、または1つのmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRに操作することができる。一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれたmiRNA結合部位は、同じまたは異なるmiRNA部位であり得る。本発明のポリヌクレオチドに組み込まれた種々のmiRNA結合部位の組合せには、異なるmiRNA部位のいずれかの、1を超えるコピーが組み込まれている組合せが含まれ得る。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNA結合部位は、体内の同じ組織または異なる組織を標的とし得る。非限定的例として、本発明のポリヌクレオチドの3’UTR内に組織、細胞型または疾患特異的miRNA結合部位を導入することにより、特異的細胞型(例えば、骨髄細胞、内皮細胞)内での発現の度合いを減少させることができる。
【0291】
一実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチド中の3’UTRの5’末端付近に、3’UTRの5’末端と3’末端との間の約半分のところに、及び/または3’UTRの3’末端の付近に操作され得る。非限定的例として、miRNA結合部位は、3’UTRの5’末端付近に、及び3’UTRの5’末端と3’末端との間の約半分のところに操作され得る。別の非限定的例として、miRNA結合部位は、3’UTRの3’末端付近に、及び3’UTRの5’末端と3’末端との間の約半分のところに操作され得る。別の非限定的例では、miRNA結合部位は、3’UTRの5’末端付近に、及び3’UTRの3’末端付近に操作され得る。
【0292】
別の実施形態では、3’UTRは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のmiRNA結合部位を含み得る。miRNA結合部位は、miRNA、miRNAシード配列、及び/またはシード配列に隣接するmiRNA配列に対して相補的であり得る。
【0293】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの発現は、少なくとも1つのセンサー配列をポリヌクレオチドに組み込み、投与用にポリヌクレオチドを製剤化することにより制御することができる。非限定的例として、本発明のポリヌクレオチドは、miRNA結合部位を組み込み、本明細書に記載の脂質のいずれかを含むイオン性脂質を含む脂質ナノ粒子中にポリヌクレオチドを配合することにより、組織または細胞を標的とし得る。
【0294】
本発明のポリヌクレオチドを、異なる組織、細胞型、または生物学的状態におけるmiRNAの発現パターンに基づいて、特定の組織、細胞型もしくは生物学的状態において標的化を強化した発現用に操作することもできる。組織特異的miRNA結合部位を導入することにより、本発明のポリヌクレオチドを、組織もしくは細胞での最適なタンパク質発現のために、または生物学的状態という観点から設計することができる。
【0295】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、公知のmiRNAシード配列に対して100%の同一性を有するか、またはmiRNAシード配列に対して100%未満の同一性を有するmiRNA結合部位が組み込まれるように設計することができる。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、公知のmiRNAシード配列に対して少なくとも:60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するmiRNA結合部位が組み込まれるように設計することができる。miRNAシード配列は、miRNA結合親和性を低下させて、結果としてポリヌクレオチドの下方調節が減少するように、部分的に変異させることができる。本質的に、miRNA結合部位とmiRNAシードとの間の一致または不一致の度合いは、タンパク質発現を調節するmiRNAの能力をより細かく調整するための可変抵抗器として作用することができる。加えて、miRNA結合部位の非シード領域内での変異はまた、タンパク質発現を調節するmiRNAの能力に影響を及ぼす可能性がある。
【0296】
一実施形態では、miRNA配列を、ステムループのループに組み込むことができる。
【0297】
別の実施形態では、miRNAシード配列をステムループのループ内に組み込むことができ、miRNA結合部位をステムループの5’ステム内または3’ステム内に組み込むことができる。
【0298】
一実施形態では、5’UTRのmiRNA配列を使用して、本明細書に記載の本発明のポリヌクレオチドを安定化することができる。
【0299】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの5’UTR内のmiRNA配列を使用することで、限定されないが、開始コドンなどの翻訳開始部位へのアクセス性を減少させることができる。例えば、全体が参照により本明細書に援用されるMatsuda et al.,PLoS One.2010 11(5):e15057を参照されたい。これは、開始コドンの周りのアンチセンスロック核酸(LNA)オリゴヌクレオチド及びエキソン接合部複合体(EJC)を用いて(−4〜+37;AUGコドンのAは+1)、最初の開始コドン(AUG)へのアクセス性を減少させた。Matsudaは、LNAまたはEJCを用いて開始コドン周辺の配列を変更すると、ポリヌクレオチドの効率、長さ及び構造安定性に影響が及ぶことを示した。本発明のポリヌクレオチドは、Matsudaらにより記載されたLNAまたはEJC配列でなく、miRNA配列を翻訳開始部位近くに含めることで、翻訳開始部位へのアクセス性を減少させることができる。翻訳開始部位は、miRNA配列の前、後またはその中に存在し得る。非限定的例として、翻訳開始部位は、miRNA配列、例えばシード配列または結合部位の内部に位置し得る。
【0300】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドには、抗原提示細胞による抗原提示を減少させるために、少なくとも1つのmiRNAを含み得る。上記miRNAは、完全なmiRNA配列、miRNAシード配列、miRNA配列(シードなし)、またはそれらの組合せであり得る。非限定的例として、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNAは、造血系に特異的であり得る。別の非限定的例として、抗原提示を減少させるために本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNAは、miR−142−3pである。
【0301】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、目的の組織または細胞でのコードされたポリペプチドの発現を減少させるために少なくとも1つのmiRNAを含むことができる。非限定的例として、本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つのmiR−142−3p結合部位、miR−142−3pシード配列、miR−142−3p結合部位(シードなし)、miR−142−5p結合部位、miR−142−5pシード配列、miR−142−5p結合部位(シードなし)、miR−146結合部位、miR−146シード配列及び/またはmiR−146結合部位(シード配列なし)を含むことができる。
【0302】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞中のmRNA治療薬を選択的に分解するための少なくとも1つのmiRNA結合部位を3’UTRに含むことで、治療的送達により引き起こされる望ましくない免疫原性反応を抑制することができる。非限定的例として、miRNA結合部位が、抗原提示細胞内の本発明のポリヌクレオチドの不安定度を高め得る。これらのmiRNAの非限定的例には、mir−142−5p、mir−142−3p、mir−146a−5p、及びmir−146−3pが含まれる。
【0303】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、RNA結合タンパク質と相互作用し得るポリヌクレオチドの領域内に少なくとも1つのmiRNA配列を含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、(i)G6PCポリペプチド(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)をコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、ORF)、ならびに(ii)miRNA結合部位(例えば、miR−142に結合するmiRNA結合部位)、及び/またはmiR−126に結合するmiRNA結合部位を含む。
【0304】
12.3’UTR
ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、本発明のG6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)はさらに、3’UTRを含む。
【0305】
3’UTRは、翻訳停止コドンのすぐ後に続くmRNAのセクションであり、多くの場合に、転写後に遺伝子発現に対し影響を与える調節領域を含む。3’UTR内の調節領域は、mRNAのポリアデニル化、翻訳効率、局在化、及び安定性に影響を及ぼし得る。一実施形態では、本発明に有用な3’UTRは、調節タンパク質またはマイクロRNAに対する結合部位を含む。
【0306】
ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに有用な3’UTRは、配列番号4、104〜113、150、及び175、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される3’UTRを含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号111、112、または113またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される核酸配列を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号111の核酸配列を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号112の核酸配列を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号113の核酸配列を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号150の核酸配列を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号175の核酸配列を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号212の核酸配列を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、配列番号213の核酸配列を含む。
【0307】
ある特定の実施形態では、本発明に有用な3’UTR配列は、配列番号4、104〜113、150、及び175、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される3’UTR配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なヌクレオチド配列を含む。
【0308】
ある特定の実施形態では、本発明に有用な3’UTR配列は、配列番号4、配列番号111、配列番号150、配列番号175、配列番号177、配列番号178、配列番号212、または配列番号213、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される3’UTR配列からなる群から選択される配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なヌクレオチド配列を含む。
【0309】
13.5’キャップを有する領域
本発明はまた、5’キャップと本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含む、ポリヌクレオチドを含む。
【0310】
天然mRNAの5’キャップ構造は、核外輸送に関与し、mRNAの安定性を上昇させ、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)ととポリ(A)結合タンパク質との会合を介して細胞内でのmRNA安定性及び翻訳適格性を担うCBPと結合することにより、成熟した環状mRNA種を形成する。上記キャップはさらに、mRNAのスプライシング中に5’近位イントロンを除去する一助となる。
【0311】
内因性mRNA分子は、5’末端キャッピングされて、末端グアノシンキャップ残基とmRNA分子の5’末端転写センスヌクレオチドとの間に5’−ppp−5’−トリホスファート結合を生成していてよい。次いで、この5’−グアニレートキャップがメチル化されると、N7−メチル−グアニレート残基が生成され得る。mRNAの5’末端及び/または末端前転写ヌクレオチドのリボース糖も任意選択で、2’−O−メチル化され得る。グアニレートキャップ構造の加水分解及び切断を介した5’デキャッピングは、分解のためにmRNA分子などの核酸分子を標的とし得る。
【0312】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)には、キャップ部分が組み込まれている。
【0313】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)が非加水分解性キャップ構造を含むと、デキャッピングが防止されて、mRNA半減期が延びる。キャップ構造の加水分解では5’−ppp−5’ホスホロジエステル結合の切断が必要とされるので、キャッピング反応中に修飾ヌクレオチドが使用され得る。例えば、New England Biolabs(Ipswich,MA)製のワクシニアキャッピング酵素を、製造者指示に従ってα−チオ−グアノシンヌクレオチドと併用することで、5’−ppp−5’キャップ中にホスホロチオアート結合を生ずることができる。追加の修飾グアノシンヌクレオチド、例えば、α−メチル−ホスホナート及びセレノ−フォスファートヌクレオチドを使用することもできる。
【0314】
追加の修飾には、限定されないが、糖環の2’−ヒドロキシル基上での(上記)ポリヌクレオチドの5’末端及び/または5’末端前ヌクレオチドのリボース糖の2’−O−メチル化が含まれる。複数の異なる5’キャップ構造を用いることにより、mRNA分子として機能するポリヌクレオチドなどの、核酸分子の5’キャップを生成することができる。本明細書において、キャップアナログは、合成キャップアナログ、化学的キャップ、化学的キャップアナログ、または構造的もしくは機能性キャップアナログとも称され、キャップ機能を保持しているが、その化学構造において天然の(すなわち、内因性、野生型もしくは生理学的)5’キャップとは異なる。キャップアナログを、本発明のポリヌクレオチドに化学的に(すなわち非酵素的に)または酵素的に合成し、及び/または本発明のポリヌクレオチドに結合することができる。
【0315】
例えば、抗逆方向キャップアナログ(ARCA)キャップは、5’−5’−トリホスファート基により結合された2つのグアニンを含み得、その際、一方のグアニンには、N7メチル基と、3’−O−メチル基(すなわち、N7,3’−O−ジメチル−グアノシン−5’−トリフォスファート−5’−グアノシン(m
7G−3’mppp−G)、等価的に3’O−Me−m7G(5’)ppp(5’)G)と称され得る)とが含有されている。他方の修飾されていないグアニンの3’−O原子は、キャップ付きポリヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに結合されるようになる。N7−及び3’−O−メチル化グアニンにより、キャップ付きポリヌクレオチドの末端部分が提供される。
【0316】
別の例示的なキャップは、mCAPであり、これは、ARCAに類似しているが、グアノシン上に、2’−O−メチル基を有する(すなわち、N7,2’−O−ジメチル−グアノシン−5’−トリホスファート−5’−グアノシン、m
7Gm−ppp−G)。
【0317】
一部の実施形態では、上記キャップは、ジヌクレオチドキャップアナログである。非限定的例として、ジヌクレオチドキャップアナログは、全容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,519,110号において記載されているジヌクレオチドキャップアナログなど、ボラノホスファート基またはホスホロセレノアート基を用いて異なるホスファート位置で修飾され得る。
【0318】
別の実施形態では、上記キャップは、キャップアナログであり、当技術分野で公知の、及び/または本明細書に記載のキャップアナログのN7−(4−クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチド形態である。N7−(4−クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチド形態のキャップアナログの非限定的例には、N7−(4−クロロフェノキシエチル)−G(5’)ppp(5’)G、及びN7−(4−クロロフェノキシエチル)−m
3’−OG(5’)ppp(5’)Gキャップアナログが含まれる(例えば、内容全体が参照により本明細書に援用されるKore et al.Bioorganic & Medicinal Chemistry 2013 21:4570−4574に記載されている種々のキャップアナログ及びキャップアナログの合成方法を参照されたい)。別の実施形態では、本発明のキャップアナログは、4−クロロ/ブロモフェノキシエチルアナログである。
【0319】
キャップアナログは、ポリヌクレオチドまたはその領域に対する同時的キャッピングを可能にするが、in vitro転写反応では、転写産物のうちの最高20%が、キャップされていないまま維持され得る。このことと、さらには、内因性細胞転写機構を介して産生された核酸の内因性5’キャップ構造とのキャップアナログの構造上の相違とが、翻訳適格性の低下及び細胞安定性の低下をももたらし得る。
【0320】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)をまた、製造後(IVTかそれとも化学合成かを問わず)に酵素を使用してキャッピングして、高真正性5’キャップ構造を生成することができる。本明細書で使用する場合、「高真正性」という語句は、内因性または野生型特徴を、構造的にもしくは機能的に、密接に反映するかあるいは模倣する特徴を指す。すなわち、「高真正性」特徴とは、先行技術の合成の特徴またはアナログなどと比較して、内因性、野生型、天然もしくは生理学的な細胞機能及び/または構造に優れているか、あるいは1つまたは複数の点で対応する内因性、野生型、天然もしくは生理学的特徴よりも優れているものの代表例である。本発明の高真正性5’キャップ構造の非限定的例は特に、当技術分野で公知の合成5’キャップ構造と比較して(または野性型、天然型または生理学的な5’キャップ構造と比較して)、キャップ結合タンパク質の結合が強化され、半減期が延び、5’エンドヌクレアーゼに対する感受性が減少し、及び/または5’デキャッピングが減少しているものである。例えば、組換えワクシニアウイルスキャッピング酵素及び組換え2’−O−メチルトランスフェラーゼ酵素は、例えば当技術分野で公知の他の5’キャップアナログ構造に対して、ポリヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドとグアニンキャップヌクレオチドとの間に標準5’−5’−トリホスファート結合を生成し得、その際、キャップグアニンはN7メチル化を含み、mRNANの5’末端ヌクレオチドは、2’−O−メチルを含む。そのような構造は、キャップ1構造と称される。このキャップは、例えば、当技術分野で公知の他の5’キャップアナログ構造と比較して、翻訳適格性の向上、細胞安定性の増強、及び細胞性炎症性サイトカインの活性化の低下をもたらす。キャップ構造には、限定されないが、7mG(5’)ppp(5’)N,pN2p(キャップ0)、7mG(5’)ppp(5’)N1mpNp(キャップ1)、及び7mG(5’)−ppp(5’)N1mpN2mp(キャップ2)が含まれる。
【0321】
非限定的例として、製造後のキメラポリヌクレオチドのキャッピングは、キメラポリヌクレオチドのほぼ100%をキャップするほど、効率が高くなり得る。これは、in vitro転写反応の過程でキャップアナログがキメラポリヌクレオチドに結合される場合、対照的に約80%の効率である。
【0322】
本発明によれば、5’末端キャップは、内因性キャップまたはキャップアナログを含み得る。本発明によれば、5’末端キャップは、グアニンアナログを含み得る。有用なグアニンアナログには、限定されないが、イノシン、N1−メチル−グアノシン、2’フルオロ−グアノシン、7−デアザ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、2−アミノ−グアノシン、LNA−グアノシン、及び2−アジド−グアノシンが含まれる。
【0323】
14.ポリAテイル
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)はさらに、ポリAテイルを含む。さらなる実施形態では、安定化のために、ポリAテイル上に末端基を組み込むことができる。他の実施形態では、ポリAテイルはdes−3’ヒドロキシルテイルを含む。
【0324】
安定性を上昇させるために、RNAプロセシング中に、長鎖アデニンヌクレオチド(ポリAテイル)をmRNA分子などのポリヌクレオチドに付加することができる。転写直後に、転写物の3’末端が切断して、3’ヒドロキシルが遊離し得る。次いで、ポリAポリメラーゼにより、アデニンヌクレオチドの鎖がRNAに付加される。ポリアデニル化と呼ばれるこのプロセスにより、例えば、およそ80〜およそ250残基長(およそ80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250残基長を含む)のポリAテイルが付加される。一実施形態では、上記ポリAテイルは、100ヌクレオチド長(配列番号223)である。
【0325】
コンストラクトが核からエクスポートされた後に、ポリAテイルを付加することもできる。
【0326】
本発明によれば、安定化のために、ポリAテイル上に末端基を組み込むことができる。本発明のポリヌクレオチドは、des−3’ヒドロキシルテイルを含み得る。これらはまた、内容全体が参照により本明細書に援用されるJunjie Li,et al.(Current Biology,Vol.15,1501−1507,August 23,2005により教示されているような構造的残基または2’−O−メチル修飾を含み得る。
【0327】
本発明のポリヌクレオチドは、ヒストンmRNAを含む代替のポリAテイル構造を有する転写物がコードされるように、設計することができる。Norburyによれば、「末端ウリジル化はまた、ヒト複製依存性ヒストンmRNA上でも検出されてきた。これらのmRNAのターンオーバーは、染色体DNA複製が完了したかまたは阻害された後に有毒なヒストンが蓄積される可能性を未然に防止するうえで、重要であると考えられている。これらのmRNAは、3’ポリ(A)テイルが欠如している点で判別され、代わりに、その機能は、安定なステムループ構造及びその同族のステムループ結合タンパク質(SLBP)により担われ、後者はポリアデニル化されたmRNAのPABPと同じ機能を遂行する」(Norbury,“Cytoplasmic RNA:a case of the tail wagging the dog”,Nature Reviews Molecular Cell Biology;AOP,オンライン公開29 August 2013;doi:10.1038/nrm3645);この内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0328】
独自のポリAテイルの長さは、本発明のポリヌクレオチドに、ある特定の利点をもたらす。一般的に、存在する場合、ポリAテイルの長さは、30ヌクレオチド長を超える。別の実施形態では、上記ポリAテイルは、35ヌクレオチド長を超える(例えば、少なくとも約35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000ヌクレオチド長またはそれより長い)。
【0329】
一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドまたはその領域は、約30〜約3,000ヌクレオチド(例えば、30〜50、30〜100、30〜250、30〜500、30〜750、30〜1,000、30〜1,500、30〜2,000、30〜2,500、50〜100、50〜250、50〜500、50〜750、50〜1,000、50〜1,500、50〜2,000、50〜2,500、50〜3,000、100〜500、100〜750、100〜1,000、100〜1,500、100〜2,000、100〜2,500、100〜3,000、500〜750、500〜1,000、500〜1,500、500〜2,000、500〜2,500、500〜3,000、1,000〜1,500、1,000〜2,000、1,000〜2,500、1,000〜3,000、1,500〜2,000、1,500〜2,500、1,500〜3,000、2,000〜3,000、2,000〜2,500、及び2,500〜3,000)を含む。
【0330】
一部の実施形態では、上記ポリAテイルは、ポリヌクレオチド全体の長さ、またはポリヌクレオチドの特定領域の長さに関連して設計されている。この設計は、コーディング領域の長さ、特定の特徴もしくは領域の長さに基づき、またはポリヌクレオチドから発現される最終産物の長さに基づき得る。
【0331】
これに関連して、上記ポリAテイルは、ポリヌクレオチドまたはその特徴よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%長くてもよい。また、ポリAテイルを、そのポリAテイルの属するポリヌクレオチドの一部として設計してもよい。これに関連して、ポリAテイルは、コンストラクトの全長の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%もしくはそれを超える長さであってもよいし、あるいはコンストラクト領域またはコンストラクトの全長からポリAテイルを減じた長さであってもよい。さらに、ポリA結合タンパク質用に操作された結合部位、及びポリヌクレオチドの共役は、発現を増強し得る。
【0332】
加えて、ポリAテイルの3’末端における修飾ヌクレオチドを使用して、PABP(ポリA結合タンパク質)を介して3’末端経由で、複数の異なるポリヌクレオチドを一体的に結合することができる。関連する細胞株においてトランスフェクション実験を行うことができ、タンパク質の産生を、トランスフェクション後12時間目、24時間目、48時間目、72時間目及び7日目にELISAでアッセイすることができる。
【0333】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、ポリA−Gカルテット領域を含むように設計されている。G−カルテットは、DNA及びRNAの両方においてGリッチな配列により形成され得る4つのグアニンヌクレオチドの環状水素結合アレイである。この実施形態では、G−カルテットはポリAテイルの末端内に組み込まれている。結果として得られたポリヌクレオチドを、安定性、タンパク質の産生、及び様々な時点における半減期を含む他のパラメータに関してアッセイする。ポリA−Gカルテットは、120ヌクレオチド単独のポリAテイル(配列番号233)を用いて確認されたmRNAの少なくとも75%に相当するmRNAからのタンパク質の産生をもたらすことが発見されている。
【0334】
15.開始コドン領域
本発明はまた、開始コドン領域及び本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、開始コドン領域に類似する領域、または開始コドン領域と同様に機能する領域を有し得る。
【0335】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドの翻訳は、開始コドンAUG以外のコドン上で開始され得る。ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドン、例えば、限定されないが、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUG上で開始され得る(Touriol et al.Biology of the Cell 95(2003)169−178及びMatsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照;これらはそれぞれ、その内容全体が参照により本明細書に援用される)。
【0336】
非限定的例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドンACG上で開始される。別の非限定的例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドンCTGまたはCUG上で開始される。別の非限定的例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドンGTGまたはGUG上で開始される。
【0337】
翻訳を開始するコドンに隣接するヌクレオチド、例えば、限定されないが、開始コドンまたは代替の開始コドンは、ポリヌクレオチドの翻訳効率、長さ及び/または構造に影響を及ぼすことが公知である。(例えば、Matsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照されたい;これは、その内容全体が参照により本明細書に援用される)。翻訳を開始するコドンに隣接するヌクレオチドのいずれかをマスキングすることにより、ポリヌクレオチドの翻訳開始位置、翻訳効率、長さ及び/または構造を変更することができる。
【0338】
一部の実施形態では、開始コドンまたは代替の開始コドン付近でマスキング剤を使用してコドンをマスキングまたは隠蔽することにより、マスキングされた開始コドンまたは代替の開始コドンの翻訳開始確率を低下させることができる。マスキング剤の非限定的例には、アンチセンスロック核酸(LNA)ポリヌクレオチド及びエキソン接合部複合体(EJC)が含まれる(例えば、Matsuda and Mauroによるマスキング剤LNAポリヌクレオチド及びEJCに関する記述(PLoS ONE,2010 5:11)を参照されたい;これは、その内容全体が参照により本明細書に援用される)。
【0339】
別の実施形態では、マスキング剤を使用して、ポリヌクレオチドの開始コドンをマスキングすることにより、翻訳が代替の開始コドン上で開始される可能性を高めることができる。一部の実施形態では、マスキング剤を使用して第1の開始コドンまたは代替の開始コドンをマスキングして、マスキングされた開始コドンまたは代替開始コドンより下流の開始コドンまたは代替開始コドン上で翻訳が開始される可能性を高めることができる。
【0340】
一部の実施形態では、開始コドンまたは代替の開始コドンは、miRNA結合部位に対する完全補完体の内部に位置し得る。miRNA結合部位に対する完全補完体は、マスキング剤と同様にポリヌクレオチドの翻訳、長さ及び/または構造を制御する一助となり得る。非限定的例として、開始コドンまたは代替の開始コドンは、miRNA結合部位に対する完全補完体の中央に位置し得る。開始コドンまたは代替開始コドンは、第1ヌクレオチド、第2ヌクレオチド、第3ヌクレオチド、第4ヌクレオチド、第5ヌクレオチド、第6ヌクレオチド、第7ヌクレオチド、第8ヌクレオチド、第9ヌクレオチド、第10ヌクレオチド、第11ヌクレオチド、第12ヌクレオチド、第13ヌクレオチド、第14ヌクレオチド、第15ヌクレオチド、第16ヌクレオチド、第17ヌクレオチド、第18ヌクレオチド、第19ヌクレオチド、第20ヌクレオチドまたは第21ヌクレオチドの後に位置し得る。
【0341】
別の実施形態では、その開始コドン以外のコドン上で、ポリヌクレオチドの翻訳を開始させるために、ポリヌクレオチドの開始コドンをポリヌクレオチド配列から除去することができる。その除去された開始コドンの後に続くコドン上で、下流の開始コドン上で、または代替の開始コドン上で、ポリヌクレオチドの翻訳を開始することができる。非限定的例では、下流の開始コドン上でまたは代替の開始コドン上で、翻訳を開始させるために、開始コドンATGまたはAUGをポリヌクレオチド配列の最初の3ヌクレオチドとして除去する。翻訳の開始、ポリヌクレオチドの長さ、及び/またはポリヌクレオチドの構造を制御するか、あるいはその制御を試みるために、開始コドンが除去されたポリヌクレオチド配列はさらに、下流の開始コドン及び/または代替の開始コドンのために少なくとも1つのマスキング剤を含むことができる。
【0342】
16.停止コドン領域
本発明はまた、停止コドン領域、及び本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、3’非翻訳領域(UTR)の前に少なくとも2つの停止コドンを含み得る。DNAの場合はTGA、TAA及びTAGからコドンを選択することができ、RNAの場合はUGA、UAA及びUAGから停止コドンを選択することができる。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、DNAの場合は停止コドンTGA、またはRNAの場合は停止コドンUGA、及び1つの追加的な停止コドンを含む。さらなる一実施形態では、追加の停止コドンは、TAAまたはUAAであり得る。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、3つの連続的停止コドン、4つの停止コドン、またはそれより多くの停止コドンを含む。
【0343】
17.G6PCポリペプチドをコードするmRNAを含むポリヌクレオチド
ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチド、例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、5’末端から3’末端で:
(i)上で示した5’キャップ;
(ii)5’UTR、例えば、上で示した配列;
(iii)G6PCポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、例えば、本明細書に開示のG6PCをコードする配列最適化核酸配列;
(iv)少なくとも1つの停止コドン;
(v)3’UTR、例えば、上で示した配列;及び
(vi)上で示したポリAテイル
を含む。
【0344】
一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドはさらに、miRNA結合部位、例えば、miRNA−142に結合するmiRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、上記5’UTRは、上記miRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、上記3’UTRは、上記miRNA結合部位を含む。
【0345】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、野生型ヒトG6PC(配列番号199)またはそのバリアント(例えば、配列番号194〜198、200〜206、208、及び209)のタンパク質配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0346】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチド、例えば、ポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、(1)上で示した5’キャップ、例えば、CAP1、(2)5’UTR、(3)配列番号8、11〜20、22〜38、及び207からなる群から選択されるヌクレオチド配列ORF、(3)停止コドン、(4)3’UTR、及び(5)上で示したポリAテイル、例えば、約100残基のポリAテイルを含む。
【0347】
例示的なG6PCヌクレオチドコンストラクトを下に記載する:
配列番号45は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号2のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号46は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号5のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号47は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号6のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号48は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号7のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号49は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号7のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号50は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号9のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号51は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号10のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号52は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号7のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号53は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号12のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号54は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号13のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号55は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号14のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号56は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号15のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号57は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号16のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号58は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号17のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号59は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号18のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号60は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号19のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号61は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号20のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号62は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号11のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号63は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号8のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号64は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号207のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号65は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号22のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号66は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号23のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号67は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号24のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号68は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号25のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号69は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号26のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号70は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号27のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号71は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号28のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号72は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号29のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号73は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号30のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号74は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号31のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号75は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号32のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号76は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号33のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号77は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号34のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号78は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号35のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号79は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号36のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号80は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号37のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号81は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号38のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号150の3’UTRからなる。
配列番号214は、5’末端から3’末端で:配列番号210の5’UTR、配列番号23のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号175の3’UTRからなる。
配列番号215は、5’末端から3’末端で:配列番号210の5’UTR、配列番号23のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号178の3’UTRからなる.
配列番号217は、5’末端から3’末端で:配列番号3の5’UTR、配列番号23のG6PCヌクレオチドORF、及び配列番号178の3’UTRからなる。
【0348】
ある特定の実施形態では、配列番号53〜81、214、215、または217を有するコンストラクトにおいて、その中のすべてのウラシルが、N1−メチルシュードウラシルにより置換されている。ある特定の実施形態では、配列番号53〜81、214、215、または217を有するコンストラクトにおいて、その中のすべてのウラシルが、5−メトキシウラシルにより置換されている。
【0349】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチド、例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、(1)上で示した5’キャップ、例えば、CAP1、(2)配列番号53〜81、214、215、及び217からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびに(3)上で示したポリAテイル、例えば、約100残基のポリAテイルを含む。ある特定の実施形態では、配列番号53〜81、214、215、または217を有するコンストラクトにおいて、その中のすべてのウラシルが、N1−メチルシュードウラシルにより置換されている。ある特定の実施形態では、配列番号53〜81、214、215、または217を有するコンストラクトにおいて、その中のすべてのウラシルが、5−メトキシウラシルにより置換されている。
【0350】
表5−ヒトG6PCまたはそのバリアントをコードするORFを含む修飾mRNAコンストラクト(コンストラクト#1〜#39はそれぞれ、Cap1 5’末端キャップ及び3’末端ポリA領域を含む)
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【0351】
18.ポリヌクレオチドの作製方法
本開示はまた、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)またはその相補体を作製するための方法を提供する。
【0352】
一部の態様では、本明細書に開示され、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、in vitro転写(IVT)を使用して構築することができる。他の態様では、本明細書に開示され、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、オリゴヌクレオチド合成装置を使用する化学合成により構築することができる。
【0353】
他の態様では、本明細書に開示され、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、宿主細胞を使用して作製される。ある特定の態様では、本明細書に開示され、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、IVT、化学合成、宿主細胞発現、または当技術分野で公知の他の任意の方法のうちの1つまたは複数の組合せにより作製される。
【0354】
天然に生じるヌクレオシド、天然に存在しないヌクレオシド、またはそれらの組合せは、候補ヌクレオチド配列に存在する天然に生じるヌクレオシドを全体的または部分的に置換することができ、G6PCポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、RNA、例えば、mRNA)に組み込むことができる。次いで、得られたポリヌクレオチド、例えば、mRNAを、タンパク質を産生する能力及び/または治療成績を生じる能力について試験することができる。
【0355】
a.in vitro転写/酵素合成
本明細書に開示の本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、in vitro転写(IVT)系を使用して転写することができる。この系は典型的に、転写緩衝液、ヌクレオチド三リン酸(NTP)、RNアーゼ阻害剤、及びポリメラーゼを含む。NTPは、限定されないが、天然及び非天然(修飾)NTPを含む、本明細書に記載のものから選択することができる。上記ポリメラーゼは、限定されないが、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、及び変異型ポリメラーゼ、例えば、限定されないが、本明細書に開示のポリヌクレオチドを取り込むことができるポリメラーゼから選択することができる。全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開US20130259923号を参照されたい。
【0356】
任意数のRNAポリメラーゼまたはバリアントを、本発明のポリヌクレオチドの合成に使用することができる。RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ配列のアミノ酸を挿入または欠失させることにより修飾することができる。非限定的例として、上記RNAポリメラーゼを、非修飾RNAポリメラーゼと比較して、2’−修飾ヌクレオチド三リン酸を取り込む能力の増加を示すように修飾することができる(国際公開WO2008078180及び米国特許第8,101,385号を参照されたい;それらの全体が参照により本明細書に援用される)。
【0357】
バリアントは、RNAポリメラーゼを進化させ、RNAポリメラーゼのアミノ酸及び/または核酸配列を最適化することにより、及び/または当技術分野で公知の他の方法を使用することにより得ることができる。非限定的例として、T7 RNAポリメラーゼバリアントは、Esvelt et al.(Nature 472:499−503(2011);その全体が参照により本明細書に援用される)により述べられている連続指向性進化システムを使用して進化させることができ、その際、T7 RNAポリメラーゼのクローンは、少なくとも1つの変異、例えば、限定されないが、
スレオニン(K93T)、I4M、A7T、E63V、V64D、A65E、D66Y、T76N、C125R、S128R、A136T、N165S、G175R、H176L、Y178H、F182L、L196F、G198V、D208Y、E222K、S228A、Q239R、T243N、G259D、M267I、G280C、H300R、D351A、A354S、E356D、L360P、A383V、Y385C、D388Y、S397R、M401T、N410S、K450R、P451T、G452V、E484A、H523L、H524N、G542V、E565K、K577E、K577M、N601S、S684Y、L699I、K713E、N748D、Q754R、E775K、A827V、D851NまたはL864Fと置換された93位のリシンをコードすることができる。別の非限定的例として、T7 RNAポリメラーゼバリアントは、全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20100120024号及び同第20070117112号に記載のとおりの少なくとも変異をコードすることができる。RNAポリメラーゼのバリアントは、限定されないが、置換バリアント、保存的アミノ酸置換、挿入バリアント、及び/または欠失バリアントを含むこともできる。
【0358】
一態様では、上記ポリヌクレオチドは、野生型またはバリアントRNAポリメラーゼにより認識されるように設計することができる。そうすることで、上記ポリヌクレオチドを、野生型または親キメラポリヌクレオチドからの配列変化の部位または領域を含有するように修飾することができる。
【0359】
ポリヌクレオチドまたは核酸合成反応は、ポリメラーゼを利用する酵素的方法により実施することができる。ポリメラーゼは、ポリヌクレオチドまたは核酸鎖内のヌクレオチド間のホスホジエステル結合の生成を触媒する。現在公知のDNAポリメラーゼは、アミノ酸配列比較及び結晶構造解析に基づいて異なるファミリーに分けることができる。E.coliのクレノウ断片、Bacillus DNAポリメラーゼI、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、ならびにT7 RNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼを含むDNAポリメラーゼI(pol I)またはAポリメラーゼファミリーは、最もよく研究されたこれらのファミリーの1つである。別の大きなファミリーは、すべての真核生物複製DNAポリメラーゼ及びファージT4及びRB69由来のポリメラーゼを含むDNAポリメラーゼα(pol α)またはBポリメラーゼファミリーである。それらは、同様の触媒機序を用いるが、ポリメラーゼのこれらのファミリーは、基質特異性、基質アナログ組み込み効率、プライマー伸長の程度及び速度、DNA合成様式、エキソヌクレアーゼ活性、ならびに阻害剤に対する感受性において異なる。
【0360】
DNAポリメラーゼは、それらが必要とする最適な反応条件、例えば、反応温度、pH、ならびに鋳型及びプライマー濃度に基づいても選択される。場合により、複数のDNAポリメラーゼの組合せが、所望のDNA断片サイズ及び合成効率を達成するために用いられる。例えば、Cheng et al.は、pHを上昇させ、グリセロール及びジメチルスルホキシドを添加し、変性時間を減少させ、伸長時間を増加させ、クローニングされたインサート及びヒトゲノムDNAの長い標的を効果的に増幅する3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する第2の耐熱性DNAポリメラーゼを利用する(全体が参照により本明細書に援用されるCheng et al.,PNAS 91:5695−5699(1994))。バクテリオファージT3、T7、及びSP6由来のRNAポリメラーゼは、生化学的及び生物物理学的研究のためのRNAを調製するために広く使用されている。RNAポリメラーゼ、キャッピング酵素、及びポリAポリメラーゼは、同時係属中の国際公開WO2014/028429に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0361】
一態様では、本発明のポリヌクレオチドの合成に使用することができるRNAポリメラーゼは、Syn5 RNAポリメラーゼである(全体が参照により本明細書に援用されるZhu et al.Nucleic Acids Research 2013,doi:10.1093/nar/gkt1193を参照されたい)。Syn5 RNAポリメラーゼは近年、Zhuらにより海洋シアノファージSyn5から特徴付けられ、その際、彼らは、プロモーター配列も同定した(内容全体が参照により本明細書に援用されるZhu et al.Nucleic Acids Research 2013を参照されたい)。Zhuらは、Syn5 RNAポリメラーゼが、T7 RNAポリメラーゼと比較して、より広い範囲の温度及び塩分濃度にわたってRNA合成を触媒することを見出した。加えて、プロモーターでの開始ヌクレオチドに対する要件は、RNA合成に有望なSyn5 RNAポリメラーゼを作製するT7 RNAポリメラーゼと比較して、Syn5 RNAポリメラーゼでは、あまり厳しくないことが判明した。
【0362】
一態様では、Syn5 RNAポリメラーゼを、本明細書に記載のポリヌクレオチドの合成において使用することができる。非限定的例として、Syn5 RNAポリメラーゼを、精密な3’末端を必要とするポリヌクレオチドの合成において使用することができる。
【0363】
一態様では、Syn5プロモーターを、ポリヌクレオチドの合成において使用することができる。非限定的例として、Syn5プロモーターは、5’−ATTGGGCACCCGTAAGGG−3’(Zhuら(Nucleic Acids Research 2013)により記載されているとおりの配列番号185)であってよい。
【0364】
一態様では、Syn5 RNAポリメラーゼは、本明細書に記載及び/または当技術分野で公知の少なくとも1つの化学修飾を含むポリヌクレオチドの合成に使用することができる(例えば、Zhu et al.Nucleic Acids Research 2013に記載のシュードUTP及び5Me−CTPの組み込みを参照されたい)。
【0365】
一態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、Zhuら(Nucleic Acids Research 2013)により記載された修正及び改良された精製手順を使用して精製されているSyn5 RNAポリメラーゼを使用して合成することができる。
【0366】
遺伝子工学での様々なツールは、鋳型として作用する標的遺伝子の酵素的増幅に基づいている。目的の個々の遺伝子または特定の領域の配列の研究及び他の研究ニーズでは、ポリヌクレオチドまたは核酸の少量の試料から標的遺伝子の複数のコピーを生成することが必要である。そのような方法を、本発明のポリヌクレオチドの製造に適用することができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)とも呼ばれる核酸配列ベース増幅(NASBA)、及び/またはローリングサークル型増幅(RCA)を、本発明のポリヌクレオチドの1つまたは複数の領域の製造に利用することができる。リガーゼによるポリヌクレオチドまたは核酸のアセンブリングも広く用いられている。
【0367】
b.化学合成
目的の単離ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド配列、例えば、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を合成するための標準的な方法を適用することができる。例えば、特定の単離されたポリペプチドをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を含有する単一のDNAまたはRNAオリゴマーを合成することができる。他の態様では、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いで、ライゲートすることができる。一部の態様では、個々のオリゴヌクレオチドは典型的には、相補的なアセンブリのために、5’または3’オーバーハングを含有する。
【0368】
本明細書に開示のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、当技術分野で公知の化学合成方法及び可能なヌクレオ塩基置換を使用して、化学的に合成することができる。例えば、すべて全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2014093924、WO2013052523、WO2013039857、WO2012135805、WO2013151671;米国特許出願公開第20130115272号;または米国特許第8999380号もしくは同第8710200号を参照されたい。
【0369】
c.G6PCをコードするポリヌクレオチドの精製
本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の精製は、限定されないが、ポリヌクレオチドのクリーンアップ、品質保証、及び品質管理を含むことができる。クリーンアップは、当技術分野で公知の方法、例えば、限定されないが、AGENCOURT(登録商標)ビーズ(Beckman Coulter Genomics、Danvers,MA)、ポリTビーズ、LNA(商標)オリゴT捕捉プローブ(EXIQON(登録商標)Inc.,Vedbaek,Denmark)またはHPLCに基づく精製方法、例えば、限定されないが、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)により実施することができる。
【0370】
「精製された」という用語は、「精製されたポリヌクレオチド」などのポリヌクレオチドに関して使用される場合、少なくとも1つの汚染物質から分離されるものを指す。本明細書で使用する場合、「汚染物質」は、他を不適当、不純、または粗悪にする任意の物質である。したがって、精製されたポリヌクレオチド(例えば、DNA及びRNA)は、自然にみられるものとは異なる形態もしくは環境、または、それを処理もしくは精製方法に供する前に存在していたものとは異なる形態もしくは環境で存在する。
【0371】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の精製は、望ましくない免疫応答、例えば、サイトカイン活性の低下を減少させる、または除去することができる不純物を除去する。
【0372】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、カラムクロマトグラフィー(例えば、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)、または(LCMS))を使用して、投与前に精製される。
【0373】
一部の実施形態では、(カラムクロマトグラフィー(例えば、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC、疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)、または(LCMS))を使用して精製された本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、異なる精製方法で精製された本開示の同じポリヌクレオチドで得られた発現レベルと比較して、コードされたG6PCタンパク質の発現の増加を示す。
【0374】
一部の実施形態では、カラムクロマトグラフィー(例えば、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)、または(LCMS))精製ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の点変異の1つまたは複数を含むG6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0375】
一部の実施形態では、RP−HPLC精製ポリヌクレオチドの使用は、細胞でのG6PC質発現レベルを、それらの細胞に導入された場合に、RP−HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入する前または非RP−HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入した後の細胞内のG6PCタンパク質の発現レベルに対して、例えば、10〜100%、すなわち、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%上昇させる。
【0376】
一部の実施形態では、RP−HPLC精製ポリヌクレオチドの使用は、細胞内の機能性G6PCタンパク質発現レベルを、それらの細胞に導入された場合に、RP−HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入する前または非RP−HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入した後の細胞内のG6PCタンパク質の機能性発現レベルに対して、例えば、10〜100%、すなわち、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%上昇させる。
【0377】
一部の実施形態では、RP−HPLC精製ポリヌクレオチドの使用は、細胞内の検出可能なG6PC活性を、それらの細胞に導入された場合に、RP−HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入する前または非RP−HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入した後の細胞内の機能性G6PCの活性レベルに対して、例えば、10〜100%、すなわち、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%上昇させる。
【0378】
一部の実施形態では、精製ポリヌクレオチドは、少なくとも約80%の純度、少なくとも約85%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも約95%の純度、少なくとも約96%の純度、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、少なくとも約99%の純度、または約100%の純度である。品質保証及び/または品質管理チェックは、限定されないが、ゲル電気泳動、UV吸光度、または分析用HPLCなどの方法を使用して実施することができる。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、限定されないが、逆転写酵素PCRを含む方法で配列決定することができる。
【0379】
d.G6PCをコードする発現ポリヌクレオチドの定量化
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)、それらの発現産物、ならびに分解産物及び代謝産物を、当技術分野で公知の方法に従って定量化することができる。
【0380】
一部の実施形態では、エキソソーム内で、または1つまたは複数の体液から生じる場合に、本発明のポリヌクレオチドを定量化することができる。本明細書で使用する場合、「体液」は、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、滑液、房水、羊水、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液、前立腺液、カウパー液または尿道球腺液、汗、糞便、髪、涙、嚢胞液、胸膜及び腹腔液、心嚢液、リンパ液、消化粥、乳糜、胆汁、間質液、経血、膿、皮脂、嘔吐物、膣液、粘膜分泌液、糞便水、膵液、副鼻腔の洗浄液、気管支肺吸引液、胞胚腔液、及び臍帯血を含む。別法では、エキソソームは、肺、心臓、膵臓、胃、腸、膀胱、腎臓、卵巣、精巣、皮膚、結腸、乳房、前立腺、脳、食道、肝臓、及び胎盤からなる群から選択される器官から回収することができる。
【0381】
エキソソーム定量化法では、多くとも2mLの試料を対象から得、エキソソームは、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、分画遠心分離、ナノ膜限外濾過、免疫吸着捕捉、アフィニティー精製、マイクロ流体分離、またはそれらの組合せで単離される。この分析では、ポリヌクレオチドのレベルまたは濃度は、投与されるコンストラクトの発現レベル、存在、不存在、切断、または変更であり得る。レベルを、1つまたは複数の臨床表現型またはヒト疾患バイオマーカーのアッセイと関連させることが有利である。
【0382】
アッセイは、コンストラクト特異的プローブ、サイトメトリー、qRT−PCR、リアルタイムPCR、PCR、フローサイトメトリー、電気泳動、質量分析、またはそれらの組合せを使用して実施することができるが、エキソソームは、免疫組織化学的方法、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法を使用して単離することができる。エキソソームは、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、分画遠心分離、ナノ膜限外濾過、免疫吸着捕捉、アフィニティー精製、マイクロ流体分離、またはそれらの組合せでも単離することができる。
【0383】
これらの方法は、研究者に、残存するかまたは送達されたポリヌクレオチドのレベルをリアルタイムで監視する能力を提供する。これは、本発明のポリヌクレオチドが構造的または化学修飾のために内因性形態と異なるので可能である。
【0384】
一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、限定されないが、紫外可視分光法(UV/Vis)などの方法を使用して定量化することができる。UV/Vis分光計の非限定的例は、NANODROP(登録商標)分光計(ThermoFisher、Waltham,MA)である。定量化されたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが適切なサイズであることが可能かどうかを決定するために、分析することができ、ポリヌクレオチドの分解が生じていないことを確認することができる。ポリヌクレオチドの分解は、限定されないが、アガロースゲル電気泳動、HPLC系精製方法、例えば、限定されないが、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)、液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)、キャピラリー電気泳動(CE)、ならびにキャピラリーゲル電気泳動(CGE)などの方法で確認することができる。
【0385】
19.医薬組成物及び製剤
本発明は、上記ポリヌクレオチドのいずれかを含む医薬組成物及び製剤を提供する。一部の実施形態では、上記組成物または製剤は、送達剤をさらに含む。
【0386】
一部の実施形態では、上記組成物または製剤は、G6PCポリペプチドをコードする本明細書に開示の配列最適化核酸配列を含むポリヌクレオチドを含有することができる。一部の実施形態では、上記組成物または製剤は、G6PCポリペプチドをコードする本明細書に開示の配列最適化核酸配列と有意な配列同一性を有するポリヌクレオチド(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含有することができる。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、miRNA結合部位、例えば、miR−126、miR−142、miR−144、miR−146、miR−150、miR−155、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27、及びmiR−26aに結合するmiRNA結合部位をさらに含む。
【0387】
医薬組成物または製剤は、1つまたは複数のさらなる活性物質、例えば、治療的及び/または予防的活性物質を任意選択で含むことができる。本発明の医薬組成物または製剤は、滅菌及び/または発熱性物質不含であることができる。医薬品の製剤及び/または製造における一般的考察は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21
st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(その全体が参照により本明細書に援用される)に見出すことができる。一部の実施形態では、組成物は、ヒト、ヒト患者、または対象に投与される。本開示の目的のために、「活性成分」という語句は一般に、本明細書に記載のとおりに送達されるポリヌクレオチドを指す。
【0388】
本明細書に記載の製剤及び医薬組成物は、薬理学の分野で公知または以後開発される任意の方法により調製することができる。一般に、そのような調製方法は、活性成分を、添加剤及び/または1つまたは複数の他の補助成分と合わせるステップ、次いで、必要及び/または望ましい場合、分割し、成形し、及び/または製品を所望の単回投与単位もしくは複数回投与単位にパッケージングするステップを含む。
【0389】
本開示による医薬組成物または製剤は、バルクで、単回単位用量として、及び/または複数の単回単位用量として、調製、パッケージング、及び/または販売することができる。本明細書で使用する場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の別個の量を指す。活性成分の量は一般に、対象に投与される活性成分の投薬量、及び/または、そのような投薬量の好都合な分数、例えば、そのような投薬量の2分の1または3分の1と等しい。
【0390】
本開示による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される添加剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象のアイデンティティ、サイズ、及び/または状態に応じて、さらに、組成物が投与されるべき経路に応じて、変動し得る。
【0391】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び製剤は、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含有することができる。非限定的例として、上記組成物または製剤は、本発明の1、2、3、4、または5ポリヌクレオチドを含有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物または製剤は、複数タイプのポリヌクレオチドを含むことができる。一部の実施形態では、上記組成物または製剤は、線状及び環状形態のポリヌクレオチドを含むことができる。別の実施形態では、上記組成物または製剤は、環状ポリヌクレオチド及びin vitro転写された(IVT)ポリヌクレオチドを含むことができる。さらに別の実施形態では、上記組成物または製剤は、IVTポリヌクレオチド、キメラポリヌクレオチド、及び環状ポリヌクレオチドを含むことができる。
【0392】
本明細書で提供する医薬組成物及び製剤の説明は主に、ヒトへの投与に適する医薬組成物及び製剤に関するが、そのような組成物が一般に、他の任意の動物、例えば、非ヒト動物、例えば、非ヒト哺乳類への投与に適することは、当業者に理解されるであろう。
【0393】
本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む医薬製剤を提供する。本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(1)安定性を増加させるために;(2)細胞トランスフェクションを増加させるために;(3)(例えば、ポリヌクレオチドのデポ製剤から)持続放出または遅延放出を可能にするために;(4)生体内分布を変更するために(例えば、ポリヌクレオチドを特定の組織または細胞型に標的化するために);(5)in vivoで、コードされたタンパク質の翻訳を増加させるために;及び/または(6)in vivoで、コードされたタンパク質の放出プロフィールを変更するために、1つまたは複数の添加剤を使用して製剤化することができる。一部の実施形態では、上記医薬製剤は、例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1〜232のいずれか、例えば、化合物II;式(III)、(IV)、(V)、もしくは(VI)を有する化合物、例えば、化合物233〜342のいずれか、例えば、化合物VI;または式(VIII)を有する化合物、例えば、化合物419〜428のいずれか、例えば、化合物I、あるいはそれらの任意の組合せを含む送達剤をさらに含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物II、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物II、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約47.5:10.5:39.0:3.0のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物VI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物VI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約47.5:10.5:39.0:3.0のモル比で含む。
【0394】
薬学的に許容される添加剤には、限定されないが、本明細書で使用する場合、所望の特定の剤形に適するような、任意及びすべての溶媒、分散媒、もしくは他の液体ビヒクル、分散剤もしくは懸濁助剤、希釈剤、造粒剤及び/または分散剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、防腐剤、結合剤、滑沢剤もしくは油、着色剤、甘味剤もしくは香味剤、安定剤、酸化防止剤、抗菌剤もしくは抗真菌剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、緩衝剤、キレート剤、凍結保護剤、及び/または増量剤が含まれる。医薬組成物を製剤化するための様々な添加剤及び組成物を調製するための技術は、当技術分野で公知である(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006を参照されたい;その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0395】
例示的な希釈剤には、限定されないが、炭酸カルシウムもしくは炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微晶質セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトールなど、及び/またはそれらの組合せが含まれる。
【0396】
例示的な造粒剤及び/または分散剤には、限定されないが、デンプン、プレゼラチン化デンプンもしくは微晶質デンプン、アルギン酸、グアーガム、アガー、ポリ(ビニルピロリドン)、(プロビドン)、架橋ポリ(ビニルピロリドン)(クロスポビドン)、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウムなど、及び/またはそれらの組合せが含まれる。
【0397】
例示的な界面活性剤及び/または乳化剤には、限定されないが、天然の乳化剤(例えば、アカシア、アガー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドル(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート[TWEEN(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミタート[SPAN(登録商標)40]、グリセリルモノオレアート、ポリオキシエチレンエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、CREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、PLUORINC(登録商標)F68、POLOXAMER(登録商標)188など、及び/またはそれらの組合せが含まれる。
【0398】
例示的な結合剤には、限定されないが、デンプン、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール)、アミノ酸(例えば、グリシン)、天然及び合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0399】
酸化は、mRNA、特に、液体mRNA製剤の潜在的な分解経路である。酸化を防止するために、酸化防止剤を配合物に添加することができる。例示的な酸化防止剤には、限定されないが、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベンジルアルコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、m−クレゾール、メチオニン、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸ナトリウムまたはカリウム、プロピオン酸、プロピルガラート、アスコルビン酸ナトリウムなど、及びそれらの組合せが含まれる。
【0400】
例示的なキレート剤には、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、エデト酸三ナトリウムなど、及びこれらの組合せが含まれる。
【0401】
例示的な抗菌剤または抗真菌剤には、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウムまたはナトリウム、ソルビン酸カリウムまたはナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸など、及びそれらの組合せが含まれる。
【0402】
例示的な防腐剤には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)など、及びそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド溶液のpHは、安定性を向上させるためにpH5〜pH8に維持される。pHを制御する例示的な緩衝剤には、限定されないが、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ヒスチジン(もしくはヒスチジン−HCl)、リンゴ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど、及び/またはそれらの組合せが含まれ得る。
【0403】
例示的な潤沢剤には、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、水素添加植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムまたはマグネシウムなど、及びそれらの組合せが含まれる。本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、凍結中に、本明細書に記載のポリヌクレオチドを安定化させる凍結防止剤を含有することができる。例示的な凍結防止剤には、限定されないが、マンニトール、スクロース、トレハロース、ラクトース、グリセロール、デキストロースなど、及びそれらの組合せが含まれる。
【0404】
本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、「薬学的に洗練された」固形物を得るために、増量剤を凍結乾燥ポリヌクレオチド製剤中に含有することができ、凍結乾燥ポリヌクレオチドを長期間(例えば、36か月)保存中に安定化させることができる。本発明の例示的な増量剤には、限定されないが、スクロース、トレハロース、マンニトール、グリシン、ラクトース、ラフィノース、及びそれらの組合せが含まれ得る。
【0405】
一部の実施形態では、上記医薬組成物または製剤はさらに、送達剤を含む。本開示の送達剤には、限定ではないが、リポソーム、脂質ナノ粒子、リピドイド、ポリマー、リポプレックス、マイクロベシクル、エキソソーム、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドでトランスフェクトされた細胞、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣物、ナノチューブ、コンジュゲート、及びそれらの組合せが含まれ得る。
【0406】
20.送達剤
a.脂質化合物
本開示は、有利な特性を有する医薬組成物を提供する。本明細書に記載の脂質組成物は、治療薬及び/または予防薬、例えば、mRNAを哺乳類細胞または器官に送達するための脂質ナノ粒子組成物において有利に使用され得る。例えば、本明細書に記載の脂質は、免疫原性がほとんどないか、または全くない。例えば、本明細書に開示の脂質化合物は、参照脂質(例えば、MC3、KC2、またはDLinDMA)と比較して低い免疫原性を有する。例えば、本明細書に開示の脂質及び治療薬または予防薬、例えば、mRNAを含む製剤は、参照脂質(例えば、MC3、KC2、またはDLinDMA)及び同じ治療薬または予防薬を含む対応する製剤と比較して、治療指数の増加を示す。
【0407】
ある特定の実施形態では、本出願は、
(a)G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;及び
(b)送達剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0408】
脂質ナノ粒子製剤
一部の実施形態では、本発明の核酸(例えば、G6PC mRNA)を、脂質ナノ粒子(LNP)中で製剤化する。脂質ナノ粒子は典型的には、イオン性カチオン脂質、非カチオン脂質、ステロール及びPEG脂質成分を目的の核酸カーゴと共に含む。本発明の脂質ナノ粒子は、当技術分野で一般に知られているとおりの構成成分、組成、及び方法を使用して生成することができる。例えば、すべて全体が参照により本明細書に援用されるPCT/US2016/052352;PCT/US2016/068300;PCT/US2017/037551;PCT/US2015/027400;PCT/US2016/047406;PCT/US2016000129;PCT/US2016/014280;PCT/US2016/014280;PCT/US2017/038426;PCT/US2014/027077;PCT/US2014/055394;PCT/US2016/52117;PCT/US2012/069610;PCT/US2017/027492;PCT/US2016/059575及びPCT/US2016/069491を参照されたい。
【0409】
本開示の核酸(例えば、G6PC mRNA)を典型的には、脂質ナノ粒子中で製剤化する。一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、少なくとも1つのイオン性カチオン脂質、少なくとも1つの非カチオン脂質、少なくとも1つのステロール、及び/または少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質を含む。
【0410】
一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、イオン性カチオン脂質20〜60%のモル比を含む。例えば、上記脂質ナノ粒子は、イオン性カチオン脂質20〜50%、20〜40%、20〜30%、30〜60%、30〜50%、30〜40%、40〜60%、40〜50%、または50〜60%のモル比を含んでよい。一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、イオン性カチオン脂質20%、30%、40%、50、または60%のモル比を含む。
【0411】
一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、非カチオン脂質5〜25%のモル比を含む。例えば、上記脂質ナノ粒子は、非カチオン脂質5〜20%、5〜15%、5〜10%、10〜25%、10〜20%、10〜25%、15〜25%、15〜20%、または20〜25%のモル比を含んでよい。一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、非カチオン脂質5%、10%、15%、20%、または25%のモル比を含む。
【0412】
一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、ステロール25〜55%のモル比を含む。例えば、上記脂質ナノ粒子は、ステロール25〜50%、25〜45%、25〜40%、25〜35%、25〜30%、30〜55%、30〜50%、30〜45%、30〜40%、30〜35%、35〜55%、35〜50%、35〜45%、35〜40%、40〜55%、40〜50%、40〜45%、45〜55%、45〜50%、または50〜55%のモル比を含んでよい。一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、ステロール25%、30%、35%、40%、45%、50%、または55%のモル比を含む。
【0413】
一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、PEG修飾脂質0.5〜15%のモル比を含む。例えば、上記脂質ナノ粒子は、0.5〜10%、0.5〜5%、1〜15%、1〜10%、1〜5%、2〜15%、2〜10%、2〜5%、5〜15%、5〜10%、または10〜15%のモル比を含んでよい。一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、PEG修飾脂質0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%のモル比を含む。
【0414】
一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、イオン性カチオン脂質20〜60%、非カチオン脂質5〜25%、ステロール25〜55%、及びPEG修飾脂質0.5〜15%のモル比を含む。
【0415】
イオン性脂質
一部の態様では、本開示のイオン性脂質は、式(I)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(I)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体の1種または複数であり得る
[式中、
R
1は、C
5〜30アルキル、C
5〜20アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R”M’R’からなる群から選択され;
R
2及びR
3は独立に、H、C
1〜14アルキル、C
2〜14アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及び−R
*OR”からなる群から選択されるか、またはR
2及びR
3は、それらが結合している原子と一緒に、複素環または炭素環を形成しており;
R
4は、水素、C
3〜6炭素環、−(CH
2)
nQ、−(CH
2)
nCHQR、−CHQR、−CQ(R)
2、及び非置換C
1〜6アルキルからなる群から選択され、ここで、Qは、炭素環、複素環、−OR、−O(CH
2)
nN(R)
2、−C(O)OR、−OC(O)R、−CX
3、−CX
2H、−CXH
2、−CN、−N(R)
2、−C(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)C(O)N(R)
2、−N(R)C(S)N(R)
2、−N(R)R
8、−N(R)S(O)
2R
8、−O(CH
2)
nOR、−N(R)C(=NR
9)N(R)
2、−N(R)C(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、−N(OR)C(O)R、−N(OR)S(O)
2R、−N(OR)C(O)OR、−N(OR)C(O)N(R)
2、−N(OR)C(S)N(R)
2、−N(OR)C(=NR
9)N(R)
2、−N(OR)C(=CHR
9)N(R)
2、−C(=NR
9)N(R)
2、−C(=NR
9)R、−C(O)N(R)OR、及び−C(R)N(R)
2C(O)ORから選択され、かつ各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され;
各R
5は独立に、C
1〜3アルキル、C
2〜3アルケニル、及びHからなる群から選択され;
各R
6は独立に、C
1〜3アルキル、C
2〜3アルケニル、及びHからなる群から選択され;
M及びM’は独立に、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)
2−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、ここで、M”は、結合、C
1〜13アルキルまたはC
2〜13アルケニルであり;
R
7は、C
1〜3アルキル、C
2〜3アルケニル、及びHからなる群から選択され;
R
8は、C
3〜6炭素環及び複素環からなる群から選択され;
R
9は、H、CN、NO
2、C
1〜6アルキル、−OR、−S(O)
2R、−S(O)
2N(R)
2、C
2〜6アルケニル、C
3〜6炭素環及び複素環からなる群から選択され;
各Rは独立に、C
1〜3アルキル、C
2〜3アルケニル、及びHからなる群から選択され;
各R’は独立に、C
1〜18アルキル、C
2〜18アルケニル、−R
*YR”、−YR”、及びHからなる群から選択され;
各R”は独立に、C
3〜15アルキル及びC
3〜15アルケニルからなる群から選択され;
各R
*は独立に、C
1〜12アルキル及びC
2〜12アルケニルからなる群から選択され;
各Yは独立に、C
3〜6炭素環であり;
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され;かつ
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され;ここで、R
4が−(CH
2)
nQ、−(CH
2)
nCHQR、−CHQR、または−CQ(R)
2である場合、(i)nが1、2、3、4または5である場合に、Qは、−N(R)
2ではないか、または(ii)nが1または2である場合に、Qは、5、6、または7員ヘテロシクロアルキルではない]。
【0416】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットには、式(IA)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IA)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる
[式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され;mは、5、6、7、8、及び9から選択され;M
1は、結合またはM’であり;R
4は、水素、非置換C
1〜3アルキル、または−(CH
2)
nQであり、ここで、Qは、OH、−NHC(S)N(R)
2、−NHC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)R
8、−NHC(=NR
9)N(R)
2、−NHC(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり;M及びM’は独立に、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され;かつR
2及びR
3は独立に、H、C
1〜14アルキル、及びC
2〜14アルケニルからなる群から選択される]。例えば、mは、5、7、または9である。例えば、Qは、OH、−NHC(S)N(R)
2、または−NHC(O)N(R)
2である。例えば、Qは、−N(R)C(O)R、または−N(R)S(O)
2Rである。
【0417】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットには、式(IB)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IB)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる[式中、すべての変項は、本明細書で定義するとおりである]。例えば、mは、5、6、7、8、及び9から選択され;R
4は、水素、非置換C
1〜3アルキル、または−(CH
2)
nQであり、ここで、Qは、OH、−NHC(S)N(R)
2、−NHC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)R
8、−NHC(=NR
9)N(R)
2、−NHC(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり;M及びM’は独立に、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され;かつR
2及びR
3は独立に、H、C
1〜14アルキル、及びC
2〜14アルケニルからなる群から選択される。例えば、mは、5、7、または9である。例えば、Qは、OH、−NHC(S)N(R)
2、または−NHC(O)N(R)
2である。例えば、Qは、−N(R)C(O)R、または−N(R)S(O)
2Rである。
【0418】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットには、式(II)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(II)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体が含まれる[式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され;M
1は、結合またはM’であり;R
4は、水素、非置換C
1〜3アルキル、または−(CH
2)
nQであり、ここで、nは、2、3、または4であり、かつQは、OH、−NHC(S)N(R)
2、−NHC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)
2R、−N(R)R
8、−NHC(=NR
9)N(R)
2、−NHC(=CHR
9)N(R)
2、−OC(O)N(R)
2、−N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり;M及びM’は独立に、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され;かつR
2及びR
3は独立に、H、C
1〜14アルキル、及びC
2〜14アルケニルからなる群から選択される]。
【0419】
一実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa)の化合物
[この文献は図面を表示できません]
(IIa)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体である[式中、R
4は、本明細書に記載のとおりである]。
【0420】
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIb)の化合物
[この文献は図面を表示できません]
(IIb)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体である[式中、R
4は、本明細書に記載のとおりである]。
【0421】
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIc)または(IIe)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IIc)または
[この文献は図面を表示できません]
(IIe)、
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体である[式中、R
4は、本明細書に記載のとおりである]。
【0422】
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIf)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IIf)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体である[式中、Mは、−C(O)O−または−OC(O)−であり、M”は、C
1〜6アルキルまたはC
2〜6アルケニルであり、R
2及びR
3は独立に、C
5〜14アルキル及びC
5〜14アルケニルからなる群から選択され、nは、2、3、及び4から選択される]。
【0423】
さらなる一実施形態では、式(I)の化合物は、式(IId)の化合物
[この文献は図面を表示できません]
(IId)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体である[式中、nは、2、3、または4であり;かつm、R’、R”、及びR
2からR
6は、本明細書に記載のとおりである]。例えば、R
2及びR
3のそれぞれは独立に、C
5〜14アルキル及びC
5〜14アルケニルからなる群から選択され得る。
【0424】
さらなる一実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIg)の化合物
[この文献は図面を表示できません]
(IIg)
もしくはそのN−オキシド、またはその塩もしくは異性体である[式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され;mは、5、6、7、8、及び9から選択され;M
1は、結合またはM’であり;M及びM’は独立に、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−M”−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−P(O)(OR’)O−、−S−S−、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され;かつR
2及びR
3は独立に、H、C
1〜14アルキル、及びC
2〜14アルケニルからなる群から選択される]。例えば、M”は、C
1〜6アルキル(例えば、C
1〜4アルキル)またはC
2〜6アルケニル(例えば、C
2〜4アルケニル)である。例えば、R
2及びR
3は独立に、C
5〜14アルキル及びC
5〜14アルケニルからなる群から選択される。
【0425】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、米国特許出願第62/220,091号、同第62/252,316号、同第62/253,433号、同第62/266,460号、同第62/333,557号、同第62/382,740号、同第62/393,940号、同第62/471,937号、同第62/471,949号、同第62/475,140号、及び同第62/475,166号、及びPCT出願番号PCT/US2016/052352に記載の化合物のうちの1種または複数である。
【0426】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、米国特許出願第62/475,166号に記載の化合物1〜280から選択される。
【0427】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、
[この文献は図面を表示できません]
(化合物II)、またはその塩である。
【0428】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、
[この文献は図面を表示できません]
(化合物III)、またはその塩である。
【0429】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、
[この文献は図面を表示できません]
(化合物IV)、またはその塩である。
【0430】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、
[この文献は図面を表示できません]
(化合物V)、またはその塩である。
【0431】
式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、または(IIg)による脂質の中心アミン部分は、生理学的pHでプロトン化され得る。したがって、脂質は、生理学的pHで正電荷または部分的正電荷を有し得る。そのような脂質は、カチオンまたはイオン性(アミノ)脂質と称され得る。脂質はまた、双性イオン性であり得る、すなわち、正電荷及び負電荷の両方を有する中性分子であり得る。
【0432】
一部の態様では、本開示のイオン性脂質は、式(III)の化合物
[この文献は図面を表示できません]
(III)
またはその塩もしくは異性体のうちの1種または複数であり得る
[式中、
Wは、
[この文献は図面を表示できません]
または
[この文献は図面を表示できません]
であり、
環Aは、
[この文献は図面を表示できません]
または
[この文献は図面を表示できません]
であり;
tは、1または2であり;
A
1及びA
2はそれぞれ独立に、CHまたはNから選択され;
Zは、CH
2であるか、存在せず、その際、ZがCH
2である場合には点線(1)及び(2)はそれぞれ、単結合を表し;かつZが存在しない場合には、点線(1)及び(2)は両方とも存在せず;
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は独立に、C
5〜20アルキル、C
5〜20アルケニル、−R”MR’、−R
*YR”、−YR”、及び−R
*OR”からなる群から選択され;
R
X1及びR
X2はそれぞれ独立に、HまたはC
1〜3アルキルであり;
各Mは独立に、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)
2−、−C(O)S−、−SC(O)−、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され;
M
*は、C
1〜C
6アルキルであり、
W
1及びW
2はそれぞれ独立に、−O−及び−N(R
6)−からなる群から選択され;
各R
6は独立に、H及びC
1〜5アルキルからなる群から選択され;
X
1、X
2、及びX
3は独立に、結合、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−CHR−、−CHY−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−(CH
2)
n−C(O)−、−C(O)−(CH
2)
n−、−(CH
2)
n−C(O)O−、−OC(O)−(CH
2)
n−、−(CH
2)
n−OC(O)−、−C(O)O−(CH
2)
n−、−CH(OH)−、−C(S)−、及び−CH(SH)−からなる群から選択され;
各Yは独立に、C
3〜6炭素環であり;
各R
*は独立に、C
1〜12アルキル及びC
2〜12アルケニルからなる群から選択され;
各Rは独立に、C
1〜3アルキル及びC
3〜6炭素環からなる群から選択され;
各R’は独立に、C
1〜12アルキル、C
2〜12アルケニル、及びHからなる群から選択され;
各R”は独立に、C
3〜12アルキル、C
3〜12アルケニル及び−R
*MR’からなる群から選択され;かつ
nは、1〜6の整数であり;
環Aが、
[この文献は図面を表示できません]
である場合、
i)X
1、X
2、及びX
3のうちの少なくとも1つは、−CH
2−ではなく;及び/または
ii)R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のうちの少なくとも1つは、−R”MR’である]。
【0433】
一部の実施形態では、上記化合物は、式(IIIa1)〜(IIIa8)のいずれかの化合物である:
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa1)、
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa2)、
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa3)、
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa4)、
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa5’)、
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa6)、
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa7)、または
[この文献は図面を表示できません]
(IIIa8)。
【0434】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、米国特許出願第62/271,146号、同第62/338,474号、同第62/413,345号、及び同第62/519,826号、ならびにPCT出願番号PCT/US2016/068300に記載の化合物のうちの1つまたは複数である。
【0435】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、米国特許出願第62/519,826号に記載の化合物1〜156から選択される。
【0436】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、米国特許出願第62/519,826号に記載の化合物1〜16、42〜66、68〜76、及び78〜156から選択される。
【0437】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、
[この文献は図面を表示できません]
(化合物VI)、またはその塩である。
【0438】
一部の実施形態では、上記イオン性脂質は、
[この文献は図面を表示できません]
(化合物VII)、またはその塩である。
【0439】
式(III)、(IIIa1)、(IIIa2)、(IIIa3)、(IIIa4)、(IIIa5)、(IIIa6)、(IIIa7)、または(IIIa8)による脂質の中心アミン部分は、生理学的pHでプロトン化され得る。したがって、脂質は、生理学的pHで正電荷または部分的正電荷を有し得る。そのような脂質は、カチオンまたはイオン性(アミノ)脂質と称され得る。脂質はまた、双性イオン性であり得る、すなわち、正電荷及び負電荷の両方を有する中性分子であり得る。
【0440】
リン脂質
本明細書に開示の脂質ナノ粒子組成物の脂質組成物は、1つまたは複数のリン脂質、例えば、1つまたは複数の飽和もしくは(ポリ)不飽和リン脂質またはそれらの組合せを含むことができる。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つまたは複数の脂肪酸部分を含む。
【0441】
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2−リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択することができる。脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ−リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択することができる。
【0442】
特定のリン脂質は、膜への融合を容易にすることができる。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つまたは複数の負荷電リン脂質と相互作用することができる。リン脂質の膜への融合は、脂質含有組成物(例えば、LNP)の1つまたは複数の要素(例えば、治療薬)が膜を通過することを可能にし、例えば、1つまたは複数の要素の標的組織への送達を可能にすることができる。
【0443】
分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む修飾及び置換を有する天然種を含む非天然リン脂質種も企図される。例えば、リン脂質は、1つまたは複数のアルキン(例えば、1つまたは複数の二重結合が三重結合で置換されたアルケニル基)で官能化または架橋することができる。適切な反応条件下で、アルキン基は、アジドへの曝露時に、銅触媒付加環化を受ける可能性がある。そのような反応は、ナノ粒子組成物の脂質二重層を官能化して膜透過もしくは細胞認識を促進する際に、またはナノ粒子組成物を、有用な構成成分、例えば、標的化もしくはイメージング部分(例えば、色素)にコンジュゲートさせる際に有用である可能性がある。
【0444】
リン脂質には、限定されないが、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジグリセロール(phosphatidy glycerols)及びホスファチジン酸が含まれる。リン脂質には、スフィンゴミエリンなどのホスホスフィンゴ脂質も含まれる。
【0445】
一部の実施形態では、本発明のリン脂質は、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジウンデカノイル−sn−グリセロ−ホスホコリン(DUPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1−オレオイル−2コレステリルヘミスクシノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OChemsPC)、1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジドコサヘキサノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ME16.0 PE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジリノレノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジドコサヘキサノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びその混合物を含む。
【0446】
ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、DSPCのアナログまたはバリアントである。ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用なリン脂質は、式(IV)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IV)
またはその塩である
[式中、
各R
1は独立に、任意選択で置換されたアルキルであるか;または任意選択で、2個のR
1は、間の原子と一緒になって結合して、任意選択で置換された単環式カルボシクリルもしくは任意選択で置換された単環式ヘテロシクリルを形成しているか;または任意選択で、3個のR
1は、間の原子と一緒になって結合して、任意選択で置換された二環式カルボシクリルまたは任意選択で置換された二環式ヘテロシクリルを形成しており;
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Aは、式:
[この文献は図面を表示できません]
または
[この文献は図面を表示できません]
であり;
L
2の各例は独立に、結合または任意選択で置換されたC
1〜6アルキレンであり、任意選択で置換されたC
1〜6アルキレンの1つのメチレン単位は、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)で任意選択で置換されており;
R
2の各例は独立に、任意選択で置換されたC
1〜30アルキル、任意選択で置換されたC
1〜30アルケニル、または任意選択で置換されたC
1〜30アルキニルであり;任意選択で、R
2の1つまたは複数のメチレン単位は独立に、任意選択で置換されたカルボシクリレン、任意選択で置換されたヘテロシクリレン、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、-O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oで置換されており;
R
Nの各例は独立に、水素、任意選択で置換されたアルキル、または窒素保護基であり;
環Bは、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり;
pは、1または2であり;
ただし、上記化合物は、式:
[この文献は図面を表示できません]
の化合物ではないことを条件とし、
ここで、R
2の各例は独立に、非置換アルキル、非置換アルケニル、または非置換アルキニルである]。
【0447】
一部の実施形態では、上記リン脂質は、米国特許出願第62/520,530号に記載のリン脂質のうちの1つまたは複数であり得る。
【0448】
i)リン脂質ヘッド修飾
ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、修飾リン脂質ヘッド(例えば、修飾コリン基)を含む。ある特定の実施形態では、修飾ヘッドを有するリン脂質は、修飾4級アミンを有するDSPCまたはそのアナログである。例えば、式(IV)の実施形態では、R
1のうちの少なくとも1つは、メチルではない。ある特定の実施形態では、R
1のうちの少なくとも1つは、水素またはメチルではない。ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
またはその塩である
[式中、
各tは独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
各uは独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;かつ
各vは独立に、1、2、または3である]。
【0449】
ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、式(IV−a)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IV−a)
またはその塩である。
【0450】
ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、グリセリド部分の代わりに環状部分を含む。ある特定の実施形態では、本発明で有用なリン脂質は、グリセリド部分の代わりに環状部分を有するDSPCまたはそのアナログである。ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、式(IV−b)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IV−b)
またはその塩である。
【0451】
(ii)リン脂質テイル修飾
ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、修飾テイルを含む。ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、修飾テイルを有するDSPCまたはそのアナログである。本明細書に記載される場合、「修飾テイル」は、より短いまたはより長い脂肪族鎖、分岐が導入された脂肪族鎖、置換基が導入された脂肪族鎖、1つまたは複数のメチレンが環式もしくはヘテロ原子基により置き換えられている脂肪族鎖、またはそれらの任意の組合せを有するテイルであってよい。例えば、ある特定の実施形態では、(IV)の化合物は、式(IV−a)の化合物、またはその塩であり、式中、R
2の少なくとも一例は、任意選択で置換されたC
1〜30アルキルであるR
2の各例であり、R
2の1つまたは複数のメチレン単位は独立に、任意選択で置換されたカルボシクリレン、任意選択で置換されたヘテロシクリレン、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oで置換される。
【0452】
ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、式(IV−c)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(IV−c)
またはその塩である
[式中、
各xは独立に、0及び30を含む0〜30の整数であり;かつ
Gの各例は独立に、任意選択で置換されているカルボシクリレン、任意選択で置換されているヘテロシクリレン、任意選択で置換されているアリーレン、任意選択で置換されているヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、−NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、−C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、−S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oからなる群から選択される]。各可能性は、別個の本発明の実施形態を表す。
【0453】
ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、修飾ホスホコリン部分を含み、式中、第四級アミンをホスホリル基に結合するアルキル鎖は、エチレンではない(例えば、nは2ではない)。したがって、ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、式中、nが1、3、4、5、6、7、8、9、または10である式(IV)の化合物である。例えば、ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、次の式のうちの1つの化合物:
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
またはその塩である。
【0454】
代替脂質
ある特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、第四級アミンをホスホリル基に結合するアルキル鎖がエチレンではない(例えば、nは2ではない)修飾ホスホコリン部分を含む。したがって、ある特定の実施形態では、リン脂質が有用である。
【0455】
ある特定の実施形態では、代替の脂質を、本開示のリン脂質の代わりに使用する。
【0456】
ある特定の実施形態では、本発明の代替の脂質は、オレイン酸である。
【0457】
ある特定の実施形態では、上記代替の脂質は、以下のうちの1つである:
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、
[この文献は図面を表示できません]
、及び
[この文献は図面を表示できません]
【0458】
構造脂質
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、1つまたは複数の構造脂質を含むことができる。本明細書で使用する場合、「構造脂質」という用語は、ステロール、及びステロール部分を含有する脂質を指す。
【0459】
脂質ナノ粒子中での構造脂質の組み込みは、粒子中の他の脂質の凝集を弱めるのに役立ち得る。構造脂質は、限定されないが、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、アルファトコフェロール、ホパノイド、フィトステロール、ステロイド、及びそれらの混合物を含む群から選択することができる。一部の実施形態では、上記構造脂質は、ステロールである。本明細書で定義される場合、「ステロール」は、ステロイドアルコールからなるステロイドのサブグループである。ある特定の実施形態では、上記構造脂質は、ステロイドである。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、上記構造脂質は、コレステロールのアナログである。ある特定の実施形態では、上記構造脂質は、アルファトコフェロールである。
【0460】
一部の実施形態では、上記構造脂質は、米国特許出願第62/520,530号に記載の構造脂質のうちの1つまたは複数であり得る。
【0461】
ポリエチレングリコール(PEG)脂質
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)脂質を含むことができる。
【0462】
本明細書で使用する場合、「PEG脂質」という用語は、ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質を指す。PEG脂質の非限定的例には、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEGセラミドコンジュゲート(例えば、PEG−CerC14またはPEG−CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン及びPEG修飾1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミンが含まれる。そのような脂質は、PEG化脂質とも称される。例えば、PEG脂質は、PEG−c−DOMG、PEG−DMG、PEG−DLPE、PEG−DMPE、PEG−DPPC、またはPEG−DSPE脂質であり得る。
【0463】
一部の実施形態では、上記PEG脂質には、限定されないが、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG−DMG)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG−DSPE)、PEG−ジステニルグリセロール(PEG−DSG)、PEG−ジパルメトレイル、PEG−ジオレイル、PEG−ジステアリル、PEG−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)、PEG−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DPPE)、またはPEG−1,2−ジミリスチルオキシルプロピル−3−アミン(PEG−c−DMA)が含まれる。
【0464】
一実施形態では、上記PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0465】
一部の実施形態では、上記PEG脂質の脂質部分は、約C
14〜約C
22、好ましくは、約C
14〜約C
16の長さを有するものを含む。一部の実施形態では、PEG部分、例えば、mPEG−NH
2は、約1000、2000、5000、10,000、15,000、または20,000ダルトンのサイズを有する。一実施形態では、上記PEG脂質は、PEG
2k−DMGである。一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、非拡散性PEGであるPEG脂質を含むことができる。非拡散性PEGの非限定的例には、PEG−DSG及びPEG−DSPEが含まれる。
【0466】
PEG脂質は、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8158601号及び国際公開WO2015/130584A2に記載のものなど、当技術分野で公知である。
【0467】
一般に、本明細書に記載の種々の式の他の脂質構成成分(例えば、PEG脂質)のいくつかは、全体が参照により本明細書に援用される「Compositions and Methods for Delivery of Therapeutic Agents」との標題の2016年12月10日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/000129号に記載されているように合成されてもよい。
【0468】
脂質ナノ粒子組成物の脂質構成成分は、ポリエチレングリコールを含む1つまたは複数の分子、例えば、PEG脂質またはPEG修飾脂質を含み得る。別法では、そのような種は、PEG化脂質と称され得る。PEG脂質は、ポリエチレングリコールで修飾されている脂質である。PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物を含む非限定的な群から選択され得る。例えば、PEG脂質は、PEG−c−DOMG、PEG−DMG、PEG−DLPE、PEG−DMPE、PEG−DPPC、またはPEG−DSPE脂質であってよい。
【0469】
一部の実施形態では、上記PEG修飾脂質は、PEG−DMGの修飾形態である。PEG−DMGは、以下の構造を有する:
[この文献は図面を表示できません]
【0470】
一実施形態では、本発明で有用なPEG脂質は、内容全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2012099755に記載のPEG化脂質であり得る。本明細書に記載のこれらの例示的なPEG脂質のいずれもが、ヒドロキシル基をPEG鎖に含むように修飾され得る。ある特定の実施形態では、上記PEG脂質は、PEG−OH脂質である。本明細書で一般に定義するとおり、「PEG−OH脂質」(本明細書では「ヒドロキシPEG化脂質」とも称される)は、1つまたは複数のヒドロキシル(−OH)基を脂質に有するPEG化脂質である。ある特定の実施形態では、上記PEG−OH脂質は、1つまたは複数のヒドロキシル基をPEG鎖に含む。ある特定の実施形態では、PEG−OHまたはヒドロキシPEG化脂質は、PEG鎖の末端に−OH基を含む。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0471】
ある特定の実施形態では、本発明で有用なPEG脂質は、式(V)の化合物である。本明細書では、式(V)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(V)
またはその塩を提供する
[式中、
R
3は、−OR
Oであり;
R
Oは、水素、任意選択で置換されたアルキル、または酸素保護基であり;
rは、1及び100を含む1〜100の整数であり;
L
1は、任意選択で置換されたC
1〜10アルキレンであり、その際、任意選択で置換されたC
1〜10アルキレンのうちの少なくとも1つのメチレンは独立に、任意選択で置換されたカルボシクリレン、任意選択で置換されたヘテロシクリレン、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、−OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)で置換されており;
Dは、クリックケミストリーにより得られる部分または生理的条件下で切断可能な部分であり;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
Aは、式:
[この文献は図面を表示できません]
または
[この文献は図面を表示できません]
であり;
L
2の各例は独立に、結合または任意選択で置換されたC
1〜6アルキレンであり、その際、任意選択で置換されたC
1〜6アルキレンの1つのメチレン単位は、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)で任意選択で置換されており;
R
2の各例は独立に、任意選択で置換されたC
1〜30アルキル、任意選択で置換されたC
1〜30アルケニル、または任意選択で置換されたC
1〜30アルキニルであり、任意選択で、R
2の1つまたは複数のメチレン単位は独立に、任意選択で置換されたカルボシクリレン、任意選択で置換されたヘテロシクリレン、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、−NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、−C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、−S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oで置換されており;
R
Nの各例は独立に、水素、任意選択で置換されたアルキル、または窒素保護基であり;
環Bは、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり;かつ
pは、1または2である]。
【0472】
ある特定の実施形態では、式(V)の化合物は、PEG−OH脂質(すなわち、R
3は、−OR
Oであり、R
Oは、水素である)である。ある特定の実施形態では、式(V)の化合物は、式(V−OH)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(V−OH)
またはその塩である。
【0473】
ある特定の実施形態では、本発明で有用なPEG脂質は、ペグ化脂肪酸である。ある特定の実施形態では、本発明で有用なPEG脂質は、式(VI)の化合物である。本明細書では、式(VI)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(VI)
またはその塩を提供する
[式中、
R
3は、−OR
Oであり;
R
Oは、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは酸素保護基であり;
rは、1及び100を含む1〜100の整数であり;
R
5は、任意選択で置換されているC
10〜40アルキル、任意選択で置換されているC
10〜40アルケニル、または任意選択で置換されている
10〜40アルキニルであり;かつ任意選択で、R
5の1個または複数のメチレン基は、任意選択で置換されているカルボシクリレン、任意選択で置換されているヘテロシクリレン、任意選択で置換されているアリーレン、任意選択で置換されているヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、−C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、−NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、−S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oで置換されており;
R
Nの各例は独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、または窒素保護基である]。
【0474】
ある特定の実施形態では、式(VI)の化合物は、式(VI−OH)の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
(VI−OH)
またはその塩である。一実施形態では、rは、1及び100を含む1〜100の整数である。一部の実施形態では、rは、45である。
【0475】
さらに他の実施形態では、式(VI)の化合物は、
[この文献は図面を表示できません]
またはその塩である。
【0476】
一実施形態では、式(VI)の化合物は、
[この文献は図面を表示できません]
(化合物I)
である。
【0477】
一部の態様では、本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、PEG脂質を含まない。
【0478】
一部の実施形態では、上記PEG脂質は、米国特許出願第62/520,530号に記載のPEG脂質のうちの1つまたは複数であってよい。
【0479】
一部の実施形態では、本発明のPEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びその混合物を含む。一部の実施形態では、上記PEG修飾脂質は、PEG−DMG、PEG−c−DOMG(PEG−DOMGとも称される)、PEG−DSG及び/またはPEG−DPGである。
【0480】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、式I、IIまたはIIIのいずれかのイオン性カチオン脂質、DSPCを含むリン脂質、構造脂質、及びPEG−DMGを含むPEG脂質を含む。
【0481】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、式I、IIまたはIIIのいずれかのイオン性カチオン脂質、DSPCを含むリン脂質、構造脂質、及び式VIを有する化合物を含むPEG脂質を含む。
【0482】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、式I、IIまたはIIIのイオン性カチオン脂質、式IVを有する化合物を含むリン脂質、構造脂質、及び式VまたはVIを有する化合物を含むPEG脂質を含む。
【0483】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、式I、IIまたはIIIのイオン性カチオン脂質、式IVを有する化合物を含むリン脂質、構造脂質、及び式VまたはVIを有する化合物を含むPEG脂質を含む。
【0484】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、式I、IIまたはIIIのイオン性カチオン脂質、式IVを有するリン脂質、構造脂質、及び式VIを有する化合物を含むPEG脂質を含む。
【0485】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、
[この文献は図面を表示できません]
、
のイオン性カチオン脂質及び式VIを含むPEG脂質を含む。
【0486】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、
[この文献は図面を表示できません]
のイオン性カチオン脂質及びオレイン酸を含む代替脂質を含む。
【0487】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、
[この文献は図面を表示できません]
のイオン性カチオン脂質、オレイン酸を含む代替脂質、コレステロールを含む構造脂質、及び式VIを有する化合物を含むPEG脂質を含む。
【0488】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、
[この文献は図面を表示できません]
のイオン性カチオン脂質、DOPEを含むリン脂質、コレステロールを含む構造脂質、及び式VIを有する化合物を含むPEG脂質を含む。
【0489】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、
[この文献は図面を表示できません]
、
のイオン性カチオン脂質、DOPEを含むリン脂質、コレステロールを含む構造脂質、及び式VIIを有する化合物を含むPEG脂質を含む。
【0490】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約2:1〜約30:1のN:P比を含む。
【0491】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約6:1のN:P比を含む。
【0492】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約3:1のN:P比を含む。
【0493】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約10:1〜約100:1のイオン性カチオン脂質構成成分とRNAとのwt/wt比を含む。
【0494】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約20:1のイオン性カチオン脂質構成成分とRNAとのwt/wt比を含む。
【0495】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約10:1のイオン性カチオン脂質構成成分とRNAとのwt/wt比を含む。
【0496】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約50nm〜約150nmの平均直径を有する。
【0497】
一部の実施形態では、本発明のLNPは、約70nm〜約120nmの平均直径を有する。
【0498】
本明細書で使用する場合、「アルキル」、「アルキル基」、または「アルキレン」という用語は、任意選択で置換されている、1個または複数の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上の炭素原子)を含む直鎖状または分岐状の飽和炭化水素を意味する。「C1〜14アルキル」という表記は、1 14個の炭素原子を含む、任意選択で置換されている直鎖状または分枝状の飽和炭化水素を意味する。別段に指定されていない限り、本明細書に記載のアルキル基は、非置換及び置換アルキル基の両方を指す。
【0499】
本明細書で使用する場合、「アルケニル」、「アルケニル基」、または「アルケニレン」という用語は、任意選択で置換されている、2個以上の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の炭素原子)及び少なくとも1つの二重結合を含む直鎖状または分岐状の炭化水素を意味する。「C2〜14アルケニル」という表記は、任意選択で置換されている、2〜14個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖状または分枝状の炭化水素を意味する。アルケニル基は、1、2、3、4またはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含むことができる。例えば、C
18アルケニルは、1つまたは複数の二重結合を含むことができる。2つの二重結合を含むC
18アルケニル基は、リノレイル基であり得る。別段に指定されていない限り、本明細書に記載のアルケニル基は、非置換及び置換アルケニル基の両方を指す。
【0500】
本明細書で使用する場合、「アルキニル」、「アルキニル基」、または「アルキニレン」という用語は、任意選択で置換されている、2個以上の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の炭素原子)及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖状または分岐状の炭化水素を意味する。「C2〜14アルキニル」という表記は、任意選択で置換されている、2〜14個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖状または分枝状の炭化水素を意味する。アルキニル基は、1、2、3、4またはそれ以上の炭素−炭素三重結合を含むことができる。例えば、C18アルキニルは、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を含むことができる。別段に指定されていない限り、本明細書に記載のアルキニル基は、非置換及び置換アルキニル基の両方を指す。
【0501】
本明細書で使用する場合、「炭素環」または「炭素環式基」という用語は、炭素原子の1つまたは複数の環を含む、任意選択で置換されている単環または多環系を意味する。環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20員環であってよい。「C3〜6炭素環」という表記は、3〜6個の炭素原子を有する単環を含む炭素環を意味する。炭素環は、1つまたは複数の炭素−炭素二重または三重結合を含んでよく、非芳香族または芳香族(例えば、シクロアルキルまたはアリール基)であってよい。炭素環の例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、及び1,2−ジヒドロナフチル基が含まれる。「シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、非芳香族炭素環を意味し、任意の二重または三重結合を含んでも、または含まなくてもよい。別段に指定されていない限り、本明細書に記載の炭素環は、非置換及び置換の両方の炭素環基、すなわち、任意選択で置換されている炭素環を指す。
【0502】
本明細書で使用する場合、「複素環」または「複素環基」という用語は、少なくとも1つの環が少なくとも1個のヘテロ原子を含む1つまたは複数の環を含む任意選択で置換されている単環または多環系を意味する。ヘテロ原子は、例えば、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子であってよい。環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14員環であってよい。複素環は、1つまたは複数の二重または三重結合を含んでよく、非芳香族または芳香族(例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基)であってよい。複素環の例には、イミダゾリル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、チアゾリル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、イソオキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、モルホリニル、ピロリル、ピロリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チオフェニル、ピリジニル、ピペリジニル、キノリル、及びイソキノリル基が含まれる。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、非芳香族複素環を意味し、任意の二重または三重結合を含んでも、または含まなくてもよい。別段に指定されていない限り、本明細書に記載の複素環は、非置換及び置換の両方の複素環基、すなわち、任意選択で置換されている複素環を指す。
【0503】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、または「ヘテロアルキニル」という用語はそれぞれ、1個または複数(例えば、1、2、3、または4個)のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)をさらに含み、その1個または複数のヘテロ原子が、親炭素鎖内の隣接する炭素原子の間に挿入されており、及び/または1個または複数のヘテロ原子が、炭素原子と親分子との間、すなわち、結合点の間に挿入されている、本明細書で定義するとおりのアルキル、アルケニル、アルキニル基を指す。別段に指定されていない限り、本明細書に記載のヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルは、非置換及び置換の両方のヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニル、すなわち、任意選択で置換されているヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルを指す。
【0504】
本明細書で使用する場合、「生分解性基」は、哺乳類実体の脂質のより速い代謝を促進することができる基である。生分解性基は、限定されないが、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(S)S−、−SC(S)−、−CH(OH)−、−P(O)(OR’)O−、−S(O)
2−、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され得る。本明細書で使用する場合、「アリール基」は、1つまたは複数の芳香環を含む任意選択で置換されている炭素環式基である。アリール基の例には、フェニル及びナフチル基が含まれる。本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール基」は、1つまたは複数の芳香環を含む任意選択で置換されている複素環基である。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、及びチアゾリルが含まれる。アリール基及びヘテロアリール基の両方は、任意選択で置換されていてよい。例えば、M及びM’は、任意選択で置換されたフェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる非限定的な基から選択することができる。本明細書の式では、M及びM’は独立に、上記の生分解性基のリストから選択することができる。別段に指定されていない限り、本明細書に記載のアリールまたはヘテロアリール基は、非置換及び置換の両方の基、すなわち、任意選択で置換されているアリールまたはヘテロアリール基を指す。
【0505】
アルキル、アルケニル、及びシクリル(例えば、カルボシクリル及びヘテロシクリル)基は、別段に指定されていない限り、任意選択で置換されていてよい。任意選択の置換基は、限定されないが、ハロゲン原子(例えば、クロリド、ブロミド、フルオリド、またはヨージド基)、カルボン酸(例えば、C(O)OH)、アルコール(例えば、ヒドロキシル、OH)、エステル(例えば、C(O)OR −C(O)R)、アルデヒド(例えば、C(O)H)、カルボニル(例えば、C(O)R、別法では、C=Oで表される)、ハロゲン化アシル(例えば、C(O)X(式中、Xは、ブロミド、フルオリド、クロリド、及びヨージドから選択されるハロゲン化物である))、カルボナート(例えば、OC(O)OR)、アルコキシ(例えば、OR)、アセタール(例えば、C(OR)
2R””(式中、各ORは、同じまたは異なる可能性があるアルコキシ基であり、R””は、アルキル基またはアルケニル基である)、ホスファート(例えば、P(O)
43−)、チオール(例えば、SH)、スルホキシド(例えば、S(O)R)、スルフィン酸(例えば、S(O)OH)、スルホン酸(例えば、S(O)
2OH)、チアール(例えば、C(S)H)、スルファート(例えば、S(O)
42−)、スルホニル(例えば、S(O)
2)、アミド(例えば、C(O)NR
2、またはN(R)C(O)R)、アジド(例えば、N
3)、ニトロ(例えば、NO
2)、シアノ(例えば、CN)、イソシアノ(例えば、NC)、アシロキシ(例えば、OC(O)R)、アミノ(例えば、NR
2、NRH、またはNH
2)、カルバモイル(例えば、OC(O)NR
2、OC(O)NRH、またはOC(O)NH
2)、スルホンアミド(例えば、S(O)
2NR
2、S(O)
2NRH、S(O)
2NH
2、N(R)S(O)
2R、N(H)S(O)
2R、N(R)S(O)
2H、またはN(H)S(O)
2H)、アルキル基、アルケニル基、及びシクリル(例えば、カルボシクリルまたはヘテロシクリル)基からなる群から選択することができる。上述のいずれかでは、Rは、本明細書で定義するとおりのアルキルまたはアルケニル基である。一部の実施形態では、置換基自体が、例えば、本明細書で定義するとおりの1、2、3、4、5、または6個の置換基でさらに置換されていてよい。例えば、C
1〜6アルキル基は、本明細書に記載のとおりの1、2、3、4、5、または6の置換基でさらに置換されていてよい。
【0506】
窒素を含有する本開示の化合物を、酸化剤(例えば、3−クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)及び/または過酸化水素)で処理してN−オキシドに変換すると、本開示の他の化合物を得ることができる。したがって、示されている、及び請求する窒素含有化合物はすべて、原子価及び構造が許す場合、示されている化合物及びそのN−オキシド誘導体(N OまたはN+−O−と示され得る)の両方を含むと判断される。さらに、他の例では、本開示の化合物中の窒素を、N−ヒドロキシまたはN−アルコキシ化合物に変換することができる。例えば、N−ヒドロキシ化合物は、親アミンをmCPBAなどの酸化剤により酸化させることにより調製することができる。示されている、及び請求する窒素含有化合物はすべて、原子価及び構造が許す場合、示されている化合物ならびにそのN−ヒドロキシ(すなわち、N−OH)及びN−アルコキシ(すなわち、N−OR、ここで、Rは、置換または非置換C1〜C6アルキル、C1〜C6アルケニル、C1〜C6アルキニル、3〜14員炭素環または3〜14員複素環)誘導体の両方をカバーすると判断される。
【0507】
(vi)他の脂質組成物構成成分
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、上記のものに加えて、1つまたは複数の構成成分を含むことができる。例えば、上記脂質組成物は、1つまたは複数の透過促進分子、炭水化物、ポリマー、表面改質剤(例えば、界面活性剤)、または他の構成成分を含むことができる。例えば、透過促進分子は、米国特許出願公開第2005/0222064号に記載の分子であり得る。炭水化物は、単糖(例えば、グルコース)及び多糖(例えば、グリコーゲンならびにその誘導体及びアナログ)を含むことができる。
【0508】
ポリマーは、本明細書に開示の医薬組成物(例えば、脂質ナノ粒子形態の医薬組成物)に含まれてよく、及び/またはそれを封入もしくは部分的に封入するために使用することができる。ポリマーは、生分解性及び/または生体適合性であることができる。ポリマーは、限定されないが、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバマート、ポリ尿素、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアナート、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリーラートから選択することができる。
【0509】
脂質組成物とポリヌクレオチドとの間の比の範囲は、約10:1〜約60:1(wt/wt)であり得る。
【0510】
一部の実施形態では、脂質組成物とポリヌクレオチドとの間の比率は、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1(wt/wt)であり得る。一部の実施形態では、脂質組成物対治療薬をコードするポリヌクレオチドのwt/wt比は、約20:1または約15:1である。
【0511】
一部の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、複数のポリペプチドを含有することができる。例えば、本明細書に開示の医薬組成物は、2つ以上のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含有することができる。
【0512】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、もしくは70:1の脂質:ポリヌクレオチド重量比、またはこれらの比の範囲もしくはいずれか、例えば、限定されないが、5:1〜約10:1、約5:1〜約15:1、約5:1〜約20:1、約5:1〜約25:1、約5:1〜約30:1、約5:1〜約35:1、約5:1〜約40:1、約5:1〜約45:1、約5:1〜約50:1、約5:1〜約55:1、約5:1〜約60:1、約5:1〜約70:1、約10:1〜約15:1、約10:1〜約20:1、約10:1〜約25:1、約10:1〜約30:1、約10:1〜約35:1、約10:1〜約40:1、約10:1〜約45:1、約10:1〜約50:1、約10:1〜約55:1、約10:1〜約60:1、約10:1〜約70:1、約15:1〜約20:1、約15:1〜約25:1,約15:1〜約30:1、約15:1〜約35:1、約15:1〜約40:1、約15:1〜約45:1、約15:1〜約50:1、約15:1〜約55:1、約15:1〜約60:1、もしくは約15:1〜約70:1で含むことができる。
【0513】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、ポリヌクレオチドを、約0.1mg/ml〜2mg/ml、例えば、限定されないが、0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、1.0mg/ml、1.1mg/ml、1.2mg/ml、1.3mg/ml、1.4mg/ml、1.5mg/ml、1.6mg/ml、1.7mg/ml、1.8mg/ml、1.9mg/ml、2.0mg/ml、または2.0mg/mlを超える濃度で含むことができる。
【0514】
(vii)ナノ粒子組成物
一部の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)として製剤化される。したがって、本開示は、(i)本明細書に記載の化合物などの送達剤を含む脂質組成物、及び(ii)G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むナノ粒子組成物も提供する。そのようなナノ粒子組成物では、本明細書に開示の脂質組成物は、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(複数可)を封入することができる。
【0515】
ナノ粒子組成物は通常、マイクロメートル台以下の大きさであり、脂質二重層を含むことができる。ナノ粒子組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム(例えば、脂質ベシクル)、及びリポプレックスを包含する。例えば、ナノ粒子組成物は、500nm以下の直径を有する脂質二重層を有するリポソームであり得る。
【0516】
ナノ粒子組成物は、例えば、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム、及びリポプレックスを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、1つまたは複数の脂質二重層を含むベシクルである。ある特定の実施形態では、ナノ粒子組成物は、水性区画により隔てられた2つ以上の同心二重層を含む。脂質二重層は、官能化及び/または互いに架橋することができる。脂質二重層は、1つまたは複数のリガンド、タンパク質、またはチャネルを含むことができる。
【0517】
一実施形態では、脂質ナノ粒子は、イオン性脂質、構造脂質、リン脂質、及びmRNAを含む。一部の実施形態では、LNPは、イオン性脂質、PEG修飾脂質、ステロール、及び構造脂質を含む。一部の実施形態では、LNPは、約20〜60%のイオン性脂質;約5〜25%の構造脂質;約25〜55%のステロール;及び約0.5〜15%のPEG修飾脂質のモル比を有する。
【0518】
一部の実施形態では、LNPは、0.4未満の多分散値を有する。一部の実施形態では、LNPは、中性pHで正味中性電荷を有する。一部の実施形態では、LNPは、50〜150nmの平均直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、80〜100nmの平均直径を有する。
【0519】
本明細書で一般に定義する場合、「脂質」という用語は、疎水性または両親媒性特性を有する小分子を指す。脂質は、天然に生じる脂質または合成脂質であってよい。脂質の部類の例には、限定されないが、脂肪、ワックス、ステロール含有代謝産物、ビタミン、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、サッカロ脂質、及びポリケチド、ならびにプレノール脂質が含まれる。一部の場合では、一部の脂質の両親媒性特性により、それらが水性媒体中でリポソーム、ベシクル、または膜を形成するようになる。
【0520】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)は、イオン性脂質を含んでもよい。本明細書で使用する場合、「イオン性脂質」という用語は、当技術分野におけるその通常の意味を有し、1つまたは複数の荷電部分を含む脂質を指し得る。一部の実施形態では、イオン性脂質は、正に荷電または負に荷電してもよい。イオン性脂質は、正に荷電してもよく、この場合、それは、「カチオン脂質」と称され得る。ある特定の実施形態では、イオン性脂質分子は、アミン基を含んでもよく、イオン性アミノ脂質と称され得る。本明細書で使用する場合、「荷電部分」は、形式電荷、例えば、一価(+1または−1)、二価(+2または−2)、三価(+3または−3)などを有する化学的部分である。荷電部分は、アニオン性(すなわち、負に荷電)またはカチオン性(すなわち、正に荷電)であってよい。正荷電部分の例には、アミン基(例えば、1級アミン、2級アミン、及び/または3級アミン)、アンモニウム基、ピリジニウム基、グアニジン基、及びイミジゾリウム基が含まれる。ある特定の実施形態では、荷電部分は、アミン基を含む。負荷電基またはその前駆体の例には、カルボキシラート基、スルホナート基、スルファート基、ホスホナート基、ホスファート基、ヒドロキシル基などが含まれる。一部の場合では、荷電部分の電荷は、環境条件に伴い変動してもよく、例えば、pHの変化は、部分の電荷を変化させ、及び/または部分が荷電または非荷電になるようし得る。一般に、分子の電荷密度は、要望どおりに選択され得る。
【0521】
「荷電」または「荷電部分」という用語は、分子上の「部分的負電荷」または「部分的正電荷」を指さないことを理解すべきである。「部分負電荷」及び「部分正電荷」という用語には、当技術分野で通常の意味が与えられる。電子密度が結合の1つの原子に向かって引っ張られて、原子上に部分的な負電荷を生成するように、官能基が分極化する結合を含む場合、「部分負電荷」が生じ得る。当業者らは一般に、このように分極することができる結合を認識するであろう。
【0522】
一部の実施形態では、イオン性脂質は、当技術分野で「イオン性カチオン脂質」と呼ばれる場合があるイオン性アミノ脂質である。一実施形態では、イオン性アミノ脂質は、リンカー構造を介して結合される正荷電親水性ヘッド及び疎水性テイルを有し得る。
【0523】
これらに加えて、イオン性脂質は、環式アミン基を含む脂質であってもよい。
【0524】
一実施形態では、イオン性脂質は、限定されないが、国際公開WO2013086354及びWO2013116126に記載のイオン性脂質から選択され得;これらはそれぞれ、それらの内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0525】
また別の実施形態では、イオン性脂質は、限定されないが、米国特許第7,404,969号の式CLI−CLXXXXIIから選択され得;これらはそれぞれ、それらの内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0526】
一実施形態では、脂質は、全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2012170889に記載のものなどの切断可能な脂質であってよい。一実施形態では、脂質は、当技術分野で公知の方法により、及び/または国際公開WO2013086354に記載のとおりに合成され得;これらはそれぞれ、それらの内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0527】
ナノ粒子組成物は、様々な方法により特徴付けることができる。例えば、顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡)を、ナノ粒子組成物の形態及びサイズ分布を調べるために使用することができる。動的光散乱法または電位差測定法(例えば、電位差滴定)を、ゼータ電位を測定するために使用することができる。動的光散乱法は、粒径を決定するために利用することもできる。Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd,Malvern,Worcestershire,UK)などの装置を、ナノ粒子組成物の複数の特徴、例えば、粒径、多分散指数、及びゼータ電位を測定するために使用することもできる。
【0528】
ナノ粒子のサイズは、限定されないが、炎症などの生物学的反応を打ち消すのを助けることができ、または、ポリヌクレオチドの生物学的効果を増加させることができる。本明細書で使用する場合、ナノ粒子組成物の文脈における「サイズ」または「平均サイズ」は、ナノ粒子組成物の平均直径を指す。
【0529】
一実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、約10〜約100nm、例えば、限定されないが、約10〜約20nm、約10〜約30nm、約10〜約40nm、約10〜約50nm、約10〜約60nm、約10〜約70nm、約10〜約80nm、約10〜約90nm、約20〜約30nm、約20〜約40nm、約20〜約50nm、約20〜約60nm、約20〜約70nm、約20〜約80nm、約20〜約90nm、約20〜約100nm、約30〜約40nm、約30〜約50nm、約30〜約60nm、約30〜約70nm、約30〜約80nm、約30〜約90nm、約30〜約100nm、約40〜約50nm、約40〜約60nm、約40〜約70nm、約40〜約80nm、約40〜約90nm、約40〜約100nm、約50〜約60nm、約50〜約70nm、約50〜約80nm、約50〜約90nm、約50〜約100nm、約60〜約70nm、約60〜約80nm、約60〜約90nm、約60〜約100nm、約70〜約80nm、約70〜約90nm、約70〜約100nm、約80〜約90nm、約80〜約100nm及び/または約90〜約100nmの直径を有する脂質ナノ粒子中で製剤化する。
【0530】
一実施形態では、上記ナノ粒子は、約10〜500nmの直径を有する。一実施形態では、上記ナノ粒子は、100nm超、150nm超、200nm超、250nm超、300nm超、350nm超、400nm超、450nm超、500nm超、550nm超、600nm超、650nm超、700nm超、750nm超、800nm超、850nm超、900nm超、950nm超、または1000nm超の直径を有する。
【0531】
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物の最大寸法は、1μm以下(例えば、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、50nm以下)である。
【0532】
ナノ粒子組成物は、比較的均質であり得る。多分散指数を、ナノ粒子組成物の均質性、例えば、ナノ粒子組成物の粒径分布を示すために使用することができる。小さな(例えば、0.3未満の)多分散指数は一般に、狭い粒径分布を示す。ナノ粒子組成物は、約0〜約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25の多分散指数を有することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示のナノ粒子組成物の多分散指数は、約0.10〜約0.20であり得る。
【0533】
ナノ粒子組成物のゼータ電位を、組成物の界面動電電位を示すために使用することができる。例えば、ゼータ電位は、ナノ粒子組成物の表面電荷を表すことができる。より高い電荷種は、細胞、組織、及び体内の他の要素と望ましくない相互作用をする可能性があるので、正または負の比較的少ない電荷を有するナノ粒子組成物が一般に望ましい。一部の実施形態では、本明細書に開示のナノ粒子組成物のゼータ電位は、約−10mV〜約+20mV、約−10mV〜約+15mV、約10mV〜約+10mV、約−10mV〜約+5mV、約−10mV〜約0mV、約−10mV〜約−5mV、約−5mV〜約+20mV、約−5mV〜約+15mV、約−5mV〜約+10mV、約−5mV〜約+5mV、約−5mV〜約0mV、約0mV〜約+20mV、約0mV〜約+15mV、約0mV〜約+10mV、約0mV〜約+5mV、約+5mV〜約+20mV、約+5mV〜約+15mV、または約+5mV〜約+10mVであり得る。
【0534】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は、約0mV〜約100mV、約0mV〜約90mV、約0mV〜約80mV、約0mV〜約70mV、約0mV〜約60mV、約0mV〜約50mV、約0mV〜約40mV、約0mV〜約30mV、約0mV〜約20mV、約0mV〜約10mV、約10mV〜約100mV、約10mV〜約90mV、約10mV〜約80mV、約10mV〜約70mV、約10mV〜約60mV、約10mV〜約50mV、約10mV〜約40mV、約10mV〜約30mV、約10mV〜約20mV、約20mV〜約100mV、約20mV〜約90mV、約20mV〜約80mV、約20mV〜約70mV、約20mV〜約60mV、約20mV〜約50mV、約20mV〜約40mV、約20mV〜約30mV、約30mV〜約100mV、約30mV〜約90mV、約30mV〜約80mV、約30mV〜約70mV、約30mV〜約60mV、約30mV〜約50mV、約30mV〜約40mV、約40mV〜約100mV、約40mV〜約90mV、約40mV〜約80mV、約40mV〜約70mV、約40mV〜約60mV,及び約40mV〜約50mVであり得る。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は、約10mV〜約50mV、約15mV〜約45mV、約20mV〜約40mV、及び約25mV〜約35mVであり得る。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は、約10mV、約20mV、約30mV、約40mV、約50mV、約60mV、約70mV、約80mV、約90mV、及び約100mVであり得る。
【0535】
ポリヌクレオチドの「封入効率」という用語は、提供された初期量に対する、調製後のナノ粒子組成物により封入されるか、または別の方法でこれと会合するポリヌクレオチドの量を表す。本明細書で使用する場合、「封入」は、完全な、実質的な、または部分的な閉じ込め、拘束、取り囲み、または内包を指し得る。
【0536】
封入効率は、高いことが望ましい(例えば、100%に近い)。封入効率は、例えば、1つまたは複数の有機溶媒または界面活性剤でナノ粒子組成物を分解させた前後で、ナノ粒子組成物を含有する溶液中のポリヌクレオチドの量を比較することにより、測定することができる。
【0537】
蛍光を、溶液中の遊離ポリヌクレオチドの量を測定するために使用することができる。本明細書に記載のナノ粒子組成物では、ポリヌクレオチドの封入効率は、少なくとも50%、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であり得る。一部の実施形態では、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある特定の実施形態では、封入効率は、少なくとも90%であり得る。
【0538】
本明細書に開示の医薬組成物中に存在するポリヌクレオチドの量は、複数の要因、例えば、ポリヌクレオチドのサイズ、所望の標的及び/または用途、またはナノ粒子組成物の他の特性、さらにはポリヌクレオチドの特性に依存し得る。
【0539】
例えば、ナノ粒子組成物に有用なmRNAの量は、mRNAのサイズ(長さまたは分子量として表される)、配列、及び他の特徴に依存し得る。ナノ粒子組成物中のポリヌクレオチドの相対量も変動し得る。
【0540】
本開示の脂質組成物及び脂質ナノ粒子組成物中に存在するポリヌクレオチドの相対量は、有効性及び忍容性の考察に従って最適化することができる。ポリヌクレオチドとしてmRNAを含む組成物では、N:P比は、有用なメトリックとして機能し得る。
【0541】
ナノ粒子組成物のN:P比が発現及び忍容性の両方を制御するので、低いN:P比及び強い発現を有するナノ粒子組成物が望ましい。N:P比は、ナノ粒子組成物中の脂質対RNAの比に従って変動する。
【0542】
一般に、より低いN:P比が、好ましい。1つまたは複数のRNA、脂質、及びその量は、約2:1〜約30:1、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、20:1、22:1、24:1、26:1、28:1、または30:1のN:P比を提供するように選択することができる。ある特定の実施形態では、N:P比は、約2:1〜約8:1であり得る。他の実施形態では、N:P比は、約5:1〜約8:1である。ある特定の実施形態では、N:P比は、5:1〜6:1である。ある特定の一態様では、N:P比は、約5.67:1である。
【0543】
ナノ粒子組成物を提供することに加えて、本開示は、ポリヌクレオチドを封入することを含む、脂質ナノ粒子を生成する方法も提供する。そのような方法は、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかを使用すること、及び当技術分野で公知の脂質ナノ粒子の生成方法に従って脂質ナノ粒子を生成することを含む。例えば、Wang et al.(2015)”Delivery of oligonucleotides with lipid nanoparticles”Adv.Drug Deliv.Rev.87:68−80;Silva et al.(2015)“Delivery Systems for Biopharmaceuticals.Part I:Nanoparticles and Microparticles”Curr.Pharm.Technol.16:940−954;Naseri et al.(2015)“Solid Lipid Nanoparticles and Nanostructured Lipid Carriers:Structure,Preparation and Application”Adv.Pharm.Bull.5:305−13;Silva et al.(2015)“Lipid nanoparticles for the delivery of biopharmaceuticals”Curr.Pharm.Biotechnol.16:291−302、及びそれらの中に引用されている参照文献を参照されたい。
【0544】
21.他の送達剤
a.リポソーム、リポプレックス、及び脂質ナノ粒子
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、送達剤、例えば、リポソーム、リオプレックス、脂質ナノ粒子、またはそれらの任意の組合せを含む。本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、1つまたは複数のリポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子を使用して製剤化することができる。リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子は、これらの製剤がポリヌクレオチドによる細胞のトランスフェクションを増加させ;及び/またはコードされたタンパク質の翻訳を増加させるので、タンパク質産生を目的とするポリヌクレオチドの有効性を向上させるために使用することができる。リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子は、ポリヌクレオチドの安定性を上昇させるために使用することもできる。
【0545】
リポソームは、主に脂質二重層で構成することができ、かつ医薬製剤を投与するための送達ビヒクルとして使用することができる人工的に調製されたベシクルである。リポソームは、種々のサイズであり得る。マルチラメラベシクル(MLV)は、直径が数百ナノメートルであり得、狭い水性区画により隔てられた一連の同心二重層を含有し得る。スモールユニセルベシクル(SUV)は、直径が50nm未満であり得、ラージユニラメラベシクル(LUV)は、直径が50〜500nmであり得る。リポソームの設計は、限定されないが、不健康な組織へのリポソームの付着を向上させるための、または限定されないが、エンドサイトーシスなどのイベントを活性化するためのオプソニンまたはリガンドを含むことができる。リポソームは、医薬製剤の送達を向上させるために、低いまたは高いpH値を含有することができる。
【0546】
リポソームの形成は、封入された医薬製剤及びリポソーム成分、脂質ベシクルが分散されている媒体の性質、封入された物質の有効濃度及びその潜在的な毒性、ベシクルの適用及び/または送達中に関与する任意の追加のプロセス、意図されている用途のためのベシクルの最適なサイズ、多分散性及び貯蔵寿命、ならびにバッチ間の再現性及び安全かつ効率的なリポソーム製品の生成のスケールアップなどに依存し得る。
【0547】
非限定的例として、合成膜ベシクルなどのリポソームを、米国特許出願公開第20130177638号、同第20130177637号、同第20130177636号、同第20130177635号、同第20130177634号、同第20130177633号、同第20130183375号、同第20130183373号、及び同第20130183372号に記載の方法、装置、及びデバイスで調製することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、リポソームにより封入することができ、及び/または、それは、例えば、国際公開WO2012031046、WO2012031043、WO2012030901、WO2012006378、及びWO2013086526;ならびに、米国特許出願公開第20130189351号、同第20130195969号、及び同第20130202684号に記載のとおりのリポソームにより封入することができる水性コアに含有され得る。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0548】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、カチオン性水中油型エマルションに製剤化することができ、その際、エマルション粒子は、分子をエマルション粒子にアンカーするポリヌクレオチドと相互作用することができる油性コア及びカチオン脂質を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、親水性相を分散させる連続疎水性相を含む油中水型エマルション中で製剤化することができる。例示的なエマルションは、国際公開WO2012006380及びWO201087791に記載の方法により作製することができ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0549】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、脂質−ポリカチオン複合体中で製剤化することができる。脂質−ポリカチオン複合体の形成は、例えば、米国特許出願公開第20120178702号に記載のとおりの方法により達成することができる。非限定的例として、ポリカチオンは、カチオン性ペプチドまたはポリペプチド、例えば、限定されないが、ポリリシン、ポリオルニチン、及び/またはポリアルギニン、ならびに、国際公開WO2012013326または米国特許出願公開第20130142818号に記載のカチオン性ペプチドを含むことができる。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0550】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、国際公開WO2013123523、WO2012170930、WO2011127255、及びWO2008103276;ならびに米国特許出願公開第20130171646号に記載のとおりのものなどの脂質ナノ粒子(LNP)中で製剤化することができ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0551】
脂質ナノ粒子製剤は典型的には、1つまたは複数の脂質を含む。一部の実施形態では、脂質は、当技術分野で「イオン性カチオン脂質」と称される場合があるイオン性脂質(例えば、イオン性アミノ脂質)である。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、リン脂質、構造脂質、及び粒子凝集を減少させることができる分子、例えば、PEGまたはPEG修飾脂質を含む他の構成成分をさらに含む。
【0552】
例示的なイオン性脂質には、限定されないが、本明細書に開示の化合物1〜342のうちのいずれか1つ、DLin−MC3−DMA(MC3)、DLin−DMA、DLenDMA、DLin−D−DMA、DLin−K−DMA、DLin−M−C2−DMA、DLin−K−DMA、DLin−KC2−DMA、DLin−KC3−DMA、DLin−KC4−DMA、DLin−C2K−DMA、DLin−MP−DMA、DODMA、98N12−5、C12−200、DLin−C−DAP、DLin−DAC、DLinDAP、DLinAP、DLin−EG−DMA、DLin−2−DMAP、KL10、KL22、KL25、オクチル−CLinDMA、オクチル−CLinDMA(2R)、オクチル−CLinDMA(2S)、及びそれらの任意の組合せが含まれる。他の例示的なイオン性脂質には、(13Z,16Z)−N,N−ジメチル−3−ノニルドコサ−13,16−ジエン−1−アミン(L608)、(20Z,23Z)−N,N−ジメチルノナコサ−20,23−ジエン−10−アミン、(17Z,20Z)−N,N−ジメチルヘキサコサ−17,20−ジエン−9−アミン、(16Z,19Z)−N5N−ジメチルペンタコサ−16,19−ジエン−8−アミン、(13Z,16Z)−N,N−ジメチルドコサ−13,16−ジエン−5−アミン、(12Z,15Z)−N,N−ジメチルヘニコサ−12,15−ジエン−4−アミン、(14Z,17Z)−N,N−ジメチルトリコサ−14,17−ジエン−6−アミン、(15Z,18Z)−N,N−ジメチルテトラコサ−15,18−ジエン−7−アミン、(18Z,21Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ−18,21−ジエン−10−アミン、(15Z,18Z)−N,N−ジメチルテトラコサ−15,18−ジエン−5−アミン、(14Z,17Z)−N,N−ジメチルトリコサ−14,17−ジエン−4−アミン、(19Z,22Z)−N,N−ジメチルオクタコサ−19,22−ジエン−9−アミン、(18Z,21Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ−18,21−ジエン−8−アミン、(17Z,20Z)−N,N−ジメチルヘキサコサ−17,20−ジエン−7−アミン、(16Z,19Z)−N,N−ジメチルペンタコサ−16,19−ジエン−6−アミン、(22Z,25Z)−N,N−ジメチルヘントリアコンタ−22,25−ジエン−10−アミン、(21Z,24Z)−N,N−ジメチルトリアコンタ−21,24−ジエン−9−アミン、(18Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ−18−エン−10−アミン、(17Z)−N,N−ジメチルヘキサコサ−17−エン−9−アミン、(19Z,22Z)−N,N−ジメチルオクタコサ−19,22−ジエン−7−アミン、N,N−ジメチルヘプタコサン−10−アミン、(20Z,23Z)−N−エチル−N−メチルノナコサ−20,23−ジエン−10−アミン、1−[(11Z,14Z)−1−ノニリコサ−11,14−ジエン−1−イル]ピロリジン、(20Z)−N,N−ジメチルエプタコサ−20−エン−10−アミン、(15Z)−N,N−ジメチルヘプタコサ−15−エン−10−アミン、(14Z)−N,N−ジメチルノナコサ−14−エン−10−アミン、(17Z)−N,N−ジメチルノナコサ−17−エン−10−アミン、(24Z)−N,N−ジメチルトリトリアコンタ−24−エン−10−アミン、(20Z)−N,N−ジメチルノナコサ−20−エン−10−アミン、(22Z)−N,N−ジメチルヘントリアコンタ−22−エン−10−アミン、(16Z)−N,N−ジメチルペンタコサ−16−エン−8−アミン、(12Z,15Z)−N,N−ジメチル−2−ノニルヘニコサ−12,15−ジエン−1−アミン、N,N−ジメチル−1−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]エプタデカン−8−アミン、1−[(1S,2R)−2−ヘキシルシクロプロピル]−N,N−ジメチルノナデカン−10−アミン、N,N−ジメチル−1−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ノナデカン−10−アミン、N,N−ジメチル−21−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ヘニコサン−10−アミン、N,N−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−{[(1R,2R)−2−ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]ノナデカン−10−アミン、N,N−ジメチル−1−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン−8−アミン、N,N−ジメチル−[(1R,2S)−2−ウンデシルシクロプロピル]テトラデカン−5−アミン、N,N−ジメチル−3−{7−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン−1−アミン、1−[(1R,2S)−2−ヘプチルシクロプロピル]−N,N−ジメチルオクタデカン−9−アミン、1−[(1S,2R)−2−デシルシクロプロピル]−N,N−ジメチルペンタデカン−6−アミン、N,N−ジメチル−1−[(1S,2R)−2−オクチルシクロプロピル]ペンタデカン−8−アミン、R−N,N−ジメチル−1−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、S−N,N−ジメチル−1−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、1−{2−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−1−[(オクチルオキシ)メチル]エチル}ピロリジン、(2S)−N,N−ジメチル−1−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−3−[(5Z)−オクタ−5−エン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、1−{2−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−1−[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)−1−(ヘキシルオキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、(2S)−1−(ヘプチルオキシ)−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、N,N−ジメチル−1−(ノニルオキシ)−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、N,N−ジメチル−1−[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン;(2S)−N,N−ジメチル−1−[(6Z,9Z,12Z)−オクタデカ−6,9,12−トリエン−1−イルオキシ]−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2S)−1−[(11Z,14Z)−イコサ−11,14−ジエン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(ペンチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2S)−1−(ヘキシルオキシ)−3−[(11Z,14Z)−イコサ−11,14−ジエン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチルプロパン−2−アミン、1−[(11Z,14Z)−イコサ−11,14−ジエン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、1−[(13Z,16Z)−ドコサ−13,16−ジエン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2S)−1−[(13Z,16Z)−ドコサ−13,16−ジエン−1−イルオキシ]−3−(ヘキシルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−2−アミン、(2S)−1−[(13Z)−ドコサ−13−エン−1−イルオキシ]−3−(ヘキシルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−2−アミン、1−[(13Z)−ドコサ−13−エン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、1−[(9Z)−ヘキサデカ−9−エン−1−イルオキシ]−N,N−ジメチル−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、(2R)−N,N−ジメチル−H(1−メトイルオクチル)オキシ]−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、(2R)−1−[(3,7−ジメチルオクチル)オキシ]−N,N−ジメチル−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]プロパン−2−アミン、N,N−ジメチル−1−(オクチルオキシ)−3−({8−[(1S,2S)−2−{[(1R,2R)−2−ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン−2−アミン、N,N−ジメチル−1−{[8−(2−オクリルシクロプロピル)オクチル]オキシ}−3−(オクチルオキシ)プロパン−2−アミン、及び(11E,20Z,23Z)−N,N−ジメチルノナコサ−11,20,2−トリエン−10−アミン、ならびにそれらの任意の組合せが含まれる。
【0553】
リン脂質には、限定されないが、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジグリセロール及びホスファチジン酸が含まれる。リン脂質には、スフィンゴミエリンなどのホスホスフィンゴ脂質も含まれる。一部の実施形態では、リン脂質は、DLPC、DMPC、DOPC、DPPC、DSPC、DUPC、18:0ジエーテルPC、DLnPC、DAPC、DHAPC、DOPE、4ME16:0PE、DSPE、DLPE,DLnPE、DAPE、DHAPE、DOPG、及びそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、リン脂質は、MPPC、MSPC、PMPC、PSPC、SMPC、SPPC、DHAPE、DOPG、及びそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、脂質組成物中のリン脂質(例えば、DSPC)の量は、約1mol%〜約20mol%の範囲である。
【0554】
構造脂質は、ステロール及びステロール部分を含有する脂質を含む。一部の実施形態では、構造脂質は、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、アルファトコフェロール、及びそれらの混合物を含む。一部の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。一部の実施形態では、脂質組成物中の構造脂質(例えば、コレステロール)の量は、約20mol%〜約60mol%の範囲である。
【0555】
PEG修飾脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEG−セラミドコンジュゲート(例えば、PEG−CerC14またはPEG−CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン及びPEG修飾1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミンを含む。そのような脂質は、PEG化脂質とも称される。例えば、PEG脂質は、PEG−c−DOMG、PEG−DMG、PEG−DLPE、PEG−DMPE、PEG−DPPC、またはPEG−DSPE脂質であり得る。一部の実施形態では、PEG脂質は、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG−DMG)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG−DSPE)、PEG−ジステリルグリセロール(PEG−DSG)、PEG−ジパルメトレイル、PEG−ジオレイル、PEG−ジステアリル、PEG−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)、PEG−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DPPE)、またはPEG−1,2−ジミリスチルオキシルプロピル−3−アミン(PEG−c−DMA)である。一部の実施形態では、PEG部分は、約1000、2000、5000、10,000、15,000、または20,000ダルトンのサイズを有する。一部の実施形態では、脂質組成物中のPEG脂質の量は、約0mol%〜約5mol%の範囲である。
【0556】
一部の実施形態では、本明細書に記載のLNP製剤は追加的に、透過促進分子を含むことができる。非限定的な透過促進分子は、全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20050222064号に記載されている。
【0557】
上記LNP製剤は、ホスファートコンジュゲートをさらに含有することができる。ホスファートコンジュゲートは、in vivo循環時間を増加させ、及び/またはナノ粒子の標的送達を増加させることができる。ホスファートコンジュゲートは、例えば、国際公開WO2013033438または米国特許出願公開第20130196948号に記載の方法により作製することができる。LNP製剤は、例えば、米国特許出願公開第20130059360号、同第20130196948号、及び同第20130072709号に記載のとおりのポリマーコンジュゲート(例えば、水溶性コンジュゲート)も含有することができる。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0558】
上記LNP製剤は、対象における本発明のナノ粒子の送達を増強するコンジュゲートを含むことができる。さらに、コンジュゲートは、対象におけるナノ粒子の貪食クリアランスを阻害することができる。一部の実施形態では、コンジュゲートは、ヒト膜タンパク質CD47から設計される「自己」ペプチド(例えば、全体が参照により本明細書に援用されるRodriguez et al,Science 2013 339,971−975により記載される「自己」粒子)であり得る。Rodriguezらにより示されたとおり、自己ペプチドは、ナノ粒子のマクロファージ媒介クリアランスを遅延させて、ナノ粒子の送達を増強させた。
【0559】
上記LNP製剤は、炭水化物担体を含むことができる。非限定的例として、炭水化物担体には、限定されないが、無水物修飾フィトグリコーゲンまたはグリコーゲン型物質、フィトグリコーゲンオクテニルスクシナート、フィトグリコーゲンベータデキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンベータデキストリンが含まれ得る(例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2012109121)。
【0560】
上記LNP製剤は、粒子の送達を向上させるために、界面活性剤またはポリマーでコーティングすることができる。一部の実施形態では、上記LNPを、親水性のコーティング、例えば、限定されないが、PEGコーティング及び/または全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第20130183244号に記載のとおりの中性表面電荷を有するコーティングでコーティングすることができる。
【0561】
上記LNP製剤は、それぞれ全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,241,670号または国際公開WO2013110028に記載のとおり、脂質ナノ粒子が粘膜バリアに浸透することができるように、粒子の表面特性を変更するように操作することができる。
【0562】
粘液に浸透するように操作されたLNPは、ポリマー材料(すなわち、ポリマーコア)及び/またはポリマー−ビタミンコンジュゲート及び/またはトリブロックコポリマーを含むことができる。ポリマー材料には、限定されないが、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバマート、ポリ尿素、ポリカルボナート、ポリ(スチレン)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアナート、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリレートが含まれ得る。
【0563】
粘液に浸透するように操作されたLNPには、表面改質剤、例えば、限定されないが、ポリヌクレオチド、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、例えば、ジメチルジオクタデシル−臭化アンモニウム)、糖類または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール及びポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、N−アセチルシステイン、ヨモギ、ブロメライン、パパイン、クサギ属の木、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、チモシンβ4ドルナーゼアルファ、ネルテネキシン、エルドステイン)、ならびにrhDNアーゼを含む種々のDNアーゼが含まれ得る。
【0564】
一部の実施形態では、粘液浸透性LNPは、粘膜浸透促進コーティングを含む低張性製剤であり得る。製剤は、それが送達される上皮に対して低張性であり得る。低張性製剤の非限定的例は、例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2013110028において見出すことができる。
【0565】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、リポプレックス、例えば、限定されないが、Silence Therapeutics(London、英国)製のATUPLEX(商標)システム、DACCシステム、DBTCシステム、及び他のsiRNA−リポプレックス技術、STEMGENT(登録商標)(Cambridge,MA)製STEMFECT(商標)、ならびにポリエチレンイミン(PEI)または核酸のプロタミンベースの標的化及び非標的化送達として製剤化する(Aleku et al.Cancer Res.2008 68:9788−9798;Strumberg et al.Int J Clin Pharmacol Ther 2012 50:76−78;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222−1234;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360−1370;Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334−344;Kaufmann et al.Microvasc Res 2010 80:286−293Weide et al.J Immunother.2009 32:498−507;Weide et al.J Immunother.2008 31:180−188;Pascolo Expert Opin.Biol.Ther.4:1285−1294;Fotin−Mleczek et al.,2011 J.Immunother.34:1−15;Song et al.,Nature Biotechnol.2005,23:709−717;Peer et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2007 6;104:4095−4100;deFougerolles Hum Gene Ther.2008 19:125−132;これらはすべて、その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0566】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、10〜1000nmの平均直径を有する球状であり得る固体脂質ナノ粒子(SLN)として製剤化される。SLNは、親油性分子を可溶化することができ、界面活性剤及び/または乳化剤で安定化することができる固体脂質コアマトリックスを有する。例示的なSLNは、全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2013105101に記載のとおりのものであり得る。
【0567】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、徐放及び/または標的送達のために製剤化することができる。本明細書で使用する場合、「徐放」は、治療成績を達成する、放出のある特定のパターンに適合する医薬組成物または化合物放出プロファイルを指す。一実施形態では、上記ポリヌクレオチドを、徐放及び/または標的送達のための、本明細書に記載の、及び/または当技術分野で公知の送達剤に封入することができる。本明細書で使用する場合、「封入」という用語は、閉じ込めること、取り囲むこと、または内包することを意味する。それが本発明の化合物の製剤化に関連する場合、封入は、実質的、完全、または部分的であり得る。「実質的に封入された」という用語は、本発明の医薬組成物または化合物の少なくとも50超、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、または99%超を、送達剤に閉じ込めるか、取り囲むか、または内包することができることを意味する。「部分的封入」は、本発明の医薬組成物または化合物の10未満、10、20、30、40、50、またはそれ未満を、送達剤に閉じ込めるか、取り囲むか、または内包することができることを意味する。
【0568】
有利なことに、封入は、蛍光及び/または電子顕微鏡写真を使用して、本発明の医薬組成物または化合物の脱出または活性を測定することにより決定することができる。例えば、本発明の医薬組成物または化合物の少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、または99%超が、送達剤に封入される。
【0569】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、本明細書では「治療的ナノ粒子ポリヌクレオチド」と称される治療的ナノ粒子内に封入することができる。治療的ナノ粒子を、例えば、国際公開WO2010005740、WO2010030763、WO2010005721、WO2010005723、及びWO2012054923;ならびに米国特許出願公開第20110262491号、同第20100104645号、同第20100087337号、同第20100068285号、同第20110274759号、同第20100068286号、同第20120288541号、同第20120140790号、同第20130123351号、及び同第20130230567号;ならびに米国特許第8,206,747号、同第8,293,276号、同第8,318,208号、及び同第8,318,211号に記載の方法により製剤化することができ、(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。)
【0570】
一部の実施形態では、上記治療的ナノ粒子ポリヌクレオチドを、持続放出のために製剤化することができる。本明細書で使用する場合、「持続放出」は、ある特定の期間にわたる放出速度に適合する医薬組成物または化合物を指す。期間には、限定されないが、時間、日、週、月、年が含まれ得る。非限定的例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドの持続放出ナノ粒子を、国際公開WO2010075072及び米国特許出願公開第20100216804号、同第20110217377号、同第20120201859号、及び同第20130150295に開示のとおりに製剤化することができ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0571】
一部の実施形態では、上記治療的ナノ粒子ポリヌクレオチドを、国際公開WO2008121949、WO2010005726、WO2010005725、WO2011084521、及びWO2011084518;ならびに米国特許出願公開第20100069426号、同第20120004293号、及び同第20100104655号に記載のものなど、標的特異的であるように製剤化することができ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0572】
LNPを、マイクロ流体ミキサーまたはマイクロミキサーを使用して調製することができる。例示的マイクロ流体ミキサーには、限定されないが、Microinnova(Allerheiligen bei Wildon,Austria)により製造されるもの及び/またはジグザグヘリンボーンマイクロミキサー(SHM)を含むスリットインターデジタルマイクロミキサーが含まれ得る(Zhigaltsevet al.,”Bottom−up design and synthesis of limit size lipid nanoparticle systems with aqueous and triglyceride cores using millisecond microfluidic mixing,”Langmuir 28:3633−40(2012);Belliveau et al.,”Microfluidic synthesis of highly potent limit−size lipid nanoparticles for in vivo delivery of siRNA,”Molecular Therapy−Nucleic Acids.1:e37(2012);Chen et al.,”Rapid discovery of potent siRNA−containing lipid nanoparticles enabled by controlled microfluidic formulation,”J.Am.Chem.Soc.134(16):6948−51(2012)を参照されたい;これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)。例示的なマイクロミキサーには、Institut fur Mikrotechnik Mainz GmbH(Mainz Germany)製のスリットインターデジタル微細構造ミキサー(SIMM−V2)または標準スリットインターデジタルマイクロミキサー(SSIMM)またはキャタピラー(CPMM)または衝突噴流(IJMM)が含まれる。一部の実施形態では、SHMを使用してLNPを作製する方法は、少なくとも2つの入力ストリームを混合することをさらに含み、その際、混合は、微細構造誘導カオス移流(MICA)で生じる。この方法によれば、流体ストリームは、ヘリンボーンパターンに存在するチャネルを通って流れて、回転流を引き起こし、流体を互いに混ぜる。この方法は、流体混合のための面を含むこともでき、その際、面は、流体循環中に方向を変える。SHMを使用してLNPを生成する方法には、米国特許出願公開第20040262223号及び同第20120276209号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)に開示のものが含まれる。
【0573】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、マイクロ流体技術を使用して、脂質ナノ粒子中で製剤化することができる(Whitesides,George M.,”The Origins and the Future of Microfluidics,”Nature 442:368−373(2006);及びAbraham et al.,”Chaotic Mixer for Microchannels,”Science 295:647−651(2002)を参照されたい;これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドを、マイクロミキサーチップ、例えば、限定されないが、Harvard Apparatus(Holliston,MA)またはDolomite Microfluidics(Royston,英国)製のものなどを使用して、脂質ナノ粒子中で製剤化することができる。マイクロミキサーチップを、分割及び再結合機構を用いる2つ以上の流体ストリームの迅速な混合のために使用することができる。
【0574】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、約1nm〜約100nm、例えば、限定されないが、約1nm〜約20nm、約1nm〜約30nm、約1nm〜約40nm、約1nm〜約50nm、約1nm〜約60nm、約1nm〜約70nm、約1nm〜約80nm、約1nm〜約90nm、約5nm〜約100nm、約5nm〜約10nm、約5nm〜約20nm、約5nm〜約30nm、約5nm〜約40nm、約5nm〜約50nm、約5nm〜約60nm、約5nm〜約70nm、約5nm〜約80nm、約5nm〜約90nm、約10〜約20nm、約10〜約30nm、約10〜約40nm、約10〜約50nm、約10〜約60nm、約10〜約70nm、約10〜約80nm、約10〜約90nm、約20〜約30nm、約20〜約40nm、約20〜約50nm、約20〜約60nm、約20〜約70nm、約20〜約80nm、約20〜約90nm、約20〜約100nm、約30〜約40nm、約30〜約50nm、約30〜約60nm、約30〜約70nm、約30〜約80nm、約30〜約90nm、約30〜約100nm、約40〜約50nm、約40〜約60nm、約40〜約70nm、約40〜約80nm、約40〜約90nm、約40〜約100nm、約50〜約60nm、約50〜約70nm、約50〜約80nm、約50〜約90nm、約50〜約100nm、約60〜約70nm、約60〜約80nm、約60〜約90nm、約60〜約100nm、約70〜約80nm、約70〜約90nm、約70〜約100nm、約80〜約90nm、約80〜約100nm、及び/または約90〜約100nmの直径を有する脂質ナノ粒子中で製剤化することができる。
【0575】
一部の実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、約10〜500nmの直径を有することができる。一実施形態では、上記脂質ナノ粒子は、100nmより大きい、150nmより大きい、200nmより大きい、250nmより大きい、300nmより大きい、350nmより大きい、400nmより大きい、450nmより大きい、500nmより大きい、550nmより大きい、600nmより大きい、650nmより大きい、700nmより大きい、750nmより大きい、800nmより大きい、850nmより大きい、900nmより大きい、950nmより大きい、または1000nmより大きい直径を有することができる。
【0576】
一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、より小さなLNPを使用して送達することができる。そのような粒子は、0.1μm未満から100nmまで、例えば、限定されないが、0.1μm未満、1.0μm未満、5μm未満、10μm未満、15um未満、20um未満、25um未満、30um未満、35um未満、40um未満、50um未満、55um未満、60um未満、65um未満、70um未満、75um未満、80um未満、85um未満、90um未満、95um未満、100um未満、125um未満、150um未満、175um未満、200um未満、225um未満、250um未満、275um未満、300um未満、325um未満、350um未満、375um未満、400um未満、425um未満、450um未満、475um未満、500um未満、525um未満、550um未満、575um未満、600um未満、625um未満、650um未満、675um未満、700um未満、725um未満、750um未満、775um未満、800um未満、825um未満、850um未満、875um未満、900um未満、925um未満、950um未満、または975um未満の直径を含むことができる。
【0577】
本明細書に記載のナノ粒子及びマイクロ粒子は、マクロファージ及び/または免疫応答を調節するために幾何学的に操作することができる。幾何学的に操作された粒子は、標的送達、例えば、限定されないが、経肺送達のために本明細書に記載のポリヌクレオチドを組み込む様々な形状、サイズ、及び/または表面電荷を有することができる(例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2013082111を参照されたい)。粒子を幾何学的に操作する他の物理的特徴には、限定されないが、細胞及び組織との相互作用を変更することができる開口、曲げられたアーム、非対称性、及び表面粗さ、電荷が含まれる。
【0578】
一部の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、限定されないが、全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20130172406号に記載のものなどのステルスナノ粒子または標的特異的ステルスナノ粒子である。ステルスまたは標的特異的ステルスナノ粒子は、限定されないが、ポリエチレン、ポリカルボナート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマラート(polypropylfumerates)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリシアノアクリラート、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリエステル、ポリ無水物、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリメタクリラート、ポリアクリラート、ポリシアノアクリラート、またはそれらの組合せなどの2つ以上のポリマーを含むことができるポリマーマトリックスを含むことができる。
【0579】
b.リピドイド
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、送達剤、例えば、リピドイドを含む。本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、リピドイドと共に製剤化することができる。これらのリピドイドを含有する複合体、ミセル、リポソーム、または粒子を調製すると、局所及び/または全身投与経路を介するリピドイド製剤の注射後に、コードされたタンパク質の産生により判定されるとおり、ポリヌクレオチドの有効な送達を達成することができる。ポリヌクレオチドのリピドイド複合体は、限定されないが、静脈内、筋肉内、または皮下経路を含む種々の手段により投与することができる。
【0580】
リピドイドの合成は、文献に記載されている(Mahon et al.,Bioconjug.Chem.2010 21:1448−1454;Schroeder et al.,J Intern Med.2010 267:9−21;Akinc et al.,Nat Biotechnol.2008 26:561−569;Love et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2010 107:1864−1869;Siegwart et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2011 108:12996−3001を参照されたい;これらはすべて、その全体が本明細書に援用される)。
【0581】
限定されないが、ペンタ[3−(1−ラウリルアミノプロピオニル)]−トリエチレンテトラミンヒドロクロリド(TETA−5LAP;98N12−5としても公知、Murugaiah et al.,Analytical Biochemistry,401:61(2010)を参照されたい)、C12−200(誘導体及びバリアントを含む)、ならびにMD1を含む種々のリピドイドを有する製剤を、in vivo活性について試験することができる。リピドイド「98N12−5」は、Akinc et al.,Mol Ther.2009 17:872−879により開示されている。リピドイド「C12−200」は、Love et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2010 107:1864−1869及びLiu and Huang,Molecular Therapy.2010 669−670により開示されている。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0582】
一実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、アミノアルコールリピドイド中で製剤化することができる。アミノアルコールリピドイドは、米国特許第8,450,298号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載の方法により調製することができる。
【0583】
上記リピドイド製剤は、ポリヌクレオチドに加えて、3または4以上の構成成分を含む粒子を含むことができる。リピドイド及びリピドイドを含むポリヌクレオチド製剤は、国際公開WO2015051214(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0584】
c.ヒアルロニダーゼ
一部の実施形態では、注射(例えば、筋肉内または皮下注射)用の本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)及びヒアルロニダーゼ。ヒアルロニダーゼは、間質障壁の構成成分であるヒアルロナンの加水分解を触媒する。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロナンの粘度を低下させ、それにより、組織透過性を増加させる(Frost,Expert Opin.Drug Deliv.(2007) 4:427−440)。別法では、ヒアルロニダーゼを、筋肉内または皮下投与されたポリヌクレオチドに曝露された細胞の数を増加させるために使用することができる。
【0585】
d.ナノ粒子模倣物
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、ナノ粒子模倣物内に封入され、及び/またはナノ粒子模倣物に吸収される。ナノ粒子模倣物は、送達機能生体または粒子、例えば、限定されないが、病原体、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、プリオン、及び細胞を模倣することができる。非限定的例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、ウイルスの送達機能を模倣することができる非ビリオン粒子に封入することができる(例えば、それぞれ、全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO2012006376ならびに米国特許出願公開第20130171241号及び同第20130195968号を参照されたい)。
【0586】
e.自己組織化ナノ粒子または自己組織化巨大分子
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を、送達のための自己組織化ナノ粒子または両親媒性巨大分子(AM)中に含む。AMは、アルキル化糖骨格がポリ(エチレングリコール)に共有結合した生体適合性の両親媒性ポリマーを含む。水溶液中において、AMは、自己組織化してミセルを形成する。核酸自己組織化ナノ粒子は、国際出願第PCT/US2014/027077号に記載されており、AM及びAMを形成する方法は、米国特許出願公開第20130217753号に記載されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0587】
f.カチオン及びアニオン
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)、ならびにカチオンまたはアニオン、例えばZn
2+、Ca
2+、Cu
2+、Mg
2+、及びこれらの組合せを含む。例示的な製剤は、例えば、それぞれ参照により全体が本明細書に援用される米国特許第6,265,389号及び同第6,555,525号に記載されているとおり、金属カチオンと複合体を形成したポリマー及びポリヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、カチオンナノ粒子は、二価及び一価カチオンの組合せを含有し得る。カチオンナノ粒子またはカチオンナノ粒子を含む1つもしくは複数のデポ剤中でのポリヌクレオチドの送達は、長時間作用性デポ剤として作用すること及び/またはヌクレアーゼによる分解の速度を低下させることによって、ポリヌクレオチドのバイオアベイラビリティを向上させることができる。
【0588】
g.アミノ酸脂質
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、アミノ酸脂質と共に製剤化された本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。アミノ酸脂質は、アミノ酸残基及び1つまたは複数の親油性テイルを含む親油性化合物である。アミノ酸脂質、及びアミノ酸脂質を製造する方法の非限定的例は、米国特許第8,501,824号に記載されている。アミノ酸脂質製剤は、ポリヌクレオチドに結合し、それを放出するアミノ酸脂質を含む放出可能な形態でポリヌクレオチドを送達することができる。非限定的例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドの放出は、例えば、それぞれ全体が参照により本明細書に援用される米国特許第7,098,032号、同第6,897,196号、同第6,426,086号、同第7,138,382号、同第5,563,250号、及び同第5,505,931号に記載されているとおりの酸不安定なリンカーにより提供することができる。
【0589】
h.高分子電解質間複合体
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、高分子電解質間複合体中に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。高分子電解質間複合体は、電荷動的ポリマーが1つまたは複数のアニオン性分子と複合化されるときに形成される。電荷動的ポリマー及び高分子電解質間複合体複合体ならびに高分子電解質間複合体を作製する方法の非限定的例は、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,524,368号に記載されている。
【0590】
i.結晶性ポリマー系
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、結晶性ポリマー系中に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。結晶性ポリマー系は、結晶性部分及び/または結晶性部分を含む末端単位を有するポリマーである。例示的なポリマーは、米国特許第8,524,259号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0591】
j.ポリマー、生分解性ナノ粒子、及びコアシェルナノ粒子
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)ならびに天然及び/または合成ポリマーを含む。ポリマーには、限定されないが、ポリエテン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(l−リシン)(PLL)、PLLにグラフトされたPEG、カチオン性リポポリマー、生分解性カチオン性リポポリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、架橋分枝鎖ポリ(アルキレンイミン)、ポリアミン誘導体、修飾ポロキサマー、弾性生分解性ポリマー、生分解性コポリマー、生分解性ポリエステルコポリマー、生分解性ポリエステルコポリマー、多元ブロックコポリマー、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸)(PAGA)、生分解性架橋カチオンマルチブロックコポリマー、ポリカルボナート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマラート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リシン)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、アミン含有ポリマー、デキストランポリマー、デキストランポリマー誘導体、またはそれらの組合せが含まれる。
【0592】
例示的なポリマーには、DYNAMIC POLYCONJUGATE(登録商標)(Arrowhead Research Corp.,Pasadena,CA)、MIRUS(登録商標)Bio(Madison,WI)及びRoche Madison(Madison,WI)製の製剤、PHASERX(商標)ポリマー製剤、例えば、限定されないが、SMARTT POLYMER TECHNOLOGY(商標)(PHASERX(登録商標)、Seattle,WA)、DMRI/DOPE、ポロキサマー、Vical(San Diego,CA)製のVAXFECTIN(登録商標)アジュバント、キトサン、Calando Pharmaceuticals(Pasadena,CA)製のシクロデキストリン、デンドリマー及びポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)ポリマー、RONDEL(商標)(RNAi/Oligonucleotide Nanoparticle Delivery)ポリマー(Arrowhead Research Corporation,Pasadena,CA)、ならびにpH応答性コブロックポリマー、例えば、PHASERX(登録商標)(Seattle,WA)が含まれる。
【0593】
ポリマー製剤は、(例えば、筋肉内または皮下注射後の)ポリヌクレオチドの持続放出または遅延放出を可能にする。ポリヌクレオチドの変更された放出プロファイルは、例えば、長期間にわたって、コードされたタンパク質の翻訳をもたらすことができる。ポリマー製剤は、ポリヌクレオチドの安定性を増加させるために使用することもできる。持続放出製剤には、限定されないが、PLGAマイクロスフェア、エチレンビニルアセテート(EVAc)、ポロキサマー、GELSITE(登録商標)(Nanotherapeutics,Inc.,Alachua,FL)、HYLENEX(登録商標)(Halozyme Therapeutics,San Diego CA)、フィブリノゲンポリマーなどの外科用シーラント(Ethicon Inc.,Cornelia,GA)、TISSELL(登録商標)(Baxter International,Inc.,Deerfield,IL)、PEGベースのシーラント、及びCOSEAL(登録商標)(Baxter International,Inc.,Deerfield,IL)が含まれ得る。
【0594】
非限定的例として、修飾mRNAを、調整可能な放出速度(例えば、数日及び数週間)を有するPLGAミクロスフェアを調製すること、ならびに封入プロセス中に修飾mRNAの完全性を維持しながら、修飾mRNAをPLGAミクロスフェアに封入することにより、PLGAミクロスフェア中で製剤化することができる。EVAcは、前臨床持続放出インプラント用途で広範に使用される非生分解性生体適合性ポリマーである(例えば、緑内障のためのピロカルピン眼内インサートである徐放性製品Ocusert、または持続放出プロゲステロン子宮内デバイスであるProgestasert;経皮送達系Testoderm、Duragesic、及びSelegiline;カテーテル)。ポロキサマーF−407 NFは、5℃未満の温度での低粘度を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンの親水性非イオン性界面活性三元ブロックコポリマーであり、15℃を超える温度で、固体ゲルを形成する。
【0595】
非限定的例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、米国特許第6,177,274号に記載のとおりのPLLでグラフトされたPEGのポリマー化合物と共に製剤化することができる。別の非限定的例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、PLGA−PEGブロックコポリマー(例えば、米国特許出願公開第20120004293号ならびに米国特許第8,236,330号及び同第8,246,968号を参照されたい)またはPLGA−PEG−PLGAブロックコポリマー(例えば、米国特許第6,004,573号を参照されたい)などのブロックコポリマーと共に製剤化することができる。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0596】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、限定されないが、ポリリシン、ポリエチレンイミン、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ポリ(アミン−コ−エステル)またはそれらの組合せなどの少なくとも1つのアミン含有ポリマーと共に製剤化することができる。例示的なポリアミンポリマー及び送達剤としてのそれらの使用は、例えば、それぞれ全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,460,696号、同第8,236,280号に記載されている。
【0597】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、例えば、米国特許第6,696,038号、同第6,517,869号、同第6,267,987号、同第6,217,912号、同第6,652,886号、同第8,057,821号、及び同第8,444,992号;米国特許出願公開第20030073619号、同第20040142474号、同第20100004315号、同第2012009145号、及び同第20130195920号;ならびに国際公開WO2006063249及びWO2013086322(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載のとおりの生分解性カチオン性リポポリマー、生分解性ポリマー、もしくは生分解性コポリマー、生分解性ポリエステルコポリマー、生分解性ポリエステルポリマー、直鎖生分解性コポリマー、PAGA、生分解性架橋カチオン性マルチブロックコポリマー、またはそれらの組合せ中で製剤化することができる。
【0598】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、米国特許出願公開第20130184453号に記載のとおりの少なくとも1つのシクロデキストリンポリマー中で、またはこれらと共に製剤化することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、国際公開WO2013106072、WO2013106073、及びWO2013106086に記載のとおりの少なくとも1つの架橋カチオン結合ポリマー中で、またはこれらと共に製剤化することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、米国特許出願公開第20130231287号に記載されるような少なくともPEG化アルブミンポリマー中で、またはこれらと共に製剤化することができる。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0599】
一部の実施形態では、本明細書に開示のポリヌクレオチドは、ポリマー、脂質、及び/または限定ではないが、リン酸カルシウムなどの他の生分解性薬の組合せを使用して、ナノ粒子として製剤化することができる。構成成分を、コアシェル、ハイブリッド、及び/または層ごとの構造で組み合わせて、送達のためのナノ粒子の微調整を可能にすることができる(Wang et al.,Nat Mater.2006 5:791−796;Fuller et al.,Biomaterials.2008 29:1526−1532;DeKoker et al.,Adv Drug Deliv Rev.2011 63:748−761;Endres et al.,Biomaterials.2011 32:7721−7731;Su et al.,Mol Pharm.2011 Jun 6;8(3):774−87;その全体が参照により本明細書に援用される)。非限定的例として、ナノ粒子は、限定されないが、親水性−疎水性ポリマー(例えば、PEG−PLGA)、疎水性ポリマー(例えば、PEG)、及び/または親水性ポリマー(全体が参照により本明細書に援用される国際公開WO20120225129)などの複数のポリマーを含むことができる。
【0600】
コアシェルナノ粒子の使用は、カチオン性架橋ナノゲルコア及び種々のシェルを合成するハイスループットアプローチにさらに焦点を当てている(Siegwart et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2011 108:12996−13001;その全体が参照により本明細書に援用される)。ポリマーナノ粒子の複合化、送達、及び内在化を、ナノ粒子のコア構成成分及びシェル構成成分の両方における化学組成を変更することにより、正確に制御することができる。例えば、コアシェルナノ粒子を、コレステロールをナノ粒子に共有結合させた後に、siRNAをマウス肝細胞に効率的に送達することができる。
【0601】
一部の実施形態では、中間PLGA層を含む中空脂質コア及びPEGを含有する外側の中性脂質層を、本明細書に記載のとおりのポリヌクレオチドの送達に使用することができる。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に開示のポリヌクレオチドのコア及びコア中のポリヌクレオチドを保護するために使用されるポリマーシェルを含むことができる。ポリマーシェルは、本明細書に記載のポリマーのいずれかであってよく、当技術分野で公知である。ポリマーシェルを、コア中のポリヌクレオチドを保護するために使用することができる。
【0602】
本明細書に記載のポリヌクレオチドと共に使用されるコアシェルナノ粒子は、それぞれ全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,313,777号または国際公開WO2013124867に記載されている。
【0603】
k.ペプチド及びタンパク質
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、ポリヌクレオチドによる細胞のトランスフェクションを増加させ、及び/または(例えば、特定の組織もしくは細胞型を標的とすることにより)ポリヌクレオチドの生体内分布を変更し、及び/またはコードされたタンパク質の翻訳を増加させるペプチド及び/またはタンパク質(例えば、国際公開WO2012110636及びWO2013123298)と共に製剤化されている、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、上記ペプチドは、米国特許出願公開第20130129726号、同第20130137644号、及び同第20130164219号に記載のものであり得る。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0604】
l.コンジュゲート
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、コンジュゲートとして、担体もしくは標的化基に共有結合されている、または融合タンパク質を共に産生する2つのコード領域を含む(例えば、標的化基及び治療的タンパク質もしくはペプチドを持つ)、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。上記コンジュゲートは、ナノ粒子を組織もしくは生体内のニューロンに選択的に向けるか、または血液脳関門の横断に役立つペプチドであり得る。
【0605】
上記コンジュゲートは、天然に生じる物質、例えば、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、もしくはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、もしくはヒアルロン酸);または脂質を含む。リガンドは、組換えまたは合成分子、例えば、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸、オリゴヌクレオチド(例えば、アプタマー)であり得る。ポリアミノ酸の例には、ポリリシン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンであるポリアミノ酸が含まれる。ポリアミンの例には、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、またはアルファらせんペプチドが含まれる。
【0606】
一部の実施形態では、上記コンジュゲートは、本明細書に開示のポリヌクレオチドのための担体として機能することができる。上記コンジュゲートは、限定されないが、ポリ(エチレングリコール)でグラフトされ得るポリアミン、ポリリシン、ポリアルキレンイミン、及びポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーを含むことができる。例示的なコンジュゲート及びそれらの調製物は、それぞれ全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,586,524号及び米国特許出願公開第20130211249号に記載されている。
【0607】
上記コンジュゲートは、腎臓細胞などのある特定の細胞型に結合する標的化基、例えば、細胞または組織標的化剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質、またはタンパク質、例えば、抗体を含むこともできる。標的化基は、甲状腺刺激ホルモン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、RGDペプチド、RGDペプチド模倣物、またはアプタマーであり得る。
【0608】
標的化基は、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、共リガンドに対する特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、内皮細胞もしくは骨細胞などのある特定の細胞型に結合する抗体であり得る。標的化基は、ホルモン及びホルモン受容体を含むこともできる。それらは、非ペプチド種、例えば、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン多価マンノース、多価性フルクトース、またはアプタマーを含むこともできる。リガンドは、例えば、リポ多糖体、またはp38MAPキナーゼのアクチベーターであり得る。
【0609】
標的化基は、ある特定の受容体を標的とし得る任意のリガンドであり得る。例には、限定されないが、葉酸塩、GalNAc、ガラクトース、マンノース、マンノース−6P、アプタマー、インテグリン受容体リガンド、ケモカイン受容体リガンド、トランスフェリン、ビオチン、セロトニン受容体リガンド、PSMA、エンドセリン、GCPII、ソマトスタチン、LDL、及びHDLリガンドが含まれる。ある特定の実施形態では、標的化基は、アプタマーである。アプタマーは、非修飾であるか、または本明細書に開示の修飾の任意の組合せを有することができる。非限定的例として、標的化基は、例えば、米国特許出願公開第2013021661012号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載のとおりの、血液中枢神経系関門を越える標的化送達のためのグルタチオン受容体(GR)結合コンジュゲートであり得る。
【0610】
一部の実施形態では、上記コンジュゲートは、より大きい治療有効性を提供するために長時間作用型連続放出系を含む相乗的生体分子−ポリマーコンジュゲートであり得る。相乗的生体分子−ポリマーコンジュゲートは、米国特許出願公開第20130195799号に記載のものであり得る。一部の実施形態では、上記コンジュゲートは、国際特許公開WO2012040524に記載のとおりのアプタマーコンジュゲートであり得る。一部の実施形態では、上記コンジュゲートは、米国特許第8,507,653号に記載のとおりのアミン含有ポリマーコンジュゲートであり得る。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドを、SMARTT POLYMER TECHNOLOGY(登録商標)(PHASERX(登録商標),Inc.,Seattle,WA)にコンジュゲートすることができる。
【0611】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、シグナル配列または標的化配列を含むこともできる細胞浸透性ポリペプチドに共有結合的にコンジュゲートする。上記コンジュゲートを、安定性の増加及び/または細胞トランスフェクションの増加;及び/または生体内分布の変更(例えば、ある特定の組織または細胞型を標的とする)を有するように設計することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドを、送達を増強するために、薬剤にコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、上記薬剤は、モノマーまたはポリマー、例えば、国際公開番号WO2011062965に記載のとおりの標的化ブロックを有する標的化モノマーまたはポリマーであり得る。一部の実施形態では、上記薬剤は、例えば、米国特許第6,835.393号及び同第7,374,778号に記載のとおり、ポリヌクレオチドと共有結合した輸送薬剤であり得る。一部の実施形態では、上記薬剤は、米国特許第7,737,108号及び同第8,003,129号に記載のとおりの膜バリア輸送促進剤であり得る。参照文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0612】
22.加速血液クリアランス
本開示は、生物学的に活性な薬剤などの反復投与される活性薬剤に対するABCの作用を低下させるための化合物、組成物、及びその使用方法を提供する。容易に分かるように、投与された活性薬剤に対するABCの作用を全体的に低下させる、または排除することは、その半減期を、したがって有効性を効果的に増加させる。
【0613】
一部の実施形態では、ABCを低下させるという用語は、MC3 LNPなどの正の参照対照ABC誘導LNPと比較してのABCの任意の低下を指す。ABCを誘導するLNPは、所与の時間枠内の2回目またはその後の投与時に、活性薬の循環レベルの低下を引き起こす。したがって、ABCの低下は、標準LNPと比較して、薬剤の2回目またはその後の投与時に、循環薬のクリアランスがより少ないことを指す。上記低下は、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%であってよい。一部の実施形態では、上記低下は、10〜100%、10〜50%、20〜100%、20〜50%、30〜100%、30〜50%、40%〜100%、40〜80%、50〜90%、または50〜100%である。別法では、ABCの低下は、2回目もしくはその後の投与後に循環薬剤が少なくとも検出可能なレベルであること、または、標準LNPの投与後の循環薬剤と比較して、循環薬剤が少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍増加することとして特徴付けられ得る。一部の実施形態では、上記低下は、2〜100倍、2〜50倍、3〜100倍、3〜50倍、3〜20倍、4〜100倍、4〜50倍、4〜40倍、4〜30倍、4〜25倍、4〜20倍、4〜15倍、4〜10倍、4〜5倍、5〜100倍、5〜50倍、5〜40倍、5〜30倍、5〜25倍、5〜20倍、5〜15倍、5〜10倍、6〜100倍、6〜50倍、6〜40倍、6〜30倍、6〜25倍、6〜20倍、6〜15倍、6〜10倍、8〜100倍、8〜50倍、8〜40倍、8〜30倍、8〜25倍、8〜20倍、8〜15倍、8〜10倍、10〜100倍、10〜50倍、10〜40倍、10〜30倍、10〜25倍、10〜20倍、10〜15倍、20〜100倍、20〜50倍、20〜40倍、20〜30倍、または20〜25倍である。
【0614】
本開示は、クリアランスの影響をあまり受けず、したがってin vivoでより長い半減期を有する脂質含有化合物及び組成物を提供する。これは特に、組成物が長期投与を含む繰り返しのために意図されている場合、及びさらにより詳細には、そのような反復投与が数日または数週間以内に発生する場合である。
【0615】
重大なことに、これらの組成物は、感受性が低いか、加速血液クリアランス(ABC)の観察される現象を完全に回避する。ABCは、ある特定の外因的に投与された薬剤が、2回目及びその後の投与時に血液から急速にクリアランスされる現象である。この現象は、部分的には、限定されないが、脂質化剤、リポソーム、または他の脂質ベースの送達ビヒクル、及び脂質封入剤を含む様々な脂質含有組成物で観察されている。従来、ABCの基礎は、あまり理解されておらず、一部の場合には、体液性免疫応答に起因するとされ、したがって、in vivoで、特に、臨床設定において、その影響を制限するための方策は依然として不明である。
【0616】
本開示は、ABCの影響を受けたとしても、あまり影響を受けない化合物及び組成物を提供する。一部の重要な態様では、そのような化合物及び組成物は、脂質含有化合物または組成物である。驚くべきことに、本開示の脂質含有化合物または組成物は、2回目及びその後のin vivo投与時にABCを経験しない。ABCに対するこの耐性により、これらの化合物及び組成物は、数日または1〜2週間を含む短期間内の反復使用を含む、in vivoでの反復使用に特に適している。この安定性及び/または半減期の増強は、部分的には、これらの組成物がB1a及び/またはB1b細胞及び/または従来のB細胞、pDC及び/または血小板を活性化し得ないことに起因する。
【0617】
したがって、本開示は、加速血液クリアランス(ABC)の根底にある機序の解明を提供する。本開示及び本明細書に提示の本発明によれば、ABC現象は、少なくとも脂質及び脂質ナノ粒子に関する限り、少なくとも部分的に、B1a及び/またはB1b細胞、pDC、及び/または血小板を含む先天免疫応答に媒介されることが見出されている。B1a細胞は通常、循環IgMの形態で天然抗体の分泌を担っている。このIgMは、ポリ反応性であり、それが様々な抗原に結合することができるが、各抗原に対する親和性は比較的低いことを意味する。
【0618】
本発明によれば、in vivoで投与された脂質ナノ粒子などのいくつかの脂質化剤または脂質含有製剤が、ABCを誘発し、ABCの影響を受けることが見出されている。本発明によれば、LNPの初回用量の投与時に、先天免疫応答の生成に関与する1つまたは複数の細胞(本明細書ではセンサーと称される)は、そのような薬剤に結合し、活性化され、次いで、ABC及び毒性を促進する免疫因子(本明細書ではエフェクターと称される)のカスケードを開始することが現在見出されている。例えば、B1a及びB1b細胞は、LNPに結合し、(単独で、またはpDCなどの他のセンサー及び/またはIL6などのエフェクターの存在下で)活性化されるようになり、LNPに結合する天然のIgMを分泌し得る。対象の既存の天然IgMは、LNPも認識して結合し、それにより、補体結合を誘発し得る。初回用量の投与後に、天然IgMの産生は、LNPの投与から1〜2時間以内に開始される。典型的には、約2〜3週間までに、天然IgMは、IgMの自然半減期に起因して、系からクリアランスされる。天然IgGは、LNPの投与から約96時間後から産生される。薬剤は、ナイーブな環境で投与された場合、B1a細胞またはB1b細胞または天然IgGの活性化後に産生された天然IgMにより比較的妨げられない生物学的効果を発揮することができる。天然IgM及び天然IgGは、非特異的であり、したがって、抗PEG IgM及び抗PEG IgGとは異なる。
【0619】
出願人は機序に拘束されていないが、LNPが、次の機序により、ABC及び/または毒性を誘発することが提案される。LNPが対象に投与された際、LNPは、血液を介して脾臓に急速に輸送されると考えられる。LNPは、血液及び/または脾臓中で免疫細胞に遭遇し得る。血液及び/または脾臓内のLNPの存在に応答して、迅速な先天免疫応答が誘発される。本明細書では、LNPの投与の数時間以内に、いくつかの免疫センサーが、LNPの存在に反応していることを、本出願人は示している。これらのセンサーには、限定されないが、免疫応答の生成に関与する免疫細胞、例えば、B細胞、pDC、及び血小板が含まれる。センサーは、脾臓、例えば、脾臓の周辺領域及び/または血液に存在し得る。LNPは、1つまたは複数のセンサーと物理的に相互作用し得て、それらは他のセンサーとも相互作用し得る。そのような場合では、LNPは、センサーと直接的または間接的に相互作用する。センサーは、LNPの認識に応答して、互いに直接相互作用し得る。例えば、多くのセンサーは、脾臓内に位置しており、容易に互いに相互作用することができる。別法では、センサーのうちの1つまたは複数は、血液中のLNPと相互作用して、活性化されるようになり得る。次いで、活性化されたセンサーは、他のセンサーと直接的に、または(例えば、サイトカイン(例えば、IL6)のようなメッセンジャーの刺激または産生を介して)間接的に相互作用し得る。
【0620】
一部の実施形態では、LNPは、以下のセンサー:pDC、B1a細胞、B1b細胞、及び血小板のそれぞれと直接的に相互作用して、これを活性化し得る。次いで、これらの細胞は、相互に直接的または間接的に相互作用して、最終的に、LNPの反復投与に伴うABC及び/または毒性をもたらすエフェクターの産生を開始し得る。例えば、出願人は、LNP投与がpDC活性化、血小板凝集及び活性化、ならびにB細胞活性化をもたらすことを示している。LNPに応答して、血小板もまた、凝集し、活性化され、B細胞と凝集する。pDC細胞は活性化される。LNPは、比較的迅速に血小板及びB細胞の表面と相互作用することが見出されている。LNPに応答して、これらのセンサーの任意の1つまたは組合せの活性化を遮断することは、通常生じる免疫応答を減衰させるのに有用である。免疫応答のこの減衰は、ABC及び/または毒性の回避をもたらす。
【0621】
センサーは、一旦活性化されると、エフェクターを産生する。本明細書で使用されるエフェクターは、B細胞などの免疫細胞により産生される免疫分子である。エフェクターには、限定されないが、天然IgM及び天然IgGなどの免疫グロブリンならびにIL6などのサイトカインが含まれる。B1a及びB1b細胞は、LNPの投与後の2〜6時間以内に、天然IgMの産生を刺激する。天然IgGは、96時間以内に検出することができる。IL6レベルは、数時間以内に増加する。天然IgM及びIgGは、体内を数日から数週間循環する。この時間中、循環エフェクターは、新たに投与されたLNPと相互作用して、そのLNPを身体によるクリアランスのために誘発することができる。例えば、エフェクターは、LNPを認識して、これに結合し得る。エフェクターのFc領域は、マクロファージにより、認識され得、マクロファージによる装飾LNPの取り込みを誘発する。次いで、マクロファージは、脾臓に輸送される。免疫センサーによるエフェクターの産生は、ABCについて観察されるタイミングと相関する過渡応答である。
【0622】
投与される用量が、2回目またはその後の投与される用量である場合で、かつそのような2回目またはその後の用量が、以前誘導された天然IgM及び/またはIgGが系からクリアランスされる前に(例えば、2〜3のウィンドウ期間の前に)、投与される場合、そのような2回目またはその後の用量は、副補体経路の活性化を誘発し、それ自体急速にクリアランスされる循環天然IgM及び/または天然IgGもしくはFcにより標的とされる。エフェクターが体内からクリアランスされるか、または数が減少した後に、LNPが投与される場合、ABCは観察されない。
【0623】
したがって、LNPと1つまたは複数のセンサーとの間の相互作用を阻害すること、(直接的または間接的な)LNPによる1つまたは複数のセンサーの活性化を阻害すること、1つまたは複数のエフェクターの産生を阻害すること、及び/または1つまたは複数のエフェクターの活性を阻害することは、本発明の態様によると有用である。一部の実施形態では、LNPは、LNPのセンサーとの相互作用を制限またはブロックするように設計される。例えば、LNPは、センサーとの相互作用を防止するために、変更されたPC及び/またはPEGを有し得る。代替的または追加的に、LNPにより誘導される免疫応答を阻害する薬剤は、これらの効果のうちのいずれか1つまたは複数を達成するために使用されてもよい。
【0624】
さらに、従来のB細胞もABCに関与していると決定されている。具体的には、薬剤の初回投与時に、本明細書では、CD19(+)と称される従来のB細胞は、薬剤に結合し、これに対して反応する。B1a及びB1b細胞とは異なるが、従来のB細胞は、(LNPの投与から約96時間後から)IgM応答を最初に起こすことができ、続いて、(LNP投与後から約14日後から)記憶応答に付随するIgM応答を起こすことができる。したがって、従来のB細胞は、投与された薬剤と反応し、ABCを媒介するIgM(及び最終的にはIgG)に寄与する。IgM及びIgGは典型的には、抗PEG IgM及び抗PEG IgGである。
【0625】
一部の場合では、ABC応答の多くが、B1a細胞及びB1a媒介免疫応答を介して媒介されると想定される。一部の例では、従来のB細胞及びB1a細胞の両方がそのような作用を媒介しながら、ABC応答が、IgM及びIgGの両方により媒介されることがさらに想定される。さらに他の場合では、ABC応答は、天然IgM分子により媒介され、これらのいくつかは、活性化されたB1a細胞により産生され得る天然IgMに結合することができる。天然IgMは、LNPの1つまたは複数の構成成分に結合し、例えば、LNPのリン脂質構成成分に結合(例えば、リン脂質のPC部分に結合)し、及び/またはLNPのPEG脂質構成成分に結合(例えば、PEG−DMGに結合、特に、PEG−DMGのPEG部分に結合)し得る。B1aは、ホスファチジルコリンがリガンドであるCD36を発現するので、CD36受容体が、B1a細胞の活性化、したがって天然IgMの産生を媒介し得ると想定される。さらに他の場合では、ABC応答は主に、従来のB細胞により媒介される。
【0626】
本発明によれば、B1a細胞を活性化しない化合物及び組成物(例えば、薬剤、送達ビヒクル、及び製剤)を使用することにより、ABC現象を少なくとも部分的に低下させ、または排除することができることが見出されている。B1a細胞を活性化しない化合物及び組成物は、本明細書ではB1a不活性化合物及び組成物と称され得る。さらに、本発明によれば、従来のB細胞を活性化しない化合物及び組成物の使用により、ABC現象を、少なくとも部分的に低下させ、または排除することができることが見出されている。一部の実施形態では、従来のB細胞を活性化しない化合物及び組成物は、本明細書では、CD19不活化合物及び組成物と称され得る。したがって、本明細書で提供される一部の実施形態では、上記化合物及び組成物は、B1a細胞を活性化せず、それらは、従来のB細胞を活性化しない。一部の実施形態では、B1a細胞及び従来のB細胞を活性化しない化合物及び組成物は、本明細書ではB1a/CD19不活性化合物及び組成物と称され得る。
【0627】
これらの根底にある機序は、従来理解されておらず、この現象における、B1a及びB1bの細胞の役割及びそれらの従来のB細胞との相互作用も認識されていなかった。
【0628】
したがって、本開示は、ABCを促進しない化合物及び組成物を提供する。これらは、B1a及び/またはB1b細胞、血小板及び/またはpDC、ならびに任意選択で、従来のB細胞も活性化し得ないことで、さらに特徴付けられ得る。これらの化合物(例えば、予防薬、治療薬、及び診断薬などの生物学的に活性な薬剤を含む薬剤、リポソーム、脂質ナノ粒子、及び他の脂質ベースの封入構造体を含む送達ビヒクルなど)ならびに組成物(例えば、製剤など)は、特に、反復投与、特に、短期間(例えば、1〜2週間以内)内で生じる反復投与を必要とする用途に望ましい。これは、例えば、薬剤が規則的で密接した間隔で対象に提供される核酸ベースの治療薬である場合である。本明細書で提供される知見は、同様に投与される、及び/またはABCを受けやすいこれら及び他の薬剤に適用され得る。
【0629】
特に興味深いのは、ABCの影響を受けやすいことが公知である脂質含有化合物、脂質含有粒子、及び脂質含有組成物である。そのような脂質含有化合物粒子及び組成物は、生物学的に活性な薬剤としてまたはそのような薬剤の送達ビヒクルとして広範囲に使用されている。したがって、そのような薬剤の有効性を向上させる能力は、薬剤自体またはその送達ビヒクルに対するABCの作用を低下させるかどうかに関わらず、多種多様な活性薬剤にとって有益である。
【0630】
1つまたは複数の生物学的に活性な薬剤の反復用量投与と関連する急性期応答(ARP)を刺激または増強しない組成物もまた本明細書で提供される。
【0631】
上記組成物は、一部の場合では、限定されないが、天然IgMを含むIgMに結合しないことがある。
【0632】
上記組成物は、一部の場合では、限定されないが、C反応性タンパク質などの急性期タンパク質に結合しないことがある。
【0633】
上記組成物は、一部の場合では、CD5(+)媒介免疫応答を誘発しないことがある。本明細書で使用する場合、CD5(+)媒介免疫応答は、B1a及び/またはB1b細胞により媒介される免疫応答である。そのような応答は、ABC応答、急性期応答、天然IgM及び/またはIgGの誘導などを含み得る。
【0634】
上記組成物は、一部の場合では、CD19(+)媒介免疫応答を誘発しないことがある。本明細書で使用する場合、CD19(+)媒介免疫応答は、従来のCD19(+)、CD5(−)B細胞により媒介される免疫応答である。そのような応答には、IgMの誘導、IgGの誘導、メモリーB細胞の誘導、ABC応答、タンパク質がLNP内に封入され得る抗タンパク質応答を含む抗薬物抗体(ADA)応答などが含まれ得る。
【0635】
B1a細胞は、先天免疫に関与するB細胞のサブセットである。これらの細胞は、天然抗体または天然血清抗体と称される循環IgMの供給源である。天然IgM抗体は、いくつかの抗原に対して弱い親和性を有することで特徴付けられ、したがって、それらは、「ポリ特異的」または「ポリ反応性」と称され、複数の抗原に結合する能力を示す。B1a細胞は、IgGを産生することができない。加えて、それらは、メモリー細胞に発展せず、したがって、適応免疫応答に寄与しない。しかしながら、それらは、活性化時に、IgMを分泌することができる。分泌されたIgMは典型的には、約2〜3週間以内にクリアランスされ、この時点で、免疫系は、以前に投与された抗原に対して比較的ナイーブになる。同じ抗原が、この期間後(例えば、最初の曝露の約3週間後)に提示された場合、抗原は、急速にはクリアランスされない。しかしながら、重大なことに、抗原がその期間内(例えば、1週間以内を含む2週間以内、または数日以内)に提示される場合、抗原は急速にクリアランスされる。連続投与間のこの遅延により、ある特定の脂質含有治療薬または診断薬が使用に適さなくなる。
【0636】
ヒトでは、B1a細胞は、CD19(+)、CD20(+)、CD27(+)、CD43(+)、CD70(−)、及びCD5(+)である。マウスでは、B1a細胞は、CD19(+)、CD5(+)、及びCD45B細胞アイソフォームB220(+)である。B1a細胞を他の従来のB細胞と区別するのは、典型的には、CD5の発現である。B1a細胞は、CD5を高レベルで発現し得、これに基づき、CD5を低いまたは検出不可能なレベルで発現するB−1b細胞などの他のB−1細胞と区別し得る。CD5は、汎T細胞表面糖タンパク質である。B1a細胞は、脂肪酸トランスロカーゼとしても公知のCD36を発現する。CD36は、クラスBスカベンジャー受容体ファミリーのメンバーである。CD36は、酸化低密度リポタンパク質、天然リポタンパク質、酸化リン脂質、及び長鎖脂肪酸を含む多くのリガンドに結合することができる。
【0637】
B1b細胞は、先天免疫に関与するB細胞の別のサブセットである。これらの細胞は、循環天然IgMの別の供給源である。PSを含むいくつかの抗原は、B1b活性化を介してT細胞非依存の免疫を誘導することができる。CD27は典型的に、抗原活性化に応答して、B1b細胞上で上方制御される。B1a細胞と同様に、B1b細胞は典型的に、脾臓及び腹膜腔などの特異的な身体の場所に存在し、血液中では非常に少ない。B1b分泌型天然IgMは典型的に、約2〜3週間以内にクリアランスされ、その時点で、免疫系は、以前に投与された抗原に対して比較的ナイーブになる。同じ抗原が、この期間後(例えば、最初の曝露の約3週間後)に提示された場合、抗原は、急速にはクリアランスされない。しかし、重大なことに、抗原がその期間内(例えば、1週間以内を含む2週間以内、または数日以内)に提示される場合、抗原は急速にクリアランスされる。連続投与間のこの遅延により、ある特定の脂質含有治療薬または診断薬が使用に適さなくなる。
【0638】
一部の実施形態では、B1a及び/またはB1b細胞活性化を遮断することが望ましい。B1a及び/またはB1b細胞活性化を遮断するための1つの方策は、脂質ナノ粒子のどの構成成分がB細胞活性化を促進するのかを決定し、それらの構成成分を中和することを含む。少なくともPEG及びホスファチジルコリン(PC)が、B1a及びB1b細胞の他の細胞との相互作用及び/または活性化に寄与することが、本明細書では発見されている。PEGは、活性化をもたらし得るB1細胞及び血小板の間の凝集の促進において役割を果たし得る。PC(LNP中のヘルパー脂質)は、おそらくB細胞表面上のCD36受容体との相互作用により、B1細胞の活性化にも関与する。多数の粒子は、PEG脂質代替物、PEGレス、及び/またはPC置換脂質(例えば、オレイン酸またはそのアナログ)が設計及び試験されている。置換しなければ反復投与時にABCを促進するであろうLNP内のこれらの1つまたは複数の構成成分の置換が、天然IgMの産生及び/またはB細胞活性化を低下させることによりABCを予防するのに有用であることを、出願人は確立している。したがって、本発明は、B細胞トリガーの包含を排除する設計の結果としてABCを低下させているLNPを包含する。
【0639】
B1a及び/またはB1b細胞活性化を遮断するための別の方策は、LNPにより誘導される免疫応答を阻害する薬剤を使用することを含む。これらのタイプの薬剤は、以下でより詳細に検討される。一部の実施形態では、これらの薬剤は、B1a/B1b細胞とLNPまたは血小板またはpDCの間の相互作用を遮断する。例えば、薬剤は、抗体または相互作用を物理的に遮断する他の結合剤であってよい。この一例は、CD36またはCD6に結合する抗体である。薬剤は、B1a/B1b細胞が、一旦、活性化されるか、または活性化される前に、シグナル伝達することを防止または無効化する化合物であってもよい。例えば、LNPまたは他の免疫細胞とのB細胞の相互作用からもたらされるB1a/B1bシグナル伝達カスケード中の1つまたは複数の構成成分を遮断することが可能である。他の実施形態では、薬剤は、活性化後に、B1a/B1b細胞により産生される1つまたは複数のエフェクターに作用し得る。これらのエフェクターは、例えば、天然IgM及びサイトカインを含む。
【0640】
本発明の態様によれば、pDC細胞の活性化が遮断されるとき、LNPに応答するB細胞活性化を減少させることが実証されている。したがって、ABC及び/または毒性を回避するために、pDC活性化を防止することが望ましいことがある。上で論述した方策と同様に、pDC細胞活性化は、pDCとLNP及び/またはB細胞/血小板の間の相互作用を阻害する薬剤により遮断され得る。別法では、pDCに作用して活性化される能力を抑制するか、またはエフェクターに作用する薬剤を、LNPと共に使用してABCを回避することができる。
【0641】
血小板は、ABC及び毒性においても重要な役割を果たし得る。LNPの初回用量が対象に投与された後に非常に迅速に、血小板は、LNPと会合し、凝集し、活性化される。一部の実施形態では、血小板凝集及び/または活性化を遮断することが望ましい。血小板凝集及び/または活性化を抑制するための1つの方策は、脂質ナノ粒子のどの構成成分が血小板凝集及び/または活性化を促進するかを決定し、それらの構成成分を中和することを含む。本明細書では、少なくともPEGは、血小板凝集、活性化、及び/または他の細胞との相互作用に寄与することが発見されている。多数の粒子は、PEG脂質代替物を有し、PEGレスは、設計及び試験されている。別の方法は、置換しなければ反復投与時にABCを促進するであろうLNP内のこれらの1つまたは複数の構成成分の置換が、天然IgMの産生及び/または血小板凝集を減少させることによりABCを予防するのに有用であることを、出願人は確立している。したがって、本発明は、血小板トリガーの包含を排除する設計の結果としてABCを低下させているLNPを包含する。別法では、活性化されると、血小板に作用して活性を抑制するか、またはエフェクターに作用する薬剤は、LNPと共に使用してABCを回避することができる。
【0642】
(i)ABC活動及び関連活動の測定
LNPを含む本明細書で提示される種々の化合物及び組成物は、in vivo投与時にABC活性を促進しない。これらのLNPは、いくつかのアッセイ、例えば、限定されないが、以下に記載のもののうちのいずれか、さらには、実施例の方法のサブセクションを含む実施例セクションに開示のアッセイのいずれかにより、特徴付ける、及び/または同定することができる。
【0643】
一部の実施形態では、上記方法は、ABCを促進する免疫応答を生ずることなくLNPを投与することを含む。ABCを促進する免疫応答は、1つまたは複数のセンサー、例えば、B1細胞、pDC、または血小板、及び1つまたは複数のエフェクター、例えば、天然IgM、天然IgG、またはIL6などのサイトカインの活性化を含む。したがって、ABCを促進する免疫応答を生じることのないLNPの投与は少なくとも、1つまたは複数のセンサーの有意な活性化及び1つまたは複数のエフェクターの有意な産生のないLNPの投与を最低限含む。この文脈で使用される有意な、とは、ABC誘発LNPの2回目の投与の場合に予想される血液クリアランスのレベルに対して、2回目の用量の全部またはいくつかの血液クリアランスが加速されるという生理学的結果をもたらす量を指す。例えば、2回目の投与後に観察されるABCが、ABC誘発LNPの場合に予想されているものよりも低くなるように、免疫応答を減衰させるべきである。
【0644】
(ii)B1aまたはB1b活性化アッセイ
本開示で提供されるある特定の組成物は、B細胞、例えば、B1aまたはB1b細胞(CD19+CD5+)及び/または従来のB細胞(CD19+CD5−)を活性化しない。B1a細胞、B1b細胞、または従来のB細胞の活性化は、いくつかの方法で決定することができ、これらのいくつかを以下に示す。B細胞集団は、分別B細胞集団または脾細胞または末梢血単核細胞(PBMC)の未分画集団として提供され得る。後者の場合、細胞集団は、一定の期間、選択すべきLNPとインキュベートされ、次いで、さらなる分析のために採取され得る。別法では、上清は、採取及び分析され得る。
【0645】
(iii)活性化マーカー細胞表面発現の上方制御
B1a細胞、B1b細胞、または従来のB細胞の活性化は、CD86などの後期活性化マーカーを含むB細胞活性化マーカーの発現の増加として実証され得る。例示的な非限定的なアッセイでは、未分画B細胞は、脾細胞集団として、またはPBMC集団として提供され、ある特定の期間、選択すべきLNPと共にインキュベートされ、次いで、CD19などの標準的なB細胞マーカー及びCD86などの活性化マーカーについて染色され、例えば、フローサイトメトリーを使用して分析される。適切な陰性対照は、培地を用いて同じ集団をインキュベートすること、次いで、同じ染色及び可視化のステップを実施することを含む。陰性対照と比較して、試験集団におけるCD86発現の増加は、B細胞活性化を示す。
【0646】
(iv)炎症誘発性サイトカイン放出
B細胞活性化は、サイトカイン放出アッセイによっても評価され得る。例えば、活性化は、目的のLNPと共に曝露されたときの、IL−6及び/またはTNF−αなどのサイトカインの産生及び/または分泌を介して評価され得る。
【0647】
そのようなアッセイは、当技術分野で周知のルーチン的なサイトカイン分泌アッセイを使用して実施され得る。サイトカイン分泌の増加は、B細胞活性化を示す。
【0648】
(v)B細胞によるLNP結合/会合及び/または取り込み
B細胞へのLNP会合または結合を使用して、目的のLNPを評価し、さらに、そのようなLNPを特徴付けることができる。会合/結合及び/または取り込み/内在化を、検出可能に標識された、例えば、蛍光標識されたLNPを使用し、種々の期間のインキュベーション後のB細胞内またはB細胞上でのそのようなLNPの場所を追跡して評価することができる。
【0649】
本明細書で提供する組成物が、認識または検出、及び任意選択で、循環IgM及び/または急性期タンパク質(例えば、C反応性タンパク質(CRP))などの急性期応答メディエーターなどのABCの下流のメディエーターによる結合を回避し得ることを、本発明はさらに企図する。
【0650】
(vi)ABCを低下させるための使用方法
ABCを促進することなく対象に治療薬などの薬剤を封入し得るLNPを送達するための方法も本明細書で提供する。
【0651】
一部の実施形態では、上記方法は、ABCを促進せず、例えば、LNPに結合する天然IgMの産生を誘導せず、B1a及び/またはB1b細胞を活性化しない、本明細書に記載のLNPのいずれかを投与することを含む。本明細書で使用する場合、「ABCを促進しない」LNPは、実質的なABCをもたらす免疫応答を誘導しないか、または実質的なABCをもたらすには不十分な実質的に低いレベルの免疫応答を誘導するLNPを指す。LNPに結合する天然IgMの産生を誘導しないLNPは、LNPに結合する天然IgMを誘導しないか、または実質的なABCをもたらすには不十分な実質的に低いレベルの天然IgM分子を誘導するLNPを指す。B1a及び/またはB1b細胞を活性化しないLNPは、LNPに結合する天然IgMを産生するB1a及び/またはB1b細胞の応答を誘導しないか、または実質的なABCをもたらすには不十分な実施的に低いレベルのB1a及び/またはB1b細胞応答を誘導するLNPを指す。
【0652】
一部の実施形態では、産生を活性化しない及び誘導しないという用語は、参照値または状態に対する相対的な低下である。一部の実施形態では、参照値または条件は、MC3 LNPなどの標準的なLNPによるIgMなどの分子の産生の活性化または誘導の量である。一部の実施形態では、相対的な低下は、少なくとも30%、例えば、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の低下である。他の実施形態では、B細胞などの細胞を活性化しない及びIgMなどのタンパク質の産生を誘導しないという用語は、検出不可能な量の活性細胞または特定のタンパク質を指し得る。
【0653】
(vii)血小板の効果及び毒性
本発明は、部分的に、LNP投与に関連する用量制限毒性の根底にある機序の解明をさらに前提とする。そのような毒性は、凝固障害、急性または慢性かどうかに関わらず、播種性血管内凝固(DIC、消耗性凝固障害とも称される)及び/または血管血栓症を含み得る。一部の場合では、LNPに関連する用量制限毒性は、急性期応答(APR)または補体活性化関連偽アレルギー(pseudoallergy)(CARPA)である。
【0654】
本明細書で使用する場合、凝固障害は、in vivoでの凝固(血液凝固)の増加を指す。本開示で報告された知見は、そのような凝固の増加と一致し、根本的な機序についての洞察を重要なこととして提供する。凝固は、いくつかの異なる因子及び細胞型を含むプロセスであり、従来、LNP及び血小板の間の関係及び相互作用は、この点に関しては理解されていない。本開示は、そのような相互作用の証拠を提供し、血小板会合の減少、血小板凝集の減少、及び/または血小板凝集の減少を含む、血小板効果の低下を有するように改変された化合物及び組成物を提供する。そのような血小板効果を、好ましくは、下方調節する能力を含む調節する能力は、LNP投与後の凝固障害の発生率及び/または重症度を低下させることができる。これは、順次、そのようなLNPに関連する毒性を低下させ、それにより、より高い用量のLNP、重要なことに、それらのカーゴが、それを必要とする患者に投与されることが可能となる。
【0655】
CARPAは、ナノ医薬品及び生物製剤により誘発され得る、過敏反応(HSR)に現れる急性免疫毒性のクラスである。アレルギー反応とは異なり、CARPAは典型的には、IgEを含まないが、病原体を除去する身体の能力を増強する先天免疫系の一部である補体系の活性化の結果として生じる。以下の経路、古典補体経路(CP)、副経路(AP)、及びレクチン経路(LP)のうちの1つまたは複数は、CARPAに含まれ得る。Szebeni,Molecular Immunology,61:163−173(2014)。
【0656】
古典経路は、C1q、C1r、C1s、またはC1qr2s2を含有するC1複合体の活性化により誘発される。C1複合体の活性化は、C1qが抗原と複合化されたIgMまたはIgGに結合する場合、またはC1qが病原体の表面に直接結合する場合に生じる。そのような結合は、順次C1sを切断するC1rの活性化をもたらすC1q分子の立体配座変化をもたらす。ここで、C1r2s2構成成分は、C4、次にC2を分解して、C4a、C4b、C2a、及びC2bを生じる。C4b及びC2bは結合して、C3のC3a及びC3bへの開裂を促進する古典経路C3転換酵素(C4b2b複合体)を形成する。次いで、C3bは、C3転換酵素に結合して、C5転換酵素(C4b2b3b複合体)を形成する。代替経路は、自発的なC3加水分解の結果として、連続的に活性化される。因子P(プロパージン)は、副経路の正の制御因子である。プロペルジンのオリゴマー化は、C3転換酵素を安定化させ、次いで、これは、より多くのC3を切断することができる。C3分子は、表面に結合し、より多くのB、D、及びP活性を増強して、補体活性化の増幅をもたらすことができる。
【0657】
急性期反応(APR)は、感染の予防及び潜在的な病原体のクリアランスのための複雑な全身先天免疫応答である。多数のタンパク質は、APRに関与しており、C反応性タンパク質は、十分に特徴付けられたタンパク質である。
【0658】
本発明によれば、ある特定のLNPは、in vivo投与のほぼ直後に、血小板と物理的に会合することができるが、他のLNPは、血小板と全く会合しないか、またはバックグラウンドレベルでしか会合しないことが見出されている。重大なことに、血小板と会合するLNPは、その後形成される血小板凝集体も明らかに安定化させる。血小板のある特定のLNPとの物理的接触は、そのような血小板が、凝集したままか、または投与後の長期間にわたり凝集体を継続的に形成する能力と相関する。そのような凝集体は、活性化血小板ならびにマクロファージ及びB細胞などの先天免疫細胞を含む。
【0659】
23.使用方法
本明細書に記載のポリヌクレオチド、医薬組成物、及び製剤は、G6PC関連疾患、障害または状態、例えば、糖原病1a型(GSD−Ia)を処置及び/または予防するための調製、製造及び治療用途において使用される。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、組成物及び製剤は、G6PC欠損またはG6PC欠乏から生じるものを処置及び/または予防するために使用される。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、組成物及び製剤は、欠損G6PCまたは欠乏G6PCから生じる糖血症を改善する、または血中グルコースホメオスターシスを改善するために使用される。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、組成物及び製剤は、G6PC欠損またはG6PC欠乏から生じるグリコーゲンの過剰な蓄積を処置及び/または予防するために使用される。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、組成物及び製剤は、G6PCが欠損または欠乏している対象において、例えば、GSD−Iaを有する対象において、肝腫、腎肥大、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高尿酸血症、及び/または乳酸血症を処置及び/または予防するために使用される。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、組成物及び製剤は、肝細胞腺腫及び/または肝細胞癌を処置及び/または予防するために使用される。
【0660】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物及び製剤は、グリコーゲンのレベルを低下させることを必要とする対象、例えば、GSD−Iaを有する絶食している対象、例えば、食事を摂っていない対象において、それを行うための方法で使用される。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物及び製剤は、グルコースのレベルを上昇させる(例えば、血中グルコースレベルを上昇させる)ことを必要とする対象、例えば、GSD−Iaを有する絶食している対象、例えば、食事を摂っていない対象において、それを行うためのための方法で使用される。例えば、本発明の一態様は、対象(例えば、GSD−Iaを有する絶食している対象)においてGSD−Iaの症状を緩和する方法であって、その対象に、G6PCをコードするポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNA)を含む組成物または製剤を投与することを含む上記方法を提供する。一部の実施形態では、GSD−Iaを有する対象は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間以上にわたって絶食している。一部の実施形態では、GSD−Iaを有する対象は、1〜24時間、1〜12時間、2〜24時間、2〜12時間、3〜12時間、4〜10時間、6〜24時間、6〜12時間、または5〜18時間にわたって絶食している。一部の実施形態では、上記対象は、1日より長く、例えば、1、2、または3日間にわたって絶食している。
【0661】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物及び製剤は、グリコーゲンのレベルを低下させるために使用され、その方法は、上記対象に、有効量の、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することを含む。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与後、短時間内(例えば、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約16時間以内、約20時間以内、または約24時間以内)に、グリコーゲンのレベルの有意な低下(例えば、投与前の対象におけるグリコーゲンのレベルに対してグリコーゲンの統計学的に有意な減少)をもたらす。
【0662】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物及び製剤は、グルコース−6−リン酸(G6P)のレベルを低下させるために使用され、その方法は、上記対象に、有効量の、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することを含む。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドによりコードされるG6PCは、G6Pをグルコース及びリン酸に加水分解する。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与後、短時間内(例えば、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約16時間以内、約20時間以内、または約24時間以内)に、グルコース−6−リン酸のレベルの有意な低下(例えば、投与前の対象におけるグルコース−6−リン酸のレベルに対してグルコース−6−リン酸の統計学的に有意な減少)をもたらす。
【0663】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物及び製剤は、グルコースのレベルを上昇させるために使用され、この方法は、上記対象に、有効量の、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドによりコードされるG6PCは、例えば、上記対象が絶食しているか、または食事していない場合に、上記対象において、血中グルコースホメオスターシスを上昇させるまたは改善する。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与後、短時間内(例えば、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約16時間以内、約20時間以内、または約24時間以内)に、少なくとも70mg/dl(例えば、少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、145、または150mg/dl)への血中グルコースのレベルの上昇をもたらす。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与後、短時間内(例えば、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約16時間以内、約20時間以内、または約24時間以内)に、少なくとも3.5mmol/l(例えば、少なくとも3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、または8.5mmol/l)へのグルコースのレベルの上昇をもたらす。例えば、本発明の一態様は、GSD−Iaを有する絶食している対象において、血中グルコースレベルを上昇させる方法であって、上記対象に、G6PCをコードするポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドをコードするmRNA)を含む組成物または製剤を投与することを含む上記方法を提供する。一部の実施形態では、上記組成物または製剤の投与は、GSD−Iaの症状を緩和する。一部の実施形態では、上記組成物または製剤の投与は、上記対象において、GSD−Iaの症状を緩和する、例えば、血糖症または血中グルコースホメオスターシスを改善する。
【0664】
一部の実施形態では、有効量の本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、GSD−Iaのバイオマーカーのレベルを低下させる。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与後、短時間内(例えば、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約16時間以内、約20時間以内、または約24時間以内)に、GSD−Iaの1つまたは複数のバイオマーカーのレベルの低下をもたらす。
【0665】
一部の実施形態では、有効量の本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、GSD−Iaのバイオマーカーのレベルを上昇させる。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与後、短時間内(例えば、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約16時間以内、約20時間以内、または約24時間以内)に、GSD−Iaの1つまたは複数のバイオマーカーのレベルの上昇をもたらす。
【0666】
補充療法が、GSD−Iaのための有望な処置である。したがって、本発明のある特定の態様では、本明細書に開示のポリヌクレオチド、例えば、mRNAは、GSD−Iaのための遺伝子補充療法で使用するために適したG6PCポリペプチドをコードする1つまたは複数の配列を含む。一部の実施形態では、本開示は、対象に、G6PCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、mRNAを提供することにより、上記対象においてG6PCもしくはG6PC活性の欠如、またはG6PC活性の低下もしくは異常を処置する。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、配列最適化されている。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、G6PCポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、ORF)を含み、その際、上記核酸は、例えば、そのG/C、ウリジン、またはチミジン含有量を修飾することにより、配列最適化されている、及び/または上記ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、miRNA結合部位、例えば、miRNA−142に結合するmiRNA結合部位及び/またはmiRNA−126に結合するmiRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、上記ポリペプチドは、miRNA結合部位を含まない。
【0667】
一部の実施形態では、対象への本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤を含む組成物または製剤の投与は、上記組成物または製剤の投与前に観察されたレベルよりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低いレベルへのグリコーゲンの低下をもたらす。一部の実施形態では、対象への本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤を含む組成物または製剤の投与は、上記組成物または製剤の投与前に観察されたレベルよりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低いレベルへのグルコース−6−リン酸(G6P)の低下をもたらす。一部の実施形態では、グリコーゲン及び/またはG6Pの上記低下は、肝細胞または組織においてである。一部の実施形態では、グリコーゲン及び/またはG6Pの上記低下は、血液、血漿または血清においてである。
【0668】
一部の実施形態では、対象への本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤を含む組成物または製剤の投与は、上記組成物または製剤の投与前に観察されたレベルよりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低いレベルへのグルコースの上昇をもたらす。一部の実施形態では、グルコースの上記上昇は、肝細胞または組織においてである。一部の実施形態では、グルコースの上記上昇は、血液、血漿または血清においてである。
【0669】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、対象の細胞におけるG6PCの発現をもたらす。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、上記対象におけるG6PC発現及び/または酵素活性の上昇をもたらす。例えば、一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、G6PCポリペプチドをコードするmRNAを含む組成物または製剤を対象に投与する方法において使用され、その際、その方法は、対象の少なくとも一部の細胞におけるG6PC発現及び/または酵素活性の上昇をもたらす。
【0670】
一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするmRNAを含む組成物または製剤の対象への投与は、正常な対象、例えば、GSD−Iaに罹患していないヒトで予測される発現及び/または活性レベルの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%以上のレベルまでの、対象の細胞におけるG6PC発現及び/または酵素活性の上昇をもたらす。一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするmRNAを含む組成物または製剤の対象への投与は、対象、例えば、GSD−Iaを有するヒト対象の細胞におけるG6PC発現及び/または酵素活性の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、505%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以上の上昇をもたらす。
【0671】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、有意なグルコース産生を生じさせるために十分な時間にわたって持続する、対象の細胞の少なくとも一部におけるG6PCタンパク質の発現をもたらす。一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物または製剤の投与は、グルコース−6−リン酸(G6P)からグルコース及びリン酸への有意な量の加水分解が生じるために十分な時間にわたって持続する、対象の細胞の少なくとも一部におけるG6PCタンパク質の発現をもたらす。
【0672】
一部の実施形態では、コードされたポリペプチドの発現が増加する。一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、細胞に導入された場合に、それらの細胞におけるG6PC発現及び/または酵素活性レベルを、上記ポリペプチドが細胞に導入される前の細胞におけるG6PC発現及び/または酵素活性レベルに対して、例えば、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%上昇させる。
【0673】
一部の実施形態では、上記方法または使用は、配列番号8、11〜20、22〜38、及び207の群から選択されるポリヌクレオチドと配列類似性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、例えば、mRNAを投与することを含み、その際、上記ポリヌクレオチドは、G6PCポリペプチドをコードする。
【0674】
本開示の他の態様は、ポリヌクレオチドを含有する細胞の哺乳類対象への移植に関する。細胞の哺乳類対象への投与は、当業者らに公知であり、限定されないが、局所移植(例えば、局所もしくは皮下投与)、器官送達、または全身注射(例えば、静脈内注射もしくは吸入)、及び薬学的に許容される担体中での細胞の製剤化が含まれる。
【0675】
一部の実施形態では、本発明の方法で使用されるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)、医薬組成物、及び製剤は、本明細書に開示のG6PCポリペプチドをコードするウラシル修飾配列及び本明細書に開示のmiRNA結合部位、例えば、miR−142に結合するmiRNA結合部位及び/またはmiR−126に結合するmiRNA結合部位を含む。一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基、例えば、N1−メチルシュードウラシルまたは5−メトキシウラシルを含む。一部の実施形態では、本発明のG6PCポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中の1種のヌクレオ塩基(例えば、ウラシル)の少なくとも95%は、修飾ヌクレオ塩基である。一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中のウルシルの少なくとも95%は、1−N−メチルシュードウリジンまたは5−メトキシウリジンである。一部の実施形態では、本明細書に開示のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を、例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1〜232のいずれか、例えば、化合物II;式(III)、(IV)、(V)、もしくは(VI)を有する化合物、例えば、化合物233〜342のいずれか、例えば、化合物VI;または式(VIII)を有する化合物、例えば、化合物419〜428のいずれか、例えば、化合物I、あるいはそれらの任意の組合せを含む送達剤と共に製剤化する。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物II、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば約47.5:10.5:39.0:3.0または約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物VI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、化合物IIまたはVI(または関連の適切なアミノ脂質)約30〜約60mol%(例えば、化合物IIまたはVI(または関連の適切なアミノ脂質)30〜40、40〜45、45〜50、50〜55または55〜60mol%)、リン脂質(または関連の適切なリン脂質または「ヘルパー脂質)約5〜約20mol%(例えば、リン脂質(または関連の適切なリン脂質または「ヘルパー脂質)5〜10、10〜15、または15〜20mol%)、コレステロール(または関連ステロールまたは「非カチオン」脂質)約20〜約50mol%(例えば、コレステロール(または関連ステロールまたは「非カチオン」脂質)約20〜30、30〜35、35〜40、40〜45、または45〜50mol%)及びPEG脂質(または他の適切なPEG脂質)約0.05〜約10mol%(例えば、PEG脂質(または他の適切なPEG脂質)0.05〜1、1〜2、2〜3、3〜4、4〜5、5〜7、または7〜10mol%)の範囲のモル比で含む。例示的な送達剤は、例えば、47.5:10.5:39.0:3.0または50:10:38.5:1.5のモル比を含み得る。ある特定の例では、例示的な送達剤は、例えば、47.5:10.5:39.0:3;47.5:10:39.5:3;47.5:11:39.5:2;47.5:10.5:39.5:2.5;47.5:11:39:2.5;48.5:10:38.5:3;48.5:10.5:39:2;48.5:10.5:38.5:2.5;48.5:10.5:39.5:1.5;48.5:10.5:38.0:3;47:10.5:39.5:3;47:10:40.5:2.5;47:11:40:2;47:10.5:39.5:3;48:10.5:38.5:3;48:10:39.5:2.5;48:11:39:2;または48:10.5:38.5:3のモル比を含み得る。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物IIまたはVI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約47.5:10.5:39.0:3.0のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物IIまたはVI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約47.5:10.5:39.0:3.0または約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。
【0676】
本発明の薬物または処置の治療有効性は、対象(例えば、前臨床試験対象(げっ歯類、霊長類など)または臨床対象(ヒト))から取られた試料(複数可)中のコードされたタンパク質(例えば、酵素)の発現のレベルを測定することにより特徴付ける、または決定することができることを、当業者は理解するであろう。同様に、本発明の薬剤または処置の治療有効性は、対象(例えば、前臨床試験対象(げっ歯類、霊長類など)または臨床対象(ヒト))から取られた試料(複数可)中のコードされたタンパク質(例えば、酵素)の活性のレベルを測定することにより特徴付ける、または決定することができる。さらに、本発明の薬物または処置の治療有効性は、対象から取られた試料(複数可)中の適切なバイオマーカーのレベルを測定することにより特徴付ける、または決定することができる。タンパク質及び/またはバイオマーカーのレベルは、本発明のmRNA治療薬の単回投与で投与後に、決定することができるか、または単回用量で投与後のいくつかの時点で、決定及び/または監視することができるか、または処置、例えば、複数回投与の処置の経過を通して、決定及び/または監視することができる。
【0677】
GSD−Iaは、グルコース−6−リン酸(G6P)をグルコース及びリン酸に加水分解するG6PCの能力の障害と関連している。したがって、GSD−Iaを有する対象は一般に、それらの細胞及び組織における高レベルのグリコーゲンまたは及び/またはG6Pと、それらの血液/血漿における低レベルのグルコースとを示す。
【0678】
GSD−Iaは、グルコースホメオスターシスを維持する能力の障害により特徴付けられる常染色体劣性代謝性疾患である。GSD−Ia患者は典型的には、絶食時低血糖、肝腫、腎肥大、高脂血症、高尿酸血症、乳酸血症、及び/または成長遅滞を示す。GSD−Ia患者は、上記障害の無症候性キャリアであり得るか、または上記疾患と関連する様々な症状に罹患し得る。GSD−Iaを有する対象は一般に、絶食時に、細胞及び組織において(例えば、肝細胞、肝臓、腎臓、小腸において)比較的高レベルのグリコーゲン及び/またはグルコース−6−リン酸(G6P)を示す。GSD−Iaを有する対象はまた多くの場合に、それらの血液、血漿、または血清において比較的高レベルのトリグリセリド及び/またはコレステロール、及び/または比較的高レベルの乳酸を絶食時に示す。GSD−Iaを有する対象はまた一般に、絶食時に、比較的低レベルのグルコースを、例えば、血液、血漿または血清中グルコースで示す。別段に指定されていない限り、本明細書に開示のGSD−Ia患者またはヒト対象を処置する方法は、無症候性キャリア及び異常なレベルのバイオマーカーを有する個体の両方の処置を含む。
【0679】
G6PCタンパク質発現レベル
本明細書に開示のある特定の態様は、対象、例えば、動物(例えば、げっ歯類、霊長類など)またはヒト対象におけるグルコース−6−ホスファターゼ(G6PアーゼまたはG6PC)タンパク質の発現レベル(複数可)の測定、決定及び/または監視を特徴とする。動物には、正常、健康または野生型動物、さらには、GSD−Ia及びその処置の理解において使用するための動物モデルが含まれる。例示的な動物モデルには、げっ歯類モデル、例えば、G6PCマウスとも称されるG6PC欠損マウス、例えば、全G6pcノックアウトマウス(G6pc(−/−))または肝臓特異的ノックアウトマウス(L−G6pc(−/−))が含まれる(Lei et al.,Nat.Genet.,1996,13:203−209;Mutel et al.,J.Hepatol.,2011,54:529−537を参照されたい)。
【0680】
G6PCタンパク質発現レベルは、例えば、血液または組織試料または針生検からの生体試料中のタンパク質レベルを決定するための当技術分野において承認されている任意の方法により測定または決定することができる。「レベル」または「タンパク質のレベル」という用語は、本明細書で使用する場合、好ましくは、試料または対象内でのそのタンパク質の重量、質量または濃度を意味する。ある特定の実施形態では、試料を精製、沈殿、分離、例えば遠心分離及び/またはHPLCのいずれかにかけ、続いて、例えば、質量及び/または分光分析を使用して、タンパク質のレベルを決定することができることは当業者に理解されるであろう。例示的な実施形態では、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を、タンパク質発現レベルを決定するために使用することができる。他の例示的な実施形態では、タンパク質精製、分離及びLC−MSを、本発明によるタンパク質のレベルを決定するための手段として使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示のmRNA治療薬(例えば、単回静脈内投与)は、mRNA治療薬の単回投与後少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも84時間、少なくとも96時間、少なくとも108時間、少なくとも120時間、少なくとも132時間、少なくとも144時間、少なくとも156時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、少なくとも216時間、少なくとも240時間、少なくとも264時間、少なくとも288時間、少なくとも312時間、または少なくとも336時間にわたって、対象の肝臓組織におけるG6PCタンパク質発現レベルの上昇(例えば、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍の上昇及び/または正常レベルに対して少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%の上昇)をもたらす。一部の実施形態では、本発明のmRNA治療薬(例えば、単回静脈内投与)は、mRNA治療薬の単回用量の投与後少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも84時間、少なくとも96時間、少なくとも108時間、少なくとも120時間、少なくとも132時間、少なくとも144時間、少なくとも156時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、少なくとも216時間、少なくとも240時間、少なくとも264時間、少なくとも288時間、少なくとも312時間、または少なくとも336時間にわたって、上記対象の血液、血漿、または肝臓組織におけるグルコースレベルの上昇(例えば、少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、145、または150mg/dl)をもたらす。一部の実施形態では、本発明のmRNA治療薬(例えば、単回静脈内投与)は、mRNA治療薬の単回用量の投与後少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも84時間、少なくとも96時間、少なくとも108時間、少なくとも1202時間、少なくとも132時間、少なくとも144時間、少なくとも156時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、少なくとも216時間、少なくとも240時間、少なくとも264時間、少なくとも288時間、少なくとも312時間、または少なくとも336時間にわたって、上記対象の血液、血漿、または肝臓組織におけるグルコースレベルの上昇(例えば、少なくとも3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、または8.5mmol/l)をもたらす。一部の実施形態では、本発明のmRNA治療薬(例えば、単回静脈内投与)は、mRNA治療薬の単回用量の投与後少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも84時間、少なくとも96時間、少なくとも108時間、少なくとも1202時間、少なくとも132時間、少なくとも144時間、少なくとも156時間、少なくとも168時間、少なくとも192時間、少なくとも216時間、少なくとも240時間、少なくとも264時間、少なくとも288時間、少なくとも312時間、または少なくとも336時間にわたって、上記対象の血液、血漿、または肝臓組織におけるグリコーゲン及び/またはG6Pレベルの有意な低下(例えば、上記mRNA治療薬の投与前と比べて統計学的に有意な低下)(例えば、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1150、1175または1,200μM以下)をもたらす。
【0681】
G6PCタンパク質活性
GSD−Iaを有する対象では、G6PC酵素活性が、正常な生理学的活性レベルと比較して低下している。本明細書に開示のさらなる態様は、対象における、例えば、動物(例えば、げっ歯類、霊長類など)またはヒト対象におけるG6PCタンパク質の活性レベル(複数可)(すなわち、酵素活性レベル(複数可))の測定、決定及び/または監視を特徴とする。活性レベルは、生体試料において酵素活性レベルを決定するための何らかの当技術分野において承認されている方法により測定または決定することができる。「活性レベル」または「酵素活性レベル」という用語は本明細書で使用する場合、好ましくは、試料または試料内の総タンパク質の体積、質量または重量当たりの酵素の活性を意味する。例示的な実施形態において、「活性レベル」または「酵素活性レベル」は、1ミリリットルの液体(例えば、体液、例えば、血清、血漿、尿など)当たりの単位に関して記載されるか、または組織の重量当たり、または試料内のタンパク質(例えば、全タンパク質)当たりの単位に関して記載される。酵素活性の単位(「U」)は、加水分解される基質の単位時間当たりの重量または質量に関して記載され得る。本発明のある特定の実施形態では、U/血漿mlまたはU/タンパク質mg(組織)に関して記載されるG6PC活性を特徴とし、その際、単位(「U」)は、1時間当たりの加水分解される基質のnmol(またはnmol/時)に関して記載される。
【0682】
ある特定の実施形態では、本発明のmRNA治療薬は、投与後2〜6時間、6〜12時間、または12〜24、24〜48、または48〜72時間の間(例えば、投与後48または72時間目に)、組織(例えば、肝臓)において、少なくとも5U/mg、少なくとも10U/mg、少なくとも20U/mg、少なくとも30U/mg、少なくとも40U/mg、少なくとも50U/mg、少なくとも60U/mg、少なくとも70U/mg、少なくとも80U/mg、少なくとも90U/mg、少なくとも100U/mg、または少なくとも150U/mgのG6PC活性をもたらすために有効なmRNAの用量を含む医薬組成物を特徴とする。
【0683】
例示的な実施形態では、本明細書に記載のmRNA治療薬は、上記レベルの活性をもたらすmRNAの単回静脈内用量を含む医薬組成物を特徴とする。別の実施形態では、本発明のmRNA治療薬は、上記のレベルの活性を維持するmRNAの複数の単回単位静脈内用量で投与することができる医薬組成物を特徴とする。
【0684】
GSD−Iaバイオマーカー
本発明のさらなる態様は、試料中で決定されるバイオマーカーのレベル(複数可)を、例えば、同じ対象に由来する、別の対象に由来する、対照に由来する、及び/または同じか、または異なる時点に由来する別の試料における同じか、または別のバイオマーカーのレベル(例えば、参照レベル)、及び/または生理的レベル、及び/または上昇したレベル、及び/または超生理的レベル、及び/または対照のレベルと比較して決定することを特徴とする。当業者は、バイオマーカーの生理的レベル、例えば、正常または野生動物におけるレベル、正常または健康な対象など、特に、健康で、及び/または正常に機能している対象に特徴的なレベル(複数可)を熟知しているであろう。本明細書で使用する場合、「上昇したレベル」という語句は、正常か、もしくは野生型の前臨床動物において、または正常もしくは健康な対象、例えば、ヒト対象において通常見い出されるよりも多い量を意味する。本明細書で使用する場合、「超生理的」という用語は、正常か、もしくは野生型の前臨床動物において、または正常もしくは健康な対象、例えば、ヒト対象において通常見い出されるよりも多い量であって、任意選択で有意に増強された生理的応答を生じる量を意味する。本明細書で使用する場合、「比較すること」または「と比較して」という用語は好ましくは、2つ以上の値、例えば、バイオマーカー(複数可)のレベルの数学的比較を意味する。したがって、値のうちの1つが、別の値、またはそのような値のうちの少なくとも2つを相互に比較する場合には、値の群よりも高い、低い、または同一であるかどうかは、当業者には容易に分かるであろう。比較すること、または比較して、とは、例えば、対照値と比較する文脈では、例えば、投与前の上記対象における(例えば、GSD−Iaに罹患しているヒトにおける)または正常もしくは健康な対象における参照血液、血清、血漿、及び/または組織(例えば、肝臓)バイオマーカーレベルと比較して、であり得る。比較すること、または比較して、とは、例えば、対照値と比較する文脈では、例えば、投与前の上記対象における(例えば、GSD−Iaに罹患しているヒトにおける)または正常もしくは健康な対象における参照血液、血清、血漿、及び/または組織(例えば、肝臓)バイオマーカーレベルと比較して、でもあり得る。本明細書で使用する場合、「対照」は好ましくは、対象に由来し、上記対象のGSD−Ia状態が既知である試料である。一実施形態では、対照は、健康な患者の試料である。別の実施形態では、上記対照は、既知のGSD−Ia状態、例えば、重度、中等度、または健全なGSD−Ia状態を有する少なくとも1つの対象、例えば、対照患者に由来する試料である。別の実施形態では、上記対照は、GSD−Iaの処置を受けていない対象に由来する試料である。またさらなる一実施形態では、上記対照は、単一の対象に由来する試料または異なる対象に由来する試料のプール及び/または異なる時点で対象(複数可)から採取された試料である。
【0685】
本明細書で使用する場合の「レベル」または「バイオマーカーのレベル」という用語は好ましくは、試料または対象内の本発明のバイオマーカーの質量、重量または濃度を意味する。ある特定の実施形態では、試料を、例えば、次のうちの1つまたは複数:物質の精製、沈殿、分離、例えば、遠心分離及び/またはHPLCにかけ、続いて、例えば、質量分光分析を使用してバイオマーカーのレベルの決定にかけることがあることは当業者に理解されるであろう。ある特定の実施形態では、LC−MSを、本発明によるバイオマーカーのレベルを決定するための手段として使用することができる。
【0686】
本明細書で使用する場合のバイオマーカーの「レベルを決定すること」という用語は、対象に由来する試料中、例えば、対象に由来する体液(例えば、血清、血漿、尿、リンパなど)中または対象の組織(例えば、肝臓など)中の少なくとも1つの物質の量を定量化することを含む方法を意味し得る。
【0687】
本明細書で使用する場合の「参照レベル」という用語は、本発明のmRNA治療薬の投与前の対象における(例えば、GSD−Iaに罹患しているヒトにおける)、または正常または健康な対象における(例えば、バイオマーカーの)レベルを指し得る。
【0688】
本明細書で使用する場合、「正常な対象」または「健康な対象」という用語は、GSD−Iaと関連する症状に罹患していない対象を指す。さらに、G6PC遺伝子の機能性部分もしくはドメインの変異を有さない、及び/または酵素G6PCまたはその活性の低下または欠乏をもたらし、GSD−Iaと関連する症状をもたらすG6PC遺伝子の変異を有さない場合に、対象は、正常(または健康)であると判断されるであろう。対象に由来する試料をそのようなG6PC変異のための遺伝子検査にかけると、上記変異は検出されるであろう。本発明のある特定の実施形態では、健康な対象に由来する試料を対照試料として使用するか、または健康もしくは正常な対象の試料に由来するバイオマーカーのレベルについて既知か、もしくは標準化された値を対照として使用する。
【0689】
G6PCは、グルコース新生及びグリコーゲン分解中にG6Pをグルコース及びリン酸に加水分解するので、絶食状態中の低レベルのグルコース及び/またはリン酸、ならびに高レベルのグリコーゲン及び/またはG6Pは、対象がGSD−Iaを有するか、またはGSD−Iaについて処置されるべきであることを示している。したがって、グルコース、リン酸、グリコーゲン、及びG6Pを、GSD−Iaについてのバイオマーカーとして使用することができる。
【0690】
一部の実施形態では、GSD−Iaについての処置を必要とする対象に由来する試料における、またはGSD−Iaについて処置されている対象におけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの対照レベルと比較することは、対象(処置を必要とするか、またはGSD−Iaについて処置されている)に由来する試料におけるバイオマーカーのレベルを基線または参照レベルと比較することを含み、その際、対象(処置を必要とするか、またはGSD−Iaについて処置されている)に由来する試料におけるバイオマーカーのレベルが基線または参照レベルと比較して上昇している、増加しているか、または高い場合に、これは、その対象がGSD−Iaに罹患している、及び/または処置を必要とすることを示し;及び/または対象(処置を必要とするか、またはGSD−Iaについて処置されている)に由来する試料におけるバイオマーカーのレベルが基線レベルと比較して低下している、もしくは低い、または同じ場合に、これは、その対象がGSD−Iaに罹患していない、GSD−Iaについて成功裏に処置されている、またはGSD−Iaについての処置を必要としないことを示す。一定期間内、例えば、2時間以内、4時間以内、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、または72時間以内の、及び/または一定の持続期間、例えば、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、24か月などにわたるバイオマーカーのレベルの低下(例えば、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍低下及び/または少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低下)が強いほど、治療薬、例えば、本発明のmRNA治療薬(例えば、単回用量または複数のレジメン)などは、より成功している。一部の実施形態では、基線または参照レベルと比較して上昇する、増加する、または高く、GSD−Iaを示すバイオマーカーは、グリコーゲン及び/またはグルコース−6−リン酸(G6P)である。一部の実施形態では、基線または参照レベルと比較して上昇する、増加する、または高く、GSD−Iaを示すバイオマーカーは、乳酸である。一部の実施形態では、基線または参照レベルと比較して上昇する、増加する、または高く、GSD−Iaを示すバイオマーカーは、例えば、血液、血漿、または血清中のトリグリセリド及び/またはコレステロールである。
【0691】
投与後12時間、1、2、3、4、5、6日またはそれ以上の日数以内の、特に体液(例えば、血漿、血清、尿、例えば、尿沈渣)中または対象内の組織(複数可)(例えば、肝臓)中のバイオマーカー(例えば、グリコーゲン及び/またはG6P)のレベルの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも100%またはそれ以上の低下は、成功裏のGSD−Iaの処置に適切な用量を示し、その際、本明細書で使用する場合の低下は好ましくは、(例えば、投与後、例えば、単回静脈内用量の投与後の)規定の期間の終了時に決定されたバイオマーカーのレベルを上記期間の開始時(例えば、上記用量の投与前)に決定された同じバイオマーカーのレベルと比較することを意味する。例示的な期間には、投与後6、12、24、48、72、96、120または144時間、特に投与後24、48、72または96時間が含まれる。
【0692】
一部の基質レベル(例えば、グリコーゲン及び/またはG6Pなどのバイオマーカー)の持続的な低下は特に、GSD−Iaの処置に成功しているmRNA治療投与及び/または投与レジメンを示す。そのような持続的な低下は、本明細書では、効果の「持続」と称され得る。例示的な実施形態では、投与後12時間、1、2、3、4、5、6、7、8日またはそれ以上の日数以内の、特に体液(例えば、血漿、血清、尿、例えば、尿沈渣)中または対象内の組織(複数可)(例えば、肝臓)中のバイオマーカーレベルの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%以上の低下は、治療アプローチの成功を示す。例示的な実施形態では、1つまたは複数の試料(例えば、流体及び/または組織)における基質(例えば、バイオマーカー)レベルの持続的な減少が好ましい。例えば、バイオマーカーの持続的な低下を、任意選択で、少なくとも1つの組織、好ましくは2つ、3つ、4つ、5つ以上の組織の上記バイオマーカーの持続的低下と組み合わせてもたらすmRNA治療薬は、処置の成功を示す。
【0693】
他の実施形態では、GSD−Iaについて処置を必要とする対象に由来する試料における、またはGSD−Iaについて処置されている対象におけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの対照レベルと比較することは、(GSD−Iaの処置を必要とするか、または処置されている)対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを基線または参照レベルと比較することを含み、その際、対象(GSD−Iaの処置を必要とするか、または処置されている)からの試料中のバイオマーカーのレベルが基線または参照レベルと比較して減少している、低下しているか、または低い場合に、これは、上記対象がGSD−Iaに罹患している、及び/または処置を必要とすることを示し;及び/または対象(GSD−Iaの処置を必要とするか、または処置されている)からの試料中のバイオマーカーのレベルが基線レベルと比較して上昇している、または高い、または、同じ場合に、これは、上記対象がGSD−Iaに罹患していない、GSD−Iaについて成功裏に処置されている、及び/または処置を必要としないことを示す。一定期間内、例えば、2時間以内、4時間以内、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、または72時間以内の、及び/または一定の持続期間、例えば、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、24か月などにわたるバイオマーカーのレベルの上昇(例えば、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍上昇及び/または少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%上昇)が強いほど、治療薬、例えば、本発明のmRNA治療薬(例えば、単回用量または複数のレジメン)などは、より成功している。一部の実施形態では、基線または参照レベルと比較して減少している、低下している、または低く、GSD−Iaを示すバイオマーカーは、グルコース、例えば、血液、血漿または血清中のグルコースである。一部の実施形態では、基線または参照レベルと比較して減少している、低下している、または低く、GSD−Iaを示すバイオマーカーはリン酸である。
【0694】
投与後12時間、1、2、3、4、5、6日またはそれ以上の日数以内の、特に体液(例えば、血漿、血清、尿、例えば、尿沈渣)中または対象内の組織(複数可)(例えば、肝臓)中のバイオマーカー(例えば、グルコース)レベルの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも100%以上の上昇は、成功裏のGSD−Iaの処置に適切な用量を示し、その際、本明細書で使用する場合の上昇は好ましくは、(例えば、投与後、例えば、単回静脈内用量の投与後の)規定の期間の終了時に決定されたバイオマーカーのレベルを上記期間の開始時(例えば、上記用量の投与前)に決定された同じバイオマーカーのレベルと比較することを意味する。例示的な期間には、投与後6、12、24、48、72、96、120または144時間、特に投与後24、48、72または96時間が含まれる。
【0695】
一部の基質レベル(例えば、バイオマーカー、例えば、グルコース)の持続的な上昇は特に、GSD−Iaの処置に成功しているmRNA治療投与及び/または投与レジメンを示す。そのような持続的な上昇は、本明細書では、効果の「持続」と称され得る。例示的な実施形態では、投与後12時間、1、2、3、4、5、6、7、8日またはそれ以上の日数以内の、特に体液(例えば、血漿、血清、尿、例えば、尿沈渣)中または対象内の組織(複数可)(例えば、肝臓)中のバイオマーカーレベルの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%以上の上昇は、治療アプローチの成功を示す。例示的な実施形態では、1つまたは複数の試料(例えば、流体及び/または組織)における基質(例えば、バイオマーカー)レベルの持続的な上昇が好ましい。例えば、バイオマーカーの持続的な低下を、任意選択で、少なくとも1つの組織、好ましくは2つ、3つ、4つ、5つ以上の組織の上記バイオマーカーの持続的低下と組み合わせてもたらすmRNA治療薬は、処置の成功を示す。
【0696】
一部の実施形態では、本明細書に記載のmRNA治療薬の単回用量は、約0.2〜約0.8mpk、約0.3〜約0.7mpk、約0.4〜約0.8mpk、または約0.5mpkである。別の実施形態では、本発明のmRNA治療薬の単回用量は、1.5mpk未満、1.25mpk未満、1mpk未満、または0.75mpk未満である。
【0697】
一部の実施形態では、GSD−Iaを有する、GSD−Iaを発症するリスクを有する、またはGSD−Iaについての処置を必要とする対象は、正常または健康な対象、すなわち、GSD−Iaを有さない対象における肝臓のサイズと比較して大きな肝臓を有する。一部の実施形態では、対象における比較的大きな肝臓は、その対象がGSD−Iaを有する、GSD−Iaを有するリスクを有する、またはGSD−Iaについて処置されるべきであることを示す。一部の実施形態では、正常または健康な対象における肝臓よりも、または正常な肝臓での参照重量に対して5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または50%大きい肝臓を有する対象は、その対象がGSD−Iaを有するか、またはGSD−Iaについて処置されるべきであることを示す。
【0698】
一部の実施形態では、上記バイオマーカーまたはバイオマーカーを、GSD−Iaについて処置を必要とする対象から採取された試料において、または絶食している、GSD−Iaについて処置されている対象(例えば、しばらくの時間にわたって、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12時間以上にわたって食事をしていない対象)において測定する。一部の実施形態では、上記対照試料を、絶食もしている健康または正常な対象から採取するか、またはバイオマーカー(複数可)の参照レベルは、絶食していた健康または正常な対象におけるレベルである。
【0699】
24.使用のための組成物及び製剤
本発明のある特定の態様は、上で開示のポリヌクレオチドのいずれかを含む組成物または製剤を対象とする。
【0700】
一部の実施形態では、上記組成物または製剤は、
(i)G6PCポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)(例えば、野生型配列、その機能性断片、またはバリアント)(その際、上記ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオ塩基、例えば、N1−メチルシュードウラシルまたは5−メトキシウラシルを含み(例えば、ウラシルの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%がN1−メチルシュードウラシルまたは5−メトキシウラシルである)、かつ上記ポリヌクレオチドはさらに、miRNA結合部位、例えば、miR−142に結合するmiRNA結合部位(例えば、miR−142−3pまたはmiR−142−5p結合部位)及び/またはmiR−126に結合するmiRNA結合部位(例えば、miR−126−3pまたはmiR−126−5p結合部位)を含む);ならびに
(ii)例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1〜232のいずれか、例えば、化合物II;式(III)、(IV)、(V)、または(VI)を有する化合物、例えば、化合物233〜342のいずれか、例えば、化合物VI;または式(VIII)を有する化合物、例えば、化合物419〜428のいずれか、例えば、化合物I、またはそれらの任意の組合せを含む送達剤を含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物II、化合物VI、その塩もしくは立体異性体、またはそれらの任意の組合せを含む脂質ナノ粒子である。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物II、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物II、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約47.5:10.5:39.0:3.0のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物VI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。一部の実施形態では、上記送達剤は、化合物VI、DSPC、コレステロール、及び化合物IまたはPEG−DMGを、例えば、約47.5:10.5:39.0:3.0のモル比で含む。
【0701】
一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最小ウラシルまたはチミン含有量に対するORFのウラシルまたはチミン含有量(U
TM%またはT
TM%)は、約100%〜約150%である。
【0702】
一部の実施形態では、上記のポリヌクレオチド、組成物、または製剤は、G6PC関連疾患、障害、または状態、例えば、GSD−Iaを処置及び/または予防するために使用される。
【0703】
25.投与の形態
上記の本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、及び製剤は、治療上有効な結果をもたらす任意の経路により投与することができる。これらには、限定されないが、経腸(腸内に)、胃腸内、硬膜外(硬膜内に)、経口(口から)、経皮、硬膜上、大脳内(大脳内に)、脳室内(脳室内に)、経皮(皮膚への適用)、皮内(皮膚自体に)、皮下(皮膚下に)、経鼻投与(鼻を通して)、静脈内(静脈内に)、静脈内ボーラス、静脈内点滴、動脈内(動脈内に)、筋肉内(筋肉内に)、心臓内(心臓内に)、骨内注入(骨髄内に)、髄腔内(脊髄管内)、腹腔内、(腹膜への注入もしくは注射)、膀胱内注入、硝子体内、(眼を通して)、空洞内注射(病理学的空洞内に)、腔内(陰茎の付け根に)、膣内投与、子宮内、羊膜外投与、経皮(全身分布のためのインタクトな皮膚を通した拡散)、経粘膜(粘膜を通した拡散)、経膣、吹送法(鼻で吸う)、舌下、唇の下、浣腸、点眼(結膜上に)、点耳、耳介(耳の中もしくは耳から)、頬側(頬に向かって)、結膜、皮膚、歯科用(歯(複数可))、電気浸透、子宮頸管内、副鼻腔内、気管内、体外、血液透析、浸潤、間質内、腹腔内、羊水内、関節内、胆管内、気管支内、嚢内、軟骨内(軟骨内に)、仙骨内(馬尾内に)、大槽内(脳延髄大槽内に)、角膜内(角膜内に)、歯科内膜、冠動脈内(冠動脈内に)、海綿体内(陰茎の陰核海綿体の拡張可能な空間内の)、椎間板内(椎間板内に)、管内(腺管内に)、十二指腸内(十二指腸内に)、硬膜内(硬膜内もしくは硬膜下に)、表皮内(表皮へ)、食道内(食道へ)、胃内(胃内に)、歯肉内(歯肉内に)、回腸内(小腸の遠位部分内に)、病巣内(局所的な病変内にもしくは局所的な病変に直接導入)、管腔内(管の管腔内に)、リンパ腺内(リンパ内に)、髄内(骨の髄腔内に)、髄膜内(髄膜内に)、眼内(眼内に)、卵巣内(卵巣内に)、心膜内(心膜内に)、胸膜腔内(胸膜内に)、前立腺内(前立腺内に)、肺内(肺もしくはその気管支内に)、副鼻腔内(鼻洞もしくは眼窩洞内に)、脊髄内(脊柱内に)、滑液嚢内(関節の滑液腔内に)、腱内(腱内に)、精巣内(精巣内に)髄腔内(脳脊髄軸の任意のレベルで脳脊髄液内に)、胸腔内(胸郭内に)、尿細管内(器官の尿細管内に)、鼓室内(中耳内に)、血管内(血管(複数可)内に)、脳室内(脳室内に)、イオントフォレーゼ(可溶性塩のイオンが身体の組織に移動する電流により)、潅注(開いた創傷もしくは体腔を浸し、もしくは洗浄する)、喉頭(喉頭に直接)、経鼻胃(鼻を通して、胃に)、閉塞性包帯技術(領域を閉塞する包帯剤で覆われる局所経路投与)、眼内(外眼部へ)、口咽頭(口及び咽頭に直接)、非経口、経皮、関節周囲、硬膜上、神経周囲、歯根膜、経直腸、呼吸器(局所的もしくは全身的効果のために経口的もしくは鼻的に吸入することにより気道内に)、眼球後(脳橋の後ろ、もしくは眼球の後ろ)、心筋内(心筋に入る)、軟組織、くも膜下、結膜下、粘膜下、局所用、経胎盤(胎盤を通して、もしくは胎盤を越えて)、経気管(気管の壁を通して)、経鼓室(鼓室を越えて、もしくは通して)、尿管(尿管への)、尿道(尿道への)、膣、仙骨ブロック、診断、神経ブロック、胆汁灌流、心臓灌流、フォトフェレシス、または脊髄が含まれる。特定の実施形態では、組成物を、それらが、血液脳関門、血管関門、または他の上皮性関門を越えることができるように投与することができる。一部の実施形態では、投与経路のための製剤は、少なくとも1つの不活性成分を含むことができる。
【0704】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドまたはその機能性断片もしくはバリアントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を、naked細胞に送達することができる。本明細書で使用する場合、「naked」は、トランスフェクションを促進する薬剤を含まないポリヌクレオチドを送達することを指す。nakedポリヌクレオチドは、当技術分野で公知及び本明細書に記載の投与経路を使用して、細胞に送達することができる。
【0705】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、G6PCポリペプチドまたはその機能性断片もしくはバリアントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、本明細書に記載の方法を使用して製剤化することができる。上記製剤は、修飾及び/または非修飾であり得るポリヌクレオチドを含有することができる。上記製剤は、限定されないが、細胞浸透剤、薬学的に許容される担体、送達剤、生体内分解性または生体適合性ポリマー、溶媒、及び徐放性送達デポ剤をさらに含むことができる。製剤化されたポリヌクレオチドは、当技術分野で公知及び本明細書に記載の投与経路を使用して細胞に送達することができる。
【0706】
非経口投与のための医薬組成物は、少なくとも1つの不活性成分を含むことができる。米国食品医薬品局(FDA)により、使用された不活性成分のいずれかが承認されているか、または、いずれもが承認されていない可能性がある。非経口投与のための医薬組成物に使用される不活性成分の限定的なリストには、塩酸、マンニトール、窒素、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムが含まれる。
【0707】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液を、適切な分散剤、湿潤剤、及び/または懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物は、例えば、1,3−ブタンジオール溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤及び/または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液、及び/またはエマルションであり得る。用いることができる許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。滅菌不揮発性油は従来、溶媒または懸濁媒体として用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油を用いることができる。オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用することができる。滅菌製剤は、アジュバント、例えば、局所麻酔薬、防腐剤、及び緩衝剤を含むこともできる。
【0708】
注射製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通した濾過により、及び/または、使用前に滅菌水または他の滅菌注射媒体に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
【0709】
注射製剤は、組織、器官、及び/または対象の領域への直接注射用であり得る。非限定的例として、組織、器官、及び/または対象に、虚血領域への心筋内注射により、製剤を直接注射することができる(例えば、Zangi et al.Nature Biotechnology 2013を参照されたい;これは、その内容全体が参照により本明細書に援用される)。
【0710】
活性成分の効果を延長するために、それは多くの場合に、皮下または筋肉内注射からの活性成分の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶質または非晶質物質の液体懸濁液の使用により達成することができる。次いで、薬物の吸収速度は、溶解速度に依存し、同様に、これは、結晶サイズ及び結晶形に依存する可能性がある。別法では、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることにより達成される。注射用デポ形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の薬物のマイクロ封入マトリックスを形成することにより作製される。薬物対ポリマーの比及び用いられるある特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポ注射製剤は、薬物を、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルションに封入することにより調製される。
【0711】
26.キット及びデバイス
a.キット
本発明は、本発明の特許請求されるヌクレオチドを、都合よく及び/または効果的に使用するための様々なキットを提供する。典型的には、キットは、ユーザが対象(複数可)の複数の処置を実施し、及び/または複数の実験を実施することを可能にするのに十分な量及び/または数の構成成分を含む。
【0712】
一態様では、本発明は、本発明の分子(ポリヌクレオチド)を含むキットを提供する。
【0713】
上記キットは、翻訳可能領域を含む第1のポリヌクレオチドを含むタンパク質産生(例えば、投与後の対象におけるタンパク質産生)のためのものであり得る。上記キットは、製剤組成物を形成するパッケージ及び使用説明書及び/または送達剤をさらに含むことができる。送達剤は、本明細書に開示の生理食塩水、緩衝溶液、リピドイド、または任意の送達剤を含むことができる。
【0714】
一部の実施形態では、緩衝溶液は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、ホスファート、及び/またはEDTAを含むことができる。別の実施形態では、緩衝溶液は、限定されないが、生理食塩水、2mMのカルシウムを含む生理食塩水、5%のスクロース、2mMのカルシウムを含む5%のスクロース、5%のマンニトール、2mMのカルシウムを含む5%のマンニトール、乳酸リンゲル液、塩化ナトリウム、2mMのカルシウムを含む塩化ナトリウム、及びマンノースを含むことができる(例えば、全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20120258046号を参照されたい)。さらなる実施形態では、緩衝溶液を、沈殿させるか、または凍結乾燥させることができる。各構成成分の量は、均一な再現可能な高濃度の生理食塩水または単純な緩衝液製剤を可能にするように変動させることができる。構成成分は、一定の期間を通して、及び/または様々な条件下で、緩衝溶液中の修飾RNAの安定性を増大させるように変動させることもできる。一態様では、本発明は、標的細胞に導入された場合に、翻訳可能領域によりコードされる所望量のタンパク質を産生するのに有効な量で提供される翻訳可能領域を含むポリヌクレオチド;細胞の先天免疫応答を実質的に阻害するのに有効な量で提供される阻害性核酸を含む第2のポリヌクレオチド;ならびにパッケージ及び使用説明書を含む、タンパク質産生のためのキットを提供する。
【0715】
一態様では、本発明は、翻訳可能領域を含むポリヌクレオチド、ならびにパッケージ及び説明書を含む、タンパク質産生のためのキットを提供し、その際、上記ポリヌクレオチドは、細胞ヌクレアーゼによる分解の減少を示す。
【0716】
一態様では、本発明は、翻訳可能領域を含むポリヌクレオチド、及び第1の核酸の翻訳可能領域の翻訳に適する哺乳類細胞を含む、タンパク質産生のためのキットを提供し、その際、上記ポリヌクレオチドは、細胞ヌクレアーゼによる分解の減少を示す。
【0717】
b.デバイス
本発明は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込むことができるデバイスを提供する。これらのデバイスは、ヒト患者などのそれを必要とする対象に直ちに送達するために利用可能な製剤中でポリヌクレオチドを合成する試薬を、安定的な剤形で含有する。
【0718】
投与のためのデバイスは、本明細書に教示の単回投与、複数回投与、または分割投与レジメンに従って、本発明のポリヌクレオチドを送達するために用いることができる。そのようなデバイスは、例えば、内容全体が参照により本明細書に援用される国際出願公開WO2013151666に教示される。
【0719】
本発明の実施形態として、本明細書に開示の方法及び組成物と組み合わせて使用するために、細胞、器官、及び組織への複数投与のために当技術分野で公知の方法及びデバイスが企図される。これらは、例えば、複数のニードルを有する方法及び装置、例えば、ルーメンまたはカテーテルを用いるハイブリッドデバイス、さらには、熱、電流、または放射線駆動機構を利用するデバイスを含む。
【0720】
本発明に従って、これらの複数投与デバイスを、本明細書で企図される単回用量、複数用量、または分割用量を送達するために利用することができる。そのようなデバイスは、例えば、内容全体が参照により本明細書に援用される国際出願公開WO2013151666に教示されている。
【0721】
一部の実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、同時に、または60分の期間以内に、3つの異なる任意選択で隣接する部位に、少なくとも3本の針を介して、皮下投与または筋肉投与される(例えば、同時に、または60分の期間以内に、4、5、6、7、8、9、または10部位に投与される)。
【0722】
c.カテーテル及び/またはルーメンを利用する方法及びデバイス
カテーテル及びルーメンを使用する方法及びデバイスは、本発明のポリヌクレオチドを、単回投与、複数回投与、または分割投与スケジュールで投与するために用いることができる。そのような方法及びデバイスは、内容全体が参照により本明細書に援用される国際出願公開WO2013151666に記載されている。
【0723】
d.電流を利用する方法及びデバイス
電流を利用する方法及びデバイスは、本明細書に教示の単回投与、複数回投与、または分割投与レジメンに従って、本発明のポリヌクレオチドを送達するために用いることができる。そのような方法及びデバイスは、内容全体が参照により本明細書に援用される国際出願公開WO2013151666に記載されている。
【0724】
27.定義
本開示がより容易に理解され得るように、ある特定の用語が初めに定義される。本出願で使用する場合、本明細書に別途明示のない限り、以下の用語はそれぞれ、下記の意味を有するものとする。追加の定義は、本出願の全体にわたって記載される。
【0725】
本発明は、グループのちょうど1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、それらに用いられるか、または別の方法でこれらに関連する実施形態を含む。本発明は、グループメンバーの複数またはすべてが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、それらに用いられるか、または別の方法でそれらに関連する実施形態を含む。
【0726】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の指示対象を含む。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1つまたは複数」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。ある特定の態様では、「a」または「an」という用語は、「1つ」を意味する。他の態様では、「a」または「an」という用語は、「2つ以上」または「複数」を含む。
【0727】
さらに、本明細書で使用される「及び/または」は、他のものの有無に関わらず、2つのある特定の特徴または構成成分のそれぞれのある特定の開示とみるべきである。したがって、「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、本明細書では、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むものとする。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、以下の態様:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含するものとする。
【0728】
別途記載のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei−Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、当業者に、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を提供する。
【0729】
態様が「含む」という文言を用いて本明細書に記載されている場合は、「からなる」及び/または「から本質的になる」という用語で別途記載された類似の態様もまた提供される。
【0730】
単位、接頭語、及び記号は、Systeme International de Unites(SI)に認められた形態で表示される。数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。値の範囲が列挙される場合、その範囲の列挙された上限値及び下限値の間の各介在整数値及びその各分率もまた、そのような値の間の各部分範囲に加えて、具体的に開示されることを理解すべきである。任意の範囲の上限及び下限は独立に、その範囲に含まれるか、または範囲から除外される可能性があり、各範囲もまた、境界のいずれかが含まれるか、いずれもが含まれないか、または両方が含まれる場合、本発明に包含される。値が明らかに列挙される場合、列挙された値とほぼ同じ数量または量である値もまた、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。組合せが開示される場合、その組合せの要素の各サブコンビネーションもまた、具体的に開示され、本発明の範囲内にある。逆に、異なる要素または要素群が個々に開示される場合、それらの組合せもまた開示される。発明の任意の要素が、複数の代替物を有するものとして開示される場合、各代替物が単独でまたは他の代替物との任意の組合せで除外される本発明の例もまた、本明細書に開示され;本発明の複数の要素は、そのような除外を有することができ、そのような除外を有する要素の組合せはすべて、本明細書に開示される。
【0731】
ヌクレオチドは、一般に認められている一文字コードにより称される。別途指示のない限り、核酸は、5’から3’の方向で、左から右に書かれる。ヌクレオ塩基は、本明細書では、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される、一般に知られている一文字記号により称される。したがって、Aはアデニンを表し、Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表し、Tはチミンを表し、Uはウラシルを表す。
【0732】
アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字の記号またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字の記号のいずれかで称される。別途指示のない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向で、左から右に書かれる。
【0733】
約:
本明細書及び特許請求の範囲を通じて数値と関連して使用される「約」という用語は、当業者によく知られており、認められている精度の間隔を示す。そのような精度の間隔は、±10%である。
【0734】
範囲が与えられる場合は、端点が含まれる。さらに、別途指示のない限り、または、文脈及び当業者の理解から別途明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈に別途明示のない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態の記載された範囲内の任意の特定の値または部分範囲とみなすことができる。
【0735】
組み合わせて投与される:
本明細書中で使用する場合、「組み合わせて投与される」または「組合せ投与」という用語は、2つ以上の薬剤が、同時に、または各薬剤の患者への効果の重複が可能な間隔の範囲内で、対象に投与されることを意味する。一部の実施形態では、それらは、互いに約60、30、15、10、5、または1分以内に投与される。一部の実施形態では、薬剤の投与は、コンビナトリアル(例えば、相乗的)効果が達成されるように、互いに十分に接近して配置される。
【0736】
アミノ酸置換:
「アミノ酸置換」という用語は、親配列または参照配列(例えば、野生型G6PC配列)に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置換することを指す。アミノ酸は、親配列または参照配列(例えば、野生型G6PCポリペプチド配列)内で、例えば、化学的ペプチド合成または当技術分野で公知の組換え法により置換することができる。したがって、「位置Xでの置換」への言及は、X位に存在するアミノ酸の、代替アミノ酸残基での置換を指す。一部の態様では、置換パターンは、スキーマAnYに従って記載することができ、Aは、n位に天然にまたは元々存在するアミノ酸に対応する一文字コードであり、Yは、置換アミノ酸残基である。他の態様では、置換パターンは、スキーマAn(YZ)に従って記載することができ、Aは、X位に天然にまたは元々存在するアミノ酸を置換するアミノ酸残基に対応する一文字コードであり、Y及びZは、代替置換アミノ酸残基である。
【0737】
本開示の文脈では、置換(それらが、アミノ酸置換と呼ばれる場合であっても)は、核酸レベルで行われ、すなわち、アミノ酸残基を代替アミノ酸残基で置換することは、第1のアミノ酸をコードするコドンを、第2のアミノ酸をコードするコドンと置換することにより行われる。
【0738】
動物:
本明細書で使用する場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。一部の実施形態では、「動物」は、任意の発生期のヒトを指す。一部の実施形態では、「動物」は、任意の発生期の非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類またはブタ)である。一部の実施形態では、動物には、限定されないが、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、及び虫が含まれる。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、またはクローンである。
【0739】
ほぼ:
本明細書で使用する場合、目的の1つまたは複数の値に付される「ほぼ」という用語は、記載された参照値に類似する値を指す。ある特定の実施形態では、「ほぼ」という用語は、別途記載のない限り、または別途文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除き)、記載された参照値のいずれかの(より大きいまたはより小さい)方向に、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、以下の範囲に入る値を指す。
【0740】
関連する:
疾患に対して本明細書で使用する場合、「関連する」という用語は、問題の症状、測定値、特徴、または状態が、その疾患の診断、発症、存在、または進行に関連することを意味する。関連は、原因として疾患との関連がある可能性があるが、関連がある必要はない。例えば、症状、後遺症、またはGSD−IAの患者の生活の質の減少を引き起こす任意の作用は、GSD−Iaと関連すると考えられており、本発明の一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することにより、処置、改善、または予防することができる。
【0741】
2つ以上の部分に対して使用される場合、「会合する」「コンジュゲートされる」、「連結される」、「結合される」、及び「拘束される」という用語は、2つ以上の部分に対して使用される場合、構造が使用される条件、例えば、生理学的条件下で、部分が物理的に会合したままであるように、十分に安定である構造を形成するように、部分が、直接、または結合剤としての働きをする1つまたは複数のさらなる部分を介してのいずれかで、互いに物理的に会合し、または結合されることを意味する。「会合」は、厳密に直接共有化学結合によるものである必要はない。それは、「会合する」実体が物理的に会合したままであるように十分に安定な結合性に基づくイオン結合または水素結合またはハイブリダイゼーションも示唆することができる。
【0742】
二機能性:
本明細書で使用する場合、「二機能性」という用語は、少なくとも2つの機能の能力があるか、または維持する任意の物質、分子、または部分を指す。機能は、同じ結果または異なる結果に影響を与える可能性がある。機能を生じる構造は、同じまたは異なる可能性がある。例えば、本発明の二機能性修飾RNAは、G6PCペプチドをコードすることができる(第1機能)が、コード化RNAを含むヌクレオシドは、それ自体として、RNAの半減期を延長することが可能である(第2機能)。この例では、二機能性修飾RNAを、タンパク質欠乏症に罹患する対象に送達すると、疾患または状態を改善または処置することができるペプチドまたはタンパク質分子を産生するだけでなく、長い期間にわたって対象に存在する集団修飾RNAも維持するであろう。他の態様では、二機能性修飾mRNAは、例えば、G6PCペプチドをコードするRNA(第1の機能)及び第1のタンパク質に融合されるか、または第1のタンパク質と同時発現される第2のタンパク質を含むキメラ分子であり得る。
【0743】
生体適合性:
本明細書で使用する場合、「生体適合性」という用語は、免疫系による傷害、毒性、または拒絶のリスクをほとんどか、全く有さない生細胞、組織、器官、または系と適合することを意味する。
【0744】
生分解性:
本明細書で使用する場合、「生分解性」という用語は、生物の作用により無害な産物に分解される可能性を意味する。
【0745】
生物学的に活性な:
本明細書で使用する場合、「生物学的に活性な」という語句は、生物学的系及び/または生体内で活性を有する任意の物質の特徴を指す。例えば、生体に投与された場合に、その生体に生物学的影響を有する物質は、生物学的に活性であると考えられる。ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのいくつかでも生物学的活性であるか、または生物学的に関連すると考えられる活性を模倣する場合、生物学的に活性であると考えることができる。
【0746】
キメラ:
本明細書中で使用する場合、「キメラ」は、2つ以上の不調和または異種部分または領域を有する実体である。例えば、キメラ分子は、G6PCポリペプチドを含む第1の部分及び第2の治療用タンパク質を含む(例えば、第1の部分と遺伝子融合した)第2の部分(例えば、別個の酵素活性を有するタンパク質、抗原結合部分、またはG6PCの血漿中半減期を延長することが可能な部分、例えば、抗体のFc領域)を含むことができる。
【0747】
配列最適化:
「配列最適化」という用語は、参照核酸配列内のヌクレオ塩基が代替ヌクレオ塩基で置換されて、特性の向上、例えば、タンパク質発現が向上または免疫原性が減少した核酸配列をもたらすプロセスまたは一連のプロセスを指す。
【0748】
一般に、配列最適化の目標は、参照ヌクレオチド配列によりコードされた同じポリペプチド配列をコードする同義ヌクレオチド配列を生成することである。したがって、参照ヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドに対して、コドン最適化ヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドに(コドン最適化の結果としての)アミノ酸置換は存在しない。
【0749】
コドン置換:
配列最適化の文脈での「コドン置換(substitution)」または「コドン置換(replacement)」という用語は、参照核酸配列中に存在するコドンを、別のコドンで置換することを指す。コドンは、例えば、化学的ペプチド合成を介して、または当技術分野で公知の組換え方法により、参照核酸配列中で置換することができる。したがって、核酸配列(例えば、mRNA)中のある特定の場所での、または核酸配列(例えば、mRNA)のある特定の領域もしくは部分配列内での「置換(substitution)」または「置換(replacement)」への言及は、代替コドンを有するそのような場所または領域でのコドンの置換を指す。
【0750】
本明細書で使用する場合、「コード領域」及び「領域コード化」という用語ならびにその文法的変形形態は、発現時に、ポリペプチドまたはタンパク質を生じるポリヌクレオチド中のオープンリーディングフレーム(ORF)を指す。
【0751】
化合物:
本明細書で使用する場合、「化合物」という用語は、示された構造のすべての立体異性体及び同位体を含むことを意味する。本明細書で使用する場合、「立体異性体」という用語は、化合物の任意の幾何異性体(例えば、シス及びトランス異性体)、エナンチオマー、またはジアステレオマーを意味する。本開示は、立体的に純粋な(例えば、幾何学的に純粋な、エナンチオマー的に純粋な、またはジアステレオマー的に純粋な)形態を含む、本明細書に記載の化合物のありとあらゆる立体異性体、ならびにエナンチオマー及び立体異性体混合物、例えば、ラセミ体を包含する。化合物のエナンチオマー及び立体的混合物、ならびにそれらを、構成成分であるエナンチオマーまたは立体異性体に分割する手段は、周知である。「同位体」は、細胞核内の異なる数の中性子の結果として生じる、原子番号が同じであるが質量数が異なる原子を指す。例えば、水素の同位体は、三重水素及び重水素を含む。さらに、本開示の化合物、塩、または複合体は、ルーチン的な方法により溶媒和物及び水和物を形成するために、溶媒または水分子と組み合わせて調製することができる。
【0752】
接触:
本明細書で使用する場合、「接触」という用語は、2つ以上の実体間の物理的接続を確立することを意味する。例えば、哺乳類細胞をナノ粒子組成物と接触させることは、哺乳類細胞及びナノ粒子が物理的接続を共有させられることを意味する。in vivo及びex vivoの両方で、細胞を、外部実体と接触させる方法は、生物学的技術分野で周知である。例えば、ナノ粒子組成物及び哺乳類内に位置する哺乳類細胞を接触させることは、種々の投与経路(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、及び皮下)により実施することができ、種々の量のナノ粒子組成物を含むことができる。さらに、2つ以上の哺乳類細胞をナノ粒子組成物と接触させることができる。
【0753】
保存的アミノ酸置換:
「保存的アミノ酸置換」は、タンパク質配列内のアミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、またはヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、またはシステイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、またはトリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当技術分野において規定されている。したがって、ポリペプチド中のアミノ酸が、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸で置換される場合、そのアミノ酸置換は、保存的であると考えられる。別の態様では、アミノ酸のストリングは、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/または組成が異なる構造的に類似したストリングで保存的に置換することができる。
【0754】
非保存的アミノ酸置換:
非保存的アミノ酸置換は、(i)正電荷側鎖(例えば、Arg、His、もしくはLys)を有する残基が、負電荷残基(例えば、GluもしくはAsp)と置換され、もしくはこれにより置換され、(ii)親水性残基(例えば、SerもしくはThr)が、疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、Phe、もしくはVal)と置換され、もしくはこれにより置換され、(iii)システインもしくはプロリンが、他の任意の残基と置換され、もしくはこれにより置換され、または(iv)嵩高い疎水性もしくは芳香族側鎖(例えば、Val、His、Ile、もしくはTrp)を有する残基が、より小さい側鎖を有するもの(例えば、AlaもしくはSer)、もしくは側鎖を有さないもの(例えば、Gly)と置換され、もしくはこれにより置換されるものを含む。
【0755】
他のアミノ酸置換は、当業者らが容易に同定することができる。例えば、アミノ酸アラニンの場合、置換は、D−アラニン、グリシン、β−アラニン、L−システイン、及びD−システインのいずれか1つから行うことができる。リシンの場合、置換は、D−リシン、アルギニン、D−アルギニン、ホモアルギニン、メチオニン、D−メチオニン、オルニチン、またはD−オルニチンのいずれか1つであり得る。一般に、単離ポリペプチドの特性の変化を誘導すると予想することができる機能上重要な領域での置換は、(i)極性残基、例えば、セリンもしくはスレオニンが、疎水性残基、例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、もしくはアラニンと(もしくはそれで)置換されるか;(ii)システイン残基が、他の任意の残基と(もしくはそれで)置換されるか;(iii)正電荷側鎖を有する残基、例えば、リシン、アルギニン、もしくはヒスチジンが、負電荷側鎖を有する残基、例えば、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸と(もしくはそれで)置換されるか;または、(iv)嵩高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが、そのような側鎖を有しないもの、例えば、グリシンで(もしくはそれで)置換されるものである。上述の非保存的置換の1つがタンパク質の機能的特性を変更し得る可能性は、タンパク質の機能的に重要な領域に対する置換の位置とも関連しており:いくつかの非保存的置換は、それに応じて、生物学的特性にほとんどまたは全く影響し得ない。
【0756】
保存:
本明細書で使用する場合、「保存された」という用語はそれぞれ、比較される2つ以上の配列の同じ位置で改変されていないものである、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基を指す。比較的保存されているヌクレオチドまたはアミノ酸は、配列の他の箇所に現れるヌクレオチドまたはアミノ酸よりも関連している配列の間で保存されているものである。
【0757】
一部の実施形態では、2つ以上の配列は、互いに100%同一である場合、「完全に保存されている」と言われる。一部の実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。一部の実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%、約98%、または約99%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。一部の実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「保存されている」と言われる。一部の実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、または約99%同一である場合、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用することができ、またはそのある部分、領域、または機能に適用することができる。
【0758】
徐放:
本明細書で使用する場合、「徐放」という用語は、治療成績を達成する放出のある特定のパターンに適合する医薬組成物または化合物放出プロファイルを指す。
【0759】
環状または環化:
本明細書で使用する場合、「環状」という用語は、連続ループの存在を指す。環状分子は、サブユニットの破壊されていない鎖を形成するために、環状である必要はなく、単に結合される。本発明の操作されたRNAまたはmRNAなどの環状分子は、単一単位もしくは多量体であるか、または複合体もしくは高次構造の1つまたは複数の構成成分を含むことができる。
【0760】
細胞傷害性:
本明細書で使用する場合、「細胞毒性」は、細胞(例えば、哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞))、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、寄生生物、プリオン、またはそれらの組合せを、死滅させること、または有害な、有毒な、もしくは致命的な影響を引き起こすことを指す。
【0761】
送達:
本明細書で使用する場合、「送達」という用語は、実体を行き先に提供することを意味する。例えば、ポリヌクレオチドを対象に送達することは、ポリヌクレオチドを含むナノ粒子組成物を対象に(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、または皮下経路により)投与することを含み得る。ナノ粒子組成物の哺乳類または哺乳類細胞への投与は、1つまたは複数の細胞をナノ粒子組成物と接触させることを含むことができる。
【0762】
送達剤:
本明細書で使用する場合、「送達剤」は、ポリヌクレオチドの標的細胞へのin vivo、in vitro、またはex vivo送達を、少なくとも部分的に促進する任意の物質を指す。
【0763】
不安定化:
本明細書で使用する場合、「不安定な(destable)」、「不安定化する」、または「不安定化領域」という用語は、同じ領域または分子の出発、野生型、または天然形態よりも安定性の低い領域または分子を意味する。
【0764】
ジアステレオマー:
本明細書で使用する場合、「ジアステレオマー」という用語は、互いの鏡像でなく、かつ互いに重ね合わせることができない立体異性体を意味する。
【0765】
消化:
本明細書で使用する場合、「消化」という用語は、より小さな断片または構成成分に分裂することを意味する。ポリペプチドまたはタンパク質に言及する場合、消化は、ペプチドの産生をもたらす。
【0766】
遠位:
本明細書で使用する場合、「遠位」という用語は、中心から離れて、または目的の点もしくは領域から離れて位置することを意味する。
【0767】
ドメイン:
本明細書で使用する場合、ポリペプチドに言及する場合、「ドメイン」という用語は、1つまたは複数の同定可能な構造的または機能的特徴または特性(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用の部位として働く結合能力)を有するポリペプチドのモチーフを指す。
【0768】
投与レジメン:
本明細書で使用する場合、「投与レジメン」または「投与レジメン」は、投与スケジュールまたは医師が決定した処置、予防、または対症ケアのレジメンである。
【0769】
有効量:
本明細書で使用する場合、薬剤の「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果、例えば、臨床結果を達成するのに十分な量であり、したがって、「有効量」は、それが適用される文脈に依存する。例えば、タンパク質異常(例えば、G6PC異常)を処置する薬剤を投与する状況において、薬剤の有効量は、薬剤の投与なしに観察された症状の重症度と比較して、例えば、G6PC異常に関連する症状を改善、減少、排除または予防するのに十分なG6PCを発現するmRNAの量である。「有効量」という用語は、「有効用量」、「治療的有効量」、または「治療有効用量」と互換的に使用することができる。
【0770】
エナンチオマー:
本明細書で使用する場合、「エナンチオマー」という用語は、少なくとも80%(すなわち、1つのエナンチオマーが少なくとも90%、他のエナンチオマーが多くとも10%)、少なくとも90%、または少なくとも98%の(当技術分野で標準的な方法により決定されるとおりの)光学純度またはエナンチオマー過剰を有する本発明の化合物のそれぞれ個々の光学活性形態を意味する。
【0771】
封入:
本明細書で使用する場合、「封入」という用語は、閉じ込めること、取り囲むこと、または内包することを意味する。
【0772】
封入効率:
本明細書で使用する場合、「封入効率」は、ナノ粒子組成物の調製に使用されるポリヌクレオチドの初期総量に対する、ナノ粒子組成物の一部となるポリヌクレオチドの量を指す。例えば、組成物に最初に提供された合計100mgのポリヌクレオチドのうち97mgのポリヌクレオチドが、ナノ粒子組成物に封入される場合、封入効率は97%として与えられ得る。本明細書で使用する場合、「封入」は、完全な、実質的な、または部分的な閉じ込め、拘束、取り囲み、または内包を指し得る。
【0773】
コードされたタンパク質切断シグナル:
本明細書で使用する場合、「コードされたタンパク質切断シグナル」は、タンパク質切断シグナルをコードするヌクレオチド配列を指す。
【0774】
操作された:
本明細書で使用する場合、本発明の実施形態は、構造的または化学的に関わらず、出発点、野生型、または天然分子から変化する、特徴または性質を有するように設計される場合、「操作される」。
【0775】
増強された送達:
本明細書で使用する場合、「増強された送達」という用語は、ポリヌクレオチドの対照ナノ粒子による目的の標的組織(例えばMC3、KC2、またはDLinDMA)への送達のレベルと比較して、より多く(例えば、少なくとも1.5倍多く、少なくとも2倍多く、少なくとも3倍多く、少なくとも4倍多く、少なくとも5倍多く、少なくとも6倍多く、少なくとも7倍多く、少なくとも8倍多く、少なくとも9倍多く、少なくとも10倍多く)のポリヌクレオチドのナノ粒子による目的の標的組織(例えば、哺乳類の肝臓)への送達を意味する。ナノ粒子のある特定の組織への送達レベルは、組織中で産生されたタンパク質の量を上記組織の重量と比較すること、組織中のポリヌクレオチドの量を該組織の重量と比較すること、組織中で産生されたタンパク質の量を上記組織中の総タンパク質の量と比較すること、または組織中のポリヌクレオチド量を、上記組織中の総ポリヌクレオチドの量と比較することにより測定することができる。ナノ粒子の標的組織への送達の増強は、処置される対象において決定される必要はなく、それは、動物モデル(例えば、ラットモデル)などの代用物で決定することができることを理解されるであろう。
【0776】
エキソソーム:
本明細書で使用する場合、「エキソソーム」は、哺乳類細胞により分泌されるベシクル、またはRNA分解に関与する複合体である。
【0777】
発現:
本明細書で使用する場合、核酸配列の「発現」は、以下のイベント:(1)(例えば、転写による)mRNA鋳型のDNA配列からの生成;(2)(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによる)mRNA転写のプロセシング;(3)mRNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;及び(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾、のうちの1つまたは複数を指す。
【0778】
ex vivo:
本明細書で使用する場合、「ex vivo」という用語は、生体(例えば、動物、植物、もしくは微生物、またはその細胞もしくは組織)の外側で発生するイベントを指す。ex vivoイベントは、天然(例えば、in vivo)環境から最小限に変更された環境で行うことができる。
【0779】
特徴:
本明細書で使用する場合、「特徴」は、特徴、特性、または特有の要素を指す。ポリペプチドに言及する場合、「特徴」は、分子の異なるアミノ酸配列に基づく構成成分として定義される。本発明のポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドの特徴は、表面症状発現、局所立体配座形状、フォールディング、ループ、ハーフループ、ドメイン、ハーフドメイン、部位、末端、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0780】
製剤:
本明細書で使用する場合、「製剤」は、少なくともポリヌクレオチドならびに担体、添加剤、及び送達剤のうちの1つまたは複数を含む。
【0781】
断片:
本明細書で使用する場合、「断片」は、部分を指す。例えば、タンパク質の断片は、培養細胞から単離された全長タンパク質を消化することにより得られるポリペプチドを含むことができる。一部の実施形態では、断片は、N末端及び/またはC末端及び/または内部の部分配列が欠失している全長タンパク質(例えば、G6PC)の部分配列である。本発明のいくつかの好ましい態様では、本発明のタンパク質の断片は、機能性断片である。
【0782】
機能性:
本明細書で使用する場合、「機能性」生物学的分子は、特徴となる特性及び/または活性を示す形態の生物学的分子である。したがって、本発明のポリヌクレオチドの機能性断片は、機能性G6PC断片を発現することが可能なポリヌクレオチドである。本明細書で使用する場合、G6PCの機能性断片は、野生型G6PCの断片(すなわち、その天然に生じるアイソフォームのいずれかの断片)、またはその変異体もしくはバリアントを指し、その断片は、対応する全長タンパク質の生物学的活性の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を保持する。
【0783】
G6PC関連疾患:本明細書で使用する場合、「G6PC関連疾患」または「G6PC関連障害」という用語は、それぞれ、異常なG6PC活性(例えば、活性の低下または活性の上昇)から生じる疾患または障害を指す。非限定的例として、GSD−IAは、G6PC関連疾患である。
【0784】
「G6PC酵素活性」及び「G6PC活性」という用語は、本開示では互換的に使用され、フェニルアラニンをチロシンに変換するG6PCの能力を指す。したがって、G6PC酵素活性またはG6PC活性を維持しているか、または有する断片またはバリアントは、フェニルアラニンからチロシンへの変換を触媒する際に測定可能な酵素活性を有する断片またはバリアントを指す。
【0785】
ヘルパー脂質:
本明細書で使用する場合、「ヘルパー脂質」という用語は、(脂質層、例えば、脂質二重層に挿入するための)脂質部分及び(脂質層の表面での生理学的溶液との相互作用のための)極性部分を含む化合物または分子を指す。典型的には、ヘルパー脂質は、リン脂質である。ヘルパー脂質の機能は、例えば、アミノ脂質を「補完」して二重層の融合性を増加させること、及び/または例えば、細胞に送達された核酸の、エンドソーム脱出を促進することである。ヘルパー脂質は、LNPの表面の重要な構造構成成分であるとも考えられる。
【0786】
相同性:
本明細書で使用する場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間及び/またはポリペプチド分子間の全体的な相関性を指す。一般に、「相同性」という用語は、2つの分子間の進化的関係を意味する。したがって、相同である2つの分子は、共通の進化的先祖を有するであろう。本発明の文脈では、相同性という用語は、同一性及び類似性の両方を包含する。
【0787】
一部の実施形態では、ポリマー分子は、分子中のモノマーの少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%が同一であり(正確に同じモノマー)または類似している(保存的置換)場合、互いに「相同である」と考えられる。「相同である」という用語は、必然的に、少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列)の間の比較を指す。
【0788】
同一性:
本明細書で使用する場合、「同一性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間の、及び/またはポリペプチド分子間の、全体的なモノマーの保存を指す。2つのポリヌクレオチド配列のパーセント同一性の計算は、例えば、最適な比較のために2つの配列をアラインする(例えば、最適なアラインメントのために、ギャップを第1及び第2の核酸配列のうちの一方または両方に導入することができ、同一でない配列は、比較のために無視してよい)ことにより実施することができる。ある特定の実施形態では、比較のためにアラインされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次に、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチドにより占有される場合、分子は、その位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、配列により共有される同一位置の数の関数であり、その際、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップ数及び各ギャップ長さを考慮に入れる。配列の比較及び2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。DNA及びRNAを比較する場合、チミン(T)及びウラシル(U)は、同等と考えることができる。
【0789】
適切なソフトウェアプログラムは、種々の供給源から、タンパク質及びヌクレオチド配列の両方のアラインメントのために、入手可能である。パーセント配列同一性を決定するための1つの適切なプログラムは、米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLAST suiteの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2つの配列間の比較を実施する。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用される一方、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために使用される。他の適切なプログラムは、生命情報科学プログラムのEMBOSS suiteの一部、例えば、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、www.ebi.ac.uk/Tools/psaでEuropean Bioinformatics Institute(EBI)からも入手可能である。
【0790】
配列アラインメントは、例えば、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal X、またはClustal Omega)、MUSCLEなどの当技術分野で公知の方法を使用して行うことができる。
【0791】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアラインする単一ポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列と異なる領域はそれぞれ、それら自体のパーセント配列同一性を有し得る。パーセント配列同一性値は、少数第2位で四捨五入されることに注意する。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り下げられる一方、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。長さの値は常に、整数であることにも注意する。
【0792】
ある特定の態様では、第1のアミノ酸配列(または核酸配列)対第2のアミノ酸配列(または核酸配列)のパーセンテージ同一性「ID%は」は、ID%=100×(Y/Z)(式中、Yは、(視覚検査またはある特定の配列アラインメントプログラムによりアラインされた)第1及び第2の配列のアラインメントにおいて完全一致としてスコア化されたアミノ酸残基(またはヌクレオ塩基)の数であり、Zは、第2の配列中の残基の総数である)として計算される。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第1の配列対第2の配列のパーセント同一性は、第2の配列対第1の配列のパーセント同一性よりも高くなるであろう。
【0793】
パーセント配列同一性の計算のための配列アラインメントの生成は、一次配列データだけにより進められるバイナリー配列−配列比較に限定されないことを当業者は理解するであろう。配列アラインメントは、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能性データ(例えば、変異の位置)、または系統発生データなどの異種供給源からのデータと統合することにより生成することができることも理解されるであろう。多重配列アラインメントを生成するために、異種データを統合する適切なプログラムは、www.tcoffee.orgで入手可能な、あるいは、例えば、EBIから入手可能なT−Coffeeである。また、パーセント配列同一性を計算するために使用される最終的なアラインメントは、自動または手動のいずれかで管理することができることも理解されるであろう。
【0794】
免疫応答:
「免疫応答」という用語は、例えば、リンパ球、抗原提示細胞、貪食細胞、顆粒球、ならびに上記細胞または肝臓により産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用を指し、これらは、侵入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん細胞、または、自己免疫もしくは病理学的炎症の場合には、正常なヒト細胞もしくは組織の、選択的な損傷、破壊、または人体からの排除をもたらす。一部の場合では、脂質構成成分及び封入された治療薬を含むナノ粒子の投与は、(i)封入された治療薬(例えば、mRNA)、(ii)そのような封入された治療薬(例えば、mRNAによりコードされたポリペプチド)の発現産物、(iii)ナノ粒子の脂質構成成分、または(iv)それらの組合せにより引き起こすことができる免疫応答を誘発し得る。
【0795】
炎症性応答:
「炎症性応答」は、特異的及び非特異的な防御系を含む免疫応答を指す。特定の防御系反応は、抗原に対する特異的な免疫系反応である。特異的防御系反応の例には、抗体応答が含まれる。非特異的防御系反応は、免疫記憶が一般に不可能な白血球、例えば、マクロファージ、好酸球、及び好中球、により媒介される炎症応答である。一部の態様では、免疫応答は、炎症性サイトカインの分泌を含み、炎症性サイトカインレベルの上昇をもたらす。
【0796】
炎症性サイトカイン:
「炎症性サイトカイン」という用語は、炎症応答において上昇するサイトカインを指す。炎症性サイトカインの例には、インターロイキン−6(IL−6)、GROαとしても公知のCXCL1(ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1、インターフェロンγ(IFNγ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロンγ誘導性タンパク質10(IP−10)、または顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が含まれる。炎症性サイトカインという用語には、当技術分野で公知の炎症性応答と関連する他のサイトカイン、例えば、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−13(IL−13)、インターフェロンα(IFN−α)なども含まれる。
【0797】
in vitro:
本明細書で使用する場合、「in vitro」という用語は、生体(例えば、動物、植物、または微生物)内の代わりに、人工環境、例えば、試験管または反応容器、細胞培養、ペトリ皿などで生じるイベントを指す。
【0798】
in vivo:
本明細書で使用する場合、「in vivo」という用語は、生体(例えば、動物、植物、もしくは微生物またはその細胞もしくは組織)内で発生するイベントを指す。
【0799】
挿入及び欠失バリアント:
ポリペプチドに言及する場合の「挿入バリアント」は、天然配列または出発配列中のある特定の位置のアミノ酸に直接隣接して挿入された1つまたは複数のアミノ酸を有するものである。アミノ酸に「直接隣接する」は、アミノ酸のアルファ−カルボキシまたはアルファ−アミノ官能基のいずれかに結合していることを意味する。ポリペプチドに言及する場合の「欠失バリアント」は、天然または出発アミノ酸配列中の1つまたは複数のアミノ酸が除去されたものである。通常、欠失バリアントは、分子の特定の領域で1つまたは複数のアミノ酸が欠失しているであろう。
【0800】
インタクト:
本明細書で使用する場合、ポリペプチドの文脈では、「インタクト」という用語は、野生型タンパク質に対応するアミノ酸を保持すること、例えば、野生型アミノ酸を変異させないまたは置換しないことを意味する。逆に、核酸との関連で、「インタクト」という用語は、野生型核酸に対応するヌクレオ塩基を保持すること、例えば、野生型ヌクレオ塩基を変異させない、または置換しないことを意味する。
【0801】
イオン性アミノ脂質:
「イオン性アミノ脂質」という用語は、1、2、3またはそれ以上の脂肪酸または脂肪アルキル鎖及びpH滴定可能なアミノヘッド基(例えば、アルキルアミノまたはジアルキルアミノヘッド基)を有する脂質を含む。イオン性アミノ脂質は典型的には、アミノヘッド基のpKa未満のpHでプロトン化され(すなわち、正に荷電し)、pKaを上回るpHで、実質的に荷電していない。そのようなイオン性アミノ脂質には、限定されないが、DLin−MC3−DMA(MC3)及び(13Z,165Z)−N,N−ジメチル−3−ノニドコサ−13−16−ジエン−1−アミン(L608)が含まれる。
【0802】
単離された:
本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、(天然または実験的設定に関わらず)関連した構成成分の少なくともいくつかから分離されている物質または実体を指す。単離された物質(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)は、それらが単離されている物質に関して、様々なレベルの純度を有し得る。単離された物質及び/または実体は、最初に関連した他の構成成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離することができる。一部の実施形態では、単離された物質は、約80%を超える、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%を超える純度である。本明細書で使用する場合、他の構成成分を実質的に含まない場合、物質は、「純粋」である。
【0803】
実質的に単離された:
「実質的に単離された」は、化合物が形成または検出された環境から実質的に分離されることを意味する。部分的な分離は、例えば、本開示の化合物が豊富な組成物を含むことができる。実質的な分離は、本開示の化合物またはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含有する組成物を含むことができる。
【0804】
「単離された」ポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、細胞、または本明細書に開示の任意の組成物は、天然にはみられない形態のポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、細胞、または組成物である。単離されたポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、または組成物は、もはや天然に生じる形態ではない程度に精製されているものを含む。一部の態様では、単離されるポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、または組成物は、実質的に純粋である。
【0805】
異性体:
本明細書で使用する場合、「異性体」という用語は、本発明の任意の化合物の任意の互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、またはジアステレオマーを意味する。本発明の化合物は、1つまたは複数のキラル中心及び/または二重結合を有することができ、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何E/Z異性体)などの立体異性体あるいはジアステレオマー(例えば、エナンチオマー(すなわち、(+)もしくは(−))またはシス/トランス異性体)として存在することが認められる。本発明によれば、本明細書に記載の化学構造、したがって本発明の化合物は、対応する立体異性体のすべて、つまり、立体的に純粋な(例えば、幾何学的に純粋な、鏡像異性的に純粋な、またはジアステレオマー的に純粋な)形態とエナンチオマー及び立体異性体混合物、例えば、ラセミ体との両方を包含する。本発明の化合物のエナンチオマー混合物及び立体異性体混合物は典型的に、周知の方法、例えば、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、キラル塩複合体として化合物を結晶化すること、またはキラル溶媒中で化合物を結晶化することで、それらの構成成分のエナンチオマーまたは立体異性体に分離させることができる。エナンチオマー及び立体異性体は、周知の不斉合成法により、立体異性または鏡像異性的に純粋な中間体、試薬、及び触媒から得ることもできる。
【0806】
リンカー:
本明細書で使用する場合、「リンカー」は、原子の群、例えば、10〜1,000の原子を指し、限定されないが、炭素、アミノ、アルキルアミノ、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホニル、カルボニル、及びイミンなどの原子または基からなり得る。リンカーは、第1の末端で、ヌクレオ塩基または糖部分上の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドに、第2の末端で、ペイロード、例えば、検出可能な薬剤または治療薬に、結合させることができる。リンカーは、核酸配列への取り込みを阻害しない程度に十分であり得る。リンカーは、任意の有用な目的、例えば、(例えば、2つ以上のキメラポリヌクレオチド分子またはIVTポリヌクレオチドの結合により)ポリヌクレオチド多量体またはポリヌクレオチドコンジュゲートを形成するために、かつ本明細書に記載とおり、ペイロードを投与するために使用することができる。リンカーに組み込むことができる化学基の例には、限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、エーテル、チオエーテル、エステル、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリール、またはヘテロシクリルが含まれ、これらはそれぞれ、本明細書に記載のとおり、任意選択で置換されていてよい。リンカーの例には、限定されないが、不飽和アルカン、ポリエチレングリコール(例えば、エチレンまたはプロピレングリコールモノマー単位、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、またはテトラエチレングリコール)、及びデキストランポリマー、ならびにその誘導体が含まれる。他の例には、限定されないが、還元剤または光分解を使用して切断することができる、例えば、ジスルフィド結合(−S−S−)またはアゾ結合(−N=N−)などのリンカー内の切断可能部分が含まれる。選択的に切断可能な結合の非限定的例には、例えば、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、もしくは他の還元剤の使用及び/または光分解により切断することができるアミド結合、ならびに、例えば、酸性または塩基性の加水分解により切断することができるエステル結合が含まれる。
【0807】
投与方法:
本明細書で使用する場合、「投与方法」には、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または組成物を対象に送達する他の方法が含まれ得る。投与方法は、身体の特異的領域または系に標的送達するために(例えば、特異的に送達するために)、選択することができる。
【0808】
修飾されている:
本明細書で使用する場合、「修飾されている」は、本発明の分子の変化した状態または構造を指す。分子は、化学的、構造的、及び機能的を含む、多くの方式で修飾することができる。一部の実施形態では、本発明のmRNA分子は、非天然ヌクレオシド及び/またはヌクレオチドの導入により修飾されており、例えば、それが天然リボヌクレオチドA、U、G、及びCに関連するような場合である。キャップ構造などの非標準ヌクレオチドは、A、C、G、Uリボヌクレオチドの化学構造とは異なるが、「修飾されている」とはみなされない。
【0809】
粘液:
本明細書で使用する場合、「粘液」は、粘性であり、かつムチン糖タンパク質を含む天然物質を指す。
【0810】
ナノ粒子組成物:
本明細書で使用する場合、「ナノ粒子組成物」は、1つまたは複数の脂質を含む組成物である。ナノ粒子組成物は典型的には、マイクロメートル台以下の大きさであり、脂質二重層を含み得る。ナノ粒子組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム(例えば、脂質ベシクル)、及びリポプレックスを包含する。例えば、ナノ粒子組成物は、500nm以下の直径を有する脂質二重層を有するリポソームであり得る。
【0811】
天然に生じる:
本明細書で使用する場合、「天然に生じる」は、人工的な援助なしに、天然に存在することを意味する
【0812】
非ヒト脊椎動物:
本明細書で使用する場合、「非ヒト脊椎動物」には、野生種及び家畜種を含む、ホモサピエンスを除くすべての脊椎動物が含まれる。非ヒト脊椎動物の例には、限定されないが、哺乳類、例えば、アルパカ、バンテン、バイソン、ラクダ、ネコ、ウシ、シカ、イヌ、ロバ、ガヤール、ヤギ、モルモット、ウマ、ラマ、ラバ、ブタ、ウサギ、トナカイ、ヒツジ、水牛、及びヤクが含まれる。
【0813】
核酸配列:
「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または「ポリヌクレオチド配列」という用語は、互換的に使用され、連続した核酸配列を指す。配列は、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAのいずれか、例えば、mRNAであり得る。
【0814】
最も広い意味での「核酸」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/または物質を含む。これらのポリマーは多くの場合に、ポリヌクレオチドと称される。本発明の例示的な核酸またはポリヌクレオチドには、限定されないが、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNA、β−D−リボ配置を有するLNA、α−L−リボ配置を有するα−LNA(LNAのジアステレオマー)、2’−アミノ官能基化を有する2’−アミノ−LNA、及び2’−アミノ官能基化を有する2’−アミノ−α−LNAを含む)、エチレン核酸(ENA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、またはそれらのハイブリッドもしくは組合せが含まれる。
【0815】
「ヌクレオチド配列コード化」という語句は、ポリペプチドをコードする核酸(例えば、mRNAまたはDNA分子)コード配列を指す。コード配列は、核酸が投与される個体または哺乳類の細胞において発現を指向することが可能なプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む制御エレメントに作動可能に結合された開始シグナル及び終結シグナルをさらに含むことができる。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含むことができる。
【0816】
標的外:
本明細書で使用する場合、「標的外」は、任意の1つまたは複数の標的、遺伝子、または細胞転写物に対する任意の意図しない作用を指す。
【0817】
オープンリーディングフレーム:
本明細書で使用する場合、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、所与のリーディングフレームに停止コドンを含有しない配列を指す。
【0818】
作動可能に結合された:
本明細書で使用する場合、「作動可能に結合された」という語句は、2つ以上の分子、コンストラクト、転写物、実体、部分などの間の機能性結合を指す。
【0819】
任意選択で置換された:
本明細書では、「任意選択で置換されたX」(例えば、任意選択で置換されたアルキル)という形態の語句は、「X(式中、Xは任意選択で置換されている)」(例えば、「アルキル(式中、上記アルキルは、任意選択で置換されている)」と同等であるものとする。特徴「X」(例えば、アルキル)自体が任意選択であることを意味するものではない。
【0820】
部:
本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチドの「一部」または「領域」は、ポリヌクレオチドの全長よりも短いポリヌクレオチドの任意の部分として定義される。
【0821】
患者:
本明細書で使用する場合、「患者」は、処置を望むか、もしくは処置を必要とする可能性があるか、処置を必ず必要とするか、処置を受けているか、処置を受けることになっている対象、または、特定の疾患もしくは状態のための、訓練を受けた専門家によるケアの下にある対象を指す。一部の実施形態では、急性疾患を発症するリスクを予防し、または減少させる処置が必要とされ、必ず必要とされ、または施され、すなわち、それは、予防的処置である。
【0822】
薬学的に許容される:
「薬学的に許容される」という語句は、適切な医学的判断の範囲内であり、合理的な利益/リスク比に見合う、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のない、ヒト及び動物の組織との接触での使用に適する化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すために、本明細書では用いられる。
【0823】
薬学的に許容される添加剤:
「薬学的に許容される添加剤」という語句は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載の化合物以外の、患者において実質的に無毒及び非炎症性である特性を有する任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解させることが可能なビヒクル)を指す。添加剤には、例えば、付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮補助剤、崩壊剤、染料(色)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤またはコーティング、風味剤、香料、流動促進剤(フローエンハンサー)、滑沢剤、保存剤、印刷インキ、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、及び水和水が含まれ得る。例示的な添加剤には、限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微晶質セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、プレゼラチン化デンプン、プロピルパラベン、レチニルパルミタート、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが含まれる。
【0824】
薬学的に許容される塩:
本開示は、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩も含む。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、存在する酸または塩基部分をその塩形態に変換することにより(例えば、遊離塩基基を適切な有機酸と反応させることにより)修飾されている開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、限定されないが、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩などが含まれる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、酢酸、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸、パモ酸塩、ペクチナート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、さらには、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、及び限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むアミンカチオンが含まれる。本開示の薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩を含む。本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合物中で、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができ;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17
th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418,Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley−VCH,2008,及びBerge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1−19(1977)に見出され、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0825】
薬学的に許容される溶媒和物:
本明細書で使用される「薬学的に許容される溶媒和物」という用語は、適切な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれている本発明の化合物を意味する。適切な溶媒は、投与された投薬量で生理学的に許容される。例えば、溶媒和物は、有機溶媒、水、またはそれらの混合物を含む溶液からの結晶化、再結晶化、または沈殿により調製することができる。適切な溶媒の例は、エタノール、水(例えば、一水和物、二水和物、及び三水和物)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEU)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−(1H)−ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ベンジルアルコール、2−ピロリドン、安息香酸ベンジルなどである。水が溶媒である場合、溶媒和物は、「水和物」と称される。
【0826】
薬物動態学:
本明細書で使用する場合、「薬物動態学」は、生体に投与される物質の運命の決定に関する場合、分子または化合物の任意の1つまたは複数の特性を指す。薬物動態学は、吸収、分布、代謝、及び排泄の程度及び速度を含むいくつかの領域に分けられる。これは、(A)吸収が血液循環に入る物質のプロセスであり;(D)分布が身体の体液及び組織を通した物質の分散または拡散であり;(M)代謝(または生体内変換)が親化合物の娘代謝物への不可逆的変換であり;かつ(E)排泄(または除去)が物質の身体からの除去を指す場合、ADMEと一般に称される。まれに、いくつかの薬物が、体内組織に不可逆的に蓄積する。
【0827】
物理化学的:
本明細書で使用する場合、「物理化学的」は、物理的及び/または化学的特性を意味し、またはそれに関連する。
【0828】
ポリヌクレオチド:
「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用する場合、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらのアナログ、またはそれらの混合物を含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指す。この用語は、分子の一次構造を指す。したがって、この用語は、三本鎖、二本鎖、及び一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)ならびに三本鎖、二本鎖、及び一本鎖リボ核酸(「RNA」)を含む。これはまた、例えば、アルキル化、及び/またはキャッピングによる修飾形態のポリヌクレオチド、ならびに非修飾形態のポリヌクレオチドを含む。より詳細には、「ポリヌクレオチド」という用語は、(2−デオキシ−D−リボースを含有する)ポリデオキシリボヌクレオチド、スプライシングまたは未スプライシングに関わらず、tRNA、rRNA、hRNA、siRNA、及びmRNAを含む(D−リボースを含有する)ポリリボヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドまたはC−グリコシドである他の任意のタイプのポリヌクレオチド、ならびにノルムクレオチド(normucleotidic)骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)及びポリモルホリノポリマー、ならびに他の合成配列特異的核酸ポリマーを含むが、ただし、ポリマーは、DNA及びRNAにみられるような塩基対合及び塩基スタッキングを可能にする立体配置のヌクレオ塩基を含有する。特定の態様では、ポリヌクレオチドは、mRNAを含む。他の態様では、mRNAは、合成mRNAである。一部の態様では、合成mRNAは、少なくとも1つの非天然ヌクレオ塩基を含む。一部の態様では、ある特定のクラスのすべてのヌクレオ塩基は、非天然ヌクレオ塩基で置換されている(例えば、本明細書に開示のポリヌクレオチド中のすべてのウリジンは、非天然ヌクレオ塩基、例えば、5−メトキシウリジンで置換することができる)。一部の態様では、ポリヌクレオチド(例えば、合成RNAまたは合成DNA)は、合成DNAの場合には、天然のヌクレオ塩基、すなわち、A(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シチジン)、及びT(チミジン)のみを、または合成RNAの場合には、A、C、G、及びU(ウリジン)のみを含む。
【0829】
本明細書に開示のコドンマップのT塩基が、DNA中に存在するが、T塩基が、対応するRNA中ではU塩基で置換されることになることを、当業者は理解するであろう。例えば、DNA形態の本明細書に開示のコドン−ヌクレオチド配列、例えば、ベクター、または、in vitro翻訳(IVT)鋳型は、その対応する転写されたmRNA中のU塩基として転写されたT塩基を有するであろう。この点では、(Tを含む)コドン最適化DNA配列及び(Uを含む)それらの対応するmRNA配列の両方が、本発明のコドン最適化ヌクレオチド配列と考えられる。等価コドンマップを、1つまたは複数の塩基を非天然塩基で置換することにより生成することができることも、当業者は理解するであろう。したがって、例えば、TTCコドン(DNAマップ)は、UUCコドン(RNAマップ)に対応することになり、それにより、これは、ΨΨCコドン(Uがシュードウリジンで置換されたRNAマップ)に対応するであろう。
【0830】
標準A−T及びG−C塩基対は、チミジンのN3−H及びC4−オキシの間の水素結合ならびにアデノシンのそれぞれN1及びC6−NH2の間の水素結合、ならびに、シチジンのC2−オキシ、N3、及びC4−NH2の間の水素結合ならびにグアノシンのそれぞれC2−NH2、N’−H、及びC6−オキシの間の水素結合の形成を可能にする条件下で形成する。したがって、例えば、グアノシン(2−アミノ−6−オキシ−9−β−D−リボフラノシルプリン)は、イソグアノシン(2−オキシ−6−アミノ−9−β−D−リボフラノシルプリン)を形成するために修飾することができる。そのような修飾は、もはや標準塩基対をシトシンと共に効果的に形成しないヌクレオシド塩基をもたらす。しかし、イソシトシン(1−β−D−リボフラノシル−2−アミノ−4−オキシピリミジン−)を形成するための、シトシン(1−β−D−リボフラノシル−2−オキシ−4−アミノピリミジン)の修飾は、修飾ヌクレオチドをもたらし、これは、グアノシンと共に塩基対を効果的に形成しないが、イソグアノシンと共に塩基対を形成するであろう(Collins et al.に付与された米国特許第5,681,702号)。イソシトシンは、Sigma Chemical Co.(St.Louis,Mo.)から入手可能であり;イソシチジンは、Switzer et al.(1993)Biochemistry 32:10489−10496及びその中で引用された参照文献により記載された方法により調製することができ;2’−デオキシ−5−メチルイソシチジンは、Tor et al.,1993,J.Am.Chem.Soc.115:4461−4467及びその中で引用された参照文献の方法により調製することができ;イソグアニンヌクレオチドは、上掲のSwitzer et al.,1993、及びMantsch et al.,1993,Biochem.14:5593−5601により記載された方法を使用して、またはCollins et al.に付与された米国特許第5,780,610号に記載の方法により調製することができる。他の非天然塩基対は、2,6−ジアミノピリミジン及びその相補体(1−メチルピラゾロ−[4,3]ピリミジン−5,7−(4H,6H)−ジオン)の合成のために、Piccirilli et al.,1990,Nature 343:33−37に記載の方法により合成することができる。独自の塩基対を形成する他のそのような修飾ヌクレオチド単位は、Leach et al.(1992)J.Am.Chem.Soc.114:3675−3683及び上掲のSwitzer et al.に記載のものなど、公知である。
【0831】
ポリペプチド:
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書では互換的に使用される。ポリマーは、修飾アミノ酸を含むことができる。この用語は、天然に、または介入:例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または他の任意の操作もしくは修飾、例えば、標識構成成分との複合化により修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。さらに、例えば、アミノ酸の1つまたは複数のアナログ(例えば、非天然アミノ酸、例えば、ホモシステイン、オルニチン、p−アセチルフェニルアラニン、D−アミノ酸、及びクレアチンを含む)を含有するポリペプチド、ならびに当技術分野で公知の他の修飾が、この定義内に含まれる。
【0832】
本明細書で使用される用語は、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドは、コードされたポリヌクレオチド産物、天然に生じるポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、断片、ならびに上述の他の等価物、バリアント、及びアナログを含む。ポリペプチドは、モノマーであり得るか、または二量体、三量体、もしくは四量体などの多分子複合体であり得る。それらは、一本鎖または多鎖ポリペプチドを含むこともできる。最も一般に、ジスルフィド結合は、多鎖ポリペプチドに見出される。ポリペプチドという用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に生じるアミノ酸の人工的な化学的アナログであるアミノ酸ポリマーに適用することもできる。一部の実施形態では、「ペプチド」は、50アミノ酸長以下、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であり得る。
【0833】
ポリペプチドバリアント:
本明細書で使用する場合、「ポリペプチドバリアント」という用語は、それらのアミノ酸配列が天然または参照配列と異なる分子を指す。アミノ酸配列バリアントは、天然または参照配列と比較して、アミノ酸配列内のある特定の位置に、置換、欠失、及び/または挿入を有することができる。通常、バリアントは、天然配列または参照配列と、少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%の同一性、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約99%の同一性を有するであろう。一部の実施形態では、それらは、天然配列または参照配列と、少なくとも約80%同一または少なくとも約90%同一であろう。
【0834】
単位薬物当たり(PUD)のポリペプチド:
本明細書で使用する場合、PUDすなわち単位薬物当たりの産物は、体液または組織中で測定されるような産物(例えば、ポリペプチド)の総1日用量、通常は、1mg、pg、kgなどの細別された部分として定義され、通常は、濃度、例えば、pmol/mL、mmol/mLなどで定義され、体液中での測定値で分けられる。
【0835】
予防すること:
本明細書で使用する場合、「予防すること」という用語は、感染、疾患、障害、及び/または状態の発症を部分的もしくは完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状、特徴、もしくは臨床症状発現の発症を部分的にもしくは完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状、特徴、もしくは症状発現の発症を部分的もしくは完全に遅延させること;感染、特定の疾患、障害、及び/または状態からの進行を部分的もしくは完全に遅延させること;及び/または感染、疾患、障害、及び/または状態に関連する病状を発症するリスクを減少させることを指す。
【0836】
増殖する:
本明細書で使用する場合、「増殖する」という用語は、成長、拡大、もしくは増加すること、または急速に成長、拡大、もしくは増加させることを意味する。「増殖性」は、増殖能力を有することを意味する。「抗増殖性」は、増殖特性に反するか、または不適当な特性を有することを意味する。
【0837】
予防的:
本明細書で使用する場合、「予防的」は、疾患の拡大を予防するために使用される治療薬または一連の作用を指す。
【0838】
予防:
本明細書で使用する場合、「予防」は、健康を維持し、疾患の拡大を防ぐための措置を指す。「免疫予防」は、疾患の拡大を予防するための能動免疫または受動免疫を生じる措置を指す。
【0839】
タンパク質切断部位:
本明細書中で使用する場合、「タンパク質切断部位」は、化学的、酵素的、または光化学的手段により、アミノ酸鎖の制御された切断が達成され得る部位を指す。
【0840】
タンパク質切断シグナル:
本明細書で使用する場合、「タンパク質切断シグナル」は、切断のためにポリペプチドにフラグを立てるまたはマークする少なくとも1つのアミノ酸を指す。
【0841】
目的のタンパク質:
本明細書中で使用する場合、「目的のタンパク質」または「所望のタンパク質」という用語は、本明細書で提供されるもの、ならびに、その断片、変異体、バリアント、及び改変体を含む。
【0842】
近位:
本明細書で使用する場合、「近位」という用語は、中心または目的の点もしくは領域のより近くに位置することを意味する。
【0843】
シュードウリジン:
本明細書で使用する場合、シュードウリジン(Ψ)は、ヌクレオシドウリジンのC−グリコシド異性体を指す。「シュードウリジンアナログ」は、シュードウリジンの任意の改変体、バリアント、アイソフォーム、または誘導体である。例えば、シュードウリジンアナログには、限定されないが、1−カルボキシメチルシュードウリジン、1−プロピニルシュードウリジン、1−タウリノメチルシュードウリジン、1−タウリノメチル−4−チオ−シュードウリジン、1−メチルシュードウリジン(m
1Ψ)(N1−メチルシュードウリジンとしても公知)、1−メチル−4−チオシュードウリジン(m
1s
4Ψ)、4−チオ−1−メチルシュードウリジン、3−メチル−シュードウリジン(m
3Ψ)、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2−チオジヒドロシュードウリジン、2−メトキシウリジン、2−メトキシ−4−チオウリジン、4−メトキシシュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、1−メチル−3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp
3Ψ)、及び2’−O−メチルシュードウリジン(Ψm)が含まれる。
【0844】
精製された:
本明細書で使用する場合、「精製する」、「精製した」、「精製」は、望ましくない構成成分、材料汚染、混合物、または不完全性から実質的に純粋またはクリアにすることを意味する。
【0845】
参照核酸配列:
「参照核酸配列」または「参照核酸」または「参照ヌクレオチド配列」または「参照配列」という用語は、配列最適化することができる出発核酸配列(例えば、RNA、例えば、mRNA配列)を指す。一部の実施形態では、参照核酸配列は、野生型核酸配列、その断片またはバリアントである。一部の実施形態では、参照核酸配列は、以前に配列最適化された核酸配列である。
【0846】
塩:
一部の態様では、送達のための医薬組成物は、本明細書に開示され、それらの脂質成分のいくつかの塩を含む。「塩」という用語は、任意のアニオン性及びカチオン性複合体を含む。アニオンの非限定的例には、無機及び有機アニオン、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、シュウ酸塩(例えば、ヘミシュウ酸塩)、リン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、亜硫酸水素塩、硫化物、亜硫酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、アクリル酸塩、ポリアクリル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、イタコン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、チグリン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、ポリメタクリル酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、臭素酸塩、次亜臭素酸塩、ヨウ素酸塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、シアン化物、シアン酸塩、チオシアン酸塩、水酸化物、過酸化物、過マンガン酸塩、及びそれらの混合物が含まれる。
【0847】
試料:
本明細書中で使用する場合、「試料」または「生物学的試料」という用語は、その組織、細胞、または構成成分部分(例えば、限定されないが、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、臍帯血、尿、膣液、及び精液を含む体液)のサブセットを指す。試料にはさらに、限定されないが、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸器、腸、及び泌尿生殖路、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、または器官を含む、完全な生体もしくはその組織、細胞もしくは構成成分部分のサブセット、またはその画分もしくは一部から調製されるホモジネート、溶解物、もしくは抽出物も含まれ得る。試料はさらに、タンパク質または核酸分子などの細胞構成成分を含有することができる、栄養ブロスまたはゲルなどの培地を指す。
【0848】
シグナル配列:
本明細書で使用する場合、「シグナル配列」、「シグナルペプチド」、及び「輸送ペプチド」という語句は、互換的に使用され、ある特定の細胞小器官、細胞区画、または細胞外排出へのタンパク質の輸送または局在化を導くことができる配列を指す。この用語は、シグナル配列ポリペプチド及びシグナル配列をコードする核酸配列の両方を包含する。したがって、核酸の文脈でのシグナル配列への言及は、実際には、シグナル配列ポリペプチドをコードする核酸配列を指す。
【0849】
シグナル伝達経路:
「シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達において役割を果たしている様々なシグナル伝達分子間の生化学的関係を指す。本明細書で使用する場合、「細胞表面受容体」という語句は、例えば、シグナル及びそのようなシグナルの、細胞の原形質膜を越える伝達を受け取ることが可能な分子及び分子の複合体を含む。
【0850】
類似性:
本明細書で使用する場合、「類似性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間の、及び/またはポリペプチド分子間の、全体的な関連性を指す。ポリマー分子の相互のパーセント類似性の計算は、パーセント類似性の計算が当技術分野で理解されるような保存的置換を考慮に入れていることを除いて、パーセント同一性の計算と同じ方法で実施することができる。
【0851】
単回単位用量:
本明細書で使用する場合、「単回単位用量」は、1回の用量で/一度に/単一経路で/単一の接触点、すなわち、単回投与イベントで、投与される任意の治療薬の用量である。
【0852】
分割用量:
本明細書で使用する場合、「分割用量」は、単回単位用量または総1日用量の2回以上の用量への分割である。
【0853】
特異的送達:
本明細書で使用する場合、「特異的送達」、「特異的に送達する」、または「特異的に送達すること」という用語は、標的外の組織(例えば、哺乳類の脾臓)と比較して、より多く(例えば、少なくとも1.5倍多く、少なくとも2倍多く、少なくとも3倍多く、少なくとも4倍多く、少なくとも5倍多く、少なくとも6倍多く、少なくとも7倍多く、少なくとも8倍多く、少なくとも9倍多く、少なくとも10倍多く)のポリヌクレオチドのナノ粒子による目的の標的組織(例えば、哺乳類の肝臓)への送達を意味する。ナノ粒子の特定の組織への送達レベルは、組織中で産生されたタンパク質の量を上記組織の重量と比較すること、組織中のポリヌクレオチドの量を上記組織の重量と比較すること、組織中で産生されたタンパク質の量を上記組織中の総タンパク質の量と比較すること、または組織中のポリヌクレオチド量を、上記組織中の総ポリヌクレオチドの量と比較することにより測定することができる。例えば、腎血管の標的化では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの全身投与後に肝臓または脾臓に送達されるものと比較して、組織1g当たり、1.5、2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、または20倍多いポリヌクレオチドが腎臓に送達される場合に、肝臓及び脾臓と比較して、哺乳類の腎臓に特異的に提供される。ナノ粒子が標的組織に特異的に送達する能力は、処置される対象において決定される必要はなく、動物モデル(例えば、ラットモデル)などの代用物で決定することができると理解されるであろう。
【0854】
安定性:
本明細書で使用する場合、「安定性」は、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離を耐え抜く十分な強さを有し、一部の場合では、有効な治療薬への製剤化が可能な化合物を指す。
【0855】
安定化した:
本明細書中で使用する場合、「安定化する」、「安定化した」、「安定化した領域」という用語は、安定にさせるか、または安定になることを意味する。
【0856】
立体異性体:
本明細書中で使用する場合、「立体異性体」という用語は、化合物(例えば、本明細書に記載の任意の式の化合物)が有することができるすべての可能な異なる異性体形態及び立体配座形態、特に、基本分子構造のすべての可能な立体化学的及び立体配座的異性体形態、すべてのジアステレオマー、エナンチオマー、及び/または立体配座異性体を指す。本発明のいくつかの化合物は、異なる互変異性体形態で存在することができ、後者はすべて本発明の範囲内に含まれる。
【0857】
対象:
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳類」は、診断、予後、または治療が望まれる任意の対象、特に、哺乳類対象を意味する。哺乳類対象には、限定されないが、ヒト、飼育動物、家畜、動物園動物、スポーツ動物、ペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、雌ウシ;霊長類、例えば、類人猿、サル、オランウータン、及びチンパンジー;イヌ科動物、例えば、イヌ及びオオカミ;ネコ科動物、例えば、ネコ、ライオン、及びトラ;ウマ科動物、例えば、ウマ、ロバ、及びシマウマ;クマ、食用動物、例えば、雌ウシ、ブタ、及びヒツジ;有蹄動物、例えば、シカ及びキリン;げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモットなどが含まれる。ある特定の実施形態では、哺乳類は、ヒト対象である。他の実施形態では、対象は、ヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、処置を必要とするヒト患者である。
【0858】
実質的に:
本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全体またはほぼ全体の程度(extent)または程度(degree)を示す定性的条件を指す。生物学的及び化学的特徴が、あるとしても、完結し、及び/または完全まで進行し、または絶対的な結果を達成もしくは回避することはほとんどないことを、生物学の当業者は、理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、本明細書では、多くの生物学的及び化学的特徴に固有の完全性の潜在的な欠如を捕捉するために使用される。
【0859】
実質的に同等:
用量間の時間差に関連して本明細書で使用する場合、この用語は、プラス/マイナス2%を意味する。
【0860】
実質的に同時:
本明細書で使用する場合、かつ複数の用量に関連する場合、この用語は、2秒以内を意味する。
【0861】
に罹患している:
疾患、障害、及び/または状態「に罹患している」個体は、疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状と診断されており、またはこれを示す。
【0862】
に罹患しやすい:
疾患、障害、及び/または状態「に罹患しやすい」個体は、症状、障害、及び/または状態の症状と診断されておらず、及び/またはこれらを示すことができないが、疾患もしくはその症状を発症する性質を有する。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態(例えば、GSD−Ia)に罹患しやすい個体は、以下の:(1)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する遺伝的変異;(2)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する遺伝的多型;(3)疾患、障害、及び/または状態に関連するタンパク質及び/または核酸の発現及び/または活性の増加及び/または減少;(4)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する習慣及び/または生活様式;(5)疾患、障害、及び/または状態の家族歴;ならびに、(6)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する微生物への曝露及び/または感染;のうちの1つまたは複数により特徴付けることができる。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、及び/または状態を発症するであろう。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、及び/または状態を発症しないであろう。
【0863】
持続放出:
本明細書で使用する場合、「持続放出」という用語は、ある特定の期間にわたる放出速度に適合する医薬組成物または化合物の放出プロファイルを指す。
【0864】
合成:
「合成」という用語は、人の手により生成、調製、及び/または製造されることを意味する。本発明のポリヌクレオチドまたは他の分子の合成は、化学的または酵素的であり得る。
【0865】
標的細胞:
本明細書で使用する場合、「標的細胞」は、目的の1つまたは複数の任意の細胞を指す。細胞は、in vitroで、in vivo、in situ、または生体の組織もしくは器官で見出すことができる。生体は、動物、例えば、哺乳類、ヒト、対象、または患者であり得る。
【0866】
標的組織:
本明細書で使用する場合、「標的組織」は、ポリヌクレオチドの送達が所望の生物学的及び/または薬理学的効果をもたらすであろう、目的の1つまたは複数の任意の組織型を指す。目的の標的組織の例には、特定の組織、器官、及びそれらの系または群が含まれる。特定用途では、標的組織は、肝臓、腎臓、肺、脾臓、または血管(例えば、冠動脈内または大腿内)内の血管内皮であり得る。「標的外の組織」は、コードされたタンパク質の発現が所望の生物学的及び/または薬理学的効果をもたらさない任意の1つまたは複数の組織型を指す。
【0867】
標的外問題における治療薬の存在は、(i)拡散による、もしくは血流を通した、ポリヌクレオチドの投与部位から末梢組織もしくは遠位の標的外の組織への漏れ(例えば、ある特定の組織内でポリペプチドを発現するように意図されたポリヌクレオチドが標的外の組織に到達し、ポリペプチドが、その標的外の組織内で発現することとなる);または(ii)拡散による、もしくは血流を通した、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与後のそのようなポリペプチドの末梢組織もしくは離れた遠位の標的外の組織への漏れ(例えば、ポリヌクレオチドがポリペプチドを標的組織内で発現し、そのポリペプチドが末梢神経へ拡散することとなる)の結果であり得る。
【0868】
標的化配列:
本明細書で使用する場合、「標的配列」という語句は、タンパク質またはポリペプチドの輸送または局在化を導くことができる配列を指す。
【0869】
末端:
本明細書で使用する場合、「末端」(複数可)という用語は、ポリペプチドに言及する場合、ペプチドまたはポリペプチドの末端を指す。そのような末端は、ペプチドまたはポリペプチドの最初または最終部位のみに限定されないが、末端領域に追加的なアミノ酸を含むことができる。本発明のポリペプチドをベースとする分子は、(遊離アミノ基(NH
2)を有するアミノ酸で末端処理した)N末端及び(遊離カルボキシル基(COOH)を有するアミノ酸で末端処理した)C末端の両方を有することで特徴付けられ得る。本発明のタンパク質は、一部の場合では、ジスルフィド結合または非共有結合力により1つにされた複数のポリペプチド鎖(多量体、オリゴマー)で構成されている。これらのタイプのタンパク質は、複数のN末端及びC末端を有するであろう。別法では、ポリペプチドの末端を、それらが、場合に応じて、有機コンジュゲートなどの非ポリペプチドをベースとする部分で、開始または終了するように修飾することができる。
【0870】
治療薬:
「治療薬」という用語は、対象に投与される場合、治療的、診断的、及び/または予防的効果を有し、及び/または所望の生物学的及び/または薬理学的効果を誘発する薬剤を指す。例えば、一部の実施形態では、G6PCポリペプチドをコードするmRNAは、治療薬であり得る。
【0871】
治療有効量:
本明細書で使用する場合、「治療的有効量」という用語は、感染、疾患、障害、及び/または状態に罹患している、またはこれらに罹患しやすい対象に投与される場合、感染、疾患、障害、及び/または状態を処置し、これらの症状を改善し、診断し、予防し、及び/またはこれらの発症を遅延させるのに十分である送達されるべき薬剤(例えば、核酸、薬物、治療薬、診断薬、予防薬など)の量を意味する。
【0872】
治療上有効な結果:
本明細書で使用する場合、「治療上有効な結果」という用語は、感染、疾患、障害、及び/または状態に罹患している、またはこれらに罹患しやすい対象において、感染、疾患、障害、及び/または状態を処置し、これらの症状を改善し、診断し、予防し、及び/またはこれらの発症を遅延させるのに十分である結果を意味する。
【0873】
総1日用量:
本明細書で使用する場合、「総1日用量」は、24時間の期間に与えられるか、または処方される量である。総1日用量を、単回単位用量または分割用量として投与することができる。
【0874】
転写因子:
本明細書で使用する場合、「転写因子」という用語は、例えば、転写の活性化または抑制により、DNAのRNAへの転写を制御するDNA結合タンパク質を指す。いくつかの転写因子は、単独で転写の制御を行うが、他のものは、他のタンパク質と協調して作用する。いくつかの転写因子は、ある特定の条件下で転写を活性化することも抑制することもできる。一般に、転写因子は、標的遺伝子の制御領域において特異的標的配列または特異的コンセンサス配列と高度に類似する配列に結合する。転写因子は、標的遺伝子の転写を単独で、または他の分子との複合体中で、調節することができる。
【0875】
転写:
本明細書で使用する場合、「転写」という用語は、DNA(例えば、DNA鋳型または配列)からmRNA(例えば、mRNA配列または鋳型)を産生する方法を指す。
【0876】
トランスフェクション:
本明細書中で使用する場合、「トランスフェクション」は、ポリヌクレオチド(例えば、外因性核酸)の細胞への導入を指し、ポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドが発現されるか(例えば、mRNA)、またはポリペプチドが細胞機能を調節する(例えば、siRNA、miRNA)。本明細書で使用する場合、核酸配列の「発現」は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のポリペプチドもしくはタンパク質への翻訳、及び/またはポリペプチドもしくはタンパク質の翻訳後修飾を指す。トランスフェクションの方法には、限定されないが、化学的方法、物理的処理、及びカチオン脂質または混合物が含まれる。
【0877】
処置すること、処置、治療:
本明細書で使用する場合、「処置すること」または「処置」または「治療」という用語は、疾患、例えば、例えば、低血糖、GSD−Iaの1つまたは複数の症状または特徴を、部分的または完全に緩和すること、改善すること、好転させること、軽減すること、これらの発症を遅延させること、これらの進行を阻害すること、これらの重症度を低下させること、及び/またはこれらの発生率を低下させることを指す。例えば、GSD−Iaを「処置すること」は、疾患と関連する症状の減少、患者の寿命延長(生存率の増加)、疾患の重症度の低下、疾患の発症の予防または遅延などを指し得る。処置は、疾患、障害、及び/または状態に関連する病状を発症するリスクを減少させるために、疾患、障害、及び/または状態の徴候を示していない対象、及び/または疾患、障害、及び/または状態の初期徴候のみを示している対象に投与することができる。
【0878】
非修飾:
本明細書で使用する場合、「非修飾」は、何らかの方法で変更される前の任意の物質、化合物、または分子を指す。非修飾は、必ずしも常にではないが、野生型または天然形態の生体分子を指し得る。分子は、一連の修飾を受けることができ、それにより、それぞれの修飾分子は、その後の修飾のための「非修飾」出発分子として役立ち得る。
【0879】
ウラシル:
ウラシルは、RNAの核酸の4つのヌクレオ塩基のうちの1つであり、これは、文字Uで表される。ウラシルは、β−N
1−グリコシド結合を介して、リボース環、またはより具体的には、リボフラノースと結合して、ヌクレオシドウリジンをもたらし得る。ヌクレオシドウリジンはまた一般に、そのヌクレオ塩基の1文字コードの、すなわち、Uに省略される。したがって、本開示の文脈では、ポリヌクレオチド配列中のモノマーがUである場合、そのようなUは、「ウラシル」または「ウリジン」として互換的に呼ばれる。
【0880】
ウリジン含有量:
「ウリジン含有量」または「ウラシル含有量」という用語は、互換的であり、ある特定の核酸配列中に存在するウラシルまたはウリジンの量を指す。ウリジン含有量またはウラシル含有量は、絶対値(配列中のウリジンまたはウラシルの総数)または相対値(核酸配列中のヌクレオ塩基の総数に対するウリジンまたはウラシルパーセンテージ)として表すことができる。
【0881】
ウリジン修飾配列:
「ウリジン修飾配列」という用語は、候補核酸配列のウリジン含有量及び/またはウリジンパターンに対して、異なる全体的または局所的ウリジン含有量(より高いまたはより低いウリジン含有量)を有する、または異なるウリジンパターン(例えば、勾配分布またはクラスタリング)を有する配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)を指す。本開示の記載内容では、「ウリジン修飾配列」及び「ウラシル修飾配列」という用語は、同等であり、互換性があると考えられる。
【0882】
「高ウリジンコドン」は、2つまたは3つのウリジンを含むコドンとして定義され、「低ウリジンコドン」は、1つのウリジンを含むコドンとして定義され、「無ウリジンコドン」は、いずれのウリジンもないコドンである。一部の実施形態では、ウリジン修飾配列は、高ウリジンコドンの低ウリジンコドンとの置換、高ウリジンコドンの無ウリジンコドンとの置換、低ウリジンコドンの高ウリジンコドンとの置換、低ウリジンコドンの無ウリジンコドンとの置換、無ウリジンコドンの低ウリジンコドンとの置換、無ウリジンコドンの高ウリジンコドンとの置換、及びそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、高ウリジンコドンは、別の高ウリジンコドンで置換することができる。一部の実施形態では、低ウリジンコドンは、別の低ウリジンコドンで置換することができる。一部の実施形態では、無ウリジンコドンは、別の無ウリジンコドンで置換することができる。ウリジン修飾配列は、ウリジン富化またはウリジン希薄化することができる。
【0883】
ウリジン富化:
本明細書で使用する場合、「ウリジン富化」という用語及び文法上の変形語は、対応する候補核酸配列のウリジン含有量に対する配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)中の(絶対値で、またはパーセンテージ値として表される)ウリジン含有量の増加を指す。ウリジン富化は、候補核酸配列中のコドンを、より少ないウリジンヌクレオ塩基を含有する同義コドンで置換することにより実施することができる。ウリジン富化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対する)または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列もしくは領域に対する)であり得る。
【0884】
ウリジン希薄化:
本明細書で使用する場合、「ウリジン希薄化」という用語及び文法上の変形語は、対応する候補核酸配列のウリジン含有量に対する配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)中の(絶対値で、またはパーセンテージ値として表される)ウリジン含有量の減少を指す。ウリジン希薄化は、候補核酸配列中のコドンを、より少ないウリジンヌクレオ塩基を含有する同義コドンで置換することにより実施することができる。ウリジン希薄化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対する)または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列もしくは領域に対する)であり得る。
【0885】
バリアント:
本開示で使用されるバリアントという用語は、天然バリアント(例えば、多型、アイソフォームなど)と、天然または出発配列(例えば、野生型配列)中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去されており、異なるアミノ酸が同じ場所のその位置に挿入されている人工バリアントとの両方を指す。これらのバリアントは、「置換バリアント」として記載することができる。置換は、分子中の1つのアミノ酸のみが置換されている単一であってもよいし、または2つ以上のアミノ酸が同じ分子中で置換されている複数であってもよい。アミノ酸を挿入する、または欠失させる場合、得られるバリアントは、それぞれ「挿入バリアント」または「欠失バリアント」であろう。
【0886】
開始コドン:
本明細書で使用する場合、「開始コドン(start codon)」という用語と互換的に使用される「開始コドン(initiation codon)」という用語は、リボソームにより翻訳されるオープンリーディングフレームの第1のコドンを指し、結合したアデニン−ウラシル−グアニンヌクレオ塩基の三重項から構成される。開始コドンは、アデニン(A)、ウラシル(U)、及びグアニン(G)の第1の1文字コードにより示され、多くの場合に簡単に「AUG」と記される。天然mRNAは、開始コドンとして、本明細書では「代替開始コドン(alternative initiation codon)」と称されるAUG以外のコドンを使用することもあるが、本明細書に記載のポリヌクレオチドの開始コドンは、AUGコドンを用いる。翻訳開始のプロセス中に、開始コドンを含む配列は、リボソームにより結合したイニシエーターtRNA(Met−tRNA
iMet)のアンチコドンとの相補的塩基対合を介して認識される。オープンリーディングフレームは、1つよりも多いAUG開始コドンを含むことがあり、それらは本明細書では「交代用開始コドン(alternate initiation codon)」と称される。
【0887】
開始コドンは、翻訳開始において重大な役割を果たす。開始コドンは、リボソームにより翻訳されるオープンリーディングフレームの第1のコドンである。典型的には、開始コドンは、ヌクレオチド三重項AUGを含むが、しかしながら、一部の例では、翻訳開始は、別個のヌクレオチドから構成される他のコドンで生じ得る。真核生物における翻訳開始は、多数のタンパク質−タンパク質、タンパク質−RNA、及びメッセンジャーRNA分子(mRNA)間のRNA−RNA相互作用、40Sリボソームサブユニット、翻訳機構の他の構成成分(例えば、真核開始因子;eIF)が関与するマルチステップ生化学プロセスである。mRNA翻訳開始の現行のモデルは、前開始複合体(別法では「43S前開始複合体」;略して「PIC」)が、5’から3’の方向でヌクレオチドをスキャニングすることにより、特異的な翻訳促進ヌクレオチドコンテキスト(コザック配列)内に存在する第1のAUGコドンに遭遇するまで、mRNA(典型的には、5’キャップ)上の動員部位から、開始コドンへと移動することを仮定している(Kozak(1989)J Cell Biol 108:229−241)。PICによるスキャニングは、イニシエーターMet−tRNA
iMetトランスファーRNAのアンチコドンを含むヌクレオチドと、mRNAの開始コドンを含むヌクレオチドとの間の相補的塩基対合で終了する。AUGコドンとMet−tRNA
iMetアンチコドンとの間の生産的塩基対合は、大きな60SリボソームサブユニットとPICとが一緒になって、翻訳伸長に適した活性なリボソームを形成すると最高潮に達する一連の構造的及び生化学的イベントを誘発する。
【0888】
コザック配列:
「コザック配列」(「コザックコンセンサス配列」とも称される)という用語は、遺伝子またはオープンリーディングフレームの発現を増強する翻訳開始エンハンサーエレメントを指し、真核生物では、5’UTRに位置する。コザックコンセンサス配列は元々、プレプロインスリン遺伝子の翻訳に対する開始コドン(AUG)周囲の単一変異の作用の解析に従って、配列GCCRCC(配列番号41)として定義された(ここで、R=プリン)(Kozak(1986) Cell 44:283−292)。本明細書に開示のポリヌクレオチドは、コザックコンセンサス配列、またはその誘導体または変更形態を含む(翻訳エンハンサー組成及びその使用方法の例については、全体が参照により本明細書に援用されるAndrews et al.に付与された米国特許第5,807,707号;全体が参照により本明細書に援用されるChernajovskyに付与された米国特許第5,723,332号;全体が参照により本明細書に援用されるWilsonに付与された米国特許第5,891,665号を参照されたい)。
【0889】
修飾された:
本明細書で使用する場合、「修飾された」または「修飾」は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の組成または構造が変化した状態またはその変化を指す。ポリヌクレオチドを、化学的、構造的、及び/または機能的を含む様々な方式で修飾することができる。例えば、ポリヌクレオチドを、1つまたは複数のRNAエレメントの組み込みにより構造的に修飾することができ、その際、RNAエレメントは、1つまたは複数の機能(例えば、翻訳制御活性)を与える配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含む。したがって、本開示のポリヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾を含んでよい(例えば、1つまたは複数の化学的、構造的、または機能的修飾を、それらの任意の組合せを含めて、含んでよい)。
【0890】
ヌクレオ塩基:
本明細書で使用する場合、「ヌクレオ塩基」(別法では、「ヌクレオチド塩基」または「窒素塩基」)という用語は、改良された特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ抵抗性、化学的安定性)を核酸またはその部分もしくはセグメントに付与する、天然に生じるプリン及びピリミジンの任意の誘導体またはアナログを含む、核酸において見い出されるプリンまたはピリミジン複素環式化合物を指す。アデニン、シトシン、グアニン、チミン、及びウラシルが、天然核酸において主に見い出されるヌクレオ塩基である。当技術分野で公知である、及び/または本明細書に記載の他の天然、非天然、及び/または合成ヌクレオ塩基を核酸に組み込むことができる。
【0891】
ヌクレオシド/ヌクレオチド:
本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」という用語は、ヌクレオ塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)、またはその誘導体もしくはアナログ(「ヌクレオ塩基」とも称される)に共有結合した糖分子(例えば、RNA中のリボースまたはDNA中のデオキシリボース)、またはその誘導体もしくはアナログを含有するが、インターヌクレオシド結合基(例えば、リン酸基)が存在しない化合物を指す。本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド」という用語は、改良された化学的及び/または機能的特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ抵抗性、化学的安定性)を核酸またはその部分もしくはセグメントに付与するインターヌクレオシド結合基(例えば、リン酸基)、または任意のその誘導体、アナログ、もしくは変更形態に共有結合したヌクレオシドを指す。
【0892】
核酸:
本明細書で使用する場合、「核酸」という用語は、その最も広い意味で用いられ、ヌクレオチドのポリマー、またはその誘導体もしくはアナログを含む任意の化合物及び/または物質を包含する。これらのポリマーは多くの場合に、「ポリヌクレオチド」と称される。したがって、本明細書で使用する場合、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は同等であり、互換的に使用される。本開示の例示的な核酸またはポリヌクレオチドには、限定されないが、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、DNA−RNAハイブリッド、RNAi誘発薬、RNAi薬、siRNA、shRNA、mRNA、修飾mRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、三重らせん形成を誘発するRNA、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(β−D−リボ配置を有するLNA、α−L−リボ配置を有するα−LNA(LNAのジアステレオ異性体)、2’−アミノ官能基化を有する2’−アミノ−LNA、及び2’−アミノ官能基化を有する2’−アミノ−α−LNAを含むLNA)またはそのハイブリッドが含まれる。
【0893】
核酸構造:
本明細書で使用する場合、「核酸構造」(「ポリヌクレオチド構造」と互換的に用いられる)という用語は、核酸(例えば、mRNA)を構成する結合したヌクレオチド、またはその誘導体もしくはアナログの原子、化学的構成成分、エレメント、モチーフ、及び/または配列の配置または組織化を指す。この用語はまた、核酸の二次元または三次元状態を指す。したがって、「RNA構造」という用語は、RNA分子(例えば、mRNA)を構成する結合したヌクレオチド、またはその誘導体もしくはアナログの原子、化学的構成成分、エレメント、モチーフ、及び/または配列の配置または編成を指し、及び/またはRNA分子の二次元または三次元状態を指す。核酸構造をさらに、組織的複雑性の上昇に基づき「分子構造」、「一次構造」、「二次構造」、及び「三次構造」と本明細書では称される4つの組織カテゴリーに区別することができる。
【0894】
オープンリーディングフレーム:
本明細書で使用する場合、「ORF」と略される「オープンリーディングフレーム」という用語は、ポリペプチドをコードするmRNA分子のセグメントまたは領域を指す。ORFは、開始コドンから始まって停止コドンで終了する非重複インフレームコドンの連続ストレッチを含み、リボソームにより翻訳される。
【0895】
前開始複合体(PIC):
本明細書で使用する場合、「前開始複合体」(別法では「43S前開始複合体」;略して「PIC」)という用語は、40Sリボソームサブユニット、真核開始ファクター(eIFl、eIFlA、eIF3、eIF5)、及びeIF2−GTP−Met−tRNA
iMet三元複合体を含むリボ核タンパク質複合体を指し、これは、内因的にmRNA分子の5’キャップに結合することができ、結合の後に、5’UTRのリボソームスキャニングを行うことができる。
【0896】
RNAエレメント:
本明細書で使用する場合、「RNAエレメント」という用語は、生物学的機能を提供する、及び/または生物学的活性(例えば、翻訳制御活性)を有するRNA分子の部分、断片、またはセグメントを指す。本明細書に記載されているものなどの1つまたは複数のRNAエレメントの組み込みによるポリヌクレオチドの修飾は、1つまたは複数の望ましい機能的特性を、修飾ポリヌクレオチドに与える。本明細書に記載のとおりのRNAエレメントは、天然に生じる、天然に生じない、合成されている、操作されている、またはそれらの組合せであってよい。例えば、制御活性を与える天然に生じるRNAエレメントには、ウイルス、原核及び真核生物(例えば、ヒト)のトランスクリプトームを通じて見い出されるエレメントが含まれる。RNAエレメント、特に、真核mRNA及び翻訳ウイルスRNAは、細胞における多くの機能の媒介に関与していることが示されている。例示的な天然RNAエレメントには、限定されないが、翻訳開始エレメント(例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)、Kieft et al.,(2001)RNA 7(2):194−206を参照されたい)、翻訳エンハンサーエレメント(例えば、APP mRNA翻訳エンハンサーエレメント、Rogers et al.,(1999)J Biol Chem 274(10):6421−6431を参照されたい)、mRNA安定性エレメント(例えば、AUリッチエレメント(ARE)、Garneau et al.,(2007)Nat Rev Mol Cell Biol 8(2):113−126を参照されたい)、翻訳抑制エレメント(例えば、Blumer et al.,(2002)Mech Dev 110(1−2):97−112を参照されたい)、タンパク質結合RNAエレメント(例えば、鉄応答エレメント、Selezneva et al.,(2013)J Mol Biol 425(18):3301−3310を参照されたい)、細胞質ポリアデニル化エレメント(Villalba et al.,(2011)Curr Opin Genet Dev 21(4):452−457)、及び触媒RNAエレメント(例えば、リボザイム、Scott et al.,(2009)Biochim Biophys Acta 1789(9−10):634−641を参照されたい)が含まれる。
【0897】
滞留時間:
本明細書で使用する場合、「滞留時間」という用語は、mRNA分子に沿った別個の位置または場所での前開始複合体(PIC)またはリボソームの占有時間を指す。
【0898】
翻訳制御活性:
本明細書で使用する場合、「翻訳制御活性」(「翻訳制御機能」と互換的に用いられる)という用語は、PIC及び/またはリボソームの活性を含む翻訳装置の活性を調節する(例えば、制御する、影響を及ぼす、調節する、変化させる)生物学的機能、機構、またはプロセスを指す。一部の態様では、所望の翻訳制御活性は、mRNA翻訳の翻訳忠実性を促進及び/または増強する。一部の態様では、所望の翻訳制御活性は、読み漏らしを減少させる、及び/または阻害する。
【0899】
28.均等物及び範囲
当業者らは、ルーチン的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明による特定の実施形態に対する多くの均等物を認識することとなり、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記明細書に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0900】
特許請求の範囲では、「a」、「an」、及び「the」などの冠詞は、反対の指示がない限り、または別途文脈から明らかでない限り、1つまたは複数を意味することができる。グループメンバーのうちの1つ、複数、またはすべてが、反対の指示がない限り、または文脈から別途明白でない限り、所与の産物またはプロセスに存在するか、これらに用いられ、または別の方法でこれらに関連する場合、「または」をグループの1つまたは複数のメンバー間に含む特許請求の範囲または明細書は、条件を満たすと考えられる。本発明は、グループのちょうど1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、これらに用いられるか、または別の方法でこれらに関連する実施形態を含む。本発明は、グループメンバーの複数またはすべてが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、これらに用いられるか、または別の方法でこれらに関連する実施形態を含む。
【0901】
「含む」という用語は、オープンであることを意図しており、追加の要素またはステップを含むことを許容するが、必要としないことにも注意する。「含む」という用語を本明細書で使用する場合、「からなる」という用語もまた、このように包含及び開示される。
【0902】
範囲が与えられる場合は、端点が含まれる。さらに、別途指示のない限り、または文脈及び当業者の理解から別途明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈に別途明示のない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態の記載された範囲内の任意の特定の値または部分範囲とみなすことができることを理解すべきである。
【0903】
加えて、先行技術の範囲に入る本発明の任意の特定の実施形態は、請求項のうちのいずれか1つまたは複数から明白に除外することができることを理解すべきである。そのような実施形態は、当業者に公知とみなされるので、除外が本明細書では明記されてないとしても、除外することができる。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、それによりコードされた任意の核酸またはタンパク質;任意の製造方法;任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関連するかどうかに関わらず、任意の理由で、任意の1つまたは複数の請求項から除外することができる。
【0904】
引用された出典、例えば、本明細書で引用された参照文献、刊行物、データベース、データベースエントリ、及び技術はすべて、引用に明記されていなくても、参照により本出願に援用される。引用された出典及び本出願の記載と矛盾する場合、本出願中の記載が優先されることとする。
【0905】
セクション及び表の見出しは、限定されることを意図したものではない。
【0906】
コンストラクトの配列
「G5」とは、mRNA中のすべてのウラシル(U)がN1−メチルシュードウラシルに置換されていることを意味する。
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【実施例】
【0907】
実施例1
キメラポリヌクレオチドの合成
A.三リン酸経路
キメラポリヌクレオチドの2つの領域または部分は、三リン酸化学を使用して結合させる、またはライゲートすることができる。この方法によれば、100ヌクレオチド以下の最初の領域または部分は、例えば、5’一リン酸及び末端の3’desOHまたはブロックされたOHを用いて化学的に合成され得る。この領域が80ヌクレオチドよりも長い場合、これはライゲーション用の2本鎖として合成され得る。
【0908】
最初の領域または部分がin vitro転写(IVT)を使用して非位置的に修飾された領域または部分として合成される場合、5’一リン酸の変換と、その後の3’末端のキャッピングとが続くこともある。一リン酸保護基は、当技術分野で公知の任意のものから選択することができる。
【0909】
キメラポリヌクレオチドの第2の領域または部分は、化学合成法またはIVT法のいずれを用いて合成することができる。IVT法は、修飾キャップを有するプライマーを利用し得るRNAポリメラーゼを含み得る。別法では、最大80ヌクレオチドのキャップを化学的に合成し、IVT領域または部分に結合することができる。
【0910】
ライゲーション方法については、DNA T4リガーゼでのライゲーション、続く、DNアーゼでの処理で、鎖状体形成は容易に回避されるはずであることが特筆される。
【0911】
キメラポリヌクレオチド全体をリン酸−糖骨格で製造する必要はない。領域または部分の1つがポリペプチドをコードする場合、そのような領域または部分はリン酸−糖骨格を含み得る。
【0912】
次いで、ライゲーションを、任意の公知のクリックケミストリー、オルソクリックケミストリー、ソルリンク(solulink)、または当業者に公知の他のバイオコンジュゲートケミストリーを使用して行うことができる。
【0913】
B.合成経路
キメラポリヌクレオチドは、一連の出発セグメントを用いて作製することができる。そのようなセグメントには以下が含まれる:
(a)通常の3’OHを含む、キャップされ保護された5’セグメント(SEG.1)
(b)ポリペプチドのコード領域及び正常な3’OHを含むことができる、5’三リン酸セグメント(SEG.2)
(c)コルジセピンを含むか、または3’OHを含まない、キメラポリヌクレオチドの3’末端(例えば、テイル)のための5’リン酸セグメント(SEG.3)。
【0914】
合成(化学的またはIVT)後に、セグメント3(SEG.3)をコルジセピンで処理し、次いで、ピロホスファターゼで処理して、5’リン酸を生成することができる。
【0915】
次いで、セグメント2(SEG.2)を、RNAリガーゼを用いてSEG.3にライゲートすることができる。次いで、ライゲートしたポリヌクレオチドを精製し、ピロホスファターゼで処理して、二リン酸を切断することができる。次いで、処理したSEG.2−SEG.3コンストラクトを精製し、SEG.1を5’末端にライゲートする。キメラポリヌクレオチドのさらなる精製ステップを行ってもよい。
【0916】
キメラポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、ライゲートされた、または接続されたセグメントは、5’UTR(SEG.1)、オープンリーディングフレームまたはORF(SEG.2)及び3’UTR+ポリA(SEG.3)として表され得る。
【0917】
各ステップの収率は、90〜95%程度であり得る。
【0918】
実施例2
cDNA生成のためのPCR
cDNAの調製のためのPCR手順は、Kapa Biosystems(Woburn,MA)による2×KAPA HIFI(商標)HotStart ReadyMixを使用して行うことができる。このシステムは、2×KAPA ReadyMix12.5μl;フォワードプライマー(10uM)0.75μl;リバースプライマー(10μM)0.75μl;鋳型cDNA:100ng;及び25.0μlに希釈したdH
2Oを含む。PCR反応条件は95℃で5分間、そして98℃で20秒間、次いで58℃で15秒間、次いで72℃で45秒間、次いで72℃で5分間、次いで終了まで4℃からなる25サイクルで行うことができる。
【0919】
本発明のリバースプライマーは、ポリA
120(配列番号233)のためのポリ−T
120(配列番号234)をmRNAに組み込むことができる。より長いまたは短いポリ(T)トラクトを含む他のリバースプライマーを使用して、ポリヌクレオチドmRNA中のポリ(A)テイルの長さを調節することができる。
【0920】
InvitrogenのPURELINK(商標)PCR Micro Kit(Carlsbad,CA)を製造元の指示(最大5μg)に従って使用して、反応液をクリーンアップすることができる。より大きな反応は、より大きな対応能力を有する製品を使用するクリーンアップを必要とするであろう。クリーンアップ後に、NANODROP(商標)を用いてcDNAを定量化し、アガロースゲル電気泳動により分析して、cDNAが予想されるサイズであることを確認することができる。次いで、in vitro転写反応に進む前に、cDNAを配列決定分析にかけることができる。
【0921】
実施例3
in vitro転写(IVT)
in vitro転写反応は、均一に修飾されたポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを生成し得る。そのような均一に修飾されたポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドの領域または部分を含み得る。インプットヌクレオチド三リン酸(ホスファート)(NTP)混合物は、天然及び非天然NTPを用いて作製することができる。
【0922】
典型的なin vitro転写反応は、以下:
1 鋳型cDNA 1.0μg
2 10×転写緩衝液(400mMのトリス−HCl pH8.0、190mMのMgCl
2、50mMのDTT、10mMのスペルミジン) 2.0μL
3 特注NTP(各25mM) 0.2μL
4 RNアーゼ阻害剤 20U
5 T7 RNAポリメラーゼ 3000U
6 dH
20 最高20.0μl、及び
7 37℃で3時間〜5時間のインキュベーション
を含み得る。
【0923】
粗IVT混合物を翌日、クリーンアップのために、4℃で一晩保存することができる。次いで、1UのRNアーゼ不含DNアーゼを、元の鋳型を消化するために使用することができる。37℃で15分間にわたってインキュベートした後に、mRNAを、製造業者の指示に従って、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(Austin,TX)を使用して精製することができる。このキットは、最高500μgのRNAを精製することができる。クリーンアップ後に、RNAが適切なサイズであり、RNAの分解が起こっていないことを確認するために、RNAを、NanoDropを使用して定量化し、アガロースゲル電気泳動により分析することができる。
【0924】
実施例4
酵素的キャッピング
ポリヌクレオチドのキャッピングを、IVT RNA60μg〜180μg及びdH
20最高72μlを含む混合物を用いて行うことができる。上記混合物を65℃で5分間にわたってインキュベートし、RNAを変性させることができ、次いで、直ちに氷に移すことができる。
【0925】
次いで、プロトコルは、10×キャッピング緩衝液(0.5MのTris−HCl(pH8.0)、60mMのKCl、12.5mMのMgCl
2)(10.0μl);20mMのGTP(5.0μl);20mMのS−アデノシルメチオニン(2.5μl);RNアーゼ阻害剤(100U);2’−O−メチルトランスフェラーゼ(400U);ワクシニアキャッピング酵素(グアニリルトランスフェラーゼ)(40U);dH
20(最高28μl)の混合と;60μgのRNAでは37℃で30分間にわたる、または180μgのRNAでは最高2時間にわたるインキュベーションとを含むことができる。
【0926】
次いで、ポリヌクレオチドを、製造者の指示に従って、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(Austin,TX)を使用して精製することができる。クリーンアップ後に、RNAが適切なサイズであり、RNAの分解が起こっていないことを確認するために、RNAを、NANODROP(商標)(ThermoFisher,Waltham,MA)を使用して定量化し、アガロースゲル電気泳動により分析することができる。RNA産物を、配列決定のためのcDNAを生成するために、逆転写PCRを実行することにより、配列決定することもできる。
【0927】
実施例5
ポリAテイル付加反応
cDNA中にポリTがなければ、ポリAテイル付加反応は、最終産物を洗浄する前に実施しなければならない。これは、キャップ化IVT RNA(100μl);RNアーゼ阻害剤(20U);10×テイル付加緩衝液(0.5MのTris−HCl(pH8.0)、2.5MのNaCl、100mMのMgCl
2)(12.0μl);20mMのATP(6.0μl);ポリAポリメラーゼ(20U);最高123.5μlのdH
20を混合することと、37℃で30分間にわたってインキュベートすることにより行うことができる。ポリAテイルが転写物に既に存在する場合、テイル付加反応をスキップし、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(Austin,TX)(最大500μg)を用いるクリーンアップに直接進むことができる。ポリAポリメラーゼは、場合によっては、酵母で発現する組換え酵素である。
【0928】
ポリAテイル付加反応の進行性または完全性は、正確なサイズのポリAテイルを常にもたらすわけではないことを理解すべきである。したがって、ほぼ40〜200ヌクレオチド、例えば、約40、50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、150〜165、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、または165のポリAテイルは、本発明の範囲内である。
【0929】
実施例6
天然5’キャップ及び5’キャップアナログ
ポリヌクレオチドの5’キャッピングを、製造者プロトコルに従って、5’−グアノシンキャップ構造を生成するために、以下の化学的RNAキャップアナログを使用して、in vitro転写反応中に付随して完了させることができる:3’−O−Me−m7G(5’)ppp(5’)G[ARCAキャップ];G(5’)ppp(5’)A;G(5’)ppp(5’)G;m7G(5’)ppp(5’)A;m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs,Ipswich,MA)。修飾RNAの5’−キャッピングは、「Cap0」構造:m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs,Ipswich,MA)を生成するために、ワクシニアウイルスキャッピング酵素を使用して転写後に完了させることができる。Cap1構造は、m7G(5’)ppp(5’)G−2’−O−メチルを生成するために、ワクシニアウイルスキャッピング酵素及び2’−Oメチルトランスフェラーゼの両方を使用して生成することができる。Cap2構造を、Cap1構造から生成し、続いて、2’−Oメチルトランスフェラーゼを使用して、5’末端から3番目のヌクレオチドを2’−O−メチル化することができる。Cap3構造を、Cap2構造から生成し、続いて、2’−Oメチルトランスフェラーゼを使用して、5’末端から4番目のヌクレオチドを2’−O−メチル化することができる。酵素は組換え供給源に由来し得る。
【0930】
哺乳類細胞にトランスフェクトする場合、修飾mRNAは、12〜18時間または18時間を超える、例えば、24、36、48、60、72、または72時間を超える安定性を有し得る。
【0931】
実施例7
キャッピングアッセイ
A.タンパク質発現アッセイ
本明細書に教示のキャップのいずれかを含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、等しい濃度で細胞にトランスフェクトすることができる。トランスフェクション後6、12、24、及び36時間目に、培養培地に分泌されたタンパク質の量を、ELISAによりアッセイすることができる。より高レベルのタンパク質を培地に分泌する合成ポリヌクレオチドは、より高い翻訳能力を有するCap構造を有する合成ポリヌクレオチドに対応するであろう。
【0932】
B.純度分析合成
本明細書に教示のキャップのいずれかを含有する、ポリペプチドをコードするRNAポリヌクレオチドを、変性アガロース−尿素ゲル電気泳動またはHPLC分析を使用して、純度について比較することができる。電気泳動による単一の固化したバンドを有するポリヌクレオチドは、複数のバンドまたはストリーキングバンドを有するポリヌクレオチドと比較して、より高純度の産物に対応する。単一のHPLCピークを有する合成ポリヌクレオチドは、より高純度の産物にも対応するであろう。より高い効率でのキャッピング反応は、より純粋なポリヌクレオチド集団を提供するであろう。
【0933】
C.サイトカイン分析
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有する、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、複数の濃度で細胞にトランスフェクトすることができる。トランスフェクションから6、12、24、及び36時間後に、培地に分泌されたTNF−α及びIFN−βなどの炎症誘発性サイトカインの量は、ELISAによりアッセイすることができる。高レベルの炎症誘発性サイトカインの培地への分泌をもたらすポリヌクレオチドは、免疫活性化キャップ構造を含有するポリヌクレオチドに対応するであろう。
【0934】
D.キャッピング反応効率
本明細書で教示するキャップのいずれかを含有する、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、ヌクレアーゼ処理後にLC−MSにより、キャッピング反応効率について分析することができる。キャップ化ポリヌクレオチドのヌクレアーゼ処理は、遊離ヌクレオチド及びLC−MSにより検出可能なキャップ化5’−5トリホスファートキャップ構造体の混合物を生じるであろう。LC−MSスペクトルでのキャップ化産物の量は、反応由来の総ポリヌクレオチドのパーセントとして表すことができ、キャッピング反応効率に対応するであろう。より高いキャッピング反応効率を有するキャップ構造は、LC−MSによると、より多量のキャップ化産物を有するであろう。
【0935】
実施例8
修飾RNAまたはRT PCR産物のアガロースゲル電気泳動
個々のポリヌクレオチド(20μl体積中の200〜400ng)または逆転写PCR産物(200〜400ng)を、ウェル中の非変性1.2%のアガロースE−Gel(Invitrogen,Carlsbad,CA)上に装填し、製造業者のプロトコルに従って、12〜15分間にわたって実行することができる。
【0936】
実施例9
ナノドロップ修飾RNA定量化及びUVスペクトルデータ
化学合成またはin vitro転写反応からの各ポリヌクレオチドの収率を定量化するためのNanodrop UV吸光度読み取りでは、TE緩衝液(1μl)中の修飾ポリヌクレオチドを使用することができる。
【0937】
実施例10
リピドイドを使用した修飾mRNAの製剤化
ポリヌクレオチドを、細胞に添加する前に、ポリヌクレオチドをリピドイドと規定の比で混合することにより、in vitro実験のために製剤化することができる。in vivo製剤は、身体全体の循環を促進するために特別な成分の添加を必要とし得る。これらのリピドイドがin vivo研究に適する粒子を形成する能力を試験するために、siRNA−リピドイド製剤に使用される標準的な製剤化プロセスは、出発点として使用することができる。粒子の形成後に、ポリヌクレオチドは、添加し、複合体を一体化させることができる。封入効率は、標準的な色素排除アッセイを使用して決定することができる。
【0938】
実施例11
タンパク質発現についてのスクリーニング法
A.エレクトロスプレーイオン化
対象に投与されたポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を含有し得る生体試料を調製し、エレクトロスプレーイオン化(ESI)のための製造者プロトコルに従って1、2、3または4つの質量分析器を用いて分析することができる。生体試料を、タンデムESI質量分析系を使用して分析することもできる。
【0939】
タンパク質断片、またはタンパク質全体のパターンを、所与のタンパク質について既知の対照と比較することができ、アイデンティティを比較により決定することができる。
【0940】
B.マトリックス支援レーザー脱離/イオン化
対象に投与された1つまたは複数のポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を含有し得る生体試料を調製し、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)のための製造者プロトコルに従って分析することができる。
【0941】
タンパク質断片、またはタンパク質全体のパターンを、所与のタンパク質について既知の対照と比較することができ、アイデンティティを比較により決定することができる。
【0942】
C.液体クロマトグラフィー−質量分析法−質量分析法
1つまたは複数のポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を含有し得る生体試料をトリプシン酵素で処理して、その中に含有されるタンパク質を消化することができる。得られたペプチドを液体クロマトグラフィー−質量分析法−質量分析法(LC/MS/MS)により分析することができる。ペプチドを質量分析計内で断片化して、コンピュータアルゴリズムを介してタンパク質配列データベースに適合させることができる診断パターンを得ることができる。消化された試料は、所与のタンパク質について1ng以下の出発物質を得るために希釈することができる。単純なバッファーバックグラウンド(例えば、水または揮発性塩)を含有する生体試料は、直接溶液中消化に適しており;より複雑なバックグラウンド(例えば、界面活性剤、不揮発性塩、グリセロール)は、試料分析を容易にするために追加のクリーンアップステップを必要とする。
【0943】
タンパク質断片またはタンパク質全体のパターンは、所与のタンパク質について既知の対照と比較することができ、アイデンティティを比較により決定することができる。
【0944】
実施例12
G6PCをコードするmRNAの合成
G6PCポリペプチドをコードする配列最適化ポリヌクレオチドを、実施例1〜11に記載のとおりに合成し、かつ特徴付ける。
【0945】
ヒトG6PCまたはその変異バリアントをコードするmRNAは、例えば、それぞれ配列番号194、199または205で提示されるORF配列(アミノ酸)を使用することにより構築することができる。上記mRNA配列は、ORF配列(ヌクレオチド)に隣接する5’UTR領域及び3’UTR領域の両方を含む。例示的なコンストラクトでは、上記5’UTR及び3’UTR配列は、それぞれ配列番号3及び配列番号150
5’UTR:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC(配列番号3)
3’UTR:
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号150)
である。
【0946】
別の例示的なコンストラクトでは、上記5’UTR及び3’UTR配列は、それぞれ配列番号3及び175(下を参照されたい):
5’UTR:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC(配列番号3)
3’UTR:
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号175)
である。
【0947】
別の例示的なコンストラクトでは、上記5’UTR及び3’UTR配列は、それぞれ配列番号3及び4(下を参照されたい):
5’UTR:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC(配列番号3)
3’UTR:
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号4)
である。
【0948】
別の例示的なコンストラクトでは、上記5’UTR及び3’UTR配列は、それぞれ配列番号3及び177(下を参照されたい):
5’UTR:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC(配列番号3)
3’UTR:
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号177)
である。
【0949】
別の例示的なコンストラクトでは、上記5’UTR及び3’UTR配列は、それぞれ配列番号3及び178(下を参照されたい):
5’UTR:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC(配列番号3)
3’UTR:
UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号178)
である。
【0950】
別の例示的なコンストラクトでは、上記5’UTR及び3’UTR配列は、それぞれ配列番号193及び150(下を参照されたい):
5’UTR:
UCAAGCUUUUGGACCCUCGUACAGAAGCUAAUACGACUCACUAUAGGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC(配列番号193)
3’UTR:
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号150)
である。
【0951】
G6PC mRNA配列を、修飾mRNAとして調製する。具体的には、in vitro転写中に、mRNAがウリジンの代わりに100%のN1−メチルシュードウリジンを含有することを確認するために、修飾mRNAを、N1−メチルシュードウリジン−5’−トリリン酸を使用して生成することができる。さらに、ポリAテイルを導入するプライマーを用いて、G6PC−mRNAを合成することができ、Cap1構造を、ワクシニアウイルスキャッピング酵素及び2’−Oメチルトランスフェラーゼを使用したmRNAの両方で生成して、m7G(5’)ppp(5’)G−2’−O−メチルを生成する。
【0952】
実施例13
G6PアーゼをコードするmRNAのin vitro発現
ヒトG6PC(hG6PC;配列番号48)、FLAGタグ付きhG6PC(配列番号45)、マウスG6PC(mG6PC;配列番号46)、及びFLAGタグ付きmG6PC(配列番号47)をコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNAコンストラクトのin vitro発現をヒト胎児由来腎臓細胞系で測定した。HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL1573(商標))を、トランスフェクションの1日前に6ウェルプレート(BD Biosciences,San Jose,USA)に播種した。ヒトもしくはマウスG6PC配列、またはGFP対照のそれぞれをコードする修飾mRNA製剤を、1ウェル当たりOPTI−MEM250μL中のmRNA2μg及びLipofectamine MessengerMAX6μLを使用してトランスフェクトし、インキュベートした。
【0953】
24時間後に、一定量の溶解バッファーを使用して、細胞を溶解させた。それぞれのタンパク質濃度を決定した。G6PCの発現を分析するために、総タンパク質20μgを含有する等しい負荷量の各溶解産物を負荷バッファー中で調製し、キャピラリー電気泳動(CE)分析にかけた。ベータ−アクチンを対照として使用した。G6PCの検出のために、市販の抗体を、製造者指示に従って使用した(Atlas HPA052324抗G6PC抗体)。結果を、mockトランスフェクトされた細胞におけるG6PC発現レベルと比較した。
【0954】
図1Aは、G6PCがmRNAコンストラクトのそれぞれから発現されたが、eGFP mRNAでトランスフェクトされた細胞またはmockトランスフェクトされた細胞では検出されなかったことを示している。
図1Bは、CEシグナルの定量分析に由来するコンストラクトのそれぞれの相対発現レベルを示している。
【0955】
ヒトG6PC(配列番号48)をコードするmRNAでの一次患者線維芽細胞のトランスフェクションは、小胞体(ER)に局在化されたG6PCをもたらした(データは図示せず)。上記G6PCタンパク質は、ER特異的マーカーであるカルネキシン(カルネキシン特異的抗体、Abcam22595で検出)と同時局在化した(データは図示せず)。
【0956】
実施例14
mRNAコード化G6Pアーゼのin vitro活性
G6PC配列を含むmRNAの導入後に外因的に発現されたG6PCが活性であるかどうかを決定するために、in vitroでのG6PC活性アッセイを行った。
【0957】
A.発現アッセイ
HEK293細胞を、ヒトG6PC(hG6PC;配列番号48)、FLAGタグ付きhG6PC(配列番号45)、マウスG6PC(mG6PC;配列番号46)、またはFLAGタグ付きmG6PC(配列番号47)、またはGFP対照を含むmRNA製剤でトランスフェクトした。細胞を、Lipofectamin2000でトランスフェクトし、上記の実施例13に記載のとおりに溶解させた。
【0958】
B.活性アッセイ
mRNA発現されたG6PCが機能し得るかどうかを評価するために、トランスフェクトされたHEK293細胞溶解産物を酵素活性の供給源として使用して、in vitro活性アッセイを行った。G6PCは、グルコース−6−Pからグルコース及び無機リン酸(Pi)への加水分解を触媒する。Taussky−Shorr Color試薬アッセイを使用して、トランスフェクトされた細胞における無機リン酸のレベルを決定し、それにより、G6PCの活性レベルを示した(全体が参照により本明細書に援用されるTaussky及びShorr,J.Biol.Chem.1953,202(2):675−685、及び
図2Aを参照されたい)。
図2Bは、ヒトG6PC(hG6PC;配列番号48)、FLAGタグ付きhG6PC(配列番号45)、マウスG6PC(mG6PC;配列番号46)、またはFLAGタグ付きmG6PC(配列番号47)をコードするmRNAのそれぞれでトランスフェクトされたHEK293細胞が、eGFP対照またはmockトランスフェクトされた細胞と比べてPiレベルの増加により示されるとおり、G6Pアーゼ活性を示すG6PCを発現したことを示している。
【0959】
実施例15
ナノ粒子組成物の生成
A.ナノ粒子組成物の生成
ナノ粒子は、混合プロセス、例えば、マイクロ流体工学及び2つの流体ストリームのT接合混合で作製することができ、流体ストリームのうちの1つは、ポリヌクレオチドを含有し、他方は、脂質構成成分を有する。
【0960】
脂質組成物は、本明細書に開示のイオン性アミノ脂質、例えば、化合物IIなどの式(I)による脂質または化合物VIなどの式(III)による脂質、リン脂質(例えば、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から入手可能なDOPEまたはDSPC)、PEG脂質(例えば、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から入手可能なPEG−DMGとしても公知の1,2−ジミリストイル−sn−グリセロールメトキシポリエチレングリコール)、及びエタノール中約50mMの濃度の構造脂質(例えば、Sigma−Aldrich(Taufkirchen,Germany)から入手可能なコレステロール、もしくはコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、及びヒドロコルチゾン)またはそれらの組合せ)を組み合わせることにより調製される。溶液は、例えば、−20℃で保存するために冷蔵すべきである。所望のモル比を得るために、脂質を合わせ、約5.5mM〜約25mMの最終脂質濃度まで、水及びエタノールで希釈する。
【0961】
脂質溶液を、約5:1〜約50:1の脂質組成物対ポリヌクレオチドwt:wt比でポリヌクレオチドを含む溶液と合わせることにより、ポリヌクレオチド及び脂質組成物を含むナノ粒子組成物を調製する。約1:1〜約4:1の水対エタノール比を有する懸濁液を生成するために、約10ml/分〜約18ml/分の流速のNanoAssemblrマイクロ流体系システムを使用して、脂質溶液をポリヌクレオチド溶液中に急速に注入する。
【0962】
RNAを含むナノ粒子組成物では、ストック溶液を形成するために、脱イオン水中0.1mg/mlの濃度のRNAの溶液を、pH3〜4の間の50mMクエン酸ナトリウムバッファー中で希釈する。
【0963】
ナノ粒子組成物を、エタノールを除去してバッファー交換を達成するために、透析により処理することができる。10kDの分子量カットオフを有するSlide−A−Lyzerカセット(Thermo Fisher Scientific Inc.,Rockford,IL)を使用して、製剤を、一次産物の200倍の体積のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4に対して2回透析する。最初の透析を、室温で3時間にわたって実施する。次いで、上記製剤を、4℃で終夜透析する。得られたナノ粒子懸濁液を、ガラスバイアル中に0.2μmの無菌フィルター(Sarstedt,Nuembrecht,Germany)を通して濾過し、クリンプ栓で密封する。0.01mg/ml〜0.10mg/mlのナノ粒子組成物溶液が一般に得られる。
【0964】
上記方法はナノ沈殿及び粒子形成を誘導する。限定されないが、T接合及び直接注入を含む代替プロセスを、同じナノ沈殿を得るために使用することができる。
【0965】
B.ナノ粒子組成物の特徴付け
Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd,Worcestershire,UK)を使用して、粒径の決定では1×PBS及びゼータ電位の決定では15mMのPBS中で、ナノ粒子組成物の粒径、多分散指数(PDI)、及びゼータ電位を決定することができる。
【0966】
紫外可視分光法を使用して、ナノ粒子組成物中のポリヌクレオチド(例えば、RNA)の濃度を決定することができる。1×PBS中の希釈製剤100μLを、メタノール及びクロロホルムの4:1(v/v)の混合物900μLに添加する。混合後、DU800分光光度計(Beckman Coulter,Beckman Coulter,Inc.,Brea,CA)で、例えば、230nm〜330nmの、溶液の吸光度スペクトルを記録する。ナノ粒子組成物中のポリヌクレオチドの濃度は、組成物で使用されるポリヌクレオチドの減衰係数、及び例えば260nmの波長の吸光度と例えば330nmの波長の基線値との間の差に基づいて計算することができる。
【0967】
RNAを含むナノ粒子組成物では、QUANT−IT(商標)RIBOGREEN(登録商標)RNAアッセイ(Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA)を使用して、ナノ粒子組成物によるRNAの封入を評価することができる。試料を、TEバッファー溶液(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH7.5)中、約5μg/mLの濃度に希釈する。希釈された試料50μLをポリスチレン96ウェルプレートに移し、TEバッファー50μLまたは2%のトリトンX−100溶液50μLのいずれかをウェルに添加する。プレートを37℃の温度で15分間インキュベートする。RIBOGREEN(登録商標)試薬をTEバッファー中で1:100に希釈し、この溶液100μLを各ウェルに添加する。蛍光強度は、蛍光プレートリーダー(Wallac Victor 1420 Multilablel Counter;Perkin Elmer,Waltham,MA)を使用して、例えば約480nmの励起波長及び例えば約520nmの発光波長で測定することができる。試薬ブランクの蛍光値を試料のそれぞれのものから差し引き、遊離RNAのパーセンテージを、インタクトな試料(トリトンX−100無添加)の蛍光強度を破砕試料の蛍光値(Triton X−100の添加により生じる)で割ることにより決定する。
【0968】
ナノ粒子組成物の例示的な製剤を以下の表6に提示する。「化合物」という用語は、MC3、化合物II、または化合物VIなどのイオン性脂質を指す。「リン脂質」は、DSPCまたはDOPEであり得る。「PEG脂質」は、PEG−DMGまたは化合物Iであり得る。
表6.ナノ粒子の例示的な製剤
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【0969】
実施例16
GSD−Iaのための肝臓特異的G6PC(−/−)ノックアウトマウスモデル
G6PCをコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNAコンストラクトの、in vivoでG6PCを発現する能力を評価するために、野生型ヒトG6PCまたは変異型G6PCをコードするmRNAを、GSD−Iaの動物モデルに導入した。
【0970】
GSD−Iaの遺伝子マウスモデルは、肝臓特異的G6PCノックアウトマウス(L−G6PC(−/−))マウスモデルである(全体が参照により本明細書に援用されるMutel et al.,J.Hepatol.,2011,54(3):529−37)。完全にノックアウトされたG6PCを有するGSD−Iaのためのマウスモデルが作出されているが、これらのマウスは通常、3か月より長く生存せず、そのため、長期的な病因を評価することが不可能となっている。対照的に、L−G6PC(−/−)マウスは、成体マウスにおいてG6PCのタモキシフェン誘導性肝臓欠失により作出された。これらのマウスは生存可能であり、給餌状態のときには正常血糖を示す。しかしながら、L−G6PC(−/−)マウスは、野生型マウスのようにはグリコーゲンを動員することができず、そのため、6時間の絶食後には、有意に上昇したグリコーゲンレベルと、かなり低い血中グルコースレベルを示す(かつ、低血糖症である)。時間が経つにつれて、おそらく肝臓外組織からの補償により、これらのマウスにおいて血中グルコースレベルが徐々に上昇する。L−G6PC(−/−)マウスは、グリコーゲン及びトリグリセリド蓄積の結果として、肝臓腫脹及び脂肪肝を発症する。
【0971】
結果として、mRNA有効性を、L−G6pc(−/−)マウスに、G6PC mRNAまたはGFPをコードする対照mRNAのいずれかを静脈内注射することにより評価した。上記mRNAを、マウスに送達するために、脂質ナノ粒子中、例えば、MC3または他の脂質製剤中で製剤化した。マウスをmRNA注射後に2.5〜24時間にわたって絶食させた。グルコースレベル及び体重を注射時(0時)及び注射後の複数時点で(例えば、注射後2.5時間、6時間、9時間、及び24時間目)に測定した。一部の状況下では、注射後24時間目に、マウスを屠殺し、mRNAレベル、G6PC活性、グリコーゲンレベル、及びG6Pレベルを肝臓で測定し;組織重量を測定し(肝臓重量);かつトリグリセリド、コレステロール、尿酸、乳酸、ALTを血清中で測定した。
【0972】
実施例17
発現及び活性を上昇させるために操作されたG6PCバリアント
G6PCの効力及び/または安定性を改善するために、変異を野生型ヒトG6PCに導入した。野生型G6PCと比べて発現レベルの上昇、G6Pアーゼ活性の上昇、及び作用持続時間の延長を示すかどうかを決定するために、変異体をマウスで発現させた。野生型CD−1マウスで発現させた場合に、野生型タンパク質と比べてタンパク質発現レベルの上昇及び肝G6Pアーゼ活性の上昇を示す2つのG6PCタンパク質バリアントが同定された。一方の変異型G6PCコンストラクト(バリアント1(V1)、配列番号50)は、S297G、S298C、V308L、V321I、及びV340L置換を含有する。第2の変異型G6PCコンストラクト(バリアント2(V2)、配列番号51)は、Q139R、I142K、Q247R、S298C、及びV308L置換を含有する。両方のバリアント(V1及びV2)が、野生型G6PC(WT)よりも高いタンパク質発現及びG6Pアーゼ活性を示したが、バリアント2(V2)は、バリアント1よりも高いタンパク質発現及びG6Pアーゼ活性を示した(
図3A及び3Bを参照されたい)。
【0973】
バイオインフォマティクスツールを使用して、野生型ヒトG6PC配列との比較において発現及び/または活性レベルの増強を示す個々のアミノ酸置換を同定した。目的は、おそらくバリアント2のG6PC変異体と比べて同じか、または良好な発現及び/または活性を示すが、バリアント2変異体よりも少ない変異を持つG6PC変異体を同定することであった。
図4は、このバイオインフォマティクス分析の結果を示している。100種超の哺乳類G6PCタンパク質配列をアラインさせ、各位で用いられるコンセンサスアミノ酸を、ヒトG6PCにおいて用いられているものと比較した。それに応じて、各位のコンセンサススコア及び参照スコアを計算した(
図4)。コンセンサス及び参照スコアにおいて比較的大きな差を有する位を同定して、ヒトG6PC中の個々のアミノ酸をコンセンサスアミノ酸(または非ヒト哺乳類種により、より頻繁に使用されるもの)に置換し、その置換がG6PC発現及び/または活性を改善するかどうかを決定するために試験した。
【0974】
これらの個々のG6PC置換のサブセット(参照スコアとコンセンサススコアとの間に最大差を有するもの、
図4のボックス内)のG6Pアーゼ活性をHela細胞において試験した。Hela細胞を6ウェルプレートで増殖させ、単一のアミノ酸置換を有するG6PCをコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNA1μgでトランスフェクトした。実施例15に記載のとおり、G6Pアーゼ活性を48時間後に細胞溶解産物中で試験した。具体的には、細胞を、Q139R(配列番号53)、I142K(配列番号54)、Q247R(配列番号55)、S297G(配列番号56)、S298C(配列番号57)、V308L(配列番号58)、V321I(配列番号59)、V321L(配列番号60)、V340L(配列番号61)、V332A(配列番号62)、及びS298A(配列番号65)から選択される単一の置換を有するヒトG6PCをコードするmRNA、またはQ139R/Q247R/S298C(配列番号63)及びQ247R/S298C(配列番号64)から選択される複数の置換を有するヒトG6PCをコードするmRNAでトランスフェクトした。G6Pアーゼ活性を、eGFP、野生型ヒトG6PCをコードするmRNA、またはバリアント2のG6PCをコードするmRNAでトランスフェクトされた対照細胞と比較した。
図5Aは、5つのアミノ酸置換(Q139R、I142K、Q247R、S298C、及びV308L)を有するバリアント2のG6PC変異体と同様のレベルで、S298C単一置換がG6PC活性の増強に寄与したことを示している。したがって、S298C置換がおそらく、バリアント2のG6PC変異体で観察される活性の増強の大部分を担っている。
【0975】
S298C置換がG6PCバリアント2変異体の活性及び発現の増強の大部分を担っていることを確認するために、追加の変異をG6PCに対して行った。上記のとおり、S298A置換、S298T置換、Q247R及びS298C置換、Q139R及びQ247R置換を有するG6PCをコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNAをHela細胞にトランスフェクトし、実施例15に記載のとおり、G6Pアーゼ活性を48時間後に細胞溶解産物中で試験した。G6Pアーゼ活性をeGFP、野生型ヒトG6PCをコードするmRNA、またはバリアント1 G6PCをコードするmRNAでトランスフェクトされた対照細胞と比較した。
図5Bで、S298C置換が、バリアント2のG6PC変異体の活性の増強の大部分を担っていることが確認される。S298A及びS298T置換は低い活性を示したので、セリンからシステインへの変異がG6PCの安定性及び活性の増強には必要である。加えて、S298Cと、比較的高いG6Pアーゼ活性を示した他の置換であるQ139RまたはQ247R(
図5Aを参照されたい)との組合せは、S298C置換のG6Pアーゼ活性の上昇に対して中等度の効果を有した。ヒトG6PCの相対発現を正規化するための対照としてErp72を使用して、ウェスタンブロット法分析を行った。
図5Cは、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAが、バリアント2変異体の発現レベル及び/または安定性の増強に近い、高い発現レベル及び/または安定性の増強を示したことを示している。Q139R及びQ247R置換を有するG6PCをコードするmRNAも、バリアント2変異体で観察されたレベルに近い、高い発現レベル及び/または安定性を示した。
【0976】
個々のQ139R及びQ247R G6PC置換の活性及び発現レベルも上記のとおり試験した。
図5Dは、Q139RまたはQ247R置換を有するG6PCが、野生型G6PCよりも高いG6Pアーゼ活性、しかし、S298C置換を有するG6PCよりは低いG6Pアーゼ活性を示すことを示している。
図5Eは、G6PCのアミノ酸139または247位でのグルタミンから、アルギニンではなくアラニンへの変異がG6PAアーゼ活性の増強を排除したので、この効果の特異性を示している。
図5Fは、Q139RまたはQ247R置換を有するG6PCが野生型G6PCよりも多い発現、しかし、S298C置換を有するG6PCよりは少ない発現を示すことを示している。
図5Gは、G6PCのアミノ酸139または247位でのグルタミンから、アルギニンではなくアラニンへの変異が発現の増強を排除したので、この効果の特異性を示している。したがって、S198Cに加えて、ヒトG6PCにおけるQ139R及びQ247R置換も、哺乳類細胞におけるヒトG6PC mRNAのタンパク質発現及び活性の増強において有利であると考えられる。
【0977】
実施例18
mRNAコンストラクトのコドン最適化
mRNAの性能をさらに改善してタンパク質発現及び活性を上昇させるために、アルゴリズムを使用して、操作されたG6PCバリアントをコードするmRNAをコドン最適化した。
【0978】
バリアント1及びバリアント2変異体をそれぞれをコドン最適化した。5つのコドン最適化mRNAコンストラクトをバリアブル1及びバリアブル2のG6PC変異体のそれぞれについて作製した(hG6PC V1 Co−1(配列番号72)、hG6PC V1 Co−2(配列番号73)、hG6PC V1 Co−3(配列番号74)、hG6PC V1 Co−4(配列番号75)、hG6PC V1 Co−5(配列番号76)、hG6PC V2 Co−1(配列番号77)、hG6PC V2 Co−2(配列番号78)、hG6PC V2 Co−3(配列番号79)、及びhG6PC V2 Co−4(配列番号80)、hG6PC V2 Co−5(配列番号81))。コドン最適化バリアント1mRNA(hG6PC V1_Co−3;配列番号74)、コドン最適化バリアント2mRNA(hG6PC V2_Co−1;配列番号77)、またはコドン最適化されなかったバリアント2mRNA(配列番号51)を、単回注射を介して野生型マウスに単回1.0mg/kg用量で注射し、実施例15に記載のとおりに、ただし、肝臓ミクロソームを使用して、肝臓中G6PC活性を注射後48または96時間目に測定した。対照マウスには、eGFPをコードするmRNAを注射した。mRNAを、マウスへの送達のために、MC3脂質ナノ粒子中で、または化合物II脂質ナノ粒子中で製剤化した。
図6A及び6Bは、コドン最適化バリアント1及びバリアント2mRNAの両方から発現されたG6PCが、脂質ナノ粒子を使用したにも関わらず、注射後48及び96時間目の両方で、非コドン最適化バリアント2(V2)mRNAから発現されたG6PCと比較して高いG6Pアーゼ活性を示したことを示している。
*P<0.05(バリアント2(V2)に対して)一元ANOVA、続いて、ダネット検定(各時点内)。
【0979】
加えて、コドン最適化バリアント1mRNA(hG6PC V1 Co−3(配列番号74)、hG6PC V1 Co−4(配列番号75)、hG6PC V1 Co−5(配列番号76))、及びコドン最適化バリアント2mRNA(hG6PC V2 Co−1(配列番号77)、hG6PC V2 Co−3(配列番号79)、及びhG6PC V2 Co−5(配列番号81))、またはコドン最適化されなかったバリアント1及びバリアント2mRNA(配列番号50及び配列番号51)を、単回注射を介して野生型マウスに単回1.0mg/kg用量で注射し(n=6/コンストラクト)、実施例15に記載のとおりに、ただし、肝臓ミクロソームを使用して、肝臓中G6PC活性を注射後96時間目に測定した。対照マウスには、eGFPをコードするmRNAを注射した。mRNAを、マウスへの送達のために、化合物II脂質ナノ粒子中で製剤化した。
図6Cは、バリアント1変異型タンパク質(下に示すとおりのバリアント2またはCoV2)をコードするコドン最適化mRNA(hG6PC V2 CoV2−1)の注射が、全般的にバリアント1及びバリアント2変異体をコードする非コドン最適化mRNAの注射と比べて高いG6Pアーゼ活性をもたらしたが、hG6PC V2 CoV2−5mRNAも、より高いG6PAアーゼ活性を示したことを示している。
図6Dは、コドン最適化hG6PC V1 CoV2−3mRNAコンストラクト(下に示すとおりのバリアント1またはCoV1)をコードするmRNAの注射が、最高のG6PCタンパク質発現をもたらしたことを示している。
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001(hG6PC V2に対して)一元ANOVA、続いて、ダネット検定。したがって、CoV2−1(バリアント1)及びCoV2−3(バリアント2)を、さらなる改善のためのテンプレートとして選択した。
【0980】
S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAをコドン最適化したが、これは、コドン最適化バリアント1mRNA配列(上記置換を配列番号74に導入して、S298C_CoV1、配列番号66を生成した)に基づくか、またはコドン最適化バリアント2mRNA配列(上記置換を配列番号77に導入して、S298C_CoV2、配列番号69を生成した)に基づいた。Q139R、Q247R、及びS298C置換を有するG6PCをコードするmRNAをコドン最適化したが、これは、コドン最適化バリアント1mRNA配列(上記置換を配列番号74に導入して、Q139R/Q247R/S298C_CoV1、配列番号67を生成した)に基づくか、またはコドン最適化バリアント2mRNA配列(上記置換を配列番号77に導入して、Q139R/Q247R/S298C/CoV2、配列番号70を生成した)に基づいた。Q139R、I142K、Q247R、S297G、S298C、V308L、V321I、及びV340L置換を有するG6PCをコードするmRNAをコドン最適化したが、これは、コドン最適化バリアント1mRNA配列(上記置換を配列番号74に導入して、M8_CoV1、配列番号68を生成した)に基づくか、またはコドン最適化バリアント2mRNA配列(上記置換を配列番号77に導入して、M8 _CoV2、配列番号71を生成した)に基づいた。
【0981】
実施例19
野生型マウスにおける、mRNAコード化G6PCバリアントのin vivo発現及び活性
コドン最適化及び非コドン最適化1−メチル−シュードウリジン修飾mRNAコンストラクトの、in vivoでG6PCを発現する能力を試験するために、かつG6PCの活性を試験するために、各mRNAコンストラクトの単回1.0mg/kg用量を、尾静脈注射を介して野生型CD−1マウスにIV投与した。S298C置換(配列番号57)、及びS298A変異(配列番号65)、Q139R/Q247R/S298C変異(配列番号63)、もしくはQ247R/S298C変異(配列番号64)を有するG6PCをコードする非コドン最適化mRNAコンストラクト;またはS298C_CoV1(配列番号66)、S298C_CoV2(配列番号69)、Q139R/Q247R/S298C_CoV1(配列番号67)、Q139R/Q247R/S298C_CoV2(配列番号70)、M8_CoV1(配列番号68)、及びM8_CoV2(配列番号71)を含むコドン最適化mRNAコンストラクト。上記mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II)中で製剤化した。対照マウスには、野生型ヒトG6PCをコードするeGFPまたはmRNAを投与した。1種のmRNAコンストラクト当たり4匹のマウスに注射した。動物を注射から96時間後に屠殺し、各動物から肝臓0.5gを除去し、生理食塩水5ml中で均質化し、肝臓ミクロソームを調製した。キャピラリー電気泳動またはウェスタンブロットによりG6PCタンパク質発現を決定し、肝臓ミクロソームを使用してG6Pアーゼ活性を決定した。
【0982】
図7Aは、コドン最適化バリアント1 G6PC変異体に基づきコドン最適化されたmRNAコンストラクトが、バリアント2 G6PC変異体に基づきコドン最適化されたコンストラクトまたはコドン最適化されなかったコンストラクトと比較して高いG6Pアーゼ活性レベルを示したことを示している。S298C、Q139R/Q247R/S298C、またはM8置換を有するG6PCタンパク質は、同様のG6Pアーゼレベルを示した。
図7Bは、コドン最適化バリアント1 G6PC変異体に基づきコドン最適化されたmRNAコンストラクトが、バリアント2 G6PC変異体に基づきコドン最適化されたコンストラクトまたはコドン最適化されなかったコンストラクトと比較して高いG6PC発現レベルを示したことを示している。このデータに基づき、S298C−CoV1を、マウスでのGsd1a疾患モデルにおけるさらなる薬理学研究のために選択した。
【0983】
実施例20
肝臓特異的ノックアウトマウスモデルにおけるmRNAコード化G6PCの作用持続時間の評価−単回用量研究
in vivoでコドン最適化ヒトG6PC S298Cバリアント(S298C_CoV1;配列番号66)をコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNAの有効性及び作用持続時間を試験するために、単回0.5mg/kg用量または1.0mg/kg用量のmRNAを、尾静脈注射を介してL−G6PC(−/−)マウス(1用量当たりn=8〜10マウス)にIV投与した。mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II/PEG−DMG)中で製剤化した。対照として、eGFPをコードするmRNA(1mg/kg)をL−G6PC(−/−)マウス(n=9マウス)に注射し、PBSを野生型マウス(n=8マウス)に注射した。血中グルコースレベルをmRNA注射の3日前(−3日)、ならびに注射からそれぞれ1、3、5、8、11、及び15日後の絶食2.5時間及び6時間目にモニターした。
【0984】
図8A〜8Fは、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAを投与されたL−G6PC(−/−)マウスが、注射後最大11日間にわたって、2.5時間及び6時間にわたる絶食後に、eGFP対照を注射されたマウスよりも高い血中グルコースレベルを示したことを示している。したがって、G6PC mRNAの注射は、L−G6PC(−/−)マウスにおいてeGFP対照よりも高く、かつ正常レベルにより近い絶食時血中グルコースレベルをもたらしたが、それらのレベルは、野生型マウスにおいて観察されたグルコースレベルほどには高くなかった。上記mRNAが0.5mg/kgまたは1mg/kg用量で注射された場合に、この効果は観察された。15日目には(
図8Fを参照されたい)、mRNA注射されたマウスはもはや、eGFP対照マウスと比べて高い血中グルコースレベルを示さなかった。予測されたとおり、PBSを注射された対照野生型マウスは、絶食時に高い血中グルコースレベルを維持し、かつすべてのマウス(野生型対照及びL−G6PC(−/−))が、給餌時には、より高い血中グルコースレベルを有した。
**P<0.01(GFPに対して)一元ANOVA、続いて、多重比較。
****P<0.0001(GFPに対して)一元ANOVA、続いて、多重比較。
【0985】
図8G〜8Hは、0.5mg/kg用量(
図8G)及び1mg/kg用量(
図8H)の投与の時間経過効果を示している。両方の図面において、70mg/dLの治療閾値が実線の横棒により示されている。
【0986】
図9A〜9Cは、L−G6PC(−/−)マウスにおける絶食時グルコースレベルに対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAの注射の効果を、mRNA注射前の絶食時グルコースレベルと比較して示している。
図9Aは、mRNAを1mg/kgで投与した場合、絶食時グルコースが注射後11日目まで有意に増加したことを示している。
図9Bは、mRNAを0.5mg/kgで投与した場合、絶食時グルコースが注射後8日目まで有意に増加したことを示している。
図9Cは、この対照で予測されたとおり、L−G6PC(−/−)マウスへのeGFPの投与は、絶食時グルコースレベルの上昇をもたらさなかったことを示している。
**P<0.01(前処置に対して)対応t検定。
***P<0.001(前処置に対して)対応t検定。
****P<0.0001(前処置に対して)対応t検定。
【0987】
実施例21
肝臓特異的ノックアウトマウスモデルにおけるG6PCをコーディングするmRNAの用量応答の評価
in vivoでコドン最適化ヒトG6PC S298Cバリアント(S298C_CoV1;配列番号66)をコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNAの用量応答を試験するために、単回0.2mg/kg用量、0.5mg/kg用量または1.0mg/kg用量のmRNAを、尾静脈注射を介してL−G6PC(−/−)マウスにIV投与した。1つのmRNAコンストラクト当たり7〜8匹のマウスに注射した。上記mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II/PEG−DMG)中で製剤化した。対照として、eGFPをコードするmRNA(1mg/kg)をL−G6PC(−/−)マウス(n=8マウス)に注射し、PBSを野生型マウス(n=8マウス)に注射した。絶食時グルコースレベルを、2.5時間、6時間、及び24時間にわたって絶食させたマウスにおいて測定し、給餌されたマウスにおけるグルコースレベルと比較した。注射後24時間目に、肝臓試料を収集し、肝臓重量及び外観を記録し、グリコーゲン、G−6−リン酸、トリグリセリド、G6PCタンパク質発現、G6PC活性、hG6PC mRNA、及びIHCのレベルを試料において測定した。注射後24時間目に、血漿をマウスから収集し、かつ肝臓酵素ALT、脂質TG及びコレステロール、乳酸、ならびにhG6PC mRNAレベルを血漿において測定した。
【0988】
図10Aは、0.2mg/kg、0.5mg/kg、及び1.0mg/kg用量のそれぞれで注射されたG6PC mRNA(配列番号66)が、eGFP mRNAを注射された対照マウスにおけるグルコースレベルと比べて、絶食2.5時間、6時間、及び24時間目のL−G6PC(−/−)マウスにおけるグルコースレベルを上昇させたことを示している。絶食2.5時間目に、1mg/kgの単回mRNA用量は、PBSを注射された野生型対照マウスで観察されたグルコースレベルに近いグルコースレベルをもたらした。しかしながら、0.2mg/kg、0.5mg/kg、及び1.0mg/kgでのmRNAの単回用量は、絶食6時間及び24時間目に、絶食した野生型対照マウスにおいてみられるレベルに近い、グルコースのレベルの同様の上昇をもたらした。
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001(GFPに対して)二元ANOVA、続いて、多重比較。
図10Bは、0.2mg/kg、0.5mg/kg、または1.0mg/kgのG6PC mRNAの注射が、L−G6PC(−/−)において、70mg/dLの治療閾値を超える絶食時血中グルコースレベルをもたらしたことを示している(
図10Bにおいて実線の横棒により示されている)。
【0989】
図10Cは、L−G6PC(−/−)マウスにおける絶食時グルコースレベルに対する、S298C置換を有するG6PCをコードする単回0.2mg/kg、0.5mg/kg、及び1mg/kg用量のmRNAの注射の効果を、mRNA注射前の絶食時グルコースレベルと比較して示している。各用量の注射は、注射後に血中グルコースレベルの上昇をもたらし、1mg/kg用量でのmRNAの注射は、グルコースの最大の上昇をもたらす。対照的に、対照野生型マウスにおけるPBSの注射、及びL−G6PC(−/−)マウスにおけるGFPをコードするmRNAの注射は、血中グルコースレベルを上昇させなかった。
**P<0.01、
****P<0.0001(前処置に対して)対応t検定。
【0990】
図11A〜11Bは、L−G6PC(−/−)マウスにおける肝臓重量に対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射の効果を肝臓の総重量(グラム)(
図11A)においてと、体重全体に対するパーセンテージでの肝臓重量(
図11B)としての両方で示している。予測されたとおり、GFPをコードするmRNAを注射された対照L−G6PC(−/−)マウスは、PBSを注射された野生型対照マウスと比較して有意に大きな肝臓を有した。ヒトG6PCタンパク質をコードするmRNAのいずれの単回0.2mg/kg、0.5mg/kgまたは1mg/kg用量の注射も、対照eGFP mRNAで処置されたL−G6PC(−/−)マウスと比べて肝臓重量の有意な低下をもたらした。1mg/kg用量のmRNAの注射は、肝臓サイズの最大の縮小をもたらし、これらのマウスの肝臓は、野生型対照マウスの肝臓と重量において同様であった。
****P<0.0001(GFPに対して)一元ANOVA、続いて、多重比較。
【0991】
図12は、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAを0.2、0.5、または1.0mg/kgで、またはGFPをコードするmRNAを注射された野生型マウスまたはL−G6PC(−/−)マウスからの代表的な肝臓画像を示している。予測されたとおり、L−G6PC(−/−)マウスからの肝臓は肥大しており、野生型マウスにおける肝臓と比較して白っぽく淡色の外観を有した。S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射は、L−G6PC(−/−)マウスにおける肝臓外観の有意な正常化をもたらした。
【0992】
図13Aは、肝グルコース−6リン酸(G6P)、G6Pアーゼの内在性基質に対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射の効果を示している。予測されたとおり、L−G6PC(−/−)マウスからの肝G6P含有率が、野生型マウスと比較して有意に上昇している(eGFP mRNAを注射されたL−G6PC(−/−)マウス及びPBSを注射された野生型マウスを比較する)。S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAの注射は、肝G6P含有率の有意で、かつ用量依存的低下をもたらした。
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001(eGFPに対して)、一元ANOVA、続いて、多重比較。
【0993】
図13Bは、肝グリコーゲンレベルに対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射の効果を示している。L−G6PC(−/−)マウスからの肝グリコーゲン含有率が、野生型マウスと比較して有意に上昇している(eGFP mRNAを注射されたL−G6PC(−/−)マウス及びPBSを注射された野生型マウスを比較する)。S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAの注射は、肝グリコーゲン含有率の有意な低下をもたらした。
【0994】
図13Cは、血清中トリグリセリドレベルに対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射の効果を示している。L−G6PC(−/−)マウスからの血清中トリグリセリドレベルは、野生型マウスと比較して有意に上昇している(eGFP mRNAを注射されたL−G6PC(−/−)マウス及びPBSを注射された野生型マウスを比較する)。S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAの注射は、血清中トリグリセリドレベルの有意な低下をもたらした。
【0995】
図13Dは、血清中ALT(肝臓酵素)レベルに対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射の効果を示している。L−G6PC(−/−)マウスからの血清中ALT(肝臓酵素)レベルは、野生型マウスと比較して有意に上昇している(eGFP mRNAを注射されたL−G6PC(−/−)マウス及びPBSを注射された野生型マウスを比較する)。S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAの注射は、血清中ALTレベルの有意な低下をもたらした。
【0996】
図13Eは、3〜4か月齢のマウスにおける血清中乳酸レベルに対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射の効果を示している。
図13Fは、3〜4か月齢のマウスにおける肝臓中乳酸レベルに対する、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)の注射の効果を示している。
【0997】
図14A〜14Cは、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(配列番号66)を0.2、0.5、もしくは1.0mg/kgで、またはGFPをコードするmRNAを注射されたL−G6PC(−/−)マウスにおける肝G6Pアーゼ活性(
図14A)及びG6PCタンパク質発現(
図14B〜C)を示している。予測されたとおり、GFPをコードするmRNAを注射されたL−G6PC(−/−)マウスは、野生型マウス(PBSを注射された)と比較して非常に低い肝G−6−ホスファターゼ活性を有した。S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAの注射は、肝G−6−ホスファターゼ活性の用量依存的上昇をもたらした(
図14A)。
*P<0.05、
**P<0.01、
****P<0.0001(GFPに対して)、一元ANOVA、続いて、多重比較。S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAの注射はまた、肝G6PCタンパク質発現の用量依存的上昇をもたらした(
図14B〜C;ウェスタンブロットにより分析し、かつイメージング機器 Odyssey CLx及び付属アプリケーション(Li−Cor,Lincoln,NE)を用いて定量化)。
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001(eGFPに対して)、一元ANOVA、続いて、多重比較。
【0998】
実施例22
野生型マウスにおけるmRNAコード化G6PCバリアントの薬物動態(PK)分析
ヒトG6PCバリアントをコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNAの薬物動態分析を野生型CD−1マウスで行った。マウスに、尾静脈注射を介して単回1mg/kg用量の、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNA(S298C_CoV1;配列番号66)またはS298C/Q139R/Q247R置換を有するG6PCをコードするmRNA(Q139R/Q247R/S298C_CoV1;配列番号67)を投与した。上記mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II/PEG−DMG)中で製剤化した。対照マウスにはeGFPを投与した。記載のとおり、肝臓試料を注射から6時間、1日、3日間、7日間、及び14日目に単離した。mRNAレベルをRT−PCRを使用して試料において分析し、ActB(β−アクチン)mRNAレベルにより正規化した。G6PCタンパク質発現レベル及びG6PC活性レベルも、上記のとおり、各時点で肝臓試料においてアッセイした。
【0999】
図15Aは、注射された動物の肝臓におけるmRNAの量(総RNA100ng当たりのG6PC mRNAのpg)を経時的に示している。G6PCバリアントをコードする各mRNA(S298C_CoV1及びQ139R/Q247R/S298C_CoV1)の量は、24時間で急速に減少して、注射後72時間までに、もはや検出できなくなった。
図15B及び15Cは、mRNA発現G6PC S298C及びG6PC Q139R/Q247R/S298Cタンパク質のタンパク質発現レベルを経時的に示しており、
図15Dは、これらのG6PCバリアントでのタンパク質発現の時間経過を比較している。G6PC S298Cタンパク質レベルは、mRNA注射後に、G6PC Q139R/Q247R/S298Cタンパク質レベルよりも早い時期に(例えば、7日目)に、より低いレベルに低下したが、両方のタンパク質が、注射後14日(336時間)までには、同様の低い発現レベルを有する。
図15Eは、G6PC S298Cタンパク質が、タンパク質発現に基づきG6PC Q139R/Q247R/S298Cタンパク質よりも有意に低い曲線下面積(AUC)値を示したことを示している。
**P<0.01。
図15Fは、mRNA発現G6PC S298Cタンパク質のG6Pアーゼ活性がmRNA注射後14日間の経過で、mRNA発現G6PC Q139R/Q247R/S298Cタンパク質のG6Pアーゼ活性よりもわずかだが一貫して低いことを示している。
図15Gは、G6PC S298Cタンパク質が、タンパク質活性に基づき、G6PC Q139R/Q247R/S298Cタンパク質よりも有意に低い曲線下面積(AUC)値を示したことを示している。
**P<0.01。
【1000】
マウスに、尾静脈注射を介して、単回1mg/kg用量の、S298C置換を有するG6PC(hG6PC S298C_CoV1(配列番号66)またはG6PC_S298C_Astart_3XmiR142(配列番号215))をコードするmRNAを投与した。mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II/PEG−DMG)中で製剤化した。対照マウスには、eGFPを投与した。肝臓試料を注射後24時間で単離した。G6PCタンパク質発現レベル及びG6PC活性レベルを、上記のとおり、肝臓試料中でアッセイした。
図15H〜15Iは、各mRNAの投与後のG6PCタンパク質発現レベル(
図15H)及びG6Pアーゼ活性(
図15I)を示している。
【1001】
実施例23
肝臓特異的ノックアウトマウスモデルにおけるmRNAコード化G6PCの有効性の持続の評価−反復投与研究
L−G6PC(−/−)マウスに、S298C置換を有するG6PCをコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNA(S298C_CoV1;配列番号66)、S298C/Q139R/Q247R置換を有するG6PCをコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNA(Q139R/Q247R/S298C_CoV1;配列番号67)、またはeGFP mRNAの5回の連続静脈内注射を、それぞれ0.5mg/kgまたは0.25mg/kgの用量で、11から14日間隔で51日間の経過で投与した。上記mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II/PEG−DMG)中で製剤化した。PBSを投与される野生型C57BL/6Jマウスを対照として使用した。給餌及び絶食時グルコースレベル(絶食後2.5時間)を、それぞれの注射から3〜4日後ごとに測定した。基線の給餌及び絶食時グルコースレベル(絶食後2.5時間)も、上記mRNAを注射する5日前に測定した。最後(5回目)の注射後に、マウスを絶食させ、絶食時グルコースレベルを絶食後2.5、6、及び24時間目にモニターした。存命中研究の終了時に、血液及び組織収集のために、マウスを頸椎脱臼により屠殺した。肝臓を採取し、秤量し、撮影した。肝臓片をさらなる分析のために液体窒素でスナップ凍結するか、またはホルマリン中で固定し、免疫組織化学のためにパラフィンに包埋した。血漿試料も収集し、さらなる分析のために液体窒素中でスナップ凍結した。
【1002】
図16は、複数の用量の0.25mg/kgの、S298C置換(「単一」)を有するG6PCをコードするmRNAまたはS298C/Q139R/Q247R置換(「三重」)を有するG6PCをコードするmRNAを投与されたL−G6PC(−/−)マウスが、2.5時間にわたる絶食後に、eGFP対照を注射されたマウスよりも高い血中グルコースレベルを示したことを示している。上記G6PC mRNAの両方のそれぞれ5用量の注射は、L−G6PC(−/−)マウスにおいて、70mg/dLの治療閾値(
図16において実線の横棒により表示)を超える血中グルコースレベルをもたらした。予測されたとおり、PBSを注射された対照野生型マウスは、絶食時に高い血中グルコースレベルを有した。
【1003】
図17は、S298C置換(「単一」)を有するG6PCをコードするmRNAまたはS298C/Q139R/Q247R置換(「三重」)を有するG6PCをコードするmRNAの注射が、L−G6PC(−/−)対照マウスと比べて肝臓重量の有意な減少をもたらしたことを示している。mRNAを0.5mg/kgで投与されたマウスでは、肝臓重量を5回目の用量後に測定した。
【1004】
実施例24
種々の脂質ナノ粒子製剤中の、mRNAコード化G6PCの作用の評価
種々の脂質ナノ粒子製剤の有効性を試験するために、G6PC S298Cバリアントをコードする1−メチル−シュードウリジン修飾mRNA(G6PC_S298C_Astart;配列番号214)を、L−G6PC(−/−)マウス(1群当たりn=8または9マウス)に、mRNAの単回1.0mg/kg用量で、尾静脈注射を介してIV投与した。上記mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II/PEG−DMGまたは化合物II/化合物I)中で製剤化した。対照として、eGFPをコードするmRNA(1mg/kgで)をL−G6PC(−/−)マウス(化合物II/化合物I)に注射し、トリス−スクロースバッファーを野生型マウスに注射した。血中グルコースレベルを、注射後それぞれ0、1、3、7、10、及び14日目の絶食2.5時間目にモニターした。
【1005】
図18は、化合物II/PEG−DMGまたは化合物II/化合物I脂質ナノ粒子のいずれかの中の、S298C置換を有するG6PCをコードするmRNAを投与されたL−G6PC(−/−)マウスが、2.5時間にわたって絶食した後に、eGFP対照を注射されたマウスよりも高い血中グルコースレベルを示したことを示している。L−G6PC(−/−)マウスにおいて、両方の脂質ナノ粒子中のG6PC mRNAの注射が70mg/dLの治療閾値(
図18において実線の棒により表示)を超える血中グルコースレベルをもたらした。
【1006】
実施例25
野生型マウスにおけるmiRNA標的化mRNAコード化G6Pアーゼのin vivo発現
ヒトG6PCバリアントをコードする1−メチル−シュードウリジン−修飾mRNAの3’UTR中のmiRNA−142標的部位の影響を野生型CD−1マウスにおいて試験した。マウスに、S298C置換を有するG6PCをコードし、かつ3’UTR中のmiR−142標的部位を欠いたmRNA(hG6PC S298C_CoV1;配列番号66)またはS298C置換を有するG6PCをコードし、かつ3’UTR中に3つのmiR−142標的部位を有するmRNA(G6PC_S298C_Astart_3XmiR142;配列番号215)の単回1mg/kg用量を投与した。上記mRNAを、マウスへの送達のために、脂質ナノ粒子(化合物II/PEG−DMG)中で製剤化した。対照マウスには、eGFPを投与した。肝臓及び脾臓試料を、上記のとおり、注射後24時間で単離した。G6PCタンパク質発現レベルを、上記のとおり、肝臓及び脾臓試料でアッセイした。
【1007】
図19Aは、3’UTR中にmiR−142標的部位を有する(miR142;配列番号215)、及び有さない(miRなし;配列番号66)mRNA発現G6PC S298Cの肝臓タンパク質発現レベルを示している。3’UTR中にmiR−142標的部位を有するG6PC S298CをコードするmRNA(配列番号215)は、G6Pアーゼタンパク質の肝臓発現において、3’UTR中にmiR−142標的部位を有さないG6PC S298CをコードするmRNA(配列番号66)と同様に有効であった。
図19Bは、3’UTR中にmiR−142標的部位を有する(miR142;配列番号215)、及び有さない(miRなし;配列番号66)mRNA発現G6PC S298Cの脾臓タンパク質発現レベルを示している。G6PC S298CをコードするいずれのmRNAも、脾臓においてG6Pアーゼタンパク質発現をもたらさなかった。
【1008】
実施例26
腎臓近位尿細管セグメント(TKPTS)細胞におけるmRNAコード化G6Pアーゼのin vitro発現
hG6PCバリアントをコードするLNP製剤化1−メチル−シュードウリジン−修飾mRNAの腎臓細胞への送達を試験するために、様々なトランスフェクション方法をTKPTS細胞において試験した。マウスTKPTS細胞をmockトランスフェクトしたか(mRNAなし、陰性対照)、またはS298C置換を有するhG6PCをコードするmRNA(hG6PC S298C_CoV1;配列番号66)でトランスフェクトした。mRNAを化合物II/PEG−DMGもしくは化合物II/化合物I LNP中で製剤化したか、またはLipofectamine MessengerMAX(ThermoFisher Scientific)を使用してトランスフェクトした。トランスフェクション後4及び24時間目に、細胞をLNP取り込み、hG6PC mRNAレベル、及びhG6Pアーゼ発現レベルについてモニターした。LNPをローダミンで標識して、細胞における蓄積を追跡した。G6PC発現レベルを上記のとおりアッセイした。
【1009】
図20Aは、10%ウシ胎児血清(FBS;左)または5%ヒト血清(右)の存在下での、S298C置換を有するhG6PCをコードするmRNA(配列番号66)での細胞のトランスフェクション後の表示時点でのTKPTS細胞へのLNP取り込みを示している;陰性対照は、トランスフェクトされていない細胞である。化合物II/PEG−DMG及び化合物II/化合物I LNPは、MessengerMAX取り込みと比較して多いLNP取り込みを示した。
図20Bは、10%ウシ胎児血清(FBS;左)または5%ヒト血清(右)の存在下での、S298C置換を有するhG6PCをコードするmRNA(配列番号66)での細胞のトランスフェクション後の表示時点でのTKPTS細胞でのeGFP発現を示している。
図20Cは、10%ウシ胎児血清(FBS;左)または5%ヒト血清(右)の存在下での、S298C置換を有するhG6PCをコードするmRNA(配列番号66)での細胞のトランスフェクション後の表示時点でのTKPTS細胞でのhG6PC発現を示している。
図20Dは、10%ウシ胎児血清(FBS;左)または5%ヒト血清(右)の存在下での、S298C置換を有するhG6PCをコードするmRNAでの細胞のトランスフェクション後の表示時点での、TKPTS細胞においてトランスフェクトされたmRNAを発現する細胞のパーセンテージを示している。
【1010】
実施例27
腎臓におけるmRNAコード化G6Pアーゼのin vivo発現
LNP製剤化1−メチル−シュードウリジン修飾hG6PC mRNAの腎臓への送達を、K.G6PC
−/−マウスにおいて試験した。K.G6PC
−/−マウスに、eGFPまたはS298C置換を有するhG6PCをコードするmRNA(hG6PC S298C_CoV1;配列番号66)を含む化合物II/PEG−DMG LNP1mg/kgを、静脈内経路を介して投与した。対照として、野生型マウスにはPBSを静脈内投与した。投与後6または24時間で、マウスを屠殺し、タンパク質発現及び酵素活性を上記のとおりアッセイした。
【1011】
図21Aは、PBSを投与された野生型マウスまたはeGFP mRNAもしくはhG6PC mRNA(配列番号66)を投与されたK.G6PC
−/−マウスにおけるG6Pアーゼ発現を、野生型マウスにおけるレベルに対するパーセンテージとして示している。
図21Bは、PBSを投与された野生型マウスまたはeGFP mRNAもしくはhG6PC mRNAを投与されたK.G6PC
−/−マウスにおけるG6Pアーゼ活性を示している。G6Pアーゼ発現をウェスタンブロットにより決定した。K.G6PC
−/−マウスは、腎臓において、野生型マウスのものと比較して、約50%のG6Pアーゼ発現及び活性を有した。
【1012】
概要及び要約のセクションではなく、詳細な説明のセクションが、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることは理解されるべきである。概要及び要約のセクションは、本発明者(複数可)により企図されるとおりの1つまたは複数ではあるが、すべてではない本発明の例示的実施形態を記載してもよく、したがって、いかなる意味でも本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【1013】
本開示を、特定の機能及びその関係の実施を例示する機能的な構成要素を用いて上記で説明してきた。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の利便性のために本明細書で適宜定義されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、別の境界を定義することができる。
【1014】
特定の実施形態の上述の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにするので、他の者は、当業者の技能範囲内の知識を適用することにより、本発明の一般的な概念を逸脱することなく、過度な実験をすることなく、特定の実施形態などの種々の用途を容易に修正し、及び/またはこれらに適合させることができる。したがって、そのような適応及び修正は、本明細書に提示の教示及び指導に基づき、意味の範囲及び開示された実施形態の均等物の範囲内にあるものとする。本明細書の語法または用語は、本明細書の用語または語法が教示及び指導に照らして当業者により解釈されるように、説明のためのものであり、制限するものではないことを理解すべきである。
【1015】
本発明の広がり及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではないが、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物に従ってのみ定義されるべきである。
【1016】
本明細書に記載のすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、その全体が参照により援用される。矛盾する場合には、定義を含めて、本明細書が優先するものとする。