(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含む、調整されたナノ粒子組成物を製造する方法、それにより得られる組成物、及びこのような組成物の使用に関する。調整された組成物は、改良されたパラメーター、例えば、より低いバッチ間変化及び改良された安定性を有し、磁気イメージング剤として有用である。
ステップiii)がクエン酸塩のような等張化剤を、限外ろ過された組成物又は調整された組成物に、好ましくは鉄のwt.%に対して7〜12wt.%の量で、添加することを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
ステップiii)がデキストラン−T1を限外ろ過された組成物又は調整された組成物に、調整された組成物が鉄のwt.%に対して少なくとも140wt.%で最大160wt.%のデキストラン−T1を含むように、添加することを更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
ステップi)の限外ろ過された組成物のろ液が500μS/cm未満、好ましくは50μS/cm未満、より好ましくは25μS/cm未満の導電率を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
医薬として使用するための請求項11〜14のいずれか一項に記載の組成物であって、医薬が好ましくはインビボ診断用であり、より好ましくはMRI造影剤用である、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】デキストランにより安定化された酸化鉄コアの略図である。図は一定の縮尺で記載されてはいない。
【
図2】本発明に従う方法を示すフローチャートである。太い破線の輪郭のステップは調整されたナノ粒子組成物を製造するステップである。
【
図3】調整されたナノ粒子組成物の超遠心分離後のいろいろなデキストラン画分の分析を示すグラフである。デキストラン−T1は依然としてナノ粒子と実質的に結合していないことが明らかにされる一方、デキストラン−T10の約70%がナノ粒子と結合している。
【
図4A】調整されたナノ粒子組成物の異なるパラメーターに対するデキストラン−T1又はクエン酸塩の影響の分析を示す図である。A)デキストラン−T1及びクエン酸塩の様々な濃度のpHに対する影響;明白な最適条件を決定することはできない。
【
図4B】B)デキストラン−T1及びクエン酸塩の様々な濃度のモード径に対する影響;最適なゾーンは、デキストラン−T1が20〜30mg/gで、クエン酸塩が2.6mg/gより低いときに見出すことができる。
【
図4C】C)デキストラン−T1及びクエン酸塩の様々な濃度のナノ粒子に結合したクエン酸塩レベルに対する影響;デキストラン−T1はこのパラメーターに対して顕著な影響がなく、約2.1mg/g過剰のクエン酸塩はより顕著な影響がない。
【0019】
[実施形態の説明]
本発明者は驚くべきことにデキストランで被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子(dUSPIO)の新しい製造方法を見出した。この方法は重要な調整ステップを含んでいる。得られる調整されたナノ粒子は改良された特徴を有する。
【0020】
方法
したがって、本発明は調整されたナノ粒子組成物を製造する方法であって、
i)デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含む、限外ろ過された組成物を用意するステップと、
ii)ステップi)の限外ろ過された組成物中に存在するデキストラン−T10の量を決定するステップと、
iii)ステップi)の限外ろ過された組成物にデキストラン−T10を添加して、鉄のwt.%に対して140〜160wt.%のデキストラン−T10を含む、調整された組成物を得るステップと、
iv)任意選択で、調整された組成物をろ過するステップと
を含む、方法を提供する。
【0021】
このような方法は以後本発明に従う方法といわれる。
【0022】
i)未調整ナノ粒子の提供
ステップi)において、デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含む、限外ろ過された組成物が提供される。超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子は当技術分野で公知であり、例えばMorup & Hansen (2007) “Superparamagnetic particles”, doi: 10.1002/9780470022184.hmm409 , in Handbook of Magnetism and Advanced Magnetic Materials参照。限外ろ過された組成物は好ましくは未調整組成物であり、即ち言い換えると好ましくは上記のステップii、iii、及びivに既に付されている組成物ではない。本明細書で使用されるとき、用語「未調整」とは、本発明に従う方法の生成物ではない組成物又はナノ粒子を指す。これらは当技術分野で公知であり、提供は任意の形態で、例えば粒子の新たな生産により、又は商業的供給業者から購入により、又はナノ粒子組成物の限外ろ過により限外ろ過された組成物を得ることができる。極めて適切な限外ろ過された組成物は上記のSinerem又はフェルモクストラン−10又はCombidexである。
【0023】
dUSPIOは超小型のナノ粒子であり、約20nm未満のコア直径を有するナノ粒子である。好ましい超小型のナノ粒子は約1nm〜約20nm、より好ましくは約1nm〜約10nm、より好ましくは約1nm〜約8nm、更により好ましくは約2nm〜約8nm、最も好ましくは約4〜6nm又は約5〜7nm又は約4.3〜5.6nmのコア直径を有する。好ましいコア直径は1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10nm以上、好ましくは3、3.25、3.5、3.75、4、4.25、又は4.5nm以上である。好ましいコア直径は1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、又は10.5nm以下、好ましくは5、5.25、5.5、5.75、又は6nm以下である。本明細書で使用されるとき、コア直径は、好ましくは、例えばJung(1995)又はJung及びJacobs(1995)に記載されているような動的光散乱(DLS)、透過電子顕微鏡法、又はX線回折により決定される、dUSPIOに含まれる酸化鉄の直径である。好ましくは、この文書で使用される直径は平均直径である。好ましいコア直径は体積加重平均直径である。好ましくは、本発明に従う方法で使用されるdUSPIOは実質的に同様な長さ、幅、及び高さを有しており、好ましくは3つの寸法のいずれも他の3つの寸法の1つ又は2つより100、80、60、50、40、30、20、又は10%以上長くも短くもない。
【0024】
dUSPIOは超常磁性の酸化鉄コアを含む。このコアは好ましくは結晶、例えば酸化鉄のナノ結晶のような酸化鉄粒子である。好ましい結晶は、逆スピネル構造を有する結晶である。適切な酸化鉄はFe(II)の酸化物、例えばFeO及びFeO
2、Fe(III)の酸化物、例えばα−Fe
2O
3(ヘマタイト)、β−Fe
2O
3、γ−Fe
2O
3(マグへマイト)、及びε−Fe
2O
3、並びにFe(II)とFe(III)の混合酸化物、例えばFe
3O
4(マグネタイト)、Fe
4O
5、Fe
5O
6、Fe
5O
7、Fe
25O
32、及びFe
13O
19である。好ましい酸化鉄はFe(III)の酸化物並びにFe(II)及びFe(III)の混合酸化物である。より好ましい酸化鉄はFe
2O
3、Fe
3O
4、Fe
4O
5、Fe
5O
6、及びFe
5O
7である。更により好ましい酸化鉄はマグへマイト及びマグネタイトであり、マグネタイトは最も好ましい酸化鉄である。好ましいマグネタイトは不定比のマグネタイトである。
【0025】
dUSPIOは好ましくはデキストラン−T10で被覆される。天然に存在するデキストランは、様々な長さの鎖状につながった複数のグルコース分子を含み、約3〜約2000キロダルトン(kDa)の分子量を有する複雑な分岐した多糖である。デキストランはまた合成起源であることもでき、この場合分岐はあまり優勢ではないか、又は更には実質的に不在又は完全に不在であることができる。当技術分野で公知のように、デキストランの平均分子量(Mw)はその名前に付加されたT−数で表されることが多く、ここで数はkDa単位の平均分子量を示す。例えば、デキストラン−T1は1kDa(又は好ましくは800〜1200Da、より好ましくは850〜1150Da)のMwを有し、デキストラン−T5は5kDa(又は4500〜5500Da)のMwを有し、デキストラン−T10は10kDa(又は9000〜11000Da)のMwを有する。本発明で使用するのに好ましいデキストラン−T10は+188〜+198の比旋光度(+/−)
oを有し;本発明で使用するのに好ましいデキストラン−T10は9000〜11000DaのMwを有し;本発明で使用するのに好ましいデキストラン−T10は最大で110ppmの窒素含有物質を含み;本発明で使用するのに好ましいデキストラン−T10は最大で7の乾燥減量(105℃、5時間、重量%(wt.%))を有し;本発明で使用する好ましいデキストラン−T10は0.3wt.%未満の硫酸塩灰分を含み;本発明で使用するのに好ましいデキストラン−T10は1グラムの微生物汚染に対し100より少ないコロニー形成単位を含み;本発明で使用するのに好ましいデキストラン−T10は医薬品品質である(より好ましくは分子量に関するヨーロッパ薬局方仕様に準拠している)。これらのパラメーターを決定する方法は当技術分野で公知である。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「被覆された」とは、酸化鉄コアの外面と結合している材料の層をいう。コーティングは好ましくはコア表面を覆って実質的に均一に分布する。dUSPIOに対するコーティングの厚さは好ましくは水溶液中の動的光散乱により、より好ましくはJung(1995)又はJung及びJacobs(1995)により記載されているように決定される。好ましいコーティングの厚さは約4〜30nm、より好ましくは約5〜25nm、更により好ましくは約6〜20nm、最も好ましくはコア当たりおよそ30の吸着したデキストラン分子に対応する約8〜12nmである。好ましいコーティングは少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、又は29nm、好ましくは少なくとも約4、5、6、7、8、9、又は10nm、例えば7、8、9、又は10nmの厚さを有する。好ましいコーティングは最大で約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30nm、好ましくは約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25nm、例えば10、11、12、13、14、15、16、又は17nmの厚さを有する。好ましくは、コアは平均で約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50の吸着したデキストラン分子を有する。好ましくは、コーティング内のデキストラン結合は表面に対するポリマー吸着の古典的なJenckel及びRumbachモデルに従う。
【0027】
dUSPIOの全直径はコア直径とコーティング厚さの二倍との和である。好ましいdUSPIOは約9〜約80nm、より好ましくは約15〜約50nm、更により好ましくは約17〜約25nm、最も好ましくは約18〜約22nm、例えば19又は20nmの全直径を有する。好ましいdUSPIOは少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60nm、好ましくは少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35nm、より好ましくは少なくとも19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30nm、例えば19nm又は20nm又は21nmの全直径を有する。好ましいdUSPIOは最大で21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、又は75nm、好ましくは少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、又は45nm、より好ましくは少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31nm、例えば29nm又は30nm又は31nmの全直径を有する。
【0028】
本明細書で使用されるとき、限外ろ過された組成物は限外ろ過に付された組成物である。限外ろ過は当技術分野で巨大分子又はナノ粒子を精製及び/又は濃縮するのに日常的に使用される。これは、圧力のような力が半透膜を通して分離を引き起こす、ある種の膜ろ過である。懸濁している高分子量の固体及び溶質、一般にフィルターの分子量カットオフ(MWCO)より高い分子量の物質は保持液に保持される。溶媒及び低分子量溶質のような他の物質は膜を透過し、透過液ともいわれるろ液を形成する。一般にこれらはフィルターのMWCOより低い分子量の物質である。限外ろ過は好ましくは接線流ろ過(クロスフローろ過ともいわれる)又はデッドエンドろ過、より好ましくは接線流ろ過である。
【0029】
本発明で使用される限外ろ過は好ましくは約30〜400kDa、より好ましくは約50〜250kDa、更により好ましくは約50〜200kDa、最も好ましくは約80〜150kDa、例えば100kDaのMWCOのフィルターを使用する。フィルターのMWCOは好ましくは少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、又は150kDa、より好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、又は120kDa、最も好ましくは少なくとも90、100、又は110kDaである。フィルターのMWCOは好ましくは最大で100、110、120、130、140、150、200、250、300、350、又は400kDa、より好ましくは最大で100、110、120、130、140、150、200、又は250kDa、最も好ましくは最大で100、110、又は120kDaである。
【0030】
好ましい実施形態において、未調整組成物は本発明に従う方法の一部として製造される。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、ステップi)において、限外ろ過された組成物が、
i.a)デキストラン−T10、FeCl
3、及びFeCl
2の水溶液を用意するステップと、
i.b)水酸化アンモニウムのような塩基をステップi.a)の溶液に添加するステップと、
i.c)ステップi.b)の溶液を60℃超に加熱してデキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を得るステップと、
i.d)限外ろ過を用いてステップi.c)のナノ粒子組成物を精製して限外ろ過された組成物を得るステップと
を含む方法によって提供される、本発明に従う方法を提供する。
【0031】
ステップi.a)において最終的なナノ粒子の構成材料が提供される。ステップi.a)は好ましくは不活性雰囲気中、例えば窒素下、ヘリウム下、又はアルゴン下で行われる。溶液は約1〜10℃、好ましくは約1〜8℃で貯蔵することができる。水は本発明で使用されるとき好ましくは超純水又は注射用水である。好ましくは、ステップi.a)の溶液の溶媒は少なくとも70wt.%の水、より好ましくは少なくとも80、90、95、96、97、98、99wt.%の水を含む。極めて好ましい実施形態において、水はステップi.a)の溶液の唯一の溶媒である。
【0032】
デキストラン−T10、FeCl
3、及びFeCl
2の水溶液は好ましくはデキストラン−T10、FeCl
3、及びFeCl
2の少なくとも1種を含む異なる溶液を混合することによって得られる。好ましくは、FeCl
3溶液をデキストラン−T10溶液に添加し、その後FeCl
2水溶液を更に添加する。好ましくは、各々の溶液は、使用前に、例えば0.45μmフィルター、0.2μmフィルター、又は両方を通してろ過する。好ましくは、2つ又はそれ以上の溶液を混合したら、得られた溶液を少なくとも60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、又は210分、好ましくは少なくとも110分撹拌する。この撹拌は好ましくは少なくともステップi.a)において行う。
【0033】
これに関連して、好ましいデキストラン−T10溶液は水及びデキストラン−T10を含み、好ましくは水及びデキストラン−T10からなり、好ましくは約50〜600グラム/リットルのデキストラン−T10を含み;より好ましくは、溶液は約200〜600グラム/リットルのデキストラン−T10を含み;更により好ましくは、溶液は約400〜600グラム/リットルのデキストラン−T10を含み;尚更により好ましくは、溶液は約500〜600グラム/リットルのデキストラン−T10を含み;最も好ましくは、溶液は約550〜580グラム/リットルのデキストラン−T10を含む。好ましくは、溶液は、デキストラン−T10を水に、好ましくは撹拌しながら添加することによって調製される。調製後、溶液は任意選択で、例えば0.45μmフィルター、0.2μmフィルター、又は両方に通してろ過する。Laurentらは、デキストラン−T10の使用が形成される超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子のサイズに直接役立つことを示唆している。本発明の組成物に対して所望の140〜160wt.%のデキストラン−T10(鉄のwt.%に対して)に達するには後の段階で過剰のデキストラン−T10の除去が必要となる。
【0034】
これに関連して、好ましいFeCl
3溶液は水及びFeCl
3を含み、又はそれらからなり、また任意選択でデキストラン−T10も、好ましくはデキストラン−T10溶液に関して上記したように含む。溶液は好ましくは約4〜120グラム/リットルのFeCl
3を含み;より好ましくは溶液は約20−80グラム/リットルのFeCl
3を含み;更により好ましくは溶液は約30−60グラム/リットルのFeCl
3を含み;最も好ましくは溶液は約40〜45グラム/リットルのFeCl
3、例えば約42グラム/リットルのFeCl
3を含む。FeCl
3溶液は好ましくは、FeCl
3、例えばその粉末を上記のデキストラン−T10溶液に添加し、好ましくは続いて少なくとも60、90、120、150、又は180分撹拌し、例えば180分撹拌することによって調製される。代わりの好ましい実施形態において、FeCl
3はFeCl
3の水溶液として添加される。FeCl
3の溶液へのいかなる添加も、又はFeCl
3溶液の別の溶液へのいかなる添加も、又はFeCl
3のいかなる貯蔵も好ましくは不活性雰囲気、例えばN
2雰囲気下で、好ましくは約1−6℃で行われる。好ましいFeCl
3は無水のFeCl
3である。好ましいFeCl
3はFeCl
3六水和物、より好ましくはFeCl
3六水和物Ph. Eur.である。調製後、溶液を任意選択で、例えば0.45μmフィルター、0.2μmフィルター、又は両方に通してろ過する。
【0035】
これに関連して、好ましいFeCl
2溶液は水及びFeCl
2を含み、又はそれらからなり、また任意選択で、好ましくはデキストラン−T10溶液に関して上記したようなデキストラン−T10も含む。溶液は好ましくは約10〜1200グラム/リットルのFeCl
2を含み;より好ましくは溶液は約70〜1200グラム/リットルのFeCl
2を含み;更により好ましくは溶液は約400〜1000グラム/リットルのFeCl
2を含み;最も好ましくは溶液は約700〜800グラム/リットルのFeCl
2、例えば約740グラム/リットルのFeCl
2を含む。FeCl
2溶液は好ましくは、FeCl
2、例えばその粉末を水に添加し、好ましくは続いて少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、100、又は120分撹拌、例えば110分撹拌することによって調製される。FeCl
2の溶液へのいかなる添加も、又はFeCl
2溶液の別の溶液へのいかなる添加も、又はFeCl
2のいかなる貯蔵も、好ましくは不活性雰囲気、例えばN
2雰囲気下、好ましくは約2〜8℃で行われる。好ましいFeCl
2は無水のFeCl
2、FeCl
2二水和物、FeCl
2四水和物、又はFeCl
2六水和物である。より好ましいFeCl
2はFeCl
2四水和物である。調製後、溶液は任意選択で、例えば0.45μmフィルター、0.2μmフィルター、又は両方に通してろ過する。
【0036】
これに関連して、デキストラン−T10、FeCl
3、及びFeCl
2の好ましい水溶液を用意するには、最初に、上記のデキストラン−T10溶液を、好ましくは約800〜1400グラムのデキストラン−T10を用い、より好ましくは約1100〜1200グラム、例えば約1143グラムのデキストラン−T10を用いることにより調製し、その後FeCl
3、好ましくはFeCl
3六水和物を、好ましくは約40〜120グラム、より好ましくは約70〜100グラム、例えば約85グラム添加し、その後溶液を好ましくは少なくとも180分混合し、次いで不活性雰囲気、例えばN
2雰囲気下で1〜6℃になるまで冷却する。この溶液に、FeCl
2溶液を、好ましくは撹拌しながら、不活性雰囲気、例えばN
2雰囲気下で添加する。このFeCl
2溶液は好ましくは、上記のように、約20〜50グラム、好ましくは約30〜40グラム、例えば約35グラムのFeCl
2四水和物を用い、好ましくは少なくとも110分撹拌し、その後溶液を不活性雰囲気、例えばN
2雰囲気下で2〜8℃になるまで冷却することによって調製される。次いで2つの別々の溶液を好ましくは、例えば0.45μmフィルター、0.2μmフィルター、又は両方に通してろ過し、その後デキストラン−T10及びFeCl
3を含む溶液にFeCl
2溶液を添加し、こうしてデキストラン−T10、FeCl
3、及びFeCl
2の水溶液を提供する。
【0037】
ステップi)で提供されるデキストラン−T10、FeCl
3、及びFeCl
2の水溶液は好ましくは20〜50:1〜5:1の範囲のデキストラン−T10:FeCl
3:FeCl
2の重量比を有し、より好ましくはその範囲は20〜40:2〜4:1、更により好ましくは30〜35:2〜3:1の範囲である。最も好ましくは約32.8:2.4:1である。このような重量比の一例は1143:84.7:34.8である。
【0038】
方法ステップで使用するために本明細書を通じて述べられており、得られる生成物の特徴として述べられていない化合物量は代表的なものであり、限定することを意図されていないと理解されたい。例えば量は、好ましくは全工程にわたって記載されている比を維持しながら増減することができる。
【0039】
ステップi.b)においてステップi.a)の溶液に塩基が添加される。好ましくは、塩基はその塩基の溶液として、より好ましくはその塩基の水溶液として添加される。適切な塩基は炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、及びアンモニア、例えばNaOH、KOH、Na
2CO
3、NaHCO
3、CaCO
3、NH
3、及びNH
4OHである。塩基は好ましくは約10〜40wt.%、より好ましくは約20〜35wt.%、更により好ましくは約25〜30wt.%の水溶液として使用される。アンモニアは好ましい塩基である。したがって、ステップi.b)でアンモニア溶液、好ましくは約25〜30wt.%のNH
4OH水溶液をステップi.a)の溶液に添加するのが極めて好ましい。このようなアンモニア溶液が医薬品グレードであり、任意選択で当技術分野で強アンモニア溶液といわれるものであると更により好ましい。貯蔵するとき、このような溶液は好ましくは2〜8℃で貯蔵される。ステップi.a)での量が上記の通りであるとき、約10〜1000グラムより好ましくは約50〜500グラム、更により好ましくは約75〜150グラム、最も好ましくは約90〜115グラム、例えば約103グラムの塩基溶液を使用するのが好ましい。その他の場合、ここに記載されているのと同じ比が好ましい。
【0040】
ステップi.c)においてデキストラン−T10、FeCl
3、FeCl
2、及び塩基を含む溶液は60℃超に加熱され、好ましくは62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、又は100℃超に加熱される。好ましくは、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、又は120℃を超えて加熱されない。好ましくは、溶液は約60〜100℃、より好ましくは約70〜90℃、最も好ましくは約75〜85℃、例えば約80℃に加熱される。加熱は好ましくは撹拌しながら、好ましくは不活性雰囲気、例えばN
2雰囲気下で行われる。上記の加熱により、デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子(dUSPIO)を含むナノ粒子組成物が形成される。
【0041】
ステップi.d)においてステップi.c)のナノ粒子組成物が限外ろ過を用いて精製されて限外ろ過された組成物を得る。このステップで、任意選択でステップi.c)のナノ粒子組成物は濃縮もされ、又は任意選択で精製する代わりに濃縮される。好ましくは、限外ろ過に先立って、ナノ粒子組成物を、好ましくは限外ろ過と適合性のある溶媒、例えば水である希釈剤を用いて希釈する。希釈のための水は好ましくは、ナノ粒子組成物に添加される間ナノ粒子組成物とほぼ同じ温度である。希釈は好ましくは約2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍、より好ましくは約3、4、5、6、又は7倍、最も好ましくは約4、5、又は6倍、例えば5倍である。したがって、好ましくは約2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍容量の希釈剤を添加し、より好ましくは約2、3、4、5、6、又は7倍容量の希釈剤を添加し、更により好ましくは約3、4、又は5倍容量の希釈剤、例えば約4倍容量の希釈剤を添加する。限外ろ過に先立ってナノ粒子組成物は好ましくは、例えば約1〜60℃、好ましくは約10〜50℃、より好ましくは約15〜35℃、最も好ましくは約20〜30℃、例えば約25℃に冷却される。限外ろ過に先立って、好ましくは冷却後、ナノ粒子組成物を好ましくは、例えば0.45μmフィルター、0.2μmフィルター、又は両方に通してろ過する。任意選択で、限外ろ過の前に、多数のバッチのナノ粒子組成物を組み合わせ、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12のバッチ、好ましくは例えば3、4、5、6、7、8、又は9のバッチ、より好ましくは5、6、又は7のバッチ、例えば6のバッチを組み合わせる。
【0042】
限外ろ過は好ましくは約30〜400kDa、より好ましくは約50〜250kDa、更により好ましくは約50〜200kDa、最も好ましくは約80〜150kDa、例えば100kDaのMWCOを有するフィルターを使用する。好ましくは限外ろ過は一定流量の限外ろ過、例えば接線流限外ろ過である。好ましくは、ろ過は組成物の容量が約20〜80%、好ましくは約30〜70%、より好ましくは約35〜45%、例えば約40%に低減するまで継続する。これは本明細書中で限外ろ過ステップといわれる。次いで、任意選択で、各限外ろ過ステップの後ろ液を廃棄する。
【0043】
当業者には知られているように、限外ろ過はバッチ式及び連続式に実行することができる。バッチ式限外ろ過は一定容量を限外ろ過される生成物に添加することを含む。連続式の限外ろ過は一定期間中限外ろ過しながら追加の容量(例えば緩衝液又はその他の溶液)を生成物に添加することを含む。連続式限外ろ過において組成物の容量は好ましくは安定、又は実質的に安定に保たれる。両者の組合せを適用することができ、結果は同一の生成物になる。
【0044】
任意選択で、限外ろ過ステップの後、追加の限外ろ過ステップが実行される。好ましくは、このような追加の限外ろ過ステップの前、ナノ粒子組成物を1、2、3、4、又は5倍容量の希釈剤、より好ましくは1、2、又は3倍容量の希釈剤、例えば2倍容量の希釈剤で希釈する。このような追加の限外ろ過ステップを実行するならば、組成物の容量が約5〜60%、好ましくは約8〜30%、より好ましくは約10〜15%、例えば約12%に低下するまでろ過を続けたときが好ましい。
【0045】
このような追加の限外ろ過ステップの後、任意選択の更なる追加の限外ろ過ステップを実行するのが好ましい。このような更なる追加の限外ろ過ステップの前に、ナノ粒子組成物を好ましくは約1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5倍容量の希釈剤、より好ましくは約1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、又は3.4倍容量の希釈剤、例えば約2.6倍容量の希釈剤で希釈する。好ましくは、1、2、3、4、5、6、又はそれ以上のこのような更なる追加の限外ろ過ステップ、例えば3の更なる追加の限外ろ過ステップを実行する。実行される最終の限外ろ過ステップが限外ろ過されたナノ粒子組成物の容量を約3〜30%、好ましくは約5〜15%、最も好ましくは約5〜10%、例えば約6.5%に低下させるときが非常に好ましい。
【0046】
好ましくは、全部で少なくとも2、3、4、5、6、又はそれ以上の限外ろ過ステップが実行される。好ましくは、追加の限外ろ過ステップは、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又はそれ以上、好ましくは10倍容量の最小合計の希釈剤又は洗浄流体容量が使用されるまで、或いはろ液の導電率が充分に低く、例えば500μS/cm未満、好ましくは100μS/cm未満、より好ましくは50μS/cm未満、更により好ましくは40μS/cm未満、最も好ましくは25μS/cm未満になるまで行われる。好ましくは、追加の限外ろ過ステップは、最小合計の希釈剤又は洗浄流体容量が使用され、且つろ液の導電率が充分に低くなるまで行われる。希釈剤は適切な洗浄流体である。導電率は電気伝導率計を用いて、好ましくは室温で測定することができる。好ましい実施形態において、ステップi)の限外ろ過された組成物のろ液が500μS/cm未満、好ましくは100μS/cm未満、より好ましくは50μS/cm未満、更により好ましくは40μS/cm未満、最も好ましくは25μS/cm未満の導電率を有する、本発明に従う方法が提供される。
【0047】
或いは、少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又はそれ以上、好ましくは少なくとも約10容量、好ましくは最大で約20容量、より好ましくは最大で約15倍容量の洗浄流体が使用される単一の限外ろ過ステップが行われる。
【0048】
限外ろ過後、ナノ粒子組成物は1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍容量の希釈剤、例えば水を用いて希釈することができる。ナノ粒子組成物を限外ろ過機から取り出した後、希釈剤を用いて限外ろ過機を濯ぐことが有用であり、これは次いでナノ粒子組成物に添加することができる;これによりナノ粒子の収量が改良される。好ましくは、ステップii)で使用するためのナノ粒子組成物は4倍の追加の容量の希釈剤を用いて希釈する。好ましくは、限外ろ過機を、約1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、又は3容量、例えば約1.2〜1.6容量、より好ましくは約1.4倍容量の希釈剤を用いて濯ぎ;この濯ぎの後その容量は好ましくは限外ろ過されたナノ粒子組成物に添加される。このような濯ぎ容量の添加後組成物を少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分、例えば約5分撹拌するのが好ましい。
【0049】
dUSPIO組成物に言及するのに有用なパラメーターはその鉄のwt.%である。鉄含量は当技術分野で公知の技術、例えば誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、原子発光分析法(AES)、及び原子吸光分析法(AAS)を用いて決定することができ;AAS及びICP−MSが好ましい技術であり、AASが最も好ましい。好ましい実施形態において、本発明は、ステップi)の限外ろ過された組成物又はステップiii)の調整された組成物が約1.5〜2.5wt.%の鉄、好ましくは約1.6〜2.3wt.%の鉄、より好ましくは約1.7〜2.1wt.%の鉄、最も好ましくは約1.8〜2.0wt.%の鉄、例えば1.9wt.%の鉄を含む、本発明に従う方法を提供する。
【0050】
本発明に従う方法の好ましい実施形態において、ステップi)の限外ろ過された組成物は薬学的に許容できる賦形剤を更に含むことができる。この賦形剤はステップii)で使用するために提供される限外ろ過された組成物中に存在することができ、又は限外ろ過の前に存在することができ、又はステップi)中に使用される溶媒又は希釈剤又は洗浄流体中に存在することができる。薬学的に許容できる賦形剤の例は本明細書中後に挙げる。ステップi)のために、好ましい薬学的に許容できる賦形剤は水、例えば注射用水、milliQ水、又はSuperQ水、より好ましくは注射用水である。本出願を通して、溶媒又は賦形剤としての水への言及は薬学的に許容できる水溶液、例えば0.9wt.%のNaCl水溶液、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液への言及も含むことが意図されている。
【0051】
ii)未調整ナノ粒子の分析
ステップii)においてステップi)の限外ろ過された組成物中に存在するデキストラン−T10の量が決定される。この決定の間限外ろ過された組成物を2〜8℃で保存するのが好ましい。この決定の前に、限外ろ過された組成物を少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分、例えば約5分撹拌するのが好ましい。デキストラン−T10の決定は標準的なクロマトグラフィー技術、例えばHPLC及びGPCにより、例えば比色分析法を用いるUV−VIS分光光度法によって、又は好ましくは全有機炭素(TOC)分析機、例えばShimadzu TOC−L分析機を用いるTOCの試験によって行うことができる。好ましい比色分析法はJung(1995)により使用されたDuboisらのもの(1956, Anal. Chem., 28:350−356)であり、その場合フェノール及び硫酸のような試薬を使用して、デキストラン−T10の総量に比例する定量化可能な量の色を生成させる。この検定法は、デキストラン−T10が組成物中に存在する唯一の炭水化物であるときに行うのが好ましい。その理由は、比色分析法が合計の炭水化物含量を決定し、デキストラン−T10に特異的ではないからである。
【0052】
好ましい実施形態において、ステップii)は、ステップi)の限外ろ過された組成物中の鉄の量を決定することを更に含む。鉄含量は当技術分野で公知の技術、例えば誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、原子発光分析法(AES)、及び原子吸光分析法(AAS)を用いて決定することができ;AASが好ましい技術である。
【0053】
好ましくは、決定されるデキストラン−T10の量は組成物中の鉄のwt.%に対するデキストラン−T10のwt.%として表される。好ましくは、組成物中の鉄の量は組成物中の鉄のwt.%として表される。
【0054】
iii)限外ろ過された組成物を調整する
ステップiii)において、限外ろ過された組成物は、ステップi)の限外ろ過された組成物にデキストラン−T10を添加することによって調整される。調整された組成物は鉄のwt.%に対して140〜160wt.%のデキストラン−T10を含む。dUSPIOの調製は一般に限外ろ過を含み、その間デキストラン−T10はdUSPIOからゆっくりと解離する。これは、デキストラン−T10の酸化鉄コアとの結合が共有結合ではなく(Jung 1995)、平衡で存在しているからである。一時的に解離したデキストラン−T10は限外ろ過中、dUSPIOと再び結合することができる前に洗い流されることができる。結果として、限外ろ過はdUSPIO中のデキストランの量を低下させる。使用するのに適切となるほど充分に純粋なdUSPIOを得るには徹底的な限外ろ過が必要とされ、これには一般に極めて再現性が高くなければならない良好な製造プロセスを使用する必要がある。限外ろ過中のデキストラン−T10の損失は限外ろ過中制御又は軽減することができない。したがって、当技術分野で公知のdUSPIOは15%を超える分散を有するデキストラン−T10含量を有する。最大で15%、好ましくは最大で10%の分散が望ましい。
【0055】
これに関連して、分散は好ましくは、dUSPIOの複数の生産バッチ間の標準偏差の3倍を平均値で割った値と定義され、百分率として表され、より好ましくは最も近い正数の百分率に丸めた百分率として表される。この複数は好ましくはdUSPIOの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はそれ以上の生産バッチ、より好ましくは少なくとも3、4、5、又は6の生産バッチ、更により好ましくは少なくとも4、5、又は6、最も好ましくは少なくとも6の生産バッチを含む。dUSPIOの組成は、その分散がある一定の百分率より低いときその百分率で規定されているといわれる。
【0056】
本発明者は、驚くべきことに、限外ろ過後デキストラン−T10の量を調整して、調整された組成物が鉄のwt.%に対して140〜160wt.%のデキストラン−T10を含むようにすると、分散が最大で15%、より好ましくは最大で10%のデキストラン−T10の信頼性のある量を維持しながら更にろ過又は操作することができる調整された組成物が得られることを見出した。好ましい実施形態において、本発明に従う方法により得られるdUSPIOは14、13、12、11、10、9、8、7、6、又は5%未満の分散を有する。デキストラン含量の決定は本明細書中他の部分に記載されている。より好ましい実施形態において、限外ろ過後のデキストラン−T10の量の調整は、調整された組成物が鉄のwt.%に対して140〜158wt.%、より好ましくは140〜155wt.%、更により好ましくは145〜155wt.%のデキストラン−T10を含むようなものである。
【0057】
当業者には明らかなように、含量範囲は調製方法中積極的に求められる範囲である。したがって、鉄のwt.%に対して140−160wt.%のデキストラン−T10を含む、調整された組成物は140wt.%より少ないデキストラン−T10を含まず、160wt.%より多くのデキストラン−T10を含まない。したがって、好ましい実施形態においてある範囲の特定の成分を含むと規定された組成物は、その成分を示されている範囲の下限として規定されているより少なく含まず、その成分を示されている範囲の上限として規定されているより多く含まない。極めて好ましい例として、鉄のwt.%に対して140〜160wt.%のデキストラン−T10を含む、調整された組成物は鉄のwt.%に対して少なくとも140wt.%、最大で160wt.%のデキストラン−T10を含む。
【0058】
本明細書で使用されるとき、調整とは、好ましくは、決定された値と標的の値との間の実質的な差である量の添加をいう。したがって、デキストラン−T10の調整は、好ましくは、調整された組成物が所望の総量のデキストランT−10を含むことになるような量のデキストランT−10を組成物に添加することである。非限定例として、ある組成物に対して、ステップii)におけるデキストラン−T10の量が鉄のwt.%に対して120wt.%であると判明し、140wt.%のデキストランを含む組成物の製造が意図されていれば、そのときの調整は20wt.%のデキストラン−T10の組成物への添加を必要とする。
【0059】
ステップiii)において、更なる物質を限外ろ過された組成物又は調整された組成物に添加することができる。適切な更なる物質はデキストラン−T10ではないデキストラン、等張化剤、希釈剤、及び本明細書中後に定義される薬学的に許容できる賦形剤である。したがって、好ましい実施形態において、ステップi)の限外ろ過された組成物が薬学的に許容できる賦形剤を更に含むか、又はステップiii)の調整された組成物が薬学的に許容できる賦形剤を更に含み、薬学的に許容できる賦形剤が好ましくはデキストラン−T10含量の調整の前又は後、より好ましくは調整後に添加される、本発明に従う方法が提供される。適切な薬学的賦形剤は当技術分野で公知であり、更なる好ましい賦形剤の例は、以下に記載されるような、アジュバント、バインダー、乾燥剤、固化防止剤、染料、希釈剤、及び等張化剤である。
【0060】
したがって、好ましい実施形態において、ステップiii)が更なるデキストラン、例えばデキストラン−T1を限外ろ過された組成物又は調整された組成物に添加することを更に含む、本発明に従う方法が提供される。この更なるデキストランはデキストラン−T10ではなく;適切な更なるデキストランはデキストラン−T1、デキストラン−T5、デキストラン−T20、及びデキストラン−T40であり、デキストラン−T1は一般にデキストランに対する可能な免疫反応を低減するのに役立つことができるので、デキストラン−T1が最も好ましい更なるデキストランである。更なるデキストランは、調整された組成物が鉄のwt.%に対して10〜300wt.%、好ましくは50〜250wt.%、より好ましくは100〜200wt.%、更により好ましくは140〜160wt.%、最も好ましくは145〜155wt.%、例えば150wt.%の更なるデキストランを含むように添加することができる。好ましくは、更なるデキストランは調整の後又は調整中に、最も好ましくは調整中に添加され、言い換えると、更なるデキストランは好ましくは調整のために使用されるデキストラン−T10と同時に添加される。したがって、好ましい実施形態において、ステップiii)が更なるデキストラン、例えばデキストラン−T1を、限外ろ過された組成物又は調整された組成物に、好ましくは調整された組成物に、調整された組成物が鉄のwt.%に対して140〜160wt.%の更なるデキストラン、例えばデキストラン−T1を含むことになるように添加することを更に含む、本発明に従う方法が提供される。本発明者は、本発明に従う組成物内に重量で実質的に等しい量のデキストラン−T1及びデキストラン−T10を有するのが有利であることを見出した。好ましい実施形態において、ステップiii)でデキストラン−T1を、調整された組成物が重量で実質的に等しい量のデキストラン−T1及びデキストラン−T10を含むことになるように調整された組成物に添加する。したがって、本発明は、調整された組成物が重量で実質的に等しい量のデキストラン−T10及びデキストラン−T1を含む、本発明に従う方法を提供する。結合したデキストランと遊離のデキストランの両方を考慮して、合計のデキストラン含量に言及していることを理解されたい。
【0061】
したがって、好ましい実施形態において、ステップiii)がクエン酸塩のような等張化剤を限外ろ過された組成物又は調整された組成物に、好ましくは鉄のwt.%に対して7〜12wt.%の量で添加することを更に含む、本発明に従う方法が提供される。より好ましくは、等張化剤は約7.5〜11.5wt.%、8〜11wt.%、8.5〜10.5wt.%、又は9〜10wt.%、更により好ましくは8.5〜10.5wt.%又は9〜10wt.%、最も好ましくは9〜10wt.%、例えば9.5wt.%で存在する。本発明において、等張化剤は組成物の適用部位で浸透圧衝撃を抑制することにより局所の刺激を低減する。等張化剤は当技術分野で公知である。適切な等張化剤はヘキソース、例えばデキストロース、アミノ酸、例えばグリセリン、糖アルコール、例えばマンニトール、ハロゲン化アルカリ塩、例えば塩化カリウム及び塩化ナトリウム、及び弱い有機酸塩、例えばクエン酸塩及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩である。弱い有機酸塩は得られるdUSPIOの安定性を増大し、ゼータ電位に対して良好な効果を有するので好ましく;このため、クエン酸塩が特に好ましい。適切なクエン酸塩はクエン酸三ナトリウム塩二水和物、クエン酸二ナトリウム塩、及びクエン酸ナトリウム塩であり、最も好ましいクエン酸塩はクエン酸三ナトリウム塩二水和物である。
【0062】
本発明の幾つかの実施形態において、本発明に従う方法は調整された組成物を凍結乾燥するステップを更に含む。凍結乾燥は当技術分野で公知である。この凍結乾燥はステップiv)においてそのろ過の前又は後の調整された組成物に対して行うことができる。得られる凍結乾燥物は調整された組成物の貯蔵に適した形態である。凍結乾燥のために、調整された組成物は好ましくはバイアルで瞬間凍結する。好ましくは、凍結乾燥中凍結乾燥機内、又は凍結乾燥したバイアルのヘッドスペース内、又は両方で真空を破るために窒素を使用する。本発明に従う方法が凍結乾燥ステップを含むとき、凍結乾燥ステップの前にデキストラン−T1及びクエン酸塩のような等張化剤の両方を上記の調整された組成物に添加するのが好ましい。驚くべきことにこの組合せは凍結乾燥結果を改良することが判明した。
【0063】
iv)調整された組成物をろ過する
ステップivはろ過ステップであり、dUSPIO組成物から凝集体を一掃するのに有用である。これに関連して好ましいろ過は0.05〜0.5μmフィルター、好ましくは0.1〜0.3μmフィルター、例えば0.2μmフィルターを通すろ過である。上で説明したように、ろ過はdUSPIO中の酸化鉄コアからデキストランを分離することができ、組成物の正確な含量を変更させ得る。本発明に従う方法で製造される調整された組成物は、調整が以前のろ過ステップが起こした影響を中和するので、このような変化に対してより頑強である。こうして、ろ過された調整された組成物はより確かな含量であり、したがって、調整されてないろ過された組成物より信頼性が高い。本発明は、調整された組成物をろ過後凍結乾燥するステップを更に含む本発明に従う方法を提供する。
【0064】
組成物
別の態様において、本発明は、
i)デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子と、
ii)遊離のデキストラン−T10と、
iii)任意選択でクエン酸塩のような等張化剤と
を含む組成物であって、鉄のwt.%に対して140〜160wt.%のデキストラン−T10を含む、組成物を提供する。このような組成物は本明細書中で本発明に従う組成物という。好ましくは組成物は薬学的組成物である。鉄のwt.%に対して140〜160wt.%含まれるデキストラン−T10はデキストラン−T10の総計、即ちi)のdUSPIO並びにii)の遊離のデキストラン−T10をカバーする両方のデキストラン−T10である。好ましくは、本発明に従う組成物は本発明に従う方法により得ることができ、より好ましくは本発明に従う方法により直接得られる。したがって、上記欄に記載された組成物は本発明のこの態様内である。
【0065】
好ましい実施形態において、組成物は更に本明細書中他で定義される薬学的に許容できる賦形剤を含む。これに関連して、デキストラン−T1のような更なるデキストランが好ましく、クエン酸塩のような等張化剤も好ましい。
【0066】
この態様内の好ましい実施形態において、デキストラン−T10の濃度が最大で±15%、±14%、±13%、±12%、±11%、±10%、±9%、又はそれ以下、好ましくは最大で±10%、より好ましくは最大で±9%の分散を有する、本発明に従う組成物が提供される。これに関連して、分散は好ましくは本発明に従う組成物の複数の生産バッチ間の標準偏差の3倍として規定され、より好ましくは最も近い正数の百分率に丸められる。この複数は好ましくは本発明に従う組成物の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はそれ以上の生産バッチ、より好ましくは少なくとも4、5、又は6の生産バッチ、最も好ましくは少なくとも6の生産バッチを含む。本発明に従う組成物はその分散がある一定の百分率より低いときその百分率で規定されるといわれる。したがって、好ましい実施形態はデキストラン−T10に対して10%で規定された本発明に従う組成物を提供する。
【0067】
特定の実施形態において、本発明は、好ましくは各々の組成物が異なる生産バッチに由来し、デキストラン−T10の濃度が組成物間で最大で±15%、±14%、±13%、±12%、±11%、±10%、又はそれ以下、好ましくは最大で±10%の分散を有する、本発明に従う複数の組成物を提供する。この複数は好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はそれ以上の本発明に従う組成物、より好ましくは少なくとも3、更により好ましくは少なくとも4、5、又は6の組成物、最も好ましくは少なくとも6の組成物を含む。この複数は好ましくは最大で100000の組成物を含む。好ましくは、複数からの少なくとも2つの組成物が異なる生産バッチに由来する。好ましくは、各々の組成物は、例えば賦形剤に関して実質的に同じ含量を有する。より好ましくは、各々の組成物は生産方法をもう一度繰り返したときに起こる正確な成分含量の変動の外で実質的に同じであり、例えば各々の組成物はデキストラン−T10のような構成成分に対して起こる分散の外で同じである。好ましい実施形態において、複数はデキストラン−T10に対して15%、14%、13%、12%、11%、又は10%で、最も好ましくは10%で規定される。
【0068】
本発明に従う組成物は高い安定性を有する。この安定性を評価する有用なパラメーターは本発明に従う組成物に含まれるナノ粒子のモード平均径である。ナノ粒子が凝集すると、モード平均径は増大する。ナノ粒子が溶解したり若しくは解離したり又はその他分解したりすると、モード平均径は低下する。安定なモード平均径はナノ粒子の安定な集団、したがって、本発明に従う安定な組成物を反映する。この態様の実施形態において、ナノ粒子のモード平均径が少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月、又はそれ以上安定である、本発明に従う組成物が提供される。好ましくは、モード平均径は少なくとも4、5、6ヶ月、又はそれ以上、最も好ましくは少なくとも6ヶ月以上安定である。好ましい実施形態において、安定性はほぼ室温、例えば20〜30℃、例えば25℃である。
【0069】
これに関連して、安定な平均のモード径は、同じ組成物に対して測定された値から、異なる時点で6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、又はそれ以上、好ましくは6%、7%、8%、9%、10%、又はそれ以上、より好ましくは6%を超えて外れない平均のモード径である。
【0070】
本発明に従う組成物は好ましくは凍結乾燥物である。他の実施形態において、本発明に従う組成物は再構成された凍結乾燥物である。適切な再構成流体は、好ましくは薬学的に許容できる塩、例えば0.9wt.%塩化ナトリウムを含む注射用水である。再構成された本発明に従う組成物は好ましくは約1.5〜2.5wt.%の鉄、好ましくは約1.6〜2.3wt.%の鉄、より好ましくは約1.7〜2.1wt.%の鉄、最も好ましくは約1.8〜2.0wt.%の鉄、例えば1.9wt.%の鉄を含む。
【0071】
好ましい実施形態において、組成物は両方が別々の容器に入った凍結乾燥物及び注射用水として提供される。このような凍結乾燥物に適した容器はガラスバイアル、例えば透明なガラスバイアル、例えば透明なI型ガラスバイアルであり、好ましくはゴム栓、例えばブロモブチル又はクロロブチルゴム栓で密閉され、好ましくは例えばアルミニウムのクリンプオンシールで密封される。
【0072】
以下が、本発明に従う組成物の好ましい実施形態である。
【0073】
1.i)デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子と、
ii)遊離のデキストラン−T10と、
を含む本発明に従う組成物であって、約19mg/gの鉄及び約28.5mg/gのデキストラン−T10を含む、組成物。
【0074】
1’.更なる鉄もデキストラン−T10も含まない、実施形態1の組成物。
【0075】
2.約28.5mg/gのデキストラン−T1を更に含む、実施形態1又は1’の組成物。
【0076】
3.約2.45mg/gのクエン酸ナトリウムを更に含む、実施形態1〜2のいずれかの組成物。
【0077】
4.残りが実質的に水、例えば注射用水からなる、実施形態1〜3のいずれかの組成物。
【0078】
5.残りが実質的に0.9wt.%のNaCl水溶液からなる、実施形態1〜3のいずれかの組成物。
【0079】
6.実質的に更なる物質も成分も含まない、実施形態1〜5のいずれか1つの組成物。
【0080】
7.i)デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子と、
ii)遊離のデキストラン−T10と
を含む本発明に従う組成物であって、約210.4mgの鉄及び約315.5mgのデキストラン−T10を含み、好ましくは更なる鉄もデキストラン−T10も含まない、組成物。
【0081】
8.約315.5mgのデキストラン−T1を更に含む、実施形態7の組成物。
【0082】
9.約27.2mgのクエン酸ナトリウムを更に含む、実施形態7又は8の組成物。
【0083】
10.実質的に更なる物質も成分も含まない、実施形態7〜9のいずれか1つの組成物。
【0084】
11.バイアル、例えばガラスバイアルにパッケージ化された、実施形態7〜10のいずれか1つの組成物。
【0085】
12.バイアルが不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気を含む、実施形態11の組成物。
【0086】
13.分離している、注射用水のような水の容器と組み合わせられた、実施形態7〜12のいずれか1つの組成物。
【0087】
14.分離している、0.9wt.%のNaCl水溶液の容器と組み合わせられた、実施形態7〜12のいずれか1つの組成物。
【0088】
1a.i)デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子と、
ii)遊離のデキストラン−T10と
を含む本発明に従う組成物であって、約17〜21mg/gの鉄及び約26〜31mg/gのデキストラン−T10を含み、好ましくは更なる鉄もデキストラン−T10も含まない、組成物。
【0089】
2a.約26〜31mg/gのデキストラン−T1を更に含む、実施形態1aの組成物。
【0090】
3a.約2.2〜2.7mg/gのクエン酸ナトリウムを更に含む、実施形態1a又は2aの組成物。
【0091】
4a.残りが実質的に水、例えば注射用水からなる、実施形態1a〜3aのいずれかの組成物。
【0092】
5a.残りが実質的に薬学的に許容できる塩溶液、例えば0.9wt.%のNaCl水溶液からなる、実施形態1a〜3aのいずれかの組成物。
【0093】
6a.実質的に更なる物質も成分も含まない、実施形態1a〜5aのいずれか1つの組成物。
【0094】
7a.i)デキストラン−T10で被覆された超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子と、
ii)遊離のデキストラン−T10と
を含む本発明に従う組成物であって、約190〜230mgの鉄及び約285〜345mgのデキストラン−T10を含み、好ましくは更なる鉄もデキストラン−T10も含まない、組成物。
【0095】
8a.約285〜345mgのデキストラン−T1を更に含む、実施形態7aの組成物。
【0096】
9a.約25〜30mgのクエン酸ナトリウムを更に含む、実施形態7a又は8aの組成物。
【0097】
10a.実質的に更なる物質も成分も含まない、実施形態7a〜9aのいずれか1つの組成物。
【0098】
11a.バイアル、例えばガラスバイアルにパッケージ化された、実施形態7a〜10a、又は15a、又は16aのいずれか1つの組成物。
【0099】
12a.バイアルが不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気を含む、実施形態11aの組成物。
【0100】
13a.分離している、注射用水のような水の容器と組み合わせられた、実施形態7a〜12aのいずれか1つの組成物。
【0101】
14a.分離している、薬学的に許容できる塩溶液、例えば0.9wt.%のNaCl水溶液の容器と組み合わせられた、実施形態7a〜12aのいずれか1つの組成物。
【0102】
15a.単一の組成物として、実施形態7a〜10aのいずれか1つの更なる組成物と組み合わせられた、実施形態7a〜10aのいずれか1つの組成物。
【0103】
16a.ある一定容量の組成物が組成物から除去されている、実施形態7a〜10aのいずれか1つの組成物。
【0104】
17a.単一の組成物として、実施形態1a〜6aのいずれか1つの更なる組成物と組み合わせられた、実施形態1a〜6aのいずれか1つの組成物。
【0105】
18a.ある一定容量の組成物が組成物から除去されている、実施形態1a〜6aのいずれか1つの組成物。
【0106】
使用
本発明に従う組成物は有用なMRI造影剤である。したがって、本発明は、医薬として使用される本発明に従う組成物であって、医薬が好ましくはインビボ診断用であり、より好ましくはMRI造影剤として使用される、組成物を提供する。これは本明細書中本発明に従って使用される組成物といわれる。
【0107】
特定の実施形態において、本発明に従って使用される組成物は鉄補充療法において、例えば貧血を処置するのに使用される。
【0108】
特定の実施形態において、本発明に従って使用される組成物は多発性硬化症の診断に使用される。本発明に従って使用される組成物は脳において活動性病変の同定を可能にし、活動性病変を古い非活動性病変から識別する。
【0109】
特定の実施形態において、本発明に従って使用される組成物はアテローム性動脈硬化症の診断に使用される。本発明に従って使用される組成物は動脈内の活性なアテローム性プラークの同定を可能にし、破裂しがちなプラークの決定を可能にする。したがって、本発明に従って使用される組成物は血栓塞栓性合併症を予防するのに役立つことができる。
【0110】
特定の実施形態において、本発明に従って使用される組成物は血管造影に使用される。
【0111】
MRI造影剤は好ましくは細網内皮系、肝臓、脾臓、リンパ節、骨髄、アテローム性動脈硬化症、及び活動性病変の可視化、より好ましくはリンパ節の可視化、更により好ましくは肝臓、脾臓、リンパ節、骨髄、アテローム性動脈硬化症、及び活動性病変の可視化、最も好ましくはリンパ節の可視化用である。
【0112】
特定の実施形態において、インビボ診断はがんの診断、より好ましくは前立腺、膀胱、乳房、又は婦人科がんのような固形がんからなる群から選択されるがんの診断用である。好ましいタイプの診断はMRIにおけるリンパ節の病期分類又は特徴付けである。例えば、リンパ節は腫瘍又は非腫瘍であることを決定することができる。
【0113】
本発明に従って使用される組成物は好ましくは粉末、例えば凍結乾燥物、又は濃縮物、又は非経口投与、例えば点滴、好ましくはゆっくりした点滴用の溶液である。投与は好ましくは体重1kg当たり少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5mgの鉄、より好ましくは体重1kg当たり少なくとも1.5、2、2.5、3、又は3.5mgの鉄の薬量である。投与は好ましくは体重1kg当たり最大で1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、又は5.5mgの鉄、より好ましくは体重1kg当たり最大で3、3.5、又は4mgの鉄の薬量である。好ましい薬量は体重1kg当たり1〜4mgの鉄、より好ましくは体重1kg当たり2〜3mgの鉄、例えば体重1kg当たり2.6mgの鉄である。
【0114】
粉末又は濃縮物の再構成後、デキストランにより、好ましくはクエン酸ナトリウムのような等張化剤によっても安定化された超常磁性の酸化鉄ナノ粒子の溶液が得られる。再構成は好ましくは、好ましくは0.9wt.%の塩化ナトリウムのような薬学的に許容できる塩を含む適切な薬学的希釈流体、例えば注射用水による。活性物質は、プロトンの緩和イメージングにおいてコントラストの特性をもたらすナノメートルサイズの酸化鉄コアからなり、これらのコアの適切な分散及び安定化を確実にする安定化剤(デキストラン−T10、好ましくはデキストラン−T1、及び好ましくはクエン酸ナトリウムのような等張化剤も)から更になる。
【0115】
本発明に従って使用される組成物はMedical Resonance Imaging(MRI)に有用であり、細網内皮系(肝臓、脾臓、リンパ節、骨髄)に特異的な公知の造影剤群、特に粒子直径が50nm未満である酸化鉄の超小型粒子(USPIO)として公知の亜群に属する。本発明に従って使用される組成物は、リンパ節に対するその特異的且つ優先的な標的化を与える小さいサイズ(20〜50nm、好ましくは35nm未満、より好ましくは25〜35nm、例えば約30nmの平均直径、好ましくはレーザー光散乱平均直径)のナノ粒子を含む。
【0116】
医薬の製剤化、投与の方法、及び薬学的に許容できる賦形剤の使用は当技術分野で公知であって、慣用であり、例えばRemington; The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition 2005, University of Sciences in Philadelphiaに記載されている。
【0117】
一般的定義
本明細書及び特許請求の範囲において、動詞「含む(comprise)」及びその活用形はその非限定的な意味で使用されていて、その単語に続く事項が含まれるが、具体的に述べられていない事項が排除されないことを意味する。また、不定冠詞「a」又は「an」によるある要素への言及は、その要素を1つであって1つだけであることを文脈が明らかに要求していない限り、その要素が1つより多く存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は通常「少なくとも1つ」を意味する。
【0118】
数値と関連して使用されるとき単語「約」又は「およそ」(例えば約10)は好ましくはその値が与えられた値より1%多いか又は少ない値であってもよいことを意味する。
【0119】
本発明においてある物質のパラメーターが考察されるときは、他に規定されない限り、そのパラメーターが生理的条件下で決定され、測定され、又は現れることが仮定されている。生理的条件は当業者に公知であり、水性溶媒系、大気圧、6〜8のpH−値、室温から約37℃までの範囲の温度(約20℃〜約40℃)、及び適切な濃度の緩衝塩又はその他の成分を含む。電荷は平衡と関連していることが多いと理解される。電荷を担う又は帯びるといわれる部分は、このような電荷を帯びない又は担わないよりも頻繁にこのような電荷を帯びる又は担う状態にあることが見出される部分である。したがって、当業者には理解されるように、本開示において帯電すると示されている原子は特定の条件下で帯電しないことができ、中性の部分は特定の条件下で帯電することができる。
【0120】
本発明において、評価されるパラメーターの低下又は増大はそのパラメーターに対応する値の少なくとも5%の変化を意味する。より好ましくは、値の低下又は増大は少なくとも10%、更により好ましくは少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、又は100%の変化を意味する。この後者の場合は、パラメーターに関連する検出可能な値がもうない場合であることができる。
【0121】
本明細書に記載されているある物質の医薬としての使用は医薬の製造における前記物質の使用と解釈することもできる。同様に、ある物質が処置に、又は医薬として使用されるときは、このような処置のための医薬の製造に使用することもできる。本明細書に記載されている使用のための生成物は本明細書に記載されている処置又は診断の方法に使用するのに適している。
【0122】
以上、幾つかの代表的な実施形態を参照して本発明を記載して来た。幾つかの部分又は要素の変更及び代わりの実施が可能であり、添付の特許請求の範囲に定義される保護範囲内に含まれる。文献及び特許文書の引用は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
[実施例]
実施例1−調整されたdUSPIOの製造
限外ろ過されたdUSPIOの提供(図2の最初の7つの形状)
以降の製造プロセスの記載は臨床バッチサイズ(143g鉄)に対する。
【0124】
ステップ1:デキストラン−鉄溶液の調製。精製水(1950±40g)をAとラベル付けした5L容器に添加する。精製水を混合しながら、容器にデキストラン−T10(1143g)を添加する。塩化第二鉄(84.7±1.7g)をデキストラン溶液に添加し、溶液を最低3時間混合する。デキストラン−鉄溶液を0.2μフィルター及び0.45μmプレフィルターに通して容器「B」に移し、次いで蠕動ポンプを用いて反応器に移す。デキストラン−鉄溶液を窒素下反応器内で撹拌しながら、温度が1〜6℃に達するまで冷却する。
【0125】
ステップ2:塩化第一鉄溶液の調製。精製水(46.8±0.9g)をCとラベル付けした250mL容器に添加する。精製水を撹拌しながら34.8g±0.7gの塩化第一鉄四水和物を添加する。撹拌を最低110分続ける。溶液を必要になるまで窒素下2〜8℃で保存する。
【0126】
ステップ3:強アンモニア溶液の調製。強アンモニア溶液(103.2±2.0g)をドラフト内で秤量してDとラベル付けした250mL容器に入れ、2〜8℃に冷却する。
【0127】
ステップ4:80℃±5℃に加熱。反応器含有物を窒素下で撹拌しながら塩化第一鉄溶液をポンプで0.2μフィルターに通して反応器に送る。次いで水酸化アンモニウム溶液を反応器に添加する。反応器を加熱し、含有物が80℃±5℃に達するまで撹拌する。
【0128】
ステップ5:精製水による希釈。次いで撹拌し続けながら8660±150mLの80℃±5℃精製水を反応器に添加する。反応器の温度を25℃±5℃に冷却する。溶液を0.2μmフィルター(及び0.45μmプレフィルター)に通してろ過して容器Fに入れる。
【0129】
ステップ6:限外ろ過。6つの超常磁性酸化鉄バッチを0.2μフィルター(及び0.45μmプレフィルター)に通してろ過して、100,000ダルトンのカットオフカートリッジ膜を備えた限外ろ過装置のタンクに直接入れる。一定流量の限外ろ過法を精製に使用する。保持される容量が25.5Lになるまで溶液を限外ろ過機に通して処理する。全限外ろ過ステップ中流出液を捨てる。酸化鉄溶液を再び限外ろ過機に通して、容量を25.5Lに保ちながら51Lの注射用水で溶液を洗浄することにより処理する(連続限外ろ過)。溶液を限外ろ過機に通して保持される容量が9Lになるまで処理する。酸化鉄溶液を再び限外ろ過機に通して、容量を9Lに保ちながら24Lの注射用水で溶液を洗浄することにより処理する。最低2以上の限外ろ過サイクルを行う。流出液の導電率を試験する。25μS未満であれば、限外ろ過を2.16±0.1Lの容量になるまで継続し、限外ろ過が完了する。導電率が25μSを超えていれば、1回又は2回の追加の限外ろ過サイクルを行い、各サイクルの後導電率を試験する。限外ろ過を完了するには両方の条件が満たさなければならない:
− 第1に、最低10のダイアフィルトレーションの容量の注射用水を使用しなければならない、
− 第2に、25μS未満の導電率が達成されなければならない。
【0130】
溶液を限外ろ過機タンクから取り出し、0.2μmフィルター(0.45μmプレフィルター付き)に通してろ過して10Lの容器に入れる。注射用水(1440±40mL)を限外ろ過機タンクに添加して濯ぎ、その後10Lの容器に添加する。
【0131】
限外ろ過されたdUSPIOの分析(図2の形状8)
ステップ7 限外ろ過された溶液を最低5分間撹拌した後、鉄含量及び総デキストラン含量のためのTOC(全有機炭素)の決定のために原子吸光分析を用いて総鉄濃度及びデキストラン含量を分析する。溶液は、結果が得られるまで2℃〜8℃で保存する。
【0132】
dUSPIOの調整及び更なる処理(図2の形状9、10、11の一部)
ステップ8:デキストラン−T10、デキストラン−T1及びクエン酸ナトリウム二水和物溶液の調製。注射用水中のデキストラン−T10、デキストラン−T1及びクエン酸ナトリウム二水和物溶液の量は、ステップ7からの鉄濃度及びデキストラン−T10濃度に基づいて、最終の製剤中で鉄の濃度が18〜20mg/g、デキストランの合計濃度が53〜61mg/g、デキストラン−T10とデキストラン−T1の比が1/1g/g、クエン酸塩含量が1.5〜2.1mg/gとなるように計算される。注射用水を10L容器に添加する。注射用水を撹拌し、デキストラン−T10、デキストラン−T1、及びクエン酸ナトリウム二水和物を添加する(ゆっくりした添加で良好な結果が得られた)。溶液を最低15分撹拌する。
【0133】
ステップ9:デキストラン−T10、デキストラン−T1及びクエン酸ナトリウム二水和物溶液の添加。ステップ7の溶液を混合し、ステップ8の溶液を0.2μmフィルター及び0.45μmプレフィルターに通して連続的に混合しながら添加することにより最終製剤を調製する。
【0134】
ステップ10:ろ過。溶液を0.2μフィルターに通してろ過して貯蔵及び輸送のための10Lの容器に入れる。このステップは必要であれば(例えばフィルターの機能停止の場合)繰り返すことができる。
【0135】
表1は、上のステップ1〜6に従って調製された3つの異なるバッチの調整の実施例を示す。
【0136】
【表1】
【0137】
実施例2−調整されたdUSPIOと未調整のdUSPIOの比較
実施例1の調整された組成物は、製造中デキストラン−T10の調整をしているので最適化された製剤である。この調整は最終生成物のデキストランの濃度のより良好な再現性(±10%)を確実にすることを可能にし、モード平均径の安定性を増大させる。製剤がその他の点では等価であることを示すために、調整された(実施例1の全プロトコル)と未調整の(実施例1のステップ1〜6)組成物の比較研究を行った。両方の組成物は1.8mg/gのクエン酸イオン及び28.5mgのデキストラン−T1を含んでおり、凍結乾燥物として安定化され、4℃及び25℃で6ヶ月間貯蔵された。ゼータ電位はMalvern Zetasizerを用いて測定した。モード平均径はレーザー光散乱を用いて測定した(適したモデルはMalvern Zetasizer、Brookhaven BI 90、及びMalvern 4700である)。
【0138】
【表2】
【0139】
両方の組成物について、4及び25℃の、pHは時間と共に変化せず、ゼータ電位は水又は塩溶液の両方で非常に類似している。未調整組成物の場合、モード平均径は4℃で7%より大きく、25℃では35%より大きく変化したが、両方の条件下で調整された組成物は約5%の変動でとどまった。
【0140】
未調整及び調整されたバッチをそれらの総デキストラン含量についても分析した。調整された組成物は分散±9%において±10%で規定することができた。未調整組成物は±17%の分散を有していた。
【0141】
【表3】
【0142】
実施例3−dUSPIOの分析
遊離及び結合デキストラン画分の分析
実施例1で調製された組成物のデキストラン画分を、組成物を平衡させた後、限外ろ過された組成物について上記したように30kDaのMWCOで単一ステップの超遠心分離の後に決定した。デキストランはゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて確認した。結果を
図3に示す。デキストラン−T1は実質的にナノ粒子と結合していないままであることが明らかにされ、一方約70%のデキストラン−T10がナノ粒子と結合する。デキストラン−T1は溶媒中で遊離の状態のままであり、デキストラン−T10/酸化鉄相互作用を変化させない。データはまた、デキストラン−T10の粒子に結合した割合が、組成物が平衡であるときデキストラン−T10の総量の70%を示すことを裏付けている。
【0143】
最適な賦形剤濃度の決定
Doelhert’s matrix(例えばSautour et al., J. App. Microbiol., 2001, 91, 900−906参照)に従う分析に使用するために表4に示されているいろいろな製剤を調製した。各製剤は凍結乾燥物として安定化されており、0.9%NaClで再構成後分析した。各製剤を室温及び55℃で12ヶ月間貯蔵した。以下のパラメーターを分析した:pH、レーザー散乱による粒子のサイズ、ゼータ電位、及び結合したクエン酸塩。結合したクエン酸塩はHPLC技術、又はLCMSにより、再構成後上清で評価することができる。結果はNemrod 3.0ソフトウェアを用いて分析する。
【0144】
因子(クエン酸塩における濃度及びデキストラン−T1における濃度)をそれぞれX1及びX2によりシンボル化する。X1及びX2に関して測定されるY応答(パラメーター)をモデル化する関数は、
Y=b
o+b
1X
1+b
2X
2+b
11X
12+b
22X
22+b
12X
1X
2
である。
【0145】
【表4】
【0146】
pH
実施したいずれの実験でも、25℃でpHの変動は全く観察されない。このパラメーターはこの研究では適切でない。pHの応答(55℃)は次の多項式:
pH=7.38+0.26X
1−0.23X
2−0.08X
12+0.03X
22+0.22X
1X
2
でモデル化される。
【0147】
式は、主要な効果が、クエン酸塩(濃度が増大するとpHが上昇する)、デキストラン−T1(濃度が増大すると低下する)及び両方の因子の相互作用に関係していることを示している。応答曲線(
図4A)は、特徴的な最適条件を示すことなく、これらの結果を図に示している。高温で、クエン酸塩は緩衝剤として働き、デキストランの存在に関連するpHの低下の制限を可能にしている。この現象は貯蔵の通常の条件では見られない。
【0148】
モード径
平均のモード径の応答(25℃)は次の多項式:
直径=34.1−8.3X
1−30.5X
2+7.0X
12+29.2X
22+20.1X
1X
2
でモデル化される。
【0149】
式は、デキストランが重要な効果を有することを示している。クエン酸塩とデキストラン−T1の間に少し相互作用がある。応答曲線(
図4B)は明らかに、20〜30mg/gのデキストラン−T1含量及び2.6mg/g未満のクエン酸塩含量に最適なゾーンを示している。
【0150】
平均のモード径の応答(55℃)は次の多項式:
直径=37.9−13.8X
1−57.8X
2+12.1X
12+55.2X
22+30.5X
1X
2
でモデル化される。
【0151】
効果は25℃より顕著であるが、その性質は変わらない。
【0152】
ゼータ電位
ζ電位の応答は次の多項式:
ζ=−42.5−6.1X
1−3.3X
2+11.7X
12−0.5X
22+3.1X
1X
2
でモデル化される。
【0153】
式は、クエン酸塩が重要な効果を有することを示している。最適条件(最大負荷)は1.4〜2.3mg/gに含まれる範囲内にあり、2.3mg/g(鉄に対して12.12wt.%)を超える濃度は更なる効果をもたない。
【0154】
結合したクエン酸塩
結合したクエン酸塩の応答は次の多項式:
結合したクエン酸塩=1.09+0.25X
1−0.01X
2−0.15X
12−0.04X
22−0.03X
1X
2
でモデル化される。
【0155】
予想通り、式は、クエン酸塩のみがこのパラメーターに対して効果を有する。応答曲線(
図4C)もまた、粒子表面に対するクエン酸塩の飽和現象を示している。最適な応答は0〜1.1mg/gであり、1.4mg/gに等しい総クエン酸塩濃度で得られる。2.1〜2.2mg/gより多く過剰の総クエン酸塩はそれ以上の有意な効果をもたない。これらの結果はゼータ電位に対して得られたものと一致している。
【0156】
結論
研究は、クエン酸塩が粒子電荷に寄与し、1.4mg/gを超える濃度で有益であり;デキストラン−T1が凍結乾燥の間凍結保護剤として作用し、20mg/g以上の濃度で最も効率的であることを示した。
【0157】
実施例4−dUSPIOの凍結乾燥
3つの異なる組成物の熱的特性を、電気伝導特性を検査することにより氷マトリックスの変化をモニターする標準的な技術を用いて分析した。デキストラン−T1とクエン酸塩の両方を含む組成物は個々の添加剤の相加効果に基づいて期待できたよりも凍結乾燥に対して耐性であることが分かった。これは、よりゆっくりした、より緩やかな凍結乾燥ということになり、粒子の凝集を低減する。
【0158】
【表5】
【0159】
参考文献
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