特表2022-500706(P2022-500706A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-500706(P2022-500706A)
(43)【公表日】2022年1月4日
(54)【発明の名称】広角アプリケーション高反射ミラー
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20211203BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20211203BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20211203BHJP
【FI】
   G02B5/28
   G02B5/26
   G02B5/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2021-525341(P2021-525341)
(86)(22)【出願日】2018年9月12日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月10日
(86)【国際出願番号】CN2018105140
(87)【国際公開番号】WO2020015101
(87)【国際公開日】20200123
(31)【優先権主張番号】201810792202.2
(32)【優先日】2018年7月18日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521023492
【氏名又は名称】福州高意光学有限公司
【氏名又は名称原語表記】FUZHOU PHOTOP OPTICS CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ウー,リ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ヂゥー
(72)【発明者】
【氏名】ユ,グアンロン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ユ
(72)【発明者】
【氏名】ス,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リン,チーチャン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
【Fターム(参考)】
2H042DA02
2H042DA03
2H042DA04
2H042DA05
2H042DA06
2H042DA07
2H042DA08
2H042DA11
2H042DA12
2H042DB02
2H042DB08
2H042DC02
2H042DC08
2H042DE00
2H042DE09
2H148FA05
2H148FA12
2H148FA24
2H148GA04
2H148GA07
2H148GA09
2H148GA14
2H148GA23
2H148GA32
(57)【要約】
800〜4000nmの波長範囲で部分的に重なり合う反射帯域を有する広角用途の高反射ミラーが提供される。ミラーは、複数の高屈折率膜層と複数の低屈折率膜層が交互に積層された膜系を含み、高屈折率膜層の材質は、SiH、SiOxHy、またはSiOxNyのうちの1つ又はそれらの混合物である。高反射ミラーは、広い角度範囲で0〜60度の範囲の入射角で99%を超える反射率を実現し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
800〜4000nmの波長範囲で部分的に重なり合う反射帯域を有する広角用途の高反射ミラーであって、
前記反射ミラーは、交互に積層された複数の高屈折率膜層と複数の低屈折率膜層を含み、
前記高屈折率膜層の材料は、SiH、SiOxHy、又はSiOxNy、又はそれらの混合物であり、
各高屈折率膜層は、800〜4000nmの波長範囲で3を超える屈折率を有し、前記反射帯域の反射率は99%を超え、入射角は広角範囲で0〜60度の範囲であることを特徴とする広角用途の高反射ミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の広角用途の高反射ミラーにおいて、前記高屈折率膜層は、800〜1100nmの波長範囲において3.5を超える屈折率を有することを特徴とする広角用途の高反射ミラー。
【請求項3】
請求項1に記載の広角用途高反射ミラーにおいて、前記低屈折率膜層の材質が、TiO、Nb、Ta、SiO、Siのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物であることを特徴とする広角用途の高反射ミラー。
【請求項4】
請求項1に記載の広角用途高反射ミラーにおいて、800〜4000nmの波長範囲と部分的に重なる反射帯域が提供され、前記反射帯域は、0〜80度の入射角範囲において99%を超える反射率を有する広角用途の高反射ミラー。
【請求項5】
膜系が、さらに、前記膜系の最も内側に配置された金属膜層を含み、前記金属層は、Cr、Ta、Ti、Nb、Ni、Au、Ag、Cu、Alのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物であることを特徴とする広角用途の高反射ミラー。
【請求項6】
膜系を担持するための基板をさらに含み、
前記基板の材質は、シリコン材料、シリカベースのガラス、プラスチック、サファイア、炭化ケイ素、強化ガラスのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物であることを特徴とする広角用途の高反射ミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズの分野、より具体的には、広角用途の高反射ミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
反射ミラーは、光通信、イメージング、計測、センシングの分野で最も広く使用されているデバイスの1つである。このような反射ミラーの場合、反射光を増加させるという目的は、多くの場合、真空膜めっき技術を使用して特定の基板上に材料の1又は複数の層をコーティングすることによって達成される。
【0003】
従来、広角用途のニーズを満たすために、反射ミラーは金属膜層でコーティングする必要がある。しかしながら、金属膜は「軟質膜」に属し、耐摩耗性が低く、環境信頼性が低く、寿命が短いという欠点がある。信頼性を向上させるために、単一または複数の硬質誘電体薄膜を強化保護層(例えば、Nb、Ta、Al、またはSiOなどの硬質誘電体酸化物層)として追加した場合でも、従来の全誘電体薄膜とは依然として大きな信頼性のギャップがある。一方、TiO、Nb、Ta、SiO、およびそれらの混合物などの従来の酸化物またはフッ化物の全誘電体材料を使用すると、ミラーは優れた環境信頼性と寿命を持つが、入射角が大きくなると、反射帯域の中心波長が短波に大きくシフトするという欠点があり、最終的には広範囲の入射角で使用できなくなる。
【0004】
上記の問題を考慮して、本発明は、従来の反射ミラーの入射角の範囲を改善し、同時にその良好な信頼性および寿命を保証するいくつかの技術的改善を開示する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、広角用途向けの高反射ミラーを提供することである。本発明は、従来のミラーの入射角の範囲を改善すると同時に、その良好な信頼性および寿命を保証する。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を採用する。広角用途の高反射ミラーが、800〜4000nmの波長範囲で部分的に重なり合う反射帯域を有し、前記反射ミラーは、交互に積層された複数の高屈折率膜層と複数の低屈折率膜層を含み、前記高屈折率膜層の材料は、SiH、SiOxHy、又はSiOxNy、又はそれらの混合物であり、各高屈折率膜層は、800〜4000nmの波長範囲で3を超える屈折率を有し、前記反射帯域の反射率は99%を超え、入射角は広角範囲で0〜60度の範囲である。
【0007】
好適には、高屈折率膜層は、800〜1100nmの波長範囲において3.5を超える屈折率を有する。
【0008】
好適には、低屈折率膜層の材質が、TiO、Nb、Ta、SiO、Siのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物である。
【0009】
好適には、膜系が、さらに、前記膜系の最も内側に配置された金属膜層を含み、前記金属層は、Cr、Ta、Ti、Nb、Ni、Au、Ag、Cu、Alのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物である。
【0010】
広角用途の高反射ミラーが、膜系を担持するための基板をさらに含み、前記基板の材質は、シリコン材料、シリカベースのガラス、プラスチック、サファイア、炭化ケイ素、強化ガラスのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物である。
【0011】
本発明は、上記の技術的解決策を採用して、以下の有益な効果を有する。すなわち、800〜4000nmの波長範囲と部分的に重なる反射帯域を実現するために、反射帯域は、0〜60度の入射角範囲で99%を超える反射率を有する。好ましくは、反射帯域は、0度〜80度の入射角範囲で99%を超える反射率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付の図面および特定の実施形態を参照して、以下でさらに詳細に説明される。
図1図1は、本発明の構造の概略図である。
図2図2は、本発明の実施例1による反射率と波長との間の関係の図である。
図3図3は、本発明の実施例1による、反射帯域の平均反射率と入射角との間の関係の図である。
図4図4は、本発明の比較例1による反射率と波長との間の関係の図である。
図5図5は、本発明の比較例1による反射帯域の平均反射率と入射角との間の関係の図である。
図6図6は、本発明の比較例2による反射率と波長との間の関係の図である。
図7図7は、本発明の比較例2による、反射帯域の平均反射率と入射角との間の関係の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、実施例および比較例を組み合わせて、以下でさらに説明される。
【0014】
図1に示すように、本発明の広角用途の高反射ミラーは、800〜4000nmの波長範囲で部分的に重なり合う反射帯域を有し、反射ミラーは、交互に積層された複数の高屈折率膜層1および複数の低屈折率膜層2を含んでおり、高屈折率膜層1の材料は、SiH、SiOxHy、SiOxNy、またはそれらの混合物であり、高屈折率膜層2のそれぞれは、800〜4000nmの波長範囲で3よりも大きい屈折率を有する。反射帯域の反射率は99%を超え、入射角は広い角度範囲で0〜60度の範囲である。
【0015】
高屈折率膜層2は、800〜1100nmの波長範囲で3.5を超える屈折率を有する。
【0016】
低屈折率膜層1の材料は、TiO、Nb、Ta、SiO、SixNyのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物である。
【0017】
膜層は、膜系の最も内側に位置する金属膜層をさらに含み、金属層は、Cl、Ta、Ti、Nb、Ni、Au、Ag、Cu、Alのうちの1つ又はそれらの2つ以上の混合物である。
【0018】
高反射ミラーは、さらに、膜系を担持するための基板を含み、この基板材料は、シリコン材料、シリカベースのガラス、プラスチック、サファイア、炭化ケイ素、および強化ガラスのうちの1つまたはそれらの2つ以上の混合物である。
【0019】
実施例1
図1図3の1つに示すように、広角用途の高反射ミラーは、850〜950nmの範囲の高反射帯域を有し、その構造は、交互に積層された複数の高屈折率膜層1および複数の低屈折率膜層2によって形成される膜系を含む。
【0020】
高屈折率膜層の材料はSiHであり、その900nm付近の屈折率は3.6である。
【0021】
低屈折率膜層の材料はSiOであり、その900nm付近の屈折率は1.48である
【0022】
基板の材質は一般的なK9光学ガラスである。
【0023】
本発明の反射帯域は、0〜80度の範囲の入射角で99%を超える反射率を有する。さらに、通信機器および自動車製品の耐摩耗性、高温および高湿度耐性の信頼性要件を満たすことができる。図2は、実施例1による反射率と波長との間の関係の図である。
【0024】
比較例1
広角用途の高反射ミラーは、850nm〜950nmの範囲の高反射帯域を有し、この帯域には金の膜が含まれている。
【0025】
基板の材質は一般的なK9光学ガラスである。
【0026】
性能比較は、実施形態1の反射鏡と比較例1との間で行われる。
図4および図5に示すように、比較例1の目標反射帯域は、約0度〜85度の入射角の適用を満たすことができる。比較例1の高反射帯域は、0〜80度の範囲の入射角で96%を超える反射率を有する。
【0027】
反射率が低いと、光路の損失が増加し、光学系の信号対雑音比が低下する。さらに、金の膜材料を空気にさらすと、反射ミラーの湿気、湿度、摩耗に対する耐性が低下し、過酷な環境のニーズに対応できなくなる。
【0028】
比較例2
広角用途の高反射ミラーは、850nm〜950nmの範囲の高反射帯域を有し、その構造は、交互に積層された複数の高屈折率膜層および複数の低屈折率膜層を含む。
【0029】
高屈折率膜層の材料はTiOであり、その900nm付近の屈折率は2.25である。
【0030】
低屈折率膜層の材料はSiOであり、その900nm付近の屈折率は1.48である。
【0031】
基板の材質は一般的なK9光学ガラスである。
【0032】
性能比較は、実施例1の反射鏡と比較例2の反射鏡との間で行われる。
図6および図7に示すように、比較例2では、目標反射帯域で99%を超える反射率を達成することができるが、この反射率を満たす場合、適用角度を0から約50度に制限することしかできない。入射角が大きくなると、膜系全体の形状が短波長方向にシフトし、50〜80度の適用範囲で反射率が大幅に低下する。
【0033】
入射角の範囲が狭いと、視野の広い光学系への適用が制限される。この反射鏡をベースにした系は、大きな角度で入射する場合には使用できない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】