(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-501258(P2022-501258A)
(43)【公表日】2022年1月6日
(54)【発明の名称】自動車両の運転者支援センサを洗浄するための装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20211210BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B60S1/62 110B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2021-517189(P2021-517189)
(86)(22)【出願日】2019年9月25日
(85)【翻訳文提出日】2021年5月7日
(86)【国際出願番号】EP2019075944
(87)【国際公開番号】WO2020064883
(87)【国際公開日】20200402
(31)【優先権主張番号】1858954
(32)【優先日】2018年9月28日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC02
3D225AD22
3D225AF08
3D225AF12
3D225AF17
3D225AG51
(57)【要約】
本発明は、自動車両(300)の運転支援システム(100)の大光学面検出モジュール(110)を洗浄するための装置(120)であって、大光学面検出モジュール(110)の周囲に配置されて洗浄流体を噴射するための少なくとも2つのレール(121a、121b、121c)を備え、各噴射レール(121a、121b、121c)が検出モジュールの光学面の一部を洗浄するように構成され、各噴射レールが他の噴射レール(121a、121b、121c)とは独立して作動され得る、装置(120)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(300)の運転支援システム(100)の大光学面検出モジュール(110)を洗浄するための装置(120)であって、前記大光学面検出モジュール(110)の周囲に配置されて洗浄流体を噴射するための少なくとも2つのレール(121a、121b、121c)を備え、各噴射レール(121a、121b、121c)が前記検出モジュールの光学面の一部を洗浄するように構成され、各噴射レールが他の噴射レール(121a、121b、121c)とは独立して作動され得る、装置(120)。
【請求項2】
環状の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の洗浄装置(120)。
【請求項3】
各噴射レール(121a、121b、121c)が少なくとも2つの流体噴射ノズルを備える、請求項1又は2に記載の洗浄装置(120)。
【請求項4】
各噴射レール(121a、121b、121c)は、少なくとも1つの引き込まれた第1の位置(221)と少なくとも1つの展開された第2の位置(222)とをとることができるように、伸縮自在な展開装置に取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の洗浄装置(120)。
【請求項5】
少なくとも1つの展開装置(124)が液圧展開装置である、請求項4に記載の洗浄装置(120)。
【請求項6】
少なくとも180°の視野内の画像を取得するように構成される少なくとも1つの検出モジュール(110)と、請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの洗浄装置(120)とを備える運転支援システム(100)であって、前記洗浄装置(120)が前記検出モジュール(110)を洗浄するようになっており、前記洗浄装置の各噴射レールが前記検出モジュール(110)の角度セクタ(α1、α2、α3)を洗浄するようになっている、運転支援システム(100)。
【請求項7】
前記検出モジュール(110)の前記角度セクタ(α1、α2、α3)の全てが同一である、請求項6に記載の運転支援システム(100)。
【請求項8】
前記検出モジュール(110)の少なくとも1つの角度セクタ(α1)は、前記運転支援システム(100)が意図されている前記車両の前方の道路シーンに関連する画像を取得するようになっており、この角度セクタ(α1)が前記車両(300)の前方移動の縦軸(X)に中心付けられる、請求項6及び7のいずれかに記載の運転支援システム(100)。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの運転支援システム(100)を備える自動車両(300)。
【請求項10】
請求項6から8のいずれか一項に記載の運転支援システム(100)を洗浄するための方法であって、制御ユニット(200)が前記検出モジュール(110)の少なくとも1つの角度セクタ(α1、α2、α3)を洗浄するための要求に関連する情報項目(201)を受信する少なくとも1つのステップと、前記検出モジュールの他の前記角度セクタが動作可能であることを確認する要求を前記制御ユニット(200)が送信する少なくとも1つのステップと、対象の前記角度セクタ(α1、α2、α3)を洗浄するようになっている前記噴射レール(121a、121b、121c)をその引き込み位置(221)からその展開位置(222)に移動させるための第1の命令(202)を前記制御ユニット(200)が送信する少なくとも1つのステップと、対象の前記噴射レール(121a、121b、121c)によって洗浄流体が噴射されるようにする第2の命令(203)を前記制御ユニット(200)が送信する少なくとも1つのステップと、対象の前記噴射レール(121a、121b、121c)をその展開位置(222)からその引き込み位置(221)に移動させるための第3の命令を前記制御ユニット(200)が送信する少なくとも1つのステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援システムの分野、より詳細には、そのような運転支援システムの検出モジュール用に意図された洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、特に自動車両は、次第に、運転支援システムである自動システムを備えてきている。そのような運転支援システムは、車両の環境及びこの車両の外部パラメータを検出するための1つ以上のモジュールと、このように収集された情報を解釈してこの情報の結果として成される必要がある決定を行なうように構成される少なくとも1つの制御ユニットとを備える。
【0003】
したがって、これらの検出モジュールが車両の寿命全体にわたって適切に動作していることを確認することが重要であることが理解される。特に、これらの検出モジュールは、通常、車両の外側に配置され、例えば、この車両の車体に搭載されるとともに、例えば、汚れて、場合により、これらの検出モジュールが情報を取得することを、不可能ではないにしても、困難にし得る。したがって、堆積されるとともにこれらの検出モジュールによる画像の取得を妨げる場合がある残骸、汚れ、有機成分、及び、他の妨害要素を効果的に除去できる洗浄システムを提供する必要がある。既知の解決策は、対象の検出モジュールの光学面上に所定量のウォッシャー液を噴射した後にこの表面を乾燥させることであるが、そのような解決策は、特定の戦略なくして大量に噴射される場合には、ウォッシャー液又は水に関してコストがかかる可能性があり、これは、車両の周囲にわたって多数の検出モジュールが使用される自動運転車両の場合にはなおさらであることに留意すべきである。
【0004】
更に、ウォッシャー液の噴射が、検出モジュールを動作不能にする、或いは、少なくとも洗浄中にこの検出モジュールの光学機能に悪影響を与えることに留意すべきである。しかしながら、自動運転車両の場合には、車両の操向が、検出される情報に基づいており、これにより、高品質な検出画像が求められる。したがって、検出モジュールが冗長な態様で配置され、そのため、1つの検出モジュールが動作不能である又は格下げされたモードで動作しているときには、他のモジュールが対応する画像の検出を確保し得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、この文脈の範囲に入るとともに、自動車両の運転支援システムの大光学面検出モジュールを洗浄するための装置であって、大光学面検出モジュールの周囲に配置されて洗浄流体を噴射するための少なくとも2つのレールを備え、各噴射レールが検出モジュールの光学面の一部を洗浄するように構成され、各噴射レールが他の噴射レールとは独立して作動され得る、装置を提供することを目的とする。
【0006】
「大光学面検出モジュール」は、それを取り巻く環境の画像を取得するように構成されて、少なくとも180°の視野の開口を伴うモジュールであると理解される。例えば、この検出モジュールが光ビームトランシーバから成ってもよく、該検出モジュールは、360°画像を構成するためにその周囲の情報を全て収集できるLIDAR(「Light Detection And Ranging(光による検出と測距)」の頭字語)モジュールの形態を成す。そのような検出モジュールは、波の放出/受信に続いて画像を再構成するように構成される1つ以上の長距離センサを備えてもよい。
【0007】
「個別に作動され得る」という表現は、対象の噴射レールによる洗浄流体の噴射のための全てのステップを、光学面の一部を洗浄するための噴射レールによって実行できることであって、他の噴射レールによる洗浄動作が引き起こされないことを意味する。好適には、これらの噴射レールの独立性により、検出モジュールの光学面全体を決して同時に洗浄することはできない。前述したように、洗浄中、検出モジュールによる画像の取得は妨げられる或いは更には完全に防止される。したがって、検出モジュール全体を単一のステップで洗浄すると、そのような検出モジュールを備える車両を盲目にし、これにより、運転時に車両の搭乗者の安全に関して及び他の道路使用者の安全に関しても危険がもたらされる場合がある。したがって、本発明は、汚れ、有機廃棄物、又は、他の残骸が検出モジュール上に堆積されるときに画像の取得が防止されないまでも妨害される可能性もあるため、洗浄を確保しつつ、検出モジュールによる画像取得の機能を少なくとも部分的に維持できるようにする。
【0008】
本発明の1つの特徴によれば、洗浄装置が環状の形状を有してもよく、各噴射レールがリングの一部の形状を有する。噴射レールと関連付けられる検出モジュールが回転の円筒又は円筒の一部を形成する光学面を有する場合にこの環状の形状が特に有利であることが理解される。
【0009】
本発明によれば、各噴射レールが少なくとも2つの流体噴射ノズルを備える。レールに沿うノズルの数及び配置は、被洗浄表面上への流体−液体又はパルス空気−の噴射を制御できるようにする。
【0010】
本発明の1つの特徴によれば、各噴射レールは、少なくとも1つの引き込まれた第1の位置及び少なくとも1つの展開された第2の位置をとることができるように、伸縮可能な展開装置に取り付けられる。展開された第2の位置は、噴射ノズルが車両の本体から解放されて検出モジュールの光学面と対向し、それにより、流体の噴射を可能にする位置に対応し、また、引き込み位置は、それに関する限り、検出モジュールによる画像の取得を可能にする位置であって、レールが検出モジュールの視野内にない休止位置である。
【0011】
本発明の1つの特徴によれば、引き込まれた第1の位置から展開された第2の位置への各噴射レールの移動は、それに固有の展開装置によって制御される。例えば、少なくとも1つの展開装置が液圧展開装置である。好適には、全ての展開装置が液圧展開装置である。液圧展開装置の使用が、検出モジュールを洗浄するための液体を噴射できるようにするだけでなく、必要に応じて同じ流体、すなわち、洗浄流体を用いて噴射レールを展開できるようにもし得ることが理解される。或いは、少なくとも1つの展開装置、好適には全ての展開装置が(1つ又は複数の)空気圧展開装置である。
【0012】
また、本発明は、少なくとも180°、特に360°の視野内の画像を取得するように構成される少なくとも1つの大光学面検出モジュールと、本発明に係る少なくとも1つの洗浄装置とを備える運転支援システムであって、洗浄装置が検出モジュールを洗浄するようになっており、洗浄装置の各噴射レールが検出モジュールの角度セクタを洗浄するようになっている、運転支援システムにも関する。本発明の1つの典型的な実施形態によれば、洗浄装置の噴射レールによって洗浄される全ての角度セクタが同一である。言い換えると、大光学面検出モジュールが360°画像を検出できるモジュールであるとともに、洗浄装置が3つの噴射レールを備える場合には、各噴射レールが120°の角度セクタを洗浄する。
【0013】
本発明の1つの特徴によれば、検出モジュールの少なくとも1つの角度セクタは、運転支援システムが対象としている車両の前方の道路シーンに関連する画像を取得するようになっており、この角度セクタが車両の前方移動の縦軸に中心付けられる。「車両の前方」という用語は、ここでは、前方移動の縦軸に沿う車両の移動方向に関して理解されるべきである。
【0014】
本発明の1つの典型的な一実施形態によれば、検出モジュールは、波動放出を使用する少なくとも1つの検出部材を備える。「波動放出を使用する検出部材」は、少なくとも1つの波を放出してこの波が戻るのに要する時間を測定することによって任意の物体からの離間距離を決定するように構成される部材であると理解される。言い換えると、距離は、波の放出と対象の物体によるこの波の反射の検出との間の時間を測定することによって計算される。したがって、測定された時間と波の理論的な伝播速度とに基づいて、検出部材は、波を反射した物体からの離間距離を決定するように構成される。波は、例えば、光波又は電磁波であってもよい。説明中、「検出部材」及び「波動放出を使用する検出部材」という用語は、区別せずに使用される。
【0015】
また、本発明は、本発明に係る少なくとも1つの運転支援システムを備える自動車両に関する。
【0016】
最後に、本発明は、本発明に係る運転支援システムを洗浄するための方法であって、制御ユニットが検出モジュールの少なくとも1つの角度セクタを洗浄するための要求に関連する情報項目を受信する少なくとも1つのステップと、検出モジュールの他の角度セクタが動作可能であることを確認する要求を制御ユニットが送信する少なくとも1つのステップと、対象の角度セクタの洗浄用に意図された噴射レールをその引き込み位置からその展開位置に移動させるための第1の命令を制御ユニットが送信する少なくとも1つのステップと、対象の噴射レールによって流体が噴射されるようにする第2の命令を制御ユニットが送信する少なくとも1つのステップと、対象の噴射レールをその展開位置からその引き込み位置に移動させるための第3の命令を制御ユニットが送信する少なくとも1つのステップとを含む、方法に関する。
【0017】
洗浄流体が各噴射レールに組み込まれた噴射ノズルによって噴射されることも理解される。本発明によれば、流体の噴射は、対象の噴射レールが展開されると直ぐに、すなわち、噴射レールがその引き込まれた第1の位置からその展開された第2の位置に移動する間に開始されてもよい。
【0018】
以上に関連して、展開装置が液圧展開装置であり、それらの展開が洗浄流体の注入によって行なわれる場合には、制御ユニットによって送信される第1の命令及び第2の命令が組み合わされることが理解される。
【0019】
更なる詳細、特徴、及び、利点は、以下の図に示される様々な典型的な実施形態に関連して例示として以下で与えられる詳細な説明を読むことにより、より明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る運転支援システムを備える自動車両の上面図を概略的に示し、この運転支援システムは、少なくとも1つの検出モジュールと、この検出モジュールと関連付けられる本発明の一態様に係る洗浄装置とを備える。
【
図2】
図1に示される運転支援システムの洗浄装置の上面図である。
【
図3】検出モジュールの洗浄装置が使用される状況における本発明に係る運転支援システムの斜視図を示し、
図3は、洗浄装置の噴射レールを作動させるための手段を明らかにする。
【
図4】本発明に係る運転支援システムによって実施される洗浄方法をブロック図の形態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明において、「縦」、「横」、及び、「垂直」という用語は、本発明に係る運転支援システム100が自動車両300に組み込まれる際の運転支援システム100の向きに関する。したがって、「縦」という用語は、車両の前方移動の主軸と平行な方向、及び、図に示される三面体L、V、Tの縦軸Lに対応し、「横」という用語は、この三面体の横軸Tと平行な方向に対応し、横軸は縦軸Lに対して垂直であり、及び、「垂直」という用語は、三面体の垂直軸Vと平行な方向に対応し、この垂直軸Vは、縦軸Lに対して及び横軸Tに対して垂直である。「下側」、「上側」、「上端」及び「下端」という用語は、垂直軸Vに沿う相対位置を指し、車両の下側部分又は下端部部分、例えば、車両の車輪であり、また、この車両の上側部分又は上端部分は、例えば、この車両のルーフによって形成されている。
【0022】
図1は、本発明に係る少なくとも1つの運転支援システム100を備える自動車両300の上面図である。より詳細には、本明細書中に示される例によれば、運転支援システム100は、自動車両300のルーフ301上に位置される。以下でより完全に説明するように、この運転支援システム100は、車両300の環境の少なくとも180°の画像、この場合には360°の画像を取得するように構成される少なくとも1つの検出モジュール110を備える。言い換えると、この検出モジュール110は、車両300の環境全体の画像を取得するように構成される。
【0023】
この検出モジュール110を車両300の外側に位置させると、検出モジュールが、汚れ、有機物、又は、その他の残骸に晒される。したがって、この検出モジュール110が最適に機能できるようにするために、この汚れ及び他の残骸と直接に接触する検出モジュールの光学面を定期的に洗浄する必要がある。この目的のために、本発明に係る運転支援システム100は、この検出モジュール110を洗浄するための装置120も備える。図に示される例によれば、洗浄装置120は、それぞれが検出モジュール110の光学面の角度セクタα1、α2、α3を洗浄するようになっている3つの噴射レール121a、121b、121cを備える。したがって、第1の噴射レール121aが第1の角度セクタα1を洗浄するようになっており、第2の噴射レール121bが第2の角度セクタα2を洗浄するようになっており、第3の噴射レール121cが第3の角度セクタα3を洗浄するようになっている。
【0024】
以下で詳細に説明されるように、検出モジュール110の角度セクタの洗浄は、この特定の角度セクタによる画像の取得を妨害する又は完全に防止する。したがって、本発明は、画像の少なくとも部分的な取得を検出モジュールによって恒久的に行なうことができるように、この検出モジュール110の角度セクタごとの選択的な洗浄を可能にするように設計される。したがって、本発明は、本発明に係る運転支援システム100を備える車両300の搭乗者の安全にとってだけでなく、この車両300と道路を共有する他のユーザにとっても危険となり得る検出モジュール110の完全な盲目状態を回避できるようにする。
【0025】
図1に示されるように、検出モジュール110の各角度セクタα1、α2、α3は、他の2つと同一である。言い換えると、その光学面が360°の画像捕捉を可能にする検出モジュールの図示の例によれば、各角度セクタα1、α2、α3が120°の開口を有する。この例によれば、第1の角度セクタα1が車両300の前方の道路シーンの画像を取得するようになっており、第2の角度セクタα2及び第3の角度セクタα3は、それらに関する限り、車両の側方及び後方に位置される道路シーンの画像を取得するようになっており、これらの第2及び第3の角度セクタα2、α3のそれぞれは、車両300の所定の側に意図されている。図示のように、第1の角度セクタα1は、車両300の前方移動軸Xに中心付けられる。
【0026】
車両300の「前」及び「後」という用語は、本明細書中では、この車両300の前方移動軸Xに沿う車両の主要な移動方向Sに関連して理解される。
【0027】
或いは、例えば、検出モジュールが3つを超える角度セクタ、例えば、それぞれ90°の4つの角度セクタに分割されるようにすることができてもよく、その場合、洗浄装置は、そのそれぞれがこれらの角度セクタのうちの1つを洗浄するようになっている4つの噴射レールを備える。
【0028】
図2及び
図3を参照して、本発明に係る運転支援システム100について更に詳しく説明するが、
図2は、この運転支援システム100の洗浄装置120の上面図であり、
図3は、運転支援システム100の全体の斜視図、すなわち、検出モジュール110及びこの検出モジュール110に関連する洗浄装置120の斜視図である。
【0029】
図2から特に明らかなように、本発明に係る洗浄装置120は、この噴射装置を形成する噴射レールがそれぞれリングの一部の形状を有する、環状の全体形状を有する。言い換えると、各噴射レール121a、121b、121cは、2つの直線縁部123によって互いに接続される円弧の形態を成す2つの縁部122によって画定されるとともに、この同じ噴射レール121の高さh−例えば
図3に示される−よりも大きい厚さeを有する。図示のように、各噴射レール121a、121b、121cの厚さeは、円弧の形態を成す2つの縁部122間で径方向に測定され、対象の噴射レール121a、121b、121cの直線縁部123のうちの一つと平行であり、また、これらの噴射レール121a、121b、121cのそれぞれの高さhは、図示された三面体の垂直軸Vと平行に、すなわち、噴射レール121a、121b、121cの伸縮移動方向と平行に測定される。
【0030】
これらの噴射レール121a、121b、121cのそれぞれは、対象の噴射レール121a、121b、121cが意図されている角度セクタを洗浄するようになっている洗浄流体を噴射するように構成される少なくとも2つの噴射ノズル−ここには示されない−を備える。図示のように、各噴射レール121a、121b、121cは、それが対象としている角度セクタの一部にわたってのみ延びる。しかしながら、これらの噴射レール121a、121b、121cのそれぞれの噴射ノズルは、対象の噴射レールが意図されている角度セクタの全体をカバーするように、すなわち、洗浄流体が対象としている角度セクタの全体へと噴射されるように配置される。「角度セクタの全体へと洗浄流体を噴射する」という表現は、検出モジュールの光学面上への洗浄流体の噴射を意味すると理解され、前記光学面は、対象の角度セクタにおける画像の取得を可能にするように構成される。したがって、ノズルのこの配置によって噴射レール121a、121b、121c間に空間1210を残しつつ全ての角度セクタをカバーでき、それにより、噴射レールのそれぞれの展開を障害なく行なうことができることが理解さる。
【0031】
前述のように、洗浄装置120の各噴射レール121a、121b、121cは、検出モジュール110の角度セクタを洗浄するようになっている。噴射レールが検出モジュールの視野内にない洗浄段階外で検出モジュール110がその環境の画像を取得できるようにするべく、噴射レール121a、121b、121cは、画像の取得が可能な引き込まれた第1の位置と、洗浄を行なうことができる展開された第2の位置との間で移動できる。これらの2つの位置は、例えば
図3に示されており、以下で更に十分に説明される。
【0032】
図3は、検出モジュール110、及び、この検出モジュール110を洗浄するようになっている洗浄装置120の斜視図を示す。本発明によれば、検出モジュール110は、この場合、三面体の垂直軸Vと平行な回転軸Zを伴う真っ直ぐな円筒の形態を成すとともに、波動放出を使用する検出部材、すなわち、波を出力する事典tとこの波が反射される時点t1との間の時間を測定することによって任意の物体からの離間距離を評価するように構成される検出部材を取り囲む光学面1110を備える。したがって、この検出部材は、少なくとも1つの波を放出するように構成される少なくとも1つの放出部材と、反射波を受信するように構成される少なくとも1つの受信部材とを備え、図では放出部材も受信部材も見えない。本発明の様々な典型的な実施形態によれば、検出部材は、電磁波を送受信できるRADARシステム(「RAdio Detection And Ranging(無線による検出と測距)」の頭字語)、又は、光波、例えばレーザービームを送受信できるLIDARシステム(「LIght Detection And Ranging(光による検出と測距)」の頭字語)であってもよい。図に示される例によれば、検出モジュール110がLIDARシステムであり、また、検出モジュール110の光学面1100は、光波の送信を可能にするように構成され、前述の画像の取得は、光波を形成できるレンズによって形成される。
【0033】
ここに示されない例によれば、検出モジュールは、同一であってもなくてもよい複数の検出部材を備えてもよい。
【0034】
また、
図3は、第1の噴射レール121aを、その引き込まれた第1の位置221で、すなわち、検出モジュール110によって放出される波によりとられる経路の外側にこの第1の噴射レール121aが位置付けられる位置で示すとともに、第3の噴射レール121cを、その展開された第2の位置222で、すなわち、この第3の噴射レール121cが対象の角度セクタを洗浄するべく洗浄流体を光学面1110上へと噴射できる位置で示す。
【0035】
この
図3から明確に分かるように、噴射レール121cがその展開された第2の位置222にあるとき、この噴射レールは、検出モジュール110がその環境に関する完全なデータもはや取得できないように、検出モジュール110によって放出される波によりとられる経路を横切って配置される。以下で詳しく説明されるように、各噴射レール121a、121b、121cは他の2つとは独立して制御され、そのため、
図3に示されるように、1つの噴射レールのみが展開位置をとることができる。これは、洗浄中であっても、検出モジュール110が少なくとも1つの角度セクタ、好適には2つの角度セクタにわたって画像を取得し続けることができるようにする。言い換えると、本発明に係る運転支援システム100は、画像の連続的な取得を可能にし、したがって、この運転支援システム100は、自動運転又は部分自動運転の車両に組み込むのに特に適している。
【0036】
噴射レール121a、121b、121cは、それらの引き込まれた第1の位置221からそれらの展開された第2の位置222へ移行するために伸縮自在であり、このことは、噴射レールがそれぞれ、検出モジュール110の垂直主伸長方向Zと平行な垂直直線レールに沿って伸長する又は収縮するように構成される展開装置124を備えることを意味する。以下の説明において、噴射装置が展開位置に向かって移動されるように意図されているときに実施される展開装置124の伸長の現象は、「展開装置の展開」として知られ、また、噴射装置が引き込み位置に向かって移動されるように意図されているときに実施されるこの展開装置の収縮の現象は、「展開装置の収縮」として知られる。
【0037】
各展開装置124はピストン1241のための案内管1240を有し、ピストン1241は管内で並進移動でき、ピストンの端部には、各展開装置と関連付けられる噴射レール121a、121b、121cが取り付けられる。
【0038】
展開装置124は、例えば、液圧展開装置となり得て、ピストン及び関連するレールが液圧の作用下で展開されるように構成される装置を意味する展開。したがって、これらの展開装置124のそれぞれは少なくとも1つの液体入口125を備え、この液体入口125は、図には示されない、少なくとも1つの制御可能な遮断手段を備える。本発明によれば、液体入口125のそれぞれの制御可能な遮断手段は、互いに独立して制御可能である。言い換えると、各展開装置124の展開は、他の展開装置124の展開とは独立して制御される。したがって、各噴射レール121a、121b、121cは、他とは独立して、その引き込まれた第1の位置221からその展開された第2の位置222へと移行できる。言い換えると、本発明は、検出モジュール110の各角度セクタのターゲットされた個別の洗浄を可能にする。
【0039】
好適には、展開装置124のピストンの展開、したがって、対象の噴射レール121a、121b、121cの展開を可能にする液体は、洗浄流体、例えば、ウォッシャー液であってもよい。結果として、角度セクタのうちの1つの洗浄が要求される際、遮断手段は、洗浄流体の展開装置124内への流入を可能にするように開放される。流体が展開装置124に入る間、展開装置のピストンが装置の展開の方向で管内を移動する。流体が噴射レール121a、121b、121cによって支持される噴射ノズルに到達すると直ぐに、対象の角度セクタの洗浄が始まる。展開装置内の液体フローダクトの配置に応じて、噴射レール121がその最高位置に到達する前にこの角度セクタの洗浄が始まることがき、それにより、検出モジュール110、より詳細にはこの検出モジュールの角度セクタが、その高さ全体にわたって、すなわち、その垂直方向の寸法の全体にわたって洗浄されることが理解される。
【0040】
或いは、これらの展開装置124が空気圧展開装置であってもよく、その場合、前述の液体入口が圧縮空気入口に取って換えられる。
【0041】
図3において分かるように、検出モジュール110は、トランク114によって互いに接続される少なくとも上壁112及び下壁113を備える支持体111によって支持される。前述のように、噴射レール121a、121b、121cは垂直軸に沿って移動可能であり、また、開口126が支持体111の上壁112に形成され、これらの開口126は、噴射レールをそれらの引き込み位置で受けるように構成され、噴射レール121a、121b、121cの展開装置124の通過のためのものである。好適には、これらの開口126は、噴射レール121a、121b、121cがそれらの引き込まれた第1の位置221にあるときにこれらの開口126が噴射レール121a、121b、121cによって閉じられるように噴射レール121a、121b、121cの寸法と同一又は実質的に同一の寸法を有する。したがって、これらの開口126のうちの1つを
図3において見ることができる。本発明によれば、運転支援システム100が噴射レール121a、121b、121cを備えるのと同じ数の開口126が上壁112に形成されることが理解される。
【0042】
展開装置124の管1240を保持できるようにするために下壁113にはオリフィス119も形成される。この場合も先と同様、支持体111は、洗浄装置が噴射レール121a、121b、121cを有するのと同じ数のオリフィス119を備えることが理解される。
【0043】
また、支持体111が展開装置124間に配置される第1の補強体115を有することにも留意されたい。これらの第1の補強体115は、ここに示される例によれば、支持体のトランク114に締結されるとともに展開装置124の管が通過するための有孔プレート117を支持する少なくとも2つのブラケット116を備える。
【0044】
各展開装置124は、それに固有の締結手段134によって支持体111のトランク114に固定される。ここに示される例によれば、締結手段134は、対象の展開装置124を把持するように構成される少なくとも2つのタブ136−これらのタブ136のうちの1つだけがここに示されるそれぞれの締結手段134ごとに見える−を備える。或いは、例えば、展開装置124が支持体111のトランク114に接着結合される又は螺合される展開装置124が設けられ得る。これらは単なる典型的な実施形態であり、また、本発明の文脈から逸脱することなく、展開装置を支持体上に保持できるようにするとともにこの展開装置のピストンの展開及び収縮を可能にする限りにおいて、その他の締結手段が考えられることが理解される。
【0045】
最後に、
図4は、本発明に係る運転支援システム100を洗浄するための方法をブロック図の形態で示す。したがって、この方法は、制御ユニット200が検出モジュール110の角度セクタα1、α2、α3上の妨害要素の存在に関連する情報項目201を受信する少なくとも1つのステップを含む。「妨害要素」は、本明細書中では、検出モジュール110の角度セクタのいずれかによる情報の取得を妨げる或いは更には防止する要素であると理解される。したがって、この妨害要素は、例えば、この検出モジュール110上に堆積されて画像の取得を妨げる又は防止する可能性がある汚れ、有機物、又は、その他の残骸であってもよい。
【0046】
制御ユニットは、検出モジュールの各角度セクタが動作可能であるかどうかを決定するために検出モジュールに要求を送信する。異なる角度セクタからの幾つかの情報項目が制御ユニットに同時に送信される場合、つまり、検出モジュールの光学面の幾つかの角度セクタが汚れていて洗浄動作を必要とする場合には、格下げされた動作でさえ画像を取得できるようにしたままにすべく、妨害要素の存在を示す情報項目が制御ユニットによって受信された直後に検出モジュールの角度セクタのうちの少なくとも1つ、好適には、少なくとも2つが洗浄されないが、洗浄された第1の角度セクタに対してずらされる態様で洗浄されるように優先順位が予め決定される。本発明の1つの適用例によれば、車両の前方の道路シーンの画像を取得するようになっている角度セクタの洗浄は、他の2つの角度セクタの洗浄に対して優先される。したがって、制御ユニットは、車両が(例えば信号機で)停止しているとき又は車両が所定の速度未満で走行しているときにのみ車両の前方の道路シーンの画像を取得するようになっているこの角度セクタを洗浄するための命令を与えることができる。
【0047】
大光学面検出モジュールのどの部分が洗浄されるかを制御できるこの可能性は、各噴射レールを他の噴射レールとは独立して作動できるという事実によって可能にされる。したがって、制御ユニット200は、具体的には、妨害要素の存在を示す情報201を送信した角度セクタα1、α2、α3を洗浄するようになっている噴射レール121a、121b、121cに第1の命令202を送信するようにプログラムされる。この第1の命令202は対象の噴射レール121a、121b、121cの展開を可能にし、このことは、この第1の命令202が、より詳細には、関連する展開装置が展開でき、したがって、該展開装置が被洗浄表面の隣に噴射レール121a、121b、121cを移動させることができるように液体又は圧縮空気の流入を可能にするべく遮断手段の開放を引き起こすことを意味する。展開装置が洗浄流体によって展開される際、この第1の命令202は、対象の噴射レール121a、121b、121cの展開と、この噴射レール121a、121b、121cの噴射ノズルを通じた洗浄流体の噴射との両方をもたらすことができるようにする。他方で、この液体が洗浄液ではない場合又は展開装置が空気圧装置である場合、制御ユニット200は、洗浄流体の噴射を可能にする第2の命令203を送信するようにも構成される。例えば、第1の命令202及び第2の命令203を同時に送信することができる。
【0048】
対象の角度セクタα1、α2、α3が洗浄された時点で、制御ユニット200は、対象の噴射レールの展開装置の収縮を引き起こす第3の命令を送信する。言い換えると、第1の命令は、対象の噴射レールをその引き込み位置からその展開位置に移動させることができるようにし、また、第3の命令は、それに関する限り、この噴射レールをその展開位置からその引き込み位置に移動させることができるようにする。
【0049】
したがって、本発明は、車両、例えば、自動運転車両又は部分自動運転車両用に意図された運転支援システムの検出モジュールを順次に洗浄するための簡単で安価な手段を提案する。好適には、そのような順次洗浄は、特に、少なくとも部分的な形態で、検出モジュールによる画像取得の機能を恒久的に維持できるようにする。
【0050】
しかしながら、本発明は、本明細書中に記載されて図示された手段及び形態に限定されず、全ての同等の手段又は形態、及び、そのような手段の任意の技術的に有効な組み合わせにも及ぶ。特に、噴射レール及びそれらの関連する展開装置の形状、数、及び、配置は、それらが本文書に記載されて図示される機能をもたらすという条件で、本発明に悪影響を与えることなく変更されてもよい。
【国際調査報告】