特表2022-501425(P2022-501425A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2022-501425エダラボン前駆体薬物化合物及びその退行性神経疾患または運動神経疾患の治療または改善のための医薬用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-501425(P2022-501425A)
(43)【公表日】2022年1月6日
(54)【発明の名称】エダラボン前駆体薬物化合物及びその退行性神経疾患または運動神経疾患の治療または改善のための医薬用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/22 20060101AFI20211210BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20211210BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20211210BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20211210BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20211210BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20211210BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20211210BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20211210BHJP
【FI】
   C07D231/22 Z
   C07D403/12CSP
   A61K31/496
   A61P25/00
   A61P21/00
   A61P25/28
   A61P25/16
   A61P25/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2021-539321(P2021-539321)
(86)(22)【出願日】2019年9月9日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月17日
(86)【国際出願番号】KR2019011639
(87)【国際公開番号】WO2020060092
(87)【国際公開日】20200326
(31)【優先権主張番号】10-2018-0111079
(32)【優先日】2018年9月17日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】521036827
【氏名又は名称】ジェイツーエイチ バイオテック インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521113140
【氏名又は名称】セラジェン イーテックス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ−ソン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヒョン−チョル
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジ−ウン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ウン−ビ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョク−ミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ドクホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン−ギュ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ビョンファン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ヨン−ホ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063CC34
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
(57)【要約】
本発明は、エダラボン(edaravone)化合物の新規な前駆体薬物(prodrug)またはその薬学的に許容可能な塩、それを有効成分として含む薬学組成物、その退行性神経疾患及び/または運動神経疾患の治療または改善の医薬用途を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【化1】

前記化学式1において、
及びRは、相互独立的に、水素または(C−C)アルキルであり、
は、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、フェニル、−CHNH、−CH(CH)NH、−CH(CHOH)NH、−CH(CH(CH)OH)NH、−CH(CHSH)NH、−CH(CH(CH)NH、−CH(C(CH)NH、−CH(CHCH(CH)NH、−CH(CH(CH)CHCH)NH、−CH(CHCHSCH)NH、ピロリジン−2−イル、−CH(CHPh)NH、−CH(CHPhOH−p)NH、−CH(1H−インドール−3−イル−CH)NH、−CH(CHCOH)NH、−CH(CHCHCOH)NH、−CH(CHCONH)NH、−CH(CHCHCONH)NH、−CH(1H−イミダゾール−4−イル−CH)NH、−CHCHCHCHNH及び−CHCHCHNHC(NH)NHからなる群より選択される。
【請求項2】
前記化合物は、
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチル−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチル−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(シクロヘキサンカルボニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−ベンゾイルピペラジン−1−カルボキシレート;
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノアセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−メルカプトプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−メチルブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−エチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−3−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−フェニルプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2,4−ジアミノ−4−オキソブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;または、
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2,6−ジアミノヘキサノイル)ピペラジン−1−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む、薬学組成物。
【請求項4】
活性成分として請求項1または請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、退行性神経疾患または運動神経疾患の治療または改善用の薬学組成物。
【請求項5】
前記退行性神経疾患または運動神経疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ルー・ゲーリック病、多発性硬化症、ジストニア、脊髄性筋萎縮症、炎症性神経障害またはアルコール性認知症である、請求項4に記載の薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルー・ゲーリック病などの退行性神経疾患及び運動神経疾患の治療または改善に有用であると知られたエダラボン(edaravone)化合物の新規な前駆体薬物(prodrug)またはその薬学的に許容可能な塩に関する。また、本発明は、このような新しい前駆体薬物またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分で含む薬学組成物に関する。また、本発明は、このような前駆体薬物またはその薬学的に許容可能な塩を用いる医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ルー・ゲーリック病(Lou Gehrig’s disease;Amyotrophic lateral sclerosis)、多発性硬化症(Multiple sclerosis)などに代表される退行性脳疾患または運動神経疾患は、現在、臨床的に使用される治療剤が極めて制限的である。このような疾患の治療または症状の改善のために、各疾患ごとに多様なアプローチが行われているが、本疾患群の治療に共通に適用される機転は、原因タンパク質による神経細胞の酸化的損傷を抑制する方法である。即ち、活性酸素種(Reactive oxygen species;ROS)の過度な生産が神経毒性をもたらすが、抗酸化剤が神経の酸化損傷を減らして神経退行を減少させることができるという点を用いている。
【0003】
一方、エダラボンは、2017年米国でルー・ゲーリック病の治療剤として新しく承認を受けた薬物であり、臨床試験でルー・ゲーリック病の主要指標(revised ALS functional rating scale; ALSFRS−R)を改善し、特に、脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF)内のニトロチロシン(3−nitrotyrosine) の数値を画期的に減少させるなど、その効果が立証された(Expert Opinion on Pharmacotherapy、2017、18(7)、735)。エダラボンのルー・ゲーリック病に対する作用機転は明らかになっていないが、ルー・ゲーリック病関連の酸化ストレスによる神経細胞死滅の仮説を考慮するとき、エダラボンの抗酸化機能がルー・ゲーリック病の治療効果を奏する機転と推測される(Frontiers in Aging Neuroscience、2017、9、68)。
【0004】
一方、アルツハイマー病においては、アミロイド−β(amyloid−β)の蓄積及びこれによる病理学的な特性を示し、前記エダラボンは、アミロイド−βの沈着及びこれによる酸化的損傷を抑制して疾患の進行を抑制すると報告された(Proccedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、2015、112(16)、5225)。即ち、アルツハイマー病が誘発されたAPPswe/PS1マウスを対象にした動物試験においてエダラボンを腹腔投与したとき、アミロイド−βの沈着及びタウタンパク質リン酸化の減少、神経炎症及びニューロン損失の減少と共に行動学的な改善効果が立証された。
【0005】
また、パーキンソン病においては、運動神経の中枢である基底核におけるドパミン物質の不足現象が現われるが、前記エダラボンは、晩成パーキンソン病が誘導されたロテノンラットモデル(chronic rotenone rat model)に投与されたとき、筋肉硬直現象(catalepsy)、ドパミンニューロンの退行などが大幅改善された。これは、中脳における活性酸素種がエダラボンによって画期的に減少することによる結果として立証された(PLoS One、2011、6(6)、e20677)。
【0006】
エダラボンは、現在、静脈内点滴注射剤(IV infusion)として商品化しており、通常は、毎回60mgの用量を28日基準の反復サイクルで患者に投与される。即ち、初期の14日間毎日投与した後、14日の休止期を有し、さらに14日中の10日間投与した後、14日の休止期を有する。ところが、患者の立場では、投与のために毎回病院に内院して1時間の間に注射を打たれることは非常に煩わしい。特に、ルー・ゲーリック病の特性上、挙動が不便な患者の移動、注射剤の投与、頻繁な投与日程などを考慮すると、薬物の臨床的有用性にもかかわらず患者の便宜性の面では非常に適切ではない。
【0007】
このような不具合は、例えば、点滴注射剤を一時注射剤に変更するか、ひいては、経口用製剤に開発することで解決することができる。しかし、エダラボンの低い溶解度(1.85mg/ml)、低い経口吸収度(Fabs=5.23%)、低い透過率(Peff=3.18×10−7cm/s)、不安定性、過度な二次代謝(phase II metabolism:glucuronidation)などによって経口剤への利用が難しい実情である。特に、腸上皮細胞に存在するP糖タンパク質(P−glycoprotein;Pgp)によってエダラボン薬物が放出される現象が主な要因として指摘されている。
【0008】
一方、中国特許公開第102190622号では、エダラボン構造にカルバメート官能基で連結されたピペラジン誘導体化合物である特定構造の前駆体薬物(prodrug)を開示しており、当該化合物を動物モデルに経口または注射投与して抗酸化効果を測定した。しかし、前記特許では、当該化合物の生体内投与後に現われる薬物動態学的な面について開示していないだけでなく、前駆体物質から生成される血液内のエダラボン濃度について如何なる開示もしていない。
【0009】
本発明者が直接実験によって確認した結果、前記中国特許に開示の前駆体薬物は、エダラボンの生体利用率を改善するのに十分ではなく、そこで、本発明者は、吸収率、生体利用率などがより画期的に改善された薬物が必要であると判断した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、吸収率、生体利用率などが改善されたエダラボンの前駆体薬物、その薬物を含む薬学組成物、及びこのような薬物の退行性神経疾患または/及び運動神経疾患の治療または改善のための医薬用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明は、下記の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、
及びRは、相互独立的に、水素または(C−C)アルキルであり、
は、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、フェニル、−CHNH、−CH(CH)NH、−CH(CHOH)NH、−CH(CH(CH)OH)NH、−CH(CHSH)NH、−CH(CH(CH)NH、−CH(C(CH)NH、−CH(CHCH(CH)NH、−CH(CH(CH)CHCH)NH、−CH(CHCHSCH)NH、ピロリジン−2−イル、−CH(CHPh)NH、−CH(CHPhOH−p)NH、−CH(1H−インドール−3−イル−CH)NH、−CH(CHCOH)NH、−CH(CHCHCOH)NH、−CH(CHCONH)NH、−CH(CHCHCONH)NH、−CH(1H−イミダゾール−4−イル−CH)NH、−CHCHCHCHNH及び−CHCHCHNHC(NH)NHからなる群より選択される。
【0014】
本発明者は、多様な前駆体薬物を製造及び評価した結果、前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、吸収率、生体利用率の面で非常に優れた効果を奏し、生体利用率の面の外にも前駆体薬物として優れた物性または特性を現わすことを確認し、本発明を完成した。
【0015】
本発明の一様態において、望ましくは、前記化合物は、
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチル−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチル−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(シクロヘキサンカルボニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−ベンゾイルピペラジン−1−カルボキシレート;
3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノアセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−メルカプトプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−メチルブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−エチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−3−メチルピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−フェニルプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2,4−ジアミノ−4−オキソブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
または、
(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2,6−ジアミノヘキサノイル)ピペラジン−1−カルボキシレートである。
【0016】
本明細書において、「C−C」のように記載される場合、これは炭素数がx〜y個であることを意味する。例えば、(C−C)アルキルは、炭素数が1〜3であるアルキルを意味する。
【0017】
本発明において使用される用語「アルキル」は、線状または分枝状を共に含む。
【0018】
本発明において、「薬学的に許容可能な塩」とは、ここで言及した化合物から発見される特定の置換体に依存する比較的非毒性酸から製造された活性化合物の塩を含む。本発明の化合物は、相対的に塩基性の機能性を含むとき、酸付加塩は、十分な量の所望する酸、純粋なまたは適切な非活性(inert)溶媒でそのような化合物の中性形態を接触して得ることができる。薬学的に許容可能な酸付加塩の例には、酢酸、プロピオン酸、イソブチル酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸(p−tolyl sulfonic acid)、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸及びこれらの類似体を含む相対的に非毒性の有機酸に由来の塩のみならず、塩化水素、臭化水素、硝酸、炭酸、一水素炭酸(monohydrogencarbonic acid)、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨード化水素または亜リン酸及びその類似体を含む。また、アルギネートとその類似体のようなアミノ酸の塩及びグルクロン酸またはガラクツロン酸とその類似体のような有機酸の類似体を含む(例えば、Bergeなど(1977) J.Pharm.Sci.66:1〜19)。塩の他の例は、本発明が属した分野における公知の文献、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、l8th eds.、Mack Publishing、Easton PA (1990)またはRemington:The Science and Practice of Pharmacy、19th eds.、Mack Publishing、Easton PA(1995)に開示されている。
【0019】
本明細書で使用された用語である「本発明の化合物」とは、化学式1の各々の化合物のみならず、これらのクラスレート(clathrates)、水和物、溶媒化物または(結晶)多形体を含む意味である。また、用語「本発明の化合物」とは、その薬学的に許容可能な塩が言及されない場合、本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩も含む意味である。一実施例で本発明の化合物は、立体異性体的に純粋な化合物(例えば、他の立体異性体が実質的に無い(例えば、85%ee以上上、90%ee以上、95%ee以上、97%ee以上または99%ee以上))で存在し得る。即ち、本発明による化学式1の化合物またはその塩が互変異性体及び/または立体異性体(例えば、幾何異性体及び配座異性体)である場合、それらの分離された異性体及び混合物も各々本発明の化合物の範疇に含まれる。本発明の化合物またはその塩が構造内に不斉炭素を有している場合、それらの光学活性化合物及びラセミ混合物も本発明の化合物の範囲に含まれる。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「結晶多形(polymorph)」とは、本発明の化合物の固体結晶形態またはその複合体を意味する。同じ化合物の他の結晶多形は、他の物理的、化学的及び/またはスペクトル特性を示す。物理的特性面における相違点としては、安定性(例えば、熱または光安定性)、圧縮性と密度(製剤化及び生産物の製造に重要)及び溶解率(生物学的な利用率に影響を与え得る)を含むが、これらに限定されない。安定性における差異は、化学反応性変化(例えば、さらに他の多形から構成された場合よりも一つの多形から構成された場合にさらに速く変色するような差別的酸化)または機械的な特徴(例えば、動力学的に選好された多形体であって、保存された錠剤の破片が熱力学的にさらに安定した多形へ変換)または両方とも(一つの多形の錠剤は、高い湿度で分解にさらに敏感)を惹起する。結晶多形の他の物理的性質は、それらの加工に影響を与え得る。例えば、一つの結晶多形は、さらに他の結晶多形に比べ、例えば、その形態または粒子の大きさ分布に起因して溶媒化合物を形成する可能性が高いか、ろ過または洗浄がより難しくなり得る。
【0021】
本明細書で使用された用語「溶媒化合物」とは、非共有分子間の力によって結合した化学量論的または非化学量論的な量の溶媒を含む本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を意味する。望ましい溶媒は、揮発性であり、無毒性であり、ヒトに極少量で投与され得る。
【0022】
本明細書で使用された用語「水和物(hydrate)」とは、非共有分子間の力によって結合した化学量論的または非化学量論的な量の水を含む本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を意味する。
【0023】
本明細書で使用された用語「クラスレート(clathrate)」とは、ゲスト分子(例えば、溶媒または水)を閉じ込める空間(例えば、チャンネル)を含む結晶格子形態の本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0024】
本発明の前記化学式1で表される化合物は、例えば、次のような経路で合成され得る。
【0025】
【化2】
【0026】
最初に使用される物質は、アルキル基から構成されるR及びRに置き換えられたピペラジン化合物Iであって、R基が含まれた活性化エステル化合物またはカルボン酸化合物との反応の結果でアミド中間体IIを得ることができる。このときに使用されるカルボン酸化合物にはアミン基が適切に保護されたアミノ酸を含み得、保護基は、アミン基に通常使用されるt−ブトキシカルボニル(t−butoxycarbonyl、Boc)またはフルオレニルメチルオキシカルボニル(fluorenylmethyloxycarbonyl、Fmoc)官能基を含み得る。次の段階として既に保護されたカルボキシベンジル基(carboxybenzyl、Cbz)は、水素化反応によって脱保護されて中間体IIIを得ることができる。中間体IIIは、トリホスゲンで処理されて活性化した後、エダラボンIVと反応して最終化合物Vが得られる。一方、アミン基が保護されたアミノ酸を使用した場合、最終段階で脱保護過程を別に経てもよい。
【0027】
本発明者は、エダラボン化合物の化学構造を変形して、経口投与時の経口吸収率を画期的に増加させることができる新しい構造の新規化合物を創案、製造した。このように製造された新規化合物を生体内に経口投与した後、血中に露出されるエダラボン物質の濃度は、究極に多様な退行性神経疾患及び/または運動神経疾患の治療または改善のための薬物の効能と正比例する。これは、エダラボンを静脈投与した後、血中に露出されたエダラボン物質の濃度を基準にして、本発明による新規化合物、即ち、前駆体薬物を経口投与した後、代謝過程を経て血中に露出されたエダラボン物質の濃度を比較することで静脈投与及び経口投与の用量を比例的に適用可能であることを意味する。
【0028】
本発明者は、エダラボンの経口吸収度が向上した新規化合物を導出するために、多様な化学構造を有する化合物を製造及び評価した。また、化合物の物理化学的な面で、薬物の吸収は基本的に受動的な拡散によって行われることを考慮してどのくらいの脂溶性を現わすかを評価しており、低すぎる水溶解度による吸収度の低下を防止するために最小限の溶解度を現わすことができるかについても評価した。
【0029】
特に、本発明による化合物の一部は、腸粘膜に存在する膜輸送タンパク質(transmembrane transporter)のうち、PepT1、LAT1などのようなアミノ酸輸送体(amino acid transporter)の基質(substrate)として作用できると考えられる。したがって、本来のエダラボン化合物がPgp放出によって生体利用率が低いことに対し、本発明による化合物の一部は、アミノ酸輸送体による能動輸送であることで生体利用率が画期的に増加すると考えられる。但し、本発明はこのような理論的機転に限定されない。
【0030】
具体的に本発明による化学式1の化合物のうち、実施例10の化合物に対する薬物動態学的評価結果を例に挙げると、静脈投与されたエダラボンの生体利用率を100%としたとき、経口投与された実施例10の化合物の生体利用率は88.2%であって、経口投与されたエダラボンの生体利用率である4.9%に対して約18倍の画期的な増加現象が確認できた。また、下記の実施例15の化合物に対する薬物動態学的評価結果を例に挙げると、静脈投与されたエダラボンの生体利用率を100%としたとき、経口投与された実施例15の化合物の生体利用率は60.7%であって、経口投与されたエダラボンの生体利用率である4.9%に対して約12倍の画期的な増加現象が確認できた。
【0031】
一方、中国特許CN102190622の実施例2に開示された化合物、即ち、4−メチル−1−ピペラジンホルミルエダラボン(本願の参考例1の化合物と同一;3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−メチルピペラジン−1−カルボキシレート)を本発明で新しく提示した実施例化合物と同様の方法で薬物動態試験を実施して比較した。その結果、この化合物の生体利用率は12.0%で示され、ゆえに、前述した実施例10及び実施例15の化合物を含めて本発明で提示した化学式1の化合物は、CN102190622に公知の物質に比べて経口投与による生体利用率が大幅向上したものであることが分かる。
【0032】
さらに他の様態において、本発明は、本発明による化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療的に有効な量及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物を提供する。
【0033】
本明細書で使用された「有効な量または有効量」とは、退行性神経疾患及び/または運動神経疾患を遅延または最小化するか、または退行性神経疾患及び/または運動神経疾患の治療または管理において治療上の利点を提供するのに十分な本発明の化合物の量をいう。
【0034】
前記薬学的に許容可能な担体としては、例えば、経口投与用の担体または非経口投与用の担体が使われ得る。経口投与用の担体は、ラクトース、でん粉、セルロース誘導体、マグネシウムステアレート、ステアリン酸などを含み得る。また、非経口投与用の担体は、水、適切なオイル、食塩水、水性グルコース及びグリコールなどを含み得、安定化剤及び保存剤をさらに含み得る。適切な安定化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤が挙げられる。適切な保存剤としては、ベンザルコニウムクロリド、メチル−またはプロピル−パラベン及びクロロブタノールが挙げられる。その他の薬学的に許容される担体としては、下記の文献に記載していることを参照することができる。(Remington’s Pharmaceutical Sciences、19th ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1995)
本発明の薬学組成物は、ヒトを含めた哺乳動物に経口または非経口の如何なる投与経路でも投与可能である。但し、本発明の化合物が優れた経口吸収率を示すという面で、経口投与経路がさらに望ましい。
【0035】
非経口的な投与方法としては、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髓内、経膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸内への投与であり得るが、これらに限定されない。例えば、本発明の薬学組成物を注射型剤形として製造し、これを30ゲージの細い注射針で皮膚を軽く刺す(prick)方法、また皮膚に直接的に塗布する方法によっても投与可能である。
【0036】
本発明の薬学組成物は、上述したような投与経路によって経口投与用または非経口投与用の製剤に剤形化することができる。
【0037】
経口投与用の製剤の場合、本発明の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液剤などに、当業界における公知の方法を用いて剤形化し得る。例えば、経口用製剤は、活性成分を固体賦形剤と配合した後、これを粉砕して、適切な補助剤を添加した後、顆粒混合物に加工することで製剤を得ることができる。適切な賦形剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール及びマルチトールなどを含む糖類と、トウモコロシでん粉、小麦でん粉、米でん粉及びじゃがいもでん粉などを含むでん粉類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びハイドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのような充填剤が含まれ得る。また、場合によって架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギネートまたはナトリウムアルギネートなどを崩壊剤として添加し得る。さらに、本発明の薬学組成物は、抗凝固剤、滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などをさらに含み得る。
【0038】
非経口用投与用の製剤の場合には、注射剤、クリーム剤、ローション剤、外用軟膏剤、オイル剤、保湿剤、ゲル剤、エアロゾール及び鼻腔吸入剤の形態で当業界における公知の方法で剤形化することができる。これらの剤形は、全ての製薬化学における公知の処方書である文献(Remington’s Pharmaceutical Science、15th Edition、1975. Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania 18042、Chapter 87: Blaug、Seymour)に記載している。
【0039】
本発明の薬学組成物の総投与量は、単回投与(single dose)で患者に投与され得、複数回投与(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与され得る。本発明の薬学組成物は、疾患の症状によって有効成分の含量を相違にし得る。望ましくは、本発明の組成物の望ましい総用量は、1日に患者の体重1kg当たりに約0.01μg〜1、000mg、さらに望ましくは0.1μg〜100mgであり得る。しかし、前記本発明の薬学組成物の用量は、投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の症状程度、食餌、排泄率などの多様な要因を考慮して、当分野における通常の知識を有する者が適切な有効投与量を決定し得る。本発明による薬学組成物は、本発明の効果を奏する限り、その剤形、投与経路及び投与方法は特に制限されない。
【0040】
また、本発明の薬学組成物は、単独治療剤として投与されるか、または他の治療剤と併用して投与され得る。他の治療剤と併用して投与される場合、本発明の組成物と他の治療剤とは同時に、個別的にまたは順次に投与され得る。この際、他の治療剤とは、退行性神経疾患及び/または運動神経疾患の治療または改善効果を奏するものとして知られている物質であり得る。本発明の薬学組成物が他の治療剤と併用して投与される場合、本発明の組成物と他の治療剤とは各々別の容器に分離して剤形化するか、同じ剤形で共に複合剤形化し得る。
【0041】
本発明で提示された化合物を人体に投与するために、代表的な薬学的方法として錠剤を例に挙げて説明すると、具体的に下記の表1のようである。下記に提示された化合物A及び化合物Bは、本発明で退行性神経疾患及び運動神経疾患の治療、改善または予防のための有効成分でとして提示した物質を意味する。
【0042】
【表1】
【0043】
また、本発明は、活性成分として本発明による化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、退行性神経疾患または運動神経疾患の治療または改善用の薬学組成物を提供する。即ち、本発明は、本発明による化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の、退行性神経疾患または運動神経疾患の治療または改善用の医薬用途を提供する。
【0044】
また、他の様態において、本発明は、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療的に有効な量を、これを要する個体に投与する段階を含む退行性神経疾患または運動神経疾患の治療または改善方法を提供し、前記退行性神経疾患または運動神経疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ルー・ゲーリック病、多発性硬化症、ジストニア、脊髄性筋萎縮症、炎症性神経障害またはアルコール性認知症が挙げられる。さらに他の様態において、前記個体は、ヒトである。一様態において、前記治療は、予防的治療(preventative treatment)である。また、他の様態において、前記治療は、緩和治療(palliative treatment)である。さらに他の様態において、前記治療は、回復治療(restorative treatment)である。
【発明の効果】
【0045】
本発明は、退行性神経疾患または運動神経疾患の治療または改善に効果的な化合物、これらを有効成分で含む薬学組成物、これらの医薬用途、及びこれらを治療または予防が必要な個体に投与することを含む治療方法を提供する。本発明による化合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩は、医薬品の活性成分であって、溶解度などの多くの面で多様な長所を有するだけでなく、特に、経口投与後の生体利用率に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】比較物質であるエダラボンの静脈投与及び本発明による具現例である実施例10の化合物の単回経口投与後に現われるエダラボンの経時的血中濃度グラフである。図1において、「▲」は、エダラボンの静脈投与群の結果を示し、「△」は、実施例10の化合物の経口投与群の結果を示す。
図2】比較物質であるエダラボン静脈投与及び本発明による具現例である実施例15の化合物の単回経口投与後に現われるエダラボンの経時的血中濃度グラフである。図2において、「▲」は、エダラボンの静脈投与群の結果を示し、「△」は、実施例15の化合物経口投与群の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、下記の実施例に基づいて本発明について詳しく説明するが、これによって本発明の権利範囲が制限されることではない。また、当業界における通常の知識を持つ者であれば、本発明の要旨から外れる範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは勿論である。
【0048】
先ず、本発明による化学式1の化合物の実施例を以下に記載する。具体的な製造段階と共にそれに相応する代表的な例が以下に記載されており、置換基が異なる化合物の場合にも類似の段階を経て製造され得る。当該技術分野における通常の知識を持つ者であれば、下記の代表的な例を参照して置換基が異なる化学式1の化合物を容易に製造することができるであろう。
【0049】
<参考例1:3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−メチルピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0050】
【化3】
【0051】
1−メチルピペラジン1.0gをジクロロメタン10mlに溶解し、ピリジン1.2ml(1.5eq.)を投入した。アルゴンガス環境下に反応液を0℃以下に冷却した後、ジクロロメタン15mlに希釈されたトリホスゲン3.5g(1.2eq.)を徐々に加えながら撹拌した。常温で2時間撹拌した後、飽和塩水25mlで洗浄して有機層を分離した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮して黄色のオイル相の物質を得た。これにアセトニトリル10mlを加えて完全に溶解した後、エダラボン1.74g(1.0eq.)及びセシウムカーボネート9.76g(3eq.)を投入した。常温で4時間撹拌した後、セライトを用いて反応液をろ過し、ろ過液を回収して減圧下で濃縮した。残留物をエチルアセテート25mlで溶解し、飽和塩水25mlで洗浄して有機層を分離した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。濃縮残留物に濃い塩酸水溶液1.0ml及びエチルアセテート10mlを投入し、さらに減圧濃縮した。これにエチルアセテート10mlをさらに投入して減圧濃縮した後、本過程を3回繰り返して結晶化して標題の化合物を0.61g得た(収率18.1%)。
【0052】
H NMR(400MHz,DMSO−d) δ 2.05(s,3H)、2.70 (s,3H)、2.77 − 3.30 (m,8H)、5.95 (s,1H)、7.15 − 7.42 (m,5H)
〔製造例1:〕
【0053】
【化4】
【0054】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート誘導体を10倍体積のジクロロメタンに溶解した後、トリエチルアミン1.2当量及び活性化エステル化合物1.1当量を投入した。アルゴンガス環境下、常温で2時間攪拌した後、飽和塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧濃縮した。残留物をテトラヒドロフランに溶解して10%wt純度のカーボンに吸着されたパラジウムを5%分量投入した後、常圧の水素気体下、常温で攪拌した。反応が終わった後、反応液をろ過してから、ろ過液を回収して減圧濃縮した。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン及びメタノールの混合液)で精製してアシル化したピペラジン中間体を得た。これに10倍体積のジクロロメタンを投入して溶解して、ピリジン1.5当量を加えた。アルゴンガス環境下で反応液を0℃以下に冷却した後、15倍体積のジクロロメタンに希釈されたトリホスゲン1.2当量を徐々に滴加しながら撹拌した。0〜5℃を維持しながら2時間撹拌した後、飽和塩水で洗浄して有機層を分離した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮して黄色のオイル相の物質を得た。これに10倍体積のアセトニトリルを加えて完全に溶解した後、エダラボン1.0当量及びセシウムカーボネート3.0当量を投入した。常温で撹拌して反応完結を確認した後、セライトを用いて反応液をろ過し、ろ過液を回収して減圧下で濃縮した。残留物を10倍体積のエチルアセテートで溶解し、飽和塩水で洗浄して有機層を分離した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮残留物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(溶離液:エチルアセテート及びノルマルヘキサンの混合液)によって精製して目的とする化合物を得た。
【0055】
〔製造例2:〕
【0056】
【化5】
【0057】
べンジルピペラジン−1−カルボキシレート誘導体を5倍体積のジクロロメタン及び5倍体積のN−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone、NMP)に溶解した後、t−ブトキシカルボニル(t−butoxycarbonyl、Boc)基でアミン基が保護されたアミノ酸1.0当量、ジイソプロピルカルボジイミド(diisopropylcarbodiimide、DIPC)1.1当量、及びトリエチルアミン1.2当量を投入した。アルゴンガス環境下、常温で2時間撹拌した後、飽和塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧濃縮した。残留物をテトラヒドロフランに溶解して10%wt純度のカーボンに吸着されたパラジウムを5%分量投入した後、常圧の水素気体下、常温で撹拌した。反応が完結された後、反応液をろ過した後、ろ過液を回収して減圧濃縮した。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン及びメタノールの混合液)によって精製してアシル化したピペラジン中間体を得た。これに10倍体積のジクロロメタンを投入して溶解し、ピリジン1.5当量を加えた。アルゴンガス環境下で反応液を0℃以下に冷却した後、15倍体積のジクロロメタンに希釈されたトリホスゲン1.2当量を徐々に滴加しながら撹拌した。常温で2時間撹拌した後、飽和塩水で洗浄して有機層を分離した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮して黄色のオイル相の物質を得た。これに10倍体積のアセトニトリルを加えて完全に溶解した後、エダラボン1.0当量及びセシウムカーボネート3.0当量を投入した。常温で撹拌して反応完結を確認した後、セルライトを用いて反応液をろ過し、ろ過液を回収して減圧下で濃縮した。残留物を10倍体積のエチルアセテートで溶解し、飽和塩水で洗浄して有機層を分離した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮残留物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(溶離液:エチルアセテート及びノルマルヘキサンの混合液)で精製した。得られた前記中間体に4N塩酸が溶解された1,4−ジオキサン溶液5当量を加えて完全に溶解した後、常温で30分間撹拌し、減圧下で濃縮した。これに、10倍体積のエチルアセテートをさらに加えた後、減圧濃縮した(3回反復)。最終的に10倍体積のエチルアセテートを加えた後に得られた懸濁液をろ過して固体状態の目的とする化合物を得た。
【0058】
<実施例1:3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチルピペラジン−1−カルボキシレート>
【0059】
【化6】
【0060】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びアセチルクロリド0.36mlを用いて、製造例1の方法によって薄い黄色の固体である標題の化合物0.64g(42.9%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0061】
<実施例2:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチル−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート>
【0062】
【化7】
【0063】
(S)−ベンジル 2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びアセチルクロリド0.34mlを用いて製造例1の方法によって薄い黄色の固体である標題の化合物0.60g(41.1%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0064】
<実施例3:(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−アセチル−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート>
【0065】
【化8】
【0066】
(R)−ベンジル 2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びアセチルクロリド0.34mlを用いて製造例1の方法によって薄い黄色の固体である標題の化合物0.72g(49.3%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0067】
<実施例4:3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(シクロヘキサンカルボニル)ピペラジン−1−カルボキシレート>
【0068】
【化9】
【0069】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びシクロヘキサンカルボニルクロリド0.67mlを用いて製造例1の方法によって薄い黄色の固体である標題の化合物0.41g(22.8%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0070】
<実施例5:3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−ベンゾイルピペラジン−1−カルボキシレート>
【0071】
【化10】
【0072】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びベンゾイルクロリド0.58mlを用いて製造例1の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.84g(47.4%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0073】
<実施例6:3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノアセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0074】
【化11】
【0075】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−グリシン0.80gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.42g(24.4%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0076】
<実施例7:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0077】
【化12】
【0078】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−アラニン0.86gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.38g(21.3%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0079】
<実施例8:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−ヒドロキシプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0080】
【化13】
【0081】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−O−TBS−セリン1.45gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.29g(15.6%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0082】
<実施例9:(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−メルカプトプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0083】
【化14】
【0084】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−S−トリイソプロピルシリル−システイン1.71gを用いて製造例2の方法によって薄い黄色の固体である標題の化合物0.18g(9.3%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0085】
<実施例10:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−メチルブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0086】
【化15】
【0087】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−バリン0.99gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.39g(20.4%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0088】
<実施例11:(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0089】
【化16】
【0090】
(R)−ベンジル 2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−バリン0.93gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.35g(18.8%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0091】
<実施例12:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0092】
【化17】
【0093】
(S)−ベンジル 2−メチルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−バリン0.93gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.30g(16.1%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0094】
<実施例13:(R)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−2−エチルピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0095】
【化18】
【0096】
(R)−ベンジル 2−エチルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−バリン0.87gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.15g(8.3%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0097】
<実施例14:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−((S)−2−アミノ−3−メチルブタノイル)−3−メチルピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0098】
【化19】
【0099】
(S)−ベンジル 3−メチルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−バリン0.93gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.36g(19.3%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0100】
<実施例15:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0101】
【化20】
【0102】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−t−ロイシン1.05gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.38g(19.2%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0103】
<実施例16:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0104】
【化21】
【0105】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−メチオニン1.13gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.28g(13.6%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0106】
<実施例17:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2−アミノ−3−フェニルプロパノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0107】
【化22】
【0108】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−フェニルアラニン1.20gを用いて製造例2の方法によって乳白色の固体である標題の化合物0.35g(16.4%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0109】
<実施例18:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2,4−ジアミノ−4−オキソブタノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート塩酸塩>
【0110】
【化23】
【0111】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN−Boc−アスパラギン1.05gを用いて製造例2の方法によって茶色の固体である標題の化合物0.15g(7.6%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0112】
<実施例19:(S)−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル4−(2,6−ジアミノヘキサノイル)ピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩>
【0113】
【化24】
【0114】
ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート1.0g及びN,N’−di−Boc−リシン1.57gを用いて製造例2の方法によって茶色の固体である標題の化合物0.20g(9.0%)を得た。核磁気共鳴分析及び質量分析結果は、下記の表2に示す。
【0115】
前記実施例の核磁気共鳴分析及び質量分析結果を下記の表2に示した。
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
<実験例1:薬物動態学的評価>
前記実施例及び参考例の化合物に対する薬物動態試験を次のように行った。即ち、試験物質をSD(Sprague−Dawley)ラット(rat)に単回経口投与した後、代謝過程によって血中放出されるエダラボン薬物の動態を追跡して標準物質と比較することで本発明の化合物の効能を立証した。具体的に、標準物質であるエダラボンは静脈及び経口投与を各々施し、試験物質は経口投与して、血中エダラボン物質の濃度を分析した。標準物質及び試験物質は各々同じ方法で調製した後、ラットに0.1mmol/kgの用量で投与し、決められた時間に採血して血漿を分離した。薬物の分析は、HPLC(XBridge column C18、水、移動相の0.1%ホルム酸:アセトニトリル(30:70、%/%))及びMS/MS(ESI positive、MRM)を用いて行っており、ラットのブランク血漿と各々の商用標準溶液とを9:1の割合で混合し、5、50、100、500、1000及び5,000ng/mlの濃度に調製及び検量した。また、QC試料の調製は、ラットのブランク血漿とQC用の標準溶液とを9:1の割合で混合し、100、750及び2,500ng/mlの濃度に調製した。前処理方法は、血漿試料100μlを遠心分離用チューブに移し、内部標準溶液10μlとメタノール300μlを添加した後、約30秒間混合した。チューブを3,000×g(4℃)で約5分間遠心分離し、上澄液を取ってLCバイアルに移した後、機器に注入した。そして、予め検証された分析法を用いてラットの血漿中の有効成分、即ち、エダラボンの濃度を定量した。薬物動態パラメーターは、WinNonlin 5.2(Pharsight、USA)プログラムを使用し、Noncompartment modeling(best fit)で、AUC0−t、AUC0−∞、Cmax、Tmax、t1/2を計算した。薬物動態パラメーターの結果は、平均(Mean)と標準偏差(SD)で表し、SPSSプログラム(Statistical Package for the Social Sciences、10.0K、USA)を用いて統計処理した。
【0120】
試験結果、標準物質及び各試験物質の経口投与後の生体利用率を整理すると、下記の表3のようである。
【0121】
【表5】
【0122】
代表的な実施例10の化合物の場合、平均AUCは9、835hr*ng/ml、平均AUCは9,856hr*ng/ml、平均Cmaxは1,803ng/ml、平均Tmaxは1.00時間、平均t1/2は2.51時間、生体利用率は88.2%であった。一方、実施例15の化合物の場合、平均AUCは6、772hr*ng/ml、平均AUCは6,795hr*ng/ml、平均Cmaxは1、696ng/ml、平均Tmaxは0.42時間、平均t1/2は2.69時間、生体利用率は60.7%であった。実施例10の化合物及び実施例15の化合物の経口投与後、エダラボンの経時的血中濃度の傾向は、各々図1及び図2に示したようである。
【0123】
前記表3の結果から分かるように、特に、実施例10、実施例19、実施例14及び実施例15の化合物の経口投与の生体利用率が優秀であった。
図1
図2
【国際調査報告】