(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-501486(P2022-501486A)
(43)【公表日】2022年1月6日
(54)【発明の名称】自動車用防振ゴム化合物の性能を改善するカーボンブラック
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20211210BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20211210BHJP
C09C 1/50 20060101ALI20211210BHJP
F16F 1/36 20060101ALI20211210BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20211210BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/04
C09C1/50
F16F1/36 C
F16F15/08 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2021-517198(P2021-517198)
(86)(22)【出願日】2019年9月26日
(85)【翻訳文提出日】2021年5月19日
(86)【国際出願番号】US2019053115
(87)【国際公開番号】WO2020069098
(87)【国際公開日】20200402
(31)【優先権主張番号】62/736,494
(32)【優先日】2018年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/736,634
(32)【優先日】2018年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】506093430
【氏名又は名称】ビルラ カーボン ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】タニクリフ ルイス ビー
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
4J002
4J037
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AD05
3J048BA01
3J048BB10
3J048EA13
3J059AD04
3J059BA41
3J059BC08
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3J059BD05
3J059EA04
3J059GA09
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC071
4J002AC081
4J002DA036
4J002GN00
4J037AA02
4J037BB15
4J037DD07
4J037DD17
4J037FF15
(57)【要約】
防振化合物及び要素、防振ブッシング並びにエンジンマウントで使用するためのカーボンブラックに加えて、該防振化合物及び要素、並びにこれらの製造方法及び使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素表面積が、約15m2/gから約30m2/gであり、吸油価が、約35ml/100gから約135ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含むゴム化合物。
【請求項2】
前記窒素表面積が、約20m2/gから約30m2/gである、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項3】
前記吸油価が、約45ml/100gから約121ml/100gである、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項4】
前記吸油価が、約40ml/100gから約130ml/100gである、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項5】
前記ファーネスカーボンブラックが、約40ml/100gから約90ml/100gの圧縮試料の吸油価を有する、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項6】
前記ファーネスカーボンブラックが、約20m2/gから約32m2/gの統計的厚さ表面積を有する、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項7】
前記ファーネスカーボンブラックが、約15mg/gから約35mg/gのヨウ素価を有する、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項8】
前記ファーネスカーボンブラックが、約20mg/gから約30mg/gのヨウ素価を有する、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項9】
サーマルカーボンブラックを含まない、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項10】
振動絶縁装置の一部である、請求項1に記載のゴム化合物。
【請求項11】
請求項1に記載のゴム化合物を含む振動絶縁装置。
【請求項12】
窒素表面積が、約20m2/gから約30m2/g、吸油価が、約40ml/100gから約50ml/100g、圧縮試料の吸油価が、約40ml/100gから約50ml/100g、統計的厚さ表面積が、約20m2/gから約30m2/g、ヨウ素価が、約20mg/gから約30mg/gであるファーネスカーボンブラックを含む、請求項11に記載の振動絶縁装置。
【請求項13】
窒素表面積が、約20m2/gから約30m2/g、吸油価が、約90ml/100gから約100ml/100g、圧縮試料の吸油価が、約53ml/100gから約63ml/100g、統計的厚さ表面積が、約20m2/gから約30m2/g、ヨウ素価が、約15mg/gから約25mg/gであるファーネスカーボンブラックを含む、請求項11に記載の振動絶縁装置。
【請求項14】
窒素表面積が、約23m2/gから約33m2/g、吸油価が、約122ml/100gから約132ml/100g、圧縮試料の吸油価が、約75ml/100gから約85ml/100g、統計的厚さ表面積が、約22m2/gから約32m2/g、ヨウ素価が、約25mg/gから約35mg/gであるファーネスカーボンブラックを含む、請求項11に記載の振動絶縁装置。
【請求項15】
エンジンマウントである、請求項11に記載の振動絶縁装置。
【請求項16】
窒素表面積が、約55m2/gから約65m2/gであり、吸油価が、約145ml/100gから約165ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含むゴム物品。
【請求項17】
統計的厚さ表面積が、約55ml/100gから約65ml/100gである、請求項16に記載のゴム物品。
【請求項18】
圧縮試料の吸油価が、約90ml/100gから約110ml/100gである、請求項16に記載のゴム物品。
【請求項19】
ヨウ素価が、約55から約65mg/gである、請求項16に記載のゴム物品。
【請求項20】
請求項16に記載のゴム物品を含む、振動絶縁装置。
【請求項21】
ブッシングである、請求項16に記載の振動絶縁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年9月26日に出願された米国仮出願第62/736,494号及び2018年9月26日に出願された米国仮出願第62/736,634号の利益を主張するものであり、どちらもその全体が参照によりここに組み入れられたものとする。
【0002】
本開示は、例えばカーボン充填ゴム防振要素などの防振複合材において有用であり得るカーボンブラックに関する。本開示は、防振要素並びにその製造方法及び使用も提供する。
【背景技術】
【0003】
振動絶縁装置の第1の目的は、入射振動又は環境振動から絶縁されるべき対象物の共鳴振動数を離調させることである。通常、この絶縁は、適合する形状並びに適合する静的及び動的機械特性を有するラバーマウントを用いて達成される。多くの場合、天然ゴム(NR)は、その固有の弾性、低ヒステリシス、及び疲労亀裂成長に対するその優れた耐性により、最適なゴムである。
例えば自動車シャシーからエンジン振動を絶縁するためのマウントなど、システムの共鳴振動数を最小にするため、ゴム化合物は最小限の動剛性(K
d)及びヒステリシスを有するべきである。また、ゴム化合物は適当な静剛性(K
s)、最小限のクリープ挙動、及び最大限の疲労寿命を示す必要がある。
実際、カーボンブラックは、振動絶縁装置用のゴム化合物における所望の静剛性及び疲労抵抗を実現するのに用いられるが、カーボンブラック物質は、ゴム化合物で網状になり、化合物の動剛性及びヒステリシスを増加させる傾向がある。振動絶縁産業における典型的なカーボンブラック系強化システムは、サーマルカーボンブラック及びファーネスカーボンブラックのブレンドを利用している。このようなシステムにおいて、ASTM N990グレードのサーマルカーボンブラックが主な構成要素であることが多く、例えばASTM N774又はN660グレードのファーネスカーボンブラックなどの強化ファーネスカーボンブラックとのブレンドで存在する。サーマルカーボンブラックは、大きな粒度及び低ストラクチャーを示し、これらは結果として得られるゴム化合物に低い動剛性及びヒステリシスを付与することができる。しかしながら、これらのサーマルカーボンブラックは、疲労亀裂成長に対する耐性が限定される。また、サーマルカーボンブラックは、国際的な供給も限られている。
従って、振動絶縁化合物及び該振動絶縁装置で使用するための強化物質を改善する必要性がある。これらの必要性及び他の必要性は、本開示の組成物及び方法により満たされる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的によれば、ここに包含され、概して記載されるように、本開示は、1つの態様において、カーボンブラック、防振化合物及び要素、並びにこれらの製造方法及び使用に関する。
窒素表面積が約15m
2/gから約30m
2/gであり、吸油価が約35ml/100gから約135ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含むゴム化合物を開示する。
また、ここで開示されるゴム化合物を含む振動絶縁装置を開示する。
また、窒素表面積が約55m
2/gから約65m
2/gであり、吸油価が約145ml/100gから約165ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含むゴム物品を開示する。
また、ここで開示されるゴム物品を含む振動絶縁装置を開示する。
更なる利点は以下の説明に一部記載され、説明から一部明らかであるか、又は以下に記載される態様の実施により理解することができる。以下に記載される利点は、添付の特許請求の範囲に具体的に指摘される化学組成物、方法及びこれらの組合せにより認識され、達成されるであろう。上述の一般的な説明及び以下に詳細に記す説明のどちらも、例示及び説明のためにのみ記され、制限するものではないと理解されるべきである。
添付図は、本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の原理を明らかにする説明と共に、いくつかの態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本開示の様々な態様に基づき、ゴム化合物のばね定数の測定を示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示の様々な態様に基づき、ゴム化合物のばね定数を測定するための荷重及び試験条件を示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の様々な態様に基づき、ゴム化合物のばね定数を測定するための荷重及び試験条件を示す。
【
図3】
図3は、本開示の様々な態様に基づき、サーマルカーボンブラック及びファーネスカーボンブラックのブレンドを含む対照化合物、並びに本発明のカーボンブラックを含む3つのゴム化合物について、引張ひずみに対する疲労寿命を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の更なる態様は、以下の説明に一部記載され、説明から一部明らかであるか、又は本発明の実施により理解することができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に具体的に指摘される要素及び組合せにより認識され、達成されるであろう。上述の一般的な説明及び以下に詳細に記す説明のどちらも、例示及び説明のためにのみ記され、クレームしている本発明を制限するものではないと理解されるべきである
【0007】
本発明は、以下の本発明の詳細な説明及びここに含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。
本化合物、組成物、物品、システム、装置及び/又は方法を開示、記載する前に、これらは他に明記しない限り、具体的な合成方法に限定されず、或いは他に明記しない限り、特定の試薬に限定されず、従って当然変わり得ることを理解すべきである。ここで使用される専門用語は、特定の態様のみを記載するためのものであり、限定する意図はないことも理解すべきである。ここに記載するものと類似又は同等の任意の方法及び物質は、本発明の実施又は試験で用いることができるが、方法及び物質の例を以下に記載する。
ここに挙げられるすべての刊行物は、参照によりここに組み入れられたものとし、引用される刊行物と関連して、方法及び/又は物質を開示、記載する。
他に定義しない限り、ここで用いられるすべての技術及び科学用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ここに記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び物質は、本発明の実施又は試験で使用することができるが、方法及び物質の例を以下に記載する。
【0008】
ここで用いられるとき、特に反対のことが述べられない限り、単数形「a」「an」及び「the」は、文脈から明らかに指示しない限り、複数形の指示対象を含む。従って、例えば、「充填物」又は「溶剤」への言及は、それぞれ2つ以上の充填物又は溶剤の混合物を含む。
範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして、ここに表すことができる。このような範囲が表されるとき、別の態様は、1つの特定の値から、及び/又はその他の特定の値まで含む。同様に、値が先行する「約」を使用して、概数として表される場合、特定の値は別の態様を形成することが理解されるであろう。範囲のそれぞれの終点は、他の終点と比べて有意である、及び他の終点と無関係に有意であることが更に理解されるであろう。ここに開示される多くの値があること、各値はその値自体に加えて、ここに「約」特定の値としても開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示されるなら、「約10」も開示される。2つの特定の単位間の各単位も開示されることも理解され、例えば10及び15が開示されるなら、11、12、13及び14も開示される。
ここで用いられるとき、「随意の」又は「随意に」という用語は、次に記載される事象又は状況が起こる場合も、起こらない場合もあること、説明は該事象又は状況が起こる例及び起こらない例を含むことを意味する。
ここで使用するとき、他に具体的に記載されない限り、「phr」は、ゴム産業で通常理解され、使用されるように、ゴムの質量部を指すことが意図される。
【0009】
本発明の組成物を調製するのに用いられる構成要素、並びにここで開示される方法の範囲内で用いられる組成物自体が開示される。これら及び他の物質がここで開示され、これらの物質の組合せ、サブセット、相互作用、群等が開示される時、これらの化合物の各様々な個別の組合せ及び置換、並びに集合的な組合せ及び置換に関する具体的な言及を明白に開示することはできないが、それぞれは具体的にここで意図され、記載されることが理解される。例えば、特定の化合物が開示、考察され、化合物を含む多くの分子に行うことができる多くの修飾が考察されるなら、特に反対のことが述べられない限り、化合物の1つ1つの組合せ及び置換、並びに可能性のある修飾が具体的に意図される。従って、ある種の分子A、B及びC、並びにある種の分子D、E及びFが開示され、組み合わせた分子A−Dの一例が開示されるなら、たとえそれぞれが個別に列挙されず、それぞれが個別及び集合的に意図されるとしても、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fを意味すると見なされ、開示される。同様に、これらの任意のサブセット又は組合せも開示される。従って、例えば、A−E、B−F、及びC−Eのサブグループが検討、開示される。この概念は本願のすべての態様に当てはまる。本願のすべての態様は、本発明の組成物を作製及び使用する方法における工程を含むが、これらに限定されない。従って、実施することができる様々な工程が更にあれば、これら更なる工程のそれぞれは、本発明の方法の任意の具体的な実施形態又は実施形態の組合せで実施することができると理解される。
ここで開示される各物質は市販され、及び/又はこれらの製造方法は当業者に公知である。
ここで開示される組成物はある機能を有することが理解され、開示した機能を実施するためのある構造的要求が開示されている。同じ機能を実施することができ、開示した構造に関係する様々な構造があること、これらの構造は典型的に同じ結果を達成することが理解される。
他に指示がない限り、部は質量部であり、温度の単位は℃である。又は温度は周囲温度であり、圧力は大気圧又は大気圧付近である。
1つの態様において、本開示のカーボンブラック物質は、ファーネスカーボンブラックを含む。
【0010】
自動車のブッシング化合物
自動車のブッシング化合物で使用される物質は、典型的に高い荷重条件を受ける。結果として、これらの化合物は典型的に、複雑な荷重条件下で最大の疲労寿命を有し、振動絶縁性能のための低いばね定数(K
d/K
s)と釣り合うように設計される。
従来の自動車のブッシング化合物はASTM N300シリーズのカーボンブラックを利用して、天然ゴム化合物における適度な疲労性能及び静剛性を提供している。しかしながら、これらのN300シリーズのカーボンブラックを使用することは、ばね定数に有害となり得、従って結果として得られるブッシング化合物の振動絶縁性能に有害となり得る。
1つの態様において、本開示は、改善したブッシング化合物で使用するためのカーボンブラックを提供する。1つの態様において、このようなカーボンブラックは、ビルラカーボンUSA社(Birla Carbon U.S.A., Inc.)から入手できるBC2123グレードのカーボンブラックを含むことができる。様々な態様において、本発明のカーボンブラックは、ブッシング化合物における従来のカーボンブラックのすべて又は一部に代えて利用することができる。別の態様において、本開示は、ここに記載される1つ又は複数のカーボンブラックを含む改善した防振ブッシング化合物を提供する。様々な態様において、このようなカーボンブラックを含む防振化合物は、従来のブッシング化合物と比較して、等しい化合物硬度でばね定数を著しく低下させることができ、同等の化合物耐久性を有する。
【0011】
N330、N990、及びN660など、Nxxxで特定されるカーボンブラックは、ASTMグレードのカーボンブラックを指すことが意図される。BCxxxxで特定されるカーボンブラックは、ビルラカーボンUSA社により作製されたカーボンブラックのグレードを指すことが意図される。試験方法は、ASTMにより確立された方法、又はカーボンブラック産業で一般的に許容され、利用される方法である。OANは吸油価(ASTM D2414)を指し、カーボンブラックグレードのストラクチャー又は凝集体サイズの指標を提供することが意図される。COANは、圧縮カーボンブラック試料の吸油価を指す(ASTM D3493)。いくつかの態様において、カーボンブラック試料のOAN及びCOANの差は、カーボンブラックのストラクチャーの安定性の指標を提供することができる。NSAは窒素表面積(ASTM D6556)を指し、BET理論に基づいた、多孔質を含む、窒素が吸着し得るカーボンブラック試料の総表面積の大きさである。STSAは、ゴムに利用することができるカーボンブラック試料の統計的厚さ表面積又は外部比表面積(ASTM D6556)を指す。揮発性物質、表面多孔性、又は抽出物の存在がヨウ素価に影響する場合があるが、ヨウ素吸着(ASTM D1510)は、カーボンブラック試料の表面積に関連し、NSA値と一般的に一致する。カーボンブラック試料の老化が、ヨウ素価に影響する場合もある。
【0013】
1つの態様において、カーボンブラックはファーネスカーボンブラックを含む。別の態様において、カーボンブラックは、約145ml/100gから約165ml/100g、約140ml/100gから約170ml/100g、約150ml/100gから約160ml/100g、又は約152ml/100gから約158ml/100gのOANを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、又は160ml/100gのOANを有する。
別の態様において、カーボンブラックは、約85ml/100gから約115ml/100g、又は約80ml/100gから約120ml/100g、約90ml/100gから約110ml/100g、約95ml/100gから約105ml/100g、又は約97ml/100gから約103ml/100gのCOANを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、又は105ml/100gのCOANを有する。
別の態様において、カーボンブラックは、約40m
2/gから約80m
2/g、又は約45m
2/gから約75m
2/g、約50m
2/gから約70m
2/g、約55m
2/gから約65m
2/g、又は約57m
2/gから約63m
2/gのNSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、又は65m
2/gのNSAを有する。
別の態様において、カーボンブラックは、約40m
2/gから約80m
2/g、又は約45m
2/gから約75m
2/g、約50m
2/gから70m
2/g、約55m
2/gから約65m
2/g、又は約57m
2/gから約63m
2/gのSTSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、又は65m
2/gのSTSAを有する。
別の態様において、カーボンブラックは、約40mg/gから約80mg/g、又は約45mg/gから約75mg/g、約50mg/gから約70mg/g、約55mg/gから約65mg/g、又は約57mg/gから約63mg/gのヨウ素価を有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、又は65mg/gのヨウ素価を有する。
【0014】
1つの態様において、カーボンブラックは、約145ml/100gから約165ml/100g、約150ml/100gから約160ml/100g、又は約152ml/100gから約158ml/100gのOAN;約90ml/100gから約110ml/100g、約95ml/100gから約105ml/100g、又は約97ml/100gから約103ml/100gのCOAN;約50m
2/gから約70m
2/g、約55m
2/gから約65m
2/g、又は57.5m
2/gから約63m
2/gのNSA;約50m
2/gから約70m
2/g、約55m
2/gから約65m
2/g、又は約57m
2/gから約63m
2/gのSTSA;及び約50mg/gから約70mg/g、約55mg/gから約65mg/g、又は約57mg/gから約63mg/gのヨウ素価の1つ又は複数を有する。別の態様において、カーボンブラックは上記特性の2つ以上を有する。他の態様において、カーボンブラックは上記特性の3、4又は5つを有する。
具体的な態様において、カーボンブラックは、OANが約155ml/100g、COANが約100ml/100g、NSAが約60m
2/g、STSAが約60m
2/g、ヨウ素価が約60mg/gである。ブッシング化合物において、このようなカーボンブラックを任意のN300シリーズのカーボンブラックに代えて利用することができる。それぞれのカーボンブラックにおけるコロイド特性差のため、所定のカーボンブラックの量は、特定の化合物において調整の必要がある場合があると理解すべきである。
【0015】
例えば、100phrの天然ゴム、5phrの酸化亜鉛、2phrのステアリン酸、5phrのTDAE油(処理留出物芳香族系抽出物)、3phrの6PPD(N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、2phrのオゾン劣化防止ワックス、2.1phrのOBS(有機系安定剤;促進剤;例えば、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなど)、0.25phrの硫黄、及び1phrのTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)を含む従来のゴムブッシング配合物において、およそ50phrの従来のASTM N330グレードのカーボンブラックを使用して、機械特性の許容可能なバランスを達成することができる。
ゴムブッシング配合物に関する本発明の態様において、100phrの天然ゴム、5phrの酸化亜鉛、2phrのステアリン酸、5phrのTDAE油(処理留出物芳香族系抽出物)、3phrの6PPD(N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、2phrのオゾン劣化防止ワックス、2.1phrのOBS(有機系安定剤;促進剤;例えば、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなど)、0.25phrの硫黄、及び1phrのTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、およそ40から50phr、例えば、およそ44、45、46、又は46.3phrの上記カーボンブラックを利用して、機械特性の最適なバランスを達成することができる。上記の及び本開示における他の箇所に記載される物質は市販されており、本開示を入手した当業者は、意図した用途のために、本発明のカーボンブラックを用いて配合物を容易に調製することができるであろう。
COANが74ml/100g、STSAが34m
2/gである従来のカーボンブラックをCOANが80ml/100g、STSAが28m
2/gである本発明のカーボンブラックで置換する例示的な態様において、それぞれのカーボンブラックの量は、約15phrから約14.4phrまでに調整することができる。
本発明はNR組成物に限定されることを意図せず、防振で従来使用されるすべてのエラストマー及びこれらのブレンド、又は例えばNR、BR、SBR、NR/BRブレンド、ニトリルゴム、及びこれらのブレンドなど、他のカーボンブラック充填ゴム組成物を含むことができると理解されるべきである。別の態様において、配合物は硫黄、促進剤、酸化防止剤、増量剤等の様々な比率の他の構成要素を有することもできる。
【0016】
上記参照された化合物の試験データを以下の表2に詳細に示す。試験方法は、ASTM法、又はカーボンブラック及びゴム産業で一般的に用いられる方法を指す。得られるゴム化合物に様々な試験を実施することができ、例えばASTM D2663、method Dを用いたIFMによる分散測定;ショアA硬さ(ASTM D2240)、ムーニー粘度(ASTM D1646)、応力−ひずみ/引張強度(ASTM D412)、引裂き強度(ASTM D624)、疲労寿命(ASTM D4482)、及び疲労亀裂成長(ビルラカーボン内部法LSX−yz)が挙げられる。当業者は機械特性を評価するための具体的な試験及び試験条件を容易に決定することができる。いずれの配合物も、試験Aにおいて46.3phr量及び試験Bにおいて44phr量で、発明のCB1を利用した。
ここで用いられるとき、ばね定数値はJIS K 6385:2012により決定し、以下の試験条件を用いた:100Nに対する荷重制御準静的たわみ;〜2mm/分でプレサイクルx2;JIS K 6385:2012の式1による25から75Nのデータ点で決定されるK
s;たわみ波動非共鳴法(deflection wave non-resonance method)を用いて測定されるK
d;データを2つの動ひずみ振幅(0.2及び2.0%)で採取した;データを2つの振動数(15及び100Hz)で採取した;15Hzで採取したデータを報告した;試験を60℃で実施した;試験片形状は直径17mm、高さ25mmの円筒であった。JIS K 6385:2012はその全体が参照によりここに組み入れられたものとする。ばね定数の測定の例を
図1に示す。形状係数SはL/4dにより決定される。Lは高さ25mmであり、dは直径17mmであるため、Sは0.17である。E
cは3G(1+2S
2)として定義される。従って、E
cはおよそ3Gと等しい。
図2に示すように、試料を分析し、K
dは、23℃、60Hz、0.1%動ひずみ(SSA)で採取したデータから、フーリエ交換粘弾性解析により決定され、K
sは80から100Nの範囲である最終の準静的荷重部分の線形回帰により決定され、K
d/K
sは23℃、0.1%動ひずみ、60Hzの値である。静的荷重は0.05N/分、100N(0.4MPa)である。動的荷重は、1Hz、10Hz、及び60Hzで+/−0.1から2.5%ひずみのひずみ掃引(log)である。
図2A及び2Bは、ばね定数測定についての荷重及び試験条件、ばね定数測定のデータ抽出を示す。
【0017】
簡潔に上述したように、従来の振動絶縁装置は、サーマルカーボンブラック及びファーネスカーボンブラックのブレンドを含んだゴム化合物を利用して、所望のヒステリシス及び機械特性を達成する。様々な態様において、本開示は、ASTM D1765に記載のものより優れたコロイド特性、例えば表面積及びストラクチャーの特異的なバランスを有するカーボンブラックを提供する。本開示は、これらの特異的なカーボンブラックを含むゴム化合物及び振動絶縁装置も提供する。
【表2】
※疲労寿命は、100%ひずみで破損まで疲労させた引張ストリップのワイブル特性寿命である。
【0018】
ゴムブッシング化合物において、従来のカーボンブラックをここに記載する本発明のカーボンブラックで置換すると、様々な態様において、化合物に同等の静的特性、類似又は改善した疲労性能、ばね定数の低下、及び柔軟性の1つ又は複数を提供することができ、ゴム特性のバランスを最適にする。
1つの態様において、本発明は、本発明のカーボンブラックを含有する未硬化のゴム配合物を含む。別の態様において、本発明は、本発明のカーボンブラックを含有する硬化したゴム化合物を含む。更に別の態様において、本発明はブッシングで使用するためのゴム物品を含み、このゴム物品は本発明のカーボンブラックを含む。更に別の態様において、本発明はブッシングを含み、このブッシングは本発明のカーボンブラックを含むゴム物品を含む。
【0019】
自動車のエンジンマウント化合物
様々な態様において、自動車のエンジンマウント化合物で使用するための物質は、最小限に抑えられたばね定数(つまり、K
d/K
s)を有するべきであり、許容可能な疲労寿命及び化合物の耐久性に加えて、最適な振動絶縁性能を提供する。
自動車のエンジンマウントで使用される従来の物質では、天然ゴム(NR)配合物においてN990グレードのサーマルカーボンブラックを利用して、低いばね定数を達成する。N990カーボンの大きな凝集体サイズ及び低表面積は、化合物の耐久性及び疲労寿命に悪影響を及ぼす可能性を有するため、いくらかの静剛性及び化合物の耐久性/疲労寿命を提供する目的で、N990サーマルブラックは通常、カーカスグレードのカーボンブラックなど、ファーネスカーボンブラック(例えば、N700、N600、又はN500シリーズのファーネスカーボンブラック)とブレンドされる。N990サーマルブラックは、ファーネスカーボンブラックより著しく高価でもある。
1つの態様において、N990サーマルブラック、又はブレンドが用いられる場合はカーボンブラックブレンドのすべて又は一部を低表面積及び低ストラクチャー製品で代用すると、低コストで性能を改善することができる。
【0020】
以下の表3に、エンジンマウント用途で使用される従来のカーボンブラックの特性を、本発明のカーボンブラックの特性と比較する。
【表3】
【0021】
1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、OANが約25ml/100gから約65ml/100g、約30ml/100gから約60ml/100g、約35ml/100gから約55ml/100g、約40ml/100gから約50ml/100g、又は約42ml/100gから約48ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含む。様々な態様において、カーボンブラックは、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ml/100gのOANを有する。
別の態様において、本発明のカーボンブラックは、OANが約75ml/100gから約115ml/100g、約80ml/100gから約110ml/100g、約85ml/100gから約105ml/100g、約90ml/100gから約100ml/100g、又は約92ml/100gから約98ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含む。様々な態様において、カーボンブラックは、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100ml/100gのOANを有する。
更に別の態様において、本発明のカーボンブラックは、OANが約107ml/100gから約147ml/100g、約112ml/100gから約142ml/100g、約117ml/100gから137ml/100g、約122ml/100gから約132ml/100g、又は約124ml/100gから約130ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含む。様々な態様において、カーボンブラックは、約122、123、124、125、126、127、128、129、又は130ml/100gのOANを有する。
【0022】
1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、約25ml/100gから約65ml/100g、又は約30ml/100gから約60ml/100g、約35ml/100gから約55ml/100g、約40ml/100gから約50ml/100g、又は約42ml/100gから約48ml/100gのCOANを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ml/100gのCOANを有する。
別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約48ml/100gから約88ml/100g、又は約53ml/100gから約83ml/100g、約58ml/100gから約78ml/100g、約63ml/100gから約73ml/100g、又は約65ml/100gから約71ml/100gのCOANを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、又は73ml/100gのCOANを有する。
更に別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約60ml/100gから約100ml/100g、又は約65ml/100gから約95ml/100g、約70ml/100gから約90ml/100g、約75ml/100gから約85ml/100g、又は約77ml/100gから約83ml/100gのCOANを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は85ml/100gのCOANを有する。
【0023】
1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのNSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30m
2/gのNSAを有する。
別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのNSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30m
2/gのNSAを有する。
更に別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約18m
2/gから約38m
2/g、又は約23m
2/gから約33m
2/g、又は約25m
2/gから約31m
2/gのNSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、又は33m
2/gのNSAを有する。
【0024】
1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのSTSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30m
2/gのSTSAを有する。
別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのSTSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30m
2/gのSTSAを有する。
更に別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約17m
2/gから約37m
2/g、又は約22m
2/gから約32m
2/g、又は約24m
2/gから約30m
2/gのSTSAを有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、又は32m
2/gのSTSAを有する。
【0025】
1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、約15mg/gから約35mg/g、又は約20mg/gから約30mg/g、又は約22mg/gから約28mg/gのヨウ素価を有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30mg/gのヨウ素価を有する。
別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約10mg/gから約30mg/g、又は約15mg/gから約25mg/g、又は約17mg/gから約23mg/gのヨウ素価を有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25mg/gのヨウ素価を有する。
更に別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約20mg/gから約40mg/g、又は約25mg/gから約35mg/g、又は約27mg/gから約33mg/gのヨウ素価を有する。様々な態様において、カーボンブラックは、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35mg/gのヨウ素価を有する。
【0026】
1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、約15から約30m
2/g、又は約20から約30m
2/gのNSA、及び約35から約135ml/100g、約40から約130ml/100g、約35から約105ml/100g、約85から約130ml/100g、又は約45から約127ml/100gのOANを有する。
1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、約35ml/100gから約55ml/100g、約40ml/100gから約50ml/100g、又は約42ml/100gから約48ml/100gのOAN、約35ml/100gから約55ml/100g、約40ml/100gから約50ml/100g、又は約65ml/100gから約71ml/100gのCOAN、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのNSA、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのSTSA、及び約15mg/gから約35mg/g、約20mg/gから約30mg/g、又は約22mg/gから約28mg/gのヨウ素価の1つ又は複数を有する。他の態様において、本発明のカーボンブラックは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又はすべての上述の特性を有する。
別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約85ml/100gから約105ml/100g、約90ml/100gから約100ml/100g、又は約92ml/100gから約98ml/100gのOAN、約58ml/100gから約78ml/100g、約63ml/100gから約73ml/100g、又は約65ml/100gから約71ml/100gのCOAN、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのNSA、約15m
2/gから約35m
2/g、約20m
2/gから約30m
2/g、又は約22m
2/gから約28m
2/gのSTSA、及び約10mg/gから約30mg/g、約15から約25mg/g、又は約17mg/gから約23mg/gのヨウ素価の1つ又は複数を有する。他の態様において、本発明のカーボンブラックは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又はすべての上述の特性を有する。
更に別の態様において、本発明のカーボンブラックは、約117ml/100gから約137ml/100g、約122ml/100gから約132ml/100g、又は約124ml/100gから約130ml/100gのOAN、約70ml/100gから約90ml/100g、約75ml/100gから約85ml/100g、又は約77ml/100gから約83ml/100gのCOAN、約18m
2/gから約38m
2/g、約23m
2/gから約33m
2/g、又は約25m
2/gから約31m
2/gのNSA、約17m
2/gから約37m
2/g、約22m
2/gから約32m
2/g、又は約24m
2/gから約30m
2/gのSTSA、及び約20mg/gから約40mg/g、約25mg/gから約35mg/g、又は約27mg/gから約33mg/gのヨウ素価の1つ又は複数を有する。他の態様において、本発明のカーボンブラックは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又はすべての上述の特性を有する。
具体的な態様において、カーボンブラックは、約45ml/100gのOAN、約45ml/100gのCOAN、約25m
2/gのNSA、約25m
2/gのSTSA、及び約25mg/gのヨウ素価を有する。別の具体的な態様において、カーボンブラックは、約95ml/100gのOAN、約68ml/100gのCOAN、約25m
2/gのNSA、約25m
2/gのSTSA、及び約20mg/gのヨウ素価を有する。別の具体的な態様において、カーボンブラックは、約127ml/100gのOAN、約80ml/100gのCOAN、約28m
2/gのNSA、約27m
2/gのSTSA、及び約30mg/gのヨウ素価を有する。このようなカーボンブラックは、エンジンマウント化合物で使用される任意の従来のカーボンブラック又はブレンドのすべて又は一部を置換することができる。
【0027】
カーボンブラック試料における凝集体サイズの分布は、ディスク遠心光沈降法(DCP)により測定することができる。振動絶縁用途で用いられるカーボンブラックの従来のブレンドは、二峰性分布を生じる。1つの態様において、本発明のカーボンブラックを使用することで、凝集体サイズの対数正規分布を提供することができ、比較のカーボンブラック物質のブレンドより、化合物内のより大きな直径の凝集体を著しく低下させることができる。
なお、本発明のカーボンブラックのグレードが、防振化合物における従来のカーボンブラック又はカーボンブラックのブレンドのすべて又は一部に代えて使用される場合、選択されたカーボンブラックの量は、カーボンブラックのコロイド特性差を構成するのに調整する必要がある場合がある。1つの態様において、均等な化合物の硬度を維持するために量を調整することができる。当業者は、特定のゴム化合物に任意の調整を加えることができる。74ml/100gのCOAN及び34m
2/gのSTSAを有する従来のカーボンブラックを80ml/100gのCOAN及び28m
2/gのSTSAを有する本発明のカーボンブラックで置換する例示的な態様では、それぞれのカーボンブラックの量は、約15phrから約14.4phrまでに調整することができる。
【0028】
サーマル及びファーネスカーボンブラックの従来のブレンド、並びにここに記載される本発明のカーボンブラックを用いた様々な例示的ゴム化合物の配合物を以下の表4に示す。本発明はNR組成物に限定されることを意図せず、防振で従来用いられるすべてのエラストマー及びこれらのブレンド、又は例えばNR、BR、SBR、NR/BRブレンド、ニトリルゴム、及びこれらのブレンドなど、他のカーボンブラック充填ゴム組成物を含むことができると理解されるべきである。別の態様において、配合物は様々な比率の硫黄、促進剤、酸化防止剤、増量剤等の他の構成要素を有することもできる。対照配合物は、N990サーマルカーボンブラック及びN660ファーネスカーボンブラックの従来のブレンドを利用している。配合物EM−1、EM−2、及びEM−3は、それぞれ発明のカーボンブラック2、3、及び4を含む。
【表4】
【0029】
上記参照された化合物の試験データを以下の表5に詳細に示す。試験方法は、ASTM法、又はカーボンブラック及びゴム産業で通常用いられる方法を指す。
【表5】
160℃、動ひずみ振幅=0.2%のばね定数
260℃、動ひずみ振幅=2.0%のばね定数
**各ばね定数のデータ点は、2つの別々の化合物混合物の平均である。
【0030】
表5に列挙する化合物の引張ひずみに対する疲労寿命を
図3に示す。疲労寿命は、ASTM D4482により65、100及び135%ひずみで破損まで疲労させた引張ストリップのワイブル特性寿命として定義される。
なお、ファーネスカーボンブラック物質の分散は、疲労寿命及びばね定数値に著しく影響を与え得る。上述の試料において、データは初期配合物を示し、疲労寿命及び/又はばね定数は、これらの物質の分散を改善することにより、著しく改善することができると考えられる。
1つの態様において、本発明のカーボンブラック物質は、振動絶縁装置で使用される場合、サーマルカーボンブラック及びファーネスカーボンブラックの従来のブレンドと比較して、類似又は改善された疲労寿命を与えることができる。別の態様において、本発明のカーボンブラック物質を使用することで、二次物質の添加及び/又は分散の必要性を除くことにより、製造及び加工を簡素化することができる。更に別の態様において、本発明のカーボンブラック物質を使用することで、従来のブレンドを使用するより、化合物コストを低下させることもできる。また、ここに記載される本発明のカーボンブラック物質を使用することで、エンジンマウント用途の重要な因子である、より低いひずみ及び引裂きエネルギで疲労寿命を著しく改善することができる。
【0031】
1つの態様において、調製された化合物の硬度は、化合物におけるそれぞれのカーボンブラックの量を調整することにより、対照試料に匹敵し得る。本発明のカーボンブラックについて、引裂きエネルギ値は、対照化合物と匹敵するか、又は対照化合物に対して改善される。EM−2及びEM−3化合物のどちらも、対照化合物とおおむね同等であるK
d/K
s値を示す。
上記の通り、本発明のカーボンブラックを含む防振ゴム化合物の疲労寿命を、従来の化合物に対して改善することができる。特に、発明のカーボンブラック2及び3を利用している化合物では、エンジンマウント用途に特有の低ひずみ及び引裂きエネルギで、疲労寿命を著しく改善することができる。
1つの態様において、本発明のカーボンブラックを含むゴム化合物のショアA硬さ及び応力−ひずみ特性は、サーマルカーボンブラック及びファーネスカーボンブラックのブレンドを含む従来の振動絶縁化合物に匹敵するか、又は従来の振動絶縁化合物より優れている。別の態様において、本発明のカーボンブラックを含むゴム化合物の引張強度は、従来の振動絶縁化合物よりも優れている。更に別の態様において、本発明のカーボンブラックを含む化合物の臨界引裂きエネルギ(つまり、引裂き強度)は、ASTM D624により測定されるように、従来の振動絶縁化合物と比較して、少なくとも同等の又はより優れた引裂きエネルギを有する。更に別の態様において、本発明のカーボンブラックを含むゴム化合物は、従来の振動絶縁化合物と比較して、同等の又は改善された振動絶縁性能を提供することができるばね定数を有する。
同様に、本発明のカーボンブラックを含むゴム化合物は、3つの異なるひずみで、少なくとも従来の振動絶縁化合物と同等、又は従来の振動絶縁化合物より優れた疲労寿命を示した。
【0032】
1つの態様において、発明のカーボンブラック2(発明のCB2)は、サーマルカーボンブラック及びファーネスカーボンブラックの従来のブレンドに代えて使用することができ、同等の静的特性、同等又は向上した動的特性(絶縁性能)、同等又は向上した引裂き強度、向上した引張強度、向上した疲労寿命、及びコスト低下を提供する。
また、上述のように、防振化合物において本発明のカーボンブラックを使用することで、従来のカーボンブラック又はブレンドを使用するより、著しくコストを削減することができる。
1つの態様において、本発明のカーボンブラックを使用することで、化合物強度を犠牲にすることなく、類似又は改善された性能、例えば、耐久性、疲労寿命、及び/又は振動低減を提供することができる。別の態様において、本発明のカーボンブラックを用いて調製される化合物の硬度値は、対照/参考物質と同等である。別の態様において、防振ゴム化合物は、従来の物質と比較して、引張強度及び伸長を改善することができる。更に別の態様において、発明のカーボンブラック2及び3を用いて調製される化合物の動的データは、対照物質(従来の化合物)と同等である。別の態様において、発明のカーボンブラック2及び3を含有する化合物の疲労寿命の測定は、化合物の動的特性を維持し、同時に低い引裂きエネルギで疲労寿命を改善することができることを明示している。1つの態様において、理論に拘束されることを望むものではないが、本発明のカーボンブラックを含む防振ゴム化合物における疲労寿命の改善は、少なくとも一つには、二峰性凝集体サイズ分布を典型的な対数正規分布を有する単一グレードのカーボンブラックで置換することによるものである。
【0033】
1つの態様において、本発明は、本発明のカーボンブラックを含有する未硬化のゴム配合物を含む。別の態様において、本発明は、本発明のカーボンブラックを含有する硬化したゴム化合物を含む。更に別の態様において、本発明はエンジンマウントで使用するためのゴム物品を含み、このゴム物品は本発明のカーボンブラックを含む。更に別の態様において、本発明はエンジンマウントを含み、このエンジンマウントは本発明のカーボンブラックを含んだゴム物品を含む。
特定の本発明のカーボンブラックに対する任意の言及は、任意の他の本発明のカーボンブラックも指すことを意図することができると理解すべきである。1つの態様において、ゴム化合物及び/又は振動絶縁は、単一グレードのカーボンブラック(つまり、ブレンドではない)のみを含む。更に別の態様において、ゴム化合物はファーネスカーボンブラックを含み、サーマルカーボンブラックを含まない。他の態様において、本開示はここに記載されるゴム化合物、振動絶縁装置の構成要素、及び本発明のカーボンブラックを含有する振動絶縁装置を開示することを意図する。1つの態様において、上記ゴム化合物、構成要素、又は振動絶縁装置のいずれかは、ブッシング、エンジンマウント、又は他の振動絶縁装置であり得る。
【0034】
態様
記載した触媒及び触媒組成物及び方法及びこれらの変形物を考慮して、本発明の特定のより具体的な態様を以下に記載する。しかしながら、これらの具体的に列挙した態様は、ここに記載した異なる又はより一般的な教示を含有する任意の別の請求項を限定すると解釈されるべきではなく、或いは「特定の」態様が、ここで文字通り用いられる用語及び式の固有の意味を除く何らかの方法で、何らかの形で限定されると解釈されるべきではない。
【0035】
態様1:窒素表面積が約15m
2/gから約30m
2/gであり、吸油価が約35ml/100gから約135ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含むゴム化合物。
態様2:窒素表面積が約20m
2/gから約30m
2/gである、態様1に記載のゴム化合物。
態様3:吸油価が約45ml/100gから約121ml/100gである、態様1又は2に記載のゴム化合物。
態様4:吸油価が約40ml/100gから約130ml/100gである、態様1又は2に記載のゴム化合物。
態様5:ファーネスカーボンブラックが、約40ml/100gから約90ml/100gの圧縮試料の吸油価を有する、態様1〜4のいずれか1つに記載のゴム化合物。
態様6:ファーネスカーボンブラックが、約20m
2/gから約32m
2/gの統計的厚さ表面積を有する、態様1〜5のいずれか1つに記載のゴム化合物。
態様7:ファーネスカーボンブラックが、約15mg/gから約35mg/gのヨウ素価を有する、態様1〜6のいずれか1つに記載のゴム化合物。
態様8:ファーネスカーボンブラックが、約20mg/gから約30mg/gのヨウ素価を有する、態様1〜7のいずれか1つに記載のゴム化合物。
態様9:サーマルカーボンブラックを含まない、態様1〜8のいずれか1つに記載のゴム化合物。
態様10:振動絶縁装置の一部である、態様1〜9のいずれか1つに記載のゴム化合物。
態様11:態様1〜10のいずれか一つに記載のゴム化合物を含む振動絶縁装置。
態様12:窒素表面積が約20m
2/gから約30m
2/g、吸油価が約40ml/100gから約50ml/100g、圧縮試料の吸油価が約40ml/100gから約50ml/100g、統計的厚さ表面積が約20m
2/gから約30m
2/g、ヨウ素価が約20mg/gから約30mg/gであるファーネスカーボンブラックを含む、態様11に記載の振動絶縁装置。
態様13:窒素表面積が約20m
2/gから約30m
2/g、吸油価が約90ml/100gから約100ml/100g、圧縮試料の吸油価が約53ml/100gから約63ml/100g、統計的厚さ表面積が約20m
2/gから約30m
2/g、ヨウ素価が約15mg/gから約25mg/gであるファーネスカーボンブラックを含む、態様11に記載の振動絶縁装置。
態様14:窒素表面積が約23m
2/gから約33m
2/g、吸油価が約122ml/100gから約132ml/100g、圧縮試料の吸油価が約75ml/100gから約85ml/100g、統計的厚さ表面積が約22m
2/gから約32m
2/g、ヨウ素価が約25mg/gから約35mg/gであるファーネスカーボンブラックを含む、態様11に記載の振動絶縁装置。
態様15:エンジンマウントである、態様11〜14のいずれか1つに記載の振動絶縁装置。
態様16:窒素表面積が約55m
2/gから約65m
2/gであり、吸油価が約145ml/100gから約165ml/100gであるファーネスカーボンブラックを含むゴム物品。
態様17:統計的厚さ表面積が約55ml/100gから約65ml/100gである、態様16に記載のゴム物品。
態様18:圧縮試料の吸油価が約90ml/100gから約110ml/100gである、態様16又は17に記載のゴム物品。
態様19:ヨウ素価が約55から約65mg/gである、態様16〜18のいずれか1つに記載のゴム物品。
態様20:態様16〜19のいずれか1つに記載のゴム物品を含む振動絶縁装置。
態様21:ブッシングである、態様16〜20のいずれか1つに記載の振動絶縁装置。
【0036】
本発明の範囲又は主旨から逸脱することなく、本発明に様々な修飾及び変更を加えることができることは当業者に明らかであろう。本発明の他の実施形態は、ここに開示される本発明の明細書及び実施を検討することで、当業者に明らかであろう。明細書及び実施例は例としてのみ見なされ、本発明の正確な範囲及び主旨は、以下の特許請求の範囲により示される。
【国際調査報告】