特表2022-501803(P2022-501803A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2022-501803磁性形状記憶合金を含む作動素子およびそれを製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-501803(P2022-501803A)
(43)【公表日】2022年1月6日
(54)【発明の名称】磁性形状記憶合金を含む作動素子およびそれを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/03 20060101AFI20211210BHJP
   B81C 99/00 20100101ALI20211210BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20211210BHJP
   B24C 1/10 20060101ALI20211210BHJP
   F03G 7/06 20060101ALI20211210BHJP
   H01L 41/12 20060101ALI20211210BHJP
   H01L 41/47 20130101ALI20211210BHJP
【FI】
   H01F1/03 108
   B81C99/00
   B81B3/00
   B24C1/10 E
   F03G7/06 E
   F03G7/06 F
   H01L41/12
   H01L41/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2021-511566(P2021-511566)
(86)(22)【出願日】2019年8月28日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月27日
(86)【国際出願番号】FI2019050613
(87)【国際公開番号】WO2020043950
(87)【国際公開日】20200305
(31)【優先権主張番号】20180095
(32)【優先日】2018年8月28日
(33)【優先権主張国】FI
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519463411
【氏名又は名称】ティコマット オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウラッコ、カリ
【テーマコード(参考)】
3C081
5E040
【Fターム(参考)】
3C081AA11
3C081AA17
3C081BA21
3C081BA23
3C081BA25
3C081BA41
3C081BA54
3C081BA55
3C081CA13
3C081CA17
3C081CA18
3C081CA19
3C081CA20
3C081CA21
3C081CA23
3C081CA28
3C081CA31
3C081DA11
3C081EA09
3C081EA27
3C081EA32
3C081EA33
3C081EA41
5E040AA20
5E040CA20
(57)【要約】
本発明は、磁性形状記憶合金を含む作動素子および作動素子を製造するための方法に関するものである。本方法では、磁性形状記憶合金の少なくとも一部は、磁場に反応する活性領域(1,2)として配置され、磁性形状記憶合金の他の少なくとも一部は、磁場に反応しない不活性領域(3)として配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性形状記憶合金を含む作動素子を製造する方法において、
前記磁性形状記憶合金の少なくとも一部が、磁場に反応する活性領域として配置され、前記磁性形状記憶合金の少なくとも1つの他の一部が、磁場に反応しない不活性領域として配置されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記不活性領域が、
前記作動素子のフレームとして機能すること、
磁束を伝導すること、
前記活性領域の形状変化を回復するために有利に、ばね力を作り出すこと、
電流を流すこと、
電流を切り替えること、
クランプとして機能すること、
光学シャッターとして機能すること、
バルブとして機能すること、
マニホールドとして機能すること、
流体チャネルまたはチャンバを含むマイクロ流体チップの一部として機能すること、および
動作素子として機能すること
などの機能のうちの1つまたは複数を実行するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項3】
前記作動素子を材料片から製造する前に、前記磁性形状記憶合金の材料片に所定の双晶構造が形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項4】
前記合金の材料片は、磁場または機械力を使用して単一の異形体状態に圧縮または伸長されることを特徴とする、請求項3に記載の作動素子を製造するの方法。
【請求項5】
好ましくは2つの双晶異形体が、前記合金の材料片内に所定の体積分率で形成されることを特徴とする、請求項3に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項6】
前記2つの双晶異形体1および2が形成され、前記異形体1の体積分率は少なくとも10%であることを特徴とする、請求項5に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項7】
前記2つの双晶異形体の前記体積分率は、実質的に50:50%に適合していることを特徴とする、請求項6に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項8】
前記双晶異形体は、均等に分散されることを特徴とする、請求項5に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項9】
前記双晶構造は、薄い双晶を含んで高密度に作られることを特徴とする、請求項5に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項10】
前記双晶構造は、好ましくは、
砥粒加工またはショットピーニングで前記活性領域の表面を変形させることによって、レーザ処理、および、
弾性コーティングで表面をコーティングすること
の方法のうちの1つによって安定化されることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一項に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項11】
前記合金の材料片の、好ましくは1つの表面、好ましくは側面を、
砥粒加工、
ショットピーニングまたはサンドブラスト、
レーザ処理
によって変形させることによって、または十分に硬いコーティングでコーティングすることによって、前記合金の材料片全体における双晶境界の可動性がブロックされることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項12】
前記作動素子は、好ましくは、機械加工、レーザ切断または彫刻、リソグラフィー、エッチング、電気機械加工、電気分解のうちの1つを使用して、前記合金の材料片から製造されることを特徴とする、請求項11に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項13】
電解研磨、エッチング、活性領域の少なくとも1つの表面、好ましくは側面のスパッタリングまたはラッピングのうちの1つを使用することにより、前記活性領域で前記双晶境界の動きがブロック解除されることを特徴とする、請求項12に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項14】
前記双晶構造は、好ましくは、
前記活性領域の前記表面を砥粒加工またはショットピーニングで変形させることによって、または
レーザ処理によって、または
弾性コーティングで前記表面をコーティングすることによって、または
前記合金の材料片全体の先行する変形の一部を維持することによっての方法のうちの1つよって安定化されることを特徴とする、請求項13に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項15】
前記作動素子は、任意の方法によって、好ましくは、
機械加工、
レーザ切断または彫刻、
リソグラフィー、
エッチング、
電気機械加工、
電気分解
の方法のうちの1つを使用して、前記双晶境界の可動性がブロックされない前記合金の材料片から製造されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項16】
砥粒加工、ショットピーニングまたはサンドブラスト、レーザ処理によって前記不活性領域の少なくとも1つの表面を変形させることによって、または十分に硬いコーティングでコーティングすることによって、または機械的な拘束によって、不活性領域における前記双晶境界の可動性がブロックされることを特徴とする、請求項15に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項17】
磁性形状記憶合金を含む作動素子であって、前記磁性形状記憶合金の少なくとも一部は、磁場に反応する活性領域であり、前記磁性形状記憶合金の他の少なくとも一部は、磁場に反応しない不活性領域であることを特徴とする、作動素子。
【請求項18】
前記不活性領域は、
前記作動素子のフレームとして機能すること、
磁束を伝導すること;有利なことには前記活性領域の形状変化を回復するために、ばね力を作り出すこと、
電流を流すこと、
電流を切り替えること、
クランプとして機能すること、
光学シャッターとして機能すること、
バルブとして機能すること、
マニホールドとして機能すること、
流体チャネルまたはチャンバを含むマイクロ流体チップの一部として機能すること、
動作素子として機能すること
などの機能のうちの1つまたは複数を実行するための形態を有することを特徴とする、請求項17に記載の作動素子。
【請求項19】
材料片は、前記材料片からの前記作動素子が製造される前に、前記磁性形状記憶合金の所定の双晶構造を有することを特徴とする、請求項17または18に記載の作動素子。
【請求項20】
前記合金の材料片は、単一の異形体状態に圧縮または伸長されていることを特徴とする、請求項19に記載の作動素子。
【請求項21】
前記合金の材料片は、好ましくは2つの双晶異形体を含むことを特徴とする、請求項19に記載の作動素子。
【請求項22】
前記合金の材料片は2つの双晶異形体を含み、他の異形体の体積分率は少なくとも10%であることを特徴とする、請求項21に記載の作動素子。
【請求項23】
前記2つの双晶異形体の体積分率は、実質的に50:50%であることを特徴とする、請求項22に記載の作動素子合金。
【請求項24】
前記双晶異形体は、均等に分散されていることを特徴とする、請求項21に記載の作動素子。
【請求項25】
前記双晶構造は、密に含まれる薄い双晶を有することを特徴とする、請求項21に記載の作動素子。
【請求項26】
前記双晶構造が安定化されていることを特徴とする、請求項21〜25に記載の作動素子。
【請求項27】
前記合金の材料片全体の双晶境界の可動性は、前記合金の材料片の少なくとも1つの表面、好ましくは側面を変形させることによってブロックされていることを特徴とする、請求項17、18または19に記載の作動素子。
【請求項28】
前記作動素子は、好ましくは、
機械加工、
レーザ切断または彫刻、
リソグラフィー、
エッチング、
電気機械加工、電気分解
の方法のうちの1つを使用して、前記合金の材料片から製造されていることを特徴とする、請求項27に記載の作動素子。
【請求項29】
前記双晶境界運動は、前記活性領域内でブロック解除されていることを特徴とする、請求項28に記載の作動素子。
【請求項30】
前記作動素子の前記活性領域に印加される局所磁場は、少なくとも1つの電磁石を使用して生成されることを特徴とする、請求項17〜29のいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項31】
前記磁場供給源は、前記素子を全体的または部分的に覆う、互いに横に配置された電磁石のアレイであることを特徴とする、請求項17〜30のいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項32】
前記磁場供給源の少なくとも1つは永久磁石であることを特徴とする、請求項17〜29のいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項33】
前記磁性形状記憶材料はホイスラー合金であり、好ましくは、Ni、Mn、およびGaのみまたは他の元素を含む10Mまたは14Mのマルテンサイトであることを特徴とする、請求項17〜32のいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項34】
前記作動素子内の前記双晶境界は、タイプIまたはタイプIIのものであることを特徴とする、請求項33に記載の作動素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文で規定される作動素子、および請求項16の前文で規定される作動素子を製造する方法に関するものである。
【0002】
本発明に係る作動素子は、磁性形状記憶合金材料を含み、様々なデバイスおよび装置のための作動素子または機能素子として意図されている。作動素子では、ここでは活性領域として画定されている特定の領域を磁性形状記憶(MSM)効果によって作動させることができ、他の領域は特別な製造方法を使用して不活性にされるため、それらの不活性領域は印加された磁場で歪まないが、それらは装置の他の本質的な機能を有する。不活性領域は、デバイス、ばね、磁束経路、グリッパー、バルブ、光スイッチまたは電気スイッチ、流体チャンバまたはチャネル、またはそれらの一部のハウジングとして機能することができる。本発明は、局所磁場を使用して、素子が部分的に拘束され得るMSM材料上の双晶異形体構成に局所的な変化を作り出す解決策である。作動素子は、現在最高のMSM性能を示しているNi−Mn−GaまたはNi−Mn−Gaベースの合金から作ることができる。本発明は、光学、流体工学、マイクロエンジニアリング、および生物医学などの様々な産業用途のための複雑なデバイスを単純化するであろう。本発明は、装置全体またはいくつかの機能部品を含むその作動部分を、MSM材料の1つの材料片(ソースピース)から製造することができるため、マイクロスケールおよびナノスケールのデバイスにおいて特に重要である。
【背景技術】
【0003】
磁性形状記憶(以下、MSM)合金、または強磁性形状記憶(FSMA)合金は、磁場がそれらに印加されると数パーセント歪むことができる独特の材料である。MSM合金から作製されたサンプルの歪みは、サンプル内の双晶異形体の比率に対する磁場誘発性の変化に基づいている。MSM材料の主なグループは、Ni−Mn−Ga合金である。MSM材料は、双晶境界によって分離された少なくとも2つの双晶異形体からなる。材料は、十分に高い結晶磁気異方性エネルギーと低い双晶応力を持っている必要があるため、十分な強度と方向の外部磁場が材料に印加されたときに、その磁化の容易な方向と結晶軸が磁場に応じて変化する。材料には、格子定数がaとcである2つの結晶学的方向が含まれている必要があり、c軸は短軸である。このような材料は、例えば、Ni−Mn−Gaの10Mマルテンサイトである。この例では、c軸は材料の磁化の容易な方向である。以下、磁化の方向が切り替わる面を活性面と呼ぶ。材料全体の体積に対する双晶異形体の体積の比率は、前記双晶異形体の体積分率として定義される。本発明は、合金Ni−Mn−Gaまたは他のホイスラー合金に限定されない。双晶異形体のタイプは、材料によって異なる。結晶構造が、例えば、単斜晶、斜方晶、または正方晶である場合、材料中の双晶異形体のタイプもまた異なる可能性があり、例えば、タイプIおよびタイプIIの双晶である。これらの双晶は、それらの双晶応力、および双晶異形体を切り替えるために必要なそれらの磁場エネルギーなどの異なる特性を有する。以下、磁性形状記憶合金またはMSM合金とは、MSM効果が発生する材料、すなわち、十分な強度および適切な方向の磁場を印加することによってその形状を変化させることができる材料として定義される。
【0004】
MSM材料は、材料に接続されていないエネルギー源から迅速かつ正確に歪みを与えることができるため、かなりの商業的可能性を秘めている。MSMデバイスは、マイクロおよびナノデバイスで大きなストロークを生成できる適切なアクティブな技術がないため、マイクロおよびナノスケールデバイスで大きな商業的可能性を示している。回転式および直進式電気モーターは、マイクロメートルサイズに縮小することはできず、圧電または磁歪材料は非常に小さなストロークを生成し、これは、Ni−Mn−Ga合金から作製されたMSM材料の最大ストロークの約1パーセントにすぎない。MSM効果の効率(機械的仕事量/磁場エネルギー)は95%を超える可能性があり、疲労寿命は20億サイクルを超える。最近、すべてのアクチュエータ材料の中で最も高い加速度であると想定されるNi−Mn−Gaで、4m/sの作動速度と100万m/sを超える加速度が実証された。作動速度および加速度は、MSM素子の可動部分の慣性によってほとんど制限されるため、小さなスケールのMSMデバイスは、高い作動速度および加速度の恩恵を最も受ける。より大きなMSMデバイスは、小さなデバイスよりも低速である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在のMSMデバイスは、磁場経路(ヨーク)、ばね、ハウジング、およびグリッパー、クランプ、バルブ、電気スイッチなどのような作動部品などの別個の機能部品を含む。これらすべての部品を小さなスケールに組み立てることは、困難で費用のかかるプロセスであり、まったく不可能な場合もある。また、小さなMSMサンプルで適切な双晶構造を準備し、それらの素子を正確にマイクロデバイスに組み立てることは非常に困難である。本発明は、上記の問題を解決する。本発明に係る装置全体または装置の作動素子は、合金の1つの材料片、すなわちMSM材料から製造することができる。製造された装置は、活性領域を含み、また、ハウジング、磁束経路、ばねなどの他の機能部品、およびグリッパー、クランプ、またはスイッチのようないくつかの作動部品も含むことができる。本発明は、現在複雑な機械である別個の機能部品を置き換えることによって、様々な産業用途にわたる多くの装置を単純化するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、双晶異形体を構成するための方法を含み、磁場が双晶異形体を構成するための装置の少なくとも1つの領域に印加される、MSM材料から作製された作動素子に関するものである。装置の活性領域または磁場に反応する領域とも呼ばれるこの領域では、その領域の形状は、印加された磁場によって変化する。装置の他の領域は、MSM効果がそれらの領域で発生しないように、すなわち、それらの領域の形状が印加された磁場によって変化しないように処理または製造される。装置のそれらの不活性領域または磁場に反応しない領域は、ばね、磁束経路、機械のハウジング、またはグリッパー、クランプ、マニピュレーター、インジェクター、ミキサー、ポンプ、バルブ、マニホールド、電気スイッチ、または光スイッチなどの他の機能部品として機能することができる。活性領域またはそれらの一部に印加される局所磁場は、例えば、少なくとも1つの電磁石または少なくとも1つの永久磁石によって生成される。本発明は、複雑な機械を置き換えることにより、様々な産業用途にわたる多くのデバイスを単純化するであろう。応用分野の例は、光学、電子工学、流体工学、マイクロエンジニアリング、生物医学である。不活性領域は、特別な表面処理を使用するか、または表面を十分に硬い物質でコーティングする、ならびにその他の方法で作製することができる。不活性領域は、プレスまたはクランプによって作製することもできる。
【0007】
MSM材料の材料片から作動素子を製造する前に、MSM材料の材料片内の双晶異形体の所定の体積分率を、機械的力または磁場によって形成することができる。その後、作動素子は、MSM材料の材料片から製造される。その後、不活性になる作動素子内のそれらの領域は、磁場がそれらの領域に印加されたときに双晶境界が移動しないように扱われる。作動素子の活性領域における双晶異形体構成を変化させることができる十分に高い磁場エネルギーの局所磁場を使用して、活性領域内の双晶異形体の全体の体積分率を維持しながら、活性領域内の双晶異形体の局所構成を変更する。この活性領域は、2つの平行なプレート間でさらに拘束できるため、以下に示すように、収縮と呼ばれる双晶構成の特殊なケースを形成できる。装置は、リソグラフィー、レーザ切断または彫刻、または他の方法を使用して薄膜から製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】磁性形状記憶材料から作製されたデバイスの一例を概略的に示している。黒で示されるプレートの一部の領域(3)は、不活性になった。プレートの活性領域(1および2)は灰色で示されている。図1aは、結晶学的c軸が水平方向に沿っている状況を示している。この場合、活性領域は軸方向に短く、グリッパーは閉じている。図1bは、長い結晶学的a軸が軸方向に沿っており、短いc軸が軸方向に垂直である状況を示している。この場合、活性領域は水平方向に長く、グリッパーは開いている。
図2】磁性形状記憶材料から作製されたプレートを概略的に示しており、この材料は、外部磁場供給源(6)によって誘導される磁束経路として使用される。双晶異形体は1および2で示され、プレートの不活性領域(黒)は3および5で示され、エアギャップは4で示され、磁束線は7で示されている。
図3】磁性形状記憶材料から作製されたプレートの上面図を概略的に示している。合金の材料片を歪ませて、所望の体積分率の双晶異形体1および双晶異形体2をもたらした。双晶異形体1と2で構成される活性領域の周囲の領域(黒い領域3)は、不活性にされた。プレートの活性領域は、素子の左側と右側で拘束された。図3a、図3b、および図3cは、双晶異形体の体積分率が同等である、活性領域内における双晶異形体の複数の構成を示している。
図4】所定の体積分率の双晶異形体1および2を有する磁性形状記憶材料から作製されたプレートの上面図を概略的に示す。プレートを歪ませて、所望の体積分率の双晶異形体1および双晶異形体2をもたらした。歪んだ後、素子の周囲の領域(黒い領域3)は不活性にされた。部分5もまた不活性にされた。図4aは、プレートの活性領域の右側が、プレートに沿って水平方向にc軸を備えた異形体2で構成されているために収縮している状況を示している。プレートの活性領域の左側は、結晶学的に長いa軸がプレートに沿っている異形体1の広い領域(灰色)を含んでいるため、長くなっている。図4bは、活性平面内に配置され、素子の水平方向に垂直な局所磁場を使用することによって、異形体構成が変更され得る方法を示している。したがって、部分5は右から左に移動する。
図5】2つのスリット(4)が切り取られた磁性形状記憶材料から作製されたプレートを概略的に示している(図5a)。プレートを歪ませて、所望の体積分率の双晶異形体をもたらした(図5b)。異形体間の双晶境界は8で示されている。異形体の短い結晶軸cは、c軸が図形平面に直交している場合、異形体2(2)の小さな円で囲まれた十字でマークされ、c軸が水平方向に向いた図形平面内にある場合、短い水平線でマークされる。図5cは、プレートの側面が不活性にされた例を示している(黒い領域3)。
図6】2つのスリット(4)が切り取られた磁性形状記憶材料から作製されたプレートを概略的に示している。プレートを歪ませて、所望の体積分率の双晶異形体をもたらした。プレートの側面を不活性にされた(黒い領域6)。異形体間の双晶境界は8で示されている。短い結晶軸cは、異形体1および2では短い線でマークされている。
図7】正中線A−Aと不活性部分5を右に移動したときの3つのスナップショットを示している。図7aは初期状況を示し、図7bは中間状況を示し、図7cは、部分5の左側の活性領域が垂直方向にc軸を備えた単一の異形体状態にあり、部分5の右側の活性領域が水平方向にc軸を備えた単一の異形体状態にある場合の最終的な状況を示している。
図8a】流体コントローラの一例の断面図を概略的に示している。収縮(10)は、局所的に実質的に垂直に整列した磁束(6)が左から右に移動し、流体を入口から出口に移送するときに、活性領域(9)に沿って移動する。装置の不活性領域(3)は、ポンプのフレームとして機能する。
図8b】薄いNi−Mn−Gaシートから作製されたポンプを示している。図に示すポンプの形にシートをレーザ切断する前に、双晶異形体1と2の比率が等しい高密度の双晶構造をシートに作製した。その後、不活性領域(3)の表面をレーザ処理することにより、双晶境界運動はブロックされた。活性領域(9)は、密な双晶構造を維持するためにわずかにショットピーニングされた。図は、直径方向に磁化された永久磁石(6)を回転させることにより、活性領域内に収縮が発生する前のポンプを示している。このポンプ設計では、装置の不活性領域(3)がポンプのフレームとして機能する。装置は、図に示されていないエラストマーで密閉された。
図9】流体バルブまたは光スイッチの断面図を模式的に示している。活性領域は9で示され、不活性領域は3で示されている。流体の流れまたは光ビームは、活性領域9によって動かされる穴(12)を通過する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、双晶異形体を構成するための方法を含み、磁場が装置の少なくとも1つの領域に印加され、したがって、装置のその領域の形状変化を生成し、一方装置の他の領域は、印加された磁場で歪みを与えないが、それらは装置内で他の機能を有するMSM材料から作製された作動素子に関する。磁場誘発性の形状変化が起こる領域は、装置の活性領域または磁場に反応する領域と呼ばれる。装置の他の領域(面積または体積)は、印加された磁場によってそれらの形状が変化しないように処理または製造される。装置の不活性領域または磁場に反応しない領域と呼ばれるこれらの領域は、装置内で他の機能を有する。不活性領域は、装置のハウジング、ばね、グリッパー、クランプ、マニピュレーター、インジェクター、ミキサー、ポンプ、バルブ、マニホールド、またはそれらの一部として機能することができる。不活性領域、ならびに活性領域も、流体チャネルまたはチャンバ、あるいはチャネルまたはチャンバの一部とすることができる空洞をまた含むことができる。MSM材料の材料片の活性領域および不活性領域は、MSM装置内の磁束を誘導するために使用することもできる。不活性領域は、特別な表面処理、例えば、変形(ショットピーニング、ブラスト、または砥粒加工法)、レーザ処理、または、例えば、金属、セラミックス、ポリマーで表面をコーティングする、ならびに他の方法を使用して作製することができる。領域は、機械的なクランプまたはプレスによって不活性にすることもできる。本発明はまた、化学的、電気化学的、電気機械加工、リソグラフィー、レーザ彫刻または切断、イオンビームミリングまたは機械加工などの異なる方法を使用して材料を除去することにより、多結晶または単結晶MSMのバルク、箔、または薄膜から製造される装置に関するものである。前記バルク、箔、および薄膜は、以下において、磁性形状記憶合金の材料片として、またはより短く、単に合金の材料片として呼ばれる。
【0010】
装置のいくつかの領域が不活性であり、他のいくつかの領域が活性である構造をもたらす任意の他の製造方法を、本発明に係るMSM装置の作動素子を製造するために使用することができる。活性領域では、有益な双晶構造は通常緻密である。緻密な双晶構造は、活性領域の少なくとも1つの表面を、砥粒加工によって変形させること、ショットピーニング、サンドブラスト、または弾性コーティングでコーティングすることによって安定させることができる。
【0011】
MSM材料の単一の材料片から製造された装置は、別個の部品からなる複雑な機械を置き換えることができるので、本発明は、様々な産業用途にわたって多くのデバイスを単純化するであろう。磁歪および圧電デバイスに対する本発明に係る装置の主な利点は、歪みが約100倍大きく、磁場によって生成された変位が、磁場をオフにした後も残るという事実である。本発明はまた、少なくとも1つの活性領域および少なくとも1つの不活性領域を含むMSM材料の単一の材料片が、MSM材料以外の材料から作製された他の機能部品またはMSM材料から作製された他の機能部品も含む装置の一部である装置に関するものである。例えば、本発明の実施形態は、銅から作製された巻線を含むことができ、または装置は、3つの平行なプレート:MSM材料(作動素子)から作製された中央プレートおよび流体チャネルを密閉する(入口穴および出口穴を含む)別の材料から作製された他の2つのプレートからなる弁とすることができる。これらの実施形態を以下に詳細に説明する。
【0012】
本発明のいくつかの構成は、選択された実施例を介して以下に説明される。図1に示すグリッパーは、不活性領域が装置の機械的動作を実行する上でどのように役割を果たしているか、および作動素子の製造前にMSM材料の材料片において適切な双晶異形体構造を調整する必要がある理由を示している。MSM材料のプレートをグリッパーに切断する前に、プレートを軸方向(水平方向)に収縮させて、結晶学的な短いc軸を軸方向にした単一の異形体状態にした。その後、グリッパーは、プレートから製造された。黒で示されているプレートの一部の領域(3)は、レーザ処理によって不活性にすることができる。プレートの活性領域(1および2)は灰色で示されている。図1aに示すケースでは、MSMプレートからグリッパーを切断する前に活性領域が軸方向に収縮したため、グリッパーは閉じている。図1bは、十分な磁場強度を有する磁場が活性領域に印加され、その結果、長い結晶学的a軸が軸方向(水平方向)に沿っており、短い結晶軸が垂直方向にある、活性領域の伸長をもたらした後、グリッパーが開いている状況を示している。グリッパーは、不活性領域のばね力により、活性領域を軸方向に収縮させることによって閉じる。本発明に係るMSM装置の動きを制御するための異なる方法を使用することができる。グリッパーのような小さなスケールのデバイスでは、マシンビジョンのような光学的方法が、装置の動きや形状の変化を監視するための便利な方法である。この光学情報は、装置の動きを制御するために使用することができる。
【0013】
本発明に係る装置において、活性領域の回復(元の形状への伸長の収縮)は、外力、印加磁場、不活性領域によってまたは弾性コーティングの薄層または活性領域の表面の変形によって引き起こされるばね力を使用して、またはサンプルの形状磁気異方性(すなわち、薄い箔では磁場は平面に沿って整列する傾向があり、細い繊維では磁場は繊維の長い寸法に整列する傾向がある)を利用することによって行うことができる。形状磁気異方性によって引き起こされる磁場は、細い繊維または箔を収縮させる傾向がある。
【0014】
MSM装置の活性領域または不活性領域は、磁束経路として機能できる。図2は、外部磁場供給源(6)によって誘導される磁束を伝導するために活性領域および不活性領域をどのように使用することができるかという本発明の一般的な構成を概略的に示している。双晶異形体は1および2で示され、装置の不活性領域(黒)は3および5で示され、エアギャップは4で示され、磁束線は7で示される。
【0015】
作動素子が製造される合金の材料片またはMSM材料、例えば、プレート、箔、または薄膜は、単一異形体状態または多異形体状態であり得る。多異形体状態には、選択した異形体の所定の体積分率が含まれ得る。双晶異形体の所定の体積分率は、MSM材料の材料片から作動素子を製造する前に、合金の材料片で調整することができる。その後、MSM材料の材料片全体における双晶境界運動は、少なくともMSM材料の材料片の表面を、砥粒加工、ショットピーニングまたはサンドブラスト、レーザ処理によって変形させることによって、または表面を十分に硬いコーティングでコーティングすることによってブロックすることができる。次に、作動素子は、機械加工、レーザ切断または彫刻、リソグラフィー、エッチング、電気機械加工、電気分解の少なくとも1つの方法を使用して、MSM材料の材料片から製造される。作動素子を製造した後、次の方法:活性領域の少なくとも1つの表面(側面)の電解研磨、エッチング、スパッタリング、またはラッピングのうちの1つを使用することによって、双晶境界運動は、活性領域でブロック解除される。適切な双晶構造、例えば、緻密な双晶構造は、以下の方法のうちの少なくとも1つによって:砥粒加工またはショットピーニングで活性領域の表面を変形させることによって、またはレーザ処理によって、または表面を弾性コーティングでコーティングすることによって、またはMSM材料の材料片全体の先行する変形の一部を維持することによって、安定化させることができる。あるいはまた、作動素子は、双晶境界運動がブロックされないMSM材料のそのような材料片から製造することができる。この場合、双晶境界の可動性は、砥粒加工、ショットピーニングまたはサンドブラスト、レーザ処理によって不活性領域の少なくとも1つの表面を変形させることによって、または十分に硬いコーティングでコーティングすることによって、または機械的拘束によって、作動素子内でのみブロックされる。活性領域の適切な双晶構造は、上記の方法を使用して安定化させることができる。
【0016】
活性領域は、不活性領域で囲むことができます。この場合、活性領域の全体的な伸長と収縮は拘束を受ける。活性領域の一部に局所磁場を加えると、活性領域に局所的に歪みを与えることができるが、双晶異形体の全体的な体積分率は変化しないままである。拘束された端部に直交するMSM素子に沿った軸は、図3に示すように、以降、軸方向と呼ばれる。図3は、所定の体積分率の2つの双晶異形体を有する拘束されたMSM素子の上面図を概略的に示している。図3は、双晶異形体1と2の体積分率が同じである3つの異なる構成を示している。異形体1の体積分率は約30%である。図3aは、異形体1の2つの別々のセクションを示している。図3bは、異形体1の1つのセクションを示し、図3cは、異形体1のいくつかの狭いセクションを示している。例えば、MSM素子がNi−Mn−Ga合金の10Mマルテンサイトでできていると仮定する。活性領域のセクションが、活性平面内で、かつ水平(軸)方向に実質的に平行または実質的に垂直な方向に十分な強度の局所磁場の影響を受ける場合、素子のそのセクションは、磁場と同じ方向に短くなり、磁場の方向に垂直な方向に伸びる。図4aに示すように、それぞれ30%と70%の体積分率を持つ異形体1と2を含む素子を仮定する。この図では、活性平面は、図の表面に垂直であり、その軸方向に沿って整列されている。さらに、異形体1の短い結晶軸cが、活性平面内で軸方向に垂直に整列され、異形体2のc軸が、活性平面内で軸方向に整列されていると仮定する。活性面内で軸方向に垂直に整列された十分に高い強度の局所磁場が、最初は異形体2である素子のセクションに印加されると、磁場は、c軸の向きを軸方向に垂直に変え、したがって、異形体1の新しいセクションが形成される。磁場が素子の総体積の少なくとも30%をカバーするセクションに影響を与える場合、異形体1の新しいセクションの体積比率は30%であり、異形体1の総体積分率は30%であるため、図4aに示す元の異形体1は、異形体2になる。結果として得られる構成を図4bに示す。この例は、本発明の1つの本質的な構成、すなわち、素子の異なる位置に局所磁場を印加することによって異形体のセクションが再構成されるとき、異形体の体積分率はそのままであることを示している。セクションは、任意の幅と数量にすることができる。広いセクションを薄いセクションに分割することができ、その逆もできる。セクションは、素子に沿って両方向に順次移動することも、素子に沿って不連続に移動することもできる。セクションはタイプIまたはタイプIIの双晶で構成することもでき、素子には両方のタイプの双晶を同時に含めることができる。活性領域が拘束されている場合、双晶異形体の体積分率は、双晶異形体の構成を変更する前、変更中、および変更した後も一定のままである。新しい双晶異形体構成が作製されると、磁場が素子に印加されなくなった場合でも、その構成は維持される。双晶異形体構成は、短い磁場パルスを使用して作製できる。これは、電磁石の過熱を防ぎ、電気エネルギーを節約するため、実用上非常に重要である。
【0017】
図4に示される中央部分(5)は、様々な用途に使用することができる。中央部分に他の機能物を取り付けて、適用性を高めることも可能である。中央部分は、例えば、ラッチバルブとして機能することができる。中央部分は、固定されている別の穴に対して移動する穴を有することができる。穴が同軸に整列されている場合、流れは穴を最大限に通過できる。穴が相互に移動すると、流れが制限され、穴が移動して相互に離れると完全に停止する。中央部分は、電気回路の開閉にも使用できる。1つのスイッチは中央部分(5)に、第2のスイッチは装置のフレーム(3)に取り付けることができる。以下に示す実施例は、これらの構成を示している。
【0018】
材料例としてNi−Mn−Gaを使用して上に示したように、双晶異形体は、活性平面内で、MSM素子の軸方向に実質的に垂直な方向にある十分な強度の局所磁場によって構成できる。そのような磁場は、例えば、電磁石または永久磁石によって生成することができる。少なくとも2つの局所磁場供給源を素子の異なる場所に同時に適用して、それらの場所で1つの異形体を別の異形体に変えることができる。局所磁場供給源は、素子に連続的に適用することができ、以下において、局所磁場は、その軸方向に沿ってその幅を増加させることなく連続的に印加され、したがって、1つの双晶異形体のセクションを素子に沿って移動させることを意味する。局所磁場供給源もまた、素子に絶え間なく連続的に適用することができ、以下において、局所磁場がその幅で増加するようにその前の面積を維持しながら、局所磁場が連続的に印加され、したがって、1つの双晶異形体のセクションを素子に沿って広げることを意味する。磁場供給源もまた、素子に沿って移動させることができ、したがって素子の異なる位置で異形体構成を変更することができる。磁場供給源は、素子の片側に配置することも、素子の反対側に配置する部品で構成することもできる。磁場供給源の少なくとも1つは電磁石とすることができる。電磁石は、それらが互いに隣り合って配置されている場合、アレイを形成することができ、素子を全体的または部分的に覆うことができる。電磁石のアレイを使用して、局所磁場を素子に絶え間なく連続的に印加することができる。同様のアレイを素子の反対側に配置することもでき、ヨークによって反対側の電磁石に接続することもできる。片側に電磁石、反対側にヨークを配置することも可能である。特に薄くて小さい構造では、巻線をヨークなしで素子の少なくとも片側に配置することもでき、またはヨークは、コイルに対して素子の反対側に配置された強磁性プレートであってもよい。微小電気機械構造(MEMS)では、フラットコイルを、例えば、リソグラフィー技術またはレーザ切断を使用して作製することができる。コイルが短い電気パルスで磁化される場合、コイルはそれほど加熱されない。したがって、コイルの電流密度を高くすることができ、これによってより小さなコイルを使用することが可能になる。小さなスケールでは、体積に対する表面積の比率が大きく、これにより、コイルでより高い電流密度を使用することもできる。素子のセクションを軸方向に磁化することも可能である。これの一実施形態は、素子の周りに巻かれたコイルである。素子内で十分に高い磁場に到達するために、コイルは、電流パルスを使用して磁化されることが最も有利である。
【0019】
図5は、本発明を説明する一例を示している。図5aは、例えばレーザまたはリソグラフィーを使用して、2つのスリット(4)が切断されたMSM材料で作られたプレートを示している。プレートは、例えば、伸長(図5b)によって歪められるか、または曲げられるため、プレートは、プレート表面(2)に垂直であり、プレート表面(1)に平行である短い結晶軸cを有する2つの異形体からなる。その後、プレートの外側は、図5cに示すように、不活性になるように処理される(黒い領域3)。プレートの中央部分は処理されていないため、依然として磁場に反応する。活性領域には、元々プレートに存在していたのと同じ体積分率の双晶異形体が含まれている。
【0020】
図の平面に平行な平面内でc方向が切り替わるように、所定の双晶構造を作ることもできる。図6に示すように、例えば表面処理を使用して、プレートの側面が不活性にされた後、それを行うこともできる。ここで、磁場誘発性の素子の寸法変化が図の平面内で発生するため、スリットの幅が変化する。これは、例えば、ポンピング用の流体アプリケーションで使用できる。スリット領域内に収縮またはその他の形状のセクションを作ることも可能である。これらのセクションは素子に沿って移動でき、流体を移送するための流体工学などの多くのアプリケーションにおいて使用できる。図7は、素子の正中線(A−A)が右に移動する(図7b)一例を示しており、短いc軸が軸方向において中点の右側にある異形体の体積分率の増加および中点の左側でそれらの減少をもたらす。図7cは、線A−Aの右側が、c軸が軸方向に整列している完全に1つの異形体であり、線A−Aの左側が、c軸が図の垂直方向に整列している完全に1つの異形体である最終的な状況を示している。
【0021】
本発明に係る装置の活性領域における双晶異形体間の双晶境界は、タイプIまたはタイプIIのものであり得る。タイプII双晶の双晶境界、例えば10MマルテンサイトNi−Mn−Ga合金においては、タイプI双晶よりも大幅に低い磁場強度で移動し、それらの運動は温度依存性が低い。したがって、本発明に係る特定のデバイスでは、タイプIIの双晶を使用することを好む。14Mマルテンサイトでは、タイプIとタイプIIの双晶境界が非常に低い磁場強度で移動する。14Mマルテンサイトのオーステナイト開始温度は、10Mマルテンサイトのオーステナイト開始温度よりも高くなり得るため、14Mマルテンサイトは動作温度が高いアプリケーションに有用である。本発明は、Ni−Mn−Gaベースの合金の10Mまたは14Mのマルテンサイトのみに限定されず、MSM効果が生じるそのようなすべての材料に限定されることが強調される。本発明は、複雑な機械を置き換えることにより、様々な産業用途にわたる複雑なデバイスを単純化する。応用分野の例は、光学、流体工学、マイクロエンジニアリング、ロボット工学、マニピュレーション、および生物医学である。局所双晶異形体構成を変更することにより、素子の軸に対する表面の角度を変更できる。これは、光学系の反射角度を変更するのに有用であり、これは、光分割、光スイッチング、および干渉計などのアプリケーションに使用できる。少なくとも1つの収縮位置の連続的な移動を使用して、流体などの材料をMSM素子に沿って輸送し、ポンプまたはリニアモーターを作製できる。また、少なくとも1つの収縮の位置の不連続な動きを使用して、複数の収縮構成間をすばやく切り替えることができるため、正確なバルブ制御およびマニホールドの作製が可能になる。いくつかの機能部品を含む装置全体をMSM材料の1つの材料片から製造することができるので、本発明は、マイクロおよびナノスケールのデバイスにおいて特に重要である。
【0022】
本発明は、前記方法および装置のいくつかの使用を含む。以下のセクションでは、本発明の使用および適用可能性のいくつかの例が提示される。本発明はこれらの例に限定されないことが強調される。実施例は、主に本発明のいくつかの構成を説明するために示されている。
【実施例1】
【0023】
グリッパーは厚さ0.1mmのNi−Mn−Ga箔から作製された。箔は単一の異形体状態で圧縮され、その後、双晶境界運動をブロックするためにショットピーニングによって箔の表面が変形された。図1に概略的に示されているものと同様のグリッパーを、レーザビームを使用してシートから切断した。グリッパーの長さは5mm、幅は2.6mmであった。切断後、不活性領域をラッカー層で覆い、グリッパーを電解研磨した。ラッカー層は、不活性領域の電解研磨を防ぐ。ショットピーニングによる変形の一部が残り、印加された磁場によって形成される高密度の双晶構造を安定させるように、活性領域が電解研磨された。グリッパーの動作は、活性領域に磁場を印加することによって実証された。
【実施例2】
【0024】
図8aは、シートNi−Mn−Gaシートから作製されるポンプの原理を示している。活性領域(9)はポンプ素子として機能する。双晶異形体1と2の比率は、70%と30%である。外部局所磁場(6)は、活性領域に収縮を発生させる。収縮(10)は、局所的に実質的に垂直に整列した磁束(6)が左から右に移動するときに、活性領域(9)に沿って移動し、流体を入口から出口に移送する。装置の不活性領域(3)は、ポンプのフレームとして機能する。
【0025】
図8bは、Ni−Mn−Gaシートから作製されたポンプの別の一実施形態を示している。図に示すポンプの形にシートをレーザ切断する前に、双晶異形体1と2の比率が等しい高密度の双晶構造をシートに作製した。その後、不活性領域(3)の表面をレーザ処理することにより、双晶境界運動をブロックした。活性領域(9)は、密な双晶構造を維持するためにわずかにショットピーニングされた。図8bは、直径方向に磁化された永久磁石(6)を回転させることにより、活性領域で収縮が発生する前のポンプの作動素子を示している。このポンプ設計では、装置の不活性領域(3)は、ポンプのフレームとして機能する。装置は、図8bに示されていないエラストマーで密閉された。
【実施例3】
【0026】
素子が、実質的に平面の表面を有する物体、例えば、プレートまたはバーと、別の実質的に平面の表面との間で拘束され、ならびに両端を拘束されている場合、少なくとも1つの局所磁場供給源が素子に適用されるとき、物体は、素子の軸方向に移動することができる。これは、素子の寸法が局所的に変化するという事実に基づく。例えば、Ni−Mn−Ga合金の10Mマルテンサイトでは、素子は垂直方向に収縮する場所で軸方向に伸びる。収縮が素子に沿って移動すると、素子に配置された平面の表面が素子に沿って移動する。これは、動作が実証されたリニアモーターの原理である。
【実施例4】
【0027】
装置は、マイクロ流体デバイス、例えば、ラボオンチップとすることができる。マイクロ流体チャネルおよびチャンバ用の空洞は、装置内、例えば、その不活性部分に作製することができる。ポンプ、バルブ、マニホールド、ミキサー、およびその他のデバイスは、MSM材料の同じ材料片の活性部分に作製できる。本発明に係るラボオンチップの一実施形態は、流体チャネルおよびチャンバもまた含むことができる2つのポリマープレートの間に配置されたMSMプレートから構成される。
【実施例5】
【0028】
図10は、例えば、流体バルブまたは光スイッチとして使用することができる装置の一実施形態を示している。穴(12)は、印加される磁場の強さに応じて、一端(位置1)から他端(位置2)に向かって完全にまたは部分的に移動する。したがって、流体の流れまたは光ビームの経路のための開口部は、完全または部分的である可能性がある。活性領域は9で示され、不活性領域は3で示されている。装置は、レーザ加工によってNi−Mn−Gaシートから作製された。Ni−Mn−Gaシートから装置を切断する前に、シートを曲げることにより、50−50の双晶異形体比率を有する狭い双晶構造が形成された。装置は、レーザビームを使用してシートから切断された。装置のフレーム(3)と部品(5)の不活性領域内での双晶境界運動は、表面のレーザ処理を使用してブロックされた。図10aは、右側の活性領域がコイルに導かれる磁場パルスで磁化された場合の、装置の活性領域と不活性領域(装置のフレーム)の磁束分布を示している。図10bは、左側の活性領域が磁化されている場合の同様の状況を示している。この実施例は、装置の不活性領域もまた、本発明に係る装置内の磁束を伝導することを実証している。装置のコンピュータモデリングは、装置に対して測定された実験データによく対応していた。位置1と2の間の切り替えは、数マイクロ秒で起こる。
【実施例6】
【0029】
装置は、電気スイッチまたは回路遮断器とすることができる。このようなスイッチの一実施形態は、レーザ加工を使用して、Ni−Mn−Ga合金のシートから作製された。装置の構造と動作原理は、図10に示す装置と同様であった。図10に示す装置との違いは、電気接点の開閉に部品(5)の前後運動を使用したことである。電気接点は、装置から電気的に絶縁された。スイッチング時間は、数マイクロ秒であると測定された。本発明に係る電気スイッチおよび回路遮断器は、特に高周波の電流を切り替えるためのマイクロエレクトロニクスにおいて大きな商業的可能性を有する。
【実施例7】
【0030】
本発明に係る装置は、印加された磁場中での曲げまたはねじれによって形状が変化する少なくとも1つの活性領域を含むことができる。曲げは、活性領域に十分な磁場強度の不均一な磁場を印加することによって実行できる。活性領域の一方の表面を不活性にし、もう一方の表面を活性のままにすると、実質的に均一な磁場でも曲げが発生する。活性側は磁場によって歪み、不活性側は歪まなく、これは活性領域の曲げ変形につながる。装置はまた、印加された磁場内で曲がるいくつかの活性領域を含むことができる。このタイプの装置は、例えば、流体を混合するために使用することができる。
【0031】
上に示したすべての実施例は、本発明の特定の構成を単に説明するために提示されていることが強調される。本発明は、それらの実施例のみに限定されない。
図1a)】
図1b)】
図2
図3a)】
図3b)】
図3c)】
図4
図5a)】
図5b)】
図5c)】
図6
図7a)】
図7b)】
図7c)】
図8a
図8b
図9
【手続補正書】
【提出日】2020年12月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独または装置の一部として使用する作動素子を製造する方法であって、該作動素子が材料片として磁性形状記憶合金を含み、該磁性形状記憶合金は間に境界を有する双晶構造を有する、前記方法において、
a)前記材料片から前記作動素子を作製する前に、および前記作動素子に活性領域および不活性領域を形成する前に、所定の双晶構造が前記磁性形状記憶合金(MSM)の材料片に形成され、それにより、形成されるべき活性領域またはその一部が、前記作動素子にその機能を生じさせるための磁場誘起形状変化を起こさせるようになっていること、
b)前記作動素子の作製される前記材料片の少なくとも一部が、形状変化を生じることを要求する前記作動素子の機能を実行するために磁場に反応する活性領域として配置され、
c)前記材料片の少なくとも1つの他の一部が、前記作動素子の前記不活性領域に磁場が印加されても双晶間の双晶境界が動かないように該他の一部を処理することにより、磁場に反応しない不活性領域として配置されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記活性領域および/または不活性領域が、
前記作動素子のフレームとして機能すること、
磁束を伝導すること、
前記活性領域の形状変化を回復するために有利に、ばね力を作り出すこと、
電流を流すこと、
電流を切り替えること、
クランプとして機能すること、
光学シャッターとして機能すること、
バルブとして機能すること、
マニホールドとして機能すること、
流体チャネルまたはチャンバを含むマイクロ流体チップの一部として機能すること、および
前記領域に形状変化を生じることの機能のうちの少なくとも1つまたは複数を実行するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項3】
少なくとも1つの活性領域および少なくとも1つの不活性領域を有する前記MSM材料の材料片が、前記MSM材料以外の他の材料から作られた他の機能部分またはMSM材料から作られた他の機能部分を含む装置の一部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項4】
前記合金の材料片は、磁場または機械力を使用して単一の異形体状態に圧縮または伸長されることを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の作動素子を製造するの方法。
【請求項5】
好ましくは2つの双晶異形体が、前記合金の材料片内に所定の体積分率で形成されることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項6】
合金の材料片において、前記2つの双晶異形体1および2が形成され、前記異形体1の体積分率は少なくとも10%であることを特徴とする、請求項5に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項7】
合金の材料片において、前記2つの双晶異形体の前記体積分率は、実質的に50:50%に適合していることを特徴とする、請求項6に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項8】
合金の材料片において、前記双晶異形体は、均等に分散されることを特徴とする、請求項5に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項9】
合金の材料片において、前記双晶構造は、薄い双晶を含んで高密度に作られることを特徴とする、請求項5に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項10】
合金の材料片において、前記双晶構造は表面処理によって、好ましくは、
砥粒加工またはショットピーニングで前記活性領域の表面を変形させることによって、レーザ処理、および、
弾性コーティングで表面をコーティングすること
の方法のうちの1つによって安定化されることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一項に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項11】
前記合金の材料片の、好ましくは1つの表面、好ましくは側面を、
砥粒加工、
ショットピーニングまたはサンドブラスト、
レーザ処理
によって変形させることによって、または十分に硬いコーティングでコーティングすることによって、表面処理により前記合金の材料片全体における双晶境界の可動性がブロックされることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項12】
前記作動素子は、好ましくは、機械加工、レーザ切断または彫刻、リソグラフィー、エッチング、電気機械加工、電気分解のうちの1つを使用して、前記合金の材料片から製造されることを特徴とする、請求項11に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項13】
好ましくは、電解研磨、エッチング、活性領域の少なくとも1つの表面のスパッタリングまたはラッピングのうちの1つを使用することにより、前記活性領域で前記双晶境界の動きがブロック解除されることを特徴とする、請求項12に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項14】
前記双晶構造は、好ましくは、
前記活性領域の前記表面を砥粒加工またはショットピーニングで変形させることによって、または
レーザ処理によって、または
弾性コーティングで前記表面をコーティングすることによって、または
前記合金の材料片全体の先行する変形の一部を維持することによっての方法のうちの1つよって、表面処理により安定化されることを特徴とする、請求項13に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項15】
前記作動素子は、前記双晶境界の可動性がブロックされない前記合金の材料片から製造されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項16】
好ましくは、砥粒加工、ショットピーニングまたはサンドブラスト、レーザ処理によって前記不活性領域の少なくとも1つの表面を変形させる表面処理によって、または十分に硬いコーティングでコーティングすることによって、または機械的な拘束によって、不活性領域における前記双晶境界の可動性がブロックされることを特徴とする、請求項15に記載の作動素子を製造する方法。
【請求項17】
単独または装置の一部として使用する磁性形状記憶合金を含む作動素子であって、該作動素子が材料片として磁性形状記憶合金を含み、該磁性形状記憶合金は間に境界を有する双晶構造を有する、前記作動素子において、
a)前記作動素子の少なくとも一部は、形状変化を生じることを要求する前記作動素子の機能を実行するために磁場に反応する活性領域であり、
b)前記作動素子の他の少なくとも一部は、前記作動素子の他の機能を実行するために磁場に反応しない不活性領域であり。
c)双晶間の双晶境界の移動が、前記活性領域では、前記活性領域の望ましい形状変化を生じるように前記双晶境界が移動し、前記不活性領域では、磁場が前記作動素子の前記不活性領域に印加されても前記双晶境界が移動しないような所定の双晶構造を前記作動素子が有することを特徴とする、作動素子。
【請求項18】
前記活性領域および/又は不活性領域は、
前記作動素子のフレームとして機能すること、
磁束を伝導すること;有利なことには前記活性領域の形状変化を回復するために、ばね力を作り出すこと、
電流を流すこと、
電流を切り替えること、
クランプとして機能すること、
光学シャッターとして機能すること、
バルブとして機能すること、
マニホールドとして機能すること、
流体チャネルまたはチャンバを含むマイクロ流体チップの一部として機能すること、
前記領域に形状変化を起こさせること
の機能のうちの少なくとも1つまたは複数を実行するための形態を有することを特徴とする、請求項17に記載の作動素子。
【請求項19】
少なくとも1つの活性領域および少なくとも1つの不活性領域を有するMSM材料からなる作動素子が、装置の一部であり、該装置は、他の材料から作られた他の機能部分、又はMSM材料から作られた他の機能部分を有することを特徴とする、請求項17または18に記載の作動素子。
【請求項20】
前記合金の材料片は、単一の異形体状態に圧縮または伸長されていることを特徴とする、請求項17または18に記載の作動素子。
【請求項21】
前記合金の材料片は、好ましくは2つの双晶異形体を含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の作動素子。
【請求項22】
前記合金の材料片は2つの双晶異形体を含み、他の異形体の体積分率は少なくとも10%であることを特徴とする、請求項21に記載の作動素子。
【請求項23】
前記合金の材料片において、前記2つの双晶異形体の体積分率は、実質的に50:50%であることを特徴とする、請求項22に記載の作動素子合金。
【請求項24】
前記合金の材料片において、前記双晶異形体は、均等に分散されていることを特徴とする、請求項17または18に記載の作動素子。
【請求項25】
前記合金の材料片において、前記双晶構造は、密に含まれる薄い双晶を有することを特徴とする、請求項17または18に記載の作動素子。
【請求項26】
少なくとも1つの活性領域において前記双晶構造が安定化されていることを特徴とする、請求項17から請求項25までのいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項27】
前記合金の材料片全体の双晶境界の可動性は、好ましくは前記合金の材料片の少なくとも1つの表面を変形させることによって表面処理によりブロックされていることを特徴とする、請求項17または8に記載の作動素子。
【請求項28】
前記作動素子は、好ましくは、
機械加工、
レーザ切断または彫刻、
リソグラフィー、
エッチング、
電気機械加工、電気分解
の方法のうちの1つを使用して、前記合金の材料片から製造されていることを特徴とする、請求項17から請求項27までのいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項29】
前記作動素子の前記活性領域に印加される局所磁場は、少なくとも1つの電磁石を使用して生成されることを特徴とする、請求項17から請求項28までのいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項30】
前記磁場供給源は、前記素子を全体的または部分的に覆う、互いに横に配置された電磁石のアレイであることを特徴とする、請求項17から請求項29までのいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項31】
前記磁場供給源の少なくとも1つは永久磁石であることを特徴とする、請求項17から請求項29までのいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項32】
前記磁性形状記憶材料はホイスラー合金であり、好ましくは、Ni、Mn、およびGaのみまたは他の元素を含む10Mまたは14Mのマルテンサイトであることを特徴とする、請求項17から請求項31までのいずれか一項に記載の作動素子。
【請求項33】
前記作動素子内の前記双晶境界は、タイプIまたはタイプIIのものであることを特徴とする、請求項32に記載の作動素子。
【国際調査報告】