【実施例3】
【0063】
SFRP2 mAbのヒト化。キメラ抗体ならびに複合物(composite)重鎖および軽鎖の組合せ(計16の抗体)を競合ELISAアッセイにおいてSFRP2への結合について試験した。特に、希釈系列の精製された完全ヒト複合物IgG変異型をSFRP2 Peptide Bへの結合について固定濃度のビオチン化マウス抗体に対して競合させた。次に、結合したビオチン化mAb 80.8.6(マウスSFRP2 mAb)をストレプトアビジンHRPおよびTMB基質を使用して検出した。これは、SFRP2に対する全ての複合物抗体の結合効率はキメラ抗体のそれと大まかに同等であり、全てのバリアントはマウス抗体と比較して向上を示すことを実証した(
図12)。抗SFRP2のキメラ抗体および複合物変異型をプロテインAセファロースカラム上で細胞培養上清から精製し、PBS pH7.4に緩衝液交換し、予測されるアミノ酸配列に基づいて消散係数(Ec(0.1%)=1.76)を使用してOD280nmにより定量化した。リードhSFRP2 mAbのエンドトキシン試験はエンドトキシン<0.5EU/mを示した。リードhSFRP2 mAbのSDS−PAGEは、重鎖および軽鎖に対応する2つのバンドを示した(
図13)。
図13において、SDS Page。1μgの精製されたリードhSFRP2 mAbを4〜12%のNuPAGE−SDSゲルにロードした。PageRuler Plus事前染色ラダーをロードしてバンドのサイズ決定を可能とした。レーン1はβ−メルカプトエタノールを用いて還元されており、試料について重鎖および軽鎖に対応する2つのバンドが存在する。レーン2は非還元であった。
【0064】
hSFRP2 mAbの免疫原性試験。免疫原性の相対リスクを決定するためにEpiScreen(商標) time course T−cell assayを使用してリード完全ヒト化およびキメラ抗SFRP2抗体を22人の健常ドナーのコホートに対して試験した。完全ヒト化抗SFRP2抗体は、増殖アッセイにおいていずれのドナーにおいてもSI≧2.0、p<0.05の閾値を使用して陽性の応答を誘導しなかった一方、キメラ抗SFRP2抗体はドナーの23%において陽性のT細胞増殖応答を誘導した。対照抗原KLHを用いた結果は、反復研究における陽性および陰性の結果の間に良好な相関(<10%のアッセイ内ばらつき)があったことを示し、これはアッセイにおける高いレベルの再現性を指し示す(
図14)。
図14において、バルク培養物からのPBMCをサンプリングし、3つの試験試料とのインキュベーション後5、6、7および8日目に増殖について評価した。対応のない2サンプルスチューデントt検定を使用して有意(p<0.05)である点線により指し示されるSI≧2.0(p<0.05)の増殖応答をこの図において陽性であると考えた。
【0065】
ヒト化SFRP2 mAbは高い親和性でSFRP2に結合する。SFRP2に対するリードhSFRP2 mAbの結合親和性を決定するために、rhSFRP2(1μM)をマイクロプレート固相タンパク質結合ELISAアッセイにおいて増加性濃度のhSFRP2 mAbと共にインキュベートした。hSFRP2 mAbは8.72nMのEC50および74.1nMのKdでrhSFRP2に結合した。ヒト化SFRP2 mAbはELISAアッセイ(n=16)において高い親和性でrhSFRP2に結合し、予め設定された濃度の1μM rhSRP2への増加性濃度のhSFRP2 mAbの結合後に測定された480nmの吸光度を示す濃度応答曲線を生じることを
図1Aは示す。
【0066】
ヒト化SFRP2 mAbは内皮管形成、腫瘍細胞増殖を阻害し、腫瘍アポトーシスを促進する。先行する報告と合致して、rhSFRP2は対照細胞と比較して分岐点の数における増加を誘導した(n=4、p≦0.05)。
図7Bは、2H11内皮管形成に対するrhSFRP2およびhSFRP2 mAbの効果を示す棒グラフである。このデータを得るために、2H11細胞をインキュベートし、IgG1対照のみ(5μM)、またはIgG1(5μM)+rhSFRP2タンパク質(30nM)、またはrhSFRP2(30nM)およびhSFRP2 mAb(0.5〜10μM)の組合せを用いて処理した。n=4 *:p≦0.05;**:p≦0.001。反対に、増加性濃度のhSFRP2 mAbは管形成に対するrhSFRP2の効果を有意に相殺した(n=4、p≦0.05)。SFRP2刺激性管形成のhSFRP2 mAb阻害についてのIC
50は4.9±2μMであった。
【0067】
Hs578Tヒト癌腫/肉腫乳がんおよびマウスSVR血管肉腫細胞における腫瘍細胞増殖、アポトーシスおよび壊死に対するrhSFRP2 mAbの効果をインビトロで評価した。hSFRP2 mAbを用いた処理は、Hs578T乳がん(
図7C;5μMおよび10μMのhSFRP2 mAbについてそれぞれp≦0.05およびp≦0.001)ならびにSVR血管肉腫細胞(
図7F;5μMおよび10μMのhSFRP2 mAbの両方についてp≦0.001)の両方において腫瘍アポトーシスを有意に増加させ、壊死における変化は無かった。hSFRP2 mAbを用いた処理はSVR増殖に対する効果を有しなかったが(
図7H)、Hs578T乳がん細胞の腫瘍細胞増殖を有意に低減した(
図7E、5μM p≦0.05、10μM p≦0.001)。
【0068】
インビボでのhSFRP2 mAbの有効性および毒性の決定。SVR血管肉腫細胞を接種されたマウスを3日毎のi.v.での2、4、10および20mg/kgのhSFRP2 mAb用量、またはIgG1対照を用いて21日間処置した。抗体処置マウスのいずれにおいても体重損失も嗜眠も無かった。20mg/kgの用量においても、肝臓または肺における病理学的変化は無かった。実験の終了時に体重は群の間で類似したままであった(対照について32.2±1.4g;2mg/kgについて31.3±1.1g;4mg/kgについて32.1±0.5g;10mg/kgについて31.8±0.9gおよび20mg/kgについて32.7±1.0g。最大効果を有する用量は4mg/kgであり、腫瘍体積の69%の低減があった(n=5/群、p=0.05)。
【0069】
抗体の薬物動態特性を研究するために、尾静脈を介してhSFRP2 mAb 4mg/kgの単回用量をヌードマウスに注射し、血液試料を異なる時点において収集した(
図8)。組換えhSFRP2処置は膜CD38および核NFATc3タンパク質の増加に繋がった一方、hSFRP2 mAbはT細胞において核NFATc3の蓄積を阻害する。
図8Aにおけるデータは、FZD5タンパク質がT細胞中に存在することを実証する。
図8Aは、4mg/kgの単回i.v.注射後の経時的なマウスの血清中のhSFRP2 mAbの濃度の減少を示す薬物動態プロットである。動物の血清中の抗体の半減期は4.1±0.5日であり、7.8±1.0mg/Lの最大血清濃度(Cmax)および13.0±0.6mL/時間のクリアランス(CL)であった。
【0070】
MTD実験において同定された用量の有効性を確認するために、本発明者らは、より多数の動物(n=10の動物/群)でのSVR血管肉腫腫瘍を用いる実験を繰り返し、4mg/kgのhSFRP2 mAbを用いるそれらの処置を開始した。T細胞をrhSFRP2(30nM)を用いて1h処理し、細胞質および核画分を分離するためにNE−PERキットを使用して処理した(
図8B)。指し示されるタンパク質マーカーに対する抗体を用いて試料をプロービングし、処理された細胞におけるタンパク質のレベルを非処理細胞におけるものと比較した。3週後に、hSFRP2 mAbを用いて処置された腫瘍は、IgG1対照を用いて処置された腫瘍よりも43%小さかった(対照について1,631.3±283mm
3、hSFRP2 mAbについて928.5±148mm
3;p≦0.05)。
【0071】
次に、本発明者らは、hSFRP2 mAbは他の腫瘍種の成長に影響し得るのかどうかを検討した。Hs578T乳癌−肉腫異種移植片を有するマウスをhSFRP2 mAbまたはIGg1対照を用いて処置した。抗原gp100(0.87μM)またはhSFRP2 mAb(10μM)を単独または組合せで用いてT細胞を60分間処理し、核画分を単離した(
図8C)。rhSFRP2処理細胞中のNFATc3のタンパク質レベルを非処理細胞におけるものと比較した。各時点における対照および各処置群の間の比較は、ベースラインからの処置22日目、25日目、および31日目からの全ての時点が統計的に有意であることを示した(p=0.05)。実際に、hSFRP2 mAb処置マウスにおける腫瘍体積において61%の低減があった、n=11、*P<0.05)。追加的に、処置マウスのいずれにおいても体重損失も嗜眠も無かった。
【0072】
ヒト化SFRP2 mAbはインビボで腫瘍においてアポトーシスを誘導する。hSFRP2 mAbはインビトロでアポトーシスを誘導し、乳がん細胞において増殖を阻害し、本発明者らは、これらの表現型がインビボで保持されるのかどうかを調べた。増殖性(Ki67陽性)細胞の割合は、IgG1対照腫瘍と比較してhSFRP2 mAb処置により影響されなかったが(SVR腫瘍について23±1.6%対29±4.2%;Hs578T腫瘍について18±2.7%対18±2.8%、p=NS)、アポトーシス細胞の割合はSVR腫瘍において188%(IgG1対照において8.4±0.9、hSFRP2 mAb腫瘍において24.2±3.5;n=10、p≦0.05)、Hs578T腫瘍において181%(IgG1対照において15.1±4.9、hSFRP2 mAb腫瘍において42.4±3.9;n=10、p≦0.05)増加した(
図9)。
【0073】
免疫適格マウスにおいてhSFRP2 mAbの抗腫瘍活性を評価するために、本発明者らは、腫瘍転移のモデルにおいてC57BL/6マウスにおいてRF420マウス骨肉腫におけるhSFRP2 mAbを試験した。RF420骨肉腫細胞をC57BL/6マウスの尾静脈に注射した。10日目にIgG1対照またはhSFRP2 mAbを用いる処置を始めた。マウスを処置の21日目に安楽死させ、表面小結節をカウントした。対照と比較してhSFRP2 mAbを用いて処置されたマウスにおいて表面小結節の数における有意な低減があった(n=7、p<0.01、
図10A)。疲弊についての細胞表面マーカーの評価の際に本発明者らは、PD−1と緊密に共発現することが示されているCD38は、IgG対照からのものと比較した場合にhSFRP2 mAbを用いて処置されたマウスにおいて脾臓細胞(n=4、p<0.01)およびTIL(n=4、p<0.01)上で有意に低減したが、PD−1、CD103、およびCD5(n=3)においては有意差が無かったことに気付いた(
図6B)。PD−1、CD103、TNFα、またはCD5などの他の疲弊マーカーの発現は、脾臓細胞でもTILでも有意でなかった(n=4、p=NS)。
【0074】
第2の骨肉腫実験において、骨肉腫RF420細胞を免疫適格マウスの静脈内に注射した。研究を4つの群に分けた。第1の群は3日毎のhSFRP2 mAb 4mg/kg i.v.を用いて処置した。IGg1対照群、3日毎8mg/kg i.v.でのニボルマブ、抗PD−1抗体を投与される群、ならびにhSFRP2 mAbおよび抗PD−1抗体の両方を与えられる群もあった。処置を注射後10日目に開始し、3週後に動物を安楽死させ、肺を切除し、表面小結節をカウントした*:p≦0.0001;**:p≦0.01、n=12)。これらの群を比較して肺転移の発生を測定した。各個々の処置は、IgG1対照と比較して表面小結節の数を低減した(IgG1対照について43.6±6.8、hSFRP2 mAbについて18.3±3.4、ニボルマブについて16.3±1.1;p≦0.0001、
図11A)。hSFRP2 mAbおよびニボルマブの組合せを用いて処置されたマウスをIgG1対照を用いて処置されたマウスと比較して転移性病変の発生における80%の低減があった(IRR=0.20、95% CI=0.13〜0.32;p<0.0001)。hSFRP2 mAbおよびニボルマブの組合せを用いて処置されたマウスを単剤hSFRP2 mAbを用いて処置されたマウスと比較して転移性病変の発生において51%の低減がある(IRR=0.49、95% CI=0.31〜0.77;p=0.0021)。hSFRP2 mAbおよびニボルマブの組合せを用いて処置されたマウスを単剤ニボルマブを用いて処置されたマウスと比較して転移性病変の発生において45%の低減がある(IRR=0.55、95% CI=0.35〜0.86;p=0.0084)(
図11A)。
【0075】
本発明者らは、マウスT細胞におけるCD38レベルに対する、個々の処置としてまたは組合せで与えられたニボルマブおよびhSFRP2 mAbの影響力を測定した。特に、RF420細胞を注射され、IgG1対照、hSFRP2 mAb、ニボルマブ、またはhSFRP2 mAbおよびニボルマブの組合せを用いて処置されたC57BL/6マウスの脾臓からT細胞を単離した。細胞を次に、蛍光色素を用いて標識されたCD38を用いて染色し、平均蛍光強度(MFI)をFACSにより分析した。ニボルマブ処置は単独ではCD38レベルに対して効果を有しなかった。しかしながら、hSFRP2 mAbは、対照IgG抗体を用いて処置された群から得られたT細胞と比較した場合にT細胞においてCD38表面発現を低減し(p<0.001、
図11B)、SFRP2の標的化はT細胞上のCD38の発現を低減するために十分であることを指し示した。これらの結果は、hSFPR2 mAb投与はT細胞免疫応答を回復させ、腫瘍成長を予防し得るという提案を支持する。ニボルマブはヒト抗体であるので、マウスモデルにおける処置のために最適なものではないことが留意されるべきである。
【0076】
SFRP2モノクローナル抗体のヒト化。マウスSFRP2モノクローナル抗体80.8.6をコードするV領域遺伝子(21)を最初にクローニングし、それを使用して、ヒトIgG1重鎖定常領域、およびκ軽鎖定常領域と組み合わせたマウスV領域を含むキメラ抗体を構築した。キメラ抗体および複合物重鎖および軽鎖の組合せ(計16の抗体)をNS0またはHEK293細胞中で発現させ、精製し、競合ELISAアッセイにおいてSFRP2ペプチドへの結合について試験した。
【0077】
免疫原性試験。EpiScreen(商標) time course T−cell assayを使用してリード完全ヒト化抗SFRP2抗体(VH2/VK5)および参照キメラ抗SFRP2抗体を免疫原性潜在能力について評価し、それにおいてCD8
+枯渇PBMCを使用してバルク培養物を確立し、試料の添加後の[
3H]−チミジンの組込みにより様々な時点においてT細胞増殖を測定した。非特異的免疫原性の相対リスクを決定するためにEpiScreen(商標) time course T−cell assayを使用してリード完全ヒト化およびキメラ抗SFRP2抗体を22人の健常ドナーのコホートに対して試験した。検出可能な抗体特異的T細胞応答を刺激するために50μg/mlの飽和濃度は十分であることを示すAntitopeの先行する研究に基づいて試料を50μg/mlの最終濃度において試験した。各試料の免疫原性潜在能力を評価するために、T細胞活性化を測定するための増殖の分析と共にEpiScreen(商標) time course T−cell assayを使用した。試料はPBMCベースのアッセイにおいて以前に評価されていないので、PBMC生存能に対する試料の任意の全体的な毒性効果の初期評価が決定された。試験試料との培養の7日後に、PBMCのトリパンブルー色素除外を使用して細胞生存能を算出した。
【0078】
抗体およびタンパク質。以下の一次抗体をウエスタンブロットにおいて使用した:ウサギ抗CD38(#14637s)およびウサギ抗ヒストンH3抗体(#2650s)はCell Signaling(Danvers、MA、USA)から購入、ウサギ抗FZD5(#H00007855−D01P、Abnova、Taipei city、Taiwan)、マウス抗PD1(#66220−1、Proteintech、Rosemont、IL、USA)、ウサギ抗NFATc3(#SAB2101578)およびウサギ抗アクチン(#A2103、Sigma−Aldrich、St Louis、MO、USA)。二次抗体は、HRP共役抗マウス(#7076、Cell Signaling);HRP共役抗ウサギ(#403005、Southern Biotech、Birmingham、AL、USA)であった。ELISAのために、Abcam、Cambridge、MA、USAからのHRP共役ヤギ抗ヒトIgG。FACS分析のために、ラット抗CD38−PE抗体(#102707)はBioLegend(San Diego、CA、USA)からのものであった。抗マウスCD3(#BE00011)および抗マウスCD28(#BE0015−1)はBioXCell(West Lebanon、NH、USA)からのものであった。対照IgG1、オマリズマブはNovartis(Basel、Switzerland)から購入した。ヒトSFRP2タンパク質(rhSFRP2)は、以前に記載されたように調製した。gp100抗原断片はAnaSpec(#AS−62589)からのものであった。
【0079】
hSFRP2 mAbに対するrhSFRP2の結合親和性を決定するためのマイクロプレート固相タンパク質結合(ELISA)アッセイ。マイクロプレート固相タンパク質結合アッセイを使用してrhSFRP2およびhSFRP2 mAbについてのEC
50を決定した。平底Ni
2+コーティング96ウェルマイクロプレート(#15442、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、#BP399−1、Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)中の0.05%のウシ血清アルブミン(albumen)(BSA、#001−000−162、Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA、USA )を用いて4℃で終夜ブロッキングした。PBS(pH7.4)中に希釈された1μMのhisタグ付加rhSFRP2を、ブロッキングされたプレート上で37℃で終夜インキュベートした。250μl/ウェルのPBSを用いてプレートを3回洗浄した。PBS中の増加性用量のhSFRP2 mAb(0pM、100pM、200pM、400pM、800pM、1.6nM、3.15nM、6.3nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM)をプレート上でrhSFRP2と共に37℃で終夜インキュベートした。プレートを3回洗浄し、PBS中の0.1%のBSA中室温で1時間ブロッキングした後に、PBS中に1:40,000で希釈した100μl/ウェルの二次抗体(HRP共役ヤギ抗ヒトIgG)と共に37℃で1時間インキュベートした。プレートを5回洗浄した後に、各ウェルを100μlのK−Blue TMB substrate(#308176、Neogen、Lexington、KY、USA)と共に暗所で5分間インキュベートした。100ulの2N H
2SO
4を用いて反応を停止させた。450nmにおいて吸光度を読み取った。正規化された応答に対するGraphPad Prism log(inhibitor)(トップを100%に制限した可変傾斜関数)を使用して可変傾斜を用いる非線形回帰分析を介してEC
50算出を決定した。アゴニスト濃度およびEC
50が等しいチェン−プロソフ式(40)を使用してEC
50をKdに変換した。結果を平均±平均の標準誤差として表す。各データ点は8つの独立した測定の結果である(n=8)。
【0080】
細胞培養。5%の熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS、#FB−12、Omega Scientific、Biel/Bienne、Switzerland)および1%のペニシリン/ストレプトマイシン(v/v)を含むOpti−MEM(#22600134、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)中で2H11マウス内皮細胞(#CRL−2163、ATCC(登録商標)、Manassas、VA、USA)を培養した。10%のFBS、0.01mg/mlのウシインスリン(#I0516、Sigma−Aldrich、St. Louis、MO、USA)および1%のペニシリン/ストレプトマイシン(#MT30009C、Thermo Fisher Scientific)を含むDMEM(ATCC(登録商標))中でHs578Tヒト乳癌−肉腫トリプルネガティブ細胞(#30−202、ATCC(登録商標)、Manassas、VA、USA)を培養した。SVR血管肉腫細胞をAmerican Type Culture Collection(#CRL−2280、ATCC(登録商標))から得、8%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシン(v/v)を含むOpti−MEM(Thermo Fisher Scientific)中で培養した。遺伝子操作された骨肉腫マウスモデルから確立されたRF420マウス骨肉腫細胞(41)をDr. Jason T. Yustein(Texas Children’s Cancer and Hematology Centers、Department of Pediatrics、Baylor College of Medicine、Houston、TX、USA)から得、10%の熱不活化FBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシン(v/v)を含むDMEM(ATCC(登録商標))中で培養した。加湿された5%のCO
2−95%の室内空気雰囲気中37℃で全ての細胞系を培養した。全ての細胞系はATCC(登録商標)により認証されたものであり、マウス細胞は、インビボで使用される場合は常にマイコプラズマを含む齧歯動物病原体についてCharles River Research Animal(Wilmington、MA、USA)により試験されたものであった。C57BL/6マウスおよびJackson Laboratory(Bar Harbor、ME、USA)から得られたC57BL/6バックグラウンドのgp100反応性TCR保有PmelトランスジェニックマウスからマウスT細胞を単離した。
【0081】
内皮管形成アッセイ。5%のFBSを含むOpti−MEMに2H11内皮細胞をプレーティングし、24時間静置した。2.5%のFBSを含むOpti−MEM中に細胞を終夜維持することにより静止状態を誘導した。インビトロ血管新生アッセイプロトコールにしたがって96ウェルプレートのウェル中でMatrigel(商標)(#ECM625、Millipore、Bedford、MA、USA)を重合させた。このアッセイにおいて、9つの処理条件を調製した:IgG1単独(5μM;オマリズマブ);IgG1(5μM)と共にrhSFRP2タンパク質(30nM);または増加性濃度のhSFRP2 mAb(0.5、1、5、10もしくは20μM)と組み合わせたrhSFRP2(30nM)。2.5%のFBSを含むOpti−MEMに再懸濁された処理を、ロッカー上37℃、5%のCO2で90分間プレインキュベートした後にそれらを細胞に加えた。150μlのプレインキュベートされた処理物に1.9×10
4個の細胞を再懸濁し、次にロッカー上、37℃、5%のCO2でさらに30分間インキュベートした。最後に、重合したMatrigel(商標)を用いて既にコーティングされた各ウェルに細胞懸濁液を加えた。各実験をn=4/条件で4つの独立した回数繰り返した。2.5%のFBSおよび5μMのIgG1を含む新鮮なOpti−MEMを対照細胞に与えた。各処理条件について、37℃、5%のCO
2での4hのインキュベーション後に、EVOS FL Digital Imaging System(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)の4X対物レンズを使用して画像を獲得した。ImageJ Angiogenesis Analysisソフトウェア(National Institutes of Health、Bethesda、MD、USA)を使用して分岐点をカウントした。GraphPad Prismソフトウェアにおいて、非線形回帰およびDose−response−Inhibitionファミリーの式を使用してデータを解析してIC50を決定した。
【0082】
増殖アッセイ。Hs578T乳癌−肉腫およびSVR血管肉腫細胞を96ウェルプレートに3,000細胞/ウェルでプレーティングした。4時間後に、指し示される濃度においてhSFRP2 mAb(1、5、または10μM)を増殖培地に加えた。細胞を37℃、5%のCO
2で72時間インキュベートした。Cyquant Direct Cell Proliferation Assay Kit(#C35011、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して増殖を評価した。EVOS FLc Digital Imaging System(Thermo Fisher Scientific)を使用して画像を獲得した。FIJI細胞カウンティングソフトウェアを使用して細胞をカウントした。
【0083】
アポトーシス/壊死。Hs578T乳癌−肉腫乳房およびSVR血管肉腫細胞を16ウェルチャンバースライド(#178599、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)にそれぞれ2×10
4、3×10
4、および7.5×10
3細胞/ウェルでプレーティングした。翌日、増殖培地を含む懸濁液中で1、5もしくは10μMのhSFRP2 mAbまたは5μMのIgG1対照と共に37℃、5%のCO
2で細胞を2時間インキュベートした。Apoptotic/Necrotic Detection kit(#PK−CA707−30017、PromoCell、GmbH、Heidelberg、Germany)のプロトコールにしたがって壊死およびアポトーシスを決定した。EVOS FLc Digital Imaging System(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して画像を獲得した。ImageJ細胞カウンティングソフトウェアを使用して細胞をカウントした。各データ点は、それぞれが4つの別々のウェルを含有する2つの独立した実験的反復の結果であった(計n=8)。
【0084】
ウエスタンブロット。トランスジェニックPmel1マウス(The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME、USA)から得られた脾臓T細胞をrhSFRP2(30nM)またはhSFRP2 mAb(10μM)の有りまたは無しで1時間処理した。rhSFRP2用の対照細胞には単独で培地を与え、hSFRP2 mAb実験用のものにはIgG1 10μMを与えた。細胞を次に1000rpmで10分間遠心分離した。培地を除去し、細胞を処理前に−80℃で凍結貯蔵した。製造者のマニュアル(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)に記載されるようにNE−PER核および細胞質抽出試薬を使用して核抽出物を調製した。Bio−Rad Protein Assay(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA、USA)を使用してタンパク質濃度を測定した。等量のタンパク質をSDS−PAGEゲルにロードした。タンパク質をポリビニリデンジフルオリド膜に転写し、以下の一次抗体を使用してウエスタンブロッティングを実行した:ウサギ抗CD38およびウサギ抗ヒストンH3抗体、ウサギ抗FZD5、マウス抗PD1、ウサギ抗NFATc3およびウサギ抗アクチン。以下の二次抗体を使用した:HRP共役抗マウス、およびHRP共役抗ウサギ。ECL Advance substrateを視覚化のために使用した(GE Healthcare Bio−Sciences、Piscataway、NJ、USA)。
【0085】
CFSEシグナル強度の測定による細胞増殖のFACS分析。CFSEシグナルの希釈は細胞増殖における増加と緊密に相関する。CellTrace(商標) CFSE Cell Proliferation Kit(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)の指示にしたがってCFSE色素を用いてPmel1トランスジェニックマウスからの脾臓T細胞を事前標識した。細胞を次に未処理のままとしたか、または単独で、もしくは2:1の比の腫瘍細胞(SVR血管肉腫もしくはHs578T乳癌−肉腫)の存在下で3日間、可溶性抗CD3(#BE0001−1、BioXCell、West Lebanon、NH、USA;2μg/ml)/抗CD28抗体(#BE0015−1、BioXCell;2μg/ml)を用いて活性化させた。追加的に、一部の共培養物を対照IgG1(10μM)、またはhSFRP2 mAb(10μM)を用いて処理した。3日後に、共培養物からのT細胞を使用してCFSE強度を測定した。平均蛍光強度(MFI)をFACSにより測定し、FlowJoソフトウェアを使用して解析を行った。
【0086】
インビボでのhSFRP2 mAbの最大耐用量(MTD)。動物実験プロトコールは、実験動物の管理および使用についてのNIHガイドラインと合致するものであった。Charles River(Wilmington、MA、USA)から得られた6週齢ヌード雄および雌マウスの右脇腹の皮下に10
6個のSVR血管肉腫細胞を注射した。翌日、3日毎に尾静脈を介して注射される様々な濃度の精製されたhSFRP2 mAb(2、4、10、および20mg/kg)を用いてPBS対照と共にi.v.でマウス(n=5/群)を処置した。動物を処置し、終点として定義された2cmの平均直径に対照腫瘍が達するまで3日毎に腫瘍体積を測定した。安楽死後に、腫瘍、肺および肝臓を回収し、10%のホルマリンに固定した。
【0087】
薬物動態研究。雄および雌C57BL/6マウスに異なる時点(0、5分、1、2、7、14、21、28、35、および42日)において4mg/kgのhSFRP2 mAbを注射した。3匹のマウスを各時点のために使用した(n=3)。エンドポイントにおいて、血液試料を門脈を通じて採取し、セパレーターチューブ(#367981、Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ、USA)に入れた。試料を1300×gで15分間遠心分離した。
【0088】
hSFRP2 mAbの薬物動態(PK)のためのマイクロプレート固相タンパク質結合(ELISA)アッセイ。PBS中の0.05%のBSAを用いて4℃で終夜、平底Ni
2+コーティング96ウェルマイクロプレートをブロッキングした。PBS(pH7.4)に希釈された1μMのhisタグ付加rhSFRP2を37℃で終夜インキュベートした。250μl/ウェルのPBSを用いてプレートを3回洗浄した。次に、1:50の希釈のマウス血清をプレートに加え、穏やかに振盪しながら37℃で終夜インキュベートした。プレートを3回洗浄し、PBS中の0.1%のBSA中室温で1時間ブロッキングした後、PBS中に1:40,000で希釈された100μl/ウェルの二次抗体(HRP共役ヤギ抗ヒトIgG)と共に37℃で1時間インキュベートした。プレートを5回洗浄した後に、各ウェルを100μlのK−Blue TMB基質と共に暗所で5分間インキュベートした。100μlの2N H
2SO
4を用いて反応を停止させた。450nmにおいて吸光度を読み取った。AUCのPK推定のために、EXCELおよび(42)において非コンパートメント解析(NCA)を使用してt1/2、CL、Vd、TmaxおよびCmaxを決定した。NCAは、血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)を決定するために線形台形公式を使用する。T
1/2は消失半減期を表す。AUC算出のために、ELISAからのnMの濃度をmg/Lに変換した。
【0089】
インビボでの血管肉腫同種移植片。Charles River(Wilmington、MA、USA)から得られた6週齢ヌード雄および雌マウスの右脇腹の皮下に10
6個のSVR血管肉腫細胞を注射した。翌日、マウス(n=10の動物/群)に尾静脈を介してhSFRP2 mAb(4mg/kg)またはIgG1対照(オマリズマブ4mg/kg)をi.v.で注射し、3日毎に処置した。週に2回行われる垂直直径の連続的なキャリパー測定を使用し、以下の式:[(L(mm)×W(mm)×H(mm))×0.5]を使用して腫瘍体積を算出した。身体コンディショニングスコアおよび体重についてマウスを1日毎にモニターした。対照が2cmの直径に達した時にマウスを屠殺し、腫瘍を切除し、ホルマリンに固定し、パラフィンに包埋した。
【0090】
インビボでのHs578T乳癌−肉腫異種移植片。Hs578T異種移植片をCharles River(Wilmington、MA、USA)からの5〜6週齢ヌード雌マウス中に確立した。マウスの乳房脂肪パッド中に10
6個の細胞を接種し、平均腫瘍サイズが約100mm
3となった時(30日目)に処置を始めた。対照腫瘍が2cmの直径に達する終点まで、3日毎にi.v.で注射される4mg/kgのhSFRP2 mAb(n=11)または4mg/kgのIgG1対照(n=11)を用いて動物を処置した。キャリパーを使用して腫瘍を週に2回測定し、腫瘍体積を次に上記のように算出した。腫瘍を切除し、ホルマリンに固定し、パラフィンに包埋した。
【0091】
インビボでのRF420転移性骨肉腫。第1の実験において、無菌PBS中に懸濁されたRF420骨肉腫細胞(5×10
5)を6〜8週齢C57BL/6マウス(10匹の雌および13匹の雄)の尾静脈を介してi.v.で注射した。7日目に、2匹のマウスを屠殺し、肺を除去し、10%のホルマリンに固定し、パラフィンに包埋し、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色した。切片を転移の存在について顕微鏡下でスクリーニングした。転移の存在が確認されたら(10日目、IgG1対照4mg/kgまたはhSFRP2 mAb 4mg/kg(n=10)を用いてマウスを処置した。3週の処置後に、動物を屠殺し、肺を除去した。表面小結節をカウントした。第2の実験において、無菌PBSに再懸濁したRF420細胞(5×10
5)をEnvigo(Indianapolis、IN、USA)から購入した6〜8週齢C57Bl/6雄および雌マウス(系統コード044)の尾静脈にi.v.で注射した。マウスを無作為に4つの群に分けた:対照(オマリズマブ、n=13);hSFRP2 mAb(n=11);ニボルマブ(NDC# 0003−3772−11、Bristol−Meyers Squibb、Princeton、NJ)(n=12);ニボルマブ+hSFRP2 mAb(n=12)。処置を腫瘍細胞接種の10日後に開始した。投薬量、デリバリー経路および頻度は以下であった:対照(オマリズマブ)4mg/kg i.v. 週毎に1回;hSFRP2 mAb 4mg/kg i.v. 3日毎;ニボルマブ 8mg/kg i.p. 3日毎。23日の処置後に、動物を屠殺し、肺を切除し、表面小結節をカウントした。切除の直後に得られた全肺の画像から表面小結節をカウントした。T細胞単離、免疫組織化学およびtunnelアッセイのために脾臓を新鮮な状態で収集した。
【0092】
免疫組織化学。ホルマリン固定されたパラフィン包埋腫瘍切片をキシレン中で2回、10分間脱パラフィンし、無水エタノール中で2回、95%のエタノール中で2回、次に水道水中で水和させた。スライドを3%の過酸化水素中で室温で10分間インキュベートした後、PBS 1X中で2回洗浄した。10分の冷却と共に40分間キットVector Antigen Retrieval Citrate Buffer pH6(H−3300)を使用して野菜スチーマー中でクエン酸緩衝液抗原賦活化ステップを行った。加湿されたスライドチャンバー中室温で1時間、Vector Rabbit IMPRESS HRP Kit(MP−4100)において提供されるブロッキング血清中でスライドをインキュベートした。ブロッキング血清を次に排出し、スライドを1:40希釈のKi67抗体(PA1−21520)と共に4℃で終夜インキュベートした。翌日、スライドをPBS中で3回、洗浄当たり5分間リンスした。Vector Rabbit IMPRESS HRP Kitからの二次抗体を加え、スライドをRTで30分間インキュベートし、次にPBS中で3回、洗浄当たり5分間リンスした。DAB溶液を調製し、Vector DAB kit(SK−4100)において指示されるようにスライドに5分間加え、PBS中でリンスし、ヘマトキシリンを用いて30秒間対比染色した。スライドを次に蒸留水、続いてアンモニアアルコール中で洗浄し、95%のエタノール中で2回、100%のエタノール中で2回、キシレン中で2回脱水し、次にカバーガラスをのせた。スライス当たり3つの視野の平均を使用して、単位面積当たりの陽性染色細胞の数として腫瘍増殖を定量化した。
【0093】
TUNELアッセイ。Apoptag(登録商標) Peroxidase In Situ Apoptosis Detection Kit(#S7100)用の製造者のプロトコールにしたがってHs578TおよびSVR腫瘍からの切片をアポトーシス細胞について染色した。Histoclear(#HS−200、National Diagnostics、Atlanta、GA、USA)を用いて全ての切片を脱パラフィンした。以下の材料はTUNELキットには供給されておらず、別々に購入した:30%の過酸化水素(#5155−01、J. T. Baker、Phillipsburg、NJ、USA)、プロテイナーゼK(#21627、Millipore、Burlington、MA、USA)、金属増強性DAB基質キット(#34065、Thermoscientific、Waltham、MA、USA)、安定ペルオキシダーゼ基質緩衝液1X(#1855910、Thermoscientific、Waltham、MA、USA)および1−ブタノール(#B7908、Sigma−Aldrich、St. Louis、MO、USA)。各試料中で5つの視野を無作為に選択し、EVOS FLc顕微鏡(Life Technologies Inc.、Waltham、MA、USA)を使用して写真撮影した。各視野において、アポトーシス核/HPFの数として腫瘍アポトーシスを定量化した。
【0094】
フローサイトメトリー。CD38表面発現についての染色は、尾静脈中のRF420骨肉腫注射を伴う実験からの脾臓細胞をラット抗CD38−PE抗体(1:200;#102707、Biolegend、San Diego、CA、USA)と共にFACS緩衝液(PBS中0.1%のBSA)中4℃で30分間インキュベートすることにより行った。LSRFortessaでCD38平均蛍光強度(MFI)レベルについて試料をスクリーニングし、FlowJoソフトウェア(Tree Star、OR)を用いて解析した。
【0095】
統計。インビトロアッセイのために、両側スチューデントt検定を使用してIgG1およびhSFRP2 mAb処理の間の統計的差異を算出し、p≦0.05を有意であると考えた。血管肉腫におけるインビボ腫瘍研究(処置を腫瘍接種の後の日に開始した)のために、両側スチューデントt検定を使用した。腫瘍が触知可能である30日目に処置を開始したHs578Tについて、34〜82日目からの腫瘍体積を各群のベースライン(30日目)腫瘍体積で割ることにより、データを正規化してベースライン腫瘍体積における差異について調整した。各時点のために2サンプルt検定を使用し、処置および対照動物の間で腫瘍体積を比較した。t検定についての正規性仮定を満たすために、正規化された腫瘍体積をlog変換する。骨肉腫研究における多重比較のために、本発明者らは、負二項一般化線形モデル(negative binomial generalized linear model;NBGLM)を使用して処置群の関数としてマクロ転移性病変の数をモデル化した。処置群比較は、モデルベースの線形コントラストを使用して行った。全ての解析はRバージョン3.2.3を使用して行った。本発明者らは、IgG1、hSFRP2 mAbおよびニボルマブをhSFRP2 mAbおよびニボルマブの組合せに対して比較する発生率比(IRR)および対応する95%信頼区画(CI)を要約した。本発明者らは、併用療法は単剤療法と比べてマクロ転移性病変の発生を低減することを想定し、したがって、処置(IgG1、hSFRP2 mAbまたはニボルマブ)が分母に現れるIRRを構築して、単剤と比べた併用療法の影響力の解釈を促した。
【0096】
(参考文献)
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0097】
本発明は、上記の本発明の特定の実施形態に限定されず、特定の実施形態の変形を行うことができ、それは依然として添付の請求項の範囲内に入ることが理解されるべきである。
【0098】
本発明は、以下の番号付けられたパラグラフにより、限定されることなく、さらに記載される:
1.治療有効量のSFRP2アンタゴニスト、CD38アンタゴニスト、および/またはPD−1アンタゴニストならびに治療有効量のPD−1アンタゴニストを含む、薬学的組合せ。
2.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストが、
a.特異的にSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1受容体に結合してその活性化を阻害する抗体、もしくは抗体の抗原結合断片、または
b.特異的にSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1リガンドに結合して前記SFRP2、CD38、および/もしくはPD−1リガンドの前記SFRP2、CD38、および/もしくはPD−1受容体への結合を阻害する可溶性形態のSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1受容体
である、パラグラフ1に記載の薬学的組合せ。
3.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストがSFRP2、CD38、および/またはPD−1モノクローナル抗体(mAb)である、パラグラフ1〜2のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
4.前記SFRP2モノクローナル抗体がヒトまたはヒト化抗体である、パラグラフ3に記載の薬学的組合せ。
5.前記PD−1アンタゴニストが、
a.特異的にPD−1受容体に結合してその活性化を阻害する抗体、もしくは抗体の抗原結合断片、または
b.特異的にPD−1リガンドに結合して前記PD−1リガンドの前記PD−1受容体への結合を阻害する可溶性形態のPD−1受容体
である、パラグラフ1〜4のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
6.前記PD−1アンタゴニストが前記可溶性形態のPD−1受容体であり、かつ前記PD−1リガンドがPD−L1またはPD−L2である、パラグラフ5に記載の薬学的組合せ。
7.前記PD−1アンタゴニストがPD−1モノクローナル抗体である、パラグラフ1〜5のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
8.前記PD−1アンタゴニストがニボルマブである、パラグラフ1〜5のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
9.前記PD−1アンタゴニストがペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、またはアテゾリズマブである、パラグラフ1〜5のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
10.SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストの前記治療有効量が0.1mg/kg体重〜100mg/kg体重である、パラグラフ1〜9のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
11.SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストの前記治療有効量が0.2〜3、0.27〜2.70、0.27、0.54、1.35、または2.70mg/kg体重である、パラグラフ1〜9のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
12.SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストの前記治療有効量が10mg〜200mg、17mg、33mg、84mg、または167mgである、パラグラフ1〜11のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
13.PD−1アンタゴニストの前記治療有効量が0.1mg/kg体重〜100mg/kg体重である、パラグラフ1〜12のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
14.PD−1アンタゴニストの前記治療有効量が0.02〜1.2、0.027〜1.08、0.027または1.08mg/kg体重である、パラグラフ1〜12のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
15.PD−1アンタゴニストの前記治療有効量が1〜80、1.6〜67、1.6または67mg/kg体重である、パラグラフ1〜14のいずれか1つに記載の薬学的組合せ。
16.がんの治療方法であって、治療有効量のSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストならびに治療有効量のPD−1アンタゴニストをそれを必要とする対象に投与することを含む、方法。
17.前記投与が同時または逐次的なものである、パラグラフ16に記載の方法。
18.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストが、
a.特異的にSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1受容体に結合してその活性化を阻害する抗体、もしくは抗体の抗原結合断片、または
b.特異的にSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1リガンドに結合して前記SFRP2、CD38、および/もしくはPD−1リガンドの前記SFRP2、CD38、および/もしくはPD−1受容体への結合を阻害する可溶性形態のSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1受容体
である、パラグラフ16または17に記載の方法。
19.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストがSFRP2、CD38、および/またはPD−1モノクローナル抗体(mAb)である、パラグラフ16〜18のいずれか1つに記載の方法。
20.前記SFRP2モノクローナル抗体がヒトまたはヒト化抗体である、パラグラフ19に記載の方法。
21.前記PD−1アンタゴニストが、
a.特異的にPD−1受容体に結合してその活性化を阻害する抗体、もしくは抗体の抗原結合断片、または
b.特異的にPD−1リガンドに結合して前記PD−1リガンドの前記PD−1受容体への結合を阻害する可溶性形態のPD−1受容体
である、パラグラフ16〜20のいずれか1つに記載の方法。
22.前記PD−1アンタゴニストが前記可溶性形態の前記PD−1受容体であり、かつ前記PD−1リガンドがPD−L1またはPD−L2である、パラグラフ21に記載の方法。
23.前記PD−1アンタゴニストがPD−1モノクローナル抗体である、パラグラフ16〜22のいずれか1つに記載の方法。
24.前記PD−1アンタゴニストがニボルマブである、パラグラフ16〜23のいずれか1つに記載の方法。
25.前記PD−1アンタゴニストがペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、またはアテゾリズマブである、パラグラフ16〜23のいずれか1つに記載の方法。
26.前記がんが乳がんである、パラグラフ16〜25のいずれか1つに記載の方法。
27.前記がんが血管肉腫、肺がん、骨肉腫、黒色腫、非小細胞肺がん、または腎臓がんである、パラグラフ16〜26のいずれか1つに記載の方法。
28.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストの前記投与が前記PD−1アンタゴニストの前記投与に先行する、パラグラフ16〜27のいずれか1つに記載の方法。
29.前記PD−1アンタゴニストの前記投与がSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストの前記投与に先行する、パラグラフ16〜27のいずれか1つに記載の方法。
30.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストが前記PD−1アンタゴニストに付随して投与される、パラグラフ16〜29のいずれか1つに記載の方法。
31.前記PD−1アンタゴニストが前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストに付随して投与される、パラグラフ16〜29のいずれか1つに記載の方法。
32.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストが1日毎、1日1回より高い頻度または1日1回より低い頻度で投与される、パラグラフ16〜31のいずれか1つに記載の方法。
33.前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストが3日毎に1回、週毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回または4週毎に1回投与される、パラグラフ16〜31のいずれか1つに記載の方法。
34.前記PD−1アンタゴニストが1日毎、1日1回より高い頻度または1日1回より低い頻度で投与される、パラグラフ16〜33のいずれか1つに記載の方法。
35.前記PD−1アンタゴニストが3日毎に1回、週毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回または4週毎に1回投与される、パラグラフ16〜33のいずれか1つに記載の方法。
36.前記PD−1アンタゴニストがニボルマブであり、かつ前記対象に投与される前記ニボルマブの量が3週毎の3mg/kg体重、2週毎の240mgまたは4週毎の480mgである、パラグラフ16〜35のいずれか1つに記載の方法。
37.前記PD−1アンタゴニストがペムブロリズマブであり、かつ前記対象に投与される前記ペムブロリズマブの量が3週毎の200mgである、パラグラフ16〜35のいずれか1つに記載の方法。
38.前記PD−1アンタゴニストがアベルマブであり、かつ前記対象に投与される前記アベルマブの量が2週毎の800mgである、パラグラフ16〜35のいずれか1つに記載の方法。
39.前記PD−1アンタゴニストがデュルバルマブであり、かつ前記対象に投与される前記デュルバルマブの量が2週毎の10mg/kg体重である、パラグラフ16〜35のいずれか1つに記載の方法。
40.前記PD−1アンタゴニストがセミプリマブであり、かつ前記対象に投与される前記セミプリマブの量が3週毎の250mgである、パラグラフ16〜35のいずれか1つに記載の方法。
41.前記PD−1アンタゴニストがアテゾリズマブであり、かつ前記対象に投与される前記アテゾリズマブの量が2週毎の840mg、3週毎の1200mgまたは4週毎の1680mgである、パラグラフ16〜35のいずれか1つに記載の方法。
42.前記対象が、SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニスト療法を開始する前にPD−1アンタゴニスト療法を与えられている、パラグラフ16〜41のいずれか1つに記載の方法。
43.前記対象が、PD−1アンタゴニスト療法を開始する前にSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニスト療法を与えられている、パラグラフ16〜41のいずれか1つに記載の方法。
44.前記対象が、第2の療法を開始する前に第1の療法を少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも24週間、少なくとも28週間、少なくとも48週間または少なくとも52週間与えられている、パラグラフ42または43に記載の方法。
45.前記SFRP2、CD38、および/もしくはPD−1アンタゴニストならびに/または前記PD−1アンタゴニストの周期投与が少なくとも3日間、少なくとも30日間、少なくとも42日間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間または少なくとも6か月間継続される、パラグラフ16〜44のいずれか1つに記載の方法。
46.単独で摂取される場合のSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストの量のそれぞれ、ならびに単独で摂取される場合のPD−1アンタゴニストの量が、前記対象を治療するために有効なものである、パラグラフ16〜45のいずれか1つに記載の方法。
47.単独で摂取される場合のSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1アンタゴニストの量、単独で摂取される場合のPD−1アンタゴニストの量、または単独で摂取される場合の各そのような量のいずれかが、前記対象を治療するために有効なものではない、パラグラフ16〜45のいずれか1つに記載の方法。
48.単独で摂取される場合のSFRP2、CD38、および/もしくはPD−1アンタゴニストの量、単独で摂取される場合のPD−1アンタゴニストの量、または単独で摂取される場合の各そのような量のいずれかが、前記対象を治療するのに有効性が低い、パラグラフ16〜45のいずれか1つに記載の方法。
49.前記対象がヒト患者である、パラグラフ16〜48のいずれか1つに記載の方法。
50.前記患者が、前記併用療法を与えられる前にPD−1アンタゴニスト療法を以前に与えられ、かつPD−1アンタゴニスト療法を与えることを中止された患者である、パラグラフ16〜49のいずれか1つに記載の方法。
51.前記患者が以前にPD−1アンタゴニスト療法に応答しなかったか、またはPD−1アンタゴニスト単剤療法の前記投与が前記対象の治療に失敗した、パラグラフ16〜50のいずれか1つに記載の方法。
52.がんを患う患者を治療するためのキットであって、治療有効量のSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニスト、治療有効量のPD−1アンタゴニスト、ならびに前記キットの使用のための指示を含む挿入物を含む、キット。
53.ある量のPD−1アンタゴニスト、ならびにある量のSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストを含む、医薬組成物。
54.ある量のPD−1アンタゴニスト、ならびにある量のSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストを本質的に含む、パラグラフ53に記載の医薬組成物。
55.がんに罹患した対象の治療において使用するための、前記量の前記PD−1アンタゴニスト、ならびにある量(an amount)の前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストが同時に、同期間にまたは随伴的に投与される、パラグラフ53または54に記載の医薬組成物。
56.がんに罹患した対象への分注のため、または前記分注における使用のための、治療用パッケージであって、a)1つまたは複数の単位用量であって、各そのような単位用量が、i)ある量のPD−1アンタゴニストおよびii)ある量のSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストを含み、前記単位用量中の前記PD−1アンタゴニストおよび前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストの前記各々の量が、前記対象への随伴的な投与において、前記対象を治療するために有効なものである、前記単位用量、ならびにb)そのための仕上げられた薬学的容器であって、前記容器が、前記1つまたは複数の単位用量を含有し、前記容器が、前記対象の前記治療における前記パッケージの使用を指示するラベリングをさらに含有するかまたは含む、前記容器を含む、前記パッケージ。
57.がんに罹患した対象の治療においてPD−1アンタゴニストとのアドオン療法としてまたはそれと組み合わせて使用するための、SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニスト。
58.がんに罹患した対象の治療においてSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストとのアドオン療法としてまたはそれと組み合わせて使用するための、PD−1アンタゴニスト。
59.がんに罹患した対象を治療するための組合せの調製におけるある量のSFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニスト、ならびにある量のPD−1アンタゴニストの使用であって、前記SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストならびに前記PD−1アンタゴニストが、同時に、同期間にまたは随伴的に投与されるために調製される、使用。
60.医薬の製造において使用するための、SFRP2、CD38、および/またはPD−1アンタゴニストならびにPD−1アンタゴニストの組合せ。
61.前記医薬ががんの治療、予防、またはその症状の緩和のためのものである、パラグラフ60に記載の組合せ。
62.がんの治療方法であって、治療有効量のSFRP2モノクローナル抗体(mAb)をそれを必要とする対象に投与することを含み、前記対象がCD38および/またはPD−1の増加した発現を有する、方法。
63.前記対象のT細胞がCD38および/またはPD−1の増加した発現を有する、パラグラフ62に記載の方法。
64.前記SFRP2モノクローナル抗体がヒトまたはヒト化抗体である、パラグラフ62または63に記載の方法。
65.前記がんが乳がんである、パラグラフ62〜64のいずれか1つに記載の方法。
66.前記がんが血管肉腫、肺がん、骨肉腫、黒色腫、非小細胞肺がん、または腎臓がんである、パラグラフ62〜64のいずれか1つに記載の方法。
67.前記SFRP2モノクローナル抗体が1日毎、1日1回より高い頻度または1日1回より低い頻度で投与される、パラグラフ62〜66のいずれか1つに記載の方法。
68.前記SFRP2モノクローナル抗体が3日毎に1回、週毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回または4週毎に1回投与される、パラグラフ62〜67のいずれか1つに記載の方法。
69.前記SFRP2モノクローナル抗体の周期投与が少なくとも3日間、少なくとも30日間、少なくとも42日間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間または少なくとも6か月間継続される、パラグラフ62〜67のいずれか1つに記載の方法。
70.前記対象がヒト患者である、パラグラフ62〜69のいずれか1つに記載の方法。