(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2022-502519(P2022-502519A)
(43)【公表日】2022年1月11日
(54)【発明の名称】ポリヒドロキシ含有ポリマー、その製造方法及び用途
(51)【国際特許分類】
C08C 19/00 20060101AFI20211217BHJP
【FI】
C08C19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2021-502966(P2021-502966)
(86)(22)【出願日】2019年9月5日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月14日
(86)【国際出願番号】CN2019104592
(87)【国際公開番号】WO2020063293
(87)【国際公開日】20200402
(31)【優先権主張番号】201811152501.6
(32)【優先日】2018年9月29日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521021535
【氏名又は名称】ノヴァ アドヴァンスド マテリアルズ カンパニー,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521021546
【氏名又は名称】北京諾維新材科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】代俊明
(72)【発明者】
【氏名】楊建春
(72)【発明者】
【氏名】楊冬梅
(72)【発明者】
【氏名】韓凱
(72)【発明者】
【氏名】朱榮欣
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AS02P
4J100BA03H
4J100CA01
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA25
4J100DA39
4J100DA71
4J100HA01
4J100HA03
4J100HA08
4J100HA29
4J100HB28
4J100HB34
4J100HC27
4J100HE13
4J100JA51
(57)【要約】
ポリヒドロキシ基含有のポリマー、その製造方法および用途を提供する。上記ポリマーは、優れた生体適合性をもち、表面に酸素や、窒素等を含有する水素結合を形成しやすい物質との結合性が高い性能等をもつ。そのポリマーで形成する溶液は、挿管用マイクロカテーテルへの付着性は低いが、血管や皮膚、ガラスへの付着性は高いので、血管内塞栓剤として使われることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1、式2、式3、及び式4で表される構成単位を含むことを特徴とするポリマー。
【化1】
(ここで、m≧1、n≧0、j≧0、k≧0、R
1とR
2は、同じまたは異なり、それぞれに独立にH、及び炭素数1〜8のアルカン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R
3、R
4は、Hまたはヒドロキシ基からなる群から選ばれ、且つR
3とR
4は異なり、R
5とR
6は、同じまたは異なり、それぞれに独立にH及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる。)
【請求項2】
好ましくは、R1とR2は、同じまたは異なり、それぞれに独立にH及びメチル基からなる群から選ばれ、または、好ましくは、k=0及び/又はj>0である、ホモポリマーまたはランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであることを特徴とする請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、上記ポリマー中に存在する繰り返し単位全体の数の合計の0.1〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜99.9%であり、式3で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜99.9%であり、式4で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜99.9%であり、
好ましくは、上記ポリマーのうち、式3で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0%であり、
好ましくは、上記ポリマーのうち、式4で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0%であることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー。
【請求項4】
上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の25〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜75%であり、さらに好ましくは、上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位総数の50〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜50%であり、より好ましくは、上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の75〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜25%であることを特徴とする請求項3記載のポリマー。
【請求項5】
上記ポリマーの数平均分子量は1万〜22万であり、好ましくは2万〜20万であり、例えば5万〜20万、6万〜20万であり、
好ましくは、上記ポリマーは、ジメチルスルホキシド、酢酸、エタノールに可溶であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
(1)式5で表される二重結合を有するポリマーを酸化反応させて式6で表されるエポキシ化ポリマーを製造し得る工程、及び
【化2】
(ここでR
1、R
2の定義は、上記と同じであり、p=m+n+k、l=m+n、j、k、m、nの定義は上記と同じである。)
(2)次に、式6で表されるエポキシ化ポリマーを接触水素化反応および/または加水分解させて生成物である上記ポリマーを製造し得る工程、を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項7】
上記式5で表されるポリマーは、ジエン系モノマー(例えば、1,3−ブタジエンまたはイソプレンであってもよい)の単独重合によって得られたものであってもよいことを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
上記工程(1)において、上記酸化反応は、クロロヒドリン化、過酸化物エポキシ化法または酸素の直接酸化法を含み、これらに限定されなく、
好ましくは、上記過酸化物は、過酸化水素、過ギ酸、エタンペルオキシ酸、やtert-ブチルヒドロペルオキシドなどからなる群から選ばれる1種または多種の混合物を使用し、
好ましくは、上記酸化反応は、高分子化合物の有機溶液、水/有機溶媒乳液の中で行い、上記有機溶媒は、脂肪族アルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シクロアルカン、やソルベントナフサなどを含み、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、やソルベントナフサなどであり、これらに限定されなく、
好ましくは、上記酸化反応の温度は、0〜120℃であり、好ましくは、20〜80℃であることを特徴とする請求項6または7記載の製造方法。
【請求項9】
工程(2)のうち、上記接触水素化反応は、接触水素化反応の方法にてエポキシ化ポリマーのエポキシ環を開環することにより、C-C鎖にヒドロキシ基を有するポリマーを得、上記加水分解は、酸性またはアルカリ性物質にてエポキシ化ポリマーを加水分解することにより、エポキシ環を開環し、C-C鎖に2個の隣接するヒドロキシ基を有するポリマーを得;
好ましくは、上記酸性物質は、ハロゲン化水素水溶液、硫酸、や硝酸などの無機酸と、アルキルスルホン酸などの有機酸と、固体酸と、やヘテロポリ酸等を、含み、
好ましくは、上記接触水素化反応は、ラネーニッケルまたはラネー白金、パラジウムなどの触媒で行い;
好ましくは、上記接触水素化反応は、高分子物の有機溶液、水/有機溶媒乳液中で行ってよく、上記有機溶媒は、脂肪族アルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、シクロアルカン、ソルベントナフサ、環状エーテル化合物、やアルコールなどを含むが、これらに限られなく、好ましくは、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、やエタノールなどを選択し、上記接触水素化反応の温度は、0〜120℃であり、好ましくは、20〜80℃であり;
好ましくは、上記加水分解反応は、高分子物の有機溶液、水/有機溶媒乳液中で行い、上記有機溶媒は、脂肪族アルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シクロアルカン、ソルベントナフサ、環状エーテル化合物、スルホキシド、スルホン、ピロリドン、メチルピロリドンなどを含み、これらに限られなく、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、メチルピロリドンなどであり、上記加水分解反応の温度は、-20〜150℃であり、好ましくは-10〜80℃であることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜5の何れか一項に記載のポリマーが血管内塞栓に使用される用途。
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、2018年9月29日付で出願された中国出願第201811152501.6号、「ポリヒドロキシ含有ポリマー、その製造方法及び用途」という発明名称の先行出願に基づく優先権の利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
〔技術分野〕
本発明は、高分子材料の分野に関し、特に、ポリヒドロキシルを含有するポリマー及びその製造方法、並びに血管塞栓術による治療での応用に関する。
〔背景技術〕
インターベンション治療は、21世紀で最も飛躍に発展している医学・診療科の1つとして、今では既に内科的治療、外科的治療に匹敵でき、第3種の治療体系となっています。塞栓術はインターベンション療法の重要な構成であり、最新のハイテク手法による低侵襲治療である。塞栓療法は、医学用画像設備のガイドで、動脈または静脈内カテーテルを経して塞栓物質を病変器官の給血血管に注入量を制御しながら注入することで、閉鎖させ、給血を停止させることで、最終的に出血を制御し、腫瘍及び血管性病変を治療する並びに病変器官の機能を喪失させるという目的に達する。
【0002】
脳動静脈奇形(AVM)と、動脈腫瘍とは、臨床で最も普通の出血性脳血管疾病であり、てんかん性痙攣発作、神経機能障害、破裂性出血を招きやすく、障害率も致死率も高い。従って、初期、塞栓または閉塞による早期治療は、これらの疾病への治療においては最適な治療手段となっている。
【0003】
最初、脳動脈瘤塞栓術は、外科手術法で実施していた。切断又は結紮および動脈瘤クリップにて動脈瘤のネックを挟むなどの方法で、既に形成された動脈瘤を閉塞することで、血液の動脈瘤への流入を遮断していた。しかし、このような方法は、施術時間も長く、動脈瘤破損のリスクすらある。
【0004】
近年、血管造影技術の進歩に伴い血管インターベンション治療技術も急速に発展し、従来の外科施術は徐々に血管内塞栓術に代替されつつでいる。当技術は、患者に最高の神経機能維持、効果、安全性、および最低侵襲の施術を提供することができるため、AVMおよび動脈瘤の治療術全般を構成する重要なものとなっている。特に、マイクロカテーテル技術とガイドワイヤー技術との発展に伴い、直径1mm程度の血管までアプローチでき、血管内の多様な損傷の治療を実現した。
【0005】
塞栓はプラチナ製コイルによる塞栓法を採用してよいものの、米国特許文献US6537293及びUS6527790では電解離脱式コイルおよびその補助機器を塞栓治療に用いることを開示した。電解離脱式コイルのスラスタとコイルとの接続は、マイクロ溶接技術を採用するが、コイルは極めて柔らかいため、瘤壁への圧力が小さく、コイルの位置を繰り返し調整し、スラスタを電源正極に接続して弱電流(0.5〜2mA)を印加すると、プラチナ製コイルとスラスタとの間に絶縁層が覆っていないステンレスが電解され、コイルが離脱される。しかし、電解離脱式コイルは、適合性の問題で塞栓不足や低い血栓形成率という問題点があり、術中の破裂出血も起こしやすい。また、製造工程も複雑で価格も高いため、電解離脱式コイルは期待に応える塞栓材料とはいえない。
【0006】
WO97/04657及び米国特許文献US6476069では、シアノアクリレート類化合物を、プレポリマーとして用いた塞栓技術を開示している。シアノアクリレート類化合物は、ホルムアルデヒドと、対応するシアノ酢酸アルキルエステルを反応させ、さらに加水分解および蒸留させることで常温で液体であるポリマーを形成する単体を製造し得る。シアノ基もカルボキシ基も二重電子吸引効果があるので、炭素原子は血液中の陰イオンの触媒作用で急速に陰イオン重合される結果、永久的に塞栓作用を果たすことになる。シアノアクリレート類プレポリマー液は、細長いマイクロカテーテルを通じてプレセットした血管に直接注入できるため、操作が簡単になりよい塞栓物質であるといえる。しかし、既存のシアノアクリレート類塞栓物質には「カテーテルに付きやすい」という欠点があり、術者には高度な技術を要求し、また、注射後、容易にマイクロカテーテルを血管壁に付着させやすいという問題点もあるので、施術の失敗に繋がることもある。なお、モノマーがアニオン重合する時に放熱することも当塞栓物質の欠点である。
【0007】
塞栓用ミクロスフェアは、これまで、通常、よく使れる塞栓担体であり、それに使用可能な材料としてはゼラチン、やポリ乳酸など生分解性材料、及びエチルセルロース、やポリビニルアルコール(PVA)などの非生分解性材料が挙げられる。PVAは、その安全性と、優れた生体適合性、及び永久的な塞栓特性をもつため、最もよく使われているものとなっている。しかし、該当ミクロスフェア塞栓術の効果は術者の挿管技術によって制限があり、病変の場所によってミクロスフェアの粒子が違い、同時にミクロスフェアの膨潤率よおよび膨潤圧の影響も考慮せざるを得ない。よって、塞栓用ミクロスフェアに関する研究報道は多いが、実際の臨床で使われている市販製品は少ない。
【0008】
WO97/04657では、エチレンビニルアルコールポリマー(EVOH)を生体適合性ポリマーとして、ジメチルスルホキシドを溶媒として、生体適合性をもつ水不溶性の現像剤を添加してなる組成物を開示した。当組成物は、カテーテルを介して所定の血管部位に放出して塞栓を形成することができます。
〔発明の概要〕
生体適合性の非水溶性ポリマーを塞栓形成用主材とするカテーテル注入技術は、患者に最高の神経運動学的保護、効果、安全性、および最小侵襲型の治療法を提供しており、腫瘍治療や損傷型治療、たとえば、動脈瘤、動静脈奇形(AVM)、動静脈瘻(AVF)、制御不能な出血並びにそれに類似している損傷型の治療の重要なものになっている。
【0009】
生体適合性ポリマー組成物を、所定の血管部位までに正確に放出することは、カテーテル放出技術の中心となるため、塞栓用組成物に非水溶性の放射線不透過性造影剤を添加することで、透視検査といった普通の技術にて塞栓を形成する過程をリアルタイムで観察することが可能になる。非水溶性造影剤の使用は、後の治療(例ば、外科治療)中に塞栓体を観察したり、病状を監視したり、再治療することに有利になる。
【0010】
治療薬(例えば、抗腫瘍薬など)を添加した塞栓剤は、塞栓療法及び標的療法の二重の効果を兼ねる。特定の組織および器官の治療に対しては、標的性が高く、塞栓効果が良好でありながら、化学治療薬と、磁性流体および放射性核種とを組み合わたり、薬物を徐放するなどの利点がある。
【0011】
現在、利用可能な液体塞栓剤の中で、ポリマーEVOHジメチルスルホキシド溶液がより良い効果を現わしたもであり。EVOHは以下の構造を有し、
【0013】
エチレンー酢酸ビニル(EVAc)ポリマーを鹸化反応または部分鹸化反応させてなるアルコール分解産物である。EVOHは一種の結晶化度が高い結晶性ポリマーであり、その構造に25モル%-40モル%のエチレン構造が含有され、良好なバリア性を有し、ガス透過率がエチレン構造の含有量の増加につれて増加する。EVOH液体塞栓剤の使用において析出されたEVOHは、PE材質製マイクロカテーテルのノズルに付着し、析出されたミセルと血管との付着性が強くなく、d施術者の高い操作レベルが必要であり、また、析出されたミセルはマイクロカテーテルのノズルに付着しやすく、手術失敗の高いリスクを招いてしまった。
【0014】
本発明は、従来技術の問題点を改善するためになされたもので、ポリヒドロキシ含有ポリマー及びその製造方法と用途を提供することを目的とする。「ポリヒドロキシ基」とは、式1に示すように、ポリマー主鎖の2つの隣接する炭素原子にそれぞれ1個のヒドロキシル基が結合されており、且つ、ポリマー主鎖のほかの炭素原子に1個のヒドロキシ基が結合されており、そして、ポリマー主鎖には複数のこのような構造単位が含まれていることを意味する。上記ポリマーは、重合原料としてジエン系モノマー(例、1,3-ブタジエン系モノマーまたはイソプレン)を単独重合させ、複数の二重結合を含む式5で表されるポリマーを生成し、上記二重結合を含む式5で表されるポリマーはを酸化してエポキシ化ポリマーを得、上記エポキシ化ポリマーを接触水素化反応および/または加水分解させて、C-C鎖上にポリヒドロキシ基を含むポリマーを得る。上記ポリマーは、優れた生体適合性、及び、表面に酸素や窒素などを含む水素結合を形成しやすい物質との結合能が強い性質を有する。本発明のポリマーからなる溶液は、挿管用マイクロカテーテルへの付着性が悪いが、血管、皮膚、やガラスとの接着性が高いため、血管塞栓剤として使用できる。
【0015】
本発明の目的は、下記の技術案によって実現する。
【0016】
下記式1、式2、式3、及び式4で表される構成単位を含むことを特徴とするポリマー。
【0018】
それぞれに独立にそれぞれに独立に(ここで、m≧1、n≧0、j≧、k≧0、R
1とR
2は、同じまたは異なり、それぞれに独立にH、及び炭素数1〜8のアルカン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R
3、R
4は、Hまたはヒドロキシ基からなる群から選ばれ、且つR
3とR
4は異なり、R
5とR
6は、同じまたは異なり、それぞれに独立にH及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる。)
本発明において、R
1とR
2は、同じまたは異なり、それぞれに独立にH及びメチル基からなる群から選ばれる。
【0019】
本発明において、k=0、j>0である。
【0020】
本発明において、上記ポリマーは、ホモポリマーであってよく、またはランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。
【0021】
本発明において、上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、上記ポリマー中に存在する繰り返し単位全体の数の合計の0.1〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜99.9%であり、式3で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜99.9%であり、式4で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜99.9%である。
【0022】
好ましくは、上記ポリマーのうち、式3で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0%である。
【0023】
好ましくは、上記ポリマーのうち、式4で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0%である。
【0024】
好ましくは、上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の25〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜75%であり、さらに好ましくは、上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位総数の50〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜50%であり、より好ましくは、上記ポリマーのうち、式1で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の75〜100%であり、式2で表される繰り返し単位の数は、繰り返し単位全体の数の合計の0〜25%である。
【0025】
本発明において、上記ポリマーの数平均分子量は1万〜22万であり、好ましくは2万〜20万であり、例えば5万〜20万、6万〜20万である。本発明において、上記ポリマーは、ジメチルスルホキシド、酢酸、エタノールなどの生体適合性が高い有機溶媒に可溶である。
【0026】
本発明は、さらに以下の工程を含む上記ポリマーの製造方法を提供する。
(1)式5で表される二重結合を有するポリマーを酸化反応させて式6で表されるエポキシ化ポリマーを製造し得る工程、及び
【0028】
(ここで、R
1、R
2の定義は、上記と同じであり、p=m+n+k、l=m+n、j、k、m、nの定義は上記と同じである。)
(2)次に、式6で表されるエポキシ化ポリマーを接触水素化反応および/または加水分解させて生成物である上記ポリマーを製造し得る工程。
【0029】
本発明において、工程(1)のうち、上記式5で表されるポリマーは、ジエン系モノマー(例えば、1,3−ブタジエンまたはイソプレンであってもよい)の単独重合によって得られたものであってもよい。
【0030】
以下、上記式5で表されるポリマーの製造方法を示す。
【0031】
連続溶液重合法を採用し、例えば、1,3-ブタジエンまたはイソプレンを、アルカンや芳香族炭化水素と、または二者の混合物(例えば、トルエン-ヘプタン混合溶媒)と、混合し、30〜65℃で、重合開始剤としてナフテン酸ニッケル-BF
3-Et
3Alを加えて反応を開始させし、オクタノールを添加して分子量を調整し、反応停止剤としてエタノールを添加し、式5で表されるポリマーを製造し得る。
【0032】
本発明において、工程(1)のうち、上記酸化反応には、クロロヒドリン化法、過酸化物エポキシ化法、または酸素の直接酸化法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
上記過酸化物は、例えば、過酸化水素、過ギ酸、エタンペルオキシ酸、tert-ブチルヒドロペルオキシドなどからなる群から選ばれる1種または多種の混合物を使用してよい。
上記の酸化反応は、例えば、高分子物の有機溶液、水/有機溶媒乳液の中で行い、上記有機溶媒は、、脂肪族アルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シクロアルカン、、やソルベントナフサなどを含むが、これらに限らないが、好ましくは、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、ソルベントナフサなどから選択する。
【0034】
上記酸化反応の温度は、例えば、0〜120℃であり、このましくは、20〜80℃である。
【0035】
本発明において、工程(2)のうち、上記接触水素化反応は、接触水素化反応の方法にてエポキシ化ポリマーのエポキシ環を開環することにより、C-C鎖にヒドロキシ基を有するポリマーを得、上記加水分解は、通常的な酸性またはアルカリ性物質にてエポキシ化ポリマーを加水分解することにより、エポキシ環を開環し、C-C鎖に2個の隣接するヒドロキシ基を有するポリマーを得る。
【0036】
ここで、上記接触水素化及び加水分解、の具体的な反応条件および原料比などは、当分野の慣用的なものであり、特に制限されない。
【0037】
上記酸性物質には、例えば、ハロゲン化水素水溶液、硫酸、や硝酸などの無機酸、アルキルスルホン酸などの有機酸、固体酸、やヘテロポリ酸等を、含む。
【0038】
上記接触水素化は、例えば、ラネーニッケルまたはラネー白金、パラジウムなどの触媒で行う。
【0039】
上記接触水素化反応は、例えば、高分子物の有機溶液、水/有機溶媒乳液中で行い、上記有機溶媒は、脂肪族アルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、シクロアルカン、ソルベントナフサ、環状エーテル化合物、やアルコールなどを含むが、これらに限られなく、好ましくは、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、やエタノールなどから選択する。上記接触水素化反応の温度は、0〜120℃であり、好ましくは、20〜80℃である。
【0040】
上記加水分解反応は、例えば、高分子物の有機溶液、水/有機溶媒乳液中で行い、上記有機溶媒は、脂肪族アルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シクロアルカン、ソルベントナフサ、環状エーテル化合物、スルホキシド、スルホン、ピロリドン、メチルピロリドンなどを含むが、これらに限られなく、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、やメチルピロリドンなどである。上記加水分解反応の温度は、-20〜150℃であり、好ましくは-10〜80℃である。
【0041】
本発明では、さらに、上記ポリマーが血管内栓塞に使用される用途を提供する。
【0042】
発明の効果:
本発明では、ポリヒドロキシ基含有ポリマー、その製造方法および用途とを提供する。上記ポリマーは、優れた生体適合性を有し、表面に酸素や窒素を含有する水素結合を形成しやすい物質との結合性が高いなどの特徴をもつ。本発明のポリマーで形成された溶液は、挿管用マイクロカテーテルとの付着性は低いが、血管や皮膚、およびガラスへの付着性は高いため、血管塞栓剤として使用できる。
【0043】
〔添付図面〕
図1は、液体塞栓剤ための体外実験装置の構造を例示する概略図である。
【0044】
発明を実施するための形態
以下、具体的な実施例に基づいて本発明の製造方法をさらに詳しく説明する。以下の実施例は、本発明に対する単に例示的および説明的であって、請求する本発明の範囲を制限するものではないことは、理解されるべきである。確かに、本願に記載された以外の様々な変形及び変更は、前述した説明及び後述する実施例の記載から当業者にとって明らかであり、特許請求の範囲に含まれる。
【0045】
後述の実施例で採用される実験方法は、別途説明のない限り、通常のものであり、下記の実施例で使われる試薬、原料などは別途説明のない限り、すべて市販品である。
【0046】
物質の構造測定用の
1HNMR、
13CNMRは、JOEL社の600Mパルスフーリエ変換核磁気共鳴分光計を採用した。IRは、Thermofisher社のフーリエ赤外線変換分光計nicolet is50で測定された。Tg値は、TA社のQ100示差走査熱量計で測定した。ポリマーの分子量はAgilent社のPL-GPC 50(示差屈折率検出器(RID)及び蒸発光散乱検出器)で測定された。
【0047】
EVOH-1、EVOH-2、及びEVOH-3は、Kuraray製のものであり、三者の区別はそれぞれにエチレン含量だけに差があり、そのエチレン含量は測定例1の表に示す。
【0048】
〔実施例1〕
ポリ(シス-ブタジエン):ポリ(シス-ブタジエン)ゴム塊の市販品(四川石油化工有限公司製、1,4-シス型含量≧98%、2%の1,4-トランス型及び式4で表される構造である;数平均分子量Mn =170,000)、約2mm大きさのゴム粒に剪断。
【0049】
エポキシ化:攪拌機、温度計付きの250mlの三口フラスコに、上記ポリブタジエンゴム粒7gおよびジクロロメタン100mlを加えた。恒温水浴で室温で溶解、攪拌し、粘稠状に完全溶解してから、窒素ガスを数分間通した。ギ酸9.90gを加え、撹拌しながら30%の過酸化水素溶液21.40gを滴下した。次に、温度を維持しながら15時間反応させてから
1HNMR(CDCl
3)で分析したところ、1,4-シス型二重結合の化学シフト特徴なピークが消えた(エポキシ基の化学シフト特徴な値δ=2.98、1,4-シス型二重結合の化学シフト特徴的な値δ=5.40)。反応生成物を10%の炭酸ナトリウム溶液でpH=7になるまで中和し、水相を分離、水洗し、液体を分離した。分離されたゴム液に無水エタノールを添加して沈殿物を析出させた。析出された沈殿物を分離し、無水エタノールで1回洗浄し、廃液を濾去し、ウェットゴムを得た。上記ウェットゴムを室温で12時間ほかしてから40℃の真空乾燥箱で、約24時間、一定の重量まで乾燥し、エポキシ化シスブタジエンゴム7.3gを得た。
【0050】
加水分解:上記で製造されたエポキシ化シスブタジエンゴム1gを、テトラヒドロフラン100mlに溶解させ、25℃で攪拌しながら5mlの水と1mlの過塩素酸からなる溶液を、30分掛けて滴下してから、25℃で12時間攪拌した。
1HNMR(CDCl
3)分析し、エポキシ化シスブタジエンゴム化学シフト特徴的なピークが消えた(エポキシ基の化学シフト特徴的な値δ=2.98、隣接するジヒドロキシ基の化学シフト特徴的な値δ=4.18)。反応液を炭酸ナトリウム溶液にて中和させた。反応液に1000mlの水を滴下し、沈殿物を析出させ、沈殿物を分離し、400mlの水で24時間水漬けし、水を濾去し、得られた高分子物を室温で24時間ほかし、さらに40℃の真空乾燥箱で、一定の重量まで乾燥させた。固形物質1.12gが得られた。生成物は、分子量がMn=146000であり、Tg値が56℃であった。
【0051】
〔実施例2〕
ポリ(シス-ブタジエン):500mlの無水無酸素反応瓶に乾燥した石油エーテル180ml(60-90℃)を加え、5℃で乾燥した1,3-ブタジエン(成都科源気体有限公司、純度≧99.5%)を通し、ブタジエン20gを吸収した。反応瓶を密閉し、40℃の水浴中に仕込み、攪拌しながらナフテン酸ニッケルとトリイソブチルアルミニウムとの熟成液0.4mlを添加し、さらにBF
3‐ジエチルエーテル錯化合物0.38mlと1-オクタノール0.4mlを注入し、2時間攪拌反応させ、2mlのエタノールで反応を中止させた。反応液に無水エタノール200mlを添加し、固形ゴムを析出させた。乾燥後に19gのポリ(シス‐1,4-ブタジエン)が得られた。GPC分析によるポリ(シス-ブタジエン)の数平均分子量は91000であるったHNMR測定したところ、cis-1,4二重結合の比例は98.5%であり、ゲル含量は不満0.1%であった。
【0052】
エポキシ化:操作手順は実施例1と同じであった。
【0053】
加水分解:操作手順は実施例1と同じであった。
【0054】
得られた固形生成物は1.1gであり、数平均分子量が72000であり、Tg値が48℃であった。
【0055】
〔実施例3〕
ポリ(シス-ブタジエン):重合温度を40℃から25℃に変えて、1-オクタノールの添加量を0.6mlまでに増やした以外、他の操作手順は実施例2と同じであった。得られたシスポリブタジエンポリマーは17.8gであり、数平均分子量が23000であり、cis-1,4二重結合の比例が98.5%であった。
【0056】
エポキシ化:操作手順は実施例1と同じであった。
【0057】
加水分解:操作手順は実施例1と同じであった。
【0058】
得られた固形生成物は1.1gであり、数平均分子量が21000であり、Tg値が28℃であった。
【0059】
〔実施例4〕
ポリ(シス-ブタジエン):重合温度を40℃から30℃に変え、1-オクタノールの添加量を0.4mlにした以外、他の操作手順は実施例2と同じであった。得られたポリ(シス-ブタジエン)ポリマーは、数平均分子量が50500であり、cis-1,4二重結合の比例が99%であった。
【0060】
エポキシ化:操作手順は実施例1と同じであった。
【0061】
加水分解:操作手順は実施例1と同じであった。
【0062】
得られた固形生成物は、数平均分子量が49000で、Tg値が35℃であった。
【0063】
〔実施例5〕
ポリ(シス-ブタジエン):他の操作手順は実施例2と同じであり、重合温度を40℃から45℃に変え、1-オクタノールを添加しなかった以外、他の操作手順は実施例2と同じであった。得られたポリ(シス-ブタジエン)ポリマーは数平均分子量が250000であり、cis-1,4二重結合の比例が99%であった。
【0064】
エポキシ化:操作手順は実施例1と同じであった。
【0065】
加水分解:操作手順は実施例1と同じであった。
【0066】
得られた固形生成物は数平均分子量が245000で、Tg値が72℃であった。
【0067】
〔実施例6〕
実施例1で得られたエポキシ化生成物2gを、新たに蒸留したテトラヒドロフラン200mlに溶解してから、500mlのステンレス高圧反応釜に仕込んだ。ラネーニッケルを0.4g添加した(エタノールで覆う、反応器に仕込む前にテトラヒドロフランで3回洗浄)。窒素ガスで高圧釜を1Mpaまでに加圧し、常圧に放圧させ、このように窒素ガスによる加圧・放圧を3回繰り返した。50℃で撹拌しながら水素ガスを通し、1Mpaまで加圧した。水素ガス圧を維持しながら、12時間攪拌反応させた。
1HNMR測定をしたところ、エポキシ基の開環率は約75%(mol)であった。
【0068】
反応液を0℃に降温してから放圧した。触媒を濾去した。
【0069】
触媒を濾去した反応液に、5mlの水と、1mlの過塩素酸と、5mlのテトラヒドロフランとからなる溶液を30分掛けて滴下完了し、反応温度は25℃まで上がり、温度を維持しながら12時間攪拌した。
1HNMR(DMSO)分析したところ、エポキシ化シスブタジエンゴムの化学シフト特徴的なピークは消えており、隣接するジヒドロキシ基を含むブタジエン単位は24.5%を占めていた。反応液内に0.37gの固形炭酸ナトリウムを添加し、2時間攪拌した。反応液中に水を滴下し、沈殿物を析出させ、水を添加し24時間水漬けしてから、水を濾去し高分子物を得た。得られた高分子物を室温で24時間放し、さらに40℃の真空乾燥箱内で一定の重量まで乾燥させた。得られた固形物質は2.35gであり、数平均分子量が133000であり、Tg値が66℃であった。
【0070】
〔実施例7〕
実施例1で得られた加水分解生成物10gをDMSO 100mlに添加し、50℃で、窒素ガス雰囲気で12時間攪拌し、ポリマー溶液を調整した。ポリマー溶液を容器に入れて滅菌処理し、保存した。
【0071】
上記のポリマー溶液を生理食塩水に注入すると、即刻沈殿物が析出された。その沈殿物は内側から外向きに固くとなり、密集していた。この実験に示されるように、本発明により提供される塞栓組成物は、迅速に固化し、固化後に弾性の固体を形成することが確認されている。
【0073】
上記実施例1-6から示めされるように、数平均分子量が5万未満である場合、ポリマーのTg値は不満35℃になり、分子量が24万を超えるである場合、ポリマーはジメチルスルホキシドなどの溶媒に対して難溶性を呈し、溶液に調製することが困難となることが分かる。
【0075】
測定例1は以下の液体塞栓剤体の外実験装置にて行った。
【0076】
ディスポーザブル輸液セットの滴下ポットに直径2mmのガラスビーズを入れ、その上端を生理食塩水を入れた瓶に接続し、生理食塩水の出口と吊り下げた輸液セットの下部出口との距離は1.5mを超えた。マイクロカテーテルは、Y型ジョイントを介してガラスビーズを入入れた容器内に配置させた。37℃の生理食塩水の流速を0.3ml/sの定速に調整する。液体塞栓剤は、定速注射装置によりゆっくりとマイクロカテーテルを通過して滴下ポットに注入されるながら、注入中には生理食塩水の流速の変化はリアルタイム測定されていた。塞栓剤の注入につれて、流速は遅くなり完全に止まってしまった。実施例の化合物を含む塞栓剤を使った塞栓術中では、塞栓材がガラスビーズを入れた容器を通って流出することがなく、塞栓材はガラビーズを入れた容器内に均等に分散されており、よい塞栓効果を呈した。析出された塞栓塊はマイクロカテーテルの出口に付着していなかったので、実施例の化合物は多種類のマイクロカテーテルに対して良好な適合性を持つことが確認されている。
【0077】
測定例2 ガラスへの付着性の測定
EVOH-1(Kuraray製、エチレンmol%:27%)、実施例1、4及び6で得られたポリマーを、DMSO中に添加し溶解させ、濃度が10%の溶液に調製し、PVA(上海臣啓化工科技有限公司製、分子量8万、アルコール分解度99%)をエタノールで溶解させ、濃度10%の溶液に調製した。
【0078】
上記ポリマー溶液を清潔な超白色ガラス表面にそれぞれに流出させ、EVOH-1、実施例1、4および6で得られたポリマーを塗布したガラスを約90%の湿度の恒湿空間に仕込み、12時間後に膜表面を数回水洗いし、DMSOを洗浄し、乾燥してから、ポリマー膜を剥離した。PVAエタノール溶液が塗布されているガラスをそのまま乾燥し、ポリマー膜を剥離した。
【0080】
本発明のポリマーは、隣接するジヒドロキシ基を有するため、表面に酸素、や窒素などの元素を含む物質と強い水素結合を形成しやすく、皮膚やガラスなどへの付着性はEVOHやPVAより高い。塞栓剤に活用すると、EVOHの良好な析出性を持つだけでなく、塊状形成性も塞栓位置での付着性も著しく改善されている。
【0081】
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、前述の発明の詳細な説明は、非限定的なものである。様々な変更及び変形は、この明細書及び後述する特許請求の範囲を読んだ当業者にとって明確であろう。本発明の全範囲は、そのような変更、変形と共に、その等価物等を含むものと解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1は、液体塞栓剤ための体外実験装置の構造を例示する概略図である。
【国際調査報告】